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2005年10月31日
[グランドハイアット](六本木)
子供地球基金KIDS EARTH FUND(KEF)を知っていますか?鳥居晴美さんが1988年に創設したボランティア団体で、木梨憲武氏や三枝成彰氏などが名を連ねる。10月27日、その資金集めパーティーに行ってきた。
こだわりサイトで細川佳代子さんのインタビュー記事を見た後輩が、彼が参加しているボランティア団体を紹介したいと、このパーティーに銀髪を連れて来た。
KEFの概要を案内書のとおり引用する。「子供地球基金は、支援を必要とする子どもたちへ、物心両面からの援助活動を行うと同時に、世界中の子どもたちの創作活動を応援しています。子どもだけが創りだすことができる絵画やアートを世界中から集め、子どもたちの夢や願いを、文化も国境も越えたメッセージとして発信。また、子どもたちの絵は絵本の出版や企業のカレンダー等に採用して頂き、その収益金を世界中の子どもたちへ還元しています。」
代表の鳥居晴美さんとお話ししたが、細川さんとカンボジア支援で一緒に活動したことがあるそうだ。ボランティア活動を近所のごみ拾いから始めたと言われるその精神は細川さんと同じだ。いつか、こだわりサイトに出ていただけるかもしれない。
チェロやピアノの演奏(プロの演者はもちろんボランティア)も楽しめたし、食事も立派なものだった。グランドハイアット・ホテルの一流シェフによるコース料理。
熟成パルマハム無花果ルッコラ25年物ヴィンテージのバルサミコ

アーティーチョークのクリームスープロワイヤル仕立て

ゴルゴンゾラリゾット帆立貝のポワレ ガーデンハーブ添え

プライムサーロインのグリル ソフトマッシュルームのポレンタ アスパラガスのロースト添え

へーゼルナッツメレンゲのモンブラン マラガレーズンアイスクリーム

高級ホテルの手際の良さにはいつも感心する。450人もの料理を間を置かず次々にサービスしていく。ステーキは多少焼きむらが気になるが、これだけ大量に作ったにしては満足できる域だ。
フロアスタッフと会話してメニューを選ぶ楽しみがないのが寂しいが仕方がない。
それにしても、昔はパーティー料理は不味いのが当たり前だったが、料理機材や技術の進歩も想像以上のものがありそうだ。
銀髪はコースを頼むことは殆どない。甘いものが嫌いなためデザートが食べられない。小さい店ならチーズなどに代えてもらうが、今日は無理のようなので少しづつ味見した。デザートの評価ができなければ洋食の批評はできないが、駄目なものは駄目。グルメ失格でごめんなさい。隣の人は美味しいと言っていた。
パーティーの最後にくじ引きがあった。寄付のつもりで一万円分のくじを買ったが、なんと内2枚が当たってしまった。10人掛けのテーブルで当たったのは銀髪のみ。しかもダブル。下手につくと怖い。
これは子供地球基金に参加しなさいとの神の思し召しだったのだろうか?
子供地球基金
http://www.kidsearthfund.org
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2005年10月30日
神田川
相棒がカラオケで神田川を歌った。♪あなたはもう、忘れたかしら。洗い髪が芯まで冷えて。いつも私が待たされた。一緒に出ようって言ったのに・・・♪
そこで銀髪が「この歌詞はおかしい。女のほうが絶対長風呂だ!」。3分と湯船に浸かったことがない相棒は間奏になるのを待ってましたとばかり「そうだ!男が待たせるなんて考えられん。いつも早く出て来い!と俺は怒鳴りあげたいくらいだ!」と吼える。
帰りのタクシーの中でふと神田川の歌詞のことを思い出だした。そう言えばあの歌が流行った頃、若い男の多くは長髪だった。銀髪も大学時代は耳が完全に隠れていたし、うっとおしい位に髪の量も多かった。男のほうが女より髪が長いカップルもいただろう。
今銀髪は白髪に髪は細くなり、もう何年も耳が隠れたことはない。
相棒はと言えば、若いときにすぐ禿げるとみんなに言われたにもかかわらず、未だに癖っ毛が頭に張付いている。宿主同様に髪の毛もしぶとい。
こんな二人はいつもカラスの行水。今は神田川の歌詞なんかとても理解できない。
週末、自転車で神田川沿いを走った。地図を見ると神田川は井の頭公園から始まる。ちょっと驚いた。神田川と言えば中央線飯田橋駅から御茶ノ水辺りに流れているイメージしかない。井の頭公園の中で源流を見つけた。

高井戸近辺で環八を超えてすぐの梢橋でおばあちゃんが餌を川に投げ入れていた。それを鯉と鴨が争って食いついていた。のどかな郊外の風景。

永福町辺りで神田橋を見つける。神田川にかかっているのだからどこでも神田橋の名でも問題ないとは思うが、何だか腑に落ちない。神田橋は神田周辺にあるべきだとこだわる。
環七を超えると栗を焼く匂いが漂う。しばらく走ると左手に天津甘栗の店があった。裏手に工場があり、製造直売している。デパートや駅に納めていると言う栗は小(400グラム)500円、大(1キロ)1,000円と割安だ。試しに小を買って帰ったらアッと言う間になくなった。上海出張したとき買ってきた土産のむき甘栗はカビが生えるまで残っていた。甘栗は嫌いかと思っていたが、美味いものは食べる。我儘な奴等だ。

なおも神田川を下る。神田川は善福寺川、妙正寺川と合流して隅田川にそそぐ。沿道は善福寺川と合流してからは大通りに遮られたり、途切れたりで走りにくい。
やがて大きなビル群が広がってくる。高田の馬場近辺は若者で溢れていた。浅草橋駅周辺ではお祭りがあるのか法被姿の老若男女が集っていた。墨田川の近くには船宿があり屋形船に乗るため若い女性たちが列を作っていた。みんな楽しそう。男はどこに行った?
浅草橋から隅田川を臨んで神田川を下る旅を終えた。源流から隅田川まで全長24.6km。
♪三畳一間の小さな下宿 あなたは私の指先みつめ 悲しいかいって聞いたのよ 若かったあの頃 何もこわくなかった ただあなたのやさしさが こわかった♪
今日走った神田川沿いには、歌にある下宿らしい建物は見当たらなかった。
歌にあるような恋は今もどこかで繰り広げられているのだろうか。
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2005年10月28日
[駒形どぜう] 「東京名物どじょう丸鍋」
寿司、天婦羅はいつも食べている。他に東京らしいものを食べようと考えて、さあ困った。名物に美味いものなし。東京ならではのフランス料理やイタリア料理はあるが、男同士で行く気にはならない。迷った末に、浅草の「駒形どぜう」に行くことにした。

一応電話をかけた。必要ないとは思ったが、もし観光客が押し寄せていたら困ってしまう。はとバスでどっと満員になることがときどきある。
「予約は必要ですか?」と聞くと「4~5人以上しか予約は受けません。2人なら直接来て空いていたら入ってください。」とちょっと冷めた応対。どうせ大広間で食べるのだから、慇懃無礼に説明してくれなくても、「多分大丈夫ですよ。」とでも軽く言ってくれたらいいのに。
最後に行ったのは10年以上も前。ドジョウ鍋にねぎを繰り返しタップリと入れて食べたことしか覚えていない。しかもドジョウではなくねぎが美味しかったという記憶しかない。
友達にも「話の種を作るため行くので、まずくても文句言うなよ!」と念を押す。「話の種なんかいらないから、旨いものを食わせろよ!」と彼は言うが、もうタクシーに乗って行き先を告げたから行くしかない。別の店を探すのが面倒なのだ。美女が「何か他のものにしてくれませんか?」と言えば、たちまちアイデアがいくつも出てくるのだが、どうせ相手はしょぼくれた友。断固ドジョウを食いに行くのだと譲らない。
店に入ってみると、予想通り席は十分余裕がある。靴を脱いで板の間に上がる。ここにはテーブルはない。ねぎと香辛料の入った箱と割り下が入った容器が床(板の上?)に置いてある。

メニューや壁のお品書きを見てちょっとびっくり。ドジョウしかないと思っていたが、鯉のあらいや鯨など種類も豊富である。
人間の記憶なんて本当にあてにならないもんだ。まずビール、それからドジョウ鍋、鯉のあらい、鯨ベーコンを頼んだ。そんなに高くない。
底の浅い小さな鉄鍋にドジョウが乗ってくる。この上にねぎをたっぷり乗せて割り下をかける。ドジョウは調理済みだから、ねぎが煮えたらもう食べられる。

ドジョウを食べてまたびっくり。結構美味いじゃないか。山椒と七味唐辛子をかけて食べると更に美味い。特に山椒がいい。友も「お前が不味いというから心配したが、なかなか食えるじゃないか!」とご機嫌である。
ビールの次は熱燗。一合入り徳利を2本。注ぎつ注がれつ、また1本、また1本。
ねぎをお代わりして、鍋にてんこ盛り。しんなりしたら食べて、また飲んで。
ちょっと家族の話、仕事の話。そして食って、また飲んで。馬鹿話をしてはまた飲んで。
男同士の食事もいいもんだ。言いたい放題で遠慮がない。
美味しい食事の条件。お腹を減らしておくこと。食べる前に期待しないこと。そして気の置けない友。
駒形どぜうさん。結構いけましたよ!
立派なホームページがあった。
http://www.dozeu.co.jp/asakusa/
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2005年10月27日
[伴] (八重洲) 「三色丼」
8時半。仕事が長引き出遅れてしまった。相棒も部下たちもとうに食事を終えてしまっている。家に帰るにはお腹が空きすぎている。一人の夕食は寂しい。
本を片手にラーメン屋に行こうか。それはちょっと侘びしい。
そうだ! 寿司屋へ行こう。カウンター越しに大将が相手をしてくれる。
東京駅八重洲北口から数分、大通り(外堀通り)を渡って神田方面に向かい、路地を右に入ると寿司処「伴」がある。テーブル席もある比較的大きな寿司屋だ。引き戸を開けて中に入ると奥のカウンターの向こうから大将が笑顔でこちらを見ている。
「どうしたの?」と聞かれ「イヤー、あぶれちゃってね」そう言いながら席を探すが、大将の前はふさがっている。隅の方に座ろうとすると、目の前のお客さんに「すいません、詰めてもらえますか?」続いて「銀髪さん、こっちおいでよ!」何とも嬉しい気遣いだ。
座ると直ぐに生ビール、そして本マグロの大トロが目の前に。「銀髪さんは大トロが好きだからね」と好みを熟知してもらっている。でも大トロだけでは寂しすぎる。
「グルメ紀行に載せるから、もうちょっと飾ってよ!」と言うと、1.5人前の刺身盛り合わせが出し直された。大トロ、しめ鯖、ほたて、鯛。すかさず熱燗を頼む。リズムがいいと食も進む。

いつもは相棒が大勢を引き連れてくるので、ワイワイガヤガヤと忙しく、大将とじっくり話す機会がない。今日は大将を独り占めだ。
しめ鯖、こはだ、穴子などなど仕込みの時、自ら築地で仕入れた魚たちが姿や味を整え変貌していくのを見るのが楽しいと言う。
話しは延々と続く。ゴンズイ、ウラゴ、山の神などなど、聞いたこともない魚の名前が出てくる。漁師の息子ならではの知識、こだわり。家では何も作らない料理人が多いが、家族や娘の友達などにも腕を振るう。とにかく魚が好き、料理が好き。みんなの喜ぶ顔が好き。
「写真撮るなら是非これを撮ってよ!」と出てきたのが三色丼。

何度も来ているのに初めて知った大将自慢の一品。
いくらは2枚の薄皮を丁寧に取り除いている。外側の薄皮は歯触りを悪くする。内側の薄皮には臭いがある。これらを取り除くことによってすっきりした味になるそうだ。味付けは薄塩のみ。猟師に習った技。
マグロは先ほどの大トロを叩いたもの。叩くことによって味は切り身より濃厚に感じる。
これにうにを加えて三色丼の出来上がり。
どんぶりと言っても直径5センチ位のミニミニ丼。2カン分程の寿司飯の上に10カンは作れる3種のねたを乗せている。醤油のかけ過ぎ無用と、大将自らが数滴垂らして出してくれる。
相棒はいきなり寿司を食べる。刺身は嫌い。大トロ、イカなど相棒が食べれる生魚の寿司は数えるほど。好きなものはかんぴょう巻き、納豆巻き、焼き魚。食べ終わると直ぐに勘定を払って出ようとする。とにかくせわしない。
今日は相棒がいないため大将とゆっくり話せた。何度も来ているのに大将のことを殆ど何も知らなかったことに気づく。
「うちのアンコウは絶品だよ。」「鯖のしゃぶしゃぶを食べに来てよ!」
食べたことがないものがまだまだありそうだ。近いうちにまた来よう。
すし処「伴」
東京都中央区八重洲1-5-21
03-3278-1644
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2005年10月26日
ギムレット
レイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・マーロウは粋な男の代表。中年の貧乏探偵だが、「男」を貫き通す。女にはモテモテだが、自分を見失うことはない。
このマーロウのシリーズ最高傑作と言われるのが「長いお別れ(Long Goodby)」。
この小説で有名になったのがギムレット。このカクテルを追った。
長いお別れに出てくるギムレットのレシピはジンと「ローズ」のライム・ジュースの割合が半々である。標準的なレシピはドライジン45ml、ライムジュース 15ml。つまり3:1。小説のギムレットとは随分異なる。
日本橋高島屋向かい「風月堂」地下の「風長閑(かぜのどか)」に行った。馴染みのバーテンダーにこのカクテルを作って欲しいと頼んだが「ローズ」のライムジュースがなく断念。
チャーチルのドライマティーニ(10月4日掲載)を出してくれたあの新宿パークハイアットに行ったがやはりできない。
かなりドライなパークハイアットのギムレット

名古屋の最高級ホテル、大阪のショットバーなどなど、行く先々でギムレットを頼んだが、やはり「ローズ」のライムジュースがないため小説のカクテルは再現不能。結局、マーロウが飲んだギムレットには出会えなかった。
多くの店は「うちはフレッシュな生ライム・ジュースしか使わない!」と胸を張るが、長いお別れのギムレットのレシピを知るバーテンダーすら見つからない。
博多で入ったショットバーの若いバーテンダーが意外にも知っていた。「ローズ」とはこのライムジュースを作っていた会社であること、そのジュースがかなり甘い人工ジュースであることなどが判った。
「ローズ社のライム・ジュースは甘くて、まずいですよ」と断言する。
ギムレットとは、ねじ錐、木工錐のことで鋭いものを意味する。やはり男のカクテル。
かつては今より甘めのカクテルだったようだが、それでも小説のギムレットのレシピでは甘すぎる。
登場人物の性格模写をこの普通と違うギムレットで表現しようとした作者チャンドラーの意図がようやく分かってきた。このギムレットを追いかけたことで物語が一段と味わい深いものになった。
銀座TAKAでギムレットを作ってもらった。ボンベイジンを3分の2、コーディアルライムジュースを3分の1。コーディアル・ライムジュースは甘みを加えたカクテル用ライムジュースでサントリーが出しているもの。ローズ社のジュースの代用だ。これに生ライムのスライスを半分入れてシェイクしたものがTAKAのギムレット。これを作った高崎オーナーは78歳のベテランバーテンダー。オリジナルに、そして小説の味に近いギムレットだろう。
甘いTAKAのギムレット

一口飲んだ。やはり甘い。銀髪にはちょっとつらい。これより甘い小説のギムレット。
ハードボイルド探偵のマーロウがどんな気持ちでこのカクテルを飲んだか分かるような気がした。
チャンドラーのファンにご参考:TANPOPO FREEWAY 「ギムレットは早すぎる」
http://www.asahi-net.or.jp/~jh9h-sgur/zansu/column/gimlet.htm
Salon de TAKA
中央区銀座6-5-15 銀座能楽堂ビル4F
03-3572-0023
(ショットバーではありません。念のため。)
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2005年10月25日
[だぼ鯊] (日本橋) 活きはぜの天婦羅
日本料理を代表するものは寿司と天婦羅。寿司、天婦羅と言えば江戸前。江戸前の天婦羅の代表格は穴子か。他は? 天婦羅の王様、海老は天草。悩んでいる場合ではありません。
そう、鯊(はぜ)なんです。
はぜは日本中で釣れる。子供の頃、釣りといったらはぜ釣りだった。餌はゴカイだったろうか、カレー団子だったろうか。入れ食いである。浮きはいらない。何にでも食いつき簡単にいくらでも釣れる下らない小魚との意味で、だぼはぜと言われる。
釣った記憶はあってもどうやって食べたか記憶がない。もちろん味も覚えていない。
先輩に連れられて天婦羅屋に行った。店の名は「だぼ鯊」。カウンターには客がくれたはぜの置物がある。だぼ鯊の名は冗談でも照れ隠しでもなく大将が惚れ込んだ魚のようだ。
ところが行ったのが春先だったため、はぜにありつけなかった。
それから度々通い、海老、あなご、稚鮎、ふきのとう、などなど季節のネタを堪能したがはぜはない。待つこと半年、9月に入りはぜを求めて再びだぼ鯊に行った。
席に着くや否や「はぜは入った?」と聞くと、うれしそうな大将の声。「ありますよ!」
使うのはその年に生まれたものだけ。しかも生きたはぜ。春に生まれ、秋に食べごろに成長する。冬になり卵を持つと身が細り味が落ちる。2年目以降はもう使えない。そう話す大将の顔はいつになく輝いている。
順番を無視して、すぐにはぜを揚げてもらう。身、腹、頭、骨と4ヶ所別々に揚げられたはぜがすぐに目の前に。

さっきまで生きていただけに尾びれがピンと広がり、身はふっくら、ほっくりとしている。
味はキスやメゴチに似るが、大将が惚れ込んだだけはある。
大将の顔が誇らしげ。「どうだ!美味いだろう!」と言いたそうな顔つきで胸をはる。
いつもより若々しく見える。
続いて海老、松茸、野菜、掻き揚げなどと続く。酒が進む。
最後に「もう一度はぜ!」と頼む。本当に品がいい魚だ。
今度の写真は裏側から

今日のはぜは松島産。もうじき江戸前のはぜが出てくる。
1匹が1,200円。9月~12月までの限定商品。試す価値はある。
だぼ鯊を屋号にしているが、「だぼはぜなんて言わせない!」との大将の本音が聞こえるようだ。
だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533
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2005年10月24日
ワインがわからない!
洋食なら必ずワインを頼む。これまで少なくとも3,000本以上は飲んだのではないだろうか。
特に海外勤務時代は安くて美味しいワインが手に入ったので毎日1本ペースで飲んでいた。
ところが未だにワインがわからない。これじゃグルメ失格かな?
ワインとの出会いは大学生のときワイン同好会なるものに入会した頃。入会の動機は2つ。
1つはマンズワインがスポンサーについていたので、タダ酒が飲めると思ったこと。
もう1つは学園祭のとき「ワインの女王コンテスト」を催していたため、美女と遭遇できると期待したことだった。
しかし、入会して考えが甘かったことに気がついた。マンズワインは「ワインの女王コンテスト」のスポンサーであり、ワイン同好会のスポンサーではなかった。従って、いつもタダ酒が飲めるというわけではないのだ。
試飲会なるものに初めて参加したが、会費制でグラスに半分位しか飲めない。部長がなんだか偉そうなことを言うのだが自分たちには意味不明。タバコを吸っていた友人は怒鳴られた。
我々仲間3人はそっと試飲会場を抜け出して居酒屋へ入り、大酒を喰らってワイン同好会の悪口を言っては大いに盛り上がった。それからすぐに同好会を退会した。ワインの女王コンテストまで我慢できない。
あれから約30年。週末に勝沼へ行った。ワイナリー巡りをやろうと思ったのだが、お目当ての小さい酒蔵は予約一杯でとても入れない。いくつか回って大手でないと入れないと観念していたところに迷い込んだのがマンズワイナリー。因縁を感じたがマンズワインに恨みはない。

予約なしでも工場見学が出来るという。10分ほど待って工場見学ツアーに参加した。
驚いたのが巨大なタンク。すべて樽で熟成されるものと思っていたが、多くはこの巨大なタンクで熟成される。タンク熟成のワインは比較的若いワインで、値段も安い。蓋もコルクは使わない。酒屋で千円以下で売られるワインだろう。
樽熟成は手間も時間もかかる。樽の匂いがついたり、まろやかさが増したりして、当然値段は高くなる。
しかしタンク熟成のワインは粗悪なワインなのだろうか?
ワイン造りの最終過程に登場するのがブレンダー。彼らがいくつかのワインを調合して、ワインを完成させていく。大量生産であっても、品質を維持するための大変な努力があるようだ。プロの技だ。
粗悪な輸入ワインと値段が一緒だからといって、品質も同様と思ってはいけないと感じた。
家庭料理に合わせてこんなワインを気軽に飲んではいかがだろうか。
工場限定、お手頃ワイン

銀髪はレストランでワインのウンチクは言わないようにしている。
シャトー○○ なんてワインだけを重宝がっても仕方がない。
自分のお財布に合わせて、料理に一番あったものを店の人に選んでもらえばいい。
見栄を張って、奮発してこの1本より、楽しく多種のワインを飲みたいものだ。
お財布を気にして飲み食いしても楽しくはない。
工場見学が終わって最後は試飲場へ。ここでは飲み放題。ただし、銀髪は運転手なので酒は飲めない。やっぱりマンズワインのタダ酒には30年経っても縁がなかった。トホホ
「ワインがわからない!」なんて恥ずかしくて言えないと思っていたら、SAKE TO RYORI というブログを見つけてちょっと安心。
http://kamekichi.cocolog-nifty.com/sake_to_ryouri/2004/07/post_30.html
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2005年10月23日
HAPPY BIRTHDAY!
数日前に銀髪のプロフィールが変わったのをお気づきだろうか。「もうすぐ半世紀」が「既に半世紀」になった。
オーストラリアに居たとき、娘(当時幼稚園児)の誕生パーティーを自宅で開いた。娘の友達10数人はすべてオーストラリア人で英語しかできない。子供が話す英語は分かりづらく、こちらが理解できるように表現を変えることもしてくれない。退屈になりゲームをしようと訴えられるが、彼女たちが喜ぶゲームがわからない。
そもそも銀髪は子供と遊ぶのが苦手なのだ。妻が設定した3時間は地獄だった。
翌年から手品師を家に呼んだ。その翌年はピザ・ハットに会場を移し、味をしめてまた手品師を呼んだ。親の役目はお金を払うだけになった。

子供が大きくなると家族の一大行事だった誕生日も衰退していく。
全員揃うのが難しくなる。何よりも子供が祝って欲しい相手が両親ではなくなっていく。
自分たちもやってきたことだ。諦めるしかない。
もっと歳を取ると誕生日は楽しいばかりではなくなる。ちょっと辛くなってくる。
誕生日はことさら嬉しい日ではなく、一大行事ではなくなったかに思える。
そうなると誕生日の予期せぬ祝福は、楽しくてうれしいサプライズ(驚き)だ。
映画「ゴッドファーザー」でマーロン・ブランドが演じるマフィヤのボスが、子供たちが極秘で準備した誕生パーティーに招かれて驚き喜ぶシーンは、凄惨な殺戮場面との対比が鮮やかで印象深い。自分の誕生日がいつかすら認識していないのだから、喜びは大きい。
予期せぬ人からの祝福もうれしい。「なぜ、誕生日を知っていたんだろう?」と疑問に思いながらも、思わずニッコリしてしまう。ほんの些細な気遣いでも、嬉しくなるのは誕生日のおかげだ。
行きつけのお店で大きな花束をもらった。夜の銀座を白髪のオヤジが花束を腕に抱えて歩くのは気恥ずかしいので、肩に背負って照れ隠しをした。擦れ違った人たちは何と思っただろうか。
今日もどこかで誕生日を迎えた人たちが、うれしいサプライズを受けていることだろう。
大きなサプライズだろうか。小さくささやかなサプライズだろか。
偶然にも自分の誕生日に銀髪グルメ紀行を開いてくれたあなたに
Happy Birthday ! お誕生日おめでとう!
From 銀髪

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2005年10月21日
寿司はテーブルで
寿司は日本だけでなく世界中で人気のある食べ物になった。スシ、サシミ、トロなどの日本語はそのまま外国語として使われる。
しかし、習慣の違いを完全に拭い去ることはできない。
廻る寿司は別にして、カウンターだけの店は日本人でも入りにくい。
メニューがなく、壁にかかっているネタにも値段が書いてないと落ち着かなくなってしまう。
その点、入り口に商品サンプルが並べられている店は安心だ。
寿司大好きのカナダ人が日本にやってきた。日本語はあまり出来ないが、勇気を出して一人で寿司屋に行くことにした。ホテルを出てしばらく歩いていると、すぐに一軒の寿司屋を見つけた。
入り口のガラスケースには寿司の模型が置いてあり、その前に値札が付いている。日本語が出来なくてもどんな店か簡単にわかる日本のシステムは素晴らしいといつもながら感心する。

引き戸を開けると中は結構広く、サラリーマン風のお客さんが一杯入っているので更に安心感が増す。
すかさず店員が近寄ってきて「テーブルにしますか? カウンターにしますか?」と聞く。接客態度もきびきびしていて気持ちがいい。
テーブルもカウンターも英語だからすぐに理解できた。「カウンター」と即答する。
ここで最初の過ちを犯したが気づかない。外国ではテーブル席はテーブルチャージがかかって割高。
従ってカウンターの方が安いと勘違いしたのだ。

カウンターに座ると目の前のガラスケースに新鮮な魚が並んでいる。寿司職人が歯切れ良い調子で声をかける。「お好みでいいですか?」に「ハイ!」と頷く。Yesではなくハイと日本語で返事ができたとニンマリする。
店員が飲み物の仕種をする。「サーケ」と言う。ちょっと通みたいじゃないか。
いい調子だ。片言の日本語だけでここまで問題なく進んでいる。
「サシーミ?」と聞かれ「ハーイ!」ついでに「トロ」と言う。美味そうな刺身が目の前の板に並べられる。小皿にタップリの醤油を入れる。(何故か外国人は醤油をタップリ入れる) 刺身をたいらげた。
「スーシ?」今度は寿司が出てくるようだ。再び大好きな「トロ」を頼む。カウンターに座って正解だった。魚は目の前に並んでいるので指差せば間違えようがない。楽なものだ。
たらふく食って大満足。ところが勘定書を見て驚いた。2万円?
刺身と酒も頼んだので、入り口のガラスケースの値段(上寿司2,000円?)では収まらないだろうとは思っていたが、何と言っても庶民的な店の「カウンター」でしかも「エコノミー(Economy)」にしたのに納得できない。これじゃファーストクラスだ。説明を求めてもみんな英語を分かってくれない。身振り手振りも通じない。仕方なく請求どおりの金額を支払って店を出たが怒りは収まらない。
翌日、日本人の友人にこの話をしたら大笑い。日本では寿司屋や天麩羅屋ではカウンターの方が高いこと、エコノミーと聞こえたのはお好みの間違いで、品質が良く高級なものが出てくることなどを教えられた。
勘違いは高くついた。でも騙されたわけではなかったのが救い。
「次からは寿司はテーブルで食べよう」 固く誓ったカナダ人だった。
(注 : 写真と記事は関係ありません)
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2005年10月20日
[水軍の宴] (広島) 瀬戸内名物穴子の白焼
鰻、鱧、そして穴子。魚介類とは言えないような気がするが、よくもこんな気色の悪いものを高級料理に仕上げたものである。日本人は偉い!
広島と言えば牡蠣。お好み焼きともみじ饅頭も名物かな。他は?
そう、穴子なんですよ!
前回7月に来たときのこと。一日の仕事が終わったところで、泊まっても居ないのに広島でNO.1?のリーガロイヤル・ホテルへ直行した。向かった先はコンシェルジェ。今夜の晩餐をどこでするか相談するため。彼らのリストの中から生け簀がある店を紹介してもらった。それが水軍の宴。
生け簀自体は博多の料理屋には遠く及ばないものの、清潔な店内と満席のお客さんを見て期待が膨らんだ。
その時印象に残った料理はメバルの刺身、オコゼの煮付け。もちろん両方初体験。オコゼは瀬戸内の名産だがこの時は型が小ぶりで刺身は無理。お奨めの煮つけを頼んだがゼラチン状の皮周辺の味は忘れられない。そして驚いたのが穴子の白焼き。瀬戸内の穴子が美味しいとは知らなかった。
3ヶ月振りの広島。日が暮れた。お好み焼きでまだ腹は空かないが、目指す店は水軍の宴。
店主は銀髪を覚えていた。あの穴子を食べに来たと言うと、白焼きの前に穴子の刺身を食えと言う。
瀬戸内産の夜鳴き貝と一緒にドライアイスの演出付きで華麗な一皿が登場した。

穴子を刺身で食べるのは初めて。薄作りで氷に乗っているせいか意外とあっさりしている。ふぐやおこぜには及ばないまでも、上品な味だ。
夜鳴き貝も食べた記憶がないが、貝特有のコリコリした食感はなかなかいい。ピンク色の身は見た目もきれいで、ほんのりした甘さが適度で味わい深い。
そして白焼き。

7月に食べた穴子は脂が皿に滴るほどであったが、今回は脂の乗りが少ない。
残念ながら夏の穴子には負けるが、それでも期待を裏切らない味。
添えられているわさびはこの店オリジナル。本わさびとは微妙に違う風味だったので前回質問したところ、やはり西洋わさびなどと合わせているとのこと。いつもは新鮮な本わさびのみにこだわりたい銀髪だが、これはなかなかいい出来だ。ここの魚との相性がいい。
次は虎はぜの天婦羅。真はぜには勝てないが、はぜらしい香りがして悪くない。

続いて穴子のかば焼き。

赤貝の刺身

穴子に惚れ込んで、前回東京に戻り高級寿司屋で白焼きを頼んで睨まれた。寿司屋は煮るなど仕事をしっかりした穴子を出す。穴子は江戸前を代表する魚。江戸前の調理の仕方が守られる。天婦羅屋でも主役級だが白焼きは味わえない。
仕方なく居酒屋で白焼きを頼んだが味は論外だった。どっかいいとこが東京にもあるはずだが…
水軍の宴の穴子は期待を裏切らなかった。
写真の料理に穴子寿司、生ビール2杯、純米吟醸の冷酒4杯(4合)を加えて合計1万4千円。
リーガロイヤルに推奨されて来たと言うと、店主は驚いた。売り込みに行ったこともないのに一流ホテルがリストに入れていたことを不思議がっていた。もちろん誇らしいに違いない。
グルメ本やネットの情報も便利だが、ホテルで聞くのが一番いい方法だ。ホテルの格は紹介する店の格とほぼ一致する。
若いオーナーと若い板さんたち。老舗にはない清新な味、雰囲気、意気込み。
こちらにも明日からの力を与えてくれる店だ!
活けす料理 水軍の宴
広島市中区流側町7・15 むぎくらビル1階
082-249-8484
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2005年10月19日
[麗ちゃん] (広島) 広島駅名物お好み焼き
タクシーに乗ってどこかいい料理屋知らないかと聞くが、いい料理屋なぞ行ったことがないと言われる。
ラーメンなら分かるだろうと聞くと、味噌、醤油、塩、とんこつ、鶏がら、魚類スープ、さっぱり、こってりなど種類が多くて、みんな好みが違うので返答できないと言われる。
しかし、広島でお好み焼き屋は?と聞けば、即座に返事が返ってきた。「麗ちゃんだね!」
特にお好み焼きが食べたいわけではないけれど、昼飯には適当かもしれないと思いなおした。
手軽なところでは新幹線広島駅ASSE2階にあるお好み焼き横丁。複数のお好み焼き屋が軒を連ねる。広島担当の部下の話では、いつ来ても麗ちゃんには行列が出来ているとのこと。

幸いお好み焼きは作るのも食べるのも早い。すぐにカウンターに案内される。
麺ありか麺なしか、中に入れる具はどうするかを決める。最初に目に付いた豚、いか、卵に麺なしを一度は頼んだものの、鉄板の向こうで生麺を茹でているのを見て麺入りに変更。
蒸した焼きそば用の麺を使っている店が多いが、ここは茹でたての麺。
テーブルを見渡すと辛口と甘口の2種類のソースがあるのみで、マヨネーズは置いてない。頼むと袋入りのマヨネーズを持ってきてくれるが、殆どの客はマヨネーズなしで食べている。これが本場の食べ方だろうか。
初めて関西風お好み焼きを見たときには驚いた。焼きそば入りのお好み焼きも驚いた。マヨネーズをかけるのを見て驚いた。お好み焼きだからどう作っても文句はないのだから、新作がスタンダードになって全国に広がることもあるだろう。
2ヶ月前のこと。ゴルフの参加賞が山芋だった。家に帰ると生協から山芋が届いていた。こんなに山芋ばかり食べたくないと思ったところで閃いた。お好み焼き粉には山芋がつなぎとして入っている。それなら小麦粉なしのお好み焼きもありかも。
山芋(大和芋)をすりおろし、だし汁を加えて適当な柔らかさにする。その中に卵、キャベツ、豚肉などの具を加えて関西風のお好み焼きの要領で混ぜ合わせて焼く。
ふんわりとしたヘルシーお好み焼きが完成した。ダイエット中と騒いでいる我が家の女性3人も大喜びで食べていた。
そんなことを思い出していると、目の前にドーンとお好み焼きが出てきた。

東京や広島の別の店で食べたものより麗ちゃんのお好み焼きは美味しく感じた。薄目の味付け(特に麺の味付け)が良かった。麺を焼付けてちょっと焦がしたら香ばしいだろう。行列が途絶えて時間を余分に使って調理できるときに、ちょっとわがまま言わせてもらえば新作誕生となりそうだ。
「特に麗ちゃんが焼くと同じ店でもまた違う!」とタクシーの運転手さんは言っていたが、麗ちゃんってどの人だろう。帰りに聞くつもりだったのが、昼間のビールが効いたのか、聞くのを忘れてしまった。
ビールなしじゃあ、お好み焼きは食べれないよね。
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2005年10月18日
[楽] (名古屋) 「名古屋コーチンはかたい?」
東京のデパートでも買える名古屋コーチン。でもせっかく名古屋に来たから本場で名古屋コーチンを食べたい。名古屋在住のAさんが連れて行ってくれたのが目抜き通りをちょっと外れたところにある料亭「楽」。ここは予約が必要。料理も予約時に頼まないといけない。お勧めは味噌煮込みコースとのことだったが、鶏自体をシンプルに味わいたかったので懐石コースを予約。格式ばっている店とAさんが言うので、お値段が気に成るがまぁ行ってみるか。
名古屋コーチンと言えば身が硬いというイメージが強い。以前我が家で名古屋コーチン、比内鶏、地鶏、国内産鶏(ブロイラー)の4種類の鶏肉を買って食べ比べをやってみた。料理法はシンプルに焼き鳥。しかも塩で食べることにした。
全員が即座にダメと言ったのはブロイラー。うちの子たちも結構味がわかるじゃん。ところが次にダメだったのが何と名古屋コーチン。身が硬いのがマイナス点に。大賞は地鶏になってしまった。
しかし、家で作る料理でもっとも難しいものの一つが焼き鳥である。鶏肉は焼きすぎると身が硬くなってしまう。しかし、鮮度がわからないためにどうしても火を通しすぎてしまう。味より食感で優劣を判断されてしまう。素人は塩加減に臆病になるため味が出ない。
「楽」で名古屋コーチンは名誉挽回ができるだろうか。
待ち合わせ場所の錦のど真ん中からちょっと歩くと、こんな落ち着いた感じの店がこんな所あるのかと驚く。靴を脱ぎ2階へ。部屋に入ると真っ赤で丸い卓袱台がちょこんと部屋の真ん中に。掘りごたつ形式ではない。
仲居さんを呼んで「掘りごたつの部屋に変えてください。」とお願いした。でも仲居さんは「掘りごたつの部屋はありません。」と言う。Aさんが「前に来たときはあったと思いますが?」と食い下がると、「勘違いじゃないですか?」と冷たく突き放される。
「これはこれで風情があっていいですよ」と銀髪はなだめる。
「お飲み物は?」と仲居さん。銀髪は即座にビール。Aさんは気取ってワインを頼もうとしたが、仲居さんはまたも冷たく「ありません!」。サワーは?「ありません!」
メニューはそもそもない。Aさんは仕方なく焼酎のお湯割りを頼んだ。
この店に入ったときからこの展開は読めていた。この前行ったウナギ屋「西本」と同じニオイ(雰囲気)がしたのだ。焼酎があるだけましだろう。
料理が来た。もしかしたらいい日本酒があるかもしれないが、「ありません!」と言われたらショックなので熱燗を頼む。銀髪は贅沢を言わないのだ。日本食には熱燗。問題あるか?
前菜に続いて名古屋コーチンの霜降り。

霜降りとはさっと湯通ししたもの。表面がほんのり白くなっているが中は生。これなら硬くない。脂っこくもなく、弾力のある肉質。いきなり名誉挽回ができたようだ。
土瓶蒸しは、はも・マツタケに名古屋コーチンが入って本格的。焼き鳥各種も上々の出来栄え。

自分にとって新発見だったのが多分ささみを裂いたものと、白ねぎを酢で和えたもの(下の写真)。マグロの缶詰(ツナ缶)をなぜシーチキンと言うのか不思議だったが、これがまったくシーチキンの味なのだ。
味付けなのかなー

食事のあとに女将がご挨拶に。創業は昭和6年。この場所に移転したのは昭和30年代。
柔らかいが程よく弾力があり、嫌味のない味は鮮度が良い証拠。加えて処理の仕方に特別の技があるそうだが、その方法は教えてもらえなかった。
名古屋コーチンは知名度が高いだけにまがい物も多い。名古屋コーチンは名古屋周辺地域のみで育成・処理しなければいけないそうだから、本物でも名古屋以外で売られているものは鮮度が落ちる。
冷凍・解凍した物も出回っているらしいが、肉質が硬くなり味も落ちる。名古屋コーチンの名を落とす。
どこででも食べることができるようになったと言っても、やはり名古屋の専門店で食べるものが本当に本物の名古屋コーチンなのだろう。
6,500円のコースだったが、バブルに踊らされて店などに無駄なコストをかけなかったため(?)に、リーズナブルな価格を維持できるのかもしれない。
Aさんが言うほど格式ばってはいなかった。むしろ気楽に名古屋コーチンを楽しめる店で仲間とワイワイできる店だ。インターネットでは宴会風景が紹介されていた。
お忍びでこっそり美女と二人っきりで食事を楽しみたい人は、隣でガヤガヤやられたらたまったもんじゃないが…
「楽」
名古屋市中区錦3丁目9-29
052-951-1125
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2005年10月17日
スペシャルオリンピックス
4年ぐらい前だったろうか相棒が突然電話してきた。「おいっ!今夜は暇か?」と言う。これはどっか食べに連れて行ってくれるのだろうと思い、「ええ、大丈夫ですよ」と気軽に応じた。「じゃあ、俺のオフィスに来い」と強制する。相棒のオフィスに着いて顔を見たとたん「映画を見に行くぞ!」「映画?」訳が分からない。
映画が上映されるホールに着くと相棒は銀髪を何人にも紹介してくれるが職業も年齢もまちまち。相棒の交際範囲の広さはわかったものの、何しに来たのか未だに分からない。相棒は知り合いを見つけるや、そちらに駆け寄っていく。紹介してもらった人たちに「これは何の会ですか?」と聞くと、みんな「突然電話もらってここに来るように言われたので、何の会か知らない」と言う。何だ、自分と同じだ。
最後に紹介されたのが細川佳代子さん。「ごめんなさいねー。相棒さんに無理矢理連れてこられたんでしょう?」と言われる。ハイ ! そのとおりです!と言いそうなのをこらえ出てきた言葉は「イエイエ、そんなことはありません」。なんとか逃げる方法はないかと思案している間にも上映時間が迫ってくる。
晩飯にありつけるのは何時かなと思った頃には、既に諦めの心境。「しゃあないか!」
映画は「Able」だった。フィクションかドキュメンタリーかと考えているうちに映画に引き込まれていく。そう言えば自分の周りにも身体障害者や知的障害者がいる。自分の経験と重なり合っていく。
オーストラリアでのこと。珍しく通勤電車に乗った。駅に着きプラットホームに降りて階段に向かおうとしたところで足を叩かれた。驚きと怒りで振り向くとそこには車椅子があった。銀髪の足を叩いたのは車椅子に乗っている太った女性だった。車椅子の周囲に集まった涼しげな表情をした3人の男を見て自分の不明を恥じた。車椅子で階段を下りるためには4人必要だ。慌てて車椅子に駆け寄り手伝った。階段の下にたどり着くと手伝った男たちは何事もなかったように立ち去った。車椅子の女性も殊更感謝する素振りも見せずに消えた。
日常の自然な風景。当然のことを淡々とする、淡々と受ける社会。日本(特に都会?)にはなくなってしまった習慣がここにはあった。
日本の駅の階段に設置されている車椅子専用の昇降機を見ると、いつもこの事を思い出し腹が立つ。みんなが助け合えばこんな機械はいらないのだ。周りにいる多くの人たちは車椅子を見ても無関心に通り過ぎていく。助け合うことが当然のこと、自然なことになれば障害者も町に出やすくなる。「オーストラリアには何でこんなに障害者が多いのだろう?」と思っていたが、日本では障害者が外に出ないためにあまり目にすることがないだけだと気がついた。
外国人は駅の昇降機を見て何と思うだろう。日本のハイテク技術に感心するだろうか? なぜこんなものが必要なのか不思議に思うのだろうか?
映画が終わって会場が明るくなった。前の座席に出演者の障害児たちが座っていることに気がついた。拍手の中を彼らは壇上に上り、挨拶をした。映画があまりに感動的であったため消えなかった「フィクションでは?」との疑問が消え去った。映画のままの表情、仕種。テレながらも、誇らしげである彼らと、彼らに限りない愛情を注ぐ親、兄弟、支援者たち。誰もが幸せに包まれていた。
スペシャルインタヴューで細川佳代子さんは 「本来人間は一人で生きていけない生きものです。助け合い支えあって共に生きていけるからこそ人間になれると思います。」と言われる。
あれだけの大イベント、長野スペシャルオリンピックスを成功に導きながら、日常の助け合いの心が大事と話される。大袈裟な寄付や活動だけがボランティアではないとも。
このインタビューに際しても、奢らず、偉ぶらず、肩肘張らず。銀髪が知る佳代子さんそのままの姿を見ることが出来てうれしい。
http://codawari.info/interview/hosokawa/01.php
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2005年10月16日
墨イカ
調査捕鯨が終わるまでにもう1回と思い、築地に行った。ところがあれほどあちこちの店にあったミンクが「無いっ!」。専門店に行って聞いてみると、一昨日で終わったとのこと。次は5月まで生のミンクは無いそうだ。部下のKは銀髪グルメ紀行を見て、先週、先々週と2回もミンクを買って堪能したと自慢する。悔しいがグルメ紀行のおかげと感謝するKには嫉妬もできない。
気を取り直して、もう一つのお目当てである墨イカを探す。あるある、たくさん出ている。
スーパーなどではスルメイカや刺身になった紋甲いかくらいしか手に入らないが、築地に行くと大小様々で目移りする。手頃なのが墨イカ。今出回っているのは小ぶりだが、これが市場に出てくると秋が来たと感じる。今が正に旬だ。
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/kouika/sumiika.html
名前のとおり墨が多く、網で捕獲されて墨袋が破れるためか黒く汚れて売られている。かつてシドニーの魚市場ではバケツに放り込まれ1キロ当たり1ドル(100円)以下で売られていた。オーストラリア人は見た目で判断して、このイカの美味さを知らなかった。しかし、日本食レストランが増えるに従って値は吊り上り、とうとう鯛などと並んで陳列棚の氷の上に並べてもらえるまで出世した。
この日は遅く家を出たので既に8時を回っている。各店を覗くと「まけるから持ってってよ!」の声が飛ぶ。どこも1キロ1,000円前後の値札がついていたが、(銀髪はまけてくれとは言わないにもかかわらず)結局4杯(900グラム)を720円で買った。
墨イカには甲羅?(下の写真の上方にある白い物)が入っている。

この日のメニューは昼がイカ墨のスパゲッティ。夜が刺身と決めた。名前のとおり墨がたくさん入っているのでイカ墨のスパゲッティを作るには最適のイカである。
甲羅をはずし、皮をはぎ、身と内臓を分ける。墨袋を破かないように慎重にさばくが、1杯は既に破裂していた。捌く間に手は真っ黒、爪の間にも墨が入り込む。美味いものを食べるのにそんなことは気にしない銀髪。胴は夜の刺身に、ゲソなどがスパゲッティ用になる。
墨袋は別の容器に移し、白ワインを加えて墨を出す。これにイカのわたを加える。
きざんだにんにくを、赤唐辛子と一緒にちょっと多めのオリーブオイルで炒める。ゲソを炒めて、ワインに漬かった墨とわた加え、塩と胡椒で味を調えて墨ソースの出来上がり。その間にスパゲッティがアルデンティよりもちょっと固めに茹で上がる。これを墨と合わせて10秒位鍋で炒めると麺が墨ソースを吸い込みスパゲッティは適度な固さに仕上がる。

自己流イカ墨スパゲッティの完成。初めて作ったときに参考にしたレシピは忘れてしまった。
墨イカのゲソは柔らかく美味。塩加減も丁度いい。わたも適量、唐辛子、胡椒も効いていた。俺って天才かもと一瞬思った銀髪だが、やっぱりいい食材=墨イカのおかげだと自戒した。
イカさんに感謝、感謝!
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2005年10月15日
自転車で野菜の買い出し
今日は自転車で朝6時過ぎに出発、世田谷の砧公園サイクリングコースを周回した後、北へ向かう。取り敢えず玉川上水を走ることにする。環八から甲州街道を西に、途中で車があまり通らない道を選んで右折。井の頭公園付近から玉川上水を西北へ向かい、玉川上水駅に到着。
さてこれからどうするか。このまま玉川上水を走って多摩川に向かうか、多摩湖まで北上して東に向かうか。そこで頭に浮かんだのが銀髪グルメ紀行。「そうだ!野菜を買いに行こう!」
多摩湖まで行く途中は上り坂。自転車はこれがキツイ。何とか上りきって、多摩湖を周回。西武球場を過ぎ、狭山公園を抜けて多摩湖自転車道を西に新宿方向にヒタ走る。遊歩道を兼ねているため歩行者が多く、サイクリングにはスピードが出せないのが難点。
多摩湖自転車道は多摩湖(別名村山貯水池)からの水を引いた上水道に蓋をして作られたものらしい。かつては上水の周辺に農地が広がっていたに違いない。今でもわずかに農地が残っており、そこを通ると産地直売店が出ている。
小平周辺で右手に「産地直売」の幟を見つけた。自転車を降り、粗末な売店に足を向ける。
お婆ちゃんが一人、裏の畑から野菜を売店に運んでいる。売店の横のベンチにはでっぷりしたおじいさんが座っている。遊歩道を歩き疲れて休んでいるのかと思ったらこれが店主。
「ツルツルのタイヤで走っているのかい?」と声をかけてきた。
「ツルツルじゃないよ。空気を目一杯入れているので、パンパンになっているだけだよ。触ってみたら。」と応じると、ヨタヨタと立ち上がり「オゥ!凄いね、これは!」と驚く。
「どこから来たんだい?」と聞くので「世田谷の成城のほうだよ」と応える。
「オゥ!俺の息子が成城警察署に勤務している。今日は裏の畑でサツマイモを掘ってるよ。実家の手伝いなら副業にならないらしい。金も払っていないけどね。」と笑う。
「警察を続けるか、農業を継いでくれるかは本人次第。強制はできないからね。」とちょっと寂しそう。
「オヤジさん、何か野菜を買っていくよ。」と言うと「買わなくてもイイよ!」と言う。
こちらの目的は野菜の買い出し。ところがオヤジさんは銀髪との会話をもっと楽しみたいらしい。
「商売忘れちゃダメだよ。お婆ちゃんと息子に仕事させて遊んでちゃ怒られるよ」 「80歳になってメッキリ歳とってなー」 「80歳まで生きたら充分じゃないの。長生きすると嫌われるよ。若い頃は随分と遊んだんでしょ!」「そうなんだ。遊びすぎてガタが来てしまった。長生きしちゃいかんな(^_^.)」いつまでも終わらない会話。このお爺さんからは野菜が買えそうもない。まだまだ話したいのか。
ようやくお婆ちゃんをつかまえて、赤カブ、水菜、ジャガイモを買う。各100円。

これをリュックに詰め込み、名残惜しげなお爺さんを振り切り自転車に乗る。
「いつまでやってるの?」「「5時半頃かな」「違うよ、店を出しているのはいつ頃まで?」「暮れるまで」「違うよ、10月末頃まで?」「だから暮れまで。12月末まで。」
最初は呆けてるかと思ったが、勘違いしていたのはこちら。頭は意外としっかりしている。
「それじゃー、また年内に会えるね。それまで死なないで元気でな!」「オゥ!待ってるよ!」なんだかフーテンの寅さんになった気分。なれなれしくて失礼かなと思ったが、こんな言い方のほうが簡単に親しくなれる。お爺さんもまるで息子と話している気分だったのだろう。うれしそうだった。
11時頃帰宅。今日の走行距離は約70キロ。お爺さんと遊んだ時間に休めたせいか、疲れも少なかった。
新鮮・無農薬の赤カブを家に帰ってかじった。美味い!と叫びたいところだが、赤カブをこんな風にかじったことはないため、美味いには美味いが他と比べてどう違うか評価できない。これからは野菜も生で味見すべきと反省。
瑞々しさとツーンとする大根類特有の味は鮮烈だった。

プロが食べたら、何というだろうか? ほめてくれるだろうか? お爺さんとお婆さんの笑顔を思い出した。 きっとほめてくれるさ。 当然だよ!
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2005年10月14日
自転車の独り言
我輩は自転車である。まだ名はない。色は黒一色でなかなかの美男子ロードバイクである。銀髪(我輩の主人)は銀座のYちゃんが自分のママチャリをダイアナと呼んでいると聞いて、我輩にも名前を付けると言う。阪神タイガースのセ・リーグ優勝にあやかって、ひらめいた名前はブラック・タイガーだと。馬鹿!それじゃ海老だろうが!
銀髪もブラック・タイガーが海老の名前と気づいたようだ。従ってまだ名前はない。銀髪の相棒は最近買った犬に「ネコ」と言う名前をつけてみんなに自慢して回っている。自慢になるか? ふざけんな! 銀髪も話を面白くするためなら同じことをやりかねない。頼むから名前をつけるのは忘れてくれ。
銀髪が我輩の主人になったのは今年の5月中旬。忌野清志郎の自転車はチタンをふんだんに使った160万円もするエリートだが、我輩はフレームの半分がカーボン、半分がステンレスで出来た凡車である。でもプライドはある。何たってこの4ヶ月で1,300キロも走ったのだ。下手くその銀髪が何度転んでも我輩は頑丈に耐えている。
真夏の炎天下に世田谷から江ノ島まで往復約120キロを走ったこともある。銀髪は藤沢近辺でヘタっていたが、「藤沢まで走ったんだぜ!」と言っても誰も驚いてくれないと思い、「江ノ島まで走ったんだぜ!」にこだわった。単なる話の種を作りたいだけなのだ。みんなに江ノ島だ、江ノ島だと言いまくっている。このバーカ!
今度はどこに行くつもりだい? 江ノ島よりインパクトがあるところ? お前何のために走ってんの? 運動だよ、運動。ウエスト締まっただろう? 体脂肪減っただろう? 足も丈夫になっただろう? 筋肉ついただろう?
我輩

買ってすぐのときは走り終わって家に帰ると体を洗ってくれた。丹念に油を差してくれたりして大事に扱ってくれた。ところが忌野清志郎が盗まれた自転車の値段を聞いてから何だか冷たい。そりゃないだろう。お前が選んだんだぞ!我輩が銀髪を選んだわけじゃないぞ! 来年9月、ホノルル・センチュリー・ライドに参加して忌野清志郎と一緒に走りたいと言うが、まさか我輩を連れて行かないつもりじゃないだろうな。我輩もハワイに行きたい。江ノ島だけじゃ嫌だ!
我輩はガソリンを飲むわけではないし、銀髪の行きたいところに文句も言わず連れて行ってるし、これまでゴネたりストを起こしたこともないだろう?
日曜だけ長距離走るような馬鹿はやめて、毎日少しずつ走ったほうがいいんじゃないの?早く家に帰って来て俺にも美味しい油を差してくれ。
毎晩呑み歩いてグルメ紀行なんて書いている場合じゃないよ。分かってんのか? オイ!
グレちゃうぞ!
銀髪「今回はグルメと関係なくてごめんなさい。自転車用の油じゃみんな飲めないよね。」
ご参考→こだわり「伊達もの」 パーク&ライド
http://codawari.info/mono/index.php
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2005年10月13日
[大寿司] (錦糸町) 「香港人も寿司大好き」
今年も香港から友人がやってきた。香港人の女性Kさんは寿司が大好物。香港でもよくご主人と寿司を食べに行くそうだが、昨年東京でご馳走した寿司が忘れられないと言う。
今日は全部で8人。前と同じ寿司屋か、日本橋・銀座界隈の近くの寿司屋に行こうと言う銀髪の提案に相棒は首を横に振る。「今日は絶対錦糸町へ行く!」
錦糸町駅前ロッテプラザとJRの間の道を入って50メートル程行くと、左側に目指す大寿司の赤い看板が見える。

引き戸を開けるとすぐカウンター、座ると後ろは人ひとりがやっと通れる空間が残るのみ。カウンターは9席で左奥に5~6人用の座敷があるだけの小さな店。右の壁に大将が北の湖理事長と並んで映っている写真が飾ってある。相撲取りにも評判の店らしい。
相棒を真ん中に女性3人が左側。男4人は右側に分かれる。銀髪は相棒からもっとも離れた右端に逃げる。一気に8人も入ると大将は大忙し。
「何だ!予約していたんだから、料理造っといたら良かったのに!」と相棒。
「生ものだからお客さんの顔を見てから造らないと…」と律儀な大将。
それでも手際よく、待つこともなく2人前ずつの刺身の盛り合わせが目の前に並ぶ。

中央手前に自慢の大トロ、左にうに、右に平目。奥には左から出始めのさより、戻りかつお、こはだ、ボタンえび、たこ。いつもながら豪快な盛り合わせだ。
店構えにちょっと不安がっていた香港人の彼女も、これを見て大喜び。
相棒を中心に左6人はかなりやかましい。ほぼ貸し切り状態だからいいけれど。
右に座った男二人(銀髪と年配の男性)はビールから八海山4合瓶の冷酒に移って静かに刺身を片付けていく。
「オーイ、銀髪!Kさんは光り物が駄目みたいだぞー!」の声が突然降りかかってきた。どうやら相棒はKさんの嫌いなものを押し付けては楽しんでいる様子。
こちらは静かに呑んでいるのだからほっといてくれと毒づきながら、刺身を追加する。
「大将、さっきの大トロはどこ産?」と聞くと、「青森大間産の本マグロだよ!」 魚好き垂涎のマグロ最高級品。道理でうまいはずだ。
それならと、赤身を頼む。生の本マグロなだけに身は程よくしまり、味も濃い。
壁の白板を見て、墨イカを頼む。今からが旬のこのイカは柔らかで弾力があり甘い。
「オーイ、銀髪!Kさんは納豆も駄目だって!」と再び相棒の声。相棒は口一杯に納豆巻きを押し込み、大口開けて笑っている。口から納豆とご飯粒が唾と一緒に飛び出してきそうだ。いやいや確かに飛んでいる。口角納豆を飛ばす!
やっぱり相棒から離れて座って良かったと、今更ながら読みの深さに自画自賛の銀髪。
Kさんは最初は納豆の味に嫌な顔をしていたが、無邪気な相棒を見て大笑い。
高級寿司の有名店に納豆は置いていない。相棒が大寿司を選んだ理由の一つだ。
夫婦だけでやっている小さな店だから、リーズナブルに特上の寿司が味わえた。Kさんも去年よりさらに満足した様子だった。
お腹一杯になったところで相棒は寿司のお土産を6人分オーダーした。Kさんはホテル住まいだが、夜食に持っていくようだ。
「二人分足りませんよ!」と指摘すると、相棒は「お前はもう一軒行くだろう?」と決め付ける。今日も夜は長い…
大寿司
東京都墨田区錦糸4-5-8
03-3625-2591
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2005年10月12日
[ひつじや][だるま][さっぽろジンギスカン本店] (札幌)ジンギスカン
久し振りの札幌。部下は顧客も一緒の夕食になりそうだと言う。それを聞いて銀髪は北海道ならではの海鮮料理の店を調べ尽くした。ところが顧客に会ってみると、忙しいからとお断り。それでも銀髪はめげない。部下を罵ったりしない。これも予想の範囲。
「よしっ! ジンギスカンの食べ歩きをしよう!」
カバンから一枚の紙を取り出すと、そこには札幌評判のジンギスカン屋がリストアップされていた。
一軒目はひつじや。ネット上の紹介記事を見て、マトンにこだわっているのが気に入った。5時15分頃お店に到着したが、まだ暖簾は出ていない。入っていいかと聞くとOK! 七輪に穴開きのジンギスカン鍋を置いてマトンを焼く。マトンは豪州産もしくはニュージーランド産の生肉。臭いが強い脂身をそぎ取ったちょっと厚めのもも肉をミディアムで食べる。
ひつじや 中央区南6西4 011-512-0588

店主はラム(子羊)肉を売り物にする店は、癖がないとの定評に甘え脂身を削らず、粗悪な冷凍ラムを出しているところが多いと批判的だ。胸を張るだけあって、なるほどマトンと言っても臭いも癖もなく美味い。3人前をぺロリと食べたが、開店の5時半を過ぎても暖簾は店の中。
「常連は入ってくるから大丈夫。観光客は雪祭りまで来ないから」と商売っ気がない。
「ひつじやの次に美味い店はどこですか?」と尋ねると、「他の店に食べに行かないからわからない」 それでも食い下がると、「若いときはだるまによく行った。そこしかなかったから」と言う。
従って二軒目はジンギスカンだるま。いつも行列の出来る観光客に最も有名な老舗らしい。運良くすぐに座れた。ここも使う肉はマトン。ひつじやより脂身が多く、肉質がまちまちなのが気になったが、部下はこちらのほうが美味いと言う。周りを見るとなるほど若い客が多い。
ジンギスカンだるま 中央区南5条西4丁目 011-552-6013

二人とも既にお腹一杯。ショットバーにでも行こうかと歩き出すが、それじゃ面白くない。
「もう一軒ジンギスカンに行こう!」銀髪の提案に部下は呆気にとられているが渋々ついてくる。
「2軒じゃ普通。3軒行って始めて話しの種になる」との銀髪の言葉に納得。
三軒目はさっぽろジンギスカン本店。肉はアイスランド産の生後1年未満のラム。ひつじや店主の話を証明すべくラム肉を出す店を選んだが、なんとこれが美味いのである。
さっぽろジンギスカン本店 中央区南5西6 011-512-2940

ひつじや店主の話が間違っていたわけではない。目の前で店主と思しきオヤジが肉を捌いているが、脂身部分は惜しげもなく捨てている。この店が特別なのだ。目の前に出てきた肉は脂身を削ぎ落としたもも肉。レアで食べてくださいとのこと。これが柔らかくとっても美味なため、腹一杯なのにどんどん口に入っていく。
評価は人によって分かれるだろうが、今日の三軒はいずれも美味すぎた。
一人前はひつじや600円。ジンギスカンだるま735円。さっぽろジンギスカン本店800円。
銀髪は遠い昔を振り返る。我が家は父と母、男ばかりの兄弟3人。40年ほど前、男4人の腹を満たす肉料理はジンギスカンだった。粗悪なマトン肉を醤油、酒、みりん、にんにくに漬け込んで、七輪の炭火の上に置いた穴あきジンギスカン鍋で焼く。炭をおこし、味付けの手伝いをするのは末っ子の銀髪の役目だった。肉汁とたれが鍋の周りに落ち、そこで焼かれた野菜の美味しさは忘れられない。
今日はマトンにこだわった。しかしあの時のマトンではない。ラムよりマトンが美味いと思いたかった。しかしそれもかなわなかった。
大人気なく子供たちと争って食べていた父はもういない。あの時のジンギスカンの味が甦ることは二度とないと悟った。
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2005年10月10日
目玉焼き
今日もトップニュースはパキスタン北部で発生した大地震のことである。この地震で日本人にも犠牲者が出た。犠牲となった楢原さんは国際協力機構(JICA)の現地スタッフだった。途上国支援に生きがいを見出し、夢を抱いて頑張っているところに突然の被災。さぞや無念だったろう。ご冥福をお祈りします。
テロや災害で犠牲者が出たときだけマスコミに取り上げられるが、実は多くの日本人がボランティア精神を持ち、人知れず海外で活躍している。昔、そんな一人に出会った。
15年程前、オーストラリア第2の都市メルボルンでのこと。昼時、同僚と一緒に日本レストラン「将軍」に向かった。チャイナナタウンの賑わいを横目に見ながら狭い路地を曲がったところで、一人の小柄な日本人が途方にくれて店の前に立っているのが見えた。
路地の突き当たりにある将軍に着いてその入り口を見ると臨時休業の札。我々は踵を返して他の店に行こうとしたが、彼は動こうとしない。こうなるとついついお節介虫が頭をもたげてくる。
「どうしました?」と聞くと、「○○村から久し振りに日本食が食べられると楽しみにして来たのに、お休みなのでどうしていいかわからないのです」と言う。メルボルンから数百キロ西にある漁村からわざわざ来たとのことだった。「あそこが美味い」と友人に紹介されて。
「大丈夫ですよ。日本レストランは他にもありますから一緒に行きましょう」と誘うと、彼の表情はパッと明るくなった。別の店に連れて行き、日本食にありついた彼は喜色満面だったが、我々が何を食べたか思い出せない。彼の話がとても面白く、ひどく悲しかったのだ。
彼は国際協力機構(JICA)の傘下にある海外青年協力隊http://www.jica.go.jp/activities/jocv/に属して、漁業を指導するため途上国を回っていた。彼がケニアの漁村に居た時の話である。
寝ていると肌に虫が卵を産みつけていく。現地の住民は小枝を肌に突き刺し、卵をほじくりだしてくれる。とても親切で優しい。
ある日熱病にかかった。ケニアの首都や他の大都市から遠く離れ、病院などない。彼が苦しんでいると、住民が集まってきて何かしている。見ると傍の浜辺で火を炊いてその上に大きな葉を何枚も重ねている。水分を多量に含んだ生皮は燃えることなく燻される。煙に包まれたこの大きな葉っぱを持ってきては、彼の体をあおぐようにパタパタと叩く。これがここの住民たちの熱病を治す方法なのだ。
彼はみんなの好意に感激しながらも、満足な治療を受けることなく死ぬ絶望感に打ちひしがれたと言う。
銀髪が大学時代に南米コロンビアに行ったとき、駐在員から似たような話を聞いた。彼はコロンビアの山奥で病気になった。宿舎には屋根がない。満天の星空を見ながら「ここで死ぬのかなー」と思った。そのとき頭に浮かんだのはなぜか目玉焼き。「死ぬ前に目玉焼きを食べたい!」
なぜ目玉焼きだったのか、今でもわからないとその駐在員は話していた。
青年事業団の彼の話に戻ろう。彼の話は続いた。日本食を食べたことだけでなく、おそらく日本人と食事をしながら話したのも久し振りのようだ。「結婚も諦めたし、親の死に目にも会えないだろう。日本を離れて20余年」と聞いて驚いた。当時30代半ばの銀髪より若く見えたからだ。食事代を払おうとするのでそれを押しとどめた。「いい話をたくさん聞かせてもらいましたから」と言うと、真っ黒な顔に無邪気な笑顔を浮かべながら何度も頭を下げる。握手をしてお互い「またどこかでお会いしましょうね!」と言って別れた。多分もう二度と会うことはないだろうと思いながら。
同じ状況におかれた場合、みんな何を食べたいと思うのだろうか。やっぱり目玉焼きだろうか。
「こだわり」サイトの内のCODAWARI TVにたまごがけご飯が紹介されている。
これを思い浮かべたら「絶対生きて帰って食べるんだ!」と、日本人なら力が湧いて来るに違いない。
http://codawari.info/tv/view/200504.php
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2005年10月09日
築地場内市場へ行こう!
築地には外国人の観光客が多い。でも、彼らは写真を撮るだけで魚を買って帰って食べるわけではない。若い女の子のグループも結構いるが、写真を撮って行列の出来るすし屋に長時間並ぶだけじゃつまんないよ!やっぱり、見て、買って、料理して、食べようぜ!

築地の場内は業者だけしか入れないと思っている人が多い。しかし、誰でも入れるから嬉しい。但し、基本的にプロ達の真剣勝負の場。市場専用の車や荷車が走り回り、料理人たちは竹篭を持って、狭い店と店の間を足早にすり抜けていく。
銀髪も、遠慮気味に店を覗く。目当てのものを見つけたら、謙虚にプロに料理法などの教えを請う。時には魚の目利きの仕方を学ぶ。
料金は応対をしてくれた店頭にいるおじさんたちにではなく、奥の精算所で支払う。
買う量はキロ単位が中心だがものによっては、或いは店によっては小口でも売ってくれる。こちらから値切るのはよろしくない。場内の値札は適正価格がついているので、値段の違いは品質の違いと思っていい。プロたちでも値切っている人は殆ど見かけない。
場内の活気を味わいたいのなら6時頃までに行きたい。マグロの解体はどこでもやっている。買い物だけが目的ならそろそろ店じまい準備の8時頃からがいいだろう。目当てのものを買い逃すリスクがあるが、掘り出し物が安く手に入ることもある。この時間帯になると買おうかどうか迷っていると、こちらから言わなくてもまけてくれる。
下の写真石宮はまんが「美味しんぼ」に出てくる店。
一般客向けに小分けしたものは置いてないようだ。

築地は決して安いわけではないが、ものがぜんぜん違う。
例えば「アサリ」。築地で買ったあさりは火を加えても小さくならない。ぷっくらとして風味も消えない。下の娘はアサリが嫌いである。匂いが嫌いと言う。しかし、築地で買ったアサリは美味しいと言って喜んで食べるのだ。
下の写真は江戸前のアサリ。以前愛知県に住んでいたときは、三河湾のアサリが最高と思っていたが、市場では江戸前の方が高い。店のオヤジさんの話では江戸前は砂地、三河産はどちらかと言えばちょっと泥地で育つ。殻が白っぽいのが江戸前の特徴。三河産はもっと茶色っぽい。もちろん三河産も高級品。この日は三河産がキロ900円、江戸前が1000円だった。
スーパーマーケットで300グラムを180円で安売りしていたが、さてどっちがお得?

1キロは多いと思ったら場外の店。築地交差点のマクドナルドが入っているビル1階にある浅田水産なら親切で買いやすい。小売専門のようなので他の魚も少量買える。
ついでだが同じフロアにある日山もお奨め。人形町にあるすき焼き・しゃぶしゃぶの老舗だが、いい肉が本店より安く買えるとみたい。
「お魚はやっぱり築地だね!」と娘は生意気を言う。
でも、子供の舌は大人より確かかもしれない。嫌いだった魚も築地で買ってくると良く食べる。
子供の好き嫌いをわがままと決め付けるわけにはいかない。
今では築地に行って帰って来ると 「おとうさん!アサリ買ってきた?」と必ず聞く。
嫌いのはずのアサリをである。
これだから築地への買出しはやめられない。
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2005年10月07日
[銀平] (神戸) 「神戸名物はタイ料理?」
今日は神戸に出張だ。うれしいことに神戸には親友がいる。「何かうまいもんを食べに行こうぜ!」とメールを打つと、「了解、任せといて!」の返事。仕事を終えてホテルで待っていると彼から電話。「今豊橋にいる。7時前に戻る。」彼も出張だったのに、早めに切り上げて会いに来てくれる。
しかし続いて「タイ料理予約しといたからな!」の声に「?」絶句。神戸まで来てタイ料理はないだろうと思ったが、グッと我慢して言葉を呑み込んだ。
「イヤー神戸牛じゃ能がないもんな!」と来た。大事な友の配慮なら仕方ない。「タイ料理か。まあそれでもいいよ。」とちょっと不満そうに言うと、「おいっ!オメエ何か勘違いしてネエか?タイだよタイ!明石の鯛!」
ホテルの前で落ち合うとすかさず、「バンコクとかチェンマイとかって言う店かと思ったぜ!」 「馬鹿言うな。誰が神戸でタイ料理に連れて行くか!」「お前のことだからやりかねない」などと罵り合いながら三ノ宮駅から2~3分歩くと、目指す「きのした銀平」があった。
小さな階段を下りたところに小さな入り口。鯛料理と言えば東京では高級店のイメージだが、以外と質素。

中は入って左にカウンター席、右に掘りごたつ式のテーブル席があるこじんまりとした店。
「ここはお任せしかないから、ドンドン出てくるからな!」との親友の言葉に合わせるかのように、はもの一口寿司に胡麻豆腐、鯛・ひイカ・太刀魚・かつお・甘海老が入ったお造り、太刀魚の焼き物、土瓶蒸し、鯛のあら煮、天婦羅が出てきた。
お造り

煮物はこれが一人前?と驚く量。ちょっとお腹がきついと思いながらも天婦羅まで完食。
最後にお目当ての鯛めしが出てきたときは、もう食えない。
一杯だけ食べて、残りはお土産にしてもらった。デザート(抹茶のアイスクリーム)はパス。
鯛めし

ビール1本、熱燗6合を飲んで2人で17,400円。とても良心的な値段だと思うが、量も良心的過ぎる。おやじ二人は「ご飯は残さず全部食べなさい!」と育てられた世代なので、残す勇気を持ち合わせていない。
もう少し多目のお造りと、もう少し少な目のあら煮を食べた後に、鯛めしを堪能するというコースを作ってくれないかなー。
東京ではなかなか口に出来ない太刀魚の刺身が美味かった。もちろん鯛め