冬はふぐ料理での接待が多い。シーズン終わり頃になると、食べ飽きてもういらないと思ってしまうが、夏の暑さが去り秋風が吹く頃になるとまたぞろ行きたくなる。
最近は年中ふぐが食べられる。養殖技術も年々進歩し、格安のふぐ店もたくさん目にする。大衆魚とまでは行かないまでも、誰でも手が届くようになった。
しかし、天然のとらふぐとなると話は違ってくる。季節も10月から3月と限られる。
ふぐは全国各地から下関市彦島の南風泊(はえどまり)港に水揚げされる。独特の「袋せり」がテレビなどで報道されると、冬が近づきつつあると感じる。
日本橋高島屋近くにある山田屋に行った。創業は昭和33年。東京12チャンネルのアドマチック天国日本橋編でもふぐの名店として紹介された。
ここの女将がいい。80歳前後と思われるが、実に元気がいい。相棒の顔を見ると満面の笑顔で迎える。相棒の毒舌にもハイハイと応じながら、まともに聞いている風でもない。しばし掛け合いをやったかと思うと、しっかり注文を聞いてさっといなくなる。
万年胃がもたれている銀髪と相棒にはコース料理はちょっと重い。従って、頼んだのは前菜、てっさ(刺身)、から揚げ、雑炊。
この店がいいのはてっさが各自一皿と分けて出してくれること。
大皿にてっさがきれいに並べられて出てくると豪華で、歓声が上がるかもしれないが実に食べ辛い。みんな遠慮して手を出さない。やっと手を出しても、ザーと5~6枚を一気に取るとヒンシュクを買いそうであり、1~2枚程度だとみみっちく美味くもない。最後に少し残った状態で大皿の上で乾燥していくてっさを見ていると可愛そうで見ていられない。仕方なく自ら片付けると嫉妬とも安堵とも取れる空気を感じる。
山田屋ではお客様はもちろん、接待する側の自分たちも気兼ねなくてっさを楽しめてうれしい。
この日感心したのはヒレ酒。ヒレそのものがいいのは当たり前だが、実に上手に焼いてある。周りを見渡してみると、銀髪のが一番いい焼き具合だ。みんなに自慢したいのを我慢してほくそ笑む。
器の中はほんのり茶色に変わり、何とも言えぬ香りが立ち上る。ヒレは酒を含み適度に膨らんでいる。
とらふぐのヒレをデパートから買ってきて家で焼いたことがあるが、うまく焼くのは難しい。焦げないと生臭く味が出ないし、焦げすぎると使えない。何枚か失敗してようやく成功したときは嬉しかった。
結局ヒレ酒を3合ずつ呑んで雑炊を食べてお開きにした。
女将さんが可愛いい息子?、2代目を連れてきた。跡継ぎを頼もしそうに、嬉しそうに紹介するのを見て、相棒がちゃちゃを入れる。
酔いに任せて2代目を思いっきりからかうが、女将は例によって悠然と受け流す。やっぱりただものじゃない。
2代目! お袋さんに負けないように頑張れよ!
2代目の紹介記事
若き料理人
http://www.tokyochuo.net/issue/young/past_data/0312_yamada/
山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
立派なホームページがある。
http://www.nihonbashi-yamadaya.com/
投稿者 銀髪 : 2005年11月09日 07:35
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