国税庁は米、麦、芋、蕎麦を原料とする本格焼酎製造免許の規制を65年振りに見直し、条件つきながら新規参入を認めることになった。いよいよ焼酎も新時代に突入する。
大学時代は焼酎をよく飲んでいた。体をいたわってではなく、安かったからである。当時焼酎と言えばさつま白浪か蕎麦焼酎。時にはちょっと通ぶって球磨焼酎。ホッピーも良かった。
80年前後から焼酎ブームが始まった。所謂連続蒸留による無味無臭の甲類の宝焼酎、純、樹氷などがヒットして、酎ハイなどが人気になった。乙類(本格焼酎)でも匂いのきつい芋や米は毛嫌いされ、いいちこなどの臭みのない麦焼酎が全盛となった。いいちこのサブネーム下町のナポレオンの命名が抜群だったのかもしれない。味のなさを梅干やレモンで補って呑む不思議さ。
こうなると天の邪鬼の銀髪は芋や米の焼酎を断固支持した。しかし、皆には受け容れてもらえなかった。臭い焼酎と毛嫌いされた。あんなに議論したのに、焼酎ブームは長続きせず下火になった。
こんなエピソードを忘れつつあった頃、再び焼酎ブームがやってきた。ところが、今度は芋が主流である。銀髪は途方にくれた。素直に喜べる心境ではなかった。なぜ今更芋焼酎なのか?あんなにみんな毛嫌いしたじゃないか!
時間が経って、最近ようやく冷静に見られるようになってきた。鹿児島に行った時、焼酎用の酒器「黒茶花(くろじょか)」で呑んだ。きびなごや黒豚の料理によく合った。
この10年~20年で団塊の世代が歳をとった。酒は控えたいが、それでも呑みたい人たちには焼酎が支持された。貧乏学生と違って、懐に余裕がある世代は高くても旨い焼酎を頼むため、品質も向上した。1本数万円のプレミアム焼酎も登場した。以前のブームと違い、本物志向が強くなった。
中学の同級生たちと下北沢のお茶の子菜々に行った。
トマト焼酎、泡盛(残波)、栗焼酎(たばた火振り)をストレートで呑んだ。焼酎はスコッチやコニャックより度数が低いのでストレートでも苦にならない。
トマト焼酎は透明の液体なのにトマトの味が、栗焼酎はぶどうの搾りかすを発酵・蒸留して作るイタリアのグラッパに似た味がした。これはこれで面白い。
これらの焼酎は新規参入規制外の焼酎だ。規制があるため酒造会社は工夫して新しい味を生み出した。怪我の功名。
銀髪は7年余の間、海外に居た。ご多分に漏れず海外かぶれになったところもある。ワインの品質は日本酒より上と信じていた。
日本に戻って先輩に勧められた日本酒を飲んで衝撃を受けた。純米吟醸酒はフルーティーで香りがよく、爽やかだった。海外に居た間に等級制度が廃止され品質が向上していたのを知らなかった。
国税庁はそれまでは日本酒を2級~特級に格付けして税率を決めていた。不味くても特級酒がいい酒と信じさせられていた。「本当に美味いのは○○の2級だ!」などと通ぶる人も居た。
等級制度がなくなると酒の格は純粋に品質になり、以前より格段に旨くなった。
焼酎の規制緩和は焼酎ブームを長続きさせることになるかもしれない。競争は必ず品質を向上させる。
酒のメーカーにとっては辛い決定打が、焼酎好きには朗報に違いない。
ブームが去ってから焼酎に転向しようと思っていたが、しばらくは苦しんでいる日本酒を応援した方が良さそうだ。
お茶の子菜々
東京都世田谷区下北沢2-15-11-1階
03-3412-2945
(営業時間:18時~3時)
投稿者 銀髪 : 2005年11月16日 07:30
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