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2005年12月31日

大晦日

今日が今年最後になった。テレビでは今年の重大ニュースなどを放映している。さて自分にとっての重大ニュースとは。

この一年を思い出すのは意外と大変だ。スケジュール表を見なければ去年だったのか、今年だったのか区別がつかない有様だ。そうそう、今年は50歳になってしまった。物忘れが酷くなっても仕方がないかもしれない。

人の名前を思い出すのに苦労する。「やあ、○○さん! 久し振りです」と言いたいところを、○○さんを省いてしまうことが度々ある。○○は話しが終わるまでに思えだせばいいと横着してしまう今日この頃。

仕事に絡むことは別として、銀髪の重大ニュースは2つに絞られる。

一つは自転車を始めたこと。最近太ももが細くなってきたのが気になっていた。近くのおじいさんのブカブカの短パンから出ている細く干からびた足と、近未来の自分の足のイメージが重なってしまい困っていた。
そんなとき中学の同級生が自転車を勧めてくれた。半年間週末1日だけだが通算1,600キロを走った。春夏秋の空気、匂い、景色を楽しんだ。太ももは少し逞しくなった。同級生に感謝したい。

重大ニュースの二つ目は銀髪グルメ紀行を始めたことだ。
「こだわり」サイトを支援するために、週2回程度更新するつもりで気軽に引き受けた。ところが「今日、3回も開いたのに更新されてないのでがっかりした」と言う声があり、止む無く毎日更新する羽目になってしまった。

こうして週末は殆ど自転車とグルメ紀行執筆で費やされる。かつては出張の移動中は絶好の居眠り時間だったが、執筆の時間に変わった。睡眠時間が減り、食費が増えた。
あまりいい状況ではないが、それでも飲み食いするのは楽しい。

以前から美味しいもの、食べたことのないものにこだわっていたが、その傾向はますます強くなった。
今年初めて行った店のトップ3を選ぶのは至難だ。食べたものにもよるし、自分の体調で味も変わる。それでも敢えて挙げるとすれば島、SHIZUO TOKYO、水軍の宴だろうか。

http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/09/post.html
SHIZUO TOKYO http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/11/shizuo_tokyo.html
水軍の宴http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/10/post_24.html

いつも変わらず好きなのは冬のたん良と自宅で食べる上海蟹。

たん良http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/11/post_48.html
上海蟹http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/11/post_59.html

今年最大の驚きは築地場内市場で買った鯨の生肉。

それぞれの店の料理人やフロアスタッフからは料理について教わっただけでなく、その生き様なども聞けて興味深かった。広島ラーメン「がんす」の大将はラーメンだけでなく人物もいい味を出していた。

がんすhttp://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_58.html

秋(9月28日)から始めたグルメ紀行なので、厳冬、春を経て、夏が終わるまでは続けたいが、はてさてオツムとオアシがいつまでもつか心配だ。

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2005年12月30日

年末の築地市場

築地がもっとも賑わうのは年末だ。ここに来ると年の瀬、そして正月がすぐだという気分が一気に高まる。

今年はよく築地場内市場に行った。昨年までは場外市場で買い物することが殆どだったが、今年はしばしば場内市場に行き、いくつかの発見をした。

① 南氷洋産の冷凍鯨しかないと思っていたが、調査捕鯨が近海で行われる時期は生の鯨が手に入る。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/09/post_1.html

② 墨いかは出始めの秋に「新いか」と呼ばれ、江戸前寿司、天婦羅の最高のねたである。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/10/post_20.html

③ 場内市場でもまけてくれる。

場外と場内の決定的な違いはマグロの値段のつけ方ではないだろうか。
場外のいくつかの魚屋では正札どおりで売ることは100%ないように見える。店の前に停まると即座に値引きが始まる。

商売人相手の場内市場の価格は適正価格がつけられているので「まけてくれ」と言うのはご法度。しかし、休祭日前の朝9時頃になると安くしても処分しようと考えるのは当たり前の話。それでも「安くするから買ってくれ」とは滅多に言わない。
買うとまけてくれるのだ。おまけをつけてくれることもある。料理の仕方も教えてくれる。
かまなどはトロとそれ以外にさばいてくれる。無愛想と思ったがとても親切だ。

場内市場の最終日は昨日(29日)。行ってみると予想に反して、通常の土曜日よりちょっと多い程度。いつもと違うのは正月用に冷凍ものが多く並んでいることぐらい。
一方で、場外市場は通常の数倍の人で溢れている。歩くのもままならないほどだ。

勇気を出して場内に行けばいいのにと思うが、場外にもいいところがある。

玉子焼き屋には数十メートルの列ができている。栗きんとんや黒豆を量り売りしている店には人だかりができている。みんな良く知っている。
紀文では他の店では手に入りにくい最高級の蒲鉾がある。いつまでもパリパリしているのに安くてうまい手巻き寿司用の海苔がある。漬物専門店の奈良漬は母の大好物。
魚屋は小分けして少量でも売ってくれる。調理道具屋のおばあちゃんは親切だ。

場外は30日までやっているところも多く、最終日はかなり値引きしてくれるようだ。

来年も築地に来よう。季節毎に新しい発見がある築地市場は見て回るだけでも楽しい。

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2005年12月29日

スカーレット・オハラ

カクテルのメニューは見るだけでも楽しい。映画の題名や主人公の名前がついていると、どんなカクテルか興味が湧く。

スカーレットはマーガレット・ミッチェル作「風と共に去りぬ」の主人公である。ピューリッツアー賞に輝くこのベストセラー小説は映画化され、映画史上空前の大ヒット作となった。賞の数が少なかったこの時期にもかかわらずアカデミー賞9部門で受賞した。

公開された1939年はジョン・ウェインの「駅馬車」、ジュディー・ガーランドの「オズの魔法使い」など名作の当たり年だった。日本で上映されたのは戦後で、こんな映画を作っていた国と日本はよくも戦争をしたものだとみんなを嘆かせたそうだ。

今も世界のどこかで上映されていると言われるこの映画を、中学生の時に見た。満員の映画館で4時間も立って観たが、映画に惹きつけられて疲れることはなかった。ヴィヴィアン・リーが演ずるスカーレットは何とも魅力的で、クラーク・ゲーブルが演ずるレッド・バトラーはとんでもなく格好良かった。

スカーレットは大富豪の令嬢だが、南北戦争でどん底に放り出されても逞しく生き抜いていく。夕日の中で父祖の地タラの大地を踏みしめ、「たとえ人を騙し、傷つけても、二度と私は飢えない!」と拳を振り上げる前半のラストシーンは強烈だった。

その言葉どおり妹の許婚を奪い、友人の夫に熱を上げるなど情熱的である。
本当に愛していたのはレッド・バトラーだと気付いたスカーレットが、彼を取り戻すと誓った後のエンディング・シーンも夕日のタラだ。

アメリカ南部タラの大地、夕日、情熱。これらを表現したのがカクテル「スカーレット・オハラ」だ。
カクテル「スカーレット・オハラ」はサザンカンフォート3/4、クランベリージュース1/4、ライムジュースを少々をシェイクして作る。美しい!

サザンカンフォートって何だろう。サントリーのHPを見ると「1874年にアメリカ南部ニューオリンズで生まれたアメリカン・ピーチ・リキュール。ピーチ、レモン、チェリー等のフルーツと、数種のハーブが醸す爽やかな味わいが特徴です。」と書いてある。

クランベリーはイチゴの一種だろうか、女性なら誰もが知っている。クランベリー・ジュースは赤紫の爽やかな甘味のジュース。

女性向きのカクテルだが、今日飲んだ池袋のショットバー「TISTOS]のスカーレットは甘味を抑えてあり銀髪でも美味しく飲める。

スカーレット・オハラを飲みながらスカーレット・オハラを想う。ちょっとイメージと違うような気がするが、これでもいいような気もする。

飲んでる男はレッド・バトラーとはまったく違う。似ても似つかない。悔しいけれど‥


「TISTOS」
東京都豊島区池袋2-53-10
フラッグメントミップB1
03-3590-5017

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2005年12月28日

[れんが家 桜庵](名古屋)  飛騨牛の刺身、焼肉 

名古屋空港がオープンし、愛地球博で賑わった街もようやく落ち着きを取り戻してきた。
ホテルも取りやすくなり、料金も万博前の価格に戻った。久々の泊まり出張でゆっくり名古屋名物を食べようと思ったのだが‥

旅行者はその地方の物を食べたいと思うが、地元の人にとってはいつも食べることができない物の方がいいに決まっている。従って連れて行かれたのは名古屋錦にある創業四半世紀の焼肉屋「れんが家 桜庵」だ。地元の人にとってはいつも行くにはちょっと高い店だ。

グルメ紀行の筆者としては何とか理由をつけたい。店長にどこの牛を使っているのかと尋ねてみると、飛騨牛だとのこと。ラッキー! 飛騨高山は岐阜県なので愛知の隣県だし、中部地区で理由がつく。地元の人が食べたい物で、地元産の牛肉ということになれば両者ハッピーだ。れんが家は数少ない飛騨牛を使った焼肉屋だ。

この店のいいところは豊富な刺身類。定番のユッケは今日はパスして色んな部位を刺身で食べる。
きれいなさしが入った肉は癖がなく美味い。

上段左からたたき、霜降り、心臓、下段左からタン、レバー、センマイ。

写真を撮る間もなくみんながワッと手を出すものだから、5切れあるはずのたたき、霜降りやレバーの一部は撮り損なってしまった。

刺身を食べ終わったところで焼肉に移る。肉が焼けて香ばしい匂いが漂い始めると連日の呑みすぎで休息を求めていたはずのお腹が動き始めた。

焼肉は大勢で食べると楽しいが、焼き加減の好みはそれぞれなので、食べ方が難しい。レア好みの銀髪にとっては生焼けを嫌う人の気持ちがわからない。しっかり焼けて焦げ始めると食べる気があるのかないのか気になって仕方がない。食べる気がないのなら、炭になってしまう前に食べなければならないと思って箸を伸ばすと恨めしそうに見つめられる。

それにしてもみんなよく食べる。年齢が高い人が多いので魚の方が良かったのではないかと心配したが杞憂に終わった。肉を好きな人は若くて元気だ。化けものみたいな年寄りが多い政治家などは肉が大好きな人が多いと聞く。

この店はロース、カルビ、ハラミなどの他に、変わった焼き物もある。

左から軟骨、頬肉、上ホルモン


もう充分かと思ったら上ホルモンを食べろと言う。焼き方もこつがあるらしく、表面が固い方を先に焼く。鶏のボンチリに似た味、食感だ。「こんな高級な店じゃなく、安くて美味いホルモンを食べさせる店が名古屋には何軒かあるから今度はそっちに行こう!」と言われたが、もっと早く言って欲しかった。

最後にホルモンのおかわりと冷麺を追加することにした。「食べる人は手を挙げてください」と言うと全員が手を挙げる。みんな元気だ。

銀髪はテールクッパにした。米国産牛肉が禁輸になって、安い焼肉屋のメニューから消えた料理だ。輸入再開となっても不安視されている部位だが、飛騨牛なら安心だ。

さあ、腹ごしらえは充分だ。今日は泊まり。「夜の錦が俺を呼んでるぜ!」

れんが家 桜庵
名古屋市中区錦3-22-7 アークビル3F
052-722-0901

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2005年12月27日

[鳥長](人形町)  昔ながらの焼き鳥赤提灯

地下鉄人形町駅から約3分、NTTと大通りを挟んだビルの裏通りに鳥長はある。昔ながらの焼き鳥屋である。

簡単なようで家ではなかなか上手にできない料理が焼き鳥である。素人では刺身でも食べられる鶏肉を手に入れるのが難しい。
刺身でも食べられるかどうか不明 → 焼きすぎる → 身が固くなる → 不味い
と言うパターンになる。

「昔ながらの焼き鳥屋がいい」と言いたいところだが、焼き鳥チェーン店の質が向上した。昔は居酒屋チェーンの焼き鳥はタイや中国産の冷凍焼き鳥に決まっていたが、最近の焼き鳥専門チェーン店の鶏は地鶏、銘柄鶏などこだわりがある。種類も豊富でぼんちり、せせりなどの部位まで揃っている。
備長炭を使って焼く店もあり本格的だ。

店は新しく、掃除が行き届いている。接客はマニュアル通りで味気ない気もするが、よく教育が出来ていて気分は悪くない。
焼き鳥以外の料理もバラエティーに富む。お酒は通好みの日本酒、焼酎、若者や女性向けに焼酎カクテルなど選択の幅も広い。

赤提灯、ガタピシ扉、炭にすすけた壁、大き目のやかんに徳利。それと頑固オヤジ。女・子供はそんな店についてきてはくれない。

それでも「俺はオヤジだ!」とばかり日本橋の焼き鳥屋に入った。あちこちにのれん分けの同名店がある老舗の焼き鳥屋だ。備長炭使用の看板が入り口にかかっている。大き目の鳥串焼き5本セット。ところが4本はいいが1本気に入らない。肝が焼きすぎでパサパサになっている。一切れが大きいため口の中に乾燥した肉片が広がり飲み込み辛い。
普通なら追加注文をするところだが、一皿食べて、サービスで出てきたスープを飲んで席を立った。

「次行くぞ!」と連れに声をかけてタクシーに乗り込んだ。人形町「鳥長」に向かう。口直しだ。
まさに典型的なオヤジ好みの店。肝とちょうちんを頼む。

小振りの焼き鳥はさっと焼いた感じで食感は申し分ない。ちょうちんは内臓にあった殻と白身に覆われる前の卵黄。これを丸ごと口の中に入れて噛むと口の中に黄身がはじける。
続いてささ身の刺身と皮焼きを注文する。

刺身

ここで使うのは那須産の地養鶏。地鶏は身が固い。身が適度に柔らかくなるように育てた鶏が地養鶏で、焼き鳥に適していると言う。

以前来たときは塩かタレかを注文していた客に「味付けは任せてください!」と一蹴していた大将。銀髪が一度食べた焼き鳥のおかわりをしたら「気に入らなきゃおかわりしないのだから、おかわりするのは最高の誉め方だ!」と喜んだ大将。
今日はちょっと元気がなかった。

「大将、頑張ってね。また来るよ!」と言ってガタピシ扉を開けて店を後にした。
「焼き鳥チェーン店に負けるなよ!」とは、怒られそうだから言えなかったけど‥

ついでに、鳥インフルエンザが流行しないように祈ります。全国の焼き鳥ファンのために。


鳥長
東京都中央区日本橋人形町2-26-14
03-3664-9776

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2005年12月26日

シャンパン

お祝いにはシャンパンが定番だ。クリスマスには何本のシャンパンが世界中で消費されたのだろうか。

シャンパンはスパーリングワイン(発泡ワイン)の一品種で、フランスのシャンパーニュ地方で作られたもののみがシャンパンと名乗ることが出来る。シャンパンの代表格はモエシャンドン社のものだろうが、その中でもドンペリニオン(通称ドンペリ)は憧れの的か。そしてそのピンクドンペリとなると女性たちの羨望の的。

正直言ってシャンパンはあまり好きな酒ではない。ちょっと甘めなのが気になる。発泡しているものであればビールが一番だし、ぶどう酒であればワインが一番。2番はブランデーだ。それでも華やかな気分になるのはシャンパンだ。これに勝るものはない。

シャンパンは高級で高いとのイメージが強いが、最近は手頃な値段で飲めるものも多い。ドンペリにこだわらなければモエシャンドン社のアンペリアルなどはワインの値段と変わらない。
オーストラリアやカルフォルニアのスパーリングワインだってひけを取らない。葡萄はシャルドネ種で辛口のいいものが多い。見栄を張らなければシャンパンにこだわることもあるまい。

新宿パークハイアットホテルのピークバーでのこと。珍しく銀髪はグラスシャンパンを頼んだ。既に開いていたボトルから注いだシャンパンは立ち上る泡がきれいではないように思えた。

「ボトルを開けてから時間が経っているみたいだね」とさりげなくバーテンダーに言った。すると彼はグラスを一瞥するなりいきなり銀髪のグラスを持っていこうとする。非難するつもりも文句を言ったつもりもなかったので、何とか制止しようとしたがアッと言う間に中身を捨ててしまった。

安いシャンパンではない。彼はアイスペールに差してあったボトルも処分してしまった。そして新しいボトルを開けて、銀髪のグラスにシャンパンを注いだ。さすがにパークハイアットだ。今度は文句のつけようがない。細かな泡の柱が出来上がる。見ていて飽きない美しさだ。

グラスは酒の特徴を最大限に活かす形状をしている。香りを楽しむ赤ワインは大き目の丸く膨らんだグラスに香りを溜める。ブランデーも同じ発想だがアルコール度数が高く、時間をかけて飲むため背が低い。冷やして飲む白ワインは膨らみがないストレートな形状だ。

ところがシャンパンには全く形状が異なる2種類のグラスがある。一つは丈が高いもので、立ち上る泡を楽しむにはこれに限る。もう一つは広がりのある底の浅いグラスだ。
名古屋国際ホテル「天守閣」の細川さんに聞いた。底の浅く丈の低いグラスはパーティーでたくさん運ぶためのものとか。確かに丈の高いグラスは不安定でウエイターが持ち運ぶには危なすぎる。

お祝いの時、パーティーで乾杯をするシャンパンは底の浅いものが多い。このグラスはパンチなどにも使われる。これもパーティー向けの飲み物だ。

丈の高いグラスはいつ使う? それはもちろん恋人同士が愛を語らうとき。
そうだ、そうだったんだ! 
グルメ紀行の取材と称してこんなもの飲んでる場合じゃないね。


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2005年12月25日

メリークリスマス

喧騒はクリスマスイブで終わる。クリスマスは静かに過ごす日だ。

キリスト教徒は教会に行く。子供のとき教会に行くとお菓子がもらえると誘われて参加した。ところが説教が長く、退屈で待ちきれず教会を後にした。最初にお菓子をもらえていたらキリスト教徒になっていたかもしれない。

オーストラリアに居たとき、部下にユダヤ人がいた。彼はユダヤ教の正月を特別休暇にして欲しいと言う。認めることにした。但し、クリスマスに出勤することを条件に。彼はクリスマスに休む方を選んだ。敬虔なユダヤ教信者というわけではなかった。
銀髪はクリスマス出勤をした。日本の市場はクリスマスを休まない。

西欧社会ではもっとも長い祝日がクリスマスだ。英国および英国の旧植民地はクリスマスイブ、クリスマス、ボクシングデーと続く。ボクシングデーはもちろんボクシングをやる日ではない。クリスマスプレゼントを開く日とか使用人や郵便配達人などにプレゼントを渡す日など諸説聞いたが、どれが本当か定かではない。

宗教的な祝日のありがたみは薄れ、長い休日がみんなを浮き立たせる理由のような気がする。

メルボルンに行ったら6月にクリスマスパーティーの招待状が舞い込んできた。オーストラリアの12月は夏。暑すぎてクリスマスの気分にならないらしい。しかし12月にもクリスマスパーティーは開かれる。要はみんなで集まってドンチャン騒ぎをする理由が欲しいだけだ。

そして日本。宗教的な色合いはどこにも見られない。昔はクリスマスシーズンになると、父親がとんがり帽子を被って、クラッカーを数個ポケットに入れて帰ってきた。飲み屋にとって稼ぎ時だったが、今はホームパーティーが主流になった。

鶏にとっては親(肉)だけでなく子(卵)にとっても受難の日だ。卵はケーキ造りに大量に消費される。かつて食べたケーキに比べれば今のケーキは格段に美味しくなった。我が家のケーキは甘さ控えめで一口ぐらいなら銀髪も食べることができる。

今年は英国や豪州同様に三連休。みんな休みを楽しんでいるだろうか。長すぎる休みを持て余しているだろうか。

銀髪は? もちろん今「銀髪グルメ紀行」を書いています。 アホだね。

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2005年12月24日

クリスマスなんて大嫌いだ!

外はクリスマス一色だ。いつ頃から日本にクリスマスの習慣が根付いたのだろうか。

映画「三丁目の夕日」を見た。クリスマスに大人たちが苦心してサンタさんを信じ込ませるシーンが出てくる。昭和34年頃の時代設定なので、銀髪の子供時代とダブる。

クリスマスに何をもらったか記憶にないが、サンタクロースを信じていたことは覚えている。家の風呂は薪と石炭で沸かしていたので小さな煙突があった。サンタさんがこの煙突を降りてくるとは信じられなかったが、いつも必ずプレゼントが届いた。しかし、自分の希望のものではなかった気がする。日本のサンタさんは現在のように豊かではなかった。何であれクリスマスプレゼントをもらえるだけ団塊世代の兄たちより幸せだった。

クリスマスの前にはクリスマスケーキが我が家に山積みになった。母がPTAの役員をやっていたために、PTAの資金集めにクリスマスケーキを売っていた。これを予約した家に配って歩かなければならない。生クリームのケーキが出る前のバタークリームケーキ(実際はマーガリン?)、嫌々買わされたケーキはあまり美味しいものではなかった。
このケーキより父が買ってくるアイスクリームケーキを心待ちにした。

やがてサンタになる役回りが自分に巡ってきた。子供がサンタさんを信じる年齢のときはオーストラリアにいたので、広い我が家に相応しくクリスマスツリーは180cmを超える大物だった。
枝ぶりもよく大きなプレゼントでもツリーの下にスッポリ収まった。子供の笑顔が嬉しかった。しかしこんな団欒は永遠には続かない。今、子供たちは恋人とクリスマスを過ごす年齢に達してしまった。

日本に帰ってきてから、再びクリスマスケーキの悪夢が舞い戻ってきた。前に居た職場のお客さんにケーキ屋が2社あった。必ずこれを買わされる。大手上場メーカーのケーキは大量販売のため随分前に作られた冷凍ケーキだ。美味しいわけがないので家族からは毎年ブーイングだった。

よく考えたらクリスマスはいい記憶の方が少ない。プレゼントを何にするかで頭を痛め、ようやく選んでも手放しに喜んでくれるとは限らない。
恋人たちにとっては最良の日かもしれないが、恋人がいない人にとっては何とも苦痛の日だ。クリスマスさえなかったら寂しい思いはしなくてすむのにといつも腹が立つ。電車男たちの怨嗟の声が聞こえる。

なんで外国の習慣で悲しまなければならないのだろう。もてない男の繰言は続く。

まあいいや。ヤケクソだ! メリークリスマス!

銀座ソニービル横のツリー

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2005年12月23日

[中国茶房8](恵比寿) 格安まるごと「北京ダック」  

北京ダックを安く食べさせる店を見つけた。六本木を本店とする中国茶房8の恵比寿店に行った。

六本木本店は以前は知る人ぞ知る目立たない店だったらしい。しかし、六本木ヒルズが出来てからは予約の取れない店になってしまったと、中国人の友人が嘆いていた。本店の成功で出店した恵比寿店は場所柄本店程の混雑はないが、それでも予約がないと飛び込みで入るのは難しい。

北京ダックは高級料理である。誰もがそう思っている。小麦粉を伸ばして蒸した皮(春餅=シュンピン)にパリパリに焼いた鴨の皮と薬味、味噌を包んで食べる。鴨は皮だけしか使わないで、他は捨ててしまうと思い込んではいないだろうか。

香港で北京ダックを頼んだときのこと。北京ダックや他の料理を食べていると、頼んだ覚えがない料理が出てきた。文句を言うと、北京ダックの皮を使った後の残りの部分を調理してきたとのこと。もちろん料金は取らない。オーストラリアでも同じように丸ごと調理してくれた。
日本では残りの調理を頼むと追加料金を取るところが多いのでいつも不満だったが、中国茶房はすべてを使い切って3,680円と北京ダックの常識をぶち壊してくれた。

まずプレゼンテーショ。丸ごと一匹の鴨を目の前でさばいてくれる。

鴨は通常より厚切りで皮に身もついている。これを普通の大きさの春餅で包むのは至難のため、春餅も倍以上の大きさだ。味噌だれなどの器も大きい。

皮を削ぎ落として残った肉はもやしと共に炒めてくれた。さらに骨などで取ったスープもある。2人ではとても食べきれない量だ。

中華料理は人数が多いほど楽しい。
北京ダックはそれだけでお腹を満たすような料理ではない。春餅が暖かいうちに皆で奪い合って食べるぐらいが一番美味しい。

この店には北京ダックだけでなく、他にもたくさんの料理がある。中華料理以外の中国周辺地域の料理も楽しめそうだ。

安かろう悪かろうではない。3,680円でも充分満足できる味だと思う。庶民的で客層も若い人が多い。こんなところでワイワイガヤガヤやれば、最高のパーティーになるだろう。


中国茶房8
恵比寿店 http://www.8-duck.jp
六本木本店 http://www.cceight.com

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2005年12月22日

[蓬莱屋](上野) ひれかつ定食 

グルメ紀行を書いていると言うと、みんなが美味い店を紹介してくれる。銀座の女性が教えてくれたとんかつ屋さんが上野蓬莱屋だった。

上野松坂屋の裏と教えられたが、ガラスケースに豚かつのサンプルが置いてある店をイメージしていたため通り過ぎてしまった。オヤッと振り返ってみると古い一軒家に確かに蓬莱屋の暖簾がかかっている。恐る恐る引き戸を開けると「いらっしゃいませ!」の声。

入ってすぐのカウンター右手の席に年配の3人連れがいるのみ。正面のカウンターには誰も居ないのでその端っこの席に案内された。名店にしては空いている。
外観に比べて店内は明るく新しく見える。店員はみんな名札をつけており、中国人の若い女性もいる。老舗といっても、しっかり現代風だ。

メニューを見ると定食はひれかつ(2,900円)、一口かつ(2,900円)、串かつ(1,900円)の3種類のみ。下調べをして来なかつたため何を頼むか悩んだが、一番目に書いてあるのが多分看板料理。従ってひれかつ定食を頼む。

せっかくカウンターに座ったのに、山岡さん(店主?)はこちらに背を向けて豚肉に衣をつける作業に没頭しているため話しかける隙がない。右奥の油が入った大鍋からは煙がモウモウと出ている。店の奥からはキャベツをきざむ音がかすかに聞こえてくる。

山岡さんは鍋を見ることもなく分厚いひれ肉に衣をつけ続けている。焦げないのかと心配していると、やおら鍋に向かい右奥の鍋から右手前の鍋に豚かつを移す。まず高温で揚げ、低温の鍋に移してじっくり揚げるようだ。結構長く揚げている。家であんなに長時間揚げると真っ黒になるが、出来上がった豚かつは程よい色合いだから不思議だ。
箸を取って待っていると、無常にも皿は先客の3人のところに行く。銀髪の分はまだない。

12時近くになったら、次々と客が入って来た。カウンターが埋まってからは、続々と奥の階段から2階に上がっていく。

前と同様、山岡さんはいきなり鍋に向かいひれかつを油から出し、かつを銀髪の目の前のまな板に置いた。揚げたての豚かつに包丁を入れる。アシスタントが肉を支えて切るのを手伝う。皿に乗せたらすかさずアシスタントがキャベツを添える。
今度は銀髪の分に間違いない。のどが鳴る。唾を飲み込む。

来た来た。やっと来たひれかつの衣は薄い。ふわふわ生パン粉の豚かつが隆盛になったが、揚げ物は薄い衣がいい。脂身のないひれ肉に薄い衣のためあっさりしている。そう言えば次々と入ってきた客はみんな銀髪より年長に見えた。
ソースはウスターソース。ねっとり甘いトンカツソースではない。

帰ってからホームページを見た。大正元年創業、松坂屋の脇で屋台を出し、昭和3年に今の地に開店。日本で初めてひれ肉を使ったとんかつを出したとのこと。
煙を出していた高温の油は自家抽出のラードだ。

年配者は肉が嫌いと思ったら大間違いだ。脂っぽくなく、軟らかい蓬莱屋のひれかつなら誰でも食べたいと思うはず。
銀座の女性にうけるのも納得できる。いい店を紹介してくれたお礼を言いたいが、誰だったか忘れてしまった。心当たりのある方、コメントください。

銀髪は脂の乗ったロースをカリッと揚げた方が好みだ。まだまだ若い!なんちゃって。


蓬莱屋のホームページ
http://www11.ocn.ne.jp/~houraiya/

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2005年12月21日

[フランツィスカーナー](日本橋) 本場ドイツの生ビール

来年のワールドカップはドイツで開かれる。対戦国の一つ、クロアチア料理店には行った。開催国のドイツ料理屋にも行かなくちゃ。

ドイツと言えばビールとソーセージだろう。それ以外に思い浮かぶのはハンバーグだが、きっとハンブルグの英語読みがハンバーグ。アメリカに行ってパンに挟まれてファストフードになった。

話は逸れるが、日本では現地語での読み方と英語の読み方が混在していて混乱する。ベルリンは英語ではバーリン、バハレーンも英語読みはバーリンと日本人には同じに聞こえる。日本語読みに慣れていると話しがかみ合わずに困ってしまうことがある。

さてドイツ料理。どうも高級料理のイメージがない。高級ワインもあるが、モーゼルやリースリング種の葡萄は甘いワインのため辛口全盛の最近では人気がない。
ソーセージ、ジャガイモ、ザウワークラフト(キャベツの酢漬け)でも食べながらビールを飲むのが定番だろうか。

昼飯時、大先輩のMさん、Fさんと会社の近くのフランツィスカーナーに行った。日本橋高島屋の一本東京駅寄りの道を入ると左手に格子扉が見える。地下に降りるとフランツィスカーナー バー&グリルがある。
ランチ1,000円で食後のドリンク付。

ランチメニューはハンバーグ、子羊のローストなど数種類ある。銀髪はソーセージの盛り合わせ。

Fさんがビールに関しての知識を披瀝し始めた。ドイツビールはメーカーごとにグラスが指定されているとのこと。Fさんの話を確かめようと店の人に尋ねると、いくつものグラスを持ってきた。

Fさんの言うとおり、なかなか洒落ている。グラスには泡の下限位置を示す目盛が書いてあり、いい加減に泡を多く注がないようになっている。法律で定められているとのこと。
日本人が泡にこだわるのはドイツ流かも。でも日本流の泡の量はちょっと多すぎる気がする。

話を聞いているともう堪らない。ビールを飲むことにした。ドイツの生ビールが飲めるなんて楽しいランチになった。

日本のスッキリ感だけのビールより遥かに旨い。Mさん曰く。「日本のビールは一口目は旨いが、二口目はもう旨くない。このビールは三口目も旨い!」
メニューを見るとビールだけでなくワインの品揃えもいい。

銀髪はソーセージ、ザウワークラフトを食べながらビールを飲む。ここでソーセージについてのウンチクをしゃべり始めるのだが今日はここまで。おかわりをしたいのもグッと我慢した。

それにしても、隣のオーストリアは宮廷料理など高級なものがあると聞くが、高級ドイツ料理って聞いたことがない。最高級のワインがあるのだから無い訳がない。フランスやイタリアに負けない料理があったら試したいものだ。

ドイツ通の方、教えてください。


フランツィスカーナー 日本橋店
http://www.zato.co.jp/fb&g_nihonnbashi.html

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2005年12月20日

[ドブロ](京橋) 日本唯一のクロアチア料理店

サッカーワールドカップの組み合わせが決まった。F組はブラジル、オーストラリア、クロアチアと日本。オーストラリアとブラジルは分かるがクロアチア? クロアチア料理? 何も思い浮かばない。

今日はフレンチ、イタリアン以外の洋食を食べようとネット検索数十分。何と、クロアチア料理店が京橋にあった。会社からも歩いていける場所にある。ワールドカップの対戦国になったので敵情視察だなどと勝手に理由をつけて行くことにした。

行く前に下調べ。旧ユーゴスラビアが分離してクロアチアは1992年に独立したものの、激しい内戦が続き、政情が安定するまでかなりの時間を要した。
地域的にはアドリア海に面しているため魚介類が豊富だが、肉料理も多彩。そう言えばオーストラリアのメルボルンで有名なステーキ屋はユーゴスラビア人が経営していた。

下調べも過ぎたるは及ばざるがごとし。店に行ってから驚きや感動を味わうためには簡単な知識で充分だ。さぁ敵情視察にレッツゴー。

失礼な話ではあるが店の中は思っていたよりはるかに立派。テーブルはロウソクの灯りでほんのり明るく、デートには絶好の雰囲気だが女性だけ、男性だけのグループも多い。

メニューには見たことも聞いたこともない料理がずらり。調理名の下の解説を読んでもよく分からないので、店の人に尋ねながら料理を決める。

チャプチッチ(ソーセージ)

スロバニア風カエルのフリット

クリームシュトゥリクリ(グラタン)

サルマ(ロールキャベツ)

ロールキャベツは中身を見るため切り分けて持ってきてもらった。添えてあるマッシュポテトと合わせて食べるとまろやかな味になる。

べゲタ風味の魚介ソテー

白身はアンコウだ。日本人は鍋しか思いつかないアンコウだが、上品な白身で美味しい。海外でも何度かソテーで食べたことを思い出した。クロアチアでも食べるとは思わなかった。

どれもしつこくなく食べやすい。

ドブロは日本で唯一のクロアチア料理屋だそうだから、ワールドカップではこの店に集まったクロアチア人サポーターを中継するためにテレビが入るのだろう。
試合後のインタヴューで「残念でした」と言ってもらいたいが、まずは友好。クロアチア料理を食べに行こう。

「ジーコ監督! この相手なら本当に美味しいよ!」と言えたらいいけど、クロアチアのサッカーは料理ほど美味しくないかも。
クロアチアは料理と同様、サッカーでもしつこくなければいいなー


クロアチア・レストラン Dobro
東京都中央区京橋2-6-14
04-5250-2055


料理の説明はドブロのホームページで見てください。
http://www.dobro.co.jp/index3f.html

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2005年12月19日

まぐろも買いました  [続築地場内市場にて]

築地場内市場に入るときにいつも「今日は買い過ぎないぞ!」と誓う。しかし誓いが守られたことは未だにない。

金曜日に呑みすぎて家を出るのが遅くなったため、築地場内市場に入ったのは9時ちょっと前。うまい具合にプロたちの時間は終りに近づき、素人が掘り出し物を得られる頃になった。

牡蠣を買ったことは昨日書いた。牡蠣を買った隣の店に青森県大間の本まぐろがあった。ちょっと小振りなためプロが敬遠したかもしれないが、素人には滅多に手に入らない代物だ。約400グラムで2,500円。思わず手が出てしまった。
「2,000円でいいよ!」とあっさりまけてくれる。

スミイカ、牡蠣、あさりなどを買って一度は帰ろうと決意したにもかかわらず、他の店を覗きたくなってしまう。悪魔のささやき。店じまいを始めたまぐろ専門店の冷蔵ケースを見ると脳天を売っている。すかさず店員が寄ってきて、他のまぐろを見せてくれる。

中落ちとカマトロが入っているもの、頬肉、脳天。各1,000円だと言う。どれも欲しいが値段より量が問題だ。全部買うと約2キロ。2つでも多過ぎる。誓いが頭をよぎって一度は去ろうと決断する。
ところが「3つまとめて2,000円でいいよ!」と言われて買ってしまった。オイオイこんなに沢山買ってどうするつもりだ!もろくも誓いは破られた。

腕がちぎれそうになるほどの荷物を持って、喘ぎながら車に辿り着く。いったいどうやって食べるつもりだ。土日があるから何とかなるさ。まぐろばかりじゃみんなは嫌がるんじゃないか。自問自答しながら家に向かう。

左上がカマトロ、中落ちなど、左下が脳天、右上が頬肉、右下が大間の本まぐろ。

3分の1はお袋と兄貴に分けた。残りは我が家でまぐろづくしだ。
牡蠣蒸し焼きの前菜としてそれぞれを刺身にした。味比べだがもっとも人気があったのがカマトロ。次が脳天で大間の本まぐろは3番目。脂がのっている順だ。赤身でも大間のまぐろは味があるのに子供には理解不能か。お袋は大トロ好きにもかかわらず大間を一番と言った。偉い!

日曜は前日余ったまぐろをどのように料理するか工夫のしどころ。また刺身では飽きてしまう。

中落ちは細切りにして塩、コショウ、焼肉のタレで味付けして、卵の黄身を乗せる。まぐろのユッケ風だ。
頬肉は赤ワイン煮込みにした。たまねぎ、ロリエ、コンソメスープの素を加え赤ワインで約30分煮込む。牛肉の頬煮込みと同じ要領だが、煮込み時間は半分以下で済む。
照り焼きにするより魚臭さがなく、食べ易いようだ。もっと欲しいとの声が出たほどだが、足りないと思うぐらいがちょうどいい。

この他に作ったのはイカ墨のスパゲッティ、ボンゴレ、イカの刺身など。

すべて売り切れた。家族も笑顔だ。「誓いは守れなかったが災い転じて福となった。レパートリーが増えた。俺って天才かも」なんて思ってしまう。懲りないオヤジだ。

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2005年12月18日

殻つき牡蠣を買いました  [築地場内市場にて]

「殻つきの牡蠣をホットプレートで焼いたら最高だよ!」robertさんのことばが脳裏に浮かんだ。

築地場内市場に入って数分。目の前に殻つきの生牡蠣20個入りの箱がある。岩手県広田産の牡蠣で税込み2,100円。これまで何度も買おうと思っていたが、大ぶりの生牡蠣20個はちょっと食べ切れないと諦めていた。robertさんの話を思い出し、料理法を変えれば20個も可と思って買ってしまった。

以前、JR御徒町駅前の魚屋で殻つきの牡蠣を買ったことがあるので殻の開け方はわかっている。平たい殻を上にして、扇の要にあたるところを手前にすると右側の真ん中よりちょっと上の辺りに貝柱がある。この付近からナイフをこじ入れ貝柱を切ると殻が開く。
レモンを絞って生で食す。不味いわけがない。

ホットプレートで焼くときは事前に殻を開けるのかどうかわからなかったのでrobertさんにメールをして教えてもらった。平たい殻を上にして焼く。あさりなど他の貝同様,火をとおすと勝手に開いてくれるとのことで、結構簡単な料理法だ。

生牡蠣を食べているとrobertさんから写メール到着。彼も能登から牡蠣を取り寄せ、今まさに食べているところとのこと。こちらも負けじとホットプレートに牡蠣を並べる。

待てど暮らせど殻は開かない。尖った殻の底面とホットプレートの接触面は小さくて火がとおらないのだ。はっと気付いてお湯を加えて蓋をした。robertさんが蒸し焼きと言っていたのを思い出した。焼くのではなくて蒸すのだ。
成る程パカッと開く。後は簡単。失敗して開かないものもナイフをこじ入れると貝柱を切る手間がないため簡単に開く。

以前広島に行ったとき「かなわ」と言う牡蠣料理の専門店で殻付き焼き牡蠣を食べた。家庭でもオーブンやグリルで焼く簡単な料理だが、殻が熱くて不安定で皿に盛るのが面倒だし、何より焼けるタイミングをつかむのが難しい。パカッと開いたときが食べ時だから、開く瞬間を固唾を呑んで待っていなければならない。その点、目の前のホットプレートで蒸すのが一番の料理法なのだろう。

超繁忙の昼食の時間帯だったためか、「かなわ」」の牡蠣は焼き過ぎで縮んで身が固くなり、歯に詰まってしまった。この時のお値段は1個600円。

「かなわ」」は数寄屋橋交差点近くの東芝ビル地下に支店がある。夜に行ったが、今度はいい焼き加減だった。こちらは1個650円。650円×20個は1万3000円。築地で買えば1個100円、20個で2,000円+消費税。
料理屋で焼き牡蠣を20個も食べる馬鹿はいないと思うが、築地で新鮮な魚介類を買って自分で料理するとこれだけお得である。Robertさんのように産地から送ってもらってもいい。クール宅急便。便利な時代だ。

生の牡蠣をこじ開けて生食用を供し、蒸し牡蠣を料理してあげて、なんといいお父さんだろうと悦に入っていると、家族は「かきフライもあれば良かったのに」と不満そう。

どついたろうか!(怒)

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2005年12月17日

[小春軒](人形町) フライの名店でかきフライ  

銀髪にとってフライと言えば豚カツ。中学時代からの好物は50歳になっても変わらないが、この季節になるとかきフライ。「季節限定」の文字がきらびやかに目に映る。

オーストラリアに居たとき、かきフライは憧れの料理の一つだった。オーストラリアで牡蠣と言えばまず生食。次がキルパトリックという殻に牡蠣の身とと千切りベーコンを乗せてオーブンで焼くもの。あとはシチューやグラタンなど。

オーストラリアでかきフライを食べようと思えば家で食べるしかない。牡蠣は日本から輸入の冷凍物。地元の牡蠣はフライにするには小粒過ぎた。揚げると身は無残に縮んでしまう。

帰国してからかきフライ作りにはまった。凝りだすとトコトンまでやらないと気がすまない。まず牡蠣の選択。中がジューシーな状態に仕上げたいが、生焼けは怖い。しっかり火を通すと水分が油に溶け出し油がはねる。出来上がりはちっとも美味しくないパサパサ。

溶き小麦粉を使ったり、小麦粉、卵、パン粉を2回りつけたりして衣を厚くしたが出来上がりは悲惨。
水分が抜けないように衣に工夫した。パン粉は市販のものがいいか、食パンをフードプロセッサーで砕いて作った自家製生パン粉がいいか。結構奥が深い。

生食用なら生でも問題ないから上手にできると思ったが、生食用は小粒で風味に欠ける。たまに大粒があっても生食用に育てたのではなく、洗浄して滅菌するので旨みがなくなってしまう。

豊橋に居たときはしばしば浜名湖・弁天島近辺まで牡蠣を買いに行った。店員は「生食用ではありませんよ!」と言った後で「そう言わなければいけないのでね」と囁いてにやりと笑う。黄色く新鮮な牡蠣を生で食べた。あの濃厚な旨味は今も忘れられない。
生を堪能して残りをかきフライにする。これが美味いの何のって。
強火の油でサッと揚げる。外はカリッと仕上がり、中はあくまでジューシーだった。

さて小春軒。明治45年に開業の老舗の洋食屋。並びの元祖親子丼「玉ひで」の行列には勝てないものの、なかなかの人気店で昼時はいつも満員になる。

左が「小春軒」、右の行列が「玉ひで」

季節限定のかきフライを頼む。牡蠣が5個入って1,000円。ころもは最近流行のやたら分厚い生パン粉ではなくて、シンプルな昔風。老舗ならではの伝統のある洋食店のフライ。
溶き小麦粉やころもの2度つけをしてないため家庭で揚げるかきフライに近い。ころもが薄くカリッと揚げた感触の良さがこの店の特徴か。

「薄いころもでサッと揚げて中はジューシー」を期待したが、ちょっと揚げすぎかな? ジューシー過ぎると生焼けだと怒る客が居るのかもしれない。店主が一番美味しい思うものを頑固に貫いても客が嫌がれば仕方がない。商売は難しい。

広島産や岡山産が主流になる年明け以降がかきフライの最盛期。築地に行って新鮮な大振りの牡蠣を買う。殻の破片が残っていないか調べる程度、風味が落ちないようにさっと濃い目の塩水で洗う。水が濁らなくなるまで2~3度丁寧に洗うなどもっての外だ。

シンプルに小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げるのは他のカツと変わらない。油に入れると徐々に水分が出始める。油の中を水分がダンスする前に油からかきを救出。
皿に盛っても水分は溢れ出さないが、口に入れると熱い汁がジュワッと出て来る。生かきとは違った濃厚な海の味が口に広がる

ウーン!堪らない。今度の週末は築地に行こうかな。


小春軒
東京都中央区日本橋人形町1-7-9
03-3661-8830

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2005年12月16日

[漁火](富山) 天然の生簀・富山湾を喰らう  

12月としては観測史上もっとも多い積雪に見舞われている富山に行った。冬の味覚を味わうためには雪なんかに負けないぞ!ズワイガニを食べることができるかな?

「トンネルを抜けると雪国だった」なんて言いたいところだが飛行機で来るとそんな情緒はない。羽田から1時間で富山空港に着く。雪で遅れるかと思ったが、日頃の行いがいい(?)ために10分の遅延のみ。空港から市街地までは車で20分足らずなのでとっても便利だ。

仕事を忘れるわけにはいかないが、楽しみは夜の食事。富山湾は最深部が1200m以上もあり日本で最も深い湾のひとつで、大陸棚が狭く、深い海が海岸の近くまで迫っている。天然の生簀と言われる所以だ。暖流系と冷水系の両方の魚が棲める環境となっており、日本海に分布するとされる約800種のうち約500種の魚が泳ぐ、水産資源の宝庫だ。
http://www.cap.or.jp/INT/Toyamawan/toyamawan.html

地元のNさんに仕事の話はそっちのけで美味い料理屋を紹介してもらう。親切にも事前に写真つきで数件の料理屋の情報を送ってくれた。その中から選んだのが漁火だ。ご主人の太田さんはカニ料理屋で修業したと言うから期待できる。いよいよ地元でズワイガニが食べられる。

遠くからかにと書いた幟が見える。店に着き、引き戸を開けると右側にカウンター。通路の向こうには座敷があるようだ。カウンターに座って壁のメニューを見る。種類が多くどれにするか迷ってしまうが、地元で獲れる代表格を揃えることにした。

イカの黒作りなどの先付け

寒ぶりと白えびの刺身

焼きかにと茹でた爪

焼いた胴の身はほぐして甲羅の中に入って出てきた。こちらとしては手間かからずで、かにを食べる際の煩わしさがなく嬉しい。香ばしいかにの身がかにみそと合わさったところが特にいい。足の部分は刺身にしてもらった。かに一杯を色んな料理にしてくれる。さすがカニ料理のプロ。

かに刺し

白えびの天婦羅

たらの白子鍋

生ビール1杯、地酒「立山」2合を加えて、連れは下戸なので酒代が少なくて済んだとは言え、二人で1万円ちょっと。
Nさん、いい店を紹介していただいてありがとうございました。やっぱり地元の人に聞くのが一番だ。


漁火
富山市宝町ビブレ10 1F
076-442-8581

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2005年12月15日

[八千代丸](博多) 絶品カワハギとあら料理  

大相撲九州場所が開かれるこの季節。相撲部屋へ差入で力士たちがもっとも喜ぶものがあらだと言う。博多に来たらあらを食べなくちゃ帰れない。

例によってホテルのコンシエルジェで料理屋を訪ねるとてら岡を勧められたが、てら岡には以前数回行っているので別の店を紹介してもらった。店構えは稚加栄やてら岡には遥かに及ばないが、魚の品質は良くて値段は手頃な店と評判の八千代丸に行った。

成るほど居酒屋風だ。生簀は店の奥にあるが、客を圧倒するような巨大なものではない。コンシエルジェの女性がお勧めだと言ったイカは天候不良のため入荷していなかったが、これまで散々食べたので文句は言わない。代わりにカワハギの刺身を食べることにしたが、これが今冬一番のヒット。

写真奥に見える肝と、写真右手前のエンガワが絶品だった。肝は新鮮で輝いており、すっきりさわやかな味でむしろ物足りなさを感じる程。縁側は鮮やかな朱色で縁側とは即断できず、思わず店員を呼んで確認してしまった。
もみじおろしが余りに上手に出来ていたので、ついでに出所を聞いたらやはり自家製ではなかったが、カワハギに免じて許すことにした。もみじおろし自体、不味いわけではなかったから。

次いであら鍋。以前てら岡で食べたときは、あらシャブが予想を超えて美味かった。脂が乗っていて噂どおりの味に感動した。切り身の大きさを見るとかなりのサイズのあらと推察できたが、保存のためかスライスするためか冷凍品だった。

今日のあらも冷凍かと思いきや、生だと言うので連れの静止を振り切って刺身を追加した。食べ切れなくてもいいじゃないか!博多でなければ味わえないのだから。
てら岡で食べた刺身は活き造り風だったが、八千代丸の刺身はてっさ風の薄造り。どちらが美味いと言われると困ってしまう出来栄えだった。

あら鍋もふぐのてっちり風だ。まずだしを取るため骨や皮が主体のあらを鍋にぶち込み、煮えてきたら野菜などを加える。野菜を食べ、豆腐を食べて、骨をしゃぶる。
ふぐより美味いとも言われるあら鍋だが、評価は難しい。1メートル以上もあるあらであれば、文句なしにあらかもしれないが、それこそ幻の魚になってしまう。生のメートル級のあらなどいつか食べることが出来るのだろうか。

食の評価は難しい。グルメを気取っている銀髪とて最高のふぐを食べたことがあるかと聞かれれば自信がない。最高級のあらはと聞かれればさらに自信がない。

食事は美味かった。地元の日本酒も旨かった。批評家ではないからそれで充分。

今日は日帰り出張だが最終便にはまだ時間がある。ちょっと中洲でもうろついてみようか。


八千代丸 大名店
福岡県福岡市中央区大名1-2-15  坂田ビル1F
092-713-3686

他に2軒ある。八千代丸のホームページ
http://www.gnavi.co.jp/yachiyo/


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2005年12月14日

[かぶき](神田) いわし料理も店長も活きがいい

鯵は昔からタタキなどにして生で食べてきたが、鰯や秋刀魚の刺身が居酒屋でも食べることができるようになったのは最近である。近くのスーパーでも刺身用として売っている。

鰯の刺身を最初に食べたのは、記憶の範囲では社会人1年目の30年近く前のことだ。豊橋の駅裏にあった居酒屋で見つけた。恐る恐る食べたが、すぐにこれにはまった。

もう一つ気に入ったのがドジョウの唐揚。
新入社員で試用期間中は先輩たちが遊んでくれない。そのため一人で行っては飲んだくれた。漫画本や推理小説片手に居酒屋に入り、鰯の刺身とドジョウの唐揚を頼んだ。鰯は毎日ある訳ではなく、メニューに載ってないときは悲しかった。だんだん店の人と親しくなって本が必要なくなった頃、先輩たちから誘われるようになった。そしてその店には滅多に行かなくなった。

いせ源を出て神田駅周辺を歩いた。あちこちに焼き鳥屋がある。何か変わったものはないかと路地を歩き続けると鰯料理の店を見つけた。いわし料理[かぶき]の北口店とある。

中に入ると生簀に鰯が泳ぎまわっている。メニューは豊富だ。店員もテキパキしている。調理場を見ると軽快な動きと真剣勝負の緊張感。期待が持てる。
店員がお勧め料理を教えてくれる。せっかくだからその中から鰯のつくねを頼む。もちろん鰯の刺身は頼むことにして、メニューを眺めているとドジョウの唐揚がある。なんといい取り合わせだろう。昔を懐かしむセットが出来上がった。この他に数品頼んでビールを飲む。

出てきた鰯の刺身を見ると、何と口をパクパクさせている。鯵ではよく見る光景だが活鰯は初めての経験だ。写真を撮って刺身を食べ始めると店員が頭と骨の部分を調理場に持って行く。唐揚にしてくれるそうだ。これも初めての経験だ。なかなか良心的な店で嬉しい。

ドジョウの唐揚はちょっと小ぶり。一口食べてみたら、あの懐かしい味とちょっと違う。失敗したかなと思ってもう一口食べてみるとあの味だ。なんのことはない一口目は塩のかかり具合が少なかっただけ。久し振りでうれしくなってしまう。

酔いが回ってきて話しが弾んでいるところにつくねが来る。食べて鰯のつくねであることに気付く。鰯屋であることをすっかり忘れてしまっていた。

家で作る刺身は鰯、鯵、秋刀魚が多い。DHAが豊富に含まれていると聞いて、なおさら買う頻度が増えた。動脈硬化などを防ぐという。

DHAが一番含まれているのは鮪の大トロだと聞いたが鰯などの方が手頃だ。
当然だが一匹丸ごと買ってきて、さばいてすぐに食卓に上げる。空気に触れる時間が短い程味はいい。さばくのも簡単だ。鰯は包丁を使う必要もない。
もちろん築地で買ってきた方が美味いに決まっているが、鰯ぐらいなら近くのスーパーでも我慢できる。しかもDHAが豊富。

昔は食べると頭が良くなると言われた。今からでは時既に遅しかもしれないが‥


いわし料理[かぶき]北口店
千代田区内神田3-22-10ハチヤビル1階
03-3252-2508
http://www.sardine-kabuki.co.jp/top_kita.html

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2005年12月13日

[いせ源](神田) 老舗のあんこう鍋

あんこう鍋は我家で食べることが出来ない鍋料理の一つだ。以前スーパーで買ったあんこうが失敗だった。これに懲りて家族は嫌がる。そこで今日はあんこう鍋。冬になったら一度は食べなきゃ。

本当は本場茨城県に行って食べたいがそれは難しい。従って[いせ源]に行くことにした。天保元年(1830年)創業の老舗だ。
神田駅から数分歩き、須田町の交差点を左に曲がると右手の路地にいせ源の看板が見える。下足番に靴を任せ、階段を上がる。6人以上でなければ予約は取れないが、大広間なら予約なしでも入れることが多い。古い建物もシステムも駒形どぜうに似ている。

肝刺し(1,365円)、ともあえ(1,050円)、からあげ(1,155円)、にこごり(630円)を一人前ずつ、メインに目玉のあんこう鍋(3,465円)を2人前頼む。残念ながらあんこうの刺身は売り切れだった。

一皿の量は少なめ。ともあえ以外はなぜかすべて3切れ。4人でくれば2皿必要だ。からあげ、にこごりが特に美味い。

鍋が来た

仲居さんが底の浅い鍋をガス台に置きながら「これが2人前です」と言う。きっと初めて来た客の殆どが聞くのだろう。「これは1人前ですか?」と。
待つこと10分程度で食べ頃に思えたが、ウドが軟らかく、豆腐などに味が染みるまで煮込むように言われたので他の肴をつまみながら待つ。

以前スーパーで買ってきたあんこうはアンモニア臭があった。○○円引きにつられたのが失敗だった。味付けをかなり工夫したが臭いは消えず、家族が嫌いになってしまった。殆どの人は一回でも嫌な思いをすると次はない。家族に申し訳ないことをしてしまった。

いせ源のあんこう鍋はもちろんそんな臭いはしない。身もゼラチン質の皮も美味い。難を言えば量が少ない。
当然のごとく仲居さんが鍋に足す具の追加注文を取りに来たが断った。「雑炊も出来ますよ」と言われたがこれも断った。満腹にならなかったことを幸いに、別の味を求めて違う店に行くことにした。

あんこう鍋の相場を知らないので、いせ源が割高だったのか、割安だったのか分からない。刺身がなかったのは残念だったが、ともかく名店のあんこうを味わった。これを基準に他の店の味と比較することが出来る。

今は輸入物のアンコウもかなり出回っているとのこと。水戸でも安物を食べると輸入ものらしい。
築地に行くと国内産のアンコウがドテッと置いてある。買って帰りたいが、これを調理するのは無理。

次は本場茨城の魚市場の近くで食べたいものだ。


いせ源のホームページ
http://www.isegen.com/


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2005年12月12日

プロの味

プロの味に対するのがお袋の味。プロの味が幅を利かせ、お袋の味の地位が危ない。

大先輩Mさんの話。Mさんの娘婿氏はMさんのお宅に来てご馳走になったときに、「これはプロの味ですね」と言うそうだ。さすがMさんの奥様は料理上手だなと思いきや、だしの素などの即席調味料を使っているということらしい。

面白い婿さんだ。嫌味かと思ったらそうでもなく、本当に美味しいと思って言っているらしい。プロの味を利用して正解だと。

昔は調味料と言えば味の素しかなかった。テレビ草創期のスポンサーとしてよく目にした気がするが、最近では味の素そのもののコマーシャルを見ることもなくなった。
味の素オンリーの時代は遥か昔のことで、今は「○○の素」が無数にある。それがMさんの婿殿の言うプロの味だ。

これが美味いから始末が悪い。殆どのみそ汁用味噌にだしが混ざっている時代だ。昔、母は朝早く起きて、必ず煮干でだしをとってから味噌を溶いていた。実を言うと煮干の皮が剥がれてキラキラしているのを見ると食欲が失せたのだが、今はそんなキラキラ味噌汁を見ることはまずない。

だしと言えばかつお節。
築地場外市場を抜けて神社右の場内市場入り口に削り節屋がある。この側を通るだけで日本人の食欲を呼び起こす匂いが漂ってくる。

昔はどの家庭でもかつお節を削る箱があった。かんなをひっくり返したようなもので削るのだが、刃の出し方が悪いのか、力がなかったのかうまくいったことは殆どない。
今は丸ごとのかつお節を買う人は殆どいないだろう。たぶん今の子供たちはビニール袋に小分けしたかつお節しか見たことがない。

父親がかつお節削りの刃の出方を調整する。真似てやってみるがうまくいかない。かんなの刃を調整する要領と同じだが、イライラして刃の背を叩いて押し込もうとすると怒られる。削ってみればボロボロと砕けて落ちるだけ。薄くきれいに削るのは至難の業だ。

やっと削って母に渡す。大量のかつお節を惜しげもなく使うプロの味には及ばないが、立派にお袋の味を仕上げていく。
プロの味が家庭に浸透した今、どこのおでんも、どこの味噌汁も同じ味だ。

お袋の料理よりコンビニや総菜屋の料理の方が美味しいと思われちゃあ、親としてはさびしい限りだ。子供に言うことをきかせる一番の方法は餌付けなのに、それを放棄したら子供は彷徨うだけだと思う。
賛同してもらえるだろうか?

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2005年12月11日

[えぞ菊](高田の馬場)  思い出の味噌ラーメン   

土曜日に自転車に乗って思い出の地を巡った。昼飯に選んだ高田の馬場のえぞ菊本店を目指す。

成城駅をスタートして向かったのは中学生時代に住んでいた下北沢辺り。40年近く前のことで記憶が定かでない。○○丁目まではわかるが、××番地は覚えていない。記憶を辿ってそれらしい場所を探し当てたが、建物が変わっているため確信がもてない。
周辺をグルグル回って見つけた同級生の表札。位置関係からようやく確信した家の前に立つ。石垣だけが昔のままだった。ランドセルを背負って歩く自分が見える。

次は中学校だ。行ってみると周辺の建物が変わっているのに戸惑った。門から中を覗くが記憶が甦って来ない。40年近くも経てば校舎は変わって当たり前か。近くの駒場学園の生徒だろうか、カップルで歩いている。昔は男子校だったためちょっと怖かったが、世の中随分と変わってしまった。

中学を後にして淡島通りを経て渋谷に出る。国道246に入り渋谷から青山に向かう。表参道から外苑前辺りは人通りが多く歩道は走れないので、車道を駆ける。

外苑西通りを左折して秩父宮ラグビー場、国立競技場の脇を抜ける。靖国通り、職安通り、大久保通りを越えて母校の高校に到着。幸いなことに受験生のための説明会が行われており、門が開いていた。銀髪はサングラス、ヘルメットの怪しげな姿のため、受験生の父親と誤魔化すわけにもいかず、遠慮しながら門を入り中を見渡す。

中学校と同様に昔の建物はない。かつてのグラウンドに校舎が、テニス場に体育館が建っている。建替えを繰り返すうちに施設の位置が入れ替わったようだ。中学同様に思い出の光景はもはや存在しない。自分の中に残るだけだが日毎に記憶は怪しくなっていく。

2時間かかって「えぞ菊」に到着

高校から歩いて数分の所にあるためよく行った。土曜日の午後、部活の練習前に柔道着に着替えて皆でやって来た。頼むのはいつも味噌ラーメン。全員がにんにくをたっぷり入れる。自分だけ入れないと柔道の練習で相手の息に耐えられない。

えぞ菊も変わっていた。かつての汚い店の面影はない。高校を出て以来、えぞ菊本店に来る機会は滅多にないが、しばしば御徒町店には行く。御徒町店に行くのは平日なので、にんにくを入れるのは控え、代わりに豆板醤を入れて食べる。薬味として豆板醤を昔から置いていたのかどうか思い出せない。

今日は休日。気にせずにんにくをたっぷり。豆板醤は入れない。高校時代の味を追求したい。

味噌ラーメンの名店と言われたえぞ菊も、最近では新興の評判店が増えたためか影が薄くなった気がする。昔は支店は何故かハワイにしかなかったのに、今はあちこちにある。袋入りやカップ入りの「えぞ菊」ラーメンがスーパー、コンビにで売られている。
悪口を言う人もいるがラーメン通の批評家たちに付き合ってはいられない。銀髪にとってはいつまでも神聖なラーメンだ。誰にも思い出の一品がある。軽々しく公に批判して欲しくない。

思い出の地巡りは終了した。ラーメンだけが昔のままだった。さあ来た距離だけ帰らなきゃならない。同じ道を帰るのは退屈なので新宿を大回りすることにした。

大久保通りを西に走る。山手線、中央線、小滝橋通りを過ぎてしばらくして左折。程なく新宿中央公園に到着。これを右に見ながらなおも走る。甲州街道、小田急線を越えて代々木公園を左に見ながらさらに走る。最後は小田急線沿いを成城まで戻った。

家に着いて、シャワーを浴びて出かける準備をする。これから中学のクラス会。酒の肴に話のネタはできた。長い夜がスタートする。


えぞ菊本店
東京都新宿区西早稲田2-20-5アトラスタワー西早稲田1F
03-3208-1915

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2005年12月10日

[サバティーニ](青山) 有名店で気軽にランチ

銀座[サバティーニ]の話は前に書いた。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/11/post_44.html系列店と勘違いするが青山はサバティーニ・ローマで銀座はサバティーニ・フィレンツェとまったく違う系統である。青山[サバティーニ]にも行かなければ申し訳ない。ランチにお邪魔した。

表参道・青山界隈は東京有数の観光地だ。よく考えてみると銀座は老舗の観光地だ。従って、両店とも年中無休。女性が好む地域に店を構える。

青山の[サバティーニ]に行った。人で溢れかえっている昼時。予約はしていない。
地下鉄外苑前駅を出てサバティーニの方を見ると、入り口で立ち止まる人は多いものの中に入る人は少ない。

有名店である。値段が高い、格式が高いとの評判と雰囲気が階段の下から立ち上っているのだろうか。入り口のランチメニューの値段を見れば入る気持ちになっても、カジュアルな格好では入りにくいのかもしれない。

日本料理には料亭、割烹、居酒屋など店によってランク付けがある。イタリアンでも同様である。もちろん、青山サバティーニは最高ランクであるリストランレテ。

銀髪は気にせずどんどん階段を下りる。右にクローク、正面にバーベキュー・グリル、その左奥からテーブルが並ぶ。入り口からは想像できない程中は広く、重厚な雰囲気である。
意外なことに席はまだ余裕がある。

ランチはレディース・ランチ3,990円、ランチコース4,200円の2種類。
http://www.sabatini.co.jp/ristorante/menu_aoyama.html#lunch

レディース・ランチは品数も多く、ドリンク(ワイン等)が2杯付く。お子様ランチ、レディース・ランチなどいつも羨ましく思っていたので、冗談で「男はだめだよね?」と聞くと「構いませんよ!」と嬉しい返事。
「普段はお断りしているんですけど」とのことだったが、粋なはからい。
一流でも気取らないサービスにドーンと格付けアップしたいところだが、銀髪グルメ紀行はレストラン評価サイトではないので、格付けは関係ない。

この日の話を得意気にしたら友人にたしなめられた。レディースランチは女性だけのグループが頼むもの。男がホスト役をするのならもっとちゃんとした食事をしなさいと。

耳が痛い。今度は夜に一流の料理とサービスを受けに来よう。レディースランチで店を評価したら怒られる。


リストランテ・サバティーニ青山
東京都港区北青山2-13-5 サンクレストビルB1F
03-3402-3812
 http://www.sabatini.co.jp/

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2005年12月09日

さんま

今年は秋刀魚が豊漁だったそうだ。漁獲量が制限値を超えてしまったため、早々と今シーズンの漁は終了した。

昔と比べて家庭の食卓に魚料理が出ることが少なくなった。昔定番の青魚の塩焼きはもっと減った。脂が乗った鰯や秋刀魚をグリルで焼くのはちょっと辛い。マンション暮らしでは隣近所を気にしてしまう。

昭和30年代は博多にいた。団地と呼ばれるビル群が出始めの頃だが、我が家は平屋の一軒家の社宅だった。さんまを焼くのはもちろん七輪。家の外で焼いた。

お風呂も薪で沸かしていた。「お風呂が沸きました!」なんて電気音声で風呂が沸いたのを報らされるとは、夢にも思わなかった時代だ。水が溢れ出さないように、湯を沸かし過ぎないように、これらのチェックは幼い子供に課せられた重要な仕事だった。「あとちょっと」が「あら大変」になるのは日常茶飯事。

お風呂に薪をくべながら、七輪の炭をおこす。そして秋刀魚を焼く。炭の火力は焼き始めのときは小さいから安心して焼いている。そのうち俄かに火力は増し、魚の脂が炭に滴り落ちる。油断しているとアッと言う間に焦げてしまう。
モウモウと立ち上る煙に悪戦苦闘、外で焼いているため風の影響で煙が襲ってくる。風上に逃げると幼い子供を嘲るかのように風向きが変わる。

どの家でも見られた光景だ。周囲の家から文句が来ることはあり得ない。炭で焼かれた秋刀魚の匂いは悪臭ではなく、お腹を刺激するいい匂いだった。

グリルで焼いた(?)定食屋の冷凍(?)さんま

刺身で食べるようになったのは最近のことだ。25年ほど前、豊橋にいたとき初めて秋刀魚の刺身を食べた。漁港が近いせいもあり、いい料理屋があった。生簀には透き通ったイカが泳いでいた。刺身にされて皿の上で動く透き通ったイカを食べたのもここが始めてだった。

このとき秋刀魚は刺身でも食べられると言われて驚いた。塩焼きにしてはらわたを食べることも勧められた。網で大量に捕獲した場合、網の中で魚がこすれあい、剥げ落ちたうろこを飲み込んでしまう。そのためはらわたを食べるとうろこが入っていて閉口してしまう。
一本釣りならその心配はない。
迷っていると、頭からはらわたのところまでを塩焼きに、尾の方は刺身にしてはどうだと言われた。粋なはからいだった。

最近ではスーパーでもさんまを刺身用として売っている。
株式上場もしている近くのスーパーでも一匹100円以下で売られていたが「塩焼き用」と書いてある。別の棚には一匹ずつパックされた秋刀魚が「刺身用」と書かれて約3倍の値段で売られていた。

何だか胡散臭い。「一本釣り」と書いてあれば納得できる。或いは捕獲した日など違いを明確にしていれば許せる。しかし同じ網で捕獲したものと思えて仕方がない。ちょっと大き目のものを刺身用特大さんまにした感じ。疑問に思ったので塩焼き用を買って帰り刺身にしたが問題なかった。

別の地元新興スーパーでは、やはり一匹100円以下の値段だが「刺身・塩焼き用」と書いてあった。
新興スーパーにエールを送りたい。

手軽に家でも秋刀魚の刺身を食べることが出来るようになったのは嬉しいが、炭火で焼く秋刀魚の塩焼きは手の届かないものになってしまった。料理屋でも炭で焼く店は殆どない。

いいものを残し、新しい良さも取り入れる。それができれば最高だが、どの世界でもそんなことは不可能に近い。懐かしさを昔のまま味わうことこそが最高の贅沢かもしれない。

40年前、七輪で焼いたさんまは美味かったよなー


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2005年12月08日

[こじま屋](銀座) 東京で馬肉を食べるならここ

東京で馬刺しを置いてある居酒屋は多いが、馬肉専門店となるとわずかしかない。クラブで一緒になった大手建設会社の偉いさんに教えてもらった店が「こじま屋」だった。

一人で映画「三丁目の夕日」でも見ようと数寄屋橋交差点に来たところで携帯が鳴った。今日は酒を控えようと思っていたが、後輩が大阪から出て来たとあっては断れない。
ソニービルのクリスマスツリーの下で待つこと20分余。おじさんを待つには相応しくない場所だが一番分かりやすい。
寒さに震えて山下達郎の歌を「きっと君は来なーい♪」と口ずさんでいると、ヨタヨタと転びそうになりながら後輩が走ってきた。美女は来ないがおじさんは必ずやってくる。

ソニービルとエルメスビルの間の小路を入ってちょっと歩くと左手に「こじま屋」の看板が見つかった。ビルに入ってすぐ左の階段を上がって隠れ家的な入り口に到着。テーブル席は一杯なのでカウンターに座る。店長の上妻(KOZUMA)氏と話ができるから好都合だ。

基本の5,000円コースを頼んで数品追加することにした。コース料理はすじのかんとう炊き馬刺ホルモンのコンソメ煮込み上ひも肉とばら肉の馬焼き、それに銀髪は高菜ご飯と馬汁を、後輩は桜うどんを選択した。

追加したのはレバー刺し(1,600円)、タテガミ刺し(1,050円)、タン刺し(1,600円)、特選馬刺し(3,000円)。

タテガミ刺し、脂身ではなくコラーゲン

特選馬刺し

刺身は生で熊本から直送されるので、居酒屋で食べる刺身とは比べ物にならないのは当然。
刺身はともかく、この店の最大の売りは馬焼きだろう。



左がばら肉、右がひも肉

今年8月、熊本出張のついでに馬肉専門の「菅乃屋」に行った。もちろん刺身は美味かったが、驚いたのが串焼き。肉は焼いたほうが美味いことに気がついた。火を使うのは人間だけ。これで人間は地上の支配者になった。小学校で習ったことを思い出した。

馬肉を生で食べるのが苦手な人は「こじま屋」に来るといい。刺身で食べることができる肉を焼いて食べる贅沢。検索エンジンで調べると「銀座こじま屋」の前に馬焼専門と書いてある。馬焼きを食べてもらいたいとの強い思いがあるのだろう。
そうでしょう?上妻店長!

熊本に行く理由は何かないかなー  菅乃屋に行きたいなー  他にもいい店がたくさんあるんだろうなー  美味いものを食べたら満足するどころかもっと美味いものを求めてしまう。困ったもんだ。


銀座 こじま屋
東京都中央区銀座5-4-15
銀座エフローレルビル5 2F
03-3569-2911

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2005年12月07日

[北大路](京橋)  今冬初のふぐの白子 

今シーズン初めてのふぐの白子。思いがけず食べることが出来た。聞くは一時の恥。いや最高の得かな?

仲間を引き連れての今年第1回目の忘年会。ふぐもある、肉もある、色んな料理がある。個室がたくさんあり、接待にも宴会にも使える。「北大路」は大衆向けなのか、高級志向なのかよく分からないチェーン店だ。

メニューを開くと皆の期待と不安を込めた目がこちらに集まる。若手に尋ねる。「何がいい?」遠慮する若手に代わって「ふぐが食べたいんだろう?」とベテランの声が飛んでくる。意を決して若手が「ハイ!ふぐがいいです!」と今度は威勢がいい。

「分かったふぐだな」と言いながら尚もメニューを見ている数秒間、みんな銀髪に無言のプレッシャーを与える。「よし!とらふぐづくしコースにしよう」と言うと、「一番上ですか? やった!」
こんなに喜ばれちゃ仕方がない。

ところがコース料理にはいつものことながら問題がある。最後のデザートが無駄だ、食べられない。今日のメンバーは殆どがのん兵衛なので、デザートを何か他の料理に替えてくれないかと女の子に頼んだ。若い子だったので「無理ならいいよ!」とやさしく付け加えたが、みんなが今度は彼女に厳しいプレッシャーを与える。

もちろんまずビール。前菜盛り合わせ、てっさ、陶板焼き、唐揚、てっちりと続く。それからひれ酒だ。

てっさ

途中でトイレのために席を立った。部屋の外にホタテが置いてある。自分は頼んでいないので隣室の料理だなと思いながら席に戻った。てっちりを食べながらひれ酒を呑んでいると、女の子が先ほどのホタテの入った小皿を運んで来た。

「デザートの代わりに白子を持ってきました」と言われて気がついた。ホタテじゃなくて白子だったのだ。これは嬉しいサービスだ。時期的にはまだ早く、メニューにも乗らないサイズなのだろう。大人数、一番上のメニューだからの配慮と思われるが、デザートの代わりに何か別のものにしてくれないかと聞いて得をした感じ。ダメ元で言ってみるもんだ。

最後に雑炊を食べてお開きになった。量より質を求めるならふぐの専門店がいいに決まっている。しかし、これだけもれなく食べて白子もついたとなると、お値打ち感もある。

銀髪にとってはみんなの笑顔が何よりのご馳走だった。

個室会席北大路
http://www.kitaohji.co.jp/

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2005年12月06日

広島ラーメン 広島[がんす]

飲んだ後のラーメンはうまい。実際はお腹一杯でも脳が求めるようだ。東京には全国のラーメンが集まる。でも広島ラーメンは聞いたことがない。

ホテルで近くのラーメン屋を教えてもらった。駅に隣接するビルに2軒。一軒は九州ラーメン。もう一軒は尾道ラーメン。広島で九州ラーメンでもないだろう。尾道は岡山県、それに銀座8丁目で飲んだ後しばしば新橋駅前で食べている。

駅周辺を歩くことにした。新幹線口近辺を一周したが見つからない。地下通路を通って南口に出る。広島ラーメンの看板や幟を探して10分位歩いたが見つからない。諦めて駅から見てすぐ斜め前のラーメン屋に入ることにした。広島の味と書いてあるのに期待して。

中に入ると先客が二人。二人とも地元の人のようだ。
「ここのラーメンは広島ラーメンですか?」と聞いたら「そうだ」と言われる。「広島ラーメンってあるんですね」と念を押すと「まあね」と曖昧に応える。どっち?と疑問に思っていると
笑いながら「実は広島ラーメンと言うものはないんですよ」と言う。
まあこのおやじが作るラーメンが広島ラーメンだと一人納得する。

がんすのラーメンはとんこつと鶏がらでだしをとる。尾道ラーメンに近い味のようだ。
「結構濃い味ですね」と言うと、すまなそうに「やっぱりそうかい。本当は昨日スープを入れ替える日だったけど、面倒臭いから明日にしようと思ってね。」と言って苦笑い。
先客が帰り、銀髪一人になったので、のんびりと二人で会話した。

大将は16年前に脱サラをしてラーメン屋を始めた。奥さんが別に仕事を持ち生活を支えてくれた。誰にも師事せず一人で味を確立した。とんこつと鶏がらでスープを作る。もやしとたっぷりのねぎを入れる。大将は自らの怠慢を謝るが、とても美味しい。

以前、店は新幹線口にあり、週刊誌で取り上げられてからは連日行列ができたと言う。奥さんも自分の仕事をやめて手伝わなければならない程繁盛していた。ところが最愛の妻は9年前に亡くなってしまった。子供がいないため仕事をやる気も失せた。失意の中、新幹線口の店を閉め南口に移転した。

最愛の妻との古き良き日を思い出しているのか、遠くを見ながら噛みしめるように、ゆっくりと、淡々と話す。
必死に働く意欲はないと言いながら、自分のラーメンに対する誇りは消えてないようだ。大量にねぎを入れた自作を自慢する。

誰にもドラマがある。大将の昔ばなしが終わった頃、新規の客が入ってきた。

「大将、頑張ってね。また来るからね」と言って店を出た。

「がんす」とは、広島の古い方言の一つで、「~です」という意味。
使い方としては、「おはようがんす。→おはようございます。」
「そうでがんす。→そうですね。」のように使うそうだ。

なぜ店名をがんすにしたのか聞き忘れた。きっと理由があるに違いない。
次回広島に行ったときの宿題が残った。


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2005年12月05日

ポルトガル料理 [マカオ]

中国人の友人に「香港に行くなら是非マカオにも行ってください。」と言われた。マカオと言えばカジノ。何度も行っているがギャンブルはあまり好きではないので気乗りがしない。「変貌するマカオを見たら中国がわかりますから」と言われて週末を利用して渋々行くことにした。

香港からヘリコプターで約15分。フェリーだと約1時間でマカオに着く。香港がイギリスから、マカオがポルトガルがら中国へ返還された。こんなに近くにあるにもかかわらず、香港の発展に比べ取り残された感があったマカオだが、ここに来て動き出したらしい。

新しいカジノの建設ラッシュになっていると聞いていたが、フェリー乗り場に近いマンダリン・ホテルへ向かう途中ですぐに変化に気付いた。マンダリン・ホテルは中心街からポツンと離れて建っている印象があったが、そのホテルの隣接地に巨大なカジノができていた。
しかも周辺にはカジノおよびカジノにあやかっての大建築現場が複数見られる。

新しい大カジノSAND’sに入ってみる。
ラスベガス・スタイルと謳っているだけに「賭場」の印象が強かったリスボアなどと比べると確かに違う。広大なワンフロアにバカラやブラックジャックなどのテーブルが、脇の壁と通路にはスロットマシーンが整然と並ぶ。豪華な内装に、優雅な雰囲気はラスベガスに似ている。

ラスベガスとの大きな違いは客がアジア人(主に香港人・中国人)であること。これまで香港人や日本人を相手にしていたマカオが、経済発展で金持ちが増えてきた中国人に軸足を移し始めたのは明らかだ。成る程これが中国人の友人が見て来いと言った理由に違いない。
テレビや雑誌では味わえない雰囲気、勢いを肌で感じることができただけでなく、空恐ろしい気持ちを抱いた。

中国だけではない。東アジア圏の発展は欧米先進国の注目の的である。アメリカは影響力維持に必死だ。それでは日本は何をやっているのか?多額の援助を半ば強制されてきたのに、美味しいところは他国に持っていかれようとしているのを看過するつもりなのか。

憂鬱な気持ちを抱きながらも腹は減る。マカオと言えばやはり旧宗主国のポルトガル料理を食べなければならない。例によって、ホテルのコンシエルジェに予約を取ってもらう。

行ったのはヘンリーズ・ギャラリー(Henri’s Gallery)。こんじんまりした気さくな店だ。
頼んだのは鰯、アフリカン・チキン、カレー・クラブ、ポルトガル風チャーハン。

鰯のグリル

醤油をかけて食べればまさに鰯の塩焼きだ。

アフリカン・チキン

ちょっとスパイシー。ポルトガル料理でなんでアフリカンなのだろう?

カレー・クラブ

カレーに蟹のエキスが染み出している。生きている蟹を調理しないとこんな味は出ない。贅沢な一品。ご飯にかけても美味い。

3品とも代表的なポルトガル料理ばかり。ポルトガルは遥か昔は日本ともっとも交流があった国だけに、料理は日本人の口に合う。ポルトガルワインもリーズナブルな値段で美味しかった。
暗い店内で露出不足だったため、写真が鮮明でないのが残念。美味しさが伝わってくれるだろうか心配。

マカオは大規模な開発が進行中であるが、中心街を離れるとポルトガル植民地だった頃の雰囲気が色濃く残っている。香港との違いも鮮明で楽しい。しかし、今は共に中国。これからどう変貌するのか。

さて、満腹になったところで、久し振りに天下国家でも論じ合いましょうか?

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2005年12月04日

まずビール!

スポーツの後、湯上り、食事の前、冷蔵庫を開けたときビールが入ってないと、かなりショックを受ける。代用できる酒はない。シャンパン?そんなもの家の冷蔵庫に入っている訳ないでしょう。

フォーマルなディナーでは食前酒にビールを飲んではいけないとされているらしい。普通シャンパンとかカンパリなどを飲む。オーストラリアに居た時は食前のビールを我慢して、炭酸入りのミネラルウォーターを頼むこともあった。

日本では高級レストランでもビールを頼む。歳を取って図々しくなった。気取ったウエイターに蔑まれても気にしない。ビールを飲むのが気に入らないならメニューに載せなければいい。

以前マカオに行ったとき、有名なポルトガル料理のピノチオで食事をした。有名でも気楽な店。当然「まずビール!」となった。ウエイターは怪訝そうな顔で「お前は日本人か?」と言った。

35年前、中学の社会科の先生が授業中みんなの前で銀髪のルーツを南方系(揚子江以南)と指摘した。日本人はアイヌなどの原日本人、朝鮮半島からは入ってきた北方系、南から入ってきた南方系に分かれるそうだ。以来、銀髪は南方系とあだ名をつけられた。不満だった。反発した。

大人になって香港や上海に行くと中国語で話しかけられる。オーストラリアでのこと。日焼けして顔が黒くなった夏、ベトナム人にベトナム語で道を訊かれた。怪訝そうな顔をしたらすぐに英語に切り替わったが、最後に一言。「お前はベトナム人だと思った!」。
そう言えば日焼けして海外出張から戻った父親をベトナム人みたいだとからかった事があった。ベトナム人の子はベトナム人に違いない。中学の先生は正しかったのだ。今はみんなに自分から「銀髪は南方系」と告げて笑う。

ピノチオのウエイターが人種を判別した材料はビールだった。まずビール、次にワインなどと頼む客は日本人だけだと言われた。

日本には独自のビール文化が根付いている。キンキンに冷やして飲む。本場の英国では常温に近いビールが出てくる。ビールを飲んだ気がしない。ドイツではどうだろう。

日本では風味を飛ばさないように細かい泡の層を作るべきだと言うが、外国人は1センチ以上泡があるとビールの量が少ないと文句を言う。オーストラリアでは5mm以下が適正。
海外では泡を捨てながらビールを注ぐのが当たり前。

楽しく食事をするなら暗黙の了解の下、他のテーブルの人たちと一緒にレストランの雰囲気を作っていかなければならない。服装を含めてマナーは大事だが、みんなに嫌がられなければウエイターにちょっと軽蔑されても「まずビール!」と言いたい。

目の前の男に蔑まれたら? 関係ない! 相手が女性だったら? そんな幸運が訪れたときに考えよう!

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2005年12月03日

電車男

大学1年のときは年間100本近く映画を見ていたのに、2年生以降は酒や麻雀に浸り、会社に入ると映画館には殆ど行かなくなった。家でテレビやビデオで映画を見ることも殆どない。海外出張で国際線の機内が映画を見る数少ないチャンス。香港線で「電車男」を見た。

リストにある映画にはどれも興味が湧かなかったが、耳にしたことがあったのが電車男。確かエルメスさんが相手だったはず。何でエルメスさんと言うんだろう?謎解きの気分で電車男を見ることにした。

期待しないでいるとその反動か、結果は正解であることが多い。いい話だった。海外でもヒットする可能性がある。
外国人は会話が上手で女の子とすぐ親しくなれると日本人は思いがちだ。イタリア人、フランス人などは恋の達人、口がうまい色事師と信じている。
しかし映画の中ではプレイボーイ、プレイガールはいつも脇役であり、時には悪役ですらある。主人公は殆どが気弱で話し下手だ。恥ずかしがりやで臆病で相手に自分の気持ちを伝えられない。好きだと言えない。外国人だって殆どは日本人と変わらない。

大多数の観客が感情移入出来るのは恋に不器用な男女に対してだ。自分の今を思い、或いは昔を思い出すのだろう。いつの時代も感動を呼ぶのは純愛だ。洋の東西を問わない。

メール・チャットをコミュニケーションの手段としている人たちを、この映画は悪意に走ることなく上手く紹介している。

事実に基づいたコンピューターおたく、所謂秋葉族のラブストーリーだそうだが、根底にある恋愛に対する怯え、願望は今も昔も変わらない誰もが経験することだ。時代背景は違っても恋愛映画のパターンを踏襲している。

ようやく辿り着いたデートの日。ハイライトは食事。これが難しい。格好つけて自分をアピールする場であるが、食事の好みだけでなく性格や家庭環境など全てが見えてしまう怖い場でもある。
お見合いで相手の容姿、会話など殆どが気に入ったのに、食事になって幻滅した。そんな嘆きを聞いたこともある。
ただし、あばたもえくぼ。相性が合えば食事のマナーなどは大きな問題ではなくなる。愛があれば何だって乗り越えられるのだ。恋は盲目だ。後に後悔が待っているかもしれないが‥

映画の食事のシーンで山田孝之扮する電車男がフォークとナイフで海老を捌くのに悪戦苦闘する。中谷美紀扮するエルメスさんがこれを簡単に処理する。二人の生まれ育った環境を端的に表すと同時に、エルメスさんの優しさ、大らかさを浮き上がらせている。イイなー、羨ましい。

実際の電車男は現在幸せでいるのだろうか。今も尚、目の前の人(エルメスさん?)に新鮮なドキドキ感を維持しているだろうか。
映画で描く恋愛はハッピーエンドがいい。しかし、結婚式の祝辞じゃないが結婚は2人のハッピーエンドではなく、スタートでしかない。クライマックスは遥か先である。

ドキドキ感がなくなり、映画に恋する。冬のソナタに憧れる。それはそれで健全な姿だろう。あちこちで現役で恋をされたらたまったものではない。夢見るくらいがちょうどいい。

「電車男の気持ちは痛いほど分かる。身につまされる」と言ったら笑われた。銀髪にはあり得ないと。
大きなお世話だ!


電車男に関するサイト
http://2ch-library.com/male/train/
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.html

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2005年12月02日

[福臨門](香港) 最高級中華の老舗福臨門本店   

あわびやふかひれなど最高級中華料理の有名店と言えば「福臨門」。しかし東京ではお値段が良すぎて行く気がしない。そこで香港なら少しは安いだろうと考えた。「福臨門」と言っても今日は香港の「福臨門」の話。

どこに行きたいかと聞かれて、思わず福臨門と応えてみたものの、なんだか気が引ける。右を見ても左を見ても中華料理店ばかり(当たり前?)なのだから、わざわざ福臨門に行かなくてもいいと遠慮したが、結局行くことになってしまった。なんだかんだと言っても嬉しい決着。

タクシーに乗ると店名だけ告げれば住所を言う必要はない。程なく香港島ワンチャイの福臨門に着いた。それほど大きな店ではない。6年前に来たときと変わっていない。名門店にしては小さな入り口だ。入って名前を告げると、すぐ右側にあるエレベーターに導かれる。

エレベーターを降り席に案内されると偶然にも前に来たときと同じ席。いつも急な予約なので一般席と言ったところか。接待には個室が使われるのだろう。

香港には香港島と九龍の2店、他に上海、東京、大阪に支店がある。2007年には名古屋にもできるそうだ。売店は丸ビル、日本橋高島屋、玉川高島屋に。
香港店がもっとも古いため、みすぼらしいく感じるかもしれないが本場本物だ。

福臨門と言えばふかひれとあわびだろう。
ふかひれのスープ、あわび、鳥焼、豆苗の炒め物、炒飯、そして何故か麻婆豆腐を頼む。
ご馳走になる立場で文句は言えないが、抵抗した。でも無駄だった。ここの麻婆豆腐は四川風とは別物。わざわざここで頼む料理ではなかった。値段は一番安かったけれど。

ふかひれスープ。

1杯300香港ドル(約4,500円)は高いか安いか。
お味は? 説明の必要はあるまい。

あわびのオイスターソース

一番高いあわびは1個1万香港ドル(約15万円)もすると言うが、ウエイターは勧めようとしない。何とか小さいあわびをオーダーするように誘導しようとする。
結局直径5cm程の小振りのあわびを2個頼むことにした。1個1,000香港ドル(約1万5千円)。
おそらく高額な大き目のあわびは調理されてなかったのだろう。干しあわびを戻して、煮込んでとなると注文を受けてから料理するわけにはいかない。
15万円のあわびを食べたければ数日前に要予約だ。

小振りのあわびを四等分にして食べる。すぐに飲み込むのはもったいない気がして口の中でじっくり味わう。味は濃い。噛むと海の香りがする。

ふかひれもあわびも共に日本産の最高級品。干しどんこ椎茸も干貝柱も日本産だ。中華料理の最高食材は日本に頼っている。
日本の食材が中華料理最高峰の料理にいつ、どのようにして上り詰めたのか。知りたいところだ。

満腹になり、酔っ払った。ホテルに帰るのはまだ早いので定番の足裏マッサージに行った。
左足を揉んでいる苦痛に耐えている間に寝込んでしまった。揺り起こされたときには足のマッサージはすべて終わっていた。
毎度のことではあるが、右足は本当に揉んでくれたのだろうかと疑問に思う。
イヤイヤ酔っ払いを棚に上げて、人を疑っちゃいけないね。


帰国して福臨門銀座店のホームページを開いてみた。やっぱり香港で行って正解!
懐があったかい人はどうぞ。
http://www.fukurinmon.com/ginza/index.htm

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2005年12月01日

[MAXIM's]香港  飲茶はやっぱり本場香港で

香港に始めてきたのは約30年前だった。その時初めて飲茶を食べた。シュウマイ、餃子などを乗せたワゴンが席の間の通路を回る。蒸篭(せいろ)の蓋を開けてもらっては選ぶ。懐かしい思い出だ。

学生時代の貧乏旅行だ。中の下の料理屋だが、美味しくてとても感激したことを覚えている。今だったら不味いと言うかもしれないが。餃子類だけでなく鶏の足、中国菜の炒め物など珍しいものも食べに食べた。

就職してからしばらくして新宿の東京大飯店に行った。母に飲茶をご馳走した。父はもういない。香港での経験を披瀝しながら、母の喜ぶ顔を楽しんだ。しかし、内心はちょっとがっかりした。料理の種類は香港の飲茶に遠く及ばなかったからだ。

新婚旅行でシンガポールに行った。安全と安心を優先して初めて使ったツアー旅行だった。
コースに飲茶の夕食が組み込まれていたが、ワゴンサービスはなくキッチンから蒸餃子などが入った蒸篭をテーブルに並べるだけのものだった。ツアーで一緒になったカップルたちに、これは本当の飲茶ではないと力説した。余計なことだったかもしれないが‥

1985年夏、オーストラリアへの赴任の途中で再び香港に来た。1週間の自由時間がいっぱいある気楽な滞在。
先輩たちにご馳走になった。学生時代に行ったところとは比べ物にならない高級な飲茶。美味かった。
若手だけで怖いもの知らずで行った最低クラスの飲茶。朝6時前からやっていたが、みんな新聞を見ながら骨などをペッとテーブルに吐き出す。欠けて無い器は一つもなかった。ところどころ破けて汚れが染み付いたテーブルクロス。怖かった。でもそこそこイケた。自分の順応性に驚いた。

オーストラリアに赴任してシドニーの中華街に行った。規模は香港に遠く及ばないが、本物の飲茶だ。しかも安い。家族と何度も行って本当に楽しんだ。しかし、香港の飲茶が頭から離れない。

最近の日本の飲茶。本場に近い規模のものもあるが、やはり違う。味なのか雰囲気なのか分からない。

今回やっぱり飲茶は香港がベストだとあらためて思った。

大ホールを埋め尽くす人々の声が、高い天井にもかかわらず部屋全体を包み込む。活気の中を様々な料理を乗せたワゴンが練り歩く。
考えてみたら、日本人にとって飲茶は特別な料理。年に何度も足を運ぶことはない。香港人にとっては日常の食事。種類が豊富でなければ飽きられる。


やっぱり飲茶は香港で食べるのが一番。ここに勝るところはない。


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