香港に始めてきたのは約30年前だった。その時初めて飲茶を食べた。シュウマイ、餃子などを乗せたワゴンが席の間の通路を回る。蒸篭(せいろ)の蓋を開けてもらっては選ぶ。懐かしい思い出だ。
学生時代の貧乏旅行だ。中の下の料理屋だが、美味しくてとても感激したことを覚えている。今だったら不味いと言うかもしれないが。餃子類だけでなく鶏の足、中国菜の炒め物など珍しいものも食べに食べた。
就職してからしばらくして新宿の東京大飯店に行った。母に飲茶をご馳走した。父はもういない。香港での経験を披瀝しながら、母の喜ぶ顔を楽しんだ。しかし、内心はちょっとがっかりした。料理の種類は香港の飲茶に遠く及ばなかったからだ。
新婚旅行でシンガポールに行った。安全と安心を優先して初めて使ったツアー旅行だった。
コースに飲茶の夕食が組み込まれていたが、ワゴンサービスはなくキッチンから蒸餃子などが入った蒸篭をテーブルに並べるだけのものだった。ツアーで一緒になったカップルたちに、これは本当の飲茶ではないと力説した。余計なことだったかもしれないが‥
1985年夏、オーストラリアへの赴任の途中で再び香港に来た。1週間の自由時間がいっぱいある気楽な滞在。
先輩たちにご馳走になった。学生時代に行ったところとは比べ物にならない高級な飲茶。美味かった。
若手だけで怖いもの知らずで行った最低クラスの飲茶。朝6時前からやっていたが、みんな新聞を見ながら骨などをペッとテーブルに吐き出す。欠けて無い器は一つもなかった。ところどころ破けて汚れが染み付いたテーブルクロス。怖かった。でもそこそこイケた。自分の順応性に驚いた。
オーストラリアに赴任してシドニーの中華街に行った。規模は香港に遠く及ばないが、本物の飲茶だ。しかも安い。家族と何度も行って本当に楽しんだ。しかし、香港の飲茶が頭から離れない。
最近の日本の飲茶。本場に近い規模のものもあるが、やはり違う。味なのか雰囲気なのか分からない。
大ホールを埋め尽くす人々の声が、高い天井にもかかわらず部屋全体を包み込む。活気の中を様々な料理を乗せたワゴンが練り歩く。
考えてみたら、日本人にとって飲茶は特別な料理。年に何度も足を運ぶことはない。香港人にとっては日常の食事。種類が豊富でなければ飽きられる。
やっぱり飲茶は香港で食べるのが一番。ここに勝るところはない。
投稿者 : 2005年12月01日 07:06
![こだわり [codawari] - ステイトクラスのための情報サイト](/common/image/header/logo.gif)
