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2006年01月31日
[すだち](銀座) 銀座で食べるおばんざい
おばんざいとは京都弁で日常の食事、家庭料理のこと。今日はA氏がご馳走してくれると言うので、待ち合わせの店に一人で向かった。
FAXで送られてきた地図を見ると、よく行く銀座の一画。ビルの名前も聞いたことがあるような気がする。着いたところはいつものビル、いつもの店の一つ上。嫌な予感がする。
店に入るとカウンターの左隅に同伴と思われるカップルがいる。銀座クラブの女性と同伴向けのロケーションと店の雰囲気。
左隅の女性には見覚えがない。カウンターの他の客3組は男同士、左奥のテーブル席はサラリーマングループ。もう一組でカウンターは埋まりそうなのでちょっと安心する。A氏は少し遅れるとのことなので一人で飲み始める。
カウンターの上には大鉢に入ったおばんざいが並ぶ。「年が明けて大分経ってしまいましたが‥」と女将さんが付け出しを出してくれた。

ビールを飲んでいたら扉が開く音がした。振り返って見たら着物を着た若い女性が二人。目が合う前に慌てて体の向きをカウンターに戻し、ビールを飲みながら携帯電話のメールチェックをするふりをした。着物を着ているので下の階の女性かどうか思い出せない。きっと違う。違って欲しいと期待したが、甘すぎた。
「○○さーん。こんばんはー。後でお店に来てくれますよね?」との声が降ってきた。何で名前まで覚えているのだろう。よく見れば確かに見覚えがある。名前を呼ばれたら白ばっくれるわけにもいかない。
数分後に二人の連れ(同伴)の男たちが入ってきたので話しが途切れたが、逃げることが不可能な雰囲気になってしまった。
銀座には意外と家庭料理を食べさせてくれる店が多い。故郷を離れて一人暮らしの銀座の美女たちもおばんざいを好むようだ。
A氏がやってきて酒宴が始まった。たらこは薄味の煮付け。おから。こんにゃくと明太子しらたき。卵いり肉豆腐。こんにゃくがピリ辛で一番いい。A氏が絶賛するようにどれも美味しい店だがどうも横の女性たちが気になって落ち着かない。A氏に事情を説明すると偶然に驚く。

A氏がお勘定をしている間も行くべきか、逃げるべきか、行くべきか、逃げるべきか、考えがまとまらない。エレベーター側の出口ではなく、階段側にあるもう一つの扉から店を出た。
女将がお見送りしてくれた。「行ってらっしゃいませ」と言われて苦笑する。
階段を下りるとコリャまた偶然にもいつもの店のママが入り口に立っていて、こちらに気付き微笑んだ。
横を向いたら、すまなそうな顔をしたA氏と目が合った。
くいもんや すだち
東京都中央区銀座8-5-15
SVAX銀座ビル3F
03-5568-7191
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2006年01月30日
[美山亭](長野) 信州牛のしゃぶしゃぶ
長野と言われるとピンと来ないが、信州というと名物はたくさんある。みそ、おやき、馬そして牛。信州牛を食べに行った。
全国を回っていると和牛の銘柄牛がたくさんあるのに驚く。松坂牛、神戸牛、但馬牛、近江牛、米沢牛、飛騨牛、佐賀牛。どれが一番かと聞かれると困ってしまう。
食べ方はすきやき、しゃぶしゃぶ、ステーキ、焼肉のどれかになるのだが、牛を味わい尽くしたいなら焼肉屋が一番だろう。レバー、ミノなどの内臓も余すことなく食べることができるからだ。
しかし、さしの入ったいい肉を食べるならしゃぶしゃぶが一番と思う。野菜、豆腐も摂ってバランスよく食べるとなればしゃぶしゃぶに軍配が挙がるだろう。すき焼きもいいが脂が抜けないため使う肉は一段下がいい。それでもすき焼きは銀髪には甘すぎる。
美山亭は長野駅から車で15分ほどの高台にある。創業して14年と言うが、夜景も楽しめる雰囲気のある料理屋だ。離れ屋に入れば他の客と顔を合わせることはない。お忍びにはいいかもしれない。

夜景を見ながら酒を酌み交わす

事前にしゃぶしゃぶコースを頼んでおいたが、初めて信州牛を食べるのだからまず刺身を味わいたい。これも予約が必要と一度は断られたが、板さんの配慮で食すことができた。
先付けと牛刺し

信州牛の特徴は長野特産のりんごを食べさせていることだそうだ。老舗のすき亭が信州牛売り込みのため「りんごで育った信州牛」という売り口上を広めた。美山亭もこれにあやかってこの売り口上を使っていたが、すき亭からクレームがあって今は禁じられているそうだ。
牛にりんごを食べさせると食欲増進、健康維持ができ、いい霜降りができるのでどこの牧場でもりんごを食べさせているようだが、なかなか商売は厳しい。
しゃぶしゃぶ

刺身を何もつけないでかじってみたが、りんごの味がするわけではない。しゃぶしゃぶにして食べてみると、何とも言えないふくよかな味がして美味い。肉の旨みかなと思ったが、どうもごまだれに秘密があるようだ。バターのような風味がある。女将さんに聞いてみたら生クリームが入っているとのことだった。
これは家庭でも使えそうだ。スーパーのちょっと安い肉でもこのタレなら美味く食べられそうな気がする。
銀髪以外は60代の方々だったので、食べきれず残った肉が銀髪の前に並べられた。50歳にもなって若手というわけでもないが、折角の信州牛を残すのはもったいない。遠慮なく頂いた。
室温で溶けかけた肉を鍋に入れてすぐに助け出すと、胡麻だれに運ぶ間に赤色が完全に消える。口に入れるとバターの風味が広がる。
今日は若手で良かったと思った。
雲上閣「美山亭」
長野県長野市上松3-6-35
026-235-3800
http://www.miyamatei.com
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2006年01月29日
信州そば
午前10時、名古屋から特急しなの7号に乗って長野に向かった。飛行機や新幹線の移動が多いので、在来線特急の旅は何となく風情を感じる。
名古屋を出て1時間くらい走ると、やたらとトンネルが多くなる。南木曾(なぎそと読む)駅に停車すると「ひのきの里」の文字が見える。トンネルを抜けるたびに山が深くなり雪が多くなる。
木曾と聞くと文豪島崎藤村を思い出す。兄が誕生祝にくれたのが島崎藤村の詩集「若菜集」だった。本キチガイの長兄とそれに感化された次兄が本を山と築いていたのに、銀髪は殆ど影響されることなく少年サンデーや、少年マガジンを楽しんでいた。
長兄は「星の王子様」など子供が読みやすいものもくれたが、背伸びして読まなければならなかった「若菜集」はすごく気に入った。
「まだあげ初めし前髪の、林檎のもとに見えしとき、前にさしたる花櫛の、花ある君と思ひけり」
「初恋」の一節は今でもスラスラ出てくる。その後も藤村の他の詩集や「破戒」「夜明け前」などの小説を読んだ。感動して読んだに違いないのだが、記憶にあるのはそのどれかに載っていた藤村晩年の写真と藤村の実像にショックを受けたことである。この人物と「初恋」のイメージがあまりにもかけ離れていたからだ。
昔の思い出に浸っていると、木曾福島の手前で「木曾八景の中でもっとも美しいと言われる寝覚めの床と言われる岩場が見える」との車内放送が流れる。ここは竜宮から戻ってきた浦島太郎が玉手箱を開き余生を過ごした場所で、近くの臨川寺には竜宮から持って来た弁財天や釣り道具が祀ってあるとのこと。
鯛や平目の踊りの何が楽しかったか知らないが、浦島太郎は乙姫様の美しさに溺れたに違いない。そう言えば「酒は旨いしネエチャンはきれいだ♪」とフォーク・クルセイダーズが歌ったヨッパライも神様に怒られて現実に引き戻されてしまった。
酒は旨いしネエチャンはきれいだと、銀座のクラブ遊びに明け暮れた男たちはどこに行くことになるのだろう。「勝ったのは百姓たちだ。俺たちではない(映画七人の侍)」ではないが、勝ったのはクラブの女性たちかな?
「信州信濃のそばよりも、あたしゃあなたのそばがいい」と言ってくれる人もないならば、蕎麦でも喰らって不遇を嘆くしかない。
12時49分、長野駅に着いた。ホームの立ち食いそば屋で一人さびしく山菜そばを食べた。

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2006年01月28日
野生は美味いか
「ふぐ、鯛、はまち、魚の場合は養殖ものに比べて天然物の方が美味く、値段も高い。」というのが一般的な評価だ。肉はどうだろうか。
オーストラリアに居たとき野生の動物の肉をよく食べた。肉も魚同様に野生が美味いかというとそうではなかった。
外国では牛は放し飼いにされている。放牧された牛は自分の思うまま牧場の草を食む。その結果、肉に草の臭いがつく。特に脂身に臭いがつきやすいため、霜降りに見える肉を買って何度も酷い目にあった。臭くて食べられたものではないが外人は平気なのだろう。臭いがきつい物を食べるため、外人は体臭が強いと勝手に納得した
日本への輸出用肉は穀物肥育でかなりの神経と金を使って育てている。これを美味いと思わない外国人も多い。毎日肉を食べるので脂身を敬遠するのかもしれないが、噛むほどに味が出る赤身を好む傾向がある。
野生の兎も何度か食べたが美味いと思ったことはない。オーストラリアのゴルフ場には野生の兎が飛び跳ねている。まさかこれを捕まえて売っているわけではないだろうが、とにかく臭いがあって身が固い。
野鴨も駄目だ。ある日メルボルンで大豪邸に招かれた。敷地内に入って2キロほどの丘陵に屋敷はあった。室内プールまであり、庭にはカンガルーが遊びに来ていた。
そこの主人が銀髪に尋ねた。「野鴨は好きか?」と。野鴨も合鴨も区別がつかないまま、YESと言ってしまった。彼はニヤリと笑ってキッチンに入り、野鴨2羽を両手に下げて戻ってきた。自分の敷地で撃ち落したらしく、羽もついたまま。YESと言った手前、断ることも出来ず家に持ち帰った。
幸いなことに相方のお母さんが日本から来ていた。義母の実家は農家だったので、鶏の処理をした経験があった。このときでもまだ銀髪は野鴨は合鴨と同じようなものと考えていた。嬉々として鴨鍋にしたのだが、肉は固くて噛み切れない。呑み込むこともままにならない。
野生動物には贅肉がまったくついていないため、ちっとも美味しくないことを知った。
1羽は鍋にして失敗したが、もう1羽残っている。捨てればいいものを、貧乏性の銀髪は食い物を捨てることができない。思案した挙句、竜田揚げにした。野生の肉に適度の油を吸わせることで、思惑以上に美味く食べることができた。
しかし、これには懲りた。魚だっていい環境、いい餌を与えれば、天然物より美味いものができるはずだ。偏見は損だ。
もし人食い人種がいたら、一番に捕まるのは美食家=美味しい餌をいつも食べている人かもしれない。
人食い人種に追いかけられたら「銀髪はもう歳だし、自転車に乗って運動しているので身は固くて美味しくないよ!」と叫ぶことにしよう。
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2006年01月27日
きしめん 名古屋駅構内
イヤー、呑んだ呑んだ。胃は完全にグロッキーだ。でもやっぱり何か食べよう。こんなときはうどんが定番だが名古屋に来たらきしめんだね。
全国的に名古屋名物としてスーパーなどでも手に入るのは味噌煮込みうどんではなくきしめんだ。なぜ名古屋でうどんは扁平になってしまったのだろう。
きしめんの由来を調べてみたら、きしめんは平打ちうどんとして江戸時代の文献にも載っているようで、味噌煮込みうどんより歴史は古い。きじの肉をいれていたので「きじめん」、紀州和歌山名物だったので「紀州めん」。これらが訛ったものとも言われるが、その真偽は定かではない。もともと武家で食べられていたが、きじ肉の代わりに薄揚げを刻んだものを入れて庶民に広がったそうだ。
最初にきしめんを食べたのは豊橋駅構内の立ち食いそば屋だった。豊橋ではうどんは関西風の薄いおつゆ、そばは関東風の濃い醤油味で出されるが、きしめんはうどんの親戚のようなものなのに何故か濃い醤油味だ。おかかとヒラヒラの蒲鉾、油揚げとねぎを少々。最初は鰹節を入れることに違和感があったが慣れてしまうと結構いける。
独身時代、呑みすぎで胃がもたれていても、豊橋駅に着くとかつおだしと醤油の匂いから逃れられない。食後に胸焼けがするのは分かっているのに、何度もこの匂いの誘惑に負けた。よせばいいのに濃いおつゆまでそこそこ飲んでしまう。
名古屋駅新幹線口近くのきしめん屋に入った。
この日食べたきしめんは豊橋の立ち食いそば屋のそれと違い上品だ。おつゆは濃くも薄くもない中間。思い出のきしめんとは程遠い。
海老の天婦羅と温泉卵が入っているものがメニューにあったので、海老抜きの温泉卵入りを頼んだら、メニューに載ってないからと断られた。
以前、居酒屋チェーン店で、先輩が日本酒のロックを頼んだら、メニューにないので出来ませんと言われた。そこで日本酒の冷と氷を頼んだら、それなら出来ると言われた。
ロックの方が酒の量が少なくて店にとっては特になると思うのだが、マニュアルにないことはできないようだ。なんとも間抜けな話だ。
結局、具はおかかと薄く切ったかまぼことねぎのシンプルなもので一杯500円。薄揚げが入ってないのがちょっと不満。

融通の利かない店のおかげで安く済んだ。
この店のきしめんが本物の味かもしれないが、やっぱり昔豊橋で食べたきしめんの方が美味かった気がする。
残念ながら駅の改修で、そのきしめんを味わうことはもはや永久に不可能になった。
もし食べることが可能だったら? もちろん胸焼けしたでしょうね。
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2006年01月26日
[風長閑](日本橋) ゴッドファーザーとフレンチコネクション
会社の近くの「風長閑(かぜのどか)」に行った。今日はカクテル三昧である。石井バーテンダーのご教授を受けながら初めての味を試した。
風長閑は日本橋高島屋斜め右向かいの風月堂地下にある。入ると左にカウンター、右と奥にテーブル席がある。この店に来るときはテーマを決めてやってくる。ある時はラム酒、次はスコッチのアイラウイスキー、ローランドウイスキー、そしてテキーラなどなど。最近はカクテルが多い。
以前「風と共に去りぬ」に因んだカクテル「スカーレット・オハラ」について書いた。小説というより映画の大ヒットで誰もが知っている「ゴッドファーザー」もカクテルがある。
ゴッドファーザーは1972年に公開された。小学校6年の時に、クリント・イーストウッドの「続夕日のガンマン」を兄に連れて行ってもらってからすっかり映画少年になってしまった銀髪が、高校に入って両親を引っ張っていったのがこの映画だった。
せっかく連れて行ったのに母は殺戮の場面で目を伏せていた。
マフィアの世界の物語だが、全3作を通じてテーマの中心は家族愛になっており、殺人以上に悲劇的で悲しい家族を描いたシリーズになっていた。
マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ダイアン・キートンなどの名演技、フランシス・フォード・コッポラ監督の演出、ニノ・ロータの哀愁のある音楽。名前を書いているだけで、映画のシーンが蘇ってくる。
カクテル「ゴッドファーザー」

シチリア島出身のマフィアの家族ということで、カクテルに使われるのはアマレット。
風長閑のバーテンダー石井氏に説明を受ける。
アマレットはシチリア島産のあんずから作られるリキュール。アマレット15ml、ウイスキー45mlがカクテル「ゴッドファーザー」のレシピということだった。ウイスキーは英国のスコッチではなく、米国のバーボンやライウイスキーの方がいいと思うが、味を重視したのだろうか。
ウイスキーをブランディーにすると「フレンチ・コネクション」となるそうだ。これはジーン・ハックマン主演の名作。
説明を聞いて、「よしっ!ゴッドファーザーのあとはフレンチ・コネクションにしよう!」と言ったものの、石井氏が作ってくれたゴッドファーザーを一口飲んで止めにした。
これは梅酒のウイスキー割りだ。甘過ぎる。
口直しとばかり、その後もパルマ産プロシュートを削ってもらい、いくつものカクテルを飲んでいるうちに日が変わってしまった。ちょっと一杯のつもりが石井氏の説明を聞いていると次から次に飲んでします。
まったく勧め上手だ。

日本橋「風長閑(風長閑)」
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2006年01月25日
[チョウベトナム](銀座) 上品なベトナム料理
「晩飯食べに行くかフォー」と言うと「行きましょう、フォー、フォー」と来た。Yは乗りがいい。HGラモンの決め台詞で何を食べに行くかわかったようだ。
料理は決まったがレストランが決まらない。本当は新宿か池袋あたりに行きたいが、相手に合わせると銀座近辺になる。銀座界隈には各国の料理が揃っているが、どうしても銀座の客層に合わせて品のいい店になる。
新宿や池袋には中国、韓国、東南アジア出身の人が多く住む。路地裏の店に行けばその国出身の人たちが集う。従って味も雰囲気も異国情緒があって楽しい。品はちょっと欠けるけれど。
有楽町のサイゴンに行こうかとも思ったが、行った事のない店・チョウベトナムに切り替えた。チョウベトナムは歌舞伎座横の入り口を上がった2階にある。ベトナムにある一流ホテル出身のシェフが作る料理との触れ込みだったが、予想どおり銀座らしい店だ。
ベトナムの刺繍や絵が壁を飾る。定番の生春巻きとフエ風揚げ春巻き(網状ライスペーパーで巻いた揚げ物)、ピリ辛の酸っぱいスープ。ベトナム風お好み焼き、鶏肉のレモングラス風味炒め。最後にフォーを食べることにした。

オーストラリアに居たときベトナム料理をよく食べた。ベトナム料理屋だけでなく、タイ、インドネシアなどの東南アジア料理屋が多数あった。貧しいアジア系移民が向かう仕事は手っ取り早く料理屋になる。チョウベトナムの料理はオーストラリアで食べていたものに比べると上品だ。
中国からインドネシアに至るまでタイやベトナム、マレーシア、カンボジアなどがあるが、独自の料理はあるものの、微妙に重なり似ている料理も多い。タイとベトナムは特に似ているが、ベトナムの方がどことなく品がある。独立を維持できたタイ王国、フランスの植民地だったベトナム。料理には風土、歴史、宗教、人種など様々なものが絡んでいて面白い。
特に食べたかったえびしんじょとサトウキビの揚げ物はなかった。タイにはタイ風ピリ辛さつま揚げがある。どちらも日本のそれと良く似ている。独自の料理か。日本から伝わったのか、日本に伝わったのかどちらだろう。
結構酔いが回ってきた。Yは聞き上手だ。酔っ払ってしまって銀髪のウンチクは止まらない。
エッ! 酒のせいにするな、酔ってないだろうって? そんなこと言うなよな。
さぁ、フォーを食べよう。 フォー、フォー!
鶏のフォー

チョウベトナム
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座東新館2階
03-3547-3777
http://www.globalproduce.co.jp/cvn/index2.html
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2006年01月24日
[杉ノ目](札幌) 北海道郷土料理屋
昨日は政寿司で刺身を堪能したが、まだまだ北海道には美味しいものがあるはずだ。
昨年、ジンギスカン3店[ひつじや][だるま][さっぽろジンギスカン本店]の食べ歩きをした。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/10/post_19.html
3軒目に向かう途中で杉の目の前を通った。風情のある石造りの店構えを見て足が止まった。すかさず寄ってきたのが杉目幹夫社長だった。満腹だったが好奇心は衰えず、中を見せてもらえないかと頼んだところ、社長は嫌な顔一つ見せず快く案内してくれた。
名刺交換をして「次回必ず来ます」と言って別れた。
年賀状が届いた。約束は果たさなければならない。その機会がようやくやってきた。
時折吹雪になる街を抜け、杉ノ目に着いた。通されたのは雪の結晶をイメージしたという六角形の茶室風の部屋。雪景色を見ながら酒をと思ったが、残念ながら窓は開かなかった。
料亭風のこの店ではコース料理を頼んで板さんの技を楽しむべきだろうが、北海道の素材にこだわって我儘を許してもらった。
付け出しの後、刺身の盛り合わせを頼んだ。

ルイベはメニューにあったものだが、太刀魚は塩焼きの頁に載っていたので特別に刺身で出してもらった。メニューの質問をするたびに仲居さんが調理場に走る。まったく迷惑な客だ。
吸い物は舞茸の土瓶蒸を頼んだ。具だくさんでこれはこれで美味しかったが、後で杉ノ目のホームページを見たら三平汁が売り物だったようだ。
箸置きは柳葉魚(ししゃも)の唐揚にした。

普通我々が食べているししゃもは輸入物で、北海道産本柳葉魚は高級品だ。オスの方が身が美味しいため子持ちのメスより高価。唐揚なら干物でなく生を使っているだろうと思って仲居さんに聞くとまた調理場に走る。結果は予想通り。部下は今日一番の品と言った。
焼き物は各自好きなものを頼んだ。お客様はホッキ貝、部下はホタテのバター焼き。銀髪はにしんにしようと思ったが桜鱒の文字が気になって決断できないでいた。学生時代によく食べた懐かしのにしんにするか、初めて聞く名前の魚にするか。結局、客の勧めで桜鱒に決めた。
桜鱒の塩焼き

帰って調べてみると、桜鱒とは市場では本鱒と呼ばれ実はヤマメのことらしい。川魚であるヤマメの雌が海に出て大きくなって川に戻ってくる。その直前に海で捕獲する。4月~5月に捕獲されることから桜の名がついている。鮭児、時鮭と同様に漁獲量が少なく脂が乗って美味なため値段も高い。高級料亭でしか食べることができない幻の魚だそうだ。
仲居さんが教えてくれていれば、迷うことなく桜鱒に即決していただろう。
この日も北海道らしい味を堪能した。しかし、鮭は冬がシーズンと思っていたが、どうやら最高と言われる鮭、鱒はいずれも季節外れの春から夏が旬。
旬に合わせて北海道に戻って来ることができるだろうか。外は降り止まぬ雪なのに、既に心は春に向かっている。
杉ノ目
札幌市中央区南5条西5丁目
011-521-0888
http://www.kotobanet.com/suginome/index.html
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2006年01月23日
[政寿司](札幌すすきの) 幻の鮭児を求めて
東京のお客様A氏に「北海道に行ったら小樽の政寿司に行きなさい」と言われた。そこに行けば必ず鮭児を食べることができると言う。
札幌から小樽までJRで約30分。部下と二人ならすぐに行くのだが札幌の顧客を誘うには遠すぎる。諦めきれずインターネットを覗いたら、何と「おたる政寿司」には札幌すすきの店があるではないか。即決。部下にカウンターを予約させた。
唯一懸念したのが支店は本店に及ばないのが当たり前なこと。しかし、行ってみたらその心配も吹き飛んだ。板さんの中村さんはすすきの店の支店長ではなく取締役社長。オーナーシェフだ。笑顔の向こうに誇りと自信が透けて見える。
「東京から来たので地のものをお願いします」と言うと「わかりました!」と威勢のいい声。一瞬に何を出すかイメージできたようだ。もちろん鮭児も含まれる。
付け出し(イカとたらの昆布締め)

刺身盛り合わせ

グラスにうに、いくら。トロ、ひらめ、ほっき貝、ほたて、ボタン海老、かに爪肉。そして真ん中に鮭児。
鮭児とは日本近海やカムチャツカ半島を回遊するアムール川の夏サケで、11月上旬から中旬にかけて知床から網走付近でとれる脂ののった若いシロザケ。 脂肪の比率が20~30%と、通常2~15%程度の銀毛シロザケより極めて高く、全身がトロのような状態。(はてなダイアリーより)
普通の鮭は3キロ以上あるが、鮭児は2.5㎏前後にしかならないため鮭の児と呼ぶ。1万匹に1匹程度しか獲れないため1匹10万円で取引されたこともあるそうだ。現在の時価は1匹5~6万円。政寿司では羅臼漁協証明書付の鮭児を冷凍して年中客に出せるようにしている。
地物お任せ

きんきさしみ(塩をふって皮を炙った逸品)
うちこ(イバラガニ体内にあるときに取り出した卵)
たらのしらこ(さっと湯通ししただけで、刺身の感触)
やりいか、にしんの刺身(にしんの刺身は初めて食べた。以外とあっさりして美味い)
八角、ソイ(ソイはメバル科の魚でキツネメバルとも呼ばれる。共に爽やかな白身)
次から次に出てくる北の海の幸は素晴らしい。お腹も膨らんできたがやはり鮭児が気になる。実のところ最初の刺身の盛り合わせでは鮭児の良さが分からなかったのだ。
貴重な魚を何度も頼むのは寿司屋の客として失格と思わないわけではないが、疑問は解消しなければ気が済まない。申し訳ないが追加注文して食べ比べをさせてもらうことにした。
鮭児(写真左)とだいすけ=時鮭(ときしらず)

時鮭は遡上してくる鮭ではなく、回遊中あるいは湾に迷い込んだ鮭を7月頃捕獲したもの。栄養が卵などにとられていない産卵期前の鮭なので、身は脂が乗って美味いと言われる。
鮭児ほどではないにしても高級鮭である。こちらではだいすけと呼ばれる時鮭と味比べをするとは何と贅沢だろう。
見た目は時鮭のほうが脂が乗っているが、食べてみると意外なことに鮭児の方が脂の乗りがいい。そのくせ嫌味がない味だ。成る程希少だというだけで値が張る訳ではないのが理解できた。
この後しゃこ、大トロ、北海道産の明太子の握りを食べた。

「どこのまぐろですか?」と聞いたら「戸井のまぐろです。戸井は青森県大間の対岸なので、戸井のまぐろは大間のものと同じ最高級品です」とのこと。
http://www.jftoi.com/index.html
それならと、赤身を切ってもらった。何もつけないで少しかじると、まぐろ本来の香りと味が口に広がる。まぐろは赤身が美味い。北海道の人はトロより赤身を好むと言うが、これだけ美味い赤身なら誰だって好きだ。
まだ食べたい、あれも食べたい、これも食べたいと思ったがお開きにした。きりがない。
雪が降る零下の外に出た。懐も寒くなったが仕方がない。中村社長、また来ますよ!
おたる政寿司(札幌すすきの店)
〒064-0807 札幌市中央区南7条西3丁目(仲通り)
TEL(011)511-0440
http://www.masazushi.co.jp/framepage1.htm
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2006年01月22日
ゲテモノ料理?
「エッ! あんなもの食べられるの?」と気持ち悪がる人もいるが、人間が食べているものであれば挑戦あるのみ。
国によりゲテモノの概念は違うだろう。中国や韓国は犬を食べる。日本だって戦後は「赤犬が美味い」と言われ、飼い犬が盗まれるのを心配したらしい。今犬を食べると言えば日本では変人扱いだ。
エスカルゴ(名古屋国際ホテル)

フランス料理のエスカルゴ。巻貝を背負っているだけで結局はナメクジだと思ったら食べられない。葡萄の葉を食べているから美味だと説得されても敬遠する人も多い。銀髪にしても大好物の一つだが、にんにくバターとハーブの味付けが美味いのであってエスカルゴ自体の味はよくわからない。
ワニの唐揚(銀座らん月)

ワニはゲテモノだろうか。銀座らん月は牛肉料理の名門店だがワニも出す。食べるとどうってことない肉だが、手をつけない人の方が多い。フロリダに支店があるからかもしれないが、らん月は遊び心も持っている店だと思う。
世界のへそと言われるオーストラリアのエアーズロックに行ったとき、変わった素材を食べまくった。シェラトン・ホテルでまずワニの串焼きを食べた。ワニは鶏肉に似ていると言われるが、焼き方、味付けも完璧だった。その後、街のレストランで食べたら不味かった。初めてがシェラトンで良かった。
次いでエミュー、カンガルーなどを食べた。その後何度か食べたがをシェラトンを上回る味には出会えなかった。どんな素材も料理人次第で差が出る。不味いものを食べて素材そのものを嫌いになるのは不幸だ。
らくだも食べるつもりでいたがお腹が一杯になったので、翌日の昼に食べることにした。
翌朝らくだファームに行った。らくだに乗ったが歩きながら糞尿を垂れ流すのを見たら、昼に食べる予定を実行する気がなくなった。それでも数ヶ月後にはらくだも食べた。美味くも不味くもなかった。
なんでも食べる銀髪だが、躊躇することもある。オーストラリアの原住民アボロジニの重要な蛋白源は白い体長10㎝位のいもむしだが、これを彼らは生で食べる。さすがに生で食べる勇気はなく、焼いてもらい醤油をかけて食べた。食感はししゃもに似ていた。
いもむしと聞いて驚く人も多いだろうが、日本人だって蜂の子やイナゴなどを食べてきた。豊かになったからといって、軽蔑するのはいかがなものだろうか。みんな必死で生きている。
さそりの素揚げ(中国茶房8)

さそりが入ったウォッカを飲んだことがあるし、そのものを以前一度食べたこともある。猛毒で知られるさそりだが、世界中で1,400種類もあり毒性が少ないさそりの方が多い。揚げてしまうと本来のさそりの味や香りがどんなものかまったく分からない。
さそりを食べても単に話の種が出来ただけで、病気になることも、元気になることもなかった。
[食べた店の関連記事]
名古屋国際ホテル(12月26日)http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_87.html
銀座らん月(10月3日)http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/10/post_4.html
中国茶房8(12月23日)http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_81.html
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2006年01月21日
JAL vs ANA オムレツ対決
朝食バイキングの楽しみは目の前で作ってくれるオムレツだ。勝手に日航と全日空に対決してもらうことにした。
外国のホテルでもオムレツを作ってもらうのが楽しみだ。オムレツの中身をベーコン、ハム、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマン、トマト、チーズなどの中から選ぶことができるのがいいが、他人のものと間違われないように完成をボーッと待っているのは辛い。
さて、オムレツ対決、日航(JAL)ホテル熊本と全日空(ANA)ホテル福岡にそれぞれのホテルの代表として登場してもらった。JALもANAも好みの具を頼むことができないのが残念だが、フロアスタッフが席まで持ってきてくれるのが嬉しい。
銀髪は一時オムレツをつくることに凝ったことがある。卵を割る。かき混ぜ方も出来上がりを左右する。少しミルクを加えることもあるが、ミルクの量の加減も難しい。具を多くするときれいなオムレツを作るのは難しい。塩はフライパンにひくバターの量で決まる。フライパンはしっかり焼かないといけないが、焼きすぎるとバターが焦げてしまう。
フライパンに卵を入れる。すばやくかき混ぜて卵をまとめて形を整える。周りがきれいに焼けて、中トロトロがオムレツの絶対条件。焼き始めたら出来上がりまでアッと言う間だ。要は何度も何度も失敗して、うまく出来て喜んでいるとまた失敗した。
まずJAL

卵の量が少ないせいか薄いオムレツだ。従って火が中に通りやすくトロトロが少ない。具は何も入っていない。お箸で二口で食べてしまった。
次はANA

博多だけあって明太子が入っている。トロトロも充分。スプーンを使わないと食べ尽くせない。
明太子が入っているので味付けはしっかりしており、ケチャップなどをかける必要はない。
銀髪審査委員長の判定はANAの勝ち。ANAは明太子を入れたので同条件の勝負とは言えないところもあるが、美味いのでJAL側の抗議は却下。JALも何か熊本らしいオムレツに工夫すべきだった。
オムレツ、ゆで卵、目玉焼き、何でも卵料理は半熟が嫌いな人もいる。そんな人にとってはJALに軍配が上がるだろう。
まあ、どうでもいいか。JALさん怒らないでね。
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2006年01月20日
[因幡うどん](博多)と[博多うどん](東京)
子供の頃は父があまり遊んでくれないと不満に思っていた。しかし、今自分が親になってみると己の怠慢が恥ずかしくなってしまう。
中学3年生のとき大阪万博があった。兄たちは成人になっていたので、両親と3人で万博に行った。米国館の月の石を見るために熱暑の中を長時間並んだ。ソ連館に並んでいる間に日が暮れて、母は貧血を起こしてしゃがみこんだ。両親は辛抱強く息子につき合ってくれた。
昨年の愛知万博には一度だけ仕事で行った。母子家庭さながら、我が家は銀髪抜きで愛知博に行った。銀髪には声がかかることすらなかった。いつ休暇が取れるか分からない銀髪のスケジュールに合わせていたら、永遠に旅行には行けないと思われている。父の努力・配慮に比べて何たる体たらく。
映画にもよく連れて行ってもらった。ただし、同級生たちが見ていたゴジラやモスラなどの子供向けの映画は稀で、もっぱら勝新太郎と市川雷蔵の二本立てだった。座頭市、兵隊やくざ、悪名、眠狂四郎、若親分、陸軍中野学校などなど。子供のくせにませたガキになったのはこのせいかもしれない。
そして昼ごはんはいつもうどん。中洲川端の玉屋デパートの地下にあった「英ちゃんうどん」に行った。「因幡うどん」の方が人気があったが、なぜか英ちゃんうどんなのだ。ごぼう天うどんと稲荷を食べた。
今、英ちゃんうどんはない。バブルの後遺症で倒産したとか。そこで博多出張の際に因幡うどんを食べに行くことにした。
博多の因幡うどん

「昔は博多と言えば豚骨ラーメンではなくうどんだったのではないですか」とタクシーの運転手さんに聞いたところ、同意を得られた。ラーメンは屋台で出す汚い食べ物(汚い器?)で、子供が食べるものではないといつも母に聞かされた。それが今は全国区。博多うどんは地元以外はマイナーな食べ物だ。
東京に転校したての頃、小田急線下北沢駅の立ち食いそば屋に入って、その真っ黒なおつゆに衝撃を受けた。驚いたが最後まで我慢して食べた。すぐに慣れてしまい、その後頻繁に通った。人間の、特に子供の順応性たるや大したものだ。
東京駅に文字どおり「博多うどん」がある。八重洲で働くようになってよく行った。いつの間にかこれが博多のうどんの代表的なものと思い、英ちゃんうどんもこれと同じだと信じ込むようになった。
東京駅地下の博多うどん

博多で食べてみると、麺とたれはどこも似たり寄ったりだが、ごぼう天は店によってかなり違う。
今回因幡うどんで食べたごぼう天を見て、もしかして英ちゃんうどんもこれと同じだったのではないかと思った。熱いたれをかけると天婦羅の衣は瞬く間に分裂し、たぬきうどん風に変身してしまう。
いやいや、店によって違ったから父は英ちゃんうどんにこだわったのかもしれない。
確かめるにも英ちゃんうどんはつぶれ、父も亡くなってしまった。次兄に聞けば分かるだろうか?次兄は座頭市の真似をよくしていたから、多分映画は3人で見に行ったに違いない。4人だったかな? 5人だったかな?
40年以上前の記憶はせいぜいこんなもんだ。
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2006年01月19日
[楼蘭](銀座) 海ツバメの巣のスープ
最高級の中華料理と言えば干アワビ、フカヒレ、そして海ツバメの巣のスープを思い浮かべる。値段、品質、味でどれが一番か単純に比較できないが、希少価値で言えば海ツバメの巣が一番だろう。
海ツバメの巣は美肌効果があるということで珍重されるが、数が少ないため、なかなか食べることができない。岩場にある海ツバメの巣を採集するのは大変な作業と言われ、従って値も張る。
高級中華料理屋でもツバメのスープを置いてある店は少ないが、たとえツバメの巣のスープがあってもついついフカヒレスープを頼んでしまう。フカヒレに比べてツバメの巣は食べ応えがなく、割高に感じてしまうからだ。
お客様と楼蘭に行った。Aさん行きつけの店で18年前から通っているそうだ。店が出来たのはコアビルオープンのときだから約25年前。きれいな店内を見るとそんなに時間が経っているとは思えない。
Aさんはこの店に来たら必ずツバメの巣のスープを頼む。小さなスープ碗に入った卵の白身入りのスープは美しい。1杯2,500円は高くない?

高級なスープを頼むと他の料理も高級品でまとめてしまいがちだ。そうすると折角のツバメの巣のスープも印象が薄くなってしまう。大枚をはたいても特徴のない食事になってしまう。
メインがスープでもいいではないか。食べ方にルールはない。
気の置けない相手なら、見栄を張り続けることもあるまい。店に対して見栄を張っても仕方ない。
簡単な前菜、ツバメの巣のスープ、麻婆豆腐、白いご飯でもいい。炒飯や焼きそばを頼んでもいい。
ツバメの巣のスープを飲みに行こう。後は予算に合わせてお腹を満たせばいい。今日の一品。この店の一品。そんな食べ方をするのも楽しい。
話の種に是非食べてもらいたい逸品だと思う。味の評価は個人の好みだが、稀少品なだけに食べられるうちに食べておきたい。
銀座[楼蘭]
東京都中央区銀座5-8-20 銀座コア10階
TEL:03-3575-0787
http://www.rolan.cc/
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2006年01月18日
[天文本店](静岡) 桜えびの天ぷら
静岡にはよく行くが日帰りが多い。グルメ紀行がなければ仕事が終わったらすぐに東京に戻るところだが、何か名物を探さなければならない。
静岡県は広く、観光地が多い。熱海、富士、焼津、浜名湖などなど。しかし静岡市となると「?」となる。政治の中心かもしれないが食となると名物を探すのは難しい。
静岡市にこだわらず駿河湾名物と範囲を広げて探したら桜えび、しらすなどが見つかった。
静岡駅から5分ほどのところにある「天文本店」に行った。ネットで店を検索していたら、メニューの筆頭に「桜えびコース」とあったのでこの店にした。
大通り沿いにある店は入ってすぐにテーブル席があり、奥に広いカウンター席がある。できたばかりのようにきれいだ。
1品目は鮪、烏賊などが入った刺身を頼んだ。漁港が近いこともあって敢えて頼んだ刺身だがやはり天ぷらに集中した方がよさそうだ。
看板の桜えびの刺身は珍しいので楽しめたが、やはり揚げたほうが美味い。桜えびの香ばしさが際立つ。
2品目さしみと4品目素揚げ

名物、名物と騒いだもので「しらす」と「はんぺん」が出てきた。はんぺんは普通は真っ白なものだが、静岡では鰯のつみれを平たくしたものをはんぺんと言うそうだ。カツははんぺんに油と甘味を加える効果があり意外といける。
3品目はんぺんと6品目はんぺんのカツ

桜えびは日本では駿河湾でしか取れない貴重なもの。干したほうが香ばしく値段も高いが、きれいな赤色は着色料だとのこと。桜えびは干すともっと白くなってしまう。
漁獲量を平等に分ける漁の手法に賞賛の声もあるが、共産主義に見られるような弊害もあるようだ。
最後にかき揚げのお茶漬け。お銚子3本呑んだ後だけに、個人的にはこれが一番美味かった。もっとも同席した部下のNは桜えびばかりで流石に食傷気味だったとのこと。殆ど下戸の彼には鰻の蒲焼でも頼んでやった方が良かったかもしれない。
5品目かきあげと最後8品目お茶漬け

グルメ紀行のおかげで部下はもちろん、お客様であろうが銀髪が食べたいものを優先して頼む我儘を許してもらっている。
今回も銀髪が一番楽しんだようだ。申し訳ない気持ちもあるが悔い改めることはない。
天文本店
静岡県葵区七間町14-3(オリオン座前)
054-253-0510
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2006年01月17日
[たいめいけん](日本橋) たんぽぽオムライス
日本橋でもっとも有名な洋食屋がたいめい軒。昼時は特に人気で11時の開店と同時に席が埋まりだす。
昼の1階席はお得感があって、11時半になると既に行列が出来る。名物のボルシチ、コールスローが50円で食べるられる。2階席は打って変わって空いている。ボルシチは1階のものとは具の量などが若干違うものの、味は一緒で800円。
値段の差が大きいために2階は昼時でも並ばずに座れる。予約をすることもできる。
今日は昼の接待だから行列客を横目に階段を上る。大衆食堂的な1階とは趣が違う。お客様にはミニラーメンを勧める。洋食のスープをベースにした醤油ラーメンはあっさり味で人気が高い。1階には立ち食いのラーメン専用カウンターがあるが、テーブル席でも気軽に食べることができる。
銀髪は2階のボルシチを試したかったので、一人だけでラーメンはやめにした。
ボルシチ

メイン料理は多種多彩。銀髪は迷わずタンポポ・オムライスを頼んだ。これは故伊丹十三監督の映画「たんぽぽ」で披露された料理だ。
映画「たんぽぽ」は伊丹監督が「お葬式」に次いで発表したもので、その後の「マルサの女」で名監督との評価が定着することになったが、その後数作を残して自ら命を絶った。
「たんぽぽ」は西部劇調の軽快なストーリー運びで、トラック運転手がたまたま入ったラーメン屋の未亡人経営者を助け、やがてさっそうと去って行く物語だ。
不味いラーメンを美味いラーメンになるまで鍛えていく過程で、いろんな料理が紹介される。以前名コックだった浮浪者が深夜のレストランに忍び込み、冷蔵庫の中の有り合わせの材料で作った料理がタンポポ・オムライス。たいめいけんが撮影に協力したこともあり、この店の名物料理になった。
普通のオムライスはチキンライスを薄焼き卵で包んだものだが、タンポポ・オムライスはチキンライスの上に中がトロトロのオムレツを乗せて出てくる(下の写真左)。熱いうちに自分でオムレツを割って食する(下の写真右)。

前にも書いたが伊丹十三はトロトロの卵料理が好みだったようで、銀髪と嗜好が似ている。
オムライスは子供の食べる料理のような気がして普段は食べない。ましてやチキンライスに卵数個を使った料理が2,700円とはとても割高に思えて普通なら頼む気がしない。
オムライスの料理法はいたって簡単だ。たいめいけんは寛容にもホームページでそのレシピを公開している。卵焼きで包む代わりにオムレツを乗せればたんぽぽオムライスの完成。
今度は自分で作って家族にご馳走しよう。銀髪はオムレツ作りの名人なのです。
名人に至るまでの苦労は涙なくして聞けないよ!
日本橋「たいめいけん」
http://www.taimeiken.co.jp/
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2006年01月16日
席順のマナー
どこに座るかは結構難しい問題だ。電車で、料亭で、タクシーで。知っていなくてはならず、知っていると面倒だ。
まず大先輩M氏から提供してもらった話を使わせてもらおう。
“日本人はどうして端っこの席が好きなのだろう。電車の中でも、10人中8、9の人は端っこの席を選好する。なるべく擦れ合いたくないという、非社交性の表われだろうと思う。
私の場合も、やはり端っこを選ぶ。何しろ真中の席に座っていて回りに足を広げて座っているアンチャンなどが左右にいたりすると、そこに席を作って欲しそうなオバアサンなんかがやってきてチラチラこちらまで交渉相手の一部と見なすような目付きで迫られるのがイヤなのだ。
レストランでの窓際というのは景色が見えるからメリットがあるのも分かる。ところがある古い映画で、エリザベステイラー扮する淑女が窓際の席へ案内されて怒り狂う場面を見たことがある。残念なことに映画の題名はおろか、本当にテイラー嬢だったかどうかも不確かだが、そのときの彼女の主張はこうだった。
「私を中央の席に座らせないのは、このレストランにとって私が大事な(他の客にお店として自慢したいようなVIP級の)客ではないからでしょう!」”
以前台湾に行ったとき、立派なレストランの個室で接待を受けた。銀髪が主賓だったので当然一番奥の席に案内されると思ったら、その席はホストの席で銀髪はホストの隣だった。席以上に意外だったのは、一匹丸ごと蒸した魚の頭と尻尾がホストに渡されたこと。銀髪の大好物がホストに取られ悲しかった。台湾(中国?)ではお金を払う人が一番偉いようだ。客はあくまで客であり、主人ではない。
タクシーの席順はいつも悩ましい。マナーの先生が「一番偉い人が運転手の後ろ」なんて言うものだから迷惑させられる。頭を下げ、屈んで後部座席中央の凸を越えなければならない。運転手が席を後ろに下げたり、背もたれを倒しているため、助手席やその後ろの席よりも狭くて窮屈だ。目的地に着くと、相手が料金を払い終わるまでじっと待っていなければならない。本当に運転手の後ろが一番いい席か疑問だ。
車の席順マナーは運転手つきの大きな黒塗りの車に適用されるもので、タクシーなんかに使うものではない。4人でタクシーに乗ったら助手席がもっとも快適な席である。
銀髪が接待側になったとき、お客様に自分の考えで配慮したら睨まれてしまった。まるで礼儀知らずと非難するかのように。
マナーの先生、何とかしてくださいよー!
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2006年01月15日
赤玉ポートワイン
最初に飲んだ酒は何だったろうか? それは赤玉ポートワインのような気がする。
子供は親の真似をしたがるもので、大酒飲みの父を見ていたら当然酒を飲みたくなる。
父が家で飲むときもやはり最初はビール。父は毎回注いだばかりで泡たくさんのグラスを銀髪に渡した。泡をすすり液体に到達する寸前にグラスを取り上げられる。父が高笑いをする。毎回悔しい思いをさせられた。
正月は酒(お屠蘇)を飲ませてもらえた。大中小3個の赤い盃があったが、もちろん末っ子の銀髪は小の盃。みりんで味付けした甘いお屠蘇でも、飲めば大人に近づいた気持ちになったが、正月が過ぎればまたビールの泡だけの世界に戻された。
他に子供の頃飲んだ記憶があるのは赤玉ポートワインだ。なぜこんな甘い酒が家にあったのかはまた兄の記憶に頼らなければならないが、瓶のキャップ程度の量を飲ませてもらっていた気がする。三ツ矢サイダー、バヤリースオレンジなどと並んでジュースのような飲み物として、結構好きだった。
いつの間にか赤玉ポートワインのことはすっかり忘れていた。週末酒屋へ行って見覚えのある瓶を見つけたが、赤玉スイートワインとなっていた。帰ってインターネットで調べたら、ポルトガルから抗議を受けて名前を変えたという話だった。

我が家には2本のポートワインがある。2本とも豪州産で15~20年前に生産されたものだ。豪州産でも「PORT」と書かれているので、ポルトガル以外で生産したものでもポートの名称は使えるようだ。シャブリやコニャックとは違う。ポルトガルから抗議を受けたという話が本当なら、赤玉ポートワインは製造法からしてまったく別物なのだろう。
赤玉ポートワインは昭和30年代の人気商品だと思っていたら、明治40年に発売されたとボトルの裏ラベルに書かれていた。確かに肩をはだけた日本髪女性のポスターを見たことがある。赤玉ポートワインを懐かしく思うのは銀髪より遥か昔の世代も同様のようだ。
今の若者は最初からワインに入るだろうから、赤玉ポートワイン(スイートワイン)を子供の頃の思い出にはしてないだろう。
ポートはワインほどポピュラーでないせいか比較的安い。若い女性が相手なら年齢と同じ年代物のポートを贈っても懐はそれほど痛まないだろう。40台の女性にでもちょっと奮発すれば可能だ。
20年物になると、ポートも単なる甘いだけの飲み物ではなくなる。
30年物になると、少し落ち着きが出てきて、艶やかないい味を出してくる。
40年物になると、更にふくよかで、やさしく、熟成された逸品となる。
ポートはまるで女性ようだ‥!!???
50年物になると、どっしりと重厚なものになり、良い物は稀少になる。
60年物になると‥、イヤイヤこの辺でやめておこう。
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2006年01月14日
[鼎泰豊(ディンタイフォン)](日本橋) 世界の小龍包
ご近所様、日本橋高島屋は風格のあるデパートだ。入っているレストランも有名店が多い。行列の出来る店、鼎泰豊(ディンタイフォン)に行った。
米紙ニューヨーク・タイムズに「世界10大レストラン」の1つとして掲載された台湾台北の本店は世界的に有名な点心料理専門店だそうだが、日本橋高島屋地下2階にある鼎泰豊は大衆料理屋の佇まいだ。
店の中央に大テーブルがあり、それはカウンター席に似ている。客は隣り合わせに座る。
このテーブルのお陰で昼間の混雑時でも客の回転はいい。忙しい身には昼食時に並ぶ気にならないが、さすがに夕方6時頃になると買い物客も減り、大テーブルではない普通のテーブルも空いていた。この時間が狙い目かも。
何と言ってもウリは小龍包だから高級中華料理とは言えない。メニューもリーズナブルな値段。行列ができる理由の一つだ。どんなに評判の店でも高級店で行列はできない。
気軽な食事、お財布の心配もいらないお店だ。まずビール。そして料理を頼む。

最初に来たのは看板の小龍包6個入り。1個目は上手に食べることが出来た。思ったほど熱くない。以前一口で食べたら熱々のスープで、吐き出すことも出来ず口の中を火傷したことがある。
安心してもう一個掴んで醤油につけようとしたら皮が破けてスープが流れ出た。このときの悔しさといったらない。
一緒に行ったRがテーブルの向こうで嘲笑う。ますます悔しい。3個目は慎重に口に運ぶ。うまくいった。愉快である。
次に来たのは蟹みそいりの小龍包。口に濃厚な味、匂いが広がった。これはいい。感動ものだ。普通の小龍包の後に持ってきたのは正解だった。店も心得たものである。

豚まん、野菜餃子、もち米入りのシュウマイと続く。甕入りの紹興酒をデカンタで頼んだので、おつまみが必要だ。点心以外に野菜炒めと小皿を数品頼む。
家でも数回小龍包を作ったことがある。手羽先を煮込んでゼラチンを作る。中華スープと混ぜて固める。豚肉などであんを作り、ゼラチンスープをあんとと一緒に包み込む。皮はもちろん自家製だ。レシピも自己流だが家族の評判は上々だった。
子供にまた作ってくれとせがまれるが、プロのように見栄えのいいものを作ろうとすると一苦労だ。ノロノロ作っていると体温でゼラチンスープが溶け始めてしまう。従ってしばらく家で作っていない。
最後に蟹みそ入りの小龍包をもう一度頼んだ。一番美味いもので締めようという魂胆だ。ところが美味いけれど数十分前の感動とは程遠い。不思議なものだ。
出て来る順番、腹具合、酔い具合など、ちょっとしたことで味が変わってしまったように感じられる。店の責任ではなく問題はこちらにあると思う。
美味いものを上手く食べる。いいイメージで店を後にする。結構難しいものだ。
日本橋高島屋 鼎泰豊(ディンタイフォン)
http://www.geocities.co.jp/Foodpia-Olive/5638/
今日で連載101回目です。まだまだ頑張ります。
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2006年01月13日
[プリック](池袋) 気取らず本場のタイ料理
アメリカやオーストラリアは移民の国だ。人種の坩堝なだけに、色んな国の料理が楽しめる。日本は移民が少ないのに様々な外国料理店がある。不思議な国だ。
オーストラリアに居たときに、スーパーマーケットの敷地内に韓国人経営の寿司屋があり、韓国人がぎこちなく寿司を握っているのを見て憤りを感じたことがある。
移民の国のオーストラリアでは、料理はその国出身の人が作るのが当たり前だから。
しかし、すぐに考え直した。日本ではどうだろうか?
「フランスの○星レストランで修行した」というのが売りになるように、日本で無数にあるフランス料理屋、イタリア料理屋などは出身国の人がシェフをしている店は殆どない。
エスニック料理はちょっと違う。目抜き通りから外れると、日本に移住してきた外国人が経営する店が結構ある。そして、こんな店が本場の味を忠実に守っている。
池袋西口から5分程歩いた裏通りに、小さなタイ料理屋「プリック」がある。タイ人のお母さんが作る料理は、オーストラリアで食べたタイ料理と同じ味だ。
銀座や新宿などのきれいで大きなタイ料理屋にも何度か行ったが、上品過ぎてちょっと違う。タイに駐在したことのあるFさんの話ではタイ料理にも宮廷料理と庶民の料理があって、宮廷料理は美味くないとのことであった。
小さな路地裏の店といってもプリックはなかなかの本格派である。ビール、ワイン、ウイスキーなどタイ産のものが置いてある。
お勧めに従って頼んだのは4品。

クンチュアナムプラー(海老の刺身)、プーパッポン カリー(渡り蟹のカレー炒め)
ソンタム プープターラー(青パパイヤのサラダ)、トムヤンクン(海老入りスープ)
どれも辛くて鼻水が出るほどなのに、さらに辛くしてもらったのはトムヤンクン。何倍もおかわりしてしまった。レモングラス、ニョクマム(魚醤)パクチー(香菜)などの香りがとてもいい。
辛い辛いと言いながら、タイビールを飲み、メコンウイスキーを飲む。
どの皿も汁が美味い。タイの藁で作った保温器に入ったもち米をちぎり取っては汁に浸して食べる。

タイには行ったことがないのでうんちくのしようもないが、何だかタイの料理屋に居る気分で楽しい。
因みにプリックとは唐辛子のことだそうだ。
「プリック」
東京都豊島区池袋2-62-6
03-3590-3413
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2006年01月12日
[唐人吉華](八重洲) 麻婆豆腐
日本人の好きな中華料理の一つが麻婆豆腐だろう。ルーツはもちろん四川と思われるが日本に広まった麻婆豆腐は別物だった。
中国料理といってもたくさんの種類がある。香港のおかげだろうか、中国料理の代表格は広東料理。他にも北京、上海、湖南、台湾などなど。それぞれ独自の料理文化があるが、人気のある料理は瞬く間に他の地域にも広がるからどれが本来の味か分かりにくくなる。
日本に伝わった麻婆豆腐は広東でアレンジされた料理のような気がする。
広東料理にはあんかけのものが多い。とろみが強く、甘味のある麻婆豆腐は香港を経由して日本に広まったのではないだろうか。香港で食べる麻婆豆腐は日本で食べるそれに近い。福臨門本店のそれは豆板醤さえあまり入ってなく、母が昔作っていた麻婆豆腐にあまりに似ていた。
福臨門本店の麻婆豆腐

ここまでは銀髪の勝手な解釈。はてなダイアリーというサイトに麻婆豆腐についての詳しい説明がある。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%E3%C7%CC%C6%A6%C9%E5
陳健一氏のお母さんが日本人向けに山椒を抜いた麻婆豆腐を売り出してから一般に普及したとのこと。
しかし、味の素の麻婆豆腐の素には広東風と四川風があり、銀髪の説を裏付けている気がする。
随分前になるがテレビで四川省成都に本店がある「陳麻婆豆腐店」の紹介をしていた。この時、本場では大量の山椒を入れるのを知った。7年位前に人形町の「四川亭」で山椒たっぷりの麻婆豆腐に出会った。気軽に行ける店なので、昼、夜と通ったものだ。
「山椒小粒でぴりりと辛い」と言われるが、日本人は山椒を辛味のために使ってこなかった。七味唐辛子のひと味にしたり、鰻の蒲焼にかけたりするが、どちらかと言うと香りを楽しむ。
日本人にとっては山椒の辛さに馴染みがない。
数年前、「四川亭」に部下を連れて行った。ただでさえ辛い麻婆豆腐を激辛にしてもらった。激辛とは山椒をたくさんかけるということ。唐辛子の辛さには自信を持っていた連中が、山椒の辛さには耐えられなかったようでヒーヒー言うのを見て大いに笑ったものだ。
東京駅近辺では「唐人吉華」がいい。

唐人吉華の麻婆豆腐は豆板醤の唐辛子に加えて、山椒の辛さが効いている。とろみはない。四川風の麻婆豆腐に違いない。
以前は山椒の効いた麻婆豆腐を出す店は少なかったが、最近ではあちらこちらで食べることができるようになった。そうなると、今度は従来の麻婆豆腐も食べてみたくなる。
人間とはあくまで勝手な生き物だ。
えっ!お前だけ? そんなことはないですよ。みんな一緒ですよね?
唐人吉華
東京都中央区八重洲1-6-16
03-3281-3087
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2006年01月11日
[近江湖東](赤坂) 近江牛肉料理
各地に和牛の銘柄牛がある。松坂、神戸、米沢、飛騨、佐賀などなど。松坂などと並んで最高級とされるのが近江牛だ。
店名は滋賀県の和牛産地そのまま「近江湖東」。近江牛についてあれこれ言うのはよそう。オーナー、シェフ、みんなが自慢の肉だ。銀髪がウンチクを言う必要はあるまい。
鉄板カウンター席の楽しみはシェフのナイフさばきを見ることだ。ステーキよりもあわびや伊勢海老をあざやかに料理する様がいい。ハンサムでやさしい顔のシェフは女性の客にも人気があるに違いない。

ステーキの後にはガーリック・ライス。和牛は脂が美味しいので鉄板焼きの後はガーリック・ライスが欠かせない。

最後に立派な鮒寿司をご馳走になった。

鮒寿司の産地はもちろん滋賀県。京料理の店ならともかく、和牛を食べさせる店で鮒寿司を置いてある店は珍しいが、近江湖東であれば当然か。
鮒寿司は匂いがきついことで有名な食べ物だが、何度も食べているうちにすっかり好きになった。一匹もらうとさすがにこたえるが、薄切りにして数枚であれば絶好の酒の肴になる。
ぐるなびを見てもメニューに鮒寿司はない。鮒寿司を目当てに行く店ではないだろうが、目がないと言う人はシェフに聞いてみたらいい。森伊蔵、伊佐美、佐藤などといった有名焼酎も置いてあるので、きっといい酒盛りができるだろう。
銀髪はやっぱり熱燗で鮒寿司が一番合うと思うけれど‥
近江湖東
東京都港区赤坂4-2-8 赤坂金春ビル2階
03-3505-9988
(ぐるなび) http://r.gnavi.co.jp/a407600/
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2006年01月10日
仕切鍋
東銀座「台湾海鮮」に行ってからどうしても欲しかった物がようやく手に入った。双味鍋とも言われる2つに分かれている鍋だ。
明石家さんまのエピソード。さんまは新婚旅行先のイタリアで大竹しのぶと大喧嘩をした。買い物は一人にさせておくほうが楽だが、ブランドショップで1時間半も待たされた。
怒った理由は待たされたことではない。「いいものなかったわ」と手ぶらで出てきたからだと言う。
銀髪も同じ経験を何度もした。
「これ、どう?」
「ウン、いいねそれ」
「これは?」
「オウ、いいんじゃない」
長時間見て回った挙句、「また今度にしよう」と仰るのである。「いったいこれまでの時間は何だったのだろう?」と無力感にとらわれる。「あなたがいい加減な返事をして早く帰りたそうなので、ゆっくり選ぶことができない」とのたまう。
そんな訳で、もはや一緒にデパートに行くことは殆どなくなった。たまにデパートに家族と行くことがあっても、入り口で分かれる。どのみち男は一人だけだ。いない方が彼女らも幸せだ。
銀髪はファッションにはあまり興味がない。うろつくのは調理器具売り場などと変人だ。
最近探していたのは仕切鍋だったが、どこにも売っていなかった。合羽橋にでも行こうかと思っていたが、今は便利な時代だ。ネットで調べたらすぐ見つかった。
家で鍋をやるといつも同じようなものになる。わがままな家族の意向を聞いていると自分の食べたいものを食べることができない。
水炊き、あんこう鍋などこれまで我慢してきた鍋もある。仕切鍋があれば自分専用と家族用と2種類作れるから便利だ。
早速、片方をおでんにして、もう一方を辛くしてあんこうを入れた。

ところが一人分しかなかったあんこうがアッと言う間になくなった。子供たちの仕業だ。
まったくどこまでわがままな奴等だろう。結局銀髪がおでんを殆ど一人で食べる羽目になってしまった。
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2006年01月09日
生しいたけ
豊橋の親戚からしいたけが送られてきた。本当のしいたけが食べられる。期待感が膨らむ。
数年前のこと、夏休みを利用してしいたけ栽培をやっている親戚を訪ねた。しいたけはビニールハウスで栽培されていたが、ガンガンに冷房が効いている。ビニールハウスは「温室栽培」のためにあると思っていたが、冷房する栽培法があることを知った。
考えてみるといつの間にか炉端焼きや焼き鳥でしいたけを食べなくなっていた。生しいたけは昔からそれ程好きではなかったが、取れたてのしいたけを食べると他のものを食べる気がしなくなる。親戚のおじさんに「八百屋で引っ張りだこでしょう」と言ったら、その顔が曇った。
不思議なことに肉や魚はグラム単位で値段が決まるのに対して、野菜は一般に1個当たりや1パック当たりの値段で売られている。
オーストラリアでは野菜も重さで値段を決めていた。スーパーなどでは野菜売り場にはかりがあり、自分で欲しいだけはかりに乗せて値札を貼ってレジに持っていったものだ。

上の写真を見ていただこう。1cm以上ある肉厚のしいたけはどっしりと重い。ところが消費者は1パックに何枚入っているか気にするが、身の厚さや重さを気にしない。数だけを評価対象にしてくれるのなら、売る側はその方が軽くてかさばらないので好都合だ。
中国産などが出回ることになるだけでなく、国内の生産者も品質を高める努力を怠ることになる。その結果、しいたけを嫌いな人が増える。需要が減り、しいたけの価格は下がる。
おじさんの嘆きは続く。近隣の業者で廃業するところも多いらしいが、おじさんは品質を高めて生き残りをはかっている。
原木を手に入れてしばらく置いた後にしいたけの菌を植える。これを山に運んで相当期間自然に任せる。頃合いを見て栽培場に戻してから、ようやくしいたけを採取して出荷する。
これだけの手間をかけないと納得いくしいたけができないとのことだった。
もちろん、冷房の効いたハウスで栽培するより、寒冷期のしいたけの方が美味い。
おじさんのところのしいたけを食べると娘たちの顔がほころぶ。網焼きが一番美味しさの違いが分かるが、バター焼きでも鍋に入れてもいい。
子どもが食べ残したり、嫌いになったりしたら、叱る前にちょっと考えた方がいい。子どもの舌は味をはかる立派なセンサーだと思う。
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2006年01月08日
カサブランカ
ダンディズムは男の憧れだろうが、強さ、優しさ、酒、女が揃って初めてさまになる。それが叶わないなら映画でも見てひと時の夢に浸ろうか。
もっとも気の置けない友人Nと彼が常連のクラブ&バーに行った。カウンターに座るとすかさず店の女性が寄ってきた。
女「まぁーNさん、久し振りね。最近どこに行ってたの?」
N「そんな昔のことは覚えていない」
女「これから毎日来てね」
N「そんな先のことはわからない」
ここで堪らずNはケッケッと笑った。映画「カサブランカ」の中の有名なシーンだ。実際の女の台詞は「昨晩はどこにいたの?」「今晩はどう?」というもっと積極的なアプローチだが、リック(ハンフリー・ボガード)はにべもない。泥酔している女を酒場から放り出す。
映画「カサブランカ」には粋な台詞や場面がたくさんある。そして音楽も。
イルザ(イングリッド・バーグマン)が酒場に入り、サム(ドゥーリー・ウィルソン)に「AS TIME GOES BY」を弾き語りするように頼む。
この歌を題材・ヒントにした歌がたくさんある。沢田研二の「時のすぎゆくままに」は題名そのままだし、「カサブランカ・ダンディー」も懐かしい。郷ひろみの「哀愁のカサブランカ」もこの映画を題材にしている。
「哀愁のカサブランカ」の原曲はバーディー・ヒギンズが歌うそのものズバリ「カサブランカ」。郷ひろみのものより原曲の歌詞の方が好きだ。
「映画カサブランカを見にドライブイン・シアターに二人で行ったよね。星空の下で、コークをシャンパンに、ポップコーンをキャビアに見立てて食事をしながら映画を見たね。あの時よ戻ってきてくれ。日毎に君への愛はつのるばかりだ」
こんな内容だが、随所に「AS TIME GOES BY」の歌詞が散りばめられている。
Nがカサブランカの名台詞を言うのを聞いて、こちらもニヤリとした。こいつもダンディズムに憧れている。なかなかハンサムガイのNだから、さまになっていると思うのだがやはり照れてしまうようだ。
銀髪もいつか使ってみたいと思いながら数十年。使いたくても聞いてくれる相手がいないと応えられない。
今も「誰か聞いてくれないかなー」と思わないではないが、やっぱり映画だけにしといた方が良さそうだ。
叶わない夢など見ないほうが幸せだ。
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2006年01月07日
[台湾海鮮](東銀座) 薬膳鍋
一昨日、昨日に続いてもう一つ鍋料理。
みんなが集まる。女性も一緒である。幹事役は店をどこにするか悩むところだ。食事には驚きも大切な要素。考えた末に薬膳鍋にした。
「台湾海鮮」に来たのは銀髪にとっては3回目。最初はrobert さんのアレンジで中学時代の仲間と行った。火鍋は銀座で、新宿で、そして上海などで何度も食べたことがあったが薬膳鍋=天香回味鍋は初めてで楽しめた。鍋が二つに分かれているのは他の火鍋と一緒だが、今まで食べたものとはちょっと違った。
天香回味鍋は60数種の純天然植物と多くの香辛料をじっくりと時間をかけて煮込んでいる。スープには胃腸を保護する成分が多く含まれているため、食後の胸焼け、胃もたれもないと説明される。これまで食べたことがある火鍋は麻辣鍋と呼ばれるものらしい。
麻辣鍋が二つに分かれているのは唐辛子が入っているかいないかで、好みによってどちらかを食べる。天香回味鍋も似た組み合わせだが、両方のスープを混ぜて食べる。片方の辛味は唐辛子ベースではあるが、味と香りの中心はカレーのそれである。肝臓にいいウコン(ターメリック)やクミン、その他にも体にいいものがたくさん入っているらしい。

具も薬効がある各種キノコやにんにく、しょうがなど豊富だが、店員の説明では具よりスープを飲むのがこの鍋の特徴だとのこと。普通なら具を追加するところだが、代わりにスープを注ぎ足してもらって、何杯もおかわりした。
みんな「初めての味を経験出来てよかった、美味しかった」と言ってくれた。幹事に面と向かって駄目だったとは言えないのかもしれないが、素直に聞いておこう。驚きを感じてくれたのは間違いない。
しかしあまりにも店の人が薬効を強調してくれたので、安心してスープより紹興酒のおかわりの方が多くなってしまった。
紹興酒は必須アミノ酸9種を含む18種類のアミノ酸を含んでいるため悪酔いしないと言われる。「これも薬効があるからたくさん呑んでも大丈夫」と勝手に解釈して盃を口に運ぶ銀髪でした。
本当かよ! 酔っ払い!
東銀座「台湾海鮮」
http://r.gnavi.co.jp/g959900/
本店「天香回味」は日本橋三越近くにある。
http://r.gnavi.co.jp/g959901/
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2006年01月06日
[てら岡](博多) あらしゃぶ、あらちり
寒い。今年の冬は本当に寒い。こんな時は鍋がいい。昨日に続いてあったかい鍋の話。今回は博多の巻。
先日八千代丸に行ったことは書いた。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_69.html
手に入れるのが難しい魚と言われるが、博多に来るとあらを食べさせる店は意外と多い。50cm未満のあらなら手に入れるのは難しくないのかもしれない。
なかなか手に入らないのは巨大あら、1メートル以上のものだ。こうなると押しも押されもせぬ高級魚。名店に行かなければ味わうことはできない。今回もホテルのコンシエルジェでいの一番に紹介されたのが「てら岡」だった。
あらしゃぶコース(5,500円)を頼む。コースにはあらしゃぶの他に先付け、刺身、あらちり、雑炊、デザートがついている。先付け、刺身もいい出来だ。でもメインはあらしゃぶ。
サフランで緑色に色づいただし汁にあらのスライスしたものをしゃぶしゃぶする。身の大きさからかなり大きなあらだということがわかる。
仲居さんにどの位のサイズか聞いたら、厨房に走り調べてくれた。今日のあらは体長130~140cm、体重30㎏とかなりの大物だ。「巨大あらが入荷しなければ、あらしゃぶはお客様にお出ししません」と彼女は誇らしげに話す。

去年初めて食べたとき、かなりの衝撃を受けたあらしゃぶだが、今回も期待どおりの美味さだった。脂が乗っているのだが、淡白な味の白身。だし汁とのハーモニーが絶妙だ。あら2人前を追加した。飽きない味だ。
あらちり

一ヶ月前に八千代丸であらちりを食べたばかり。今回はあらしゃぶだけを食べたかったので、あらちりもコースに入っているのが不満だった。ところがこれがまた素晴らしい。八千代丸のあらちりは一般的なふぐちり同様、刺身を取った後の骨付きが使われていたが、てら岡のちり鍋に入っているあらは身が殆ど。皮と白身の間にゼラチン質の部分があり、これがプリンプリン、ネットリと何とも形容しがたい感触と味なのだ。これも結構大型のあらに違いない。
これが同じあらかと思うほど味は異なっている。考えてみれば当然のこと。まぐろだって何だって、種類や部位によって味が違う。因みにまぐろに例えればてら岡のあらはトロ、八千代丸のあらは赤身か。本まぐろとメバチまぐろといってもいい。どちらが美味しいかは好き好きだ。同席した部下のFは苦手だそうだ。
最後に雑炊、そしてデザート。

デザートはしぶ柿を塩水につけて熟成させ、へたの部分をくりぬいたところにブランデーを垂らしたもの。久し振りにコースのデザートを完食した。甘いのだがその甘さが口に残らない。不思議な味についついスプーンが柿と口の間