下北沢でお気に入りの居酒屋ができた。
「安くて良さそうな店を見つけたぞ!」Sが喜色満面で言った。中学時代の同級生5人で下北沢に繰り出した。秋に開く同期会の打ち合わせのために度々集まるが、費やす時間は圧倒的に飲み会の方が多い。それを見越してSが前日に下見に回ったらしい。
下北沢は若者の町である。従って、安く飲める店は多いが、お味は値段相応しか期待できない。いつも行く店は地元に住むSに任せ、皆がオーダーしたものを食べ、無難なものを飲み、言われた金額を支払う従順な銀髪に徹している。
「とりとんくん」はまだ3ヶ月前にできたばかりで、新開店の常であるが店員も元気で活気に満ちている。メインの焼き鳥や焼きとんは一部を除いて殆どが90円。急に懐が大きくなってあれもこれも頼んだ。もも、ネック、つくね、ぼんちり、やげん(軟骨)、皮、白レバー、豚バラなどなど。前に来た事があるとSが言ったら、サービスでハラミが10本追加された。順番に出てきてはたいらげたので量の感覚が麻痺してしまったが、写真を並べて驚いた。未だに体重オーバーになっている理由が判明した。
Sを誉めたのは値段はともかく、満足できる味だったことだ。特にぼんちりとレバーがいい。ぼんちりを置く店は随分と増えたが、脂がなくなるぐらい焼いてしまってがっかりすることが多い。レバーもミディアムで仕上がっている。鳥が生でも食べられるほど鮮度がいいため、焼き過ぎないで客に出せる。刺身が出てくるのが楽しみになってくる。
驚いたことに、刺身は鶏だけではない。豚の刺身もある。軽く炙ったり、湯通ししているのかと聞いたら、まったくの生だと言う。友人の説明ではNHKでも豚は生で食べることが出来ると放映していたらしい。
鶏は砂肝、心臓、肝臓、ささ身の4種。豚は肝臓、心臓、タンの3種。
榛名美山鶏と薩摩輝北豚を使っているそうで、どちらも鮮度が良く美味い。豚は鶏に比べてしっかりした肉質である。鶏は662円、豚は504円と良心的な値段でグルメ冒険ができるのが楽しい。
この他の名物は自家製の燻製と静岡おでん
燻製はたくわん、卵、チーズ、ムール貝、ソーセージ、ピーナツなんでもござれ。
おでんの目玉は静岡名物の黒はんぺん。
年寄りには壁を飾るけばけばしいポスターと、がんがん鳴り響く音楽が辛いかもしれないが、酔っ払えば気にならなくなってくる。Sは調子に乗って隣の席の20歳前後の専門学校生グループに溶け込んでしまった。熊本の酒「美少年」が自分のことだと言って受けまくっている。
Sは彼らから先にお酒をご馳走になり、お返しに食べきれずに残した焼き鳥と新しいお酒を差入した。一人いい顔をしていたが料金は我々全員で割勘。一気飲みして大喜びしている子供のような連中を見ていると、文句を言う気も失せて皆笑顔で店を出た。
とりとんくん
東京都世田谷区北沢2-15-3
03-5430-5156
投稿者 銀髪 : 2006年07月20日 05:48
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