服装のマナーも大事だけれど‥
銀髪グルメ紀行を書き始めるよりずっと昔の話だ。高級クラブで、食べ物の話で盛り上がった。ちょっと気取った高級レストランの話をするお馬鹿な銀髪に対して、彼女は庶民的な料理屋の方がいいと言う。特にお好み焼やもんじゃが大好きで、店任せではなく自分が焼いてあげれば最高に美味しいとのこと。こんな台詞に男は弱い。その場で食事に行くことを約束してしまった。
数日後、電話がかかってきたが、先約があってその日はダメ。しばらくしてまた電話。熱心な営業努力に根負けして食事に行くことにした。彼女がクラブの女性らしくなく庶民的との印象にも負けた。それでもお好み焼では申し訳ないかなと思ったが、彼女の次の言葉ですべてを悟った。
「今日、私、凄い格好をしているの」
ボサボサ頭やジーパンのことではない。それならお好み焼にぴったりの服装だ。凄い格好とは胸元が大きく開いたイブニング・ドレスか、派手な着物姿に違いない。かくして仲睦まじく鉄板を挟んで食事する光景は、きれいさっぱり吹き飛んだ。
日本は食事の服装にあまりうるさくないが、行く店に似つかわしい服装かどうかは自分で判断しなければならない。彼女の格好に合わせた食事の料金はお好み焼とは桁が違った。
ちょっと前まではジーパン、チノパンなどは、高級レストランでは不可だったが、いつの間にか認知された。
先日、ラスベガスの日本食レストランで入店を拒否された。銀髪が短パン姿だったためだ。日本料理屋といっても鉄板焼きで派手なパフォーマンスをやるような気楽な店だ。
レストラン内を見たら、ジーパン姿にTシャツのラフな格好の客もいる。英語の聞き間違いかと思い確認したら、やはり短パンだけが不可。仕方なく部屋に戻って着替えて行った。時間に遅れてやって来た銀髪に、待たされてイライラしている皆の冷たい視線が注がれた。
ラフなイメージが強いオーストラリアでも高級レストランではネクタイ着用でないと入れない。昔、上司がオーストラリアに来たとき、洒落たイタリアンに連れて行った。ノーネクタイのラフな格好に着替えていた彼は、店から貸し与えられたネクタイをしてやっと入店を認められた。
パーティーでも格式高いものであれば、招待状には「ブラックタイ着用」との指示が書いてある。ネクタイ着用となれば当然ジャケットを着る。ネクタイにジーンズは似合わない。ブラックタイならばタキシード姿となる。これに合わせて女性の服装もフォーマルなものを要求される。
日本の高級レストランでの話。隣の男性4人組の中に、横座りに足を組んで食べている人がいた。フォークを持った側のひじはテーブルに乗って、その腕はV字型を維持していた。
その人が一番偉いようで、もちろん注意をする人はいない。店の人や他の客からの蔑視に気付かず、尊大に振舞っている姿は哀れだ。
♪ボロは着てても、心は錦。どんな花よりきれいだぜ♪ 水前寺清子の歌を聴いて、勝新太郎演じる座頭市が嬉しそうに微笑んだ。
服装のマナーも大事だけれど、まず品格をまとう必要がある人は多い。
投稿者 銀髪 : 2006年09月16日 05:53
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