随分と前に行った店を勝新太郎で思い出した。
五反田のTOCに行ったときのことだ。問屋や小売店が集まるビルの下には食べ物屋がたくさんあるが、周辺で店を探すことにした。大通り沿いにはこれといった店は見当たらない。駅前まで戻らなければ何もないかと思いながら歩いていると、左の路地の向こうに数軒の店が点在。
焼き鳥屋、居酒屋などが多く、昼時なので開いている店は限られる。店構えがもっとも良くて、雰囲気がある「そば処 遊庵」に入ることにした。ドアを開けると1階は満席。路地裏にもかかわらず、周辺のサラリーマンたちで賑わっていた。
メニューを見ると焼き物やアイデア料理もたくさんあり、夜に来れば良かったと思わせる。壁には「勝新太郎も贔屓にしていた」といった貼り紙があった。「こんなところに?」と感激したが、遊庵は数年前まで赤坂・山王下にあったらしく、そのときのエピソードのようだ。
食べ終わる頃、ザルにぶち切れたそばが何本も残った。つなぎが少ないからだろうか。それなら嬉しいが‥
お目当てはけんちん汁の方だった。
小さい頃、けんちん汁とだごじゅる(団子汁=すいとん)が我が家の2大汁物だった。銀髪はだごじゅるの方が好きだったが、座頭市の物真似が得意だった次兄はけんちん汁が好きだった。兄は「けんちゃん」と呼ばれていたので、兄が好きだから「けんちゃん汁」だと本気で思っていた時期がある。
調べると鎌倉の建長寺が発祥で「建長汁」がなまったとする説、中華料理の一種である巻繊(けんちん)の汁だという説があるらしい。
材料は大根、にんじん、ごぼう、さといも、こんにゃく、豆腐など。これらを油で炒め、だしで煮込んだあと醤油などで味を調える。材料や料理法を見ると、汁がなければ「お煮しめ」とあまり変わらない。
考えてみると我が家の正月、おせち料理で最後に残るのは「お煮しめ」。たくさんの具材を使うので、少量のつもりがいつもたくさん作ってしまう。
食べ飽きた「けんちゃん」が、残ったお煮しめにお湯を加えて温めて食べた。そこで、けんちん汁になった、なんて説はどうだろうか。この方が分かりやすい。
遊庵のけんちん汁はみそ味で、昔懐かしいお袋の「けんちゃん汁」とは違うものだった。
そば処 遊庵
東京都品川区西五反田7-13-11
03-5487-2136
投稿者 銀髪 : 2006年09月17日 05:47
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