馬太郎と言ってもお寿司屋さんです。
大学生のとき酔っ払って金がなくなると五反田に行った。友人のお母さんがやっていたスナックがあり、そこでタダ酒を飲むのが目的だった。そのお母さんに「バッカス」という有難いあだ名をいただいたわけだが、その頃から有名で行きたいと思っていた店が馬太郎だった。
Yさんの会社が五反田だったので、約30年も前の記憶が蘇った。「そうだ、馬太郎に行こう!」 予約を入れようと電話したら、カウンターは予約できないと言われた。6時に待ち合わせをして行ったらガラガラで、Yさんがカウンターにいるだけだった。お店の人が6時なら問題なく座れると言ったとおりだった。
付け出しは岩海苔。あん肝は今シーズン既に何度か食べたが、鱈の白子は初めて。ホカホカで出てきた。もっと寒くなって河豚の最盛期になるまで白子の主役は鱈である。
馬太郎はカウンター寿司屋としては大きな店だ。満席になると板さんは大忙しになるだろうが、客がまばらなお陰で二人の板さんが話しに付き合ってくれた。
お奨めはさんまの刺身にわたを味噌で溶いたソースをつけて食べる一品。他のお奨めの刺身はかつお、さば、あじ。比較的大衆的な店なので、青魚が多いのも頷ける。
馬太郎は戦後すぐに居酒屋として五反田に生まれた。その頃の店の売り物が馬肉だったことから店名を馬太郎としたそうだ。寿司屋に変わって既に40年位経つらしいく、今は2代目が店を仕切っている。それなら馬刺しを食べないわけには行かない。
残念ながら信州産の馬刺しは熊本の「菅乃屋」や銀座の「こじま屋」などで特上馬刺しを食べてしまうとちょっと辛い。気前よく厚切りの刺身を出してくれたが、もう少し薄切りにしたらいい勝負を出来たかも知れない。いずれにしても馬肉の他の部位はないので馬肉専門店並みにはいかない。創業魂を味わうと言った方がいいだろう。
最後に握りを頼んだ。これもお奨めに従ったら馬肉と青魚のいわし、こはだ。それと江戸前の穴子だった。
熱燗を飲みだした頃から気になっていたのがお猪口。
オーストラリアから帰国して感動した純米の「あさ開」の文字が書かれている。思い出話を始めたら後ろにいた女将が話しに入ってきた。「あさ開」がまだ東京であまり知られていなかった頃、いち早く馬太郎がこの酒を採用した。「あさ開」にとっては恩人とも言える店で、大量のお猪口を店に進呈したそうだ。お猪口の文字は手書きなので、一個一個が微妙に異なる。
女将は銀髪を気に入ってくれたのかお猪口を我々にプレゼントしてくれた。ところが、後ろの棚の荷物を取る間に、酔っ払い二人組はお猪口の存在をすっかり忘れてしまった。
カウンターに残して来てしまったお猪口。折角プレゼントしてくれた女将に申し訳ないやら、手に出来なくて悔しいやら、まったく酔っ払いは困ったもんだ。
すし屋の馬太郎
東京都品川区東五反田1-15-4
03-3449-0462
投稿者 銀髪 : 2006年10月30日 05:51
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