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2007年02月28日
[小はれ日より]②(銀座)
気に入った店はやっぱり楽しい

毎週来てもいいくらいだがグルメ紀行を書くためにいつも新しい店を探している哀れな銀髪である。久しぶりに会ったNさんの事務所がすぐ近くだと知って、小はれ日よりに連れて行くことにした。客を気遣ってというより、お店にあまり顔を出さない罪滅ぼしの意識の方が強い。気に入ればNさんが再訪してくれるはずだ。
店に入ると奥さんに笑顔で迎えられた。迷うことなくカウンターに向かう。店主も銀髪を覚えていてくれた。ご無沙汰して申し訳ないとの思いが一杯なのに出てきた言葉は、「あまりお腹が空いてないんだよ」。それでも店主は明るく応じてくれた。
さっと出てきたのは薬膳スープ、そして鶏の煮こごり。

生ビールを飲み干し、20年物の紹興酒に移る。杜甫、李白、白楽天などの詩を持ち出すまでもなく、中国料理も酒がないと片手落ち。もちろん紹興酒であるが、共産主義になって粗悪になってしまったようだ。最近は経済成長にともない復権の兆しがあり、ヴィンテージ物も輸入されるようになってきた。ところが日本のちょっとした中華料理屋でも、未だにカラメル色素で繕った紹興酒で高い料金を取っているところがある。小はれ日よりは主人も酒飲みだけあって銀髪を失望させることはない。
太刀魚、蒸しエビ、大根の漬物

量を少なくしてくれとの我々の要求を満たしながら、しっかりした料理を出してくれる。エビは下味をして蒸したもので、何もつけなくても美味しく食べることができた。
麻布十番の「春」と同じように紹興酒の甕を割ったものを器として使っている。似たようなことをする店があると言うと、何と春の主人は昔の職場の兄弟子とのこと。彼は陳健明の最後の中国人門下生でバーミヤン創業期の料理長だったことを教えてもらった。「唐人吉華」の主人も調理人仲間だそうだ。世の中は狭い。
美味い料理と酒を出されると、お腹が一杯のはずなのに辛抱たまらず麻婆豆腐を頼んでしまった。これまでにこやかに話していた主人が、真剣勝負の顔になった。看板料理に失敗は許されない。立ち上がる炎に向かう後ろ姿にオーラが漂う。壁が鏡だったら主人の表情が見えて良かったのにと心底思った。
麻婆豆腐

豆鼓を他の店のように細かく潰していないため存在感があっていい。頼んでも居ないのにご飯が出てきた。気を遣ってくれてわずかだが、麻婆豆腐がますます美味い。
あー、また近いうちに行かなきゃなー
美食同源 銀座 「小はれ日より」
東京都中央区銀座1-15-8 銀座耀ビルB1F
03-3538-0554
前回行ったときの記事
「小はれ日より」
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2007年02月27日
[松島](銀座)
銀座6丁目の料亭

久しぶりの松島だった。前回行ったのは5年近く前だったので記憶を辿るためにネットで調べようとしたが情報は殆どない。前に行ったことのある松島かどうか半信半疑のまま銀座に向かった。
銀座6丁目のビルの地下に降りる階段が記憶の一端に触れた。店に入ってから女将を見て完璧に蘇った。東北弁訛りが残る個性豊かな名物女将である。
個室に入りビールを頼むと同時に次々と料理が出てきた。料理を運ぶのは若い女性たち。他の一流料亭とはちょっと趣が違う。ベテランの仲居さんたちにならまず出ない軽口が今日のゲスト達から次々と発せられる。まったく中年のオヤジたちは困ったもんだ。
そら豆、煮浸し、白魚の天ぷら

そら豆にはちゃんと切れ込みが入れてある。丁寧な仕事がうれしいが、ちょっと茹で過ぎなのが惜しい。
ビールから酒に替えたところで女将が注文を取りに来た。ここからは各人が刺身、焼き物、煮物などを選ぶ。満室の盛況のせいか、オーダーを取りに来たのが遅かったせいか、最初の3品を食べ終わってもなかなか料理が出て来ない。その間に酒を何度も追加で注文した。
いか刺し、おこぜと炙り関さば

おこぜの刺し身は選んで正解だった。肝もいい。あらを揚げるか、味噌汁にしてくれればもっと嬉しかったが叶わなかった。
鯨ベーコン、するめ

するめは築地の「魚四季」で食べたものと同じで、いかすみ、ワタなどの内臓もそのまま干している。他の人たちにとっては初めてだったらしく好評だった。
筍2種

筍は鰹節をまぶした土佐煮と若筍煮。銀髪は若筍煮を頼んだが、品が良くて美味しかった。
ご飯類を食べる段になって席を立った。これからオーダーしたら随分待ちそうだったため。せっかちな我々に料亭は向かないようだ。
時間をかけて商談したい人や、他人と顔を合わせたくない人にはいい店だが、今日の面子では有難味がない。
「クラブでカレーライスを食べようぜ!」と言う我々に、渋い顔の女将だった。申し訳ありませんでした。
松島
東京都中央区銀座6-10-12
03-3572-8808
1人約2万円でした。
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2007年02月26日
[白壁茶寮 東泉楼](名古屋)
北大路魯山人の器も所蔵する料亭

古美術商「松平」がプロデュースする数百万円もする名器を飾っている店と聞かされたが、格式張ったところは見当たらない。平成16年オープンというから比較的新しい店だ。茶室風の個室に通されたが、上を見るとコンクリート打ち出しの天井が見える。前の店の名残りだろうか。
ホタルイカ、椀物、お造り

ホタルイカは春を告げるいかだが、最大の産地・富山県の漁は3月1日が解禁日。混穫などで手に入れたものか、山陰産のものかもしれない。まさか料亭で冷凍品を使うことはないだろう。菜の花も春らしい。
お造りに添えられた小鉢はノレソレ。ノレソレとは穴子の稚魚のことで、これも春が旬の魚だ。何の説明もしないで料理を置いていく店の女性に代わって、銀髪がお客様たちに講釈をたれた。みんな気に入ったようだ。
焼き物盛り合わせ

会席料理には異例の4人分まとめての一皿。器と合わせた盛り合わせの妙を見せる演出なのだろう。
天ぷら、煮物2品

白身を紫蘇で巻いた天ぷらの下に敷かれた紙は油でじっとり濡れていた。隣を覗き込んだらそうでもなかったので銀髪の皿だけが例外だったのかもしれない。水分の多い白身の天ぷらは難しい。
ごはん、デザート

普通のご飯に具が殆ど入っていない味噌汁の組み合わせだったので、ぶっ掛けご飯にした。いわゆる「ねこまんま」である。もう数十年間やったことがない食べ方だったが、他の皆も面白がって真似た。料亭で「ねこまんま」とは、あまりに行儀がいいとは言えないが、昔を懐かしんで大いに盛り上がった。
デザートのイチゴは砂糖にまみれていかにも甘そう。これほど大胆に甘そうなデザートは見たことがないので、逆に興味が湧いた。実は砂糖を使っていないのかもしれないと思ってかじってみたら、しっかり甘かった。
愛知の名酒・蓬莱泉の空、久保田の万寿はそれぞれ1合2,260円で原価の3倍前後の値段で提供している。しかし、店の名を入れたオリジナルの酒・白壁茶寮が安くていい酒だったので、無理に空や万寿を飲む必要もない。酒の選択肢が3つとはちょっと寂しいが、一流料亭はどこもそんなもんだ。
今日は7,800円のコースを食べた。2万円のコースもあるそうだけれど、どんな料理か試したいような気もする店だった。
白壁茶寮 東泉楼
愛知県名古屋市中区金山1-7-10 金山名藤ビルB1F
052-321-7010
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2007年02月25日
[カビネ](目黒)
都心以外にもいいショットバーはある。

部下に連れられて彼の自宅近くの行きつけの店に行った。Cabinetと書いてカビネと呼ばせる。カウンター内の壁をびっしりと埋め尽くす酒瓶は文字通りCabinet(キャビネット、飾り棚)のイメージにぴったりである。

カウンターに座ってまずビール。これまでしたたかに飲んでいるにもかかわらず、店を変えたらまずビールは日本人の典型である。
次に「お奨めの酒は何ですか?」と問うと、「全部です」と来た。「全部ということは何もないに等しい」と混ぜ返したがバーテンダー増田さんはまったく動じない。「お客様の好みを言っていただかないと、奨めようがない」と返された。もっともな意見だ。
「ローランドはあるかい?」「すっきりしたものと、濃い感じのものとどちらがよろしいですか?」「それではコクのあるものを頼む」と言ったところで問答は結着した。

スコッチ・ウイスキーの故郷スコットランド地方はハイランド、スペイサイド、アイラ、アイランド、ローランド、キャンベルタウンに分けられる。出てきた酒はローズバンクでローランドを代表する酒である。この店の酒の殆どはシングルカスク(単一の樽酒)なのでアルコール度は高い。「いいねー」の銀髪の一言にようやく増田さんは笑った。
部下はやっぱりアイラが飲みたいと言う。「軽めのものを」と増田さんに頼んだらブナハーブンが出てきた。アイラの中ではかなり飲みやすい酒だ。ブレンドウイスキーの代表格であるカティーサークの原酒としても有名だ。
「2杯目は爽やかな奴にしようか」との銀髪の要望で出てきたのがストラスアイラ。アイラ特有のヨード臭がないのに驚いたが、それもそのはずストラスアイラはスペイサイド地方のアイラ川流域の醸造所で造られた酒でアイラ島の酒ではない。アイラ島にはアードベッグ、カリラ、ブナハーブン、ブルイックラディ、ボウモア、ポートエレン、ラガブーリン、ラフロイグの8醸造所がある。
ストラスアイラはブレンドウイスキーの銘酒シーバスリーガルの主要な原酒として知られる。

日付はとっくに替わっている。飲んで飲まれて、飲まれて飲んで、せっかく仕入れた知識は翌朝には雲散霧消している。かくして、懲りずに「お奨めは?」と聞きそうで、ちょっと心配である。もっと心配なのは断片的な記憶を繋いで書いたこの記事の正確性。酔っ払いの戯言と許して欲しい。
カビネ
東京都目黒区東山3-12-4 ナカミ東山ビル1F
03-3716-5086
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2007年02月24日
[薩摩](銀座)
式守伊之助の店でちゃんこ鍋を

大相撲の立行司で木村庄之助に次ぐ地位にあるのが式守伊之助。その30代目が経営する店と聞いて出かけた。ちゃんこ鍋を食べようと勇んで行ったら、薩摩と同じ名前のバーがあるだけ。相撲茶屋のイメージとはかけ離れている。歌舞伎座の周りをグルッと回ってみたが薩摩はやはりこの一軒だけ。諦めて入ったら間違いではなかった。
席に着くと主人が現れて店のシステムを説明してくれた。10枚綴り4,000円のチケットを買い、頼んだ飲み物や料理が来るとチケットを渡す。一品400円均一の明朗会計である。
店員にお奨めを聞いてもなかなか返答がない。仕方なく店名が薩摩なのでさつま揚げが看板料理と勝手に推測して、まずさつま揚げと煮込み、お目当てのちゃんこを頼んだ。
さつま揚げ、煮込み、ちゃんこ

ちゃんこにはちょっと拍子抜けした。チケットを数枚まとめて持っていくような鍋を予想したが、旅館の宴会料理に使うような小鍋だった。相撲部屋の鍋を期待したが、主人が力士出身でないのだから止むを得ないと遅まきながら気がついた。つみれは美味しかった。
ごぼう天、軟骨から揚げ、豚足

博多うどんにつきもののごぼうの天ぷら、宮崎鶏かもしれない鳥軟骨、鹿児島名産黒豚と信じて豚足と、薩摩→九州名物の連想ゲームで追加オーダーをした。真実を追究する気はない。
そんなことをやっている間にチケット10枚を使い果たした。
さらに10枚を4,000円で買って酒のために3枚使ったところで場所を変えることにした。
余ったチケットは無期限で使えるとのこと。近くを通ったら今度はカウンターで一杯やって帰ることにしよう。
歌舞伎座から歩いて数十歩。歌舞伎を見た後に寄ってもいいだろう。テーブル席も結構ある、ショットバーとは異なる不思議な空間。バーにしては料理も豊富でリーズナブルだ。
銀座のはずれで見つけた場末のバー&居酒屋のイメージ。予想外の展開に戸惑う場面もあったが、男二人で飲む店としては悪くはなかった。かな?
薩摩
東京都中央区銀座4-12-20
03-3541-3995
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2007年02月23日
[今井]②(大阪)
関西うどんの有名店にうどんすきがない?

讃岐、稲庭、水沢、氷見、五島、博多など、うどんの前に地名がつく名物うどんは全国にたくさんあるが、大阪うどんとは聞いたことがない。大阪はうどん屋が多いとのことだが、実際に探してみると東京の蕎麦屋ほど目に付かない。
大阪のうどん屋で名前が上がるのが今井ぐらいしかないのも頷ける。名物のきつねうどんを食べた話は以前書いた→「今井」。これは本当に美味しかった。今度はうどんすきに挑戦しようと思った。
まずビール、酒の肴を2品頼んだ。
鯛の昆布締め、アボガドとホタテの和え物、鴨ロース塩焼き

テーブルの上のメニューにうどんすきがない。コース料理のメニューをもらってみてもやはりない。店の人を呼んで尋ねたら、寄せ鍋がうどんすきのことのようだ。中年3人に3人前は多そうなので、2人前を頼み、足りなければ追加することにした。寄せ鍋コースについている先付け(鯛の昆布締め)だけ1人前追加した。
寄せ鍋

早い時間で客は我々だけなのに、店員は具材を盛った皿をテーブルに置いて「火が通りにくい鶏肉から入れてください」と言い残して店の奥に引っ込んでしまった。テーブルの電磁調理器は、火加減がうまくいかないで苦労した。大阪のサービスは東京と違うのかもしれない。あるいは今井だけだろうか。最初ぐらいやってもくれてもいいのにとぼやいた。
中年3人組の箸の動きは遅い。酒はいいペースでなくなっていくのだが、鍋の中身はなかなか減らない。鍋はみんなが同じペースで食べないと美味しく食べられない。煮込みすぎて食べ時を逸した素材が鍋の中で悲鳴を上げる。
若者が中心であれば瞬く間になくなるはずのうどんですら同じ運命を辿る。うどんを取り出そうとすると取り皿の直前で千切れてしまった。
煮崩れしない美々卯のうどんの方がいいなと思いながら食べ終えた。東京に戻って調べてみたら、「うどんすき」は美々卯の登録商標だと知った。道理で今井のメニューに「鴨ねぎすき鍋」はあっても「うどんすき」がないわけだ。
関西人に聞くと、今井のうどんのように溶けてしまうようなものを彼らは好むそうだ。讃岐うどんのような美々卯のうどんより今井の方が大阪では人気があると言う。
個人的意見を言わせてもらうと、うどんすきは商標登録をしたところに分があると思った。何でも一番は難しい。きつねうどんは今井が一番だ。今井で一番はきつねうどんだ。この評価は今も揺るがない。
大阪府大阪市中央区道頓堀1-7-22
06-6211-0319
http://www.d-imai.com
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2007年02月22日
[浅草むぎとろ](浅草)
東京の老舗で食べる麦とろ

「浅草の麦とろに行くから予約してくれ」と言われて困った。相手は既に電話を切っている。店名を言ってくれなければ104で聞くわけにもいかない。どっちみち地図を調べることになると思ってネットで「浅草、麦とろ」と検索したら「浅草むぎとろ」が出てきた。これが店名だったのだ。
タクシーに乗って店名を告げた時に地図も不要なことが分かった。浅草むぎとろは「駒形どぜう」などと並ぶ浅草の有名店である。昭和4年創業というから200年以上の歴史を持つ駒形どぜうなどに比べると下町の老舗の中ではまだ若い。東京で採れないとろろを名物にしたのは新興ならではの奇策だったようだ。
名物駒形揚げとろ、コロッケ

我が家でも作る揚げとろは、この店の2代目に嫁いだ女将があみ出したものだそうだ。
山芋は自生する自然薯の他に、粘り気の強い順でツクネイモ、イチョウイモ、ナガイモなどが栽培されている。浅草むぎとろで使うげんこついもはツクネイモに属し、自然薯に並んで粘り気が強く美味だという。
豊橋に居た頃初めて食べた揚げとろもツクネイモの一種である伊勢いもを使ったものだった。
むぎとろ

メニューの「むぎとろ」はとろろ汁、麦飯、味噌汁に卵焼き、漬物がついて1,890円。静岡「府中庵 待月楼」の自然薯を使った麦とろ飯と甲乙つけがたい。浅草むぎとろに来て、静岡のとろろを再評価した。
この他に天ぷら、マグロとアオリイカの刺身を食べた。

浅草むぎとろはとろろを使ったかりんとう(とろりんとう)などのお菓子も有名だそうだ。駅、空港、デパートなどで販売されている。銀髪は甘いものが苦手なので、お菓子には目が行かなかった。甘党にとっても浅草むぎとろは人気店である。

浅草の新しい名物に「振袖さん」がある。京都の舞妓さんの浅草版で、浅草の料亭などに出張してくれる。地方から東京に来たお客様を浅草麦とろに招待して振袖さんを呼んだら喜ばれるだろう。
もちろん、我々も一緒に楽しませてもらおう。
浅草むぎとろ
東京都台東区雷門2-2-4
03-3842-1066
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2007年02月21日
[家家厨房](銀座)
上海の家庭料理を気軽に楽しめる店

店の人の話では、最初の店は上海にあったそうだ。日本には逆輸入の形で店舗展開をしていった。上海の家庭料理というだけに店名は2つの家、ジャージャーと発音する。高級料理を手軽な値段でと言うだけあって、飲み放題付6,000円のコースは思った以上に楽しめた。
前菜6種盛り、肉シュウマイ、海老餃子

10人以上の男ばかりの宴会で飲み放題となるとみんな節操もなく飲む。嬉しいことに生ビールだけでなく飲み放題の中に青島ビールも含まれている。紹興酒やワインの味は期待できないので、ビールを飲む連中が多い。酒飲みは意地汚く計算高い。
スープ、えび、羊肉

茸とふかひれのスープと言うが、ふかひれを探すのが難しい。車えびの串揚げスパイシーソースは豆鼓が効いてなかなかいい。メニューを見ていないので肉が何かみんなで想像した。料理の名前はやわらか子羊のフィレ肉と野菜の炒め。羊のフィレ肉は柔らかくて臭みもなく一発で当てた奴はいなかった。
ほたて、干し海老と野菜の煮込み、あんかけ焼飯

各人に小分けして持ってきてくれるので食べやすい。料理もそこそこあるのだが、ビールでお腹が膨らんでしまった気がする。
杏仁豆腐

デザートを食べない銀髪だが、一口だけ食べてみたらちょっと普通と違う香りに首を傾げた。みんなに意見を聞いたら賛否両論。わざわざ店の人を呼んで尋ねたところ、きんもくせい入りだと分かった。家家厨房特製・自慢の杏仁豆腐とのことで、違いの理由が判明したら賛が圧倒的に優勢になった。
全員が満足して席を立った。2次会のスナックを目指して歩き出したが、途中で一人二人と減っていく。ビールの飲みすぎで我慢が出来なくなり、途中のビルにトイレを求めて駆け込んだのだ。
スナックで乾杯の頃には全員晴れやかに揃った。まったく酒飲みは困ったもんだ。他人に言えた義理ではないが…
家家厨房
東京都中央区銀座6-9-3 不二家銀座ビルB1F
03-3574-6881
http://www.jiajia.co.jp
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2007年02月20日
[とど](新宿)
新宿で食べる大分の味

九州の各県はおいしい名物をたくさん持っているが、大分県も捨てたものではない。関さば、関あじはブランド魚の先駆的な存在。大衆魚を高級魚に仕立て上げた戦略は見事。
大分は全国で唯一ふぐの肝が食べられることで有名だ。城下かれいも酒飲みなら誰もが知っている。意外と知られてないのがすっぽん。高級店では大分産が好んで使われる。
靖国通りと明治通りの交差点からすぐ、ビルの地下1階の店に入ると大衆的な雰囲気の店はほぼ一杯。いつものようにカウンターを希望したが、掘りごたつ式のテーブルが並ぶ座敷に行くように勧められた。メニューは座敷の壁に貼られており、カウンターからは見えないからだ。
お通し、りゅうきゅう

食のチャレンジャー・銀髪が最初に目をつけたのが「りゅうきゅう」。名前のとおり沖縄が発祥らしいが、およそ沖縄らしくない。しょうゆ、酒、小ねぎ、ごま、鶉の卵で味付けされた一品は博多のごま鯖に似ている。大分でも鯖を使うのが定番らしいが、今日はかんぱち。余った刺身を漬けて、翌日ご飯にかけたり、お茶漬けにしても美味しいそうだ。
自家製さつまあげ

女将の手嶋さんが絶対食べた方がいいと言うこの店一番の売り物がさつまあげ。炙って、生姜で食べさせる平凡なさつまあげをイメージしたのでちょっと引いたが、手嶋さんは頑強である。出てきた一皿を見て納得した。自家製と強調するだけはある。看板料理を持つ料理屋は、他の料理も悪かろうはずがない。
すっぽん網焼き、すっぽんスープ

絶品だと言われたすっぽん網焼きは噛んでも身がちぎれない。しかたなく全部口に放り込み、しゃぶり尽くす。酒の肴にいいが、見た目で食欲が左右される人には辛いかもしれない。
スープは期待以上のものだった。赤坂の「たん良」には及ぶべくもないが、すっぽんの良さが充分に味わえるお値打ち品だ。量もタップリなので、お腹一杯になり追加の品を頼むのは断念した。
勘定をしながら女将に熊本生まれだと告げたら、今度来たときには是非「だご汁」を食べてくれと言う。熊本のだご汁(だごじゅる)と若干違うようだ。同じかと思ってオーダーしなかった銀髪の気持ちを見透かしている。
手嶋女将さん、次回はだご汁を食べさせてもらいますよ。
とど
東京都新宿区5-17-14 三光町ビル地下1階
03-3208-9074
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2007年02月19日
[いち](池袋)
佐渡ヶ島直送食材の店に遂にいった。

他人のブログを読むのも楽しい。特にプロの料理人のブログが勉強になっていい。その中の一つが「いち」の主人、菊池市春さんのものだ。佐渡ヶ島の魚を紹介してくれるので、いつも興味津々で見ていたが池袋に行く機会が少ないため指をくわえるばかりで日が過ぎていた。
予約の電話で「銀髪です」と告げるとすぐに反応してくれた。菊池さんのブログにコメントを入れたのを覚えていてくれたようだ。池袋西口から丸井を越えて2つ目の道を左折してすぐ、左手のビルに「いち」を見つけた。店に入るとカウンターに直行する。カウンターの向こうに大将の笑顔が見える。HPで見るよりもほっそりとしている。「いつも読ませてもらっていますよ」の言葉だけで、旧知の関係になった。ブログはありがたい。
銀髪「佐渡の魚をお願いします」、主人「全部佐渡のものですよ」。馬鹿なことを言ったと後悔した。「それでは今日のお奨めを」何品か選んでもらった。
お通し、皮はぎの刺し身、石カレイの親子和え

皮はぎの1口目は身だけ、2口目は肝だけ、3口目は身に肝を添えて食べた。石カレイはブログ仲間へのサービス。連れが醤油が美味いと騒ぐと、主人の顔がほころぶ。醤油も佐渡産で一番高いものを取り寄せているそうで、これが佐渡の魚を引き立てる。
真たら刺し、白子刺し

たらの刺身は多分初めて。柔らかい身の印象が強いが、意外と弾力があり甘い。86㎝のいい型のたらだという。この腹のものか、新鮮な白子もわさび醤油で。白子の生は富山に行ったときにポン酢で食べたが、わさび醤油で食べてもなかなかのものだった。
アラハチメ刺し、ほうぼうの唐揚げ

「アラハチメはムラソイのことです」と言われても何のことかさっぱり分からない。魚の図鑑を見せてくれた。他の居酒屋定番のマグロ、いか、鯛などではなく、佐渡で獲れるものばかりなので、どれを頼んでも面白い。
刺身以外のものを食べようということになり、選んだのはほうぼうの唐揚げ。
入店のとき「今日の予約は一組だけなんで、銀髪さんのお相手がゆっくりできます」と笑顔で言ってくれたけど、いつの間にかほぼ満席に。料理人は主人1人なのでてんてこ舞いの状況になってしまった。そこでオーダー済みの梅きゅうを待って、店を出ることにした。
素材の持ち味を活かして、余分な手はあまり加えず提供してくれる店。次に行くときには違った魚が待っていてくれるだろう。
酒ももちろん佐渡の酒。その話は次回行った時に話しましょう。
酒食処 いち
東京都豊島区西池袋3-29-11
03-3986-2228
http://www.d6.dion.ne.jp/~ichi_k
おすすめメニューです

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2007年02月18日
MORI BAR
超有名な銀座のショットバー

名前は聞いたことがあったが、敷居が高そうで行ったことはなかった。お客様と食事をしているときに彼がショットバーの通であることが分かった。日本バーテンダー協会の元会長が親戚だと言う。それなら連れて行ってもらわなければならない。
銀座6丁目、数寄屋橋交差点から大通りを新橋方面に少し歩いたビルの10階にMORI BARはある。ビルの看板にMORI BARの文字はないため、偶然見つけて入る人はいない。初めて行くのに迷ったら並びにある花屋さんに聞けばいい。
MORI BARに行くなら目的は当然ドライ・マティーニ。

マティーニ好きは超ドライの競争をする。ジンを多く、ベルモットをいかに少なくするか争うわけだが、この争いは「チャーチルのマティーニ」でほぼ決定。しかしこれはちょっと反則気味。遊びの世界だ。MORI BARでは独自の製法でこの論争に決着をつける。
マティーニに限らずカクテルは氷を入れてシェイクかステアをして混ぜ、冷やす。ところがMORI BARではジンをマイナス20度まで冷やして、これを100回以上ステアして飲める温度まで高める。氷を使わないので薄まらない。逆転の発想だ。
マティーニは強すぎると思う人は希望のカクテルを造ってもらえばいい。それほど広くないスペースに何人ものバーテンダーを抱える。もちろん毛利隆雄氏も腕を振るってくれる。決して敷居は高くなく、スタッフの所作は高級クラブに匹敵する。
驚かされたのはカウンターで光り輝くハバナクラブ。キューバの至宝は、7年物までしか輸出されていないという。もちろん日本では買えないし、飲める店も皆無に等しい。
これが目の前にある。まさに垂涎である。

15年物と、それより高価なボトルを飲み比べした。15年物は銀髪が口開けという幸運に浴した。そのせいか香りは高く、深い。もう1本は軽い味わいで品がよく、ラムと感じさせない。今度兄貴を連れてきてやろう。
勘定を払って店を出ると、スタッフがエレベーターのところでお見送り。
気取らず、偉ぶらず、一流の飲み物とサービス。何とも気分が良くなる店だった。また行こう!
MORI BAR
東京都中央区銀座6-5-12 アートマスターズ銀座ビル10F
03-3573-0610
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2007年02月17日
[古奈屋](日本橋)
品のいいカレーうどん

名古屋の若鯱亭で昔懐かしのカレーうどんを食べた記事の中で、カレーうどんは2種類あると書いた。しかし、もしかするともう一種類あるのではないか、と思わせるのが古奈屋のカレーうどんだ。いわゆるスープタイプのもの。
余ったカレーにうどんを入れただけのような若鯱亭のものが懐かしい家庭の味だが、古奈屋のカレーにも郷愁を感じるのだから我が家はややこしい。
銀髪が子供の頃、日曜になると父の「ゲタップ(Get Up)!」の声で叩き起こされた。起きるとすぐに子供たちは食パンを買いに行かされる。家の中はカレーシチューの匂いで満たされていた。具はすね肉、タン、テールなど日によって違ったが、味はカレー味がもっとも人気があった。
父と3兄弟が1人5~6枚を食べるので1本の食パンがきれいに片付き、大きな鍋一杯のシチューはお代わりの繰り返しで瞬く間になくなった。
シチューの味の調整には必ず牛乳が入れられていた。これが古奈屋のカレーと通じるところである。
古奈屋のカレーうどん

古奈屋は1983年に創業され、現在13店舗を抱える人気店になった。日本橋界隈でもコレドと八重洲地下街の2店舗がある。1,050円のカレーうどんの具は筍だけなので、我が家のカレーの方が遥かに豪華だ。好みでトッピングを頼むとかなり高価なうどんになってしまう。
お洒落な雰囲気や紙のエプロン付など女性が好むコンセプトで、「馬のように食べる」と称された我が家の食事風景とはかけ離れている。
牛乳の風味に懐かしさを求めたが、よくよく考えると違う点も多い。古奈屋の主人が苦労の末に到達した革新的な味を約40年前の我が家のカレーと重ね合わせるのは失礼かもしれない。
それにしてもカレー風味は、どんなにスタイルを変えても日本人の興味を引いて止まない。いやいや、世界中で愛される。どこにそんな魅力があるのか、まったく不思議である。
古奈屋
http://www.konaya.ne.jp/
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2007年02月16日
[世界の山ちゃん](新宿)
わざわざ名古屋に行く必要もなくなった?

2004年の誕生日に名古屋に一泊出張、部下が一軒目に焼き鳥屋でお祝いをしてくれたが、2軒目に選んだのが山ちゃんだった。1997年11月に名古屋駐在をしていた兄にご馳走になった手羽餃子の印象が強く残っているせいか、名古屋に来たら手羽を食べなければいけないような気分になる。
山ちゃんは21年前に名古屋に創業して、今は全国に50店舗近く展開している。新宿を歩いていたら「世界の山ちゃん」の看板を見つけた。東京にも10店あり、その内半分が新宿だ。遊び心が湧いて覗いたら200席以上の大型店なのに満員で断念。今回2度目の挑戦で無事入店できた。
ホッピー、手羽先、土手煮

プレミアムモルツ中瓶(441円)の後に黒ホッピーセット(472円)を頼んだ。山ちゃんのラベルが貼ってある。名物・幻の手羽先(399円)は胡椒が効いており、初めて食べる連れも喜んだ。どて煮(409円)も名古屋の味を知るには欠かせない。
とり皮餃子、みそ串かつ、揚げだし豆腐

手羽餃子は名古屋だけでなく東京の他店でも食べたことがあるが、とり皮餃子(430円)は初めて。美味い美味い。みそ串カツ(399円)はまぁこんなもんかな。名古屋名物だけでなく揚げだし豆腐(409円)など、メニューは豊富である。
スープ、天むす

再び名古屋の味に戻って、コーチン団子スープ(336円)、エビ天むす(315円)を頼んだ。スープに至るまで料理はスピード感豊かに出てきたが、天むすは遅いので催促した。出てきた天むすの天ぷらは揚げ立て、ご飯もホカホカだった。これまで冷めた天むすしか食べたことがなかったのでちょっと驚いた。これなら時間がかかっても許せる。柔らかく握られたおむすびは美味だった。握った人は熱かっただろうなー
ホッピーの追加焼酎157円、冷酒・銀嶺立山472円を含めて2人で4,660円。安かろう悪かろうでないのが良かった。店内は圧倒的に学生など若者が多かったが、銀髪より年長者のグループもそれなりにいた。
昼飯に毛が生えたような値段で楽しめる飲み会。「世界の」は大袈裟だが、「日本の」をつけても許してあげたい山ちゃんだった。
世界の山ちゃん 新宿靖国通り店
東京都新宿区新宿5-17-11 白鳳ビルB2F
03-5272-3555
http://www.yamachan.co.jp/index.html
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2007年02月15日
[YUJIN](日本橋)
テレビでも紹介された有名店らしい

YUJINはランチ時に近くを通る度に気になっていた。初めてブラリと入ったら、小さな店の奥に一組客がいるだけだったが、ほぼ予約で一杯。我々の後に来たカップルを最後にして、予約なしでは入れない状態になった。
メニューは店の規模の割には意外と豊富だ。中でも、本場から呼び寄せた点心師が作る餃子・シュウマイが自慢。これを逃すわけには行かない。
点心四種(黒豚、海鮮、椎茸鶏、緑)

お得なお試しセット。特に小松菜中心の緑のシュウマイがよかった。家で挑戦しようと思うが、つなぎが少なくて難しそうだ。
スープ餃子、上海小龍包

なぜかどれも一皿3個。喧嘩になるので4個にしてもらった。中にスープがタップリ入っているので火傷が心配。割り箸袋に安全な食べ方が書いてあったが無視してしまった。
餃子を噛んだらスープが勢いよく飛び出したので驚いた。割り箸袋を読むべきだったと後悔したが、幸いスープは前方に飛んでネクタイを汚さずに済んだ。説明書きのようにスープは火傷するほど熱くなかった。2個目は丸ごと口に放り込んだ。
小龍包は用心した。相方に先に食べるように強要した。スープがこぼれるのも構わず恐る恐る食べる様子を見て楽しんだ。結果はこれも火傷の心配は無用だった。銀髪は安心して丸ごと口の中に入れた。
スープは熱を加えるまで冷めて固まっているはずなので、両品とも充分に熱さなかったのかもしれない。まさか冷凍していたわけでもあるまい。火傷しないで良かったが、相方が火傷するのを見たかった。火傷するほど熱いのが好きな銀髪が、いつも懲りずに火傷して笑われるのである。
茄子の四川魚香炒め、東坡肉ハーフ

点心以外のウリは魚香を使った料理のようなので茄子のものを頼んだ。皮付きの中華角煮も久々に食べたくなった。
この店の最大の欠点は紹興酒だ。せっかくの美味しい料理にカラメル色素入りの紹興酒はいただけない。店全体が安っぽく思えてしまう。紹興酒を飲むことを諦めて、ビールに戻った。ビールとなれば焼き餃子。最後に定番を頼んだ。
焼き餃子

結局これが一番良かった。最後の晩餐は何がいいかと問われれば、迷わずビールに焼き餃子と応える。これだけで結構幸せな銀髪なのである。
YUJIN
東京都中央区日本橋2-6-5日本橋2丁目ビル
03-3548-8800
http://www.yu-jin.net
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2007年02月14日
ペニーレインでバーボンを
ハードボイルドにチョコレートは似合わない

昨年、吉田拓郎がかぐや姫と共に嬬恋で31年ぶりのコンサートを開き話題になった。決して歌がうまいわけでも、声がいいわけでもないのに、拓郎の旋律は覚えやすく、歌詞は胸を突く。銀髪よりちょっと上の世代なので、歌詞の内容に多少の憧れを感じながら聞いていたものだ。
♪ペニーレインでバーボンを♪ と歌われた原宿の飲み屋を訪れる機会はなかったが、大人になってすかさずバーボンに飛びついた。ペニーレインがビートルズの曲名で、その名をつけた店がビートルズの曲を流す店だということはその頃になって知った。
毎日スコッチやコニャックを飲んでいると、たまには粗野な酒を飲みたくなる。そんなときもやっぱり日本橋・風長閑に行く。写真を撮るためにお店にあるバーボンを並べてもらった。我侭を聞いてくれるのが嬉しい。

今では千円台で買えるジャック・ダニエルが昔は1万円前後したのだから酷い時代だった。学生の頃、酒場でキープできるのはハーパーやアーリータイムズまでだった。
バーボンはケンタッキー州バーボン郡が発祥の地とされるため、テネシー州で造られ、製法も若干異なるジャック・ダニエルは厳密にはバーボンではなくテネシー・ウイスキーだという。しかし原料の半分以上がとうもろこしだから、申し訳ないがバーボンの思い出に参加してもらおう。
ジャック・ダニエルの圧倒的地位を打ち砕いたのがワイルド・ターキーだった。北方謙三のハードボイルド小説で度々登場したせいだろうか、バーボン好き以外の男たちもこれに飛びついた。
ワイルド・ターキーを飲み、フランス煙草ゴロワーズにロンソンのオイルライターで火をつける連中が居たに違いない。煙草を吸わないと決めていた銀髪も心が揺らいだ。
ところが、どんなに格好をつけても飲み方が水割りでは様にならない。西部劇のカウンターでバーボンを煽る男たちを、米国人でさえ憧れを持って見るだろう。昔、男はあくまでも男らしく、女は愛しく守ってあげる対象だった。女性の地位が上がるにつれて、弱い男は女を殴りだした。
風長閑には慣れ親しんだバーボンを従えて、あまり見かけない長期間熟成のものも輝いている。たまにはバーボンもいいもんだ。ちょっと男らしくなったような気がする。
原宿「ペ二ーレイン」は、今はもうない。吉田拓郎のメロディーを頭の中で繰り返しながら、今宵は日本橋「風長閑」でバーボンを。
♪今夜も飲んだくれてる♪ のは変わらない。好きだと言えなかった意気地なしを責めながら…
風長閑
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2007年02月13日
[鈴なり](荒木町)
いい店見つけた!

タイムスリップしたような街並みを少し歩くとすぐに「鈴なり」を見つけた。外観も窓から覗いた店内も清潔感がある店だ。テーブル席はほぼ埋まっているようで「カウンターでいいですか?」と聞かれた。もちろん! カウンターがいいのだ。
メニューを見て驚いた。小さな店の割にはメニューにびっしりと料理の名前が並んでいる。旬の素材を活かした料理を出すと言うだけあってすべて手書きのメニュー。あれこれ食べたいが、連れが食べたことがないクエと、野菜の料理に絞った。
金時草のおひたし、クエの刺身

お通しの金時草を食べて後に出てくる料理に期待が膨らんだ。クエはもっとも美味と言われる長崎産で、九州ではアラと呼ばれる高級魚。今日は6キロのクエと言うからまあまあのサイズといったところか。いい味をしている。
新玉葱、淀屋大根

新玉葱スープ煮を食べて嬉しくなった。淀屋大根スープ煮と鶏つみれを食べて感激した。盛り付けも美しい。店主・調理人の村田さんの若さが少し不安だったが消し飛んだ。
「なだ万」の赤坂本店で13年間修行したことを最初に聞いていれば不安など持たなかっただろう。
「なだ万帝国ホテル店」、「なだ万ホテルニューオータニ店」のことは以前に書いた。
まだ32歳。独身だったら女性がほっておかない美男子だが、美しい奥さんがフロアで目を光らせている。調理場のもう一人の美女は村田さんの後輩とのこと。笑顔がきれいだ。
クエの塩焼き

魚も肉も実は火を通した方が美味い。刺身ではあれほどしっかりしていた身が、焼かれると脂が溶けてふぐより美味いと言われる本領を発揮する。
嬉しいことにカマの部分を出してくれる大サービス。我を忘れてしゃぶった挙句、ふと隣を見ると連れの皿が既に空っぽになっている。気に入らないと絶対口にしないでこちらに押し付けてくる奴なのに、どの料理も全部食べきった。これには驚いた。
開店は一昨年の12月。名店で修行をして素材・料理に妥協を許さない店主に女将さんも苦労するだろうが、是非成功して欲しいものだ。店の名前は二人の子供の名前から「鈴」と「なり」をもらってつけたとのこと。ファミリービジネスに子供たちも参加している。店の雰囲気がいいのもこんな優しさから来ているのだろう。
料理が美味いだけでなく、店の人たちのまじめで気取らない姿勢が好ましい。銀髪のつまらない冗談にも大いに付き合ってくれた。勘定をして店を出るときもみんな笑顔・笑顔で送ってくれた。
また行こう!
鈴なり
東京都新宿区荒木町七番地
03-3350-1178
http://www10.ocn.ne.jp/~y-hiko/suzunari/
追伸 この日のメニューです。

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2007年02月12日
[麦芽工房](長野)
長野の夜はまだ終わらない

游月の女将の紹介で女性の居る店に寄って、再び居酒屋に戻った。既にブレーキが効かない事態に陥っている。小腹が空いたので通常ならラーメン屋だが、信州ラーメンというのは聞いたことがない。最後に蕎麦という気にもなれない。信州味噌で味噌ラーメンでも売り出せばいいと思うのだが、そんな素人考えは迷惑かもしれない。
2軒目からわずかに歩いたところに好みの居酒屋を見つけた。遅い時間なので客はまばらだったが、いつものように迷わずカウンターに座った。
お通し

お通しはシンプルに大根と卵。おでんでは必ず食べる2品だから文句はない。
馬刺し

游月も馬刺しを置いていたが熊本産だったので食べなかった。熊本で散々食べたので、わざわざ長野で食べることはないと思った。麦芽工房の馬刺しは信州産。それなら食べる価値がある。居酒屋で高額の霜降り肉というわけにはいかないが、厚めに切った馬肉は噛むほどに味が出てくる。
あぶり姫たら

姫たらとはスケソウダラの子供。もちろん長野産ではないが、初めて食べた。ポルトガル料理でタラの干物をよく使うが、日本にもあるとは知らなかった。
地鶏鍋

「麦芽の地鶏鍋」は店名をつけるだけあって自慢の一品。鶏は信州松代真田地鶏と地元の素材なのが嬉しい。白濁したスープは博多風水炊きに似て美味。野菜などを煮込んだ後にラーメンを入れて食べると下手なラーメン屋よりずっと美味い。
若い料理長の半藤さんがまたいい。先日、名古屋の「香車」で思いついたこと、すなわち「刺身の盛合わせが食べきれずに余ったら、小さな鉄板や焼き石を出して火を通して食べさせるのはどうか」と言ったら、「それはいいアイデアですね」と賛成してくれる聞き上手。
「使わせてもらいますよ」と言うものだから、銀髪は調子に乗って何度も繰り返し同じことを話す。半藤さんはその都度にこやかに頷いてくれる。酔っ払いのあしらい方を心得ている。
翌日、部下にたしなめられた。本当に酔っ払いは仕方がない。反省しきりの銀髪だったが、きっと懲りずに同じことをやることだろう。
半藤さんに限らず、根気よく酔っ払いに付き合ってくれる全国の料理人様、様。感謝、感激、雨、あられです。
膳蔵 麦芽工房
長野県長野市権堂町2269
0120-46-1539/026-233-1539
http://www.keiz-inc.com
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2007年02月11日
[游月](長野)
長野で郷土料理を

長野駅から徒歩10分程度と聞いたが、知らない土地の冬の夜を彷徨うのは辛い。タクシーに乗り運転手さんに「游月」の名前を言っただけで迷わず連れて行ってくれた。
6時前だったのでまだ女将がメニューを書いているところだった。席はどこでも選べる状態だったがいつものようにカウンターに陣取った。
メニューには見たことのない素材も多い。たるいかなるものを頼もうとして気がついた。長野には海がないので魚介類の郷土料理があるはずがない。それでも聞いたことがないイカや変わった料理法を試してみたくなった。
お通し、たるいか、あん肝の天ぷら

厚い身を見て、巨大イカだと思った。たるいかはソデイカのことで関東ではアカイカとも呼ばれる。胴の部分だけで1メートル、重さ10キロを超える。一度冷凍した後の方が身が柔らかく美味しくなるそうだから、鮮魚の獲れない長野にはうってつけの素材かもしれない。
あん肝は居酒屋の定番でよく口にするが、天ぷらでは食べたことがない。アイスクリームの天ぷらだってあるのだから天ぷらは何でも有りだ。あん肝の味が変わるわけではないが、意外と美味しく食べることが出来た。
菜の花、寒筍、うるい

海がないなら野のもの、山のもの。菜の花のおひたしや寒筍炊合せは分かるがうるいは聞いたことがない。本州北部・中部の山地や丘陵・草原などの湿り気のあるところに自生する山菜とのこと。やっと長野らしいものにありついた感じがした。ちょっと嬉しくなる。
ふき味噌、黒むつのふき味噌焼き、漬物

ふき味噌は熱燗に合う。魚につけて焼くのもアイデア料理だ。もちろん野沢菜は欠かせない。
他に客がいないものだから、女将さんたちを相手に丁々発止で遊ぶ。料理人は女将さんの息子。最愛の息子と商売ができる女将は幸せものだ。
途中で出てきた辛い味噌の美味いこと美味いこと。常連客手造りの逸品で、店一番の人気商品らしい。一所懸命に褒めたら小瓶に詰めてお土産にしてくれた。
長野でも楽しいカウンターの食事だった。例年になく暖かく雪も殆どないが、店を出ると燗酒で火照った頬もすぐに冷気に震えた。気さくで優しい女将さんの案内で、次の店に着いた頃には酔いが冷め、どんどん飲める気になったのが間違えだった。
長野の夜も長い。
味楽処游月
長野県長野市新田町1110-5
026-232-0078
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2007年02月10日
[八幡屋磯五郎](長野)
長野名産品で一番好きなもの

蕎麦でも、野沢菜でも、味噌でも、信州牛でもない。八幡屋磯五郎の唐辛子である。東京だけでなく全国いたるところで見る缶入り唐辛子だが、長野で作っていることを認識したのは最近のことである。

八幡屋磯五郎は創業280余年、その七味唐辛子は善光寺名物最古のものという。七味とは唐辛子・生姜・紫蘇・山椒・ミカンの乾皮・胡麻・麻の実の7種の味のこと。全部言える人は殆どいないだろう。
辛いもの好きな銀髪は七味より一味を好んで使うが、馴染みの唐辛子が善光寺名物と知ったのは部下がお土産で買ってきた時だ。八幡屋磯五郎の唐辛子は辛さの度合いで4種類ある。
最初に買ってきてくれた大辛はとても気に入った。普段使っているハウスやSBの一味唐辛子とは明らかに違う。一味にも辛さの違いがあることを初めて知った。ハパネロやハラペーニョなどの激辛唐辛子を求めて遠方まで買いに行く銀髪にしては迂闊だった。粉にしたって辛さに差があるのは当然のことだ。
大辛の唐辛子に喜んでいたら、今度はその上のBIRD EYEを買ってきてくれた。これが凄い。BIRD EYEは大辛の3倍以上の辛さがあるという。

実際に使ってみるとその辛さは相当なものである。家人がいつもの一味唐辛子のつもりでうどんにかけた。飛び上がらんばかりに驚いているのを見て大いに笑った。
我が家でカレーは子供用の甘口と大人用の辛口と2種類作っていたが、最近では子供が成長したので中辛の一種類で済むようになった。大人はお好みで一味唐辛子を振る。これまでは他人が見ると顔をしかめるほどに振り入れていたが、BIRD EYEなら常識の範囲に見える。しかし、辛さは常識の範囲を超える。
舌はこの辛さに大分慣れてきたが、お腹は時々反乱を起こす。唐辛子に含まれるカプサイシンは発汗作用があり、炭水化物を消化するためダイエットにもいいという。お腹の反乱はダイエットの促進にもなるが、結構辛(つら)い。同じ漢字を使うのに納得!
八幡屋磯五郎
長野県長野市柳町102-1
0120-156-170
http://www.yawataya.co.jp
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2007年02月09日
[府中庵 待月楼](静岡)
静岡名産とろろ汁

静岡に最初に来てしばらくは静岡市近辺には名物料理がないとぼやきながら鰻を食べていた。とろろ汁が名物なのを知らなかった訳ではないが、有名店が郊外にあって駅から遠いので避けていた。先日、「翠峰」②に行って市内でも美味しい店があることが分かった。それなら、遠くに足を伸ばすこともあるまい。
向かった先は静岡駅構内のアスティ静岡にある府中庵・待月楼である。正直言って期待しないで入ったら、店内はほぼ満員の状況。食事を済ませた客と入れ替わりでうまく席を確保した格好になった。
丸子宿定食

メニューを見たとき丸子宿定食1,370円は高いと思ったが、麦飯もとろろ汁もたっぷりあって、味も悪くないので納得のお値段。デザートにアイスクリームもつく。
とろろアイスクリーム

とろろが入っているのだろうが、まったく普通のアイスクリームに感じる。
支払いを済ませてレシートを見たら、「まりこ宿1,370円」となっているので首を傾げてしまった。頼んだのは丸子宿定食だったはずだ。帰ってから調べてみると丸子は現在の地名・静岡県駿河区丸子から来ているようだ。昔の旧東海道鞠子宿にあたり、ここが静岡名物である自然薯・とろろ汁の発祥の地である。
丸子と鞠子が繋がった。
丸子にある待月楼(たいげつろう)は大正8年創業の立派な懐石料理屋である。もちろん名物はとろろ汁。アスティ内、府中庵のとろろ汁が美味かったのも頷ける。
ところが本家の待月楼も駅の府中庵も紹介記事に両者の関係を匂わす記述がない。まさかJRを母体とするアスティが老舗料理屋の名前を勝手に使うわけもあるまい。
おそらく府中庵の経営主体はアスティだが、料理等の指導を待月楼から受けて、名称の使用料も払っているに違いない。
以前書いた東京駅の