長野で郷土料理を
長野駅から徒歩10分程度と聞いたが、知らない土地の冬の夜を彷徨うのは辛い。タクシーに乗り運転手さんに「游月」の名前を言っただけで迷わず連れて行ってくれた。
6時前だったのでまだ女将がメニューを書いているところだった。席はどこでも選べる状態だったがいつものようにカウンターに陣取った。
メニューには見たことのない素材も多い。たるいかなるものを頼もうとして気がついた。長野には海がないので魚介類の郷土料理があるはずがない。それでも聞いたことがないイカや変わった料理法を試してみたくなった。
厚い身を見て、巨大イカだと思った。たるいかはソデイカのことで関東ではアカイカとも呼ばれる。胴の部分だけで1メートル、重さ10キロを超える。一度冷凍した後の方が身が柔らかく美味しくなるそうだから、鮮魚の獲れない長野にはうってつけの素材かもしれない。
あん肝は居酒屋の定番でよく口にするが、天ぷらでは食べたことがない。アイスクリームの天ぷらだってあるのだから天ぷらは何でも有りだ。あん肝の味が変わるわけではないが、意外と美味しく食べることが出来た。
海がないなら野のもの、山のもの。菜の花のおひたしや寒筍炊合せは分かるがうるいは聞いたことがない。本州北部・中部の山地や丘陵・草原などの湿り気のあるところに自生する山菜とのこと。やっと長野らしいものにありついた感じがした。ちょっと嬉しくなる。
ふき味噌は熱燗に合う。魚につけて焼くのもアイデア料理だ。もちろん野沢菜は欠かせない。
他に客がいないものだから、女将さんたちを相手に丁々発止で遊ぶ。料理人は女将さんの息子。最愛の息子と商売ができる女将は幸せものだ。
途中で出てきた辛い味噌の美味いこと美味いこと。常連客手造りの逸品で、店一番の人気商品らしい。一所懸命に褒めたら小瓶に詰めてお土産にしてくれた。
長野でも楽しいカウンターの食事だった。例年になく暖かく雪も殆どないが、店を出ると燗酒で火照った頬もすぐに冷気に震えた。気さくで優しい女将さんの案内で、次の店に着いた頃には酔いが冷め、どんどん飲める気になったのが間違えだった。
長野の夜も長い。
味楽処游月
長野県長野市新田町1110-5
026-232-0078
投稿者 銀髪 : 2007年02月11日 05:57
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