ハードボイルドにチョコレートは似合わない
昨年、吉田拓郎がかぐや姫と共に嬬恋で31年ぶりのコンサートを開き話題になった。決して歌がうまいわけでも、声がいいわけでもないのに、拓郎の旋律は覚えやすく、歌詞は胸を突く。銀髪よりちょっと上の世代なので、歌詞の内容に多少の憧れを感じながら聞いていたものだ。
♪ペニーレインでバーボンを♪ と歌われた原宿の飲み屋を訪れる機会はなかったが、大人になってすかさずバーボンに飛びついた。ペニーレインがビートルズの曲名で、その名をつけた店がビートルズの曲を流す店だということはその頃になって知った。
毎日スコッチやコニャックを飲んでいると、たまには粗野な酒を飲みたくなる。そんなときもやっぱり日本橋・風長閑に行く。写真を撮るためにお店にあるバーボンを並べてもらった。我侭を聞いてくれるのが嬉しい。
今では千円台で買えるジャック・ダニエルが昔は1万円前後したのだから酷い時代だった。学生の頃、酒場でキープできるのはハーパーやアーリータイムズまでだった。
バーボンはケンタッキー州バーボン郡が発祥の地とされるため、テネシー州で造られ、製法も若干異なるジャック・ダニエルは厳密にはバーボンではなくテネシー・ウイスキーだという。しかし原料の半分以上がとうもろこしだから、申し訳ないがバーボンの思い出に参加してもらおう。
ジャック・ダニエルの圧倒的地位を打ち砕いたのがワイルド・ターキーだった。北方謙三のハードボイルド小説で度々登場したせいだろうか、バーボン好き以外の男たちもこれに飛びついた。
ワイルド・ターキーを飲み、フランス煙草ゴロワーズにロンソンのオイルライターで火をつける連中が居たに違いない。煙草を吸わないと決めていた銀髪も心が揺らいだ。
ところが、どんなに格好をつけても飲み方が水割りでは様にならない。西部劇のカウンターでバーボンを煽る男たちを、米国人でさえ憧れを持って見るだろう。昔、男はあくまでも男らしく、女は愛しく守ってあげる対象だった。女性の地位が上がるにつれて、弱い男は女を殴りだした。
風長閑には慣れ親しんだバーボンを従えて、あまり見かけない長期間熟成のものも輝いている。たまにはバーボンもいいもんだ。ちょっと男らしくなったような気がする。
原宿「ペ二ーレイン」は、今はもうない。吉田拓郎のメロディーを頭の中で繰り返しながら、今宵は日本橋「風長閑」でバーボンを。
♪今夜も飲んだくれてる♪ のは変わらない。好きだと言えなかった意気地なしを責めながら…
投稿者 銀髪 : 2007年02月14日 01:00
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