気に入った店はやっぱり楽しい
毎週来てもいいくらいだがグルメ紀行を書くためにいつも新しい店を探している哀れな銀髪である。久しぶりに会ったNさんの事務所がすぐ近くだと知って、小はれ日よりに連れて行くことにした。客を気遣ってというより、お店にあまり顔を出さない罪滅ぼしの意識の方が強い。気に入ればNさんが再訪してくれるはずだ。
店に入ると奥さんに笑顔で迎えられた。迷うことなくカウンターに向かう。店主も銀髪を覚えていてくれた。ご無沙汰して申し訳ないとの思いが一杯なのに出てきた言葉は、「あまりお腹が空いてないんだよ」。それでも店主は明るく応じてくれた。
生ビールを飲み干し、20年物の紹興酒に移る。杜甫、李白、白楽天などの詩を持ち出すまでもなく、中国料理も酒がないと片手落ち。もちろん紹興酒であるが、共産主義になって粗悪になってしまったようだ。最近は経済成長にともない復権の兆しがあり、ヴィンテージ物も輸入されるようになってきた。ところが日本のちょっとした中華料理屋でも、未だにカラメル色素で繕った紹興酒で高い料金を取っているところがある。小はれ日よりは主人も酒飲みだけあって銀髪を失望させることはない。
量を少なくしてくれとの我々の要求を満たしながら、しっかりした料理を出してくれる。エビは下味をして蒸したもので、何もつけなくても美味しく食べることができた。
麻布十番の「春」と同じように紹興酒の甕を割ったものを器として使っている。似たようなことをする店があると言うと、何と春の主人は昔の職場の兄弟子とのこと。彼は陳健明の最後の中国人門下生でバーミヤン創業期の料理長だったことを教えてもらった。「唐人吉華」の主人も調理人仲間だそうだ。世の中は狭い。
美味い料理と酒を出されると、お腹が一杯のはずなのに辛抱たまらず麻婆豆腐を頼んでしまった。これまでにこやかに話していた主人が、真剣勝負の顔になった。看板料理に失敗は許されない。立ち上がる炎に向かう後ろ姿にオーラが漂う。壁が鏡だったら主人の表情が見えて良かったのにと心底思った。
豆鼓を他の店のように細かく潰していないため存在感があっていい。頼んでも居ないのにご飯が出てきた。気を遣ってくれてわずかだが、麻婆豆腐がますます美味い。
あー、また近いうちに行かなきゃなー
美食同源 銀座 「小はれ日より」
東京都中央区銀座1-15-8 銀座耀ビルB1F
03-3538-0554
前回行ったときの記事
「小はれ日より」
投稿者 銀髪 : 2007年02月28日 06:13
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