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2007年03月31日

地ビールとゆで卵

旅行のお供はビールに何?


今日も出張、上越新幹線の中での昼食になった。穏便に幕の内かとんかつ弁当がいいなと思っていたらシウマイ弁当を買ってくれた。さらに6個入りのシウマイとゆで卵までつけてくれた。まったく仕様がない奴だ。ビールを飲まなければならないじゃないかと腹の中でののしった。仕様がないのはお前の方だ? ウン、そうとも言える。

とにかく車中でビールを買った。アサヒかエチゴビールと言われて一度はアサヒと言ったが、すぐに思い直してエチゴビールにした。全国第一号地ビールと書いてある。チェコのアロマホップを使用した麦芽100%のビールである。飲んでみたら本物のビールを選んで良かったと思った。

出来れば餃子にビールが理想だが、シウマイにビールも悪くはない。弁当のシウマイを食べ切ったのでゆで卵を剥くことにした。思えばゆで卵も日陰の身に落ちたものだ。昔、ゆで卵と冷凍みかんが列車の旅の王様と女王様だった。

久しぶりに食べた駅売りのゆで卵に塩はついていなかった。塩茹でした卵のようだ。噛んでみると中の黄身は完全には固まっていない。ラーメン屋で半熟卵が全盛になって以来固ゆでが人気薄になったせいだろうか。ほどよい塩味のゆで卵はインパクトに欠けた。

我が家でゆで卵を作ってもハードボイルドは嫌われる。「ハードボイルドだど!」のギャグを飛ばして分かるのは50代以降のオヤジたちだ。内藤陳が率いたグループはトリオ・ザ・パンチだった。モンキー・パンチはルパン三世の作者。それにしても、漫画アクションの表紙の峰不二子はきれいだった。アニメは足元にも及ばない。

頭の中で思考は方向性を失って飛んでいく。昼間の酒はよく効く。お仕事本番まであと1時間半。越後湯沢から窓の外は雪景色に変わってまぶしくて仕方がない。目を閉じても白い闇で眠れなかった。

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2007年03月30日

[炉家](新宿)

炭火焼きがある居酒屋で楽しく飲もう


新宿御苑近くのお目当ての店は「予約で満席」の札が入り口に掛かっていた。仕方なく新宿通りを新宿方面に歩いていると左側に「炉家」が見えた。ピンと来たら迷わず入る、それが銀髪流である。

2階の店への階段に据えられた和風の飾りがいい雰囲気である。ドアを開け、靴を脱いで下駄箱に入れて案内されたカウンターに座る。目の前の焼き場からは炭の灰がときどき舞い上がっている。期待が持てそうだ。
オーダーをして入り口を振り返ると、何組かが入店を断られている。タッチの差だった。

お通し、きびなご、空豆

東京の居酒屋にきびなごとは珍しい。立派な店とは思わないが、品揃えは豊富だ。

特上かに焼売、特上牛カルビ

シューマイの形のものが出てくるかと思ったら予想外の姿。魚とかにの団子にきざんだシュウマイの皮をまぶして蒸したもので、包んだものではない。これは我が家でも応用できそうだ。
カルビも炭火で上手に焼かれている。

子持にしん

丸々と太ったにしん(880円)は立派だった。大きな卵が腹に入っており、数の子を充分にイメージできた。これだけの大きさの魚を家庭で焼くのは難しい。炭火できれいに焼かれたにしんは満足のできるものだった。

炉家は七輪亭、牛かぐら、南大門市場などの系列店で、あちこちに店があることを後で知った。写真つきのメニューを見れば容易に想像はついたはずなのに。
お値段も大衆価格で若者も多いが、おじさんたちもたくさんいる。女性だけのグループも恋人たちもいる。さすがにクラブの同伴らしきカップルはいない。

お酒のメニューが乏しいのがちょっと残念だったがビール1本、お酒3合を加えて総額7,445円となればお店に対して寛大になれる。仕入先や仕入れ値を詮索するのは止めて飲もう。

居酒屋だけどカウンターならデートにも使えるかなって感じのお店だった。

「居酒屋でもいいよね!?」


炉家
東京都新宿区新宿2丁目1-14-201

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2007年03月29日

[ランブイエ](日本橋)

隠れ家的なフレンチレストラン


昼間はビジネスランチの社用族やサービスランチ目当ての女性で賑わう店も、夜になると殆ど人通りのない小路に潜む隠れ家となる。

店から案内状が届いたので、夜に仲間内4人で行って、一番安いグーテコース(4,725円)を食べた。オードブル、メインディッシュを1品ずつ選び、最後にデザートがつく。チーズや飲み物は別料金だった。

アミューズ、オードブル①

アミューズ(付き出し)はグリーンピースの温かいスープ。以前来た時とシェフは変わったそうだが、期待が持てるスタートだ。銀髪ともう1人が選んだのがフォアグラのコンフィと鴨の生ハムのタルト仕立て。どうも洋食のメニューは分からない単語が多い。料理が出てきてようやく全貌がわかる。

オードブル②③

「ブーダン・ノワールとりんご、バナナのソテー パータ ブリック包み焼き」と「有機無農薬野菜と奥久慈産地鶏卵のサラダ仕立て」。りんごもバナナも嫌だが面白そうなので部下のために選んであげた。彼に選択権はない。サラダ仕立ては分かりやすい。

メイン①② 

「5種の部位を使った豚肉料理 赤ワインソース」と「和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」
耳、頬、舌、豚足、バラ肉を混ぜ合わせて網脂で巻いてソテーした前者はなかなかの逸品だった。近江牛を使った煮込みは予想通り。以前に何度かこの店で食べたことがある。シェフが変わってもいくつかの看板料理は維持しているようだ。

メイン③とチーズ盛合せ

女性二人は「群馬産もち豚のロースト そのジュとコルニッションのソース」を選んだ。またしてもソースの意味がチンプンカンプンだったが、豚は予想通り美味しかった。

デザートはすべて女性陣に提供して、我々はチーズに専念した。

左から「ラム酒風味のババ グリオット添え 温かいショコラソース」「人参のブラマンジュと柑橘類のコンポート」「キャラメルのパルフェ ほろ苦いコーヒーのグラニテと共に」
「フルーツトマトのコンポート ヴェルヴェーヌの香り」に女性たちの目は輝いているが、見た限りは美味しそうだ。「それほど甘くないですよー」の声に釣られて手を出すほど銀髪は甘くない。

食事が出終わったところで金田シェフが挨拶に来てくれた。デザートまですべて作ったそうで、33歳の若さだからできる仕事だろう。アイデア料理もある一方で、伝統的なフランス料理もしっかりとこなしている。神楽坂で10年超、フランスで2年の修行を経てランブイエで腕を振るう。

この料理で5,000円未満なら充分満足できる。フロア担当の女性、水谷さんも大変気持ちのいいサービスをしてくれた。隠れ家にしておくのはもったいない店だ。

店が入るビルのオーナーのマダムが経営者である。悠々自適なのは分かるが、
「マダム!もっと夜も客寄せしなきゃ! 若いスタッフがやる気なくしちゃいますよ!」

ランブイエ
東京都中央区日本橋小網町9-6 NST小網町ビルB1
03-3666-3010
http://www.tokyoseito.co.jp

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2007年03月28日

[弦](新大阪)

大阪名物を新大阪で


仕事で大阪に行ったがあまり長居できないという客に配慮して、新大阪駅で飲むことにした。駅ビルの地下街に行ってうどんすきの美々卯に入ろうとしたら、客が嫌な顔をする。早く帰りたいと言うが、嫌がられたら決まらない。地下2階に更に下りると多少選択肢が広がった。

ぶらぶら歩いていると着物のお姉さんが客引きをしている。わがままな客は着物姿にフラフラとついて行った。これで店は決まった。席について弦のおすすめメニューから2品選んだ。いずれも大阪らしい食べ物だ。

どて焼き

牛すじ(150円)と地鶏皮(210円)。名古屋名物と思っていたが、名古屋はどて煮。縁が浅い鉄板に味噌ダレ(白味噌)を入れて、竹串に刺した牛すじを焼き・煮するのが大阪のどて焼き。名古屋は赤味噌のもつ煮込みでこんにゃくなど他の具も入っている。
弦のどて焼きは赤味噌に見えるが合わせ味噌をだし汁で溶いたもののようだ。

新世界風串かつ(盛合せ5本)

通天閣のある一帯が新世界。新世界が開業したのは1912年で、同年通天閣も完成した。村田英雄の「王将」で歌われる坂田三吉が関根八段と対戦したのが1913年で、通天閣も「王将」の歌詞になっている。通天閣は焼失して1956年に再建された。新世界は道頓堀とはまた違った大阪を代表する街だろう。

赤井英和が応援する串かつ屋「だるま」によると、昭和4年に新世界で串かつは誕生したそうだ。実際はもっと前に屋台で出されていた食べ物と言う人もいる。新世界風串かつとは、野菜など何でも揚げてしまうことにあるらしい。東京で串かつと言えば豚ねぎ間を揚げた物で、大阪の串かつとは違うものと大阪人は主張する。大阪の串かつに相当する名前は、東京では串揚げとなる。

大阪人にとってはどて焼きも串かつも滅茶苦茶(無茶苦茶?)思い入れのある食べ物らしい。

大阪名物の2品だけ銀髪が選んで、後は客に任せた。

「三丁目の夕日」など昭和30年代の東京を舞台とする映画やドラマがもてはやされているが、大正時代・昭和初期にワープするかのように旧世界を大阪の「新世界」で見るのも面白いかもしれない。



大阪市淀川区西中島5-16-1 JR新大阪駅構内1F 味の小路
03-6304-9730

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2007年03月27日

[大寿司]②(錦糸町)

連夜の寿司屋


2日続けて中華やイタリアンとなるとちょっと躊躇してしまうけど、寿司屋だったら許せてしまうのはやはり日本人。味比べもできるので大歓迎でもある。約1年半ぶりの「大寿司」に向かった。

錦糸町も変貌著しい町だ。タクシーでロッテ会館を目指していったのだが現在解体中。駅前の一等地には何が出来るのだろうか。線路沿いをちょっと歩くと赤い看板が見える。大寿司は変わる気配も見えないが、中に入るといつも笑顔で迎えてくれる女将さんの姿がない。入院中とのことで心配したが、すぐに復帰できそうと聞いた安心した。

まずお通しはホタルイカ。ぷっくらと太って美味しいが、このところ既に何回食べただろう。

刺し盛

相変わらず豪快な刺身の盛り合わせが出てきた。ウニ、本マグロの大トロ、ひらめ、 たいら貝、やりいか、しめ鯖、赤貝、とり貝、たこ。9種類の刺身が所狭しと並んでいる。開店以来20余年、一度も冷凍物は扱ったことがないという大トロが中央にデンと構える。
初めてお連れしたFさん、Hさんが感激している。

谷中しょうが、白魚、小柱

谷中しょうがと季節感漂う白魚、青柳の小柱を追加して熱燗を飲む。一緒に行った相手にもよるが、昨夜に比べるとスピード感あふれる食事だ。もう1人は納豆巻きやかんぴょう巻きを食べて、店を出る体勢になっている。

穴子、お椀

既にお土産の寿司も詰め終わっている。江戸前寿司なら穴子を食べなきゃ終わらないと思ったが、今日の穴子は九州産だった。それでも味には満足した。

お代は1人7~8千円といったところか。昨日の半分にも満たない。飾りのない直球勝負の寿司屋だが、国産の本物のネタをふんだんに食べて、酒をたらふく飲んでこの値段なら文句はない。今日はご馳走になったのだから、そもそも文句が言える立場でもないが…


大寿司
東京都墨田区錦糸4-5-8
03-3625-2591


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2007年03月26日

[天川](銀座)

大事なお客様との会食を初めて行く店で


ちょっと躊躇したが、銀座の高級クラブのママが奨めるのだから間違いはあるまい。ホームページでカウンターの形状も店を選ぶ重要な要素だった。主人は期待通り4人を3対1で座れる位置取りに配してくれた。あうんの呼吸が出来れば、今日の食事の出来も決まったようなものだ。

おひたし、筍、お造り

うるいとあさりのおひたし、筍の木の芽みそ和えと春を感じさせる小鉢2品。お造りは中トロ、鯛、とり貝。いずれも国内産の一級品。江戸前の老舗寿司屋は鯛を使わないところも多いが、天川は違う。老舗のしきたりに縛られない自由も必要だ。昔と違い流通技術の進化で明石の鯛も東京で美味く食べられるということか。

野菜、のど黒、白子

焼き物が出る前に繋ぎとして野菜3品。一見したところ工夫のないように見えるが、しっかりした味で手抜きはない。のど黒、ふぐの白子もなかなかいい。シーズンの終わりにまた白子を味わえるとは幸せだ。

いいだこ、かに、鯖・鯵

寿司に行くにはまだ早いのでお任せ(15,000円)以外におつまみを追加した。いいだこを箸で口に運ぼうとすると中身がゴロンと出てきた。白い固まりは卵で飯粒に見えることから「飯だこ」の名がついた。今が産卵期に当たり、メスは高値で取引される。

寿司と水物

大トロ、赤身、うに、甘鯛昆布締め、さより昆布締め、ヤリイカ、赤貝を食べて、蜆の味噌汁を飲んで、最後はデザート。

主役の料理が美味かったのは言うまでもないが、ガリが特徴があってよかった。薄切りして水分が垂れるガリを出すところが多いが、厚切りで歯ごたえがある。酒の肴にもなるように配慮しているそうだ。

主人と交換した名刺には「主宰 星 廣幸」と書いてある。新宿のセンチュリーハイアットで25年勤め、管理職より現場の喜びを求めて独立、銀座に天川を開いた。店名は苗字の星からの連想で天の川。天ぷら屋と間違えられる懸念を振り払い「天川」したそうだ。温厚な中に確かな職人気質を秘める星さんについてきた助手が数人。みんなベテランぞろいだという。

6時前に入ったが、7時頃から客の回転が良くてカウンターが空く事はなかった。みんな良く知ってるね。
初めて行く人はホームページで予習すると、楽しみはもっと膨らむ。

銀座 天川
東京都中央区銀座8-5-19 三幸ビル1F
03-3572-1633
http://www.ginza-tenkawa.jp

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2007年03月25日

マルガリータとマリゲリータ

麗しき女性の名前をつけた飲み物と食べ物


先に知ったのはマルガリータ。大学生の頃、よく頼んだカクテルはマルガリータかスクリュードライバー。どちらもアルコール度はそこそこあるが多少甘めなので、入門編とも言える女性向きのカクテルでもある。

マルガリータは幅広のグラスの縁に塩をつけるカクテルの代表格だ。最近はマティーニやギムレットばかり飲むので、風長閑で久しぶりに飲んだマルガリータには何となく懐かしさを感じた。

マルガリータ

マルガリータは1949年に考案されたというから戦後生まれということになる。考案者の恋人がマルガリータだったそうで、こんな美味なカクテルに名を刻まれたら嬉しかっただろうと思ったら、亡くなったのを偲んで作られたとのこと。悲しい物語だ。

ピザ屋で思わずマルガリータと言ったら笑われる。こちらはマルゲリータ。19世紀半ばのイタリア王妃が自らの名を冠したといわれる。トマトの赤、チーズの白、バジルの緑がイタリア国旗を連想させたとか。

マルゲリータ

カクテルのマルガリータより100年近く歴史は古いのだが、銀髪が知ったのはこちらの方がずっと後。ピザはトッピングによって○○ピザと呼ばれてきたが、ナポリタイプのピザの流行によりマルゲリータの名前も知られるようになってきた。

名前を間違ったからって笑わないで欲しい。どちらも語源はギリシャ語のMARGARITEで真珠を意味する。国が変わると名前も微妙に変わる。マリーとメアリーも語源は一緒。マリア様から来ているらしい。
大学でドイツ語を習ったときミーヒャイルが英語ではマイケルと知って驚いた。
外人と話していてバハレーンのことかと思ったら実はベルリン。日本では原語読みと英語読みが混在しているのでややこしい。

マルガリータとマルゲリータ、どちらも美しい女性だったのだろう。しかし早世した女性の方に気持ちが行ってしまうのは酒飲みの哀しい性というだけではないだろう。透き通ったカクテルに、マルガリータの真珠のような美しさを思いつつ飲めば、ちょっと粋でかんびな気分になれる。

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2007年03月24日

銀のクリストフル

ジャン・バルジャンが盗んだ銀の食器?


日本橋三越に隣接するマンダリンオリエンタルホテルのフレンチレストラン「シグネチャー」に行ったときのことである。料理が出てくる前にテーブルに並べられたナイフを持ち上げ凝視していたら、若いウエイターが近寄ってきた。「お客様、それは魚用のナイフでございます。」と得意満面、ご親切に教えてくれた。「何だ、これはクリストフルじゃないんだ!」と銀髪が言うと彼は青ざめた。

銀髪はナイフのメーカーを知りたかったが、老眼が進んで読み取るのに時間がかかっていたのだ。ウエイターは無礼を恥じたのか、クリストフルでないのを恥じたのか分からないが俄かに緊張した。「これも銀のナイフです」と言い訳したが、「クリストフルと同等なの?」とたたみ掛けると「とてもクリストフルには及びません」と冷や汗をぬぐいながら離れていった。

クリストフルは銀の食器やアクセサリーで有名なフランスの老舗で創業170年を誇る。「ああ無情」と言うと若い人は分からないだろうが、「レ・ミゼラブル」の主人公ジャンバルジャンが教会で盗んだのも銀の食器だった。もしかしたらクリストフルかと思ったが、物語は1800年代初めなので違うメーカーのものだ。

数年前、英仏海峡にあるガーンジー島に行ったら、ビクトル・ユーゴーの記念館があった。彼は約150年前にレ・ミゼラブルをこの風光明媚な孤島で書き上げた。今はタックス・ヘイブンや保養地として知る人ぞ知る島だが、当時の彼は流刑人の気持ちだったに違いない。自分自身の体験を基にして書いたと言われるが、銀の食器を盗んだわけではないだろう。

銀食器の歴史を調べるとクリストフルでさえ、新参者に思えるほどである。海外駐在員の奥様方がボーンチャイナやクリスタルグラスと並んで興味を示すのがクリストフル。我が家にもあるが、今もビニール袋に入ったままだ。空気に触れると手入れが大変だからと言うのだが、それでは一生使えない。

硫化によりわざと変色させたいぶし銀とは異なるが、擦り傷を作りながら使いこなされ渋みが出た銀のフォーク・ナイフも味わい深いものがある。ずっしりとした重みを両手に感じながら食べる食事はステンレス製では味わえない満足感を与えてくれる。

この記事を書くために数年振りに我が家のクリストフルにお目にかかった。ウェッジウッドやボヘミアングラスはどこにしまってあるのだろう。まさに箱入り娘そのもので、その美しさを世に示すことが出来ない食器たちがかわいそうで仕方がない。

PS 
トップの写真はクリストフルの日本橋高島屋店で撮らせてもらった。スターリング・シルバー(純度92.5%)でも傷がつきやすいが、傷も味があっていいと、店の女性スタッフと意見が一致した。快く写真を撮らせていただいてありがとうございました。
純度が低い割安のものも売られているので、欲しくなったら優しい彼女に相談したら?親切にアドバイスしてくれるはずだ。

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2007年03月23日

[山田屋]②(日本橋)

もうじきふぐもおしまい


昨年末に「とらふぐ亭」で知られる東京一番フーズが東証マザーズに上場した。全国で34店舗展開しており、一年を通してふぐを安価で安定的に供給している。養殖技術の進歩でふぐの季節感がなくなってきたが、天然物を使う山田屋のような老舗料理屋には季節が存在する。3月末頃にはふぐは終了すると聞いて慌てて行く事にした。

前回訪問したときと同様にコース料理ではなく単品にした。鍋まで食べると多すぎると我ら中年族は考えてしまう。鍋を外してふぐ尽くしにしようと思う間もなく仲間の1人が自分の好みで頼んでしまった。

お通し、ぎんなん

天ぷらの盛り合わせ、里芋旨煮

ふぐのない季節も営業しているので、他の料理も悪くはない。天ぷらもきれいに揚がって美味しそうだが、銀髪は海老とキスだけ食べて残りを部下に押し付けた。「エーッ!僕が全部食べるのですか?」と恨めしげだが、天ぷらでお腹を膨らませたくない銀髪は素知らぬ顔だ。

ふぐさし

コースの刺身だとちょっと寂しいが、単品だと食べ甲斐があっていい。同じ店で食べてもふぐに当たり外れがあるが、今日のふぐは特に美味しく感じた。

唐揚げ、白子焼き

唐揚げと白子は嫌がる仲間を無視して勝手に頼んだ。養殖ふぐでも白子を持つのは冬のはずだ。今を逃すと再び会うのは遠い先だ。

最後に雑炊を食べてお開きになった。何か足りないと思ったら名物女将が挨拶に来ていない。
「ババァはもう死んじゃったのか?」と聞くと仲居さんたちが腹を抱えて笑う。彼女たちの笑顔を見たら女将が健在なのが分かる。今日はちょっと用事があり留守にしているそうだ。
「女将さんが亡くなったら必ず連絡しますよ」と仲居の1人が言うが、「迷惑だから絶対報せるなよ!」と言いたい放題だ。行きつけの店はこんなやりとりが出来るのが楽しい。


日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com


揚げぎんなん800円、天ぷら2,000円、里芋800円、ふぐ刺し3,000円、ふぐの唐揚げ2,500円、ふぐ雑炊1,500円


今日載せる予定を昨日に間違えてしまいました。昨日読んだ方、ごめんなさい。今日も山田屋です。

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2007年03月22日

[無門](新宿)

リーズナブルに食べる豚のしゃぶしゃぶ


歌舞伎町の大型和食店の代表格は車屋本店と蝦夷御殿ではないだろうか。美味しい店があると言われてついて行くと目の前に蝦夷御殿が現れた。てっきりそこに入るのかと思ったら何と隣の店だった。看板のしゃぶしゃぶの文字に財布の中身を思い出して少しひるんだ。

1階はかまくらのような2人用個室がありカップルで埋まっている。我々は2階の大広間に通された。色気も何もない。出てきたメニューを見たら、お奨めは黒豚のしゃぶしゃぶでコース一人前が3,675円と大変リーズナブルで安心した。若いカップルがたくさん居たのも頷ける。

お通しは菜の花のおひたし、そのあとにコース料理の3品が続く。

お通し、海鮮サラダ

焼き物、ふぐの炊き合わせ

お湯だけを張った鍋が出てきた。これににんにくを2片入れただけでしゃぶしゃぶをするのかと心配していたら、だしの塊が鍋に放り込まれた。黒豚のコラーゲンたっぷりの固まっただし汁は簡単に溶けないぐらいしっかりしている。

相手を気遣って脂身の少ないところを多めに食べさせようとしたら、脂身の多い方が美味しいとそちらばかり食べる。あとで店のHPを読むと「黒豚のバラ肉は湯通しすると、余分な脂肪は熱にとけ、アクとなり良質脂肪分が残り、白身はこんにゃくを入れたような透明さと弾力がありコリコリとした歯ごたえと、程よい甘味が楽しめ、さっぱりとした味わい深いコクがある。」と書いてあった。
相方は確かな舌を持っている。なかなかやるじゃないか。

豚肉のしゃぶしゃぶを食べて、野菜を食べた後に沖縄そばを入れた。これがまたなかなか美味でうれしい限り。しかしいくらコラーゲンだ、ビタミン何とかだと言われて楽しんでもこれでは食べ過ぎだ。

2人で酒を加えて1万円程度。もし1階の個室にカップルで入ったらかなり価値があると思った。カップルで来てくれる相手がいたらの話だが…


黒豚しゃぶしゃぶとふぐ料理 無門 新宿店
東京都新宿区歌舞伎町2-25-6 永和第6ビル 1F
03-5272-12
http://www.mumon-group.com/

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2007年03月21日

からすみ

日本三大珍味の一つ


正月に長兄が貰いもののからすみを持って来た。台湾産のなかなか立派なもので、全部食べるには多いかなと思ったが、形だけでなく味も立派だったので瞬く間になくなった。

不思議なことに、正月以来、からすみを食べる機会が多い。付け出しの一つとして盛られてくることも多い。深町では天ぷらにしてくれた。

漫画の美味しんぼでも最近、長崎特集で取り上げられていた。長崎産の上等なものであれば一腹で1万円前後もする高級品である。これを買おうとはなかなか思わない。贈る人だって相手を選ぶのでなかなか手にすることはない。そもそも贈っても価値が分からない人が多いだろう。

台湾産となるとお値段は半額程度になるのでもらう可能性が格段に増す。先日も台湾土産でもらったためまたまた食べる機会ができた。
オーストラリア産も安い。オーストラリアからのお土産として昔は牛肉がもっとも人気があったが、輸入自由化であまり喜ばれなくなった。からすみは今も人気土産の一つのようだ。

からすみはぼらの卵を塩漬けして天日干しして作られる。ぼらは出世魚の一つで成長に合わせて名前が変わる。「いなせ」な若衆とか「とど」のつまりの語源もぼらの名前から来たというのは良く知られている。

九州に住んでいたときはぼらの刺身やあらいをよく食べていたが、不思議なことに関東ではあまり見ない。豊橋のスーパーでは売っていたので、大井川が食文化を分けているのかもしれない。

台湾産やオーストラリア産のからすみがあるように、ぼらは世界中で獲れるようだ。ギリシャ料理で使われるタラモは名前からしてタラコ(鱈の卵)と思っていたが、実際はぼらの卵を主に使うと聞いて驚いた。先入観で惑わされてはいけない。

日本三大珍味の他の二つはウニ、コノワタであるが、ウニ以外は口にする機会が少ない。コノワタを食べたことのない人も多いだろう。初めて食べたときにどのレベルのものを口にするか。それで一生の好き嫌いができるのが珍味かもしれない。まあ、食べなくても困るわけではないけどね。


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2007年03月20日

[ラビーノ](赤坂)

比較的気楽なイタリア料理店


ラビーノはリストランテだという。イタリアに行ったことがないので偉そうなことは言えないが、オーストラリアではリストランテはかなり高級でマナーにうるさい店と思っていた。ネクタイ、ジャケットの着用が義務付けられており、料理にスパゲッティなどのパスタ類はわずかしかなかった。

リストランテは日本で言えば料亭に当たると思っているので、どうもラビーノがリストランテと言われてもピンと来ない。気軽でリーズナブルな料亭なんてあまり聞いた事がない。

もっともランチに行ったので店の本当の評価はできない。真価は夜に見せると怒られるかもしれない。

サラダ、パスタ

魚料理、肉料理

2,000円のランチコースは魚か肉かどちらかを選ぶことになっている。立派なパンも出てきたのでかなりお腹は一杯になる。1,500円の飲み放題をつけて意地汚くビールをたらふく飲んだので腹は満杯になった。

それでもスパゲッティを食べたいをと言う輩がいて、コース外で注文することにした。リストランテだろうが何だろうが、とにかくイタリア料理屋でスパゲッティを食べないと気がすまないのだ。こんなところにも、日本でリストランテがスパゲッティをメニューから外せない理由がある。郷に入れば郷に従えだ。

ちなみにイタリア料理店にはリストランテ、トラットリア、ピッツェリア、オステリアなどの種類がある。トラットリアとは食堂、気軽に入れる店でフランス料理屋ならビストロに相当する。オステリアとは居酒屋や大衆食堂を意味する。ピッツェリアはピザやスパゲティの専門店で日本で言えばお好み焼き屋や町の中華料理屋さんのイメージだ。料亭にラーメン・餃子がなくて怒る人はいない。以上が教科書的説明。

結局、スパゲッティはサービスにしてくれて追加料金は取られなかった。こんなところにも、ラビーノは格式張ったところがなくて好感が持てた。

デザート

最後にデザートを食べてお開きに。リストランテと言おうが言うまいが日本で気にする人はそんなにいない。要は美味しく楽しく食べられればそれでいい。
日本人で料亭に行ったことがない人が多いように、イタリア人でもお国でリストランテに行ける人は少数だろう。日本でリーズナブルにリストランテに行けて感激するかもしれない。


リストランテ ラビーノ
東京都港区赤坂4-2-3 ディアシティー赤坂一ツ木館2F
03-3582-6111

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2007年03月19日

[たん良]④(赤坂)

今シーズンのスッポンもそろそろ終わり、春の献立も楽しい


先日京都の「たんたか」に行ったのにスッポンの丸なべを食べ損なった。もうじきスッポンもシーズンが終わるので、たん良に行くことにした。
店に入りカウンターに座るや否やたんたかの名を出した。大将、女将さんと共に大いに盛り上がった。待ち合わせのお客様が来るまでビールを頼むのすら忘れていた。

お通し、お造り

お造りはかつお、たい、ぐじ(甘鯛)。かつおは8キロもある大型のもの。銀髪にとっては初がつおだ。「たんたかでヨコワガツオというのが出たけれど、メジマグロだと思った」と言ったら大将は「そのとおりです」と言う。たんたかでは言下に否定されたが、京都人はメジマグロの名称に馴染みがないらしく、銀髪の言ったのが正しかったのだ。我が舌を自画自賛。

鯛の皮、もろこ

鯛の皮焼きはいつもながらピンと張って美しい。くるまらずにせんべいのように焼けるのが本当に不思議だ。
もろこは子持ち。腹にはパンパンに卵が詰まっていた。

みぞれ蒸し、蛤

吉野煮に良く似ているが、蛤、あさり、聖護院蕪などが入り、吉野葛でとろみをつけることはない。立派な蛤で実に美味い。この他に定番の蕪蒸しや鮒寿司を食べて、最期はお目当てのスッポンの丸なべ。

まる鍋

「いつまでやるんですか?」と聞いたら、「4月一杯まで出来ると思います」との返事。スッポンの終了日を決めるのは服部さんとのこと。どこの服部さんかというと浜松の服部中村養鼈(べつ)場のことで静岡県浜松市舞阪町で103年の養鼈の歴史を誇る。化学飼料、化学物質は一切使用せず、3年4年と冬眠を重ねてじっくり育てるそうだ。
ここが各料亭などへの供給時期や供給量を決める。年中供給されるのは京都のスッポン専門店「大市」だけ。この店は元禄年間に創業以来330年、スッポンのみを扱っている老舗中の老舗。京都百味會http://www.digistyle-kyoto.com/hyakumikai/hyakumikai.htmにも名を連ねている。

多分、今冬最後のまる鍋を楽しんで、京都の料理屋の情報も仕入れた。相変わらずの楽しい会話と確かな料理。いつ来ても満足するたん良であった。


たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914


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2007年03月18日

ミネラルウォーター

水道水は飲めなくなっちゃったの?


現職の大臣が「いま水道水を飲んでいる人、ほとんどいないんじゃないですかね」と言って問題になっている。まあ、軽率な発言であることは間違いないが、水道水を飲む人が減ってきたのは事実だろう。
「日本人は水と安全はただだと思っている」とは誰が言ったか知らないが、殆ど死語になりつつある。

約30年前にアメリカのグランドキャニオンのモーテルに泊まった。蛇口からは茶色の水が出てきた。飲料水は1階のレストランにあると張り紙がしてあったので取りに行ったらやはり茶色の水をくれた。多分煮沸したものだったのだろうが、結局喉が渇いたらビールを飲んだ。

オーストラリア・メルボルンの水道水は飲める。しかし、同じ水でYシャツなど白いものを何度か洗うと段々茶色がかってくる。一見したところ透明に見えるが、粒子の細かい土が溶け込んでいるのである。

東南アジアなどを旅行すると氷に注意するように言われる。水道水を避けたつもりが氷に細菌が潜んでいるため結局のところお腹を壊すことになる。香港で会社の仲間が深刻な下痢症状に苦しんだ。格安の中華料理屋で刺身を食べたためだ。魚を洗った水に問題があったようだ。

南米のコロンビアに行ったとき、コーラを頼んだら氷が入ってこなかった。水が悪いので氷もミネラルウォーターで作っていたのだろう。無料で氷は入れてくれないのだ。

ヨーロッパの水は硬水のため飲料には向かないと言われる。ホテルでお茶を飲もうとして電気湯沸かし器の中を覗いたら加熱棒に何か付着してバッチイので止めたことがある。ごみだと思ったが、カルシウムやマグネシウムの結晶が付着したものらしい。

このように海外に行ったら日本の水をありがたいと思える。銀髪が子供の頃に、学校の蛇口は上向きに変えることができるものが増えて、水を飲みやすくなった。今でも子供たちは水道水をそのまま飲んでいるのだろうか。それとも、お母さんに水道水を飲んではいけないと言われて躊躇する子がいるのだろうか。

ミネラルウォーターを初めて意識したのは大学生になり、飲み屋でウイスキーの水割りを飲んだときだろう。我々が行くような店は、栓が開けられて出てくることが多く中身は水道水だったに違いない。今でも店によっては、疑わしいシーンを見かけることがある。

ミネラルウォーターはペットボトルの登場で一気に普及した。日本人1人当たりの消費量は1986年に0.7リットルだったのが、2005年には14.4リットルに拡大した。それでもアメリカの80.6リットル、フランスの156.2リットルよりはるかに少ない。

一時期浄水器が流行してすっかり定着したと思うが、最近ではペットボトル入りのミネラルウォーターに押され気味の感がある。名古屋のクラブの女性は炊飯はもちろん料理すべてにミネラルウォーターを使うと言っていたが、大半の人は料理に水道水をそのまま使っているだろう。

ホテルの洗面所に「飲料水」の蛇口が別にあるところでも、ついつい冷蔵庫のミネラルウォーターを飲んでしまう。ところがレストランや何かで普通に水道水を出されていても気にする人は少ない。

それにしても軽率な大臣に向かって、「ミネラルウォーターを買えない貧しい人に失礼だ」と言った人がいるらしいが、これも随分と失礼な発言だと思う。

ミネラルウォーターの消費量は今後も増えるに違いない。ビールの酒税が低い国ではミネラルウォーターの方が高い。貧しい銀髪は水道水に回帰しようかな?

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2007年03月17日

ロンリコ

二日酔いの思い出


毎日深酒をしているので毎日が二日酔いのようなものであるが、記憶にある限り酷い二日酔いが3回ある。豊橋の焼き鳥屋でおじさんと冷酒を飲んだとき、メルボルンで三和銀行(現三菱UFJ銀行)のシドニー店長とマティーニの飲み合戦をしたとき、そして大学時代の友人とロンリコを初体験したときだ。いずれも朝起きたとき立てないぐらいにこたえた。

冷酒とマティーニのときは完全に飲み比べにはまったものだ。たくさん飲めたって偉くも何ともないのだが、ついつい対抗してしまうのが間違いの元。ロンリコのときはアルコールの高さを見誤った。友達の行きつけのショットバーでのプレゼンテーションは衝撃的だった。ロンリコの液体をカウンターにスーッと流してマッチの火を近づけると、炎が一瞬立ち上がりすぐに消えた。

ロンリコはプエルトリコ産のホワイトラム。樽で熟成されて琥珀色になったダークラムと異なり、主にカクテルなどに使われる。アルコール度は75.5度。ウイスキーなどが40度前後のことを考えれば異常にアルコール度が高い。液体に火がつくはずである。

これを口に含むと焼けるような、痛いような強烈な刺激が襲ってきた。ところがすぐに慣れてしまうから酒飲みの順応性には驚かされる。これをガバガバ飲んでしまう怖いもの知らずが翌日の悲惨な二日酔いへと導いていった。

悲惨ではあるが、あまりに楽しい経験だったので後日ロンリコを置いている店を探し出し、お土産として赴任地の顧客に持って帰った。大金持ちだが家庭不和に悩んでいる孤独な医者で、銀髪は度々自宅に呼びつけられた。渋ると銀髪の会社の商品を買ってやるからと口説かれる。訪問したら商品の説明も聞かず酒盛りとなり、本人が眠くなるまで愚痴を聞かされたものだ。

アル中と言ってもおかしくないその顧客はロンリコを大いに気に入ってくれた。しばらくして、電話がかかってきた。ロンリコがなくなったので新しいものを買ってきて欲しいと言う。てっきりその客が飲んでしまったのかと思ったら、飲み干したのは客の老母。寝酒にもってこいとのことで、さすがにカエルの親もカエル。

原料のサトウキビの甘さが加わっているのか、アルコール度数が高いせいか、ロンリコは甘く芳しく感じてもらったのかもしれない。量を飲まなければ、寝酒にぴったりかもしれない。

早速新たに購入して贈った。お金持ちのお客様に我が社の商品をさらに買ってもらったことは言うまでもない。二日酔いで死ぬ思いをしても、銀髪はただでは転ばないのだ。

日本橋・風長閑で久しぶりにロンリコを飲んだ。毎日ストレートでウイスキー、ブランデー、スピリッツを飲んでいるせいか、記憶とはかなり違って飲みやすかった。それがいいことか、悪いことか良く分からないけれど…

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2007年03月16日

[華味鳥]②(銀座)

前回撮り損ね、食べ損ねたものを取り返しに行った。


一番安い味コース5,500円で充分なのだが、前回食べなかった料理を2品と鳥の刺身盛合わせを追加した。前回の反省を踏まえてそれぞれ一皿ずつ。コースに軟骨の唐揚げがついて来るので揚げ物の追加は止めた。ねずみでも学習する。

付け出し、前菜2種

付け出しは鳥皮の湯引き。前菜は鳥の煮付けに春らしく菜の花が添えられている。もう一品は鳥ひき肉の煮物。

親鳥ももの炙り焼き、博多しぎ焼き

ササミを丸ごと焼いたしぎ焼きがなかなか良かった。表面だけさっと焼いてあるが、中は生なので叩き風。身が柔らかくてお値打ちの450円だ。
お刺身は前回の記事をご覧いただきたい。

さて鍋に入る肉は正肉とレバー、ハツ、つくねなど。あらためていい肉を使っていると思う。レバーなどはふっくらとして柔らかく、煮込んでもパサパサにならない。いつ来ても納得の味だ。

今日は前回の学習が効いて、全部食べ尽くせるだろうと思ったのだがみんなの箸の動きは段々と遅くなっていく。特に酷いのがKで、昨日行ったオサミデヴァンなどでの酒のダメージが消えないのか1杯のビールをやっと飲み、少ししか食べようとしない。

60代のSさんはもともと量を食べないし、他は女性2人となると銀髪が頑張るしかない。結局野菜は半分くらい余ってしまった。若い独身女性のために、仲居さんに盛んに持ち帰りをお願いしたがあっさり却下されてしまった。

鍋の中身もまだ結構残っているが、泣く泣く鍋から出してもらい雑炊に移った。中年の仲居さんが作ってくれたが、つくねを練りいれたときと同様に雑炊も下手くそだった。火を止めるのが早すぎて卵かけ雑炊になってしまった。前回調理してくれた若い娘は見事だったので、負けないようにしっかり勉強しないとね。

それにしても残してもったいなかった。最大の戦犯はKだ。飲み過ぎで翌日グロッキーになることが多い。まったくねずみだって学習するのに何て奴だ。いつも酒を控えるように言っているのに。

その台詞をそのまま銀髪に返すとKは言うけれど、銀髪はたくさん食べて生ビール2杯に冷酒2合飲んだもんね。Kはこの後そそくさと家に帰ってしまったが、銀髪はさらに2軒梯子した。まあ、自慢できる話ではないけれど…

華味鳥
東京都中央区銀座8-8-11 銀座博品館5階
03-3569-1621
http://www.hakatahanamidori.co.jp

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2007年03月15日

[オザミデヴァン](銀座)

男3人、勝手に気ままにやらせてもらった


ヴァンピックルの「銀座店」「丸の内店」には何度も行った。ワイン好きのお客さんをどこにお連れしようか散々迷った挙句、選んだのは系列のオザミデヴァンだった。待ち合わせの時間に少し遅れて店に入ってきたお客さんが座るなり、「ワインのお友達へ、とはいい店ですね」と笑顔で話した。さすがフランス通、店名がそんな意味とはまったく知らなかった。

店の雰囲気はあまり気取ったところがなくて気に入った。しかし周りはカップルか女性だけのグループ。中年3人組はちょっと場を壊している感じだが、おやじらしくガチャガチャ取り分けて食べることを店の人に許してもらった。料理を選ぶのはもちろん銀髪でお客様の意見すら聞かない。

サヨリのマリネ、パテ、ソーセージ

「サヨリのマリネ緑コショウ風味 春野菜と一緒に」「吉田豚の自家製ハムとフォアグラのパセリ風味」「豚耳のソーセージ仕立て レンズ豆のサラダ添え」各1,680円。特にソーセージが良かった。

ワインリストを見て驚いた。リーズナブルなものから高級ワインまで豊富な品揃えだ。白と赤を1本ずつオーダーすることにしたが、どれにするかはお客様も黙っていない。もう1人は銀髪の部下Kで、フランス在住6年の経験があるため結構うるさい。銀髪だってオーストラリアで7年半の経験があり、議論に割って入る。これを店のソムリエがうまくさばく。さすがの腕前に感心した。

最終的にはお客様とソムリエの意見を尊重しててワインを決定し、Kがテイスティングする。空気に慣れさせるため赤も同時に味見した。


メインは鴨を一羽頼んだ。一度ローストしたものを2種類の料理にして持ってきてくれる。7,350円と一番高い料理だが3人で食べるのだから悪くない。大いに満足した。

それにしても皆よく飲む。既に3本目のワインに入っており、肴としてチーズを頼んだ。これも豊富な品揃えだ。ついでにどうしても食べたかったフォアグラのポワレを追加した。

チーズ各種、フォアグラ

上品にコース料理を銘々で食べている他の客には申し訳ないが、我々3人が一番楽しんでいるのは間違いない。3本目も空けて次はグラッパかカルバドスかなんて言い出したところでお開きにすることにした。
ヴァンピックル銀座店同様にこの店も店長は女性。石井店長たちに見送られて店を出た。

それから千鳥足の3人は「MORI BAR」になだれ込んでドライマティーニやラム(ハバナクラブ)を飲み、更に店を替えてヘネシーのXOをがぶ飲みして家路についた。

まったく燃費の悪い奴らだ。酒がもったいない。


オザミデヴァン
東京都中央区銀座2-5-6 P.Vビル
03-3567-4120
http://auxamis.com/

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2007年03月14日

[漁亭](新橋)

素晴らしい店が新橋にあると言われて行った。


店の名前を聞いて、おおよその想像はできた。料亭ではなく、同じ読みで漁亭と書くにはそれなりの意味がある。気楽な居酒屋よりもちょっと上の料理を出す店と思えば分かりやすい。料亭ほどではないが負けないぞという心意気や洒落っ気が感じられる。
目を見張るような料理がないかわりに、驚くほど高くもない。メニューは豊富で目刺しからふぐまで何でもござれである。

10人の男たちが次から次に頼んだものを見てもらおう。





これだけ人がいると、いろんな料理を試食できる反面、行き当たらなくて文句を言う連中も出てくる。女性がいない飲み会は楽しいやら味気ないやら。もっともこんな宴会に呼ばれたら女性は面白くないかもしれない。
いや、最近はオヤジよりオヤジっぽい若い女性が増えたので、とっても喜ばれるかもしれない。

たくさん食べて、飲んで、1人約6,000円は評価されるだろう。特に珍しい素材や料理がないのが銀髪にとってはちょっと寂しいが、懐が悲鳴を上げることはなかったので、まずは良かったということになる。

季節料理 漁亭
東京都港区新橋2-11-4
03-3591-3321

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2007年03月13日

[だぼ鯊]③(日本橋)

旬を味わうなら天ぷらがいい


だぼ鯊は久しぶりの登場だ。春に旬を味わうなら野菜が美味い天ぷら屋がいい。新規開拓をしようかと悩んだが、テーマが決まっているので気心の知れた所に行くことにした。我侭も許してくれるに違いない。

予約もなしに飛び込んだら幸いなことにカウンターにはカップルが一組。ラッキーと思ったのも束の間、入り口左と奥の小上がりが埋まっていて大将は大忙しだった。
まあ、急ぐ旅でもないので鷹揚に構えて料理が出てくるのを待った。

いか、自家製豆腐、ホタルイカ

しばらく来ない間に自家製豆腐がメニューに加わった。ホタルイカは富山産が出回り始め、スーパーでもよく目にするようになった。春を告げる代表選手だ。

白魚、ふきのとう、たらの芽、アオリイカ

旬にこだわると言ったので宍道湖産の白魚とふきのとうの天ぷら。たらの芽とアオリイカの天ぷらを出してくれた。イカは夏にスミイカの子「新イカ」が出てくるまではアオリイカが使われる。

「海老は旬があるのですか?」と聞いたら、天然物は6月~8月とのこと。養殖でもっとも成功したしたのが海老というのが大将の意見で、おかげで海老に季節感がなくなった。「今日は海老はいいよ」と言ったのに、海老を手にしたのでどうするかと思ったら特別料理の姿揚げにしてくれた。

海老の姿揚げ、みつば

頭に近い前足は歩くため、腹の足は泳ぐため、にあるそうだが、柔らかい足が取れないように剥くのは根気のいる作業だ。ミソが油に流れ出る可能性もあり、油が汚れるので姿揚げは滅多にやらないとのこと。頭から殻ごと食べる海老の美味いの何のって。

姫忍辱、貝柱、ホタルイカ

忍辱とは耐え忍ぶという意味の仏教用語で「にんにく」と読む。洒落てつけた名前のようだ。ニンニクを剥いて一片ずつ植えなおして芽が出たものが姫忍辱で、天ぷらにすると香ばしい。青柳の貝柱、ホタルイカは揚げて温まると味も濃厚に感じる。

今回は定番のキス、メゴチ、穴子などは食べず、春に徹した。料理屋は常連になるに限るが、また明日から新規開拓の旅だ。あーしんど。

だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533

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2007年03月12日

[まそほ](京都)

京都最後の夜は京都駅前で


1泊2日の京都出張で、4時前に仕事を終えた。せっかくの京都をこのまま去るのは惜しいので夕食を済ませて帰ることにした。四条界隈を散策したが、京都不案内のよそ者2人ではどうにも決まらない。鯖寿司を看板料理と謳う店に一度は入ろうとしたが、決心がつかなかった。結局、観光客らしく京都駅前に行くことにした。

タクシーの運転手はホテルやデパートにある店を盛んに奨めるのだが気が乗らない。駅前の旅館の裏手の道を歩くと、意外に良さそうな店が点在していた。もっとも雰囲気がある「まそほ」に入ることにした。京のおばんざいと干物の店というのが気に入った。

店内は薄暗く、各テーブルには炭焼き用の陶器が置いてある。残念ながらメニューにおばんざいは6種類しかない。

鶏じゃが、牛すじ大根煮

干物と野菜

干物はえぼだい、いさき、さんまの3種類を選んだ。いずれも熊野で獲れた魚なのが気に入った。いさぎはたぶんいさきのことだろう。部下は今日のおすすめの欄に載っている金目鯛を食べたいと言うが、場の読めない奴だ。長崎は遠すぎるので即座に却下した。

部下が京都らしい生麩を選んだのは評価できる。野菜はお任せにした銀髪のミス。カボチャとサツマイモが半分以上を占めている。食べることが出来ないわけではないが、基本的に甘いものが嫌いな銀髪にとっては気に入らない。好き嫌いを聞いてくれなかった店側に八