歌手ではない、犬のスピッツである
皆美で鯛めしを食べながら、昔はよくご飯に味噌汁をかけて食べていたという話になった。
特に誰かに行儀が悪いと注意されたからではない。いつから、どうしてぶっ掛けご飯をしなくなったのか不思議なことにまったく記憶がないのである。
味噌汁のぶっ掛けご飯というと、昔はペットの餌の定番だった。我が家の愛犬はロビンフッドから名前をもらい、ロビンと名づけられた。ロビンはスピッツという犬種で、キャンキャンよく吠えたが意外と賢かった。ぶっ掛けご飯が餌のときは、餌の入った洗面器に下駄を被せて母の怒りを買ったものだ。
最近は昭和30年代を描いた物語が人気だが、その時代の各家庭を描く際に忘れてならないのがスピッツである。名前からして外来種かと思っていたが、日本原産である。スピッツとはドイツ語で「鋭利な、尖った」という意味があり、耳がツンと立っているので名づけられたとのこと。
白い小型犬の可愛い容姿に反して、キャンキャンとうるさく吠えるのが番犬にうってつけということもあり、爆発的な人気を博した。我が家のスピッツもロビンという勇者の名前をつけられて鼻高々だった(かもしれない)。
最近では他の小型犬に取って代わられてしまって、スピッツを飼っているという話はまったく聞かない。実際、90年代前半には全国で1,000頭を切ったというから絶滅危惧種に指定されてもおかしくなかった。おしゃべりな相手に対して「スピッツみたいだ」と罵る言葉も死語になってしまった。
日本スピッツ協会なるものがあって、スピッツをうるさく吠えないように品種改良をして、人気回復をはかっているそうだ。吠えたから人気があったのに皮肉な話だ。
昔のスピッツは庭の犬小屋で寂しく震えていたが、最近は他の小型犬同様に主人のベッドで足を広げて寝るようになったのだろうか。もちろん味噌汁のぶっ掛けご飯など食べることはないだろう。
かくして、味噌汁のぶっ掛けご飯はペットも食べない人間固有の食べ物になってしまった。ロビンが生きていたらさぞかし喜んだろうに。
投稿者 銀髪 : 2007年04月21日 05:37
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