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2007年07月31日
[銀座アスター 日本橋濱館](日本橋)
女性たちとランチ

出産が間近に迫ってスタッフが退社することになったので送別会を開いた。身重なので夜に酒を飲んでドンちゃん騒ぎをするわけにはいかない。お腹の子の数倍の体重を得て、食事の量を自重する必要もあるようだ。そんなわけで、軽めのランチでお茶を濁すことになった。
銀座アスターは各人に取り分けてくれるので、女性たちも遠慮なく食べられていい。
前菜、スープ

大好物の干し豆腐があったので大満足。ついついビールを頼んでしまった。一杯だけなら午後の仕事に影響することはないだろう。
冬瓜は不思議なことに夏が旬の野菜。
鱧、鶏肉

このコースを選んだ最大の理由は鱧。京料理の夏の代表的な素材だが、中華でどう料理するか興味があった。梅肉で食べる鱧の落としとは明らかに違い、鱧と言われなければ関心を持つこともなさそうだ。
みんなが驚きの声を上げたのはむしろ鶏肉の皿。人参と思った赤い素材はスイカだった。酢豚のパイナップル論争ではないが、スイカも賛否が分かれた。
ひすい色の冷麺

最後の冷麺は見た目より量があって、しっかり満腹になった。午後の約束の時間が迫ってきたので、デザートの前に退席した。もともとデザートは食べないので、女性たちが分け合って食べてくれればいい。
それにしても昼の会食は欲求不満が残る。美味い食事には美味い酒が必須だが、ビールをコップ一杯ではやるせない。昼は酒を飲まなくても済む定食か麺類がちょうどいい。
銀座アスター 日本橋濱館
東京都中央区日本橋3-7-20 DICビルB1
03-3273-8831
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2007年07月30日
[さくらさくら](九段)
靖国神社前にある人気の和食屋さん

東京は広い。繁華街がいくつもあり、それぞれが地方都市のそれより遥かに大きい。それだけでなく大繁華街から外れた場所にもいい店が散在する。そんな店の料金は比較的リーズナブルになるから嬉しい。
さくらさくらの夜のコースは4,830円と8,400円の2種類。見栄を張らずに安い方を選んだ。前菜、お造り、冷し鉢、揚げ物に続くサラダ、主菜、食事は数種類から選ぶことが出来る。
もちろん写真を撮るために相手と違うものを選んだ。
前菜、お造り

前菜は有機野菜を使った酢の物。目の前でガラスの大鉢から盛ってくれる。お造りの器共々プレゼンも見事なものだ。かつお、かんぱち、湯葉、あじ、たこが少しずつ。
ちょっと酢で締めたあじが美味いのに驚いた。カウンターの中の花島料理長に尋ねると、ニッコリして萩産の瀬付きあじと教えてくれた。通常は回遊するあじだが、同じ浅瀬に留まることから瀬付きあじと呼ばれる高級魚だ。脂が乗って素晴らしい。
冷し鉢、揚げ物

夏が旬の冬瓜は、冷やして食べても美味い。夏の野菜なのになぜ冬瓜と言うか、花島さんと話が弾む。揚げ物は野菜中心で重くない。いりこ(煮干)が効いている。
サラダ2種

トマトとチーズのサラダを見て、日本酒からワインに移った。日本酒にもこだわりが見られるが、ワインもいい品揃え。酒は中島支配人の担当のようだ。
メイン2種

萩産ののど黒の若狭焼きとメキシコ産牛のステーキ。のど黒は頭からバリバリ食べた。
食事

焼いた鱧を浮かべた茶漬けと胡麻を練りこんだ手延べうどんを選んだ。
鱧の皮は店でおろしたものかと思ったら、業者から仕入れたとのこと。皮だけ使うわけにはいかないと言う花島さんに、素直に頷いた。それ以上話すと失礼かなと遠慮していたら、すーっと鱧の卵が出てきた。鱧をさばけないわけではない。予約をすれば鱧尽くしが食べられるそうで、肝や卵の珍味を味わえるとのこと。花島さんのプライドに火をつけたようで得をした。
鱧の卵、葛きり

吉祥寺で共に働いた花島料理長と中島支配人がさくらさくらを開いたのは5年前。随所にこだわりが見られる。フロアスタッフの黒の制服は和食屋としては珍しい。花島さん1人で料理しているかと思ったら、奥の調理場に2人居るらしい。
カウンター割烹ではオープンキッチンが一般的だが、カウンターの前の調理場は料理長の舞台だ。
九段近辺は辺鄙な印象が強いが、どこにあってもいい店には人が集まる。そんな当たり前のことを実感できる店だ。
さくらさくら
東京都千代田区九段南2-5-5 イシカワビル九段1F
03-5213-3939
http://www.sakurasakura.co.jp/
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2007年07月29日
ゴルフの食事
ダイエットにゴルフは向かない

オーストラリアでは毎週ゴルフに行った。駐車場で靴を履き替え、折りたたみ式の手牽きカートを組み立てる。ゴルフバッグから2ドル硬貨を取り出して、プロショップで支払う。2ドルはコンペの参加費で、プレーフィーは年会費(約5万円)でまかなうので当日は不要。
ハーフでの待ち時間はないので、昼食は持参のサンドイッチかおにぎり。ホールの間でこれも持参の水筒で流し込む。バナナで済ませる人もいる。
日本では例えば8時スタートだと10時半には昼食となる。コンペだとゲーム後のパーティーで食事をして、家に帰って夕食をとると一日4食になる。電動カートで回るとダイエットどころか確実に体重は増える。アマチュアにとって、ゴルフはオーストラリアではスポーツ、日本では遊戯に近い。
バイキング

ゴルフ場の昼食でもっとも人気があるのがバイキング。いつもは割高な昼食代に不満な人も、バイキングは大歓迎だ。ところがバイキングは食べ過ぎる。ダイエット中の人には悲劇的な結果が待っている。
海老天カレー

散々食べたくせにカレーを見たら我慢できない。天ぷらコーナーから海老天をもらい、海老天カレーと洒落込んだ。大人気ないと分かってはいるが、自分のアイデア料理をみんなに披露してご満悦。感心してくれるが追随する者はなく、腹の底では笑っているかもしれない。
酒であればやけ酒だが、運転があるので酒は我慢して、食べる楽しみしかない。もちろん理由は前半のスコア。優勝の目もなくなった。
アーくそ!やけ食いだ!やけ食いだ!
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2007年07月28日
ローストビーフ 赤坂プリンスホテル
バイキングでローストビーフ

バイキングやパーティーでの主役は昔も今もローストビーフ。牛肉の輸入解禁は1991年だから、それ以前のローストビーフはもちろん和牛。牛肉を食べることは年に数度しかなかった。
すき焼きで肉を奪い合った思い出を持つ人は多いだろう。1978年、就職が内定して会社からご馳走になったのがすき焼き。貧乏学生には美味し過ぎてコロリと懐柔された。入社後は地獄の日々が待っていた。
輸入牛も日本向けの穀物飼育で美味くなり、「わらじのような」という表現もなくなった。もっとも、わらじを食べた人が居たとは思えない。チャップリンは黄金狂時代で靴底を煮て食べたけれど。

赤坂プリンスホテルの昼食バイキングに行った。昼食なので値段が安いが料理の種類も少ない。まずはオードブルなどを数種類食べたが、目玉になるような料理はローストビーフしかない。
ローストビーフ

「オージー・ビーフですか?」と聞いたらちょっと間を置いて頷いた。別に引け目を感じることはない。帝国ホテル、第一ホテル、ホテルニューオータニ、どの一流ホテルもオージービーフを使っている。
1985年からオーストラリアに住んだが、日本からの出張者を必ずローストビーフの店に連れて行った。牛肉に飢えた彼らを喜ばすためだが、量の多さに音を上げるのを笑うためでもあった。銀髪も赴任してすぐに連れて行かれて笑われた。そして教えられたのが、よく焼けた端っこが美味いということだった。
端っこ

塩・胡椒をすり込み、落ちた肉汁を丹念にかけられた外側の肉が一番美味しいところだ。ステーキでは敬遠するウェルダン(well-done)だが、ローストビーフではここが一番いい。オーストラリアでよくしたように、ソースは遠慮してマスタードを持ってきてもらった。ミントのゼリーでもあれば、ホースラディッシュと3種類の味を楽しめ、オーストラリアの思い出に浸れたかもしれない。
和牛のローストビーフの外側(カブリ)を最近では唯一「SHIZUO TOKYO」で食べた。あれは滅茶苦茶美味かったなー。
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2007年07月27日
[レディタン ザ・トトキ](銀座)
カウンターでフランス料理

ザ・トトキは「天ぷらの近藤」「寿司の鰤門」などの有名店が入る並木通りの小さなビルにあった。7階でエレベーターの扉が開くと、店の女性が深々と頭を下げた。今夜の宴がいきなりスタートした驚きと共に、いやが上にも期待が高まった。
ちょっと変わった配置のカウンター席に座り、「Table Check」の札を見つけてショックを受けた。煙草、携帯の下にカメラの絵が描いてある。男性スタッフに確認したが、撮影は駄目だとにべもない。仕方なく料理に専念することにした。
連日の飲み会で体調万全とは言い難い。お腹が空いてないと伝えると、一番安くて軽いコースを基本に他のコースのメインと入れ替えることを奨められた。追加料金が必要だがグッドアイデア だ。柔軟な対応に満足し、お奨めに従うことにした。
前菜は野菜の酢漬け、蛸、キッシュの3品が一つの皿にきれいに盛られたもの。さっきの店員がワインを持って来たときに、「フラッシュなしでもだめですか?」ともう一度尋ねた。聞こえなかったようで無表情のまま去っていった。
次の品は焼いた鱧にウニを乗せ、柑橘系のゼリーが敷かれている。夏らしく、女性が喜びそうな一品である。もう少しで食べ終わる頃にスタッフがやってきた。「写真を撮られてもいいですよ。他のお客様が写らない様にお願いします」と言う。なんだ聞こえてたんじゃないか。有頂天になった。好感度100倍アップだ。ただ、フラッシュは自粛した。高感度カメラでどれだけ撮れるか。
ハムと有機野菜

メインの前に出されたポーチドエッグが下に見える一品は、上品なサラダ仕立て。
うなぎ、ラム

うなぎは島根県高津川の天然うなぎ、ラムは北海道焼尻島の国産物。すべての素材にこだわりがあるというが、看板に偽りなしだ。特にラムは秀逸だった。コンフィ(塩漬けにしたもの)と生肉の2種類の肉を味わうことができる配慮が憎い。
デザート

デザートの評価が出来ない銀髪だけど、これだけ出て来れば女性は喜ぶだろう。9,450円のコースにメインを入れ替えた追加料金が2,000円かかったので、都合11,450円のコースになったが、料理、サービスの水準からするとリーズナブルに思える。
オーナーシェフの十時(トトキ)さんは銀座の老舗レカンの元総料理長。フランス語交じりで4人のコックを指図している。全員の無駄のない動きが見ていて心地いい。残念ながら会話は出来なかったが、入店時と席を立つ時に軽く会釈を交わした。帰り際の微かな笑みを見て、お互いの思いが通じ合ったような気がした。
女性を含む3人のフロアスタッフの誰に尋ねても、料理についての的確な答が返ってくる。サービスも申し分ない。
エレベーターに乗り込んだところで、女性スタッフから傘を受け取った。ドアが閉まるまで深々と頭を下げる。彼女の姿がドアの向こうに消える頃、今宵の宴は心地よい思い出に変わった。
レディタン ザ・トトキ
東京都千代田区銀座5-5-13 坂口ビル7階
03-5568-3511
(ココロハ サイコウイイ)
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2007年07月26日
[センプレ](麹町)
ちょっと面白いイタリア料理屋さん

麹町ダイヤモンドホテルでのミーティングの帰りに一杯飲むことにした。ホテルの中では味気ないので裏手に回るとカウンターのある料理屋があった。今日のお奨めなどを書いた立て看板を見て、気軽にやるならちょうどいい居酒屋と信じ、躊躇なくここに決めた。
店に入ってみるとどうもイメージが違う。店員に「おたくは何屋さん?」と尋ねると、イタリアンですとのこと。あらためて店内を見回すと、成るほどイタリアンらしい。どうして勘違いしたのだろう。

メニューを見て理由が分かった。ホッピーを置いてあるイタリアンは初めてだ。カウンターの先客は外人カップルかと思ったら男同士。外国ならホモと間違えられそうだが、この店の雰囲気なら問題なさそうだ。後ろのテーブルは男女混合の団体予約客。やっぱり居酒屋風だ。
トリッパ、サラダ

トリッパのトマト煮ミラノ風、ブロッコリーとアンチョビの温製サラダのいずれも及第点。「辛い奴」と頼んだら、タバスコではなく自家製のチリオイルが出てきた。アメリカ製のタバスコを邪道と考えている店は、それなりのプライドとこだわりを持っている。若い料理人のイタリアンへの意気込みが見えて好ましい。
イベリコ豚のソテー、マルゲリータ

どちらも大丈夫。自家製チリオイルがピザに合ってワインがすすむ。グラスワインも数種類から選べるので嬉しい。いいイタリア料理屋だと思ったところでデザートへ。
アップルパイ

さっきイタリアンへのこだわりを感心したばかりなのに、お奨めがアメリカンタイプのアップルパイと聞いて拍子抜けした。ホッピーやチュウハイを置いてある店だということを思い出した。主義主張がどこにあるのか再び分からなくなってしまった。
考えたら高級ワインを出し、チーズや生クリームを料理に使う和食店が増えている。それならホッピーや日本酒を置くイタリアンがあってもいい。いっそのこと、徹底して和洋混合のイタリアンを目指したらどうだろか。
「このピザは純米酒に合います」なんて言われたら、きっと楽しいに違いない、かな?
センプレ
東京都千代田区麹町1-8-4 ATIビル1F
03-5213-6250
http://www.sempre-pasta.com
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2007年07月25日
[美國屋](日本橋)
中国語で美国とはアメリカのこと。だから外国人客が多いのかな?

松江の料理屋で会ったカナダ人が持っていた旅行ガイドブックを、紀伊国屋書店で手に入れた。lonely planet は外国人旅行者のバイブル的存在であるらしい。誰がどんな基準で選んだか知らないが、銀座九兵衛のように誰もが知っている名店もあれば、どうして?と思うような店もある。美國屋もlonely planetが推奨する店だ。アメリカとは何の関係もない。

会社からもっとも近い鰻屋だが、今まで一度も入ったことがなかった。広い店かと思ったら、1階にテーブルは2つしかない。我々3人が残りの一つを占めたので、後から来た客は2階、3階に導かれていく。料理は1,800円、2,300円、3,000円の3種類のみ。最高級品はご飯とうなぎの2段重ねで出てきた。

ごはんが熱々で湯気を立てているので、迷わずうなぎをご飯の上に移した。この方が美味しいに決まっている。

美國屋は味が落ちたという評判を聞いたことがあるが、そんなことはない。タレが薄くしかかかってないので、甘さがしつこくなくていい。鰻を食べた後は胃がもたれて辛いことが多く、歳のせいかと思っていたが、美國屋の鰻は自らの老いを感じさせることはなかった。
店員が無愛想との声もあるが、連れが食前に懐から薬を出すと、白髪のお母さん(お婆さん?)が、すかさず水を持ってきてくれた。連れはお母さんを背にしていたために、水が後ろから出てきて驚いていた。
鰻は関東風に蒸されているので崩れやすい。以前書いたことがあるが、連れの2人は読んだ事がないようなので講釈をたれる。
「なぜ関西は腹開き、関東は背開きか知ってるかい?」
「武士が切腹を連想する腹開きを嫌って、関東は背開きになったんですよね」
「武士は関西にだっていただろう?」
「????」
「腹開きだと外側が薄い身となり、蒸すと串から身が外れてしまうからだよ」
銀髪はこの合理的な説を信じているが、lonely Planet を見て美國屋にやってくる外国人にはHARAKIRIを説明してあげよう。外国人観光客にとっては、切腹説の方が面白いに違いない。
美國屋
東京都中央区日本橋2-5-11
03-3271-3928
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2007年07月24日
[禅](新宿)
チェーン店も馬鹿にしたものではない

新宿で一番人気の焼き鳥屋「車屋」に行った。店内を覗くと意外と広いので2人なら潜りこめると思ったら、左の壁際に子供も含めて10人以上が待っている。20分で座れると言われたが信用できず店を出た。「申し訳ありません、またよろしくお願いします」の声が追いかけてきた。またトライしようと思わせるいい心がけだ。
車屋のビルを出て正面に別の焼き鳥屋を発見。躊躇なく階段を下りて店に入るとそこそこいい雰囲気。店内の階段を上がりベランダ風の席に案内された。並んで座って階下を見下ろす。面白い造りの店だ。
お通しは揚げ物と大根おろし。おすすめの一品料理から枝豆、鴨ロースのたたき、パリパリ鳥皮の酢味噌がけを頼む。
鴨ロース、パリパリ鳥皮

鴨ロースのたたきを食べて店の選択に誤りがなかったことを確信した。あらためてメニューを見ると焼き鳥の値段はちょっと高めだ。
砂肝、ぺた、みちほる

きっと大き目の串だと想像していたが、普通の大きさの串が出てきて拍子抜けした。ところがぺた(ぼんちり)を食べて連れが歓声を上げた。前にも食べさせたことがあるぼんちりだが、初体験だと言い張る。確かにあまり脂ぎってはいないので、前に食べたものとはものが違う。割高感が消えた。
みちほるは卵巣の中の卵とその周辺の身。卵を割って肉をつけて食べる。
ぶつ、つくね、すきみ、レバー

次に出てきた皿は、値段に見合う大きさで割高感はさらに小さくなった。ぶつ(もも肉)はとても柔らかくて美味い。すきみ(首)もいい。レバーも驚くほど大きくて立派なものだ。
帰り際に店のおばさんに「美味しかったですよ」と声をかけた。鶏は福島産紅ふじ鶏と自慢気に応える。車屋に入れなくて、良かったかもしれないと思った。
家に帰って調べたら、禅は都内に9店舗あるチェーン店だと知った。焼き鳥といっても、こだわりの頑固一徹オヤジの店だけがいいわけではないようだ。京橋の「栄一」では職人気質に付き合うのに心底疲れた。
老舗か新興かは関係ない。美味しいものを気持ちよく食べさせてあげたいと思う心が最高のおもてなしとなり、受ける側は至福の時を堪能し感謝する。
料理だけでなく、すべてに通じるものが心・愛情なのかもしれない。
やき龍 禅
東京都新宿区3-25-10 富山ビルB1
03-5312-2966
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2007年07月23日
[銀座とよだ](銀座)
カウンター割烹で食べる美しい料理

とよだは中高年層向けのグルメ雑誌で度々紹介されている。若い岡本料理長の丁寧な仕事ぶりが評判のようだ。1日前にダメ元で電話をしたら、運良く予約が取れた。電話の向こうの女性の応対も気持ちがいい。
並木通り沿いのビルの2階、小さなドアの先は意外と広い。入って右手と左手のカウンターの後ろにテーブル席がある。テーブル間がゆったりとしていて寛げる。我々はもちろんカウンターへ。
岡本さんと料理談義を楽しんでいる間に付け出しの準備が出来上がった。
付け出し、太刀魚の寿司

付け出しは冬瓜饅頭の上に蒸し鮑、ウニを乗せ、海老を添えてある。いきなり主役級の役者が登場したみたいだ。
寿司で一息つくところだが、焼き目を入れた太刀魚がふくよかで箸休めの域を超えている。身の厚さからかなりいい型の太刀魚だと分かる。
椀物、お造り

椀の中の鱧には桃が添えられている。デザートとして出てきたら残してしまうところだが、意外なことに甘さが口に残らない。それにしても吸い物にした鱧は美味い。
鮪、真子鰈、アオリイカのお造り。鮪は添えられた昆布と共に食べるように奨められた。独特の味わいで口の中に旨みが残る。
鮎の一夜干し、鴨

酒盗などを混ぜた醤油を塗って干された鮎はとても香ばしい。背骨は鮎の下に隠れているが、しっかり焼かれて骨せんべいのようだ。鮎は調理場の右奥のシンクのようなところに吊られているのが見える。
鴨は蔵王の野鴨とのことだが、野生の鴨にしては身が柔らかい。かも茄子が添えられてかも尽くしと洒落ている。
鱧焼き、鯨のさえずり

素材に関する質問を岡本さんはすべて淀みなく説明してくれる。料理は素材と語りながら完成していくようで、どれも何かしらのこだわりがある。湯引きより焼きがいいと意見が合ったら鱧焼きが、そっと皿に乗せられた。
鯨の話題で盛り上ると、コースの終わり頃に何と鯨のさえずりが出てきた。よく煮込まれた逸品だ。こんな美味しいさえずりは初めて食べた。さっきまでいい鯨が手に入らないと嘆いていたはずだが…
蛸めし、デザート(黒糖の水羊羹と果物)

羽釜がデンと出てきて感激した。佐島の蛸がタップリ入った蛸めしが不味かろうはずがない。お代わりをしてしまった。
満足して勘定を頼んでいると、オーナーのとよださんが挨拶に来てくれた。当然、豊田と書くと思っていたら樋田さん。先祖代々、生まれたときからこだわりが身についているようだ。樋田さん、岡本さん共に子供が居ないので店が子供のように可愛いと言う。
今日は15,000円のコース。酒を飲むだけでなく、しっかり料理を味わってもらいたいとの思いから、コース料理のみの提供にこだわっているそうだ。通常はコース料理を回避する銀髪だが、一度はコースを試すべきと考え直した。信頼できる料理人であることが、重要なポイントではあるけれど。
銀座 とよだ
東京都中央区銀座7-5-4 ラヴィアーレ銀座ビル2階
03-5568-5822
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2007年07月22日
[パスタ・デ・ココ](新橋)
あんかけスパゲッティを東京で

以前、中京地区で人気のあんかけスパゲッティを紹介した。PEAKさんから神田駅南口の「ほう芽」という店があると教えられた。いつか行こうと思っていたら、西新橋でパスタ・デ・ココを見つけた。

パスタ・デ・ココはカレーハウスCOCO壱番屋の新業態の店である。COCO壱番屋は全国に1,000店以上あり、東京証券取引所にも上場しているので知らない人はいないかもしれないが、何故あんかけスパゲティの店を開くか不思議に思う人が多いだろう。COCO壱番屋は愛知県西枇杷島1号店から出発した。以後、辛さやご飯の量を数段階選べるシステムがウケて急成長した。本社は愛知県一宮だから、あんかけスパゲッティを始めたのは自然な流れかもしれない。
パスタ・デ・ココの東京進出1号店は外堀通り西新橋1丁目交差点を愛宕方面に曲がって郵便局の裏手にある小さな店だ。丸4年経っても東京での店舗展開は進んでいないので不人気かと思ったが、12時前に満席になり待ち客も出てきた。
メニュー

メニューもろくに見ないで「おすすめです」となっているミラカンを注文したら、「量はどうしますか」「辛さはどうしますか」と質問された。カレー屋成長のシステムはスパゲッティにも活かされているようだ。量は普通、辛さは3段階の一番辛いものを選んだ。隣の先客に運ばれたものが巨大だったのでビビッたが、多分2段階上の2L。
ミラカン

目の前の箸立てに紙エプロンが入っていたので、首からかけて料理を待とうとしたら先客に睨まれた。彼は目をそらすとエプロンを取り自分の首にかけた。堂々としていたので常連さんと思っていたが、どうやら初めてらしい。そういえば何度もタバスコをかけて味の調整をしていた。量も想像以上だったに違いない。
当方の皿は胡椒が効いて期待通りのものだった。タバスコで辛さを調節するよりはるかにいい。量も適量。トッピングに揚げ物がないのが残念だが、調理場に制約があるのかもしれない。麺は一般的なパスタ(1.6㎜)より極太の2.2㎜のもの。もちろんちょっと茹で過ぎがちょうどよく、とろみのあるソースに良く合う。
弾力のある極太スパゲッティが複雑に絡み合い、あんかけソースが麺にへばりついている。ソースが飛び散らないように慎重に食べた。上手に食べたのでエプロンの必要はなかったと自画自賛したが、よく見たら一箇所ソースが飛んでいた。エプロンは嬉しい気遣いである。
あらためてメニューを見ると標準価格のM(300g)は9段階の下から3番目。多分L(400g)や2L(500g)を選ばせるために上の4つ(600g以上)があるに違いない。見事に陰謀にはまってまだ食べている先客を残して店を出た。
COCO壱番屋の急成長の秘密が少し分かった気がした。
パスタ・デ・ココ
東京都港区西新橋1-23-9
03-5512-8677
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2007年07月21日
[恵み屋 & だんさいか](京橋)
健康のために十割そばを食べよう
30年近く前、上司のお宅で年始パーティーが催された。散々ご馳走になって飲んだくれた締めに蕎麦が振る舞われた。山梨出身の上司は長野出身の部下に信州そばとどちらが美味いか尋ねた。部下は信州そばの自慢をして、今まさに食べているそばを散々けなした。苦笑しながら上司が言った。「そのそばは俺がうったんだけどな…」
食通の上司がうったそばは混ぜ物なしの十割そばだったが、つなぎがないため茹で上がりはブチブチに千切れていた。十割そばをうつ難しさを痛感すると共に、自分が長野出身ではなかったことを喜んだ。質問されたら同じようにけなしただろう。
それ以来、十割そばと聞くと、単純に感心してしまう。十割そばを出す店は少ないはずだが京橋界隈に固まっているのに驚く。
山形田

以前紹介したことがある「山形田」は立ち食い風ではあるが、椅子に座って食べることが出来る。
恵み屋

中央通りを日本橋方面から歩き、高速道路沿いを右に曲がると飲食店が並ぶ小路がある。行列が出来ている店が恵み屋かと思ったら、ラーメン屋だった。ちょっと拍子抜けしたが、入ってみると中に5~6人が並んでいた。中で食べている人数を加え、回転時間を考慮すると、ラーメン屋よりも数倍の人気店なのが分かる。
だんさいか

恵み屋のはす向かいにあるのがだんさいか。こちらは店内が広く、酒の肴も豊富なので蕎麦屋と言うより居酒屋のイメージに近い。
本音を言うと、そばの味はよく分からない。十割そばが二八そばより美味しいかどうか分からない。手打ちがいいのかどうかも分からない。恵み屋では製麺機から茹で釜に直接そばが押し出されているのが見える。
十割そばに惹かれるキーワードは健康。知人は昼食を毎日盛りそばだけにして、10kg以上の減量に成功した。そばには毛細血管を強化し、心臓病や高血圧などの予防にも役立つという。毎日立ち食いそばで済ませている人を貧乏臭いと思っていたが、十割そばの立ち食いとなれば価格以外の理由で通う人がいるに違いない。
製麺機のお陰で薄利多売も可能なのだろう。寿司ロボットのお陰で江戸前寿司は庶民の食べ物になった。製麺機のお陰で子供たちが「やっぱり蕎麦は十割だね」と物知り顔に言う日も近いかもしれない。
恵み屋
東京都中央区京橋3-4-3
03-3272-8616
だんさいか
東京都中央区京橋3-3-13
03-3231-3691
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2007年07月20日
[神楽坂飯店](神楽坂)
神に導かれるままに

以前、「姿」に行った帰りに、Yさんに神楽坂を案内してもらった。最後に導かれた店が神楽坂飯店だった。外から写真を撮って、近いうちに来ようと思ったまま時が過ぎていった。
金曜日の夕方、予約もしないで神楽坂に行った。毘沙門天前で車を降りて左の小路を下っていった。雰囲気のある割烹、気楽な感じの居酒屋、流行りのイタリアンなどを品定めして毘沙門天に戻り、今度は反対の小路を歩いた。お腹が空いてきたので、良さそうな店に入った。案の定断られてしまったが、これは予想通り。次に入ったらまた断られた。
外から覗いてイタリアンに空席を見つけたが、和食にこだわった。これまでより少し落ちると思いながら和食の店に入ったらまた断られた。少し焦る。数店、同じことを繰り返し、洋食でもいいやと入ったがこれも断られた。選り好みをしている間にどこも空席が消えていった。暑さと疲れでどうでもよくなって、ガラガラの蕎麦屋に入ったら、まだ8時前なのにもうすぐ閉店だからと断られた。
ウェンディーズに入ろうかと笑う連れを制して、最後の望みにすがった。神楽坂飯店である。店のディスプレイにデンと座るチャレンジメニューの餃子を見ながらドアを開けた。

30分以上も歩かされたにもかかわらず、いつも冷静を装う銀髪が汗だくになるのを同行したKは楽しんでいた。壁に貼られたたくさんの色紙に目を向けさせて、しきりに有名店であることを強調する。「チャレンジで有名な店だけど、味も悪くないよ」とのYさんの言葉を引用して、言い訳に終始する銀髪だった。
シュウマイ、餃子

Yさんの言ったとおり、悪くない。Kも美味しいと言ってくれる。「お腹が空いたので何でも美味しい」と皮肉交じりであるが、気に入っているようだ。ようやくクーラーで一方の汗は消え、Kの笑顔で冷や汗もなくなった。
レバーの唐揚げ、チャーハン

嫌がるかと思ったレバーだったが、臭みもなく好評だった。辛い味噌だれがいいようだ。チャレンジメニューは一升チャーハンだが、これはもちろん普通のもの。刻んだ焼き豚が香ばしい。
結局、神に導かれるように神楽坂飯店に行くことになった。訳の分からない店に入れてもらえるよりよっぽど良かった。それにしてもどの店も若い女性で溢れている。中年夫婦もいる。親父たちはひっそりと行きつけの店で飲んだくれている。
銀髪もガイドブック片手の人たちと五十歩百歩だから言う資格がないのは分かっているが、それにしても今の神楽坂は異常だ。
神楽坂飯店
東京都新宿区神楽坂1-14
03-3260-1402
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2007年07月19日
[かんだ光壽](神田)
神田・御茶ノ水総合ランキングトップのお店

兄がご馳走してくれると言う。しかも美女2人を引き連れてとなると胸が高鳴った。口コミサイトの食べログで検索してみると、かんだ光壽は何と神田・御茶ノ水総合ランキングトップである。商業サイトと異なり、口コミサイトのランキング上位は価格とのバランスが重要視される。兄の好み通りの店のようだ。
6時前に到着したら店の中は薄暗い。「予約したはずだが…」と不安顔で兄は扉の向こうに消えた。数十秒後に戻って来て招き入れる兄の顔はいつもの余裕のある表情。開店時間が過ぎても灯りは強くならず、酒蔵の雰囲気を醸し出している。
お通し

立派なお通しセットが出てきて美女たちが感激する。メニューにある1,280円のものだろうか。兄が得意気なのでこちらとしては面白くない。とうもろこしが生か茹でてあるか論争を仕掛けるが、生を主張した兄の勝ち。ちょっとむかつく。
クリームチーズの味噌漬け、豆腐のみそ漬け、あじのなめろう

各種味噌漬けが自慢のようだ。日本酒に合う料理が多いので、これは日本酒を飲まなければいけない。店員に「純米酒」と言うと兄が「常温で」と被せる。「酒屋との約束で、全て冷蔵庫で保管してますから常温は無理です」と言われて兄が折れる。鮮度が大事な日本酒を冷蔵保管するのは常識だよ、お兄ちゃん。なかなか信頼できる店だ。
じゃがいもの塩辛、千葉産白貝の網焼き、鮭とば

本ししゃも、白鯖河豚の唐揚げ、穴子の一夜干し

ししゃもはちょっと貧弱だ。値段を見れば無理もない。穴子を食べて兄がパリパリして美味いと褒める。穴子の一夜干しは初体験なので頼んだが、銀髪が食べたところはパリパリなんかしていない。お兄ちゃんも還暦前にもうろくしたのかと思ったが、傷つけたくないので黙っていた。優しい兄と美女たちのおかげで最後の一枚を食べてみたら兄の言ったとおり皮がパリパリ。残り物に福ありだった。
居酒屋メニューとしては異質の料理がガーリックトースト。先ほどのじゃがいも塩辛のサイドメニューだと気がついた。以前、日本橋の「もつ壱」に同様なメニューがあったのを思い出して分かったことだ。残った汁にガーリックトーストを浸して食べると嬉しくなる。
これに気付かないとはまだまだだね、お兄ちゃん。
得意満面の銀髪には目もくれず、3人は内輪話に盛り上がる。登場人物や話しの内容がさっぱり分からず、紫煙の向こうの3人が遠くに霞む。兄貴1人だけモテちゃって。チッ
「美味い料理に美味い酒、しかも今日はモテモテだった」と日記には書いておこう。
かんだ光壽
東京都千代田区鍛冶町2-9-7 大貫ビル1F
03-3253-0044
メニュー

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2007年07月18日
[國定](銀座)
いなせな料理人と言いたいところだが…

数寄屋橋から数奇屋通りに入る。順子や麻衣子などの有名クラブが並ぶ通りを左の小路に折れるとすぐに國定を見つけた。階段を降りて店に入ると意外に広いのに驚く。早い時間なので先客はなく、左手のカウンター奥の席に陣取る。
メニューを手にすると、いつもの習性で食べたことのない素材・料理を探すが、コースメニューを頼んだ方がいろんな料理が楽しめそうだ。デザートは捨てる決心をして、6,000円のコースを頼んだ。
お通し、手打ち寄せ豆腐

自家製の豆腐は温かくて美味しい。いい豆乳が手に入るようになって自家製豆腐を出す店が増えた。お豆腐屋さんは商売あがったりだろう。
前菜五点盛り(そば味噌、鶏たたき、枝豆、塩辛、きんぴら)

刺身(メジまぐろ、鰆、生シラス、ほたて、しめさば、かんぱち、いか)

少量・多品種を食べるならコースが正解だと思ったが、期待通りの料理だった。
玉子焼き、國定サラダ、焼き物、煮物

サラダのドレッシングがオリジナルの味で面白い。焼き物ははたはた。幻の魚と言われた時期もあるが、最近はたはたを食べることが多い。脂が乗った美味しい魚だ。
煮物は蕎麦屋の定番素材の鴨。
そば、デザート(蕎麦シュー)

ここまででお腹はほぼ一杯。蕎麦屋に行っても蕎麦を食べることが殆どない銀髪だが、コースの一品であれば避ける訳にはいかない。一人で多種の酒の肴をこしらえて、蕎麦も手打ちとは大したものだ。お酒にもこだわりがあり、うるさそうな銀髪には店の奥からメニューにない酒を出してくれた。
料理人の動きが早くなり、我々と冗談を言い合う余裕がなくなってきたので、後ろを向くとテーブル席も満席になっている。クラブが密集する地域なのに、不思議なことにクラブの女性との同伴客はいないようだ。
「よっ!いなせだね!」と声をかけたいけれど料理人は女性。出世魚ボラの一名が語源だが、若い女性には「小またが切れ上がった」というべきか。それでも國定(?)さんには、いなせの方が似合っている気がする。
よっ! 格好いいよ!
國定
東京都中央区銀座6-4-16 花椿ビル B1F
03-3572-2715
http://www.kunisada-soba.com/
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2007年07月17日
[鈴なり]④(荒木町)
やっぱりここに来たら安心だ

どんなところに連れて行っても決して文句を言わず、いつもニコニコされると嬉しくも辛い。グルメ紀行の宿命・新しい店探しは1日だけお休みして、大好きな店に行くことにした。電話を入れたら運良くカウンター席を予約できた。神様も味方してくれたようだ。
店の扉を開けるとすぐに笑顔が迎えてくれる。グルメ紀行を止めて毎週来たいと思う瞬間だ。カウンターに座り、いつもながら感心する手書きのメニューを見ると、すぐにグルメ紀行モードに入ってしまう。職業病のようだ。金にもならない職業だが…
お通し、目張

お造りの一番のお奨めは目張(メバル)と言うので一品は決まり。鶏魚を何と読むか尋ねたらイサキとのこと。漢字に興味を惹かれて迷っていたら、店主は似たような味になるので真子鰈がいいと言う。二品目が決まった。焼き物の欄にウニがあったので、刺身で食べられないかと聞いたら、もちろん出来るという。これで刺身の三品が出揃った。
うに、真子鰈

産卵期の初夏から盛夏にかけて海鮮料理屋にとっては一番辛いときだが、ウニは夏に旬を迎える強い味方だ。鮎、鱧などが今の時期の主役級である。
鱧焼き、蛸の吸盤焼き

鱧は湯引きにしようかと迷ったが、刺身三品が出揃ったので焼き物に加えた。目の前で村田さんが骨切りを始めた。包丁の動きを追いながら、シャリッ、シャリッと心地よい音を楽しむ。珍しそうに見ている相方に講釈をたれるのも楽しみの一つだ。
大型の水蛸の吸盤焼きは珍しい。コリコリした食感は鳥の軟骨のようであるが、やはり違う独特なもの。味付けもよく酒の肴に最高なので4本目の酒を追加してしまった。
杏仁豆腐、白バイ貝の旨煮

連れはデザートを食べ始めるが、お銚子にはまだ酒が残っている。酒の肴にもう一品、すぐに出てくる料理を頼んだ。バイ貝の中でも小振りなエッチュウバイ貝は癖もなく非常に美味しい。肝まできれいに取り出せてご満悦のところに、横から箸が伸びてきた。特に肝が気に入ったらしく半分取られた。食わず嫌いが治ったのが収穫だった。
店主・村田さん、寺本さんの料理の邪魔をしながら話し、笑い、食べる。どこに連れて行っても文句を言わない相手だが、いつもの数倍もご機嫌で正直である。
次回からまたどこに連れて行かれるか知らずに、喜んでいられるのも今のうちだ。
季旬 鈴なり
東京都新宿区荒木町七番地
03-3350-1178
今日のメニュー

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2007年07月16日
BYOの勧め
お酒の持ち込みが出来れば楽しい

BYOとはBring Your Ownの略で、オーストラリアでは飲み物の持ち込みが出来るレストランのことをいう。若干の持ち込み料を取られるが、自分の好きな酒を酒屋価格で飲めるのだからいい制度だ。
日本でも持ち込みをさせてくれる店がある。以前紹介した「山はら」、「イル・ジラソーレ」や、今度行こうと狙っている人気店「かわむら」などなど。ネットで調べると他にもあるようだが、知っている人がいれば是非教えて欲しいものだ。
山はら

飲み放題にするかどうかで迷うことがある。飲み放題で飲める酒は限られる。飲み放題にしないと好きなものを飲めるが、値段が高いものを頼む人や軽めの飲み物を何杯も注文する人が出て収拾がつかなくなる。割勘ということになれば不公平と感じる人もいるだろう。
数年前にある会で飲み放題にしたら、仲間の1人が飲み放題に含まれない生ビールを飲みたいと言った。幹事役の銀髪は一度は拒否したが、彼は生ビール代を自分で払うと提案をしたので許可した。一見わがままで自由奔放に見える奴だったが、大人の対応に感心した記憶がある。公平感を維持するためには自己申告が有効な解決策だ。
以前紹介した「サリュコパン」も飲み放題があるが、我々は飲み放題の料金を払って好きな酒を持ち込むことにしている。店の酒の消費量が減るので断られる理由はない。ウーロン茶などソフトドリンクだって何杯も飲めば飲み放題の方が割安感がある。いい酒を飲みたい人は自分で持ち込めばいい。皆に振舞えば人気者になる。
飲み放題をやってるお店はBYOを宣伝して欲しいものだ。飲み放題料金は持込料を含むと考えてくれればいい。店にとっても客にとっても嬉しいシステムだと思う。
メルボルンのBYOレストランにランチで行った時のことだ。持ち込み料はワインでも缶ビールでも1本当たり2ドル。ランチなのでちょっと軽く一杯のつもりで缶ビールを持って行った。コップをもらい、ビールを注いでメニューを開いて気が付いた。酒屋で買ったビールの代金+持込料の方が、その店のビール代より高かった。持ち込むのはそこそこ高い酒にしたい。
お中元シーズン。いただきものの高級酒やワインをBYOで振る舞うと、みんなに喝采されると思うがどうだろうか。
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2007年07月15日
帝国ホテルのパーティー
MORI BAR の毛利隆雄オーナーを祝福した日。

先週の七夕の日にパーティーに出かけた。グルメ紀行でも数回取り上げたことがある銀座「MORI BAR」 のオーナー毛利隆雄さんの還暦とバーテンダー歴40年を祝う会だ。
MORI BARにはお客様の紹介で出入りするようになった。彼がパーティーの発起人に名を連ねているので行くことにした。もちろん毛利さんやそのスタッフが好きだからでもある。

北方謙三、浜圭介はじめ有名人も多数発起人になっているが、スタッフも人数集めにかなり頑張ったのだろう。総勢600人という盛大なパーティーになった。
オープニングからのセレモニーが終了すると、出席者たちが料理に向かって動き出す。会費制なので、元を取ろうという心理が働いているのか皆精力的である。

中央のテーブル以外にも壁際に寿司のコーナーがあるが、ここは長い行列が出来る。行列に加わることは諦めて、しばらくカクテルを飲むことにした。通常のパーティーと異なり、毛利さんのスタッフ、かつての同僚たちが並んでカクテルを作っている。通常は飲まない甘めのカクテルも含めて端から飲むことにした。
3分の1ほど飲んだところで振り返ると、先ほどまで人の壁で見えなかった料理が目に入るようになった。空きっ腹では酔いが早いので、少し口に入れることにした。二皿分ほど食べて再びカクテルコーナーに戻る。
オーストラリア在住の頃、頻繁にパーティーに出た。1人で行ってブラブラ会場を回っていると、必ず話の輪の中に手招きしてくれる人が居た。見ず知らずだった人たちが、一気に集団で知り合いになる。拙い英語でしどろもどろにジョークを言うと、みんな優しく笑ってくれたものだ。これで随分と鍛えられた。日本のパーティーでは仲間内だけで固まるので、1人で行くと寂しくて仕方がない。
料理も殆どなくなった。カクテルは全て試した。赤と白のワインも飲んだ。ボチボチ帰る頃だ。それにしても毛利さんは凄い。バーテンダーも頂点を極めればこれだけの人が集まってくる。しかし、バーテンダーの腕以上に、その人柄に惹かれて集まって来た人が殆どだろう。呑ん兵衛の気のいいおじさんが、みんなが愛する毛利さんその人である。
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2007年07月14日
[宝雲亭](中洲)
博多ひとくち餃子発祥の店

博多に出張すると、飲んだ後すぐにホテルに帰る気がしないから困ったものだ。ラーメンにするか餃子にするか部下に聞くと餃子がいいという。本家奉天に行こうかと思ったが思い止まった。いつも同じ店では芸がない。

目と鼻の先の宝雲亭に入った。下調べもなく入ったけれど、入り口左の調理場を見て安心した。本家奉天と同様に小麦粉を練って棒状にしたものがオーダーを待っている。本家奉天と比べると小麦粉の棒は細い。
お通し

湯がいた鳥皮の酢の物でビールを飲む。一人前10個は多いかと思ったが、仕方なく2人前を頼んで餃子が来るのを待った。
餃子

普通は焦げ目のついた方が上になるが、この店は違っている。部下が写真を撮るためにひっくり返しましょうかと提案するが、それを制した。ありのままが一番いい。
皮は非常に薄い。本家奉天より小麦粉の棒が細い理由が分かった。玉ねぎとにらを使い、にんにくを入れないというので、結構軽い。一人前が10個というのも頷ける。
東京に戻って調べてみると、宝雲亭が博多ひとくち餃子発祥の店とある。創業は昭和24年というから50年以上の歴史を有する老舗ということになる。
目と鼻の先にある2店は、共にオーダーを受けてから皮を麺棒で伸ばし、具を包んで焼く。しかし、皮の厚さ、具の内容などはまったく別物だ。好みは分かれるかもしれないが、腹具合や翌日の予定に合わせて選ぶのもいい。
東京でも玉川高島屋などで買えるようだが、中洲で作りたてを食べた方が美味いに決まっている。
宝雲亭
福岡県福岡市博多区中洲2-4-20
092-281-7452
http://www.houuntei.co.jp/
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2007年07月13日
[鹿六](博多)
頼んだ料理はちゃんと食べよう

「中洲の多門通り」とタクシーに言えばすぐに分かると言われたが、老境に入った運転手さんは知らなかった。降ろされたところで迷って店に電話をしたら、走って迎えに来てくれた。通りといってもタクシーが入ることが出来ない路地だから、中洲で遊んだ人でなければ分からないだろう。タクシーに憤る気持ちはすぐに消えた。
居酒屋というより割烹に近いが、カウンターには大皿料理が並ぶので小料理屋風でもある。気楽な接待なら充分使えそうだ。
お通し、お造り

お通しはシャコのにこごりを被せた卵豆腐。お通しもちゃんとした仕事をしている。刺身はお奨めのあらとひらす(平政)。あらの内臓が珍しくて良かった。
まじゃくの唐揚げ、まじゃくの塩辛

有明名産のまじゃく。海老に似てなくもないが、姿は醜い。恥ずかしいのか泥の中で生活し、穴に棒を突っ込まれるとハサミで撃退しようとして引き上げられてしまう。唐揚げは香ばしくて悪くないが、塩辛はホヤに似て癖がある。好きな人には堪らない酒の肴だろう。
いわしの糠どこ焼き、いわしの甘露煮

糠の臭みを好むかどうか、これも好き嫌いが分かれそうだ。甘露煮は万人好みの安心な味。
ここまでで、銀髪の興味のある料理はなくなった。客や部下に任せたら、きゅうりの漬物、ポテトサラダ、さつま揚げ、車えびの塩焼き、ゴーヤ炒め、きんき塩焼き、葉わさび、ほうれん草のおひたし2種、角煮など頼む、頼む。

お腹が空いているならどんどん頼んでくださいと言ったけれどと、行儀の悪い食べ方にはムッときた。キンキの頭も残さず食べろとまでは言わないが、一番美味しい首周りの身をたくさん残してサッサと店員に片付けさせるのを見て腹が立った。せめて「お腹が一杯になってしまったので、残してすいません」とでも言ってくれれば銀髪だけでなく、料理人を傷つけることもなかっただろう。
ご飯、味噌汁

料理を残しながらも、ご飯は食べたいようだ。じゃこめしとグリーンピースのご飯を追加する。博多ネギで覆われたしじみの味噌汁が美味だった。
勘定をしながら料理人に食べ残しがあったことを謝った。笑顔で会釈を返すのを見て、料理人と心が通ったように感じた。
小味処 鹿六
福岡県福岡市博多区中洲3-4-2
03-271-5857
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2007年07月12日
[新宿アジア横丁](新宿歌舞伎町)
ビルの屋上にあるフードコート

新宿歌舞伎町、コマ劇場の向かい、マクドナルドのあるビルの前で外国人女性につかまった。元々友達に紹介されて行くつもりだったので、拒む理由はない。客引きに成功したと思って意気揚々の彼女は、エレベーターに同乗して自分のインドネシア料理の店まで案内してくれた。こちらは予期せず20%の割引券を獲得できてラッキーな気分である。
約30年前、この屋上のビアガーデンに、女子の泥レスリングを見に来たことがある。今は大テントの中に複数の店が通路の両側に並ぶ。タイ、インドネシア、中国、ベトナム、インドなどの料理に混ざって、沖縄料理屋や日本の居酒屋などもある。日本も確かにアジアの一国である。
シンガポール風春巻き、サテー

インドネシア料理屋に入ったので、その店の料理をオーダーすれば料金は後払い。他の店の料理が食べたければ足を運び好きな料理を注文する。その場でお金を払い、立て札をもらって自分の席に料理が届けられるのを待つ。最初の品は隣のシンガポール料理の店で買った。
他はインドネシア料理を食べた。もちろんサテーはその代表格。
テンペ、インドネシア風小龍包

大豆の発酵食品テンペもインドネシアならではのもの。ベジタリアンの店では肉の代用食品としても使われる。写真の料理は何も知らなければ酢豚そのものだ。
小龍包はカレー味で、蒸しサモサと言った方が適切だと思う。
店員が支柱の近くで紐を巻いているので見上げたら、テントの天井がスルスルと開いていく。少し涼しくなったと歓迎したのも束の間、雨がポツリ、ポツリと落ちてきた。店員に目配せすると、今度はスルスルと閉められていく。
すべての店の夜空がなくなるにつれて、みるみる気温が上がっていく。各店は8割方埋まり、調理場の火力も全開になっているに違いない。熱気はテント内に籠もるが、屋上なのでエアコンの備えはない。
入るときにもらった団扇の意味が分かった。雨の代わりに、汗が滴り結局シャツは濡れた。異国情緒を味わうには持って来いの場所で料理も結構楽しめるが、雨の夜は避けるべきだと思った。
降りて来る多くの若者たちと入れ替わりにエレベーターに乗り込んだ。近くの喫茶店に入り、冷房の風を受けながらビールを飲んだ。異国情緒を楽しむにはちょっと齢を取り過ぎたかもしれない。
天空の街 新宿アジア横丁
東京都新宿区歌舞伎町1-21-1 第2東亜会館ビルRF(屋上)
03-3352-2370
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2007年07月11日
[元酒屋](銀座)
元は酒屋(?)という不思議な洋食屋

「何か美味しいものを食べに行こうぜ!」と誘われる。曖昧に頷くと寿司屋に行こうと言う。明らかに気を遣ってくれている。こちらに異論はないが、目指す寿司屋の対面に洋食屋を発見した。「こちらに入りましょうか?」と声をかけると、スポンサー氏の顔がパッと明るくなった。
それでも「予約なしで大丈夫かな?」と不安顔だ。「賭けてもいい。絶対は入れますよ!」と言ったが、入ってみると予約でほぼ一杯。我々4人に狭いテーブルをやっと確保できてホッとした。意外と人気があるのに驚いた。
メニュー

レトロな店内に合わせてメニューもレトロ。写真は使わず絵で料理の様子が書いてある。
タラコのカナッペ、白レバー、牛タン燻製

酒の肴に最高と思ったが、オヤジはちょっと変わったものは絶対に食べない、食に冒険はしない。責任を取らされるのは頼んだ銀髪だ。
ロールキャベツ、コロッケ、ハンバーグ

誰もが好き嫌いしない料理はしっかりと4等分して食べた。いくつになってもオヤジが懐かしがり、喜ぶ3品だ。コロッケは2個乗っていたが、写真を撮る時間も待てずに持っていかれた。
マカロニサラダ、チキンカツ、ピザ、茄子のグラタン

ピザに乗せる生ハムも一緒にオーブンに入れる店は珍しい。ちょっと焼きすぎのピザを食べてみると他がやならない理由は明解だ。
それにしても元酒屋とはユニークな店名だ。ビールを飲んで、シャブリを一本空けて、酒のメニューを再び開いたところで気がついた。洋食屋なのに10種類の日本酒が書いてある。
3年古酒の美吟微吟と純米大吟醸の大中屋を呑んだがなかなかのものだった。
食べた料理の中ではミートボールみたいなハンバーグが一番良かった。本格洋食と言うよりは家庭料理に近い。20年以上の歴史をもつ元酒屋のオーナーは、1750年創業・山梨県の蔵元「七賢」12代目の実弟。
蔵元を飛び出すほど洋食に惚れ込んだのだろうが、袂を分かっても実家の酒を置くのだから兄弟仲は悪くなさそうだ。洋食ではなく日本料理屋をやってくれていたら、兄貴はもっと嬉しかっただろうが…
元酒屋
東京都中央区銀座8-5-24 西八ビル2F
03-3572-6240
http://www.sake-shichiken.co.jp/motozakaya/index.html
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2007年07月10日
[小沢](静岡)
静岡おでんは食べ損なっちゃったけれど

30℃を超える日、汗を垂らしながら青葉おでん街に向かった。冷たいクーラーの冷気の下で飲むビールが頭の中でどんどん膨らんでいく。おでん街に着いて息を呑んだ。クーラーはなく、蝿や猫が大好きな店ばかりのように見える。「入るか?」と聞いたら「銀髪さんが入りたいなら…」と言われて止めにした。嫌がる相手に無理強いするのは本意でないので、近くのこぎれいな店・小沢に入った。
クーラーの風が心地よい。カウンターに座り、ビールが出てきたところで「静岡おでんを食べに来たけれど、おでん街に入る勇気が出なくてね」と言ったら女将の顔が曇った。「うちは東京おでんなんです。静岡おでんを食べたければ他に行かれていいですよ」と言われたが、暑さの中に戻る力は残っていなかった。
魚ソーメン、水茄子、椎茸

「私は料理人ですから」と胸を張る女将は会社員に嫁ぐために静岡に来て、11年前に店を持った。もともとは洋食が専門だが、女性一人でやれる料理としておでんを選んだとのこと。食材は全国から一流の品を揃える。おでん種も鱧やグチなど高級白身魚を使い、オリジナル商品を東京の練り物屋と共同開発するそうだ。
オリジナルおでん各種

自慢のおでんが次々と出てくる。部下と分け合いながら、全品種食べようかと思ったが、果たせなかった。静岡おでんの話を持ち出したときに険しい顔をした女将だったが、既に満面に笑みを浮かべ饒舌になっている。素材、料理にこだわる料理人すべてに共通する姿だ。
かばんからMy一味(黄金一味)を取り出し、女将の許しを得てだし汁に入れた。澄んだ汁を赤で濁すことのない黄金一味がよく合う。黒七味を置いている店だ。思ったとおり味見をした女将も気に入った様子なので、黄金一味は進呈することにした。薬味のトレーにきれいに納まり、まるで以前から置いてあるように見える。常連さんたちも気に入ってくれればいいけれど。

お返しとばかり、わさび漬けをくれた。混ぜ物なしのわさび漬けも女将が選んだ本物だ。東京に戻り我が家にあったわさび漬けと比較したら、女将が言ったとおり明らかに違う。
静岡おでんは食べ損なったが、いい店、いい料理人に巡り合った。
「いい物ばかり使っていては儲からないと、税理士に怒られるんですよ」と笑う女将が、税理士の忠告に従う日は永遠に来ないだろう。
小沢
静岡県静岡市葵区常磐町2-2-1 ライブネット青葉ビル102号
054-255-4820
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2007年07月09日
[武士の館](新宿歌舞伎町)
ネットで面白い店を見つけたと思ったんだけど…

ネットで「先月オープンしたばかりの店で、ユニークないい店」との紹介記事を真に受けて行った。客側ではなく、店側に立った紹介サイトが多いと知っていながら興味をそそられてしまった。
中に入ると紹介サイトの写真どおり、鎧が正面で異彩を放っている。それ以外は映画「武士の一分」のポスターが壁に貼ってあるだけで、内装は普通の居酒屋。「武士の館」をイメージできるものはどこにもない。横を見ると不思議なことにサンタクロースの人形が立っている。驚いているとビニール袋を渡されてまた驚いた。靴を入れて席まで持って行った。
お通し(2人分630円)

ポップコーンを「お通しです」と出されてまたまた驚いた。どうやら驚かすことが好きらしい。居酒屋でお通しがポップコーンとは生まれてはじめての経験だ。ポスターを見ながら映画鑑賞の気分に浸った。
もも串焼き、生ハムのカルパッチョ

次に驚いたのは焦げ目がついていない不思議な串焼き。忍術のようだ。蒸し焼きにしたのだろうか。冷凍品をチンしたにしては身が固くないので、ビニール袋に入れて湯せんしたのかもしれない。
醤油をかけようかと思ったが、テーブルに置いてないので、かばんからMy唐辛子・黄金一味を取り出して振りかけた。魔法の粉は料理の味を一変させてくれた。カルパッチョにも役立った。どうだ!これこそ忍術だと仲間に胸を張った。
トントン焼き

豚挽きハンバーグに薄切りの豚肉を巻いて焼いたものが自慢料理のトントン焼き。これを食べて仲間が目を剥いた。最後の驚きだ。黄金一味をかけたので銀髪は気にならなかったが、臭いが我慢できないらしい。全部食べると軽蔑されそうなので、半分以上残した。
客は広い店内に我々を含めて2組だけだが、料理が出てくるのが極端に遅い。これ幸いと残りの料理をキャンセルしようと思ったが、調理中と言われて諦めた。
カマンベールのチーズ揚げ

比較的まともに見えたが、仲間は完全に戦意喪失している。オーナーや調理場に抗議を示すために箸もつけないで勘定をしてもらった。
悲しいことにアルバイトと思われる若い店員たちの言葉遣い、所作、笑顔がとっても素晴らしいのだ。いそいそとビニール袋から靴を取り出して揃えてくれる彼らに不満はないので、こちらも笑顔を振り撒いて店を出た。若者たちが誇りを持って働ける職場にして欲しいと切に思った。
数分後、口直しに入った平均レベルの寿司屋の料理が美味しかったこと。仲間に笑顔が戻った。
武士の館
東京都新宿区歌舞伎町1-3-6
03-3232-9511
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2007年07月08日
オムライス
子供の頃の思い出には必ず入るかな?

子供の頃、チャーハンとオムライスを食べたことのない人はいないはずだ。残ったご飯を処分するには一番の方法だからである。
チャーハンは昼ごはんのイメージが強いが、ケチャップを加えて卵で包むだけで夕食のメインになったのだから、オムライスは倹約家の大蔵大臣兼料理人の強い味方だったに違いない。
もっとも、残り物のご飯を使った料理が手抜きと言っては母に失礼だろう。東芝の電器炊飯器が発売されたのが1955年、銀髪の生まれた年である。今のように朝起きたら美味しいご飯が炊けているなんてことがなかった時代は、ご飯を炊くこと自体大仕事だったろう。
たいめいけんのオムライス

たいめいけんには有名な「タンポポ・オムライス」があるが、殆どのおじさんたちが頼むのは慣れ親しんだ普通のオムライスである。見た目は一緒だが、作り方は多分おじさんたちのお母さんとはちょっと違う。レシピが公開されているのでご覧いただきたい。
http://www.taimeiken.co.jp/faq/index.html
具を炒める→ご飯を加える→ケチャップをからめる→卵で包むが一般的だが、たいめいけんは順番がちょっと違う。
冷ご飯は温めなおしてから加えるとのことだが、昔は電子レンジもなかったのだから、ご飯を温めること自体手間がかかった。
電気冷蔵庫をやっと手に入れても、容量が小さいので母は毎日お買い物に行かなければならない。ご飯も毎日苦労して炊く。洗濯機のない時代に毎日ひどい汚れ物をこさえてくる子供たちを恨んだことはなかったのだろうか。当時エステがあったとしても救いようのない手だったはずだ。
こんな状態だから太ったお母さんは少なかった。太っていても間食で太ったのではなく、残り物を自ら処分したからに違いない。
昨今、オムライスを看板にする店が増えたが、残ったご飯で作るイメージが強くて、オムライスをお店で食べる気がしないのは銀髪だけかな? たいめいけん(2階)の2,100円のオムライスはもちろん、1,000円台でも高い気がする。オムライス好きな人にとっては、余計なお世話というのは重々承知しているが…
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2007年07月07日
[黄金一味] 京都祇園味幸
辛いもの大好きな人たちへ

京都駅の土産物屋で「日本一辛い黄金一味」を見つけた。以前長野善行寺前、「八幡屋磯五郎」へのコメントで奨められた唐辛子である。もちろん買った。
包装は黄金だが、唐辛子自体は黄金というより黄緑色ではないか。黄金色ならもっと驚いただろうが、黄緑色でも意外性がある。考えたらタイの激辛唐辛子などは緑色なので、赤色だけが唐辛子であるわけではない。

使ってみると確かに辛い。辛いが八幡屋磯五郎の大辛BIRD EYEの方がもっと辛い。もっとも、黄金一味の方はパウダー状なので、振り掛けた量はBIRD EYEが多かったかもしれない。
黄金一味の唐辛子は国内産で、鷹の爪の10倍の辛味成分を持つ。輸入唐辛子が幅をきかせている昨今、国内産のみを使うのは珍しいのだろう。BIRD EYEが殊更国産を強調していないので、外国産唐辛子を使っているのかもしれない。いずれにしても、この2つの勝負は面白い。
日本橋高島屋に黄金一味が売られていると知って、買いに行った。調味料売り場のレジの正面に他のメーカーの唐辛子と共に並んでいた。八幡屋磯五郎の商品もあるが、BIRD EYEはない。やげんぼりの唐辛子も買おうかと迷ったが、別の棚の商品に目が移ってしまった。
朝天辣椒、朝天小魚

両方とも以前台湾人に奨められて買った。左の激辛、ニンニク入りの唐辛子漬けは我が家に常備している。様々な料理に使えるが、銀髪は味噌汁に数滴垂らすのが好きだ。激辛味噌ラーメン風の味噌汁になる。もちろんラーメンに入れても美味い。
右側は中辛。小鰯の煮干を唐辛子と共に漬けてある。これはそのまま酒の肴にして食べる。チャーハンなどに入れてもいいようだが、料理に使うならXO醤の方が上だろう。
ラー油は自分で作ることにしているが、たまに世界一辛いと言われる生のハパネロを使う。餃子を作ったら、家族にハパネロのラー油と告げず何食わぬ顔をしてテーブルに置く。家族がいつもどおりの量を使うと飛び上がってしまう。これを見るのが楽しい。BIRD EYEでも同じように楽しめた。黄金一味は赤くないので、使いすぎてくれると楽しみは倍加する。
我が家の連中は、いつも銀髪のいたずらに戦々恐々なのである。
京都祇園味幸
http://www.ajikou.com/profile.html
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2007年07月06日
[サール](日比谷) 帝国ホテル・インペリアルバイキング
バイキングならここに行かなきゃ

先日、第一ホテルのバイキングに行った。「今月の食事会もバイキングでどうだい?」と聞くと、賛否両論の顔が並ぶ。「帝国ホテルの」をバイキングの前につけると、誰もが笑顔になった。
レストランの雰囲気はさすがに帝国ホテルだ。約40年ぶりの帝国ホテルのバイキングだが、昔はこんなにキラキラしていなかったはずだ。スタッフもさすがに帝国ホテル、もちろん料金もさすがに帝国ホテルだ。
オードブル2皿

オードブルの種類は非常に多く、どれもきれいで美味しい。
バイキングでもコース料理に倣って食べようとするのが普通だが、いきなりスパゲッティやカレーライスを食べ始める連中がいる。どう食べても自由なのがバイキングのいいところだろう。「他の料理が食べられなくなるぞ!」と忠告するも、自由気侭な食べ方が変わることはない。
エスカルゴ香草煮、チキンクリーム、魚介のアクアパッツァ

金属製のちいさな器に大鍋から料理を入れて、鉄板で温めてくれる。オープンキッチンの一番の売り物のようだ。
フォアグラの冷製スープ

もっとも人気だった一品がフォアグラの冷製スープ。やはり高級食材のイメージは絶大で、小片でもモテモテの憎い奴だ。
どこのホテルのバイキングでも、高級食材としてナンバーワンの人気を維持しているのがローストビーフ。確かに外国産牛肉の輸入が出来なかった頃は高価な和牛を使っていたのだから、ローストビーフの前に列ができるのは当然だった。今は輸入肉を使っているところばかり。部下の皿から一切れ略奪して食べた。フムフム。オープンキッチンに足を運び、料理人に聞くと思ったとおり豪州産の牛肉だった。
高級な和牛と信じてか、純粋に味で評価したのか分からないが、みんな美味しいと喜んでいた。
「毎回、帝国ホテルがいいです」と部下たちはご満悦なのだが、男だけのバイキングはせわしなくていけない。大酒飲みたちが食べることに集中して1時間超でお開きになった。満腹で酒を飲む気にもならないようだ。
女性だけのテーブルを覗き見ると、やはり食の楽しみ方競争は女性の圧勝であることが分かる。
シャンパンで乾杯し、ワインとオードブルをじっくり楽しむ。腹一杯になったら空くまでおしゃべりをして、デザートの食べ放題に挑む。
甘いものが苦手な銀髪だから、バイキングの上手な楽しみ方は逆立ちをしても女性にかなわない。
インペリアルバイキング サール
〒100-8558 東京都千代田区内幸町1-1-1
帝国ホテル東京 本館17階
TEL.(03)3539-8187
http://www.imperialhotel.co.jp/cgi-bin/imperial_hp/index.cgi?ac1=JTR&ac2=sal&ac3=&Page=hpd_view
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2007年07月05日
お多福(新宿歌舞伎町)
おたふくといってもお好み焼き屋ではない。

銀座が発祥の老舗おでん屋はお多幸。幸が福に替わった屋号は偶然なのだろうか。
扉を開けると目の前にカウンター席が広がる。おでん屋だから当たり前か。「カウンターでよろしいですか?」と聞かれるが、もちろん「カウンターがいいです」。
お通し、おでん各種

お腹が空いているのでいきなりおでんに行くことにした。おでんに辿りつくまでにお腹一杯になる愚を今回は避けたい。
しらたき、さつまあげ、大根、卵、牛すじは薄い関西風のだし汁と共に出てきた。お多幸の真っ黒な汁とは明らかに違う。お多幸との関係は忘れた方が良さそうだ。
刺身

おでんを注文するついでに頼んでおいた刺身が時間差で出てきた。いいタイミングで読みどおり。かんぱちもいいが狙いは鬼エビ。昨年富山で初めて食べた海老だ。不恰好な顔つきをしているが、ボタン海老のように美味。
「珍しいですね」と褒めたら、「結構出回っていますよ」と返された。先日、築地に行ったら成るほど言われたとおり、数店で鬼エビを見つけた。
がんもどき、キャベツ巻き

200円のがんもどきと高級品キャベツ巻き300円。一番安いのがこんにゃくやじゃがいもの150円。200円、250円、300円と50円刻みで高くなり、最高級はたこ足の600円。いきなり倍額になるとちょっと腰が引ける。
250円のところに「きつねうどん」とある。おでん種?
きつねうどん

薄揚げのなかにうどんが入っている。意外性があるようで、騙されたようで変な気持ち。きつねだから騙されて当たり前か。味は良かった。
銀座ではおつまみが高級で1人1万円を超えることはザラ。いい物を出すのだから文句は言えないが、お多福は安心価格。暑い夏は冷房が効いた室内で熱いおでんはいかが?
お多福
東京都新宿区歌舞伎町2-21-5 第二平沢ビル1F
03-5273-0273
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2007年07月04日
[魚忠](大津)
滋賀県大津の立派な料亭

東京人にとっては、琵琶湖は京都からかなり離れているイメージがある。実際は京都から大津までの所要時間はJR快速で1駅8分しかない。琵琶湖を見に来た観光客が、夕食は京都でと思っても仕方がない。7世紀後半に天智天皇が都にした大津も、わずか5年で遷都されて以来まったく影が薄い。
魚忠は1905年に建てられた旧東海道に面する商家を料亭に変えた。元は呉服屋で、時代劇の一場面に必ず出てきそうな佇まいだ。京都に残る最古の町屋は1600年代の建築らしいから、京都人に言わせればありがたがるものでもなさそうだが、よそ者にとっては充分ありがたみがある。
前菜

会席は6種類の盛り合わせからスタートした。50人以上の宴席の中を仲井さんたちは忙しく動き回る。左隣で配膳が途絶えたので、食べ始めるにはもう少し辛抱がいる。両隣に料理が揃ったところでヨーイドンだ。
お造り、冷し茶碗蒸し

茶碗蒸しが出てきたあたりで、人が動き出す。挨拶に行く者、来られる者。上下関係が明確に見て取れる場面だ。
鮎、天ぷらそば

季節の鮎塩焼き。頭から食べられると仲居さんは言うが、固くて食べ尽くすのは諦めた。
そばの上に茄子の天ぷらや焼いた万願寺唐辛子、大根おろしなどを乗せた料理は、天ぷらそばと勝手に決め付けた。
小鉢、ご飯

トイレに立つ人が多くなってきた。お膳を跨ごうとしてあちこちでビール瓶が倒れる。酔ってないつもりでも微妙に感覚は狂っている。返杯の繰り返しもこたえているはずだ。畳と靴下の相性が悪く、ひっくり返りそうな人も出てきた。お膳で後頭部を打たないか心配だ。
デザートが出てお開きが近くなったので、2次会は遠慮して引き上げることにした。タクシーで京都駅まで約20分。お土産を買って東京行き最終の新幹線に乗り込んだ。去年と同様、今年もお土産は京都の八つ橋だった。
大津 魚忠
滋賀県大津市京町2-4-10
077-522-4428
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2007年07月03日
[稲田屋](日本橋)
造り酒屋の居酒屋

稲田屋は会社近くのプラザビル1階にある。ランチ時はそばが主体の店なので、そばの専門店だとずっと思っていた。日本酒好きの客を連れて行くことになり、近くの店を調べ回って初めて酒屋が経営する店と知った。山陰地方で300年以上に亘り、老舗蔵元としてお酒を造り続けている『稲田本店』の直営店である。酒樽が店頭に置いてある理由を遅まきながら知ることになった。
それなら山陰地方の郷土料理の店かと思ったが、残念ながらこの店ならではの特徴ある料理を探すのが難しい。大山地鶏などがあるものの、この有名地鶏はあちこちで食べることが出来る。あご(飛び魚)のちくわや板わかめが、数少ない山陰の味だ。
あごのちくわ、板わかめ

島根出張で知った板わかめは酒の肴にもごはんにかけても美味しい重宝な食べ物だ。これだけでいくらでも飲める。酒はもちろん「特選大吟醸稲田姫」。
一杯840円なら安いもんだと思ったが、100mlの値段。グラスで飲んだらすぐになくなる量なので、ボトルを頼もうとしたら4合瓶はないという。それなら1升瓶をと頼んだら、他の3人が驚いた。大酒飲みが4人も居て、驚く量ではない。1人頭2.5合と説明すると、みんなすぐに納得した。瓶が空になるのは簡単だった。

後で気付いたことだが、限定酒なので1人100mlグラスを一杯までとテーブル上の写真に書いてあった。2.5合は450ミリリットルなので、我々は4.5倍も飲んだことになる。文句を言われなかったのが不思議だった。
他に頼んだ料理はホタルイカの沖漬け、砂肝の唐揚げ、刺身(まぐろ、かんぱち)、鳥の唐揚げ、特選馬刺し(霜降り、たてがみ、赤身)、明太子の包み上げ、はたはた。

普通の居酒屋と割り切ればそれなりにいい店だが、個人的には出雲や鳥取の食材を豊富に使ってもっと郷土色を出して欲しいと思った。もっとも東京の客を相手にするのだからこれはこれでいいのかもしれない。実際、銀髪を除く他の3人は、素材や料理がどこのものかまったく気にしていなかった。
いつもながら銀髪が少数意見と思い知る。
稲田屋
東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1階
03-3510-1718
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2007年07月02日
[つな八 つのはず庵](新宿)
新宿の有名店といえばここかな

新宿三越裏に2つの天ぷら屋がある。明治初期に開業の船橋屋と大正13年創業のつな八の本店は同じ通りのはす向かいで、どちらも行列の出来る天ぷら屋だ。銀座に比べると安くカウンターで食べられるとあって若いカップルも並んでいる。どちらか入れるだろうと思って予約なしで行ったがどちらも入れなかった。
仕方なく通りを一本変えると、飲食店らしくない入り口のビルがあった。つな八の迎賓館「つのはず庵」である。つのはずは新宿の旧地名「角筈」からとったとのこと。おそるおそる中に入ったら、空いているというではないか。「カウンターがいいんですが」と念を押しても平然としている。エレベーターに乗り上階で降りるとカウンターは半分も埋まっていなかった。
特選天ぷらコース6,300円を頼んだ。迎賓館と言ってもお手ごろな新宿価格だ。
前菜2種

一つは卵豆腐のうに乗せ。箸で縦に切ろうとすると引っかかった。下に白アスパラが2列敷いてある。横に切れば上手に食べられることに気付いて、隣にアドバイスしようと横を向くが、既に苦労の最中だった。
もう一品はタコにゼリー状のスープをかけてある。タコが柔らかいのに驚いた。
えび、なす、きす

どれも油が軽く上手に揚がっている。ごま油100%とは思えない。
きすはオリジナルのトマト&大根おろしで食べる。トマトの酸味が夏らしい爽やかな天ぷらになった。
れんこん、はまぐり、穴子

はまぐりは味がついているのでこのままで(もちろん殻は食べられない)。あなごはまず塩で、次に天つゆをつけて食べた。
調理台横の水槽が水泡をあげていたので蓋を開けて見せてもらった。立ってカウンター越しに覗き見ると、生きたエビや穴子が入っている。お手ごろ価格だが手抜きはない。
トマトのスープ、かきあげ

トマトがメインの野菜スープで口直しをして、最後は食事。天茶漬け、天丼も選べるが、かきあげと白いご飯にした。かきあげを酒の肴にしたり、天つゆにくぐらしてご飯に乗せたりと勝手に楽しんだ。
つな八は全国に34店舗を有する。歴史ある本店で食べたいのはやまやまだが、つのはず庵も悪くなかった。
つな八 つのはず庵
東京都新宿区新宿3-28-4
03-3358-2788
http://www.tunahachi.co.jp
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2007年07月01日
[たこ坊](大阪)
たこ焼き屋でも串揚げ屋でもなかった。くわ焼きの店だった。

昔、農機具の鋤(すき)を使ったのがすき焼きなら、鍬を使ったのがくわ焼き。要するに鉄板焼きを洒落てくわ焼きと称している店であるが、雰囲気はいたって気楽。カウンターには若者3人組、くたびれたおじさんたちなど客層に統一感はない。
壁に貼られたお品書きには焼き物と揚げ物が多種類列挙してある。最低110円、最高が300円台と安心価格。食べ盛りの子供を連れて来ても心配はない。何を頼んでいいか分からないのでお任せにした。
あなご、エビパン

最も高価な部類に属するのがあなごのくわ焼き。それでも360円。味をどうこう言うよりも、丸焼きは存在感タップリで客受けしそうだ。
大阪に住んだことのある部下が大好物だと言うのがエビパン。揚げたパンにエビのすり身が塗ってある。中華料理に似たような料理がある。もちろん本家は中華料理の方だろうが、たこ坊でも立派なオリジナルの人気商品である。
ほたて、ネギ間

飛び上がるほど美味いわけではない。毒づくほど不味いわけでもない。いや、美味いと言ってあげてもいいような気もする。
次が出てくるのを待っていると、5人家族が入ってきた。大人並みの体格を持つ小学校高学年の子を筆頭に、家族全員がヘビー級だ。
卵巻き、蓮根肉詰め

蓮根で初心者向けのお任せセットが終了。追加しようかと考えたが、たこ坊の雰囲気は分かったのでお開きにした。
さっき入って来た5人家族も我々同様にお任せコースから始めている。「いくら食べてもいいぞ!」と若い父親は見た目だけでなく太っ腹だ。隣の肝っ玉母さん風の母親が余裕を見せて頷く。
兄弟3人に父を加えて、馬を飼っているのかと言われるぐらい毎日買い物籠を一杯にして悲鳴をあげていた母。やがて子供たちが独立して、父は逝った。やりくりに大変だった母だが、今は1人暮らしで買う量はしれているからと、高級食材を買っているようだ。
このところ毎週末に母を訪れる。先日は父の命日に買っておいたというステーキ用の最高級神戸牛を食べさせられた。自分は歯が悪くて食べられないからと言うが、いくつになっても子供に美味しいものを食べさせたいと思う気持ちは抜けないようだ。
小学生の銀髪に「我が家はエンゲル係数が飛びぬけて高い」と揶揄された頃が、母の一番幸せだったときに違いない。
たこ坊
大阪府大阪市中央区千日前1-8-3
06-6211-4704
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