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2007年10月31日

[福わらじ](鹿児島)

黒豚&黒毛和牛


鹿児島屈指のホテル、城山観光ホテルから坂を下り平田公園に向かった。目指す店「福わらじ」はその公園に面した小路にある。平田公園は天保の改革で薩摩義士を率いた平田靫負を顕彰する史跡だそうで、鹿児島のタクシーの運転手さんの説明に聞き入った。観光案内の研修が必須という鹿児島のタクシー運転手はみんな話し上手だ。

福わらじに着くと地元の面々は既に勢ぞろいしている。自慢の黒豚しゃぶしゃぶをいただく手筈になっていた。

きびなご、さつまあげ、豚足煮

今まで見た中で一番美しいきびなごだった。酢味噌が添えられていたが、塩を頼んで食べた。さつまあげもいい。鹿児島で食べるさつまあげはいつも熱々だ。
豚足というより角煮のようだ。一流の料理屋らしく品のいい料理に仕上げた。豚足を嫌いだという人も気付かず食べ尽くしている。

豚しゃぶしゃぶ

毎度のことではあるが、豚肉をすべて鍋に放り込む人がいる。彼にとってはしゃぶしゃぶなどという料理は存在せず、いつも寄せ鍋になってしまう。ありがたいことに肉質がいいので、しばらく鍋の中を泳いでも肉は硬くならない。

牛しゃぶしゃぶ

黒豚の脇役に追いやられてしまった感があるが、黒毛和牛も鹿児島名物である。味比べをすることにした。やはり牛肉の方が濃厚な感じがする。悪くないと思ったが、他の人は黒豚の方を支持した。豚肉の方があっさりしている。牛肉を食べた後の鍋には黒豚のときにはなかった親指の爪ぐらいの大きさの脂がびっしり浮いていた。

遅れてやってくる予定の2人が食事会に間に合わなくなったので、2人のためにとっておいた豚肉も食べることにした。テーブルの上でラップをかけられて出番を待っていた肉だが、食べてみると味が違うのに驚いた。約1時間の間に変質してしまったのだろうか。

以前、銀座らん月で食べたとき、余った牛肉を持ち帰ったことがあった。家人が喜ぶと思ったが、食べてみると別物の肉に変わっていた。かくも繊細なものである。

旅に出て土地のものを食べると格別に美味しく感じるのは、気のせいというわけではない。どんなに流通技術が進歩しても、食品・飲料に旅をさせると殆どが味は劣化する。

旅をして地の物を飲み食いするのが最高の贅沢だと思う。


福わらじ
鹿児島県鹿児島市平之町13-3
099-222-3241
http://www.fukuwaraji.jp

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2007年10月30日

[66亭](新宿歌舞伎町)

最近お騒がせの若の花、お兄ちゃんのプロデュースのお店


以前、若乃花の店=ちゃんこ屋さんと思って入ろうとしたが、焼肉屋と知って敬遠していた店である。スキャンダル報道は好きではないが、最近話題の名前を聞いて66亭のことを思い出した。店の前を通るといつも空いていたので、予約なしで行くと予想通り。昨日も焼肉だったが、ちゃんこ屋が人気だから韓国式の鍋でもあるに違いない、と思って入った。

ビールを頼んでメニューを見た。全ページを隅々まで見て壁の張り紙を見る。再びメニューに戻ったが、何度見ても鍋はない。出ようかと思ったがビールを頼んでしまっている。他に2人しか客はいないので、我々が帰ると店員が可愛そうだ。仕方なくまたメニューを見た。

お通し

キムチを食べながら観念して、焼肉以外の料理を頼むことにした。

チョレギサラダ、海鮮おつまみチヂミ

焼肉屋のサラダはごま油が香ばしくて美味しい。洋風ドレッシングよりずっといい。
チヂミも美味しい。表面がカリカリに焼かれて焦げ目が香ばしい。

若のつくね焼き卵タレ、ソーセージ盛り合わせ

つくねは焼いて持って来るのかと思ったら、炭焼きの準備をするので嬉しくなった。圧縮成形したオガ炭なのが笑えるが、いいサービスだ。炭火のおかげでチヂミも温めなおして食べることができた。
せっかく仰々しくやってくれたのに、つくねだけでは申し訳ないと思ってソーセージを頼んだ。「焼肉は食べないのか?」という無言の圧力に耐えながら。

たっぷり蒸し鶏冷麺

最後まで焼肉は食べないで通した。何とかなるもんだ。大したものは食べていないが、味もそこそこだったし、料金は2人合わせて酒込み7,000円で済んだ。
それにしても客が来ない店だ。店を出るまで先客2人と我々2人しか客はいなかった。場所柄、深夜が込み合うのかもしれない。店は5時までやっている。

いずれにしても韓国料理屋は周辺に山ほどあるので競争は厳しいだろう。「若」の顔がいつまで客寄せになるのかわからない。皮肉なことに、スキャンダルが我々を呼んだのは間違いないけれど…


Korean Dining 66亭 新宿歌舞伎町店
東京都新宿区歌舞伎町2-9-3 丸源51ビル
03-5272-4527
http://www.66tei.jp

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2007年10月29日

[ぐぅ](八重洲)

ホルモンを食べて元気になろう


狭い店内は照明と店員の若さで極めて明るい。女性も入りやすい雰囲気の店だ。この店が大好きなKさんに連れていってもらった。

野菜

お通し代わりの特製浅漬けキムチは芯がサクサクして、なかなかいい。キャベツとネギは食べ放題。女性が喜ぶサービスだ。

テール

骨から削ぎ落とす手間は相当だろう。そのため他の店では見たことがないテール焼き。塩味が効いて食感もありなかなかの美味。

ミノ、マルチョウ

通常は切り開いてホルモンと称されて出される小腸だが、ぐぅでは開かないものをマルチョウと呼ぶ。焼かれたら皮が縮み脂肪分が中から溢れ出して来る。ホルモン好きには堪らない逸品。

コリコリ

名前のとおりコリコリしているのは大動脈。塩味がいい。

コブクロ

子宮管だけでなく子宮自体の肉も含まれているようだ。これもコリコリしている。どの肉も味付けがいい。備長炭が近火で肉を燻るように焼く。煙は物凄い勢いで排煙管に吸い込まれていく。

一番高いのが極カルビ2,300円とお手ごろ価格の焼肉定番品は避けて、あくまで内臓肉にこだわって食べた。シビレ(胸腺からすい臓の部位)がなかったのが残念だった。

焼肉屋に行くたびに聞くのに、ちっとも覚えられないのが肉の部位の名前。一回整理してみよう。
英語名からきているのがタン(舌tongue)ハツ(心臓heart)レバー(肝臓lover)アキレス(アキレス腱achillis)ガツ(豚の胃guts)テール(尻尾tail)。
漢字を連想すると何となく分かるのがハラミ(腹身、横隔膜)ナンコツ(軟骨)ツラミ(面身、頬肉)コブクロ(子袋、子宮)。
ホルモンは内臓肉の総称として使われることが多いが、個別には腸(大腸、小腸、直腸、盲腸)を指す。テッチャンは大腸のことだ。
胃は4つありミノ、ハチノス、センマイ、赤センマイ(ギアラともいう)。ヤンはセンマイと赤センマイのつなぎ目。
他にサガリ(横隔膜の下部分)ウルテ(気管)マメ(腎臓)ヤオギモ・ブッブギ(肺)フエ・コリコリ(心臓の付け根の動脈)アギ(顎)などがある。

もっとも、せっかく整理してあげてもぐぅに来る女性は絶対覚えようとしないだろう。イケメンの店員を呼び止めて聞くチャンスをむざむざ放棄することはないからだ。ねっKさん?そうでしょう?


炭火焼肉 ぐぅ
東京都中央区八重洲1-7-3
03-5255-3729

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2007年10月28日

しいたけ

原木栽培“復活”

中国食品に対する不安が国内農業に影響を及ぼし始めた。10月23日付の日本経済新聞に「シイタケを木から育てる伝統的な原木栽培が復活し始めた」との記事に目を瞠った。

約10年前の夏休み、愛知県豊橋市の親戚を訪ねた。叔父さんはシイタケ栽培をしており、その日の仕事場はビニールハウス。ビニールハウス=温室だと思っていたが、中に入ると冷房がガンガンに効いていてびっくりした。
スーパーで年中買えるので忘れていたが、茸のシーズンは秋。夏に出荷するためにはシイタケ菌に秋だと錯覚させなければならないわけだ。

立てかけてある原木に生えるシイタケは肉厚の立派なもの。高値で取引されるのだろうと叔父さんに尋ねたら、首を振って憂かない顔をしている。中国産に圧されて価格が低迷していると言うのだ。

日経紙の記事は叔父さんの話を裏付けてくれた。10数年前から中国産の輸入が本格化し、コストの低い菌床栽培と人件費の安さも手伝い国産の半値以下で出荷されるようになったという。
シイタケは木に菌を植えて育てる原木栽培と、養分を染み込ませたおがくずマットで育てる菌床栽培の二通りあり、中国産に倣い国内産でも7割近くが菌床栽培になってしまったという。

叔父さんのシイタケは大きくて重い。味はふくよかでシイタケ嫌いの我が家の子供たちも喜んで食べる。ところが、スーパーに並べば菌床栽培物と区別がつかない。重さを比べて購入する人は居ないだろう。ましてラップに包まれたシイタケの匂いを比較することは難しい。叔父さんのしいたけは手間暇かかる原木栽培で、アッという間に競争力をなくしてしまったわけだ。

店頭では昨年10月から産地だけでなく「原木」「菌床」の栽培方法の違いを明記するように義務付けられたそうだ。加えて中国産を敬遠する風潮のおかげで、原木栽培のシイタケの価格が上昇している。叔父さんのぼやきも少なくなったのではないだろうか。

そういえば、このところ叔父さんからシイタケが送られてこない。人気上昇でこちらに回すシイタケがないのかもしれない。それはそれで喜ばしいような、悲しいような。複雑な気持ちである。

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2007年10月27日

カクテル「マイ東京」

「三丁目の夕日」の頃のカクテルを


日本橋界隈で食事をしたら、足を伸ばして銀座に行くか近場で済ますか悩む。近場といえば風長閑になる。ちょっとひっかけて帰ることにしよう。

カウンターに陣取って先ずはギネスビール。飲み干してから次を迷うのが楽しみな時間だ。目の前の果物から正面の数々のボトルを経て、左手の壁に掛けられた黒板まで目がさまよう。

三丁目の夕日はいい映画だった。テレビ、冷蔵庫、洗濯機が家庭に普及し始めた昭和33年頃の話。昭和30年生まれの銀髪世代にとって記憶は曖昧だが、雰囲気はよく理解できた。

バーテンダーの石井さんもママも「甘いから止めた方がいいですよ」と止めようとする。そうなるとますます飲まなければいけない気分になってくる。まして3丁目の夕日と来れば、飲みたい気持ちは抑え切れない。二人とも客を上手に乗せたくせに、今度はひきずりおろそうと必死だ。

甘い、甘いと驚かされたせいか、思ったより甘くない。スノースタイルのカクテルでグラスの縁につけられた砂糖が銀髪にはいただけないが、それを舐めた箇所から続けて飲めば問題ない。
石井さんがあみだしたカクテルかと思ったら、上田芳明氏が1964年(昭和39年)東京オリンピック開催を記念してに作ったカクテルで、サントリー・カクテルコンクール特選賞受賞作とのこと。
ウイスキー、ヘルメスオレンジキュラソー、ライムジュースなどで作られる。

ウイスキーベースのカクテルとしてはかなり有名らしく、ネットで検索するとたくさん出てくるが、なぜこのレシピで東京をイメージさせるのか教えてはくれない。グラスに沈められたチェリーは夕日だろうか朝日だろうか、或いはまったく違う何かだろうか。
東京オリンピックであれば、日本の明るい将来をイメージして、朝もやに浮かび上がる朝日が相応しい気がする。

三丁目の夕日はマイ東京より5~6年前の話。東京オリンピック開催決定に沸き、急成長に躍る東京の息吹きを、石井さんオリジナルのカクテルで感じたいものだ。若い石井さんには難しい注文かもしれないが、三丁目の夕日を見てイメージできるかもしれない。

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2007年10月26日

[アロッサ](渋谷)

オーストラリアを懐かしんで


何か面白い料理を食べたいと探していたら、アロッサにぶつかった。店のコンセプトはオーストラリア。オーストラリアワインを常時350種類以上取り揃え、オーストラリアならではの食材も食べることが出来る。7年半オーストラリアに住んだ銀髪にとっては胸がワクワクする店に思えた。

渋谷東急百貨店の前を通り松涛に向かったが、店を見つけるのに骨が折れた。店の在りかを示す灯りが乏しく、何度も行ったり来たりしたのに気付かなかった。途方に暮れて電話しようと立ち止まったところが、偶然にもアロッサの前だった。

1階は薄暗いカウンター席で、ダイニングルームは2階にある。壁にはオーストラリアの先住民アボロジニの絵がかけられている。メニューを開くなりメイン料理は決定した。ワニとカンガルーだ。前菜は店名を冠したアロッサ・サラダにした。

数種類のドレッシングの中から胡桃のものを選んだ。ドレッシングというより、単に胡桃を砕いて乗せただけのように見えた。ドレッシングをかけるのがあまり好きでないため丁度いい。

ワニ

ワニはオーストラリアで3回食べたことがあるが、イメージと違った。これほどの固まりで出てきたのは初めて。切り口を覗いて驚いた。半分ほどが脂である。これまで食べたものは脂が取り除かれていたようだ。脂身がない鶏肉に似ていると思っていたが、全く別物だと悟った。相方は魚のようだと言った。

カンガルー

これもイメージと異なる大き目の肉片で驚いた。これまで食べたものは全て薄くスライスされていた。その理由はすぐに分かった。筋が多くてなかなか切れないのだ。焼き方はレア。焼き過ぎるともっと固くなると言う。
ソースはとてもよく出来ていた。

変わった素材はワニとカンガルーぐらいで、まともな料理もたくさんある。オーストラリア・ワインも悪くない。ミネラル・ウォーターも見覚えがあるものだった。

「(アボロジニが重要な蛋白源とする)白い芋虫を食べられなくて残念だった」と言ったら嫌な顔をされた。オーストラリアで一度食べたことがあるが、もちろん冗談。

ワニやカンガルーを食べた勇気を褒めてあげた。それだけで充分楽しい食事になった、と思う…


アロッサ 渋谷店
東京都渋谷区松涛1-26-22
03-3469-0125
http://www.pjgroup.jp/arossa


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2007年10月25日

[うち山](銀座)

予約の取りにくい人気店


雑誌には「2週間以上前に電話を」と書いてあったが、3日前に電話して予約が取れた。「なーんだ、空いてるじゃないか」と思ったが、行ってみると7時頃には満席になった。運が良かったと素直に喜ぶべきだろう。

6時前なので一番乗り。客の到着を待つ間にと夕刊誌を持ってきてくれたが断り、職人さんたちの動きを見ていた。それだけで飽きることはない。徐々に言葉を交わし探りを入れていく。楽しく食事をするための環境は自ら作らなければならない。

胡麻豆腐、(根室産)本ししゃも

「10分もグルグル回って店を見つけるのに苦労した」と言い訳して入ってきたF氏の到着で、料理人が動き出した。いきなり焼き餅かと思えたものは胡麻豆腐。香ばしく品がいいお味。あまり好きではなかった胡麻豆腐のイメージが変わった。

松茸と雲丹の卵とじ、お造り(ほうぼう、鯛、鮪)

雷こんにゃくと里芋饅頭、蒸しあわび

どの料理も素材を活かしたシンプルな料理だが、目立たないように手を加えてある。例えば、こんにゃくは揚げてあるので独特の食感と味を出して見事に脇を固めていた。

松茸とかますの若狭焼き、鱧と松茸の小鍋仕立て

焼いた松茸の上には揚げた鱧の皮がアクセントをつける。グラグラと煮えたぎって出てきた小鍋は鱧、松茸、水菜の3品だけのシンプルなもの。三亀の土瓶蒸しと通じるものがあり、余分な素材で味を濁らせないところが嬉しい。

鯛茶漬け

主人の内山さんは銀座「あさみ」の出身だけに、鯛茶漬けが看板料理の一つ。まず鯛だけを食べて酒を飲み、今度はご飯にのせて茶をかける。胡麻ダレで味を調整して食べると、なんと美味いこと。隣を見るとKさんが残った胡麻ダレに茶を入れて飲み干している。
とにかく美味しいものは絶対残さないKさんに負けじと銀髪も飲み干した。

葛きり

甘味が苦手な銀髪は、小皿をもらいKさんに奨められるままに持参の粉をかけて食べた。鰹だしと思い込んでたくさんかけたら、何と京都の「日本一辛い唐辛子」で口の中が火事になった。気を取り直して醤油をかけたら美味かった。

内山さんは時折口を挟むだけで料理に専念しているので、我々のお相手は主に狩野さんがしてくれた。ベテランのように見えたがまだうち山で3ヶ月、その前に料理屋未経験と聞いて驚いた。

まあ、とにかく狩野さんを含む4人で大笑いをしながら食べたので、カップルが殆どの他のお客様には迷惑だったかもしれない。我々が去った後の店は、いつもどおりの静かな佇まいに戻ったに違いない。

本日は15,000円のコース。楽しく美味しい食事会だった。


うち山
東京都中央区銀座2-12-3 ライトビル地下1階
03-3541-6720

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2007年10月24日

[はまぐり](新宿)

珍しい貝の専門店


四谷、荒木町などには気に入った店があるのに新宿駅近辺はイマイチと思っていた。ようやく面白い店を見つけた。厳密には新宿三丁目で、新宿駅からはちょっと離れる。末広亭近辺は酒飲みが好みそうな店が密集するが「はまぐり」もそんな店の一つ。

凄くいい店と教えられて高級店と思って来たが、看板を見て、入り口を見て、店に入って拍子抜けした。カウンターか2階の座敷か聞かれて、迷わずカウンターを選ぶ。「暇だから隣の席に荷物を置いて広く使っていいよ」と店主は実にきさくだ。

お通し

お通しは小鉢といきなりはまぐりのお吸物。店名にしているだけに、当然と言えば当然かもしれない。

亀の手、牡蠣

白板のお奨めですぐ目に付いたのが島根産亀の手。本当に爬虫類の手・爪に見えるが岩にへばりつく貝の一種。割れ目が入れてあるので爪先を引っ張ると、身が顔を出す。磯の香りが濃厚な逸品。
岩手産牡蠣は1個105円と格安。この値段で出せるのが不思議だと褒め上げると、他の店が儲けすぎと主人は謙遜する。

はまぐり昆布焼き

秀逸だったのはやはりはまぐり。昆布の上に小振りの中国産と大き目の鹿島灘産の2種類のはまぐりが乗る。これを店主が目の前で料理する。煮汁が染み出してきたら別の器に取り、湯で薄めて飲ませてくれる。貝が固くならないうちに口に入れるとほのかに昆布の香りがする。国産の方が味に深みがあるのが分かる。

オオミゾ貝、ホッキ貝ウニ焼き

オオミゾ貝は初めて食べた。貝大好きの銀髪でも食べたことがない貝が数種類ある。

自慢料理には姫さざえエスカルゴ風、豆腐と貝四川風などの変わり種が並ぶ。その中から小柱揚げ餃子を頼んだ。貝の汁が餃子の中に閉じ込められてなかなか良かった。

今日は暇だと言われたが、いつの間にかほぼ満席になった。食べる速度が遅くなった我々を見捨てて、店主は隣の客を乗せるのに忙しい。乗せられた客の目の前には高額の「おいろけ鍋」がある。松茸とはまぐりの鍋をおいろけ鍋と称して笑わせる。

貝好きには堪らない店だろう。店主と遊びたい人にも嬉しい店だ。もう数回は来たい店だと思った。

はまぐり
東京都新宿区新宿3-8-4 
03-3354-9018

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2007年10月23日

[三亀](銀座)

渡辺淳一も愛する店


数奇屋通りは数え切れないほど歩いたが、三亀はいつも気になりながら入ったことはなかった。

夕方6時、行き先も決まらず銀座に着いてしまった。104で電話番号を聞いて、ダメモトのつもりで三亀に電話したら入れると言われて驚いた。5分で到着したら先客は一組だけで拍子抜けしてしまった。こじんまりとしたカウンターに座った。店主の南條さんとの距離も近く大満足である。

お通し、お造り

間髪入れずにお通しが二品並ぶ。柿の甘さがアクセントとなる白和えと子持ち昆布。お造りはお任せの3種盛り。一流店なので魚の産地を問うこともあるまいと黙っていたのに、いつの間にか産地論議になってしまった。「鮪は青森県大間産じゃないとダメだと通ぶる客が増えた」と南條さんは憤る。「今日は北海道産」と言うので「戸井ですね」と返した。大間でなくとも高級魚に変わりはない。

ぎんなん、カワハギの煮物

大粒のぎんなんに驚きの声を上げると、南條さんは饒舌になる。愛知県知多半島の〇〇さんの育てたぎんなんとのこと。毎年必ずいいものを作ると絶対的な信頼を置いている。成るほどホコホコして、ぎんなんとは別物に思えた。

目の前のメニューを見るたびに、ずっと気になっていたのがぜんまい。1,500円とは高すぎるように思えた。何か秘密があるに違いないと質問したら、南條さんの顔が輝いた。築地の業者が産地さえ秘密にするぜんまいで、銀座一と胸を張る。それなら頼まないわけには行かない。

ぜんまいの煮物

お椀の蓋を開けて鮮やかな緑に驚いた。乾物と聞いたのでてっきり茶色のくたびれたぜんまいと思っていたからだ。その秘密を熱心に語る南條さんは本当に嬉しそうだ。

土瓶蒸し

食事の前半に食べるべき土瓶蒸しだが、最後の最後になぜか気になり注文した。蓋を開けて驚いた。今日は驚いてばかりいる。中には松茸と鱧、他にはみつばが少し入るだけといかにもシンプル。常々他の具は邪魔だと思っていたので、我が意を得たりの土瓶蒸しだった。

勘定をしてもらう頃には満席になり、直前の予約で入れたのは本当にラッキーだったと悟った。右隣に胸の谷間が気になる女性がいる。多分同じ通りにある「クラブ麻衣子」の女性だろう。渡辺淳一を麻衣子で見かけたことがあるが、三亀の常連でもあるらしい。三亀は彼の著書「失楽園」で主人公が酒を飲む店だ。

席についた時に「フラッシュをたかないので料理の写真を撮っていいですか?」と聞いたら「フラッシュがないときれいに写らないでしょう?」と優しい女将。
客が入ってくると背筋を伸ばして丁寧にお辞儀する南條さん。70歳を超えているとは思えない若々しさだ。

また好きな店が一つ増えた。


三亀
東京都中央区銀座6-4-13
03-3571-0573
http://www18.ocn.ne.jp/~sankame/

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2007年10月22日

[長野](福岡)

福岡で1番人気の水たき屋さん


福岡は鍋も美味しい街である。ふぐ、あらなどの高級な鍋、もつ鍋などの庶民的な鍋。水たきでは新三浦などの高級店もあるが、安くて美味しいと人気なのが長野である。
営業時間が12時~21時までと、間に休み時間がないので旅行者にとっては重宝する。

安い店と聞いていたのでボロ家かと思っていたが、意外ときれいなので安心した。お客様が一緒なので心配したが杞憂に終わった。
メニューは簡単、選択肢はあまりない。水炊きは1人前2,250円。骨付き肉か、つくねかを選択する。鳥皮の見た目が嫌いと言うひ弱な部下の希望で、2対1の割合でつくねを多く頼んだ。

お通し、スモークチキン、から揚げ

鍋以外は酢もつのお通しだけと素っ気無いのでスモークチキンとから揚げを追加した。写真は2人前だが、それぞれ1人前370円と良心的な価格である。

仲居さんが器にネギを入れてスープを注いでくれる。脂っぽくてちょっと臭いが気になる。他店では臭い消しに胡椒を入れるが、長野には胡椒を置いていない。

早い時間でお腹が空いてないこともあって、なかなか鍋の中身がなくならない。野菜を入れたら、少しずつみんなの箸が動く。野菜が臭い消しの役目もしたようだ。銀髪はスープをお代わりしようとするが、穴あきの兼用お玉が使いにくい。

長野で使う鶏肉は博多ブランドの「華味鳥」。料亭「華味鳥」は昨年銀座にも出店したが、もともとは鶏肉屋。長野にも供給していることになる。
正直言うと、料亭「華味鳥」のほうが長野より美味い。鶏肉自体が上等のようだし、スープも癖が少なく東京人には食べやすい。

長野の魅力は何と言っても値段。6人で食べて飲んで2万円強。華味鳥や新三浦ではそうはいかない。博多の人と味覚を共有できる人は長野へ行ったら大満足だろう。

そうそう、どちらにしても大事なことは、お腹を空かせていくことである。前日の暴飲暴食&夜更かしが影響するようではグルメの資格はない。


水たき 長野
福岡県福岡市博多区対馬小路1-6
092-281-2200

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2007年10月21日

[あきちゃん](福岡中洲)

我慢できない飲んだ後のラーメン


母は「屋台のラーメンなんて死んでも食べたくない」とよく言っていた。屋台では大きなバケツに突っ込むだけでどんぶりを洗ったことになる。
亡くなった父は「汚い店が美味しい」と主張した。子供心に父親に味方したい気持ちもあったが、日々ご飯を作ってくれる母には勝てない。行儀よく母に従った。

福岡に住んでいたのは約50年前。父は夜な夜な中洲で飲んだくれていた。もしかして、父はあきちゃんにも寄ったことがあるのではと期待したが、大将は40年の経歴というからちょっと若い。

あきちゃんは中洲のスナックのママに奨められた。ラーメンを食べたいと言ったら即座に名が上がるぐらいの有名店で、芸能人などもよく訪れるという。屋台の席は一杯だったので、公園の縁石に腰を下ろして食べた。

10年ほど前、長浜の屋台で食べたラーメンはトンコツ臭がきつくて参ったが、あきちゃんのラーメンは思ったよりあっさりしていた。味が変わるからと紅しょうがを置いてない有名店が多いが、最初から紅しょうがが入っていた。拍子抜けしたが、これが多くの人に長く愛される秘訣かもしれない。

中洲の一流クラブの美女たちもしゃがんでラーメンを食べている。銀座では絶対見ない光景だ。もともとラーメン屋台など銀座にはないけれど。

母が嫌った屋台のラーメン屋だが、学生時代に兄たちと新宿でよく食べた。3人兄弟で飲むときの決まりは、1軒目が長兄、2軒目が次兄、そして3軒目のラーメンを銀髪が支払った。これで割り勘だと末っ子にも花を持たせる優しい兄たちだった。

飲んだ後にラーメンを食べてはいけないと思う今日此の頃。東京ではグッと我慢するのだけれど、博多に来たら我慢できない。明日の胃もたれは確実だが、旅の楽しみと戒めを解いた夜だった。


あきちゃん
福岡市博多区上川端町7(冷泉公園横)


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2007年10月20日

[明華園](人形町)

老舗中華料理店の名物はモツそば


以前人形町近くにオフィスがあった頃にはよく行った店。メニューには高級料理もあるが、いつも街の中華定食屋の感覚で使っていたため料理の印象はほとんど残っていない。

数ヶ月前の夜、お客様に連れられて久々に行った。ご馳走してくれるというので料理の選択は任せたが、記憶の通り特筆すべき料理は何もなかった。結局カメラはしまったままだったが、食べ終わった後でお客様はモツそばが絶品だと言うではないか。それなら頼んでくれれば良かったのにと恨めしかった。いつか行かなければと思いながら、時は過ぎていった。

すっかり忘れてしまった頃、店の前を通ってモツそばのことを思い出した。記憶は脳の中にどのように保存されているのだろうか。まったく不思議だ。

店に入ってメニューを開いたが、探すのが面倒くさい。店のおばさんに「モツが入ったラーメン」と頼んだら「モツそばですね」と言われた。

スープをすすって納得した。実にいい味が出ている。モツと言っても入っているのは鶏レバーのみのようだ。これを見て再び記憶の扉が開かれた。

子供の頃、我が家に衝撃を運んできたのが兄嫁だった。どの家庭も同じだと思うが、我が家でも母が嫌いなものは食卓に上らなかった。代表的なのがセロリ。この臭いには参った。これが1番の衝撃。

兄嫁が作るお雑煮にも驚いた。鳥レバーが入っていたのだ。これが2番の衝撃。食感は我慢できなかったが、汁が美味しいのに感心した。明華園のモツそばを見て30年以上も前の記憶が蘇ったわけだ。

ラーメンは専門店の方が美味いと思いがちだが、和洋中どの料理屋でも基本のスープが命。20代の若者がラーメン屋チャンピオンに輝く世界とは異質のものがあるように思える。

麺や具がなくなった後も汁をたくさん飲んだため、後になって喉が渇いて参った。
ラーメン通の人が何と言うか分からないが、ファンが多いのは事実。ミスマッチのようで意外に美味しいモツそばである。


明華園
東京都中央区日本橋人形町2-2-2
03-3666-4501


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2007年10月19日

[野郎寿司本店](新宿歌舞伎町)

新宿で食べる安心価格の寿司屋


区役所通り、風林会館近くにはリーズナブルに食べられる大型寿司店が集まる。野郎寿司本店もそんな店の一つ。同伴族や接待風の客も居れば、上司の悪口で盛り上がっているサラリーマン達もいる。雑多な雰囲気が歌舞伎町らしい。

銀髪も今日は安く済ませようとたくらんでやってきた。まずはお任せで刺し身の盛り合わせ。

中トロ、赤身、タコ、とり貝、赤貝、かんぱち、いか、甘海老など予想以上に賑やかな盛り合わせが出てきた。一番奥に玉子焼きまで乗ってきたのには驚いた。
これだけでお腹一杯になりそうだ。

高級店ではかならず産地を聞くけれど、野郎寿司で聞くのは野暮に思われる。どれもそれなりに美味しいのだから余計なことは聞かない。

ナンダカンダと楽しんで飲んでいると、いつの間にか刺身はなくなった。今度はお任せではなく、立ち上がって冷蔵ケースの中を覗き込んで魚を指定した。

鮭の厚切りを見てちょっとげんなりした。梅丘美登利寿司などもネタの大きさで行列が絶えない人気店となったが、銀髪はどうにも好きになれない。鮭は脂が乗っているだけに辛かった。それに比べればウニやもイワシは上出来だった。

大トロ、穴子

刺身だけでお腹が膨らんだので、寿司は1かんずつ食べたかったが、許してもらえなかった。「手間がかかるんでねー」と言われたら仕方がない。安い店で我侭は言えない。
大トロは連れに手伝ってもらったが、穴子は拒否された。

下の写真は別の機会に行った時の写真。アジとしめ鯖を1かんずつ握ってくれた。大型店のサービスは担当する板さんで当たり外れがあるらしい。

あじ、しめさば、とり貝、すずき、うに

高級店並の繊細さを求めなければ野郎寿司で問題ないし、繊細さなど邪魔だと思う客も多いだろう。値段の割には美味しいと思った。名札を見ると「宮城水産」と書いてある。
領収書にも株式会社宮城水産と書いてあり、野郎寿司の名はない。住所も大久保だ。魚屋がやっているので安く出来るのかと思ったが、未だ確認できていない。


野郎寿司本店
東京都新宿区歌舞伎町2-10-4
03-3208-9496

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2007年10月18日

[天龍](銀座)

久し振りに食べた名店の餃子


以前勤めていた会社から歩いて5分程だったので昼時によく行った。一生懸命に思い出すのだが、餃子以外の料理を食べた記憶がない。

餃子だけを書くのも申し訳ないので、大勢で行って他の料理も食べることにした。予約を取ろうとしたが、受け付けてくれない。来店客で一杯になるのだから、予約を受けて席を空けておくのは無駄。人気店だけができる強気の商売だ。予約なしでも確実に2階席が確保できる5時半に集合した。いつものように手当たり次第頼む。

まず出てきたのは看板の餃子。約11センチのジャンボ餃子はもちろん一口では食べ切れない。勢いよく噛みつくと、肉汁が飛び出してシャツを汚す危険にさらされる。慎重に噛むと肉汁が溢れ出し、タレが一気に薄まる。
この餃子の評判は良かった。初体験の連中からは感嘆の声が上がった。

レバニラ炒め、蟹玉

エビチリや鮑のオイスターソース炒めなど高級品も頼んだが、奪い合いになることはない。

なまこ

何か変わったものと思って頼んだなまこは、またも銀髪が殆ど食べることになってしまった。オヤジ達は食べ慣れないものを口にしようとはしない。

キムチ炒飯

キムチ炒飯はかなり辛くて、餃子に次いで高評価だった。お母さんが作るようなパラパラになってない不細工な炒飯だが味は良かった。

色々食べてはっきり分かった。この店では餃子が1番で2番以降はない。
和田誠著「お楽しみはこれからだ」に以下のような映画の名台詞が紹介してある。

スナックを経営する女性に客が「ここの自慢料理は何だい」と聞く。彼女は「〇〇よ」と答える。客が「他には?」と聞くと彼女は「それのおかわり」と言う。

天龍で使いたい台詞だ。


天龍
東京都中央区銀座2-6-1
03-3561-3543

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2007年10月17日

[鈴なり]⑤(荒木町)

やっぱり鈴なりはいい


基本的にコース料理は好きではない。数量合わせでお茶を濁す店も少なくないし、食べたくない料理が混ざっていて失望した経験も多いからだ。しかし、何度か鈴なりで食べて、コース料理を試したいと思った。親方・村田さんなら銀座の名店なみのコース料理を考えてくれるはずだ。

スタートは軽くお浸しから。みぶな、ひらたけの上に乗るのはとんぶりと思ったらキャビアだった。キャビアのきつめの塩味がうまく調和している。

根室産の毛蟹。食べてみないと分からない蟹だが、鈴なりなら安心だ。

美しい盛り合わせが出てきた。左上に鱈の白子、串に刺さるのはタコと山もも、右の小さな器の中は白海老にこのわた、中央の籠は白魚、その右にはぜの天ぷら、白ばい貝、レモンの両脇に山芋の子・むかご、笹に包まれているのは柚子団子。

鱈の白子はさっと湯通ししただけで鮮度の良さが勝負。白海老は築地でも滅多に手に入らない掘り出し物とのこと。はぜは松島産かと思ったら江戸前だという。今年は例年より早い。上品な白身の魚だ。

生うにの玉地蒸し。玉地蒸しは茶碗蒸しの一種のようだが、タップリの出汁が入った汁物に思える。蟹の内子とフカヒレを模したものが入り本当に美味い。華やかな盛り合わせの皿に比べると地味に見えるが、出汁の美味さが光る逸品だった。

玉地蒸しの感動に浸ってしまい、お造りの写真を撮り忘れてしまった。大間の対岸・北海道戸井産の本マグロ、しめ鯖、シマ海老、小紋はた、赤むつ。銚子産の赤むつが特に良かった。焼いたらとんでもなく美味かったろう。

バターと肝の相性が抜群の鮑の肝焼きを挟んで秋の味覚満載の一皿に移る。

岩手産の松茸が香ばしい。かますや牛肉が松茸の存在感に圧倒されている。

かぶのスープ煮あん肝添え。玉地蒸しと同様に鈴なりは出汁の料理が素晴らしい。この店に最初に来たとき、新たまねぎのスープ煮に感動したことを思い出した。素材の良さを活かし、盛り合わせが美しい料理もいいが、シンプルなスープ煮にはいつも感激する。

食事は松茸と銀杏の釜炊きごはん。青森産十三湖産の大振りの蜆の味噌汁と共に食べた。最後に桃を裏ごしした汁をかけた杏仁豆腐を食べてお開きとなった。

いつもながら冗談を言うと優しい笑顔を見せてくれる調理場の寺本さんと料理を運んで村田さんを支える奥さん。本当に気持ちのいい店だ。

今日は村田さんもカウンターから出てきてお見送りしてくれるので驚いた。新著「村田君のうまい!ごはんレシピ」を手にしている。誕生プレゼントだと言う。1万円のコースもお祝い代わりに豪華にしてくれたのかもしれない。

ありがとうございました。

鈴なり
東京都新宿区荒木町7番地
03-3350-1178

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2007年10月16日

[ダバインディア](八重洲)

楽しくみんなで手を使って食べよう


6時前の早い時間だったので、楽勝だと思って予約なしで行った。案の定ガラガラだったが、8時までという条件でやっと入れてもらえた。予約必須というのは嘘ではないようだ。

メイン料理はバナナの葉に乗ったカレーで、これを手で食べると来る前から決めていた。前菜として二品選んだ。

チキンティッカプレート、タンドーリリゴビ

チキンティッカプレートは2種類の味の骨なしチキンのスパイス焼き。「熱いですよ」と注意されたときはもう遅かった。銀髪は火傷しそうになって、チキンを皿の上に放り出した。その仕種を爆笑された。
身がパサパサのタンドーリチキンを出す店が多いが、ダバインディアの鶏肉は柔らかくて美味い。鶏肉自体が良質なのかもしれない。

Kさんがタンドーリリゴビを食べて「カリフラワーみたいな肉ですね」と言うので大いに笑った。カリフラワーそのものだと気付いていない。さっきの仕返しで爆笑してやった。

最初の二品が気に入ったので、メインの前にもう一品追加した。

マサラ ドーサ

ポテトの香味炒めを包んだクレープで、初体験のインド料理だった。今度は火傷しないように慎重に手で食べた。

ダバミールス、ヴェジミールス

ダバミールスには海老・魚・チキンのカレーが、ヴェジミールスには本日の野菜カレー2種、ヨーグルト、ピクルスが入っている。野菜のスパイス炒め、サンバルカレー(野菜カレー)、ラッサムスープ(辛くて酸味のあるスープ)、ブーリ(揚げパン)、パスマティライス、ババドは両方に共通している。

数種類のカレーをそれぞれ味わおうとしていたら、Kさんが構わずどんどんごはんの上にぶちまける。非難し合いながらも笑いが絶えない。カレーにまみれたライスを3本指の上に乗せ、親指で押しだすように口に入れる。慣れると結構食べられるもんだ。
香り高いインディカ米のパスマティライスもいい。インド産の白ワインを飲みながら、食が進む。

マトンシークカバブ

あまりに美味しく楽しいのでもう一品追加した。手はカレーまみれなので、店員に食べやすいように切り分けてもらった。もちろんこれも手で食べる。

食後にレモンの入ったフィンガーボールで手をしっかり洗った。それでも爪の間から漂うカレーの匂いは、翌朝までかすかに残った。

「念願の手を使って食べることが出来て本当に楽しかった」とKさんは言う。それだけで止めておけばいいのに、「憧れの人を前にしたら絶対できませんものね」とのたまう。

「ハイハイ、我々はどうせブサイクですよ!」「フーンだ!」

ダバインディア
東京都中央区八重洲2-7-9
03-3272-7160
http://www.dhabaindia.com

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2007年10月15日

[華凛](鹿児島)

鹿児島の居酒屋で


鹿児島の知人たちと飲むことになった。指定された店の名は「かりん」と聞いて、昼間行った華蓮の間違いではないかと思った。タクシーの運転手さんに告げるとやはり華蓮しか知らないと言う。指定された場所に向かうと確かにあった。華凛だった。

鹿児島は黒豚だけでなく、魚介類も豊富だ。地物を食べるにはうってつけの店のようだ。

刺身盛合わせ

鹿児島湾(錦江湾)で一年中獲れる鯛は特に有名。

さつまあげ、めひかり

鹿児島滞在中に何度も食べたさつまあげの第一弾。屋久島産トビウオをメインに海老を加えた「つきあげ」と称していたが、熱々揚げ立てのさつま揚げは本当に美味しい。
めひかりは宮崎産。地方都市に来たら傷みやすい小魚の方に有り難味がある。

豚足

他の料理は2~3皿頼むのに、豚足は誰も食べたいと言わないので一皿だけ頼んだ。煮込んでから焼いた豚足はプリンプリン、コラーゲンタップリで非常に美味。1個食べて、この美味しさを誰かと分かち合いたいと思ったが、結局誰も欲しいとは言わなかった。

東京からせっかく鹿児島に来たのに食のチャレンジャーは銀髪一人だけ。みんな北海道産のさんまの塩焼きやキムチなどを食べて喜んでいる。何とも理解できない。
もっとも銀髪が少数派なので、おかしいのはこちらということになる。

カキフライ

地物にこだわった銀髪だったが、カキフライには手をつけた。今シーズン初めてだったからだ。岩手産だろうか。いまだに30℃を超す日が続く鹿児島で秋の訪れを感じるのは、北からやってきた食材のおかげに違いない。

森伊蔵や伊佐美などの有名焼酎をたくさん飲んで、たらふく食べて、一人5,000円くらいだった。地元の人にとっては当たり前かもしれないが、東京人にとっては驚きの値段。満足度が高い居酒屋だった。

華凛
鹿児島県鹿児島市東千石1-7 1F
099-219-9483

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2007年10月14日

[華蓮](鹿児島)

鹿児島で食べるのはもちろん黒豚


ランチタイムになった。タクシーの運転手さんに美味しいトンカツを食べたいと聞くと二軒の名が上がった。一軒はタクシー座席前のホルダーにパンフレットが刺さっている華蓮。「どちらが美味しいの?」と聞くと、返事に困っている様子。そりゃそうだ。華蓮を奨めなければタクシー会社に怒られる。

パンフレットを見ると、JAが直営する店とのこと。素材の出所はしっかりしているので、運転手さんを安心させることにした。「華蓮に連れてって」と頼むと、車はより軽快に走り出した。

JAと聞いて想像した以上に店内は立派な造りで、我々も安心した。メニューを見るまでもなく、頼むのは決まっている。部下はヒレカツを頼んだが、銀髪はロースカツを選んだ。

ロースカツ定食

まず何も付けずに食べてみる。次にテーブルの岩塩を皿に挽いて、カツに付けて食べる。それから醤油、ソースの順にかけて食べる。上手に揚がったカツはとても美味しかった。おそらくタクシーの運転手さんは華蓮で食べたことがないのだろう。もし食べていたら、困惑することはなかったはずだ。

ヒレカツ&ロースカツ

翌日の昼食は別の店でヒレカツを食べた。鹿児島のちゃんとした店なら必ず黒豚を使っている。なかなか上手に揚がっていて悪くなかった。

その次の昼もトンカツを食べた。グルメ紀行を始める前には絶対にしたことがない三連チャンである。鹿児島に滅多に来ることがないこともあるが、味を忘れないうちに食べ比べをする方がいい。

結論はどの店も美味しかった。食べ方は塩で食べるのが一番いい。ヒレカツよりロースカツの方が美味い。日本人ほど肉の脂を好む人種はいない。牛肉は霜降りを好むのに、豚肉の脂は太るからと敬遠されてきた。実際、以前は豚の脂は美味しくなかったが、品種改良や餌のせいかイメージが変わってきた。コラーゲンやビタミンBを豊富に含むというので女性にも人気が出てきたが、お腹が気になる中年男性もそれほど気にすることはあるまい。

いずれにしても鹿児島で食べたトンカツは、どこで食べても美味しくて3連チャンも辛くなかった。


華蓮
鹿児島県鹿児島市山之口町3-12
099-223-8877
http://www.karen-ja.or.jp

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2007年10月13日

[ほう芽](神田)

神田で食べる名古屋名物あんかけスパゲティー


中部圏では当たり前のあんかけスパゲティーだが、東京で食べられる店は西新橋にある「パスタ・デ・ココ」と「ほう芽」など数店しかない。神田で仕事を終えてほう芽に行くことにした。

神田駅周辺は路地が多く、線路に対して斜めに道が走るので、地図を片手でも方向感をなくしてしまう。神田駅からすぐなのに、迷いながらようやく辿り着いた。店の前に1枚物のメニューが貼ってあった。

店に入ると若い女性が着るような赤いエプロン姿のおばちゃんたちに迎えられた。若々しくて美しい(かな?)。

サラダ、ふぐ唐揚げ

スパゲティーにはサラダとデザートが付いているが、ふぐはサービスとのこと。もちろんトラフグではない。食べているうちにスパゲティーがやってきた。

特製チーズにイカリングのトッピング

ホウレン草とベーコン

ウインナーは頼まなくても乗っている定番物。もう一つの定番はフライ物。パスタ・デ・ココにはなかったので、ほう芽の方が本場に近い。
スパゲティーはお決まりのブヨブヨになるような茹で方だが、麺が本場より細い。パスタ・デ・ココはちゃんと太麺だった。

あんかけスパゲティーの味の特徴は黒胡椒。激辛好きな銀髪にとっては、辛さが選べるパスタ・デ・ココに軍配は上がる。

コーヒーゼリー

デザートに甘くないコーヒーゼリーが出てきた。割安感ならほう芽の方が上。初めてあんかけスパゲティーを食べたと言う部下は、病みつきになりそうだと喜んでいた。

期待して行くほどのものではないが、何事も経験。お口に合わなかったら、パスタ・デ・ココにも行って欲しい。それでもダメなら名古屋へ。食べ慣れるとまた食べたくなってしまうあんかけスパゲティーだ。


ほう芽
東京都千代田区鍛冶町1-3-8
03-5298-2083

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2007年10月12日

[煉瓦亭]②(銀座)

煉瓦亭を食べ散らかす


「おい!美味しい店を銀座に見つけたから連れて行ってやる。グルメ紀行に書けるぞ!」と言われた。店名を聞いたら「なんとか亭」とのことで要領を得ない。やっと思い出した名前は煉瓦亭だった。それなら前に記事にしている。もっとも、前に食べたのは元祖ポークカツレツだけだった。今回、5人で行くなら他の料理も試すことが出来るので、期待を持ってついていくことにした。

店員に「看板料理はなんですか?」と聞いたら「揚げ物全般ですね」とのこと。そもそも生パン粉を使ったのは煉瓦亭が世界初。残ったパンを使い切るアイデア料理だったのだ。この料理法を様々な素材に利用してメニューは増えていった。

店の人が奨めるエビフライを頼もうとしたら、「ヒレカツの方が美味い!」の一言で却下された。「ハンバーグが食べたい!」黄色い声の要求はすぐに許可された。「俺はハムエッグが好きなんだ!」で3品が揃った。

ヒレカツレツ、ハンバーグステーキ、ハムエッグス

弾圧に負けじと3品を頼んだ。どれも煉瓦亭が発明したものらしい。

メンチカツレツ、元祖オムライス、マカロニグラタン

メンチカツは慣れ親しんだものと違って薄い。玉ねぎの味もあまり強くない。
オムライスは卵に具とご飯を混ぜて焼いたもの。中の卵がトロリとしていて美味しい。一口食べて「これはオムライスと違う!」と言ってそっぽを向いた我侭氏。
グラタンのマカロニは通常の倍以上も長い。これもなかなか良かった。

サラダ、スパゲテーナポリタン