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2007年12月31日
年末の築地
年末最後の築地市場
今年は30日が日曜になったが、例年通り最後の開場日だった。8時に到着したが既に大勢の人が交差点を行き交い、信号が点滅し始めると交差点に走り込む人が絶えない。警笛が鳴り響いても止まらない人に警官が怒鳴り声を上げる。
場外市場の人だかりを横目に場内市場に向かった。ターレットカーと呼ばれる市場内を駆け回る運搬車やバイク、リヤカーなどを避けながら足早に売り場に入る。
入り口こそ混んでいたが、人混みを掻き分け進むと普通に歩けるようになる。場内市場はいつもの土曜日とそれほど変わらない。
今日の一番の目的はもちろん鮪。最初に足を止めたところで買った。普段は2つ以上の通路を物色して回るのだが、今回は長兄も一緒だったので早めに買い物を済ませることにした。買い物をしないのに連れ回すのは気の毒だ。

インド鮪だが、大トロから赤身まで取れるならお買い得だろう。店のオヤジが哀願するように奨めるのに負けた。国内産生鮪を買うつもりで来たけれど、まあいいか。
「どこ産?」と聞いたら根室近辺と言うウニを買った。自宅で使うので色は不揃いでも問題ない。いい買い物と思ったが、家に帰って箱を見たらロシア産。場内市場でも時々嘘をつかれる。しばらく歩いたら殻つきの安価なバフンウニを見つけた。ほぞを噛んでも後の祭り。味は良かったのでよしとしよう。

イカ、鮭、わさびを買って場外市場に入った。あまりの人で路地に突き進む勇気は出ない。
タラバガニを抱えて兄は去った。買い残しはマクドナルド下の浅田水産で済ませた。築地で好きな店の一つだ。最後は同じビルの日山へ。人形町にある日本橋日山の出店で、焼き豚用の肉を買う。
築地市場の1年は終ったが、今日もアメ横は大賑わいだろう。正月は目の前だ。
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2007年12月30日
[ちんとんしゃん](渋谷)
店員も客も若い沖縄料理・居酒屋

年末の渋谷はいつにも増して若者で一杯だ。予約もしないで席を得る無謀な試みは4軒目で報われた。カウンターに囲まれたキッチンの向こうに空いたテーブルが見えるが全て予約済み。唯一空いていた入り口すぐのカウンター席を何とか確保。メニューを見る間に何度もドアが開き寒風が流れ込んでくるが、その度に店員が満席を宣告するのを背中で心地よく聞いた。
黒砂糖空豆、豆腐よう、ミミンガー和え

ゴーヤチャンプルーを作る女性の素人っぽいフライパン捌きを見ながらビールを飲む。沖縄娘をイメージさせる格好をした数人の若い女性店員や豚の耳をつけた男性店員を見ているだけで笑みがこぼれる。客も店員も銀髪の子供の世代に近い。もちろん、銀髪がダントツに歳をとっている。
後から入ってきた男4人は、「〇〇さん、いらっしゃいましたー」の黄色い声に迎えられて悠然とテーブル席についた。予約客らしい。生ビールがいきわたると、今度は「お疲れ様でーす。かんぱーい!」と女性店員たちが盛り上げる。
ちんとんしゃんサラダ、富城そばのサラダ

今度は女性だけのテーブルにスポットがあたる。お誕生日特典なるサービス品が登場すると「かんぱーい、おめでとう!」と女性店員たちの甲高い声が店を覆う。
銀髪の誕生日をここでやったらどうなるか想像して、こみ上げてくる笑いをかみ殺した。
しばらくするとカウンターのカップルが歓声のターゲットとなる。高級レストランでなくとも幸せな誕生会がここにある。羨ましいと思うが、自分だったら照れ臭くて遠慮したい。
なんこつソーキの煮物

揚げた太麺そばも良かったが、豚軟骨のコリコリ感が楽しい煮物も良かった。予約客も全て揃い、厨房は超繁忙の様子。最後に頼んだデザートがなかなか来ないので勘定を先にしたが、お釣りをもらっても到着しない杏仁豆腐を断り席を立った。
店探しを諦めたのか、この店に絶対入りたいと思ったのか、2組が店内で席が空くのを待っている。安い店で長居するのは誰にも喜ばれない。最年長者の分別の見せ所である。
「お客様お帰りでーす!」の声に「ありがとうございましたー!」と全店員の声がこだまのように店内に広がった。
ちんとんしゃんは伊勢佐木町を本店にして数店舗あり、どの店も賑やかなようだ。静かな店が好きな人には向かないが、はにかみやさんでも気分を盛り上げてくれる。銀髪も結構楽しめた。変な白髪オヤジが居ると他の客には不思議がられたかもしれないが…
沖縄料理 ちんとんしゃん
東京都渋谷区道玄坂2-28-1 椎津ビルB1
03-3463-3085
http://chinshibuya.blog26.fc2.com/
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2007年12月29日
あなご
兵庫県相生のあなごは美味い

休みの日は銀髪が料理当番であるが、気分が乗らないときもある。職場放棄を企てると、娘が「お母さんは毎日作っているのだから、休みの日ぐらい休ませてあげないと可哀想だ」と抗議する。銀髪は毎日会社で休んでいると思っているようだ。家で何もしないでゴロゴロしているお父さんが尊敬されないはずだ。そんなときに、持つべきものはよき友達だ。
日が暮れて頭を痛めていたら電話が鳴った。Tさんから何事かと思ったら、お歳暮に穴子を持ってきてくれると言う。穴子に馴染みがない家族が何と言うか心配だが、今晩のメインは決まった。

瀬戸内の穴子は美味いと広島、岡山で学んだ。銀髪グルメ紀行のことを良く知っているTさんが、考えなしに穴子をくれるわけがない。包装紙を頼りにインターネットで検索した。
播磨灘から明石海峡一帯は良質の魚介類の宝庫で、特にあなごは有名とのこと。相生駅の人気駅弁は「播州室津のあなご弁当」「あなごめし」だそうで、予想通りTさんは極上物を持って来てくれたことが分かった。

箱を開けると思ったよりたくさんの穴子の白焼きが入っている。家族にはちょっと炙ってタレを塗り、穴子丼で食べさせた。銀髪はまず、白焼きのままわさび醤油や柚子胡椒で食べることにした。白焼きといっても関西では鰻の白焼きと同様に軽くタレを塗ってある。
酒の肴でゆっくり食べようと思ったら、アッと言う間に家族に食べられてしまった。仕方なくもう数本炙るとこれにも箸が伸びてくる。食べ切れないと思っていたが、箱の穴子は消えてしまった。
娘の茶碗を奪い取り、タレをつけた穴子ご飯を一口食べさせてもらった。米はこれまたもらい物のこしひかり。殆ど無農薬で部下が自分の田で作ったもの。今年は特に出来が良かったと言う。
人の物を奪って食べると、一段と美味しく感じた。
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2007年12月28日
[風雲](新宿歌舞伎町)
きれいなショットバーのような焼き鳥屋さん

歌舞伎町で店を探して彷徨った。年末の暴飲暴食がたたって、焼肉などは食べたくない。そんなときは不思議なことにやたらと韓国焼肉屋が目につく。タイ料理などのエスニックも気が乗らない。暴飲暴食の原因となった海鮮料理屋を今日は避けたい。妥協の結果、焼き鳥屋に行くことにした。気になっていたきれいな店は、焼き鳥屋を感じさせない。
ショットバーを思わせるカウンターに座ったが、清潔過ぎて焼き鳥の味にイメージが湧かない。いろいろ食べたいが2本が最低単位、盛合せも2人前以上となっているので頼みにくい。同行者に好き嫌いがあると、2本ずつ食べる羽目になる。レバーは自分1人で食べる覚悟で頼んだ。

目の前に焼き鳥が出てきてタレ焼きか塩焼きか聞かれなかったことに気付いた。レバーはサイズが不揃いのためにレア気味のところと、焼けすぎのところがある。
地鶏サラダ、コーチンたたき

名古屋コーチンがお奨めと言うが、1本4百円でも2人前が最低単位。小さな串で割高と思われたので、たたきを食べることにした。添えられたポン酢ではなく、塩胡椒で食べてみたくなった。塩には特にこだわっていないようだ。胡椒挽きとテーブル塩が一体となったものが出てきた。塩胡椒をして醤油を一滴垂らしたコーチンは、予想通り美味だった。
砂肝、ぼんちり

今度ははっきりとタレでなく塩でとお願いした。脂が乗った美味しいぼんちりは1本だけ、少し火が通りすぎだがそこそこ美味しい砂肝はほぼ2本を食べた。最低単位の2本は違うものを1本ずつでも許して欲しいものだ。
アスパラ巻き、シソ巻き

女性が喜びそうな店なのに、不思議なことに入ってくる客は男ばかり。焼き場を担当している料理人はベテラン。炭を使った本格派で、料理は一定の水準に達している。池袋に2店あり、新宿店も7月に移転したとはいえ10年以上歌舞伎町で営業しているという。
繁盛店への改善箇所は随所に見られるが、たまたまこの日が空いていただけかも知れない。店長の中島さんに一つ指摘したが、嫌がられただけのようで余計なお世話だったと反省した。
食事の途中で銀髪自身が立て掛けたメニューが倒れ、水のグラスがひっくり返ってコートやズボンが水を浴びた。1人で店内を取り仕切っている中島さんに余計な仕事を作って迷惑をかけてしまった。それにもかかわらず、店を出るまで丁寧に応対してくれた。
以前、日本橋で雇われ店長にアドバイスして不快な顔をされたことを思い出した。どうせ店長の思い通りにはならない。中島さんが店長ではなくオーナーだったら、アドバイスを感謝してくれたかもしれない。
新宿 風雲
東京都新宿区歌舞伎町2-21-5
03-3208-0718
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2007年12月27日
[春駒](福岡)
今年も、冬の王様てら岡のあらしゃぶで締めくくり

今年最後の福岡出張になった。3人旅だが刺身が嫌い、食べたことのないものには手を出さないと言う人は日帰りすると言う。残った2人は「ラッキー!」てなもんだ。あらを食べることが出来る。ところが残ったもう1人のFは、あらのゼラチン質が嫌いで、てら岡のあらしゃぶ以外は食べたくないと言う。嫌がる奴を無理に引きずりまわすわけには行かないが、何度も行ったことのあるてら岡ではつまらないと思い、系列の春駒に行くことにした。
春駒は中洲から春吉橋を渡ってすぐ右側にある。本店に比べると小振りだが、食後の中洲行きには遥かに便利だ。小上がりの掘り炬燵式のテーブルを確保できた。まずは博多名物、呼子のいかの生き造りから。

透き通った身が美しい。時おり足がサワサワと動く。沖縄産の塩をつけ、わさびを乗せて食べる。味よりもコリコリ感が楽しい。天ぷらにしてもらったゲソが美味だった。
我々を担当してくれた仲居は中谷由紀子さん。大吟醸酒を頼んだら品切れ。別の大吟醸を頼んだらこれも品切れ。酒を取りに行っては品切れの連続で、結局安い酒に落ち着いた。本店に比べて大衆的雰囲気の春駒では、高い酒は出ないのかもしれない。「安上がりでありがたい」と言うと由紀子さんが苦笑する。
関さば

お客様がさばを求めると、関さばしかないと言う。銀髪が「あじは?」と聞くと関あじしかないと応える。我々は玄海灘のさばやあじがいいのだが、ここは高級料亭のプライドか居酒屋レベルで出す地魚は置いていない。仕方なく関さばを頼んだ。さすがに美味いが、酒のように安上がりでは済まなかった。
食べ切れずに残った刺身は胡麻さばにしてもらった。贅沢な料理になってしまったが味が変われば食欲が蘇る。
あらしゃぶ

サフランの緑色が鮮やかなスープでしゃぶしゃぶが始まった。由紀子さんが薄く切ったあらの身をちょっと鍋に泳がせて、我々の皿に乗せてくれる。今日のあらは100kgの大物とのこと。Kが「どのぐらい?」と聞くので「お前ぐらいだよ!」と銀髪が茶化すと由紀子さんが大笑いする。Kは90kgに到達しないようにダイエットをしたいと思っているが、気持ちだけで空回りしている。
あらちり

しゃぶしゃぶ用の薄切りのあらが終り、コラーゲンがプリプリの厚い身の鍋になる。これがまた美味いんだよね。
雑炊

ふぐより美味しいと言われるあらだが、お腹一杯にもかかわらすお代わりをしてしまった。満足満足。
帰り際、勘定をしていたら女将が挨拶に来てくれた。いやに若いと思ったら寺岡美由紀女将はてら岡主人の長女とのこと。本店でも、春駒でも料金は同じだそうだが、本店の座敷より春駒の方が気楽で楽しかった。仲居さんが良かったのかもしれない。
あらしゃぶだけ食べる分にはそれほど高くない。博多に行ったら是非食べてもらいたいものだ。
春駒
福岡県福岡市中央区西中洲1-3 (春吉橋たもと)
092-734-3988
http://www.teraokagroup.co.jp
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2007年12月26日
[牛幸 本店](新川)
焼肉? 牛鍋?

以前、何度も飲んだくれて店の前を通った。暗闇にひっそりと佇む雰囲気が気に入っても、これまで行く機会は訪れなかった。ようやく得たチャンスに胸躍らせて、日本橋から歩く。家路に急ぐ人々の流れに逆行しながら長時間歩くことに同行者たちから不満の声が上がるが気にしない。
カロリーの消費が特に必要な人が一番文句を言う。これから大量摂取をするというのに。
小さな門を抜けると、店内も外観に負けないぐらい雰囲気がある。たくさん歩いて不満タラタラだった連中も顔がほころぶ。さすがに忘年会シーズンは満室とのこと。テーブルの上にある変わった形の鉄板に誰もが興味津々である。
前菜

黒毛和牛しゃぶQという4,830円のコースが始まった。
前菜の皿の中央にある牛のたたきに感嘆の声が上がる。幹事役の苦労が報われる瞬間だ。
牛鍋

「最上級の肉を安く食べさせる」というのが店の信条らしく、大きく厚い霜降り肉が各人2枚。2段になった鍋の上で焼かれた肉の肉汁が下の段に流れ込む。深い溝で肉汁を待つのはキムチベースのスープと野菜類。
肉汁だけでなく、牛脂も溶け込むので味がしつこくなる。そのためキムチ味にしたと思われるが、なかなかいいアイデアである。
ひれ、ざぶとん

瞬く間にコースの肉を平らげて、美味いを連発する可愛い部下たちのために、肉を追加した。ざぶとんとは鞍の下あたりの肉。「馬なら分かるが、牛に鞍はつけない」と茶化す奴がいても、みんなの口は食べることを優先している。ひれは特に好評だった。
最後にきしめんとデザートを食べて、1時間強で食べ終えた。食べるのが早い人がいると、みんな引っ張られてしまう。いくつになっても鍋は気持ちを逸らせる。酒の消費量が少なく済むのが有り難いが、今度は客でも連れてゆっくりやりたいものだ。
デザートを食べる部下たちを残して、勘定をしに階段を下りた。勘定場には今日使った肉の詳細なデータを記した紙が置いてあった。今日の肉は栃木産。「上質の肉を安価に提供する」というのは嘘ではないようだ。
この店ではカードが使えない。煩雑だというだけでなく、カード会社への手数料を客に転嫁させないための配慮かもしれない。
襟を立てて文句タラタラで歩いてきた連中も、帰りは体が暖まり上機嫌だ。銀髪の財布の現金は殆ど消えてしまったが、まっ、いいかな。
牛幸 本店
東京都中央区新川1-9-8
03-3551-8980
http://www.ushikou-honten.co.jp
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2007年12月25日
[ハンニバル ドゥ](原宿)
チュニジア料理に再度挑戦

サッカーのクラブ世界一にACミランが輝いた。3位決定戦で浦和レッズが破ったのがアフリカ代表チュニジアのエトワール・ザヘル。チュニジアは、かつて対岸のローマと覇を競ったカルタゴを祖とする。地中海沿岸国だけにイタリア料理、ギリシャ料理などと共通点も多い。チュニジア料理は中野の「カルタゴ」に次いで2回目の挑戦である。
唐辛子とオリーブ&パン、サラダチュニジアン

自家製の唐辛子ベースの辛味噌がとてもいい。辛いのが好きな銀髪にとってはお土産に買って帰りたいぐらいだ。
サラダはりんごの酸味が効いている。
プリック

プリックは春巻きの皮にツナとパセリと半熟玉子を包んで揚げたもの。手で持って黄身が流れ出さないように慎重に食べる。楽しく食べて味も悪くない。作り方をチュニジア人の店員に効いたが「内緒」と言って教えてくれない。
フロアを仕切っている彼は、若い女性だけのテーブルに特にご執心だ。流暢で早口の日本語で女性たちの人気を独占している。それに反して中年男性だけのテーブルや、我々には冷淡に感じる。被害妄想かもしれないが…
鯛と野菜のクスクス

同じチュニジア料理屋であるが、お奨めの料理はカルタゴとは随分違う。それでもクスクスはどちらにもある堂々の名物料理。世界最小のパスタ・クスクスはどんどん水分を吸収するので、トマトベースのスープをタップリかけて食べる。
きじのオープン焼き

看板料理は丸ごとオーブン焼き。黒鯛、真鯛、石持、ひな鳥、ホロホロ鳥、鳩、ウズラなど選択肢は多い。この日はフランス産の野生のきじがあった。食べた記憶がないので、値は一番張るが食べることにした。
感動するほどの味ではないが、好奇心は満たされた。よく運動をしている野生動物の肉は固い。オーストラリアに居たとき散弾銃で撃ち落された野鴨を2匹もらって閉口したことがある。一匹は鍋にしたものの噛み切れずに捨てた。二匹目は竜田揚げにしたら油を吸って何とか食べることが出来た。
きじを一匹丸ごとは大きすぎるので半身のオーブン焼きにしてもらった。部位によって味、食感が大きく違って面白かった。手羽肉はナイフすら拒否された。噛み切ろうとしたが、歯が抜けそうなので諦めた。
ハンニバルは紀元前200年頃のカルタゴの伝説的な猛将で、ローマを崩壊の一歩手前まで追い詰めたが、若きローマの武将・スキピオに敗れる。ハンニバルが自害して30年後、ローマはカルタゴを焼き滅ぼしてしまった。
戦争と料理の因果関係は深い。もしカルタゴが勝っていたら、原宿の街はチュニジア料理屋で埋め尽くされていたかもしれない。クリスマスをイタリアンで楽しむ恋人たちが、クスクスを食べていたかもしれないと想像するのも楽しいものである。
ハンニバル ドゥ
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-53-3 YFLビルB1
03-3479-3710
http://www.hannibal.cc
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2007年12月24日
塩
塩が美味くなった。お歳暮で塩をもらった。
上杉謙信が敵の武田信玄に塩を贈った故事を例に出すまでもなく、塩は生命維持にもっとも必要なものの一つ。安定供給の名の下、日本では長く専売制がとられていた。
転機は1985年に日本専売公社の民営化で、やがて1997年には専売制が廃止、更に2002年に塩の販売が自由化された。
先日我が家に届いた箱にはガンダーラの塩(パキスタン)、シチリアの塩、パタゴニアの塩(アルゼンチン)、ホンコイ村の塩(ベトナム)、南極海流の塩(オーストラリア)、ジュラ紀の塩(アメリカ)、インカの塩(ボリビア)、7種類の塩が収まっていた。

ガンダーラ、ジュラ紀、インカの塩が岩塩、パタゴニアが湖塩、他は海水を天日干ししたものだ。こんな気の利いたものを選ぶような人ではないので、きっと奥さんの進言だろう(失礼)。
20年ほど前に、京橋の寿司屋で上司にご馳走になったときのこと。平目とイカを塩で食べさせられて感動した。淡白な素材では塩だけの方が醤油より味が分かる。当時は専売公社のありきたりの塩だったに違いないが、それでも感激したものだ。塩の販売が自由化されてからは、塩で食べさせる店が一気に増えたような気がする。
焼き鳥も以前は殆どがタレ焼きだった。レバーが最後の砦だが、今はすべて塩焼きで食べる人が増えてきた。辛口全盛でタレですら甘過ぎると感じられるせいかもしれないが、塩の販売自由化と無縁ではあるまい。「この塩は焼き鳥に合います」なんて言われたらイチコロである。
卓上に複数の塩を置けばこだわりの店と思われる。安上がりで効果絶大だが、地方の料理屋ではあまり見かけない。
もらった塩を味比べしたが、正直言って味の違いはよく分からない。説明書にはどれもバランスがよく、どの料理にも合うと書いてある。銀髪の舌も大したことがないことが分かっただけで、どれも美味しいと言っておこう。
後日、カラオケで久し振りにゴダイゴのガンダーラを歌った。♪ガンダーラ、ガンダーラ、They say it was in India♪ たくさんの拍手をもらった。懐かしい歌を思い出させてくれたお歳暮の塩に感謝、感謝。
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2007年12月23日
[オステリア ヴィンチェロ](新宿)
ワインと共に素敵にイタリアン

松茸が高いといっても知れている、と言わせるのがトリュフだろう。先月イタリアで発見された重さ1.5キロのトリュフが、33万ドル(約3,700万円)で落札された。お金持ちの道楽でついた値段だが、高価な食材であることに変わりはない。テレビで辰巳 琢郎が絶賛していたオステリア ヴィンチェロに行く気になった。彼が食べたのがトリュフだった。
最寄駅の丸の内線新宿御苑駅からでもかなり歩く。看板など人目につくようなきらびやかな灯りがないので、思わず通り過ぎそうになる。7時を過ぎているが先客は3組のみ。20人程度で満席になってしまう小さな店である。
前菜・パスタ・メインの3品で構成されるプリフィクスコース(3,990円)が基本。客が自由に組み合わせるが、料理によって割り増し料金がかかる。ウニのスパゲッティとフォアグラはすぐに決まったが、他は店主と相談することにした。
魚介類の前菜盛合せ

きんめ鯛のカルパッチョだけを指定して後はお任せで盛ってもらった。ムール貝、帆立などどれも美味しいが、特にタコが気に入った。1杯目は軽めの白ワインで。
生ハムとルッコラ

グランテロ(?)という生ハムは初めて聞いた。シャキッとして鮮烈なルッコラとよく合う。
ウニのスパゲッティ

他店でも何度か食べたことがある料理だが、とてもまろやかに仕上がって美味しい。皿を舐め尽くしたい気持ちになる。
隣に30歳前後の若いカップルが座った。「当店はワインを飲むための料理ですから」と注文をつけられても、女性はワインはいらないと頑なだ。オステリア ヴィンチェロはワインにこだわっており、料理に合うワインをグラスで提供してくれるのに…
トリュフのリゾット(?)

トリュフの料理はメニューに載っていなかった。「今年はとても高価なので」と言われたが、お任せで作ってもらった。ファロット(?)という穀物で作ったリゾット風の料理はとっても美味。これにトリュフを削り乗せる。とてもご機嫌な一皿である。
2杯目のワインははチーズとトリュフの香りでリッチな料理に合わせてコクのあるシャルドネ種を奨められた。
フォアグラと鴨の肉

一番に決めたメニューだけに大満足。これまでの料理から予想されたとおり、上出来だった。フォアグラ、トリュフにキャビアが加われば世界三大珍味を食べ尽くせることになるが、今日のところは2つで我慢。ワインはフルボディの重めの赤ワインに替わっている。
隣席の女性が手を上げた。「禁酒しているのだけれど我慢できなくなった」と言ってワインを頼んだ。銀髪の方をチラチラ見ていたが、気があるわけではなかった。基本コースを頼んでご満悦な若い彼氏の懐を気遣っていたが、我慢の限界を超えたように見える。美味しい料理,、そして美女を目の前に彼氏の方は既に2杯目の美味しいワインを飲んでいる。遠慮をすることはない。
8時を過ぎる頃には、店は幸福な笑顔で満席になった。
よしっ!また近いうちに来よう。でも、クリスマスの特別コース・ディナーは恋人たちに譲ろう。おじさんはクリスマスも居酒屋が似合う。
オステリア ヴィンチェロ
東京都新宿区新宿5-1-13
03-5367-1967
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2007年12月22日
カツサンド
まい泉と万世、カツサンド食べ比べ

出張で羽田に着いた。昼食時間が機上なので空弁と決める。もっとも簡単なのがサンドイッチ。万世のカツサンド630円を買う。搭乗口近くの売店に今度はまい泉のヒレカツサンド780円を見つける。先ほどの売店にもあったはずだが気がつかなかった。カツサンドの味比べをするにも2個は多すぎると思ったら390円の半分サイズをちゃんと用意してある。グルメ紀行のためにこれを買う決意をした。

飛行機に乗り込み、離陸を待つ。この時間が長い。ぐっと機首を上げ、東京湾上を旋回して目的地への航路に乗るとようやくベルトのサインが消える。待ちに待った食事の時間。フライトアテンダントが飲み物を持って来るのも待てず、カツサンドの箱を開ける。
まい泉

ふーん、こんな味だったかな。ヒレカツなだけに、パサパサした感じがする。あっさりした方が好きな人には合うだろう。もともとトンカツがあっさりしているとは言えないが。
万世

まい泉に比べるとなんとも雑なカツサンドだ。こちらの方がコクがある。肉自体も柔らかく感じる。肉の部位を知りたくて箱の横を見たがとんかつとしか書いていない。まい泉も同じだ。
食品表示法の不可解なことは、加工されたものは内容表示をしなくてもいいそうで、とんかつと書けばその正体を問われることはない。
素材のままであれば原産地表示が義務付けられているが、加工品に義務はない。
従って、肉の産地も部位もはっきりとは分からなかった。カツサンドに高級肉が使われているとは思っていないので、どちらでもいい話ではあるけれど。
まい泉と万世のどちらが美味しいかは各人の好みなのでとやかく言うつもりはない。以前、ニューオータニで開かれたパーティーで食べた揚げ立てのカツサンドの方が美味しかったのは間違いない。
しかし、冷たくなってしまったカツサンドも、ソースと水気を吸い込んで柔らかくなったパンがカツと一体化して悪くない。
色々考えると、カツサンド評論家と称する人がいるように思えてきた。
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2007年12月21日
[楼蘭]②(銀座)
画竜点睛を欠く

うちのボスを加えてに大人数で食事をすることになった。両手にも満たない決まった店で決まった食事をする彼との夕食は、グルメ紀行の参考にならず辛いものだ。
しかし、定番の店といっても久し振りだからいいかと気を取り直した。直前になって彼が来ないことになった。だったら、違う店にしたのに…
全員が揃い、席に着いたがメニューをなかなか持ってこない。仕方なく催促したら、料理は既にボスが予約のときに指定したと言われてショックを受けた。
彩虹という12,000円のコース料理は食前酒から始まった。
楼蘭風季節冷菜の盛り合わせ、岩海苔と玉子のふかひれスープ

釜焼き北京ダック、鮑のオイスターソース煮込み

ミネラル野菜炒め、秋鮭の中国風ステーキ 特製ソース

牛ひれ肉のチャーハン、デザート

残念ながらコースよりもボスが構成するメニューの方がずっといい。彼はいつも燕の巣のスープを頼む。あとは麻婆豆腐などありきたりのものばかりだが、少なくとも燕の巣は初めて食べる人にはインパクトがあり、目玉となり得る料理である。コース料理はそれぞれがそこそこの仕上がりで、印象に残る皿がない。
安く腹を満たそうと思うのであればコース料理はバランスがいいが、1万円以上を払うのであれば高価なものを一皿頼んで、他は脇役で固めればいい。前菜・目玉の料理・やきそば・チャーハンで構わない。
宴会は盛り上がった。料理の批評をする人は誰も居ない。料理のすべては店側の意図通り(?)、会話・団欒の脇役に徹した。
楼蘭
東京都中央区銀座5-8-20 ギンザコア10F
03-3575-0787
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2007年12月20日
[妻家房](四谷三丁目)
代表的な韓国家庭料理家のお味は?

東京を中心に全国にレストランが18店、大手デパートでキムチなどを販売しているので誰でも一度は目にしたことがあるに違いない。日本橋コレドにもきれいな店があるが、どうせ行くならやっぱり本店へと思った。
随分前に有名な店とは知らずチャンジャを買ったことがあるが、食べるところがあることは気付かなかった。入り口のレジで2階に上がるよう言われた。先客は3組で、我々で一杯になってしまった。もっとも一組は3世代の家族連れで、幼児が机をバンバン叩いている。妻家房は家庭料理が自慢と聞くが、幼児のお陰で雰囲気まで家庭的になった。
キムチ盛合せ

料金は家庭的ではないと思われたが、量を見て納得した。
ジュクポッサム

蒸した豚の辛いみそ(ヤンニョン)と野菜を白菜に包んで食べる。あんまり辛くないのでコチジャンをもらった。韓国料理店に行くと、必ずたどたどしい日本語を話す可愛い韓国娘がいる。日本で何をしているのか根掘り葉掘り聞きたくなるが、ここは赤坂の韓国クラブではないと自制する。こんな初々しい娘も、やがてクラブで勤めるようになり、客のボトルをがぶ飲みしては高額な料金を請求するようになるのだろうか。
じゃがいものジョン

じゃがいもをすりおろして作った韓国風お好み焼き。素朴で家庭料理らしい。今度、家で挑戦しようと心に誓う。
水冷麺

先ほどの娘に「麺はそば粉? 小麦粉? ドングリ?」と質問した。言葉が通じないのか、質問の意味が分からないのか困った顔をしている。ドングリの粉で作るトトリ麺なら楽しいと思って聞いただけで、困らせて喜ぶ気持ちはまったくない。いや、少しあるかな。
彼女は素直に厨房の料理人に聞いて、返答してくれた。
客席に比べると、はるかに大きな厨房にたくさんの人が働いているのが見える。1階売店の奥の客席は明かりが消えていた。もしかすると、他店で販売する商品を作っているのかもしれない。
他の店でもよくあることだが、1店舗目は小さく始まり、繁盛して多店舗展開するうちに高級店が加わるようになる。本店に行くと拍子抜けするというより何故かホッとする。
幼児がテーブルを叩いている風景が、似合う店であり続けるのは難しいことなのかもしれない。
妻家房
東京都新宿区四谷3-10-25
03-3353-0200
http://www.saikabo.comは
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2007年12月19日
[青葉](新宿歌舞伎町)
台湾出身者たちも好きなお店

創業から31年、新宿で働く台湾出身者たちの郷愁を慰めて来た店が青葉という。今は韓国料理店が幅を効かし、中国本土出身者が多く働く歌舞伎町界隈だが、チャイナ・クラブのママの多くは台湾出身者。歌舞伎町を切り開いた人たちの面目躍如である。
古ぼけた歌舞伎町ビルの階段を下りると少し緊張する。日本橋・銀座界隈を根城とする人にとっては、古い新宿に足を踏み入れるとドキドキする。不夜城・新宿のイメージが膨れ上がる。店内に入ると新宿を飛び越えて、台湾の古い歓楽街にワープした気分になる。
在日10年以上に違いないが、未だにたどたどしい日本語の中年女性が応対してくれた。台湾料理店に来たら必ず食べるしじみの醤油漬けを頼んだ。

しじみの貝殻は日本の物とは思えない色をしている。生ニンニクが辛い。しじみの身はトロリとしている。台湾本場の味そのままなら、台湾の人が評価するのも分かる。

青菜は店員と散々相談した末に、定番の空芯菜の炒め物に落ち着いた。料理が来てからこれもニンニクをたっぷり使った料理であることに気付いた。先日、にんにくを食べてタクシーに乗り、寝込んでいるうちに窓を開けられて左半身が凍える思いをした。2品も続けてにんにく料理を頼んだことを後悔したが後の祭り。食べ始めると美味くて開き直った。

メインは上海蟹などを奨められたが、メニューを見ているうちに蘇った思い出に賭ける事にした。蒸した魚にネギなどの香味野菜を乗せて、熱いごま油をかける。オーストラリアの中華料理店で食べて気に入り、我が家で客を迎えたときに何度も主役を張った。丸ごとの魚が豪華に見えて、味も文句なしでとても好評だった。しかも料理は簡単ときている。
入り口の水槽で泳いでいた鯛がこの日の蒸し魚。本来使う魚とは違うが、何とか代役の任に堪えていた。台湾では、頭と尾びれはホストのところに行く。台湾出張の際、宴席で主賓の自分に来ないことが不満だったが、ホストが食べる気配がないので分捕ったことが懐かしく思い出された。今日はホストだから、台湾式に銀髪が貪る権利があって満足した。
タクシーに乗るときに、にんにくを食べたことを告白した。「韓国焼肉の店が多い赤坂からしょっちゅう客を乗せますが、冬にお客さん側の窓を開けるなんてとんでもありません」と、今日の運転手さんは銀髪を擁護しただけでなく、運転手仲間を非難してくれた。酒やにんにくの臭いが嫌なら運転手失格だとも。
よしっ! これからも遠慮なくにんにくを食べるぞ! 運転手さん、ごめんね。
台湾料理 青葉
東京都新宿区歌舞伎町1-12-6 歌舞伎町ビルB1
03-3200-5585
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2007年12月18日
[Kolkata(コルカタ)](世田谷区砧)
郊外で見つけた美味しいインド料理屋

銀座など繁華街ならともかく、郊外のレストランに過大な期待は持たない。それが良かったのかもしれない。予想を大きく覆してくれた。
渋谷方面から世田谷通りを下り、NHK技研を越して、国立生育医療センター(旧大蔵病院)の斜め手前にある小さな店。外観も内装もメニューを見ても、何の特徴もないインド料理屋だ。写真を撮る気もないまま海老と鶏のタンドーリ、カレーを食べてしまって後悔した。写真を撮るためにすぐに再訪した。
タンドーリミックス、シークケバブ

タンドーリチキン、チキンティッカ、チキンマライティッカ、タンドーリプロウンの4種のタンドーリミックスと、シークケバブ。タンドーリ料理は5種類。
タンドーリ・チキンは身がパサパサで固いものと思い勝ちだが、この店のチキンはとても柔らかだ。有頭海老もジューシー。焼き加減がとてもいい。
カルカッタ・フィッシュカレー、マトン・バダミ(カシューナッツ入り)

フィッシュカレーは魚の代わりに海老にしてもらった。メニューにないものでも気軽に応じてくれる。辛さも数段階から選べるが、各人好みが違うので比較的マイルドにしてもらって、辛味の調味料を頼んだ。
唐辛子でも持ってくると思ったら、出されたのは何かペースト状のもの。香辛料のミックスを野菜と共に煮込んだものでこれが秀逸だった。これをカレーに加えると辛さだけでなく風味も増した。
ナン

ナンは手がベトベトになる店もあるが、この店のナンは油っぽくなくていい。どの料理も我々の口に合うし、こちらの好みを言えば何でも応えてくれる。気のいい店員に絶賛すると調理場の向こうの料理人を紹介してくれた。料理人も満面の笑顔でこちらに挨拶した。
もっと食べたいのでテイクアウトした。マトンとホウレン草のカレー、ひよこ豆のカレーもちろん辛味ペーストもつけてもらった。我々も、気のいい店員も、料理人も笑顔、笑顔、笑顔だ。
出口に置かれた臭い消しを口に含んで店を出た。

以前はネパール人がシェフだったが、今はカルカッタ人に代わったとのこと。前の評判は芳しくなかったようだが、徐々に盛り返していくだろう。異国で一生懸命の彼らを見ていると、エールにも力が入る銀髪だった。
KOLKATA
東京都世田谷区砧3-2-7 第2大蔵ビル1F
03-3415-9786
カルカッタ(Calcutta)は英語表示で正式にはKolkata(コルカタまたはコルコタ)。社長のシェイクさんは誇りを持ってKolkataを店名にしている。従って、このブログでも店名表示を変更しました。(2008年7月6日)
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2007年12月17日
[まこちゃん](新橋)
あこがれの焼きトン屋さんへ

新宿・のみやで牛もつを食べたとき、新橋の焼きトン屋・まこちゃんのことを思い出した。半年以上前に目をつけた店だが、行く機会がなくそのままになっていた。ところが数日後部下が持って来た仕事が新橋で、まこちゃんまで歩いて5分もかからない。しかも5時過ぎに終わる仕事と理想的である。神様は日頃の行いがいい銀髪の味方だ。
5時15分に店に着いた。すでに半分近くが埋まっている。後で人数が増えると断って4人掛けのテーブルに座った。後から来る奴が絶対食べないものから注文する。
レバー刺し、コリコリ刺し、軟骨やわらか煮

まこちゃんも新宿・のみやと同様に「芝浦から毎日直送」を謳っている。レバー刺しはイチオシと言うだけあって予想以上だった。「叙々苑・游玄亭でも食べないのにこんな店で…」と言う奴が来る前に、さっさと楽しまなければならない。部下はコリコリ刺しが、銀髪は歯ごたえのある軟骨も気に入った。
生キャベツ、ポテトサラダ

野菜で口直しをしている間にも人がどんどん入ってくる。カウンターの客は横に移動させられ、広がった空間が全て埋められていく。ついに店の人が我々のテーブルの2席に眼を付けた。「後の人はまだ時間がかかりますか?」と聞かれると同時に、タイミング良く携帯が鳴る。ほどなく電話の主が飛び込んできた。滑り込みセーフだ。
シロ、レバー

焼物はボリュームたっぷりだ。後からやってきた彼はシロが大好き。2本、2本と注文して更に5本追加する。彼はちょっとタレが辛いと文句を言うが、シロはどんどん消費されていく。酒飲みは店自慢の辛目のタレが気に入るはずだ。
まぐろ串(頭)、かしら・ハツ

銀髪はホッピーのお代わりをした。他の人は抹茶ハイを飲む。
さつま揚げ、チャンジャ

トイレに立って見回すと、女性だけのグループもチラホラいる。トイレもちゃんと女性用と区別してあり、もはや焼きトン屋もオヤジの聖域ではない。店の外を見ると、中を覗いては諦めて帰る人たちが居る。
腹一杯になって、チャンジャだけでホッピーを飲んでいては申し訳ない。そろそろお開きの時間だ。窓ガラス越しに店の中を覗く人と目が合った。手を上げたら気がついたようだ。
さてこれからクラブに行こうか、ショットバーにしようか。結局どっちも行って午前様。神様は今日も行いがいい子と言ってくれるだろうか。
まこちゃん
東京都港区新橋3-18-7 桃山ビル1階
03-3431-5700
http://machi.goo.ne.jp/03-3431-5700
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2007年12月16日
湯たんぽ
ミーハーにも羊の湯たんぽを買ってしまった

3週間ほど前にテレビで湯たんぽが人気と紹介されていた。2週間後に新聞も驚異的な売れ行きと報じた。これが人気に拍車をかける。原油高による光熱費の値上がりを受けた節約効果はもちろんだが、暖房による乾燥肌を防ぐことができると謳ったことが女性に受けたようだ。しかも湯たんぽのカバーがかわいい。

子供の頃、湯たんぽは冬の必需品だった。記憶は薄れてしまったが、使っていたのは陶器だったような気がする。金物だったかな?
カバーは風呂敷やバスタオルで、かわいいカバーなど思いも付かなかった。
湯たんぽは布団の中を温めてくれるだけでなく、朝になると洗面にとても役に立った。蛇口をひねるとお湯が出るなど考えもしなかった時代である。温暖化の危機感などどこにもなかった。
都会のアパートに住んでいた人たちとは時代感覚が若干ずれるが、一軒家に住んでいた人たちにとっては都会も田舎も火鉢や練炭の掘り炬燵が冬の思い出だ。アラジンストーブが一世を風靡したところで多くの人の思い出が重なる。
大学生の時は、狭いアパートに電器炬燵が必需品。布団を敷く空間もなく、炬燵で寝起きした人も多いはずだ。今の学生たちはどんな生活をしているのだろう。冷暖房完備の部屋で快適に暮らす人が殆どかもしれない。
湯たんぽの話を始めたら、豆炭のあんかや、ベンジン(?)のカイロなど、次々と懐かしい商品の名が上がった。使い捨てが当たり前になってしまった現在、環境破壊を抑えるヒントが昔の商品に見出せるかもしれない。
[おまけの話]
「グルメ紀行なのに湯たんぽだけでいいの?」と娘に言われて考えた。探し出したのがボンタンアメ。下手な駄洒落みたいだが許して欲しい。

日比谷の鹿児島物産の店で105円で買った。上の店では70円台で売られている。食べるのは40年ぶりぐらだろうか。飴は透明の薄紙をむかずに食べる。懐かしく食べたいと思っても、入れ歯の人にはつらい飴だ。
こんなものにも賞味期限が書かれている。賞味期限表示のために、まだ食べられるものが捨てられるようになった。日本の美徳とされる「もったいない」が、賞味期限表示のお陰でないがしろにされるのはちょっと変な気がする。
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2007年12月15日
[銀鱗]②(富山)
昨日の続きです

涙、涙(?)の女将の苦労話を書いていたら、料理の話が中途半端になってしまった。この日のメインはズワイガニ、準メインは寒ブリだが、脇役だって負けていない。富山の名産品も食べることにした。
黒作り

オーストラリア・メルボルンに駐在していた20年前、富山出身の部下がお土産にくれたのが最初の出会い。気に入って自分でもよく作った。金沢の魚市場で添加物がたくさん入ったものをつかまされたが、富山空港で無添加のものが買える。銀鱗の黒作りは自家製で、空港のものより塩分が少なく美味である。
五箇山豆腐

豆乳ににがりを入れて固めるまでは普通の豆腐と一緒。これを布を敷いた型に入れ、重しを乗せて水分を抜くので固い。藁で縛って持ち上げても崩れないと言われるそうだ。
箸で簡単につかめるので食べやすく、しっかりした味わいがある。水切りの必要がないから揚げてもよさそうだ。麻婆豆腐にしてもうまくいくに違いない。
げんげ

魚津の名産らしく、冬が旬の深海魚とのこと。幻魚と書いてげんげと読ませる。深海魚なので幻の魚と言われれば貴重品みたい。もっとも下の下と蔑まれる魚だったとも言われ、かつては名産品とは程遠かったそうだ。唐揚げにすると品のいい白身魚で意外と美味しい。
ぶり寿司、かにごはん

ほぼお腹一杯だがみんなご飯を食べたがる。ます寿司は有名だが、最近はぶり寿司も人気で、空港の売店にも数種類売っていた。
それでも、やっぱり、かにごはんが美味い。ベニズワイガニか雌カニが入っているのだろうが、これはこれで大変結構だった。
タクシーを待つ間に真鯛、石鯛がわずかに泳ぐ生簀を半周した。蟹は別の水槽にいるが、我々が食べたような見事なズワイガニはいない。観光客が来ない冬場の富山は淋しい。全日空はあるがJALは富山便を廃してしまった。富山は空港から市内まで約15分と福岡、松山と並んで便利なところである。深層水に満たされた天然の生簀の魚を、食べに来る人がもっといてもいい。魚介類は冬が美味しいに決まっている。融雪システムが整っているので多少の雪なら交通に支障はない。
雪を見ながら一杯というのもおつなものだと思うがいかがだろうか。
いきいき料理 銀鱗
富山県富山市布瀬本町4-8
076-424-7156
http://www.ginrin-toyama.co.jp
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2007年12月14日
[銀鱗](富山)
冬の富山、ズワイガニ

部下が富山出張を企画してくれた。「でかした!」と褒めたところからが大変。料理屋の選択に迷った末に、安全策を取って以前に行ったことがある銀鱗を予約する。通常ならこれで終りだが、ズワイガニがあるか確認した。産地といえども高価なズワイガニをその場で頼んでもないことが多い。「当日水揚げがあるかどうか分からない」と曖昧な返事をもらって電話を切った。2日前に女将から電話がかかって来た。首尾よく手配できたと声が弾んでいる。

個室に通されて待つこと5分、ズワイガニとご対面。一杯が23,000円、新湊のタグが付いた立派なズワイガニである。刺身、茹でガニの2種類の料理を頼んだ。刺身の舟には氷見の寒ブリを添えてもらう。
刺身、茹でがに

刺身は活がにでなければ味わえない貴重なものではあるが、味は茹でた方が上だ。身が詰まって甘く、東京で食べるものとは明らかに違った。
かにみそ、甲羅酒

女将がやってきた。立派なズワイガニを提供できて満足気である。銀鱗は38年前にファミリーレストランとして開業、24年前に生簀割烹に姿を変えた。北前船が出港した神通川河口の港町・岩瀬にあった蔵元の屋敷を移築した。自らの左手を富山の地図に見立てて、歴史を説明してくれる姿は堂に入っている。
とっくり

出来損ないと思ったゆがんだとっくりは、白と黒の雷鳥を模した女将の自慢の品。生簀は博多に何度も足を運び稚加栄を参考に造ったそうだ。
生簀の水は富山湾の深層水を使っている。富山湾の容積の約6割を占めるのが300m以深にある低温の日本海固有水=深層水である。栄養塩が多く高ミネラル、きれいな水として知られている。滑川、入善の2箇所から汲み上げられる。
生簀の魚も喜んでいるが、年1回の入れ替えは大変な作業とのこと。移築も大変、生簀も大変。無謀だと言うコンサルタントの忠告を振り切った女将と旦那。応援したくなるじゃありませんか。
いきいき料理 銀鱗
富山県富山市布瀬本町4-8
076-424-7156
http://www.ginrin-toyama.co.jp
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2007年12月13日
[ブォーノ・ブォーノ](銀座)
気軽に入れるリストランテ

東京駅方面から外堀通りを歩き、西銀座デパートに入った。階段を上ると、若い女性向けの店舗が並ぶ。その間を足早に通り過ぎ、レストランのある一画に達するとなぜかホッとした。
場所柄、気楽なトラットリアを予想していたが、なかなか落ち着いた雰囲気である。ブオーノ・ブオーノはリストランテと称するだけあって、大声でイタリア語を交わすスタッフもいなくて静かだ。
前菜盛り合わせ

メニューには手頃な値段の料理が並ぶ。トラットリアとの大きな違いは雰囲気にあるようだ。料理はピザがないことぐらいで、あまり大きな差は見られない。
ブオーノ・ブオーノサラダ

店名を冠するサラダの特徴はドレッシング代わりのチーズソース。新宿の「AZIO」のサラダとよく似ていると思ったが、ブオーノ・ブオーノも三笠会館グループとすぐに思い出した。店の雰囲気も老舗の三笠会館の経営なら頷ける。
渡り蟹のタリオリー二

断面が四角の生パスタ・タリオリー二が自慢のようだ。蟹を食べるのは面倒なので躊躇したが、強く奨められるので従った。蟹の甲羅が目立つ皿が目の前に置かれた。他のテーブルの多くが同じものを食べている。銀髪同様、素直でいい客ばかりだ。多分、失望した人はいないだろう。
ワイン

スタッフが現地で直接仕入れてくるというワインも店の自慢である。無名の酒蔵から大量に仕入れて売りさばいたお礼に特別に作ってくれたものが写真のデカボトル。4リットル入りのボトルから注いでもらったのは初めてだった。グラスワインの品揃えもよい。
鹿児島産黒豚ロース肉のスカモルツァチーズ焼き

変わった名前のチーズに飛びついてしまった。塩漬けしたモッツァレラチーズのことだそうで、熱を加えるとよく伸びる。
老舗の三笠会館が経営する店だけあって、料理にもスタッフにも安心感はある。斬新さや、きらめきがないのは欠点というより長所かもしれない。
窓際に座ればソニービルの前のクリスマスツリーが美しい。数寄屋橋交差点の雑踏を静かなレストランから眺めるのも一興だろう。ムードは悪くない。向かいに美女が座っていればという条件付ではあるけれど。
ブオーノ・ブオーノ
東京都中央区銀座4-1-2 西銀座でパート2F
03-3566-4031
http://www.mikasakaikan.co.jp/e_bounob.html
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2007年12月12日
[新宿・のみや 呑](新宿三丁目)
若者が集う牛もつが自慢のお店

もつ焼きの立て看板に惹かれてドアを開けたら、まるでショットバー。ギョッとして立ち尽くしたら、「地下にどうぞ」と言われてホッとした。地下のテーブル席には男女3人ずつの若者グループがいた。女性3人は階段に背を向けているので後姿しか分からないが、男たちは元気一杯で目は輝いている。
我々は壁で仕切られた奥のテーブルに案内された。
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