路地裏のそば会席
重厚な建物が並ぶ日本橋三越側と、中央通りを挟んで向かい側の一帯とは180度趣が異なる。「利久庵」「はんなりや」「もつ壱」「あなごや吉五郎」「串TEN」「天香回味」など、これまで紹介したサラリーマン御用達の店がたくさんある。むとうはまだ開店から6年位の比較的新しく、品のいい感じの蕎麦屋である。
夜は会席のみというので、予約をして出かけた。こぎれいな店内は仄暗く各席が仕切られているので他の客の存在は定かではない。静かで個室会席の雰囲気を作り出している。
洋風の付け出しで意表をつく。カナッペは「まずビール」にはよく合う。
豆乳、葛粉、そば粉で作ったそば豆腐はプルンプルンしていて、味もいい。ビールの後、もちろん和食には日本酒。「すいませーん」と声をかけるとこちらの気持ちを見通していたかのように、若い店員が酒のメニューを持って衝立の向こうから現れたのには驚くやら、嬉しいやら。
そば豆腐がプリンプリンならそば味噌はコリコリ。混ぜてあるくるみはが食感と脂肪分を加えて面白いそば味噌が出来上がった。
天ぷらを置いて店員は消えたので、「すいませーん」と再び声をかけた。塩が欲しくて呼んだのだが、さすがに今度は手ぶらでやってきた。今度もこちらの気持ちを察していたらさらに感動していたろうに残念だ。
鴨、ネギ、水菜のシンプルな鍋は、炭火の上に置かれた。最初の鴨は柔らかくて美味しくて感激したが、3枚目には固くなってしまった。四谷の「三櫂屋」のように、しゃぶしゃぶにした方がいい。炭もオガ炭では大衆店っぽくてちょっと味気ない。
そば湯はかき混ぜるためのへらがついてきた。そば湯用に濃く作ったのだろう。両国の「業平屋」ほど濃くはないが、そば湯好きの人には嬉しい心遣いだ。
味もよく、店員の応対もいい。とてもいい店と思うのだけれど、何かが引っかかる不思議な気分になった。大衆店か高級店なのか、明確にしないとどの客もどこか不満が残る。
店主はきっと分かっていると思うのだが…
むとう
東京都中央区日本橋室町1-13-1 梅むらビル1階
03-3231-7188
投稿者 銀髪 : 2008年01月18日 07:40
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