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2008年02月29日

[野武士](荒木町)

珍しい雑炊専門店


東京12チャンネルの出没アド街ック天国で荒木町の特集をしていることを気付いたのは午後9時10分頃(2月9日土曜)。大好きな 「鈴なり」が出るかもしれないと思ってチャンネルを変えた。
既にランキングは途中まで進んでおり、番組が終わってから鈴なりが27位にランキングされていたの知ったが後の祭り。

通常、この番組でランキング入りする飲食店は限られているが、荒木町となれば殆どが飲食関係。気になっていた店もいくつかあり、初めて知った店はメモを取った。テレビ放映の余韻が醒めかかった頃に荒木町に向かった。

7時過ぎに桃太郎の扉を開けた。いくつか空席はあるものの、「一杯です」と言われた。有名な寿司金はやり過ごした。お財布が泣く姿は見たくない。与太呂には二の足を踏んでドアを開けられなかった。野武士の前に来た。ガラス窓から店内を窺えるのがいい。番組の影響もなく、客は女性一人のみ。迷いは微塵もなかった。

もろきゅう、鳥の唐揚げ、サラダ

一番奥のテーブルに座ろうと思ったが、真上にあるテレビがうるさい。1つ手前のテーブルに陣取りビールと料理を注文したところで、トイレの前だと気付いた。小さな店だ。仕方がない。
新鮮なきゅうりとジューシーな唐揚げを食べ始めたらテレビもトイレも気にならなくなった。

雑炊

もちろんお目当ては雑炊。具によって種類はたくさんあるので迷ったが、店の女性(主人の奥さん?)の助けを借りて季節物のかき雑炊にした。
ふぐ、すっぽん、あら、あんこうなど、鍋物の後の雑炊にはかなわないがもちろん美味しい。

食べ終わる頃には、いつの間にかカウンターも含めて満席になっていた。入り口で断られている客を見て、慌てて勘定を頼んだ。安い店で長居をしては申し訳ない。
再び店内を見渡したところで、入り口近くの客が食べている器が飯ごうだと気付いた。出没アド街ック天国で取り上げられた理由が、この飯ごうめしだったことを思い出したが後の祭り。

後の祭りばかりで情けない。あー残念!


野武士
東京都渋谷区幡ヶ谷1-9-5 リッツ幡ヶ谷1F
03-3374-9180

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2008年02月28日

[室町 砂場](日本橋室町)

明治2年創業の老舗そば屋


神田界隈で名高い老舗そば屋と言えば、以前紹介した「神田まつや」「かんだやぶそば」、そして室町砂場である。文芸春秋編のレストランガイドによれば砂場が最高の評価で、やぶそばは掲載すらされていない。
すぐに行くべきだったが一緒に行ってくれる客が現れるまで待っていた。

他の2店に比べると店内は真新しく感じる。仲居さんが忙しく働くのは3店共通である。背筋を伸ばして大股に歩くと、常連さんと思うのか居並ぶ仲居さんたちが道を開ける。好きな席を選んで座り、仲居さんが慌てて持って来た網籠にコートを放り込んだ。
メニューを一瞥して、天ざると天もりを頼む。レストランガイドを読んだので食べるものは決めてある。客には「いいですね」と念を押すだけだ。

そばとお茶は合わないから客が望まなければ出さないとの注意書きもあるが、そばには日本酒が定番。銀髪にお茶は要らない。午後の仕事に差し支えると言う相手も、お銚子を向けると素直にお猪口を持ち上げた。

先に天もりがやってきた。一番粉を使った少し黒いそばである。客に勧めたが、固辞された。遠慮したのか天ざるの方が高価(100円高い)だからか、理由は分からない。

天ざるを見て客は拍子抜けしたようだ。海苔が乗っていないからだ。砂場ではざるともりの違いは海苔の有無ではない。ざるはそばの実の中心を挽いたさらしな粉を使った白いそばで、もりは一番粉を使用したもの。銀髪が一人で来なかったのは、2つを写真に収め、味比べをしたかったためだ。

メニューの天もりの横には「当店発祥 天ぷらそばを暑い夏でも食べやすくとそばを冷たいセイロに致しましたのが始まりです。」と書いてある。こだわりがたくさんある老舗だ。天ぷらがつゆに浸かって出てきたのには驚いたけれど。

銀髪にとっては3軒の神田老舗そば屋の中ではレストランガイドが無視した店が一番いい。辛いつゆも、天ぷらも、酒の肴にもっとも適している。そばの評価をしろって? それはそば通に聞いてくれ。


室町 砂場
東京都中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038

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2008年02月27日

[呑々道場](渋谷)

分散より集中の方が得策


道玄坂の北側には神泉駅方面や、東急百貨店周辺などに評判の店が多い。ところが、南側はレストランガイドや口コミサイトを見てもお奨めの店が少ない。ブラブラ新規開拓をすることにした。急坂を上るのは辛いので、マークシティーを神泉方面口から出て坂を下ろうとしたが、すぐにもつ鍋の看板に誘われてしまった。

もつ鍋は温まる、野菜がタップリ、安いなど魅力的な要素が多い。階段を下りて店に入ると客は2組だけ。やはり場所が悪いのか、店が悪いのか分からないが、とにかく挑戦である。

お通し

お通しはホタルイカと小魚。これを炙って食べる。貧弱なお通しだがアイデアは悪くない。

白レバーのたたき、馬肉ベーコン

もつ鍋以外にもメニューにはたくさんの料理が並ぶ。店員の助けを借りて白レバーと馬肉ベーコンを選んだ。この2品はとてもいい出来だ。

右隣に先輩と後輩か、上司と部下か、いずれかと見られる若い男女がいた。元気のいい、可愛い女性だが、よく喋りよく食べる様は恋人同士には見えない。隣のテーブルに次々に運ばれる料理の中で、焼き鳥が美味しそうに見えた。人のメシは白い、隣の芝生は青い。頼まずにはいられない。

砂肝、もも、ササミわさび

焼き鳥は失敗だった。焼きすぎでパサパサ、塩加減もよろしくない。これまで高い評価で進んでいたのに一気にしぼんでしまった。食べ残しを店員に見えないように鍋に放り込んだ。

白呑(味噌)

肝心のもつ鍋は普通。2人前からなので写真の鍋で1,960円。博多もつ鍋というが、福岡の人気店「やま中」に比べるべくもない。やま中にはもつ鍋以外の料理はほんの僅かしか置いていない。もつ鍋に全力を投入しているし、他の料理は付け足しに過ぎない。呑々道場ももつ鍋に心血を注ぐべきで、焼き鳥は評判を落とすだけだ。多品種を揃えると万人に喜ばれそうだが、飲食店に限らず単品商売の方が成功することが多い。

両隣を見る限りもつ鍋の評価は良いみたいだ。右の二人が鍋の材料を追加して大量に食べた後、ちゃんぽん麺を入れた。左の席のカップルも恋人同士には見えない。女性が男性の1.5倍ほどあり、2倍くらい食べる。別の味の鍋に交換して、さらに具やスープを足すのに店員が掛かりっきりである。

それにしてもどうでもいい相手と一緒の時の女性の食欲は凄まじい。男の方も財布の中身を気にしないでいいところに連れてきているのだから、どっちもどっちかな。


呑々道場 道玄坂店
東京都渋谷区道玄坂1-17-9
03-3464-8880

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2008年02月26日

五韓満足 八重洲店(八重洲)

田町で女性に人気の店が中央進出


世界的な景気後退の予兆は、アメリカのサブプライムローン問題以外でも感じることが出来た。他国の聞き慣れない横文字の意味を勉強しなくても、東京駅八重洲界隈のビル建築ラッシュを見ればいつか来た道を思い出さずにはいられない。

東京駅ステーションシティ、大丸の陰に隠れて話題にもならなかったが、昨年同時期に八重洲ファーストフィナンシャルビルがオープンした。日本橋駅から地下道が伸びる便利な立地にもかかわらず、いまだにひっそりとしている。その地階に並ぶ飲食店の1つが五韓満足である。信州牛などを使った焼肉と韓国料理を出す店だ。

我々は五韓満足が開店して以来、最高の客だったに違いない。僅か1時間足らずで写真の料理を食べきった。




8人が二つのテーブルに分かれた。最近は醤油ダレだけでなく塩ダレ、味噌ダレなどを選ぶ店が多くなった。向こうのテーブルは保守的に醤油ダレ中心。こちらのテーブルは最近流行りの塩ダレ中心。焼肉だけでなく、キムチチゲ、チヂミ、野菜なども大量に頼んだ。

5時半にもなっていず、他の客が殆どいないので料理がどんどんやってくる。テーブルに料理を乗せるためには、今ある皿の中身を腹の中に詰め込まなければならない。

最初に頼んだ料理が殆ど消えたところで銀髪の時間がやってきた。メニューに食べたことがないものがあれば頼まずにはいられない。向こうは帰り支度を始めているので、こちらのテーブルだけ料理を追加した。

ぶるだっく、ぶるてじ

韓国で超人気と評判の料理がぶるだっく。激辛タレにつけ込んだ鳥肉を焼く。最近日本でも食べることが出来る店が増えたと聞いていたが、部下たちだけでなく銀髪も初挑戦。これを食べてFが吠えた。

いい肉を安く食べられるところもいいが、肉の品質は高級店にかなわない。この店ではぶるだっくなど新感覚の韓国料理を食べるべきだろう。どこにでもあるものを食べていては、田町で女性に人気だという理由は分からない。若い店長や店員たちの元気なところも人気の一因のようだ。

たくさん食べて、サッと帰る客が店にとっては嬉しいに違いないと思っていたが、勘定をしてちょっと疑問に思った。短時間で食べ終えたので酒の消費量が少ない。席が埋まり始める7時頃までいたら、もっと飲み食いできたはずだ。

最初に豪快に頼んだものの、追加した料理は僅かしかない。銀髪だけでなく店員も勘定書を見て意外だったに違いない。それでも高い肉もたくさん食べたので、店長も店員も「また来てください!」と笑顔で我々を送り出してくれた。

次回はぶるだっくを中心に安い料理だけを食べると銀髪が決めたことを知っていたら、満面に笑顔とはいかなかったかもしれない。

五韓満足 八重洲店
東京都中央区八重洲1-3-7 八重洲ファーストフィナンシャルビルB1
03-3510-3311
http://www.ramla.net/luxury_restaurant/gokanmanzoku/

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2008年02月25日

[一耕](松江)

松江で見つけた楽しく嬉しいお店


4時半に予定の仕事を終えた。東京行きの最終便は7時50分発。余裕を見て松江市内を6時40分には出たい。

入り口にのれんが下がった店を数軒やり過ごした。ピンと来る店がない。なおも歩くと昨年来た「川京」の前に出たが開いていない。進むか戻るか逡巡していたら、断りもなく斜め前の店の扉を部下が開けた。雨がみぞれに変わり、体は冷え切っている。部下に従うことにした。
入ってすぐがカウンターで、右奥に座敷がある。我々が一番乗り。L字型カウンターの2席しかない左隅に陣取った。

お通し、しらうお(酢味噌)、、酢がき

カウンターの中に女性が2人。若い(若く見える?)女将と名刺交換する。日本酒サービス研究会、酒匠研究会連合会と書いてある。気が合いそうで嬉しくなる。

アマサギ、白バイ貝の刺身、おでん(大根とつみれ)

女将を独占して楽しんでいたところに、別の客がやってきた。「先生」と呼ばれる客に女将を奪われた。先生の語り口を聞いて、松本清張原作の「砂の器」を思い出した。

被害者がズーズー弁を話していたので刑事達は東北を走り回る。被害者と加害者の二人が話していた「カメダ」は奥出雲の「亀嵩(カメダケ)」のことだった。出雲でもズーズー弁に似た言葉が話される。物語前半の重要な謎解きの場面だ。

「砂の器だ」とつぶやいたのが先生に聞こえたようだ。その言葉に反応した先生は気分を害しかと思ったら、「あの映画は素晴らしく美しかった」と予想外に嬉しそうである。加藤剛、緒方拳、森田健作、島田洋子、山口果林などが出演、野村芳太郎監督の名作映画はSMAPの仲居君主演でテレビドラマにリメイクされた。たちまちカウンターの向こうとこちらが一体化した。女将を交えて盛り上がった。

しめさば、のどぐろ干物

頼んだ覚えがないしめさばは女将のサービスだった。酢がきつくなく銀髪好みだ。のどぐろの干物は脂が乗って美味い。頭からバリバリ食べた。

頼んでいたタクシーがやってきた。いつも先生を家まで送り届けるタクシーを女将が頼んでくれていた。後からやってきた女性2人を従えて、奥の部屋に消えた先生に別れの挨拶をしに行った。再会を誓って店を出た。手には先生が電話で取り寄せてくれたあご(トビウオ)の野焼きがある。お土産までいただいてしまった。

店を出たら雪に足を取られそうになった。みぞれは雪に、さらに吹雪となった。早めに出たつもりがギリギリで飛行機のチャックインに間に合った。ホッとしていたら、タクシーの窓を外からコツコツと叩く人がいる。窓を開けると、哀れんだ声が入ってきた。

「最終便は欠航になったよ」
「エッ?………」


和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577

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2008年02月24日

[みな美](松江)

やっぱり本場が一番


「どこで食べる?」と部下に聞くと、すかさず旅行ガイドが出てきた。いくつかの店が赤丸で囲まれている。「みな美の鯛めしは日本橋コレド店で食べたことがあるからな…」と除外しようとすると、がっかりした顔をする。「みな美に行くか?」と聞くと嬉しそうだ。最初から行き先は決められていたようなものだ。

タクシーを降りて皆美館に入る。さすがに風格があり立派だ。レストラン入り口のデスクに立つ二人に「日本橋コレドの鯛めしは評判が悪かったよ」と先制パンチを打ち込む。意表を突かれて笑うしかない二人を背にして、レストラン内に進んで行った。

評判が良くなかったのは嘘ではない(→「皆美」)。鯛めしを大きな鯛が乗った炊き込みご飯と勘違いしていたので、茶漬け風の鯛めしに拍子抜けした。ほぐしたフレーク状の鯛と卵の白身、黄身を裏ごししたものを乗せた鯛めしはとても貧弱に見えたものだ。

1,575円の鯛めしセットには魚がついてきた。宍道湖七珍の一つ、スズキかと思ったらカレイだった。相撲足腰(スズキ、モロゲ海老、うなぎ、アマサギ、しらうお、コイ、しじみ)と覚える七珍が一つも乗っていないのは寂しい。周りを見ると殆どは地元の客たち。旅行者の勝手な思いは的外れかもしれない。

期待をしていなかった鯛めし。驚いたことに美味い。日本橋コレド店とはだしが違うのかもしれない。料理人の腕の違いかもしれないし、場所によって食べる人の好みに合わせているのかもしれない。期待をしていなかったのが良かったのか、地元の雰囲気が味を引き立てるのか分からない。部下は「美味い!」を連発している。

店を出て、先制パンチを喰らわした二人に「美味しかったよ!」と言ったら嬉しそうだ。隙が出来たところで「仲居さんが愛想なかった」とKOパンチを入れようと思ったが、止めにした。気分良く別れた方がいい。

食後のコーヒーは「いにしえラウンジ古都里」で飲んだ。島崎藤村、野口雨情、山口誓子、松本清張、直木三十五、川端康成、志賀直哉、棟方志功、山下清、田宮虎彦などの色紙が壁を飾る。明治21年創業の老舗旅館を愛した名士たちだ。松江を代表する有名旅館だがわずか12室しかない。

鯛めしが美味いと、旅館にも泊まりたくなるから不思議だ。旅館の食事も期待できるかもしれない。

庭園茶寮 みな美(皆美館内)
島根県松江市末次本町14 
0852-21-5131
http://www.minami-g.co.jp/minamikan

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2008年02月23日

[あじくら]②(渋谷)

再びのあじくら


前回は飛び込みで入れたのに、その後予約の電話を入れる度に断られた。この日は数時間前に電話してようやく席を確保した。店に着いたらドアを半開きにして女性が中を覗いている。店員がやってきて、「8時半までなら…」と言うのを聞いて嬉しそうに頷いた。前回の我々と同じ状況である。7時頃までに入るなら飛び込みで来た方が良さそうだ。

グレンス、青唐辛子、レバー刺し

前回食べ損なったものを食べようと思ってきたが、グレンスだけは今度も一番に注文した。唐辛子はなかなかパンチが効いていてビールが美味い。

タケ(大動脈)、ミノ

タケは悪くないが、ミノは思ったより固い。叙々苑游玄亭のミノが食べたくなった。もっとも、游玄亭の一切れがあじくらの一皿と同じくらいの値段なので文句は言えない。

和豚シロコロ(丸腸)、地養赤鶏もも肉

焼きとん屋で食べるシロをイメージしたが、丸腸の文字に注目するべきだった。中から脂があふれ出してくるのを好きな人には堪らないだろうが、脂っぽいと敬遠する人もいるだろう。
鶏は冷凍物のようで、焼くのに時間を要したため固くなってしまった。

同じ店でも食べるもので評価が異なる。座る場所、一緒に食べる相手によっても印象が変わる。前回は入り口近辺の席だったので、自分が焼く煙だけを気にすれば良かった。今回は奥の壁際カウンター席だったので右隣と後ろの席の煙に包まれてしまった。特に豚バラなどの脂が多い素材を周りで焼かれると銀髪の燻製が出来上がってしまう。

最初に来たときは美味しそうなものを優先して頼んだから良かった。今回は初回ほどの感動はなかった。次回はこれまでの経験が活きるので、最高になるかもしれない。

早めに予約して4人以上で来ると楽しいだろう。気の合った仲間と3時間ぐらいかけてワイワイガヤガヤとやるのが一番の店である。2人なら予約なしでふらりと寄ったらいい。カウンター席なら潜り込める可能性が高い。お忍びの恋人同士なら煙に隠れることが出来て好都合かもしれない。


ほるもん倶楽部 あじくら
東京都渋谷区円山町7-12 イケダビル1F
03-3462-8811

前回の記事
「あじくら」

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2008年02月22日

[あんど](吉祥寺)

和洋折衷料理とたらふくワインのお店


吉祥寺は若い人たちが安く飲み食い出来て、しかも雰囲気がいい店がたくさんある。「あんど」もそんな店の一つだ。店に入って靴を脱ぎ、掘りごたつ式のテーブル席に座るとまさに和風居酒屋。ところが壁にはワインのボトルが並び、右側のカウンターにはハモンセラーノの大きな腿肉がデンと据えてある。

和と洋が混在する店の雰囲気は、そのままメニューにも反映されている。洒落た店の割にはお値段が手頃でありがたい。グラスワインの選択肢も豊富で、おまけに一番高いもので600円とは嬉しい限りである。

お通し(ポタージュ)、イベリコ豚のロールキャベツ

お母さんが作ってくれるコンソメ味の和風ロールキャベツだが、イベリコ豚を使って特徴を出している。なかなか美味しい。

生ハム・パンチェッタ・リエットの盛合せ、地鶏白レバー焼き

ハモンセラーノ(生ハム)、パンチェッタ(ベーコン)、リエット(豚肉のペースト)、どれもワインにぴったり。ハイピッチで飲む隣席の若いカップルは2本目のボトルを頼んでいる。2本目から半額になるので飲まなきゃ損となる気持ちはわからないではないが、翌日に辛い目に合うのは確実だろう。

ごぼうチップス、ポルチーニとパンチェッタのぺペロンチーノ 

3杯目は赤ワインを飲むことにした。肴はごぼうチップスで、最後に来るスパゲッティまでのつなぎ役としては適当だ。福岡空港のうどん屋のごぼう天を思い出した。350円はうどん屋では割高だが、ワインを飲める店では格安に思える。

食べた中で一番高い料理でも800円。味も量も満足できるものだった。料理は安くても飲み物が高い店が多いが、ここは飲み物もべらぼうではない。
新宿や渋谷にあったらいつも若者たちで賑わうだろうが、吉祥寺の路地裏にあるお陰で大人も楽しめる静けさがいい。

ランチ時にはおば様たちに占拠される。老若男女が楽しめる店だ。


あんど
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-16-18
0422-23-6400

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2008年02月21日

[鳥しき](目黒駅)

女性に人気の焼き鳥屋

目黒駅に待ち合わせの時間より10分早く到着したので、目星をつけていた店を下調べすることにした。大通りから路地に入ると、面白そうな海鮮居酒屋を見つけた。その向こうに割烹かと思えるような店がある。それが目的の焼き鳥屋・鳥しきとは思わなかった。

携帯電話が鳴った。N氏も早く目黒駅に着いたようだ。慌てて踵を返した。今度は2人で路地裏へ戻ってきた。N氏にも魅力的に映った様子の居酒屋を通り越して鳥しきの扉を開けた。コの字型のカウンターに女性だけのグループ、女性を含むグループ、カップルが並び、男同士は我々だけ。もっとも右と左のカウンターに一人で飲む男性客を見つけてちょっと気が楽になった。

お通しが出てきたところでカメラを取り出した。ガーン! 電源を入れても画面はほぼ真っ白で料理が写らない。仕方なく携帯電話のカメラで撮ったが、慣れてないので下のようにピンボケばかりになってしまった。

我々に与えられた席は天国と地獄。入り口からすぐの席なのでひっきりなしに開くドアからの冷気で背中が寒い。一方で焼き場に面した前は暖かく、しかも店主の仕事ぶりや人柄に触れることができて楽しい。

狭い店だが料理人が主人一人では広すぎるのかもしれない。話しかけるのも申し訳ないほど忙しく働いている。我慢できずに声をかけると、嫌な顔を見せることもなく応対してくれる。若いのに立派な主人だ。

生ビールを飲んで、酒を2人で6合飲んだ。お任せの料理をストップして、お互い食べたい串を2本ずつ追加してお開きにした。
客が席を立つと偶然ドアを開けたラッキーな客がその席を埋める。主人がゆっくりする場面は、我々がいる間に一度も訪れなかった。

目黒に事務所があるN氏はこの店がとても気に入ったようだ。遠征してきた銀髪が地元の人に店を教える不思議な構図。鳥しきにとってはN氏が望ましい客だ。

連れてきた相手が喜んでくれたので、満足度は数ランクアップした。

鳥しき
東京都品川区上大崎2-14-12
03-3440-7656

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2008年02月20日

[大善](長野)

善光寺前の十割そばのお店


タクシーに乗り、「善光寺近くの美味しいそば屋に連れて行ってくれ」と言った。運転手さんが最初にあげた名前は以前行ったことがある「元屋」。「別の店を」と頼むと「大丸」と応える。隣から部下が「そこも行ったことがある」と断る。

案内役の資格を失った運転手さんは、看板を頼りに我々を降ろす店を決めた。地元産のそば粉を使った十割そばの店の表示を見て、素直に店に入った。観光客と思われるおばさんたちで店はほぼ満席だった。

ビールを頼もうか迷ったが、0℃の外と店内の温度はほぼ同じ。熱燗を飲むと午後の仕事に差し障りがありそうなので我慢する。芸能人が残していった壁の色紙をみながら、寒さを忘れようとした。

三色そば

普通のそば、そばの実の内側(胚乳)のみを使った更科そば、赤い花そばの三種のそばを食べ比べすることにした。壁に赤いそばの花の写真が掛けてある。真っ赤なそばが来るかと期待したが、そばの実が赤いわけではなかった。むしろ驚いたのは更科そばの純白さ。麺の形状を見るとまるで稲庭うどんのようだ。

お盆に塩が乗っている。何に使うのかと聞くと、そばを塩だけで味わって欲しいと言う。そばを食べる度に、自分はグルメ失格だと思う。美味しいことは分かるが、他の人が言うほどそば粉の香りを感じて感動することができない。

震えながらそばを食べ終えた。タクシーの運転手さんがいい加減に選んだ店だが悪くなかった。信州黒姫山の裾野で栽培された霧下そばを石臼で挽き、自家製粉する。湧水を使い、こだわりのだしに3ヶ月寝かしたかえしを使用したそばつゆだと言う。老舗もいいが、若い店はよく研究しているので老舗の上を行くことがある。

タクシーの運転手さんが、いの一番に名前を上げるそば屋になるように頑張って欲しいものだ。


十割そば 大善
長野県長野市大門町46-1
026-233-5002

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2008年02月19日

[しうまい家 松富](日本橋)

しうまいだけではなく、他の料理にも満足


昨年、開店したときから気になっていた店。ところが昨日書いた「やさいや」と違い、しうまいしかないのかと思わせるネーミングが邪魔をしていた。入り口の札を見るとしうまいだけではなさそうなので、恐る恐るドアを開けた。

奥に一つだけテーブル席があるが、予約済み。3人連れの我々に気遣って主人は「カウンターしか開いていません…」と申し訳なさそうに言うが、もちろん主人と話せるカウンターの方がいい。

お通し(しめさば)、ピリ辛チャーシューネギ、里芋煮ころがし

看板のしうまいと餃子を頼んで、出来上がるまでに手書きの「本日のおすすめ」から数品選んだ。40種類以上の料理の殆どは日本料理。おやじが作るおふくろの味だ。

特許しうまい、松富餃子

特許を取ったと言うだけあって、なかなか美味しいしうまいだ。材料の食感が残るきざみ方と、混ぜて練るときの熱で味が落ちない手法に秘訣があるそうだ。
餃子の中身は干ししいたけとプリッとした海老が入る和風味。割烹の餃子という感じでなかなかいい。

肉団子と白菜煮、新ごぼうきんぴら

店に入ったときから気になっていた湯気を立てている肉団子は白菜とランデブー。きんぴらを肴に北海道産の燗酒がすすむ。

実はこの日はバレンタインデー。男3人の我々を哀れんで店の女性がチョコレートをくれた。なかなかいい店じゃないか。ますますしうまい家が気に入った。

きまぐれサラダ、ぶりかま焼き

主人が冷蔵庫にあるもので日々思うに任せて作るきまぐれサラダは量が多くてびっくり。「しうまいときまぐれサラダだけで充分。他の肴は必要ないですね!」と言うと「それじゃー、店をやっていけませんよ」と主人が苦笑する。楽しい酒だ。

齢を取ったので夜が遅い銀座は辛いと、主人は日本橋に店を開いた理由を話す。ランチメニューは特許しうまいと欧風カレー。いい店見つけた。


しうまい家 松富
東京都中央区日本橋3-1-3
03-3231-0177

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2008年02月18日

[やさいや](新宿歌舞伎町)

野菜がメインの鉄板焼き


実にいいネーミングだ。鉄板焼きと言えば肉のイメージが強いが、店名が「やさいや」であればダイエット中の女性も素直についてくる。
階段を下りてカウンターの鉄板を見たら、上手く乗せられたことに気付く。焼かれているのは海老、鮑などの魚介類や和牛などの肉類だった。

カウンターに座ってメニューを開くと、あながち騙されたわけではなさそうだと思う。焼き野菜は20種類以上あり、普通の鉄板焼き屋さんより野菜が豊富で値段もリーズナブル。店の売上高には貢献できないが、当初の予定通り野菜中心に食べることにした。

お通し、すくい豆腐

頼んだ野菜が焼きあがる前に豆腐が来た。だし醤油をかけて食べるように言われたが、そのまま食べた方が豆腐本来の味が楽しめる。

野菜おまかせ8品

蓮根、大根、玉ねぎ、椎茸、パプリカ、茄子、白菜、芽キャベツの8品。どれも甘味があって美味しい。野菜中心にしたのは正解だった。

竹の子グリル、ゆきれい茸

カウンターに座ると料理人の手さばきを見る楽しみがある。美味しそうに見えたものはすかさず追加注文する。外れがなくていい。

雪うるい

初めて食べた雪うるいはネギに似ている。沖縄産の塩、マヨネーズ、もろみと3種類の味があるので食べ終わるまで飽きない。

福豚のステーキ

野菜ばかり食べていると肉が頗る美味い。もっと食べたくなるが、今日はこれでお終い。お腹が重たくなくて快調である。

家に戻りホームページを開いてみたら、以前行った京橋の「時代おくれ」と同じ系列だと分かった。鉄板焼きは六本木や赤坂にもある。
野菜中心にしたのでお酒も控えめにして健康に留意した。お腹だけでなく、財布にも優しい夕餉だった。


鉄板焼野菜 やさいや ベジダイニング 未 (歌舞伎町店)
東京都新宿区歌舞伎町1-15-13 B1F
03-5292-1130
http://www.vegedinning.com/

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2008年02月17日

夢心酒造 (福島県喜多方)

ラーメンで有名な喜多方は酒も美味い

日本酒試飲ツアーは両国の酒屋Nさんが企画してくれた。彼の大学時代の友人がいる喜多方に向かった。酒屋と酒造会社の御曹司が東京の大学で知り合うなんて出来すぎた話であるが、事実は小説より奇なりである。

気心の知れた同士であるため、工場見学は和やかで楽しいものになった。「試飲が目的でしょう?」とハッキリ言われると、とても楽である。ざっくばらんな語り口のお陰で、かえって説明が頭に入るから不思議だ。

1つで1万本が出来る大きなタンク、タンクの上階、タンクの中

まだ等級制度下で日本酒がブームだった頃、夢心酒造は大型タンク、機械化など大きな設備投資をした。等級制度が廃止され、純米や吟醸などと評価方法が変わったのは誤算だった。大型タンクで純米吟醸酒を造ることは技術的に困難だった。
杜氏たちの奮闘・努力により、大型タンクでも純米吟醸酒が造れる技術が編み出された。全国でも夢心酒造だけではないかとのこと。

麹菌に包まれた、まだ固さが残る米を食べたり、グツグツと発酵するタンクを覗かせてもらったりした。最後はもちろん試飲会。奈良萬ブランドの大吟醸酒はさすがに美味かった。

日本酒は等級制度廃止により格段に美味くなったと思う。海外で日本食がもてはやされるようになって、日本酒の評価も高まった。それにもかかわらず、日本酒の消費量が減っているのが不思議でならなかった。

その答えは夢心酒造で得た。売れなくなったのは普通酒、清酒である。等級制度の時は味の善し悪しではなく税金の多寡でランク付けされていた。年配者が懐かしく語るように、実際2級酒は安くて美味かったに違いない。純米や吟醸酒は毎日、大量に飲む人にとっては高すぎる。

安く酔うには焼酎が一番。翌日が楽だ、健康にいいという風評もいい宣伝になった。焼酎は臭いと嫌っていた人たちが、ブームになると途端に礼賛者になるから世の中は面白い。

のん兵衛たちを呼び戻す努力をする一方で日本酒シャンパンなどの新酒を開発して、女性やいつも飲まない層の開拓が進んでいる。地道な努力がブーム再来に結びつく日が来るに違いない。

負けるな日本酒、頑張れ日本酒!


夢心酒造株式会社
福島県喜多方市字北町2932
0241-22-1266
http://www.yumegokoro.com

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2008年02月16日

観光立国

観光地は外国人で一杯

昼間にチェックインしたときも、夜中にほろ酔いで戻ってきたときも、札幌プリンスホテルは静かだった。冬の札幌は寂しいもんだと思って部屋に入り眠りについた。

翌朝、朝食バイキング会場に行って驚いた。どこから出てきたのかと驚くほどに人が溢れていた。見回して感じた違和感の理由は耳を澄ませるとすぐに分かった。聞こえるのは中国語と韓国語ばかりなのである。

隣席の韓国人カップルが紙コップにコーヒーを移しかえているのが目に入った。昔、バイキングの店で「食べ残さないように、取り過ぎ注意!」の張り紙をよく見かけた。もちろんお持ち帰りは許されない。日本人の昔の振る舞いを思い出して苦笑した。自分もコーヒーを取りに行ったら、なんと持ち帰り用の紙コップが用意されていた。経緯は分からないが、ホテルも認めているなら問題ない。銀髪も紙コップにコーヒーを入れて部屋でゆっくり飲むことにした。

部屋に戻ってテレビの横にある外国語チャンネルの案内に気がついた。話には聞いていたが、今は日本の観光地は外国人なしではやっていけないことを実感した。

プリンスホテルでは見かけなかったが、ニセコに行けばオーストラリア人やニュージーランド人もたくさん来ているそうだ。パウダースノウで雪質がいいことがスキー客に受けているが、他にも理由がある。2001年の同時多発テロ以降日本の安全性が見直された、食事が美味しい、などなど。

そして一番嬉しい理由は、日本人が親切で誠実、そして誰にも優しいことのようだ。欧米の保養地は金持ちにはいいが、庶民には冷たい格差社会。日本は安くても美味しくて、清潔な店が山ほどある。高級ホテルで食べるより、街に出た方が遥かに楽しい国である。

外国人観光客が増えたのはバブル崩壊後のデフレ景気で日本の物価が安くなったことや、経済力の低下で為替相場が円安に振れているせいだと嘆く声がある。しかし、日本の良さを外国人に広く伝える好機と思いたい。

もっとも、日本人が日本の良さを知らないようでは困るけれど…

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2008年02月15日

[井筒屋](京都)

京都のおまかせ割烹で食べる創作京料理


京都一物知りタクシー運転手の語りを楽しく(うるさく?)聞きながら井筒屋に向かった。趣が一変した花見小路にはカメラを抱えた観光客が溢れている。舞妓さんの出勤時間のようだ。運転手は慣れたもので、観光客を避けながら「てるこさん」の角をゆっくりまがった。

門をくぐり店に入ると、女性たちが床に手をつき頭を下げる。奥に高齢の女将が控え、笑顔を見せている。京都弁が美しい。個室に入ると美味しいお茶が出てきた。

胡麻豆腐雲子乗せ、前菜盛合せ

「くもこ」と説明されて聞きなおした。鱈の白子のことだそうで、いきなり京都らしい呼び名が出てきて嬉しくなった。蕪寿司などを含む前菜盛合せが出てきたところでビールを止めて日本酒にした。京料理には日本酒が相応しい。

お造り(ひらめ、まぐろ、きす)、炊き合わせ

昆布締めのきすはポン酢で、他はわさび醤油で食べる。小さなお造り一皿にも手が込んでいる。京料理に欠かせないぐじ(あまだい)は野菜との炊き合わせとして出てきた。とても美味しい。

石焼(酒盗、海老、さざえ)

一番目の自慢料理が石焼き。酒盗に和えられた海老、さざえを石で軽く焼いて食べる。もちろん全て生で食べられるものだが、少し火を通すことで味が良くなる。残った酒盗はそのまま酒の肴になる。

穴子飯、若筍煮

箸休めに穴子飯を食べる。筍は徳島産で、土の中に電熱線を通して栽培しているとのこと。もちろん若布は鳴門産である。

さわらの焼物、丸もどき

さわらは柚子味噌に漬けられて上品な甘味がある焼物になった。吸物は丸(スッポン)が入らないのでもどきとなる。スッポンのコラーゲンはないが美味だ。

2番目の自慢料理は揚げそうめん。奈良産の絹そうめんを揚げて、長崎皿うどんのように仕上げてある。

食事を挟んで3番目の自慢料理がデザート。
ところてんを突く道具は使い込まれて風格が出ている。餡にからめて食べる。

自慢料理3品は必ずコースに含まれる。他は季節によって異なるという。

随所に行き届いたサービスを受け、ビール3本、お銚子12本を加えて3人で6万円強。思ったよりも安く済んだ。帰り際に確かめると「一見さんお断り」のようなことはないそうだ。

祇園に寄ったら行く価値のある店である。


おまかせ割烹 井筒屋
京都府京都市東山区四条通花見小路下ル 四筋目東入北側
075-541-1869

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2008年02月14日

[ミスサイゴン](渋谷)

笑わない店


週末の渋谷はいつも混んでいる。ちょっと良さそうな店はどこも一杯だが、どこかに必ず入れるので悲観する必要はないのが繁華街のいいところだ。
和食屋を探すつもりだったが、雑居ビルのエレベーターに乗り込むときには安易な道を選んでいた。

ミスサイゴンは予想通り空いていた。4人テーブルを2人で使っているのが2組、2人テーブルを2人で窮屈そうに使っているのが2組、適正な使い方の3人娘が1組でまだ席に余裕がある。我々は窮屈なグループに属することになった。

生春巻き

ベトナム料理屋ではいつも海老入りを食べるので、珍しく豚皮、豚肉入りの春巻きを食べることにした。ライスペーパーで巻かれたままの姿で登場した春巻きを、手で摘まんでかぶりついた。

シナモン入りベトナム風ソーセージ

シナモンのいい香りがするが、食感はパン。小麦粉がたくさん入っているように思える。作り方を聞こうかと思ったが、中年の女性店員は忙しそうで笑顔を見せない。気軽にビールを頼むことも出来ない。意を決して呼んだら、やはり不機嫌そうである。
我々窮屈グループに4組のカップルが増えた。店員は4人用のテーブルを2人用に分けて客を案内したり、料理を運んだりと孤軍奮闘。笑える余裕もなく可愛そうになった。

いか焼きレモングラス添え

いか焼きは悪くない。満席にはならないと踏んでいたが、いつの間にか席はすべて埋まった。キッチンの男女2人、フロアの女性1人では到底さばき切れると思えない。
隣の座った客がメニューを見ている間に、店員をつかまえて麺料理を注文した。先に注文しなければ、料理が出てくるのが遅くなるはずだ。

結局、麺は食べられずに店を出た。かなり待たされて、やっと戻ってきた店員は我々より後に注文した隣の席に皿を置いた。全てのテーブルが壁際に置かれ、客の全員がチークダンスを踊れるスペースが店の中央にあるのが不思議だったが、その理由が分かった。目一杯テーブルを置けば、店はさらなるパニックに陥るだろう。

シナモン入りのパンでお腹が膨らんだので、かえって麺を食べずに済んで良かった。もちろん料金は格安だった。店員が日本人かベトナム人かは詮索しなかった。

隣席の女性が可愛かったのでちょっと楽しかった。彼女に今宵のミス・ミスサイゴンの名前を進呈した。もちろん、口に出したわけではない。


ミスサイゴン
東京都渋谷区道玄坂2-29-18 清水ビル6F
03-5489-3081

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2008年02月13日

[東大](徳島)

徳島ラーメンの一番人気店


ラーメン屋に行くことは徳島空港に着いた時に決めていた。徳島市街に向かって空港を出る前に、部下を待たせて売店へ行った。お土産を買うためではなく、徳島名物を知ることが目的だった。銀髪が手ぶらで戻ってきた理由を、ラーメン屋に入ってから部下に教えた。謎は解けたようだ。

四国で麺と言えば讃岐うどん。しかし、これは香川県の名物。売店を一周したらやたらとラーメンのパッケージが目に付いた。テレビで見たことがある生卵ぽっちゃんラーメンが、徳島のものだということは部下に聞いて思い出した。

評判の店は思ったより小さく貧弱だった。一号店、発祥の店は大体こんなものだ。外の自動販売機で買った食券を渡し、「まず、ビールと餃子。ラーメンは後で」と言ってカウンターに座った。

ビールが足りなくなり、部下にお金を渡した。彼は外に出て食券を買ってきた。他に2組いた客はラーメンをサッと食べていなくなった。腹がビールで一杯になる愚は冒したくないので、3本目のビールは我慢してラーメンを頼んだ。

テーブルの上の皿に盛られている卵(無料)を1個取って、自分でラーメンに割り入れた。子供の頃、インスタントラーメンに卵を入れるのが大好きだったが、徳島ラーメンは昔食べた卵入りインスタントラーメンとはまったく違うものだった。

徳島で一番濃いスープと自慢するだけあり、黄身を割って食べても味が薄まらない。ししくいで飲みすぎて味覚がおかしくなったかもしれない。ラーメン屋の後で、ショットバーに行ったせいで、ラーメンの味の記憶がおぼろげになってしまった。

帰りの空港で土産を買った。徳島ラーメンと鳴門のわかめ。実際に食べて気に入った2品だ。

家に帰り、家族に徳島ラーメンを作ってあげた。黄身を割っても味が薄まらないと感じたのは酔いのせいではなかった。卵を入れないと味が濃すぎるかもしれない。卵を入れて完成するのが徳島ラーメンの特徴と考えた方がよさそうだ。

卵ポッチャンのインスタントラーメンが食べたくなった。

東大 大道本店
徳島県徳島市大道1-36
088-655-3775

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2008年02月12日

[ししくい](徳島)

阿波徳島で海女料理


ホテルを出てタクシーに乗り込み「南沖洲の…」と言ったら、運転手さんがすぐに「ししくいですか?」と応えた。驚いて「そうです」と言うと、向こうも驚いて「当たりですか?」と笑う。地図を見る限り徳島駅から車で10分以上離れた港の近くで、地元のサラリーマンがぶらりと訪れる店ではなさそうだ。

タクシーを降りて店を見ると、思ったよりきれいだ。暗闇に救われているのかもしれない。通された座敷のテーブルにはガスコンロが据えられている。部下が「海女さんが海女小屋で焼いて食べるイメージですね」と言う。なるほど、これが海女料理の意味のようだ。

地ビール、貝刺身三種盛り

コンテスト優勝の阿波うず潮ビールを飲みながらサザエ、アワビ、カキを食べる。徳島県南部にある宍喰町から直送の地元産が中心で、カキは鳴門産。鳴門のカキは初耳だったが、これが頗る美味い。
もっと感激したのが若布。鳴門産の若布が有名なことを初めて知った。刺身のつまのはずが、主役を取ってしまった。若布のお代わりを頼んだが、量がないと断られたのは残念だった。

踊り焼き、なまこ酢

うちわ海老が足をバタバタさせる。アワビがグルグル動く。ひおぎ貝がパカッと開く。動物愛護団体に訴えられそうな踊り焼きだ。焼けるまでなまこ酢で酒を飲む。刺身のアワビも良かったが、焼いた方が柔らかくてもっと美味かった。

うちわ海老刺身と焼き

茹でたうちわ海老は何度も食べたことがあるが刺身は初めての挑戦。悪くない。残った頭を焼いてもらったが、踊り焼きのものよりミソや卵が詰まって美味だった。

ウニ

今日のハイライトはウニ。殻付きを頼んだら、たらいに生きたウニが乗ってきた。針が元気良く動いている。殻付きウニは何度も自分で割って食べたことがあるが、これだけ元気に動いているウニは初めての経験。ペンチのような道具で割る作業を部下に任せた。
恐る恐るやるのでウニが逃げ回り上手に割れなかった。それでもスプーンですくって食べると滅茶苦茶美味い。普段ウニは嫌いと敬遠する部下が、もっと食べたいと言うので追加した。今度は銀髪が鮮やかに真っ二つに割った。自画自賛。

更に伊勢海老などを追加しようか迷ったが、腹に空白を残して場所を変えることにした。タクシーに乗り込み、「東大」と告げた。


海女料理 ししくい
徳島県徳島市南沖洲4丁目5番7-1
088-664-0990(4491)
http://sisikui.com/

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2008年02月11日

[ロブロス](吉祥寺)

ランチ時に賑わう店も夜は落ち着いた店に変わる


井の頭公園近くの脇道にあるロブロスは、夏はテラス席まで人が溢れている。ところが、夜には店の前に人通りはなく、中を覗いても人影は少ない。

ドアを開いて予約してないことを伝える。狭い禁煙席よりも、ゆったりとして隣の煙も気にならないテラス席を選んだ。もちろんテラスは覆われて外気からは遮断されている。

そのまま農家直送の有機野菜プレート

バーニャカウダ、クリームチーズディップ、塩が添えられる。バーニャカウダに期待したのだが、思いのほか量が少ない。野菜が美味しいのでディップに頼らずにかえって良かったかもしれない。

緑黄色野菜のラタトゥイエ

野菜が自慢のようなので、もう一品頼んだ。ラタトゥイエとは煮込み野菜のこと。名前だけで何か特別立派な料理のように聞こえる。サラダよりたくさん食べられるのがいい。

覆われているとはいえ、テラス席はすきま風が入りちょっと寒い。室内の暖房器具からの距離が遠く感じる。温野菜とワインで体が暖まるのを期待したが、効果が出るにはかなり時間が必要だった。

ぺペロンチーノ

自慢の野菜が乗ってなかなかいい。しかし、色んなところで食べるぺペロンチーノだが、自分が作るのが一番美味い。にんにく、唐辛子をタップリ使う。最近では麹町の「アペルト」に倣ってオリーブオイルも多く使う。自分好みに作るのだから、一番美味いに決まっている。

ポークスペアリブ マッシュポテトとスチーム野菜添え ハニーマスタードソース

食べ応えのあるスペアリブだった。食後にグラッパを頼もうとしたが置いてなかった。イタリア料理屋と思って気取ってみたが、本格イタリアンを目指しているわけではなさそうだ。

後から来た若い女性たちのグループに誕生ケーキが運ばれた。蝋燭が消えるのを合図に彼女たちと一緒に拍手してあげた。夜も昼と同様に気楽な店である。

昼に超繁忙のせいか夜は力が抜けてしまうのかもしれないが、もう一踏ん張り。料理は昼のカフェに頼らないでも充分やれる水準だと思う。必要なのは店員の笑顔かな。

ロブロス
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-6
0422-40-9533


PS  ランチが人気だったニギロカフェが昨年秋にロブロスとしてリニューアルオープンしたそうです。

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2008年02月10日

越後・村上の鮭

新潟県村上市の名物


両国のそば屋・「業平屋」では、肉厚・極上の鮭を大将がいつも誇らしげに「村上の鮭」ですと言って出す。鮭→熊→北海道という短絡的な思考しかなかったが、村上が新潟にあると知って不思議に思ったものだった。

酒造メーカー訪問の後、新潟の酒を土産にを買おうと酒屋「きっかわ」に寄ったら、店頭に鮭がぶら下がっていた。

吊るし鮭

酒を買う人たちに背を向けて、銀髪が見つめるのは鮭の土産の数々。主人が近づいてきて解説を始めた。主人の実家は主に鮭を使った商品を製造販売する味匠「喜っ川」。昔は造り酒屋で、建物は新潟県で初めて人が住んでいながらの文化財指定第1号になったとのこと。酒の販売は他の店員に任せ、アルバムを開いて実家の自慢を続ける。

店頭に吊るしてあったのは鮭の塩引き。厳選した鮭に天然の粗塩を引いた後、4~5日塩漬けの状態にし、その後真水で洗って3週間程北西の冷風にあてながらじっくり干すという。北海道では乾燥しすぎるので上手く作れない。湿度の高い村上ならではの名物である。小さいものでも1本1万円以上する高級品で、大型のものなら3万円くらいするそうだ。

鮭の酒びたし、鮭の焼漬

酒びたしは塩引き鮭を1年がかりで乾燥発酵させて作る。ビールの肴世界一と言ったドイツ人もいたそうな。
焼漬は村上の代表的な家庭料理。焼いてかえし醤油に漬け込む。ごはんに合う。

今日、村上の鮭料理が食べられるのも、200年以上も前の村上藩士・青砥武平次が世界に先駆けて鮭の回帰性を発見し、三面川を30年以上かけて整備して自然孵化増殖システムを確立したおかげ。

株価や経済に無関心に見える我が国の首相も洞爺湖環境サミットには熱心のようだ。武平次の試みは自然との共有をはかり、ひいては逼迫する藩財政立て直した。200年以上の時を経て、今も村上市の人たちの生活を支える。為政者の役割はかくも大きいものだ。

200年後の子孫たちのために、我々ができることは何だろうか。大きなことは出来ないが、好き嫌いや食べ残しをなくすことぐらいでも、皆が心がければ大きな貢献になるのかもしれない。


味匠 喜っ川
新潟県村上市大町1-20
0254-53-2213
http://www.murakamisake.com

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2008年02月09日

八海山

銘酒「八海山」の八海醸造(株)の工場見学に行った。