松江で見つけた楽しく嬉しいお店
4時半に予定の仕事を終えた。東京行きの最終便は7時50分発。余裕を見て松江市内を6時40分には出たい。
入り口にのれんが下がった店を数軒やり過ごした。ピンと来る店がない。なおも歩くと昨年来た「川京」の前に出たが開いていない。進むか戻るか逡巡していたら、断りもなく斜め前の店の扉を部下が開けた。雨がみぞれに変わり、体は冷え切っている。部下に従うことにした。
入ってすぐがカウンターで、右奥に座敷がある。我々が一番乗り。L字型カウンターの2席しかない左隅に陣取った。
カウンターの中に女性が2人。若い(若く見える?)女将と名刺交換する。日本酒サービス研究会、酒匠研究会連合会と書いてある。気が合いそうで嬉しくなる。
女将を独占して楽しんでいたところに、別の客がやってきた。「先生」と呼ばれる客に女将を奪われた。先生の語り口を聞いて、松本清張原作の「砂の器」を思い出した。
被害者がズーズー弁を話していたので刑事達は東北を走り回る。被害者と加害者の二人が話していた「カメダ」は奥出雲の「亀嵩(カメダケ)」のことだった。出雲でもズーズー弁に似た言葉が話される。物語前半の重要な謎解きの場面だ。
「砂の器だ」とつぶやいたのが先生に聞こえたようだ。その言葉に反応した先生は気分を害しかと思ったら、「あの映画は素晴らしく美しかった」と予想外に嬉しそうである。加藤剛、緒方拳、森田健作、島田洋子、山口果林などが出演、野村芳太郎監督の名作映画はSMAPの仲居君主演でテレビドラマにリメイクされた。たちまちカウンターの向こうとこちらが一体化した。女将を交えて盛り上がった。
頼んだ覚えがないしめさばは女将のサービスだった。酢がきつくなく銀髪好みだ。のどぐろの干物は脂が乗って美味い。頭からバリバリ食べた。
頼んでいたタクシーがやってきた。いつも先生を家まで送り届けるタクシーを女将が頼んでくれていた。後からやってきた女性2人を従えて、奥の部屋に消えた先生に別れの挨拶をしに行った。再会を誓って店を出た。手には先生が電話で取り寄せてくれたあご(トビウオ)の野焼きがある。お土産までいただいてしまった。
店を出たら雪に足を取られそうになった。みぞれは雪に、さらに吹雪となった。早めに出たつもりがギリギリで飛行機のチャックインに間に合った。ホッとしていたら、タクシーの窓を外からコツコツと叩く人がいる。窓を開けると、哀れんだ声が入ってきた。
「最終便は欠航になったよ」
「エッ?………」
和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577
投稿者 銀髪 : 2008年02月25日 06:04
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