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2008年03月31日
[鳥定](池袋)
レトロが楽しいお店

池袋駅前、良品計画の向かいにある狭く急な階段を上った。既にN氏、S氏が先に来て飲んでいた。三丁目の夕日の世界を模したのかと思ったら、実際の創業が昭和30年代というレトロな雰囲気の居酒屋である。
カウンター上の壁メニューには右から110円の焼き鳥、焼きとんなどの料理が並ぶ。どんなに左に行っても数百円の料理が続く。
レバー・ネギ間、レバー刺し

頼んだ焼き鳥があっと言う間に出てきたので驚いた。「凄いねー」と感心したら、先乗りの二人が頼んでいたものだった。中年男が最初に飛びつくのは似たようなものだ。
レバー刺しは彼らの好みではなかった。一人で食べるにはちょっと多いけれど、店のチェックには必要な作業と割り切った。極上とは言い難いが、値段と比較すれば文句はない。
老若男女、どの層にも人気の店らしい。料理は豊富だし値段は安い。店の女性も元気で可愛い。おじさんたちの相手もうまい。からかっているつもりが、実は逆のようだ。


料理は値段を上回る味もあれば、相応のものもある。シロは期待外れだったが、N・S両氏は常連だけに手を出さない。
いわし、人肉と鶏唐上げ

壁のメニューにある人肉にギョッとするものの、にんにくを洒落ているのはすぐに分かる。
「懐かしいからトイレに是非行くように」と妙なことを奨められた。昔の家には必ず男性が小用をたす便器があった。男性の地位が下がったせいか、土地代が高くなったせいか、今はどの家も大小兼用の一つしかない。
便器はともかく、壁に貼られた大映のポスターが懐かしかった。若き日の勝新や田宮二郎がいい。亡き父が連れて行ってくれたのは、決まって大映の映画だった。東宝映画の話をする友人たちとは話が合わなかったものだ。
格安の料理を食べ、ホッピーで酔っ払い、トイレでちょっと昔を懐かしむ。面白い居酒屋だった。
鳥定
東京都豊島区南池袋1-21-4 繁昌社ビル2F
03-3987-7806
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2008年03月30日
[可成家](徳島)
徳島ラーメン?

口コミ情報で徳島駅前にある美味しいラーメン屋を探したら、可成家にぶちあたった。昼飯時まで時間を潰して、開店の11時半に店に着いたが開いていない。向かいのラーメン屋はオープンしているのでそちらに行こうか迷った。念のために店の中を覗いたら店員と目が合った。慌てて女性が扉を開けてくれたので、予定通り可成家に入ることができた。
ホッとして席に着いたが、メニューを見て首を傾げた。煮玉子? キムチ? 高菜? 思い込みとは恐ろしい。徳島に徳島ラーメン以外のラーメンがあると考えたこともなかった。東京には全国あらゆる種類のラーメン屋がある。博多に札幌ラーメン屋、札幌にトンコツラーメンの店があってもおかしくない。それなのに、旅行者は勝手に先入観を抱いてしまう。

壁には可成家のこだわりが貼ってある。豚骨、鶏がらで取ったスープ。高級小麦粉を使った自家製麺。自然飼料だけで育てた鶏の卵。生ビールまでもこだわりに入っているのはご愛嬌だ。

ラーメンは確かに美味しかった。評価が高いのも頷ける。徳島ラーメン好きの地元の人でもたまには違うものを食べたくなるだろう。
徳島ラーメンは生卵を入れても味が薄く感じないほどに濃い味である。それを嫌な人にはあっさり味のラーメンが恋しくなるだろう。そうは言っても豚骨ベースのラーメンは、東京で食べる醤油味や塩味のラーメンよりも濃厚である。これをあっさり味というのが徳島らしくもある。
徳島駅前だから旅行者もたくさん来るだろう。これを典型的な徳島ラーメンと勘違いする人がいたら可哀想だ。徳島ラーメンを一食、食べ損なった気持ちは抜けなかったが、まっ!美味しいラーメンを食べたからいいか。
徳島支那蕎麦 可成家
徳島県徳島市一番町3-10
088-655-2229
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2008年03月29日
[雲楼](京橋)
最後まで衰えないのは食欲?

雪園新宿本店の焼きそばは、美味しかったが懐かしの味ではなかった。そうなると京橋店にどうしても行きたくなってしまった。
約15年振りだったので少し迷ったが、大きな時間のロスもなく辿り着いた。入り口にはランチのサンプルが置いてあり、お目当ての焼きそばもちゃんとあった。
3階に通されてちょっと面食らった。記憶がない部屋なので以前来たのは2階だったのだろうと思う。入り口ではよく見なかったが、出てきた1,300円の海鮮焼きそばは小皿、スープ、デザート付のセットになっていた。ちょっと違和感がある。

テーブルに豆板醤が置いていないのも変だ。わざわざ豆板醤を頼んで食べたが、舌は明らかに違うと主張する。店が変わったのか、舌の記憶違いか分からないままに店を出た。
翌日、雪園新宿店の店員が奨めてくれた雲楼に行った。入り口のメニューを見ると左上から焼きそばが数種類並び、他の料理に続く。焼きそばが看板料理なのは間違いない。2階に上がるとデジャブー(既視感)に捉われた。席についてテーブル上の豆板醤の瓶を見て全てを悟った。デジャブーではなかった。昔焼きそばを食べた店は雪園ではなく、雲楼だったのだ。
雪園新宿本店の店員が、雲楼を紹介してくれた理由もよく分かった。焼きそばで有名なのは雪園ではなく雲楼だと言いたかったのだろう。
五目焼きそば

イカ、ホタテなどの魚介類、豚もつなどが入った五目焼きそばに、豆板醤をタップリかけて食べた。食べている途中で、昔よく食べたのは五目ではなく海老入りだったことも思い出してきた。それにしてもこんなに量が多かっただろうか。軽々と食べていた昔が懐かしい。
人間の記憶とは何とあやふやだろう。一番確かなのが味覚だったというのも驚きである。もしかしたら、味覚だけはボケないのかもしれない。欲望の中で最後に残るのが食欲ということを考えれば当然かもしれない。
雲楼
東京都中央区京橋2-7-9
03-3561-6390/0226
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2008年03月28日
[雪園](新宿)
湖南料理の老舗レストラン

湖南料理は中国8大料理の一つだそうだ。湖南料理の他は四川、広東、山東、江蘇、浙江、福建、安徽で、北京料理は山東料理、上海料理は浙江料理に含まれるらしい。
湖南は毛沢東の出身地で、昔の楚があったところと言われると、何となく分かった気分になる。史記、項羽と劉邦、四面楚歌、さらに虞美人が出てくれば親しみさえ湧いてくるから不思議だ。
鶏肉の湖南風辛子ソース、自家製ハムのハチミツ漬け

最初の赤いものを食べて相方が悲鳴を上げた。赤ピーマンと思ってパクリとやってしまったが、幅広の唐辛子だった。山椒を使う四川料理は痺れるような辛さだが、湖南料理は辛くて酸っぱいのが特徴だという。最初から見事に洗礼を受けてしまった。
ゆばのサンドイッチ、柔らかバラ肉と豆腐の黒豆煮込み

配膳室に料理が到着したブザーが聞こえるが、フロアを担当するベテラン中国店員は向こうのテーブルの客と話し込んでいる。耐えかねて「到着しましたよー!」と彼を呼んだ。「何年もフロアを仕切っているから大丈夫。ちゃんと聞こえてますよ」と言うが、冷めた料理は食べたくない。案の定サンドイッチの上のアメは固くなって歯にこびりついた。
京橋の雪園はよくランチで行った。必ず海鮮焼きそばを頼み、豆板醤をタップリ乗せて食べた。懐かしくなって、最後はメニューにはなかったけれど、焼きそばを作ってもらった。
海鮮焼きそば

店員もお腹が空いたのだろう。配膳室からズルズルとソバを食べる音が聞こえてくる。彼の食事が終わったところで、我々の焼きそばが到着したとブザーが知らせてくれた。
豆板醤で食べたかったが、置いていないと断られたので仕方なくマスタードで食べた。
「昔、京橋の雪園で焼きそばをよく食べた」と言うと、店員は「ウンロウには行ったか?」と聞く。「行ったことがない」と応えると、メモ用紙に雲楼と書いて渡してくれた。ライバル店を奨めるとは変な奴だ。
固くなったアメ以外は、どの料理も美味しかった。ベテラン店員はとっても愛想が良くて、話も上手だった。ブザーに機敏に反応してくれていたら文句はない。
そうそう、彼がお腹を空かせていなかったらもっと良かったかもしれない。
雪園 本店
東京都新宿区新宿3-8-9
03-3354-4028
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2008年03月27日
[一耕]②(松江)
再び松江の一耕へ

「今度は〇日に来ます」と言って常連の先生と女将に別れを告げ、約束どおりやってきた。5時前に入店してビールを飲み始めたところに女将が登場、あれから指折り数えて銀髪を待っていてくれたらしい。すぐに先生に電話をしてくれた。やりかけの仕事を放り出して来るそうだ。
お通し2品

先生が来る前に別の常連さんが女性2人を従えてカウンターに座った。15分ほど待ったところで先生が飛び込んできた。常連さんと先生の二人は地元の名士。仲がいいのかライバルか、議論か言い合いか、地元の言葉なのでよく分からないが丁々発止とやりあっている。
おでん、のどくろの煮物

40代と思われる男性が一人で入ってきた。5時を僅かに過ぎたばかりなのにカウンターはほぼ一杯になった。相変わらず先の二人が話し込むもんだから、連れの女性は後から入ってきた男性と楽し気である。「議論ばかりしていると女性を取られてしまいますよ!」と銀髪が茶化す。酔いが回るに連れて客同士が打ち解ける。
しめさば、くこ茶、しょうが

「しめさばが好きだったですよね」と女将が料理人に勝手に注文してくれる。調理場から「美味しくなるまであと10分待ってくれ」と聞こえてくる。若いのにこだわりの料理人は、一人冷静である。
箸休めに薬膳酒としょうがが出された。
春野菜・山菜の天ぷら、白魚の天ぷら

季節の天ぷらを味わった。前回来た時は吹雪に泣かされたが、あっという間に春爛漫である。
時間の経つのは早い。ボチボチ空港に向かう時間がやってきたので、勘定を頼みトイレに入った。出てきたら一人客を残して全員が立ち上がっているので驚いた。銀髪が去るのを合図にみんなも帰ると言う。別れ際に「次に来るときは泊りがけで来なさいよ!」と先生が言う。女将はニコニコ笑っている。 本当に嬉しいもんだ。
酒場で出会い、別れを惜しむ。酒飲みに生まれて良かった。
和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577
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2008年03月26日
[ラ・ヴィータ](四谷三丁目)
裏通りにある小さなトラットリア

ホームページを見ると「開店のコンセプトはフィレンツェの裏通りにある小さなトラットリア(食堂)」というオーナーのコメントが目に入った。
ラ・ヴィータは新宿通りと並行する裏通りにあり、ちょっと迷いながら辿り着いた。
リストランテでもピッツェリアでもない、紛れもないトラットリアという感じの心地よい店である。メニューを開いてすぐに2品が決まった。旬の素材、ホワイトアスパラ、ホタルイカ、菜の花を食べることにして、店の人に声をかけた。お奨めを聞いたら銀髪の意見とほぼ一致。本日の献立は一分足らずで決定した。
パン

パンは3種類出てきた。ワインを飲みながら次を待つ。
ホワイトアスパラ

てっきり北海道産かと思っていたが、ペルー産だった。ラ・ヴィータは炭火焼料理が自慢だが、国産だと細すぎて炭火焼きには向かないらしい。こんがりと焼けたアスパラを口にして、納得した。
プラチナポークの炭火焼

岩手県花巻産のプラチナポークの炭火焼が、メインのお奨めを聞いたとき店の人が即答した料理だ。「脂身もくどくないので美味しいですよ」「赤くても問題ありません」と言われたとおり、実に美味だった。噛み応えのあるぶ厚い肉をガブリとやると幸せになる。
スパゲッティ

メニューにはトマトベースと書いてあったが、ぺペロンチーノ風に仕上げてもらった。小さな店は我侭がきくのが嬉しい。ホタルイカと菜の花が春の彩を添えている。
満足したときの恒例儀式、名刺交換をした。我々の世話をしてくれた店員が店主の須田さんだった。四谷三丁目の裏通りに店を構えて14年、苦労もあったろうが若々しい、いい顔をしている。また来よう!
ラ・ヴィータ
東京都新宿区四谷3-4-9
03-3359-0456
http://homepage3.nifty.com/lavita
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2008年03月25日
[清香園 総本店](銀座)
老舗の焼肉屋?

銀座の清香園は昭和26年創業、全国各地にある清香園は暖簾分けした弟子たちの店で支店ではないようだ。オーナーはマスコミに頻繁に登場した有名人で、清香園の名を世に知らしめた。この店を韓国在住の経験があるM氏が夕食会の場所に指定した。
お通し

ネギにたっぷり唐辛子が乗っているが、南米産やタイ産などに比べると韓国産はそれほど辛くない。松の実のスープは胃に膜を作るので、乾杯の前に飲むように奨められた。
オーダーは韓国通のM氏に任せた。前半に出てきた料理は殆どが焼肉屋で食べるものだった。



レバーの刺身だけは銀髪が頼んだ。焼肉屋、焼き鳥屋では、レバーを食べれば肉の質や鮮度が判断できる。ガイドブックなどで評価が高いのが頷けた。

食事の合間にメニューを見せてもらった。緑豆のチヂミは食べたことがなかったが、他に見知らぬ食べ物は少ない。何よりはっきりしたのは、清香園は典型的な焼肉屋ということだった。戦後、日本で韓国焼肉のスタイルを確立させた功労者なのかもしれない。
客が自分で焼いて食べる方式は、大阪の「食道園」が考え出したという説がある。韓国本場の焼肉は甘いタレにつけた肉を、一度に全部焼いてしまう。客が好みの焼き加減で食べるやり方は日本方式と言った方がいいだろう。

最後は海鮮チゲを食べることにした。店員が焼肉用の網を持ち去り、おが炭の上に鍋が置かれた。火加減はガスで調節する。スープを注ぎ足して食べた後にうどんを入れて満腹になった。家に帰り体重計に乗ってショックを受けた。かなり食べ過ぎてしまったようだ。
韓国本場の味が懐かしい人は赤坂や大久保にある韓国料理屋に行った方がいい。M氏の思いは達成されたのか、ちょっと気になった。
清香園 総本店
東京都中央区銀座1-6-6
03-3561-5883
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2008年03月24日
[東あほぼん寺](渋谷)
隠れ家風の大衆居酒屋

大通りに面している店は高いという印象がある。階段を下りて扉を開けると釣鐘が下がり、馬に跨る武将の像に迎えられた。

お寺をイメージした店内は地下なのに意外に広い。個室に通されて、ますます心配になったところで後ろから声が聞こえた。完全個室と思ったのは勘違いで、すだれのすぐ向こうに他の客が見えた。マジックのタネが明かされた感じだ。高級店ではなさそうだ。
経本を模したメニューを開いてますます肩の力が取れた。4桁の料理は殆どない。名物料理はタコを使った料理。たこ坊主と洒落ているに違いない。そのまんまの名前の料理があった。
たこ坊主

蛸が入った明石風だし巻き玉子だそうだが、たこが入っている以外は命名の意味が良く分からない。明石焼き→たこ焼き→坊主頭と連想させたいのだろうか。
鮭のかま焼き

お奨めを聞いたら何故か鮭のかま焼き。たこ以外の駄洒落料理はあまりない。京都に因んで豆腐料理も自慢のようだから、鶏つくねの湯豆腐を頼んだ。780円でそこそこお腹が膨らむお値打ち料理だったが写真は撮り損ねた。
つぶ貝のチャンジャ

日本酒は「ぼうずまるもうけ」「極楽ぼうず」「おだいかんさま」などがあり面白い。他に焼酎、ホッピー、ウイスキー、カクテルなど何でもござれで節操がない。
やっぱり渋谷らしく若者のためのお店である。
あほぼん寺の本店は関西のようだが、東京の店は東あほぼん寺と名前が変わる。系列なのか別経営なのか分からない。大阪っぽくって面白い店だったと言えば、大阪人は喜ぶだろうか。怒るだろうか?
意見を聞いてみたいものだ。
隠れ家和食 東あほぼん寺
東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル1号館B1
03-5728-2300
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2008年03月23日
グラッパ
美味しいグラッパを飲みましょう

インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」を、大学生だけでなく官僚までもが引用したと国会で嘲笑された。公式に使うのはともかく、それなりに役に立つと銀髪は思っている。それでもグラッパを「美酒」と評価しているのには苦笑した。
ウィキペディアによると、サイゼリヤでも飲めるそうだ。サイゼリヤには行った事がないのでどんなグラッパを置いているのか知らないが、安価なグラッパが美味しいはずがない。ウィキペディアの執筆者は余程いいグラッパを飲んだか、味音痴でなければ「美酒」などと書けないはずだ。
グラッパはブランデー(果実から作った蒸留酒)の一種。ブランデーの代表格がコニャック(ヘネシーやレミーマルタンが有名)である。グラッパはコニャックと同様に葡萄を原料とするが、搾りかすから作られる安価な酒のイメージが強い。
銀髪のホームグラウンド、日本橋のショットバー「風長閑」に久し振りに行ったら立派な箱が出てきた。

ベルタ マジア(BELTA MAGIA)、琥珀色のヴィンテージ・グラッパである。数年前までグラッパは透明な酒しかなく、味は二の次で化粧瓶の美しさでしか勝負できない酒と思っていた。安価なイメージも吹っ飛んだ。

サイゼリアのグラッパの格は大体想像できる。下北沢の居酒屋で飲み放題の焼酎をストレートで飲んだ時、安いグラッパと殆ど同じ味で驚いたものだ。酒粕が焼酎の原料になるのだから、味が似ているのは当然である。
ワイン=純米酒、グラッパ=粕で作った焼酎と考えれば分かりやすいだろう。粕でない厳選した材料で作った高級焼酎=コニャックと言えば、焼酎メーカーや焼酎愛好家も許してくれるだろう。
最近、樽で熟成された琥珀色に輝くグラッパをよく口にする。ベルタ マジアはその中でも最高級品の一つである。ウィキペディアの筆者が美酒と評したのはもしかしたらこのグラッパかもしれない。
しかし着飾って上品を装うよりも、粗野でも純粋で美しい素の方がいいと感じることもある。オードリー・ヘップバーンが演じた名作映画「マイフェアレディ」を思い出した。
イタリアンレストランに行く。サイゼリアでもいい。食後に女はドルチェ(デザート)を、男はグラッパを頼む。女は固辞する男の口にケーキの一片を放り込む。男は甘さに口をしかめ、べたつく口をグラッパですすぐ。女が笑い転げる。
ウーン、こんな幸せな奴がいたら不愉快だ!
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2008年03月22日
[アルエット](海老名)
みんなで墓参り

我が家の墓は海老名にある。先祖代々の墓というわけではなく、母が父のために建てたものだ。晴れた日は富士山が見える高台にあり、30年近く父は一人そこで眠る。幼い孫の手を引いて軽快に坂道を上っていた母も、今は逆に手を引かれるようになった。
海外勤務をしていた期間以外は年に2回、殆ど欠かさずやって来る。通常は母、長兄と銀髪の家族で、少ないときは2人、母が欠けたときもあった。今回は新潟に単身赴任する次兄を除いて総勢10人が父の墓の前に顔を揃えた。
春分の日は台風のような天気だった。父が赤飯とビールの匂いを嗅ぐことが出来る半年に一度の大事な日はほんの一瞬で終わり、我々は線香の煙だけを残して立ち去った。「私のお墓の前で泣かないでください」と父が歌う時間など無論なかった。
予約しておいたオークラフロンティアホテル海老名のアルエットに飛び込んだときには3本の傘の骨が折れていた。息子とその家族合計10人の真ん中に座った母は嬉しそうだった。
スープとサラダが出てきた。

大荒れになるという天気予報を見ながら墓参りを決行した理由は、食事の途中で明らかになった。孫の一人の結婚内定が発表された。彼女はいつになく神妙な気持ちで父の墓に手を合わせたに違いない。

立派な料理を予約することも考えたが、軽めの1,575円のアルエットバリエーションプレートにした。8人が女性なので、食後に105円のプチケーキを何個も食べた方が楽しいだろうと思ったからだ。長兄と銀髪は彼女らの笑顔を見ながらコーヒーを飲めば充分である。
父は最初の孫だけしか抱くことができなかった。女ばかり4人の孫に囲まれたら、父はどんな顔をしただろうか。外国で生まれ育った父だから、大袈裟な仕種をして彼女たちに抱きついたことだろう。そのうちの一人が結婚すると聞いたら…
想像を膨らましていたら、確かに歌のように千の風になって我々を見詰めてくれているような気がした。まさか子や孫に囲まれた嬉しそうな母に嫉妬して、この日吹き荒れて傘を壊した訳ではないだろうけれど…
いや、あの親父ならあり得る
アルエット
神奈川県海老名市中央2-9-50
046-235-9828
http://www.okura-ebina.co.jp/rest2.html
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2008年03月21日
[葡萄屋](銀座)
銀座で40年のこだわりの焼き鳥屋

銀座インズにある店と聞いていたので、女性好みのこぎれいな店と思っていた。入ってみると重厚な木のテーブルや椅子だけでなく店員も年輪を重ねている店だった。
店に足を踏み入れると、開店当初から働いていると思える昔美人だった(かも知れない)女性が満面の笑みで迎えてくれた。
もちろん笑顔が向けられたのは常連さんである。メニューを見た感じではコースを頼むしかないようだが、常連さんのお陰でかなりの自由を与えられた。焼き鳥は時間がかかるとのことで、彼はテキパキと生野菜をオーダーする。実に頼もしい。

レバー

最初にレバーがやってきた。写真では分かりづらいかもしれないが、ミディアムレアの焼き加減が素晴らしい。銀髪の評価に常連さんも誇らし気だが、本人は生は嫌い。
ハツ

レバーと同様に素晴らしかったのがハツ。これもわずかに生っぽくて、最高クラスの焼き加減・味だった。生っぽいのがダメな連中は、焼きなおしてもらったが、店の人は不機嫌だった。
うずらと皮、砂肝が来たところで立ち上がった。メニューには焼き鳥の種類が書いてないので、焼き場のカウンター上の冷蔵ケースに収まっている串を見に行った。膝なんこつ、軟骨、ぼんちり、手羽先を追加注文した。


一串の量が多く、脂が乗った立派な焼き鳥は、若者の腹にも納まり切らなかった。もちろん銀髪は自分のノルマは達成した。
「伊勢廣」や宮川などの老舗は量が多い。高度成長期の企業戦士たちは、大量に飲み食いしたに違いない。齢を取った彼らだけでなく、若い連中も食が細くなって上品になった。もしかすると、食欲は経済成長率と比例するのかもしれないと思った。食が細った国の男たちは元気がない。
葡萄屋
東京都中央区銀座西2-2 銀座インズ2 B1F
03-3564-2001
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2008年03月20日
ぼたもち
お彼岸の思い出は母手作りのぼたもち
子供の頃、お彼岸=墓参りの習慣は我が家になかった。父の両親の墓はハワイにあり、母方の墓は日本にあっても日帰りで行くには辛かった。
従ってお弁当を持って墓参りに行ったと話す友人を羨ましく思ったものだ。
唯一の楽しみはぼたもちだった。子供だから大きく感じたのかもしれないけれど、我が家のぼたもちは特大だった。
どの家庭もお彼岸にはぼたもちを作る。大量に作って近所に配る。お返しもぼたもちということになり、大きさを比較することができた。もちろん、我が家のものが一番大きかった。
これを兄たちと競争して食べた。小さいからだで3つ、4つと食べていたのだから驚く。外を走り回って遊ぶのが子供の仕事と、親も子供も割り切っていた。いくら食べても太る心配はなかった。「勉強しなさい!」と言われることもあったが、「勉強は学校でするもの!」と胸を張った。
おはぎ

日本橋高島屋にぼたもちは売ってなかった。春はぼたもち(牡丹餅)、秋はおはぎ(お萩)と呼び名が違うと教えられたが、今では季節に関係なくおはぎと呼んでいるようだ。ぼたもちよりおはぎの方が上品に聞こえるからだろか。
以前、八重洲の裏通りに昔懐かしい大きなおはぎを売っている店があったが、麹町に移ってしまった。高島屋で買ったおはぎはいかにも上品で小さかった。
会社の女性に「昔はお母さんが作ってくれたでしょ?」と聞いたら、「いいえ、作ってくれたのはお婆さんでした」と返された。確かに銀髪の母と、彼女のお婆さんが同年代だ。
昔食べたぼたもちの材料はもちろんすべて国内産だった。今では、「国内産」「遺伝子組み換えをしていない」などと書かれ、値段が高くなる。お母さん手作りのおはぎを食べられる子は幸せだ。
昔、お母さんたちは冷蔵庫や冷凍庫に頼らず、毎日新鮮な材料を買って来てごはんを作った。おやつだって、ぼたもち、ドーナツ、ホットケーキ、ふかし芋などなど、お母さんの手作りが多かった。
日本の食は進歩しているのか、退化しているのか良く分からなくなるときがある。お母さんも昔は偉大な存在だったが、いまでは子供たちにとってお友達みたいだ。いいのか悪いのかは分からない。
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2008年03月19日
[がんこ](大阪道頓堀)
大阪の雄、本場のお味は?

全国に100店舗近くを展開するがんこグループ。銀座にも2店あるが、東京から出張したメンバーは今回も本場のがんこに行きたいと言う。道頓堀店が大店なので本店と思っていたようだが、例に違わずがんこの発祥の店も小型の十三店である。
お通し、がんこ地中海マグロ中とろ

がんこを冠した料理がいくつかあるので笑った。ところが中トロを一切れ食べたら意外に美味い。侮ってはいけないと思った。帰ってからHPで調べたら、マルハの協力を得てがんこ用に畜養したものだという。
野菜、豚、鶏、えびなどにもがんこを冠した素材がある。洒落で名づけたわけではないのが理解できた。笑わないでそれらを食べれば良かったと後悔した。
ふぐ(唐揚げ、刺身、皮)

皮も一切れもらって口に含んだ。神田。「満寿家」のようにはいかなかった。ふぐにもがんこの名前がついていたらよかったのに。
厚揚げ、サラダ

あおりいか、活きたこ

枝豆、茄子、お新香盛合せ

ネギトロ巻き、穴子寿司

がんこの良さはやはり値段だろう。スポンサー役の銀髪を気遣って、同行者がんこを選んでくれて本当に有り難かった。
安さだけで全国に100店舗近くまで展開できたわけではないことが分かったのも良かった。高いものを使って美味しいのは当たり前。安くても美味しくなければ厳しい大阪人には評価されないだろう。
銀座店に行って、「がんこ〇〇」をもっと食べてみたくなった。
がんこ
大阪府大阪市中央区道頓堀1-8-24
06-6212-1705
http://www.gankofood.co.jp/index.html
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2008年03月18日
[ガンボ&オイスターバー](新宿)
年中食べられる生牡蠣

近年、オイスターバーが増えたような気がする。昔は生食で食べるのは的矢の牡蠣ぐらいで、高級レストランにしか置いてなかった。Rの月にしか食べられないと言われる真牡蠣と違い、岩牡蠣は夏も食べることが出来、最近では産地も多様化してきた。
生牡蠣の盛合せ

写真左から順に国内6種(北海道厚岸、岩手県大槌産、三重県桃取産、兵庫県相生産、広島県袋ノ内湾磯牡蛎、長崎県九十九島産)、海外2種(ニュージーランド産パシフィックオイスター、南オーストラリア州産キャビアオイスター)の盛り合わせ。
大き目の国内産と小振りな外国産、微妙に味が異なり面白い。日によって出される牡蠣は変わるようで、この日は上記の8種類。他のオイスターバーに比べると国内産が多い。もっと種類があってもいいと思う一方、種類を限定した方が安価に提供できていいかもしれない。牡蠣好きであれば8個くらいペロリだろうが、普通は4個食べる人も珍しいだろう。
サラダ、タコ

写真は牡蠣のエスカベッシュと海藻のサラダの後は、真蛸のアンチョビガーリック風味。最後のスパゲッティも牡蠣の入ったぺペロンチーノを頼んだので、タコの一品だけ違うものを挟むことにした。
オイスターバーと言っても、他の魚介類や肉もある。周りを見渡すと、圧倒的に女性客が多い。牡蠣の盛り合わせを食べている人は少ない。平均は一人2個ずつだろうか。
スパゲティ

半熟ポーチドエッグがユニークなぺペロンチーノ。しかし、生牡蠣の圧倒的な存在感の前ではどの料理も平均的に思える。
他より生牡蠣が安く食べられるといっても、居酒屋並みとはいかないのがちょっと残念ではある。
ガンボ&オイスターバーは東京駅八重洲地下にもあり、各地のデパートなどにも出店している。カウンターで生牡蠣を食べ、軽く白ワインを飲んで家路につく。そんな粋なオジサンがいるかもしれない。
ガンボ&オイスターバー 新宿ルミネエスト店
東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿8F
03-5369-5017
http://www.oysterbar.co.jp
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2008年03月17日
[ひで](渋谷)
テレビでよく紹介されるおでん割烹のお店

「アド街ック天国に出ていましたね」
「それは随分前ですね」
「あれっ?そうだっけ」
「最近出たのは裸の少年ですよ」
そうです、勘違いでした。見たのは確かに裸の少年で、道場六三郎が案内役をつとめていた。実はテレビ放映の前、「あじくら」「に行ったときに前を通り、いつか来ようと思っていた。裸の少年が背中を押してくれた。
お通し

お通しは鶏とわさび漬け、桜餅を模した海老しんじょ。おでん割烹と言うだけあって、品のいい2品を食べると銀座の一流おでん屋を想起させる。カウンターから見上げると、値段の書かれていない料理の札がたくさん掛かっている。懐が心配だ。
かつお

隣の中年客がかわはぎを頼んだ。迷った末にこちらはかつおにした。今年初めてで、久しく食べていない方を選んだ。隣に来た皿には立派な肝が乗っていてちょっと後悔したが、かつおも頗る美味しかったので満足だった。
札の中でソイが気になった。食べたことがあるはずだが形も味も思い出せない。「どのぐらいの大きさですか?」と聞くと「見ますか?」と親切である。カウンターの下からパットを3つ出して、その一つの布巾をはずしてメバルを除けてソイを引きずり出した。そこまで手間をかけてしまったら断るわけにはいかない。お奨めの塩焼きにしてもらった。
おでん

菜の花ととうもろこし、合鴨のつくね、大根、牛すじ、卵、ロールキャベツ。ソイが焼きあがるまでにおでんを食べた。
黒そい、おでん

鯛より美味と言われる黒そい。白身の上品な味である。きれいに食べ尽くしたので、板さんに自慢したいぐらいだったが、忙しそうでなかなか会話が弾まない。
最後にぎんなん、しらたき、れんこんを食べた。おでんの種類はまだまだたくさんあるが、到底食べ尽くせるものではない。次回の楽しみにとっておくことにした。
勘定書がやってくるまでドキドキしたが、酒代込みで1万円しなかった。
銀座並みの値段ではないから何度も気軽に来れそうだ。次回は「ひで」さんが誰か聞いてみよう。
おでん割烹 ひで
東京都渋谷区円山町15-5
03-3461-1701
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2008年03月16日
[いのたに](徳島)
徳島ラーメンの代表格

空港に着いて前回と同様に売店を覗いた。三八、一福、春陽軒、ふく利、王王軒、岡本中華とメモしてタクシーに乗り込んだ。
「徳島駅方面にやってください」、タクシーが走り出したところで「徳島ラーメンを食べたい」と付け加えた。「駅前にありますよ」と言うので「あー、あそこか」と応じたら運転手さんの声のトーンが変わった。「徳島に来たことあるの?駅からちょっと離れるけれど、どうせならそっちに行きますか?」もちろん異論はない。
歩けば徳島駅から10分程のところだろうか。派手な看板が道の両側にあるので驚いたが、それは20~30台の車が止められそうな駐車場だった。

小さなラーメン屋を想像していたが、駐車場の規模に見合うラーメン屋としては比較的大きな店である。中に入ると大きな四角のカウンターが2つあり、立って待つ人が7~8人いるが、並んでいるわけでもない。取りあえず自動販売機で食券を買ったものの、どうしていいか分からない。
先に食券を買った人の真似をして、右のカウンターの中のおばさんに食券を渡してしばらく突っ立っていたら、しばらくして空いた席をあてがわれた。
調理場の4人、各カウンターに居るおばさん4~5人が忙しく働く。常連客ばかりならいいが、我々のような初めての客も多いので、秩序は乱れ発注ミスも重なって何やら内輪もめしている。それでも日常茶飯事なのだろう、いざこざはあっさりと収まって何事もなかったようにみんな持ち場に戻る。

大盛り、徳島ラーメン定番の甘辛く煮付けた豚肉入りを頼み、別売り50円の卵を割り入れた。
「東大」ほど味は濃くなかったが、他の土地のラーメンに比べるとしっかりと濃い。茹で時間が1分の極細麺を使っているというが、それほど細く感じられない。
壁に掛けられた免状には女性の名前が書いてある。オーナーは女性なのだろうか。映画「たんぽぽ」で宮本信子が演じた女主人を思い出した。もっとも旦那に先立たれてラーメン屋再興に奮闘する映画と一緒にするのは失礼かもしれない。何と言っても、この混みようなら屋敷が立っているに違いないからだ。
ラーメン屋といっても馬鹿にできない。
中華そば いのたに
徳島県徳島市西大工町4-25
088-653-1482
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2008年03月15日
[橘屋本店](松江)
シンプルな割り子そば

出雲空港からタクシーに乗って松江市内に向かった。ランチまで時間があるので先日「一耕」で出会った先生が奨めてくれた神魂(かもす)神社に行くことにした。「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくるその八重垣を」の古歌で名高い八重垣神社近くにある。その社殿は現存する大社造りで日本初の国宝に指定されたものだ。
ところが、タクシーの運転手はこの神社のことを知らなかった。タクシーの運転手が国宝を知らないことに驚いたが、聞けば出雲空港に入れるのは出雲市のタクシーのみ。従って松江のことはよく分からないと言う。行政指導か、縄張り争いか知らないが、観光客にはいい迷惑である。
神魂神社

まずタクシーも知っていた八重垣神社に行った。八重垣神社は縁結びの神として有名で、高校生の男女10人余りが池に紙を浮かべてコインを乗せ、願いがかなうか占っていた。縁が結ばれても、その後まで神様が面倒を見てくれないことを高校生ではわからないだろう。
迷いながら何とか神魂神社に到着した。国宝の神社は研究者と見られる数人のグループが居るだけで、ひっそりとしていた。出雲大社と比べると遥かに小さいが、荘厳さをたたえている。地元の人たちは観光客で賑わうことを喜ばないという。出雲のタクシーが知らないことは喜ばしいことかもしれない。
割り子そば

ゴルフはシングルハンデが自慢のタクシー運転手だが、松江の道路についてはかなりハンデが必要だった。一方通行で立ち往生したところで、お役御免にした。
夜の街は昼間歩くと本当に寂しい。結局、目的の店はまだ開いてなく、雰囲気のあるそば屋にぶつかったのは幸運だった。
迷わず割り子そばを頼んだ。以前、松江駅前の「一福」 で食べた割り子そばに比べると、遥かにシンプルなものだった。そばの上から直接そばつゆをかけて、順番に食べていった。素朴なそばは美味しかった。
腹ごしらえが済んだところで本来の仕事、松江に来た目的を思い出した。八重垣神社と神魂神社でお参りした効果を試す時が来た。お賽銭をケチったことと、「すべてうまくいきますように」といい加減なお願いをしたことが、今更ながら気になってきた。
橘屋本店
島根県松江市東本町2丁目64番地
0852-25-0496
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2008年03月14日
[満寿家]②(神田)
ふぐのシーズンももうすぐ終り

先日「京ふじ」に行ったとき、天然ふぐの食べ収めの時期が迫っていることを気付かされた。「満寿家」でシーズン初めに感動した味を、シーズン終りにどうしても食べたくなって予約を入れた。連れて行ったK氏は無類の大食漢だが、お腹の調子が悪いと言うので安心した。
煮こごり、ふぐ刺し

刺身は2人盛りにするかどうか聞かれたが、もちろん一人ずつにしてもらった。調子が悪いと言うけれど、殆ど食べられてしまうリスクは冒せない。皮は腹側の白いところのみで、「口に含んでしばらくすると溶けますよ」と前回教えられたことをK氏に話す。
背側の黒い皮は煮こごりに使われる。
昆布締め(ほうぼう、こち)

お腹の調子が悪いはずのK氏だが、刺身を残す気配がないどころか、壁に掛かったメニューをじっと見詰めて「昆布締めが大好きなんですよ」と仰る。同じように見える昆布締めだが、ほうぼうの方が美味しい。K氏が「こちの食べ方を知っていますか?」と聞くので「東の方を見ながら食べるのかな?」と応えた。すると「こっちから食べるんです」と照れ笑いをする。東風(こち)にかけた銀髪の回答の方が気が利いている。
桃の節句、ひれ

前回と同様に、ふぐ焼きと唐揚げを食べた。何度食べても美味い。途中、桃の節句に因んだ一皿を出してくれた。まながつをの酒粕漬け焼きにうどと桃の小枝が添えられて美しい。
もちろん飲むのはひれ酒。いつ見ても立派なヒレをきれいに焼いている。
ふぐちり、白子焼き

K氏を気遣ってふぐちりは少なめにしたのに、白子を見て「白子焼き」を食べたいとほざく。呆気に取られるが、食べたい気持ちは銀髪も同じ。シーズン初めに食べた白子に比べると、サイズは大きくて味もふくよか。やはり満寿家に来てよかったと痛感した。
満寿家は江戸川春菊や千住ねぎなどの江戸野菜を使うこだわりよう。80年も続く老舗料理屋の真骨頂だが、さりげなく話す女将が粋である。
粟もち、雑炊

女将が「粟もちを食べますか?」と聞くと、K氏は元気良く「はい!」と応える。名人が作るチャーハンのように卵が美しく米の間に散らばった雑炊を女将が作ってくれる。K氏はこれをペロリとたいらげお代わりをする。
本当にお腹の調子が悪いのだろうか?
いつもながら女将が相手をしてくれるカウンターは本当に楽しい。違う人を連れてくると、銀髪が気付かないことを発見してくれるから面白い。今日もたくさんの発見があった。全部紹介できないのが残念である。
満寿家
東京都中央区神田鍛冶町3-3
03-3256-8897
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2008年03月13日
[ホテルオークラレストラン ニホンバシ](日本橋茅場町)
久し振りの

「オッ!高級レストランみたいになったね」と言うと、席に案内してくれたフロアスタッフが苦笑した。軽いジャブを繰り出す度に、随分と齢をとったものだと思う。
最初にこのレストランに連れてこられたときはまだ20代で、少し緊張気味にメニューを開いた。ホテルオークラレストラン ニホンバシは昭和40年、銀髪がまだ10歳の頃に開業した。証券会館の7階にあり、これまで多くの経済人が利用した老舗レストランだ。
久し振りに行ったら、店内は随分と変わっていた。個室に近い空間が増えたおかげで、以前より高級感がある。近くに接待ができるような店が少ないため、顔見知りと鉢合わせになるのが嫌だった。その懸念も解消された。
メニューを開いても緊張しなかったが、ご馳走になる身で料理を選ぶのは難しい。招待してくれた大先輩はさすがに手馴れたもので、自分から何を食べるか申告してくれる。メインの内容を選べるブリフィックスコースと確認して、同じコースを選んだ。
クラムチャウダー

20代前半に仕えた上司を前にすると、上下関係がなくなってしまった今も緊張感がある。大先輩が丁寧な言葉遣いをしてくれると、こちらも身を正してしまう。神とも恐れていた頃、大先輩はまだ30歳代半ばだった。自分が50歳を超えても、その思いはなかなか消えない。多分一生変わらないだろう。
牡蠣フライ、魚介のグラタン

今日はちょっとかしこまった食事になってしまったが、ホテルオークラレストラン ニホンバシでは一品料理で昼食を済ませることが多かった。別の先輩、食通のM氏のお奨めがカレーだった。
この日もカレーを食べようと思ったのだが、相手がコースだと一品料理では間がもたないので我慢した。コース料理がデザートを含めてイチ、ニイ、サンで出てくると分かっていれば、サラダとカレーを頼めばよかった。何事も経験である。
次回は久し振りにカレーにしようと誓った。
ホテルオークラレストラン ニホンバシ
東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館7F
03-3667-4828
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2008年03月12日
[李揚飯店](札幌)
札幌で坦々麺

札幌に来ると食べたい物がたくさんあって目移りする。蟹、雲丹などの魚介類も豊富だし、ジンギスカン、ラーメンなど手頃に食べられるものも多い。
同行者の好みを聞いたら「じゃがいも、とうもろこし」と言う。寿司屋をすぐに思い浮かべる銀髪だが、なるほどそんなものもあったのかと頷いた。
ネットでじゃがいも専門店を探し出したが、夕食までには時間が早いのでマッサージに行くことにした。ホテルマンに尋ねたら、サッポロファクトリー内の店の割引券をくれた。湯船に浸かりサウナで汗を流す。マッサージの予約時間までセットのおつまみを食べ、ビールを飲んだ。
お腹一杯にしなかったはずなのに、マッサージを終わっても食欲は蘇ってこなかった。わざわざ専門店にじゃがいもを食べに行く意気込みは萎えていた。サッポロファクトリー内のドイツ料理屋にもじゃがいも料理はあるが、言い出しっぺは興味を示さない。向かいにある中華料理屋に入った。
サラダ、春巻き

鍋の前菜として出てきた水菜のサラダと別注の春巻きを食べながら、スープが沸騰するのを待った。店員は春巻きは時間がかかると言ったがすぐにやってきた。他に客は殆どいないので、マニュアル通りの台詞を言っても意味がない。
二色鍋

札幌に来て昆布だしと坦々スープの二色鍋を食べるとは思わなかった。お腹が一杯といいながら、制止を振り切って凍った肉を一度に入れてしまうので、なかなか沸騰しないでイラついた。二つのスープが混ざり合い奇妙な鍋になってしまったが、坦々スープの辛さのお陰で失せていた食欲も蘇った。麺を入れて食べ終わった頃にはそこそこの満足感はあった。
羊肉が入っていたので北海道料理とこじつけて自らを慰めようとしたが、冷凍して風味のなくなった羊肉に二重丸をつけるのは困難だった。
やっぱり寿司屋の方が良かったなー
李揚飯店
札幌市中央区北2条4丁目 サッポロファクトリーレンガ館1F
011-281-1888
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2008年03月11日
[Sun-mi高松](銀座)
地獄の沙汰も金次第

仲間内8人で宴会をすることになった。どこに行くか皆に尋ねたら、若手から声が上がった。タイミングよく高松の女将から勧誘電話を受けたばかりとのことで、あっさり行き先が決まった。彼に送られてきていたDMを見て、肉が多めの5,000円のコース、すき焼コースとしゃぶしゃぶコースを4人前ずつ頼んだ。
店はビルの大半を使っており大きい。掘り炬燵式の部屋もあるようだが、我々は座敷の部屋に通された。経験者に倣ってビニールの煎餅座布団を数枚重ねて胡坐をかいた。すき焼鍋を囲む4席がすぐ埋まり、1人が泣く泣く銀髪グループに加わった。
しゃぶしゃぶ肉、すき焼肉

肉が出てきてシーンとなった。「健康には脂が少ない方がいいんだ!」と言う年長者の声にみんな気を取り直した。ビールで乾杯した後、日本酒を頼もうとしたら飲み放題のリストを渡された。このとき初めて飲み放題付きで5,000円のコースだと知った。これでは肉質に文句は言えない。
すき焼

中寄りに座った銀髪に、右側からすき焼がやってきた。堪りかねて嫌々銀髪の左に座った男が箸を持ってすき焼グループに逃げて行った。すき焼を選んだ5人は酒が弱い、肥満、高血圧のどれか、もしくは複数の傾向がある。
すき焼き鍋が噴きあがっても、誰も火を弱めようともせずに黙々と食べている。家事の手伝いをしないのもすき焼き好きの共通点のようだ。
高級肉(しゃぶしゃぶ、すき焼)

年長者が言ったように、脂が少ないコースの肉は食べやすかった。試しに高級肉を2人前ずつ頼んだ。やはりこちらの方が美味い。銀髪もまだ若いと思った。
「やっぱり、違うね」と仲居さんに言ったら、「上のコースだとお肉だけでなく、ポン酢や胡麻ダレも違います」とのたまう。
値段によってつけダレまで品質に差があるとは知らなかった。安いコースを頼んだ我々が悪いのは重々承知しているが、そこまで差別(区別?)しないでいいじゃないかと恨めしく思った。
もっとも、他の連中はあまり気にしていないようだ。すき焼チームは白いご飯をかっ込んで早々と食事を終わらせた。しゃぶしゃぶチームは酒を飲みながらなので、多少時間が長くなる。
最後のうどんが美味しい。デザート付きの5,000円コースを堪能した。
Sun-mi高松
東京都中央区銀座1-5-15
03-3567-8168
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2008年03月10日
[高山亭](長野)