何であれ別れは辛い
ブラックタイガーは海老ではない。銀髪の愛車(ロードバイク)である。→ 「自転車の独り言」
今日はグルメの話ではないのであしからず。
ブラックタイガーを買ったきっかけは妻の一言だった。風呂からあがって来たら「おとうさん、太ももが干からびてきたね」と真面目な顔をして言う。冗談っぽく言うのなら聞き流すところだが、夏の朝植木に水をやる半ズボン姿のお爺さんのしなびた足と膨らんだ腹が目に浮かんだ。
まるでシナリオライターがいるように、物語は流れるように進んでいった。30年以上の空白期間を埋めるべく中学時代の友人たちとの交流が頻繁になり、同級生の一人がロードバイクを奨めてくれた。飛びついてしまったものの、続ける自信は乏しく比較的安い自転車を買った。
太ももだけでなく腹回りにも効果はてきめんだった。草木や水の匂いを感じ、陽を浴び風を切って走るのは楽しい。すぐに上級車を欲しくなり長く逡巡した。決断したのはブラックタイガーに相応しい乗り手が現れたからだ。後継車はマドンに決まった。
ブラックタイガーと別れが決まった週末、多摩川サイクリングロードを走った。名残を惜しんでゆっくり走ったつもりだったが、砂地でスリップして派手に転んだ。足をペダルから外すことも手をつくこともできなかったのは初めてである。腕、くるぶしは大きく傷つき、左腰にあざが出来た。ブラックタイガーが怒ったのかもしれない。嫉妬したのかもしれない。遂にハワイで開かれるセンチュリーライドにも連れて行ってやれなかった。
ラストランの前に思いをこめて丁寧に拭いてあげた。今度は素直に走ってくれた。次の乗り手はスキー全国大会で2位になった少年である。未来のオリンピック選手になるかもしれない少年の、夏の体力作りを助けることになる。ブラックタイガーも気に入ってくれるに違いない。
新しい自転車の名前はまだない。
投稿者 銀髪 : 2008年04月13日 08:02
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