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2008年07月31日
[吉野鮨本店](日本橋)
明治12年創業の大衆的な寿司屋さん

グルメ本等にも度々登場する日本橋高島屋近くの老舗寿司屋と聞けばかなり高級と思い勝ちだが、意外と大衆的な雰囲気の店だ。広いカウンターにはかしこまって座る一見さん居るし、気楽に食べている常連さんも居る。テーブル席には仕事を終えたサラリーマンのグループが居酒屋気分で杯を交わしている。我々は居酒屋組に加わった。
お通し、刺身盛合わせ

お通しの塩辛や、雑然と盛られたように見える刺し盛りがいかにも吉野鮨らしい。茹でたタコ、アジ、サヨリ、鮪の赤身、季節外れのずわいがになど、高級なネタが殆どないのも気取らない店の姿勢が出ている。
サザエ壷焼き、ゲソ焼き

不器用なはずのTさんが、サザエの肝まできれいに取り出したので呆気に取られた。もっとも、あらかじめ茹でて身を取り出し、再び殻に戻して焼いたものと自分が食べてみて分かった。老舗らしい一仕事が真骨頂と言える。
貝の刺し盛り

今度はあわび、赤貝などが乗ってきた。大衆的な店といっても、高級ネタを頼んだらそれなりの覚悟はしなければならない。
鮨盛合せ

喧嘩しないように一人一貫ずつ握ってもらった。イカ、ミルガイはTさんが、ウニはみんなが何となく。ヅケ、コハダ、穴子は銀髪が頼んだ。
第一弾が来たらシャッターを押す前にTさんの箸がイカを捉えた。酔っ払ってしまい銀髪に対する協力姿勢は既になくなっている。

120年の伝統の技はコハダや穴子に発揮されると選んだけれど、コハダが一個余ってしまった。生活習慣病にもっとも近い人が、青魚を嫌う。味よりも青い肌の見た目が気に入らないようだ。みんなより1個分食べ損なった分を、場所を替えて1人でスパゲッティとサンドイッチを食べて補った。バイタリティーのある人である。
100年以上前の料理が飽食の時代のそれより上とは必ずしも言えない。もちろん吉野鮨も時代の変化に合わせて進化しているはずだ。老舗料理屋に行く度に受ける感動と戸惑い。良くも悪くも吉野鮨は疑いなく老舗である。
吉野鮨本店
東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001
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2008年07月30日
[梅の花 横浜スカイビル店](横浜)
絶景の28階、湯葉と豆腐の店

7月は「禅家」「月の雫」と滅多に行かない豆腐料理屋に2回も行った。不思議なものでお客様が招待してくれた店も湯葉と豆腐の店だった。これで3回目。暑さのせいでみんな食が細くなっているのかもしれない。
梅の花は株式上場もしている大手で、湯葉と豆腐の店を全国展開したパイオニア的な存在だ。我が家の女性3人にせがまれて青山ベルコモンズにあった梅の花に行ったのが10年以上前。今回はそれ以来である。
豆腐のべっ甲あん掛け、名物とうふしゅうまい、アオリイカの細造り

テーブルの上には季節(7~8月)のお奨め懐石「涼」の献立が載っている。ランドマークタワーが見渡せる絶景、畳の美しい部屋、献立表、などなど。値段の割には高級感がある。給仕してくれる若い子がアルバイト風でぎこちない動きなのがご愛嬌だ。
冷やし変わり豆腐

ドーンと出て来た変わり豆腐。自ら柚子の皮をすりおろして香りをつける。悪くない。
中八寸、鱸の若狭焼き

中八寸の皿には穴子湯葉巻き寿司・海老旨煮・蛸小倉煮・季節のお浸し・夏鴨ロースが乗る。いかにも懐石風で楽しい。もっとも懐石料理という割には冷やし変わり豆腐から下の写真のかき揚げまで一気に出てきてテーブルを埋め尽くしてしまった。
湯葉と丸茄子の揚げ出し、紅芝海老のかき揚げ、鱧(はも)茶漬け

一転して茶漬けが出て来るのが遅くて少しイラついたが、支配人が挨拶に来て上手く間を取る。さすがに手馴れたものだ。
香の物、小豆入り葛餅、かぼすアイス

デザートを食べ終わった頃に、再び襖が開いた。今度は料理人が挨拶に来たのかと感心したら、「そろそろお時間です」とお開きの催促だった。個室は2時間制となっているようで次の客を迎える準備をするらしい。
料亭風、懐石風と風をつけたくなる店だが、お手頃価格でちょっと高級感を楽しめるのがいいところだろう。
梅の花 横浜スカイビル店
神奈川県横浜市西区高島2-19-12 スカイビル29F
045-450-1010
http://www.umenohana.co.jp
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2008年07月29日
[レストランキハチ 銀座本店](銀座)
気楽に楽しめるあの有名な喜八氏のお店

今でも銀ブラという言葉は使われているのだろうか。そもそも銀髪ですら使ったことはない。銀ブラとは銀座をブラブラ歩くことで50年以上前に使われ始めたそうだ。今、銀髪がしていることは晩飯の場所探しだけれど、これも銀ブラの一種かもしれない。
無数の飲食店がひしめく銀座でもどこに入るか決めるのは困難を極める。ラーメン屋という訳にはいかない。立ち飲みや屋はちょっと疲れる。焼肉は食べたくない。何でもいいと言いながら、結局のところ何でも良くはない。ようやくピンと来た店を見つけたら予約で一杯。再び銀ブラ。ガラス窓から中を覗いたら、空席がたくさんある店を見つけた。妥協することにしたが、それが有名なキハチとは知らなかった。
2階席も空いていると言われて案内してもらったが、立派過ぎるので怖気づいた。ぶらついて偶然入った店では気楽にやれそうな1階席がお似合いだ。行ったときはスペイン料理特集をしていた。ファミリーレストラン風の写真のメニューが料理を選びやすくしてくれた。

茄子鮪からすみ風味、ルッコラとトマトのサラダ、干し鱈のブニュエロ

干し鱈を入れたコロッケはポルトガル料理屋マヌエルで何度も食べた。マヌエルのものより干し鱈の存在感が薄い。
初夏野菜の網焼き、真鯛ピーマンマリネ、マッシュルーム生ハム

薄焼きせんべいコカ、イカ葉山葵のトマトスパ

多国籍料理と謳うに相応しい創作料理の数々。一皿の量が少ないのでカップルでも色んな料理が楽しめる。美味しくて感激するほどではないが、キハチの名前に傷がつくほど酷くもない。
相方がキッチンカウンターの向こうにオーナーの熊谷喜八氏が居ると喜ぶ。テレビでも見たことがないので、当人かどうか銀髪は分からない。全部で57店舗を擁し、テレビにもよく登場する有名人を見ることができて、有難がるべきか悩んだが止めにした。目の保養になるとも思えない。
気楽に飲み食い出来る店を銀座に作ってくれた事にはちょっと感謝した。
レストランキハチ 銀座本店
東京都中央区銀座2-2-6
03-3567-6284
http://www.kihachi.co.jp
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2008年07月28日
[小肥羊](新宿)
本場中国で700店以上展開する火鍋専門店

中国人の友人から「今度美味しい火鍋の店にご招待しますよ」と言われて数ヶ月経った。日中を忙しく駆け回っている彼に、「あの約束はどうなったの?」とは口が裂けても言えない。ずっと待つつもりでいたが、以前入ろうと思った店がその店だと気が付いた。もう止まらない。

辛いスープと普通の鶏ベースの白濁したスープのコンビネーションは他の店と同じ。但し唐辛子が表面を覆ってスープが見えないような大辛を選べるのが面白い。飲んでみると意外と辛くなくて拍子抜けした。
1999年に中国内蒙古で設立された小肥羊は今では700店舗以上展開する中国第2位の外食チェーン店になったという。昔、中国の料理店のイメージは小さく汚いものだったが、経済発展著しい今の中国らしく小肥羊も立派な造りの店だ。加えてサービスも実に中国らしい。食べ方の説明も料理の説明もない。客に笑顔を見せないで、料理を置くときの素っ気無さも見事に輸入されている。
最高級のラム肉を頼んだ。芸術的なまでに薄く切られている。しばらく鍋に泳がすと、どこに行ったか分からなくなる。練り物類は凍ったまま出て来るので、煮えたぎったスープを冷ますのには好都合だった。

箸休めに串焼きを食べた。店員に意見を求めたが要領を得ないので自分で判断した。ピリッとしてなかなかのものだった。これも冷凍なのかな?

大したことはないと思っていた辛いスープは食事の終り頃には凄く辛くなった。白湯スープと調節して何杯も飲んだ。あれこれ追加の具を頼むより健康に良く、値段も高くならない。せっかくの薬膳スープだ。具の旨みの染み出しでさらに美味くなったものを残すのはもったいない。

火鍋の店は多いが、それぞれ特徴があって面白い。どれがいいかは各人の好み。暑い夏を忌み嫌うよりも、熱い鍋で体脂肪を燃焼させよう。痔を患っている人はちょっと注意!
小肥羊
東京都新宿区歌舞伎町2-26-3 アミモトビル2F
03-3208-7727
http://www.hinabe.net/
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2008年07月27日
蓬莱泉
愛知県奥三河の銘酒
日本橋の寿司屋「あきば」の主人は魚介類には凄まじいまでのこだわりを持った職人だと思う。それに比べて酒には大きな関心は寄せていないように見える。そのくせ、東京ではあまり見かけない蓬莱泉の純米大吟醸酒を置いている。常連さんか出入りの酒屋の助言かもしれないが、銀髪にとっては非常に喜ばしいことだ。
愛知県豊橋市で社会人として第一歩を踏み出したために、蓬莱泉は馴染みの酒である。約6年の豊橋勤務の間に伴侶を得て、豊橋は若き日の通過点以上の地になった。しかし、蓬莱泉は忘却の彼方に消え、長い間出会うこともなかった。
4年ほど前の名古屋で、客がメニューに蓬莱泉「空」を見つけて喜んだ。懐かしさもあり銀髪も即座に飛びついた。感激したのは言うまでもないが、味を思い出したわけではない。昔は純米大吟醸酒などという美味い酒は存在しなかった。

「空」は名古屋の人でも容易に手に入らない酒だった。今でも人気があって手に入れ辛いのは確かだが、昔ほどではなくなったようだ。「空」の成功により、蓬莱泉を造る関谷酒造は他の酒蔵を買収するなどして大きくなった。機械化による合理化、大量生産体制も確立してきたようだ。「空」だけでなく柔らかく清楚な味わいの純米大吟醸「美」など品揃えも豊富になってきた。
蓬莱泉の名前は奥三河の名刹「鳳来寺」から取ったものと思っていたが字が違う。「鳳来」を意図的に使わなかったのか、或いは使えなかったのか分からない。鳳来寺(鳳来寺山)は703年に開山、徳川家光が建てた東照宮があり、重要文化財も多い。何度も足を運んだので蓬莱泉よりは思い出深い場所だ。
飲むほどに酔うほどに懐かしい思い出が広がってくる。故郷がある人は思い出の扉をたくさん持っているだろう。酒飲みであれば地酒も一つの鍵になるに違いない。
夏休みシーズンである。日頃の忙しさから解放されたときに、しまっておいた鍵を取り出すのも楽しいものである。
関谷酒造
http://www.houraisen.co.jp
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2008年07月26日
[あきば]④(八重洲)
あきばで今日も魚のお勉強

昔の記事にコメントを入れてくれたとどまささんに敬意を表してあきばに行くことにした。コメントの中の「シンコ」に引き付けられたのは言うまでもない。
他の社員の夏休みで留守番役になった数人を引き連れてあきばの暖簾をくぐった。主人と奥さんがにこやかに迎えてくれる。カウンターには「予約」の札がいくつも置いてあり、繁昌しているようで嬉しくなる。
最初にあきばに来たのは約2年前。そのときから比べると銀髪の知識も豊富になった。産地を言われたら漢字や地図が頭に浮かぶ。鹿児島県出水のアジ、明石の焼きアナゴ、小柴のシャコなどなど。大サザエの西伊豆安良里(あらり)は本日得た新しい知識。


寿司屋には大きく分けて2種類ある。伝統的な江戸前の仕事からあまりはみださず、ネタの仕込みに時間をかけ、酒の肴もあくまで素材重視の店。伝統にこだわらず、創作料理を得意にする店。あきばは前者に属するようだ。

最高の素材を探すことのこだわるあきばのような店の場合は夏場の仕入れには苦労しているようだ。うには当然北海道と思ったら徳島産。徳島出張でうにを食べていなければ怪訝に思ったところだ。若布が美味しい徳島はうにも美味しい。


大トロはインドまぐろ。国産物しか使わないと思っていたが、さすがに今の時期は冷凍物の方が美味しいらしい。大間の本鮪の信者には気の毒だが、回遊魚のまぐろは今は他の海を泳いでいる。太って脂が乗るのは秋以降だ。
関西は比較的小さめの穴子の焼きを好む。煮穴子は大きめの江戸前がいい。あさりは東京湾の三番瀬が最高と言われるが、今日のあきばは三重県産を使っていた。身が太って美味い。
そして本日の目玉はシンコ。コハダの今年生まれたもので、キロ当たり数万円もする高級品。通は一貫に3匹以上使うような小さなシンコを好む。もうだいぶん大きくなってきた。やがてシンコと呼べなくなる。今一番美味しい愛知県三谷のものと胸を張る。確かに小さいのに脂が乗って美味だった。
日本は縦長の地形のお陰で、旬の地域が北上したり南下したりして、長時間旬を味わうことができる。それでもあきばの主人の苦労は大変のようだ。猛暑を超えるのが待ち遠しい。
あきば
東京都中央区八重洲1-4-10
(店の希望で電話番号は載せていません)
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2008年07月25日
[七福](渋谷)
渋谷で人気の広島お好み焼き

暑い!陽が落ちても暑い!こんな時は店を選ぶ気力も湧いて来ない。とにかくビールが飲みたいと思ったところにお好み焼きの看板を見つけた。神様はよく分かってらっしゃる。ビールにピッタリじゃないか。
小さな店だ。2人掛けの小さなテーブルに一度は座った。右隣の女性二人とはメニューで壁を作っているだけ。お好み焼きで口を膨らませては、水で腹に流し込んでいる左隣の若い男二人を見ると胸焼けがする。カウンターに移動した。やっぱりここがいい。
広島菜、とんぺい焼き

座るなりビールを頼んだ。そして広島菜と無造作に告げる。いかにも広島通に見えるじゃないか。続けて「広島出身なの?」と目の前の料理人(店主?)にたたみかける。「友達が…」語尾はよく聞こえなかった。大した問題ではない。ビールをグイッとやる方が大事だ。もう一度グイッ!。落ち着いたところでとんぺい焼きが出来るのを見詰める。鉄板とコテが奏でる金属音が楽しい。
餃子、牛すじ煮込み

自家製餃子の調理が最高に面白かった。多分冷凍と思われる餃子を鉄板に並べる。その上に被せられた蓋をちょっと開けて何と氷を放り込む。水が鉄板に広がらない工夫だろう。勢いよく蒸気が上がる。にんにくが効いた男性的な餃子だった。
自慢の牛すじも悪くない。脂身が多いがコラーゲンと言えば女性も喜ぶ。

店はほぼ満席になった。酒のつまみを頼んでいるのは銀髪たちぐらいで、殆どの人はすぐにお好み焼きを食べたいようだ。鉄板上にいくつもお好み焼きのベースができる。中に放り込む具を見ながら銀髪のところに来るお好み焼きを推測する。あれだと決めたものが他のテーブルに行くとがっかりする。海老もいかもチーズも入っていない、豚肉だけのシンプルなものが我々の頼んだものだ。最後に一枚だけ残った。間違いないと思っても目の前に置かれるとホッとする。焦らされるとさすがに美味しい。

残念ながら本場広島の人気店よりは味が落ちる。しかし料理人と助手のコンビネーションが素晴らしくて感激した。一生懸命働く姿は見ていて本当に楽しい。鉄板をきれいにする作業すら絵になる。カウンターに座って必見の技である。
楽しくて安くて良い夕食だった。外の熱気は少し収まり、夜風が気持ちよかった。
七福
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル2F
03-3463-0456
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2008年07月24日
[満寿家]③(神田)
ふぐの名店はうなぎも美味しい

野田岩本店のうなぎは美味しかった。ここで満足しては銀髪の名が廃るなんて偉そうなことは言えないが、どうしても食べたかった店の名が浮かんできた。ふぐの名店、神田の「満寿家」である。
元横綱北の富士さんに紹介されて訪れ、感動した満寿家は昼にはうなぎを出す。あれだけのふぐを食べさせてくれる店のうなぎである。不味い訳がない。
11時半に店に入った。客はまだまばら。カウンターの中に女将さんが居ないのでちょっと失望した。若い店員がメニューを見せてくれる。値段の差はうなぎの大きさ、量の差。腹具合と相談して2,600円の鰻重にした。日本橋から歩いてきて火照った体を冷ますためビールを頼んだら、茹でたてのそら豆が出て来た。昼も手抜きはない。

ビールを半分ほど飲んだところで調理場の方に立つ女将さんを見つけた。お新香を出す準備をしているらしい。目が合ったので手を振った。滅茶苦茶うれしい。少し間を置いてお新香と肝吸いを持ってきてくれた。女将さんの笑顔とこちらの笑顔がぶつかり合う。冗談が飛び交う。他の客も楽し気に見ている。

質問を繰り出して女将さんを引き止めようとするが、仕事を忘れていない。調理場と客の間を忙しく往復する。いつの間にか席は一杯に。我々を含む第一陣の客たちにうな重が行き渡った。

お重に重なり合うように蒲焼が乗っている。肉厚で何と美味しいこと。もちろん養殖物だが、仕入れる産地は決まってなく、そのときに一番いい物を選ぶと言う。「日本橋のどのうなぎ専門店よりも美味しいよ」と言ったら、女将は自信満々の笑顔を返す。「美味しくなかったらどうしようかと思っていたよ」と告げるとまた笑う。本当に楽しい。
夜の満寿家は、ふぐのない夏場は鱧が主役となる。はも焼き、はもしゃぶなど美味そうだ。カレイ類の最高級魚ホシガレイもあると言う。ふぐがなくても夜はやはり高級店だ。それに比べて昼のうなぎは日本橋の専門店よりも割安に感じた。女将の笑顔は夜と変わらず無料。
神田の満寿家に行くべし。
満寿家
東京都中央区神田鍛冶町3-3
03-3256-8897
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2008年07月23日
[野田岩](東麻布)
創業160余年、一度は食べたい老舗のうなぎ

日本橋高島屋の特別食堂で野田岩のうなぎを何度も食べた。その度に行きたいと思っていた東麻布の本店。ようやく願いが叶った。
蕎麦屋と同様に、うなぎは個室に似合わないと勝手に思っている。椅子席の予約は出来ないので晩飯にはちょっと早い5時半過ぎに飛び込んだ。首尾よく1階のテーブル席を確保。飛騨高山から移築した店の模型の全景を横に見上げる席である。歴史ある店に相応しく着物を長年着こなしている女性たちが忙しく働いている。思ったとおりいい雰囲気だ。

最初は当然ビール。それからもちろん日本酒に移る。おつまみは3種盛り。枝豆、うなぎのそぼろ、平目の昆布締め。うなぎのそぼろは初めて食べた。「何の魚ですか?」と、見れば分かる、食べたら間違いないのに連れが店員を困らせる。調理場に聞きに行って「平目です」と答える。うなぎの箸置きが可愛いので即答できなくても許してあげよう。
志ら焼

何と言っても野田岩の名物は天然うなぎを使った志ら焼(白焼き)。4月~12月までしか食べることが出来ない。「どこで獲れたうなぎですか?」と聞いたら、「この前は霞ヶ浦だと言ってましたけど、聞いてきましょうか?」と曖昧だ。銅製の器の下段に入れられたお湯のお陰で、食べ終わるまで温かい志ら焼は期待通りに美味しかった。産地がどこだろうが関係ない。
蒲焼、鰻重

鰻重も天然物を頼んでいたが、養殖物と比べたくなった。突然のオーダー変更に店の女性が混乱する。こちらも何をどのように頼んでいいのか分からないので話がかみ合わない。すると一番風格のある女性が割って入ってきて、あっという間に話をまとめる。
「どこの養殖物ですか?」の問いに「今日は焼津産です」と間髪いれずに答える。女将かもしれない。店の格とサービスがようやく一致した。
蒲焼は志ら焼と同じ銅製の器で出て来た。老舗の名店が選んだうなぎである。養殖物だって悪いはずがないとの予想は嬉しいことに的中した。鰻重の天然うなぎがどちらかというとあっさり目に感じるが、気のせいかもしれない。それにしてもご飯と一緒に食べると唸ってしまう。確かに野田岩本店は美味いと思った。日本橋高島屋店とは大きな差がある。
入り口のところに10人近くが待っていたので愚図愚図しないで勘定を払って出ることにした。二人で四匹のうなぎを食べたが、お腹は重く感じなかった。もちろんお財布はかなり軽くなった。
五代目 野田岩
東京都港区東麻布1-5-4
03-3583-7852
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2008年07月22日
[河太郎](福岡)
日本で最初のいけす料理店

河太郎は博多のみならず日本で最初の生簀料理店だという。生簀の主役は佐賀県呼子で取れたいかで、この活造りの元祖も河太郎である。早い時間だったこともあり、生簀のすぐ横の一等席が用意された。
河太郎は2度目だが、銀髪グルメ紀行で紹介するのは初めて。稚加栄や寺岡などに浮気していたが、戻ってみると、生簀は記憶していたより小さい。ソープランド街のすぐそばということも今回初めて気がついた。
いかの活造り

原油価格高騰でイカ釣り漁船などの休漁が話題になっている。その影響か、小さないかが三杯盛られてきた。透き通った身の下で尚も息づく様は迫力に欠けるが、大きないかよりも柔らかくて味も悪くない。
おこぜ

冬が旬のふぐがお休みの間の主役をはるのがおこぜ。白身の上品な味はふぐより上と言う人も居る。

刺身で食べた残りを調理してもらう。おこぜを揚げてもらうので、いかはいつものような天婦羅ではなく塩焼きにしてもらった。

おこぜの卵と肝は煮付けにしてくれた。「このおこぜは大きいので骨を食べるのは大変ですよ」と味噌汁を奨められたが譲らなかった。揚げるのに時間がかかってしまったが、骨までしっかり食べ尽くした。
食糧危機は深刻な問題になっている。偉そうなことを言える立場ではないが、我々ができることの一つは食べ残しをしないことだろう。野菜や果物の皮は剥かないで食べる。動物も魚介類もとことん食べ尽くす。内臓はもちろん皮や骨、血までも利用する。ソーセージなどいい例だ。意外と美味しいものを発明できるかもしれない。
河太郎では殆どゴミにしなかった。銀髪は偉い!と自画自賛。
河太郎
福岡県福岡市博多区中洲1-6-6
092-271-2133
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2008年07月21日
マンゴー
マンゴーをもらった
夏の果物の王様はスイカだった。井戸水の世代も冷蔵庫が小さかった頃の世代もみんなスイカが大好きだった。父も何度かスイカを抱えて帰ってきた。腐っていたこともあるし、膝にあたって玄関で粉々になったこともあった。スイカ割りは砂浜でのメインイベントだった。夏の思い出にスイカは欠かせない。それなのに我が家の子供たちはスイカを食べない。まったく怪しからん。
家族はマンゴーがいいと言う。20年以上も前に♪君たちキウイ、パパイア、マンゴーだね♪という訳の分からない歌がヒットしたが、それでもスイカの牙城は崩れなかった。宮崎産完熟マンゴー「太陽のタマゴ」がマンゴーブームの火付け役になったのだろうか。東国原知事の貢献大だろう。
沖縄産完熟マンゴー

今年は2人からマンゴーが送られてきた。千疋屋のメキシコ産高級マンゴーはまだ熟し切らないうちに食べてしまったので悔しがっていた。
沖縄産マンゴーは完熟マンゴーだったので食べ時を誤ることはなかった。感謝感謝である。宮崎産と同じように美味しいが、宮崎産ほど高くない。
タイミングよく宮古島のマンゴーを食べて絶賛している小泉元総理大臣がテレビに映った。宮崎産マンゴーを褒めるのも忘れない。今日も朝早くから東国原知事がテレビで頑張っている。
スイカは種の飛ばしっこで遊ぶことが出来た。食べ残した皮は漬物にもなった。籠の中の虫も喜んだ。1個で家族みんなが満足できた。何にしたってマンゴーよりスイカの方が優れている。だけど世論の空気を読むのが上手な元総理はマンゴーを宣伝する。
果物の中では葡萄ぐらいしか食べない銀髪にとってはどうでもいい話だ。いや、食べると言うより、呑むと言う方が正確かもしれないけれど。
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2008年07月20日
[双葉](上野)
上野とんかつ御三家をようやく制覇

制覇と言うには大袈裟すぎるが、蓬莱屋に行ったのが2005年12月、ぽん多本家が昨年の8月だから遂に達成した気持ちになるのも理解してもらえるだろう。何故そんなに時間がかかったかと問われたら、怠慢以外の言葉は浮かばないけれど…
蓬莱屋は大正元年、ぽん多本家は明治38年に創業、それに比べて双葉は昭和43年と比較的新しい。もっとも外観も店内も双葉が一番年季の入っているように見える。おそらく創業時のままなのは双葉だけだろう。周辺を含めて地方都市の定食屋の雰囲気が漂う。
並ぶのを覚悟して来たが、意外とあっさり入れた。メニューを見ていると隣席から「ヒレカツはないんですか?」と尋ねる声が聞こえた。メニューは至ってシンプル。ロースカツ定食一種類しかない。隣席の言葉に救われた。いかにも常連風に軽く一言でオーダーした。

一人で来た客には新聞を渡している。その気遣いはぽん多と変わらないが、ぽん多ほど料理が来るまで時間はかからなかった。分厚い肉に薄い衣。御三家に共通する昔ながらのトンカツである。最近は生パン粉を使った厚い衣の店が人気だが、個人的には薄い衣の方が好きだ。この方が肉の味が分かっていい。衣の役目は豚肉の旨みを引き立たせることにある。
脂身を削ぎ落としているので、ヒレと言われても納得してしまうかもしれない。ヒレカツを欲した隣席の客もきっと満足したに違いない。
テーブルに立つプラスチックケースに入ったメニューを再度見て部下の目の色が変わった。最初に見たときでも高いと思ったらしいが、「結構いい値段だよな」と銀髪に言われて棒を一つ見逃していたことにやっと気が付いた。最終的にはトンカツを食べて二九四〇円に納得しただろう。

店を出たら外に「只今満席です」の札が立っていた。確かに空きテーブルはなかったが、4人席に2人、2人席に1人が殆どで詰め込むことが出来ない訳ではない。店内で待たせることはもちろん、外に列を作らせることも善しとしないようだ。
わざわざ来た客を拒絶するような姿勢を批判する人が居るかもしれないが、高いトンカツ代には居心地も含まれると考えているに違いない。待たせる苦痛を客に与えないのも受け入れる側の分別だろう。
上野3傑はそれぞれ特徴があって面白い。選定者に拍手を送りたい。
双葉
東京都台東区上野2-8-11
03-3831-6483
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2008年07月19日
スターバックス値上げ
あちらもこちらも値上げ、値上げ、値上げ
3時過ぎに、いつものように280円を握り締めてスターバックスに行った。いつものように「ホットコーヒー、小さいの、持ち帰りで」と伝える。暑くなったのでアイスコーヒーを頼もうかと思うが、予期せぬオーダーで困らせるのを今日も躊躇した。
ところがいつもの女性が「290円です」と予期せぬ言葉を発する。慌ててレジの表示を確かめる。聞き間違いではないようだ。「すいません、値上げしました」と言われ、踵を返した。
暑いのに店外に女性が二人座っていた。こちらを向いていた女性がどんなだったか忘れたが、背中を向けていた女性に道行く男たちの目が一瞬止まる理由は分かった。
会社に戻って手の中の小銭に10円を加えた。10円のために貴重な時間を浪費させられたのを必死に堪えた。たった10円でも商品が手に入らない経験は長い間した記憶がない。個人商店であれば、「今回はまけとくよ!」とか「次回持って来て!」とかで済まされるに違いない。チェーン店のマニュアルで動くアルバイトでは1円を自由にする裁量も与えられていないだろう。

やっとコーヒーをゲットした。小銭を握り締めてお使いに行った子供のころを思い出した。店を出るときに店外に座る女性と再び目が合って得をした気分になった。店が意図しない10円分のサービスだった。
コーヒーを飲みながらスターバックスのホームページを開いた。7月16日という中途半端な日に値上げした意味が分からない。日本法人の社長はマリア・メルセデス・エム・コラーレスさん。外国人ならではの発想かもしれない。
スターバックス日本法人の前年度の純利益は前回の値上げが寄与して41.5%も増えている。値上げをしなくても充分やっていけそうである。今回の値上げは米スターバックスが600店の閉鎖を決めたことと関係があるのかもしれない。
止むを得ない値上げと、便乗値上げの区別は我々では分からない。ちょっとムカつくのでスターバックスに行くのを少し減らそうと思った。
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2008年07月18日
[天丹](銀座)
中国二色鍋

普通のスープと辛いスープ、2つに分かれた鍋は東銀座の「台湾海鮮」と日本橋の「天香回味」で食べたことがある。いずれも台湾に本店がある「天香回味鍋城本店」の系列。今回の天丹は四川料理という。勝手に本家争いを煽ることにした。
集まったのは大津の「松喜屋」で知り合った同業5人。「東京に戻ったら食事をしましょう」とどちらからともなく出た言葉を社交辞令にしないのが銀髪の流儀。その場で日を決め、幹事役を買って出た。
豆苗炒め、鶏の唐辛子炒め

40代前半の3人のお腹を見て鍋に決めた。高級店で大食いされたら財布が泣く。ダイエットに効果があるカプサイシンを含む唐辛子をたくさん使った料理を選ぶ気遣いが我ながら憎い。
2色鍋

中国人の店員が2つのスープを椀に混ぜ合わせ、すりおろしたニンニクなどを入れてくれた。これでタレの出来上がり。鍋の薬膳効果などは言ってくれないし、食べ方の説明も詳しく説明してくれることはない。

色気がない我々のテーブルに遠慮や気遣いは無用。きれいに並べられた2種類の肉(黒豚と羊)、練り物、野菜をぶち込む。タレが辛くて肉の味の違いなどまったく分からない。猪肉も追加したところで、白湯スープだけで食べてみた。美味しいスープと初めて知った
つけダレは2種類作った方がいい。

烏骨鶏、ラーメン

面白い具材を追加してみんなの興味を引こうとするが、他の連中は紹興酒ばかり追加するのに熱心だ。次に行く予定の店から何度も電話が入るので、紹興酒の更なる追加を制止した。お開きが近いと知って、喋りと笑い、それに酒のために開けられていた大口に、残りの食べ物が放り込まれていく。いやいや頼もしいばかりだ。
四川省重慶は盆地にあるため夏は火城と呼ばれる。そこで暑気払いのための辛い鍋を火鍋と呼んだそうだ。台湾海鮮はモンゴルが起源という。一方で天丹は四川が本場という。どちらにしても重要な役割をしているのが中が2つに分かれ鍋。銀髪も通信販売で手に入れた。醤油味と味噌味の鍋、寄せ鍋とキムチ鍋、などなど、大活躍している。
みんなゴジラ並みに元気になった。しかし、2軒目で火を吹くが如くはしゃぐ連中には手を焼いた。貸切り状態にしてくれたお店に感謝、感謝だった。
四川火鍋 天丹 銀座本店
東京都中央区銀座7-108 コリドー街2階
03-3569-7033
http://www.ten-tan.com
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2008年07月17日
[すし秀](四谷三丁目)
常連さんで賑わう町の寿司屋さん

新宿から四谷方向に新宿通りを走り、四谷三丁目の交差点を越えて三菱東京UFJ銀行のある交差点を左折、1本目の信号の交差点(三栄町)を右折すると道の左側に見える。
店に入ると常連のKさんが連れと2人で我々を待っていた。「分かりにくかったでしょう?」と声をかけられたが、迷いようがない。もっとも荒木町のように料理屋が密集している地域ではないので、「こんなところに?」と思う人は多いかもしれない。
食事の前に主人の村岡さんと名刺交換した。名前の漢字が全く一緒なのを足掛かり一気に仲良くなろうとしたがどうもぎこちない。Kさんが銀髪グルメ紀行のことを事前に話していたせいか、少し緊張しているのかもしれない。

最初に出て来た豆粒のようなものがシャコの爪の身と聞いて驚いた。築地でもなかなか入荷しない貴重なもの。塩水ウニともども美味しいスタートとなった。

鰯、あわび、塩辛と酒の肴に向く料理が次々に出される。普段ならあれやこれや質問して、ちょっと知ったかぶりをして料理人を引き込むところだが、Kさんたちも無視できない。銀髪だけが目立つのも気が引けた。

座った時からカウンターにデンと鎮座している大きなサザエが気になっていた。日本橋の「あきば」寿司あきばでいつも食べるサザエと同じぐらいの大きさなので千葉産かと尋ねたら、こちらは伊豆産だという。もちろん壷焼きにしてもらって仲良く4人で分け合った。優しいKさんがスープもたっぷり注いでくれた。

手際よく出されるものを食べていて、ふと刺身を食べていないのに気が付いた。つまみに少し切ってもらうつもりで頼んだら4人分まとめて出てきた。Kさんをはじめ、みんなが譲ってくれるのでたくさん食べてしまった。

最後にコハダ、アナゴ、トロを握ってもらった。もう少し食べたかったが皆さんの協力でお腹が一杯。デザートのさくらんぼは2粒だけ味見した。シャブリを飲んでカウンターのこちら側で盛り上がった。
村岡さんはカウンターを埋めた常連さんたちの相手をしている。顔なじみに囲まれてリラックスしている様子。銀座あたりの店には見られない和やかな雰囲気である。表通りからは引っ込んだところに店を構え、宣伝もしない理由が分かる気がする。
料理が大切なのはもちろんだが、それ以上に料理人が好きで客が集まって来る。友達のように、兄弟のように和気藹々である。大都会・東京にもそんな店がある。
すし秀
東京都新宿区三栄町19
03-3351-0051
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2008年07月16日
[月の雫](新宿)
ハイテク居酒屋

先週、お腹を壊した時に豆腐屋を検索した。出てきたのは「禅家」と月の雫。第一候補にした禅家は予想通りいい店だった。これに味をしめてお腹は治ったが月の雫にも行くことにした。
銀座や渋谷、あちこちにある大きな看板に見覚えがある。それがちょっと不安ではあったが…
ビルに入るとお屋敷みたいな立派な造り。安っぽいチェーン店との先入観は吹き飛んだ。膳家と同じように個室に案内されたが、すぐに違いに気付いた。隣室とは簾で仕切られているだけで、個室とは言い難い。もっと大きな違いは液晶のタッチパネルがテーブルに置いてあることだった。
お通し、液晶メニュー

お通しが来て、飲み物をオーダーした。後は全てタッチパネルを触ってオーダーする。最初は戸惑ったが慣れてくると店員を呼ぶ必要はないし、料理はすぐにやってくるので快適ではある。
胡麻豆腐、熟成しずく豆腐、つくね豆腐、月の雫サラダ


出来立ての温かい豆腐を食べたかったが、「次は9時に出来上がります」と言われて諦めた。豆乳ドレッシングがかかったサラダは面白かった。
ハーブ鶏もも串焼き、麦富士豚バラ肉の大串

今日はお腹の調子もいいし、禅家と比較するのも飽きたので肉を食べることにした。豆腐料理ばかり食べていると、素晴らしく美味しく感じる。ベジタリアンの人たちは肉を食べたいと思うことはないのだろうか。
月の雫は東方見聞録や黄金の蔵など合わせて100店以上を展開する三光マーケティングフーズの系列店。月の雫はタッチパネルを使うことで迅速かつ正確な注文を可能にし、同時にコストダウンも出来ているようだ。しかし、すぐに料理は出て来るが言わなければ皿は片付けられないし、もちろん笑顔も軽口もない。
料理以上に店とのコミュニケーションを大事にする銀髪にしてはちょっと不満が残る店だった。彼女を口説くのが目的の人にはうってつけかもしれない。店員がかっこいいと、嫉妬する人がいるらしい。そんな人は店員が不細工でも成功するとは限らないと思うけれど…
月の雫 新宿靖国通り店
東京都新宿区新宿5-17-11 新宿白鳳ビル2F
03-5155-4920
http://www.sankofoods.com
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2008年07月15日
[銀座とよだ]②(銀座)
やっぱりとよだはいい

1年ぶりに「銀座とよだ」にやってきた。もっと早く来たかったけれど、ミシュランに選ばれたので控えていた。有名店から超有名店になってしまったので心配していたが、以前と変わらぬ自然体の雰囲気に安心した。
店の女性が「前回は15,000円のコースでしたね」と言うので、料理長の岡本さんだけでなく店の人たちも銀髪を覚えているようだ。今回はお祝いをしに同僚と3人でやってきたので2万円のコースをお願いした。

最初の品は煮鮑のぶつ切りにスッポンの煮こごりを乗せたもの。高級料亭などで使う浜名湖産養殖スッポンは夏場には出荷されないはず。まさか中国産ではと恐る恐る尋ねたら、熊本産の天然物とのこと。天然物は食べた記憶がない。地に沈むかもしれないと思った気持ちが天に舞い上がった。馬鹿だね。

箸休めは寿司のはずが蟹サラダ?と首を傾げたけれど、ちらし風の寿司だった。岡本さんは茶目っ気たっぷりだ。
はもの椀物、鮎の一夜干し

いつもアイデア満載の料理で飽きさせないが、既に完成の域に達して定番になっているのが上の2品。前回も食べたので銀髪は驚かないが、桃が入った鱧の椀にしろ、酒盗を塗って一夜干しした鮎といい、連れの2人は大喜び。夏になるとこの2品を楽しみに来る常連客も多いに違いない。
焼物、フォアグラ大根

「何だか当ててください」と出された焼物。いくつか答えて降参すると岡本さんはしてやったりの笑顔。先ほどのスッポンの身を固めて焼いた物だそうだ。
鱧ごはん、デザート

これも初めての鱧ごはん。いつもは食べないご飯やデザートまで銀髪に食べさせてしまうのだから、やはりとよだはいい。
カウンターはまさに一等席。鱧の骨切りを「テレビでしか見たことがない」とじっと見詰める部下の嬉しそうな顔。岡本さんの説明を真剣に聞いて、頷き、感心する。上司の説教や自慢話を聞かされずに済んで数百倍楽しいはずだ。
カウンターには恋人同士には見えないカップルが数組。男は女を口説くのに夢中なため、岡本さんを我々だけで独占出来て助かった。「おじさんたち、ありがとう!」
大好きなとよだで食べて、部下たちの嬉しそうな顔を見て、この日は少々舞い上がってしまった。何とお造りと鱧焼きの2品を撮り忘れたのだ。冷静沈着を装う銀髪にもたまにはこんな日があってもいい。
銀座 とよだ
東京都中央区銀座7-5-4 ラヴィアーレ銀座ビル2階
03-5568-5822
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2008年07月14日
[山忠](豊橋市、二川)
もうすぐ土用、うなぎ、うなぎ、うなぎ

今週末、7月19日から土用入りとなる。7月24日が土用の丑、街がうなぎの煙に覆われる前でも暑気払いにうなぎを食べたいものだ。
浜名湖に近い豊橋市。うなぎを売り物にする店も多い。
関東風、関西風

山忠では日本の中心・豊橋ならではの関東風と関西風の両方を味わえる。関東風は蒸してから焼くので身が柔らかい。関西風の腹開きでは身が串から落ちてしまうので、関東風は背開きにする。
見た感じ山忠はどちらも背開きにしているようで、関西風とは単に蒸さないで焼いただけのものらしい。
白焼き定食

銀髪が頼んだのはもちろん酒の肴にもなる白焼き。蒲焼はみんなから少しずつ貰って味見した。
肝焼き、生しらす

豊橋は峠を越えるとすぐに静岡県。しらす漁の盛んなところが目と鼻の先にある。思わず頼んでしまったが、定食にもちゃんとついていた。教えてくれればいいのに。
肝吸い、小鉢(生しらす)、漬物、デザートが付いて鰻重(松)が2,300円、白焼きが2,500円。浜名湖が目と鼻の先ならではのご機嫌な価格だった。東京だったら倍の値段の定食になってしまうだろう。
関西風、関東風のどちらがいいか、好みが分かれるだろう。酒の肴であれば焼き魚のような関西風が好きだ。ビールにも冷酒にも合う。ご飯に乗せるなら関東風がいい。箸でハラリと捌ける柔らかさなので、ご飯と絡まりあって口の中一杯に広がる。
平賀源内に踊らされなくても、夏はうなぎが美味い。
山忠
愛知県豊橋市中原町字新瓶焼7-2
0532-43-0665
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2008年07月13日
[松喜屋](滋賀県大津)
本場の近江牛を

毎年この時期に地元の人に案内されて大津の老舗料理屋に行くのが楽しみだ。今回は松喜屋。早速ホームページを開いてチェックした。
松喜屋は明治初期に近江牛を関東に紹介して、その名を広めたとのこと。牧場と肉屋、それに料理屋を経営する。期待はいやが上にも高まった。
付け出し

前菜、たたき、サラダ、じゃがいもグラタン

席に着くなり料理が運ばれてきた。ビールで乾杯し、次に日本酒を頼んだが、すぐに思い直した。鉄板焼きには赤ワインの方が合う。
肉

見事な霜降り肉が前面に、裏に赤身の肉が隠れる。さすがに近江牛の霜降りは美味い。ホームページによると、松喜屋の創業者は近江牛を船で横浜港まで運んだ。近江牛は東京で大評判になったが、牛を乗せたのが神戸港だったため神戸牛と呼ばれてしまったとのこと。
なるほど神戸牛は近江牛のことだったのかと思ったら、話はそれほど単純ではない。
神戸肉は1983年に発足した神戸肉流通推進協議会により以下のように定義された。①兵庫県で生まれた但馬牛の血統であること。②お産をしたことがない雌牛または去勢した雄牛であること。③兵庫県で肥育されること。④兵庫県の食肉センターに出荷されること。
つまり明治時代に勘違いで名付けられた神戸牛が、後年正式なブランド牛に生まれ変わったことになる(正式名称は神戸肉または神戸ビーフ)。アー、ややこしい。
鉄板焼き

肉と野菜が乗った皿の奥に隠れていた赤いもの。レバーのように見えたが正体は赤こんにゃく。近江八幡市の特産品で、派手好みの織田信長が赤く染めさせたとも伝えられるもの。滅多に食べないので、以前食べたことを忘れていた。
それにしても牛肉のブランドは難しい。岐阜産牛の中で最高級が飛騨牛と言われるように、ブランド産地の中でも細分化される。松阪では特産松阪牛、神戸では三田牛、佐賀牛では伊万里牛などなど。
ところが我が奥様は脂の多い霜降り肉は大嫌い。鮪の大トロも大嫌いだから黒鮪が禁漁になっても意に介さないだろう。ブランドに踊らされない賢い奥様と言いたいところだが、やっぱり服飾品はブランド物が欲しそう。
賢い消費者なんてどこにもいないのだ。
松喜屋
滋賀県大津市唐橋町14-17
077-534-1211
http://www.matsukiya.net
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2008年07月12日
村上牛のカレー
和牛って何?

飛騨牛偽装問題が世間を騒がせた。1991年の牛肉輸入自由化前後から地名を冠した牛肉が急増した。いわゆるブランド化の波に乗って、現在では約150種の銘柄があるという。
新潟県に行ったとき、お土産物屋で村上牛のカレーを買った。村上は鮭が有名だが、和牛も肥育していることを初めて知った。新潟で肥育された和牛のうち3等級以上を新潟和牛と呼び、その内4等級以上を村上牛という。飛騨牛と同様に肉質によってブランド地名をつけることを許される。偽装は怪しからん問題だが、事件化したことにより知名度は上がり、消費者は新しい知識を得ることが出来た。

和牛と表示できるものは4種類あり黒毛和種が全和牛の90%を占める。他は熊本県や高知県の褐毛和種、東北地方の日本短角種、山口県の無角和種の3種。純粋な和牛かと思っていたが、実際はどれも日本在来種とイギリスやアメリカ原産の牛とを交配させたもの。
日本古来の牛は室町時代頃に朝鮮半島から渡来した見島牛ぐらいで、国指定天然記念物になっている。見島は山口県萩沖50㌔に浮かぶ離島であるため、外来種との交雑を免れたのだろう。
見島牛はNHKで紹介されてちょっとしたブームになった。現在の生息数が100頭足らずで、近親相姦にならないように家系図まで作って保護に努めているが、雄だけ年間10頭前後が食用に回される。取り合いになるのは無理もない。
父親が見島牛で母親がホルスタインの見蘭牛なら食べられる確率は高まる。
日本酒は等級制度の廃止で大吟醸酒などが生まれて美味しくなった。牛肉も輸入自由化を契機にブランド牛が増えて美味しくなった。規制緩和は生産者に競争を促し品質が高くなるので消費者にとっては嬉しい限りだが、一方で価格格差が拡大して偽装事件に繋がった。輸入服飾ブランドなどのニセモノと同様に、どんなに取締りを強化しても偽装が根絶することはないだろう。
村上牛のカレーは美味しかった。どれほど美味しかったか問われると困ってしまうけれど。ブランド物を身に着けて偉そうにする人を嫌いな銀髪だが、「見島牛を食べたい!」と言えば立派なブランド崇拝者と言われるだろう。難しいものだ。
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2008年07月11日
[伊蔵](浜松町)
頑張れ!新興居酒屋グループ

伊蔵、阿蔵など都内に16店舗を擁する新興グループの浜松町店に連れて行かれた。以前勤めていた会社の後輩が関係している会社ということなので、店の発展に貢献できるように厳しい目で臨むことにした。
飲食店ビルの6階でエレベーターを降りた。カウンター席を横目に見ながら階段を上がり、テーブル席に収まった。料理人と話をしたいが、久し振りに会った後輩と積もる話もある。先輩面したかったが、注文は常連の後輩に任せた。
鮮魚金沢厳選盛り
