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2008年08月31日

[五代目野田岩日本橋高島屋店]③

天然鰻は6,000円の価値があるのかないのか


「予約を入れておきました」と部下に言われて耳を疑った。日本橋高島屋の特別食堂は基本的に予約を取れないはずだ。「野田岩の天然うなぎを2人前確保してもらっています」と言われて合点がいった。接待を利用して自分が食べたいものを決めたようだ。

彼は客と2人で行くつもりだったようだが、別の客が一人増え、銀髪も加えて4人になった。特別食堂の待機場所で待っていると「他の方もいかだでよろしいですか?」聞かれる。予約をしていたのはいかだのようだ。先日、東麻布の野田岩本店でいかだは食べなかったのでちょうどいい。

いかだは小さめの天然うなぎを数匹使う。器は違うが、本店と同様に下段にお湯を入れて冷めないようにしている。
「美味しいですか?」と客に尋ねたら、当然のことながら「美味しいですね」と言ってくれるが本心は分からない。

小振りのうなぎだけに脂の乗りが少ない。さっぱりしていいと言う人もいれば、うなぎらしくないとがっかりする人も居るだろう。
雰囲気は「本店」には遠く及ばない。酒を飲み、語り、笑い、時の流れを楽しんだ後に、待ちに待った真打の天然うなぎが現れる演出も重要である。デパートの大食堂では有り難味に欠ける。

料理の話題はすぐに終わり、仕事と趣味の話が大半を占めた。接待としては上々の会食ではあるが、野田岩の天然うなぎがどれほどの効果があったかどうか分からない。値段を告げた方が良かったかもしれない。天然うなぎを食べたことよりも、価格の方が土産話になるだろう。

数日後、他の人とうなぎ談義になった。彼は今まで食べた中で高島屋野田岩のいかだが最高だと言う。彼の気持ちは痛いほど分かった。何しろ彼は自腹で食べたのだから。6,000円も払ったら、最高でなければやってられない。

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2008年08月30日

和田金のお土産

お土産は佃煮


エレベーターを降りて、勘定場に向かう。本日の牛の識別番号を書いたボードが置いてあった。同じ牛の肉であっても部位によって肉質は変わる。店によっては部位や、サシの入り方などで値段を変えるが、和田金はほぼ均一料金。当たり外れがあるに違いない。

我々が食べたすき焼肉はきれいな霜降りではなかった。霜降り肉は他の部屋に行ったのか、或いは内臓肉などと同様に転売されたのかもしれない。もっとも、すき焼はしゃぶしゃぶと異なり、脂が鍋に残るので極端な霜降り肉は向かない。我々が食べたすき焼きに対する満足感は変わらない。

クレジットカードを差し出すと、「カードは使えません、現金でお願いします」と言われた。隣でも外国人が困惑した顔をしている。こんなこともあろうかと、銀髪の財布は太らせておいたので助かった。
食べた部屋で勘定をさせない魂胆は見え見えである。店の企みに気付きながらも、酔いと太った財布が理性を失わせた。自分だけ美味しい肉を食べた後ろめたさも手伝い、お土産を買うことにした。

東京まで生肉を持って行くわけにはいかないので、定番の佃煮しか選択肢はない。熟考の末、見栄えを重視して2,300円の箱入りを買った。料理の代金と合わせて支払いを済ませたら、財布は一気にやせ細り、見るからに貧弱になってしまった。

翌日、家に帰り「和田金の佃煮だよ」と自慢気に手渡したが誰も感動してくれない。そもそも和田金が何のことか分からないのだ。和田金の名声について説明したが、それでも嬉しそうな顔をしない。佃煮自体が我が家で人気がないことは分かっていた。和田金の名前で好き嫌いを治してあげようと思ったが無駄だった。

かくして、自分で買ってきたお土産を自分で消費することになった。霜降りでないことは明らかで、肉が崩れることなく原型をとどめている。箸で割ることができないので、噛み付いた。
「美味い!」さすが和田金の牛肉の佃煮である。滅茶苦茶美味しい。

悔しさではなく本当に美味かった。絶対そう思う。そう思わないとやってられない。わざわざ買ってきた自分がむなしくなってしまう。こんな美味しいものを食べないなんて、あーっ 切ない。

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2008年08月29日

[和田金](松阪)

念願の松阪肉すき焼の元祖


「和田金に行ったんだよ」と自慢したい気持ちをグッと抑えながら言っても、「ワーッ!いいなー」と羨ましがる人は居なかった。都内を走る電車に広告を出しているにもかかわらず、明治初期に創業した松阪を代表する老舗料理屋の名を知る人は意外と少ない。

それでも、和田金に来る人の過半は観光客のようだ。吊り広告も決して無駄ではない。道路拡張の影響で取り壊しを余儀なくされた和田金が、近代的なビルの大店に生まれ変わって20年以上になる。旅館を思わせる入り口で靴を脱ぎ、エレベーターに乗る。部屋に入ると一転、古民家の座敷を思わせる雰囲気になる。部屋の真ん中に炭火のテーブルがデンと構える。

さしみ、たたき、タン

次はいつ来れるか分からないので、いろんな部位、料理を食べ比べすることにした。赤身の分厚い刺身、まだ凍ったままのタンよりも、表面を炙ったたたきが一番美味しかった。
他の人たちにタンは溶けるのを待って食べることを奨めた。口の中でとろける美味しさに変わる。

ロースステーキ

和田金で一番高いメニューだけあって、とても美味しい肉だった。柔らかいが脂っこくない。

あみ焼、すき焼

3人なので、あみ焼とすき焼を1.5人前ずつ用意してもらった。あみ焼は醤油だれを塗って照り焼き風に食べる。しかし、何と言っても看板料理のすき焼が美味い。仲居さんのゆきさんが調理してくれるので楽チンだ。割り下を使わない関西風のすき焼きは、たくさんの砂糖をかけるのに驚くが、ご飯によく合う。酒飲み達も、盃を置いて食事に没頭した。

和田金は但馬牛の雌の仔牛を買い、自社の牧場で育て、処女牛として客に出す。この日に食べたものを見る限り、サシが少なく脂っぽくない。和田金が理想とする牛肉の質が分かる。和田金の肉の内臓類がどこに卸されるか、誰もが知りたがるが企業秘密になっている。びっちりサシが入った部位も、どこかに転売されるのかもしれない。

看板のすき焼は8,400円で食べられる。銀座で食べるよりはるかに割安である。炭火を使った昔ながらの調理法を見るのも結構楽しい。仲居さんに学びながら、ときどき仲居さんを茶化しながら食べるのがまたいい。10%の奉仕料も納得できる。

若い女性が大好きな客も、おいしいく食べさせてくれたゆきさんに文句は言えないだろう。和田金で35年のベテランが、いい味を出す老舗だった。


和田金
三重県松阪市中町1878
0598-21-1188


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2008年08月28日

[御清水庵 清恵](日本橋)

灯台下暗し、いい店が近くにあった


店の前を何度通り過ぎたか分からない。気になってはいたが、たくさんある蕎麦屋の一つぐらいにしか思っていなかった。行く気になったきっかけは先日の福井出張である。福井名物は越前ガニぐらいしか知らなかったが、出張で鯖やおろし蕎麦も名物と知った。

店は思ったより広く、席の間もゆったりとしていて居心地がいい。奥の席は川に面していて予約で埋まっていた。別紙の「本日のメニュー」もあり、酒の肴は充実している。もちろん、最初に選んだのは福井名物の鯖料理だ。

お通し、鯖の燻製、へしこ

初めて挑戦した燻製はなかなかいけた。へしこは土産に持って帰り、家で食べたものよりも美味しかった。

生しらす、刺身盛合わせ、つぶ貝の磯煮、焼きなす(とろろかけ)

「しらすは福井じゃないでしょ?」と店の女性に質問したら困った顔をする。すかさずおじさんが「駿河産」とフォローする。福井産のものでなくても美味しいものを揃えている。「店主ですか?」と質問したところから、丁々発止の会話が始まった。他の席のオーダーを取りに行っても、すぐにまた戻ってくる。実に楽しい。
「つくねが何で出来ているか当たったら、一品サービスするよ」と言われ、受けて立った。

つくね、煮物

「ひっかけで鯖では?」と探りを入れたがまともなクイズだと言う。「これまで一発で当てたのは一人だけ」と胸を張るのでヒントをもらった。そのヒントですぐに分かった。店主はちょっと驚いた顔をする。銀髪の面目躍如である。ノーヒントではなかったが、早い正答に対するご褒美に煮物を持って来てくれた。お返しに一番高い大吟醸酒をオーダーした。福井の日本酒も充実しているのだ。

「何歳に見える?」という質問は一発で当てた。脱サラをした年齢と、開店してからの年数はこれまでの話の中で出て来たので単純な足し算で済む。実は質問の前から既に驚いていた。日々充実している人は確かに若く見える。

最後はもちろん越前おろしそば。武生の蕎麦屋「御清水庵」で修行した店主が打つ蕎麦を〆にした。満腹なので少なめに盛ってもらった。

イヤー、楽しかった。奥の窓際が満席で良かった。お陰で店主と楽しい会話が出来た。店主が料理を差配するだけでなく、客席を回ってサービスする店が悪いわけがない。まさに灯台下暗しだった。


御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03-3231-1588

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2008年08月27日

[吾照里 OJORI](渋谷)

上品な韓国家庭料理


渋谷駅から文化村通りを東急百貨店方向に上を向いて歩く。もちろん泣いているわけではない。左上方になかなかいい雰囲気の韓国料理屋らしきものを見つけた。ビルの入り口を見つけるのにちょっと苦労しながら店に辿り着いた。

見上げた時とちょっと雰囲気が違う気がしたが、若い韓国人女性2人に笑顔で迎えられるとどうでもよくなった。美人の方が先生役のようだ。若い方が注文を取りに来たが日本語が上手くなくて要領を得ない。すぐさま美人が助け舟を出してくる。サンゲタンとパジョンを奨められた。量が多そうなのでちょっと渋るが、結局従った。銀髪の好物ケジャンと合わせて、取り敢えず3品を選ぶ。

お通し、ケジャン

上品な味のケジャンである。口に含んで殻を噛むと、柔らかい身が出て来る。身がタップリ詰まって美味しい。

サンゲタン

ハーフサイズのサンゲタン。これでも結構量がある。薬膳らしい朝鮮人参などが入っていない。残りの半分に含まれているのかもしれない。塩、胡椒をちょっと加えて食べる。これも上品な優しい味だ。

海鮮パジョン

予想よりも更に大きなチヂミが出て来た。厚さもある。他の料理を頼んでいなくて良かったと胸をなでおろした。美人店員が何度も奨めたように、確かに美味しい。表面がパリッとして、中はトロリとしている。全部食べきったあとも鉄皿は熱々だった。

さすがに腹一杯になった。勘定を終えて席を立つと、後ろの女性二人が大きなパジョンと格闘中。さらに肉を焼いて食べる様に勢いがある。日本女性の元気さが男共を上回っているのはオリンピックだけではない。

家に帰りホームページを開いて、我々が見上げた店が本店で、入った店は新館だと分かった。どうりで雰囲気が違うはずだ。他に東京駅八重洲口、汐留などに10店舗を展開している。日本人の口に合う優しい韓国家庭料理を出す店である。


吾照里 OJORI 渋谷新館
東京都渋谷区道玄坂2-29-18 清水ビル3F
03-5458-6636
http://www.ojori.jp/

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2008年08月26日

[薩摩]②(東銀座)

同期会


同期会の案内メールが来た。飲み放題付の会費5,000円。時間は6時半~9時までと比較的余裕がある。店の情報のアドレスをクリックして驚いた。なんと銀髪が以前書いたものだ。幹事のMに銀髪グルメ紀行のことを教えていないので、偶然知ったようだ。

6時半丁度に店に入ると既に酒盛りは始まっていた。参加者16人のうち、半分以上が揃っている。この日を待ち遠しく思っていたのか、単に暇なのか分からない。銀髪のグラスにビールが満たされると乾杯の声が上がる。最初に来た奴は乾杯だけで出来上がってしまう。

「薩摩」は前にも書いたように通常はチケット制の小皿料理主体の店。この日は我々グループのために特別料理が用意されていた。料理が運ばれると銀髪のシャッターより先に箸が料理を捉える。ビールを飲み、箸を動かしながら、心の中で出席者の顔に名前を乗せていく。

約30年前に新入社員研修で約1ヶ月一緒に居たけれど、その後は全国に散らばった同期達。顔は分かるが話したのは数えるほどしかない者もいる。「お前誰だっけ?」なんて馬鹿な質問をする奴はいない。一人ずつ立ち上がり、近況報告する前に長年の空白は殆ど埋まっていた。

2時間半と長丁場なので料理はゆっくり出てくるが、酒はたっぷりある。最初は量るように注いでいた焼酎も、だんだんコップ酒の様相を帯びてきた。

転職の報告、大病の経験談などなど、近況報告が続く。遅れてやってきたゴルフの幹事が数日前に行われた同期会コンペの結果報告を始める。飲酒運転ができないので、表彰式は夜の同期会の場を借りるのが慣例となっている。

ゴルフの話をする者、近況報告をする者、酔っ払って耳はどこかに行っている者、トイレにいつ立つかばかり考えている者。場はまとまりがつかなくなってきた。料理が来るのが遅いと文句を言っていた者も、酒で満腹になり箸が動かなくなっている。銀髪も面倒だから途中で写真を撮るのを止めた。どっちみち今日だけの特別料理だ。

最後に三本締め。他のお客様には申し訳ないが、我々は三本でなければ終れない。緩んでいた顔は引き締まり、背筋が伸びる。
ヨーオッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、
拍手が終わると、再び千鳥足の酔っ払いに戻る奴もいる。

永久幹事のMのお陰で毎年同期達と会う機会が出来る。みんな感謝感謝である。幹事さんありがとうございました。

最後に店の前で写真を撮った。結婚式に出ても料理しか写さなかった銀髪のカメラを特別に同期達のために使わせてあげた。みんないい顔をしていた。


薩摩
東京都中央区銀座4-12-20
03-3541-3995

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2008年08月25日

[オステリア ヴィンチェロ]③[新宿御苑)

嬉しい再会


モッシュさんこと水谷さんから「オステリア ヴィンチェロ②」にコメントをいただいた。以前勤めていた日本橋小網町のランブイユが閉店になって、今はヴィンチェロに居ると言うではないか。すぐに電話をかけた。銀髪と名を告げると素直に驚いてくれる。とても楽しい。

カウンターのある店以外はなかなかシェフと話す機会はないので、店の顔はフロアスタッフになる。会社における営業マンの役割に似ている。水谷さんはとても気持ちのいい接客をしてくれる人だ。大好きなヴィンチェロに居ると聞けば行かなければならない。

ヴィンチェロは大きなガラス窓から店内が見える。こちらが水谷さんを認めると同時に、彼女もこちらに気がついてドアを開けてくれた。席に付き、料理の説明を受ける。ゆっくりとした口調は変わらない。

大好きなムール貝の料理(ズッパディコッツェ)は身もいいがスープが頗る美味い。ズッキーニのクリーム仕立て(ズッキーニのクレマ 北海しまえびのマリネ添え)を横取りしたら、こちらの方が更に美味しかった。

麺は2種類。ポルチーニ入りクリームソースのパスタには特別にトリュフを削りかけてもらった。今の季節はポルチーニの方がトリュフの香りに勝るようだ。
水谷さんが一番に奨めたボッタルガ(カラスミ)を乗せたぺペロンチーノ。前回も食べたので一度は断ったが、考え直した。看板料理だけに何度食べても満足してもらえる。

石垣のチュラ(美ら)豚のポルケッタ風。本来の仔豚を丸ごと焼く調理法をアレンジしたものと水谷さんが説明してくれる。イタリア流に量がたっぷりあるのもヴィンチェロの特徴。丹波夏鹿のフォアグラソテー添えの殆どと、チュラ豚の半分ほどを自らの腹に納めた。

もちろんヴィンチェロの売りものであるワインも料理に合わせて、グラスワインを白赤の順に堪能した。周りのテーブルのワイングラスよりひときわ立派なだけはある美味しいワインだった。
それにしてもお腹一杯。デザートを二口食べて、食後のグラッパは遠慮した。

勘定を終えて席を立つと、カウンターにオーナーシェフの斉藤さんが頬杖をついていた。一声かけて会釈をした。外まで見送ってくれたのはもちろん水谷さん。ますますヴィンチェロが好きになった。


オステリア ヴィンチェロ
東京都新宿区新宿5-1-13
03-5367-1967

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2008年08月24日

[Zen](軽井沢)

軽井沢も長野、長野と言えば蕎麦

昨日の続きです

軽井沢の民宿(ペンションと言うらしい)は快適だった。6畳くらいの部屋にシングルベッドが4つ入っている。畳の部屋だったらもっと良かったが、洋間でもスキンシップがはかれる広さだ。家族旅行はこうでなければならない。旅行以外で家族が一部屋で寝ることはないのだから。

夕食は宿泊客が全員揃う食堂で6時に始まり、1時間足らずで終った。ダラダラ呑む時間も酒の肴も与えられなかったので、珍しく白いご飯で腹を満たした。朝食は宿泊客全員が8時集合なので、病院並みに食間が長い。もっとも料理は比較にならないほど美味しいと言っても差し支えないだろう。なんたんってペンションなのだ。

部屋に戻りオリンピックを見ながらすぐに眠りに落ちた。家族は久し振りに銀髪のいびきを楽しんだようだ。翌朝早起きして自転車で1時間走った。腹ペコのお陰で朝食がさらに美味しい。何より家族揃っての朝食が良かった。

それから半日は旧軽井沢銀座を歩き、石の教会を見るなど観光らしきものをした。暗くなるまで家族がガラス球のアクセサリーを造っている間、一人車に残り仮眠を取った。夕食後のロングドライブが待っている。

刺身こんにゃく、高原野菜と揚げ蕎麦サラダ、いろいろ葱の春巻

評判の「東間」に行ったら、「完全予約制、蕎麦懐石の店ですから」と断られた。そこで紹介してくれたのが姉妹店のZenである。雰囲気は悪くない。ところがこちらは鍋料理が自慢で懐石料理はないと分かり、家族は失望する。酒なしで懐石料理なんか食べさせられたら堪らないと、運転手の銀髪はホッとする。

妻は自分で蕎麦以外の単品を頼み、懐石に近づけるんだと頑張った。しかし、健闘むなしく揚げ蕎麦は油が浮いていて不味い。文句タラタラである。アルバイトらしき店員たちは、懐石料理屋の仲居さんには遠く及ばず、ファストフード店でアルバイト経験豊富な娘たちが偉そうに批評する。

鴨汁蕎麦、黒ぶた汁蕎麦

もり蕎麦、季節の野菜そば

銀髪はもり蕎麦を頼み、みんなのものを少しずつ味見した。蕎麦は悪くない。蕎麦湯をタップリ飲んで腹八分目で食事を終えた。車の中で家族が寝息を立てても、つられない程度の腹具合だ。
渋滞が少しあったが往路より1時間ほど余計にかかっただけでその日のうちに家に着いた。

シャワーを浴びて、軽いつまみを揃えたのが23時50分。ビールが美味い。飲酒の連続記録は今日もギリギリで途絶えずに済んだ。何はともあれ、メデタシメデタシである。

そばの店 Zen
長野県北佐久郡軽井沢町発地1398-58 72ゴルフ通り
0267-44-6566

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2008年08月23日

峠の釜めし

アウトレットに行ったら釜めしが一番


「軽井沢に行くけど、来る?」と聞かれたのは旅行の一週間ほど前。かつては銀髪の休みの日に合わせて、家族旅行の日程が組まれたのに様変わりになってしまった。旅行の最少催行人数は3人で、銀髪は含まれていない。
「行くよ!」家族の一員として留まるには他の答えは用意されていない。「じゃー、車で行こう!」と勝手に決められた。運転手を確保出来て満足そうな家族を見て、喜ぶべきか、悲しむべきか…

朝4時半に起きたら、既にみんな居間に集まっていた。早起きを感心したら2人は徹夜したと言う。「大丈夫か?」と心配したら「車で寝るから問題ない」と笑う。渋滞に巻き込まれるのは嫌なので、予定通り5時15分に家を出た。動き出すとすぐに後部座席から寝息が聞こえる。

思った以上にスムーズに走り、世田谷から軽井沢まで約2時間で到着した。アウトレットの開場まで1時間半ある。車から自転車を降ろし、組み立てた。家族を駐車場に残し、一人走り出す。彼女らにとっては銀髪が居ない方が気兼ねなくショッピングできる。

約3時間坂道を上り下りしてアウトレットに戻ってきた。自転車を車に戻し、家族を探しに行く。携帯電話のお陰で苦もなく落ち合うことができた。腹ペコの状態を告げて懇願すると、「お父さんは釜めしでも食べとけば」と突き放された。

釜めしは正解だった。食べ物屋はどこも混雑しているし、それほど美味いものはない。写真を撮るなら釜めしに勝るものがあるとも思えない。軽井沢駅に行くと、同士がたくさんいる。窓際に腰掛けて食べた。「お腹が空いているから美味しいね」と言ったら娘に怒られた。
「思ったより美味しいね」と言いなおしたが似たようなものだ。結局3個買って4人で分け合った。1個と3分の1を銀髪が食べた。

我が家に器があったのは覚えているが、食べた記憶はない。お土産でもらったか、駅弁フェアで買ってきたものだろう。横川なんて行ったことはない。行こうと思っても廃線になり横川駅で釜めしは買えない。

この日の昼食には充分満足した。

釜めしの詳しい話は「おぎのや」のホームページにある。

おぎのや
http://www.oginoya.co.jp

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2008年08月22日

[三厨](奈良)

地元奈良の人に人気の居酒屋


奈良の名物料理は茶粥、三輪素麺、柿の葉寿司、飛鳥鍋、吉野葛、奈良漬といったところだろうか。残念ながら、是非とも食べたいと思うものはない。地元の人も同じようで、セッティングしてくれた店は奈良料理とはあまり関係がない店だった。

鱧落し、鱧天ぷら

今年はよく鱧を食べた。高級食材と言われる鱧も近年はスーパーなどでも売られており、珍しいものではなくなった。もちろん味も値段もピンキリ。好き料理法は吸物、炙り、あらいの順といったところだろうか。これから秋になると松茸の土瓶蒸しの脇役になってしまうが、それも悪くない。

冷奴、ポテトサラダ

山芋短冊、鯛刺身

馬刺し、地鶏焼き

全100席、カラオケパーティーも出来る大型店。料理も豊富で地元の客に愛される店のようだ。近鉄線新大宮駅から徒歩2分、奈良駅から離れているため観光客が来る店ではない。
地元の人と一緒でなければ来ることはなかったろう。

それでも銀髪は奈良にこだわった。料理がなければ酒がある。「ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門、(中略)四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水。粋なねえちゃん…」
フーテンの寅の名口上を持ち出すまでもなく国の始まりの大和の国は酒造りの始まりでもあると言って差し支えないだろう。奈良漬も酒粕あってのものだ。

三厨にも奈良の酒があった。地元の人たちがビール、焼酎を飲むのを横目に、銀髪は奈良の地酒にこだわった。東京では殆ど奈良の酒を見かけない。一人だけ存分に奈良を味わった。

奈良桜井市には酒神を祭る日本最古の神社「大神神社」があるそうだ。大学時代にバッカスの渾名をもらった銀髪には、もっとも似合う神社かもしれない。いつか行かなくちゃ。


三厨
奈良県奈良市大宮町6-6-3
0472-36-3458
http://www11.ocn.ne.jp/~jd-kohei/indexkouhei3.html

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2008年08月21日

[コルベーユ](早稲田・リーガロイヤル東京)

懐かしのウインナーシュニッツェル


早稲田でミーティングを終え、食事をすることになった。高校生活を送った地域ではあるが、ラーメンのえぞ菊など数店しか思い浮かばない。下調べもしないで行ける安心な所はホテルのレストランだ。暑い日なのでワンメーターでもタクシーの運転手さんには大目に見てもらった。

日本料理(懐石、寿司、鉄板焼)、中国料理も魅力的だが、気軽なカフェを選んだ。懐にも優しそうだ。サントリー協賛の飲み放題が2,500円とお得なのもいい。

オードブル4種盛り、バーニャカウダ

オードブルが950円、バーニャカウダが800円と思惑通りのお手頃値段。ビールが美味い。

ウインナーシュニッツェル

メニューを開いたとき、即決したのがウインナーシュニッツェルだった。とても懐かしい響きがある。ビーフカツと似ているが、肉は叩いて薄くしたもので、多目の油をひいたフライパンで焼くところが異なる。父がよく作ってくれたような気がするが、例によって記憶は定かではない。

オーストラリアに居たときはチキンシュニッツェルのサンドイッチをよく食べた。客の好みを聞いて目の前で作ってくれる。ホワイトブレッド、チキンシュニッツェル、レタスまでは上手く言えるのだが、ソルト&ペッパーと言うところを、ソルト&シュガーと言って笑われた。不思議なことに言わないように意識すればするほど、また言ってしまう。今でも思い出すと冷や汗をかく。

サーモン網焼き

カフェは気軽でいい。シュニッツェルもサーモンも切り刻んで酒の肴になった。銀髪が選んだシュニッツェルの方が数段美味しい。海外と同様、日本で食べても洋食の魚料理は感心しない。サーモンを選んだ相手も素直に負けを認めた。勝てるはずはない。今日のシュニッツェルは銀髪が食べた中でも最高の出来だったのだ。

思い出の味を超えてしまったウインナーシュニッツェル。写真を見るだけでよだれが出て来る。


コルベーユ リーガロイヤル東京
東京都新宿区戸塚町1-104-19
03-5285-1121

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2008年08月20日

[魚一](銀座)

夏もやってるふぐ料理屋


「店は予約しといたからな」とメールが入ってきた。一人で魚一(とといち)へ向かった。以前、飛び込みで入ろうとして二の足を踏んだ店だ。「注文はお前に任せるよ」と言われたのでちょっと早めに店に着いた。生ビールを飲みながらメニューを見てちょっと驚いた。ふぐコース以外は目立った料理がない。
二の足を踏んだ時の胸騒ぎは当たっていたことになる。

カウンターの中の料理人は黙々とぶつ切りのふぐを揚げている。夏にふぐは食べる気がしないので、わずかな品数のメニューを見詰めて固まってしまった。店の女性が見かねて助け舟を出してくれる。

付け出し、枝豆

付け出しはちゃんとしている。枝豆もオーダーしてから茹でるので、悪くないかもしれないと思い始めた。
総勢4人が揃って乾杯をする頃、店の女性と決めたお造りの盛り合わせが出て来た。

生簀に泳いでいたシマアジを中心に、特別に造って貰った刺身の盛合わせ。メニューには書いてないが、コース料理に使う食材は豊富にある。他の連中も豪華な盛り合わせに大喜び。胸騒ぎはいい方に外れたようだ。

ふぐの唐揚げ

刺身がなくなりそうなので、ふぐの唐揚げを求めた。先ほど大量に揚げていたからすぐに出してくれるかと思ったら、別に作り揚げ始めた。前もって揚げていたものは、手を加えた後で地下の個室に行くようだ。意外にたくさんの客が入っている。

鱧の落としと焼き霜

メニューの中でふぐ以外に目に付くのは鱧。みんなに湯引きと炙った鱧の食べ比べをさせた。銀髪がうんちくを語るまでもなく、炙りの方が好評だった。

先ほどのシマアジを使ったアラ汁で満腹になったところで、料理人に話しかけた。思ったとおり若い料理人はオーナーではなく、魚一は「魚とやグループ」の一つと分かった。赤坂の大友が代表格で、4年ほど前に行ったことがある。高級魚を比較的安価で食べられる店として人気がある。魚一は大友よりきれいで、コンセプトはほぼ同じのようだ。

「ふぐは天然でなくっちゃ」と言う人には向かないけれど、夏のふぐも悪くないかもしれない。


銀座 魚一
東京都中央区銀座1-3-6 1F
03-3561-4131
http://www.sannotec.co.jp/yoyoya-gr

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2008年08月19日

[炉端かば](新宿3丁目)

山陰の魚料理百選。ど田舎の旬を毎日おとどけ


店の看板に「山陰」「ど田舎」「旨い!安い!楽しい!」の文字が躍る。酒呑みの気持ちを良く知っている。エレベーターに乗り込んだが、2階に止まらないと知って飛び降りた。階段を上がると想像以上に大衆的な店。「安い!」の表現は疑いない。

店内は7割位の入り。テーブルも選べたが、窓外が見えるカウンター席に座った。すぐに店員が箸とマルハの「有明煮赤貝味付」を持って来た。缶詰のお通しは記憶にない。ビールは鬼太郎ビール、日本酒は鳥取、島根の地酒が約20種類の中から石見銀山を飲むことに決めた。純米吟醸酒でも1合700円と良心的な店である。

ドジョウの唐揚げ、地物セット

メニューも豊富だ。隣の客はオムレツ、サラダを経て、今度は立派な刺身盛合せ食べている。銀髪は律儀に山陰名物にこだわる。安来のドジョウ、島根名物あご野焼き、浜田の赤天、干物。銀髪がうんちくをたれる材料満載。「楽しい!」も認めてあげよう。

焼き鳥、山芋コロッケ、板わかめ、

焼き鳥(大山?東伯?)を食べ、鳥取砂丘名物の山芋を使ったコロッケでほぼ満腹。島根名物の板わかめで残った酒を飲み干した。

店内は満席となり大分賑わってきた。メンチカツ、ハムカツなど200円台で食べられる料理もある。値段の割には「旨い!」と言っても良さそうだ。明らかにアルバイトと分かる店員たちも「ど田舎」にピッタリの子達を採用していると言ったら怒られてしまうかな。

「ど田舎」の表現に反するのは店員が打ち込むオーダー端末。箸袋を見ると安来本店、松江、鳥取、米子、出雲の山陰にある5店舗に加え、新橋、浜松町にもある。これだけの店舗展開をしていれば、ファミリーレストラン風のシステムにも納得できる。

月曜はレディースデイ、火曜はメンズデイ、お得なクーポンはぐるなびで手に入る。店名の「かば」がどこから来たか分からない。オーナーの渾名だとしたら、大した経営者だ。


炉端かば
東京都新宿区新宿3-31-2 NS中央プラザビル2F
03-3597-2003

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2008年08月18日

[かどわき](麻布十番)

今シーズン初めての松茸料理


苦心惨憺して店まで辿り着こうとするタクシーの運転手を制して、支払いを済まし歩き始める。地図を見るまでもなく、すぐに雰囲気のある家の前に立つ見覚えのある影を見つけた。Tさんが心配して迎えに出てくれていた。

店主の門脇さんの前のカウンターに落ち着き名刺を渡した。写真を撮らせてもらう最低限の銀髪の礼儀である。生ビールを頼むとすぐにお任せコースがスタートした。

枝豆、芋の茎とカレイの昆布締め、松茸のコロッケ

山椒がアクセントをつける枝豆、シャリシャリとした食感の芋の茎と昆布締めのカレイ。気鋭の料理人の評判どおり、きめ細かい仕事がされている。コロッケ?と意表をつかれたが、松茸入りと聞いて納得。松茸は秋にしかないと思っていたが、梅雨時から早松茸が出回るらしい。韓国産など使うはずがないと思いながらも、恐る恐る尋ねたら山口産とのことだった。

鯛と松茸、秋刀魚の塩焼き

松茸を鯛で巻き、スダチを絞って塩で食べる。北海道産の見事なさんま。絞りやすいようにスダチに切れ目が入れてある。さんまの大根おろしは別の器に。芸が細かい。
焼き台は陶器のようなもので覆われている。料理だけでなく調理台、什器にもこだわりが見られる。
個室も一杯のようで、厳しい顔つきで料理を仕上げる門脇さんに話しかけるのは気が引ける。

胡麻豆腐、鱧しゃぶ

香ばしく焼かれた胡麻豆腐の上には鱧の卵。鱧の骨を焼いてとっただし汁がたっぷり入った鍋から、鱧や松茸を取り分けてくれる。他で食べる鱧しゃぶより濃厚で味が深い。
1合ずつ頼める酒は大吟醸しかない。招待してくれたTさんに申し訳なかったが、大吟醸酒を2杯飲ませてもらった。

個室の客を含めて料理も一段落ついたようだ。門脇さんも笑顔を浮かべてリラックスしている。きれいな奥さんも後ろから微笑みかけてくれた。同時に店全体の空気も和む。

サマートリュフの炊き込みごはん、デザート

松茸ご飯が出ると思っていたが、ちょっと香りが違う。味付けも濃い。トリュフの炊き込みご飯と聞いてちょっと驚いた。この店らしいと言える料理。もちろんお代わりした。

デザートを食べてお開きになった。食通のTさんが太鼓判を押すだけある店だった。それにしても門脇さんは若くて元気だ。知力、体力がなければ出来ない料理である。才気闊達から円熟へ向かうまで、何度か訪れてみたいと思った。

麻布 かどわき
東京都港区麻布十番2-7-2
03-5772-2553

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2008年08月17日

[鹿港](上町)

人気の肉饅を朝から買えるようになった


皇居のランニングコースの2周目に入ったところで携帯電話が鳴った。長兄がこれから母の所に行くと言う。前日に行ったばかりの銀髪でも、兄が来るとなれば顔を出さないわけにはいかない。予定を切り上げて、約20㎞を戻ることにした。

往路は下りが多くて楽だが、復路はちょっとしんどい。もっとも、新しいロードバイクは赤坂の虎屋の前、渋谷南平台、駒沢などの坂を苦にしなかった。愛い奴である。
三軒茶屋を越えて上町にある肉饅で人気の鹿港を通り過ぎたところでブレーキをかけた。まだ10時なのに店が開いていたような気がした。振り返ってみると確かに開いている。いつものような行列どころか、一人も客がいない。

聞けば開店時間は11時半から9時に早まったとのこと。前に来たときは他の客にあおられる様に買ったが、今日はゆっくり相談することもできた。母の家で蒸しなおすことにして冷めた肉饅と2種類のまんとうを買った。リュックに入れても背中が熱くならなくていい。

母の家に着くと、既に兄がビールを飲んでいた。なんと兄も肉饅を買って来ていた。彼が買ってきたのは自由が丘の五十番。のれんわけか喧嘩別れか知らないが、神楽坂の五十番より美味しいそうだ。チン!では美味しくないので蒸篭で温めて食べ比べをした。

前にも書いたことがあるが、銀髪の思い出の肉饅は福岡の鹿鳴春のもの。鹿港の肉饅は具が縮んで真ん中にコロリと収まっている。鹿鳴春に似ていて嬉しくなる。当然、皮との間に空間が出来る。昔の肉饅はどれもこんなものだったと思うが、最近では五十番のように具が柔らかく、肉汁と油たっぷり、隙間なしのものばかりである。

鹿鳴春も鹿港も、鹿の字がついているのでルーツは同じかもしれない。鹿港の主人は台湾で修行して、本場の味を再現しているという。残念ながら鹿鳴春は潰れてしまったので、銀髪の記憶を確かめることはできないが、母も兄も銀髪の意見に同意してくれた。

鹿港の営業時間が長くなったのは嬉しい報せだ。地方発送もしてくれるようだ。昔ながらの肉饅が食べたいと思う人は是非試して欲しい。

鹿港
東京都世田谷区世田谷3-1-12 1F
03-5799-3031

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2008年08月16日

花火とバーベキュー

ひさしぶりのBBQは美味かった。


「花火を見に行かないか?」と家族を誘ったら、子供たちも大いに乗り気だった。それなのに結局当日は妻と2人で行くことになってしまった。少なくともお金以外については、親離れしたようだ。

大江戸線には浴衣姿の若い女性たちがたくさん乗って居た。カップルでの浴衣もなかなかいいもんだ。招待してくれたSのマンションの屋上に5時過ぎに到着した。既に10人以上が盛り上がっていた。すぐ目の前に東京タワーが見える。

もう20年以上の付き合いになるSは、いつも先輩と銀髪を立ててくれる。花火大会に呼ばれたのは2回目。前回はヨットの上から横浜港に上がる花火を見た。今度は船酔いの心配はないし、食事も豪華だ。Sが用意してくれたバーベキューをいただくことにした。

牛肉、鶏肉、鯛、大アサリ、サザエ、活き車海老などなどの豪華料理。テーブルから動かない人が多いが、バーベキューの一等席は火の周りである。最初は黙って見ていたが、やがて口が出る手が出る。悲しい性である。

Sは余興として氷のジョッキを用意していた。分厚い氷も、口をつけた所が薄くなってだんだん飲みやすくなる。ジョッキは見栄えがするが、むしろロックグラスの方が使い勝手が良さそうだ。ジョッキではあるけれど、ウイスキーや焼酎を入れたら結構いける。悦に入っていると突然漏れ出した。風があって過ごしいい日だったが、氷の寿命は予想より短い。

花火までの2時間は長過ぎると思っていたが、途中から時間の飛び方が早くなった。開始の合図代わりに大きな音が聞こえてくる。東京タワーを見上げると既に灯りをまとっていた。

前の大きなビルが邪魔ではあるが、それなりに楽しめた。ビルよりも煙が視界を遮ったのが惜しかった。花火大会は少し風があった方が煙が飛ばされていい。反対側から見たら煙の影響はなかったのだろうか。

雨粒が数滴顔に当たった所で失礼させてもらった。いつもSに世話になりっ放しである。この日もっとも嬉しかったのは、バーベキューでも花火でもなく、Sが多くの若い連中に慕われていることが分かったことだ。Sのこれまでの苦労を知っているのは参加者の中で唯一銀髪だけだった。銀髪が去り、会はさらに盛り上がるはずだったが、大粒の雨が水を差したに違いない。

電車で一緒になった浴衣の彼女たちはどうしているだろう。タクシーのフロントガラスを叩く雨を見ながら、ちょっと心配になった。

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2008年08月15日

[源八](下北沢)

オヤジたちにも楽しい酒場


中学時代の同級生の集まりはいつも下北沢。地元とは言え、店を探す幹事役も大変である。もっとも下調べを口実に飲み歩いているのだから、呆れた方がいいかもしれない。

一次会は7人で、二次会に遅れて一人やってくる。若者の町・下北沢は夏休みのせいかいつもの賑わいはない。源八も半分ぐらいの入りで、影響を受けているようだ。味のせいかどうかはまだ分からない。

しばらくオーダーには口を挟まず飲み食いしながら調理場を見詰める。焼き場の料理人の動きがなかなかいい。



焼き鳥を食べて大きく頷き、幹事役に「なかなかいいよ、この店は」と褒めた。安くて旨い店を探すのが上手な奴だ。手だけ皆さんに紹介しよう。

源八の自慢は焼き鳥だけではない。梅酒は85種類、焼酎は50種類揃える。若い男女が喜ぶような品揃えだ。試しに一番甘くないという梅酒を飲んだが、しっかり甘かった。日本酒党の銀髪だが、みんなに合わせて焼酎を飲んだ。水をたくさん飲んで酒は控えた。量を競う齢ではない。

面白かったのが唐辛子がミルに入っていたこと。胡椒や塩ならよくあるが、唐辛子でミルを使って居る店は初めて見た。なかなかのこだわりである。
幹事が支払いを終えて出て来るのを外で待っている間に、入店の時には気付かなかった入り口の張り紙を読んだ。店で使っている沖縄粟国の海塩について踊るような文字で説明している。

下北沢は若者価格でなかなかいい店がある。彼らだけに占領させておくのはもったいない。
若者が田舎に帰っている間は、中年たちで店を支えてあげよう。


澤乃茶屋 源八
東京都世田谷区北沢2-18-5 北沢ビル1F
03-5430-4129

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2008年08月14日

[松輪]②(京橋)

夜の松輪もたいしたもんだ


「私ま~つ~わ♪」と口ずさみながら叔父さん軍団8人でやってきた。若い一人と、還暦を超えた一人はこの歌に反応しない。銀髪はど真ん中だが、恥ずかしいので心の中で歌った。もちろん歌と松輪はまったく関係ない。松輪は神奈川県三浦半島の南端、黄金のサバと称される最高級品のサバの産地として知られる。

「京ばし松輪」は以前ランチのアジフライで紹介した。11時半の開店前には店の前に行列が出来る。店に入るまで「私ま~つ~わ♪」と歌っている人が多いはずだ。もちろん声に出さずに。

枝豆、豆腐、ところてん

夜は基本的にはコース1種類のみ。もちろん好みを告げれば柔軟に対応してくれる。8人のうち一人が刺身を食べないので、昼限定のアジフライなど特別料理を出してくれた。わさび、大根おろし、醤油がアジフライに合うと店主は言うが、ソースを欲しがる我侭も許してくれた。

温かい豆腐は薄くかけられた塩味で充分。それなのに店員の説明を無視して醤油をドバッとかける無粋な奴がいる。城ヶ島産テングサで作った自家製のところてん。一度は嫌いだと宣言した者も一口食べた後は文句を言わずに食べ尽くした。

刺身盛合わせ

ミルガイ、タコ、コショウダイ(イサキ科、胡椒の実のような黒い斑点がある)、キンキ、マコガレイ、ハチビキ(葉血引と書き、赤サバとも呼ばれる。淡いピンク色の高級魚)、サワラ、キメジ(キハダマグロ)、シマアジ、カツオ。一人一切れずつ盛られている。順番に食べないと他人の物を食べてしまいそうだ。どれも美味しいので、間違うと怒られる。お互いに確認しながら食べた。

焼き魚、煮魚

豪快に盛られてきた焼き魚(冒頭の写真)。頭を欲しがったのは銀髪と部下のKのみ。大人数なので二人分しっかりあった。喧嘩をしなくて済んだ。食い物の恨みは恐ろしいのだ。

生しらすご飯

シンプルだけど最高に美味い。「佐島産です」と言うので「オッ!、タコの佐島だね」と返すと店員は嬉しそうに微笑えんだ。刺身が嫌いな人には釜揚げしらすご飯。絶品の生しらすを食べていても、釜揚げしらすが羨ましくなる。まさに「他人の飯は白い」である。

今年はサバの入荷が遅れているそうで、この日食べることは出来なかった。お盆明けには間違いなく食べられるはずだ。黄金のサバを食べなければ松輪に来たことにはならない。

「いつまでも、ま~つ~わ♪」なんて言っていられない。


松輪
東京都中央区京橋3-6-1 秋葉ビルB1
03-5524-1280

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2008年08月13日

[神谷](銀座)

名物、炙りトロ寿司


テレビのグルメ番組で「寿司ネタを炙って握る」店を紹介していた。「魚も肉も少し火を通した方が上手い」というのが持論なだけに、我が意を得たりと行くことにした。
名店がひしめく銀座交詢ビルの4階、テレビで見たより大きく立派な店である。

頼んだのは看板料理「炙りトロ」が入ったコース。いつものようにカウンターに座ったが、この店にはオーナーの神谷氏らしき人は居ない。テレビに出ていた2代目も今はグループを離れて修行中とのこと。目の前の若い料理人に相手になってもらうしかないようだ。

鱧そうめん、イカのコノワタ和え、炙りトロ寿司

黒い麺が鮑の肝入り、卵の黄身も凝っている。コノワタも美味しい。早くも3品目に看板料理の炙りトロ寿司が出てきて驚いた。最後に炙り寿司の盛り合わせが出て来ると思っていたのだ。確かに美味いがこの後のコースはどうなるのだろう。

鱧椀、お造り(スズキ、鮪、イサキ)

鱧椀は完璧。5品目に刺身とは意表を突くと思ったが、よく考えれば懐石料理の手順を踏んでいる。テレビを見て寿司屋の感覚で来たのが間違いで、普通の懐石料理屋と今頃になって気がついた。


抜いた骨を再び焼いて食べやすくしている。余す事なく食べ尽くすことができる。芸が実に細かい。感心して質問ばかりするものだから、いつの間にか目の前の料理人が替わっていた。名刺交換すると料理長である。食事がワンランク楽しくなってきた。

豚の角煮

普通の豚肉ではない。金華豚と並ぶ銘柄豚の梅山豚(メイシャントン)と説明されれば更に楽しい。中国上海市北部の江蘇省に分布する在来種で現在日本で飼育されている梅山豚は100頭前後しかないそうだ。ありがたやありがたや。

そば、水羊羹、杏仁豆腐

〆は寿司ではなく蕎麦だった。神谷グループのこだわり蕎麦とのこと。もっと自慢するのが水羊羹。市販のものと違い、水分が多いので口の中でとろける。数時間で溶けてしまうので、作り置きはできないそうだ。

今回は初めてだったので決められたコースを食べたが、こちらの希望に従って内容を替えてくれると料理長は言う。テレビ番組のように炙り寿司を多くすることもできる。また来たくなるように上手に誘う料理長。なかなかの手練れ者だ。


銀座 神谷
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
03-5537-7700
http://www.kamiya-m.com

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2008年08月12日

[ラ・タペリア](四谷三丁目)

人気のスペイン料理屋だってさ


電話で予約を入れるときさくな外国人訛りの日本語が聞ける。日本人なら無礼と感じる言い回しも外国人なら好ましいと思われるから得をしている。四谷駅を出て杉大門通りを左に曲がったらすぐに見つかった。荒木町と言ってもいい場所だ。立地も有利だ。

電話で言われたとおり、狭い空間の小さなテーブルに通された。隣にチェーンスモーカーが居る。煙草を吸いながら料理を口にする無神経さに店を出ようかと思ったが我慢することにした。メニューにある豊富な料理の写真を見て喜んでいるAさんを気遣ってしまった。

お通し、自家製ピクルスの盛合せ

お通し代わりのカリフラワーの冷製スープはなかなか良かった。ピクルスは値段の割りに量が少ない。ボトルのワインはリーズナブルだがグラスワインは不味くて割高。Aさんの顔が曇る。

生ハム、ヒコイワシの酢漬け

セラーノとイベリコの生ハム盛合せは予想通り。マドリードの伝統的なタパスであるヒコイワシの酢漬けは好みの味だった。

ムール貝

スペイン料理で一番好きなムール貝料理。ふっくらとした身が期待通りだった。「どこ産?」とスペイン人のオーナーに聞いたら「貝はパスポートを持ってないので分からない」と言う。冗談のつもりだろうが笑えない。貝が消化しそこなった蟹を話題にして勝手に楽しむことにした。店は頼りに出来ない。

自家製パテ

タパスが小皿料理、おつまみといった意味だと思い出した。店の雰囲気と値段を見て一皿の量が多いと勘違いしていた。忙しく満席のテーブル間を歩き回るオーナーと店員の両方に、近くを通る度にメニューを求めた。銀髪には自家製パテを、Aさんにはデザートを頼もうとしたが、オーナーは頑として受け付けない。デザートは料理を食べ終わってから出すのがスペインの流儀で譲れないと言う。

仕方なくパテを2人で分け合い、それから再びデザートのメニューを貰った。デザートを食べ終わった後に紅茶を持ってくるのもスペインのマナーらしい。予約なしでドアを開けて断られる多くの客のために、早く帰ってあげようと気遣ったが無駄だった。

写真の料理と生ビール1杯、小さなグラスワイン1杯、小さなシェリー酒1杯、スペイン産ミネラルウォーター2本、デザート1皿、紅茶1杯で合計13,500円。そうそう、パンも追加したかな。

足を組み、煙草を吸いながら料理を口に運ぶ人を許すのだから、店のパンフレットにあるように「居酒屋のようなスペインのフードスタイル」を守る店である。無礼をきさくと感じる人は楽しめる店だ。

ラ・タペリア
東京都新宿区四谷3-3 ストリーム四谷B1F
03-3353-8003
http://www.la-taperia.com

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2008年08月11日

[ありそ亭](青山)

青山で福井の味を


「青山の骨董通りお願いします」と告げると返事もなくタクシーは動き出した。「小笠原流会館を知ってますか?」と聞いたらぶっきらぼうに「知りません」と一言。仕方ないので窓外を注視してナビゲーターを務めた。道を間違えることもなく、路地を入って複数の飲食店やブティックのあるエリアに辿り着いた。ありそ亭は突き当たりにある立派な店だった。

席の間隔がゆったりしていてなかなか雰囲気のある店だ。窓の外には小さな庭園が見える。アラカルトを頼もうとしたが、強くコースを奨められた。料理が出て来るのもコースの方がスムーズだと言われてその気になった。7,000円の荒磯コースを頼んだ。

前菜盛合せ

強く奨める理由が分かった気がした。流れ作業で出せるし、見栄えも悪くない。レバーペーストとパンのような洋風のものもあれば、福井名物の「へしこ」もちゃんと入っている。

鱧椀、お造り

鱧の吸物がとても美味しい。あまり酸っぱくない梅干もいいアクセント役になっている。

鮎の塩焼き、いちじくの抹茶天婦羅

炭の入った壷の上に乗せられて鮎がやってきた。ホカホカの鮎は福井の酒が良く合う。場所柄女性向けに梅酒やワインなども置いてあるが、外国人向けに日本酒の何たるかの説明を載せている。もちろん日本語でも書かれている。日本人にこそ、銘酒を料理に合わせて欲しいものだ。

おろしそば、デザート

そばは2種類から選ぶ。「福井ならおろしそばだよね」と言ったら店の女性が嬉しそうに頷いた。

「ありそ亭ってどんな意味?」と相方に聞かれた。「ありそでなさそうないい店だからでしょう」と笑わせた後で、コース名の荒磯に「ありそ」とふり仮名がついていることを教えた。ありそ亭の本店は福井県三国温泉の荒磯(ありそ)亭で、約600年前に中国から伝わった名物裂(めいぶつきれ)の文様の一つ、荒磯緞子(ありそどんす)から名付けられたとのこと。座席にも荒磯緞子のクッションが置かれている。これに合わせて店造りをしたようにも思える。東京に居ることを忘れさせてくれるようないい雰囲気だった。

冬の主役はもちろん越前かにである。ありそ亭で食べるか、福井の荒磯亭本店(旅館)で食べるか。冬が待ち遠しくなった。


ありそ亭
東京都港区南青山5-4-41 グラッセリア青山1F
03-5466-5820
http://www.arisotei.co.jp

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2008年08月10日

スワンサイダー

銀座でもらった昔の味


お盆までの数週間は全国のクラブで浴衣祭りなるものが催される。休み前に稼いで一息つきたいところだろうが、競争が激しいので知恵の絞り合いになる。先日行った銀座のクラブでは昔を懐かしむのがテーマだった。

いつもなら乾き物が出て来るところだが、この日は駄菓子。「なつかしー!」と感激したいところだが、昭和30年生まれの銀髪の琴線に触れるものはない。コカコーラではない「コラコーラ」には笑わせてもらった。

帰り際に重いお土産を貰った。「舌切りすずめ」に出て来る欲張りのおばあさんよろしく、重い荷物を抱えて嬉しくなった。もっとも、軽いお土産の選択肢はなかったのだから銀髪に罪はない。家に帰って箱を開けたらサイダーが3本。ヘビやムカデが出てきたわけではないので欲張り婆さんより幸せだが、落胆してしまう自分には情けなくなってしまった。

三ツ矢サイダーなら、懐かしさが込み上げてきたかもしれないが、スワンサイダーを見ても感動はしなかった。創業明治三十五年の文字にも首を傾げるばかりである。

念のためにインターネットで検索した。スワンサイダーは平成17年に復刻発売されて人気になったとのこと。上質グラニュー糖を使用し、炭酸を強く含んでいるサイダーで、昭和のサイダー全盛期に一世を風靡したらしい。由来を知ってクラブのママに少し感謝した。少しだけで申し訳ないが…

スワンサイダーの製造元、佐賀県の友枡飲料のホームページにはサイダーやラムネの歴史が書かれてあり面白い。懐かしい人は買ってみたらいかがでしょうか?


友枡飲料
http://www.tomomasu.co.jp

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2008年08月09日

北京オリンピック開幕  聘珍樓(新宿)にて

北京オリンピック開催を祝い 開幕式を一緒に観覧する晩餐会に出席した。

聘珍樓は1887年(明治29年)年に横浜中華街で創業、国内11店舗、海外5店舗を擁する代表的な高級広東料理店。オリンピック開催祝賀会は三井ビル54階の新宿店で行われた。
主催はこだわりのスペシャルインタビューでも紹介した羅さんが率いる中文導報社で共催が聘珍樓。料理も楽しみだが、久し振りに友人の羅社長夫妻と会うのが楽しみで出席した。

中国人初の芥川賞作家になったばかりの楊逸氏が挨拶した。彼女は中文導報がまだ貧弱なビルに居た頃の社員だったという。
二胡の演奏家・陳敏(チェンミン)氏が世界平和を願った曲を奏でた。紅白歌合戦で谷村新司と競演した美しい音色を思い出す。
もちろん料理を提供してくれた聘珍樓の林社長も加わり喜びを語る。在日中国人たちにとっても待ちに待った祖国でのオリンピックだ。

東京オリンピックから44年、ソウルオリンピックから20年遅れてようやく中国でオリンピックが開かれた。食事が終り開幕式が始まると拍手が沸き上った。様々な問題を抱えながらも目覚しい発展を遂げた母国を多くの人が誇らしく見ている。

銀髪が初めて中国に行ったのが1985年。漁業で金持ちになった深圳の集落にある幼稚園を観光させられた。いわゆる万元戸の集落だった。幼稚園が富の象徴だったのだ。中国の成長を表していた。
1992年の上海、シャーッという異様な物音に驚いてホテルの窓を開けると、自転車ごと身を包むカラフルなレインコートの列が延々と続いていた。僅か十数年前は自家用車を持つ人は殆ど居なかった。ちょっと街を出ると牛車を除けるのに運転手が四苦八苦していた。
2000年の上海、高速道路が出来るなど変貌した街をアジアナンバーワンの高層ビルから眺めた。瞬く間にラッシュアワーの主役は自転車から車へと替わった。

中国の発展を時折現地に出向き見てきた銀髪にとっても、北京オリンピックの開会式は感慨深いものであった。華やかなショーにではなく、パーティー会場で目を輝かせている中国の友人たちの表情に。小学生だった銀髪には東京オリンピック時の大人たちの高揚を知ることは出来ない。あの頃の日本も欧米諸国に追いついた喜び、誇り、自信を持ち、そして追い抜き、追い越し、更に発展することを誓ったのだろうか。

力を出し切れず敗退するのは日本人だけではない。どの国の人たちも笑い、涙する。英雄になった者たちを賞賛するだけでなく、夢敗れた超人たちの意外な弱さや脆さにも感動する。人種に関係なく、世界中の人が同じ心を持つことを教えてくれるのがオリンピックである。

いつの日からか「参加するだけでは意味がない」と言う人が多くなった。しかし、メダルは発展を目指す成長国たちに譲ってもいいような気がする。画面に向かって拍手し、歓声を上げる中国の友人たちを見てそう思った。

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2008年08月08日

[地鶏ばやし](新宿歌舞伎町)

意外と良かった宮崎料理の店


50歳を超えるとあちこちにガタが来る。歯を自慢しているうちにケアを怠った歯茎から病んでいった。今日の治療は辛かった。歯医者での苦行を乗り越えて、グルメ紀行のために夜の街に出る自分を褒めたい気分だった。

新宿歌舞伎町、宮崎料理の看板に釣られた。東国原知事による宣伝効果は既になくなってしまったようだ。ブームが去るのを待っていた銀髪のような連中は僅かしかいない。7時を過ぎているのに店は閑散としている。料理人とその奥さんと言ってもおかしくない年齢の女性と2人で切り盛りしているのを見れば、彼らが想定する客数も容易に推測できた。

白レバ刺し、鶏わさ3種盛り

メニューにある料理の種類は多くない。掲示板の本日のお奨めを足しても数は大きく増えることはない。もっとも、一人で食べられる数は限られているので数を競っても仕方がない。
美味しい白レバの刺身があるだけでかなり満足感は高い。

骨付もも焼き

店の看板料理でもある宮崎名物地鶏の網焼きを食べたが、これには参った。食べる度に歯にかかるプレッシャーを受け止めることが出来ずに治療したばかりの歯茎が悲鳴をあげる。ところがこちらの意に反して相方が「上手い!」と賞賛するのに驚いた。そう言われて味わうと確かに相方が正しい。宮崎地鶏の特徴は歯応えと黒く煤けた炭の香り。噛む場所を選びながら美味しく食べ尽くした。

冷汁

宮崎料理のもう一つの代表格・冷汁は初挑戦。「魚だしと麦みそベースのさっぱりした汁」と謳い文句どおりのお味。これを白いご飯の上にぶっかけて食べる。夜は液体になった米以外は口にしないと決めている銀髪でも、酒の肴の感覚で食べられるのがいい。
歯医者に行った後は絶対お奨めの料理である。

思ったよりいい店だった。満席になったとき対応できるか心配ではあるが、メニューの種類を制限するなど経験を活かしている風にも思える。
繁昌するよう頑張れと応援しつつ、それなりに空いていて欲しいとも思う。我ながら客というのは勝手である。


地鶏ばやし
東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿2F
03-3232-1029

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2008年08月07日

[夢餃子](宇都宮)

肉屋さんの宇都宮餃子


東京へ帰る新幹線の時刻表を持っていなかったため、とりあえず客先から宇都宮駅に直行した。すぐに乗れそうなら駅弁で、時間があれば駅ビルで昼食をとることにした。切符を買って時計を見ると出発まで30分ある。

駅ビルPASEOにはJR改札のある2階に4軒と1階に2軒の餃子屋が入っている。宇都宮餃子館、みんみん、宇味家などの有名店には駅ビル以外の店に行ったことがある。1階の青源にも行った。今日は初めての夢餃子に入ることにした。

有名店には既に多くの人が居るのに先客は一人のみ。不安感は横に置いて、料理が出て来るのが早そうなのを喜んだ。普通ならビールを飲むところだが自重して650円の夢セットにした。
しかし思ったより時間がかかった。調理場を覗くと料理人が何度も餃子をへらで少し持ち上げ、焼き上がりを見ている。ちょっと心配したが、きれいに焼きあがって来た餃子を見て安心した。

とん汁はあまりいい出来ではない。ごはんもあまり美味しくない。しかし肝心要の餃子は有名店と比較しても悪くなかった。最初に宇都宮餃子を食べたときは、期待が大きかっただけに拍子抜けした。色々食べ歩いて無用の期待を捨ててしまうと今度は美味しく感じられるようになった。まったく面白いものである。
夢餃子は餃子屋さんとしては新興のようだ。もともとは肉屋さんと聞けば餃子も美味しいはずだと納得する。駅ビルに入るのだからそれなりの評価か資力があるに違いない。

食べている間に一組、二組と客が入ってきた。まだ12時前だから、人気がないと思ったのも勘違いかもしれない。「僕、餃子だけでいい!」と自己主張していた隣席の幼児が可愛かった。
勘定を払うとランチ時は50円引きと知って嬉しくなった。やっぱり今度はビールを飲もう。ご飯に餃子では物足りない。

帰って調べたら夢餃子は全国に瞬間冷凍した餃子を卸しているとのこと。「フリージングレイン」という最新技術を使っているらしい。宇都宮駅の店舗で焼き上がるまで時間がかかったのは、冷凍だったからかもしれない。味は悪くなかったので確かに最新技術なのだろう。

昔、小学生の娘と自宅近くの5店の餃子食べ歩きをしたことがある。10年以上経った今でも彼女にとっては夏の日の貴重な思い出のようだ。宇都宮で駅ビルにある餃子屋全店制覇なんてのはどうだろう。安上がりの楽しい思い出になるはずだ。

夢餃子
宇都宮駅ビルPASEO
028-600-3185

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2008年08月06日

[明月庵ぎんざ田中屋本店](銀座)

呑みどころ、そばどころ


「あそこは美味しいですよ」「評判いいですよ」と部下たちが口々に言う。「任せるよ!」の一言で今日の宴会場所が決まった。

メニューを見るとたくさんの酒の肴が書いてある。「お刺身も美味しいらしいですよ」の意見は却下した。わざわざ蕎麦屋で鮮魚を食べることもあるまい。あとは部下たちの言うがまま。

そば味噌、枝豆、旬の魚介の酢味噌和え

お通しはそば味噌。蕎麦屋らしくていい。枝豆は期待通りすぐに出て来た。冷えた枝豆を喜ぶ者もいれば、茹で立てでなければ美味しくないと言う者もいる。割烹ではないので大目に見ようじゃないか。

焼き穴子の胡麻和え、銀鱈、

焼き鳥、にしん

刺身を却下された者が、今度はにしんを頼んだ。そばにつきものの料理だから拒む理由はない。日本酒も1升近くが消費され、だんだんそばを食べる環境が整ってきた。

天婦羅盛合せ、野菜かきあげ

天婦羅盛合せは数種類あり、お好みで組み合わせてもらうこともできる。天婦羅の善し悪しは蕎麦屋の生命線でもある。天婦羅屋さん顔負けの美味しい天婦羅だった。評判がいいのも頷けた。

もりそば、そば湯

そばは二八。つゆは江戸風の濃く辛い銀髪好み。上質の鰹節を贅沢に使うと自慢するだけのことはある。そば湯の器も洒落ている。
何よりも良かったのは蕎麦アレルギーの部下のために、別鍋でうどんを茹でてくれたこと。客への思いやりは料理の質にも繋がる。店の歴史や評判を鼻にかけていないのがいい。

メタボが心配な部下たちが選んだ蕎麦屋だったが、結局は飲み過ぎ、食べ過ぎの晩餐だった。なかなか難しいものだ。

明月庵ぎんざ田中屋本店
東京都中央区銀座6-6-19
03-3571-8228

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2008年08月05日

[むつ湊](新宿歌舞伎町)

歌舞伎町に出来た新しい和食の店


以前書いた「彌次朗兵衛」が姿を消した。激励したつもりだったが、命を縮めさせたのではないかと気になる。店は大きく衣替えして見違えるような店内になった。料理人が3人、給仕係の女性が2人、店長らしき人を加えると堂々の布陣だ。

お通し、枝付枝豆塩ゆで

枝豆が茹でたてで出て来たので感心した。新しい店らしくまだ何となく浮ついた印象があったが、料理はちゃんとしているようだ。不安な気持ちが少し拭えた。

さんま刺身、白ミル貝刺身

「本日のおすすめ品」のメニューにはその日仕入れた素材の産地が書いてある。根室産さんま、富津産の白ミル貝、飯岡産の天然岩牡蠣を選んだ。

岩牡蠣、自家製胡麻豆腐

大きな牡蠣は食べやすいように縦に包丁が入れてある。胡麻豆腐も海老を乗せて美しい装いで洒落ている。リーズナブルな価格を考慮するとなかなかいい水準である。

ねぎま串焼き、つくね串焼き

焼物も悪くない。雰囲気は割烹とも居酒屋とも言い難い中途半端な店だが、料理はちゃんとしているし、ぎこちない女性店員(アルバイト?)も一生懸命で好ましい。このままで行けば人気店になるかもしれない。

オーナー経営者が店に居るようには感じられなかったので「チェーン店ですか?」と聞いたら渋谷に10年以上続く店が本店と言う。オーナー自らが毎日築地で魚を仕入れているそうだから悪い店ではないだろう。

かつて彌次朗兵衛は多くの客で賑わっていた。経営が変わったのか、いい場所のはずだが潰れてしまった。むつ湊は手頃な値段といい、味といい、歌舞伎町に集まる人たちに受け容れられる要素は充分備えている。ちょっと期待してもいいかもしれない。

むつ湊
東京都新宿区歌舞伎町2-10-5 G1ビル1F
03-3207-8488
http://www.foodsystem21.com

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2008年08月04日

[和楽](新橋)

豪快な活魚料理屋


数軒めぼしをつけて来たけれど、客の「この店良さそうだよ」の言葉に異を唱える勇気がない。結果がどうあれ相手の意向に従えば、こちらの責任は免除される。

店は満席に近く、奥のカウンター席の隅に入れられた。目の前は壁で、配膳のための小窓から鳩時計のようにときどき若い調理人の手が出て来るだけ。調理の様子を見ることはできない。メニューを見ても値段が入っていない。高級なのかと腰が引けそうだが、客層を見ると会社員風の若い人たちが多く、ちょっと不思議だ。

お通し、いか刺身

豆腐だけのお通しも素っ気無いが、大皿にいか刺しがドタッと出てきたのには驚いた。普通は曲げたり重ねたりするものだ。

さんまの刺身、岩牡蠣、枝豆

今年初物のさんまの刺身はイカよりも刺身らしく造られている。やれば出来るじゃないか。もっとも岩牡蠣はレモンを添えられているだけ。
枝豆は茹でたてのホカホカで出て来た。これは手間をかけている。こだわりは飾り付けではなく味にあるようだ。

かさご

デーンと出て来たかさごの活き造りにまたも驚かされた。これまでの刺身同様、刺身のつまは魚の敷物扱い。あまりの大きさに圧倒されるが、おこぜにも負けないかさごの上品な白身には満足した。

きんき

これも付け合せなしで魚だけが皿に出て来た。本当に潔い店だ。ここまで飾りを廃されると気持ちよくもある。相手はこの煮付けには我慢ならないらしい。水分が少ない濃い目の煮汁が好みのようで、ちょっと箸をつけただけで食べようとしない。きんきの煮付けが美味しい四谷にある店と比較にはならないと憤慨する。怒っても店を選んだのは貴方だよ。銀髪には悪いとは思えない。一人で頭から尻尾まで美味しくいただいた。

先ほどのかさごは味噌汁にしてもらった。刺身よりも白身が美味しく感じる。

日本酒もたらふく飲んで二人で約25,000円。かさごやきんきなどの高級魚を丸ごと食べてこの値段なら悪くない。若い客で賑わうのは納得である。飾りを排除したのがリーズナブルな価格に結びついているようだ。盛り付けに気を遣わなければ最小限の人手で多くの客に料理を迅速に送り出せる。つまの使い回しを疑う必要もない。

シンプルで潔い料理は評価しても良い。3~4人のグループにお奨めの店だ。


和楽
東京都港区新橋2-9-14 三浦ビル1F
03-3595-2187

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2008年08月03日

氷見うどん (富山空港)

日本三大手延べうどん


トップ3や三大〇〇となんでもかんでも上位3つを作りたがる。
うどんでは讃岐うどんがダントツで文句は出ないところ。他に地名がついた有名うどんには稲庭うどん、水沢うどん、氷見うどん、五島うどん、博多うどんなどがある。きしめん、ひもかわ、ほうとうなどもうどんの一種だから、候補に入れろと言う人も居るだろう。

氷見うどんを三つの中に選ぶためには手延べうどんでくくればいいことを思いついた。麺を竿にかけて引き延ばして適当な太さにする製法のうどんは、上記中の稲庭、氷見、五島の3つだけだから簡単だ。手延べと言えばそうめんを思い浮かべる。JAS規格では手延べうどんは直径1.7mm以上、そうめんが1.3mm未満、その間が冷麦と決められてある。

秋田県の稲庭、富山県氷見、長崎県五島列島と手延うどんの産地が全て日本海側というのも面白い。どこが元祖か分からないが、中国から伝わって北前船で各地に広まったという説に頷きたくなる。氷見のうどんは石川県の輪島から製法が伝えられたそうだが、輪島のうどんは廃れてしまった。

氷見うどんは富山空港にある麺処「とみいち亭」でよく食べる。普通のうどんもあるが、せっかく富山に来たのだからと割増料金を払って氷見うどんを食べることにしている。なぜ高いのか疑問だったが、手間暇かかる手延べであると知って納得した。もちろんブランド料も否定できない。

うどんもそーめんもコシを出すためには国内産だけでは難しいため、外国産小麦価格の高騰でどこも苦しんでいると聞く。ところが日本のうどんの起源を辿ると、遣唐使や弘法大師が中国から伝えたという説が有力。米国や豪州などから小麦が輸入されるずっと前からあった日本のうどんはコシのないうどんだったのだろうか。もともと国内産の小麦粉は麺類加工に適したものであるため「うどん粉」と呼ばれた。メリケン粉とうどん粉は違うものと言われる。いったい、どこで何が狂ったのだろうか。

外国産小麦粉が高騰したので各地の名物うどんが食べられなくなるかもしれないなんて、まったく不思議な国である。

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2008年08月02日

ラーメンの作法

正しいラーメンの食べ方

暑い真夏でもラーメンを食べたくなる。昔なら絶対避けるだろうが、今は冷房があるから安心だ。カウンターには既に食べ始めている先客が6人。左隣の女性は麺をレンゲに乗せて、湯気を吹き飛ばして口に運んでいる。女性特有の2段階の食べ方だ。ズルズルと音を立てるのはみっともないし、汁が飛ぶリスクも回避したいだろう。

女性の連れの男性を見て驚いた。女性と同じ食べ方をしている。女性を意識しているに違いないと自らを納得させた。右隣の男性は豪快に麺を口に運んでいる。ときどきレンゲを持ち、スープをすする。ちょっと安心した。

さらに右の男性を見てまた驚いた。2段階の食べ方をしている。その向こうの男性も同じ手法。一番奥の男性は1段階。なんと6人の内、1段階の丼から直接食べるズルズル派は2人で少数派なのである。銀髪がズルズル派に加わってもまだ勝てない。

銀髪を含めてズルズル派はみんな50歳超で、若者たちはレンゲなしではラーメンが食べられないようだ。2段階の手間を踏むので、当然のことながら食べる時間が増える。客の回転が鈍り、暑い店外に列が出来る。

日本のラーメンは屋台から始まった。左手で丼を持ち上げ、箸を使う度に丼と口の距離を調節する。犬食いに見えないようにバランスを取るのが重要だ。これはなかなか女性には難しい作業だろう。

レンゲを使うのが一般的になると、スープの中に沈まないようにレンゲの形状も進化した。女性がラーメン好んで食べるようになると、食べ方まで変わってきた。名作映画「たんぽぽ」の故伊丹十三監督が見たら嘆くだろう。

立小便が出来ない子供が増えたと先日テレビでC.W.ニコル氏が嘆いていた。自宅に男性便器がある家は都会では殆どなくなってしまった。トイレは小さくなり窓のない密室になった。
昔、福岡に住んでいた子供の頃、夜中に寝ぼけてお座敷の白壁に立小便して大目玉を喰らったことがある。「トイレが汚れるから座っておしっこしなさい!」と怒られる子供たちが可哀想だ。もっとも、お父さんも同じように怒られているらしいけれど…

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2008年08月01日

[酉十郎](渋谷)

水炊きを安く食べられるお店


スペイン坂近くの渋谷は若者で溢れていた。人混みを見ているうちに、入れる店があるかどうか焦ってきた。5分ほど歩き、「美味しくて、リーズナブルで、大人の店」の条件に合いそうな店を見つけた。名前からして子供が来そうにない店だ。

階段を上がり、店に入って予想以上に閑散としているのに驚いた。意外に広い店内に先客は1組だけ。「今週から会社員は夏休みにはいったのでしょう」と店員はのん気だ。焼き鳥でも食べようと思って入ったが、お奨めは水炊きとのこと。冷房が効いた店内なら熱い鍋も問題ない。

お通し、とりわさ、茶豆

鍋を始める前に鳥皮のお通しだけでは寂しいので、とりわさと茶豆を頼んだ。鳥皮と茶豆はよく冷えていた。冷蔵庫で出番を待っていたようだ。半分食べたところで鳥皮は鍋に入れることに決めた。とりわさも余ったら鍋行きと決めていたが、なかなかいい味だったので食べつくした。

水炊き

大山地鶏を8時間煮込んで作ったというスープは近くの「華善」よりも濃厚に見えた。コラーゲンを鍋に入れると瞬く間にスープに溶け込んだ。スープに京都の黒七味を入れるだけで美味しく飲める。塩味がついているようだ。

具は華善より貧弱だ。華善では女性店員が鶏のつくねを目の前で作ってくれるなど上々のサービスだったが、酉十郎では期待を裏切られた。華善の3分の2の値段では具材の質量と共にサービスが劣っても仕方がないかもしれない。

最後に雑炊用のご飯を貰った。女性店員が水洗いしたご飯と生卵をテーブルに置いて無言で去って行った。こんな時、女性が居たら料理上手をアピールできるチャンスだが、その役目は銀髪に回ってきた。上手に出来て自画自賛だったが、喜ぶべきか悲しむべきか。

勘定をする際に「鍋はいかがでしたか?」と店長らしき男が笑顔で聞いた。「美味しかったよ」と答えたものの、未だに満席には程遠い店内にもかかわらず、手持ち無沙汰そうに立っている店員への不満は飲み込んだ。

送り際に見せた店員たちの笑顔は善人そのもの。華善のようにコンサルタント会社に運営委託すれば、見違えるような店になるに違いない。サービスの何たるかを学べば、笑顔はもっと輝くだろう。客が喜べば、アルバイトだって仕事が楽しくなるに違いない。

酉十郎
東京都渋谷区宇多川町12-7 エメラルドビル2F
03-3464-1016

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