何とも落ち着くベタな居酒屋
「ここでいい」と言われて目を疑った。そこまで遠慮してくれなくても良さそうだと思うのだが、顔を見ると冗談でもなさそうだ。「本当にここでいいんですか?」と聞くと、笑顔で頷く。相手がいいなら是も非もない。望むところだ。
最近の居酒屋は若い女性客なしでは成り立たなくなっているが、ここは違う。店内に女性は一人だけ。おじさんたちの顔は赤く、身体はだらしなく傾いている。まだ7時だというのにすっかり出来上がっているおじさん二人組みと相席することになった。8人掛けの大きなテーブルなので狭苦しいことはない。ビールで乾杯し、料理が到着すれば他の客の姿は視界から消える。
お通しのひじきを食べて「お腹が空いてるから美味い!」とのたまう。“お腹が空いてる” は余計だと文句を言いたくなるが、はまちやさんまを食べても「お腹が空いてるから美味い!」と繰り返す。店の人に聞こえそうでハラハラする。
「お腹が空いているから美味い!」と焼き鳥を食べても同じ台詞が出て来る。ボキャブラリーが少ないのか、馬鹿にしているのか分からない。それでもいい食べっぷりを見ていると楽しくなる。
カキフライは、ジューシーで火傷しそうになった。ぼちぼち牡蠣を食べる季節になってきた。クーラーなしでも寝苦しくはなくなった。天高く馬肥ゆる秋の到来である。
シロは美味しいと言ってはくれなかった。豚の臭みは受け容れ難かったようだ。銀髪が苦もなく平らげるのを不思議そうに見ている。
磯辺揚げは気に入ったようだが、“お腹が空いてるから”という台詞は既に出なくなっていた。ぼちぼちお開きにしてもよさそうだ。
久し振りのおじさん向け大衆居酒屋は楽しかった。条件付ながら美味いを連発してくれたし、酒も安いので懐にもそれほど響かない。安い店で喜んでくれたら、もっといい店に連れて行きたくなるから不思議だ。今度はちょっと高級な店に行こう。“お腹が空いてるから”は取っ払ってくれるかもしれない。
庄助
東京都新宿区歌舞伎町1-11-6 扇園ビル1F
03-3200-6056
投稿者 銀髪 : 2008年09月19日 07:38
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