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2008年11月30日
[大福うどん](博多駅)
博多うどんの主役はごぼうの天ぷら

博多うどんの御三家を勝手に決めさせてもらうと、かろのうろん、因幡うどん、そして大福うどんである。このうち2軒が博多駅ビルにある。
因幡うどんは本店だけでなく駅ビル店にも何度か足を運んだ。いつも混みあっているが、料理が出て来るのも食べ終わるのも早いので時間がないときには重宝する。ごぼ天うどんといなり寿司を頼んだ。

食べ始めるとすぐに衣はバラバラになりゴボウが独立する。久し振りに食べたのでごぼ天は切り方だけでなく存在感の薄さも気になった。博多うどんの代表と言えるごぼ天だが、店によって大きく異なる。
東京駅八重洲地下にある博多うどんは、細く刻んだごぼうを揚げている。ごぼうの切り方だけでなく、衣のつけ方も各店異なる。かろのうろんは円くまとめてきれいだ。明治の創業だからこれが本物かな?
日を変えて、大福うどんに行った。昭和25年創業というから因幡うどんより1年古い。銀髪の記憶の中には因幡うどんと「えいちゃんうどん」しかなかったが、大福うどんも子供の頃に行ったことがあるかもしれない。

大福うどんのごぼ天は立派だった。薄く切らずにごろんとしている。柔らかく煮込んであるので食べやすい。ゴボウ使用率は因幡うどんの数倍あり、お得感がある。
他の材料に金を使っていると言われても、ごぼうの存在感のお陰で大福うどんの方に軍配を上げてしまう。
大福うどん本店ではうどんすきをメインにしているらしい。フニャフニャの博多うどんが鍋料理に向くのかとても興味がある。
博多うどんの店の中で一番ごぼうが大きかったのに釣られて、本店のうどんすきも食べたくなってしまった。あまりの単純思考にちょっと恥ずかしい気はするけれど。
大福うどん
福岡県福岡市博多区
博多駅中央街1-1JR筑紫口ビル104
092-441-6628
http://www.daifuku-udon.com
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2008年11月29日
静岡のお土産
富士宮やきそばと静岡おでん

静岡は新幹線が1時間に2本しか止まらない意外と不便なところである。東京行きひかり号が毎時36分発、こだま号は48分発と偏っている。こだま号に乗り遅れてしまい次のひかり号まで長時間待たなければならなくなった。仕方なく、土産物屋で時間をつぶすことにした。
うなぎパイ、わさび漬け、桜えび、干物各種、悩んだ末にいつもの商品に落ち着いた。静岡おでんに富士宮やきそばを2種類ずつ買った。
富士宮やきそば

マルちゃんの静岡限定販売カップ麺は200円。もう一つは何と420円もする高級カップ麺で普通なら絶対買わない。食べ比べてみると、420円の方が圧倒的に美味い。生麺に近い食感だし、レトルトに入った具の味付けも悪くない。しかし、値段を言ったらみんな驚いた。
「生麺を買って来て自分で作ればー」と素っ気無い。「インスタントの方が楽じゃないか」と言うと、「どっちみち作るのはお父さんだから」と突き放された。
静岡おでん

缶詰のおでんが367円で、海ぼうずの方が680円。具は海ぼうずの方が立派。汁は缶詰の方が好きかも。味見の後は2種類を混ぜ、大根とゆで卵を加えて煮込んだ。富士宮焼きそばも静岡おでんも何度も食べたが、残念ながら感動の品に会った事がない。
もっとも、立ち食いの店やお土産物で評価してしまうのは申し訳ない。評判の高い店でしっかりしたものを食べなければならない。
問題は誰と行くか。部下ですら河豚や蟹の時と違って、誘ったら落胆した顔を隠さない。
一人でぼそぼそと食べても何の問題もないけれど…
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2008年11月28日
過門香 (銀座)
豪華に見えるけどリーズナブルな中華料理店

過門香は東京駅丸の内トラストタワー店に行ったことがある。高級感のある店内ながら、リーズナブルな値段で飲み放題もついて大いに楽しんだ。
今回部下が「美味しいですよ!」とアレンジした店は銀座店だった。銀座と言っても柳がため息つく一丁目は銀座のイメージからちょっと外れる。古い重厚な感じの建物の地下にある割には、モダンで広く明るい店だ。
焼物3種盛合せ、焼餃子、上海小龍包、

海老入り棒春巻き、海老蒸餃子

酢豚、鶏肉の四川辛子炒め、麻婆茄子

揚げパン、デザート

メニューは豊富だ。フカヒレ、鮑、北京ダックなどの高級素材を使った料理もたくさんあるが、総勢10人の宴会でそんなものを頼んだらいくらかかるか分からない。銀髪より部下たちの方が分別があるので、オーダーを任せた方がいい。案の定、馴染みの料理ばかりが並んだ。
食べ慣れないものを頼むと、みんな評価に苦しむ。高級過ぎても猫に小判。餃子や麻婆豆腐なら、経験豊富なのですぐに好き嫌いが言える。誰もが満足したようだ。
中国人の女性店員に料理のアドバイスを求めたのは、単に話がしたかっただけのようだ。追加オーダーの度にちょっとからかって喜んでいる。まあ、これはこれで楽しい食事に一役かったことは間違いない。
店を出る際に「この店はいつできたんですか?」と聞いたら、8年前と言うのでちょっと驚いた。しかも銀座が一号店。老舗の風格すら抱かせる過門香だが、意外と新しい店だ。もっとも、「土風炉」「十割そば 鳥元」などを擁する大レストラングループの系列と聞けばなるほどと頷ける。
変わった料理を食べられなかったのが残念だったが、他の連中はみんな満足したようだ。もちろん銀髪も満足した。支払いが少なくて済んだ事に。
過門香 銀座店
東京都中央区銀座1-10-6銀座ファーストビルB1階
03-3563-7900
http://www.ramla.net
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2008年11月27日
[松木家](渋谷)
渋谷で老舗の東京風すきやきを

道玄坂を上がり交番前から右に折れて神泉方向に少し歩くと右手に松木家のビルがある。通りから見えるのはショットバーで、短い階段を上がってドアを開くと店の右手がレストランになっている。奥の座敷席は宴会客で一杯。我々はテーブル席に案内された。
「すきやきとしゃぶしゃぶ、どちらがお奨めですか?」と仲居さんに聞いても、「お客様のお好みですから」と言われると会話はどうどう巡りするだけ。甘いのが苦手な銀髪でも、隣のテーブルから流れてくるすき焼の匂いに気持ちが乱される。箸袋を見たら松木家の上に「すきやき」としか書いていないので、すきやきに決めた。
前菜

「上すきやき」と告げると、仲居さんはすぐに引っ込んでしまった。牛肉料理以外にも料理はたくさんあり、すきやきの前に何か頼もうと思ったのに肩透かしを食った格好。戻ってきた仲居さんの手には料理が2品。メニューを見直すと、7,000円の上すきやきには前菜とデザートがついていた。これだけで充分だ。

立派な霜降りの近江牛がやってきた。料理はすべて仲居さんがやってくれるので楽チンだ。卵はこだわりの栃木県矢板産。「箸で持ち上がるんですよ」と言われても、ちょっと遅かった。既にかき混ぜてしまっている。しかし、美味しい卵であることはよく分かる。肉と卵のハーモニーが抜群。すきやきにして本当に良かった。実に美味い。
「この店はいつからやっているんですか?」と聞いたら「120年以上前です」と言うので驚いた。渋谷の現在地に移転してから既に70年、元は浅草にあったそうだ。
ますます、すきやきにして良かったと思った。松木家の看板料理は昔からすきやきで間違いない。しゃぶしゃぶは大阪の永楽町スエヒロ本店の先代店主が昭和27年に考案したものらしいから、60年足らずの歴史しかない。

ごはんかきしめんかを迷ったが、きしめんにして正解だった。鍋の残り汁をタップリ吸ったきしめんをこだわりの卵につけて食べて大満足。でも、次回はごはんに乗っけて食べてみたいかも。
日本酒の品揃えも良く、食べ終わったらバーに移ってもいい。なかなか美味しい松木家だった。
松木家
東京都渋谷区円山町6-8
03-3461-2651
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2008年11月26日
[おかめ]②(築地)
お座敷天麩羅

「今度は私がアレンジしましょう」とOさんが言った。何度か食事会をしていると、必ずそんな声が出て来る。贔屓にしている店に案内して喜んでもらいたい。そして、ちょっぴり自慢したいというのはよく分かる。銀髪は今度が2回目。やはりOさんに連れて行ってもらった。
予約の時間に店に着くと、扉の向こうでガチャガチャと鍵の音がした。通りすがりの客が入って来ないようにぎりぎりに店を開けると言う。2部屋しかない小さな天麩羅屋の外観は巨匠小津安二郎が愛した頃のままだという。
京都産茶豆、ほたてひも、愛知県産天然ふぐ

ふぐが出てきて驚いた。愛知県産の天然とらふぐは下関南風泊(はえどまり)市場を通さず安く仕入れたそうだ。肉厚に切られているので噛み応えがあり味が深い。
オーストラリア産アスパラ、天草車海老、ベビーコーン、松島産鯊

アスパラは季節が逆のオーストラリア産が旬。ベビーコーンはわざと焦がすぐらいに揚げてあるので香ばしい。
雌株、京都産茄子、メゴチ、帆立

玉子&佃煮、ミョウガ、鱧、万願寺唐辛子

穴子、トマト、漬物、かき揚げ茶漬け、

綿実油100%で揚げているのでいくら食べても胃は重くならない。パプリカなどちょっと他ではないようなものも揚げてくれる。デザートはパイナップルだった。先代から続く店なのに、勉強家の2代目店主は伝統にこだわらない。寿司など他のジャンルの職人を呼んで腕を磨いたそうだ。
みんなが注目したのが天麩羅を揚げる太い箸。天麩羅に花を咲かせふっくら仕上げるのに最適とのこと。感心していると先代が遺した箸を見せてくれた。孟宗竹の箸は使い込まれて細くなっている。

先代を誇らしげにしている店主の顔がなかなか良かった。
前回訪問の記事→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/03/post_159.html
御座敷天ぷら おかめ
東京都中央区築地2-12-2
03-3541-2288
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2008年11月25日
[ジャーメジャム Jame Jam] (阿佐ヶ谷)
初めてのペルシャ料理、かな?

「お客さん、是非食べに行ってください」 タクシーを降りるときにチラシを渡された。家に着くまで寝ていたので運転手さんとは殆ど会話をしていない。「知り合いのイラン人がやってる店です」と熱心だ。必ず行くと約束して車を降りた。
それから数ヶ月、チラシは鞄の中で眠っていた。偶然ホルダーの奥に隠れているのを発見したので行くことにした。南口を出てしばらく歩くと賑やかなアーケード街からどんどん離れていく。30年以上前、大学の友人たちとしけた屋台で飲んだことを思い出す。
わざわざ予約をしてきたけれど、カウンターに女性客一人だけと寂しかった。イラン人オーナーの助けを借りて、料理を選んだ。
前菜盛り合わせ、ピタパン

ひよこ豆、オリーブ、ヨーグルトで作った練り状のものをピタパンに乗せて食べる。ペルシャ料理といってもチュニジア、ギリシャ、トルコ、イスラエルなどの地中海料理とあまり変わらない。ちょっと拍子抜け、ちょっと安心した。
日本の生ビールを飲んで、トルコやレバノンのビールに行こうかと迷った末に、リキュールを飲むことにした。Yeni Raki(トルコ、45度)とKsaraku(レバノン53度)を飲み比べした。アブサンと同じ薬草系の味がする。しばらくストレートで飲み、飽きたところで水を入れた。アブサン同様に白濁するのが面白い。もっとも日本人が好んで飲む酒には思えない。変わり者の銀髪ぐらいだろう。
グービーデ・キャバーブ(ラム、チキン)

これも地中海料理の定番。ミンチ肉に香辛料を混ぜて焼いたもの。インド料理屋のケバブに似ている。イラン人に言わせれば古代ペルシャ帝国が近隣諸国を占領したことにより広まった料理で、ペルシャ料理がトルコ料理やインド料理などの起源とのこと。
店内にはオーナーのモーセンさんがNHKの衛星放送に出演した番組が流されていた。日本人の奥さんと、子供の名前がメニューの片隅に記されている。モーセンさんの優しい人柄がよく分かる。タクシーの運転手さんが応援したくなるもの頷ける。
開店してから1年半。水たばこが飲め、毎週土曜日にはチャージなしでベリーダンスも見ることができる。
モーセンさん、頑張ってね!
ジャーメ ジャム Jame Jam
東京都杉並区阿佐ヶ谷南2-20-7
03-3311-3223
http://www.jamejam.jp
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2008年11月24日
[すが井](仙台)
牛タンだけではない、宮城県の名物料理

仙台駅を出て歩道橋を渡り、ハビナ名掛丁横丁(アーケード)を歩いた。「来る度に牛タンではつまらないなー」とキョロキョロしていたら、穴子料理の写真が貼られた立て看板が目に入った。そう言えば、松島は穴子の産地だったはずだ。カキフライの写真にも目を奪われた。迷ったけれどにもう少し歩くことにした。
再び穴子料理の看板。よく見るとこれもすが井である。「本店」の文字を確認して行くことに決めた。路地を入ったところにある本店すが井は居酒屋ながら老舗の雰囲気がある。正面にテーブル席、右側に掘り炬燵式の座敷、左側のカウンターの壁にはたくさんの料理の紙。ウーン、夜に来たい雰囲気だ。
穴子丼

濃い目のタレがしっかり乗った穴子丼がやってきた。寿司屋のつめより尚濃い。再びカウンターの上の壁を見ると、穴子料理は刺身から始まってなんと15種類もある。東京の穴子専門店でもこれほどの種類は見た事がない。穴子餃子まであるのだ。
カキフライ

単品でカキフライも頼んだ。何もつけないで口にすると部下が驚く。「牡蠣の味で充分のはずだよ」と言うと、部下も真似をする。「本当ですね!」とさっきより大袈裟に驚く。結局二人とも、タルタルソースも濃厚ソースもつけないで食べきった。
大学生のとき、真冬に松島に行った。仙台駅前の観光案内所で民宿の紹介を求めたが、電話番号を渡されて自分で予約するように言われた。牡蠣漁の最盛期なので普通は客を取らないのに赤飯を炊いて待っていてくれた。30年以上前とはいえ、3,000円の宿泊料金で丼一杯の生牡蠣を含む牡蠣尽くしに鯛など海の幸満載の歓迎振りで感激したことを思い出す。
松島ははぜの産地としても有名だ。すが井のメニューにもはぜの天麩羅が載っていた。料理の写真を撮っていたら、店の女性が店の案内を持って来てくれた。地酒なども豊富に揃えているようだ。
ランチだけではもったいない。夜に来たい店である。
本店 すが井
宮城県仙台市青葉区中央1-8-21 朝日屋ビル1F
022-263-1854
http://r.gnavi.co.jp/t094400
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2008年11月23日
越前かに・魚問屋 田村屋
福井から越前かにが届いた


福井駅構内の蟹屋に入ったことは前に書いた。たくさん並んでいる蟹を見て迷うと、赤いエプロンの若い女性が、足が欠けたりしている訳ありを買えば数千円は安くなることなどを丁寧に説明してくれる。大人の家族4人なら1万円前後のオス2杯と千円ぐらいのせいこ蟹(メス)を人数分買うことを勧めてくれた。散々意見を聞いた挙句「15,000円のオス1杯と、2,000円のメス2杯にしよう!」と言うと「エッ!?」と彼女は驚いて、ちょっと不満気だった。

届いた蟹の重さを量るとオスが1㎏弱、メスが250g強だった。せっかく買うなら身が厚い出来るだけ大きなオスがいい。卵(内子、外子)が美味しいと言ってもたくさんはいらない。

自分の選択は間違いではなかった。オスのみそもメスの卵も充分な量だった。腹の身を家族が食べている間に、出刃包丁で足の身を出しやすいように調理した。

「蟹を買って来て、料理までするんだから、お父さんは偉い!」と言うと、「それを言わなければいいのにね」と娘たちは冷たい。それでも「こんなに美味しい蟹は久し振りね」と幸せそうな顔を見れば、嬉しくなる。
オスの足やつめは家族に譲って、銀髪はみそ、卵を食べ、メスの身をほじくりながら日本酒を飲んだ。食べ終わった殻を茹でてだしを取り、白菜や豆腐を加えて鍋にした。最後に雑炊にするつもりだったが、汁を数杯飲んで皆が満腹になった言う。いつも存在感があるテレビも今日は音を出すだけの箱に過ぎず、会話が弾む楽しい食事になった。
高い蟹も外食することを思えば安いものだ。子供が大きくなって休日でも全員揃うことが少なくなったが、蟹の力は絶大である。「今日は上海蟹だぞ!」「明日、越前蟹が届くぞ!」と言えば、急いで帰ってくる。
長女を待って8時半に始まった食事は10時過ぎまで続いた。
田村屋 JR福井駅プリズム福井店
本店 株式会社 越前水産
フリーダイヤル 0120-89-0015
http://www.echizengani.co.jp
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2008年11月22日
[たかた](富山)
地元の常連さんに愛される店

「軽く行きましょう」とお猪口を口に運ぶ手振りをする。他に言葉は要らない。地元のAさんの傘に入り、歩を合わせる。全日空ホテルから歩いて数分、店の前で「アチャー、休みか!」とAさんが呟く。「どこでもいいから入りましょう」と銀髪。天気予報では夜半に雪に変わるかもしれないという氷雨。最終便に乗るためには、時間の浪費も避けたい。
酒呑みAさんの嗅覚を信じ、「たかた」に入った。左にカウンター、右に掘り炬燵式の小上がり、奥には個室があるという。ちょっと考えたが、時間もないのでカウンターにした。
大将がネタケースの氷を掻き分けると、魚が出てきた。電気を通すより魚が乾燥しないでいいと笑う。「7時10分の飛行機に乗る」と言うと、すぐに女将さんがタクシー会社に電話してくれる。Aさんの嗅覚は間違いなかったようだ。
あん肝、刺身盛合わせ

「写真を撮っていいですか?」と聞くと、「こんなもの恥ずかしい」と女将さんが照れる。大将が笑う。「なかなか美味しい。悪くないよ。」
「地物中心で」と頼んだ刺身。メジマグロ、シマダイ、甘海老、つぶ貝。「しまだい?」と怪訝そうな顔をすると「石鯛の子供です」と入り口の生簀で泳ぐ魚を指す。「ヘー、そーなんだー!」地元のAさんと一緒に感心する。
白海老天麩羅、黒作り

富山名物と言えば白海老と黒作りは欠かせない。驚いたことに今まで食べた白海老の中で一番美味い。サクッと揚がって酒の肴にはもってこいだ。
「黒作りも自家製ですか?」と尋ねたら「この輝きは出せません」と女将さん。
Aさんと銀髪にとってはこれで酒の肴は充分。下戸の部下だけあれこれ食べている。
奥の部屋に4人組、銀髪の右横にカップルがいる。さっき女将さんが電話予約を受けていたのでこれから賑やかになる。誰もが常連客のようだ。開店から38年、地元の客たちに支えられてきたのがよくわかる。
タクシーが迎えに来た。車に乗り込んで見送りに出てきた女将さんに声をかける。「美味しかったよ、大将にもよろしく!」また一つ、いい思い出ができた。
割烹 たかた
富山県富山市総曲輪3-2-6
22-2686
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2008年11月21日
[北のおやじ](福井駅)
回転寿司でも蟹が食べられる

福井に到着したのは夜10時過ぎで、ただ寝るだけだった。翌日昼過ぎには富山に向かう。越前カニを食べるチャンスは昼飯しかない。駅ビルを歩いていたら蟹専門店を見つけた。店に入ると若い女性が寄って来る。「駅の中で蟹を食べられるところはない?」と聞いた。
「それなら、回転寿司がいいですよ。蟹の絵が出てましたから」と嫌な顔一つしないで親切に教えてくれる。ついでに店に並ぶ蟹の説明を聞いていたら、買うつもりはなかったのに、結局買ってしまった。たちまち財布が軽くなった。
回転すし屋の入り口に生簀があり、蟹がたくさん入っていた。「この蟹を食べられるの?」と聞いたら、「はい、買ってきます」と言う。部下と二人で???と怪訝な顔をする。カウンターに座って待っていると、店の前の魚屋から買ってきた茹でかにが出てきた。

越前ガニ(オス)ではないが、雌のセイコ蟹を一杯ずつ食べた。外子、内子、ミソが美味い。もちろんビールを頼んで、思いがけない立派な昼食になった。因みに蟹は一杯1,000円。大型のオスに比べると小さいが、安くて卵も食べられるので地元の人はセイコを好む。
「ブリも食べてくださいね」蟹屋の女性のことばを思い出した。トロぶりと書いてあったが、まだ脂の乗りは薄い。これから寒くなればさらに美味しくなるだろう。
ブリ、焼き鯖

福井名物の焼き鯖。ノルウェー産だろうか。日本への輸出のお陰でノルウェーの漁師が潤っていると先日テレビで紹介していた。身の厚さとお値段からして国産とは思えない。
中トロ、穴子、いくらと部下が回転台から取るのを見ていた。ビールを飲まない彼は、銀髪に遠慮する気なんかまったくなさそうだ。子供のように目が輝いている。
食べ終わって再び蟹屋に行った。さっきの女性に「美味しかったよ、ありがとう」と声をかけた。「ブリも食べましたか?」と言うので「もちろん」と微笑んだ。彼女は銀髪よりさらに大きな笑みを返してくれた。
北陸漁港 北のおやじ
福井県福井市中央1-1-25 JR福井駅構内プリズム福井内
0776-28-5550
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2008年11月20日
[ガンボ&オイスターバー](八重洲)
野郎二人でオイスターバー

夜間に移動して朝から仕事をさせる。そんな計画を平気で持ってくるのが我が社の部下である。管理職は人気商売と悟っている銀髪は断れない。発車時刻までの短い時間、夕食をする場所に選んだのはオイスターバーである。
ガンボ&オイスターバーの八重洲地下街店は初めてだが、新宿ルミネエスト店には行ったことがあるので部下の前でも戸惑うことはない。嬉しいことに生牡蠣セットが半額。6個セットを2つ頼もうとしたら、多すぎると部下からストップがかかった。渋々8個セットを1つ頼んだ。

レモンの右から北海道厚岸、北海道仙鳳址、米国ワシントン州パシフィックオイスター、アイルランド産パシフィックオイスターの4種類8個。8種類かと思っていたのでちょっと意外だった。6個セット二つなら同じ種類を2個ずつ食べなければならなかった。二人で一個ずつの8個セットは結果オーライだった。牡蠣に合うという店オリジナルの黒ビールを飲んだ。
カキフライ、バター焼き

数年前に閉店した神保町のバラライカのランチで出るカキフライは的矢の牡蠣だった。生で食べられるものの、鮮度が少し落ちたものを使っていたと思う。もしかしたらここのカキフライもバラライカと同様に殻から剥いたばかりの高級牡蠣をフライにしているのかもしれないと期待した。
「アッチチッ!」と大袈裟に口を歪める部下を見て笑った。「アッチチッ!」と今度は銀髪が慌てる番だ。熱い汁があふれ出して来たが、何とか我慢して口の中に止めた。期待に反して生食用のメニューには載っていない広島産の牡蠣だったが、フライには肉厚の広島産や岡山産の方が向くようだ。とても美味しかった。

メニューの中で食べ残した生牡蠣を頼むことにした。岩手県大槌産と南オーストラリア産ストリーキーベイ。最初は6個も食べられないと言った部下に、お義理で「食べるか?」と聞いたら予想外に首は縦に動く。再び仲良く2個ずつ食べた。「オイスターバーは初めてです」と喜ばれたら悪い気はしない。
慌しい食事だったが、男二人のオイスターバーも悪くない。ニューヨークやパリではごく普通の光景だろう。普通でないのは銀髪の目の前の男が飲んでいたのがウーロン茶だったことだ。出発時間が近づく。スパゲッティにくらいつく部下を、ワインを飲みながらじっと待った。
ガンボ&オイスターバー 東京駅八重洲地下街店
03-5201-7888
http://www.oysterbar.co.jp
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2008年11月19日
[コール・ド・ルージュ](赤坂)
カジュアルな赤坂のマキシム

自他共に認める天邪鬼。話題の赤坂サカスなんか行くもんか、と思っているうちに時が過ぎた。マキシムの銀座本店から赤坂店に異動になった店員に「必ず行くからね」と約束したことは、ずっと気になっていたけれど…
赤坂でふぐでも食べようかと歩いていたらきらびやかな建物が目の前に現れた。「これが赤坂サカスか」と好奇心で目を輝かせているとワインバーから声がかかった。ワイン好きの相手をおだてると、簡単に宗旨替えをした。

ビールで喉の渇きを癒やした後、ワインに取り掛かる。ワインメニューは遊び心があって実に面白い。グラスの足に上の写真のような名刺大の札が掛けられている。もちろん、記念に持ち帰ることが出来る。
生ハムサラダ、バーニャカウダ

カジュアルな店に合わせて気楽な料理を頼んだが、思ったより美味しい。バーニャカウダのソースを余らせてはもったいないので頼んだパンが、滅茶苦茶いけると連れが感激する。
パン、牛肉のカルパッチョ

肉に合わせてちょっと高めの赤ワインを頼んだ。食べながら、飲みながら、話しながら、ワインリストを何度もめくる。オーパスワン、ラトゥール、ムートンなど後ろのページになるほど高級になり、100万円弱のロマネコンティまである。
赤坂でこんな高いワインを飲む客がいるのだろうか。湧き上がった好奇心に突き動かされて一番利発そうな店員をつかまえた。「赤坂にも私が勤めていた銀座の店以上のお客様がいます。恐るべし赤坂ですね」と言う。「銀座のどこに勤めていたの?」「マキシムです」「エッ!?」と名札を見る。何と「必ず行くからね」と約束した落合さんである。いや、落合君と呼ばせてもらおう。実に気持ちのいい若者である。
「入店されたときから分かっていました」と言われたら会わす顔がない。自分から声をかけるのは失礼だと思い遠慮していたとのこと。「カジュアルなユニフォームなので見違えた」と言い訳した。それからの会話の楽しかったこと。2階のレストランも見学させてもらった。
高級ワインがあるのも、パンが美味しいのもマキシムの支店なら不思議ではない。コール・ド・ルージュは銀座のマキシムの水準を求める客には物足りなく、赤坂の若い客には高すぎるかもしれないが、これからどのように折り合いをつけていくか楽しみではある。
何の気なしに入った店に落合君がいた。神様の存在を信じてもいいような気がした。
コール・ド・ルージュ
東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー マキシム・ド・パリ1F
03-5545-4505
http://www.maxim-s.co.jp
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2008年11月18日
[へぎそば 匠](渋谷)
身体にいいそばでも飲みすぎにはご注意を

出張続き、運動不足、魚が美味しい冬。体が重くなってくると、蕎麦屋に足が向く。へぎそばの店なら新潟の美味しい日本酒も飲める。
階段を下りて店に入る。カウンターに座ってメニューを開く。そこで初めて四谷三丁目の匠と同じ系列の店と気付く。3年間で約900軒も行けば忘れてしまう店もある。まして、渋谷の匠の内装、雰囲気、客層は四谷とは全く違っていた。
お通し、生牡蠣、栃尾の油揚げ

四谷は昔ながらの居酒屋風で年配の女性が注文を取りに来るが、渋谷は今風の居酒屋で男性店員のユニフォームも決まっている。ところがメニューに並ぶ料理は殆ど一緒。「お奨めは?」と聞くと「栃尾のジャンボ油揚げ」と言うのも同じ。
そばチヂミ、そばコロッケ、ぎんなん

四谷になかったメニューはそばチヂミ。そば粉を使うならガレットと呼んだ方が良さそうだが、チヂミの方が一般受けするのだろう。ガレットはそば粉のクレープとも言われる。いつまで経っても本名で呼んでもらえない可愛そうな食べ物だ。ネギが入ったそばチヂミはなかなか美味しかった。
のっぺ、へぎそば

最後にへぎそばを食べると決めているのでお腹はこれ以上膨らませない方がいい。メニューを吟味した上で、結局のっぺを食べることにした。四谷で越後ののっぺは汁がないことを教わった。箸の使い方を判別できるような料理は食べ過ぎることがなく、日本酒の肴にはうってつけである。
そばのつなぎに海草(ふのり)を使ったへぎそばは、コシがあって美味しい。四谷より小さいへぎ(木の器)があるのもカップルが多い渋谷ならではのサービスかもしれない。
できるだけ肉類を避けたので胃は重くないが、日本酒を飲みすぎて頭が少し重い。反比例して口が軽くなる。自己制御は本当に難しいものだ。
へぎそば 匠 渋谷文化村店
東京都渋谷区道玄坂2-23-14 道玄坂225ビルB1
03-5784-6680
http://www.takumi-hegisoba.net
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2008年11月17日
[江島]②(銀座)
今年も江島で松葉ガニ

「どこに行きたい?」と問われて「どこでもいいですよ」と答えながら、彼を常連としてもてなす数店を思い浮かべた。毎日違う店を探さなければならない銀髪にとっては羨ましい限りだ。再び電話が鳴り「江島を予約したぞ!」と言われほくそ笑んだ。店を指定するほどあつかましくはないが、望んだ店と一致した。
今年の松葉ガニ漁は11月6日に解禁された。日本海で獲れるズワイガニは松葉ガニ、越前ガニ、加能ガニと産地により呼び名が違うが、どれも食通垂涎の高級品である。地元の料理屋でも予約なしでは食べられないが、江島にはこの日2杯入荷していた。食べる人が決まらずに仕入れるとはさすが銀座である。

船のタグがついた約1kgの松葉ガニのお値段は2万8千円。江島では主に鳥取県、兵庫県から仕入れているそうだ。茹で上がるまでサラダなどを食べて酒を飲んだ。主役が来るまで腹は空かせている方がいい。

ミソをたっぷりと甲羅に乗せて松葉ガニがやってきた。スプーンでミソをすくって食べる。日本酒を飲む。もう一度ミソを。そして日本酒を口に運ぶ。
足を取って身を引き出す。ハラリと身が抜ける。口に入れるとほんのり温かく甘い。
いつもは苦労する甲羅の中の身も、簡単に取れる。かに酢も用意されているが、つける気にはならない。蟹を食べるときは身を取り出すのに無口になるが、今日は美味くて声が出ない。

蟹だけでは物足りないと思ったのか、和牛の鉄板焼きも頼んでくれた。江島はしゃぶしゃぶなどの和牛料理も自慢するが、活松葉ガニとの勝負では分が悪い。
考えてみれば、蟹は安いかもしれない。2人で分け合い、他に数品頼めば腹は満たされる。最高級の天然ふぐコースを食べたら一人3万円は下らない。白子を食べ、ひれ酒を飲めば4万円になる。松葉ガニを食べ、甲羅酒を飲む方が遥かに安い。
3月の漁が終るまでに何度食べられるだろう。もしかしたら今シーズンはこれが最初で最後かもしれない。感謝感激雨あられである。
江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/
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2008年11月16日
[ランチョン](神保町)
思い出は思い出のままがいい?

12時過ぎに御茶ノ水で仕事を終えた。「ひるめし食って帰ろう」と行き先を告げずに早足で歩く銀髪に、部下は不安顔でついて来た。
高校3年生、17歳のときに御茶ノ水で模擬試験を受けた後に偶然入った店がランチョンだった。定食を頼んだらビールが出てきて驚いた。ランチョンが美味しい生ビールを飲ませることで有名な店とは知らなかった。それ以来、大学に入ってから何度も行った。遅れまいとついて来る部下は銀髪の頭の中は分からない。
2階に上がり、本日のランチを頼んだ。もちろんビールも一緒に。部下が懸念したような変な食べ物は出て来ないが、下戸の彼にとってはランチョンのありがたみは分からない。日本で最高級の生ビールを飲ませる店として名高いといっても猫に小判である。

定食は上出来だったがビールには首を傾げた。泡が山を作りいびつだ。カウンターを見るとビールサーバーのところに泡が半分ほど入ったグラスが並んでいる。オーダーが入ると、ビールを注ぎ足して泡が適当な厚さになるようにしているようだ。
ランチョンは明治42年創業という老舗の洋食店。今の店も店主も銀髪が通った頃から代替わりしている。かつては泡の注ぎ方で味が変わると信じた時期もあったが、オーストラリアに行って考えが変わった。外国では泡が多いと客が怒り出す。線を引いたグラスを使う店も多い。
ハワイのビール

ハワイで頼んだビールもオーストラリアと同様に泡は殆どなかった。そもそも喉を潤すためにがぶ飲みするビールに、微妙な味の差を求める客などいないのだろう。まして、アルコール入り炭酸ソーダ並みのビールが全盛の日本で、泡のきめ細かさや厚さを議論しても意味がないような気がする。泡よりビールそのものの味を議論した方がいい。
それでも、こだわるのが日本人。昔、八重洲に灘コロンビアというランチョンと並ぶ有名店があったが、主人が亡くなり伝説となってしまった。その一番弟子の店(ビアライゼ98)が新橋にあるという。外国人が理解できない繊細さを確認に行きたいもんだ。
もちろん、ランチョンにもチャンスをあげよう。思い出の彼方に葬り去るのは悲しい。
ランチョン
東京都千代田区神田神保町1-6
03-3233-0866
http://www.gourmet.ne.jp/Luncheon/index.shtml
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2008年11月15日
紹興酒35年
本物は何でも美味い!

ワイン、日本酒そして紹興酒を世界3大醸造酒と銀髪が勝手に呼んでいる。不凍液を混入させて貴腐ワインを装ったオーストリアワインが問題になったのが1985年。それからオーストリアのみならず、各国でワインの審査が厳しくなった。
日本酒はいまだにサトウキビを原料とする醸造用アルコールを混ぜたものが一般的だ。不凍液のような有害物質ではないが、米以外のアルコールを混ぜるのは釈然としない。
紹興酒はさらに酷くて市販されているものの多くがカラメル色素で着色されている。
神谷バーで有名な電気ブランもカラメル色素が使われている。昔は日本でも高級酒を真似て混ぜ物を使う酒が多かったようだ。初めて電気ブランを飲んだとき、ブランデーの一種と思っていたので腹が立った。しかし、カクテルと考えれば許せる。紹興酒はカクテルと同一視できない。

自宅近くのディスカウントショップ「カクヤス」やスーパーマーケットに置いてあったのは全てカラメル色素で着色されていた。10年物でカラメル色素を使わない紹興酒ををやっと見つけたところが個人経営の昔ながらの酒屋だったのが面白い。主人はこだわりを持つ人かもしれない。
いまだに紹興酒に氷砂糖やレモンを搾り入れる人が多い。本物の紹興酒はそんなものを入れなくても充分美味しい。
海外に行くと必ず高級酒を買ってくるお金持ちが、今回買ってきたのは紹興酒の35年物だった。

中国経済の飛躍的な発展のお陰で紹興酒も美味しくなってきた。酒文化も日本が辿ったような道を進んでいるのは嬉しいことだ。やがて中国産のワインやウイスキーも世界のコンテストで賞を得るときが来るのかもしれない。
さて、お金持ちは来週から再び海外旅行に出る。今度はどんな酒を買って来てくれるか楽しみである。「円高のお陰で割安になった」と意欲満々。実に頼もしいことを言う。あー、本当に楽しみだ。
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2008年11月14日
[かりふわ堂](新宿歌舞伎町)
これが本当の大阪の味・お好み焼き?

「つんく♂さんのお店に連れて行って欲しい」と銀座のママに誘われた。「新宿は遠いので麻布の店に」とのご希望だったので、情報だけありがたくいただくことにした。
新宿コマ劇場の裏通り、名前を忘れてしまっていたがお好み焼き屋は一軒のみなのですぐに分かった。階段を上がり店に入ると、駄菓子やおもちゃが並べてある。店は二つに分かれ、左側がかりふわ堂。幸い予約なしでもカウンターは空いていた。
ざっくりキャベツ、牛すじこんにゃく

目の前には野菜が置かれてあり、焼き場は店の右奥に見える。壁に書かれたかりふわ堂についての説明書きを読みながら特製味噌をつけたキャベツをかじる。
メニューの中から大阪らしいものをと探し出した牛すじこんにゃくは期待通りの味だった。
とんぺい焼き、かきの鉄板焼き

広島お好み焼きの名物とんぺい焼きはかりふわ堂流で、豚肉を薄焼き玉子でふわりと包んでいる。かきの鉄板焼きには九条ネギがたっぷりで、京都風。大阪にこだわっているわけでもなさそうだ。何でも取り入れるのが大坂流と言われれば、納得してしまう。
ホルモンミックス焼き、豚玉

メニューの後ろの方に1,000円以上するオリジナルのお好み焼きが並ぶ。「どれを食べたらいいの?」と聞くと「私的には豚玉を食べて欲しい」と言う。若い女性店員2人とも明るくて好感を持っていたが、780円の安いものを勧められて一気に最高点をあげたくなった。
「お好み焼きは焼くのに20分かかります」と言われたのでホルモンミックス焼きを食べながら待つことにした。飲むのはホッピー。再び目の前の壁の説明を読む。「お好み焼きというより蒸し野菜」という部分に興味が湧く。
「忘れてるんじゃない?」と連れが不安がる。待ち切れなくなって店の女性を呼び止めたら、彼女の手に豚玉があった。お好み焼きを分けようとヘラで切ろうとしたら、もろくも崩れた。

つなぎが少なめにして、押さえつけずにじっくり焼いている。「蒸し野菜」の意味が良く分かった。20分以上かかったのも頷ける。つんくが言うようにこれまで食べたことがないようなお好み焼きだった。強いて言えば、我が家で小麦粉を使わず山芋だけで作ったお好み焼きに近い。
大好きになった女性店員に「美味しかったよ」と言うと、「そうですかー、いろいろ試行錯誤して作っています。また来てくださいね」と可愛い。再訪したい気持ちを決定付けさせる笑顔だった。
かりふわ堂
東京都新宿区歌舞伎町1-12-6 歌舞伎町ビル2F
03-5155-7620
http://www.karifuwa.com
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2008年11月13日
[大渕座](銀座)
銀座の超フレンチ

16,500円の松茸コース


冷製スクランブルエッグ、ピザ、クリームソース、甘鯛のポワレ・サラダ仕立て、ホロホロ鳥のラグーパスタと続く松茸尽くし
「松茸の産地は?」と聞くとトルコ産とカナダ産とのこと。これは避けて安いコースの方が良さそうだと思って客の意見を聞くと「どちらでも」と応える。「どちらでも」は「高い方を食べたい」という意味である。
9,800円のコース


野菜のディップ、鯖煮、キスの天ぷら、太刀魚アンチョビバター添え、三種のチーズ盛り合わせ
コースは2種類しかないが、値段には大きな開きがある。銀髪も松茸コースにしようかと迷っていると、「私のを分けてあげますよ」と言われた。「あなたは安いコースにしなさい」という意味である。
両方のコースを楽しめる幸せなアドバイスである。偏見を持って臨んだ松茸コースは思ったより香りが高くて美味しかった。一流シェフの目利きのなせる技だろう。国産より安価な分、タップリ使っているのがいい。ピザが特に気に入った。
いくら美味しくても松茸ばかりでは飽きてしまう。安いコースがいいアクセントになった。カウンター席だと二人で分けるのも簡単だ。西欧では分け合って食べることはしないが、日本では嫌な顔をされないので有難い。
料理が終ったところでオーナーシェフの大渕さんがやってきた。「フランス料理と言うより日本料理に近いですね」と有名シェフをつかまえて生意気を言う。ところが一番日本的に思えた鯖もフランスの田舎料理とのこと。奥が深い。
それでも懲りずに「ヌーベル・キュイジーヌなんて新しいものより、ガッツリした伝統的なものが食べたいですね」と憎まれ口をたたいたら「私も40年間フランス料理一筋ですから、そういったものを作りたい」と言うので驚いた。フランス料理の流行はヌーベル・キュイジーヌから2段階も先に進んでいるそうだ。
新しいフランス料理の旗頭と思われる大渕さんだが、その理想がどこにあるのか興味が湧いた。評価が高かった代官山の「ラ・ヴィーナス」を閉め、3年前に銀座に今の店を開いた。ちょっと有名になると支店を作ったり、他店のプロデュースをして稼ぐ料理人が多いのに大渕さんは変わっている。
柔和な笑顔の奥に潜む闘志を垣間見た気がする。支える奥様も大変だろうが、頑張って欲しい。いつか「これを食ってみろ!」という大渕さんの理想の料理を味わいたいものだ。
御魚 大渕座
東京都中央区銀座3-10-14 東銀1ビル2F
03-5565-3788
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2008年11月12日
[い津み](福岡市博多)
世界一(?)のふく料理屋

7~8年前、「東京で一番高いふぐ屋を予約しといたからな」と言われて行ったのが東京赤坂の「い津み」で、銀髪の願いもむなしく勘定するときに彼の台詞は冗談ではないことを悟った。それ以来、博多の本店に行くことは憧れであり恐れでもあった。
タクシーに店名を伝えても知らなかった。住所を告げると「あー、あの料亭ですね」と気付いた。赤坂の店とは比較にならないほど立派な店だ。個室は控えの間と客室に分かれる。仲居さんが上座の客に見えないようにメニューを銀髪の目の前に掲げた。
煮こごり、ひれ酒

煮こごりの善し悪しをどう表現したらいいか分からないが、上品な味で美味いのは間違いない。ひれ酒のひれが随分小さいと思ったら、い津みでは背びれしか使わないとのこと。つぎ酒をしても味は濃い。
てっさ

三人前のてっさが出てきて圧倒された。「当店のてっさは二枚引きです」と言われても何のことかわからない。厚めに切った刺身を切り開いたものとのこと。薄いピンク色の身は噛みごたえがある。ぽん酢に頼らなくても味がある。「天然です」と言われてもピンと来ないことが多いが、い津みのものを食べれば違いは歴然である。
白子、唐揚げ

「今週から白子が入っていますが、いかがしますか?」と聞かれて客と部下の顔を見る。目は口ほどに語っている。てっさほどの感動はないが、久し振りの白子はやはり美味い。
てっちり

鍋は控えの間で作られ、仲居さんが運んでくれる。あらためてしっかりした身だと思う。
雑炊、お新香

い津みでは雑炊に卵を入れない。ふぐを味わってもらうには卵はない方がいいと主張する。おかわりをして満腹になった。
福岡出身の芸能人が日本一と言ったそうだが、地元贔屓を差し引いてもトップクラスであることは間違いない。てっさはこれまで食べた中で一番と言ってもいい。満足感一杯で店を出た。店の外に並ぶ黒塗りの車を横目に歩く我々を、女将がしばらく見送ってくれた。
い津みのふぐのことは早く忘れよう。他の店のふぐが食べられなくなってしまう。
博多 い津み
福岡県福岡市博多区住吉2-20-14
092-291-0231
http://www.hakata-izumi.com/
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2008年11月11日
[よかろう門](渋谷)
なかなか美味しいもつ鍋屋

気のせいかもしれないが、渋谷は鍋料理の店が多い。勘違いを恐れず更に分析すると、渋谷は若者が多い街だからと思い立つ。文化村通りやスペイン坂を歩くと水炊きやもつ鍋のように安くて腹が一杯になる鍋料理の店が目に付く。高級ふぐ店は見当たらない。若者だけでなく、銀髪も安心して入れる。
近くにもう一軒もつ鍋屋があったが、よかろう門の方を選んだ。店に入ると意外と広く、早い時間なのに半分くらい席が埋まっていた。狭い席に通された挙句「混みあってきたら2時間で〆させていただきます」と強気だ。
お通し、酢もつ

まぐろの山かけがお通しとはもつ鍋屋らしくない。福岡の有名店「やま中」に行って以来、もつ鍋屋ではまず酢もつを頼むのが定番になった。鍋よりも店によって特徴があるのが酢もつだ。よかろう門のものは万人向けで食べやすい。
鍋、ちゃんぽん

「どれがお奨め?」と聞いたら「味噌を頼む人が多いですけど、博多では醤油が普通らしいですよ」と言う。確かに彼女の言うとおりだ。やま中でも醤油味を食べた。出てきた鍋に入っているもつが立派で感心した。
キャベツ、ニラ、ゴボウ、などの野菜がしんなりして食べ頃になった。連れが美味しいを連発する。店員の強気もまんざら大袈裟でもないようだ。他の料理を頼もうか迷ったが、柚子胡椒入り餃子と追加の野菜を鍋に入れることにした。〆にちゃんぽん麺で腹を満たした。
隣に若いサラリーマンが二人。鍋をつつきながら白いご飯を食べている。彼らの向こうに若い女性の二人連れ。飲んでるのはウーロン杯だろうか。お互いのテーブルがくっつくことはなさそうだ。座敷には男女のグループ客が数組。店内はほほ満席だが追い出されるほどではなかった。
本社は福岡というだけあって、本場の味に近くてなかなか美味しかった。店舗は渋谷店の他に赤坂にもある。福岡の赤坂かと思ったら、東京港区の赤坂。福岡の店を閉め、東京に進出して4年目に入る。頑張れ、博多っ子というところかな。
よかろう門
東京都渋谷区宇田川町26-11 白馬ビル3F
03-5458-2198
http://www.yokaroumon.jp/index.php
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2008年11月10日
[山田屋]④(日本橋)
ふぐだ、ふぐだ

恒例の月末夕食会。10月末のことである。総勢9人なのに「ふぐが食べたい」と言われるとドキッとしてしまう。一度は拒否したものの考え直した。「連れて行くなら今の方が安くていいからな」と言うとみんな怪訝そうな顔をする。一人が銀髪の言葉の意味を解した。「白子が小さいからですね」その通り。まだメニューにもない可能性が高い。
付け出し

山田屋には何度も来ているので勝手が分かっているつもりだった。人数分のコースを頼むと量が多くて美味しい雑炊を食べられなくなってしまう。コースを止めて、刺身、唐揚げは一人一人前ずつ、てっちりは合計で6人前と少なめに頼んだ。単品で頼むと割高になるが、刺身の量は多くて何よりも不公平感がなくなる。大皿から欲望を隠しながら行儀良く食べるのは辛い。
刺身

何人かがビールをお代わりする。銀髪はひれ酒を頼んだがなかなかやって来ない。他の連中は刺身をたいらげてしまいそうな勢いだ。
下戸はウーロン茶を飲みながら既に食べ尽くし、「刺身は嫌いなんですか?」と銀髪の皿を虎視眈々と狙っている。イライラしながらひれ酒を待った。とうとう待ち切れずに隣の部下のビールを取り上げて、刺身を食べ始めた。危ない危ない。
唐揚げ

一人が「要らない」と言ったはずなのに、食べてしまったので唐揚げが一つ足りない。「俺のがない!唐揚げ大好きなのに!」と一人がダダをこねるので銀髪の皿から一切れあげた。あー疲れる。
「サー、次は鍋ダーッ」みんなで鍋をつつくと思ったら、部屋の隅っこで仲居さんが作り、取り分けて、各人に運んでくれる。6人前とケチったせいか一人一杯のみ。雑炊も同様に一杯ずつ。
少しでも安くするつもりが一人頭2万円支払ってお腹一杯にならなかった。刺身の量は少なくても、鍋で満腹にするコースの方が割安だった。策を弄して失敗した。
3次会が終ったところで「長崎ちゃんぽんに行かないか?」と誘われた。いつもは断るところを素直について行った。彼のオーダーしたちゃんぽんセット(餃子付き)と皿うどんを仲良く分け合って食べた。「ふぐよりこっちの方がいい」と嬉しそうにしている彼を、いつものように馬鹿にすることができなかった。
日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com
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2008年11月09日
明治神宮
伝統の式には変わらぬ親子の愛情

神楽殿に入ると「おめでとうございます」と挨拶された。「?」と思ったがすぐに自分の格好に気がついた。親族の控室に向かう男が礼服に白いネクタイなら挨拶の言葉は簡単だ。主役の家族に会うと今度はこちらが「おめでとうございます」と言う。乱発される「おめでとう」はいつも笑顔とセットである。
新郎と新婦を言い間違えて皆の笑いを誘った。厳粛な親族紹介の場ではジョークを封印するつもりが、結果オーライになった。「式は既に始まっています。私語は慎むように」と係のおばさんに睨まれながら神殿に向かった。
大きな赤い傘を掲げられ、境内を主役の二人がゆっくり歩く。参拝に来た人たちがカメラを向ける。外国人観光客が特に喜んでいる。銀髪も背筋を伸ばし、胸を張って歩く。美しい姪っ子の後方に冴えないおやじが写っては申し訳ない。

披露宴が行われる明治神宮記念館に移動した。新郎新婦の友人たちが加わり、より華やかに場が盛り上がってきた。挨拶も余興も期待されない銀髪はただ食べるだけ、飲むだけである。

次々に料理が運ばれてくる。入れ歯の調子が悪い母の料理には細かく切れ目が入っている。気遣いができる賢く優しい姪っ子が事前に頼んでいたようだ。
一流の結婚式場、ホテルで行われる披露宴の食事は良く出来ているが、どんなに頑張っても壇上の主役には敵わない。

これまでたくさんの披露宴に出席した。似た様な式次第だがそれぞれに個性がある。両親、親族、友人たちを見れば新郎新婦の人となりが良く分かる。

宴もクライマックスに近づいた。姪っ子が手紙を読む。我が兄のくだりは泣けた。泣きそうな、それでいて笑っているような兄が格好良く、映画「花嫁の父」のスペンサー・トレーシーを思い出した。エリザベス・テーラーも綺麗だったなー。
しかしあれはいかん。我が娘には絶対に感謝の手紙なんぞ読まないように約束させなければならない。たくさんの人に涙顔を見せるのは辛い。感謝は結婚したときでなく、時々ボソッと言ってもらう方が嬉しい。
明治神宮
http://www.meijikinenkan.gr.jp/jingukyosiki/index.htm
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2008年11月08日
[コルカタ Kolkata]②(世田谷区砧)
頑張れ!日本の外国人、世界の日本人

休日の夜、我が家の食卓は寂しい。娘たちがアルバイトに行くためである。賃金が高い休日の夜が効率的に稼げるそうだ。珍しく全員が揃ったので不思議に思ったら、他の人に仕事を奪われたと言う。今の若者たちは意外と働き者である。
20年前、日本のバブルが始まった頃にシドニーに赴任した。オーストラリアは移民の国なのでたくさんのエスニック料理屋がある。移民たちは必死に働く。土日も開いている店が殆どだが、日本料理屋の多くが閉まっているのに驚いた。
サモサ、タンドーリ盛合せ

家族で食事に行くときの一番候補はコルカタである。久々に行ったら空いている席は一つだけ。入り口の席を何とか確保した。すぐに家族連れがやってきた。彼らは外の席に。さらにまた客が。大盛況である。好きな店が繁昌するのは嬉しいものだ。自分の席が確保できたら余裕で祝福できる。
海老カレー、マトンとほうれん草のカレー

いつものように辛いソースは別に持って来てくれる。入り口のテーブルからキッチンが見えるので、銀髪にとっては一等席である。社長のシェイクさんだけでなく、キッチンの中からも料理人が優しい笑顔を投げてくれる。
シェイクさんは休日もなく働いて疲れているに違いないが、笑顔を絶やすことはない。日本で外国人たちが必死に働いている。タイ人、中国人、フィリピン人など、遊ぶ時間など考えもせず働いている人は多い。
先日NHK衛星放送でフランスのニュース番組を見た。世論調査でフランス人の3人に2人が休日に働きたいと答えたと言う。家計を支えるために、アルバイト料が高い休日にまとまった時間を働いて稼ぎたいそうだ。まるで我が娘たちと同じ発想である。
日本は欧米先進国を真似て、多くの会社が週五日制にした。今、日本人にフランス人と同じ質問をしたら、どんな返事が返ってくるだろう。
コルカタでチキンカレーもテイクアウトしたつもりだった。家に帰ると袋の中にはタンドーリチキンが入っているだけ。オーダーが通っていなかったようだ。確認しなかった自分が悪いのは明らか。我ながら平和ボケの日本人である。
KOLKATA
東京都世田谷区砧3-2-7 第2大蔵ビル1F
03-3415-9786
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2008年11月07日
[鮎正]②(新橋)
子持ち鮎の生炙り

今日も一番乗り。「約束どおり来ましたよ!」奥から出てきた主人に声をかけるとニコリと返してくれる。9月に来た時に、10月になると子持ち鮎が食べられると聞いた。10月中に来るつもりが、予約が取れずに11月にずれ込んでしまった。みんな良く知っている。
前回は初めてなのでコースを食べたが、今回は子持ち鮎と鮎ごはんだけを予約時に頼んだだけ。ちょっと早めに来たので鮎が焼きあがるまで30分ある。メニューから数品を選んで熱燗を飲みながら待つことにした。
付け出し、子うるか、へしこ、

付け出しのくらげのような食感のものは白こんにゃく。さらしに包んで揉むとくらげのようになるそうだ。何でも手を抜かない主人だ。前回食べなかった子うるかは自家製だけに他の店で食べるものと全然違う。へしこは鮎正のために福井の業者に造ってもらっているとのこと。主人が惚れ込んだだけのことはある。今まで食べたものの中で一番美味い。
ゆり根まんじゅう

ウニ、コノワタを詰めて揚げたゆり根まんじゅう。紙で包んで熱々を口に運ぶ。カリッ、フワッ、ネットリ。他に例えようのない不思議な味。まー、よく考えるね。
子持ち鮎の生炙り

真打ち登場。これが鮎?っていう感じの体型。塩もふらずに串に刺して囲炉裏で炙るように焼くそうだ。これを手づかみで食べる。カリッとした食感と立ち上る香りが何とも言えない。1時間も炙ったにしては身も卵も意外とパサパサしていない。鮎の塩焼きとはまったく違う食べ物だ。一匹5千円もするが、10月になると予約が一杯になるのも頷ける。「鮎のシーズンが終わりに近づき正直ホッとしますよ」と主人は苦笑いする。
さあ、ぼちぼち鮎ごはんにでもするかと思っていると、隣から「うるか茄子が食べたい」と言う。渋々承知したら、今度は「土瓶蒸し、茶碗蒸し、揚げだし豆腐も食べたい」とのたまう。胃袋が異次元に繋がっているのではないかと疑う。鮎が終ると鮎正はふぐやかにの会席料理屋となる。それからでも良さそうと思うのだが、仕方がない人だ。
老舗の京料理屋の味を知る人には鮎正の土瓶蒸しなどは違うと言うかもしれないが、どれも主人が研究を重ねた鮎正風で創作料理にも思える。削り節、塩の使い方などのこだわりを拝聴すれば、感心しきりであった。

鮎ごはんの後に銀杏の焼餅を食べてお開きに。あー、腹が一杯で動けない。
鮎正
東京都港区新橋4-17-5
03-3431-7448
2009年秋、移転しました
鮎正
東京都港区新橋4-21-14
03-3431-7448
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2008年11月06日
[黒豚庵](新宿3丁目)
鍋が美味しい季節になりました

新宿通りに立ちグルッと見回す。各ビルに飲食店の袖看板が光る。日が暮れるのが早くなって、看板が目立つようになった。木曽路、月の雫など見慣れた店は除外して行ったことがない店を選んだ。
黒豚=美味しいというイメージは浸透している。黒毛和牛からの連想で日本独自の豚と思っている人も多いが、イギリスのバークシャー種の豚で純粋な外来豚である。「鹿児島産黒豚」の宣伝が成功したのだろうか。お陰で黒豚に庵をつけるだけで美味しい店のように感じる。
からし蓮根、からすみ

熊本のからし蓮根、長崎のからすみ、大分の椎茸、博多の明太子、鹿児島のさつま揚げ、きびなご刺し身など九州出身者が喜ぶ料理が揃えてある。からし蓮根はしっかり辛くてなかなか良かった。高級品のからすみは上手に薄く切ってある。880円なら仕方ない。
黒じょか、さつま揚げ

鹿児島なら芋焼酎が定番。黒じょかを使うとは珍しい。あまり美味しい焼酎ではなかったが、気分は充分味わえた。鹿児島の名店から取り寄せたというさつま揚げは評判が良かった。
黒豚しゃぶしゃぶ

2人前の肉は思ったより少なく見えた。野菜で底上げされている。もっとも、肉をつまむとしゃぶしゃぶ用にしては厚い。肉質は柔らかいので厚いほうが味があっていいかもしれない。たっぷりだしが出たスープに麺を入れ、別途持って来てくれた塩ダレで食べた。これは気に入った。
テーブルのボタンを押すまで店員はやって来ない。まだ入ったばかりという韓国人店員のサービスはお粗末だが、一生懸命さで救われる。週初とはいえ客はまばら。こんなんで広い店を維持できるのかなと心配するのは無用。黒豚庵は年商300億円を越す日本レストランシステムの系列店。ドトールコーヒーもグループ企業の一つ。
繁華街の一等地のビルには大型チェーン店が殆ど。ビルのオーナーが大手を選ぶのは当然だろう。内装、料理の質は悪くない。価格とサービスはファミレス並みという店が目抜き通りに並ぶことになる。初めて入る店でもぼったくられることはない。迷ったら目抜き通りにある大きな店に入るのは、無難な選択と言えるかもしれない。
黒豚庵 新宿東口店
東京都新宿区新宿3-17-5 新宿ニユー富士ビル3F
03-3358-1331
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2008年11月05日
[伊達の牛たん本舗](仙台駅)
時間がないときは駅ビルで

地方出張でホテルや駅ビルで地元名物を食べるのには抵抗感がある。特に根拠があるわけではないが、時間があれば街に出たい。駅の土産物売り場で一番目立つのが伊達の牛たん本舗。「ここの芯たんが有名で美味しいですよ」と部下の一言が駅ビルでの食事を決心させた。
席についてすぐに「芯たん」と告げた。「売り切れました」とアルバイトと思われる若い女性店員は素っ気無い。数量限定でランチ時に売切れてしまうらしい。部下共々落ち込んだ。
仕方なく、普通の牛タンからスタートした。
牛タン1.5人前

駅ビルの店に偏見を持って入ったためか、思ったより美味かった。新幹線の時間まで余裕があるし、酒の肴的な料理も多いので日本酒を飲むことにした。
牛タン味噌肉豆腐、肉味噌たんかつナンのカナッペ

日本酒の品揃えがいい。浦霞、十四代、飛露喜、田酒などの銘酒が手頃な値段で飲める。定食を食べる客が多い店内で大判振る舞いの客に見えたかもしれない。我々の担当者はアルバイト→チーフ(?)の女性→店長と昇格していった。
通しゃぶ

合成肉の牛タン。通しゃぶと命名したものの、部下は一切れ食べて口を歪める。ダメだと決めたら絶対口にしない相手は困る。仕方なく銀髪が平らげた。タレをつけて持参の唐辛子をかければ悪くない。
牛タンつくね

つくねは食べてくれた。やれやれである。好き嫌いがある相手は疲れる。好き嫌いがない銀髪も相手を疲れさせているかもしれない。とにかく珍しいものは見境なく頼むのだから。
新幹線にはゆっくり間に合った。駅ビルにある店に対する偏見も少し解けた食事だった。
伊達の牛たん本舗
仙台駅地階エスパル店
022-722-8356
http://www.dategyu.jp
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2008年11月04日
[ボルドーセラー](南青山)
心地よい隠れ家にしちゃおう

老若男女、日本人と外国人、たくさんの人で賑わう表参道の交差点のすぐ近くなのに、小さなビルの階段を下りると喧騒を忘れてしまう。店にとっては悲しいが、こちらにとっては嬉しい半分ほど埋まっただけの静かな店内。南青山でワインバーとなれば女性ばかりと思いきや、左の席は日本人の上司と部下、右の席は外国人おやじ二人で、アベックは一組だけ。実に面白い。
スモークたくあん、お婆さんの作るパテ

メニューの中で変わったネーミングの料理2つを頼む。「甲州ブドウの香り」というたくあんは、ワインを売り物にする店ならではのもの。「キッチンにお婆さんが居るの?」と茶化した相手は美形の店員。男共は彼女目当てに来てるのかと思ってしまう。これだけで楽しくなるのだから男は困る。
自家製スモークサーモン、自家製ソーセージ

スモークサーモンまでテーブルに置かれた割り箸で食べていたが、ソーセージになって初めてナイフとフォークを手にした。評価が高い中国原産の梅山豚を使った自家製ソーセージ。こだわりの料理は知る人ぞ知る柿崎シェフならではのもの。テーブルに来てくれなかったので話ができなかったのが残念だ。まあ、美人のお姉さんがいるからいいか。
ウニとキャビアの冷製パスタ

日本ならではの海の幸を使ったスパゲティ。日本ほど様々な麺料理がある国はないだろう。日本古来の麺類が超えることが出来ない壁を、スパゲッティは軽々と越えていく。本場では思いもつかない料理も、異国では簡単に出来てしまう。実に面白い。
左右の席ではポンポンとボトルが開けられていく。外国人のワイングラスはグラスワインを飲んでいる我々のものと比べるとひときわ大きくて妬ましくなる。
勘定を払って店を出たところで空き瓶が放り込まれた木箱が目に入った。高級シャンパン・サロンの空き瓶もある。値段が高いワインも置いているがひけらかさない謙虚な店主の心根が窺える。いい食事、いいワインをリーズナブルに楽しめる店。何を飲むかは客の懐次第。店主のメッセージをしっかり受け止めて階段を上った。
表参道は人通りが2時間前より増えたようだ。夜はまだ長い。
ボルドーセラー
東京都港区南青山5-1-25 北村ビルB1
03-5467-8420
http://www.bordeaux-cellar2005.com
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2008年11月03日
[天國](上野)
西郷さんの横で食べる馬肉

上野で仕事を終えたのが11時半。部下に預けておいた地図を受け取り早足で歩く歩く。会社を出る前に行く店を決めて地図を印刷してきた。公園内に店はあるのだろうかちょっと不安になる。
公園内に建てられた地図の前に立つ。フォークとナイフのレストランマークは小高い山の上にある。「あれじゃないですか?」と部下が指し示す方を見たら、高い木々の向こうに建物が見えた。
公園内で人通りが少ないためか、馬肉専門店だからか分からないが、広い店内に客はおばさんが2人だけ。馬肉入りのコロッケを食べているようだ。我々はもちろんステーキ定食である。

小鉢やデザートは省いて肉をもう少し大きくして欲しかったが1,600円ではこんなものか。味噌汁を吸って「馬肉の匂いがする」と部下はご機嫌である。夜なら酒の肴になってしまうステーキも、昼ならごはんと共に口に入る。焼き具合も丁度良く、銀髪もご機嫌である。

熊本の天國本店は創業1982年らしいが、上野の天國はいつからあるのだろう。東京にある馬肉専門店は小さい店が殆ど。おそらく天國が一番立派な店ではないだろうか。個室が5部屋ありカウンターや椅子席も含めるとかなり大勢が入れる店だ。
霜降りの馬刺しやレバー刺し、馬肉のしゃぶしゃぶや焼肉も美味そうだ。パンフレットの美人女将の写真も気になる。この日は女将の顔を拝むことができなかった。
西郷さんの銅像近くにある店なら黒豚などの鹿児島料理の方が相応しいような気もするが、西南戦争を持ち出すまでもなく西郷さんは熊本とも縁が深い。もっとも西郷さんだから熊本料理とこじつけても意味がない。美味しい馬肉が食べられれば文句はない。女将が写真どおりであればもっと文句はない。今度確かめに行かねば。
天國
東京都台東区上野公園1-59 上野公園内 西郷銅像横
03-3824-3211
熊本 天國 本店
熊本県熊本市二本木2-13-12
096-326-4522
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2008年11月02日
[さわらび](半蔵門)
気配りが嬉しい店

「近くに評判のいいイタリアンと蕎麦屋がありますよ」と部下が言う。男二人で行くなら蕎麦屋に決まっている。有名店にしては入り口が小さいだけでなく、中も狭いので驚いた。混み合う昼時なので当然2人席に案内されると思ったら、4人席を勧められて恐縮した。落ち着いた雰囲気の居心地のいい席に通され、「ビール、日本酒」と言いたいところを我慢した。
このところ蕎麦屋に行く機会が多い。頼むのは天婦羅せいろか鴨せいろと決まっている。昔は温かいそばを好んで食べたが、最近は蕎麦湯が飲みたくてせいろにする。さわらびには天麩羅そばがないので自動的に鴨せいろになった。

分厚い鴨肉が美味しい。なんで葱がこんなに合うのだろう。味を楽しみながらも、一つ浮かんだ疑問が解けないで頭が重い。鴨汁が入った器の形状が変わっている。注ぎ口があるように見えるが何のため?
蕎麦を食べ終わったところで店の女性(女将さん?)が一回り小さい器を持って来た。残った汁と蕎麦湯を合わせて飲むためだ。注ぎ口と思ったのは間違いではなかった。これは嬉しかった。鴨汁に蕎麦湯を入れても濃すぎるので、いつも茶碗などを利用する。銀髪の心理を見透かしたかのような気配りである。
天麩羅せいろを頼んだら、天麩羅も冷たいそばつゆで食べさせる店が多い。このところ鴨せいろを立て続けに食べたが、蕎麦湯のための器を出してくれた店は他になかった。主人は一茶庵で修行したそうだが、その影響だろうか。自分で考えたのなら大したものである。
あらためてメニューを見ると、酒の肴も豊富。何よりも純米酒の品揃えがいいのが気に入った。蕎麦湯を美味しく飲ませる気配り、本物の酒を出すこだわり。
これは夜に再訪しないとおさまらない。そんに気分にさせてくれた。ホームページを見ると、意外と若い店主と女将さんの店のようだ。
絶対、夜に行くぞ! きーめたっ!
蕎麦小路 さわらび
東京都千代田区隼町2-10 210半蔵門1F
03-5213-3311
http://www.k3.dion.ne.jp/~warabi/
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2008年11月01日
[鐵平](八重洲)
富士宮やきそばと静岡おでん

八重洲地下街を歩いていたら富士宮やきそばの店を見つけた。入ろうとしたが意外と混んでいるので日を替えて行くことにした。ショットバーで食べたこともあるし、スーパーで買って家で作ったこともあるが、専門店で食べるのは初めて。ちょっと期待した。
静岡おでんとのセットで900円。期待が大きかっただけに首を傾げた。麺がぼそぼそした感じで、一見ソース焼きそばのようだが味が薄い。
静岡おでんは最初から期待していなかったので納得の味だが、焼きそばは自分が作った方が美味しいと思った。

店の外には「富士宮やきそば学会公認」の張り紙がある。こんなんで公認するなんて、随分いい加減な審査だと思った。オフィスに戻りインターネットで調べたらホームページがあった。→「富士宮やきそば学会」
富士宮やきそばの特徴が記してある。富士宮流やきそば蒸し麺を使用。炒める油はラード。ラードを絞った後の肉かす、肉、天かすを入れる。イワシやカツオの削り節(だし粉)をかける。他にもいくつか製法に注文をつけている。
出来損ないかと思った鐵平の焼きそばは、富士宮やきそば学会の基準を満たしているようだ。知識をえたところでもう一度行くことにした。

今度は角煮がついたB定食を頼んだ。焼きそばだけでよかったのだが、昼には定食以外はオーダーできない。出来具合は前とまったく同じだが、今度はそれなりに美味しく感じるから不思議だ。ところが後半になって麺が冷めてくると食べるのが辛くなってきた。だし粉と唐辛子をかけて味を変えながら完食した。
焼きそばはごはんや他の料理と一緒に食べていたら冷め易い。焼きそばは単独で温かいうちに食べた方が良さそうだ。焼きそばにビールが正解のような気がした。
立ち飲み酒場 鐵平
東京駅八重洲地下街ローズロード
03-3231-2627
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