地元の常連さんに愛される店
「軽く行きましょう」とお猪口を口に運ぶ手振りをする。他に言葉は要らない。地元のAさんの傘に入り、歩を合わせる。全日空ホテルから歩いて数分、店の前で「アチャー、休みか!」とAさんが呟く。「どこでもいいから入りましょう」と銀髪。天気予報では夜半に雪に変わるかもしれないという氷雨。最終便に乗るためには、時間の浪費も避けたい。
酒呑みAさんの嗅覚を信じ、「たかた」に入った。左にカウンター、右に掘り炬燵式の小上がり、奥には個室があるという。ちょっと考えたが、時間もないのでカウンターにした。
大将がネタケースの氷を掻き分けると、魚が出てきた。電気を通すより魚が乾燥しないでいいと笑う。「7時10分の飛行機に乗る」と言うと、すぐに女将さんがタクシー会社に電話してくれる。Aさんの嗅覚は間違いなかったようだ。
「写真を撮っていいですか?」と聞くと、「こんなもの恥ずかしい」と女将さんが照れる。大将が笑う。「なかなか美味しい。悪くないよ。」
「地物中心で」と頼んだ刺身。メジマグロ、シマダイ、甘海老、つぶ貝。「しまだい?」と怪訝そうな顔をすると「石鯛の子供です」と入り口の生簀で泳ぐ魚を指す。「ヘー、そーなんだー!」地元のAさんと一緒に感心する。
富山名物と言えば白海老と黒作りは欠かせない。驚いたことに今まで食べた白海老の中で一番美味い。サクッと揚がって酒の肴にはもってこいだ。
「黒作りも自家製ですか?」と尋ねたら「この輝きは出せません」と女将さん。
Aさんと銀髪にとってはこれで酒の肴は充分。下戸の部下だけあれこれ食べている。
奥の部屋に4人組、銀髪の右横にカップルがいる。さっき女将さんが電話予約を受けていたのでこれから賑やかになる。誰もが常連客のようだ。開店から38年、地元の客たちに支えられてきたのがよくわかる。
タクシーが迎えに来た。車に乗り込んで見送りに出てきた女将さんに声をかける。「美味しかったよ、大将にもよろしく!」また一つ、いい思い出ができた。
割烹 たかた
富山県富山市総曲輪3-2-6
22-2686
投稿者 銀髪 : 2008年11月22日 09:27
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