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2009年03月31日

[盛風力](人形町)

今も変わらず人気の塩ちゃんこ


銀髪の顔を見てすぐに「お久しぶりです」と女将さんが言う。「覚えているの?」と銀髪。約6年ぶり、いや最後に来たのはもっと前だったかもしれない。開店当時は頻繁に通ったものだ。やがて予約なしで入るのは困難になり、銀髪の事務所移転で足が遠のいてしまった。

お通し、刺身盛合せ

相変わらず店は賑わっていた。中高年の会社員グループが多いのは、酒や肴が豊富でリーズナブルに腹が膨らむことを証明している。
かつてはあまり見かけなかった女性だけのグループもいる。美味しいを連発している彼女たちもコストパフォーマンスには敏感である。もちろん男たちより味に厳しいは女性だ。

軟骨揚げ、力士風スタミナみそ、空豆

にんにく風味の力士風スタミナみそも懐かしい。きゅうりなどにつけて食べるのが普通だが、これだけで酒はいくらでも飲める。

塩ちゃんこ

二人で食べるなら一人前で充分なボリュームがある名物ちゃんこ鍋。3~4人で来たときは塩と味噌の2種類の鍋を一人前ずつ頼んで味比べをしたものだ。

柚子胡椒、椀

小皿に取り分けて、卓上の小さな器の蓋を開けて思い出した。銀髪が鍋料理に柚子胡椒を使うことを覚えたのが盛風力だった。一番人気の塩ちゃんこ鍋と抜群の相性である。今では柚子胡椒を薬味として出す店が増えた。さすが食べるのも仕事の相撲取りは進んでいた。

押尾川部屋元十両盛風力が料理人として腕をふるう。出産、子育て、店の手伝いと大車輪の女将は、若いときよりきれいになったように思う。実に結構である。
冬場は予約なしではまず入れないが、夏場になると少し暇になるそうだ。冷房のきいた部屋で熱々のちゃんこ鍋を食べるのも悪くない。これからが狙い目である。


相撲茶屋 盛風力
東京都中央区日本橋人形町1-15-1
03-3808-1134

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2009年03月30日

[秋月](渋谷)

外国人も集う正統派の寿司屋


「あれは3月ですよね」正面の壁の立派な書は見たまんま。「来月は4月に替えるんですか?」と聞いたら「いいえ、ずっと3月です。初心を忘れないように開店した3月の書を掛けているんです」とのこと。いつものように名刺を渡そうとすると、入り口付近の客に対していた料理人が名刺を持って飛んできた。彼が主人の秦さんだった。

わさび菜、白魚、たこ、ホタルイカ、さば、ひらめ

銀髪の相手をしてくれる料理人の名前は聞き損なったが、料理は彼と秦さんが手分けしてやっている。今月でオープンから丸8年とは思えない清潔な店内と同様に、料理も器も美しい。

宍道湖産白魚、富山湾産ホタルイカの沖漬け。いい仕事をしているたこ、さば。日本酒以上に豊富な品揃えのワインはカウンターと反対側のセラーに積まれている。正統派の料理に対して今風のワイン。主人の個性が垣間見える。



自家製のさわらと桜マスの燻製。鮪の中トロとづけ。炙って香ばしいみる貝でお任せをストップ。コース料理を食べている隣のイカが美味しそうで、我慢できずに追加した。これから産卵期に入ると味が落ちる魚もあるが、卵を抱いて美味しいものもある。このイカは美味しい代表格である。

イカに満足した後はお好みで握ってもらう。1カンずつでもいいのが有難い。大トロ、コハダ、春子、ウニ、はまぐり、穴子と続く。今日のハイライトは春子。かすごと読む鯛の稚魚。まさに春らしい一品。小さなくせに品のいい脂が乗って実に美味い。

他の店の寿司とちょっと違うなと感じたのがシャリ。赤酢など3種類を使った酢めしは少し色づいている。酢がきつくなくまろやかなのが銀髪好みだった。

入り口付近に外国人の二人連れが居たが、個室から出てきた家族も外国人。更に左隣にフランス人カップルが座った。若い料理人が達者な英語で応対している。海外経験が豊富な秦さん同様、彼も外国の寿司屋で働いていたとのこと。カウンターの料理人3人のうち2人が英語を使える寿司屋は外国人にも口コミで広がっているのかもしれない。

銀座久兵衛出身の秦さんらしく、凛とした雰囲気の店だった。


秋月
東京都渋谷区円山町22-16
03-5458-1550

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2009年03月29日

[うな富](人形町)

こだわりのうなぎ屋さん


ネットで人形町界隈で評判の高い店を探したら「うな富」にぶち当たった。聞き覚えのある店名なので、有名店に違いないと思い勇躍出かけて行った。目印はロイヤルパークホテルで、一本水天宮寄りの路地と覚えたら地図の必要はない。

思ったとおり難なく発見したが、想像した堂々たる老舗の建物ではなく、こぎれいな小さな店で拍子抜けした。うなぎ屋の幟がなければ、喫茶店と勘違いしてしまいそうだ。入ろうとして「注文を受けてから蒸すので20~30分かかる」という趣旨の紙が貼ってあるのに気付いた。ちょっと悩んで覚悟を決めた。

カウンターに座りメニューを見上げる。ランチのうな丼(1,500円)と竹(2200円)、松(3000円)、特(4300円)の3種類のお重がある。値段の違いはうなぎの大きさで、半身、4分の3、1、1.5匹らしい。迷わず松を頼んだ。

10分経過、調理場からの親方の声で女性がお重の用意を始めた。ごはんを入れて、タレをかけ、混ぜ合わせる。オーダーしてから18分で銀髪のお膳が完成した。肝吸い、とろろ芋、漬物などを従えてうな重がやってきた。

失敗した。ごはんの量を聞かれたときに、「少なめ」と言ってしまった。待っている間に腹の容量が大きくなっていた。しつこくない軽めの味付けのタレが食欲を増した。「ごはんを足してください」と言おうかと思ったが意気地がなかった。

会社に戻って口コミ情報の食べログを見た。驚いたことに各コメントに店主が丁寧に返事を書いている。仕事ぶりや接客などに通じるものがある。

40年続いた東京海上ビルの店を閉めて、人形町に移転してきたそうだ。確かにその店には何度も行ったことがある。だからうな富の名に聞き覚えがあったのだ。ランチ時に客の回転よりも味にこだわっていたら儲からないだろうなと心配になってしまう。

次回はごはん多目にしよう。


うな富
東京都中央区蛎殻町2-8-9
03-3667-7266


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2009年03月28日

[太陽のトマト麺](茅場町)

ラーメン? スパゲティ?


昨日、レストラン東洋のスパゲティ焼きそばを紹介した。今日は逆のパターンである。
タクシーで移動中に茅場町で変わったラーメン屋を見つけた。本店は錦糸町で創業から既に3年以上経っているらしい。テレビなどマスコミで何度も紹介されたらしいが知らなかった。

茅場町のランチタイムは早い。午前の株式市場が終わる11時過ぎには食事に出かける。11時20分頃の到着では入れないかもしれないと心配したが、まだ席に余裕があった。
お奨めはチーズ入り。しかし迷うことなく「太陽のラーメン」を頼んだ。初めての店ではメニューの一番上にあるものを頼むことに決めている。

料理人が横から見える席に座ったので待つ時間も退屈ではない。フライパンにオリーブオイル(?)を注ぐ。野菜を炒める。トマトソースを加える。火が通ったところで麺を茹で始める。メニューに替え玉があったので、予想したとおり細めんで、茹で時間は短い。

太陽のラーメン

ブクブクとバブルがはじけるほどスープが熱いのが嬉しい。にんにく風味が効いたトマトソースはスパゲティのソースと変わらないように思える。煮豚がラーメンを連想させるものの、スープスパゲティと変わらないとケチをつけたくなる。それでも好きな味だ。悪くない。

茄子のラーメン

基本は太陽のラーメンと一緒。素揚げした茄子を加え、ネギを乗せて、辛さを増している。これもスパゲティ屋で同じようなものがある。ボンゴレラーメンも似たようなものだろう。
環境に配慮しているとのことで割り箸ではなく塗り箸を使っている。箸使いが苦手な人にとってはツルツル滑る塗り箸はちょっと辛いかもしれない。一般的なフォークだと麺が細すぎてうまく絡めることができないだろう。難しいものだ。

太陽のトマト麺は東京に7店舗、神奈川に3店舗、大阪に1店舗ある。フランチャイジーも募集している。
調理時間が短いので列が出来ても回転は良さそうだ。場所柄なのか、女性客より男性客の方が多いのは意外だった。しかも中高年が多い。まあ、他人のことは言えないけれど…

太陽のトマト麺
東京都中央区日本橋兜町7-7
03-5652-9830
http://www.taiyo-tomato.com/

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2009年03月27日

[レストラン東洋](日本橋)

和洋中みんなが楽しめるビヤホール?


日本橋交差点のすぐ近く、数え切れないほどビルの前を通ったことがあるにもかかわらず、不思議なことにこれまで1階でコーヒーを飲んだことしかない。大人数で宴会が出来る近場を探していたらレストラン東洋に行き着いた。

2階に上がると5時半というのに既にビールを飲む客が数組居た。広い店内はビアホールのようである。メニューを開くとますますその印象が強くなる。和洋中何でもござれで好き嫌いが多い人でも困らない。

ソーセージ盛合わせ、しゅうまい、串カツ

「よう、久し振り」ソーセージを持ってきた女性に年配の部下が声をかける。「ホントねー」と若いアルバイトや外国人の女性などを使う店とは一線を画す年季を漂わせる。出てきた料理はビアホールよりずっと美味い。

エビフライ、シーザーサラダ、キムチ

シーザーサラダも昔はこんな感じだったのだろうか。或いは東洋のオリジナルか。昔の洋食屋らしい料理に集中しているとキムチが出てきて肩透かしされる。

目玉焼き、サイコロステーキ、タコフライ

「目玉焼きできないの?両面焼きだよ」と我侭なオーダーを受けても、かの女性は怯まない。歳の割には使いこなしているオーダー端末に目玉焼きがなくても意に介さないのはさすがだ。他の店なら若い店員が「できません」と一言で済ませてしまいそうだ。

スパゲッティー

名物はスパゲッティー焼きそばという珍妙なもの。約25年前、オーストラリアに赴任してすぐに、スパゲティーでうどんを作ったことを思い出した。日本食の代用品を試しては節約に努めた日が懐かしい。味付け次第でどうとでもなるのが麺類のいいところだ。

湯豆腐、天ぷら、笹かまぼこなど、他にもたくさん食べてみんな満足したようだ。7時を過ぎる頃には店内は満席になった。リーズナブルに満足できるのもレストラン東洋のいいところである。

カードは使えないので念のため。


日本橋 レストラン東洋
東京都中央区日本橋1-2-10
03-3271-0003

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2009年03月26日

[Bistro Talk Back](吉祥寺)

客も店員も若く楽しげなビストロ


Talk Backに近づくと、店の前に2人の女性が立っていた。通りから店内を覗くと客は誰も居ない。扉を開き「貸し切りですか?」と聞いたら、若い店員が僅かに首を振り窓際の席に誘導してくれた。銀髪につられるように店の前に居た女性たちも入ってきた。

手を上げるとすぐに先ほどの男性店員がやってきた。「名物と書いてあるから取りあえず厚焼きタマゴ。他にお奨めは?」「日本一のガーリックトーストです」「じゃあ、それ。他は?」「スズキのカルパッチョです」「じゃあ、それも」実に簡単なオーダーである。

名物厚焼きタマゴ、日本一のガーリックトースト

厚焼きタマゴと言うから和風かと思ったら、しっかり洋風だった。スパニッシュオムレツに似ていて食べ応えのある良心的な一品である。ガーリックトーストは日本一と言うのは大胆すぎる。

スズキのカルパッチョ、ラムチョップ

アルゼンチン、スペイン、オーストラリア産などリーズナブルな数種類のグラスワインが楽しめる。カルパッチョで白ワインを終了して、赤ワインのために肉を頼むことにした。「牛、豚、羊、鶏、鴨、どれがお奨め?」今度は女性店員に尋ねた。「個人的にはラムがお奨めです。ソースが絶品です」と言う。「じゃあ、それ」
彼女の推奨に間違いはなかった。

窓際の席に案内されたとき、そこが特等席だと喜んだのは勘違いだったようだ。店が半分ほど埋まってきたのは、人寄せパンダの銀髪のお陰もあるに違いない。通りから見える席に人が居れば、フリーの客も入りやすいだろう。

勘定をして店を出ようとすると、最初に応対してくれた店員が見送りに来た。「いかがでしたか、お料理は?」と聞くので「ガーリックトーストは日本で2番目だな」と答えた。
自分の子供ぐらいの年齢の店員がはじけるように笑うのを見届けて、ちょっと格好をつけて歩き出した。

Bistro Talk Back
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-24-6
0422-21-0505
http://talkback.jp/

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2009年03月25日

[新ばし 久](新橋)

和洋割烹


2年前の「日経おとなのOFF」でお一人様歓迎の名料理店という特集があった。一人で来る機会をうかがいながら時は過ぎ、結局2人で来ることになった。

有名な寿司屋「しみず」の並びだったはずだが見つからない。電話して尋ねると、看板はなく傘つきの裸電球だけが頼りだと分かった。店に入るとまだ6時を回ったばかりなのに席は殆ど埋まっている。我々はカウンターの一番奥、店主の目の前に座った。

ほたるいか、お造り

「雑誌の写真よりいい男ですね」と声をかけると「いつも言われます」と言う。続けて「冗談ですよ」と笑うが、真に受けてしまった。料理はローストビーフまでの5品がお任せで、足りなければ追加する方式。ほたるいかの黄身酢和えから和風割烹らしい料理が続く。

若竹煮、太刀魚

どの料理も丁寧な仕事ぶりで美味しい。太刀魚に添えられた大根おろしを見て「オッ、いいおろし道具を使っているね」と誉めると、連れも気付いて感心する。目の粗い大根おろしは水分が流れ出ずに甘味がある。骨を抜いてあるので魚も食べやすい。

ローストビーフ、ポテトサラダ

ローストビーフはお任せ5品の〆を飾るに相応しく、洋食屋風の料理に移るきっかけにもなる。マヨラーには不満かもしれないポテトサラダが軽やかでいい。

エビフライ、ツブ貝のフライ

雑誌で絶賛していたエビフライ。もちろん頭も揚げてくれる。ツブ貝のフライは珍しい。料理が出てくるたびにうるさい銀髪。「会話を愉しむなら手が空いている時を見計らって」と雑誌に書いてあったにもかかわらず、ずっと付き合ってくれた。

ホワイトアスパラのフライ、鰹節ごはん

旬のホワイトアスパラの後に白いごはんが出てきた。席についてすぐにごはんを炊くかどうか聞かれたので、てっきり混ぜごはんが出てくると思っていた。同時に出されたのが鰹節。カウンターの端に置かれた削り器には気付いていたが、こんな趣向とは思わなかった。ほんの少し醤油をかけて食べる鰹節ごはんの美味いこと。今では滅多に味わえないぜいたくなごはんだ。

食事と酒を愉しむもよし、ノスタルジックに浸るもよし。主人の店や食に対する思いを想像するもよし。楽しさ一杯の店だった。

新ばし 久
東京都港区新橋2-15-13
03-3500-5772

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2009年03月24日

[悠讃](飯田橋)

うどん居酒屋


大学の同級生二人を誘った銀髪が当然のことながら幹事役になった。最後に来るSの職場に近い店を探す。リーズナブルで美味しいと評判の店の中から迷う事なく悠讃を選んだ。もう一人のMが香川県の出身で、讃岐うどんを批評してもらおうと思ったためだ。

約束の7時より少し早く到着したら、既にMが待っていた。軽いおつまみで生ビールを飲みながらSを待つ。

お通し、ごぼうチップ

ビールが残り少なくなった頃、Sがやってきた。彼の到着から10分足らずで約30年の空白の時間は埋められた。年配の女性店員を呼んでお奨めを聞く。ランチ時は混雑するうどん屋も、夜は静かな居酒屋である。酒の肴の種類は多く、味も悪くない。

大山鶏の唐揚げ、出汁巻き卵

テーブルに置かれたメニューで酒を選ぶ。多数の焼酎が書いてあるが、日本酒の品揃えが貧弱でがっかりする。店員に尋ねると日本酒のメニューは別にあった。何と浦霞のオンパレード。これだけの種類の浦霞を揃えている店は初めてで、ちょっと驚いた。

炙りしめ鯖、ハラス焼き

大学時代に酒豪の一人だったSよりも、急ピッチでMが浦霞を飲んでいく。Sの母がバッカス(酒神)と呼んでいた銀髪はお冷と交互に浦霞を飲む。大学時代とは違う酒席の風景だが、3人揃えば気持ちは30年以上前に容易に戻る。もっとも他人の目には近くの中年サラリーマンの集まりにしか映らないだろう。

ぶっかけうどん

〆に相応しい量ではないぶっかけうどんを一人一杯ずつ頼んだ。そのため日本酒も肴も追加するのは止めた。うどんを食べながら「どうだい?」とMに聞くと、専門的なコメントがさすがだった。

食べ終わって調理人(主人?)に「香川県出身ですか?」と聞いたら「違いますが、香川で修行しました。粉も香川から取り寄せています。」とのこと。「オーストラリア産の小麦ですけどね」と続けた笑顔が良かった。

腹は一杯だが少し呑み足りない。今度は周辺をよく知るSが幹事役だ。飯田橋もなかなか悪くない。

Udon Dining 悠讃
東京都千代田区飯田橋4-4-12 ワイズビル1F
03-3262-2424

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2009年03月23日

[ハウスアオヤマ](渋谷)

裏道のリストランテ


近くのエスニック料理屋で食べるはずだった。日本語が通じなかったのではなく、予約を受けた外国人が怠け者だったようで我々が座る席はどこにもない。仕方なく近くの店を順番に回り、ようやく入れたのが4軒目のハウスアオヤマだった。

にこやかに迎え入れてくれたのが杉井さん。胸のバッジを見て安心した。サービスのプロであるソムリエがいる店が悪いはずはない。メニューは開かずに、杉井さんのお奨めを聞いた。さすがに「うちの料理はすべてお奨めです」なんて馬鹿なことは言わない。

カプレーゼ

イタリア産モッツァレラチーズを使ったイタリア料理定番の前菜。あわせるのはイタリア産の白ワイン。「グラスはハウスワインだけです」なんて野暮なことは言わない。ちゃんとしたワインを数種類用意してあり、杉井さんがきちんと説明してくれる。

華茸のソテー

杉井さんがかかげる籠の中から椎茸を選ぶ。長崎県対馬産直の華茸(ハナタケ)はもちろん原木で育てたもの。椎茸が嫌いな人でも美味しさに目を剥くに違いない。オリーブやケッパーと混ぜ合わせた軸もなかなかいい。

ビーフシチュー

お奨めがビーフシチューと言うのでちょっと驚いた。イタリアでも煮込み料理はたくさんあると言う。イタリア語の料理名を言われてもイメージが湧かないのでビーフシチューの方が分かりやすい。
赤ワインを頼んだら、再び数本のボトルから選ばせてくれた。シェフは長野県栄村の美雪牛など肉の素材もこだわっているそうだ。シチューもワインも美味だった。

渋谷なのに青山の店名をつけて気取ったのかと思ったらオーナーの名前だった。渋谷で現在の地中海料理HOUSE AOYAMAを始めたのが1985年というから既に老舗の領域になりつつある。我々をエスニック、ビストロ、もつ焼き屋などに入らせず、HOUSE AOYAMAに導いてくれた神様に感謝したい。


リストランテ ハウスアオヤマ
東京都渋谷区桜丘町30-18
03-3461-7248
http://www015.upp.so-net.ne.jp/houseaoyama/

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2009年03月22日

[陳麻家](日本橋)

専門店の麻婆豆腐


五反田東口の小さな店に行ったのは2002年の夏だったと思う。麻婆豆腐好きな銀髪が偶然見つけて部下と一緒に飛び込んだ。それから色んなところで同じ名前の店を見るようになった。全国で100店以上もある大チェーン店になったが、その後入ったことはない。今年になって会社の近くに同じ名の店を見つけた。陳麻家には2002年以来の訪問である。

店に入ろうとすると店頭でビラを配っていた中国人女性が慌てて追いかけてきた。680円の陳麻飯を頼む。待つ間にメニューを開いて辛さが選べること知ったがもう遅い。卓上のラー油と山椒を加えて食べたが成功したとは言い難い。

食べ終わって胸ポケットに手を当てるとあるはずのものがない。生まれて初めて無銭飲食の嫌疑をかけられるのではないかと怯えた。別のポケットを探る。小銭があったが何度数えても630円しかない。先ほどの中国人女性に告げると「あー、いいですよ。後で持って来てください」と優しい笑顔。嫌な顔一つしない。急いで会社に財布を取りに戻った。

15分後、再びにこやかな笑顔に迎えられた。支払いを終えて、店の入り口のテーブルに置かれていたビラを手に取って愕然とした。開店記念のキャンペーンで50円の割引クーポンがついているではないか。彼女が入店のときに手渡してくれたら、会社に戻る必要はなかった。

ビラをくれなかったことを恨むべきか、免許証や名刺などを求められなかったのを感謝すべきか、しばし考えた。手持ちが50円足りないことを伝えていたら、機転をきかせてくれたかも知れない。やはり彼女の優しさを評価すべきだろう。

持って帰ったクーポン券の期限は3月31日まで。再訪すべきかどうか、ちょっと迷っている。坦々麺でも試してみるかな。

陳麻家 日本橋2号店
東京都中央区日本橋本町3-2-12
03-5201-5777
http://www.chin-ma-ya.com/

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2009年03月21日

[さるや](日本橋小網町)

日本で唯一の楊枝専門店


新幹線の座席のポケットに入れられている雑誌WEDGEで面白い記事を見つけた。日本で唯一の楊枝専門店が日本橋小網町にあるという。かつて慣れ親しんだ町にそんな店があるとは知らなかった。

江戸時代初期は人形町が文化の中心地で、振袖火事とも言われる明暦の大火(1657年)までは吉原遊郭もこの付近にあったことは意外と知られていない。爪楊枝は江戸時代になって歌舞伎役者や遊女が使い、庶民に普及したというから、楊枝屋が人形町周辺に多数あったことも頷ける。

さるやは宝永元年(1704年)創業と後発ながら、あるいはそれ故に贈答用や縁起物として容器などを工夫して売ったため、今まで存続できたと言われる。今も昔も商売は知恵次第ということだろうか。

さるやの商品は有名デパートなどに置いてあるが、本店に行かなきゃ始まらない。さすがに本店だけに品揃えも豊富で、箱のサイズ、形状、絵柄など様々なものがある。贈答用に人気なのは「大入」「金千両」「隈取」など。

金千両には楊枝のみ、隈取には辻占いなどを書いた紙に巻かれた楊枝が入っている。近くに遊郭があっただけに、色恋に絡む粋な文句が書かれている。100種類程度あるそうだ。
「意地で逢わずにいるだけなのに 鏡に出ているこのやつれ」「四畳半ここを締めきりゃ二人の天下 遠慮はどこかへ逃げている」2本だけ開いてみたけれど、後は楽しみに取っておこう。

「すいませーん、爪楊枝ありますか?」料理屋で店員に声をかけるようになったのはいつ頃からだろう。子供の頃、親や先生たちに歯磨きの習慣を叩き込まれたにもかかわらず、大人になってから歯周菌にアルコールなど高カロリーの餌をせっせと供給し続けた。その報いは大きいが、お陰で粋な文句の楊枝を使えるようになった。ちょっと悲しい強がりである。

さるや
東京都中央区日本橋小網町18-10
03-3666-3906
http://www.saruya.co.jp/

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2009年03月20日

[いさ美寿司](新宿)

何でもある寿司居酒屋


別の店に行こうと思っていさ美寿司を見つけた。8年位前に先輩に連れられて来て、その後どこだったか場所が分からなくなっていた。すごく酔っ払って店を出てから数年を経て探そうというのが無理な話。潰れてしまったのかと勘違いした店が今、目の前にある。

お通し、刺し盛り(極)

大変な賑わいだった8年前と比べたら、今日はちょっと寂しい。客は半分も入っていないのに店員はなかなかやって来ない。ようやく氷頭なますとししゃものお通しが来た。頼んだ料理が来るのも遅いだろうと思っていたら刺身はすぐに出てきた。店長とアルバイト、料理人、3人のバランスが悪いようだ。

日本酒のメニューは銘柄と値段しか書いてない素っ気無さ。アルバイトを呼び止める手間を省いて、自ら冷蔵庫のところに歩いていった。八海山、田酒、銀盤、十四代、越乃寒梅、〆張鶴、黒龍、浦霞、雪中梅など銘酒が並ぶ。純米大吟醸まであるのは意外だった。お手頃値段で悪くない。

空豆、まぐろハンバーグ

しぼみかけた8年前の好印象を空豆の湯気が取り戻した。数量限定のまぐろハンバーグも悪くない。

空腹感が癒されてくると、隣席の会話が聞こえてくる。既に30分以上も若い営業マンが上司に説教をされている。上司がトイレに立った後、ため息が聞こえたような気がした。店の奥では若い会社員たちが宴会をやっている。

釜揚げしらす、寿司(大トロ、ウニ)

今日お奨めの駿河産しらすも湯気を伴ってやってきた。寿司はしゃりが大きくて食べ応えがある。

左隣のカップルが去り、可愛そうな営業マンも上司から解放される時間になったようだ。我々も純米吟醸や大吟醸を飲みすぎたのでお開きにした。8年前の記憶は少し塗り替えられた。

寿司酒場 いさ美寿司
東京都新宿区新宿3-4-9 新宿三和東洋ビルB1
03-3341-1040


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2009年03月19日

[とりで寿司]③(新橋)

いつも楽しいとりで寿司


いつものように6時に到着、いつもの席に座る。いつも運がいい。いつものように自家製の干物が出されたが、内容は若干異なる。大好きなサヨリの皮と珍しい穴子の内臓の串を選んだ。もちろん、連れが頼んだ分も少し味見した。

初めての客が注目したのは山陰沖に生息する鬼えび。いかつい顔をしている割に鋭利な角や殻は外敵に狙われないための鎧代わり。素材の説明を面白おかしく教えてくれる。
キンメ、ウマヅラ、カワハギなど刺身が少しずつ客に行き渡るのもとりで寿司の特徴。「こちらも同じものを」と言わずとも、客の心理を見透かしている。


目ざとく小さなとうもろこしを見つけた連れのために皮を剥ぎ七輪に乗せる。じゃがいもが出てきて「珍しいねー」と言うと、「刺身ばかりじゃ飽きるでしょ?」と明快だ。料理人だけでなく客が持っている常識や先入観に囚われない。さりげなく気取りがなく客に接する姿が心地よいい。


茹で上がったばかりのタコ、元気良く動く呼ぶ子のイカなど初めての人はみんな大喜び。遠藤さんの手のひらからウニや穴子の寿司を壊れる前に急いで口に放り込む趣向も受ける。素材の吟味や料理の腕は言うまでもないが、楽しい食事を演出するのも見事なもんだ。


女性客に供されるデザートは結婚前にパティシエをしていた奥様の手作りとのこと。3回目にして初めて聞いた微笑ましいエピソードである。なーんだ、愛されているじゃないか、こんちくしょう。

美味しい料理と酒、楽しい会話、いつものように満足して、さて勘定。値段を見て「アレッ?」と目を上げると、「お土産のちらしばら寿司が6,000円ですからね…」と申し訳なさそう。お互い苦笑いを交わした。見た目どおり美味しかったと後日教えてもらった。

海に囲まれ、北から南に長く伸びる日本列島。回遊する魚もあれば磯から離れない魚もある。浅瀬の魚貝や海の底に潜む深海魚・甲殻類。冷凍物や輸入物が幅を利かす昨今、日本の季節の移り変わりを感じることができる寿司屋は意外と少ない。またとりで寿司に来よう。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2009年03月18日

[てん茂](日本橋)

本物の江戸前天ぷら


「オッ!凄いね」老舗の雰囲気溢れる店の前に立ってつぶやいた。店に入ると時代を遡った感じがする。初代が明治18年(1885年)に屋台から始め、現在地に店を構えたのが明治40年。関東大震災や戦災に見舞われて立て替えること3度、現在の建物は昭和22年(1947年)に建築された。定番の質問に80を超えた3代目が淀みなく説明してくれる。

揚げ役の4代目の前には黒ずんだ油の鍋が見える。煎った胡麻油で揚げる昔ながらの江戸前天ぷらの店と分かる。雰囲気に気圧されそうになるのをこらえて「毎日、油の前にいると気持ち悪くなりませんか?」と軽口を叩くと、予想外の質問に3代目の表情が和んだ。

漬物、大根おろし、海老、うど

漬物、普通の大根おろしと柚子が混ざった大根おろしが並ぶ。海老を食べて笑みがこぼれた。菜種油や綿実油など透き通ったサラダ油系の揚げ油を使う店が増えたが、さすがに胡麻油100%で揚げると香ばしい。これが伝統の天ぷらの味である。

小なす、ゆべし、稚鮎、白魚

日本酒を頼んだらゆべしを出してくれた。お菓子ではなく、柚子に味噌などを詰めて作る酒の肴。自家製だそうだ。これは堪らん。稚鮎は琵琶湖産、白魚は兵庫産。3代目の説明は快調である。へー、なるほど、フーン。感心して、頷いて、食べて笑う。

銀杏、スミイカ、樋湯葉、椎茸海老しんじょ、めごち

「噛んでいると大豆の味がしますよ」と出された樋湯葉(とうゆば)。湯葉をすくう棒に絡まった湯葉を固めたもの。「本当だ!」思わず声が大きくなった。まるで大豆をそのまま食べているようだ。3代目が樋湯葉の袋を見せながら解説してくれる。

つくし、きぬさや、きす、海老、ふきのとう

「箸置きが素敵ですね」連れも負けずに話しかけると、3代目はますます饒舌になる。4代目は黙々と揚げながらも、時おり父親に合いの手を入れる。他の店員二人の暖かい視線も加わって、実に楽しい。

穴子、青唐、かきあげ、味噌汁

「天ぷらは野菜の季節感があっていいですね」と銀髪が通ぶると、「野菜を揚げるのは精進揚げの専門店で、昔は天ぷら屋は野菜を使わなかったんですよ」と言う。まったく教えられることが多い。

胡麻油100%では胃がもたれるという通説も、てん茂には当てはまらない。家に帰ってもコートから立ち上る胡麻油の香りは不快ではなかった。「私共にとっては胡麻油の臭いは空気のようなものでしてね…」3代目の言葉を思い出した。80歳を過ぎても元気、頭脳明晰。油が気持ち悪いはずがない。


てん茂
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
http://tenmo.jp

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2009年03月17日

[筑紫樓](銀座)

極上の青鮫のフカヒレ姿煮


「本店は銀座なの?」電話の向こうの若い女性に尋ねた。「一番古い店は恵比寿ですが、特に本店はありません」と答える。「一番美味しいのは銀座だよね」と言ったら笑い声が聞こえた。「総料理長は銀座に居ます」とちょっと誇らし気だ。「個室ですとコース料理を予約していただかなくては…」と言うので、「一番安いコース料金以上の料理を頼むからいいでしょう?」と返した。

ランチのコースでは食べたいものがなく、他のコースでは量が多過ぎる。銀髪が頼んだのは通常使われるヨシキリザメより高級なアオザメの姿煮。その前に前菜3種盛り。〆にフカヒレ入り土鍋そば。品数は限られるが、個室を使うのに相応しい料金にはなる。

席につくと料理をする前のフカヒレを持ってきてくれた。350gのものが2切れ。7人の会食なので各人に100gが行き渡ることになる。

蒸し鶏、くらげ、叉焼を食べながらフカヒレの登場を待つ。ちょうど食べ終わる頃にオイスターソースなどで味をつけた白湯スープ仕立ての姿煮がやってきた。

各人に取り分けてもらい、お好みで金華ハムともやしを加えて食べる。蟹を食べているわけではないのに会話が止まる。「どうだい?」と銀髪が聞くと、みんなが顔を上げて頷く。再び沈黙。
「白いごはんを入れていただいても美味しいですよ。お持ちしましょうか?」と担当の植田さんが奨めてくれる。確かに濃い味のスープがごはんとよく合う。

筑紫樓で食べられるフカヒレはヨシキリ鮫、青鮫、毛鹿鮫、メジロ鮫の4種。ヒレは背びれ、尾びれ、手(腹)びれの3種があり、食感や希少性によって値段に大きな開きがある。お得なセット料理やラーメンに入れられるものが、高額な料理と同じもののはずがない。
もっとも、フカヒレ自体に味はないので、スープの美味しさは大差ないかもしれない。

最後にフカヒレ入り土鍋そばを食べた。一流の料理人が作るものはラーメンであっても美味い。
担当してくれた植田さんの話も大変面白く、参考になった。勝手気ままなオーダーをする客のあしらい方も心得たもの。とても満足した。


筑紫樓 銀座店
東京都中央区銀座7丁目10-1 STRATA GINZA B1F
03-3569-2946
http://www.tsukushiro.co.jp/ginza/

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2009年03月16日

[鳥政](表参道)

創業から32年、伝統の焼鳥


鳥政を覗いたのは何回目だろうか。いつも予約なしで戸を開けては断られた。混んでいれば他の店に行けばいいやと今回もダメ元で行ったら、何とカウンターはガラガラ。真ん中の席に座り「イヤー、空いてて良かった!」と言うと、板さんも笑った。すぐにお通しが出てきた。

お通し

「こんな日もありますよ」「イヤー、ラッキー、ラッキー」と話を続けながらガラスケースの中を物色する。一串がでかい。メニューと見比べて悩む。半コースでは種類が少なくてつまらないが、全コースでは食べきれるか自信がない。決めかねていると「全コース1人前を2人で分けて食べてもいいですよ」と言われた。それを早く言ってくれ!

さび焼き、レバー、しそ巻き、つくね

わさびが乗ったささ身、レバーは共に中がレアの状態。「美味いですねー」と板さんを見ると「ありがとうございます」と嬉しそう。入店を断られた時には偉そうに思えたが、逆恨みだったようだ。しそ巻きと太いつくね。うまい、うまい。

もも、ねぎ巻き、白玉(うずら)、ぎんなん

ねぎ間ではなく鶏肉でねぎを覆っているねぎ巻きを食べたところで京橋の老舗・伊勢廣を思い出した。あらためてメニューを見上げるとボンジリやセセリのような今はやりの部位がない。「創業以来メニューは変わっていないんでしょう?」と聞くと怪訝そうな顔をする。「刺身なんかはその日によって変わりますよ。でも焼鳥は…そうですね…変わってませんね…」若い板さんはまだ質問の意味をはかりかねているようだ。銀髪一人、ニンマリとした。

日本酒を頼むと熱燗用と冷酒用が1種類ずつしかない。これも伊勢廣に似ていると思ったら、出てきた冷酒は純米大吟醸の写楽。ちょっと嬉しくなった。

砂肝、皮、なんこつ、手羽先

板さんのお奨めどおり、全コース1人前でお腹が一杯になった。最後はもちろん鳥のスープ。

だんだん客が増えてきた。女性客はカウンターに2人、座敷に4人、男性に混じって数人と表参道らしく多い。小さな店に女性が集まれば混み合うのもよく分かる。
「今度は予約してきますね。今日食べなかった料理もたくさんあるから」と言うと「またお願いします。名刺いりますか?」元気がいい。

ボリュームタップリの昔ながらの焼鳥を食べられるいい店だった。

鳥政
東京都港区南青山3-13-2 山川ビル 1F
03-3405-4515

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2009年03月15日

[鎌倉山](横浜)

箸で食べる洋食?


土地勘のないところでレストランを探すのは難しい。ネットやグルメ雑誌を頼っても、一種の賭けであることは間違いない。大きなビルにある有名店が無難な選択である。鎌倉山は赤坂店や玉川高島屋店に行ったことがあるので、料理にも馴染みがあった。

鎌倉山は値段が高いというイメージが強い。特に赤坂店では最高クラスのコースと高級ワインをご馳走になったので、かなり恐縮した。ところが今回ホームページでランチはそれほど敷居が高くないと知って使うことにした。29階からの絶景を擁するゆったりとした個室は居心地がいい。

鎌倉山の看板料理は言うまでもなくローストビーフであるが、前菜となる魚介類が好きという人も多いだろう。生食が苦手な人にとっては鎌倉山は辛いに違いない。魚介類も肉も火を通した方が美味しいと思う。しかし、せっかくの新鮮な素材を焼いてしまうのはいかにももったいない。

生食が嫌いな人にはローストビーフはまたしても苦痛である。鮮やかな色のローストビーフを焼いて欲しいと言われたら、今度は料理人が悲しくなってしまうだろう。銀髪は料理人がベストと思う焼き方で問題ない。もっとも、ソースをかけるところでダメ出しをしてしまう。軽く塩胡椒を足して、ホースラディッシュをつける。イングリッシュマスタードもいい。シンプルな味が好きだ。

新鮮な魚介類の刺身が和食なら、和牛を使った生肉のようなローストビーフは洋風、そして最後のデザートになると完全な西洋料理になる。ケーキ好きの女性や甘党の人は狂喜するだろう。「好き嫌いしちゃダメですよ!」と言っていた銀髪がケーキを前にして途端に元気がなくなる。

みんながワインを遠慮してくれたので比較的割安のランチとなった。昼間の接待にはいい店である。

ローストビーフの店 鎌倉山 横浜スカイビル店
神奈川県横浜市西区高島2-19-12 スカイビル29F
045-442-0600
http://www.roastbeef.jp

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2009年03月14日

[ゲンカツ](銀座)

意外と美味しいキムカツ


キムカツはキムタクとかキムニイと関係があるのかと思っていた。実際は希望と夢でキムらしい。豚の薄切りを重ねた豚カツは八重洲の豚カツ屋でミルフィーユカツの名で出ていた。辛党の銀髪にはミルフィーユの意味が分からず、ただただ興味本位で頼んだら不味かった。それ以来、この種の豚カツは避けてきた。

ゲンカツがキムカツの店とは知らないで入ってしまった。2002年にスタートしたキムカツは何故か2006年からゲンカツという店名に転換し始めた。商号の問題でも起こったのだろうか。いつの間にか、キムカツが料理名として一般に認知されてしまったからなのだろうか。

6種類の中からプレーン、黒胡椒、チーズの3品盛合せを頼んだ。薄切り肉を25枚重ねたというキムカツは、八重洲の豚カツ屋で食べたものとはまったく別物で、意外と美味しかった。3種の中では特に黒胡椒がいい。

余った薄切り肉を重ねてボリュームを出したトンカツの代用品のイメージが強かったが、普通の豚カツと充分渡り合える料理に仕上がっている。その代わり料金もゲンカツ膳 (ゲンカツ・キャベツ・炊きたてご飯・お味噌汁・香の物付)が1,950円と立派である。

安くあげようと思ったらゲンカツ丼がいい。卵とじではなく温泉卵が乗ってくる。デザートもついて1,300円とお手頃である。タレにくぐらせず、揚げたままの状態でごはんに乗っけてくれたらもっといいが、まあ好みだろう。

どの家庭でも余った薄切り肉を数枚重ねた豚カツを、お弁当のおかずなどにしたことがあるはずだが、25枚も重ねて商品化したのは立派。色んなものがはさめるので、種類も豊富に出来る。料理名も全国的に認知されているのなら、大したものである。

ゲンカツ 銀座店
東京都中央区銀座4-6-18 銀座アクトビル3F
03-3567-1129
http://genkatsu.com

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2009年03月13日

[串音](渋谷)

お洒落な串揚げ屋


エレベーターに乗るまでは、9階にあるバーに行くつもりだった。ところが降りたのは5階、串揚げ屋さんになってしまった。デリタワー8階には以前書いた瓜もある。さほど大きくないビルだが、洒落た店が集まっている。

店に入ると左にカウンター、奥にテーブル席がある。瓜によく似た造りだ。他の串揚げ屋と同様にお任せで揚げてもらい、お腹が一杯になったところでストップする。

野菜、もずく、たら、ささみ

定番の野菜のお通しをかじっていると、すぐに揚げ物2品が目の前に現れた。串揚げは待たされる時間がなくていい。

こんにゃく、えび、アスパラの豚バラ巻き、栗とムラサキ芋

「嫌いなものはありませんか?」と言われて勢いよく「ありません」と笑ったのがまずかった。特大のアスパラと一緒に出てきたのが甘い栗と芋。苦手の甘いものも、何とか食べきった。連れは絶賛している。

たらの芽、ローストビーフ、豚とろ、わかさぎ

春到来を思わせるたらの芽。冬と共に去っていくわかさぎ。天ぷらではよく口にするたらの芽も、フライで食べるのは初めてだった。

蓮根肉詰め、甲いかのウニ乗せ、牛バラと菜の花、蟹と海老しそ巻き

立派な冷蔵庫がある割りに日本酒の品揃えが少ない。疑問をぶつけると、冷蔵庫の主はワインとのこと。揚げ物には日本酒よりワインが合うかもしれない。

揚げると食材の個性が薄れてしまうが、何でも美味しく感じる。カリッと揚げ立てはいくらでも食べられそうで危険だ。

串揚げダイニング 串音
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー5F
03-5941-7594

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2009年03月12日

[石かわ](神楽坂)

ミシュラン三ツ星の理由


ミシュラン東京掲載の店には行かない、と心に決めている。選考者が気に入らないとか、選ばれている店に納得できないとか、確たる主義主張があるわけではなく、単にミーハーに見られたくないためだ。銀髪グルメ紀行を書くためにカメラを構える姿は、どこからどう見てもマスコミに踊らされて喜ぶ馬鹿者そのものだろう。

お互いに兄弟と呼び合う友人から久し振りにお誘いがかかった。彼の秘書からのメールには、神楽坂の「石かわ」とある。移転する前に行こうとして果たせず、ミシュランに選ばれたので縁がないと忘れることにした店である。素直に喜んだ。

普通ならカウンターに座るところだが、写真を撮るには個室が有難かった。友人が到着するまでにおしぼりやお茶を持って店の女性が2人現れては消えた。店を出るまでに4人の女性が料理や酒を運び、誰に聞いても的確かつ優雅に説明してくれた。

ミシュランに『料理は枠にはまらない「石かわ流」』と評されているとおり、アンコウの肝に黄身酢をかけたり、寒ブリと辛み大根を併せたりと、どの皿も京料理のようでも少し違っている。若竹煮ではなくて、素麺と一緒に椀物にしてしまうと違和感を覚える人もいるかもしれない。銀髪はもちろん大歓迎である。面白い。

帆立の炊き込みご飯を2杯食べた。料理は月替わりとのことだが、何か名物料理というものはないのだろうか。入れ替わりやってくる女性の一人をつかまえて尋ねると鯛茶漬けだと言う。「出せるかどうか聞いてきましょうか?」となれば断る理由はない。

何と本日3杯目のごはんも首尾よく腹に収まった。主人の石川さんが挨拶に来てくれた。友人とは食事を共にする間柄らしい。「料理はもちろんだが、店の女性たちが素晴らしい」と話したら心底嬉しそうだった。ミシュランに選ばれる前から誇りと愛情を持って店を支えているスタッフたちに感謝していると言う。従業員を見れば社長が分かる。どの世界も一緒だ。

三ツ星の真価はそんなところにあるのかもしれない。ミシュランなんかどうでもいいけれど… 

連れて行ってくれた友人にも謝謝。

石かわ
東京都新宿区神楽坂5-37
03-5225-0173

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2009年03月11日

[米新](新宿歌舞伎町)

肉屋のすきやき


歌舞伎町を歩いていたら「すきやき・しゃぶしゃぶ 特上4,200円→2100円」の看板に目が止まった。「そんな馬鹿な…」と通常なら通り過ぎるところだが、入り口の横にある肉のショーケースを見て迷った。人形町の日山や今半、京都のモリタなど精肉店が営む飲食店は安くて美味い。意を決して店に飛び込んだ。

店はきれいとは言い難いが、老舗の風格と思えないこともない。中央のコンロが手動で上下するテーブルは、今では買えないような年代物である。もちろん特上4,200円(実際は半額)のすきやきを頼んだ。他の料理を頼もうとしても、すきやきの注文を受けただけで店員は消えた。大概の客は半額セールの物だけ食べて帰るのかもしれない。

可愛い店の女性が鍋に野菜を入れ始めた。一人前2100円にしては立派なサービスである。鍋の半分が野菜で埋まったところで肉を入れて、割り下を注いだとろこで後の調理法を伝えて去って行った。最後まで面倒を見てくれるわけがない。期待する方が間違いだ。

馬刺し数切れを刺し身で食べ、残りを鍋に入れた。メニューには豚肉や合鴨も載っているが、肉の追加はしないで他の料理を食べることにした。5種類のソーセージ、牛タンの塩焼きで酒を飲んだ。

店は半分ほどの入りだが、店員たちは忙しそうだ。入り口に作りかけの弁当がたくさん並んでいた。歌舞伎町にある麻雀荘やクラブからのオーダーを待っている。数千円の弁当が出ることはなく、殆どが1,000円前後。リーズナブルな店で、来店客だけでなく多くの歌舞伎町の遊び人たちに支えられている老舗だった。

すきやき 米新
東京都新宿区歌舞伎町1-16-12
03-3209-4864

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2009年03月10日

[ビストロ ヴィオニス](銀座)

ソムリエ王者の店で気軽に楽しく

(2009年6月に閉店しました)

知る人ぞ知る、2002年度全日本最優秀ソムリエ・阿部誠氏のお店。姉妹店のサロン・ド・シャンパーニュ・ヴィオニスには数回行ったことがあるが、ビストロの方は初めてだ。ワイン好きの客を誘った。

思ったより広くてきれいな店内のどこでも座れる自由をもらったが、迷わずカウンターの席を選んだ。厨房が見えるし、店の人と会話もしやすい。一番乗りの特権でマネジャーの齊藤さんを独り占めした。「料理はアラカルトで、グラスワインを数種類飲みたい」とアバウトな要求にも慌てない。肉は、魚は、野菜はと丁々発止で素材を決めていく。あれはダメ、これが好きと言いたい放題。実に楽しい。

黒むつのカルパッチョ仕立て

魚介類が出てきたところで白ワインのボトルが目の前に並ぶ。齊藤さんとは別のソムリエがそれぞれのワインの特徴を流麗に説明してくれる。シャルドネ、ソーヴィニオン、セミリオンなど代表的な品種以外の地方色が濃い葡萄はチンプンカンプン。好みを伝えて2種類選んだ。

ホワイトアスパラと鱈の白子

これからが旬のフランス産アスパラと白子の意外な組み合わせ。甘口のワインは苦手と尻込みする銀髪に齊藤さんはリースニングを奨める。騙されたと思って頼んだが、やっぱり甘いと顔をしかめた。ところが料理と合わせると絶妙のハーモニー。齊藤さんのしてやったりの笑顔が憎い。

仔羊のフィレステーキ

オーストラリア時代によく食べたけど、日本ではなかなかお目にかかれない仔羊のフィレ肉が牛肉や豚肉を押しのけてメインを飾った。フィレ肉を周辺の脂身で囲ってある。自分が選んだ素材がイメージと異なる姿で現れるのも楽しいものだ。今度は4本の赤ワインが目の前に並んだ。厳かに説明を聞き2種類選んだ。

デザート、チーズ

最後にホットチョコレート&カシスのアイスクリームのデザートとチーズを食べる。デザートワインを断って、もう一杯赤ワインを飲もうかと思ったが我慢した。リキュールは2次会に譲ろう。

齊藤さんが銀髪たちから離れることが多くなった。いつの間にか店は半分ほど埋まっている。ブリフィックスコースが6,300円、7,875円とリーズナブルな設定のためか、若い客が多い。女性だけのグループも複数いる。

仲間たちだけで興ずるのも楽しいかもしれないが、ヴィオニスではソムリエ達と会話をして欲しい。320種類、2000本ものフランスワインたちが輝きを増すはずである。


ヴェー・ド・ビストロ・ヴィオニス
東京都中央区銀座7-4-14 光ビルB1F
03-3571-7414
http://www.vionys.com/bistro/

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2009年03月09日

[タレカツ](水道橋)

醤油味のカツ丼


ソースカツ丼を求めて念願の福井のヨーロッパ軒に行ったことは3月3日に書いた。現在残されている文献上ソースカツ丼の元祖がヨーロッパ軒であることは疑いがないようであるが、群馬や福島など他の地域のソースカツ丼も郷土の名物として愛されている。元祖はともかく、どこが一番美味しいかは食べる人が決めることであろう。

もともと揚げ物には醤油派の銀髪にとって、ヨーロッパ軒のソースはちょっと甘く感じた。事実は小説より奇なりというか、偶然とは不思議なもので、ヨーロッパ軒に行った直後にタレカツ丼なるものを知った。1945年に新潟のとんかつ太郎の店主が広めたもので、新潟ではカツ丼と言えばタレカツ丼のことだそうだ。これが醤油味と知って水道橋に飛んでいった。

開店の11時半を回ったばかりなのに既に4人の客が居た。それでも半分も埋まっていないので自分の好きな席を選ぶことができた。正面の客に運ばれる丼を見ると、カツが盛り上がって乗っているので、量の多さにちょっと脅えた。しかし、目の前にやってきた自分のカツ丼は控えめで安心した。正面の客は大盛りを頼んだようだ。

食べ始める前に満席になった。店内の待機席も一杯になった。料理を作る店員の動きも慌しくなった。大通りから外れた路地にある店なのに賑わっている。食べて納得。ヨーロッパ軒のソースカツ丼よりも銀髪の嗜好に合っている。

温玉をトッピングしたが、カツだけでも充分だ。常連と思える人たちが、大盛りごはんを頼むのも理解できた。お腹が空いていたこともあるけれど、4枚のカツとのバランスからしたらごはんはもう少し欲しい。

それにしても地方の名物を居ながらにして食べられる東京は本当にいいところだ。カツ丼だって何種類もある。ラーメン屋も多彩だ。食材も日本どころか世界中から集まってくる。もちろん、料理人も上京して切磋琢磨する。

醤油味ベースのカツ丼は気に入った。

新潟カツ丼 タレカツ
東京都千代田区西神田2-8-9
電話:03-5215-1950
http://www.tarekatsu.jp/

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2009年03月08日

[江島]④(銀座)

今シーズン最後の松葉蟹


昨年11月6日に解禁された松葉蟹漁もいよいよ3月20日で終る。解禁後すぐに江島で食べたときには有難かったが、今回で3度目となると感激も薄くなるのだから我ながら身勝手だと思う。

入り口近くの水槽にはいつものように毛蟹が群れをなしている。ところが松葉蟹は2ハイしかいない。我々が予約したのが2ハイなので、他の客が食べる松葉蟹はないということになる。途端に有り難くも感激してしまうのだから我ながら愚かである。

予約がなくてもいつも数匹は仕入れている江島でも、さすがにこの時期になると事前の予約が必要。価格も跳ね上がっているので、冒険はできない。常連さんからの強い要望がなければ予約も受け付けないそうだ。ますます有難い。

本日の蟹は鳥取産を示す赤いタグがついている。1.2キロ以上もある大物で、一パイ2万8千円だった。お客様に爪や太い足の殆どを譲ったが、腹の部分でも身は簡単に取り出せて、甘く美味しかった。2ハイの蟹はすぐに食べ尽くされた。

5人に対して2ハイの松葉蟹では腹一杯にはならない。銀髪なら味比べに毛蟹を頼むところだが、常連氏は蟹だけでは飽きると受け容れてくれない。腹を満たすのはしゃぶしゃぶの役目になった。

みんな良く食べた。2人前で充分と思った肉も、足りずにさらに2人前を追加した。茨城産とはいえ、霜降りの上等な肉は蟹に負けないぐらい人気だった。

若い仲居さんに「雑炊は蟹にしますか、しゃぶしゃぶのスープを使いますか?」と聞かれると、間髪入れずに常連氏が「しゃぶしゃぶ」と答える。銀髪が「お客様に選んでいただいたらどうですか?」とたしなめたら、蟹好きの客が「しゃぶしゃぶでいいですよ」と気を使う。銀髪の淡い期待はまたしても葬られた。

再び活き松葉蟹を拝めるのは8ヶ月後になる。食べる機会が幸運にも訪れたらの話だが…


江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/

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2009年03月07日

[両国](徳島)

徳島に来たら中華そば


空港で拾ったタクシーの運転手さんに「徳島ラーメンの両国に行ってくれる?」と声をかけたら「知らない」と言われて戸惑った。他の店を奨めようとするので「徳島駅近辺ではいのたに、東大、麺王には行ったよ」と先手を打ったら黙り込んだ。しばらくして「駅前CITYのいわたも美味しいんじゃないかな」と言う。しかし「本店しか行ったことがないけど…」と続けるので初志貫徹することにした。「やっぱり両国にしよう」と告げるとちょっと落胆したようだ。

徳島駅から歩いて10分足らずだが、人通りはあまりない。駅の反対側にある有名店いのたにと比べるべくもない。店に入ると会社員のグループが二組、店の本棚から取り出した漫画を読みながらラーメンの出来上がりを待っていた。

おばあさんが水を片手にゆっくりと歩み寄ってきた。時の流れを乱さないように、「エーとう、肉入り…、そば…」とオーダーする。メモを取って調理場に行く姿を見送ってから、再びおばあさんに会うまでに、混み合ういのたにと同じくらいの時間がかかった。

テーブル上の器に盛られた無料の卵を一つ取り、中央の肉をちょっとずらして割り入れた。先ほどの運転手から聞いた「徳島ラーメンはすき焼きみたいで嫌いだ!」と罵った客のことを思い出した。生卵の白身を嫌ったのだろうか。小さな卵でも白身が固まるほどスープは熱くない。

あまり脂っぽくない食べやすいラーメンだった。勘定を払う時に料理人(主人)が出てきた。おばあさんが奥さんかと思っていたが、若いので意外だった。確かに若くなければ深夜までの営業は出来ないだろう。

一時間後、タクシーの運転手さんが奨めてくれた駅前のいわたに行った。遅れて徳島に着いた部下が腹を空かせていたためだ。1杯の量が少なめなのでベルトを緩める必要はなかった。手作りスイーツもある不思議な店だが、徳島ラーメンの基本は外していなかった。

ホテルに置いてあった「徳島ラーメン団」という冊子には50店舗以上が掲載されているが、両国のように載っていない店も多数あるに違いない。徳島で徳島ラーメンと言わずとも中華そばで通じる。


両国
徳島県徳島市両国本町1-21
088-652-0772

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2009年03月06日

[だるま](八重洲地下街)

酒を飲まなきゃ安く済むけれど…


だるまは八重洲地下街を歩く度にいつか来たいと思っていた店である。最大の魅力は酒の品揃えで、ガラス越しに見える冷蔵庫の中からたくさんの日本酒がのん兵衛を誘っている。東京駅周辺では最大級の品揃えかもしれない。

総勢5人での宴会なので、前もって鍋のついた4,000円のコース料理を頼んでおいた。すだれで仕切られた簡易個室に案内されたが、両隣も含めて見える範囲の客たちの年齢は高く、声も大きい。いつも思うが団塊の世代以上の人たちは本当に元気だ。

子持ち昆布とこはだ、オードブル盛合せ、スモークサーモン

居酒屋らしい付け出しの後は、大皿料理が出てきた。一瞬洋風居酒屋に居るような錯覚を覚える。和洋折衷は日本のいいところだ。何が出て来るか知らない人にとってはグッと親近感が湧くかもしれない。

大皿が片付く前に大きな舟盛りがやってきた。慌てて大皿に残った料理を小皿に移して、スペースを作る。さざえ、ぶり、まぐろ、しめさば、さけ、たこなどが並ぶ。人数が多ければもっと豪華に見えるだろう。質は値段相当である。

鳥唐揚げが出てきたところでビールから日本酒にした。グラスの違いは値段の違いで分かりやすい。日本酒だけでなく焼酎の種類も多い。飲むほどに勘定が上がっていく。

名物の雪見鍋。我が家では大根おろしが鍋を覆うが、この店ではまばらに積もった雪景色だ。

最後は雑炊。作るのはいつものように銀髪の役目。にぎやかで楽しい宴会だった。店を出るとすぐに電車に乗れるのがだるまのいいところ。東京駅が始発の電車なら座って帰れる。大酒を飲んで乱れる人はいないから安心だけど、眠ってしまって乗り過ごすことだけは気をつけた方がいい。


だるま
東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街北1号
03-3272-7707


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2009年03月05日

[鳥巣亭](原宿)

原宿駅前で昔ながらの焼鳥屋


男二人、ロードバイクの店の帰りに原宿に戻ってくると、どこで食事をするか戸惑ってしまう。しかし、女子供の街との先入観を振り払って嗅覚を働かせ、ビルの看板と窓を見ながら適当な店を物色する。あった、あった、あれならいけそうだ。

エレベーターを降りて店を見ると、思ったとおり原宿に居ることを忘れさせてくれるような焼鳥屋である。ところがカウンターに座っているのは外国人男性&日本人女性のカップルと若い女性の二組で原宿らしい陣容である。レディースコースなるものもあり、やはり原宿を意識しているようだ。

お通し、自家製チャーシュー

焼鳥はすべて150円~200円とリーズナブル。コースは断って、アラカルトで食べることにした。「2本ずつだね?」と聞くと「2本以上です」と念を押された。「二人だから2本でしょう」と言うと「3本でもいいですよ」とかみ合わない。そうか、2本の倍数じゃなくてもいいと言いたかったのかと気付いた。

もも肉、レバー、せせり、ぼんじり

料理人は二人ともベテランのようだ。今風の洒落たものはないが、焼き方も上手で悪くない。
日本酒は八海山、浦霞、久保田、月山、田酒と有名どころを揃えている。外国人も女性たちもガバガバ飲むのは400円~600円と格安だからだろう。我々はビールを飲み続けることにした。中瓶で500円というのも良心的だ。

しいたけ、ぎんなん、はつ、なんこつ、ながいも

我々の後に若いカップルが入ってきたが、続けて中年二人組、高年2人組が加わり、ようやく店に相応しい雰囲気になってきた。後から来た2組は常連さんらしく、料理人たちも元気になってきたように見える。客だけでなく料理人も人見知りをする。

時間の経過と共に店の雰囲気がどのように変わっていくか見届けたかったが、ビールで腹が膨らんでしまったので勘定をすることにした。ネット上では殆ど情報がない店だが悪くはなかった。オヤジ達、カップル、外国人、誰をも受け容れる昔ながらの焼き鳥屋だった。

鳥巣亭
東京都渋谷区神宮前1-14-2 ルポンテビル3階
03-3497-5351

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2009年03月04日

[海鮮徳寿](新橋)

新橋で海鮮バーベキュー


「先輩!いい店を紹介しますよ!」新橋通の後輩から誘いがあった。彼はいつもリーズナブルで美味しい店に連れて行ってくれる。海鮮徳寿は入り口にある生簀や大漁旗など新宿三丁目の丸港水産によく似ている。鮮度のいい魚介類や干物を自ら焼くシステムで洒落た装飾はなく、実質重視の店である。

後輩は慣れたもので、1日限定50食の海鮮籠盛りをまず確保、それから干物を頼んだ。

小アジのみりん干し、うるめいわし、ふぐ、するめいかなど大分産の干物。大分は椎茸の産地としても有名である。

さざえ、鮑、車海老、緋扇貝が2個ずつ入って3500円。毎日大分から空輸するというだけあって、活きがいい。特に鮑は右回転、左回転と踊る様が面白い。ちょっと残酷のような気もするが、この店の最大のショーだろう。

ホタテにしては変わった色だと思ったら、ヒオウギ貝というらしい。焼かれてしみ出たスープをこぼさないように火から下ろすのが大変だ。「オーイ、軍手ー!」後輩が店員を呼ぶ。よく分かっている。

野菜を焼いた後、あじの干物を焼いた。2月に開店したばかりで、まだ焼き物以外の品揃えが出来ていない。これから徐々に品数も増えていくに違いない。

「おにぎり持ってきてー!それとだし汁も」店のことを良く知っている人がいると心強い。少し焼き固められたおにぎりをもう一度目の前で炙り、だし汁に入れる。なかなか悪くない。

「もう一軒行こうか?」とご馳走になったお返しをしようと誘ったら仕事に戻ると言う。店に鎮座している大きな甕からオリジナルブレンド焼酎を数杯飲んだにもかかわらず、シャキッとしている頼もしい奴だ。

まだまだこれからの店だが、鮑の踊り食いだけでも来る価値のある店だった。


海鮮徳寿
東京都港区新橋3-2-6 杉本ビル1、2階
03-6268-8123
http://homepage3.nifty.com/kaisen-tokuju

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2009年03月03日

[ヨーロッパ軒 総本店](福井)

元祖カツ丼


福井駅から歩いて10分弱、3度目の福井出張でようやくヨーロッパ軒に来ることができた。既に20回も福井に来ている部下はソースカツ丼はおろか越前おろしそばすら食べたことがない。彼の案内はあてに出来ないので、自ら調べて一人で本店に行った。

「もともとは早稲田大学の近くにあったパッとしない食堂で、関東大震災の後に福井に移転した」という話が記憶に残っていた。福井でもパッとしない店と思っていたので3階建ての立派な店を見て、大正時代の話を今に結びつけて考えていた自分を笑った。

1時半を過ぎているのに1階は満席で、2階に通された。この時間の客はすべて観光客や出張者など他県の人たちのようだ。単品のソースカツ丼を頼んでから、メニューを開いた。ステーキ、カレー、オムライスなど結構種類があるが、この時間にはカツ丼以外の出番はなさそうだ。

銀髪以外に4人が同時に注文したのでちょっと待たされるかと思ったが、5分位でカツ丼が出てきた。薄いロースカツが3枚、ごはんの上に乗っているだけの極めてシンプルなカツ丼だ。調理時間が短いのも頷ける。

脂身を切り落としたロース肉に目の細かいパン粉をまぶし、ラードでカラリと揚げる。口上どおり油臭くなくサラリとした口当たりのトンカツは悪くない。ウスターソースに各種香辛料を加えた秘伝のタレもカツによく合っている。

途中まで感心して食べていたけれど、だんだんごはんにかかったタレが甘くベタつくように感じてきた。醤油派の銀髪には秘伝のタレは甘すぎる。後発の店がキャベツの千切りを乗せるようになったのも、案外銀髪のように感じた人が多かったせいかもしれない。

ヨーロッパ軒の創業者高畠増太郎氏がソースカツ丼を創案発表したのが大正2年で、大反響を呼んで銀座や日本橋の洋食店のメニューに入った。これが大阪に伝わって道頓堀で玉子とじカツ丼が登場したという。ヨーロッパ軒のカツ丼はソースカツ丼の元祖だけでなく、すべてのカツ丼の元祖ということになる。

カツ丼を発明したことは尊敬に値するが、結局玉子とじカツ丼が元祖を凌駕することになってしまったことにはそれなりの理由がありそうだ。いずれにしても一度は味わってみたい元祖カツ丼である。

ヨーロッパ軒 総本店
福井県福井市順化1-7-4
0776-21-4681
http://homepage2.nifty.com/yo-roppaken/

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2009年03月02日

[金王庵](渋谷)

しゃぶしゃぶとそばすき(?)


渋谷駅を出て道玄坂の裏通りを歩いた。行き先を決め、予約をして行く方が安心だけど、たまには嗅覚を頼りに飛び込むのも楽しい。料理屋が密集する場所を離れると雰囲気のある店が散在する。昼間歩くとまったく違う印象だろうが、暗闇にぽっかりと浮かんだ感じは心をくすぐる。

「そば」と「豚のしゃぶしゃぶ」の文字を見て決断した。「うどんすき」ではなく「そばすき」と言えるかもしれない。リーズナブルにちょっと変わった料理が食べられそうだ。落ち着いた雰囲気の店内には一組だけ客が居た。

お通し、そば味噌、そばパリパリサラダ

応対してくれたおばあさんがとても優しい。入る前から決めていたしゃぶしゃぶを頼み、その前に食べるものを選んだ。日本酒はグラス売りが決まりだけど、それを曲げて一合入りの器とお猪口を2つ持ってきてくれた。「うちはグラス売りだけです」と愛想がない店が増えたが、ここは違う。

鍋が煮えてきた。柔らかいやまと豚をしゃぶしゃぶする。数々の賞を得た豚肉らしくなかなか美味しい。時折鍋の様子を見に来るおばあさんと話し込む。声をかけるときはもちろん「おかあさん」。銀髪が呼ぶにはおばあさんでは可哀想だ。おかあさんとの話を楽しみに来る客が多いそうだ。

最後はおかあさんの指導の下、グラグラと沸き立つ鍋にそばを入れて1分間そのダンスを見詰める。固めが好きな銀髪は、砂時計の砂が落ちきる前にそばを上げる。細めのそばはつるりと喉を通っていく。いくらでも食べられそうだ

残りのそばを入れて再びそばのダンスを楽しむ。全部腹に納まったところでそばを茹でたスープを飲むのが嬉しい。そばつゆの器にそば湯を入れたら濃すぎるので別の器をもらった。そば湯にちょっとそばつゆを入れて飲もうとすると、おかあさんが薄すぎると注意してくれる。「そば湯だけでもいいぐらいなんだよ」とおかあさんに言うと、不思議そうな顔をする。こちらもちょっと苦笑い。

なかなか楽しかった。「もう引退しようかと思っている」とおかあさんは言うが、もったいない。いつまでも元気で店に出て欲しいものだ。

蕎麦由々 金王庵
東京都渋谷区道玄坂1-17-5 オリンピックビル1F
03-3496-3535
http://www008.upp.so-net.ne.jp/konnouan

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2009年03月01日

[中国大飯店](東京駅八重洲地下)

中華料理屋で食べるちゃんぽん、皿うどん、博多ラーメン


「八重洲地下街の中華料理屋のちゃんぽんが最高ですよ!」神田の西海の話をしたら部下が異を唱える。八重洲地下街にある中華料理屋・鳳鳴春なら何度も行ったのですぐ分かるが、他に中華料理屋はあっただろうか。もしかしたらあれかな?

記憶の場所に中華料理屋はなく、やっと見つけたら鳳鳴春の向かいだった。中国大飯店とは大きく出たものだ。入り口に置いてある商品見本の中にちゃんぽんを確認して入店。席について、隣の寿司屋と中でつながっていることを知った。不思議な店だ。

奥に宴会が出来るスペースもあり、北関東の方言を話す10人ぐらいが酒を飲んでいる。手前の席にはエビチリ定食を食べる人やラーメンセットを食べる人など様々。町の中華定食屋さんに居る気分でリラックスしている人が多い。

ちゃんぽん

長崎から材料を取り寄せているとメニューに書くだけあって、ちゃんぽんが店の看板料理らしい。絶賛するほどではないが、部下が褒める理由が分かるような気もする。きくらげが立派で美味しかった。

皿うどん

見た感じ普通のかた焼きそば。よく見ると皿うどんらしい具材が入っている。失望半分で麺をさぐると皿うどんらしい細麺が密集している。口に含んで揚げたての温かさを感じた。意外とちゃんとした仕事をしている。

博多らーめん

九州ラーメンのルーツが長崎ちゃんぽんと言われる。博多ラーメンがあっても不思議ではない。寿司も併設している中華料理屋だから何があっても驚きはしない。あっさり味の博多ラーメンだった。これはラーメン屋の方がいいかな。

「腹が減って近場で空いている店に飛び込んだ。昼飯だからラーメンでもいいやと思ってメニューを開いたら中華料理屋には珍しくちゃんぽんや皿うどんがある。まるで博多駅の地下街のようだ。試しに食べてみたら、意外と美味しかった。」という感じの店かな。


中国大飯店
東京都千代田区丸の内1-9-1
03-3212-3738

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