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2009年10月31日

[夢飯](西新橋)

これってチキンライス?


以前読んだ雑誌に行列が出来る店と書かれていた記憶が強く残っていた。大慌てで会社を飛び出し、西新橋のビルの階段を降りたのが11時5分。準備中の札がかかった店が多い。忙しそうにしている弁当屋を通り過ぎて振り返った。これが目指す店だった。8席のみのカウンターの上に弁当が並び、座る場所がない。

L字型のカウンターの端っこに座らせてもらった。「いいよ、ゆっくりで。急がないから」と声をかけた。弁当箱に料理を詰め終わるまで気長に待つことにした。
「ケチャップ味のチキンライスとは別物なんですよ」メニューを見せながら還暦を迎えたばかりの先輩に説明した。

中国の海南島の出身者がシンガポールで広めたものが海南チキンライス。シンガポールには何度か行ったが現地で食べたことはない。「トッピングは何にしますか?」店員がようやく我々の方を向いた。「一番人気はザーサイ入り玉子焼きです」と言われれば頷くしかない。

まずライスを食べた。鶏のスープで炊いてあるのでそのままでも充分味がある。その後の食べ方はメニューに従った。まず3種類それぞれのソースにチキンをつけて食べる。次にすべてのソースをライスにかけ、混ぜ合わせて食べた。

先輩は見るからに恐る恐る食べている。メニューの教えもまったく興味がないようだ。案の定、香菜は最初から皿の端に遠ざけられた。茹でた鶏の皮目を嫌うかと思ったけれど、それは大丈夫だった。「変わった食べ物があるもんだなー」食べ終わった後に呟くのを楽しく聞いた。

銀髪は美味しく完食した。My唐辛子を持ってこなかったことを後悔したけれど。後から入って来た男性二人はフライドチキンライスを食べていた。海南チキンライスといっても従業員は日本人。「よく間違えられるんですよー」と言うが、話をすればすぐわかる。西荻窪の本店でも日本人が切り盛りしているようだ。

日本人が美味しいと思うチキンライスの秘密は、日本人の経営ということかもしれない。

夢飯Mu-Hung
東京都港区西新橋2-15-12 イースタンビルB1F
03-3591-6558
http://www.mu-hung.net

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2009年10月30日

[楽太朗](新宿三丁目)

おでん風のおでん


伊勢丹近くの路地、小さなビルの地下に降りる入り口は目立たない。扉を開けると思ったよりきれいな店で期待が膨らむ。座ったのはもちろんカウンター。男同士の客や恋人たちでなく、50歳前後のキャリアウーマン風が多いのは珍しい。

お通し、大根おぼろ昆布

以前、予約なしで来て入れなかった。今度は予約と下調べをしっかりした。つみれ、茄子ソーメン、白レバー、評判の料理を頼んだ。お通しが刺身なのも調査済み。すぐに出て来る料理をということで、大根を勧められた。味は期待より上でも下でもない。

地鶏と鮭のつみれ、茄子ソーメン

鮭のつみれは珍しい。崩れやすいためかオーダーを受けてから作る。箸使いに気を抜けないと、口の中でハラリと壊れるのを楽しむ前に落下して砕ける。
料理人が茄子を切るのをじっと見詰める。切っただけで麺のようになるのが不思議だ。特別な茄子かと思ったら、普通の米茄子と聞いて驚いた。桂剥きしてから元の形に成形したと種明かしをしてくれた。片栗粉をまぶして茹でたのだろうか。ところてんのような食感が面白い。

牡蠣豆腐のとろろ掛け、地鶏白レバーの瞬間燻製

我々以外は殆どの人がコース料理を頼んだようだ。牡蠣豆腐がとても美味しそうに見える。カウンターに座っているので「それ、ください」とオーダーは簡単だ。
白レバーはさっさと食べなければ火が通り過ぎてしまう。食べ終わった後もまだ熱い器を欲しくなった。色んな料理に使えそうだ。

牛すじ豆腐、チョコレートムース

「牛すじ豆腐はまだ?」鍋から器に盛るだけと思ったのになかなかやって来ない。おでんが自慢の店だが、鍋の中はカウンターから見えない。大根など限られたおでん種の他は鍋にはスープが満たされているだけのこと。濃厚味噌スープ、薄塩スープの2つの鍋におでん種がぎっしり詰まっているとの先入観は捨てた方が良さそうだ。つみれ同様、豆腐もオーダーを受けてから鍋に入れられたから時間がかかったのだ。

最初に食べた大根が他の名店のような複雑な味ではない理由が分かった。おでん種同士が味を出し、吸収する関係は楽太郎の鍋では起こり得ないのかもしれない。その代わりすぐに壊れるような作りたてのつくねがある。

煮物以外に料理の種類は多い。隣席で食べていた鶏が旨そう。次に来るときは焼き物を試してみよう。


煮炊きや 楽太朗
東京都新宿区新宿3-17-21 新三ビルB1
03-3357-4939
http://www.rakutaro.com/

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2009年10月29日

[尾崎幸隆](麻布十番)

高級まぐろと宮崎牛


「どこに行くかアイデアある?」と電話で聞くと「ハイ、あります!」と来た。地図は持っていても、日が暮れて店を探すのは難しい。不安にかられているとタクシーのライトにYさんが浮かび上がった。板塀に囲まれた立派な店は7月にオープンしたばかりとのこと。

店名が尾崎幸隆と聞けば、オーナーシェフの名前と思うのが普通。ところがメニューの末尾に書かれた料理長の名前は石川さん。当然のことながら会話は謎解きから始まった。オーナーは吉村さんでこれも外れ。尾崎は幻の宮崎牛と呼ばれる尾崎牛の生産者。幸隆は築地のまぐろ問屋「やま幸(ヤマユキ)」の山口幸隆さんから取ったとのこと。店名の謎解きは素材の良さの割にリーズナブルな謎も解いてくれた。

写真撮影の許可を得て撮ろうとしたらカメラが動かない。バッテリーは会社のコンセントに入れたままということに気がついた。Yさんが携帯電話で写してくれた。幸いまだ客は我々だけでシャッター音が他の客を煩わせることはなかった。

上質のまぐろ、和牛、さらに松茸、牡蠣、トリュフを使って10,500円のコースはお値打ちである。それにしても山口さんと尾崎さんの勝負は面白い。仲はよくても一流のプロ同士である。無粋な客の評価でも聞き流すことはできないだろう。

銀髪に言わせれば山口さんは分が悪い。大間や戸井のまぐろで勝負できる冬場はいいとしても、夏に美味しいまぐろを仕入れるのは至難だ。冷凍物を使わない高級寿司屋の中には、夏はまぐろを出さない店もあるほどだ。

料理人も大変だろう。牛肉もまぐろも新鮮なら美味しいというものではない。熟成させて食べ頃を見極めなければならない。素晴らしい素材を生かすも殺すも料理人次第。プレッシャーは相当なものだろう。

石川さんや佐藤さん、石田さんなど若い料理人たちに期待したい。彼らをサポートするスタッフたちの笑顔も悪くない。みんなと談笑している間に店は満席になってきた。お店の食べ頃はこれからである。

尾崎幸隆
東京都港区麻布十番2-6-4-103
03-5413-4129

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2009年10月28日

[マリカ](高田馬場)

ミャンマー料理


覚えやすい日本女性の名前を店名にしたのかと思ったら、マリカとはミャンマー北部カチン地方を流れる「マリ川(カはカチン後で川の意味)」のこと。この店に縁が深いHさんに連れられて、ミャンマー料理を食べに行った。

ミャンマービール、そば焼酎

まずはミャンマーのビールから。そしてミャンマー産そば焼酎「みんがらーば」へ。みんがらーばとはこんにちはの意味。貧困・麻薬撲滅のため日本政府の支援でケシ畑からそば畑へ転換し、玄そばを日本に輸出しているそうだ。そば焼酎は現地で製造されているという。

マリカサラダ、トーフジョー

カチンの家庭サラダはオクラを始め野菜やきのこがタップリ入っている。見た目よりやさしい味だ。揚げ豆腐は日本の豆腐を使ったのかと思ったら、ヒヨコ豆が原料とのこと。日本の納豆のようなものもあると聞くと、なんだか親近感を覚える。

さつま揚げと野菜の和え物、海老と玉ねぎの炒め物

豚肉と青梗菜炒め、さつま揚げ

お茶のサラダ、バナナの葉の魚蒸し

牛ホルモン煮込み、カチンのまぜご飯

ミャンマー風スープ麺、チャーハン

メニューにはタイ料理、中華料理、ベトナム料理などミャンマー以外の料理や店主の創作料理もある。カチンの伝統的な家庭料理も日本人向けの味付けになっているそうだ。店の奥はいつもミャンマー人たちがカラオケに興じているというから、ミャンマー料理本来の味付けを頼めば作ってくれるだろう。

開店してやっと1年が過ぎたばかり。奥さんは銀髪の知り合いによく似ている。遠い、遠い、親戚かもしれない。素朴な話し方と笑顔は昔の日本人のようだ。店主デビッドさん、その妻ロイセンさん、ミャンマーに子供を残し日本で頑張っているその姿は、希望に燃えて働いていた戦後や高度成長期の日本人のイメージに重なる。

異国でとても苦労しているはずだが、二人の笑顔はとてもきれいだ。おいしい料理と笑顔は言葉や習慣の壁を軽々と越えるに違いない。


オリエンタルキッチン マリカ Mali Hka
東京都新宿区高田馬場1-25-29 サンコール3F
03-3207-8114

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2009年10月27日

[流石 はなれ]②(新富町)

さすが、流石だね!


「銀髪です」と告げると、電話の向こうの声のトーンが変わる。久し振りの訪問でワクワクする。前は日本橋から歩いたが、この日は銀座から。迷うはずはないと侮って、しっかり迷った。路地裏に店の明かりを見つけてホッとした。

「今日は効率的でいいね」そばの実、もずく、湯葉、いくらを4つの器に分ける五十嵐さんをからかった。6時過ぎ、先客2人と我々の夕餉は同時にスタートした。そばの実を雑炊のようにして食べると誰もが感動する。「かますを生で食べるのは初めてだよ」皮目を炙った焼き霜造りが実にいい。

さっと湯がいた白子の美味いこと。蒸し器から出てきたがこれは温めるため。電子レンジがなかった頃は、冷ご飯など蒸し器で温めたことを思い出した。今では電子レンジが必需品となり、蒸し器のない家庭も多くなった。

美味しい料理に感心しながらも、みんなの目はそばを打つ矢守さんに注がれる。丸い塊がどうしてきれいな長方形になるのだろう。そば打ちの手法も色々あるらしい。矢守さんが饒舌に語る間に五十嵐さん自作のにしんを乗せた温かいそばが出来上がる。汁も全部飲み干した。

焼き場から煙が襲ってきた。換気が悪いことを恨むより、煙の多さに期待が膨らんだ。出てきたのは白皮あまだい。あまだいはぐじの名前で知られる赤皮、ちょっと安価な黄皮と3種類あり、白皮が一番高価で美味とのこと。脂が炭火に落ち焼き燻された白皮あまだいの美味いこと。

矢守さんが自前の石臼を速めに回転させる。粗く引いてそばがきを作る為だ。そばの実を奥歯でつぶすと粘り気を感じた。その余韻をもってそばがきを食べるとそのモッチリ感がよく理解できる。いいそばはつなぎなんか必要ない。矢守さんが打つそばは全て十割である。目の前では五十嵐さんが4種の茸のみぞれ和えの準備に忙しい。次は茸に関する質問が浴びせられた五十嵐さんが饒舌になる。

「鹿児島産?」軍鶏と聞いて知ったかぶりをすると「青森です」と言われた。青森が誇る特産地鶏シャモロックとのこと。セリとしめじを加えた鍋はきりたんぽ鍋に似ていた。

まず北海道のそば、お代わりは徳島のそば。矢守さんの産地に対するこだわりのキーワードは日本原産。純粋種を維持するには自治体や生産者の大変な努力が必要とのこと。若いのに矢守さんと五十嵐さんには教えられることが多い。新そばが出始めているが、少し時間が経った頃の方が美味しいそうだ。寒くなって魚介類も美味しくなる。築地を歩く五十嵐さんの顔も輝きを増すだろう。

流石はなれのますます美味しい季節到来である。


流石 はなれ
東京都中央区湊3-13-15
03-6228-3870

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2009年10月26日

[Galettoria (ガレットリア)](渋谷)

カフェでガレット


「そば粉のクレープ」の文字に釘付けになったのは約3年前、ニューオータニのパーティー会場だった。そばは日本原産だと思っていた。従ってそば粉のクレープは日本人の発明品だと思った。料理人の説明を聞き、家に帰って調べると大きな勘違いと分かった。ガレットはフランス北西部ブルターニュ地方の郷土料理で、後にこれを真似て小麦粉を使ったクレープが作られた。元祖からすれば「クレープは小麦粉のガレット」と呼んで欲しいだろう。

ビール

ガレットリアで飲めるアルコール飲料はブルターニュ地方の代表的な酒シードルとビール。リンゴ原料のシードルではなくビールを選んでしまうのが日本人。ワインでもあれば嬉しいが、贅沢は言えない

ハムとチーズのガレット、ツナやポテトのガレット

クレープはお菓子のイメージが強い。キリスト教の公現祭(1月6日)に因んでフランスで新年に出されるパイ生地のケーキ(ガレット・デ・ロワ)と混同する人がいるかもしれない。これらと違いガレットは痩せた土地ブルターニュならではのそば粉を使った食事。酒の肴にもなる。

グリュイエルチーズとトマトのガレット、クレープ

店の女性に「ガレットは必ず卵を乗せるものなの?」と聞いたら、驚いたような顔をして「たまたまお奨めしたものが卵を乗せたものでした。すいません」と謝る。彼女のミスではなくチーズと卵が定番のようではある。もちろんガレットの生地はどんなアイデアでも受け付ける。

クレープはもちろんデザート。チョコレートと共に食べて銀髪が顔をしかめると、連れが大笑いする。もう一度笑いを求める相手を制してバターだけで食べた。これなら何とかなる。

他の店が混み始める時間がラストオーダーの店はとても静かだ。ゆったりとした2階席は貸切り状態でとても寛げる。小瓶2本だけの夕食は奇妙なほど快適だった。これが日常になるまであと10年だろうか、20年だろうか。そろそろ酒に頼らない夕食を模索するべきかもしれない。

Galettoria (ガレットリア)
東京都渋谷区松涛1-26-1
03-3467-7057
http://www.many.co.jp/galettoria/

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2009年10月25日

[麺屋 ひょっとこ](有楽町)

おかめとひょっとこ


交通会館の地下の店は「おかめ」「大正軒」「桃園」などを書いたが、実は最初に行ったのはひょっとこ。柚子ラーメンというのが珍しいと思って出かけて行った。早速書くつもりが延び延びになり、その間にチェーン店でも柚子ラーメンを見かけるようになった。

再び行こうと思ったのは二日酔いの翌日。軽くそばかうどんが定番だが、何故かラーメンが食べたくて仕方がない。好きなのは豚骨系のこってりタイプだが、さすがに胃を気遣ってあげた。そこでひょっとこを思い出したわけだ。

いつも座るカウンターの右側に座った。店主の手元がよく見える。柚子は絞るのではなく皮をすりおろすということは前に来た時に知った。皮を使い切った後の果肉部分はどうするのだろうと今回も疑問に思った。残念ながら忙しそうで話しかける雰囲気ではない。店名の由来は甘味の「おかめ」の姉妹店だから「ひょっとこ」ということらしいが、今回も確認できなかった。

後ろに女性が2人立った。7席しかない店に銀髪を含めておじさん3人が一つずつ席を空けて座っているので2人一緒に座れない。誰かが一つ席を動けば足りるのだが他の人は気付いてないのか、その振りをしているのか食べることに集中している。当然の如く銀髪が動いたが、正解だった。

女性たちがとても嬉しそうに食べるのだ。「あー、幸せ」なんて声が聞こえてくると、銀髪もそんな気分になる。ラーメンは一人でサッと食べるものと決め付けているおじさんたちよりも、批評したり世間話をしたりしてゆっくり食べる女性たちの方が上手な食べ方かもしれない。

なにはともあれ、胃に優しいラーメンだった。これなら今夜も美味い酒が飲めそうだ。酒呑みは懲りない。

麺屋 ひょっとこ
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館地下
03-3211-6002

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2009年10月24日

マルタイラーメン

究極のインスタントラーメン


パーティーで会った紳士の胸の名札にはマルタイの文字。福岡に住んでいた子供の頃、ラーメンと言えばマルタイラーメンだった。御世辞ではなくよく食べたので話が弾む。「ワンタンメンが大好きだったんですよ」と言ったら首を傾げられた。どこか他のメーカーだったかもしれない。看板の棒ラーメンの話に専念することにした。

東京のどこのスーパーでも見かける棒ラーメンは2種類。九州ラーメンの代名詞になった豚骨味、白濁したスープの「屋台九州味」の発売は1969年で、銀髪は既に東京に越していた。これが豚骨ラーメンのインスタント化第1号だというから意外と遅い。銀髪がよく食べていた棒ラーメンは1959年発売の醤油味ということになる。

マルタイ紳士の話では棒ラーメンは他にも種類がたくさんあり、不況下でも売れ行きは好調だと言う。東京で売られている棒ラーメンの希望小売価格は145円。二食入り450円の高級インスタントラーメンもあるという。岩田屋など限られたところでしか買えない。いや、売らせていないそうだ。

最近発売されたばかりかと思ったが、「稗田の博多豚骨拉麺」が2006年、「あごだし醤油拉麺」が2007年。プライドをかけた渾身の高級インスタントラーメンに固定ファンがついているのか、はたまた簡単に撤退できないのか。マルタイ紳士は製造が追いつかないと言う。

さすが破格の値段のインスタントラーメンらしく、なかなか凝っている。しかし豚骨味を試食した我が家のうるさ方の評価はイマイチ。銀髪は気に入ったが、家族にとっては脂っぽいらしい。145円の九州味の方がいいと言うのだから経済的だ。一緒に買って帰った部下の奥様も豚骨味については同様な意見だったらしい。東京人の口に合わないのかも。

その代わり、あごだし醤油味を絶賛したそうだ。こちらは第一号棒ラーメンを究極の味に高めたものといったところだろう。「また買って来て」と言われた部下は嬉しいやら悲しいやら。銀髪に義務は課せられなかった。これはこれで楽な結果だ。

「空港にある岩田屋の出店でも売ってますよ」とマルタイ紳士は言ったが、店員に聞くとキョトンとしていた。福岡でも450円のインスタントラーメンは知る人ぞ知るということだろう。インスタントラーメンにしては高額だけど、450円でこれだけ遊べたのだから安い買い物だった。


マルタイラーメンのホームページ
http://www.marutai.co.jp/

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2009年10月23日

[遊膳](福岡)

絶品ウニごはん


満腹が一人、腹八分が一人、食事前が一人。この三人で嫌がられないお店を教えてもらったのが遊膳。中州川端商店街に入ってすぐに見つかった。

若く見える店主は既に40代半ば。開店してから20年といっても改装した店舗は明るく清潔だ。カウンターに座ると3品が目の前に並んだ。

さざえ、あなご巻き、きぬかつぎ

満腹だと言っても目の前に料理があると手を出す。銀髪は八分目なのでまだ余裕があるが、慎重に腹と相談する。銀髪の主戦場は酒になり、料理は腹ペコ氏にお任せする。

あなごの白焼き、鯛あら煮

「格好いいねー」店主を乗せるのも忘れない。山笠の山車の上で胸を張る店主の写真が壁にかかっている。山車の上に乗るのも嬉しいだろうが、その栄誉は地元の人に認められた証。余所者が大役を射止めることは大変な名誉だ。地元のためのボランティアにも尽くしたに違いない。

腹ペコ氏が頼んだ料理をつつきながら日本酒を飲む。「この店の自慢料理はなんですか?」と聞けば自家製明太子だと言う。どっちの料理ショーで紹介されたことがある看板商品。昆布が決め手のようだ。

自家製明太子、生うにめし

腹ペコ氏もボチボチ仕上げにかかり始める。生うにめしを頼んだので少しもらおうと思ったが、出てきたものを見て目をみはった。うにも卵も実に鮮やかな色をしている。これを奪っては申し訳ない。いや、それ以上にちょっとだけで満足出来るとは思えない。銀髪にももう一杯作ってもらうことにした。味噌汁と少量のうにめしを満腹氏にあげた。

料理も美味しいが、気分もいい店だった。多くを頼まなかったにもかかわらず、嫌な顔ひとつしない。今度は空腹の状態からゆっくり楽しみたいものである。


遊膳
福岡県福岡市博多区上川端12-183
092-271-9271

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2009年10月22日

[さくら家](入船)

庶民の味方


最寄り駅は新富町か八丁堀。「汚い店ですから」と散々言われて来たので逆にきれいに見えた。カウンターに座り「何年ぐらいになるの?」と声をかけると、今の店になったのが昭和24年から、創業から数えると90年と言うから驚いた。焼き場で煙をまとう女将さんは亡き3代目の奥様。旦那さんに見えたのは3代目の弟。おばさん、お婆ちゃんも含めてのファミリービジネスである。今風のイケメンだって血は繋がらなくてもファミリーの一員に違いない。

メニューを見ると良心価格で種類も豊富。これでは選ぶのが大変だ。「お任せしますよ」と言うと、横から「7本コースで」とKさんの声。いつものように銀髪が仕切っていたが、今日のスポンサーのことをすっかり忘れていた。


ミツバ巻、つくね、ちょうちんと続く。「なかなか美味しいじゃん!」と言うとKさんが嬉しそうな顔をする。「枝豆が茹で上がりました」「お刺身はいかがですか?」言われるたびに応諾する太っ腹なKさんである。「白レバーをささ身で巻いて食べたら美味しいですよ」とお婆ちゃんが教えてくれる。「本当だー」と喜びついでに砂肝を巻くKちゃん。何でも巻けばいいってわけではない。



「アオトです」「エッ、何のこと?」「青唐辛子です」、目の前で焼いてくれるので質問もしやすい。焼き鳥屋ではもちろんMy唐辛子が活躍する。「手を出してごらん」と女将さんの手の平に振りかける。これを家族みんなで味見して目をパチクリ。プロを驚かすのは本当に楽しい。

鳥肉は大山地鶏、椎茸はもちろん原木栽培。こだわりながら値段を抑えることができるのはファミリービジネスならでは。20年も前からワインを置いているとのことで、ワイン党のK氏は大喜び。しっかり時代の先端を行っている。外で働いている4代目もいつか新しいアイデアを持って戻ってくるかもしれない。

トイレに行ったら奥の部屋は意外と広く、おじさんたちで一杯になっていた。席に戻り「儲かってるね。豪邸に住んでんじゃないの?」と聞くと「ここですから」と手を広げて女将が苦笑いをする。リーズナブルな理由がもう一つ分かった。

Kさんが勘定を始めたところで出口の扉に張られた紙が目に入った。「松ナン」とはなんだろう。聞いてみると松茸をささ身で巻いたものらしい。ナンは軟骨ではなくて南蛮。
「次の機会に」と言ったら「次にはもうないでしょう」と言われて食べることにした。あっ!またKさんを差し置いて銀髪が仕切ってしまったと反省。国産の松茸を今の値段で出せるのはあと数日とのこと。あくまで庶民派の店である。

女将さん、おじさん、お婆ちゃん、イケメン君、そして連れて来てくれたKさん、どうもご馳走様でした。

さくら家
東京都中央区入船2-2-1
03-3551-4878

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2009年10月21日

[コリアン オーガニック ナビ](原宿)

お洒落な韓国料理屋


原宿、青山周辺にはいい店が多い。しかし、リーズナブルに楽しめる大人の店を選ぼうとするとなかなか決まらない。やっと見つけたのがナビ。「化学調味料を一切使わず、有機野菜や自家製の味噌、厳選されたお肉や魚をふんだんに使った全く新しい韓国料理」という文句が琴線に触れた。

白菜キムチ、ナムル

原宿の中心からかなり離れたところにある隠れ家的なレストラン。店内もおよそ韓国料理屋らしくない。アルファベットの店名(Korean Organic nabi)が良く似合う。イタリアンのメニューを持っているのが相応しいようなハンサムな店員が写真付き韓国料理メニューを差し出した。彼と相談してサムギョブサルをメインにした。用意ができるまで契約農家からの直送野菜で作ったキムチ、ナムルを食べる。

サムギョブサルの野菜

女性店員が数種類の野菜などの材料を並べた。岩中豚を鉄板で焼き、これを野菜で包んで食べる。自慢の野菜をたくさん食べられる料理だ。似たような料理は新宿や赤坂の韓国料理屋でも食べられると侮っていたら、変わった鉄板が出てきて目を瞠った。

肉を乗せた男性店員に尋ねると鉄板は特注品で他にないと言う。メニューを持って来たハンサム君に交代したので同じ質問をした。今度は韓国では普通に買える人気商品だと言う。以後、彼が我々のテーブルを担当してくれてラッキーだった。俳優稼業のオフにこの店で働いているらしい。

傾いた鉄板の外枠の一部が切ってあり、脂が受け皿に溶け落ちる仕組み。初めて使ったときは受け皿を置き忘れて大慌てしたらしい。ハンサム君は外見だけでなく気もいい青年だ。話を合わせるのもうまい。

炒飯

お奨めと言われた炒飯はキムチで味付けをすると言う。最初に頼んだキムチでビールを飲み、豚肉も焼いたキムチと共に食べた。次もキムチでは飽きると言ったら困った顔をする。味付けはキムチに頼っているのだ。仕方なく半分だけ入れてもらったら、味が薄い。そこで力を発揮するのが銀髪。野菜の薬味についてきた辛い味噌を混ぜたら大正解。ハンサム君に得意満面、自慢した。これを上手に受けてくれた笑顔は俳優ならではの演技だったのだろうか。

俳優、ダンサーなどなど、大きな夢を抱えた若者が頑張っているのを見るのは実に楽しい。銀髪の夢は何だったのだろう。幼稚園の時は電車の運転手だった。高校の時は映画監督かシナリオライターだった。大学生の時、社会人になってから、どんどん現実的な夢に変わって行った。そして今は… 
再び夢を探してみようかな。


コリアン オーガニック ナビ
東京都渋谷区神宮前2-31-20 アコルデ神宮前B1F
03-5771-0071
http://www.nabi-tokyo.com

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2009年10月20日

[宮崎食彩 王手門](新橋)

焼酎好きなら知らなきゃもぐり?


「今度3人で飲もうぜ!」お彼岸の墓参りの後に約束したのに時間が経つのは速い。長兄にメールをすると「今週はダメ」、次兄にメールすると「来週はダメ」。調整しているといつになるか分からないので、勝手に決めた。今週は次兄と二人で飲もう。

待ち合わせ場所はいつも機関車が見えるニュー新橋ビルの1階入り口。台風が来ようが猛暑だろうが快適だしわかりやすい。「遅れる」とメールをしてきたけれど、銀髪家の連中は時間に正確だ。特に店を決めていないがサラリーマンのオアシスである新橋で心配することはない。

お通し

新橋は郷土料理の店が多い。その中から宮崎料理の王手門を選んだ。有名な焼酎メーカー王手門の直営店らしい。ちゃんとしたお通しが出るのはいい店の証拠。しかし宮崎牛など食べたい料理は高いものが多い。

刺身、猪

素材は宮崎から直送されるそうだ。もちろん魚介類も。頼んだ鮪はキハダ、お奨めの炙りしめ鯖と盛り合わせてもらった。変り種は猪料理。炭火焼はやはり高いのでもつ煮でお茶を濁した。

地鶏の炭火焼

1軒目は兄に奢ってもらうつもりなので、なるだけ安い料理を選ぼうとした。しかし宮崎料理屋に来て看板の地鶏の炭火焼きは避けて通れない。これもちょっと高めに感じたが、いい地鶏を使っているのだろう。飲むのはもちろん自慢の焼酎。兄はロックで3杯、銀髪は氷なしの水割りで3杯飲んだ。

2次会で歌合戦。次兄は還暦間近だというのに若者の歌を高音で歌う。髭面は歌にそぐわないと思えるが滅法上手だ。しばらくして長兄が合流した。こちらは艶っぽく歌う夜の達人。大昔、この兄たちが成績を落とす度に、柔道、書道、バイオリンなどを習わされて自由を奪われた銀髪。恨み節でも披露したいところだが、今宵は笑い飛ばすことにした。


宮崎食彩 王手門
東京都港区新橋3-9-2 岡崎ビル2F
03-3433-2914


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2009年10月19日

[上燗屋 富久](新宿3丁目)

これぞ正統おでん居酒屋


若者で賑わう新宿にも、おじさんたちの憩いの居酒屋がある。扉を開けるとすぐのカウンターも奥のテーブル席も赤ら顔のおじさんたちでほぼ一杯。ちょっと異質の我々に皆の目が注がれた気がしたが怯むことはない。人相風体は違ってもこちらだって堂々たるおじさんである。

入り口近くのテレビの前が空いていた。ビールを頼み、肴を頼む前に店の空気を読むことに集中した。すると連れがカウンターの上に置かれた惣菜を食べたいと言う。「何のおひたしですか?」「つゆむらさき」、「あら煮は何の魚」「お刺身に出来なくなった魚いろいろ」おばさんは一見したところ無愛想だが表情は優しい。無頓着な連れのお陰ですんなり店の空気に溶け込めた。

おひたし(つゆむらさき)、アラ煮、博多鱧の天ぷら

福岡に住んでいた頃はさつま揚げのことを天ぷらと呼んでいた。冷蔵庫から取り出したところで思い出した。熱燗にすべきと思ったが、再び連れの意向に引きづられた。純米酒を頼むと大きなペットボトルが出てきたのには驚いた。

おでん(大根、玉子、ロールキャベツ、しらたき、いわしのつみれ)

「からしはよく効くから注意して」と言うくせに、たっぷりのからしを乗っけてくれる。侮って多めにつけると本当によく効く。さすがに看板料理だけあって美味しいおでんだ。追加を頼むと皿を代えて、再びからしをたっぷり乗っけてくれた。淡白なしらたきには余計に効く。咳き込むのをこらえたら、しらたきの切れっぱしが鼻の奥に逃げ込んだ。

大根の皮、のど黒一夜干

おでんに使う大根の皮をキンピラ風に仕上げた料理。安くて量が多い。普通は廃棄するもので高い値段は取らないところが良心的。別の品を頼んでもらった方が儲かるだろうが、おばさんは意に介していないようだ。のど黒を頼むと「生じゃないよ」と注意してくれる。それは承知の上。値段を見れば大きさも想像できた。冷凍庫から取り出したものだけど、充分脂が乗って美味だった。

堂々たるおばさんと、ぼうようとしたおじ(い?)さんの絶妙のコンビ。ちょっと異質な我々一見さんにも優しく接してくれた。先客たちのように常連になり、一人カウンターに座りたくなるような店だった。


上燗屋 富久
東京都新宿区新宿3-12-4
03-3350-6729

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2009年10月18日

[吉法師](祖師ヶ谷大蔵)

裕次郎の愛したカレー


土曜日の夕方、ぶらりと店に入った。扉を開けると長いカウンター席、奥にテーブル席があり意外と広い。6時を20分ほど回っているが、我々が一番乗りだった。メニューをざっと見てすぐに「裕次郎の愛したカレー」が目に止まった。

祖師ヶ谷大蔵には東宝やメディアシティなどの撮影所がある。駅を囲む商店街は円谷プロダクションがあったことから、ウルトラマン商店街と名付けて盛り上がろうとしている。調布の石原プロも近い。しかし、店は5年前の開店らしく、20年以上も前に亡くなった裕次郎との接点は見つけられない。

栃尾の油揚げ、湯葉とアボガドサラダ、黒梅貝、鯛のあら煮などを食べた。グルメ紀行に書くまでもないと思って写真を撮らなかったが料理は馬鹿にしたものでもない。煮付けは水気が少ないお袋の料理に似ている。書けば良かったかなと思ったところで閃いた。カレーがあるじゃないか。

和食の店で〆にカレーを食べることは滅多にない。カレーは意外なものだった。オーナーが新宿の店でアルバイトをしていたときに裕次郎が来て出したものらしい。何度かアドバイスを受けて完成したものは五穀米と野菜だけのヘルシーなカレーだ。闘病を続けた裕次郎らしい。

爪楊枝を使おうとしたらプラスチックのようで安っぽい。銀髪の目線を追ってパートナー殿が「とうもろこしね」と呟く。料理人に確かめるとご名答。箸といい、爪楊枝といい、なかなか立派な店だ。祖師ヶ谷大蔵や成城の住人たちに宣伝したくなった。

裕次郎カレーは六本木の「吉法師かわい」でも食べられるようだ。それにしても裕次郎が亡くなったのが52歳というのには驚く。銀髪は先週54歳になってしまった。天地がひっくり返っても「銀髪が愛した〇〇」と呼ばれる料理が死後に残ることはないだろう。

銀髪グルメ紀行がどこかで誰かの役に立っている。自己満足だけで充分だ。

吉法師 成城店
東京都世田谷区祖師谷3-27-3
03-5429-2688

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2009年10月17日

[風長閑(かぜのどか)]②(日本橋)

バースデーにはトラウト・スシケーキ


銀髪のホームバーと呼ばせてもらっているのが風長閑。銀髪グルメ紀行でもっとも登場回数が多いのに、意外なことに風長閑の表題で書くのは約3年振りだ。初めて来たときは雇われマダムと思った美女(かな?)が、実はオーナーママ。着物でビシッと決めたときは、高級クラブと勘違いして客が店に入らず逃げ出すというから笑える。

ボランティアで着付けを教え、髪を結い、茶道に通じ、花を活け、箸の使い方が上手な才色兼備のママだけど、時たま一言多い。「Kさんは偉いのよ。いつもお土産を持って来られるの。ああそうそう、銀髪さんも一度だけ肉まんをくださいましたね」と言う。唐辛子なども持って来たことがあるのを忘れている。もっともKさんに比べたらないに等しいのだろう。

そのKさんと久し振りに風長閑で会った。今日も手ぶらではなく、富山のます寿司と一緒だ。それを予定外に会った銀髪にくれると言うから恐れ入る。遠慮しようと思ったが遊び心がムクムクと湧きあがって来た。「ママ、ろうそくある?」

今週は銀髪のバースデーウイークだった。あちこちで祝ってくれたがケーキは固辞した。甘いものが好きではないし、何より恥ずかしい。しかし遊びならば積極的になる。ます寿司も笹の葉がなければ立派なケーキに見える。鼻の右側を押さえて空気を飛ばすと2本消えた。今度は左側を押さえて1本消した。残り2本は口を使った。ああ、愉快だ。風邪をひいてなくてよかった。

グループ客は奥のテーブル(ソファ?)席で盛り上がる。カウンターに対する壁際のテーブル席で飲む客がママを呼ぶ。ママが笑みを浮かべて歩み寄る。カウンターに座る紳士たちは客同士で品良く会話してママの帰りを待つ。チーフバーテンダーの石井さんだって人気者だが、やっぱり女性一人客のお目当てもママかな。

帰る前に寄ったトイレでは、季節の移り変わりを感じさせてくれる。身も心も軽くなって席に戻ると厳しい現実に引き戻された。メニューを見ながらオーダーすればショットバーならではの明朗会計だが、部下がシャンパンを2本も開けたからちょっと不安だ。それでも、高級クラブで飲むような悲惨なことにはならない。

「また明日」と笑顔で見送るママに「OK!」と気軽に返事をする銀髪。明日とは明日の明日、そのまた明日の明日かも。まあ、いつの明日かわからないけれど「ママ、また明日ね!」。

風長閑(かぜのどか)
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1 
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/

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2009年10月16日

[ヤキトリ エ ヴァン プーサン](六本木)

ヴィオニスの焼き鳥屋さん


2002年、最優秀ソムリエ阿部誠氏の店は銀座のサロンドシャンパーニュヴィオニス、ビストロビオニスに続いて3店目。ビストロが閉店したのはショックだったが、新しい店が出来たのは喜ばしい。オープンから半年ほど経ってしまったが、いよいよ行く機会が訪れた。

優しい雰囲気の今風の焼き鳥屋ではあるが、フレンチの洒落た雰囲気を予想していたのでちょっと意外だった。それでも多種の部位が書かれた焼き鳥メニューを見ると期待が持てそうだ。リーズナブルなボトルワインの他に、赤白数種類のグラスワインがあるのも嬉しい。

お通し(茄子)、鶏ささみのこぶじめ

お通しもちゃんとしているし、鳥わさは軽く昆布締めしてあって美味しい。白ワインのボトルが4本カウンターの上に並んだ。それぞれの説明を受けると盛り上がる。阿部さんの店はこうでなくっちゃ。

ささ身、手羽先、せせり、なんこつ、皮、ぼんじり、かしわ、つくね、げんこつ、銀杏、白レバー、レバー、砂肝、はつ、かん(はつ元)、えんがわ(横隔膜)。注文は1本からOKなので、メニューに並んでいる焼き鳥を全品食べることにした。塩かタレかは料理人に一任した。



いかにも焼き鳥屋の職人という雰囲気がないので、大丈夫かな?と思う人もいるかもしれない。食べ進んでいくと杞憂だったのが分かる。白レバーと普通のレバーの食べ比べは最高だった。貴重な白レバーの方が美味しいと言いたくなるが、甲乙つけ難い。

「アレッ、前に会ってるよね?」「ええ、店に入って来られたときから分かっていました」連れが「私も気づいていましたよ」と続ける。店長はビストロ・ヴィオニスにいた永田さんだ。地位が人を作ると言われるのは本当だ。新店で店長に昇格した永田さんは以前より風格が出て、さらに朗らかだ。

フレッシュトマトの浅漬け、白レバーのパテ

永田さんの粋なはからいで新しいボトルを開けてもらった。トマトで気分を変えて、パテでワインを楽しむ。リーズナブルなワインでも、ソムリエと会話しながらの食事は楽しいものだ。お財布はそんなに傷まずにちょっとリッチな気分になった。

ヤキトリ エ ヴァン プーサン
東京都港区西麻布3-2-5 グリーンプラザアネックスノゾエビル1F
03-3405-0325
http://www.vionys.com/poussin

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2009年10月15日

[オステリア ヴィンチェロ]④(新宿御苑前)

トリュフがいっぱい


大好きなオステリア・ヴィンチェロ。10月5日、「くりっぱ」さんのヴィンチェロに対するコメントが銀髪の心を揺さぶった。電話をしたら水谷さんの声。「銀髪さんですね」と言われて心が躍った。大通りから半信半疑で選んだ路地はドンピシャリにヴィンチェロの前に。待ってましたとばかりガラスの扉が開いた。

メニューを見ながら水谷さんの説明を聞いた。いつもは自分で料理を選ぶのだが何故か「お任せ」と言ってしまった。そして導かれるように白トリュフの特別コースを。キッチンにオーダーを通して戻ってきた水谷さんが笑いながら言う。「シェフが張り切っていますよ」

ワインも料理と合わせて出て来るから楽チンだ。タラバガニと蒸し鮑を食べた後に秋トリュフがたくさん乗ったサラダが出てきた。卵茸、馬肉のハムなどにかかったバルサミコ酢のドレッシングとワインの相性が抜群。料理と合わさるとワインの味が変わるのが不思議だ。

「大変なことになっています」持って来た料理のことなのか、これから出て来るものなのか、オーナーシェフの斉藤さんが作る料理に水谷さんが驚いている。特選卵と長期熟成のパルメザンチーズのスープに白トリュフがスライスされるとレストラン中に香りが広がった。卵が固まらないようにつきっきりで料理するために、滅多に作らない料理らしい。とんでもなく美味い。

しらすとからすみの塩味が効いたスパゲティにはシェリー酒のような切れ味のあるワイン。お任せでなければ絶対選べない。銀髪の頼みでイタリア地図を見せながらワインの説明してくれる。

「ちょっとシェフは張り切りすぎですよね。大丈夫かしら」水谷さんが苦笑いしている。そんなことはお構いなしに我々はリゾットに大喜び。白トリュフがスライスされる料理と分かっているからだ。絶妙に炊かれた芯が残るイタリア米とチーズ、トリュフ、至福だ。

斉藤さんの友人が獲った野生の鴨は数日経って今まさに食べ頃。首尾よく銀髪の口に入ることになった。しっかりした歯応えながらジューシーだ。珍しい茸、無花果のフライも面白い。輸入してから数年、飲み頃になったトスカーナ産の赤ワインも料理を引き立てる。

甘いものを食べて、デザートワインを飲んで、満足満足。勘定を払って席を立つと斉藤さんがキッチンカウンターに頬杖を突いてニヤリと笑った。「美味しかったですよ」こちらも笑みを返す。

フランス料理で煮込みなどに使われるのは黒トリュフでフランス産が多い。一方パスタ、リゾット、サラダなどの上にスライスする白トリュフはイタリアが主産地で、黒トリュフの3倍ぐらいの値段がする。インターネット上では1グラム当たり黒が420円、白が1,320円で売られていた。スタッフが料理を運びながら驚き、呆れ、嘆息する理由がよく分かった。

本当にラッキーな日だった。いくつかの条件が整わなければこれほどの幸福には巡り合えない。道を間違えず、料理はお任せにした。週の初めで珍しく客の入りが少なかった。そのためシェフがじっくり調理できた。スタッフも丁寧に応対する時間があった。厳選素材が整い、食べ頃だった。シェフの体調や機嫌が良かった。まあ、そんなところだろうか。そうそう、銀髪の日頃の行いが良かったことも忘れてはならない。

信じる神はいないけれど、今日たまたま銀髪を見ていた神に感謝した。どんな神様か知らないけれど、できれば女神がいいな。


オステリア ヴィンチェロ
東京都新宿区新宿5-1-13
03-5367-1967

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2009年10月14日

[本陣房](日本橋)

新築ビルの新しいレストラン


ちょっと前になるが、10月1日のオープン初日に8人で出かけた。ランチの準備をしているところに声をかけて予約した。昼から通しでやっているから使いやすい。会社に戻って幹事役の部下に告げると新橋の本陣房は評判がいいと言う。期待が膨らんだ。

お通し(生しらす)、かにサラダ、刺身

思ったより広い店だ。奥に個室があるとは知らなかった。例のごとくオーダーを始める。銘々が勝手に頼むものだからおばさんはてんてこ舞い。オーダー端末の使い方もまだ分からないようだ。男性社員とバトンタッチしてなんとかオーダーし終わった。

しめ鯖、日本酒、そば味噌

焼酎はもちろん日本酒の品揃えもいい。部下の一人が1銘柄を除いて全部飲んだことがあるというのでメニューを見ると、成る程有名な酒ばかりだ。ボトルで頼まず銘々が好きな酒を飲むことにした。

若い店員が一升瓶からグラスに注ぐ。グラスからこぼれた酒が枡に溜まる。一合より多く注がれて得をした気分になると思いきや、枡は一合枡よりはるかに小さい特注品のようだ。日本酒は呆気なく枡からこぼれ出してしまい、おしぼりが2勺ぐらいを飲み干した。

たこぶつ、出し巻き玉子、揚げ銀杏

オーダー時にたこぶつや天ぷらをいくつ頼むか揉めた。四皿は多過ぎると言う我々の口は鶴の一声で封じられた。その鶴は早々にかけそばを食べ、たこぶつを一切れ食べただけで飛んでいった。残されたたこぶつがテーブルを行ったり来たりする。

天ぷら、そば

「グラスと枡と別々に注ぎなよ!初日だからサービス、サービス!」促されて渋々一升瓶を傾ける店員。ちっちゃな枡を使うせこい店と、ブツブツ不平を言う意地汚い客。いい勝負だ。

天ぷらを押しつけあった後は、そば屋らしくそばで〆る。たぬきそばを頼んだ連中がつゆが濃いだの油っぽいだの文句を言う。なに言ってんだい!日本酒の肴にもなるもりそばを食べなきゃ通じゃない。二八そばはなかなか良かった。終りよければすべてよし。ぼちぼち2次会の店に行こう。

次の店で待っている鶴の首はろくろ首より長くなっているに違いない。


本陣房
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋コンフォートスクエアー1F
03-5200-6363

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2009年10月13日

[白龍トマト館](新江古田)

念願の杏仁豆腐


友人にご馳走になった後、固辞したのに持たされたお土産が海老春巻と杏仁豆腐。家族に大絶賛されたものの、江古田に行くことはないし、店の名前も忘れてしまって早10年。覚えていたのがトマトの大きな看板。ネットで調べて家族と行くことにした。

記憶の場所と異なったので半信半疑だったが移転したとのこと。12時前だったので、2階はガラガラ。4人席に座り料理を頼み始めたら大きなテーブルに席替えさせてくれた。

レバニラきくらげ炒め、海老巻揚げ

レバニラ炒めは少量の割りに高い。しかし食べ始めたらみんな納得の美味さ。海老巻揚げが来たところでパートナー殿の顔が輝いた。この店に間違いない。海老とシソだけの豪華な春巻き。海老のプリプリッとした食感が記憶の通りだった。

玉子餃子、とこぶしの柚子バター炒め
海老豆腐、鶏肉とピーマンの辛味湖南風

変り種の玉子餃子はともかく、どの料理もみんなを喜ばせた。江古田でこの料金なら不満を言う人も多いだろうが、料理人の腕はしっかりしている。わざわざ世田谷から電車でやってきたのも無駄ではなかった。

トマトタンメン、杏仁豆腐

まさに文字通りの看板料理がトマトタンメン。テレビでも紹介された異色のタンメンで、遠くからやってくる人の目的はこれ。しかし、銀髪は初体験で、10年前に紹介してくれた人も敢えて頼もうとはしなかった。なんとなく分かるような気がする。

「いい思い出は増幅されるもの。がっかりするかもしれないよ」と予防線を張って頼んだ杏仁豆腐。食べ始めると再びパートナー殿の顔が輝いた。甘味の評価を銀髪は出来ないけれど、彼女に言わせると記憶の通りナンバーワンの杏仁豆腐らしい。

「家に買って帰ろうかな」と言うのを制した。「また来ればいいじゃないか」と言ったものの次回はいつ来られるか分からない。それでも、腹一杯食べて飽きるよりましだろう。思い出の味が熟成されるのを待つのも美味しく食べるコツである。


白龍トマト館
東京都中野区江原町3-17-1
03-5988-7330
http://www.tomato-tanmen.com/


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2009年10月12日

[三福](水天宮)

夜の一人飯が楽しいかも


思ったよりきれいな外観にちょっと戸惑った。壁には手書きのメニューが掛けられている。中に入ってみると想像通りの小ささ、古さでホッとした。60歳前後の男性客が3人、テーブルで食べていた。スピードを落とした身のこなしのお父さんが料理を運び、機敏に動くあ母さんがカウンターの中で料理する。

日替わり500円の内訳はメニューのとおり。店内にも同じメニューがかかっている。追加の一品料理はすべて100円。同じ料金ならどれが得だろうと考えてしまう浅ましさ。先客のテーブルを盗み見ると2~4品取るのが適当のようだが、初めてなのでさばみそ一品だけ注文した。

炊き込みごはんは曜日によって決まっている。この日はあさりごはん。注文してから食べ始めるまでセルフサービスの店より速い。銀髪からしたらお父さん、お母さんというべきだが、お袋と言うよりお婆ちゃんの料理、味だ。

「イヤー、美味しいね。またメタボになっちゃうよ」と一番大きな先客が褒め称える。常連でも近くの職場ではないようだ。社用車でやってきたような立派な紳士である。メタボは三福のせいではないことは誰が見ても明らかだ。お父さんが返答しようとすると、カウンターからのお母さんの声が先に届く。

食べ終わった3人がそれぞれ勘定をする。お父さんが100円玉を握りしめている。みんな心得たもので「俺は2枚」「俺は1枚」などと助け舟を出す。釣り銭を出す方も、もらう方も簡単である。

3人と入れ替わって1人客が入って来た。銀髪も食べ終わって立ち上がると、お父さんは手の中の100円玉を数え始める。「4枚ね」と言うと、お父さんは慌てて100円玉を補充するために背を向けた。「ありがとうございました。またお願いします」と言われてその気になった。常連だけが気分がいい店ではない。

今度はカウンターに座って、のんびりと酒を飲みたいものだ。いや、その前に、一人暮らしのお袋のところにメシでも食いに行こうかな。


家庭料理 三福
東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1
03-3808-0886

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2009年10月11日

ノンアルコールビール

ビールとは言えないけれど

ゴルフ終了後のパーティーなどで消費がもっとも落ち込んだのがビールだろう。2007年9月の道路交通法改正施行により飲酒運転が厳罰化されたことはもちろん、飲酒運転による事故が社会問題化したことも大きい。

それまで「ビール一杯ぐらいなら」と飲んでいた人たちも、今はまったく見かけなくなった。「一杯ぐらいいいじゃないか」と強要する光景もなくなった。代わって最近見かけるようになったのがノンアルコールビールである。味比べをしようと3種類買ってみた。

辞書(大辞林)を引くとビールとは「麦芽を原料としてつくる苦みのあるアルコール飲料。麦芽(主に大麦)の糖化液にホップを加えて低温で発酵させ、発生した炭酸ガスを混和したもの。」とある。水・ホップ、麦芽で作られたもの以外はビールとは言えないなどと厳しいことを言うつもりはないが、ノンアルコールビールは妙な名前で、ビールテイスト飲料と言うのが正しいようだ。

個人的な好みを言うと1番はサントリーのファインブリュー。次がアサヒのポイントゼロ、ラストがキリンのフリーということになった。決め手は臭い(匂い?)。アサヒもキリンも何とも言えない臭いがして、キリンがもっとも強い。缶を裏返して原材料を見た。

サントリーファインブリュー:糖類(糖化スターチ)、麦芽、ホップ、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)
アサヒポイントゼロ:スターチ、麦芽、果糖ぶどう糖液糖、ホップ、香料、酸味料、アミノ酸(グリシン)
キリンフリー:麦芽、植物繊維、果糖ぶどう糖液糖、ホップ、酸味料、香料、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料

思ったとおりアサヒもキリンも香料が含まれている。他の原材料は似たり寄ったりだから、味の違い・決め手は香料ということになる。香料のお陰でビールに近づいたと思うか、遠のいたと思うかで評価が分かれるだろう。

もっとも、香料がなければ炭酸入りミネラルウォーターと変わらない。外国では食前にミネラルウォーターで喉を潤し、ワインに繋げる人が多い。「まずビール!」という日本人ならではの風習を見直してもいいかもしれない。

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2009年10月10日

第4のビール?

リキュール発泡性飲料、何のこと?


「ビール系飲料出荷量シェア キリン、3年ぶりの首位」昨日の日本経済新聞の記事である。首位奪還の原動力になったのは低価格の「第三のビール」で、キリンのビール系飲料の中に占める従来型のビールは4割に満たないとのこと。発泡酒は経験済みだが、第三のビールは飲んだことがない。早速各社のビールを買い込んで、試飲することにした。

酒税は麦芽が主原料のビールが77円(缶詰350m)、麦芽比率を25%以下に落とした発砲酒が46.9円、麦芽を使わず、大豆ペプチド、大豆タンパク、とうもろこしなどを原料にする第三のビールが28円。税金の差が小売価格に直結する。

さて、買ってきた新種の缶ビールを眺めていたら、発泡酒、その他の醸造酒(発泡性)①、リキュール(発泡性)①の3種類があることに気付いた。当初出た第三のビールが醸造酒(発泡性)らしく、現在それを圧倒しているリキュール(発泡性)①は第四のビールと言った方が良さそうだ。しかし原材料を読んでさらに混乱させられた。

発泡酒とその他醸造酒は原材料が細かく記されている。ところがリキュールの主な原材料は発泡酒、スピリッツ、炭酸ガス含有としか書いていない。発泡酒って原料なの?

酒類はJAS法の適用外のため一般の食品とは表示方法が異なる。ビールは公正競争規約に定められた順に表示しているそうだ。公正競争規約とは公正取引委員会の認定を受けて自主的に設定する業界のルールのこと。過当競争を防止する業界のためのルールのようだ。

一番大事なのは消費者に出来る限りの情報を提供し、安心して飲めるようにすることのはずだ。発泡酒の原料を書き並べることが大変なことだとは思えない。もっとも、原材料を読む消費者など殆どいないだろうが。

一昨日、民主党の新政府税調が初めて開かれた。酒税はアルコール度数で決められるように変更されそうだ。そうなれば、すべてのビール系飲料の税金がほぼ同額になる。発泡酒や第三のビールの税金を上げるのではなく、美味しいビールを安く飲めるような改正をしてもらいたいものだ。


参考情報

国税庁 
http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/sake/abc/abc-beer.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/qa/01/02.pdf
サッポロビール
http://www.sapporobeer.jp/book/tax/index.html
http://www.sapporobeer.jp/book/pleasure/chapter07/index.html

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2009年10月09日

[天朝](銀座)

飽きないオーソドックスな天ぷら


あるグルメ本に若い夫婦できりもりしていると紹介されていたが、店主は46歳で既にベテランの域。御徒町にあった先代の下で修行、現在の店を興して9年と年季が入っている。安心して美味しい天ぷらが食べられそうだ。2つあるコースの高い方(8,500円)を選んだ。

鱧と焼きなす、サラダ

銀座と言っても昭和通りを超えているので周囲はとても静かである。L字型のカウンターの一番奥に座った。店主夫妻も共に物静かに見える。鱧と野菜類で料理もゆるやかにスタートした。

銀杏、むかご、海老

「銀杏はトウ、トウ、なんだっけ…」忘れっぽくなっていけない。「祖父江産です。藤久郎(トウクロウ)の旬はもう少し後ですね」と教えてくれる。「むかごは自然薯に出来るやつ(正確には葉の付け根に出来る球芽)だよね。静岡産?」静岡で麦とろ飯を食べたので軽口を叩いてしまった。「日本中どこでも作ってますよ」とつれない。茨城も有名な産地のようだ。

きす、新いか、椎茸、鱧

いやー、この時期の新いかは柔らかくて本当に美味い。店主が吟味して仕入れているという椎茸。「それなら原木だね」と再度知ったかぶり。「いえ、菌床です」癇に障ったのか、自尊心に火を点けたのか、無口に見えた店主が饒舌になってきた。素材のこと、油のこと、こと細かに説明、教えてくれた。もう、こちらから聞き出す必要がなくなった。

めごち、海老の頭、穴子、漬物、栗、さつまいも

特別な珍味・高級品はないけれど、店主が吟味した素材はホクッと揚げられて実に美味い。石川県五郎島金時がブランドさつまいもということを初めて知った。
「ご飯ものの前に何か揚げますか?」と言われて野菜類を追加した。揚げてもみずみずしい茄子だった。

万願寺唐辛子、蓮根、水茄子、天茶、天丼

天茶か天丼と言われたら迷わず一つずつ頼んで味比べするのが我々の流儀。天丼には蜆の味噌汁がつく。半分ずつ食べて満足満足。

五郎島金時など新しいネタもたくさん仕入れることができた。今度別の店に行ったら「これはゴ、ゴ、ゴロー、エーッと、なんだったっけ」と言って失笑を買いそうだ。知ったかぶりを反省しつつ、黙ってられないのが辛い。


天朝
東京都中央区銀座1-27-8 セントラルビル1F
03-3564-2833

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2009年10月08日

[銀座 座屋]④(銀座)

新米登場!神無月の座屋


7月から毎月お邪魔して4回目。今回は何とか月の前半に訪れることができた。個室からは既に声が聞こえる。カウンターも徐々に埋まって今日も満席になるとのこと。降りしきる雨にもかかわらず、予約で一杯になるとは喜ばしい。

いつになく静かな滑り出し。原木栽培の椎茸にフォアグラを乗せて素材の良さで食べさせる。二口で食べ終わった後のスープを舐めたい。パンがあったら皿をきれいにできたのに残念だ。吸物も実にシンプル。高知産の蛤は自らの旨味を汁に出した後も、口に含むと存在感がいや増す。

初めての人は間違いなく感動するかつおのたたき。炎のショーが終るまで銀髪は口にチャックをする。かつおに対抗するのは歯応えのあるアジと脂が乗ったアカバ。アカバとはアカハタ(赤羽太)のことらしい。ユメカサゴのことをアカバというところもあるようだ。いずれにしても滅多に食べられない貴重な魚。高知から直送された箱を開けたときの岡添さんたちの興奮が伝わってくる。

季節感たっぷりの八寸を目で楽しみ、舌で味わう。2杯目の日本酒をワイングラスで飲んでみた。吟醸酒などは香りも楽しみたいものだ。グラスによって味わいも変わるはず。岡添さんは銀髪の実験にも快く付き合ってくれる。奥は深い。勉強が必要だ。

和牛・雲丹・葱のコラボレーション。盛り方を変える遊び心が岡添さんらしい。そして本日のメイン料理、赤座海老の炭焼き。これには参った。今まで食べたアカザエビの中で一番美味しい。車海老や伊勢海老と異なり身はやわらかく甘味がある。思わず殻もチューチュー吸ってしまった。皿をさげられると取り返したくなる。殻に残ったエキスをも味わい尽くす方法はないものだろうか。

北陸や山陰地方での呼び名「のどぐろ」がすっかり定着してしまった赤むつ。高知産の丸々と太った赤むつも箱を開いた岡添さんたちを感激させたらしい。故郷の素材たちの魂が料理人に乗り移る瞬間だ。食べる我々も素材から譲ってもらえる命に感謝したい。


「間に合いました」岡添さんがまたまた嬉しそうに話すのがお婆ちゃんが作ったヒノヒカリの新米。予約を月の後半にしようか迷ったのも杞憂だった。ごはんのまま、卵かけごはん、おこげといつものように3種の食べ方をした後で新たな提案をした。お代わりしたおこげに吉澤さんが慎重に醤油を垂らしてくれる。名付けて醤油おこげ煎餅。これで4種類になったと銀髪はご満悦である。

最後は柿尽くしのデザート。今日も食って飲んで喋ってはしゃぐ銀髪に、岡添さんが「米は採れたてより、1~2ヶ月経った方が美味しいんですよね」と余計なことを言う。「じゃあ、来月試してみよう」と言ってしまった銀髪は、見事に彼の戦略に嵌まってしまったのかもしれない。今度は11月。メインは何かな?楽しみだ。


銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090


神無月のお献立
[先付]大正椎茸とフォアグラ
[御椀]高知産蛤清汁
[御造里]かつお、あじ、あかば
[八寸]栗、牡蠣フライ、秋刀魚寿司、フランス産鴨、むかご、茸白和え、海老春巻、鳥皮串焼き
[御凌ぎ]和牛炙り・雲丹・葱
[炭焼]赤座海老炭焼き、焼茄子、牡蠣クリーム
[肴]のどぐろと蕪擂り流し
[土鍋御飯]四万十川源流産「ヒノヒカリ」
[御数]3年物の沢庵、粕漬け、しば漬け、ふぐ干物
[甘味]柿色々

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2009年10月07日

[天空の月](渋谷)

月がない夜は大変だ


天気予報は朝から夜までずっと雨。客を待つ身の料理屋は辛いだろう。東急東横店かマークシティの中で食べようかと迷ったが、ちょっと外に出てみた。思ったより雨が強いので、目の前のビルに飛び込んだ。駅に近い店にとっては呪いの雨か、恵みの雨か。

エレベーターを降りると自動ドアのように店の扉が開き、店員が迎えてくれた。店は暇なようだ。個室中心の立派な店内は大手チェーン店系列の居酒屋を思わせる。落ち着いてゆっくり食事を出来そうで安心した。

来年から大学院に行くと言うアルバイト君のお奨めは新鮮レバーのお刺身、天使のエビのマヨネーズ和え、バーニャカウダ、そしてメニューに乗っていないクエ。その中から2品選んだ。すぐに来ると思った料理がなかなか来ない。呼び鈴のボタンを押した。

料理を追加しておいた方が良さそうだ。アルバイト嬢にカルビ焼きを頼んだらすぐに戻ってきた。「カルビ焼きは時間がかかるので、早く出る料理もいかがですか?」と言うので、「前に2品頼んであるんだけども…」と答えたら驚いた表情を見せて引き下がった。

クエのムニエル、朝採り有機野菜のバーニャカウダ

今シーズン初めてのクエは期待ほど脂が乗っていないものの、敷かれた豆のソースがなかなか良い。ちびちび食べられるバーニャカウダは正解だった。カルビが来る前に山の玉手箱を頼んだ。野菜とカルビを食べ終わる頃には運ばれてくるはずだ。

炙り塩ダレ漬けカルビ、山の玉手箱

カルビを食べ終わって呼び鈴を押した。「すいません、後3分で出来上がるそうです」アルバイト君が謝ってからも10分待った。山の玉手箱をオーダーしてから30分以上も経っている。でもおじさんは怒らない。一生懸命やっている彼をとても怒る気になれないし、鶏肉と茸野菜の奉書焼きが思った以上に美味しかったのが幸いした。

天空の月は小金井、立川など都下に複数の店を持つロイヤルダイニングが唯一23区内で開いた店である。大手チェーン居酒屋と似ているが、店員はこちらの方が好感を持てる。料理の質も料金もちょっと上の設定のようだ。酒の品揃えも悪くない。

店を出るときにマネージャー格の店員が不手際を詫びに来た。思いがけず大人数のグループが飛び込んできて、キッチンが混乱したそうだ。雨の日の客数を予想してスタッフを絞り込んでいたに違いない。銀髪にとっても誤算だったが、勉学の合間に真面目に働くアルバイト君に店も銀髪も救われた。

天空の月
東京都渋谷区円山町5-18 道玄坂スクエア3F
03-5784-9966
http://www.skymoon.jp

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2009年10月06日

[やまと](銀座)

養豚場直営の豚肉創作料理屋


以前、渋谷の蕎麦屋金王庵(http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1176.html)でしゃぶしゃぶを食べた時、やまと豚の存在を知った。養豚場が経営する店では日本橋コレドにもある平田牧場などが有名だが、やまと豚の直営店は銀座中央通りを歩いていて偶然見つけた。これは行かねばならない。

我々5人が席につくと店員がみんなにメニューを渡す。インターネットでチェック済みの銀髪はメニューも見ずに店員と話し出す。「薬膳鍋を食べたいけど3人前でいいよね。鍋の前にここだけでしか食べられない豚肉料理を出してくれる?」店の女性は心得たもので、候補になる料理を勧めてくれた。

お通し、究極レバーの甲州煮

赤ワインと特製のタレにつけ込んで低温で仕上げたというレバー。焼酎を中心に種々豊富なドリンクメニューだが、躊躇なくワインを飲むことにした。日本食には日本酒を飲むと決めている銀髪だが肉料理中心なら赤ワインが合いそうだ。

ミミガーと水菜のハリハリサラダ、柔らかタンの味噌煮

料理は店の人が取り分けてくれる。2丁目店をランチで利用したが、サービスはあんまり感心しなかった。夜と昼では違うのか、もともと8丁目店の人たちが優秀なのかは分からない。

肉、薬膳不老長寿鍋

美しいやまと肉のバラとロース。平均年齢が60歳を超える今日のメンバー向けに銀髪がアレンジした不老長寿鍋。「中華の薬膳鍋とは随分味が違いますねー」と言うと「和風に仕上げていますので」と応える。しかし「コチジャンと紹興酒が味の決め手」と続けるので首を捻った。まあ、美味しいから突っ込むのは遠慮した。

鍋、うどん

3人前は正解だった。うどんは2人前でいいかと思ったら、5人前が必要だった。みんながたくさん食べたからではなく、1人前があまりに少なかったため。すべて思い通りにとはいかないものだ。

今回は鍋を選んだために食べた創作豚料理はほんの一部。他にも面白そうな料理がたくさんある。今度は2丁目店でも夜に行ってみようかな。


やまと 銀座八丁目店
東京都中央区銀座8-8-5 陽栄銀座ビルB1
03-3574-9751
http://www.frieden-dining.com

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2009年10月05日

[鮨 安吉](福岡)

店主も客も若い人気ナンバーワンの店


博多駅から歩いて行ける場所、通り過ぎてしまいそうな一軒家、立派な店だ。カウンターの中には若い料理人が2人。「ご主人ですか?」半信半疑で質問する。「若いのかな?若く見えるだけなのかな?」20代で開業してから9年、口コミでは博多でナンバーワンの評価を得る寿司屋の店主は「本当に若いです」と答えた。

電話で予約したとき「キャンセルは出来ませんよ」と念を押されるほどの繁昌店。料理はお任せのみ。部下は「何か嫌いなものはありませんか?」と問われて「珍味、肝類はダメです」と答える。「この店で食べたら好きになるかもしれないぞ。そうなったら料理人冥利に尽きるよね」と言うと主人が同意して笑った。いつものように順調なスタートに思えたのだが…

ガリ、いか印籠詰め、白えび、銀杏、さば炙り

あら、さんま、さざえ、あなごの肝、めひかり一夜干し

料理は少量で一品ずつ出て来る。70歳を超える地元の名士Rさんの皿に3品が並んだ。次の料理が来たら乗る場所がない。恐る恐る銀髪が促すと食べるスピードを上げてくれた。部下はあなごの肝で1回お休み。めひかりは脂が乗っていて素晴らしかった。

もずく、いくらごはん、鮑蒸し、あん肝、いわし、

あら、新いか、さわら、こはだ、さば箱寿司、づけ

銀髪が何度も会話のきっかけを作るが、店主は一言で答えて直ぐに下を向き仕事を続ける。日本酒の品揃えも良さそうだ。任せると純米酒以上の酒が続く。「酒が好きなの?」と聞くと「はい」とだけ答え再び下を向く。「この後も予約が入っているの?」と粘ると、左隣の客2人分に手を広げ「こちらは8時から」、我々の方に手を広げ「こちらは8時半」と多めに話してくれた。この不況下で2回転できるのは凄い。

中トロ、えび、うに、しゃこ、あなご、貝汁

かんぴょう巻き、玉、べったら漬

しゃこの寿司は面白かった。どこかで食べた記憶があるが思い出せない。寿司は途中から赤酢のしゃりに変わった。勉強熱心なのが客の心を掴んでいるようだ。Rさんが「若い人が喜びそうな店だね」と銀髪に囁く。「同感です」と銀髪も片目をつぶって笑う。しばらく仲良くヒソヒソ話し。他の客を盗み見るとRさんが最年長、次は銀髪のようだ。

Rさんは食べるのを止めて残りの寿司を部下に与えた。部下に2回休んだあなごの肝とあん肝の代わりが来なかったことを気付いていたのかもしれない。
左隣の客は既に入れ替わっている。我々の席を襲う新手が店の中を覗いたようだ。時計を見ると既に2時間が経っている。驚いた。そんなにゆったりと食べた気がしない。

「コースは終りましたが、他に何か握りますか?」主人は礼儀正しく笑顔で聞いてくれるが、Rさんも銀髪も即座に首を振った。日本酒もしっかり飲んで一人15,000円弱。店を出ると外で待っていた若者2人に睨まれた。

歩きながら「あれだけ飲み食いしたのに安いですね。美味しかったですね」と部下は感動の言葉を投げる。いくつもの店を渡り歩いて修行したという店主は、独自のすし道の頂点をどこに見据えているのだろうか。

鮨 安吉
福岡県福岡市博多区博多駅前4-3-11
002-437-8111

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2009年10月04日

[めんくいや]&[長崎亭](福岡)

ちゃんぽん?らーめん?


ホテルニューオータニ博多、コンシエルジェの女性がいの一番に教えてくれた店は「博多だるま」。行ったことがあると答えると「めんくいや」を教えてくれた。

カウンターに座り定番の博多ラーメンを頼もうと決めたところで、目の前を2つの丼が通過した。「ちゃんぽんラーメンです」と丼をテーブル置くところを見て気が変った。初めて食べるラーメンに期待しながらも、他店の博多ラーメンと比較できないことを後悔した。

アサリの剥き身、かまぼこなどが入ったちゃんぽん風の野菜炒めが乗っている。麺は博多ラーメンに使うストレート細麺。焦げた野菜が香ばしいのが気に入ったが、隣で博多ラーメンを食べている人が羨ましい。胡麻と辛子高菜を入れたら博多ラーメンに限りなく近づいた。

翌日、客先で「面白いラーメンがあるから行ってごらん」と紹介されたのが長崎亭。名前は「チャンらー」で、期せずして「めんくいや」のちゃんぽんラーメンと比較する機会を得た。偶然というか、銀髪のために用意された必然か。神様の存在を信じてしまう。

ちゃんぽんの具、ラーメンのストレート細麺は長崎亭とめんくいやの共通するところ。スープは片やちゃんぽん、此方博多ラーメンの違いはある。具は長崎亭の方が美味い。麺は使い慣れているめんくいやの方に軍配が上がる。

長崎亭でも隣のテーブルで食べているちゃんぽん麺が美味しそうに見えて羨ましかった。ちゃんぽんも博多ラーメンも長い時間をかけて今の形に納まった。ちゃんぽんラーメンがあだ花で終るか、新たなジャンルを作るのか分からない。

それにしても新種の麺料理が銀行合併会社の名前のようでは可哀想だな。

めんくいや
福岡県福岡市中央区渡辺通2-3-27 待鳥ビル1F
092-712-9551

長崎亭 博多駅南店
福岡県福岡市博多区博多駅南4-18-2 1F
092-474-6667

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2009年10月03日

[てぼ](福岡)

母(の味)を訪ねて3千里


空港からのタクシーを降りてまっすぐホテルニューオータニ博多のコンシエルジェに向った。「この近くに美味しいラーメン屋はある?」ホテルの女性は心得たもので銀髪の質問にすぐ答えてくれた。そのラーメン屋は明日紹介することにしよう。

腹を八分目まで満たして歩いていると路地の向こうにお好み焼き屋を発見した。散歩のつもりで店の前まで行ったら看板の「博多 下町の味」に目が止まった。

店の前を二往復して店を離れたものの後ろ髪が引かれて立ち止まった。結局戻って店に入ってしまった。「お好み焼きをください」「定食ですか?」「いや、お好み焼きだけでいいです」焼き場を担当するおじさんは頷いてくれた。外のテーブルに落ち着いたところに店のおばさんがやってきた。「定食のご飯抜きにしますか?その方が安いですから」もちろん異論はない。優しいおばさんだ。

出てきたのは薄くて大きい関西風の混ぜ焼き。甘い濃縮ソースにマヨネーズ、ケチャップ、辛子が乗ったお好み焼きを目の前にして、割れそうに膨らんでいた期待はみるみるしぼんでいった。マヨネーズが乗っていないところを半分ほど食べて、店内に入り勘定を払った。あまりに早かったので怪訝そうな顔をする優しいおばさんから逃げるように店を出た。

銀髪は11歳まで福岡で成長した。我が家でも母がよくお好み焼きを作ってくれた。溶いた小麦粉をフライパンに薄く伸ばし、キャベツやもやしなどの具を乗せる。その上からもう一度溶いた小麦粉をかけてからひっくり返す。つけるのは醤油で、マヨネーズなどは論外である。広島風に似ているが、違いも多い。我が家のお好み焼きが博多風というのは勘違いだったようだ。

途方にくれてネットに救いを求めた。よく考えたら両親は熊本の出身。熊本にはちょぼ焼きという醤油味のお好み焼きもどきがある。しかし、我が家のお好み焼きとは明らかに違う。ぼてじゅうがマヨネーズと辛子で味付けを始めたのが昭和21年。オタフクソースの誕生は昭和25年。関西風の混ぜ焼きが広まったのは昭和30年代。今のお好み焼きの姿は戦後に確立されたものだ。全国の流行に鈍感な人たちは我が家のようなお好み焼きを食べ続けていたに違いない。やれやれ、ようやく納得がいった。

てぼのおばちゃんへ。決して不味くて出てきたわけではありません。この場を借りてお詫びします。すいませんでした。


お好み焼 てぼ
福岡県福岡市中央区渡辺通2-2-20
092-781-5505


参考にしたHP
ぼてじゅう(http://www.botejyu.co.jp/botejyu/kigen.html
オタフクソース(http://www.otafuku.co.jp/laboratory/culture/history/his01.html
お好み歴史学(http://www.ikayaki.com/rekishi.html

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2009年10月02日

[じじあんどばば](日本橋)

移転してもカジュアルで気楽な店


移転の手紙が届いたのは8月初め。前の店のお別れ会に参加したかったが叶わなかった。新しい店にもすぐに行くつもりだったのに、アッという間に時間が過ぎてしまった。2人で行くより3人がいい。なんとか人数を揃えて出かけて行った。

5時ちょっと過ぎ、自動ドアを手で開けて中に入った。早い時間でも入れた前の店とは勝手が違う。それでも「開いてる?」と覗き込む我々を喜んで迎え入れてくれた。ソファで昼寝をしていた若い男性店員が叩き起こされたのは可愛そうだった。

実に3年ぶりなので料理を運ぶ若者たちに見覚えがない。たどたどしい日本語の若い女性とのコミュニケーションにちょっと苦労したが、お奨めに素直に従った。自家製ビーフジャーキーのお通しの後に海鮮サラダがドーンと登場した。リーズナブルで量が多いのは以前と一緒だ。

米沢牛、山梨産馬肉の刺身盛合せの味比較。定番料理の中から選ぶつもりだったが店員の推奨は本日のお奨めが殆ど。洋食屋のイメージが強いじじあんどばばにしてはユニークな料理に思えた。もっとも、店主夫婦の出身地の素材にこだわることを知っていれば納得の品だと言える。

とろーり豆腐の特製ピリ辛甘みそタレ付き、コロッケ

初めて食べる変わった料理も面白いが、〆はやはり定番のコロッケ。「ビーフシチューをコロッケにしたような奴」とオーダーしても店員に分かってもらえない。銀髪の勝手な思い込みではあるが、割ってみたらみんな頷いてくれた。

「前より立地がいいので絶対繁昌する」と言う銀髪の説は6時を過ぎる頃から現実味を帯びてきた。肉料理などカロリー過多のメニューが多いことをKさんは懸念するがそんな心配はいらない。メタボは大病するまで治らないし、予備軍もどんどん増えているのが現実だ。会席料理や洒落たフレンチ、イタリアンより素朴な洋食が大好きなお父さんたちにとって、じじあんどばばは安心な店である。

店内を見回すと、おじさんを囲んで若い男女が楽しんでいるグループが複数ある。政府も少子化対策の一環として仲人手当てや合コン幹事手当てを作ってくれないだろうか。
♪今日はお見合いで酒が飲めるぞ~ 酒が飲める飲める飲めるぞ! 酒が飲めるぞ~♪ なんちゃってね。


じじあんどばば
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋テイトビル2階
03-3274-1797
http://www.jiji-baba.jp/


以前の記事
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/04/post_183.html

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2009年10月01日

[尾花](南千住)

一番はサービスかな


尾花は東京のうなぎ料理屋の最高峰と言われる。南千住に行ったことがない銀髪は郊外の遠い場所にあると思っていた。無意識に住んでいる世田谷からの時間距離を考えてしまうが、勤め先に近い茅場町から南千住まで電車で僅か15分。意外だった。

いつも行列が出来るという尾花も、秋ともなると客足は遠のくのかもしれない。6時前でも空席が目立った。うざく、う巻き、焼き鳥、鯉あらい、白焼き、うな重、いつもならこんな順番で食べていくのだが、大江戸で食べたごはん少な目のうな重の反省から思い止まった。しっかり蒲焼きとごはんを食べよう。そうは言ってもビールについてくる漬物だけではうな重が来るまで間がもたない。

うざく、焼き鳥

ピックアップするよりも、切り捨てる方が難しい。すぐに出てきそうなうざくと、焼き上がるまでちょっと時間がかかる焼き鳥。さばくところから始めるので長時間待つうな重。我ながらよく考えた。うざく1,500円、焼き鳥2本で1,100円は人気店ならではの価格に思えたが、食べてみるとこの値段も仕方ないかと思う。濃い目のたれがかかった焼き鳥も独特のもの。

焼き鳥を食べても時間が余ったときのために、ビールについてきた漬物は残しておいた。それでも40分~1時間はかかると言われる蒲焼は焼き上がって来ない。再びメニューを見てう巻きを追加した。すると、すぐに注文を受けた女性が戻ってきた。「もう出来上がるそうですが、う巻きはご飯の後にしますか?」と言う。もちろんキャンセルした。空いていれば焼き上がりまで30分というところだろう。

料理を少なくした分ビールや日本酒を飲みすぎた。一番目方が少ない3,000円のうな重を頼んだのは正解だった。メニューを見るとご飯のない蒲焼の方がうな重より高い。「値段の差は目方です」と店の女性は言うが、目方とはうなぎ一匹の大きさ(身の厚さ)なのだろうか、質も関係あるのだろうか。解明するのは次の機会にしよう。

尾花のうなぎは美味しかった。しかし同じ日に食べ比べをしなければ味の差はよくわからない。食べた時の体調、季節によっても印象は異なる。個々人の好みもあるだろうから軽々しく優劣はつけられない。

うなぎの味はともかく、特筆すべきは料理を運ぶ女性たちの応対の良さだ。最高の評価を得る行列が出来る人気店にもかかわらず、どの女性たちも偉そうなところがまったくない。ミシュランの選者や有名人にだけ愛想を振り撒く店でないのが心地よかった。


尾花
東京都荒川区南千住5-33-1
03-3801-4670

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