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2009年11月30日
[どぶろく 一心]②(三軒茶屋)
温もり

「お久し振りです」と言いながら入っていくと、主人も女将も怪訝そうな顔をする。「銀髪です」と続けると、「オゥ!」と反応して笑顔になった。喜んでくれたのも束の間で、「イヤー、今日はブリもコウバコ(雌ズワイガニ)も入ってないんですよ」と顔を曇らせる。忙しく表情をコロコロ変える。その様子をカウンターの常連さん2人が見詰めている。

日本海から鮮魚を取り寄せているだけに、思惑が外れることもある。富山名物のバイ貝、かぶら寿司、福井県大野のブランド里芋。お通しを見て今日は一心の名物料理に専念することにした。飲むのもやはり名物の南部どぶろく。石鳥谷の蔵元に特注した純米限定酒である。
女将さんが先客の2人に話しかけた。「こちらの方は食べ物屋のブログを書いてらっしゃるんですよ」と銀髪を紹介してくれる。一人で来た銀髪を気遣ってくれたのだ。「ヤフーで[銀髪 一心]と入力すれば、ウチのことが出てきますよ」と主人がフォローする。銀髪グルメ紀行は1500回を超えた。銀髪も自分の書いた店を探すのにヤフーやグーグルを使う。[銀髪 寿司 銀座]などと入れて店名を思い出すことがしばしばある。

たらこを炒って刺身に和えた真鱈の子付け。金沢の郷土料理らしいが、初めて食べた。新たにカップルが入って来た。こちらも常連さんみたいだ。カウンターの常連さん2人は自分たちの天ぷらが後回しにされても優しく寛容である。おまけに銀髪の相手までしてくれる。料理談義に花が咲く。

南部どぶろくと並ぶ一心名物の酒は岩魚の骨酒。注ぎ酒をしようか迷ったが飲み過ぎを懸念して身を食べることにした。旨味を出し切らなかったお陰で意外といける。

残った日本酒を飲み干す肴を思案していると珍味3品、福井名物の鯖のへしこ、能登の河豚の卵巣糠漬け、日本一固いと言われる五箇山豆腐の燻製を少しずつ盛ってくれた。
前回来た時に相手をしてくれたお姉さんが一人で入って来た。銀髪を覚えているようだ。今回相手をしてくれた2人が帰り支度を始めた。時計を見ると銀髪が来てから既に3時間が過ぎていた。
前回来たときには主人に感心したけれど、一人で来た今回は奥さんの心遣いに感激した。もちろんそれに応じてくれた常連さんにも感謝。北陸名産の料理尽くしも面白かったが、一心名物が温かさと知った一夜であった。
ふるさと割烹 どぶろく一心
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10
03-3418-3155
http://www.doburoku.info
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2009年11月29日
[なだ万](日本橋三越)
高級店でおばさま達に混じってランチ

創業は天保元年(1830年)、ホテルニューオータニの庭園内にあるなだ万本店山茶花荘をはじめ国内25店舗、海外8店舗を擁する老舗料理屋。日本橋店は日本橋三越本店新館10階にある。ビジネス客は部屋代が別途必要な個室に消え、我々はマダム達が食事をする席から少し離れたところに案内された。
「お嫌いなものはありますか?」一流店はコースではあってもメニューを入れ替えてくれるのが有難い。我々7人の中には鶏肉が駄目な人、刺身が駄目な人が居る。2人が申告した後に銀髪も手を上げた。「鶏肉も刺身も駄目なんです」と言うとみんながビックリする。店員が消えたところで「ちょっと遊んでみようと思ってね」と笑った。
落花生豆腐

3,000円のランチコースがスタートした。広いフロアでは店員は上座、下座は区別しないようだ。もともとそんな考えすらないのかもしれない。扱いは大衆食堂と変わらない。ビールも小鉢もアトランダムに配られた。
御造り、サラダ

さてお待ちかねの御造りが5人に配された。銀髪を含む2人には何が来るかワクワクしていたが、サラダを見てがっかりした。なんだか損した気分だ。上に乗っているのがカニ脚なので原価は同じぐらいだと思うと気が収まった。それでも手抜きに見える。

窓を背に座ったのでフロア全体が見渡せて面白い。窓際のカウンター席の老人に生ビールが運ばれていく。グラスの半分以上を泡が占めているのを見て、老人の反応が気になった。運んだ方も、受け取った方も実に自然だ。「泡を多めに注いで欲しい」と頼んだのだろうか。
栗ごはん、デザート

他の人の栗ご飯には細かい鶏肉が混ざっているが銀髪のご飯にはかけらもない。店員を呼んで聞くと鶏肉嫌いの人のために別途ご飯を炊いてくれたとのこと。他の人たちのご飯は大釜で炊かれたもの。サラダの分が帳消しになった気分である。さすがなだ万だ。
実験は意外と面白かった。しかし、ちょっと下品な行為と反省した。銀髪もいい歳なんだから、カウンターの老人のように品良く振る舞うべきかもしれない。
なだ万日本橋店
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店新館10階
03-6214-2701
http://www.nadaman.co.jp
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2009年11月28日
[丸山](足利市)
地方都市にも美味しいラーメン

東京に住んでいると日本=東京と思い込んでしまう。約30年前、愛知県豊橋市に赴任した時、独身寮があった飯田線の駅に降り立ち呆然とした。駅前の商店街に複数のスーパーがあると思い込んでいたのだ。その駅には釣り道具屋兼雑貨屋と、その家族が経営するラーメン屋しかなかった。
今はインターネットのお陰で地方都市に出張しても食べる場所を探すことが容易だ。無論足利市駅は飯田線の駅より遥かに大きいが、事前に調査していると心強い。口コミ情報の食べログで調べると、上位にあったのが丸山だった。

もともとは日本料理屋だったような、ラーメン屋にしては立派な店だ。テーブルはゆったりとしているし、厨房も広い。営業時間は11時半~14時半、17時~20時半。深夜が稼ぎ時の東京の常識は通用しない。
12時半を過ぎた頃には32席がほぼ埋って待つ人が出て来た。車で乗り付けた営業マン、工場作業服の男たち、OL、近くのおばさん、老夫婦、客層は様々だ。厨房には店主と思われる男性と中年のおばさんが2人。テキパキと動いているが、満席になるとラーメンにありつくまでは辛抱が必要になる。

ラーメン550円、チャーシューメン800円、仕事がなければにんにくラーメンや餃子を食べたいところだが我慢した。手打ちというだけあって、規格外れの麺が混じるのがアクセントになって面白い。
シンプルな優しい味のラーメンはどんな客にも受け容れられる。東京のラーメン屋のインパクト重視と異なるのは土地柄を考えてのことだろう。駅前ではなく、駐車場がある幹線道路の店というのも地方都市らしい。通りすがりの客はあてに出来ないだけに、いい加減なことはできない。東京が一番という常識も、意外とあてにならないのかもしれない。
手打らあめん 丸山
栃木県足利市中町957-7
0284-72-5154
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2009年11月27日
[とときち](新宿三丁目)
日本酒は旨い!

「ここどう?」と言われて首を傾げた。確か前に嫌だと言われたような気がする。それ以来、通り過ぎるだけだったのに…。ドアを開けると小さな店内は満席のようだ。これ幸いに踵を返すと「店の人に聞いてみたら?」と諦めない。客たちの頭の向こうに誰も居ない2人席が隠れていた。
お通し

ビールを飲みながら料理をオーダーする。お通しを食べ終わったところで日本酒のメニューを見る。27種類もあるとは立派だ。香川の悦凱陣と宮城の白楽星を頼むと「マニアックな日本酒を選びますね」と店主が笑う。「どこでも飲めるものじゃつまらないから」と答えると、「今月のメニューを見てから決めてください」と別のメニューを持って来てくれた。

「袋吊絞りは久し振りですよ」と言いながら埼玉の花陽浴、無濾過の田光(三重)の2種類を頼んだ。どちらもフレッシュな日本酒の味わいがあるはずだ。「田光は岡山の雄町という酒米を使っています」と説明してくれた。日本酒に気を取られてぶり大根を撮り忘れてしまった。下の写真は半分を取り分けたもの。
ぶり大根、かにの湯葉巻き

主人が一升瓶を抱えてやってきた。「これ飲んでみてください」と上喜元を注ぐ。「これは飲んだことがある」と言ったものの、上ランクの酒らしい。再び戻ってきた主人の手にはあるのは上亀元。「あっ!字が違うんで変だなと思ってたんですよね」と言うと「こちらの酒米は亀の尾だから、喜ではなく亀を使っている」とのこと。「亀の翁って酒がありますよね」と問えば、それも亀の尾から来ているらしい。酒談義に花が咲く。
まぐろ葱間焼

「酒が旨すぎて料理が霞んじゃいますよ」と減らず口を叩いたが、なかなかどうして酒の肴も悪くない。「上亀元を一杯」と追加した。焼酎ならともかく日持ちがしない日本酒をこれだけ揃えるのは大したものだ。
日本酒をかっくらって、上機嫌で出て行った3人のおばさんたちと入れ替わり、隣にカップルが座った。「ぼくは熱燗」「私はウーロン杯」と注文しても、主人の表情は笑顔のまま。「俺には出来ないなー」と感心した。
どうしてこんないい店に入らなかったのだろうと不思議だった。店を出て入り口の壁を見上げたら、最初に飛び込んできたのは「うどん」の文字。同じビルにあるうどん屋と勘違いしていたようだ。
粘った連れに感謝した。銀髪より鼻が利くのがしゃくではあったけれど。
魚河岸ごはん 築地とときち
東京都新宿区新宿3-6-13
03-3341-7666
http://www.totokichi.co.jp/
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2009年11月26日
[豊月]②(八重洲)
期待以上、夜の豊月

昼に温かいそばを食べた後、そば湯を飲むための器を出されて感動してから数週間。やっと行く機会が訪れた。評価が固まっている高級店ならともかく、初めて行く居酒屋に誘う人選は難しかった。
アサリの串揚げ、漬物の盛合せ

一緒に行った2人は気の置けない仲間。高級店よりかえってリラックス出来ると言ってくれるので気が楽になる。お通しとしては意外性のあるアサリの串揚げに驚いている暇はない。他のテーブルに運ばれるものと思っていた漬物の盛合せが我々の前に置かれてびっくり。これもお通しだと言う。
もつ煮込み、小鯛

鍋敷きが先に来たので予想をしていたものの、もつ煮込みの大きさにまたびっくり。驚かすのが好きなのだろうか。テキパキと動くおばさま達が高笑いをする。
煮ころがし、いか煮物

2人前からとのことだったが、1人前にしてくれても良さそうな量の里芋の煮ころがし。店やおばさんたちの年齢から判断して間違いないと思った煮物は予想通りの当たりだった。仲間二人も「いいねぇー」を連発してくれるので、嬉しくなる。
カキフライ、枝豆

「カキフライは何個?」「3個です」「いいねぇー」てなもんだ。次は何を頼もうかと思っていたら各テーブルに枝豆が配られた。「いいねぇー」
酒が進んでいけない。ビールの後は一人が焼酎、一人が冷酒、銀髪が熱燗と酒量を確認しながら飲んでいたのが、いつの間にか熱燗に統一されて盃を交わしている。味が変わって飲みすぎる悪いパターンだ。
出し巻き玉子、もりそば

最後は定番の玉子焼きをホクホクして、もりそばへ。昼間のように別の器は持って来てくれなかったけれど、そば湯もたっぷり堪能してお開きになった。高級日本酒がないお陰で高い酒ではなかったけれど1升以上は飲んだ。一人6,000円のお代に納得。
「また、今度もここにしよう!」と別れた。相手に恵まれて、美味い肴があれば、楽しくないはずがない。
豊月
東京都中央区八重洲1-3-19 辰沼建物ビル地下
03-3275-2779
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2009年11月25日
[喜久好](赤坂)
本物を味わう

「静かですね」椅子に座るなり声をかけた。「明日は予約で一杯なんですけどね。こんな日もありますよ」と主人。「高級ってのがいけないんじゃないですか?」と表の看板のことを口にすると、「うちはそんなに高くありませんよ」と看板の意味するところを説明してくれた。
精悍で男前の主人を前にすると誰もが緊張するだろう。銀髪の軽口に連れはヒヤヒヤしているようだ。写真撮影を許してもらった後、名刺を渡した。主人も仕事の手を止めて名刺を銀髪にくれた。

ひらめの煮こごりと聞いて驚いた。ふぐなどはよく食べるがひらめは恐らく初体験。続いて出たひらめの刺身の確かな歯応え。感激していると、主人の顔が徐々におだやかになってきた。「髪は染めているのですか?」と聞くと笑って首を振る。70歳にはとても見えない。

「それ大好きなんですよ」さよりの皮を串に巻くのを見て嬉しくなる。さよりの身の厚さに感心すると、「かんぬき」だからねと説明してくれた。大きなさよりを閂に例えて呼ぶそうだ。いなだもこんなにしっかりとした身のものは食べたことがない。4時過ぎに起きて、5時半頃には築地の行きつけの中卸で仕入れする。何十年来の習慣があってこそ上物を手にすることが出来る。

「鮟鱇?」「ひらめの肝です」「松輪?」「松輪のサバは夏。これはシャコで有名な小柴産」「スミイカも大きくなってきましたね」「そうだね」。丁々発止の会話が続く。連れはもう安心して食べている。「昔はもてたんでしょうね」と持ち上げると、「忙しくてそんな暇はなかった」と修行時代の話。親方に包丁の背で叩かれた指の傷跡を見せてくれた。「今の若い奴は…」彼の技を盗む若手は横に居ない。それにしても職人の手のなんと凄いことか。

「同じ魚なのにどうして寿司にするとこんなにも味が変わるんですかね」と言うと、主人は大きく頷く。3日漬けた鮪のづけ、中トロ、すみいか、見て美しく、食べて美味い。しゃりを包むように握るために仕込んだ切り身を見せてくれた。手の平に乗せるとすべてきれいに収まる。「しゃり少な目」と言われれば応じるが、ネタも小さくしなければ美しくない。実に面白い。

海老が凛々しく美しい。キリリとした寿司とは対称的に場はますます和んできた。「あれは握と書いてあるんですか?」と料理を離れて壁の書のことを質問する。将棋の故大山康晴15世名人が40年前の開店祝いに書いてくれたもの。花柳界華やかなりし頃、政財界をはじめ多くの名士たちが喜久好で舌鼓を打ったそうだ。


最後に頼もうと思ったコハダと穴子は言わなくても出てきた。このコハダは堪らない。ひらめの椀物、玉、柿を食べてお開きになった。ふと目を上げると主人が名刺を差し出している。「あれっ?最初に交換したのに」と思ったが、素直に受け取った。先ほどのは単に銀髪に応じたもの。今回は主人の心からのものと勝手に解釈した。
「いやー、いろいろ勉強になりました」と頭を下げると「こちらこそ、お客様から教えてもらうことが多いんですよ」謙虚さも名人の条件と唸らせる。奥様に見送られながら店を出た。
ビール1本、日本酒三千盛2合を含めて2人で2万8千円弱と、主人が言ったようにそんなに高くはない。本物の職人、技に出会えたと思えば安いものかもしれない。
喜久好
東京都港区赤坂3-16-2 栄林会館B1
03-3585-2478
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2009年11月24日
[北海道八雲町](日本橋)
八雲町物産館?

日本橋三越本店の向かいには奈良、新潟、島根など、県の名産品を紹介する店がある。北海道八雲町の看板を見て「町の?」と不思議に思ったら、居酒屋のようだった。それでも八雲町を紹介するパンフが店頭に置いてある。夜に来ようと思って再びランチ時に店の確認に来たら、行列が出来ていて驚いた。飛び込みで行くつもりだったが、会社に戻って予約の電話を入れた。
「なんで昼間並んでいたの?」席につくなり質問した。「スーパーニュースに出たんですよ」と複雑な表情。「だからなんだー」と言ったら、「テレビに出る前からこんなもんですよ」と強気だ。

噴火湾産の生牡蠣2個530円、高級魚の八雲産鮭児が1980円。魚介類の宝庫の名前を借りただけではない。八雲町からの直送品ならではの鮮度と値段。店員の強気のコメントも頷ける。

ホタテ、青つぶ貝など噴火湾産魚介の刺身盛合せ。ホッケの刺身は別に頼んだ。船上活きしめホッケは東京ではなかなか食べられない。590円の居酒屋値段なのが嬉しい。

あんこうがお奨めとのことだったので、皮身の唐揚げと肝のステーキを頼んだ。漫画の美味しんぼで不健康なフォアグラより天然鮟鱇の肝の方が美味しいと力説していたが、値段も加味すれば同意してもいい。

分厚く切った高級なヒラメの身(590円)とエンガワ(690円)も、もちろん噴火湾産。テレビ番組ではないが、ついつい値段をアピールしたくなる。刺身に飽きたら名物のホッケ。ランチでもホッケは人気者らしい。

コリコリが楽しいカスベのヒレの唐揚げを食べた後は、店員イチオシのあんこう鍋。あんこうと野菜だけで水分は充分のようだ。最後に雑炊を頼んだら忘れられた。てんてこ舞いの店員たちがミスをしても誰も怒らない。これで丼を食べられると逆に喜んでいる。

スーパーニュースで紹介されたのが焼鮭いくら丼らしい。同じものばかりではつまらないので雲丹いくら丼とひとつずつ頼んだ。酒を飲んだ後にはミニ丼が適量だ。
北海道八雲町はホルモン焼屋「合掌」の新業態だそうだが、おそらく八雲町が一番。町興しと産地直送、低価格がうまく機能している。テレビ人気や目新しさで賑わったとしても、はしゃがず奢らずに頑張って欲しいものだ。
北海道八雲町 合掌 ご当地酒場
東京都中央区日本橋室町1-5-2 東洋ビルB1
03-3242-1833
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2009年11月23日
[ビモン](東京駅)
洋風(?)ハンバーグ

牛すね肉100%のすねバーグはテレビでも紹介された逸品らしい。もともと玉ねぎやつなぎを入れたハンバーグは日本独自のもの。ビモンのハンバーグはハンバーガーに挟むパテのようだ。
「ガーリックトーストとライスのどちらにしますか」と聞かれて思わずガーリックトーストと答えていた。目の前で作り始めるのを見て、「あれっ、ガーリックライスじゃないんだ」と気付いた。思い込みが激しいのか単なるボケか。
店名のVIMONはフランス語のような響きだ。「ビモンって鼻の紋のことですか?」ハンバーグを焼いているシェフに聞いた。あっさり「そうです」と言うので満足した。鼻紋は牛の固体識別に使い、牛の血統書である登録証に添付される。これを店名にしているのなら、いい牛肉を使っているはずと思ってこの店に来る気になった。
キッチンの奥から肉を両手でキャッチボールする音がペタペタと聞こえてくる。ランチタイムのラッシュアワーの準備に余念がない。目の前ではシェフが表面だけ焼いたハンバーグをオーブンに入れた。焦げないように中まで火を通すには賢いやり方だ。ミディアムに焼かれるハンバーグの中は、赤い色をしていても生ではいけない。

なかなか美味しいハンバーグである。しかし、ガーリックトーストとのカップリングはあまりよろしくなかった。すね肉とはいえ思ったより脂が乗っているので、中年にはちょっとしつこく感じてしまった。
2度目はバラ肉ともも肉を使ったとろバーグにした。もちろん今度はライスを頼んだ。思ったとおり大正解。豚肉や玉ねぎを加えたハンバーグのように肉汁が溢れるというわけではないが、牛肉本来の美味さが味わえるのがいい。ハンバーグやシュウマイは玉ねぎの匂いがこみ上げてきて食後感が良くない。ビモンのハンバーグはそんなことがない。

ジューシーなハンバーグだったが、夕方になったらお腹が空いた。若い人は大盛りライスの方がいいかもしれない。胃もたれしないのはいい食事だったということだろう。
夜は鉄板焼き屋として賑わうようだ。このハンバーグなら夜にも行っていいかなと思わせる。
ビモン (Vimon)
東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅名店街1F キッチンストリート
03-3283-1841
すねバーグのAランチが1,380円
とろバーグのBランチが1,680円
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2009年11月22日
らくらくタクシー
ハイヤー気分で割安なタクシー
美味しくて楽しかった一時も、帰りに乗ったタクシーでぶち壊しになることがある。
行き先を告げ、眠り込んだものの寒くて起こされてしまった。首都高を降りる前に窓が全開にされていたのだ。酔っ払いに寝込まれては困ると思ったのだろう。
別のタクシーでは起こされたとき見知らぬ場所にいた。指定した信号とは違うところで曲がったためだ。運転手は銀髪の説明が悪いと開き直った。
「こちらの道の方が空いていると思ったんですけどね」指示と違う道を走り渋滞に巻き込まれたこともある。料金は割り引いてもらったが怒りが鎮まるのに時間を要した。
これまで遭遇したトラブルを友人に話したら、らくらくタクシーを奨められた。迎車料金無料で、運賃は予約時に確定する定額制。しかもメーターで走るより割安である。会員登録をして早速日本橋から羽田空港まで利用した。タクシーではあるがハイヤー気分で実に快適。決められた料金を払い、領収書をもらってタクシーを降りた。
それ以来、度々使っている。自宅、会社、行きつけの店などをマイ地点に登録しているので予約も楽ちんである。乗ってしまえば「じゃあ、お願いします」というだけで目的地まで運んでくれる。道を間違えようが、渋滞に巻き込まれようが、値段は決まっているのでイライラすることもない。
運営会社はJR北海道のグループ会社なので安心だが、実際に客を運ぶのは全国各地のタクシー会社。運転手の技量も様々なので均質のサービスが受けられるとは限らないものの、利用者が増えてノウハウが蓄積されれば、より快適になるだろう。
深夜に利用することが多い役所や会社は大幅な経費削減が出来る。毎回わずかな差額であっても、まとまれば巨額になるはずだ。銀髪も極力らくらくタクシーを使うことにしている。最近では「銀髪さん、付き合いが悪くなったなー」と文句を言われる。「イヤー、車を待たせていますので」と席を立つことが多くなったためだ。安心して車の中で眠れて、しかも早く家に着くので睡眠時間が増えた。料金も明朗会計で割安である。
都内は3,500円、地方は3,000円以上タクシーに乗る方々。試しに使ってみてはいかがでしょうか。楽しい時間が夢の中まで続くように。
もちろん、昼間にビジネスや観光で使ってもいい。
らくらくタクシー
http://www.rakurakutaxi.jp/
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2009年11月21日
[R](野毛、桜木町)
食後はショットバーで

三陽は面白い店だった。滅茶苦茶テンションが高い店主とは対称的に静かに食べたにもかかわらず、なんだか疲れてしまった。部下を従えて駅と反対方向に歩き出す。野毛にはキャバレーのロンドンやソープランドも点在するが、そんなところに行くつもりはない。すぐにお目当てのショットバー「R」を見つけた。部下は安心したのか落胆したのか分からない。
思ったより広い店内にバーテンダーが一人だけ。カウンターの前を真っ直ぐ歩けばそのまま裏口から外に出ることが出来るが、バーテンダーの正面で椅子にのぼる。彼の顔を見て安心した。良さそうなバーだ。彼も見知らぬ我々に不安感は持たなかったようだ。

部下は誰もが知っているボーモアを頼んだ。その間、棚に並べられたボトルを端から端まで見ていく。「あのグレンモーレンジは何?」と聞くと「アメリカの樽で熟成されたウイスキーです」と言う。スコッチウイスキーの熟成期間中に樽を入れ替えて再熟成されたウイスキーをフィニッシュ系ウイスキーと言う。シェリー酒の樽を使えばシェリーフィニッシュ、バーボン樽ならバーボンフィニッシュという具合だ。

バンフ(BANFF)蒸留所は1983年に閉鎖された。ウイスキーは蒸留所自らが瓶詰めするものと、外部の業者が樽ごと買い付けて瓶詰めするものがあるそうだ。バンフは後者で、蒸留所閉鎖後も瓶詰め業者により売り出されている。しかし、それも無限なわけではないので、貴重なボトルである。

最後はアイラウイスキーのカリラ。サントリーが輸入総代理店になっているボーモアなどに比べると知名度は低いが、アイラウイスキーでは最大の生産量を誇る。久し振りのアイラは美味かった。
ウイスキー談義に花が咲いた。チーフバーテンダーの塚田さんは60年も続くRの三代目。初代と2代目は親子だったらしいが、塚田さんは血縁ではない。横浜ロイヤルパークホテルのメインバー「ロイヤルアスコット」の出身。一目で安心した理由が分かった。一流ホテルの出身者らしく品がある。共通の知り合いの名前も出て大いに盛り上がった。
勘定を払うと近くにあるシープに行くように奨められた。ウイスキーの巨匠らしい。電話をかけてくれたが繋がらない。制止するのも聞かず、店まで飛んでいった。落胆の色を浮かべて戻ってきた塚田さんは「休みでした」と申し訳なさそうに言う。
楽しい時間を過ごすことができた。お楽しみは次の機会に取っておくのも悪くない。
R
神奈川県横浜市中区野毛1-15 1F
045-253-2588
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2009年11月20日
[三陽](野毛、桜木町)
あんたが一番!

6時ちょっと前、行列が出来る店と聞いていたが簡単に入れた。「荷物は壁に…」と言われるまま、鞄を壁のフックにかけていると「〇〇〇でいいかい?」と背中に声がぶつかるので、「あー、いいよ!」と応えておいた。よく聞き取れなかったが、出てきたときのお楽しみだ。

周りの人たちに出される料理を観察したら、ビール大瓶、バクダン(揚げニンニク)のお通し、ネギトリ(鶏肉の味噌炒め)、餃子が店主が言った〇〇〇のようだ。右奥の2人掛けのテーブルで料理を待つ間、壁に貼られたメニューや口上を見る。品のいい銀髪グルメ紀行では書けない×××があちこちにある。それにしても何か異様な臭いがする。

「美味しいですねー」部下がネギトリを食べながら言った言葉は、餃子にも使われた。
餃子を食べ終わると再びことばが飛んできた。「モンゴルの〇〇〇を食べてよ!」やって来た料理はもつ煮込み。異様な臭いの元はこれだった。食べてみると臭みは消えるが、部下は一口食べてギブアップした。こんなの台湾で食べた臭豆腐に比べれば可愛いもんだ。

部下が食べられそうなものを探した。中国娘に聞くと海鮮炒めがいいと言う。思案しているとまたまた「旦那!オレに任せてよ!」と声が飛んできた。やってきたのは海鮮炒め。中国娘が奨めてくれたものと同じだった。
しばらくすると破れた全椅子のカバーは客たちのお尻で隠されて店の景観は改善された。客は店の外のテーブルにまで溢れた。ぼちぼち潮時のようだ。勘定を頼むと「スープが出るよ!」と店主の大声。ずっとテンションが高いまま。この店の最大のウリは明るく、元気な店主である。あんたが一番!
友人が絶賛して奨めてくれた餃子だが、皮、具、焼き方すべてにおいて皮から作った銀髪の餃子の方が上だと思った。何しろ娘が「お父さん、絶対餃子屋さんやった方がいいよ」と言うぐらいだから。でも娘に言ってやった。
「お父さんが餃子屋さんをやったら、大学に行けなくなっちゃうよ。なにしろ2時間かけて32個しか作れないんだから…」
三陽
神奈川県横浜市中区野毛町1-38
045-231-0943
http://sanyou.hp.infoseek.co.jp/
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2009年11月19日
[和味 りん]②(新宿)
旬の魚介類を安く美味しく

今年7月、初めて訪れた時は殆ど飛込みだった。家に戻り、りんのホームページを開いて失敗したと思ったものだ。板長が全国を歩いて信頼できる業者を探し出し、りんの食材は産地から直送されてくる。何が入荷されたのか、板長日記でチェックして行くべきだった。今回は狙いを定めて行った。
前回に比べて店は賑やかだった。天候のせいか客はまばらだが、カウンターにいるカップルの声がやけに大きい。その二人に板長の前の一等席は占拠されていた。我々は前回と同じ若手料理人の前に。2度目になると彼も親しげに接してくれて心地よかった。

割烹らしく付け出しは立派なものが出て来る。もみじだけ残して全て食べ尽くした。刺身は赤イカ、しめ鯖、鯛、金目、さわらの5種類。わさび醤油、ポン酢を用意してくれたが、塩もお願いした。さわらの焼き霜やいかは塩が美味い。松輪の鯖は脂の乗りが抜群だった。

お目当ては板長日記に下関で競り落として空輸されてきたとあった渡り蟹。昔は東京で蟹と言えば渡り蟹のことだったらしいが、今はスパゲティや中華料理以外で食べることは殆どない。ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニなどに押されてしまった感もあるが、漁獲高も減っている。スーパーなどで売られている小型の蟹は中国産の冷凍物。国内産の活き渡り蟹をシンプルに蒸すか茹でて食べさせる店は殆どなくなってしまった。
味噌汁に入れる安価な蟹と思っている人も多いだろうが、上物は一杯一万円近くもする高級品である。これを産地直送ならではの価格でりんは出してくれる。銀髪にとっても約3年前に広島のきっ川で食べて以来の渡り蟹だった。卵もいいが柔らかくて品のいい身が堪らない。

最後に鯛めしと蟹雑炊を一つずつ頼んで分け合った。冷凍技術や流通網の発達は痛し痒しである。東京では渡り蟹を食べることがなくなった。一方ではりんのように地方の市場で早朝に競り落としたものを空輸して、その日の夜に客に出すことも可能になった。文明の利器に振り回されるか、利用するかは使う人の力量次第。何も料理屋に限った話ではない。
今日も板長日記が銀髪を誘惑する。
和味 りん
東京都新宿区新宿5-17-6 中田ビルB1
03-3205-7252
http://wami-rin.com
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2009年11月18日
[越州](日本橋)
日本酒好きには堪らない店

日本橋に出来た新しい越州はアサヒ酒造直営店としては6店舗目になる。以前銀座店に行って良かった記憶があるので、仲間を引き連れて行くことにした。オープンしてまだ日が浅いが予約なしでは入れない人気店となっている。
お通し、のっぺ、骨せんべい、白魚の天ぷら


銀髪はともかく、他の連中は新潟の郷土料理に詳しいわけではない。それでも、メニュー選びを主導するのが酒呑みなので心配する必要はない。のっぺなど選ぶべき料理が順調に選択される。
栃尾常太の油揚げ焼き、カキフライ

栃尾名物のジャンボ油揚げも選ばれたが、酒呑みでない連中はカキフライがベターのようだ。既におにぎりを食べている。晩酌をしない家庭の夕餉を銀髪は想像できない。ご飯とおかずと味噌汁だけなら食事はあっと言う間に終わる。家族団欒はどのように行われるのだろうか。
いかの丸焼き、佐渡丸干しいか炙り

「エーッ!これだっけ?」と大きな声を上げたのは佐渡丸干しを頼んだのん兵衛。いかの丸焼きを頼んだのは保守的なおじさん。越州は酒造メーカーの直営店だけに、いいお酒を他より安く飲める。肴に向くのは丸干しの方だろう。
ウインナー、村上鮭のハラス

酒粕を混ぜたウインナーは出色だった。誰もが頼む人気商品のようなので、すぐに売切れる。変わったものを食べようとしない人も、ウインナーなら箸を出す。
刺身(しめ鯖、蛸、ひらめ)、えごねり

頼むものがなくなったのか、終わり近くになって刺身を頼む奴がいる。銀髪の出番がやってきたようだ。エゴノリを煮溶かして固めた佐渡名物「えごねり」、古くなった漬物などを酒粕で煮た「煮菜」、塩引き鮭を削ぎ切りして酒、みりんをかけた村上名物「酒びたし」など新潟郷土料理を注文して講釈をたれた。
煮菜、鮭の酒浸し、へぎそば

最後はつなぎに布のりを使ったへぎそば。酒よし、肴よし、そばもよし。ただし、そばの器・へぎ(片木)が貧弱なのがちょっと残念。
銀座店では出口まで店長が見送りに来てくれたので名刺交換した。そのため、頻繁にハガキが届く。日本橋店からハガキが来ることはない。
越州 日本橋店
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1
03-6225-2630
http://www.asahi-shouzi.co.jp
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2009年11月17日
[さ和鳥 茅場町 力々](茅場町)
リーズナブルに本格水炊き

ランチ時に人形町界隈をブラブラしていたら、いい感じの店を見つけた。テレビやグルメ雑誌もいいけれど、銀髪の嗅覚も捨てたものではない。早速客2人を誘って行くことにした。仲間内ならともかく客と一緒なので念のため予約して出かけた。
店に着いて驚いた。駅から離れていて、場所もいいとは言えず、しかも月曜日だというのにほぼ満席。客も中年グループ、若手グループ、女性同士などバラエティに富む。キーワードはただ一つ。安くて美味しいということだろう。
お通し、キャベツ

テーブルには最初から茹で落花生が置いてあった。すぐ出て来るキャベツは余れば鍋に入れればいいやと思っていたのに、I氏がムシャムシャ食べる。足りなくなって鍋のキャベツもムシャムシャ。酒を飲まないので食い気旺盛である。
キャベツならともかく、唐揚げは自分の分は確保した。期待通りで満足した。
唐揚げ、地鶏炭火焼

水炊きが名物なので博多料理が中心かと思ったが、なぜかもう一つの人気料理が地鶏の炭火焼き。宮崎の知覧鶏を使っているそうで、宮崎料理屋で出るものよりはるかに美味しかった。宮崎風の地鶏炭火焼は固いのが常識と思っていたが、考えを変えなければいけないのかもしれない。
鍋、四つ身

鍋は店員と相談して2人前にしてもらった。小さなテーブルに相応しく、鍋も小振り。鍋の具材は丸椅子に置くしかない。スープを飲み、鶏のぶつ切りを食べて、つくね、野菜を放り込む。全部食べ終わったら、追加注文した四つ身(せせり、もも肉、砂肝、ボンジリ)を入れる。さらに野菜も追加オーダーして、足りなくなったスープを足してもらう。もうお腹一杯と言いながら、2人前のちゃんぽんもあっという間になくなった。
17年前に麻布十番に開店し、神楽坂を経て現在の地に移転したそうだ。東京にある水炊き料理の先駆者と自負している。新三浦、華味鳥、玄海など水炊きの名店に比べると店もテーブルも椅子もみすぼらしい。しかし、気軽に食べるなら力々で充分。ご機嫌な店だった。
さ和鳥 茅場町 力々
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-4 第三カネタツビル1F
03-3249-0100
http://www.sawacyo.sakura.ne.jp
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2009年11月16日
[金燕酒家](新宿歌舞伎町)
四川&西安料理

麻婆豆腐があまりにも有名な四川料理はともかく、西安料理は刀削麺ぐらいしか思い浮かばない。西安が昔は長安と呼ばれていたと聞けば、学校で習ったことを思い出す。中国歴史物が好きな人は一気に親近感が増すだろう。
週半ばなので暇かと思ったらほぼ満席。席に案内されながら店の中を観察する。「オッ!美人がいる」、「アッ!あそこにも」と店をチェックするつもりが客に気をとられてしまった。圧倒的に若い女性が多い。
小龍包、コラーゲン

西安料理を食べに来たはずなのに、火鍋を食べることになった。それでも店の名物の小龍包は外せない。火傷寸前になりながらスープは口の中いっぱいに広がった。
鍋が人気の理由はコラーゲンにあるのだろう。鍋に入れては薄まってしまう。自分の器で溶かした方が無駄がない。半分だけ鍋に放り込んだ。
肉、野菜、餃子

肉は牛と羊のハーフ&ハーフにした。牛肉はしゃぶしゃぶして食べるよりも、煮込んだ方が良さそうだ。スープのエキスを吸った方が味がよくなる。焼餃子や他の点心も美味しそうだが、鍋にも入る餃子のみで我慢した。鍋を食べ終わってから追加を考えてもいいだろう。
鍋、刀削麺

最初はMy唐辛子を入れようかと思った。ところが最後の方になると充分な辛さになった。特に四川料理ならではの山椒の辛さがポイントで、食後感は麻婆豆腐の似ている。
最後は西安料理の代表格、刀削麺を選んだ。麺の太さにバラつきがあるため、初めて食べる連れは戸惑っていた。食感の違いを楽しむ麺だと説明しても麺はツルツルでなければならないと譲らない。麺という名称が誤解を生むのかもしれない。
追加を頼む必要はないぐらいにお腹一杯になった。店長らしき人に「繁昌しているね」と声をかけると、「笑いが止まりませんよ」と正直だ。美女が集まれば、店長はもっと愛嬌を振りまき笑顔になるだろう。、金燕酒家が美女を作るのか、たまたま美女が来ていたのか定かではない。
金燕酒家
東京都新宿区歌舞伎町1-2-5
03-3207-0970
http://www.kinensyuka.jp/
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2009年11月15日
さらば友よ
長年の友にさようなら
彼が忽然と姿を消して約1週間が過ぎた。思えば彼が銀髪のところにやってきたのは10年以上前のことだった。姿を見せないこともあったが、2001年9月11日の早朝、のしかかって来て銀髪をトイレにも行けなくしてしまった。同時多発テロのニュースはふとんに横たわり夢うつつの状態で聞いた。
彼の名前は腰痛。ぎっくり腰になる前兆はあった。マッサージをいくつ受けてもだめ。友人の紹介で整体師の治療を受けた日は楽になった気がしたものの、翌朝目が覚めると立ち上がることも出来なくなっていた。それからしばらく整形外科に通った。絶望の淵から這い上がるのは思ったよりも早かったが、腰痛は慢性になってしまった。
約2週間前に友人から久し振りに電話があった。食事の誘いかと思ったらメールを送ったので見て欲しいと言う。件名は「驚異の施術」。なんじゃこりゃ?と思ったものの、写真を見て驚いた。

写真のおばあさんは、「30年間の苦痛から開放された」と大泣きして喜んだと言う。「腰の曲がった姿では孫にも恥ずかしくて会えなかった」ともらしたそうだ。しかもたった2回の施術でこの状態になった。最終的には真っ直ぐなるというからたまげる。
「銀髪さんも受けてみませんか?」と言われたら断る理由はない。先週の月曜日に友人のオフィスに出向き、治療が始まった。診断は身体が右に傾いているとのこと。右肩が下がり、体重が右腰、骨盤に過度にかかっていた。ぎっくり腰の時を思い出して「バキバキッ!とやるんですか?」と恐る恐る聞いた。それから1時間半、バキバキッも、モミモミも、トントンもない。先生が独学で編み出した治療法である。治療が終ったら、身体は真っ直ぐになり、長年の友は姿を消していた。
すぐに戻ってくると思ったが、翌朝目が覚めてもやって来ない。腰を圧して見ると痛みがあるが、彼ではないようだ。捻ったり、叩いたりしても現れないと妙な気分になる。先生の話では完治まで数回の施術が必要な場合もあるが、銀髪は1回で治ったかもしれないとのこと。こんなに簡単に追い出されたのでは彼もやり切れないだろう。
先生自身がどこに行っても治してもらえない長い間の苦痛・苦悩の日々の末、独学で編み出した治療法は他に類を見ないそうだ。別の仕事を持ちながら、悩みを抱える人たちの相談に乗っているため、現在はあまり多くの人を治療することができない。いっそ本業にして、弟子も取ったらどうだろうか。
さらば友よ、お前がいない日々は寂しい。酒で紛らわそうとしても悪酔いしなくなった気がする。お前の影響力は腰だけに及んでいたわけではないのかもしれない。
さらば友よ、さらば友よ。
興味のある方はホームページを覗いてください。→「マスルド」http://www.rokuya.jp
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2009年11月14日
蟹の剥き方
まな板と麺棒を用意してくださいね
蟹の季節がやってきた。上海蟹は今が雌の旬、寒くなるにつれ雄が美味しさを増す。日本海のズワイガニ漁も11月6日に解禁された。雌は来年1月10日まで、雄は3月20日まで漁が続く。
蟹アレルギーの可哀想な人を除くとみんな蟹が大好きだ。ところが「蟹を食べるぞ!」と言うと殆どの人が複雑な表情をする。食べたいのは山々だが、身を取り出すのが面倒くさいのだ。雄のズワイガニなら脚は食べやすい。腹の身が少し面倒だが下の写真のように身体に平行して真っ二つに切り分ければ取り易い。これは小さな蟹も同じである。

面倒なのはセイコ蟹(ズワイガニの雌、コウバコガニとも言う)、上海蟹などの小さな蟹だ。箸はもちろん、蟹の身を取る道具でも、脚の身を抜くのは至難である。簡単に身を出す方法を知ったのは3年前に行った富山の漁火だった。カウンターに座って大将の技を盗んだ。
コウバコガニの腹の身は前述のように2つに切って、まな板に叩きつけて身を殻からほじくりだした。脚の身は麺棒を使って押し出す。これを見て以来、我が家でもこの手法を使っている。上海蟹は上野や新大久保などで買える。通販で冷凍品を手に入れることもできる。

左端の写真のように脚を胴体から手でもぎ取ると、身がよじれてしまう(2枚目)。ハサミで切って(3枚目)押し出すと、身はきれいだ。
我が家の女王様とお姫さま達は、腹の身は自分で努力するが、脚は銀髪に寄越す。銀髪の涙ぐましい努力は最初の時こそ感謝されたが、何度もやっていると当たり前になってしまった。
それでも「やっぱり家で食べるのが最高だね」とお姫様に言われたら、下僕になることを厭わない。嬉しいけれど辛い人生である。
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2009年11月13日
[潮夢来]③(新橋)
上海蟹尽くし

「今日は中華です」と言うと意外そうな顔をされた。「上海蟹ですよ」と続けると「上海蟹を美味しいと思ったことないです」と来た。もう予約してあるので引き下がれない。どうしても嫌ならフカヒレだって北京ダックだってある。
店について「期間限定上海蟹メニュー」を手にしたら、初志貫徹上海蟹尽くしにすると決めた。嫌いなら好きにさせてやる。前菜三種盛りから無難なスタート。次は紹興酒漬けである。一口食べてKさんが驚いた顔をする。漬け汁まで飲み干すのを見たら愉快になった。

今年は上海蟹をあまり見かけない。不漁なのか不景気なのか、例年ほど日本に入ってないようだ。しかし、中国飯店グループなら必ずある。しかも系列店の中で潮夢来が一番リーズナブルに食べられる。「紹興酒は美味しくない」と言うKさんのために30年物を頼んだ。これを飲んだら紹興酒に対する偏見も変わるはずだ。

雌雄を1杯ずつ頼み、分けることにした。「イヤー、私も17年前に上海で初めて食べた時には美味しいと思わなかったんですよね。それが、10年ぐらい前に飯田橋で…」あー、駄目だ。美味しいものにありついたとき、Kさんの耳は塞がれる。「聞いてますか?」と言うと、ニコッとしただけで再び顔を下げる。中国飯店グループの店は身を取り出してくれるから楽だけど、料理に夢中で聞く耳をもたない。

上海蟹の小龍包を慎重に口に運ぶ。火傷するかどうかの賭けに出る。皮が少し破れて口中にスープが広がっていく。ちょうどいい温度になったところでモグモグする。あー幸せ。
「白菜炒めはどう?」と上海娘に聞けば「メニューにないけど、豆苗と蟹みその炒め物もできますよ」と言う。じゃあ、それにしよう。美人には素直に従う銀髪だった。

最後は上海蟹の炒飯。いろんな素材や調味料の味がどのように混ざり合っているのか分からないけれど、確かに美味い。
「どうしてもと言うならデザート食べてもいいですけど」と言うので止めようかと思ったところで、「サービスです」と笑顔の上海娘がマンゴープリンをテーブルに置いた。Kさんによると今まで食べた中で最高のマンゴープリンだそうだ。

「上海蟹は寒くなると、もっと美味しくなりますよ」と言うと、「これ以上になるんですか?」と眼を丸くする。好きじゃないといいながら、全ての料理がきれいになくなった。
あれっ? もしかしたら、これってまんじゅうこわいだったのかなー
潮夢来
東京都港区東新橋1-6-1 日本テレビタワー1F
03-5568-1818
http://www.chuugokuhanten.com/storechaomenglai/index.html
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2009年11月12日
[ちゅらり](渋谷)
もはや珍しくない沖縄料理

階段を上がって店に入って驚いた。週末とはいえ7時前なのに店は8割方埋まっていた。幸いなことに禁煙の座敷で空いていたのは4人席が2つ。2人席で窮屈に食べている先客たちには申し訳ないが、2人でゆったりと過ごせることになった。
沖縄料理ブームは終ったと思っていたが、キワモノ扱いされることはなくすっかり東京の街に定着した。しかし、定番の料理ばかりでは飽きられる。ゴーヤチャンプルーや海ぶどうなどは普通の居酒屋でも食べられるようになった。ちゅらりもそんなことは充分わかっている。沖縄の素材を使いながら、この店ならではの料理も揃えている。
お通し、珍味三種盛り

混みあっている店内を見て料理は早めに頼むべきと判断した。珍味三種盛り、シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子をまとめて頼んだ。ところが生ビールを飲み終わる前に3品が一斉にやってきた。確かに盛り付けるだけの料理ばかりだが手際の良さに感心した。
シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子

右隣の3人連れがもう一人を待ち切れずに食事を開始した。4人揃ったのはそれから30分後。我々と同様に「混みあったら2時間制にさせていただきます」と言われなかったか気になる。たぶん多目に見てもらえるのだろう。あまり焦っている風には見えない。
手造り紅芋コロッケ

サツマイモの中でも沖縄では紅色のものが好まれる。一般的な黄色のサツマイモより甘味が少ないので、コロッケにしても何とか食べられる。相方はデザートのつもりで食べているようなので一石二鳥である。
新手の客が入ってきたのでお開きにすることにした。2人で4人掛けを占有し続けるのが申し訳なかった。勘定を済ませ、部屋を出たが我々の靴は用意されていない。店員は客の間を駆け回っている。この不況下に結構なことだ。仕方なく下駄箱から自分で探し出した。
ちゅらりは渋谷の他に銀座、新宿、六本木など15店舗ある。母体となるシーエーフードサービスは都内を中心に6業態36店舗を展開する。シーエーフードサービスの社長も、その親会社のクリエイティブアルファの社長も1970年生まれとまだ若い。たいしたもんだ。
ちゅらり
東京都渋谷区宇田川町31-3 蓬莱屋第二ビル2F
03-5728-4233
http://blog.cafs.jp/churari_shibuya/
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2009年11月11日
[座屋]⑤(銀座)
霜月の座屋

「昭和通りに面した平城苑本館の裏手のビルですからね」この説明で間違えることはないだろうと思っていたら一人迷った。階段を駆け上がり迎えに行くと、1本裏の道をウロウロしていた。柳通り沿いと言えばよかったかもしれない。
何はともあれ3人全員が揃った。「岡添さん、それじゃあお願いします」銀髪の声で霜月のコースがスタートした。7月から毎月来ているので既に5回目。銀髪としては異例の頻度だ。座屋にとって毎回違う人を連れて来るいい宣伝マンである。

座屋では毎回初めての食材に出会えるのも嬉しい。今日の初対面は足赤海老。調べてみると関東ではクルマエビの一つとして流通しているが別種。関西ではアシアカと呼ばれ、クルマエビに次ぐ高級海老とのこと。正式名がクマエビという通り、クルマエビよりずんぐりしていて、食べ応えがある。

かつおはぼちぼち終りかなと心配して来たがちゃんとあった。食通のMさんがこれまでで一番美味しいかつおと喜ぶので銀髪まで嬉しくなる。料理人はまさに舞台役者と同じ。観客のはじける笑顔を見れば、気持ちも高揚するだろう。

殆ど酒を飲まない二人は食べるのが早い。隣で日本酒を飲んでいる銀髪が眼に入らないかのように、二人で盛り上がっている。まあ、勝手に楽しんでくれればいい。
銀髪は岡添さんに相手してもらう。小さな器を覗くと牡蠣がいくつも入っている。「こんな小さな牡蠣を獲っていいの?」と茶化すと、これでも大人の牡蠣だと言う。小粒でも濃い味の牡蠣だった。

焼き魚に添えられた塩は高知の佐賀塩。解説を聞き終わって二人の皿を見て驚いた。骨などが皿の端にわずかに残っているだけ。美味しく料理されて、殆ど残さず食べてもらったら、魚もしっかり成仏できるだろう。

さあ、最後は卵かけごはんと思ったら、今月は趣向を変えると言う。和牛ロースのすき焼きに歓声が上がる。「ちょうどすき焼きが食べたかったんですよ」とMさんも上手だ。さつまいものデザートが終ったところで「このコースは1万円なんですよ」と種明かしをした。「えーッ!」と驚いてくれるので銀髪も鼻が天井まで届きそうになる。「1万円もいただいてます」と岡添さんが大見得を切る。千両役者である。

今月も楽しかった。月を追うごとに予約を取るのが難しくなってきたように思える。「もう、俺が来ることもないかな?」と言うと、「励みになるから来てください」とおだてる。「しょうがないなー」とニヤつく愚かな銀髪であった。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
霜月のお献立
[先付]甘鯛 御強(おこわ)蒸し
[御椀]足赤海老 帆立貝 真薯 清汁
[御造里]かつお、いしだい、金目
[八寸]柳葉魚(ししゃも) 地牡蠣酢 ズワイ蟹奉書巻 土佐清水鯖炙鮨 蕪とじゃこ 鶏と茸とミモレット 牛蒡と鶏レバーの田舎煮
[煮物]眼仁奈(メジナ)煮付け
[炭焼]のどぐろ塩焼
[小鍋]和牛ロース鋤焼
[土鍋御飯]四万十川源流産「ヒノヒカリ」
[御数]3年物の沢庵、粕漬け、しば漬け、干物
[甘味]丸十(さつまいも)
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2009年11月10日
[活屋本店](銀座)
これから期待しましょう

銀座6丁目、近くには名だたる名店や高級クラブが並ぶ。ビルの2階ではあるが、土地柄を意識した立派な店である。「テーブルでも構いませんよ」と言われて迷った。普通なら絶対カウンターだが大皿が重ねられて料理人の手元が見えない。なんとか胸から上は見えるので決断した。
「この店はイケメンばかりだね」同行したYさんは上手だ。「お嬢さんだって綺麗だよ」と女性料理人を褒める銀髪。「いやー、それほどでも」と言わんばかりの笑顔を見せるので、「お客様こそ格好いいとか、お客様には負けますよと言わなきゃ」と突っ込んだ。場は一気に和んだ。
お通し、刺身

店の自慢は鮮度抜群の刺身と馬肉。先ずは刺身から。鮪、ボタン海老、かんぱち、しめ鯖、つぶ貝、たこがきれいに盛り付けられる。「まぐろはどこ?」と聞いたらイケメン料理人の和田さんが「みんまや」と教えてくれた。大間と漁場を同じくする青森の漁港だが知名度が今ひとつ。大間ばかりがもてはやされるが、プロには三厩(みんまや)も評価が高い。勉強になった。
お浸し、万願寺唐辛子

自慢の馬刺しに行く前に、箸休めに野菜を頼んだ。お浸しに乗った松茸が可愛い。「あなたが料理長?」和田さんはまだ25歳。分かっているが聞いてみた。料理長はキッチンの真ん中で若い料理人たちに目を光らせている人に間違いない。
馬刺し、大動脈

「熊本産?」と聞くと「会津産です」と答える。歯応えがあるように厚く切っているようだが、たてがみは薄い方が口の中でとろける。料理長に言いたいけど遠すぎる。
ハラミ焼き、豆腐、厚揚げ

この店の絶品料理はこちらも26歳と若い安崎さんが作る豆腐。チーズのような豆腐にYさんが唸る。水分が少ないので銀髪が「揚げてくれる?」と悪乗りした。厚揚げは焼いて温めて食べると思っている人が多いが、揚げ立ての厚揚げは本当に美味いのだ。快諾して調理を始めた安崎さんのところに料理長が歩み寄る。料理長!心配ご無用。厚揚げは期待通りの出来でしたよ。
カウンター好きの銀髪にしたら、大皿を取っ払って料理人たちとの垣根を下げてほしいと思う。厳選素材だけで高級クラブに行くような客たちを喜ばせることはできない。ハツラツとした若い料理人たちも立派なウリである。楽しく応対してくれた若者たちに名刺を渡すと申し訳なさそうな顔をした。名刺ぐらい持たせてあげないと可愛そうだ。
銀座六丁目活屋本店
東京都中央区銀座6-3-11 西銀座ビル2階
03-3571-3004
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2009年11月09日
[い津み]②(福岡)
芸者さんと一緒

「奴姉さんを偲ぶ会を開かなきゃいけないんだけど…」博多の粋人の呟きを聞き逃さなかった。「その時は必ず呼んでください」とお願いしたのが現実となった。場所は以前にも行ったことがあるふぐの名店「い津み」である。
奴姉さんとは芸歴68年、82歳で約半年前に亡くなった邑田美恵子さんのこと。偲ぶ会には芸妓さんが2人、三味線と唱の女性が2人、総勢4人が来てくれた。踊りの前に先ずは腹ごしらえである。

にこごりに続いてふぐ刺し。い津みの刺身は2枚引きなので食べ応えがある。皿の縁の方から食べ始めると芸妓さんから疑問の声が上がった。刺身は縁から並べられて、最後は中心に盛りつけ牡丹の花に見せる。彼女の言うとおり真ん中から取った方が食べやすい。しかし、お客さんが端から食べ始めたら中心に箸をつけるのは勇気がいる。

唐揚げ、鍋と料理が出てきたところで再び芸妓さんから疑問の声。「あら、身酒にする刺身が残っていないわね」と言われて気がついた。芸者遊びに長けた粋人が好むのは、超熱燗の酒にふぐ刺しを入れる身酒。もちろん身酒用に刺身を新たに作って貰った。本来は刺身を入れて熱燗を注ぐらしい。食べ方についてかまびすしい女性たちに圧倒された。

そこそこ腹が膨らんだところで、芸妓さんたちが席を外す。再び登場して三味線の響、のびやかな唱にあわせて踊りが始まった。黒田節を踊りだすと「イヤー、奴姉さんを思い出すねー」と粋人が唸る。奴姉さんは亡くなっても、芸は弟子の舞いに生きている。
踊りが終って、芸妓さんたちは我々の席に戻ってきた。銀髪は彼女たちにビールを注ぎ続ける。これだけ賑やかに、笑って偲んでもらえば奴姉さんも嬉しかろう。最後に雑炊。卵なしのい津みの雑炊は本当に美味い。

「博多の芸妓」のホームページを見ると、最盛期には5つの券番があり約2,000人の芸妓さんがいたが、今は博多券番一つに統合されているそうだ。十数人にまで減少していた芸妓さんも、公募で半玉さんが加わり少し賑やかなになった。伝統芸能がいつまでも見られることを願うばかりだ。券番の繁栄こそが奴姉さんへの一番の供養となるだろう。
前回の記事
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2008/11/post_1072.html
博多 い津み
福岡県福岡市博多区住吉2-20-14
092-291-0231
http://www.hakata-izumi.com/
博多の芸妓
http://www.media-line.or.jp/h_kenban/main.html
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2009年11月08日
銀ムツ
可哀想なメロ

チェックインして真っ直ぐ弁当売り場に向った。羽田空港ならではの空弁を探しても適当なものがない。「羽田空港限定販売 銀むつご膳」がそれらしいがどうもピンと来ない。銀むつと羽田空港との関係が判然としない。

銀ムツという名の魚はもはや存在しないと思っていた。タイほどではないが、ムツという名称は美味な高級魚というイメージが強く、色んな魚に使われている。共通するのは大型の深海魚で脂が乗っていること。本家本元のムツ、同じくムツ科の黒ムツ。山陰や北陸で「のど黒」と呼ばれる赤ムツはムツ科ではなくホタルジャコ科。いずれも日本近海で獲れる。
銀ムツの正式名称はマジェランアイナメでノトセニア科。パタゴニア、フォークランド、マジェラン海峡などで捕獲される。国内産の魚と消費者が混同するので、2003年のJAS法改正によりメロと表示しなくてはならなくなった。ところがメロも併せて表示していれば銀ムツと名乗ってもいいらしい。業者にも配慮した妥協案だろうが消費者保護の精神は薄まったと言わざるを得ない。
メロはむかついているだろう。勝手に日本の名前をつけられたと思ったら、今度はインチキだと罵られる。ようやく本名を出すことが義務付けられるようになっても、表示は小さくて相変わらず本名では振り向いてもらえない。いっそのこと銀ムツの名前を認めて「アルゼンチン産」などと産地を表示した方がJAS法改正の趣旨に沿っている。

いずれにしても、弁当のメロ君のお味は悪くなかった。「限定販売」も羽田空港以外では売っていないという意味だから、羽田産のものを使ってなくても文句を言われる筋合いはない。もっともメロが空輸されて到着するのが羽田であれば、こじつけることが出来ない訳ではない。
銀ムツと混同されるのが銀ダラ。北海道以北で獲れるがこれも殆どが輸入品。銀ザケも輸入品。昔は銀をシロガネと読み、英語のSilver Hair(銀髪)に対して白髪と呼ぶ日本。銀色は日本では白と表現されることが多い。輸入品に銀〇〇が多いのは、日本固有のものに銀のつくものがなかったからではないだろうか。
国内産と書かれていれば品質が保証されるわけではない。外国産に偏見を持っているといつまでも食品偽装はなくならない。右往左往する可哀想なメロである。
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2009年11月07日
[今泉](日本橋)
絶品のフライ

11時10分、既に先客がいた。胸の社章を見ると証券会社。11時の午前の取引時間が終ると同時に会社を出て来たのだろう。カウンターは5席、4人掛けのテーブルが2つ。すぐに店は一杯になった。外に行列が出来ることも多いそうだ。
通常、ランチの主役は穴子フライ。この従者として白身魚、帆立、鮭、イカなどから一品選んで1,000円。江戸前では煮たり天ぷらで食べる穴子だがフライで食べさせるのは珍しい。最初に来たときは皿一杯に広がった穴子に驚いた。この日は丸まって出て来てもっと驚いた。従者はイカである。

穴子は衣を2度つけしてサクッと揚げる。癖のない白身魚のようだ。イカは薄い衣で固くならないようにサッと揚げる。ソースはウスターソースなのが嬉しい。半分は醤油をかけて食べた。
秋になると一方の主役として牡蠣が登場する。穴子と同様に従者を選んで1,300円。特大のカキフライは複数の牡蠣を合わせているようだ。銀髪が選んだのは帆立。揚げすぎないように祈った。

このカキフライには思わず唸った。何もつけずに食べると牡蠣の濃厚な味が口に広がる。中がレア状態なので生牡蠣が嫌いな人には辛いかもしれない。生牡蠣大好きな銀髪にとっては最高のカキフライだった。帆立ももちろん中は生。これはトップクラスの揚げ物屋さんだ。
カキフライと穴子フライの揃い踏みなら1,500円。銀髪が居る間に最強コンビを頼む人は居なかった。面白いことに連れ立って来ている客は、1,000円か1,300円のどちらかに統一する。相手のことを慮る優しい日本人だ。
口コミ情報を読むと今泉に対するコメントはランチばかり。忙しそうに働く主人に勇気を出して「夜は割烹ですか?」と聞いた。「夜はコースだけなんですよ」と女性が主人に代わって教えてくれた。「いくらからですか?」と今度は女性に。「4,000円です。前日までに予約してください」とのこと。思ったより安い。
よし! 今度は夜来よう。電話帳に載ってないので今度カキフライを食べに行ったときでも予約しようかな。
今泉
東京都中央区日本橋3-1-15
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2009年11月06日
[静香庵](神宮前)
新潟県アンテナショップにある料理屋

地方の物産を紹介する店は日本橋から銀座の間にたくさんある。新潟=日本酒と考えるのん兵衛にとっては、ブランド好きな女性や原宿ファッションに群がる女の子が大半の街になぜアンテナショップがあるのか理解できない。両側に物産品が並ぶ通路を歩き静香庵に入ると、店は閑散としていた。
「昼は混むんですが、夜は難しいですね」カウンターを仕切る青鹿さんが苦笑いする。既に店員の姿さえ消えてしまった物産店から流れてくる客はいない。静香庵は物産店に併設している割にはお値段も高め。新潟グランドホテルの直営と聞いて納得した。
お通し、のっぺ

新潟郷土料理屋にはこれまで何度も行ったことがある。銀髪自らメニューの料理を連れに解説し、青鹿さんに確認する。後ろに控えた女性も含めてなんだかみんな緊張気味だ。
刺身(めじ、みずだこ、甘海老、たい、えごのり)

「珍しい名前ですね」変わった名前の人は得だ。話のきっかけを与えてくれる。少しずつ青鹿さんの表情も和んできた。新潟から直送された魚介類をきれいに盛ってくれる。食べてみると妥当な値段と思える。さすがホテルだ。
かきのもと、越後もち豚

「新潟ではこの時期、みんなが食べるんですよ」食用菊のお浸しを器にたっぷり盛りつけながら教えてくれる。地元で殆どが消費されるそうだ。ヘルシーな酒の肴である。
日本酒はもちろん新潟の銘酒。無名の酒を飲みたいが、全国区になった有名な酒蔵のものが多い。客が求めるからか、営業上の戦略か。
村上牛

村上牛を食べるのは2回目。もっともこれまで食べたことがあるのは土産物屋で買ったレトルトカレーの肉。実質的に生まれて初めての経験と言っていい。高価なだけに多くが県外、特に東京に出荷されているそうだがあまり見たことがない。
勘定を払ってにこやかに青鹿さんに別れを告げた。既に入って来たアンテナショップのドアは閉ざされている。裏口に案内されたと思って出たのが実は正面玄関だった。料亭風で雰囲気がある。ここから入っていたらメニューの値段に意外感はなかっただろう。
料亭なら見送られているかと思って振り返った。予想に反して既に店員は店の中に消えていた。寒いから仕方ないか。
静香庵
東京都渋谷区神宮前4-11-7 NESPACE 1F
03-5771-8500
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2009年11月05日
[玲玲リンリン](新橋)
おいしい手作り餃子

「餃子を食べに行こう」と言うとSさんは意外な顔をする。最後の晩餐は餃子にビールと何度も書いているのに、銀髪はいつも高級店に行っているイメージが強いようだ。しかし切り替えが早い。「いいですねー」と笑顔を見せる。いい人だ。
急な階段を上ると中国人女性たちが談笑していた。その内の一人が近づいてきて「予約は?」と聞く。「ない」と答えると、中年女性2人と相席になった。店の8割のテーブルはまだ空いている。予約で一杯なのだろう。かなりの人気店に違いない。
お通し、薬味

玲玲の餃子にニンニクは入っていない。好きな人は刻んだ薬味のニンニクをつけて食べる。ニンニクを嫌いな人やこれから仕事の接客業の人たちには喜ばれるはずだ。我々はもちろんたっぷりつけて食べることにした。餃子自体に味がついているのでニンニクとラー油だけで食べた。
水餃子、焼餃子

中身の種類は白菜、セロリ、キャベツ、しいたけ、トマト、なす、しそ、にら、海老、フカヒレ、ホタテなど。具を選んだら焼餃子、水餃子、蒸餃子のどれにするか決める。Sさんに「どれにする?」と聞いても答えは返って来ない。銀髪もメニューを見詰めたまま固まってしまった。中国娘の助けを借りて水餃子は定番のキャベツ、焼餃子はニラ、蒸餃子はトマトにした。
蒸餃子、春巻き

自家製の皮はモチモチして美味い。しかし、厚いので思ったよりお腹が膨らむ。他の具を試そうと思っていたが、目先を替えることにした。餃子以外の料理を食べる相席のおばさま達にも刺激された。
小龍包、青梗菜炒め

小龍包には失望した。丸ごと口に放り込み、熱々のスープで火傷寸前になるのが大好きなのだが、大き過ぎてそれが出来ない。水餃子でも充分ジューシーなので、そちらで火傷すればよかった。
店は徐々に一杯になってきた。中国娘たちの応対を見ていると、電話で席を確保して来た人は僅かなようだ。予約をしていないにもかかわらず、最後の4人掛けテーブルは若いカップルが獲得した。神様は恋人たちに甘い。
家に帰ってパートナー殿に怒られた。ニンニクを使いすぎたようだ。哀れなことに彼女は翌日も同じ被害に遭う事を、そのときはまだ知らなかった。ゴメンネ
玲玲リンリン
東京都港区新橋3-19-2 2F
03-3432-9073
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2009年11月04日
[ほしくら](新宿歌舞伎町)
柔らかいチキン南蛮

東京にある郷土料理屋で一番多いのはどこだろうか。少なくともここ数年で最も増えたのは宮崎料理屋ではないか。衆院議員選挙で名を落としたとはいえ、東国原知事の影響力は絶大だ。宮崎県外にある店も、宮崎県に税金を納めてもいいのではないか。儲かっていればの話だけれど。
「鶏の唐揚げが滅茶苦茶柔らかいんですよ」と熱心に話すK氏と共に歌舞伎町に行った。カウンターの端、料理人の目の前に座る。「この店いつからあるの?」「もう5年になります」気がつかなかった。
お通し、刺三点盛1680

宮崎地頭鳥が店の自慢。まずはレバー、砂肝、炙りの三点盛を頼んだ。髭の料理人が目の前で肉を切る。わさびをたっぷり皿に持って来て驚いたが、勘違いだった。枝豆をすり潰して胡麻油と塩で味付けしたもの。レバーをこれにつけて食べるとなかなかの出来。レバーだけでなく野菜類をつけても悪くない。いいアイデアだ。
宮崎地ビールを飲んだ後に日本酒を頼んだ。宮崎料理屋の定番は焼酎なので日本酒は1種類しかない。「純米?」と聞くと店員が料理人に伝言ゲーム。料理人が「純米です」と言うのでオーダーした。出てきたのは300ml瓶の生酒。醸造酒だった。
宮崎地鶏もも炭火焼

宮崎料理屋に連れて行かれるのは分かっていたが、歯医者の予約を入れてしまった。歯茎のメインテナンスをした後の宮崎名物に不安が一杯だった。思ったとおりもも焼きは固い。この店のもも焼きは特に固い。銀髪の歯茎が丈夫で助かった。「ちゃんと歯磨きできてますね」歯医者さんに褒められちゃったもんね。
チキン南蛮

K氏の言ったとおり唐揚げは柔らかい。おだてようと思っても料理人は目の前から消えて、入り口の所で手持ち無沙汰にしている。目の前に居れば銀髪のジョークが聞けて楽しいのに。我々の話を邪魔しないように気を遣ったのだろうか。
家に帰ってぐるなびを見ると、オープンしたばかりと書いてある。更新していないのか、料理人の間違いか。ウーン……… まあ、いいか。
ほしくら
東京都新宿区歌舞伎町1-8-4 ベル新宿1F
03-3202-2700
http://www.hoshikura.jp
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2009年11月03日
[豊月](八重洲)
お気に入りになりそう

日本橋、八重洲周辺には蕎麦屋がたくさんある。立ち食いの店も含めてその殆どは路面店。わざわざ地下の知らない店に飛び込もうとは思わない。おまけにみすぼらしいビルで入り口も小さい。階段を降りるにはそれなりの勇気がいる。
インターネットは世界を変えた。口コミサイトの食べログを見なければ近くに居ながら永遠に行かなかったかもしれない。人は見かけによらない。店だって外見だけで判断しては可哀相だ。階段を降りて店に入った。壁に酒の肴の短冊がたくさんかかっている。店内を見ただけでそばの味が分かるわけではない。

連れはもりそばを頼んだ。銀髪はお目当ての鴨せいろではなく、鴨南蛮を頼んだことを料理が来てから気がついた。「新そば」の文字に期待したのはそば湯だった。しかし鴨南蛮では丼にそば湯を加えて飲むのはしんどい。鴨南蛮は美味しかった、でもそば湯が飲めない。嬉しさと悲しさが交錯しているときに運ばれてきたのがそば湯。なんとそば湯用の器まで持って来てくれた。

これには感激した。頼みもしないのにこんなサービスをしてくれたのは半蔵門の「蕎麦小路 さわらび」以来である。さわらびはいかにもこだわりのそば屋さん。店の造りから、器、メニューに至るまで神経が行き届いているさわらびに比べると、豊月は居酒屋が昼にそばを出しているような店。感激より驚きの方が大きかった。
客のことを考えた細やかな心遣いは接客だけでなく料理など全てに影響する。これなら夜の料理も期待できるはず。今度は絶対夜に来よう。心に決めた。
豊月
東京都中央区八重洲1-3-19 辰沼建物ビル地下
03-3275-2779
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2009年11月02日
[遊魚 和田丸](渋谷)
お魚に自信あり

マークシティを出て神泉方面に歩く路地に居酒屋が並ぶ。どこに入るか迷いながら左手に目を移すと階段の向こうに見覚えのある店を発見。確かガイドブックに人気の店と書いてあったはずだ。狭い階段を上がり店に入ると空いていてホッとした。
定番のメニューよりも手書きのメニューの方が幅を利かせている。店名から連想されるとおり鮮魚が自慢の店。定番のメニューブックと比べながら思案する。

店主は魚真から独立した人。しかも下北沢の一号店開店時の店長と聞けば鮮魚に間違いはないだろう。もちろん刺身からスタートした。上刺身は一人前1,000円で下の写真は2人前。喧嘩にならないように2人で分けやすいように配慮してある。

刺身ができる前にすぐ出るものと思って頼んだなまこ酢が後になった。客が少ないときはあまり考えすぎない方がいいようだ。
定番のメニューの中から鶏の竜田揚げ。辛口の醤油ダレで食べるお奨め料理。話に夢中になり全部食べ終わってからタレがあったことに気がついた。大失敗!

特大めひかりは運ばれてきたときニシンか何かと思った。10cm位の小魚とのイメージが強かったので驚いた。焼き魚で食べるのは多分初めて。白身が柔らかく上品なので天ぷらに向くと言われるのもよく分かる。小骨が気になったが、途中から面倒になって噛み砕いた。

「凄いねー、こんな大きなメヒカリは初めて見たよ!」入り口すぐのカウンター席を勧められたために店主との会話が難しい。首を伸ばしてちょっと大きな声で話しかけた。「私もですよ」柔和な笑顔をやっと見ることができた。特大メヒカリのお陰だ。
「寿司は6種類?それとも3種類?」再び首を伸ばした。「どちらでも」と言われて悩んだ。ものは試し、6種類にしてみた。残った日本酒を飲み干すための酒の肴にはなった。

天気のせいか、曜日のせいか、景気のせいか、店を出るときになっても席は埋まらなかった。空いているのは有難かったが、居酒屋は賑やかでなければ楽しくない。週末の混み合う夜に偶然席を確保し、入り口で断られる客を見て幸運を喜ぶ。そんなときはどんな料理も美味しく感じる。人間とはやっかいな心の器だ。えっ?銀髪だけ?
遊魚 和田丸
東京都渋谷区円山町22-18 桃山コーポ1・2階
03-3496-3435
http://www.wadamaru.com
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2009年11月01日
横手焼きそば
B級グルメ大会グランプリ

「横手で開かれたからじゃないの」我がパートナー殿が冷たく言い放つ。9月19、20日に開かれた「B級ご当地グルメの祭典B1グランプリ」の優勝が横手焼きそばだった。有楽町の交通会館にある秋田ふるさと館からわざわざ買ってきたのに、にべもない。

富士宮大会の優勝が富士宮焼きそばだった記憶しかなかったので反論できなかった。調べてみたら開催地は第1回目が八戸、その後富士宮、久留米、横手と続く。グランプリは第1回、第2回と富士宮焼きそばが2連勝、第3回が厚木シロコロ・ホルモンだから、必ず開催地が優勝と決まっているわけではない。
横手焼きそばの特徴は太くて真っ直ぐな茹で麺を使うこと。具は豚のひき肉。目玉焼きを乗せて、福神漬けを添える。バラ肉を買って来てしまったため、まな板で叩いてひき肉状にした。味付けは箱の中に専用ソースが入っているから楽ちんだ。大手のブルドッグソース製なのでちょっと驚いた。

「富士宮焼きそばより美味しいよ!」可愛い娘だ。素直に喜んでくれた。「焼きそばにはしょうがよ!」パートナー殿はあくまで頑なだ。福神漬は我が家ではカレーにも無視される可愛そうな漬物である。

蒸し麺と異なりツルッと口に入るのであっと言う間に食べ終わり、評論家たちはさっさとデザートを食べ始めた。それを横目に銀髪は焼きそばを食べ始める。
専用ソースは3分の1ほど余った。太目の生のストレート麺を買ってくれば、もっと美味しい横手焼きそばができるかもしれない。一人、次回の構想を練る銀髪。買い物も、料理も、後片づけも銀髪の役目だ。
あー、なんて幸せなんだろう。誰が?
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