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2010年02月28日

キングケバブ (秋葉原)

久し振りのケバブ


オーストラリアに住んでいた頃、最初の赴任地シドニーで気に入り、転勤したメルボルンで毎週のように食べていたのがドナーケバブ(Doner Kebab)。薄いパンに削ぎ切りした羊肉、玉ねぎなどの野菜を乗せ、香菜と好みのソースを加え、筒状に丸めて差し出される。オフィスに戻り缶ビールと共にランチにしたものだ。

思い出を一杯抱えて秋葉原に向った。店で食べられるのかと思っていたが屋台のような店だ。ビールは置いていない。「ビーフにしますか、チキンにしますか?」と言われて戸惑った。羊肉はないようだ。「両方でもいいですよ」となればもちろんそれにする。肉を削ぎ切るパフォーマンスはなく、肉を温蔵庫から取り出しトルティーヤの上に乗せた。あんな薄い皮だったかな?オーストラリアの思い出は脳の奥にしまい込んだ。

紙で包みセロテープで止めて渡された。店の前で食べようか迷った。白髪オヤジは客寄せにはならないだろう。歩きながら食べることにした。行儀悪くすると意外に楽しい。何だか若返った気分だ。顔をしかめる人がいるかと思ったが、誰にも関心を持たれず無視されて失望した。

オーストラリアではギリシャ料理のスブラキもよく食べた。地中海諸国・中東、北アフリカ・東欧を支配したオスマン帝国の影響かケバブに似た料理はあちこちにある。侵略は成功しても失敗しても人が動き、それに伴い料理も伝播する。飛行機もなく自由に旅行もできなかった時代に文化を伝える役割を担ったのが戦争と言えないこともない。

半分ほど食べ進むと紙が邪魔して食べ辛くなってきた。上から紙を破るか、下から押し上げるか。押し上げる方が食べやすそうだ。あれこれいじっているうちに上手く出来た。一人悦に入っていたら手が濡れていることに気がついた。時既に遅し。コートに赤い汁がたれている。ボタンを開けていたのが悪かった。スーツにも流れ落ちている。ネクタイは助かった。

550円で安く済ませるつもりが、クリーニング代が加算されるランチになってしまった。パートナー殿に怒られそうだ。歩き食いの報酬は高くついた。やっぱり行儀良く座って食べなきゃね。反省、反省。

キングケバブ
東京都千代田区外神田3-5-13 1F
03-3256-8060
http://www.kingkebab.info/

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2010年02月27日

[まるや](新橋)

行列のできるとんかつや


ビーフン東に行った日の11時45分、食後にビルの中の飲食店を見て回った。なんと、行列が出来ている店がある。店名を見て納得した。これが「まるや」か。新橋で一番人気のとんかつ屋である。以前リストアップして、そのままになっていた店だった。

後日、10時56分に到着するとドアの前に1人待っていた。さすがに開店前から並ぶ人は少ない。開店時間ぴったりにドアが開いた。先客はカウンターの角に、銀髪は揚げ場の料理人の正面に座った。続けて入って来た2人を含めて全員がロースカツを注文した。5人目の男性がヒレカツ定食を頼んだが、銀髪が食べ終わるまでの間、殆どの客がロースカツを注文した。

目の前の調理人がカツを頭より高く上げて振り下ろした。まるでラーメン屋の湯切りのようだ。切った油が飛んでくるのではないかと一瞬身構えた。もちろんそんな心配はいらない。

テーブルには塩、辛子、醤油とトンカツソースの壷。何もつけずに食べると肉が香ばしい。次に塩をつけて一切れ。次いで醤油、さらにトンカツソースと味を変えていった。トンカツソースも悪くない。先客がごはんと味噌汁をお代わりした。無料なので大半の客がお代わりする。銀髪は味噌汁だけ2杯目を求めた。

食べ終わった皿に油は殆どついていない。油をしっかり切った証だ。キャベツからの水も出ていない。700円はとても価値あるものに思えた。

注文を受けると店員が声を合わせる。感謝の声はうるさ過ぎず、心地よい。内装と共に清潔な印象を与える4人の料理人と女性1人。なかなかいい店だ。昼のメニューは限られるが、夜にはもう少しバラエティーがあり酒の肴にもなる。

銀髪が一番で店を出た。11時半頃にはまだ行列はできていない。贔屓にしたい店である。家に戻り、このブログを書くために住所を調べたら、リストアップしていたのは烏森口店だと気付いた。相変わらずボケの銀髪である。


とんかつ まるや
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 1F

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2010年02月26日

[AW kitchen figlia](南青山)

カジュアルにイタリアン


「入り口の近くでもよろしいですか?」電話の向こうで恐縮している。寒さも和らいできた。ドアの開閉による風や、すきま風も気にはならない。即座に同意して夕餉の席を確保した。

ビストロ・ヴィオニスに居たソムリエの斉藤さんから案内状をもらったのは昨年秋。但し、オープンしたばかりの白金台店の方だ。ホームページを見て南青山にもあることを知った。六本木のやさい家めいも系列店のようだ。

南青山店は場所柄もあって他の店よりカジュアルに仕立ててある。客は圧倒的に若い。外国人もいる。「バーニャカウダがお奨めです。あとはパスタを2種類で充分だと思います」はきはきと女性店員が話す。メニューも見ずに従うことにした。他の客たちも銀髪と同様に素直な人たちばかりのようだ。

野菜を売り物にした店が増えてきた。定番はバーニャカウダであるが、生産者の顔が見える新鮮野菜はそのまま食べた方が楽しめる。物足りなくなったときに塩やソースをつけるぐらいでちょうどいい。余ったバーニャカウダはパンにつけても美味しい。

後に来た我々の方が隣席の男女4人より早く野菜を食べ終わった。大声の自慢話に忙しそうだ。謙虚さを知らない若者たちと眉をひそめそうになったが、どうやら合コンのようだ。大言壮語や武勇談も微笑ましく思われた。それがうまくいくかどうかは分からないけれど。

名物料理のトルフィエアラビアータ、アイデアが面白い衝撃の人参「彩誉」のぺペロンチーノ。それぞれ分けて持って来てくれた。自家製パスタが自慢の店だけに、安心して食べることができた。

「斉藤さんに申し訳ないから、今度は白金台に行かなきゃね」と女性店員に言うと、「またこちらに来てください」と快活に答える。「斉藤さんがこっちの店に来ればいいのにね」と言えば「いいえ、来なくていいです」と笑わせてくれた。

隣席に女性が一人加わった。女3人、男性2人では喧嘩になるかと思ったら、どうやらアレンジャーのようだ。共通の友達のようでもあるし、業者のようでもある。カップル誕生になるのか最後まで見届けられなかったのが残念だった。

AW kitchen figlia
東京都港区南青山3-18-5 NOB南青山ビル1F
03-5772-0172
http://www.eat-walk.com

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2010年02月25日

[割烹 とよだ](日本橋三越前)

老舗のおもてなし


とよだのホームページを開くと「文久三年から受け継がれてきたおもてなしの心」が最初に目に飛び込んで来る。西暦で何年かは書いていないので調べてみると1863年。新撰組が誕生した年で、坂本龍馬は前年に勝海舟の門下に入っている。なんとも物騒な世の中に創業したものである。さておもてなしの真髄やいかに。

映画「蒲田行進曲」のクライマックスを思い出させるような急な階段を上り、3階の部屋に入った。7人ではもったいないようなゆったりとした空間。壁の華麗な書は万葉集の2首。何を書いているかさっぱり分からない。仲居さんに聞くと、現代かなで書かれた紙片を持って来てくれた。

料理専用のリフトがついているのだろうか。仲居さんが急な階段を調理場と往復するのだろうか。長旅をしてきた料理の器たちは統制を乱していた。「これなーに?」と真ん中の料理を指さすと、仲居さんが困った顔をする。ど忘れしたのだろう。「あー、なまことこのわただね」と銀髪が先に分かった。これは美味しかった。さすがとよだである。

お造りも悪くない。刺身が食べられない人の代わりの料理も立派だった。ギンダラの西京焼きはもちろん自家製。5,000円の料理は、日本酒が欲しくなるものばかり。昼食なのが辛いやら、もったいないやら。

牡蠣が乗った大根も美味しかった。「1時までには終らせたい」という銀髪の要請を受けて、料理はテンポ良く運ばれてくる。メインが何かワクワクして待っていると海老しんじょだった。小さな料理なのでちょっと拍子抜けした。

しかし、この海老しんじょが頗る美味い。帰ってネットで調べてみると、とよだの名物料理とも言えるものだった。美味いはずだ。材料にもこだわっているに違いない。同時に出された炊き込みごはんと味噌汁でお腹一杯になった。

デザートの器も受け皿の真ん中に座っていなかった。美味しければいいじゃないかと思いながら、やっぱりおもてなしの心が気になった。

割烹 とよだ
東京都中央区日本橋室町1-12-3
03-3241-1025
http://www.n-toyoda.com

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2010年02月24日

[近江源氏](新宿歌舞伎町)

凄い肉


「すき焼きが食べたい!」不思議なもので甘いというだけの理由で酒呑みが食べてはいけないような気がしていたすき焼きも、50歳を超えてから時々食べたいと思うようになってきた。ネットで検索した中で最も気を引かれたのが「関西風」を謳う近江源氏だった。

西武新宿線寄りのバッティングセンターの近く、外観は立派なホームページからは予想できなかったもの。三大和牛の一つとも言われる近江牛の一番高いすき焼き(花)が8400円ということを考えれば納得できる。源助の名前で新宿に店を開いて40年、今の地に移転して改名してから16年の老舗である。

個室に入り、すき焼きセットだけの「花」をオーダーする。鍋奉行を務めてくれる仲居さんが持って来た牛肉を見てビックリした。美しい霜降りとは言えない雪のような肉。肉のランクを落としてもらおうかと思ったが許してはもらえないだろう。

仲居さんは大分出身とのこと。銀髪は子供時代を福岡で過ごした。九州のすき焼きも割り下を使わない関西風だ。仲居さんがザラメを肉に振りかけ、酒と味醂を注ぐ。暇な銀髪は冗談を言う係を請け負った。仲居さんが笑った大口を品良く隠したところで肉が焼けた。

火を通すと全部溶けてなくなってしまうのではないかと心配したが、スーッと綺麗な肉の色に変わった。思ったほどの脂ではい。柔らかくて美味しい肉だった。12月には優秀賞受賞牛を仕入れ、テレビで梅宮辰夫が絶賛したことがあるという近江源氏である。心配は無用だった。

2個目の卵が余ったのでカルボナーラ風のうどんになった。それほどたくさん食べたとは思わなかったが、お腹は一杯になっていた。デザートのきな粉のアイスクリームもユニークで面白かった。

脂が多い肉はあまり食べられなくなった。「一番下の雪(4,200円)でも充分ですよね」と言うと仲居さんは同意してくれた。店の人たちはみんな年配者ばかり。銀髪の気持ちを分かってくれる優しい人たちだった。


近江源氏
東京都新宿区歌舞伎町2-39-8 ダーマビル1F
03-5272-2850
http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13009106/

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2010年02月23日

[とりで寿司]④(新橋)

やっぱり楽しいとりで寿司


一昨年の12月に1回目2回目、昨年3月に3回目と短期間に訪問した。そのときの写真や寸評は銀髪グルメ紀行食べログ編でも見ることが出来る。それから何度か行こうとしたが予約が取れなかった。

複数のグルメ雑誌に紹介されたためか、先日は5時の予約も受けてもらえなかった。今回は約1週間前に電話した。週の前半だったこともあり、何とかもぐりこむ事が出来た。扉を開き店主の遠藤さんと目が合うと、お互い笑顔になる。「久し振り」の言葉がぶつかった。

雑誌の写真は店内を改装したようにきれいだが、特に変わったところはない。いつものように自家製の干物をお通し代わり選ぶところから始まる。「有名になったからって値上げしたんじゃないだろうね」と意地悪言ってもすぐに否定された。「ここまで支えてくれたお客様を裏切れない」とは明るく元気な遠藤さんには似合わない殊勝さだ。

いつものように次から次に酒の肴が置かれる。「オウッ!これは美味いね」とり貝が素晴らしくいい。さよりの皮の串焼き、アスパラの炭火焼き、手渡されてすぐ口に運ぶのもとりで寿司流である。

「アレッ?こっちにはホタルイカ来てないよ」と文句を言うと、「アッ!すいません。じゃあ、一個おまけ!」と余計にくれる。カウンターの6人に、同時に同じ物が出されるので多品種を味わえる。これもとりで寿司流。



芽キャベツ、アスパラ、トマト、ごぼうなどなど、野菜でアクセントをつけるのもとりで寿司流。「魚ばっかりじゃ飽きるでしょ」といつもの台詞。明るく元気なことを感心すると「楽しくなけりゃ、寿司屋なんかやってられないよ」と仰る。


前3回は身がくずれそうなウニだけだったが今回は全て手渡し。カメラマンの銀髪には気を使って皿に置いてくれた。銀髪がとりで寿司名物のゆで蛸を撮ると、客全員の携帯電話の内臓カメラにも記録された。蛸は恥ずかしくて真っ赤になった、かな?

とりで寿司は一昨年のベストレストラン of 銀髪グルメ紀行。マスコミにおだてられて変わってしまっていないか心配したが杞憂だった。めでたし、めでたし。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2010年02月22日

[もつ焼き 克](中目黒)

中目黒の期待の星


「N先輩が焼き鳥屋を開いたんだ」中学の柔道部仲間Sが電話をくれたのが昨年末。ようやく行く機会が訪れた。中目黒駅で会って山手通りを下る。駒沢通りを越えて、東京共済病院前バス停を過ぎたところに赤提灯が見えた。焼き鳥ではなくもつ焼きである。期待と不安が広がる。

想像していたより広い店だ。カウンターを横目に奥に進むとシャンデリアが下がり、ソファー席もある。以前のバーから居抜きで引き継いだためで、アンバランスが面白い。貸切りパーティーも出来るもつ焼き屋も面白いではないか。4時開店と使い勝手もいい。

お通し、ボロニアソーセージ、レバカツ

「お通し代は取らないんだ」と先輩が言う。貼り紙を見ると確かに0円。「点数高いですよ!」褒めるところがなかったらどうしようという不安は少し消えた。「お通し代がタダの分、好きなものを頼んでくれたらいいんだ」と嬉しいことを言ってくれる。意気や良し。

レバー、シロ、カシラ、テッポウ、ガツ、ワッパ、オッパイ

「お奨め持って来て下さい」先輩の奥さんにお願いした。レバーは「かる焼き」で中が生。新鮮でなければ出来ない仕事。レバカツが美味かったはずだ。味の不安も吹っ飛んだ。本音で褒めることが出来る。ワッパ、オッパイなどなど、珍しいものが好きな人も楽しめる。

ホーデン刺し、レバー刺し

ホーデン(睾丸)刺しを頼んだら、「レバー刺しも食べてくれ」と先輩が言う。どちらも素晴らしかった。「いい仕入れ業者と付き合ってますね」と褒めたら「息子が自ら芝浦で買って来るんだ」と聞いて大きく頷いた。芝浦の食肉市場はいわば肉の築地。店名の克は店長を務める息子さんの名前から取っている。中目黒の期待の星である。

トンビ豆腐、チーズ春巻き

豚の尻尾が入ったピリ辛のトンビ豆腐も克の名物。Sが頼んだのはボロニアソーセージとチーズ春巻きの2つ。珍味や肉刺しが嫌いな人でも食べるものはたくさんある。

飲み物にもこだわる先輩がイチオシなのがハイ・サワーとレモン。もちろんホッピーもある。飲んで食って一人3,000円。「儲かるんですか?」と聞いたら、「まずはみんなに来てもらうことから」とのこと。「一度来てくれたら、みんな褒めてくれる」と嬉しそうに話す。

男気たっぷりのN先輩。頑張ってください。


もつ焼き 克
東京都目黒区中目黒3-6-5
03-3716-7224


メニュー


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2010年02月21日

[レストラン サカキ](京橋)

評判のカキフライは?


あるブログによると銀座・日本橋界隈でのカキフライ三傑は今泉、三州屋とサカキだそうだ。このブログを信じて今泉に行ったら大正解だった。続けて行くつもりが随分と時間が経ってしまった。牡蠣のシーズンが終わる前に行かねば!

11時35分、開店してまだ5分しか経っていないのに光が差す奥の広い部屋はほぼ満杯。銀髪は狭い入り口に近い席に案内された。それから5分後には満席になった。みんなカキフライが目当てなのだろうか。

左隣の人はエビフライ、その向こうは日替わり、右隣の人はハンバーグ、メンチカツなどなど。意外なことに周りの人はカキフライではない。思い込みとは恐ろしいものだ。サカキはカキフライ専門店ではないのだ。

ちょっと拍子抜けした。もちろん美味しいのだが、今泉のカキフライのような衝撃を求めてはいけなかった。評判の洋食屋の料理で「醤油ありますか?」とは聞けなかった。醤油派にはちょっと辛い。

ドレッシングは銀髪には酸っぱすぎた。普段、ドレッシングを使わないのに、サカキの自家製ドレッシングを試したくなった。味見をすればいいのに、ドボドボとかけてしまったのも良くなかった。いつものようにカキフライは醤油で、野菜はタルタルソースで食べれば至福の昼食だったろうに。

店内で待っている人たちがチラチラ銀髪を見る。「あー、もう半分食べたな」「もうすぐ食べ終わるな」「食べ終わったらさっさと勘定すればいいのに」心の声が銀髪に突き刺さる。

店に居た時間は15分程度だったろう。もちろん店の人が急きたてるようなことはしなかった。店を出るとそこにも7~8人が待っていた。名店は不況知らずである。


レストラン サカキ
東京都中央区京橋2-12-12
03-3561-9676

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2010年02月20日

[めんちゃんラーメン](福岡)

〆は博多ラーメンで


游心を出てめんちゃんラーメンに向った。「初めて食べた時、感激しました」と部下が絶賛するラーメン屋は、開店時間の7時を回ったばかりでは客の姿はない。奥のテーブルで店員が黙々と餃子を包んでいる。「おい!餃子を食べるか?」と部下に聞くと「もーお腹一杯で食べられませんよ」と言うので、意地でも頼む気になった。

お腹一杯と言いながら部下は銀髪より高いネギたっぷりのラーメンを頼んだ。ところが半分ほど食べたところでギブアップするのだからお坊ちゃまは困る。自分で頼んだものは残さず食べなさいとママに教わらなかったのだろうか。

銀髪はシンプルなラーメン。以前は必ず入れていた紅しょうがだが、最近はラーメン本来の味を楽しむことにしている。もっとも、紅しょうがの隣にあった真っ赤なものには惹かれた。「何ですか?」と聞いたら辛子高菜だと言う。食べてみると昆布のようだ。高菜ラーメンに使う高菜の切れ端で作ったそうだ。めんちゃんラーメンの名物に認定!

餃子は博多餃子らしく一口サイズ。部下を困らせるつもりで頼んだものの、ラーメンもギブアップしている奴に無理強いできない優しい銀髪である。餃子にはもちろんビールがつきものなのでお腹がパンパンになった。キッチリと躾けられた銀髪は、頼んだものを残すようなことはしない。

銀髪は一人空港へのタクシーに乗り込んだ。部下はやっと解放されて喜んでいるに違いない。空港のラウンジでいつものようには生ビールを飲む気にはならなかった。しかし、思わずウイスキーに手が伸びてしまった。母はこんな意地汚い男になるように育てなかったと嘆くに違いない。

機内では水をもらった。落語を聞くつもりだったが、何の話だったかまったく覚えていない。下から突き上げるような衝撃で目が覚めた。無事に着陸したようだ。
家に着いて風呂に入り、ビールを飲んだ。夜中にお腹が反乱をおこした。ちょっと反省した。

めんちゃんラーメン
福岡県福岡市博多区上川端町3-1
092-281-4018

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2010年02月19日

[住吉 游心](福岡)

楽しい游心


福岡発羽田行きのJAL最終便がいつの間にか早くなってしまった。まして部下と二人の夕食ならば立派な店でゆっくり食べる必要もあるまい。「餃子でも食べるか!」と聞いてがっかりするかと思いきや、「行きたいところがあるんですよ」と言うから頼もしい。

道に迷った。部下はちっとも頼もしくない。携帯電話が頼もしい。再び部下が先導して、最後の角をどちらに曲がるかは銀髪の鼻が役に立った。食べ物の匂いの向こうに店員が待っていてくれた。「寒いのにありがとう!」声をかけて彼の後に続いた。店内も寒々としていた。

5時過ぎ、開店したばかりで客は我々のみ。カウンターに座ると3人の若者が前に立った。一番の目的である餃子を2人前。焼きあがる前に佐賀県川島屋のざる豆腐を食べることにした。「イケ面ばかりだから、女性客が多いでしょう?」3人の店員を引きつけるにはこの台詞が一番効くはずだ。

「結婚はしても後悔、しなくても後悔」「タイガーも酒と女は2合(号)までって知っていたら良かったのに」などなど、店員を観客にして独演会となった。笑ってくれるので銀髪は調子に乗った。店員が一人増えてさらに盛り上がる。横を見ると部下が一人白けていた。

アンチョビドレッシングが面白い游心サラダ、焼豚が入った特製ポテトサラダ、餃子だけでなくユニークな肴も豊富だ。食べ終わる頃「オイ、そろそろラーメン屋に行くか?」と部下に聞くと、「まだ開いてませんよ」と言う。餃子を1人前追加した。ついでに「ホルモンでも焼いてもらうか」と聞くと、「そんなに食べれませんよ」と文句を言う。

メニューの一番上は餃子。二番目のホルモンを食べないと申し訳ない。「味噌がお奨め」と言った店員は、彼の意に反して塩味のホルモン焼きを作ることになった。銀髪を始め、他の店員たちも塩がベターと主張したためだ。「役者の卵ですと言ったら女の子の客にもてるよ」と慰めたら、再びみんなに否定されていた。愛すべき男だ。

和気あいあいの楽しい居酒屋だった。「イヤー、楽しませてもらったよ」と言ったものの、楽しませてあげたのは銀髪の方だ。まあ、年寄りの話を上手に聞いてあげることも、立派な接客である。

住吉 游心
福岡県福岡市博多区住吉2-7-7 ラ・コンチェルト1F
092-282-3553
http://www.yuu-shin.jp/

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2010年02月18日

[二合目](渋谷)

湯豆腐が食べたい


無性に湯豆腐が食べたくなった。渋谷駅からトボトボと雨の中を歩いたのに目的の店はなくなっていた。途方に暮れても仕方がない。心当たりの蕎麦屋に向ったら、なんと別のとうふ料理屋が目の前に現れた。幸運の女神に愛されるのは嬉しいものだ。

湯豆腐は3種類ある。「お奨めは?」と聞いたら一番安い安曇野の湯豆腐を奨められた。湯豆腐の他に自家製がんもと湯葉刺しを頼んだ。写真の湯豆腐は1人前(900円)で、昆布と豆腐だけのシンプルなもの。「中が少し冷たいぐらいが柔らかくてちょうどいい」と言われたが、2個目の方がやっぱり温かくて美味しかった。

殆ど水分だがそれなりにお腹が膨らみ、暖かくなった。既に目的は達成されたが、少しハードなものも食べたくなる。がんもが濃厚な味わいでとても美味しかった。追加オーダーしたまぐろサラダの大きさにビックリ。しかし、これも豆腐料理。冷たい豆腐が底上げしていた。

最初に食べるつもりだった湯葉がなかなか出て来ない。豆乳から湯葉を作っていると思うことにした。やっと出てきた湯葉がどこで作られたのか詮索するのは野暮に思えた。

銀髪は精進料理で満足出来るが、若者はつまらなそうだ。豆腐料理以外に力を入れているらしい大山地鶏を頼んであげた。「まだ時間がかかりそう?」と催促して間もなく大きなお皿が出てきてびっくりした。

大山地鶏の岩塩焼きは北京ダック風に食べるアイデア料理だ。ようやく若者の目が輝いた。薬味のマスタードが絶妙なので「自家製?」と聞いたら「市販のものです」と素っ気ない。鶏肉を包む春餅は自家製だろうと思ったら「築地で買ってきました」と正直だ。湯葉はどうだったのだろうか。あらためて想像を巡らした。

がっかりしたのかと言うとそうでもない。渋谷の喧騒から離れた店は、のんびりとしてリラックスできた。店員たちも雰囲気作りに貢献していた。「二合目はどういう意味」と聞いたら「一合目という店の2号店だから」との答え。他の意味もあるようだが、その店員の説明はそれで終った。もっと話を膨らませられるのになー。苦笑いも楽しい店だった。


とうふ料理 二合目
東京都渋谷区神山町10-8 渋谷クレストンホテル 1F
03-3465-0555
http://www.crestonhotel.co.jp/shibuya/restaurant/menu.html

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2010年02月17日

[マルゴー]②(新宿3丁目)

新宿で1番好きなワインバー


昨日書いたタブリエのソムリエさんからコメントを頂いた。困惑させて申し訳なかったが、さすがにソムリエだけあって姿勢が素晴らしい。是非再訪したいと思う。赤坂のコール・ド・ルージュ、四谷のサッカヴァン、新宿三丁目のマルゴーなどと並ぶお気に入りになるかもしれない。まずはマルゴーを再訪した。

「覚えてる?」前回と同じカウンターの一番奥に座って久保さんに声をかけた。「もちろんです」と期待していた通りの答。これで気分が良くなるのだから我ながら困ったものだ。左の白板にはグラスで飲めるワインが赤・白合計で約20種類書いてある。

ビールで喉の渇きを癒やしたら、さあワインだ。「お奨めは?」と聞くとリースニングの白ワインがいいと久保さんが推す。「甘くないの?」と訝ると、「フランス産ですから辛口です」と言う。騙されたつもりで飲んでみるとなるほど甘口ではない。リースニング=ドイツ産=甘いと信じていたが、フランスのアルザス産リースニングは目からうろこだった。

久保さんがワインのことをあれこれ教えてくれるので楽しい。ハムの盛合せで白ワインを飲み、野菜のフリットには赤ワインを合わせた。

メニューにないぺペロンチーノを「オリープオイル多目にね」と作ってもらった。「しょうこうしゅが効いているね」と連れがぺペロンチーノを絶賛する。「紹興酒は入ってないだろう」銀髪より味覚が敏感な人ではあるが、これには同意できない。シェフに聞いてみるとやはり銀髪の方が正しい。正そうとすると「塩、胡椒と言ったんだ!」と反論されて絶句した。昔「スープ or サラダ」を「スーパーサラダ」と聞き間違えたことを思い出した。

砂肝とレバーの煮込みも満足した。これを食べ終わってもグラスには赤ワインがたっぷり残っている。時節柄、チョコレートを食べることにした。今年はバレンタインデーが日曜だったのでホッとした人も多いだろう。マスコミも煽るようなことをしないで、もらえない人の悲哀を考えてあげるべきだ。

恨み節はともかく、マルゴーは今日も楽しかった。


MARUGO マルゴー
東京都新宿区新宿3-7-5
03-3350-4605
http://www.bar-maru5.com/pc/

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2010年02月16日

[タブリエ TABLIER](銀座)

ワインバーというよりも


フランス駐在歴6年のワイン好きKにワインを飲ませてあげようと思った。グルメぴあで「銀座 ワインバー」と検索して一番目に出てきたのがタブリエだ。隣にある24種のワインをグラス単位で飲めるスタンディングバー・ゴスに入ろうか迷ったが、「座って飲みたい」というKに敬意を表した。

6時前なので我々が一番乗りだった。カジュアルな店だがワインバーのイメージとは離れている。カウンターでワインを飲むような感じではない。男二人がテーブルを挟んで向かい合うともっと恥ずかしい。食事のメニューは立派だが、コース料理を頼むのは憚られる。思案の末に、1,680円のアンティパストを二皿頼むことにした。一皿につき5種類選べる。全12種類の中から10種類を選んだ。

カボナータ(イタリア野菜のトマト煮込み)、キッシュロレーヌ、海の幸のマリネ、スモークサーモンのマリネ、本日の鮮魚(帆立)のカルパッチョが一皿目。白ワインと合う料理が多い。気を使って盛り付けてくれたのだろうか。

トリッパノトスカーナ風煮込み、駿河産しらすとじゃが芋のフリッタータ(イタリア風オムレツ)、鶏レバーと砂肝のコンフィ、フランス産鴨の自家製スモーク、フォアグラと鶏肉のテリーヌが2皿目。こちらは赤ワインに合いそうだ。もっとも、二皿同時に運ばれてきたので、食べる順番は滅茶苦茶になった。

メニューを見て思ったとおりシェフの腕は良さそうだ。我々の後に入って来たカップルは、美味しい食事をゆっくり味わう雰囲気だ。我々はひたすらワインに専念する。メニューに載っているグラスで飲めるワインは白と赤が3種ずつ。白2種類と赤1種類を飲んだところでソムリエを呼んだ。

「メニュー以外で何か飲めるものはないの?」と聞いた。新宿のマルゴー
や六本木のヤキトリ エ ヴァン プーサンでは、わざわざ新しいボトルを開けてくれたので期待した。残念ながら持って来てくれた2本は希望したフルボディではなかった。少し粘ってみた。しかしソムリエが困った顔をするので止めた。

タブリエは食事を楽しむ店のようである。

タブリエ TABLIER
東京都中央区銀座3-4-5 銀三ビルB1
03-3538-7227

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2010年02月15日

[ビーフン東](新橋)

ちまきは美味い、ビーフンは楽しい


「新橋のビーフン東に行ったことあるか?知ってる?」友人の電話は銀髪がこれまでカバーしていないのを責めるような響きがあった。グルメ雑誌で見たことがあるような気がする。一目置く優秀な友人である。見栄を張るより正直な答を選択した。「いや、知らない」

“昼メニューのビーフンは4-5種類が大・中・小とあります。それぞれ「焼き」か「汁」をえらびます。「バーツァン1個と、ビーフン(かに玉・汁・小)」がぼくの定番です。”電話を切ってすぐにメールで教えてくれた。行かねば!

11時35分、既に半分近くの席が埋っている。「奥から詰めてください」と促されてカウンターに座った。友人の定番は先に座っていた客に言われてしまった。すぐにやってきた中華ちまき・バーツァンの大きさに圧倒された。「巨大な」と表現した友人のメールを思い出した。バーツァンを割って、写真を撮っている間にかに玉乗せ汁ビーフンも到着した。

豚バラ肉2片、うずらの卵1個、ピーナツが入ったバーツァンが人気なのはよく理解できた。かに玉ビーフン(小)より高い600円を誰も躊躇しないだろう。右隣に座った女性二人はバーツァンを半分に切って出すように頼んだ。友人が言う、「バーツァン半切り」のようだ。みんな心得たものだ。入店して食べ終わるまで10分。焼きビーフンに後ろ髪を引かれた。

数日後、再訪した。五目焼きビーフンの大、850円を頼んだ。「にんにく醤油をかけて食べてください」何万回も言ったであろう台詞を置いて店のおばさんが去っていく。「大した量ではない」と口コミサイトに書かれたコメントを鵜呑みにしたことを後悔した。50歳を超えた銀髪には荷が重そうだ。

パサつくビーフン、この量を食べ尽くす自信がないと思ったところにスープが出された。その瞬間、閃いた。「つけ麺にしよう!」焼きビーフンを一口、二口食べて、続いてつけ麺風にする。これを繰り返すうちに苦もなく食べ終えた。汁ビーフンのように麺がのびることもないし、何より焼きビーフンと汁ビーフンの両方を一度に味わえる。気分も含めて満腹になり、一人悦に入った。

「昼と夜はメニューが変わります」再び友人のメールを思い出した。「ヌキ」を食べに行かなければならない。楽しみだなー

ビーフン東
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 2F
03-3571-6078

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2010年02月14日

[すし鉄](東京駅大丸)

寿司は?


東京駅に着くのは5時前。会食にはゆっくり間に合うはずだった。ところが浜松駅を過ぎた辺りで携帯電話が鳴った。「お客様が早く来られたんですけど…」と部下が言う。有名店でご馳走しようという計画は消えた。この時間にやっている店は駅ビルぐらいだと意見は一致した。

1時間以上もカウンターにいるわけがない。銀髪の予想通り、お客様と部下が窓際のテーブル席で赤ら顔をしていた。夜景の見える一等席は、猫に小判のようなものだ。銀髪が席につくと、若い女性が注文を取りに来た。「あれっ?こんな美人いたかなー」と酔っ払い二人が目を丸くする。「5時からは美人に替わるんだね」と銀髪が言うと、彼女は悠然と笑みを返した。

大皿に残ったくたびれた刺身を見れば「僕らはお腹いっぱいですから」と言われなくても状況は把握できた。1時間の遅れを無理して取り返すことはない。メニューを見ると思ったより安くて良心的な店のようだ。こんな店は高級魚よりも、ヒカリモノの方が美味しいはずだ。

「穴子が美味しかったですよ」とお客様が気遣ってくれる。皿に一切れだけ残った白焼きを見て、煮穴子を頼んだ。味が変わればみんなも手を出してくれるだろう。

ついでに白焼きを頼んだ。お奨めを無視するわけにはいかない。一合徳利はすぐになくなるので何度も美人を見ることが出来た。すぐ出て来る熱燗は酔いが遅い。常に温められているからアルコールが飛んでいるという銀髪の説に部下は納得しない。

すし鉄は慶応2年(1866年)の創業だという。日本橋本店の前は何度も通ったことがあるが入ったことはない。きっちりとした江戸前寿司をリーズナブルに食べさせてくれるそうだ。「最後に寿司でも食べましょうか?」と聞いたら、「ラーメンを食べに行こう!」と言うので絶句した。

すし鉄さん、寿司を食べないですいませんでした。

日本橋 すし鉄
東京都千代田区丸の内1-9-1 グラントウキョウノースタワー 大丸東京店 12F
03-3217-8888

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2010年02月13日

たんぽぽオムライスのお弁当

冷めても美味しいの?


羽田空港の売店で日本橋たいめいけん
のオムライス弁当を見つけた。亡き伊丹十三監督の名作「たんぽぽ」の中で浮浪者がレストランに忍び込んで作ったオムライスがたいめいけんの名物になった。2階のレストランで食べれば2,700円(1階なら1,850円)もする。弁当の950円は安いのか高いのか?

タンポポオムライスは中がトロトロのオムレツを、チキンライスの上で割って食べるもの。冷たいオムレツは果たして美味しいのだろうか。かなり迷った。いずれにしても昼食はお弁当と決めているので何かを買わなければならない。一食ムダにする覚悟をした。

JALのラウンジに入り、生ビールを注いで、弁当を開いた。電子レンジでも備えていれば温かく食べられるのにと思ったが、すぐに馬鹿な考えだと気付いた。温めるとトロトロのはずのオムレツの中身が固まってしまうのだ。

残念ながらたいめいけんで食べるオムレツほどトロトロではない。ナイフを入れるとサッと広がってチキンライスの山を駆け下りる卵を見ることは出来い。もちろん、そんなに期待してなかったので失望もない。

思ったよりいい出来だった。冷たくても美味しいように随分と試行錯誤したのだろう。濃い目の味付けがビールに合うものだから、お代わりしてしまった。機内での昼寝が心地いいだろう。

これをタンポポオムライスと思ったら伊丹監督が泣くかも知れないが、オムライスの弁当としては良く出来ている。タンポポオムライス風弁当と「風」ぐらい入れるべきだが、そんな逃げ道を作らないたいめいけんの三代目は立派な商売人だ。

最近では人気ラーメン店などとコンビニや土産物屋が開発したコラボ商品がたくさんある。どれも「風」とか「もどき」などとは名乗らない。店を拡張したり、支店を出したりしなくても、簡単に儲かる手段があるのは喜ばしい、かな?

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2010年02月12日

[スイスシャレー](西麻布)

たっぷりチーズ


入り口はホテルの中にあって戸惑った。ビジネスホテルの1階にあるのでカジュアルな店を想像して来たが、灯りを落としてデート向き。場違いかと躊躇していたら、男性二人だけのテーブルがあってホッとした。ホテルの宿泊客だろう。書類を開いてシャンパンを飲んでいる。

恋人たちはコース料理をオーダーし、ワインのボトルを開けて楽しんでいる。「スイスではチーズフォンデュとワインだけで食事します」と店員はコース料理や他の料理の追加を強要しない。単品のチーズフォンデュと温野菜を頼み、前菜はエスカルゴを選んだ。エスカルゴもいいが残ったスープでパンを食べるのが好きだから。

ビールを頼むとき緊張した。25年前、神戸のスイスシャレーでビールを頼んだら断られた。冷たいビールは胃の中でチーズを固めてしまい、消化によくないと注意する。汗をかきながら異人館を回り、喉を潤したい銀髪と店員が口論するのを我が新米パートナーはヒヤヒヤして見ていたものだ。もちろんビールを飲んだ。今回は口論もなく気分を害されることはなかった。

パン、パン、パン、じゃが芋、パン、パン、ブロッコリ、パン… とにかくチーズをつけて食べた食べた。他の地域のワインもあるが、生産量が少なくて日本ではあまり飲めないスイスのワインを飲んだ。連れが頼んだフランスワインと比べると差は歴然だが、銀髪は白も赤もスイスに徹した。

40年以上前に新宿の店でチーズフォンデュを食べてすぐにフォンデュ鍋を買った。いつの間にかオイルフォンデュの方が我が家の定番料理になった。電磁調理器のお陰でアルコールを買う必要がなくなり楽になったが、ムードもなくなった。

イタリア、フランス、ドイツに接するスイスだけに、食後酒の候補はグラッパ、カルヴァドス、キルシュなどがある。お奨めに従ってキルシュを飲んだ。さくらんぼから作られるもので、グラッパや焼酎に似た味。質素なスイス料理の向こうにスイス人気質が見えて来る。

翌日友人から電話があり、「トイレでチーズを食べたと家族に疑われた」と笑った。


スイスシャレー
東京都港区西麻布4-4-5 アパホテル1F
03-5774-9300

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2010年02月11日

越前蟹

今シーズン食べられるのも残り約一ヶ月


昨シーズン、福井に行った際に駅ビルの田村屋で蟹を買って自宅に送った。これがとても美味しかったので、今年も家族に送る約束をしてしまった。前回はオス1杯、メス2杯だったが、今回メスは既に禁漁になっていたためオス2杯にした。

既に成人した子供たちを加えて家族団らんするためには文字通り食い物を餌にするしかない。北海道産のズワイガニは役不足で、越前蟹しか食いつかないから厄介である。みんなの都合を聞いて、先週末に届くように手配した。現地で買うと値引きしてくれた上に、蒲鉾をおまけにくれた。

さすがに大きい。売店の女性が確約してくれたように、ずっしりと重い。甲羅に付着している丸い茶褐色の粒はカニヒルの卵で、もちろん蟹の身には何の影響もない。これがたくさん付着しているのは脱皮してからの期間が長い、つまり身が詰まっている証拠らしい。

蟹の足には黄色いタグが付いている。日本海で獲れるズワイガニは鳥取などの松葉蟹、石川県の加能蟹など呼び名が異なる。タグには漁船や水揚げされた漁港の名が記されている。福井県はもちろん越前蟹、この日の蟹のタグには越前港の文字があった。

田村屋の蟹が美味しいのは、立派な越前蟹ということもあるが、料理が上手だからだと思う。「料理?」と疑問に思う人もいるだろうが、塩加減、茹で加減が味を左右するのである。これまで松葉蟹、北海道産ズワイガニ、タラバガニ、毛蟹、花咲蟹を自宅で茹でたことがあるが、いずれも失敗した。従って、我がパートナー殿は家で蟹を食べることを嫌っていた。上海蟹を除くと、唯一認めてくれたのが田村屋の蟹だった。

恐らく、田村屋以外の通販でも美味しい蟹が買えるに違いない。塩加減など好みの味を探し出すことが肝腎である。「わー、あまーい」と娘たちが喜んでくれればお父さんは大満足である。明日からの食べ歩きも寛大に見てくれるだろう。


田村屋 JR福井駅プリズム福井店
本店 株式会社 越前水産
フリーダイヤル 0120-89-0015
http://www.echizengani.co.jp

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2010年02月10日

[夢とり](八重洲)

素人っぽいのがいいね


「店主は元プロゴルファーだったらしいですよ」部下の言が本当かどうか分からないが、入り口ではゴルフバックが大きな顔をしている。ツアープロではないにしろ、生粋の料理人というわけでもなさそうだ。

お通しでビールを飲んで日本酒を頼むと、小皿を置いて行った。枡からグラスを取り出して乗せるための皿だ。グラスを枡につけたままにするか、取り出すか、時々議論になるが、これなら分かりやすい。グラスの酒より枡に溢れ出した方が量が多いとは嬉しい限り。

横浜関内の鳥元で見たのと同じような焼き鳥用フォークがあった。10人で分け合って食べるのに、このフォークが貢献した。恐らく店主は客としての経験の方が長いのだろう。日本酒といい、焼き鳥用フォークといい、客の気持ちが良く分かっている。

今まで気付かなかっただけかもしれないが、最近食べた鍋は殆ど水を入れない。夢とりのキムチ鍋も具材しか入ってないように見える。焦げそうでも心配無用なのはすぐに分かった。

水分は足りないどころか溢れそうになった。写真は3人前だが、10人に2つの鍋でちょうど良かった。しかし、10人の分け方には問題があったかもしれない。鍋の減り方は明らかに違った。

鍋の前に焼き鳥を食べ終わる予定だったが、出て来るのに時間を要した。ガラスで仕切られて幸せな我々と対称的に、主人は煙に包まれて四苦八苦している。

つくば茜鶏を使った自慢の焼き鳥は悪くなかった。やっと出て来たピーマンとしいたけの肉詰めは、みんなで譲り合った。間が開くと戦闘意欲が減退する。中年軍団の我々は鍋でほぼ満腹になってしまった。

それでも、欠食児童のように食べる我々のスピードに合わせて料理を作るのは大変だったろう。勘定をして店を去るとき、主人が安堵したように見えた。


八重洲 夢とり
東京都中央区八重洲1-5-10 八重洲井坂ビルB1
03-3245-1678

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2010年02月09日

[安芸路 酔心](新宿三丁目)

造り酒屋とは無関係?


東京駅八重洲地下街の季彩膳 酔心に行ったばかりだけどなー」と思いながら店の前に置かれたメニューを見た。東京駅と違って牡蠣料理がたくさんあるのに興味を引かれた。しかし、なんだか妙な違和感がある。

お奨めに従って3,150円のかきセットを頼んだ。「お通しを持ってきますか?」と言うので「断れるの?」と聞き返した。お通しの押し売りがないなんて美人の店員が女神に見える。セットの他に生牡蠣だけ追加した。

日本酒のメニューを見ると新潟県や石川県の酒もある。「酔心だけじゃないんだ」と聞くと、「うちは酒屋さんとは関係ないんです」とのこと。謎は解けた。それでも東京駅の店主を思い出しながら、酔心の日本酒を頼んだ。

カキフライは3種類の味付けがしてあって面白い。たたきは焼いてあるのかと思ったが、竜田揚げのようだ。殻の表面を見て疑問が湧いた。「牡蠣は殻つきで来るの?それとも剥き身?」再び女神に質問する。「生牡蠣以外は瞬間冷凍して運ばれてきます」とのこと。やはり、器専門の殻だったようだ。

久し振りの土手焼である。だしで溶いた味噌が鍋の内側にぬられている。水は入ってないので焦げないか心配したが、時々女神が見回りに来てくれるので安心だ。食べ頃になったときには焦げる心配は杞憂であることが分かった。

最後の雑炊にも牡蠣が2個入っていた。生1個、フライ3個、たたき3個、土手焼に約10個、雑炊2個、合計で一人20個前後の牡蠣を食べたことになる。どの料理も美味しかった。それでも20個となるとさすがに食べ疲れた。

子供の頃、食べ盛りの頃は鍋となると奪い合って食べたものだ。最近では齢のせいか、健康やメタボを気にして野菜がよく売れる。肉が余ることもしばしばである。牡蠣の鍋なら心配はいらないと思うが、腹が一杯になって量を受け付けない。齢は取りたくないものである。

安芸路 酔心 新宿店
東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館地下1階
03-3352-8721 
http://www.akiji.co.jp/

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2010年02月08日

[博多 ふじ本](福岡)

卓袱料理もある割烹


部下がタクシーの運転手さんに道順を教えている。地図を手に一生懸命説明したのに店名を言ったら「ああ、ふじ本ね」と素っ気無い。ベテランの運転手にとって老舗の名店は名前を告げるだけで充分だった。

一番乗りでまだ店内は寒かった。それでも日本人ならまずビール。喉を潤した後は、熱燗にした。お通しの大根が温かくて美味しい。すじで煮込んで味もよく染みている。続いて赤なまこ。「オレ、胡麻さば」地元のAさんに銀髪と部下は追従した。醤油と合わせていないのがふじ本流だ。

「藤本さん?」と聞くとカウンターの料理人と店の女性が同時に「ハイ!」と言う。店の人たちを交えて冗談合戦していて、目の前の藤本さんが「大将が…」と言うのが気になった。壁に掛けられた感謝状を見て「庄之助さんのこと?」と聞くと頷く。「まだ健在なの?」と続けるまでもなく、奥の調理場から大将が出て来た。さらに背筋がピッとしている女将さんが登場。店には初代夫婦、2代目夫婦の4人の藤本さんがいた。

「タイラギのひもはある?」Aさんが聞くと、「ありますよ!」と喜ばせる。有明海の代表的な海の幸だったタイラギとは平貝のこと。普通は貝柱のみを使うが、福岡ではひもが好まれるそうだ。銀髪がパクパク食べるとAさんが嬉しそうにする。部下も「美味しいですね」と言うので「もっと食べるか?」と聞くと慌てて首を振った。まったく正直な奴だ。

「えびハトシって何ですか?」銀髪が席につくなり聞いた質問を部下が今頃になって繰り返す。まったく他人の話を聞いていないマイペースの男だ。2代目が再度説明してくれた。長崎で修行した店で覚えた卓袱料理の代表的なものらしい。中国語で蝦吐司、蝦和麺包などと書く。ハは海老のこと、トシはトーストから来ているそうだ。なかなか美味しく、妙に懐かしい味だった。

Aさんがしきりに大女将の着物を褒めるので「顔を褒めなきゃダメじゃないですか」と茶化した。実際、頬紅を塗ったように血色が良く、つやつやしている。80を超えても大将、大女将が元気な店は不況知らずに見える。中州ふじ本は弟がやっているそうだ。

2軒目で「博多雑煮は食べましたか?」と聞かれた。「特大の太刀魚や鰯に惹かれて食べ損なった」と言うと憐れむような顔をする。ふじ本の名物を食べ損なったことが悔やまれた。

博多 ふじ本
福岡県福岡市博多区下川端町10-11
092-271-1968

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2010年02月07日

[柳橋食堂](福岡)

昼食は市場で


11時を少し回ったばかり。多くの店はまだ開いていない。「天神か中洲まで歩こう」ということになった。部下に連れられて歩いていると、見覚えのある建物が目に入った。渡辺通りのホテルニューオータニ、銀髪が泊まったホテルだ。突然、行き先の変更を告げた。部下はちょっと不満そうだ。

ニューオータニから歩いて数分のところに柳橋商店街がある。魚市場には食堂があるはずだと思った。商店街入り口の地図を見ると食堂は2軒ある。もつ屋は夜だけの営業。開いていたもう1軒は魚屋兼惣菜屋の2階にあった。何を食べるか迷っていると、ウニやイクラが乗った豪華版ではなく650円の海鮮丼を奨めてくれた。ついでにふぐの唐揚げを頼んだ。

2階に上がり、テーブルを指定されると、そこには既に料理が3皿並んでいた。そのテーブルの客がトイレにでも行っているのかと思ったら、これはサービスだと言うので驚いた。海鮮丼がやってくるまでビールの肴にした。ふぐの唐揚げは頼む必要がなかったかもしれない。

650円の海鮮丼は思った以上に立派だ。さすが市場の食堂である。色んな魚の切れ端が盛られている感じだが、なかなか美味い。12時前にもかかわらず客がたくさんいるのも頷ける。市場を見学して、昼飯を食べて帰る旅行者も多そうだ。営業時間は11時から4時まで。夜にやっていないのが残念だ。

腹一杯になって、市場を見て回った。お腹が空いていたら揚げ立てのさつま揚げを買ってしまったことだろう。博多に住んでいたならば鯨の尾の身に財布が開いたに違いない。何よりも異彩を放っていたのがふぐ。3kg以上の大物が何匹も寝そべっていた。並べられた白子も巨大だ。誘惑に抗するのが大変だった。

料理をしない部下はつまらなそうにしていたけれど、柳橋商店街は思いのほか楽しかった。


柳橋食堂
福岡県福岡市中央区春吉1-10
092-761-1811

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2010年02月06日

熊本のお土産

家族にも馬刺し


空港で待ち時間があるので土産物屋を見て歩いた。お菓子でも買って帰ろうかと思っても、嫌いな甘味はどれも美味しそうに見えない。菅乃屋の前で足が止まった。珍味を買っては顰蹙を買い続けてきたが、馬刺しだったら喜んでくれそうだ。

100g3,000円以上の最高級大トロを筆頭に、ロース、赤身、フタエゴ、コウネを買った。残念ながらレバーなどの内臓や希少部位の類は売っていない。もっとも、変わったものは喜ばれないから大した問題ではない。

約1万円の馬刺しを買ったためか、最終便に乗る銀髪が最後の客だったためか、炭火焼きと炙り焼きの2パックをサービスでつけてくれた。随分得した気分になった。馬刺しと焼き物も加われば他の料理を作る必要はなくなった。

買い物だけでなく、料理もするのだから我が家のパートナー殿は楽チンである。おまけに皿洗いもすれば休みに家に居ても邪魔者扱いはされない。刺身の盛り付けがあまり上手に出来なかったが、ここまでやれば文句は言われない。今のお父さんは大変なのだ。

最高級大トロは熊本市内の菅乃屋でも置いてないことが多く、「むつ五郎」「けんぞう」で食べるより美味しい。しかし、我がパートナー殿は赤身を喜んだ。マグロも牛肉も脂身を好きではない。彼女の方が通なのかもしれない。
写真の刺身盛合せが買ってきた肉の半分。多過ぎると思ったが、結局残りの半分も食べ切った。

近くに住む母にも最高級大トロを差入れした。熊本で生まれ育った母は大喜びするかと思ったが、翌日に感想を聞いたら意外なことに反応は鈍かった。「昔食べた馬刺しは安い赤身の肉だったけれど、とても美味しかった」と言う。大トロ肉では昔を懐かしむことが出来ないらしい。銀髪家では母もパートナー殿も赤身派である。今度は赤身中心に買って来よう。安上がりで嬉しい限りだ。

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2010年02月05日

[山沖](日本橋)

古典的江戸前鮨


「山沖さんですか?」「はい、山沖です」珍妙な応答から始まった。「山おき」「やま沖」「やまおき」などと平仮名を使う店が多いので、思わず聞いてしまった。「どんな漢字を使うの?」という定番の質問に続けられず苦笑いの銀髪。冷めた笑いを誘った。

たこを波打つように切る主人の包丁捌きを見ながら「アル中なら自然に切れるね」と茶々を入れた。「うちの包丁は切れないから、いつも波打つよ」と続けて大きな笑いを誘った。何とか名誉を回復できたようだ。楽しい食事の雰囲気作りは達成できた。

「養殖ではひらめも右を向くみたいですね」主人がひらめを切るのをみて再び茶々を入れると「養殖は右にならえですよ」と返ってきた。なかなかやるじゃないか。三平の息子のこぶ平(9代目林家正蔵)を思い出した。大好きなたいら貝の礒辺焼きを噛むと、海苔が乾いた音をたてる。


少し色づいた寿司めしを見て、「赤酢だね」と通ぶる。2種類の酢を合わせることで、酢のきつさが収まり優しい味になる。山沖の寿司は小振りで、見て美しい。だいぶん大きく育ったコハダは切れ目を入れたり結んだりで見た目だけでなく食べやすくもなる。キリリとした海老は赤坂の「喜久好」
を思い出させる。


「オウ、これは美味しいね」煮蛤を食べて感嘆した。主人が微笑んだようだ。会話の楽しさをしばし忘れた。なかなかやるじゃないか山沖さん。江戸前らしく穴子でぐっと盛り上げて、かんぴょう巻、玉子焼き、漬物と静かに食事は終焉に向かって行った。

帰り際にもらった名刺には店名の前に「古典的江戸前鮨」と記してある。今回はその意味を聞き損なってしまった。ホームページを開いてみると、主人のこだわりが次々と明らかになった。海老や煮蛤の美味しさの理由もある程度は理解できた。

近いうちに再訪しよう。古典的の意味するところをしっかりと学ぶために。

山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/

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2010年02月04日

[木曽路]②(名古屋)

料理が変われば、人が変われば


「木曽路を予約しました」と言われて失望した。木曽路が悪いわけではない。もちろん予約した人が悪いわけでもない。初めて行く店の方がグルメ紀行を書きやすいという理由だけで失望したのだ。気を取り直して何を食べるか構想を練った。

「しゃぶしゃぶやっていいですか」と部下が言う。部下がやりたいと言ったしゃぶしゃぶは牛肉ではなく、「い津み」で書いたふぐ刺しによるものである。早速、熱々の注ぎ酒をオーダーした。い津みの2枚引きと比べるべくもないが、薄い刺身でも気分は味わえる。ついでに白子酒も飲ませた。ちっぽけな白子の塩焼きを使った。「油山山荘」でやったような立派な白子の刺身ではないが、それなりに甘酒のようになる。どちらも楽しんでもらえたようだ。

前回の「木曽路」ではしゃぶしゃぶとすき焼きを食べ比べた。「しゃぶしゃぶの木曽路」という理由は良く分かった。今回はすき焼きはやめた。鹿児島産の最高級しゃぶしゃぶはなかなか美味い。追加しようとしたら「安いのと比べてみよう」という声が上がった。安く済むので異論はない。今度は愛媛産。3段階の一番下の肉でも充分美味しかった。

食事はきしめんとラーメンの両方を食べた。どちらも可愛い店員の木部さんが作ってくれる。我々のつっこみや冗談を上手に受けてくれて楽しかった。3年の経験を持つベテランのようだがまだ学生。3月に卒業して店を辞めるというのが残念である。

デザートは見た目も美しい。ところてんは客が自ら押し出すなど趣向も楽しい。銀髪はもちろん味見だけ。前はこんなデザートがあったのだろうか。思い出せない。

銀髪が構想を練る必要はなかった。みんなのお陰で自然に物語は作られていった。木部さんが花を添えてくれたのもラッキーだった。思いのほか、楽しい木曽路だった。


木曽路 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-20-15
052-951-3755
http://www.kisoji.co.jp/

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2010年02月03日

[スティモーロ Stimolo](市谷)

若く楽しいイタリアン


新宿3丁目の「オステリア・ウーゴ」のスタッフが独立してオープンしたのが昨年の10月。行かなければと思いながら時間が経ってしまった。乾さんからグルメ紀行にコメントをもらって居ても立ってもいられなくなった。

笑顔で迎えられた。乾さんと会うのは2度目なのに旧知の仲のようだ。思ったよりきれいで立派な店は居抜きで借りられたというからラッキーだ。豚、牛、羊、鹿、鴨、魚、メインにする素材の中からお奨めのSPF豚を選んで、それに合わせて他の料理は任せることにした。若き熊谷シェフの腕の見せ所である。

かんぱちのカルパッチョ、新鮮野菜のバーニャカウダソース、色んな部位のテリーヌ、トリッパが大皿に少しずつ盛られている。分厚く切ったかんぱちが斬新だ。
キッチンから可愛い女性が挨拶に来た。なんとウーゴでカウンターに座っていた女性の一人という。縁あってスティモロで働くことになったそうだ。銀髪を覚えていたとは嬉しい限りだった。

タラの白子のポワレも斬新な一品。フレンチレストランで何度か食べたことがある羊の脳の料理を思い出した。食感が似ているので、フランス料理のレシピを参考にしたのだろうか。
「評判がいいんですよ」と出された自家製パスタ・タリオリー二は納得のお味。シェフ自慢の定番料理になっているようだ。

メインは埼玉県松村さんのSPF豚。生でも食べられる無菌豚だそうだ。脂身も美味しい豚だった。連れはデザートにショコラを選んだ。銀髪はデザートを断り、グラッパを頼む。「ソムリエではなくノムリエです」と笑う男性が、3種類のグラッパを並べてくれた。同じメーカーのすべて2001年産だが味比べをすると微妙に違って面白かった。

定番の料理はどれも美味しい。独創的な料理には銀髪の意見を言わせてもらった。連れがハラハラしているが、乾さんたちは笑顔で聞いている。料理道まっしぐらの若きシェフは、多くの客たちのアドバイスを得て、熊谷スペシャルというべき逸品を完成してくれるだろう。

乾さんをはじめスティモロのスタッフたちは実に話しやすい。和気あいあいで食事ができる店である。素材、料理法、ワイン、グラッパなど様々な話をしてくれる。最後に乾さん秘蔵のグラッパをご馳走になった。滅茶苦茶楽しい夕餉であった。


スティモロ Stimolo
東京都新宿区市谷本村町2-19 BSSビル1F
03-3260-2410
http://www.stimolo.jp/

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2010年02月02日

[八重洲 とり安](京橋)

人気の焼き鳥居酒屋


「あー、とり安だな。知ってるよ」と言ったけれど、連れて行かれた店は違っていた。銀髪が思っていた店はとり安ではなかったのだろうか。
入り口は狭いが中はそこそこの広さ。一番乗りした我々6人は、座敷に上がった。掘り炬燵式になっているので座りやすい。

先ずビール。いつものように銀髪が勝手にオーダーする。「トラフグね」と言ったら、丸っこいおばさんが「とりふぐ」と訂正する。トラフグの刺身に似せてささ身で作ったとりふぐ造り。とり安の名物料理である。トラフグと同様にポン酢ともみじおろしで食べさせる。
もう一品はたたき。こちらはしょうが醤油で食べる。どちらもささ身だけど料理法を変えれば味も変わる。

佐賀県の地鶏みつせ鶏のネギマと、串焼き5本(ひな、皮、ささみみそ、みさき、レバー)を各人に頼む。ひなは新潟産の鳥越の鳥とのこと。まだ客が少ないのでどんどん来る。「早過ぎるよ」と言うとちゃんとスローダウンしてくれた。ベテランで固めた店員たちは客の気持ちをしっかり受け止める。

串焼き5本は前半が塩焼き、後半がタレ焼き。どれも美味しい。いつものように年長軍団はよく食べ、よく飲む。熱燗の2合徳利がすぐなくなり、何度も何度も追加注文。丸っこいおばちゃん、スリムなおばちゃんとおじさん、店員3人が我々の席につきっきりのようだ。3人とも齢は重ねてもフットワークがいい。

「唐揚げちょうだい」とり安のもう一つの名物料理もみつせ鶏で、柔らかくて香ばしい。一人一切れずつ食べるとお腹が膨らんだ。さらに焼き鳥を追加しようとしたらみんなからストップがかかった。それなら勘定をと思うとさにあらず。雑炊やおにぎりはちゃんと食べると言うのだから恐れ入る。齢を取っても健啖家ばかりだ。銀髪はおにぎりを1個だけ食べた。他の人たちがオーダーしたささみが乗った雑炊は魅力的だった。

座敷を降りて店内を見まわすと満席の賑わい。人気の焼き鳥屋は不況知らずのようだ。翌日調べてみると、とり安は銀座寄りに京橋店があることが分かった。銀髪の勘違いではなかった。ランチ時に行って見ると、そちらが本店で40年の歴史があるそうだ。本店を姉が、八重洲店を弟が経営している。「弟の店もよろしく」とお姉さんは優しかった。


八重洲 とり安
東京都中央区京橋1-6-8 コルマ京橋ビル1F
03-3567-9454
http://www.yaesu-toriyasu.jp/

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2010年02月01日

[金沢まいもん寿司](金沢)

待ち時間にサッと寿司


電車の時間まで1時間足らず、食べて飲んでとなれば寿司屋が一番いい。5時前に開いているのは駅ビルの中ぐらいしかない。2店ある寿司屋のうちでは回転寿司より金沢まいもん寿司の方がよく思えた。カウンターで一人居る客も同じ思いだったのだろう。

「これ食べろよ!」2,400円の寿司を頼もうとする部下を制して金沢百万石握りを奨めた。400円の違いで太っ腹を見せられれば安いものだ。しろえびや甘海老、のど黒も入ってお得に見える。酒を飲まない部下は余計なお金がかからなくていい。

「がすえび、生の甘海老、のど黒を刺身で」銀髪は酒の肴を求めた。北陸ではがすえびが名物と言っていいだろう。甘海老もやはり北陸名物。冷凍物より味はいい。海老2種類の食べ比べは正解だった。がすえび2匹は部下にも食べさせてあげた。
「こんなんだったかなー」と思ったのど黒に比べると、海老は食べる価値があった。

赤にし貝、なめら(きじはた)、白海老、北陸地物の3つを握ってもらった。赤にし貝はセットに入っていなかったので部下にも食べさせてあげた。「他に何か地物はありますか?」と聞いたら板さんはしばし考えて「アジぐらいですかねー」とつれない。

純米酒加賀鳶がグラスにまだ半分以上残っていた。ネタケースを見ながら考える。素直にマグロやウニを食べたらいいのに、食指が動かない。「これなーに?」と目の前にある貝を指さした。

「赤にし貝です」と言われて「あー、そうですか」と返した。そこで会話は途絶えた。残りの酒はガリを肴にすることを決めた。「どうだ、他に何か食うか?」部下に聞くと「お腹一杯ですよ」と満足気な笑顔を見せるのでお開きにすることにした。

時計を見ると土産を買う時間がたっぷりある。食事&お買い物で1時間弱、電車の時間に悠々間に合った。


金沢まいもん寿司
石川県金沢市木ノ新保町1-1 金沢百番街おみやげ館ぐるめ小路
076-225-8988
http://www.maimon-susi.com/

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