2010年02月09日

[安芸路 酔心](新宿三丁目)

造り酒屋とは無関係?


東京駅八重洲地下街の季彩膳 酔心に行ったばかりだけどなー」と思いながら店の前に置かれたメニューを見た。東京駅と違って牡蠣料理がたくさんあるのに興味を引かれた。しかし、なんだか妙な違和感がある。

お奨めに従って3,150円のかきセットを頼んだ。「お通しを持ってきますか?」と言うので「断れるの?」と聞き返した。お通しの押し売りがないなんて美人の店員が女神に見える。セットの他に生牡蠣だけ追加した。

日本酒のメニューを見ると新潟県や石川県の酒もある。「酔心だけじゃないんだ」と聞くと、「うちは酒屋さんとは関係ないんです」とのこと。謎は解けた。それでも東京駅の店主を思い出しながら、酔心の日本酒を頼んだ。

カキフライは3種類の味付けがしてあって面白い。たたきは焼いてあるのかと思ったが、竜田揚げのようだ。殻の表面を見て疑問が湧いた。「牡蠣は殻つきで来るの?それとも剥き身?」再び女神に質問する。「生牡蠣以外は瞬間冷凍して運ばれてきます」とのこと。やはり、器専門の殻だったようだ。

久し振りの土手焼である。だしで溶いた味噌が鍋の内側にぬられている。水は入ってないので焦げないか心配したが、時々女神が見回りに来てくれるので安心だ。食べ頃になったときには焦げる心配は杞憂であることが分かった。

最後の雑炊にも牡蠣が2個入っていた。生1個、フライ3個、たたき3個、土手焼に約10個、雑炊2個、合計で一人20個前後の牡蠣を食べたことになる。どの料理も美味しかった。それでも20個となるとさすがに食べ疲れた。

子供の頃、食べ盛りの頃は鍋となると奪い合って食べたものだ。最近では齢のせいか、健康やメタボを気にして野菜がよく売れる。肉が余ることもしばしばである。牡蠣の鍋なら心配はいらないと思うが、腹が一杯になって量を受け付けない。齢は取りたくないものである。

安芸路 酔心 新宿店
東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館地下1階
03-3352-8721 
http://www.akiji.co.jp/

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2010年01月25日

[けんぞう](熊本)

やっぱり馬刺し


「水前寺というお寺はないんですか?」これまでの運転手さんと同じように「ありません!」と断言するが「どうして寺がついているんですか?」と聞くと絶句するのも同じ。「熊本県人なのに答えられないのは恥ずかしい」と苦悩する運転手さんに料金を払いタクシーを降りた。

店はアーケードからすぐのところにあるので雨も気にならない。カウンターの正面に座る。冷蔵ケースに魚が並び寿司屋のようだ。「馬刺しだけじゃ商売にならないですから」と主人の賢三さんの答えを聞いて「むつ五郎」を思い出した。旅行者だけでなく地元の人にも愛されている店のようだ。

1人前2,310円の馬刺しは高いと思ったが、目の前に出されて納得した。これを各人に頼んだのは失敗だった。もっとも部下はペロリと食べてしまった。彼は酒を飲まないので銀髪の先へ先へと走っていく。

タン、心根(大動脈)、心臓、レバー、コーネ(たてがみ)の5点盛り、中でもレバーが秀逸だった。コリコリと歯応えがあるレバーにはなかなかお目にかかれない。レバー刺しが苦手と言う部下も「これは美味しいですね」と感激していた。
賢三さんの緊張が融けた頃を見計らって「ところで水前寺という寺はあるんですか」と質問した。タクシーの運転手さんと同じ道筋を辿る。賢三さんは料理する手を止めて難しい顔をしている。あー、愉快。

生肉を食べ尽くしたのでホルモン焼き、串焼き、一口カツと進む。ヒレ肉の一口カツが思ったよりも美味だった。最後は馬汁を飲んでお開きにした。6時半過ぎ、店は少しずつ混み始めてきた。

空港へと告げ、「いい客つかまえたね」とタクシーの運転手さんに言うと、偶然ではないと答える。人気の店は県外からも客が来ることを調査済みなのだ。賢三さんとも顔見知りらしく、彼がむつ五郎出身だということを教えてくれた。なかなか饒舌な運転手さんだ。

なおも話を続けようとするのを制して質問した。「ところで、水前寺というお寺はあるの?」形勢は逆転した。なんとか熊本県人のプライドを保とうとするが、水前寺公園や水前寺清子の名前を出してはしどろもどろになっている。パソコンを開き調べてあげると、「ヘー、インターネットって凄いですね」と感心する。

けんぞうもインターネットで知った店だ。けんぞうだけでなく、そこで客待ちをする運転手さんもインターネットの恩恵を受けていることには気付いていないようだった。


けんぞう
熊本県熊本市下通り1-8-24 七光ビルBF
356-8775

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2009年12月01日

[白梅](新橋)

どて焼き?みそ鍋?


広島かき料理の白梅に興味を持ってから2年半。かき料理は10月~3月までと限られるので、思い出したときにはシーズンオフの繰り返しで時間が経ってしまった。新橋の路地裏らしい店は思ったより小さい。主人と会話できないのが残念だが、カウンターも寛げる広さではないので2階の座敷を選んだ。2階に上がると更に年季を感じる建物だ。

予約をすれば自動的に刺身をオーダーすることになる。カワハギの煮こごりでビールを飲んでいると瀬戸内の魚の盛合せがやってきた。牡蠣以外の瀬戸内の幸も味わってもらおうという配慮なのかもしれない。日本酒も広島の千福。

鍋は一人前でもいいと言われたが、出来上がったものを持って来てもらうのはつまらないので2人前を頼んだ。女将は綺麗に盛られた鍋の上のキノコ類を別皿に移して火をつけた。超弱火にして「私がやりますので絶対に触らないように」と釘を刺す。酢牡蠣を食べながらひたすら待つ。

10分して戻ってきた女将は鍋をかき混ぜ、キノコを乗せた。まだまだ道は遠い。鍋奉行がいたら半狂乱になるかもしれない。
牡蠣の塩焼きを食べながら待つ。白梅では殻ごとではなく、剥いた牡蠣を焼く。焦げ目がついて香ばしいからという説明に納得。

女将が戻って来て中火にした。まだ食べさせてはもらえない。キノコに火が通ったところで火を最大にした。グツグツと言い出したところでやっとお許しが出た。ここまで20分以上経過している。牡蠣が煮えすぎて縮んでしまわないか心配だったが、思ったよりプックラしている。「私の主人のお腹のようです。帰りに見てやってください」と女将が笑わせる。

一人前にしなくて良かった。20分待っても来なければ、忘れられたと怒ったことだろう。二人前にした恩恵は女将と話ができたこと。テキパキと働く姿に感心したら、白梅は女将の実家。調理場を預かる3代目はこの店の調理人だったというから上手く店が承継されたことになる。

最後は広島菜とジャコ、雑炊を頼んだ。通常、どて鍋とは鍋肌に味噌を塗って土手を作り、崩しながら食べるものだが白梅のものはみそ鍋と言った方がいいかもしれない。東京の人が食べやすいように工夫した白梅風である。

勘定をして階段を降りると、後ろで立ち止まったS氏が「あー、よく見える」と言う。何事かと思って振り返ると目の先に3代目の腹があった。「成る程、ここの牡蠣のようにふっくらしているね」と言うと、女将も一緒になって笑った。

店を出ると女将が頭を下げた。数歩進んで振り返るとまた下げる。角を曲がる間際に振り向くと女将はさらに頭を深く下げ、背中は地面と平行になった。寒くなれば牡蠣はさらに膨らむ。しばらくしてもう一度三代目の腹と比較しに来ようかな。

白梅
東京都港区新橋3-9-7 黒滝ビル
03-3459-8839

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2009年11月12日

[ちゅらり](渋谷)

もはや珍しくない沖縄料理


階段を上がって店に入って驚いた。週末とはいえ7時前なのに店は8割方埋まっていた。幸いなことに禁煙の座敷で空いていたのは4人席が2つ。2人席で窮屈に食べている先客たちには申し訳ないが、2人でゆったりと過ごせることになった。

沖縄料理ブームは終ったと思っていたが、キワモノ扱いされることはなくすっかり東京の街に定着した。しかし、定番の料理ばかりでは飽きられる。ゴーヤチャンプルーや海ぶどうなどは普通の居酒屋でも食べられるようになった。ちゅらりもそんなことは充分わかっている。沖縄の素材を使いながら、この店ならではの料理も揃えている。

お通し、珍味三種盛り

混みあっている店内を見て料理は早めに頼むべきと判断した。珍味三種盛り、シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子をまとめて頼んだ。ところが生ビールを飲み終わる前に3品が一斉にやってきた。確かに盛り付けるだけの料理ばかりだが手際の良さに感心した。

シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子

右隣の3人連れがもう一人を待ち切れずに食事を開始した。4人揃ったのはそれから30分後。我々と同様に「混みあったら2時間制にさせていただきます」と言われなかったか気になる。たぶん多目に見てもらえるのだろう。あまり焦っている風には見えない。

手造り紅芋コロッケ

サツマイモの中でも沖縄では紅色のものが好まれる。一般的な黄色のサツマイモより甘味が少ないので、コロッケにしても何とか食べられる。相方はデザートのつもりで食べているようなので一石二鳥である。

新手の客が入ってきたのでお開きにすることにした。2人で4人掛けを占有し続けるのが申し訳なかった。勘定を済ませ、部屋を出たが我々の靴は用意されていない。店員は客の間を駆け回っている。この不況下に結構なことだ。仕方なく下駄箱から自分で探し出した。

ちゅらりは渋谷の他に銀座、新宿、六本木など15店舗ある。母体となるシーエーフードサービスは都内を中心に6業態36店舗を展開する。シーエーフードサービスの社長も、その親会社のクリエイティブアルファの社長も1970年生まれとまだ若い。たいしたもんだ。


ちゅらり
東京都渋谷区宇田川町31-3 蓬莱屋第二ビル2F
03-5728-4233
http://blog.cafs.jp/churari_shibuya/

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2009年11月06日

[静香庵](神宮前)

新潟県アンテナショップにある料理屋


地方の物産を紹介する店は日本橋から銀座の間にたくさんある。新潟=日本酒と考えるのん兵衛にとっては、ブランド好きな女性や原宿ファッションに群がる女の子が大半の街になぜアンテナショップがあるのか理解できない。両側に物産品が並ぶ通路を歩き静香庵に入ると、店は閑散としていた。

「昼は混むんですが、夜は難しいですね」カウンターを仕切る青鹿さんが苦笑いする。既に店員の姿さえ消えてしまった物産店から流れてくる客はいない。静香庵は物産店に併設している割にはお値段も高め。新潟グランドホテルの直営と聞いて納得した。

お通し、のっぺ

新潟郷土料理屋にはこれまで何度も行ったことがある。銀髪自らメニューの料理を連れに解説し、青鹿さんに確認する。後ろに控えた女性も含めてなんだかみんな緊張気味だ。

刺身(めじ、みずだこ、甘海老、たい、えごのり)

「珍しい名前ですね」変わった名前の人は得だ。話のきっかけを与えてくれる。少しずつ青鹿さんの表情も和んできた。新潟から直送された魚介類をきれいに盛ってくれる。食べてみると妥当な値段と思える。さすがホテルだ。

かきのもと、越後もち豚

「新潟ではこの時期、みんなが食べるんですよ」食用菊のお浸しを器にたっぷり盛りつけながら教えてくれる。地元で殆どが消費されるそうだ。ヘルシーな酒の肴である。
日本酒はもちろん新潟の銘酒。無名の酒を飲みたいが、全国区になった有名な酒蔵のものが多い。客が求めるからか、営業上の戦略か。

村上牛

村上牛を食べるのは2回目。もっともこれまで食べたことがあるのは土産物屋で買ったレトルトカレーの肉。実質的に生まれて初めての経験と言っていい。高価なだけに多くが県外、特に東京に出荷されているそうだがあまり見たことがない。

勘定を払ってにこやかに青鹿さんに別れを告げた。既に入って来たアンテナショップのドアは閉ざされている。裏口に案内されたと思って出たのが実は正面玄関だった。料亭風で雰囲気がある。ここから入っていたらメニューの値段に意外感はなかっただろう。

料亭なら見送られているかと思って振り返った。予想に反して既に店員は店の中に消えていた。寒いから仕方ないか。


静香庵
東京都渋谷区神宮前4-11-7 NESPACE 1F
03-5771-8500

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2009年11月04日

[ほしくら](新宿歌舞伎町)

柔らかいチキン南蛮


東京にある郷土料理屋で一番多いのはどこだろうか。少なくともここ数年で最も増えたのは宮崎料理屋ではないか。衆院議員選挙で名を落としたとはいえ、東国原知事の影響力は絶大だ。宮崎県外にある店も、宮崎県に税金を納めてもいいのではないか。儲かっていればの話だけれど。

「鶏の唐揚げが滅茶苦茶柔らかいんですよ」と熱心に話すK氏と共に歌舞伎町に行った。カウンターの端、料理人の目の前に座る。「この店いつからあるの?」「もう5年になります」気がつかなかった。

お通し、刺三点盛1680 

宮崎地頭鳥が店の自慢。まずはレバー、砂肝、炙りの三点盛を頼んだ。髭の料理人が目の前で肉を切る。わさびをたっぷり皿に持って来て驚いたが、勘違いだった。枝豆をすり潰して胡麻油と塩で味付けしたもの。レバーをこれにつけて食べるとなかなかの出来。レバーだけでなく野菜類をつけても悪くない。いいアイデアだ。

宮崎地ビールを飲んだ後に日本酒を頼んだ。宮崎料理屋の定番は焼酎なので日本酒は1種類しかない。「純米?」と聞くと店員が料理人に伝言ゲーム。料理人が「純米です」と言うのでオーダーした。出てきたのは300ml瓶の生酒。醸造酒だった。

宮崎地鶏もも炭火焼

宮崎料理屋に連れて行かれるのは分かっていたが、歯医者の予約を入れてしまった。歯茎のメインテナンスをした後の宮崎名物に不安が一杯だった。思ったとおりもも焼きは固い。この店のもも焼きは特に固い。銀髪の歯茎が丈夫で助かった。「ちゃんと歯磨きできてますね」歯医者さんに褒められちゃったもんね。

チキン南蛮

K氏の言ったとおり唐揚げは柔らかい。おだてようと思っても料理人は目の前から消えて、入り口の所で手持ち無沙汰にしている。目の前に居れば銀髪のジョークが聞けて楽しいのに。我々の話を邪魔しないように気を遣ったのだろうか。

家に帰ってぐるなびを見ると、オープンしたばかりと書いてある。更新していないのか、料理人の間違いか。ウーン……… まあ、いいか。


ほしくら
東京都新宿区歌舞伎町1-8-4 ベル新宿1F
03-3202-2700
http://www.hoshikura.jp

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2009年10月20日

[宮崎食彩 王手門](新橋)

焼酎好きなら知らなきゃもぐり?


「今度3人で飲もうぜ!」お彼岸の墓参りの後に約束したのに時間が経つのは速い。長兄にメールをすると「今週はダメ」、次兄にメールすると「来週はダメ」。調整しているといつになるか分からないので、勝手に決めた。今週は次兄と二人で飲もう。

待ち合わせ場所はいつも機関車が見えるニュー新橋ビルの1階入り口。台風が来ようが猛暑だろうが快適だしわかりやすい。「遅れる」とメールをしてきたけれど、銀髪家の連中は時間に正確だ。特に店を決めていないがサラリーマンのオアシスである新橋で心配することはない。

お通し

新橋は郷土料理の店が多い。その中から宮崎料理の王手門を選んだ。有名な焼酎メーカー王手門の直営店らしい。ちゃんとしたお通しが出るのはいい店の証拠。しかし宮崎牛など食べたい料理は高いものが多い。

刺身、猪

素材は宮崎から直送されるそうだ。もちろん魚介類も。頼んだ鮪はキハダ、お奨めの炙りしめ鯖と盛り合わせてもらった。変り種は猪料理。炭火焼はやはり高いのでもつ煮でお茶を濁した。

地鶏の炭火焼

1軒目は兄に奢ってもらうつもりなので、なるだけ安い料理を選ぼうとした。しかし宮崎料理屋に来て看板の地鶏の炭火焼きは避けて通れない。これもちょっと高めに感じたが、いい地鶏を使っているのだろう。飲むのはもちろん自慢の焼酎。兄はロックで3杯、銀髪は氷なしの水割りで3杯飲んだ。

2次会で歌合戦。次兄は還暦間近だというのに若者の歌を高音で歌う。髭面は歌にそぐわないと思えるが滅法上手だ。しばらくして長兄が合流した。こちらは艶っぽく歌う夜の達人。大昔、この兄たちが成績を落とす度に、柔道、書道、バイオリンなどを習わされて自由を奪われた銀髪。恨み節でも披露したいところだが、今宵は笑い飛ばすことにした。


宮崎食彩 王手門
東京都港区新橋3-9-2 岡崎ビル2F
03-3433-2914


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2009年06月25日

[ラトリエ・デュ・グー](吉祥寺)

気取らずフレンチ風


「もう1年も経ったんですね」1周年のお祝いの札を見てシェフに声をかけた。1年前に覗いたとき、プリンスホテル料理長などからのお祝いの花が輝いていた。辛い修行は独立を果たして報われるものでもない。独立後が大変だ。シェフにとってはどのような1年だったのだろうか。

リエット、自家製ベーコン

「何を食べたらいいですか?」と聞いたら困った顔をされた。「酒の肴として少しずつ食べますか?それともしっかり食事をしますか?」と逆に質問される。もちろん酒の肴だ。

「全部すり潰してないのがいいですね」リエットは鶏肉の身が混ざって美味しい。自家製ベーコンも悪くない。上々の滑り出しである。

シェフはテーブル席に陣取る満員の客たち向けの料理を作るのに忙しい。女性ということを忘れさせるほどシェフの動きは堂々として風格がある。手順よく出来上がる料理を見ながら次に頼む料理を選んだ。

野菜のココット、岩中豚

返された質問の意味がよく分かった。メインに相当する料理は量がしっかりある。「フランス料理ですよね」と言うと「固執しない」と柔軟である。気取らず若い人も楽しめる料理がこの店の特徴である。

チーズ盛合せ

もっとワインを、赤ワインを飲み続けたい。5種類のチーズ盛合せが適当に思えた。どれも食べたことがあるようでも初めてのものばかり。チーズの名前はなかなか覚えられない。一段落ついたシェフと会話しながらチーズでワインを飲む。至高の時間だ。

勘定を始めた外国人が、友達を連れて来たいと予約の相談をしている。小さい店にもかかわらずシェフの他に若い女性店員が2人いる。そのうちの一人が戸惑うことなく英語で答えている。想像した以上に順調な1年だったようだ。

「あの鴨は美味しそうでしたね」シェフが作るのを涎を垂らして見ていたにもかかわらず、腹具合を考慮して今回はチーズを選んだ。後悔はしないが心残りではある。まあ、楽しみは次回に残しておこう。


ラトリエ・デュ・グー
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-9 ルミナス吉祥寺1F-B
0422-28-7907

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2009年06月12日

[むつ五郎](熊本)

熊本随一の馬肉いろいろ


5時を回ってまだ間もないので一番乗りである。カウンターの一番奥に座るように言われた。主人が目の前にいる一等席だが気難しそうなのでちょっと緊張する。メニューを見ると脳みそなど食べたことがない部位が豊富で驚く。

お通し、馬刺し

「馬刺しは1種類だよ」と言うので赤身かと思ったら、きれいな肉が出てきて安心した。悪くない。
ビールの後は米焼酎を飲むことにした。「水割り、氷なしで」と言うと「ロックにしたら」と勧める。「氷は溶けて味が変わるので水だけでいい」と譲らない銀髪。希望通りの焼酎水割りが出てきた。

内臓盛合せ(タン、レバー、コウネ、ハツ、大動脈)

主人が説明に詰まるとすかさず「コウネ」「大動脈」と銀髪がフォローする。大動脈まで当てられて意外そうな顔が愉快だ。

煮込み、脊髄、脳みそ

「好きなものを頼んでいいぞ!」と言われて部下が馬煮込みを頼む。「入れ歯でも噛み切れますよ」と主人が言うので「まだ入れ歯の歳じゃないですよ」とおどける。クリームシチューのようで美味い。「クリームや片栗粉を加えてないのに美味しい」と褒めちぎり主人の笑顔を引き出した。

脊髄は大阪で食べたことがあるが馬の脳みそは初めて。味付けが絶妙で何も言わずに出されたら脳みそとは思わないだろう。屠殺場で自らノコギリを使って脳や脊髄を取り出すというから大したものだ。熊本でもこれだけの部位を揃えている店はないだろう。

珍刺し、ルージュ

珍刺しはすぐに何のことか分かった。唇がルージュとは店に似合わず洒落た命名。「もっと美味しいものを食べたらいいのに」と主人が言うので、「店の人が言う台詞じゃないでしょう」と茶化す。珍は煮込んで煮こごりのようだ。ルージュは鯛の口のようにプルンとしている。「美味しいよ」と言うと主人が呆れた顔をする。

馬寿司、馬汁

最後は主人のお勧めに素直に従った。「一皿5個なんだけど、2人で喧嘩しないように6個にしといたよ」と親切だ。馬汁も予想以上に美味い。主人とすっかり打ち解けた。「変わったものばかり頼む妙な客と思ったでしょう?」と言うと、「もっと美味いものを勧めても、こっちの言うことなんか聞かないと分かってたよ」と銀髪をけなす。焼酎の飲み方のやりとりで悟ったに違いない。

創業から35年、奥さんが料理を運び、2代目がカウンターの中央に陣取る。「息子さんいい男だね」と言うと、「俺に似て良かったよ」と主人が笑う。銀髪はもっと大きく口を開け、のけぞって笑ってやった。

イヤー、実に楽しかった!


むつ五郎
熊本県熊本市花畑町12-11 熊本グリーンホテル地下
090-356-6256
http://www.mutugoro.co.jp/

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2009年06月10日

[鳥ふじ]②(日本橋茅場町)

名古屋コーチン鍋


開店からもうすぐ2年。マスコミ等で度々取り上げられて、評判の高い店になった。銀髪が来て絶賛したのは1年半前で、久し振りの訪問である。2度目は名古屋コーチンの鍋を食べると決め、何度か再訪を試みたがタイミングが合わなかった。

「名古屋コーチンは火曜に入るので、今日で良かったです」と女将に言われてホッとした。今回はぴったりとタイミングが合った。

つくね、きゅうり、刺身三種

コースには刺身も入っており、とてもフレッシュで美味しい。連れに「彼女が女将だよ」と言って驚くのを楽しむ。「よく従業員と間違われるんですよ」と笑う女将は1年半前と変わらず若々しいが、余裕が出てきたように感じる。

手羽元、首肉

「熱いけど手で持って食べてください」明るい声で勧めてくれる。「三羽分の首肉を使っています」と言われて感心する。噛むほどに味が染み出してくる。

竜田揚げ、焼き霜

「イヤー美味しいですねー」と連れが褒めるので気分がいい。コースには入っていない鳥の焼き霜を追加してやった。焼いた後、冷凍庫で冷やすため時間がかかるが、再び褒め言葉を聞けるのは間違いない。

「切れ目がぱっくり開いて浮き上がってきます。箸でつまんで弾力が出てきたら食べ頃です」女将がお手本を見せてくれる。二切れ目からは自分たちでやる。鍋の中の鳥肉をこれほど見詰めるのは初めてだ。食べ頃を逃さないように真剣勝負。うまいうまい。

刺身でも食べられる内臓類もうまい。最後につくねを鍋に入れ、火が通ったところで野菜を加える。雑炊には人気の親子丼にも使われる日本一のこだわり卵が入る。
「ここは焼鳥屋と言ってはダメですね。鳥割烹と言うべきです」と連れがいいことを言う。ほぼ一杯になった店内を見るとますます気分がいい。常連さん気分になっている自分がおかしい。「いつもありがとうございます」と女将に笑顔で見送られるとちょっと面映い。今日で2回目なのである。

「近い内にまた来ますよ!」と言ったものの、新規開拓に明け暮れる銀髪にとっては約束が守れるかどうか辛いところだ。


鳥ふじ
東京都中央区日本橋茅場町3-4-6 本橋ビル2F
03-3249-6118
http://www.torifuji.net

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2009年05月15日

[熊吉](渋谷)

出色の熊本郷土料理


渋谷駅から文化村通りを歩き、東急百貨店本店の辺りから1本東側の裏道を行くと、小さいが雰囲気のある店が並ぶ。目的を変えようかと迷いながら進んでいたら、目指す熊吉の店の前に来た。幸い予約なしでもすんなり席を確保できた。テーブルの間隔が広くゆったりとして落ち着いた感じの店だ。

馬刺盛合せ

熊本郷土料理屋ならば馬刺しは外せない。極上霜降肉、赤身、フタエゴ、たてがみの4種盛りは見た目が美しいだけでなく、実に美味い。一切れの厚さ大きさがちょうど良くて、東京で食べた馬刺しの中ではトップクラス。他の店の誘惑に負けずに辿り着いてよかった。

辛子蓮根、阿蘇の山サラダ

自家製の辛子蓮根からは白い湯気がほんのり上がっている。これがとてもいい。東京人にとっては、熊本で買うものより美味く感じるかもしれない。

今日は迷ってばかりだ。馬肉尽くしにしたかったけれど、熊本の地鶏・天草大王も試してみたい。溶岩焼きの文句がグッと来る。

天草大王の溶岩焼き

持ってきた店員が言ったとおり、茄子など生の野菜もすぐに焼けた。それを見て早く気付くべきだったと後悔した。鶏肉はさっさと食べてしまうか、一度皿に移して温めながら食べるべきだった。熱い溶岩プレートの上でジューシーさを失い固くなってしまった。

溶岩焼きの失敗があっても熊吉はいい店だった。駅からかなり歩いても再訪したい店である。馬レバーの刺し身や馬肉ステーキなど食べ損なったものも多い。鶏肉の刺し身など他にも魅力的なメニューがある。

勘定を払い、靴を履いたところで「東京で食べた辛子蓮根では一番美味しかったよ!」と店員に言ったら嬉しそうに笑った。


郷土料理 熊吉
東京都渋谷区宇田川町41-28
03-3463-0050

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2009年04月02日

[いずみ田](日本橋)

東京でも食べられる博多の味


「住所は分かっているので、後から追いかけます」と言った部下がなかなかやって来ない。いずみ田は大きな看板を掲げていないので、万豚紀のある建物の3階と知っていなければ店を探すのは難しい。携帯電話をかけて町をさまよう部下を助け出した。

メニュー、お通し

「コース料理がお得ですよ」と言われたが、即座に断った。鍋を5人前は多過ぎるし、博多の料理なら店員の力を借りずともオーダーできる。壁にかけられたメニューも分かりやすい。

ゴマサバ、磯辺巻き、美人クルビ

看板メニューの3品。博多に来たらならゴマサバは外せない。ゴマサバも磯辺巻きもイメージしたものと違ったが、悪くない。クルビは韓国語でイシモチのことらしい。博多通が韓国通の人に教えられた。

もつ煮込み、ホタルイカのカリカリ揚げ、菜の花と桜えびの天ぷら

今月のNew Menu Rankingのトップ3には春に相応しくホタルイカと菜の花が入った。味よりも季節感重視かな。

酢モツ、いわし明太香草焼、鍋の具

博多もつ鍋屋に定番の酢モツ。明太子を腹に詰めたイワシ。料理が来る度に解説をする銀髪に、嫌な顔一つしないで聞いてくれる大先輩たち。宴は進む。

慶州鍋

慶州は昔の新羅にあたるという。新羅、高句麗、百済と並べれば、学生時代を思い出す人も多いだろう。韓国と日本の味噌をブレンドしたピリ辛のスープが美味しい鍋だった。

勘定を払って店を出る時に店長の伊藤さんが挨拶に来てくれた。メニューのボードも彼の筆による。立派なものだ。博多に3店舗あり、日本橋店は中目黒に次いで東京進出2店舗目。見つけにくい店だからフラッと入ってくる客はいないにもかかわらず、いつも満席状態の人気店になっているようだ。


博多 いずみ田
東京都中央区日本橋室町1-11-13
03-3274-3955
http://izumida-hakata.jp/

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2009年01月27日

[薩摩八郎](新宿)

大阪発の九州郷土料理


新宿東口を出て区役所通りに行く途中に昨年11月、変わった店が出現した。外から見ると店内にいくつもの大きな樽が据えられている。その一つ一つが個室になっているようだ。気になっていた店にようやく入ることが出来た。

「3階へどうぞ!」苦労して急な階段を上ったにもかかわらず、細かく区切った半個室にをあてがわれた。樽の中で飲みたかったのに、まんまとしてやられた。これなら普通の居酒屋と変わらない。

薩摩地鶏備長炙り焼き、黒豚餃子

地鶏炙り焼きは東国原宮崎県知事の専売特許と思っていた。出てきた料理とメニューの写真と比べるとちょっと貧弱だ。黒豚に惹かれて頼んだ餃子もまあこんなものだろう。樽の個室に入れなかったショックがまだ尾を引いている。

たたき、さつま揚げ

薩摩の店名からして予想したとおり日本酒はないに等しい。焼酎はこの種の店としては普通の品揃え。梅酒は10種類あり、女性には喜ばれそうだ。もっとも、最近では焼酎をガンガン飲む若い女性も増えてきた。意外と梅酒を好むのは男だったりして。

肝のレア焼き、豚バラ

肝は「新鮮だからできるこの一品」と書かれたメニューにだまされた。ミディアムとウェルダンの間ぐらいでちっともレアではない。それでも1本130円なら悪くはない。

料理を持ってきても空いたグラスや皿はこちらが言わなければ持って行かない。飲食店でアルバイトしている娘が見たら怒るだろう。小さなテーブルに料理を置く場所を作るのは客の責任である。

料理やサービスに不満タラタラだった銀髪が勘定場から笑いながら戻ってくるのを見て連れが不思議がった。笑ったのは勘定をしてくれた若者が笑顔で「おおきにー」と言ったからだ。九州郷土料理屋にはそぐわない方言が可笑しかった。本店が大阪梅田と聞いて納得した。

「???」あれっ? 「おおきに」って大阪弁だっけ?

がぶ呑み居酒屋 薩摩八郎 新宿店
東京都新宿区新宿3-20-3 ニューサンパークビル別館
03-5361-8400

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2008年12月18日

[祢保希ねぼけ](銀座)

冬はふぐより美味しい(?)クエ鍋

土佐料理の祢保希は赤坂店、渋谷店に行ったことがある。場所は違っても馴染みの店のような安心感がある。料理の選択肢は多いが、冬のお奨めはあら料理だろう。本場の福岡などで何度も食べてきたあら(クエ)も、祢保希では初めての挑戦だった。予約時にはコースではなくクエ鍋だけを頼んでおいた。

お通し、刺身

土佐料理の店らしく、お通しはかつおの佃煮。クエの刺身はコースには入っていない。味見程度で充分なので半人前を頼んだ。白身もいいが、皮のところが面白い。

うつぼのたたき、どろめ

土佐料理と言えばかつおのたたきだが、甘酸っぱいかつおは好きではない。かつおを避けてうつぼにした。こちらも代表的な土佐料理である。高知で食べたうつぼより遥かに美味しかった。脂なのかコラーゲンなのかトロリとして品がいい。どろめ(かたくちいわしの稚魚)はいつも外れがない。

クエ鍋

長崎五島列島で捕れた体長1メートル以上、20kg級のクエというだけあって身が厚い。2人前をぺろりと食べてしまい。クエと野菜を追加注文した。仲居さんに「コラーゲンタップリの皮に近いところを持ってきてよ」と冗談半分、本気半分でお願いした。「他のお客様もあるので無理ですよ」と否定しながらも、出てきたクエは要求したもの。大いに感謝した。コラーゲンでお肌に艶が出たようだ。男だってきれいな肌の方がいい。

最後は雑炊。クエのだしがしっかり出ている。ふぐより美味いと言う人も多いが、ふぐに比べると脂が多く、少し魚臭さが残る。好き好きだろう。

クエは捕獲技術が進んだお陰で、深海魚にもかかわらず生簀で飼えるようになった。輸送技術の進歩も大きく、東京に居ながら祢保希で常時クエを食べられるのが嬉しい。但し、クエ鍋目当ての客は多く、予約がなかなかとれないのでご注意を。早めの予約が望ましい。

祢保希(ねぼけ)
東京都中央区銀座7-6-8 西五番町通り
03-3572-9640

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2008年12月13日

[西海](神田)

ちゃんぽんも美味しいが、おばちゃんのさりげない気遣いもいい


運転免許の更新を終えて神田駅に向かいブラブラ歩いた。蕎麦屋、とんかつ屋、定食屋、どこに入るか迷うだけで決まらないでいたら、目の前に長崎料理屋が現れた。即決した。どこに惹かれたのか分からない。

11時半なので客はまばら。「どこでもいいですよ」と言ってくれるのが嬉しい。混み合う時間帯まで間があっても、狭い席に押し込める店が多い中、寛容で客重視の姿勢は評価できる。それと比例するようにちゃんぽんは美味しかった。カメラを持っていないのを悔やんだ。

カメラをポケットに入れて再訪した。12時に近いせいか、応対したおばちゃんが違ったためか、今度はカウンターに導かれた。目の前で料理人が麺を丸めては重さを量っている。足すときもあれば、減らすときもある。珍しく一回で出来ても無表情なので褒めてあげようかと思ったが自重した。

心の中で褒めたりけなしたり、飽きずに料理人を見ていたら皿うどんがやってきた。お腹が空いていたせいか、スープがないためか、ちゃんぽんより量が少なく思えてしまった。味はもちろん悪くない。

3回目の訪問。初回と同様に自分の好きな席を選べた。遠くの席からも麺を丸める料理人が見える。今回はちゃんぽんにシュウマイを添えた。自家製と思われるラー油、胡椒、さらにMy唐辛子をちゃんぽんにぶち込んで大変満足した。

値段から想像した大きさではなかったが、評判どおりシュウマイは秀逸だった。これにはビールが合いそうだ。ゆで豚や餃子も美味しいらしいので、夜も悪くないだろう。

デートに向く感じはしないが、4人前後で飲み会をするにはいい店である。親しい仲間を引き連れて行きたいものだ。

長崎料理 西海
東京都千代田区内神田2-8-5 山口ビル1F
03-3254-4780

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2008年12月11日

[あらまさ](浅草)

久し振りのきりたんぽ鍋を銘酒の店で


部下の二人が知っている人が来たので「一緒に飲みに行かないか?」と誘ったら、「二人で行くように予約しているのでダメです」と冷たい。「二人追加すればいいだろう」と言ってようやく交渉が成立した。店に電話をさせたら、彼らの期待に反してあっさり受け容れられた。

大通りでタクシーを降り、ちょっと路地に入ったところにある居酒屋風の店。風格がある。左手のカウンターを横目に見ながら奥に進んだ座敷に通された。

お通し、んめえ、白子

「あらまさ」が新政のことだと酒飲みならばすぐに気がつくはずだ。燗酒が中心と思っていたが、冷酒もある。新政の専門店ならではの品揃えだ。白子を食べて酒を飲んで「んめえ」と言うと、店の人が満足そうに微笑む。

刺身盛合せ、大吟醸酒

部下の先輩がやっている店なので、基本的にお任せ。料理はもちろん、日本酒も「これがいいよ!」と言われたら素直に従うだけだ。

はたはた、カワハギの唐揚げ

銀座の稲庭うどんの佐藤養介で食べたはたはたは卵がコリコリしていたが、こちらはネットリ。カワハギのあらの唐揚げとは珍しいと思ったら、主人のサービスだった。メニューにない料理なので有り難味がある。

きりたんぽ鍋、稲庭うどん

余った野菜を放り込んだかのような鍋。比内鶏でダシを取った本格派で味も濃い。グルメ紀行では初めてのきりたんぽ鍋で、店で食べるのも遥か昔で覚えていない。近い内に他の店のものと比較してみたくなった。

最後は稲庭うどん。冷やして食べることが多い稲庭うどんだが、タップリだしが出た熱々のスープで食べるのも悪くない。

それにしても日本酒をちょっと飲みすぎた。男4人で鍋を囲めば量が増えてしまう。浅草では馴染みの店もないので、いつものように2軒目には行かずに解散した。結果的には酒はほどほど、睡眠時間も減らずメデタシ、メデタシだった。


郷土料理 あらまさ
東京都台東区西浅草2-12-8 
03-3844-4008 
http://www.asakusa-aramasa.com/

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2008年10月08日

[佐藤養助](銀座)

稲庭うどんだけじゃない、秋田郷土料理の店


銀座の名店「出井」が閉店してからしばらく経つ。夜の数奇屋通りを歩くたびにいつか行きたいと思っていたが、永遠にかなわない望みになってしまった。代わりに開店したのが1860年創業、稲庭うどんの老舗「佐藤養助」である。もともとはうどん製造会社だが、秋田県内に7店舗、福岡に1店舗、そして9番目に遅まきながら銀座に飲食店を開いた。出井に勝るとも劣らないネームバリューである。

お通し、じゅん菜

昔からの友人である起業家を誘った。誰もが羨むような大企業を辞め、ベンチャー企業に身を投じ、満を持して起業した。久し振りに会ったこともあり、彼は食事に集中できずに苦労話に熱中している。うどんを揚げたお通しは珍しくていかにも佐藤養助らしいのに、あまり関心を示さない。

はたはた

随分高いはたはたと思ったら、最近食べた中では特筆ものの立派なはたはただった。特に卵がプチプチとして食べ辛いほどだ。もっとも、卵自体それほど美味しいとは思わないので、銀髪には脂が乗った安いオスで充分だと思う。

比内地鶏

稲庭うどんばかりが頭にあったせいで、他の秋田名物のことを忘れていた。はたはたの他に比内地鶏、そしてきりたんぽ鍋など名物は多い。冬にはきりたんぽ鍋を食べにきたいものだ。

稲庭うどん

他に食べたい料理もたくさんあったが、看板料理を食べなければ帰れない。たくさん日本酒を飲んだ後でも稲庭うどんならつるつるっと入ってしまう。2種類のたれや薬味で味を変えながら楽しめた。〆のつもりが酒の肴にもなるから困ってしまう。予定量を超えてしまった。

佐藤養助の地下と向かいに行きつけのクラブがある。二人で一升近く飲めば制御が効かない。また来たい店だが、数奇屋通りはちょっと危険だ。

銀座 佐藤養助 
東京都中央区銀座6-4-17 出井本館1F
03-6215-6211
http://www.sato-yoske.co.jp

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2008年09月16日

[そのまんま](新橋)

宮崎料理ではありません。土佐料理ですよ


機関車広場から電話した。「今晩、二人開いてますか?」「大丈夫よー」「それじゃー5分で行きます」「エッ?ワッハッハッ!」楽しい食事は約束されたようなものだ。狭い階段を3階まで上る。ドアを押すとガシッと留め金に引っかかって開かない。「アレッ?」と言ったところで女将が飛んできた。手伝いの子が来るまでは物騒なので鍵をしているそうだ。常連さんはドアの横の呼び鈴を鳴らす。

奥のテーブルに座るように言われた。既に炭火の用意がしてある。使うのは土佐炭。連れが目ざとく壁の張り紙を見つけ「お母さん、この店のルールを説明してよ」と調子がいい。基本的にお任せ。その日に空輸されてきた素材次第でメニューは変わる。

かつおのあら、心臓とハラス

お通しと言うには大きな皿が出てきて驚いたが、よく見ればあら。骨から身をはずして食べ終わる頃に赤身が出て来た。「パイ」と聞こえたので思わず「オッパイなの?」と言って笑われた。かつおにオッパイがあるはずがない。心臓のこと。鮮度抜群できれいな心臓を生で食べる。魚とは思えぬしっかりした食感。生が苦手な人はハラスと一緒に焼いて食べてもいい。塩は甘味のある土佐塩。

ガザミ(渡り蟹)、かつおの刺身

ハラスが焼きあがるまでの間、ガザミと分厚いかつおの刺身を食べる。ハラスの表面で脂が弾けてきたら食べごろである。続いていかを焼く。何度もタレをつけてひっくり返すので香ばしい。銀髪がいれば相手は食べるだけ。楽チンである。

ハラス焼き、イカ焼き

「四万十川の天然鮎と鯨の鍋とどっちがええ?」と女将が問いかける。これからが相談タイムだ。「鮎は近くの鮎正でたくさん食べたからなー」と言うと鯨を熱心に奨める。「ゴンドウクジラ?」「ミンクよ」「じゃー南氷洋だね」「そうです」。「それじゃあ、せっかくだから鮎にしよう」と言うと女将がずっこけた。「さんざん鯨を説明させて鮎かい?」と言う。高知沖で獲れるゴンドウクジラなら興味があるが、四万十の鮎の方が魅力的だ。鯨は鮎の季節が終ってからにしよう。


「匂いをかいでごらん?」女将が自慢気に鮎を差し出した。西瓜のような爽やかな甘い匂いがする。四万十川の新鮮な天然鮎を食べるのも初めてなら、匂いをかぐのも初めてだ。

しばし鮎談義。化粧塩をして、焼き始めた。丁寧に焼く銀髪の手つきを見て、女将は安心して他のテーブルに行った。それからは鯨の鍋を食べる隣の常連さんにつきっきりになった。かなり盛り上がっている。

うつぼ、鮎の骨

うつぼを初めて食べて連れが感激する。ワタがついた鮎の骨を再度炭火で炙った。もちろん連れの骨も炙らせた。柔軟な発想を持つ男だが、食い物に関しては保守的である。まあ、銀髪が変わっているのだけれど。
「ワー、美味しそうやねー」と女将も満面の笑みだ。苦味のあるワタが美味かった。

生ビール2杯、高知の地酒「慎太郎」を6杯飲んで二人で約2万円。これからもずく蟹など秋の食材が空輸されてくる。冬も楽しみだ。常連になりたい店である。

鮮活処 土佐料理 そのまんま
東京都港区新橋4-18-4 新橋太陽ビル3階
03-3434-1414

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2008年08月08日

[地鶏ばやし](新宿歌舞伎町)

意外と良かった宮崎料理の店


50歳を超えるとあちこちにガタが来る。歯を自慢しているうちにケアを怠った歯茎から病んでいった。今日の治療は辛かった。歯医者での苦行を乗り越えて、グルメ紀行のために夜の街に出る自分を褒めたい気分だった。

新宿歌舞伎町、宮崎料理の看板に釣られた。東国原知事による宣伝効果は既になくなってしまったようだ。ブームが去るのを待っていた銀髪のような連中は僅かしかいない。7時を過ぎているのに店は閑散としている。料理人とその奥さんと言ってもおかしくない年齢の女性と2人で切り盛りしているのを見れば、彼らが想定する客数も容易に推測できた。

白レバ刺し、鶏わさ3種盛り

メニューにある料理の種類は多くない。掲示板の本日のお奨めを足しても数は大きく増えることはない。もっとも、一人で食べられる数は限られているので数を競っても仕方がない。
美味しい白レバの刺身があるだけでかなり満足感は高い。

骨付もも焼き

店の看板料理でもある宮崎名物地鶏の網焼きを食べたが、これには参った。食べる度に歯にかかるプレッシャーを受け止めることが出来ずに治療したばかりの歯茎が悲鳴をあげる。ところがこちらの意に反して相方が「上手い!」と賞賛するのに驚いた。そう言われて味わうと確かに相方が正しい。宮崎地鶏の特徴は歯応えと黒く煤けた炭の香り。噛む場所を選びながら美味しく食べ尽くした。

冷汁

宮崎料理のもう一つの代表格・冷汁は初挑戦。「魚だしと麦みそベースのさっぱりした汁」と謳い文句どおりのお味。これを白いご飯の上にぶっかけて食べる。夜は液体になった米以外は口にしないと決めている銀髪でも、酒の肴の感覚で食べられるのがいい。
歯医者に行った後は絶対お奨めの料理である。

思ったよりいい店だった。満席になったとき対応できるか心配ではあるが、メニューの種類を制限するなど経験を活かしている風にも思える。
繁昌するよう頑張れと応援しつつ、それなりに空いていて欲しいとも思う。我ながら客というのは勝手である。


地鶏ばやし
東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿2F
03-3232-1029

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2008年07月04日

[くにさだ](広島)

酒にもこだわる郷土料理の店


適当に店の印をつけた地図を片手に歩いたら風俗店が集まる一画に迷い込んだ。早い時間のためか呼び込みに遮られることなく脱出できて、数分後には店に無事到着した。
入ってすぐ左にカウンター、奥に個室がある。我々はもちろんカウンターに座った。

「口コミ情報の上位にあったので、東京からわざわざ来たんだよ」と言うと、店主たちは目を白黒させていた。驚いたのは「東京」ではなく「口コミ上位」の方らしい。インターネット社会に乗り遅れている店だ。「地物がいいですよね」とこれは「東京」からの反応。期待が持てそうだ。

「まず生ビール」と言うと「ハートランドとアサヒどちらにしますか?」と来た。「万人向けのアサヒだけでなく、麦芽だけで作った本物のビールを置いてあるのがいいね」と言うと「たまたまですよ」と謙遜する。

お通し、刺し盛り(たこ、さば、小いわし)

瀬戸内のたこ、小いわしは有名だが、鯖も生で食べるとは知らなかった。濃い目の醤油がよく合う。九州からでも取り寄せたのかと思ったら、店主自ら手を加えているとのこと。

打ち解けてきたら、店主も本心を語り出す。ハートランドは他所で飲んだ際に惚れて店に置くようにしたとのこと。小さな店に生ビールを2種類置くのだからたまたまのはずがない。冷酒も飲み切り用に店独自の小瓶を酒蔵に造ってもらっている。燗酒用の酒器も用意して入り口の看板で呼び込みをしている。これだけ酒にもこだわっている店が悪いわけがない。

おこぜ

生簀から取り出したオコゼのお造りも見事。胴体を失ったオコゼの口が獅子舞のようにパカパカ動く。肝、卵、皮、内臓などを食べたら残りを唐揚げにしてもらう。骨もヒレも全部バリバリと食べ尽くしてご機嫌だ。

穴子

瀬戸内名物の穴子も見逃せない。煮てふっくらとした身が美味しい。

早い時間だったので店主の国貞さんと女性店員と我々2人、ワイワイ、キャッキャッと騒いだ。イヤイヤ騒いだのは90%以上銀髪だったかもしれない。
最も賑やかな盛り場からはちょっとずれた所にある、決して立派な造りの店ではないが、料理も酒も満足できる高い水準だった。お見送りをしてもらって笑顔で店を出た。

さっき迷い込んだ界隈をチラッと見やると、灯りが輝きを増して我々を誘っている。しかし、「くにさだ」で得た楽しい気分の余韻を壊したくないので、このままホテルに帰って寝ることにした。
ホントだよ。


くにさだ
広島県広島市中区薬研堀7-2
082-249-0660

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2008年06月19日

[麹蔵](八重洲)

サービスを勉強しなきゃ


昨年11月にオープンした比較的新しい店に行った。先客の6人のグループが入り口でたむろしている。邪魔だと思ったら席に案内されるのを待っているようだ。客は殆ど入っていないのに待たされる不思議な光景だ。このとき踵を返すべきだった。

生ビール、ワイン

650円位する地ビールを頼んだ。口広のグラスを考慮すると半分近くが泡に思える。意地汚い酒呑みの機嫌は一気に悪化する。
8,000円ほどのシャブリを頼んだ。なんと既に栓を開けた瓶を持って来て、無造作にテーブルの上に置く。「冷やすのはないの?」と聞くと、ワインクーラーの用意はなく、代用品に氷水を入れて持って来た。
栓は乾いており、シャブリ特有の切れの良さが感じられない。目の前で開けていないので、何か違うワインを詰めてきたのではないかと疑われかねない。

平政の刺身2種、きびなご

ビールとワインで気分が落ち込んだ。何でもケチをつけたくなる。九州出身の銀髪はともかく、他の人は濃い甘口醤油が気に入らない。醤油は普通のものと2種類用意した方がいい。きびなごの酢味噌も評判が悪い。

辛子蓮根、フランス産ウズラの岩塩焼

自家製の辛子蓮根はフライにする変り種。店名の前にCHACOAL GRILLと書くだけあって、炭火焼には自信を持っているようだ。

さつまいもスティック、海老春巻

さつまいもをシナモンにつけて食べるのは思ったほど甘くなくて悪くない。海老春巻もまあまあ。居酒屋としては料理は許せるレベルにある。少し機嫌が直ってきて調子に乗った。フランス・シャラン産鴨焼と奄美焼きそば、更に鶏飯を一緒に頼んでしまった。

焼きそば、鶏飯

2品を置く場所を我々客がせっせと作った。鴨焼きの前にご飯が来るとは油断していた。冷めるといけないのでご飯に具を乗せ、鶏のスープをかけて食べ始めた頃に鴨がやってきた。鴨は酒の肴ではなくご飯のおかずと思われたようだ。

鴨焼き

再び血が頭に昇り始めた銀髪を横目に、連れのK氏はゆうゆうと先に鴨を食べ終える。急須に残ったスープを全部銀髪のお椀にぶちまけ、おかわりを店の女の子に持って来てもらう。新しく熱々のスープをご飯にかけてしてやったりの表情だ。まいりました。

地ビールに目がくらんだのが不味かった。泡が不快なら瓶ビールを頼めばいい。
気取って白ワインなんか頼む奴が悪い。焼酎を飲んでいれば嫌な思いをしなくても済む。
ご飯が先に来たと怒るのが間違っている。料理を出すタイミングなんか構ってくれるはずがないのだから、オーダーするタイミングをこちらが考えなければならない。

反省しながら、8時を過ぎてもガラガラの店を後にした。

奄美・鹿児島・沖縄料理 CHACOAL GRILL 麹蔵 八重洲一丁目店
東京都中央区八重洲1-3-7 八重洲ファーストフィナンシャルビルB1F
03-3510-3366
http://www.ramla.net/casual_restaurant/koujigura

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2008年04月10日

[いちゃりばえん](吉祥寺)

熱帯魚を食べたい!


吉祥寺にはイタリアンやエスニックなどの店が目立つ。リーズナブルで美味しい和食居酒屋もあるはずなので、探すことにした。
沖縄料理は想定外だった。通り過ぎようとしたところで、看板の文字に目が釘付けになった。アカマチ、クルキンマチ、イラブチャーの刺身とある。カラフルな魚体を思い浮かべて飛び込んでしまった。

アカマチ刺し、ジーマーミー豆腐

お奨めのアカマチは鯛に似てなかなか美味だった。鮮やかな体色が分かるように湯引きの刺身なのも良い。出来れば黄色やライトブルーの体色だったらもっと面白かったのにと客は勝手だ。
ピーナツで作った沖縄ジーマーミー豆腐も美味しかったが、刺身を食べて目的を達した気分になってしまった。

泡盛利き酒セット

再び気分を盛り上げてくれたのは泡盛利き酒セット。たいして期待もしなくて入った店だけど、驚いたことに200種類もの泡盛、焼酎があるという。長期熟成の高価な泡盛もある。
利き酒セットで飲み比べると値段の差がよくわかる。もちろん、まろやかで高価なものが一番ではない。野卑なものを好む人もいるだろう。自分が好きなものを飲めばいい。

フーチャンプルー、もずくとツナの天ぷら

麩を使ったチャンプルーも悪くなかった。もずくとツナの天ぷらもいい味だ。いい店だと思えてきた。

沖縄風生春巻き、紅芋ごま団子

豚肉の塩漬け入りの生春巻は隣のテーブルを盗み見て食べたくなった。ただし、上にかかったマヨネーズは抜いてもらった。
意外だったのがごま団子。てっきり中華風の餡子が入ったものと思っていたが、まったく別物で酒の肴にもなる。

駅からすぐの立地なのに料理屋密集地から外れているせいか、客の入りはよくなかった。
たまたま空いていたのかもしれない。若者で一杯になってもおかしくない店だと思った。


いちゃりばえん
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-6-3 吉祥寺東急インB1
0422-70-4877

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2008年02月12日

[ししくい](徳島)

阿波徳島で海女料理


ホテルを出てタクシーに乗り込み「南沖洲の…」と言ったら、運転手さんがすぐに「ししくいですか?」と応えた。驚いて「そうです」と言うと、向こうも驚いて「当たりですか?」と笑う。地図を見る限り徳島駅から車で10分以上離れた港の近くで、地元のサラリーマンがぶらりと訪れる店ではなさそうだ。

タクシーを降りて店を見ると、思ったよりきれいだ。暗闇に救われているのかもしれない。通された座敷のテーブルにはガスコンロが据えられている。部下が「海女さんが海女小屋で焼いて食べるイメージですね」と言う。なるほど、これが海女料理の意味のようだ。

地ビール、貝刺身三種盛り

コンテスト優勝の阿波うず潮ビールを飲みながらサザエ、アワビ、カキを食べる。徳島県南部にある宍喰町から直送の地元産が中心で、カキは鳴門産。鳴門のカキは初耳だったが、これが頗る美味い。
もっと感激したのが若布。鳴門産の若布が有名なことを初めて知った。刺身のつまのはずが、主役を取ってしまった。若布のお代わりを頼んだが、量がないと断られたのは残念だった。

踊り焼き、なまこ酢

うちわ海老が足をバタバタさせる。アワビがグルグル動く。ひおぎ貝がパカッと開く。動物愛護団体に訴えられそうな踊り焼きだ。焼けるまでなまこ酢で酒を飲む。刺身のアワビも良かったが、焼いた方が柔らかくてもっと美味かった。

うちわ海老刺身と焼き

茹でたうちわ海老は何度も食べたことがあるが刺身は初めての挑戦。悪くない。残った頭を焼いてもらったが、踊り焼きのものよりミソや卵が詰まって美味だった。

ウニ

今日のハイライトはウニ。殻付きを頼んだら、たらいに生きたウニが乗ってきた。針が元気良く動いている。殻付きウニは何度も自分で割って食べたことがあるが、これだけ元気に動いているウニは初めての経験。ペンチのような道具で割る作業を部下に任せた。
恐る恐るやるのでウニが逃げ回り上手に割れなかった。それでもスプーンですくって食べると滅茶苦茶美味い。普段ウニは嫌いと敬遠する部下が、もっと食べたいと言うので追加した。今度は銀髪が鮮やかに真っ二つに割った。自画自賛。

更に伊勢海老などを追加しようか迷ったが、腹に空白を残して場所を変えることにした。タクシーに乗り込み、「東大」と告げた。


海女料理 ししくい
徳島県徳島市南沖洲4丁目5番7-1
088-664-0990(4491)
http://sisikui.com/

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2008年01月29日

[匠](四谷三丁目)

新潟名物と、いい日本酒


地下鉄丸の内線、四谷三丁目駅1番出口を出て新宿方面に歩くと左側に匠がある。階段を下りドアを開けて指を2本立てると、カウンターの一番奥に案内された。
へぎそばを最後に食べると決めているので、軽めの酒の肴を頼むことにした。

のっぺ、氷頭なます

のっぺい汁のことかと思ったら、新潟郷土料理は汁がない。材料は角切りなのでお箸の使い方が下手な人も安心。ただし、なめこにだけは苦労させられるだろう。
氷頭は鮭の鼻先の軟骨のこと。北海道や東北の名物かと思ったら、新潟県の郷土料理でもあるそうだ。

栃尾のジャンボ油揚げ(ネギ味噌入り)

250年ほど前から新潟市栃尾に伝わる大きな油揚げ。ネギ、ネギ味噌、納豆、全部入りの4種がある。ボリュームがありそうだがお腹に溜まらずにいい。

いかのトンビ揚げ、冷奴

トンビはいかの口のこと。カラスとも言われるものだが、口がどれかみんな分かるかな?足の付け根のところにあり、いつも捨ててしまう。コリコリとしてなかなかの珍味。

へぎそば

新潟県魚沼地方発祥、つなぎに布海苔(ふのり)を使ったそばのこと。へぎ(片木)という器に盛り付けて出す。
ふのりは海苔というより糊として使われることが主だったが、偶然そばに混ざったら美味かったということらしい。山芋や小麦粉などのつなぎより、しっかりしてコシがある。
この店では若布も混ぜているとのこと。

写真は1.5人前。それでも多いとつぶやいたら店の女性に「ペロリと入っちゃいますよ」と言われた。実際そのとおり。

新潟は銘酒も多い。久保田、八海山、越乃影虎、〆張鶴など名の通ったものはもちろん、地酒も揃えてある。初めての雪譜(純米)、次に巻機(純米吟醸)を飲んだ。

落ち着いたいい感じの店だった。店員は男も女も品がよく快適だった。匠は15年ほど前に中目黒で開店、現在は四谷、六本木、渋谷道玄坂を加えて4店舗あるそうだ。

素朴な料理に美味い酒。なかなか良かった。



東京都新宿区四谷3-13 ミズキビルB1
03-3226-9205
http://www.takumi-hegisoba.net

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2008年01月17日

[馬ってん](新宿歌舞伎町)

新宿で食べる熊本郷土料理


明治通り、日清食品のある新宿6丁目の交差点でタクシーを降りた。いつもの道をいつになくゆっくり歩くと、足の動きに反比例していつもは固定されている首の筋肉が動く。左横、左上、正面、右横、右上と顔が向いたところで目が止まった。バッテンにひっかけてあることがすぐ分かる店名に惹かれた。

靴を脱いで好きなところに座ることを許された。聞けば開店してから1年以上経っているらしい。2階以上の店は飛び込みの客を得るのが難しい。早足で歩けば今日も見逃すところだった。熊本郷土料理といえばもちろん馬肉がメインとなる。

お通し、さくらソーセージ

明太子、馬タンの燻製、高菜が少量ずつ乗ったお通しでビールを飲む。馬肉のソーセージは珍しいが、昔は安物のソーセージは馬肉が中心だったことを忘れていた。

馬刺5種盛合せ、レバー刺し

たてがみ、フタエゴ、赤身、鞍下、大オビ(特選霜降)の盛合せと別にレバーを頼んだ。可愛い馬の絵を見ながら食べる。東京に馬刺しを出す店は多いが、レバーをはじめ色んな部位を食べさせる店は少ない。なかなか悪くない。

ビールの後は球磨焼酎。熊本にある28酒蔵の焼酎が勢揃いしている。27が熊本らしく米焼酎。芋焼酎全盛で米焼酎のことは忘れていた。久し振りに飲んだけれど、米焼酎の品質も確実に向上しているのが分かる。

馬焼5種類盛合せと火山焼き

ロース上ひも、上ばらヒモ、ヒレさがり、はらみ、特上フィレの5種類の馬肉や冷めてしまったソーセージを焼く。テーブルに組み込まれたガス台で焼くのかと思ったら、分厚い石のプレートが出てきた。阿蘇の溶岩を削って作ったもので実に面白い。油をひかずに肉を焼くので女性にも受けるだろう。

食べ終わって店主・杉本さんと話し込んだ。熊本出身、九州男児のイメージと異なり優しい感じの人だ。店の立地は良いとは言えず、しかも空中店ということで商売は難しいに違いない。知名度さえ上がれば人気店になる要素はたくさんある。次回は食べ損なった辛子蓮根や一文字のぐるぐるなどの郷土料理も試してみたいものだ。

火の国だいにんぐ 馬ってん
東京都新宿区歌舞伎町2-8-3 最上ビル2F
03-3202-0829

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2007年12月30日

[ちんとんしゃん](渋谷)

店員も客も若い沖縄料理・居酒屋


年末の渋谷はいつにも増して若者で一杯だ。予約もしないで席を得る無謀な試みは4軒目で報われた。カウンターに囲まれたキッチンの向こうに空いたテーブルが見えるが全て予約済み。唯一空いていた入り口すぐのカウンター席を何とか確保。メニューを見る間に何度もドアが開き寒風が流れ込んでくるが、その度に店員が満席を宣告するのを背中で心地よく聞いた。

黒砂糖空豆、豆腐よう、ミミンガー和え

ゴーヤチャンプルーを作る女性の素人っぽいフライパン捌きを見ながらビールを飲む。沖縄娘をイメージさせる格好をした数人の若い女性店員や豚の耳をつけた男性店員を見ているだけで笑みがこぼれる。客も店員も銀髪の子供の世代に近い。もちろん、銀髪がダントツに歳をとっている。

後から入ってきた男4人は、「〇〇さん、いらっしゃいましたー」の黄色い声に迎えられて悠然とテーブル席についた。予約客らしい。生ビールがいきわたると、今度は「お疲れ様でーす。かんぱーい!」と女性店員たちが盛り上げる。

ちんとんしゃんサラダ、富城そばのサラダ

今度は女性だけのテーブルにスポットがあたる。お誕生日特典なるサービス品が登場すると「かんぱーい、おめでとう!」と女性店員たちの甲高い声が店を覆う。
銀髪の誕生日をここでやったらどうなるか想像して、こみ上げてくる笑いをかみ殺した。

しばらくするとカウンターのカップルが歓声のターゲットとなる。高級レストランでなくとも幸せな誕生会がここにある。羨ましいと思うが、自分だったら照れ臭くて遠慮したい。

なんこつソーキの煮物

揚げた太麺そばも良かったが、豚軟骨のコリコリ感が楽しい煮物も良かった。予約客も全て揃い、厨房は超繁忙の様子。最後に頼んだデザートがなかなか来ないので勘定を先にしたが、お釣りをもらっても到着しない杏仁豆腐を断り席を立った。

店探しを諦めたのか、この店に絶対入りたいと思ったのか、2組が店内で席が空くのを待っている。安い店で長居するのは誰にも喜ばれない。最年長者の分別の見せ所である。
「お客様お帰りでーす!」の声に「ありがとうございましたー!」と全店員の声がこだまのように店内に広がった。

ちんとんしゃんは伊勢佐木町を本店にして数店舗あり、どの店も賑やかなようだ。静かな店が好きな人には向かないが、はにかみやさんでも気分を盛り上げてくれる。銀髪も結構楽しめた。変な白髪オヤジが居ると他の客には不思議がられたかもしれないが…

沖縄料理 ちんとんしゃん
東京都渋谷区道玄坂2-28-1 椎津ビルB1
03-3463-3085
http://chinshibuya.blog26.fc2.com/

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2007年11月18日

広島名物

空港で広島名物を食べた


広島県人に「もみじ饅頭は大丈夫ですかね?」と言ったら気色ばんだ。白い恋人たち、赤福など相次ぐお土産物屋の不祥事はまだ出てきそうだ。終電や、最終便の時間帯でも大量に積まれたお土産を見るたびに、売れ残りをどうするのだろうと疑問に思っていたが、最近の事件は見事に疑問を解いてくれた。しかし、真面目にやっている会社にとっては迷惑な話だ。

甘いものに興味がない銀髪にとっては、どんなに有名なものでも酒の肴以外は関係ない。空港のレストランに入って、酒盛りの肴は当然地物オンパレードとなった。

穴子酢

瀬戸内の穴子は有名だが、市内の老舗でも県外のものを使っているとの疑惑があるそうだ。疑りたくなるような代物ではある。

じゃこ天

お土産屋で買ってラウンジで食べればよかったと後悔した。鹿児島の飲食店でさつまあげを食べると、どこも揚げ立てが出てきて美味かった。鹿児島でも空港で食べたら不味いだろうか。

小いわし(カタクチイワシ)の天ぷら

いわしは刺身のほうが臭みがなくて美味しい。天ぷらを食べて思い出したが遅かった。それでも充分及第点だ。

カキフライ

やっぱりカキフライが一番だった。地元の新鮮な牡蠣ということもあるが、さすがに取り扱いに慣れているのだろう。

それにしてもどこの空港でもレストランの質はあまりよろしくない。旅の最後は美味しいものを食べて帰りたいのに、満足することは殆どない。なんとかカキフライに救われた広島空港だった。

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2007年03月19日

[たん良]④(赤坂)

今シーズンのスッポンもそろそろ終わり、春の献立も楽しい


先日京都の「たんたか」に行ったのにスッポンの丸なべを食べ損なった。もうじきスッポンもシーズンが終わるので、たん良に行くことにした。
店に入りカウンターに座るや否やたんたかの名を出した。大将、女将さんと共に大いに盛り上がった。待ち合わせのお客様が来るまでビールを頼むのすら忘れていた。

お通し、お造り

お造りはかつお、たい、ぐじ(甘鯛)。かつおは8キロもある大型のもの。銀髪にとっては初がつおだ。「たんたかでヨコワガツオというのが出たけれど、メジマグロだと思った」と言ったら大将は「そのとおりです」と言う。たんたかでは言下に否定されたが、京都人はメジマグロの名称に馴染みがないらしく、銀髪の言ったのが正しかったのだ。我が舌を自画自賛。

鯛の皮、もろこ

鯛の皮焼きはいつもながらピンと張って美しい。くるまらずにせんべいのように焼けるのが本当に不思議だ。
もろこは子持ち。腹にはパンパンに卵が詰まっていた。

みぞれ蒸し、蛤

吉野煮に良く似ているが、蛤、あさり、聖護院蕪などが入り、吉野葛でとろみをつけることはない。立派な蛤で実に美味い。この他に定番の蕪蒸しや鮒寿司を食べて、最期はお目当てのスッポンの丸なべ。

まる鍋

「いつまでやるんですか?」と聞いたら、「4月一杯まで出来ると思います」との返事。スッポンの終了日を決めるのは服部さんとのこと。どこの服部さんかというと浜松の服部中村養鼈(べつ)場のことで静岡県浜松市舞阪町で103年の養鼈の歴史を誇る。化学飼料、化学物質は一切使用せず、3年4年と冬眠を重ねてじっくり育てるそうだ。
ここが各料亭などへの供給時期や供給量を決める。年中供給されるのは京都のスッポン専門店「大市」だけ。この店は元禄年間に創業以来330年、スッポンのみを扱っている老舗中の老舗。京都百味會http://www.digistyle-kyoto.com/hyakumikai/hyakumikai.htmにも名を連ねている。

多分、今冬最後のまる鍋を楽しんで、京都の料理屋の情報も仕入れた。相変わらずの楽しい会話と確かな料理。いつ来ても満足するたん良であった。


たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914


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2007年02月20日

[とど](新宿)

新宿で食べる大分の味


九州の各県はおいしい名物をたくさん持っているが、大分県も捨てたものではない。関さば、関あじはブランド魚の先駆的な存在。大衆魚を高級魚に仕立て上げた戦略は見事。
大分は全国で唯一ふぐの肝が食べられることで有名だ。城下かれいも酒飲みなら誰もが知っている。意外と知られてないのがすっぽん。高級店では大分産が好んで使われる。

靖国通りと明治通りの交差点からすぐ、ビルの地下1階の店に入ると大衆的な雰囲気の店はほぼ一杯。いつものようにカウンターを希望したが、掘りごたつ式のテーブルが並ぶ座敷に行くように勧められた。メニューは座敷の壁に貼られており、カウンターからは見えないからだ。

お通し、りゅうきゅう

食のチャレンジャー・銀髪が最初に目をつけたのが「りゅうきゅう」。名前のとおり沖縄が発祥らしいが、およそ沖縄らしくない。しょうゆ、酒、小ねぎ、ごま、鶉の卵で味付けされた一品は博多のごま鯖に似ている。大分でも鯖を使うのが定番らしいが、今日はかんぱち。余った刺身を漬けて、翌日ご飯にかけたり、お茶漬けにしても美味しいそうだ。

自家製さつまあげ

女将の手嶋さんが絶対食べた方がいいと言うこの店一番の売り物がさつまあげ。炙って、生姜で食べさせる平凡なさつまあげをイメージしたのでちょっと引いたが、手嶋さんは頑強である。出てきた一皿を見て納得した。自家製と強調するだけはある。看板料理を持つ料理屋は、他の料理も悪かろうはずがない。

すっぽん網焼き、すっぽんスープ

絶品だと言われたすっぽん網焼きは噛んでも身がちぎれない。しかたなく全部口に放り込み、しゃぶり尽くす。酒の肴にいいが、見た目で食欲が左右される人には辛いかもしれない。

スープは期待以上のものだった。赤坂の「たん良」には及ぶべくもないが、すっぽんの良さが充分に味わえるお値打ち品だ。量もタップリなので、お腹一杯になり追加の品を頼むのは断念した。

勘定をしながら女将に熊本生まれだと告げたら、今度来たときには是非「だご汁」を食べてくれと言う。熊本のだご汁(だごじゅる)と若干違うようだ。同じかと思ってオーダーしなかった銀髪の気持ちを見透かしている。

手嶋女将さん、次回はだご汁を食べさせてもらいますよ。

とど
東京都新宿区5-17-14 三光町ビル地下1階
03-3208-9074

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2007年02月19日

[いち](池袋)

佐渡ヶ島直送食材の店に遂にいった。


他人のブログを読むのも楽しい。特にプロの料理人のブログが勉強になっていい。その中の一つが「いち」の主人、菊池市春さんのものだ。佐渡ヶ島の魚を紹介してくれるので、いつも興味津々で見ていたが池袋に行く機会が少ないため指をくわえるばかりで日が過ぎていた。

予約の電話で「銀髪です」と告げるとすぐに反応してくれた。菊池さんのブログにコメントを入れたのを覚えていてくれたようだ。池袋西口から丸井を越えて2つ目の道を左折してすぐ、左手のビルに「いち」を見つけた。店に入るとカウンターに直行する。カウンターの向こうに大将の笑顔が見える。HPで見るよりもほっそりとしている。「いつも読ませてもらっていますよ」の言葉だけで、旧知の関係になった。ブログはありがたい。

銀髪「佐渡の魚をお願いします」、主人「全部佐渡のものですよ」。馬鹿なことを言ったと後悔した。「それでは今日のお奨めを」何品か選んでもらった。

お通し、皮はぎの刺し身、石カレイの親子和え

皮はぎの1口目は身だけ、2口目は肝だけ、3口目は身に肝を添えて食べた。石カレイはブログ仲間へのサービス。連れが醤油が美味いと騒ぐと、主人の顔がほころぶ。醤油も佐渡産で一番高いものを取り寄せているそうで、これが佐渡の魚を引き立てる。

真たら刺し、白子刺し

たらの刺身は多分初めて。柔らかい身の印象が強いが、意外と弾力があり甘い。86㎝のいい型のたらだという。この腹のものか、新鮮な白子もわさび醤油で。白子の生は富山に行ったときにポン酢で食べたが、わさび醤油で食べてもなかなかのものだった。

アラハチメ刺し、ほうぼうの唐揚げ

「アラハチメはムラソイのことです」と言われても何のことかさっぱり分からない。魚の図鑑を見せてくれた。他の居酒屋定番のマグロ、いか、鯛などではなく、佐渡で獲れるものばかりなので、どれを頼んでも面白い。
刺身以外のものを食べようということになり、選んだのはほうぼうの唐揚げ。

入店のとき「今日の予約は一組だけなんで、銀髪さんのお相手がゆっくりできます」と笑顔で言ってくれたけど、いつの間にかほぼ満席に。料理人は主人1人なのでてんてこ舞いの状況になってしまった。そこでオーダー済みの梅きゅうを待って、店を出ることにした。

素材の持ち味を活かして、余分な手はあまり加えず提供してくれる店。次に行くときには違った魚が待っていてくれるだろう。

酒ももちろん佐渡の酒。その話は次回行った時に話しましょう。

酒食処 いち
東京都豊島区西池袋3-29-11
03-3986-2228
http://www.d6.dion.ne.jp/~ichi_k


おすすめメニューです


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2007年02月16日

[世界の山ちゃん](新宿)

わざわざ名古屋に行く必要もなくなった?


2004年の誕生日に名古屋に一泊出張、部下が一軒目に焼き鳥屋でお祝いをしてくれたが、2軒目に選んだのが山ちゃんだった。1997年11月に名古屋駐在をしていた兄にご馳走になった手羽餃子の印象が強く残っているせいか、名古屋に来たら手羽を食べなければいけないような気分になる。

山ちゃんは21年前に名古屋に創業して、今は全国に50店舗近く展開している。新宿を歩いていたら「世界の山ちゃん」の看板を見つけた。東京にも10店あり、その内半分が新宿だ。遊び心が湧いて覗いたら200席以上の大型店なのに満員で断念。今回2度目の挑戦で無事入店できた。

ホッピー、手羽先、土手煮

プレミアムモルツ中瓶(441円)の後に黒ホッピーセット(472円)を頼んだ。山ちゃんのラベルが貼ってある。名物・幻の手羽先(399円)は胡椒が効いており、初めて食べる連れも喜んだ。どて煮(409円)も名古屋の味を知るには欠かせない。

とり皮餃子、みそ串かつ、揚げだし豆腐

手羽餃子は名古屋だけでなく東京の他店でも食べたことがあるが、とり皮餃子(430円)は初めて。美味い美味い。みそ串カツ(399円)はまぁこんなもんかな。名古屋名物だけでなく揚げだし豆腐(409円)など、メニューは豊富である。

スープ、天むす

再び名古屋の味に戻って、コーチン団子スープ(336円)、エビ天むす(315円)を頼んだ。スープに至るまで料理はスピード感豊かに出てきたが、天むすは遅いので催促した。出てきた天むすの天ぷらは揚げ立て、ご飯もホカホカだった。これまで冷めた天むすしか食べたことがなかったのでちょっと驚いた。これなら時間がかかっても許せる。柔らかく握られたおむすびは美味だった。握った人は熱かっただろうなー

ホッピーの追加焼酎157円、冷酒・銀嶺立山472円を含めて2人で4,660円。安かろう悪かろうでないのが良かった。店内は圧倒的に学生など若者が多かったが、銀髪より年長者のグループもそれなりにいた。

昼飯に毛が生えたような値段で楽しめる飲み会。「世界の」は大袈裟だが、「日本の」をつけても許してあげたい山ちゃんだった。

世界の山ちゃん 新宿靖国通り店
東京都新宿区新宿5-17-11 白鳳ビルB2F
03-5272-3555
http://www.yamachan.co.jp/index.html

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2007年01月04日

[瓢六天草] &[馬桜](熊本)

馬刺しの競演


昨年12月30日に掲載した熊本での結婚式、その日はすんなり終わらなかった。新郎新婦とその友人たちの2次会に出るほど野暮じゃないので、別行動をすることにしてホテル近くのスナックに行った。ところがわが社の連中は銀髪に倣ったのか食いしん坊である。
お腹一杯かと思ったら、近くの店から出前を取ると言う。店の人が電話したのは「瓢六天草である」。瓢六と天草の2店の名前が合わさって割り箸の袋に書いてあった。

馬刺し盛り合わせ①

白いのがコウネ(タテガミ)、赤身とレバーの3種類の刺身が届けられた。目の前に出てくると食べてしまうから不思議だ。辛子蓮根もあったが、青柳と同様にそれほど辛くはなかった。
比較的気軽な店ということだったので、次回は店に行こうと思った。出前で料理を判断するのは酷な話だ。

皆が一通り歌い終わると1人がラーメンを食べに行こうと言い出した。スナックの女性のオススメに向かって歩き出したが、部下二人の足が遅い。フリーペーパーに載っている馬のモツを食べさせる店に行こうと話し合っている。土地勘もないのに、フリーペーパーの店を探すのは無謀だ。宣伝に釣られて行っても後悔するだけだと諭して、目の前にある「馬桜」に偵察に行かせた。そこで彼らの希望のものが食べられるらしいことが分かった。フリーペーパーより自分の目や勘の方が確かである。

馬刺し盛り合わせ②

先ほどのスナックで食べなかったものを4種類頼んだ。右上から時計回りにタン、ネッコ(大動脈)、心臓、フタエゴ(内ばら肉)。部下二人とも初めて食べるものが多く満足したようだ。

馬焼き

そして馬の焼き物。上さがり(ハラミ)と上ホルモンを焼いた。肉は生もいいがさすがに飽きる。新鮮な肉を焼いたらまったく別の食べ物・味になる。
ビールを飲み、酒を飲み、再びビールになった。話も進むうちにビールを度々追加する。

翌日2人は青い顔をして起きてきた。お酒はほどほどに。

瓢六天草
熊本県熊本市銀杏通り光視堂ビル1階
096-353-0311

馬桜
熊本県熊本市下通1-12
096-355-8388


馬桜の料理代金
上タン刺し 1200円
フタエゴ刺し 980円
心臓刺し 700円
ネッコ刺し 900円
上ホルモン焼き 980円
上さがり 1200円

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2006年12月29日

[青柳](熊本)

熊本で懐かしの味を

部下の結婚披露宴に出席するために熊本へ行くことになった。披露宴は夕方からだが仲間より早い早朝の便で羽田を飛び立った。昼飯を熊本で食べようと思ったのだ。披露宴の料理は中華と聞いているので、この昼を逃すとせっかくの熊本を楽しめないと思った。

ところが下調べをする時間がなく思案しながら熊本市に向かうバスに乗ると、座席前のネットに観光客向けの冊子を見つけた。宣伝用の冊子で何度も痛い目に合ったが、昼飯だから我慢しようと思って決めたのが青柳だった。ビール一杯のサービスに釣られてしまった。

行ってみると割と大きな店だ。中に入ると女将と孫(?)のコンビが迎えてくれた。まだ片手の歳にも満たないような孫が店を走り回る。店構えに比べると意外に気楽な店だ。1人なので奥の鮨カウンターに通された。左の生簀に泳いでいるイカや寿司ネタにそそられないわけではないが、郷土料理にこだわることにした。

肥後盛(1,600円)

馬刺し(左から肝、たてがみ、霜降り)と盛り合わせ(辛子蓮根、ずいき、人文字のぐるぐる、桜納豆)。

自家製辛子蓮根は辛くなくむしろ甘い。人文字(一文字)のぐるぐるとは小ネギを茹でて白根の部分に青葉をぐるぐる巻きつけて辛子酢味噌で食べる。馬刺しに納豆を絡める桜納豆はこの店が発祥だとのこと。

団子汁

実はこの店のメニューで一番食べたかったのがこの料理。団子汁と書いて「だごじゅる」と発音する。小さい頃、我が家の食卓に頻繁に登場した料理だ。だごじゅるとけんちん汁が2大汁物だと記憶するが、銀髪はだごじゅるの方が好きだった。いわゆるすいとんだが、翌朝とろみがついて濁ってしまった汁がとても美味しかった。
兄も帰省すると必ず欲したお袋の味だが、もう遥か昔に食べたきりだ。

青柳の団子汁は品が良かった。もちろんとろみなど望むべくもない。思いでの味を楽しむつもりが、思い出の味のイメージが混乱してしまった。
久し振りにお袋にお願いしようと思わずにはいられなかった。


青柳
熊本県熊本市下通1-2-10
096-353-0311

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2006年12月22日

[たまゆら](京都)

底冷えのする京都を歩いた

「富士の高嶺に降る雪も 京都ぽんと町に降る雪も 雪に変わりはないじゃなし とけて流れや皆同じ」

日が落ちて京都の街を歩いているうちに先斗町に流れ着いた。5時前なのにすっかり暗くなっているが、殆どの店が準備中で灯がともっていない。薄暗闇で寒くなった路地を歩いていると大昔に流行った御座敷小唄の一節が出てくる。

先斗町の路地を2往復したところで夜の街らしくなってきた。ブラブラと歩いている間に、一見さんお断りの店ばかりかと思っていたのが間違いだと分かる。街並みは昔とそれほど変わっていないかもしれないが、住人はすっかり替わってしまったかのように思える。観光客目当ての数々の店の中から京豆腐の店を選んで入った。

カウンターは熟年カップルでほぼ埋まっており、中年男二人で入るのはちょっと気が引けたが、構ってはおられない。座るなり生ビールを頼み、くみ上げゆばの刺身、生麩のお造り、湯豆腐、えびいもとさわらの柚子おろし煮を注文した。

ゆば、生麩

麩は思ったよりしっかりしており、餅を食べているような気持ちになる。何度も食べているくせに、味噌汁に入れる乾燥した麩を連想するのでいつも驚く。学習能力の無い奴だ。

湯豆腐

東京など大都市にも進出している豆腐屋「近喜」の豆腐を使っているそうだが、銀髪には豆腐の味を見分けるだけの舌がない。冷えた体が温まり、呑みすぎの胃に優しいのが嬉しい。

えびいもとさわらの柚子おろし煮

えびいもは代表的な京野菜で、サトイモに似ている。東京に帰って偶然見たNHK番組でえびいもが紹介されていた。反った形や殻に似た筋目など人工的に上手に作る手間が大変なようだ。そんな努力を知ると「お百姓さんありがとう」と子供のとき唱えていた給食の時間が思い出される。

それなりに京料理を楽しんだが、今更ながらよそ者が京都を知る限界を感じざるを得ない。
京都の大学を出た父が、「本当は京女を女房にするつもりだったのに」と言っては母の反感を買っていた。それに対して、ハワイ生まれの父に「外人のくせに」と母は罵る。思えば似合いの夫婦だったのだろう。

「一見さん大歓迎」の先斗町を歩きながら、「東おとこに京おんな」ではない両親を思い出して、一人ニヤついた。

きまぐれきっちん たまゆら
京都府京都市中京区四条通先斗町上ル 西側22番路地
075-211-2469

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2006年12月20日

[きっ川](広島)

瀬戸内を喰らう

宿泊先のグランピィアにはコンシエルジェすらないので、いつものようにりーガロイヤルホテルまで車を飛ばした。そこで紹介されたのが「きっ川」だった。小さなビルの3階と聞いてちょっと不安になったが、以前紹介された「水軍の宴」も間違いがなかったことを思い出したら元気になった。

開店時間の5時半ぴったりに一番乗り。右手に個室が3部屋あり、我々は10席ほどのカウンターの一番左に陣取った。大将の吉川さんが笑顔で迎えてくれた。地物を中心に食べたいと言うと、お任せの方がいいと勧められて従うことにした。

お通しはゆば豆腐

刺身の盛り合わせが出されたところで、大将の顔がカウンターの上にニューッと出てきて説明する。ひらめ、ひらそ(ヒラマサ)、柳かつお、大あなごの洗い、小イワシ(カタクチイワシ)、たち貝、にしなど瀬戸内の刺身が並ぶ。

小イワシ(写真中央)

小イワシは禁漁期間のため他の魚を獲る網にたまたま入ったものしか食べる機会はない。今の時期では貴重品と聞いたためか、これが一番美味しかった。

メバル、サワラ

広島近辺では磯釣りでメバルがたくさん釣れるらしく、地元のYさんは3日で400匹を釣ったと自慢していた。きっ川のメバルは音戸で獲れたもので、Yさんのメバルより遥かに立派なサイズだ。
岡山に行けばサワラがなければ始まらないと言われるが、広島で食べてももちろん美味い。サワラは春の魚(鰆)と書くとおり春が旬ではあるが、身が締まった冬の方がいいと言う人もいるそうだ。

穴子の天ぷら

広島に来てもっとも楽しみなのが穴子。きっ川では穴子取りの名人「とらさん」から買い付けるとのこと。肉厚で脂が乗った立派な穴子だった。

土手鍋

広島の冬に牡蠣は外せない。残った汁まで飲みきった。

お食事

米は地元の契約農家から、昆布は2日かけて大将自ら煮付ける。椀に入った地物の蛤は小粒だが味は深い。
満腹になってはいるのだが、壁に貼られたメニューから目が離せない。おこぜ、馬面はぎも魅力的だが、要予約の渡り蟹が気になって仕方がない。
我慢しきれず大将に「渡り蟹は美味いよねー、予約かー 残念だなー」と言ったら、「酒は残っているの?」と聞く。頷くと「少し食べてみる?」と悪戯っぽく笑う。

渡り蟹

スーパーで売られている中国産の冷凍物しか知らない部下が不思議そうにしているが、瀬戸内の渡り蟹は品のいい身を持つ高級蟹だ。

「次に来るときにはもっと美味いものを食べさせるから、必ず1日前に連絡してくださいね!」と念を押されて店を出た。帰るときには店は満員御礼の状態で、しかも客層がいい。

料理もいいが、大将がとってもいい。
「美男子ではないが」と言ったら怒られそうだが、客のところに料理を運び、説明し、誇らしげに微笑む大将がとってもいい。


旬魚 きっ川
広島市中区本通5-13
082-241-0002

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2006年12月14日

[漁炎風ISARIBI](新宿)

昔はよく炉端焼き屋に行ったものだ。

30年以上前だろうか、炉端焼き全盛の時代があった。今はあまり見かけなくなったような気がする。銀髪が酒場にデビューしたのは大学に入ってからだから30年ちょっと前には、炉端焼き屋は東京でも地方都市でもたくさんあった。広い焼き場を必要とする炉端焼きは非効率でコスト高なのだろうか。
セントラルキッチン式の居酒屋に駆逐されたのかもしれない。

区役所通りに面したビルの3階で降りると、洋食の店のような炉端焼きでイメージした店とはかなり違う店があった。洋風のドアを開けると右側に焼き場があり、広いカウンター席がそれを囲む。接客は黒を基調とした服で身を包んだ女性たちが中心だ。きびきびとして気持ちがいい。

今日のお勧めの一枚物のメニューや、壁に貼ってある札を見るとかなり高めの値段設定なのがわかる。昔の懐かしい居酒屋炉端とは明らかに異なる。素材の殆どに産地が記されており、値段の高さを納得させるだけのこだわりも感じた。

まずお通し

女性スタッフにお勧めを散々聞いた挙句、牛スジの煮込みとメカジキのスペアリブを注文した。

牛スジ煮込みは自慢料理のトップに上げているだけに、かなりいい出来だ。但し、ハチノスなどの他の部位のモツも入っているので、牛モツの煮込みとした方が正確だ。フレンチやイタリアンに負けない内臓料理が日本にもあることが嬉しい。

スペアリブは背びれの部分で、滅多に口にすることが出来ない代物。かすべ(えいひれ)に通じるところもあるが、さすがに大型の魚らしく身は厚い。

目の前の野菜にも興味津々だ。鮮やかな緑と赤の万願寺唐辛子と竹の子を焼いてもらった。
唐辛子でもなく、ピーマンでもパプリカでもない京野菜の万願寺は素晴らしい大人の食べ物だ。

12月に新竹の子を食べるのは初めてだが、鹿児島産など12月には出回り始めるというから驚く。春先の竹の子には劣るものの、この時期に食べると感激してしまう。本格的な冬到来の前に、早くも春を感じさせてくれた。
野菜をつける2種類の味噌もいい出来で、野菜を食べ終わった後も酒の肴に最高だった。

料理以上に感心したのは副支配人の中野さんを始めとする、フロアスタッフの接客サービスだ。外国人のアルバイトに依存している店では味わえない心地良さを演出していた。

炉端焼きの割には料理人との距離が遠い店ではあるが、フロアスタッフがそれを補っている。料理は間違いなく和食だが、サービスはイタリアンやフレンチの店に近い。不思議な雰囲気の店ではある。

漁炎風ISARIBI
東京都新宿区歌舞伎町1-3-15 ザカテリーナビル3F
03-5285-0770

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2006年11月29日

[矢場とん](名古屋)

名古屋名物「みそかつ」を食べに行った。

銀髪グルメ紀行を書き始めてから何度名古屋に来ただろう。それなのに名古屋の代表的な食べ物である味噌カツは避けてきた。

最初に味噌カツを食べたのは約30年前、東京三鷹の定食屋だった。面白半分に食べた味噌カツ定食は失敗だった。2回目に食べたのは10年ほど前、名古屋駅のレストランだった。三鷹のことはすっかり忘れて、名古屋名物を喰らおうと意気込んで食べたが、結局トンカツにかかった甘くてくどい味噌ダレを削り取って食べた。

名古屋コーチン、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、きしめんなど名古屋名物のことは何度か書いてきたが、味噌カツは頭の中から意識的に消していた。最近になって東銀座に矢場とんの支店があると知って、急に本店に行こうと思ったのだから不思議なものだ。

12時前に店に着いた。店の外に数人並んでいるだけだったのでラッキーと思ったが、店内に導かれたら階段に長い列が続いていた。しかし、思ったよりも早く席に案内された。メニューを見るまでもなく、みそかつ丼を選択した。

みそかつ丼

午後の仕事はないため、ビールを頼んだ。グラスの豚の絵が可愛い。出てきたみそかつ丼のトンカツには薄く味噌ソースがかかっている。ドロッとしたソースをイメージしていたので拍子抜けした。食べてみるとトンカツソースより甘くない。ビールのつまみとしてもなかなかいいのでビールを追加注文した。

矢場とんのホームページによると、昭和20年代初頭、どて鍋のタレに誤って落とした串カツを食べたら美味しかったところから、みそかつに発展していったとのこと。矢場とんのみそかつ丼が他店のようにドロッと味噌を乗せるのではなく、かつをみそダレに浸す程度につけるのは元祖ならではのこだわりのようだ。

エビフライ

部下にはエビフライを食べさせた。一本20センチはあろうかという特大のエビフライ。タモリが名古屋名物と吹聴したのはこの店のエビフライを見たからか、逆にタモリの話から矢場とんのメニューに入れたのか、どちらが先か興味のあるところだ。

味噌煮込みうどんを食べたときと同様に、東海地方特有の豆味噌・八丁味噌は意外と甘くなく、みそかつも悪くないと知った。


矢場とん 矢場町本店
愛知県名古屋市中区大須3-6-18
052-252-8810
http://www.yabaton.com/

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2006年11月09日

[古都首里](三軒茶屋)

沖縄料理の店に行った。

総勢7人。初めての店で馴染みのない郷土料理を食べるなら、このぐらいの人数が集まれば楽しい。沖縄料理屋は何軒か行っているが、初めて食べるものもあった。

ゴーヤチャンプルー、ラフテー、ティピチ

もっとも知られているのがゴーヤチャンプルー。ラフテーで分からなくても角煮なら誰だって知っている。この2品は沖縄料理屋に行かなくても食べる機会は多い。ミミガー、ティピチも角煮と同様に豚の耳、豚足と言えば食わず嫌いの人でなければ格好の酒の肴として人気だ。

島らっきょ、海ぶどう、豆腐よう

島らっきょ、海ぶどう、豆腐ようは沖縄料理屋に行ったことがある人なら、食べたことがあるに違いない。豆腐ようは豆腐を発酵させたものだが、独特の風味に好き嫌いが分かれる。今日のメンバーには大変好評で追加注文をしていた。もっとも中国の臭豆腐などに比べれば遥かに臭みが少なく食べやすい。

天ぷら

ゴーヤなど天ぷら2品にはスパムハムが寄り添っている。沖縄は1972年に返還されるまで米国に支配されていたので、アメリカ食品の影響を受けてきたが、スパムハムもその名残りなのだろうか。沖縄は長く占領下にあり県民は不満を抱えながらも、アメリカの生活や文化を取り込んだ。

ヒラヤチー、ハラゴ豆腐

ヒラヤチーは沖縄風クレープで韓国料理のちじみに似ている。小魚のハラゴはアンチョビに似ているがそれほど塩っぱくない。

ミヌダル、田芋、もずく

ミヌダルは豚ロース肉に黒ごまのペーストを塗ったものでこれも美味い。田芋の唐揚もサツマイモのようだが甘くなく、食感も不思議でなかなか良かった。

もずくは酢醤油などで食べるしか料理法がないと思っていたが、これを天ぷらにしてしまった。それなりに塩味が効いていてなかなか美味しい。7人の中では家で作ってみたい派、絶対作らない派に分かれた。もしかしたらもずくは色んな料理に応用がきくかもしれない。

仲間が古都首里のホームページを見て予習していたお陰で、銀髪が口出しする必要はなかったが、これだけ食べてもまだまだ食べたことがない物がある。琉球王朝、米国による占領など、沖縄は本土とは違う文化を形成してきた。それが食べ物にもよく表れている。

沖縄ブームはいつ始まったのだろうか。涙そうそうのヒットからだろうか。安室奈美恵、スピードなどが人気になった頃だろうか。あるいはもっと前だったのだろうか。沖縄の音楽が胸に響く理由は分からない。沖縄料理が歌ほど多くの人々に受け容れられるとも思えないが、たまには泡盛片手に食べるのも悪くない。


古都首里
東京都世田谷区太子堂2-24-6 ドミーミ三軒茶屋B1
03-5431-3274

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2006年10月19日

[祢保希](赤坂)

土佐料理を食べた。

日本全国回っているが、高知県に行く機会がない。接待となれば相手の意向が一番だが、ここは我がままを言わせてもらって土佐料理を食べることにした。祢保希の赤坂店はなかなか立派な店構えだ。名前を告げると2階の個室に通された。

掘りごたつ式の個室ではあるが、隣の席との壁は薄い。隣は外人客を接待しているらしいが、聞き覚えのある訛の英語がビンビン聞こえてくる。そう、オーストラリア人だ。陽気なオーストラリア人が一人でしゃべっており、日本人の声は殆ど聞こえない。「グッダイ マイト(Good Day Mate)!」と言って闖入したい気持ちをなんとか抑えた。

仲居さんが皿鉢(さわち)料理や鍋を薦めようとするが、単品を頼むことにした。

外せないのは鰹のたたき。四万十川のうなぎを使ったうざく、ごりの唐揚はすぐに決まった。

戻り鰹は脂が乗って美味い。しかし、テレビの料理番組において、豪快に藁で焼くシーンが目に焼きついているためか、期待を満たしてはくれなかった。ごりの唐揚はいい。これは期待してなかっただけに嬉しい。

珍味三種はさえずり(鯨の舌)、どろめ(かたくち鰯の稚魚)、酒盗(鰹の胃袋の塩辛)。
この中ではどろめが美味い。

コースターが面白いと言ったら、土佐の偉人5種類があるとのことで、もらって帰ってきた。

さて、次はかつおのコロッケ、と言ったところで相手が渋り始めた。これ以上、見慣れないものを食べたくないようだ。もう限界なのかもしれない。

鰹はらんぼ、青さのりの天ぷら、四万十川の川海老、ちゃんばら貝、めしいか、うつぼ、鯨各種部位、まだまだ試食したいものがたくさんあったが我慢した。
かつおのコロッケ、さつま揚げ、天ぷらを頼んだ。コロッケ以外は特別変わったものではない。

祢保希は赤坂だけでなく銀座、丸の内、渋谷、新宿などにもある。新メニューとして長須鯨すき焼きなどもある。すべて調査捕鯨の鯨と断っている。鯨は調査捕鯨以外に混獲で誤って網にかかったものも売られているが、混獲と称して実際は狙って獲っているものも多いらしい。祢保希の鯨は合法的に獲られたものということだろう。

土佐には司牡丹や酔鯨などいい酒もある。やっぱり現地で飲み食いしたいものだ。高知担当の部下の尻を叩かなくっちゃ。

土佐料理 祢保希 赤坂店
〒107-0052 東京都港区赤坂3-11-17
03-3585-9640
http://www.kazuoh.com/

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2006年03月01日

[りょく](銀座)   沖縄料理を銀座で

部下のTと夕食を取ろうと銀座をさまよった。以前行ったことのある美味い店を探すのだが見つからない。行きつけの店に行ったら入れない。飛び込みで入るのはリスクがあると思いつつ、沖縄料理屋の立て看板にある山羊の刺身に目が停まった。

小さなビルのエレベーターに乗ると、何だか寂しげである。女性を連れてきたら不安がるだろう。6時を過ぎているが客は誰もいない。本当にこの店に入って大丈夫だろうか思わずTと顔を見合わせる。カウンターに座ってメニューを見ると少し落ち着いた。そんなに悪くないかもしれない。

沖縄料理と言えばゴーヤチャンプルーとソーキそばぐらいしか思い浮かばない。沖縄へは一度だけ行ったことがある。福岡、沖縄、松山、岡山といずれも一泊ずつ。各地でセミナーに参加したのだが、セミナー、食事、睡眠以外は移動という旅だった。もっと悲惨だったのは旅の前日に食あたりをしてしまったことだった。

昼頃沖縄に着いたが観光の時間などないに等しい。空港からタクシーで首里城に直行、わずか30分、駆け足で見学。タクシーの運転手に聞いた首里城近くの店に飛び込みソーキそばを食べた。まだチクチクと痛む胃には他の沖縄名物料理はつらかった。
以来、ゴーヤチャンプルーを除いては、沖縄料理には縁がなかった。

さて「りょく」の料理。店員にお勧め料理を聞いて、山羊の刺身以外のものも決めた。

ポチギ(チョリソー)、山羊の刺身

グルクン自然塩揚げ、ラフテー(豚の角煮)

島らっきょうの天ぷら、とうふよう

ビール2杯飲んで泡盛に移った頃から客が次々に入り始めた。カップルや女性だけのグループが多い。店に入ったときは「しまった」と思わないではなかったが、意外に人気の店だったようだ。

最後にメニューで一番高い焼酎「久米島の久米仙、琉美(クミ)18年」を飲んだ。それまで飲んだ泡盛と比べると圧倒的に旨い。これには感心した。
Tが女性店員を見て小声で「沖縄の女性はきれいですね」と言う。酔っ払って恥も外聞もなくなってきた銀髪がその女性に声をかけると残念ながら沖縄の人ではない。他の男性店員にも尋ねるが、沖縄出身者は一人もいない。「オーナーは?」と聞いたら「沖縄が大好きですよ!」と来た。カウンターの向こうとこちらで大笑い。

おかしいやら、残念やら。

りょく
中央区銀座3-3-9 松岡銀座ビル3F
03-3538-0545
http://hw001.gate01.com/k-cube/

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2006年02月03日

[菅乃屋](熊本)  本場No1の馬肉専門店

熊本にやってきた。当然のことながら馬を食べに行かなければならない。

前に来たときは菅乃屋本店に行ったが、今日は上通り店。新しい店だけに中はきれいだ。
予約で一杯だったが、5時過ぎに行ったので2時間限定ということで個室に入れてもらった。

刺身、焼き、鍋をオーダーしたが、刺身と焼きが殆ど同時に出てきた。キッチンがまだ暇なせいか、早く追い出したいのか分からないが、冷たいものと暖かいものを同時に出すのはちょっといただけないかな。客の食事の進み具合に合わせて、一番美味しい状態で食べてもらうように配慮するのが一流の証し。鍋も出てきそうな勢いだったので、出すペースを遅らせるように頼んだ。珍しく銀髪は機嫌が悪い。

まず刺身

馬専門店だけにさすがに種類も豊富。
左上から特選馬刺し、赤身、白いのがコウネ(タテガミ)、中央がタン、その右にネッコ(心臓)の細切り、右端上から上馬刺し(バラ肉)、フタエゴ(腹肉)。

フタエゴは脂身がきつそうに見えるが食べてみると意外にあっさりとしていて美味。

レバーの刺身と肉串焼き

串焼きは上からひも、霜降り、ホルモン。
本店で食べたとき、串焼きの美味さに感動したが、期待が必要以上に高まっていたせいか、刺身とほぼ同時に持ってきて慌しかったせいかちょっと物足りない。

料理は驚きも大事な要素。上通り店のお勧めは「はりはり鍋」。スープは馬肉からとったダシが効いている。本店と異なり創作料理が自慢というだけあって、新作は特に女性に支持されるだろう。

熊本の米焼酎常圧蒸留―筋蔵「武者返し」を飲んで酔いが回り、腹も膨れて来たら、大分機嫌も直ってきた。同行した部下のNは若いだけに細かいことには我関せずとパクパク食べている。
そろそろ約束の2時間が近づいてきたのに「うどんをもう一人分追加してください!」とのん気だ。
「大丈夫?」と店長に聞いたら、「大丈夫ですよ!」と愛想がいい。

菅乃屋を手放しで褒めようと思ってやってきたのに、接客に難があったのが残念だった。予約がないのに無理に入ったのがいけなかったのかな?

それでも熊本空港で菅乃屋の売店を見つけて足が止まった。本店でも上通り店でも入荷していないと断られた超特選馬刺しを売っていた。刺身用のロース、赤身、コウネと焼肉用のひもと合わせて5種類を買った。料理屋で食べるより遥かにお得な値段だ。もちろんすべて生肉。
レバーやタンなどは残念ながら料理屋で食べるしかないようだ。

別の売店で熊本名物「辛子れんこん」を買った。家には兄に貰った「森伊蔵」がある。

たまにはまっすぐ我が家に帰るとするか。


熊本「菅乃屋」
http://www.suganoya.com/

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