2008年12月19日

[寿司栄](富山)

夜は行けない寿司屋


天然の生簀と言われる豊饒の富山湾。ここに来たら美味しい魚介類が食べられる店、寿司屋が一番である。クラウンプラザホテル(旧全日空ホテル)近くで昼食をとることになり、誘われたのが寿司栄だった。

12時前というのに既にカウンターは半分以上埋まっていた。我々が座って数分で14席はすぐに埋まった。おまかせ寿司コースは全国各地の素材を使った寿・司・栄、地元素材の総・曲・輪、お手頃なAランチ(1,575円)、Bランチ(2,100円)がある。銀髪はもちろん富山湾の魚介コースである輪を選んだ。

カウンターの前には水がチョロチョロ流れている。寿司をつまんだ指を洗うためだ。一度は箸を持ち上げたが、すぐに置いた。機内食のクラムチャウダーの香りがこみ上げてくるのでビールは頼む気はおきない。

客の半分以上は若者で、しかも女性が多い。正面の壷に昭和23年3月23日創業と記してある。地元の人にはもちろん、観光客にも有名な店らしい。Aランチといえども目の前で握ったものを順に食べられる。明朗会計で若い女性でも気軽に美味しい寿司を楽しめるのが人気の秘密だろう。

「なかなか美味いじゃないか。わざわざ「難波」に行く必要もないな」と部下に言うと「そうですね。美味しいですね」と頷く。前にも寿司栄に来たことがある言いながら、一度も銀髪を連れて来ないとは怪しからんと思った。難波は全日空ホテルのコンシエルジェで紹介してもらった。近くの寿司栄を奨めなかったのが不思議だ。

部下は地元食材にこだわらない寿を頼んだ。従って鮪のトロがスタート。最後にウニも出た。地元食材だけで高級ネタが少ない銀髪には3カン多く出た。部下は食い足りないと文句を言う。渋々追加オーダーを認めた。店を出ると「富山の寿司は美味いですねー」と言う。築地経由のネタをたくさん食べたにもかかわらず…

家に帰って寿司栄のホームページを見たところで全日空の女性との会話を思い出した。寿司栄は確かに候補に上げてくれていた。拒絶したのは銀髪の方である。寿司栄本店は禁酒禁煙の店だった。従って酒のつまみはなく、寿司しか出てこない。昼はともかく、夜は殆ど寿司を食べない銀髪にとっては無縁の店なのだ。

「あそこは酒が飲めないんじゃないか!」と部下に言ったら「そうでしたか?」とボケ顔を見せる。下戸の彼にとっては嬉しい店だが、酒呑みにとっては昼限定の店である。ご注意を。

寿司栄 総曲輪本店
富山県富山市総曲輪2-8-22
076-421-7035
http://www.susiei.com

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2008年12月17日

[かねいし](目黒)

金石・陣内夫妻のお店


元野球選手の金石さん、元バドミントン選手陣内さんが経営する寿司屋に誘われた。金石さんが寿司を握り、陣内さんが料理を運ぶ光景を思い浮かべたが、すぐに振り払った。テレビでよく見る二人が店を切り盛りしているわけがない。

かき、いか、ひらめ、あんこう

10年前の創業から店は大森さんが守る。開店したばかりのように清潔で、ゆったりとした席が心地よい。目の前には有名焼酎が並び、日本酒は大森さんの足元の冷蔵庫で出番を待つ。
「大森さんの店のようなものですね」と言うと曖昧に微笑む。信頼できる友人を持った金石さんは幸せ者だ。付き合いは夫人よりも長いそうだ。

ぎんなん、しまあじ、しまえび、しめさば、たいら貝

目黒駅から5分以上歩く目立たないビルにある店は、オーナー夫妻の知人や常連さんに支えられているようだ。先客は中年のおじさん二人とおばさん二人の2組。大森さんとは永遠に話せないかと心配したが、おばさん二人が帰ってからは我々が独占できた。

とり貝、あわび、あなご、玉子焼き、いくらおろし

「いわしは店で出せる仕入れ値ではない」「赤貝は値段が落ち着いてきた」ということばで店の思想が分かる。ブランドに捉われず、常連にリーズナブルで美味しいものを提供する主義のようだ。

べったら漬、赤貝、こはだ、エシャロット巻き、げそ

エシャロット巻きが大森さんのオリジナル自信作。数種類の味噌を混ぜているのがミソだ。

なまこ酢、鯛の塩辛、あわびの肝

そろそろお開きにしようと思ったところで自家製塩辛が出てきた。話は弾み、酒も進む。これ以上は飲み過ぎと困っていたら、寿司を食べ始める常連さんに大森さんを奪われた。潮時である。

行きつけのクラブから遠い目黒はいい。店を出てすぐにタクシーに乗り込み我が家へ向かった。テレビドラマをやっている時間に帰ると家族に怒られるが、今日は許してもらおう。まだクライマックスには時間がある。


かねいし
東京都品川区上大崎1-1-14 白金トーカンキャスティール2F
03-3444-9480

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2008年12月09日

[とりで寿司]②(新橋)

いつ行っても楽しいとりで寿司


「約束したとおり直ぐ来たよ!」「予約した?」「もちろん!」カウンター席には既に3組6人。我々が入った後の残り2席も予約済み。右のカップルが見ていたのは何と銀髪グルメ紀行のコピーだった。連れも気付いて合図してくれたが、軽く頷くだけにした。

お通しは炭火焼き。皿かごに盛られた小魚などは殆ど手作り。鮪のつみれと聞いたら追加してしまう。小さな七輪は一杯になってしまった。鮪は赤身がかたまりのまま残っている。

セイコ蟹、ブリしゃぶ

「前回食べ損なったブリシャブを」と頼むと、他の客の目がオーナーシェフ遠藤さんの手元に集中する。舞台の主役は空気を読むのも上手。ブリは他の客にも行き渡った。美味い美味いの大合唱。

生きたイカが登場。福岡で何度か食べた呼子のイカ。捌いても動いている。「ゲソは噛まないで飲み込むと、喉にくっつくので気をつけてくださいね」と注意される。しょうが醤油、わさび醤油で味わう。

次は佐島のタコ。イカと対照的に湯気を上げて出てきた。「何分茹でるの?」「18分!」と中途半端な時間。季節やタコの状態で微妙に変わると言う。客の入りや予約が入っている時間を見て茹で始めるそうだ。まだ来ない左の2席の客は大事なショーを見逃した。

大トロ、野菜焼、なまこ酢

大間のまぐろの後は下仁田ねぎとズッキーニの焼物がアクセントをつけてくれる。

鬼エビ、しめさば

北陸名物の鬼エビ。もちろん頭は焼くだけでなく、食べやすくしてくれる。今日のさばは松輪産。前回の金華さばと同様にブランド魚だ。

美味い美味いの合唱に「この店の客は失語症になっちゃってるよ、美味いしか言わない」と軽口を叩くと、左端のおばちゃん、いやお姉さまから「あら私は食通で通っているのよ。本当に美味しいんだから」とにらまれる。客のみんなが笑っている。

「今日は遠藤さん元気いいねー」「きれいな女性がいますから」、再び左から「本当にこの店は美人が多いわね」と何故か自慢気だ。「イヤイヤ、いい男が多いんですよ」と返すと、遠藤さんが握手を求めてきた。「そう、一番いい男は遠藤さんだよ!」

自家製からすみ、鮪赤身の酒盗和え

「何故、色が違うんですか?」連れがいい質問をする。赤いからすみは赤ワインに漬けたもので、ワインを飲む人に出すと言う。まだ試行錯誤の段階で遠藤さんは不満のようだが、なかなかいける。
赤身に和えた鮪の酒盗も自家製。今日も自主規制値より1合多く飲んでしまった。この店で酒を我慢するのは無理だ。

前回食べたウニと、初めてのコハダ、穴子(塩味)を握ってもらいお開きにしようと思ったらデザートが出てきた。これも自家製。イヤー、何度来ても驚かせてくれる。

店を出る間際に右のカップルに「これからも銀髪グルメ紀行をよろしく」と声をかけた。振り返った女性の驚きの表情が面白かった。余韻を残したままドアを閉めた。


とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

前回の記事→「とりで寿司」 

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2008年12月03日

[とりで寿司](新橋)

新橋でいい寿司屋を見つけた!


昼3時から深夜3時までぶっ通しで営業して、自ら築地に買い出しに行く。熱意とアイデア一杯の料理は、若くなければ編み出せない。

新橋通のS氏に指定された店はちょっとくたびれた感じの外観。以前はうなぎ屋だったらしい。入り口に吊るされた籠の中のからすみをしばし眺めて扉を開けた。狭い店のカウンターの中に若い料理人が二人。カウンターの中央にデンと座ったS氏と共ににこやかに迎えてくれた。

げんげ、たいら貝、まんぼう

席につくなり、皿かごが差し出された。お通しは串焼きだと言う。7~8種の串から3種類選んだ。富山名物のげんげは思ったとおりの味だが、たいら貝、まんぼうが滅法美味い。内臓などの捨てるような部分をうまく使っている。

ぶり、ひらめ、かわはぎ、しめさば、いか

「今日、築地で一番のぶりです」と胸を張るだけあって、脂が乗っている。〆鯖は生より美味い。S氏が飛び込みで見つけた店と言うが、大当たりだ。主人が若くて明るいのが更にいい味付けになっている。

せいこ蟹、椎茸、あおやぎ

きれいに身を出して食べやすいせいこ蟹、香ばしい岩手産の原木椎茸。粗くおろした大根が美味い。
「ちょっとがっしりした純米酒」「爽やか過ぎない吟醸酒」などなど、訳の分からない注文をすると主人が酒の名前を店の女性に告げる。「ぼくは焼酎を」と言うS氏の注文は銀髪が断った。美味しい料理は冷蔵庫で出番を待っている旨い日本酒で食べたい。

タコが茹で上がった。ユーモアたっぷりに鉢巻きをする。パキスタン、ヒマラヤ、モンゴル、シベリア、カザフスタン、チリの6種の岩塩から一つ選んで削ってもらう。タコは塩で食べる。

たいら貝の海苔巻き、大トロ、シマエビ、こはだの海苔巻き

ぶり、からすみ、とり貝、うに

もう一度ぶりを頼んだ。早い者勝ちだ。自家製のからすみ。滅多に入らない国産のとり貝。最後に礼文のウニ寿司。写真を撮っているうちに崩れ出して、慌てて口に放り込んだ。

書きたいことはたくさんあるが紙面が足りない。近い内にまた行って続編を書くことにしよう。大吟醸酒などの高い日本酒を6合以上は飲んだはずだが、S氏は3枚払って数枚のお釣りをもらっていた。

いつの間にか満席になっている。予期せぬ客が扉を開くと「すいません、一杯です」と主人は威勢がいい。我々が出るタイミングに来た客は、幸運を噛み締めることだろう。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2008年11月26日

[おかめ]②(築地)

お座敷天麩羅


「今度は私がアレンジしましょう」とOさんが言った。何度か食事会をしていると、必ずそんな声が出て来る。贔屓にしている店に案内して喜んでもらいたい。そして、ちょっぴり自慢したいというのはよく分かる。銀髪は今度が2回目。やはりOさんに連れて行ってもらった。

予約の時間に店に着くと、扉の向こうでガチャガチャと鍵の音がした。通りすがりの客が入って来ないようにぎりぎりに店を開けると言う。2部屋しかない小さな天麩羅屋の外観は巨匠小津安二郎が愛した頃のままだという。

京都産茶豆、ほたてひも、愛知県産天然ふぐ

ふぐが出てきて驚いた。愛知県産の天然とらふぐは下関南風泊(はえどまり)市場を通さず安く仕入れたそうだ。肉厚に切られているので噛み応えがあり味が深い。

オーストラリア産アスパラ、天草車海老、ベビーコーン、松島産鯊

アスパラは季節が逆のオーストラリア産が旬。ベビーコーンはわざと焦がすぐらいに揚げてあるので香ばしい。

雌株、京都産茄子、メゴチ、帆立

玉子&佃煮、ミョウガ、鱧、万願寺唐辛子

穴子、トマト、漬物、かき揚げ茶漬け、

綿実油100%で揚げているのでいくら食べても胃は重くならない。パプリカなどちょっと他ではないようなものも揚げてくれる。デザートはパイナップルだった。先代から続く店なのに、勉強家の2代目店主は伝統にこだわらない。寿司など他のジャンルの職人を呼んで腕を磨いたそうだ。

みんなが注目したのが天麩羅を揚げる太い箸。天麩羅に花を咲かせふっくら仕上げるのに最適とのこと。感心していると先代が遺した箸を見せてくれた。孟宗竹の箸は使い込まれて細くなっている。

先代を誇らしげにしている店主の顔がなかなか良かった。

前回訪問の記事→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/03/post_159.html

御座敷天ぷら おかめ
東京都中央区築地2-12-2
03-3541-2288

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2008年11月21日

[北のおやじ](福井駅)

回転寿司でも蟹が食べられる


福井に到着したのは夜10時過ぎで、ただ寝るだけだった。翌日昼過ぎには富山に向かう。越前カニを食べるチャンスは昼飯しかない。駅ビルを歩いていたら蟹専門店を見つけた。店に入ると若い女性が寄って来る。「駅の中で蟹を食べられるところはない?」と聞いた。

「それなら、回転寿司がいいですよ。蟹の絵が出てましたから」と嫌な顔一つしないで親切に教えてくれる。ついでに店に並ぶ蟹の説明を聞いていたら、買うつもりはなかったのに、結局買ってしまった。たちまち財布が軽くなった。

回転すし屋の入り口に生簀があり、蟹がたくさん入っていた。「この蟹を食べられるの?」と聞いたら、「はい、買ってきます」と言う。部下と二人で???と怪訝な顔をする。カウンターに座って待っていると、店の前の魚屋から買ってきた茹でかにが出てきた。

越前ガニ(オス)ではないが、雌のセイコ蟹を一杯ずつ食べた。外子、内子、ミソが美味い。もちろんビールを頼んで、思いがけない立派な昼食になった。因みに蟹は一杯1,000円。大型のオスに比べると小さいが、安くて卵も食べられるので地元の人はセイコを好む。

「ブリも食べてくださいね」蟹屋の女性のことばを思い出した。トロぶりと書いてあったが、まだ脂の乗りは薄い。これから寒くなればさらに美味しくなるだろう。

ブリ、焼き鯖

福井名物の焼き鯖。ノルウェー産だろうか。日本への輸出のお陰でノルウェーの漁師が潤っていると先日テレビで紹介していた。身の厚さとお値段からして国産とは思えない。

中トロ、穴子、いくらと部下が回転台から取るのを見ていた。ビールを飲まない彼は、銀髪に遠慮する気なんかまったくなさそうだ。子供のように目が輝いている。

食べ終わって再び蟹屋に行った。さっきの女性に「美味しかったよ、ありがとう」と声をかけた。「ブリも食べましたか?」と言うので「もちろん」と微笑んだ。彼女は銀髪よりさらに大きな笑みを返してくれた。


北陸漁港 北のおやじ
福井県福井市中央1-1-25 JR福井駅構内プリズム福井内
0776-28-5550

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2008年10月27日

[たる善](札幌)

地魚を食べるならやっぱり寿司屋だね


「すし善」「さい藤」「政寿司」など、これまで行った中から選べば美味しい魚が食べられることは分かっている。「すし善の板さんが銀髪さんはどうしているの、と言っていましたよ」と部下が促すが、他の店を探すことにした。たくさんの店に行くのがグルメ紀行の使命である。

まだ5時を過ぎたばかり。これはと思う店で受け容れてくれたのはたる善。7時半までの条件付だが2時間あれば充分、帰りの飛行機の出発時間に丁度いい。カウンターに座り、板さんにこれまで行った札幌の寿司屋の名前を上げると、たる善のオーナーはすし善の出身と教えてくれた。店名に善を付けることを許されているなら味は保証付だろう。

板長の大坂さんと名刺交換。たる善一筋15年で板長に登りつめた。従業員が長く働く店はいい店に違いない。若い店員たちの真摯で緊張した面持ちも店の質の良さを証明している。
地物を中心にお任せした。

ホッキ貝 毛かに ぼたん海老、シャコ、すみいか、銀杏、さんま、玉子焼き、鱈の白子、鯨の舌、白老牛と続く。まだ混み合う前だから大坂さんをほぼ独占状態。料理が出て来るのもスムーズだ。

スミイカは捌いた後も動いている。死後硬直前の身は柔らかく、ゴロ(わた)も鮮烈で美味い。ぼたん海老や白子の下敷きになった昆布も焼いてくれた。玉子焼きは何とも言えない風味がするので質問したら、牛乳入りとのこと。近海で獲れたミンククジラのタンや北海道産の白老牛が出てきたのには驚いたが、地物には違いない。嬉しい驚きである。

ひらめ、大トロ、ししゃも、鮭児、炙りきんき、いくら、うに、にしん、穴子

「大トロは築地市場から?」と大坂さんに問いかける。築地の中卸し・石宮から仕入れるすし善と同じかと思ったが、地元の松前からと教えられた。地元でも立派な鮪が手に入るようだ。珍しいししゃもの寿司。脂が乗った炙りきんき。東京の高級寿司屋なら一貫2,000円もする寿司好き垂涎の鮭児。うまいうまい。

最後に漬物、網走湖の大しじみ。〆に北海道ならではのにしんの寿司。腹一杯だが穴子を忘れていた。塩と煮ツメで食べさせるのがたる善流。

部下と共に生ビールと冷酒を3合ずつ。大坂さんとの会話も楽しく飲みすぎた。勘定が心配だったが、銀座の半額ぐらいの印象である。部下に乗せられてすし善に行かなくて良かった。いい店見つけた。

たる善は来月に移転する。「店を新しく立派にしたら、値段は上がり味が落ちるのが通例だよ」と意地悪を言った。「そんなことはありません」と若い店員がムキになる。たる善なら間違いはないだろうが、次回チェックしに行こう。あー、次の出張が楽しみだ。


たる善
(現住所)札幌市中央区南5条西4丁目クリスタルビル1階
(新住所)札幌市中央区南4条西3丁目2-6
011-511-4484

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2008年10月23日

[あきば]⑤(八重洲)

長い日本列島の周りには豊かな海の幸がある


店に入ると「今日は遅いですね」と女将さんがにこやかに迎えてくれた。カウンターの中の大将が仕事をしながら笑いかける。遠方より来る友を待っている間に7時を回ってしまった。いつも座る奥の席は占拠されていたので、大将のまん前ど真ん中の席に座った。

お通し

しめさば、ひらめ、かつお、関アジ、つぶ貝

千葉県富津のさば、青森のひらめ、気仙沼のかつお、関アジは言うまでもない。お任せの後は釧路のつぶ貝、愛知のみる貝。大将の口から淀みなく産地が出て来る。「愛知のどこ?」と突っ込むと手が止まる。大将の律儀な性格が滲み出てくる。ど忘れする齢頃なのはお互い様だ。

カウンターの上にあるあきば名物の貝類。今日は大きなさざえ、つぶ貝、みる貝がデンと鎮座している。「実は貝が大好きなんですよ」と言われて、どれか一つだけのつもりがつぶ貝とミル貝の二つを頼んだ。ミル貝の写真は撮り忘れてしまった。

かんぱち

カウンターの中央に座ったときから気になっていたのが何かのカマ。「これ何ですか?」と聞いたら、大将が待ってましたと言わんばかりの表情。尾鷲(おわせ)産の6.5キロの天然釣りかんぱちだとのこと。「触ってみてください」と言われて従った。弾力があるというより固い。刺身と塩焼きで食べた。あー、シ・ア・ワ・セ!

今日のお客様O氏は酒を飲めないので早めに寿司に移った。すみいか、まぐろづけ、サーモン、いくら、えんがわ、うに、きんき、煮あなご。炙って旨みを増した網走産きんきが特に美味い。やはり魚も肉も少し火を通した方がいい。O氏は平目のえんがわに感激していた。いつも食べているのはカレイのえんがわかも。

O氏は仕事が終ると毎日家に直行するそうで、奥さんに同情してしまう。オーストラリアに住んでいた頃、毎夜家で夕食をとる銀髪に妻は「お金出すから週1~2日は飲んできてくれ」と懇願したものだった。「夫婦円満の秘訣はできるだけ顔を合わさないこと」と友人は言う。けだし名言である。

しじみと玉子焼きを食べてお開きに。2次会に誘ったがあっさり断られた。家で待っている奥様が気になるのかもしれない。我が家だったら「何でこんなに早いの?」と怒られてしまう。なんて幸せな夫婦だろう。 どっちが?


あきば
東京都中央区八重洲1-4-10

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2008年07月31日

[吉野鮨本店](日本橋)

明治12年創業の大衆的な寿司屋さん


グルメ本等にも度々登場する日本橋高島屋近くの老舗寿司屋と聞けばかなり高級と思い勝ちだが、意外と大衆的な雰囲気の店だ。広いカウンターにはかしこまって座る一見さん居るし、気楽に食べている常連さんも居る。テーブル席には仕事を終えたサラリーマンのグループが居酒屋気分で杯を交わしている。我々は居酒屋組に加わった。

お通し、刺身盛合わせ

お通しの塩辛や、雑然と盛られたように見える刺し盛りがいかにも吉野鮨らしい。茹でたタコ、アジ、サヨリ、鮪の赤身、季節外れのずわいがになど、高級なネタが殆どないのも気取らない店の姿勢が出ている。

サザエ壷焼き、ゲソ焼き

不器用なはずのTさんが、サザエの肝まできれいに取り出したので呆気に取られた。もっとも、あらかじめ茹でて身を取り出し、再び殻に戻して焼いたものと自分が食べてみて分かった。老舗らしい一仕事が真骨頂と言える。

貝の刺し盛り

今度はあわび、赤貝などが乗ってきた。大衆的な店といっても、高級ネタを頼んだらそれなりの覚悟はしなければならない。

鮨盛合せ

喧嘩しないように一人一貫ずつ握ってもらった。イカ、ミルガイはTさんが、ウニはみんなが何となく。ヅケ、コハダ、穴子は銀髪が頼んだ。
第一弾が来たらシャッターを押す前にTさんの箸がイカを捉えた。酔っ払ってしまい銀髪に対する協力姿勢は既になくなっている。

120年の伝統の技はコハダや穴子に発揮されると選んだけれど、コハダが一個余ってしまった。生活習慣病にもっとも近い人が、青魚を嫌う。味よりも青い肌の見た目が気に入らないようだ。みんなより1個分食べ損なった分を、場所を替えて1人でスパゲッティとサンドイッチを食べて補った。バイタリティーのある人である。

100年以上前の料理が飽食の時代のそれより上とは必ずしも言えない。もちろん吉野鮨も時代の変化に合わせて進化しているはずだ。老舗料理屋に行く度に受ける感動と戸惑い。良くも悪くも吉野鮨は疑いなく老舗である。


吉野鮨本店
東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001

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2008年07月26日

[あきば]④(八重洲)

あきばで今日も魚のお勉強


昔の記事にコメントを入れてくれたとどまささんに敬意を表してあきばに行くことにした。コメントの中の「シンコ」に引き付けられたのは言うまでもない。

他の社員の夏休みで留守番役になった数人を引き連れてあきばの暖簾をくぐった。主人と奥さんがにこやかに迎えてくれる。カウンターには「予約」の札がいくつも置いてあり、繁昌しているようで嬉しくなる。

最初にあきばに来たのは約2年前。そのときから比べると銀髪の知識も豊富になった。産地を言われたら漢字や地図が頭に浮かぶ。鹿児島県出水のアジ、明石の焼きアナゴ、小柴のシャコなどなど。大サザエの西伊豆安良里(あらり)は本日得た新しい知識。


寿司屋には大きく分けて2種類ある。伝統的な江戸前の仕事からあまりはみださず、ネタの仕込みに時間をかけ、酒の肴もあくまで素材重視の店。伝統にこだわらず、創作料理を得意にする店。あきばは前者に属するようだ。

最高の素材を探すことのこだわるあきばのような店の場合は夏場の仕入れには苦労しているようだ。うには当然北海道と思ったら徳島産。徳島出張でうにを食べていなければ怪訝に思ったところだ。若布が美味しい徳島はうにも美味しい。


大トロはインドまぐろ。国産物しか使わないと思っていたが、さすがに今の時期は冷凍物の方が美味しいらしい。大間の本鮪の信者には気の毒だが、回遊魚のまぐろは今は他の海を泳いでいる。太って脂が乗るのは秋以降だ。

関西は比較的小さめの穴子の焼きを好む。煮穴子は大きめの江戸前がいい。あさりは東京湾の三番瀬が最高と言われるが、今日のあきばは三重県産を使っていた。身が太って美味い。

そして本日の目玉はシンコ。コハダの今年生まれたもので、キロ当たり数万円もする高級品。通は一貫に3匹以上使うような小さなシンコを好む。もうだいぶん大きくなってきた。やがてシンコと呼べなくなる。今一番美味しい愛知県三谷のものと胸を張る。確かに小さいのに脂が乗って美味だった。

日本は縦長の地形のお陰で、旬の地域が北上したり南下したりして、長時間旬を味わうことができる。それでもあきばの主人の苦労は大変のようだ。猛暑を超えるのが待ち遠しい。

あきば
東京都中央区八重洲1-4-10
(店の希望で電話番号は載せていません)

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2008年07月17日

[すし秀](四谷三丁目)

常連さんで賑わう町の寿司屋さん


新宿から四谷方向に新宿通りを走り、四谷三丁目の交差点を越えて三菱東京UFJ銀行のある交差点を左折、1本目の信号の交差点(三栄町)を右折すると道の左側に見える。
店に入ると常連のKさんが連れと2人で我々を待っていた。「分かりにくかったでしょう?」と声をかけられたが、迷いようがない。もっとも荒木町のように料理屋が密集している地域ではないので、「こんなところに?」と思う人は多いかもしれない。

食事の前に主人の村岡さんと名刺交換した。名前の漢字が全く一緒なのを足掛かり一気に仲良くなろうとしたがどうもぎこちない。Kさんが銀髪グルメ紀行のことを事前に話していたせいか、少し緊張しているのかもしれない。

最初に出て来た豆粒のようなものがシャコの爪の身と聞いて驚いた。築地でもなかなか入荷しない貴重なもの。塩水ウニともども美味しいスタートとなった。

鰯、あわび、塩辛と酒の肴に向く料理が次々に出される。普段ならあれやこれや質問して、ちょっと知ったかぶりをして料理人を引き込むところだが、Kさんたちも無視できない。銀髪だけが目立つのも気が引けた。

座った時からカウンターにデンと鎮座している大きなサザエが気になっていた。日本橋の「あきば」寿司あきばでいつも食べるサザエと同じぐらいの大きさなので千葉産かと尋ねたら、こちらは伊豆産だという。もちろん壷焼きにしてもらって仲良く4人で分け合った。優しいKさんがスープもたっぷり注いでくれた。

手際よく出されるものを食べていて、ふと刺身を食べていないのに気が付いた。つまみに少し切ってもらうつもりで頼んだら4人分まとめて出てきた。Kさんをはじめ、みんなが譲ってくれるのでたくさん食べてしまった。

最後にコハダ、アナゴ、トロを握ってもらった。もう少し食べたかったが皆さんの協力でお腹が一杯。デザートのさくらんぼは2粒だけ味見した。シャブリを飲んでカウンターのこちら側で盛り上がった。

村岡さんはカウンターを埋めた常連さんたちの相手をしている。顔なじみに囲まれてリラックスしている様子。銀座あたりの店には見られない和やかな雰囲気である。表通りからは引っ込んだところに店を構え、宣伝もしない理由が分かる気がする。

料理が大切なのはもちろんだが、それ以上に料理人が好きで客が集まって来る。友達のように、兄弟のように和気藹々である。大都会・東京にもそんな店がある。


すし秀
東京都新宿区三栄町19
03-3351-0051

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2008年06月25日

[つな八 本店](新宿)

念願のつな八本店に遂に入れた


いつ行っても行列が出来ていて入れない。予約をすればいいものを、いつも飛込みでは仕方がない。目指して行くとダメなのに、他の店に行くつもりで店の前を通ったら誰も並んでいなかった。金曜日の7時に簡単に入れてしまうのだから世の中面白い。もちろん予定を変更してつな八の暖簾をくぐった。

つな八は1924年(大正13年)創業というから80年以上の歴史を持つ老舗の天婦羅屋さん。その割にカウンターで2千円位から食べられる庶民的な店。行列が出来るのも頷ける。
カウンターに座り、天婦羅膳1,995円、上天婦羅膳2,730円、特選江戸前膳3,990円のどれにしようか迷う。この上はポンと値段が跳ね上がるので、お好みにした。好きなものだけ食べよう。

産地直送盛合せ、白海老

めじな、くろむつ、やりいか、はもの4点盛りを頼んだが、なかなか来ない。お通しがない明朗会計は嬉しいけれど、ビールのつまみがないので白海老の天婦羅を頼んだ。すぐに揚げてくれるかと思ったが、銀髪の順番はかなり後。結局刺身が先に来た。

カリッではなく、衣が厚くてフンワリとしている。ものの本によれば、これが本来の江戸前天婦羅だそうだ。

海老、いか、めごち

めごちはフンワリというより、中がべチャッとしていた。尾びれとそれに続く骨は噛み砕けない。板さんがこまめに天婦羅鍋の火を点けたり消したりしているのが気になっていたが、揚げ油の温度が低かったのかもしれない。

大あさり、ほたて、小玉葱

お好みにしても、カウンターなら困らない。他人の天婦羅が揚がるのを見て、何を食べるか決断できる。隣席を覗き見て、中がレアのほたては特に美味しそうに見えた。結局、食べた中では玉葱が一番美味しかった。

ミシュランが星をつけた店の天婦羅は衣が薄く油もくどくない。グルメ本が推奨する店を好きな人がつな八の天婦羅を褒めないのはよく理解できる。もっとも、これこそ老舗が守る伝統の味なのかもしれない。「この値段なら充分美味しい」という口コミが多い。高級店なみの値段なら来ないということだろうか。

店を出る頃には行列が出来ていた。ラフな格好をした若いカップルが多い。カウンター天婦羅デビューに目を輝かしているのが窺える。「美味しいだろう?」「美味しいね!」なんて会話する恋人たちに野暮な話はするまいと思った。


つな八 本店
東京都新宿区新宿3-31-8
03-3352-1012
http://www.tunahachi.co.jp

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2008年06月20日

[乙女寿司](金沢)

お詫び
昨日、新しいドメインへの移行作業を行いましたが、画像が見られない状態が続きました。さらに、せっかく書き入れていただいたコメントが消えたものがありましたことをお詫び申し上げます。

プロが奨める寿司屋


富山の人気寿司店「難波」の主人は勉強家だ。近隣だけでなく東京にも度々行くという。金沢に行くと言ったら彼が紹介してくれた店が乙女寿司だった。
タクシーの運転手さんには店名を告げるだけでよかった。路地の奥にみすぼらしく佇むように見えたのでちょっと驚いた。店の入り口が見えると安心した。立派な店である。

古い建物の割に店主は若い。祖父の代から続いているのかと聞いたら血縁はないと言う。乙女寿司で長年修行したのかと聞いたらそれも違う。店と店名だけ引き継いで血縁も師弟関係もないとのこと。だとすると、乙女寿司の評判は鶴見店主が一代で築き上げたものということになる。

赤イカ、白バイ貝、マコガレイ

メジ鮪、アジ、万寿貝

地物中心にお任せにした。単純な刺身はわずかで、オリジナリティーが溢れる料理である。

アワビ、のど黒、ゲソ

アワビの肝和えは見た目も美しい。肝は餌によって色が違うらしく、我々が食べたアワビはきれいなグリーンである。
それにしても圧倒的な存在感があるのはやはりのど黒である。脂が乗って実に美味。

魚は目の前の木箱(氷を敷いたネタケース)に収められており、ガラスの冷蔵ケースはない。鶴見さんが蓋を開ける度に中を覗きこんで質問する。
キジ海老という地元の海老、能登うしつで獲れた近海鮪を頼んだ。

アラ、キジ海老、うしつ鮪

最後に椀物と巻物を頼んだ。連れの二人は穴子などを食べているが、愛知産には興味がない。

あら汁、かんぴょう巻き、かっぱ巻き、ウナギ

店に入った時から気になっていた肉厚の鰻。地物に徹するつもりが禁を破った。寿司の評価は割れた。しゃりの好みなどはよく分からない。

銀髪は創作料理などを充分に堪能した。保守的な人にはちょっと違和感があるかもしれない。10年後、20年後の乙女寿司も見てみたいものだ。


鮨処 乙女寿司
石川県金沢市木倉町4-10
076-231-7447

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2008年06月01日

[すし三崎丸](祖師谷大蔵)

回転寿司とどちらがいいか


子供が大きくなり、家族全員が揃うことは稀になった。平日は銀髪のせいなのは明白である。もっとも、銀髪がいない方が平和のようで、痛し痒しである。
休日に日頃の罪滅ぼしにちょっと気張って寿司屋にでも行こうと提案すると、いつも却下される。回転寿司がいいと言われて今度は銀髪が渋る。酒の肴も限られるし、混雑していて落ち着かない。双方の妥協したところがすし三崎丸だった。

ほたるいか、生しらす

あおりいかのげそ唐揚げ、焼き筍

旬の食材も結構取り揃えており、日本酒を飲みたくなる。回転寿司に比べると酒の品揃えもいい。純米酒や吟醸酒も各種あり、ちゃんと冷蔵庫で出番を待っている。



寿司をオーダーするのは銀髪の役目である。大トロなど一部を除いて2個240円均一のお手頃値段。たくさん食べようと思って「しゃり少な目」と頼んでも、希望が叶えられたとは思えない。職人の手に収まる量は長年の経験から固定されてしまっているのかもしれない。

いかは数種類を食べ比べできるし、聞いたことのない貝もある。安いからといって馬鹿にしたものではない。
すし三崎丸は関東一円に49店舗ある。持ち帰り寿司・京樽の一業態だということは、ホームページを開いて初めて知った。一度は経営破たんして上場廃止になったけれど、吉野家の子会社となり再建を果たした。助けた吉野家も再建組なのが面白い。

以前は寿司屋ではつまみや刺身ばかりでお腹を膨らませていたが、寿司中心だと酒も少なくて済む。刺身が減り、酒量が減るとお代も減る。おまけに身体にもいい。
そうそう、次の日の酒も食事も美味しい。52歳になってやっと気付いた好循環。お財布も身体も健康である。

http://www.kyotaru.co.jp/misakimaru/misakimaru.html

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2008年05月28日

[難波]②(富山)

久し振りに行った富山最高峰の寿司屋


「〇〇という料理屋知ってる?」と聞くと「知ってますけど、もっといい寿司屋がありますよ」とタクシーの運転手さんが言う。「ちょっと郊外にあるんですけど…」と続けるのを「アー、難波ね」と遮った。

難波から送られてきたメールを思い出した。いい魚を大量に仕入れてしまったので来て欲しい言う。翌日に富山出張するのを見越しているかのようだ。多数の人に送ったメールであることは分かっているが、タクシーの運転手さんに推奨されると、偶然には思えなくなってくる。部下に「難波に行くぞ!」と告げたら、顔がパッと明るくなった。

まぐろ3種

左から水揚げされたばかりの本まぐろの赤身。真ん中が今は壱岐を回遊している160キロの本まぐろの大トロ。水揚げは10日前。右が5日前に水揚げされた小型の氷見産本まぐろ。
獲れてすぐの赤身は死後硬直で身が固く、噛み切るのに苦労するほどだった。熟成されて柔らかくなった大トロ、中トロと比較できたのが面白かった。

あら、新湊さんアカイカ、穴水産のこはだ

新湊産天然車海老、穴水産しゃこ

地元の素材中心に造ってもらった。大きな車海老が印象的。もちろん頭は焼いてくれる。

のどくろ、炙りしめ鯖、漬物

のどくろには部下がうなった。皮を炙ったお陰で脂が程よく溶けて、口の中に広がる。しめ鯖も同様で、魚も肉も軽く火を通した方が美味いことが証明される。

料理はもちろんだが、店主との会話が滅法楽しい。銀髪のうんちくを嫌がらず聞いてくれる。もちろん色んなことを教えてくれる。
酒は勝駒。地元の小さな酒蔵らしいが、純米、吟醸、大吟醸、本醸造と飲み比べた。

マコカレイ、小柱、うに、穴子2種

握りも美味い美味い。3人で食べて酒6合、生ビール2杯、ウーロン茶2杯を飲んで合計41,200円。とても満足した。

難波さん、またメール待っていますよ。


鮨 難波
富山県富山市公文名34-12
076-493-8686

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2008年05月16日

[すしまみれ](新宿歌舞伎町)

明朗会計、安くて美味しい店、なのかな


4月23日、新宿区役所通りに寿し屋がオープンした。明るくきれいな24時間営業の店である。

お通し、刺身盛合わせ(お任せ)

210円と良心的なお値段のお通しが白木(プラスチック?)のカウンターに置かれた。刺身はお任せにしてちょっと後悔した。金目はともかくたこ、数の子、あおやぎは意外な組み合わせ。これで2,310円。

かに玉子焼き、刺身盛合わせ(指定した魚で)

「焼き立て」と一生懸命奨めるので断り切れず、「ちょっとだけ」と言ったら4個もくれた。2番目のの刺し盛りはお任せにしないでひらめ、たい、しめさば、あじを自分で選んだ。こちらが2,270円。満足感が違う。

寿司

大トロ、うに、しまあじ、かんぱち、えんがわ、こはだ

インドマグロの大トロとうにが378円、しまあじ252円、かんぱちとえんがわが210円、こはだが126円。

「脂が乗って柔らかい不思議なえんがわですね」と言ったら、「カレイのえんがわです。若い人に人気がありますよ」と返ってきた。ヒラメのえんがわが210円とは、随分安いと思ったがカレイなら頷ける。

インドマグロとはいえ大トロ378円はお値打ち。寿司の値段が壁に印刷してあるので、仕入れ値が上がっても客から取れる値段は不変。「大変でしょう?」と同情したら、「他のネタで調整しますから」と笑う。エッ?

お任せで作ってもらった刺身の盛合わせを思い出してドキッとした。同時に明朗会計の意味を考え直した。仕入れ値に適正な利潤を上乗せした価格のことではない。食べたものの値段が自分で計算できるかどうかが明朗会計の意味。「時価」の料理がないすしまみれはまさしく明朗会計の店である。

食べるものによって損得が生じるのはいたしかたないのかもしれない。


すしまみれ 新宿店
東京都新宿区歌舞伎町1-2-3
03-5155-7065

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2008年05月06日

[だぼ鯊]⑤ (日本橋)

今日のハイライトはギンポ


江戸前の魚と言えば、アナゴ、シロギス。一年中使われるが晩春から夏にかけてが旬だ。秋には甲イカの子が新イカと呼ばれ寿司種としてだけでなく天ぷらでも人気となる。晩秋から初冬にかけてはハゼの季節。店名にしてしまうほど上品で美味しい魚だ。

忘れてならないのがギンポ(銀宝)で、江戸前天ぷらになくてはならない物。死んでしまうと味が落ちる。成長すると皮が固くなってしまうので、4~5月の限られた期間しか食べられない。まさに通好みの魚と言える。昨年は食べ損なったが、今年は口に出来て幸せだった。

ギンポ

関西ではカミソリ、日本海側ではウミドジョウ、東北ではカタウナギと呼ばれることで分かるように、長細い異形の魚。これを関東では銀宝と呼んで珍重する。江戸前の天ぷらにすると宝になってしまうのが面白い。身はしっかりしていて、噛み応えがある分味が深く感じられる。天ぷらが上手いと見抜いた料理人は凄い。

メゴチ、稚鮎、姫ニンニク、アスパラ、あなご

銀髪は定番のコースではなく、お好みで揚げてもらった。アスパラを頼んでトイレに立った隙にアナゴが一片乗せられていた。ギンポと比べてみると見た目は似ているが味は明らかに違う。

もう一匹食べようかと思ったが止めにした。連れの3人にも敢えて奨めなかった。我々の後に続々お客さんが入ってきて店は満員になっている。予約なしで飛び込んできた我々が、ギンポ目当てに予約してきた客のものを食べたら申し訳ない。

代わりに豆腐をしっかり味わってもらうことにした。にがりを多めにしているので箸で刺しても持ち上がる。大将手作りの豆腐だ。いつもとは趣向を変えて、薬味は別盛りにするようにアドバイスした。まず豆腐だけで、次は塩で、そして薬味を乗せて醤油をかけて食べる。みんな、気に入ったようだ。

ギンポを食べられるのは5月末頃まで。あまり時間はない。


だぼ鯊 
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533

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2008年05月02日

[東寿し](札幌)

北海道最古の寿し屋


明治8年創業、東京から北海道に寿しを伝えたことから東寿しと名乗ったそうだ。
「古いからいいというわけでもあるまい」と地元の人が呟いたのが不気味に頭に残った。

5時半に店に到着。一斉に客が入ってきたため、1機しかないエレベーターを2度待ってようやく4階の座敷に到達した。席には銀髪の会社名付きのお品書きが置かれていて嬉しくなった。予算(1万円)と希望を事前に伝えておいたとおり、特別メニューを用意してくれたのが分かる。

メニュー、付け出し

全員揃うとすぐに付け出しと撮りそこなった塩水ウニがやってきた。

刺し身盛り合わせ、桜ますの焼き物

付け出しに箸をつけようとしたところで刺し身の盛り合わせが出てきた。ちょっと早いなーと思ったが、気を取り直して付け出しの里芋を食べたところで、焼き魚がをテーブルに置かれた。「料理を出すペースを落として」と仲居さんに注文をつけたが、頭に血が昇って他の人の話が耳に入らない。
目の前に付け出し、塩水うに、刺し盛り、焼き物の4皿が並んだ。あらためてメニューを見ると、あとは煮物を挟んですぐにお食事(にぎり寿司)になってしまう。

部屋を出て仲居さんをつかまえて、「とっとと食べて早く帰れということか?」と気色張った。仲居さんは「自分の不手際で、調理場の責任ではありません」と殊勝だ。刺身と暖かい焼き魚を同時に出す愚は料理人の仕業であることは疑いないところだが、自分の責任と言い張る仲居さんに免じて矛を収めた。

サービス(?)、煮物

煮物の前にお品書きにない料理が出てきた。仲居さんから一言もないので予定されていたものか、お詫びのしるしなのか良く分からない。多分後者だろうが、そうであれば仲居さんは只者ではない。彼女の言ったとおり、すべての差配をしているのかもしれない。

寿し

トイレに立った時に、今度は仲居さんに親しげに挨拶した。仲直りの時だ。注意してからは料理を出すタイミングも問題ない。
前半は怒りのため、後半は話が弾んでしまったために料理の味はよく覚えていない。仲居さんの本望ではないかもしれないが、料理よりも彼女の印象が強く残る店だった。

他の人たちは我々のやり取りに気付かず、楽しんでくれたようだ。もっとも、文句を言わない地元の客が一番怖い。北海道で最古の寿し屋なら、当然分かっているはずだ。


東寿し
北海道札幌市中央区南4条西3丁目
011-261-7161
http://www.azumazushi.com

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2008年04月17日

[すし処 N](四谷)

夫唱婦随の小さな寿司屋


「ブログに書かないでください」と帰り際に釘を刺された。八重洲仲通りの「あきば」と同じように電話帳にも載せていないと言う。女将に店名も電話番号も出さない約束をしてエレベーターに乗り込んだ。

「ブラディドール」に連れて行ってくれたMさんが紹介してくれた店は、飛び込み客はまず来ないところにある。ちょっと迷って携帯電話を鳴らし始めたとき、ビルの中に通りからは目立たない看板を見つけた。

お通し、刺身

毎日更新するおしながきがいい。それぞれの素材に産地が書かれており、素材へのこだわりが感じられる。自己流と謙遜するが、女将自筆の筆文字がいい味を出している。
鯵は産地の違うものが3種類あり味比べが出来る。しめさばを頼むと炙ったものを添えてくれるので、生と焼きの味の違いが分かる。芸が細かい。

寿司