2010年09月02日
[青玄海]②(日本橋)
また来たよ

「久しぶり!」階段を上りきると、代表の中田さんらに声をかけた。すぐに再訪するつもりだったが時間が経つのは早い。それでも、2ヶ月足らずの間にまた行くのは異例のことだ。前回が楽しかったからに他ならない。

5時半過ぎ、予約もしないで来たので意表を突いた格好になった。店は慌てて戦闘態勢に入る。枝豆でビールを飲んでいるうちに、準備が整った。青玄海の料理はシンプルで分かりやすい。お通しが来たら次は刺身。

ウニ以外は福岡から空輸された玄界灘の鮮魚ばかり。皮を炙ったサワラの下に、脂の乗った腹身が敷いてある。豪快な男の料理がウリの店のようでも、細かい芸も持ち合わせている。

お約束のアジの開きと鮭の鮭粕煮。ランチでも特大アジの開きが890円の定食で食べられるとのこと。これは食べ応えがある。

キンキの煮物が出てきたところで、「白いごはんが欲しい!」との声。スプーンをもらい、ごはんに汁をかけながらかっこんで、みんなご満悦のようだ。

刺身、アジ、鮭、キンキと続けざまの魚料理でも銀髪はまったく気にならないが、肉や野菜が恋しくなる。そこで最後は牛すじ、大根、田舎こんにゃくとなる。
「グルメ紀行に、店員も客も男ばかりとコメントされてたぞ!」と言うと、困った顔をする。「女性には大サービスをすると書いとくからな!」と大きなお世話。最近の居酒屋は女性客がお得意様だ。青玄海も女性客の誘致に努め、華やかな雰囲気になって欲しい。女性が来たら、好みを聞いて少しメニューをアレンジしたら喜ばれるはずだ。
料理もいいが、店の独身3人を気に入っている。女性客に囲まれて、ニコニコと仕事をしている彼らを見たいものだ。
青玄海
東京都中央区八重洲1-4-4 2F
03-5202-8666
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2010年08月30日
[67餃子](恵比寿)
武蔵丸さん、ご馳走様

67の意味が分からないまま訪問した。まさか「ろくな餃子じゃない」ってことはないだろう。この店をプロデュースする武蔵丸が第67代横綱だったことからつけられた店名と遅まきながら気がついた。テレビで紹介された店はもう少し立派な店だと思って入ったのだが…
コンクリート打ちっぱなしのような店内。入口にテーブル席、奥がカウンターになっている。調理場が見えるカウンターに直行。迷わず焼き餃子と酢モツを頼んだ。

予定通り酢モツがすぐにやってきた。ビールを飲みながら周りを観察する。男っぽさを演出しているような男性店員が4人。全員が髭を生やしている。面白いことにまばらな客のうち3人にも髭がある。ツルンツルンの銀髪が優男に見えるに違いない。

鉄板焼き餃子2人前がやってきた。写真の親指と比べて分かるように、小さな餃子だ。鉄板にきれいに収まるのは2人前、1,060円。ちょっと高いかな。博多では游心、博多鉄鍋本店、鉄なべなどに行ったが、67餃子より安くてカリッとしていた。

炊き餃子は気に入った。グラグラと煮えたぎる鍋に入った餃子は皮が厚くて食べ応えがある。とんこつスープもなかなかいい。「これは美味しいね」と髭面の店員(全員髭面なのだが)に言うと嬉しそうに笑った。

麺を頼んだら替え玉のように茹でた麺を入れてくれるに違いない。勝手に想像してスープが冷めないように餃子を急いで食べ尽くしてオーダーした。すると鍋を一旦下げて、麺を茹で始めた。お陰で超熱々の博多ラーメンを食べることが出来た。満足満足。
「店員になるには髭が必要なの?」と聞くと、驚いたように「そうですか?たまたまですよ」と答えた。強面に冗談を言える銀髪は偉い???
第66代横綱若乃花・花田勝氏プロデュースの店は潰れてしまった。67餃子は武蔵丸の名を汚さぬように頑張って欲しいものだ。
67餃子 恵比寿店
東京都渋谷区恵比寿1-1-7
03-6408-6422
http://www.67gyouza.com
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2010年08月13日
[ととしぐれ](下北沢)
日が暮れるまで待てない人に早く開く店

土曜の3時ちょっと前、店外の椅子に腰かけてビールを飲んでいる若者がいる。道端でも電車の中でも平気で座っている若者と同じ類かと思って通り過ぎた。店のちょっと先の集会所でのミーティングが終わったのが4時前。もう開いている店があると聞いてピンときた。
今年4月から来年3月に55歳になる仲間が約10人。10月開催の同期会打ち合わせ時間より、その後の飲み会の時間の方が遥かに長い。ミーティングに間に合わず飲み会だけの者もいる。それでもみんな笑顔で乾杯だ。

「なんだよ、おめー」「馬鹿じゃねーの、おめー」「そんなもの美味くないよ、おめー」やたらと「おめー」が飛び交う。言葉は悪くても仲がいい中学からの仲間たちだ。あれこれ頼もうとするので口をはさんだ。広い店内に客は我々のみ。頼んだものがあっと言う間にテーブルを覆い尽くすのは間違いない。

料理のオーダーは仲間に任せた。料理がテーブルに置かれても銀髪が写真を撮り終わるまで箸をつける者はいない。これまで手だけ出演してくれた人もいる。銀髪グルメ紀行の大事な読者たちである。

刺身の代わりに頼んだという巨大な寿司。写真を撮るのに格好の素材である。当然のことながらかぶりつくのは不可能。銀髪たちが酒の肴に刺身をつまんでいると、横から米だけ食べる奴が居る。上手くできている。

小エビのニンニクオリーブ炒めが二つやってきた。一つが滅茶苦茶塩っ辛い。底に沈んでいるのはニンニクかと思ったら塩。店員を呼んで「食べてごらん」と言ったらぶんむくれた。「料理人に食べさせてよ」と言ったものの何の音沙汰もなかった。


何事もなかったように宴に戻れるのが55歳の年の功。「この店は日本酒が高い!」と言われれば、焼酎で我慢するのが割り勘のエチケット。「おめー」を連発するレディース&ジェントルメンの宴は今日もほろ酔い程度でお開きになった。
ととしぐれ
東京都世田谷区代沢5-30-12 菊水菊池ビル1F
03-3419-6125
http://www.32lime.com
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2010年08月11日
[酒菜亭](澁谷)
全国の銘酒が飲める店

「日本名門酒会加盟店」となれば期待が持てる。日本名門酒会とは全国120社の蔵元と全国1,800店余の酒販店を結ぶボランタリー組織。いい日本酒が置いてあるなら、いい酒の肴があるに違いない。
場所は東急百貨店本店南口の向かい側にある小さなビルの4階。道路の立て看板を見ても初めて行くにはちょっと勇気がいる。もっとも、静岡おでんがメニューにあるような店だから恐れることはないと決断した。

「煙草を吸わない」と言ったら入口近くのカウンターに案内された。まずはお通し。割烹風のお通しはなかなか気が利いている。ビールを飲んだ後はもちろん日本酒。蓬莱泉、磯自慢、天狗舞の3銘柄以外は飲んだことがない。蔵直送とは日本名門酒会ならではだろう。

カウンターに並んだ惣菜の中から牛すじ煮込みを頼んだ。出し粉がかけられているのは静岡おでん風だ。B級グルメブームでもてはやされる以前から店の看板料理だったらしい。静岡出身の店主の郷土愛か。

カウンター上の冷蔵ケースにはきれいな鯨肉。築地で見るようなきれいなシロナガス鯨を見たら頼まずにはいられなかった。

大根、厚揚げ、黒はんぺん。紛れもなく立派な静岡おでんだ。しっかり味が染みて大根は割っても割っても真っ黒である。


新サンマを食べるのは今シーズン初めて。まだ脂の乗りはイマイチだが、初物は嬉しい。「次は何にする?」と連れに聞くと「もう一回、牛すじ食べていいかな?」と言う。何を仰るうさぎさん。「同じものを頼むほど料理人を喜ばせることはないよ。ねぇ、マスター?」と言うと笑顔が返ってきた。
開業したのは20年前というから老舗といってもいいかもしれない。近くには魚真、巌など若者でいつも満席の店もあるけれど、酒菜亭だって負けていない。大いに宣伝したいところだが店主や女将さんたちを相手に一人飲む客には迷惑だろう。本当の日本酒好きが集まる店、知る人ぞ知る店のままの方がいいのかもしれない。
酒菜亭
東京都渋谷区道玄坂2-23-15 小池ビル4F
04-3716-1441
http://www.sakanatei.net/
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2010年08月05日
[蔵](八丁堀)
いつでも食べられるクエとアラ

「クエ入荷しました」店の前に貼られた紙片に胃袋をつかまれた。オフィスに戻ってネットで調べると、蔵は通年クエを置いているとのこと。年中使っているキャッチコピーだった。クエは冬が旬だが、年中クエを扱っている博多中洲のよしおかのような店もある。東京でよしおかのようなクエを食べられるならこんな幸せはない。
予約の電話の向こうからは大らかな職人っぽい声。ドアを開けると店も主人も電話で想像したとおりだった。メニューにはクエとアラ。Kさんが「違うの?」と言うと、待ってましたとばかり「イヤー、毎回毎回説明するのが面倒くさいんでねー」と携帯の写真を見せてくれた。

銀髪は食材図鑑(小学館)で上の写真をチェックしてきた。九州でクエのことをアラと呼ぶので混同してしまうが、ハタ科のクエ(写真上)とアラ科のアラ(写真下)はまったく別の魚。知ったかぶりの銀髪と、面倒くさいという店主が競うように説明するのでKさんは目をパチクリ。

クエと富山産鬼海老の刺身を頼んだ。メニューにはクエやアラ以外にも各地の鮮魚が並ぶ。「こんな高級魚ばかりで売れるの?」と聞けば「売れなきゃ置いてませんよ」とのこと。築地を通さず知人などから送ってもらっているからできるのかもしれない。

「最高にうまいっすよー!」と出されたのが胃袋。「湯がいてあるの?」と聞いたら「湯がかなきゃ食べられませんよ」と言われる。話が噛み合っているのかいないのか良く分からない。

「頭や腹のところがいいんだけどなー」と言うと、「全部混ざってますから」と答える。アラもクエも1mを超えるものもあるが、「あまり大きくない方が美味しい」とのこと。アラは塩焼きに、クエは煮つけにしてもらった。コラーゲンたっぷり、脂乗り乗りのクエはやはり冬場の大物がいい。冬が旬と言われるのは夏は産卵期で身が落ちるため。煮つけに卵がたくさんなのも頷ける。

塩焼きも煮つけも2人で食べるには量が多い。責任をとって一生懸命食べる銀髪にKさんは「うにごはんを食べたい」と言う。まあ気持ちは分からないでもない。馬糞うにたっぷりで贅沢だ。


「手打ちそばって自分で打つの?」と聞けば「そんな暇はありませんよ」と明るく胸を張る。親戚の人が打って送ってくれるそうだ。魚介類にしてもそばにしても頼りになる友人知人を持って幸せな店主である。
蔵
東京都中央区八丁堀1-8-9
03-3553-1908
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2010年08月01日
[魚河岸 丸天](静岡)
巨大海鮮かき揚げ丼

静岡駅近くで昼飯となるとみなみ、のっけ家など海鮮丼が定番になっている。今回は沼津に本店がある丸天に行くことにした。炎天下を避けて地下を歩けるのがいい。
「こんなとこに飲食店があったんですね」部下が飲食店が並ぶ名店街に驚く。静岡を担当して数十回は来ているはずだが、いつも新規開拓をするのは銀髪である。「あれですか?」数人が並んでいる店を部下が指差す。「うん、あれだ」店名を見て頷いた。思ったほど待たずに入れた。相席は仕方がない。メニューは見なくても頼むものは決まっている。

店員がうに鉄火丼を銀髪の前に置こうとしたので手で制した。まさか白髪オヤジが巨大な海鮮かき揚げ丼を食べるとは思わなかったようだ。1,313円のうに鉄火丼に対して945円は割安に思える。それにしても目の前の実物を見ると驚くやらあきれるやら。思わす笑ってしまった。

揚げるのに長時間かかると思っていたが、鉄火丼と同時に持って来た。どうやら平たく揚げた後に丸く形を整えるようで、思ったより調理に時間はかからない。多くの人がこの名物海鮮丼を頼んでいるにもかかわらず、客の回転が早いのも頷ける。

天ぷらを真ん中から割ってごはんの上に広げた。ますます巨大なかき揚げだと分かる。見た目の割には味は悪くない。天つゆをかけながらかき揚げを片付けていく。「僕だったら余裕で食べられましたね」と部下がうそぶく。銀髪も食べきることが出来ないではないが、夕食のことを考えたら無理をしない方が良さそうだ。海老と玉ねぎを食べ尽くし、衣とご飯は残した。
丸天は夜には居酒屋に変わる。刺身、寿司以外にも単品の酒の肴がたくさんある。840円の巨大海鮮かき揚げをみんなでつまむのも悪くないだろう。
丸天は沼津、静岡などに5店舗ある。夏休みの話のタネに丸天で海鮮かき揚げを頼んではいかが?食べきれなかったら持ち帰りもできる。丸ごとお土産にしたら喜ばれる、かな?
魚河岸 丸天
静岡県静岡市葵区紺屋町8-9 静岡紺屋町名店街(地下)
054-273-4000
http://www.uogashi-maruten.co.jp/
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2010年07月21日
[魚真 渋谷店](渋谷)
魚屋系列の人気店

経堂にある魚屋が開いた1号店が下北沢の魚真。今では渋谷、吉祥寺、恵比寿などに系列の店がある。加えて、1号店の初代店長が開いた渋谷の和田丸や祖師谷大蔵で人気のきなりなど魚真から独立した店も多い。どの店も新鮮な魚介類をリーズナブルに食べさせてくれる。
東急百貨店本店の前にある魚真渋谷店もいつも賑わっている。週末には予約しなければ入れないほど盛況なので、週初めを狙って行ってみた。思った通りだった。どんなに人気の店でも月曜から一杯の店は少ない。テーブル席に案内されたが、カウンターを選んだ。
手書きのメニューには魚の名前がたくさん並んでいる。まずは極上いいとこ7点盛りを頼んだ。2,400円は高いか安いか写真を見て判断していただこう。ウニや大トロが入った豪華な盛合わせだ。1人前が1,200円で人数分を頼む形なので喧嘩にならないのがいい。

温野菜にはガーリック風味のソースがかけられるが別に持ってきてもらった。クリーミーで上品なソースで、いい出来だった。

「あれは食べられないのかなー」連れが目で示すのは金目鯛の兜。メニューに載っていないものを目ざとく見つけた。若い女性店員に聞くと、客に出せるものか即答できない。料理人のところから戻ってきた笑顔を見ただけで答えは分かった。金目が焼けるまでのつなぎで枝豆を頼んだ。茹で立てでないところが居酒屋と割烹の違い。冷たくとも茹で方は悪くなかった。

銀髪が選んだのはもちろん頭の方。トロリとした目玉を口に入れた。子供の時、目玉を喜んで食べたのは次兄だった。銀髪はいつも気味悪がっていた。毛嫌いしていたものをいつの間にか好きになった。酒のお陰かもしれない。酒を飲まない人の嗜好は子供の時から変わらない。面白いものである。
魚料理の店は市場が再開する月曜が一番美味しいはずだが、8時過ぎても空席が目立っていた。待ちの商売は難しいね。
魚真 渋谷店
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル1F
03-3464-3000
http://www.uoshins.com
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2010年07月08日
[十米](新橋)
待ち合わせには便利

新橋での待ち合わせはニュー新橋ビルの1階がいい。ビルの中は冬は暖かく、夏は涼しい。
5分前に到着したら、Oさんは既に待っていた。Sさんがいないので電話しようとしたら携帯メールが入っている。30分も遅れるとのこと。どの飲み屋で待つか思案していたら、客引きがやってきた。普段は敬遠するのだが、誘いに乗ることにした。
思ったよりちゃんとした店だ。席の間隔も余裕があってゆっくりできる。最初のオーダーは好き嫌いが多いOさんに任せた。
お通し、米澤豚の串揚げ

長い付き合いだけど串揚げを頼んだのにはちょっと驚いた。次の長芋ポテトフライは高過ぎると店員をからかっている。飲食店の経営にたずさわっていただけに、ついつい職業病がでるらしい。海老マヨネーズにはもっと驚いた。あっさりしたものが好きだったはずだが長い年月は食事の嗜好を変えたようだ。あるいは人生のパートナーが替わった影響かも。
長芋ポテトフライ、海老マヨネーズ

たこねぎを食べたところでS氏がやってきた。30分のはずが1時間は超えている。生ビール2杯を瞬く間に飲み干した。我々の食べ残しも嫌がらず食べるいい奴だ。O氏は既に食欲が失せているのでメニューを取り上げた。
たこねぎ、デミグラ牛肉コロッケ

お腹が空いているいるS氏のためにデミグラ牛肉コロッケと若鶏の唐揚げねぎソースを頼んであげた。これで我々に追いつけるだろう。
若鶏の唐揚げねぎソース、米(よね)ピザ

呼び込みに熱心な店にしてはまともな店だった。料理は多種多彩。悪く言えば特徴がない。そんな中で出色だったのが米ピザ。米粉ではなく炊いたご飯を使っている。粘り気があるようでないような、いい食感だ。
本店は神田にある。神田と新橋はよく似たサラリーマン天国である。しかし、ビルの中となると趣は異なる。階を上がると人通りは少ない。飛び込み客は期待できないだろう。待ち合わせには最高にいい店だけれど…
十米
東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル2階203号
03-6268-8686
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2010年07月05日
[よし](京都)
魚屋の逸品

「えっ、こんなところにあるの?」アーケードの中は錦の商店街。京都の台所といったところだろうか。「どんな魚が置いてあるんだろう」立ち止まろうとすると、部下は魚屋の横の通路に進んでいく。呆気に取られていると「店はこの奥なんですよ」と涼しい顔だ。
魚屋の娘さんと、その旦那さんが営む料理屋と言われて納得した。福岡の業平鮮魚店と同じような店だ。「安くて美味い」は本当だろう。「今日は風干しある?」と部下が質問すると、威勢のいい返事が返ってくる。部下と地元の人の顔がパッと輝いた。

お通しは鱧の骨せんべい。暑い暑いと思っていたらいつの間にか鱧の季節である。魚屋で刺身を食べなきゃ始まらない。刺身盛り合わせ(よこわ、しまあじ、ひらまさ、いか、とり貝など)を頼んだ。メニューの一番上に書いてあるのがよこわ(めじまぐろ)。京都にいることを実感する。

かま先(ひらまさのあご)も魚屋ならではのもの。脂が乗って実に美味い。そしてみんなが待ち望んだ風干しがやってきた。部下が頼んだのはサバとタコ。からすみのようなものだ。今は産卵期で寿司屋が頭を悩ませる時期。これを逆手に取ったのが魚卵の風干しというわけだ。日本酒党は喜色満面である。

もずくと海ぶどう、とこぶし煮、黒豆。部下が頼んだものは銀髪にはピンボケに見える。もっとも、観光客目当てではなく地元の人が通う店だから、他所の食材があってもおかしくない。

「鱧が食べたい!」京都に来て鱧を食べないで帰ることはできない。鱧が京都で獲れるわけではない。京料理に使われる魚介類は殆ど他所者だ。鮮魚がないだけに京料理には技がある。店の人は鱧のたたきを勧めてくれた。地元の人は鱧の天ぷらを食べろと言う。迷う必要はない。どちらも頼めばいいのだ。
よく飲んだ。京都で忘れてならないのが日本酒。京都には銘酒が多い。部下が酒蔵に行った自慢話をする。いったいこいつは京都に何をしに来ているのだろう?
よし
京都府京都市中京区錦小路通高倉東入ル中魚屋町503 錦大丸
075-211-6577
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2010年07月01日
[青玄海](日本橋)
これぞ隠れ家?

「入り口はどこにあるんだ?」うなぎ屋の方に回っても青玄海に上がる階段は見つからない。諦めかけたところで1階の店の奥に階段を見つけた。下の店は博多手一本という焼き鳥屋。玄海と博多なので同じ経営に違いないというのは銀髪の勝手な思い込み。単に家屋をシェアしているだけのようだ。まったく驚かせてくれる。

料理は3,800円のコースのみ。つきだしが出てきたところで「写真を撮っていい?」と聞くと、料理に天井の明かりが当たるように調節してくれる。軽快な動きが若い店らしくて気持ちがいい。

玄海の名の通り、魚介類がウリの店だ。玄海灘の魚ばかりかと思ったら、築地で仕入れたものもある。

ランチでも目玉商品となっている鯵の干物。身が厚くて立派である。もちろん脂の乗りもいい。なかなか食べ応えがある逸品だった。
「これは美味い!」思わず唸ったのは鮭の酒粕煮。まるで生ミルクを入れたかのようにクリーミーである。味付けもいい。ほめちぎったら、「イヤー、ただ酒粕で煮ただけですよ」と正直だ。「味付けは秘密ですとか、最高品質の酒粕を使っていますとか言わないとダメだよ」と茶化すと照れ笑い。

「3人でも一匹なの?」大きなイシモチを見て困らせた。「もっと大きな魚にします」とは苦しい弁解に聞こえる。苛めるつもりはない。我々2人と店員3人が一瞬の間の後で大きく笑った。「痛いところを突かれましたよー」と聞けば満足である。人数に合わせてしっかりアレンジしてくれるはずだ。

アスパラ、煮込みで腹いっぱいになった。代表の中田さんが選んだ日本酒もなかなかの品揃え。漬物がコース終了の合図のようだ。デザートがないのが居酒屋らしくていい。銀髪の話を聞くのに大変だったろうが、若者の役目は年配者のお守りと昔から決まっている。いやー、楽しかった。
勘定を払い、階段を下りて、出口に向かおうとすると、焼き鳥屋の店員が「ありがとうございました」と言う。なんとも不思議な気持ちにさせてくれて、苦笑した。
青玄海
東京都中央区八重洲1-4-4 2F
03-5202-8666
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2010年06月30日
[高庵TOKYO](新宿三丁目)
社長には会えなかったけれど…

油屋黒松 鳴き龍の間に社長の高橋さんからコメントをいただいた。是非1号店も、とのことだったので行くことにした。ぐるなびの写真は本当にきれいだ。しかし、2号店の経験のお陰で今度は驚かなかった。奥の部屋に客はいるがカウンターは我々の貸切となった。
「銀髪グルメ紀行に社長からコメントをもらってね」と言ったら、「今日は来ないんですよ」とのこと。仕方なく店長にいきさつを話し出したところで見覚えのある女性がキッチンから出てきた。2号店で料理を担当していたきれいな彼女だ。毎週月曜だけ手伝いに来ているという。何という幸運。

2号店で食べたものは避けて頼むことにした。お通しの後に京都の豆水とうふ高庵風を頼んだ。自家製のスープがなかなかいい。
日本酒は値段に納得がいかず諦めた。店名に添えられているとおり、焼酎が自慢の店である。それでも店に入るなり「焼酎は好きじゃないんだ」と言った手前、意地を張って泡盛と八丈島の島酒を飲んだ。梅酒が好きな人は50種近くある中から選べばいい。

連れがトイレに行っている間に鶏のとさかとワニの唐揚げを頼んだ。1号店では豚の脳みそを食べたが、社長は変わったものが好きらしい。鶏のとさかは見たらそれと分かるので敬遠されてしまった。ワニは食べ終わるまで見破られることはなかった。これまで何度も食べたが、焼いたものはオーストラリアのシェラトンホテルのもの以外は美味いものにお目にかかったことがない。ワニは揚げるのが正解。

日本三大地鶏盛合せ(名古屋コーチン、比内地鶏、薩摩地鶏)を食べるのにMy唐辛子を鞄から取り出した。2号店でもやったお遊びの始まりだ。店長の中居さんの手のひらに振り、舐めさせたら大きく顔を歪めた。それを見てこちらは大笑い。我ながら困った客であると思う。
島酒の肴は自家製さつま揚げが務めた。イカ墨の黒いさつま揚げが面白い。

我々が居る間にカウンターに座る客が居なかったので、思う存分フラッシュを使わせてもらった。2つの店で食べたのに、偶然にも同じ料理人が作ってくれた。社長には会えなかったけれど、彼女に再会できたことが何よりも嬉しかった。
幻の焼酎とみそ焼鳥 高庵TOKYO
東京都新宿区3-3-7 酒井ビル2F
03-3350-8886
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2010年06月11日
[てん](渋谷)
緑提灯星5つ

マークシティの裏通り。鼻を頼りに店を探した。路地裏に雰囲気のある店が並ぶ。緑の提灯を見たら迷うことはない。しかも星5つ。国産食材を95%以上使用している店の印は偉大だ。外国産が悪いわけではないけれど、やっぱり安心。経営者の姿勢が分かる。
「空いてますかー?」入れるかどうか不安な気持ち。奥のカウンターとテーブル席は一杯。幸い手前のテーブルが空いていた。手書きのメニューにはたくさんの料理。お通しを持ってきた店員に思わず「凄いですねー」と言った。

自家製豆腐の冷奴は380円。殆どが3桁の料理で若い女性客が多いのも頷ける。女性限定コースもある。刺身盛り合わせの器が涼しげでいい。

自家製の梅酒など女性ばかりに優しいかと思ったら、日本酒の品ぞろえも立派。いやいや、最近では女性の方が吟醸酒や大吟醸酒を好むというから、やはり女性へのサービスかも。男は安く酔える焼酎に走り、女性は美味しい吟醸酒を好む。「メニューに載ってないのもありますよ」と言われて静岡の酒を頼んだ。

手作りおばんざい盛合せは980円。量もたっぷりあって嬉しい。メインは迷いに迷った。信州直送の地野菜、鮑のステーキ、きんきの煮つけ、金目鯛のかぶと煮、松坂ポークのTボーン、自家製さつま揚げ、コロッケ。結局「今が旬」に惹かれて時不知(トキシラズ時鮭)を食べることにした。遡上する鮭は秋に獲れるが、沖合で獲る元気のいい時不知は今からが旬になる。

それにしても、みんな路地裏の店をどのようにして探して来るのだろう。食べログでの評価はまだそれほど高くないにもかかわらず、客はどんどんやって来る。カウンターで食べたらもっと楽しいに違いない。
評価が上がる前に再訪すべきかな。
渋谷 和食 旬彩料理 てん
東京都渋谷区道玄坂1-15-10 万字ビル B1F
03-5728-1088
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2010年06月02日
[漁十八番](渋谷)
流行りの漁師料理風居酒屋

「今どき、5,000円で飲み食いできない店はダメだよ!」と長兄が言う。「いい店知ってるよ!」と言えないのが辛いところ。渋谷を歩いていたら条件に見合いそうな店の看板を見つけた。古いビルでちょっと不安ながら入ることにした。
エレベーターを降り、店に入って驚いた。予想外に賑わっている。小上がりにある2つの4人掛テーブルの間に2人分の席を確保するのがやっと。銀髪より年長の両隣の客たちは既に出来上がっている。

メニューは最近流行の漁師料理屋でよく見かける体裁。十八番盛りの刺身を頼もうとしたら「二人では多すぎる」と5点盛りを奨められた。刺身が出来上がるまで枝豆でビールを飲んだ。

ウニ刺しを加えてもらったのでちょっと豪華な6点盛りになった。新橋の魚金には敵わないが、量は多すぎずちょうどいい。刺身を食べながら次に頼むものを考えていたら、隣席に大きなサバの塩焼きが置かれた。メニューを見ると「名物料理!」の文字。これは頼まねば。

おじさんたちが一匹のサバを箸でつついている。カラスが群がっているようであまり美しくない。銀髪はきれいに2つに捌いて銘々の皿に取り分けた。自画自賛しようと口を開きかけたら連れに目配せされた。余計なことを言うと折角の楽しい宴を邪魔してしまう。くわばらくわばら。

ほぼ同時に両隣の客が席を立った。そういえば30分ほど前に「ラストオーダーです」と言われていた。予約客が来るまでの約束だったようだ。入れ替わりに入ってきたのは30歳前後の男女たち。景色が一変した。
我々のメインディッシュは「漁十八番の新定番!! まぐろのメンチカツ」。連れは肉のメンチカツと思って一瞬怯んだが、まぐろと聞いて安心した。メタボ中年族は食べるものが難しい。

老若男女が集まる店に、予約なしで入れたのはとてつもなくラッキーだったようだ。純米や吟醸酒をそれなりに飲んで1万円でお釣りが来た。ここなら兄も褒めてくれるかもしれない。
漁十八番
東京都渋谷区道玄坂2-6-12 道玄坂トロワービル2F
03-6808-5175
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2010年05月26日
[もやし](渋谷)
もやしが主役

階段を降りると次第に店内の活気が伝わってくる。大テーブルの真ん中でもやしが成長している。それを囲むのは9割方女性だ。壁際に中年男性が若い女性に混じって二人いてホッとする。それでも銀髪が最年長に違いない。
「すごいな、これは」メニューを見て思わず呟いた。店名から想像していた以上にもやしを使った料理が多い。店員の助けを借りなければ決断できない。お通しはもやしだった。一番人気はもやしときのこの風船焼き。店の女性がホイルを切り裂くと、タップリのもやしが見えてちょっとたじろいだ。

二番人気(?)はいろいろもやしのバーニャカウダ。普通のもやしとピーナツもやしの味比べをすることができる。もっとも驚く程の違いはない。もやしはもやしだ。
「もやしはお好きですかー?」店の娘が笑顔で聞いてくる。「好きだよ」と答えると「私も大好きです。だからこの店で働いています」と笑う。殆どの店員はスリムで明るい。

隣を見るともやしの春巻きを食べている。後ろで食べているのはもやし入りのキッシュだろうか、もやし入りだし巻き玉子だろうか。さあ、次は何にしようか。悩んでいたら「もう、もやしは飽きた!」とつれない声。もやしの入っていない料理を選ぶのは意外と難しい。

バジルソースの地鶏の唐揚げがやってきた。連れはもやしが添えられていないのを見て満足そうだ。熱くて噛み切れないので「ナイフとフォークある?」と聞いたら、素早く持ってきてくれた。店に活気があると店員も楽しそうだ。

「最後はもやしのピザにしようか?」と意地悪を言った。そんなピザはメニューにない。5種類のチーズのシンプルピザを頼むと地獄から天国に駆け上がったような顔をする。
出口で「凄い繁盛しているね。女性が一杯だね」と店員に言うと、「テレビで紹介されたんで…」と渋い顔。「デブの人は雇わないの?」と聞くと一瞬の間が空いて「もやしですからねー」と大きく笑った。店員の笑顔の余韻を感じながら階段を上った。
もやし
東京都渋谷区宇田川町16-8 渋谷センタービルB1
03-5728-6807
http://ameblo.jp/shibuya-moyashiya
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2010年05月11日
[八吉](八重洲)
子持ち昆布の串揚げとのどぐろ

「狭いし、隣席で煙草を吸っているし、部屋を替えてもらったよ」いつの間にかヘビースモーカーが嫌煙者になった。喫煙者とトラブルになるのは禁煙した人と言うのは事実のようだ。元々吸わない銀髪は望むところ。次の客の予約時間まで約1時間半。我々のグループにとっては充分過ぎる時間だ。
お通し

どれか一品を選ぶお通しも、9人いれば全ての味見ができる。
シーザーサラダ、八吉サラダ

リーダー格が〇〇を2つ、〇〇は3つ…と次々にオーダーをする。銀髪は黙って見ているだけ。入店が5時半なので、まだ客は殆どいない。従って料理が出て来るのは早い。しかし頼んだ飲み物が来ない。料理と酒を運ぶ店員はてんてこ舞いである。
ステーキ、鶏の唐揚げ

豚角煮、手羽揚げ

天ぷら、あら煮

最初に頼んだ料理は全て出て来た。オーダー役は交代する。「子持ち昆布の串揚げと干物盛合せがいいですよ」名古屋の八吉に行ったことがある部下が口を開いた。子持ち昆布の串揚げは予想以上のお味。八吉の名物というだけあって面白い。
子持ち昆布、子持ち昆布の串揚げ、干物

銀髪はのどぐろの一夜干しを頼んだ。浜田産は立派なブランド干物である。これをみんなに食べさせたかった。脂の乗りが他の干物と格段に違う。肉が大好きな部下が「干物がこんなに美味しいものとは思いませんでした」と嬉しいことを言う。
のどぐろ一夜干し、さつま揚げ

与えられた時間を10分残して我々の宴は終了した。全国展開している八吉は鮮魚が自慢。居酒屋料理も豊富である。しかしお奨めは子持ち昆布の揚げ物とのどぐろの干物。料理人の腕をあまり必要としないというのがご愛嬌だ。
八吉 八重洲店
東京都中央区日本橋3-4-1 第二弥生ビル
03-3272-8816
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2010年05月07日
[石居](八重洲)
割烹?居酒屋?

割烹料理屋と思っていた。予約の際にコース料理を奨められると思ったら「刺身でも造っておきますか?」と言われた。「じゃあ、それでお願いします」と電話を切った。
「刺し身には絶対の自信有り。毎日、築地をウロウロしています。」とホームページに書いてある。銀髪も市場内をよくウロウロするので店主に好感を持った。

ちょっと早めに着いたせいか、刺身は出来てなかった。それでもお通しの空豆を食べ終わる頃にはテーブルに乗った。「絶対に後悔させない」と言うだけあって見事なものだ。もっとも割烹なら各人に分けて持って来るところ。5人で譲り合いながら食べるのは居酒屋的だ。

全員、すっかり居酒屋気分。メニューを見ながら喧々諤々。「自信作!」「自家製」と書いてある料理を中心に選ぶ。「絶対の自信作」の胸肉のたたきを頼み、「自家製」のさつまあげは人数分揚げてもらった。

「子供みたいだけど」とMさんが求めた厚焼き玉子は本当に子供向きに作ったような甘さだった。Mさんの発言を聞いていたのだろか。大和芋の礒辺揚げも人数分にしてもらった。客の要望を素直に聞いたくれる柔軟さがいい。
地酒の品揃えも立派。店の名物は「死神」という酒らしい。主人は茶目っ気がある。

じゃがいもとベーコン炒めを食べた後は〆に入る。銀髪だけは食事は避けて、「手造りの味」つくね焼を頼んだ。

他の人たちが食べたのは鶏雑炊と稲庭うどん。これで全員満腹になった。食べ損なった自信作、自慢料理も多い。
我々の後から入って来たグループもスタートは刺し盛り。今朝も安くて美味しい素材を求めて築地をウロウロ歩き回る主人の姿が目に浮かぶようである。
活魚・地鶏 石居
東京都中央区日本橋3-4-3 敷島ビル1F
03-3510-2266
http://www.ikeuo-jidoriishi.com/
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2010年04月23日
[菜な](渋谷)
高級店っぽい居酒屋

お手頃価格の京懐石料理が食べられる店だった御蔵が閉店した。代わって出来たのが菜なである。「菜なは居酒屋です」と店の女性は言う。京料理という共通点はあっても御蔵とはなんの関係もない。

内装はほぼ御蔵の時と変わらない。いわゆる居抜きである。自家製の胡麻豆腐には葛でとろみをつけたタレをかける。内装に合わせるかのように料理も居酒屋っぽくなく品がある。店員たちも意識しないでもしとやかに振る舞えるようだ。

あばんざいは単品5つを頼むより五種盛合せの方が得かもしれないと思った。全12種類の中からなるべく高いものを選ぶ。「せこいっ!」と笑われそうだ。京揚げと春菊のお浸し、クリームチーズと牛肉のたたき、帆立と生海苔の土佐酢、ずわい蟹とキャベツの胡麻酢、蒸し鶏と水菜の白和えを選んだ。

酒の肴ならおばんざいで充分だ。もう一度五種盛合せを頼もうかと思ったが止めた。代わりに天然水仕込み大吟醸豆腐を食べることにした。「大吟醸」に惹かれただけではない。奥歯の治療中で固いものを食べるのがしんどかったからだ。豆腐を考えた人は偉い!

メインは卯月のおすすめの中からさわらの香梅焼きを選んだ。肉類は奥歯にこたえる。しっかり噛めないと味も何もあったものではない。繊維質の多い野菜も食べにくい。薄い葉物が食べ辛いのも以外だった。豆腐もサワラも連れにとっては物足りないはず。居酒屋価格なので炙り焼きや鳥料理をどんどん頼めばいいのに遠慮している。
菜なは「えん」などと同じ大手チェーン店に属している。経営難で閉店した店を居抜きで引継いで勢力を伸ばしているのだろうか。不況を追い風にして逞しい。居酒屋価格でリッチな気分を味わえれば客にとってもありがたい。満席の店内を見回して感心した。
菜な
東京都渋谷区道玄坂1-12-5 渋谷マークシティ RESTAULANT AVENUE 4F
03-5428-8127
http://www.byo.co.jp
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2010年04月19日
[てっ平](広島空港)
飛行機に乗る前に地酒で出来上がり

「空港で飲もうぜ!」広島駅から空港までは1時間近くかかる。時間を気にしながら市内で飲むよりも、空港でゆっくりした方がいい。一般的に空港のレストランは期待できないがしかたがない。居酒屋風の店、てっ平に入った。

「小いわしは売り切れました」いきなりノックアウトパンチをくらった。「広島菜とたこ」銀髪の気持ちを読んだかのように部下がオーダーした。銀髪が「焼きかきとカキフライ」と言うと「いいですねー」と部下が乗せる。

日本酒は300ml瓶の純米吟醸を頼んだ。壁に書かれた「利き酒2杯セット630円」に興味は持ったが、値段からして醸造酒と判断したためだ。「純米酒の〇〇と純米吟醸の〇〇です」隣席の客が頼んだものを店のおばさんが注ぐのを見て驚いた。瓶を飲み切りおばさんを呼んだ。「どんな酒があるの?」と聞いたらメニューをくれた。

銀髪のテーブルにあるはずのメニューがどこか他に行っていたようだ。酒どころ広島の地酒を約20種類も置いてある店が空港にあるとは知らなかった。嬉しい誤算である。蒸しかきとトマトを追加した。お好み焼の店でもあるが、酒の肴の方がいい。

おそらく今シーズン最後の牡蠣料理と広島の地酒を飲んで満足した。市内の店の方が美味しいものを食べられるのは間違いない。しかし、意外と地酒の品揃えが悪い。広島市民は全国の銘酒を飲みたがるのかもしれない。これに対しててっ平は圧倒的に県外の客が多い。旅行客には嬉しい店だった。
「ドーン!」下から突き上げられるような衝撃で目を覚ました。無事に着陸したようだ。広島からの飛行時間は短か過ぎた。
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2010年04月01日
[炙縁](千駄ヶ谷)
絶好調!

「ここにしよう!」自分の勘を信頼することにした。この4年間で行った店は1000軒を大きく超える。勘は経験に裏打ちされているはずだ。
おじさんたちがテーブルの上にドーンと置かれた焼き野菜で酒を飲んでいる。カウンターには若いカップル。銀髪はいつものように料理人と話せるカウンターを選んだ。髭面の料理人は無愛想なおじさんに見えたので話しかけるのを躊躇した。注文を取りに来た女の子はなかなか可愛い。

お通しがおでんとは気が利いている。刺身の盛合せはめじまぐろ、かんぱち、しめさば。我々2人に対して4切れずつ。喧嘩にならない配慮が嬉しい。おでん、刺身と続いて先ずは及第点。銀髪の勘は冴えていた。

空豆、ベビーコーンを炙り焼きにしてもらった。空豆はともかく、ベビーコーンを皮のまま焼くのは珍しい。褒めようと思って髭面の料理人を呼んだ。思ったより若くて笑顔が好ましい。「田中さん?」料理人の名札を読んだ後、会話に引きずり込んだ。
「信濃鶴を飲んでみてください」炙縁の中で一番安い純米酒を奨めてくれた。田中さんの郷土のお酒と言う。純米吟醸と言われたら騙されそうだ。感心すると一気にお互いの距離が縮まった。

可愛い店員イチオシの銀ダラかまみりん、総州古白鶏もも炙りも美味しかった。田中さんは「うかい」などの日本料理屋で修行したそうだ。ひげ面の若いあんちゃん風だが、料理人としてのプライドを身にまとっている。炙縁のオーナーは元気な居酒屋てっぺんの出身。独立して新宿歌舞伎町の絶好調てっぺんなどを経営している。炙縁はグループの中では珍しい大人が落ち着ける店である。
田中さんのほんわかなムードが寛がせてくれた。彼が尊敬する経営陣と共に、頑張って欲しいものだ。
炙縁
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-5-15
03-3479-0944
http://www.z-no1.jp/shoplist/index.html#cap02
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2010年03月25日
[夢のつづき](茅場町)
細やかな心遣い

「名物の豚しゃぶを食べることにして、その前は何がいいですか?」店の女性に聞くと鹿児島から直送のさつま揚げと焼き空豆を奨めてくれた。メニューには魅力的な料理がたくさんあるのにこれで充分だと言う。

「刺身でも頼むか?」と相談していたが不要だった。お通しとしては立派な刺身が出て来た。人通りの少ない場所で、しかも地下にあるというのに評価が高いのも頷ける。

さつま揚げも美味しかったが、感心したのは空豆の方。一人に一つ塩を出す店は滅多にない。塩はヒマラヤ産のピンクの岩塩。これを言い当てた銀髪は鼻高々。モンゴル、ボリビアとヒマラヤ、3つも言えば当たって当然かも。

名物の豚しゃぶは鹿児島産霧島高原純粋黒豚を使い、自家製の和風だねで食べる。二人前から注文出来るが、豚肉は各人に一皿ずつ分けて出て来る。お互い気兼ねなく食べられる配慮だろう。充分な量で満足した。

最後はラーメンを入れることにした。満腹だと躊躇していたI氏もしっかり食べた。「明日も飲み会だから軽く」と言っていたI氏が「もう一杯」を繰り返す。それぞれ焼酎を4杯飲んだ。どれを飲んでも500円。最初の一杯は店の女性が「伊佐美も同じ値段ですよ」と奨めてくれた。「次は何がいい?」と男性店員に聞くと「店長を呼んできます」と言うので待っていたら先ほどの女性だった。優しい心遣いは店長が女性だったからかもしれない。
帰り際に店長の福島さんと名刺交換した。翌日お礼のメールが来た。贔屓にしたい店である。
夢のつづき
東京都中央区日本橋兜町16-1
03-3249-1122
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2010年03月22日
[えぼし](海老名)
強風の墓参り

2年前は強風に雨も重なり、傘が何本も折られた。悪天候にも関わらず墓参りを強行したのは姪の婚約を祝う宴を墓参りの後にアルエットで行うことになっていたためだ。母、長兄夫婦、次兄と銀髪の家族11人全員が顔を揃えた。今回は5人、中心人物の母の姿がなかった。
父が亡くなってから30年、唯一父に抱かれたことのある姪も30歳を超えた。母に手を引かれヨチヨチ歩きだった娘が、今は逆の立場になった。家族以上に海老名の変化は激しい。墓参りの後によく行った蕎麦屋はとんかつ屋に、濱町はしゃぶしゃぶの濱ふうふうになった。そして、もっとも変わったのは駅前である。

今回はヴィナウォークにある「えぼし」に行った。12時過ぎ、10人が店外の椅子で待っていたが5分程度で入れた。11時オープンなので、先客とうまく入れ替わることができたようだ。

みんなが食べたのは刺身&天ぷら、寿司、海鮮丼の定食。豆腐、漬物、味噌汁、デザートは全ての定食に共通のもの。銀髪は熟慮の末に酒の肴を3品選んだ。

単品を食べると、定食では分からない店のレベルが明らかになる。しらすおろしの大根は鬼おろしを使っているようだ。粗くおろした大根は水分が出ないで味がある。いわし梅巻揚げも悪くない。海老以外のもので嵩を増しているいるが、海老しんじょも上手く作っている。
店名から茅ヶ崎のえぼし岩を連想したのは間違いではなかった。本店は茅ヶ崎にある。飲食店は神奈川県内にしかないが、東京駅の大丸や、池袋の西武、東武に弁当や惣菜店を持っている。ショッピングセンターに大型店を開ける実力があるのも頷ける。
次のお彼岸に母は来ることが出来るだろうか。定食を平らげてくれるようだと嬉しいのだが。
えぼし
神奈川県海老名市中央1-6-1 ビナウォーク3番館 6F
046-235-6050
http://www.eboshi.com/
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2010年03月18日
[せいちゃん](新宿三丁目)
たこ焼きアッツッツ

右にカウンター、左にテーブル席がある小さな店。狭くて急な階段を3階まで上って断られたらショックだったが、銀髪の行いは悪くはなかったようだ。テーブル上の筒に入ったオーダーシートに食べたい串カツをチェックした。関西風を謳うせいちゃんでは串揚げではなく串カツである。
串カツの最高値は400円だが80円~100円で26種類もある。ちょっと見栄を張って150円の豚チーズ、アスパラを頼んだ。サービスのキャベツを食べていたら、すぐに揚がってきた。

次にやって来たのはせいちゃんサラダ(グリーンサラダ)。数量限定の和牛ホルモン煮込みは600円とこの店ではもっとも高い料理。我々が最年長なのも頷ける。

150円のイワシ、キス、大見得を張って300円のカキを追加した。名物という牛串カツは80円。値段に見合った大きさと質でも牛肉に違いはない。

今日のメインはたこ焼き。だし汁が出て来たので明石焼きかと疑った。ゲタに乗ってくるところも明石焼き風だが見た目はたこ焼き。何はともあれ食べてみよう。丸ごと口の中に放り込んだ。中はトロトロの熱々で危険が一杯。口の中で転がしながら、冷めるのを待った。噛み割ると熱いのなんのって。銀髪の表情を見て連れが腹を抱えた。彼はだし汁で冷ましながら食べた。

小龍包も火傷覚悟で食べるのが大好きだが、たこ焼きでは無謀だった。口の中が部分的にただれただけで済んだのは幸運だった。
せいちゃんのたこ焼きは明石焼きとは別物。しかし、一般的な大阪のたこ焼きとも違う。そのまま食べても味があるし、だし汁につけて食べても悪くない。
48種類の中から食べた串カツはわずか6種類。おでんも食べ損なった。次は違ったものを食べてみよう。たこ焼きだけは、もう一度食べる価値がある。
せいちゃん
東京都新宿区新宿3-10-1 3F
03-6457-4197
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2010年02月19日
[住吉 游心](福岡)
楽しい游心

福岡発羽田行きのJAL最終便がいつの間にか早くなってしまった。まして部下と二人の夕食ならば立派な店でゆっくり食べる必要もあるまい。「餃子でも食べるか!」と聞いてがっかりするかと思いきや、「行きたいところがあるんですよ」と言うから頼もしい。
道に迷った。部下はちっとも頼もしくない。携帯電話が頼もしい。再び部下が先導して、最後の角をどちらに曲がるかは銀髪の鼻が役に立った。食べ物の匂いの向こうに店員が待っていてくれた。「寒いのにありがとう!」声をかけて彼の後に続いた。店内も寒々としていた。

5時過ぎ、開店したばかりで客は我々のみ。カウンターに座ると3人の若者が前に立った。一番の目的である餃子を2人前。焼きあがる前に佐賀県川島屋のざる豆腐を食べることにした。「イケ面ばかりだから、女性客が多いでしょう?」3人の店員を引きつけるにはこの台詞が一番効くはずだ。
「結婚はしても後悔、しなくても後悔」「タイガーも酒と女は2合(号)までって知っていたら良かったのに」などなど、店員を観客にして独演会となった。笑ってくれるので銀髪は調子に乗った。店員が一人増えてさらに盛り上がる。横を見ると部下が一人白けていた。

アンチョビドレッシングが面白い游心サラダ、焼豚が入った特製ポテトサラダ、餃子だけでなくユニークな肴も豊富だ。食べ終わる頃「オイ、そろそろラーメン屋に行くか?」と部下に聞くと、「まだ開いてませんよ」と言う。餃子を1人前追加した。ついでに「ホルモンでも焼いてもらうか」と聞くと、「そんなに食べれませんよ」と文句を言う。

メニューの一番上は餃子。二番目のホルモンを食べないと申し訳ない。「味噌がお奨め」と言った店員は、彼の意に反して塩味のホルモン焼きを作ることになった。銀髪を始め、他の店員たちも塩がベターと主張したためだ。「役者の卵ですと言ったら女の子の客にもてるよ」と慰めたら、再びみんなに否定されていた。愛すべき男だ。
和気あいあいの楽しい居酒屋だった。「イヤー、楽しませてもらったよ」と言ったものの、楽しませてあげたのは銀髪の方だ。まあ、年寄りの話を上手に聞いてあげることも、立派な接客である。
住吉 游心
福岡県福岡市博多区住吉2-7-7 ラ・コンチェルト1F
092-282-3553
http://www.yuu-shin.jp/
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2010年01月20日
[ちゃぼうず](銀座)
なかなか楽しいちゃぼうず

「おう、一番乗りか!」カウンターの中に勢ぞろいする料理人、こちら側に立つフロアスタッフの視線が銀髪に集まった。「一番に何かいいことあるのかな?」と笑ったが、直立して迎えてくれたことが最高のおもてなしということだった。まずは店長の槙尾さんと名刺交換。

お通しはちゃぼうず風じゃがいもサラダ。目の前の大皿にほおずきのようなトマトが並んでいる。皮を剥いて、オーブンで焼いて、3日干す。ちゃぼうず名物のごぼうの唐揚げは一度茹でてから揚げる。若者に人気の居酒屋にしてはどの料理も手がかかっている。

居酒屋らしいのはカップ酒。焼酎に比べて品質維持がやっかいな日本酒も、カップ酒なら多品種を揃えられる。安っぽいようだが懸命なやり方は賛同できる。
さて、お奨め料理はまだまだある。生牡蠣だって単純には食べさせてくれない。ゼリー状になった海水と共に食べる生牡蠣は一味違った。

同行したYさんはちゃぼうずサラダを頼んだ。たっぷりの量に居酒屋だったことを思い出した。銀髪はお奨めに従ってオーダーを続ける。茶碗蒸しを思わせるような料理は生うにのなめらか豆腐。「温かければもっといい」とYさんは言うが、なかなかどうして。銀髪は冷たくて正解と思う。

「次は?」というと目の前の総料理長・萩原さんが「是非、柚子饅頭を食べていただきたい」と懇願する。饅頭と聞いて一度断った料理だ。そこまで言うなら頼もうじゃないかということになった。成る程熱心に奨めるだけあって、見ても食べても見事な一品だった。
自家製からすみに添えられた大根は羽子板の形に切ってある。どれもこれも手間をかけていて、居酒屋のレベルを超えている。「萩原さん、独立して割烹やったら?絶対繁盛するよ」と言うと、そのつもりだったが恩人に頼まれてちゃぼうずに来たとのこと。義理を欠くわけにいかないのだろう。
恩人に対してだけでなく、元気で明るいスタッフたちも決断を躊躇させているのかもしれない。ちゃぼうずで安く美味しく食べられるのは嬉しいが、萩原さんにはいつの日かリーズナブルに食べられる割烹料理屋を開いて欲しいものだ。彼には成功するオーラがあると思った。
酒菜庵 ちゃぼうず
東京都中央区銀座1-4-6 ナスダビル2F
03-3567-0007
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2010年01月18日
[酔心](東京駅八重洲地下街)
酔心を飲んで美しく

「鍋を食べよう」心に決めて地下街を歩き始めた。酒の肴では間が持てない下戸の部下とは鍋料理が適当に思えた。銀髪には美味い日本酒があればいい。お互いのニーズが合いそうなのが酔心だった。店に入るとそれほど混んでいない。女性客は一人も居ない。
中国人女性が注文を取りにやってきた。3,990円の寄せ鍋セットを頼んだ。あれこれ肴を選ぶ必要はない。ビールを飲み干し年配の男性店員を呼ぶ。店長の小藤田さんだ。「酔心以外の酒はないの?」と意地悪を言うと「それはないでしょう」という顔をする。酔心は広島の銘酒・酔心の直営店である。

「120店ほどあった酔心も今は60店ぐらいに減ってしまいました」別系列の店も含めてあちこちに酔心の店を見かけたものだが、かなり少なくなった。若い女性が集まる居酒屋が増えても、酔心は今もおじさんたちに支えられている。しかし、酔心でも焼酎を飲む客の方が多いそうだ。

銀髪の相手を店長に任せて部下は黙々と食べ続ける。刺身も焼き魚も各人に配されるので部下は遠慮の必要がない。「日本人はもっと日本酒を飲まなきゃね」と意気投合すると店長が吟醸酒を持って来た。銀髪にお猪口を渡して注いでくれた。部下にもお猪口を差し出すと手を振って断る。店長が居なくなって「馬鹿だな、お前も注いでもらえば俺がもう一杯飲めたのに」と部下をなじった。酒呑みは意地汚いのだ。

ボリュームたっぷりの鍋だ。3分の2は部下に任せて飲み続けた。吟醸酒のお礼にもう1本頼む。店長が壁の絵を指し示した。横山大観の絵で「寿」を図柄にしている。「大観にとって醉心は主食であり、米の飯は一日を通じてわずかに朝お茶碗軽く一杯程度のもので、後は全部醉心でカロリーを取っていたといわれています。」とのこと。凄いね。

焼酎が好まれる理由は悪酔いしないからという。カクテルにしたら飲み口も軽い。しかし「美味しいから」と言う人はあまりいない。純米大吟醸や純米吟醸などは横山大観が愛した酒より遥かに美味しいはずだ。もちろん料理の供は純米酒で充分だ。
日本酒復活のキーワードは美肌かもしれない。日本酒に美肌効果があるのは昔から良く知られている。居酒屋に進出してきた若い女性たちに日本酒の未来はかかっている。「日本酒の方が美味しいわよ」と言われれば、おじさんたちもグラッとくるに違いない。
季彩膳 酔心
東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街南1
03-3275-3909
http://www.e-suishin.com/
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2010年01月08日
[奈加野](渋谷)
これがHanako?

「銀髪さん、どうやって店を探しているんですか?」とよく聞かれる。毎日が新規開拓の銀髪にとって店を選ぶのは苦痛ですらある。雑誌も有力な情報源だ。先日、病院の待合室に置いてあったHanakoで知った店が奈加野だった。
電話番号は間違っていないはずだ。しかしナカまでしかはっきりと聞き取れなかった。居酒屋のはずだが電話から聞こえてきたのは中国語訛りの日本語である。不安なまま店に向った。中華料理屋ではなくて安心したがHanakoの写真とは随分違う。正真正銘の典型的な居酒屋に中国人の女性店員。今はあたりまえかもしれない。

中国娘が本日お奨めの刺身を教えてくれる。他の席の立派な刺身に心を動かされたが、つみれ鍋で充分のような気がする。鍋の用意が出来るまで、お通しと煮込みで場つなぎすることにした。日本酒の品揃えも悪くない。周りを見ると女性客の方が多い。Hanako効果だろうか。

鍋とその材料が運ばれてきた。しばらくすると蓋の穴から蒸気が勢いよく噴き出してきたが、誰もやって来ない。店主なのか従業員なのか分からない日本人のおじ(い?)さんをつかまえて、鍋奉行は客の特権と教えてもらった。ありがたく銀髪が奉行を拝命した。

いわしのつみれは竹の器に山盛りになっている。これをどのように入れるかで性格が分かる。繊細と豪胆のどちらに見られたいか迷った末に、中間の無難な道を選んだ。まったくもってつまらない日本人だ。野菜は出しになるごぼうや煮えにくい白菜の芯のところから順番に入れていく。奉行にはなれても関白になれない家庭での銀髪の姿がばれてしまった。

いわしと野菜の旨味が出ている汁を堪能するためにうどんではなく雑炊を頼んだ。中国娘は例によって材料をテーブルに置いて去っていった。煮詰まった鍋にスープを足すと水分が多くて失敗したかなと思ったが構わずごはんを放り込んだ。おじさんがやってきて「汁が多いんじゃないの?」と痛いところを突く。「これが好きなんですよ」と言い訳した。出来映えは悪くなかった。
若い女性たちはオヤジ達の聖域にまでどんどん入ってくる。Hanakoもそんな彼女たちのために奈加野のような居酒屋も紹介する。オヤジ達にとっては嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだろう。「どうだい、居酒屋で一杯やるか?」と言う相手が女性とは…
奈加野
東京都渋谷区宇田川町31-3
03-3476-1787
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2009年12月16日
[やまと 銀座2丁目店](銀座)
豊富な豚料理

直営牧場で育てたやまと豚を提供するのが直営レストランのやまと。
銀座8丁目店が良かったので、今度は銀座2丁目店に社員を引き連れて行った。座敷には10人程度が座れる大テーブルが3列ある。大人数の宴会には2丁目店の方がいい。
お通し

「美味い、美味い、これ美味いよ!」お通しから部下たちは気に入ったようだ。薬膳不老長寿鍋と前回食べなかったコラーゲン刺しだけ銀髪が頼んで、他は部下たちの好きに任せた。
自家製ハム、コラーゲン刺し

牧場を経営するブリーデンはハム、ベーコン、ソーセージなども造っている。自家製なのでどれも安心して食べられる。酒呑みとそうでない者とで評価が別れたのがコラーゲン刺しと究極レバーの甲州煮。豚骨を煮込んで骨を抜いて固めたものがコラーゲン刺しでコリコリしている。レバーは甲州ワインに漬けて煮込んだもので、パテのような食感だ。
究極レバーの甲州煮、春巻き

我々の隣の大テーブルに若者たちが入って来た。男ばかりの銀髪グループと違って男女混合チーム。おじさんたちの関心は料理より隣席に向う。何やら自己紹介を始めた。昔なら合コンと呼ぶところだが、今なら婚活パーティーと言うべきか。どの娘が可愛いかヒソヒソ話をする部下たちをたしなめて少し声を上げて言った。「みんな可愛いじゃないか!」。隣席に聞こえたかもしれない。
鉄板焼き、匠の技直伝ドイツソーセージ

鍋の用意ができた。銀座8丁目店と同じなので、経験者の銀髪が忙しい店員を助けてあげた。壁を背にした男たちはなおも隣席グループを観察しているが、背中を向けた連中は食事に専念した。やがて、全員の関心は鍋に移った。思ったとおり薬膳鍋は好評である。辛い中華の薬膳鍋に比べると甘味のあるマイルドな鍋は食べやすい。
雑炊

銀座8丁目店ではうどんにしたが、量が少なくてびっくりした。そこで今回は雑炊を頼んだ。残った薬膳スープを残さず食べられて正解だった。
満腹になって席を立った。部下たちもみんな満足したようだ。再び婚活グループを見るとせっかく男女互い違いに座っているにもかかわらず、同姓同士で話をしている。あー、もったいない、もったいない。
やまと 銀座2丁目店
東京都中央区銀座2-6-1 中央銀座ビルB1F
03-5159-9751
http://www.frieden-dining.com/restaurants/2chome.php
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2009年12月09日
[立ち飲み 竜馬](新橋)
食い物は安い!

不況の影響か、立ち飲み屋がやたらに増えた。その中でも評判が高いのが竜馬で、以前から行く機会を窺っていた。そんなとき、「いい店見つけたんで今度連れて行ってやるよ」と長兄が嬉しそうに誘ってくれたのがなんと竜馬だった。異論はない。
兄が「もう一人連れて来る」と言うので期待して待ち合わせ場所に行くと、銀髪と同年輩の男が兄の横に立っていた。「なーんだ、美女だと思っていたのに」と初対面の人に先制パンチを放つ。続けて数発ジャブを繰り出すと、竜馬に到着する頃には気兼ねがなくなった。

カウンターの上の籠に兄が2千円を放り込む。1枚は銀髪のためかと思ったら、兄の同僚のTさんも2枚入れた。銀髪も観念して2枚出した。注文すると店員が籠から代金分を抜いていくシステム。この店のウリは壁に並んだたくさんの焼酎。最初の人が高級焼酎を頼むと、次も同程度のものを頼む。銀髪も負けじと続く。割り勘のシステムを利用する竜馬の戦略にまんまとはまる。

焼酎に比べると料理の安さは際立つ。鮪脳天の刺身など珍しいものもある。焼きそば(200円)は学園祭の屋台より安い気がする。嬉しくなってたくさん頼もうとする銀髪を横目に、兄とTさんは焼酎に集中している。

日本料理には日本酒が一番と思っているので、実のところ焼酎はあまり好きではない。もっとも竜馬の肴には焼酎が合っているように思える。割り勘競争からは離脱して、竜馬ならではの焼酎を探した。「ぼくじょうの夢を下さい」と店員に告げると「まきばです」と訂正された。この牧場の夢が滅法気に入った。吟醸酒のような香りと口当たりに驚いた。
3杯目を飲むために籠の中に千円ずつ拠出した。「まきばの友をください」と言うと「みんなが夢だよ、夢!」とからかう。店員も苦笑しているが気にしない。ちゃんと通じているから問題ない。最後に「イヤー、まきばのゆめは美味いね」と言って安心させてやった。
最初は入り口に近い場所に居たが、奥へ奥へと3回引越しをした。ほぼ満席になったところで兄が店を替えると言う。今度はご馳走してもらえる雰囲気なので自己主張は封じ込めた。
翌日兄からのメールで牧場の夢は牛乳焼酎だと知った。ホームページで見ると、「球磨焼酎伝統の米と当社独自のアルカリ温泉水、そして新鮮な生の牛乳を同時に発酵させて造り上げた焼酎。フルーティでほのかに甘いミルクの香り、軽快な飲み口が特徴。」とある。
竜馬では、牛乳焼酎に出会えたのが収穫だった。
立ち飲み 竜馬
東京都港区新橋2-13-3 ALC.BID 1F
03-3591-1757
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2009年12月08日
[でんぱち](新宿歌舞伎町)
創業40年のサービス

お通し、いわしの刺身

「どうだい、俺の鼻はよくきくだろう?」イワシの刺身を美味い、美味いと食べるB氏に対して胸を張った。歌舞伎町を約10分歩いて探し出したのは、狭い階段の上の古臭い店だった。入り口から見て左奥の部屋と12人程度が座れる大テーブルにグループ客がいたが、店内は6分程度の入り。煙たいカウンターを断ると、誰もいない大テーブルの一角を勧められた。
牛タンの塩焼き

「これは固いな」いわしと並ぶ看板料理の牛タンをB氏は気に入らない。「すいません、さんが焼はできません」女性店員が戻って来てすり身関係の料理はできないと言う。さつま揚げ、つみれ汁などの人気料理が既に売り切れでは、店の魅力は半減してしまった。竜田揚げを食べた(写真は撮り忘れました)。
塩焼きのリベンジをやってもらうつもりで牛タンのつみれ鍋を追加した。さらに里芋煮もお願いすると、煮物は時間がかかると言われた。熟慮の末、もろきゅうを頼んだ。料理を待っている間に我々の大テーブルに3人の男たちとカップルが座った。4人席に予約の客、カウンターも一杯になった。人気の店に予約なしで入れたことを喜んだ。
もろきゅう

もろきゅうをつまんでいると、3人組に里芋煮が運ばれて行く。後から来た人たちも複数の料理を手に入れた。B氏がイラついているので日本酒の追加を頼みながら牛タンつみれ鍋を催促した。「今、やっています」と言うので安心した。もろきゅうは食べ終わったが鍋はまだ来ない。縁が欠けた皿をいじくりながら酒を飲んだ。
更に10分程度待った。店員を呼ぶと「すぐ、来ます」と言い残し、去って行った。B氏が立ち上がった。目が釣り上がっている。止むを得ず、銀髪も鞄を持ち上げた。
勘定しながら調理場を覗くと、二つの鍋に素材を盛っている。「出来ている鍋はなさそうだね」と言うと、「一斉にお客様が見えましたので」と答えただけだった。
銀髪の鼻は詰まっていたようなので、次の店はサッサと前を歩くB氏に任せることにした。寒さのせいだけでなく、銀髪の身は縮こまったままだった。
でんぱち
東京都新宿区歌舞伎町1-15-8
03-3200-8003
http://www.denpachi.com/
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2009年12月04日
[Ça va サヴァ?]
380円均一で元気?

最近、立ち飲み屋がやたら目立つようになった。バブルが弾けた後、面白がって酒屋のカウンターで缶詰や乾き物で飲んだことを思い出す。最近の立ち飲み屋は当時に比べると女性が多い。立ち飲みが当たり前の外国のバーに似ていないこともない。

Sava?には椅子があり純粋な立ち飲み屋ではない。最近よく見られるようになった均一価格の飲み屋である。飲み物も、食べ物もすべて380円。一人でちょっとひっかけて帰るもよし、ワイワイガヤガヤと仲間内で飲んでも楽しい。

渋谷や新宿でも似た様な店を見かけたことがあるので系列店かと聞いたら、違うという答え。土砂降りの後に自然発生的にあちこちに出てきた業態なのかもしれない。
ビールの泡が随分と多いように見えたが、380円では文句は言えない。子供の頃、ビールを飲む父の横に銀髪が居た。父はグラスにビールを注ぐとすぐに銀髪に手渡す。グラスに口をつけ泡を飲み、いよいよ液体に届くか届かないかの瞬間に取り上げられた。恨めしそうな銀髪を見ながら、ゴクゴクやるのが心底楽しそうだった。思い出にひたりながらビールをお代わりした。三杯目にもなると注ぎ方はましになった。

均一料金だと、ついついどれが一番得か考えてしまう。例えばラーメンの幸楽苑。テレビのインタビューで社長が語ったところによると、味噌、しょうゆ、塩の中で味噌ラーメンが一番原価が高いとのこと。社長は塩ラーメンを頼んで欲しいと言うが、逆効果だっただろう。

一番割安と目をつけた生ハムの見事なこと。いや、生ハムではなく腕前が見事。骨付きのハムを削ぎ切り皿に盛ってくれたが、まるでふぐ刺しのように皿の模様が見えそうだ。
会計は「1点、2点、3点、………」と実に簡単だ。100円ショップ、ダイソーの会計を思い出した。「また利用してくださーい」と言う女性店員が明るく元気で実に気持ちがいい。サヴァ?(Ça va ?)とはフランス語では元気ですか?という意味。最後の最後に、ただでこんな笑顔を見られるなんて、なんてご機嫌な380円ショップなのだろう。
Ça va ? サヴァ?
東京都千代田区丸の内3-1-1
03-5208-5011
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2009年11月30日
[どぶろく 一心]②(三軒茶屋)
温もり

「お久し振りです」と言いながら入っていくと、主人も女将も怪訝そうな顔をする。「銀髪です」と続けると、「オゥ!」と反応して笑顔になった。喜んでくれたのも束の間で、「イヤー、今日はブリもコウバコ(雌ズワイガニ)も入ってないんですよ」と顔を曇らせる。忙しく表情をコロコロ変える。その様子をカウンターの常連さん2人が見詰めている。

日本海から鮮魚を取り寄せているだけに、思惑が外れることもある。富山名物のバイ貝、かぶら寿司、福井県大野のブランド里芋。お通しを見て今日は一心の名物料理に専念することにした。飲むのもやはり名物の南部どぶろく。石鳥谷の蔵元に特注した純米限定酒である。
女将さんが先客の2人に話しかけた。「こちらの方は食べ物屋のブログを書いてらっしゃるんですよ」と銀髪を紹介してくれる。一人で来た銀髪を気遣ってくれたのだ。「ヤフーで[銀髪 一心]と入力すれば、ウチのことが出てきますよ」と主人がフォローする。銀髪グルメ紀行は1500回を超えた。銀髪も自分の書いた店を探すのにヤフーやグーグルを使う。[銀髪 寿司 銀座]などと入れて店名を思い出すことがしばしばある。

たらこを炒って刺身に和えた真鱈の子付け。金沢の郷土料理らしいが、初めて食べた。新たにカップルが入って来た。こちらも常連さんみたいだ。カウンターの常連さん2人は自分たちの天ぷらが後回しにされても優しく寛容である。おまけに銀髪の相手までしてくれる。料理談義に花が咲く。

南部どぶろくと並ぶ一心名物の酒は岩魚の骨酒。注ぎ酒をしようか迷ったが飲み過ぎを懸念して身を食べることにした。旨味を出し切らなかったお陰で意外といける。

残った日本酒を飲み干す肴を思案していると珍味3品、福井名物の鯖のへしこ、能登の河豚の卵巣糠漬け、日本一固いと言われる五箇山豆腐の燻製を少しずつ盛ってくれた。
前回来た時に相手をしてくれたお姉さんが一人で入って来た。銀髪を覚えているようだ。今回相手をしてくれた2人が帰り支度を始めた。時計を見ると銀髪が来てから既に3時間が過ぎていた。
前回来たときには主人に感心したけれど、一人で来た今回は奥さんの心遣いに感激した。もちろんそれに応じてくれた常連さんにも感謝。北陸名産の料理尽くしも面白かったが、一心名物が温かさと知った一夜であった。
ふるさと割烹 どぶろく一心
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10
03-3418-3155
http://www.doburoku.info
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2009年11月27日
[とときち](新宿三丁目)
日本酒は旨い!

「ここどう?」と言われて首を傾げた。確か前に嫌だと言われたような気がする。それ以来、通り過ぎるだけだったのに…。ドアを開けると小さな店内は満席のようだ。これ幸いに踵を返すと「店の人に聞いてみたら?」と諦めない。客たちの頭の向こうに誰も居ない2人席が隠れていた。
お通し

ビールを飲みながら料理をオーダーする。お通しを食べ終わったところで日本酒のメニューを見る。27種類もあるとは立派だ。香川の悦凱陣と宮城の白楽星を頼むと「マニアックな日本酒を選びますね」と店主が笑う。「どこでも飲めるものじゃつまらないから」と答えると、「今月のメニューを見てから決めてください」と別のメニューを持って来てくれた。

「袋吊絞りは久し振りですよ」と言いながら埼玉の花陽浴、無濾過の田光(三重)の2種類を頼んだ。どちらもフレッシュな日本酒の味わいがあるはずだ。「田光は岡山の雄町という酒米を使っています」と説明してくれた。日本酒に気を取られてぶり大根を撮り忘れてしまった。下の写真は半分を取り分けたもの。
ぶり大根、かにの湯葉巻き

主人が一升瓶を抱えてやってきた。「これ飲んでみてください」と上喜元を注ぐ。「これは飲んだことがある」と言ったものの、上ランクの酒らしい。再び戻ってきた主人の手にはあるのは上亀元。「あっ!字が違うんで変だなと思ってたんですよね」と言うと「こちらの酒米は亀の尾だから、喜ではなく亀を使っている」とのこと。「亀の翁って酒がありますよね」と問えば、それも亀の尾から来ているらしい。酒談義に花が咲く。
まぐろ葱間焼

「酒が旨すぎて料理が霞んじゃいますよ」と減らず口を叩いたが、なかなかどうして酒の肴も悪くない。「上亀元を一杯」と追加した。焼酎ならともかく日持ちがしない日本酒をこれだけ揃えるのは大したものだ。
日本酒をかっくらって、上機嫌で出て行った3人のおばさんたちと入れ替わり、隣にカップルが座った。「ぼくは熱燗」「私はウーロン杯」と注文しても、主人の表情は笑顔のまま。「俺には出来ないなー」と感心した。
どうしてこんないい店に入らなかったのだろうと不思議だった。店を出て入り口の壁を見上げたら、最初に飛び込んできたのは「うどん」の文字。同じビルにあるうどん屋と勘違いしていたようだ。
粘った連れに感謝した。銀髪より鼻が利くのがしゃくではあったけれど。
魚河岸ごはん 築地とときち
東京都新宿区新宿3-6-13
03-3341-7666
http://www.totokichi.co.jp/
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2009年11月26日
[豊月]②(八重洲)
期待以上、夜の豊月

昼に温かいそばを食べた後、そば湯を飲むための器を出されて感動してから数週間。やっと行く機会が訪れた。評価が固まっている高級店ならともかく、初めて行く居酒屋に誘う人選は難しかった。
アサリの串揚げ、漬物の盛合せ

一緒に行った2人は気の置けない仲間。高級店よりかえってリラックス出来ると言ってくれるので気が楽になる。お通しとしては意外性のあるアサリの串揚げに驚いている暇はない。他のテーブルに運ばれるものと思っていた漬物の盛合せが我々の前に置かれてびっくり。これもお通しだと言う。
もつ煮込み、小鯛

鍋敷きが先に来たので予想をしていたものの、もつ煮込みの大きさにまたびっくり。驚かすのが好きなのだろうか。テキパキと動くおばさま達が高笑いをする。
煮ころがし、いか煮物

2人前からとのことだったが、1人前にしてくれても良さそうな量の里芋の煮ころがし。店やおばさんたちの年齢から判断して間違いないと思った煮物は予想通りの当たりだった。仲間二人も「いいねぇー」を連発してくれるので、嬉しくなる。
カキフライ、枝豆

「カキフライは何個?」「3個です」「いいねぇー」てなもんだ。次は何を頼もうかと思っていたら各テーブルに枝豆が配られた。「いいねぇー」
酒が進んでいけない。ビールの後は一人が焼酎、一人が冷酒、銀髪が熱燗と酒量を確認しながら飲んでいたのが、いつの間にか熱燗に統一されて盃を交わしている。味が変わって飲みすぎる悪いパターンだ。
出し巻き玉子、もりそば

最後は定番の玉子焼きをホクホクして、もりそばへ。昼間のように別の器は持って来てくれなかったけれど、そば湯もたっぷり堪能してお開きになった。高級日本酒がないお陰で高い酒ではなかったけれど1升以上は飲んだ。一人6,000円のお代に納得。
「また、今度もここにしよう!」と別れた。相手に恵まれて、美味い肴があれば、楽しくないはずがない。
豊月
東京都中央区八重洲1-3-19 辰沼建物ビル地下
03-3275-2779
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2009年11月24日
[北海道八雲町](日本橋)
八雲町物産館?

日本橋三越本店の向かいには奈良、新潟、島根など、県の名産品を紹介する店がある。北海道八雲町の看板を見て「町の?」と不思議に思ったら、居酒屋のようだった。それでも八雲町を紹介するパンフが店頭に置いてある。夜に来ようと思って再びランチ時に店の確認に来たら、行列が出来ていて驚いた。飛び込みで行くつもりだったが、会社に戻って予約の電話を入れた。
「なんで昼間並んでいたの?」席につくなり質問した。「スーパーニュースに出たんですよ」と複雑な表情。「だからなんだー」と言ったら、「テレビに出る前からこんなもんですよ」と強気だ。

噴火湾産の生牡蠣2個530円、高級魚の八雲産鮭児が1980円。魚介類の宝庫の名前を借りただけではない。八雲町からの直送品ならではの鮮度と値段。店員の強気のコメントも頷ける。

ホタテ、青つぶ貝など噴火湾産魚介の刺身盛合せ。ホッケの刺身は別に頼んだ。船上活きしめホッケは東京ではなかなか食べられない。590円の居酒屋値段なのが嬉しい。

あんこうがお奨めとのことだったので、皮身の唐揚げと肝のステーキを頼んだ。漫画の美味しんぼで不健康なフォアグラより天然鮟鱇の肝の方が美味しいと力説していたが、値段も加味すれば同意してもいい。

分厚く切った高級なヒラメの身(590円)とエンガワ(690円)も、もちろん噴火湾産。テレビ番組ではないが、ついつい値段をアピールしたくなる。刺身に飽きたら名物のホッケ。ランチでもホッケは人気者らしい。

コリコリが楽しいカスベのヒレの唐揚げを食べた後は、店員イチオシのあんこう鍋。あんこうと野菜だけで水分は充分のようだ。最後に雑炊を頼んだら忘れられた。てんてこ舞いの店員たちがミスをしても誰も怒らない。これで丼を食べられると逆に喜んでいる。

スーパーニュースで紹介されたのが焼鮭いくら丼らしい。同じものばかりではつまらないので雲丹いくら丼とひとつずつ頼んだ。酒を飲んだ後にはミニ丼が適量だ。
北海道八雲町はホルモン焼屋「合掌」の新業態だそうだが、おそらく八雲町が一番。町興しと産地直送、低価格がうまく機能している。テレビ人気や目新しさで賑わったとしても、はしゃがず奢らずに頑張って欲しいものだ。
北海道八雲町 合掌 ご当地酒場
東京都中央区日本橋室町1-5-2 東洋ビルB1
03-3242-1833
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2009年11月18日
[越州](日本橋)
日本酒好きには堪らない店

日本橋に出来た新しい越州はアサヒ酒造直営店としては6店舗目になる。以前銀座店に行って良かった記憶があるので、仲間を引き連れて行くことにした。オープンしてまだ日が浅いが予約なしでは入れない人気店となっている。
お通し、のっぺ、骨せんべい、白魚の天ぷら


銀髪はともかく、他の連中は新潟の郷土料理に詳しいわけではない。それでも、メニュー選びを主導するのが酒呑みなので心配する必要はない。のっぺなど選ぶべき料理が順調に選択される。
栃尾常太の油揚げ焼き、カキフライ

栃尾名物のジャンボ油揚げも選ばれたが、酒呑みでない連中はカキフライがベターのようだ。既におにぎりを食べている。晩酌をしない家庭の夕餉を銀髪は想像できない。ご飯とおかずと味噌汁だけなら食事はあっと言う間に終わる。家族団欒はどのように行われるのだろうか。
いかの丸焼き、佐渡丸干しいか炙り

「エーッ!これだっけ?」と大きな声を上げたのは佐渡丸干しを頼んだのん兵衛。いかの丸焼きを頼んだのは保守的なおじさん。越州は酒造メーカーの直営店だけに、いいお酒を他より安く飲める。肴に向くのは丸干しの方だろう。
ウインナー、村上鮭のハラス

酒粕を混ぜたウインナーは出色だった。誰もが頼む人気商品のようなので、すぐに売切れる。変わったものを食べようとしない人も、ウインナーなら箸を出す。
刺身(しめ鯖、蛸、ひらめ)、えごねり

頼むものがなくなったのか、終わり近くになって刺身を頼む奴がいる。銀髪の出番がやってきたようだ。エゴノリを煮溶かして固めた佐渡名物「えごねり」、古くなった漬物などを酒粕で煮た「煮菜」、塩引き鮭を削ぎ切りして酒、みりんをかけた村上名物「酒びたし」など新潟郷土料理を注文して講釈をたれた。
煮菜、鮭の酒浸し、へぎそば

最後はつなぎに布のりを使ったへぎそば。酒よし、肴よし、そばもよし。ただし、そばの器・へぎ(片木)が貧弱なのがちょっと残念。
銀座店では出口まで店長が見送りに来てくれたので名刺交換した。そのため、頻繁にハガキが届く。日本橋店からハガキが来ることはない。
越州 日本橋店
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1
03-6225-2630
http://www.asahi-shouzi.co.jp
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2009年11月02日
[遊魚 和田丸](渋谷)
お魚に自信あり

マークシティを出て神泉方面に歩く路地に居酒屋が並ぶ。どこに入るか迷いながら左手に目を移すと階段の向こうに見覚えのある店を発見。確かガイドブックに人気の店と書いてあったはずだ。狭い階段を上がり店に入ると空いていてホッとした。
定番のメニューよりも手書きのメニューの方が幅を利かせている。店名から連想されるとおり鮮魚が自慢の店。定番のメニューブックと比べながら思案する。

店主は魚真から独立した人。しかも下北沢の一号店開店時の店長と聞けば鮮魚に間違いはないだろう。もちろん刺身からスタートした。上刺身は一人前1,000円で下の写真は2人前。喧嘩にならないように2人で分けやすいように配慮してある。

刺身ができる前にすぐ出るものと思って頼んだなまこ酢が後になった。客が少ないときはあまり考えすぎない方がいいようだ。
定番のメニューの中から鶏の竜田揚げ。辛口の醤油ダレで食べるお奨め料理。話に夢中になり全部食べ終わってからタレがあったことに気がついた。大失敗!

特大めひかりは運ばれてきたときニシンか何かと思った。10cm位の小魚とのイメージが強かったので驚いた。焼き魚で食べるのは多分初めて。白身が柔らかく上品なので天ぷらに向くと言われるのもよく分かる。小骨が気になったが、途中から面倒になって噛み砕いた。

「凄いねー、こんな大きなメヒカリは初めて見たよ!」入り口すぐのカウンター席を勧められたために店主との会話が難しい。首を伸ばしてちょっと大きな声で話しかけた。「私もですよ」柔和な笑顔をやっと見ることができた。特大メヒカリのお陰だ。
「寿司は6種類?それとも3種類?」再び首を伸ばした。「どちらでも」と言われて悩んだ。ものは試し、6種類にしてみた。残った日本酒を飲み干すための酒の肴にはなった。

天気のせいか、曜日のせいか、景気のせいか、店を出るときになっても席は埋まらなかった。空いているのは有難かったが、居酒屋は賑やかでなければ楽しくない。週末の混み合う夜に偶然席を確保し、入り口で断られる客を見て幸運を喜ぶ。そんなときはどんな料理も美味しく感じる。人間とはやっかいな心の器だ。えっ?銀髪だけ?
遊魚 和田丸
東京都渋谷区円山町22-18 桃山コーポ1・2階
03-3496-3435
http://www.wadamaru.com
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2009年10月18日
[吉法師](祖師ヶ谷大蔵)
裕次郎の愛したカレー

土曜日の夕方、ぶらりと店に入った。扉を開けると長いカウンター席、奥にテーブル席があり意外と広い。6時を20分ほど回っているが、我々が一番乗りだった。メニューをざっと見てすぐに「裕次郎の愛したカレー」が目に止まった。
祖師ヶ谷大蔵には東宝やメディアシティなどの撮影所がある。駅を囲む商店街は円谷プロダクションがあったことから、ウルトラマン商店街と名付けて盛り上がろうとしている。調布の石原プロも近い。しかし、店は5年前の開店らしく、20年以上も前に亡くなった裕次郎との接点は見つけられない。
栃尾の油揚げ、湯葉とアボガドサラダ、黒梅貝、鯛のあら煮などを食べた。グルメ紀行に書くまでもないと思って写真を撮らなかったが料理は馬鹿にしたものでもない。煮付けは水気が少ないお袋の料理に似ている。書けば良かったかなと思ったところで閃いた。カレーがあるじゃないか。

和食の店で〆にカレーを食べることは滅多にない。カレーは意外なものだった。オーナーが新宿の店でアルバイトをしていたときに裕次郎が来て出したものらしい。何度かアドバイスを受けて完成したものは五穀米と野菜だけのヘルシーなカレーだ。闘病を続けた裕次郎らしい。

爪楊枝を使おうとしたらプラスチックのようで安っぽい。銀髪の目線を追ってパートナー殿が「とうもろこしね」と呟く。料理人に確かめるとご名答。箸といい、爪楊枝といい、なかなか立派な店だ。祖師ヶ谷大蔵や成城の住人たちに宣伝したくなった。
裕次郎カレーは六本木の「吉法師かわい」でも食べられるようだ。それにしても裕次郎が亡くなったのが52歳というのには驚く。銀髪は先週54歳になってしまった。天地がひっくり返っても「銀髪が愛した〇〇」と呼ばれる料理が死後に残ることはないだろう。
銀髪グルメ紀行がどこかで誰かの役に立っている。自己満足だけで充分だ。
吉法師 成城店
東京都世田谷区祖師谷3-27-3
03-5429-2688
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2009年10月14日
[本陣房](日本橋)
新築ビルの新しいレストラン

ちょっと前になるが、10月1日のオープン初日に8人で出かけた。ランチの準備をしているところに声をかけて予約した。昼から通しでやっているから使いやすい。会社に戻って幹事役の部下に告げると新橋の本陣房は評判がいいと言う。期待が膨らんだ。
お通し(生しらす)、かにサラダ、刺身

思ったより広い店だ。奥に個室があるとは知らなかった。例のごとくオーダーを始める。銘々が勝手に頼むものだからおばさんはてんてこ舞い。オーダー端末の使い方もまだ分からないようだ。男性社員とバトンタッチしてなんとかオーダーし終わった。
しめ鯖、日本酒、そば味噌

焼酎はもちろん日本酒の品揃えもいい。部下の一人が1銘柄を除いて全部飲んだことがあるというのでメニューを見ると、成る程有名な酒ばかりだ。ボトルで頼まず銘々が好きな酒を飲むことにした。
若い店員が一升瓶からグラスに注ぐ。グラスからこぼれた酒が枡に溜まる。一合より多く注がれて得をした気分になると思いきや、枡は一合枡よりはるかに小さい特注品のようだ。日本酒は呆気なく枡からこぼれ出してしまい、おしぼりが2勺ぐらいを飲み干した。
たこぶつ、出し巻き玉子、揚げ銀杏

オーダー時にたこぶつや天ぷらをいくつ頼むか揉めた。四皿は多過ぎると言う我々の口は鶴の一声で封じられた。その鶴は早々にかけそばを食べ、たこぶつを一切れ食べただけで飛んでいった。残されたたこぶつがテーブルを行ったり来たりする。
天ぷら、そば

「グラスと枡と別々に注ぎなよ!初日だからサービス、サービス!」促されて渋々一升瓶を傾ける店員。ちっちゃな枡を使うせこい店と、ブツブツ不平を言う意地汚い客。いい勝負だ。
天ぷらを押しつけあった後は、そば屋らしくそばで〆る。たぬきそばを頼んだ連中がつゆが濃いだの油っぽいだの文句を言う。なに言ってんだい!日本酒の肴にもなるもりそばを食べなきゃ通じゃない。二八そばはなかなか良かった。終りよければすべてよし。ぼちぼち2次会の店に行こう。
次の店で待っている鶴の首はろくろ首より長くなっているに違いない。
本陣房
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋コンフォートスクエアー1F
03-5200-6363
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2009年10月07日
[天空の月](渋谷)
月がない夜は大変だ

天気予報は朝から夜までずっと雨。客を待つ身の料理屋は辛いだろう。東急東横店かマークシティの中で食べようかと迷ったが、ちょっと外に出てみた。思ったより雨が強いので、目の前のビルに飛び込んだ。駅に近い店にとっては呪いの雨か、恵みの雨か。
エレベーターを降りると自動ドアのように店の扉が開き、店員が迎えてくれた。店は暇なようだ。個室中心の立派な店内は大手チェーン店系列の居酒屋を思わせる。落ち着いてゆっくり食事を出来そうで安心した。
来年から大学院に行くと言うアルバイト君のお奨めは新鮮レバーのお刺身、天使のエビのマヨネーズ和え、バーニャカウダ、そしてメニューに乗っていないクエ。その中から2品選んだ。すぐに来ると思った料理がなかなか来ない。呼び鈴のボタンを押した。
料理を追加しておいた方が良さそうだ。アルバイト嬢にカルビ焼きを頼んだらすぐに戻ってきた。「カルビ焼きは時間がかかるので、早く出る料理もいかがですか?」と言うので、「前に2品頼んであるんだけども…」と答えたら驚いた表情を見せて引き下がった。
クエのムニエル、朝採り有機野菜のバーニャカウダ

今シーズン初めてのクエは期待ほど脂が乗っていないものの、敷かれた豆のソースがなかなか良い。ちびちび食べられるバーニャカウダは正解だった。カルビが来る前に山の玉手箱を頼んだ。野菜とカルビを食べ終わる頃には運ばれてくるはずだ。
炙り塩ダレ漬けカルビ、山の玉手箱

カルビを食べ終わって呼び鈴を押した。「すいません、後3分で出来上がるそうです」アルバイト君が謝ってからも10分待った。山の玉手箱をオーダーしてから30分以上も経っている。でもおじさんは怒らない。一生懸命やっている彼をとても怒る気になれないし、鶏肉と茸野菜の奉書焼きが思った以上に美味しかったのが幸いした。
天空の月は小金井、立川など都下に複数の店を持つロイヤルダイニングが唯一23区内で開いた店である。大手チェーン居酒屋と似ているが、店員はこちらの方が好感を持てる。料理の質も料金もちょっと上の設定のようだ。酒の品揃えも悪くない。
店を出るときにマネージャー格の店員が不手際を詫びに来た。思いがけず大人数のグループが飛び込んできて、キッチンが混乱したそうだ。雨の日の客数を予想してスタッフを絞り込んでいたに違いない。銀髪にとっても誤算だったが、勉学の合間に真面目に働くアルバイト君に店も銀髪も救われた。
天空の月
東京都渋谷区円山町5-18 道玄坂スクエア3F
03-5784-9966
http://www.skymoon.jp
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2009年09月30日
[舞浜](新橋)
魚だけじゃなかった

舞浜と言えば多くの人はディズニーランドを思い浮かべるだろう。グルメ紀行を始める前は銀髪も他のイメージは持ち合わせていなかった。埋め立てや汚染などで千葉県の豊饒の干潟・魚介類の宝庫は縮小していく。今は遊園地で楽しむ人が圧倒的に多く、漁場の縮小を嘆く人は殆どいないだろう。
6時過ぎ、店はまだ空いていた。昔は割烹だったというのが成る程と思わせる店内だが、カウンター席の間隔が狭いのが大衆店に衣替えした証のように見える。調理場の職人たちや料理を運ぶ女性たちも大衆店の雰囲気である。

お通しに大根おろしが出てきたのにちょっと驚いた。海鮮料理の店には珍しいお通しだ。オーダーはもちろん刺身から。少量ずつ盛合せにしてくれるように頼んで、お通しに取り掛かろうとしたら、刺身を待つ間にすぐに出て来るものをどうかと勧められた。大きな谷中しょうがに驚いているところに刺身が出て来た。客が少ないので待つ時間は短かった。

豪快な盛合せは漁師料理のようだ。さすがに舞浜で魚屋をやっているだけのことはある。厚く切って美味いのは新鮮だから。これでリーズナブルなら店が混み合うはずだ。いつの間にかカウンターも一杯になり、予約していない客が入り口でUターンする。

あらためてメニューを見て気がついた。舞浜のウリは新鮮な魚介類と鶏料理。お通しが大根おろしだったわけだ。同行したNさんは鰈を頼んで充分と言う。銀髪が黒豚入りもやし炒めとトマトを頼んだ。焼き鳥も追加したかったが止めにした。勘定して外に出ると、店の前に出したテーブルで飲み食いしている客が居た。予約なしで入れた我々は本当にラッキーだった。
Nさんは約30年前は銀髪より痩せていたのに、今は20余キロを足して90kgを超す。2軒目で合流したKさんと久し振りに再会し、お互いのメタボを非難し合うのを見て銀髪は苦笑するばかり。共に煙草を止めて巨大化した。
美味しい料理を前にしても太る恐怖と折り合いをつけるのは大変だろう。せめていい料理屋に来たときには腹が苦しくなるほど飲み食いしたいものだ。
舞浜
東京都港区新橋3-10-6
03-3432-8540
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2009年09月23日
[舟ぜん](江の島)
とびっちょじゃなくても、ここでいいじゃん!

ゴールデンウイークにとびっちょ(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/05/post_1233.html)で長時間並んだ。美味しいけれど他店で食べるものと大きな差異はないと思った。それを証明するために次に行く店は舟ぜんと決めた。あれから4ヶ月半、その日が来た。
誰が名付けたのかシルバーウイーク。愛車(自転車)マドンナ号で8時過ぎに世田谷の家を出た。相模原近辺で境川に入り、サイクリングロードを下った。舟ぜんには11時20分に到着。準備中の札に躊躇したが既に店内には客がチラホラ。店員の承諾を得てカウンターに座ったら、それから数分で満席になった。ラッキー!
生しらす定食を食べると決めた。すると後から来た客がメニューも見ずになめろう定食を頼んだ。今度は注文を取ってきた店員が「湘南定食!」と料理人に告げる。目の前には棒状のごはん。見ていると色んな魚を乗せる。メニューを開いてみると一文字鮨のようだ。カウンターは楽しいが、心を乱される。でも、初心貫徹、目的はしらす丼!店員を呼んだ。

絶句した。ごはんの上に乗っているのは生しらすではなく釜揚げしらす。生しらす定食を頼んだはずだと疑問に思ったところで味噌汁の上にある小さな器に気がついた。もう一度メニューを開いた。

確かに頼んだのは生しらす定食で丼ではない。しかもちゃんと釜揚げしらす丼と書いてある。すぐに自ら二色丼を作ることを決断した。小さな器に入った生しらすは思った以上にうまくごはんの半分を覆った。残りの半分に移した釜揚げしらすとうまく調和している。二色丼と言うよりは水墨画丼の方が相応しいかもしれないけれど…。

かき揚げも、小鉢も満足した。生ビールを頼む客にちょっと嫉妬したけれど、自転車だって飲酒運転はできない。江の島のとびっちょは以前行ったときと同じように人だかりが出来ていた。2時間以上の待ち時間は疑いない。腹ごなしに茅ヶ崎の友人宅までゆっくり走った。約30年前に銀髪をバッカスと呼んだ友人のお母さんと玄関先で5分間立ち話をして帰路についた。学生時代の思い出が帰りの自転車一人旅を潤した。
舟ぜんの前を通ったら、2時間前と同様に10人足らずが待っているだけ。食べることが目的ならばこちらの方が断然いい。夜にゆっくり訪れたいものだが自転車で片道3時間は遠すぎる。電車で来ればいい?それでも1時間半はかかるかもしれない。車で?残念ながらゴールデンウイークやシルバーウイークに車で観光地に行く勇気は持ち合わせていない。
舟ぜん
神奈川県藤沢市片瀬海岸1-3-4
0466-27-0048
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~shouten/shop/kt22/kt22.html
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2009年09月18日
[がんこ](上野)
酒はほどほどに

「安い店で申し訳ないですが…」と連れて行かれたのが上野のがんこ。昭和38年に大阪十三で創業し、現在は様々な業態を展開する大飲食店グループになっている。上野本店は平成3年に開店した東京進出1号店のようだ。
下駄箱に靴を入れて廊下を歩く。思ったより大きな店だ。個室は座敷かと思ったが、テーブル席になっていた。年配者でも椅子席の方が居心地がいい。「安い店」というのは謙遜で、立派な料理が我々を待っていた。

さすがに商売が難しい大阪で成功した店だ。見栄えのする料理でも、リーズナブルな価格設定になっているに違いない。客を待たせないサービスも見事である。酒もどんどん運び込まれてくる。アルバイトに見える若い女性店員も実にきびきびしている。銀座ライオンよりも教育が行き届いている。

10人のメンバーの内、50代は銀髪と部下の2人だけ。他は60歳以上で70代も複数いる。喋って飲んで、日本の経済成長を引っ張ってきた人たちは本当に元気だ。最近の若者たちと比べると宴会慣れしていて、飲み上手、注ぎ上手でもある。

豆乳鍋が始まる頃には年配者たちの食べる勢いはさすがに落ちてきた。それでも飲む方は衰えない。注ぎ方は勢いを増している。左から右から、前方から、さらには後ろから徳利が差し出されるので銀髪は箸を取る間がない。もっとも、大型の居酒屋で出される熱燗はあまり酔わない。常時温められているのでアルコールが飛んでしまっているのかもしれない。

寿司が出てきたところでホッとした。お開きの時間は目の前に迫っている。ようやく日本酒からも開放されそうだ。重鎮が熱燗派で助かった。
半数が残り、2次会に誘われ浅草に向かった。スナックでも行くのかと思っていたが甘かった。タクシーを降りた先には見覚えがある大きなちょうちんが下がっている。居酒屋の「あらまさ」である。「いやー、ここはいい酒があるんですよ」と講釈をたれる馬鹿な銀髪。これを聞いて一度は頼んだ熱燗を冷酒に変更されてしまった。自分の軽率さを呪ったが後の祭り。今度はアルコールをしっかり感じながら飲んだ。ぼちぼち翌日のことを心配しなければならない。
がんこ 上野本店
東京都台東区上野4-9-6 ナガフジビル6F
03-5688-8845
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2009年09月16日
[串揚げ宇吉](下北沢)
低料金で食って、飲んで

「なるほど…」客単価が2,500円と聞いていたが、メニューを見て納得した。串揚げは殆どが100~120円。揚げ物で、ボリュームがあればそうたくさんは食べられない。串揚げ屋定番のキャベツとソースが各人の前に並んだ。


ストップするまで揚げる方式ではなく、自分で食べたい物を選ぶ。3種6本を頼んだら、きれいに皿に盛られて出てきた。揚げ立てを食べるために、次から1本ずつオーダーすることにした。

何とか売り上げに貢献してあげたくて蟹キス巻を頼んだ。「もっと高いものを作ればいいのに」と銀座の高級串揚げ屋の「六覺燈」や渋谷の洋風串揚げ屋の「GDF」の話をしてあげる。アドバイスに熱心な銀髪に対して料理人はただ感心しているだけ。下北沢の客層に合わせて、あくまで安さを前面に出す戦略らしい。


野菜で一番高いアスパラの肉巻を頼んだ。立派なアスパラにもかかわらず、これで150円。店が維持できるか心配になってしまう。「専門店ならではの変わった串揚げだったらアイデア料の20円~50円を上乗せできるよ!」と知恵をつけようとするが、良心的な店主を説き伏せるのは難しい。
テーブル席には炒め物や焼き魚を頼んだグループが盛り上がっている。そんな客のためには串揚げ以外のメニューも必要なようだ。それにしたって500円を超える料理は殆どない。ファミリーですべてまかなうならいいが、他人を使っての商売は大変だろう。年中無休、日~木・祝日は17時~24時まで、金・土・祝前日は朝5時までの営業。料理屋の経営は思ったよりも厳しい。
まだオープンして間もない。日々の営業も大事だが、若い店員たちは繁昌店の研究をしっかりやったらいい。1年もすれば見違えるような店になるだろう。「下北沢に行ったら宇吉に行かなきゃ!」と言われるように頑張って欲しいものだ。
串揚げ宇吉
東京都世田谷区北沢2-33-10 DSビル101
03-6407-3055
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2009年09月06日
[波留乃屋](赤坂)
不思議な蕎麦屋

ミャンマー料理シュエジンヨウで食べたのは2品だけなので、お腹が泣いていた。〆の代わりにラーメンかそばを食べようと思ったら、目の前に不思議な蕎麦屋があった。一見したところ飲み屋のようなので通り過ぎようとして、シュエジンヨウで缶ビール2本とそば焼酎1杯しか飲んでいないことを思い出した。

ワインを頼んだ。チャージ料200円を取られる代わりに揚げたそばの小さなサラダが出てきた。左隣に座っている3人の若者が食べるそばを見ることができたのは幸運だった。大盛りに見えたが普通盛りのようだ。迷わずスモールサイズを選んだ。
板そばスモール

のりごまそばスモール

そばが隠れるほどの海苔を連れに分けてあげた。連れはつけだれに鼻を寄せた後、箸の先にちょっとつけて味見している。そば通を自認しているだけあって、表情が曇っていくのが面白い。銀髪だって受け容れ難いが、相手の顔を見ると楽しくなってくるから不思議だ。

生卵をボッチャンして、ラー油の浮いたつゆにそばをドンブリコと浸して食べた。それを見て連れも何とか挑戦意欲を掻き立てられたようだ。何と言っても空腹という強い味方が後押ししてくれる。
右隣の2人の若者は飲み放題60分980円の有効活用に必死だ。時間切れを前にして追加注文をした。数分後、1人がまたも追加注文をすると「すいません、1時間過ぎてしまいました。30分500円で延長されますか?」と店員が言う。渋々OKすると「お連れ様はどうしますか」と聞かれ、これも断り切れないでいる。店員が姿を消すと「俺のはまだたくさん入っているんだぜ」「いいじゃないか、頼んじゃったんだから」と不機嫌そうな会話が聞こえてきた。
そばを食べ切るのも辛かったが、隣の会話が聞こえない振りをするのも辛かった。このタイプの店があちこちに出来ているという。いい経験をした。
波留乃屋
東京都港区赤坂2-15-12 パーク赤坂ビル1F
03-5229-0750
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2009年09月04日
[安居](下北沢)
和魂洋才

和洋折衷というとごちゃ混ぜのいかがわしい響があるので、当たらずとも遠からずで「和魂洋才の店」とでも言わせてもらおうか。日本人は外国の文化を取り入れるのが上手だ。特に食の世界ではそれが顕著で、料理人のアイデアに感服させられることが度々ある。
安居は下北沢で屈指の人気店らしい。若者の街・下北沢のイメージよりちょっと大人の雰囲気がある。予約なしで飛び込んだが運良く席が空いていた。2人で行ったのに4人席に導いてくれた。後から来る客を当てにして目の前の客をおろそかにする店が多い。安居の姿勢は料理にも反映されるに違いない。
お通し、お刺身5点盛り

いなだ、ひらめ、つぶ貝、ほたて、炙りさんま、北海道北見市西村商店より直送と胸を張るだけのことはある。炙りさんまのために添えられた肝醤油は、苦味が効いて大人の味だ。
ゆず入りざる豆腐、自家製炙りチャーシュー

安居は下北沢で最初に手作り豆腐を出した店とのこと。ヒマラヤ岩塩で食べるのは驚かないが、オリーブオイルは意外だった。
山形の蔵元から直送している日本酒など、酒にもこだわりが感じられる。もっとも、この冬一番の自信作という炙りチャーシューはホッピーでがつがつ食べた方が合うかもしれない。
豆乳のカニクリームコロッケ アメリカンソース添え

安居で一番人気というカニクリームコロッケ。豆乳を使っているものは最近では珍しくなくなってきたが、フランス料理定番のアメリカンソースとは面白い。残ったソースをフランスパンにつけて食べる。いいアイデアだ。一品得した気分になる。これはワインが欲しいところだ。
思ったより空いていると思った店内も、9時近くになって一杯になってきた。深夜1時までやっているのはやはり下北沢らしい。居酒屋といっても洋風の創作料理は女性たちにもうけるだろう。保守的なおじさんたちは「ポテトコロッケじゃないと邪道だ」「トンカツソースの方がいい」と言うかもしれない。食い物ぐらいちょっと冒険したらいい。楽しみはもっと広がるはずだ。
安居(あんご)
東京都世田谷区北沢2-11-2 パティオ下北沢2階
02-5430-6220
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2009年08月31日
[うのさと](渋谷)
隠れ家で創作和食

東急百貨店の向かい側、安い料理屋が並ぶ狭い路地は若者たちで溢れている。人混みを避けて道を折れると雰囲気のある店の前に出た。高そうに見えたが、店の前に置かれたメニューを見ると3桁の料理が殆どなので入ることにした。
店の中は思ったより広い。左のテーブル席と右の長いカウンター席の間を進み奥の掘り炬燵式の席に納まった。客がまばらなこともあり、外の喧騒が嘘のようで渋谷に居ることを忘れさせてくれる。
お通し、お造り三点盛り合わせ

つぶ貝、ひらめ、しまあじの三点盛りがこの日頼んだ唯一の4桁料理。可愛いアルバイト嬢にお奨めと言われたら断れない。高級魚はさすがに美味しい。
無花果とくるみの生ハム巻き 胡麻ソースで

フルーツトマトのマスカルポーネチーズ添え

自家製胡麻豆腐

「定番料理の中でお奨めは何ですか?」と聞いても明快な答えは返ってこない。何度もメニューを繰りながら一品ずつ選んでいった。無花果の料理はメロンの生ハム乗せからの連想だろうが、胡麻ソースが味を複雑にしてなかなかの出来栄えだ。トマトとチーズの組み合わせも悪くない。胡麻豆腐もゴマの香りが高くて水準以上。
名古屋コーチン手羽先、コロッケ風黄金焼

手羽先はマデラワイン、醤油、味醂に漬け込んで焼いたもの。マデラワインを使うとはなかなか洒落ている。ちょっと焼き過ぎなのが惜しかった。コロッケは予想を外されてしまって愉快だ。
高菜と明太子の石焼ご飯

お約束どおりおこげができるほど熱々の石鍋で満腹になった。3種類の冷酒を飲んでいい気持ちになった。料理と同様に店の雰囲気の割には酒も妥当な値段である。週の初めで空いていたためサービスも早くて快適だった。おそらく週後半になれば大賑わいになるのだろう。
「うのさと」の「う」は所在地の宇田川町の頭文字から取ったとのこと。「さと」は里か郷か、聞き損なった。渋谷の路地裏の古民家風、大人が落ち着ける店である。
うのさと
東京都渋谷区宇田川町36-11
03-3496-2087
http://www.unosato.com
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2009年08月26日
[やき龍](新宿三丁目)
なかなか美味しい焼き鳥屋

伊勢丹近くの人気店に予約なしで行ったが、やはり無謀だった。あっさり跳ね返されたものの、予想していたのでショックはない。近くのビルにかけられた「紀州備長炭使用」と書かれた板を見てやき龍に入ることにした。
カウンターに座ろうとしたら「奥のテーブルも空いてますよ」と親切だ。4人掛けのテーブルに二人で座れるのも客の入りが悪いおかげ。ちょっと不安な気持ちもあるが、紀州備長炭を使う店でハズレは殆どないとの持論は揺らがない。
お通し、つくね

お通しが500円、看板料理のつくねが1本400円とちょっと高いのが客の入りに影響しているのかもしれない。つくね以外は300円で、1本でもオーダー出切るから有難い。「つくねは是非1本ずつ食べて欲しい」と言われたので2本頼んだが、後は1本ずつ頼んで二人で分けた。
ぺた、すきみ、ねぎま、ぶつ、レバー

呼び名が違って戸惑った。ぺたはぼんじり、すきみはせせりのようだ。ぶつは足の付け根のところの肉で、噛み応えがある割りにジューシーで美味だった。
トマト、銀杏、砂肝、はつ、鴨アスパラ

焼き物以外の料理はそれほど多くはない。焼鳥屋だと割り切れば、野菜類も串焼きで食べれば充分ということになる。
みちほる、しいたけ

焼鳥はタレの旨さを強調する店が減って、塩焼き全盛の時代になった。そのためか、薬味に柚子胡椒を使う店が多い。やき龍では柚子胡椒ではなくかんずりを置いている。結構辛いので、My唐辛子を使わないで済んだ。
仕方なく入った店だったが、やき龍は悪くなかった。何よりの収穫は店員の応対が良かったこと。帰り際に「正社員なの?」と尋ねたら「アルバイトです」と言うので感心した。ホームページを見ると、社長の信念は「企業は人なり」とある。たまたまいいアルバイト学生に当たった気もしないではないが、社長の信念が行き渡っているとしたら大したものである。
やき龍
東京都新宿区3-17-21 川元ビル2F
03-5312-7244
http://www.yakitatsu.com/
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2009年08月21日
[しょう田](新宿歌舞伎町)
常連さんになりたいお店

狭くて急な階段を上り終え、窓ガラス越しに店内を覗きこんだ。思ったより小さな店で満席のようだ。踵を返したところで、扉が開いた。「どうぞ、テーブルを片付けますから」と招じ入れられた。そのテーブルの客はトイレにでも行っているのかと思ったが、銀髪と入れ違いに帰って行ったようだ。
部屋を見回したが居酒屋らしい料理の短冊は貼っていない。取りあえずビールを頼んだ。メニューを探すがテーブルには置いていない。店の人はお通しの枝豆ともろきゅうを置いていった後は、他の客の世話で忙しそうだ。大きな店では気にならないが、小さな店では雰囲気に溶け込むまで時間がかかる。

枝豆は香りが高くて美味しかった。もろみも悪くない。ビールがなくなりそうなところでタイミングのつかみ方が分かってきた。声をかけると他のテーブルの上で遊んでいたメニューを持って来てくれた。

「かぐらなんばんって何ですか?」南蛮はとうがらしのこと。ピーマンの形をした青唐のようなものだ。長岡野菜として栽培されているらしい。栃尾の油揚げもあるので、女将さんは新潟出身に違いない。

「辛いから気をつけてくださいね」とかぐらなんばんを置いていった娘がとても可愛い。銀髪が食べたものは何ともなかったが、連れが食べて顔をしかめる。慌てて水を持って来てもらう。楽しくなってきた。人の不幸は蜜の味。
ボクサーの後援会のメンバーたちだろうか、壁にはポスターが貼られている。客の半分以上は常連さんのようだ。新たに客が入って来ると、席を譲り合ったり、勘定を払って帰る優しい人たちだ。客たちの向こうに目を飛ばすと、調理場にもう一人可愛い娘が見える。一段落して調理場から出てきた女将さんを見ると若い頃はかなりの美人だったと想像できた。

ゴーヤチャンプルを食べて勘定を払ったところで、サービスの茄子ときゅうりの塩もみが出てきた。これがなかなかのものだった。それにしても女将はともかく、若い二人の娘たちが可愛い。むくつけき常連さんたち(失礼)が優しいのも分かるような気がする。
「気をつけてくださいね」急な階段を下りる我々を気遣いながら女将がお見送りをしてくれた。常連になったら、とても気持ちよく寛げる店だろう。美人姉妹が巣立ってしまわないことを祈るばかりだ。
酒席 しょう田
東京都新宿区歌舞伎町1-11-7 2階
03-3209-6606
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2009年08月10日
[時代おくれ]②(京橋)
好き嫌いはDEBUの素

部下に宴会の場所を探させると肉料理が多い。「野菜のしゃぶしゃぶにでもするか?」と言うと「牛ですか?豚ですか?」と聞く。野菜と言っているにもかかわらず、しゃぶしゃぶにしか反応しない。我が社の営業マンは程度の差こそあれ全員が肥満。「今日は野菜縛りだ!」と銀髪が時代おくれを選んだ。約2年ぶりの訪問である。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/07/post_278.html)

胡麻豆腐、枝豆、四万十川の海苔、計画通りにスタートした。前回来たときに陶器の器に入れてきた生ビールを、泡が多過ぎると文句を言った。今はグラスに変わっている。銀髪グルメ紀行に感謝のコメントをくれた染谷さんに会いたかったが辞めたとのこと。とても残念だった。

染谷さんのお奨めを思い出して生野菜の盛合せを頼んだ。水茄子を初めて生で食べたのが時代おくれだった。一番食べさせたかった真正メタボ氏は「茄子なんか生で食べれるか!」と一蹴した。


「後は自由に頼んでいいぞ!」と言ったのが間違いだった。最初の趣旨からどんどん離れていく。「ウメー、ウメー、ハムカツお代わり!」と言う肥満度トップを「お前は食うな!」と一喝したら泣きそうな顔をする。結局、許してしまったが、後悔するのは銀髪ではない。


野菜の仕入れ先にこだわる時代おくれはいい店だ。ベジタリアンでも品質に満足するだろう。肉や魚もあるのでベジタリアンではない人も飽きることはない。幸か不幸かメタボに悩む人は、何を食べるか悩むことになる。選んだものを見たら、真剣にメタボを改善しようと思っていないことが分かる。

ゴーヤチャンプルーは意外なことに最肥満が頼んだ。他の連中はゴーヤを避けて豚肉ばかり食べる。前回、時代おくれに来たときは、野菜を前面に出す店はまだ少なかった。今はかなり増えたが、メタボが改善されるかは本人次第。ダイエットはともかく、野菜の素晴らしさ、美味しさに早く気付いて欲しいものだ。好き嫌いをなくせば道は開ける。
帰農庵 時代おくれ
東京都中央区京橋1-1-9 入船本館ビルB1
03-6225-4535
http://vegedinning.com/shop/jidai.html
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2009年08月09日
[三州屋 銀座店](銀座)
インターネットとは無縁の昔ながらの居酒屋

三州屋は色んなところにあるが、取り上げられるのは銀座店が圧倒的に多い。銀座だって大衆居酒屋はたくさんあるのに、「あの銀座で、こんな大衆居酒屋が…」となる。ところがテレビや雑誌で紹介されるのは夜の酒の肴ではなく、なぜか昼のフライ定食である。
三州屋は銀座一丁目と二丁目にある。どちらの看板にも銀座店としか書いていない。仲が良いのか悪いのか分からない。同系列なのかどうか定かではないが、昼の看板料理はどちらもフライ定食で、値段も同じ1,000円だった。
銀座一丁目店

某グルメ雑誌のお奨めは一丁目店で、一人で料理を運ぶ年配の女性をも絶賛していた。目の前で刺身定食に髪の毛が入っているとクレームをつける客と、その女性とのやりとりは決して愉快なものではなかったけれど、銀髪はお目当てのフライ定食を黙々と食べた。酒盛りをしている客が羨ましい。
銀座二丁目店

テレビで服部幸應が絶賛していたのが二丁目店。某グルメ雑誌の推奨店はハズレが結構ある。服部幸應の評価はそれなりに納得できた。どのテーブルにもソースと醤油の瓶が2本置いてあるので、一丁目店のように「醤油を持ってきて欲しい」と頼まなくてもいい。フライにも醤油派の銀髪にとってはこの一言が煩わしい。配膳をする4人のおばさん達に笑顔は見られないが無愛想でもない。ベテランの味といったところだろうか。
それにしても三州屋は不思議な店だ。あちこちにあるがどこが本店か、グループ企業なのか、暖簾分けしたのか、ホームページもないので分からない。はっきりしているのはどの店も昔から愛されている居酒屋ということだろう。一丁目店の料理の短冊を数えたら100以上もあった。夜の賑わいぶりも容易に想像できる。
店構え、内装、雰囲気、料理の内容、サービス、いずれをとっても新興居酒屋グループの方が上を行っていると思う。それでも、昔ながらの客は三州屋の方が落ち着けるだろう。あの銀座にこんな店と言うよりも、銀座ならではのこんな店と言った方がいいかもしれない。銀座は高級店だけでなく、大衆居酒屋を含めて大人の街である。
三州屋 銀座店
東京都中央区銀座1-6-15
東京都中央区銀座2-3-4
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2009年08月06日
[茶屋 壱](代々木)
大人の炭火焼き居酒屋

代々木駅から歩いて数分、明治通り沿いに雰囲気のある店を見つけた。暗闇に浮かぶ店は古い日本家屋のように見えて風格があり、ドアを開けるのに一瞬怯んでしまった。中に入ると思ったよりも広い。我々は長いカウンターの真ん中、炭火焼きのコーナーが見えるところに座った。
鯨ベーコン、海老しんじょ、えぼだい、海ぶどう、白レバーと一気にオーダーした。大きなテーブル席や奥に個室もあるようだ。それなのに料理人は一人しかいないので、早めにオーダーした方がいいと判断した。しかし、銀髪がオーダーしたものは炭火の上に乗る気配がない。
鯨ベーコン、海老しんじょ

失敗したかなーと思っていたら鯨ベーコンがやってきて、すぐに海老しんじょが続いた。持って来たのは焼き場とは違う料理人。客から見えない奥にキッチンがあるようだ。キッチンの料理が出てきたところで、炭火の上にえぼだいが乗った。
えぼだい、海ぶどう

料理の進行が遅いと疑ったことを申し訳なく思った。チェーン店などではオーダーしてしまうと、こちらの食べるスピードなんかお構いなしに料理が運ばれてくる。テーブルに乗り切らず閉口する事が多いが、壱の料理人は客をよく見ている。評価は一変した。
白レバー、岩中豚

白レバーが焼き上がったところで岩中豚を注文した。とてもスムーズで気分がいい。客もだんだん増えてきた。場所柄、飛び込みで客がどんどん入ってくるとは思えない。近隣の人たちに支えられているのだろう。
東京に居ることを忘れさせてくれるような雰囲気の店だ。ゆったりとして、落ち着いた食事ができる大人の居酒屋といってもいいだろう。控えめな応対が、なんとなく心地よい店だった。
茶屋 壱
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-6 プラザF1
03-5368-8767
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2009年07月24日
[てっぺん渋谷女道場](渋谷)
渋谷で一番元気がいい店はどっちかな?

以前てっぺん渋谷男道場が渋谷で一番元気がいい店と書いた(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/06/post_1271.html)。しかし、向かいにある姉妹店の女道場も負けていない。こちらは店員の殆どが若い女性。ドスの聞いた男道場と違い、明るく高い声音はかなり耳に響く。メニューはちょっと女性らしくユニークだ。

鉄板焼きが主流の男道場に対して、こちらは串焼きが自慢。お通しは串焼き屋定番のキャベツ。別に頼んだ串焼き2本を乗せて出てきた。タレと脂が落ちてキャベツに味がつく。
串焼き意外で一番人気がパリそばサラダ。そばを揚げたものは何度も食べたことがあるが、こちらは盛岡冷麺。店員が麺を砕いて混ぜ合わせてくれる。パリッとした食感が消えない内に食べるべし!
キャベツ、こころ(心臓)、パリそばサラダ

目の前で串焼きを担当している女性は電話を受ける担当でもあるようだ。次々に予約の電話がかかってくる。忙しくて焼き損ったかと思われるほどレバーは中が生。しかし、これが銀髪の好みで大正解。トロッとして実にいいレバーだ。
砂肝、豚バラ、もも肉、レバー


男道場でもあった亀岡牛のもつ。煮込みと唐揚げの2種類を頼んだ。食べている間も店員の叫び声(?)が響き渡る。
亀岡牛の塩もつ煮、塩ホルモンの唐揚げ

「勘定をしてください」カウンターの隅に座っていた若い女性が店員に言った。美人だから興味深く見ていたら、鞄から財布を取り出した。連れの男は当然のように帰り支度をしている。兄弟だろうか。イヤイヤ、そうは見えなかった。世の中変わったものだ。
デザートはキャンセルした。勘定をして外に出たら店の女性が追いかけてきた。携帯でも忘れたかと胸に手を当てたところで「デザートが遅くなってすいませんでした」と謝る。キッチンから飛んできたようだ。銀髪は客のバースデーイベントから逃げてきたやましさがあるので、彼女が頭を下げるのにうろたえてしまった。男道場の中は既に闇。全ての客がバースデーイベントを楽しんでいるようだ。やがて、女道場の灯も消えた。
機会があったら、銀髪の誕生日をここでしようか。ウーン、想像しただけでも恥ずかしい。
てっぺん渋谷女道場
東京都渋谷区宇田川町41-23 河野ビル1F
03-5428-3698
http://www.teppen.info/
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2009年07月09日
[築地食堂 源ちゃん](渋谷)
築地のネーミングに負けた

渋谷を歩いていたらホットペッパーをくれた。どの店の写真も実に美味そう。行ったことがある大チェーン店は避けて、初めての源ちゃんに行くことに決めた。パルコにあるということで安心感もある。そして店名の前に書かれた「築地」の文字。これが決め手になった。
お通し、サラダ

大漁旗などを掲げた店内は、立派なビルの中だということを忘れさせてくれる。メニューも居酒屋というだけあって良心的である。難点は店員をつかまえることが難しいところ。100席以上ある店内にオーダーを取る店員が2人しか居ない。客がまばらなうちにオーダーしておいた方が良さそうだ。
刺身盛合せ

2,800円の立派な刺身の盛合せ。2人前とメニューに書いてあるが、殆どの魚が3切れずつ。新宿ブラックホールの店長が言っていたことを思い出した。和食では奇数が常識なのである。3切れを2人で分けることはできないが、料理人の常識が優先される。頭を切り替えるのは並大抵ではない。
ホッケ

「脂が乗ってますよ」と勧められたホッケだが、意外と小さいので拍子抜けした。しかも身がほぐれにくくホッケらしくない。脂も乗っているようには思えない。ひっくり返してみると黒焦げだった。
それなりに店内は混み始めてきた。手を上げるが店員は気付いてくれない。周囲の客が大声で呼ぶのを待った。すぐ後ろの客の注文を受けて去ろうとする店員を呼び止めて焼きそばを頼んだ。
どんどん時間が経っていく。悪くもないのに「スイマセーン!」は好きではないが、痺れを切らして大声を上げた。「焼きそば来ないんだけど?」と言うと慌てて確認に行った。戻って来て「今、焼いているところでした。2分待ってください」と言う。5分で出てきたので作っていたのは嘘ではないようだ。

しまった!屋台風とはマヨネーズがたくさん乗っていることだろうか。連れはマヨネーズが嫌いなので、銀髪がマヨネーズのかかったところを重点的に食べた。口がマヨネーズを嫌がりだしたとき、マヨネーズを除けて食べればよかったと気がついた。なんという不覚。結局マヨネーズを全部食べて、麺を残してしまった。
人気のたこ焼き屋、築地銀だこは築地に店はない。同様に源ちゃんも築地に店がないことは分かっていた。それでも惹かれてしまう愚かな銀髪だった。
築地食堂 源ちゃん
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコPART1 7階
03-5459-2022
http://www.gensan.co.jp/gentyan/gentyan
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2009年06月18日
[越州](東銀座)
越後の酒と肴

待ち合わせの時間より随分と早く歌舞伎座に着いてしまったので、しばらく歩き回った。周辺には意外と料理屋がたくさんある。N氏と落ち合って目的の店に向かったが生憎と臨時休業で、嗅覚を頼りに一番良さそうな店に飛び込んだ。
お通し(生しらす)、越後の珍味三昧

「正解じゃないか!」とN氏が褒める。地下の店は思ったより賑やかだ。お通しを食べ、煮菜、ずいきのきんぴら、えごねりの珍味三昧を食べていると、入り口に近いカウンターに阿木燿子が座った。突然芸能人御用達の店に格上げされた感じだ。
本鮪(極上)

極上の文字に引きつけられた。「どこの?」と聞きたくなるのは無理もない。今の季節に近海物の極上品は滅多にないはず。「能登産」と言うので試すことにした。脂の乗りは強くないが成る程極上品と言える。N氏がこれまで食べた中でも最高レベルと感激する。
栃尾の油揚げ(ねぎ味噌焼き)

栃尾名物の大きな油揚げ。日本酒の肴にも合う。この店は久保田の品揃えがとてもいい。それもそのはず朝日酒造のアンテナショップとのこと。洗心や得月、もちろん越州という酒もある。季節限定の生酒を飲むとこの店に来てますます正解と思う。
のどぐろ、村上鮭ハラス焼き

北陸の高級魚のどぐろは避けて通れない。半身なのが残念だったが、お値段からしたら止むを得ないかもしれない。鮭放流の元祖である村上の鮭は陰干しした塩引鮭や鮭浸しが有名。近年マスコミなどで一躍人気になったのどぐろよりも遥かに伝統があり地元を潤してきた魚である。もちろん日本酒の友として最適である。
越州銀座店は京橋、新橋に次いで東京3番目の店舗になる。朝日酒造の店だけに、接客もしっかりしている。勘定をすると山本店長が名刺を持って飛んできた。店の外まで送ってくれる。この店は正解だった。
越州 銀座店
東京都中央区銀座3-13-11 銀座芦澤ビルB1
03-5565-5756
http://www.asahi-shouzi.co.jp/e/e-01.htm#ginza
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2009年06月11日
[てっぺん渋谷 男道場](渋谷)
渋谷で一番元気な店?

熊吉に行って以来、この路地に病みつきになった。週末になると人だかりがしていて気になったのが「てっぺん」という店。ダメ元で行ったら運良く入ることができた。若い男性店員たちが大きな声を揃えて歓迎してくれる。店員は男だけだから男道場。「向かいの店はこちらと関係あるの?」と聞けば、あちらは女性店員だけの女道場。面白い。
お通し、牛すじ串

隣が食べている刺し身を頼もうかと思案していると、それはお通しだった。メニューの最初に大きく書かれた「一人一本必食」牛すじ串は避けて通れない。
いつの間にか店は一杯になり、入り口で落胆する人が増えてきた。客を迎える大声も聞かれなくなってようやく空気が落ち着いてきた。
チャンポテ、フワトロ焼き

チャンジャとポテトの焼き物、山芋をつなぎに使ったお好み焼き。目の前の鉄板で手際よく作られていく。躍動感溢れる美形の料理人をお目当てにやってくる女性たちもいそうだ。
鉄板野菜盛合せ、亀岡ホルモン

「あれ、なーに?」他の客に運ばれていく料理を目で示す。鉄板のパフォーマンスを見ているとメニューを見るのは面倒になる。料理人が立てかけられたメニューを向こうから指さす。「この辺に書いてあります」と言われて三桁の値段を確認、オーダーする。
京都で飼育される和牛の3割を占めるという亀岡牛。初めて聞くものは何でも食べてみたくなる。
きびきびと動く若い店員たち。その一人はなんとソムリエバッジをしている。別の若者の胸には「世界のビート 北野」の名札。由来を聞いて大笑いすると、その笑いが隣の若いカップルに伝染した。自分の子供のような連中と談笑する銀髪に連れは呆れている。
口コミで外国人の客もたくさん来るらしい。安くて元気一杯の酒場は老若男女、洋の東西を問わず人気である。勘定を払うと店長らしき人が見送ってくれた。振り返っても振り返ってもまだ見送っているのには恐れ入った。最後に大きく手を振って角を曲がった。
てっぺん渋谷男道場
東京都渋谷区宇田川町37-13
03-5452-1598
http://www.teppen.info
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2009年06月02日
[御八](渋谷)
富士(山)料理?

「産直野菜」「コラーゲン」という看板には女性が飛びつきやすい。渋谷の繁華街を歩き、似たような客寄せ文字に嗅覚を働かせて選り分ける。御八に入るとそれなりに広い店内に客はまばら。最初に通されたテーブルは断り、写真を撮るのに好都合な明るいテーブルに移動した。
ジュース、お通し

まずは野菜ジュース。これでお腹に酒を迎える準備をするようだ。お通しの野菜用に出された器には白い粉と液体が入っている。粉は塩とすぐに分かるが、液体の正体が分からない。店員に聞くと単なるフレンチドレッシング。店独自の和風ドレッシングと思って散々議論したことを笑った。
ちょこっと5種盛

産直野菜が自慢の5種盛で酒を飲んでいると、奥に座ったグループの女性が店員にオーダーを告げに我々の横を通っていく。テーブルに呼び鈴がないので不便だ。我々は店員が奥のテーブルを往復する機会を捉えて注文するから楽ちんである。
黒豚モツ焼き、アボガドの天ぷら

御八のウリは富士の黒豚。しろ、はつ、てっぽう、レバーのモツ類4種を楽しみにしていたが、ちょっと焼き過ぎなのが残念だった。
怖いもの見たさに頼んだアボガドの天ぷらは意外と美味しかった。火を通して食べても美味いようならアボガド料理の可能性は広がる。
富士宮焼きそば、溶岩焼き

なぜ富士宮焼きそばがあるのだろうとメニューを開いたときに疑問に思った。食べながら豚と焼きそばは富士つながりと遅まきながら気がついた。富士宮焼きそば初体験の友人はえらく気に入ったようだった。
溶岩焼きもやはり富士つながりということだろう。固くならないように一度皿に戻して食べるときにちょっと温める。以前、阿蘇の溶岩焼きで失敗したことがあるので、今回は上手に焼くことが出来た。
店はきれいだし、料理も悪くない。しかし、奥のテーブルの女性は可愛そうだった。店がほぼ満員になってから彼女が店員を呼びに行く回数が増えてしまった。彼女のテーブルは我々が最初に通されたところ。お気の毒様でした。
御八
東京都渋谷区道玄坂2-8-7 道玄坂ビル
03-5458-5560
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2009年06月01日
[とり八 鷹野橋店](広島)
リーズナブルに食べる瀬戸内の味

「いい店ありますか?」と地元の人に尋ねると「ありますよ!」と自信たっぷりに応えるので安心してついて行った。「あそこです」と指し示す方を見ると「関あじ」「関さば」の幟が立っている。「食べたいのは大分の魚じゃないんだけれど」と心の中で叫んだ。
生簀もある立派な店である。壁に魚の名前を書いた短冊がたくさん貼られている。瀬戸内の魚も安価で提供してくれるようで安心した。地域密着型の店であれば、他所の魚で客引きをするのは当然だと納得した。
めばる、あさり

刺身で食べられるメバルはなかったが煮付けで充分。小振りだが味はいい。地元の人が店の女性を呼び止める。なかなかの美人女将である。主人は板場に居るらしい。夫唱婦随で頑張っている店が悪いはずがない。
おこぜ、唐揚げ

広島に来て必ず食べるのがおこぜ。さっきまで生簀で泳いでいた立派なサイズのものが身を削がれても口をパクパクやっている。アラは唐揚げにしてもらったが、骨が太すぎた。お勧めのとおり汁物にしてもらった方がよかったかもしれない。
小いわし

高級魚より何よりも、広島では小いわしが一番美味しい。魚も肉もちょっと火を通した方が旨いと思うが、小いわしは刺身の方がいい。
めばる、おこぜ、小いわしとお目当ての魚は食べられた。銀髪ばかりが頼むのも気が引けるので後は部下に任せた。
海鮮サラダ、ホタルイカ、手羽先

富山湾のホタルイカ、どこのものか分からない鶏の手羽先。広島の食材を食べればいいと銀髪は思うが、食べたい物を頼むのを制止する訳には行かない。何があろうと食べ慣れたものを頼むのが男の習性。変わり者は部下ではなく銀髪の方だろう。
家族経営かと思ったものの、鷹野橋店というのが気になった。とり八の本店は流川にあり、他に複数の店舗があるという。安くて新鮮、豊富な品揃えもグループ経営ならではのものだろう。
美人の女将に見送られて店を出た。とり八グループと店主夫婦の関係は聞き損なった。
とり八 鷹野橋店
広島県広島市大手町5-9-1
081-245-8888
http://www.torihachi.net/
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2009年05月30日
[二丁目ダイニング](日本橋)
なかなか点数高いよ

永代通りを茅場町から日本橋方面に歩いていたら、野菜の直売所を見つけた。どうやら産直野菜を使っているレストランが店頭で無人販売をしているらしい。俄然、その店に興味が湧いた。
狭い入り口の階段下に店はある。いきなり誰か誘っていくのは気が引けるので、ランチタイムに視察することにした。営業時間は11時半からとこの界隈にしてはちょっと遅い。開店と同時に飛び込み、カウンターに座って定番のハンバーグを頼んだ。

野菜を売り物にしているだけに付け合せの野菜がバラエティに富んでいる。「なかなか点数高いよ」と店の女性に根っこがついた小松菜を褒めた。「男は残すでしょ」と聞いたら予想通り。食通のKさんが聞いたら怒るだろう。「うちの野菜は固めに茹でてあるからか、残す人が多いんですよ」とのこと。
ごはん、サラダ

ごはんは白米、ういろう豆、玄米類、はだか麦、もちきびの五穀米。健康のため、よく噛んで食べるような固さに炊き上がっている。サラダもいい加減なマカロニサラダというわけではない。
食後のコーヒーもデミカップではなく、しっかり量がある。これで1,000円ならなかなかいいと思うのだが、近隣で働く女性たちの評価はどうだろうか。
野菜は生産者の顔がしっかり見えるものを使っている。魚は築地交差点マクドナルドが入るビルの1階にある浅田水産から仕入れると言う。築地で一番美しい女性がいる店としてテレビでも度々紹介されている。銀髪は市場内で買うことが多いが、買い忘れがあったときには浅田水産に行くことにしている。築地に慣れていない人は混み合う場内や場外市場に行くよりは浅田水産の方が買いやすくて安心である。
「浅田水産の尚子さんは、凄い美人ですってね」と店の女性が言うので「いやいや、あなたの方が上だね」と答えた。ホントだよ。
夜はもっとたくさんの野菜がメニューに乗るそうだ。浅田水産本日イチオシの魚も興味がある。近い内に行ってみよう。
日本橋 二丁目ダイニング
東京都中央区日本橋2-15-3 B1F
03-3274-6776
http://yoshokuya.exblog.jp
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2009年05月19日
[みろく](渋谷)
イベリコ豚のしゃぶしゃぶ

先週、熊本郷土料理の熊吉に行く途中で入ろうかと迷った店がみろくである。スペイン産ブランド豚・イベリコ豚のしゃぶしゃぶに釣られてしまった。階段を下りて店に入ると半分ぐらい埋まっていた。4人掛けのテーブルを2人で使っている客が多いが、我々には2人掛けのテーブルを指し示された。鍋をするには狭すぎるので、店を出ることにした。
店員は若いのになかなか賢い女性だった。無言で踵を返した銀髪の顔を覗き込むと、こちらの心を読みきってすぐさま広いテーブルを勧める。ちょっと気まずい雰囲気が残ったが、今度は素直に席についた。どぎまぎしていた連れがホッとしている。
お通し、海ぶどう

店で飼育しているという海ぶどうは確かに美味しい。好きでも嫌いでもなかったが、かなりイメージが変わった。
おぼろ豆腐の胡麻サラダ、イベリコ豚

豆腐のサラダを半分ぐらい食べたところでイベリコ豚がやってきた。ついている野菜はネギだけなので季節の野菜というキャベツ、冬瓜、ズッキーニを追加した。

豚肉とねぎだけの組み合わせは四谷三丁目の三櫂家を思い出させる。つけ汁に柚子胡椒を溶かして食べる。肉はアッと言う間になくなった。追加した肉も簡単に食べ尽くすと、野菜鍋になってしまった。若者には物足りないかもしれないが、我々は野菜で腹を満たすことにした。身体にもお財布にも優しい。
焼酎の品揃えはそこそこだが、日本酒のメニューが貧弱なのが惜しい。純米吟醸酒は八海山の一種類のみなので、同じものをお代わりした。先ほどとは違う女性店員が持って来たガラスの徳利には4分の1ぐらいしか液体が入っていない。徳利を満たすだけの酒が残ってないとのことでサービスしてくれた。飲みすぎないでいいかもしれない。

賢い女性が見送ってくれた。海ぶどうが入った水槽を見て、「美味しかったよ」と言うと「これを目当てに来るお客様もいらっしゃいます」と笑顔で話す。すっかり仲直りが出来たような気分になった。
みろく
東京都渋谷区宇田川町35-6 B1
03-3770-0855
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2009年05月11日
[どん底](新宿三丁目)
三島由紀夫も行った店

1949年創業の新宿西口の「ぼるが」、1951年の東口の「どん底」、老舗の居酒屋2軒がロシアに関係する店名なのは創業時の世相を反映しているのだろうか。ゴーリキーの戯曲「どん底」を連想するのは銀髪の勝手な思い込みかもしれない。店もことさら店名の由来をアピールする気はなさそうだ。
ぼるがに行った記憶は鮮明なのにどん底の記憶は殆どない。地下のカウンターに座ったのは間違いなく初めて。メニューを開いて「何がお勧めなの?」と聞く体たらく。有名などん底に来たことがないはずはないと思いながらも自信が持てない。
イベリコハム、グリーンサラダ

開店以来の名物というピザの前にイベリコハムとグリーンサラダを頼んだ。イベリコハムは昔にはなかったメニューのはずだ。期待していなかったグリーンサラダがみずみずしくて意外といける。美味しさの秘密を尋ねても「キッチンのことは分からない」と店員は素っ気無い。それでも長身のハンサムガイが笑いながら言うと嫌な感じはしない。
ピザ、バジリコスパゲティ

どん底自慢の一品、たっぷりチーズのミックスピザは確かに美味い。ナポリタイプなど最近流行りのピザとは違う昔風のピザだが、チーズが溢れて焦げたところが香ばしくて銀髪には新しい味に感じる。
ハンサムガイが勧めてくれたもう一つの名物「元祖カフェめし 林さんのライス」は連れに断固拒否された。ピザを食べた後に和風のご飯ものを食べるのは変だと言う。仕方なくスパゲティを食べた。「オリーブオイル多目にしてね」と希望したものが出てきて連れは満足そうだ。マイ唐辛子をかけたのでピリリと辛くて銀髪も満足した。
ハンサムガイに「格好いいね、外国人みたいだね」と言うと「日本人ですよ」と苦笑いする。「俺も外国人に見えるだろう?ベトナム人に」と言うと「まんま日本人ですよ!」ともう一人の若い店員と一緒になって馬鹿にする。
次回は絶対「林さんのライス」を食べよう。カウンターで一人で食べれば誰にも邪魔されることはない。
どん底
東京都新宿区新宿3-10-2
03-3354-7749
http://www.donzoko.co.jp/
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2009年05月07日
[業平鮮魚店](福岡)
魚屋だから新鮮で安くて美味い

「イヤー、魚屋の奥が料理屋とは知らなかった」地元の名士が感心しながら入ってきた。カウンターの指定席に座る常連の人が満足そうに笑う。間に挟まった銀髪と部下もつられて笑顔になった。

店名のとおり店頭には魚が並ぶ。魚屋だから当たり前だ。自分で選んでオーダーしたいところだが、料理はすべて常連さんが仕切る。
鱈白子、刺身8種盛り

あら巻貝、ごまさば、塩辛

有明海のあげ巻貝は多分初めて食べた。博多に来たら必ずごまさばを食べる。昔お婆さんが作ってくれたごまさばは醤油ダレに胡麻を振りかけただけだったように記憶しているが、お店で食べるものは胡麻をすり潰したタレが多い。
葉わさび、キンキの煮付け

キンキは地元で獲れるものではないので、福岡では貴重品。これを我々のために確保しておいてくれた。料理人・横尾さんの気配りも常連さんの存在が大きい。
ごまさば茶漬け

常連さんが茶漬けにするため再びごまさばを頼む。先ほどのごまさばを使うつもりが、我々が喜んで食べ尽くしてしまったためだ。ひつまぶしのように最初は刺身で食べ、次にごはんに乗せて食べ、最後にだし汁をかけて食べるのがごまさばの正しい食べ方らしい。
きす天ぷらと塩焼き

腹一杯なのに大きなきすが出てきた。この後炊き込みごはんをすると言うがもう食べられない。常連氏と部下を残して次の店に向かった。
炊き込みごはん

約30分後、ウニやイクラが乗った豪華な炊き込みご飯を手土産にして二人が合流した。歩いたせいか、美味しいからか、我が胃袋は予想に反して簡単に受け容れてくれた。
博多の夜は実に楽しい。
業平鮮魚店
福岡県福岡市博多区上川端町9-152
092-282-0830
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2009年05月06日
[博多鉄鍋本店](博多駅)
ガード下の大型店

各地で駅および駅周辺の再開発が進んでいる。東京駅はツインタワーや駅地下のグランスタが完成した後も工事は終る気配がない。博多駅も改良工事のための白い壁が行く手を阻む。駅周辺もJR九州旧本社ビルが飲食店の集まるエキサイド博多になるなど変貌を続けている。
筑紫口を線路沿いに歩いて行くとちょっと違和感を持った。滅多に来ないので何が変わったのかよくわからない。「こんな店あったかな?」と不安な気持ちを抱きつつも、鉄鍋餃子の文字に惹かれて入ってしまった。

入り口近くの狭い空間の一席を与えられるかと思ったのに、店員はどんどん先に進んでいく。突き当りを左に曲がると大きな空間が現れてビックリした。駅が上に行けば、高架下には広大なスペースが出来る。当たり前のことがすぐには理解できなかった。
餃子は宇都宮、浜松、神戸などが有名だが、博多の餃子もじわじわと勢力を増している。モッチリとした皮、一口で食べられる小ささが特徴で、鉄鍋で供する店が増えてきた

「焼き上がるまでお時間がかかります」と言われたが、イライラする前に料理がやってきた。鉄鍋の餃子は熱くて食べるのに苦労した。ちょっと大き目の一口サイズで、口に放り込むには危険すぎる。

熱くて噛み切るのが大変だ。皮の底がカリカリになっているため箸で割るのは不可能である。慎重に食べている間に鉄板の餃子は更に焼かれ、噛み切るのがますます困難になっていく。運ばれてきて直ぐに餃子を裏返して両面焼きにすべきだったと後悔しても後の祭り。
それにしても。「博多鉄鍋本店」とは立派な名前をつけたものだ。本店というが、支店は見当たらない。JR九州の系列かと思ったが、確認できない。駅に近く、大勢が入れ、週末は朝5時までやっている。使い勝手がいい店ではある。
博多鉄鍋本店
福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 西高架下1F
092-482-1000
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2009年04月14日
[魚金 浜松町店](浜松町)
お洒落な魚金

新潟勤務を終えて東京に戻ってきた次兄の歓迎会の場所は予定通り長兄お奨めの魚金・浜松町店になった。「実は先週、新橋本店に行ったんだよ」と言うと、長兄は不満気である。店の前に立って「へー、お洒落じゃないか。新橋と随分雰囲気が違うね」と驚くと、「そうだろう」と機嫌をなおした。
「生牡蠣2つね」と長兄がオーダーするのを遮った。880円の価格は魚金にしては高い。「いくつ入っているの?」と店員に聞くと「5個です」と答える。「やっぱりね」新橋本店に行った経験が生かされた。もちろんオーダーは1つに変更した。

刺し身6点盛の値段は数種類あり、新橋では量の違いと早合点してしまった。実は質の違いと後で気付いた。従って今回は高級魚を加えて2,480円のものをオーダーした。他の魚介類も日によって内容が変わるようだ。それにしても相変わらず量が多い。

今日は3人なので新橋で敬遠した金目の煮付けを頼んだ。ところが店員の返事は無常にも「売り切れです」。仕方なく他の品を頼んで刺し身を食べていると、別の店員がやってきた。「これから新橋店に取りに行きます」と嬉しいことを言う。いい心掛けだ。

1980円の金目鯛の煮つけも食べ応えがあった。男3人とはいえ、中高年では腹の容量にも限界がある。1軒目は長兄、2軒目は次兄、最後の屋台のラーメンは銀髪が払っていたのは30年以上も前のこと。大いに飲んで食べては過去の話になってしまった。
兄弟3人、半世紀を超える付き合いであっても、一緒に暮らした期間は意外と短い。成人してからは誰かが地方や海外で勤務したため、3人で飲む機会はめっきり減っていた。
今回は2軒目も長兄にご馳走になった。銀髪は口で大いに貢献した、かな?「またやろうぜ」声を掛け合ってそれぞれの巣に戻って行った。
魚金 浜松町店
東京都港区浜松町2-6-4 シンシア浜松町1F
03-5401-5368
追伸
刺身6点盛りの6点は間違いではないかとの指摘が多いので、メニューを載せます。確かに不思議ですよね。

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2009年04月13日
[WAZA](新宿)
さすがサントリー

新宿駅東口を出てすぐ正面のビルの階段をずんずん下りていった。店内は照明を落とした大人の雰囲気。カウンターバーのある部屋は喫煙ルームだと言われてちょっと怯んだ。それでも意を決してカウンターの右端に座った。写真を撮るならここがベストのようだ。
季節野菜のチーズフォンデュ

「大人の空間でこだわりの野菜を食す」がコンセプトらしい。自慢料理はポトフやフォンデュとのことで、今日は後者を選んだ。「何種類のチーズを使っているの?」「一種類だけです」「へー、そうなんだ」プレミアムモルツを飲み干して白ワインに移る。グラスワインの品揃えがよくリーズナブルなのが嬉しい。
谷中しょうがの豚バラ肉巻き、キャベツのコロッケ

店長お奨めの谷中しょうが。豚肉との意外な組み合わせだ。「美味しいよ、あなたが店長?」「違います。呼んできましょうか?」「いやいや、それには及ばない」
オリジナルメニューの中から選んだキャベツのコロッケ。「これはいいねー。つなぎはホワイトソースかな?」「いいえ、キャベツだけです」「フーン…」
宮崎日向豚の炭火焼オリーブ風味とマスタード

自慢料理は炭火焼。薬味はオリーブを刻んで和えたもの、沖縄の塩、フレンチマスタードの3種。肉は箸で切れるぐらい柔らかい。何もつけなくても充分美味しいが、薬味を変えると飽きない。気前良くグラスにたっぷり注いでくれた赤ワインが豚肉に合う。
勘定を待っていると店長が挨拶に来てくれた。先ほど店員にしたのと同じ質問をする。
「チーズは何種類使っているの?」「2種類です。ワインなどは加えず、チーズ本来の味を召し上がっていただいています」
「キャベツコロッケのつなぎは何ですか?」「ベシャメルソースです。このコロッケを作るのはなかなか難しいですよ」
「ところでどこかのチェーン店ですか」「親会社はサントリーです」
謎はすべて解けた。大資本の系列店で、しかも大きな店では若い店員を教育するのは大変だろう。質問する方が悪い。酒の種類が豊富でリーズナブルな価格の理由も分かった。
店長が店の外まで見送ってくれた。とても居心地のいい店だった。また来ますよ。
東京都新宿区新宿3-27-4
新宿東海ビルB1
0120-71-7703
http://www.dynac-japan.com/waza/
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2009年04月12日
[魚店きなり(いおだなきなり)](祖師ヶ谷大蔵)
住宅街のナンバーワン居酒屋

「貝好きのKちゃんを連れてきたら大喜びするね」数ヶ月前来たときに自分が言った台詞をすっかり忘れていた。誕生祝をする場所を居酒屋にすると言われて驚いたが、少しずつ思い出してきた。「あー、あそこはいいね!」と言って、怪訝そうな視線を払いのけた。
いつもは勝手にオーダーする銀髪だが、今日は主役に任せることにした。出てくる料理を素直に食べる。メニューも見てないので料理名は覚えていない。
ふかひれ梅なんこつ、刺身(初鰹、たこ)

蓮根もち、くるみ湯葉、貝5点盛り

たこ唐揚げ、鮟肝、鰯刺し身

他の連中のオーダーが途絶えたところでようやく銀髪の出番だ。カレイの唐揚げは頭と骨が食べたい。身は他の人にあげる。ほたるいかの生食は珍しい。ほんの僅かだが寄生虫がいることがあるので、スーパーなどではボイルして売っている。経堂の老舗魚屋が展開する魚真出身の店主だからこそ、生ほたるいかにも自信があるのだろう。
カレイの唐揚げ、ほたるいか、

じゃこぬた、鰻の肝焼き、柚子シャーベット

前回来た時は平日だったから予約なしで入れたが、土日は混雑する。家族連れや若いカップル老若男女、近隣の住民が集まってくる。中高年も小上がりで何かの打ち上げ会をやっている。料理は新鮮で美味しく、酒の種類も豊富。若い店主や料理人がきびきび動くのも気持ちがいい。何よりもリーズナブルな値段設定が魅力である。
「祖師ヶ谷大蔵でナンバーワンの店かもね」と言ったら同意する人が多かった。大手の居酒屋チェーン店に行くより満足感は高い。
魚店きなり (いをだなきなり)
東京都世田谷区祖師谷3-33-2
03-3484-0095
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2009年04月08日
[魚金本店](新橋)
一番人気の海鮮居酒屋

「魚金は安くて美味いよ」と以前の会社の同期が言う。「五反田店も良かったわよ」と我が家の神様が同意する。「今度3兄弟で魚金の浜松町店に行こうぜ」と長兄が誘う。これだけ聞けば待ってられない。新橋の本店に電話した。断られて2号店。やっぱりダメで4号店に。結局その日は諦めた。再び本店に電話して3日後の予約を受けてもらった。
約束の時間の5分前に店の前に立っていると、友人のFが料理人姿の男と歩いて来るのが見える。銀髪が手を上げるとようやくこちらに気付いた。一緒に居た若者は安心して4号店に戻って行った。6時ちょうどに二人でカウンターに納まった。
ミンク鯨、あわび

安くて量が多くて美味しいと評判の刺し身6点盛を頼む。あわびの刺し身も安いので追加。「刺し身が出てくるまで、すぐ出来るミンク鯨のステーキはいかがですか」と日本に長期滞在中と思われるアジア人が奨める。これはすんなり同意した。「人気の金目鯛の煮付けは時間がかかるので今頼んでおいた方がいいですよ」と続ける。これは拒否した。刺し身を見てから追加しても遅くない。
刺し身6点盛

みんなから話を聞いていたので、他のテーブルに運ばれる皿と同じものが来ると銀髪は予想できた。Fは度肝を抜かれたみたいだ。この顔が見たかった。
ビールを止めて熱燗を頼む。アジア人が日本酒をアルミの器に注ぎ、熱湯の中に入れるのをニューヨーク帰りのFが嬉しそうに見つめる。
左隣に老夫婦が座った。鷹揚にアジア人の勧めをすべて受けている。助言しようと思ったが営業妨害になるので自制した。時間がかかるはずの金目鯛は刺し身の前にやってきた。値段で想像できる限度を超えた大きさだった。老夫婦は半分食べてギブアップした。すぐに6点盛がやってきた。我々のものより豪華な刺し盛だった。それまで6点盛りにも種類があることを知らなかった。
「俺ばっかり食べてるんじゃないか?」とFが文句を言う。「俺の方が食べてるぞ」と銀髪が反論する。刺し身を食べ尽すのに大量の酒が必要だった。それにしても店員に乗せられなくて良かった。老夫婦は新しい料理の置き場に苦心している。
どんどん姉妹店が増えている魚金。不況の中でますます繁盛しそうだ。
魚金本店 新橋
東京都港区新橋3-18-3 第2富士ビル
03-3431-1785
刺し身6点盛り(平目入り)1980円、くじらステーキ780円、鮑1個380円
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2009年03月20日
[いさ美寿司](新宿)
何でもある寿司居酒屋

別の店に行こうと思っていさ美寿司を見つけた。8年位前に先輩に連れられて来て、その後どこだったか場所が分からなくなっていた。すごく酔っ払って店を出てから数年を経て探そうというのが無理な話。潰れてしまったのかと勘違いした店が今、目の前にある。
お通し、刺し盛り(極)

大変な賑わいだった8年前と比べたら、今日はちょっと寂しい。客は半分も入っていないのに店員はなかなかやって来ない。ようやく氷頭なますとししゃものお通しが来た。頼んだ料理が来るのも遅いだろうと思っていたら刺身はすぐに出てきた。店長とアルバイト、料理人、3人のバランスが悪いようだ。
日本酒のメニューは銘柄と値段しか書いてない素っ気無さ。アルバイトを呼び止める手間を省いて、自ら冷蔵庫のところに歩いていった。八海山、田酒、銀盤、十四代、越乃寒梅、〆張鶴、黒龍、浦霞、雪中梅など銘酒が並ぶ。純米大吟醸まであるのは意外だった。お手頃値段で悪くない。
空豆、まぐろハンバーグ

しぼみかけた8年前の好印象を空豆の湯気が取り戻した。数量限定のまぐろハンバーグも悪くない。
空腹感が癒されてくると、隣席の会話が聞こえてくる。既に30分以上も若い営業マンが上司に説教をされている。上司がトイレに立った後、ため息が聞こえたような気がした。店の奥では若い会社員たちが宴会をやっている。
釜揚げしらす、寿司(大トロ、ウニ)

今日お奨めの駿河産しらすも湯気を伴ってやってきた。寿司はしゃりが大きくて食べ応えがある。
左隣のカップルが去り、可愛そうな営業マンも上司から解放される時間になったようだ。我々も純米吟醸や大吟醸を飲みすぎたのでお開きにした。8年前の記憶は少し塗り替えられた。
寿司酒場 いさ美寿司
東京都新宿区新宿3-4-9 新宿三和東洋ビルB1
03-3341-1040
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2009年03月06日
[だるま](八重洲地下街)
酒を飲まなきゃ安く済むけれど…

だるまは八重洲地下街を歩く度にいつか来たいと思っていた店である。最大の魅力は酒の品揃えで、ガラス越しに見える冷蔵庫の中からたくさんの日本酒がのん兵衛を誘っている。東京駅周辺では最大級の品揃えかもしれない。
総勢5人での宴会なので、前もって鍋のついた4,000円のコース料理を頼んでおいた。すだれで仕切られた簡易個室に案内されたが、両隣も含めて見える範囲の客たちの年齢は高く、声も大きい。いつも思うが団塊の世代以上の人たちは本当に元気だ。
子持ち昆布とこはだ、オードブル盛合せ、スモークサーモン

居酒屋らしい付け出しの後は、大皿料理が出てきた。一瞬洋風居酒屋に居るような錯覚を覚える。和洋折衷は日本のいいところだ。何が出て来るか知らない人にとってはグッと親近感が湧くかもしれない。

大皿が片付く前に大きな舟盛りがやってきた。慌てて大皿に残った料理を小皿に移して、スペースを作る。さざえ、ぶり、まぐろ、しめさば、さけ、たこなどが並ぶ。人数が多ければもっと豪華に見えるだろう。質は値段相当である。

鳥唐揚げが出てきたところでビールから日本酒にした。グラスの違いは値段の違いで分かりやすい。日本酒だけでなく焼酎の種類も多い。飲むほどに勘定が上がっていく。

名物の雪見鍋。我が家では大根おろしが鍋を覆うが、この店ではまばらに積もった雪景色だ。

最後は雑炊。作るのはいつものように銀髪の役目。にぎやかで楽しい宴会だった。店を出るとすぐに電車に乗れるのがだるまのいいところ。東京駅が始発の電車なら座って帰れる。大酒を飲んで乱れる人はいないから安心だけど、眠ってしまって乗り過ごすことだけは気をつけた方がいい。
だるま
東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街北1号
03-3272-7707
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2009年03月04日
[海鮮徳寿](新橋)
新橋で海鮮バーベキュー

「先輩!いい店を紹介しますよ!」新橋通の後輩から誘いがあった。彼はいつもリーズナブルで美味しい店に連れて行ってくれる。海鮮徳寿は入り口にある生簀や大漁旗など新宿三丁目の丸港水産によく似ている。鮮度のいい魚介類や干物を自ら焼くシステムで洒落た装飾はなく、実質重視の店である。
後輩は慣れたもので、1日限定50食の海鮮籠盛りをまず確保、それから干物を頼んだ。

小アジのみりん干し、うるめいわし、ふぐ、するめいかなど大分産の干物。大分は椎茸の産地としても有名である。

さざえ、鮑、車海老、緋扇貝が2個ずつ入って3500円。毎日大分から空輸するというだけあって、活きがいい。特に鮑は右回転、左回転と踊る様が面白い。ちょっと残酷のような気もするが、この店の最大のショーだろう。
ホタテにしては変わった色だと思ったら、ヒオウギ貝というらしい。焼かれてしみ出たスープをこぼさないように火から下ろすのが大変だ。「オーイ、軍手ー!」後輩が店員を呼ぶ。よく分かっている。

野菜を焼いた後、あじの干物を焼いた。2月に開店したばかりで、まだ焼き物以外の品揃えが出来ていない。これから徐々に品数も増えていくに違いない。

「おにぎり持ってきてー!それとだし汁も」店のことを良く知っている人がいると心強い。少し焼き固められたおにぎりをもう一度目の前で炙り、だし汁に入れる。なかなか悪くない。

「もう一軒行こうか?」とご馳走になったお返しをしようと誘ったら仕事に戻ると言う。店に鎮座している大きな甕からオリジナルブレンド焼酎を数杯飲んだにもかかわらず、シャキッとしている頼もしい奴だ。
まだまだこれからの店だが、鮑の踊り食いだけでも来る価値のある店だった。
海鮮徳寿
東京都港区新橋3-2-6 杉本ビル1、2階
03-6268-8123
http://homepage3.nifty.com/kaisen-tokuju
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2009年02月03日
[升屋](日本橋)
鉄板焼き居酒屋

「鍋を食べたい」と言う友人を美味しい店に連れて行こうと日本橋界隈を歩いた。ところが目指した店が見つからない。散々引き回した挙句、諦めて入った店には鍋がなかった。
奥の席に座りビールをオーダーしたがなかなか来ない。後から入ってきた客に先にビールが出されるのを見て店を出ようかと思った。友人に申し訳なくてイライラする。
お通し、牛すじ煮込み豆腐

2種類の料理を食べて少しホッとした。アルバイトの数が揃ったのか、サービスもスムーズになってきた。イライラの元凶は自分にあると反省する余裕も出てきた。ゆったりとしている友人との差は歴然としていた。
一口鉄板焼餃子、べた焼き

お奨めの料理は緑の線で囲んであるから分かりやすい。チェーン店らしいアイデアである。鉄板を使った熱々の料理が売り物のようで、値段の割に上等に見える。
新手の女性店員は料理を持って来ては、空いた器を片付ける。所作もきれいな彼女を見て、店の印象が一変した。
手作りもっちり豆腐、とりもも山椒焼き

7年ほど前に癌で胃を全部摘出した友人の話に聞き入った。以前勤めていた会社の同期だが、2人で飲むのは初めてなので話題は多岐に渡った。
ビールの後に頼んだ冷酒を飲みきり、友人が飲む熱燗の2合徳利を手伝った。主に聞き役に回っている銀髪のペースは速い。「もう2合行くか?」と聞いたら手のひらがこちらを向いた。彼のノルマである山椒焼きも一切れ残ったままなので、料理の追加も止めた。
隣席にカップルが来て店は満席になった。仕切りの布が下ろされて、各テーブルの客は半個室の空間を楽しんでいる。似たような居酒屋チェーン店の中では悪くない店だった。
升屋日本橋店は直営店ではなく、フランチャイジーである。加盟店のサービスにはバラつきがあり、失望させられることが多いが、この店のオーナーは頑張っていると言えるだろう。アルバイトといえども、店員一人で店の印象が変わるのだから商売は難しい。わが身の反省も含めて、本当に難しいものだ。
升屋 日本橋店
東京都中央区日本橋3-7-10 タンペイ日本橋ビル1F
03-5299-2050
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2009年01月28日
[魚や](日本橋蛎殻町)
さかなやでさかな

信号の向こうによたよたと歩く男が見える。彼はこちらに気付いていないようだ。横断歩道を渡ったところで声をかけると、驚いたように見上げる。「何だ真っ白じゃないか。えらい、齢とったなー」約25年ぶりの第一声にしては無礼である。「お互い様じゃないか!」と笑い合った。
「どこに行く?」「俺の知っているさかなやに行こう」素直に彼に従うことにした。魚を食べさせる店の意味と解釈したが、店の名前が「魚や」だった。5年ほど前までよくランチをした店と気付いたのは店の前に立ったときである。鯖の塩焼き定食が好きだった。
お通し

5時半過ぎなので1階のカウンター席には誰もいない。2階に上がると1組先客がいた。「刺身の盛合せでも頼むか?」と聞かれたが、健康にいい魚だけを選ぶことにした。万歩計を見せて涙ぐましい努力を披瀝する彼にはいわし、さば、ぶりなどの青魚の方がいい。

3種を一盛りにしてもらったが、量が多いので驚くと「だからこの店が好きなんだよ」と誇らし気だ。常連ぶる彼に敬意を表してお奨めのぶり大根を頼んだ。これも以前ランチでよく食べたものだ。

空白の25年間を埋める作業に忙しく、食べるスピードが上がらない。その代わり、2合徳利は次々と追加されていく。「おい、ゆっくり飲めよ、身体に悪いぞ!」と注意する。「お前が言うか?」と怪訝な顔をする。学生時代、酒量にかけては銀髪の上を行く奴はいなかった。
中年男が避けられない話題が健康だ。「逆さラクダだからなー」と彼は腹をさすってニヤリとする。逆さラクダは学生時代に銀髪が付けた渾名だ。ラクダは背中にこぶがあるが、彼は腹にあるという意味。「なんだ、まだ覚えているのか」と再び昔話に戻る。

最後に立派なカキフライを食べた。お互い中濃ソースは使わないで醤油をかける。我々の世代には醤油派が結構いる。
いつの間にか店はほぼ満席である。10人ぐらいで宴会を始めた連中もいる。勘定をすると腹を満たした比率どおり、酒代が3分の2を占めた。
昔話は終った。これからは新しい思い出を作る時間。お楽しみはこれからだ。
魚や 日本橋店
東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-2
03-3664-9080
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2009年01月11日
[みなみ](静岡)
マグロは今どこにいる?

小さなビルの急な外階段を5~6人のサラリーマン風の男たちが下りてきた。看板を見るとマグロ専門店のようだ。静岡県には焼津港、清水港など日本有数のマグロ水揚げを誇る港がある。昼飯はここにすることにした。階段を上がろうとすると、さらに数人が下りてきた。

片付けが済んだテーブルを見つけて座る。メニューを見て店名はミナミマグロから来ていることに気がついた。インドマグロの名前でも知られる南半球で獲れるマグロである。
待たされること数分、ようやくやってきたおばさんに「みなみ鮪三色丼」を頼んだが売り切れ。隣で食べている「鮪煮つけ定食」に変更したら、これも売り切れ。思ったとおり人気店のようだ。仕方なく「まぐろ丼」にした。
料理が出て来るまで壁に貼られた説明を読んだ。清水港から直接仕入れているのかと思ったら築地の石司からだとのこと。先日行った目黒の「かねいし」も石司から仕入れているらしく、仲卸の名前がまぐろの品質を証明する。

石司のホームページ(http://www.tsukijinet.com/tsukiji/gyorui/isiji/index.htm)を見るとマグロの漁場が書かれている。青森県大間産ばかりがもてはやされるが、マグロは回遊魚であるため大間には秋冬しかいない。みなみで使うミナミマグロはインド、オーストラリア、南アフリカなどの冷凍物だが、石司の商品なら間違いないというところだろう。
質と値段を見ればみなみが繁昌することは理解できる。しかし、本当に美味しいものを味わいたいなら夜に行かねばならない。東京から気軽に行けるわけでないのが残念である。
まぐろ丼専門店 清水港 みなみ
静岡県静岡市駿河区森下町1-41 タイヨウビル2階
054-288-0232
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2009年01月06日
[楽](下北沢)
オヤジも歓迎してくれる居酒屋

♪1月は正月で酒が飲めるぞ、酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ!♪ 30年ほど前に流行った「日本全国酒飲み音頭」は、誰でも簡単に覚えられる歌だ。2月から豆まき、ひな祭り、花見、子供の日、田植え、七夕、暑いから、台風、運動会と続く。6月、8月、9月以外は成るほどと頷ける。11月は「なんでもないけど」と滅茶苦茶なのが面白い。12月の歌詞は「忘年会」でよさそうだが、さて何でしょう。
昨年、忘年会で下北沢の楽に行った。いつもなら二次会の途中にようやくやって来るカーディーラーの友人が、一次会が始まってすぐに到着した。不景気を象徴するような話だが、早くからみんな揃って飲めるのは嬉しい。
刺身盛合せ、ベロ大根

いつものようにカメラを構えるとV字サインをするひょうきんな仲間。カットすると言ったけどボツにするのは惜しい。看板料理の一つがベロ大根。ベロは牛タンのことで、よく煮込んであって柔らかい。
タジン鍋

一番の名物がモロッコのタジン鍋らしい。初めて見る不思議な鍋で野菜を蒸し焼きにする。水は入れないから素材だけのピュアな味が楽しめる。
我々のテーブルの担当者「のりぴー」の札が鍋の上に掲げられている。15分蒸して、さらに火を止めて5分待つ(たぶん)。ピーマンの形をしたタイマーが騒ぎ出したところで「のりぴー」と叫ぶ。
下北沢は若者の街。楽も客の殆どは若い男女。我々ばか者たちだって負けていないはしゃぎようだ。酒の勢いで「オーイ、のりぴー」と度々呼びつける。すぐに飛んでくる可愛い奴だ。残念なのはのりぴーが男だということぐらい。
明太子コラーゲン雑炊

女性に人気の雑炊を男ばかりで食べた。溶き卵を入れて最後の仕上げをしたのはもちろん銀髪。他の連中もおだてるのを忘れない。
「混んできたら2時間で終わり」と言われたが、結局3時間を超えた。どの料理もリーズナブルで悪くない。なのに学生が帰省して少ないせいか空いていてラッキーだった。
そうそう、12月の歌詞は「ドサクサ」である。分からないでもない。歌詞を忘れたら適当に自分で作って歌える楽しい歌だ。
さー、今年も飲むぞ! 取りあえず ♪ 1月は新年会で酒が飲めるぞ、酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞー♪ イェーイッ!
くいものや 楽 下北沢店
東京都世田谷区北沢2-17-11 バディーアンビルB1
03-3795-3724
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2008年12月25日
[庄助](新宿3丁目)
安心して入れる庄助

あまり楽しいニュースがない今日この頃でも、忘年会、クリスマスとなれば街は賑やかである。予約が取り辛いこの季節は頭が痛い。新宿3丁目をぶらついていたら、庄助を見つけた。7時を過ぎていたがまだ入れると分かってホッとした。おやじ御用達の庄助歌舞伎町店、十割蕎麦のしょう助など系列店に行ったことがあるので不安はない。1階のおやじ向け本店も魅力的だったが、ちょっと洒落た2階に行くことにした。
お通し、ぶり刺身

2階の庄助はグループの中では真ん中ぐらいの格である。特別安いわけではないが、手頃で美味しい店だと思う。
焼鳥

ねぎま、砂肝、せせり、つくね、正肉。1階の庄助が焼鳥自慢の店なので、居酒屋としては美味しい焼鳥だった。
おでん、チャンジャ

2階はおでんが看板料理だから避けては通れない。大根、つくね、イワシつみれ、はんぺん、玉子。照明を落としたちょっとシックな雰囲気に合わせたように、おでんも上品だ。純米山廃「三谷藤夫」を呑む。
吟醸っぽい軽い味わいの「ここの酒・庄助」にはチャンジャを合わせた。他の店ほど日本酒の品揃えは多くない。若い人向けの店は何故か焼酎がメインである。若い人たちも、もっと日本酒を飲んで欲しいものだ。

おやじ御用達の店にはない洒落たデザートもある。女性も気に入るような居酒屋だ。どちらかと言うと銀髪にはおやじ御用達の店の方が合っているかも。
味も値段も安心な庄助だった。
焼鳥おでん惣菜 庄助 新宿末広通り店
東京都新宿区新宿3-6-11 庄助本店ビル2・3F
03-3226-8778
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2008年11月24日
[すが井](仙台)
牛タンだけではない、宮城県の名物料理

仙台駅を出て歩道橋を渡り、ハビナ名掛丁横丁(アーケード)を歩いた。「来る度に牛タンではつまらないなー」とキョロキョロしていたら、穴子料理の写真が貼られた立て看板が目に入った。そう言えば、松島は穴子の産地だったはずだ。カキフライの写真にも目を奪われた。迷ったけれどにもう少し歩くことにした。
再び穴子料理の看板。よく見るとこれもすが井である。「本店」の文字を確認して行くことに決めた。路地を入ったところにある本店すが井は居酒屋ながら老舗の雰囲気がある。正面にテーブル席、右側に掘り炬燵式の座敷、左側のカウンターの壁にはたくさんの料理の紙。ウーン、夜に来たい雰囲気だ。
穴子丼

濃い目のタレがしっかり乗った穴子丼がやってきた。寿司屋のつめより尚濃い。再びカウンターの上の壁を見ると、穴子料理は刺身から始まってなんと15種類もある。東京の穴子専門店でもこれほどの種類は見た事がない。穴子餃子まであるのだ。
カキフライ

単品でカキフライも頼んだ。何もつけないで口にすると部下が驚く。「牡蠣の味で充分のはずだよ」と言うと、部下も真似をする。「本当ですね!」とさっきより大袈裟に驚く。結局二人とも、タルタルソースも濃厚ソースもつけないで食べきった。
大学生のとき、真冬に松島に行った。仙台駅前の観光案内所で民宿の紹介を求めたが、電話番号を渡されて自分で予約するように言われた。牡蠣漁の最盛期なので普通は客を取らないのに赤飯を炊いて待っていてくれた。30年以上前とはいえ、3,000円の宿泊料金で丼一杯の生牡蠣を含む牡蠣尽くしに鯛など海の幸満載の歓迎振りで感激したことを思い出す。
松島ははぜの産地としても有名だ。すが井のメニューにもはぜの天麩羅が載っていた。料理の写真を撮っていたら、店の女性が店の案内を持って来てくれた。地酒なども豊富に揃えているようだ。
ランチだけではもったいない。夜に来たい店である。
本店 すが井
宮城県仙台市青葉区中央1-8-21 朝日屋ビル1F
022-263-1854
http://r.gnavi.co.jp/t094400
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2008年10月29日
[瓜](渋谷)
いい店見つけた!

「今日は生牡蠣を食べるぞ!」と、渋谷のオイスターバーをネットで調べて行った。ところがビルの袖看板に目指す店の名はない。ビル違いかと行ったり来たりしたがやはり見つからない。
仕方なくオイスターバーの後釜と思われる店に入った。「和食とワインの店」の看板文字に期待して。
照明を落とした雰囲気のある店内。キッチン奥に炭火の焼き場。カウンターの左上にはワイングラスがぶら下がる。ここまでは看板どおりだが、棚には森伊蔵、村尾、魔王の芋焼酎3Mを筆頭に有名焼酎が並ぶ。日本酒も純米酒を中心にいい品揃え。ムクムク興味が湧いてきた。
お通し、椎茸の炭火焼

お通しに帆立と金目鯛の寿司が出てきて意表を突く。これがなかなか美味い。小さい店の割にメニューは豊富で驚く。鮮魚、薩摩地鶏、岩手県産地鶏・高原豚、佐賀県産大豆を使用した豆腐、無農薬有機野菜、珍味。何を食べるか随分と迷った。
野菜の中で自慢の素材は椎茸とアスパラと言う。今のアスパラはオーストラリア産なので、国産の椎茸を頼んだ。その椎茸を一口食べて連れが驚きの声を上げる。「原木?菌床?」ここまで相手をしてくれていた店員は質問の意味を分からず、選手交代。「原木です」と板長が答える。原木栽培した栃木産椎茸は香りが良くて秀逸だった。粘り気のないさらさらした柚子こしょうが気になる。美味すぎる。
薩摩地鶏もつ盛合せ、銀杏

鶏肉はいつものように刺身でチェック。美しい。薬味はショウガ、ニンニク、柚子こしょうの3種。柚子こしょうが美味い。「大分産?」と聞いてみたものの自信がない。答えは鹿児島産。おばあちゃんが手作りしているもので、普通の店では手に入らないらしい。やはり市販の瓶詰め柚子こしょうではなかった。肉がなくなった後も柚子こしょうを残して酒の肴にした。
銀杏は思ったとおり藤九郎。随所にこだわりがある店である。
田楽、豚バラ肉の塩焼き

豆腐も豚も自慢するだけある。脂身の多い豚も塩味が効いて美味しい。再びの柚子こしょうが嬉しい。
メニューにはなかったが、お通しの寿司が美味しかったので〆も寿司を握ってもらった。鯛、ひらめ、白いか、甘海老。なめこ汁がとびっきり熱くて飲むのに苦労した。

日本酒の値段がちょっと高めなのが痛いが、料理にはとても満足した。居酒屋と割烹の間の料金で、いい素材を使って上手く調理している。近いうちにまた来よう。いい店見つけた!
瓜
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷DELIタワー8F
03-5459-3068
http://www.shibuya-uri.com/
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2008年10月15日
[しょう助](新宿三丁目)
庄助グループの高級店

庄助には焼き鳥、おでん、個室ダイニングなど数種類の店がある。先日行った焼き鳥「庄助」はおやじ御用達の典型的な大衆居酒屋。今回行ったしょう助は多分グループの最高級店で、庄助とはまったく趣が異なる。
テーブル席は気の置けない相手となら接待にも使える雰囲気で、もちろんカップルにも受けそうだ。彼らにとって最適なのはゆったりとした窓際のカウンター席だが、景色は期待できない。二人の世界にひたるにはうってつけかもしれない。
お通し、日替わり三種盛合せ、豆腐

内装だけでなく店員のユニフォームもサービスの質も庄助と異なり格段にいい。その分お値段も随分違う。料理は止むを得ないとしても、日本酒は割高に感じる。
鶏のたたき、茜鶏もも唐揚げ

茨城県筑波産の茜鶏。ちょっと上の店らしいメニューも豊富だ。庄助とのコストパフォーマンス比較ばかりしてしまうが、他の同種の店と比べたら悪くない。大衆店の庄助が支えてくれるおかげだろう。
せいろそば

しょう助の一番のウリは十割蕎麦。それを食べなければいけないと思うから、腹八分目のところで他の料理を頼むのを止めてしまった。若いときならば腹一杯飲んで食べて〆にそばを食べただろうが、今は無理をしなくなった。店の戦略は客によっては裏目に出てしまうこともある。
庄助としょう助。これだけ違うと優劣を決めるのは意味がない。どちらが好きかと問われれば、答えは簡単である。どちらが生き残れるか予想するのもたやすい。
庄助としょう助。同種の競合店と比べるとどちらも悪くないと思う。
酒・魚と十割蕎麦 しょう助 sono
東京都新宿区新宿3-32-10 T&Tビル7F
03-3356-1818
http://www.shousuke.jp
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2008年10月07日
[鳥良](新宿3丁目)
手羽先唐揚げ、関東の雄

鳥良には2005年に中学の友人たちと二子玉川店に初めて行った。新宿3丁目店は2年半ほど前に来て以来2度目である。前回は鳥良の偉いさんに連れてきてもらったので、個室に案内され立派な食事をご馳走になった。久し振りの鳥良は随分と印象が違った。
隣席との間隔が狭い、小さな席に通された。若者に人気の店である。素直に与えられた境遇を受け容れた。3度目にして初めて自分でメニューを見て料理を選んだ。「手羽先が看板料理だよね」との問いに、若い店員が頷いた。
お通し、手羽先

手羽先の唐揚げは名古屋の「風来坊」「世界の山ちゃん」が有名だが、鳥良も看板料理にしている。風来坊が「元祖」、山ちゃんが「幻の」と頭につけるのに対して、鳥良は門外不出の秘伝のタレを謳っているのみで控えめである。どの店のものも驚く程美味しいものではないが、看板料理にしては値段が安いのがいい。
湯玉豆腐、鶏ごぼうサラダ

鳥良のもう一つの看板料理が豆腐。偉いさんと来たときは大きな角鍋を使って目の前で作ってくれた。それに比べて余りに小さいので拍子抜けした。そのせいか、写真を撮り忘れた。取り皿に分けた映像だけで許してもらおう。
どて大根、鶏の寿司

どて煮は名古屋の名物である。風来坊や山ちゃんと同様にどて煮をメニューに置いている。昭和59年に吉祥寺で創業、名古屋の手羽先唐揚げを東京で広めることを目標にしたというから、どて煮があっても不思議でない。もっとも、どて煮ではなく関西の呼び名「どて焼き」を使っているのがちょっと不思議。
日本橋の比内やで食べた鶏の寿司と比較したくて、〆に寿司を食べてみた。これは明らかに比内やの方が上。半額近い値段なので止むを得ないだろう。比較しなければ充分食べられる。
初めて二子玉川店に行ったときは行列が出来ていた。偉いさんと来たときは株式上場寸前だと聞いた。久し振りの鳥良は8時を過ぎても空席が目立った。リーズナブルな割に居酒屋よりワンランク上の雰囲気が受けていたと思うが、今では類似の店が増えて目立たない。商売は難しいものだ。リーズナブルに食べられるいい店だと思うが、店舗が増えすぎて勢いを失っているのかもしれない。
店員の暗さがちょっと気になった。
鳥良 新宿2号店
東京都新宿区新宿3-13-5 クリハシビルB1・B2F
03-3353-3357
http://www.samukawa.co.jp/toriyoshi/
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2008年09月22日
[魚櫓魚櫓](日本橋)
リーズナブルに炭火焼

目指す店の前に立つと連れが顔をしかめた。前に来て印象が悪かったらしい。いつもなら構わず入るのだが、あまりの渋面に怯んでしまった。幸い相手が折れてくれた。板さんが変わったかもしれないし、何よりも同行者が銀髪である。いつも書いているように「誰と食べるか」がもっとも重要な要素である。
魚櫓魚櫓は以前行って気に入った穴子家吉五郎の姉妹店。穴子が目当てなのにメニューに載っていない。板さんに聞くと、常連さんに頼まれれば出すことがあると言う。「常連でなければダメなの?」と食い下がると快く受けてくれた。
枝豆

枝豆を頼んだら目の前で茹で始めた。いいじゃないか。連れが顔をしかめた理由が分からない。探りを入れるためいつも以上に熱心に板さんに話しかけた。幸いカウンターに他の客は居ない。穴子談義に花が咲く。「松島産?」「佐賀産です」「広島産は使わないの?」「現地で消費されて東京には余り入ってこないんですよ」「俺は何度も食べたよ」「羨ましいですねー」。板さんを羨ましがらせてどうすんだい。
穴子の刺身、白焼き

「今日の穴子は小さくて…」と板さんは残念がる。「確かに脂の乗りはイマイチだね」と、もう常連気分だ。「いい店じゃないか?」と連れを見ると、素直に頷いた。
いか一夜干し、なす焼き

いかにはつぶしたわたのソースが添えられている。なすも上手に焼かれ、きれいに衣を脱いだ。
日本酒もいい品揃えだ。席の後ろに酒用の大型冷蔵庫がある。無名酒会が選んだというリストの中から島根の死神(無名酒会会長杉浦さんオリジナル)、群馬の風まかせ(純米)、福島の会津娘(純米本生薄濁り)、茨城の夢かなふ(純米吟醸酒)と飲んでいった。高くても900円と良心的な値段である。
レバー、秋刀魚

焼き鳥もチェックしよう。レバーはミディアムといい焼き加減で美味しい。最後の秋刀魚もこんがりと焼かれて出てきた。
帰るときにはカウンターは一杯になった。他の予約も入っているようだ。店を出る間際に「2階もあります」と言われて興味を示したら、案内してくれた。10人以上が入れるテーブル席に加えて、大きな丸テーブルが据えられた個室もある。
名店、高級店ではなくてもカウンターで板さんと話すのは楽しい。料理人だって気合を入れて美味しいものを作ろうとする。料理は口でなく心で食べるもの。そう言えば「愛情がたっぷり込められているから、美味しいわよ」なんて台詞、最後に聞いたのはいつだったろう。ウーン、思い出せない。
魚櫓魚櫓
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-3272-1212
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2008年09月19日
[庄助](新宿歌舞伎町)
何とも落ち着くベタな居酒屋

「ここでいい」と言われて目を疑った。そこまで遠慮してくれなくても良さそうだと思うのだが、顔を見ると冗談でもなさそうだ。「本当にここでいいんですか?」と聞くと、笑顔で頷く。相手がいいなら是も非もない。望むところだ。
最近の居酒屋は若い女性客なしでは成り立たなくなっているが、ここは違う。店内に女性は一人だけ。おじさんたちの顔は赤く、身体はだらしなく傾いている。まだ7時だというのにすっかり出来上がっているおじさん二人組みと相席することになった。8人掛けの大きなテーブルなので狭苦しいことはない。ビールで乾杯し、料理が到着すれば他の客の姿は視界から消える。
お通し、はまち、さんま

お通しのひじきを食べて「お腹が空いてるから美味い!」とのたまう。“お腹が空いてる” は余計だと文句を言いたくなるが、はまちやさんまを食べても「お腹が空いてるから美味い!」と繰り返す。店の人に聞こえそうでハラハラする。
焼き鳥、カキフライ

「お腹が空いているから美味い!」と焼き鳥を食べても同じ台詞が出て来る。ボキャブラリーが少ないのか、馬鹿にしているのか分からない。それでもいい食べっぷりを見ていると楽しくなる。
カキフライは、ジューシーで火傷しそうになった。ぼちぼち牡蠣を食べる季節になってきた。クーラーなしでも寝苦しくはなくなった。天高く馬肥ゆる秋の到来である。
シロ、山芋磯辺揚げ

シロは美味しいと言ってはくれなかった。豚の臭みは受け容れ難かったようだ。銀髪が苦もなく平らげるのを不思議そうに見ている。
磯辺揚げは気に入ったようだが、“お腹が空いてるから”という台詞は既に出なくなっていた。ぼちぼちお開きにしてもよさそうだ。
久し振りのおじさん向け大衆居酒屋は楽しかった。条件付ながら美味いを連発してくれたし、酒も安いので懐にもそれほど響かない。安い店で喜んでくれたら、もっといい店に連れて行きたくなるから不思議だ。今度はちょっと高級な店に行こう。“お腹が空いてるから”は取っ払ってくれるかもしれない。
庄助
東京都新宿区歌舞伎町1-11-6 扇園ビル1F
03-3200-6056
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2008年09月12日
[ざぶん](名古屋)
居酒屋で名古屋ちっくフーズ

「銀髪さんが来るのに居酒屋じゃ可哀想だなー」という声も上がったらしいが、結局居酒屋になった。名古屋での宴会はいつも5時半にはスタートする。錦界隈のよさそうな店は6時開店が多いので選択肢は限られてしまう。
だし巻き卵、オニオンスライス、冷奴、ゲソ揚げ

早い時間なので次々に料理はやってくる。きれいな落ち着いた雰囲気の店内も、テーブルに料理が並べばたちまち居酒屋っぽくなってくる。
姿造り入り舟盛

7種盛り1980円にウニを加えてもらった。舟盛は豪華に見えるので割安感がある。もっとも鮪の赤身はいかにも大衆居酒屋の色合いをしている。
どて煮、味噌かつ

ホテルの地下にあるだけに宿泊客が食べたがる名古屋名物もそれなりにある。地元の人にオーダーを任せると、自然に名古屋ちっくな料理も選ばれる。銀髪を気遣って頼んでくれたのかと感激するが、ただ自分たちが食べたいだけらしい。どて煮を一口、味噌かつを一串食べさせてもらった。
トンペイ焼き、毛蟹

地元の人はお好み焼きとオーダーしていたが、実際は広島名物のトンペイ焼き(薄切り豚肉入り玉子焼き)である。これが一番評判が良かった。「どうだ、美味いだろう」と名古屋の人が自慢するのが面白い。
一番人気がなかったのが800円の小さな毛蟹。銀髪はこれが一番気に入った。身はしっかり詰まっているし、ミソも美味。人気がない理由は食べ辛いため。お陰で殆ど独占できてとても満足した。
他にも色々頼んだが、割愛。安くて美味いと言ってもいいかもしれない。もっとも、みんなが気に入っている理由は味より場所。ホテルの地下と言えば誰でも分かるので待ち合わせ場所としては文句ない。最大の利点は2次会の店に近いこと。これを言われたら他の店に行きたいとは言えない。
嘉っとび炉端 ざぶん
愛知県名古屋市中区錦三丁目18-21 東京第一ホテル錦地下
052-950-7889
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2008年09月08日
[いとはん](日本橋)
出世魚を食べても…

同じ釜の飯を食った後輩たちもやがて50歳に達する。今は別の道を歩いているが、たまに集まって情報交換する。昔話で盛り上がることもあるが、違う業界や会社の話を聞くと刺激を受けるし勉強にもなる。
「東京駅前の八重洲通りから仲通りに入って直ぐ」と電話で告げた。味もさることながら、分かりやすい場所であることも、現地集合における大事なポイントだ。Aが来るのをあてにせずにKと飲み始めた。
三点セット

店のチェックは昼間に済ませていた。「本日のおすすめ品」メニューがあるのでこの店にした。最初に書いてあるのが三点セット(だだじゃ豆、いかソーメン、冷やしおぼろ豆腐)、スタートはこれで決まり。
刺身

7種類の本日のお造りの中から汐子(ショッコ)とスズキを選んだ。どちらも出世魚である。汐子はシオゴ、アカハナと育ち、最後にカンパチと呼ばれる。スズキはセイゴ、フッコ、スズキ、オオタロウとなる。我々は出世とは無縁になってしまったが、それでも出世魚と聞けば嬉しくなるから不思議だ。
鱧皮ポン酢、和風ジャンボ海老シュウマイ、自家製するめいかの沖漬、まぐろ酒盗

できるだけお腹が一杯にならないものを食べ続けたが、Aはやってこない。時間が経つと食欲も減退してくる。Aの携帯電話にメッセージを残したことを忘れた頃に電話が鳴った。店の場所を告げると15分程してようやくやってきた。
里芋京湯葉あんかけ、天婦羅盛合せ、出し巻き玉子

みつせ地鶏大手羽先塩焼き、ガーリック焼き

普通なら、全員揃ったところでリセットされるので最初からいる人は飲みすぎることになるが、Aは酒が飲めない。従って、リセットもなく頭はクリアなまま粛々と宴の終わりに向かっていく。
店に長時間居座ることになったが嫌な顔はされなかった。客が殆ど居ないのだ。「今日は珍しく空いている」という女性店員の言葉を信じることにした。彼女の応対も料理も悪くなかった。悪いのは4階という場所のせいぐらいだろう。
ゆっくりできた我々はラッキーだった。いつも生真面目なAが心配だったが、元気そうで良かった。出世はなくなっても、まだ老け込むには早すぎる。
最年長の銀髪もまだまだこれから。ヨシッ!明日も飲みに行くぞ!
いとはん
東京都中央区日本橋3-4-1 第2弥生ビル4F
03-3241-1108
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2008年09月04日
[十他素いろり席](日本橋)
お肉も自然農法?

「自然農法とは、農薬や化学合成肥料はもちろん有機肥料も一切使わずに、土が本来持っている力を活かして農家の方々が心を込めて育てる栽培方法です。」店の宣伝文句は実に魅力的である。「いろり席」という店名にも惹かれた。
意気込んで出かけたが、一番乗りだったのには驚いた。まだ6時、時間が早いからと勝手に納得。ハッピーアワーでビールが半額と知って嬉しくなる。炭火が用意されて気分が盛り上がってきた。
お通し、キャベツ、たこ酢


お通しは悪くない。キャベツとたこ酢は普通。助走としてはこんなものだろう。
しめさば、焼きとん

しめさばもちょっと炙るつもりで頼んだ。皿に乗ってきた焼きとんを見て目を疑った。凍っているように見える。時間をかけて焼いた。「もう大丈夫ですよね?」と店員に尋ねたら、肉を串からはずして「もう少しですね」と言う。確かにまだ芯が赤いが「新鮮だからレアで大丈夫ですよ」と言って欲しかった。結局焼きすぎて固くなった。もつは臭いも気になった。
チーズやっこ、煮込み

肉を焼くのは止めた。他の居酒屋料理は問題ない。ちょっと気を取り直した。
焼き鳥、野菜

「焼き鳥を食べたい」と部下が言うので再び肉に挑戦。冷凍ではないようだが新鮮さは分からないのでしっかり焼いた。「いろり席」に惹かれたが、あまりいいアイデアには思えなくなっていた。素材も大事だが、焼き加減も味を大きく左右する。自分で焼く楽しさよりもプロの技に頼るべきだった。
遅まきながら「自然農法」のことを思い出した。全部野菜にするべきだったと反省した。追加注文をしようとする部下を制した。いつの間にか店は7割ほど埋まっており、煙が立ち込めて息苦しくなっていた。一番奥に座る我々の場所の煙がもっとも濃い。快適に過ごすなら入り口の席がベストだと店を出るときに悟った。
久々に勘が外れた。腕のいいコンサルタントを雇っているのかもしれない。宣伝は一流である。
十他素いろり席
東京都中央区日本橋室町1-5-15
03-3278-8822
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2008年09月03日
[美食 米門](渋谷)
味も値段もワンランク上の居酒屋

デパートの中、しかも渋谷ならたかが知れていると思った銀髪は世間知らずだった。若い女性アルバイトが客引きをしていたのも判断を誤らせた一因である。席につきドリンクメニューを開いて自分の甘さを悔いた。ビールの中瓶が850円、日本酒は一合1,000円以上するものばかり。
お通し、クレソンと芹のサラダ

料理も殆どが4桁と普通の居酒屋より2~3割高い。覚悟を決めてオーダーした。お通しの煮物が美味しいので少しホッとする。清流で育てたというクレソンと芹のサラダも悪くない。少し機嫌がよくなってきた。
馬刺し、本ししゃも

馬刺しは熊本産が有名だが、青森県産小田桐牧場直送というので興味が湧いた。運ばれてきた馬刺しはとても美しい。たてがみと赤身が重なり合い、手前に霜降りロース肉が輝く。ロースが口の中でとろけるのは見ただけで分かったが、たてがみと赤身を一緒に食べたとき口に広がるまろやかさには驚いた。値段だけのことはある。
北海道産の本ししゃもはプレゼンテーションも立派。馬刺しと食べ比べると分が悪いが、食べる順番が逆だったら感動しただろう。
薩摩若しゃもの串焼き5品盛り合わせ

小振りの若しゃも焼き鳥5本で1,500円は有名店並の価格。もっとも既に居酒屋気分は吹っ飛んでいるので、値段はあまり気にならなくなっていた。
さあ、次は何を食べようかと意気込んだが、相方が腹一杯と言うのでお開きになってしまった。
新宿、品川、横浜、梅田にもある米門以外に、系列のオイスターバーMAIMONが恵比寿、銀座、梅田にある。銀座のオイスターバーには行ったことがあるが、雰囲気がいいだけでやたら高かった印象が残っている。
今日の米門はちょっと高めだが、悪くはなかった。店員の応対にも文句はない。そうそう、呼び込みをしていたアルバイトの女の子がとても可愛くて、育ちの良さそうなお嬢さんだった。何よりもそれが一番良かった所かな。アルバイトがきれいな笑顔を見せている店が悪いはずがない。
美食米門 渋谷パルコ店
東京都渋谷区宇田川町15-1 パルコPart-1 ダイニング&ガーデン 8F
03-3464-
http://www.maimon.jp
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2008年08月26日
[薩摩]②(東銀座)
同期会

同期会の案内メールが来た。飲み放題付の会費5,000円。時間は6時半~9時までと比較的余裕がある。店の情報のアドレスをクリックして驚いた。なんと銀髪が以前書いたものだ。幹事のMに銀髪グルメ紀行のことを教えていないので、偶然知ったようだ。
6時半丁度に店に入ると既に酒盛りは始まっていた。参加者16人のうち、半分以上が揃っている。この日を待ち遠しく思っていたのか、単に暇なのか分からない。銀髪のグラスにビールが満たされると乾杯の声が上がる。最初に来た奴は乾杯だけで出来上がってしまう。

「薩摩」は前にも書いたように通常はチケット制の小皿料理主体の店。この日は我々グループのために特別料理が用意されていた。料理が運ばれると銀髪のシャッターより先に箸が料理を捉える。ビールを飲み、箸を動かしながら、心の中で出席者の顔に名前を乗せていく。
約30年前に新入社員研修で約1ヶ月一緒に居たけれど、その後は全国に散らばった同期達。顔は分かるが話したのは数えるほどしかない者もいる。「お前誰だっけ?」なんて馬鹿な質問をする奴はいない。一人ずつ立ち上がり、近況報告する前に長年の空白は殆ど埋まっていた。

2時間半と長丁場なので料理はゆっくり出てくるが、酒はたっぷりある。最初は量るように注いでいた焼酎も、だんだんコップ酒の様相を帯びてきた。
転職の報告、大病の経験談などなど、近況報告が続く。遅れてやってきたゴルフの幹事が数日前に行われた同期会コンペの結果報告を始める。飲酒運転ができないので、表彰式は夜の同期会の場を借りるのが慣例となっている。
ゴルフの話をする者、近況報告をする者、酔っ払って耳はどこかに行っている者、トイレにいつ立つかばかり考えている者。場はまとまりがつかなくなってきた。料理が来るのが遅いと文句を言っていた者も、酒で満腹になり箸が動かなくなっている。銀髪も面倒だから途中で写真を撮るのを止めた。どっちみち今日だけの特別料理だ。
最後に三本締め。他のお客様には申し訳ないが、我々は三本でなければ終れない。緩んでいた顔は引き締まり、背筋が伸びる。
ヨーオッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、
拍手が終わると、再び千鳥足の酔っ払いに戻る奴もいる。
永久幹事のMのお陰で毎年同期達と会う機会が出来る。みんな感謝感謝である。幹事さんありがとうございました。
最後に店の前で写真を撮った。結婚式に出ても料理しか写さなかった銀髪のカメラを特別に同期達のために使わせてあげた。みんないい顔をしていた。
薩摩
東京都中央区銀座4-12-20
03-3541-3995
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2008年08月22日
[三厨](奈良)
地元奈良の人に人気の居酒屋

奈良の名物料理は茶粥、三輪素麺、柿の葉寿司、飛鳥鍋、吉野葛、奈良漬といったところだろうか。残念ながら、是非とも食べたいと思うものはない。地元の人も同じようで、セッティングしてくれた店は奈良料理とはあまり関係がない店だった。
鱧落し、鱧天ぷら

今年はよく鱧を食べた。高級食材と言われる鱧も近年はスーパーなどでも売られており、珍しいものではなくなった。もちろん味も値段もピンキリ。好き料理法は吸物、炙り、あらいの順といったところだろうか。これから秋になると松茸の土瓶蒸しの脇役になってしまうが、それも悪くない。
冷奴、ポテトサラダ

山芋短冊、鯛刺身

馬刺し、地鶏焼き

全100席、カラオケパーティーも出来る大型店。料理も豊富で地元の客に愛される店のようだ。近鉄線新大宮駅から徒歩2分、奈良駅から離れているため観光客が来る店ではない。
地元の人と一緒でなければ来ることはなかったろう。
それでも銀髪は奈良にこだわった。料理がなければ酒がある。「ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門、(中略)四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水。粋なねえちゃん…」
フーテンの寅の名口上を持ち出すまでもなく国の始まりの大和の国は酒造りの始まりでもあると言って差し支えないだろう。奈良漬も酒粕あってのものだ。
三厨にも奈良の酒があった。地元の人たちがビール、焼酎を飲むのを横目に、銀髪は奈良の地酒にこだわった。東京では殆ど奈良の酒を見かけない。一人だけ存分に奈良を味わった。
奈良桜井市には酒神を祭る日本最古の神社「大神神社」があるそうだ。大学時代にバッカスの渾名をもらった銀髪には、もっとも似合う神社かもしれない。いつか行かなくちゃ。
三厨
奈良県奈良市大宮町6-6-3
0472-36-3458
http://www11.ocn.ne.jp/~jd-kohei/indexkouhei3.html
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2008年08月19日
[炉端かば](新宿3丁目)
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