2008年11月18日
[へぎそば 匠](渋谷)
身体にいいそばでも飲みすぎにはご注意を

出張続き、運動不足、魚が美味しい冬。体が重くなってくると、蕎麦屋に足が向く。へぎそばの店なら新潟の美味しい日本酒も飲める。
階段を下りて店に入る。カウンターに座ってメニューを開く。そこで初めて四谷三丁目の匠と同じ系列の店と気付く。3年間で約900軒も行けば忘れてしまう店もある。まして、渋谷の匠の内装、雰囲気、客層は四谷とは全く違っていた。
お通し、生牡蠣、栃尾の油揚げ

四谷は昔ながらの居酒屋風で年配の女性が注文を取りに来るが、渋谷は今風の居酒屋で男性店員のユニフォームも決まっている。ところがメニューに並ぶ料理は殆ど一緒。「お奨めは?」と聞くと「栃尾のジャンボ油揚げ」と言うのも同じ。
そばチヂミ、そばコロッケ、ぎんなん

四谷になかったメニューはそばチヂミ。そば粉を使うならガレットと呼んだ方が良さそうだが、チヂミの方が一般受けするのだろう。ガレットはそば粉のクレープとも言われる。いつまで経っても本名で呼んでもらえない可愛そうな食べ物だ。ネギが入ったそばチヂミはなかなか美味しかった。
のっぺ、へぎそば

最後にへぎそばを食べると決めているのでお腹はこれ以上膨らませない方がいい。メニューを吟味した上で、結局のっぺを食べることにした。四谷で越後ののっぺは汁がないことを教わった。箸の使い方を判別できるような料理は食べ過ぎることがなく、日本酒の肴にはうってつけである。
そばのつなぎに海草(ふのり)を使ったへぎそばは、コシがあって美味しい。四谷より小さいへぎ(木の器)があるのもカップルが多い渋谷ならではのサービスかもしれない。
できるだけ肉類を避けたので胃は重くないが、日本酒を飲みすぎて頭が少し重い。反比例して口が軽くなる。自己制御は本当に難しいものだ。
へぎそば 匠 渋谷文化村店
東京都渋谷区道玄坂2-23-14 道玄坂225ビルB1
03-5784-6680
http://www.takumi-hegisoba.net
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2008年11月14日
[かりふわ堂](新宿歌舞伎町)
これが本当の大阪の味・お好み焼き?

「つんく♂さんのお店に連れて行って欲しい」と銀座のママに誘われた。「新宿は遠いので麻布の店に」とのご希望だったので、情報だけありがたくいただくことにした。
新宿コマ劇場の裏通り、名前を忘れてしまっていたがお好み焼き屋は一軒のみなのですぐに分かった。階段を上がり店に入ると、駄菓子やおもちゃが並べてある。店は二つに分かれ、左側がかりふわ堂。幸い予約なしでもカウンターは空いていた。
ざっくりキャベツ、牛すじこんにゃく

目の前には野菜が置かれてあり、焼き場は店の右奥に見える。壁に書かれたかりふわ堂についての説明書きを読みながら特製味噌をつけたキャベツをかじる。
メニューの中から大阪らしいものをと探し出した牛すじこんにゃくは期待通りの味だった。
とんぺい焼き、かきの鉄板焼き

広島お好み焼きの名物とんぺい焼きはかりふわ堂流で、豚肉を薄焼き玉子でふわりと包んでいる。かきの鉄板焼きには九条ネギがたっぷりで、京都風。大阪にこだわっているわけでもなさそうだ。何でも取り入れるのが大坂流と言われれば、納得してしまう。
ホルモンミックス焼き、豚玉

メニューの後ろの方に1,000円以上するオリジナルのお好み焼きが並ぶ。「どれを食べたらいいの?」と聞くと「私的には豚玉を食べて欲しい」と言う。若い女性店員2人とも明るくて好感を持っていたが、780円の安いものを勧められて一気に最高点をあげたくなった。
「お好み焼きは焼くのに20分かかります」と言われたのでホルモンミックス焼きを食べながら待つことにした。飲むのはホッピー。再び目の前の壁の説明を読む。「お好み焼きというより蒸し野菜」という部分に興味が湧く。
「忘れてるんじゃない?」と連れが不安がる。待ち切れなくなって店の女性を呼び止めたら、彼女の手に豚玉があった。お好み焼きを分けようとヘラで切ろうとしたら、もろくも崩れた。

つなぎが少なめにして、押さえつけずにじっくり焼いている。「蒸し野菜」の意味が良く分かった。20分以上かかったのも頷ける。つんくが言うようにこれまで食べたことがないようなお好み焼きだった。強いて言えば、我が家で小麦粉を使わず山芋だけで作ったお好み焼きに近い。
大好きになった女性店員に「美味しかったよ」と言うと、「そうですかー、いろいろ試行錯誤して作っています。また来てくださいね」と可愛い。再訪したい気持ちを決定付けさせる笑顔だった。
かりふわ堂
東京都新宿区歌舞伎町1-12-6 歌舞伎町ビル2F
03-5155-7620
http://www.karifuwa.com
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2008年11月02日
[さわらび](半蔵門)
気配りが嬉しい店

「近くに評判のいいイタリアンと蕎麦屋がありますよ」と部下が言う。男二人で行くなら蕎麦屋に決まっている。有名店にしては入り口が小さいだけでなく、中も狭いので驚いた。混み合う昼時なので当然2人席に案内されると思ったら、4人席を勧められて恐縮した。落ち着いた雰囲気の居心地のいい席に通され、「ビール、日本酒」と言いたいところを我慢した。
このところ蕎麦屋に行く機会が多い。頼むのは天婦羅せいろか鴨せいろと決まっている。昔は温かいそばを好んで食べたが、最近は蕎麦湯が飲みたくてせいろにする。さわらびには天麩羅そばがないので自動的に鴨せいろになった。

分厚い鴨肉が美味しい。なんで葱がこんなに合うのだろう。味を楽しみながらも、一つ浮かんだ疑問が解けないで頭が重い。鴨汁が入った器の形状が変わっている。注ぎ口があるように見えるが何のため?
蕎麦を食べ終わったところで店の女性(女将さん?)が一回り小さい器を持って来た。残った汁と蕎麦湯を合わせて飲むためだ。注ぎ口と思ったのは間違いではなかった。これは嬉しかった。鴨汁に蕎麦湯を入れても濃すぎるので、いつも茶碗などを利用する。銀髪の心理を見透かしたかのような気配りである。
天麩羅せいろを頼んだら、天麩羅も冷たいそばつゆで食べさせる店が多い。このところ鴨せいろを立て続けに食べたが、蕎麦湯のための器を出してくれた店は他になかった。主人は一茶庵で修行したそうだが、その影響だろうか。自分で考えたのなら大したものである。
あらためてメニューを見ると、酒の肴も豊富。何よりも純米酒の品揃えがいいのが気に入った。蕎麦湯を美味しく飲ませる気配り、本物の酒を出すこだわり。
これは夜に再訪しないとおさまらない。そんに気分にさせてくれた。ホームページを見ると、意外と若い店主と女将さんの店のようだ。
絶対、夜に行くぞ! きーめたっ!
蕎麦小路 さわらび
東京都千代田区隼町2-10 210半蔵門1F
03-5213-3311
http://www.k3.dion.ne.jp/~warabi/
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2008年11月01日
[鐵平](八重洲)
富士宮やきそばと静岡おでん

八重洲地下街を歩いていたら富士宮やきそばの店を見つけた。入ろうとしたが意外と混んでいるので日を替えて行くことにした。ショットバーで食べたこともあるし、スーパーで買って家で作ったこともあるが、専門店で食べるのは初めて。ちょっと期待した。
静岡おでんとのセットで900円。期待が大きかっただけに首を傾げた。麺がぼそぼそした感じで、一見ソース焼きそばのようだが味が薄い。
静岡おでんは最初から期待していなかったので納得の味だが、焼きそばは自分が作った方が美味しいと思った。

店の外には「富士宮やきそば学会公認」の張り紙がある。こんなんで公認するなんて、随分いい加減な審査だと思った。オフィスに戻りインターネットで調べたらホームページがあった。→「富士宮やきそば学会」
富士宮やきそばの特徴が記してある。富士宮流やきそば蒸し麺を使用。炒める油はラード。ラードを絞った後の肉かす、肉、天かすを入れる。イワシやカツオの削り節(だし粉)をかける。他にもいくつか製法に注文をつけている。
出来損ないかと思った鐵平の焼きそばは、富士宮やきそば学会の基準を満たしているようだ。知識をえたところでもう一度行くことにした。

今度は角煮がついたB定食を頼んだ。焼きそばだけでよかったのだが、昼には定食以外はオーダーできない。出来具合は前とまったく同じだが、今度はそれなりに美味しく感じるから不思議だ。ところが後半になって麺が冷めてくると食べるのが辛くなってきた。だし粉と唐辛子をかけて味を変えながら完食した。
焼きそばはごはんや他の料理と一緒に食べていたら冷め易い。焼きそばは単独で温かいうちに食べた方が良さそうだ。焼きそばにビールが正解のような気がした。
立ち飲み酒場 鐵平
東京駅八重洲地下街ローズロード
03-3231-2627
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2008年10月26日
[麺屋 三四郎](札幌)
札幌でトップクラスの人気ラーメン店

戦後生まれの食品でもっとも発展したのはラーメンだろう。戦後の屋台などから発展したラーメンは中国料理の麺類とは異なる日本独特のものである。その後、1958年のインスタントラーメンの発明で国民食となり、昭和40年代初めに札幌ラーメンがご当地ラーメンの先鞭をつけた。
ご当地ラーメンがある街に行くと一度はラーメンを食べる。北海道、しかも札幌なら札幌ラーメンだろうと思うのが銀髪の浅はかさ。口コミランキングでトップクラスにある三四郎が旭川ラーメンと知ったのは東京に戻ってからだから間が抜けている。

言い訳がましくなるが、入店してすぐに少し妙だと思った。メニューに並ぶ料理の順番が醤油から始まる。札幌ラーメンなら味噌のはずだ。限定潮(しお)ラーメン、限定豚(とん)とろラーメンなんてわざわざ限定をつけているのでますます混乱した。メニューの最後には吟醸味噌ラーメンが一段上げて目立っている。どれも美味しいと言いたいのだろうが、一食限定で食べに来る旅人にはどれを選んでいいか分からないのは辛い。
結局、吟醸味噌ラーメンを頼んだ。味玉入り。後から入ってくる客が醤油ラーメンを頼む。次の客も醤油ラーメン。オーダーを変更しようかと迷うがもう遅い。見上げると吟醸醤油ラーメンの札が目立つところに一枚だけ貼ってある。これには勇気付けられた。

不思議な味の味噌ラーメンだった。豚骨ラーメン味噌味のような感じだが、味噌の香りが強くない。札幌味噌ラーメンとはまったく違う味で戸惑った。限定潮ラーメンも評判がいいらしいが、いずれにしても他にない独自の味が三四郎をラーメン屋ランキングの上位に押し上げているのかもしれない。
食べ終わってしばらくはゲップをすると味噌の匂いが駆け上がってきた。あー、あれはやはり味噌ラーメンだったんだと思った。東京に帰ってしばらくすると、また食べたいと思うようになった。
戦後生まれのくせに日本の国民食になったラーメンは、そのときどきの若い料理人たちによって変貌し続けている。確立された伝統の味がないために、自由な発想を受け容れることができる。ラーメンは大した奴である。
麺屋 三四郎
北海道札幌市中央区南八条西13-3-35
011-511-0346
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2008年10月02日
[えぞ鞠](ホノルル、カラカウア店)
ハワイで味噌ラーメン

新宿区戸山の母校近くにあったカウンターだけの小さな本店に初めて行ったのは高校生だった40年近く前になる。その後、ハワイに支店を持つと知って驚いたものだ。
1997年7月にハワイに来たときには、えぞ菊はワイキキの北のはずれにあったはずだ。
パートナー殿に付き合ってティファニーでお買い物。12時近くになったので食事をしようと周りを見てもラーメン屋ぐらいしかない。渋るパートナー殿をなだめすかして近くまで行くとなんとえぞ菊ではないか。移転したのだろうか前よりはるかに大きくて立派で驚いた。もちろん本店なぞ比べるべくもない。

メニューを見てまたまた驚く。カレーもあるし寿司ロールまである。郷に入れば郷に従えということだろうか。えぞ菊がいかに有名な札幌味噌ラーメンか説明する前に、パートナー殿はちゃんぽんを食べると決めてしまった。もちろん本店にはないものだ。

銀髪はもちろん味噌ラーメン。食べたいからというより、本店と比較したいので頼んだ。そもそもグルメ紀行のために店に入ったようなものだ。他の料理の味見もしたかったが、やはり看板の味噌ラーメンを食べなければ意味がない。

ちゃんぽんが大きな器で量も多かったので味噌ラーメンもアメリカンサイズと思ったが、本店より小さくて拍子抜けした。もやしの盛りも少ないし、メンマも乗っていない。代わりに鳴門が乗っていて不思議だ。不味くはないものの、本店とは比べられない。それでも辛子味噌を加えると、本店に少し近づいた。
東京の本支店に必ず置いてあるおろしニンニクがないのも残念だった。休みの日はたっぷりとにんにくを入れたかった。餃子を頼んだのにビールを自粛したのも後悔した。餃子はビールとセットでなければ味気ない。
「日本からのお客様へ」と15%程度のチップを置いていくように表示してあるのも可笑しかった。料金は日本よりかなり高くなる。ラーメンは日本で食べた方がよさそうだ。少なくとも旅行者は現地の食事にうんざりした後に訪れるべきだと思った。素晴らしく美味しく感じるのは間違いない。
えぞ菊 カラカウア店
2146 Kalakaua Ave.
808-926-8616
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2008年09月15日
[日乃本比内や](日本橋)
焼き鳥丼風親子丼?

「鳥つねの親子丼を食べたら、他の親子丼なんか食べられない」と書こうと思って親子丼を売りものにしている店を探し、最終的に日本橋三井タワーの「比内や」に決めた。前を通ったことがあるので地図を片手に店を探す必要はない。
11時20分に到着。一番乗りだったので、どこでも好きなところに座るように言われた。ランチは親子丼と産地直送のサラダのみ。親子丼は1,200円。ごはんの大盛りでも同じ値段だが、初めてなので普通盛りにした。

待つ間もなくすぐに親子丼がやってきた。小鉢もついているのでちょっと得をした気になる。器の形状のせいか量は少なめに見える。大盛にすべきだったと少し後悔。
鶏肉を口に入れてちょっと驚いた。炭火の焦げた香りが口に広がる。しっかり焼き鳥である。親子丼の肉は煮るのが普通。玉子丼に焼き鳥を混ぜるのは親子丼の王道から外れているように思える。しかし鳥つねの親子丼だって、最初は玉子かけごはん風で違和感を持たれたに違いない。それがいつの間にか親子丼は半熟が当たり前になってしまった。
王道から外れていても比内やの親子丼は気に入った。何より夜に行きたくなった。日乃本比内やは秋田比内やからのれん分けした比内地鶏の専門店。きりたんぽ鍋もある。酒も鳥つねよりはリーズナブルに飲めそうだ。
順番ならまず鳥つねに行くべきだろうが、日本酒の値段を見てビビッてしまった。親子丼で焼き鳥を食べてみたいと思わせた比内やの戦略(?)に敬意を表することにした。近々に行かなければならない。期待しすぎないこと、お腹を空かせておくこと。美味しく食べる条件を忘れずに。アー楽しみだ。
秋田比内地鶏料理 日乃本比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1F
03-3231-1718
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2008年09月14日
[鳥つね自然洞](外神田)
とりあえず昼間の親子丼…

秋葉原のヨドバシで携帯電話の新機種を買うことにした。ワンセグなんか要らないがバッテリーがもたなくなってきたので仕方がない。買っても渡してくれるまで1時間以上待たなければならない。待ち時間に行く店としては鳥つねがちょうどいい距離にある。
電気屋の店員がマニュアルどおりに説明するのを我慢しながら聞いた。気持ちは既に親子丼に行っている。幸い12時前に鳥つねに着いた。玉ひでのように並んでいたらえぞ菊で味噌ラーメンになってしまうと心配したが、杞憂に終った。店はほぼ一杯だが待つことはなかった。

特上限定二十食の文字に惹かれて1,600円の特上親子丼を食べた。大丸東京駅店がオープンした時にも、催し物開場に出店していた鳥つねの特上親子丼を食べたことがある。80円高かった出店のものに比べ鶏肉は大振りのように感じる。もっとも、昨年11月のことだから記憶は曖昧である。鳥つねの代名詞である卵かけご飯のような親子丼だったことは間違いない。今日の卵かけご飯は白いごはんがなくなってしまったのに、底に黄色い汁が残った。ごはんが少ないのか、汁や卵が多いのか。ご飯を足して欲しいと言おうかと一瞬思ったが止めにした。
親子丼が出て来るまで、カウンターの中で一心不乱に鳥皮の毛を抜いている女性を見ていた。タオルで皮をこすり、残っている毛をライターで焼く。そしてまたこする。夜の準備をしているのだろう。丁寧な仕事ぶりを見ていると、夜に来なくっちゃと思う。
今度はカウンターに置いてある酒のメニューに目が止まった。いい品揃えだが恐ろしく高い。何かの間違いかと思うが、何度見ても一合の値段である。料理の値段を抑えた分、酒を高くしているのか、料理も酒と同じような値段のつけ方をしているのか、どっちだろう。
夜に来るべきか否か、ハムレットになってしまった。親子丼は美味しかった。1,600円が妥当なのかどうか、銀髪の舌では分からない。
鳥つね自然洞
東京都千代田区外神田5-5-2
03-5818-3566
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2008年09月13日
名古屋フラワーホテルのあんかけスパゲッティ
新幹線を降りてすぐ食べられるあんかけスパゲッティ屋さん

名古屋駅近くで昼飯を食べることになった。何にするか迷っていたら、部下があんかけスパゲティの店があると言う。久し振りだったのですぐに提案を受け容れた。
新幹線口、いつもタクシーを降りるところ、そこにあるビジネスホテル・名古屋フラワーホテルの1階の喫茶・レストランに入った。
長め(ブヨブヨ?)に茹でた太いスパゲティを炒め、あんの上に乗せる。あんかけと言いながら、あんをスパゲティにかけるわけではない。あんは胡椒辛いトマトベース、片栗粉でとろみをつけてある。初めて食べたときは実に珍妙な食べ物と思うが、意外なことに気に入ってしまう人が多い。

フラワーのあんかけスパゲティは「まー、こんなもんだろうー」と言う程度のもので、地元に人には不満が残るかもしれない。定番の赤いウインナーが乗る銀髪の食べた皿は、それなりに食べられるが、部下が食べた鰹節が乗ったものは美味しそうではなかった。

きしめんであればおかかはつきものである。旅行者はきしめんからの連想で、麺におかかが名古屋の定番と思うかもしれない。これを食べてあんかけスパゲティを不味いと思ったら悲劇である。
名古屋駅周辺であんかけスパゲティを食べられる店はフラワー以外にもあるようだ。名古屋名駅のチャオ、名駅南名鉄レジャック3階のあんかけ亭、カレーのココ壱番館系列のPASTA DE COCOなど。いつか栄にある元祖ヨコイに行かなければならない。
名古屋だけでなく、愛知県各地であんかけスパゲティの店がある。PASTA DE COCOは東京西新橋にもあるが、カレー屋ほど全国展開は進まない。
愛知県に行かなければ食べられない方が、名物としては価値があるのかもしれない。
フラワー
愛知県名古屋市中村区椿町15-4
052-451-2222
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2008年09月07日
[よね一](名古屋)
名古屋のうなぎ丼

鰻の蒲焼は江戸発祥の料理であるということはこれまで何回も書いた。東京の深川で養殖が始まり、やがて浜松に移転、現在は鹿児島が日本一の生産県となっている。
蒲焼は江戸から全国に広まり各地で微妙に変化した。背開きして蒸しが入る関東風、腹開きして蒸さない関西風がよく知られているが、名古屋も独自の鰻蒲焼文化をもっているようだ。
「あー、ひつまぶしのことか」と思う人も多いだろう。実際のところ、銀髪も名古屋ではひつまぶしを食べることが多かった。今回、客先で「うなぎを食べたい」と言ったら、御園座の近くにある店に連れて行ってくれた。お世辞にもきれいとは言えない「よね一」は創業以来60年以上の老舗うなぎ屋である。
もちろんひつまぶしがあるが、今日はパスしてうなぎ丼を食べることにした。名古屋でうなぎ丼を食べるのは銀髪グルメ紀行第1回目の「西本」以来、約3年振りである。一番高い2450円の特上はご飯の間にもうなぎ入る中入れ丼だった。

西本との共通点はうなぎが食べやすい大きさに切ってあるところだ。関東風なら蒸してあるので箸で簡単に切れる。名古屋は蒸さない関西風だからかと思ったが、関西でも一口大に切ることはない。たった2軒で名古屋風と言うのは大胆かもしれないが、あながち間違いではないだろう。
名古屋風のうなぎ丼が発展して、ひつまぶしが生まれたのではないだろうか。ごはんと混ぜやすいように、うなぎ丼よりもっと細かく切るのがひつまぶしである。
タレも他の地域に比べれば濃くて甘辛い。最後にあっさりとお茶をかけるのも理にかなっている。
切り刻んで出すのが一般的な中部地区では、通常の丸ごと蒲焼を「長焼き」と称する。ごはん抜きの蒲焼を長焼きと呼ぶようだが、刻んだものが主流なので長焼きの名称が生きる。
紀州備長炭で焼き上げるよね一のうなぎ丼はなかなか美味しかった。新しい発見をしたような気分になり、いっそう美味しく感じた。
よね一
愛知県名古屋市中区栄1丁目5-16
052-231-6924
http://www.yoneichi.com/
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2008年08月28日
[御清水庵 清恵](日本橋)
灯台下暗し、いい店が近くにあった

店の前を何度通り過ぎたか分からない。気になってはいたが、たくさんある蕎麦屋の一つぐらいにしか思っていなかった。行く気になったきっかけは先日の福井出張である。福井名物は越前ガニぐらいしか知らなかったが、出張で鯖やおろし蕎麦も名物と知った。
店は思ったより広く、席の間もゆったりとしていて居心地がいい。奥の席は川に面していて予約で埋まっていた。別紙の「本日のメニュー」もあり、酒の肴は充実している。もちろん、最初に選んだのは福井名物の鯖料理だ。
お通し、鯖の燻製、へしこ

初めて挑戦した燻製はなかなかいけた。へしこは土産に持って帰り、家で食べたものよりも美味しかった。
生しらす、刺身盛合わせ、つぶ貝の磯煮、焼きなす(とろろかけ)


「しらすは福井じゃないでしょ?」と店の女性に質問したら困った顔をする。すかさずおじさんが「駿河産」とフォローする。福井産のものでなくても美味しいものを揃えている。「店主ですか?」と質問したところから、丁々発止の会話が始まった。他の席のオーダーを取りに行っても、すぐにまた戻ってくる。実に楽しい。
「つくねが何で出来ているか当たったら、一品サービスするよ」と言われ、受けて立った。
つくね、煮物

「ひっかけで鯖では?」と探りを入れたがまともなクイズだと言う。「これまで一発で当てたのは一人だけ」と胸を張るのでヒントをもらった。そのヒントですぐに分かった。店主はちょっと驚いた顔をする。銀髪の面目躍如である。ノーヒントではなかったが、早い正答に対するご褒美に煮物を持って来てくれた。お返しに一番高い大吟醸酒をオーダーした。福井の日本酒も充実しているのだ。
「何歳に見える?」という質問は一発で当てた。脱サラをした年齢と、開店してからの年数はこれまでの話の中で出て来たので単純な足し算で済む。実は質問の前から既に驚いていた。日々充実している人は確かに若く見える。

最後はもちろん越前おろしそば。武生の蕎麦屋「御清水庵」で修行した店主が打つ蕎麦を〆にした。満腹なので少なめに盛ってもらった。
イヤー、楽しかった。奥の窓際が満席で良かった。お陰で店主と楽しい会話が出来た。店主が料理を差配するだけでなく、客席を回ってサービスする店が悪いわけがない。まさに灯台下暗しだった。
御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03-3231-1588
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2008年08月24日
[Zen](軽井沢)
軽井沢も長野、長野と言えば蕎麦

昨日の続きです
軽井沢の民宿(ペンションと言うらしい)は快適だった。6畳くらいの部屋にシングルベッドが4つ入っている。畳の部屋だったらもっと良かったが、洋間でもスキンシップがはかれる広さだ。家族旅行はこうでなければならない。旅行以外で家族が一部屋で寝ることはないのだから。
夕食は宿泊客が全員揃う食堂で6時に始まり、1時間足らずで終った。ダラダラ呑む時間も酒の肴も与えられなかったので、珍しく白いご飯で腹を満たした。朝食は宿泊客全員が8時集合なので、病院並みに食間が長い。もっとも料理は比較にならないほど美味しいと言っても差し支えないだろう。なんたんってペンションなのだ。
部屋に戻りオリンピックを見ながらすぐに眠りに落ちた。家族は久し振りに銀髪のいびきを楽しんだようだ。翌朝早起きして自転車で1時間走った。腹ペコのお陰で朝食がさらに美味しい。何より家族揃っての朝食が良かった。
それから半日は旧軽井沢銀座を歩き、石の教会を見るなど観光らしきものをした。暗くなるまで家族がガラス球のアクセサリーを造っている間、一人車に残り仮眠を取った。夕食後のロングドライブが待っている。
刺身こんにゃく、高原野菜と揚げ蕎麦サラダ、いろいろ葱の春巻

評判の「東間」に行ったら、「完全予約制、蕎麦懐石の店ですから」と断られた。そこで紹介してくれたのが姉妹店のZenである。雰囲気は悪くない。ところがこちらは鍋料理が自慢で懐石料理はないと分かり、家族は失望する。酒なしで懐石料理なんか食べさせられたら堪らないと、運転手の銀髪はホッとする。
妻は自分で蕎麦以外の単品を頼み、懐石に近づけるんだと頑張った。しかし、健闘むなしく揚げ蕎麦は油が浮いていて不味い。文句タラタラである。アルバイトらしき店員たちは、懐石料理屋の仲居さんには遠く及ばず、ファストフード店でアルバイト経験豊富な娘たちが偉そうに批評する。
鴨汁蕎麦、黒ぶた汁蕎麦

もり蕎麦、季節の野菜そば

銀髪はもり蕎麦を頼み、みんなのものを少しずつ味見した。蕎麦は悪くない。蕎麦湯をタップリ飲んで腹八分目で食事を終えた。車の中で家族が寝息を立てても、つられない程度の腹具合だ。
渋滞が少しあったが往路より1時間ほど余計にかかっただけでその日のうちに家に着いた。
シャワーを浴びて、軽いつまみを揃えたのが23時50分。ビールが美味い。飲酒の連続記録は今日もギリギリで途絶えずに済んだ。何はともあれ、メデタシメデタシである。
そばの店 Zen
長野県北佐久郡軽井沢町発地1398-58 72ゴルフ通り
0267-44-6566
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2008年08月06日
[明月庵ぎんざ田中屋本店](銀座)
呑みどころ、そばどころ

「あそこは美味しいですよ」「評判いいですよ」と部下たちが口々に言う。「任せるよ!」の一言で今日の宴会場所が決まった。
メニューを見るとたくさんの酒の肴が書いてある。「お刺身も美味しいらしいですよ」の意見は却下した。わざわざ蕎麦屋で鮮魚を食べることもあるまい。あとは部下たちの言うがまま。
そば味噌、枝豆、旬の魚介の酢味噌和え

お通しはそば味噌。蕎麦屋らしくていい。枝豆は期待通りすぐに出て来た。冷えた枝豆を喜ぶ者もいれば、茹で立てでなければ美味しくないと言う者もいる。割烹ではないので大目に見ようじゃないか。
焼き穴子の胡麻和え、銀鱈、

焼き鳥、にしん

刺身を却下された者が、今度はにしんを頼んだ。そばにつきものの料理だから拒む理由はない。日本酒も1升近くが消費され、だんだんそばを食べる環境が整ってきた。
天婦羅盛合せ、野菜かきあげ

天婦羅盛合せは数種類あり、お好みで組み合わせてもらうこともできる。天婦羅の善し悪しは蕎麦屋の生命線でもある。天婦羅屋さん顔負けの美味しい天婦羅だった。評判がいいのも頷けた。
もりそば、そば湯

そばは二八。つゆは江戸風の濃く辛い銀髪好み。上質の鰹節を贅沢に使うと自慢するだけのことはある。そば湯の器も洒落ている。
何よりも良かったのは蕎麦アレルギーの部下のために、別鍋でうどんを茹でてくれたこと。客への思いやりは料理の質にも繋がる。店の歴史や評判を鼻にかけていないのがいい。
メタボが心配な部下たちが選んだ蕎麦屋だったが、結局は飲み過ぎ、食べ過ぎの晩餐だった。なかなか難しいものだ。
明月庵ぎんざ田中屋本店
東京都中央区銀座6-6-19
03-3571-8228
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2008年08月03日
氷見うどん (富山空港)
日本三大手延べうどん

トップ3や三大〇〇となんでもかんでも上位3つを作りたがる。
うどんでは讃岐うどんがダントツで文句は出ないところ。他に地名がついた有名うどんには稲庭うどん、水沢うどん、氷見うどん、五島うどん、博多うどんなどがある。きしめん、ひもかわ、ほうとうなどもうどんの一種だから、候補に入れろと言う人も居るだろう。
氷見うどんを三つの中に選ぶためには手延べうどんでくくればいいことを思いついた。麺を竿にかけて引き延ばして適当な太さにする製法のうどんは、上記中の稲庭、氷見、五島の3つだけだから簡単だ。手延べと言えばそうめんを思い浮かべる。JAS規格では手延べうどんは直径1.7mm以上、そうめんが1.3mm未満、その間が冷麦と決められてある。
秋田県の稲庭、富山県氷見、長崎県五島列島と手延うどんの産地が全て日本海側というのも面白い。どこが元祖か分からないが、中国から伝わって北前船で各地に広まったという説に頷きたくなる。氷見のうどんは石川県の輪島から製法が伝えられたそうだが、輪島のうどんは廃れてしまった。

氷見うどんは富山空港にある麺処「とみいち亭」でよく食べる。普通のうどんもあるが、せっかく富山に来たのだからと割増料金を払って氷見うどんを食べることにしている。なぜ高いのか疑問だったが、手間暇かかる手延べであると知って納得した。もちろんブランド料も否定できない。
うどんもそーめんもコシを出すためには国内産だけでは難しいため、外国産小麦価格の高騰でどこも苦しんでいると聞く。ところが日本のうどんの起源を辿ると、遣唐使や弘法大師が中国から伝えたという説が有力。米国や豪州などから小麦が輸入されるずっと前からあった日本のうどんはコシのないうどんだったのだろうか。もともと国内産の小麦粉は麺類加工に適したものであるため「うどん粉」と呼ばれた。メリケン粉とうどん粉は違うものと言われる。いったい、どこで何が狂ったのだろうか。
外国産小麦粉が高騰したので各地の名物うどんが食べられなくなるかもしれないなんて、まったく不思議な国である。
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2008年07月25日
[七福](渋谷)
渋谷で人気の広島お好み焼き

暑い!陽が落ちても暑い!こんな時は店を選ぶ気力も湧いて来ない。とにかくビールが飲みたいと思ったところにお好み焼きの看板を見つけた。神様はよく分かってらっしゃる。ビールにピッタリじゃないか。
小さな店だ。2人掛けの小さなテーブルに一度は座った。右隣の女性二人とはメニューで壁を作っているだけ。お好み焼きで口を膨らませては、水で腹に流し込んでいる左隣の若い男二人を見ると胸焼けがする。カウンターに移動した。やっぱりここがいい。
広島菜、とんぺい焼き

座るなりビールを頼んだ。そして広島菜と無造作に告げる。いかにも広島通に見えるじゃないか。続けて「広島出身なの?」と目の前の料理人(店主?)にたたみかける。「友達が…」語尾はよく聞こえなかった。大した問題ではない。ビールをグイッとやる方が大事だ。もう一度グイッ!。落ち着いたところでとんぺい焼きが出来るのを見詰める。鉄板とコテが奏でる金属音が楽しい。
餃子、牛すじ煮込み

自家製餃子の調理が最高に面白かった。多分冷凍と思われる餃子を鉄板に並べる。その上に被せられた蓋をちょっと開けて何と氷を放り込む。水が鉄板に広がらない工夫だろう。勢いよく蒸気が上がる。にんにくが効いた男性的な餃子だった。
自慢の牛すじも悪くない。脂身が多いがコラーゲンと言えば女性も喜ぶ。

店はほぼ満席になった。酒のつまみを頼んでいるのは銀髪たちぐらいで、殆どの人はすぐにお好み焼きを食べたいようだ。鉄板上にいくつもお好み焼きのベースができる。中に放り込む具を見ながら銀髪のところに来るお好み焼きを推測する。あれだと決めたものが他のテーブルに行くとがっかりする。海老もいかもチーズも入っていない、豚肉だけのシンプルなものが我々の頼んだものだ。最後に一枚だけ残った。間違いないと思っても目の前に置かれるとホッとする。焦らされるとさすがに美味しい。

残念ながら本場広島の人気店よりは味が落ちる。しかし料理人と助手のコンビネーションが素晴らしくて感激した。一生懸命働く姿は見ていて本当に楽しい。鉄板をきれいにする作業すら絵になる。カウンターに座って必見の技である。
楽しくて安くて良い夕食だった。外の熱気は少し収まり、夜風が気持ちよかった。
七福
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル2F
03-3463-0456
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2008年07月24日
[満寿家]③(神田)
ふぐの名店はうなぎも美味しい

野田岩本店のうなぎは美味しかった。ここで満足しては銀髪の名が廃るなんて偉そうなことは言えないが、どうしても食べたかった店の名が浮かんできた。ふぐの名店、神田の「満寿家」である。
元横綱北の富士さんに紹介されて訪れ、感動した満寿家は昼にはうなぎを出す。あれだけのふぐを食べさせてくれる店のうなぎである。不味い訳がない。
11時半に店に入った。客はまだまばら。カウンターの中に女将さんが居ないのでちょっと失望した。若い店員がメニューを見せてくれる。値段の差はうなぎの大きさ、量の差。腹具合と相談して2,600円の鰻重にした。日本橋から歩いてきて火照った体を冷ますためビールを頼んだら、茹でたてのそら豆が出て来た。昼も手抜きはない。

ビールを半分ほど飲んだところで調理場の方に立つ女将さんを見つけた。お新香を出す準備をしているらしい。目が合ったので手を振った。滅茶苦茶うれしい。少し間を置いてお新香と肝吸いを持ってきてくれた。女将さんの笑顔とこちらの笑顔がぶつかり合う。冗談が飛び交う。他の客も楽し気に見ている。

質問を繰り出して女将さんを引き止めようとするが、仕事を忘れていない。調理場と客の間を忙しく往復する。いつの間にか席は一杯に。我々を含む第一陣の客たちにうな重が行き渡った。

お重に重なり合うように蒲焼が乗っている。肉厚で何と美味しいこと。もちろん養殖物だが、仕入れる産地は決まってなく、そのときに一番いい物を選ぶと言う。「日本橋のどのうなぎ専門店よりも美味しいよ」と言ったら、女将は自信満々の笑顔を返す。「美味しくなかったらどうしようかと思っていたよ」と告げるとまた笑う。本当に楽しい。
夜の満寿家は、ふぐのない夏場は鱧が主役となる。はも焼き、はもしゃぶなど美味そうだ。カレイ類の最高級魚ホシガレイもあると言う。ふぐがなくても夜はやはり高級店だ。それに比べて昼のうなぎは日本橋の専門店よりも割安に感じた。女将の笑顔は夜と変わらず無料。
神田の満寿家に行くべし。
満寿家
東京都中央区神田鍛冶町3-3
03-3256-8897
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2008年07月23日
[野田岩](東麻布)
創業160余年、一度は食べたい老舗のうなぎ

日本橋高島屋の特別食堂で野田岩のうなぎを何度も食べた。その度に行きたいと思っていた東麻布の本店。ようやく願いが叶った。
蕎麦屋と同様に、うなぎは個室に似合わないと勝手に思っている。椅子席の予約は出来ないので晩飯にはちょっと早い5時半過ぎに飛び込んだ。首尾よく1階のテーブル席を確保。飛騨高山から移築した店の模型の全景を横に見上げる席である。歴史ある店に相応しく着物を長年着こなしている女性たちが忙しく働いている。思ったとおりいい雰囲気だ。

最初は当然ビール。それからもちろん日本酒に移る。おつまみは3種盛り。枝豆、うなぎのそぼろ、平目の昆布締め。うなぎのそぼろは初めて食べた。「何の魚ですか?」と、見れば分かる、食べたら間違いないのに連れが店員を困らせる。調理場に聞きに行って「平目です」と答える。うなぎの箸置きが可愛いので即答できなくても許してあげよう。
志ら焼

何と言っても野田岩の名物は天然うなぎを使った志ら焼(白焼き)。4月~12月までしか食べることが出来ない。「どこで獲れたうなぎですか?」と聞いたら、「この前は霞ヶ浦だと言ってましたけど、聞いてきましょうか?」と曖昧だ。銅製の器の下段に入れられたお湯のお陰で、食べ終わるまで温かい志ら焼は期待通りに美味しかった。産地がどこだろうが関係ない。
蒲焼、鰻重

鰻重も天然物を頼んでいたが、養殖物と比べたくなった。突然のオーダー変更に店の女性が混乱する。こちらも何をどのように頼んでいいのか分からないので話がかみ合わない。すると一番風格のある女性が割って入ってきて、あっという間に話をまとめる。
「どこの養殖物ですか?」の問いに「今日は焼津産です」と間髪いれずに答える。女将かもしれない。店の格とサービスがようやく一致した。
蒲焼は志ら焼と同じ銅製の器で出て来た。老舗の名店が選んだうなぎである。養殖物だって悪いはずがないとの予想は嬉しいことに的中した。鰻重の天然うなぎがどちらかというとあっさり目に感じるが、気のせいかもしれない。それにしてもご飯と一緒に食べると唸ってしまう。確かに野田岩本店は美味いと思った。日本橋高島屋店とは大きな差がある。
入り口のところに10人近くが待っていたので愚図愚図しないで勘定を払って出ることにした。二人で四匹のうなぎを食べたが、お腹は重く感じなかった。もちろんお財布はかなり軽くなった。
五代目 野田岩
東京都港区東麻布1-5-4
03-3583-7852
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2008年07月14日
[山忠](豊橋市、二川)
もうすぐ土用、うなぎ、うなぎ、うなぎ

今週末、7月19日から土用入りとなる。7月24日が土用の丑、街がうなぎの煙に覆われる前でも暑気払いにうなぎを食べたいものだ。
浜名湖に近い豊橋市。うなぎを売り物にする店も多い。
関東風、関西風

山忠では日本の中心・豊橋ならではの関東風と関西風の両方を味わえる。関東風は蒸してから焼くので身が柔らかい。関西風の腹開きでは身が串から落ちてしまうので、関東風は背開きにする。
見た感じ山忠はどちらも背開きにしているようで、関西風とは単に蒸さないで焼いただけのものらしい。
白焼き定食

銀髪が頼んだのはもちろん酒の肴にもなる白焼き。蒲焼はみんなから少しずつ貰って味見した。
肝焼き、生しらす

豊橋は峠を越えるとすぐに静岡県。しらす漁の盛んなところが目と鼻の先にある。思わず頼んでしまったが、定食にもちゃんとついていた。教えてくれればいいのに。
肝吸い、小鉢(生しらす)、漬物、デザートが付いて鰻重(松)が2,300円、白焼きが2,500円。浜名湖が目と鼻の先ならではのご機嫌な価格だった。東京だったら倍の値段の定食になってしまうだろう。
関西風、関東風のどちらがいいか、好みが分かれるだろう。酒の肴であれば焼き魚のような関西風が好きだ。ビールにも冷酒にも合う。ご飯に乗せるなら関東風がいい。箸でハラリと捌ける柔らかさなので、ご飯と絡まりあって口の中一杯に広がる。
平賀源内に踊らされなくても、夏はうなぎが美味い。
山忠
愛知県豊橋市中原町字新瓶焼7-2
0532-43-0665
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2008年07月06日
[アクトシティ・ホテルオークラ 山里](浜松)
一流ホテルはうなぎも美味しい

うなぎの産地偽装がマスコミを賑わしている。洋上で捕らえた稚魚を中国、台湾、日本などで養殖するのだから、DNA的には同じ種類のうなぎなのだろう。どこで育てたかは問題ではないと言いたいところだが、禁止薬物が検出されたとなると話は違ってくる。
母がお中元に鰻を送ろうとしたら、先方から断られたと聞いた。土用の丑が近づいているのに鰻業界にとっては大打撃に違いない。
名前を騙られた幡豆郡一色町は昭和58年から浜名湖を抜いて日本一の養殖場になった。画期的な養殖技術を開発した業者の貢献により鹿児島県が県別ではトップだが、地域別では一色町がナンバー1ということである。しかし知名度は今一つでイラついていたら偽装事件で全国に知れ渡った。吉と出るか凶とでるか。
トップの地位を明け渡してかなり経つのに、未だに浜名湖のうなぎのブランドは絶大である。今でも浜名湖が養殖日本一と思っている人が多いだろう。銀髪だって浜松に来たら鰻を食べなければならないような気になる。
地元の人に食事に誘われ、ホテルオークラの山里に行った。大枚払う覚悟をしてくれていたようだが、銀髪が選んだのはうなぎ。うなぎならもっと他で食べた方がいいと、別の高額な定食を奨めてくれるのだが、こちらはうなぎを食べると譲らない。根負けした相手も、一緒にうなぎを食べることになった。

一口食べ、二口食べて、尚もどちらが先にコメントするか駆け引きしている感じだ。銀髪が先に口を開いた。「さすが一流ホテル。思ったより美味いですね」と言えば、うなぎ通も素直に頷いた。ホテルでうなぎなんてと思っていたはずだ。これを美味しいと言ったら、馬鹿にされるのではないかとお互い警戒していた。銀髪の方がちょっと勇気があった。
うなぎ専門店のように活きうなぎを捌いて、蒸してと本格的に調理したのかは調理場が見えないので分からないが、美味しかったのは事実である。しかし、うなぎが浜名湖産か、それ以外の国産か、はたまた外国産かは知る由もない。そもそも、我々には味の違いなど分からない。いや失礼。銀髪には分からない。
浜松で食べたうなぎは美味しかった。それ以上は詮索する必要はあるまい。
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2008年07月05日
広島つけ麺 [ばくだん屋]&[流行屋]
名物はお好み焼きだけではない

午前中の仕事を終えてタクシーをつかまえた。行き先は「どこか美味しい店へ」だ。運転手さんは考える。「お好み焼きはどうですか?」の声に広島担当の部下の顔が曇る。食べ飽きているようだ。牡蠣の季節ではない。穴子は宮島だと否定される。ようやく出て来た答えはつけ麺だった。
ばくだん屋

ばくだん屋はテレビなどで多数紹介され、広島に10店以上ある。東京には六本木、赤坂、西新宿に、他に福岡、名古屋にも出店している有名店とのこと。銀髪はもちろん初体験。

店員が辛さを選ぶように言うので、銀髪は「口から火が出る」ランクの11倍にしたが、その下のランクの「汗が出る」こともない。20倍以上を食べて褒められればよかったと思った。ただし、辛いのは確かで、味の何たるかは分からなかった。
流行屋

一軒では広島つけ麺の傾向は分からない。今度は下調べをして行った。「広島つけ麺」の名称を約20年前に使い始めた元祖とも言える店が流行屋とのこと。複数の若者が忙しく働く「ばくだん屋」と異なり、店主一人が黙々と倍以上も時間をかけて作る。

こちらの辛さは辛、中辛、大辛の3段階とシンプル。もちろん大辛を選んだがばくだん屋の11倍と似たり寄ったりだった。どちらも辛くて味はよく分からない。
具はチャーシューと茹でたキャベツが共通点。つけ汁にはたっぷりの胡麻。
広島つけ麺の特徴は「辛」にある。瀬戸内の小魚でだしを取るのが基本。だし汁のせいか大辛にしても口の中がヒリヒリするような事はない。今度は辛さを控えめにして味わいたいものだ。もっとも、それでは広島つけ麺と言えないかもしれないが…
いずれにしてもお好み焼きの牙城を崩すのは容易ではなさそうだ。しかし、焼けた鉄板を前にして食べる熱々のお好み焼きは夏向きではない。住み分けするには、辛いつけ麺は格好の食べ物。考えた人は偉い!
ばくだん屋
http://bakudanya.net/
流行屋
広島県広島市中区国泰町1-7-24
082-249-3377
http://www.cusi.ne.jp/hayariya/
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2008年06月30日
[やぶ久](日本橋)
老舗のそば屋はカレーが美味い

「カレーうどんが美味いぞ!」最初に連れて行ってもらったときに奨められてから、「古奈屋」並みのカレーうどん屋さんと決めてしまった。
創業は明治35年というから伝統のある立派なそば屋なのに、カレーうどんでは申し訳ないけれど。
そこで、何か違うものを頼もうと選んだのがカツ丼。んっ?違う? だって同じ値段ならカツ丼の方が親子丼より肉が多くてお得じゃありませんか。んっ?そういう問題ではない?
蕎麦を食べろと言われても、まあ、メニューにあるんだから何を食べるか客の勝手だよね。
そして辿り着いたのがミニカレーうどんとミニカツ丼。これが銀髪にとってのやぶ久のベストメニューである。

カレーうどんは口の中を火傷しないように普通に食べる。カツ丼はご飯が半分残るように慎重に食べる。うどんとカツがなくなったところで、余ったカレーをご飯にかけてカレー丼にする。3種類の食べ方をして、カレーも余すことなく食べ切る。いいアイデアと思いません?
珍しく違うものを食べる気になった。クラブの女性がカレーつけそばが最高と教えてくれた。うどんと飯物に決別して、久し振りに老舗のそばを食うことにした。カレーには違いないけど。

店の名刺代わりのカードには「せまくても こんでいてても いましばし まつたかいあり このそばかな」と書いてある。堂々と言われたら頷くしかないが、確かにこの店は料理が出て来るまで時間がかかる。数人で行って、他の人が食べ終わっても自分のものが来ないなんてことはざら。逆のパターンになって、相手が不機嫌になっていくのを見るのも辛いものだ。だからできるだけ11時を回ってすぐに行くことにしている。
前回、久し振りに行ったときにいつも勘定場に座る店主が居なかったので、「おじいさんは来ないの?」と聞いた。本当は「遂にくたばったの?」と言おうと思ったが下品だから慎んだ。「いらっしゃいますよ」と店員が身内に敬語を使うのが店主の人柄を物語っている。
財布を出したところで後ろに気配を感じた。噂をすれば… アーまだ元気そうだ。軽口を叩かなくてよかったと胸をなでおろした。
カレーつけそばも悪くなかったが、やはりミニカツ丼とミニカレーうどんのセットが一番だ。冷房で体が冷える頃にやってくるので、夏でも問題ない。実に気配りができている店である。
日本橋 やぶ久
東京都中央区日本橋2-1-19
03-3271-0829
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2008年06月24日
[丸善](日本橋)
本屋では有りません。鰻屋さんです。

誰でも日本橋の丸善と言えば本屋さんしか思い浮かばないだろう。日本橋交差点に立つ柳屋ビルの地下2階に鰻屋があることは知っていたが、この店の名前が丸善だとは知らなかった。もっとも読み方は「まるよし」で、本屋とは全く関係ない。
かつては日本橋を代表するビルだった柳屋ビルも今はおんぼろビル。空き店舗が目立つ地下を歩くと気持ちも寂しくなる。そこにある料理屋にはまったく興味がなかった。
ところがある朝、水の入った大きなビニール袋の中をうごめく鰻が店に運び込まれるのを目撃して俄然行く気になった。
日本橋には鰻屋が多い。鰻の養殖は明治時代に深川で行われたのが始まり。鰻の蒲焼は元々江戸料理と言ってよい。後に浜名湖、愛知、鹿児島と最大産地は移っていく。お江戸日本橋に鰻屋が多いのは当たり前の話で高級店も多いが、丸善はいたって庶民的な店である。

お重は1,200円、1,500円、1,800円、2,200円の4種類。見栄を張っても2,200円が上限なのは嬉しい。鰻以外のメニューも多く、専門店というより居酒屋の感じ。生きた鰻を見なければ、今でも鰻を食べたいとは思わなかっただろう。
割り箸の袋を見ると日本橋店の他に三の輪店の電話番号も書いてある。南千住にある三の輪店は持ち帰り専門店で、アド街ック天国でも紹介された人気店とのこと。三の輪店は炭火焼らしいが、ビルの地下にあるためか日本橋店はガスで焼かれているようだ。
隣の人よりも立派なお重でいただいた。器で値段が分かるのが辛い。12時近くになると、常連さんと思える会社員たちが次々に入ってくる。4ランクあるが1,200円でも満足できるのではないだろうか。さらに安いうな丼もある。安くても「通はうな丼を食べる」と気取れば引け目を感じることもない。
出口のレジで2人分4,400円を5千円札で払うと「600万円」と釣り銭を渡された。常連さんには名物おばちゃんとして愛されているに違いない。
三の輪店は昭和10年の創業という。日本橋店もそれなりに古そうだが、老舗の風格はない。
気楽にうなぎを食べられるところがいい。
丸善(まるよし)
東京都中央区日本橋2-1-10 柳屋ビルB2
03-3271-8442
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