2010年03月11日
[おぐ羅 日本橋三井タワー店](日本橋)
日本橋で名店のおでんを

銀座のおぐ羅には2006年9月と2006年10月に訪問して随分と時間が経ってしまった。「休みの日には日本橋の方に行ってるんですよ」と大将から聞いて、すぐに行くつもりがいつの間にか3年。時の流れは早い。
「ごぼうの中に鴨肉が入ったのはあるの?」テーブルに座り、店員に聞いた。「もちろんありますよ」と笑顔。「じゃあ、おでんは後でもらうことにして」とメニューを眺める。「あんまり高いのはないんだね」おでん以外の料理は本店と異なり3桁のものが多い。奨められるまま枠で囲んだ一品料理をまず食べることにした。

お通しに続いてトマトの冷製おでん、次に鶏ワンタン、そして牛すじトロトロ煮込み。本店にはなかったメニューだ。どれもなかなかいける。「熱燗は錫のやかんでやるの?」本店の主人が得意気に注いでくれたことを思い出す。「熱燗の機械を使っています」と店員が申し訳なさそうに笑う。当然だ。錫のやかんは大将の宝だ。

一品料理の中では出汁巻き玉子が秀逸だった。さあ、ぼちぼちおでんにしよう。本店で食べた時に感動した鴨ごぼう。ごぼうをくり抜いて合鴨の挽肉を詰めて蒸してと手の込んだ逸品。日本橋でも食べられるとは幸せだ。本店のちくわぶは巻きが崩れるぐらい煮込んであったけど… あじのつみれ、わかめ、本店を思い出しながら食べる。

しいたけ、大根、海老しんじょ、卵、ぜんまい、すじ、ねぎま。ぜんまいやねぎまはおぐ羅ならではのもの。「今でも大将は来るの?」と尋ねる。開店の時ほど頻繁には来なくなったらしい。安心して任せられるようになったということだろうか。本店とまったく同じというわけにはいかないが、おぐ羅であることは間違いない。

醤油味のおでんでなければ物足りないと言う人も多いが、おぐ羅は銀座やす幸譲りの上品なすまし汁。スープとして飲んでも美味い。リーズナブルに銀座おぐ羅の味を気楽に日本橋で食べられるとは嬉しい限りである。
おぐ羅 日本橋三井タワー店
東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー B1F
03-3516-1775
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2010年02月24日
[近江源氏](新宿歌舞伎町)
凄い肉

「すき焼きが食べたい!」不思議なもので甘いというだけの理由で酒呑みが食べてはいけないような気がしていたすき焼きも、50歳を超えてから時々食べたいと思うようになってきた。ネットで検索した中で最も気を引かれたのが「関西風」を謳う近江源氏だった。
西武新宿線寄りのバッティングセンターの近く、外観は立派なホームページからは予想できなかったもの。三大和牛の一つとも言われる近江牛の一番高いすき焼き(花)が8400円ということを考えれば納得できる。源助の名前で新宿に店を開いて40年、今の地に移転して改名してから16年の老舗である。

個室に入り、すき焼きセットだけの「花」をオーダーする。鍋奉行を務めてくれる仲居さんが持って来た牛肉を見てビックリした。美しい霜降りとは言えない雪のような肉。肉のランクを落としてもらおうかと思ったが許してはもらえないだろう。

仲居さんは大分出身とのこと。銀髪は子供時代を福岡で過ごした。九州のすき焼きも割り下を使わない関西風だ。仲居さんがザラメを肉に振りかけ、酒と味醂を注ぐ。暇な銀髪は冗談を言う係を請け負った。仲居さんが笑った大口を品良く隠したところで肉が焼けた。
火を通すと全部溶けてなくなってしまうのではないかと心配したが、スーッと綺麗な肉の色に変わった。思ったほどの脂ではい。柔らかくて美味しい肉だった。12月には優秀賞受賞牛を仕入れ、テレビで梅宮辰夫が絶賛したことがあるという近江源氏である。心配は無用だった。

2個目の卵が余ったのでカルボナーラ風のうどんになった。それほどたくさん食べたとは思わなかったが、お腹は一杯になっていた。デザートのきな粉のアイスクリームもユニークで面白かった。
脂が多い肉はあまり食べられなくなった。「一番下の雪(4,200円)でも充分ですよね」と言うと仲居さんは同意してくれた。店の人たちはみんな年配者ばかり。銀髪の気持ちを分かってくれる優しい人たちだった。
近江源氏
東京都新宿区歌舞伎町2-39-8 ダーマビル1F
03-5272-2850
http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13009106/
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2010年02月18日
[二合目](渋谷)
湯豆腐が食べたい

無性に湯豆腐が食べたくなった。渋谷駅からトボトボと雨の中を歩いたのに目的の店はなくなっていた。途方に暮れても仕方がない。心当たりの蕎麦屋に向ったら、なんと別のとうふ料理屋が目の前に現れた。幸運の女神に愛されるのは嬉しいものだ。

湯豆腐は3種類ある。「お奨めは?」と聞いたら一番安い安曇野の湯豆腐を奨められた。湯豆腐の他に自家製がんもと湯葉刺しを頼んだ。写真の湯豆腐は1人前(900円)で、昆布と豆腐だけのシンプルなもの。「中が少し冷たいぐらいが柔らかくてちょうどいい」と言われたが、2個目の方がやっぱり温かくて美味しかった。

殆ど水分だがそれなりにお腹が膨らみ、暖かくなった。既に目的は達成されたが、少しハードなものも食べたくなる。がんもが濃厚な味わいでとても美味しかった。追加オーダーしたまぐろサラダの大きさにビックリ。しかし、これも豆腐料理。冷たい豆腐が底上げしていた。
最初に食べるつもりだった湯葉がなかなか出て来ない。豆乳から湯葉を作っていると思うことにした。やっと出てきた湯葉がどこで作られたのか詮索するのは野暮に思えた。

銀髪は精進料理で満足出来るが、若者はつまらなそうだ。豆腐料理以外に力を入れているらしい大山地鶏を頼んであげた。「まだ時間がかかりそう?」と催促して間もなく大きなお皿が出てきてびっくりした。

大山地鶏の岩塩焼きは北京ダック風に食べるアイデア料理だ。ようやく若者の目が輝いた。薬味のマスタードが絶妙なので「自家製?」と聞いたら「市販のものです」と素っ気ない。鶏肉を包む春餅は自家製だろうと思ったら「築地で買ってきました」と正直だ。湯葉はどうだったのだろうか。あらためて想像を巡らした。
がっかりしたのかと言うとそうでもない。渋谷の喧騒から離れた店は、のんびりとしてリラックスできた。店員たちも雰囲気作りに貢献していた。「二合目はどういう意味」と聞いたら「一合目という店の2号店だから」との答え。他の意味もあるようだが、その店員の説明はそれで終った。もっと話を膨らませられるのになー。苦笑いも楽しい店だった。
とうふ料理 二合目
東京都渋谷区神山町10-8 渋谷クレストンホテル 1F
03-3465-0555
http://www.crestonhotel.co.jp/shibuya/restaurant/menu.html
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2010年02月04日
[木曽路]②(名古屋)
料理が変われば、人が変われば

「木曽路を予約しました」と言われて失望した。木曽路が悪いわけではない。もちろん予約した人が悪いわけでもない。初めて行く店の方がグルメ紀行を書きやすいという理由だけで失望したのだ。気を取り直して何を食べるか構想を練った。

「しゃぶしゃぶやっていいですか」と部下が言う。部下がやりたいと言ったしゃぶしゃぶは牛肉ではなく、「い津み」で書いたふぐ刺しによるものである。早速、熱々の注ぎ酒をオーダーした。い津みの2枚引きと比べるべくもないが、薄い刺身でも気分は味わえる。ついでに白子酒も飲ませた。ちっぽけな白子の塩焼きを使った。「油山山荘」でやったような立派な白子の刺身ではないが、それなりに甘酒のようになる。どちらも楽しんでもらえたようだ。

前回の「木曽路」ではしゃぶしゃぶとすき焼きを食べ比べた。「しゃぶしゃぶの木曽路」という理由は良く分かった。今回はすき焼きはやめた。鹿児島産の最高級しゃぶしゃぶはなかなか美味い。追加しようとしたら「安いのと比べてみよう」という声が上がった。安く済むので異論はない。今度は愛媛産。3段階の一番下の肉でも充分美味しかった。

食事はきしめんとラーメンの両方を食べた。どちらも可愛い店員の木部さんが作ってくれる。我々のつっこみや冗談を上手に受けてくれて楽しかった。3年の経験を持つベテランのようだがまだ学生。3月に卒業して店を辞めるというのが残念である。

デザートは見た目も美しい。ところてんは客が自ら押し出すなど趣向も楽しい。銀髪はもちろん味見だけ。前はこんなデザートがあったのだろうか。思い出せない。
銀髪が構想を練る必要はなかった。みんなのお陰で自然に物語は作られていった。木部さんが花を添えてくれたのもラッキーだった。思いのほか、楽しい木曽路だった。
木曽路 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-20-15
052-951-3755
http://www.kisoji.co.jp/
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2009年11月17日
[さ和鳥 茅場町 力々](茅場町)
リーズナブルに本格水炊き

ランチ時に人形町界隈をブラブラしていたら、いい感じの店を見つけた。テレビやグルメ雑誌もいいけれど、銀髪の嗅覚も捨てたものではない。早速客2人を誘って行くことにした。仲間内ならともかく客と一緒なので念のため予約して出かけた。
店に着いて驚いた。駅から離れていて、場所もいいとは言えず、しかも月曜日だというのにほぼ満席。客も中年グループ、若手グループ、女性同士などバラエティに富む。キーワードはただ一つ。安くて美味しいということだろう。
お通し、キャベツ

テーブルには最初から茹で落花生が置いてあった。すぐ出て来るキャベツは余れば鍋に入れればいいやと思っていたのに、I氏がムシャムシャ食べる。足りなくなって鍋のキャベツもムシャムシャ。酒を飲まないので食い気旺盛である。
キャベツならともかく、唐揚げは自分の分は確保した。期待通りで満足した。
唐揚げ、地鶏炭火焼

水炊きが名物なので博多料理が中心かと思ったが、なぜかもう一つの人気料理が地鶏の炭火焼き。宮崎の知覧鶏を使っているそうで、宮崎料理屋で出るものよりはるかに美味しかった。宮崎風の地鶏炭火焼は固いのが常識と思っていたが、考えを変えなければいけないのかもしれない。
鍋、四つ身

鍋は店員と相談して2人前にしてもらった。小さなテーブルに相応しく、鍋も小振り。鍋の具材は丸椅子に置くしかない。スープを飲み、鶏のぶつ切りを食べて、つくね、野菜を放り込む。全部食べ終わったら、追加注文した四つ身(せせり、もも肉、砂肝、ボンジリ)を入れる。さらに野菜も追加オーダーして、足りなくなったスープを足してもらう。もうお腹一杯と言いながら、2人前のちゃんぽんもあっという間になくなった。
17年前に麻布十番に開店し、神楽坂を経て現在の地に移転したそうだ。東京にある水炊き料理の先駆者と自負している。新三浦、華味鳥、玄海など水炊きの名店に比べると店もテーブルも椅子もみすぼらしい。しかし、気軽に食べるなら力々で充分。ご機嫌な店だった。
さ和鳥 茅場町 力々
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-4 第三カネタツビル1F
03-3249-0100
http://www.sawacyo.sakura.ne.jp
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2009年10月19日
[上燗屋 富久](新宿3丁目)
これぞ正統おでん居酒屋

若者で賑わう新宿にも、おじさんたちの憩いの居酒屋がある。扉を開けるとすぐのカウンターも奥のテーブル席も赤ら顔のおじさんたちでほぼ一杯。ちょっと異質の我々に皆の目が注がれた気がしたが怯むことはない。人相風体は違ってもこちらだって堂々たるおじさんである。
入り口近くのテレビの前が空いていた。ビールを頼み、肴を頼む前に店の空気を読むことに集中した。すると連れがカウンターの上に置かれた惣菜を食べたいと言う。「何のおひたしですか?」「つゆむらさき」、「あら煮は何の魚」「お刺身に出来なくなった魚いろいろ」おばさんは一見したところ無愛想だが表情は優しい。無頓着な連れのお陰ですんなり店の空気に溶け込めた。
おひたし(つゆむらさき)、アラ煮、博多鱧の天ぷら

福岡に住んでいた頃はさつま揚げのことを天ぷらと呼んでいた。冷蔵庫から取り出したところで思い出した。熱燗にすべきと思ったが、再び連れの意向に引きづられた。純米酒を頼むと大きなペットボトルが出てきたのには驚いた。
おでん(大根、玉子、ロールキャベツ、しらたき、いわしのつみれ)

「からしはよく効くから注意して」と言うくせに、たっぷりのからしを乗っけてくれる。侮って多めにつけると本当によく効く。さすがに看板料理だけあって美味しいおでんだ。追加を頼むと皿を代えて、再びからしをたっぷり乗っけてくれた。淡白なしらたきには余計に効く。咳き込むのをこらえたら、しらたきの切れっぱしが鼻の奥に逃げ込んだ。
大根の皮、のど黒一夜干

おでんに使う大根の皮をキンピラ風に仕上げた料理。安くて量が多い。普通は廃棄するもので高い値段は取らないところが良心的。別の品を頼んでもらった方が儲かるだろうが、おばさんは意に介していないようだ。のど黒を頼むと「生じゃないよ」と注意してくれる。それは承知の上。値段を見れば大きさも想像できた。冷凍庫から取り出したものだけど、充分脂が乗って美味だった。
堂々たるおばさんと、ぼうようとしたおじ(い?)さんの絶妙のコンビ。ちょっと異質な我々一見さんにも優しく接してくれた。先客たちのように常連になり、一人カウンターに座りたくなるような店だった。
上燗屋 富久
東京都新宿区新宿3-12-4
03-3350-6729
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2009年10月06日
[やまと](銀座)
養豚場直営の豚肉創作料理屋

以前、渋谷の蕎麦屋金王庵(http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1176.html)でしゃぶしゃぶを食べた時、やまと豚の存在を知った。養豚場が経営する店では日本橋コレドにもある平田牧場などが有名だが、やまと豚の直営店は銀座中央通りを歩いていて偶然見つけた。これは行かねばならない。
我々5人が席につくと店員がみんなにメニューを渡す。インターネットでチェック済みの銀髪はメニューも見ずに店員と話し出す。「薬膳鍋を食べたいけど3人前でいいよね。鍋の前にここだけでしか食べられない豚肉料理を出してくれる?」店の女性は心得たもので、候補になる料理を勧めてくれた。
お通し、究極レバーの甲州煮

赤ワインと特製のタレにつけ込んで低温で仕上げたというレバー。焼酎を中心に種々豊富なドリンクメニューだが、躊躇なくワインを飲むことにした。日本食には日本酒を飲むと決めている銀髪だが肉料理中心なら赤ワインが合いそうだ。
ミミガーと水菜のハリハリサラダ、柔らかタンの味噌煮

料理は店の人が取り分けてくれる。2丁目店をランチで利用したが、サービスはあんまり感心しなかった。夜と昼では違うのか、もともと8丁目店の人たちが優秀なのかは分からない。
肉、薬膳不老長寿鍋

美しいやまと肉のバラとロース。平均年齢が60歳を超える今日のメンバー向けに銀髪がアレンジした不老長寿鍋。「中華の薬膳鍋とは随分味が違いますねー」と言うと「和風に仕上げていますので」と応える。しかし「コチジャンと紹興酒が味の決め手」と続けるので首を捻った。まあ、美味しいから突っ込むのは遠慮した。
鍋、うどん

3人前は正解だった。うどんは2人前でいいかと思ったら、5人前が必要だった。みんながたくさん食べたからではなく、1人前があまりに少なかったため。すべて思い通りにとはいかないものだ。
今回は鍋を選んだために食べた創作豚料理はほんの一部。他にも面白そうな料理がたくさんある。今度は2丁目店でも夜に行ってみようかな。
やまと 銀座八丁目店
東京都中央区銀座8-8-5 陽栄銀座ビルB1
03-3574-9751
http://www.frieden-dining.com
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2009年08月12日
[イマドキ](西麻布)
お洒落なもつ鍋屋

これまで西麻布に行った回数は片手にも満たない。外国人やキャパ嬢のイメージが強い六本木に比べると、西麻布はちょっとお洒落な感じがする。芸能人やマスコミ関係者がお忍びで来るような店と思ったら、イマドキの命名者は秋元康とのこと。西麻布のイメージにぴったりだ。
お通し、酢もつ

ドリンクメニューを見ると高価なワインが揃っているのに驚かされる。お通しは枝豆とカニのゼリー寄せで、居酒屋とはちょっと違う。もっとも、焼酎や日本酒のメニューを見て、さらに料理のページに目を移すと安心する。「お奨めは?」との質問に「酢もつ」とくればグッと親しみが湧いてくる。新宿や渋谷にあるもつ鍋屋と変わらない。
和牛レバー刺し

若くてやさしい男性店員のイチオシが和牛レバー刺し。生肉、特にレバーを食べれば店のレベルが分かる。なるほど奨めるだけある。
8時を過ぎても客はまばら。平日は午前3時、週末は5時までやっている店だ。混み合うのは日が替わる頃かもしれない。今居る客の中で会社員風なのは銀髪ぐらいだ。先入観が満たされる。
もつ鍋

「看板料理はもつ鍋ですよね?」事前に調べて来たにもかかわらず、店の雰囲気に気圧されて思わず聞いてしまう。店員はやさしく頷き、白のもつ鍋を奨めてくれた。本場の福岡を始め、あちこちで食べたが、白味噌を使ったもつ鍋は初めてだ。女性が好みそうなちょっと甘めの味付けだった。
野菜は煮えると量が少なくなり、すぐに腹の中に納まったので野菜だけ追加注文した。
最後はちゃんぽん麺。煮くずれしないしっかりとした麺だ。お洒落な店でも、食べるものは他のもつ鍋屋と変わらない。値段も大差ないとしたら行く価値がある。
ちょっとお洒落なイマドキのもつ鍋やさんである。
イマドキ
東京都港区西麻布2-25-19 バルビゾン28 1F
03-5466-3899
http://imadoki.jp
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2009年07月27日
[ちゃんこ 川崎](両国)
夏はちゃんこが狙い目

「うなぎにしようか?」と銀髪。「いいですねー」とみんなの賛同を得たものの、老舗の名店は1週間先まで予約が取れない。なにも平賀源内の策略にはまることはない。元々脂っこいうなぎは夏には売れなかったものだ。
発想の転換が必要である。老舗料理屋でも季節外れのものを捜せばいい。ちゃんこ料理の老舗・川崎に電話したら難なく予約できた。名古屋場所で相撲関係者も東京を離れている。4部屋しかない川崎の予約を取るのはシーズン中は大変だ。今がチャンスである。

4,900円のコースがスタートした。鶏みそ、枝豆でスタート。「ここのもつ焼きは砂肝だ!」とHさん。「いや、真ん中はレバーだよ」「オウッ!心臓もある」我ら6人は評論家ばかり。全部食べて3種類のもつが一串に刺さっていることが分かった。

もも焼き、つくねと続く。ちゃんこの前座ぐらいに思っていたが、焼鳥がこれほど美味いとは思わなかった。

「だから秋田の高清水なんだ」川崎の創業者の四股名が横手山と聞いてHさんが解説する。枡の香りがする冷酒には塩がつく。「日本酒に合いますよ」と出された三つ葉。なるほどその通り。

サラダか鳥わさが選べる。銀髪は鳥わさを選んだ。鶏肉はどれを食べても美味い。

川崎のちゃんこ鍋はソップ炊き一種類だけ。「ソップは鶏がらのこと。だから痩せ型の相撲取りをソップという」とHさん。本当に物知りだ。鶏がらの出汁に隠し味程度の醤油を加えただけというシンプルなスープ。ソップとはオランダ語でスープのことらしい。素材の旨味を最大限に活かす鍋である。もつが放り込まれたところで遅まきながら気がついた。いい鶏肉を使っているから焼鳥も鍋も美味しいのだ。

鍋に入っていた野菜は4人前。「残りの2人前も追加しますか?」 野菜を食べ終わったら「雑炊はどうしますか?」我々の応えはいつもイエス、イエス、イエス。店の人が気遣ってくれるが、年配者はよく食べ、よく飲み、よく喋る。帰り際に立ち話をすると店の人も同意見だった。年配者の方がよく食べる。酒量もわきまえている。若者より元気がいい。
昔と違って今はエアコンが効いている。バランスが取れたちゃんこ鍋は栄養もあり健康にもいい。「夏はちゃんこ鍋に限る!」と言ってブームになったら、銀髪も平賀源内になれるかもしれない。
ちゃんこ 川崎
東京都墨田区両国 2-13-1
03-3631-2529
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2009年06月21日
[海ぼうず](静岡)
大満足の静岡おでん丼ぶり

最初に静岡駅に降りて以来しばらくは、新幹線の改札を抜けてまっすぐ進んでアスティ西館に入っていた。マクドナルド、銀座ライオン、そじ坊、日本海庄や、万豚記など東京でも馴染みの店が多い。静岡らしい店は待月楼ぐらいしかなく、実につまらない駅だとずっと思っていた。
改札の裏手に東館があることを知ったのは静岡に10回以上来てから。いつも駅を離れて食事をしていたが、偶然東館にも食べ物屋があることを知った。我ながら情けなくなってしまう。西館の店に比べるとみすぼらしいが郷土色があってとてもいい。
東館では駿河湾の魚や地元の酒、そして静岡おでんを食べることが出来る。海ぼうずは静岡おでんと串焼きの店。海ぼうずのレトルトパック入りの静岡おでんは西館のお土産屋でも売っている。他の店で生しらす丼を食べるか迷ったが、海ぼうずで静岡おでん丼ぶりを食べることにした。

普通はメニューの方が立派だが、この店は実物の方が上。写真を見て期待が低かっただけに、すごく美味しく感じた。部下は大盛りを頼んだ。30円高いのはご飯だけ増量のはずだが、おでんも量が多いように感じる。己のひがみ根性を反省する。

「美味しいですねー」嬉しそうに部下が言う。「こんなに美味しいとは思いませんでした」と続ける。静岡担当の部下は数十回静岡に来ているのに、静岡名物を教えるのはいつも銀髪の役目だ。食べ慣れたものしか口にしない人を変わり者だと思っていたが、変わっているのは銀髪の方かもしれない。
「ご馳走様でした!」と勢いよく言われてちょっと気恥ずかしい。630円でこんなに喜んでもらえるとは有難い。
静岡駅で降りたら、是非東館に行ってほしいものだ。但し、「美味しいものを食べるための2箇条」を決して忘れないでほしい。
1. お腹を空かせること
2. 期待しないこと
これを守れば必ず満足するはずだ。
海ぼうず アスティ店
静岡県静岡市葵区黒金町4 静岡駅ビル アスティ
054-202-1500
http://www.shouetsu.co.jp
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2009年05月28日
[やす幸](銀座)
銀座老舗のおでん

順番が逆になってしまったのがずっと気になっていた。銀髪が行った中ではナンバー1と思っているおでん屋「おぐ羅」 の主人が修行した店が「やす幸」とのこと。行こう行こうと思いながら果たせずにいた。
機会は偶然やってきた。大阪からの客人と会ったのが5時前。この時間に開いており、まだ行ったことがない有名店は限られている。客と世間話をしながら頭の中をフル回転しているとやす幸の名前が浮かび上がってきた。やす幸は4時からやっている。思った通り早い時間なので予約なしでも入れた。
お通し、牛タン酒蒸し

刺身、海老しんじょ

「今日はかつおがお勧めですよ」と言うので「それじゃ、お任せで少しずつ盛り合わせてください」と造ってもらった。「これがかつおですか?」と客が聞くのも無理はない。かつおにしては色が鮮やか過ぎる。盛られているのはメジマグロ、アオリイカ、スズキと言われてずっこけた。
牛タンの酒蒸し、海老しんじょはなかなか良かった。早い時間でないと売り切れてしまうようだ。メニューにくさやがあるのは老舗らしい。頼もうとしたら客が嫌がるので止めにした。日本酒は黒松白鹿の一種類のみ。燗をつけているのが3代目と聞いて冷酒から燗酒に切り替えた。すずの薬缶から燗酒を注いでもらう。おぐらの大将を思い出した。
大根、玉子、袋、キャベツ、三つ串、わかめ

大玉、すじ、あじつみれ、ゆば

大阪の客人がすじを頼むと、関西訛りを聞き取った店員が東京では「牛すじではありませんよ」と言う。銀髪も牛すじと思い込んでいたが、指摘されて思い出した。白身魚のすり身にサメの軟骨を混ぜたものが関東のすじである。
板場の空気がピンと張り詰めたのを感じた。銀髪の目の前を左から右に貫禄満点の人が歩いていく。「誰、あの人?」と若い板さんに聞いたら2代目とのこと。おぐらの大将の師匠なのか兄弟子か。古くからの従業員が多いのは、2代目の力なのかもしれない。
澄んだおでんの汁などおぐらがやす幸で学んだものは多い。しかしおぐらの大将は創業者であるだけにメニューをどんどん進化させることができたようだ。
3代に渡って伝統を引き継ぐのも大変なことだ。昔からの常連さんがいつ行っても安心できる店、それがやす幸のいいところなのだろう。
やす幸
東京都中央区銀座7-8-14
03(3571)0621
http://www.ginzayasuko.com/
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2009年04月22日
[鉄板鍋一蓮](渋谷)
女性に人気のコラーゲン&ヒアルロン酸ジュレ鍋

渋谷駅前を歩いていたら若い女性がグルメガイドを配っていた。一度は通り過ぎたものの、かわいそうだから貰ってあげた。パラパラめくると「鉄板鍋」の文字が目に入った。見たことも聞いたこともない。じっくり読むと「クーポン特典4,500円→2,950円」とある。これに負けた。
店内は若い女性ばかりで半分が埋まっていた。銀髪に場違いのような雰囲気に臆しながらもカウンター席に落ち着く。店員にグルメガイドを開いて見せると「たった500円の追加で6,000円の豪華満足コースに出来ます。内容は………」ろくに説明を聞かずに承諾した。
お通し、サラダ

ナムルとキムチの盛り合わせ、海鮮チヂミ

鍋に行き着くまでにお腹一杯になりそうで心配した。海鮮チヂミを半分食べたところで店員を呼んだ。
鉄板鍋

鉄板の中央に穴を開けたような初めて見る鍋。周りに盛った野菜を穴の中に崩しながら食べるように説明を受けた。コラーゲンの玉とヒアルロン酸ジュレが溶けてしまったところに牛肉をしゃぶしゃぶする。途中まで食べた頃に豚肉ときのこ類が出てきた。
我々と同時に食べ始めた左隣の女性二人は苦もなく食べ切ってしまいそうだが、我々は一生懸命譲り合った。殆どなくなったところで店員を呼ぶとうどん、きしめん、おじやを選べると言う。
おじや、杏仁豆腐

写真を撮って味見するだけのつもりが、おじやは美味かった。食べ尽くすと鍋の形状があらわになる。なかなか面白い鍋料理だった。
店は満席になっている。宴会をやっている10人ほどのグループに数人男が混じる以外は全員が女性。あらためてグルメガイドを見ると「美食ナビ こだわり東京OLのおいしいグルメマガジン」となっていた。
インターネットでも割引クーポンが手に入る。コラーゲンと割引クーポンの威力は絶大である。まあ、定価で食べる人はいないだろうな。
鉄板鍋一蓮
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー3F
03-5489-6262
http://www.ichiren.jp
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2009年04月11日
[らん月]④(銀座)
最高級のハンバーグ

久し振りの銀座らん月。何度も来ているので書くことはないだろうと思っていた。ところがどっこい、新商品開発を常に心がけ、老舗の名前に安住していないから偉い。
「俺はダイエット中だから」と言いながら、K氏はいつものように次々にオーダーする。最後に「ハンバーグ、ビーフカツ」と言うので耳を疑った。しゃぶしゃぶ、すきしゃぶと2種類の鍋がメインで、前菜が洋食メニューとは想像を絶する。
プレミアムビーフカツ

ビーフカツにしては柔らかい。まるでメンチカツのようだ。単純に牛肉に衣をつけてあげたものではなく、薄切り肉を重ねたものだった。いわゆるキムカツやミルフィーユカツの牛肉バージョンである。
プレミアムハンバーグ

これは美味い。口の中でとろけるハンバーグなんて食べたことがない。ステーキもしゃぶしゃぶ肉も赤いところがあると絶対食べないK氏が喜んで食べているので、「中は生ですよ」と言うと驚いたような顔をする。目や脳ではなく舌のほうが味を正確に判断する。でも、次回は「しっかり焼いてくれ」と言うんだろうなー。余計なことを言ってしまった。
すきしゃぶ

ビーフカツとハンバーグを分け合って食べてすきしゃぶに移った。鍋奉行はしゃぶしゃぶなんてやらせてくれない。「これじゃあ、すきしゃぶではなくすき寄せだ」といつものように銀髪が皮肉る。すきしゃぶもすきやき風のタレを使ってしゃぶしゃぶのように食べるらん月のオリジナル商品。すっかり定番メニューに定着した。
もっとハンバーグを食べたくて、らん月のホームページを見た。なんとランチの定食セットで4,0000円もする。高級牛肉を、注文を受けてから包丁で叩いてミンチにするとのこと。とろけるような美味さの理由が分かった。ハンバーグというようりタルタルステーキの表面を軽く焼いたものと思った方がいい。ビーフカツは4,500円。いずれにしても気軽にランチで食べる値段ではないのが残念だ。
銀座らん月
東京都中央区銀座3-5-8
03-3567-1021
http://www.ginza-rangetsu.com/
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2009年04月10日
[彦まる](神田)
極上だしの静岡おでん

「すいません、8時から予約が入っているのでゆっくりできませんが…」我々に与えられた時間は1時間弱だが既に好ちゃんでほぼ出来上がっているので問題ない。カウンターに座る前におでんの鍋にカメラを向けた。真っ黒な汁と串が静岡おでんらしい。

「隣で食べてきたから少なめにね」と頼む。同行したYさんがこだわる黒はんぺんを各人に1枚ずつ、あとは白もつ、ねぎまぐろ、すじ、大根を盛ってくれた。お通しの茹でピーナッツを挟みながらおでんを食べる。
ビール、ホッピー割り、マッコリと飲んできたが、おでんに合わせて日本酒に移った。

おでんを食べながら「これって美味しすぎないかい?」と言うとヒゲの店長が「だしを取る肉が違いますからね」と笑う。当初ホルモン焼きの「好ちゃん」だけでは肉を使い切れなかったので、静岡出身の元総料理長がおでん屋を思いついたとのこと。肉の良さはさっき食べて証明済みだ。
カウンターからだしとなるグツグツと煮える白濁したスープが見える。「開店以来注ぎ足しながら使っていますが、地元の老舗の味にはまだ勝てませんね」と謙虚だ。
「静岡といえば桜えびだよなー」Yさんが桜えびの話を続けていると、小鉢が出てきた。「築地に納める業者から直接仕入れていますから」と生の桜えびを出されてYさんが感激した。
ちょっと食べて出るつもりが、Yさんは既に日本酒を3杯目。銀髪も付き合って2杯。

「最後に何かお奨めは?」と聞くと「静岡おでんと串揚げの店ですから」と言うので、お任せで揚げてもらった。もちろん主役は黒はんぺんのフライ。おでんとは違った味わいだ。
予約の客で席もほぼ埋まり店長と話す時間もなくなってきた。彼と楽しく話すのも8時が限度のようだ。好ちゃんのグループ店の若者たちはイタリアンやフレンチの料理人が多いと言う。オーナーは少ない資金で開店できるホルモン焼き屋からスタートした。好きちゃんは3店舗に増え、彦丸も人気店となった。昨秋にイタリアンのタッタボッカを開店、若者たちの希望も膨らんでいることだろう。
彼らの明るく元気な姿を見ていると、応援したくなるじゃありませんか。
情熱厨房 彦まる
東京都千代田区神田1-11-10
03-3291-7010
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2009年03月31日
[盛風力](人形町)
今も変わらず人気の塩ちゃんこ

銀髪の顔を見てすぐに「お久しぶりです」と女将さんが言う。「覚えているの?」と銀髪。約6年ぶり、いや最後に来たのはもっと前だったかもしれない。開店当時は頻繁に通ったものだ。やがて予約なしで入るのは困難になり、銀髪の事務所移転で足が遠のいてしまった。
お通し、刺身盛合せ

相変わらず店は賑わっていた。中高年の会社員グループが多いのは、酒や肴が豊富でリーズナブルに腹が膨らむことを証明している。
かつてはあまり見かけなかった女性だけのグループもいる。美味しいを連発している彼女たちもコストパフォーマンスには敏感である。もちろん男たちより味に厳しいは女性だ。
軟骨揚げ、力士風スタミナみそ、空豆

にんにく風味の力士風スタミナみそも懐かしい。きゅうりなどにつけて食べるのが普通だが、これだけで酒はいくらでも飲める。
塩ちゃんこ

二人で食べるなら一人前で充分なボリュームがある名物ちゃんこ鍋。3~4人で来たときは塩と味噌の2種類の鍋を一人前ずつ頼んで味比べをしたものだ。
柚子胡椒、椀

小皿に取り分けて、卓上の小さな器の蓋を開けて思い出した。銀髪が鍋料理に柚子胡椒を使うことを覚えたのが盛風力だった。一番人気の塩ちゃんこ鍋と抜群の相性である。今では柚子胡椒を薬味として出す店が増えた。さすが食べるのも仕事の相撲取りは進んでいた。
押尾川部屋元十両盛風力が料理人として腕をふるう。出産、子育て、店の手伝いと大車輪の女将は、若いときよりきれいになったように思う。実に結構である。
冬場は予約なしではまず入れないが、夏場になると少し暇になるそうだ。冷房のきいた部屋で熱々のちゃんこ鍋を食べるのも悪くない。これからが狙い目である。
相撲茶屋 盛風力
東京都中央区日本橋人形町1-15-1
03-3808-1134
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2009年03月11日
[米新](新宿歌舞伎町)
肉屋のすきやき

歌舞伎町を歩いていたら「すきやき・しゃぶしゃぶ 特上4,200円→2100円」の看板に目が止まった。「そんな馬鹿な…」と通常なら通り過ぎるところだが、入り口の横にある肉のショーケースを見て迷った。人形町の日山や今半、京都のモリタなど精肉店が営む飲食店は安くて美味い。意を決して店に飛び込んだ。
店はきれいとは言い難いが、老舗の風格と思えないこともない。中央のコンロが手動で上下するテーブルは、今では買えないような年代物である。もちろん特上4,200円(実際は半額)のすきやきを頼んだ。他の料理を頼もうとしても、すきやきの注文を受けただけで店員は消えた。大概の客は半額セールの物だけ食べて帰るのかもしれない。

可愛い店の女性が鍋に野菜を入れ始めた。一人前2100円にしては立派なサービスである。鍋の半分が野菜で埋まったところで肉を入れて、割り下を注いだとろこで後の調理法を伝えて去って行った。最後まで面倒を見てくれるわけがない。期待する方が間違いだ。

馬刺し数切れを刺し身で食べ、残りを鍋に入れた。メニューには豚肉や合鴨も載っているが、肉の追加はしないで他の料理を食べることにした。5種類のソーセージ、牛タンの塩焼きで酒を飲んだ。

店は半分ほどの入りだが、店員たちは忙しそうだ。入り口に作りかけの弁当がたくさん並んでいた。歌舞伎町にある麻雀荘やクラブからのオーダーを待っている。数千円の弁当が出ることはなく、殆どが1,000円前後。リーズナブルな店で、来店客だけでなく多くの歌舞伎町の遊び人たちに支えられている老舗だった。
すきやき 米新
東京都新宿区歌舞伎町1-16-12
03-3209-4864
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2009年02月26日
[みの家](新宿御苑前)
桜鍋は東京名物?

「すき焼きを食べに行こう!」銀髪に任せると何を食べさせられるか分からないと慎重な相手を安心させた。新宿通りから一本新宿御苑寄りの路地にみの家はある。下調べをして来なければ見つけられないし、見つけても入るには勇気がいる。静かな佇まいの前に立ち、すき焼きの名店と言われたらそれなりに期待は膨らんだようだ。
店に入り座敷に上がる。外も古いが中も古い。美しいとは言い難い。先客がつついている鍋を見ると、あんこう鍋の「伊勢源」、鳥すきやきの「ぼたん」、どぜうなべの「駒形どぜう」などの老舗江戸料理屋を思い出す。勘の鈍い人でも普通のすき焼き屋でないことに気付く。桜の花模様のメニューを見て観念したのを見て笑ってしまった。してやったりである。
たてがみ、桜肉の刺身

刺身の種類は少ない。メニューの筆頭は桜鍋、次が桜肉のロース鍋で馬刺しはあくまで鍋の脇役でしかない。生卵は好き嫌いがあるので有料。明朗会計である。

赤身とロースを1人前ずつ頼んで味比べをした。牛肉のすき焼き同様に割り下を使うものの、味噌が乗っているのがちょっと違う。これが江戸風である。

中心の脂身以外は殆ど赤身。煮たら固くなるかと思ったら、柔らかくて食べやすい。

肉以外は麩とねぎとしらたきでシンプルだ。小さな鍋の中身はすぐになくなった。馬肉と聞いて怯んだ相手も喜んで食べた証拠である。肉だけ追加して最後はうどんにした。

馬肉は熊本のイメージが強くなってしまったが、みの家のものは青森産。東北の馬食文化の方が熊本より歴史があるようだ。もっともさくら鍋は東京名物である。新宿店もなかなか風情があるが、やはり森下の本店に行かなければおさまらない。文明開化の時代にワープできるかもしれない。
みの家 新宿店
東京都新宿区新宿2-1-14
03-3354-4518
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2009年01月21日
[黄金屋](渋谷)
行列が出来るもつ鍋屋

本当は違う店に行く予定だった。電話を入れたところ、「今ならまだ大丈夫ですよー」と言うだけで名前も電話番号も聞かれない。席がなくなるかもしれないと急いで歩いていると別の店から声をかけられた。新宿店に飛び込みで行って断られ、電話予約もなかなかできなかった黄金屋の渋谷店である。この機会を逃す手はない。
お通しキャベツ

もつ焼き屋定番のお通しは生キャベツ。特製の味噌をつけて食べる。ヘルシーで好きなお通しだが、ちょっと芯が多いような気がする。
注文をするとキッチンにいる白人男性二人が復唱する。料理を運んで来るのは韓国人だろう。都内に7店舗展開できるのも外国人労働者のお陰だ。
酢もつ、牛タン

もつ鍋屋の定番メニュー1番目に必ず来る酢もつ。黄金屋も店の名物と言う。銀髪ももつ鍋屋でいつもオーダーする。各店で微妙に味が違い、黄金屋は酢が抑え目でいい。
フォアグラ風という柔らかく煮た牛タンが酢もつと並ぶ名物料理とのこと。2品を美味しく食べているうちにもつ鍋が食べ頃になってきた。
もつ鍋醤油味

カロリーや脂質は少なめで、ビタミンやコラーゲンが豊富なもつは女性にも人気だ。予約が取り辛い店だというのも納得できる鍋である。
もつを食べ、野菜を殆ど食べたところでお通しのキャベツも鍋に放り込んだ。具を食べ尽くしたところで特撰ちゃんぽん麺を頼む。これで満腹。なかなか良かった。
それにしても隣席のカップルの食欲は凄まじい。黄金屋名物の各種料理やもつ焼きを食べた後に揚げ物が運ばれてきた。これから鍋もやってくるはずだ。
いつの間にか店は満席である。店の入り口の椅子には我々が去るのを喜ぶ客が座っている。店を出たところに客引きはもういなかった。
博多もつ鍋と炭火ホルモン焼き 黄金屋
東京都渋谷区道玄坂1-3-11 1番ビルB1F
03-5728-8600
http://www.koganeya.net/
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2009年01月13日
[木曽路](名古屋)
木曽路はしゃぶしゃぶの店

全国に100店以上を展開している木曽路、「とりかく」や「素材屋」など別形態の飲食店を擁し東京証券取引所に上場している。立派な店で味も保証付きと言いたいところだが…
名古屋の木曽路に行くのは2度目、前回は会席料理を食べた。東京でも何度か行ったことがあり、いつもしゃぶしゃぶを食べていた。ところが昨年、松阪の和田金、人形町の日山、渋谷の松木、丸の内ビルのモリタ屋などですき焼きの美味しさを再認識した。この日は4人居たのですき焼きとしゃぶしゃぶを2人前ずつ頼んでしまった。肉は一番上の和牛特選霜降り肉である。
ふぐ刺し、刺身盛合せ

肉料理だけではなく様々な料理がある。他の人たちが頼むに任せた。食べたい物を食べてくれればいい。銀髪は少しだけ味見させてもらった。

美しい霜降り肉が二皿やってきた。地元の人に「木曽路の肉はすべて飛騨牛だ」と説明されたが、仲居さんに聞いて勘違いと分かった。それでも立派な国産牛であることは間違いない。しかし、二皿の肉は同じように見える。すき焼き肉は厚めに切り、しゃぶしゃぶ肉は薄くて脂身が多いのが普通だが、木曽路はどちらも同じと聞いてちょっと驚いた。
木曽路のすき焼きは関東風に割り下を使う。すき焼きの名店では肉に薄くからめながら焼いてくれるが、木曽路では仲居さんが数枚を焼いてくれた後、割り下をドボドボと注ぎ入れてセルフサービスになった。

牛肉はしゃぶしゃぶ向きであることは明らかだった。すき焼き鍋では縮れて切れてみすぼらしい。歯応えもなく火を通すとあまりに貧弱な肉に見える。しゃぶしゃぶにすると、ごまだれに良く絡み、するりと喉を過ぎて行く。
地元の人が奨めてくれたように、5,000円くらいのコースにすべきだった。もちろんすき焼きではなくしゃぶしゃぶコースである。看板には「しゃぶしゃぶ・日本料理 木曽路」となっていた。なるほど、そういことか…、と後で気付くお粗末でした。
木曽路 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-20-15
052-951-3755
http://www.kisoji.co.jp/
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2009年01月09日
[ちゃんこ屋 六福](赤坂)
カレー鍋はいかが?

羽田空港から車を飛ばして六福に30分遅れで店に入った。「今、始まったところですよ」と幹事役が嬉しそうに手を振った。もともと欠席の予定だったので、ドタキャンの一人分を銀髪が埋めることになった。幹事役が喜ぶのは無理もない。幹事さんは大変だ。
我々のグループが占拠した中央の大きな正方形のテーブルには、食べ散らかされた皿が並んでいた。生ビールがやってきたところで乾杯!最初に来た人は何度目の乾杯だったろうか。グラスがぶつかり合い、笑顔が弾けた。
鳥たたき、揚げゴボウ

まるでカウンターに座っているよで、一つの皿に箸が届くのは3人まで。テーブルが大きすぎるので向かいに座った人と話すには大声を出さなければならない。それでもみんなの顔が見えるのは悪くない。
六福には4種類の鍋がある。人数が多いため4種類全てを頼んで試食したいと思うのは当然である。ところが主に食べたい物を聞くと全員がカレーに手を上げた。カレーちゃんこと塩ちゃんこを交互に置くことでみんな妥協した。トマト鍋と薬膳鍋は葬り去られた。
塩ちゃんこ

黒カレーちゃんこ

幹事の案内ではカレーちゃんこが名物と書いてあったので、銀髪もカレーに手を上げた。しかし、メニューの最初にあるのは塩ちゃんこなのが不思議だった。通常、看板料理が最初に来るからだ。
実際に食してみると、確かに塩ちゃんこの方が美味い。黒カレーちゃんこも悪くないのだが、国民食のカレーには誰しも一過言を持っているから難しい。自分流に味付けした我が家のカレー鍋の方が美味いかもしれない。
おじや

残ったスープにごはんとチーズを入れてリゾット風に仕上がった。単純に白いご飯で食べたがる人も多いだろう。辛さを加える香辛料などがもっとあれば良かった。カレー談義は尽きない。
賑やかで楽しい食事会だった。何よりのご馳走は久し振りに会った昔の仲間たちの明るい笑顔。どんな美味しい料理もかなわない。
ちゃんこ屋 六福 赤坂店
東京都港区赤坂2-14-28 鳳月堂ビルB1
03-3560-1850
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2008年12月26日
[安兵衛](日本橋室町)
冬はおでんで決まり!

日本橋三越を越えて神田方面に歩くと路地の向こうに飲み屋が見える。いつか行きたいと思いながら、果たせなかった店が安兵衛である。銀座の高級割烹もいいが、のん兵衛にとっては路地の古びた店は抗しがたい魅力がある。やすベー、いい響きだ。
機会は突然やってきた。客を迎えに行ったらダブルブッキングで宴席がキャンセルになった。嘆いてはいられない。すぐに安兵衛のことが頭に浮かんだ。部下と一緒に早足で歩く。ドアを開けて店内を見回すとまだ半分ぐらいの入り。ヤッタネ! おでんのカウンターに真っ直ぐ歩いて行った。
お通し、おでん

頼んだ料理が出て来るまで、目の前のおでんを少し貰うことにした。銀髪は大根と玉子。部下は大根とはんぺん。「崩れてしまっているから」と部下の皿に大根が1つ余計に入った。銀髪は不公平にむくれたりしない。すかさず半分取り上げて口に運ぶ。口の中ですぐに溶けてしまった。あー美味しい。
鳥の唐揚げ、玉葱の天ぷら

部下が頼んだ2品は少しだけ口にした。脂っぽいものが出てきたら怯んでしまう。「お前も、そんなに若くないんだぞ」と言いたいところだが、止めにした。残ったらもったいない。気持ちよく平らげてもらおう。
赤むつ

割烹らしいものを頼もう。高級魚の煮付け3,000円が一番高い料理。「頭と尻尾、どっちがいい?」と優しい銀髪。「尻尾の方がいいです」と答える可愛い部下。あー幸せ。

最後はおでん。隣に座った3人組は酒もそこそこにおでんばかり食べている。いつの間にか目の前の鍋は半分以上なくなっている。振り向くとテーブル席も満席。熱燗も7本飲んだので、ぼちぼち席を空けてあげよう。稼ぎ時にダラダラしていたら店に嫌われる。
安兵衛は昭和5年創業の店。割烹というより居酒屋の方が似合っている。料理は男っぽく、店の雰囲気も男の世界。パッと見は小さな店だが、総席数が100席もあるので大きな宴会も可能だ。カウンターから見える調理場が大きいのも頷ける。
気楽に食べて呑んで、おやじたちには都会のオアシスである。
割烹 安兵衛
東京都中央区日本橋室町3-2-13
03-3241-2855
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2008年12月16日
[モリタ屋](丸の内)
京都肉屋さんのすき焼きは美味い!

「魚より肉がいい」と女性陣からの意外な要求。男どもより女性の希望が優先であるが、一人鶏肉が食べられない奴がいる。豚より牛肉の方が喜ばれるのは間違いなく、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキと選択肢は多い。仲居さんが取り分けてくれる店がいいけれど、銀座では予算が合わないので頭をかかえた。
ネットでようやく見つけ出したモリタ屋は丸ビルにありながら最高価格が11,550円。少し不安だがもともとは肉屋だというのが決め手になった。35階の皇居が見える席に7人が揃った。オーダーしたのはすき焼き4人前、しゃぶしゃぶ3人前。卵やごまだれ、ポン酢だれは7つずつ用意してもらった。
先付け(五種盛)、和牛たたき、和牛刺身

先付けの後はたたきか刺身を選ぶ。ばらばらに頼んで味見をした。どちらもきれいにサシが入り、美味しい。店の選択に自信が出てきた。
すき焼肉、しゃぶしゃぶ肉

厚めのすきやき用の肉、薄めのしゃぶしゃぶ肉、どちらも美しい。みんなの目が一層輝いてきた。仲居さんがすき焼きなべにざらめを敷いて、肉を乗せた途端に甘い肉の香りが我々を魅了した。
すき焼き

これは美味い!味の記憶が薄れてしまったけれど、人形町「日山」や松阪「和田金」よりも美味しい気がする。一人分2枚で150gというボリュームを感じさせない。すき焼き派の4人から分けてもらったのが申し訳なく、いやいや、もっとすき焼きを食べたくて肉を追加した。

しゃぶしゃぶがかすんでしまった。野菜も豆腐もしらたきも、すき焼きが美味い。しゃぶしゃぶの鍋は退場してもらって、うどんもすき焼き鍋に入った。
モリタ屋は明治2年(1869年)創業、牛肉の卸・小売に始まり、昭和50年に直営牧場を開設、レストラン経営へと進んだ。京都四条猪熊の本店のメニューを見ると、丸ビル店より遥かに安い。京都和知牛の美味さを堪能できる価格設定だ。
丸ビル店で余計に払った夜景代が惜しくなった。景色なんてすぐに飽きてしまうので、どうせなら肉代に費やすべきだったと後悔した。
モリタ屋
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング35F
03-5220-0029
http://www.moritaya-net.com
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2008年11月27日
[松木家](渋谷)
渋谷で老舗の東京風すきやきを

道玄坂を上がり交番前から右に折れて神泉方向に少し歩くと右手に松木家のビルがある。通りから見えるのはショットバーで、短い階段を上がってドアを開くと店の右手がレストランになっている。奥の座敷席は宴会客で一杯。我々はテーブル席に案内された。
「すきやきとしゃぶしゃぶ、どちらがお奨めですか?」と仲居さんに聞いても、「お客様のお好みですから」と言われると会話はどうどう巡りするだけ。甘いのが苦手な銀髪でも、隣のテーブルから流れてくるすき焼の匂いに気持ちが乱される。箸袋を見たら松木家の上に「すきやき」としか書いていないので、すきやきに決めた。
前菜

「上すきやき」と告げると、仲居さんはすぐに引っ込んでしまった。牛肉料理以外にも料理はたくさんあり、すきやきの前に何か頼もうと思ったのに肩透かしを食った格好。戻ってきた仲居さんの手には料理が2品。メニューを見直すと、7,000円の上すきやきには前菜とデザートがついていた。これだけで充分だ。

立派な霜降りの近江牛がやってきた。料理はすべて仲居さんがやってくれるので楽チンだ。卵はこだわりの栃木県矢板産。「箸で持ち上がるんですよ」と言われても、ちょっと遅かった。既にかき混ぜてしまっている。しかし、美味しい卵であることはよく分かる。肉と卵のハーモニーが抜群。すきやきにして本当に良かった。実に美味い。
「この店はいつからやっているんですか?」と聞いたら「120年以上前です」と言うので驚いた。渋谷の現在地に移転してから既に70年、元は浅草にあったそうだ。
ますます、すきやきにして良かったと思った。松木家の看板料理は昔からすきやきで間違いない。しゃぶしゃぶは大阪の永楽町スエヒロ本店の先代店主が昭和27年に考案したものらしいから、60年足らずの歴史しかない。

ごはんかきしめんかを迷ったが、きしめんにして正解だった。鍋の残り汁をタップリ吸ったきしめんをこだわりの卵につけて食べて大満足。でも、次回はごはんに乗っけて食べてみたいかも。
日本酒の品揃えも良く、食べ終わったらバーに移ってもいい。なかなか美味しい松木家だった。
松木家
東京都渋谷区円山町6-8
03-3461-2651
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2008年11月11日
[よかろう門](渋谷)
なかなか美味しいもつ鍋屋

気のせいかもしれないが、渋谷は鍋料理の店が多い。勘違いを恐れず更に分析すると、渋谷は若者が多い街だからと思い立つ。文化村通りやスペイン坂を歩くと水炊きやもつ鍋のように安くて腹が一杯になる鍋料理の店が目に付く。高級ふぐ店は見当たらない。若者だけでなく、銀髪も安心して入れる。
近くにもう一軒もつ鍋屋があったが、よかろう門の方を選んだ。店に入ると意外と広く、早い時間なのに半分くらい席が埋まっていた。狭い席に通された挙句「混みあってきたら2時間で〆させていただきます」と強気だ。
お通し、酢もつ

まぐろの山かけがお通しとはもつ鍋屋らしくない。福岡の有名店「やま中」に行って以来、もつ鍋屋ではまず酢もつを頼むのが定番になった。鍋よりも店によって特徴があるのが酢もつだ。よかろう門のものは万人向けで食べやすい。
鍋、ちゃんぽん

「どれがお奨め?」と聞いたら「味噌を頼む人が多いですけど、博多では醤油が普通らしいですよ」と言う。確かに彼女の言うとおりだ。やま中でも醤油味を食べた。出てきた鍋に入っているもつが立派で感心した。
キャベツ、ニラ、ゴボウ、などの野菜がしんなりして食べ頃になった。連れが美味しいを連発する。店員の強気もまんざら大袈裟でもないようだ。他の料理を頼もうか迷ったが、柚子胡椒入り餃子と追加の野菜を鍋に入れることにした。〆にちゃんぽん麺で腹を満たした。
隣に若いサラリーマンが二人。鍋をつつきながら白いご飯を食べている。彼らの向こうに若い女性の二人連れ。飲んでるのはウーロン杯だろうか。お互いのテーブルがくっつくことはなさそうだ。座敷には男女のグループ客が数組。店内はほほ満席だが追い出されるほどではなかった。
本社は福岡というだけあって、本場の味に近くてなかなか美味しかった。店舗は渋谷店の他に赤坂にもある。福岡の赤坂かと思ったら、東京港区の赤坂。福岡の店を閉め、東京に進出して4年目に入る。頑張れ、博多っ子というところかな。
よかろう門
東京都渋谷区宇田川町26-11 白馬ビル3F
03-5458-2198
http://www.yokaroumon.jp/index.php
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2008年11月06日
[黒豚庵](新宿3丁目)
鍋が美味しい季節になりました

新宿通りに立ちグルッと見回す。各ビルに飲食店の袖看板が光る。日が暮れるのが早くなって、看板が目立つようになった。木曽路、月の雫など見慣れた店は除外して行ったことがない店を選んだ。
黒豚=美味しいというイメージは浸透している。黒毛和牛からの連想で日本独自の豚と思っている人も多いが、イギリスのバークシャー種の豚で純粋な外来豚である。「鹿児島産黒豚」の宣伝が成功したのだろうか。お陰で黒豚に庵をつけるだけで美味しい店のように感じる。
からし蓮根、からすみ

熊本のからし蓮根、長崎のからすみ、大分の椎茸、博多の明太子、鹿児島のさつま揚げ、きびなご刺し身など九州出身者が喜ぶ料理が揃えてある。からし蓮根はしっかり辛くてなかなか良かった。高級品のからすみは上手に薄く切ってある。880円なら仕方ない。
黒じょか、さつま揚げ

鹿児島なら芋焼酎が定番。黒じょかを使うとは珍しい。あまり美味しい焼酎ではなかったが、気分は充分味わえた。鹿児島の名店から取り寄せたというさつま揚げは評判が良かった。
黒豚しゃぶしゃぶ

2人前の肉は思ったより少なく見えた。野菜で底上げされている。もっとも、肉をつまむとしゃぶしゃぶ用にしては厚い。肉質は柔らかいので厚いほうが味があっていいかもしれない。たっぷりだしが出たスープに麺を入れ、別途持って来てくれた塩ダレで食べた。これは気に入った。
テーブルのボタンを押すまで店員はやって来ない。まだ入ったばかりという韓国人店員のサービスはお粗末だが、一生懸命さで救われる。週初とはいえ客はまばら。こんなんで広い店を維持できるのかなと心配するのは無用。黒豚庵は年商300億円を越す日本レストランシステムの系列店。ドトールコーヒーもグループ企業の一つ。
繁華街の一等地のビルには大型チェーン店が殆ど。ビルのオーナーが大手を選ぶのは当然だろう。内装、料理の質は悪くない。価格とサービスはファミレス並みという店が目抜き通りに並ぶことになる。初めて入る店でもぼったくられることはない。迷ったら目抜き通りにある大きな店に入るのは、無難な選択と言えるかもしれない。
黒豚庵 新宿東口店
東京都新宿区新宿3-17-5 新宿ニユー富士ビル3F
03-3358-1331
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2008年09月05日
[いのこ家](新宿3丁目)
蒸し豚と豚ヒレ寿司

目指す店はマルイシティ8階にある。予約していないので、満員のエレベーターの全員がライバルに思えてしまったが、7階で不安は一掃された。そこには映画館があった。
エレベーターは我々だけになり、「いのこ家」に入ったのは我々だけだった。それでもカウンター席以外に選択の余地はなかった。ギリギリセーフに胸をなでおろした。
傘も荷物も預かってはくれないカジュアルなお店。目的にしていた2品、「蒸豚しゃぶとしゃきしゃき野菜セット」「豚ヒレ握り寿司」を頼んでから、メニューを見詰めた。枝豆のようなすぐ来そうな料理が見当たらない。店員に聞くと「混んでいるので、どれも時間がかかります」と素っ気無い。お通しがあるからいいやと思ったが、結局来なかった。席料目当てのつまらないお通しに腹が立つときもあるが、何もなければ手持ち無沙汰ではある。
豚ヒレ握り寿司

幸い、一杯目のビールを飲んでいるうちに寿司がやってきた。炙りはレアの状態で少し赤身が覗く。北海道の直営農場で育てたSPF豚は生でも大丈夫とのこと。塩味が程よく、予想したより美味しかった。
蒸豚しゃぶとしゃきしゃき野菜セット

我が家でもよくやる豚肉と野菜のセイロ蒸し。違いは豚肉の質というか安心度。野菜の上に薄切りの豚肉を乗せて、再び蓋をして30秒。レアの状態でも食べられるのは握り寿司で証明済み。2種類のロース肉は美味しく、蒸し野菜を食べればヘルシーな気分になった。
雑炊

蒸し器の下の鍋には肉や野菜のエキスが滴り落ちる。その鍋に出来たスープを使って麺か雑炊を最後に食べるのが定番。ヘルシー料理にこだわって雑炊を選んだ。
雑炊を食べ終わる頃には入り口で待つ人も出て来た。映画が終わる頃にはもっと列が延びるだろう。リーズナブルなワインや、果汁タップリのジュースなど、若い女性向けの飲み物は豊富だが、オジサン向けの酒の品揃えは貧弱。長居は無用のようだ。
家に帰り、体重計に乗ったら蒸し豚野菜の効果てきめんだった。メタボに悩むオジサン向けの店も開いてみたらどうだろう。もっとも、後でこっそりラーメン屋に行くようでは逆効果。それが我慢できる人なら、最初からメタボになることはない。
いのこ家
東京都新宿区新宿3-1-26 マルイシティ新宿City-1 8F
03-5362-0158
http://www.inokoya.co.jp/
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2008年09月02日
[火鍋厨房 銀座 麒麟](新橋)
残暑は辛い鍋で乗り越えよう

業界の有名人F氏と初めての会食を企画した。別の友人I氏も誘った。どこで食べるか散々悩んだ末に、一番分かりやすい場所を選んだ。機関車広場の前にある、ニュー新橋ビルなら迷いようがない。
少し早めに到着したら、既にI氏は席についていた。一番遠くからやってくるF氏は多分遅れるだろう。料理を決め、ビールを飲み始めた。料理が運ばれてきた時にタイミングよくF氏も到着した。
お通し、ザーサイ、焼餃子

銀座にある「麒麟」は立派な中国料理を出す店である。系列である新橋の店は、遥かに大衆的な店だ。銀座店はビルを丸ごと使う大きな店で、ちょっと高級な感じ。大衆店故に場所を変えて一線を画するのも分かるような気がする。もっとも、火鍋専門店ながら小皿料理も豊富で、リーズナブル。サラリーマンが気楽に入れる店で、なかなかいい。
三色鍋

二色鍋の店は結構あるが、三色鍋は初めて。白湯と豆乳の塩味スープ、四川風の辛味と山椒の効いたスープ、干し海老風味の旨みスープの3つに分かれ、それぞれに合わせてつけだれも3種類ある。


みんな銀髪グルメ紀行のことを知っているので、具が到着する度に皿を持ち上げて写真を撮らせてくれる。気の毒なので、ほどほど撮ったところでカメラはバッグにしまった。後は食べることに専念するのみ。
論客のF氏の話はとても参考になった。頃合いを見計らって、こちらの意見も述べる。同意できる部分が圧倒的に多いが、ぶつかり合うものもある。食べるのに専念するつもりが議論に熱中して、スープが蒸発してしまう。何度か注ぎ足してもらったものの、議論は沸騰したままである。
鍋はなかなか美味しかったが、ゆっくり味わう会ではなくなった。若いときには上司や会社の悪口だけでなく、天下国家も含めて偉そうに議題にしたものだ。久し振りの議論満載の食事は面白かった。F氏と別れた後も、頭の中で論点を何度も何度も反芻した。酔いが醒めると、記憶もなくなってしまいそうで怖かったからだ。
火鍋の薬膳効果のおかげか、翌日は体も脳も快調。もちろん口も滑らかだった。
火鍋厨房 銀座 麒麟
東京都港区新橋2-16-1
03-3502-0039
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2008年08月29日
[和田金](松阪)
念願の松阪肉すき焼の元祖

「和田金に行ったんだよ」と自慢したい気持ちをグッと抑えながら言っても、「ワーッ!いいなー」と羨ましがる人は居なかった。都内を走る電車に広告を出しているにもかかわらず、明治初期に創業した松阪を代表する老舗料理屋の名を知る人は意外と少ない。
それでも、和田金に来る人の過半は観光客のようだ。吊り広告も決して無駄ではない。道路拡張の影響で取り壊しを余儀なくされた和田金が、近代的なビルの大店に生まれ変わって20年以上になる。旅館を思わせる入り口で靴を脱ぎ、エレベーターに乗る。部屋に入ると一転、古民家の座敷を思わせる雰囲気になる。部屋の真ん中に炭火のテーブルがデンと構える。
さしみ、たたき、タン

次はいつ来れるか分からないので、いろんな部位、料理を食べ比べすることにした。赤身の分厚い刺身、まだ凍ったままのタンよりも、表面を炙ったたたきが一番美味しかった。
他の人たちにタンは溶けるのを待って食べることを奨めた。口の中でとろける美味しさに変わる。
ロースステーキ

和田金で一番高いメニューだけあって、とても美味しい肉だった。柔らかいが脂っこくない。
あみ焼、すき焼

3人なので、あみ焼とすき焼を1.5人前ずつ用意してもらった。あみ焼は醤油だれを塗って照り焼き風に食べる。しかし、何と言っても看板料理のすき焼が美味い。仲居さんのゆきさんが調理してくれるので楽チンだ。割り下を使わない関西風のすき焼きは、たくさんの砂糖をかけるのに驚くが、ご飯によく合う。酒飲み達も、盃を置いて食事に没頭した。
和田金は但馬牛の雌の仔牛を買い、自社の牧場で育て、処女牛として客に出す。この日に食べたものを見る限り、サシが少なく脂っぽくない。和田金が理想とする牛肉の質が分かる。和田金の肉の内臓類がどこに卸されるか、誰もが知りたがるが企業秘密になっている。びっちりサシが入った部位も、どこかに転売されるのかもしれない。
看板のすき焼は8,400円で食べられる。銀座で食べるよりはるかに割安である。炭火を使った昔ながらの調理法を見るのも結構楽しい。仲居さんに学びながら、ときどき仲居さんを茶化しながら食べるのがまたいい。10%の奉仕料も納得できる。
若い女性が大好きな客も、おいしいく食べさせてくれたゆきさんに文句は言えないだろう。和田金で35年のベテランが、いい味を出す老舗だった。
和田金
三重県松阪市中町1878
0598-21-1188
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2008年08月01日
[酉十郎](渋谷)
水炊きを安く食べられるお店

スペイン坂近くの渋谷は若者で溢れていた。人混みを見ているうちに、入れる店があるかどうか焦ってきた。5分ほど歩き、「美味しくて、リーズナブルで、大人の店」の条件に合いそうな店を見つけた。名前からして子供が来そうにない店だ。
階段を上がり、店に入って予想以上に閑散としているのに驚いた。意外に広い店内に先客は1組だけ。「今週から会社員は夏休みにはいったのでしょう」と店員はのん気だ。焼き鳥でも食べようと思って入ったが、お奨めは水炊きとのこと。冷房が効いた店内なら熱い鍋も問題ない。
お通し、とりわさ、茶豆

鍋を始める前に鳥皮のお通しだけでは寂しいので、とりわさと茶豆を頼んだ。鳥皮と茶豆はよく冷えていた。冷蔵庫で出番を待っていたようだ。半分食べたところで鳥皮は鍋に入れることに決めた。とりわさも余ったら鍋行きと決めていたが、なかなかいい味だったので食べつくした。
水炊き

大山地鶏を8時間煮込んで作ったというスープは近くの「華善」よりも濃厚に見えた。コラーゲンを鍋に入れると瞬く間にスープに溶け込んだ。スープに京都の黒七味を入れるだけで美味しく飲める。塩味がついているようだ。
具は華善より貧弱だ。華善では女性店員が鶏のつくねを目の前で作ってくれるなど上々のサービスだったが、酉十郎では期待を裏切られた。華善の3分の2の値段では具材の質量と共にサービスが劣っても仕方がないかもしれない。
最後に雑炊用のご飯を貰った。女性店員が水洗いしたご飯と生卵をテーブルに置いて無言で去って行った。こんな時、女性が居たら料理上手をアピールできるチャンスだが、その役目は銀髪に回ってきた。上手に出来て自画自賛だったが、喜ぶべきか悲しむべきか。

勘定をする際に「鍋はいかがでしたか?」と店長らしき男が笑顔で聞いた。「美味しかったよ」と答えたものの、未だに満席には程遠い店内にもかかわらず、手持ち無沙汰そうに立っている店員への不満は飲み込んだ。
送り際に見せた店員たちの笑顔は善人そのもの。華善のようにコンサルタント会社に運営委託すれば、見違えるような店になるに違いない。サービスの何たるかを学べば、笑顔はもっと輝くだろう。客が喜べば、アルバイトだって仕事が楽しくなるに違いない。
酉十郎
東京都渋谷区宇多川町12-7 エメラルドビル2F
03-3464-1016
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2008年07月28日
[小肥羊](新宿)
本場中国で700店以上展開する火鍋専門店

中国人の友人から「今度美味しい火鍋の店にご招待しますよ」と言われて数ヶ月経った。日中を忙しく駆け回っている彼に、「あの約束はどうなったの?」とは口が裂けても言えない。ずっと待つつもりでいたが、以前入ろうと思った店がその店だと気が付いた。もう止まらない。

辛いスープと普通の鶏ベースの白濁したスープのコンビネーションは他の店と同じ。但し唐辛子が表面を覆ってスープが見えないような大辛を選べるのが面白い。飲んでみると意外と辛くなくて拍子抜けした。
1999年に中国内蒙古で設立された小肥羊は今では700店舗以上展開する中国第2位の外食チェーン店になったという。昔、中国の料理店のイメージは小さく汚いものだったが、経済発展著しい今の中国らしく小肥羊も立派な造りの店だ。加えてサービスも実に中国らしい。食べ方の説明も料理の説明もない。客に笑顔を見せないで、料理を置くときの素っ気無さも見事に輸入されている。
最高級のラム肉を頼んだ。芸術的なまでに薄く切られている。しばらく鍋に泳がすと、どこに行ったか分からなくなる。練り物類は凍ったまま出て来るので、煮えたぎったスープを冷ますのには好都合だった。

箸休めに串焼きを食べた。店員に意見を求めたが要領を得ないので自分で判断した。ピリッとしてなかなかのものだった。これも冷凍なのかな?

大したことはないと思っていた辛いスープは食事の終り頃には凄く辛くなった。白湯スープと調節して何杯も飲んだ。あれこれ追加の具を頼むより健康に良く、値段も高くならない。せっかくの薬膳スープだ。具の旨みの染み出しでさらに美味くなったものを残すのはもったいない。

火鍋の店は多いが、それぞれ特徴があって面白い。どれがいいかは各人の好み。暑い夏を忌み嫌うよりも、熱い鍋で体脂肪を燃焼させよう。痔を患っている人はちょっと注意!
小肥羊
東京都新宿区歌舞伎町2-26-3 アミモトビル2F
03-3208-7727
http://www.hinabe.net/
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2008年07月09日
[華善](渋谷)
リーズナブルに食べる華味鳥

渋谷を歩いていたら「華味鳥使用」の看板に目が止まった。銘柄鳥の博多華味鳥を使う水炊き屋は、東京では銀座の直営店「華味鳥」だけだと思っていた。ふらふらと看板につられて店に入った。
元気に、丁寧に、感じよく、若い店員に迎えられた。店内に客はまばらだがほぼ予約で一杯とのこと。何とか席を確保して早速「銀座の華味鳥と関係あるの?」と謎解きに入った。案の定、系列店とのこと。しかしコース料理(6,000円~)を頼まなければならない銀座に比べると、単品でもOKでお手頃値段と嬉しい店である。
お通し

お通しは酢もつなど水炊き料理の定番品。2品で500円とは良心的だ。鍋が来るまでもう一品あれば足りる。
唐揚げハーフ

メニューには銀座華味鳥にはない単品料理がたくさんある。唐揚げは予想と違った形で出てきた。鉄板をテーブルに置くなり店員が鳥を切り分けようとするので慌てて制してパチリ。キャベツの下には卵が潜んでいた。卵に鳥をつけても美味しいが、キャベツと混ぜ合わせて食べるのが子供の頃から大好き。大衆店っぽくていいなー
水炊き

コラーゲンタップリのスープは博多も銀座も渋谷も変わらない。若い女性店員が食べ方を説明してくれる。「最初はスープだけ飲んでください。塩とねぎを入れて…」銀髪の方がよほど流暢に語れるが、我慢我慢。終わるまでちゃんと聞いてあげた。ハイ、よく出来ました!2杯目からは自分で作る。胡椒を入れると格段と飲み易くなる。
今度は正肉、レバー、心臓を、そしてコネコネして挽肉を鍋に入れてくれる。野菜と共に浮かぶのはコラーゲンたっぷりのスープの塊。殆ど溶けたところで混ぜようとしたら、相方に止められた。薄まる前にお腹に入れると言う。女性はコラーゲンと聞くと目の色が変わる。

最後にちゃんぽん麺を食べて大満足。唐揚げが650円、鍋が5,900円(2人前)、これだけで充分だ。華味鳥よりはるかに安く済んだ。店員もこちらの方がきびきびとしてよく働く。日本橋本町、新宿、赤坂にも店があるのでこれからは華善にしようと思った。
店を出たところで店長が追いかけてきて名刺をくれた。後でよく見るとマウントウィナーズ株式会社(http://www.mtwinners.jp)とあり、渋谷と赤坂の統括マネジャーとのこと。どうやらこの会社が運営を任されているようだ。ホテル業界ではよくある方式だが、飲食業も同様なシステムがあるとは知らなかった。店員教育が行き届いているはずだ。
誰がやっていようが気持ちよく食事ができればそれでいい。渋谷の華善には満足した。
博多華善
東京都渋谷区宇田川町35-4 オークヴィレッジ2F
03-5784-3787
http://www.hanamidori.net/hanazen/index.php
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2008年05月21日
[ゆるり屋](渋谷)
27種類もの鍋がある店

鍋専門店の文字に吸い寄せられた。鍋を売りものにする店は多いがせいぜい4~5種類。塩、味噌、醤油、キムチなど味が変わるだけ、または味は一緒で具材が変わるだけの店が多い。
ゆるり屋はそんな常識を超えていた。メニューを開いて驚いた。

添え書きと共に半分ほど読み進んだところで嫌になった。店員を呼んだら若くて美人に属する女性がやってきた。高めだけども、一番最初に書かれた2,800円のつみれ鍋を奨められたら従うことを内心決めた。ところが奨めてくれたのは1,800円と2,300円のちりとり鍋。何と商売っ気がないのだろう。見栄を張って高い方を頼んだ。美女には弱い。
ゆるり屋のサラダ、じゃこねぎ豆腐

鍋が煮える前にすぐ出て来る2品。健康に気遣って野菜中心にした。安くてなかなか美味しい。
豚ばらのちりとり鍋

何故ちりとりなのか疑問に思ったが、鍋の形状を見て分かった。土鍋ではない鉄板鍋はまるで塵取りのようだ。大阪市生野区の万才橋にあるホルモン焼きの店が発祥の地で、ちりとり鍋はそれなりに知られている鍋とのこと。味噌ベースがお約束である。
たっぷり乗った唐辛子に怯えてはいけない。これだけあっても殆ど辛くない。
ちゃんぽん

最後にちゃんぽんを食べた。これが美味しい。
ゆるり屋は全国に300店以上展開するレストラングループ・際コーポレーションに属するだけあって、非常に居心地がいい店作りをしている。鍋以外の料理や酒も充実している。
店内には若者のカップルが多いが、熟年世代にもアピールすべきだ。鍋は多種の材料がいるので、子供が自立して2人だけになった家庭ではやり辛い。中高年夫婦二人向き合って鍋をつつくのはいかがだろうか。意外と話が弾むかもしれない。
「夫婦円満の秘訣はできるだけ一緒にいないことだ。向き合って食事なんてとんでもない!」という人の意見はもっともだと思わないではないけれど…
ゆるり屋
東京都渋谷区円山町5-18道玄坂スクエアビル2F
03-6415-1596
http://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/l2-a3-ak19_a100331.html
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2008年05月19日
[博多もつ次郎](新宿3丁目)
行列が出来る店の隣の店

新宿で人気の串揚げ屋に行った。予約を取らないので直接出向くしかないが、心配したとおり店の前で何組も待っていた。銀髪の喉は一刻も早くビールで潤おされることを望んでいる。決断は早く、隣の店に飛び込んだ。
にこやかに迎えられて気分がいい。正社員かアルバイトか分からないけれど、きびきびとした接客が心地よい。
お通し、博多餃子

お通しは定番のキャベツ。キャベツをつける味噌ベースのものに工夫が見られる。博多で色んな店で餃子を食べたが、これといって共通するものはない。もつ次郎の餃子は博多で食べたどれにも似ていない。
銀髪の後に入った2組で満席になったようで、予約していない客が入り口で断られているのが見える。行列が出来る店の隣で得していると思ったのは間違いだったかもしれない。
醤助

メニューの最初に載っているのが看板料理と考えて、もつ鍋は醤油味を食べることにした。餃子の皮が乗っているのがもつ次郎風かな。それなりに美味い。期待しないで入ったものの、予想外にちゃんとした料理屋のようだ。
お奨めだと言う肉の刺し身を一度は断ったが、食べてみる気になった。試すとしたらレバー刺しである。
レバー3種盛り

鶏(上)、牛(左)、豚(右)の3種類のレバー。豚のレバーを食べさせるのは鮮度に自信があるからだろう。馬刺しも食べるべきだったかもしれない。
ちゃんぽん

もつも脂が乗ったいいものらしく、素晴らしいだしが出た。〆にちゃんぽん麺を食べた。
隣の店ほど行列が出来るわけではないけれど、なかなか悪くない店だった。いつの日か、隣並に人気になっても、予約は受け付けてくれる店であって欲しいものだ。
博多もつ次郎
東京都新宿区新宿3-34-16 池田プラザビル4F
03-5363-6340
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2008年04月23日
[祢保希 渋谷店](渋谷)
友遠方より来る

大学時代の友人たちと久し振りに飲むことになった。仙台に単身赴任している友人の予定に合わせたので、こちらに選択権はない。緊急・重要な仕事が入らないように願いながら2週間を過ごした。6時15分に祢保希の個室に入ったら4人分がセットされていた。
5分後に幹事が到着したので生ビールを頼んだ。二人で時間をかけて飲んでいる間に何度か携帯電話が鳴った。仙台からの友人が久々の渋谷を迷ってうろうろしているようだ。
煮こごり、どろめ

7時を過ぎてようやく3人で乾杯をすることができた。幹事が前もって頼んでいた料理が運ばれる。祢保希は赤坂店に行ったことがあるので料理はだいたい分かる。どろめとは鰯の稚魚(しらす)のこと。
鰹のたたき、焼き魚の緑豆乗せ

ビールに飽きて冷酒にした。空席に料理が溜まっている。「あいつ、本当に来るの?」と聞かれて幹事が顔を曇らせた時に、「急に仕事が入っちゃって…」と言いながら最後の一人がやってきた。今日三度目の乾杯をする。
桜鯛しゃぶしゃぶ、鯛皮焼きの茶漬け

冬場であれば祢保希ではクエを食べたいが残念ながらシーズンは終わった。今は桜鯛しゃぶしゃぶが人気のようだ。炙った骨でだしを取り、思ったより厚い薄切りの鯛をしゃぶしゃぶする。個々に鯛が乗った皿があてがわれるので、遠慮することも欲張ることもできないのがいい。
話し役、聞き役、なだめ役。何十年経ってもそれぞれの役回りは変わらない。子供の話、仕事の話はめっきり少なくなり、代わりに年老いた親の話が増えた。今日来なかった友人たちの話がもっとも安心できる話題だ。
大学を出て、みんなが初めて結婚する頃を最後に音信不通になった友が何人か居る。気楽に集まるのは誰かの2度目の結婚を祝った連中ばかりだ。
旧交を温めるつもりの会で言い合いになって疎遠になってしまった仲間もいる。あれから20年以上が経つ。水に流したいと思うのは向こうも同じかもしれない。次は必ず引っ張り出そう。
成功している幹事役の友人が勘定を払おうとしたので皆で制した。馬鹿をやった昔を語れる仲間だから集まってくる。あの頃のように、今も割り勘が気持ちがいい。
土佐料理 祢保希
東京都渋谷区渋谷2-17-5 シオノギ渋谷ビル
03-3407-9640
http://www.katsuo.co.jp/
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2008年04月18日
[ろんぢん](松江)
時計屋ではない。島根牛しゃぶしゃぶの老舗料理屋

出雲空港からタクシーに乗り込んだ。「松江駅前のホテルで昼飯を食べよう」と言ったものの、午後の約束まで時間がある。「どこかいいところはないか?」と部下に聞いたら「ありますよ!」と嬉しそうにガイドブックを鞄から取り出した。付箋のついたページを覗き込むと、赤のマーカーがけばけばしい。
携帯電話での会話が長引いている。「どうしたんだ?」と聞くと「高いコース料理しかないので断ろうとしたけれど、来てくれと熱心にお願いされて電話を切らせてくれないんですよ」と言う。仕方がないので行くことにした。
店はシーンとしていた。かなり年齢がいった女性がにこやかに出てきた。「女将さんですか?」と聞くと大きく首を横に振る。さっき電話で押し問答した仲居さんだった。「すきやきはないの?」と聞いたら「うちは高級ですから…」と言う。彼女の頭の中ではしゃぶしゃぶの方がすきやきより上らしい。
胡麻豆腐、島根牛、しゃぶしゃぶ

牛だけでなく、世界遺産になった石見銀山近くで作られる丸餅や博多の職人から伝授されたうどんなど食材自慢をするのに仲居さんは大忙しである。
ほどなくもっと歳を重ねた女性が現れた。女将である。「なぜろんぢんなんですか?」の質問から彼女の細腕繁盛記が始まった。しゃぶしゃぶ屋を始めたのが43年前で、旦那が生きていたときは時計屋だった。ろんじんの名はやはりスイス時計の名門ロンジンから来ていた。家族を養うために時計屋を廃業、現在の店を始めて以来84歳の今も店を取り仕切る。
甘味3種

女将が自ら作ったと言うので、普段はあまり食べない甘味も口にした。我々3人は日本一の和牛と自慢するのを散々茶化したが、合計年齢で遥かに上回る女将と仲居の2人はまったく意に介さず言葉は止まらない。
彼女らの自慢が根拠がないわけではないと分かったのは家に帰ってネットで調べてからだ。あまり聞いた事がなかったが、島根牛は古くから全国の和牛産地へ繁殖用及び飼育用の元牛として供給されてきた。特に有名なのが第七糸桜号という種雄牛で、その子は4万頭にもなったという。各地の銘柄牛のルーツは島根牛かもしれない。
ロンジンは楽しく美味しかった。女将が元気なうちにまた行きたいものだ。
しゃぶしゃぶ ろんぢん
島根県松江市千鳥町(旅館団地)
0852-22-3618
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2008年03月17日
[ひで](渋谷)
テレビでよく紹介されるおでん割烹のお店

「アド街ック天国に出ていましたね」
「それは随分前ですね」
「あれっ?そうだっけ」
「最近出たのは裸の少年ですよ」
そうです、勘違いでした。見たのは確かに裸の少年で、道場六三郎が案内役をつとめていた。実はテレビ放映の前、「あじくら」「に行ったときに前を通り、いつか来ようと思っていた。裸の少年が背中を押してくれた。
お通し

お通しは鶏とわさび漬け、桜餅を模した海老しんじょ。おでん割烹と言うだけあって、品のいい2品を食べると銀座の一流おでん屋を想起させる。カウンターから見上げると、値段の書かれていない料理の札がたくさん掛かっている。懐が心配だ。
かつお

隣の中年客がかわはぎを頼んだ。迷った末にこちらはかつおにした。今年初めてで、久しく食べていない方を選んだ。隣に来た皿には立派な肝が乗っていてちょっと後悔したが、かつおも頗る美味しかったので満足だった。
札の中でソイが気になった。食べたことがあるはずだが形も味も思い出せない。「どのぐらいの大きさですか?」と聞くと「見ますか?」と親切である。カウンターの下からパットを3つ出して、その一つの布巾をはずしてメバルを除けてソイを引きずり出した。そこまで手間をかけてしまったら断るわけにはいかない。お奨めの塩焼きにしてもらった。
おでん

菜の花ととうもろこし、合鴨のつくね、大根、牛すじ、卵、ロールキャベツ。ソイが焼きあがるまでにおでんを食べた。
黒そい、おでん

鯛より美味と言われる黒そい。白身の上品な味である。きれいに食べ尽くしたので、板さんに自慢したいぐらいだったが、忙しそうでなかなか会話が弾まない。
最後にぎんなん、しらたき、れんこんを食べた。おでんの種類はまだまだたくさんあるが、到底食べ尽くせるものではない。次回の楽しみにとっておくことにした。
勘定書がやってくるまでドキドキしたが、酒代込みで1万円しなかった。
銀座並みの値段ではないから何度も気軽に来れそうだ。次回は「ひで」さんが誰か聞いてみよう。
おでん割烹 ひで
東京都渋谷区円山町15-5
03-3461-1701
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2008年03月11日
[Sun-mi高松](銀座)
地獄の沙汰も金次第

仲間内8人で宴会をすることになった。どこに行くか皆に尋ねたら、若手から声が上がった。タイミングよく高松の女将から勧誘電話を受けたばかりとのことで、あっさり行き先が決まった。彼に送られてきていたDMを見て、肉が多めの5,000円のコース、すき焼コースとしゃぶしゃぶコースを4人前ずつ頼んだ。
店はビルの大半を使っており大きい。掘り炬燵式の部屋もあるようだが、我々は座敷の部屋に通された。経験者に倣ってビニールの煎餅座布団を数枚重ねて胡坐をかいた。すき焼鍋を囲む4席がすぐ埋まり、1人が泣く泣く銀髪グループに加わった。
しゃぶしゃぶ肉、すき焼肉

肉が出てきてシーンとなった。「健康には脂が少ない方がいいんだ!」と言う年長者の声にみんな気を取り直した。ビールで乾杯した後、日本酒を頼もうとしたら飲み放題のリストを渡された。このとき初めて飲み放題付きで5,000円のコースだと知った。これでは肉質に文句は言えない。
すき焼

中寄りに座った銀髪に、右側からすき焼がやってきた。堪りかねて嫌々銀髪の左に座った男が箸を持ってすき焼グループに逃げて行った。すき焼を選んだ5人は酒が弱い、肥満、高血圧のどれか、もしくは複数の傾向がある。
すき焼き鍋が噴きあがっても、誰も火を弱めようともせずに黙々と食べている。家事の手伝いをしないのもすき焼き好きの共通点のようだ。
高級肉(しゃぶしゃぶ、すき焼)

年長者が言ったように、脂が少ないコースの肉は食べやすかった。試しに高級肉を2人前ずつ頼んだ。やはりこちらの方が美味い。銀髪もまだ若いと思った。
「やっぱり、違うね」と仲居さんに言ったら、「上のコースだとお肉だけでなく、ポン酢や胡麻ダレも違います」とのたまう。
値段によってつけダレまで品質に差があるとは知らなかった。安いコースを頼んだ我々が悪いのは重々承知しているが、そこまで差別(区別?)しないでいいじゃないかと恨めしく思った。
もっとも、他の連中はあまり気にしていないようだ。すき焼チームは白いご飯をかっ込んで早々と食事を終わらせた。しゃぶしゃぶチームは酒を飲みながらなので、多少時間が長くなる。
最後のうどんが美味しい。デザート付きの5,000円コースを堪能した。
Sun-mi高松
東京都中央区銀座1-5-15
03-3567-8168
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2008年02月29日
[野武士](荒木町)
珍しい雑炊専門店

東京12チャンネルの出没アド街ック天国で荒木町の特集をしていることを気付いたのは午後9時10分頃(2月9日土曜)。大好きな 「鈴なり」が出るかもしれないと思ってチャンネルを変えた。
既にランキングは途中まで進んでおり、番組が終わってから鈴なりが27位にランキングされていたの知ったが後の祭り。
通常、この番組でランキング入りする飲食店は限られているが、荒木町となれば殆どが飲食関係。気になっていた店もいくつかあり、初めて知った店はメモを取った。テレビ放映の余韻が醒めかかった頃に荒木町に向かった。
7時過ぎに桃太郎の扉を開けた。いくつか空席はあるものの、「一杯です」と言われた。有名な寿司金はやり過ごした。お財布が泣く姿は見たくない。与太呂には二の足を踏んでドアを開けられなかった。野武士の前に来た。ガラス窓から店内を窺えるのがいい。番組の影響もなく、客は女性一人のみ。迷いは微塵もなかった。
もろきゅう、鳥の唐揚げ、サラダ

一番奥のテーブルに座ろうと思ったが、真上にあるテレビがうるさい。1つ手前のテーブルに陣取りビールと料理を注文したところで、トイレの前だと気付いた。小さな店だ。仕方がない。
新鮮なきゅうりとジューシーな唐揚げを食べ始めたらテレビもトイレも気にならなくなった。
雑炊

もちろんお目当ては雑炊。具によって種類はたくさんあるので迷ったが、店の女性(主人の奥さん?)の助けを借りて季節物のかき雑炊にした。
ふぐ、すっぽん、あら、あんこうなど、鍋物の後の雑炊にはかなわないがもちろん美味しい。
食べ終わる頃には、いつの間にかカウンターも含めて満席になっていた。入り口で断られている客を見て、慌てて勘定を頼んだ。安い店で長居をしては申し訳ない。
再び店内を見渡したところで、入り口近くの客が食べている器が飯ごうだと気付いた。出没アド街ック天国で取り上げられた理由が、この飯ごうめしだったことを思い出したが後の祭り。
後の祭りばかりで情けない。あー残念!
野武士
東京都渋谷区幡ヶ谷1-9-5 リッツ幡ヶ谷1F
03-3374-9180
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2008年02月27日
[呑々道場](渋谷)
分散より集中の方が得策

道玄坂の北側には神泉駅方面や、東急百貨店周辺などに評判の店が多い。ところが、南側はレストランガイドや口コミサイトを見てもお奨めの店が少ない。ブラブラ新規開拓をすることにした。急坂を上るのは辛いので、マークシティーを神泉方面口から出て坂を下ろうとしたが、すぐにもつ鍋の看板に誘われてしまった。
もつ鍋は温まる、野菜がタップリ、安いなど魅力的な要素が多い。階段を下りて店に入ると客は2組だけ。やはり場所が悪いのか、店が悪いのか分からないが、とにかく挑戦である。
お通し

お通しはホタルイカと小魚。これを炙って食べる。貧弱なお通しだがアイデアは悪くない。
白レバーのたたき、馬肉ベーコン

もつ鍋以外にもメニューにはたくさんの料理が並ぶ。店員の助けを借りて白レバーと馬肉ベーコンを選んだ。この2品はとてもいい出来だ。
右隣に先輩と後輩か、上司と部下か、いずれかと見られる若い男女がいた。元気のいい、可愛い女性だが、よく喋りよく食べる様は恋人同士には見えない。隣のテーブルに次々に運ばれる料理の中で、焼き鳥が美味しそうに見えた。人のメシは白い、隣の芝生は青い。頼まずにはいられない。
砂肝、もも、ササミわさび

焼き鳥は失敗だった。焼きすぎでパサパサ、塩加減もよろしくない。これまで高い評価で進んでいたのに一気にしぼんでしまった。食べ残しを店員に見えないように鍋に放り込んだ。
白呑(味噌)

肝心のもつ鍋は普通。2人前からなので写真の鍋で1,960円。博多もつ鍋というが、福岡の人気店「やま中」に比べるべくもない。やま中にはもつ鍋以外の料理はほんの僅かしか置いていない。もつ鍋に全力を投入しているし、他の料理は付け足しに過ぎない。呑々道場ももつ鍋に心血を注ぐべきで、焼き鳥は評判を落とすだけだ。多品種を揃えると万人に喜ばれそうだが、飲食店に限らず単品商売の方が成功することが多い。
両隣を見る限りもつ鍋の評価は良いみたいだ。右の二人が鍋の材料を追加して大量に食べた後、ちゃんぽん麺を入れた。左の席のカップルも恋人同士には見えない。女性が男性の1.5倍ほどあり、2倍くらい食べる。別の味の鍋に交換して、さらに具やスープを足すのに店員が掛かりっきりである。
それにしてもどうでもいい相手と一緒の時の女性の食欲は凄まじい。男の方も財布の中身を気にしないでいいところに連れてきているのだから、どっちもどっちかな。
呑々道場 道玄坂店
東京都渋谷区道玄坂1-17-9
03-3464-8880
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2007年12月27日
[春駒](福岡)
今年も、冬の王様てら岡のあらしゃぶで締めくくり

今年最後の福岡出張になった。3人旅だが刺身が嫌い、食べたことのないものには手を出さないと言う人は日帰りすると言う。残った2人は「ラッキー!」てなもんだ。あらを食べることが出来る。ところが残ったもう1人のFは、あらのゼラチン質が嫌いで、てら岡のあらしゃぶ以外は食べたくないと言う。嫌がる奴を無理に引きずりまわすわけには行かないが、何度も行ったことのあるてら岡ではつまらないと思い、系列の春駒に行くことにした。
春駒は中洲から春吉橋を渡ってすぐ右側にある。本店に比べると小振りだが、食後の中洲行きには遥かに便利だ。小上がりの掘り炬燵式のテーブルを確保できた。まずは博多名物、呼子のいかの生き造りから。

透き通った身が美しい。時おり足がサワサワと動く。沖縄産の塩をつけ、わさびを乗せて食べる。味よりもコリコリ感が楽しい。天ぷらにしてもらったゲソが美味だった。
我々を担当してくれた仲居は中谷由紀子さん。大吟醸酒を頼んだら品切れ。別の大吟醸を頼んだらこれも品切れ。酒を取りに行っては品切れの連続で、結局安い酒に落ち着いた。本店に比べて大衆的雰囲気の春駒では、高い酒は出ないのかもしれない。「安上がりでありがたい」と言うと由紀子さんが苦笑する。
関さば

お客様がさばを求めると、関さばしかないと言う。銀髪が「あじは?」と聞くと関あじしかないと応える。我々は玄海灘のさばやあじがいいのだが、ここは高級料亭のプライドか居酒屋レベルで出す地魚は置いていない。仕方なく関さばを頼んだ。さすがに美味いが、酒のように安上がりでは済まなかった。
食べ切れずに残った刺身は胡麻さばにしてもらった。贅沢な料理になってしまったが味が変われば食欲が蘇る。
あらしゃぶ

サフランの緑色が鮮やかなスープでしゃぶしゃぶが始まった。由紀子さんが薄く切ったあらの身をちょっと鍋に泳がせて、我々の皿に乗せてくれる。今日のあらは100kgの大物とのこと。Kが「どのぐらい?」と聞くので「お前ぐらいだよ!」と銀髪が茶化すと由紀子さんが大笑いする。Kは90kgに到達しないようにダイエットをしたいと思っているが、気持ちだけで空回りしている。
あらちり

しゃぶしゃぶ用の薄切りのあらが終り、コラーゲンがプリプリの厚い身の鍋になる。これがまた美味いんだよね。
雑炊

ふぐより美味しいと言われるあらだが、お腹一杯にもかかわらすお代わりをしてしまった。満足満足。
帰り際、勘定をしていたら女将が挨拶に来てくれた。いやに若いと思ったら寺岡美由紀女将はてら岡主人の長女とのこと。本店でも、春駒でも料金は同じだそうだが、本店の座敷より春駒の方が気楽で楽しかった。仲居さんが良かったのかもしれない。
あらしゃぶだけ食べる分にはそれほど高くない。博多に行ったら是非食べてもらいたいものだ。
春駒
福岡県福岡市中央区西中洲1-3 (春吉橋たもと)
092-734-3988
http://www.teraokagroup.co.jp
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2007年12月26日
[牛幸 本店](新川)
焼肉? 牛鍋?

以前、何度も飲んだくれて店の前を通った。暗闇にひっそりと佇む雰囲気が気に入っても、これまで行く機会は訪れなかった。ようやく得たチャンスに胸躍らせて、日本橋から歩く。家路に急ぐ人々の流れに逆行しながら長時間歩くことに同行者たちから不満の声が上がるが気にしない。
カロリーの消費が特に必要な人が一番文句を言う。これから大量摂取をするというのに。
小さな門を抜けると、店内も外観に負けないぐらい雰囲気がある。たくさん歩いて不満タラタラだった連中も顔がほころぶ。さすがに忘年会シーズンは満室とのこと。テーブルの上にある変わった形の鉄板に誰もが興味津々である。
前菜

黒毛和牛しゃぶQという4,830円のコースが始まった。
前菜の皿の中央にある牛のたたきに感嘆の声が上がる。幹事役の苦労が報われる瞬間だ。
牛鍋

「最上級の肉を安く食べさせる」というのが店の信条らしく、大きく厚い霜降り肉が各人2枚。2段になった鍋の上で焼かれた肉の肉汁が下の段に流れ込む。深い溝で肉汁を待つのはキムチベースのスープと野菜類。
肉汁だけでなく、牛脂も溶け込むので味がしつこくなる。そのためキムチ味にしたと思われるが、なかなかいいアイデアである。
ひれ、ざぶとん

瞬く間にコースの肉を平らげて、美味いを連発する可愛い部下たちのために、肉を追加した。ざぶとんとは鞍の下あたりの肉。「馬なら分かるが、牛に鞍はつけない」と茶化す奴がいても、みんなの口は食べることを優先している。ひれは特に好評だった。
最後にきしめんとデザートを食べて、1時間強で食べ終えた。食べるのが早い人がいると、みんな引っ張られてしまう。いくつになっても鍋は気持ちを逸らせる。酒の消費量が少なく済むのが有り難いが、今度は客でも連れてゆっくりやりたいものだ。
デザートを食べる部下たちを残して、勘定をしに階段を下りた。勘定場には今日使った肉の詳細なデータを記した紙が置いてあった。今日の肉は栃木産。「上質の肉を安価に提供する」というのは嘘ではないようだ。
この店ではカードが使えない。煩雑だというだけでなく、カード会社への手数料を客に転嫁させないための配慮かもしれない。
襟を立てて文句タラタラで歩いてきた連中も、帰りは体が暖まり上機嫌だ。銀髪の財布の現金は殆ど消えてしまったが、まっ、いいかな。
牛幸 本店
東京都中央区新川1-9-8
03-3551-8980
http://www.ushikou-honten.co.jp
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2007年12月08日
[らん月]その3(銀座)
松坂牛コンテスト優勝牛を求めて

「なおこちゃんはまだいるの?」「はい、まだ大丈夫です」。銀髪と店員との会話にみんなポカンとしている。なおこちゃんとは優勝牛「なおこ号」のことで、案内状をもらって名前を知っていたのでみんなの前で遊んでみた。

店員によると半頭で1,000万円を超えるそうだから気狂いじみている。店では利益も乗せてとんでもない値段をつけるだろうと躊躇したが、通常の2倍もしないので食べてみることにした。5人で行ったので「かにしゃぶ」を2人前、なおこちゃんを使った「すきしゃぶ」を3人前頼んだ。
ぶり刺身

香住漁港から松葉ガニを姿のまま直送してくるというのもらん月の自慢だが、残念ながら前日の予約では遅すぎた。代わりに富山県氷見産のぶりを奨められた。脂が乗っている割にはしつこくなくて美味かった。
かにしゃぶ

刺身で食べることが出来る鮮度のいいかにを使ったしゃぶしゃぶは、姿でなくても松坂牛と並ぶ横綱級だがなおこちゃんの前では前座にすぎない。
なおこ号

いよいよ主役登場だがちょっと変だ。肉の色がまちまちである。最上級のロースが左に1枚だけ。真ん中にもも肉、右に肩ロースと違う部位のものが並ぶ。
「らん月の肉はいくら煮ても柔らかいんですよ!」と自慢していたJ氏の顔が曇る。いつもはロース肉だけだが、ももを長く煮たら固くなるのは当然だ。
かにしゃぶ鍋の前に座った銀髪にはすきしゃぶ担当のJ氏が取り皿に盛ってくれたが、親切にも豆腐や野菜がたっぷりで肉はわずかしかない。子供の頃のすき焼きを思い出した。
肉の部位によって値段は大きく異なるので、いつもの肉よりそれほど高くないと判断したのは間違いだった。「色んな部位の肉を味比べするため」と後で言われてももう遅い。言い訳にしか聞こえない。
いつもの肉を一皿追加した。岩手牛はなおこちゃんより評価が高かった。そりゃそうだ。追加した岩手牛の部位は霜降りロースだけなのだから。
「優勝牛」に釣られて余計なものを頼んだ馬鹿な奴と非難されたが、帰り際に「ご賞味記念」のクオカードをもらって大半の人は機嫌が良かった(画面トップの写真)。話の種にするには充分ではある。
なおこちゃんは11月30日から店に出ている。クオカードを欲しければ早く行った方がいい。
銀座 らん月
東京都中央区銀座3-5-8
03-3567-1021
http://www.ginza-rangetsu.com
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2007年10月31日
[福わらじ](鹿児島)
黒豚&黒毛和牛

鹿児島屈指のホテル、城山観光ホテルから坂を下り平田公園に向かった。目指す店「福わらじ」はその公園に面した小路にある。平田公園は天保の改革で薩摩義士を率いた平田靫負を顕彰する史跡だそうで、鹿児島のタクシーの運転手さんの説明に聞き入った。観光案内の研修が必須という鹿児島のタクシー運転手はみんな話し上手だ。
福わらじに着くと地元の面々は既に勢ぞろいしている。自慢の黒豚しゃぶしゃぶをいただく手筈になっていた。
きびなご、さつまあげ、豚足煮

今まで見た中で一番美しいきびなごだった。酢味噌が添えられていたが、塩を頼んで食べた。さつまあげもいい。鹿児島で食べるさつまあげはいつも熱々だ。
豚足というより角煮のようだ。一流の料理屋らしく品のいい料理に仕上げた。豚足を嫌いだという人も気付かず食べ尽くしている。
豚しゃぶしゃぶ

毎度のことではあるが、豚肉をすべて鍋に放り込む人がいる。彼にとってはしゃぶしゃぶなどという料理は存在せず、いつも寄せ鍋になってしまう。ありがたいことに肉質がいいので、しばらく鍋の中を泳いでも肉は硬くならない。
牛しゃぶしゃぶ

黒豚の脇役に追いやられてしまった感があるが、黒毛和牛も鹿児島名物である。味比べをすることにした。やはり牛肉の方が濃厚な感じがする。悪くないと思ったが、他の人は黒豚の方を支持した。豚肉の方があっさりしている。牛肉を食べた後の鍋には黒豚のときにはなかった親指の爪ぐらいの大きさの脂がびっしり浮いていた。
遅れてやってくる予定の2人が食事会に間に合わなくなったので、2人のためにとっておいた豚肉も食べることにした。テーブルの上でラップをかけられて出番を待っていた肉だが、食べてみると味が違うのに驚いた。約1時間の間に変質してしまったのだろうか。
以前、銀座らん月で食べたとき、余った牛肉を持ち帰ったことがあった。家人が喜ぶと思ったが、食べてみると別物の肉に変わっていた。かくも繊細なものである。
旅に出て土地のものを食べると格別に美味しく感じるのは、気のせいというわけではない。どんなに流通技術が進歩しても、食品・飲料に旅をさせると殆どが味は劣化する。
旅をして地の物を飲み食いするのが最高の贅沢だと思う。
福わらじ
鹿児島県鹿児島市平之町13-3
099-222-3241
http://www.fukuwaraji.jp
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2007年10月22日
[長野](福岡)
福岡で1番人気の水たき屋さん

福岡は鍋も美味しい街である。ふぐ、あらなどの高級な鍋、もつ鍋などの庶民的な鍋。水たきでは新三浦などの高級店もあるが、安くて美味しいと人気なのが長野である。
営業時間が12時~21時までと、間に休み時間がないので旅行者にとっては重宝する。
安い店と聞いていたのでボロ家かと思っていたが、意外ときれいなので安心した。お客様が一緒なので心配したが杞憂に終わった。
メニューは簡単、選択肢はあまりない。水炊きは1人前2,250円。骨付き肉か、つくねかを選択する。鳥皮の見た目が嫌いと言うひ弱な部下の希望で、2対1の割合でつくねを多く頼んだ。
お通し、スモークチキン、から揚げ

鍋以外は酢もつのお通しだけと素っ気無いのでスモークチキンとから揚げを追加した。写真は2人前だが、それぞれ1人前370円と良心的な価格である。

仲居さんが器にネギを入れてスープを注いでくれる。脂っぽくてちょっと臭いが気になる。他店では臭い消しに胡椒を入れるが、長野には胡椒を置いていない。

早い時間でお腹が空いてないこともあって、なかなか鍋の中身がなくならない。野菜を入れたら、少しずつみんなの箸が動く。野菜が臭い消しの役目もしたようだ。銀髪はスープをお代わりしようとするが、穴あきの兼用お玉が使いにくい。
長野で使う鶏肉は博多ブランドの「華味鳥」。料亭「華味鳥」は昨年銀座にも出店したが、もともとは鶏肉屋。長野にも供給していることになる。
正直言うと、料亭「華味鳥」のほうが長野より美味い。鶏肉自体が上等のようだし、スープも癖が少なく東京人には食べやすい。
長野の魅力は何と言っても値段。6人で食べて飲んで2万円強。華味鳥や新三浦ではそうはいかない。博多の人と味覚を共有できる人は長野へ行ったら大満足だろう。
そうそう、どちらにしても大事なことは、お腹を空かせていくことである。前日の暴飲暴食&夜更かしが影響するようではグルメの資格はない。
水たき 長野
福岡県福岡市博多区対馬小路1-6
092-281-2200
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2007年10月04日
[やま中](福岡)
福岡で一番人気のもつ鍋屋さん

福岡出身の人に福岡で一番美味しいもつ鍋の店を聞いたら「やま中」だと言う。福岡担当の部下に伝えると、彼の携帯電話にも登録されていた。
予約の電話を入れさせたら、受付は3時からとテープの声が流れる。3時過ぎに電話したら話し中。10回以上かけて、電話が壊れているかもと心配になった頃にようやく繋がった。凄まじい人気のようだ。
5時半頃店に行った。部下は超汚い店との情報を得ていたが、気楽な接待ならOKのきれいな店だ。5時開店というのに店は半分以上埋まっている。
店員のお奨めに従ってみそ味の牛もつ鍋(1人前1,260円)をメインに選び、酢もつ、牛ほほ肉甘煮、冷奴を前菜にした。お通しは枝豆。
酢もつ、牛ほほ肉

もつ鍋の前に酢もつというのがもつ鍋屋の常識のようだ。牛ほほ肉は西洋料理屋で何度も食べたことがあるので、酢もつよりは食べやすい。
もつ鍋、野菜

もつ鍋は熱々で運ばれて来るので、鍋に乗せて火をつけるとすぐに食べられる。客を回転させるための工夫だろう。コンロはカチッと鳴るところまで回すと、鍋は煮えたぎるが吹きこぼれがないのが不思議だ。
せんまい、ちゃんぽん麺

アッと言う間に鍋が空になりそうなので、もつとせんまいを追加した。焼肉屋で出てくるようなせんまいを想像したが、意外とコリコリして美味しい。
〆はちゃんぽん麺。いくらでも食べられそうだったが、少しばかり遠慮した。スープをたらふく飲んだのでほぼ腹一杯。
やま中本店は西鉄大橋駅近くにあり、博多の中心からは少し外れる。最近、街中の赤坂に新店舗ができたそうで、こちらも連日満員とのこと。
美味しいもつ鍋に満足したが、やっぱり汚い店のほうが風情があると思ってしまう。周りを見渡せば男たちだけのグループよりも女性のいるテーブルの方が多い。彼女たちにすればきれいな店の方がいいに違いない。
デートでも行けるもつ鍋屋さんだが、子供はお断りなので家族では行けないのがお母さんには残念だろう。
博多もつ鍋 やま中 本店
福岡県福岡市向野2-2-12
092-553-6915
やま中 赤坂店
福岡県福岡市中央区赤坂1-9-1 サニー赤坂店2F
092-716-2263
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2007年09月20日
[三櫂屋](四谷三丁目)
日本一美味しい豚しゃぶのお店

グルメ雑誌は毎週どのぐらい発行されるのだろうか。滅多に買うことはないが、Dancyu の「日本一特集」には財布を開かされてしまった。掲載されている店の中からいの一番に選んだのが三櫂屋だった。3,360円で豚しゃぶ日本一が味わえるなら安いものだ。
日本一というには意外なほど小さな店だ。カウンターの上の1枚だけのメニューを見る。こだわりの料理の間に「ふつうのトマト」などがあり、肩肘張らない自然体が感じられる。
お通し、おぼろ豆腐

お通しに温かい枝豆が出てきた。単なる枝豆のお通しでも温かければ気分が違う。店の姿勢がよく分かるのがお通しだ。
おぼろ豆腐にはタレが入った可愛い器が添えられたが、我々は別に塩を求めた。どこの塩かと尋ねるとポルトガル産の塩とのこと。
焼蛸

客は誰でもメインが豚しゃぶと決まっているためか、魚料理の選択肢は多い。鮪のカマ焼きに心が奪われたが、つなぎはメインのひき立て役で充分。香ばしく焼かれた焼蛸はその任を充分果たした。
鍋となれば最近流行は電磁調理器だが、主流は今なおガスボンベ式だろう。三櫂屋は炭火と極めて珍しい。強く柔らかな火がしゃぶしゃぶに相応しいらしい。

もう一つユニークなところはたっぷりの薄切りねぎ。鍋の具はこのねぎと豆腐だけ。しゃぶしゃぶの肉にねぎを巻いて食べる。

群馬県で飼育された豚の肩ロース、薄切りねぎ、こだわり豆腐と揃って、最後のポイントはこだわりのタレ。嫌いなものは何一つない銀髪だが、甘いものと酸っぱいものはちょっと苦手。連れは絶賛していたが、しゃぶしゃぶのタレは豚であれ牛であれ胡麻ダレが好きだ。

それにしても炭火の力はたいしたもんだ。グラグラ煮えたぎることもなく、火力は安定している。豚肉やネギを優しく持ち上げる。
永遠に続くかと思われた暑さも和らいできた。鍋が恋しくなる季節はすぐそこに来ている。
三櫂屋
東京都新宿区舟町4 北村ビル2階
03-3351-3477
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2007年09月05日
[ぎんざ 力](銀座)
気軽におでん屋へ

気軽といってもやっぱり銀座。厳選した素材に品のいい応対は接待に使ってもおかしくない。場所柄同伴客が多いかと思ったが、それらしいカップルは見当たらない。1人で晩御飯を食べている人もいる。
お通し

ビールとお通しが出てきたところで女将に「料理の写真を撮っていいですか?」と尋ねる。毎回一番ドキドキするところだ。快諾してくれると気分が楽になる。
岩牡蠣、のどくろ刺身、白えびかきあげ

メニューには富山湾の素材が多く並ぶ。富山の知人から直送してもらっているが、特に富山に固執しているわけではないそうだ。先日富山で食べ損ねたので、のどくろの刺身にこだわった。高級魚になってしまったので、地元より東京の方がいいものを食べることが出来る。
牛すじ土手焼き、丸茄子田楽

力名物の土手焼きは関西風。メニューには辛し蓮根、馬刺しなどもあり、富山一辺倒ではないことがわかる。
茄子はスプーンで中をくり抜いて食べ始めたが、Kさんの顔がふと浮かんでしまった。Kさんがいたら「皮が美味しいのに」と怒りそうだ。慌てて皮も食べた。Kさんは正しい。
おでん(卵、大根、トマト)

卵と大根が好物なので他に目移りしながらも、結局頼んでしまう。あちこちのおでん屋で食べられるようになったが、力自慢のトマトが今日のお目当て、ハイライト。卵の皿に一緒に乗ってくるかと思ったら、別の器でやってきた。酸味が効いて非常に美味しい。我が家でもときどきトマト鍋をするが、大好評である。トマトは偉い!
ぶっ掛けご飯

1人で来ている人のお目当てはこれ。いい味に仕上がったおでん汁をかけるのだから不味いはずがない。
カウンターの中の料理長はこちらの話にあまり乗ってくれないけれど、控えめを好む客も多いだろう。銀座っぽいようで銀座らしくないのが力のいいところかもしれない。
ぎんざ 力(リキ)
東京都中央区銀座7-6-4
03-5568-2223
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2007年08月09日
[ぼたん](神田)
東京観光に老舗の味を

老舗の料理を食べさせたいと思ったら神田須田町界隈が面白い。かんだやぶそば、アンコウの伊勢屋、そして鳥すきのぼたんの3軒は戦災から免れて、今も昔ながらの佇まいで営業している。
下足番に履物を預け、座敷に案内される。足が入らない小さくて低いちゃぶ台の前に座ったところで、飲み物を聞かれる。20年以上前に来て以来なので、初めてに等しい。メニューも渡されず、考える余地もなく、さっさと鳥すきやき2人前が運ばれてきた。

鍋の下は炭が赤々と燃えている。「圧縮炭ではない本物ですね」と褒めたら、「うちは昔から本当の備長炭しか使わない。」と仲居さんは胸を張る。「さすがですね」と言うと「最近は中国産になってしまったけどね」と正直だ。

小さな鍋に仲居さんが豆腐、ねぎ、鶏肉などを入れていくのをじっと見ている。紀州の備中屋長左衛門が開発した製法で作られた炭は産地に限らず備長炭というらしい。長時間燃焼し、煙が出ない事から料理屋で好んで使われる。国産本場のものは、紀州備長炭と名付けてブランド炭になっている。
鶏肉が煮えてきた。なかなか美味い。「どこの鶏ですか?」と聞いたら「千葉県産です。昔は筑波の鶏を使っていたんだけどね」と素っ気ない。古い建物を褒め、昔ながらの味と褒めあげて連れを感心させたいのに、備長炭と同様に仲居さんは肩透かしをして非協力的だ。
後から部屋に入ってきた3人組は、座るなり「卵焼き」と注文する。後で知ったが、これも名物らしい。他に焼き鳥などもあるらしいが、仲居さんは奨めてくれなかった。
しかし、奨めてもらわずに大正解。「ごはんは?」とこれは奨めてくれるが、かなりお腹一杯で苦しい。鍋の汁をぶっ掛けて食べると、御飯好きなら何杯もお代わりらしいが、もう食べられない。
2人でビール大瓶1本、冷酒300mlを加えたお値段は二人で13,000円。ぐるなびで見ると一人前6,700円となっているので計算が合わない。御飯とデザートを食べなかったので割引してくれたのかもしれない。
ちょっと高めの料金設定と思わないでもないが、文化財の中で食べる伝統料理を満喫してのお値段、観光代込みと思えば悪くない。お味も満足できたし、仲居さんとのやり取りもそれなりに面白く楽しい食事だった。
鳥すきやき ぼたん
東京都千代田区神田須田町1-15
03-3251-0577
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2007年07月10日
[小沢](静岡)
静岡おでんは食べ損なっちゃったけれど

30℃を超える日、汗を垂らしながら青葉おでん街に向かった。冷たいクーラーの冷気の下で飲むビールが頭の中でどんどん膨らんでいく。おでん街に着いて息を呑んだ。クーラーはなく、蝿や猫が大好きな店ばかりのように見える。「入るか?」と聞いたら「銀髪さんが入りたいなら…」と言われて止めにした。嫌がる相手に無理強いするのは本意でないので、近くのこぎれいな店・小沢に入った。
クーラーの風が心地よい。カウンターに座り、ビールが出てきたところで「静岡おでんを食べに来たけれど、おでん街に入る勇気が出なくてね」と言ったら女将の顔が曇った。「うちは東京おでんなんです。静岡おでんを食べたければ他に行かれていいですよ」と言われたが、暑さの中に戻る力は残っていなかった。
魚ソーメン、水茄子、椎茸

「私は料理人ですから」と胸を張る女将は会社員に嫁ぐために静岡に来て、11年前に店を持った。もともとは洋食が専門だが、女性一人でやれる料理としておでんを選んだとのこと。食材は全国から一流の品を揃える。おでん種も鱧やグチなど高級白身魚を使い、オリジナル商品を東京の練り物屋と共同開発するそうだ。
オリジナルおでん各種

自慢のおでんが次々と出てくる。部下と分け合いながら、全品種食べようかと思ったが、果たせなかった。静岡おでんの話を持ち出したときに険しい顔をした女将だったが、既に満面に笑みを浮かべ饒舌になっている。素材、料理にこだわる料理人すべてに共通する姿だ。
かばんからMy一味(黄金一味)を取り出し、女将の許しを得てだし汁に入れた。澄んだ汁を赤で濁すことのない黄金一味がよく合う。黒七味を置いている店だ。思ったとおり味見をした女将も気に入った様子なので、黄金一味は進呈することにした。薬味のトレーにきれいに納まり、まるで以前から置いてあるように見える。常連さんたちも気に入ってくれればいいけれど。

お返しとばかり、わさび漬けをくれた。混ぜ物なしのわさび漬けも女将が選んだ本物だ。東京に戻り我が家にあったわさび漬けと比較したら、女将が言ったとおり明らかに違う。
静岡おでんは食べ損なったが、いい店、いい料理人に巡り合った。
「いい物ばかり使っていては儲からないと、税理士に怒られるんですよ」と笑う女将が、税理士の忠告に従う日は永遠に来ないだろう。
小沢
静岡県静岡市葵区常磐町2-2-1 ライブネット青葉ビル102号
054-255-4820
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2007年07月05日
お多福(新宿歌舞伎町)
おたふくといってもお好み焼き屋ではない。

銀座が発祥の老舗おでん屋はお多幸。幸が福に替わった屋号は偶然なのだろうか。
扉を開けると目の前にカウンター席が広がる。おでん屋だから当たり前か。「カウンターでよろしいですか?」と聞かれるが、もちろん「カウンターがいいです」。
お通し、おでん各種

お腹が空いているのでいきなりおでんに行くことにした。おでんに辿りつくまでにお腹一杯になる愚を今回は避けたい。
しらたき、さつまあげ、大根、卵、牛すじは薄い関西風のだし汁と共に出てきた。お多幸の真っ黒な汁とは明らかに違う。お多幸との関係は忘れた方が良さそうだ。
刺身

おでんを注文するついでに頼んでおいた刺身が時間差で出てきた。いいタイミングで読みどおり。かんぱちもいいが狙いは鬼エビ。昨年富山で初めて食べた海老だ。不恰好な顔つきをしているが、ボタン海老のように美味。
「珍しいですね」と褒めたら、「結構出回っていますよ」と返された。先日、築地に行ったら成るほど言われたとおり、数店で鬼エビを見つけた。
がんもどき、キャベツ巻き

200円のがんもどきと高級品キャベツ巻き300円。一番安いのがこんにゃくやじゃがいもの150円。200円、250円、300円と50円刻みで高くなり、最高級はたこ足の600円。いきなり倍額になるとちょっと腰が引ける。
250円のところに「きつねうどん」とある。おでん種?
きつねうどん

薄揚げのなかにうどんが入っている。意外性があるようで、騙されたようで変な気持ち。きつねだから騙されて当たり前か。味は良かった。
銀座ではおつまみが高級で1人1万円を超えることはザラ。いい物を出すのだから文句は言えないが、お多福は安心価格。暑い夏は冷房が効いた室内で熱いおでんはいかが?
お多福
東京都新宿区歌舞伎町2-21-5 第二平沢ビル1F
03-5273-0273
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2007年06月13日
[鳥茶屋](神楽坂)
神楽坂に行くならまずここから

飯田橋から坂を上りきったところで左手に毘沙門天、右手に鳥茶屋が見える。創業50余年という神楽坂を代表する料理屋だが、神楽坂で行くのは毘沙門天近くの「伊勢藤」か「姿」など数店のみ。鳥茶屋は気になっていはいたが入ったことはなかった。
ずっと焼き鳥屋と思っていたのだが、関西料理・うどん会席の店と知ったのは最近のことである。予約もしないでブラリと出かけたが、老舗の割には至って気楽。靴を脱いで小上がりの掘りごたつ式テーブルに陣取った。左側に酔っ払いの高齢者、右側に若いカップルがいる。風景も至って庶民的だ。
お通し

お通しはじゅんさい豆腐、ひじき入りの厚揚げ、大根の漬物、山芋の梅和え。
メニューも気取りがない。古い料理屋定番の古めかしいメニュー本で、お奨め料理は赤のマジックでマークしてある。観光客気分でやってくる客への親切だろうが、ぞんざいな線の引き方ながらも優しい心遣いだ。隣の若いカップルと同じ料理を並べるのに抵抗感があったが、我々も観光客と五十歩百歩。偉そうなことはいえない。赤いマークに素直に従った。
京・生ゆばの刺身、地鶏の唐揚げ、とりさし

特別に手の掛かった料理ではないけれど、どれも量があり、味もしっかりしている。連れは大山地鶏の柔らかくふくよかな味に感心しきりだった。うどんすきの主役はうどんでも、味の基本は鶏肉。店名に鳥がついているのは伊達じゃないようだ。
うどんすき

予備知識がなかったので、うどんには驚いた。細く切るのが面倒なのかと疑った。最初は違和感があり食べても美味しいとは思えなかったが、時間が経つにつれ我々にぴったりのうどんに思えてきた。なにしろ我々はダラダラお酒を飲むだけで、うどんがちっとも減らないのだ。思い出したように契っては口に放り込む。美味しいスープをタップリ吸い込んでも崩れないので、安心して酒の肴にできる重宝なうどんだった。もちろんスープは注ぎ足し注ぎ足しである。
これだけの大きな店なのに酒の種類が少ない。数種類置いてあるがすべて土佐鶴。鳥茶屋の料理には土佐鶴が一番と店主が判断したためだという。客にとって選択肢がないのは寂しいが、相手に見栄を張って大吟醸酒などに大枚使う必要がないのは有難い。
随所に老舗らしさが顔を出すが、いやらしさはない。過度の期待は禁物だが、神楽坂を楽しみたい初心者には優しい名店に違いない。
鳥茶屋本店
東京都新宿区神楽坂4-2
03-3260-6661
http://www.bolanet.ne.jp/torijyaya
追伸
携帯閲覧用のページ、携帯版銀髪グルメ紀行を作りました。
http://codawari.info/system/blog/mt4i.cgi?id=1
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2007年06月12日
[お多幸本店](日本橋)
おでん屋で焼き鳥三昧

お多幸には複数の系列があることは以前書いた(→「お多幸」)。日本橋お多幸本店は昭和23年銀座5丁目に開店、平成14年7月に現在の地に移転した。古ぼけた店内なので、ずっと日本橋にあったのかと思っていたが比較的新しいのに驚いた。
創業は1924年(大正13年)という説もある。違う系統のお多幸もほぼ同じ時期を創業年としているから、銀座4丁目に創業した店がすべてのお多幸の源なのだろう。紳士的に枝分かれしたのか、仲違いしたのかは詮索すまい。同じ赤い器に濃い醤油色のおでんがすべてのお多幸に受け継がれているのが面白い。
おでん以外の酒の肴となると、各店の特色が出てくる。日本橋お多幸本店は焼き鳥がウリだ。
ぼんちり、つくね、わさび、せせり

収容人員に対して調理場が狭いせいか、料理が出てくるのが遅いのがたまに傷だが、味は悪くないし、値段もそれほど高くない。
手羽先、おでん

手羽先も写真のとおり上手に焼けてきた。もちろんおでんが自慢なのは言うまでもない。お客様2人は思い思いのものをオーダーして舌鼓を打っている。銀髪は次のお目当てのためおでんは大根と卵だけにしたが、写真を撮る前に大根半分は略奪されてしまった。
お客様2人は70歳前後の歳なのに元気一杯にお酒をお代わりしていたが、さすがにペースが落ちてきた。銀髪はここぞとばかり名古屋コーチンの焼き物を頼んだ。
名古屋コーチン4点盛り、おしんこ

別に意地悪したわけではないが、お2人は味見をしただけで箸の動きも止まった。名古屋コーチンと言えども、満腹になってしまって美味しく感じないのだろう。さて、最後にもう少しおでんを食べようかと思ったが、お二人のからだの揺れ具合を見てお開きにすることにした。
それにしてもお元気だ。一回り以上も違うのに頭も体もしっかりしている。口角泡を飛ばして議論していたがたいしたもんだ。美女が横にいたらもっと元気になるのだろう。くわばらくわばら。
日本橋 お多幸本店
東京都中央区日本橋2-2-3 お多幸ビル
03-3243-8282
メニュー

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2007年05月03日
[赤から](名古屋)
名古屋の新名物?

名古屋は味噌煮込みうどんや味噌カツなどの八丁味噌を使う料理が名物になっている。今まで食べたことがない名物料理を探していたら「赤から」にぶつかった。赤からオリジナルの新名物がどんなものか食べてみることにした。
取り敢えずの偵察にはランチが適当だろう。名物「赤から鍋定食880円」は失敗しても悔いが残らない。東洋ビル店は雨の日でも名古屋駅から傘もささずに行けるのがいい。
席に着くなり他のランチメニューを一瞥しただけで赤から鍋定食を注文した。

煮えたぎる鍋から直接食べると火傷しそうなので、小皿に取って食べてみた。我が家のキムチ鍋と変わらない感じ。キムチ鍋はキムチと唐辛子がメインのところが多いが、我が家ではコチジャンをタップリ入れる。コチジャンも赤味噌みたいなものだから、よく似た味になるのは当然だろう。
違いを探せば赤からの方が甘味が強いことだ。八丁味噌の甘味が唐辛子の辛さを中和しているせいか、舌はそれほど辛さを感じない。ところが次第に鼻水や汗が出てくる。山本屋の味噌煮込みうどんに比べると完成度はまだまだだが、具などを工夫すれば立派な新名物になるかもしれない。夜に皆で鍋をつついてみたいものだ。
夜では気付かないことも、昼だからこそ分かることもある。ご飯が美味しくない。白米にうるさい人は何と言うだろうか。
米の質か、炊き方か、あれこれ検証するより食べ方を変えたほうがよさそうだ。まだ充分熱い鍋にご飯を放り込んだ。固めのご飯がスープに馴染んで大正解だった。

スープだけ飲むには濃すぎる味だが、ご飯を入れたことにより最後まで楽しむことが出来た。もしかしたら、これが正しい食べ方だと思って周りを見渡したが、誰も銀髪のようにはしていなかった。右斜め前に座った若者はご飯をお代わりしていたので、名古屋の人は固いご飯が好みなのかもしれない。
東京は渋谷、六本木、西麻布、池袋に出店しており、全国北海道から九州まで多店舗展開している。店の数だけなら既に立派な名古屋名物になっているようだ。
皆さんの評価はいかがでしょうか?
赤から
http://www.akakara.jp/restaurant_list/index.php
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2007年03月23日
[山田屋]②(日本橋)
もうじきふぐもおしまい

昨年末に「とらふぐ亭」で知られる東京一番フーズが東証マザーズに上場した。全国で34店舗展開しており、一年を通してふぐを安価で安定的に供給している。養殖技術の進歩でふぐの季節感がなくなってきたが、天然物を使う山田屋のような老舗料理屋には季節が存在する。3月末頃にはふぐは終了すると聞いて慌てて行く事にした。
前回訪問したときと同様にコース料理ではなく単品にした。鍋まで食べると多すぎると我ら中年族は考えてしまう。鍋を外してふぐ尽くしにしようと思う間もなく仲間の1人が自分の好みで頼んでしまった。
お通し、ぎんなん

天ぷらの盛り合わせ、里芋旨煮

ふぐのない季節も営業しているので、他の料理も悪くはない。天ぷらもきれいに揚がって美味しそうだが、銀髪は海老とキスだけ食べて残りを部下に押し付けた。「エーッ!僕が全部食べるのですか?」と恨めしげだが、天ぷらでお腹を膨らませたくない銀髪は素知らぬ顔だ。
ふぐさし

コースの刺身だとちょっと寂しいが、単品だと食べ甲斐があっていい。同じ店で食べてもふぐに当たり外れがあるが、今日のふぐは特に美味しく感じた。
唐揚げ、白子焼き

唐揚げと白子は嫌がる仲間を無視して勝手に頼んだ。養殖ふぐでも白子を持つのは冬のはずだ。今を逃すと再び会うのは遠い先だ。
最後に雑炊を食べてお開きになった。何か足りないと思ったら名物女将が挨拶に来ていない。
「ババァはもう死んじゃったのか?」と聞くと仲居さんたちが腹を抱えて笑う。彼女たちの笑顔を見たら女将が健在なのが分かる。今日はちょっと用事があり留守にしているそうだ。
「女将さんが亡くなったら必ず連絡しますよ」と仲居の1人が言うが、「迷惑だから絶対報せるなよ!」と言いたい放題だ。行きつけの店はこんなやりとりが出来るのが楽しい。
日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com
揚げぎんなん800円、天ぷら2,000円、里芋800円、ふぐ刺し3,000円、ふぐの唐揚げ2,500円、ふぐ雑炊1,500円
今日載せる予定を昨日に間違えてしまいました。昨日読んだ方、ごめんなさい。今日も山田屋です。
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2007年03月22日
[無門](新宿)
リーズナブルに食べる豚のしゃぶしゃぶ

歌舞伎町の大型和食店の代表格は車屋本店と蝦夷御殿ではないだろうか。美味しい店があると言われてついて行くと目の前に蝦夷御殿が現れた。てっきりそこに入るのかと思ったら何と隣の店だった。看板のしゃぶしゃぶの文字に財布の中身を思い出して少しひるんだ。
1階はかまくらのような2人用個室がありカップルで埋まっている。我々は2階の大広間に通された。色気も何もない。出てきたメニューを見たら、お奨めは黒豚のしゃぶしゃぶでコース一人前が3,675円と大変リーズナブルで安心した。若いカップルがたくさん居たのも頷ける。
お通しは菜の花のおひたし、そのあとにコース料理の3品が続く。
お通し、海鮮サラダ

焼き物、ふぐの炊き合わせ

お湯だけを張った鍋が出てきた。これににんにくを2片入れただけでしゃぶしゃぶをするのかと心配していたら、だしの塊が鍋に放り込まれた。黒豚のコラーゲンたっぷりの固まっただし汁は簡単に溶けないぐらいしっかりしている。

相手を気遣って脂身の少ないところを多めに食べさせようとしたら、脂身の多い方が美味しいとそちらばかり食べる。あとで店のHPを読むと「黒豚のバラ肉は湯通しすると、余分な脂肪は熱にとけ、アクとなり良質脂肪分が残り、白身はこんにゃくを入れたような透明さと弾力がありコリコリとした歯ごたえと、程よい甘味が楽しめ、さっぱりとした味わい深いコクがある。」と書いてあった。
相方は確かな舌を持っている。なかなかやるじゃないか。
豚肉のしゃぶしゃぶを食べて、野菜を食べた後に沖縄そばを入れた。これがまたなかなか美味でうれしい限り。しかしいくらコラーゲンだ、ビタミン何とかだと言われて楽しんでもこれでは食べ過ぎだ。

2人で酒を加えて1万円程度。もし1階の個室にカップルで入ったらかなり価値があると思った。カップルで来てくれる相手がいたらの話だが…
黒豚しゃぶしゃぶとふぐ料理 無門 新宿店
東京都新宿区歌舞伎町2-25-6 永和第6ビル 1F
03-5272-12
http://www.mumon-group.com/
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2007年03月16日
[華味鳥]②(銀座)
前回撮り損ね、食べ損ねたものを取り返しに行った。

一番安い味コース5,500円で充分なのだが、前回食べなかった料理を2品と鳥の刺身盛合わせを追加した。前回の反省を踏まえてそれぞれ一皿ずつ。コースに軟骨の唐揚げがついて来るので揚げ物の追加は止めた。ねずみでも学習する。
付け出し、前菜2種

付け出しは鳥皮の湯引き。前菜は鳥の煮付けに春らしく菜の花が添えられている。もう一品は鳥ひき肉の煮物。
親鳥ももの炙り焼き、博多しぎ焼き

ササミを丸ごと焼いたしぎ焼きがなかなか良かった。表面だけさっと焼いてあるが、中は生なので叩き風。身が柔らかくてお値打ちの450円だ。
お刺身は前回の記事をご覧いただきたい。
さて鍋に入る肉は正肉とレバー、ハツ、つくねなど。あらためていい肉を使っていると思う。レバーなどはふっくらとして柔らかく、煮込んでもパサパサにならない。いつ来ても納得の味だ。

今日は前回の学習が効いて、全部食べ尽くせるだろうと思ったのだがみんなの箸の動きは段々と遅くなっていく。特に酷いのがKで、昨日行ったオサミデヴァンなどでの酒のダメージが消えないのか1杯のビールをやっと飲み、少ししか食べようとしない。
60代のSさんはもともと量を食べないし、他は女性2人となると銀髪が頑張るしかない。結局野菜は半分くらい余ってしまった。若い独身女性のために、仲居さんに盛んに持ち帰りをお願いしたがあっさり却下されてしまった。
鍋の中身もまだ結構残っているが、泣く泣く鍋から出してもらい雑炊に移った。中年の仲居さんが作ってくれたが、つくねを練りいれたときと同様に雑炊も下手くそだった。火を止めるのが早すぎて卵かけ雑炊になってしまった。前回調理してくれた若い娘は見事だったので、負けないようにしっかり勉強しないとね。

それにしても残してもったいなかった。最大の戦犯はKだ。飲み過ぎで翌日グロッキーになることが多い。まったくねずみだって学習するのに何て奴だ。いつも酒を控えるように言っているのに。
その台詞をそのまま銀髪に返すとKは言うけれど、銀髪はたくさん食べて生ビール2杯に冷酒2合飲んだもんね。Kはこの後そそくさと家に帰ってしまったが、銀髪はさらに2軒梯子した。まあ、自慢できる話ではないけれど…
華味鳥
東京都中央区銀座8-8-11 銀座博品館5階
03-3569-1621
http://www.hakatahanamidori.co.jp
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2007年01月26日
[もつ壱](日本橋)
もつ鍋が再び人気になっているそうだが

オリンピックなどのスポーツ国際大会から憲法第9条改正論議に至るまで、日本人を語るに際して必ず出てくるのが農耕民族と狩猟民族の違いというものだ。和辻哲郎が比較文化論として言い出したことらしいが、農耕民族だから日本人は非戦闘的だと結論付ける評論家たちの話にはいつもうんざりする。欧米でも気候温暖なところは農業国であるし、日本人だけが平和主義者という根拠はどこにもない。
農作物が育たない地域は人種にかかわらず狩猟に頼らざるを得なかった。獲物は毛皮・骨も無駄なく使う。内臓肉も貴重な食料なので色んな料理が発達した。日本ではマタギ料理などがあるが、焼肉以外で一般的なのはもつ煮込みくらいしかない。
日本橋三越の近くにもつ専門店があると聞いて、喜び勇んで出かけた。
センマイ刺し、ピリ辛ハチノス

もつ煮、トリッパ

店の一番の自信作はもつ煮で、別売りのガーリックトーストと一緒に食べるように勧められた。土手煮風で味が濃いのでトーストに合うようだ。どこにでもあるもつ煮込みとは違うので、料理の名前も「もつ壱もつ煮」と店名を冠している。
他の料理は特別なものではないけれど水準は維持しているようだ。
サラダ2種

トマトにはたまねぎを乗せてバルサミコソースがかけてある。レタスのサラダは半熟卵を割り混ぜて食べる。肉ばかりを食べた後は清涼感がある。
もつ鍋

鍋は2人前以上をオーダーしなければならないがそれでも2,000円しない。実は銀髪にとって初めてのもつ鍋体験だった。もつ鍋はバブル経済崩壊後の1992年頃から安くて美味しいとブームになった。偏屈な銀髪はブームと聞くと背を向ける。粗悪な店も増えてブームが下火になる頃BSE問題が発生、壊滅的になったため食べる機会を逸してしまった。
前回のブームの時と異なり、景気上昇局面での人気復活。料理屋はこぎれいになり、使われるのは和牛のモツ。団塊の世代は還暦前後となり脂の乗ったカルビやロースよりヘルシーなモツを好むようになってきた。
もつ壱に関してはイタリア料理定番のトリッパのトマト煮込みを取り入れたり、バルサミコソースを使ったりと洋風のテイストを持ち込み女性にもアピールしている。
団塊の世代と女性がこれからは最大のターゲットだから、もつ壱の戦略は間違っていない。
日本の本格もつ料理をと意気込んだ銀髪にとってはちょっと拍子抜けだったが、これからもつ料理ブームがどのように膨らんでいくのか楽しみだ。フレンチやイタリアンに負けない和風もつ料理が発明されることを祈る。
日本橋 もつ壱
東京都中央区日本橋本町2-1-14 石橋ビルB1
03-3272-2276
センマイ刺し 580円
ピリ辛ハチノス 480円
もつ煮 580円
トリッパ 630円
もつ鍋 980円(1人前)
サラダ2種と生ビール2、焼酎3を加えて総額10,500円でした。
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2007年01月20日
[らん月]②(銀座)
久し振りのらん月で、初めてのすきしゃぶしゃぶコース

すきしゃぶしゃぶはこれまで単品で何度も食べた。その一場面は前に書いた(→「らん月」) コースを食べるのが初めてだったのだ。もともと食べたくないものも入っているコースは好きではない。特に甘いものが嫌い、白いご飯は夜食べない銀髪にとってコース料理を頼むことは稀である。
この日は部下が予約を取った。込んでいると言われてコースを頼むことを暗に強いられたようだ。店にとっては事前に料理の準備を整えられる方がいいに決まっている。「単品よりお得ですよ」と言う店が多いが、確かに単純に各料理の値段を足し算するとコースの方が安い。銀髪にとっては食べたくない料理の値段まで足して得をしたとは思えないのだが…
部屋に通されテーブルを見て首を傾げた。蟹の身を取り出す道具が置いてある。付け出しを食べているところに蟹が出てきた時点で、部下がコースを頼んだことに気がついた。のん気な父さんである。
ゆで蟹

蟹は嫌いではないので不満を言うつもりはない。接待なので料理のことをゴチャゴチャ言うのも気が引ける。飲み、食べ、話し、笑っているところにメインのすきしゃぶしゃぶの肉が出てきた。その皿を見て目を疑った。
コースの肉

いつものレベルの肉は皿の奥の方に1枚だけ見える。真ん中と手前の数枚も物が違う。3種類以上の部位の肉が並べられているようだ。
割安に見えるようで、コースの肉はいつもより質が落ちるように見えた。比較のために単品の肉を追加オーダーした。
単品の肉

驚いたと言うより疑問が解消して嬉しかった。コースが得だという話はいつもおかしいと思っていたからだ。肉以外の料理がいくつもついて、それほど値段が変わらなければ店の利益を圧迫する。当然のことだ。単品の料理ががコースの品より高くて品質がいいのは当たり前の話。質なり量なりで調整しないと店の割りに合わない。
連れはこれまで高い料金を払って単品勝負をしていたのが報われたようで機嫌が良かった。
ネット上の口コミ情報を見ると銀髪の評価と違うことが結構ある。その殆どはランチやコース料理を食べての批評である。もちろんコース料理を食べて初めて真価が出る店もあるので一概には言えない。それでも予約をしたらコース料理を事前にオーダーしなければならない店が多いのに閉口する。キッチンの流れ作業・店の都合に客が合わせなければならないとは、本当に切ない。
20回くらい来ている店で味わった初めての経験。実に面白かった。
銀座 らん月
東京都中央区銀座3-5-8
03-3567-1021
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2007年01月15日
[華味鳥](銀座)
まさか東京にもあるとは思わなかった。

新橋駅近くで飲むことになり、店を探していたら華味鳥の文字が目に入った。昨年の8月にオープンしたらしい。華味鳥は福岡の銀行の東京支店長に紹介されて博多の本店に行ったことがある。博多からは随分前に新三浦が東京に進出しているが、華味鳥が加わったとは朗報だ。
新橋駅に近い銀座8丁目、博品館の5階にオープンした店は博多の店のイメージとはかなりかけ離れ、銀座らしくきれいで洗練された店に仕上がっている。
料理の品数は残念ながら博多に劣る。水炊きコースが主で単品メニューが貧弱なのは、東京の人達に本物の博多水炊きを食べてもらいたいからだという。単品だけで帰るのは許さない姿勢である。
高いコースになると品数が増え、食事時間は2時間を超える。時間がないと言うと、一番安い5,500円のコースに別途単品を追加することを勧められた。刺身と唐揚を追加注文した。
刺身

ささみ、砂肝と炙った皮の刺し盛り。皮が最高得点を獲得した。わさびと思って刺身にたくさんつけたら実は柚子胡椒。むせぶ相手を笑うには可哀想なほど苦しんでいた。
唐揚

単品で頼むと値段が上のコースに入っている刺し身や唐揚より量が多いそうだ。ふぐの唐揚を連想させるしっかりした味付け。肉はジューシーで美味い。
コースの付け出し、軟骨唐揚げ、がめ煮

付け出し右にあるのは薄切りモツの和え物。この類のものを父が酒の肴によく作っていたのを思い出した。
このコースに軟骨唐揚げがついているのを確認すべきだった。物は違うが追加注文した唐揚と揚げ物が重なってしまい、鍋を食べきれるか心配になってきた。
煮物の小鉢は「がめ煮です」と言われて懐かしさが込み上げた。福岡の郷土料理で、昔住んでいた頃は確かにこう呼んでいた。
鍋

とにかくスープを飲む。コラーゲンたっぷりのスープは女性に喜ばれそうだ。塩とねぎを加えてスープを飲んだ、飲んだ。これだけでお腹一杯になりそうなほどにお代わりした。
新三浦や玄海に比べると、鍋の中の骨付きの鳥肉は意外にも軟らかくて美味しかった。華味鳥は元々鶏肉屋だっただけに、肉に対するこだわりは強い。今日食べてみて納得だった。
若い女性店員が鍋につくねを上手に丸めてすくい入れる。その腕前にみんな拍手喝さい。肝、心臓もぷっくらして美味だった。鍋に入れても固くならない。
餅、豆腐、しらたき、くずきり、きゃべつ、春菊、茸などの入って鍋は賑やかになるが、懸念したとおり半分近くは残ってしまった。
腹の中は隙間なく埋まった感じだが、雑炊は食わねばなるまい。濃厚な雑炊はかつてない結構な味だったけれど軽く一杯食べただけで、これも鍋にたくさん残してしまった。
コースの最後はデザート。鳥がらスープを100%使用したプリン=コラーゲン豆腐を一口だけ食べてお開きにした。
水炊きを楽しむなら5,500円のコースだけで充分のようだ。単品を追加するにしても、味見する程度の量が適当に思えた。4人で行ったら鍋は3人分でと頼めたらいいのだけれど、許してくれないだろうな。
コラーゲンたっぷりのスープで肌がプリンプリンに若返った。それは女の台詞だろうって? 男が肌をきれいにして何が悪い。
水たき料理 博多華味鳥 銀座店
東京都中央区銀座8-8-11 銀座博品館5F
03-3569-1621
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2007年01月12日
[玄海](新宿)
博多風の本格水炊きを食べに行った。

新宿御苑に事務所を構えるFさんと食事をすることになった。Fさんのところから歩いて5分位のところに玄海はある。前に行ったことがあるので気が楽だが、個室は埋まっており大部屋での食事になってしまった。冬真っ盛りを実感した。
創業75年と言うが新宿本店の建物はそれほど古いものではないようだ。それでも久し振りに来た玄海は記憶のとおり立派な店だった。料理はとりあえず7,000円のコースを頼んでおいた。グルナビのクーポン券で唐揚もついてくる。

(撮った写真を消してしまったのでグルナビの写真を載せました)
パリパリに揚げられた先付けは、最初は煎餅と思って食べていたがおそらく鳥の皮。どのようにしてきれいに広げて揚げたのか興味津々。この日の一番の感動だったかもしれない。
鳥を使った小皿料理3品は実にきれいな料理だ。鳥の専門店だけあってとりわさも含めてすべて上品に仕上がっている。
お目当ての水炊きの鍋は大釜で鶏を3時間以上煮込んだという白濁したスープで満たされている。鍋の中の鶏肉はだしを取った鶏ではないので美味しいと言われたが、2個食べて後は遠慮した。やはりスープが一番で、繰り返し注ぎたしてもらい何杯も飲んだ。
ぐるなびのサービス唐揚は立派なものが出てきてちょっと驚いた。これなら他の料理の追加も必要ないようだ。最後はうどんよりラーメンを入れてもらった方が良さそうだと思ったが、雑炊しかないとのことだった。ごはんや卵を持ってくるのを待っていたら、雑炊そのものが茶碗に入って出てきたのでまた驚いた。
鍋には鶏肉しか入れないのがこの店の流儀だというのをすっかり忘れていた。そう言えば、野菜や豆腐など鍋料理の定番の具は一切鍋に入れることはなかった。
玄海の店名のとおり博多風の水炊きだが、主材料は阿武隈の地鶏。博多に本店がある「新三浦」は鶏も九州から取り寄せる。新三浦などはスープに塩や胡椒で味付けして飲むが、玄海は既に味付けしてある。これだけの歴史を経れば博多風というようり「玄海」風なのかもしれない。
どちらが好きかは個人の好みだろう。水炊きの本場、博多には東京に進出していない名店も多いが、東京で食べるなら玄海か新三浦。いずれにしても、家で食べる水炊き=鳥鍋とは異なる料理を是非経験して欲しいものだ。
玄海
東京都新宿区新宿5-5-1
03-3352-3101
PS 玄海か新三浦と書いた後、博多華味鳥が銀座に出店していることを知りました。訪問記は来週ご紹介します。
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2006年12月27日
[瑞宝庵](新宿)
新宿歌舞伎町は広い。
大学生のとき友達と或いは兄弟で飲みに行ったのはいつも歌舞伎町だった。そのとき以来歌舞伎町は新宿コマ劇場の周辺のみを指すと思い込んでいた。実際は西武新宿線、靖国通り、明治通り、職安通りに囲まれたかなり広い街である。瑞宝庵は区役所通りのバッティングセンター近くにある。いつの間にか銀髪にとっての歌舞伎町はこの近辺になってしまった。
しばらくぶらついていたら、こぎれいないい店を見つけた。その店・瑞宝庵の前に出ていたメニューを見ると鍋が美味そうなので、迷わず入ることにした。
入ってみると、時節柄込み合っていると思った店内に先客は1組だけなので不安になった。
お通し、小鉢

お通しは昆布、ほうれん草、こんにゃくの3品盛り合わせ。小鉢はいわしのつみれ、ごぼう、こんにゃくの煮物。これらがセットで出てくる。お通し800円、小鉢350円、自動的に1,000以上が消える。
ビールは生しかないとのことだったのでジョッキとグラスを頼んだが、中と小のグラスの意味を理解してくれず、違う種類のグラスに同じ量のビールを持ってきた。値段はどちらも1,200円。馬鹿なのか馬鹿にしているのか。
飲み物のメニューは数ページに渡って焼酎、次がワインで、日本酒は1ページだけ。和食には日本酒が一番だと思う銀髪にとってはちょっと寂しい。
白鍋

赤鍋、白鍋、黒鍋、かき鍋の4種類の鍋の中から、店員のお勧めの白鍋を食べることにした。豚骨、鶏がらで取ったスープに白味噌を少し加えてある。これが実に美味だった。
ぼたんえび、ほたて、鮭、豚肉、野菜などが入った豪華な鍋だ。2人前で4,200円はちょっと高めだが文句はない。
ラーメン

最後に平打ちの麺を追加注文して鍋に入れた。これが最高のご馳走だった。胡椒をひいて、ねぎを乗せて食べるとどこのラーメン屋にも負けない。
メニューには材料の産地などが記されていてこだわりが感じられる。店も立派で雰囲気がある。問題があるとすればサービスだろう。料理はただ運んでくるだけで、説明はおぼつかない。「ふいてきたら食べられます」と言っただけで店員は去り、鍋奉行は銀髪に押し付けて様子を見に来ることもない。グツグツいってきたので蓋を開けたら煮えやすい野菜が既にクタッとなっていたので、他の素材より先に慌てて食べなければならなかった。
鍋に限らず細かな配慮が少しずつ抜け落ちている。今年3月に開店してから順調だったそうだが、年末掻き入れどきの思わぬ苦戦。問題の答えは簡単に出るように思えるのだが‥
瑞宝庵
東京都新宿区歌舞伎町2-24-2 ニューギンザ新宿ビル1F
03-5155-7741
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2006年12月07日
[天香回味](日本橋)
薬膳鍋の店は日本橋三越の近くにある。
東銀座の「台湾海鮮」には3度行った。その本店は日本橋三越の向かい側、路地裏にある。予約がなかなか取れないので小さい店だと思ったが、実際行ってみると3階まであるので総席数では東銀座店とそんなに変わらないかもしれない。
定番のぐるなび限定薬膳鍋コースを予約しておいたが、クーポン券を持ってくるのを忘れた。店の人にそのことを伝えたら、クーポン券をコピーしたものを持ってきてくれた。なかなか優しいじゃないか。
この鍋には黒豚、海老、椎茸入り肉団子、さつまいも、にんにく、冬瓜、チンゲン菜、キャベツ、椎茸、エリンギ、タモギ茸、黒キクラゲが入る。

60種類もの天然の成分が入っているスープは美容にもいいとのことで、女性客が圧倒的に多い店だ。男だけのグループは銀髪の席から見た限りいない。
鍋が煮えてきて食べごろになった。二つのスープを混ぜて飲むが、辛い物好きの銀髪は赤いスープを多めに入れる。我がグループの女性陣も楽しく食べているようだ。

コースにない茸、山武士茸、アワビ茸、アガリクス茸を追加した。

アガリクス茸は制がん効果があるともてはやされたが、今はあまり聞かなくなった。鍋に入れる前にみんなの制止を振り切って食べてみた。味も香りも殆どない。薬効があるかどうかはもちろん分からない。
鍋に何度もスープを注ぎ足してもらい、何杯もおかわりした。この鍋は食べるより飲むのが大事である。食材を追加する必要はない。
コースの最後はクロレラ入り麺。これに一人一枚のフカヒレがつく。フカヒレと言っても実に可愛いサイズで麺の小鉢にすっぽりと納まる。これを鍋で少し煮込むと、スープを吸って柔らかくなる。写真を見ると実際より美味そうに見える。

恋人同士で鍋をつつくのもいいけれど、5人で囲んだ鍋は賑やかで楽しかった。
天香回味
東京都中央区日本橋室町1-13-1
03-5255-7255
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2006年11月27日
[牛正]②(大阪)
「熊が入荷しました」とハガキをもらったので再訪した。
久し振りの「牛正」だ。
11月15日に猟が解禁された。野生動物の料理は冬季限定ということになる。グルメ紀行向けに前回紹介出来なかった料理を食べようと思ったが、矢張り熊鍋を外すわけにはいかない。
板さんはいつものように馬刺しを勧める。それを聞いた今日のゲストKさんは、当然のことながら馬刺しを食べたがった。
馬刺しはレバー、タン、心臓、白子など殆どの部位が揃っていたが、ロース、赤身、コウネの入った盛り合わせだけでKさんには我慢してもらった。代わりに馬焼きを頼んだ。
熊本の「菅乃屋」、銀座の「こじま屋」で、いい肉を軽く焼いて食べると生以上に美味いことを学んだ。
馬刺し、馬焼き

猪の玉刺し

猪も野生で、矢張り狩猟が解禁された今しか食べられないものだ。猪の玉刺し=睾丸の刺身はごま油などで味付けされて、なかなかの美味だ。
熊肉

いよいよメインの熊鍋。出てきた肉を見て前回にも増して驚いた。以前食べたときは、それなりに赤身があったが、今日の肉は真っ白に近い。
肉は鍋に入れるとスーッと縮んだ。牛や豚のような脂っぽさはなく、コラーゲンたっぷりといったところか。味噌仕立てでなくても、熊は癖のない良い肉だ。だしがスープに染み出して、野菜や豆腐なども美味。

最後に、うどんを1玉食べて、追加を頼んだらラーメンを奨められた。個性の強いラーメンの方が熊鍋には合うように思った。

冬眠の前に、どんぐりなど山の幸タップリの栄養を貯めた肉を食べる贅沢。食物連鎖の頂点に立つ人間ならではの特権だが、食べ物から頂いた命に感謝しなければならないと思った。
牛正
大阪市中央区日本橋1-3-7
06-6213-5503
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2006年10月11日
[おぐ羅]②(銀座)
「前回」おでんをあまり食べなかったのでまた行った。
今日は食通のOさんと一緒に出かけた。店に入って通されたのはカウンターの左端だった。大将はちょっと席を外していたが、若い衆と目が合うとお互いに顔がほころんだ。
今日の目的はおでんだが、おぐ羅はおでん以外の料理にもこだわりがあるので、数品お奨めを食べることにした。
お通し、三陸の牡蠣、絹かつぎ

いよいよ牡蠣の季節が到来した。三陸の牡蠣は小振りだが味が濃い。一つの殻に牡蠣が二つ入って出てきた。身を食べて殻を脇によけたところでOさんと目があった。「ハイハイ、飲みますよ」と言ったらニッコリ。殻には牡蠣と海水の旨みのある汁が残っていた。
絹かつぎを食べたら、Oさんが今度は塩を小皿に集め始めた。皿をさげる前に塩を取っておきたいようだ。この塩が気に入ったらしい。熱燗のアテにする。
クチコ、落鮎の煮浸し(和歌山の天然鮎)、鯛の塩辛

ナマコの卵巣を合わせて干したクチコは高級品だ。ちょっと高いけどOさんが食べたそうだったので頼んだ。鮎は随分と大きなものが出てきて驚いた。稚鮎と聞き間違えたが実は落ち鮎。卵を一杯抱えている和歌山産の天然鮎は、今の時期しか食べられないもの。
横を見るとOさんは自分の鮎の頭を箸でつまんでこちらを見ている。「ハイハイ、頭から食べるんですね」と言ったものの、大将に念を押すと「全部食べられます」とのこと。柔らかくなるまで煮込んであり、いいお味だ。卵がとっても美味い。
袋物、ロールキャベツ、ごぼう、わかめ、ぜんまい

しらたきの袋、ロールキャベツ、など全て自家製。前回食べなかったものでお奨めを聞いたら、ごぼうが出てきた。ごぼう巻きだと勘違いしたが、別物。ごぼうの中に何か詰まっている。「鳥」と銀髪、「豚肉」とOさん、予想は二人ともハズレで合鴨だった。ごぼうを煮て、穴を開けて、合鴨つみれを中に入れて、蒸しあげる。実に手が込んでいる。
大将はおでんの皿を出すときに、我々の前にある小皿の塩に気付いた。「美味しい塩なので捨てるのはもったいないから」とOさんが言うと、「福建省の塩ですから」と満足気に微笑んだ。
Oさんが「ちくわぶ大好き」と言う。銀髪が関心なさそうにしていると、講釈が始まる。「ちくわぶは3層に巻かれている。しっかり煮込んでダシが染み込むと、3つに割れる。中に白いのが残るようじゃダメ。おぐ羅と言えども割れていない。残念だ。」と言いながらちくわぶを箸で切ろうとしたら、ハラリと三つに割れた。出来すぎたドラマのようなシーンだった。もちろんOさんは大喜び。感激していた。
ちくわぶ、すじ、ねぎま、鯵のつみれ、大根

右隣にいた客が帰り仕度をして立ち上がるとほぼ同時に、大将が紙袋をカウンター上にドンと置いて目をそらした。右隣の客のためかと一瞬思ったが、どう見てもOさんの目の前。紙袋を開くと10センチ位の高さの透明の瓶に福建省の塩が入っていてビックリ。Oさんに大サービスだが、大将のちょっと照れた仕種が面白かった。
出汁を飲んで、茶飯を食べてお開きにしようとしたら、明太子和えを食べていってくれと言う。明太子をワインとバターで伸ばした創作料理。名店と呼ばれ、新しい店を展開しても、まだ衰えぬ創作意欲、料理人魂。
ブロッコリーの明太子和え、茶飯、やかん

Oさんが店に入るなり注目した錫のやかんを撮ろうとしたら、大将はまだ使ってない新しいやかんを出してくれた。飛騨高山の職人が打ち出した逸品だが、大将がお金を貯めながら時間をかけて在庫を買い取った後、職人は引退してしまったとのこと。高級品なので大将と言えども一度には買えなかった。職人は大将以外には売らずに待った。いい話じゃないか。
熱燗だって、そんじょそこらのやかんは使わない思い入れ、こだわりがある。
しかし、今日はOさんにやられっ放しだった。次回は負けないぞ! まぁ、負けてもいいか!
おぐ羅
中央区銀座6-3-6 本田ビル地下1階
03-3574-8156
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2006年09月25日
[おぐ羅](銀座) おでん
これまで銀座・日本橋を散々食べ歩いているのにまだまだだね。
少し涼しくなってきたのでおでんを食べようということになった。お多幸は何度も行っているので、他にないかと聞いたら「おぐ羅」がいいと言う。名店とのことだが、恥ずかしながら知らなかった。地図を見たらいつも通る6丁目の道沿いにある。驚いた。
早速、予約の電話を入れた。名店だからとちょっと構えて電話したら、実に爽やかな応対。予約を受けたことを心底喜んでいる感じがして、心地良い。店に向かう足取りも軽くなる。
店は地下1階にあった。これではいつも通っていても気付かないはずだ。通された席はおでん鍋のまん前、その向こうに大柄の主人がドンと構えていた。
お客より早く着いて一人っきりの銀髪に若い店員が「涼しくなってきましたね」と話しかけてくれた。待つ間ビールを飲むことにして熊本産馬刺し、かつおのたたきを肴にした。かつおを食べてしまうと、その皿に煮込んだ豆腐を加えてくれた。

主人に「一等席ですね」と話しかけると、「おでん鍋を見渡せますからね」と微笑む。
銀髪にとっては店の主と面と向かって話ができるのが最高の幸せだ。

連れが来たので砂肝の唐揚、きんきの一夜干しを頼んだ。燗酒に替えたが、小さなコップの酒はすぐになくなる。待ってましたとばかり主人が注いでくれる。「つまみは何にしましょう」と急き立てられるが、おでんに行くまでのつなぎのつまみは主人との会話だけにした。

前もって断ったものの、カメラをパチパチやっているものだから、主人が「何をしているんですか?」と聞いてくる。ブログを書いていることを告げ、今撮ったばかりのデジカメの写真を見せてあげる。「きれいに撮れているでしょう?」「そうですねー」と会話が弾む。
おでん各種

いよいよ、おでんの時間だ。常連の連れがいいだこ、ぎんなん、つぶ貝を頼んだ。これを平らげると、主人のお奨めを選んでもらった。わらび、つみれ、じゃがいも、わかめ。つみれはアジのつみれ。どれも自らの味を汁に出し、他の材料が出した味を吸い込んで旨味を増している。
既に腹一杯だがどうしても気になっていたねぎまと大好きな大根を頼んだ。
ねぎま(ねぎとマグロ)のねぎが美味いこと美味いこと。「まぐろが可哀想ですね」と言ったら、「まぐろがあるからいいんですよ」と主人の答え。
「受けたのが誰か分からないけど電話の応対が素晴らしかったですよ」と言ったら「語尾を上げるように指導していますから」と嬉しそう。それで明るく爽やかに聞こえた訳だ。
「あんなに話す主人は見たことない」と連れは言うが、喜んで食べている客を目の前にしてムスッとしている職人はいない。喜びは口や態度で示してあげねば。
「ビールの後は何にされますか?」「おつまみ何か作りましょうか?」と隣の客に主人が話しかけているが、「欲しけりゃ言うから」と素っ気無い。今度はその客が「枝豆はまだか?」と居丈高。「注文を受けてから茹でますので、少し時間がかかります」と、それでも丁寧に対応する主人。偉いもんだ。
おでんはほんの一部しか食べなかった。つまみにはくちこやくさやなど、珍味もある。こりゃ、近いうちにまた来なくっちゃ。
最後に出汁にきざみねぎを浮かしてお吸い物にしてくれた。あー、腹一杯だー!
おぐ羅
中央区銀座6-3-6 本田ビル地下1階
03-3574-8156
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2006年06月23日
[羅かん](東京駅) 二汁おでん
東京駅八重洲北口の黒塀横丁に行った。
東京駅には多数の飲食店がひしめく。駅ビルや地下街を歩くと衣料品店など一般店舗と混在して飲食店があるエリアと飲食店だけがあるエリアに分かれる。南口には「ラーメン激戦区東京編」、北口には「キッチンストリート」「黒塀横丁」などが飲食店だけのエリアだ。
北口の二つの飲食店街は2004年秋に誕生したとのことだが、すぐ近くに仕事場があるのに最近まで行ったことがなかった。ラーメンなど簡単な食事はともかく、それ以外はあまりいい店はないとの偏見があったことは否めない。評判の店が駅ビルにあるなど殆ど聞いたことがないせいもある。
八重洲北口のビル建築現場を覆っている白い塀に「キッチンストリート」「黒塀横丁」と書かれており、それに惹かれて行ってみた。矢印に沿って探してみるが、分かりにくい。もっと手前にあると思って行きつ戻りつした挙句、ようやく辿り着いた。
黒塀横丁はなかなかいい雰囲気で、駅ビルにあるのは安っぽい料理屋だとのイメージはなくなった。
ただ、飲食店がたくさん集まると目移りしてしまって決め手に欠けるのも事実だ。「二汁おでん」は銀髪の興味を引いた。
おでんは出汁(すまし)と味噌(にごり)の二つの味があり、これを二汁おでんと称している。店に入ってカウンターに座るとすぐに、味が薄い出汁のおでんを頼んだ。

関東風の醤油味の濃いおでんを食べ慣れていると、新鮮に感じる。ロールキャベツはお袋の味に近いが、かんぴょうで結ばれているのがおでんらしい。
味噌(にごり)に行く前に牛すじの土手煮、カマンベールチーズの味噌漬けを食べた。

味噌味のおでんは味が濃い。味噌系のおつまみを2品挟んだのは失敗だったかもしれない。次も味噌だと多少辛くなってきた。

どんな順番で頼むかは意外と難しいものだ。薄味から濃い味に移るのが当然のように思ったが、酒が進み、お腹も膨れた状態ではあっさり味で締めたほうがよかったかもしれない。
個人的には、二汁は関西風と関東風の食べ比べの方が嬉しい。味噌だと名古屋風の味噌田楽を思い出す。これを合わせると三汁だ。
三種のおでんの食べ比べができたらもっと楽しいが、まあ、そこまで我儘は言えないだろう。
羅かん
東京都千代田区丸の内1-9-1
東京駅名店街地下1階 黒塀横丁
03-3287-1981
追伸 羅かんは銀座の名店「おぐ羅」の指導を受けて、JRが経営しているお店だそうです。
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2006年04月14日
[一の谷](外神田) 鯛のつみれちゃんこ
「ちゃんことはお相撲さんの食事全般のこと」と言われても、やはり自宅では食べることができない鍋をちゃんこと呼びたい。
外神田と言われてもすぐに場所をイメージできる人は少ないだろう。銀座線末広町駅、JR御茶ノ水駅、JR秋葉原駅を結ぶ三角形の中、神田明神下を東南に下ったところに一の谷はある。中に入ると農家の母屋のような雰囲気のある立派な店だ。
メニューは豊富であるが、鍋が控えている以上それほど頼む必要もあるまいと思った。それでもまずビール、次に刺身が定番なのが日本人。みんなの意向に反対する理由もない。

実はメニューを見て迷った品がある。「くさや」だ。食事を楽しむためにはイベントが必要だが、くさやでは刺激が強すぎるような気がした。しかしこの店の雰囲気をもってすれば、くさやを食べるのが自然な感じがして、我慢しきれずにオーダーした。焼いてくれるのかと思ったがさすがにそこまで期待するのは無理だった。客が来る前に窓を開け放して事前に焼いていたものが出てきた。

恐る恐る臭いを嗅ぐ者が多い中で、若手がいきなりパックンした。「ワー、臭い!」と叫ぶ声を聞いて大いに笑った。初めてのくさやを一気に食べる勇気は食通になる素質大である。もう一人の若手は前に食べて吐いたことがあるから絶対食べないと意気地がない。もっとも過去も、そして今回も一切口にしないベテランよりはましかもしれない。
冷えたくさやだったのでトライした連中もそれほど嫌そうではかったが、わずかな量が食べきれずに残った。くさやを好きと言う男と銀髪がそれを引き受けたが、しばらく放置している間に室温になれたくさやが異臭を放ち始めた。みんなが悲鳴を上げるので早々に全部腹の中に納めたが、各人くさやを触った箸から立ち上る臭気にすら耐えられなくなり、箸を取り替えた。みんなの反応を見て大いに楽しんだ後に、さあ鍋の登場だ。

この鍋の最大の特徴は鯛のつみれだ。ちゃんことは「自宅で食べたことがない鍋」の条件を満たしている。高価な蒲鉾はたいのすり身を使っているので、その感触を思い浮かべたがまったく別物。ふわふわとした食感が悪くない。つなぎは卵だけか、他に山芋などを加えているのかワイワイみんなで議論をしたが、店員に企業秘密を聞くのは遠慮した。
鯛はいいだしが出る反面、魚臭くなるリスクもあるが、一の谷のつみれ鍋はあっさり上品な味に仕上がっている。鯛や野菜のエキスが充分にスープに染み出したら、最後は当然雑炊になる。
日本人に生まれた幸せを感じる瞬間である。
ちゃんこ料理 「一の谷」
東京都中央区外神田2-13-4
03-3252-8500
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2006年04月05日
[黒百合](金沢) おでん屋で郷土料理
創業以来のだしにつぎたしながらおでんを作って50年。駅構内とも言える場所に黒百合はあった。
おでん屋はどこも同じかと思っていたが、やはり所変われば入れるものもかなり違う。もちろん大根、たまご、厚揚げなどの定番メニューもあるが、せっかく金沢に来たのだから他でないものを試してみたい。
一番に目に入ったのがブヨブヨした物体。「車ふ」と言うのだそうだが、煮崩れしない麩はだしをたっぷり吸っている。
車ふ

20cmほどの長いままのふきもおでん種としては珍しい。柔らかくなってだしをたっぷり吸ってなかなかの味だ。
おでんの鍋には串に刺さったものがたくさん入っている。左の方に目を移すと浅い鉄板にどて焼きが湯気を上げている。どて焼きは八丁味噌の方がいいと思いながらも、白い味噌のどて焼きも食べてみたくなった。ちょっと甘味の味噌にだしが効いていて思ったよりも美味い。
是非食べてみなさいと言われたのが白山固豆腐。にがりを多く使い、重石で水分を抜いた豆腐だ。これをわさびで食べる。しっかりした歯ごたえがあり豆腐とは思えない。
固豆腐

壁に目を移すと「岩魚の刺身」の紙が貼ってある。岩魚も固豆腐同様に白山の名物のようだ。店員の中山君に岩魚をオーダーすると「岩魚ですか?」と怪訝そうな顔をする。「岩魚だよ。頼んじゃ悪いかい?」と言ってもまだ納得のいかない様子。年長の店員に「岩魚はないの?」と聞いたら「もちろん、ありますよ!」と答えた。
岩魚の刺身

中山君は食べたことがないようだ。岩魚の刺身を一切れ食べさせてあげた。「どうだい?」「うまいですね!」嬉しそうに笑う顔が初々しい。まだ19歳、大学生のアルバイト。店のものでも食べたものがない料理が多いに違いない。「今度からは自信を持って岩魚を勧められるね」と言うと、元気に「ハイ!」と可愛い。
銀髪の後ろで客の動きを見ているのは28歳の3代目。カウンターの中で忙しく働いているのはそのお母さんとのこと。創業50年のファミリービジネスだ。
おでんだけでなく、刺身、焼き物いろいろある。金沢では「げんげんぼう」などの珍しい魚、金沢野菜、酒など知らないものがまだまだあるようだ。
帰りの電車を待つ間にブラッと入ってくる客も多い。金沢庶民の郷土の味を、財布の中身を気にしなくて楽しめる。
季節料理 おでん 「黒百合」
石川県金沢市広岡町ロー1番 金沢百番街内あじわい館1F
076-260-3722
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2006年03月10日
[ホルモサ](日本橋) 懐かしの紙鍋
懐かしいと言ってもたかだか10年位前のことだ。先輩に連れられてランチに行ったのがホルモサだった。
当時は昭和通り沿いにあった。紙を鍋代わりに使って羊肉を煮込む。初めて食べる味で、なんとも形容しがたいものだった。昼にもかかわらず肉や野菜をお代わりした。しばらくして再度行こうと思ったときには、その店はなくなっていた。
店の名前すらすっかり忘れてしまっていた頃、江戸橋の角の店に紙鍋の文字を見つけた。小躍りしたことは言うまでもない。中に入って聞いてみると、確かに昭和通り沿いにあったあの店だった。
ホルモサとはポルトガル語で美しきうるわしの島(台湾)の意とホームページに書いてあるが、なぜ店名が台湾なのかは書いてない。28種類のスパイスを混合した独特のスープに羊肉と野菜を入れて食べるが、台湾料理なのだろうか。台湾海鮮の天香回味鍋もチンギスハンが発明したものだという。なぜ、モンゴルと台湾が「鍋」で繋がるのだろうか。不思議だ。
鍋以外にお勧めなのがシュウマイだ。やっぱりこの店は台湾料理店ということだろうか。
早速紙鍋を頼んだ。肉はマトンとラムのどちらかを選ぶ。当然のことながら最初に選んだのは懐かしのマトン。鍋にマトンと野菜を入れてしばし待つ。

味噌鍋のようだが味噌は入っていない。ドロッとしたスープに野菜のエキスが溶け込み味が出てくる。こんな鍋にはビールが合うが、一緒に行ったSは尿酸値を気にするためホッピーを飲んだ。羊の肉は体にいいと言うが、酒を飲みすぎては意味がない。健康を気にするならホッピーがいい。
男2人なら最初に頼んだ2人前はアッと言う間になくなってしまう。追加の肉はラムにした。値段も高めだが、確かにラムのほうが柔らかくて美味いのかもしれない。Sは「羊肉なのに臭みがないですね」と言う。大昔の悪しき評判はいつ消えるのだろうか。鮮度が良ければ羊は臭くない。鮮度が落ちればどんなものも臭いがきつくなる。
もやしも追加する。この鍋の濃いスープにはもやしが合う。肉がなくなっても寂しくない。もやしを食べる、ホッピーを飲む、もやしを食べる、ホッピーを飲む。
腹一杯になったら長居は無用だ。次々に来る客に席を空けてやろう。
満腹になって店を出たがまだ家に帰るには早すぎる。Sと別れて銀髪は1人で次の店を目指した。
ホルモサ
東京都中央区日本橋本町1-10-2 近甚ビル1F
03-3272-1191
http://www.horumosa.com/
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2006年03月07日
[吉葉](両国) 相撲部屋のちゃんこ鍋
割烹「吉葉」はかつて「吉葉御殿」と云われた旧宮城野部屋を料理屋にしている。伝統のちゃんこ鍋を味わった。
入り口に立つと、立派な建物に圧倒されそうだ。中に入ると左手中央に土俵が見える。第43代横綱吉葉山が弟子を鍛えた土俵だ。この土俵では月水金の夜7時半から相撲甚句が披露される。
メニューを見ると割烹を謳うのがわかる気がする。いろんな魚介類の活き造りが売り物のようだ。吉葉は築地市場に店を持つ仲卸の直営店で、新鮮な魚介類を仕入れているとのこと。土俵の奥と、左手寿司カウンターの前には生簀があり、クエも泳いでいた。クエの中では小振りだが、それでも20人前以上の刺身が取れそうだ。
生簀の中からどれか一匹選んで活き造りをしたいのは山々だが、我々2人じゃ荷が重過ぎるので刺身の盛り合わせを頼んだ。はまち、鯛、まぐろ、若筍、かつお、たこがほぼ2切れずつ。

あら煮は色んな魚のあらが入っている。大根が魚から出たダシを吸い込んでいい味を出している。

鍋は最低単位の2人前を頼んだ。お勧めの吉葉鍋は肉、魚介類、野菜が各種入っている。醤油味と味噌味のどちらかを選ばなければならないが、やはり定番の醤油味にした。具沢山の豪華な鍋だがちゃんこと言っても特別変わったものではない。

店からもらった解説書にはちゃんこの語源を「長崎に伝わった板金製のチャングオが訛ったもの」「ちゃん(父親=親方)と、こ(子=弟子)を合わせてちゃんこになった」との2説を紹介してあった。ちゃんことはお相撲さんの食事全般を指し、鍋料理のことではない。
それにしても今日の客はよく食べる。「イヤー、銀髪さんと一緒だとお腹が空くんですよ!」と笑う。「最後は雑炊にしますか、うどんにしますか?」と聞かれ、即座に雑炊と彼は答える。雑炊にするためには具をさらわなければならないが、そのすべてを自分の器に盛ってしまった。
銀髪はお茶碗に軽く一杯食べてお終い。彼は大盛り3杯をぺろりと平らげた。
若かったら宮城野部屋からスカウトが来たかもしれない、と思っていたら「銀髪さん、この後ロシア娘の居る店にいきましょうよ」と来た。「違うよ!あなたに相手して欲しいのは娘ではなく外国人力士ですよ!」と言いたかった。 頑張れ日本人力士たち!
吉葉
東京都墨田区横網2-14
03-3623-4480
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2006年02月24日
[なまこ屋](神田) 秘伝のどぶ汁仕立てのあんこう鍋
のん兵衛はいい店を探すのが上手だ。いい店とは手頃な値段で美味いもの出してくれる店のこと。銀髪の兄は典型的なのん兵衛だ。
神田は不思議な街だ。東京駅や日本橋のすぐ側なのに、まったく違った雰囲気を持つ。路地裏に入ったら時代を遡ったような錯覚をしてしまう。銀座・日本橋界隈ではあまり見られない焼とん屋もあちこちにある。
雨の中、兄に連れられてなまこ屋に行った。通常なら一杯の店内も、週明けの雨の日はさすがに客足は鈍い。なまこ屋というぐらいだから、なまこの専門店かと思ったがあるのはなまこ酢だけ。最初になまこを食べた人のように、初めて店の戸をたたく勇気ある客に感謝の意をこめて応対する気持ちを込めての命名のようだ。
自慢の品はふぐ、あんこう、鴨と数種類ある。どれを食べるか決めるのは難しい。ふぐは食べる機会が多いので簡単に除外したが、あんこうか鴨か悩んだ。春が一歩、一歩近づいていることを感じ始めた今日この頃。シーズンの終わる前にあんこうを食べるしかあるまいと決めた。
あんこう鍋はいせ源ぐらいでしか食べたことがないので、「どぶ汁仕立て」の文句に興味が湧いた。昔あんこうは売り物にならなかったため、漁師たちが船の上や浜で作って食べたという。従って水は使わずあんこうの身や野菜から出る水分と味噌だけで作るのをどぶ汁と言うそうだ。なまこ屋の秘伝は聞きそこなった。
出てきた鍋には「あんこうの7つ道具=身、皮、肝、ヒレ、エラ、卵巣、胃」が入っているのだろうか。捨てるものがない魚と言われ、DHA、IPA、レチノ-ルなど体にいいものを豊富に含むそうだ。
最近では外国産が多く出回っているが、なまこ屋は本場の茨城県常盤産のあんこうを使用している。

最後は雑炊。

濃厚などぶ汁仕立ての出汁にご飯を入れ、追加オーダーしたあん肝を入れる。
これはいい。ちょっと太り気味の銀髪はなるだけ食事の量を減らそうとしているのだが、これを残すのはもったいない。
生牡蠣、あんこうとふぐの唐揚、たたみいわし、なまこ屋名物とりまんじゅう(鳥ひき肉を山芋と餅米で包んだもの)、なまこ酢を食べて、お腹一杯になっても雑炊は美味い。
名物とりまんじゅう

お兄ちゃん、ご馳走様でした!
なまこ屋
東京都千代田区内神田3-5-5 大同ビル1F
03-3256-7098
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2006年02月06日
[牛正](大阪) ツキノワ熊の鍋
牛正と書いてぎゅうしょうと読む。牛肉を食べさせるのかと思ったら、名刺には鍋・馬肉料理と書いてある。大阪で不思議な店に案内してもらった。
日本一交差点北西角の古いビルに入っていくと右手に牛正がある。小上がりのテーブル席が一つある以外は長いカウンター中心の店。新鮮な様々な部位の馬刺しがあるが、馬肉専門店でもない。鍋は桜(馬)鍋、牡丹(いのしし)鍋、鹿鍋、雉鍋、熊鍋と多彩だ。いい肉が手に入ればそれらの刺身を食べることもできる。
熊鍋をメインにすることは店に着く前から決めていたが、他に何を頼むか迷ってしまう。馬は熊本で食べたばかりなのでスキップしようと思ったが、板さんが勧めるし相方も食べたそうなので馬刺しの盛り合わせと桜納豆を頼んだ。それと長須鯨の尾の身。さすがに何度も勧めるだけあって熊本産の生の馬肉は美味い。熊本でも食べられなかったユニークな馬刺しが白子。
馬の白子

見た目と食感から白子と名づけたそうだが、実際は背骨の骨髄とのこと。牛は危険部位ということで問題になっているが、馬は大丈夫と板さんが胸を張るので食べてみた。胡麻とからしがよく合い、人によってはネットリ感が苦手かもしれないが結構食べられる。
さて熊鍋。その肉を見てください。

白い部分は脂のようだがコラーゲンが主なのでそれほど脂っぽくない。
牛正は丹波産猪肉を扱っているため熊も兵庫県丹波から仕入れる。熊は、絶滅危惧種になっているツキノワグマで、丹波地方は捕獲を禁止しているため、他地域で捕獲したものを丹波に集めて再出荷しているらしい。
ツキノワグマの狩猟期間は11月15日から2月末迄で、冬眠に備えて木の実などを食べて脂肪を溜め込むため写真のような肉になる。
鍋は味噌仕立てのため、熊肉自体の味はよく分からなくなってしまっているものの、熊は固くて臭いとのイメージとは異なる。鍋を食べている間に皿に残った肉の脂・コラーゲンは室温で融けだしている。

話の種で終わらせるのは惜しい食材だが、絶滅危惧種を頻繁に食べるわけにもいくまい。
次に来るときは別の鍋を試してみよう。久し振りに牡丹鍋もいいかもしれない。雉は予約制だが刺身で食べることもできる。
希少品、高級食材とも言える物を気楽にカウンターで食する。
「大阪らしい店」と言ったら、大阪人に怒られてしまうだろうか,喜んでくれるだろうか?
牛正
大阪市中央区日本橋1-3-7
06-6213-5503
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2006年01月30日
[美山亭](長野) 信州牛のしゃぶしゃぶ
長野と言われるとピンと来ないが、信州というと名物はたくさんある。みそ、おやき、馬そして牛。信州牛を食べに行った。
全国を回っていると和牛の銘柄牛がたくさんあるのに驚く。松坂牛、神戸牛、但馬牛、近江牛、米沢牛、飛騨牛、佐賀牛。どれが一番かと聞かれると困ってしまう。
食べ方はすきやき、しゃぶしゃぶ、ステーキ、焼肉のどれかになるのだが、牛を味わい尽くしたいなら焼肉屋が一番だろう。レバー、ミノなどの内臓も余すことなく食べることができるからだ。
しかし、さしの入ったいい肉を食べるならしゃぶしゃぶが一番と思う。野菜、豆腐も摂ってバランスよく食べるとなればしゃぶしゃぶに軍配が挙がるだろう。すき焼きもいいが脂が抜けないため使う肉は一段下がいい。それでもすき焼きは銀髪には甘すぎる。
美山亭は長野駅から車で15分ほどの高台にある。創業して14年と言うが、夜景も楽しめる雰囲気のある料理屋だ。離れ屋に入れば他の客と顔を合わせることはない。お忍びにはいいかもしれない。

夜景を見ながら酒を酌み交わす

事前にしゃぶしゃぶコースを頼んでおいたが、初めて信州牛を食べるのだからまず刺身を味わいたい。これも予約が必要と一度は断られたが、板さんの配慮で食すことができた。
先付けと牛刺し

信州牛の特徴は長野特産のりんごを食べさせていることだそうだ。老舗のすき亭が信州牛売り込みのため「りんごで育った信州牛」という売り口上を広めた。美山亭もこれにあやかってこの売り口上を使っていたが、すき亭からクレームがあって今は禁じられているそうだ。
牛にりんごを食べさせると食欲増進、健康維持ができ、いい霜降りができるのでどこの牧場でもりんごを食べさせているようだが、なかなか商売は厳しい。
しゃぶしゃぶ

刺身を何もつけないでかじってみたが、りんごの味がするわけではない。しゃぶしゃぶにして食べてみると、何とも言えないふくよかな味がして美味い。肉の旨みかなと思ったが、どうもごまだれに秘密があるようだ。バターのような風味がある。女将さんに聞いてみたら生クリームが入っているとのことだった。
これは家庭でも使えそうだ。スーパーのちょっと安い肉でもこのタレなら美味く食べられそうな気がする。
銀髪以外は60代の方々だったので、食べきれず残った肉が銀髪の前に並べられた。50歳にもなって若手というわけでもないが、折角の信州牛を残すのはもったいない。遠慮なく頂いた。
室温で溶けかけた肉を鍋に入れてすぐに助け出すと、胡麻だれに運ぶ間に赤色が完全に消える。口に入れるとバターの風味が広がる。
今日は若手で良かったと思った。
雲上閣「美山亭」
長野県長野市上松3-6-35
026-235-3800
http://www.miyamatei.com
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2006年01月10日
仕切鍋
東銀座「台湾海鮮」に行ってからどうしても欲しかった物がようやく手に入った。双味鍋とも言われる2つに分かれている鍋だ。
明石家さんまのエピソード。さんまは新婚旅行先のイタリアで大竹しのぶと大喧嘩をした。買い物は一人にさせておくほうが楽だが、ブランドショップで1時間半も待たされた。
怒った理由は待たされたことではない。「いいものなかったわ」と手ぶらで出てきたからだと言う。
銀髪も同じ経験を何度もした。
「これ、どう?」
「ウン、いいねそれ」
「これは?」
「オウ、いいんじゃない」
長時間見て回った挙句、「また今度にしよう」と仰るのである。「いったいこれまでの時間は何だったのだろう?」と無力感にとらわれる。「あなたがいい加減な返事をして早く帰りたそうなので、ゆっくり選ぶことができない」とのたまう。
そんな訳で、もはや一緒にデパートに行くことは殆どなくなった。たまにデパートに家族と行くことがあっても、入り口で分かれる。どのみち男は一人だけだ。いない方が彼女らも幸せだ。
銀髪はファッションにはあまり興味がない。うろつくのは調理器具売り場などと変人だ。
最近探していたのは仕切鍋だったが、どこにも売っていなかった。合羽橋にでも行こうかと思っていたが、今は便利な時代だ。ネットで調べたらすぐ見つかった。
家で鍋をやるといつも同じようなものになる。わがままな家族の意向を聞いていると自分の食べたいものを食べることができない。
水炊き、あんこう鍋などこれまで我慢してきた鍋もある。仕切鍋があれば自分専用と家族用と2種類作れるから便利だ。
早速、片方をおでんにして、もう一方を辛くしてあんこうを入れた。

ところが一人分しかなかったあんこうがアッと言う間になくなった。子供たちの仕業だ。
まったくどこまでわがままな奴等だろう。結局銀髪がおでんを殆ど一人で食べる羽目になってしまった。
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2006年01月06日
[てら岡](博多) あらしゃぶ、あらちり
寒い。今年の冬は本当に寒い。こんな時は鍋がいい。昨日に続いてあったかい鍋の話。今回は博多の巻。
先日八千代丸に行ったことは書いた。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_69.html
手に入れるのが難しい魚と言われるが、博多に来るとあらを食べさせる店は意外と多い。50cm未満のあらなら手に入れるのは難しくないのかもしれない。
なかなか手に入らないのは巨大あら、1メートル以上のものだ。こうなると押しも押されもせぬ高級魚。名店に行かなければ味わうことはできない。今回もホテルのコンシエルジェでいの一番に紹介されたのが「てら岡」だった。
あらしゃぶコース(5,500円)を頼む。コースにはあらしゃぶの他に先付け、刺身、あらちり、雑炊、デザートがついている。先付け、刺身もいい出来だ。でもメインはあらしゃぶ。
サフランで緑色に色づいただし汁にあらのスライスしたものをしゃぶしゃぶする。身の大きさからかなり大きなあらだということがわかる。
仲居さんにどの位のサイズか聞いたら、厨房に走り調べてくれた。今日のあらは体長130~140cm、体重30㎏とかなりの大物だ。「巨大あらが入荷しなければ、あらしゃぶはお客様にお出ししません」と彼女は誇らしげに話す。

去年初めて食べたとき、かなりの衝撃を受けたあらしゃぶだが、今回も期待どおりの美味さだった。脂が乗っているのだが、淡白な味の白身。だし汁とのハーモニーが絶妙だ。あら2人前を追加した。飽きない味だ。
あらちり

一ヶ月前に八千代丸であらちりを食べたばかり。今回はあらしゃぶだけを食べたかったので、あらちりもコースに入っているのが不満だった。ところがこれがまた素晴らしい。八千代丸のあらちりは一般的なふぐちり同様、刺身を取った後の骨付きが使われていたが、てら岡のちり鍋に入っているあらは身が殆ど。皮と白身の間にゼラチン質の部分があり、これがプリンプリン、ネットリと何とも形容しがたい感触と味なのだ。これも結構大型のあらに違いない。
これが同じあらかと思うほど味は異なっている。考えてみれば当然のこと。まぐろだって何だって、種類や部位によって味が違う。因みにまぐろに例えればてら岡のあらはトロ、八千代丸のあらは赤身か。本まぐろとメバチまぐろといってもいい。どちらが美味しいかは好き好きだ。同席した部下のFは苦手だそうだ。
最後に雑炊、そしてデザート。

デザートはしぶ柿を塩水につけて熟成させ、へたの部分をくりぬいたところにブランデーを垂らしたもの。久し振りにコースのデザートを完食した。甘いのだがその甘さが口に残らない。不思議な味についついスプーンが柿と口の間を往復してしまう。
前回来たときのてら岡より今回の方が美味しく感じた。Fも同感だと言う。あらはふぐより美味いと言う人もいる。てら岡自慢の天然とらふぐと比較しようと思ったが、ふぐは売り切れだったのがちょっと残念。
しかし、5,500円で極上のあらコースを食べられるのだから、費用対効果で言えばあらに軍配が上がるのかもしれない。博多に来たら是非試して欲しい味だ。
「てら岡」のホームページ
http://www.teraokagroup.co.jp/
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2006年01月05日
[本家柴藤](大阪) うなぎ鍋
昨年は名古屋、福岡に10回以上行った。景気回復が他の都市より早かったためだ。どこか忘れてはいませんか?そうです、大阪です。西の雄の景気回復は遅々として進まなかった気がしていたが、ようやく動き出してきた。今年は大阪出張が増えそうだ。そこで、今年最初のレストラン紹介は大阪から。
大阪名物は何だろう? たこ焼き、お好み焼きは夜の接待には使えない。ふぐもホルモン(焼肉)も何でもござれ。他所のものを安く、美味く食べさせるのが大阪と言うのは分かるが大阪発祥の料理とは言い難い。さて困った。
グルメガイドを見ていて閃いた。鰻はどうだろう。東京と大阪の鰻料理は背開きと腹開き、蒸し&焼きと焼きのみ。違いははっきりしているのに、大阪で鰻を食べたことがない。
タクシーを捕まえ「しばふじ」と言ったら「しばとうですね」と正された。結構有名な店らしい。本家柴藤創業280年で落語にも出てくる老舗。鰻鍋が名物とグルメガイドに書いてあったのでやってきた。
店に入ってエレベーターに案内された。壁に「鰻鍋要予約」の貼り紙が目に入った。エッ!折角来たのに食べられないの?
席に通されて仲居さんに無理を言う。「40分位待ってもらいますよ」と言われたが引き下がらない。出来るまで他の料理を頼むからと食い下がる。調理場とインタフォンで交渉してもらい、何とかOKが出る。
肝煮、肝焼き、うざく、う巻き、八幡巻、白焼きとメニューの上から片っ端に頼む。名古屋「西本」に行った時と同じだ。ビールから日本酒に移ってひたすら飲み食いしながら鍋を待つ。
みんなお腹が空いているのかアッと言う間になくなっていく。仲居さんを呼んで蒲焼(ご飯なし)を頼む。蒸さないためしっかりとした身の関西風蒲焼だ。名古屋「西本」の方が同じ関西風でもカリッとしていた。柴藤の蒲焼は柔らかめの仕上がりだ。
蒲焼を食べている間にかつおだしが効いた鍋が到着。最初は鰻のぶつ切りでも入っているのかと思った。
オーストラリアでは直径10㎝もある鰻が料理に使われていた。厚い白身はバターソテーなどに使われる。ヨーロッパでは燻製にされる。料理はなんでもありだ。
鰻の鍋があっても面白いと思ったが、匂いや脂がきつそうで心配だった。

どんな鍋か興味津々だったが大皿に乗ってきた鰻は白焼き。さっき食べた白焼きと大きな違いはない。たっぷりの野菜を入れて、白焼きを熱いだし汁にちょっと浸して上げる。あまり長く煮るとクタクタになってしまう。かつおや野菜のだしに絡まり、オツな味だ。

仲居さんは「浪速鍋」と言うぐらいだから大阪ではみんな知っていると言うが、帰りのタクシーの運転手さんは知らなかった。この店だけの名物かも。どっちが本当?
白焼きと言っても関西では薄くタレが塗ってある。冷凍うなぎを買ってきて家で鍋に入れてみても面白いかもしれない。この店のような一級品を鍋に入れるのはなんだかもったいない。
「今日は浪速鍋ですよー」なんてちょっと洒落てませんか?
本家 「柴藤」
大阪府大阪市中央区高麗橋2-5-2
TEL 06-6231-4810
FAX 06-6205-0215
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2005年12月13日
[いせ源](神田) 老舗のあんこう鍋
あんこう鍋は我家で食べることが出来ない鍋料理の一つだ。以前スーパーで買ったあんこうが失敗だった。これに懲りて家族は嫌がる。そこで今日はあんこう鍋。冬になったら一度は食べなきゃ。
本当は本場茨城県に行って食べたいがそれは難しい。従って[いせ源]に行くことにした。天保元年(1830年)創業の老舗だ。
神田駅から数分歩き、須田町の交差点を左に曲がると右手の路地にいせ源の看板が見える。下足番に靴を任せ、階段を上がる。6人以上でなければ予約は取れないが、大広間なら予約なしでも入れることが多い。古い建物もシステムも駒形どぜうに似ている。
肝刺し(1,365円)、ともあえ(1,050円)、からあげ(1,155円)、にこごり(630円)を一人前ずつ、メインに目玉のあんこう鍋(3,465円)を2人前頼む。残念ながらあんこうの刺身は売り切れだった。
一皿の量は少なめ。ともあえ以外はなぜかすべて3切れ。4人でくれば2皿必要だ。からあげ、にこごりが特に美味い。
鍋が来た

仲居さんが底の浅い鍋をガス台に置きながら「これが2人前です」と言う。きっと初めて来た客の殆どが聞くのだろう。「これは1人前ですか?」と。
待つこと10分程度で食べ頃に思えたが、ウドが軟らかく、豆腐などに味が染みるまで煮込むように言われたので他の肴をつまみながら待つ。
以前スーパーで買ってきたあんこうはアンモニア臭があった。○○円引きにつられたのが失敗だった。味付けをかなり工夫したが臭いは消えず、家族が嫌いになってしまった。殆どの人は一回でも嫌な思いをすると次はない。家族に申し訳ないことをしてしまった。
いせ源のあんこう鍋はもちろんそんな臭いはしない。身もゼラチン質の皮も美味い。難を言えば量が少ない。
当然のごとく仲居さんが鍋に足す具の追加注文を取りに来たが断った。「雑炊も出来ますよ」と言われたがこれも断った。満腹にならなかったことを幸いに、別の味を求めて違う店に行くことにした。
あんこう鍋の相場を知らないので、いせ源が割高だったのか、割安だったのか分からない。刺身がなかったのは残念だったが、ともかく名店のあんこうを味わった。これを基準に他の店の味と比較することが出来る。
今は輸入物のアンコウもかなり出回っているとのこと。水戸でも安物を食べると輸入ものらしい。
築地に行くと国内産のアンコウがドテッと置いてある。買って帰りたいが、これを調理するのは無理。
次は本場茨城の魚市場の近くで食べたいものだ。
いせ源のホームページ
http://www.isegen.com/
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2005年12月07日
[北大路](京橋) 今冬初のふぐの白子
今シーズン初めてのふぐの白子。思いがけず食べることが出来た。聞くは一時の恥。いや最高の得かな?
仲間を引き連れての今年第1回目の忘年会。ふぐもある、肉もある、色んな料理がある。個室がたくさんあり、接待にも宴会にも使える。「北大路」は大衆向けなのか、高級志向なのかよく分からないチェーン店だ。
メニューを開くと皆の期待と不安を込めた目がこちらに集まる。若手に尋ねる。「何がいい?」遠慮する若手に代わって「ふぐが食べたいんだろう?」とベテランの声が飛んでくる。意を決して若手が「ハイ!ふぐがいいです!」と今度は威勢がいい。
「分かったふぐだな」と言いながら尚もメニューを見ている数秒間、みんな銀髪に無言のプレッシャーを与える。「よし!とらふぐづくしコースにしよう」と言うと、「一番上ですか? やった!」
こんなに喜ばれちゃ仕方がない。
ところがコース料理にはいつものことながら問題がある。最後のデザートが無駄だ、食べられない。今日のメンバーは殆どがのん兵衛なので、デザートを何か他の料理に替えてくれないかと女の子に頼んだ。若い子だったので「無理ならいいよ!」とやさしく付け加えたが、みんなが今度は彼女に厳しいプレッシャーを与える。
もちろんまずビール。前菜盛り合わせ、てっさ、陶板焼き、唐揚、てっちりと続く。それからひれ酒だ。
てっさ

途中でトイレのために席を立った。部屋の外にホタテが置いてある。自分は頼んでいないので隣室の料理だなと思いながら席に戻った。てっちりを食べながらひれ酒を呑んでいると、女の子が先ほどのホタテの入った小皿を運んで来た。

「デザートの代わりに白子を持ってきました」と言われて気がついた。ホタテじゃなくて白子だったのだ。これは嬉しいサービスだ。時期的にはまだ早く、メニューにも乗らないサイズなのだろう。大人数、一番上のメニューだからの配慮と思われるが、デザートの代わりに何か別のものにしてくれないかと聞いて得をした感じ。ダメ元で言ってみるもんだ。
最後に雑炊を食べてお開きになった。量より質を求めるならふぐの専門店がいいに決まっている。しかし、これだけもれなく食べて白子もついたとなると、お値打ち感もある。
銀髪にとってはみんなの笑顔が何よりのご馳走だった。
個室会席北大路
http://www.kitaohji.co.jp/
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2005年11月26日
[お多幸](茅場町) 関東風おでんの老舗チェーン
「こだわり」の社長SとスタッフのKを連れて食事に行くことにした。Sが食事制限中だが豆腐料理なら外食も可と言う。ちょっと寒くなったしそれならおでんがいい。近くの茅場町お多幸に行った。
銀髪は大根、卵、厚揚げ。Sは大根、はんぺん、しらたき、こんにゃく。Kはこんにゃく、豆腐、わかめ、練り物を頼む。
第2ラウンドで食べたのはジャガイモ、がんもなど。Sに遠慮したわけではないが、練り物は結局食べず終い。昔は練り物中心に食べていたが、歳を取ったのか、味がわかるようになったのか。嗜好は随分変わってしまった。

おでんの王様は大根ではないだろうか。お多幸の大根は醤油が染み込んで黒い。お多幸は日本橋のお多幸本店、新橋のお多幸、それとこの茅場町店や新宿店など数店を擁する大正12年創業の銀座お多幸など数系統があるが、どれも濃い醤油色。これが関東風正統派のおでんだ。
Sが「関東煮(かんとだき)ですね!」と言うが、東京では関東煮とは呼ばない。関西でのおでんの呼称だ。ところが関西風は薄味のだしで関東風とまったく違う。うどんもそうだが、関西人は濃い醤油味を好まないようだ。関東煮であって、関東の味ではない。不思議だ。
銀髪はどちらも好きだ。薄味の大根も美味い。
おでんは家で食べても楽しい。家では関東風と関西風の中間位の感じか。市販のおでんの素の影響だ。ちょっと淋しい。昔は各家庭の味があったはずだが、インスタントだしのおかげでどの家も同じ味のおでんを食べているに違いない。
おでん種を各種、人数分だけ入れると、食べ盛りのときは誰がどれを食べたか言い合いになった。食べているときは真剣だったが、今となればいい思い出だ。
たまに作るとついついかつてのように大量に作ってしまう。ちょっとずつでも様々な種類の練り物が水分を含んで鍋に入りきらないぐらいに膨れ上がる。今はみんな食が細くなり、翌日になっても食べきれず困るようになってしまった。
おでんの語源は田楽。室町時代にできた田楽が江戸時代に醤油で煮込んだおでんとなった。これを屋台で買って食べていたそうだ。江戸時代から庶民の食べ物だ。
銀髪も小学生のときによくおやつに屋台でおでんを買って食べていた。「でん、でん」とふざけて呼んでいたが、貼り紙に関東煮と書いてあった気がする。東京なのに。関西風の味付けだったのだろうか。
昼間おでんを売っていた屋台が消えて久しい。コンビニでおでんが登場したときには、?と違和感があったが、屋台がコンビニに代わっただけかもしれない。おでんは香港・台湾・中国のコンビニでも人気商品だ。
そう言えば、漫画のおそ松君。串に刺さったおでんを立ち食いしていた。刺さっていた△○□は何だったのかな?
今回行ったお多幸
http://www.otako.co.jp/
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2005年11月25日
[新三浦] (築地) 本場博多の水炊き
鍋が美味い季節になってきた。我が家でも寒くなると週末は手軽に鍋料理になってしまう。
いろんな鍋料理があるが、我が家で絶対ないのが水炊き。ぶつ切り鶏肉の鍋は嫌だと言う。
確かに最近の鶏肉(ブロイラー)は脂っぽく、臭いがあり、煮ると身はパサパサとなる。部下のFは博多出身のくせに皮のブツブツが気持ち悪いなんて情けないことを言う。
5年程前、博多に出張したとき、天神の「新三浦」に連れて行ってもらった。地下の暗い店であまり期待しなかったが、ちょっとしたカルチャーショック。想像していた水炊とはかなり違う。
湯のみのような器にスープを注ぐ。これに塩、胡椒とねぎを加えて飲む。これが最高なのだ。
例えて言えば上等な鶏がら+鶏肉のスープ。極上のラーメン・スープだ。
新三浦の築地店に行った。ここは数年前に長兄に連れて行ってもらったことがある。
スープが目当てだけどコース料理は、そこに到達するまでの手順がある。
つくねよし! サラダよし! から揚げよし! みんな美味いよ、板さん!
焼き鳥つくね

みんな満足したから、さあ早くスープよ出て来い!出て来い!
やって来ました。お待ちかねの白濁スープ。湯のみに塩、胡椒と博多ねぎを入れて、スープを注ぐ。
美味い。これを何杯もおかわりをする。やっぱり美味い。
鍋にスープを継ぎ足してもらう。熱くなるのが待ち遠しい。熱くなったら仲居さんがいない。
仲居さんが戻ってくるのを待てず、自分でスープを注ぐ。
はてさて何杯飲んだことやら。

最後は雑炊。麺を入れてラーメン風にと思ったが、仲居さんの奨めるままに雑炊。
老いては仲居さんに従え? 意外といけた。
スープと雑炊だけで満足なのに、個室は8,500円以上のコースを頼まないと使えない。
料理を味わうだけなら新三浦銀座店のテーブル席でも充分と思う。
プライベートでは銀座店、接待では築地店と使い分けようか。
新三浦の水炊き。鶏肉嫌いの人にも試して欲しい。
博多育ちの銀髪にとっては、水炊きの復権を祈りたい!
「新三浦」東京築地店
東京都中央区築地1-8-1 電話 03-3541-0811
(タクシーなら築地警察署前と言えばすぐわかる。)
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2005年10月28日
[駒形どぜう] 「東京名物どじょう丸鍋」
寿司、天婦羅はいつも食べている。他に東京らしいものを食べようと考えて、さあ困った。名物に美味いものなし。東京ならではのフランス料理やイタリア料理はあるが、男同士で行く気にはならない。迷った末に、浅草の「駒形どぜう」に行くことにした。

一応電話をかけた。必要ないとは思ったが、もし観光客が押し寄せていたら困ってしまう。はとバスでどっと満員になることがときどきある。
「予約は必要ですか?」と聞くと「4~5人以上しか予約は受けません。2人なら直接来て空いていたら入ってください。」とちょっと冷めた応対。どうせ大広間で食べるのだから、慇懃無礼に説明してくれなくても、「多分大丈夫ですよ。」とでも軽く言ってくれたらいいのに。
最後に行ったのは10年以上も前。ドジョウ鍋にねぎを繰り返しタップリと入れて食べたことしか覚えていない。しかもドジョウではなくねぎが美味しかったという記憶しかない。
友達にも「話の種を作るため行くので、まずくても文句言うなよ!」と念を押す。「話の種なんかいらないから、旨いものを食わせろよ!」と彼は言うが、もうタクシーに乗って行き先を告げたから行くしかない。別の店を探すのが面倒なのだ。美女が「何か他のものにしてくれませんか?」と言えば、たちまちアイデアがいくつも出てくるのだが、どうせ相手はしょぼくれた友。断固ドジョウを食いに行くのだと譲らない。
店に入ってみると、予想通り席は十分余裕がある。靴を脱いで板の間に上がる。ここにはテーブルはない。ねぎと香辛料の入った箱と割り下が入った容器が床(板の上?)に置いてある。

メニューや壁のお品書きを見てちょっとびっくり。ドジョウしかないと思っていたが、鯉のあらいや鯨など種類も豊富である。
人間の記憶なんて本当にあてにならないもんだ。まずビール、それからドジョウ鍋、鯉のあらい、鯨ベーコンを頼んだ。そんなに高くない。
底の浅い小さな鉄鍋にドジョウが乗ってくる。この上にねぎをたっぷり乗せて割り下をかける。ドジョウは調理済みだから、ねぎが煮えたらもう食べられる。

ドジョウを食べてまたびっくり。結構美味いじゃないか。山椒と七味唐辛子をかけて食べると更に美味い。特に山椒がいい。友も「お前が不味いというから心配したが、なかなか食えるじゃないか!」とご機嫌である。
ビールの次は熱燗。一合入り徳利を2本。注ぎつ注がれつ、また1本、また1本。
ねぎをお代わりして、鍋にてんこ盛り。しんなりしたら食べて、また飲んで。
ちょっと家族の話、仕事の話。そして食って、また飲んで。馬鹿話をしてはまた飲んで。
男同士の食事もいいもんだ。言いたい放題で遠慮がない。
美味しい食事の条件。お腹を減らしておくこと。食べる前に期待しないこと。そして気の置けない友。
駒形どぜうさん。結構いけましたよ!
立派なホームページがあった。
http://www.dozeu.co.jp/asakusa/
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2005年10月03日
[らん月] (銀座) すきやきしゃぶしゃぶ「進化する老舗」
銀髪が気に入っているブログの一つが「元銀座ホステスの食べ歩き」だ。
http://amejun.air-nifty.com/blog/
ここで「わざわざ記事にするお店ではないかなと思ったのですが」と前置きして紹介されているのが銀座3丁目のらん月。中央通り、松屋の対面にあるすきやき・しゃぶしゃぶの老舗である。
度々使うのでいつの話をしたらいいか迷うが、旬にこだわらなくていい料理なので、ちょっと前に現役銀座ホステスを連れて行ったときのことを書いてみよう。
ここは相棒が常連客。今日はお客さんと一緒ではないので気軽にテーブル席を予約しようとしたが、相棒の名前を告げると「えっ!個室をご用意しなくてもよろしいですか?」と言う。電話の向こうで予約表を見ながら個室の有無を必死でチェックしているのが目に見えるようだ。
「2階ベランダのテーブル席でいいですよ。」と応えると、ほっとした様子。行ってみるとベランダ席でも一番奥の席でゆったりできる。やっぱり気を遣ってくれたようだ。
ビールを飲んでいるとEちゃん到着。後ろの席には老夫婦と外人グループの二組がいる。
彼らは同伴なるシステムを知らないのか、Eちゃんを見て我々に興味津々のようだ。
程なくNちゃん登場。2人揃うとコリャ普通のOLには見えないな。
「オイッ!ちょっと何か羽織ってろ!」と言いたいところだが、「これから鍋を食べるのにそれはないでしょう!」と怒られそう。
Eちゃんは「さん」付けした方がいいような雰囲気の女性だが、Nちゃんは明るく元気で、その桁外れの大きな笑い声にはこちらも度肝を抜かれた。後ろの2組はもうチラチラではなく、呆気に取られてこちらをしっかり見ている。落ち着いた店の雰囲気が一変してしまった。
高級クラブの子たちは、お店で着替えることはしない。お店に出る服を着て美容院に行き、出勤する。同伴はその前だから、メチャクチャ派手な格好になってしまう。
「やっぱり個室のほうが良かった(-_-;)」と後悔。
相棒は「もっと笑い声を小さくしろ!」と言うが、「あら、そうですか?」とまた大声で笑うのだ。こりゃ仕方がないと、気を取り直して食事をすることに。
頼んだのは「すきしゃぶしゃぶ」。らん月オリジナルメニューのすき焼きテイストのしゃぶしゃぶである。

以前は相棒と来ると必ず意見の対立があった。彼はすき焼き大好き。銀髪は甘いものが嫌いなのでしゃぶしゃぶ派。4人以上になればすき焼きとしゃぶしゃぶの両方を頼んでいた。新作のすきしゃぶは我々の対立を解消してくれる画期的商品となった。
相棒は「これを発明したのは俺だ!」と胸を張るが、女将は「そうでございますね。」と笑顔で応えるのみ。わがままな客と論争しても意味がないのを良く知っている。相棒はご満悦。しかし、せっかくの発明も相棒にとっては意味がない。しゃぶしゃぶなどやらせてくれないのだ。肉も野菜も次々に鍋の中にいれ、アッと言う間に寄せ鍋状態。

生卵は気持ちが悪いという相棒は鍋に何個も卵を割りいれる。卵は半煮え、肉と野菜は完煮えの状態。これをご飯に乗せて「A-5等級の牛丼」が完成。
相棒は「これが最高!」と満面の笑顔でご飯をかっこむ。
お店のこだわりが、相棒のこだわりに見事に打ち砕かれた瞬間である。
せっかく美女たちが目の前にいるのに、なんと優雅な宴なんでしょうね。
創業以来の味・スタイルを頑なに守ろうとする老舗がある一方で、常に気まぐれな客の要求を満たすべく変革を模索する老舗もある。そう言えばらん月のホームページがリニューアルされていた。すきしゃぶに次ぐ新作「焼きしゃぶしゃぶ」などもできたようだ。
前菜に出てきたソフトシェルクラブのから揚げも美味しかった。

Eちゃん、Nちゃん共に気持ちいいぐらい豪快にたくさん食べていた。寄せ鍋と牛丼を。
楽しい食事だったが「今度は相棒抜きで来ような!」と目配せする3人だったのだ。
「らん月」はホームページを見てください。
http://www.ginza-rangetsu.com/index.html
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