2010年03月08日
[メルシャン・サロン](京橋)
美味しい料理とワイン

5時半、いつも1番乗りの我々より先に客が居た。男だけの我々に対して同じ4人なのにあちらは華やか。おじさんが女性のためにシャンパンを空けている。羨ましくもあるが我々は日本人らしく「まずビール」。

「メルシャンで一番いいワインはどれ?」と店員の鈴木さんに尋ねると、フランスワインの名をあげた。みんなも嬉しそうな顔をするが意味が違う。「この店ではなく、メルシャンの作っているワインだよ」と言うと拍子抜けしたようだ。シャトーメルシャン北信シャルドネ2007年が決まった。これだって国産では最高級の立派なワインだ。

生ハムを食べながら白ワインは飲み干した。今度は赤ワイン。シャトーメルシャン城の平カベルネソーヴィニヨン2004年も白ワインと同時に空けて待たせていた。つぶ貝のエスカルゴ風、自家製ソーセージを食べる時には飲み頃になった。

イベリコハム、牛の煮込みが来る頃にはメルシャンの白と赤の2本が空になるだろう。メルシャン縛りで通すつもりだったが「オーパスワンがいい」とか「ボルドーを飲みたい」とかみんながうるさい。多勢に無勢、銀髪も折れた。ブルゴーニュの特級畑産のクロドブージョを頼んだ。慎重に開栓する鈴木さんも嬉しそうだ。

「最後にオムライス!」と言うと「エーッ!オムライスですか?」とみんな意外そうだ。今日は来店前にホームページで下調べしてきた。メルシャン・サロンのシェフは京橋ドン・ピエールで働いていた。オムライスが有名な店だが、1時以降でないと食せない。メルシャンでドン・ピエールのオムライスを食べようという趣向である。

食べ終わって鈴木さんに名刺を渡そうとすると、店長の名刺も持って来てくれた。「みゆき?」店長の木本さんは女性だった。生ハムを削ぎ切ったり、客の応対をしたり、忙しく右に左に動き回っている。木本さんと鈴木さんの仕事ぶりを見ていると、メルシャン・サロンが良い店なのも良く分かる。なかなかいい夕食だった。
それにしてもみんなワインをガブガブ飲む。いいワインなのだからもっと味わえばいいものを。飲み損なわないようにと追随する銀髪も他人のことを批判できないけれど…
メルシャン・サロン
東京都中央区京橋1-5-8
03-3231-5600
http://merciansalon.com/
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2009年10月26日
[Galettoria (ガレットリア)](渋谷)
カフェでガレット

「そば粉のクレープ」の文字に釘付けになったのは約3年前、ニューオータニのパーティー会場だった。そばは日本原産だと思っていた。従ってそば粉のクレープは日本人の発明品だと思った。料理人の説明を聞き、家に帰って調べると大きな勘違いと分かった。ガレットはフランス北西部ブルターニュ地方の郷土料理で、後にこれを真似て小麦粉を使ったクレープが作られた。元祖からすれば「クレープは小麦粉のガレット」と呼んで欲しいだろう。
ビール

ガレットリアで飲めるアルコール飲料はブルターニュ地方の代表的な酒シードルとビール。リンゴ原料のシードルではなくビールを選んでしまうのが日本人。ワインでもあれば嬉しいが、贅沢は言えない
ハムとチーズのガレット、ツナやポテトのガレット

クレープはお菓子のイメージが強い。キリスト教の公現祭(1月6日)に因んでフランスで新年に出されるパイ生地のケーキ(ガレット・デ・ロワ)と混同する人がいるかもしれない。これらと違いガレットは痩せた土地ブルターニュならではのそば粉を使った食事。酒の肴にもなる。
グリュイエルチーズとトマトのガレット、クレープ

店の女性に「ガレットは必ず卵を乗せるものなの?」と聞いたら、驚いたような顔をして「たまたまお奨めしたものが卵を乗せたものでした。すいません」と謝る。彼女のミスではなくチーズと卵が定番のようではある。もちろんガレットの生地はどんなアイデアでも受け付ける。
クレープはもちろんデザート。チョコレートと共に食べて銀髪が顔をしかめると、連れが大笑いする。もう一度笑いを求める相手を制してバターだけで食べた。これなら何とかなる。
他の店が混み始める時間がラストオーダーの店はとても静かだ。ゆったりとした2階席は貸切り状態でとても寛げる。小瓶2本だけの夕食は奇妙なほど快適だった。これが日常になるまであと10年だろうか、20年だろうか。そろそろ酒に頼らない夕食を模索するべきかもしれない。
Galettoria (ガレットリア)
東京都渋谷区松涛1-26-1
03-3467-7057
http://www.many.co.jp/galettoria/
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2009年09月08日
[パッサテンポ](吉祥寺)
路地裏のビストロ

こんな路地に評判のビストロがあるのだろうか、不安な気持ちが頭をもたげた時、連れに呼び止められた。危なく通り過ぎてしまうところだった。店に入ってすぐが立ち飲みコーナーで、左側に小さなテーブルが並んでいた。古いレコードなどがクラシックな雰囲気を醸し出している。
メニューを2つ渡された。分厚く重いのが飲み物のメニューで、A4の紙一枚が料理である。小さなこだわりの店ではコース料理のみというところが少なくない。限られたアラカルトから選ぶより、シェフのお任せコースを頼むべきだったかもしれない。
本日のキッシュ、パンとバター

自家製パンが380円と別売りになっている。それ以上に発酵バターが200円と別売りになっているのが珍しい。普段はパンにバターをつけない銀髪だけに明朗会計と褒めてあげたいところだ。発酵バターと知って頼んでしまった。うまくはめられた感じだ。
単品ずつ頼んでいく銀髪に業を煮やしたのか「料理によっては時間がかかりますので、早めにオーダーしてください」と店の女性が言う。「どの料理?」と聞くと「岩中豚のソテーは出来上がりまで20分かかります」と言うので驚いた。焼く前に冷蔵庫から出して常温にする時間が必要と教えられて納得した。
飲み物のメニューが一冊しかなくて、我々を含めて3組の客の間を行き来する。ボトルで頼む客に女性店員が丁寧に説明している。グラスで飲む銀髪は遠慮がちにメニューをもらい、2杯目、3杯目のワインの名前を記憶した。
ミックスサラダ、岩中豚のパテ

海老、鶏、卵などが入ったボリュームたっぷりのサラダが来て、岩中豚のソテーを頼まなかった自分を褒めてあげた。代わりにパテを頼んだ。値段から予想した以上に大きなパテで腹一杯になった。食後酒を選ぶために再度メニューを求めるのも申し訳ないので店を変えることにした。
勘定をして振り向くと立ち飲みコーナーで一人グラスを傾ける若者が見えた。なかなか堂に入っている。この店を上手に楽しむ方法を教えてもらったような気がした。
パッサテンポ
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-27-101
0422-23-5125
http://www.passatempo.jp
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2009年09月02日
[レストラン カナル](新宿)
小さなフランス家庭料理の店

狭い階段を下りると壁にびっしりとワインのラベルが貼ってある。最近見つけた店は思ったよりも歴史があるのかもしれない。店内のボードを見上げると15周年の感謝の言葉が書かれていた。週の初め&悪天候のせいか客は我々だけ。4人掛けのテーブルにゆったりと座り、メニューを開いた。
「お奨めはなんですか?」と女性店員に聞いた。「ずっとメニューにあるのは鴨の料理です。店名のカナルはフランス語で鴨のことなんですよ」と言われた。2品ある鴨料理の中から鴨のテリーヌを選んだ。これで一品決まり。もう一つは本日のシェフきまぐれサラダにした。

「メインはすずきのパイ包み焼き。もう一品頼んだ方がいいですか?」と助けを求めると、「お腹が空いているなら、3,000円のカナルディナーの方がお徳ですよ」と言う。オードブル、メイン、デザートをメニューから1品ずつ選ぶブリフィックスだが、多くの料理は割増料が必要なので5,000円程度になりそうだ。デザートを食べない銀髪にはアラカルトの方が徳だ。クスクス 仔羊とピリ辛ソーセージのソースを加えた。

「二人で分けて食べますから」と言ったにもかかわらず、料理は二品ずつ運ばれてきた。看板に「フランス人シェフの店」と書いてあったような気がしたが、日本人の若い女性が接客と料理を一人でこなしている。それでもサービスはフランス人の影響が強いのかもしれない。分け合って食べるのは日本人ぐらいのものだ。
グラスワインは赤白一種類ずつで、ハウスワインにしては800円は高そうに思えたが、なみなみと注いでくれるので文句はない。「フランス人のオーナーシェフは休みなの?」と聞いたら、今は日本人の奥様に店を任せて別の仕事をしているとのこと。その奥様も悪天候を理由に今日は休み。「休めばよかったのにと言われたんですけど、お客様が来てくれて嬉しいです」と笑った。
愛想のない女性と思っていたが、話し込んでいる我々に気を遣っていたようだ。「お店を開けていて良かったです」と笑顔を見せてくれたらこちらも嬉しくなる。食後の飲み物もサービスしてくれたのでゲストブックにしっかりと名前を書いてしまった。
目だないところにある小さなレストラン。こんなところにも頑張っている人が居る。
フランス家庭料理 レストラン カナル
東京都新宿区新宿5-17-6
03-3200-0706
http://canard.its.ac
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2009年07月13日
[ガール・ド・リヨン](八丁堀)
気楽に大衆フレンチ酒場

フランス在住歴6年のKともう1人の部下を連れて会社を出た。「どこに行くんですか?」と聞かれても「内緒!」とだけ答える。東京駅を背に宝町の交差点を越え、首都高のガードを過ぎてすぐの道を左折した。中華料理屋に入るふりをするとKが落胆の表情を浮かべる。それを笑ってさらに進み、ビストロの前に立った。入り口に「ワインを飲まない人お断り」のような趣旨の張り紙がしてあった。ワイン好きのKは喜ぶはずだ。
店内のテーブルには全て予約済みのカードが置かれている。7時からの予約が入っているテーブルになんとか座らせてもらった。制限時間は1時間半。壁にはどこかの駅の様子が映っている。リヨン駅だとKが解説してくれた。
牛タンのサラダ、フランスパン

フランスにある居酒屋と同じ雰囲気だとKが懐かしがる。料理の量が多いのも同じらしい。日本人らしく生ビールで喉を潤し、棚に置かれたたくさんのワインの空ボトルを眺める。値段とコメントが書かれた空き瓶がワインリストの役目をしている。
ムール貝と白貝のワイン蒸し、付け合せのポテト

大好物のワイン蒸し。残ったスープをフランスパンに染み込ませて食べる。ワインがすすむ。それにしてもたくさんのフライドポテトだ。
自家製ソーセージ、田舎風パテ

ソーセージよりもボリューム一杯のフライドポテト。「フランス料理というよりも、アメリカっぽいな」と言ったらこれがフランス流だと反論された。そこで30年以上前の記憶が甦った。ロサンゼルスでマクドナルドに入ったらフライドポテトでは通じなかった。アメリカではフレンチフライという名で売られていると教わった。
ガール・ド・リヨンに来て30年来の疑問が解けた。フランスではもちろんフレンチフライとは呼ばない。フリットである。ベルギーが発祥とも言われるが、フランスでもフリットが代表的な付け合わせなのは間違いないようだ。
7時20分過ぎに中年女性3人のグループが入って来たが、早く着いてしまったことを詫びて出て行った。我々は2本目のワインを半分ほど残して退散しなければならなくなった。道路で待つ彼女たちに残ったワインを進呈するように、店員にお願いして店を出た。これで男だけのグループは店から消えて雰囲気も良くなっただろう。
近くのポンデュガールによく似た店だと思ったら姉妹店だった。両方ともなかなかご機嫌な店である。ゆっくり、たくさんワインを飲むつもりなら、予約して行った方がいい。
ガールド・リヨン
東京都中央区八丁堀3-3-9
03-5541-4343
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2009年06月25日
[ラトリエ・デュ・グー](吉祥寺)
気取らずフレンチ風

「もう1年も経ったんですね」1周年のお祝いの札を見てシェフに声をかけた。1年前に覗いたとき、プリンスホテル料理長などからのお祝いの花が輝いていた。辛い修行は独立を果たして報われるものでもない。独立後が大変だ。シェフにとってはどのような1年だったのだろうか。
リエット、自家製ベーコン

「何を食べたらいいですか?」と聞いたら困った顔をされた。「酒の肴として少しずつ食べますか?それともしっかり食事をしますか?」と逆に質問される。もちろん酒の肴だ。
「全部すり潰してないのがいいですね」リエットは鶏肉の身が混ざって美味しい。自家製ベーコンも悪くない。上々の滑り出しである。
シェフはテーブル席に陣取る満員の客たち向けの料理を作るのに忙しい。女性ということを忘れさせるほどシェフの動きは堂々として風格がある。手順よく出来上がる料理を見ながら次に頼む料理を選んだ。
野菜のココット、岩中豚

返された質問の意味がよく分かった。メインに相当する料理は量がしっかりある。「フランス料理ですよね」と言うと「固執しない」と柔軟である。気取らず若い人も楽しめる料理がこの店の特徴である。
チーズ盛合せ

もっとワインを、赤ワインを飲み続けたい。5種類のチーズ盛合せが適当に思えた。どれも食べたことがあるようでも初めてのものばかり。チーズの名前はなかなか覚えられない。一段落ついたシェフと会話しながらチーズでワインを飲む。至高の時間だ。
勘定を始めた外国人が、友達を連れて来たいと予約の相談をしている。小さい店にもかかわらずシェフの他に若い女性店員が2人いる。そのうちの一人が戸惑うことなく英語で答えている。想像した以上に順調な1年だったようだ。
「あの鴨は美味しそうでしたね」シェフが作るのを涎を垂らして見ていたにもかかわらず、腹具合を考慮して今回はチーズを選んだ。後悔はしないが心残りではある。まあ、楽しみは次回に残しておこう。
ラトリエ・デュ・グー
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-9 ルミナス吉祥寺1F-B
0422-28-7907
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2009年06月17日
[ドンピエール](京橋)
立派なランチコース

「ドンピエールのランチコースを予約しました」と部下が言う。「ドンピエールならオムライスだろう。コース料理なんか断っちまえ!」と命ずる銀髪。素直に電話した部下が聞いた答えは「オムライスは1時からです」。粘ったけれど徒労に終った。
久し振りのドンピエールは記憶どおりの小さな店だった。一目で我々7人のテーブルがどれか分かる。席につくまで周囲を観察すると、客の殆どはオムライスと並ぶ名物のカレーを食べているようだ。部下が頼んだのは3780円のコースである。
自家製ハム、スープ

立派なハムにMさんがいたく感心している。「もう少し厚ければメインディッシュになりそうだ」と言う声にみんなが同意する。
メインコース

メインコースは岩手産無菌豚、ラム、ハンバーグ、黒ムツの4つの中から選ぶ。魚は誰も望まなかったため、撮った写真は3つになった。
どれもランチとしては充分な量がある。分け合って食べることをしなかったので、それぞれの料理の出来具合を評価することはできないが、それぞれが自分の選んだ料理に満足したようだ。
デザート

これまでの料理で値段にしては立派だと思っていたけれど、デザートのワゴンを見せられてちょっと驚いた。これだけ見事なデザートを見せられると、甘いものが苦手な銀髪は損した気分になる。デザートの料金を引いてくれたら嬉しいのになー
一人2種類選ぶことが出来るので、女性二人の後に銀髪もオーダーした。自分で味見する分を残して彼女たちの皿に取り分けてあげた。これで彼女たちは4種類を食べられることになる。横からMさんが自分の皿を出してくれた。分けるためではなく撮るために。
食事が終る頃、新手の客が数組入ってきた。席につくなり「オムライス」と注文している。時計を見るとちょうど1時を過ぎたばかり。混み合うランチタイムの後にしか食べられない名物料理。なかなかの戦略ではある。
ドンピエール
東京都中央区京橋2-3-4
03-3242-0141
http://www.perignon.co.jp
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2009年03月26日
[Bistro Talk Back](吉祥寺)
客も店員も若く楽しげなビストロ

Talk Backに近づくと、店の前に2人の女性が立っていた。通りから店内を覗くと客は誰も居ない。扉を開き「貸し切りですか?」と聞いたら、若い店員が僅かに首を振り窓際の席に誘導してくれた。銀髪につられるように店の前に居た女性たちも入ってきた。
手を上げるとすぐに先ほどの男性店員がやってきた。「名物と書いてあるから取りあえず厚焼きタマゴ。他にお奨めは?」「日本一のガーリックトーストです」「じゃあ、それ。他は?」「スズキのカルパッチョです」「じゃあ、それも」実に簡単なオーダーである。
名物厚焼きタマゴ、日本一のガーリックトースト

厚焼きタマゴと言うから和風かと思ったら、しっかり洋風だった。スパニッシュオムレツに似ていて食べ応えのある良心的な一品である。ガーリックトーストは日本一と言うのは大胆すぎる。
スズキのカルパッチョ、ラムチョップ

アルゼンチン、スペイン、オーストラリア産などリーズナブルな数種類のグラスワインが楽しめる。カルパッチョで白ワインを終了して、赤ワインのために肉を頼むことにした。「牛、豚、羊、鶏、鴨、どれがお奨め?」今度は女性店員に尋ねた。「個人的にはラムがお奨めです。ソースが絶品です」と言う。「じゃあ、それ」
彼女の推奨に間違いはなかった。
窓際の席に案内されたとき、そこが特等席だと喜んだのは勘違いだったようだ。店が半分ほど埋まってきたのは、人寄せパンダの銀髪のお陰もあるに違いない。通りから見える席に人が居れば、フリーの客も入りやすいだろう。
勘定をして店を出ようとすると、最初に応対してくれた店員が見送りに来た。「いかがでしたか、お料理は?」と聞くので「ガーリックトーストは日本で2番目だな」と答えた。
自分の子供ぐらいの年齢の店員がはじけるように笑うのを見届けて、ちょっと格好をつけて歩き出した。
Bistro Talk Back
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-24-6
0422-21-0505
http://talkback.jp/
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2009年03月10日
[ビストロ ヴィオニス](銀座)
ソムリエ王者の店で気軽に楽しく

(2009年6月に閉店しました)
知る人ぞ知る、2002年度全日本最優秀ソムリエ・阿部誠氏のお店。姉妹店のサロン・ド・シャンパーニュ・ヴィオニスには数回行ったことがあるが、ビストロの方は初めてだ。ワイン好きの客を誘った。
思ったより広くてきれいな店内のどこでも座れる自由をもらったが、迷わずカウンターの席を選んだ。厨房が見えるし、店の人と会話もしやすい。一番乗りの特権でマネジャーの齊藤さんを独り占めした。「料理はアラカルトで、グラスワインを数種類飲みたい」とアバウトな要求にも慌てない。肉は、魚は、野菜はと丁々発止で素材を決めていく。あれはダメ、これが好きと言いたい放題。実に楽しい。
黒むつのカルパッチョ仕立て

魚介類が出てきたところで白ワインのボトルが目の前に並ぶ。齊藤さんとは別のソムリエがそれぞれのワインの特徴を流麗に説明してくれる。シャルドネ、ソーヴィニオン、セミリオンなど代表的な品種以外の地方色が濃い葡萄はチンプンカンプン。好みを伝えて2種類選んだ。
ホワイトアスパラと鱈の白子

これからが旬のフランス産アスパラと白子の意外な組み合わせ。甘口のワインは苦手と尻込みする銀髪に齊藤さんはリースニングを奨める。騙されたと思って頼んだが、やっぱり甘いと顔をしかめた。ところが料理と合わせると絶妙のハーモニー。齊藤さんのしてやったりの笑顔が憎い。
仔羊のフィレステーキ

オーストラリア時代によく食べたけど、日本ではなかなかお目にかかれない仔羊のフィレ肉が牛肉や豚肉を押しのけてメインを飾った。フィレ肉を周辺の脂身で囲ってある。自分が選んだ素材がイメージと異なる姿で現れるのも楽しいものだ。今度は4本の赤ワインが目の前に並んだ。厳かに説明を聞き2種類選んだ。
デザート、チーズ

最後にホットチョコレート&カシスのアイスクリームのデザートとチーズを食べる。デザートワインを断って、もう一杯赤ワインを飲もうかと思ったが我慢した。リキュールは2次会に譲ろう。
齊藤さんが銀髪たちから離れることが多くなった。いつの間にか店は半分ほど埋まっている。ブリフィックスコースが6,300円、7,875円とリーズナブルな設定のためか、若い客が多い。女性だけのグループも複数いる。
仲間たちだけで興ずるのも楽しいかもしれないが、ヴィオニスではソムリエ達と会話をして欲しい。320種類、2000本ものフランスワインたちが輝きを増すはずである。
ヴェー・ド・ビストロ・ヴィオニス
東京都中央区銀座7-4-14 光ビルB1F
03-3571-7414
http://www.vionys.com/bistro/
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2009年01月23日
[ブノワ](表参道)
再開したミシュラン一つ星

ミシュラン2009年版にブノワの名がないのに気付いた人はどれぐらいいただろう。2008年版を買った人の何パーセントがブノワに行ったか分からない。昨年の8月に閉店してしまって、ミシュランの評価もあてにならないと思っていたら、原因は他にあった。
店の評価が悪化した訳ではなく、世界的な金融危機の影響で倒産したアーバンコーポレーションがオーナーだったため、その煽りを受けたらしい。捨てる神あれば拾う神がある。別のオーナーの下、12月4日に再開された。総勢27人でランチに行った。

幹事役が予約時に3,300円のランチを予約していた。お酒は高価格なので厳禁。お店への貢献は限定的になるが、暇になる1時半からのランチだから少しぐらいは感謝されたに違いない。光が暑いほどに差し込み、高い天井にもかかわらず暖房は使わなくて良さそうだ。モダンなテーブルの上にはクリストフルのナイフとフォーク。アラン・デュカキスのプロデュースが加わればミシュランの星を受けるのは簡単だっただろう。

豚肉のパテにはワインが必要だったと思う。水を飲みながらでは脂っぽさに半数近くが音を上げた。牛肉の煮込みはコンビーフみたいだと文句を言いながらも残した人はいなかった。

リンゴ尽くしのアイスクリームと、マシュマロ&クッキーも評判が良かった。27人全員にコーヒーか紅茶がいき渡るにはかなりの時間を要した。
「銀髪さんなら星はいくつあげますか?」と聞かれたが、ランチで評価を下すのは正当ではない。値段相応の昼用の料理でとやかく言っても仕方がない。パンやデザートに一流レストランの片鱗は見て取れた。
サービスは27人では行き届かないのも無理はない。もっとも、レストラン評論家なら予約を受ける方が悪いと言うかもしれない。どんな商売だって適正規模というものはある。
ミシュラン2010年版に復帰できるように、新しいオーナーの下で頑張って欲しいものだ。残念ながら27人のうちでリピーターになる人は殆ど居ないだろう。女性はともかく男たちの意見は一致していた。
「俺にはフランス料理は向かない」と口々に言う。フォークとナイフより割り箸が似合う我々である。
ブノワ
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10F
03-6419-4181
http://www.benoit-tokyo.com/
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2008年12月29日
[アディング・ブルー](南青山)
美味しいものはレストランで学ぶ

「外でよろしければ…」「寒くはないんですか?」わずかなやり取りだけで、行くことに決めた。年末の忙しい時期、評判のいい店はどこも一杯なので贅沢は言えない。
店内はガラガラだったのに、わずかな期待はかなわず予定通り外に連れ出された。店の前に立てられたテントは電気ストーブと灯油ストーブで温められていたが、足元には冷たい空気が居座っていた。
シューブレッドとオリーブ、もち豚の自家製ハム

パンも自家製ハムも美味しくて少し元気になってきた。皿を出すときに料理の説明はなかったものの、こちらが求めると淀みなく答えてくれた。自家製ハムに乗ったソースが面白い。
パン盛合せ、エシレバター

女性店員が木の樽のようなものを脇に抱えてやってきた。もうアイスクリーム?と思ったらバターだった。「美味しいバターですね」と褒めたつもりが、「バターだけは自家製ではないんですよ」と不満気である。後で調べてみると、ロブションやタイユバンなど一流レストランで使われる発酵バターとのこと。(http://www.webgrandchef.com/breakfast/echire/echire.htm)
フランス産キノコのフリカッセのサラダ、島根産ウリボー(仔猪)のロワイヤル

数種類のキノコは薫り高くてワインが美味しく感じる。ウリボーも悪くない。テントの中も満員になってきた。最後に入ってきたグループには食材が乗ったワゴンが登場した。何故、我々のとことにやって来なかったのだろう。他の客も羨ましそうに、不満気に見ていた。すべての客にいちいち店内からワゴンをひいてくるのは面倒なのかもしれない。
店内から目の届かないテントではサービスの評価をするのは酷かもしれない。料理は悪くなかった。パンも美味しかったので、いつか店内で食べたいものである。
何よりも良かったのはエシレバターを知ったことだ。銀髪が知らないことが何と多いことか。後日、成城石井で50g(399円)のエシレバターを買った。天然酵母を使ったパンとお歳暮でもらった生ハム、チーズ、娘が作ってくれたクリームシチューで豪華な食事が出来た。

アディング・ブルーに行って本当に良かった。
アディング・ブルー
東京都港区南青山6-3-16 ライカビル1F
03-5485-2266
http://www.addingblue.com
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2008年11月19日
[コール・ド・ルージュ](赤坂)
カジュアルな赤坂のマキシム

自他共に認める天邪鬼。話題の赤坂サカスなんか行くもんか、と思っているうちに時が過ぎた。マキシムの銀座本店から赤坂店に異動になった店員に「必ず行くからね」と約束したことは、ずっと気になっていたけれど…
赤坂でふぐでも食べようかと歩いていたらきらびやかな建物が目の前に現れた。「これが赤坂サカスか」と好奇心で目を輝かせているとワインバーから声がかかった。ワイン好きの相手をおだてると、簡単に宗旨替えをした。

ビールで喉の渇きを癒やした後、ワインに取り掛かる。ワインメニューは遊び心があって実に面白い。グラスの足に上の写真のような名刺大の札が掛けられている。もちろん、記念に持ち帰ることが出来る。
生ハムサラダ、バーニャカウダ

カジュアルな店に合わせて気楽な料理を頼んだが、思ったより美味しい。バーニャカウダのソースを余らせてはもったいないので頼んだパンが、滅茶苦茶いけると連れが感激する。
パン、牛肉のカルパッチョ

肉に合わせてちょっと高めの赤ワインを頼んだ。食べながら、飲みながら、話しながら、ワインリストを何度もめくる。オーパスワン、ラトゥール、ムートンなど後ろのページになるほど高級になり、100万円弱のロマネコンティまである。
赤坂でこんな高いワインを飲む客がいるのだろうか。湧き上がった好奇心に突き動かされて一番利発そうな店員をつかまえた。「赤坂にも私が勤めていた銀座の店以上のお客様がいます。恐るべし赤坂ですね」と言う。「銀座のどこに勤めていたの?」「マキシムです」「エッ!?」と名札を見る。何と「必ず行くからね」と約束した落合さんである。いや、落合君と呼ばせてもらおう。実に気持ちのいい若者である。
「入店されたときから分かっていました」と言われたら会わす顔がない。自分から声をかけるのは失礼だと思い遠慮していたとのこと。「カジュアルなユニフォームなので見違えた」と言い訳した。それからの会話の楽しかったこと。2階のレストランも見学させてもらった。
高級ワインがあるのも、パンが美味しいのもマキシムの支店なら不思議ではない。コール・ド・ルージュは銀座のマキシムの水準を求める客には物足りなく、赤坂の若い客には高すぎるかもしれないが、これからどのように折り合いをつけていくか楽しみではある。
何の気なしに入った店に落合君がいた。神様の存在を信じてもいいような気がした。
コール・ド・ルージュ
東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー マキシム・ド・パリ1F
03-5545-4505
http://www.maxim-s.co.jp
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2008年11月13日
[大渕座](銀座)
銀座の超フレンチ

16,500円の松茸コース


冷製スクランブルエッグ、ピザ、クリームソース、甘鯛のポワレ・サラダ仕立て、ホロホロ鳥のラグーパスタと続く松茸尽くし
「松茸の産地は?」と聞くとトルコ産とカナダ産とのこと。これは避けて安いコースの方が良さそうだと思って客の意見を聞くと「どちらでも」と応える。「どちらでも」は「高い方を食べたい」という意味である。
9,800円のコース


野菜のディップ、鯖煮、キスの天ぷら、太刀魚アンチョビバター添え、三種のチーズ盛り合わせ
コースは2種類しかないが、値段には大きな開きがある。銀髪も松茸コースにしようかと迷っていると、「私のを分けてあげますよ」と言われた。「あなたは安いコースにしなさい」という意味である。
両方のコースを楽しめる幸せなアドバイスである。偏見を持って臨んだ松茸コースは思ったより香りが高くて美味しかった。一流シェフの目利きのなせる技だろう。国産より安価な分、タップリ使っているのがいい。ピザが特に気に入った。
いくら美味しくても松茸ばかりでは飽きてしまう。安いコースがいいアクセントになった。カウンター席だと二人で分けるのも簡単だ。西欧では分け合って食べることはしないが、日本では嫌な顔をされないので有難い。
料理が終ったところでオーナーシェフの大渕さんがやってきた。「フランス料理と言うより日本料理に近いですね」と有名シェフをつかまえて生意気を言う。ところが一番日本的に思えた鯖もフランスの田舎料理とのこと。奥が深い。
それでも懲りずに「ヌーベル・キュイジーヌなんて新しいものより、ガッツリした伝統的なものが食べたいですね」と憎まれ口をたたいたら「私も40年間フランス料理一筋ですから、そういったものを作りたい」と言うので驚いた。フランス料理の流行はヌーベル・キュイジーヌから2段階も先に進んでいるそうだ。
新しいフランス料理の旗頭と思われる大渕さんだが、その理想がどこにあるのか興味が湧いた。評価が高かった代官山の「ラ・ヴィーナス」を閉め、3年前に銀座に今の店を開いた。ちょっと有名になると支店を作ったり、他店のプロデュースをして稼ぐ料理人が多いのに大渕さんは変わっている。
柔和な笑顔の奥に潜む闘志を垣間見た気がする。支える奥様も大変だろうが、頑張って欲しい。いつか「これを食ってみろ!」という大渕さんの理想の料理を味わいたいものだ。
御魚 大渕座
東京都中央区銀座3-10-14 東銀1ビル2F
03-5565-3788
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2008年11月04日
[ボルドーセラー](南青山)
心地よい隠れ家にしちゃおう

老若男女、日本人と外国人、たくさんの人で賑わう表参道の交差点のすぐ近くなのに、小さなビルの階段を下りると喧騒を忘れてしまう。店にとっては悲しいが、こちらにとっては嬉しい半分ほど埋まっただけの静かな店内。南青山でワインバーとなれば女性ばかりと思いきや、左の席は日本人の上司と部下、右の席は外国人おやじ二人で、アベックは一組だけ。実に面白い。
スモークたくあん、お婆さんの作るパテ

メニューの中で変わったネーミングの料理2つを頼む。「甲州ブドウの香り」というたくあんは、ワインを売り物にする店ならではのもの。「キッチンにお婆さんが居るの?」と茶化した相手は美形の店員。男共は彼女目当てに来てるのかと思ってしまう。これだけで楽しくなるのだから男は困る。
自家製スモークサーモン、自家製ソーセージ

スモークサーモンまでテーブルに置かれた割り箸で食べていたが、ソーセージになって初めてナイフとフォークを手にした。評価が高い中国原産の梅山豚を使った自家製ソーセージ。こだわりの料理は知る人ぞ知る柿崎シェフならではのもの。テーブルに来てくれなかったので話ができなかったのが残念だ。まあ、美人のお姉さんがいるからいいか。
ウニとキャビアの冷製パスタ

日本ならではの海の幸を使ったスパゲティ。日本ほど様々な麺料理がある国はないだろう。日本古来の麺類が超えることが出来ない壁を、スパゲッティは軽々と越えていく。本場では思いもつかない料理も、異国では簡単に出来てしまう。実に面白い。
左右の席ではポンポンとボトルが開けられていく。外国人のワイングラスはグラスワインを飲んでいる我々のものと比べるとひときわ大きくて妬ましくなる。
勘定を払って店を出たところで空き瓶が放り込まれた木箱が目に入った。高級シャンパン・サロンの空き瓶もある。値段が高いワインも置いているがひけらかさない謙虚な店主の心根が窺える。いい食事、いいワインをリーズナブルに楽しめる店。何を飲むかは客の懐次第。店主のメッセージをしっかり受け止めて階段を上った。
表参道は人通りが2時間前より増えたようだ。夜はまだ長い。
ボルドーセラー
東京都港区南青山5-1-25 北村ビルB1
03-5467-8420
http://www.bordeaux-cellar2005.com
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2008年10月20日
[グット ドール](銀座)
金色の滴り

君嶋屋、君嶋屋、横浜君嶋屋とMさんが言う。キミシマと言われてもデザイナーぐらいしか思い浮かばないが、どうやら有名な酒屋のようだ。横浜の酒屋が銀座にワインバーをやっているから行こうと言われてその気になった。
日本橋から銀座4丁目の店まで歩いた。やっと着いたところでホッとするわけには行かない。店のドアを開けるには狭くて急な階段を3階まで上らなければならない。軽快に上りきった銀髪をMさんがゆっくり追いかけてきた。

カウンターを左に見ながら窓際の奥の席を目指した。ビールで喉を潤したところでワインのメニューをもらった。常時10種類のグラスワインが用意されている。味比べを出来るのは嬉しいが、値段は正直だと分からされるのはちょっと辛い。料理が出て来るまで胡麻パンスティックやパンを肴にする。
ブーダンノワールのテリーヌ、サラダ、海老とイカのソテー・プロヴァンス風

料理も楽しめる。しかし、フランス料理屋やイタリア料理屋のメニューは本当にわかりにくい。ブーダンは豚の血と脂肪で作ったもの。ノワールは黒の意味で、フランスのギャング映画をフィルムノワールと言ったことを思い出させる。プロヴァンス風とは トマト、にんにく、オリーブオイルをたっぷり使った料理のこと。
トリップの煮込みニース風、鴨もも肉のコンフィ、チーズ盛り合わせ

トリップは牛の内臓肉でイタリア料理ではトリッパというもの。ニース風とはトマト、オリーブオイル、アンチョビなどを入れて作られた料理、コンフィは玉葱などを煮崩れるまで炒めたもののこと。フランス在住歴6年のKも料理の説明は上手くない。ワインの味は分かると言うが、値段を見れば彼の評価は必要ない。
全ての種類を飲んだ頃にはカウンターの半分以上が埋まった。全て女性である。途中で若い男がワインを2杯飲んですぐに帰った。我々は場違いな客だったかとバーテンダーに尋ねたら、いつでも大歓迎と言ってくれた。それはそうだ。これだけ飲み食いする客は居ないだろう。
因みに店名のグットは滴り、ドールは黄金の意味とMさんが教えてくれた。フランス語の予習をして行けば、楽しみも倍増するのは間違いない。
グット ドール
東京都中央区銀座4-3-5 銀座ハトリビル3F
03-3564-7218
http://www.goutte-dor.com/ginza
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2008年07月10日
[マキシム・ド・パリ]②(銀座)
夜のマキシム

ランチで行った「マキシム」は楽しかった。担当してくれた落合さんの貢献大であったが、彼は赤坂の新店に移ってしまった。彼を追って赤坂店に行こうか迷ったが、本店の夜に賭けることにした。
陽が当たらない地下の店だから昼も夜も同じようなものだが、店に入るなり空気が違うように感じた。クロークやバーには年配の男女が集い、オペラの開演を待っているかのような華やかな緊張感が漂う。クールビズを守っているのは銀髪だけで、珍しく客の平均年齢を下げる側に回った。
前菜2品

前菜には「柔らかく煮込んだ黒鮑とアスパラガスのサラダ、トリュフ風味ドレッシング」「フレッシュフォアグラのポワレ、ビュイ産レンズ豆添えバニュルスワインビネガー風味ソース」を選んで、分けて出してもらった。写真は半人前ということになる。
隣の年配の男女6人はコース料理を選び、ステーキの焼き方を告げている。銀髪はコースを避けていつものようにアラカルト。この方が色んな料理を楽しめる。相手に一応好みは聞くが、オーダーするのは全て銀髪である。
メイン2種

メインとして「フランス産仔鴨のヴァリエーション キノコのバルマンティエを添えて」「舌平目のブレゼノイリー酒の香り アルベール風」を選んだ。色々な部位の鴨は分けられないと言われたので写真がそれぞれ一人前。
高貴な夜らしい雰囲気を演出していたヴァイオリン奏者がステージを降りて隣席にやってきた。主役の男性は還暦を遥かに超えているようで、多分古希のお祝いだろう。彼がケーキのろうそくの火を吹き消すと、恋人同士、クラブの同伴組、接待中の中年紳士達、満席のフロアから一斉に拍手が湧き上がった。隣の我々がもっとも大きく手を鳴らすと、ハニカミながらこちらに会釈を返した。
デザート

ヴァイオリンが再びBGMを奏で始めると、一つにまとまった心がそれぞれのテーブルに戻っていった。我々はデザートに取り掛かる。プチケーキを出す店が多いが、マキシムはあくまで伝統的である。
料理もクラシックなものが一番いい。特にフォアグラが美味しかった。鴨は殆どを相手に食べられてしまって悲しかった。鮑と舌平目も悪くはないが、和食で魚介類の美味さを知っている日本人には物足りない。フレンチでは肉の方に軍配を上げる。
落合さんと大笑いしたガラガラのランチ時も楽しかったが、重厚な雰囲気の夜のマキシムも大いに楽しめた。
マキシム・ド・パリ
東京都中央区銀座5-3-1 ソニービル地下3階
03-3572-3621
http://www.maxim-s.co.jp
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2008年07月01日
[マクシヴァン](六本木)
2005年全日本最優秀ソムリエのお店

「いいお店があるので是非」とお誘いを受けたことも忘れていた。社交辞令で終わることが多いので気にしてなかったが、相手は違ったようだ。諸般の事情で遅れた理由の一つがマクシヴァンが有名になり過ぎたことだった。チャンピオンの佐藤さんが挑んだ世界大会の模様が昨年6月にNHK「プロフェッショナル」で報じられたため、予約が取れない店になってしまったのだ。
その番組を見たことを佐藤さんと話をしてようやく思い出した。コンテストの模様が鮮やかに蘇ってくる。壇上に立つ競技者たちの顔にすっぽりと佐藤さんの顔が納まった。脳の不思議を言う前に、ボケ頭を反省すべきかもしれない。
ブリオッシュ、自家製パン

とびうおとサザエのタンバル、うさぎのバロティーヌ、カサゴのポワレ

料理はコースのみで4,800円、6,500円、8,500円の3種がある。一番上のコースを頼んであった。それにしてもフランス料理はメニューを見てもイメージが湧かない。
ブリオッシュとはバターと卵を多く使ったパン。タンバルとは型のことを言い、魚介類を刻んで型で成形した料理ということだろう。パロディーヌとは筒状に詰め物をして煮た料理。ポワレはカリッと焼き上げること。説明を一生懸命聞くが、すぐに忘れる。知ったかぶりをするよりも、毎回聞いた方が楽しいからと言い訳する。
ワインは全日本最優秀ソムリエの佐藤さんにお任せする。白と赤を2種ずつ、注ぐときの説明が田崎真也氏(1995年第8回世界最優秀ソムリエコンクール優勝)を髣髴とさせる。さすがにチャンピオンともなると表現力も豊かだ。楽しいアイデア料理にどんなワインが来るか期待が膨らむ。
フォアグラのポワレ、豚足のコロッケ仕立て

フォアグラは2種の中から、豚足は5種のメイン料理から選択した。伝統的なフランス料理と斬新なものの組み合わせだ。
豚足の形に整えられているが、衣の下はジャガイモを骨を抜いた豚足のゼラチン質で覆ったもの。自家製パン粉のパリパリ感、ゼラチン質のプヨプよ感が上手くバランスされていて面白い料理になった。気鋭の料理人にはアイデア料理の方が向くようだ。
チーズ、エスプレッソ

チーズのお供はカルヴァドス(ノルマンディー地方で造られる林檎のブランディー)にした。棚にはスコッチなど世界各国の酒が並ぶ。
日本ソムリエ協会のHPを開いてみた。ソムリエはワインの知識だけでなく、その他の飲料・食料や、食品衛生などの知識、サービスの技術など多くのことが求められるとのこと。
佐藤さんの表情や働き振り、軽やかな身のこなしを見ていると、ソムリエ協会が求める姿がよく分かるような気がする。ソムリエコンクールでは、人間性も評価の重要な要素なのだろう。
知性、品格、情熱、自信などなど、すべてが表れる笑顔に、佐藤さんが名誉を得た決め手があるように思われた。
マクシヴァン
東京都港区六本木7-21-22
03-5775-1073
http://www.maxivin.com
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2008年06月16日
[ヴィロン](渋谷)
とにかくフランスパンが美味しい

「パン屋が経営するフランス料理屋」程度の予備知識を持って行った。渋谷東急百貨店本店の向かいにあるパン屋は思ったより大きく立派だ。
店に並ぶパンやケーキを横目に右隅にある階段を上った。気取った高級フレンチではなさそうで良かった。
ベテランの味わいとフレンドリーな雰囲気を身にまとった店員と何を食べるか相談した。「うちは一皿の量が多いですよ」と言う巨躯を見ると、さもありなんと思える。
バケット・レトロドール

「パンを食べすぎなければ」という条件で3品を頼むのを許してもらった。確かにバケットはいつも食べるフランスパンよりかなり美味しい。忠告を守ってゆっくり食べた。
ホタテとサマートリュフ

秋のトリュフほど香りは強くないが、安価なので厚めのスライスで食べられるのがいい。ホタテやジャガイモとうまく調和している。
自家製スモークサーモン

ノルウェー産の鮭を使った自家製スモークサーモンは生のように色鮮やかだ。
松坂ポーク・4種の料理

メインは店員のお奨めに従って一品を分け合って食べた。松坂牛はあまりにも有名だが、豚もあるとは知らなかった。
料理はどれもフランスの田舎のレストランで食べるような素朴なものばかり。忠告された通り量が多くて田舎料理的である。グラスワインも数種類揃えていてご機嫌だ。
もっとも、どの料理もバケットにはかなわない。デザートも食べずに1階のパン屋に向かった。「遅くなると売り切れますよ」とアドバイスしてくれた店員は2階の売り上げを減らした。バケットを手に入れることが出来てホッとした。
バケット・レトロドールはパリ市主催バケットコンクールで10年間に7回も優勝した名品。ヴィロンではフランスのヴィロン社と独占契約した100%フランス産の小麦粉・レトロドールを使っている。日本で食べることが出来るのは渋谷の本店と丸の内の2店だけとのこと。
買ったバケットをお土産にして友人にあげた。その場でちぎって食べて、あまりに喜ぶのでまた買いに行かなければならなくなってしまった。嬉しいような悲しいような…
ブラッスリー ヴィロン
東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル2F
03-5438-1776
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2008年05月22日
[銀座レカン](銀座)
今日のテーマはフォアグラ

何を食べたいか明快に希望を述べてもらえると、接待におけるホスト役は楽である。「何でもいいですよ」と言ってくれる気遣いは有難いが、的が絞れず悩ましい。しかし今回は「フォアグラが食べたい!」と言われて困った。
銀座にフレンチの名店は多い。評判が高くても新進気鋭の店は候補から除外した。ヴァンピックルのフォアグラも悪くないが、高級店を期待している人には向かない。数種類のフォアグラ料理を食べられる店ということで、30年以上の歴史を誇る銀座レカンに行くことにした。
マキシムドパリには及ばないまでもなかなか重厚な雰囲気の店である。スタッフの応対も申し分ない。「今日のテーマはフォアグラなんだよ」とメニューを差し出したギャルソンに告げた。歴史のある立派な店では何を食べるか相談する時間が楽しい。
アミューズ2種

選んだ料理は4品。その前に目も楽しませてくれる2皿がご機嫌だ。
手長海老、黒鮑

「赤座手長海老とビーツのコラボレーション ハチミツとマニゲット風味」、「山口県萩産 黒鮑のコンポートと温度卵 トリュフのクーリ」の2種類はメニューのまま食べることにした。シェフの創意工夫が楽しめるのが前菜である。
昆布だしで煮込んだ鮑が和食のようだが、肝を使ったソースは伝統的なフランス料理だという。これが美味い。
フォアグラ2種

結局メニューにある料理を銀髪の好みにアレンジしたものを作ってもらった。一つはフォアグラの素材を活かしたオーソドックスな焼物。もう一つはフランス産アスパラを添えて一工夫したもの。表面をカリッと焼いたオーソドックスなソテーが本当に美味しくて感動的だった。
もう一品は同じフォアグラなのに、一口大に切っただけで幾分淡白な味になるから不思議だ。フランス産
アスパラが香ばしくて歯ごたえがある。国産では味わえない食感だ。

デザートのワゴンには多種のケーキが並ぶ。女性なら小躍りしそうな風景だ。
デザートを頼まなくても甘いものが次から次に出て来る。
伝統的な料理、新しい創作料理のどちらも楽しめるのがいい。身のこなし、豊富な知識、笑顔が勝負のスタッフ陣にも文句はない。
老舗と言っても格式張ったところはなく、フレンドリーである。怖気ずに若い人も行って欲しい店である。
銀座レカン
東京都中央区銀座4-5-5 ミキモトビルB1
03-3561-9706
http://www.lecringinza.co.jp
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2008年03月22日
[アルエット](海老名)
みんなで墓参り

我が家の墓は海老名にある。先祖代々の墓というわけではなく、母が父のために建てたものだ。晴れた日は富士山が見える高台にあり、30年近く父は一人そこで眠る。幼い孫の手を引いて軽快に坂道を上っていた母も、今は逆に手を引かれるようになった。
海外勤務をしていた期間以外は年に2回、殆ど欠かさずやって来る。通常は母、長兄と銀髪の家族で、少ないときは2人、母が欠けたときもあった。今回は新潟に単身赴任する次兄を除いて総勢10人が父の墓の前に顔を揃えた。
春分の日は台風のような天気だった。父が赤飯とビールの匂いを嗅ぐことが出来る半年に一度の大事な日はほんの一瞬で終わり、我々は線香の煙だけを残して立ち去った。「私のお墓の前で泣かないでください」と父が歌う時間など無論なかった。
予約しておいたオークラフロンティアホテル海老名のアルエットに飛び込んだときには3本の傘の骨が折れていた。息子とその家族合計10人の真ん中に座った母は嬉しそうだった。
スープとサラダが出てきた。

大荒れになるという天気予報を見ながら墓参りを決行した理由は、食事の途中で明らかになった。孫の一人の結婚内定が発表された。彼女はいつになく神妙な気持ちで父の墓に手を合わせたに違いない。

立派な料理を予約することも考えたが、軽めの1,575円のアルエットバリエーションプレートにした。8人が女性なので、食後に105円のプチケーキを何個も食べた方が楽しいだろうと思ったからだ。長兄と銀髪は彼女らの笑顔を見ながらコーヒーを飲めば充分である。
父は最初の孫だけしか抱くことができなかった。女ばかり4人の孫に囲まれたら、父はどんな顔をしただろうか。外国で生まれ育った父だから、大袈裟な仕種をして彼女たちに抱きついたことだろう。そのうちの一人が結婚すると聞いたら…
想像を膨らましていたら、確かに歌のように千の風になって我々を見詰めてくれているような気がした。まさか子や孫に囲まれた嬉しそうな母に嫉妬して、この日吹き荒れて傘を壊した訳ではないだろうけれど…
いや、あの親父ならあり得る
アルエット
神奈川県海老名市中央2-9-50
046-235-9828
http://www.okura-ebina.co.jp/rest2.html
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2008年03月13日
[ホテルオークラレストラン ニホンバシ](日本橋茅場町)
久し振りの

「オッ!高級レストランみたいになったね」と言うと、席に案内してくれたフロアスタッフが苦笑した。軽いジャブを繰り出す度に、随分と齢をとったものだと思う。
最初にこのレストランに連れてこられたときはまだ20代で、少し緊張気味にメニューを開いた。ホテルオークラレストラン ニホンバシは昭和40年、銀髪がまだ10歳の頃に開業した。証券会館の7階にあり、これまで多くの経済人が利用した老舗レストランだ。
久し振りに行ったら、店内は随分と変わっていた。個室に近い空間が増えたおかげで、以前より高級感がある。近くに接待ができるような店が少ないため、顔見知りと鉢合わせになるのが嫌だった。その懸念も解消された。
メニューを開いても緊張しなかったが、ご馳走になる身で料理を選ぶのは難しい。招待してくれた大先輩はさすがに手馴れたもので、自分から何を食べるか申告してくれる。メインの内容を選べるブリフィックスコースと確認して、同じコースを選んだ。
クラムチャウダー

20代前半に仕えた上司を前にすると、上下関係がなくなってしまった今も緊張感がある。大先輩が丁寧な言葉遣いをしてくれると、こちらも身を正してしまう。神とも恐れていた頃、大先輩はまだ30歳代半ばだった。自分が50歳を超えても、その思いはなかなか消えない。多分一生変わらないだろう。
牡蠣フライ、魚介のグラタン

今日はちょっとかしこまった食事になってしまったが、ホテルオークラレストラン ニホンバシでは一品料理で昼食を済ませることが多かった。別の先輩、食通のM氏のお奨めがカレーだった。
この日もカレーを食べようと思ったのだが、相手がコースだと一品料理では間がもたないので我慢した。コース料理がデザートを含めてイチ、ニイ、サンで出てくると分かっていれば、サラダとカレーを頼めばよかった。何事も経験である。
次回は久し振りにカレーにしようと誓った。
ホテルオークラレストラン ニホンバシ
東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館7F
03-3667-4828
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2008年03月07日
[ヴァンデリス](新宿御苑前)
ビストロで気軽にワインとフランス料理

金曜日の夜に歌舞伎町、新宿三丁目近辺で安くて美味しいと評判の店に予約なしで入るのは難しい。四谷三丁目、荒木町でも状況は変わらない。中間点の新宿御苑前には人気のある店が意外にたくさんあるが、忘れられてしまったような店もある。
1階のオープンカフェにはそれなりの人が居たが、外の螺旋階段を上って様子を見に行った2階に客は一組しかいなかった。ラッキー!と思う反面、大丈夫かな?と不安になった。他を探すのも面倒なので観念して席についた。
メニューの値段を見て一つ安心した。面白そうな素材、料理に興味がそそられた。本日のおすすめを書いた黒板を見て期待した。
豚足のテリーヌ、自家製ソーセージのオーブン焼き

テリーヌも美味いし、ソーセージも悪くない。イベリコ豚を使った自家製ソーセージはミートローフかと見まがうような代物だが、充分美味しい。
ブルーチーズ風味のニョッキ、群馬産鹿肉のソテー

ブルーチーズが嫌いと言う相手を説き伏せて頼んだニョッキは、期待通りの味だった。恐る恐る一口食べて、さらに二口、三口と食べる様を見るのは何より楽しい。
黒板の中から選んだ鹿肉。蝦夷鹿は食べる機会が多いが、群馬産もあるとは知らなかった。個人的には塩、胡椒だけの味付けで、レアで焼いて欲しかったが、いかにもフランス料理らしくブルーベリーと赤ワインのソースがかかってきた。これはこれで赤ワインを美味しく飲むには適当だった。
結局、食事が終わるまで、先客と我々の2組だけしかいなくて、とても静かだった。店員も品のようさそうな女性が一人のみで、出しゃばってあれこれ奨めることもしない。
もう少し客が居ても良さそうだが、暗闇に沈む新宿御苑の向かいという場所が悪いのかもしれない。
桜の季節が到来すれば、花見客で店は賑わうようになるだろう。その後は日が高くなりレストラン周辺の雰囲気も一変するに違いない。
値段、味、雰囲気など満足できるレストランである。満席にならない程度に繁盛して欲しいと、身勝手な応援をしたくなった。
ヴァンデリス
東京都新宿区新宿1-1-1ワコー御苑ビル1F~2F
03-3356-6637
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2008年01月20日
[キャトリエム]②(日本橋)
♪ 私の 私の彼は~ 左利き~

日本橋界隈で10人以上のランチを受けてくれるところは少ない。売り手市場になる昼時は団体で長時間粘られたらあがったりである。そう思う店が殆どで、読みが浅い。銀髪のグループなら長く居れば居るほど酒の売り上げが伸びて儲かるはずなのに…
快く受けてくれたのはコレドにある「キャトリエム」である。前もランチで利用した。銀座レカンの系列店で料理はしっかりしており、1,200円、1,800円、2,600円の3種類のランチがあり、この日は真ん中を選んだ。内容は行く度に違うが、いつも充分にお得感がある。
そう言えば銀座レカンもミシュランには選ばれなかった。マキシム・ド・パリと同じように地下の店であることが災いしたのだろうか。
砂肝のサラダ

前に食べたとき、違った料理だったがやはりポーチドエッグが乗っていた。シェフはよほど好きなのだろう。
豚の頬肉

牛の頬肉はよく食べるが、豚の頬肉は焼きとん屋以外ではあまり食べたことがない。肉が嫌な人は魚も選べる。魚を選んだ人の中には頬肉と聞いて豚を拒絶した意気地なしが何人か居た。
コーヒー

最後にデザートとコーヒーが出てきたが、取っ手が特徴的なカップにみんなの注目が集まった。右手で飲むとしっくり手に馴染むのだが、左手では明らかに使い難い。左利きには不便だとの声に、みんなが同意して話が盛り上がったところでお開きとなった。
そのときは何とも思わなかったのだけれど、しばらくしてから果たして洋食器に利き手が問題になるのか疑問に思った。箸を左手に持つ人はいても、左利きの人がフォークを右手、ナイフを左手に持つところを見たことがない。ペンを左に持つ外国人でも、ナイフを左手に持つことはないだろう。
左利きの人がコーヒーカップを右手に持っても何の不思議はないはずだ。大昔にヒットした麻丘めぐみの「私の彼は左利き」で、彼はブラックコーヒーを左手で飲むがナイフを左手で持つという歌詞はない。
もっとも右利きでも右手にペンを持てばコーヒーカップを持つ手は左なので、妙な歌詞ではある。
それにしても、ときどきドラマで見る麻丘めぐみはおばさんになってしまった。それでも上手に年齢を重ねた方だと思う。他人のことを言えた義理ではないけれど…
キャトリエム
東京都中央区日本橋1-4-1 コレド日本橋4階
03-3272-8446
http://www.lecringinza.co.jp/4eme/
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2008年01月15日
[マキシム・ド・パリ](銀座)
古のパリを味わう

1966年開業、フランス本店のイメージを銀座に再現した。バールームの壁にはロートレックの絵と鏡がかけられている。映画「赤い風車Moulin Rouge」を思い出した。この部屋で食前酒を飲みながらしばし語らうべきところだが、日本人らしくさっさとメインダイニングへの階段を下りていく。ここでも重厚な雰囲気が心地よく、「オペラ座の怪人」になった気分だ。
コース料理はどれを見ても量が多そうだ。食べたいものと、そうでないものが混ざっている。銀髪のテーブルを担当する若くハンサムな落合さんと相談した。客には希望どおりポタージュスープとエスカルゴを頼む。エスカルゴは6個あるので、もちろん奪い取るつもりだ。自分には魚介類の前菜。メインは2人で分けることにした。我侭な客に臨機応変なのが老舗レストランのいいところ。フレンチに慣れた常連客に鍛えられているのだろう。
ポタージュ、雲丹と黒鮑の冷製ジェリー寄せ キャビアを添えて

魚介類の料理はおそらく本店より銀座店の方が上だ。魚の扱い方は日本人が世界一だから。
殻付エスカルゴ ブルゴーニュ風、茸の形をしたパン

前菜2つが終わった頃、エスカルゴが焼き上がってきた。2人で前菜3品というイレギュラーなオーダーにもかかわらず、銀髪の想定したとおりのサービスが淀みなく進む。
パリパリしたパンが香ばしくて美味しい。2つ目のパンを頼み、残ったエスカルゴのソースをつけて食べた。
仔鳩胸肉とフォアグラのパイ包み 腿肉トリュフつめサルミソース

肉の匂い(多くの日本人には臭みと感じるだろうが)が強く、いかにも伝統的なフランス料理の味わいが懐かしく感じられた。臭みのある肉にはフレンチの真髄である力強いソースの力が輝く。
この店では是非ともクラシックな料理に挑戦してもらいたい。
ミシュランに選ばれなかったのが不思議だと落合さんに言ったら、ミシュランの基準では地下の店は寿司屋以外NGとのこと。加えて約30年前にパリの本店がミシュラン選出を拒否したのが響いたのかもしれないと教えてくれた。落合さんは残念そうだが、常連客にとっては落選は朗報だっただろう。
経験5年でもまだ若手と謙遜する落合さんは、近く赤坂にオープンする店に栄転するそうだ。オープンしたら必ず行くと約束した。また楽しみが一つ増えた。
マキシム・ド・パリ
東京都中央区銀座5-3-1 ソニービル地下3階
03-3572-3621
http://www.maxim-s.co.jp
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2008年01月07日
[TALK BACK Galopin](吉祥寺)
吉祥寺ならではのビストロ

中央線沿線、吉祥寺周辺には大学・女子大が多く、若者向けの洒落たレストランが多い。Galopinのホームページによると、「1987年に吉祥寺に初めて出来たオープンキッチンのフレンチ・レストラン」とのこと。吉祥寺におけるフレンチ、イタリアンなどの西洋料理の草分け的な存在ということだろうか。
海外から直輸入した調度品がもっと古い歴史あるレストランと錯覚させる。フランスの片田舎のビストロをイメージしたと言うが、無論行った事がないので信じるしかない。それなりの雰囲気に仕上がっており、悪くない。
店に入るとテーブル席は一杯で、申し訳なさそうにカウンターに通された。銀髪にとっては希望の席で不満はない。見栄を張らずにお腹の状態に合わせて1,900円のコースを選んだ。
前菜、スープ

前菜の皿には3種類の料理が品よく盛られてきた。窓側のカウンターに座ったため、料理人たちを横から見る格好になる。手元が良く見えて楽しいが、料理人に声はかけ辛い。
ペスカトーレ、ぺペロンチーノ

コースにスパゲッティが入っていたので、家に帰ってホームページを開くまではイタリア料理屋と信じていた。フランスでもビストロではパスタをだすのだろうか。
フランス出張の際、現地に駐在していた旧友にご馳走になった。連れて行かれたのはシャンゼリゼ通り近くのイタリアン。フレンチを食べさせてくれると期待していたのでショックを受けた。日本でも高級料亭に行ける人は限られている。フランスだって一般の人が行くのは気楽なビストロやパスタの店かもしれない。
間にサラダを挟んで、メインは仔羊か白身の魚。ワインを飲みながら、自分の料理が出来上がるのを目の前で見るのは楽しい。助手が2人居るが、料理をするのは1人だけ。下ごしらえされた素材の皿を受け取るやあっと言う間に仕上げていく。
仔羊のカツレツ、白身魚のオーブン焼き

銀髪のものと思われる料理はシェフの手からキッチンの向こうに遠ざかり、やがてカウンターを越えて女性店員の手に渡りこちら側にやってくる。料理は我々の背後からカウンターに置かれる。
デザート

結局、最後までシェフと話す機会はなかった。勘定をしてシェフに「美味しかったよ」と目で話して軽く会釈すると、少し微笑んだような気がした。
TALK BACK Galopin
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-24-6
0422-21-0275
http://www.talkback.jp
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2007年12月06日
[Pont du Gard ポンデュガール](銀座)
居酒屋気分で楽しめるビストロ

1丁目は銀座と言っていいものかどうか迷う。まして昭和通りを越えるとなると、銀座とは言えないように思う。実際に行ってみると、それはもっと実感できる。店もそれをわきまえてか、およそ銀座らしくないご機嫌なお店だ。
007ボンド・ガールのフランス語読みかと茶化したが、ポンデュガールは世界遺産にもなっている南仏にある水道橋で、ローマ時代に建設されたものだそうだ。
予約なしだったが、時間限定で外の席に入れてくれた。ビニールで覆われていて寒くない。恋人同士なら楽しいだろうが、残念ながら野郎2人の晩餐である。
トリッパ、自家製フランクフルトソーセージ

料理も気取りがない。ピザやパスタ、みそ煮込みやとんぺい焼きもあり、ポンデュガールが泣いてしまいそうだ。せめてワインだけでもフランス産で統一しているかと思えば、オーストラリア産など多彩でこだわりがない。ワゴンに複数のワインのボトルが置かれており、グラスワインの選択肢も多い。飲みたいワインを選ぶと、若く明るい女性店員がたっぷり注いでくれる。とても気分がいい。
牡蛎の炒め物、ペンネ・アラビアータ

店内に入るとおばさんだけのグループや若いカップルなどが思い思いに楽しんでいる。黒板に書かれた本日のメニューから牡蛎を選んだ。
外の席に戻り白ワインを飲み干して、再び店内に戻りワゴンから赤ワインを選ぶ。外と中を行ったりきたりするのもいいもんだ。好んでウロウロしているのだが、不便をかけるとペンネは通常より大盛りにしてくれた。
ガツガツ食べて、グイグイ飲んで、指定された時間をかなり残して勘定を頼んだ。「飲むだけの客はお断り」と入店時に確認されたが、店の希望通り料理もしっかり堪能した。フランス料理は食べなかったような気がするけれど…
勘定を済ませ、かわいい店員に「実は、我々はミシュランの覆面調査員なんだ」と言った。彼女は銀髪を見つめ10分の1秒間強張った顔をしたが、すぐに破顔一笑した。「うちが選ばれるわけありませんよ!」と返す。よく分かってらっしゃる。「銀髪グルメ紀行なら結構いい線行くよ」と言おうと思ったが、止めにした。
ミシュランに倣って評価をしても仕方がない。「安く飲み食いできるご機嫌な洋風居酒屋」で充分ではないだろうか。
Pont du Gard ポンデュガール
東京都中央区銀座1-27-7 銀座里村ビル1F
03-3564-0081
http://www.pontdugard.jp
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2007年09月16日
[名古屋マリオットアソシアホテル]
高級ホテルのパーティー

高級ホテルのパーティーにしばしば招待を受けるが殆どが立食で、着席して食事する数百人規模のパーティーは久し振りだった。しかも1人で乗り込んでいくのは約15年ぶり。日本人は仲間内だけで固まり、見知らぬ相手が輪に入ってくるのを歓迎しないので1人でパーティーに参加するのは憂鬱である。
自分のテーブルを探し出し、同じテーブルの人たちと名刺交換した。銀髪から時計回りにA氏。B氏はA氏の部下。C、D氏とE、F氏がそれぞれ同じ会社で4人とも若い。G氏が銀行の支店長で最年長。その横はまだ無人のまま。会が始まってもまだやって来ない。そしてその横が銀髪で一巡する合計9人の丸テーブルだった。

「飛騨牛のコンソメを添えた魚介類 夏野菜を添えて」に次いで「フォアグラのブラマンジュ オレンジ風味の冷製スープと共に」が出る頃にH氏がやってきた。名刺交換すると証券系企業の部長さん。気を遣って話しかけても曖昧に応えるだけで乗ってこない。
CDEFの各氏は以前からの知り合いらしく、同年代のB氏を交えて話が盛り上がっている。銀髪は幸いA氏と旧知だったので楽な道を選び、H部長をG支店長に委ねた。

「淡白な味わいのヒメジのポワレ オリーブとトマトのソースを添えて」の後にパイナップルのシャーベットで口直しをしてメインの「特製牛フィレ肉のプレゼ ポルチーニとマスタード風味ソース」が出てきた。
前の二品に比べて、その後の二品はもう一つ。数百人の客に同時に温かい料理を最善の状態で出すのは難しい。東京六本木のグランドハイアットでは見事なステーキに感動したけれど…
食事をしながらG支店長、H部長の様子を窺うと、二人はまったく会話をしていない。助け舟を出してやろうかと思ったが、年下の自分が出しゃばることもないだろうと遠慮した。そもそも二人とも助けを求めている風でもない。

デザート(「ヨーグルトとパッションフルーツのデザート レモンのシャーベット添え」)が来る前にH部長が立ち上がったのには驚いた。おそらく立食と思って来たのだろう。名刺を置いて、知っている人に挨拶して早々に帰るつもりだったに違いない。我々同じテーブルの人にとっては存在感のない人だった。
若い連中はG支店長が居ることを、名刺交換した時点で忘れ去っているようだ。目を合わせることすらしない。G支店長も自ら話しかける気はなさそうだ。隣が賑わえば賑わうほど、G支店長の孤立感が際立ってくる。
コーヒーを飲み始める頃に終りの挨拶が始まった。新幹線のゆりかごで眠るまであと少しである。G支店長の苦痛のときが去るのももう少し、と思ったが余計なお世話だったかもしれない。
人の観察が面白すぎて、立派な料理の味の記憶が殆どない。これだけのパーティーで肉の焼き方や給仕するスタッフのレベルを云々しても仕方がない。パーティーでは、料理よりも一期一会を楽しみたいと思うのだけれど、皆で努力する気持ちがなければ叶わぬ望みだ。
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2007年08月22日
[Botanica ボタニカ](東京ミッドタウン)
大好きなウエイターを追っかけて

グルメ紀行を始めてフロアスタッフの重要性に気付いた。教えてくれたのは「SHIZUO TOKYO」の中田さんだった。高名な井上静雄シェフの料理の妙だけでなく、自らの思いも的確に伝えてくれたことにより料理に命が宿り、店は輝きを増した。その中田さんが店を替わると手紙をくれた。しばらくして彼が移った店がオープンした。東京ミッドタウンの予約が取れない店「Botanicaボタニカ」だった。彼と再会するのが至難だと知って失望した。
ミッドタウンのオープンから4ヶ月以上が経過した。相手の都合で8時を回ってしまったため、もしやと思って行ってみるとピークを過ぎた店内は空き始めていた。入り口で中田さんを呼んでもらった。数分後に現れるなり笑顔が満面に広がった。がっちりと握手をする。嬉しい再会だった。
オリーブ、パン

中田さんのサービスで心地よい食事がスタートした。
数種類のオリーブを食べながらビールを飲む。そば粉を交ぜて焼いたパンをオリーブオイルにつけて食べる。塩気はオーストリア産のローズソルトで補う。
テーブルの飾りかと思ったグラスの中のハーブ(タイム、ミント、ローズマリー)をちぎってオリーブオイルにアクセントをつけるように奨められた。店名のボタニカは植物を意味する。ハーブ類は窓の外の菜園でスタッフが育てたものだ。どれもこだわりがある。
キッパーとジャーマンポテトサラダ フライドエッグと共に

自家製の燻製にしん(キッパー)が美味い。もちろん添えてある野菜も。
フォアグラのリゾット トリュフソース

1品を2つに分けてもらうには10%の上乗せ料金を払うのがこの店のシステムだ。SHIZUO TOKYOのような高級店に比べると、ボタニカは意外とカジュアルで席数も多い。10%はサービスの公平感を維持する面白いシステムだ。
濃厚に感じるリゾットの一皿は半分で丁度いい量だった。大変美味しい。
ボタニカ特製のローストビーフ

ボタニカはフレンチの「ひらまつ」のグループ店だが、イギリスのコンラングループとのコラボレーションで生まれた店でもある。そこで自慢料理はローストビーフ。ソースを断り、塩胡椒、ホースラディッシュ、マスタードで食べてみたが、この店のローストビーフはソースをかけて完成品のようだ。ソースをかけた方が美味い。
ハーブティー

お茶を頼んだら数種類の茶葉が入った箱を見せられた。ハーブティーはボタニカのオリジナル品。お茶好きの人は小躍りしそうだ。
食事の間、常に中田さんが目を配ってくれた。ゆっくりサービスできる時間帯だったのが幸いした。それでも彼が忙しいときは星野支配人がカバーする。20年近くコンビを組んで来たと言うだけに、2人は信頼と尊敬で結ばれているようだ。
食後にデザートを頼もうとしたら既に中田さんは料理長に頼んで立派なものを用意してくれていた。フロアと調理場のコミュニケーションも素晴らしい。

食事が終り、ガーデンテラスを案内してもらった。4階とはいえ高台にあるため素晴らしい夜景が広がる。秋風が吹く頃には店内よりも人気になるだろう。
忙しい一日が終りに近づき、安堵と満足感を漂わせるスタッフたちがお見送りしてくれた。「やっぱり中田さんが僕にとってはナンバー1です」と言ったら、「褒めすぎですよ」と星野支配人が笑う。
本当に楽しい夜だった。
ボタニカ
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4階
03-5413-3282
http://www.conran-restaurants.jp/botanica/
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2007年08月12日
[METERAZUR](ニューヨーク)
グランド・セントラル駅構内にある洒落たレストラン

ニューヨークのイメージは近代的な高層ビルが林立する姿だ。そのイメージを持って中心街のミッドタウンを歩くと古めかしく重厚なビル群に驚く。東京駅に相当するグランド・セントラル駅も歴史的な風格を感じさせる建物だ。天井には大きな星条旗がかかっている。

グランド・セントラル駅には有名なオイスターバーの他にも素敵な店がいくつかある。その一つがMETERAZURである。東側の階段を上がるにつれて、きれいにテーブルセッティングされた店内が見えてくる。昨日のいかにもアメリカ的な昼食から、かなり格が上がった感じだ。
席につくとすかさずワインリストを持ってきてくれるが、日本人らしく我々4人はビールを頼む。庶民的なレストランと比較すると、高級レストランでは料理の量は少ないと分かってはいるが警戒は緩めない。前菜はサラダ、メインも前菜の欄に書かれたシーフードの盛り合わせを頼んだ。

予想は間違っていなかった。アメリカらしくない控えめな量のサラダが出てきた。唯一、サラダの上のポテトチップがアメリカらしい。

牡蠣が3つ、蛤(あさり?)が4つ、大海老が1つ、伊勢えびが半身と希望通りの量だ。氷の中にタバスコの小瓶が埋まっている。あさりの生は食べたことがあるが、蛤なら初めての経験。磯臭さもなく美味しかった。

デザートの量はアメリカらしかった。4人のうち2人だけがシャーベットを頼んだが大正解。巨大なシャーベットに度肝を抜かれた。こうじゃなければ面白くない。みんなで分け合って食べた
星条旗やポテトチップス、タバスコがなければロンドンを思わせるような素敵な雰囲気の中では、男4人の我々よりも隣の席のようなカップルに相応しいレストランだった。男ばかりで一番嫌だったのはご馳走してくれたSさんだったろう。米国在住16年のハンサムなSさん。どうもありがとうございました。
METERAZUR
Grand Central Terminal, East Balcony New York, NY 10017
212-687-4600
http://www.metrazur.com
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2007年07月28日
ローストビーフ 赤坂プリンスホテル
バイキングでローストビーフ

バイキングやパーティーでの主役は昔も今もローストビーフ。牛肉の輸入解禁は1991年だから、それ以前のローストビーフはもちろん和牛。牛肉を食べることは年に数度しかなかった。
すき焼きで肉を奪い合った思い出を持つ人は多いだろう。1978年、就職が内定して会社からご馳走になったのがすき焼き。貧乏学生には美味し過ぎてコロリと懐柔された。入社後は地獄の日々が待っていた。
輸入牛も日本向けの穀物飼育で美味くなり、「わらじのような」という表現もなくなった。もっとも、わらじを食べた人が居たとは思えない。チャップリンは黄金狂時代で靴底を煮て食べたけれど。

赤坂プリンスホテルの昼食バイキングに行った。昼食なので値段が安いが料理の種類も少ない。まずはオードブルなどを数種類食べたが、目玉になるような料理はローストビーフしかない。
ローストビーフ

「オージー・ビーフですか?」と聞いたらちょっと間を置いて頷いた。別に引け目を感じることはない。帝国ホテル、第一ホテル、ホテルニューオータニ、どの一流ホテルもオージービーフを使っている。
1985年からオーストラリアに住んだが、日本からの出張者を必ずローストビーフの店に連れて行った。牛肉に飢えた彼らを喜ばすためだが、量の多さに音を上げるのを笑うためでもあった。銀髪も赴任してすぐに連れて行かれて笑われた。そして教えられたのが、よく焼けた端っこが美味いということだった。
端っこ

塩・胡椒をすり込み、落ちた肉汁を丹念にかけられた外側の肉が一番美味しいところだ。ステーキでは敬遠するウェルダン(well-done)だが、ローストビーフではここが一番いい。オーストラリアでよくしたように、ソースは遠慮してマスタードを持ってきてもらった。ミントのゼリーでもあれば、ホースラディッシュと3種類の味を楽しめ、オーストラリアの思い出に浸れたかもしれない。
和牛のローストビーフの外側(カブリ)を最近では唯一「SHIZUO TOKYO」で食べた。あれは滅茶苦茶美味かったなー。
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2007年07月27日
[レディタン ザ・トトキ](銀座)
カウンターでフランス料理

ザ・トトキは「天ぷらの近藤」「寿司の鰤門」などの有名店が入る並木通りの小さなビルにあった。7階でエレベーターの扉が開くと、店の女性が深々と頭を下げた。今夜の宴がいきなりスタートした驚きと共に、いやが上にも期待が高まった。
ちょっと変わった配置のカウンター席に座り、「Table Check」の札を見つけてショックを受けた。煙草、携帯の下にカメラの絵が描いてある。男性スタッフに確認したが、撮影は駄目だとにべもない。仕方なく料理に専念することにした。
連日の飲み会で体調万全とは言い難い。お腹が空いてないと伝えると、一番安くて軽いコースを基本に他のコースのメインと入れ替えることを奨められた。追加料金が必要だがグッドアイデア だ。柔軟な対応に満足し、お奨めに従うことにした。
前菜は野菜の酢漬け、蛸、キッシュの3品が一つの皿にきれいに盛られたもの。さっきの店員がワインを持って来たときに、「フラッシュなしでもだめですか?」ともう一度尋ねた。聞こえなかったようで無表情のまま去っていった。
次の品は焼いた鱧にウニを乗せ、柑橘系のゼリーが敷かれている。夏らしく、女性が喜びそうな一品である。もう少しで食べ終わる頃にスタッフがやってきた。「写真を撮られてもいいですよ。他のお客様が写らない様にお願いします」と言う。なんだ聞こえてたんじゃないか。有頂天になった。好感度100倍アップだ。ただ、フラッシュは自粛した。高感度カメラでどれだけ撮れるか。
ハムと有機野菜

メインの前に出されたポーチドエッグが下に見える一品は、上品なサラダ仕立て。
うなぎ、ラム

うなぎは島根県高津川の天然うなぎ、ラムは北海道焼尻島の国産物。すべての素材にこだわりがあるというが、看板に偽りなしだ。特にラムは秀逸だった。コンフィ(塩漬けにしたもの)と生肉の2種類の肉を味わうことができる配慮が憎い。
デザート

デザートの評価が出来ない銀髪だけど、これだけ出て来れば女性は喜ぶだろう。9,450円のコースにメインを入れ替えた追加料金が2,000円かかったので、都合11,450円のコースになったが、料理、サービスの水準からするとリーズナブルに思える。
オーナーシェフの十時(トトキ)さんは銀座の老舗レカンの元総料理長。フランス語交じりで4人のコックを指図している。全員の無駄のない動きが見ていて心地いい。残念ながら会話は出来なかったが、入店時と席を立つ時に軽く会釈を交わした。帰り際の微かな笑みを見て、お互いの思いが通じ合ったような気がした。
女性を含む3人のフロアスタッフの誰に尋ねても、料理についての的確な答が返ってくる。サービスも申し分ない。
エレベーターに乗り込んだところで、女性スタッフから傘を受け取った。ドアが閉まるまで深々と頭を下げる。彼女の姿がドアの向こうに消える頃、今宵の宴は心地よい思い出に変わった。
レディタン ザ・トトキ
東京都千代田区銀座5-5-13 坂口ビル7階
03-5568-3511
(ココロハ サイコウイイ)
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2007年07月06日
[サール](日比谷) 帝国ホテル・インペリアルバイキング
バイキングならここに行かなきゃ

先日、第一ホテルのバイキングに行った。「今月の食事会もバイキングでどうだい?」と聞くと、賛否両論の顔が並ぶ。「帝国ホテルの」をバイキングの前につけると、誰もが笑顔になった。
レストランの雰囲気はさすがに帝国ホテルだ。約40年ぶりの帝国ホテルのバイキングだが、昔はこんなにキラキラしていなかったはずだ。スタッフもさすがに帝国ホテル、もちろん料金もさすがに帝国ホテルだ。
オードブル2皿

オードブルの種類は非常に多く、どれもきれいで美味しい。
バイキングでもコース料理に倣って食べようとするのが普通だが、いきなりスパゲッティやカレーライスを食べ始める連中がいる。どう食べても自由なのがバイキングのいいところだろう。「他の料理が食べられなくなるぞ!」と忠告するも、自由気侭な食べ方が変わることはない。
エスカルゴ香草煮、チキンクリーム、魚介のアクアパッツァ

金属製のちいさな器に大鍋から料理を入れて、鉄板で温めてくれる。オープンキッチンの一番の売り物のようだ。
フォアグラの冷製スープ

もっとも人気だった一品がフォアグラの冷製スープ。やはり高級食材のイメージは絶大で、小片でもモテモテの憎い奴だ。
どこのホテルのバイキングでも、高級食材としてナンバーワンの人気を維持しているのがローストビーフ。確かに外国産牛肉の輸入が出来なかった頃は高価な和牛を使っていたのだから、ローストビーフの前に列ができるのは当然だった。今は輸入肉を使っているところばかり。部下の皿から一切れ略奪して食べた。フムフム。オープンキッチンに足を運び、料理人に聞くと思ったとおり豪州産の牛肉だった。
高級な和牛と信じてか、純粋に味で評価したのか分からないが、みんな美味しいと喜んでいた。
「毎回、帝国ホテルがいいです」と部下たちはご満悦なのだが、男だけのバイキングはせわしなくていけない。大酒飲みたちが食べることに集中して1時間超でお開きになった。満腹で酒を飲む気にもならないようだ。
女性だけのテーブルを覗き見ると、やはり食の楽しみ方競争は女性の圧勝であることが分かる。
シャンパンで乾杯し、ワインとオードブルをじっくり楽しむ。腹一杯になったら空くまでおしゃべりをして、デザートの食べ放題に挑む。
甘いものが苦手な銀髪だから、バイキングの上手な楽しみ方は逆立ちをしても女性にかなわない。
インペリアルバイキング サール
〒100-8558 東京都千代田区内幸町1-1-1
帝国ホテル東京 本館17階
TEL.(03)3539-8187
http://www.imperialhotel.co.jp/cgi-bin/imperial_hp/index.cgi?ac1=JTR&ac2=sal&ac3=&Page=hpd_view
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2007年05月31日
[ボナペティ](吉祥寺)
充分に召し上がれ

吉祥寺には洒落たレストランが多い。東急デパートの周辺に飲食店が密集しているが、ちょっと離れた場所にもいい店がある。ボナペティは無農薬野菜など素材にこだわり、体にやさしい料理を提供してくれるレベルの高いレストランだ。
いきなり褒め言葉から始まったが、実は1階のイタリアンが満席で入れなかったため仕方なく行った店だった。下調べも何もしていない。予想通り値段が高いフレンチはイタリアンより人気がないようで予約なしでも入れた。フレンチというだけで敷居が高いのかもしれないが、格の違いは前菜を食べただけですぐに証明された。
前菜、ごぼうのスープ

2種のテリーヌもサーモンも非常にいい。ごぼうのスープなど飲んだことがなく初体験。細かく刻みスープで煮込んだ後に裏ごししてと手間暇かかった料理に聞こえるが、店主は「そんなに大変じゃありませんよ」と涼しい顔だ。
メイン2種

2人で違う料理を頼んだ。地鶏と鮮魚のソテー。香ばしくしっかり焼けてきれいな出来上がりだ。
クレープ、チーズの盛り合わせ

小豆の餡をクレープで包み塩漬けの桜の葉を巻いた桜餅風のクレープ。
甘いものが駄目な客にもきっちり対応してくれる。数種類のチーズの中から4種類を選べる。ワインを飲み干すのに嬉しいデザートだ。
グラスワインもしっかりしたものを出す。安酒をハウスワインと称して供するようないい加減な店とは異なる。ソムリエバッチが光る店主の真骨頂だろう。
値段も非常にリーズナブルで満足度は高い。高めの料理(それでも5,250円から)ならワインの持込み料も無料。ちょっと嬉しいレストランではないだろうか。
因みに、ボナペティとは「充分に召し上がれ」という意味だそうだ。充分に食べても目の玉が飛び出ることはない。
ボナペティ
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-8-8 M288ビル 3F
0422-76-1363
http://homepage2.nifty.com/bon-appetit/
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2007年05月11日
[フランク](神田)
気軽に本格的な洋食を

友人に「弟が店を開いた」と言われて行ってみることにした。神田駅南口から歩いて1分もかからないビルの地下にある。駅に近いが人通りを見ると好立地なのかどうかは分からない。焼き鳥屋や居酒屋などサラリーマン向けの店が集まる界隈なので、オヤジ大好きの洋食メニューが多いと予想したがはずれた。
前菜盛り合わせ

友人の弟なので銀髪は先生気取りである。メニューは一瞥しただけで「自慢の料理を出してみてよ!」と超偉そう。それでもサーモンの野菜巻き、マグロ、ホタルイカ、ムツのカルパッチョの盛り合わせは満足できるもので安心した。フランス産のワインビネガーが爽やかである。
サラダ2種

小海老とマグロを加えたカルフォルニアスタイルと名づけたアボガドサラダ。アボガドが嫌いと言う友人には帆立とトマトのサラダを出してきた。赤のワインビネガーに2週間以上つけた玉ねぎがアクセントをつけている自家製ドレッシングなど、ちゃんとした仕事をしている。
海老とサーモンの生春巻き、若鶏のハーブオイル焼き

オーナーの西岡シェフは38歳。ニューオータニや松屋グループの結婚式場などで約20年間修行して、念願の店を今年2月に開いたばかり。真面目な仕事ぶりには好感が持てる。
しかし、繁盛店になる道は生易しいものではないだろう。
友人の弟だという気楽さもあり、偉そうに意見をたくさん言った。まるで食のコンサルタント気取りだ。西岡シェフは機嫌を悪くしたかもしれないが、笑顔で応対してくれた。この場を借りてお詫びしておこう。
ホテル並みの料理を安く食べられるのは嬉しい限りだが、ターゲットとする気紛れな女性たちの心を掴むのは大変だろう。女性たちが殺到する他店を参考にしながら、フランクならではのものを作り上げて欲しいものだ。それが何なのかは自分で見つけるしかない。
神田の名店と言われる日が早く訪れることを切に祈っている。ときどき覗いて変貌する姿を追ってみたいと思う。
FRANK 洋食屋フランク
東京都千代田区鍛冶町1-3-9 稲村ビルB1
03-3252-0808
フランクのメニュー

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2007年03月29日
[ランブイエ](日本橋)
隠れ家的なフレンチレストラン

昼間はビジネスランチの社用族やサービスランチ目当ての女性で賑わう店も、夜になると殆ど人通りのない小路に潜む隠れ家となる。
店から案内状が届いたので、夜に仲間内4人で行って、一番安いグーテコース(4,725円)を食べた。オードブル、メインディッシュを1品ずつ選び、最後にデザートがつく。チーズや飲み物は別料金だった。
アミューズ、オードブル①

アミューズ(付き出し)はグリーンピースの温かいスープ。以前来た時とシェフは変わったそうだが、期待が持てるスタートだ。銀髪ともう1人が選んだのがフォアグラのコンフィと鴨の生ハムのタルト仕立て。どうも洋食のメニューは分からない単語が多い。料理が出てきてようやく全貌がわかる。
オードブル②③

「ブーダン・ノワールとりんご、バナナのソテー パータ ブリック包み焼き」と「有機無農薬野菜と奥久慈産地鶏卵のサラダ仕立て」。りんごもバナナも嫌だが面白そうなので部下のために選んであげた。彼に選択権はない。サラダ仕立ては分かりやすい。
メイン①②

「5種の部位を使った豚肉料理 赤ワインソース」と「和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」
耳、頬、舌、豚足、バラ肉を混ぜ合わせて網脂で巻いてソテーした前者はなかなかの逸品だった。近江牛を使った煮込みは予想通り。以前に何度かこの店で食べたことがある。シェフが変わってもいくつかの看板料理は維持しているようだ。
メイン③とチーズ盛合せ

女性二人は「群馬産もち豚のロースト そのジュとコルニッションのソース」を選んだ。またしてもソースの意味がチンプンカンプンだったが、豚は予想通り美味しかった。
デザートはすべて女性陣に提供して、我々はチーズに専念した。

左から「ラム酒風味のババ グリオット添え 温かいショコラソース」「人参のブラマンジュと柑橘類のコンポート」「キャラメルのパルフェ ほろ苦いコーヒーのグラニテと共に」
「フルーツトマトのコンポート ヴェルヴェーヌの香り」に女性たちの目は輝いているが、見た限りは美味しそうだ。「それほど甘くないですよー」の声に釣られて手を出すほど銀髪は甘くない。
食事が出終わったところで金田シェフが挨拶に来てくれた。デザートまですべて作ったそうで、33歳の若さだからできる仕事だろう。アイデア料理もある一方で、伝統的なフランス料理もしっかりとこなしている。神楽坂で10年超、フランスで2年の修行を経てランブイエで腕を振るう。
この料理で5,000円未満なら充分満足できる。フロア担当の女性、水谷さんも大変気持ちのいいサービスをしてくれた。隠れ家にしておくのはもったいない店だ。
店が入るビルのオーナーのマダムが経営者である。悠々自適なのは分かるが、
「マダム!もっと夜も客寄せしなきゃ! 若いスタッフがやる気なくしちゃいますよ!」
ランブイエ
東京都中央区日本橋小網町9-6 NST小網町ビルB1
03-3666-3010
http://www.tokyoseito.co.jp
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2007年03月15日
[オザミデヴァン](銀座)
男3人、勝手に気ままにやらせてもらった

ヴァンピックルの「銀座店」、「丸の内店」には何度も行った。ワイン好きのお客さんをどこにお連れしようか散々迷った挙句、選んだのは系列のオザミデヴァンだった。待ち合わせの時間に少し遅れて店に入ってきたお客さんが座るなり、「ワインのお友達へ、とはいい店ですね」と笑顔で話した。さすがフランス通、店名がそんな意味とはまったく知らなかった。
店の雰囲気はあまり気取ったところがなくて気に入った。しかし周りはカップルか女性だけのグループ。中年3人組はちょっと場を壊している感じだが、おやじらしくガチャガチャ取り分けて食べることを店の人に許してもらった。料理を選ぶのはもちろん銀髪でお客様の意見すら聞かない。
サヨリのマリネ、パテ、ソーセージ

「サヨリのマリネ緑コショウ風味 春野菜と一緒に」「吉田豚の自家製ハムとフォアグラのパセリ風味」「豚耳のソーセージ仕立て レンズ豆のサラダ添え」各1,680円。特にソーセージが良かった。
ワインリストを見て驚いた。リーズナブルなものから高級ワインまで豊富な品揃えだ。白と赤を1本ずつオーダーすることにしたが、どれにするかはお客様も黙っていない。もう1人は銀髪の部下Kで、フランス在住6年の経験があるため結構うるさい。銀髪だってオーストラリアで7年半の経験があり、議論に割って入る。これを店のソムリエがうまくさばく。さすがの腕前に感心した。
最終的にはお客様とソムリエの意見を尊重しててワインを決定し、Kがテイスティングする。空気に慣れさせるため赤も同時に味見した。
鴨

メインは鴨を一羽頼んだ。一度ローストしたものを2種類の料理にして持ってきてくれる。7,350円と一番高い料理だが3人で食べるのだから悪くない。大いに満足した。
それにしても皆よく飲む。既に3本目のワインに入っており、肴としてチーズを頼んだ。これも豊富な品揃えだ。ついでにどうしても食べたかったフォアグラのポワレを追加した。
チーズ各種、フォアグラ

上品にコース料理を銘々で食べている他の客には申し訳ないが、我々3人が一番楽しんでいるのは間違いない。3本目も空けて次はグラッパかカルバドスかなんて言い出したところでお開きにすることにした。
ヴァンピックル銀座店同様にこの店も店長は女性。石井店長たちに見送られて店を出た。
それから千鳥足の3人は「MORI BAR」になだれ込んでドライマティーニやラム(ハバナクラブ)を飲み、更に店を替えてヘネシーのXOをがぶ飲みして家路についた。
まったく燃費の悪い奴らだ。酒がもったいない。
オザミデヴァン
東京都中央区銀座2-5-6 P.Vビル
03-3567-4120
http://auxamis.com/
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2006年10月27日
[葡萄屋](吉祥寺)
ステーキの焼き方はプロにはかなわない。
「吉祥寺に来てください」と言われて戸惑った。美味しい料理屋は銀座・日本橋にも多い。わざわざ吉祥寺でもあるまいと思ったが逆らえない。「葡萄屋で」と言われてどっかのチェーン店ではないかと不安になった。
吉祥寺駅から歩いて数分、東急百貨店の横に葡萄屋はあった。店構えからするとチェーン店らしくない。吉祥寺では結構有名な老舗レストランで、もちろんチェーン店ではなかった。ビルには炭焼きステーキハウスの「葡萄屋」の他にしゃぶしゃぶ、焼肉、喫茶、バーなどの飲食店が入っており、全て同じ経営である。現代画家の巨匠の絵が飾られるなど、立派な雰囲気の店だった。
メニューを見ると、伝統的な料理が並ぶ。奇をてらった料理は見当たらない。先方はコーンポタージュスープ、パルマ産生ハムとパルミジャーノチーズ、サーロインステーキ200グラム、デザートと大食だ。銀髪はエスカルゴの殻焼きブルゴーニュ風とヒレステーキ200グラムだけを頼んだ。
生ハムとエスカルゴ

先日「イタリー亭」でがっかりしたので、エスカルゴは料理法を何度も確認した。ブルゴーニュ風とはガーリックバターにハーブを混ぜて、オーブンで焼き上げる期待通りのものだ。たっぷりのスープが溢れ出しているので、フランスパンを浸して食べた。先方の生ハムも少しいただいて、赤ワインを飲む。至福のときである。
ワインリストにはリーズナブルなワインが並んでいるのが嬉しい。
サーロインステーキとヒレステーキ

今日の肉は宮崎牛で、焼き方はレアにしてもらった。炭火焼き網でベテラン調理人が焼いてくれる。八重洲「島」に匹敵するような見事な焼き方だ。切ってみると確かにレアなのだが、血がまったく流れてこない。身は赤いのに火が中までちゃんと通っている証拠だ。
レアのステーキの断面

食べ終えてから他の客の肉を焼いている調理人の所まで行って話を聞いた。
均等に火が行き渡るように肉を網のどこに置くかがポイント。場所を変えながら均等に火が通る様に丁寧に焼いていく。脂がきれいに肉に入り込んでいるいい和牛でなければ上手に焼くことは難しいらしい。
我が家のフライパンで焼いたレアのステーキは、切るとピンク色の肉汁が皿を覆ってしまう。ステーキ炭焼き20年以上のプロの技は本当に素晴らしいと思った。
銀座に比べれば料理に華やかさが欠けるけれど、リーズナブルな値段で立派なステーキが食べられる。
都心でなくともいいレストランがあることを痛感した。
葡萄屋
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-1
0422-22-0555
http://www.budo-ya.jp
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2006年10月18日
[メルヴェイユ](日本橋)
近くにいい店がまだまだある。
いいフランス料理屋があると聞いて首を傾げた。寿司屋「あきば」が目と鼻の先にありながら知らなかったのだから、フランス料理屋で知らないところがあっても不思議ではないと思い、ついていった。日本橋高島屋の近く、吉野寿司の裏手にメルヴェイユはあった。
オープンして2年が過ぎたばかりの店は、既に予約を取るのが難しい店になったらしい。この日も老境に達したグループ客とカップルが数組、女性同士のテーブルもあり満席になっていた。まずシャンパンで乾杯、明るく元気な糸澤支配人の説明で料理選びが始まった。
今日はご招待なので料理選びにちょっと躊躇したが、豊富なアイデア料理と糸澤さんの説明にすぐに引き込まれた。オードブル、魚料理、肉料理の順で進むコースを予定していたようだが、オードブルを2品と肉料理にしてもらった。メイン料理はステーキなどのオーソドックスなものが多く料理のイメージを描き易いが、オードブルは思わぬ逸品に出くわすこともある。オーストラリアに居たときにはよくオードブルだけを選んだものだった。結局オードブルが4品、肉料理が2品、我々の食卓に登場することになった。

アミューズ(突き出し)はフランス語の難しい名前がついているが簡単に言うと、左からカボチャのスープ、クリームチーズ入りのパイ、フォアグラのソテー。パンは自家製の黒オリーブ入りのパン。しっかりと味があってバターを塗る必要が無い。

最初のオードブルはウニ、カニ、ホタテ、ツブ貝、シマエビなどたくさんの魚介類を使った二品。左のジュレ(ゼリー)添えは焼きなすをベースにして、モロヘイヤと赤ピーマンのソースで囲んでいる。右は旬のカリフラワーをスープ仕立てにして、その中に料理が浮かんでいるように見える。崩すのを惜しみながら混ぜ合わせて食べた。

次のオードブルはえぞ鹿テリーヌとシーザーズサラダ。狩猟シーズン幕開けと共に、ジビエ(野生の動物)料理が食べられる。メルヴェイユ風と名付けられたサラダは、半熟卵を敷いて、野菜、ホタテ、タラバガニ、パルメチザンチーズ、パルマハムを乗せている。それに加えてから揚げにしたリードヴォー(仔牛の胸腺肉)をクルトン(揚げパン)の代わりに使っているが、これが素晴らしくいい香りを出している。

肉料理は牛、豚、鶏、鴨、羊、兎と種類が豊富だが、これまで美味しいものに出会ったことがない兎と糸澤さんお奨めのイベリコ豚を頼んだ。
オーストラリアでよく食べた兎は野生の兎だった。餌の質が不安定で、筋肉質の野生の兎は正直美味くなかった。今日の肉は飼育した兎だったこともあり、食べやすかった。豚足を詰めるなど工夫もしてある。
イベリコ豚はイメージ通り。バスク産唐辛子(万願寺唐辛子)の肉詰めが添えられていたが、肉詰めピーマンといった感じで良かった。
どの料理もかなりの仕事がなされており、料理人の気力・体力の強さを感じたが、松本シェフが31歳の若さと聞いて納得した。今回は素材同士のハーモニーを楽しむ料理を中心に食べたが、次に行くときは一つの素材とシェフとの真剣勝負が見える料理を食べようと思った。

オードブルに合わせて白ワインを飲んだ。肉に合わせたのはソーヴィニオン種主体のふくよかな赤ワイン。このワインにはチーズも欲しいと思ったら、チーズの品揃えも豊富で、立派なブルーチーズやウォッシュタイプのチーズもある。迷ったあげく、少しずつ切ってもらった。

最後のデザートはいつものようにスキップしようとしたが、銀髪用に特別に用意されたものと言われては逃げられない。食べてみて驚いた。まったく甘くない。シャーベットはロゼのシャンパンで出来ており、珍しくも完食してしまった。他の人にはただ苦いだけのシャーベットかもしれない。
完璧にアレンジされた祝宴にただただ感謝するばかり。またまた一本取られたなと思いながらも、思わず顔がほころんだ。
オーグー ドゥ ジュール メルヴェイユ
東京都中央区日本橋3-8-13
03-6202-1991
http://www.augoutdujour-group/me/index.html
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2006年09月13日
[シグネチャー](日本橋) マンダリン・オリエンタル・東京
日本橋三越の隣、マンダリン・オリエンタル・東京のフランス料理店に行った。
第六感なんてものが本当にあるのだろうか。疑問に思っても、偶然にしては出来過ぎなことが起こると信じないわけにはいかなくなる。
昔の職場の同僚だったHさんにメールをした。昼ごはんのお相手を頼もうと思ったのだ。返事はすぐに来た。「今日は私のお誕生日なので、会社の仲間がご馳走してくれることになっています。明日はいかが。」と書いてある。1年以上も連絡していなかったのに、久し振りに誘ったら誕生日とのこと。Hさんの引きの強さだろうか、驚いた。翌日の約束をした。
軽いランチのつもりだったが誕生日となれば、そんなわけにはいかなくなった。マンダリンのレストランは以前、中華料理屋の「センス」に行ったきり。今日は「シグネチャー」に行くことに決めて、ランチの時間を待っていたら電話が鳴った。なんと、これも昔の職場の先輩だったYさん。すぐ近くにいるので昼飯を一緒にどうかと言う。
Hさんの引きの強さに驚いた。これだけ偶然が重なると必然になる。3人でシグネチャーに行くことにした。高級ホテルの雰囲気プンプンの入り口からエレベーターに乗り、37階のレストランに向かった。エレベーターホールからラウンジ・バーが見える。右に行くと「センス」、左に行くと「シグネチャー」がある。入り口には黒のシックなドレスに身を包んだ美女が銀髪を待っていた。予約をしてないので待っているわけないが、そう思った方が気分がいい。
一番安い5,000円のコースを頼んだ。ケチったわけではないが、昼の食事としては適量だろう。蛙のフリットからコースがスタートした。

蛙、ホタテ、とうもろこしのスープ、白身の魚。ウエイターは料理を出して丁寧に料理について説明してくれる。さすが高級ホテルだ。単純な料理はなく、どれもアイデア料理で楽しい。

もっとも難しいのがメイン。ステーキなどが定番のように、奇をてらう料理ではない。白身の魚は、衣の歯ごたえがありすぎでちょっと辛かった。メインだけでもチョイス出来れば満足感は高くなるだろう。
女性にとって嬉しいのが最後のデザート。何も言わないのに、2種類のデザートが出てきた。Yさんは仕事が控えているためデザートをスキップして席を立った。銀髪は甘いものは食べないので、すべてHさんのものになった。

Yさんは娘が外国の航空会社でCAをしているため、休暇は優雅にスペイン旅行をしたそうだ。妬んだ銀髪が、この日のランチはYさん持ちだと冗談を言ったら、本当にYさんがご馳走してくれた。
Hさんの誕生祝のランチをYさんのお財布ですることができた。Hさんにいい顔ができて、美味しいランチを食べることができた。
本当に引きが強かったのは銀髪かもしれない。
シグネチャー
東京都中央区日本橋室町2-1-1
マンダリン・オリエンタル・ホテル37階
0120-806-823
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2006年08月25日
[島 PartⅡ](八重洲) やっぱり美味しいステーキ
久し振りに有名店、西洋料理の「島」へ行った。
銀髪グルメ紀行を始めてもうじき1年になる。スタートが昨年の9月28日で、第3回目に紹介させてもらった店が「島」だった。店としては名古屋の「西本」に次いで2店目。当時の記事を読み返すと銀髪グルメ紀行が試行錯誤、どっちに向かうか不安定な状況だったのがよくわかる。
銀髪グルメ紀行はボランティアで寄稿してあげるにも拘らず、「こだわり」の運営会社やとりまきから様々な注文がついた。面白く、下品でなく、他にない特徴ある記事、などなど。初期の読者は友人、知人などわずかな人達だったが、今はヤフーやグーグルなどの検索エンジンから見に来る人達が過半数を超える。
アクセス件数の増加とコメント数は比例しない。コメントを入れてくれる人は少数だが、とても励ましになって嬉しくありがたい。週2~3回の更新を想定してスタートしたが、土日も覗いてくれる人ががっかりしないように、毎日更新することになってしまった。いつまで続くことやら。
グルメ紀行を始めて良かったことはたくさんあるが、悪いことは好きな店に何度も行けないことだ。毎日更新のためには出来るだけ違った店に行かないと話題が続かない。もっとも、「島」のような店は料金が高く、そのくせ人気があって予約が取り難いのでそう頻繁に行けるわけではない。
久し振りに行ったが、2度目になると店のコンセプトが分かってくる。前回とメニューはほぼ同じで、素材の特徴を生かした飾り気がない料理が中心だ。特にメニューはなく、その日に仕入れたものを女将さんが教えてくれる。的矢の生牡蠣、牛刺し、毛蟹、あわびなど鮮度勝負の食材が前菜となる。ホワイトアスパラのスープは微妙な味わいで秀逸だった。
アスパラスープ、牡蠣、牛刺し

そしてメインのステーキ。前回フィレを食べたので、今回はサーロインにしてみた。脂っこいのを覚悟したが、まるでフィレを食べているようだ。どうしてこのような味が出せるのか不思議で仕方がない。鉄板ではなく炭火で丁寧に焼かれるからだろうか。
使っている牛は京都の和知牛。松坂牛や神戸牛などの超有名な銘柄牛を使っているわけではない。和知牛がいいのか、料理人の眼力なのか腕なのか。どこにポイントがあるか分からないが、プロとは凄いものだと感心する。「松坂牛を使用」の文句に有難がるのがあほらしくなってくる。
お土産としていただいたステーキサンドを家に帰って頬張った。店に居たときデジカメが不調だったので今日の鮮明な画像はこれだけ。しかし、どんなきれいな写真でも味を伝えることはできない。

去年より景気は確実に良くなってきている。今日も満席だったが、これからますます予約が取り難くなっていくだろう。昼も値が張る店だが、ステーキだけでも食べに行きたい。カウンターで食べるとより楽しい。
前回は大島オーナーシェフがお見送りをしてくれたが、今日は女将さんが外まで送ってくれた。高級店特有の気取ったところは微塵もない。料理も大島シェフ同様に気取らず安定感がある。
どうしてあんなステーキが出来るのだろう。焼くだけのシンプルな料理だけに、謎は深まるばかりだ。
西洋料理 島
東京都中央区日本橋日本橋MMビル地下1階
03-3271-7889
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2006年08月04日
[SHIZUO TOKYO partⅡ]
久し振りに「SHIZUO TOKYO」 に行ってきました。
閉店
最初にSHIZUO TOKYOに来てから既に9ヶ月が過ぎた(掲載は11月2日)。前回来たときはまだビルができたばかりでSHIZUO TOKYOぐらいしか入ってなかったが、いつの間にか叙々苑游玄亭や福臨門などの高級レストランが揃った。
店に入るとフロア係の中田さんが笑顔で迎えてくれた。ちゃんと覚えてくれているようだ。これまでいろんなレストランに行ったが、銀髪にとって中田さんは間違いなくトップクラスの接客をしてくれる。
しかし、中田さんの顔から笑顔が消えて出てきた言葉は「ローストビーフは、今お出ししておりません」だった。20人以上の団体予約があったときだけ提供することになり、常時口にすることができなくなってしまったとのこと。ちょっとがっかりしたものの、「裏メニューですが、今日は3週間熟成した肉を特別にご用意しておきました」と来た。1週間前から予約していた甲斐があった。是非もない。「裏」とか「特別」と言われると弱い単純な銀髪である。
席に案内されると座る向きが以前と変わっていた。前は厨房を見るように座ったが、今度はガラス窓を向く。三笠会館が下方に、時計台が上方に見える。残念ながら絶景とは言い難いが、それだけ食事や会話に集中できる。
メインは熟成牛に決まった。それまでの料理をどうするか考えようとしたが、中田さんに従ってシェフのお任せにした。
シュー包みの前菜、マコガレイのカルパッチョ

先ずイベリコ・べジョータのシュー包み。スペイン産イベリコ豚の中でもどんぐりだけで基準を超える成長をした豚がべジョータと呼ばれる最高級豚である。「漫画ドラゴンボールのべジータなら知ってる」と軽口を叩いて笑われる。べジョータを包むのはポテトのシュー。
桃をマコガレイで包んでウイキョウのゼリーを添えたカルパッチョ風の料理。銀髪は甘いものや果物を食べない。戦々恐々として口に運んだが、毛嫌いするほどのものではなかった。果物が好きな人には堪らないだろう。
コロッケとその中身(右)

穴子とフォアグラを包んだコロッケ。なかなか面白い。「バサバサと豪快に崩して食べてください」と言われたとおりに食べた。不思議な味の組み合わせである。穴子もフォアグラも別々に食べたって美味しいよなー
外は段々暗くなり、ガラス窓に厨房の風景が浮かび上がってくる。外の闇がガラス窓を鏡のようにしている。厨房ではなく外を向いて座った効果が現れたようだ。
おこぜ

オコゼと野菜の炒め物。白身のオコゼは上品な味だ。
サーロイン(左)とフィレ

メインは肉屋さんで特別に3週間熟成したサーロインとフィレのステーキ。肉は松坂などの銘柄牛ではないが、さしがきれいに入った磐梯や那須の高級和牛。
やはり50歳を超えた銀髪にはフィレの方がいい。フィレでも充分に脂が乗っている。
チーズとデザート

銀髪はデザートの代わりにチーズを少ずつ切ってもらった。ハードタイプのコンテ、ブルーチーズの代表格ロックフォール、カマンベール、出色なのがウォッシュタイプのエポワース。マール酒で何度も洗ってオレンジ色になっている。
オーストラリアに居たときはよくチーズを食べていたが、食べたことがないチーズの方が圧倒的に多い。たったこれだけのチーズでいくらでも飲めそうだが自粛した。
店を出るときに中田さんが丁寧にお見送りをしてくれた。赤ワインでほろ酔い気分の銀髪は今日もSHIZUO TOKYOにご機嫌だった。もちろん、今日のお客様も。
SHIZUO TOKYO
東京都中央区銀座5-4-6
03-3569-3344
http://www.shizuo-tokyo.com
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2006年04月11日
[ボンファム](赤坂) しっかりしたフランス料理
銀座線溜池山王駅より約3分。路地を歩くと風に揺られているフランス国旗が見える。
子供地球基金の鳥居さんをこだわりインタビュー出演のお礼を兼ねてディナーにお招きした。フランス滞在経験6年のKがアレンジした店がボンファムだった。ソースの中野と呼ばれているというシェフはKの住むマンションのお仲間。
開店してから24年というから東京のフランス料理屋としては老舗の部類に入るのだろう。落ち着きのある洒落た雰囲気の女性好みの店内。店主の南さんがサービスをしてくれた。南さんは若いときフィンランド、ハンガリー、フランスなどを渡り歩いて語学も堪能。開店当初は日本人よりフランス人の客の方が多かったとのことで、本格的なフランス料理を出す店と期待は高まった。
料理が出る前にKが白と赤のワインを一本ずつ頼んだ。赤はデキャンタに移され、白を飲んでいる間に飲み頃になる。Kも店側も作法どおり立派なもんだ。
下の写真が4人の前菜。グルメ紀行の取材に協力してくれたのか、いつものことなのかは分からないが全員が違うものを頼んだ。
鳥居さんはメニューには載っていない今日のお勧めの白アスパラガスを頼んだ(4月末頃まで)。
左上からエスカルゴのラタトゥイユ仕立て(3,000円)、スッポンのポトフー仕立て(3,400円)
白アスパラガスの茹でたてレモン風味のムースリーヌ(?円)、フォアグラの温製(3,500円)


メインも4人が別々のものを頼んだ。8種類を全部つまみたいところだが、向かいの席までフォークを伸ばすと行儀悪い奴だと思われそうなので、両脇の人のだけ味見をさせてもらった。従って6品の味を確かめたことになる。
左上から仔羊のロースト ディジョン風(3,800円)、スズキの厚切りローストに黒米の赤ワインソース(3,600円)
和牛タルタルステーキと小さなサラダ(3,800円)、フランス産青首鴨のロースト サンチュベールソース(4,500円)


前菜とメインのお値段はわずかしか変わらない。ボリュームも同じようなものだ。前菜はシェフの遊び心や旬の素材を使った日替わり品を配す店が多いが、ボンファムでは老舗のスタイルを貫いているように見える。これらをKは「しっかりした料理」と評したが、その台詞に南さんも満足気に微笑んだ。
銀髪はフランスには1回行っただけで、そのときも本格的なフランス料理は食べ損ねた。本場のレストランがどんなものか知らないため評価のしようがないが、フランス通のKとお客様はとても喜んでいたので、こんな感じの料理が多いのだろうか。
3人が立派なデザートを食べている間、銀髪はカルバトス(りんごを原料としたブランデー)を飲んだ。
鳥居さん、秘書の永田さんとの会話は楽しかった。長居しすぎたせいか、Kの友人のシェフは出かけてしまって顔を合わせる機会がなくて残念だった。
ビストロ 「ボンファム」
東京都港区赤坂1-3-13
03-3582-0200
http://www.bonnefemme.net
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2006年02月10日
[ル・クープシュー](新宿) 気軽にフレンチ
お手頃値段で気軽にフレンチが楽しめる店があると中学の同級生に誘われ、野郎ばかり3人でル・ク-プシューに行った。
ル・ク-プシューとはキャベツを切るという意味らしい。新宿西口ヨドバシカメラの裏通りは、何度も通ったことがあるが気付かなかった。通りに面した入り口が閉まっているので休みかと思って入らなかったのかもしれない。入り口は横にある。
夜フランス料理を謳う店に男ばかりで入るのは多分始めての経験だ。まさかコースでもあるまいと思ったが、メニューを見ながらみんな何を選ぶか気が気ではない。耐えかねて「適当に頼んでみんなで分けて食べようぜ!」と提案した。みんな快く承諾してくれた。
下の「子羊のロースト・エストラゴン風味オレンジソース添え」を見て欲しい。(エストラゴンとはヨモギに似たフランス料理に欠かせないハーブの一つ。)

きれいに盛り付けられていたのに、銀髪の手により見るも無残に切り分けられてしまった。フランス料理をこんな食べ方をしていいのだろうか。和食なら気軽にと言えば焼き鳥、蕎麦など。イタリア料理ならピザ、スパゲッティなど。中華なら餃子、チャーハンなど。それじゃあ気軽なフランス料理って何?
そもそもフランス料理ってどんな料理なのかわからなくなってしまった。フランス料理の歴史を知りたくて適当なサイトを探していたら、フランス薬膳・文化研究家、エッセイストの須藤春子氏の記述を見つけた。
http://sugar.lin.go.jp/japan/view/jv_0102b.htm
これによると12世紀まではフランスの食事はローストした肉と茹でた野菜だけで、手掴みで食べていたという。華やかな料理はメディチ家が栄えた15世紀のイタリアのフィレンツェで発展し、メディチ家の女性たちがフランスの王家に嫁いだことにより、フランスにも洗練した料理が芽生えた。
これが草創期なら、爆発したのはフランス革命(1789年)で宮廷料理人が職を失い巷で料理屋を開かざるを得なくなったことによる。フランス料理は大衆化して更に発展の道を歩む。その間に、香辛料を求めての大航海時代があり、植民地を巡っての戦いが繰り広げられた。フィレンツェの文化に憧れたフランス王はイタリアに遠征してレオナルド・ダ・ヴィンチなどをフランスに連れ帰った。
これを読んでいて映画「第三の男」でのオースンウェルズの台詞を思い出した。「イタリーではボルジア家30年の圧政の下に、ミケランジェロ、ダヴィンチやルネッサンスを生んだ。スイスでは500年の同胞愛と平和を保って何を生んだか。鳩時計だとさ」
戦争、圧政、革命が料理・文化を発展させ、世界中に広める皮肉。フランス料理は宮廷料理から大衆化して進歩したという面白さ。
子羊以外にこの日食べた料理は左上からからムール貝のブルゴーニュ風(にんにく風味)、メランザーネパミジアーナ(なすのグラタン)、下段左からイベリコ豚のソテー、白身魚のフォアベルグローブ(カルパッチョ。フォアベルグローブは胡椒の一つ)。ムール貝は最後に再度頼んだ。
ビール3本(小瓶)ワイン2本飲んで1人5,500円位だった。

フレンチはやっぱり女性と一緒に来た方がいい。出来るものなら‥
ル・ク-プシュー
東京都新宿区西新宿1-15-7
03-3348-1610
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2005年11月02日
[SHIZUO TOKYO](銀座) 「珠玉のローストビーフ」
「ローストビーフの美味しい店がある」その一言に飛びついてしまった。ホームページを開いて驚いた。何だか有名なシェフが最近開いた店らしい。敷居が高いなーと思いながらも予約の電話を入れた。さてどんなローストビーフに出会えるのだろうか。
閉店
ホテルの立食パーティーに行くと、料理の主役の一つは今もローストビーフ。その前にはいつも列ができる。「これがあまり美味くないんだなー」と思いながらもつい並んでしまう。「今日は美味いかも」と期待するのだがいつも期待はずれ。寿司コーナーの列の方が長いのも頷ける。
ローストビーフはイギリスの代表的料理。日本人の旅行者が必ず食し、必ずけなす料理でもある。銀髪もまずいと信じていたが、ロンドンの名士が集うクラブのレストランでご馳走になったローストビーフは秀逸だった。日本では安くて美味しいものがたくさんあるが、海外では値段の差=品質・味の差と思っていい。
オーストラリアもかつてはイギリスの植民地だったためローストビーフを出すレストランは多い。物価が安いだけに本家よりリーズナブルで良質な物を食べることができる。イングリッシュ・マスタード(洋からし)をつけて食べるのが好きだった。但し、ステーキのように分厚いローストビーフが皿一杯に乗っていて閉口したが、30代前半の若さで乗り切った。
さて、SHIZUO TOKYOのローストビーフ。岩塩と胡椒を肉の固まりに擦り込み約4時間かけて焼き上げた福島牛。さしがきれいに入ってる牛肉は、実にきれいなピンク色。これを塩と胡椒のみで食べる。ホースラディッシュ(西洋わさび)グレイビーソースはお好みで。

食べ終わったところで、フロアのアシスタントマネジャー中田さんが「いかがでしたか?」と聞く。「美味すぎる」と銀髪が答える。
これは銀髪が知るローストビーフとはまったく違う料理だ。ロンドンやオーストラリアのローストビーフを懐かしく思い出そうと思って来たが諦めた。比較する料理ではない。
「実は良く焼けた端っこの肉が好きなんですよ」と銀髪が言うと「カブリですか?最初に言ってくださればお持ちしたんですが、量が少ない部分なので…」と中田さん。「そうか失敗したなー」と残念がると、「わかりました。少しだけですがお持ちします。」と意外にも嬉しい返事。滅茶苦茶得した気分。

この部分は擦り込んだ岩塩と胡椒が効いていて、何もつける必要がない。いい肉なのでしっかり焼けていても柔らかく香ばしい。少しだけグレイビーソースをかけると脂っこさも消えまた違う味わい。
追加の一品を平らげたところでオーナーシェフの井上静雄さんが挨拶に来た。「いつでも私はキッチンにいますから声をかけてください。キッチンにいなければオーナーシェフと言えませんから」と笑顔で話してくれる。ちっとも敷居が高くない。
勘定を済ませて出口に向かうと途中で井上オーナーシェフと完璧なサービスをしてくれた中田さんとがお見送りしてくれた。また来たいと思わせてくれる。
どうせ来るなら女性と一緒じゃないともったいないなー、この店は。
お詫び
ローストビーフの写真が少し焦点ボケしてしまいました。井上さん申し訳ありません。
差し替えのため再度撮影に行かなきゃいけないけど、誰か一緒に行ってくれないかな?
SHIZUO TOKYO
東京都中央区銀座5-4-6
03-3569-3344
http://www.shizuo-tokyo.com
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2005年10月31日
[グランドハイアット](六本木)
子供地球基金KIDS EARTH FUND(KEF)を知っていますか?鳥居晴美さんが1988年に創設したボランティア団体で、木梨憲武氏や三枝成彰氏などが名を連ねる。10月27日、その資金集めパーティーに行ってきた。
こだわりサイトで細川佳代子さんのインタビュー記事を見た後輩が、彼が参加しているボランティア団体を紹介したいと、このパーティーに銀髪を連れて来た。
KEFの概要を案内書のとおり引用する。「子供地球基金は、支援を必要とする子どもたちへ、物心両面からの援助活動を行うと同時に、世界中の子どもたちの創作活動を応援しています。子どもだけが創りだすことができる絵画やアートを世界中から集め、子どもたちの夢や願いを、文化も国境も越えたメッセージとして発信。また、子どもたちの絵は絵本の出版や企業のカレンダー等に採用して頂き、その収益金を世界中の子どもたちへ還元しています。」
代表の鳥居晴美さんとお話ししたが、細川さんとカンボジア支援で一緒に活動したことがあるそうだ。ボランティア活動を近所のごみ拾いから始めたと言われるその精神は細川さんと同じだ。いつか、こだわりサイトに出ていただけるかもしれない。
チェロやピアノの演奏(プロの演者はもちろんボランティア)も楽しめたし、食事も立派なものだった。グランドハイアット・ホテルの一流シェフによるコース料理。
熟成パルマハム無花果ルッコラ25年物ヴィンテージのバルサミコ

アーティーチョークのクリームスープロワイヤル仕立て

ゴルゴンゾラリゾット帆立貝のポワレ ガーデンハーブ添え

プライムサーロインのグリル ソフトマッシュルームのポレンタ アスパラガスのロースト添え

へーゼルナッツメレンゲのモンブラン マラガレーズンアイスクリーム

高級ホテルの手際の良さにはいつも感心する。450人もの料理を間を置かず次々にサービスしていく。ステーキは多少焼きむらが気になるが、これだけ大量に作ったにしては満足できる域だ。
フロアスタッフと会話してメニューを選ぶ楽しみがないのが寂しいが仕方がない。
それにしても、昔はパーティー料理は不味いのが当たり前だったが、料理機材や技術の進歩も想像以上のものがありそうだ。
銀髪はコースを頼むことは殆どない。甘いものが嫌いなためデザートが食べられない。小さい店ならチーズなどに代えてもらうが、今日は無理のようなので少しづつ味見した。デザートの評価ができなければ洋食の批評はできないが、駄目なものは駄目。グルメ失格でごめんなさい。隣の人は美味しいと言っていた。
パーティーの最後にくじ引きがあった。寄付のつもりで一万円分のくじを買ったが、なんと内2枚が当たってしまった。10人掛けのテーブルで当たったのは銀髪のみ。しかもダブル。下手につくと怖い。
これは子供地球基金に参加しなさいとの神の思し召しだったのだろうか?
子供地球基金
http://www.kidsearthfund.org
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2005年09月30日
[島] (八重洲) ヒレステーキの有名店
最近ステーキをあまり食べたいとも思わなくなってきたが、日本橋八重洲で政財界のお歴々や芸能人などに評判の店、西洋料理「島」に証券会社の社長に連れて行ってもらった。
東京駅八重洲中央口から歩いて5分。タリーズ・コーヒーの上に小さな看板を見つけた。
左側2つの電灯の下に見えるのが入り口の看板。いやいや小さな板っ切れ。これが有名店?
カウンターに座ってしばらくするとみのもんたさん御一行が入ってきた。なるほど!?

いつもはステーキを食べようと思ったらついつい鉄板焼きに行くことになる。一流ホテルなら大抵景色のいい上の階に鉄板焼きコーナーを構えているし、今半など老舗でも鉄板焼きのコーナーは人気がある。牛肉は松坂牛などの銘柄物で、サシがきれいに入った高級品。テレビのグルメ番組であれば女性レポーターが「柔らかーい!」「とろけそー!」と陶酔した表情をする肉だが、お値段も超一流。でも霜降りの肉が一番美味しいのだろうか?
和牛の美味さは脂にある。穀物肥育で丁寧に育てられた和牛は癖もなく、柔らかく仕上がっている。サシがきれいに入っているため肉厚でも中に火がとおりやすい。
しかし、鉄板焼きではちょっと脂がきつすぎと感じることが多い今日この頃。でも脂がおいしい。そこで鉄板焼きでは「最後のガーリックライスが美味いんだよなー!」と言うことになる。
しかし、「島」は違った。ステーキが出るまで魚介類を中心にたくさん食べて、おなか一杯になってやっと登場したのが厚いヒレステーキ。「全部食べれるかなー」と不安に思ってナイフを入れたところで、隣の相棒が一口食べたものをこちらの皿に移した。彼は焼きたてのぶどうパンを食べ過ぎて、ステーキをギブアップ。もう既に突き出た腹を撫でながら顎を出している。こちらも一口食べて2人前を合体したのが下の写真。

写真でご覧のとおり、一見レアなのだが、ちゃんと火がとおっている。ナイフを入れても皿に血が流れない。霜降り肉と違って噛んで味が広がる。塩味も絶妙で、ソースも何もかけず肉のうまみだけを堪能する。 「 あっ!ステーキってこんなに美味いんだ!」 とうれしくなってしまう。
時折アクセントとしてマスタードをつけながら2人前を完食してしまった。
「どうしてこんなにうまく焼けるのですか?」と尋ねたら、秘密はカウンター越しにあるちょっと見たところガスオーブンのような調理器。開けて見せてもらうと中には炭
炭火で丁寧に焼いた職人技のヒレステーキだったのだ。
使っている牛は京都の「和知牛」とのこと。初めて聞いた牛の名前だけど、大島オーナーシェフのこだわりを感じた。
ステーキ以外に食べたのはさっと湯通しした牛肉の刺身、的矢の生牡蠣、茹で立ての毛蟹、魚介盛り合わせ、かにコロッケ(下の写真)、オニオングラタン。

ステーキが秀逸過ぎたので、「他の料理はここ以外でも食べられるものですね。」と帰り際に口走ってしまったら、大島さんはちょっと不機嫌に。それでもすぐに笑顔でお見送り。もちろん他の料理もどこででも食べられるものではない。限られた一流店のみで味わえるだけで、ことば足らずでした。生意気言って申し訳ありません。
相棒が食べたあわびも、隣の人が食べていたフォアグラも美味しそうだった。
そう言えば奥のテーブルに居たみのもんたさん御一行には、次に行った銀座6丁目のクラブでも一緒になった。この日は同じコースだったけど、みのさんもきっと満足したでしょうね。
小さな板っ切れ

東京都中央区日本橋日本橋MMビル地下1階 電話03-3271-7889
西洋料理 島
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