2008年12月10日
[Violet ヴィオレット](新宿3丁目)
炭火焼きも食べられるバー

エレベーターを降りたところは寿司屋だった。事前に調べたところではバーの奥が寿司屋のはずだ。「すいませーん」と声をかけると、板さんと、客の3人が怪訝そうに振り向いた。
バーの入り口は右手にあった。カウンターに落ち着くなり「イヤー、びっくりしましたよ」とバーテンダーに声をかけた。予想と違う展開も、話のきっかけになって良かった。ショットバー風の店だが、料理のメニューはしっかりしていてカウンターの左側にある炭火での料理がお奨めだ。さっきの寿司屋から取り寄せることも出来る。
さんまとじゃがいものサラダ、えぞ鹿の炭火焼

バーには似合わない量のサラダに少し驚いた。秋刀魚は酢で軽くしめてあり、ちゃんと洋風の料理に見える。
えぞ鹿のカルパッチョを一度は頼んだものの、直ぐに撤回した。せっかく炭火があるのだから、試してみない手はない。久々のジビエ料理を楽しんだ。もも肉ということもあって固かったが、これが健康な野生の味である。

ジビエに合うワインは赤。リーズナブルなグラスの赤ワインは3種類が用意されていた。値段の高いワインが大きなグラスとの先入観は誤りで、軽めのワインは左側、フルボディが右側だった。香りが強いフルボディは背が高い大きなグラスになる。勉強になった。

スパゲッティはメニューにない辛さとオリーブオイルを多めにしたぺペロンチーノを作ってもらった。銀髪好みだけに、とても満足した。でも、赤ワインをもう少し飲みたい。定番のチーズではなく生チョコを選んだのは正解だった。
勘定を終え、寿司屋の方に歩き出そうとしたらカウンター右のドアを指し示された。本来の出入り口は階段を下りたところにあると知った。なるほど、そちらから入れば寿司屋は店の奥になる。情報は間違いではなかった。
バーでの食事はいつもよりゆったりと時が流れたように感じた。食後に来る客でにぎやかになる前の時間帯は、案外狙い目かもしれない。たまにはこんな食事もいいものだ。
Bar Violet バーヴィオレット
東京都新宿区新宿3-11-11 ダイアンビルB1
03-3354-6639
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2008年06月17日
[ヴィオニス](銀座)
日本で唯一(?)のシャンパン専門バー

ちょっとしたお祝いごとがあった。シャンパンに目がない部下の慰労会を兼ねてヴィオニスに行くことにした。もともとシャンパンはあまり好きではなく、女性の飲み物のイメージが強い。男二人で行くには違和感があるのでM氏も誘った。
予約の電話をすると「カウンターは満席なので、6人掛けのテーブルでよろしいですか? 相席をお願いするかもしれませんが…」と言う。6時の開店時間なら相席もなかろうと思って承諾した。エレベーターで銀座の高級クラブのにおいがする美女2人と一緒になった。同伴の待ち合わせだな、と思ったら何と我々と同じテーブルに座った。
人参のスープ、パテ、 シャンパーニュ地方のチーズ2種

もしかしたらどこかのお金持ちのお嬢様たちかもしれないと考え直した。30歳前後だが奥様には見えない。下手に話しかけては失礼かもしれないと思い、彼女たちを視界から消した。本日のグラスシャンパンは5種類。彼女たちに遅れて我々も順番に飲み始めた。料理は銀髪が勝手に選ぶ。
スモークサーモン、ベジョータ

乾杯をしたのが多分一番安いシャンパン。連れの二人はビールを飲むように2杯目、3杯目と続ける。
デュモアゼル、ルイ・ロデレール

4杯目に一杯3,200円のルイ・ロデレールを飲んだ。ソムリエの武井さんは客の懐具合を読む技術も持っているようだ。次に本日の目玉となる「サロン」を奨めて銀髪を笑顔で見詰める。連れの2人が無言で後押ししている。かくして一杯4,200円のサロン1996年をいただくことになってしまった。後でネットで調べたら1本3万円以上もする限定ワインだった。
前に座る女性たちとは折にふれてことばを交わした。デュモアゼルをお代わりしている彼女たちにサロンをご馳走しようかどうか迷うと仲間の話に乗れない。決断をしようとしたまさにその時、姉貴分が勘定を頼んだ。時計を見たら7時半過ぎ。慌ててお開きにする時間ではない。
高級クラブのミーティング時間に間に合うように切り上げたのかもしれない。或いは待ち合わせ場所に向かい、小食と酒に弱い振りをして同伴相手に優しく微笑むのだろうか。やはり最初の見立てで間違いなかったようだ。いずれにしても奢る機会を逸してホッとした。
ヴィオニスの阿部オーナーは2003年全日本最優秀ソムリエとのこと。その名声のお陰で、品質のいいシャンパンを約250種類揃えている。フランス・シャンパーニュ地方には約5500の酒造所があるというから驚いた。シャンパンの種類は1万種を超えるという。
シャンパンは甘く感じるので好きではなかったが、1万種もあれば自分好みのシャンパンもありそうだ。
楽しい飲み会だったが、やはりヴィオニスは女性と行くべきだろう。座るのはもちろんカウンター。相席の連中がいいシャンパンを飲んでいたらムカつくし、この日のように美女が目の前に座ると心が乱れ、疲れる。
武井さんに次を奨められる前に勘定を頼んだ。腹はシャンパンで満たされているが、〆にラーメンを切望している。やはり銀髪にはシャンパンは似合わない。
サロンドシャンパーニュ ヴィオニス
東京都中央区銀座8-8-18 銀座8818ビル3F
03-5537-0700
http://www.vionys.com
※ 冒頭のサロンの写真はヴィオニスのHPから拝借しました。
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2008年04月26日
[風長閑]②(日本橋)
我がホームバー
銀髪グルメ紀行を始めて今回が933回目、毎日更新しているから6月末には1,000回に到達する。約2年半の間に行った店の数は600~700軒。使ったお金は… 考えたくない。
登場回数がもっとも多いのが我が社の近くにある風長閑。銀髪は我がホームバーと呼んでいる。
渋谷の「シノワ」は料理もワインも美味しく、フロアスタッフもなかなか格好いい。しかし、一番感激したのは男性トイレに歯間ブラシやうがい薬が置いてあったことだ。
それ以来トイレに入ってシノワと比べる習慣がついてしまったが、なかなか肩を並べる店は見つからなかった。
「灯台下暗し」、「青い鳥は我が家に居た」、ではないが、我がホームバー風長閑にも同じような備えがあるのに気付いたのはほんの数ヶ月前だった。

飲み屋のトイレにはボトルなどの宣伝や、名言集、「一歩前へ」などの無粋な言葉がかけられているところが多くて白けるが、風長閑はちょっと違う。
3月と4月

気付かないで用を足して出て行く人が多いのは仕方がない。気付いたのはいいが、飾っていた雛人形の1体を持って帰った不届き者がいたらしい。仲良く並ぶ人形に嫉妬したのかもしれないけれど、酒飲みの風上にも置けない人だ。
酒の場は無礼講とはしゃいでもいいけれど、酔った時こそ本性が出て品格が問われるものである。
ショットバーで銀座一有名な「MORI BAR」のトイレもちゃんとエチケットグッズの備えがある。今まで行ったレストランやバーの中で、トイレがきれいなところはみんないい店だった。飛行機の中のトイレをCAが飛行中に何度もチェックしているのを見ると感心してしまう。
風長閑のママは明け方まで働いても、日中は睡眠時間を削って習いごとで忙しい。趣味とは言え、店造りに役立っていることも多いはずだ。ママの気配りに気付いたら声をかけてみよう。
何かいいことがあるかも… トイレの話の二番煎じは反則ですよ!
風長閑
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2008年04月05日
[BLOODY DOLL ブラディドール](銀座)
ハードボイルドは何故かロシア、ショットバーなのに何故か餃子

「店名は北方謙三からですか?」の質問にマスターは笑顔で頷いた。大学に入った年に、100本近くの映画を見たが、名画座で見るハメット、チャンドラーを原作とする古い洋画もお気に入りの分野だった。ハードボイルド映画を見て翻訳本を読み、やがて北方謙三に辿り着いた。
いくつかのシリーズがあるが、記憶に残るのはクールで影のある主人公、ワイルドターキー、ゴロワーズなどなど。もちろん美女も登場する。話の内容は殆ど覚えていない。
銀座のショットバー、BLOODY DOLLの店主はもちろん北方謙三ファンだが、なぜかウリはバーボンではなくウォッカだった。
お奨めのカクテルを作ってもらった。ロシアならともかく、日本ではウォッカはカクテルのベースとして使われることが多い。一杯目は自慢のカクテルを作ってもらった。でもやっぱり美味しいのはストレート。
この店はウォッカを約400本揃えるというからギネス級であろう。

この店に連れてきてくれたのはMさん。銀髪グルメ紀行の愛読者で、数日前に銀髪のホームグラウンドである日本橋風長閑で網を張っていたところに出くわした。意気投合してその場で飲みに行く約束をした。この日BLOODY DOLLが3軒目で、既に二人ともかなり酒が入っていた。
M氏はBLOODY DOLLへの道すがら、マスターの奥さんがロシア人で、とても美人だと力説した。最近美人妻を店で見る機会が少なくなったので不仲に違いない、と心配なのか嬉しいのか判別不能な顔で教えてくれる。
店に到着するなり疑問をぶつけたら、マスターに一笑された。妊娠休暇ですと言う幸せそうなマスターの顔を見ると、Mさんの気持ちが良く分かり素直に喜べない。
ロシア風餃子

ブラッディドールを愛するマスターが、奥さんのお陰でロシア通に転じたことが分かった。ウォッカだけでなく、ロシア料理も自慢というユニークなショットバーである。
よせばいいのに、最後にMさんと出会いの場所である風長閑に行くことになった。1軒目のビールとワイン、2軒目のドライマティーニとハバナマティーニ、3軒目のウォッカ、4軒目のスコッチストレート。
前日の記憶は薄れてしまったが、品格だけは維持できたと思う。できたに違いない。いや、もしかしたら… 考えれば考えるほど不安は大きくなっていく。反省、反省また反省。
夕方には忘れてしまう反省ではあるけれど…。
BLOODY DOLL
東京都中央区銀座7-4-7 小島ビル2F
03-3289-8155
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2008年02月02日
大洋盛
新潟県村上市「大洋酒造」に行った。

大洋酒造は新潟県では中位に位置する酒造メーカーだ。戦時下での米不足のため政府の指導により14の酒造業者が1945年に合併、新会社を設立した。その一つは1635年創業で井原西鶴の好色一代女にも記述があるという。〆張り鶴で知られる宮尾酒造も含まれていたが、その後独立して母体より今は大きくなってしまった。
規模が小さいからといって酒の品質が落ちるわけではない。吟醸酒市販の草分け的存在として知られ、関東信越国税局酒類鑑評会において18年連続入賞等、数多くの受賞回数を誇る。最高品質を維持することが最高の宣伝ということだろう。

中堅メーカーなので釜は中を覗き見れる程度の大きさなのが嬉しい。ブクブクと泡立ち発酵する様を見ることができた。
踊り場のところには少し大きめの幼児用ビニールプールのようなものが置かれていた。大洋酒造でも機械化が進んでいるが、鑑評会用の酒の仕込みはストップウォッチ片手に手作業で行われるとのこと。プールはその仕込みに使われる。
試飲会

お目当ての試飲会。ラッキーなことに出来たばかりの今年の鑑評会用酒の絞りたて大吟醸酒第1号が右端に2本用意されていた。鑑評会用なのでラベルはない。工場見学でなければ飲めない酒だ。山田錦を母に、五百万石を父に持つ新潟県開発新米「越淡麗」100%で作られた大吟醸酒。
香りが高く甘い。甘いといっても砂糖の甘さと違いあっさりとしている。お菓子は食べた後、口がべとつく感じが残るので嫌いだが、大吟醸の甘さは心地よい。
限定大吟醸

帰りに寄った酒屋で見つけた大洋盛大吟醸。鑑評会用の酒がこの酒の元になる。2月発売の予約を取っていたが、我々は一歩先んじて、しかも原酒を飲んだわけだ。
当分の間、銀髪と飲みに行く人は、この自慢話を聞かされることになる。覚悟しておいて欲しい。
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2007年11月24日
[CHRONOS(クロノス)](銀座)
開店おめでとう!独立おめでとう!

「MORI BAR」の毛利さんの下で5年間修行した時任さんが独立して銀座に店を開いた。
開店の挨拶状には毛利さんも言葉を添えている。どんな店か早速行ってみた。

場所はブランドショップが軒を連ねる並木通り、ルイヴィトン並びのソワレ・ド・銀座弥生ビルの地下1階。カウンター7席、ボックス席が1つの小さな店である。
11月15・16日のレセプションパーティーの時には毛利さんも含めて3人が手伝いに来ていたが、17日のグランドオープンからは時任さん1人っきりの店になった。
A song to the Sun“ティーダ”

時任さんが2006年総務大臣杯第3回全国泡盛カクテルコンテスト最優秀賞を獲得したカクテルから飲むことにした。沖縄で太陽を意味するティーダの名をつけた美しいカクテルだ。
コンソメスープ、お通し

MORI Bar 譲りのコンソメと鴨などのおつまみのチャージは1,500円。
ギムレット、ジャックローズ、マティーニ、フレンチ125

銀髪はギムレットとマティーニを飲んだ。MORI Barと同じカクテルをクロノスでも飲むことが出来る。時任さん流のカクテルは次の機会にお願いしよう。
相方はカルバトスベースのジャックローズとシャンパンとブランデーのフレンチ125を飲んだ。
店に入ったとき先客は1人だけですぐに帰った。次の客が来るまでと粘っていたら強い酒を3杯も飲んでしまった。我々が帰ると誰もいなくなると心配したが杞憂に終わった。ギムレットのときにカウンターは全て埋まり、マティーニのときにボックス席にも人が入った。「人気ですね」と言ったら「MORI Barのおかげです」と時任さんらしい謙虚さだ。
自分の苗字にある時にかけて、ギリシャ神話で時間(とき)をつかさどる神・クロノスの名を冠した店。銀髪は遠い昔バッカス(酒の神)と呼ばれたことがある。クロノスとバッカス。いい響きと勝手に悦に行った夜だった。
思えば自分が独立したのが10年前、42歳。時任さん40歳でのチャレンジにエールを送りたい。
CHRONOS(クロノス)
東京都中央区銀座7-6-19 ソワレ・ド・銀座 弥生ビルB1F
03-3289-0027
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2007年10月27日
カクテル「マイ東京」
「三丁目の夕日」の頃のカクテルを

日本橋界隈で食事をしたら、足を伸ばして銀座に行くか近場で済ますか悩む。近場といえば風長閑になる。ちょっとひっかけて帰ることにしよう。
カウンターに陣取って先ずはギネスビール。飲み干してから次を迷うのが楽しみな時間だ。目の前の果物から正面の数々のボトルを経て、左手の壁に掛けられた黒板まで目がさまよう。

三丁目の夕日はいい映画だった。テレビ、冷蔵庫、洗濯機が家庭に普及し始めた昭和33年頃の話。昭和30年生まれの銀髪世代にとって記憶は曖昧だが、雰囲気はよく理解できた。
バーテンダーの石井さんもママも「甘いから止めた方がいいですよ」と止めようとする。そうなるとますます飲まなければいけない気分になってくる。まして3丁目の夕日と来れば、飲みたい気持ちは抑え切れない。二人とも客を上手に乗せたくせに、今度はひきずりおろそうと必死だ。

甘い、甘いと驚かされたせいか、思ったより甘くない。スノースタイルのカクテルでグラスの縁につけられた砂糖が銀髪にはいただけないが、それを舐めた箇所から続けて飲めば問題ない。
石井さんがあみだしたカクテルかと思ったら、上田芳明氏が1964年(昭和39年)東京オリンピック開催を記念してに作ったカクテルで、サントリー・カクテルコンクール特選賞受賞作とのこと。
ウイスキー、ヘルメスオレンジキュラソー、ライムジュースなどで作られる。
ウイスキーベースのカクテルとしてはかなり有名らしく、ネットで検索するとたくさん出てくるが、なぜこのレシピで東京をイメージさせるのか教えてはくれない。グラスに沈められたチェリーは夕日だろうか朝日だろうか、或いはまったく違う何かだろうか。
東京オリンピックであれば、日本の明るい将来をイメージして、朝もやに浮かび上がる朝日が相応しい気がする。
三丁目の夕日はマイ東京より5~6年前の話。東京オリンピック開催決定に沸き、急成長に躍る東京の息吹きを、石井さんオリジナルのカクテルで感じたいものだ。若い石井さんには難しい注文かもしれないが、三丁目の夕日を見てイメージできるかもしれない。
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2007年09月15日
かぼすギムレット
またまた我がままカクテル

今週も日本橋風長閑に顔を出した。すんなり帰れば翌日が楽なのにと思っても止められない。いつもなら黒ビールで喉を潤すのだが、それを渇望するほどの気候ではなくなってきた。それなら何かカクテルをと思ったところで、カウンターに置かれた柑橘類が目に入った。

馬鹿にされそうだがレモンしか分からない。緑のものはライムと教えてもらった。ライムを使うカクテルの代表格はギムレットだが、ライムではありきたりと思ったことを見透かされ、小さめの柑橘類が出てきた。これがまたまた何か分からない。

ママが高島屋の物産展で買ってきた宮崎産のかぼすだった。役者は揃った。かぼすのギムレットとライムのギムレットの味比べをしようと提案した。先週は梨のカクテルに挑戦して石井さんの頭を悩ませたが、今回は簡単。レシピは同じでライムとかぼすを入れ替えるだけで済む。
かぼす(左)、ライム(右)のギムレット

ひと口ずつ飲んで首を傾げた。すぐには違いが分からない。もう一口飲んで少し分かった。かぼすの方が鮮烈な感じがする。味の違いというよりは、新鮮さの違いのようだ。遥かな海の向こうからやってきたライムは国内産のかぼすより条件が悪い。
いつもカボスを使った方がいいと思うのだが、かぼすはライムより小さいので果汁が少ない。切った断面を見たら種がたくさん入っていて、果汁の比率も少ないのが分かった。これでは採算が合わないし、客に価格を転嫁するのも難しいだろう。
すだちを使ったらどうかと思ったが、部下からもらって家にあるすだちを思い出した。かぼすよりもっと小さい。

それにしても柑橘類の種類は多くてよく覚えられない。かぼす、すだち、だいだい、ゆずなどなど。目隠しして味比べをして当てることが出来る人はいるだろうか。銀髪は目隠しされなくてもわからない。
かぼすギムレットとライムギムレットをみんなに飲んでもらったが、全員がかぼすの方を支持した。さて、これはメニューに入れてもらえるだろうか、石井さん?
日本橋「風長閑」にて
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1
03-3231-0140
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2007年04月15日
[クロンダイク・ハイボール](新橋)
ちょっと気取ってシェリー酒でもどうですか?

食前酒は日本ではビールに決まっている、と書くと怒られそうだが厳然たる事実だと思う。フレンチやイタリアンの店でも男はビールを飲む。シャンパンを飲む女性も多いが、外国ではシェリー酒もよく飲まれている。シェリー酒は食前に飲む酒で、ちょっと甘めの女性用の酒だと思っていた。
シェリー酒に対する誤解は「Bar 武蔵」で消えた。スペイン産の生ハムにはスペインのシェリー酒が合う。当たり前の話だ。
シェリーを飲ませる店と聞いて、新橋のクロンダイク・ハイボールに行った。ところが店名はベルモットやジンジャーエール等で作るカクテルの名前。棚はスコッチウイスキーをはじめ各種ウイスキーで埋め尽くされている。ちょっと拍子抜けしたが、めげずにシェリーを頼んだ。

店長の佐川さんは喜んで応じてくれた。彼は銀座のシェリークラブに居たとのことで、ショットバーとしては珍しく30種類ものシェリーを提供してくれる。
シェリーの原料はブドウだが、アルコールを添加した所謂「酒精強化ワイン」である。スペインのへレスという町とその周辺のみで作られるそうだ。
味はスッキリしたものもあれば、コクがあって濃厚なものもある。辛口もあれば甘口もある。色が透明なものもあれば琥珀色のものもある。
好みを言えば佐川さんが推奨してくれる。
もちろんスペイン産の生ハムは必須だ。

小さなショットバーを愛する常連さんが多いようだ。左隅でスペイン料理を夕飯にして1人で飲んでいるお父さんは単身赴任者だろうか。右側に座った女性は恋人と待ち合わせだろうか。
佐川さんが忙しくなってきたので我々はお開きにすることにした。
色んなショットバーがあるもんだ。
クロンダイク・ハイボール
東京都港区新橋3-16-22 池野6号ビル2F
03-3438-3825
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2007年04月07日
[MORI BAR]②
毎日通えば顔になる

「MORI BAR」は来るたびに新しい発見があって面白い。我がホームグラウンドである「風長閑」は別にして、ショットバーで複数の記事を書くのは初めてである。
超人気の店でも、店内がいつの間にか半分ぐらいになる瞬間がときどき訪れる。2杯目に何を飲むか迷っていると、目の前に毛利さんが立った。「ハバナクラブ15年を飲めるとは嬉しいですね」と声をかけると、楽しいやり取りがスタートした。日本で一番ハバナクラブを使うショットバーなので、特別に15年物が手に入るとのこと。すかさず7年物のハバナクラブにシェリー酒を数滴加えてラム・マティーニを作ってくれた。
ひとしきりキューバに行った話やハバナクラブの逸話を聞いたところで看板のドライ・マティーニの話。MORI BARで使うジンはブードルズだが、必ず味見をするそうだ。以前、1ダースを仕入れたらドライ・マティーニに使えるのは1本だけ、ちょっと我慢しても数本しかなかったとのこと。輸入スコッチでも同様な話があり、海を渡る時に劣化するのかもしれない。逆に日本のウイスキーの質が向上してスコッチに負けないと言う。
店名をラベルに書いたニッカのウイスキー

気に入って全量買ってしまったというシングルカスクを注ぐときの毛利さんは本当に嬉しそうだった。
翌日にまた行った。毛利さんに代わっていつもお相手をしてくれるのは時任さんだ。壁には彼が2006年総務大臣杯第3回全国泡盛カクテルコンテスト最優秀賞の賞状が飾ってあるが、これまで飲んだことがなかった。「夜の明けてティーダの上がるまで… A Song to the Sun “ティーダ”」という名のカクテル。ティーダは沖縄で太陽を意味する。泡盛にマンゴージュースなどを加えた美しいカクテルである。

時任さんは数々のカクテル大会で賞を得ており、たくさんのカクテルを考案している。今日はショットで飲むのは封印して、カクテルを色々作ってもらうことにした。ちょと甘めのカクテルは好きではないが、たまにはこんな遊びをしてみるのも悪くはない。

カクテルは名前の由来が面白い。カウンターに座ってバーテンダーに教わるのも楽しい。得た知識を女性を誘って披瀝したいと思うのだが、アルツハイマーが始まったような我が頭脳では恥をかく方が怖い。友人はアル中ハイマーと言っていたが…
MORI BAR
東京都中央区銀座6-5-12 アートマスターズ銀座ビル10F
03-3573-0610
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2007年03月17日
ロンリコ
二日酔いの思い出

毎日深酒をしているので毎日が二日酔いのようなものであるが、記憶にある限り酷い二日酔いが3回ある。豊橋の焼き鳥屋でおじさんと冷酒を飲んだとき、メルボルンで三和銀行(現三菱UFJ銀行)のシドニー店長とマティーニの飲み合戦をしたとき、そして大学時代の友人とロンリコを初体験したときだ。いずれも朝起きたとき立てないぐらいにこたえた。
冷酒とマティーニのときは完全に飲み比べにはまったものだ。たくさん飲めたって偉くも何ともないのだが、ついつい対抗してしまうのが間違いの元。ロンリコのときはアルコールの高さを見誤った。友達の行きつけのショットバーでのプレゼンテーションは衝撃的だった。ロンリコの液体をカウンターにスーッと流してマッチの火を近づけると、炎が一瞬立ち上がりすぐに消えた。

ロンリコはプエルトリコ産のホワイトラム。樽で熟成されて琥珀色になったダークラムと異なり、主にカクテルなどに使われる。アルコール度は75.5度。ウイスキーなどが40度前後のことを考えれば異常にアルコール度が高い。液体に火がつくはずである。
これを口に含むと焼けるような、痛いような強烈な刺激が襲ってきた。ところがすぐに慣れてしまうから酒飲みの順応性には驚かされる。これをガバガバ飲んでしまう怖いもの知らずが翌日の悲惨な二日酔いへと導いていった。
悲惨ではあるが、あまりに楽しい経験だったので後日ロンリコを置いている店を探し出し、お土産として赴任地の顧客に持って帰った。大金持ちだが家庭不和に悩んでいる孤独な医者で、銀髪は度々自宅に呼びつけられた。渋ると銀髪の会社の商品を買ってやるからと口説かれる。訪問したら商品の説明も聞かず酒盛りとなり、本人が眠くなるまで愚痴を聞かされたものだ。
アル中と言ってもおかしくないその顧客はロンリコを大いに気に入ってくれた。しばらくして、電話がかかってきた。ロンリコがなくなったので新しいものを買ってきて欲しいと言う。てっきりその客が飲んでしまったのかと思ったら、飲み干したのは客の老母。寝酒にもってこいとのことで、さすがにカエルの親もカエル。
原料のサトウキビの甘さが加わっているのか、アルコール度数が高いせいか、ロンリコは甘く芳しく感じてもらったのかもしれない。量を飲まなければ、寝酒にぴったりかもしれない。
早速新たに購入して贈った。お金持ちのお客様に我が社の商品をさらに買ってもらったことは言うまでもない。二日酔いで死ぬ思いをしても、銀髪はただでは転ばないのだ。
日本橋・風長閑で久しぶりにロンリコを飲んだ。毎日ストレートでウイスキー、ブランデー、スピリッツを飲んでいるせいか、記憶とはかなり違って飲みやすかった。それがいいことか、悪いことか良く分からないけれど…
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2007年03月10日
[元禄](京都)
80年以上続いている一見さんお断りのショットバー

京都の通人に伴われて京料理の「たんたか」を出て、ラウンジに向かった。高瀬川沿いの道を歩くと観光客が群がっている感じ。桜の咲く頃はさらに賑わうという。観光客向けの店が誘う華々しい灯りを横目に、格子窓の町家の目立たない灯りに浮かぶ扉を開ける。店の名は「佐藤」。
中に入ると外の古い京景色からは想像がつかないような今風のラウンジがあった。働いているのは京都の女性だけかと思ったら、他県出身のアルバイト嬢もいる。1時間半ほど飲んでお開きにした。今日はこのぐらいでホテルに帰ろうと思っていたが、通人はまだ満足していない。
次に向かった先はショットバーで、昔、時の大臣でも一見さんお断りの憂き目にあったという由緒正しきお店「元禄」である。通人がドアを開けると飛びっきりの笑顔が迎えてくれた。数十年前なら心が躍ったかもしれない笑顔の主と通人は丁々発止の掛け合いをする。
頼んだお酒は通人がいつもオーダーするロイヤル・ハウスホールド。銀髪は飲んだことがなかったが、生意気に部下が最上級の賛辞で再会を喜んでいる。それを見た通人が満足気に部下と何度も握手をした。

ロイヤルハウスホールドは英国王室向けに作られたスコッチウイスキーで、市販されているのは日本だけという高級ウイスキーである。
いつものようにコースターにメモしようとして思い止まった。古ぼけたコースターはどう見ても終戦直後から使っているもののようだ。壁に目を移すと年代物のお盆やポスターなどがかけられている。
カウンターの向こうの壁の上には、年代物の酒がサランラップに巻かれて飾られている。「ほとんどが私のおじいさんが集めたもの」と自慢するのは先ほどの笑顔のお婆さんだ。いや失礼。妙齢の女性だ。
戦後はGHQに取り上げられ、外人専用のバーとして京都の街に君臨したそうだ。2階はレストランだったらしいが、今は使われていない。
ロイヤルハウスホールドを一杯だけ飲んで席を立ったが、他の常連客と軽口を叩いているさすがの通人であった。
いい加減これでお開きだろうと思ったが、ほの暗い雰囲気のある京の街を抜けて、タクシー乗り場に着いても通人は歩を止めない。入ったのはお茶屋さんも兼ねた京特有のスナック「叶家」。
コニャックのストレートを飲みながらしばらく待つと、舞妓さんがわざわざ挨拶に来てくれた。完璧な夜の京都ツアーの締めくくりに、「参りました」と思わせてご満悦の通人だった。
ホテルに着いたときは、とっくに日が替わっていた。
元禄
京都府京都市祇園町北側242
075-561-2288
佐藤
京都府京都市東山区新橋通縄手東入元吉町49-2
075-531-0051
お茶屋 叶家
京都府京都市東山区祇園町北側東富永町
075-541-6565
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2007年02月25日
[カビネ](目黒)
都心以外にもいいショットバーはある。

部下に連れられて彼の自宅近くの行きつけの店に行った。Cabinetと書いてカビネと呼ばせる。カウンター内の壁をびっしりと埋め尽くす酒瓶は文字通りCabinet(キャビネット、飾り棚)のイメージにぴったりである。

カウンターに座ってまずビール。これまでしたたかに飲んでいるにもかかわらず、店を変えたらまずビールは日本人の典型である。
次に「お奨めの酒は何ですか?」と問うと、「全部です」と来た。「全部ということは何もないに等しい」と混ぜ返したがバーテンダー増田さんはまったく動じない。「お客様の好みを言っていただかないと、奨めようがない」と返された。もっともな意見だ。
「ローランドはあるかい?」「すっきりしたものと、濃い感じのものとどちらがよろしいですか?」「それではコクのあるものを頼む」と言ったところで問答は結着した。

スコッチ・ウイスキーの故郷スコットランド地方はハイランド、スペイサイド、アイラ、アイランド、ローランド、キャンベルタウンに分けられる。出てきた酒はローズバンクでローランドを代表する酒である。この店の酒の殆どはシングルカスク(単一の樽酒)なのでアルコール度は高い。「いいねー」の銀髪の一言にようやく増田さんは笑った。
部下はやっぱりアイラが飲みたいと言う。「軽めのものを」と増田さんに頼んだらブナハーブンが出てきた。アイラの中ではかなり飲みやすい酒だ。ブレンドウイスキーの代表格であるカティーサークの原酒としても有名だ。
「2杯目は爽やかな奴にしようか」との銀髪の要望で出てきたのがストラスアイラ。アイラ特有のヨード臭がないのに驚いたが、それもそのはずストラスアイラはスペイサイド地方のアイラ川流域の醸造所で造られた酒でアイラ島の酒ではない。アイラ島にはアードベッグ、カリラ、ブナハーブン、ブルイックラディ、ボウモア、ポートエレン、ラガブーリン、ラフロイグの8醸造所がある。
ストラスアイラはブレンドウイスキーの銘酒シーバスリーガルの主要な原酒として知られる。

日付はとっくに替わっている。飲んで飲まれて、飲まれて飲んで、せっかく仕入れた知識は翌朝には雲散霧消している。かくして、懲りずに「お奨めは?」と聞きそうで、ちょっと心配である。もっと心配なのは断片的な記憶を繋いで書いたこの記事の正確性。酔っ払いの戯言と許して欲しい。
カビネ
東京都目黒区東山3-12-4 ナカミ東山ビル1F
03-3716-5086
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2007年02月18日
MORI BAR
超有名な銀座のショットバー

名前は聞いたことがあったが、敷居が高そうで行ったことはなかった。お客様と食事をしているときに彼がショットバーの通であることが分かった。日本バーテンダー協会の元会長が親戚だと言う。それなら連れて行ってもらわなければならない。
銀座6丁目、数寄屋橋交差点から大通りを新橋方面に少し歩いたビルの10階にMORI BARはある。ビルの看板にMORI BARの文字はないため、偶然見つけて入る人はいない。初めて行くのに迷ったら並びにある花屋さんに聞けばいい。
MORI BARに行くなら目的は当然ドライ・マティーニ。

マティーニ好きは超ドライの競争をする。ジンを多く、ベルモットをいかに少なくするか争うわけだが、この争いは「チャーチルのマティーニ」でほぼ決定。しかしこれはちょっと反則気味。遊びの世界だ。MORI BARでは独自の製法でこの論争に決着をつける。
マティーニに限らずカクテルは氷を入れてシェイクかステアをして混ぜ、冷やす。ところがMORI BARではジンをマイナス20度まで冷やして、これを100回以上ステアして飲める温度まで高める。氷を使わないので薄まらない。逆転の発想だ。
マティーニは強すぎると思う人は希望のカクテルを造ってもらえばいい。それほど広くないスペースに何人ものバーテンダーを抱える。もちろん毛利隆雄氏も腕を振るってくれる。決して敷居は高くなく、スタッフの所作は高級クラブに匹敵する。
驚かされたのはカウンターで光り輝くハバナクラブ。キューバの至宝は、7年物までしか輸出されていないという。もちろん日本では買えないし、飲める店も皆無に等しい。
これが目の前にある。まさに垂涎である。

15年物と、それより高価なボトルを飲み比べした。15年物は銀髪が口開けという幸運に浴した。そのせいか香りは高く、深い。もう1本は軽い味わいで品がよく、ラムと感じさせない。今度兄貴を連れてきてやろう。
勘定を払って店を出ると、スタッフがエレベーターのところでお見送り。
気取らず、偉ぶらず、一流の飲み物とサービス。何とも気分が良くなる店だった。また行こう!
MORI BAR
東京都中央区銀座6-5-12 アートマスターズ銀座ビル10F
03-3573-0610
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2007年02月14日
ペニーレインでバーボンを
ハードボイルドにチョコレートは似合わない

昨年、吉田拓郎がかぐや姫と共に嬬恋で31年ぶりのコンサートを開き話題になった。決して歌がうまいわけでも、声がいいわけでもないのに、拓郎の旋律は覚えやすく、歌詞は胸を突く。銀髪よりちょっと上の世代なので、歌詞の内容に多少の憧れを感じながら聞いていたものだ。
♪ペニーレインでバーボンを♪ と歌われた原宿の飲み屋を訪れる機会はなかったが、大人になってすかさずバーボンに飛びついた。ペニーレインがビートルズの曲名で、その名をつけた店がビートルズの曲を流す店だということはその頃になって知った。
毎日スコッチやコニャックを飲んでいると、たまには粗野な酒を飲みたくなる。そんなときもやっぱり日本橋・風長閑に行く。写真を撮るためにお店にあるバーボンを並べてもらった。我侭を聞いてくれるのが嬉しい。

今では千円台で買えるジャック・ダニエルが昔は1万円前後したのだから酷い時代だった。学生の頃、酒場でキープできるのはハーパーやアーリータイムズまでだった。
バーボンはケンタッキー州バーボン郡が発祥の地とされるため、テネシー州で造られ、製法も若干異なるジャック・ダニエルは厳密にはバーボンではなくテネシー・ウイスキーだという。しかし原料の半分以上がとうもろこしだから、申し訳ないがバーボンの思い出に参加してもらおう。
ジャック・ダニエルの圧倒的地位を打ち砕いたのがワイルド・ターキーだった。北方謙三のハードボイルド小説で度々登場したせいだろうか、バーボン好き以外の男たちもこれに飛びついた。
ワイルド・ターキーを飲み、フランス煙草ゴロワーズにロンソンのオイルライターで火をつける連中が居たに違いない。煙草を吸わないと決めていた銀髪も心が揺らいだ。
ところが、どんなに格好をつけても飲み方が水割りでは様にならない。西部劇のカウンターでバーボンを煽る男たちを、米国人でさえ憧れを持って見るだろう。昔、男はあくまでも男らしく、女は愛しく守ってあげる対象だった。女性の地位が上がるにつれて、弱い男は女を殴りだした。
風長閑には慣れ親しんだバーボンを従えて、あまり見かけない長期間熟成のものも輝いている。たまにはバーボンもいいもんだ。ちょっと男らしくなったような気がする。
原宿「ペ二ーレイン」は、今はもうない。吉田拓郎のメロディーを頭の中で繰り返しながら、今宵は日本橋「風長閑」でバーボンを。
♪今夜も飲んだくれてる♪ のは変わらない。好きだと言えなかった意気地なしを責めながら…
風長閑
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2007年01月28日
和食の店の選び方
うまい和食は日本酒で楽しみたいものだが…
食べ物屋だから味にこだわるのは仕方がない。もっとうるさい人は素材に注目する。国産か輸入物か、天然物か養殖か、無農薬か、などなどきりがない。
清潔感や雰囲気なども重要な要素だろう。接客・サービスについてはこれまで何度も書いてきた。
最近になって気がついたのは日本酒での判断である。日本酒は等級制度が廃止されて純米酒や吟醸酒が出回るようになって格段に品質が良くなった。日本酒の見分け方は以前に書いた記事を参考にしてもらいたい(→「日本酒」 )
次兄がくれた大吟醸酒

品質が良くなった分、店にとっては厄介なものになったようだ。日本酒はワインのように防腐剤が入っているわけではないので、一部の特殊な酒以外は保存が効かない。フレッシュなうちに飲まなければ品質が落ちるので、売れ残りは厳禁である。もちろん保管場所は冷蔵庫でなければならない。
日本酒の取り扱いが煩わしいと思う店にとって強い味方となっているのが焼酎ブームだ。本来なら日本酒同様の気遣いが必要なのかもしれないが、日本酒ほど味の劣化が目立つことはない。水割りやお湯割りにして、梅干やレモンまで入れるのだから、酒を味わうレベルを逸脱している。健康ブームに便乗している気がしないでもない。
以前、焼酎の品揃えに感心していた自分が情けない。今では数十種類の焼酎を揃えている店はごまんとある。しかし、純米吟醸以上の日本酒を10種以上揃えている店は稀である。1升瓶の入る大型冷蔵庫で保管し、栓を開けたらできるだけ早く客に消費してもらう以外に品質保持は出来ないからだ。
ワイン、日本酒、紹興酒など食事に合う酒は15度前後の醸造酒であるのは間違いない。こだわりの店主であれば、自分が作った料理をいい酒とともに味わってもらいたいはずだ。
今、思い出すと10種以上のいい酒を専用冷蔵庫に保管している店はすべて料理も美味かった。
もちろん酒の品揃えが悪いからといって、料理も不味いということにはならない。それでも、酒のメニューが充実していて、店内に日本酒専用の冷蔵庫を見つけたら、ちょっとうれしくなる銀髪である。
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2007年01月21日
酒のアルコール度数
アルコールの度数は味と関係があるのだろうか
「14度以下がいいワイン」とある人に言われた。アルコール度数とワインの品質・価格との相関関係についての記述は殆ど見たことがないので京橋にある明治屋に行った。
中央通りから店に入ると左手に安いワインが並んでいる。そこのボトルを数本ひっくり返した後で、さらに奥に進んでワインセラーに入った。そこには数万円のワインが金網の中で眠っている。手に取ることは出来ないので、指を突っ込んでラベル面をこちらに向けた。
なるほど14度以上のワインを探すのは殆ど不可能だ。ところが、14度でワインの品質を線引き出来ないこともまた明白だった。1,000円前後のワインでも殆どが14度以下だった。
14度を超えるワインはオーストラリア産や南アフリカ産で見られた。糖度が高いほどアルコールは高くなる。糖度の高い葡萄は気候が温暖な地域に育つので、ドイツなど寒い地域のワインのアルコール度数は必然的に低くなる。
14度以下のワインが圧倒的に多いのは品質ではなく酒税のせいだと思われる。アメリカでは14度、イギリス、ドイツでは15度を境に税金が加算される。大消費地アメリカで売りたければ14度以下にしなければ価格競争に負けてしまうのだ。水などで薄めないでアルコール度を制限以内に抑えるのは大変な技術がいるようだ。
昨年5月に日本の酒税法が大幅に改正されたのを覚えているだろうか。改正前はワインは12度、清酒は15度、ビールは5度以上から税金が加算された。改正後は加算税が撤廃されたが、ワインは大幅に税率が上がった。ワイン業界にとっては改正ではなく改悪である。
アルコール46度の酒を飲ませてもらった。改正前なら高額の酒税がかけられたに違いない。

銀髪の勘違いかもしれないが最近発売されたビールは以前よりアルコール度が高くなった気がする。殆どが5%以上で、中には6%を超えるものもある。アルコール分が高いとコクが増すように感じるので、酒税法の改正で加算税がないのは追い風になったに違いない。
因みに焼酎とウイスキーには加算税のルールが温存され、焼酎は25度から20度、ウイスキーは40度から37度に基準アルコール度数が引き下げられた。度数が高いほど納税額が増えるという仕組みで、味との相関関係より違いは顕著である。
オーストラリアではビールの税金は極端に安かった。フランスなどワイン生産量の多い国ではワインの税金は安い。ビールは労働者の酒である。ワインは庶民にとって食事の必需品だ。決して金持ちだけの嗜好品ではない。
酒税のことを考えることはこのへんでやめにしよう。今宵の酒が不味くなる。
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2007年01月07日
へネシー
ブランデーの代表

昨年末、連れて行かれた店で飲み放題の酒として出てきたのがヘネシーだった。初めて見るラベルだったので店員に尋ねたら新製品の壜と言われた。ヘネシーを飲み放題にするなんて随分太っ腹だと感心したが、ラベル上部にある文字を見て納得した。新製品であるわけがない。
大学時代、銀髪のアパートには色んな酒が置いてあった。ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー、ウォッカ、ジンなどにブランデーも混じっていた。発泡酒などない時代だったのでまともなのはビールだけ。日本酒は2級、焼酎は薩摩白波、ウイスキーはサントリーホワイト、そしてブランデーはサントリーのVOだった。
サントリーではVOを最下層にしてVSO、VSOP、XOと上がっていく。目の前のラベル上部にあるVSの文字は、大学時代の安アパートを思い出させてくれた。

ヘネシーのホームページを開くとVSがないので、偽物かもしれないと疑った。ところが英語版を見るとちゃんとある。日本語と英語のページで内容が違うのはいかがなものでしょうかヘネシーさん。
ヘネシーやカミュをブランデーではなく、コニャックと言うのを初めて知ったのは国際線の機内サービスのときだった。外国人の乗務員にブランデーとオーダーしたら、コニャックのことかと聞き返された。ブランデーは蒸留した果実酒の総称である。因みに本家のウイスキーはスコッチと呼ぶ。
ところがコニャックとスコッチでは品質判断の基準が異なるのでややこしい。スコッチは以前にも書いたが非常に分かりやすい。(→「モルトウイスキー」)
ブレンドウイスキーの30年物とは、30年以上の原酒をブレンドしたものである。コニャックはどのようにして等級を決めているのだろうか。
値段が高いものほど熟成年数の長いものが入っているのは当然だが、スコッチほど厳格ではないようだ。ヘネシーのホームページを見ても、熟成年数の長いものを多く入れるために上になればなるほどたくさんの原酒を使っている、ということが分かっただけだった。
使う原酒はVSが40種以上、VSOPが60種以上、XOが100種以上である。最高級品は熟成年数200年以上のものも入っているそうだ。
スコッチに比べると曖昧な決め方と言えなくもない。それが英仏国民性の違いなのかもしれない。
日本は? 几帳面で馬鹿正直とも言われる日本人だが、酒に関しては不明瞭なところが多い。熟成酒が一般的でないからかもしれない。本当にそれだけならいいのだけれど‥
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2007年01月03日
バレンタイン30年
正月に飲む酒も変わった。今年は最高級スコッチウイスキーだった。

正月の酒は日本酒が定番だったが、兄弟が集まって飲む酒が日本酒とは限らなくなってきた。酒をもらうことが多い次兄が一昨年は越の寒梅を、昨年は森伊蔵を持ってきた。今年は銀髪がバレンタイン30年ものを持ち込んだ。
もちろん貰い物だ。バレンタイン30年は酒飲み垂涎のスコッチウイスキーである。送り主は香港の免税店にて3万円台で買ってきたそうだ。ところが帰国して酒類ディスカウントショップに行ったら、20,800円で売られていて彼は驚いた。憤ってチェックするとパッケージ(箱)が違うことに気がついた。彼が香港で買ったものと同じバレンタインは同店で6万円台で売られていたので溜飲が下がったという。
左が香港で買った品、右が並行輸入品

貰った日、ショットバーに持ち込んで店のバレンタインと比較させてもらった。
送り主が言ったとおり、ボトルは少なくとも2種類あることが分かった。ラベル下にバレンタインのサインがあるのが正規品で、もう一方が並行輸入品であるとのこと。日本で代理店になっているサントリーのホームページを見ると、30年物の定価は77,000円と高額である。
左が持ち込んだ品、右がショットバーのもの

因みに我々でも手が届く17年物はサントリー定価が11,800円、ディスカウントショップでは正規品が7,380円、並行輸入品が4,980円になっていた。ネット上の写真では双方に同様のサインが印字してある。箱やラベルの違いは瓶詰めした年月日の違いに過ぎないようだ。高額のため売れ残っている30年ものは古い箱やラベルのものが並行輸入品として出回っていると思われる。
送り主はさらに、並行輸入品をディスカウントショップで買って味比べをしたという。もちろん彼の答えは正規輸入品の方が遥かに美味いというもの。
バレンタイン社のホームページによると、現在バレンタインの味はブレンダーのロバート・ヒックス氏ただ1人が決めているとのこと。そうであれば味が違うはずがない。
それでも並行輸入品が転々流通し、味が劣化した可能性はある。
バレンタインに限らずブランド品の小売値は輸出先の経済事情により異なる。安価に販売されている地域から仕入れると利益率が高くなるため、並行輸入を規制することは難しい。並行輸入品も本物だが、問題は中に偽物が混じる惧れがあることである。
味を見分ける自信のある人は並行輸入品を買ってもいいだろうが、そうでない人は正規品を買う方が安心だろう。もっとも30年物の味比べを出来る人は余程の金持ちかつ酒飲みでなければならない。ちょっと口に含んで真贋を当てるのは有能なバーテンダーには可能かもしれないが、銀髪には無理だ。
値段の違いは正規品と並行輸入品の違いだと教えてくれたショットバーのバーテンダーさん、この店のバレンタイン30年はどちらなのでしょう?
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2006年12月16日
ワインの見分け方
分かったらつまらないかもしれないけれど
先日、クラブで友人が馴染みの女性にせがまれてワインを頼んだ。クラブでワインを頼む馬鹿はいないと常々言っていた友人だが、断りきれないこともある。小さなそのクラブにはワインの買い置きがないらしく、店の人が酒屋に走った。このクラブにはワインを扱い慣れた人がいなかったので、栓を抜く役目が銀髪に回ってきた。
一本目を開けたときの感触は良かった。同じワイナリーの物だが種類の違うもう一本を開けようとしたらコルクがきしんで、引き抜いたら割れ目が出来た。保存状態が悪かったのか、コルク自体が粗悪なのか分からないが、味は一本目の方が明らかに上だった。
状態の良いコルク(左)、悪いコルク(中)、圧縮コルク

味と比例するわけではないが、栓とワインの価格はほぼ比例する。栓には天然コルク、くずコルクを固め合わせた圧縮コルク、プラスチック素材の代用コルク、金属栓の4種類がある。プラスチックの代用コルクはワインよりもスパークリングワインで多く使われる。
何かのパーティーで粗品代わりでもらったワインを開けてみたら圧縮コルクが使われていた。もちろん、ありがたく、感謝しながら美味しくいただいた。
天然コルクを使っていても、値段はピンキリで素人には容易に判別できない。ところが、意地悪なのか親切なのか分からないが、値段に合わせてワイングラスを変えてくれる店がある。ワインリストを独占していかにも高いワインを頼んだように見せても、出されたグラスを他のテーブルと比較してみると、いくらぐらいのワインを頼んだのか一目瞭然である。
紅花にて

「ゴールデン・ドロップ」で書いたように、半額セールのはずが大きな丸みがあるワイングラスのものは安くしてはくれなかった。
紅花別館でワインを2本頼んだが、グラスは露骨に差をつけられた。別のテーブルでも赤ワインが飲まれていたが、写真右のグラスと同じものだった。もちろん左のワインの方が遥かに高い。
値段が安くたって美味いワインはたくさんある。高くたって口に合わないワインもあるので気にする必要はない。高いのじゃなければ嫌だと言う相手はふってしまえばいい。
イヤイヤ、ふる前にふられるかな?
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2006年11月14日
[ゴールデン・ドロップ](神田)
男二人でワインを飲みに行くなんてことがあっていいのかな?
どっか安い店に行こう。今日は絶対安い店に行くぞ。何故なら相手はもっとも気の置けない奴だ。居酒屋に行くつもりで誘ったら何とほんの数日前が誕生日だったと言うではないか。天は我を見放した。
「があどした」では可哀想なので、ネットでワイン好きの彼が喜ぶような安い店を探した。そこで見つけたのがゴールデン・ドロップだった。グラスワインが月曜日半額というのが気に入った。誕生日直後に誘ったのを悔やんだのも束の間、いい日に誘ったとほくそえんだ。馬鹿な銀髪だ。
店は思ったよりうんと洒落ていた。明らかにカップルで来るべき店に思えたが、中年男4人組が奥のテーブルを占拠していた。我々はカウンターに座ると、目の前の冷蔵庫の中にあるワインボトルや、吊るされているたくさんのワイングラスを眺めた。
まずビール。そしてワインに移った。料理のメニューを見たがそれほど興味をそそられるものはない。通常レストランに行けば主役は料理、ワインがその料理の引き立て役になる。この店では主客が逆転する。料理もワインに合いそうなものを頼むのが常道だ。
パルマ産プロシュートと秋ナスのコンポート添え、セミドライトマトとフレッシュチーズ

田舎風のパテ、地鶏の薄切り スパイシーな胡椒の香りを頼んだ。

ドライトマトや田舎風のパテはなかなか良かったが、料理を目当てに来る店でないとの思いは変わらない。とにかくワインの店である。イタリアンフェアをやっていたので銀髪はイタリアワインを2種類飲んだ。本日の主役の彼はフランスワインにこだわる。
半額のワインを飲んで安く済ませるつもりが、彼は段々いいワインに移っていく。金を払う自分だっていいワインを飲みたい。ワインメニューは産地でなく葡萄の品種で分けられているので選びやすい。最初は粗品でもらうような背が低く厚いワイングラスで飲んでいたのが、大きく薄いワイングラスに注がれる。
重い赤ワインにはチーズの盛り合わせが一番だが、これが一番高い料理だった。半額ならいいワインを飲もうという魂胆だったのだが敵もさるもの、高いワインは半額セールの対象外だったのに気付いたのは勘定書きを見てから。グラスが替わったところで気付くべきだった。
ワインを5杯ずつ飲んで、当初予算の倍以上の料金を払った。思惑に反して痩せてしまった財布を寂しげに眺めていると、今日の主役がにこやかに声をかけてきた。「銀髪さん、もう一軒行きましょう」
「一杯だけだぞ!」と言ったものの、決して一杯では終わらない次の店を目指して、ヨタヨタとゴールデン・ドロップを後にした。
ゴールデン・ドロップ
東京都中央区日本橋本石町4-5-5 蔵ビル1F
03-3231-1036
http://www.g-drop.com
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2006年11月08日
[があどした](神田)
ワインは気取って飲むものとは限らない
「銀髪さんはお酒は何が好きですか?」と質問されると困ってしまう。酒なら何でもいいと言うのが本音だが、それではただのアル中に思われる。
日本ではアル中のイメージは一升瓶を抱えたオヤジの姿だろう。アメリカならウイスキーの瓶になる。日本酒とウイスキーではアルコール度数が随分違うので、外国人アル中の内臓たるや只者ではないと思ってしまう。
フランスのアル中はワインの瓶を抱えているのだろうか。どうもワインではアル中のイメージが湧かない。ワインがなんだか気取った飲み物に思えるのもアル中のイメージに合わない一因だろ。
食事に合う三大酒はワイン、日本酒、紹興酒だと思うが、どれも醸造酒でアルコール度数が15度前後と似通っている。ところがワインだけがきらめくワイングラスで飲むなど洒落ている。これじゃあ中年オヤジがワインに近寄りがたいイメージを抱くのは仕方がない。
そんなワインのイメージを覆してくれる飲み屋がある。神田のガード下に店を構える「があどした」だ。オーナーの石井寛一氏の名刺には自らを「おやじ」と記してある。店名同様洒落っ気があるが、お