2010年02月20日

[めんちゃんラーメン](福岡)

〆は博多ラーメンで


游心を出てめんちゃんラーメンに向った。「初めて食べた時、感激しました」と部下が絶賛するラーメン屋は、開店時間の7時を回ったばかりでは客の姿はない。奥のテーブルで店員が黙々と餃子を包んでいる。「おい!餃子を食べるか?」と部下に聞くと「もーお腹一杯で食べられませんよ」と言うので、意地でも頼む気になった。

お腹一杯と言いながら部下は銀髪より高いネギたっぷりのラーメンを頼んだ。ところが半分ほど食べたところでギブアップするのだからお坊ちゃまは困る。自分で頼んだものは残さず食べなさいとママに教わらなかったのだろうか。

銀髪はシンプルなラーメン。以前は必ず入れていた紅しょうがだが、最近はラーメン本来の味を楽しむことにしている。もっとも、紅しょうがの隣にあった真っ赤なものには惹かれた。「何ですか?」と聞いたら辛子高菜だと言う。食べてみると昆布のようだ。高菜ラーメンに使う高菜の切れ端で作ったそうだ。めんちゃんラーメンの名物に認定!

餃子は博多餃子らしく一口サイズ。部下を困らせるつもりで頼んだものの、ラーメンもギブアップしている奴に無理強いできない優しい銀髪である。餃子にはもちろんビールがつきものなのでお腹がパンパンになった。キッチリと躾けられた銀髪は、頼んだものを残すようなことはしない。

銀髪は一人空港へのタクシーに乗り込んだ。部下はやっと解放されて喜んでいるに違いない。空港のラウンジでいつものようには生ビールを飲む気にはならなかった。しかし、思わずウイスキーに手が伸びてしまった。母はこんな意地汚い男になるように育てなかったと嘆くに違いない。

機内では水をもらった。落語を聞くつもりだったが、何の話だったかまったく覚えていない。下から突き上げるような衝撃で目が覚めた。無事に着陸したようだ。
家に着いて風呂に入り、ビールを飲んだ。夜中にお腹が反乱をおこした。ちょっと反省した。

めんちゃんラーメン
福岡県福岡市博多区上川端町3-1
092-281-4018

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2010年02月19日

[住吉 游心](福岡)

楽しい游心


福岡発羽田行きのJAL最終便がいつの間にか早くなってしまった。まして部下と二人の夕食ならば立派な店でゆっくり食べる必要もあるまい。「餃子でも食べるか!」と聞いてがっかりするかと思いきや、「行きたいところがあるんですよ」と言うから頼もしい。

道に迷った。部下はちっとも頼もしくない。携帯電話が頼もしい。再び部下が先導して、最後の角をどちらに曲がるかは銀髪の鼻が役に立った。食べ物の匂いの向こうに店員が待っていてくれた。「寒いのにありがとう!」声をかけて彼の後に続いた。店内も寒々としていた。

5時過ぎ、開店したばかりで客は我々のみ。カウンターに座ると3人の若者が前に立った。一番の目的である餃子を2人前。焼きあがる前に佐賀県川島屋のざる豆腐を食べることにした。「イケ面ばかりだから、女性客が多いでしょう?」3人の店員を引きつけるにはこの台詞が一番効くはずだ。

「結婚はしても後悔、しなくても後悔」「タイガーも酒と女は2合(号)までって知っていたら良かったのに」などなど、店員を観客にして独演会となった。笑ってくれるので銀髪は調子に乗った。店員が一人増えてさらに盛り上がる。横を見ると部下が一人白けていた。

アンチョビドレッシングが面白い游心サラダ、焼豚が入った特製ポテトサラダ、餃子だけでなくユニークな肴も豊富だ。食べ終わる頃「オイ、そろそろラーメン屋に行くか?」と部下に聞くと、「まだ開いてませんよ」と言う。餃子を1人前追加した。ついでに「ホルモンでも焼いてもらうか」と聞くと、「そんなに食べれませんよ」と文句を言う。

メニューの一番上は餃子。二番目のホルモンを食べないと申し訳ない。「味噌がお奨め」と言った店員は、彼の意に反して塩味のホルモン焼きを作ることになった。銀髪を始め、他の店員たちも塩がベターと主張したためだ。「役者の卵ですと言ったら女の子の客にもてるよ」と慰めたら、再びみんなに否定されていた。愛すべき男だ。

和気あいあいの楽しい居酒屋だった。「イヤー、楽しませてもらったよ」と言ったものの、楽しませてあげたのは銀髪の方だ。まあ、年寄りの話を上手に聞いてあげることも、立派な接客である。

住吉 游心
福岡県福岡市博多区住吉2-7-7 ラ・コンチェルト1F
092-282-3553
http://www.yuu-shin.jp/

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2010年02月08日

[博多 ふじ本](福岡)

卓袱料理もある割烹


部下がタクシーの運転手さんに道順を教えている。地図を手に一生懸命説明したのに店名を言ったら「ああ、ふじ本ね」と素っ気無い。ベテランの運転手にとって老舗の名店は名前を告げるだけで充分だった。

一番乗りでまだ店内は寒かった。それでも日本人ならまずビール。喉を潤した後は、熱燗にした。お通しの大根が温かくて美味しい。すじで煮込んで味もよく染みている。続いて赤なまこ。「オレ、胡麻さば」地元のAさんに銀髪と部下は追従した。醤油と合わせていないのがふじ本流だ。

「藤本さん?」と聞くとカウンターの料理人と店の女性が同時に「ハイ!」と言う。店の人たちを交えて冗談合戦していて、目の前の藤本さんが「大将が…」と言うのが気になった。壁に掛けられた感謝状を見て「庄之助さんのこと?」と聞くと頷く。「まだ健在なの?」と続けるまでもなく、奥の調理場から大将が出て来た。さらに背筋がピッとしている女将さんが登場。店には初代夫婦、2代目夫婦の4人の藤本さんがいた。

「タイラギのひもはある?」Aさんが聞くと、「ありますよ!」と喜ばせる。有明海の代表的な海の幸だったタイラギとは平貝のこと。普通は貝柱のみを使うが、福岡ではひもが好まれるそうだ。銀髪がパクパク食べるとAさんが嬉しそうにする。部下も「美味しいですね」と言うので「もっと食べるか?」と聞くと慌てて首を振った。まったく正直な奴だ。

「えびハトシって何ですか?」銀髪が席につくなり聞いた質問を部下が今頃になって繰り返す。まったく他人の話を聞いていないマイペースの男だ。2代目が再度説明してくれた。長崎で修行した店で覚えた卓袱料理の代表的なものらしい。中国語で蝦吐司、蝦和麺包などと書く。ハは海老のこと、トシはトーストから来ているそうだ。なかなか美味しく、妙に懐かしい味だった。

Aさんがしきりに大女将の着物を褒めるので「顔を褒めなきゃダメじゃないですか」と茶化した。実際、頬紅を塗ったように血色が良く、つやつやしている。80を超えても大将、大女将が元気な店は不況知らずに見える。中州ふじ本は弟がやっているそうだ。

2軒目で「博多雑煮は食べましたか?」と聞かれた。「特大の太刀魚や鰯に惹かれて食べ損なった」と言うと憐れむような顔をする。ふじ本の名物を食べ損なったことが悔やまれた。

博多 ふじ本
福岡県福岡市博多区下川端町10-11
092-271-1968

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2010年02月07日

[柳橋食堂](福岡)

昼食は市場で


11時を少し回ったばかり。多くの店はまだ開いていない。「天神か中洲まで歩こう」ということになった。部下に連れられて歩いていると、見覚えのある建物が目に入った。渡辺通りのホテルニューオータニ、銀髪が泊まったホテルだ。突然、行き先の変更を告げた。部下はちょっと不満そうだ。

ニューオータニから歩いて数分のところに柳橋商店街がある。魚市場には食堂があるはずだと思った。商店街入り口の地図を見ると食堂は2軒ある。もつ屋は夜だけの営業。開いていたもう1軒は魚屋兼惣菜屋の2階にあった。何を食べるか迷っていると、ウニやイクラが乗った豪華版ではなく650円の海鮮丼を奨めてくれた。ついでにふぐの唐揚げを頼んだ。

2階に上がり、テーブルを指定されると、そこには既に料理が3皿並んでいた。そのテーブルの客がトイレにでも行っているのかと思ったら、これはサービスだと言うので驚いた。海鮮丼がやってくるまでビールの肴にした。ふぐの唐揚げは頼む必要がなかったかもしれない。

650円の海鮮丼は思った以上に立派だ。さすが市場の食堂である。色んな魚の切れ端が盛られている感じだが、なかなか美味い。12時前にもかかわらず客がたくさんいるのも頷ける。市場を見学して、昼飯を食べて帰る旅行者も多そうだ。営業時間は11時から4時まで。夜にやっていないのが残念だ。

腹一杯になって、市場を見て回った。お腹が空いていたら揚げ立てのさつま揚げを買ってしまったことだろう。博多に住んでいたならば鯨の尾の身に財布が開いたに違いない。何よりも異彩を放っていたのがふぐ。3kg以上の大物が何匹も寝そべっていた。並べられた白子も巨大だ。誘惑に抗するのが大変だった。

料理をしない部下はつまらなそうにしていたけれど、柳橋商店街は思いのほか楽しかった。


柳橋食堂
福岡県福岡市中央区春吉1-10
092-761-1811

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2010年01月29日

[よしおか](福岡)

随一のあら料理


扉を開け、店に入った瞬間に感じるなんとも言えない空気。どこにでもある割烹料理屋の造りだが、いい店だと確信した。常連さんと座った席はカウンターのど真ん中。目の前のネタケースに20kgを超えると思われるあらがオーラを発していた。

「剥製じゃないですよね」銀髪の冗談に主人は素直に反応してくれた。創業してから26年、季節によって大きさは異なるが年中あらを出しているそうだ。「仕入れが出来ないこともあるでしょう?」と聞くと「あらがなければ休みます」と胸を張る。

お通し、ふぐ刺し

「歯応えがあるように厚く切りました」と出て来たてっさ。確かに話しながら食べることは不可能。喉を通り過ぎるまで会話は止まる。

お造り、塩焼き

あら、さば、大トロのお造りは軽く炙ってある。「少し火を通した方が美味しいんですよね」と話しかけると主人も満足気だ。「あらは塩焼きが一番美味しいんですよ」と常連さんに講釈をたれているところに、塩焼きがやってきた。銀髪の話を予想していたかのようだ。

ふぐの唐揚げ、野菜

料理はお任せで、少しずつ出してくれる。ガラスケース越しに主人が度々我々の皿を見る。次の料理を出すタイミングをはかっているのだ。男っぽい顔つきの主人だが、気配りは行き届いている。店に入った瞬間に感じた空気はこんなところから発せられていたに違いない。

あら汁

「唇は食べられるんですか?」あらの大きな顔を指さした。「もちろんです」と作ってくれたのがあら汁。「食べたいところを言ってもらった方がいいんですよ」と優しい。プルンとしたコラーゲンを食べると、男だって肌がツルツルになりそうだ。

天豆、漬物、おにぎり

常連さんが女将さんに囁くので何が出て来るのかと思ったら、おにぎりだった。具がたっぷりのおにぎりがとても美味しかった。さすが常連さん、よくご存知だ。

あらの奥深さをもっともっと教えてもらうために、もう一度行きたいよしおかであった。

板前割烹よしおか
福岡県福岡市博多区中洲2-7-29
092-291-5246

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2010年01月25日

[けんぞう](熊本)

やっぱり馬刺し


「水前寺というお寺はないんですか?」これまでの運転手さんと同じように「ありません!」と断言するが「どうして寺がついているんですか?」と聞くと絶句するのも同じ。「熊本県人なのに答えられないのは恥ずかしい」と苦悩する運転手さんに料金を払いタクシーを降りた。

店はアーケードからすぐのところにあるので雨も気にならない。カウンターの正面に座る。冷蔵ケースに魚が並び寿司屋のようだ。「馬刺しだけじゃ商売にならないですから」と主人の賢三さんの答えを聞いて「むつ五郎」を思い出した。旅行者だけでなく地元の人にも愛されている店のようだ。

1人前2,310円の馬刺しは高いと思ったが、目の前に出されて納得した。これを各人に頼んだのは失敗だった。もっとも部下はペロリと食べてしまった。彼は酒を飲まないので銀髪の先へ先へと走っていく。

タン、心根(大動脈)、心臓、レバー、コーネ(たてがみ)の5点盛り、中でもレバーが秀逸だった。コリコリと歯応えがあるレバーにはなかなかお目にかかれない。レバー刺しが苦手と言う部下も「これは美味しいですね」と感激していた。
賢三さんの緊張が融けた頃を見計らって「ところで水前寺という寺はあるんですか」と質問した。タクシーの運転手さんと同じ道筋を辿る。賢三さんは料理する手を止めて難しい顔をしている。あー、愉快。

生肉を食べ尽くしたのでホルモン焼き、串焼き、一口カツと進む。ヒレ肉の一口カツが思ったよりも美味だった。最後は馬汁を飲んでお開きにした。6時半過ぎ、店は少しずつ混み始めてきた。

空港へと告げ、「いい客つかまえたね」とタクシーの運転手さんに言うと、偶然ではないと答える。人気の店は県外からも客が来ることを調査済みなのだ。賢三さんとも顔見知りらしく、彼がむつ五郎出身だということを教えてくれた。なかなか饒舌な運転手さんだ。

なおも話を続けようとするのを制して質問した。「ところで、水前寺というお寺はあるの?」形勢は逆転した。なんとか熊本県人のプライドを保とうとするが、水前寺公園や水前寺清子の名前を出してはしどろもどろになっている。パソコンを開き調べてあげると、「ヘー、インターネットって凄いですね」と感心する。

けんぞうもインターネットで知った店だ。けんぞうだけでなく、そこで客待ちをする運転手さんもインターネットの恩恵を受けていることには気付いていないようだった。


けんぞう
熊本県熊本市下通り1-8-24 七光ビルBF
356-8775

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2010年01月24日

[にぼらや](熊本)

熊本で煮干ラーメン


熊本での昼食は熊本ラーメンを食べることになっている。黒亭、こむらさき、味千、桂花などの老舗有名店はあらかた食べた。もっとも、市内で食べ損なったら空港で食べても良しとしているのだから、ラーメンを語る資格はない。まあ、熱くてそこそこ食べられれば文句を言わない。

今回も口コミサイトでラーメン屋を検索したのだが、意外なことに上位に煮干ラーメンが入っている。不思議に思ったものの、考えてみると東京でも「東京ラーメン」なるものは少数派である。熊本だってとんこつラーメン以外のものがあってもおかしくない。

「熊本の水と北海道羅臼昆布、土佐の鰹などで作り上げた和風だし」「無農薬の餌で育てられた放し飼いの地鶏の卵」「化学調味料は一切使わない」などなどこだわりのラーメン屋さんとのこと。二日酔い気味の胃にはとんこつスープより優しいのは間違いないようだ。

煮干しラーメンが目の前にやってきた。「かつお節をかけますか?」と言うので少しかけてもらった。余計なことだが、みんなは海苔をどのようにして食べているのだろうといつも気になっている。伊丹十三の名作「たんぽぽ」では海苔の食べ方の解説はなかった気がする。初めての試みとして手で切り裂いて2回に分けて食べた。溶かして食べた方が良かっただろうか。

写真では油が浮いているのが見えるが、食べているときは気付かなかった。あっさりとして美味しいラーメンだった。隣を見ると既に部下は食べ終わっている、と思ったら再びレンゲでスープをすくう。これで終りかな、と思ったらまたレンゲを持つ。銀髪の視線に気がついて「あとをひきますね」と言った。

「とんこつラーメンでなくて悪かったな」と言うと、「本当は今日のようなラーメンの方が好きなんです」と言うから正直だ。熊本出身なので郷土のラーメンを愛していると信じていた。「それじゃー、これまで嫌々銀髪に従ってラーメンを食べていたのか?」といじめようかと思ったが止めておいた。部下といえども、満足そうな顔をわざわざ歪めさせることはない。

にぼらや 酒場通り店
熊本県熊本市下通り1-5-17
096-356-3060
http://www.niboraya.com/

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2009年11月09日

[い津み]②(福岡)

芸者さんと一緒


「奴姉さんを偲ぶ会を開かなきゃいけないんだけど…」博多の粋人の呟きを聞き逃さなかった。「その時は必ず呼んでください」とお願いしたのが現実となった。場所は以前にも行ったことがあるふぐの名店「い津み」である。

奴姉さんとは芸歴68年、82歳で約半年前に亡くなった邑田美恵子さんのこと。偲ぶ会には芸妓さんが2人、三味線と唱の女性が2人、総勢4人が来てくれた。踊りの前に先ずは腹ごしらえである。

にこごりに続いてふぐ刺し。い津みの刺身は2枚引きなので食べ応えがある。皿の縁の方から食べ始めると芸妓さんから疑問の声が上がった。刺身は縁から並べられて、最後は中心に盛りつけ牡丹の花に見せる。彼女の言うとおり真ん中から取った方が食べやすい。しかし、お客さんが端から食べ始めたら中心に箸をつけるのは勇気がいる。

唐揚げ、鍋と料理が出てきたところで再び芸妓さんから疑問の声。「あら、身酒にする刺身が残っていないわね」と言われて気がついた。芸者遊びに長けた粋人が好むのは、超熱燗の酒にふぐ刺しを入れる身酒。もちろん身酒用に刺身を新たに作って貰った。本来は刺身を入れて熱燗を注ぐらしい。食べ方についてかまびすしい女性たちに圧倒された。

そこそこ腹が膨らんだところで、芸妓さんたちが席を外す。再び登場して三味線の響、のびやかな唱にあわせて踊りが始まった。黒田節を踊りだすと「イヤー、奴姉さんを思い出すねー」と粋人が唸る。奴姉さんは亡くなっても、芸は弟子の舞いに生きている。

踊りが終って、芸妓さんたちは我々の席に戻ってきた。銀髪は彼女たちにビールを注ぎ続ける。これだけ賑やかに、笑って偲んでもらえば奴姉さんも嬉しかろう。最後に雑炊。卵なしのい津みの雑炊は本当に美味い。

「博多の芸妓」のホームページを見ると、最盛期には5つの券番があり約2,000人の芸妓さんがいたが、今は博多券番一つに統合されているそうだ。十数人にまで減少していた芸妓さんも、公募で半玉さんが加わり少し賑やかなになった。伝統芸能がいつまでも見られることを願うばかりだ。券番の繁栄こそが奴姉さんへの一番の供養となるだろう。


前回の記事
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2008/11/post_1072.html

博多 い津み
福岡県福岡市博多区住吉2-20-14
092-291-0231 
http://www.hakata-izumi.com/

博多の芸妓
http://www.media-line.or.jp/h_kenban/main.html

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2009年10月23日

[遊膳](福岡)

絶品ウニごはん


満腹が一人、腹八分が一人、食事前が一人。この三人で嫌がられないお店を教えてもらったのが遊膳。中州川端商店街に入ってすぐに見つかった。

若く見える店主は既に40代半ば。開店してから20年といっても改装した店舗は明るく清潔だ。カウンターに座ると3品が目の前に並んだ。

さざえ、あなご巻き、きぬかつぎ

満腹だと言っても目の前に料理があると手を出す。銀髪は八分目なのでまだ余裕があるが、慎重に腹と相談する。銀髪の主戦場は酒になり、料理は腹ペコ氏にお任せする。

あなごの白焼き、鯛あら煮

「格好いいねー」店主を乗せるのも忘れない。山笠の山車の上で胸を張る店主の写真が壁にかかっている。山車の上に乗るのも嬉しいだろうが、その栄誉は地元の人に認められた証。余所者が大役を射止めることは大変な名誉だ。地元のためのボランティアにも尽くしたに違いない。

腹ペコ氏が頼んだ料理をつつきながら日本酒を飲む。「この店の自慢料理はなんですか?」と聞けば自家製明太子だと言う。どっちの料理ショーで紹介されたことがある看板商品。昆布が決め手のようだ。

自家製明太子、生うにめし

腹ペコ氏もボチボチ仕上げにかかり始める。生うにめしを頼んだので少しもらおうと思ったが、出てきたものを見て目をみはった。うにも卵も実に鮮やかな色をしている。これを奪っては申し訳ない。いや、それ以上にちょっとだけで満足出来るとは思えない。銀髪にももう一杯作ってもらうことにした。味噌汁と少量のうにめしを満腹氏にあげた。

料理も美味しいが、気分もいい店だった。多くを頼まなかったにもかかわらず、嫌な顔ひとつしない。今度は空腹の状態からゆっくり楽しみたいものである。


遊膳
福岡県福岡市博多区上川端12-183
092-271-9271

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2009年10月05日

[鮨 安吉](福岡)

店主も客も若い人気ナンバーワンの店


博多駅から歩いて行ける場所、通り過ぎてしまいそうな一軒家、立派な店だ。カウンターの中には若い料理人が2人。「ご主人ですか?」半信半疑で質問する。「若いのかな?若く見えるだけなのかな?」20代で開業してから9年、口コミでは博多でナンバーワンの評価を得る寿司屋の店主は「本当に若いです」と答えた。

電話で予約したとき「キャンセルは出来ませんよ」と念を押されるほどの繁昌店。料理はお任せのみ。部下は「何か嫌いなものはありませんか?」と問われて「珍味、肝類はダメです」と答える。「この店で食べたら好きになるかもしれないぞ。そうなったら料理人冥利に尽きるよね」と言うと主人が同意して笑った。いつものように順調なスタートに思えたのだが…

ガリ、いか印籠詰め、白えび、銀杏、さば炙り

あら、さんま、さざえ、あなごの肝、めひかり一夜干し

料理は少量で一品ずつ出て来る。70歳を超える地元の名士Rさんの皿に3品が並んだ。次の料理が来たら乗る場所がない。恐る恐る銀髪が促すと食べるスピードを上げてくれた。部下はあなごの肝で1回お休み。めひかりは脂が乗っていて素晴らしかった。

もずく、いくらごはん、鮑蒸し、あん肝、いわし、

あら、新いか、さわら、こはだ、さば箱寿司、づけ

銀髪が何度も会話のきっかけを作るが、店主は一言で答えて直ぐに下を向き仕事を続ける。日本酒の品揃えも良さそうだ。任せると純米酒以上の酒が続く。「酒が好きなの?」と聞くと「はい」とだけ答え再び下を向く。「この後も予約が入っているの?」と粘ると、左隣の客2人分に手を広げ「こちらは8時から」、我々の方に手を広げ「こちらは8時半」と多めに話してくれた。この不況下で2回転できるのは凄い。

中トロ、えび、うに、しゃこ、あなご、貝汁

かんぴょう巻き、玉、べったら漬

しゃこの寿司は面白かった。どこかで食べた記憶があるが思い出せない。寿司は途中から赤酢のしゃりに変わった。勉強熱心なのが客の心を掴んでいるようだ。Rさんが「若い人が喜びそうな店だね」と銀髪に囁く。「同感です」と銀髪も片目をつぶって笑う。しばらく仲良くヒソヒソ話し。他の客を盗み見るとRさんが最年長、次は銀髪のようだ。

Rさんは食べるのを止めて残りの寿司を部下に与えた。部下に2回休んだあなごの肝とあん肝の代わりが来なかったことを気付いていたのかもしれない。
左隣の客は既に入れ替わっている。我々の席を襲う新手が店の中を覗いたようだ。時計を見ると既に2時間が経っている。驚いた。そんなにゆったりと食べた気がしない。

「コースは終りましたが、他に何か握りますか?」主人は礼儀正しく笑顔で聞いてくれるが、Rさんも銀髪も即座に首を振った。日本酒もしっかり飲んで一人15,000円弱。店を出ると外で待っていた若者2人に睨まれた。

歩きながら「あれだけ飲み食いしたのに安いですね。美味しかったですね」と部下は感動の言葉を投げる。いくつもの店を渡り歩いて修行したという店主は、独自のすし道の頂点をどこに見据えているのだろうか。

鮨 安吉
福岡県福岡市博多区博多駅前4-3-11
002-437-8111

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2009年10月04日

[めんくいや]&[長崎亭](福岡)

ちゃんぽん?らーめん?


ホテルニューオータニ博多、コンシエルジェの女性がいの一番に教えてくれた店は「博多だるま」。行ったことがあると答えると「めんくいや」を教えてくれた。

カウンターに座り定番の博多ラーメンを頼もうと決めたところで、目の前を2つの丼が通過した。「ちゃんぽんラーメンです」と丼をテーブル置くところを見て気が変った。初めて食べるラーメンに期待しながらも、他店の博多ラーメンと比較できないことを後悔した。

アサリの剥き身、かまぼこなどが入ったちゃんぽん風の野菜炒めが乗っている。麺は博多ラーメンに使うストレート細麺。焦げた野菜が香ばしいのが気に入ったが、隣で博多ラーメンを食べている人が羨ましい。胡麻と辛子高菜を入れたら博多ラーメンに限りなく近づいた。

翌日、客先で「面白いラーメンがあるから行ってごらん」と紹介されたのが長崎亭。名前は「チャンらー」で、期せずして「めんくいや」のちゃんぽんラーメンと比較する機会を得た。偶然というか、銀髪のために用意された必然か。神様の存在を信じてしまう。

ちゃんぽんの具、ラーメンのストレート細麺は長崎亭とめんくいやの共通するところ。スープは片やちゃんぽん、此方博多ラーメンの違いはある。具は長崎亭の方が美味い。麺は使い慣れているめんくいやの方に軍配が上がる。

長崎亭でも隣のテーブルで食べているちゃんぽん麺が美味しそうに見えて羨ましかった。ちゃんぽんも博多ラーメンも長い時間をかけて今の形に納まった。ちゃんぽんラーメンがあだ花で終るか、新たなジャンルを作るのか分からない。

それにしても新種の麺料理が銀行合併会社の名前のようでは可哀想だな。

めんくいや
福岡県福岡市中央区渡辺通2-3-27 待鳥ビル1F
092-712-9551

長崎亭 博多駅南店
福岡県福岡市博多区博多駅南4-18-2 1F
092-474-6667

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2009年10月03日

[てぼ](福岡)

母(の味)を訪ねて3千里


空港からのタクシーを降りてまっすぐホテルニューオータニ博多のコンシエルジェに向った。「この近くに美味しいラーメン屋はある?」ホテルの女性は心得たもので銀髪の質問にすぐ答えてくれた。そのラーメン屋は明日紹介することにしよう。

腹を八分目まで満たして歩いていると路地の向こうにお好み焼き屋を発見した。散歩のつもりで店の前まで行ったら看板の「博多 下町の味」に目が止まった。

店の前を二往復して店を離れたものの後ろ髪が引かれて立ち止まった。結局戻って店に入ってしまった。「お好み焼きをください」「定食ですか?」「いや、お好み焼きだけでいいです」焼き場を担当するおじさんは頷いてくれた。外のテーブルに落ち着いたところに店のおばさんがやってきた。「定食のご飯抜きにしますか?その方が安いですから」もちろん異論はない。優しいおばさんだ。

出てきたのは薄くて大きい関西風の混ぜ焼き。甘い濃縮ソースにマヨネーズ、ケチャップ、辛子が乗ったお好み焼きを目の前にして、割れそうに膨らんでいた期待はみるみるしぼんでいった。マヨネーズが乗っていないところを半分ほど食べて、店内に入り勘定を払った。あまりに早かったので怪訝そうな顔をする優しいおばさんから逃げるように店を出た。

銀髪は11歳まで福岡で成長した。我が家でも母がよくお好み焼きを作ってくれた。溶いた小麦粉をフライパンに薄く伸ばし、キャベツやもやしなどの具を乗せる。その上からもう一度溶いた小麦粉をかけてからひっくり返す。つけるのは醤油で、マヨネーズなどは論外である。広島風に似ているが、違いも多い。我が家のお好み焼きが博多風というのは勘違いだったようだ。

途方にくれてネットに救いを求めた。よく考えたら両親は熊本の出身。熊本にはちょぼ焼きという醤油味のお好み焼きもどきがある。しかし、我が家のお好み焼きとは明らかに違う。ぼてじゅうがマヨネーズと辛子で味付けを始めたのが昭和21年。オタフクソースの誕生は昭和25年。関西風の混ぜ焼きが広まったのは昭和30年代。今のお好み焼きの姿は戦後に確立されたものだ。全国の流行に鈍感な人たちは我が家のようなお好み焼きを食べ続けていたに違いない。やれやれ、ようやく納得がいった。

てぼのおばちゃんへ。決して不味くて出てきたわけではありません。この場を借りてお詫びします。すいませんでした。


お好み焼 てぼ
福岡県福岡市中央区渡辺通2-2-20
092-781-5505


参考にしたHP
ぼてじゅう(http://www.botejyu.co.jp/botejyu/kigen.html
オタフクソース(http://www.otafuku.co.jp/laboratory/culture/history/his01.html
お好み歴史学(http://www.ikayaki.com/rekishi.html

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2009年06月14日

[こむらさき](熊本)

横浜ラーメン博物館にも出店している1954年創業の熊本ラーメン


「一番好きなのはこむらさきです」と部下が言う。「店の場所を知ってるか?」と聞いたら首を振る。熊本出身のくせに、空港で売られている老舗3店の詰め合わせで判断したらしい。
銀髪はホテルでもらった地図をポケットから取り出した。その地図にこむらさきは書いてある。

アーケードが終る手前で部下が立ち止まった。「違うよ、ここは支店だ」銀髪は歩き続ける。「あれだ!」銀髪が看板を見つけた。「本店の方が小さいんですね」と部下が言う。「あたりまえじゃないか。移転しない限り、本店の方が小さいのが普通だ。小さく始めて成功したら大きな支店を作るものだ。」

こむらさきの本店は部下ならずとも拍子抜けする町の中華料理屋という感じの店だ。部下はお勧めの王様ラーメンを、銀髪は当然スタンダードのラーメンを頼んだ。

部下が「あれっ?」という顔をする。「味千と間違ったかな?」詰め合わせの箱から取り出す際に入れ替わったのかもしれないと思ったようだ。確かに味千の方がインパクトがある。期待しないで食べた味千と、期待して食べたこむらさきの差なのだろうか。

しかし、食べ進むに従って優しい香りが口に広がる。豚骨ラーメンにしてはくどくない。横浜のラーメン博物館で人気というのも分かるような気もした。まあ、各人好みがあるので優劣はつけられない。

店を出てタクシーをつかまえた。「空港まで!」と行き先を告げると、女性ドライバーが歓喜の声を上げた。「出版社の方ですか」と聞くので軽く否定した。近くに勤める人と思ったらしい。一拍置いて「あっ!ラーメンを食べに来られたんですね」と一人で納得している。
「ラーメンお好きなんですか?」と言われて考えた。グルメ紀行の取材のためだけではなく、好きだから食べている。

「熊本ラーメンが好きなんて、若いんですね」と言われて照れた。こむらさきをあっさり味と思ったのなら内臓の若さを誇ってもいいかもしれない。長距離客を乗せてラッキーを連発する運転手さんと楽しく語らっているうちに空港に着いた。

「若いというより馬鹿だね」と言うと、実に楽しそうに笑う。車を降りたら「気をつけて帰ってください!」と明るい声が追いかけてきた。「パイロットに言ってくれ!」と一言多い銀髪である。

こむらさき 本店
熊本県熊本市上林町3-32
096-352-8070
http://www.komurasaki.com/

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2009年06月13日

[味千ラーメン](熊本)

世界の味千


熊本空港では黒亭、こむらさき、味千のラーメンが老舗3店として詰め合わせで売られている。前回熊本に来た時に黒亭を食べたので今回は残りの2つを食べようと意気込んだ。

熊本県内に70店舗以上あるので地元でも一番食べられているラーメンだろう。創業は1968年というから既に40年以上の歴史がある。創業者の重光孝治氏は久留米を発祥とする九州ラーメンの代名詞、豚骨スープにニンニク風味を加えた先駆者とのことである。

熊本市の中心街にある味千ラーメン銀座通り店に行った。口コミサイト・食べログではトップランクにある黒亭と違い、味千の評価は若干劣る。チェーン店化して味が落ちたのは仕方ないと想像した。ところがなかなか美味しいから困ってしまう。自分の味覚を信じていいのか迷ってしまった。

世界の味千と称されるように海外、特に中国で多数出店していると聞いた。ホテルに戻ってホームページを開いて驚いた。海外店舗数は100程度だと思っていたが、2009年4月30日現在389店舗もあるという。国内105店舗と合わせると合計494店舗、これほどだとは思わなかった。

台湾2、アメリカ7、シンガポール18、フィリピン1、タイ7、インドネシア5、オーストラリア5、カナダ3、マレーシア5、10カ国の合計が53店舗。香港が33店舗だから中国本土で301店舗あることになる。

中国本土で猛烈な勢いで出店しているのですぐに500店を超えるだろう。1000店に到達するのもそんな遠い未来ではなさそうに思える。
顧客に支持されなければこれほどの発展はあり得ない。意外に美味いと思った銀髪の味覚も大衆的と言えるだろう。

味千は美少年酒造にも手を差し伸べた。たかがラーメン屋と侮ることなかれ。何はともあれ「あっ晴れ!」である。


味千ラーメン 銀座通り店
熊本県熊本市花畑町13-4
096-354-9822
http://www.aji1000.co.jp/

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2009年06月12日

[むつ五郎](熊本)

熊本随一の馬肉いろいろ


5時を回ってまだ間もないので一番乗りである。カウンターの一番奥に座るように言われた。主人が目の前にいる一等席だが気難しそうなのでちょっと緊張する。メニューを見ると脳みそなど食べたことがない部位が豊富で驚く。

お通し、馬刺し

「馬刺しは1種類だよ」と言うので赤身かと思ったら、きれいな肉が出てきて安心した。悪くない。
ビールの後は米焼酎を飲むことにした。「水割り、氷なしで」と言うと「ロックにしたら」と勧める。「氷は溶けて味が変わるので水だけでいい」と譲らない銀髪。希望通りの焼酎水割りが出てきた。

内臓盛合せ(タン、レバー、コウネ、ハツ、大動脈)

主人が説明に詰まるとすかさず「コウネ」「大動脈」と銀髪がフォローする。大動脈まで当てられて意外そうな顔が愉快だ。

煮込み、脊髄、脳みそ

「好きなものを頼んでいいぞ!」と言われて部下が馬煮込みを頼む。「入れ歯でも噛み切れますよ」と主人が言うので「まだ入れ歯の歳じゃないですよ」とおどける。クリームシチューのようで美味い。「クリームや片栗粉を加えてないのに美味しい」と褒めちぎり主人の笑顔を引き出した。

脊髄は大阪で食べたことがあるが馬の脳みそは初めて。味付けが絶妙で何も言わずに出されたら脳みそとは思わないだろう。屠殺場で自らノコギリを使って脳や脊髄を取り出すというから大したものだ。熊本でもこれだけの部位を揃えている店はないだろう。

珍刺し、ルージュ

珍刺しはすぐに何のことか分かった。唇がルージュとは店に似合わず洒落た命名。「もっと美味しいものを食べたらいいのに」と主人が言うので、「店の人が言う台詞じゃないでしょう」と茶化す。珍は煮込んで煮こごりのようだ。ルージュは鯛の口のようにプルンとしている。「美味しいよ」と言うと主人が呆れた顔をする。

馬寿司、馬汁

最後は主人のお勧めに素直に従った。「一皿5個なんだけど、2人で喧嘩しないように6個にしといたよ」と親切だ。馬汁も予想以上に美味い。主人とすっかり打ち解けた。「変わったものばかり頼む妙な客と思ったでしょう?」と言うと、「もっと美味いものを勧めても、こっちの言うことなんか聞かないと分かってたよ」と銀髪をけなす。焼酎の飲み方のやりとりで悟ったに違いない。

創業から35年、奥さんが料理を運び、2代目がカウンターの中央に陣取る。「息子さんいい男だね」と言うと、「俺に似て良かったよ」と主人が笑う。銀髪はもっと大きく口を開け、のけぞって笑ってやった。

イヤー、実に楽しかった!


むつ五郎
熊本県熊本市花畑町12-11 熊本グリーンホテル地下
090-356-6256
http://www.mutugoro.co.jp/

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2009年05月07日

[業平鮮魚店](福岡)

魚屋だから新鮮で安くて美味い


「イヤー、魚屋の奥が料理屋とは知らなかった」地元の名士が感心しながら入ってきた。カウンターの指定席に座る常連の人が満足そうに笑う。間に挟まった銀髪と部下もつられて笑顔になった。

店名のとおり店頭には魚が並ぶ。魚屋だから当たり前だ。自分で選んでオーダーしたいところだが、料理はすべて常連さんが仕切る。

鱈白子、刺身8種盛り

あら巻貝、ごまさば、塩辛

有明海のあげ巻貝は多分初めて食べた。博多に来たら必ずごまさばを食べる。昔お婆さんが作ってくれたごまさばは醤油ダレに胡麻を振りかけただけだったように記憶しているが、お店で食べるものは胡麻をすり潰したタレが多い。

葉わさび、キンキの煮付け

キンキは地元で獲れるものではないので、福岡では貴重品。これを我々のために確保しておいてくれた。料理人・横尾さんの気配りも常連さんの存在が大きい。

ごまさば茶漬け

常連さんが茶漬けにするため再びごまさばを頼む。先ほどのごまさばを使うつもりが、我々が喜んで食べ尽くしてしまったためだ。ひつまぶしのように最初は刺身で食べ、次にごはんに乗せて食べ、最後にだし汁をかけて食べるのがごまさばの正しい食べ方らしい。

きす天ぷらと塩焼き

腹一杯なのに大きなきすが出てきた。この後炊き込みごはんをすると言うがもう食べられない。常連氏と部下を残して次の店に向かった。

炊き込みごはん

約30分後、ウニやイクラが乗った豪華な炊き込みご飯を手土産にして二人が合流した。歩いたせいか、美味しいからか、我が胃袋は予想に反して簡単に受け容れてくれた。

博多の夜は実に楽しい。


業平鮮魚店
福岡県福岡市博多区上川端町9-152
092-282-0830

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2009年05月06日

[博多鉄鍋本店](博多駅)

ガード下の大型店


各地で駅および駅周辺の再開発が進んでいる。東京駅はツインタワーや駅地下のグランスタが完成した後も工事は終る気配がない。博多駅も改良工事のための白い壁が行く手を阻む。駅周辺もJR九州旧本社ビルが飲食店の集まるエキサイド博多になるなど変貌を続けている。

筑紫口を線路沿いに歩いて行くとちょっと違和感を持った。滅多に来ないので何が変わったのかよくわからない。「こんな店あったかな?」と不安な気持ちを抱きつつも、鉄鍋餃子の文字に惹かれて入ってしまった。

入り口近くの狭い空間の一席を与えられるかと思ったのに、店員はどんどん先に進んでいく。突き当りを左に曲がると大きな空間が現れてビックリした。駅が上に行けば、高架下には広大なスペースが出来る。当たり前のことがすぐには理解できなかった。

餃子は宇都宮、浜松、神戸などが有名だが、博多の餃子もじわじわと勢力を増している。モッチリとした皮、一口で食べられる小ささが特徴で、鉄鍋で供する店が増えてきた

「焼き上がるまでお時間がかかります」と言われたが、イライラする前に料理がやってきた。鉄鍋の餃子は熱くて食べるのに苦労した。ちょっと大き目の一口サイズで、口に放り込むには危険すぎる。

熱くて噛み切るのが大変だ。皮の底がカリカリになっているため箸で割るのは不可能である。慎重に食べている間に鉄板の餃子は更に焼かれ、噛み切るのがますます困難になっていく。運ばれてきて直ぐに餃子を裏返して両面焼きにすべきだったと後悔しても後の祭り。

それにしても。「博多鉄鍋本店」とは立派な名前をつけたものだ。本店というが、支店は見当たらない。JR九州の系列かと思ったが、確認できない。駅に近く、大勢が入れ、週末は朝5時までやっている。使い勝手がいい店ではある。


博多鉄鍋本店
福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 西高架下1F
092-482-1000

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2009年04月27日

[かゆう](福岡)

リーズナブルに楽しめる天ぷら割烹


「西中洲とは通だね」褒められた部下は、別の地元の人に紹介されたとは言えずに曖昧に笑った。お通しから細やかな仕事が見て取れる。カウンターに立てかけられたメニューが見事だ。白墨で店主の奥様が書いたそうだ。

お通し、メニュー

部下が常連ぶって次々に頼む。福岡に来たら定番のごまさば。目の前でポテトチップを作るのを見て不思議に思っていたら、看板メニューのポテトサラダになった。

ごまさば、ポテトサラダ

「鯨はミンク?」と聞いたら鰯クジラとのこと。「珍しいね。それならもらいましょう」実にきれいだ。さえずりも赤身も美味い。嫌がる部下に無理やり食べさせたら再び箸を伸ばした。「天然鰻じゃないの?」と部下が残念がる。養殖物だが柳川産と聞いて食べることにした。白焼きは関西風の仕上がりである。

鯨刺身、鰻白焼き

「おーッ!えつがあるじゃないか」地元の人が解説を始める。カタクチイワシ科に属し筑後川に産卵する。東京人にとっては幻の魚かもしれない。美しい姿に相応しい繊細な味の魚だ。
イチオシの日本酒は店名と同じ「かゆう」。店主が一流料理屋の料理人たちと米作りから搾りまで参加して若竹屋酒造に詰めてもらった酒である。日本酒にこだわる店が悪いはずがない。

エツの天ぷら、辛子蓮根

もちろん看板料理は天ぷらである。部下が食べたことがないと言うこしあぶらとこごみを頼んであげた。

天ぷら(畳いわし、有明海苔、こしあぶら、こごみ)

最後は天むす。名古屋大須・千寿の天むすをイメージしたので、出てきたおにぎりを見てちょっと戸惑った。随分と試行錯誤したと言う天むすは美味しかった。

天むす

東京で修行して九州出身の奥さんに手を引かれて店主が西中洲に落ち着いたのが2年半前。リーズナブルに美酒美食が出来る店を手に入れた博多の人たちは奥さんに感謝しなければならない。

美酒美食 かゆう
福岡県福岡市中央区西中洲5-3
092-752-6779

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2009年04月26日

[達 Tatsu](福岡)

もやし入り和風ハンバーグ


福岡に来たときの昼食はラーメンかうどんが定番になっている。どちらにするか悩んでいると「洋食はどうですか?」と部下が言う。「以前、地元の人に連れて行ってもらったんですが、ハンバーグが美味しい店ですよ」とまで言われたら断るわけにはいかない。

12時を回っていたので混んでいた。普段は4人掛けのテーブルを、分けて2人用の席を作ってくれた。壁にくっついた長椅子に座ると、クッションの切れ目でお尻が痛い。わざわざ奥の席を勧めてくれた部下を責めるわけにはいかない。

ランチのハンバーグを頼もうとして「期間限定」の文字が気になった。店員に聞くとやはり看板料理のハンバーグではない。ジュージュー音を立てて鉄皿で出されるのが名物らしい。シェフのお奨め、和風ハンバーグを頼んだ。

もやしが入っているハンバーグは初めて食べた。もやしが入っているのが和風ということだろうが、もやしの原産国は東南アジア、インド、中国などで日本ではない。海外各地で料理に使われており、オーストラリアでは生のままサラダに入っていて驚いたことがある。

もともと外国のハンバーグは牛肉100%で、それ以外は和風ではないかという疑問も湧いてくる。合挽き肉、玉ねぎなどで作るハンバーグは日本人の発明品と言われる。もやしハンバーグと言われれば素直に納得するのに我ながら偏屈と呆れる。

それにしても日本人の創造力は素晴らしい。豆腐ハンバーグ、鰯ハンバーグなどいったい何種類のハンバーグがあるのだろうか。不況下で麻婆もやしの素が大ヒットしていると聞いた。和風ハンバーグは安価な割に見栄えがする。カロリーも低く健康志向に合う。もやしハンバーグも家庭料理のレパートリーに是非とも加えたいものである。

もやし入りハンバーグはなかなか美味しかった。1965年創業の老舗洋食屋さんらしく、ビーフシチューなど他の料理も評判がいいとのこと。反対側の壁には表彰状らしきものが掛けてある。福岡を代表する洋食屋に違いない。


達 Tatsu
福岡県福岡市中央区天神3-16-1 日若ビルB1
092-751-7302
http://www.tatsu1965.sakura.ne.jp

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2009年01月26日

[鮨屋時蔵](熊本)

熊本は馬肉だけじゃない


熊本に行くと言ったら誰もが「馬刺しですねー」と羨ましがる。しかし毎回馬肉では能がない。部下に「馬刺しと寿司、どちらがいい?」と聞くと、銀髪の心をしばし読んで「寿司がいいです」と答えた。よく出来ましたと言いたいところだ。

熊本出身とはいえ、若い部下が寿司屋を知っているわけがない。ネットで評判が良くてリーズナブルな店を探して電話した。一度電話口から遠のいた声が戻って来て「大丈夫ですよ」と言われるとホッとする。タクシーでの行き方を教えてもらい電話を切った。

8時20分に到着。カウンターに座り、「地物の魚ってあるんですか?」と聞いたら大将は苦笑い。「もちろん目の前に海がありますからね。でも、品切れになっているのも多いんで」と申し訳なさそうだ。


お通しはハイウオ。いきなり食べたことがない魚かと思ったらカジキのこと。地方によって魚の呼び方は異なり面白い。「カジキとマグロは別種でカジキマグロと言うのは間違い」と解説が入る。さば、かんぱち、まはぎ、こはだと続いた。

我々に料理が来なくなった。座敷の客がメインの寿司を食べる時間になったようだ。しばし、酒の肴は主人との会話だけ。「店名の時蔵はどこから来たの?」「私の名前がときぞうなんですよ。苗字は鮨屋じゃないですけどね」と笑わせる。入店してすぐに名刺交換したが、三文字の名をときぞうとは読めなかった。

「握ってもらえる?」「いくつぐらい食べられますか?」腹具合によって食べるものを決めるのは主人の役割。「いいよ、お腹空いているから全部食べるよ」と言ったところで主人の考えはまとまったようだ。壁にはネタの値札がかかって良心的な店だが、主人に任せた方が良さそうだ。



主人の後ろには常に火が燃えている。寿司も炙るものが多い。少し火を通すと魚も肉も美味しくなるし、飽きない。小振りの寿司はもっと出てきても食べられた。

9時半頃に来た3人連れはネタがないからと断られた。それ以降、店に来る人はなかった。勘定をして、外に出ると入り口に札がかかっていた。熊本の夜は短い。時蔵には早めに行った方がいいようだ。


二代目正六 鮨屋時蔵
熊本県熊本市上通り4-11 司ビル地下 
096-326-7771

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2009年01月25日

[黒亭](熊本)

熊本で一番人気のラーメン屋さん


12時をわずかに過ぎてしまった。行列ができているかと心配したが誰も並んでいない。タクシー料金を払っている間に2人連れに先を越された。ところが彼らは店の中を覗き込み、あっさりと諦めた。待つことを覚悟して扉を開けると待機するための左手の椅子に誰も座っていなかった。熊本の人は気が短いのだろうか。

座った途端にあっという間に外に行列が出来た。同情しながらも優越感に浸ろうとしたら、食べ終わった客が勘定を払うために店内に列を作った。ちょうど入れ替えのタイミングだったようで、すぐに店の外の行列はなくなった。それでもラーメンが出来上がるのは意外と遅く、店内を観察する充分な時間を与えられた。

店主のおばあさんを含めて老若7人の女性店員がいる。その中の一人がラーメンを作っている。入り口に近い厨房では男性が2人、自慢のチャーシューを仕込んでいる。店の奥の壁には古い建物の写真。「僕が20年前に来たときはあれでした」と熊本出身の部下が懐かしがる。観察に飽きて液晶テレビをぼんやり見上げていたら、ラーメンがやってきた。

普通のラーメンが590円、玉子入りラーメンが820円。相席になった老夫婦のラーメンとは玉子の他にチャーシューの数ともやしが違う。黄身は2つあるのに白身が少ないので双子かと思った。(後でホームページを見たら卵は卵黄2個とのことだった。チャーシューも普通のラーメンより質がいい)

スープを吸う。なかなか美味しいが、卵がスープの温度を下げてしまったかもしれない。黄身を割って麺にからめる。「生卵ですがよろしいですか?」と注文の際に確認されたことを思い出す。スーツ姿の我々は一目で他所者と分かる。

テーブルの上には市販の一味唐辛子とコショウが置いてあり、焦がしニンニクなどはない。こむらさき、味千を抑えて熊本ラーメン御三家で一番人気を誇るラーメンは、想像したほどインパクトは強くなく、熊本ラーメンにしてはあっさりしているように感じた。昔ながらの中華そばの器に通じるものがある。

店を出て歩き出したところでゲップが出た。口の中に広がる匂いは、しっかり熊本ラーメンだった。

黒亭
熊本県熊本市二本木2丁目1-23 
090-352-1648
http://kokutei.com/menu.html

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2008年12月30日

[油山山荘](福岡)

ふぐの白子は日本一


ANAホテルに油山山荘から紹介を受けたタクシーが迎えに来た。ホテルから20分強の道のりを間違えずに行けるタクシーが少ないためだ。街の灯りが乏しくなるにつれて、東京の知り合い、大金持ちの食通が日本一と絶賛するふぐ白子への期待が膨らんでくる。

宿泊もできるだけに料亭というより旅館のような建物。着物を着た老女将が出て来るかと思ったら、迎えてくれた女将は思ったより若い。部屋に案内して、我々の面倒を見てくれたのは美しい若女将だった。「お父さんに似たんだね」と言うと全員大笑い。お客様も銀髪も部下も、みんな既にご機嫌である。

付け出し、煮こごり、身皮

「天然とらふぐは身と皮の間が筋肉のように発達する」と出されたのが身皮。梅肉で和えた身皮はなるほど歯応えがあって美味しい。

刺身

「天然ふぐは味があるので、福岡の人はねぎを巻かないで食べるんですよ」と若女将が言うと素直に従う。ねぎはおろか、ポン酢をつけずに食べても味がある。ひれ酒が美味い。

最後の数枚を譲り合っていたら、昔なら身酒にしたもんだとお客様が言う。遊び人だったのがばれると恥ずかしがるので、銀髪がつぎ酒を頼むことにした。若女将に「身酒にしたいんだけど」と言うと、「ハイッ」と笑みを浮かべた。油山山荘は多くの粋人に支えられているようだ。熱々のつぎ酒にふぐ刺しをしゃぶしゃぶして食べた。

唐揚げ、白子

身がたっぷりついた唐揚げを食べていると、お目当ての白子がお披露目された。ここぞとばかりやって来た女将が誇らしげに説明する。滅多に入らない特大の白子とのことで、銀髪も初めて見る大きさだ。小さいのが刺身にされ、大きいのは焼かれる。

白子刺し、白子酒、白子焼き

初めて食べた白子の刺身、初めて飲んだ白子酒。他ではなかなか味わえないものも良かったが、やはり秀逸だったのは白子焼き。何とも言えない香りが立ち上ってくる。食通が日本で一番と言うのも頷ける。

てっちり、雑炊

ピンク色が美しい。身も厚くてボリューム満点の豪華な鍋だ。腹一杯だが食べ続けた。雑炊も逃さない。銀座だったら一人前で4万円ぐらいはしそうなコースが半分以下で食べられるのは、柳橋連合市場の西本が女将の実家だから。地元の名士のお客様も西本と聞いて納得していた。その名士を初めて連れて来たのが東京から来た我々だったのが愉快だ。

刺身、唐揚げ、白子、鍋、雑炊、みんな美味しかった。ひれ酒、身酒、白子酒、旨かった。元気な女将が楽しませてくれた。また食べたい。飲みたい。会いたい。もちろん一番は若女将かな。


割烹御宿 油山山荘
福岡県福岡市城南区東油山147
092-871-5034
http://www.aburayama.co.jp

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2008年12月01日

[からつもん](福岡)

佐賀人の心意気


「今日は私の知っている店で」と言われると嬉しい。ネットで店を探すのは煩わしいだけでなく、客を連れて行くのに相応しいかどうか心配である。当人が奨める店ならば懸念のすべてがクリアされる。常識人なら高級店は選ばない。

Aさんは料理も含めて予約してくれていた。割烹にしては気取らない居心地のいい店である。呼子のいか、佐賀牛、みつせ鳥など佐賀県は全国的に有名な素材の供給地である。期待してもいいだろう。

川島のおぼろ豆腐、がめ煮、魚のコロッケ、鯛のあら汁

川島は創業から200年以上の佐賀県の老舗豆腐屋。魚のコロッケは香ばしくていい。
豆腐以外は特に佐賀をアピールする料理はない。佐賀と福岡の料理に大きな違いはないのかもしれない。

刺身(あん肝、すずき・かんぱち・さば・するめいか)、子持ち鮎の塩焼き

うちわ海老、もち米団子のあんかけ、さば茶漬け

宮崎産の子持ち鮎の塩焼きも面白かった。うちわ海老はエスカルゴ風味でにんにくが効いている。新鮮で脂が乗っているさばは刺身でも茶漬けでも美味い。

日本酒の品揃えがいいのも嬉しい。銀髪は東京では飲んだことがない九州地元の酒にこだわったが、部下は久保田の最高級酒純米大吟醸洗心を飲みたいと言う。美味いのはもちろん分かっているが、値段も最高である。地方の寿司屋に行って大トロやウニなど他所のものを食べたがる人が多い。どこに行っても自分の嗜好を曲げないのが普通で、変わったものを食べたがる銀髪の方が少数派かもしれない。

それにしても腹一杯になった。鯛も鮎も固い骨だけ残して食べ尽くす銀髪の方が、他の人たちより2割増しの量を食べた感じだ。日本酒の量は3割増しだろうか。

満腹、満腹。ちょっと腹ごなしをしなければホテルに帰れなくなってしまった。

からつもん
福岡県福岡市中央区赤坂1-9-1 ブドウ赤坂ビルB1
080-6445-0141

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2008年11月30日

[大福うどん](博多駅)

博多うどんの主役はごぼうの天ぷら


博多うどんの御三家を勝手に決めさせてもらうと、かろのうろん、因幡うどん、そして大福うどんである。このうち2軒が博多駅ビルにある。

因幡うどんは本店だけでなく駅ビル店にも何度か足を運んだ。いつも混みあっているが、料理が出て来るのも食べ終わるのも早いので時間がないときには重宝する。ごぼ天うどんといなり寿司を頼んだ。

食べ始めるとすぐに衣はバラバラになりゴボウが独立する。久し振りに食べたのでごぼ天は切り方だけでなく存在感の薄さも気になった。博多うどんの代表と言えるごぼ天だが、店によって大きく異なる。

東京駅八重洲地下にある博多うどんは、細く刻んだごぼうを揚げている。ごぼうの切り方だけでなく、衣のつけ方も各店異なる。かろのうろんは円くまとめてきれいだ。明治の創業だからこれが本物かな?

日を変えて、大福うどんに行った。昭和25年創業というから因幡うどんより1年古い。銀髪の記憶の中には因幡うどんと「えいちゃんうどん」しかなかったが、大福うどんも子供の頃に行ったことがあるかもしれない。

大福うどんのごぼ天は立派だった。薄く切らずにごろんとしている。柔らかく煮込んであるので食べやすい。ゴボウ使用率は因幡うどんの数倍あり、お得感がある。
他の材料に金を使っていると言われても、ごぼうの存在感のお陰で大福うどんの方に軍配を上げてしまう。

大福うどん本店ではうどんすきをメインにしているらしい。フニャフニャの博多うどんが鍋料理に向くのかとても興味がある。
博多うどんの店の中で一番ごぼうが大きかったのに釣られて、本店のうどんすきも食べたくなってしまった。あまりの単純思考にちょっと恥ずかしい気はするけれど。


大福うどん
福岡県福岡市博多区
博多駅中央街1-1JR筑紫口ビル104
092-441-6628
http://www.daifuku-udon.com

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2008年11月12日

[い津み](福岡市博多)

世界一(?)のふく料理屋


7~8年前、「東京で一番高いふぐ屋を予約しといたからな」と言われて行ったのが東京赤坂の「い津み」で、銀髪の願いもむなしく勘定するときに彼の台詞は冗談ではないことを悟った。それ以来、博多の本店に行くことは憧れであり恐れでもあった。

タクシーに店名を伝えても知らなかった。住所を告げると「あー、あの料亭ですね」と気付いた。赤坂の店とは比較にならないほど立派な店だ。個室は控えの間と客室に分かれる。仲居さんが上座の客に見えないようにメニューを銀髪の目の前に掲げた。

煮こごり、ひれ酒

煮こごりの善し悪しをどう表現したらいいか分からないが、上品な味で美味いのは間違いない。ひれ酒のひれが随分小さいと思ったら、い津みでは背びれしか使わないとのこと。つぎ酒をしても味は濃い。

てっさ

三人前のてっさが出てきて圧倒された。「当店のてっさは二枚引きです」と言われても何のことかわからない。厚めに切った刺身を切り開いたものとのこと。薄いピンク色の身は噛みごたえがある。ぽん酢に頼らなくても味がある。「天然です」と言われてもピンと来ないことが多いが、い津みのものを食べれば違いは歴然である。

白子、唐揚げ

「今週から白子が入っていますが、いかがしますか?」と聞かれて客と部下の顔を見る。目は口ほどに語っている。てっさほどの感動はないが、久し振りの白子はやはり美味い。

てっちり

鍋は控えの間で作られ、仲居さんが運んでくれる。あらためてしっかりした身だと思う。

雑炊、お新香

い津みでは雑炊に卵を入れない。ふぐを味わってもらうには卵はない方がいいと主張する。おかわりをして満腹になった。

福岡出身の芸能人が日本一と言ったそうだが、地元贔屓を差し引いてもトップクラスであることは間違いない。てっさはこれまで食べた中で一番と言ってもいい。満足感一杯で店を出た。店の外に並ぶ黒塗りの車を横目に歩く我々を、女将がしばらく見送ってくれた。

い津みのふぐのことは早く忘れよう。他の店のふぐが食べられなくなってしまう。


博多 い津み
福岡県福岡市博多区住吉2-20-14
092-291-0231
http://www.hakata-izumi.com/

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2008年07月22日

[河太郎](福岡)

日本で最初のいけす料理店


河太郎は博多のみならず日本で最初の生簀料理店だという。生簀の主役は佐賀県呼子で取れたいかで、この活造りの元祖も河太郎である。早い時間だったこともあり、生簀のすぐ横の一等席が用意された。

河太郎は2度目だが、銀髪グルメ紀行で紹介するのは初めて。稚加栄や寺岡などに浮気していたが、戻ってみると、生簀は記憶していたより小さい。ソープランド街のすぐそばということも今回初めて気がついた。

いかの活造り

原油価格高騰でイカ釣り漁船などの休漁が話題になっている。その影響か、小さないかが三杯盛られてきた。透き通った身の下で尚も息づく様は迫力に欠けるが、大きないかよりも柔らかくて味も悪くない。

おこぜ

冬が旬のふぐがお休みの間の主役をはるのがおこぜ。白身の上品な味はふぐより上と言う人も居る。

刺身で食べた残りを調理してもらう。おこぜを揚げてもらうので、いかはいつものような天婦羅ではなく塩焼きにしてもらった。

おこぜの卵と肝は煮付けにしてくれた。「このおこぜは大きいので骨を食べるのは大変ですよ」と味噌汁を奨められたが譲らなかった。揚げるのに時間がかかってしまったが、骨までしっかり食べ尽くした。

食糧危機は深刻な問題になっている。偉そうなことを言える立場ではないが、我々ができることの一つは食べ残しをしないことだろう。野菜や果物の皮は剥かないで食べる。動物も魚介類もとことん食べ尽くす。内臓はもちろん皮や骨、血までも利用する。ソーセージなどいい例だ。意外と美味しいものを発明できるかもしれない。

河太郎では殆どゴミにしなかった。銀髪は偉い!と自画自賛。

河太郎
福岡県福岡市博多区中洲1-6-6
092-271-2133

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2008年06月14日

[うどん平](福岡)

博多で一番おいしいうどん?


博多の麺と言えば豚骨ラーメンで今や全国区になった。うどんと言えば讃岐うどんを筆頭に稲庭うどん、氷見うどんなどが有名で博多の名前は出て来ない。
実際は戦後生まれで屋台が発祥のラーメンよりも、うどんの方が歴史も格も上だと思っている銀髪なのに、博多に来れば美味しいラーメン屋ばかり探そうとする。

ラーメンは若い料理人が革新的な味を作り出しているが、うどんはひたすら伝統を守っているように見える。かろのうろん、因幡うどん、川端うどんなど人気上位にある店はいずれも老舗と言われる名店ばかり。銀髪にとって、うどん平は馴染みのない名前だった。

外に並んでいると「暑いから中に入ってください」とおばちゃんが招き入れる。有名店によくある尊大さはまったくない。中には10人以上が雑然と立って待っていた。
外で待っている間に注文を取る店が多いが、中に入れてくれたお陰で客が何を食べているか観察できて良かった。

部下が「ここはえび天が有名なんですよね」と言う。「でも、ごぼ天も食べたいですよね」と重ねる。「両方入れればいいじゃないか」と銀髪が応えていとも簡単に問題は解決した。
他の客のオーダーを聞いても7割はえび天とごぼ天のセットで注文していた。残りの大半はえび天と他の天ぷらのセットである。

カウンターの中は戦場のようだ。手打ちのうどんを製麺機に入れる。包丁で切らないからか「手打ち風うどん」と書いてあるのが律儀に見える。グラグラ煮えたぎる大なべにうどんを入れる。熱々に茹で上がったうどんを水で洗う。素人がやったら間違いなく火傷する。
うどんのつゆは大きな徳利で湯せんしている細やかさ。客の注文に負けじと店の奥で天ぷらが揚がる。

テーブルで食べると博多でトップクラスのうどん屋と思うだろうが、カウンターで戦場を見た後食べるとトップと断言したくなる。
親切で丁寧なおばちゃん、真剣な調理場、美味しいうどん。今まで来なかったのは迂闊だった。

東京に戻って、福岡の行きたい店を自分でリストアップした紙を見たら、うどん平がちゃんと書いてあった。まったく思い出さなかったボケ頭がちょっと心配になった。


うどん平
福岡県福岡市博多区博多駅前3-17-10
092-431-9703

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2008年04月22日

[チャイナ](福岡)

福岡で最高級食材を使った中華料理を


博多は魚が美味い。生簀のある店がたくさんある。ふぐ、あらなどの高級魚もいいが、さばも新鮮で美味い。もつ鍋、水炊き、ラーメン、他にも名物がたくさんある。それなのに中国料理がいいと部下は言う。魚介類や鍋料理が美味しい冬は去った。地元の人はいつもと違うものを食べたいかもしれない。そんな気持ちが湧き起こり、部下の言に従うことにした。

前菜、北京ダック

ホームページを見て北京ダックを食べることは決めていた。他は部下に任せるべきだったが、地元の新鮮な食材を使った料理でもあればと思いメニューを開いたのが間違いだった。「赤海燕の巣」に目が止まった。仕切り屋の虫が騒いでもう止まらない。

赤い海燕の巣のスープ、フカヒレ(トラザメ)のスープ

燕の唾液に血が混ざったと言われ血燕とも書く。高級な燕の巣の中でも大変希少な極上品。スープに入れる前のものを食べてみたが味は殆どない。上湯スープがとても美味しい。

燕のスープと味比べのため同額程度のフカヒレスープを頼んだ。ところが女性店員・谷さんが別メニューを持って来てトラザメを奨める。値段を見て目を剥いた。一杯(一人前)25,000円もするので一瞥しただけで断った。一度引っ込んだ谷さんがまた戻ってきた。「お客様が頼んだフカヒレと同額でもいいので是非トラザメを味わって欲しい」と料理長が言うらしい。断ることが出来なくなった。
味付けは極太繊維質のフカヒレに負けないように濃厚である。

鮑となまこ、ロブスター

フカヒレに加えて日本産の3大中国料理乾燥食材を揃えることにした。生のなまこを嫌いと言う人も、このなまこは気に入ったようだ。

頼んだ覚えはないが、「生簀に一匹しかいないロブスターを料理長が我々のために特別に作りました」と言われたら断れない。香港出身の料理長は客を料理するのも上手い。

スープ炒飯、焼き菓子

これも好評だった。「わざわざ福岡まで来て中国料理なんて」という気持ちは吹き飛んだ。

昼間の飲茶でも出さない焼き菓子はまたも料理長のサービスと言う。会ってもいない料理長が頑張ってくれたのは伝達役の谷さんの功績だろう。

個室を出て店内を見渡すと、客はまばらだった。料理長が我々のために腕を振るう時間があったのは幸運だった。

料理長と店員に乗せられて予算を大幅にオーバーしてしまったが、招待した皆さんは満足感一杯の様子。思い出に残る晩餐となったようだ。メデタシ、メデタシである。

チャイナ グランド・ハイアット・福岡
福岡県福岡市博多区住吉1-2-82
092-282-1234
http://www.grandhyattfukuoka.com

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2008年01月31日

[がね屋](福岡)

地元の人が奨めるのはリーズナブルで美味い店


福岡でも美味しいイタリアンやフレンチなどの洋食の店があるという。4人揃ったので気取らず食べられるスペイン料理屋にしようと思った。客先を出てから予約を入れようと計画したが、出るときには今回も和食に決まっていた。一人増えることになり、民主主義は否定された。

稚加栄やてら岡ほど有名ではないが、地元の人には評判がいい店らしい。博多うどんの老舗「かろのうろんやの近く」と説明するまでもなく、タクシーは店名を聞いてすぐに頷いた。

かき酢

1階奥の個室に一旦は入ったが、オーダーする前にトイレに行って、寿司カウンターの中を覗いた。目に付いたのが佐賀のかき。あまり聞いたことがないので即決した。小振りだが悪くない。

さば、みずいか

定番の2品。店内に生簀はなかったのに、店員はしきりに奨める。怪訝そうな顔を見て取ったか部屋の奥の障子を開けるように言う。障子の向こうに生簀があり、魚が悠々と泳いでいた。

さばの唐揚げ、いかの天ぷら

刺身を食べ終わると、残りを希望の料理にしてくれる。客の意向を聞かず、部下がいかは天ぷらと即答する。困ったもんだ。

もちうお煮付け、大根とキンメダイの南蛮仕立て

もちうおはイボダイまたはエボダイの名前で知られる。南蛮仕立ての方が美味かったかな。

寿司

がね屋は料亭というより寿司屋のようなので、最後は寿司にした。

客は寿司よりまだ酒を飲みたそう。「もう一本いきますか?」と聞いたら、部下が横から「僕はもういいです」と口を出す。いかのときは黙っていた客も、酒では我慢が出来なかった。数分間説教されて部下はシュンとしていた。

もっとも、2次会では部下は完全復活。お客様もご機嫌で、宴は深夜まで続いた。

漁師料理 がね屋
福岡県福岡市博多区上川端町3-6
092-282-1171

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2007年12月27日

[春駒](福岡)

今年も、冬の王様てら岡のあらしゃぶで締めくくり


今年最後の福岡出張になった。3人旅だが刺身が嫌い、食べたことのないものには手を出さないと言う人は日帰りすると言う。残った2人は「ラッキー!」てなもんだ。あらを食べることが出来る。ところが残ったもう1人のFは、あらのゼラチン質が嫌いで、てら岡のあらしゃぶ以外は食べたくないと言う。嫌がる奴を無理に引きずりまわすわけには行かないが、何度も行ったことのあるてら岡ではつまらないと思い、系列の春駒に行くことにした。

春駒は中洲から春吉橋を渡ってすぐ右側にある。本店に比べると小振りだが、食後の中洲行きには遥かに便利だ。小上がりの掘り炬燵式のテーブルを確保できた。まずは博多名物、呼子のいかの生き造りから。

透き通った身が美しい。時おり足がサワサワと動く。沖縄産の塩をつけ、わさびを乗せて食べる。味よりもコリコリ感が楽しい。天ぷらにしてもらったゲソが美味だった。

我々を担当してくれた仲居は中谷由紀子さん。大吟醸酒を頼んだら品切れ。別の大吟醸を頼んだらこれも品切れ。酒を取りに行っては品切れの連続で、結局安い酒に落ち着いた。本店に比べて大衆的雰囲気の春駒では、高い酒は出ないのかもしれない。「安上がりでありがたい」と言うと由紀子さんが苦笑する。

関さば

お客様がさばを求めると、関さばしかないと言う。銀髪が「あじは?」と聞くと関あじしかないと応える。我々は玄海灘のさばやあじがいいのだが、ここは高級料亭のプライドか居酒屋レベルで出す地魚は置いていない。仕方なく関さばを頼んだ。さすがに美味いが、酒のように安上がりでは済まなかった。
食べ切れずに残った刺身は胡麻さばにしてもらった。贅沢な料理になってしまったが味が変われば食欲が蘇る。

あらしゃぶ

サフランの緑色が鮮やかなスープでしゃぶしゃぶが始まった。由紀子さんが薄く切ったあらの身をちょっと鍋に泳がせて、我々の皿に乗せてくれる。今日のあらは100kgの大物とのこと。Kが「どのぐらい?」と聞くので「お前ぐらいだよ!」と銀髪が茶化すと由紀子さんが大笑いする。Kは90kgに到達しないようにダイエットをしたいと思っているが、気持ちだけで空回りしている。

あらちり

しゃぶしゃぶ用の薄切りのあらが終り、コラーゲンがプリプリの厚い身の鍋になる。これがまた美味いんだよね。

雑炊

ふぐより美味しいと言われるあらだが、お腹一杯にもかかわらすお代わりをしてしまった。満足満足。

帰り際、勘定をしていたら女将が挨拶に来てくれた。いやに若いと思ったら寺岡美由紀女将はてら岡主人の長女とのこと。本店でも、春駒でも料金は同じだそうだが、本店の座敷より春駒の方が気楽で楽しかった。仲居さんが良かったのかもしれない。

あらしゃぶだけ食べる分にはそれほど高くない。博多に行ったら是非食べてもらいたいものだ。


春駒 
福岡県福岡市中央区西中洲1-3 (春吉橋たもと)
092-734-3988
http://www.teraokagroup.co.jp

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2007年11月30日

[さざんか](福岡)

福岡で鉄板焼き


福岡では玄界灘の新鮮な魚介類を食べるのが銀髪の定番である。ところが、これを好まない人が居てちょっと困った。まさか平均年齢50ウン歳の男5人でフレンチやイタリアンでもあるまい。熟考の末鉄板焼きに決めた。これなら地元の魚介類や野菜も食べることが出来る。

鉄板焼き店は東京には山ほどあるが、福岡では選択肢が限られる。5人に適当な個室となるとホテル・オークラの「さざんか」ぐらいしかなかった。東京のさざんかはミシュランの一つ星に選ばれたが、福岡の評価は分からない。

前菜とサラダ

5人いれば料理の選択に自由度が増す。銀髪が食べたいものを2人前ずつ頼んで、みんなで分けることにした。嫌いなものがある人は拒否すれば他の人の分け前が増えるだけ。料理の組み合わせが自由に出来るのが鉄板焼きのいいところだ。シェフは目の前にいる。

野菜各種

たまねぎ(淡路産)、コガネタモギダケ(愛知産)、ピーナッツモヤシ(福岡能古島)と産地を告げて出されると有り難味が増す。

あわび

玄海の黒鮑はバター焼きでいただいだ。肝を嫌いと言う人がいるから信じられない。ありがたや、ありがたや。

車海老、フォアグラ

車海老は当然ながら天草産。フォアグラは?地物にはこだわらない柔かな頭が必要とすぐに妥協する。これも嫌いと言う人がいる。何でも食べる銀髪がまたも得をする。貝でもアヒルでも肝は美味しい。

ステーキ(ヒレ、サーロイン)

牛は佐賀牛でなくてがっかり。フォアグラは近県でなくても許せるのになんでステーキは?と突っ込む人が居ないのが有難い。

ガーリックライス

みんな大好きガーリックライス。次の店に行って、嫌われても平気だ。どっちみち好かれるのはお財布を握っている人だけだとみんな知っている。その人だってお財布がなければタダの人。

福岡は東京と比べて割安だといつも思うのだが、ホテルで食べたらそれほど変わらないようだ。やっぱり安くて美味しい地魚を食べる方が銀髪には向いているようだ。


さざんか
福岡県福岡市博多区下川端町3-2 ホテルオークラ2F
092-262-1111

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2007年10月31日

[福わらじ](鹿児島)

黒豚&黒毛和牛


鹿児島屈指のホテル、城山観光ホテルから坂を下り平田公園に向かった。目指す店「福わらじ」はその公園に面した小路にある。平田公園は天保の改革で薩摩義士を率いた平田靫負を顕彰する史跡だそうで、鹿児島のタクシーの運転手さんの説明に聞き入った。観光案内の研修が必須という鹿児島のタクシー運転手はみんな話し上手だ。

福わらじに着くと地元の面々は既に勢ぞろいしている。自慢の黒豚しゃぶしゃぶをいただく手筈になっていた。

きびなご、さつまあげ、豚足煮

今まで見た中で一番美しいきびなごだった。酢味噌が添えられていたが、塩を頼んで食べた。さつまあげもいい。鹿児島で食べるさつまあげはいつも熱々だ。
豚足というより角煮のようだ。一流の料理屋らしく品のいい料理に仕上げた。豚足を嫌いだという人も気付かず食べ尽くしている。

豚しゃぶしゃぶ

毎度のことではあるが、豚肉をすべて鍋に放り込む人がいる。彼にとってはしゃぶしゃぶなどという料理は存在せず、いつも寄せ鍋になってしまう。ありがたいことに肉質がいいので、しばらく鍋の中を泳いでも肉は硬くならない。

牛しゃぶしゃぶ

黒豚の脇役に追いやられてしまった感があるが、黒毛和牛も鹿児島名物である。味比べをすることにした。やはり牛肉の方が濃厚な感じがする。悪くないと思ったが、他の人は黒豚の方を支持した。豚肉の方があっさりしている。牛肉を食べた後の鍋には黒豚のときにはなかった親指の爪ぐらいの大きさの脂がびっしり浮いていた。

遅れてやってくる予定の2人が食事会に間に合わなくなったので、2人のためにとっておいた豚肉も食べることにした。テーブルの上でラップをかけられて出番を待っていた肉だが、食べてみると味が違うのに驚いた。約1時間の間に変質してしまったのだろうか。

以前、銀座らん月で食べたとき、余った牛肉を持ち帰ったことがあった。家人が喜ぶと思ったが、食べてみると別物の肉に変わっていた。かくも繊細なものである。

旅に出て土地のものを食べると格別に美味しく感じるのは、気のせいというわけではない。どんなに流通技術が進歩しても、食品・飲料に旅をさせると殆どが味は劣化する。

旅をして地の物を飲み食いするのが最高の贅沢だと思う。


福わらじ
鹿児島県鹿児島市平之町13-3
099-222-3241
http://www.fukuwaraji.jp

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2007年10月22日

[長野](福岡)

福岡で1番人気の水たき屋さん


福岡は鍋も美味しい街である。ふぐ、あらなどの高級な鍋、もつ鍋などの庶民的な鍋。水たきでは新三浦などの高級店もあるが、安くて美味しいと人気なのが長野である。
営業時間が12時~21時までと、間に休み時間がないので旅行者にとっては重宝する。

安い店と聞いていたのでボロ家かと思っていたが、意外ときれいなので安心した。お客様が一緒なので心配したが杞憂に終わった。
メニューは簡単、選択肢はあまりない。水炊きは1人前2,250円。骨付き肉か、つくねかを選択する。鳥皮の見た目が嫌いと言うひ弱な部下の希望で、2対1の割合でつくねを多く頼んだ。

お通し、スモークチキン、から揚げ

鍋以外は酢もつのお通しだけと素っ気無いのでスモークチキンとから揚げを追加した。写真は2人前だが、それぞれ1人前370円と良心的な価格である。

仲居さんが器にネギを入れてスープを注いでくれる。脂っぽくてちょっと臭いが気になる。他店では臭い消しに胡椒を入れるが、長野には胡椒を置いていない。

早い時間でお腹が空いてないこともあって、なかなか鍋の中身がなくならない。野菜を入れたら、少しずつみんなの箸が動く。野菜が臭い消しの役目もしたようだ。銀髪はスープをお代わりしようとするが、穴あきの兼用お玉が使いにくい。

長野で使う鶏肉は博多ブランドの「華味鳥」。料亭「華味鳥」は昨年銀座にも出店したが、もともとは鶏肉屋。長野にも供給していることになる。
正直言うと、料亭「華味鳥」のほうが長野より美味い。鶏肉自体が上等のようだし、スープも癖が少なく東京人には食べやすい。

長野の魅力は何と言っても値段。6人で食べて飲んで2万円強。華味鳥や新三浦ではそうはいかない。博多の人と味覚を共有できる人は長野へ行ったら大満足だろう。

そうそう、どちらにしても大事なことは、お腹を空かせていくことである。前日の暴飲暴食&夜更かしが影響するようではグルメの資格はない。


水たき 長野
福岡県福岡市博多区対馬小路1-6
092-281-2200

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2007年10月21日

[あきちゃん](福岡中洲)

我慢できない飲んだ後のラーメン


母は「屋台のラーメンなんて死んでも食べたくない」とよく言っていた。屋台では大きなバケツに突っ込むだけでどんぶりを洗ったことになる。
亡くなった父は「汚い店が美味しい」と主張した。子供心に父親に味方したい気持ちもあったが、日々ご飯を作ってくれる母には勝てない。行儀よく母に従った。

福岡に住んでいたのは約50年前。父は夜な夜な中洲で飲んだくれていた。もしかして、父はあきちゃんにも寄ったことがあるのではと期待したが、大将は40年の経歴というからちょっと若い。

あきちゃんは中洲のスナックのママに奨められた。ラーメンを食べたいと言ったら即座に名が上がるぐらいの有名店で、芸能人などもよく訪れるという。屋台の席は一杯だったので、公園の縁石に腰を下ろして食べた。

10年ほど前、長浜の屋台で食べたラーメンはトンコツ臭がきつくて参ったが、あきちゃんのラーメンは思ったよりあっさりしていた。味が変わるからと紅しょうがを置いてない有名店が多いが、最初から紅しょうがが入っていた。拍子抜けしたが、これが多くの人に長く愛される秘訣かもしれない。

中洲の一流クラブの美女たちもしゃがんでラーメンを食べている。銀座では絶対見ない光景だ。もともとラーメン屋台など銀座にはないけれど。

母が嫌った屋台のラーメン屋だが、学生時代に兄たちと新宿でよく食べた。3人兄弟で飲むときの決まりは、1軒目が長兄、2軒目が次兄、そして3軒目のラーメンを銀髪が支払った。これで割り勘だと末っ子にも花を持たせる優しい兄たちだった。

飲んだ後にラーメンを食べてはいけないと思う今日此の頃。東京ではグッと我慢するのだけれど、博多に来たら我慢できない。明日の胃もたれは確実だが、旅の楽しみと戒めを解いた夜だった。


あきちゃん
福岡市博多区上川端町7(冷泉公園横)


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2007年10月15日

[華凛](鹿児島)

鹿児島の居酒屋で


鹿児島の知人たちと飲むことになった。指定された店の名は「かりん」と聞いて、昼間行った華蓮の間違いではないかと思った。タクシーの運転手さんに告げるとやはり華蓮しか知らないと言う。指定された場所に向かうと確かにあった。華凛だった。

鹿児島は黒豚だけでなく、魚介類も豊富だ。地物を食べるにはうってつけの店のようだ。

刺身盛合わせ

鹿児島湾(錦江湾)で一年中獲れる鯛は特に有名。

さつまあげ、めひかり

鹿児島滞在中に何度も食べたさつまあげの第一弾。屋久島産トビウオをメインに海老を加えた「つきあげ」と称していたが、熱々揚げ立てのさつま揚げは本当に美味しい。
めひかりは宮崎産。地方都市に来たら傷みやすい小魚の方に有り難味がある。

豚足

他の料理は2~3皿頼むのに、豚足は誰も食べたいと言わないので一皿だけ頼んだ。煮込んでから焼いた豚足はプリンプリン、コラーゲンタップリで非常に美味。1個食べて、この美味しさを誰かと分かち合いたいと思ったが、結局誰も欲しいとは言わなかった。

東京からせっかく鹿児島に来たのに食のチャレンジャーは銀髪一人だけ。みんな北海道産のさんまの塩焼きやキムチなどを食べて喜んでいる。何とも理解できない。
もっとも銀髪が少数派なので、おかしいのはこちらということになる。

カキフライ

地物にこだわった銀髪だったが、カキフライには手をつけた。今シーズン初めてだったからだ。岩手産だろうか。いまだに30℃を超す日が続く鹿児島で秋の訪れを感じるのは、北からやってきた食材のおかげに違いない。

森伊蔵や伊佐美などの有名焼酎をたくさん飲んで、たらふく食べて、一人5,000円くらいだった。地元の人にとっては当たり前かもしれないが、東京人にとっては驚きの値段。満足度が高い居酒屋だった。

華凛
鹿児島県鹿児島市東千石1-7 1F
099-219-9483

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2007年10月14日

[華蓮](鹿児島)

鹿児島で食べるのはもちろん黒豚


ランチタイムになった。タクシーの運転手さんに美味しいトンカツを食べたいと聞くと二軒の名が上がった。一軒はタクシー座席前のホルダーにパンフレットが刺さっている華蓮。「どちらが美味しいの?」と聞くと、返事に困っている様子。そりゃそうだ。華蓮を奨めなければタクシー会社に怒られる。

パンフレットを見ると、JAが直営する店とのこと。素材の出所はしっかりしているので、運転手さんを安心させることにした。「華蓮に連れてって」と頼むと、車はより軽快に走り出した。

JAと聞いて想像した以上に店内は立派な造りで、我々も安心した。メニューを見るまでもなく、頼むのは決まっている。部下はヒレカツを頼んだが、銀髪はロースカツを選んだ。

ロースカツ定食

まず何も付けずに食べてみる。次にテーブルの岩塩を皿に挽いて、カツに付けて食べる。それから醤油、ソースの順にかけて食べる。上手に揚がったカツはとても美味しかった。おそらくタクシーの運転手さんは華蓮で食べたことがないのだろう。もし食べていたら、困惑することはなかったはずだ。

ヒレカツ&ロースカツ

翌日の昼食は別の店でヒレカツを食べた。鹿児島のちゃんとした店なら必ず黒豚を使っている。なかなか上手に揚がっていて悪くなかった。

その次の昼もトンカツを食べた。グルメ紀行を始める前には絶対にしたことがない三連チャンである。鹿児島に滅多に来ることがないこともあるが、味を忘れないうちに食べ比べをする方がいい。

結論はどの店も美味しかった。食べ方は塩で食べるのが一番いい。ヒレカツよりロースカツの方が美味い。日本人ほど肉の脂を好む人種はいない。牛肉は霜降りを好むのに、豚肉の脂は太るからと敬遠されてきた。実際、以前は豚の脂は美味しくなかったが、品種改良や餌のせいかイメージが変わってきた。コラーゲンやビタミンBを豊富に含むというので女性にも人気が出てきたが、お腹が気になる中年男性もそれほど気にすることはあるまい。

いずれにしても鹿児島で食べたトンカツは、どこで食べても美味しくて3連チャンも辛くなかった。


華蓮
鹿児島県鹿児島市山之口町3-12
099-223-8877
http://www.karen-ja.or.jp

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2007年10月04日

[やま中](福岡)

福岡で一番人気のもつ鍋屋さん


福岡出身の人に福岡で一番美味しいもつ鍋の店を聞いたら「やま中」だと言う。福岡担当の部下に伝えると、彼の携帯電話にも登録されていた。
予約の電話を入れさせたら、受付は3時からとテープの声が流れる。3時過ぎに電話したら話し中。10回以上かけて、電話が壊れているかもと心配になった頃にようやく繋がった。凄まじい人気のようだ。

5時半頃店に行った。部下は超汚い店との情報を得ていたが、気楽な接待ならOKのきれいな店だ。5時開店というのに店は半分以上埋まっている。
店員のお奨めに従ってみそ味の牛もつ鍋(1人前1,260円)をメインに選び、酢もつ、牛ほほ肉甘煮、冷奴を前菜にした。お通しは枝豆。

酢もつ、牛ほほ肉

もつ鍋の前に酢もつというのがもつ鍋屋の常識のようだ。牛ほほ肉は西洋料理屋で何度も食べたことがあるので、酢もつよりは食べやすい。

もつ鍋、野菜

もつ鍋は熱々で運ばれて来るので、鍋に乗せて火をつけるとすぐに食べられる。客を回転させるための工夫だろう。コンロはカチッと鳴るところまで回すと、鍋は煮えたぎるが吹きこぼれがないのが不思議だ。

せんまい、ちゃんぽん麺

アッと言う間に鍋が空になりそうなので、もつとせんまいを追加した。焼肉屋で出てくるようなせんまいを想像したが、意外とコリコリして美味しい。

〆はちゃんぽん麺。いくらでも食べられそうだったが、少しばかり遠慮した。スープをたらふく飲んだのでほぼ腹一杯。

やま中本店は西鉄大橋駅近くにあり、博多の中心からは少し外れる。最近、街中の赤坂に新店舗ができたそうで、こちらも連日満員とのこと。

美味しいもつ鍋に満足したが、やっぱり汚い店のほうが風情があると思ってしまう。周りを見渡せば男たちだけのグループよりも女性のいるテーブルの方が多い。彼女たちにすればきれいな店の方がいいに違いない。

デートでも行けるもつ鍋屋さんだが、子供はお断りなので家族では行けないのがお母さんには残念だろう。


博多もつ鍋 やま中 本店
福岡県福岡市向野2-2-12
092-553-6915

やま中 赤坂店
福岡県福岡市中央区赤坂1-9-1 サニー赤坂店2F
092-716-2263

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2007年09月24日

[博多 だるま](福岡)

思い出のラーメンを求めて


約8年前、福岡で衝撃的なラーメンに出会った。幕を張ったような濃厚なとんこつスープは忘れられない。
もう一つ驚いたことは、地元の人たちの誰もが紅しょうがを入れないで食べていることだった。

その秀チャンラーメンが東京赤坂に支店を出したと知って喜び勇んで出かけた。赤坂氷川公園近くにあり、赤坂の繁華街からはちょっと離れている。それでも名声はとどろいているらしく、開店の12時を過ぎると待ちかねたように次々と客が入ってくる。

テーブルに紅しょうがが置いてあったが、入れないで食べた。濃厚なスープではあるが、本店ほどではないようだ。記憶がいい加減なのかもしれない。

福岡出張で美味しいラーメン屋を探したら、「博多 だるま」が引っかかった。店の前の立て看板を見ながら開店を待った。策略にまんまと引っかかって、カウンターに座るなり看板で推奨の豚足と餃子を頼んだ。

豚足は意外と噛み応えがあり驚いた。小振りな餃子は600円とちょっと割高に思える。
豚足を見ただけで毛嫌いしている部下に餃子は任せた。

ラーメンは美味かった。調理場の右奥に控える大きな羽釜で豚足を2日間に渡って煮込んだという自慢のスープ、固めに茹でてもらった麺、タップリの九条ネギがよくバランスしていた。この店のテーブルに紅しょうがは置いていない。紅しょうがで味を濁すなということだろう。

食べ終わって勘定を払うときに手にした店の宣伝用小片で、秀ちゃんラーメンが系列店であることを初めて知った。

だるまは美味しかった。それにしても、系列店でありながらそれぞれ味が違う。敢えて言えばだるまは秀ちゃんらーめん(博多)とラーメン屋秀(赤坂)の間の味だろうか。九条ネギのおかげか、京都ますたにラーメンに似ているかもしれない。

福岡空港の土産屋でだるまのラーメンを見つけた。買おうかどうか迷ったが、止めにした。家で食べるより、福岡に来たときの楽しみに取っておこうと思った。


博多 だるま
福岡県福岡市中央区渡辺通り1-8-26
092-761-1958

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2007年09月23日

[鉄なべ](福岡・西中洲)

博多でも餃子で一杯、腹一杯


「鉄なべ」に行くのは2度目だ。前回と同様、既にお腹が一杯の状態なのに「味自慢餃子の店」の文字に惹かれ、熱々をイメージさせられる鉄なべの店名に負ける。

一軒目の食事が5時スタートだったので、鉄鍋の前を通ったのは7時15分。1階のカウンターはほぼ満席で我々3人は予約客が来るまでの時間限定ということで2階に通された。

鉄なべの看板料理が餃子であることは言うまでもないが、馬刺し、鯨、その他の酒の肴も豊富だ。銀髪はごまさばだけ食べればいい。部下はトマトも食べると言う。

最年長者が「餃子2人前!」と威勢がいい。お腹一杯で本当に食べられるのかな?と、思ったが餃子屋で餃子を頼まないわけにはいかない。素直に従った。

銀髪はごまさばに専念した。地元の最年長者は目もくれないが、我々よそ者にとっては博多に来たら生の鯖を食べたい。関さばでなくても新鮮な鯖は生で食べることができるはずだが、九州以外では殆どお目にかかることがない。

以前は生で食べることがなかったさんまは、今や刺身の人気者だ。輸送や保冷技術の発達で意外なものも生食用に供されるようになったのに、未だに鯖は酢でしめるのが定番のままだ。
東京でも刺身で食べられるようになればいいと思うものの、やっぱり博多で食べる方がいいと考え直す。どこでも食べることができると、それはそれで味気ないものだ。

約束どおり8時過ぎに店を出て、すぐ目の前の橋を渡って中洲に入った。華やかなドレスや着物の女性がネオンの街に色を添える。

さてさて、これからホテルに帰ろうか。どこかの店に潜り込もうか。思案のしどころである。


鉄鍋
福岡県福岡市西中洲1-5
092-725-4688

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2007年07月14日

[宝雲亭](中洲)

博多ひとくち餃子発祥の店


博多に出張すると、飲んだ後すぐにホテルに帰る気がしないから困ったものだ。ラーメンにするか餃子にするか部下に聞くと餃子がいいという。本家奉天に行こうかと思ったが思い止まった。いつも同じ店では芸がない。

目と鼻の先の宝雲亭に入った。下調べもなく入ったけれど、入り口左の調理場を見て安心した。本家奉天と同様に小麦粉を練って棒状にしたものがオーダーを待っている。本家奉天と比べると小麦粉の棒は細い。

お通し

湯がいた鳥皮の酢の物でビールを飲む。一人前10個は多いかと思ったが、仕方なく2人前を頼んで餃子が来るのを待った。

餃子

普通は焦げ目のついた方が上になるが、この店は違っている。部下が写真を撮るためにひっくり返しましょうかと提案するが、それを制した。ありのままが一番いい。
皮は非常に薄い。本家奉天より小麦粉の棒が細い理由が分かった。玉ねぎとにらを使い、にんにくを入れないというので、結構軽い。一人前が10個というのも頷ける。

東京に戻って調べてみると、宝雲亭が博多ひとくち餃子発祥の店とある。創業は昭和24年というから50年以上の歴史を有する老舗ということになる。

目と鼻の先にある2店は、共にオーダーを受けてから皮を麺棒で伸ばし、具を包んで焼く。しかし、皮の厚さ、具の内容などはまったく別物だ。好みは分かれるかもしれないが、腹具合や翌日の予定に合わせて選ぶのもいい。

東京でも玉川高島屋などで買えるようだが、中洲で作りたてを食べた方が美味いに決まっている。


宝雲亭
福岡県福岡市博多区中洲2-4-20
092-281-7452
http://www.houuntei.co.jp/

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2007年07月13日

[鹿六](博多)

頼んだ料理はちゃんと食べよう


「中洲の多門通り」とタクシーに言えばすぐに分かると言われたが、老境に入った運転手さんは知らなかった。降ろされたところで迷って店に電話をしたら、走って迎えに来てくれた。通りといってもタクシーが入ることが出来ない路地だから、中洲で遊んだ人でなければ分からないだろう。タクシーに憤る気持ちはすぐに消えた。

居酒屋というより割烹に近いが、カウンターには大皿料理が並ぶので小料理屋風でもある。気楽な接待なら充分使えそうだ。

お通し、お造り

お通しはシャコのにこごりを被せた卵豆腐。お通しもちゃんとした仕事をしている。刺身はお奨めのあらとひらす(平政)。あらの内臓が珍しくて良かった。

まじゃくの唐揚げ、まじゃくの塩辛

有明名産のまじゃく。海老に似てなくもないが、姿は醜い。恥ずかしいのか泥の中で生活し、穴に棒を突っ込まれるとハサミで撃退しようとして引き上げられてしまう。唐揚げは香ばしくて悪くないが、塩辛はホヤに似て癖がある。好きな人には堪らない酒の肴だろう。

いわしの糠どこ焼き、いわしの甘露煮

糠の臭みを好むかどうか、これも好き嫌いが分かれそうだ。甘露煮は万人好みの安心な味。

ここまでで、銀髪の興味のある料理はなくなった。客や部下に任せたら、きゅうりの漬物、ポテトサラダ、さつま揚げ、車えびの塩焼き、ゴーヤ炒め、きんき塩焼き、葉わさび、ほうれん草のおひたし2種、角煮など頼む、頼む。

お腹が空いているならどんどん頼んでくださいと言ったけれどと、行儀の悪い食べ方にはムッときた。キンキの頭も残さず食べろとまでは言わないが、一番美味しい首周りの身をたくさん残してサッサと店員に片付けさせるのを見て腹が立った。せめて「お腹が一杯になってしまったので、残してすいません」とでも言ってくれれば銀髪だけでなく、料理人を傷つけることもなかっただろう。

ご飯、味噌汁

料理を残しながらも、ご飯は食べたいようだ。じゃこめしとグリーンピースのご飯を追加する。博多ネギで覆われたしじみの味噌汁が美味だった。

勘定をしながら料理人に食べ残しがあったことを謝った。笑顔で会釈を返すのを見て、料理人と心が通ったように感じた。


小味処 鹿六
福岡県福岡市博多区中洲3-4-2
03-271-5857

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2007年06月30日

[稚加栄]2(福岡)

博多で一番人気のランチ


稚加栄は博多でもっとも有名な料亭の一つである。空港やデパートの販売店で明太子などを買った人も多いだろう。これまで何度か夜の接待で利用したが、ランチに来るのは初めてだ。稚加栄の限定500食のランチは地元では有名で人気が高い。

博多に来たら日付が替わるまで飲む。飲んだ後は餃子でビールか、博多ラーメンで締める。朝は意地汚くホテルのバイキングをたくさん食べる。いつも同じ道を辿るので、稚加栄のランチにありつくことはなく、博多うどんで軽く済ませることが多かった。今回は客と行くということで、前夜早めに帰り朝は軽く済ませた。

ランチは和定食と特製手打蕎麦定食の2種類。全員が和定食を選んだ。茶碗蒸し、野菜の煮物、刺身、いわしめんたい、天ぷら、渡り蟹の味噌汁、ごはん、漬物がお盆の上に所狭しと並ぶ。

大きな生簀から魚を網ですくい、数人の板前が並んで魚をさばいているのが遠くに見える。目の前に来た立派な刺身を見たらもう辛抱堪らない。客と目が合い、どちらからともなく声をかけた。「ビールでも飲みますか?」
味噌汁の中の渡り蟹にはしっかり身がついているのでしゃぶりついた。蟹のだしが効いた汁はビールのあてにもなる。

熱々の茶碗蒸しには鶏肉とぎんなん。定食でよくある具のない茶碗蒸しではなかった。
宴会の料理同様に、天ぷらは冷めているかと思ったら温かかった。
いわしめんたいはお土産屋でも売っている人気商品。ビールがもっと美味くなる。

立派なおかずとビールでお腹が膨らんだが、チューブ入りの明太子が気になって仕方がない。

ご飯にかけて一口、二口。もう一度かけて、三口、四口。

これで1,200円だから行列が出来るのも無理はない。夜の稚加栄は敷居が高いと言う人も楽しめる値段だ。しかし、これで満足してもらってはお店も困る。夜を知らずして満足するなかれ。東京に比べれば夜の値段も驚きの稚加栄である。

博多はいいなー。


稚加栄
福岡県福岡市中央区大名2-2-17
092-721-4624
http://www.chikae.co.jp/

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2007年06月29日

[鮨隆](福岡)

博多駅前でいい店見つけた!


何度も福岡に来ているが、博多駅前ではラーメン屋以外は入ったことがない。客の希望を聞くべきだろうが、「寿司屋に行きたい!」と自己主張する銀髪。連れて行かれたのが博多駅筑紫口から歩いて数分、外から見える生簀が気になっていた店だった。店に入るともちろんカウンター席に。野郎同士で向かい合っての食事は辛い。美味い料理を前にして仕事の話なんかしたくない。

いかの活き造り

地元の物を中心にお任せしたら、最初に出てきたのは佐賀県唐津・呼子のいか。博多で生簀を持つ料理屋の定番だが、他にも食べたいものがあるので、少し小さめのいかを頼んだ。

刺身盛合わせ

海老、玄海の鯛、大分の関さばに加えて鮪が出てきた。そこで意地悪な質問。「インド鮪?」「本鮪です」「国内産?メジ鮪?」「いえ、大西洋産です」。
先日、築地市場内で仲卸に教えてもらったばかり。今の時期、国内産で大物の本鮪は殆ど取れない。上物は大西洋産で築地に空輸されて来るとのこと。期待した答えが返ってきて店に対する信頼感が増した。

穴子の刺身

店主イチオシは穴子の刺身。立派なサイズの対馬産活き穴子を生簀から取り出して見せてくれる。穴子の頭を高くかざして首に包丁を入れる。さばいた穴子は身の表面を軽く炙って刺身にする。炙った皮を添えて我々の目の前に出てきた見事な穴子。ポン酢を奨められたが塩をつけて口に運ぶ。肉厚の穴子の美味いこと、美味いこと。広島「水軍の宴」の穴子塩焼きを抜き去ってトップに躍り出た。穴子はこれから旬を迎える。

あげ巻き貝、あじ、しまあじ

地元のお客様が絶対食べろと頑張った貝とあじ。しまあじは店主の推奨。あじの脂が光り輝き、さすが脱帽の美味さだ。

赤貝、とり貝、ゲソ焼き

九州産の貝を2種類。ゲソは最初に出た刺身の残り。焼き加減が絶妙で、ネットリして味が深い。やはり魚も肉も焼くとさらに美味しくなる。

穴子、雲丹、佐賀牛

雲丹はアカウニ。バフンウニとムラサキウニしか知らなかったが、アカウニは主に九州西岸で獲れる。高級寿司ネタとして人気があるというので、銀髪は海苔を巻かずに食べた。一度殻から直接食べてみたいものだ。
佐賀牛霜降りの寿司でお開きにした。

店に入ったときはアシスタントかと思った若者が、実は二代目店主の二田さん。笑顔が凛々しい若干28歳の料理人で、包丁さばきもあざやかだ。笑顔でお見送りしてくれたのが若奥さん。夫婦でやっている店はいい店が多いが、鮨隆も例外ではなかった。
引退して若い息子夫婦に任せてしまった先代は、怠け者なのか人格者か。多分後者だろう。30年の歴史がある店を任されて、若夫婦が成長しないわけがない。

ご満悦の銀髪以上に喜んでくれたのはお客様。紹介した手前、銀髪がどう反応するか心配していたようだ。3人で酒もそこそこ飲んで合計26,000円。店主夫婦、店員、お客様、銀髪、部下、みんなニコニコ、最後はお財布もニコニコだった。

鮨隆本店
福岡県福岡市博多区博多駅東1-12-26
092-431-6046

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2007年04月26日

[やま田](福岡)

五島列島料理とは


五島牛やうどんがよく知られているが、最大の売り物はもちろん鮮魚である。福岡を担当する部下が絶賛する店に行った。

お通し、あおさの天ぷら

お通しは飯だこ。最近よく口にする旬の食べ物だ。銀座「天川」は絶品だった。
荒木町「四万十」の海苔の天ぷらも秀逸だったが、やま田のものも美味い。この日一番の収穫だった。

鯨盛り合わせ

「長崎産鯨」の文字に目を疑った。鯨と称して出す店もあるのでイルカだろうと聞いたらミンクだという。調査捕鯨以外では獲れないなずだが、混獲で網に入ったものかもしれない。店員が自信を持って長崎産のミンクと言うので頼むことにした。
出てきた皿を見たらますます納得できなできなくなってしまった。

揚げ巻貝、鯨竜田揚げ、里芋団子

鯨を敬遠する他の人たちも貝のバター焼き、ミンク鯨(?)の竜田揚げ、里芋団子の揚げ出しには満足気だ。

五島牛のステーキ

伝説の和牛の血を引く五島牛は高級品だ。味見だけすることにしてロースステーキ110グラムを頼んだ。これで3,800円。いい肉だとは思うけど、鈍感な銀髪に味の違いは分からない。高級牛の霜降りステーキはやはり脂っこくて辛い。齢とったー

五島鯖しゃぶしゃぶ

腹を満たすのはお目当ての鯖のしゃぶしゃぶ鍋。さっと湯がいてたべたら、生臭さが鼻についた。濃い味のだし汁でも生臭さは消えない。少し長めに火を通したら食べやすくなった。
皿を鍋の近くに置いてあるせいか、室温でもさばの脂が溶け出すのが分かる。生のまま柚子胡椒をつけて食べてみた。これが一番美味い。博多で鯖を食べるなら生食に勝るものはない。五島の脂の乗った鯖や鯵を食べて高級魚「クエ」が美味に育つ。

鯖や野菜の味が溶け込んだ鍋に入れたそうめんは苦もなく腹に収まる。美味い! 
苦しい腹をさすりながら店を出ると、店長がお見送りをしてくれた。そこですかさず質問した。「鯨は本当に長崎で獲れたの?」答えは簡単だった。「北欧から長崎の業者が輸入したものです」

それは長崎産とは言えないよ!


五島旬鮮工房 やま田
福岡県中央区春吉3-11-19 ジャスマックビル1F
092-738-0512


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2007年04月19日

[久米](博多)

口コミだけで繁盛する店


タクシーに乗って地元のMさんに教えられたとおり「警固小学校の並びのくめって店なんですが、わかりますか?」と聞いたら、「あぁ、なんかあのあたりに店がありましたね。たしか漢字ですよね?」との返事。近くを通ったときに目にした目立たない店を覚えていてくれた。

店に入ってカウンターに陣取りMさんを待つ間にビールを頼む。大将に「写真を撮ってはだめです」と言われて青ざめた。「冗談ですよ!」の声にホッとするが、電話帳に載せてないというから半分は本音。店の電話番号を載せない店は「あきば」に次いで2軒目だ。

お通し

お通しは黒のりといわしの2品。黒のりはごま油と唐辛子を加えて韓国風に仕上げてある。

しらさえび、小丸ふぐ

初めて見た名前のものを2品。しらさえびは車えび科のヨシエビと言われれば聞いたことがある。小丸ふぐはヒガンフグと呼ばれるものらしいが、食べた記憶がない。ねぎ、みょうが、のりを加えてポン酢仕立てで立派な一皿になる。

ひらめ、なめろう

厚めに切った昆布締めひらめはとびっこをまぶして、小山の盛りつけに驚かされる。いわしをベースに作ったなめろうは見よう見まねのオリジナル品。創作料理に意欲を燃やすタイプの料理人というのが見えてきた。一流料亭などでの修行経験がないことが、自由な発想の料理を作れる所以かもしれない。

ようやく大将と打ち解けて話が弾むようになってきたら、「これを食べてくださいよ!」と奨め始める。

テールの塩焼き、レバー刺し

鹿児島産黒毛和牛にこだわる大将自慢の二品。テールの塩焼きは固くて食べ辛いだろうと心配したが、柔らかくて驚いた。長時間煮込んであるようだ。煮込みすぎると崩れてしまうので、鍋から目が離せないというから手間ひまかかった逸品である。自慢は当然に思えた。
レバーも単純には出してこない。厚めに切ったレバーがよくタレや薬味に合っていた。これまで脇役としか思っていなかった博多ネギが立派に存在感を持っている。

ラーメン

これもお奨めの一品。コクがあり濃い目のスープに感じるが、食後感は重くない。

若く見えた大将だが店を開いたのが22年前というから、銀髪と同じくらいの年齢と推測できた。尋ねると今年51歳なので銀髪の一つ下。もっとも、驚いたのはこちらより大将の方。「そんなに老けて見えますか?」と銀髪が言うと、「でも、肌を見たら若いですよね」と言う。それじゃ否定になっていない。しっかり肯定している。

和気あいあいでお開きとなった。宣伝をしないという大将の主義を尊重して、住所、電話番号は書かない。どうしても知りたい人は、他の人のブログを参考にしてもらおう。

久米を紹介しているブログ
http://blog.livedoor.jp/ken123atara456/archives/50709050.html

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2007年01月04日

[瓢六天草] &[馬桜](熊本)

馬刺しの競演


昨年12月30日に掲載した熊本での結婚式、その日はすんなり終わらなかった。新郎新婦とその友人たちの2次会に出るほど野暮じゃないので、別行動をすることにしてホテル近くのスナックに行った。ところがわが社の連中は銀髪に倣ったのか食いしん坊である。
お腹一杯かと思ったら、近くの店から出前を取ると言う。店の人が電話したのは「瓢六天草である」。瓢六と天草の2店の名前が合わさって割り箸の袋に書いてあった。

馬刺し盛り合わせ①

白いのがコウネ(タテガミ)、赤身とレバーの3種類の刺身が届けられた。目の前に出てくると食べてしまうから不思議だ。辛子蓮根もあったが、青柳と同様にそれほど辛くはなかった。
比較的気軽な店ということだったので、次回は店に行こうと思った。出前で料理を判断するのは酷な話だ。

皆が一通り歌い終わると1人がラーメンを食べに行こうと言い出した。スナックの女性のオススメに向かって歩き出したが、部下二人の足が遅い。フリーペーパーに載っている馬のモツを食べさせる店に行こうと話し合っている。土地勘もないのに、フリーペーパーの店を探すのは無謀だ。宣伝に釣られて行っても後悔するだけだと諭して、目の前にある「馬桜」に偵察に行かせた。そこで彼らの希望のものが食べられるらしいことが分かった。フリーペーパーより自分の目や勘の方が確かである。

馬刺し盛り合わせ②

先ほどのスナックで食べなかったものを4種類頼んだ。右上から時計回りにタン、ネッコ(大動脈)、心臓、フタエゴ(内ばら肉)。部下二人とも初めて食べるものが多く満足したようだ。

馬焼き

そして馬の焼き物。上さがり(ハラミ)と上ホルモンを焼いた。肉は生もいいがさすがに飽きる。新鮮な肉を焼いたらまったく別の食べ物・味になる。
ビールを飲み、酒を飲み、再びビールになった。話も進むうちにビールを度々追加する。

翌日2人は青い顔をして起きてきた。お酒はほどほどに。

瓢六天草
熊本県熊本市銀杏通り光視堂ビル1階
096-353-0311

馬桜
熊本県熊本市下通1-12
096-355-8388


馬桜の料理代金
上タン刺し 1200円
フタエゴ刺し 980円
心臓刺し 700円
ネッコ刺し 900円
上ホルモン焼き 980円
上さがり 1200円

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2006年12月30日

ホテル日航熊本、結婚式

結婚式の風景は随分変わった。

前菜

1985年から7年半オーストラリアに滞在した。その間、当然のことながら日本で行われた披露宴に出ることはなかった。オーストラリアでは後輩の結婚式を含めて数回招待されたが、仲人はなく披露宴の最後の挨拶は新郎が行うことに驚いた。あれから20年、日本でも結婚式・披露宴は随分変わった。

仲人を立てなくなったのは有難い。銀髪のときは誰に仲人をお願いするか随分と悩んだが、今はその心配はない。以前は何件の仲人を務めたか威張る人もいたが、突然仲人を頼まれて迷惑だった人も多いだろう。仲人をやる歳になっても今はその心配はない。新郎も何も知らない妻を煩わせることもない。
主賓であってもチャペルでの結婚式で特別な席は用意されない。その他大勢の中で静かに二人を祝福する。

今日の場所はホテル日航熊本。高級中華料理の数々である。おそらく二人は味を殆ど覚えていないだろう。ふかひれ、北京ダック、あわび、牛肉、高級素材と凝った料理が人生最良の舞台を彩る。

それにしても食事風景も随分と変わったように思う。昔は和食の場合は鯛が、その他の料理も何か持ち帰るものが用意された。結婚式の料理のおすそ分けを家族が待っていた頃の名残だろうが、今は誰も喜ばない。引き出物も自分で選ぶスタイルが主流になった。遠くから来た人は帰りの荷物と格闘する心配がない。

出される酒も多彩になった。シャンパン、ビール、紹興酒、白ワイン、赤ワイン、日本酒。好みが多様化すると、主催者の気遣いも大変になる。今日のように中華であれば、ビール、紹興酒があればいいと思うが、それでは我慢できない人を黙らせるのも大変だ。

結婚式・披露宴の型がなくなったことは気楽でいいけれど、逆に難しいことも増えたように思う。以前は祝う側、祝われる側で厳然たるルールが存在した。ルールは皆を縛ることが目的ではない。老若男女が集う場所では、すべての人が納得できて楽しめる暗黙のルールが存在した。今はうるさいご隠居さんもいなくなり、年長者が格段に物分りがよくなってしまった。

静かにちゃんと聞いてもらえるのは乾杯の挨拶までである。次第に無秩序になっていく。それでもご飯、デザートと進み最後の新郎新婦、新郎の父の挨拶が始まる頃には再び会場は静けさを取り戻す。
それなりの秩序が今でもあるのかとホッとするところである。

ビデオなどのハイテク技術を駆使し、煌く照明と大音響に溢れたステージは終幕を迎えた。プロの司会者による円滑な進行も、演出家による華やかな舞台も用意されてないこれからの人生を、二人は手を取り合って歩き始めた。
チャペルで神に誓ったように永遠の愛を持ち続けて欲しいと祈るばかりである。

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2006年12月29日

[青柳](熊本)

熊本で懐かしの味を

部下の結婚披露宴に出席するために熊本へ行くことになった。披露宴は夕方からだが仲間より早い早朝の便で羽田を飛び立った。昼飯を熊本で食べようと思ったのだ。披露宴の料理は中華と聞いているので、この昼を逃すとせっかくの熊本を楽しめないと思った。

ところが下調べをする時間がなく思案しながら熊本市に向かうバスに乗ると、座席前のネットに観光客向けの冊子を見つけた。宣伝用の冊子で何度も痛い目に合ったが、昼飯だから我慢しようと思って決めたのが青柳だった。ビール一杯のサービスに釣られてしまった。

行ってみると割と大きな店だ。中に入ると女将と孫(?)のコンビが迎えてくれた。まだ片手の歳にも満たないような孫が店を走り回る。店構えに比べると意外に気楽な店だ。1人なので奥の鮨カウンターに通された。左の生簀に泳いでいるイカや寿司ネタにそそられないわけではないが、郷土料理にこだわることにした。

肥後盛(1,600円)

馬刺し(左から肝、たてがみ、霜降り)と盛り合わせ(辛子蓮根、ずいき、人文字のぐるぐる、桜納豆)。

自家製辛子蓮根は辛くなくむしろ甘い。人文字(一文字)のぐるぐるとは小ネギを茹でて白根の部分に青葉をぐるぐる巻きつけて辛子酢味噌で食べる。馬刺しに納豆を絡める桜納豆はこの店が発祥だとのこと。

団子汁

実はこの店のメニューで一番食べたかったのがこの料理。団子汁と書いて「だごじゅる」と発音する。小さい頃、我が家の食卓に頻繁に登場した料理だ。だごじゅるとけんちん汁が2大汁物だと記憶するが、銀髪はだごじゅるの方が好きだった。いわゆるすいとんだが、翌朝とろみがついて濁ってしまった汁がとても美味しかった。
兄も帰省すると必ず欲したお袋の味だが、もう遥か昔に食べたきりだ。

青柳の団子汁は品が良かった。もちろんとろみなど望むべくもない。思いでの味を楽しむつもりが、思い出の味のイメージが混乱してしまった。
久し振りにお袋にお願いしようと思わずにはいられなかった。


青柳
熊本県熊本市下通1-2-10
096-353-0311

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2006年12月25日

[天乃](福岡)

あらはふぐより美味しいというけれど

お客様と4人で食事に行くことになった。博多のスナックのママに紹介された店はヤフーで検索しても出てこない。グーグルで検索してようやく住所は分かったが、お店の情報はまったくないので不安になる。高級割烹の「あまのや」というのはあったが彼女から教えられた電話番号と一致しない。しかし彼女の紹介でこれまで失敗はないので信頼して予約した。

予約した後に天乃はあまのやの主人が7月に独立して開いた店だと教えられた。それなら大事なお客様をお招きしても問題はないはずだ。
新しい店ならわがままを許してくれるかもしれないと思って、ふぐコースとあらコースを2人前ずつ頼みたいと言ったら快諾してくれた。それから1週間、博多行きが待ち遠しくて仕方がなかった。

小さなビルの3階でエレベーターを降りるとすぐ入り口で、カウンターを左に見ながら進むと奥の座敷に既にお客様は到着していた。先付けを肴にビールで乾杯、すぐに相次いで刺身が出てきた。

ふぐ刺し、あら刺し

タレをつけると味が分からなくなるのでそのまま食べてみた。ふぐより厚めに切ってあるせいか、あらの方が甘く感じられた。

あら塩焼きと煮付け

焼いたり煮たりすると味がしっかりしてくる。刺身はあっさりとこりこりした感じもあるが、火を通した皮のあたりの身は脂が乗って美味い。

ふぐ唐揚げと白子焼き

やっぱりふぐの唐揚は美味い。白子はまだ小振りだが、なかなかのお味。

ふぐ鍋、あら鍋

右のあら鍋には脂が浮いている。ゼラチン質の部分が堪らない。ゼラチン質はふぐも負けてはいない。ゼラチン質が嫌いな部下のFは白い身の部分を選んで食べている。一番いいところを評価できないのは可愛そうにも思えるが、好みだから仕方がない。

ふぐ雑炊、あら雑炊

ふぐは淡白な味に仕上がっている。あらは脂のせいか濃厚な味わいである。銀髪はあっさりしたふぐの方が最後の雑炊には向いていると思った。お客様はあらの方が美味しいと言った。

2種類の料理を頼んだため店の女性は大忙しである。申し訳なくてFに鍋を取り分けさせようとしたが、長い菜箸を上手に使えず四苦八苦している。やむを得ず銀髪が仲居さんの代わりを務めた。

高級魚のふぐとあら2種類の料理を食べ比べることが出来て大満足だが、今日の素材がそれぞれのグランドチャンピオンという訳ではない。人によって好みも違う。

博多ならではと思わせる1人12,000円のコース料理。美味しいものを食べて、優劣をつける必要もあるまい。

はかた天乃
福岡県福岡市博多区店屋町5-5-3F
092-262-2689


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2006年09月22日

[河庄本店](福岡)  博多・西中洲の寿司割烹

博多で寿司屋と言えば河庄である。

博多の有名店の中で今まで縁がなかったのが寿司屋。寿司はカウンターで食べると決めているせいもあり、お客様との会食に使うことは避けてきた。河庄は寿司懐石もあるとのことだったので行くことにした。
創業は昭和22年。博多を代表する老舗寿司割烹だ。

店に入って左側に広いカウンター席がある。これを横目に見ながら座敷のある上の階に行く。我々にあてがわれた部屋は4人にしてはちょっと狭い。歴史や風格を取るか、今では当たり前になった掘りごたつ式の和室に変えるか、経営者が悩むところかもしれない。

料理は刺身から始まった。いかの上にうに、車えびの頭は殻を取り湯引きして食べやすくしている。中トロ、白身と文句のつけようがない。

あらのにこごり、ゴマ豆腐と野菜の煮物、酢の物などの小鉢数種

あらはどんな料理にしても美味い。小鉢は懐石らしい品のいい料理が並ぶ。酒飲みには絶好の品だが、大酒飲みは銀髪ただ一人の様子。仕事の話が中心となり、説明役の銀髪としては料理を味わうどころではなくなってきた。
聞き役に徹する他の人達の皿は次々と空いていくが、銀髪の箸の進みは遅い。それに反して喉を潤すため酒のピッチが早い。危険な兆候である。

土瓶蒸、あわびの焼き物、小鉢

もう土瓶蒸の時期になったのかと感慨深い。確かにだんだんと秋らしくなってきた。
あわびの焼き物が美味い。陳腐なコメントだが、軟らかくて味が深い。

仕事の話も一段落したので、なんとかみんなに追いつこうと料理を口に運ぶ。写真を撮る時間が惜しく、料理の内容を仲居さんに尋ねる余裕もない。
料理は量よりも質に重きを置くように前もって頼んでいた特別仕様。従って、定番のお品書きも用意されていなかったのが、残念だった。

椀物に続いて最後はもちろん寿司。名物の玉子焼きも乗っている。玉子焼きは白身を泡立たせてふんわりと仕上がっている。普通の玉子焼きとは明らかに違っている。

総じて品のいいきれいな懐石だった。しかし、出来ることなら次回はカウンターにしたい。寿司はカウンターで、板さんの講釈を聞きながら食事をするのが好きだ。

美人が横に居てくれたら、もっと楽しいけれど…


河庄本店
福岡県福岡市中央区西中洲5-13
092-761-0269

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2006年09月05日

[戻り駕](博多)   お袋の味

たまには気楽にお袋の味を。

いつものようにMさんの案内で、部下のFと博多で食事をすることになった。待ち合わせ場所は「出会い橋で」と言われたが、福岡が地元のはずのFはどこか分からないと頼りない。タクシーに連れて行ってもらったが、下車して左に行って橋の文字を読んだら違う橋。こちらは「出会えない橋だ」と皮肉ってもMさんは現れない。電話をしたら、右手の出会い橋から出会えない橋に小走りで迎えに来てくれた。申し訳ない。

「イタリアンはどうですか?」と聞かれたが、男と連れ立っていく気にはならない。「お袋の味は?」に素直に反応した。狭い西中洲の道を少し歩いて「戻り駕」に着いた。いい雰囲気だ。「カウンターと座敷、どちらにしますか?」と聞かれ、「カウンターがいい」と応えた。カウンターの前には大皿の料理が並べられている。これを見ながら飲む楽しさを捨てることはない。

目の前のおからを頼もうとしたら、先ずお通しを出しますからと制された。生ビールを飲みながら逸る気持ちを抑えた。子供の頃10年間住んだ町だから、お袋の味にちょっと興奮気味だったかもしれない。お通しを2品の後に、おからを頼んだ。

思い出すと豆腐、油揚げ、おからは我が家の主要な食材だった気がする。白和え、おからの味噌汁は嫌いだったが、おからを野菜と煮込んだのは好きだった。濃い味の今日のおからは母のおからに似ているように感じた。東京でたべるおからは甘く水っぽい。

カナギ、えいひれ

カナギとはイカナゴのこと。釜茹でのちりめんのイメージしかなかったが、干物で食べるのは初めてだ。Mさんが頼んだエイひれ同様に日本酒に合う。

煮物、ゴマ鯖、鯖の刺身

博多に来たら必ず食べる鯖。ゴマ鯖は我が家のものとはちょっと違う。博多の店で食べるゴマ鯖は鯖のゴマ醤油和え。ゴマ醤油漬けといった感じが我が家のものだったと思うが記憶違いだろうか。
鯖の刺身はシンプルで脂が乗って美味い。

写真はないが、「近場で獲れた秋刀魚が美味しいから是非」と言われて塩焼きを食べた。気温は30℃以上もあるのに、もう秋刀魚を食べる時期になった。確かに朝晩は過ごしやい。
秋刀魚はFと分けて食べた。お子ちゃまのFは尻尾、銀髪は腹の方。新鮮ならば腹わたの部分も楽しみたい。

がめ煮

最後にがめ煮を食べて帰るつもりが、昔話に花が咲いて食べるのを忘れた。せっかく大皿の写真を撮ったのに…

東京人を前にすると、みんな標準語を話そうとするが、戻り駕では女将さんの博多弁を楽しく聞いた。博多弁で返したいが、小学6年生の時に東京に行ったため、聞いて理解できるが話すことはできない。それがちょっと悔しくて、悲しかった。


戻り駕
福岡県福岡市中央区西中洲5-6
092-761-1007

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2006年08月08日

[本家奉天](博多中洲)  博多一口餃子

飲んだ後、いつも食べるのはラーメン。でも博多ではいつも餃子。

宇都宮以外にも餃子を売り物にする街がある。ヒマジンスキーさんや長兄が懐かしく思い出す「みんみん」は大阪餃子の代表格。55年前に日本で初めて焼き餃子を開発した元祖らしい。

中国では水餃子や蒸餃子が主流で、原則的に焼き餃子はない。オーストラリア・メルボルンの中華街でも焼き餃子を出す店は少なく、一軒だけ焼き餃子を売り物にしていた店はいつも日本人客で混んでいた。銀髪が餃子を皮から作るようになったのは、気軽に外で焼き餃子が食べられなかったからだ。

神戸では餃子は味噌だれで食べるそうだ。神戸で餃子屋やラーメン屋に入ったことがないので、その味にウンチクをたれることは出来ないが、日経夕刊でも絶賛していた。
神戸があるなら、日本一の中華街を抱える横浜も忘れてはならない。関内あたりに絶品の餃子屋があるらしい。

博多は一口餃子。特に中洲にある本家奉天が好きだ。

もっとも、いつもしたたかに飲んだ後なので、自分の舌の評価に自信はない。ヨタヨタと店に入ると焼き餃子とビールを頼む。部下は水餃子やラーメンを好むが、翌日のことを考えると最低限の自制心が働く。

餃子はオーダーを受けてから皮を伸ばして、包んで、焼くので多少時間がかかる。そんな皮だから水餃子もモチモチして美味しいが、やっぱり焼き餃子が一番。博多には他にもおいしい店がたくさんあるらしいが、直前まで飲んでいた店からエレベーターを降りてすぐなので他を探す気にならない。

餃子が出てくるまでにビールを一本飲んでしまう。ビールを追加する。ようやく出てきた一口餃子はすぐになくなり、追加したビールはまだ残っている。そこで餃子を追加する。餃子を待つ間にビールがなくなり、また追加する。うまくタイミングが合わずに飲み過ぎ、食べ過ぎになる。

翌朝タクシーに乗った途端に運転手さんに「にんにく食べたでしょ?」と、非難がましく言われた。反省、反省。

それでも、またエレベーターを降りたらフラフラと本家奉天に入ってしまうのだ。今日は餃子1人前、ビール大瓶1本にしようと思う。ところが焼き餃子が来るのを待っている間にビールを飲んでしまう。そこで‥

懲りない奴だ。


本家奉天
福岡県福岡市博多区中洲2-6-12 第5ラインビル1F
092-281-5218

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2006年07月17日

[桂花](熊本)   熊本ラーメン

熊本に行って、桂花ラーメンの本店を見つけた。

ランチをどこにするか決めないまま、下通りのアーケードを歩いた。右に左に目を走らせるがそそられる店は見つからない。半分ほど歩いたところで右側のクラブ通りの突き当たりに見覚えのある店名を発見した。「桂花」だ。同名の中華料理屋もあちこちにあるが、新宿のラーメン屋の桂花なら嬉しい。

近くに行くと、間違いなく熊本ラーメン「桂花」の本店だと分かった。決めた。今日のランチはここに決めた。本店の味を確かめることにした。

ところがメニューの多さには驚いた。東京の桂花はラーメン専門店で、桂花、太肉(ターロー)、阿蘇など数種類のラーメンしかないが、本店はちょっとした町の中華料理屋だ。炒飯、唐揚、餃子など多種類の料理がある。東京にあって熊本にないのはサラダ付きの完全食かな。

本店には酒類まで置いてある。ずるいじゃないか。東京は客の回転を重視するためかビールすら置いていない。缶ビールぐらい置いたって良さそうなものだといつも思っていたが、本店の方が客に優しい。

こんな桂花が東京にあったらいいのになー。夜にビールもない食事なんて許せないから、桂花に行くのは昼か飲んだ後しかない。

食べたのは桂花ラーメン570円。

他の料理も頼みたかったが、比べるなら定番の桂花ラーメンがいい。麺、スープともに新宿の桂花と変わらないが、値段は新宿の650円に比べて80円も安い。さすが本店だけある。
固めの太い麺は初めて食べたときに茹で足りないと思ったもの。白濁したスープは九州ラーメンの伝統を守る。どれも新宿と同じだ。

東京では酒を飲んだ後に新宿で途中下車して食べたくなる桂花。それをやると、体重を減らすことに苦労する羽目に陥ると分かっていながら我慢できない。3分の1だけ食べるぐらいならいいだろうと言い訳して店に入るが、スープまでしっかり飲んでいつも後悔する。

前日の深酒がたたって胃が疲れているが、いつものようにスープも殆ど残さず飲み尽くしてしまった。

桂花本店に来て新宿の支店を懐かしく思った。何だか逆の気もしないではないが‥


桂花ラーメン総本店
熊本県熊本市花畑町11-9 K-1ビル
096(325)9609

http://keika-raumen.co.jp/

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2006年07月16日

[浜秀](福岡西中洲)  

山笠の喧騒から逃れて西中洲に行った。

タクシーに乗って浜秀と言ったが運転手はわからない。教えられたとおりに「春駒」の裏通りと言ったらすぐにわかった。天神や中洲から至近距離にありながら、西中洲は独特の雰囲気を持つ。寿司の「河庄」などの名店があることでも知られる街だが、最近新しい店が次々と誕生して話題のスポットでもある。

料亭風の古い佇まいの店がある一方で、モダンなビルに新形態の店が進出している。先日行った夢翔は新しいタイプの店だったが、浜秀は昔ながらの和風の店である。タクシーの運転手が知らなかったのだから新しい店なのだろうか。それでも中洲のクラブの女性たちは皆知っていたので、評判が高い店に違いない。

付け出しは山芋とうずらの卵、よもぎ麩、かがぶときゅうりと続く。

「かがぶ」と「きゅうり」の和え物かと思ったら、「加賀太胡瓜」が正解。文字どおり 石川県加賀名産のきゅうりとのこと。佐藤浩市がビールのCMでガブリと食べて評判になったらしい。

続いて刺身。

鯛、鯖、ヒラス(ヒラマサ)、鮪、雲丹のイカ巻き。鯖と雲丹が特にいい。やっぱり博多に来たら鯖は欠かせない。刺身の盛り合わせは二皿出てきたが、こちらの皿はすぐになくなった。部下の方はなかなか減らない。こちらに取り上げようとしたら慌てて箸を出す。

あこう、あんかけ豆腐、白身魚の蒸し物

あこうはハタ科の高級魚で漁獲量が少ないというだけでなく、味もいいことが値段の高い理由だろう。確かに美味しい。皮ごと食べ尽くした。

お食事はうなぎとごはんが別々に出てきた。

うなぎは地元相島産の天然うなぎ。肉厚で甘味を抑えたタレが秀逸だ。蒲焼風だが焼き魚にタレを塗ったイメージだ。海外のうなぎは直径10センチにもなる大きさで、白身魚と同様に切り身をソテーやフライにして使われることが多い。海外駐在をしていた頃を思い出した。

うなぎの蒲焼は甘過ぎて胸焼けすることもあるが、この店の料理は銀髪の口に合う。お客様が柳川のうなぎ屋の話を始めた。「柳川の蒲焼は特に甘い」と言うと、彼のお奨めは白焼き。それなら食べに行きたい。わさび醤油が合うだろう。

さて、浜秀。これから老舗の名店をどのように追いかけていくのか。興味がある。


浜秀
福岡県福岡市中央区西中洲1-35
092-752-0531


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2006年06月14日

[せいもん払い](博多)  さあ山笠だ!

博多の祭りと言えばどんたくと山笠。博多っ子、特に男の血が騒ぐのは山笠の方だろう。

子供の頃、約10年間、福岡に住んでいたが、山笠には縁が薄かった。山笠は車がついた大きな山車を引いてスピードを競う「追い山」と華麗な人形飾りのついた山車の美しさを競う「飾り山」がある。飾り山は毎年見に行ったが追い山は早朝、電車が走る前に行われるため連れて行ってもらえず今も憧れのままになっている。

憧れを膨らませたのは漫画「博多っ子純情」だった。山笠を軸に繰り広げられる中学生からの恋物語は、羨ましくも妬ましくもあった。博多のNさんは「男」を強がる博多っ子と比べて、東京の男性は優しいと評した。しかし、東京人になってしまった銀髪は、博多に来ると東京弁を女々しく思えて恥ずかしくなる。

そのNさんに連れられて「せいもん払い」に行った。せいもん払いは博多の超人気居酒屋である。そして、この店が追い山の舞台となる櫛田神社の目と鼻の先にある。店に行く前に櫛田神社に寄って、博多での銀髪の商売がうまく行くように祈願した。

せいもん払いは予約して行かないと、余程運が良くなければ入れない。予約が出来るのはスタートの5時から6時半の間に限られ、時間厳守である。今日はカウンターに座った。目の前に新鮮な魚が並び、いい眺めである。
実は今日が2回目と言うとNさんはひどく悔しがったが、前回は座敷に座ったので今日の方が圧倒的に印象がいい。食べ損なったものもたくさんある。

博多に来たら鯖の刺身を食べなければならない。他はNさんのお奨めに従って呼子のイカ、佐賀牛のステーキを頼んだ。

いかの足は小鉢の中でしばらく動いていた。博多に来たらイカの活造りは定番中の定番。肉が好きな人には佐賀牛。徐々に全国区になってきたが、まだまだ質に比して割安だ。

さて、これからが銀髪の真骨頂。食べたことがないものシリーズに移る。迷った末に頼んだのが「あぶってかも」の塩焼きと「ひらす」の刺身。

あぶってかも(左)とひらす(右)

あぶってかもはスズメダイのこと。そう言われてもスズメダイ自体が分からない。一皿2匹乗っていたが大きさが違う(左上段の写真)。銀髪は遠慮なく大きい方を食べ、小さい方はNさんに渡した。塩味が適度に効いて、身も柔らかい。見た目より美味しくて、大きい方で正解だったと思った。ところがNさんの箸が魚の腹を開くと、なんと卵が出てきた(左下段の写真)。大きさの違いは雌雄の違いで、一皿に一対で出されたのだと気がついたがもう遅い。銀髪は舌切りすずめを思い出した。でも優しいNさんは銀髪に卵をくれた。

もう一品のひらすとはひらまさのことだった。ぶり、かんぱち、ひらまさは切り身だけ見ると違いが分からない。成魚の大きさで言えば、ぶり1m、カンパチ1.5m、ひらまさ2mでひらまさが一番大きくなる。ひらまさは身がしっかりしており、脂の乗りもしつこくない。

追い山の1ヶ月以上前の6月1日から山笠は始まるそうだ。男たちはキュウリ断ちをすると聞いたが、銀髪は刺身の付け合わせに出てきたキュウリを構わず食べた。他所者なら問題ないだろうと思ったからだが、悔し紛れと言ったほうがいいかもしれない。

今年こそ、何でもいいから追い山を見たいもんだ。福岡に10年も住んだことがあって、追い山を見たことがないとは未だに悔しい。


せいもん払い
福岡県福岡市博多区上川端町5番107号
092-281-5700

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2006年05月24日

[大塚](博多)   あら料理の名店

テレビ、雑誌で度々紹介される有名店に行った。

約3ヶ月ぶりに博多に来たが、今日の夕食はお客様がセッティングしてくれたため、何を食べるか分からない。グルメ紀行の素材になるかどうか不安だが、お金を出すのが先方ならこちらの希望を叶えるのは難しい。

ご招待を受けたのは、相撲茶屋「大塚」だった。もしかしたらと思い携帯電話のメモ帳を開いた。グルメ紀行の取材候補として、テレビなどで興味が湧いた店をメモしているが、その中にちゃんこ料理屋があったはずだ。店名はすっかり忘れていたが、「相撲茶屋-大塚-博多」と確かに書いてある。こんな偶然は大歓迎だ。

お客様より先に店に入ったため、板さんやお店の人と話す時間がたっぷりあった。入り口近くの壁にはビッグコミック・スピリッツに連載されているグルメ漫画「美味しんぼ」の額がある。第10巻、67巻、79巻にこの店のことが書かれたようだ。

あら料理で有名な店だが、あらと言えば冬の魚。特に相撲の九州場所の時期が旬とされ、相撲部屋への差し入れで一番人気があらと言われる。従って、今はシーズンオフだと思ったが、1年中食べられるようになったとのことで、当然今日のコースにも入っていると言われ喜んだ。

夏限定のメニューを見ると、大好きなおこぜ料理がある。刺身、姿揚げ、揚げ出しが各3,000円。
なつあら料理も刺身、唐揚、塩焼き、シャブ鍋、あら焚き、あら鍋、酒蒸し、茶づけも各3,000円。お好み4品を頼めば9,800円とお得だ。もちろんちゃんこ鍋もある。

今日は会席コース料理。あらは付け出しの茹でたものと塩焼きの2品。身は思いのほかしっかりしている。これまで「てら岡」や「八千代丸」で食べたのはしゃぶしゃぶや刺身なので面白く食べた。しかし大塚の看板はあら料理なので、やはり旬の冬に食べに来たいと思った。

あら塩焼き

この日、あらより美味だったのは鯛。雌であればもっとピンク色の身だと言うが、雄でも充分に美しい。しかし怪我の功名か、雄だったので椀物に白子が入っていた。鯛の白子料理はあまり食べたことがないが、鱈の白子より美味しいかもしれない。

鯛の薄造りと椀物

女将の大塚さんが料理の終わり頃に店に現れた。漫画よりもっと柔和できれいだ。客あしらいも素晴らしい。今度はじっくり味わいに来ようと思った。

帰り際にきれいな5円玉をくれた。ご縁がありますようにとの昔風の挨拶だ。店を出ると我々の姿が見えなくなるまで女将が見送ってくれた。料理屋でこんな配慮をしてくれる店はめっきり少なくなってしまった。
大塚が悪かろうはずがない。


相撲茶屋 大塚
福岡県福岡市中央区高砂1-19-3
092-531-9100

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2006年03月31日

[夢翔](博多、西中洲)   少年時代

久々の博多出張。地元の人にどこがいいか聞いたら、比較的新しい店を紹介された。

博多一番の繁華街中洲は文字通り二つの川に挟まれている。西の対岸が西中洲。夢翔は開店して2年の新しい店だ。タクシーに乗ったらすぐ近くの別館に連れて行かれた。間違ったついでに寿司コーナーを見せてもらった。カウンター席は板さんの向こうに川が見えるお洒落な雰囲気。「ここでもいいかなー」と思ったが、予約してもらったのは別の店。わざわざ店員がお迎えに来てくれたので、後ろ髪を引かれる思いで店を出た。

夢翔の本店もお洒落な店だったが、他所者にとってはこれと言って興味を持てる地元の物が少ない。悩んだ末に頼んだのが北九州で採れた筍の焼き物と地元の山菜の天ぷら。
筍が目の前で焼かれているのを見ていると、忘れていた少年時代のことが浮かんできた。

筍と山菜(つくし、雪ノ下、わらび、etc)

銀髪は小学校6年生の6月まで福岡に居た。友達に大地主の息子がいたが、彼の家にはゴルフ場に隣接する広大な庭(山?)があった。ゴルフ場もかつては彼の家の土地だったそうで、その庭で竹の子を掘った。春先なので日が暮れるのは早い。散々遊んでから掘り出した大きな竹の子を自転車の荷台に乗せて、得意満面で帰宅したら大目玉を喰らった。母は暗くなっても帰って来ない息子を心配していた。

家からちょっと離れたところに川があった。そこを下流から上流まで探検する。途中、木の枝葉が川を覆う暗くて不気味なところを過ぎると、底なし沼と呼んでいた場所があった。真ん中あたりを通ると川底に引きずり込まれるからと、岸辺を恐る恐る横歩きする。映画「スタンドバイミー」の世界だが、もちろん底なし沼は嘘っぱちでドラマティックなことは何も起こらない。
暗くなって、泥だらけになって帰って来たらまたも「家の前 仁王立ちする 鬼の母」てな具合である。

夢翔には地元の食材が少なく、ちょっと不機嫌だった銀髪も昔のことが次々と思い出されて、酒も回り上機嫌になっていた。一緒にいたFも少年時代の武勇伝を語り始めた。誰にも勇敢で、冒険を好んだ少年時代があった。ビデオもテレビゲームもない時代のことだ。仮想世界ではない、実際にやった大きな探検(本当はどうしようもなくちっぽけな探検)や友達と作った秘密基地のことを自慢しあった。

穴子の刺身と塩焼き


夢翔は海鮮だけでなくフォアグラなど洋食の素材も扱っている。

今日一番の味は穴子の塩焼きだったが、湧き起こった思い出が何よりも最高のご馳走だった。


夢翔
福岡県福岡市西中洲
092-734-6400
http://www.musho.net

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2006年02月18日

皿うどん

ところ変われば同じ名前でも呼び方は異なる。頼んだものと違ったものが出てきて驚くこともある。

料理人が見たこともない料理に出会ったら、当然のことながら客がイメージできる名前をつける。ラーメンと言えば今では分からない人はいないだろうが、日本で出始めの時は苦労したに違いない。そこでつけた名前が中華そば。若い人たちにとってはむしろ中華そばの方が奇異に感じる名前に違いない。

焼いたラーメンは焼きそばになった。揚げたそばだから揚げそばで良さそうなものだがこれは固焼そばと言う。誰か1人が命名したのならもう少し統一感があっただろうがてんでバラバラだ。ところが固焼そばを皿うどんと言う地方もあるからややこしい。

長崎ちゃんぽんを日本中に広めたのがリンガーハット。1985年に東証上場を果たした。ここに行ったことのある人なら皿うどんが長崎での固焼そばの呼称であることを知っているだろう。関西以西、四国、九州では麺と言えばそばよりうどん。焼うどんでは本物のうどんと混同するので皿うどんと命名した。

皿うどんは細麺を使った固焼そばしかないとお考えの諸兄、それはちょっと違う。博多では麺を揚げない。具の内容はほとんど変わらないが、片栗粉でとろみをつけないで麺と混ぜてしまう。

博多駅地下の中華料理屋「一品香」に入った。メニューを見ると長崎皿うどんと並んで博多皿うどんが載っている。子供の頃兄弟争って食べた思い出の皿うどんがそこにあった。
上京してしばらくしてのこと。皿うどんをオーダーしたら揚げそばが出てきて驚いた。なまじ皿うどんの名前を別物で使っていたために、東京人よりもっと混乱したわけだ。

長崎皿うどん(リンガーハット)と博多皿うどん(一品香)

長崎皿うどんは全国区となり、袋入りも売られているので我が家でもよく作る。数十年振りに博多「一品香」で出会った皿うどん。普通の塩焼きそばに薄く切ったかまぼこを入れればそれらしくなるのかな?

海外の中華料理屋で出てくる焼そばは焼付け麺が多い。フライパンでカリッと焦がした麺に餡かけの具をかけるのが主流で揚げそばは少ない気がする。固焼そばはむしろ日本で人気のものかもしれない。
日清食品の創業者がこの揚げた麺がお湯で戻すとラーメンに戻ることを偶然発見して、インスタントラーメンが世界に広がった。揚げそば好きの日本人ならではの発見だったのだろうか。

ここまでいい加減な自分の考えを述べてみたが、調べても、調べても正確な起源を知るのは難しい。それならば、勝手な推測を酒の肴にでもしようか。仕事の話をしたり、説教を聞きながら飲む酒よりは旨い酒に違いない。

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2006年02月03日

[菅乃屋](熊本)  本場No1の馬肉専門店

熊本にやってきた。当然のことながら馬を食べに行かなければならない。

前に来たときは菅乃屋本店に行ったが、今日は上通り店。新しい店だけに中はきれいだ。
予約で一杯だったが、5時過ぎに行ったので2時間限定ということで個室に入れてもらった。

刺身、焼き、鍋をオーダーしたが、刺身と焼きが殆ど同時に出てきた。キッチンがまだ暇なせいか、早く追い出したいのか分からないが、冷たいものと暖かいものを同時に出すのはちょっといただけないかな。客の食事の進み具合に合わせて、一番美味しい状態で食べてもらうように配慮するのが一流の証し。鍋も出てきそうな勢いだったので、出すペースを遅らせるように頼んだ。珍しく銀髪は機嫌が悪い。

まず刺身

馬専門店だけにさすがに種類も豊富。
左上から特選馬刺し、赤身、白いのがコウネ(タテガミ)、中央がタン、その右にネッコ(心臓)の細切り、右端上から上馬刺し(バラ肉)、フタエゴ(腹肉)。

フタエゴは脂身がきつそうに見えるが食べてみると意外にあっさりとしていて美味。

レバーの刺身と肉串焼き

串焼きは上からひも、霜降り、ホルモン。
本店で食べたとき、串焼きの美味さに感動したが、期待が必要以上に高まっていたせいか、刺身とほぼ同時に持ってきて慌しかったせいかちょっと物足りない。

料理は驚きも大事な要素。上通り店のお勧めは「はりはり鍋」。スープは馬肉からとったダシが効いている。本店と異なり創作料理が自慢というだけあって、新作は特に女性に支持されるだろう。

熊本の米焼酎常圧蒸留―筋蔵「武者返し」を飲んで酔いが回り、腹も膨れて来たら、大分機嫌も直ってきた。同行した部下のNは若いだけに細かいことには我関せずとパクパク食べている。
そろそろ約束の2時間が近づいてきたのに「うどんをもう一人分追加してください!」とのん気だ。
「大丈夫?」と店長に聞いたら、「大丈夫ですよ!」と愛想がいい。

菅乃屋を手放しで褒めようと思ってやってきたのに、接客に難があったのが残念だった。予約がないのに無理に入ったのがいけなかったのかな?

それでも熊本空港で菅乃屋の売店を見つけて足が止まった。本店でも上通り店でも入荷していないと断られた超特選馬刺しを売っていた。刺身用のロース、赤身、コウネと焼肉用のひもと合わせて5種類を買った。料理屋で食べるより遥かにお得な値段だ。もちろんすべて生肉。
レバーやタンなどは残念ながら料理屋で食べるしかないようだ。

別の売店で熊本名物「辛子れんこん」を買った。家には兄に貰った「森伊蔵」がある。

たまにはまっすぐ我が家に帰るとするか。


熊本「菅乃屋」
http://www.suganoya.com/

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2006年01月21日

JAL vs ANA        オムレツ対決

朝食バイキングの楽しみは目の前で作ってくれるオムレツだ。勝手に日航と全日空に対決してもらうことにした。

外国のホテルでもオムレツを作ってもらうのが楽しみだ。オムレツの中身をベーコン、ハム、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマン、トマト、チーズなどの中から選ぶことができるのがいいが、他人のものと間違われないように完成をボーッと待っているのは辛い。

さて、オムレツ対決、日航(JAL)ホテル熊本と全日空(ANA)ホテル福岡にそれぞれのホテルの代表として登場してもらった。JALもANAも好みの具を頼むことができないのが残念だが、フロアスタッフが席まで持ってきてくれるのが嬉しい。

銀髪は一時オムレツをつくることに凝ったことがある。卵を割る。かき混ぜ方も出来上がりを左右する。少しミルクを加えることもあるが、ミルクの量の加減も難しい。具を多くするときれいなオムレツを作るのは難しい。塩はフライパンにひくバターの量で決まる。フライパンはしっかり焼かないといけないが、焼きすぎるとバターが焦げてしまう。

フライパンに卵を入れる。すばやくかき混ぜて卵をまとめて形を整える。周りがきれいに焼けて、中トロトロがオムレツの絶対条件。焼き始めたら出来上がりまでアッと言う間だ。要は何度も何度も失敗して、うまく出来て喜んでいるとまた失敗した。


まずJAL

卵の量が少ないせいか薄いオムレツだ。従って火が中に通りやすくトロトロが少ない。具は何も入っていない。お箸で二口で食べてしまった。

次はANA

博多だけあって明太子が入っている。トロトロも充分。スプーンを使わないと食べ尽くせない。
明太子が入っているので味付けはしっかりしており、ケチャップなどをかける必要はない。

銀髪審査委員長の判定はANAの勝ち。ANAは明太子を入れたので同条件の勝負とは言えないところもあるが、美味いのでJAL側の抗議は却下。JALも何か熊本らしいオムレツに工夫すべきだった。

オムレツ、ゆで卵、目玉焼き、何でも卵料理は半熟が嫌いな人もいる。そんな人にとってはJALに軍配が上がるだろう。

まあ、どうでもいいか。JALさん怒らないでね。

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2006年01月20日

[因幡うどん](博多)と[博多うどん](東京)

子供の頃は父があまり遊んでくれないと不満に思っていた。しかし、今自分が親になってみると己の怠慢が恥ずかしくなってしまう。

中学3年生のとき大阪万博があった。兄たちは成人になっていたので、両親と3人で万博に行った。米国館の月の石を見るために熱暑の中を長時間並んだ。ソ連館に並んでいる間に日が暮れて、母は貧血を起こしてしゃがみこんだ。両親は辛抱強く息子につき合ってくれた。

昨年の愛知万博には一度だけ仕事で行った。母子家庭さながら、我が家は銀髪抜きで愛知博に行った。銀髪には声がかかることすらなかった。いつ休暇が取れるか分からない銀髪のスケジュールに合わせていたら、永遠に旅行には行けないと思われている。父の努力・配慮に比べて何たる体たらく。

映画にもよく連れて行ってもらった。ただし、同級生たちが見ていたゴジラやモスラなどの子供向けの映画は稀で、もっぱら勝新太郎と市川雷蔵の二本立てだった。座頭市、兵隊やくざ、悪名、眠狂四郎、若親分、陸軍中野学校などなど。子供のくせにませたガキになったのはこのせいかもしれない。

そして昼ごはんはいつもうどん。中洲川端の玉屋デパートの地下にあった「英ちゃんうどん」に行った。「因幡うどん」の方が人気があったが、なぜか英ちゃんうどんなのだ。ごぼう天うどんと稲荷を食べた。

今、英ちゃんうどんはない。バブルの後遺症で倒産したとか。そこで博多出張の際に因幡うどんを食べに行くことにした。

博多の因幡うどん

「昔は博多と言えば豚骨ラーメンではなくうどんだったのではないですか」とタクシーの運転手さんに聞いたところ、同意を得られた。ラーメンは屋台で出す汚い食べ物(汚い器?)で、子供が食べるものではないといつも母に聞かされた。それが今は全国区。博多うどんは地元以外はマイナーな食べ物だ。

東京に転校したての頃、小田急線下北沢駅の立ち食いそば屋に入って、その真っ黒なおつゆに衝撃を受けた。驚いたが最後まで我慢して食べた。すぐに慣れてしまい、その後頻繁に通った。人間の、特に子供の順応性たるや大したものだ。

東京駅に文字どおり「博多うどん」がある。八重洲で働くようになってよく行った。いつの間にかこれが博多のうどんの代表的なものと思い、英ちゃんうどんもこれと同じだと信じ込むようになった。

東京駅地下の博多うどん

博多で食べてみると、麺とたれはどこも似たり寄ったりだが、ごぼう天は店によってかなり違う。
今回因幡うどんで食べたごぼう天を見て、もしかして英ちゃんうどんもこれと同じだったのではないかと思った。熱いたれをかけると天婦羅の衣は瞬く間に分裂し、たぬきうどん風に変身してしまう。
いやいや、店によって違ったから父は英ちゃんうどんにこだわったのかもしれない。

確かめるにも英ちゃんうどんはつぶれ、父も亡くなってしまった。次兄に聞けば分かるだろうか?次兄は座頭市の真似をよくしていたから、多分映画は3人で見に行ったに違いない。4人だったかな? 5人だったかな?

 40年以上前の記憶はせいぜいこんなもんだ。

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2006年01月06日

[てら岡](博多)  あらしゃぶ、あらちり

寒い。今年の冬は本当に寒い。こんな時は鍋がいい。昨日に続いてあったかい鍋の話。今回は博多の巻。

先日八千代丸に行ったことは書いた。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/12/post_69.html
手に入れるのが難しい魚と言われるが、博多に来るとあらを食べさせる店は意外と多い。50cm未満のあらなら手に入れるのは難しくないのかもしれない。
なかなか手に入らないのは巨大あら、1メートル以上のものだ。こうなると押しも押されもせぬ高級魚。名店に行かなければ味わうことはできない。今回もホテルのコンシエルジェでいの一番に紹介されたのが「てら岡」だった。

あらしゃぶコース(5,500円)を頼む。コースにはあらしゃぶの他に先付け、刺身、あらちり、雑炊、デザートがついている。先付け、刺身もいい出来だ。でもメインはあらしゃぶ。
サフランで緑色に色づいただし汁にあらのスライスしたものをしゃぶしゃぶする。身の大きさからかなり大きなあらだということがわかる。

仲居さんにどの位のサイズか聞いたら、厨房に走り調べてくれた。今日のあらは体長130~140cm、体重30㎏とかなりの大物だ。「巨大あらが入荷しなければ、あらしゃぶはお客様にお出ししません」と彼女は誇らしげに話す。

去年初めて食べたとき、かなりの衝撃を受けたあらしゃぶだが、今回も期待どおりの美味さだった。脂が乗っているのだが、淡白な味の白身。だし汁とのハーモニーが絶妙だ。あら2人前を追加した。飽きない味だ。

あらちり

一ヶ月前に八千代丸であらちりを食べたばかり。今回はあらしゃぶだけを食べたかったので、あらちりもコースに入っているのが不満だった。ところがこれがまた素晴らしい。八千代丸のあらちりは一般的なふぐちり同様、刺身を取った後の骨付きが使われていたが、てら岡のちり鍋に入っているあらは身が殆ど。皮と白身の間にゼラチン質の部分があり、これがプリンプリン、ネットリと何とも形容しがたい感触と味なのだ。これも結構大型のあらに違いない。

これが同じあらかと思うほど味は異なっている。考えてみれば当然のこと。まぐろだって何だって、種類や部位によって味が違う。因みにまぐろに例えればてら岡のあらはトロ、八千代丸のあらは赤身か。本まぐろとメバチまぐろといってもいい。どちらが美味しいかは好き好きだ。同席した部下のFは苦手だそうだ。

最後に雑炊、そしてデザート。

デザートはしぶ柿を塩水につけて熟成させ、へたの部分をくりぬいたところにブランデーを垂らしたもの。久し振りにコースのデザートを完食した。甘いのだがその甘さが口に残らない。不思議な味についついスプーンが柿と口の間を往復してしまう。

前回来たときのてら岡より今回の方が美味しく感じた。Fも同感だと言う。あらはふぐより美味いと言う人もいる。てら岡自慢の天然とらふぐと比較しようと思ったが、ふぐは売り切れだったのがちょっと残念。

しかし、5,500円で極上のあらコースを食べられるのだから、費用対効果で言えばあらに軍配が上がるのかもしれない。博多に来たら是非試して欲しい味だ。


「てら岡」のホームページ
http://www.teraokagroup.co.jp/

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2005年12月15日

[八千代丸](博多) 絶品カワハギとあら料理  

大相撲九州場所が開かれるこの季節。相撲部屋へ差入で力士たちがもっとも喜ぶものがあらだと言う。博多に来たらあらを食べなくちゃ帰れない。

例によってホテルのコンシエルジェで料理屋を訪ねるとてら岡を勧められたが、てら岡には以前数回行っているので別の店を紹介してもらった。店構えは稚加栄やてら岡には遥かに及ばないが、魚の品質は良くて値段は手頃な店と評判の八千代丸に行った。

成るほど居酒屋風だ。生簀は店の奥にあるが、客を圧倒するような巨大なものではない。コンシエルジェの女性がお勧めだと言ったイカは天候不良のため入荷していなかったが、これまで散々食べたので文句は言わない。代わりにカワハギの刺身を食べることにしたが、これが今冬一番のヒット。

写真奥に見える肝と、写真右手前のエンガワが絶品だった。肝は新鮮で輝いており、すっきりさわやかな味でむしろ物足りなさを感じる程。縁側は鮮やかな朱色で縁側とは即断できず、思わず店員を呼んで確認してしまった。
もみじおろしが余りに上手に出来ていたので、ついでに出所を聞いたらやはり自家製ではなかったが、カワハギに免じて許すことにした。もみじおろし自体、不味いわけではなかったから。

次いであら鍋。以前てら岡で食べたときは、あらシャブが予想を超えて美味かった。脂が乗っていて噂どおりの味に感動した。切り身の大きさを見るとかなりのサイズのあらと推察できたが、保存のためかスライスするためか冷凍品だった。

今日のあらも冷凍かと思いきや、生だと言うので連れの静止を振り切って刺身を追加した。食べ切れなくてもいいじゃないか!博多でなければ味わえないのだから。
てら岡で食べた刺身は活き造り風だったが、八千代丸の刺身はてっさ風の薄造り。どちらが美味いと言われると困ってしまう出来栄えだった。

あら鍋もふぐのてっちり風だ。まずだしを取るため骨や皮が主体のあらを鍋にぶち込み、煮えてきたら野菜などを加える。野菜を食べ、豆腐を食べて、骨をしゃぶる。
ふぐより美味いとも言われるあら鍋だが、評価は難しい。1メートル以上もあるあらであれば、文句なしにあらかもしれないが、それこそ幻の魚になってしまう。生のメートル級のあらなどいつか食べることが出来るのだろうか。

食の評価は難しい。グルメを気取っている銀髪とて最高のふぐを食べたことがあるかと聞かれれば自信がない。最高級のあらはと聞かれればさらに自信がない。

食事は美味かった。地元の日本酒も旨かった。批評家ではないからそれで充分。

今日は日帰り出張だが最終便にはまだ時間がある。ちょっと中洲でもうろついてみようか。


八千代丸 大名店
福岡県福岡市中央区大名1-2-15  坂田ビル1F
092-713-3686

他に2軒ある。八千代丸のホームページ
http://www.gnavi.co.jp/yachiyo/


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2005年11月23日

[祥茶ん](博多) 博多に来たら生さば、胡麻さば 

今年博多に来たのは10回目。生簀のある大きな店もいいが、「何か違う料理屋でいいところはないか?」と頼んで連れて行ってもらったのが祥茶ん。入って左のカウンターには各種家庭料理が大皿で並べられている。

クラブが密集するビルの裏手にあるせいか、そのカウンターに同伴と思われるカップルが座っている。銀座きくと同様にクラブの女性たちには家庭料理も人気のようだ。
彼女たちは晩御飯を自炊するわけではなく、一人暮らしも多いだろうから家庭料理が時には食べたいと思うのだろう。高級なお店ばかりおねだりするわけではない。

メニューには居酒屋プライスが並ぶ。そう言えばきくではメニューを見なかった。やっぱり博多中洲祥茶んの方が庶民的だ。

メニューを見て一番に目に付いたのがさばの刺身、胡麻さば。福岡は銀髪が小学校6年まで住んでいたところ。生のさばを胡麻と醤油で和えた胡麻さばは大好物だった。

さばの刺身と胡麻さば

小学6年生の頃、父親の転勤で東京に引っ越した。一緒について来たお婆ちゃんがいつものように胡麻さばを作ってくれた。大好物を食べ終わったところでのん兵衛の父親を除く家族全員の顔がみるみる膨らんでいった。ジンマシンである。父は酒で消毒できたのか助かった。

普通、食あたりをすると嫌いになるものだが、銀髪にとって胡麻さばは東京で食べられないため憧れの料理になった。いわし、さんまも以前は刺身で食べられる魚ではなかったが、流通・保存技術の発達により東京のスーパーでも刺身用を買えるようになった。それでもさばは未だに東京では生で食さない。唯一関さばが刺身用に売られているが馬鹿馬鹿しいほど高い。

築地で浪花のさばが刺身用で売られていたことがある。一匹300円。鮮度が良ければどこのさばでも生で食べることができるようだが、いわしやさんまより痛みやすいのが難点。

おばあちゃんが作ってくれた胡麻さばは醤油に粒のままの胡麻を入れただけの簡単なものだったが、この店の胡麻さばは流石に品がある。それでも懐かしい味を思い出させてくれた。

馬刺し、鯨刺しなど九州の郷土料理も多々あるが、お店の自慢は有機野菜。野菜料理がお奨め。

最後にご飯物は何があるかと尋ねると、卵かけご飯が一番のお勧めだと言う。

卵は糸島産、米は有機栽培の古賀産と地元のものにこだわる。醤油をかけず昆布だけで食べても美味い。こだわりサイトの大人手帳で卵かけご飯を特集したが、これを看板メニューにしている店があるとは面白かった。

懐かしいお袋の味を家では味わえなくなってしまった。望んでも年老いた母は料理を作る意欲を失いつつある。そもそも母親が逝ってしまった人も多いだろう。

家庭料理を外で食べる。祥茶んの料理に舌鼓を打ちながら、ちょっと妙な気分の銀髪だった。


有機野菜で作る家庭料理の店
祥茶ん
福岡県中央区中洲2-7-10
092-271-3636

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2005年10月06日

[稚加栄] (博多)  「老兵は消え去るのみ」 

博多で稚加栄を知らない人はいないだろう。このところ博多に行くと、殆どがここになる。「もう飽きたから別の店はないのか」と言いたいところだが、今夜は大好きな人の送別会。やはりここに来てしまった。


約束の数分前に稚加栄に着くと、客を案内するために店先に立っている店員が既に先方は到着していると言う。部下を部屋に直行させ、1階の巨大な生簀を見に行く。

今のシーズンは平目と鯵が美味い。定番の佐賀呼子のイカなどを一瞥して部屋に急ぐ。事前に指定していた食材に間違いはないようだ。
部屋に入ると正面に今日の主役。大事なお客様だが、敢えて人生の大先輩と呼ばせてもらいたい彼が居る。いつものように背筋を真っ直ぐ伸ばし、いつものような厳しく威圧するような顔ではなく、今日は柔和な表情で座っている。
最初の出会いは散々だった。こちらの無礼を指摘し、歯に衣着せず批判された。非礼を詫び、1時間余話し続けて帰り際には打ち解けた。その後お会いする度に政治、経済、そして人生についてご意見を伺い、こちらの考えを聞いていただいた。
会った数はほんの数回だが、強烈な印象をいつも与えてくれた。先生とも言える。
ビールから熱燗に移る頃、平目、鯵のお造りが出て来た。イカはまだ生きているみたい。足に酢橘をかけるとザワッと動く。いつもなら感動して見る演出も今日は殆ど目に入らない。

大先輩は時折厳しい話を挟みながらも、終始笑顔を浮かべ杯を口に運ぶ。「このところ呑みすぎだから、今日は控えよう」と思っていたのが、ハイペースで注ぎ合う間にコントロール不能に。2合徳利がもう2本、もう2本と追加されていく。
料理は手際よく運ばれてくる。お造りの鯵の頭、骨はから揚げに、イカは塩焼きに。これが秀逸。この日のベストは鯵刺身の残りをから揚げしたものだった。

「まだ現役でやってください。もっと教えていただくことがたくさんあります。」と懇願するが「老兵は消え去るのみ」と笑顔で応えるだけ。
第二次大戦後、連合国軍最高司令官として日本の戦後処理で活躍したダグラス・マッカーサー将軍が米議会で引退演説した「老兵は死なず。ただ消え行くのみ」をもじって自らの心境を語られる。
その演説から半世紀以上経っている。平均寿命は格段に延びた。大先輩はとても老兵には見えない。まだまだ現役、若者を凌駕する仕事が出来るはずと説得するが譲らない。
再び「老兵は消え去るのみ」と笑う。まったく格好良過ぎる。
送別会が終了し、別れ際に強く握手を交わす。「これが終わりじゃありませんからね!」酔っ払って、上ずって半ば叫びながら、再び握手に力を込める。今日でお客様としての付き合いは終わる。
“The beginning of beautiful friendship”
映画「カサブランカ」のラストシーンを思い出しながら、握手を振りほどき去る大先輩の背中を銀髪は静かに見送った。


稚加栄のホームページ
http://www.chikae.co.jp/

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