2009年07月21日

[若竹寿し](松江市玉造)

日帰り出張に最適の寿司屋


早めに仕事が終っても16時35分の出雲空港発羽田行きには乗れない。次は最終便の19時35分。松江市内では開店が早い店でも5時からなので、これまでは食事をして大慌てで空港に向かっていた。お粗末ながら、松江から出雲空港までの途中にある玉造温泉で食事をすることは考えもしなかった。

ネットで若竹寿しを見つけた。11時開店で夜中までぶっ通しでやっている。4時20分に仕事が終わりタクシーで若竹寿しに向かった。客はもちろん我々だけ。店は思ったより風格があるがそれもそのはず店主は3代目とのこと。「老舗ですね」と言ったら、「玉造温泉では老舗なんて言えませんよ」と謙遜する。日本最古の温泉と言われる玉造温泉には数百年の歴史を持つ旅館がいくつもある。

お通し、刺身(とびうお、しろいか、さざえ)

松江は宍道湖七珍が有名だが日本海に面していることを忘れていた。「とびうおが獲れるの?」あごと聞いて思い出した。土産物屋にはあご(とびうお)の野焼きが並んでいる。さすがに本場で食べるとびうおは美味い。

刺身(水だこ、いさき、あわび、白ばい貝)

「地元のものを中心にお願いします」と言ったのは愚かだった。ガラスケースに並ぶのは殆どが地物である。冬にはズワイガニもある。鮒の刺身も食べられるそうだ。もっと早く来るべきだったと後悔した。

のどぐろ一夜干し

「のどぐろを焼きましょうか?」と聞かれ、知ったかぶりをして「のどぐろは富山じゃないの?」と言ってしまった。浜田市の漁港から出荷されるのどぐろは「どんちっちのどぐろ」と呼ばれるブランド魚とのこと。脂の乗りがマグロ並みというだけあって今まで食べた中で一番美味しいのどぐろだった。店主と話している間に部下が全部食べてしまいそうな勢いなので慌てて取り上げた。

あご天、赤ウニ

店主のお母さんが作ってくれた揚げ立てのあご天。ハフッハフッ、ウマイ、ウマイ。地物の赤ウニ。店主に奨められたら断れない。4,200円は高いと思ったが、箱で出てきて納得。ミョウバンの臭いがしなくてなかなかいける。

寿司

かんぱち、まぐろ、とりがい、ひらめ、いずれも地物である。まぐろも今の時期は日本海を泳いでいる。ちょっと多目のシャリは客の7割以上を占める地元の人たちの好みかもしれない。次回はちょっと我侭を言わせて貰おうか。

タップリ時間があると思っていたら、タクシーが迎えに来てしまった。運転手さんには悪いが4種類目の地酒を飲み終えるまで待ってもらった。次回は秋か冬か、松江に出張するのが楽しみである。


若竹寿し
島根県松江市玉湯町玉造83-6
0852-62-0831

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2009年06月06日

[民芸の店 鷦(ささき)](松江)

出雲名物割子そば


何度も松江に来ているのでどうしてもそばを食べたいわけではない。まして松江担当の部下はそばアレルギーときている。ところがブラブラ歩く途中に割子そばの文字を見つけると、突然義務感が湧いてくる。まして手打ちと書いてあれば拒絶することは難しい。

部下のためにかつ丼やカレーがあることを確認して、民芸店のわき道から店に入った。別の店かと思ったら経営は同じらしい。堂々と民芸店の正面から入るべきだった。

店内はそれなりに混んでいた。地元の人が殆どで割子そばを食べている人はいない。部下はカツカレーを頼んだので、銀髪一人がいかにも旅行者に見える。

観光客で賑わうような蕎麦屋で出てくる立派なものではなく、薬味とそばが三段のいたってシンプルな割子そばだ。三分の一の薬味をそばに乗せてそばつゆをかける。食べ終わったら下の段に移る。あっと言う間に食べ終わった。

部下は「ちょっと大盛りにしました」とカレーの量をサービスしてもらっている。ハンサムガイは得だね。「カツカレーにはコーヒーもついてます」と言うが、割子そばにはついていない。二人分の勘定を払い、まだカレーを食べている部下を残して席を立った。

今度は民芸の店の中を通って外に出た。あらためて店名を見る。ショウと読んでみたが何のことかわからない。家に帰って国語辞書を見て読み方がわかった。スズメ目ミソサザイ科の鳥とのことだが、ミソサザイも何のことかわからない。全長約10cmの日本産で最小の鳥のひとつとのこと。

野鳥料理の専門店に行けば食べられるかもしれないと言ったら、不謹慎だろうか? 銀髪らしいと笑ってくれるだろうか?


民芸の店 鷦(ささき)
島根県松江市末次本町22
0852-21-2266
http://matsue-sasaki.hp.infoseek.co.jp/

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2009年06月05日

[味道園](松江)

しまね和牛肉の店


「どこか美味しい焼肉屋ないかな?」とタクシーの運転手さんに聞くと、「ギュウカクはどうですか?」と言う。「まさかチェーン店の牛角じゃないだろうね」と言うと「そうかもしれません」と答える。さらに「サカイもチェーン店ですか?」言われてずっこけた。

運転手さんが電話をして探したのが味道園で、5時前なのに店を開けて待っていてくれた。こちらの希望通り地元しまね和牛を使った焼肉屋である。いつものように2人前ずつ頼もうとするK氏と押し問答した挙句、負けた。どうせ金を払うのは彼だ。

特選塩タンからスタートした。K氏が自分の行きつけである銀座並木通りの游幻亭の方が上だと言うが、1人前1580円と6000円のタンを比べては可哀想だ。値段を考慮すると味道園も負けていない。ハラミがとても美味しい。とても1000円には思えない。


極上ロース、極上カルビが出てきてK氏も2人前ずつ頼んだのを後悔した。1人前1950円でこの霜降りである。50代のK氏と銀髪で約半分を食べて、残りは30代の部下に託されることになった。
タンとレバーの刺身は頼んだ銀髪の責任。他の二人は手をつけなかった。半分は焼いて食べた。

K氏が懲りずにホルモンを2人前頼んだ。絶対責任を持つと言ったのに、またまた部下に押しつけられた。銀髪は口直しにトマトを頼んだ。地元産野菜も味道園の自慢だ。

「牛角は嫌だ!」と強硬だったK氏が好んで食べたのはポテトサラダ、ウインナー、鮭茶漬けだった。銀髪は立派に責任を果たしたと思う。部下の皿にはカルビとホルモンが数切れ残された。彼のせいではない。もちろんしまね牛のせいでもない。


島根県松江市東朝日町78-7
0852-28-1000
http://www.midoen.jp

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2009年06月01日

[とり八 鷹野橋店](広島)

リーズナブルに食べる瀬戸内の味


「いい店ありますか?」と地元の人に尋ねると「ありますよ!」と自信たっぷりに応えるので安心してついて行った。「あそこです」と指し示す方を見ると「関あじ」「関さば」の幟が立っている。「食べたいのは大分の魚じゃないんだけれど」と心の中で叫んだ。

生簀もある立派な店である。壁に魚の名前を書いた短冊がたくさん貼られている。瀬戸内の魚も安価で提供してくれるようで安心した。地域密着型の店であれば、他所の魚で客引きをするのは当然だと納得した。

めばる、あさり

刺身で食べられるメバルはなかったが煮付けで充分。小振りだが味はいい。地元の人が店の女性を呼び止める。なかなかの美人女将である。主人は板場に居るらしい。夫唱婦随で頑張っている店が悪いはずがない。

おこぜ、唐揚げ

広島に来て必ず食べるのがおこぜ。さっきまで生簀で泳いでいた立派なサイズのものが身を削がれても口をパクパクやっている。アラは唐揚げにしてもらったが、骨が太すぎた。お勧めのとおり汁物にしてもらった方がよかったかもしれない。

小いわし

高級魚より何よりも、広島では小いわしが一番美味しい。魚も肉もちょっと火を通した方が旨いと思うが、小いわしは刺身の方がいい。

めばる、おこぜ、小いわしとお目当ての魚は食べられた。銀髪ばかりが頼むのも気が引けるので後は部下に任せた。

海鮮サラダ、ホタルイカ、手羽先

富山湾のホタルイカ、どこのものか分からない鶏の手羽先。広島の食材を食べればいいと銀髪は思うが、食べたい物を頼むのを制止する訳には行かない。何があろうと食べ慣れたものを頼むのが男の習性。変わり者は部下ではなく銀髪の方だろう。

家族経営かと思ったものの、鷹野橋店というのが気になった。とり八の本店は流川にあり、他に複数の店舗があるという。安くて新鮮、豊富な品揃えもグループ経営ならではのものだろう。

美人の女将に見送られて店を出た。とり八グループと店主夫婦の関係は聞き損なった。


とり八 鷹野橋店
広島県広島市大手町5-9-1
081-245-8888
http://www.torihachi.net/

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2009年05月31日

[あなごめし](広島)

広島名物あなごめし


久し振りの広島。昼食はお好み焼きかつけ麺か、他に何かないだろうかと思案しながら歩いていると、定食屋の店先に立てかけられた黒板に目が止まった。そうだ!穴子があった。これに決めっ!

客先で12時が過ぎた。「食事に行きませんか?」と誘うと「それじゃあ、センチュリー21に行きましょう」と言うではないか。気の弱い銀髪はさっきの定食屋に行きたいと言い出せない。あー、辛い。

ホテルセンチュリー21の11階にある京もみじに入る。メニューにあなご定食があった。バンザイ! 神様に銀髪の願いが通じたようだ。

1,100円にしては立派な定食だった。しかし、肝腎のあなごめしの小さいこと小さいこと。やはり神様なんていないんだ。

翌日まで悔しさが残っていた。予約した新幹線は9時37分発のぞみ14号で東京駅には1時33分に着くので、昼食は車中ですることになる。あなごめしの駅弁を売っている店を探した。

活きあなごめし弁当は1,260円。あなごめし単品で京もみじよりも高いのだから、優劣は明白である。駅弁といっても馬鹿にしたものではない。思ったより美味しかった。買ってすぐに食べていたら、ホカホカでもっと美味しかっただろう。
反省すべきはホテルの朝食バイキングで食べ過ぎたこと。前夜に酒もたらふく飲んだ。あなごめしに申し訳ない。

あなごめしは広島名物と言っても間違いではないが、宮島の駅弁が本家本元らしい。残念ながら仕事で宮島に行くことはない。いつか適当な理由を作って宮島まで行かなければならない。もちろん、体調万全で面会しよう。その時はビールにも登場願おう。考えるだけでよだれが出てきた。

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2009年03月07日

[両国](徳島)

徳島に来たら中華そば


空港で拾ったタクシーの運転手さんに「徳島ラーメンの両国に行ってくれる?」と声をかけたら「知らない」と言われて戸惑った。他の店を奨めようとするので「徳島駅近辺ではいのたに、東大、麺王には行ったよ」と先手を打ったら黙り込んだ。しばらくして「駅前CITYのいわたも美味しいんじゃないかな」と言う。しかし「本店しか行ったことがないけど…」と続けるので初志貫徹することにした。「やっぱり両国にしよう」と告げるとちょっと落胆したようだ。

徳島駅から歩いて10分足らずだが、人通りはあまりない。駅の反対側にある有名店いのたにと比べるべくもない。店に入ると会社員のグループが二組、店の本棚から取り出した漫画を読みながらラーメンの出来上がりを待っていた。

おばあさんが水を片手にゆっくりと歩み寄ってきた。時の流れを乱さないように、「エーとう、肉入り…、そば…」とオーダーする。メモを取って調理場に行く姿を見送ってから、再びおばあさんに会うまでに、混み合ういのたにと同じくらいの時間がかかった。

テーブル上の器に盛られた無料の卵を一つ取り、中央の肉をちょっとずらして割り入れた。先ほどの運転手から聞いた「徳島ラーメンはすき焼きみたいで嫌いだ!」と罵った客のことを思い出した。生卵の白身を嫌ったのだろうか。小さな卵でも白身が固まるほどスープは熱くない。

あまり脂っぽくない食べやすいラーメンだった。勘定を払う時に料理人(主人)が出てきた。おばあさんが奥さんかと思っていたが、若いので意外だった。確かに若くなければ深夜までの営業は出来ないだろう。

一時間後、タクシーの運転手さんが奨めてくれた駅前のいわたに行った。遅れて徳島に着いた部下が腹を空かせていたためだ。1杯の量が少なめなのでベルトを緩める必要はなかった。手作りスイーツもある不思議な店だが、徳島ラーメンの基本は外していなかった。

ホテルに置いてあった「徳島ラーメン団」という冊子には50店舗以上が掲載されているが、両国のように載っていない店も多数あるに違いない。徳島で徳島ラーメンと言わずとも中華そばで通じる。


両国
徳島県徳島市両国本町1-21
088-652-0772

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2009年02月08日

[飛鳥](新山口)

新山口駅でのランチ

新山口駅で新幹線を降りて昼食をとることにした。駅を出て見回しても全国展開するチェーン店が目につくぐらいで他に飲食店らしきものは殆どない。思案していると部下が駅裏に回りましょうかと言う。新幹線が開通するまでは、駅の反対側が繁華街だったはずだ。

跨線橋を歩いて駅裏に到達すると、スーパーのビニール袋が寒風にあおられ、カサカサと転がり舞っていた。まるで西部劇の根無し草のようだ。スーツに鞄より、テンガロンハットに拳銃の方が似合いそうだ。レストランらしきものも殆どない。ようやくバス停の横道に寿司屋を見つけた。

店の外には客寄せのメニューらしきものはない。高くても仕方がないと思って入ったら、カウンターの端に若いカップルが座っているので安心した。メニューを見ると1,000円以下のランチもある。せっかくだから寿司がつくセットを注文した。

値段の割に立派だ。主人が寿司を作り出したが、まずはカップルの方に行くようだ。「繁華街はどこにあるんですか?」と店の女性に尋ねる。バス停の向こう側にあるが、昼間は閉まっているとのこと。新幹線が開通して、どんどん寂しくなると言う。

おばさんたちのグループが入ってきた。躊躇なく店の奥に進み、個室に納まった。地元の常連さんだろう。旅行者なら高級なイメージがある寿司屋で、しかも値段表も出てないような店に入る気はしないだろう。
「値段表を出した方がいいですよ」とアドバイスしようかと思ったが、黙々と寿司を作っている主人を見て、余計なことを言うのは止めにした。

料金に見合った寿司と小さな茶碗蒸しを食べて店を出た。若い部下には物足りなかったかもしれないが、銀髪にはちょうどいい。

店に入る時には気付かなかったが、バス停は秋吉台・秋芳洞への基地のようだ。暖かくなると観光客で賑わうようになるのだろう。根無し草のイメージを頭から追い出すことにした。季節が変われば全てが変わる。飛鳥の店先にメニューが出ているかもしれない。

寿司和食 飛鳥
山口県山口市小郡下郷明治西1235-8
083-972-4138

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2008年10月10日

[福助](山口市湯田温泉)

今シーズン初めてのふぐ


「ホテルは湯田温泉でいいですか?」と部下に言われて耳を疑った。生真面目な男が珍しいことを言うと驚いたが、調べてみると湯田温泉町には多くの会社がある。ひなびた温泉街をイメージした銀髪が無知だった。

ビジネス街が近いといっても由緒ある温泉街であることは間違いない。立派な温泉旅館も多いが、我々はビジネスホテルに泊まることにした。男二人で温泉宿の座敷で食事をする気にはなれない。ビジネスホテルにも温泉風呂はある。

ホテルにあった周辺案内でふぐを食べられる店を探した。これはと思った老舗の懐石料理屋は前日までに予約を入れないとふぐコースは出来ないと言う。その料理屋が紹介してくれたのが福助。足袋・下着メーカーのイメージから無視した店だった。ちょっと考えれば福=ふく(山口ではふぐをふくと言う)なのだから、ふぐ専門店と容易に分かる。

にこごり、ふぐ刺し、ひれ酒

1万円の天然とらふぐミニコースを頼んだ。15,000円、18,000円の本格コースとは基本的に量の違いだけと言われれば安いほうを頼んでしまう。写真のふぐ刺しは一人前なのでミニといっても貧弱ではない。ひれ酒のひれも立派。

木の芽焼き、唐揚げ

仲居さんによると、福助は創業40年以上になるふぐ料理の老舗。市場を通さず萩から直送するので天然ふぐを安く提供できるとのこと。禁漁期の夏でも、偶然網にかかったふぐを仕入れて客に出しているそうだ。夏でも予約をしておけば天然ふぐを食べられる。

ちり鍋

確かにふぐの量は少ないが、一人たっぷり2杯分あるので充分だ。この店でアルバイト歴4年の女学生が取り分けてくれるのも嬉しい。我が娘たちもアルバイト先では笑顔を振りまいているだろうが、家で銀髪にサービスしてくれることは滅多にない。アルバイト料より遥かに金を出しているのだが…

雑炊、漬物

いつもふぐコースを食べる度に鍋は余って食べ切れない。雑炊も味見程度に少し食べるだけ。ところが今日は雑炊もお代わりして、デザートも食べきった。食事が早く終れば酒の量も抑えられる。安くて、食べ過ぎず、飲みすぎずと完璧な食事が出来た。

ちょっと抑え気味の食事にはさらにご利益があった。ホテルで一息ついて温泉へ。しっかりと伝説の湯を堪能した。

目的のふぐと温泉を楽しんで、メデタシメデタシ。ん?目的は仕事だったかな?


割烹 福助
山口県山口市湯田温泉2-2
083-925-1616

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2008年07月05日

広島つけ麺 [ばくだん屋]&[流行屋]

名物はお好み焼きだけではない


午前中の仕事を終えてタクシーをつかまえた。行き先は「どこか美味しい店へ」だ。運転手さんは考える。「お好み焼きはどうですか?」の声に広島担当の部下の顔が曇る。食べ飽きているようだ。牡蠣の季節ではない。穴子は宮島だと否定される。ようやく出て来た答えはつけ麺だった。

ばくだん屋

ばくだん屋はテレビなどで多数紹介され、広島に10店以上ある。東京には六本木、赤坂、西新宿に、他に福岡、名古屋にも出店している有名店とのこと。銀髪はもちろん初体験。

店員が辛さを選ぶように言うので、銀髪は「口から火が出る」ランクの11倍にしたが、その下のランクの「汗が出る」こともない。20倍以上を食べて褒められればよかったと思った。ただし、辛いのは確かで、味の何たるかは分からなかった。

流行屋

一軒では広島つけ麺の傾向は分からない。今度は下調べをして行った。「広島つけ麺」の名称を約20年前に使い始めた元祖とも言える店が流行屋とのこと。複数の若者が忙しく働く「ばくだん屋」と異なり、店主一人が黙々と倍以上も時間をかけて作る。

こちらの辛さは辛、中辛、大辛の3段階とシンプル。もちろん大辛を選んだがばくだん屋の11倍と似たり寄ったりだった。どちらも辛くて味はよく分からない。
具はチャーシューと茹でたキャベツが共通点。つけ汁にはたっぷりの胡麻。

広島つけ麺の特徴は「辛」にある。瀬戸内の小魚でだしを取るのが基本。だし汁のせいか大辛にしても口の中がヒリヒリするような事はない。今度は辛さを控えめにして味わいたいものだ。もっとも、それでは広島つけ麺と言えないかもしれないが…

いずれにしてもお好み焼きの牙城を崩すのは容易ではなさそうだ。しかし、焼けた鉄板を前にして食べる熱々のお好み焼きは夏向きではない。住み分けするには、辛いつけ麺は格好の食べ物。考えた人は偉い!

ばくだん屋
http://bakudanya.net/

流行屋
広島県広島市中区国泰町1-7-24
082-249-3377
http://www.cusi.ne.jp/hayariya/

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2008年07月04日

[くにさだ](広島)

酒にもこだわる郷土料理の店


適当に店の印をつけた地図を片手に歩いたら風俗店が集まる一画に迷い込んだ。早い時間のためか呼び込みに遮られることなく脱出できて、数分後には店に無事到着した。
入ってすぐ左にカウンター、奥に個室がある。我々はもちろんカウンターに座った。

「口コミ情報の上位にあったので、東京からわざわざ来たんだよ」と言うと、店主たちは目を白黒させていた。驚いたのは「東京」ではなく「口コミ上位」の方らしい。インターネット社会に乗り遅れている店だ。「地物がいいですよね」とこれは「東京」からの反応。期待が持てそうだ。

「まず生ビール」と言うと「ハートランドとアサヒどちらにしますか?」と来た。「万人向けのアサヒだけでなく、麦芽だけで作った本物のビールを置いてあるのがいいね」と言うと「たまたまですよ」と謙遜する。

お通し、刺し盛り(たこ、さば、小いわし)

瀬戸内のたこ、小いわしは有名だが、鯖も生で食べるとは知らなかった。濃い目の醤油がよく合う。九州からでも取り寄せたのかと思ったら、店主自ら手を加えているとのこと。

打ち解けてきたら、店主も本心を語り出す。ハートランドは他所で飲んだ際に惚れて店に置くようにしたとのこと。小さな店に生ビールを2種類置くのだからたまたまのはずがない。冷酒も飲み切り用に店独自の小瓶を酒蔵に造ってもらっている。燗酒用の酒器も用意して入り口の看板で呼び込みをしている。これだけ酒にもこだわっている店が悪いわけがない。

おこぜ

生簀から取り出したオコゼのお造りも見事。胴体を失ったオコゼの口が獅子舞のようにパカパカ動く。肝、卵、皮、内臓などを食べたら残りを唐揚げにしてもらう。骨もヒレも全部バリバリと食べ尽くしてご機嫌だ。

穴子

瀬戸内名物の穴子も見逃せない。煮てふっくらとした身が美味しい。

早い時間だったので店主の国貞さんと女性店員と我々2人、ワイワイ、キャッキャッと騒いだ。イヤイヤ騒いだのは90%以上銀髪だったかもしれない。
最も賑やかな盛り場からはちょっとずれた所にある、決して立派な造りの店ではないが、料理も酒も満足できる高い水準だった。お見送りをしてもらって笑顔で店を出た。

さっき迷い込んだ界隈をチラッと見やると、灯りが輝きを増して我々を誘っている。しかし、「くにさだ」で得た楽しい気分の余韻を壊したくないので、このままホテルに帰って寝ることにした。
ホントだよ。


くにさだ
広島県広島市中区薬研堀7-2
082-249-0660

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2008年06月07日

[こうじ家](高知)

土佐の高知の名物料理


珍しいものを好む銀髪と見向きもしないおやじ、どちらでもない部下の男三人で夕食となった。

お通し、平目の薄造り、じゃが芋とチーズの揚げ饅頭

フルーツトマトとチーズのサラダ、牛タンの陶板焼き

上の料理はもちろん銀髪がオーダーしたものではない。こうじ家は郷土料理以外にもいろんな料理がある。イタリアンのようものもあり、老若男女、地元の客、観光客、誰でもどうぞのお店である。

もっとも、オーダーしたおやじが気に入ったのは卵かけご飯のみ。我々酒呑みを目の前にして早々にご飯をかっこんで満足している。ここからは部下と二人の酒盛りとなる。

ニタリ鯨のお造り、ウツボのたたき

銀髪が選んだのは鯨、ウツボと土佐ジローの3品。

高知沖を回遊する鯨は体長10~13mの小型のニタリ鯨で、1970年代半ばは外洋と合わせると年1400頭以上捕獲されていた。現在は調査捕鯨で年間50頭しか捕れない貴重な食材であるが、食用よりもホエールウォッチングで観光客を魅了している。

ウツボは南日本に広く分布するが、食用にするのは和歌山県と高知県ぐらいしかない。鋭い歯で伊勢海老なども食べる美食家だから、外見に似合わず美味しい白身の魚である。

土佐ジローの炙り焼き

土佐ジローは高知原産で日本最古の日本鶏とも言われる土佐地鶏とアメリカ原産のロードアイランドレッドとをかけ合わせた一代雑種の鶏。小型で褐色、脂肪が少ないのが特徴。なかなか歯応えがある肉だった。

我々も酒はほどほどにして卵かけご飯を食べることにした。親鶏が小型なのだから卵もかわいい。付け合せの青海苔とねぎを乗せて、ザックリ混ぜて食べる。ちょっと濃い目の醤油がよく合う。

取りあえず高知らしいものをいくつか食べた。次回はゆっくり皿鉢料理でも食べたいものである。

土佐食人 こうじ家
高知県高知市廿代町7123 マツチヨビル2F・3F
088-875-1233
http://www.kojoiya.com

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2008年06月06日

[得月楼](高知)

高知を代表する料亭へ


陽暉楼と言えば聞き覚えのある人も多いだろう。原作は宮尾登美子、映画では池上季美子主演で話題になった。本は読んでないし、映画も見ていないので、てっきり遊郭の話かと思っていたが、土佐の花柳界を舞台に人間模様を描いたものらしい。

場所はよさこい節で有名なはりまや橋のバス停前。周りを見渡してもはりまや橋らしきものはない。入り口には観光客や一見さんを安心させるような看板が立ててある。

陽暉楼は明治三年に創業。他にもいくつか大楼があったというから、昔の高知は栄えていたのだろう。風格がある建物だが、往時の隆盛をうかがい知ることはできない。坂本龍馬は維新前に暗殺されているから陽暉楼を使うことはなかった。

弁当

名高い店なので事前に予約して行った。入り口の看板を知っていれば予約はしなかっただろう。しかし、予約していたお陰で座敷に通されて、美しい庭を堪能する間もなく、すぐに料理が運ばれてきた。

2,625円の弁当はかつおのたたきなどが入った立派なものだった。鯛でだしを取ったそうめんも美味しかった。
仲居さんのサービスも悪くなく、口コミで書かれているような悪いところは見当たらない。昼の弁当としては上等である。夜の豪華な料理が値段とつり合うのかは次の機会に検証することにしよう。

店を出たのがまだ12時を回ったばかりだったせいか、下駄箱を見ても他の客が入った気配はない。梅の季節には盆梅を観賞する客で賑わうそうだが、宴会シーズン以外は比較的空いているようである。表の看板に書かれているように、地元の人も観光客も気軽に利用したらいい。

店の前の交差点から見える大きなコンクリート橋を指して「あれがはりまや橋か!」と話していたら、地元の人に笑われた。親切に教えてもらった場所まで歩き、赤い橋を見て拍子抜けした。

よさこい節でかんざしを買う坊さんを、これまで生臭坊主と勘違いしていた。若い坊さんと娘の純愛物語と知ってこれまた己の無知を反省した。もっとも、坂本龍馬がいくつのときに暗殺されたか、タクシーの運転手も答えられなかった。高知が得月楼の頃の隆盛を取り戻すには、地元の人たちの地道な努力が必要なのかもしれない。

オーストラリアに住んでいたとき、外国人に日本のことを正確に伝えられなかった自分を思い出して、ちょっと恥じた。自分の国や町の文化を話せない人を誰も尊敬はしない。


得月楼
高知県高知市南はりまや町1-17-3
088-882-0101
http://www.tokugetsu.co.jp/indexl.html

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2008年04月18日

[ろんぢん](松江)

時計屋ではない。島根牛しゃぶしゃぶの老舗料理屋


出雲空港からタクシーに乗り込んだ。「松江駅前のホテルで昼飯を食べよう」と言ったものの、午後の約束まで時間がある。「どこかいいところはないか?」と部下に聞いたら「ありますよ!」と嬉しそうにガイドブックを鞄から取り出した。付箋のついたページを覗き込むと、赤のマーカーがけばけばしい。

携帯電話での会話が長引いている。「どうしたんだ?」と聞くと「高いコース料理しかないので断ろうとしたけれど、来てくれと熱心にお願いされて電話を切らせてくれないんですよ」と言う。仕方がないので行くことにした。

店はシーンとしていた。かなり年齢がいった女性がにこやかに出てきた。「女将さんですか?」と聞くと大きく首を横に振る。さっき電話で押し問答した仲居さんだった。「すきやきはないの?」と聞いたら「うちは高級ですから…」と言う。彼女の頭の中ではしゃぶしゃぶの方がすきやきより上らしい。

胡麻豆腐、島根牛、しゃぶしゃぶ

牛だけでなく、世界遺産になった石見銀山近くで作られる丸餅や博多の職人から伝授されたうどんなど食材自慢をするのに仲居さんは大忙しである。

ほどなくもっと歳を重ねた女性が現れた。女将である。「なぜろんぢんなんですか?」の質問から彼女の細腕繁盛記が始まった。しゃぶしゃぶ屋を始めたのが43年前で、旦那が生きていたときは時計屋だった。ろんじんの名はやはりスイス時計の名門ロンジンから来ていた。家族を養うために時計屋を廃業、現在の店を始めて以来84歳の今も店を取り仕切る。

甘味3種

女将が自ら作ったと言うので、普段はあまり食べない甘味も口にした。我々3人は日本一の和牛と自慢するのを散々茶化したが、合計年齢で遥かに上回る女将と仲居の2人はまったく意に介さず言葉は止まらない。

彼女らの自慢が根拠がないわけではないと分かったのは家に帰ってネットで調べてからだ。あまり聞いた事がなかったが、島根牛は古くから全国の和牛産地へ繁殖用及び飼育用の元牛として供給されてきた。特に有名なのが第七糸桜号という種雄牛で、その子は4万頭にもなったという。各地の銘柄牛のルーツは島根牛かもしれない。

ロンジンは楽しく美味しかった。女将が元気なうちにまた行きたいものだ。

しゃぶしゃぶ ろんぢん
島根県松江市千鳥町(旅館団地)
0852-22-3618

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2008年04月07日

[喜和美](徳島)

阿波尾鶏、徳島牛、創作料理と多彩


前回ネットで調べて行った「ししくい」は良かった。今回もネットを頼りにしていたら、地元の人に喜和美を教えられた。徳島駅から10分強を歩いて繁華街にやってきた。昼間は雑然とした小路も、灯がともれば華やかになる。その中に喜和美を見つけた。

予約をしていなかったが、カウンターに席を確保できた。我々の直後に店を覗いた数組が断られている。紹介者の目は確かだったようだ。料理にも期待した。

お通し、豚角煮

お奨め料理の一番目に挙げられたのが豚の角煮。カウンター上でまだ湯気があがる角煮は一度調理場に引っ込んで、装いも新たに我々の目の前にやってきた。石鍋シェフのクイーンアリスで食べたフォアグラ大根を思わせる一品で、とても美味しい。

阿波尾鶏の岩塩焼き

「東京から来た」と言うと、徳島らしいものを出してくれた。筆頭格は阿波尾鶏。阿波地鶏とブロイラーを交配して平成2年から販売されるようになった。平成10年には地鶏の中で生産量が全国1位になったブランド鶏である。
以前東京で食べたときには阿波踊りにかけた珍妙な名前と笑ったが、生産者はなかなか本気である。

和牛のステーキ

阿波尾鶏に比べると知名度は低いが、徳島牛もなかなか美味しい。

いざか家より割烹と言ったいい店だが、料理は和食だけでなく洋食のようなものも多い。従って、大将というよりオーナーシェフの方が似合いそうだ。大きな会館の料理長から独立しただけに、和洋中なんでもござれのように見える。

素材にこだわり、味に厳しいのが客に評価されているようだ。ちょっとシャイな感じのオーナーなので、カウンターなのに話しこめなかったのがちょっと残念だった。


いざか家 喜和美
徳島県徳島市富田町2-41
088-657-0222
http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000029603.html


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2008年04月06日

[麺王](徳島)

徳島駅前にある徳島ラーメンはちょっと変わっている


徳島でラーメンを食べるのも4回目となる。その都度新しい発見があり面白い。以前、徳島駅前の「可成屋」に入ったが、今回は通りを挟んだ対面にある麺王である。可成屋は11時30分開店だが、こちらは11時から食べることが出来る。

入り口の券売機でラーメンと生卵を買った。卵のお値段は最初に行った「東大」がタダ、次の。「いのたに」が50円、麺王は20円である。ラーメン代と卵を合計すると麺王が一番安い
11時を回ったばかりなのに既に先客が一人居た。我々のすぐ後にも観光客と思われる3人連れが入ってきた。駅前、徳島ラーメンとなれば観光客が多いのも頷ける。
ところが、典型的な徳島ラーメンかと思ったら、ちょっと様子が違う。テーブルには辛子高菜や胡麻が乗っている。麺の茹で方も指定できる。替え玉まであり、まるで博多ラーメンのようだ。

向かいの可成屋同様に徳島ラーメンらしくないものが出てくるかと思ったら、ラーメン自体は意外とオーソドックスな徳島風。豚骨しょうゆのスープ、甘辛く煮た豚肉と生卵が揃えば一応徳島ラーメンの適格条件を満たしているということだろうか。料理人たちが切磋琢磨して特徴を出そうとしているのが垣間見えて感心してしまう。

徳島のラーメンは総じて味が濃い。人口比で徳島が全国一糖尿病患者が多いというが、濃い味が好きな県民性と無縁ではないのかもしれない。


麺王
徳島県徳島市寺島本町東3-4旭ビル1F
088-623-4116
http://www.ramen-todai.com/men-oh/index.htm

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2008年03月30日

[可成家](徳島)

徳島ラーメン?


口コミ情報で徳島駅前にある美味しいラーメン屋を探したら、可成家にぶちあたった。昼飯時まで時間を潰して、開店の11時半に店に着いたが開いていない。向かいのラーメン屋はオープンしているのでそちらに行こうか迷った。念のために店の中を覗いたら店員と目が合った。慌てて女性が扉を開けてくれたので、予定通り可成家に入ることができた。

ホッとして席に着いたが、メニューを見て首を傾げた。煮玉子? キムチ? 高菜? 思い込みとは恐ろしい。徳島に徳島ラーメン以外のラーメンがあると考えたこともなかった。東京には全国あらゆる種類のラーメン屋がある。博多に札幌ラーメン屋、札幌にトンコツラーメンの店があってもおかしくない。それなのに、旅行者は勝手に先入観を抱いてしまう。

壁には可成家のこだわりが貼ってある。豚骨、鶏がらで取ったスープ。高級小麦粉を使った自家製麺。自然飼料だけで育てた鶏の卵。生ビールまでもこだわりに入っているのはご愛嬌だ。

ラーメンは確かに美味しかった。評価が高いのも頷ける。徳島ラーメン好きの地元の人でもたまには違うものを食べたくなるだろう。

徳島ラーメンは生卵を入れても味が薄く感じないほどに濃い味である。それを嫌な人にはあっさり味のラーメンが恋しくなるだろう。そうは言っても豚骨ベースのラーメンは、東京で食べる醤油味や塩味のラーメンよりも濃厚である。これをあっさり味というのが徳島らしくもある。

徳島駅前だから旅行者もたくさん来るだろう。これを典型的な徳島ラーメンと勘違いする人がいたら可哀想だ。徳島ラーメンを一食、食べ損なった気持ちは抜けなかったが、まっ!美味しいラーメンを食べたからいいか。


徳島支那蕎麦 可成家
徳島県徳島市一番町3-10
088-655-2229

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2008年03月27日

[一耕]②(松江)

再び松江の一耕へ


「今度は〇日に来ます」と言って常連の先生と女将に別れを告げ、約束どおりやってきた。5時前に入店してビールを飲み始めたところに女将が登場、あれから指折り数えて銀髪を待っていてくれたらしい。すぐに先生に電話をしてくれた。やりかけの仕事を放り出して来るそうだ。

お通し2品

先生が来る前に別の常連さんが女性2人を従えてカウンターに座った。15分ほど待ったところで先生が飛び込んできた。常連さんと先生の二人は地元の名士。仲がいいのかライバルか、議論か言い合いか、地元の言葉なのでよく分からないが丁々発止とやりあっている。

おでん、のどくろの煮物

40代と思われる男性が一人で入ってきた。5時を僅かに過ぎたばかりなのにカウンターはほぼ一杯になった。相変わらず先の二人が話し込むもんだから、連れの女性は後から入ってきた男性と楽し気である。「議論ばかりしていると女性を取られてしまいますよ!」と銀髪が茶化す。酔いが回るに連れて客同士が打ち解ける。

しめさば、くこ茶、しょうが

「しめさばが好きだったですよね」と女将が料理人に勝手に注文してくれる。調理場から「美味しくなるまであと10分待ってくれ」と聞こえてくる。若いのにこだわりの料理人は、一人冷静である。
箸休めに薬膳酒としょうがが出された。

春野菜・山菜の天ぷら、白魚の天ぷら

季節の天ぷらを味わった。前回来た時は吹雪に泣かされたが、あっという間に春爛漫である。

時間の経つのは早い。ボチボチ空港に向かう時間がやってきたので、勘定を頼みトイレに入った。出てきたら一人客を残して全員が立ち上がっているので驚いた。銀髪が去るのを合図にみんなも帰ると言う。別れ際に「次に来るときは泊りがけで来なさいよ!」と先生が言う。女将はニコニコ笑っている。 本当に嬉しいもんだ。

酒場で出会い、別れを惜しむ。酒飲みに生まれて良かった。


和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577

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2008年03月16日

[いのたに](徳島)

徳島ラーメンの代表格


空港に着いて前回と同様に売店を覗いた。三八、一福、春陽軒、ふく利、王王軒、岡本中華とメモしてタクシーに乗り込んだ。

「徳島駅方面にやってください」、タクシーが走り出したところで「徳島ラーメンを食べたい」と付け加えた。「駅前にありますよ」と言うので「あー、あそこか」と応じたら運転手さんの声のトーンが変わった。「徳島に来たことあるの?駅からちょっと離れるけれど、どうせならそっちに行きますか?」もちろん異論はない。

歩けば徳島駅から10分程のところだろうか。派手な看板が道の両側にあるので驚いたが、それは20~30台の車が止められそうな駐車場だった。

小さなラーメン屋を想像していたが、駐車場の規模に見合うラーメン屋としては比較的大きな店である。中に入ると大きな四角のカウンターが2つあり、立って待つ人が7~8人いるが、並んでいるわけでもない。取りあえず自動販売機で食券を買ったものの、どうしていいか分からない。
先に食券を買った人の真似をして、右のカウンターの中のおばさんに食券を渡してしばらく突っ立っていたら、しばらくして空いた席をあてがわれた。

調理場の4人、各カウンターに居るおばさん4~5人が忙しく働く。常連客ばかりならいいが、我々のような初めての客も多いので、秩序は乱れ発注ミスも重なって何やら内輪もめしている。それでも日常茶飯事なのだろう、いざこざはあっさりと収まって何事もなかったようにみんな持ち場に戻る。

大盛り、徳島ラーメン定番の甘辛く煮付けた豚肉入りを頼み、別売り50円の卵を割り入れた。
「東大」ほど味は濃くなかったが、他の土地のラーメンに比べるとしっかりと濃い。茹で時間が1分の極細麺を使っているというが、それほど細く感じられない。

壁に掛けられた免状には女性の名前が書いてある。オーナーは女性なのだろうか。映画「たんぽぽ」で宮本信子が演じた女主人を思い出した。もっとも旦那に先立たれてラーメン屋再興に奮闘する映画と一緒にするのは失礼かもしれない。何と言っても、この混みようなら屋敷が立っているに違いないからだ。

ラーメン屋といっても馬鹿にできない。


中華そば いのたに
徳島県徳島市西大工町4-25
088-653-1482

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2008年03月15日

[橘屋本店](松江)

シンプルな割り子そば


出雲空港からタクシーに乗って松江市内に向かった。ランチまで時間があるので先日「一耕」で出会った先生が奨めてくれた神魂(かもす)神社に行くことにした。「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくるその八重垣を」の古歌で名高い八重垣神社近くにある。その社殿は現存する大社造りで日本初の国宝に指定されたものだ。

ところが、タクシーの運転手はこの神社のことを知らなかった。タクシーの運転手が国宝を知らないことに驚いたが、聞けば出雲空港に入れるのは出雲市のタクシーのみ。従って松江のことはよく分からないと言う。行政指導か、縄張り争いか知らないが、観光客にはいい迷惑である。

神魂神社

まずタクシーも知っていた八重垣神社に行った。八重垣神社は縁結びの神として有名で、高校生の男女10人余りが池に紙を浮かべてコインを乗せ、願いがかなうか占っていた。縁が結ばれても、その後まで神様が面倒を見てくれないことを高校生ではわからないだろう。

迷いながら何とか神魂神社に到着した。国宝の神社は研究者と見られる数人のグループが居るだけで、ひっそりとしていた。出雲大社と比べると遥かに小さいが、荘厳さをたたえている。地元の人たちは観光客で賑わうことを喜ばないという。出雲のタクシーが知らないことは喜ばしいことかもしれない。

割り子そば

ゴルフはシングルハンデが自慢のタクシー運転手だが、松江の道路についてはかなりハンデが必要だった。一方通行で立ち往生したところで、お役御免にした。
夜の街は昼間歩くと本当に寂しい。結局、目的の店はまだ開いてなく、雰囲気のあるそば屋にぶつかったのは幸運だった。

迷わず割り子そばを頼んだ。以前、松江駅前の「一福」 で食べた割り子そばに比べると、遥かにシンプルなものだった。そばの上から直接そばつゆをかけて、順番に食べていった。素朴なそばは美味しかった。

腹ごしらえが済んだところで本来の仕事、松江に来た目的を思い出した。八重垣神社と神魂神社でお参りした効果を試す時が来た。お賽銭をケチったことと、「すべてうまくいきますように」といい加減なお願いをしたことが、今更ながら気になってきた。


橘屋本店
島根県松江市東本町2丁目64番地
0852-25-0496

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2008年02月25日

[一耕](松江)

松江で見つけた楽しく嬉しいお店


4時半に予定の仕事を終えた。東京行きの最終便は7時50分発。余裕を見て松江市内を6時40分には出たい。

入り口にのれんが下がった店を数軒やり過ごした。ピンと来る店がない。なおも歩くと昨年来た「川京」の前に出たが開いていない。進むか戻るか逡巡していたら、断りもなく斜め前の店の扉を部下が開けた。雨がみぞれに変わり、体は冷え切っている。部下に従うことにした。
入ってすぐがカウンターで、右奥に座敷がある。我々が一番乗り。L字型カウンターの2席しかない左隅に陣取った。

お通し、しらうお(酢味噌)、、酢がき

カウンターの中に女性が2人。若い(若く見える?)女将と名刺交換する。日本酒サービス研究会、酒匠研究会連合会と書いてある。気が合いそうで嬉しくなる。

アマサギ、白バイ貝の刺身、おでん(大根とつみれ)

女将を独占して楽しんでいたところに、別の客がやってきた。「先生」と呼ばれる客に女将を奪われた。先生の語り口を聞いて、松本清張原作の「砂の器」を思い出した。

被害者がズーズー弁を話していたので刑事達は東北を走り回る。被害者と加害者の二人が話していた「カメダ」は奥出雲の「亀嵩(カメダケ)」のことだった。出雲でもズーズー弁に似た言葉が話される。物語前半の重要な謎解きの場面だ。

「砂の器だ」とつぶやいたのが先生に聞こえたようだ。その言葉に反応した先生は気分を害しかと思ったら、「あの映画は素晴らしく美しかった」と予想外に嬉しそうである。加藤剛、緒方拳、森田健作、島田洋子、山口果林などが出演、野村芳太郎監督の名作映画はSMAPの仲居君主演でテレビドラマにリメイクされた。たちまちカウンターの向こうとこちらが一体化した。女将を交えて盛り上がった。

しめさば、のどぐろ干物

頼んだ覚えがないしめさばは女将のサービスだった。酢がきつくなく銀髪好みだ。のどぐろの干物は脂が乗って美味い。頭からバリバリ食べた。

頼んでいたタクシーがやってきた。いつも先生を家まで送り届けるタクシーを女将が頼んでくれていた。後からやってきた女性2人を従えて、奥の部屋に消えた先生に別れの挨拶をしに行った。再会を誓って店を出た。手には先生が電話で取り寄せてくれたあご(トビウオ)の野焼きがある。お土産までいただいてしまった。

店を出たら雪に足を取られそうになった。みぞれは雪に、さらに吹雪となった。早めに出たつもりがギリギリで飛行機のチャックインに間に合った。ホッとしていたら、タクシーの窓を外からコツコツと叩く人がいる。窓を開けると、哀れんだ声が入ってきた。

「最終便は欠航になったよ」
「エッ?………」


和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577

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2008年02月24日

[みな美](松江)

やっぱり本場が一番


「どこで食べる?」と部下に聞くと、すかさず旅行ガイドが出てきた。いくつかの店が赤丸で囲まれている。「みな美の鯛めしは日本橋コレド店で食べたことがあるからな…」と除外しようとすると、がっかりした顔をする。「みな美に行くか?」と聞くと嬉しそうだ。最初から行き先は決められていたようなものだ。

タクシーを降りて皆美館に入る。さすがに風格があり立派だ。レストラン入り口のデスクに立つ二人に「日本橋コレドの鯛めしは評判が悪かったよ」と先制パンチを打ち込む。意表を突かれて笑うしかない二人を背にして、レストラン内に進んで行った。

評判が良くなかったのは嘘ではない(→「皆美」)。鯛めしを大きな鯛が乗った炊き込みご飯と勘違いしていたので、茶漬け風の鯛めしに拍子抜けした。ほぐしたフレーク状の鯛と卵の白身、黄身を裏ごししたものを乗せた鯛めしはとても貧弱に見えたものだ。

1,575円の鯛めしセットには魚がついてきた。宍道湖七珍の一つ、スズキかと思ったらカレイだった。相撲足腰(スズキ、モロゲ海老、うなぎ、アマサギ、しらうお、コイ、しじみ)と覚える七珍が一つも乗っていないのは寂しい。周りを見ると殆どは地元の客たち。旅行者の勝手な思いは的外れかもしれない。

期待をしていなかった鯛めし。驚いたことに美味い。日本橋コレド店とはだしが違うのかもしれない。料理人の腕の違いかもしれないし、場所によって食べる人の好みに合わせているのかもしれない。期待をしていなかったのが良かったのか、地元の雰囲気が味を引き立てるのか分からない。部下は「美味い!」を連発している。

店を出て、先制パンチを喰らわした二人に「美味しかったよ!」と言ったら嬉しそうだ。隙が出来たところで「仲居さんが愛想なかった」とKOパンチを入れようと思ったが、止めにした。気分良く別れた方がいい。

食後のコーヒーは「いにしえラウンジ古都里」で飲んだ。島崎藤村、野口雨情、山口誓子、松本清張、直木三十五、川端康成、志賀直哉、棟方志功、山下清、田宮虎彦などの色紙が壁を飾る。明治21年創業の老舗旅館を愛した名士たちだ。松江を代表する有名旅館だがわずか12室しかない。

鯛めしが美味いと、旅館にも泊まりたくなるから不思議だ。旅館の食事も期待できるかもしれない。

庭園茶寮 みな美(皆美館内)
島根県松江市末次本町14 
0852-21-5131
http://www.minami-g.co.jp/minamikan

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2008年02月13日

[東大](徳島)

徳島ラーメンの一番人気店


ラーメン屋に行くことは徳島空港に着いた時に決めていた。徳島市街に向かって空港を出る前に、部下を待たせて売店へ行った。お土産を買うためではなく、徳島名物を知ることが目的だった。銀髪が手ぶらで戻ってきた理由を、ラーメン屋に入ってから部下に教えた。謎は解けたようだ。

四国で麺と言えば讃岐うどん。しかし、これは香川県の名物。売店を一周したらやたらとラーメンのパッケージが目に付いた。テレビで見たことがある生卵ぽっちゃんラーメンが、徳島のものだということは部下に聞いて思い出した。

評判の店は思ったより小さく貧弱だった。一号店、発祥の店は大体こんなものだ。外の自動販売機で買った食券を渡し、「まず、ビールと餃子。ラーメンは後で」と言ってカウンターに座った。

ビールが足りなくなり、部下にお金を渡した。彼は外に出て食券を買ってきた。他に2組いた客はラーメンをサッと食べていなくなった。腹がビールで一杯になる愚は冒したくないので、3本目のビールは我慢してラーメンを頼んだ。

テーブルの上の皿に盛られている卵(無料)を1個取って、自分でラーメンに割り入れた。子供の頃、インスタントラーメンに卵を入れるのが大好きだったが、徳島ラーメンは昔食べた卵入りインスタントラーメンとはまったく違うものだった。

徳島で一番濃いスープと自慢するだけあり、黄身を割って食べても味が薄まらない。ししくいで飲みすぎて味覚がおかしくなったかもしれない。ラーメン屋の後で、ショットバーに行ったせいで、ラーメンの味の記憶がおぼろげになってしまった。

帰りの空港で土産を買った。徳島ラーメンと鳴門のわかめ。実際に食べて気に入った2品だ。

家に帰り、家族に徳島ラーメンを作ってあげた。黄身を割っても味が薄まらないと感じたのは酔いのせいではなかった。卵を入れないと味が濃すぎるかもしれない。卵を入れて完成するのが徳島ラーメンの特徴と考えた方がよさそうだ。

卵ポッチャンのインスタントラーメンが食べたくなった。

東大 大道本店
徳島県徳島市大道1-36
088-655-3775

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2008年02月12日

[ししくい](徳島)

阿波徳島で海女料理


ホテルを出てタクシーに乗り込み「南沖洲の…」と言ったら、運転手さんがすぐに「ししくいですか?」と応えた。驚いて「そうです」と言うと、向こうも驚いて「当たりですか?」と笑う。地図を見る限り徳島駅から車で10分以上離れた港の近くで、地元のサラリーマンがぶらりと訪れる店ではなさそうだ。

タクシーを降りて店を見ると、思ったよりきれいだ。暗闇に救われているのかもしれない。通された座敷のテーブルにはガスコンロが据えられている。部下が「海女さんが海女小屋で焼いて食べるイメージですね」と言う。なるほど、これが海女料理の意味のようだ。

地ビール、貝刺身三種盛り

コンテスト優勝の阿波うず潮ビールを飲みながらサザエ、アワビ、カキを食べる。徳島県南部にある宍喰町から直送の地元産が中心で、カキは鳴門産。鳴門のカキは初耳だったが、これが頗る美味い。
もっと感激したのが若布。鳴門産の若布が有名なことを初めて知った。刺身のつまのはずが、主役を取ってしまった。若布のお代わりを頼んだが、量がないと断られたのは残念だった。

踊り焼き、なまこ酢

うちわ海老が足をバタバタさせる。アワビがグルグル動く。ひおぎ貝がパカッと開く。動物愛護団体に訴えられそうな踊り焼きだ。焼けるまでなまこ酢で酒を飲む。刺身のアワビも良かったが、焼いた方が柔らかくてもっと美味かった。

うちわ海老刺身と焼き

茹でたうちわ海老は何度も食べたことがあるが刺身は初めての挑戦。悪くない。残った頭を焼いてもらったが、踊り焼きのものよりミソや卵が詰まって美味だった。

ウニ

今日のハイライトはウニ。殻付きを頼んだら、たらいに生きたウニが乗ってきた。針が元気良く動いている。殻付きウニは何度も自分で割って食べたことがあるが、これだけ元気に動いているウニは初めての経験。ペンチのような道具で割る作業を部下に任せた。
恐る恐るやるのでウニが逃げ回り上手に割れなかった。それでもスプーンですくって食べると滅茶苦茶美味い。普段ウニは嫌いと敬遠する部下が、もっと食べたいと言うので追加した。今度は銀髪が鮮やかに真っ二つに割った。自画自賛。

更に伊勢海老などを追加しようか迷ったが、腹に空白を残して場所を変えることにした。タクシーに乗り込み、「東大」と告げた。


海女料理 ししくい
徳島県徳島市南沖洲4丁目5番7-1
088-664-0990(4491)
http://sisikui.com/

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2007年12月05日

[さかい](広島)

瀬戸内は美味しい


お好み焼きもいいけれど、やはり夜は瀬戸内海の魚介類に限る。シンプルに楽しむには寿司屋が一番。全日空ホテルのコンシエルジェに紹介してもらった。候補に上がった数軒の名前をタクシーの運転手さんにぶつけ、「さかい」に決定した。

店の前に立って不思議な感覚に襲われた。店に入り板さんの顔を見て気がついた。銀髪グルメ紀行を始める前に来たことがある。部下はしばらくしても思い出さない暢気な男だ。

お通し

刺身盛合わせ

地物を頼んだら、おこぜ、夜鳴き貝、〆鯖が出てきた。夏が旬と言われるおこぜだが、他の魚と同様に冬場の方が美味しいと言う。

小いわし、かわはぎ

かわはぎの肝はおこぜより立派。しかし高級魚のおこぜやかわはぎを圧倒したのは、小いわし(かたくちいわし)である。東京ではなかなか口に出来ないような美味しいいわしだった。

かき酢、しゃこ

広島のかきは今年は成育が遅いとのことで、ちょっと残念。しゃこも広島名物の一つだそうだが、子持ちの時期ではなく、これも残念。

車海老

隣客が食べていた塩焼きを見て驚いた。20cmはあろうかという大きな車えびである。車海老といえば天草産が有名だが、これほど大きなものは見たことがない。地物ではない天然の鹿児島産と聞いて一瞬迷ったが、この機会を逃したらいつありつけるか分からないので食べることにした。頭は焼いてもらった。みそが美味い!

あさり

最後にあさりの味噌汁を飲んだ。築地でも瀬戸内産のあさりを見たことはないが、板さんが奨めるだけあって美味だった。

いろいろ食べた夜だったが、高級魚は値は張るが東京で食べる方が美味しい。いいものは高く売れるところに行ってしまうのだろう。

さかいでも小いわしが一番美味しかった。地方では地元で消費されてしまう安価なものが一番美味しいことを、あらためて思い知らされた。

磯辺料理 さかい
広島県広島市中区胡町3-12(パレ三番街ビル)
082-249-1988
http://www.11sushi.com/sakai

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2007年11月18日

広島名物

空港で広島名物を食べた


広島県人に「もみじ饅頭は大丈夫ですかね?」と言ったら気色ばんだ。白い恋人たち、赤福など相次ぐお土産物屋の不祥事はまだ出てきそうだ。終電や、最終便の時間帯でも大量に積まれたお土産を見るたびに、売れ残りをどうするのだろうと疑問に思っていたが、最近の事件は見事に疑問を解いてくれた。しかし、真面目にやっている会社にとっては迷惑な話だ。

甘いものに興味がない銀髪にとっては、どんなに有名なものでも酒の肴以外は関係ない。空港のレストランに入って、酒盛りの肴は当然地物オンパレードとなった。

穴子酢

瀬戸内の穴子は有名だが、市内の老舗でも県外のものを使っているとの疑惑があるそうだ。疑りたくなるような代物ではある。

じゃこ天

お土産屋で買ってラウンジで食べればよかったと後悔した。鹿児島の飲食店でさつまあげを食べると、どこも揚げ立てが出てきて美味かった。鹿児島でも空港で食べたら不味いだろうか。

小いわし(カタクチイワシ)の天ぷら

いわしは刺身のほうが臭みがなくて美味しい。天ぷらを食べて思い出したが遅かった。それでも充分及第点だ。

カキフライ

やっぱりカキフライが一番だった。地元の新鮮な牡蠣ということもあるが、さすがに取り扱いに慣れているのだろう。

それにしてもどこの空港でもレストランの質はあまりよろしくない。旅の最後は美味しいものを食べて帰りたいのに、満足することは殆どない。なんとかカキフライに救われた広島空港だった。

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2007年11月17日

[元祖へんくつや]&[ふくちゃん] (広島)

広島での昼食はお好み焼き


広島風お好み焼きはどこで食べても同じのように見えるが、微妙に異なる。今回は駅から少し離れた繁華街に行ってみた。

お好み焼き屋が集まる新天地付近、早い時間なのでガラガラの店が多いけれど、ほぼ満員の店もある。どちらに入ったかは言うまでもない。

肉、そば入りを頼んで出来上がるまで店の中を見回すと、自家製のお好み焼きソースが目に止まった。オタフクソースを使わないこだわりに期待してしまう。

一口食べて生麺を使っているのが分かった。カウンターの向こうを覗くと確かに生麺を茹でている。広島駅ビルの「麗ちゃん」と同じで、ここにもこだわりが感じられた。蒸し焼きにしているせいか出来上がりも早い。ソースはちょっと辛めで好みの味だ。

同じ通りを西に進むとふくちゃんがある。

こちらはビニール袋を破り蒸し麺をそのまま生地に乗せて水をかける。野菜はへんくつやより圧倒的に多い。丸くて重い鉄板で押さえつけ、一見したところ雑なお好み焼きの完成するまでかなりの時間を要した。

ソースは定番のオタフクソース。勝負はこだわりのへんくつやの圧勝と思ったが、野菜がタップリで美味しい。同行した部下に聞いたら、ふくちゃんの方が味があって美味いと言う。へんくつやの方が味が薄いと付け加えるが、銀髪は納得できない。

「お前、ふくちゃんの方にはマヨネーズをかけていたよな?」と言うと、本人も気付いて頭を掻いた。味の違いは結局マヨネーズだけだというのだから、料理人たちに申し訳ない。部下の他にマヨネーズを使っている人はいない。

勝負は互角ということにしておこう。白黒つけた方が面白いので、12時を過ぎてもガラガラの店に入ってみたくなった。意外と東京人の口にあったりして…


元祖へんくつや 本店
広島県広島市中区新天地2-8
082-242-8918

お好み ふくちゃん
広島県広島市中区袋町4-1
082-241-4917

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2007年09月07日

[吉備膳](岡山)

岡山名物ばら寿司


同じ名前でも所変われば内容が異なる。ちらし寿司もそんな料理の一つだ。九州出身の銀髪はちらし寿司=混ぜご飯だと思っていた。
東京の寿司屋でちらし寿司を見たときは違和感を覚えた。寿司飯の上に刺身を乗せたものは、慣れ親しんだちらし寿司とはまったく別物だった。

岡山名物がちらし寿司と知ったのは新宿御苑駅にある美苑寿司に行ったときである。岡山ではばら寿司と言った方がいいだろう。全国的に、混ぜご飯をばら寿司、刺身を乗せたものがちらし寿司と呼称を統一してくれていれば、オーダーするとき勘違いすることはなくなる。

岡山駅前のホテルグランヴィア2階の吉備膳に行った。知らない街を入る店のあてもなく歩くのは辛い。無難なのはホテルのレストランだと思った。迷わずちらし寿司膳を選んだ。

先付け

蛸が明石産なら岡山らしくて嬉しいが、質問はしなかった。

ばら寿司

錦糸卵に覆われて、華やかである。いくら、さわら、えび、ままかり、たこ、はも、まぐろ、しゃこ、しいたけ、はす、そぼろ、錦糸卵。食べながら何種類入っているのかと探すのが楽しい。
魚介類はすべて焼くか酢でしめてある。野菜も同様に煮たり、酢に漬けたりして、手がこんでいる。家庭でこれだけのものを作るのは大変だ。もっとも、ばら寿司は各店、各家庭で一つとして同じものがないと言われるので、家庭ではそれなりのばら寿司が作られるのだろう。

桃のアイスクリーム

岡山は瀬戸内の魚介類だけでなく、果物も豊富なところだ。桃太郎を持ち出すまでもなく、桃は岡山の代表的名な果物。桃が終る頃から葡萄の季節が始まる。新種の葡萄・桃太郎は種がなく皮ごと食べられる高級葡萄で、東京の千疋屋では一房2万円で売られているという。岡山駅の売店ですら大粒は8,000円くらいしていた。

駅の売店には桃、葡萄、吉備団子などの甘味が並ぶ。残念ながら果物を含めて甘いものは苦手だ。ばら寿司を意気込んで食べたが、実を言うと酢飯も好物とは言い難い。

昨日の「わたなべ」の魚介類は良かったが、岡山の味を半分ほどしか楽しめない哀れな銀髪だった。

ホテルグランヴィア岡山 吉備膳
岡山県岡山市元町1-5
086-234-7000

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2007年09月06日

[わたなべ]②(岡山)

久々の岡山で瀬戸内三昧


本来なら新しい店を探すところだが、久し振りなのでお気に入りの店「わたなべ」を再訪することにした。前回はタクシーに連れてきてもらったが、今度は歩き。苦もなく行けると思ったのが大間違い。汗だくになりながら、店に2回も電話してやっと探し当てた。入り口の記憶は鮮明で、中に入り大将と奥さんを見て懐かしさが込み上げる。

こちらは覚えていても向こうは違うようだ。「前に写真を撮って、インターネットに載せまして…」と言うと「アー、お客様がコピーを持ってきてくれましたよ」と少し思い出してくれる。「良く書いてあったでしょ。もっともけなしてたら今日来れないよね」と言ったところでみんな大笑い。これで楽しい食事への準備が整った。

お通し、こち、鱧、げそ

お通しは鱧の卵、かれいの肝の煮付け。「地物を中心にお願いします」と告げて後はお任せ。鱧は皮目だけちょっと炙って、お刺身に。鱧の刺身は初体験だった。旬の新いかは後で握りにしてもらうことにして、げそを肴にした。

さわら刺身とたたき、にし貝、ふか

さわらはシーズン外れで食べられないと諦めていたが、明石産のいい型のものが入っていた。刺身、たたきの2種類作ってもらった。同じ魚でもまったく違う味。個人的には刺身がいいかな。
地元ではネコと呼ばれるふか(鮫)の湯引きは酢味噌で食べた。

穴子の塩焼きと刺身、くじら

ガラスケースの中の煮穴子を見て、「生はないの?」と聞いたらあると言う。塩焼きと刺身にしてもらった。瀬戸内の穴子は評判が高い。刺身もいいが、焼いた穴子の美味いこと美味いこと。
くじらは近海で獲れた生のミンククジラとのことだったので、地物ではないが頼んでしまった。生は約2年ぶりだ。

握り

新いか、ままかり、あじ、きすを握ってもらった。他にげその握りと卵焼き。

各人生ビール1杯、酒3~4合を飲んで1人頭12,000円強。飲んで食ってこの値段は驚き物。もっとも、地物中心だったので高額の本鮪、うに、鮑などは食べていない。

東京で食べられない鮮度抜群で、しかも安い地魚を食べる。旅先での食べ方はこれに限る。
今回も大満足の「わたなべ」であった。


鮨三昧 わたなべ
岡山県岡山市幸町5-20
231-9290

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2007年04月10日

[一福](松江)

島根県なら出雲大社、出雲といえば蕎麦。


出雲の名物は割り子そばである。30年前の出雲の思い出は、出雲大社、割り子そばと方言の3つである。本来ならば大社近くでそばを食べるべきだろうが、時間の関係で松江駅近くで食べることにした。

割り子そばの特徴は段重ねの器に異なる薬味を乗せて食べることにある。そばアレルギーの部下は可愛そうに名物を食べることが出来ず、天丼を食べている。カニやエビのアレルギーに比べれば幸せだと慰めた。

3段割り子そば

一福は奥出雲の名店らしく、10割そばは悪くなかった。大社で食べなくても充分満足できた。そばのいいところはビールや酒によく合うことである。勝手に言い訳を作ってビールを飲んでいい気分になった。

単線を走る列車に揺られて居眠りをしながら出雲市に到着した。30年前に走っていた大社までの線路は消えていた。大社は昔と変わりなく神話の荘厳さをたたえている。今年3月、大社から歩いて数分のところに歴史博物館がオープンした。近年になって発掘された伝説の本殿を支える支柱が展示されている。

30年前、夕日を撮るために大社から海に向かった。道に迷って道端で話し込んでいる老婆3人に海の方向を尋ねた。東北のズーズー弁のような言葉で親切に教えてくれるのだが何を言っているのかさっぱり分からない。丁寧に頭を下げて指を差された方角に歩いた。

その後、松本清張原作の映画「砂の器」を見たとき、この体験が役に立った。東京蒲田操車場で殺された元巡査の身元を調べるために、森田健作扮する刑事が東北を走り回る。緒方健扮する元巡査がズーズー弁を話していたとの目撃証言があったためだ。実は元巡査が話していたのは出雲弁で、前半の重要な謎解き話になる。

平日の出雲大社は静かだった。大社前の出雲そばの店も閉まっていたので松江で食べたのは正解だった。30年前は大社前の蕎麦屋で食べたはずだが、記憶を呼び起こすものはなかった。

一福
島根県松江市朝日町661 一畑百貨店6F
0852-55-2564
http://www.ippukusoba.com

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2007年04月09日

[川京](松江)

宍道湖七珍を食す


仕事を終えてホテルに戻り、「寿し秀」で見た宍道湖七珍をネットで調べた。覚え方は「すもうあしこし(相撲足腰)」で、すずき、もろげえび、うなぎ、あまさぎ、しらうお、こい、しじみ。これを食べるために選んだ店は居酒屋の「川京」だった。再び昼間の道を辿った。

小さな居酒屋で、いかにも気楽に入れる店である。いつものようにカウンターに座りビールを頼む。お通しは名物の炙りわかめと白和え。途中につくしをもらった。

女将に七珍を食べに来たことを告げてお任せにした。あまさぎ、鯉は冬しか食べられないので今日は五珍となった。最初はもちろんしじみである。

お助けしじみ(840円)

貝殻の大きさは東京で食べる宍道湖産のしじみと変わらないが、身の大きさは明らかに違う。味付けも絶妙でふっくらとした大和しじみの美味さをよく引き出している。汁は全部飲まずに残して置くように言われた。

しらうお(525円)、もろげえび(525円)

しらうおはしじみと並ぶ宍道湖名物として全国に広まっている。対してもろげえびは馴染みがない。今の季節は小さいので天ぷらにしてくれた。大きくなったら刺身でも食べるようだ。

次の料理を待っている所に外国人の老夫婦が入ってきた。英字ガイドブックLonely Planetでこの店が紹介されているという。すかさず女将が英語のメニューを渡して説明している。たいしたものだ。
悩む彼らに銀髪が助け舟を出した。「我々も旅人。同じものを食べなさい」のアドバイスに彼らは素直に従った。それから1時間以上も3人で話し込んだ。政治、経済、スポーツ話題は多岐に渡った。部下はひとり置き去りにされて黙々と食べ、飲んでいる。

うなぎのたたき(945円)

すずきの奉書焼(1,575円)

たたきは川京オリジナルの人気料理、一方すずきの奉書焼は松江の伝統料理である。
ほぼ満員になった店に主人がようやく戻ってきて、松江や名物料理の口上を述べ始めたが、「レディース&ジェントルマン」の後は日本語。どんな料理よりも名物は主人のようだ。

雑炊

お助けしじみの残り汁は雑炊になって出てきた。これもなかなかの美味である。しじみはのん兵衛の肝臓を助けてくれる。そこでお助けしじみと名づけられた。

カナダ人夫妻は京都滞在を減らして松江に来た。目的はティファニー美術館だったらしいが、数日前に閉館になった不運に落胆していた。「松江に来たおかげで、日本人とこんなに親しく居酒屋で飲めてラッキーだったじゃないか」と言ったら苦笑しながらも同意していた。

メールアドレスを交換して別れた。「今度はカナダで会いましょう」と言われて嬉しかった。
女将の「だんだん(ありがとう)」の声を背に聞きながら店を出た。

安く、美味しく、さらに一期一会。最高の旅の夜だった。


川京
島根県松江市末次本町65
0852-22-1312

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2007年04月08日

[やくも](松江)

初めての水の都・松江


約30年前の夏に東京→京都→出雲大社→鳥取砂丘→博多→熊本→鹿児島→高千穂峡→別府温泉→(フェリーで)神戸→甲子園球場で高校野球→東京と回った。松江は通過しただけだろうか、殆ど記憶がない。

急行と各停を乗り継いだ大学生の貧乏旅行に対して、今回は飛行機の旅なので楽だった。列車を使うととんでもなく遠い松江も、飛行機だと東京にとても近い。出雲空港から松江市内へもバスで25分だから、ちょっと居眠りしている間に着いてしまう。

バスを降りると昼飯の時間だった。松江らしいものを食べたいと思ったが、11時過ぎに開けている店は殆どない。時間が早いから開けてないのか、永遠にシャッターが開かないのか判別し難い店が並ぶ通りをしばらく歩いた。お目当ての一つにしていた「寿し秀」もまだ準備中だったので、店頭の宍道湖七珍の絵だけ写した。

この絵で思い出したのか部下が美味しい鰻屋があると言い出した。彼のお客様が教えてくれたらしい。寿し秀を過ぎて橋を渡ったところに「やまいち」という店があった。これもお目当てにしていた店だが、ランチはやっていない。

左に折れて川に平行する道をさらに歩くと飲食店が並ぶ界隈に鰻屋「やくも」を見つけた。早い時間なのに、既に先客が2人食べていた。メニューは単純だ。蒲焼以外はうざく、う巻き、肝吸いしかない。
比較するためにうな重の一番高い1,890円のものと、一番安い940円の2種類を頼んだ。

値段の差は何切れ入っているかだと言われただけだったが、うなぎの大きさも随分違うようだ。高い方はお重が大きいのでご飯の量も多い。お重にうなぎを重ね合わせるように入れるのが松江式なのか、単にこの店だけの手法なのかは分からない。

蒸さずに焼くだけの関西風なので身はしっかりしている。創業して70年以上の老舗、先代から受け継ぐ自慢の秘伝のたれは、あっさりめに感じた。東京の濃いたれに慣れていると、物足りないようだが、胸焼けをすることがないのはいい。

残念ながらうなぎは身が薄く、脂の乗りも悪い。今の時期のうなぎで評価するのは酷かもしれないが、競争の激しい東京のうなぎ屋の方が上だと思う。

それでも、やくもは有名人が多数訪れた人気店とのこと。店名は「怪談」の作者小泉八雲から取ったものだろう。もっとも八雲も古事記にある和歌「八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる その八重垣を」からつけたそうだから、もっと深い意味を込めたのかもしれない。

宍道湖七珍の一つであるうなぎを、神々の地で食べることに価値があると言うと大袈裟に過ぎるだろうか。


やくも
島根県松江市東本町1-87
0852-21-4042

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2006年12月21日

[こんべ](広島)

広島で韓国料理

全国を歩いていると新幹線の駅が繁華街からはずれているところが多い。前日、駅ビルにある「麗ちゃん」でお好み焼を食べたので、今日は違うものを食べたいと思ったが広島駅周辺は飲食店も少なくて寂しい。午後のアポまで時間があるので駅裏をぶらつくことにした。
12時近いのにシャッターが降りたままのビルが散見される。何気なく目を上げたら「愛友市場」の看板が飛び込んできた。

市場には必ず食堂があるはずなので、ブラブラ歩きの目標が定まった。部下を連れたネクタイ族が市場をうろつくとやけに目立つが、札幌、金沢、福岡などなど市場を覗くのが大好きな銀髪にとってはまったく気にならない。
足を踏み入れてみると、拍子抜けした。築地場内市場などを見馴れている者からすると、なんとも寂しい市場だ。愛友商店街と言ったほうがいいように思われた。

そんな市場なので当然のことながら食堂も少ない。諦めて市場を出ようとしたところで部下が「こんべ」の看板を見つけた。広島に来てなんで韓国料理を食べなければならないんだと一度は却下しようと思ったが、部下の希望を無下に打ち砕くのは可哀想だと思い直した。狭い階段を2階に上がった店に入った。

予想通りというかすいている。予想外と言おうか客は誰もいない。家庭料理というとおり、本当にどこかの家庭に上がりこんだ感じだ。敢えてテレビの見えるカウンター席に座って銀髪はクッパを部下は豆腐チゲ定食を頼んだ。

クッパ

女将さんが持ってきてくれたスポーツ新聞を読んだり、テレビを見上げたりして料理が出来上がるのを待った。出てきた鍋はグツグツと音を立てそうな感じだ。用心しながら一口食べたらしっかり口の中を火傷した。少し冷まさなければ食べられそうにない。二口目を食べたらやはり火傷した。こんなことを4・5回繰り返したがなかなか冷めない。

それでも待てないので本当に苦労しながら3分の1ほど食べたところで、ようやく火傷の危険が過ぎ去った。予想に反して大変美味しかった。辛さも銀髪にはちょうどいい。すなわち結構辛い。部下の選択は間違いではなかった。

夕方、仕事を終えて広島空港行きのバスに乗ると日本語、韓国語、中国語の3ヶ国語でアナウンスされた。考えてみると、広島でたくさんの朝鮮人が被爆した。強制労働で連れて来られた人も多かったのだろう。日韓市民レベルの会合の打ち上げがこんべで行われたこともあるという。

こんべの韓国料理が美味かったのは決して偶然ではないような気がした。


韓国家庭料理 こんべ
広島県広島市南区松原町4-24
082-264-6759

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2006年12月20日

[きっ川](広島)

瀬戸内を喰らう

宿泊先のグランピィアにはコンシエルジェすらないので、いつものようにりーガロイヤルホテルまで車を飛ばした。そこで紹介されたのが「きっ川」だった。小さなビルの3階と聞いてちょっと不安になったが、以前紹介された「水軍の宴」も間違いがなかったことを思い出したら元気になった。

開店時間の5時半ぴったりに一番乗り。右手に個室が3部屋あり、我々は10席ほどのカウンターの一番左に陣取った。大将の吉川さんが笑顔で迎えてくれた。地物を中心に食べたいと言うと、お任せの方がいいと勧められて従うことにした。

お通しはゆば豆腐

刺身の盛り合わせが出されたところで、大将の顔がカウンターの上にニューッと出てきて説明する。ひらめ、ひらそ(ヒラマサ)、柳かつお、大あなごの洗い、小イワシ(カタクチイワシ)、たち貝、にしなど瀬戸内の刺身が並ぶ。

小イワシ(写真中央)

小イワシは禁漁期間のため他の魚を獲る網にたまたま入ったものしか食べる機会はない。今の時期では貴重品と聞いたためか、これが一番美味しかった。

メバル、サワラ

広島近辺では磯釣りでメバルがたくさん釣れるらしく、地元のYさんは3日で400匹を釣ったと自慢していた。きっ川のメバルは音戸で獲れたもので、Yさんのメバルより遥かに立派なサイズだ。
岡山に行けばサワラがなければ始まらないと言われるが、広島で食べてももちろん美味い。サワラは春の魚(鰆)と書くとおり春が旬ではあるが、身が締まった冬の方がいいと言う人もいるそうだ。

穴子の天ぷら

広島に来てもっとも楽しみなのが穴子。きっ川では穴子取りの名人「とらさん」から買い付けるとのこと。肉厚で脂が乗った立派な穴子だった。

土手鍋

広島の冬に牡蠣は外せない。残った汁まで飲みきった。

お食事

米は地元の契約農家から、昆布は2日かけて大将自ら煮付ける。椀に入った地物の蛤は小粒だが味は深い。
満腹になってはいるのだが、壁に貼られたメニューから目が離せない。おこぜ、馬面はぎも魅力的だが、要予約の渡り蟹が気になって仕方がない。
我慢しきれず大将に「渡り蟹は美味いよねー、予約かー 残念だなー」と言ったら、「酒は残っているの?」と聞く。頷くと「少し食べてみる?」と悪戯っぽく笑う。

渡り蟹

スーパーで売られている中国産の冷凍物しか知らない部下が不思議そうにしているが、瀬戸内の渡り蟹は品のいい身を持つ高級蟹だ。

「次に来るときにはもっと美味いものを食べさせるから、必ず1日前に連絡してくださいね!」と念を押されて店を出た。帰るときには店は満員御礼の状態で、しかも客層がいい。

料理もいいが、大将がとってもいい。
「美男子ではないが」と言ったら怒られそうだが、客のところに料理を運び、説明し、誇らしげに微笑む大将がとってもいい。


旬魚 きっ川
広島市中区本通5-13
082-241-0002

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2006年04月29日

岡山ラーメン  人情ラーメン

岡山に来て初めて知ったが、岡山の人はラーメン好きのようだ。タクシーの運転手さんに聞くと、岡山ではラーメン店が増え続けていると言う。

「わたなべ」では隣で寿司をパクついている部下を横目に、腹八分目で抑えた。岡山ラーメンを食べようと思ったのだ。短い滞在期間で色んな味を知るには多少胃に負担がかかるのは止むを得ないが、ホテルに戻って2時間ぐらいお腹が空くのを待った。

インターネットで3店をピックアップしてタクシーに乗った。「やまと」と伝えると多分やってないと言う。まだ9時前なのに嘘だろうと思ったが、やまとの近くの「天神そば」に向かうことにした。行ってみたらここもやってない。ちょっと離れた「商人」に行くように運転手さんに頼んだ。

頼んだ後に嫌な思い出が甦った。数年前和歌山に出張したとき、テレビチャンピオンか何かで日本一のラーメン店となった井出商店に行こうとタクシーに乗った。並ぶのを覚悟したが誰もいない。喜んで料金を払って店の前に立って定休日の札を見つけ愕然とした。

「商人」に向かう前に念のため電話してみた。若い女性が出た。ホッとしたのも束の間、「もう今日は閉店しました」と言われてしまった。ピックアップした3店すべてが今日の営業を終えていた。何という街だ。東京ならまだ宵の口。こんな早い時間に店じまいするラーメン屋など殆どない。

仕方なく、運転手さんの知っている店に行くことにした。なんのことはない、ホテルから歩いて行けるところだ。その「冨士屋」に着いたら、中にまだ客がいるみたいだが、暖簾は片付けられて店先の灯りも消えている。

間違いなく開いていると運転手さんは言ったが、春にしては冷たい雨が降り出したのを見て店じまいしたのかもしれない。申し訳ないと思ったのかそこでメーターを切って、新興のラーメン屋が並ぶ一画に連れて行ってくれた。彼も食べたことがない店とのことで味の保証はない。

入った店は文福堂で「ばかしぼりラーメン」を食べた。

鶏を馬鹿のようにしぼった(煮込んだ)濃いスープだから「ばかしぼり」。とろけるような鶏のチャーシューはなかなかいいが、ラーメンの総合点は可もなく不可もなくかな。

食べ終わって店を出ようとすると、雨足は強まっている。店員のおばさん(女主人?)がビニール傘を奥から探し出して来て持っていけと言う。他所者なので帰しに来られないからと一度は断ったが、骨が2本折れていてどうせ捨てる傘だからと説得されてありがたくもらうことにした。

こんな心遣いをしてくれる人の店なら、将来きっと名店になる違いないと思った。そうなって欲しいものだ。


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2006年04月28日

[わたなべ](岡山)  瀬戸内のさかな三昧

約5年振りに岡山に来た。瀬戸内の魚を堪能した。

地元銀行の常務との会談が終わって部屋を出るときに「岡山での夕食を楽しみに来ました。どこかいい寿司屋さんを紹介してください。」と軽口を叩いたところ、「おう、それならわたなべがいい。ちょっと座って待ってなさい。」と言われた。椅子に戻って待っていると部長が地図を持って来てくれた。本当に親切でありがたい。

シドニーに居たとき、東京からの出張者は必ず海の幸を食べたいと言った。そこでいつも寿司屋に連れて行った。「なんだ、オーストラリアにまで来て寿司屋か? お前らは貧乏だから役員が来たときは高級な寿司を食べられると思っているんだろう!」と罵られたが、そんなことはない。世界で一番魚の扱い方を知っているのが日本人、しかも寿司職人なら間違いないというのが寿司屋を選ぶ理由。フライやバター焼きを食べて喜ぶ日本人は少ない。

日本でなら寿司屋でなくともOKだろうが、評判の寿司屋なら外れることはあるまい。「わたなべ」には数日前に巨人の原監督も来たらしい。移転する前から巨人の選手たちのひいきの店。小さな入り口を入ると長いカウンターの席があり、奥に座敷が二つある。

地元の魚をつまみで食べることにした。

べいか、あいなめ、さわら

べいかは煮ると縮んで米のような形になるため米いかと書くそうだ。卵を抱えていてトロットして美味い。ピンクの色をしているさわらは、地元の人にとってはなくてはならない魚で、トロより人気があるらしい。

しゃこ、ひらめ

子持ちのしゃこはマレーシアの巨大しゃこと比べたら本当に可愛い。おこぜは広島が有名だが岡山でも1年中食べられるそうだ。

おこぜ薄造り、あなごの白焼き

おおぞう

見たことのないえびの名は「おおぞう」。刺身もいいが、焼いた頭はみそが甘くて美味だった。

小鯛とままかり

小鯛とままかりは酢でしめてあるが、あまり酸っぱくなくて銀髪好み。塩の量を少なめにしているとのことで、塩を多くすると酸っぱく感じるそうだ。一つ勉強になった。

最後に刺身にしたおこぜのあらを味噌汁にしてくれた。

大将の渡辺さんは、この時期は産卵期にあたり美味しい魚を出すのが難しいと言う。今日、銀髪が美味しいと思ったあいなめやさわらなども一番美味しい時期は11月。客と大将の満足度は次元が違うようだ。

店を移して約10年、その前の店でも約10年。岡山では有名な店らしいが、大将を横で支える女将ともども偉ぶったところがない気持ちのいい店だった。写真を撮るためにあれこれ注文をつけたが、嫌な顔ひとつせず応えてくれた。女将の笑顔も嬉しかった。

その後、岡山で乗ったタクシーの運転手さんたちに「わたなべ」に行ったと言ったら、誰もが羨ましがった。

わたなべ
岡山県岡山市幸町5-20
086-231-9290

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2006年03月29日

[酔心](広島)  広島の銘酒と料理

東京でもよく見る「酔心」に広島で行ってみた。

広島に来たが今日は泊まらないので、食べることができるのは昼のみ。何を食べるか悩んだ。広島駅に着いたのは12時過ぎだったので、お好み焼き屋には行列が出来ている。それほど時間がある訳ではないため、駅ビルのどこかで食べるしかない。レストラン案内を見ていると見慣れた名前の店を見つけた。「酔心」だった。

広島の酒と言えば「酔心」と銀髪の頭にインプットされている。居酒屋の「酔心」は東京にも西新橋、銀座、新宿と3店舗があり、広島料理を謳っているのでてっきり酒の蔵元が経営している店と思っていた。しかし、居酒屋の「酔心」で会社案内の冊子をもらったが、どこにも蔵元の名前は書いていない。

酒の酔心の蔵元は株式会社酔心山根本店で創業は万延元年(1860年)。「酔心」が誕生したのは明治の中期とのこと。横山大観画伯がこよなく愛した酒が酔心だった。
「大観にとって醉心は主食であり、米の飯は一日を通じてわずかに朝お茶碗軽く一杯程度のもので、後は全部醉心でカロリーを取っていたといわれています。」と酔心山根本店のホームページに書かれていた。

なーんだ。大観て銀髪と同じじゃないか。銀髪も米の飯は朝だけの日が殆ど。「夜は消化に悪いので固形物は摂らない」などとほざいて酒ばかり飲んでいる。学生のときには「銀髪から酒を取ったら酒粕しか残らない」などと揶揄されたものだ。今では本当に弱くなってしまったが。

大観の愛した酔心。勝手に店の名前に使っていいのだろかと思ったら、東京の料理屋酔心は「安芸路」が付いて「安芸路酔心」、広島の店は「釜飯酔心」だ。類似商号で争っているのかと思う反面、蔵元にとって料理屋の酔心は大口ユーザーで仲良しかもしれない。

さて、「釜飯酔心」広島駅新幹線店の入り口右手にある料理サンプルを見ながら思案した。今更牡蠣でもあるまい。東京の天ぷら屋で「瀬戸内の穴子は絶品だが殆ど地元で消費される」と聞いたばかりなので穴子を食べることにした。

定番の穴子めしは蒲焼風のものがご飯の上に乗っているものだが、何か違うものが食べたい。そこで見つけたのが穴子丼。穴子丼と言えば穴子天丼と思ったが、酔心の穴子丼は天ぷらの卵とじ丼であった。穴子の味よりだしが効き過ぎている感もあるが、柔らかく、ホクホク、ホカホカしていて意外と美味しい。鯛のお吸い物もついて945円は充分満足できる品だった。

広島名物は牡蠣、お好み焼だけではない。広島に来たら穴子を是非食べて欲しい。牡蠣はもうすぐシーズンを終えるが、夏に向けて穴子には脂が乗り旬を迎える。

釜飯「酔心」 新幹線店
広島県南区松原町1-2
082-568-2251  
http://www.suishin.or.jp/

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2005年12月06日

広島ラーメン 広島[がんす]

飲んだ後のラーメンはうまい。実際はお腹一杯でも脳が求めるようだ。東京には全国のラーメンが集まる。でも広島ラーメンは聞いたことがない。

ホテルで近くのラーメン屋を教えてもらった。駅に隣接するビルに2軒。一軒は九州ラーメン。もう一軒は尾道ラーメン。広島で九州ラーメンでもないだろう。尾道は岡山県、それに銀座8丁目で飲んだ後しばしば新橋駅前で食べている。

駅周辺を歩くことにした。新幹線口近辺を一周したが見つからない。地下通路を通って南口に出る。広島ラーメンの看板や幟を探して10分位歩いたが見つからない。諦めて駅から見てすぐ斜め前のラーメン屋に入ることにした。広島の味と書いてあるのに期待して。

中に入ると先客が二人。二人とも地元の人のようだ。
「ここのラーメンは広島ラーメンですか?」と聞いたら「そうだ」と言われる。「広島ラーメンってあるんですね」と念を押すと「まあね」と曖昧に応える。どっち?と疑問に思っていると
笑いながら「実は広島ラーメンと言うものはないんですよ」と言う。
まあこのおやじが作るラーメンが広島ラーメンだと一人納得する。

がんすのラーメンはとんこつと鶏がらでだしをとる。尾道ラーメンに近い味のようだ。
「結構濃い味ですね」と言うと、すまなそうに「やっぱりそうかい。本当は昨日スープを入れ替える日だったけど、面倒臭いから明日にしようと思ってね。」と言って苦笑い。
先客が帰り、銀髪一人になったので、のんびりと二人で会話した。

大将は16年前に脱サラをしてラーメン屋を始めた。奥さんが別に仕事を持ち生活を支えてくれた。誰にも師事せず一人で味を確立した。とんこつと鶏がらでスープを作る。もやしとたっぷりのねぎを入れる。大将は自らの怠慢を謝るが、とても美味しい。

以前、店は新幹線口にあり、週刊誌で取り上げられてからは連日行列ができたと言う。奥さんも自分の仕事をやめて手伝わなければならない程繁盛していた。ところが最愛の妻は9年前に亡くなってしまった。子供がいないため仕事をやる気も失せた。失意の中、新幹線口の店を閉め南口に移転した。

最愛の妻との古き良き日を思い出しているのか、遠くを見ながら噛みしめるように、ゆっくりと、淡々と話す。
必死に働く意欲はないと言いながら、自分のラーメンに対する誇りは消えてないようだ。大量にねぎを入れた自作を自慢する。

誰にもドラマがある。大将の昔ばなしが終わった頃、新規の客が入ってきた。

「大将、頑張ってね。また来るからね」と言って店を出た。

「がんす」とは、広島の古い方言の一つで、「~です」という意味。
使い方としては、「おはようがんす。→おはようございます。」
「そうでがんす。→そうですね。」のように使うそうだ。

なぜ店名をがんすにしたのか聞き忘れた。きっと理由があるに違いない。
次回広島に行ったときの宿題が残った。


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2005年10月20日

[水軍の宴] (広島) 瀬戸内名物穴子の白焼 

鰻、鱧、そして穴子。魚介類とは言えないような気がするが、よくもこんな気色の悪いものを高級料理に仕上げたものである。日本人は偉い!
広島と言えば牡蠣。お好み焼きともみじ饅頭も名物かな。他は?
そう、穴子なんですよ!

前回7月に来たときのこと。一日の仕事が終わったところで、泊まっても居ないのに広島でNO.1?のリーガロイヤル・ホテルへ直行した。向かった先はコンシェルジェ。今夜の晩餐をどこでするか相談するため。彼らのリストの中から生け簀がある店を紹介してもらった。それが水軍の宴。
生け簀自体は博多の料理屋には遠く及ばないものの、清潔な店内と満席のお客さんを見て期待が膨らんだ。
その時印象に残った料理はメバルの刺身、オコゼの煮付け。もちろん両方初体験。オコゼは瀬戸内の名産だがこの時は型が小ぶりで刺身は無理。お奨めの煮つけを頼んだがゼラチン状の皮周辺の味は忘れられない。そして驚いたのが穴子の白焼き。瀬戸内の穴子が美味しいとは知らなかった。

3ヶ月振りの広島。日が暮れた。お好み焼きでまだ腹は空かないが、目指す店は水軍の宴。
店主は銀髪を覚えていた。あの穴子を食べに来たと言うと、白焼きの前に穴子の刺身を食えと言う。
瀬戸内産の夜鳴き貝と一緒にドライアイスの演出付きで華麗な一皿が登場した。

穴子を刺身で食べるのは初めて。薄作りで氷に乗っているせいか意外とあっさりしている。ふぐやおこぜには及ばないまでも、上品な味だ。
夜鳴き貝も食べた記憶がないが、貝特有のコリコリした食感はなかなかいい。ピンク色の身は見た目もきれいで、ほんのりした甘さが適度で味わい深い。

そして白焼き。

7月に食べた穴子は脂が皿に滴るほどであったが、今回は脂の乗りが少ない。
残念ながら夏の穴子には負けるが、それでも期待を裏切らない味。
添えられているわさびはこの店オリジナル。本わさびとは微妙に違う風味だったので前回質問したところ、やはり西洋わさびなどと合わせているとのこと。いつもは新鮮な本わさびのみにこだわりたい銀髪だが、これはなかなかいい出来だ。ここの魚との相性がいい。

次は虎はぜの天婦羅。真はぜには勝てないが、はぜらしい香りがして悪くない。

続いて穴子のかば焼き。

赤貝の刺身

穴子に惚れ込んで、前回東京に戻り高級寿司屋で白焼きを頼んで睨まれた。寿司屋は煮るなど仕事をしっかりした穴子を出す。穴子は江戸前を代表する魚。江戸前の調理の仕方が守られる。天婦羅屋でも主役級だが白焼きは味わえない。
仕方なく居酒屋で白焼きを頼んだが味は論外だった。どっかいいとこが東京にもあるはずだが…

水軍の宴の穴子は期待を裏切らなかった。
写真の料理に穴子寿司、生ビール2杯、純米吟醸の冷酒4杯(4合)を加えて合計1万4千円。

リーガロイヤルに推奨されて来たと言うと、店主は驚いた。売り込みに行ったこともないのに一流ホテルがリストに入れていたことを不思議がっていた。もちろん誇らしいに違いない。
グルメ本やネットの情報も便利だが、ホテルで聞くのが一番いい方法だ。ホテルの格は紹介する店の格とほぼ一致する。

若いオーナーと若い板さんたち。老舗にはない清新な味、雰囲気、意気込み。
こちらにも明日からの力を与えてくれる店だ!


活けす料理 水軍の宴
広島市中区流側町7・15 むぎくらビル1階
082-249-8484

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2005年10月19日

[麗ちゃん] (広島)  広島駅名物お好み焼き  

タクシーに乗ってどこかいい料理屋知らないかと聞くが、いい料理屋なぞ行ったことがないと言われる。
ラーメンなら分かるだろうと聞くと、味噌、醤油、塩、とんこつ、鶏がら、魚類スープ、さっぱり、こってりなど種類が多くて、みんな好みが違うので返答できないと言われる。
しかし、広島でお好み焼き屋は?と聞けば、即座に返事が返ってきた。「麗ちゃんだね!」

特にお好み焼きが食べたいわけではないけれど、昼飯には適当かもしれないと思いなおした。
手軽なところでは新幹線広島駅ASSE2階にあるお好み焼き横丁。複数のお好み焼き屋が軒を連ねる。広島担当の部下の話では、いつ来ても麗ちゃんには行列が出来ているとのこと。

幸いお好み焼きは作るのも食べるのも早い。すぐにカウンターに案内される。
麺ありか麺なしか、中に入れる具はどうするかを決める。最初に目に付いた豚、いか、卵に麺なしを一度は頼んだものの、鉄板の向こうで生麺を茹でているのを見て麺入りに変更。
蒸した焼きそば用の麺を使っている店が多いが、ここは茹でたての麺。
テーブルを見渡すと辛口と甘口の2種類のソースがあるのみで、マヨネーズは置いてない。頼むと袋入りのマヨネーズを持ってきてくれるが、殆どの客はマヨネーズなしで食べている。これが本場の食べ方だろうか。

初めて関西風お好み焼きを見たときには驚いた。焼きそば入りのお好み焼きも驚いた。マヨネーズをかけるのを見て驚いた。お好み焼きだからどう作っても文句はないのだから、新作がスタンダードになって全国に広がることもあるだろう。

2ヶ月前のこと。ゴルフの参加賞が山芋だった。家に帰ると生協から山芋が届いていた。こんなに山芋ばかり食べたくないと思ったところで閃いた。お好み焼き粉には山芋がつなぎとして入っている。それなら小麦粉なしのお好み焼きもありかも。
山芋(大和芋)をすりおろし、だし汁を加えて適当な柔らかさにする。その中に卵、キャベツ、豚肉などの具を加えて関西風のお好み焼きの要領で混ぜ合わせて焼く。
ふんわりとしたヘルシーお好み焼きが完成した。ダイエット中と騒いでいる我が家の女性3人も大喜びで食べていた。
そんなことを思い出していると、目の前にドーンとお好み焼きが出てきた。

東京や広島の別の店で食べたものより麗ちゃんのお好み焼きは美味しく感じた。薄目の味付け(特に麺の味付け)が良かった。麺を焼付けてちょっと焦がしたら香ばしいだろう。行列が途絶えて時間を余分に使って調理できるときに、ちょっとわがまま言わせてもらえば新作誕生となりそうだ。

「特に麗ちゃんが焼くと同じ店でもまた違う!」とタクシーの運転手さんは言っていたが、麗ちゃんってどの人だろう。帰りに聞くつもりだったのが、昼間のビールが効いたのか、聞くのを忘れてしまった。
ビールなしじゃあ、お好み焼きは食べれないよね。


投稿者 銀髪 : 固定リンク | コメント (3)