2008年10月10日

[福助](山口市湯田温泉)

今シーズン初めてのふぐ


「ホテルは湯田温泉でいいですか?」と部下に言われて耳を疑った。生真面目な男が珍しいことを言うと驚いたが、調べてみると湯田温泉町には多くの会社がある。ひなびた温泉街をイメージした銀髪が無知だった。

ビジネス街が近いといっても由緒ある温泉街であることは間違いない。立派な温泉旅館も多いが、我々はビジネスホテルに泊まることにした。男二人で温泉宿の座敷で食事をする気にはなれない。ビジネスホテルにも温泉風呂はある。

ホテルにあった周辺案内でふぐを食べられる店を探した。これはと思った老舗の懐石料理屋は前日までに予約を入れないとふぐコースは出来ないと言う。その料理屋が紹介してくれたのが福助。足袋・下着メーカーのイメージから無視した店だった。ちょっと考えれば福=ふく(山口ではふぐをふくと言う)なのだから、ふぐ専門店と容易に分かる。

にこごり、ふぐ刺し、ひれ酒

1万円の天然とらふぐミニコースを頼んだ。15,000円、18,000円の本格コースとは基本的に量の違いだけと言われれば安いほうを頼んでしまう。写真のふぐ刺しは一人前なのでミニといっても貧弱ではない。ひれ酒のひれも立派。

木の芽焼き、唐揚げ

仲居さんによると、福助は創業40年以上になるふぐ料理の老舗。市場を通さず萩から直送するので天然ふぐを安く提供できるとのこと。禁漁期の夏でも、偶然網にかかったふぐを仕入れて客に出しているそうだ。夏でも予約をしておけば天然ふぐを食べられる。

ちり鍋

確かにふぐの量は少ないが、一人たっぷり2杯分あるので充分だ。この店でアルバイト歴4年の女学生が取り分けてくれるのも嬉しい。我が娘たちもアルバイト先では笑顔を振りまいているだろうが、家で銀髪にサービスしてくれることは滅多にない。アルバイト料より遥かに金を出しているのだが…

雑炊、漬物

いつもふぐコースを食べる度に鍋は余って食べ切れない。雑炊も味見程度に少し食べるだけ。ところが今日は雑炊もお代わりして、デザートも食べきった。食事が早く終れば酒の量も抑えられる。安くて、食べ過ぎず、飲みすぎずと完璧な食事が出来た。

ちょっと抑え気味の食事にはさらにご利益があった。ホテルで一息ついて温泉へ。しっかりと伝説の湯を堪能した。

目的のふぐと温泉を楽しんで、メデタシメデタシ。ん?目的は仕事だったかな?


割烹 福助
山口県山口市湯田温泉2-2
083-924-1616

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2008年07月05日

広島つけ麺 [ばくだん屋]&[流行屋]

名物はお好み焼きだけではない


午前中の仕事を終えてタクシーをつかまえた。行き先は「どこか美味しい店へ」だ。運転手さんは考える。「お好み焼きはどうですか?」の声に広島担当の部下の顔が曇る。食べ飽きているようだ。牡蠣の季節ではない。穴子は宮島だと否定される。ようやく出て来た答えはつけ麺だった。

ばくだん屋

ばくだん屋はテレビなどで多数紹介され、広島に10店以上ある。東京には六本木、赤坂、西新宿に、他に福岡、名古屋にも出店している有名店とのこと。銀髪はもちろん初体験。

店員が辛さを選ぶように言うので、銀髪は「口から火が出る」ランクの11倍にしたが、その下のランクの「汗が出る」こともない。20倍以上を食べて褒められればよかったと思った。ただし、辛いのは確かで、味の何たるかは分からなかった。

流行屋

一軒では広島つけ麺の傾向は分からない。今度は下調べをして行った。「広島つけ麺」の名称を約20年前に使い始めた元祖とも言える店が流行屋とのこと。複数の若者が忙しく働く「ばくだん屋」と異なり、店主一人が黙々と倍以上も時間をかけて作る。

こちらの辛さは辛、中辛、大辛の3段階とシンプル。もちろん大辛を選んだがばくだん屋の11倍と似たり寄ったりだった。どちらも辛くて味はよく分からない。
具はチャーシューと茹でたキャベツが共通点。つけ汁にはたっぷりの胡麻。

広島つけ麺の特徴は「辛」にある。瀬戸内の小魚でだしを取るのが基本。だし汁のせいか大辛にしても口の中がヒリヒリするような事はない。今度は辛さを控えめにして味わいたいものだ。もっとも、それでは広島つけ麺と言えないかもしれないが…

いずれにしてもお好み焼きの牙城を崩すのは容易ではなさそうだ。しかし、焼けた鉄板を前にして食べる熱々のお好み焼きは夏向きではない。住み分けするには、辛いつけ麺は格好の食べ物。考えた人は偉い!

ばくだん屋
http://bakudanya.net/

流行屋
広島県広島市中区国泰町1-7-24
082-249-3377
http://www.cusi.ne.jp/hayariya/

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2008年07月04日

[くにさだ](広島)

酒にもこだわる郷土料理の店


適当に店の印をつけた地図を片手に歩いたら風俗店が集まる一画に迷い込んだ。早い時間のためか呼び込みに遮られることなく脱出できて、数分後には店に無事到着した。
入ってすぐ左にカウンター、奥に個室がある。我々はもちろんカウンターに座った。

「口コミ情報の上位にあったので、東京からわざわざ来たんだよ」と言うと、店主たちは目を白黒させていた。驚いたのは「東京」ではなく「口コミ上位」の方らしい。インターネット社会に乗り遅れている店だ。「地物がいいですよね」とこれは「東京」からの反応。期待が持てそうだ。

「まず生ビール」と言うと「ハートランドとアサヒどちらにしますか?」と来た。「万人向けのアサヒだけでなく、麦芽だけで作った本物のビールを置いてあるのがいいね」と言うと「たまたまですよ」と謙遜する。

お通し、刺し盛り(たこ、さば、小いわし)

瀬戸内のたこ、小いわしは有名だが、鯖も生で食べるとは知らなかった。濃い目の醤油がよく合う。九州からでも取り寄せたのかと思ったら、店主自ら手を加えているとのこと。

打ち解けてきたら、店主も本心を語り出す。ハートランドは他所で飲んだ際に惚れて店に置くようにしたとのこと。小さな店に生ビールを2種類置くのだからたまたまのはずがない。冷酒も飲み切り用に店独自の小瓶を酒蔵に造ってもらっている。燗酒用の酒器も用意して入り口の看板で呼び込みをしている。これだけ酒にもこだわっている店が悪いわけがない。

おこぜ

生簀から取り出したオコゼのお造りも見事。胴体を失ったオコゼの口が獅子舞のようにパカパカ動く。肝、卵、皮、内臓などを食べたら残りを唐揚げにしてもらう。骨もヒレも全部バリバリと食べ尽くしてご機嫌だ。

穴子

瀬戸内名物の穴子も見逃せない。煮てふっくらとした身が美味しい。

早い時間だったので店主の国貞さんと女性店員と我々2人、ワイワイ、キャッキャッと騒いだ。イヤイヤ騒いだのは90%以上銀髪だったかもしれない。
最も賑やかな盛り場からはちょっとずれた所にある、決して立派な造りの店ではないが、料理も酒も満足できる高い水準だった。お見送りをしてもらって笑顔で店を出た。

さっき迷い込んだ界隈をチラッと見やると、灯りが輝きを増して我々を誘っている。しかし、「くにさだ」で得た楽しい気分の余韻を壊したくないので、このままホテルに帰って寝ることにした。
ホントだよ。


くにさだ
広島県広島市中区薬研堀7-2
082-249-0660

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2008年06月07日

[こうじ家](高知)

土佐の高知の名物料理


珍しいものを好む銀髪と見向きもしないおやじ、どちらでもない部下の男三人で夕食となった。

お通し、平目の薄造り、じゃが芋とチーズの揚げ饅頭

フルーツトマトとチーズのサラダ、牛タンの陶板焼き

上の料理はもちろん銀髪がオーダーしたものではない。こうじ家は郷土料理以外にもいろんな料理がある。イタリアンのようものもあり、老若男女、地元の客、観光客、誰でもどうぞのお店である。

もっとも、オーダーしたおやじが気に入ったのは卵かけご飯のみ。我々酒呑みを目の前にして早々にご飯をかっこんで満足している。ここからは部下と二人の酒盛りとなる。

ニタリ鯨のお造り、ウツボのたたき

銀髪が選んだのは鯨、ウツボと土佐ジローの3品。

高知沖を回遊する鯨は体長10~13mの小型のニタリ鯨で、1970年代半ばは外洋と合わせると年1400頭以上捕獲されていた。現在は調査捕鯨で年間50頭しか捕れない貴重な食材であるが、食用よりもホエールウォッチングで観光客を魅了している。

ウツボは南日本に広く分布するが、食用にするのは和歌山県と高知県ぐらいしかない。鋭い歯で伊勢海老なども食べる美食家だから、外見に似合わず美味しい白身の魚である。

土佐ジローの炙り焼き

土佐ジローは高知原産で日本最古の日本鶏とも言われる土佐地鶏とアメリカ原産のロードアイランドレッドとをかけ合わせた一代雑種の鶏。小型で褐色、脂肪が少ないのが特徴。なかなか歯応えがある肉だった。

我々も酒はほどほどにして卵かけご飯を食べることにした。親鶏が小型なのだから卵もかわいい。付け合せの青海苔とねぎを乗せて、ザックリ混ぜて食べる。ちょっと濃い目の醤油がよく合う。

取りあえず高知らしいものをいくつか食べた。次回はゆっくり皿鉢料理でも食べたいものである。

土佐食人 こうじ家
高知県高知市廿代町7123 マツチヨビル2F・3F
088-875-1233
http://www.kojoiya.com

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2008年06月06日

[得月楼](高知)

高知を代表する料亭へ


陽暉楼と言えば聞き覚えのある人も多いだろう。原作は宮尾登美子、映画では池上季美子主演で話題になった。本は読んでないし、映画も見ていないので、てっきり遊郭の話かと思っていたが、土佐の花柳界を舞台に人間模様を描いたものらしい。

場所はよさこい節で有名なはりまや橋のバス停前。周りを見渡してもはりまや橋らしきものはない。入り口には観光客や一見さんを安心させるような看板が立ててある。

陽暉楼は明治三年に創業。他にもいくつか大楼があったというから、昔の高知は栄えていたのだろう。風格がある建物だが、往時の隆盛をうかがい知ることはできない。坂本龍馬は維新前に暗殺されているから陽暉楼を使うことはなかった。

弁当

名高い店なので事前に予約して行った。入り口の看板を知っていれば予約はしなかっただろう。しかし、予約していたお陰で座敷に通されて、美しい庭を堪能する間もなく、すぐに料理が運ばれてきた。

2,625円の弁当はかつおのたたきなどが入った立派なものだった。鯛でだしを取ったそうめんも美味しかった。
仲居さんのサービスも悪くなく、口コミで書かれているような悪いところは見当たらない。昼の弁当としては上等である。夜の豪華な料理が値段とつり合うのかは次の機会に検証することにしよう。

店を出たのがまだ12時を回ったばかりだったせいか、下駄箱を見ても他の客が入った気配はない。梅の季節には盆梅を観賞する客で賑わうそうだが、宴会シーズン以外は比較的空いているようである。表の看板に書かれているように、地元の人も観光客も気軽に利用したらいい。

店の前の交差点から見える大きなコンクリート橋を指して「あれがはりまや橋か!」と話していたら、地元の人に笑われた。親切に教えてもらった場所まで歩き、赤い橋を見て拍子抜けした。

よさこい節でかんざしを買う坊さんを、これまで生臭坊主と勘違いしていた。若い坊さんと娘の純愛物語と知ってこれまた己の無知を反省した。もっとも、坂本龍馬がいくつのときに暗殺されたか、タクシーの運転手も答えられなかった。高知が得月楼の頃の隆盛を取り戻すには、地元の人たちの地道な努力が必要なのかもしれない。

オーストラリアに住んでいたとき、外国人に日本のことを正確に伝えられなかった自分を思い出して、ちょっと恥じた。自分の国や町の文化を話せない人を誰も尊敬はしない。


得月楼
高知県高知市南はりまや町1-17-3
088-882-0101
http://www.tokugetsu.co.jp/indexl.html

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2008年04月18日

[ろんぢん](松江)

時計屋ではない。島根牛しゃぶしゃぶの老舗料理屋


出雲空港からタクシーに乗り込んだ。「松江駅前のホテルで昼飯を食べよう」と言ったものの、午後の約束まで時間がある。「どこかいいところはないか?」と部下に聞いたら「ありますよ!」と嬉しそうにガイドブックを鞄から取り出した。付箋のついたページを覗き込むと、赤のマーカーがけばけばしい。

携帯電話での会話が長引いている。「どうしたんだ?」と聞くと「高いコース料理しかないので断ろうとしたけれど、来てくれと熱心にお願いされて電話を切らせてくれないんですよ」と言う。仕方がないので行くことにした。

店はシーンとしていた。かなり年齢がいった女性がにこやかに出てきた。「女将さんですか?」と聞くと大きく首を横に振る。さっき電話で押し問答した仲居さんだった。「すきやきはないの?」と聞いたら「うちは高級ですから…」と言う。彼女の頭の中ではしゃぶしゃぶの方がすきやきより上らしい。

胡麻豆腐、島根牛、しゃぶしゃぶ

牛だけでなく、世界遺産になった石見銀山近くで作られる丸餅や博多の職人から伝授されたうどんなど食材自慢をするのに仲居さんは大忙しである。

ほどなくもっと歳を重ねた女性が現れた。女将である。「なぜろんぢんなんですか?」の質問から彼女の細腕繁盛記が始まった。しゃぶしゃぶ屋を始めたのが43年前で、旦那が生きていたときは時計屋だった。ろんじんの名はやはりスイス時計の名門ロンジンから来ていた。家族を養うために時計屋を廃業、現在の店を始めて以来84歳の今も店を取り仕切る。

甘味3種

女将が自ら作ったと言うので、普段はあまり食べない甘味も口にした。我々3人は日本一の和牛と自慢するのを散々茶化したが、合計年齢で遥かに上回る女将と仲居の2人はまったく意に介さず言葉は止まらない。

彼女らの自慢が根拠がないわけではないと分かったのは家に帰ってネットで調べてからだ。あまり聞いた事がなかったが、島根牛は古くから全国の和牛産地へ繁殖用及び飼育用の元牛として供給されてきた。特に有名なのが第七糸桜号という種雄牛で、その子は4万頭にもなったという。各地の銘柄牛のルーツは島根牛かもしれない。

ロンジンは楽しく美味しかった。女将が元気なうちにまた行きたいものだ。

しゃぶしゃぶ ろんぢん
島根県松江市千鳥町(旅館団地)
0852-22-3618

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2008年04月07日

[喜和美](徳島)

阿波尾鶏、徳島牛、創作料理と多彩


前回ネットで調べて行った「ししくい」は良かった。今回もネットを頼りにしていたら、地元の人に喜和美を教えられた。徳島駅から10分強を歩いて繁華街にやってきた。昼間は雑然とした小路も、灯がともれば華やかになる。その中に喜和美を見つけた。

予約をしていなかったが、カウンターに席を確保できた。我々の直後に店を覗いた数組が断られている。紹介者の目は確かだったようだ。料理にも期待した。

お通し、豚角煮

お奨め料理の一番目に挙げられたのが豚の角煮。カウンター上でまだ湯気があがる角煮は一度調理場に引っ込んで、装いも新たに我々の目の前にやってきた。石鍋シェフのクイーンアリスで食べたフォアグラ大根を思わせる一品で、とても美味しい。

阿波尾鶏の岩塩焼き

「東京から来た」と言うと、徳島らしいものを出してくれた。筆頭格は阿波尾鶏。阿波地鶏とブロイラーを交配して平成2年から販売されるようになった。平成10年には地鶏の中で生産量が全国1位になったブランド鶏である。
以前東京で食べたときには阿波踊りにかけた珍妙な名前と笑ったが、生産者はなかなか本気である。

和牛のステーキ

阿波尾鶏に比べると知名度は低いが、徳島牛もなかなか美味しい。

いざか家より割烹と言ったいい店だが、料理は和食だけでなく洋食のようなものも多い。従って、大将というよりオーナーシェフの方が似合いそうだ。大きな会館の料理長から独立しただけに、和洋中なんでもござれのように見える。

素材にこだわり、味に厳しいのが客に評価されているようだ。ちょっとシャイな感じのオーナーなので、カウンターなのに話しこめなかったのがちょっと残念だった。


いざか家 喜和美
徳島県徳島市富田町2-41
088-657-0222
http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000029603.html


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2008年04月06日

[麺王](徳島)

徳島駅前にある徳島ラーメンはちょっと変わっている


徳島でラーメンを食べるのも4回目となる。その都度新しい発見があり面白い。以前、徳島駅前の「可成屋」に入ったが、今回は通りを挟んだ対面にある麺王である。可成屋は11時30分開店だが、こちらは11時から食べることが出来る。

入り口の券売機でラーメンと生卵を買った。卵のお値段は最初に行った「東大」がタダ、次の。「いのたに」が50円、麺王は20円である。ラーメン代と卵を合計すると麺王が一番安い
11時を回ったばかりなのに既に先客が一人居た。我々のすぐ後にも観光客と思われる3人連れが入ってきた。駅前、徳島ラーメンとなれば観光客が多いのも頷ける。
ところが、典型的な徳島ラーメンかと思ったら、ちょっと様子が違う。テーブルには辛子高菜や胡麻が乗っている。麺の茹で方も指定できる。替え玉まであり、まるで博多ラーメンのようだ。

向かいの可成屋同様に徳島ラーメンらしくないものが出てくるかと思ったら、ラーメン自体は意外とオーソドックスな徳島風。豚骨しょうゆのスープ、甘辛く煮た豚肉と生卵が揃えば一応徳島ラーメンの適格条件を満たしているということだろうか。料理人たちが切磋琢磨して特徴を出そうとしているのが垣間見えて感心してしまう。

徳島のラーメンは総じて味が濃い。人口比で徳島が全国一糖尿病患者が多いというが、濃い味が好きな県民性と無縁ではないのかもしれない。


麺王
徳島県徳島市寺島本町東3-4旭ビル1F
088-623-4116
http://www.ramen-todai.com/men-oh/index.htm

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2008年03月30日

[可成家](徳島)

徳島ラーメン?


口コミ情報で徳島駅前にある美味しいラーメン屋を探したら、可成家にぶちあたった。昼飯時まで時間を潰して、開店の11時半に店に着いたが開いていない。向かいのラーメン屋はオープンしているのでそちらに行こうか迷った。念のために店の中を覗いたら店員と目が合った。慌てて女性が扉を開けてくれたので、予定通り可成家に入ることができた。

ホッとして席に着いたが、メニューを見て首を傾げた。煮玉子? キムチ? 高菜? 思い込みとは恐ろしい。徳島に徳島ラーメン以外のラーメンがあると考えたこともなかった。東京には全国あらゆる種類のラーメン屋がある。博多に札幌ラーメン屋、札幌にトンコツラーメンの店があってもおかしくない。それなのに、旅行者は勝手に先入観を抱いてしまう。

壁には可成家のこだわりが貼ってある。豚骨、鶏がらで取ったスープ。高級小麦粉を使った自家製麺。自然飼料だけで育てた鶏の卵。生ビールまでもこだわりに入っているのはご愛嬌だ。

ラーメンは確かに美味しかった。評価が高いのも頷ける。徳島ラーメン好きの地元の人でもたまには違うものを食べたくなるだろう。

徳島ラーメンは生卵を入れても味が薄く感じないほどに濃い味である。それを嫌な人にはあっさり味のラーメンが恋しくなるだろう。そうは言っても豚骨ベースのラーメンは、東京で食べる醤油味や塩味のラーメンよりも濃厚である。これをあっさり味というのが徳島らしくもある。

徳島駅前だから旅行者もたくさん来るだろう。これを典型的な徳島ラーメンと勘違いする人がいたら可哀想だ。徳島ラーメンを一食、食べ損なった気持ちは抜けなかったが、まっ!美味しいラーメンを食べたからいいか。


徳島支那蕎麦 可成家
徳島県徳島市一番町3-10
088-655-2229

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2008年03月27日

[一耕]②(松江)

再び松江の一耕へ


「今度は〇日に来ます」と言って常連の先生と女将に別れを告げ、約束どおりやってきた。5時前に入店してビールを飲み始めたところに女将が登場、あれから指折り数えて銀髪を待っていてくれたらしい。すぐに先生に電話をしてくれた。やりかけの仕事を放り出して来るそうだ。

お通し2品

先生が来る前に別の常連さんが女性2人を従えてカウンターに座った。15分ほど待ったところで先生が飛び込んできた。常連さんと先生の二人は地元の名士。仲がいいのかライバルか、議論か言い合いか、地元の言葉なのでよく分からないが丁々発止とやりあっている。

おでん、のどくろの煮物

40代と思われる男性が一人で入ってきた。5時を僅かに過ぎたばかりなのにカウンターはほぼ一杯になった。相変わらず先の二人が話し込むもんだから、連れの女性は後から入ってきた男性と楽し気である。「議論ばかりしていると女性を取られてしまいますよ!」と銀髪が茶化す。酔いが回るに連れて客同士が打ち解ける。

しめさば、くこ茶、しょうが

「しめさばが好きだったですよね」と女将が料理人に勝手に注文してくれる。調理場から「美味しくなるまであと10分待ってくれ」と聞こえてくる。若いのにこだわりの料理人は、一人冷静である。
箸休めに薬膳酒としょうがが出された。

春野菜・山菜の天ぷら、白魚の天ぷら

季節の天ぷらを味わった。前回来た時は吹雪に泣かされたが、あっという間に春爛漫である。

時間の経つのは早い。ボチボチ空港に向かう時間がやってきたので、勘定を頼みトイレに入った。出てきたら一人客を残して全員が立ち上がっているので驚いた。銀髪が去るのを合図にみんなも帰ると言う。別れ際に「次に来るときは泊りがけで来なさいよ!」と先生が言う。女将はニコニコ笑っている。 本当に嬉しいもんだ。

酒場で出会い、別れを惜しむ。酒飲みに生まれて良かった。


和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577

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2008年03月16日

[いのたに](徳島)

徳島ラーメンの代表格


空港に着いて前回と同様に売店を覗いた。三八、一福、春陽軒、ふく利、王王軒、岡本中華とメモしてタクシーに乗り込んだ。

「徳島駅方面にやってください」、タクシーが走り出したところで「徳島ラーメンを食べたい」と付け加えた。「駅前にありますよ」と言うので「あー、あそこか」と応じたら運転手さんの声のトーンが変わった。「徳島に来たことあるの?駅からちょっと離れるけれど、どうせならそっちに行きますか?」もちろん異論はない。

歩けば徳島駅から10分程のところだろうか。派手な看板が道の両側にあるので驚いたが、それは20~30台の車が止められそうな駐車場だった。

小さなラーメン屋を想像していたが、駐車場の規模に見合うラーメン屋としては比較的大きな店である。中に入ると大きな四角のカウンターが2つあり、立って待つ人が7~8人いるが、並んでいるわけでもない。取りあえず自動販売機で食券を買ったものの、どうしていいか分からない。
先に食券を買った人の真似をして、右のカウンターの中のおばさんに食券を渡してしばらく突っ立っていたら、しばらくして空いた席をあてがわれた。

調理場の4人、各カウンターに居るおばさん4~5人が忙しく働く。常連客ばかりならいいが、我々のような初めての客も多いので、秩序は乱れ発注ミスも重なって何やら内輪もめしている。それでも日常茶飯事なのだろう、いざこざはあっさりと収まって何事もなかったようにみんな持ち場に戻る。

大盛り、徳島ラーメン定番の甘辛く煮付けた豚肉入りを頼み、別売り50円の卵を割り入れた。
「東大」ほど味は濃くなかったが、他の土地のラーメンに比べるとしっかりと濃い。茹で時間が1分の極細麺を使っているというが、それほど細く感じられない。

壁に掛けられた免状には女性の名前が書いてある。オーナーは女性なのだろうか。映画「たんぽぽ」で宮本信子が演じた女主人を思い出した。もっとも旦那に先立たれてラーメン屋再興に奮闘する映画と一緒にするのは失礼かもしれない。何と言っても、この混みようなら屋敷が立っているに違いないからだ。

ラーメン屋といっても馬鹿にできない。


中華そば いのたに
徳島県徳島市西大工町4-25
088-653-1482

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2008年03月15日

[橘屋本店](松江)

シンプルな割り子そば


出雲空港からタクシーに乗って松江市内に向かった。ランチまで時間があるので先日「一耕」で出会った先生が奨めてくれた神魂(かもす)神社に行くことにした。「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくるその八重垣を」の古歌で名高い八重垣神社近くにある。その社殿は現存する大社造りで日本初の国宝に指定されたものだ。

ところが、タクシーの運転手はこの神社のことを知らなかった。タクシーの運転手が国宝を知らないことに驚いたが、聞けば出雲空港に入れるのは出雲市のタクシーのみ。従って松江のことはよく分からないと言う。行政指導か、縄張り争いか知らないが、観光客にはいい迷惑である。

神魂神社

まずタクシーも知っていた八重垣神社に行った。八重垣神社は縁結びの神として有名で、高校生の男女10人余りが池に紙を浮かべてコインを乗せ、願いがかなうか占っていた。縁が結ばれても、その後まで神様が面倒を見てくれないことを高校生ではわからないだろう。

迷いながら何とか神魂神社に到着した。国宝の神社は研究者と見られる数人のグループが居るだけで、ひっそりとしていた。出雲大社と比べると遥かに小さいが、荘厳さをたたえている。地元の人たちは観光客で賑わうことを喜ばないという。出雲のタクシーが知らないことは喜ばしいことかもしれない。

割り子そば

ゴルフはシングルハンデが自慢のタクシー運転手だが、松江の道路についてはかなりハンデが必要だった。一方通行で立ち往生したところで、お役御免にした。
夜の街は昼間歩くと本当に寂しい。結局、目的の店はまだ開いてなく、雰囲気のあるそば屋にぶつかったのは幸運だった。

迷わず割り子そばを頼んだ。以前、松江駅前の「一福」 で食べた割り子そばに比べると、遥かにシンプルなものだった。そばの上から直接そばつゆをかけて、順番に食べていった。素朴なそばは美味しかった。

腹ごしらえが済んだところで本来の仕事、松江に来た目的を思い出した。八重垣神社と神魂神社でお参りした効果を試す時が来た。お賽銭をケチったことと、「すべてうまくいきますように」といい加減なお願いをしたことが、今更ながら気になってきた。


橘屋本店
島根県松江市東本町2丁目64番地
0852-25-0496

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2008年02月25日

[一耕](松江)

松江で見つけた楽しく嬉しいお店


4時半に予定の仕事を終えた。東京行きの最終便は7時50分発。余裕を見て松江市内を6時40分には出たい。

入り口にのれんが下がった店を数軒やり過ごした。ピンと来る店がない。なおも歩くと昨年来た「川京」の前に出たが開いていない。進むか戻るか逡巡していたら、断りもなく斜め前の店の扉を部下が開けた。雨がみぞれに変わり、体は冷え切っている。部下に従うことにした。
入ってすぐがカウンターで、右奥に座敷がある。我々が一番乗り。L字型カウンターの2席しかない左隅に陣取った。

お通し、しらうお(酢味噌)、、酢がき

カウンターの中に女性が2人。若い(若く見える?)女将と名刺交換する。日本酒サービス研究会、酒匠研究会連合会と書いてある。気が合いそうで嬉しくなる。

アマサギ、白バイ貝の刺身、おでん(大根とつみれ)

女将を独占して楽しんでいたところに、別の客がやってきた。「先生」と呼ばれる客に女将を奪われた。先生の語り口を聞いて、松本清張原作の「砂の器」を思い出した。

被害者がズーズー弁を話していたので刑事達は東北を走り回る。被害者と加害者の二人が話していた「カメダ」は奥出雲の「亀嵩(カメダケ)」のことだった。出雲でもズーズー弁に似た言葉が話される。物語前半の重要な謎解きの場面だ。

「砂の器だ」とつぶやいたのが先生に聞こえたようだ。その言葉に反応した先生は気分を害しかと思ったら、「あの映画は素晴らしく美しかった」と予想外に嬉しそうである。加藤剛、緒方拳、森田健作、島田洋子、山口果林などが出演、野村芳太郎監督の名作映画はSMAPの仲居君主演でテレビドラマにリメイクされた。たちまちカウンターの向こうとこちらが一体化した。女将を交えて盛り上がった。

しめさば、のどぐろ干物

頼んだ覚えがないしめさばは女将のサービスだった。酢がきつくなく銀髪好みだ。のどぐろの干物は脂が乗って美味い。頭からバリバリ食べた。

頼んでいたタクシーがやってきた。いつも先生を家まで送り届けるタクシーを女将が頼んでくれていた。後からやってきた女性2人を従えて、奥の部屋に消えた先生に別れの挨拶をしに行った。再会を誓って店を出た。手には先生が電話で取り寄せてくれたあご(トビウオ)の野焼きがある。お土産までいただいてしまった。

店を出たら雪に足を取られそうになった。みぞれは雪に、さらに吹雪となった。早めに出たつもりがギリギリで飛行機のチャックインに間に合った。ホッとしていたら、タクシーの窓を外からコツコツと叩く人がいる。窓を開けると、哀れんだ声が入ってきた。

「最終便は欠航になったよ」
「エッ?………」


和み三昧 一耕
島根県松江市東本町1-58
0852-32-4577

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2008年02月24日

[みな美](松江)

やっぱり本場が一番


「どこで食べる?」と部下に聞くと、すかさず旅行ガイドが出てきた。いくつかの店が赤丸で囲まれている。「みな美の鯛めしは日本橋コレド店で食べたことがあるからな…」と除外しようとすると、がっかりした顔をする。「みな美に行くか?」と聞くと嬉しそうだ。最初から行き先は決められていたようなものだ。

タクシーを降りて皆美館に入る。さすがに風格があり立派だ。レストラン入り口のデスクに立つ二人に「日本橋コレドの鯛めしは評判が悪かったよ」と先制パンチを打ち込む。意表を突かれて笑うしかない二人を背にして、レストラン内に進んで行った。

評判が良くなかったのは嘘ではない(→「皆美」)。鯛めしを大きな鯛が乗った炊き込みご飯と勘違いしていたので、茶漬け風の鯛めしに拍子抜けした。ほぐしたフレーク状の鯛と卵の白身、黄身を裏ごししたものを乗せた鯛めしはとても貧弱に見えたものだ。

1,575円の鯛めしセットには魚がついてきた。宍道湖七珍の一つ、スズキかと思ったらカレイだった。相撲足腰(スズキ、モロゲ海老、うなぎ、アマサギ、しらうお、コイ、しじみ)と覚える七珍が一つも乗っていないのは寂しい。周りを見ると殆どは地元の客たち。旅行者の勝手な思いは的外れかもしれない。

期待をしていなかった鯛めし。驚いたことに美味い。日本橋コレド店とはだしが違うのかもしれない。料理人の腕の違いかもしれないし、場所によって食べる人の好みに合わせているのかもしれない。期待をしていなかったのが良かったのか、地元の雰囲気が味を引き立てるのか分からない。部下は「美味い!」を連発している。

店を出て、先制パンチを喰らわした二人に「美味しかったよ!」と言ったら嬉しそうだ。隙が出来たところで「仲居さんが愛想なかった」とKOパンチを入れようと思ったが、止めにした。気分良く別れた方がいい。

食後のコーヒーは「いにしえラウンジ古都里」で飲んだ。島崎藤村、野口雨情、山口誓子、松本清張、直木三十五、川端康成、志賀直哉、棟方志功、山下清、田宮虎彦などの色紙が壁を飾る。明治21年創業の老舗旅館を愛した名士たちだ。松江を代表する有名旅館だがわずか12室しかない。

鯛めしが美味いと、旅館にも泊まりたくなるから不思議だ。旅館の食事も期待できるかもしれない。

庭園茶寮 みな美(皆美館内)
島根県松江市末次本町14 
0852-21-5131
http://www.minami-g.co.jp/minamikan

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2008年02月13日

[東大](徳島)

徳島ラーメンの一番人気店


ラーメン屋に行くことは徳島空港に着いた時に決めていた。徳島市街に向かって空港を出る前に、部下を待たせて売店へ行った。お土産を買うためではなく、徳島名物を知ることが目的だった。銀髪が手ぶらで戻ってきた理由を、ラーメン屋に入ってから部下に教えた。謎は解けたようだ。

四国で麺と言えば讃岐うどん。しかし、これは香川県の名物。売店を一周したらやたらとラーメンのパッケージが目に付いた。テレビで見たことがある生卵ぽっちゃんラーメンが、徳島のものだということは部下に聞いて思い出した。

評判の店は思ったより小さく貧弱だった。一号店、発祥の店は大体こんなものだ。外の自動販売機で買った食券を渡し、「まず、ビールと餃子。ラーメンは後で」と言ってカウンターに座った。

ビールが足りなくなり、部下にお金を渡した。彼は外に出て食券を買ってきた。他に2組いた客はラーメンをサッと食べていなくなった。腹がビールで一杯になる愚は冒したくないので、3本目のビールは我慢してラーメンを頼んだ。

テーブルの上の皿に盛られている卵(無料)を1個取って、自分でラーメンに割り入れた。子供の頃、インスタントラーメンに卵を入れるのが大好きだったが、徳島ラーメンは昔食べた卵入りインスタントラーメンとはまったく違うものだった。

徳島で一番濃いスープと自慢するだけあり、黄身を割って食べても味が薄まらない。ししくいで飲みすぎて味覚がおかしくなったかもしれない。ラーメン屋の後で、ショットバーに行ったせいで、ラーメンの味の記憶がおぼろげになってしまった。

帰りの空港で土産を買った。徳島ラーメンと鳴門のわかめ。実際に食べて気に入った2品だ。

家に帰り、家族に徳島ラーメンを作ってあげた。黄身を割っても味が薄まらないと感じたのは酔いのせいではなかった。卵を入れないと味が濃すぎるかもしれない。卵を入れて完成するのが徳島ラーメンの特徴と考えた方がよさそうだ。

卵ポッチャンのインスタントラーメンが食べたくなった。

東大 大道本店
徳島県徳島市大道1-36
088-655-3775

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2008年02月12日

[ししくい](徳島)

阿波徳島で海女料理


ホテルを出てタクシーに乗り込み「南沖洲の…」と言ったら、運転手さんがすぐに「ししくいですか?」と応えた。驚いて「そうです」と言うと、向こうも驚いて「当たりですか?」と笑う。地図を見る限り徳島駅から車で10分以上離れた港の近くで、地元のサラリーマンがぶらりと訪れる店ではなさそうだ。

タクシーを降りて店を見ると、思ったよりきれいだ。暗闇に救われているのかもしれない。通された座敷のテーブルにはガスコンロが据えられている。部下が「海女さんが海女小屋で焼いて食べるイメージですね」と言う。なるほど、これが海女料理の意味のようだ。

地ビール、貝刺身三種盛り

コンテスト優勝の阿波うず潮ビールを飲みながらサザエ、アワビ、カキを食べる。徳島県南部にある宍喰町から直送の地元産が中心で、カキは鳴門産。鳴門のカキは初耳だったが、これが頗る美味い。
もっと感激したのが若布。鳴門産の若布が有名なことを初めて知った。刺身のつまのはずが、主役を取ってしまった。若布のお代わりを頼んだが、量がないと断られたのは残念だった。

踊り焼き、なまこ酢

うちわ海老が足をバタバタさせる。アワビがグルグル動く。ひおぎ貝がパカッと開く。動物愛護団体に訴えられそうな踊り焼きだ。焼けるまでなまこ酢で酒を飲む。刺身のアワビも良かったが、焼いた方が柔らかくてもっと美味かった。

うちわ海老刺身と焼き

茹でたうちわ海老は何度も食べたことがあるが刺身は初めての挑戦。悪くない。残った頭を焼いてもらったが、踊り焼きのものよりミソや卵が詰まって美味だった。

ウニ

今日のハイライトはウニ。殻付きを頼んだら、たらいに生きたウニが乗ってきた。針が元気良く動いている。殻付きウニは何度も自分で割って食べたことがあるが、これだけ元気に動いているウニは初めての経験。ペンチのような道具で割る作業を部下に任せた。
恐る恐るやるのでウニが逃げ回り上手に割れなかった。それでもスプーンですくって食べると滅茶苦茶美味い。普段ウニは嫌いと敬遠する部下が、もっと食べたいと言うので追加した。今度は銀髪が鮮やかに真っ二つに割った。自画自賛。

更に伊勢海老などを追加しようか迷ったが、腹に空白を残して場所を変えることにした。タクシーに乗り込み、「東大」と告げた。


海女料理 ししくい
徳島県徳島市南沖洲4丁目5番7-1
088-664-0990(4491)
http://sisikui.com/

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2007年12月05日

[さかい](広島)

瀬戸内は美味しい


お好み焼きもいいけれど、やはり夜は瀬戸内海の魚介類に限る。シンプルに楽しむには寿司屋が一番。全日空ホテルのコンシエルジェに紹介してもらった。候補に上がった数軒の名前をタクシーの運転手さんにぶつけ、「さかい」に決定した。

店の前に立って不思議な感覚に襲われた。店に入り板さんの顔を見て気がついた。銀髪グルメ紀行を始める前に来たことがある。部下はしばらくしても思い出さない暢気な男だ。

お通し

刺身盛合わせ

地物を頼んだら、おこぜ、夜鳴き貝、〆鯖が出てきた。夏が旬と言われるおこぜだが、他の魚と同様に冬場の方が美味しいと言う。

小いわし、かわはぎ

かわはぎの肝はおこぜより立派。しかし高級魚のおこぜやかわはぎを圧倒したのは、小いわし(かたくちいわし)である。東京ではなかなか口に出来ないような美味しいいわしだった。

かき酢、しゃこ

広島のかきは今年は成育が遅いとのことで、ちょっと残念。しゃこも広島名物の一つだそうだが、子持ちの時期ではなく、これも残念。

車海老

隣客が食べていた塩焼きを見て驚いた。20cmはあろうかという大きな車えびである。車海老といえば天草産が有名だが、これほど大きなものは見たことがない。地物ではない天然の鹿児島産と聞いて一瞬迷ったが、この機会を逃したらいつありつけるか分からないので食べることにした。頭は焼いてもらった。みそが美味い!

あさり

最後にあさりの味噌汁を飲んだ。築地でも瀬戸内産のあさりを見たことはないが、板さんが奨めるだけあって美味だった。

いろいろ食べた夜だったが、高級魚は値は張るが東京で食べる方が美味しい。いいものは高く売れるところに行ってしまうのだろう。

さかいでも小いわしが一番美味しかった。地方では地元で消費されてしまう安価なものが一番美味しいことを、あらためて思い知らされた。

磯辺料理 さかい
広島県広島市中区胡町3-12(パレ三番街ビル)
082-249-1988
http://www.11sushi.com/sakai

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2007年11月18日

広島名物

空港で広島名物を食べた


広島県人に「もみじ饅頭は大丈夫ですかね?」と言ったら気色ばんだ。白い恋人たち、赤福など相次ぐお土産物屋の不祥事はまだ出てきそうだ。終電や、最終便の時間帯でも大量に積まれたお土産を見るたびに、売れ残りをどうするのだろうと疑問に思っていたが、最近の事件は見事に疑問を解いてくれた。しかし、真面目にやっている会社にとっては迷惑な話だ。

甘いものに興味がない銀髪にとっては、どんなに有名なものでも酒の肴以外は関係ない。空港のレストランに入って、酒盛りの肴は当然地物オンパレードとなった。

穴子酢

瀬戸内の穴子は有名だが、市内の老舗でも県外のものを使っているとの疑惑があるそうだ。疑りたくなるような代物ではある。

じゃこ天

お土産屋で買ってラウンジで食べればよかったと後悔した。鹿児島の飲食店でさつまあげを食べると、どこも揚げ立てが出てきて美味かった。鹿児島でも空港で食べたら不味いだろうか。

小いわし(カタクチイワシ)の天ぷら

いわしは刺身のほうが臭みがなくて美味しい。天ぷらを食べて思い出したが遅かった。それでも充分及第点だ。

カキフライ

やっぱりカキフライが一番だった。地元の新鮮な牡蠣ということもあるが、さすがに取り扱いに慣れているのだろう。

それにしてもどこの空港でもレストランの質はあまりよろしくない。旅の最後は美味しいものを食べて帰りたいのに、満足することは殆どない。なんとかカキフライに救われた広島空港だった。

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2007年11月17日

[元祖へんくつや]&[ふくちゃん] (広島)

広島での昼食はお好み焼き


広島風お好み焼きはどこで食べても同じのように見えるが、微妙に異なる。今回は駅から少し離れた繁華街に行ってみた。

お好み焼き屋が集まる新天地付近、早い時間なのでガラガラの店が多いけれど、ほぼ満員の店もある。どちらに入ったかは言うまでもない。

肉、そば入りを頼んで出来上がるまで店の中を見回すと、自家製のお好み焼きソースが目に止まった。オタフクソースを使わないこだわりに期待してしまう。

一口食べて生麺を使っているのが分かった。カウンターの向こうを覗くと確かに生麺を茹でている。広島駅ビルの「麗ちゃん」と同じで、ここにもこだわりが感じられた。蒸し焼きにしているせいか出来上がりも早い。ソースはちょっと辛めで好みの味だ。

同じ通りを西に進むとふくちゃんがある。

こちらはビニール袋を破り蒸し麺をそのまま生地に乗せて水をかける。野菜はへんくつやより圧倒的に多い。丸くて重い鉄板で押さえつけ、一見したところ雑なお好み焼きの完成するまでかなりの時間を要した。

ソースは定番のオタフクソース。勝負はこだわりのへんくつやの圧勝と思ったが、野菜がタップリで美味しい。同行した部下に聞いたら、ふくちゃんの方が味があって美味いと言う。へんくつやの方が味が薄いと付け加えるが、銀髪は納得できない。

「お前、ふくちゃんの方にはマヨネーズをかけていたよな?」と言うと、本人も気付いて頭を掻いた。味の違いは結局マヨネーズだけだというのだから、料理人たちに申し訳ない。部下の他にマヨネーズを使っている人はいない。

勝負は互角ということにしておこう。白黒つけた方が面白いので、12時を過ぎてもガラガラの店に入ってみたくなった。意外と東京人の口にあったりして…


元祖へんくつや 本店
広島県広島市中区新天地2-8
082-242-8918

お好み ふくちゃん
広島県広島市中区袋町4-1
082-241-4917

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2007年09月07日

[吉備膳](岡山)

岡山名物ばら寿司


同じ名前でも所変われば内容が異なる。ちらし寿司もそんな料理の一つだ。九州出身の銀髪はちらし寿司=混ぜご飯だと思っていた。
東京の寿司屋でちらし寿司を見たときは違和感を覚えた。寿司飯の上に刺身を乗せたものは、慣れ親しんだちらし寿司とはまったく別物だった。

岡山名物がちらし寿司と知ったのは新宿御苑駅にある美苑寿司に行ったときである。岡山ではばら寿司と言った方がいいだろう。全国的に、混ぜご飯をばら寿司、刺身を乗せたものがちらし寿司と呼称を統一してくれていれば、オーダーするとき勘違いすることはなくなる。

岡山駅前のホテルグランヴィア2階の吉備膳に行った。知らない街を入る店のあてもなく歩くのは辛い。無難なのはホテルのレストランだと思った。迷わずちらし寿司膳を選んだ。

先付け

蛸が明石産なら岡山らしくて嬉しいが、質問はしなかった。

ばら寿司

錦糸卵に覆われて、華やかである。いくら、さわら、えび、ままかり、たこ、はも、まぐろ、しゃこ、しいたけ、はす、そぼろ、錦糸卵。食べながら何種類入っているのかと探すのが楽しい。
魚介類はすべて焼くか酢でしめてある。野菜も同様に煮たり、酢に漬けたりして、手がこんでいる。家庭でこれだけのものを作るのは大変だ。もっとも、ばら寿司は各店、各家庭で一つとして同じものがないと言われるので、家庭ではそれなりのばら寿司が作られるのだろう。

桃のアイスクリーム

岡山は瀬戸内の魚介類だけでなく、果物も豊富なところだ。桃太郎を持ち出すまでもなく、桃は岡山の代表的名な果物。桃が終る頃から葡萄の季節が始まる。新種の葡萄・桃太郎は種がなく皮ごと食べられる高級葡萄で、東京の千疋屋では一房2万円で売られているという。岡山駅の売店ですら大粒は8,000円くらいしていた。

駅の売店には桃、葡萄、吉備団子などの甘味が並ぶ。残念ながら果物を含めて甘いものは苦手だ。ばら寿司を意気込んで食べたが、実を言うと酢飯も好物とは言い難い。

昨日の「わたなべ」の魚介類は良かったが、岡山の味を半分ほどしか楽しめない哀れな銀髪だった。

ホテルグランヴィア岡山 吉備膳
岡山県岡山市元町1-5
086-234-7000

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2007年09月06日

[わたなべ]②(岡山)

久々の岡山で瀬戸内三昧


本来なら新しい店を探すところだが、久し振りなのでお気に入りの店「わたなべ」を再訪することにした。前回はタクシーに連れてきてもらったが、今度は歩き。苦もなく行けると思ったのが大間違い。汗だくになりながら、店に2回も電話してやっと探し当てた。入り口の記憶は鮮明で、中に入り大将と奥さんを見て懐かしさが込み上げる。

こちらは覚えていても向こうは違うようだ。「前に写真を撮って、インターネットに載せまして…」と言うと「アー、お客様がコピーを持ってきてくれましたよ」と少し思い出してくれる。「良く書いてあったでしょ。もっともけなしてたら今日来れないよね」と言ったところでみんな大笑い。これで楽しい食事への準備が整った。

お通し、こち、鱧、げそ

お通しは鱧の卵、かれいの肝の煮付け。「地物を中心にお願いします」と告げて後はお任せ。鱧は皮目だけちょっと炙って、お刺身に。鱧の刺身は初体験だった。旬の新いかは後で握りにしてもらうことにして、げそを肴にした。

さわら刺身とたたき、にし貝、ふか

さわらはシーズン外れで食