2010年01月17日
[ぎょうざ大学 元町店](神戸)
神戸ぎょうざの人気店

「どうやって見つけたんですか?」年長の部下に聞く。「前に近くを通ったとき行列ができてたんですよ」と答える。寒い中で並ぶのは嫌だと思いながらついていくと、路地には誰もいない。店内を覗いても客はいないので「しめた!」と思ったら、後ろから「11時半開店です」と冷めた声。開店までの10分を店の中で待たせてもら交渉をする間もなく、冷たい声の主は我々を追い越してドアをピシャリと閉めた。

アーケードに戻りヤマハの店などで時間を潰させてもらった。11時31分、店に戻ると中年夫婦に一番札を奪われた。彼らは奥の4人掛けテーブルに、我々は近くの4人掛けテーブルに陣取った。鷹揚なのか面倒くさいのか、人気店の割には窮屈に座ることを強要されなかった。

ぎょうざだけなら2人前から、ラーメンなども頼めば1人前でもOK。追加オーダーはできないので部下は同時にラーメンも頼んだ。銀髪がぎょうざ2人前だけしか頼まなかったので部下は心配してくれたが、ちゃんと腹具合を計算していた。飲み物は追加オーダーが出来るのだ。

ビールは大瓶だった。ぎょうざが焼きあがる前に1本、焼きあがってからもう1本追加した。店員も心得ている。何も言わないのにラーメンと一緒に小さなどんぶりを持って来てくれた。愛想が悪いと口コミに書かれているが、気が利いている。部下のぎょうざ2個とラーメンを少しもらってあげた。
大昔、先輩にご馳走になったときのことを思い出した。料理を頼む前にビールをガンガン飲まされた。ビールで腹を膨らませて、料理を食べれないようにする魂胆である。意図はすぐに分かったが、注がれるビールを断るわけにはいかなかった。
12時近くになって店も混み始めた。ぎょうざライスを頼む客が多い。学生はニンニク入りを食べられるが、サラリーマンは我々と同様にニンニク抜きを食べているのだろう。意外なことにラーメンも悪くなかった。でも、次回来ることがあってもぎょうざにビールを頼むだろう。出来ればニンニク入りを。
ぎょうざ大学 元町店
兵庫県神戸市中央区元町通2-3-5
078-332-2233
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2010年01月16日
[MALLIGAN マリガン](神戸)
ショットバーでゴルフレッスン

1次会が終って、今は9時少し前。「なんだー、せっかく来てやったのに」ゴルフ狂の部下が鍵のかかったドアをガチャガチャ言わせた。階段を降りて看板を見ると開店は8時となっている。その看板もビルの上の方にかけられた看板もライトが消えていた。諦めて違う店に向った。
11時半、部下が意図したわけでもないのにさっきの小道に迷い込んだ。「ライトが点いてますよ」と銀髪が言うと、彼は時計と睨めっこする。もうホテルに戻って眠る時間である。銀髪のことを気にかけているようなので、銀髪から階段に足をかけた。
「火曜日はレッスンがあるから11時開店なんです」店主の武藤さんが謝っても「年賀状に書いてなかったぞ」とまだ文句を言っている。武藤さんはプロゴルファーで、MILLIGANはゴルフ好きが集まる店らしい。「カクテルは出来るの?」と聞いたら「自信有りません」と正直だ。焼酎の水割りを頼んだ部下を横目に、銀髪は棚に並ぶボトルを左から順番に見ていった。

席を立ち、右の棚を見に行くと、カウンターの右端に珍しいボトルを発見した。「これは売り物じゃないんでしょ?」銀髪が唯一興味を持ったスコッチのラベルはセントアンドリュースなど名門ゴルフコースの写真だ。見るだけのボトルを写真におさめて席に戻った。
フォアローゼスをシングルで頼んだ。まず店名であるMALLIGANの由来から聞くことにした。ティーショットを無打罰で打ち直すことをMALLIGANと言う。1世紀前の米国の医師Malligan先生がやっていたことから、彼の名前がゴルフ用語になった。米国でのシニアツアー参戦を目指す武藤さんは自分の人生をこの言葉に重ね合わせているそうだ。
「シャンクが出て困るんですけど」「ドライバーを買いなおすときに気をつけることは何ですか?」部下や常連客を差し置いて銀髪が武藤さんを独占した。ホームページによると、武藤さんはレッドベターを日本に紹介し、通訳をするなどの多彩な経験でティーチングプロとしての礎を築いた。サックス奏者のKenny Gとも親交があり、彼に「世界一のゴルフの先生」と言わしめたそうだ。
東京からは頻繁に行けないのが残念である。彼にゴルフ練習場やラウンドでのレッスンを受け、夜にはMALLIGANで一杯やりながらアドバイスをもらうことができる。そんな神戸の人たちは幸せだ。
MALLIGAN マリガン
兵庫県神戸市中央区中山手通1-9-6 リバーアップビル3F
078-393-2228
http://www.h4.dion.ne.jp/~golfg
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2010年01月15日
[和香](神戸)
アットホームに京料理

「どうやって見つけたんですか?」と部下に聞いたら「ヤフーで調べた」と答える。数年前まではインターネットとは無縁の60代だったが、今は自由に使いこなしている。見知らぬ土地に来ても、店探しに苦労することはない。
「ゆったりと使ってください」主人は6人掛けのカウンターを我々4人に占拠させてくれた。「どうせ今日は貸切りでしょう」と意地悪を言う部下にも優しい笑顔を返す。「お奨めは何?」と聞いたら「京都で修行しましたので…」と言う。日本料理全般何でもござれのようだ。

付出しが3品。日本酒に合いそうな肴と思うものの、他の人たちの意向は焼酎。酒のメニューを見ると3分の2が焼酎で占められている。京料理に焼酎では可哀想だと思うが、自己主張は慎んだ。

「少しずつ盛合せにしてくれる?」面倒な要求にも主人は快諾する。おこぜ、自家製からすみ、寒ぶりのかま、よこわ(メジマグロ)を切ってくれた。地元瀬戸内産のおこぜが特にいい。

「去年来た時に食べたすっぽんが絶品ですよ」と部下が奨める。「浜名湖産?大分産?」と聞くと近場の岡山産とのこと。天然物を使うこともあるというが、この日は養殖物。小鍋の底に卵が沈んでいる。2人は黒色のゼラチン部分を残した。おじさんたちは食べ物に冒険しない。それにしても赤坂の「たん良」が閉店したのは残念だ。

ふぐ白子の刺身は一皿のみ頼んだ。鮮度が良くて癖がまったくない。一人で食べるつもりだったが、みんなにも味わってもらうことにした。今度はゼラチンを残した二人が喜んで食べた。部下はあまり嬉しそうな顔をしていない。まったく難しいものだ。なまこは全員喜んで食べた。定番のものは苦にしない。
部下の予想は外れた。奥のテーブル席は2つとも埋り、カウンターも我々の独占が崩れた。震災にも妨げられることなく常連客に支えられて20余年。〆のうどん作りに忙しく働く主人にカウンターの常連客が「そんな安いもの一生懸命作らなくてもいいよ」と茶化す。それを笑顔で軽く受け流す優しい主人。出来上がったうどんを女将が運んで行った。
夫唱婦随のアットホームな割烹。初めて来た銀髪にも優しかった。
和香
兵庫県神戸市中央区北長狭通1-20-12 地蔵ビル2階
078-332-0447
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2009年12月27日
[音羽](大阪、守口市)
関西風(?)はなかなかいい

11時40分、店の前で店主らしき人が煙草をふかしていた。「開いてますか?」と言いながら入ると女性店員が迎えてくれた。店内に客は一人もいない。煙草の人が我々を追いかけるように店に入り、追い越して調理場に消えた。
「何を食べたらいいですか?」と店員に聞くと「生地は一緒なので中に何を入れるかですね」と曖昧な返事。「豚玉でしょ」と言う部下に従った。焼きそばが入ったモダン焼きはエビを選んだ。「定食にもできますよ」と言うので笑った。やっぱり大阪ではお好み焼きはごはんと一緒に食べるんだ。

定食は断り、ごはんの代わりにビールを頼んだ。調理場で完成した料理が熱くなったテーブルの鉄板の上に置かれた。からしとマヨネーズはあらかじめつけることをせず、別に持って来てもらった。下戸の部下に2種類のお好み焼きを多めに切り分けた。
まず豚玉を口にした。「ウン、おいしいじゃないか」と言うと部下も同意した。「前に他の店で食べたら凄く不味かったんですよ」と続ける。トラウマから大阪では知らないお好み焼き屋に入らなくなったと言う。モダン焼きを食べた。「オヤッ?」豚玉よりも美味い。

関西風でも広島風でも焼そば入りのお好み焼きは何度も食べたが、どれも生地と麺が喧嘩していた。この店のモダン焼きは見事に合体していて実に美味い。そばを卵でコーティングしているとのことだが、目の前で作っていないので詳細はわからない。
12時を過ぎたところで男女3~4人のグループが続々と入って来た。僅か数分ですべてのテーブルは埋ってしまい、入りきれない客が入り口で踵を返した。「勘定をして!」口をモグモグしながら店員に告げた。タイミングよく入って来たグループが笑顔を見せた。

外に出て店の写真を撮った。看板に「関西風」の文字。大阪で関西風を謳うのはどうしてだろうかと気になった。大阪でも広島風が関西風を凌駕しているのだろうか。「美味しかったですね」と関西風お好み焼きに対する部下の評価も一変したようだ。メデタシ、メデタシ。
音羽
大阪府守口市松町2-12
06-6998-4330
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2009年06月03日
[チコアンドチャーリー](大阪)
大阪でメキシコ料理

「メキシコ料理でいいか?」と言われ「大阪名物で美味いものないもんな」と答えるのが精一杯の抵抗だった。「たこ焼きやお好み焼きを食っても仕方ないだろう」と念を押されれば同意するしかない。どちらも予想できた台詞だ。
メキシコ料理は旧友のMと共通の思い出料理である。大学時代、ロサンゼルスに語学留学していたMを頼って行った時、彼に食べさせられたものがタコスとブリトーだった。30年以上前に日本で食べた人は限られていただろう。最初は汗臭い味と感じたが、食べる回数が増えるにつれ好きになった。
ケサディージャ、ナチョス

チコアンドチャーリーはMのお気に入りの店である。奥さんとの最初のデートの場所もここらしい。銀髪と同様に、彼も帰国後多くの人にタコスを紹介した。しかし、この店で初めて食べたメキシコ料理も多いだろう。銀髪もメキシコ料理屋には何軒も行ったことがあるがケサディージャは初体験。中にチーズが挟んであり、ビールによく合う。
タコス、盛合せ

思い出のタコス。帰国直後はタコスの皮を探すのが大変だったが、今は最寄りのスーパーでも買えるので、店で食べるより家で食べる方が圧倒的に多い。パリパリの皮より柔らかい皮の方が家族は好きだ。メキシコ流にこだわらず、中に入れる具も多彩な銀髪流に変貌している。
「昼飯が遅かったからなー」Mは頼んだ料理を銀髪に食べさせようと熱心だ。昔のようには食べなくなった、飲まなくなった。お互い健康を気遣う歳である。
昔話、仕事の話、健康の話、老いた親の話、そして子供の話。優秀な子供たちのことで饒舌なMが羨ましくも妬ましくもある。
チコアンドチャーリーは駅まで近いので便利だ。「今度は東京でやろうぜ!」Mに見送られながら新幹線の改札口に向かった。
チコアンドチャーリー
大阪府大阪市梅田3-1-1 アクティ大阪カジュアルダイニング16F
06-6347-0303
http://www.senko.co.jp/chico
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2009年05月22日
[桃花春](神戸メリケンパークオリエンタルホテル)
新型インフルエンザなんかに負けるな神戸

神戸駅で新幹線を降りる人の殆どはマスクをしていた。マスクではなくサングラスで顔を隠していたのが歌手のかまやつひろしだったのが笑えた。
オリエンタルホテルの従業員は予想に反してマスクをしていなかった。客に不安感を与えないためという。
閑散としたロビーを抜けてエレベーターに乗った。早い時間とはいえレストランにも人はまばら。一番奥の部屋「天津」に入ると港の景色が迫ってきた。銀髪は窓を背にして座った。薄暮からきらめく夜景へと変わる様を見る楽しみは他の人たちに譲った。

料理はオーダーバイキング形式で、テーブルに置かれたメニュー60種類から好きなものを選ぶ。メニューを見ても誰も声を発しないので、銀髪が勝手に選ぶことにした。高級食材であること、分けやすいことを基準にした。



人数分が盛られた前菜を前にして「取り分けてくれるの?」と言うと、店の女性は首を振って冷たく笑った。ふかひれスープは研修生の女性が分けてくれたが北京ダック、挽肉レタス包み、蟹爪フライは大皿のまま回転テーブルに乗せられた。


もちろんモンゴウイカのXO醤炒め、鮑のオイスターソース煮も取り分けてはくれない。3つずつ頼んだスペアリブの黒豆蒸しや小龍包、海老蒸し餃子、フカヒレ蒸し餃子などの飲茶類は無造作にまとめて置かれた。バラバラに置いてくれれば回転テーブルが忙しく働く必要もなかっただろう。
料理は次々にやってくる。「もう少しゆっくり出してよ」と言ったが後の祭り。アッと言う間にテーブルを埋め尽くした。キッチンの料理人も暇を持て余しているに違いない。
「ラストオーダーはいかがですか?」と言われて90分の時間制限があることを知った。海老のチリソース、酢豚、五目焼きそば、五目炒飯、デザートに杏仁豆腐、マンゴープリンを頼んだ。
お腹は一杯になった。90分が過ぎたところで担当の女性も消えた。それから1時間、夜景をたっぷり堪能しながら話に熱中した。空いていたせいか追い出されることもなく、店は寛容だった。

オーダーバイキングは作りたてを食べられるのがいい。特に今はいつ来るか分からない客のために、たくさん作って並べておくのは無駄である。新型インフルエンザが終息するまで、頑張れ神戸!
桃花春
兵庫県神戸市中央区波止場町5-6
078-325-8111
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2009年02月28日
[祥雲](神戸三宮)
中国本物の餃子

「後で餃子を食べるためにお腹一杯にしない方がいいですよ」と部下が言う。銀髪グルメ紀行のことを考えてくれる優しい部下の言は尊重しなければならない。神戸らしい味噌ダレで食べる餃子を予想していたので、中国人経営の店に連れて行かれて戸惑った。

小さな店はそれなりに混んでいた。「繁昌しているね」と主人に問いかけると「今日はたまたまですよ」と中国人らしい訛りのある日本語が返ってきた。「テレビで紹介されたときは行列ができたけれど、今はそれほどでもない」と淡々と話す。
銀髪の問いを受けながら、手は休みなく動いている。キャベツ、しいたけ、にら、にんにく、ピリ辛の5種類の餃子が次々に出来ていく。取り敢えず、キャベツとしいたけの餃子を頼んだ。

「日本にどのぐらい居るの?」「20年」、「この店は出来てどのぐらい経つの?」「10年」。簡潔な答が返ってくるだけで話は盛り上がらない。「どうして餃子屋さんをやろうと思ったの?」と聞いたところで主人の手が止まり、顔が上がった。「日本には本当の餃子がなかったから」と話しだした。
「中国の餃子と日本の餃子の違い、分かりますか?」今度はこちらが質問される番だ。すぐに降参して答を待った。「日本の餃子は味がない。だから醤油と酢をつけて食べる。これおかしい。」と言われて成る程と思う。確かに中国では餃子もシュウマイもしっかり味がついており、タレを使うことはない。

今度はにんにくとピリ辛を頼んだ。味噌ダレも用意してあるが、もちろん何もつけないで食べる。ビールをお代わりする。「なるほどね」と一人呟く。
「日本に来て苦労したでしょう?」と聞くと、「ぜんぜん」と笑う。そんなはずはないと突っ込もうとしたが止めにした。苦労は当たり前と言われそうだ。
「美味しかったよ。頑張ってね」と言うと嬉しそうに笑った。本当に頑張ってね・
祥雲
兵庫県神戸市中央区加納町4-8-19 北上ホテル1F
078-393-0396
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2009年02月27日
[モーリヤ](神戸)
老舗のステーキ屋さんで神戸牛を

「肉屋が経営しているので安く神戸牛が食べられるんですよ」と神戸に住んだことがある部下が言う。神戸には何度も来ているのに一度も高質な神戸牛を食べたことがないのが不満だったが、今日こそ120年の歴史を持つモーリヤで食べられると意気込んだ。
メニューを開くとお得な厳選牛のコース料理が目に入った。さらにページをめくると神戸牛のコースが別にある。神戸の老舗ステーキ屋の肉はすべて神戸牛と思いがちだが厳選牛は神戸牛の基準は満たしていない。味は同等と言うので悩んだ末に、やっぱり極上神戸牛のコースを食べることにした。
オードブル(鴨)

座ったのはいつものようにカウンター。目の前で焼いてくれるのは山村店長兼総料理長。お母さんが実家で但馬牛を育てていると言うだけに、神戸牛についての造詣は深い。
もちろん歴史のある店のことも教えてくれる。モーリヤは肉屋が前身だが、今は肉屋を経営していない。部下が勘違いした元町の森谷肉店は血縁関係はあっても別経営とのことだった。

味比べをするためにリブロインとフィレを頼んだ。さすがに美しい。フィレだってしっかりサシが入っている。リブロインの方が大きいが、脂身を切り取られると寂しくなる。

さっとミディアムレアに焼いてもらった。最初は赤穂の塩だけで食べるように奨められた。思ったほど脂がしつこくなくて驚いた。これが神戸牛の特徴らしい。

部下のフィレを一口もらった。肉の味がしっかりする。別の部位も食べたくなった。サシが少ない赤身も噛めば噛むほどに美味しいに違いない。
リブロインの脂はカリカリに焼いて焼き野菜の上に乗せてくれた。和牛の美味さは脂にあると言っていい。切り取られてどうなるかと気が気ではなかったが、しっかり銀髪の腹に納まる事になった。メデタシメデタシである。
美味しい神戸牛を食べて満足満足。これからは神戸牛の極上品にこだわらなくてもよくなった。次に来たら厳選牛と食べ比べしてみよう。神戸牛の赤身のステーキも魅力的だ。いやー、食べなければならないものがたくさんできてしまった。
モーリヤ
兵庫県神戸市中央区下山手通2-1-17
078-391-4603
http://www.mouriya.co.jp
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2009年02月20日
[大瓶猩々](神戸)
瀬戸内の幸を神戸で

「洋品店の主人がわざわざ店まで連れて行ってくれたんですよ」と部下が言う。ホテルに戻りインターネットで行き先を探そうかと思っていたが、手間が省けた上にこれほど確実な情報はない。
「あそこですよ」と指差す先の袖看板に書かれた店名は難しくて読めない。「タイヘイショウジョウと読むんですよ」と教えてくれたが意味は分からない。

カウンターに座るなり立派なお通しが出てきた。コース料理の前菜と言った方がいいかもしれない。刺身は他の地域のものも混ざるが、地物を単品でオーダーすることにした。神戸牛、中華料理、洋食などが名物だが、近くには明石があり瀬戸内海の幸に恵まれている。
渡り蟹、穴子白焼き

今はメスが旬の渡り蟹。タップリ卵が入っている。関東なら江戸前の穴子、関西なら瀬戸内・明石海峡の穴子が有名だ。
一息ついたところで店名の由来を尋ねた。名刺の裏には次のように書かれている。「猩々は形がサルで顔が人に似た中国の架空の動物で酒を好みます。大瓶猩々は観世流能楽の曲名で、猩々が酒に浮かれて舞を舞い、親孝行な若者を祝福し無尽蔵な酒壷(大瓶)を与えるという物語です。」
若布、イイダコ

店の壁には能面が掛けられている。主人も舞うそうで、いい趣味を持っている。髪が黒々としているので若く見えるが既に還暦とのこと。
ガシラの煮つけ

ガシラとはカサゴのこと。よく似た鎧メバルもガシラと呼ばれるそうだ。醜い魚だが、味はいい。地物の方がリーズナブルで美味しい。手頃な値段で飲み食いできる店である。
創業から20年以上というが、難しい店名でよくやってこれたと感心する。地元の人たちに支えられてきたのだろう。ほぼ満員の客たちに倣ってひれ酒を飲んだ。もう少し日本酒の品揃えがあれば嬉しいのだが、常連さんが求めないのであればそれも仕方ない。ぶらっと入ってきた我々よそ者も歓迎してくれた。それだけで充分である。
大瓶猩々(たいへいしょうじょう)
兵庫県神戸市中央区北長狭通2-5-1 タイシンサンセットビル7階
078-322-2215
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2008年08月22日
[三厨](奈良)
地元奈良の人に人気の居酒屋

奈良の名物料理は茶粥、三輪素麺、柿の葉寿司、飛鳥鍋、吉野葛、奈良漬といったところだろうか。残念ながら、是非とも食べたいと思うものはない。地元の人も同じようで、セッティングしてくれた店は奈良料理とはあまり関係がない店だった。
鱧落し、鱧天ぷら

今年はよく鱧を食べた。高級食材と言われる鱧も近年はスーパーなどでも売られており、珍しいものではなくなった。もちろん味も値段もピンキリ。好き料理法は吸物、炙り、あらいの順といったところだろうか。これから秋になると松茸の土瓶蒸しの脇役になってしまうが、それも悪くない。
冷奴、ポテトサラダ

山芋短冊、鯛刺身

馬刺し、地鶏焼き

全100席、カラオケパーティーも出来る大型店。料理も豊富で地元の客に愛される店のようだ。近鉄線新大宮駅から徒歩2分、奈良駅から離れているため観光客が来る店ではない。
地元の人と一緒でなければ来ることはなかったろう。
それでも銀髪は奈良にこだわった。料理がなければ酒がある。「ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門、(中略)四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水。粋なねえちゃん…」
フーテンの寅の名口上を持ち出すまでもなく国の始まりの大和の国は酒造りの始まりでもあると言って差し支えないだろう。奈良漬も酒粕あってのものだ。
三厨にも奈良の酒があった。地元の人たちがビール、焼酎を飲むのを横目に、銀髪は奈良の地酒にこだわった。東京では殆ど奈良の酒を見かけない。一人だけ存分に奈良を味わった。
奈良桜井市には酒神を祭る日本最古の神社「大神神社」があるそうだ。大学時代にバッカスの渾名をもらった銀髪には、もっとも似合う神社かもしれない。いつか行かなくちゃ。
三厨
奈良県奈良市大宮町6-6-3
0472-36-3458
http://www11.ocn.ne.jp/~jd-kohei/indexkouhei3.html
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2008年07月13日
[松喜屋](滋賀県大津)
本場の近江牛を

毎年この時期に地元の人に案内されて大津の老舗料理屋に行くのが楽しみだ。今回は松喜屋。早速ホームページを開いてチェックした。
松喜屋は明治初期に近江牛を関東に紹介して、その名を広めたとのこと。牧場と肉屋、それに料理屋を経営する。期待はいやが上にも高まった。
付け出し

前菜、たたき、サラダ、じゃがいもグラタン

席に着くなり料理が運ばれてきた。ビールで乾杯し、次に日本酒を頼んだが、すぐに思い直した。鉄板焼きには赤ワインの方が合う。
肉

見事な霜降り肉が前面に、裏に赤身の肉が隠れる。さすがに近江牛の霜降りは美味い。ホームページによると、松喜屋の創業者は近江牛を船で横浜港まで運んだ。近江牛は東京で大評判になったが、牛を乗せたのが神戸港だったため神戸牛と呼ばれてしまったとのこと。
なるほど神戸牛は近江牛のことだったのかと思ったら、話はそれほど単純ではない。
神戸肉は1983年に発足した神戸肉流通推進協議会により以下のように定義された。①兵庫県で生まれた但馬牛の血統であること。②お産をしたことがない雌牛または去勢した雄牛であること。③兵庫県で肥育されること。④兵庫県の食肉センターに出荷されること。
つまり明治時代に勘違いで名付けられた神戸牛が、後年正式なブランド牛に生まれ変わったことになる(正式名称は神戸肉または神戸ビーフ)。アー、ややこしい。
鉄板焼き

肉と野菜が乗った皿の奥に隠れていた赤いもの。レバーのように見えたが正体は赤こんにゃく。近江八幡市の特産品で、派手好みの織田信長が赤く染めさせたとも伝えられるもの。滅多に食べないので、以前食べたことを忘れていた。
それにしても牛肉のブランドは難しい。岐阜産牛の中で最高級が飛騨牛と言われるように、ブランド産地の中でも細分化される。松阪では特産松阪牛、神戸では三田牛、佐賀牛では伊万里牛などなど。
ところが我が奥様は脂の多い霜降り肉は大嫌い。鮪の大トロも大嫌いだから黒鮪が禁漁になっても意に介さないだろう。ブランドに踊らされない賢い奥様と言いたいところだが、やっぱり服飾品はブランド物が欲しそう。
賢い消費者なんてどこにもいないのだ。
松喜屋
滋賀県大津市唐橋町14-17
077-534-1211
http://www.matsukiya.net
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2008年06月10日
[義市商店](神戸元町)
最後の砦、明石焼き

東の横浜、西の神戸。外国文化が深く根付いた街である。共通する名物料理は中華料理と洋食。今回は洋食を食べようと意気込んだ。
新神戸駅からタクシーで目的の「レストランハイウェイ」に向かった。谷崎潤一郎が愛した老舗。ところがトーアロードに店はない。電話も取り外されていた。どうやら移転してしまったらしい。でも慌てない。次の候補も調べてある。中華街近くの伊藤グリルに歩いて行った。店に入ると間髪入れず冷たく宣告された。「満席です!」
さすがにショックは隠せない。近くに他の候補はない。伊藤グリルに行く途中で一瞥した明石焼きの店に戻った。お腹はペコペコである。時計は1時を回り、他の洋食屋を見つけるまで可愛そうなお腹をなだめすかす自信はない。

大阪の家庭では必ずたこ焼き器があると言うが、明石焼は特別な焼き器があるのだろうか。いずれにしても、地元の人が昼食時に群がるとは思えない。予想以上にこちらは空いていた。銀髪がオーダーする前に先客が勘定をして、以後銀髪が食べ終わるまで貸切になった。
壁には辻本清美や巨人の村田捕手、元ボクシング世界チャンピオンの井岡などの色紙が貼ってある。もう少し人気があり、旬の芸能人を誘致した方がいい。宣伝になっているとは言い難い。
神戸牛のステーキと明石焼きのセット

お得だと言われた1,300円のセットの神戸牛はこちらも予想通りの薄さ。それでも味は悪くなかった。

予想外だったのは明石焼き。なかなか美味しいじゃないか。たこ焼きよりもたこの存在感がある。今まで食べた明石焼きの中では一番美味い。今までで一番お腹が空いていたのを割り引いても悪くないと思った。店がガラガラだったので期待しなかったのも良かったかもしれない。
勘定をしたら最寄の観光地図をくれた。よそ者とバレバレの銀髪だからという訳でもなさそうで、客の殆どが観光客だから機械的に出している感じもする。
目的の洋食は食べられなかったけれど、そこそこ満足した。レストランハイウェイや伊藤グリルに用意した予算をかなり下回ったのも良かった。めでたし、めでたしである。
義市商店
兵庫県神戸市中央区北長狭通3丁目1-1
078-331-7890
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2008年04月20日
今西の奈良漬
本物の奈良漬

昼飯時、「美味しい店がありますよ」と言う部下に従って近鉄奈良駅周辺を歩いた。ところが彼の記憶は曖昧で店が発見できない。行ったり来たりしていたら、立派な造りの店の前に出た。

オーラに引きつけられて店に入る。店内を見渡し、ガラスケースの中を覗いていたら、自信満々の中年女性店員につかまってしまった。「本当の奈良漬を作っているのはうちだけです」と胸を張る。他店のものはまがい物か中国製だと一蹴するのは大胆に過ぎると思うが、堂々とした風格に気圧されて信じてしまう。「女将さんですか?」と聞くと大きく頷いた。
店のパンフレットを読むと、「元祖製造元として江戸末期に開店、味淋粕は用いず、ましてや人工甘味・人工着色・合成保存料等は一切使用せず、最低でも3年、最長13年もの間酒粕に漬け込むと」とある。女将の顔を思い出すと、他店を皮肉っているように思える。
刻み奈良漬

食べやすく刻んである630円のものを買った。他に瓜小袋ときゅうり、西瓜、なすが入った小袋など土産用に買った。由緒正しき逸品でも1,000円前後で買えるのがいい。
今西の奈良漬は他店のものに比べると黒色で味がきつい。大酒飲みならともかく普通の人は食べる大きさに切って冷蔵庫で3~5日置いてから食べるように言われた。女将に銀髪がいかに大酒飲みかを説明した。我ながら馬鹿なことを言うと反省していたら「それなら切ってすぐ食べても大丈夫」と太鼓判を押された。ここで得意気になるからまたいけない。

奈良漬が大好物と言う母にお土産を届けた。それから数日経っても感想を言って来ない。1週間後に母の家に行ったら「高級品は口に合わない」と言う。話を聞いたらあれほど説明したにもかかわらず、切ってすぐに食べたらしい。冷蔵庫で眠っていたものを取り出して食べさせたら「あら、美味しい」。
今西の奈良漬は市販のものとまったく別物と思った方がいい。奈良漬はあまり好きではなかったが、今西の奈良漬はいい酒の肴になるので気に入った。
女将の自信満々の顔が目に浮かんだ。
元祖純正奈良漬
奈良県奈良市上三条町31番地
0742-22-2415
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2008年03月19日
[がんこ](大阪道頓堀)
大阪の雄、本場のお味は?

全国に100店舗近くを展開するがんこグループ。銀座にも2店あるが、東京から出張したメンバーは今回も本場のがんこに行きたいと言う。道頓堀店が大店なので本店と思っていたようだが、例に違わずがんこの発祥の店も小型の十三店である。
お通し、がんこ地中海マグロ中とろ

がんこを冠した料理がいくつかあるので笑った。ところが中トロを一切れ食べたら意外に美味い。侮ってはいけないと思った。帰ってからHPで調べたら、マルハの協力を得てがんこ用に畜養したものだという。
野菜、豚、鶏、えびなどにもがんこを冠した素材がある。洒落で名づけたわけではないのが理解できた。笑わないでそれらを食べれば良かったと後悔した。
ふぐ(唐揚げ、刺身、皮)

皮も一切れもらって口に含んだ。神田。「満寿家」のようにはいかなかった。ふぐにもがんこの名前がついていたらよかったのに。
厚揚げ、サラダ

あおりいか、活きたこ

枝豆、茄子、お新香盛合せ

ネギトロ巻き、穴子寿司

がんこの良さはやはり値段だろう。スポンサー役の銀髪を気遣って、同行者がんこを選んでくれて本当に有り難かった。
安さだけで全国に100店舗近くまで展開できたわけではないことが分かったのも良かった。高いものを使って美味しいのは当たり前。安くても美味しくなければ厳しい大阪人には評価されないだろう。
銀座店に行って、「がんこ〇〇」をもっと食べてみたくなった。
がんこ
大阪府大阪市中央区道頓堀1-8-24
06-6212-1705
http://www.gankofood.co.jp/index.html
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2008年02月15日
[井筒屋](京都)
京都のおまかせ割烹で食べる創作京料理

京都一物知りタクシー運転手の語りを楽しく(うるさく?)聞きながら井筒屋に向かった。趣が一変した花見小路にはカメラを抱えた観光客が溢れている。舞妓さんの出勤時間のようだ。運転手は慣れたもので、観光客を避けながら「てるこさん」の角をゆっくりまがった。
門をくぐり店に入ると、女性たちが床に手をつき頭を下げる。奥に高齢の女将が控え、笑顔を見せている。京都弁が美しい。個室に入ると美味しいお茶が出てきた。
胡麻豆腐雲子乗せ、前菜盛合せ

「くもこ」と説明されて聞きなおした。鱈の白子のことだそうで、いきなり京都らしい呼び名が出てきて嬉しくなった。蕪寿司などを含む前菜盛合せが出てきたところでビールを止めて日本酒にした。京料理には日本酒が相応しい。
お造り(ひらめ、まぐろ、きす)、炊き合わせ

昆布締めのきすはポン酢で、他はわさび醤油で食べる。小さなお造り一皿にも手が込んでいる。京料理に欠かせないぐじ(あまだい)は野菜との炊き合わせとして出てきた。とても美味しい。
石焼(酒盗、海老、さざえ)

一番目の自慢料理が石焼き。酒盗に和えられた海老、さざえを石で軽く焼いて食べる。もちろん全て生で食べられるものだが、少し火を通すことで味が良くなる。残った酒盗はそのまま酒の肴になる。
穴子飯、若筍煮

箸休めに穴子飯を食べる。筍は徳島産で、土の中に電熱線を通して栽培しているとのこと。もちろん若布は鳴門産である。
さわらの焼物、丸もどき

さわらは柚子味噌に漬けられて上品な甘味がある焼物になった。吸物は丸(スッポン)が入らないのでもどきとなる。スッポンのコラーゲンはないが美味だ。

2番目の自慢料理は揚げそうめん。奈良産の絹そうめんを揚げて、長崎皿うどんのように仕上げてある。

食事を挟んで3番目の自慢料理がデザート。
ところてんを突く道具は使い込まれて風格が出ている。餡にからめて食べる。
自慢料理3品は必ずコースに含まれる。他は季節によって異なるという。
随所に行き届いたサービスを受け、ビール3本、お銚子12本を加えて3人で6万円強。思ったよりも安く済んだ。帰り際に確かめると「一見さんお断り」のようなことはないそうだ。
祇園に寄ったら行く価値のある店である。
おまかせ割烹 井筒屋
京都府京都市東山区四条通花見小路下ル 四筋目東入北側
075-541-1869
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2007年09月26日
[大和屋](横浜)
横浜で食べる大阪老舗料理屋の味

大和屋は明治10年(1877年)開業という歴史ある料理屋である。横浜駅近辺で会食することになり探し当てたのが大和屋で、東京では日本橋高島屋のお好み食堂に「大和屋三玄」として出店している。
横浜の大和屋もデパートの上階にあるが、大和屋三玄と異なり独立したきれいな店となっている。それでもデパートの限られたスペースでは、やはり老舗を演出するのは難しい。
先付け

老舗料亭らしくプレゼンテーションはさすがである。バイ貝、白和えと菊の花の下は柚子の器に盛られたさんまの南蛮漬け。
鱧と松茸の吸物

漆の器が美しい。土瓶蒸しのコンビ・鱧の吸物は本当に美味しい。外国産の松茸も何とか役目を果たしている。菊の花が浮かせてあって澄まし汁にアクセントをつけている。
造りと焚合せ

刺身は貝柱、ひらめ、まぐろ、焚合せは穴子と里芋。どちらの皿にも菊の花が彩りを添えている。
蕎麦、焼物

焼き魚はあまだいの若狭焼き。若狭焼きとは酒を塗りながら焼いたもので、代表的な京料理。香ばしく脂が乗ってこの日一番の収穫だった。
酢の物、デザート

大和屋の自慢が羽釜で炊いたご飯。調理場の右手に羽釜が二つ。一膳食べたところでお代わりを奨められたが、お腹が一杯で遠慮した。
デザートを食べてお開きに。
この日食べたのは10,500円のコース。とても美味しかったが、130年の歴史を持つ店の料理をこの値段で食べられたと喜ぶべきか、1万円出すならもっと気軽に美味しい店があると思うか、判断は難しいところだ。
大和屋 そごう横浜店
神奈川県横浜市西区高島2-18-1 10階
045-465-5958
http://m10-yamatoya.co.jp
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2007年07月07日
[黄金一味] 京都祇園味幸
辛いもの大好きな人たちへ

京都駅の土産物屋で「日本一辛い黄金一味」を見つけた。以前長野善行寺前、「八幡屋磯五郎」へのコメントで奨められた唐辛子である。もちろん買った。
包装は黄金だが、唐辛子自体は黄金というより黄緑色ではないか。黄金色ならもっと驚いただろうが、黄緑色でも意外性がある。考えたらタイの激辛唐辛子などは緑色なので、赤色だけが唐辛子であるわけではない。

使ってみると確かに辛い。辛いが八幡屋磯五郎の大辛BIRD EYEの方がもっと辛い。もっとも、黄金一味の方はパウダー状なので、振り掛けた量はBIRD EYEが多かったかもしれない。
黄金一味の唐辛子は国内産で、鷹の爪の10倍の辛味成分を持つ。輸入唐辛子が幅をきかせている昨今、国内産のみを使うのは珍しいのだろう。BIRD EYEが殊更国産を強調していないので、外国産唐辛子を使っているのかもしれない。いずれにしても、この2つの勝負は面白い。
日本橋高島屋に黄金一味が売られていると知って、買いに行った。調味料売り場のレジの正面に他のメーカーの唐辛子と共に並んでいた。八幡屋磯五郎の商品もあるが、BIRD EYEはない。やげんぼりの唐辛子も買おうかと迷ったが、別の棚の商品に目が移ってしまった。
朝天辣椒、朝天小魚

両方とも以前台湾人に奨められて買った。左の激辛、ニンニク入りの唐辛子漬けは我が家に常備している。様々な料理に使えるが、銀髪は味噌汁に数滴垂らすのが好きだ。激辛味噌ラーメン風の味噌汁になる。もちろんラーメンに入れても美味い。
右側は中辛。小鰯の煮干を唐辛子と共に漬けてある。これはそのまま酒の肴にして食べる。チャーハンなどに入れてもいいようだが、料理に使うならXO醤の方が上だろう。
ラー油は自分で作ることにしているが、たまに世界一辛いと言われる生のハパネロを使う。餃子を作ったら、家族にハパネロのラー油と告げず何食わぬ顔をしてテーブルに置く。家族がいつもどおりの量を使うと飛び上がってしまう。これを見るのが楽しい。BIRD EYEでも同じように楽しめた。黄金一味は赤くないので、使いすぎてくれると楽しみは倍加する。
我が家の連中は、いつも銀髪のいたずらに戦々恐々なのである。
京都祇園味幸
http://www.ajikou.com/profile.html
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2007年07月04日
[魚忠](大津)
滋賀県大津の立派な料亭

東京人にとっては、琵琶湖は京都からかなり離れているイメージがある。実際は京都から大津までの所要時間はJR快速で1駅8分しかない。琵琶湖を見に来た観光客が、夕食は京都でと思っても仕方がない。7世紀後半に天智天皇が都にした大津も、わずか5年で遷都されて以来まったく影が薄い。
魚忠は1905年に建てられた旧東海道に面する商家を料亭に変えた。元は呉服屋で、時代劇の一場面に必ず出てきそうな佇まいだ。京都に残る最古の町屋は1600年代の建築らしいから、京都人に言わせればありがたがるものでもなさそうだが、よそ者にとっては充分ありがたみがある。
前菜

会席は6種類の盛り合わせからスタートした。50人以上の宴席の中を仲井さんたちは忙しく動き回る。左隣で配膳が途絶えたので、食べ始めるにはもう少し辛抱がいる。両隣に料理が揃ったところでヨーイドンだ。
お造り、冷し茶碗蒸し

茶碗蒸しが出てきたあたりで、人が動き出す。挨拶に行く者、来られる者。上下関係が明確に見て取れる場面だ。
鮎、天ぷらそば

季節の鮎塩焼き。頭から食べられると仲居さんは言うが、固くて食べ尽くすのは諦めた。
そばの上に茄子の天ぷらや焼いた万願寺唐辛子、大根おろしなどを乗せた料理は、天ぷらそばと勝手に決め付けた。
小鉢、ご飯

トイレに立つ人が多くなってきた。お膳を跨ごうとしてあちこちでビール瓶が倒れる。酔ってないつもりでも微妙に感覚は狂っている。返杯の繰り返しもこたえているはずだ。畳と靴下の相性が悪く、ひっくり返りそうな人も出てきた。お膳で後頭部を打たないか心配だ。
デザートが出てお開きが近くなったので、2次会は遠慮して引き上げることにした。タクシーで京都駅まで約20分。お土産を買って東京行き最終の新幹線に乗り込んだ。去年と同様、今年もお土産は京都の八つ橋だった。
大津 魚忠
滋賀県大津市京町2-4-10
077-522-4428
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2007年07月01日
[たこ坊](大阪)
たこ焼き屋でも串揚げ屋でもなかった。くわ焼きの店だった。

昔、農機具の鋤(すき)を使ったのがすき焼きなら、鍬を使ったのがくわ焼き。要するに鉄板焼きを洒落てくわ焼きと称している店であるが、雰囲気はいたって気楽。カウンターには若者3人組、くたびれたおじさんたちなど客層に統一感はない。
壁に貼られたお品書きには焼き物と揚げ物が多種類列挙してある。最低110円、最高が300円台と安心価格。食べ盛りの子供を連れて来ても心配はない。何を頼んでいいか分からないのでお任せにした。
あなご、エビパン

最も高価な部類に属するのがあなごのくわ焼き。それでも360円。味をどうこう言うよりも、丸焼きは存在感タップリで客受けしそうだ。
大阪に住んだことのある部下が大好物だと言うのがエビパン。揚げたパンにエビのすり身が塗ってある。中華料理に似たような料理がある。もちろん本家は中華料理の方だろうが、たこ坊でも立派なオリジナルの人気商品である。
ほたて、ネギ間

飛び上がるほど美味いわけではない。毒づくほど不味いわけでもない。いや、美味いと言ってあげてもいいような気もする。
次が出てくるのを待っていると、5人家族が入ってきた。大人並みの体格を持つ小学校高学年の子を筆頭に、家族全員がヘビー級だ。
卵巻き、蓮根肉詰め

蓮根で初心者向けのお任せセットが終了。追加しようかと考えたが、たこ坊の雰囲気は分かったのでお開きにした。
さっき入って来た5人家族も我々同様にお任せコースから始めている。「いくら食べてもいいぞ!」と若い父親は見た目だけでなく太っ腹だ。隣の肝っ玉母さん風の母親が余裕を見せて頷く。
兄弟3人に父を加えて、馬を飼っているのかと言われるぐらい毎日買い物籠を一杯にして悲鳴をあげていた母。やがて子供たちが独立して、父は逝った。やりくりに大変だった母だが、今は1人暮らしで買う量はしれているからと、高級食材を買っているようだ。
このところ毎週末に母を訪れる。先日は父の命日に買っておいたというステーキ用の最高級神戸牛を食べさせられた。自分は歯が悪くて食べられないからと言うが、いくつになっても子供に美味しいものを食べさせたいと思う気持ちは抜けないようだ。
小学生の銀髪に「我が家はエンゲル係数が飛びぬけて高い」と揶揄された頃が、母の一番幸せだったときに違いない。
たこ坊
大阪府大阪市中央区千日前1-8-3
06-6211-4704
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2007年06月24日
[くくる](大阪)
たこ焼きと明石焼きの人気店

道頓堀くくるの商品は大阪駅の土産物売り場でも買うことが出来る。それだけ有名店ということだろう。大阪名物の筆頭格がたこ焼きではちょっと悲しい気がするが、見栄を張らずに堂々とたこ焼き自慢をするのが大阪人のいいとこかもしれない。
たこ焼き

人気のたこ焼きを食べて不思議な気がした。好みのたこ焼きがどんなものかを主張できない自分を発見した。くくるのたこ焼きは中が柔らかい仕上がりである。銀だこのように油で揚げたカリカリ感が美味しいと感じることもある。やはり外側がカリッとして醤油味が香ばしい中部圏のたこ焼きもいい。中に入ったぶつ切りタコが有名な大だこも具にインパクトがあって面白い。
具はタコ、ネギ、紅しょうがで充分と思うが、キャベツを入れてもいい。明太子なども捨て難い。チーズは邪道に思っている癖に、定番物に飽きたら満更でもないと思う。
マヨネーズはお好み焼きで違和感を抱いたのと同様に、たこ焼き本来の味を壊すようで嫌いだったのがいつのまにか慣れてしまった。鰹節も違うと思ったが、すぐに許してしまう節操のなさだ。
明石焼き

明石焼きに関しては、くくるの味を評価する基礎的味覚がまったくない。そもそも我が50余年の生涯で、明石焼きなるものを食べた回数は両手に満たない。地元明石では卵焼きと言って明石焼きとは言わない、と聞けばホーッと感心しなければいけないのだろうが、関東煮きやアメリカンコーヒーの例を出すまでもなく当たり前の話である。
屁理屈を言わないで美味しかったのか不味かったのかと問われれば、美味しかったと答える。しかし、最後の晩餐に加えるかと問い詰められれば、あっさり候補から外してしまうだろう。タコ焼きだって最後の最後に食べたいと思うものではない。大阪人ならどうだろう。たこ焼きよりお好み焼きを最後の晩餐に選ぶかもしれない。
ウーン、どうせならもう少し高級料理で悩みたいものだと一度は思ったが、銀髪が選ぶ最後の晩餐はやっぱり餃子にビールかな。
くくる
大阪府大阪市中央区道頓堀1-10-7 ぼんちビル
06-6212-7381
たこ焼きハーフ320円
明石焼き530円
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2007年06月18日
[551蓬莱](大阪)
豚まんで有名な蓬莱に行った。

てっきりお土産物屋で肉まんだけ売っている会社と思っていたが、レストランがあるとは知らなかった。1階がテイクアウト売店で、2、3階がレストランになっている。右隣を見ると蓬莱がもう一店あって戸惑ってしまった。アレッ?どちらが有名、美味しいの?
数字(551?)が頭に残っていたので、こちらが有名な店と信じて店の2階に上がった。点心だけかと思っていたが、普通の中華料理屋さんだ。女性店員を呼び、何を食べるか相談した。「大阪名物」と赤い目印がある中から焼き餃子(8個280円)、焼売(4個310円)、豚まん(2個330円)を頼んだ。緑の印がついたチャーシューまんも奨められたが、下で買ってお土産にすることにした。
餃子、焼売

メニューの売り文句、「外はカリッと、中はジューシー」の餃子と「こちらも人気の一品!ボリューム満点!」の焼売は納得できるものだった。立派な造りの店だがお値段は良心的。さすが大阪だ。
豚まん

看板の豚まん。蒸したてが不味かろうはずがない。銀髪の好みとちょっと違うが文句はない。さすが人気の豚まんだ。
551蓬莱を出て、隣の蓬莱本館の豚まんを買った。「温かいのにしますか?冷蔵ものにしますか?」と聞かれた。生がないのが不思議だったが、お土産にするので冷蔵物を買った。後で調べると、元祖の蓬莱は昭和20年に創業し、創業仲間の3人が後に独立して蓬莱本館、蓬莱別館、そして551蓬莱の株式会社蓬莱に分かれた。蓬莱本館は冷凍食品などの販売が主力のようだ。、謎は解けた。
チャーシューまん

お土産に買った551蓬莱のチャーシューまんは評判が良かった。豚まんに比べてオリジナリティが高く、しっかりと味がついていた。
551の豚まんの底には定番の紙ではなく、経木(木を薄く削ったもの)が敷かれている。紙のものしか食べたことがない子供にとっては、物珍しく思えるに違いない。
551蓬莱も蓬莱本館もからしがついてきた。ちょっと不思議な気がしたが、これが普通の食べ方だったかな?
蓬莱 戎橋本店
大阪府大阪市中央区難波3-6-3
06-6641-0551
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2007年06月17日
[はがくれ](大阪梅田)
行列が出来るうどん屋さん

大阪の代表的なうどん屋さんは道頓堀今井だろう。この店のきつねうどんこそが、大阪名物のうどんと言えるものだと思う。ところが席数が多い今井よりもわずが14席しかないはがくれの方が行列が出来やすく、大阪でナンバーワンの人気店と言われるようになった。
12時前に大阪駅前第3ビルに到着。シャッターが閉まったままの店が目立つさびれた感じの大きなビルの中を、はがくれ目指して歩き回った。地下2階を半分ほど回ったところで、人だかりが遠くに見える。約20人が近隣の店の邪魔にならないように列を作っていた。午後のアポまで時間はたっぷりあるので並ぶことにした。
待っている間、ちっちゃなおばちゃんが注文を取って回る。立ち居振る舞い、表情がいかにも大阪人風で面白い。銀髪は生じょうゆうどんと天ぷら、部下はぶっかけうどんを頼んだ。
生じょうゆ

約30分並んで席についたら、すぐに料理が出てきた。「初めてですか?」と問われて頷くと、食べ方を教えてくれると言う。神妙に待っていると、「ハイ、箸を構えて」と言われ、店主がうどんに薬味を乗せて、生じょうゆを二往復半かけるのをアホ面して見ている。「2本だけすくって、ハイ、食べて!」と命じられる。「濁るから絶対混ぜたらダメ!」と大阪弁で念を押され、店主に怒られないように指示通り食べる。徳島産のすだちを絞ってくれたのは余計なお世話とつぶやきながら。
ぶっかけ、ちくわと半熟卵の天ぷら

今度は「うどんのカルボナーラや!」と温かいうどんに乗せた生卵を手早くかき混ぜて、店主は別のおのぼりさんの席に移っていった。混ぜる前に写真を撮りたかったが果たせなかった。味見をさせてもらったら、なかなかの美味だった。今度家でやってみよう。
半熟卵の天ぷらもなかなか面白かった。我々の倍以上の時間を使ってなおも食べている左の女性二人を横目に、席を立って勘定場に向かった。店の外にはちっちゃなおばちゃんの懸命な努力にもかかわらず、行列が周りの店の領域を侵食していた。人気店になるには女性の支持が必須だが、昼間の行列をさばくには痛し痒しだろう。

大阪名物のうどんを食べようと思ってきたが、はがくれのうどんは讃岐うどん。特製生醤油も本場讃岐から取り寄せたものだ。
行列が出来るだけあって、なかなか美味いうどんだった。次回来る時は「常連でっせ!」と応えて、自分の好きなように食ってやる。食べる前にパチリ、すだちは絞らず、生じょうゆは3周半、しっかりまぜまぜして、持参した大好きな八幡屋磯五郎の一味唐辛子を振る。怒られちゃうかな?
梅田 はがくれ
大阪府大阪市北区梅田1-1 大阪駅前第3ビルB2
03-6341-1409
http://www.hagakure.cc
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2007年05月28日
[なだ万](神戸)
新神戸駅前のホテル34階にあるなだ万神戸店に行った。

日本料理の老舗・なだ万には東京でも何度か行ったが、神戸のなだ万も3回目になる。神戸市内が一望できる日本有数の景色のいいレストランだ。20年以上も前に六甲山から見た夜景を思い出してしまう。若かったあのときの思いはどれだけ満たされただろうか。
予約なしで行ったので窓側の席に座ることはできなかった。それでも景色は悪くない。おばちゃん、お婆さんたちの頭越しではあるが…。
お昼限定の「匠御膳」(4,515円)を頼もうとしたが、スポンサー氏が「和牛ステーキコース」(8,925円)を食べろと奨めてくれる。昼には重過ぎるので抵抗したが、グルメ紀行的には面白いと閃いた。
玉子豆腐、お造り、

流石なだ万だけあって安心して食べることが出来る。お造りには鯛とタコが含まれているが、明石産に間違いないだろう。
サラダ、天ぷら

天ぷらには珍しくシャコが混ざっている。銀髪も知らなかったが、瀬戸内海沿岸でのシャコの漁獲量は全国2位の名物だそうだ。
匠御膳を頼んだ他の人が食べ終わっても、メインが出てこない。何度も謝りに来るので忘れたわけではなさそうだ。面白いと閃いたのはメインのステーキにあった。神戸牛と書いていないが、神戸のなだ万で和牛ステーキと書いてあれば勘違いする人もいるだろう。地元だから格安で食べられると喜ぶ人が居てもおかしくない。

実はオーダーするときに銀髪は店員に確認した。「宮崎牛でしょう?」との問いに「ええ、九州の方の肉だと思います。」と曖昧に答えた。以前、帝国ホテルのなだ万で食べたしゃぶしゃぶ肉が宮崎牛だったのを覚えていたのだ。お代わりしたぐらい美味し肉だったので、そのときは大変満足した。
しかし、なだ万ほどの店であれば、神戸牛でないことを明確にすべきだろう。鯛、タコ、シャコと地元産が出てきたら、和牛=神戸牛と思う方が自然だ。もしかしたら、鯛、タコ、シャコもよそ者かもしれないと疑ってしまう。地元産とは書いてなかったのだから。
ステーキが出てくるのが遅かったことについては、文句を言ったわけでもないのに料金を割り引くと申し出られた。なだ万のプライドだろう。なだ万の名を汚さないためには、もう少し配慮が欲しいと思う。
この記事を見て、なだ万でステーキを食べた人が怒らないことを祈る。
なだ万 クラウンプラザ神戸店
兵庫県神戸市中央区北野町1-1 クラウンプラザ神戸34F
078-252-3400
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2007年04月30日
[老祥記](神戸元町)
豚まん発祥の店はいつも行列

神戸餃子の赤萬を出て元町に向かった。どうせ元町に行くのなら赤萬も元町本店に行けば良かったと思ったが、行き当たりばったりの旅に計画性などない。元町の目的は有名ラーメン店だったのだが既に閉店していた。夜はやらない不思議なラーメン屋だ。落胆はしない。元町には中華街がある。
目指したのは老祥記という肉まんの店で、行列が絶えないことで知られている。店内でも食べることができると聞いていたので大きな中華料理屋と思ったら、意外に小さな店なので驚いた。
空いてる時間帯のようで店内に並ぶことが出来た。列の両側に10人程度が座れる大テーブルが2つある。「店内で食べる人は居ますか?」と声をかけられたので手を上げたらすぐに座れた。1個80円、1人前は3個なので2皿6個を頼む。グダグダと酒盛りするような店ではなく、飲み物は残念ながらお茶しかない。

一口で食べられるような小振りの肉まんで、割ると具がコロンと出てくる。これこそ探していた昔ながらの肉まんのイメージそのものである。(→「肉まん」) 肉汁が皮に染み込んでいてなかなかいい。味はしっかりついているのでそのまま食べた方がいいようだ。脂っこく感じたら、からしをつけると美味しく食べられる。

並んで、座って、食べて10分程度で店を出たら、行列は店をはみ出して通行人の邪魔にならないように道路で一旦途切れて、それからまた広場に続いていた。営業時間は10時から18時半で売切れ次第閉店。客がいる場所より作業場は倍以上の広さで、無駄のない動きを続けている13人の店員が開放されるのもあと1時間程度だろう。
店のチラシによると1915年(大正4年) 曹松琪が創業、「ぶたまん」という呼び名の発祥の店で「神戸のぶたまんじゅう屋」と呼ばれ親しまれてきたとのこと。単品商売でも90年間行列が絶えないとなれば、経営者は大豪邸に住んでいるんだろうなー
香港では酒を置いていない店なら酒屋で買ったビールなどを持ち込んで飲むことが許される。せめて広場に椅子とテーブルを置いてくれないだろうか。老祥記の周りにも持ち帰りできる店が多数ある。数店から好きなものを買って来て酒盛りができたら最高なのだが。
老祥記
兵庫県神戸市中央区元町2-1-14
078-331-7714
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2007年04月29日
[赤萬](神戸)
神戸名物の餃子を食べに行った

餃子を売り物にする街は多いが、神戸も特徴のある餃子を出すと知ったのは日本経済新聞夕刊の紹介記事からである。特異なのは餃子自体ではなく、タレの方である。
早めに仕事が終わって餃子屋に行くことを決めたが、まだ4時前。案内役のY氏に連れられて向かったのは三ノ宮。一軒目は5時まで休憩時間中で入れなかった。Y氏は失望することなく次の目当てに向かって歩き出し、派手な赤色が目立つ小さな店、赤萬に着いた。この店は13時から21時頃まで休みなく開いている。行列もできる店だそうだが今の時間は店内に客はなく、持ち帰りの客がときどき来る程度だ。
注文は1人に対して2人前、合計14個(500円)を頼む義務がある。従って2人で4人前を頼んだ。追加注文は許されないので料理はこれだけ。
ビール大瓶500円も嬉しい価格だ。オーダーしてすぐに薬味を味見した。

白味噌をベースにした味噌ダレが神戸餃子の特徴である。酒の肴の代わりに味噌を舐めた。思ったほど甘くなく、ピリ辛でなかなかいける。ビール1本がなくなりかけたところで餃子が焼きあがった。ビールを追加した。飲み物の追加注文はOKのようだ。

パリッとした焼き上がりの薄皮餃子で、具は少なめなので2人前は難なく食べられそうだ。味噌、醤油、酢、ラー油を全部混ぜて餃子をつけた。思ったほど味噌は個性を発揮せず、餃子の引き立て役に徹していた。
本店は元町にあり、震災で場所は移ったものの創業から数十年を経ている老舗である。三ノ宮店は餃子を包んで焼くだけなので本店の味と同じものが食べられる。お土産で持って帰りたかったが東京まではちょっと辛い。味噌ダレだけでも売ってくれないかと頼んだが、あっさり断られた。台湾人と思われる店員には我侭な客に対する便宜の権限がないようだ。
一軒目の入れなかった店はひょうたんで、赤萬と同様に人気店ということだった。次回はひょうたんに行ってみよう。他の店をはしごしてもいい。次の出張の楽しみが増えた。
赤萬
兵庫県神戸市中央区北長狭通2-2-1
078-331-0831
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2007年03月28日
[弦](新大阪)
大阪名物を新大阪で

仕事で大阪に行ったがあまり長居できないという客に配慮して、新大阪駅で飲むことにした。駅ビルの地下街に行ってうどんすきの美々卯に入ろうとしたら、客が嫌な顔をする。早く帰りたいと言うが、嫌がられたら決まらない。地下2階に更に下りると多少選択肢が広がった。
ぶらぶら歩いていると着物のお姉さんが客引きをしている。わがままな客は着物姿にフラフラとついて行った。これで店は決まった。席について弦のおすすめメニューから2品選んだ。いずれも大阪らしい食べ物だ。
どて焼き

牛すじ(150円)と地鶏皮(210円)。名古屋名物と思っていたが、名古屋はどて煮。縁が浅い鉄板に味噌ダレ(白味噌)を入れて、竹串に刺した牛すじを焼き・煮するのが大阪のどて焼き。名古屋は赤味噌のもつ煮込みでこんにゃくなど他の具も入っている。
弦のどて焼きは赤味噌に見えるが合わせ味噌をだし汁で溶いたもののようだ。
新世界風串かつ(盛合せ5本)

通天閣のある一帯が新世界。新世界が開業したのは1912年で、同年通天閣も完成した。村田英雄の「王将」で歌われる坂田三吉が関根八段と対戦したのが1913年で、通天閣も「王将」の歌詞になっている。通天閣は焼失して1956年に再建された。新世界は道頓堀とはまた違った大阪を代表する街だろう。
赤井英和が応援する串かつ屋「だるま」によると、昭和4年に新世界で串かつは誕生したそうだ。実際はもっと前に屋台で出されていた食べ物と言う人もいる。新世界風串かつとは、野菜など何でも揚げてしまうことにあるらしい。東京で串かつと言えば豚ねぎ間を揚げた物で、大阪の串かつとは違うものと大阪人は主張する。大阪の串かつに相当する名前は、東京では串揚げとなる。
大阪人にとってはどて焼きも串かつも滅茶苦茶(無茶苦茶?)思い入れのある食べ物らしい。
大阪名物の2品だけ銀髪が選んで、後は客に任せた。

「三丁目の夕日」など昭和30年代の東京を舞台とする映画やドラマがもてはやされているが、大正時代・昭和初期にワープするかのように旧世界を大阪の「新世界」で見るのも面白いかもしれない。
弦
大阪市淀川区西中島5-16-1 JR新大阪駅構内1F 味の小路
03-6304-9730
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2007年03月12日
[まそほ](京都)
京都最後の夜は京都駅前で

1泊2日の京都出張で、4時前に仕事を終えた。せっかくの京都をこのまま去るのは惜しいので夕食を済ませて帰ることにした。四条界隈を散策したが、京都不案内のよそ者2人ではどうにも決まらない。鯖寿司を看板料理と謳う店に一度は入ろうとしたが、決心がつかなかった。結局、観光客らしく京都駅前に行くことにした。
タクシーの運転手はホテルやデパートにある店を盛んに奨めるのだが気が乗らない。駅前の旅館の裏手の道を歩くと、意外に良さそうな店が点在していた。もっとも雰囲気がある「まそほ」に入ることにした。京のおばんざいと干物の店というのが気に入った。
店内は薄暗く、各テーブルには炭焼き用の陶器が置いてある。残念ながらメニューにおばんざいは6種類しかない。
鶏じゃが、牛すじ大根煮

干物と野菜

干物はえぼだい、いさき、さんまの3種類を選んだ。いずれも熊野で獲れた魚なのが気に入った。いさぎはたぶんいさきのことだろう。部下は今日のおすすめの欄に載っている金目鯛を食べたいと言うが、場の読めない奴だ。長崎は遠すぎるので即座に却下した。
部下が京都らしい生麩を選んだのは評価できる。野菜はお任せにした銀髪のミス。カボチャとサツマイモが半分以上を占めている。食べることが出来ないわけではないが、基本的に甘いものが嫌いな銀髪にとっては気に入らない。好き嫌いを聞いてくれなかった店側に八つ当たりをした。
部下がさめを食べたことがないというので追加した。山芋(長いも)焼きも部下のヒットだった。

この店のもう一つの看板料理は銀シャリ。一人前ずつ釜で炊いてくれるが、酒飲みの二人はオーダーしなかった。炭はこれから最盛期を迎えるように元気だが、もう干物は飽きてしまって追加する気になれない。
「刺身を軽く炙らせれば高い料金も取れるし、客も喜ぶだろうに」とぶつぶつ言いながら酒を飲み干し、帰り支度を始めた。場所も、雰囲気もいいので、もう一工夫すれば結構流行る可能性がある店だと思った。なんか、レストラン評論家みたいになってしまった。ちょっと反省。
まそほ
京都府京都市下京区東塩小路693
075-353-4187
http://www.f-a-p.jp/
東京の青山にも出店している。
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2007年03月11日
[壹銭洋食](京都)
京都らしい店と言ったら京都通粋人に怒られるかも

以前、夜に散々飲んだ後に連れて来られたことがある。その時は酔客で店は混みあっていた。今日も外から見たら先客が数組いるように見えるが、生命の存在が感じられない。前回驚いたので客に見えたのが実はマネキンであるのは分かっていた。昼の11時半前ということもあり我々が一番乗りだった。

立派なメニューがテーブルに鎮座しているが、載っているのは一品のみ。他は飲み物が数種類あるだけだ。

我々しか客は居ないので、料理が出てくるまで写真を撮ったり壁の説明書きを読んだりと店内をうろついた。広くないのですぐ飽きて席に戻ったが、待つ間もなく料理が運ばれてきた。
部下は昨晩の酒が抜けないのか珍しく冷しラムネを飲む。お好み焼きなのにソフトドリンクでもあるまいと銀髪はビールを頼んだ。

大きくてボリュームがありそうだが、大阪風お好み焼きのように重くない。一見したところ広島風だがそれとも違う。
タップリのネギがメインで半熟卵と刻んだこんにゃくや紅生姜が入っている。飲みすぎでもたれた胃にも意外にやさしいお好み焼きだった。
食べ終わって、店を出たところで4人組の若者グループが入ろうかどうか躊躇している。余計なお世話と言われそうだが、推薦してあげようとしたところで思い止まった。彼らが手にしていたガイドブックは韓国語で書かれていた。
銀髪の修学旅行は中学も高校も京都・奈良だった。中学のときは夜行列車「日の出号」での長旅だった。今では飛行機で海外に行く子供たちが多い。京都や奈良は中国人や韓国人の旅行客なくしては成り立たなくなりつつある。
外国人がどのように古都を理解して楽しんでくれるか知らないが、壹銭洋食と冷しあめ、合わせて1,000円でお釣りがくる京都も楽しいと教えてあげたかった。身振り手振りでも分かってくれたかもしれないと後で反省した。
壹銭洋食
京都府京都市東山区四条通縄手角
075-533-0001
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2007年03月10日
[元禄](京都)
80年以上続いている一見さんお断りのショットバー

京都の通人に伴われて京料理の「たんたか」を出て、ラウンジに向かった。高瀬川沿いの道を歩くと観光客が群がっている感じ。桜の咲く頃はさらに賑わうという。観光客向けの店が誘う華々しい灯りを横目に、格子窓の町家の目立たない灯りに浮かぶ扉を開ける。店の名は「佐藤」。
中に入ると外の古い京景色からは想像がつかないような今風のラウンジがあった。働いているのは京都の女性だけかと思ったら、他県出身のアルバイト嬢もいる。1時間半ほど飲んでお開きにした。今日はこのぐらいでホテルに帰ろうと思っていたが、通人はまだ満足していない。
次に向かった先はショットバーで、昔、時の大臣でも一見さんお断りの憂き目にあったという由緒正しきお店「元禄」である。通人がドアを開けると飛びっきりの笑顔が迎えてくれた。数十年前なら心が躍ったかもしれない笑顔の主と通人は丁々発止の掛け合いをする。
頼んだお酒は通人がいつもオーダーするロイヤル・ハウスホールド。銀髪は飲んだことがなかったが、生意気に部下が最上級の賛辞で再会を喜んでいる。それを見た通人が満足気に部下と何度も握手をした。

ロイヤルハウスホールドは英国王室向けに作られたスコッチウイスキーで、市販されているのは日本だけという高級ウイスキーである。
いつものようにコースターにメモしようとして思い止まった。古ぼけたコースターはどう見ても終戦直後から使っているもののようだ。壁に目を移すと年代物のお盆やポスターなどがかけられている。
カウンターの向こうの壁の上には、年代物の酒がサランラップに巻かれて飾られている。「ほとんどが私のおじいさんが集めたもの」と自慢するのは先ほどの笑顔のお婆さんだ。いや失礼。妙齢の女性だ。
戦後はGHQに取り上げられ、外人専用のバーとして京都の街に君臨したそうだ。2階はレストランだったらしいが、今は使われていない。
ロイヤルハウスホールドを一杯だけ飲んで席を立ったが、他の常連客と軽口を叩いているさすがの通人であった。
いい加減これでお開きだろうと思ったが、ほの暗い雰囲気のある京の街を抜けて、タクシー乗り場に着いても通人は歩を止めない。入ったのはお茶屋さんも兼ねた京特有のスナック「叶家」。
コニャックのストレートを飲みながらしばらく待つと、舞妓さんがわざわざ挨拶に来てくれた。完璧な夜の京都ツアーの締めくくりに、「参りました」と思わせてご満悦の通人だった。
ホテルに着いたときは、とっくに日が替わっていた。
元禄
京都府京都市祇園町北側242
075-561-2288
佐藤
京都府京都市東山区新橋通縄手東入元吉町49-2
075-531-0051
お茶屋 叶家
京都府京都市東山区祇園町北側東富永町
075-541-6565
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2007年03月09日
[たんたか](京都)
通人に連れられて

タクシーを降り、店名を見てすぐに「たん熊」系統の店だと分かった。たん熊は昭和3年初代来栖熊三郎によって創業された京料理の老舗。全国の有名ホテルなどに多数出店しているが、たん○はたん熊系統で独立した料理人に許された屋号である。「たんたか」は閉店した名店「たんしん」の子、たん熊の孫にあたる店だ。
カウンターに座るなり大好きな赤坂の「たん良」の話を主人に投げた。「たんたか」と「たん良」は兄弟にあたることが分かった。案内役をかってでてくれた通人は呆気にとられて我々のやり取りを聞いていたが、気を取り直して常連らしく料理の指示を始めた。
お通し、子持ち昆布

お造り、もろこ

主人のお奨めはよこわがつお。鮪のトロより美味しいと言われたが、なるほど旨い。京料理ではよく使われる魚らしく、メジマグロのことかと聞いたが違うという返事だった。
もろこはもちろん琵琶湖で捕れる貴重品。外来種に追われて絶滅の危機がある貴重な小魚を1人4匹とはかなり贅沢だ。
鯛の皮焼き、蕪蒸し

鯛の皮はたん良と同様にパリッとして香ばしい。蕪蒸しの中身もたん良と同じ。お造りの盛り方といい、店内に掲げた提灯といい、たん熊系統で修行した職人たちの共通点が見えて嬉しかった。
主人の片山雅巳さんは2代目で、初代の故三津川たかしさんが創業して約40年になる。店は黒を貴重としたモダンな造りに生まれ変わったが、自慢は特注品の氷の冷蔵庫。料理、酒、会話を楽しむ時間は、驚くほど早く過ぎていく。

焼き蛤、鯛かぶら

蛸めし、焼きおにぎり

通人のお奨めは何故か焼きおにぎり。丁寧に時間をかけて焼き上げていく。混みあっていなかったので作ってくれた特別料理。まるでおかきでご飯を覆ったような焼きおにぎりで、まず他では食べることができない逸品だった。
京料理の真髄を味あわせてやろうと意気込んだ通人の思惑は、銀髪のたん良通いを知って少し外れた。まだまだ宵の口、雪辱するには充分な時間がある。京都の夜は始まったばかりだ。
京都割烹 たんたか
京都府京都市中京区木屋町通三条上ル
075-231-1872
http://www.tantaka.co.jp
酒も相当飲んだので、4人で約75,000円でした。
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2007年02月23日
[今井]②(大阪)
関西うどんの有名店にうどんすきがない?

讃岐、稲庭、水沢、氷見、五島、博多など、うどんの前に地名がつく名物うどんは全国にたくさんあるが、大阪うどんとは聞いたことがない。大阪はうどん屋が多いとのことだが、実際に探してみると東京の蕎麦屋ほど目に付かない。
大阪のうどん屋で名前が上がるのが今井ぐらいしかないのも頷ける。名物のきつねうどんを食べた話は以前書いた→「今井」。これは本当に美味しかった。今度はうどんすきに挑戦しようと思った。
まずビール、酒の肴を2品頼んだ。
鯛の昆布締め、アボガドとホタテの和え物、鴨ロース塩焼き

テーブルの上のメニューにうどんすきがない。コース料理のメニューをもらってみてもやはりない。店の人を呼んで尋ねたら、寄せ鍋がうどんすきのことのようだ。中年3人に3人前は多そうなので、2人前を頼み、足りなければ追加することにした。寄せ鍋コースについている先付け(鯛の昆布締め)だけ1人前追加した。
寄せ鍋

早い時間で客は我々だけなのに、店員は具材を盛った皿をテーブルに置いて「火が通りにくい鶏肉から入れてください」と言い残して店の奥に引っ込んでしまった。テーブルの電磁調理器は、火加減がうまくいかないで苦労した。大阪のサービスは東京と違うのかもしれない。あるいは今井だけだろうか。最初ぐらいやってもくれてもいいのにとぼやいた。
中年3人組の箸の動きは遅い。酒はいいペースでなくなっていくのだが、鍋の中身はなかなか減らない。鍋はみんなが同じペースで食べないと美味しく食べられない。煮込みすぎて食べ時を逸した素材が鍋の中で悲鳴を上げる。
若者が中心であれば瞬く間になくなるはずのうどんですら同じ運命を辿る。うどんを取り出そうとすると取り皿の直前で千切れてしまった。
煮崩れしない美々卯のうどんの方がいいなと思いながら食べ終えた。東京に戻って調べてみたら、「うどんすき」は美々卯の登録商標だと知った。道理で今井のメニューに「鴨ねぎすき鍋」はあっても「うどんすき」がないわけだ。
関西人に聞くと、今井のうどんのように溶けてしまうようなものを彼らは好むそうだ。讃岐うどんのような美々卯のうどんより今井の方が大阪では人気があると言う。
個人的意見を言わせてもらうと、うどんすきは商標登録をしたところに分があると思った。何でも一番は難しい。きつねうどんは今井が一番だ。今井で一番はきつねうどんだ。この評価は今も揺るがない。
大阪府大阪市中央区道頓堀1-7-22
06-6211-0319
http://www.d-imai.com
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2006年12月24日
鯖寿司
京都土産は鯖寿司を
京都の町を歩いていると、「板前寿司」と書いてある不思議な寿司屋の看板を見つけた。江戸前に対抗して大阪湾で獲れた阪前かと思ったが、どう見ても板前である。京都では若狭湾の魚を京に運ぶ鯖街道なるものがあり、京都で寿司と言えば鯖寿司の類になるのだろうか。
板前寿司とは板前が目の前で握って出す店、すなわち江戸前寿司のことを指すのかと想像した。回転寿司との区別かもしれない。店に入って確かめようと思ったが、タクシーの運転手さんが「京都で食べるなら鯖寿司」と言ったのを思い出して止めた。
鯖寿司を最初に食べたのはもう7年ほど前になる。京都の呉服屋さんに連れて行ってもらった寿司屋でお土産にくれたのだが、目の前で造っているのを見て心底驚いた。すしめしを次から次に足していく。あまりの大きさに見るだけで腹いっぱいになってしまった。家に持って帰っても、全部食べ切れるか不安になったものだ。
2度目は今年3月、滋賀大津の文福でのこと。7年前の苦痛を忘れさせてくれた。2切れで充分だったが、とても美味しく食べた。今回はタクシーの運転手さんの言葉に従い、鯖寿司をお土産に買うことにした。湯豆腐、餃子を食べて遅くなってしまったため、目的の「いづう」の鯖寿司は京都駅で既に売り切れていた。
已む無く1,000円の棒鯖寿司を買った。4200円のいづうを買おうと思っていたので、安くはあるが無念さは残った。諦めきれずに駅構内のみやげ物屋をぶらついていると、いづうと同じ売り場に2,000円の極上鯖寿司を発見した。そこでこれも買って食べ比べをすることにした。

博多に着いて馴染みのスナックに2種類の鯖寿司を持ち込んだ。極上(写真左)は既に切れ目が入っている。もう一方は店の女性がきれいに切ってくれた。

高い方には薄昆布が乗っていてバッテラ風だ。箱の型に入れて作る押し寿司が大阪名物のバッテラで、巻き簾で形を整えるのが京都の鯖寿司。
品質は2,000円の方が上なのは見ただけで分かったが、銀髪には1,000円の方が甘さ控えめで口に合った。
いづうは大丸東京駅店など、東京でも買えるようだ。1,000円を美味しく思ってしまうと買う意欲がなくなる。東京で買うのは何だか味気ないので、いづうを口にするのは次の京都行きを待つことにしようと思った。
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2006年12月23日
[餃子の王将](京都)
京都なら王将へ行かなきゃ
豆腐料理のたまゆらでは腹一杯にすることは避けた。先斗町を往復しているときに王将の文字が目に入ったためだ。部下はすぐ近くの珉珉を見つけてそちらにしようと言う。大阪ならともかく、京都なら王将だと一喝した。
昔、独身寮の先輩2人と、独身寮に入る権利を喪失した最年長の先輩と銀髪合わせて4人、日曜の昼食は愛知県豊橋市橋良町の王将だった。この店だけは先輩たちが少し奢ってくれた。大瓶のビール、餃子2人前、ニラレバ炒めが銀髪の三点セット。もちろんご飯は食べずにビールを追加した。
今日も懐かしの3点セットだ。大瓶のビールが480円、餃子180円、ニラレバ450円。30年経っても懐に優しい価格だ。
餃子

セントラルキッチン方式だと聞いていたが、東京で食べる王将の餃子とは皮も中身も違う。お膝元の方は皮が薄く、具に唐辛子辛さがない。各地域で微妙に味を変えているようだ。
ニラレバ炒め

これは豊橋のときから変わらぬ味だった。豊橋でたべてからは、王将のニラレバ炒めが一番気に入っているのだから不思議だ。「なんだ、銀髪なんてその程度か」との声が聞こえそうだ。
5年位前のことである。小学校5年生の娘と2人で留守番することになった。晩飯の用意なんてお手の物だが、娘と二人で餃子の食べ歩きをすることにした。
近所には小さな中華料理屋がたくさんある。王将を含めて5軒回った。どこでも餃子とビールを頼む。
王将以外のビールは中瓶だが、さすがに5軒も回るとビールで腹が膨れた。娘はいっぱしの評論家気取りある。娘の順位では王将は2位だったが、お財布担当の銀髪にとっては総合点でトップだった。
今でもときどき行きたいと思う餃子の王将。先斗町の近くで食べることもないと思うが、これはこれで楽しい思い出になった。
餃子の王将 三条店
京都府京都市中京区木屋町通三条下ル石屋町118-1
075-221-2873
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2006年12月22日
[たまゆら](京都)
底冷えのする京都を歩いた
「富士の高嶺に降る雪も 京都ぽんと町に降る雪も 雪に変わりはないじゃなし とけて流れや皆同じ」
日が落ちて京都の街を歩いているうちに先斗町に流れ着いた。5時前なのにすっかり暗くなっているが、殆どの店が準備中で灯がともっていない。薄暗闇で寒くなった路地を歩いていると大昔に流行った御座敷小唄の一節が出てくる。
先斗町の路地を2往復したところで夜の街らしくなってきた。ブラブラと歩いている間に、一見さんお断りの店ばかりかと思っていたのが間違いだと分かる。街並みは昔とそれほど変わっていないかもしれないが、住人はすっかり替わってしまったかのように思える。観光客目当ての数々の店の中から京豆腐の店を選んで入った。
カウンターは熟年カップルでほぼ埋まっており、中年男二人で入るのはちょっと気が引けたが、構ってはおられない。座るなり生ビールを頼み、くみ上げゆばの刺身、生麩のお造り、湯豆腐、えびいもとさわらの柚子おろし煮を注文した。
ゆば、生麩

麩は思ったよりしっかりしており、餅を食べているような気持ちになる。何度も食べているくせに、味噌汁に入れる乾燥した麩を連想するのでいつも驚く。学習能力の無い奴だ。
湯豆腐

東京など大都市にも進出している豆腐屋「近喜」の豆腐を使っているそうだが、銀髪には豆腐の味を見分けるだけの舌がない。冷えた体が温まり、呑みすぎの胃に優しいのが嬉しい。
えびいもとさわらの柚子おろし煮

えびいもは代表的な京野菜で、サトイモに似ている。東京に帰って偶然見たNHK番組でえびいもが紹介されていた。反った形や殻に似た筋目など人工的に上手に作る手間が大変なようだ。そんな努力を知ると「お百姓さんありがとう」と子供のとき唱えていた給食の時間が思い出される。
それなりに京料理を楽しんだが、今更ながらよそ者が京都を知る限界を感じざるを得ない。
京都の大学を出た父が、「本当は京女を女房にするつもりだったのに」と言っては母の反感を買っていた。それに対して、ハワイ生まれの父に「外人のくせに」と母は罵る。思えば似合いの夫婦だったのだろう。
「一見さん大歓迎」の先斗町を歩きながら、「東おとこに京おんな」ではない両親を思い出して、一人ニヤついた。
きまぐれきっちん たまゆら
京都府京都市中京区四条通先斗町上ル 西側22番路地
075-211-2469
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2006年11月27日
[牛正]②(大阪)
「熊が入荷しました」とハガキをもらったので再訪した。
久し振りの「牛正」だ。
11月15日に猟が解禁された。野生動物の料理は冬季限定ということになる。グルメ紀行向けに前回紹介出来なかった料理を食べようと思ったが、矢張り熊鍋を外すわけにはいかない。
板さんはいつものように馬刺しを勧める。それを聞いた今日のゲストKさんは、当然のことながら馬刺しを食べたがった。
馬刺しはレバー、タン、心臓、白子など殆どの部位が揃っていたが、ロース、赤身、コウネの入った盛り合わせだけでKさんには我慢してもらった。代わりに馬焼きを頼んだ。
熊本の「菅乃屋」、銀座の「こじま屋」で、いい肉を軽く焼いて食べると生以上に美味いことを学んだ。
馬刺し、馬焼き

猪の玉刺し

猪も野生で、矢張り狩猟が解禁された今しか食べられないものだ。猪の玉刺し=睾丸の刺身はごま油などで味付けされて、なかなかの美味だ。
熊肉

いよいよメインの熊鍋。出てきた肉を見て前回にも増して驚いた。以前食べたときは、それなりに赤身があったが、今日の肉は真っ白に近い。
肉は鍋に入れるとスーッと縮んだ。牛や豚のような脂っぽさはなく、コラーゲンたっぷりといったところか。味噌仕立てでなくても、熊は癖のない良い肉だ。だしがスープに染み出して、野菜や豆腐なども美味。

最後に、うどんを1玉食べて、追加を頼んだらラーメンを奨められた。個性の強いラーメンの方が熊鍋には合うように思った。

冬眠の前に、どんぐりなど山の幸タップリの栄養を貯めた肉を食べる贅沢。食物連鎖の頂点に立つ人間ならではの特権だが、食べ物から頂いた命に感謝しなければならないと思った。
牛正
大阪市中央区日本橋1-3-7
06-6213-5503
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2006年11月26日
[本家 大たこ](大阪)
大阪名物と言えばたこ焼きかな?
大阪に来ると何を食べるかいつも迷う。食い倒れの町と言われるが、大阪ならではの料理どころか食材すら思いつかない。ホルモン焼き、てっちりなど大阪が美味いと言われるものも多いが、名物と言えるものかどうか分からない。結局のところ「たこ焼き」「お好み焼」「きつねうどん」などの粉物に行き着くことになる。
大学生の頃に、大阪の友人が奢ってくれたのがたこ焼き。最初に大阪城で食べたが、美味いと思わなかった。不満気な銀髪を見て、連れて行かれたのが難波の繁華街。店名は忘れたが行列が出来ていて、それなりに美味かった記憶がある。
スナックに向かって久し振りに道頓堀をブラブラ歩いた。向うに人だかりが見える。どこかで聞いたことがあるような「本家 大たこ」の看板。有名店なら食べてみたいと思ったが、並ぶほどの意欲は湧かない。通り過ぎようと思ったが、人並みがばらけているので念のために店の人に声をかけたらすぐに買えた。よく見たら並んでいると思ったのは、既に買って立ち食いしている人達だった。
お土産にしようと思って10個(500円)を買ったら、申し訳ないぐらい立派な紙袋に入れてくれた。

スナックに行って袋を見せたら「長時間並んだんでしょう?」と感謝された。ラッキーだったのかなと嬉しくなった。味見のために1個口に放り込んで噛んだら、大きなたこのぶつ切りが歯に当たった。人気の理由が分かった気がした。

当然のことながらたこ焼きは大阪だけで売られているわけではない。スーパーマーケットにある出店の定番はたこ焼き、アメリカンドッグ、今川焼きなど。昔、母がおやつによく買ってきてくれたのがたこ焼きで、スーパーの入り口の名もないたこ焼き屋も結構美味かった。
いつの頃からか、たこ焼きにもマヨネーズが添えられるようになった。お好み焼の影響か。チーズを入れたり変わり種のお好み焼も増えた。かつお節を乗せるのは嫌いだったがいつの間にか慣れた。
豊橋の駅ビル地下にあるたこ焼き屋は、銀だこが出来るずっと前からカリッとしたたこ焼きを売っていた。醤油で味付けしてから焼いているため何もつける必要がない。甘い中濃ソースが苦手な銀髪にとっては、驚き、嬉しいたこ焼きだった。銀髪が一番好きなたこ焼きはこれだ。
京たこや築地銀だこなどのチェーン店が全国展開している。築地で銀だこなど見たことがないので、不思議な屋号だ。博多でたこ焼屋を見つけて入った。店主は大阪人かと思ったら韓国人だった。たこ焼きは大阪名物と言いながら、他所で人気のたこ焼き屋に「大阪」の文字はない。大阪って本当に不思議だ。
大阪でたこ焼は家庭料理というから、もしかしたら一番美味しいたこ焼は、各家庭にあるのかもしれない。
本家 大たこ
大阪府大阪市中央区道頓堀1-5-10
06-6211-5223
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2006年07月18日
[今井](大阪道頓堀) 関西風おでんとうどん
大阪に行く度に行こうと思っていた店に、ようやく行った。
大阪に向かう新幹線の中で、備え付けの雑誌「ひととき」を手に取った。笑いたくなるほどの偶然というか、いいタイミングで大阪特集をやっていた。他所者からすると大阪のイメージはキタではなくミナミである。奇抜でギトギトして、何ともエネルギッシュな街に思える。銀髪の期待通り、記事で紹介されているのはミナミ・道頓堀界隈の飲食店だ。
その中に偶然というか、必然というか、道頓堀「今井」が紹介されていた。かねてよりずっと、今井ではうどんすきを食べたいと思っていたが、記事での推奨は「定番」のきつねうどんと「大阪独自の味」として関東煮(カントダキ)=おでんだった。素直に従うことにした。
ギトギトの道頓堀の中にあって和風の静かな佇まいは、大阪の友人が何度もこの道を通っているのに気付かなかったと言うのも頷ける。中に入ると清潔で明るく、新しく出来た店のように感じてしまう。煙草を吸うか聞かれたので「吸わない」と答えたら2階に案内された。入り口は狭いが奥行きがあり、意外と広い。
ビールを頼んで、おでんを肴にすることにした。約1,800円のおでんは随分高く感じたが、これを食べに来たのだからここで心変わりはできない。ビールを飲んで待つがなかなか出て来ない。ようやく出てきたおでんは、グツグツと音を立てて茹だっている鍋仕立てだった。

なかなか出て来ないと苛立っていた気持ちも、この演出を見たらアッサリと納まった。鍋の中には、うずら、牛スジ、鴨のねぎま、こんにゃく、焼き豆腐、揚げ豆腐、ホタテ、生麩、紅白のつみれが入っている。高いと思ったお値段も、これだけ入っていれば納得だ。
普通のおでんに比べ、つゆの味は濃いめで甘い。鴨の脂だろうか、つゆの上に油が浮いている。素人ではこれだけ砂糖を入れて調理できないだろうと思う甘さだが、具によく合うだけでなく、半分以上飲んでしまう程いいお味のつゆだった。
ダラダラ飲んでいたい気分を追い払って、メインはきつねうどん。大阪の友人はきざみうどんを頼んだ。
「きざみうどん」とは初耳だが、味付けをしないきざんだ油揚げを乗せた物。きつねに比べてあっさり味のうどんのようだ。銀髪は定番のきつねうどん。

厚めの油揚げは妙な甘さがなく美味い。きつねうどんなど滅多に食べることがないので比較のしようもないが、大阪人が絶賛するのだからそのお味に間違いはないだろう。ねぎは散らばらないように斜め切りしているそうで、細かなところも気配りがしてある。
たかがきつねうどんに735円は高いとネットに書いてあったが、実際に食べてみたらグルメ紀行としては懐に優しく満足できる一品に思えた。
道頓堀 今井
大阪市中央区道頓堀1-7-22
06-6211-0319
http://www.d-imai.com/
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2006年07月11日
[食道園](大阪) 放るもん?
大阪名物は「ホルモン」と言っちゃっていいのかな?
大阪の焼肉と言えばホルモン。昔、ホルモン焼き屋と焼肉屋とは別物と信じていた。大阪の友人にねだってホルモン焼き屋に連れて行ってもらったら、ロースやカルビもあり普通の焼肉屋と変わりなくがっかりした記憶がある。それでも、大阪で焼肉と言えば内臓肉のイメージが強い。
ホルモンの語源は、「捨てられるもの=放るもん」から来ていると信じていた。この説を採る代表者が食道園だそうで、内臓肉=放るもんを全国に広めた立役者と言える。
もっとも、生理活性物質(ホルモン)から来たというのが正解で、「内臓を食べる=元気になる」イメージから、ホルモンと名づけられたらしい。
それでも、食道園が「放るもん」説を喧伝したため、ホルモン焼きを大阪名物とみんなが思うようになったのだから、食道園は大阪焼肉界の大功労者と言っていい。
食道園は関西で10店舗以上ある焼肉屋の老舗だ。レジに置いてあったパンフレットを読むと、日本式焼肉の先駆者とある。1946年(昭和21年)に大阪千日前に開業し、部位ごとに味付けした肉を客自らが焼いてタレを付けて食べるシステム=日本式焼肉を開発した。当時、韓国にもなかったシステムだった。その後無煙ロースターをメーカーと開発したのも食道園。先駆者であり続けた。
他の連中がカルビ、ロース、タン塩など定番の料理を頼んだ後、メニューを渡された。例によって食べたことのないものを探す。最初に目についたのがブリスケ(880円)。

ブリスケとは胸の肉で、見た目はカルビなどと変わらない。脂が乗っていてカルビとロースの中間のような味だ。
次がツラミ(720円)

漢字で書けば多分、面身と書くのだろう。しっかりとした肉質でこれは美味である。他の連中にも食べさせたら、最初は恐る恐るだったが口にすると美味いを連発。食わず嫌いはもったいない。
もう一品はハチノスと腱の湯引き(400円)

ハチノスも腱も食べたことがあるが湯引きしたものは初めて。いずれも岩塩と胡椒で食べる。ハチノスは意外に軟らかい。腱は煮込みなどで食べたことはあるが、湯引きは初めて。ゼラチン質がシンプルに味わえてなかなかいい。
皆も銀髪がいなければ絶対頼まないと言いながら、喜んで食べていた。食道園で食べた「放るもん」はさすが本場の味だった。
食道園
http://www.syokudoen.co.jp
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2006年07月10日
[かぶと](大阪森ノ宮) 創作串焼き
アイデア満載、命名も面白い創作串焼きの店に行った。
東京人が、いきなり森ノ宮に行こうと考えるはずがない。森ノ宮に仕事場がある大学時代の友人を訪ねたら、近くに大人気の店があると連れて行かれた。予約しないとなかなか入れないそうだ。一本80円~150円と格安だが安かろう悪かろうではない。一本一本手間をかけている。
外は梅雨らしからぬ強い雨。悪天候は店に災いをもたらし、我々には予約なしでも入れる幸運を呼んでくれた。
カウンター席だけの細長い店は、女将一人が切り盛りしている。アイデア料理を共に創作して、人気店に育てた大将は病気でいなかった。
数ある創作料理の中から今日食べたものを勝手に順位つけさせてもらおう。
1番は「イタリアントマ豚」

トマトを豚肉で巻いて焼いたものだが、仕上がりにオリーブオイルをかける。イタリア料理にオリーブオイルとトマトは欠かせない。トマトと豚(トン)を合わせたネーミングも面白い。
2番は「メキシカンミートスティック」

とうもろこしを混ぜてあるのでメキシカンの名を冠した。カレー味なのでインディアンではないのかと友人がちゃちゃを入れるので助け舟を出すことにした。カレー独特の香りはクミンによるもの。メキシコ料理でもクミンは主要な香辛料の一つである。チリコンカンやタコスの香りもクミンによるもので、ほのかなカレー味と言える。メキシカンミートスティックは立派なメキシカンテイストだった。
3番はアジ梅肉

以前はいわしを使っていたが、不良のため安定的に手に入れることができなくなったそうだ。梅肉を挟んだ焼き物はアジでも充分美味しい。
青とうにチーズを詰めて豚肉を巻いた「青とうチーズ」、トロを豚肉で巻いた「ねぎトロ」なども面白い。さけのハラスにはバジルを添えて出すなど、洋風の遊びも随所にある。
ごはんもので人気は「いくら茶漬け」

普通の御飯ではなく、串焼き屋らしく焼きおにぎりを使って一工夫。隣の客が頼んだものを撮らせてもらった。
面白くて、安くて、美味しい。お店にとっては大変な苦労だろうが、客にとっては嬉しい店だ。いつも混んでいるのは当たり前だ。東京でもこんな店がきっとあるはずだ。知っている人は教えて欲しい。
かぶと
大阪市東成区中道1-2-30
06-6971-3690
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2006年03月28日
[文福](滋賀県大津) 一流の料理とサービス
大津がどこにあるかイメージできる人は意外と少ないのではないか。琵琶湖の恵みと京料理は期待できるかもしれない。
京都駅から大津まで快速で2駅、たった10分程度しかない。近江牛や鮒寿司などの名物はあるが、ついつい京都で食してしまう。地元の人にとってはプライドをかけて地元の名店を紹介したいだろう。そこで宴会がアレンジされた。
文福は創業40年の日本料理店だ。大津には寺が多く、書画などの美術品がたくさんあるそうで、先代の女将が何年もかけて蒐集した風格のある名作が何枚も壁にかけられており、壷がどっしりと畳の上に座っている。格式を感じる店や女将の雰囲気に料理に対する期待も高まってきた。
先付け

先付けが出てきた。きれいに盛り付けられていて味も悪くない。しかし、途中から今日の約50人の宴会は文福には辛いかもしれないと思い始めた。
東京六本木ヒルズにあるグランド・ハイアット東京では、500人もの宴会料理をほぼ完璧にサービスした。料理は同時に各人の前に配され、暖かいものは暖かく、冷たいものは冷たく、美味しく食べることができる状態で出てきたのには感動した。ヨーイドン!で一斉に全員が食べ始める。大宴会をさばくノウハウがしっかり出来ていた。
文福では料理の出てくるタイミングがバラバラだった。会席の4品目位から、同じ料理が全員に行き渡るのにかなりの時間を要し始めた。客の担当が明確ではないため、女将や仲居さんが料理が行ってないお膳を探しあぐねて立ちつくす場面が増えてきた。災いは最後に銀髪に来た。
ふぐの唐揚がいくら待っても銀髪のところに来なかった。両隣にはすでに来ている。仲居さんに指摘したら、調理場に走ったはいいが、調理場では人数分出ていると言われたとか、追加するにも材料がないとか言い訳をする。
「他の料理をお持ちしますがよろしいですか?」と言うので待っていたら、なんと食べない客がいたからと、その客のお膳から冷めたふぐの唐揚げを嬉しそうに持ってきたのには呆れた。固辞したら「一口でも食べてもらわないと、私の気が済みません」と言われたのでキレてしまった。
ベストの状態でないものを客に出すことが平気なのだろうか、自分の気が済めば客の気持ちはどうでもいいのだろうか。それでミスが帳消しになると思っているのだろうか。
文福に限らず、地方の一流と言われる店でも料理の説明ができる給仕係がいる店は少ない。東京の一流フレンチやイタリアンでは料理だけでなく、素材の説明まで出来るように給仕係は教育されている。
女将が「一番力を入れている料理です」と言った「鯖寿司」は本当に美味かった。京都の名店で食べたものよりも美味いかもしれない。
絶品の鯖寿司

店の雰囲気・格に合った料理はもちろんだが、サービス・心構えをも一流にして、プライドを持って京都を越えて欲しいと思った。少人数の宴会ならまったく問題なかったに違いないが、アクシデントが起きたときが勝負どころだ。完璧な人はいない。誰にもミスはある。
文福さん、今回はちょっと残念でしたが、また鯖寿司を食べに行きますので次回はよろしくお願いしますね。
文福
滋賀県大津市梅林1-15-12
(077)522-3983
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2006年02月28日
[太政](大阪) 大阪流にふぐを食べる
「ふぐを食べたい!」大阪に来てT氏に突然言われて困った。下調べをしていないので知っている店に行くしかない。
東京と大阪では料理に対するこだわりが違う。大阪人から言わせれば東京人は気取りすぎ。大阪人は見てくれより実を選ぶ。安くて美味い店を愛する大阪人からすると、太政(ふとまさ)は必ずしも評判がいいわけではない。それでも太政は創業50年、千日前本店、日本橋店、黒門店と近隣に大型店3店舗を維持しているのだから、支持者も多いに違いない。
今回は千日前本店に行った。2階に案内されたが時間が早いせいか他の客はまだいない。手軽にコース料理を頼もうとしたが、それはない。単品を並べてコース料理に仕立てようとしたが、東京では定番のふぐ焼や唐揚がない。煮こごりもない。
太政はてっちりにこだわっている。身がしっかりついたふぐを鍋で食べてもらおうということで、焼や唐揚でふぐの身を無駄にしたくないのだろうか。
東京では絵皿の柄が見えるほどにきれいな薄造りで出てくるが、太政のてっさは厚めで器も気取っていない。刺身=厚切りてっさはさらに厚く切ったものをわさびで食べる。
てっさ薄造り、厚切りてっさ

皮の湯引きはてっさに添えられるものはわずかで、別に単品で頼むとどっさり入って出てくる。これを肴にひれ酒を飲む。厚めのこんがりと焼けたひれが数枚入っている。東京より気前がいい。ガラスのコップにひれ酒の琥珀色が濃い。
皮の湯引き、ひれ酒

以前来たとき印象に残ったのがひれ酒と白子。今回は白子の造り(刺身)と味噌焼を頼んだ。味噌焼は太政名物と言うだけあって実に美味い。鍋に入れる白子も頼もうと思ったが我慢した。なんとT氏は白子が嫌いと言う。好き嫌いがある人は本当に可愛そうだ。ほっといてくれと言われそうだが、銀髪からすると考えられない。メインゲストを前にして、自分が好きだからといってバンバン白子を頼むわけにもいかない。
白子の造り、白子味噌焼き

てっちりは太政がこだわるように身がしっかりついたふぐがふんだんに入っていた。東京のように身をしゃぶるような食べ方をする必要はない。
最後は雑炊にしようと思ったが皆さんの食欲はそれほどでもなく、ひたすらひれ酒を飲んでいるので止めにした。
てっさは大分流の肝を和えたポン酢で食べる。東京からは煮こごり・ふぐ焼・唐揚、大阪からは皮湯引き・白子焼・てっちり。ひれ酒はもちろん大阪がいい。
一つの店でこんなわがままが出来ればうれしいのだが‥
「太政(ふとまさ)」
大阪府大阪市中央区千日前2-7-18
06-6633-4129
http://r.gnavi.co.jp/k043001/index.htm
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2006年02月06日
[牛正](大阪) ツキノワ熊の鍋
牛正と書いてぎゅうしょうと読む。牛肉を食べさせるのかと思ったら、名刺には鍋・馬肉料理と書いてある。大阪で不思議な店に案内してもらった。
日本一交差点北西角の古いビルに入っていくと右手に牛正がある。小上がりのテーブル席が一つある以外は長いカウンター中心の店。新鮮な様々な部位の馬刺しがあるが、馬肉専門店でもない。鍋は桜(馬)鍋、牡丹(いのしし)鍋、鹿鍋、雉鍋、熊鍋と多彩だ。いい肉が手に入ればそれらの刺身を食べることもできる。
熊鍋をメインにすることは店に着く前から決めていたが、他に何を頼むか迷ってしまう。馬は熊本で食べたばかりなのでスキップしようと思ったが、板さんが勧めるし相方も食べたそうなので馬刺しの盛り合わせと桜納豆を頼んだ。それと長須鯨の尾の身。さすがに何度も勧めるだけあって熊本産の生の馬肉は美味い。熊本でも食べられなかったユニークな馬刺しが白子。
馬の白子

見た目と食感から白子と名づけたそうだが、実際は背骨の骨髄とのこと。牛は危険部位ということで問題になっているが、馬は大丈夫と板さんが胸を張るので食べてみた。胡麻とからしがよく合い、人によってはネットリ感が苦手かもしれないが結構食べられる。
さて熊鍋。その肉を見てください。

白い部分は脂のようだがコラーゲンが主なのでそれほど脂っぽくない。
牛正は丹波産猪肉を扱っているため熊も兵庫県丹波から仕入れる。熊は、絶滅危惧種になっているツキノワグマで、丹波地方は捕獲を禁止しているため、他地域で捕獲したものを丹波に集めて再出荷しているらしい。
ツキノワグマの狩猟期間は11月15日から2月末迄で、冬眠に備えて木の実などを食べて脂肪を溜め込むため写真のような肉になる。
鍋は味噌仕立てのため、熊肉自体の味はよく分からなくなってしまっているものの、熊は固くて臭いとのイメージとは異なる。鍋を食べている間に皿に残った肉の脂・コラーゲンは室温で融けだしている。

話の種で終わらせるのは惜しい食材だが、絶滅危惧種を頻繁に食べるわけにもいくまい。
次に来るときは別の鍋を試してみよう。久し振りに牡丹鍋もいいかもしれない。雉は予約制だが刺身で食べることもできる。
希少品、高級食材とも言える物を気楽にカウンターで食する。
「大阪らしい店」と言ったら、大阪人に怒られてしまうだろうか,喜んでくれるだろうか?
牛正
大阪市中央区日本橋1-3-7
06-6213-5503
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2006年01月05日
[本家柴藤](大阪) うなぎ鍋
昨年は名古屋、福岡に10回以上行った。景気回復が他の都市より早かったためだ。どこか忘れてはいませんか?そうです、大阪です。西の雄の景気回復は遅々として進まなかった気がしていたが、ようやく動き出してきた。今年は大阪出張が増えそうだ。そこで、今年最初のレストラン紹介は大阪から。
大阪名物は何だろう? たこ焼き、お好み焼きは夜の接待には使えない。ふぐもホルモン(焼肉)も何でもござれ。他所のものを安く、美味く食べさせるのが大阪と言うのは分かるが大阪発祥の料理とは言い難い。さて困った。
グルメガイドを見ていて閃いた。鰻はどうだろう。東京と大阪の鰻料理は背開きと腹開き、蒸し&焼きと焼きのみ。違いははっきりしているのに、大阪で鰻を食べたことがない。
タクシーを捕まえ「しばふじ」と言ったら「しばとうですね」と正された。結構有名な店らしい。本家柴藤創業280年で落語にも出てくる老舗。鰻鍋が名物とグルメガイドに書いてあったのでやってきた。
店に入ってエレベーターに案内された。壁に「鰻鍋要予約」の貼り紙が目に入った。エッ!折角来たのに食べられないの?
席に通されて仲居さんに無理を言う。「40分位待ってもらいますよ」と言われたが引き下がらない。出来るまで他の料理を頼むからと食い下がる。調理場とインタフォンで交渉してもらい、何とかOKが出る。
肝煮、肝焼き、うざく、う巻き、八幡巻、白焼きとメニューの上から片っ端に頼む。名古屋「西本」に行った時と同じだ。ビールから日本酒に移ってひたすら飲み食いしながら鍋を待つ。
みんなお腹が空いているのかアッと言う間になくなっていく。仲居さんを呼んで蒲焼(ご飯なし)を頼む。蒸さないためしっかりとした身の関西風蒲焼だ。名古屋「西本」の方が同じ関西風でもカリッとしていた。柴藤の蒲焼は柔らかめの仕上がりだ。
蒲焼を食べている間にかつおだしが効いた鍋が到着。最初は鰻のぶつ切りでも入っているのかと思った。
オーストラリアでは直径10㎝もある鰻が料理に使われていた。厚い白身はバターソテーなどに使われる。ヨーロッパでは燻製にされる。料理はなんでもありだ。
鰻の鍋があっても面白いと思ったが、匂いや脂がきつそうで心配だった。

どんな鍋か興味津々だったが大皿に乗ってきた鰻は白焼き。さっき食べた白焼きと大きな違いはない。たっぷりの野菜を入れて、白焼きを熱いだし汁にちょっと浸して上げる。あまり長く煮るとクタクタになってしまう。かつおや野菜のだしに絡まり、オツな味だ。

仲居さんは「浪速鍋」と言うぐらいだから大阪ではみんな知っていると言うが、帰りのタクシーの運転手さんは知らなかった。この店だけの名物かも。どっちが本当?
白焼きと言っても関西では薄くタレが塗ってある。冷凍うなぎを買ってきて家で鍋に入れてみても面白いかもしれない。この店のような一級品を鍋に入れるのはなんだかもったいない。
「今日は浪速鍋ですよー」なんてちょっと洒落てませんか?
本家 「柴藤」
大阪府大阪市中央区高麗橋2-5-2
TEL 06-6231-4810
FAX 06-6205-0215
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2005年11月17日
[第一楼](神戸) 神戸に来たら中華料理
日本で中華街と言えば横浜、神戸、長崎か。今回も神戸牛はスキップして中華に行くことにした。最初に乗ったタクシーの運転手さんに聞いたら東天閣が一番と言う。次の運転手さんは第一楼と言う。さてどちらにするか?
結論は簡単に出た。今回は日帰り出張のため、スタートを早くしたい。5時前に開いているのは第一楼だった。百余年の歴史を持つ旧館を使った名店・東天閣も魅力だったが、開いてなければ仕方がない。
3番目の運転手さんはよく喋る、喋る。店に着くまでしばしの観光案内。第一楼の話になると、これが神戸で一番と言う。「ここの広東料理は最高ですよ!お客さん」と来た。
ここも老舗だが、建物は震災で破壊されたため新しい建物。重厚で立派だ。
部屋に通されてメニューを見る。薄っぺらな冊子。他に立派なメニューがあるかと思いきや、これしかないと言われる。
コース料理の料金は数種類書いてあるが、アラカルト(単品)には値段が入っていない。
「各料理を人数分作りますので、人数によって一皿の値段は変わります。」と言われる。それなら一人前の値段を書けば良さそうなもんだ。仕方なくフカひれの姿煮が入るコース(一人12,000円)を頼む。
フカひれ以外の料理はお任せ。量は少なめで質を重視して欲しいと念を押した。中高年のオヤジたちはたくさんは食べれない。
前菜盛り合わせ

真ん中に伊勢海老、上から右回りに蒸し鶏、海老、あわび、蟹、くらげ、豚肉、白身魚の揚げ物、貝柱、煮たタン、ピータンと豪華な前菜。
ふかひれの姿煮、海老のチリソース


美味しいのだが妙な違和感がある。気持ちが悪い。
北京ダック

かじって驚いた。これまで食べた北京ダックの中でもトップクラスの味。特に皮(春餅・シュンピン)が美味い。広東料理屋なのになぜ北京ダックの味が飛びぬけているの?
あわび、春巻き


普通の春巻きの皮より厚めの春餅で包んで揚げてある。パリパリの香ばしい春巻きではない。味はいいが異質の春巻き。ここで気付くべきだった。
豚かく煮とホタテ

焼きそば

この手打ち麺が格段に美味い。銀髪一人だけが何杯もおかわりした。腹いっぱいなのについ手が出る。他の料理も一流だが春餅と麺の美味さが際立っている。妙な違和感はこのあたりにあるかもしれない。
スイートポテトと揚げバナナのデザート、マスクメロンを食べ、勘定を払い店を出ても消えない不思議な気分。
帰って第一楼のホームページを開いてようやく分かった。タクシーの運転手に広東料理と教えられてすっかり信じてしまっていたが、この店は神戸随一の北京料理店だったのだ。食べ慣れた広東料理の味付けとは違っていたための違和感だったとようやく気付いた。
北京料理は粉を使った料理に特徴があり、秀逸だ。春餅と麺が美味かった謎も解決した。
オーダーするとき高級食材にこだわり、餃子や肉まんを省いてしまった。東京より割安だから高価なものを食べようと思って失敗した馬鹿な銀髪。
後悔は大きい。
第一楼のホームページ
http://www.daiichirou.co.jp/index.htm
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2005年11月10日
[珈琲館](神戸) 喫茶店とカフェの違い?
また神戸に来た。仕事の約束まで少し時間がある。神戸担当のYに美味しいコーヒーの店があると連れて行かれた。
神戸駅前、バスターミナルからすぐの店は入り口が小さく通り過ぎてしまいそう。

席につくや否や、後輩のSが「喫茶店とカフェの違いを知っていますか?」と聞く。銀髪「‥‥」 S「漫画を置いているのが喫茶店、置いてないのがカフェです。」
よくわからん理屈だ。あんまり根拠がなさそうだが、妙に納得してしまうところもある。
カフェのイメージは多分、スターバックスとかドトールなどの持ち帰りコーヒー主体の店だろう。座席もあるが基本的に長居するところではない。漫画、週刊誌、新聞などは置いてない。喫茶店とカフェの違いを漫画で決め付けたのは最近の話だろう。
子供の頃、コーヒーは大人のイメージだった。父親のコーヒーに口をつけるが、苦くて飲めなかった。一杯もらっても砂糖やミルクをたっぷり入れないと飲めない。いつかブラックで飲める日を夢見たものだ。
その頃テレビでは西部劇ローハイドが人気だった。フェーバー隊長の下、カウボーイ達が牛を追っていく。若き日のクリント・イーストウッドがロディという役で出ていた。今のイメージとは程遠い。印象深いのがコックのウィッシュボン。彼が作る料理はいつもごった煮のシチューみたいなものだったが、妙に美味そうに見えたものだ。
そして、彼の自慢がコーヒー。誰よりもコーヒーを淹れるのが上手いと自慢していた。不味いインスタントコーヒーしか飲めなかった日本では、お湯を注ぐだけの誰が作っても同じ味のコーヒーしかなく、ウィッシュボンの自慢が不思議だった。
コーヒーが豆のまま売られ、コーヒーミルがヒットしたのはそれから遥か後のことだ。アッと言う間に電動のコーヒーメーカーが家庭に行き渡った。
大学時代はやたらコーヒーにうるさい奴も現われた。美味しいコーヒーの淹れ方に対するうんちくがただものではない。まずコーヒーカップに湯を入れて温める。カリタを使って熱湯を20~30センチの高さから徐々に注いでいく。一杯ずつ慎重に、丁寧に作っていく。
目の前に出されたコーヒーは、それだけで一級の料理に等しい。そう思わずにいられない。いや、そう思ってあげないと申し訳ない気持ちだった。
今日、飲んだコーヒーがまさにそんなコーヒーだった。飲みなれたカフェの味とは確かに違う。香り高く、飲み易い。店の雰囲気は懐かしさを感じる心地よさ。

ある昔のハリウッド映画の中で、主人公が幸せそうに言った。「うちに寄っていかないか?女房が淹れるコーヒーは最高なんだ。」 どの映画か覚えていないが、そのときは良く理解できなかった。今は少し分かるような気がする。
チェーン店(カフェ)のおかげでコーヒーの味は安定し、均一化した。安心して飲める上に値段が下がった。
旧来のコーヒー店(喫茶店)は消えていく。漫画を置いても、漫画喫茶には勝てない。
コミック&インターネットカフェのアプレシオhttp://www.aprecio.co.jp/companyinfo/が近く名古屋市場に上場する。(漫画を置いていてもカフェ?) 時代は変わっていく。
ウィッシュボンの作ったコーヒーはどんな味だったのだろうか。
アメリカ人も昔の味を懐かしんでいるだろうか。
こんなことを話していたら、Yが「今、NHKのBS2でローハイドをやってますよ」と言う。珈琲館に入ってウィっシュボンを思い出し、偶然にもローハイドがテレビ放映しているのを教えられた。巡り合せの不思議を感じざるを得ない。
珈琲館
神戸駅前店
078-382-0177
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2005年11月01日
[上海新天地](大阪) ヴィンテージ物の紹興老酒
大阪日本橋にチャイナモール上海新天地がリニューアルオープンした。7階建てビルにブティック、中華食材スーパー、中華レストランなど各種店舗が入っている。
大阪は上海と姉妹都市であるにもかかわらず中国の情報・文化の発信地がなかった。上海新天地がその先兵を買って出た格好だが、このオープニングの日にビンテージ物の紹興老酒を飲ませてもらった。
オープニングのメイン・イベントは紹興酒の鏡割り。紹興酒での鏡割りは始めて見たが、これが20年物ビンテージ紹興老酒だった。

紹興酒は上海の南部にある浙江省紹興市で作られる。材料はもち米と麦麹と名水・鑒湖(かんこ)の水。これまで中華料理屋に行くと必ず紹興酒を飲んできたが、原材料・製法にはまったく関心がなかった。
帰って調べてみると紹興酒は殆どがブレンドもので、たとえば5年以上のものが全体の6割入っていれば「5年物」と書けるそうだ。しかも、ラベルがそのまま信用できるとも限らない。粗悪なものも多い。近くの酒屋にはカラメルで色をつけた紹興酒があった。
紹興酒の品質に関心がなかったのは、本当に旨いと思ったことがなかったかもしれない。
しかし、中国経済の躍進と共に、ようやく見直され始めたようだ。
鏡割りの儀式から程なくして、甕の紹興酒を瓶詰めしたものがテーブルに出された。

瓶の裏のラベルを見て、実はこの日初めて紹興酒がもち米で出来ていると知った。しかも麦麹って何?と言う感じ。恥ずかしい。
今回飲んだ20年物はさすがにこれまで飲んだ紹興酒の印象を変えるものだった。甕だしは初めてではない。しかし甕だしで旨いと思ったことは多々あるが、どんな味か覚えていない。覚える気がなかったからだが、今日のこの味はしっかり覚えておこうと思った。
フランスは国をあげてワインの品質保持に努めているが、多くのワイナリーが外資に買収され危機感をつのらせている。他国で生産されるワインとの競争にもさらされている。
日本酒は等級制度の廃止により格段に品質が向上した。
食事には醸造酒が最適である。フランス料理に代表される西洋料理にはワイン。日本料理には日本酒。最高峰にあると言われる中国料理にも最高の酒が欲しい。今後の紹興酒がどう変わっていくか興味がある。期待したい。
上海新天地
http://www.chuka-ichiba24.com/mall/index.htm
CODAWARI TV 上海の今
http://codawari.info/tv/backnumber_sh.php
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2005年10月07日
[銀平] (神戸) 「神戸名物はタイ料理?」
今日は神戸に出張だ。うれしいことに神戸には親友がいる。「何かうまいもんを食べに行こうぜ!」とメールを打つと、「了解、任せといて!」の返事。仕事を終えてホテルで待っていると彼から電話。「今豊橋にいる。7時前に戻る。」彼も出張だったのに、早めに切り上げて会いに来てくれる。
しかし続いて「タイ料理予約しといたからな!」の声に「?」絶句。神戸まで来てタイ料理はないだろうと思ったが、グッと我慢して言葉を呑み込んだ。
「イヤー神戸牛じゃ能がないもんな!」と来た。大事な友の配慮なら仕方ない。「タイ料理か。まあそれでもいいよ。」とちょっと不満そうに言うと、「おいっ!オメエ何か勘違いしてネエか?タイだよタイ!明石の鯛!」
ホテルの前で落ち合うとすかさず、「バンコクとかチェンマイとかって言う店かと思ったぜ!」 「馬鹿言うな。誰が神戸でタイ料理に連れて行くか!」「お前のことだからやりかねない」などと罵り合いながら三ノ宮駅から2~3分歩くと、目指す「きのした銀平」があった。
小さな階段を下りたところに小さな入り口。鯛料理と言えば東京では高級店のイメージだが、以外と質素。

中は入って左にカウンター席、右に掘りごたつ式のテーブル席があるこじんまりとした店。
「ここはお任せしかないから、ドンドン出てくるからな!」との親友の言葉に合わせるかのように、はもの一口寿司に胡麻豆腐、鯛・ひイカ・太刀魚・かつお・甘海老が入ったお造り、太刀魚の焼き物、土瓶蒸し、鯛のあら煮、天婦羅が出てきた。
お造り

煮物はこれが一人前?と驚く量。ちょっとお腹がきついと思いながらも天婦羅まで完食。
最後にお目当ての鯛めしが出てきたときは、もう食えない。
一杯だけ食べて、残りはお土産にしてもらった。デザート(抹茶のアイスクリーム)はパス。
鯛めし

ビール1本、熱燗6合を飲んで2人で17,400円。とても良心的な値段だと思うが、量も良心的過ぎる。おやじ二人は「ご飯は残さず全部食べなさい!」と育てられた世代なので、残す勇気を持ち合わせていない。
もう少し多目のお造りと、もう少し少な目のあら煮を食べた後に、鯛めしを堪能するというコースを作ってくれないかなー。
東京ではなかなか口に出来ない太刀魚の刺身が美味かった。もちろん鯛めしも。
ほろ酔い加減で親友行きつけのスナックへ向かう。鯛めしのお土産はその店の女の子のお腹の中に。「美味しかったですー」「そうか美味かったか!あそこの店はヨー‥‥」と得意気に話す友を見ながら、「まぁお腹一杯だったから、喜ぶ人が一人増えて良かった。」と思う銀髪だった。
これはもしかして銀平店主の気配りなのかもしれない。お土産にすれば家族が喜ぶ。
単身赴任の親友の場合はスナックの女の子が喜ぶ?
きのした銀平
神戸市中央区中山手通1-8-19 三浦ビル地下1階
078-392-0405
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