2008年08月22日

[三厨](奈良)

地元奈良の人に人気の居酒屋


奈良の名物料理は茶粥、三輪素麺、柿の葉寿司、飛鳥鍋、吉野葛、奈良漬といったところだろうか。残念ながら、是非とも食べたいと思うものはない。地元の人も同じようで、セッティングしてくれた店は奈良料理とはあまり関係がない店だった。

鱧落し、鱧天ぷら

今年はよく鱧を食べた。高級食材と言われる鱧も近年はスーパーなどでも売られており、珍しいものではなくなった。もちろん味も値段もピンキリ。好き料理法は吸物、炙り、あらいの順といったところだろうか。これから秋になると松茸の土瓶蒸しの脇役になってしまうが、それも悪くない。

冷奴、ポテトサラダ

山芋短冊、鯛刺身

馬刺し、地鶏焼き

全100席、カラオケパーティーも出来る大型店。料理も豊富で地元の客に愛される店のようだ。近鉄線新大宮駅から徒歩2分、奈良駅から離れているため観光客が来る店ではない。
地元の人と一緒でなければ来ることはなかったろう。

それでも銀髪は奈良にこだわった。料理がなければ酒がある。「ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門、(中略)四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水。粋なねえちゃん…」
フーテンの寅の名口上を持ち出すまでもなく国の始まりの大和の国は酒造りの始まりでもあると言って差し支えないだろう。奈良漬も酒粕あってのものだ。

三厨にも奈良の酒があった。地元の人たちがビール、焼酎を飲むのを横目に、銀髪は奈良の地酒にこだわった。東京では殆ど奈良の酒を見かけない。一人だけ存分に奈良を味わった。

奈良桜井市には酒神を祭る日本最古の神社「大神神社」があるそうだ。大学時代にバッカスの渾名をもらった銀髪には、もっとも似合う神社かもしれない。いつか行かなくちゃ。


三厨
奈良県奈良市大宮町6-6-3
0472-36-3458
http://www11.ocn.ne.jp/~jd-kohei/indexkouhei3.html

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2008年07月13日

[松喜屋](滋賀県大津)

本場の近江牛を


毎年この時期に地元の人に案内されて大津の老舗料理屋に行くのが楽しみだ。今回は松喜屋。早速ホームページを開いてチェックした。
松喜屋は明治初期に近江牛を関東に紹介して、その名を広めたとのこと。牧場と肉屋、それに料理屋を経営する。期待はいやが上にも高まった。

付け出し

前菜、たたき、サラダ、じゃがいもグラタン

席に着くなり料理が運ばれてきた。ビールで乾杯し、次に日本酒を頼んだが、すぐに思い直した。鉄板焼きには赤ワインの方が合う。


見事な霜降り肉が前面に、裏に赤身の肉が隠れる。さすがに近江牛の霜降りは美味い。ホームページによると、松喜屋の創業者は近江牛を船で横浜港まで運んだ。近江牛は東京で大評判になったが、牛を乗せたのが神戸港だったため神戸牛と呼ばれてしまったとのこと。
なるほど神戸牛は近江牛のことだったのかと思ったら、話はそれほど単純ではない。

神戸肉は1983年に発足した神戸肉流通推進協議会により以下のように定義された。①兵庫県で生まれた但馬牛の血統であること。②お産をしたことがない雌牛または去勢した雄牛であること。③兵庫県で肥育されること。④兵庫県の食肉センターに出荷されること。
つまり明治時代に勘違いで名付けられた神戸牛が、後年正式なブランド牛に生まれ変わったことになる(正式名称は神戸肉または神戸ビーフ)。アー、ややこしい。

鉄板焼き

肉と野菜が乗った皿の奥に隠れていた赤いもの。レバーのように見えたが正体は赤こんにゃく。近江八幡市の特産品で、派手好みの織田信長が赤く染めさせたとも伝えられるもの。滅多に食べないので、以前食べたことを忘れていた。

それにしても牛肉のブランドは難しい。岐阜産牛の中で最高級が飛騨牛と言われるように、ブランド産地の中でも細分化される。松阪では特産松阪牛、神戸では三田牛、佐賀牛では伊万里牛などなど。

ところが我が奥様は脂の多い霜降り肉は大嫌い。鮪の大トロも大嫌いだから黒鮪が禁漁になっても意に介さないだろう。ブランドに踊らされない賢い奥様と言いたいところだが、やっぱり服飾品はブランド物が欲しそう。

賢い消費者なんてどこにもいないのだ。

松喜屋
滋賀県大津市唐橋町14-17
077-534-1211
http://www.matsukiya.net

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2008年06月10日

[義市商店](神戸元町)

最後の砦、明石焼き


東の横浜、西の神戸。外国文化が深く根付いた街である。共通する名物料理は中華料理と洋食。今回は洋食を食べようと意気込んだ。

新神戸駅からタクシーで目的の「レストランハイウェイ」に向かった。谷崎潤一郎が愛した老舗。ところがトーアロードに店はない。電話も取り外されていた。どうやら移転してしまったらしい。でも慌てない。次の候補も調べてある。中華街近くの伊藤グリルに歩いて行った。店に入ると間髪入れず冷たく宣告された。「満席です!」

さすがにショックは隠せない。近くに他の候補はない。伊藤グリルに行く途中で一瞥した明石焼きの店に戻った。お腹はペコペコである。時計は1時を回り、他の洋食屋を見つけるまで可愛そうなお腹をなだめすかす自信はない。

大阪の家庭では必ずたこ焼き器があると言うが、明石焼は特別な焼き器があるのだろうか。いずれにしても、地元の人が昼食時に群がるとは思えない。予想以上にこちらは空いていた。銀髪がオーダーする前に先客が勘定をして、以後銀髪が食べ終わるまで貸切になった。

壁には辻本清美や巨人の村田捕手、元ボクシング世界チャンピオンの井岡などの色紙が貼ってある。もう少し人気があり、旬の芸能人を誘致した方がいい。宣伝になっているとは言い難い。

神戸牛のステーキと明石焼きのセット

お得だと言われた1,300円のセットの神戸牛はこちらも予想通りの薄さ。それでも味は悪くなかった。

予想外だったのは明石焼き。なかなか美味しいじゃないか。たこ焼きよりもたこの存在感がある。今まで食べた明石焼きの中では一番美味い。今までで一番お腹が空いていたのを割り引いても悪くないと思った。店がガラガラだったので期待しなかったのも良かったかもしれない。

勘定をしたら最寄の観光地図をくれた。よそ者とバレバレの銀髪だからという訳でもなさそうで、客の殆どが観光客だから機械的に出している感じもする。

目的の洋食は食べられなかったけれど、そこそこ満足した。レストランハイウェイや伊藤グリルに用意した予算をかなり下回ったのも良かった。めでたし、めでたしである。


義市商店
兵庫県神戸市中央区北長狭通3丁目1-1
078-331-7890


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2008年04月20日

今西の奈良漬

本物の奈良漬


昼飯時、「美味しい店がありますよ」と言う部下に従って近鉄奈良駅周辺を歩いた。ところが彼の記憶は曖昧で店が発見できない。行ったり来たりしていたら、立派な造りの店の前に出た。

オーラに引きつけられて店に入る。店内を見渡し、ガラスケースの中を覗いていたら、自信満々の中年女性店員につかまってしまった。「本当の奈良漬を作っているのはうちだけです」と胸を張る。他店のものはまがい物か中国製だと一蹴するのは大胆に過ぎると思うが、堂々とした風格に気圧されて信じてしまう。「女将さんですか?」と聞くと大きく頷いた。

店のパンフレットを読むと、「元祖製造元として江戸末期に開店、味淋粕は用いず、ましてや人工甘味・人工着色・合成保存料等は一切使用せず、最低でも3年、最長13年もの間酒粕に漬け込むと」とある。女将の顔を思い出すと、他店を皮肉っているように思える。

刻み奈良漬

食べやすく刻んである630円のものを買った。他に瓜小袋ときゅうり、西瓜、なすが入った小袋など土産用に買った。由緒正しき逸品でも1,000円前後で買えるのがいい。

今西の奈良漬は他店のものに比べると黒色で味がきつい。大酒飲みならともかく普通の人は食べる大きさに切って冷蔵庫で3~5日置いてから食べるように言われた。女将に銀髪がいかに大酒飲みかを説明した。我ながら馬鹿なことを言うと反省していたら「それなら切ってすぐ食べても大丈夫」と太鼓判を押された。ここで得意気になるからまたいけない。

奈良漬が大好物と言う母にお土産を届けた。それから数日経っても感想を言って来ない。1週間後に母の家に行ったら「高級品は口に合わない」と言う。話を聞いたらあれほど説明したにもかかわらず、切ってすぐに食べたらしい。冷蔵庫で眠っていたものを取り出して食べさせたら「あら、美味しい」。

今西の奈良漬は市販のものとまったく別物と思った方がいい。奈良漬はあまり好きではなかったが、今西の奈良漬はいい酒の肴になるので気に入った。

女将の自信満々の顔が目に浮かんだ。


元祖純正奈良漬
奈良県奈良市上三条町31番地
0742-22-2415


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2008年03月19日

[がんこ](大阪道頓堀)

大阪の雄、本場のお味は?


全国に100店舗近くを展開するがんこグループ。銀座にも2店あるが、東京から出張したメンバーは今回も本場のがんこに行きたいと言う。道頓堀店が大店なので本店と思っていたようだが、例に違わずがんこの発祥の店も小型の十三店である。

お通し、がんこ地中海マグロ中とろ

がんこを冠した料理がいくつかあるので笑った。ところが中トロを一切れ食べたら意外に美味い。侮ってはいけないと思った。帰ってからHPで調べたら、マルハの協力を得てがんこ用に畜養したものだという。
野菜、豚、鶏、えびなどにもがんこを冠した素材がある。洒落で名づけたわけではないのが理解できた。笑わないでそれらを食べれば良かったと後悔した。

ふぐ(唐揚げ、刺身、皮)

皮も一切れもらって口に含んだ。神田。「満寿家」のようにはいかなかった。ふぐにもがんこの名前がついていたらよかったのに。

厚揚げ、サラダ

あおりいか、活きたこ

枝豆、茄子、お新香盛合せ

ネギトロ巻き、穴子寿司

がんこの良さはやはり値段だろう。スポンサー役の銀髪を気遣って、同行者がんこを選んでくれて本当に有り難かった。
安さだけで全国に100店舗近くまで展開できたわけではないことが分かったのも良かった。高いものを使って美味しいのは当たり前。安くても美味しくなければ厳しい大阪人には評価されないだろう。

銀座店に行って、「がんこ〇〇」をもっと食べてみたくなった。


がんこ
大阪府大阪市中央区道頓堀1-8-24
06-6212-1705
http://www.gankofood.co.jp/index.html

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2008年02月15日

[井筒屋](京都)

京都のおまかせ割烹で食べる創作京料理


京都一物知りタクシー運転手の語りを楽しく(うるさく?)聞きながら井筒屋に向かった。趣が一変した花見小路にはカメラを抱えた観光客が溢れている。舞妓さんの出勤時間のようだ。運転手は慣れたもので、観光客を避けながら「てるこさん」の角をゆっくりまがった。

門をくぐり店に入ると、女性たちが床に手をつき頭を下げる。奥に高齢の女将が控え、笑顔を見せている。京都弁が美しい。個室に入ると美味しいお茶が出てきた。

胡麻豆腐雲子乗せ、前菜盛合せ

「くもこ」と説明されて聞きなおした。鱈の白子のことだそうで、いきなり京都らしい呼び名が出てきて嬉しくなった。蕪寿司などを含む前菜盛合せが出てきたところでビールを止めて日本酒にした。京料理には日本酒が相応しい。

お造り(ひらめ、まぐろ、きす)、炊き合わせ

昆布締めのきすはポン酢で、他はわさび醤油で食べる。小さなお造り一皿にも手が込んでいる。京料理に欠かせないぐじ(あまだい)は野菜との炊き合わせとして出てきた。とても美味しい。

石焼(酒盗、海老、さざえ)

一番目の自慢料理が石焼き。酒盗に和えられた海老、さざえを石で軽く焼いて食べる。もちろん全て生で食べられるものだが、少し火を通すことで味が良くなる。残った酒盗はそのまま酒の肴になる。

穴子飯、若筍煮

箸休めに穴子飯を食べる。筍は徳島産で、土の中に電熱線を通して栽培しているとのこと。もちろん若布は鳴門産である。

さわらの焼物、丸もどき

さわらは柚子味噌に漬けられて上品な甘味がある焼物になった。吸物は丸(スッポン)が入らないのでもどきとなる。スッポンのコラーゲンはないが美味だ。

2番目の自慢料理は揚げそうめん。奈良産の絹そうめんを揚げて、長崎皿うどんのように仕上げてある。

食事を挟んで3番目の自慢料理がデザート。
ところてんを突く道具は使い込まれて風格が出ている。餡にからめて食べる。

自慢料理3品は必ずコースに含まれる。他は季節によって異なるという。

随所に行き届いたサービスを受け、ビール3本、お銚子12本を加えて3人で6万円強。思ったよりも安く済んだ。帰り際に確かめると「一見さんお断り」のようなことはないそうだ。

祇園に寄ったら行く価値のある店である。


おまかせ割烹 井筒屋
京都府京都市東山区四条通花見小路下ル 四筋目東入北側
075-541-1869

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2007年09月26日

[大和屋](横浜)

横浜で食べる大阪老舗料理屋の味


大和屋は明治10年(1877年)開業という歴史ある料理屋である。横浜駅近辺で会食することになり探し当てたのが大和屋で、東京では日本橋高島屋のお好み食堂に「大和屋三玄」として出店している。

横浜の大和屋もデパートの上階にあるが、大和屋三玄と異なり独立したきれいな店となっている。それでもデパートの限られたスペースでは、やはり老舗を演出するのは難しい。

先付け

老舗料亭らしくプレゼンテーションはさすがである。バイ貝、白和えと菊の花の下は柚子の器に盛られたさんまの南蛮漬け。

鱧と松茸の吸物

漆の器が美しい。土瓶蒸しのコンビ・鱧の吸物は本当に美味しい。外国産の松茸も何とか役目を果たしている。菊の花が浮かせてあって澄まし汁にアクセントをつけている。

造りと焚合せ

刺身は貝柱、ひらめ、まぐろ、焚合せは穴子と里芋。どちらの皿にも菊の花が彩りを添えている。

蕎麦、焼物

焼き魚はあまだいの若狭焼き。若狭焼きとは酒を塗りながら焼いたもので、代表的な京料理。香ばしく脂が乗ってこの日一番の収穫だった。

酢の物、デザート

大和屋の自慢が羽釜で炊いたご飯。調理場の右手に羽釜が二つ。一膳食べたところでお代わりを奨められたが、お腹が一杯で遠慮した。
デザートを食べてお開きに。

この日食べたのは10,500円のコース。とても美味しかったが、130年の歴史を持つ店の料理をこの値段で食べられたと喜ぶべきか、1万円出すならもっと気軽に美味しい店があると思うか、判断は難しいところだ。


大和屋 そごう横浜店
神奈川県横浜市西区高島2-18-1 10階
045-465-5958
http://m10-yamatoya.co.jp

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2007年07月07日

[黄金一味] 京都祇園味幸

辛いもの大好きな人たちへ


京都駅の土産物屋で「日本一辛い黄金一味」を見つけた。以前長野善行寺前、「八幡屋磯五郎」へのコメントで奨められた唐辛子である。もちろん買った。
包装は黄金だが、唐辛子自体は黄金というより黄緑色ではないか。黄金色ならもっと驚いただろうが、黄緑色でも意外性がある。考えたらタイの激辛唐辛子などは緑色なので、赤色だけが唐辛子であるわけではない。

使ってみると確かに辛い。辛いが八幡屋磯五郎の大辛BIRD EYEの方がもっと辛い。もっとも、黄金一味の方はパウダー状なので、振り掛けた量はBIRD EYEが多かったかもしれない。
黄金一味の唐辛子は国内産で、鷹の爪の10倍の辛味成分を持つ。輸入唐辛子が幅をきかせている昨今、国内産のみを使うのは珍しいのだろう。BIRD EYEが殊更国産を強調していないので、外国産唐辛子を使っているのかもしれない。いずれにしても、この2つの勝負は面白い。

日本橋高島屋に黄金一味が売られていると知って、買いに行った。調味料売り場のレジの正面に他のメーカーの唐辛子と共に並んでいた。八幡屋磯五郎の商品もあるが、BIRD EYEはない。やげんぼりの唐辛子も買おうかと迷ったが、別の棚の商品に目が移ってしまった。

朝天辣椒、朝天小魚

両方とも以前台湾人に奨められて買った。左の激辛、ニンニク入りの唐辛子漬けは我が家に常備している。様々な料理に使えるが、銀髪は味噌汁に数滴垂らすのが好きだ。激辛味噌ラーメン風の味噌汁になる。もちろんラーメンに入れても美味い。
右側は中辛。小鰯の煮干を唐辛子と共に漬けてある。これはそのまま酒の肴にして食べる。チャーハンなどに入れてもいいようだが、料理に使うならXO醤の方が上だろう。

ラー油は自分で作ることにしているが、たまに世界一辛いと言われる生のハパネロを使う。餃子を作ったら、家族にハパネロのラー油と告げず何食わぬ顔をしてテーブルに置く。家族がいつもどおりの量を使うと飛び上がってしまう。これを見るのが楽しい。BIRD EYEでも同じように楽しめた。黄金一味は赤くないので、使いすぎてくれると楽しみは倍加する。

我が家の連中は、いつも銀髪のいたずらに戦々恐々なのである。


京都祇園味幸
http://www.ajikou.com/profile.html

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2007年07月04日

[魚忠](大津)

滋賀県大津の立派な料亭


東京人にとっては、琵琶湖は京都からかなり離れているイメージがある。実際は京都から大津までの所要時間はJR快速で1駅8分しかない。琵琶湖を見に来た観光客が、夕食は京都でと思っても仕方がない。7世紀後半に天智天皇が都にした大津も、わずか5年で遷都されて以来まったく影が薄い。

魚忠は1905年に建てられた旧東海道に面する商家を料亭に変えた。元は呉服屋で、時代劇の一場面に必ず出てきそうな佇まいだ。京都に残る最古の町屋は1600年代の建築らしいから、京都人に言わせればありがたがるものでもなさそうだが、よそ者にとっては充分ありがたみがある。

前菜

会席は6種類の盛り合わせからスタートした。50人以上の宴席の中を仲井さんたちは忙しく動き回る。左隣で配膳が途絶えたので、食べ始めるにはもう少し辛抱がいる。両隣に料理が揃ったところでヨーイドンだ。

お造り、冷し茶碗蒸し

茶碗蒸しが出てきたあたりで、人が動き出す。挨拶に行く者、来られる者。上下関係が明確に見て取れる場面だ。

鮎、天ぷらそば

季節の鮎塩焼き。頭から食べられると仲居さんは言うが、固くて食べ尽くすのは諦めた。
そばの上に茄子の天ぷらや焼いた万願寺唐辛子、大根おろしなどを乗せた料理は、天ぷらそばと勝手に決め付けた。

小鉢、ご飯

トイレに立つ人が多くなってきた。お膳を跨ごうとしてあちこちでビール瓶が倒れる。酔ってないつもりでも微妙に感覚は狂っている。返杯の繰り返しもこたえているはずだ。畳と靴下の相性が悪く、ひっくり返りそうな人も出てきた。お膳で後頭部を打たないか心配だ。

デザートが出てお開きが近くなったので、2次会は遠慮して引き上げることにした。タクシーで京都駅まで約20分。お土産を買って東京行き最終の新幹線に乗り込んだ。去年と同様、今年もお土産は京都の八つ橋だった。

大津 魚忠
滋賀県大津市京町2-4-10
077-522-4428

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2007年07月01日

[たこ坊](大阪)

たこ焼き屋でも串揚げ屋でもなかった。くわ焼きの店だった。


昔、農機具の鋤(すき)を使ったのがすき焼きなら、鍬を使ったのがくわ焼き。要するに鉄板焼きを洒落てくわ焼きと称している店であるが、雰囲気はいたって気楽。カウンターには若者3人組、くたびれたおじさんたちなど客層に統一感はない。

壁に貼られたお品書きには焼き物と揚げ物が多種類列挙してある。最低110円、最高が300円台と安心価格。食べ盛りの子供を連れて来ても心配はない。何を頼んでいいか分からないのでお任せにした。

あなご、エビパン

最も高価な部類に属するのがあなごのくわ焼き。それでも360円。味をどうこう言うよりも、丸焼きは存在感タップリで客受けしそうだ。
大阪に住んだことのある部下が大好物だと言うのがエビパン。揚げたパンにエビのすり身が塗ってある。中華料理に似たような料理がある。もちろん本家は中華料理の方だろうが、たこ坊でも立派なオリジナルの人気商品である。

ほたて、ネギ間

飛び上がるほど美味いわけではない。毒づくほど不味いわけでもない。いや、美味いと言ってあげてもいいような気もする。
次が出てくるのを待っていると、5人家族が入ってきた。大人並みの体格を持つ小学校高学年の子を筆頭に、家族全員がヘビー級だ。

卵巻き、蓮根肉詰め

蓮根で初心者向けのお任せセットが終了。追加しようかと考えたが、たこ坊の雰囲気は分かったのでお開きにした。
さっき入って来た5人家族も我々同様にお任せコースから始めている。「いくら食べてもいいぞ!」と若い父親は見た目だけでなく太っ腹だ。隣の肝っ玉母さん風の母親が余裕を見せて頷く。

兄弟3人に父を加えて、馬を飼っているのかと言われるぐらい毎日買い物籠を一杯にして悲鳴をあげていた母。やがて子供たちが独立して、父は逝った。やりくりに大変だった母だが、今は1人暮らしで買う量はしれているからと、高級食材を買っているようだ。
このところ毎週末に母を訪れる。先日は父の命日に買っておいたというステーキ用の最高級神戸牛を食べさせられた。自分は歯が悪くて食べられないからと言うが、いくつになっても子供に美味しいものを食べさせたいと思う気持ちは抜けないようだ。

小学生の銀髪に「我が家はエンゲル係数が飛びぬけて高い」と揶揄された頃が、母の一番幸せだったときに違いない。


たこ坊
大阪府大阪市中央区千日前1-8-3
06-6211-4704

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2007年06月24日

[くくる](大阪)

たこ焼きと明石焼きの人気店


道頓堀くくるの商品は大阪駅の土産物売り場でも買うことが出来る。それだけ有名店ということだろう。大阪名物の筆頭格がたこ焼きではちょっと悲しい気がするが、見栄を張らずに堂々とたこ焼き自慢をするのが大阪人のいいとこかもしれない。

たこ焼き

人気のたこ焼きを食べて不思議な気がした。好みのたこ焼きがどんなものかを主張できない自分を発見した。くくるのたこ焼きは中が柔らかい仕上がりである。銀だこのように油で揚げたカリカリ感が美味しいと感じることもある。やはり外側がカリッとして醤油味が香ばしい中部圏のたこ焼きもいい。中に入ったぶつ切りタコが有名な大だこも具にインパクトがあって面白い。

具はタコ、ネギ、紅しょうがで充分と思うが、キャベツを入れてもいい。明太子なども捨て難い。チーズは邪道に思っている癖に、定番物に飽きたら満更でもないと思う。
マヨネーズはお好み焼きで違和感を抱いたのと同様に、たこ焼き本来の味を壊すようで嫌いだったのがいつのまにか慣れてしまった。鰹節も違うと思ったが、すぐに許してしまう節操のなさだ。

明石焼き

明石焼きに関しては、くくるの味を評価する基礎的味覚がまったくない。そもそも我が50余年の生涯で、明石焼きなるものを食べた回数は両手に満たない。地元明石では卵焼きと言って明石焼きとは言わない、と聞けばホーッと感心しなければいけないのだろうが、関東煮きやアメリカンコーヒーの例を出すまでもなく当たり前の話である。

屁理屈を言わないで美味しかったのか不味かったのかと問われれば、美味しかったと答える。しかし、最後の晩餐に加えるかと問い詰められれば、あっさり候補から外してしまうだろう。タコ焼きだって最後の最後に食べたいと思うものではない。大阪人ならどうだろう。たこ焼きよりお好み焼きを最後の晩餐に選ぶかもしれない。

ウーン、どうせならもう少し高級料理で悩みたいものだと一度は思ったが、銀髪が選ぶ最後の晩餐はやっぱり餃子にビールかな。


くくる
大阪府大阪市中央区道頓堀1-10-7 ぼんちビル
06-6212-7381

たこ焼きハーフ320円
明石焼き530円

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2007年06月18日

[551蓬莱](大阪)

豚まんで有名な蓬莱に行った。


てっきりお土産物屋で肉まんだけ売っている会社と思っていたが、レストランがあるとは知らなかった。1階がテイクアウト売店で、2、3階がレストランになっている。右隣を見ると蓬莱がもう一店あって戸惑ってしまった。アレッ?どちらが有名、美味しいの?

数字(551?)が頭に残っていたので、こちらが有名な店と信じて店の2階に上がった。点心だけかと思っていたが、普通の中華料理屋さんだ。女性店員を呼び、何を食べるか相談した。「大阪名物」と赤い目印がある中から焼き餃子(8個280円)、焼売(4個310円)、豚まん(2個330円)を頼んだ。緑の印がついたチャーシューまんも奨められたが、下で買ってお土産にすることにした。

餃子、焼売

メニューの売り文句、「外はカリッと、中はジューシー」の餃子と「こちらも人気の一品!ボリューム満点!」の焼売は納得できるものだった。立派な造りの店だがお値段は良心的。さすが大阪だ。

豚まん

看板の豚まん。蒸したてが不味かろうはずがない。銀髪の好みとちょっと違うが文句はない。さすが人気の豚まんだ。

551蓬莱を出て、隣の蓬莱本館の豚まんを買った。「温かいのにしますか?冷蔵ものにしますか?」と聞かれた。生がないのが不思議だったが、お土産にするので冷蔵物を買った。後で調べると、元祖の蓬莱は昭和20年に創業し、創業仲間の3人が後に独立して蓬莱本館、蓬莱別館、そして551蓬莱の株式会社蓬莱に分かれた。蓬莱本館は冷凍食品などの販売が主力のようだ。、謎は解けた。

チャーシューまん

お土産に買った551蓬莱のチャーシューまんは評判が良かった。豚まんに比べてオリジナリティが高く、しっかりと味がついていた。
551の豚まんの底には定番の紙ではなく、経木(木を薄く削ったもの)が敷かれている。紙のものしか食べたことがない子供にとっては、物珍しく思えるに違いない。

551蓬莱も蓬莱本館もからしがついてきた。ちょっと不思議な気がしたが、これが普通の食べ方だったかな?

蓬莱 戎橋本店
大阪府大阪市中央区難波3-6-3
06-6641-0551

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2007年06月17日

[はがくれ](大阪梅田)

行列が出来るうどん屋さん

大阪の代表的なうどん屋さんは道頓堀今井だろう。この店のきつねうどんこそが、大阪名物のうどんと言えるものだと思う。ところが席数が多い今井よりもわずが14席しかないはがくれの方が行列が出来やすく、大阪でナンバーワンの人気店と言われるようになった。

12時前に大阪駅前第3ビルに到着。シャッターが閉まったままの店が目立つさびれた感じの大きなビルの中を、はがくれ目指して歩き回った。地下2階を半分ほど回ったところで、人だかりが遠くに見える。約20人が近隣の店の邪魔にならないように列を作っていた。午後のアポまで時間はたっぷりあるので並ぶことにした。

待っている間、ちっちゃなおばちゃんが注文を取って回る。立ち居振る舞い、表情がいかにも大阪人風で面白い。銀髪は生じょうゆうどんと天ぷら、部下はぶっかけうどんを頼んだ。

生じょうゆ

約30分並んで席についたら、すぐに料理が出てきた。「初めてですか?」と問われて頷くと、食べ方を教えてくれると言う。神妙に待っていると、「ハイ、箸を構えて」と言われ、店主がうどんに薬味を乗せて、生じょうゆを二往復半かけるのをアホ面して見ている。「2本だけすくって、ハイ、食べて!」と命じられる。「濁るから絶対混ぜたらダメ!」と大阪弁で念を押され、店主に怒られないように指示通り食べる。徳島産のすだちを絞ってくれたのは余計なお世話とつぶやきながら。

ぶっかけ、ちくわと半熟卵の天ぷら

今度は「うどんのカルボナーラや!」と温かいうどんに乗せた生卵を手早くかき混ぜて、店主は別のおのぼりさんの席に移っていった。混ぜる前に写真を撮りたかったが果たせなかった。味見をさせてもらったら、なかなかの美味だった。今度家でやってみよう。

半熟卵の天ぷらもなかなか面白かった。我々の倍以上の時間を使ってなおも食べている左の女性二人を横目に、席を立って勘定場に向かった。店の外にはちっちゃなおばちゃんの懸命な努力にもかかわらず、行列が周りの店の領域を侵食していた。人気店になるには女性の支持が必須だが、昼間の行列をさばくには痛し痒しだろう。

大阪名物のうどんを食べようと思ってきたが、はがくれのうどんは讃岐うどん。特製生醤油も本場讃岐から取り寄せたものだ。

行列が出来るだけあって、なかなか美味いうどんだった。次回来る時は「常連でっせ!」と応えて、自分の好きなように食ってやる。食べる前にパチリ、すだちは絞らず、生じょうゆは3周半、しっかりまぜまぜして、持参した大好きな八幡屋磯五郎の一味唐辛子を振る。怒られちゃうかな?


梅田 はがくれ
大阪府大阪市北区梅田1-1 大阪駅前第3ビルB2
03-6341-1409
http://www.hagakure.cc

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2007年05月28日

[なだ万](神戸)

新神戸駅前のホテル34階にあるなだ万神戸店に行った。


日本料理の老舗・なだ万には東京でも何度か行ったが、神戸のなだ万も3回目になる。神戸市内が一望できる日本有数の景色のいいレストランだ。20年以上も前に六甲山から見た夜景を思い出してしまう。若かったあのときの思いはどれだけ満たされただろうか。

予約なしで行ったので窓側の席に座ることはできなかった。それでも景色は悪くない。おばちゃん、お婆さんたちの頭越しではあるが…。

お昼限定の「匠御膳」(4,515円)を頼もうとしたが、スポンサー氏が「和牛ステーキコース」(8,925円)を食べろと奨めてくれる。昼には重過ぎるので抵抗したが、グルメ紀行的には面白いと閃いた。

玉子豆腐、お造り、

流石なだ万だけあって安心して食べることが出来る。お造りには鯛とタコが含まれているが、明石産に間違いないだろう。

サラダ、天ぷら

天ぷらには珍しくシャコが混ざっている。銀髪も知らなかったが、瀬戸内海沿岸でのシャコの漁獲量は全国2位の名物だそうだ。

匠御膳を頼んだ他の人が食べ終わっても、メインが出てこない。何度も謝りに来るので忘れたわけではなさそうだ。面白いと閃いたのはメインのステーキにあった。神戸牛と書いていないが、神戸のなだ万で和牛ステーキと書いてあれば勘違いする人もいるだろう。地元だから格安で食べられると喜ぶ人が居てもおかしくない。

実はオーダーするときに銀髪は店員に確認した。「宮崎牛でしょう?」との問いに「ええ、九州の方の肉だと思います。」と曖昧に答えた。以前、帝国ホテルのなだ万で食べたしゃぶしゃぶ肉が宮崎牛だったのを覚えていたのだ。お代わりしたぐらい美味し肉だったので、そのときは大変満足した。

しかし、なだ万ほどの店であれば、神戸牛でないことを明確にすべきだろう。鯛、タコ、シャコと地元産が出てきたら、和牛=神戸牛と思う方が自然だ。もしかしたら、鯛、タコ、シャコもよそ者かもしれないと疑ってしまう。地元産とは書いてなかったのだから。

ステーキが出てくるのが遅かったことについては、文句を言ったわけでもないのに料金を割り引くと申し出られた。なだ万のプライドだろう。なだ万の名を汚さないためには、もう少し配慮が欲しいと思う。

この記事を見て、なだ万でステーキを食べた人が怒らないことを祈る。

なだ万 クラウンプラザ神戸店
兵庫県神戸市中央区北野町1-1 クラウンプラザ神戸34F
078-252-3400

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2007年04月30日

[老祥記](神戸元町)

豚まん発祥の店はいつも行列


神戸餃子の赤萬を出て元町に向かった。どうせ元町に行くのなら赤萬も元町本店に行けば良かったと思ったが、行き当たりばったりの旅に計画性などない。元町の目的は有名ラーメン店だったのだが既に閉店していた。夜はやらない不思議なラーメン屋だ。落胆はしない。元町には中華街がある。

目指したのは老祥記という肉まんの店で、行列が絶えないことで知られている。店内でも食べることができると聞いていたので大きな中華料理屋と思ったら、意外に小さな店なので驚いた。

空いてる時間帯のようで店内に並ぶことが出来た。列の両側に10人程度が座れる大テーブルが2つある。「店内で食べる人は居ますか?」と声をかけられたので手を上げたらすぐに座れた。1個80円、1人前は3個なので2皿6個を頼む。グダグダと酒盛りするような店ではなく、飲み物は残念ながらお茶しかない。

一口で食べられるような小振りの肉まんで、割ると具がコロンと出てくる。これこそ探していた昔ながらの肉まんのイメージそのものである。(→「肉まん」) 肉汁が皮に染み込んでいてなかなかいい。味はしっかりついているのでそのまま食べた方がいいようだ。脂っこく感じたら、からしをつけると美味しく食べられる。

並んで、座って、食べて10分程度で店を出たら、行列は店をはみ出して通行人の邪魔にならないように道路で一旦途切れて、それからまた広場に続いていた。営業時間は10時から18時半で売切れ次第閉店。客がいる場所より作業場は倍以上の広さで、無駄のない動きを続けている13人の店員が開放されるのもあと1時間程度だろう。

店のチラシによると1915年(大正4年) 曹松琪が創業、「ぶたまん」という呼び名の発祥の店で「神戸のぶたまんじゅう屋」と呼ばれ親しまれてきたとのこと。単品商売でも90年間行列が絶えないとなれば、経営者は大豪邸に住んでいるんだろうなー

香港では酒を置いていない店なら酒屋で買ったビールなどを持ち込んで飲むことが許される。せめて広場に椅子とテーブルを置いてくれないだろうか。老祥記の周りにも持ち帰りできる店が多数ある。数店から好きなものを買って来て酒盛りができたら最高なのだが。


老祥記
兵庫県神戸市中央区元町2-1-14
078-331-7714

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2007年04月29日

[赤萬](神戸)

神戸名物の餃子を食べに行った


餃子を売り物にする街は多いが、神戸も特徴のある餃子を出すと知ったのは日本経済新聞夕刊の紹介記事からである。特異なのは餃子自体ではなく、タレの方である。

早めに仕事が終わって餃子屋に行くことを決めたが、まだ4時前。案内役のY氏に連れられて向かったのは三ノ宮。一軒目は5時まで休憩時間中で入れなかった。Y氏は失望することなく次の目当てに向かって歩き出し、派手な赤色が目立つ小さな店、赤萬に着いた。この店は13時から21時頃まで休みなく開いている。行列もできる店だそうだが今の時間は店内に客はなく、持ち帰りの客がときどき来る程度だ。

注文は1人に対して2人前、合計14個(500円)を頼む義務がある。従って2人で4人前を頼んだ。追加注文は許されないので料理はこれだけ。
ビール大瓶500円も嬉しい価格だ。オーダーしてすぐに薬味を味見した。

白味噌をベースにした味噌ダレが神戸餃子の特徴である。酒の肴の代わりに味噌を舐めた。思ったほど甘くなく、ピリ辛でなかなかいける。ビール1本がなくなりかけたところで餃子が焼きあがった。ビールを追加した。飲み物の追加注文はOKのようだ。

パリッとした焼き上がりの薄皮餃子で、具は少なめなので2人前は難なく食べられそうだ。味噌、醤油、酢、ラー油を全部混ぜて餃子をつけた。思ったほど味噌は個性を発揮せず、餃子の引き立て役に徹していた。

本店は元町にあり、震災で場所は移ったものの創業から数十年を経ている老舗である。三ノ宮店は餃子を包んで焼くだけなので本店の味と同じものが食べられる。お土産で持って帰りたかったが東京まではちょっと辛い。味噌ダレだけでも売ってくれないかと頼んだが、あっさり断られた。台湾人と思われる店員には我侭な客に対する便宜の権限がないようだ。

一軒目の入れなかった店はひょうたんで、赤萬と同様に人気店ということだった。次回はひょうたんに行ってみよう。他の店をはしごしてもいい。次の出張の楽しみが増えた。


赤萬
兵庫県神戸市中央区北長狭通2-2-1
078-331-0831

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2007年03月28日

[弦](新大阪)

大阪名物を新大阪で


仕事で大阪に行ったがあまり長居できないという客に配慮して、新大阪駅で飲むことにした。駅ビルの地下街に行ってうどんすきの美々卯に入ろうとしたら、客が嫌な顔をする。早く帰りたいと言うが、嫌がられたら決まらない。地下2階に更に下りると多少選択肢が広がった。

ぶらぶら歩いていると着物のお姉さんが客引きをしている。わがままな客は着物姿にフラフラとついて行った。これで店は決まった。席について弦のおすすめメニューから2品選んだ。いずれも大阪らしい食べ物だ。

どて焼き

牛すじ(150円)と地鶏皮(210円)。名古屋名物と思っていたが、名古屋はどて煮。縁が浅い鉄板に味噌ダレ(白味噌)を入れて、竹串に刺した牛すじを焼き・煮するのが大阪のどて焼き。名古屋は赤味噌のもつ煮込みでこんにゃくなど他の具も入っている。
弦のどて焼きは赤味噌に見えるが合わせ味噌をだし汁で溶いたもののようだ。

新世界風串かつ(盛合せ5本)

通天閣のある一帯が新世界。新世界が開業したのは1912年で、同年通天閣も完成した。村田英雄の「王将」で歌われる坂田三吉が関根八段と対戦したのが1913年で、通天閣も「王将」の歌詞になっている。通天閣は焼失して1956年に再建された。新世界は道頓堀とはまた違った大阪を代表する街だろう。

赤井英和が応援する串かつ屋「だるま」によると、昭和4年に新世界で串かつは誕生したそうだ。実際はもっと前に屋台で出されていた食べ物と言う人もいる。新世界風串かつとは、野菜など何でも揚げてしまうことにあるらしい。東京で串かつと言えば豚ねぎ間を揚げた物で、大阪の串かつとは違うものと大阪人は主張する。大阪の串かつに相当する名前は、東京では串揚げとなる。

大阪人にとってはどて焼きも串かつも滅茶苦茶(無茶苦茶?)思い入れのある食べ物らしい。

大阪名物の2品だけ銀髪が選んで、後は客に任せた。

「三丁目の夕日」など昭和30年代の東京を舞台とする映画やドラマがもてはやされているが、大正時代・昭和初期にワープするかのように旧世界を大阪の「新世界」で見るのも面白いかもしれない。



大阪市淀川区西中島5-16-1 JR新大阪駅構内1F 味の小路
03-6304-9730

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2007年03月12日

[まそほ](京都)

京都最後の夜は京都駅前で


1泊2日の京都出張で、4時前に仕事を終えた。せっかくの京都をこのまま去るのは惜しいので夕食を済ませて帰ることにした。四条界隈を散策したが、京都不案内のよそ者2人ではどうにも決まらない。鯖寿司を看板料理と謳う店に一度は入ろうとしたが、決心がつかなかった。結局、観光客らしく京都駅前に行くことにした。

タクシーの運転手はホテルやデパートにある店を盛んに奨めるのだが気が乗らない。駅前の旅館の裏手の道を歩くと、意外に良さそうな店が点在していた。もっとも雰囲気がある「まそほ」に入ることにした。京のおばんざいと干物の店というのが気に入った。

店内は薄暗く、各テーブルには炭焼き用の陶器が置いてある。残念ながらメニューにおばんざいは6種類しかない。

鶏じゃが、牛すじ大根煮

干物と野菜

干物はえぼだい、いさき、さんまの3種類を選んだ。いずれも熊野で獲れた魚なのが気に入った。いさぎはたぶんいさきのことだろう。部下は今日のおすすめの欄に載っている金目鯛を食べたいと言うが、場の読めない奴だ。長崎は遠すぎるので即座に却下した。

部下が京都らしい生麩を選んだのは評価できる。野菜はお任せにした銀髪のミス。カボチャとサツマイモが半分以上を占めている。食べることが出来ないわけではないが、基本的に甘いものが嫌いな銀髪にとっては気に入らない。好き嫌いを聞いてくれなかった店側に八つ当たりをした。

部下がさめを食べたことがないというので追加した。山芋(長いも)焼きも部下のヒットだった。

この店のもう一つの看板料理は銀シャリ。一人前ずつ釜で炊いてくれるが、酒飲みの二人はオーダーしなかった。炭はこれから最盛期を迎えるように元気だが、もう干物は飽きてしまって追加する気になれない。

「刺身を軽く炙らせれば高い料金も取れるし、客も喜ぶだろうに」とぶつぶつ言いながら酒を飲み干し、帰り支度を始めた。場所も、雰囲気もいいので、もう一工夫すれば結構流行る可能性がある店だと思った。なんか、レストラン評論家みたいになってしまった。ちょっと反省。


まそほ
京都府京都市下京区東塩小路693
075-353-4187
http://www.f-a-p.jp/


東京の青山にも出店している。

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2007年03月11日

[壹銭洋食](京都)

京都らしい店と言ったら京都通粋人に怒られるかも

以前、夜に散々飲んだ後に連れて来られたことがある。その時は酔客で店は混みあっていた。今日も外から見たら先客が数組いるように見えるが、生命の存在が感じられない。前回驚いたので客に見えたのが実はマネキンであるのは分かっていた。昼の11時半前ということもあり我々が一番乗りだった。

立派なメニューがテーブルに鎮座しているが、載っているのは一品のみ。他は飲み物が数種類あるだけだ。

我々しか客は居ないので、料理が出てくるまで写真を撮ったり壁の説明書きを読んだりと店内をうろついた。広くないのですぐ飽きて席に戻ったが、待つ間もなく料理が運ばれてきた。
部下は昨晩の酒が抜けないのか珍しく冷しラムネを飲む。お好み焼きなのにソフトドリンクでもあるまいと銀髪はビールを頼んだ。

大きくてボリュームがありそうだが、大阪風お好み焼きのように重くない。一見したところ広島風だがそれとも違う。
タップリのネギがメインで半熟卵と刻んだこんにゃくや紅生姜が入っている。飲みすぎでもたれた胃にも意外にやさしいお好み焼きだった。

食べ終わって、店を出たところで4人組の若者グループが入ろうかどうか躊躇している。余計なお世話と言われそうだが、推薦してあげようとしたところで思い止まった。彼らが手にしていたガイドブックは韓国語で書かれていた。

銀髪の修学旅行は中学も高校も京都・奈良だった。中学のときは夜行列車「日の出号」での長旅だった。今では飛行機で海外に行く子供たちが多い。京都や奈良は中国人や韓国人の旅行客なくしては成り立たなくなりつつある。

外国人がどのように古都を理解して楽しんでくれるか知らないが、壹銭洋食と冷しあめ、合わせて1,000円でお釣りがくる京都も楽しいと教えてあげたかった。身振り手振りでも分かってくれたかもしれないと後で反省した。


壹銭洋食
京都府京都市東山区四条通縄手角
075-533-0001

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2007年03月10日

[元禄](京都)

80年以上続いている一見さんお断りのショットバー


京都の通人に伴われて京料理の「たんたか」を出て、ラウンジに向かった。高瀬川沿いの道を歩くと観光客が群がっている感じ。桜の咲く頃はさらに賑わうという。観光客向けの店が誘う華々しい灯りを横目に、格子窓の町家の目立たない灯りに浮かぶ扉を開ける。店の名は「佐藤」。

中に入ると外の古い京景色からは想像がつかないような今風のラウンジがあった。働いているのは京都の女性だけかと思ったら、他県出身のアルバイト嬢もいる。1時間半ほど飲んでお開きにした。今日はこのぐらいでホテルに帰ろうと思っていたが、通人はまだ満足していない。

次に向かった先はショットバーで、昔、時の大臣でも一見さんお断りの憂き目にあったという由緒正しきお店「元禄」である。通人がドアを開けると飛びっきりの笑顔が迎えてくれた。数十年前なら心が躍ったかもしれない笑顔の主と通人は丁々発止の掛け合いをする。

頼んだお酒は通人がいつもオーダーするロイヤル・ハウスホールド。銀髪は飲んだことがなかったが、生意気に部下が最上級の賛辞で再会を喜んでいる。それを見た通人が満足気に部下と何度も握手をした。

ロイヤルハウスホールドは英国王室向けに作られたスコッチウイスキーで、市販されているのは日本だけという高級ウイスキーである。

いつものようにコースターにメモしようとして思い止まった。古ぼけたコースターはどう見ても終戦直後から使っているもののようだ。壁に目を移すと年代物のお盆やポスターなどがかけられている。
カウンターの向こうの壁の上には、年代物の酒がサランラップに巻かれて飾られている。「ほとんどが私のおじいさんが集めたもの」と自慢するのは先ほどの笑顔のお婆さんだ。いや失礼。妙齢の女性だ。
戦後はGHQに取り上げられ、外人専用のバーとして京都の街に君臨したそうだ。2階はレストランだったらしいが、今は使われていない。

ロイヤルハウスホールドを一杯だけ飲んで席を立ったが、他の常連客と軽口を叩いているさすがの通人であった。

いい加減これでお開きだろうと思ったが、ほの暗い雰囲気のある京の街を抜けて、タクシー乗り場に着いても通人は歩を止めない。入ったのはお茶屋さんも兼ねた京特有のスナック「叶家」。
コニャックのストレートを飲みながらしばらく待つと、舞妓さんがわざわざ挨拶に来てくれた。完璧な夜の京都ツアーの締めくくりに、「参りました」と思わせてご満悦の通人だった。

ホテルに着いたときは、とっくに日が替わっていた。


元禄
京都府京都市祇園町北側242
075-561-2288

佐藤
京都府京都市東山区新橋通縄手東入元吉町49-2
075-531-0051

お茶屋 叶家
京都府京都市東山区祇園町北側東富永町
075-541-6565

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2007年03月09日

[たんたか](京都)

通人に連れられて


タクシーを降り、店名を見てすぐに「たん熊」系統の店だと分かった。たん熊は昭和3年初代来栖熊三郎によって創業された京料理の老舗。全国の有名ホテルなどに多数出店しているが、たん○はたん熊系統で独立した料理人に許された屋号である。「たんたか」は閉店した名店「たんしん」の子、たん熊の孫にあたる店だ。

カウンターに座るなり大好きな赤坂の「たん良」の話を主人に投げた。「たんたか」と「たん良」は兄弟にあたることが分かった。案内役をかってでてくれた通人は呆気にとられて我々のやり取りを聞いていたが、気を取り直して常連らしく料理の指示を始めた。

お通し、子持ち昆布

お造り、もろこ