2010年08月28日
[丸浜](浜松)
養殖屋の鰻屋さん

浜松で鰻を食べるとなると八百徳と誰もが言う。駅前の八百徳には以前行ったことがあるので違う店を試したい。候補は一兆と丸浜。浜名湖養魚漁業協同組合直営店ということがポイントになって、今回は丸浜に行くことにした。
ビックカメラ館の1階にあるだけに、とてもきれいな店。蒲焼の煙に燻された木造家屋なら期待が膨らむが、きれいな鰻屋はイメージに合わない。口コミの評価は八百徳にはかなり劣後する。養殖と料理の腕とは別物だ。自分で選んだ店なのに、否定的な考えばかりが脳内を駆け巡った。

一口食べてみる。「フムフム、なるほど」心の中で呟きながら食べ続ける。「美味しいですね」目を上げると向かいに座った部下が嬉しそうな顔をしている。ご馳走になっているのでお世辞を言っているのかと思ったら、「今まで食べた鰻で一番美味しいです」と続けるから驚いた。八百徳にも一緒に行った部下の言は傾聴に値する。
関東風と関西風の境目は豊橋だから、浜松は関東風の蒸しが入った蒲焼きのはずである。ところが関西風のように表面がカリッと焼き上がって香ばしい。先入観のまったくない部下の方が正しい評価ができるのかもしれない。
鰻産地の偽装が跡を絶たない。漁業協同組合直営店となれば心配は要らない。目と鼻の先で養殖しているのだから鮮度も申し分ないはずだ。口コミサイトは本当に役に立つけれど、自分の目や舌で判断することの大切さを部下に教えられた。
ホームページによると「浜名湖うなぎの養殖の歴史は古く、明治33年に服部倉次郎氏と中村源左衛門正輔氏等が浜名湖岸に大規模な養魚場を設けたのが最初です」とのこと。創業一族は鰻を捨て、すっぽんの養殖に転じた。浜名湖は養鰻地トップの座から降りて久しい。
しらす不漁で鰻の養殖業は危機に瀕していると言われる。頑張って欲しいものである。
浜名湖うなぎ 丸浜
静岡県浜松市砂山町322-4 ビックカメラ館内
053-454-2032
http://www.i-liberty21.com/maruhama/
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2010年08月01日
[魚河岸 丸天](静岡)
巨大海鮮かき揚げ丼

静岡駅近くで昼飯となるとみなみ、のっけ家など海鮮丼が定番になっている。今回は沼津に本店がある丸天に行くことにした。炎天下を避けて地下を歩けるのがいい。
「こんなとこに飲食店があったんですね」部下が飲食店が並ぶ名店街に驚く。静岡を担当して数十回は来ているはずだが、いつも新規開拓をするのは銀髪である。「あれですか?」数人が並んでいる店を部下が指差す。「うん、あれだ」店名を見て頷いた。思ったほど待たずに入れた。相席は仕方がない。メニューは見なくても頼むものは決まっている。

店員がうに鉄火丼を銀髪の前に置こうとしたので手で制した。まさか白髪オヤジが巨大な海鮮かき揚げ丼を食べるとは思わなかったようだ。1,313円のうに鉄火丼に対して945円は割安に思える。それにしても目の前の実物を見ると驚くやらあきれるやら。思わす笑ってしまった。

揚げるのに長時間かかると思っていたが、鉄火丼と同時に持って来た。どうやら平たく揚げた後に丸く形を整えるようで、思ったより調理に時間はかからない。多くの人がこの名物海鮮丼を頼んでいるにもかかわらず、客の回転が早いのも頷ける。

天ぷらを真ん中から割ってごはんの上に広げた。ますます巨大なかき揚げだと分かる。見た目の割には味は悪くない。天つゆをかけながらかき揚げを片付けていく。「僕だったら余裕で食べられましたね」と部下がうそぶく。銀髪も食べきることが出来ないではないが、夕食のことを考えたら無理をしない方が良さそうだ。海老と玉ねぎを食べ尽くし、衣とご飯は残した。
丸天は夜には居酒屋に変わる。刺身、寿司以外にも単品の酒の肴がたくさんある。840円の巨大海鮮かき揚げをみんなでつまむのも悪くないだろう。
丸天は沼津、静岡などに5店舗ある。夏休みの話のタネに丸天で海鮮かき揚げを頼んではいかが?食べきれなかったら持ち帰りもできる。丸ごとお土産にしたら喜ばれる、かな?
魚河岸 丸天
静岡県静岡市葵区紺屋町8-9 静岡紺屋町名店街(地下)
054-273-4000
http://www.uogashi-maruten.co.jp/
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2010年07月31日
[味仙](名古屋今池)
遂に食べた味仙の台湾ラーメン

名古屋コーチン、味噌カツ、味噌煮込みうどん、きしめん、手羽先、天むす、ひつまぶし、あんかけスパゲティなどなど、名古屋名物はあらかた食べたつもりだが、これまで数十回名古屋に来ているのに台湾ラーメンだけは食べたことがなかった。
接待向きではない、味仙のある今池は錦で飲んだ後に行くには遠過ぎる、昼はやっていない、そんな理由で行き損なっていた。「朝飯なしでいいぞ!」ホテルを予約する部下に言った。会食、2次会の後に味仙に行くことを決めて名古屋に乗り込んでいった。
全280席、個室8室、思ったよりきれいで大きな店だ。我々は2階に案内された。10時前の店内は半分ぐらいの入り。朝2時閉店というから今が一番客が少ないのかもしれない。台湾ラーメンだけでは申し訳ない気がしてメニューを開いた。100種類以上あるという中から台湾料理定番のしじみ炒めを選んだ。ビールのつまみに最適だ。

大きな丼、唐辛子で真っ赤なスープと想像していたのはハズレ。思っていたよりスープに旨味があるのに驚いた。味仙の店主が考案した名古屋で生まれた台湾ラーメンだというが、なるほど台湾の坦仔麺(たんつーめん)や坦々麺とはちょっと違う。今は台湾ラーメンより激辛のラーメンはいくらでもある。

麺はラーメン専門店のものとはだいぶん違う。こしはあまりなく、スープを吸って膨らみやすい感じだ。もしかしたら、名古屋市内にはもっと進化した美味しい台湾ラーメンがあるかもしれない。それでも元祖は偉大だ。

底に沈んだ挽肉をれんげですくって食べていく。大して辛くないと思っていたが、挽肉に混ざって唐辛子が口に入りヒリヒリしてきた。唐辛子とにんにくはしじみにもたっぷり入っていた。ビール大瓶2本は多すぎたかも。胃は今は耐えていても、明日はどうなるか分からない。
大袈裟と言われるかもしれないが、遂に食べることが叶った味仙の台湾ラーメン。こんどは違う店と比べてみよう。
味仙
愛知県名古屋市千種区今池1-12-10
052-733-7670
http://www.misen.ne.jp/
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2010年07月30日
[雲海](名古屋金山)
安心な一流ホテルのレストラン

迷ったらホテルのレストランということだろうか。迷ったのは銀髪ではない。グルメ紀行を書いているせいで、みんなに気を使わせてしまう。焼き鳥屋でも充分満足なのに、よほどうるさい奴と思われているようだ。

青雲(6,000円)を予約してくれていた。自分で予約したら1万円程度のコースを頼んだに違いない。相手にアレンジしてもらうとお財布にも気を使ってくれる。

野菜ゼリー寄せ、とうもろこしのすり流し。ゴールデンキャビアはとびっ子のことだろう。カタカナや難しい漢字で表記することで有難味が増す。いったい何人の人がメニューをすべて理解できるだろうか。漢字を読むことさえままならないだろう。

お造り、煮物は一品が小さくて可愛い。居酒屋だったら「みみっちいなー」と言われそうなものも、「上品」と評価されるから面白い。

鮎は4人のうち3人が頭からかぶりついたが、飲み込むことはかなわず吐き出した。焼き方が悪いのか、成長して骨が硬くなったのかは分からない。
「これってさらしくじらですよね」と部下が店員に質問する。メニューには「尾羽雪」と記されている。これはオバケと読むと聞いて納得。ラレシはラディッシュのことらしい。いやはや難し過ぎる。

残すはごはんとデザートのみというところで一人が「ひつまぶしが食べたい!」とのたまう。店員が「時間がかかります」というので、出てくるまで凍結酒の氷で遊んだ。

眉毛の角度を変えて遊んでいるうちにひつまぶしがやってきた。名古屋は蒸さないはずだが、とても柔らかい鰻だった。

最後はコースに戻ってとろろ飯とデザート。会食にはちょうどいい質と量だった。因みに同じ雲海でも東京赤坂ANAホテルの雲海の会席料理は12,075円から。名古屋はとってもお得である。
日本料理 雲海
愛知県名古屋市中区金山町1-1-1
全日空ホテルズ ホテルグランコート名古屋
052-683-4111
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2010年06月13日
台湾ラーメン
台湾にない台湾ラーメン

アメリカンコーヒー、香港麺など、他国人が勝手につけた名前のことを何度も書いてきた。しかし、日本が発祥で、台湾にはないのに台湾ラーメンというものが名古屋にある。名古屋に何度も行って未だに食べていないのが悔しい。
台湾ラーメンの元祖は味仙だと言われる。場所が今池と飲み屋街の錦から離れていること、営業時間が夜5時半からであることが、これまで行く機会がなかった理由だ。地元の人を接待するには味仙ではちょっと気が引ける。
味仙のホームページによると、40年ほど前に味仙の主人が台湾の坦仔麺を激辛にアレンジして出したのが始めという。主人が台湾人なので台湾ラーメンと命名した。この名古屋発のラーメンは人気を呼び、名古屋市内の多くのラーメン屋でも食べることができるようになった。それでも今まで味仙以外で食べる気はしなかった。

コンビニでミネラルウォーターでも買おうと入って見つけたカップラーメン。思わず買ってしまった。東京では買えない地域限定商品。台湾ラーメンの初体験はカップラーメンになってしまった。

「麺の上にいためたひき肉とニラがどっさり載り、スープは鶏ガラ。そして、たっぷりの唐辛子。店によって差はあるものの、これが台湾ラーメンの標準的なスタイルだ。」という味仙のものとは別物。カップラーメンだから仕方がないが、それなりに体裁は整っている。
まったく期待していなかったためか、意外に悪くなく感心した。坦々麺のようでもあり、韓国辛ラーメンのようでもあるが、ちょっと違う。万人向けのコンビニ商品に激辛は期待できない。それでも、味仙の露払いぐらいにはなった。次回名古屋に行ったら、必ず味仙に行こうと心に決めた。
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2010年06月12日
[魯山](名古屋)
寿司はカウンターで

11時半、余裕で入れると思った鰻屋がおばさまたちで長蛇の列。お客様と一緒では並ぶわけにもいかないので寿司屋に飛び込んだ。カウンター席に向かうと「○○○ですがよろしいですか?」と店員が言う。何を言ったかはっきり聞き取れなかったが鷹揚に頷いた。
一番安いコースを頼み、足りなければ追加することにした。「チェーン店なの?」と板さんに聞くと築地寿司清の上級店とのこと。「森下さん、新宿伊勢丹会館の寿司清の副店長知ってる?」名札を見ながら声をかけると、「小月さんですか?」と答える。「あー、それそれ」それと言われた小月さんはくしゃみをしたことだろう。

共通の知り合いがいると打ち解けるのも早い。「あいつ、面白いよねー」今度はあいつと呼ばれた小月さん、どんなくしゃみをしているだろう。「彼よりずっといい男だね」と目の前の森下さんをおだてる。困った客だと思っているに違いない。

「まぐろはどこ?」と聞けば「ケープタウンです」と来た。寿司清グループがリーズナブルなはずだ。「魚の7割は地元の市場で仕入れます」と言うが、東京から派遣されて伴侶も地元で仕入れたらしい。
「生ビールおかわり」に続けて「泡、少な目ね!」と言った。森下さんも「泡すくなめー」と繰り返す。陶器は洒落ているが、中の状態は飲むまで分からない。「1杯目は泡が多かったですか?」と女性店員が恐縮する。

追加したのは穴子、シャコ、のどぐろ。江戸前寿司で代表格の穴子は店によってかなり違う。どちらかと言えば煮込んで崩れそうな穴子が好きだが、魯山のものは歯応えすらある。

コースに戻って茶碗蒸し、赤出汁、デザートでお開きに。森下さんも、女性店員も笑顔で送ってくれた。カウンターは我々しかいなかったのに、外には列ができていた。カウンターに向かった時に店員が言った言葉の意味を、今頃になって理解したおバカな銀髪である。カウンターとテーブルでは値段が違うのだ。以前に書いた外国人のエピソード(→寿司はテーブルで)を思い出して一人ニヤついた。
鮨 魯山 名鉄店
名古屋市中村区名駅1-2-1 本館9F
052-589-0552
http://www.tsukijisushisay.co.jp/
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2010年06月01日
[Serge 源’s ](名古屋)
今年初めての鮎

「ディナーの店はゲンジです」と言われ、てっきりヒルトンホテルの源氏だと思った。ところが歩く方向が違う。「なんだ!ゲンズじゃないか」ビルの前に立って呟いた。源’sには初めて来た。色んな業態の入ったビルは全て源’sの経営である。
予約してあったのは5階の鮨・日本料理の店。カウンターを左に見ながら歩き、個室に案内された。掘り炬燵式の和室のようで椅子は洋風の長椅子。店の主張はユニークだ。料理はもちろん和食のコース。前菜、あわびの椀物、お造りと続く。「トロはどこからの輸入?」と聞いたら、「国産ですよ」と顔をしかめる。

念のため聞きにいってくれたが、「地中海産でした」と低姿勢。今の時期、これだけの脂の乗った鮪は国内では滅多に獲れないはずだ。「鮎は養殖?」というのは失礼な質問だった。「長良川の天然鮎です」と即答されて気がついた。長良川の鮎漁解禁は5月11日。寒い春のせいで、解禁日のことをすっかり忘れていた。新橋の鮎正も予約が一杯になってしまっただろう。


コースの食事は天ぷら、寿司と終盤に差し掛かったが、ここで遊ぶことにした。源’sのビルには焼肉屋、イタリアン、居酒屋などが入っており、各階から出前をしてもらうことが可能。他の人たちは和食で統一しようとしたがそれでは面白くない。焼肉は認めたが、ピザも食べると言い張った。画的には一番面白い。飲むのは源’sがプロデュースする赤ワイン。

再びコースに戻りあさりの味噌汁が出てきた。三河湾のあさりは大粒で美味しい。八丁味噌(赤味噌)なのが名古屋らしい。メロンは渥美半島産だろうか。

和洋なんでも食べられるのは楽しいけれど、割烹でイタリアンばかり食べたら料理人は不愉快だろう。連れが一皿380円のイタリアンを頼もうとしたらさすがに断られた。銀髪はピザで遊んだが、ほどほどにした方が良さそうだ。店は許してくれても、客の方も品格を疑われる。
「なんでも屋の太郎は何もできない」中学生の時、先生が和訳してくれた。英文は忘れ、訳文だけが頭に残っている。
セルジュ源’s 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-11-26 ジリオンビル錦
052-209-2333
http://sgg-nishiki.jp/
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2010年05月21日
[つかさ](長野)
御柱祭フェア

信州諏訪最大の祭りが御柱祭である。寅と申の年に行われるので実際は6年に一度だが、数え年の7年ごとということで一般には7年に一度と言うそうだ。諏訪出身の部下に何度も聞かされた話だ。その部下が長野での食事をアレンジした。ホテル国際21にある「つかさ」で信州諏訪御柱祭記念会席を食べた。

ホテル国際21には何度も泊まったが、つかさに来たのは初めて。なかなか立派な店だ。他に客は殆どいないため、大きめの部屋を使わせてもらった。ゆったりとしてなかなか気持ちがいい。

料理は手際よく運ばれてくる。スタート時間が早かったこともあり、仲居さんたちは我々の専属みたいなものだ。それでもビール、冷酒、熱燗、焼酎とそれぞれが好きなものを飲むために息をつく暇もない。銀髪はもちろん長野の酒を飲んだ。

せっかくの料理も酒盛りに忙しくて味わう風情ではない。宴席の料理ほど悲しいものはない。酒を注ぎながら席を移動し始めると収拾がつかなくなる。

どこが御柱祭記念会席なのだろか?誰も疑問を持たないまま食事は進んでいく。食べ終わった後に和牛ステーキが御柱を模していたと教えてもらった。和牛ステーキは柔らかすぎて柱に見せるのに随分と苦労したらしい。

〆はもちろん信州名物そばとなる。「おっ、やぶのそばですね」地元の人はさすがにお目が高い。長野にあるやぶ本店は創業明治12年の老舗。新興の蕎麦屋が次々と出来て評判を呼んでいるが年配者にとってやぶのそばは別格のようだ。つかさではやぶからそばを取寄せているそうだ。腹一杯なのに2枚も食べてしまった。
御柱祭では毎回のように死亡事故が起きている。今年も2人が亡くなった。それでも行事は予定通り行われるから諏訪の人たちの思い入れは凄い。父子2代の転勤族である銀髪には命を賭けるような祭りはない。羨ましいながらも、どこかホッとするような不思議な心境ではある。
会席料理 つかさ
長野県長野市県町576 ホテル国際21 4階
026-234-1111
http://www.kokusai21.jp
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2010年04月30日
[鳥しげ](名古屋)
名古屋コーチン三昧

名古屋出張の際に定宿にしているのが東京第一ホテルである。名古屋観光ホテル、国際観光ホテルなどを試してみたが、錦に一番近いのが気に入った。地下のざぶんも使い勝手がいい。1階にある鳥しげもずっと気になっていた店だ。ようやく行く機会が訪れた。
カウンターと個室中心の店。4人部屋はちょっと狭苦しいが、気のおけない相手となら親しみが増す。名古屋コーチンが中心ながら、居酒屋料金+α程度なのがうれしい。まずはお造り6種盛合せからスタートした。

4人で分け合うには心臓が2つしかない。ホストらしく客に譲ろうかと思ったが、箸が動いてしまった。相手が嫌いなのか遠慮しているか分からないときは、気侭にふるまった方が楽だ。ペースが合わない人を気遣ってもお互い疲れるだけだ。

3種類の中から八丁味噌ひきずり鍋を選んだ。真珠しゃぶしゃぶ鍋と水炊きよりも名古屋らしい。味噌煮込みうどんや味噌カツのよりは八丁味噌は控えめで、名古屋料理初心者でもとっつき易い。

せせり、ねぎま、もも、ささみ(梅、わさび)、三蔵一串(肝、砂肝、はつ)を頼んでみんなで分けた。名古屋コーチンはしっかりした歯応えがいい。

食事の選択肢は多い。握り寿司、ちらし寿司、太巻き、親子丼、焼き鳥丼、きしめん、玉子かけご飯、コーチン饅頭。悩んでいたら部下が親子丼小盛(700円)を各人で食べようと言う。客は普通盛り(1,200円)を2つ頼んで分けようと言う。お互い譲らないので小盛一つを部下に、普通盛一つを3人で分ける銀髪案を即決した。総理大臣よりリーダーシップはあるかな?

鳥しげはカウンター席も魅力的だ。一人でゆっくりと名古屋コーチンを味わうのも悪くないだろう。眠くなればベッドに横たわるまで1分もかからない。もっとも、酔っ払うと脳の機能は低下する。いつの間にかホテルから離れたところに居て、自己嫌悪に陥るのである。
名古屋コーチン 鳥しげ
愛知県名古屋市中区錦3-18-21 東京第一ホテル錦 1F
052-972-1331
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2010年04月29日
[にしきすっぽん道中](名古屋)
真面目なすっぽん屋さん

「アレッ?こんな店あったか?」と部下に聞くと「昔、焼肉屋があったところですよ」と答える。「面白そうだな。入ってみるか?」まだ12時前の店内には誰もいなかった。
銀髪はすっぽんラーメン、部下はすっぽんみそラーメンを頼んだ。夜は1,050円のすっぽんラーメンが、ランチサービスは790円でまぜごはん、ミニサラダ、漬物、フルーツがつく豪華版だ。

料理が出て来るまでメニューを見た。ラーメンだけではなくすっぽんの餃子、唐揚げなどの酒の肴だけでなく、予約をすればすっぽん鍋まで食べられる本格派である。物珍しさだけで入った店だが、侮ってはいけない。

なかなかいける。老舗京料理屋のまる鍋とは比較できないが、期待していなかっただけにちょっとばかり感心した。普通のラーメン並の値段で、すっぽんのスープが飲めるとは有難い。身体がポカポカしてきた。

サービスのごはんと漬物、最後に出て来たフルーツが面白い。中国人のかわいい女性が料理を運び終えると主人が我々のテーブルにやってきた。脱サラして独学ですっぽんラーメンを完成したらしい。部下が指摘したように居抜きで開店に漕ぎつけた。厳しい経済状況だが、意欲ある人にとっては店を持つチャンスでもある。
「頑張ってね」と店を出ようとしたら水槽にいるすっぽんを見つけた。入店したときは気付かなかったが水槽は複数ある。活きたすっぽんを使っているとは思わなかった。「大分生まれ群馬育ちのすっぽんです」と言われてまた驚いた。安い中国産かなと疑ったのが恥ずかしい。
本気で頑張って欲しいと思った。「今度、鍋を食べに来ますよ」と部下は銀髪より積極的だ。お得なランチが不定期営業なのは残念だが、夜も充分楽しめるだろう。エールを送りたい。
にしきすっぽん道中
愛知県名古屋市中区錦3-18-31
052-963-0147
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2010年04月18日
[さん太](広島)
具は同じでも…

「運転手さん、この近くに美味しいお好み焼屋さんないですか?」おたふくのお好み焼館近くの店が休みだった。ふられるとますます思いがつのる。「この近くはあまり来ないんでねー」と運転手は頼りにならない。
広島は不思議な町だ。観光客相手の駅周辺の店はともかく、郊外にもお好み焼屋がゴロゴロある。家で作ればいいものを、と思うのは銀髪だけだろうか。運転手が遠い有名店の名前を並べている間に、いくつものお好み焼屋を見た。「あっ!あそこでいいよ」信号の向こうに見える店に決めた。長距離客を突然失った運転手は不満そうだ。

12時前なので客は誰もいない。カウンターに座り、鉄板に手をかざすと熱気が伝わってくる。準備は既にできているようだ。店主が水で溶いた小麦粉を薄く丸く広げ、キャベツを乗せる。もやしをパラパラ、蒸した焼きそば、いか、豚肉などを加え、ひっくり返す。皮を突き破って水を注入、蓋をして蒸し焼きにする。

みんなでのんびり蒸し上がりを待つ間に会話が出来る。「どこから来たんですか?」と聞くので「東京です」と答えると店主はのけぞって驚いた。たくさんの具材を使っているのに、ぎゅうぎゅう抑えるのでぺちゃんこになった。駅ビルにあるお好み焼屋の倍の時間がかかって出来上がった。

お好み焼の中はネチョッとしている。母が作ってくれたお好み焼を思い出した。嫌いな味ではない。お好み焼なんてどこで食べても同じだと思ったのは間違いだった。各店、微妙に味が違い、それを地元の人たちは楽しんでいるのだろう。さん太は開業して8年という。
12時を過ぎた頃から客が増えてきた。みんな店主と親しそうに話している。我々が食べ終わる頃に入って来た女性がカウンターの主人の横に立った。奥さんのようだ。主人が「東京から来たらしいよ」と告げる。「わざわざこの店で食べるために来たんですよ」と言うと、店全体が笑った。
勘定を払い「じゃあ、またね」と言うと、笑顔が見送ってくれた。
さん太
広島県広島市西区庚午南1-35-17
082-271-5177
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2010年04月02日
[みその杉本](名古屋)
肉屋さんのすき焼き

肉屋さんが経営するレストランと聞けば「安くて美味しいと思っても不思議ではない。「あっ、ここは漢字の方だ」と地元の人は店の前に来て勘違いに気が付いた。各地に肉屋やレストランを展開するのは1900年創業、片仮名のスギモトである。しかし、口コミサイト・食べログの評判はみその杉本の方が上だから面白い。
1階の肉屋を一瞥してエレベーターに乗り込んだ。「すいません、こちらで」と通されたテーブルは入り口の近く。奥はほぼ埋まっており、左奥のテーブルには6人合計で500歳に到達しそうな女性たちがいた。

銀髪が選んだのはメニューの一番上に書かれた1,550円の寿き鍋定食。サラダがついてボリューム満点。極太のきしめんまで入って食べ応えがある。

Aさんが選んだのは1,350円のかつとじ定食。立派なヒレカツが乗っている。名古屋といってもさすがに味噌カツを卵とじにするわけではない。

遠慮するBさんには2,500円の牛ロースステーキを頼んであげた。自分がステーキも一口食べたかったためである。Bさんから分けてもらったステーキは、柔らかくて美味しかった。
それにしても500歳の女性たちは凄い。次々と運ばれるコース料理を若者のように食べ尽くしていく。肉を好きな人は元気だというが、そのとおり。野菜と魚ばかりでは肌も艶を失ってしまう。彼女たちを見ていると摂生なんてばかばかしく思えてくる。キッシンジャーなんてあれだけの肥満なのに87歳の今も健康で脳の働きもいい。
「あー、死ぬまでに一度でいいからコーヒーに砂糖をたくさん入れて飲みたかった」と落とす噺があるが、我慢は逆に寿命を縮めるのかもしれない。
みその杉本
愛知県名古屋市中区栄1-7-16
052-202-1129
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2010年03月20日
[麺屋 神風](名古屋)
あっさりラーメン

「ラーメン食べませんか?」飲んだ後に部下から魅力的な提案。長い間避けてきた寝る前のラーメンを最近では出張時に限って食べるようになった。毎日欠かさない朝食を出張時は止めることにしたためである。
ホテルの朝食バイキングは控えめにしようと思っても生来の意地汚さが顔を出す。宴席で疲れた胃に食べ物を詰め込むと、昼食、夕食まで影響する。一度朝食を抜いたら昼時には順調にお腹が空いた。朝食がないと思えばラーメンを食べてもいいような気になる。
錦を歩いていたら徳島ラーメンを見つけた。寝る前に食べるにしては少し重い。向かい側にはラーメン屋神風がある。どちらも初めて見る店だが、神風の方があっさり系のようだ。メニューを見て驚いた。11時以降は深夜料金として1人100円増しと書いてある。強気だ。

「餃子はすぐ焼けるの?」店員に聞くと「三分半で出来ます」と言うので食べることにした。当然ビールも頼む。三分かかるかからないかで餃子が出て来た。薄い一口餃子を見て納得。酒の肴としてもちょうどいい。

部下が醤油ラーメンを頼んだので、銀髪は塩ラーメンにした。お互いスープの味見をして、自分のものを褒めた。メデタシ、メデタシである。背脂や濃厚スープ全盛の時代にあって、あっさりしたラーメンは新鮮な感じがする。
入店したのが11時スレスレだったので「深夜料金は含まれているの?」と聞いたら、「入っていません」とのこと。ちょっと気分が良くなった。「ラーメンはどうでしたか?」と聞くので、もちろん「美味しかったよ」と答えてあげた。アルバイトに違いないが、凄く嬉しそうだ。ますます気分良く店を出た。
胃袋の反応がちょっと心配になった。朝食を抜く意味があっただろうか?
麺屋 神風
愛知県名古屋市中区錦3-18-8 本重ビル 1F
052-951-3100
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2010年03月19日
[鯛めし楼](名古屋)
鯛グルメ

「あれ?手羽先なんかもあるのかな?」危うく入りそうになったが思い止まった。派手な居酒屋の看板の向こうに鯛めし楼がひっそりと佇んでいた。150年近くの歴史がある立派な料亭。部屋に入るとお客様が一人待っていた。テーブルには店の人が持って来た新聞。接待客を迎え慣れている店である。コースは1万8千円。卓上のメニューに目を奪われる。

遅れて二人やってきた。コース料理は避けて、一品料理を少しずつ頼んで味比べをすることにした。まずは先付けを食べながらビールを飲む。どれも上品で美味しい。

お造りは鯛、ひらめ、いか3人前を一盛りにしてもらった。どれも美味しいが特に鯛がいい。伊勢湾の天然鯛、さすがである。

鯛料理の人気トップ3はあら煮、酒蒸し、うしお汁だと言う。もっともシンプルなうしお汁を2つ頼んで4人で分けることにする。銀髪の方には目玉を入れてもらった。ゼラチン質がぷりんぷりんで最高。部下があら煮を食べたいと言うので追加した。これも素晴らしい。

竹の子は愛知産。出始めは四国や九州が主流だが、愛知でも採れるようになったようだ。既に食の世界では春爛漫だ。

まだまだ魅力的な料理はあるが、そろそろ鯛めしを食べることにした。鯛茶漬も捨て難いので2つずつ頼んで味見した。

茶漬けは鯛の切り身をごはんに乗せて食べた方が良かった。茶漬けにするには鯛が立派過ぎる。さー、いよいよ真打の鯛めしの番だ。

鯛めしは神戸の銀平で紹介した鯛を丸ごと入れて炊き上げるものが一般的だが、鯛めし楼のものは松江のみな美(日本橋コレドに東京店皆美がある)のようなものと思っていた。出てきたものはまったく違うそぼろ。実に細やかで上品だ。感心すると若女将が微笑んだ。
帰り際にカウンターを覗いた。客がリラックスして楽しんでいるのが分かる。これは魅力的だ。店を出ると5代目と若女将が見送ってくれた。料亭ではあるが、気取らない明るさが好ましく思える店であった。
鯛めし楼
愛知県名古屋市中区錦2-18-32
052-211-6355
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2010年03月06日
ほていや(福井)
福井名物を二つ一緒に

先日、佐佳枝亭で辛味大根そばを食べた時、他の客がソースカツ丼を食べるのが不思議に思えた。しかし、考えてみるとカツ丼は蕎麦屋にあって当たり前。ソースカツ丼を洋食の一つと思い込んでいたのが間違いだった。
福井ではカツ丼と言えばソースカツ丼のこと。今回はカツ丼を食べる明確な意思を持って蕎麦屋に行くことにした。ほていやは福井駅から歩いて数分、古いアーケードの商店街にある。以前、何でもあるのが気に入らず別の店に行ったが、蕎麦屋というのはそんなもの。今回は偏見もない。
ソースカツ丼を単品で頼んだ。すると、部下がおろしそばとのセットを頼むと言う。「ごはん少なめ」とは賢明だ。量が多すぎると一度は敬遠したが、ごはん少なめなら何とかなりそうだ。「すいません、こっちもセットにしてくれる。ごはん少なめで」と大声を上げた。

大きな器を見てちょっと怯んだが、上げ底と知って安心した。まずそばを食べてみる。ちょっとゴワゴワした感じのそば。「やっぱり美味しいですね」と部下が褒める。次にカツを食べてみる。これは悪くない。元祖、ヨーロッパ軒のソースカツ丼より甘くなく銀髪好みだ。パン粉も存在感がある。

もっとも、ヨーロッパ軒で食べたのは随分前のことだから、評価が正確かどうか自信はない。甘いというイメージが膨らみすぎているのかもしれない。「ヨーロッパ軒は甘いですよ」と部下も言う。いつもはあてにならない部下だけれど、下戸で甘党が言うのだから間違いないかもしれない。
勘定をして店のおばさんに「ヨーロッパ軒より甘くなくていいですね」と言うと、にっこり笑った。料理人のおじさんも含めてみんなが銀髪に好意を持ってくれたみたいだった。
ほていや
福井県福井市中央1-2-5
0776-23-4626
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2010年03月05日
[四季彩](富山)
ほたるいか解禁

店は地元の人に予約を取ってもらった。店名はどこかで聞いたことがある気がする。チェーン店かと思ったが、地図を見て思い出した。以前連れて行かれたのに休みだった店だ。気軽に飲める居酒屋としても、個室で接待にも使える店である。

料理も予約してあった。どんどん出て来るから楽でいい。喋り役の銀髪はどうしても食べるのが遅くなる。次が来て慌てて食べる繰り返し。他の人たちは聞く振りをしているだけなのかもしれない。お銚子が次々と空いていく。

「ホタルイカは解禁したばかりなんですよ」と言われて不思議だった。既に2週間ほど前に東京で食べたし、スーパーにも出回っている。3月1日に解禁したのは富山湾のホタルイカ漁。産卵のために浅瀬に上がってくるホタルイカを定置網で獲る。底引き網漁では乱獲だけでなく、ホタルイカに傷がつくおそれがあるからだそうだ。つまり富山産は品質がいいことになる。

四季彩の料理は品よりも実を重んじるようだ。どの皿も食べ応えがある。季節の素材を使った料理をぎっしり詰め込んだ感じだ。相変わらず遅れ遅れで食べていると、セイコ蟹(ズワイガニのメス)が出てきて驚いた。1月10日で禁漁になっているはずだ。もっとも新潟以北では5月末まで獲ることができる。思わぬご馳走に喜んだ。

おっとっと。天ぷらを撮り損ねた。半分食べちゃったけど、まあ、いいか。酒を飲みすぎてしまったようだ。それでも料理は残さず食べ尽くした。デザート以外は。これだけ日本酒を飲むと糖分の補給は充分すぎる。
たらふく日本酒を飲んで35,600円。4人の食事としては安くもないし高くもない。もっとも、東京で同じものを食べたら3割~5割は高くなるかもしれない。解禁したばかりの富山湾のホタルイカ、禁漁で食べられないと思っていたセイコ蟹。収穫が多い食事だった。
「イヤー、喋りすぎて申し訳ありませんでした」と謝った。「そんなことありませんよ」と言ってくれるかと思ったら、苦笑いが返ってきただけ。ちょっと反省した。
四季彩
富山県富山市総曲輪2-8-24
076-492-2299
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2010年02月04日
[木曽路]②(名古屋)
料理が変われば、人が変われば

「木曽路を予約しました」と言われて失望した。木曽路が悪いわけではない。もちろん予約した人が悪いわけでもない。初めて行く店の方がグルメ紀行を書きやすいという理由だけで失望したのだ。気を取り直して何を食べるか構想を練った。

「しゃぶしゃぶやっていいですか」と部下が言う。部下がやりたいと言ったしゃぶしゃぶは牛肉ではなく、「い津み」で書いたふぐ刺しによるものである。早速、熱々の注ぎ酒をオーダーした。い津みの2枚引きと比べるべくもないが、薄い刺身でも気分は味わえる。ついでに白子酒も飲ませた。ちっぽけな白子の塩焼きを使った。「油山山荘」でやったような立派な白子の刺身ではないが、それなりに甘酒のようになる。どちらも楽しんでもらえたようだ。

前回の「木曽路」ではしゃぶしゃぶとすき焼きを食べ比べた。「しゃぶしゃぶの木曽路」という理由は良く分かった。今回はすき焼きはやめた。鹿児島産の最高級しゃぶしゃぶはなかなか美味い。追加しようとしたら「安いのと比べてみよう」という声が上がった。安く済むので異論はない。今度は愛媛産。3段階の一番下の肉でも充分美味しかった。

食事はきしめんとラーメンの両方を食べた。どちらも可愛い店員の木部さんが作ってくれる。我々のつっこみや冗談を上手に受けてくれて楽しかった。3年の経験を持つベテランのようだがまだ学生。3月に卒業して店を辞めるというのが残念である。

デザートは見た目も美しい。ところてんは客が自ら押し出すなど趣向も楽しい。銀髪はもちろん味見だけ。前はこんなデザートがあったのだろうか。思い出せない。
銀髪が構想を練る必要はなかった。みんなのお陰で自然に物語は作られていった。木部さんが花を添えてくれたのもラッキーだった。思いのほか、楽しい木曽路だった。
木曽路 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-20-15
052-951-3755
http://www.kisoji.co.jp/
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2010年02月01日
[金沢まいもん寿司](金沢)
待ち時間にサッと寿司

電車の時間まで1時間足らず、食べて飲んでとなれば寿司屋が一番いい。5時前に開いているのは駅ビルの中ぐらいしかない。2店ある寿司屋のうちでは回転寿司より金沢まいもん寿司の方がよく思えた。カウンターで一人居る客も同じ思いだったのだろう。
「これ食べろよ!」2,400円の寿司を頼もうとする部下を制して金沢百万石握りを奨めた。400円の違いで太っ腹を見せられれば安いものだ。しろえびや甘海老、のど黒も入ってお得に見える。酒を飲まない部下は余計なお金がかからなくていい。

「がすえび、生の甘海老、のど黒を刺身で」銀髪は酒の肴を求めた。北陸ではがすえびが名物と言っていいだろう。甘海老もやはり北陸名物。冷凍物より味はいい。海老2種類の食べ比べは正解だった。がすえび2匹は部下にも食べさせてあげた。
「こんなんだったかなー」と思ったのど黒に比べると、海老は食べる価値があった。

赤にし貝、なめら(きじはた)、白海老、北陸地物の3つを握ってもらった。赤にし貝はセットに入っていなかったので部下にも食べさせてあげた。「他に何か地物はありますか?」と聞いたら板さんはしばし考えて「アジぐらいですかねー」とつれない。

純米酒加賀鳶がグラスにまだ半分以上残っていた。ネタケースを見ながら考える。素直にマグロやウニを食べたらいいのに、食指が動かない。「これなーに?」と目の前にある貝を指さした。
「赤にし貝です」と言われて「あー、そうですか」と返した。そこで会話は途絶えた。残りの酒はガリを肴にすることを決めた。「どうだ、他に何か食うか?」部下に聞くと「お腹一杯ですよ」と満足気な笑顔を見せるのでお開きにすることにした。
時計を見ると土産を買う時間がたっぷりある。食事&お買い物で1時間弱、電車の時間に悠々間に合った。
金沢まいもん寿司
石川県金沢市木ノ新保町1-1 金沢百番街おみやげ館ぐるめ小路
076-225-8988
http://www.maimon-susi.com/
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2010年01月31日
[佐佳枝亭](福井)
辛い大根の越前そば

老舗蕎麦屋の佐佳枝亭はお堀の向こう側にある。石垣の中にあるのはお城ではなく県の庁舎なのが異様だ。城を復元して観光や町のシンボルとして活用する都市が多いが、福井は近代的なビルを建ててしまった。知事になってお殿様になった気分を味わいたいものだ。

11時半、佐佳枝亭にはまだ誰も客はいなかった。合計すると200年近いと思われる3人の視線が銀髪に注がれた。調理場にも同年輩の女性が一人。女性ばかりの店かと思ったら、平均年齢を上げそうな男の料理人がいた。彼が主人だろうか。
福井のそばは越前そばというよりもおろしそばの名称の方が古いそうだ。越前おろしそばと言えば完璧になる。メニューを何度も繰って、結局シンプルなおろしそばを頼むことにした。但し、辛味だいこんのおろしを選ぶ。ついでに鯖寿司をつけた。

「なんだ、しみったれてるなー」少ししかない大根おろしを見て、700円だから仕方ないと思い直した。ところがそばをタレにつけて一口食べると滅茶苦茶辛い。既にタレの中に大根が相当量入っていた。この大根が辛いのなんのって、心底驚いた。大根おろしをそばにたっぷり絡めると口の中がヒリヒリする。辛味大根は何度も食べたことがあるがこんなに辛いものは初めてだ。
さば寿司を食べて口の中を中和させる。きゅうりを食べてホッとした。壁を見ると本日使っているそば粉の産地が書いてある。福井県産そば粉を地産地消の店だという。大正5年創業の誇りが感じられる。
大根おろしを全部そばつゆに放り込んだ。ますます辛くなった。イヤー、辛い。口の中が悲鳴をあげている。大量のわさびを食べるバツゲームのようだ。なんとかそばをたいらげて、そば湯をたっぷり加えたが、飲み干すことは出来なかった。
後から入って来た客の半数はカツ丼を食べていた。もちろん、福井のカツ丼は卵とじではなくソースカツ丼。銀髪のように口を歪めている客は他にいない。
佐佳枝亭では普通のおろしそばかカツ丼を食べるのが無難だ。「辛味だいこんは辛いですね」とおばちゃんに言ったら「そうですか?」と無表情につれない返事。もしかすると、たまたま激辛の大根に当たったのかもしれない。
帰りは公園を通り、橋を渡って城跡を抜けて行った。口の中のヒリヒリは、お腹に移ってきた。ちょっとやばい。歩幅を広げスピードを上げて駅へ向った。
佐佳枝亭 本店
福井県福井市順化1-24-1
0776-21-0533
http://www.sakaetei.jp/
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2010年01月23日
[のっけ家](静岡)
まぐろ丼

「まぐろ丼と牛タン、どちらがいい?」静岡名物ならまぐろと麦とろと言うべきだが、敢えて麦トロ飯とセットになっている牛タンを前面に出した。思ったとおり迷っている部下を見るのが面白い。悩んだ挙句、まぐろ丼と答えたのは予想の範囲内だった。彼はとろろが好きではない。

「本鮪大トロ頭肉丼が名物らしいぞ」銀髪が誘導しても部下は乗って来ない。「僕、まぐろづくし丼にします」と言われてがっかりした。2種類の写真が撮れなくなってしまった。銀髪は最初からまぐろづくし丼に決めていた。
二人仲良くまぐろづくし丼を食べることになった。赤身から手をつけたが意外なことに旨い。一番美味しそうなところから食べるか、それを最後に残すか育ちが分かる。好物を最後にする人は、子供の頃に奪われる心配がなかったのだろう。家庭内でも生存競争を強いられた人は、奪われる前に好きなものを食べる。

大物政治家の息子だった友人は大勢の秘書や書生たちと一緒に毎日食事をしたと言う。個々人に与えられたのは飯茶碗と箸のみで、取り皿はなかった。おかずは直接口に入れるしかない。キープするなんて出来なかったのだ。好きなものはいの一番に食べる。たくさん食べたければ早食いしかない。
銀髪よりも早いスピードで食べていく部下を見て友人を思い出した。客は次々に入ってくる。銀髪も部下を追いかけなければ白い目で見られそうだ。まぐろに比べてご飯の量が少ないのでバランス良く食べるのが難しい。ごはんだけ大盛りにしてもらえば良かった。
のっけ家は水産会社の系列らしい。清水、豊田、甲府、富士などに7店舗構えている。リーズナブルに美味しいまぐろが食べられると評判がいい。部下が嬉しそうに食べていたので、メデタシ、メデタシである。カツガツと早食いするのを見るのは、ご馳走する側からしたらそれなりに気持ちがいいものだ。
のっけ家 静岡店
静岡県静岡市葵区紺屋町4-27 森川ビル1F
054-205-8251
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2009年12月26日
[小嶋屋](長岡駅)
美味しいへぎそば

「運転手さん、近くで美味しい食べ物屋さんある?」銀髪の質問に「駅からはちょっと離れますが小嶋屋ですかね」と即答された。すると隣に座っている部下が「駅の中にもありますよね」と言う。運転手さんはバツが悪そうに同意した。
駅に近くなると名誉挽回のつもりか「新潟の魚を出す店もありますよ」と運転手さんは他の店をいくつか紹介してくれる。「どうしますか?」と聞く部下に「へぎそばに行こう」と答えた。東京では何度も食べたことがあるへぎそばだが、新潟では初体験なのである。

メニューの一番上にあるへぎそばを頼んだ。これに付いた小鉢は大したものではないが銀髪を誘惑するには充分だった。「エビスビール下さい」2人で1本なら午後のアポにも影響することはない。オーストラリア駐在のときは当たり前だったことが、日本では特別なことになる。

「もしかしたら今までで一番美味しいかもしれない」一口食べて部下に言った。自分の味覚に自信がない情けない銀髪である「国内産石臼挽きそば粉100%使用 国内産布海苔でつないだ爽やかなのど越しの自家製そばです」勘定場で手にしたパンフレットを見て納得した。間違いなくこれまで食べたへぎそばで一番美味しい。自分の味覚だけでは自信がなかったものが、説明書きでなんとか裏付けられた。まったくもって情けない。
パンフレットを読み進み「おやっ?」と思った。屋号の前に「越後長岡」と書いてある。へぎそばと言えば十日町である。ホームページのアドレスにもnagaokaの文字。調べてみると十日町に小嶋屋総本店があることを知った。長岡小嶋屋が創業40年余りに対して小嶋屋総本店は90年。どうやらこちらが本家本元のようだ。
新潟県内にある総本店系列の店は8店舗で、長岡小嶋屋など別系列は初代の子供たちが独立して営んでいるそうだ。いがみ合っているようには見えないが、東京の府中、立川などに店を出している長岡小嶋屋の方が商売は上手のようだ。
残念ながら小嶋屋総本店の通販サイトでは年内の商品販売を終了している。長岡小嶋屋の商品は各地の有名デパートで買える。今年の年越しそばは長岡小嶋屋のへぎそばに決めた。
小嶋屋 CoCoLo長岡店(長岡駅ビル)
http://www.nagaokakojimaya.com
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2009年12月23日
[大平庵本店](長野)
老舗のサービス

「有名な店で凄く混んでいるんですよ」と言われたら、12時前とはいえ自然と早足になる。店に飛び込んで拍子抜けした。客は誰もいないし、暖房も入れたばかりのようで寒々としている。席につくと店のおばさんが言った。「お茶はセルフサービスになっています」
銀座6丁目のラーメン屋・富松を思い出した。客はまばらでカウンター内の店員は手持ち無沙汰にもかかわらず、ビールを頼むとカウンターのこちら側にある冷蔵庫から自分で出してくれと言う。たまにこんな店に出くわすとムッとする。時と場合によっては客を煩わせるルールを侵してもいいと思うが、頭が固い。

ビールを頼んだら大瓶だった。老舗料理屋の中には中瓶や小瓶が発売されるようになっても大瓶にこだわるところがある。こんな頑固さなら歓迎である。これだけで機嫌が良くなる。コップ2つとそばを伸ばして揚げたようなつまみを持って来てくれたおばさんがとても優しくなったような気がするから不思議だ。
12時を過ぎた頃から客が入りだした。常連さんはすぐに給茶器に向う。よく躾けられている。後ろに座った老夫婦はおばさんから店のシステムの説明を受けたが、席を立つ気配がない。あれこれ観察しているうちに目の前にそばが来た。

「地元のHさんはそばに唐辛子をかけるんですよ」と部下が言う。刺身にわさびを乗せて醤油につけるのと同じ考え方。長野名物八幡屋の唐辛子を味わうにはいい手法だ。これは真似しないわけにはいかない。

激辛唐辛子でなくてもいつもより辛く感じる。しかし、そばつゆをたっぷりつけるのが好きな人にとってはあまり意味がないようだ。試しにやってみたら、唐辛子はつゆに浮遊した。唐辛子だけ先に舌に乗せて、それからそばを食べるのが一番かもしれない。やってみる気はしないけど。
帰って大平庵のことを調べてみた。大正3年(1914年)創業の老舗である。現在地への移転が昭和2年というから建物自体も重みがある。手打ちのそばも悪くない。それにしてもあの老夫婦はお茶を飲めたのだろうか。確認しそこなって妙に気になる。
大平庵本店
長野県長野市南石堂1248
026-226-6579
http://www.taiheian.com/
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2009年12月21日
[蛍屋](金沢)
古都、金沢

金沢には10回以上来たと思う。いつも仕事と会食だけで観光などしたことがない。タクシーを降りて呆然とした。京都祇園を思わせる街並みに灯りが点々と続く。暗闇が早く訪れる冬で良かった。初めて見る光景はことのほか美しい。
我々の他は誰も歩いていない。早い時間だったためか三味線や太鼓の音は聞こえなかった。蛍屋に上がると我々のために広い部屋が用意されていた。「芸妓さんはアレンジしているんだろうな」部下に意地悪を言うと、ゆがんだ笑顔を見せて首を振った。

料亭らしく、どの料理も美しい。居酒屋などでも食べられるセイコ蟹(ズワイガニの雌)も、ここでは美しく盛られて幸せそうだ。北陸の海の幸、加賀野菜、加賀の酒、ご機嫌である。

「アルバイトやろ?」地元の人が店の女性に聞くと「社員です」ときっぱり。銀髪も少し驚いたが蛍屋が浅田屋の系列と知って納得。1659年創業という浅田屋は金沢市内を中心に旅館、ホテル、料亭、レストラン、居酒屋などを経営する大企業。赤坂にも関連の店がある。

「芸妓さんを頼んだらいくらかかるの?」高額のイメージがあるので経験がない人にとっては値段を聞くのも憚られる。8人で行けばお料理10品 + 飲物 + 芸妓2名(120分)で一人19,000円というコースもあり、人数、内容については要相談。意外と気軽に三味線・太鼓で本格的なお茶屋遊びが体験できそうだ。

蟹、寒ぶり、伊勢海老、河豚などなど。お腹一杯食べて飲んで、一人13,000円程度だった。最後のデザートも立派だ。東京と比べるとどこに行っても割安に感じてしまう。

「さすが小京都と言われるだけありますね」とタクシーの運転手さんに言ったら不満そう。誇り高き金沢市民によると、もはや金沢は小京都と言わないそうだ。ズワイガニも加能蟹と名付けて独自性を出している。昔から加賀友禅、金箔など金沢の名産品も多いが何故か影が薄い。ひがし茶屋街を見て、金沢を応援したくなった。
蛍屋
石川県金沢市東山1-13-24
076-251-8585
http://www.asadaya.co.jp/hotaruya/
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2009年12月20日
[西町大喜 二口店](富山)
再びの富山ブラック

「アレッ?この辺りだったんですが…」タクシーの運転手さんが車を停めてキョロキョロしている。見つけたのは銀髪だった。目立たない小さな店はドアを閉ざしてさらに目立たなくなっている。タクシーを飛ばしてラーメン屋に到着して休みだったのは何回目だろう。
途方に暮れながらも壁に張り紙を見つけた。支店は営業しているらしい。駅前店には行ったことがあるので二口店に向った。「こちらも休みですね」店に着いて運転手がつぶやく。「ここは二口店なの?根塚店って書いてあるよ」運転手の間違いだった。無線で連絡を取りながら、ようやく西口店に辿り着いた。
本店や駅前店とは違って二口店は立派な店だ。広い店内は客で一杯。カウンターに座れたのは幸運だった。料理人の動きを見ているだけで退屈しない。ラーメンは一度に作れる数が限られている。3順目に入って部下に言った。「今度は俺たちの番みたいだぜ!」

駅前店で食べて以来、今度はライスと生卵を頼むと決めていた。醤油辛く味が濃いブラックラーメンはご飯のおかずとして生まれたという。カウンターで観察していると、半分以上の客がご飯を頼んでいる。生卵をラーメンに入れる客はあまりいない。料理人が2つの丼に生卵を入れ、2つの茶碗にごはんをよそった。我々のものに間違いない。
オーダーするときに「生卵はラーメンに入れますか?」と聞かれた意味が分からなかったが、ご飯にかけて食べる人もいると後で知った。銀髪は生卵を真っ黒なスープに混ぜ合わせた。徳島ラーメンを思い出す。
二度目になると、驚きは半減どころか拍子抜けした。生卵のお陰かそれほど醤油辛く感じない。ご飯がよく合うのは予想通りだった。「思ったほど辛くありませんね」と部下も銀髪と同様な感想を述べた。二人で丼をかかえてスープをすすってみた。今度は「やっぱりしょっぱいですね」これも銀髪と意見が一致した。
タクシーが間違えた根塚店は西町大喜本店とは別系列だった。ブラックラーメンの産みの親からのれん分けされた正統性を主張しているそうだ。どこでも本家争いがあるものだ。客にとっては美味しければどちらでも構わない。一生懸命味を競ってもらいたいものだ。
念願のブラックラーメン+ライス+生卵を食することができた。しかし、ライスに生卵をかける人のことが気になって仕方がない。スープをかけて玉子かけごはんにするのだろうか。なかなかブラックラーメンから卒業できない。
西町大喜 二口店
富山県富山市根塚町3-9-10
076-420-2644
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2009年12月19日
元祖 天むす
津名物?それとも名古屋?

津駅周辺でランチをすることになった。三重県には伊勢えびや松阪牛など高級料理をイメージする素材があるが、津となるとピンと来るものがない。仕方なく駅前のビルの中にある全国チェーン店で津とは直接結びつかない料理を食べて駅に向った。
切符を買い、改札を抜けたところで天むすの売店に気がついた。前に来たときも首を傾げたことを思い出した。「どうして名古屋名物を津で売っているのだろうか?」
腹一杯のお腹をさすって逡巡した。「食べ切れなきゃ、捨てればいいや」と自分を納得させた。
名古屋行きの特急に乗り込みビニール袋から天むすの包みを取り出した。包装紙の中には見慣れた文字「めいふつ 天むす 千寿」に加えて「元祖」の文字が輝く。竹皮を開くとアルミホイル、これを開くと一口で食べるには微妙な大きさのおむすびが5個ときゃらふ(ふきの佃煮)。名古屋の天むすは海老の天ぷらがおむすびから顔を出していたはず。

渋る部下に1個あげた。いや、食べてもらった。名古屋の天むすと同様にほんわりと温かい。中には小さな海老の天ぷら。名古屋の天むすと比較したいところだが、あやふやになっている味の記憶では公正さに欠ける。「腹一杯なのに食べられたので、美味しいんじゃないですか」と部下は言う。残すつもりが銀髪も4個すべてを食べ切った。天ぷらだけでなく、ご飯や海苔も美味しかったからだ。

初代が発明したエピソードが一緒なので、津の千寿が発祥で元祖なのは間違いないようだ。名古屋名物味噌煮込みうどんの山本屋本店と総本家のように、全国では正統性を巡っていがみ合っている店が多い。3代目が小さな店を細々とやっている津の千寿に対して、名古屋の千寿は支店を出すなど隆盛で元祖を凌駕している。しかし、ホームページを見ても、両者が喧嘩しているようには見えない。
名古屋駅で降りたら、改札近くの売店で天むすが売られていた。対抗心をむき出しにしないのがなかなか好ましい津の千寿である。
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2009年12月18日
[オーキッドルーム ランの館](名古屋)
花屋のレストラン

「ランの館を予約しました。ランは花のランです」と言うだけで、住所も電話番号も教えてくれなかった。インターネットで検索するとランの花を中心としたミニテーマパークとある。こんなところに男同士で行くような料理屋があるのか不思議に思った。念のため住所を控えてタクシーに乗ったが必要はなかった。
「入場料?」ラーメン博物館のようにレストランに入るのに入場料が必要なのだろうか。券を買わずに建物の中を見回した。左手の階段を上ると階上に洒落たレストランがあるようだ。そこに銀髪を待つ男たちが居た。

既に4,200円のコースが注文されていた。本日のアミューズに続く前菜、パスタ、メイン、デザートをメニューの中から選ぶブリフィックススタイル。他のみんなは素直に食べたい物を選ぶが、銀髪は地元の素材にこだわった。フレッシュフォアグラの自家製スモークと知多産イチジクアカシアの蜂蜜はフォアグラが小さくて微笑ましい。

名古屋コーチンと九条葱のクリームソースはいい出来だった。他の人のパスタやリゾットも食べさせてもらったがなかなか美味しかった。ランチが人気の店という評判も頷ける出来だった。ビールを飲んだ後に白ワインが1本空いた。再び白か、今度は赤か思案していると他の人は焼酎を飲むと言う。半信半疑で店員に聞くと笑みを浮かべて頷いた。

メインはカナダ産オマール海老とブールコンポーゼのグラティネ・フィーヌゼルブブールブランソース。残念ながらメイン料理の中には地元の素材を使ったものはなかった。出て来た料理はちょっとイメージが違った。オマール海老は大きなハサミが特徴だがそれがない。「ハサミはどこに行ったの?」と聞いたら、身の部分だけ仕入れているとのこと。もちろん活き海老ではない。4,200円のコースでは贅沢は言えない。

デザートはビターチョコレートのフラン・カシスのソルベとへーゼルナッツのクロッカンを選んだ。甘いものが好きではない銀髪にとってコース料理はデザートが余計だ。それでも半分食べた。

トイレに行って席に戻る際、窓の外のベランダを震えながら歩いた。庭園全体が見渡せる。オーキッドルームから入場料が必要な店内のランもしっかり見える。ちょっと得した気分になった。
クリスマスには人気のレストランだろうが料金も特別メニューとなる。クリスマスを避ければ、手頃な値段で食べられるいいレストランだ。焼酎も飲める気軽なところも悪くない。焼酎を飲みに来る人はいないだろうけれど。
オーキッドルーム
愛知県名古屋市中区大須4-4-1 ランの館2F
052-269-1919
http://www.rannoyakata.net/
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2009年08月29日
[花梨](長野・ホテル国際21)
ホテルの中華料理

2人だったらカウンターがいい。3~4人だったらテーブルがいい。5人以上になったら丸テーブルがいい。結婚式やパーティーでは丸テーブルで洋食や和食のコースを食べても違和感がないが、通常は中華料理が無難な選択である。
丸テーブルの利点は話をしやすいこと。欠点は遠くの相手にお酌などがしづらいところだ。従って食事の快適さは店のサービス次第ということになる。

ホテル国際21は長野オリンピックでも主要ホテルとして活躍した。その地階にある中国料理の花梨はさすがに快適であった。すべての料理が店員によって分けられて各人に出される。回転テーブルに大皿を次々に置いていく店があるが、食べる方は大変なストレスを感じる。料理や酒がグルグル回っては、肝腎の話に集中できない。

欲を言えば長野らしい素材を取り入れたらいいと思うものの、地元の人にとってはどうでもいいことかもしれない。長野には海がないし、山菜を中華風に料理してもピンと来ない。

強いて言えば信州牛がある。料理の選択は部下に任せたので、出てきた牛肉の産地は定かではない。店員に聞こうかと思ったが、止めにした。充分に美味しい肉の出自をあれこれ詮索する必要もないだろう。

デザートを食べて無事終了した。食が細い人の前には手付かずの皿がいくつか残ってしまった。もったいないので貰ってあげようかと思ったが、そのままにしておいた。それをやるとメタボに近づく。くわばらくわばら。
花梨
長野県長野市県町576 ホテル国際21
026-234-1201
http://www.kokusai21.jp
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2009年06月22日
[とごうvsむつぎく](浜松)
浜松餃子対決

「本当に帰っていいんですか?」と言う部下に「俺が嘘をついていると言うのか?」と返した。「後で、あの野郎!上司を残して帰りやがって!と言わないで下さいよ」と不安そうだ。餃子の食べ歩きに仲間はいらない。まして2軒はしごするつもりと知れば、嫌がるだろう。
浜松は宇都宮ほどではないにしろ神戸などとともに餃子が有名なところだ。しかし浜松担当の部下は餃子を食べたことがない。当然ながらこれから行く店も浜松駅から歩ける店の中から銀髪が自ら探した。行く順番は悩んで悩み抜いた末に決めた。とごうには5時を過ぎたばかりに入ったので当然一番乗り。店員たちは仕込みで忙しそうだ。入り口の壁から大音響を発するキテレツ大百科を見ながら餃子が焼けるのを待った。
餃子焼き器と格闘する店員を見ながら、お通し(200円?)でビールを飲んだ。瓶ビール530円、餃子8個420円は良心的だ。次の客が無言で入って来たと思ったら、調理場に入るので驚いた。年齢からして店主かもしれない。巨躯の店員が餃子の焼き場を譲った。

豆を箸で上手に口に運び自画自賛するのも飽きた頃、柔らかい皮の餃子が出てきた。底が破れて見栄えが悪いが味はいい。食べ終わる頃に次の客が入って来たのは有難かった。老若3人の店員が、「ありがとうございました」と言うのを意外な気持ちで聞きながら店を出た。
タクシーの運転手さんも太鼓判を押したのがむつぎく。5時40分頃に入ったら、7割方席は埋まっていた。カウンターに座りとごうと同じようにオーダーする。瓶ビールは630円、餃子は460円とちょっと高め。但し、フライパンで素早く焼き上げるのでお通しの必要はない。テフロン加工(?)のフライパンを使っているので油も少なめに引いているようだ。とごうとの共通点は茹でたもやしが添えられていることぐらい。この茹でもやしが浜松餃子の特徴らしい。

あれこれ吟味しながら食べていたら、見覚えのある人が銀髪の側に座った。とごうで後から入って来た人だ。目が合って、目をそらし、それぞれの世界に戻った。こちらが食べ終わり、向こうが食べ始める頃、声が飛んできた。「どっちが美味しかったですか?」と言われて思わず二ヤッとした。
声を発しなかった自分を責め、声をかけてくれた相手に感謝した。どちらの店を先にするか逡巡したが結果オーライになった。銀髪の名刺を渡し、彼の名前がMさんと教えてもらった。僅か5分足らずの会話だったが、永遠の友を作った気分になった。
先に席を立ち、別れを告げて出口の勘定場に行った。「お知り合いですか?」と店の若い女性が聞くので手短に経緯を話した。「意見が一致してね」と言うと、若い女性の笑顔を見るおまけがついて来た。銀髪に声をかけてくれたMさんに再度感謝感謝である。
翌日Mさんから電話がかかってきた。「もう一軒行ったんでしょう?」と聞くと予想通りの答え。お互いの笑い声が重なった。
餃子屋とごう
静岡県浜松市中区田町329-14
053-458-7880
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2009年06月21日
[海ぼうず](静岡)
大満足の静岡おでん丼ぶり

最初に静岡駅に降りて以来しばらくは、新幹線の改札を抜けてまっすぐ進んでアスティ西館に入っていた。マクドナルド、銀座ライオン、そじ坊、日本海庄や、万豚記など東京でも馴染みの店が多い。静岡らしい店は待月楼ぐらいしかなく、実につまらない駅だとずっと思っていた。
改札の裏手に東館があることを知ったのは静岡に10回以上来てから。いつも駅を離れて食事をしていたが、偶然東館にも食べ物屋があることを知った。我ながら情けなくなってしまう。西館の店に比べるとみすぼらしいが郷土色があってとてもいい。
東館では駿河湾の魚や地元の酒、そして静岡おでんを食べることが出来る。海ぼうずは静岡おでんと串焼きの店。海ぼうずのレトルトパック入りの静岡おでんは西館のお土産屋でも売っている。他の店で生しらす丼を食べるか迷ったが、海ぼうずで静岡おでん丼ぶりを食べることにした。

普通はメニューの方が立派だが、この店は実物の方が上。写真を見て期待が低かっただけに、すごく美味しく感じた。部下は大盛りを頼んだ。30円高いのはご飯だけ増量のはずだが、おでんも量が多いように感じる。己のひがみ根性を反省する。

「美味しいですねー」嬉しそうに部下が言う。「こんなに美味しいとは思いませんでした」と続ける。静岡担当の部下は数十回静岡に来ているのに、静岡名物を教えるのはいつも銀髪の役目だ。食べ慣れたものしか口にしない人を変わり者だと思っていたが、変わっているのは銀髪の方かもしれない。
「ご馳走様でした!」と勢いよく言われてちょっと気恥ずかしい。630円でこんなに喜んでもらえるとは有難い。
静岡駅で降りたら、是非東館に行ってほしいものだ。但し、「美味しいものを食べるための2箇条」を決して忘れないでほしい。
1. お腹を空かせること
2. 期待しないこと
これを守れば必ず満足するはずだ。
海ぼうず アスティ店
静岡県静岡市葵区黒金町4 静岡駅ビル アスティ
054-202-1500
http://www.shouetsu.co.jp
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2009年03月03日
[ヨーロッパ軒 総本店](福井)
元祖カツ丼

福井駅から歩いて10分弱、3度目の福井出張でようやくヨーロッパ軒に来ることができた。既に20回も福井に来ている部下はソースカツ丼はおろか越前おろしそばすら食べたことがない。彼の案内はあてに出来ないので、自ら調べて一人で本店に行った。
「もともとは早稲田大学の近くにあったパッとしない食堂で、関東大震災の後に福井に移転した」という話が記憶に残っていた。福井でもパッとしない店と思っていたので3階建ての立派な店を見て、大正時代の話を今に結びつけて考えていた自分を笑った。

1時半を過ぎているのに1階は満席で、2階に通された。この時間の客はすべて観光客や出張者など他県の人たちのようだ。単品のソースカツ丼を頼んでから、メニューを開いた。ステーキ、カレー、オムライスなど結構種類があるが、この時間にはカツ丼以外の出番はなさそうだ。
銀髪以外に4人が同時に注文したのでちょっと待たされるかと思ったが、5分位でカツ丼が出てきた。薄いロースカツが3枚、ごはんの上に乗っているだけの極めてシンプルなカツ丼だ。調理時間が短いのも頷ける。

脂身を切り落としたロース肉に目の細かいパン粉をまぶし、ラードでカラリと揚げる。口上どおり油臭くなくサラリとした口当たりのトンカツは悪くない。ウスターソースに各種香辛料を加えた秘伝のタレもカツによく合っている。
途中まで感心して食べていたけれど、だんだんごはんにかかったタレが甘くベタつくように感じてきた。醤油派の銀髪には秘伝のタレは甘すぎる。後発の店がキャベツの千切りを乗せるようになったのも、案外銀髪のように感じた人が多かったせいかもしれない。
ヨーロッパ軒の創業者高畠増太郎氏がソースカツ丼を創案発表したのが大正2年で、大反響を呼んで銀座や日本橋の洋食店のメニューに入った。これが大阪に伝わって道頓堀で玉子とじカツ丼が登場したという。ヨーロッパ軒のカツ丼はソースカツ丼の元祖だけでなく、すべてのカツ丼の元祖ということになる。
カツ丼を発明したことは尊敬に値するが、結局玉子とじカツ丼が元祖を凌駕することになってしまったことにはそれなりの理由がありそうだ。いずれにしても一度は味わってみたい元祖カツ丼である。
ヨーロッパ軒 総本店
福井県福井市順化1-7-4
0776-21-4681
http://homepage2.nifty.com/yo-roppaken/
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2009年02月13日
[游月]②(長野)
長野はやっぱりそば

前に来てから既に2年が過ぎていた。前回はタクシーで乗りつけて、カウンターに座った。他に客はなく、身体が暖まるまでしばらくかかった。今回は雪が残る路地裏の道を、恐るおそるゆっくりと歩いてきた。裏の階段を上がると暖かい座敷が我々を迎えてくれた。
カウンターでの一品料理と、座敷でのコース料理では店の印象が全く違う。料理は淀みなく運ばれてくるが、出番を今か今かと待っていただけに、晴れやかに登場してきたかのように見える。料理人も腕のふるいがいがあるだろう。

地元の人は游月のような料亭や割烹の類が少なくなったと嘆く。官僚の接待が殆どなくなったことが影響しているようだ。それでもどっこい生きている店は、何か秘訣があるに違いない。

海がない長野でも流通の発達で海の幸が楽しめる。東京からの出張者は魚も自分と同じ経路でやってきたと思いがちだが、長野は太平洋よりも日本海に近い。寒ブリが出てきても何の不思議はない。

米を炊く土鍋が普及したお陰で、最後に炊き込みご飯を出す割烹が増えた。それでも流されないのがさすがに長野だ。そばが出て来るとご馳走していただいた地元の名士たちも満足気だ。
一度外に出て、1階の扉を開けた。記憶よりも明るい店内でちょっと驚いた。寒い時候は記憶までも変質させてしまったようだ。それとも年齢による衰えがかなり進行しているのだろうか。いやいや注ぎつ注がれつ熱燗を飲みすぎたせいだ。団塊の世代を超えた方々は酒も強いし話も巧みだ。
女将の明るい印象は変わらない。何よりもこの気取らない笑顔がお客様を失わない秘訣なのだろう。座敷もいいが、次に来るときはやはりカウンターに座ろう。女将の話も立派なご馳走である。
味楽処 游月
長野県長野市新田町1110-5
026-232-0078
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2009年01月16日
[つる幸](金沢)
小京都の美味しい料亭

「天候チェック中」の文字が画面を右から左に流れていく。「定刻どおりに出発することになりました」のアナウンスにホッとしたところで、「天候次第では羽田空港に引き返すこともあります」と不安を煽る。無事に小松空港に着陸、バスも順調に金沢駅に到着した。地元の人に苦労話をしようとしたら一笑に付された。富山空港ならともかく、自衛隊と共用の小松空港は殆ど問題ないと言う。
何はともあれ予定通り昼食会に間に合った。場所は地元の人に探してもらったが、なかなか苦労をかけたようだ。狭い部屋ながらもちらつく雪が見えて風情がある。料理は正月らしく金粉入りのお屠蘇から始まり、盛合せはおせちを思わせる。

白玉貝をすりおろした蓮根で包んだ蓮根饅頭の椀物、すずき昆布〆、ぶり、あかいか、甘海老を配したお造り。2代目主人は道場六三郎と料理の鉄人勝負をしたと聞くと、大向こうを唸らせる料理を出すと思いきや、なかなか繊細でやさしい味の料理を作る。

ほんのり柚子が香る和風かにしゅうまい、ゆり根、穴子、銀杏などが入った蕪蒸し風の椀物もなかなかのものだ。なまこと加賀野菜、ごはんに移るちょうどいい箸休めになる。残った日本酒を飲み干す場面だが、残念ながらランチの酒はお屠蘇のみで終っている。

給仕をしてくれた若い女性のアクセントが京都弁に聞こえたが、能登の出身と聞いてちょっと意外。店と料理の雰囲気によく合う女性だから京都出身と思い込んでしまったようだ。

うなぎには品よく薄くタレがかかっている。もう少し味が欲しくてタレの入った器を持つと温かかった。鉄人勝負だけでなく、数々の料理番組に引っ張りだこというのも頷ける。

水菓子、和菓子と続いて抹茶が来た。地元の人は時計を見て1時間半も経っているのに驚いていた。美味しくて楽しければ時が過ぎるのは早い。
雪が掃き寄せられ、店に入る時にはなかったむしろを踏んで門の外に出た。振り返ると女性店員だけかと思ったら、若い料理人も一緒に頭を下げていた。料理の合間に挨拶に来た女将はともかく、ランチにもかかわらず料理長が外でお見送りしてくれるとは驚いた。俄然、夜に来たくなった。きっと美味い酒席になるだろう。
つる幸
石川県金沢市高岡町6-5
076-264-2375
http://turukou.com
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2009年01月13日
[木曽路](名古屋)
木曽路はしゃぶしゃぶの店

全国に100店以上を展開している木曽路、「とりかく」や「素材屋」など別形態の飲食店を擁し東京証券取引所に上場している。立派な店で味も保証付きと言いたいところだが…
名古屋の木曽路に行くのは2度目、前回は会席料理を食べた。東京でも何度か行ったことがあり、いつもしゃぶしゃぶを食べていた。ところが昨年、松阪の和田金、人形町の日山、渋谷の松木、丸の内ビルのモリタ屋などですき焼きの美味しさを再認識した。この日は4人居たのですき焼きとしゃぶしゃぶを2人前ずつ頼んでしまった。肉は一番上の和牛特選霜降り肉である。
ふぐ刺し、刺身盛合せ

肉料理だけではなく様々な料理がある。他の人たちが頼むに任せた。食べたい物を食べてくれればいい。銀髪は少しだけ味見させてもらった。

美しい霜降り肉が二皿やってきた。地元の人に「木曽路の肉はすべて飛騨牛だ」と説明されたが、仲居さんに聞いて勘違いと分かった。それでも立派な国産牛であることは間違いない。しかし、二皿の肉は同じように見える。すき焼き肉は厚めに切り、しゃぶしゃぶ肉は薄くて脂身が多いのが普通だが、木曽路はどちらも同じと聞いてちょっと驚いた。
木曽路のすき焼きは関東風に割り下を使う。すき焼きの名店では肉に薄くからめながら焼いてくれるが、木曽路では仲居さんが数枚を焼いてくれた後、割り下をドボドボと注ぎ入れてセルフサービスになった。

牛肉はしゃぶしゃぶ向きであることは明らかだった。すき焼き鍋では縮れて切れてみすぼらしい。歯応えもなく火を通すとあまりに貧弱な肉に見える。しゃぶしゃぶにすると、ごまだれに良く絡み、するりと喉を過ぎて行く。
地元の人が奨めてくれたように、5,000円くらいのコースにすべきだった。もちろんすき焼きではなくしゃぶしゃぶコースである。看板には「しゃぶしゃぶ・日本料理 木曽路」となっていた。なるほど、そういことか…、と後で気付くお粗末でした。
木曽路 錦店
愛知県名古屋市中区錦3-20-15
052-951-3755
http://www.kisoji.co.jp/
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2009年01月12日
[山本屋総本家](名古屋)
久し振りの味噌煮込みうどん

名古屋駅のJRセントラルタワーズに行った。12階、13階とレストランフロアを歩き回り結局山本屋総本家に入った。
最初に味噌煮込みうどんを食べたのは約30年前で、多分山本屋総本家だったと思う。麺が固くて八丁味噌が辛過ぎると思った。長い空白期間があり、久し振りに食べたのは約5年前。今度は山本屋本店の錦店で、記憶ほど麺は固く感じなかった。最初のイメージが強すぎたせいもあるが、今はアルデンテのスパゲッティだけでなく、そばもラーメンも固茹でが好まれている。味噌煮込みうどんの固さも時代に合ってきたのかもしれない。
12時を超えていたが運良く座れた。入店するときから決めていた冬季限定牡蠣入りうどんがメニューにない。支店はメニューが少ないと思ったのは間違いで、以前食べたのは山本屋本店の方だったのだろう。名古屋出張が増えるにつれて山本屋総本家や山本屋本店に何度も行ったので区別がつかなくなってしまった。
注文するときに、必ず「打ち粉にそば粉を使っておりますが、よろしいでしょうか?」と聞かれる。ダメと答えたらどうするのだろう。店を出なければならないのだろうか。もっとも総本家なら酒と酒の肴だけを食べても許してもらえる。本店の方は「当店はうどん屋ですので必ず一人一杯を頼んでください」と言われるけれど。

何度も食べているうちに、八丁味噌にも違和感がなくなってきた。最初はあれほど濃く感じたスープも、今では何とも思わない。もっと濃いスープのラーメンもある。慣れだけではないような気がする。
「山本屋総本家に行きました」と地元の人に話したら、「あそこは量が少ないからなー」と別の店に行くように奨められた。確かに、すうどんで1,000円もするものを、多くの名古屋人は敬遠するのかもしれない。
ライバル意識が強い総本家と本店だが、値段は似たようなものだ。安いと一段下に見られそうだし、高過ぎると客が離れていく。お値段だけは仲良しの両者である。
山本屋総本家
名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 JRセントラルタワーズ13階
052-581-9625
http://yamamotoya.co.jp/day/index.html
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2009年01月11日
[みなみ](静岡)
マグロは今どこにいる?

小さなビルの急な外階段を5~6人のサラリーマン風の男たちが下りてきた。看板を見るとマグロ専門店のようだ。静岡県には焼津港、清水港など日本有数のマグロ水揚げを誇る港がある。昼飯はここにすることにした。階段を上がろうとすると、さらに数人が下りてきた。

片付けが済んだテーブルを見つけて座る。メニューを見て店名はミナミマグロから来ていることに気がついた。インドマグロの名前でも知られる南半球で獲れるマグロである。
待たされること数分、ようやくやってきたおばさんに「みなみ鮪三色丼」を頼んだが売り切れ。隣で食べている「鮪煮つけ定食」に変更したら、これも売り切れ。思ったとおり人気店のようだ。仕方なく「まぐろ丼」にした。
料理が出て来るまで壁に貼られた説明を読んだ。清水港から直接仕入れているのかと思ったら築地の石司からだとのこと。先日行った目黒の「かねいし」も石司から仕入れているらしく、仲卸の名前がまぐろの品質を証明する。

石司のホームページ(http://www.tsukijinet.com/tsukiji/gyorui/isiji/index.htm)を見るとマグロの漁場が書かれている。青森県大間産ばかりがもてはやされるが、マグロは回遊魚であるため大間には秋冬しかいない。みなみで使うミナミマグロはインド、オーストラリア、南アフリカなどの冷凍物だが、石司の商品なら間違いないというところだろう。
質と値段を見ればみなみが繁昌することは理解できる。しかし、本当に美味しいものを味わいたいなら夜に行かねばならない。東京から気軽に行けるわけでないのが残念である。
まぐろ丼専門店 清水港 みなみ
静岡県静岡市駿河区森下町1-41 タイヨウビル2階
054-288-0232
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2008年12月23日
[辰っちゃんのホルモン市場](名古屋)
梅宮辰夫プロデュースのお店

ワシントンホテルプラザ2階の「銀座」を出て向かいのビルの地下に入ったのは7時少し前で、店内は8割方埋まっていた。仕切りの隙間から隣のテーブルを覗くと、大皿にカルビやロースが豪快に盛られているのが見える。我々は既に腹八分目だったので、そんなに食べることはできない、と思っていた。
お通し(チャプチェ、野菜)、レバ刺し

芸能人が経営する店は数多いが、梅宮辰夫については胡散臭い印象を持っていた。観光地でよく見かける漬物屋の人形を見ると、単に人寄せに使われているだけに思えたためだ。
食通であっても企業経営は簡単ではない。
偏見を持ちながら、レバ刺しを食べた。推薦者のT氏が不安そうに顔を覗く。「美味しい」と言うと笑顔になった。お世辞ではなく、偏見を解くことにした。
ホルモンつぼ漬け、ハラミ、ツラミ、ラーメン

T氏のイチオシはホルモンつぼ漬け。落ち着きなくホルモンをひっくり返すのを見兼ねて部下のKがトングを取り上げた。脂をあまり落とさないように焼くのがコツらしく、半生の状態で口に放り込んだ。「美味い!」のKの言葉につられてみんなが箸を出す。
ハラミ、ツラミを食べて終りにしようと思ったら、「ごはんくださーい!」とT氏が言うので驚いた。さらに「ラーメンくださーい!」と続けるので他のみんなもアングリである。
本日2軒目の食事であることを忘れてしまいそうだ。
名古屋には焼肉屋2店、寿司屋と焼き鳥屋1店、梅宮辰をの店があるらしい。いずれもタマミグローバルという会社が経営する。全国に22店ある梅宮辰夫漬物本舗はデジタルラボラトリーの関連会社ナガノファクトリーのもの。梅宮辰夫がオーナーではなく、名を貸しているだけのようだ。もっとも、食通の誉れ高い梅宮辰夫の名に惹かれて客が来るのだから、彼の責任は重大だ。
ホルモン市場は肉の種類も豊富で値段も手頃。梅宮辰夫の名声に傷をつけることはなさそうだ。
辰ちゃんのホルモン市場
愛知県名古屋市中区錦3-19-6ワンダフルプラザ MB1
050-7300-3290
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2008年12月22日
[銀座](名古屋)
名古屋の銀座

ヒルトンやマリオットなどの高級ホテルに比べるとワシントンホテルは少し貧弱に見える。そのホテル2階にある銀座。東京を憧れるような店名には妙な先入観を抱いてしまう。ところが思ったより立派な店でちょっと驚いた。
左に長くゆったりしたカウンター席が、右のテーブル席は窓際に並ぶ。奥には座敷があるようだ。我々は一番奥のテーブルに案内された。まだ6時前なので客は少ない。
ふぐ、名古屋コーチン、和牛しゃぶしゃぶ、居酒屋料理など何でもござれはいいような悪いような。ホテル併設のレストランらしく万人向けのメニューである。
お通し、いかの沖漬け

「塩辛、刺身の盛合せ、すき焼き小鍋」と地元の人がオーダーした。本日お奨めメニュー、16kgのブリが気になる。「ブリも入れてくれる?」思わず口を挟んだ。

何でもござれが不安だったが刺身を食べて安心した。「美味しいでしょ?」と聞く地元の人に素直に頷いた。ブリの刺身にも満足した。カマが待ち遠しい。店に入ったときに部下が見たと言う巨大なカマに期待が膨らんだ。

4人居るのでちょうどいい。他でも滅多に食べられない大きさのブリは極上の味だった。120人も入れる店で、巨大カマの塩焼きを食べられるのは2組のみ。早い時間に来て良かった。
ひれ酒のひれも立派だった。何でもござれも悪くない。料金もリーズナブルで良かった。しかし、長居をするつもりはない。席について間もなく、連れの一人が向かいのビルに焼肉屋を見つけた。何度も行ったことがあるらしく、絶賛する。冗談半分で電話させたら予約が取れてしまった。
名古屋の銀座が悪かったわけではない。大変満足したが、時には馬鹿をしたくなる。まだ夜は始まったばかりなのだ。同行の諸氏たちの思い出にもなるだろう。多分…
銀座
愛知県名古屋市中区錦3-12-22 名古屋錦ワシントンホテルプラザ2F
052-971-2401
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2008年12月21日
[うな春](名古屋)
頑張れ新星・うな春

「食事に行きましょう」と言われて行き先も分からないままついて行った。「老舗のうなぎやが移転したんですよ」と言われて何を食べるか悟った。50mほど向こうにうなぎ屋を見つけた途端にお腹が空いてきた。
メニューには名古屋らしくひつまぶしがある。主人に「ひつまぶしにします」と銀髪が言うと他の3人も続いた。他の料理の写真も欲しかったが、仕方がない。みんなが頼みやすいように最初に声を出してあげたのは失敗だったかも。

「ビールでも飲みますか?」と言ったら全員が手を小さく横に振る。2人が下戸だと知った。部下は昼間なので自重するようだ。銀髪1人で飲むことになった。鰻の骨がついてきた。薬味と一緒に出てきた漬物も酒の肴になる立派なものだ。

蒲焼が重なるように乗ったひつまぶしは値段相応に立派だ。名古屋のうなぎは蒸しが入らない関西風で香ばしくてなかなか美味しい。清潔な店内同様に、器や料理にも清潔感がある。

そのまま食べて、薬味を乗せて、最後にだし汁をかけて食べた。見た目以上にボリュームがある。ビールを飲んで喋っての銀髪は、食事に集中するみんなに遅れがちだ。それでもしっかり味わった。老舗料理屋に負けないひつまぶしだった。

座敷から降りたところで炊飯器のようなものに目が止まった。店に入ったときには気付かなかった。「これで米を炊くんですか?」と主人に声をかけた。待ってましたとばかり説明し出す。釜の下に炭を入れて炊くそうだ。「どこでも買えるんですか?」と聞く。そんなわけはない。お茶を運んでいた女将らしき人も足を止めて話し出す。美味しいものを作ろうとする必死さが伝わってきた。頑張ってるなー!
以前別の場所にあったうな春とは無関係とのことだった。ウナギは産地にこだわらず、その時のいちばんいいものを使うそうだ。「他のうなぎ屋よりもここのごはんの方が美味しいですよね」店を出てから部下が褒めた。主人の前で言ってあげればよかったのに。
気持ちのいい店だった。名古屋で一番の鰻屋と言われるようになるかもしれない。
うな春
愛知県名古屋市東1-7-32 エメラルド泉1F
052-962-8055
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2008年12月20日
[大喜 富山駅前店](富山)
富山名物ブラックラーメン

午後4時、「ラーメンが食べたい!」と連れが騒ぐ。「駅前の8番でいいですか?」と食に無頓着な部下が言う。今ラーメンを食べると夕食が不味くなる上に、どこでも食べられるチェーン店のラーメンをわざわざ富山で食べるなんて、絶望感を覚えた。
「美味しいラーメンがないかフロントに聞いて来いよ!」と部下を蹴飛ばした。名鉄ホテルの男性が教えてくれたのがブラックラーメン。慣れ親しんだものしか食べたがらない連れも、銀髪に気遣って珍しく異論を唱えない。少し元気が出てきた。
ホテルマンに教えられた店・大喜富山駅前店に入った。「なんだ有名店と言うわりには客がいないじゃないか」と連れは不満気だが、まだ4時半である。混んでいたら異常だ。「俺はブラックラーメン」と店のおばさんに告げると「大きさを選んでください」と素っ気無い。メニューを見ると確かにラーメンの種類は書いてない。単品勝負の店のようだ。もちろん小を頼んだ。

「しょっぱいなー」と連れが顔をしかめる。写真を撮り終えて一口食べると確かにしょっぱい。

麺もつゆに馴染んで黒い。チャーシューの量を考えると700円は良心的だ。半分だけ食べるつもりが結局食べきってしまった。しかしスープを飲み干すのは不可能だった。
創業は昭和22年、富山ブラックラーメンの元祖だそうで、本店は総曲輪に近い西町にある。

空港に向かうタクシーの運転手さんに聞いた。ブラックラーメンは大喜の創業者が肉体労働者のために編み出した。塩分を補給し、腹を満たすためにごはんのおかずにもなるラーメンにしたとのこと。
大喜のメニューを思い出した。徳島ラーメンも生卵を入れて丁度いいぐらいに濃いスープだが、ブラックラーメンも負けていない。
「もう、二度と食べなくていいな」と連れは言うが、銀髪は生卵を入れなかったことに悔いが残った。空港の売店で行きつ戻りつ、何度もブラックラーメンを買おうと迷ったが止めにした。次回富山に来たら大喜本店に行こう。銀髪は小ラーメン、ごはん、生玉子とビールを頼む。部下には特大を食べさせる。どっちみち酒を飲まないのだから居酒屋に連れて行くよりはましだろう。何だかワクワクしてきた。
大喜 富山駅前店
富山県富山市新富町1-3-8
076-444-6887
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2008年12月19日
[寿司栄](富山)
夜は行けない寿司屋

天然の生簀と言われる豊饒の富山湾。ここに来たら美味しい魚介類が食べられる店、寿司屋が一番である。クラウンプラザホテル(旧全日空ホテル)近くで昼食をとることになり、誘われたのが寿司栄だった。
12時前というのに既にカウンターは半分以上埋まっていた。我々が座って数分で14席はすぐに埋まった。おまかせ寿司コースは全国各地の素材を使った寿・司・栄、地元素材の総・曲・輪、お手頃なAランチ(1,575円)、Bランチ(2,100円)がある。銀髪はもちろん富山湾の魚介コースである輪を選んだ。
カウンターの前には水がチョロチョロ流れている。寿司をつまんだ指を洗うためだ。一度は箸を持ち上げたが、すぐに置いた。機内食のクラムチャウダーの香りがこみ上げてくるのでビールは頼む気はおきない。

客の半分以上は若者で、しかも女性が多い。正面の壷に昭和23年3月23日創業と記してある。地元の人にはもちろん、観光客にも有名な店らしい。Aランチといえども目の前で握ったものを順に食べられる。明朗会計で若い女性でも気軽に美味しい寿司を楽しめるのが人気の秘密だろう。

「なかなか美味いじゃないか。わざわざ「難波」に行く必要もないな」と部下に言うと「そうですね。美味しいですね」と頷く。前にも寿司栄に来たことがある言いながら、一度も銀髪を連れて来ないとは怪しからんと思った。難波は全日空ホテルのコンシエルジェで紹介してもらった。近くの寿司栄を奨めなかったのが不思議だ。
部下は地元食材にこだわらない寿を頼んだ。従って鮪のトロがスタート。最後にウニも出た。地元食材だけで高級ネタが少ない銀髪には3カン多く出た。部下は食い足りないと文句を言う。渋々追加オーダーを認めた。店を出ると「富山の寿司は美味いですねー」と言う。築地経由のネタをたくさん食べたにもかかわらず…
家に帰って寿司栄のホームページを見たところで全日空の女性との会話を思い出した。寿司栄は確かに候補に上げてくれていた。拒絶したのは銀髪の方である。寿司栄本店は禁酒禁煙の店だった。従って酒のつまみはなく、寿司しか出てこない。昼はともかく、夜は殆ど寿司を食べない銀髪にとっては無縁の店なのだ。
「あそこは酒が飲めないんじゃないか!」と部下に言ったら「そうでしたか?」とボケ顔を見せる。下戸の彼にとっては嬉しい店だが、酒呑みにとっては昼限定の店である。ご注意を。
寿司栄 総曲輪本店
富山県富山市総曲輪2-8-22
076-421-7035
http://www.susiei.com
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2008年12月05日
[花ざくろ](岐阜)
岐阜県が誇る飛騨牛

幸か不幸か牛肉偽装事件で飛騨牛の名前は全国に知れ渡った。名古屋などで何度も食べたことがある銀髪でも「岐阜県内で14ヶ月以上肥育された黒毛和種で、3等級以上のもの」だけが飛騨牛と呼ばれることを事件になるまで知らなかった。
口取り、前菜盛合せ

花ざくろは創業25年、有名ブランドとして定着する前から最上級5等級の飛騨牛のみを使っているとのこと。迷った末に特選おまかせ雪コースを頼んだ。自慢の牛タンをはずすわけにはいかない。
牛たたき、オカカサラダ

牛のたたきもイチオシメニュー。「これが美味いんですよ!」と今日が2度目の岐阜県担当Fが声を上げる。太った男が肉を口に頬張り、嬉しそうに笑うと本当に美味く見える。
牛タン(元と先)

「店の看板料理と言う割にはイマイチなんですよ」と店に来る前にFは批判的だった。「美味しくないって言ってましたよ」と仲居さんをからかうと困った顔をする。実際に食べてみると悪くない。Fも「すいません、勘違いでした」としおらしいので、比較するためにコース外の牛タン(先)を追加した。「アッ、これだこれ!前回食べたのはこっちですよ」とFの面目も保たれたようだ。

サーロイン(上)だけでなくヒレ肉も見事にサシが入っている。仲居さんが丁寧に焼いてくれるのを待つ。Fは「しっかり焼いてください」と言ったくせに、食べた肉を「焼き過ぎですね」としかめっ面をする。上等な肉を炭にしてはもったいない。
50歳を超えた我々には110gの肉で正解だった。脂が口に残っていたせいか、今日一番感動を与えたのは白いごはんだった。普段夜にはご飯を食べる習慣がない銀髪だが、富山県産こしひかりが滅茶苦茶美味しくて、完食してしまった。

階段の踊り場の壁に目が止まった。安福号は飛騨牛を頂上まで持ち上げた名種牛で、これまで39,000頭もの子を送り出したそうだ。以前、「島根牛の糸桜号には4万頭の子がいる」言うと、「エッ?凄いなー!」と仲間の一人が感嘆して計算を始めた。彼の勘違いを大いに笑ったものだ。
花ざくろは安福号の血統にこだわって仕入れをしているそうだ。安福号だって凄いのだ。何が?
花ざくろ
岐阜県岐阜市栗矢田町1-5
058-266-1189
http://hanazakuro.com/
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2008年11月22日
[たかた](富山)
地元の常連さんに愛される店

「軽く行きましょう」とお猪口を口に運ぶ手振りをする。他に言葉は要らない。地元のAさんの傘に入り、歩を合わせる。全日空ホテルから歩いて数分、店の前で「アチャー、休みか!」とAさんが呟く。「どこでもいいから入りましょう」と銀髪。天気予報では夜半に雪に変わるかもしれないという氷雨。最終便に乗るためには、時間の浪費も避けたい。
酒呑みAさんの嗅覚を信じ、「たかた」に入った。左にカウンター、右に掘り炬燵式の小上がり、奥には個室があるという。ちょっと考えたが、時間もないのでカウンターにした。
大将がネタケースの氷を掻き分けると、魚が出てきた。電気を通すより魚が乾燥しないでいいと笑う。「7時10分の飛行機に乗る」と言うと、すぐに女将さんがタクシー会社に電話してくれる。Aさんの嗅覚は間違いなかったようだ。
あん肝、刺身盛合わせ

「写真を撮っていいですか?」と聞くと、「こんなもの恥ずかしい」と女将さんが照れる。大将が笑う。「なかなか美味しい。悪くないよ。」
「地物中心で」と頼んだ刺身。メジマグロ、シマダイ、甘海老、つぶ貝。「しまだい?」と怪訝そうな顔をすると「石鯛の子供です」と入り口の生簀で泳ぐ魚を指す。「ヘー、そーなんだー!」地元のAさんと一緒に感心する。
白海老天麩羅、黒作り

富山名物と言えば白海老と黒作りは欠かせない。驚いたことに今まで食べた白海老の中で一番美味い。サクッと揚がって酒の肴にはもってこいだ。
「黒作りも自家製ですか?」と尋ねたら「この輝きは出せません」と女将さん。
Aさんと銀髪にとってはこれで酒の肴は充分。下戸の部下だけあれこれ食べている。
奥の部屋に4人組、銀髪の右横にカップルがいる。さっき女将さんが電話予約を受けていたのでこれから賑やかになる。誰もが常連客のようだ。開店から38年、地元の客たちに支えられてきたのがよくわかる。
タクシーが迎えに来た。車に乗り込んで見送りに出てきた女将さんに声をかける。「美味しかったよ、大将にもよろしく!」また一つ、いい思い出ができた。
割烹 たかた
富山県富山市総曲輪3-2-6
22-2686
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2008年11月21日
[北のおやじ](福井駅)
回転寿司でも蟹が食べられる

福井に到着したのは夜10時過ぎで、ただ寝るだけだった。翌日昼過ぎには富山に向かう。越前カニを食べるチャンスは昼飯しかない。駅ビルを歩いていたら蟹専門店を見つけた。店に入ると若い女性が寄って来る。「駅の中で蟹を食べられるところはない?」と聞いた。
「それなら、回転寿司がいいですよ。蟹の絵が出てましたから」と嫌な顔一つしないで親切に教えてくれる。ついでに店に並ぶ蟹の説明を聞いていたら、買うつもりはなかったのに、結局買ってしまった。たちまち財布が軽くなった。
回転すし屋の入り口に生簀があり、蟹がたくさん入っていた。「この蟹を食べられるの?」と聞いたら、「はい、買ってきます」と言う。部下と二人で???と怪訝な顔をする。カウンターに座って待っていると、店の前の魚屋から買ってきた茹でかにが出てきた。

越前ガニ(オス)ではないが、雌のセイコ蟹を一杯ずつ食べた。外子、内子、ミソが美味い。もちろんビールを頼んで、思いがけない立派な昼食になった。因みに蟹は一杯1,000円。大型のオスに比べると小さいが、安くて卵も食べられるので地元の人はセイコを好む。
「ブリも食べてくださいね」蟹屋の女性のことばを思い出した。トロぶりと書いてあったが、まだ脂の乗りは薄い。これから寒くなればさらに美味しくなるだろう。
ブリ、焼き鯖

福井名物の焼き鯖。ノルウェー産だろうか。日本への輸出のお陰でノルウェーの漁師が潤っていると先日テレビで紹介していた。身の厚さとお値段からして国産とは思えない。
中トロ、穴子、いくらと部下が回転台から取るのを見ていた。ビールを飲まない彼は、銀髪に遠慮する気なんかまったくなさそうだ。子供のように目が輝いている。
食べ終わって再び蟹屋に行った。さっきの女性に「美味しかったよ、ありがとう」と声をかけた。「ブリも食べましたか?」と言うので「もちろん」と微笑んだ。彼女は銀髪よりさらに大きな笑みを返してくれた。
北陸漁港 北のおやじ
福井県福井市中央1-1-25 JR福井駅構内プリズム福井内
0776-28-5550
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2008年10月25日
[ヨコイ](名古屋)
ようやく行った元祖あんかけスパゲッティ

「このまま東京に帰っていいですか?」午前中のミーティングを終えたところで部下に宣告された。気の弱い銀髪はノーとは言えない。それでも「一人で帰れるもん」と突っ張って名古屋に一人残った。思案の末に名古屋名物あんかけスパゲッティのヨコイに行くことにした。
今まで何度か食べたことがあるあんかけスパゲッティだが、元祖と言われるヨコイは初めて。ヒルトンホテルのロビーでPCを開き場所を調べたら何のことはない、定宿の国際ホテルのすぐ近くにある。もっと早く来ればよかったと後悔した。
12時過ぎたら一杯になるだろうと思ってヒルトンから必死で歩いた。首尾よく5分前に到着したものの、既に満席で徒労だったと知る。しかし、回転がいいので直ぐに座れた。「ミラカンと海老かつ」と入り口のボードを思い出しておばちゃんにオーダーした。
活気がある店だ。メニューを見る客は殆どいない。水を出す、注文を聞く、サラダを置く、おばちゃんたちの動きは軽快だ。カウンターの向こうの料理人も動きに無駄がない。50人以上も客が居るのに、料理が運ばれてくるまでそれほど長くかからなかった。

一口食べてさすが元祖、満席の理由が分かった。名古屋駅前で食べたものより数段美味い。とろみがついたソースは跳ねやすいので慎重に食べた。隣の客は紙のエプロンをして、さらにおばさんにスプーンを求めて念には念を入れる周到さ。銀髪もおばさんに声をかけようかと思ったが、面倒なので行儀のいい男たちを嘲るだけにした。いわば負け惜しみだ。
ミラカンとはミラネーズ(ベーコン、ハム、ウインナー、マッシュルーム入り)とカントリー(ピーマン、オニオン、マッシュルーム、トマト入り)を合わせたもので、もっとも代表的な料理である。海老かつは予想と違った形だったが、とても美味しかった。ブヨブヨに茹でられたスパゲッティは、思ったほど絡まらず弾力もなかったのでソースが跳ねてワイシャツを汚すこともなかった。見たか!エプロンもスプーンも入らないんだよ!
客は次々に入ってくる。店を出て、階段を下りたところで立て看板をパチリ。階段を上ろうとする3人連れのおじさんたちが不思議そうに見ている。そう言えば若い女性客が意外と少なかった。たまたまだったのかもしれないが、相席が当たり前の店は女性には辛いだろう。
銀髪は満足した。一人でも寂しくない。銀髪を見捨てて東京に戻った部下にヨコイのことを教えてあげよう。我ながらなんて優しい上司なんだろう。
ヨコイ
愛知県名古屋市中区栄3-10-11 サントウビル2F
052-241-5571
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2008年10月24日
[あつた 蓬莱軒]②(名古屋)
個室で会席料理&誕生会

「誕生パーティーをやるから来てよ」と言われてノコノコ名古屋まで行くことになった。場所は元祖ひつまぶしで有名な熱田神宮そばの蓬莱軒。昼間に来たことはあるが夜は初めて。もちろん個室で会席料理も初めてだった。
みんなが揃ったところで「あのー、私も先週誕生日だったんですが…」と銀髪が言うと、「あー、それならついでにおめでとう」と乾杯された。嬉しいような悲しいような。

小鉢がいくつか続いた後に伊勢海老と鮪のお造りがデーんとお出まし。伊勢海老は一人一匹ずつの豪華版。捌く前に4匹を皿に盛って見せてくれたが、部屋を出たところで飛び跳ねて仲居さんたちが大慌てで取り押さえるハプニングとなり大笑い。触角を折ってしまった一番元気な伊勢海老は主役の腹に納まった。

飲んだお酒は熱田神宮に奉納する草薙。老舗料理屋は日本酒に無頓着な店が多いが、蓬莱軒のこだわりは御奉納酒ということらしい。有難くももったいないが、上質な酒とは言い難い。嬉しいような悲しいような。

予想に反してうなぎ以外の料理もしっかりしたものを出す。それでも蓬莱軒に来たのだからうなぎを食べたい。店も心得たもので、肝焼き、う巻き、白焼きを他の料理の間に挟む。

最後にひつまぶしと行きたいところだが、コースの最後は一人ずつ出て来る会席まぶし。量を抑えても定番の3種類の食べ方をするために薬味やだし汁を用意してくれる。腹具合を考えればちょうどいい量だが、何だか嬉しいような悲しいような。どうせならひつまぶし由来のように大きなお櫃に持って来てくれたら盛り上がっただろう。分け合って、取り合って、食べる方が楽しい。

場を盛り上げてくれたのは部下がトイレで見つけた妙な貼紙。クリスマスの逆だからスマスリク?何のこっちゃ。いくら推理しても適当な答えが見つからない。仲居さんに聞いたら12月25日は石川五右衛門の命日で、逆さに貼っておくと泥棒除けになると言う。「キリスト様は五右衛門の生き還りでは?」なんて馬鹿なことを言う奴が居る。時代錯誤するほど飲ませてしまったのかもしれない。
イヤー、楽しかった。ついでに誕生日を祝ってもらえたし。良かった良かった。料理も美味しかった。しかし、やっぱり蓬莱軒ではうなぎを食べたい。特に肝焼きはもっと食べたい。おっきなひつまぶしを食べたい。
餅は餅屋、うなぎ屋はうなぎが主役。他の料理はうなぎの脇役に徹して出しゃばる必要はない。
あつた 蓬莱軒
愛知県名古屋市熱田区神戸町503
052-671-8686
http://www.houraiken.com/
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2008年09月13日
名古屋フラワーホテルのあんかけスパゲッティ
新幹線を降りてすぐ食べられるあんかけスパゲッティ屋さん

名古屋駅近くで昼飯を食べることになった。何にするか迷っていたら、部下があんかけスパゲティの店があると言う。久し振りだったのですぐに提案を受け容れた。
新幹線口、いつもタクシーを降りるところ、そこにあるビジネスホテル・名古屋フラワーホテルの1階の喫茶・レストランに入った。
長め(ブヨブヨ?)に茹でた太いスパゲティを炒め、あんの上に乗せる。あんかけと言いながら、あんをスパゲティにかけるわけではない。あんは胡椒辛いトマトベース、片栗粉でとろみをつけてある。初めて食べたときは実に珍妙な食べ物と思うが、意外なことに気に入ってしまう人が多い。

フラワーのあんかけスパゲティは「まー、こんなもんだろうー」と言う程度のもので、地元に人には不満が残るかもしれない。定番の赤いウインナーが乗る銀髪の食べた皿は、それなりに食べられるが、部下が食べた鰹節が乗ったものは美味しそうではなかった。

きしめんであればおかかはつきものである。旅行者はきしめんからの連想で、麺におかかが名古屋の定番と思うかもしれない。これを食べてあんかけスパゲティを不味いと思ったら悲劇である。
名古屋駅周辺であんかけスパゲティを食べられる店はフラワー以外にもあるようだ。名古屋名駅のチャオ、名駅南名鉄レジャック3階のあんかけ亭、カレーのココ壱番館系列のPASTA DE COCOなど。いつか栄にある元祖ヨコイに行かなければならない。
名古屋だけでなく、愛知県各地であんかけスパゲティの店がある。PASTA DE COCOは東京西新橋にもあるが、カレー屋ほど全国展開は進まない。
愛知県に行かなければ食べられない方が、名物としては価値があるのかもしれない。
フラワー
愛知県名古屋市中村区椿町15-4
052-451-2222
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2008年09月12日
[ざぶん](名古屋)
居酒屋で名古屋ちっくフーズ

「銀髪さんが来るのに居酒屋じゃ可哀想だなー」という声も上がったらしいが、結局居酒屋になった。名古屋での宴会はいつも5時半にはスタートする。錦界隈のよさそうな店は6時開店が多いので選択肢は限られてしまう。
だし巻き卵、オニオンスライス、冷奴、ゲソ揚げ

早い時間なので次々に料理はやってくる。きれいな落ち着いた雰囲気の店内も、テーブルに料理が並べばたちまち居酒屋っぽくなってくる。
姿造り入り舟盛

7種盛り1980円にウニを加えてもらった。舟盛は豪華に見えるので割安感がある。もっとも鮪の赤身はいかにも大衆居酒屋の色合いをしている。
どて煮、味噌かつ

ホテルの地下にあるだけに宿泊客が食べたがる名古屋名物もそれなりにある。地元の人にオーダーを任せると、自然に名古屋ちっくな料理も選ばれる。銀髪を気遣って頼んでくれたのかと感激するが、ただ自分たちが食べたいだけらしい。どて煮を一口、味噌かつを一串食べさせてもらった。
トンペイ焼き、毛蟹

地元の人はお好み焼きとオーダーしていたが、実際は広島名物のトンペイ焼き(薄切り豚肉入り玉子焼き)である。これが一番評判が良かった。「どうだ、美味いだろう」と名古屋の人が自慢するのが面白い。
一番人気がなかったのが800円の小さな毛蟹。銀髪はこれが一番気に入った。身はしっかり詰まっているし、ミソも美味。人気がない理由は食べ辛いため。お陰で殆ど独占できてとても満足した。
他にも色々頼んだが、割愛。安くて美味いと言ってもいいかもしれない。もっとも、みんなが気に入っている理由は味より場所。ホテルの地下と言えば誰でも分かるので待ち合わせ場所としては文句ない。最大の利点は2次会の店に近いこと。これを言われたら他の店に行きたいとは言えない。
嘉っとび炉端 ざぶん
愛知県名古屋市中区錦三丁目18-21 東京第一ホテル錦地下
052-950-7889
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2008年09月07日
[よね一](名古屋)
名古屋のうなぎ丼

鰻の蒲焼は江戸発祥の料理であるということはこれまで何回も書いた。東京の深川で養殖が始まり、やがて浜松に移転、現在は鹿児島が日本一の生産県となっている。
蒲焼は江戸から全国に広まり各地で微妙に変化した。背開きして蒸しが入る関東風、腹開きして蒸さない関西風がよく知られているが、名古屋も独自の鰻蒲焼文化をもっているようだ。
「あー、ひつまぶしのことか」と思う人も多いだろう。実際のところ、銀髪も名古屋ではひつまぶしを食べることが多かった。今回、客先で「うなぎを食べたい」と言ったら、御園座の近くにある店に連れて行ってくれた。お世辞にもきれいとは言えない「よね一」は創業以来60年以上の老舗うなぎ屋である。
もちろんひつまぶしがあるが、今日はパスしてうなぎ丼を食べることにした。名古屋でうなぎ丼を食べるのは銀髪グルメ紀行第1回目の「西本」以来、約3年振りである。一番高い2450円の特上はご飯の間にもうなぎ入る中入れ丼だった。

西本との共通点はうなぎが食べやすい大きさに切ってあるところだ。関東風なら蒸してあるので箸で簡単に切れる。名古屋は蒸さない関西風だからかと思ったが、関西でも一口大に切ることはない。たった2軒で名古屋風と言うのは大胆かもしれないが、あながち間違いではないだろう。
名古屋風のうなぎ丼が発展して、ひつまぶしが生まれたのではないだろうか。ごはんと混ぜやすいように、うなぎ丼よりもっと細かく切るのがひつまぶしである。
タレも他の地域に比べれば濃くて甘辛い。最後にあっさりとお茶をかけるのも理にかなっている。
切り刻んで出すのが一般的な中部地区では、通常の丸ごと蒲焼を「長焼き」と称する。ごはん抜きの蒲焼を長焼きと呼ぶようだが、刻んだものが主流なので長焼きの名称が生きる。
紀州備長炭で焼き上げるよね一のうなぎ丼はなかなか美味しかった。新しい発見をしたような気分になり、いっそう美味しく感じた。
よね一
愛知県名古屋市中区栄1丁目5-16
052-231-6924
http://www.yoneichi.com/
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2008年08月29日
[和田金](松阪)
念願の松阪肉すき焼の元祖

「和田金に行ったんだよ」と自慢したい気持ちをグッと抑えながら言っても、「ワーッ!いいなー」と羨ましがる人は居なかった。都内を走る電車に広告を出しているにもかかわらず、明治初期に創業した松阪を代表する老舗料理屋の名を知る人は意外と少ない。
それでも、和田金に来る人の過半は観光客のようだ。吊り広告も決して無駄ではない。道路拡張の影響で取り壊しを余儀なくされた和田金が、近代的なビルの大店に生まれ変わって20年以上になる。旅館を思わせる入り口で靴を脱ぎ、エレベーターに乗る。部屋に入ると一転、古民家の座敷を思わせる雰囲気になる。部屋の真ん中に炭火のテーブルがデンと構える。
さしみ、たたき、タン

次はいつ来れるか分からないので、いろんな部位、料理を食べ比べすることにした。赤身の分厚い刺身、まだ凍ったままのタンよりも、表面を炙ったたたきが一番美味しかった。
他の人たちにタンは溶けるのを待って食べることを奨めた。口の中でとろける美味しさに変わる。
ロースステーキ

和田金で一番高いメニューだけあって、とても美味しい肉だった。柔らかいが脂っこくない。
あみ焼、すき焼

3人なので、あみ焼とすき焼を1.5人前ずつ用意してもらった。あみ焼は醤油だれを塗って照り焼き風に食べる。しかし、何と言っても看板料理のすき焼が美味い。仲居さんのゆきさんが調理してくれるので楽チンだ。割り下を使わない関西風のすき焼きは、たくさんの砂糖をかけるのに驚くが、ご飯によく合う。酒飲み達も、盃を置いて食事に没頭した。
和田金は但馬牛の雌の仔牛を買い、自社の牧場で育て、処女牛として客に出す。この日に食べたものを見る限り、サシが少なく脂っぽくない。和田金が理想とする牛肉の質が分かる。和田金の肉の内臓類がどこに卸されるか、誰もが知りたがるが企業秘密になっている。びっちりサシが入った部位も、どこかに転売されるのかもしれない。
看板のすき焼は8,400円で食べられる。銀座で食べるよりはるかに割安である。炭火を使った昔ながらの調理法を見るのも結構楽しい。仲居さんに学びながら、ときどき仲居さんを茶化しながら食べるのがまたいい。10%の奉仕料も納得できる。
若い女性が大好きな客も、おいしいく食べさせてくれたゆきさんに文句は言えないだろう。和田金で35年のベテランが、いい味を出す老舗だった。
和田金
三重県松阪市中町1878
0598-21-1188
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2008年08月24日
[Zen](軽井沢)
軽井沢も長野、長野と言えば蕎麦

昨日の続きです
軽井沢の民宿(ペンションと言うらしい)は快適だった。6畳くらいの部屋にシングルベッドが4つ入っている。畳の部屋だったらもっと良かったが、洋間でもスキンシップがはかれる広さだ。家族旅行はこうでなければならない。旅行以外で家族が一部屋で寝ることはないのだから。
夕食は宿泊客が全員揃う食堂で6時に始まり、1時間足らずで終った。ダラダラ呑む時間も酒の肴も与えられなかったので、珍しく白いご飯で腹を満たした。朝食は宿泊客全員が8時集合なので、病院並みに食間が長い。もっとも料理は比較にならないほど美味しいと言っても差し支えないだろう。なんたんってペンションなのだ。
部屋に戻りオリンピックを見ながらすぐに眠りに落ちた。家族は久し振りに銀髪のいびきを楽しんだようだ。翌朝早起きして自転車で1時間走った。腹ペコのお陰で朝食がさらに美味しい。何より家族揃っての朝食が良かった。
それから半日は旧軽井沢銀座を歩き、石の教会を見るなど観光らしきものをした。暗くなるまで家族がガラス球のアクセサリーを造っている間、一人車に残り仮眠を取った。夕食後のロングドライブが待っている。
刺身こんにゃく、高原野菜と揚げ蕎麦サラダ、いろいろ葱の春巻

評判の「東間」に行ったら、「完全予約制、蕎麦懐石の店ですから」と断られた。そこで紹介してくれたのが姉妹店のZenである。雰囲気は悪くない。ところがこちらは鍋料理が自慢で懐石料理はないと分かり、家族は失望する。酒なしで懐石料理なんか食べさせられたら堪らないと、運転手の銀髪はホッとする。
妻は自分で蕎麦以外の単品を頼み、懐石に近づけるんだと頑張った。しかし、健闘むなしく揚げ蕎麦は油が浮いていて不味い。文句タラタラである。アルバイトらしき店員たちは、懐石料理屋の仲居さんには遠く及ばず、ファストフード店でアルバイト経験豊富な娘たちが偉そうに批評する。
鴨汁蕎麦、黒ぶた汁蕎麦

もり蕎麦、季節の野菜そば

銀髪はもり蕎麦を頼み、みんなのものを少しずつ味見した。蕎麦は悪くない。蕎麦湯をタップリ飲んで腹八分目で食事を終えた。車の中で家族が寝息を立てても、つられない程度の腹具合だ。
渋滞が少しあったが往路より1時間ほど余計にかかっただけでその日のうちに家に着いた。
シャワーを浴びて、軽いつまみを揃えたのが23時50分。ビールが美味い。飲酒の連続記録は今日もギリギリで途絶えずに済んだ。何はともあれ、メデタシメデタシである。
そばの店 Zen
長野県北佐久郡軽井沢町発地1398-58 72ゴルフ通り
0267-44-6566
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2008年08月03日
氷見うどん (富山空港)
日本三大手延べうどん

トップ3や三大〇〇となんでもかんでも上位3つを作りたがる。
うどんでは讃岐うどんがダントツで文句は出ないところ。他に地名がついた有名うどんには稲庭うどん、水沢うどん、氷見うどん、五島うどん、博多うどんなどがある。きしめん、ひもかわ、ほうとうなどもうどんの一種だから、候補に入れろと言う人も居るだろう。
氷見うどんを三つの中に選ぶためには手延べうどんでくくればいいことを思いついた。麺を竿にかけて引き延ばして適当な太さにする製法のうどんは、上記中の稲庭、氷見、五島の3つだけだから簡単だ。手延べと言えばそうめんを思い浮かべる。JAS規格では手延べうどんは直径1.7mm以上、そうめんが1.3mm未満、その間が冷麦と決められてある。
秋田県の稲庭、富山県氷見、長崎県五島列島と手延うどんの産地が全て日本海側というのも面白い。どこが元祖か分からないが、中国から伝わって北前船で各地に広まったという説に頷きたくなる。氷見のうどんは石川県の輪島から製法が伝えられたそうだが、輪島のうどんは廃れてしまった。

氷見うどんは富山空港にある麺処「とみいち亭」でよく食べる。普通のうどんもあるが、せっかく富山に来たのだからと割増料金を払って氷見うどんを食べることにしている。なぜ高いのか疑問だったが、手間暇かかる手延べであると知って納得した。もちろんブランド料も否定できない。
うどんもそーめんもコシを出すためには国内産だけでは難しいため、外国産小麦価格の高騰でどこも苦しんでいると聞く。ところが日本のうどんの起源を辿ると、遣唐使や弘法大師が中国から伝えたという説が有力。米国や豪州などから小麦が輸入されるずっと前からあった日本のうどんはコシのないうどんだったのだろうか。もともと国内産の小麦粉は麺類加工に適したものであるため「うどん粉」と呼ばれた。メリケン粉とうどん粉は違うものと言われる。いったい、どこで何が狂ったのだろうか。
外国産小麦粉が高騰したので各地の名物うどんが食べられなくなるかもしれないなんて、まったく不思議な国である。
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2008年07月14日
[山忠](豊橋市、二川)
もうすぐ土用、うなぎ、うなぎ、うなぎ

今週末、7月19日から土用入りとなる。7月24日が土用の丑、街がうなぎの煙に覆われる前でも暑気払いにうなぎを食べたいものだ。
浜名湖に近い豊橋市。うなぎを売り物にする店も多い。
関東風、関西風

山忠では日本の中心・豊橋ならではの関東風と関西風の両方を味わえる。関東風は蒸してから焼くので身が柔らかい。関西風の腹開きでは身が串から落ちてしまうので、関東風は背開きにする。
見た感じ山忠はどちらも背開きにしているようで、関西風とは単に蒸さないで焼いただけのものらしい。
白焼き定食

銀髪が頼んだのはもちろん酒の肴にもなる白焼き。蒲焼はみんなから少しずつ貰って味見した。
肝焼き、生しらす

豊橋は峠を越えるとすぐに静岡県。しらす漁の盛んなところが目と鼻の先にある。思わず頼んでしまったが、定食にもちゃんとついていた。教えてくれればいいのに。
肝吸い、小鉢(生しらす)、漬物、デザートが付いて鰻重(松)が2,300円、白焼きが2,500円。浜名湖が目と鼻の先ならではのご機嫌な価格だった。東京だったら倍の値段の定食になってしまうだろう。
関西風、関東風のどちらがいいか、好みが分かれるだろう。酒の肴であれば焼き魚のような関西風が好きだ。ビールにも冷酒にも合う。ご飯に乗せるなら関東風がいい。箸でハラリと捌ける柔らかさなので、ご飯と絡まりあって口の中一杯に広がる。
平賀源内に踊らされなくても、夏はうなぎが美味い。
山忠
愛知県豊橋市中原町字新瓶焼7-2
0532-43-0665
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2008年07月06日
[アクトシティ・ホテルオークラ 山里](浜松)
一流ホテルはうなぎも美味しい

うなぎの産地偽装がマスコミを賑わしている。洋上で捕らえた稚魚を中国、台湾、日本などで養殖するのだから、DNA的には同じ種類のうなぎなのだろう。どこで育てたかは問題ではないと言いたいところだが、禁止薬物が検出されたとなると話は違ってくる。
母がお中元に鰻を送ろうとしたら、先方から断られたと聞いた。土用の丑が近づいているのに鰻業界にとっては大打撃に違いない。
名前を騙られた幡豆郡一色町は昭和58年から浜名湖を抜いて日本一の養殖場になった。画期的な養殖技術を開発した業者の貢献により鹿児島県が県別ではトップだが、地域別では一色町がナンバー1ということである。しかし知名度は今一つでイラついていたら偽装事件で全国に知れ渡った。吉と出るか凶とでるか。
トップの地位を明け渡してかなり経つのに、未だに浜名湖のうなぎのブランドは絶大である。今でも浜名湖が養殖日本一と思っている人が多いだろう。銀髪だって浜松に来たら鰻を食べなければならないような気になる。
地元の人に食事に誘われ、ホテルオークラの山里に行った。大枚払う覚悟をしてくれていたようだが、銀髪が選んだのはうなぎ。うなぎならもっと他で食べた方がいいと、別の高額な定食を奨めてくれるのだが、こちらはうなぎを食べると譲らない。根負けした相手も、一緒にうなぎを食べることになった。

一口食べ、二口食べて、尚もどちらが先にコメントするか駆け引きしている感じだ。銀髪が先に口を開いた。「さすが一流ホテル。思ったより美味いですね」と言えば、うなぎ通も素直に頷いた。ホテルでうなぎなんてと思っていたはずだ。これを美味しいと言ったら、馬鹿にされるのではないかとお互い警戒していた。銀髪の方がちょっと勇気があった。
うなぎ専門店のように活きうなぎを捌いて、蒸してと本格的に調理したのかは調理場が見えないので分からないが、美味しかったのは事実である。しかし、うなぎが浜名湖産か、それ以外の国産か、はたまた外国産かは知る由もない。そもそも、我々には味の違いなど分からない。いや失礼。銀髪には分からない。
浜松で食べたうなぎは美味しかった。それ以上は詮索する必要はあるまい。
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2008年06月20日
[乙女寿司](金沢)
お詫び
昨日、新しいドメインへの移行作業を行いましたが、画像が見られない状態が続きました。さらに、せっかく書き入れていただいたコメントが消えたものがありましたことをお詫び申し上げます。
プロが奨める寿司屋

富山の人気寿司店「難波」の主人は勉強家だ。近隣だけでなく東京にも度々行くという。金沢に行くと言ったら彼が紹介してくれた店が乙女寿司だった。
タクシーの運転手さんには店名を告げるだけでよかった。路地の奥にみすぼらしく佇むように見えたのでちょっと驚いた。店の入り口が見えると安心した。立派な店である。
古い建物の割に店主は若い。祖父の代から続いているのかと聞いたら血縁はないと言う。乙女寿司で長年修行したのかと聞いたらそれも違う。店と店名だけ引き継いで血縁も師弟関係もないとのこと。だとすると、乙女寿司の評判は鶴見店主が一代で築き上げたものということになる。
赤イカ、白バイ貝、マコガレイ

メジ鮪、アジ、万寿貝

地物中心にお任せにした。単純な刺身はわずかで、オリジナリティーが溢れる料理である。
アワビ、のど黒、ゲソ

アワビの肝和えは見た目も美しい。肝は餌によって色が違うらしく、我々が食べたアワビはきれいなグリーンである。
それにしても圧倒的な存在感があるのはやはりのど黒である。脂が乗って実に美味。
魚は目の前の木箱(氷を敷いたネタケース)に収められており、ガラスの冷蔵ケースはない。鶴見さんが蓋を開ける度に中を覗きこんで質問する。
キジ海老という地元の海老、能登うしつで獲れた近海鮪を頼んだ。
アラ、キジ海老、うしつ鮪

最後に椀物と巻物を頼んだ。連れの二人は穴子などを食べているが、愛知産には興味がない。
あら汁、かんぴょう巻き、かっぱ巻き、ウナギ

店に入った時から気になっていた肉厚の鰻。地物に徹するつもりが禁を破った。寿司の評価は割れた。しゃりの好みなどはよく分からない。
銀髪は創作料理などを充分に堪能した。保守的な人にはちょっと違和感があるかもしれない。10年後、20年後の乙女寿司も見てみたいものだ。
鮨処 乙女寿司
石川県金沢市木倉町4-10
076-231-7447
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2008年05月28日
[難波]②(富山)
久し振りに行った富山最高峰の寿司屋

「〇〇という料理屋知ってる?」と聞くと「知ってますけど、もっといい寿司屋がありますよ」とタクシーの運転手さんが言う。「ちょっと郊外にあるんですけど…」と続けるのを「アー、難波ね」と遮った。
難波から送られてきたメールを思い出した。いい魚を大量に仕入れてしまったので来て欲しい言う。翌日に富山出張するのを見越しているかのようだ。多数の人に送ったメールであることは分かっているが、タクシーの運転手さんに推奨されると、偶然には思えなくなってくる。部下に「難波に行くぞ!」と告げたら、顔がパッと明るくなった。
まぐろ3種

左から水揚げされたばかりの本まぐろの赤身。真ん中が今は壱岐を回遊している160キロの本まぐろの大トロ。水揚げは10日前。右が5日前に水揚げされた小型の氷見産本まぐろ。
獲れてすぐの赤身は死後硬直で身が固く、噛み切るのに苦労するほどだった。熟成されて柔らかくなった大トロ、中トロと比較できたのが面白かった。
あら、新湊さんアカイカ、穴水産のこはだ

新湊産天然車海老、穴水産しゃこ

地元の素材中心に造ってもらった。大きな車海老が印象的。もちろん頭は焼いてくれる。
のどくろ、炙りしめ鯖、漬物

のどくろには部下がうなった。皮を炙ったお陰で脂が程よく溶けて、口の中に広がる。しめ鯖も同様で、魚も肉も軽く火を通した方が美味いことが証明される。
料理はもちろんだが、店主との会話が滅法楽しい。銀髪のうんちくを嫌がらず聞いてくれる。もちろん色んなことを教えてくれる。
酒は勝駒。地元の小さな酒蔵らしいが、純米、吟醸、大吟醸、本醸造と飲み比べた。
マコカレイ、小柱、うに、穴子2種

握りも美味い美味い。3人で食べて酒6合、生ビール2杯、ウーロン茶2杯を飲んで合計41,200円。とても満足した。
難波さん、またメール待っていますよ。
鮨 難波
富山県富山市公文名34-12
076-493-8686
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2008年05月27日
[そおだ](長野)
長野の会席料理は海鮮尽くし

長野は群馬、埼玉、山梨、静岡、愛知、岐阜、富山、新潟の8県に囲まれており、海はない。面積は北海道、岩手、福島に次ぐ第4位だが80%が山岳地帯で耕地は8%強しかない。白菜、レタスや野沢菜などの漬物用野菜の生産が全国1位。全国2位のリンゴやブドウなど果樹栽培も盛んなところであるが、食材が豊かな土地のイメージは湧いてこない。
外の看板には大衆割烹と書いてあるが、そおだはなかなか立派な店だった。座敷に通され席に着くや否や、部下が頼んでいた会席コースの料理が運ばれてきた。


ビールが来る前に4品がテーブルに並べられた。地方ではあっという間にテーブルの上が賑やかになる傾向がある。乾杯をしている間に更にホタルイカ、コノワタの2皿が追加された。
料理が出されるスピードが若干緩和されたものの、2杯目の焼酎が終わった頃には更に3品がテーブルを飾った。ここまですべて他県産の魚介類を使った料理である。大衆割烹と謙遜するには及ばない立派な料理だった。

銀髪に気を遣って部下がコースとは別に信州牛を頼んでいた。リンゴを食べさせて育てるというのが信州牛のウリである。部下を含めて他の人たちは気に入らなかったようだが、噛み応えがある肉も悪くないと思う。もっとも濃い味付けの上にバターを乗せたら、年長者にはくどかったかもしれない。

コゴミ、コシアブラ、モミジガサなどの山菜の天ぷらがメイン料理となった。まさか山菜も魚介類同様他県産ということはないだろう。長野らしい料理に少しホッとした。
地方都市といってもさすがに県庁所在地だけあって立派な料理屋がある。議員や公務員への接待が減ったお陰で料亭を維持することは大変のようだ。
地元の人の話では、そおだは料亭の格としては2番手グループとのこと。若い女性店員たちのサービスは大衆的と言えなくもないが、なかなか美味しい料理で楽しめた。お値段は東京に比べたら割安感があるものの、大衆的とは言えない。
旅行者はカウンターに座り、ゆっくりと地元の素材を使った料理を食べたらいい。魚介類を減らせばグッとお安くなり、大衆割烹と感じることができるだろう。しかも地元の素材を楽しめて一石二鳥になる。
割烹 そおだ
長野県長野市南長野南石堂町1275-11
026-226-3362
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2008年05月10日
[和のリゾートはず](愛知県蒲郡市西浦温泉)
GWの家族サービスは温泉へ

今日、明日はのんびりとゴールデンウイーク(GW)の疲れを癒しているお父さんたちが多いだろう。銀髪のGWは例年妻の実家豊橋に行くことになっている。今回は3日の朝5時に世田谷の自宅を出て、休憩時間を入れて約6時間かけて豊橋に着いた。
高速道路での渋滞情報を聞きながら不思議に思った。確かに東京を出てから渋滞に巻き込まれたが、渋滞中でも時速30~40㎞は出ていた。殆ど車が動かない渋滞と同一視できない。
渋滞は距離ではなく通過時間を重視するべきだと痛感した。テレビのニュースは距離重視である。距離の方が大袈裟に伝えられて、「ざまあみろ!」と視聴者を喜ばせることが出来る。
翌日、家族と義理の父母は豊橋から車で西浦温泉に向かった。銀髪一人、自転車で先に家を出た。途中、ラグーン蒲郡という遊園地・ショッピングモールがある。車なら時間帯によっては1㎞を1時間以上かけてやっと入場できるところを自転車ですり抜ける心地よさ、優越感に浸った

温泉に入って、部屋で食事となった。大食堂では味気ないが、部屋で食べるには追加料金がかかる。どこの旅館でも当たり前になったシステムだが、人手不足、コスト削減の前には致し方ない。
品数を並べるのが旅館の常。食べ切れないかと思ったが、意外としっかり腹に収まった。豊橋から自転車で走ったお陰もあるが、他のみんなも殆ど残さず食べているところを見ると、遅い朝食の後に何も食べなかったのが良かったみたいだ。

一人一匹ついてくる渡り蟹は人気がなかった。剥くのが面倒くさいので、頑張ろうとしない。腹ペコだったら意地でも食い尽くすだろうが、食料難も叫ばれる中、もったいない話である。
老いた両親がどのぐらい喜んでくれたか定かではない。大きくなった二人の娘はいつまでこんな旅行に付き合ってくれるだろうか。来年も全員揃うかどうか、予想するのは難しい。
和のリゾートはづ
愛知県蒲郡市西浦町大山17-1
0533-58-1811
http://www.hazu.co.jp/wahazu
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2008年03月10日
[高山亭](長野)
列車の時間まで駅で一杯

新幹線が通っても、発車時間の間隔はローカル特急電車の頃とあまり変わらない。出発まで30分近くあるが、夕方近くとなれば時間の潰し方に迷うことはない。駅にある店は限られているので、どこに入るか迷いようがない。
そばを食べる時間はないが、軽く酒を飲むには充分である。晩酌セットがお得だが、食べたくない料理もあるので止めにした。
野沢菜

長野で酒の肴ナンバー1は当然のことながら野沢菜。諏訪出身のY氏がこの野沢菜に太鼓判を押したのだから悪くないのだろう。駅ビルにあるからといって馬鹿にしてはいけない。高山亭の本店はなかなか立派な店のようである。
もつ煮込み

居酒屋で必ず頼んでしまう。不思議とハズレがない料理である。どの店でも大量に作って注ぎ足しを繰り返しているに違いない。どうしても家庭では出せない味だ。テーブルにはもちろん八幡屋の唐辛子が置いてある。これをふりかけると間違いなく長野料理だ。
いなご

Y氏が懐かしがっていなごを頼んだ。「ここで作ったの?」と店の女性に尋ねると、残念ながらどこかで買ってきたもの。「中国産じゃないだろうな!」と意地悪を言うと、「国産ですよ! いなごは日本でしか捕れないんでしょう?」と聞き返された。
「昔、イナゴの日というアメリカ映画があったぐらいだから輸入品かもしれないよ」と言うと、店の女性は途端に自信をなくしたようだった。
原題はDay of the Locust、1975年の製作だから銀髪が映画監督か、脚本家になりたいと思っていた頃に見た映画である。内容はすっかり忘れてしまった。
環境破壊や途上国の人口爆発により食糧難が危惧されている。戦中や終戦直後にイナゴで飢えを凌いだ人も多かったという。今度同じような食料難の時代が来たとしても、農薬漬けでイナゴが食べられないかもしれない。ゾッとする話ではある。
高山亭
長野駅(ティリア内)
http://www.timelyhit.ne.jp/kouzantei/
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2008年03月05日
[大助](新潟)
初めて行った新潟は、雪もなくて楽しかった

生まれて初めて新潟駅に降りた。数週間前、バスで魚沼を抜け村上に達するまで豪雪地帯を通ったばかりで、当然のことながら新潟市内も雪で覆われていると思っていた。ところが、日陰にわずかに雪が残る程度で拍子抜けした。
仕事が終り、地元の人たちに連れられて6人で行ったのが大助。創業以来30年以上の間、地元だけでなく県外からも訪れる人が多いとのこと。
お通し、焼きかき

新潟のかきは生食には向かないものもあるそうで、大助でもお奨めはかきの塩焼きだった。味が凝縮されてなかなか美味しい。
あら汁

看板料理の刺し盛りの前に、あら汁が出てきた。いきなり大きな椀物が出てきて度肝を抜かれた。地元の人たちは当たり前のように食べ尽くすが、銀髪は時間をかけて食べることにした。
刺身盛合わせ

大助の自慢料理という刺身の盛合わせ。2人に1人前で充分と店員が言うので、3人前を2盛りに分けてもらった。従って上の写真は1.5人前。バイ貝、ブリ、アジ、甘海老、ヒラメ、ホタテ、タコ、マグロ、サケなど、量も種類も多い。
あら汁が効いたのか、刺身はなかなか減らない。こんな時、熱く焼いた石やちいさなコンロでも出してくれれば、余った刺身を焼いて食べられるといつも思う。
最近では焼酎を飲む人が多いが、さすがに銘酒が多い新潟。全員が酒を飲み、講釈をたれる。銀髪にうんちくを聞かされる人の気持ちが分かる。
栃尾の油揚げ

料理の写真を撮る銀髪を気遣って、油揚げを頼んでくれた。次はもっと美味しい店に連れて行くと威勢がいい。
2次会に誘うと、みんなが遠慮して去って行った。銀髪が新潟に単身赴任している次兄と水入らずで飲む時間を与えてくれたのだ。大助まで迎えにやってきた優しい兄が、新潟の夜を案内してくれた。二人で飲んで、歌った。席につく女の子が入れ替わる度に「俺の弟だ!」と嬉しそうに紹介する。最初は「ウッソー、似てなーい!」、しばらくして「やっぱり似てるー!」とみんなが同じ反応をしてくれる。
単身赴任で雪深い新潟は大変だろうと思っていたが、勘違いだった。街も思ったより大きい。元気な次兄と久し振りに遊んで楽しかった。
大助 駅前本店
新潟県新潟市東大通1-7-28
025-241-1230
http://www.daisuke-group.co.jp
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2008年02月20日
[大善](長野)
善光寺前の十割そばのお店

タクシーに乗り、「善光寺近くの美味しいそば屋に連れて行ってくれ」と言った。運転手さんが最初にあげた名前は以前行ったことがある「元屋」。「別の店を」と頼むと「大丸」と応える。隣から部下が「そこも行ったことがある」と断る。
案内役の資格を失った運転手さんは、看板を頼りに我々を降ろす店を決めた。地元産のそば粉を使った十割そばの店の表示を見て、素直に店に入った。観光客と思われるおばさんたちで店はほぼ満席だった。
ビールを頼もうか迷ったが、0℃の外と店内の温度はほぼ同じ。熱燗を飲むと午後の仕事に差し障りがありそうなので我慢する。芸能人が残していった壁の色紙をみながら、寒さを忘れようとした。
三色そば

普通のそば、そばの実の内側(胚乳)のみを使った更科そば、赤い花そばの三種のそばを食べ比べすることにした。壁に赤いそばの花の写真が掛けてある。真っ赤なそばが来るかと期待したが、そばの実が赤いわけではなかった。むしろ驚いたのは更科そばの純白さ。麺の形状を見るとまるで稲庭うどんのようだ。
お盆に塩が乗っている。何に使うのかと聞くと、そばを塩だけで味わって欲しいと言う。そばを食べる度に、自分はグルメ失格だと思う。美味しいことは分かるが、他の人が言うほどそば粉の香りを感じて感動することができない。
震えながらそばを食べ終えた。タクシーの運転手さんがいい加減に選んだ店だが悪くなかった。信州黒姫山の裾野で栽培された霧下そばを石臼で挽き、自家製粉する。湧水を使い、こだわりのだしに3ヶ月寝かしたかえしを使用したそばつゆだと言う。老舗もいいが、若い店はよく研究しているので老舗の上を行くことがある。
タクシーの運転手さんが、いの一番に名前を上げるそば屋になるように頑張って欲しいものだ。
十割そば 大善
長野県長野市大門町46-1
026-233-5002
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2008年02月08日
[岡寮](新潟県南魚沼)
雪に埋もれた手打ち蕎麦屋

JRなら上越線の五日町駅か六日町駅が最寄り駅。車なら六日町インターから車で10分、東京練馬からなら2時間40分とのことだが、冬の豪雪期に蕎麦を食べに来る物好きはいないと思っていた。ところが開いていたのは我々のためだけではなさそうだ。スキー客や地元の客にも人気なのかもしれない。
蕎麦屋外観

緑豊かな農村地帯に佇む様が店のパンフレットにある。目の前の深い雪を見ていると、夏の風景をイメージするのは難しい。
良質の蕎麦を丁寧に石臼製粉した手打ち蕎麦、こだわりのつゆが自慢のようだ。
つゆ

つゆはかつおだしが効いた江戸風のものと、煮干が中心と思われる田舎風のものと2種類が出てくる。食べ比べができて面白い。
天ぷら

天ぷらは暖かい天つゆでいただく。田舎にしてはと言えば失礼だが、気が利いている。
蕎麦

蕎麦もコシがあってなかなかいい。魚沼近辺であれば越後へぎそばが有名だが、この店は十割そばがウリで、蕎麦本来の味と香りにこだわっているようだ。
そば湯も茹で汁ではなくて、飲むために別途作っているどろりと白濁した濃い汁。せいろ一枚では物足りない連中も、そば湯を何杯もお代わりして満足していた。
そして、何よりいいのが日本酒・八海山。酒蔵は岡寮を紹介してくれた上に、4合瓶3本を差し入れてくれていた。蕎麦屋で日本酒は最高だ。
久し振りに見るつららが下がる景色を堪能して外へ出た。バスに乗り込む前に、男どもは少年に戻って深く積もる雪の前に立ち、ズボンの前のファスナーに手をかけた。
そば屋 岡寮
新潟県南魚沼市岡218-1
025-775-3604
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2008年02月05日
[丸一](富山)
吹雪の富山で入った居酒屋

3時50分、仕事が終わった。飛行機の出発時刻は7時10分。吹雪の中を観光する気分には到底なれない。タクシーに乗り込んでこの時間にやっている店を聞いた。寿司屋はだいたい5時過ぎの開店。居酒屋でやっているところがあると聞いて飛びついた。
タクシーが止まったところは裸のマネキンが入り口に座る怪しげな店の前。タクシーを降りるのを躊躇していると、居酒屋は隣と教えられた。いかにも大衆居酒屋の丸一のドアを開けた。店は11時から23時まで休み時間がない、といってもさすがに他に客はいない。暖房が弱く、足元の寒さに耐えながら飲み始めた。
お通し、氷見の寒ブリ、バイ貝の刺身

分厚く切った寒ブリもコリコリしたバイ貝も頗る美味い。
写真撮影を女将さんに承諾してもらって、お通しの豆にカメラを向けると「恥ずかしい」と笑った。大将も女将さんも人見知りするようで、笑わせるのに苦労した。よそ者の我々を認めてもらったと勝手に解釈して、少し大胆になり立ち上がってカウンターの料理にカメラを向けた。
水だこ、香箱かに(雌)

水だこは足2本だけ見ても巨大だと分かる。雌蟹は禁漁期に入った場所もあるが、富山ではまだ食べることができるそうだ。
おでん、かにめん

厚く切った寒ブリはさすがに美味い。高級なのはそれぐらいで、他は大衆価格で煮物、揚げ物、焼物、おでんと料理の種類も多い。
かにの身を甲羅に詰めてつみれを被せておでん種にした自家製かにめんは面白かった。
さす(かじきまぐろ)の味噌漬け

目の前のガラスケースには地物の魚が並ぶが、お腹一杯になってきたのでさすを最後にした。部下はお茶漬けを食べた。
夫婦2人だけの店かと思ったら、5時前に店員が2人揃った。5時を過ぎた頃3人連れの客が入ってきた。入り口のストーブをみとめて、その近くのカウンターに座った。我々は迂闊なことにそのストーブに気付かず震えていた。
また新たに客が入ってきた。店の電気がすべて点り、常連さんが増え、女将さんの顔も輝いてきた。
大将が刺身を作る手は、我々のときの倍の速さで動いている。
せっかく店が暖かくなってきたのに、ボチボチ引き上げる時間のようだ。外に出ると雪が強風に舞い、タクシーの営業所まで歩く間に手が凍りつくかと思った。ホッとしてタクシーに乗り込むと「飛行機は飛ばないかもしれませんよ!」と脅かされた。
安くて美味しい地物を食べたのだから、多少の苦難は我慢しなければならないと思った。
丸一
富山県富山市総曲輪3-2-11
076-421-7014
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2008年02月03日
[汐美荘](越後村上・瀬波温泉)
温泉宿の一番のご馳走は?

関越道の事故渋滞、大雪と苦難続きの果て、汐美荘に到着したのは7時を過ぎていた。既に日本海は暗闇に沈んでいる。部屋から、そして露天風呂からの夕映えが自慢の宿も、遅く着いた我々を哀れんでいるように思えた。
部屋に案内され荷物を置いて着替えをし、仲居さんにお茶を断りすぐに風呂に向かった。大浴場にちょっと浸かり露天風呂に出た。あまりの寒さに驚き「源泉の湯」に飛び込んだが、ぬるくて別の風呂に走った。震えが収まり「いい湯だ!」と言えるまでしばらくかかった。

腹子(いくら)、鮭味噌 スティックサラダ あぶりサーモン お刺身三種盛り 甘海老 粟島鍋 鮭照り焼き 松葉蟹 海老釜飯 お新香(赤カブ)がお膳に乗っている。
村上名物の鮭を使った料理が多い。スティックサラダに添えられたディップにもほぐした鮭の身が入っている。
茶碗蒸し 鯛兜揚げ 渡り蟹がら汁

お膳に乗った料理がすべてかと思ったら、別に温かい料理3品がやってきた。茶碗蒸しにも鮭が入っていた。やはり温かい料理の方がいい。渡り蟹は貧弱だったがよくだしが出ていて悪くなかった。

意外だったのが海老釜飯。チョロチョロした火で上手に炊き上がるのかと心配だったが、ほんのりおこげもあって一番の出来だった。
宿泊代に朝夕食込み1万7,000円で料理に期待しては申し訳ない。数、量を揃えるのが温泉旅館の宿命。本当の食通なら素泊まりで食事は料亭にでも行く。
源泉からの高温の湯を水を足してうめることもなく、自然に冷まして客を待つ天然温泉こそが最高のご馳走ということだろうか。
一番良かったのは酒蔵見物でもらった酒を持ち込んだのを黙認してくれたこと。滅法美味い絞りたての酒が主役で、料理は脇をしっかり固めてくれた。
朝食のバイキングはビジネスホテルより遥かに良かった。ビールを飲んでゆっくりしたいところだが酒蔵見学の旅がある。早々に荷物をまとめてバスに乗り込んだ。

夕映えの宿 汐美荘
新潟県村上市瀬波温泉2-9-36
0254-53-5858
http://www.shiomiso.co.jp
PS 酒蔵見物ツアーの残りの記事は次週末に掲載します。
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2008年02月02日
大洋盛
新潟県村上市「大洋酒造」に行った。

大洋酒造は新潟県では中位に位置する酒造メーカーだ。戦時下での米不足のため政府の指導により14の酒造業者が1945年に合併、新会社を設立した。その一つは1635年創業で井原西鶴の好色一代女にも記述があるという。〆張り鶴で知られる宮尾酒造も含まれていたが、その後独立して母体より今は大きくなってしまった。
規模が小さいからといって酒の品質が落ちるわけではない。吟醸酒市販の草分け的存在として知られ、関東信越国税局酒類鑑評会において18年連続入賞等、数多くの受賞回数を誇る。最高品質を維持することが最高の宣伝ということだろう。

中堅メーカーなので釜は中を覗き見れる程度の大きさなのが嬉しい。ブクブクと泡立ち発酵する様を見ることができた。
踊り場のところには少し大きめの幼児用ビニールプールのようなものが置かれていた。大洋酒造でも機械化が進んでいるが、鑑評会用の酒の仕込みはストップウォッチ片手に手作業で行われるとのこと。プールはその仕込みに使われる。
試飲会

お目当ての試飲会。ラッキーなことに出来たばかりの今年の鑑評会用酒の絞りたて大吟醸酒第1号が右端に2本用意されていた。鑑評会用なのでラベルはない。工場見学でなければ飲めない酒だ。山田錦を母に、五百万石を父に持つ新潟県開発新米「越淡麗」100%で作られた大吟醸酒。
香りが高く甘い。甘いといっても砂糖の甘さと違いあっさりとしている。お菓子は食べた後、口がべとつく感じが残るので嫌いだが、大吟醸の甘さは心地よい。
限定大吟醸

帰りに寄った酒屋で見つけた大洋盛大吟醸。鑑評会用の酒がこの酒の元になる。2月発売の予約を取っていたが、我々は一歩先んじて、しかも原酒を飲んだわけだ。
当分の間、銀髪と飲みに行く人は、この自慢話を聞かされることになる。覚悟しておいて欲しい。
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2008年01月25日
[雲海](富山)
ANAクラウンホテルプラザ富山の鉄板焼き

2006年末に全日空はホテル部門の大半の株式をインターコンチネンタルグループ(IHG)に売却した。各地のホテルは直営とフランチャイジーに分かれるため、売却後の名前は全日空ホテル、ANAインターコンチネンタルホテル、ANAクラウンホテルプラザなどバラバラになってしまった。
地方に行ってホテルで食べるのは不本意だが、冬の雪国でブラつくのも辛い。簡単に妥協してホテルのエレベーターに乗り込んだ。鉄板焼きは最上階にあるはずとエレベーターを降りたら中華料理屋とバーしかないので戸惑った。経営と同様に場所も変わったかのと一瞬思ったが、金沢と勘違いしたことに気付いた。エレベーターに戻り5階で降りた。
かぶら寿司、寒ブリ

富山県氷見の名物が二つ。前菜としてはちょうどいい。なれ寿司は好き嫌いが分かれるがブリは脂の乗りがよくて文句ない。氷見の寒ブリはブランド化しており、地元で食べることが難しくなっている。高値で売れる東京の方が手に入りやすい。流通網の整備は地元に富をもたらすかもしれないが、庶民の食卓からは遠ざかる。
ホイル焼き

鉄板の上で焼かれていたホイル焼きの中身は、丁寧に皿に移し替えられて目の前に来た。
ステーキ

金沢の全日空ホテルでは宮崎牛だったが、この日の富山は仙台牛。もろみを加えたソースが意外と美味しかった。酒飲みの銀髪でもご飯が欲しくなり一杯食べた。他の3人はお代わりをした。
経営が変わってから大阪、広島、博多、富山の全日空IHG系列ホテルに宿泊した。客室が一番変わったのが富山で、普通の枕の他に抱き枕までベットの上に置かれたいた。
朝食が一番いいのは以前と同じ博多全日空ホテル。目の前で作ってくれる明太子入りのオムレツの得点が大きい。
鉄板焼きは富山の方が金沢より良かった。金沢で食べたのは随分前だから今は分からない。
IHGグループ主導になっても従業員は殆ど変わらないそうだ。それでも少しずつ変化は見える。真価が問われるのは観光シーズンが始まってからだろう。
雲海
富山県富山市大手町2番3号
076-495-1111(代表)
http://www.anahotel-toyama.com/restaurant/unkai.html
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2008年01月23日
[一心](長野)
長野にも立派なふぐを出す料理屋がある

長野出張では昼は蕎麦屋、夜は美山亭のような信州牛を出す店が定番だ。今回も部下が牛肉料理屋をアレンジしてくれるものと思っていたら、河豚だというのでちょっとがっかりした。しかし料理の選択権は銀髪にはない。地元の人は、滅多に食べられない河豚を選んだ。
思ったより小さな入り口の一心を見つけて中に入る。予約時に料理を頼んでいたのですぐに食事がスタートした。
ぬた和え、ふく刺し

刺身は端が皿から浮き上がり、花びらのように美しい。3人に一皿なので、みんなが遠慮して食べ辛いのが難点だ。一人前ずつの小皿では技が見せられないのだろうか。
鍋

焼きふぐも唐揚げもなく、鍋になってしまった。任せっぱなしだと好みのものが食べられないのが残念だ。6人で鍋は二つでこちらは銀髪が鍋奉行となった。骨の部分から先に入れ、最後に野菜で食べごろになる。向こうの鍋奉行は皿を持ち上げ全ての具を一気に鍋に流し込んだ。初めての人は驚きあきれ返るが、銀髪からするといつも見る光景だ。
白子焼き、白子の茶碗蒸し

鍋の途中でコースとは別に頼んだ白子がやってきた。茶碗蒸しが一心オリジナルの自慢料理とのことだったので、銀髪だけ茶碗蒸しを食べることにした。銀髪の気持ちを察してくれた仲間が白子焼きを1個分けてくれたので、食べ比べをすることができた。
茶碗蒸しは悪くないが、やはり焼きにはかなわない。
雑炊、葛きり

ふぐがそれほど好きではない仲間が待ち望んだ雑炊の時間だ。他の人たちは鍋でお腹が一杯なので味見程度に食べる。
デザートを食べて、お開きに。階段を下りたところで店主親子がお見送りをしてくれた。跡取りを控えてにこやかな大将と大きな息子。いい雰囲気である。
店を出て南に下りアーケードを歩いた。既にシャッターが閉まった店が目立ち、気温より寒く感じる。それから1時間超が過ぎて2次会の店を出たら、意外なことに街に活気が出始めていた。
どこの街にも酔っ払いがいる。負けてはいられないと次の店を目指した。
一心
長野県長野市権堂町3丁目
026-235-4054
http://issin.freebook.jp/
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2007年12月15日
[銀鱗]②(富山)
昨日の続きです

涙、涙(?)の女将の苦労話を書いていたら、料理の話が中途半端になってしまった。この日のメインはズワイガニ、準メインは寒ブリだが、脇役だって負けていない。富山の名産品も食べることにした。
黒作り

オーストラリア・メルボルンに駐在していた20年前、富山出身の部下がお土産にくれたのが最初の出会い。気に入って自分でもよく作った。金沢の魚市場で添加物がたくさん入ったものをつかまされたが、富山空港で無添加のものが買える。銀鱗の黒作りは自家製で、空港のものより塩分が少なく美味である。
五箇山豆腐

豆乳ににがりを入れて固めるまでは普通の豆腐と一緒。これを布を敷いた型に入れ、重しを乗せて水分を抜くので固い。藁で縛って持ち上げても崩れないと言われるそうだ。
箸で簡単につかめるので食べやすく、しっかりした味わいがある。水切りの必要がないから揚げてもよさそうだ。麻婆豆腐にしてもうまくいくに違いない。
げんげ

魚津の名産らしく、冬が旬の深海魚とのこと。幻魚と書いてげんげと読ませる。深海魚なので幻の魚と言われれば貴重品みたい。もっとも下の下と蔑まれる魚だったとも言われ、かつては名産品とは程遠かったそうだ。唐揚げにすると品のいい白身魚で意外と美味しい。
ぶり寿司、かにごはん

ほぼお腹一杯だがみんなご飯を食べたがる。ます寿司は有名だが、最近はぶり寿司も人気で、空港の売店にも数種類売っていた。
それでも、やっぱり、かにごはんが美味い。ベニズワイガニか雌カニが入っているのだろうが、これはこれで大変結構だった。
タクシーを待つ間に真鯛、石鯛がわずかに泳ぐ生簀を半周した。蟹は別の水槽にいるが、我々が食べたような見事なズワイガニはいない。観光客が来ない冬場の富山は淋しい。全日空はあるがJALは富山便を廃してしまった。富山は空港から市内まで約15分と福岡、松山と並んで便利なところである。深層水に満たされた天然の生簀の魚を、食べに来る人がもっといてもいい。魚介類は冬が美味しいに決まっている。融雪システムが整っているので多少の雪なら交通に支障はない。
雪を見ながら一杯というのもおつなものだと思うがいかがだろうか。
いきいき料理 銀鱗
富山県富山市布瀬本町4-8
076-424-7156
http://www.ginrin-toyama.co.jp
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2007年12月14日
[銀鱗](富山)
冬の富山、ズワイガニ

部下が富山出張を企画してくれた。「でかした!」と褒めたところからが大変。料理屋の選択に迷った末に、安全策を取って以前に行ったことがある銀鱗を予約する。通常ならこれで終りだが、ズワイガニがあるか確認した。産地といえども高価なズワイガニをその場で頼んでもないことが多い。「当日水揚げがあるかどうか分からない」と曖昧な返事をもらって電話を切った。2日前に女将から電話がかかって来た。首尾よく手配できたと声が弾んでいる。

個室に通されて待つこと5分、ズワイガニとご対面。一杯が23,000円、新湊のタグが付いた立派なズワイガニである。刺身、茹でガニの2種類の料理を頼んだ。刺身の舟には氷見の寒ブリを添えてもらう。
刺身、茹でがに

刺身は活がにでなければ味わえない貴重なものではあるが、味は茹でた方が上だ。身が詰まって甘く、東京で食べるものとは明らかに違った。
かにみそ、甲羅酒

女将がやってきた。立派なズワイガニを提供できて満足気である。銀鱗は38年前にファミリーレストランとして開業、24年前に生簀割烹に姿を変えた。北前船が出港した神通川河口の港町・岩瀬にあった蔵元の屋敷を移築した。自らの左手を富山の地図に見立てて、歴史を説明してくれる姿は堂に入っている。
とっくり

出来損ないと思ったゆがんだとっくりは、白と黒の雷鳥を模した女将の自慢の品。生簀は博多に何度も足を運び稚加栄を参考に造ったそうだ。
生簀の水は富山湾の深層水を使っている。富山湾の容積の約6割を占めるのが300m以深にある低温の日本海固有水=深層水である。栄養塩が多く高ミネラル、きれいな水として知られている。滑川、入善の2箇所から汲み上げられる。
生簀の魚も喜んでいるが、年1回の入れ替えは大変な作業とのこと。移築も大変、生簀も大変。無謀だと言うコンサルタントの忠告を振り切った女将と旦那。応援したくなるじゃありませんか。
いきいき料理 銀鱗
富山県富山市布瀬本町4-8
076-424-7156
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2007年11月13日
[可ん寅](名古屋)
名古屋の老舗ふぐ料理屋のお味は?

行き当たりばったりで適当な店に入ろうと街をうろついた。国際ホテルの前の通りを歩いていたらいい感じの店を見つけた。扉を開けて中を覗くと商売人の女将につかまる。運良く(?)席が空いていたのでココに決めた。昭和9年(1934年)創業の老舗と教えてくれたのはメニューを持って来た仲居さんだった。
アラカルトで頼もうとしたらコースの方がお徳だと言われた。コースの品はアラカルトに比べて貧弱なはずだと粘ったが、仲居さんは譲らないので従った。焼きふぐや唐揚げも食べたかったが、ご馳走になる身で贅沢は言えない。
お通し

刺身

皮はタップリあるが、それに比べて身は少ない。アラカルトの刺身を見ていないので何とも言えないが、予想通りだった。味はさすがに老舗らしく文句はない。
ふぐ寿司、鍋のふぐ、雑炊

鍋の料理は仲居さんがよそってくれる。身だけ先に食べさせるだけあって、これは美味い。次に野菜や豆腐を食べて、雑炊となった。
コースなのでデザートもある。それほど甘くなくてホッとした。
さすが名古屋随一と手放しで褒めたいところだが、ヒレ酒はいただけなかった。他の人のヒレは良く焦げて美味そうだったが、銀髪のものは色が出ないし味もよろしくない。神田満寿家のヒレは遠火でじっくり炙るので焦げてないが味は深かった。
仲居さんに「焼きが甘い」と言ったら、ヒレにはいくら焼いても焦げないものがあると言われた。焦げないヒレなどあるだろうか。仕方がないので新しいのを欲しいと言ったら、「注ぎ酒は何杯でもいいが、新しいのは1人1杯だけ」と拒絶された。
老舗料理屋にはちょっと勘違いしている仲居さんがいる。先方はちょっと勘違いしている客だと思ったかもしれない。場を壊したくないので引き下がったら、他のみんながヒレを譲ってくれると言う。お代わりを出来ないのに優しい人たちだ。
勘定が済み、高温の注ぎ酒をズボンにかけられた仲間共々、何事もなかったようにニコヤカに店を出た。僕ら大人だね。
可ん寅
愛知県名古屋市中区錦3-22-12
052-971-4116
http://www.kan-tora.com
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2007年09月16日
[名古屋マリオットアソシアホテル]
高級ホテルのパーティー

高級ホテルのパーティーにしばしば招待を受けるが殆どが立食で、着席して食事する数百人規模のパーティーは久し振りだった。しかも1人で乗り込んでいくのは約15年ぶり。日本人は仲間内だけで固まり、見知らぬ相手が輪に入ってくるのを歓迎しないので1人でパーティーに参加するのは憂鬱である。
自分のテーブルを探し出し、同じテーブルの人たちと名刺交換した。銀髪から時計回りにA氏。B氏はA氏の部下。C、D氏とE、F氏がそれぞれ同じ会社で4人とも若い。G氏が銀行の支店長で最年長。その横はまだ無人のまま。会が始まってもまだやって来ない。そしてその横が銀髪で一巡する合計9人の丸テーブルだった。

「飛騨牛のコンソメを添えた魚介類 夏野菜を添えて」に次いで「フォアグラのブラマンジュ オレンジ風味の冷製スープと共に」が出る頃にH氏がやってきた。名刺交換すると証券系企業の部長さん。気を遣って話しかけても曖昧に応えるだけで乗ってこない。
CDEFの各氏は以前からの知り合いらしく、同年代のB氏を交えて話が盛り上がっている。銀髪は幸いA氏と旧知だったので楽な道を選び、H部長をG支店長に委ねた。

「淡白な味わいのヒメジのポワレ オリーブとトマトのソースを添えて」の後にパイナップルのシャーベットで口直しをしてメインの「特製牛フィレ肉のプレゼ ポルチーニとマスタード風味ソース」が出てきた。
前の二品に比べて、その後の二品はもう一つ。数百人の客に同時に温かい料理を最善の状態で出すのは難しい。東京六本木のグランドハイアットでは見事なステーキに感動したけれど…
食事をしながらG支店長、H部長の様子を窺うと、二人はまったく会話をしていない。助け舟を出してやろうかと思ったが、年下の自分が出しゃばることもないだろうと遠慮した。そもそも二人とも助けを求めている風でもない。

デザート(「ヨーグルトとパッションフルーツのデザート レモンのシャーベット添え」)が来る前にH部長が立ち上がったのには驚いた。おそらく立食と思って来たのだろう。名刺を置いて、知っている人に挨拶して早々に帰るつもりだったに違いない。我々同じテーブルの人にとっては存在感のない人だった。
若い連中はG支店長が居ることを、名刺交換した時点で忘れ去っているようだ。目を合わせることすらしない。G支店長も自ら話しかける気はなさそうだ。隣が賑わえば賑わうほど、G支店長の孤立感が際立ってくる。
コーヒーを飲み始める頃に終りの挨拶が始まった。新幹線のゆりかごで眠るまであと少しである。G支店長の苦痛のときが去るのももう少し、と思ったが余計なお世話だったかもしれない。
人の観察が面白すぎて、立派な料理の味の記憶が殆どない。これだけのパーティーで肉の焼き方や給仕するスタッフのレベルを云々しても仕方がない。パーティーでは、料理よりも一期一会を楽しみたいと思うのだけれど、皆で努力する気持ちがなければ叶わぬ望みだ。
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2007年09月01日
うなぎ弁当
駅弁食べながら帰ろう

東京発で駅弁を買うときはいつも迷う。散々迷った末にいつもトンカツ弁当を買ってしまう。トンカツが好きだからということもあるが、いざ出陣の景気づけでもある。
東京に戻るときは、土地の名物料理になる。中部地区なら鰻を買うことが多い。
名古屋発

名古屋駅で買った駅弁はひつまぶしと名古屋コーチンの二大名物弁当。土用丑の日が近かったので鰻弁当を買おうと決めていたのに、二大名物の文字に負けてしまった。鰻も名古屋コーチンも貧弱だったが、タレが染み込んだご飯が美味しかった。
浜名湖発

日が替わって今度は浜松駅。新幹線の発車時間まで15分しかない。駅前の有名店「八百徳」に行きたかったが、断念せざるを得ない。そう思ったところで閃いた。お弁当があるかもしれない。八百徳に行き、店のガラスケースの中にお弁当の文字を見つけて喜んだ。勇んで店内に入り「お弁当ください!」と言う。「これから焼きますので10分ほどかかります」と返ってきた。次々に入ってくる客を見て諦めた。時間が守られる可能性は殆どないだろう。
駅ビルに戻ってお土産物屋が並ぶ店内を見渡した。思ったとおり鰻の専門店があった。ここで鰻の長焼き弁当を買った。嬉しいことに保温室から出してくれたお弁当は温かかった。
冷めていると気にならないのだが、列車がホームに入ってくるわずか5分をイライラして待つ。席について包装紙を破ろうとして思い止まる。まず写真である。
八百徳の蒲焼を食べ損なった悔しさは一口食べて吹っ飛んだ。期待していなかったこと、お腹が空いていたこと、など美味しく食べられる条件は揃っていたが、1,260円と考え合わせると充分満足できた。包装紙を見ると浜名湖山吹(http://www.yamabuki.co.jp)とある。昭和23年に浜名湖で鰻の養殖を始め、昭和49年に浜松市に飲食店を開いたとのことで、全国の有名百貨店などでも販売している鰻屋だった。
お腹が一杯になったところでちょっと昼寝。揺れる列車はゆりかごのようで、まさに至福の時だった。
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2007年08月31日
[とことん家](名古屋)
こんなところでと言っては失礼だけど

5時過ぎに国際ホテルのロビーでお客様と落ち合った。何店か候補を調べてきたので、彼の好みを聞いて1軒目に電話をした。予約が一杯で入れない。2軒目に電話したら、開店は6時で時間厳守という。仕方ないので、国際ホテル並びにある「とことん家」に入って時間待ちをすることにした。
元気のいいドスのきいた声の女性に導かれて店内に。6時を過ぎたら道路に客が溢れる店も、この時間ならまだ客はまばらだ。焼きとんは嫌いではないどころか好きな部類だが、時間待ちなので軽く数本だけ頼むことにした。一杯だけ生ビール。
お通し

お通しのキャベツはこの種の店の定番だが、つけるソース皿のでかいこと。
とんやき、ちくわ

とんやきとはありきたりのものと思ったが、店員に念のため聞いてみた。大腸とだと言われて興味がわいて頼むことにした。皮のような微妙な食感はとても楽しめた。
焼きとん屋でちくわなんか、と思ったら大動脈。馬は食べたことがあるが、豚は多分初体験。面白い。
おっぱい、せせり

おっぱいはすぐ分かる。それでも何か言いたいのがオヤジの習性。「雄のオッパイかい?」と聞いたら「雌に決まってるでしょ」と言う。「そんなことあるかい、俺だってオッパイあるぞ」と蒸し返すと店員は黙り込む。してやったりとニヤつくオヤジ。困ったもんだ。
楽しくなってきてビールを追加する。おっぱいまでで終りのつもりがせせり(首の肉)を追加した。全員ここに居座ることを決めてしまったようだ。さっき電話した店は忘却の彼方に。
どて焼き、味噌カツ

「名古屋はどて煮、大阪はどて焼き」と銀髪が講釈をたれる。焼酎に移ってとことん家自慢の味噌カツを食べるが、熟知している名古屋名物にはみんな手厳しい。
口直しにおっぱいを追加。やっぱりこれが一番いいらしい。もちろん味が…
とことん家
愛知県名古屋市中区錦3-24-2
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2007年08月27日
[十々八](富山)
富山の庶民的な店

店選びはお客様に下駄を預けた。案内された店が十々八だった。小路を挟んで会席中心の店と、アラカルト中心の店がある。我々は我侭がきくアラカルト店のカウンター席を選んだ。目の前で大将と話も出来る。
お通し、岩がき、白えび

お通しはスケソウダラの肝と卵の煮付け。捨ててしまいそうな肝も、このように料理すれば美味い。
地物をと頼んだら、ふくらぎ、赤いか、ひらめ、甘エビ、バイ貝を切ってくれた。聞きなれないふくらぎとははまちのことだが、富山では天然物をふくらぎ、養殖物ははまちと区別する。天然物にのみ地元の呼称を使うのは一種の郷土愛だろう。他に岩牡蠣と白えびの刺身を食べた。
昔、白えびはそうめんのだしぐらいにしかならず、形状からヒラタエビと呼んで下魚扱いだったらしい。身が薄いため殻がむけず、刺身にできなかったためだ。ところが、ちょっと冷凍すると簡単に身が押し出せることが分かった。乾燥してだしにするか、着色して桜えびの偽者の汚名を着せられていたものが、富山の代表的な海産物に出世した。
ばい貝、あさり焼き

はちめ塩焼き、かれいの煮付け

はちめとはメバルのことだ。冷蔵ガラスケースの中にのどぐろと一緒に仲良く並んでいた。刺身で食べたかったが、どちらも塩焼き用と言われてしまった。
焼き物と煮物でお開きにした。
本来ならもう少し飲み続けるところだが、店を出ることにした。運良く「おわら風の盆」の時期にぶち当たったためだ。本来の祭りは9月1日から3日間だが、8月20日から各町が順送りで踊りを披露する。小さな町の住民だけの祭りだったのが、石川さゆりの「風の盆歌」のヒットで一躍有名になった。期間中に20万人も訪れるという。

渡辺淳一の「愛の流刑地」で、主人公・村尾は不倫相手・冬香の美しい仕種の秘密を風の盆に見出す。スローモーションを見ているような優雅な踊りだ。目の前で踊る中に冬香を思わせる女性を探したが、無駄な努力はやめて富山市内に戻ることにした。見つけても村尾のようにできる訳ではない。
今夜は無風。熱帯夜で踊る人たちも辛かろうが、見る方も辛い。本番では風の盆らしく風が吹けばいいけれど。
富山駅近くの飲み屋に入って飲んだビールが美味かった。ビールの後に飲んだ地元の酒にも満足した。我々が手にすることができるものは所詮そんな程度だ。
富山いきいき亭 十々八(ととや)
富山市桜木町
433-3668
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2007年08月26日
[夜来香](名古屋)
みんなが大好きな餃子

「最後の晩餐は絶対ビールに餃子ですね」と言ったら、お客さんが「名古屋で一番美味い店に行こう」ということになった。最後の晩餐でなくとも美味い餃子ならいつでも歓迎だ。
夜来香の店名を見て随分歴史のある店かと思ったが、案の定創業50年を超えるという。夜来香と聞いて李香蘭(山口淑子)を思い浮かべる人はかなり年配の人だ。中年族はテレサ・テン、若い人は劇団四季のミュージカルを思い出すに違いない。もっとも、結局はどれも李香蘭に繋がる。花の名前に結びつける人はいくらもいないだろう。
名古屋栄の夜来香は、お客さんが言うとおりマスコミなどでも紹介される餃子が評判の店だ。小振りな一口餃子なので、ビールのつまみにはうってつけだ。

写真の餃子は4人前。餃子とビールのセットで680円という格安価格も人気の理由だ。メニューを見るとラーメンは殆どが500円台。その他のメニューも600円~800円だ。
後から入って来て右斜めに座った女性二人。品のいいお母さんと、30歳前後の美女。お母さんは我々に背を向けて、美女がこちら向きと理想的な位置取り。2人が頼んだのが夜来香定食と餃子定食で各850円。量が多く、遠目に見てもお得なセットであることが分かる。残すのではないかと思ったが、見事に完食した。
餃子を裏返して盛り付けるのは、焦げ目の鮮やかさを引き立たせるためだと思っていたが、大量に盛られた餃子を見て今更ながら気付いたことが一つ。焦げ目のパリパリ感を保つための工夫に違いない。焦げ目を下にしたら時間が経つとグチャッとなる。
いつも見ている当たり前の光景でも、一瞬に閃くことがある。すぐに食べきる量だったら気付かなかったが、大皿一杯の餃子を見て閃いた。酒をだらだら飲む我々の前で、夜来香の餃子は最後までパリパリに頑張っていた。
夜来香
愛知県名古屋市中区栄3-2-112
052-241-4050
http://www.eiraishan.com
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2007年08月05日
[なんでんかんでん](名古屋)
世田谷環七通りの超有名店の名古屋進出1号店
お詫び: 8月1日夜にサーバーがダウンしました。復旧作業をしておりますが、今も画像が表示できない状態が続いています。画像は
食べログ http://u.tabelog.com/ginpatsu/
Yahooブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hn2460jp
でお楽しみください。
飲んだ後のラーメンをようやく我慢できるようになったが、出張したときは誘惑に勝てない。ホテルだから翌朝ゆっくりできると思うとついつい酒量は増える。脳は麻痺してラーメン屋を探すことになる。名古屋で麺といえばきしめんか味噌煮込みうどんだが、飲んだ後はやっぱりラーメンがいい。行き当たりばったりだが、どこか聞き覚えのある店に入った。
「骨のズイまで博多たい」とあるのに看板には東京環七発とある。ラーメン通ならとっくに分かるはずのヒントが、ちっとも役に立たない。九州じゃんがらラーメンや博多天神など殆ど東京でしか見ないチェーン店も多いので、博多発でなくてもさして気にならない。
テーブルには定番の紅しょうが、胡麻がある。ニンニクは一片を自ら潰すようになっているのがいい。そして辛し高菜が入れ放題なのが嬉しい。入れすぎに注意と言われても、スープが真っ赤になるほど入れるのが好きだ。
ラーメンが出てきた。カルシウムで書いた文字が入った海苔が面白い。ラーメン通なら先刻ご承知のなんでんかんでんが特許を持っている文字海苔だ。スープが熱いので合格。
翌日会社に戻って調べたら、環七で夜間渋滞をひきおこしたとも言われる有名店。住所の羽根木を見てようやく思い出した。
福岡から小学校6年のとき東京に転校。初めての週末に「ねず山に野球をしに行く」と朝早く家を出て夕方まで戻らなかった。まだ不案内な東京で、迷子になったと心配した家族が総出で探し回った。
しかし、家族は「ねず山」がどこかさっぱり分からない。地図を見てもそれらしい地名はない。それもそのはず「ねず山」とは子供たちしか知らない羽根木公園の俗称だったのである。
味が落ちたとラーメン通にけなされている「なんでんかんでん」であるが、羽根木と聞いただけで応援したくなってしまうのだから不思議なものだ。
味? ニンニク入れて、スープを真っ赤にして、なんでんかんでん入れたので、本来の味はよくわからんが、充分満足してホテルに戻った。
翌日体重計に乗って青くなった。鼠でも学習するのに、50オヤジは反省するが学習しない。のん兵衛は死ぬまで治らない。
なんでんかんでんのHP
http://www.nandenkanden.com
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2007年07月10日
[小沢](静岡)
静岡おでんは食べ損なっちゃったけれど

30℃を超える日、汗を垂らしながら青葉おでん街に向かった。冷たいクーラーの冷気の下で飲むビールが頭の中でどんどん膨らんでいく。おでん街に着いて息を呑んだ。クーラーはなく、蝿や猫が大好きな店ばかりのように見える。「入るか?」と聞いたら「銀髪さんが入りたいなら…」と言われて止めにした。嫌がる相手に無理強いするのは本意でないので、近くのこぎれいな店・小沢に入った。
クーラーの風が心地よい。カウンターに座り、ビールが出てきたところで「静岡おでんを食べに来たけれど、おでん街に入る勇気が出なくてね」と言ったら女将の顔が曇った。「うちは東京おでんなんです。静岡おでんを食べたければ他に行かれていいですよ」と言われたが、暑さの中に戻る力は残っていなかった。
魚ソーメン、水茄子、椎茸

「私は料理人ですから」と胸を張る女将は会社員に嫁ぐために静岡に来て、11年前に店を持った。もともとは洋食が専門だが、女性一人でやれる料理としておでんを選んだとのこと。食材は全国から一流の品を揃える。おでん種も鱧やグチなど高級白身魚を使い、オリジナル商品を東京の練り物屋と共同開発するそうだ。
オリジナルおでん各種

自慢のおでんが次々と出てくる。部下と分け合いながら、全品種食べようかと思ったが、果たせなかった。静岡おでんの話を持ち出したときに険しい顔をした女将だったが、既に満面に笑みを浮かべ饒舌になっている。素材、料理にこだわる料理人すべてに共通する姿だ。
かばんからMy一味(黄金一味)を取り出し、女将の許しを得てだし汁に入れた。澄んだ汁を赤で濁すことのない黄金一味がよく合う。黒七味を置いている店だ。思ったとおり味見をした女将も気に入った様子なので、黄金一味は進呈することにした。薬味のトレーにきれいに納まり、まるで以前から置いてあるように見える。常連さんたちも気に入ってくれればいいけれど。

お返しとばかり、わさび漬けをくれた。混ぜ物なしのわさび漬けも女将が選んだ本物だ。東京に戻り我が家にあったわさび漬けと比較したら、女将が言ったとおり明らかに違う。
静岡おでんは食べ損なったが、いい店、いい料理人に巡り合った。
「いい物ばかり使っていては儲からないと、税理士に怒られるんですよ」と笑う女将が、税理士の忠告に従う日は永遠に来ないだろう。
小沢
静岡県静岡市葵区常磐町2-2-1 ライブネット青葉ビル102号
054-255-4820
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2007年06月08日
[宮鍵](名古屋)
明治32年創業の老舗のお味は?

「宮鍵に行きたい!」と店を指定された。有名な老舗料理屋と聞けばグルメ紀行の取材の対象としても文句はない。「予約が必要ですか?」と電話したら「少人数なら大丈夫です」と言われて、宮鍵の凡その姿は想像できた。
美女2人を連れて店に入ると「鍋なら2階」と言われたが、彼女たちのお望みは鍋ではなかった。そのまま1階奥に座ってメニューを見た。夜だというのにいきなり美女Aは櫃まぶし、美女Bは親子丼を食べるという。それではあまりに味気ないので、おつまみを数品頼むことにした。
しもふり、わさびあえ、とりサラダ

宮鍵の自慢はかしわ(鶏)料理。かしわさしみは夏季(5月~)なので頼めない。もつの類を美女たちは嫌いだという。苦心して何とか2人が食べそうなものを選んだ。上の3品の中ではわさびあえが好評だった。
やきとり、うなぎの肝焼き

焼き鳥というと、串を刺さないのが名古屋の流儀。老舗らしく流儀をしっかり守っている。
宮鍵のもう一つの自慢料理はうなぎ。ところが美女Bはうなぎが嫌い。どじょう、はも、ぎんぽうなどの形状のものは受け付けないらしい。全部1人で食べるつもりで肝焼きを頼んだ。うなぎが名物なら、肝は欠かせない。これも串に刺さずに出てきた。立派な肝で美味かった。
櫃まぶし、親子丼

美女たちは殆どお酒を飲まない。目的の櫃まぶしと親子丼に取り掛かった二人を前に、ゆっくりと盃を口に運ぶ銀髪。櫃まぶしは食べきらなければ手伝ってやろうと思ったが、意外と小さくて味見だけさせてもらう格好になった。元祖の「あつた蓬莱軒」が2,520円に対して宮鍵は2,200円だが蓬莱軒の方が量が多くてお得感がある。
親子丼は鳥ひき肉を使う変り種だ。これを目当てに来る人も多い。
ご飯でお腹を満たす気のない銀髪は、残りの熱燗をチビチビやりながら二人が食べ終わるのを待った。とっても楽しみにしていた美女2人との宴はあっけなく幕を閉じた。後日宮鍵では鍋を食べるべきだったと美女Aに言われた。もっと早く言ってくれ!
満腹になってホテルでマッサージをやってもらうと微笑む2人。外は雨。傘を持たない美女たちに、お店の主人(?)が傘をあげると親切だ。せっかくの好意を断った美女たちを乗せて、タクシーは名古屋観光ホテルに向かって走り去った。主人は傘を持って店に引っ込んだ。
銀髪は相合傘に適当な大きな折り畳み傘をかばんから取り出して広げたが、一緒に歩く相手はいなかった。名古屋駅までトボトボ歩き、酒と肴を買って新幹線に乗り込んだ。新幹線が走り出して30分後に酒はなくなり、睡魔が襲ってきた。眠りにつく前に、美女との心地よい宴がせめて夢の中で繰り広げられることを祈ったが、最後まで叶うことなく旅は終わった。
宮鍵
愛知県名古屋市中村区名駅南1-2-13
052-541-0760
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2007年05月20日
豊橋四川飯店(豊橋)
陳建民の流れをくむ料理長が腕をふるう中華料理店。

豊橋で一番の中華料理店はここだろうということで予約を取った。5時半と早めのスタートだったが手前の狭い部屋に既に先客がいた。誰も居ない奥の広めの部屋に通されるかと思ったが、先客と一緒の狭い部屋に6人用テーブルがセットしてあるのが見えた。
不満気なパートナーをなだめて席についた。コース料理にしようかと一度は考えたが、ラーメンが食べたい、辛いのがいい、逆に辛いのは駄目だ、などなどみんな注文がうるさい。それぞれの好みを洩れなく採用して分け合うことにした。
くらげ、海老マヨネーズ、ホイコーロー

先客3人組にはウエイターが小皿に取り分けて出しているが、こちらの6人にはやってくれない。彼らは多分コース料理を食べているのだろう。仕方なくメンバーの1人が6等分しようとするが見ていられない。銀髪が最後まで給仕役をすることになった。
おこげのあんかけ、海老チリ、五目ラーメン

湯気も立ち昇らず、パチパチと弾ける音もしないおこげのあんかけは寂しいものがある。「ラーメンも順番を考えないでいいよ」と言ったので、途中に出てきた。それにしてもフカヒレまで順番を考えないで最後に出てくるとは思わなかった。パートナーが苛立って催促してようやく口にすることができた。
フカヒレスープ、鶏とカシューナッツ炒め、ピリ辛チャーハン

フカヒレスープに赤酢を求めたらウエイターがキョトンとしている。上役が出てきて置いてないと言われた。四川料理では使わないのかもしれない。鶏のカシューナッツ炒めとピリ辛チャーハンを追加注文した。
チャーハンは辛さに気合が入っていて良かった。大満足の銀髪だが他の人の助けは僅かで、オーダーした責任を取らされて満腹になった。口の中は火事になっている。
最後に杏仁豆腐を食べてお開きに。サービスには不満が残ったが料理の味はまずまずだった。他の連中はバーミヤンや餃子の王将と比べて絶賛していたが、料理長は喜ばないだろう。
クレジットカードを手にしたパートナーが勘定書を一瞥すると、クレジットカードを引っ込めてお札を2枚出した。それでも小3枚+コインのお釣りがあった。支払った後で再びバーミヤンと比較して喜んでいる。あれこれぶつぶつ言っていたのが嘘のようだった。
豊橋四川飯店
愛知県豊橋市駅前大通2-48 豊橋グランドホテル8F
0532-55-6221
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2007年05月19日
[甲羅本店](豊橋)
本店は意外なことに愛知県豊橋にある。

甲羅グループは蟹料理の甲羅本店だけでも全国に40店舗以上、他にも赤からなど10以上の異なる業態の料理屋を持ち、全国に100店舗以上の直営・フランチャイズ店を擁する大飲食店グループである。その本社が人口30万人の小都市・豊橋にあると知る人は少ないだろう。若き日の6年間を過ごした銀髪はもちろん知っているが、これほど全国展開しているとは最近まで気付かなかった。
久しぶりに豊橋甲羅本店に行った。地方都市らしく駐車場も広いし、店構えも立派である。季節はずれのせいか、生簀にはズワイガニが5匹しかいなかった。この中の一匹を料理してもらうことを決めて、部屋に向かった。
かに豆腐、かにシュウマイ、かに味噌

特上ずわいがに刺身、たらばちり造り

コロッケ、茶碗蒸し

どれも満足のいく料理だった。6人なのでそれぞれ2~3人前ずつ頼んだが、みんな行儀よく分け合って食べている。ご飯が欲しい人は酒飲みの銀髪に付き合ってはいられないとばかり、雑炊を食べ始めている。メインが食べられなくなると、人ごとながら心配しているところにその鍋がやってきた。
活ずわいがに鍋

生簀にいたズワイガニを目の前で調理する。10分間強火で、その後数分弱火にして出来上がり。ほんの少しレア気味で、完璧に仕上がった。こんな調理法は初めてだが、これが一番美味い。もちろん何もつけずに食べる。蟹の身は柔らかく、香りも豊かだ。一匹5,800円はお値打ちに思えた。冬であればもっと美味しいに違いない。
寿司盛合せ、かにセイロ

寿司に歓声が上がった。よほど気に入ったらしく、今も「美味しかったねー」と言われる。遠慮した銀髪の口には入らなかったのだけれど…
勘定を払って入り口の生簀を覗いたら3匹が消えていた。
甲羅本店
愛知県豊橋市東脇3-1-7
0532-31-0125
http://www.kora-honten.jp
因みに、料金と頼んだ数は以下の通り。酒代込みで合計27,428円でした。
活ずわいがに鍋5800 特上ずわいがに刺身1365×2 たらばちり造り1890×2
シュウマイ609×3 かに味噌525×2 かに豆腐472×3 かに雑炊840
コロッケ819×2 茶碗蒸し525×3 かにセイロ1365 寿司盛合せ1680
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2007年05月06日
[太助](浜名湖)
浜名湖といえば鰻は欠かせない

今年のゴールデンウイークの1日は浜名湖を一周した。湖西を出発して奥浜名湖・三ケ日方面を時計回りに走ることにした。ヤマハのヨットハーバー、寸座を過ぎたところで自転車道路が始まる。
いつも走る多摩川のサイクリング・ロードは込み合って危険である。突然道を遮るように向きを変える高齢者や気紛れな子供たちを縫って走るのは怖い。それに比べると浜名湖の自転車道路は連休にもかかわらずガラガラなので快適に走ることが出来た。
三ケ日近辺を走るとみかん、夏みかん、そしてデコポンなどが売られている。不思議なことに無人のタバコ屋さんが何軒もあり、みかんが入ったビニール袋が置いてある。タバコと清涼飲料水の自販機が置いてあるので、昔おばあちゃんが座っていたであろうガラスケースのある場所は、みかんのためだけにある感じだ。
鰻屋は多いと思ったが、観山寺を過ぎてからいざ入ろうとすると次の店まで遠い。潮干狩りの人で埋まった湖を横目に走り、弁天島近辺でようやく食事にありついた。勘を頼りに入ったのは太助、頼んだのはもちろんうな重、しかも特上だった。

内容を確認しないまま頼んだので3段のお重を見て驚いた。3,700円もするはずだ。蒲焼と塩焼きが1匹ずつに刺身。鰻屋で刺身なんて食べたくないと思うが、太助は生簀もある活け魚料理屋である。鰻も置いてある店と思ったほうがいいようだ。そうは言っても鰻のタレは大正時代からの秘伝のものだそうで、専門店と比べても悪くない。
刺身に付いてきたわさびをタップリ乗せて白焼きを食べた。甘い蒲焼より実は塩焼きが一番好きだ。酒の肴にしたいところだが、自転車でも飲酒運転はまずいので我慢した。唯一の心残りである。
汐焼き(塩焼き)

それにしても特上は失敗だった。それからのサイクリングは腹が膨れてしまって苦しかった。しかし、特上を頼まなければ塩焼きは食べることが出来なかった。すべてうまくいくとは限らない。
それから1時間以上も走った。最後に左足大腿部内側をつって激痛が走った。グルメ紀行も楽ではない。
太助
静岡県浜松市舞阪町弁天島3212-3
053-592-1919
http://www.yamamototei.jp/index.html
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2007年05月04日
[風来坊と千寿](名古屋)
旅のお供に名古屋名物を

いつもは最終の新幹線で帰る名古屋出張だが、少し早めに名古屋駅に着いたので近鉄パッセの地下食品フロアに入った。東京までの車中でお付き合いしてくれる酒の肴を買うためである。風来坊はすぐに決まった。名古屋名物手羽先の唐揚げで「世界の山ちゃん」と人気を分ける店だ。
もう一品何かないかと歩き回ったが、狭い店内ですぐに風来坊に戻ってしまった。一度は立ち去ろうとしたのだが、風来坊の向かいの天むすが気になって仕方がない。「5個は多いなー、酒の肴におにぎりはなー」と思いながらも買ってしまった。
8時10分発の新幹線に持ち込む酒に迷った。「ビールは腹が膨れるし、酒は酔っ払うし」と思いながら結局赤ワインのハーフボトルを買った。赤ワイン、手羽先、天むすとは妙な組み合わせだ。
さて荷物を抱えて新幹線に乗り込もうとしたら「止まる駅は京都、新大阪、神戸、…」とアナウンスされ発車のベルが鳴り始めた。大慌てで階段を駆け下り、別の階段を駆け上がり、同じ10分発の東京行きに飛び込んだ。自分の不注意を棚に上げて、同時刻に上下列車を発車させるJRを罵った。「駆け込み乗車はお止めください」のアナウンスにも反省の色はなく、胸をなでおろした。
風来坊の手羽先

個人的には山ちゃんの方が香辛料が効いていて好きだ。持ち帰りの店で買った冷めた手羽先で判断してはいけないので、今度はお店に行ってリベンジのチャンスを与えよう。
天むす

ついでに買った天むすだったが、銀髪を引き付けた強い魔力は本物だった。千寿が行列が出来る大須のみそ天むす屋さんとは知らなかった。銀紙に包まれた天むすはまだ暖かかった。海老だけ酒の肴にしようと思ったが、天ぷらの味がついたご飯も肴になる。米だけのところは残そうと思ったが柔らかくなった海苔がへばりついて捨て難い。一個食べて家に持って帰ろうと一度は包みなおしたが、結局全部食べてしまった。
山ちゃんで食べてから天むすは暖かいうちに食べるものだと知ったが、千寿の「めいふつ天むす」も大変よろしい。本店で出来立てを食べたらもっと美味いに違いない。「飲みすぎで味が分かるのかい?」と言われると頭を下げるしかないが、だからこそ本店に確かめに行かなければいけない。そう思いませんか?
ところで本店にはビール置いてあるかな?
めいふつ天むす 千寿
愛知県名古屋市中区大須4-10-82
052-262-0466
松坂屋駅店、近鉄名古屋駅店、セントレア店、松坂屋本店などの支店がある。
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2007年05月03日
[赤から](名古屋)
名古屋の新名物?

名古屋は味噌煮込みうどんや味噌カツなどの八丁味噌を使う料理が名物になっている。今まで食べたことがない名物料理を探していたら「赤から」にぶつかった。赤からオリジナルの新名物がどんなものか食べてみることにした。
取り敢えずの偵察にはランチが適当だろう。名物「赤から鍋定食880円」は失敗しても悔いが残らない。東洋ビル店は雨の日でも名古屋駅から傘もささずに行けるのがいい。
席に着くなり他のランチメニューを一瞥しただけで赤から鍋定食を注文した。

煮えたぎる鍋から直接食べると火傷しそうなので、小皿に取って食べてみた。我が家のキムチ鍋と変わらない感じ。キムチ鍋はキムチと唐辛子がメインのところが多いが、我が家ではコチジャンをタップリ入れる。コチジャンも赤味噌みたいなものだから、よく似た味になるのは当然だろう。
違いを探せば赤からの方が甘味が強いことだ。八丁味噌の甘味が唐辛子の辛さを中和しているせいか、舌はそれほど辛さを感じない。ところが次第に鼻水や汗が出てくる。山本屋の味噌煮込みうどんに比べると完成度はまだまだだが、具などを工夫すれば立派な新名物になるかもしれない。夜に皆で鍋をつついてみたいものだ。
夜では気付かないことも、昼だからこそ分かることもある。ご飯が美味しくない。白米にうるさい人は何と言うだろうか。
米の質か、炊き方か、あれこれ検証するより食べ方を変えたほうがよさそうだ。まだ充分熱い鍋にご飯を放り込んだ。固めのご飯がスープに馴染んで大正解だった。

スープだけ飲むには濃すぎる味だが、ご飯を入れたことにより最後まで楽しむことが出来た。もしかしたら、これが正しい食べ方だと思って周りを見渡したが、誰も銀髪のようにはしていなかった。右斜め前に座った若者はご飯をお代わりしていたので、名古屋の人は固いご飯が好みなのかもしれない。
東京は渋谷、六本木、西麻布、池袋に出店しており、全国北海道から九州まで多店舗展開している。店の数だけなら既に立派な名古屋名物になっているようだ。
皆さんの評価はいかがでしょうか?
赤から
http://www.akakara.jp/restaurant_list/index.php
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2007年02月26日
[白壁茶寮 東泉楼](名古屋)
北大路魯山人の器も所蔵する料亭

古美術商「松平」がプロデュースする数百万円もする名器を飾っている店と聞かされたが、格式張ったところは見当たらない。平成16年オープンというから比較的新しい店だ。茶室風の個室に通されたが、上を見るとコンクリート打ち出しの天井が見える。前の店の名残りだろうか。
ホタルイカ、椀物、お造り

ホタルイカは春を告げるいかだが、最大の産地・富山県の漁は3月1日が解禁日。混穫などで手に入れたものか、山陰産のものかもしれない。まさか料亭で冷凍品を使うことはないだろう。菜の花も春らしい。
お造りに添えられた小鉢はノレソレ。ノレソレとは穴子の稚魚のことで、これも春が旬の魚だ。何の説明もしないで料理を置いていく店の女性に代わって、銀髪がお客様たちに講釈をたれた。みんな気に入ったようだ。
焼き物盛り合わせ

会席料理には異例の4人分まとめての一皿。器と合わせた盛り合わせの妙を見せる演出なのだろう。
天ぷら、煮物2品

白身を紫蘇で巻いた天ぷらの下に敷かれた紙は油でじっとり濡れていた。隣を覗き込んだらそうでもなかったので銀髪の皿だけが例外だったのかもしれない。水分の多い白身の天ぷらは難しい。
ごはん、デザート

普通のご飯に具が殆ど入っていない味噌汁の組み合わせだったので、ぶっ掛けご飯にした。いわゆる「ねこまんま」である。もう数十年間やったことがない食べ方だったが、他の皆も面白がって真似た。料亭で「ねこまんま」とは、あまりに行儀がいいとは言えないが、昔を懐かしんで大いに盛り上がった。
デザートのイチゴは砂糖にまみれていかにも甘そう。これほど大胆に甘そうなデザートは見たことがないので、逆に興味が湧いた。実は砂糖を使っていないのかもしれないと思ってかじってみたら、しっかり甘かった。
愛知の名酒・蓬莱泉の空、久保田の万寿はそれぞれ1合2,260円で原価の3倍前後の値段で提供している。しかし、店の名を入れたオリジナルの酒・白壁茶寮が安くていい酒だったので、無理に空や万寿を飲む必要もない。酒の選択肢が3つとはちょっと寂しいが、一流料亭はどこもそんなもんだ。
今日は7,800円のコースを食べた。2万円のコースもあるそうだけれど、どんな料理か試したいような気もする店だった。
白壁茶寮 東泉楼
愛知県名古屋市中区金山1-7-10 金山名藤ビルB1F
052-321-7010
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2007年02月12日
[麦芽工房](長野)
長野の夜はまだ終わらない

游月の女将の紹介で女性の居る店に寄って、再び居酒屋に戻った。既にブレーキが効かない事態に陥っている。小腹が空いたので通常ならラーメン屋だが、信州ラーメンというのは聞いたことがない。最後に蕎麦という気にもなれない。信州味噌で味噌ラーメンでも売り出せばいいと思うのだが、そんな素人考えは迷惑かもしれない。
2軒目からわずかに歩いたところに好みの居酒屋を見つけた。遅い時間なので客はまばらだったが、いつものように迷わずカウンターに座った。
お通し

お通しはシンプルに大根と卵。おでんでは必ず食べる2品だから文句はない。
馬刺し

游月も馬刺しを置いていたが熊本産だったので食べなかった。熊本で散々食べたので、わざわざ長野で食べることはないと思った。麦芽工房の馬刺しは信州産。それなら食べる価値がある。居酒屋で高額の霜降り肉というわけにはいかないが、厚めに切った馬肉は噛むほどに味が出てくる。
あぶり姫たら

姫たらとはスケソウダラの子供。もちろん長野産ではないが、初めて食べた。ポルトガル料理でタラの干物をよく使うが、日本にもあるとは知らなかった。
地鶏鍋

「麦芽の地鶏鍋」は店名をつけるだけあって自慢の一品。鶏は信州松代真田地鶏と地元の素材なのが嬉しい。白濁したスープは博多風水炊きに似て美味。野菜などを煮込んだ後にラーメンを入れて食べると下手なラーメン屋よりずっと美味い。
若い料理長の半藤さんがまたいい。先日、名古屋の「香車」で思いついたこと、すなわち「刺身の盛合わせが食べきれずに余ったら、小さな鉄板や焼き石を出して火を通して食べさせるのはどうか」と言ったら、「それはいいアイデアですね」と賛成してくれる聞き上手。
「使わせてもらいますよ」と言うものだから、銀髪は調子に乗って何度も繰り返し同じことを話す。半藤さんはその都度にこやかに頷いてくれる。酔っ払いのあしらい方を心得ている。
翌日、部下にたしなめられた。本当に酔っ払いは仕方がない。反省しきりの銀髪だったが、きっと懲りずに同じことをやることだろう。
半藤さんに限らず、根気よく酔っ払いに付き合ってくれる全国の料理人様、様。感謝、感激、雨、あられです。
膳蔵 麦芽工房
長野県長野市権堂町2269
0120-46-1539/026-233-1539
http://www.keiz-inc.com
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2007年02月11日
[游月](長野)
長野で郷土料理を

長野駅から徒歩10分程度と聞いたが、知らない土地の冬の夜を彷徨うのは辛い。タクシーに乗り運転手さんに「游月」の名前を言っただけで迷わず連れて行ってくれた。
6時前だったのでまだ女将がメニューを書いているところだった。席はどこでも選べる状態だったがいつものようにカウンターに陣取った。
メニューには見たことのない素材も多い。たるいかなるものを頼もうとして気がついた。長野には海がないので魚介類の郷土料理があるはずがない。それでも聞いたことがないイカや変わった料理法を試してみたくなった。
お通し、たるいか、あん肝の天ぷら

厚い身を見て、巨大イカだと思った。たるいかはソデイカのことで関東ではアカイカとも呼ばれる。胴の部分だけで1メートル、重さ10キロを超える。一度冷凍した後の方が身が柔らかく美味しくなるそうだから、鮮魚の獲れない長野にはうってつけの素材かもしれない。
あん肝は居酒屋の定番でよく口にするが、天ぷらでは食べたことがない。アイスクリームの天ぷらだってあるのだから天ぷらは何でも有りだ。あん肝の味が変わるわけではないが、意外と美味しく食べることが出来た。
菜の花、寒筍、うるい

海がないなら野のもの、山のもの。菜の花のおひたしや寒筍炊合せは分かるがうるいは聞いたことがない。本州北部・中部の山地や丘陵・草原などの湿り気のあるところに自生する山菜とのこと。やっと長野らしいものにありついた感じがした。ちょっと嬉しくなる。
ふき味噌、黒むつのふき味噌焼き、漬物

ふき味噌は熱燗に合う。魚につけて焼くのもアイデア料理だ。もちろん野沢菜は欠かせない。
他に客がいないものだから、女将さんたちを相手に丁々発止で遊ぶ。料理人は女将さんの息子。最愛の息子と商売ができる女将は幸せものだ。
途中で出てきた辛い味噌の美味いこと美味いこと。常連客手造りの逸品で、店一番の人気商品らしい。一所懸命に褒めたら小瓶に詰めてお土産にしてくれた。
長野でも楽しいカウンターの食事だった。例年になく暖かく雪も殆どないが、店を出ると燗酒で火照った頬もすぐに冷気に震えた。気さくで優しい女将さんの案内で、次の店に着いた頃には酔いが冷め、どんどん飲める気になったのが間違えだった。
長野の夜も長い。
味楽処游月
長野県長野市新田町1110-5
026-232-0078
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2007年02月10日
[八幡屋磯五郎](長野)
長野名産品で一番好きなもの

蕎麦でも、野沢菜でも、味噌でも、信州牛でもない。八幡屋磯五郎の唐辛子である。東京だけでなく全国いたるところで見る缶入り唐辛子だが、長野で作っていることを認識したのは最近のことである。

八幡屋磯五郎は創業280余年、その七味唐辛子は善光寺名物最古のものという。七味とは唐辛子・生姜・紫蘇・山椒・ミカンの乾皮・胡麻・麻の実の7種の味のこと。全部言える人は殆どいないだろう。
辛いもの好きな銀髪は七味より一味を好んで使うが、馴染みの唐辛子が善光寺名物と知ったのは部下がお土産で買ってきた時だ。八幡屋磯五郎の唐辛子は辛さの度合いで4種類ある。
最初に買ってきてくれた大辛はとても気に入った。普段使っているハウスやSBの一味唐辛子とは明らかに違う。一味にも辛さの違いがあることを初めて知った。ハパネロやハラペーニョなどの激辛唐辛子を求めて遠方まで買いに行く銀髪にしては迂闊だった。粉にしたって辛さに差があるのは当然のことだ。
大辛の唐辛子に喜んでいたら、今度はその上のBIRD EYEを買ってきてくれた。これが凄い。BIRD EYEは大辛の3倍以上の辛さがあるという。

実際に使ってみるとその辛さは相当なものである。家人がいつもの一味唐辛子のつもりでうどんにかけた。飛び上がらんばかりに驚いているのを見て大いに笑った。
我が家でカレーは子供用の甘口と大人用の辛口と2種類作っていたが、最近では子供が成長したので中辛の一種類で済むようになった。大人はお好みで一味唐辛子を振る。これまでは他人が見ると顔をしかめるほどに振り入れていたが、BIRD EYEなら常識の範囲に見える。しかし、辛さは常識の範囲を超える。
舌はこの辛さに大分慣れてきたが、お腹は時々反乱を起こす。唐辛子に含まれるカプサイシンは発汗作用があり、炭水化物を消化するためダイエットにもいいという。お腹の反乱はダイエットの促進にもなるが、結構辛(つら)い。同じ漢字を使うのに納得!
八幡屋磯五郎
長野県長野市柳町102-1
0120-156-170
http://www.yawataya.co.jp
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2007年02月09日
[府中庵 待月楼](静岡)
静岡名産とろろ汁

静岡に最初に来てしばらくは静岡市近辺には名物料理がないとぼやきながら鰻を食べていた。とろろ汁が名物なのを知らなかった訳ではないが、有名店が郊外にあって駅から遠いので避けていた。先日、「翠峰」②に行って市内でも美味しい店があることが分かった。それなら、遠くに足を伸ばすこともあるまい。
向かった先は静岡駅構内のアスティ静岡にある府中庵・待月楼である。正直言って期待しないで入ったら、店内はほぼ満員の状況。食事を済ませた客と入れ替わりでうまく席を確保した格好になった。
丸子宿定食

メニューを見たとき丸子宿定食1,370円は高いと思ったが、麦飯もとろろ汁もたっぷりあって、味も悪くないので納得のお値段。デザートにアイスクリームもつく。
とろろアイスクリーム

とろろが入っているのだろうが、まったく普通のアイスクリームに感じる。
支払いを済ませてレシートを見たら、「まりこ宿1,370円」となっているので首を傾げてしまった。頼んだのは丸子宿定食だったはずだ。帰ってから調べてみると丸子は現在の地名・静岡県駿河区丸子から来ているようだ。昔の旧東海道鞠子宿にあたり、ここが静岡名物である自然薯・とろろ汁の発祥の地である。
丸子と鞠子が繋がった。
丸子にある待月楼(たいげつろう)は大正8年創業の立派な懐石料理屋である。もちろん名物はとろろ汁。アスティ内、府中庵のとろろ汁が美味かったのも頷ける。
ところが本家の待月楼も駅の府中庵も紹介記事に両者の関係を匂わす記述がない。まさかJRを母体とするアスティが老舗料理屋の名前を勝手に使うわけもあるまい。
おそらく府中庵の経営主体はアスティだが、料理等の指導を待月楼から受けて、名称の使用料も払っているに違いない。
以前書いた東京駅の「羅かん」や羽田の「羽田寿司幸」と同じようなケースと思われる。
いずれにしても、駅構内で老舗の味をこの値段で食べられると思うと、ちょっと嬉しくなった。
府中庵 待月楼
静岡県静岡市黒金町47番地(アスティ静岡内)
054-287-1231
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2007年02月06日
[香車](名古屋)
寿司屋のコース料理

看板がない寿司屋の名店と聞かされていた香車に行った。時代がかった一軒家に表札より少し大きめの将棋の駒を模した札がかかっていた。知らなければ寿司屋と気付くことはないないだろう。中に入ると意外と大きな店だ。カウンターも思ったより広くて明るい。
奥の部屋に通されたが、6人ではちょっと狭く感じたが窮屈というほどではない。料理はお客様が事前に予約しておいてくれた。お通しに続いて大きな器に律儀に6切れずつ刺身が盛られてきた。寿司屋の刺身が悪かろうはずがない。
お通し、刺身

ホタテ貝の焼き物、白子

ホタテはちょっと焼き過ぎの感じがした。
鱈の白子はコースにはない別注品。さっと湯がいてあるが殆ど生の状態で悪くない。
メバルの煮物

頭から身は残さず食べ切った。これはこれで悪くないのだが、寿司屋で食べる以上は何か特徴が欲しくなった。6人がくっつき合うようにしているので、魚の食べ方、箸の使い方の自慢をしたりと、話は弾んで楽しいのだがグルメ紀行の銀髪としては何か物足りない。
天ぷら、鱈ちり鍋

天ぷらはいただけない。油切れが悪くベタッとしており、海老の頭もカリッと揚がってないので食べ尽くすのは無理。中のみそだけ箸でかき出して食べた。
一人ずつ食べる鍋は何の変哲もない鱈ちり鍋。旅先の宴会料理ならともかく、一流の寿司屋で有難がって食べる鍋ではない。
この他に極小の茶碗蒸しが出てきた。茶碗が持てないほどに熱々だったのは嬉しかったが、部下が期待した百合根はおろか中身は殆ど入っていなかった。
銀髪なら鱈ちりに代えてホタテを目の前で焼かせる。新鮮な鱈ならちょっと手を加えてみんなを驚かせるようなプロの技を披露する。天ぷらだって寿司屋ならではの粋なものを出して欲しい。
太巻き

結局、太巻きが一番インパクトがあり、味もよくて寿司屋らしい一品になったが、それまでにお腹が一杯になってしまったために、2次会の店へのお土産になった。
酒込みで1人約12,000円は寿司屋の価格としては良心的と言えるが、8,000円のコース料理は内容からしたら得をした気持ちにはなれなかった。
カウンターに座らなければ本当の良さがわからない寿司屋だったのかもしれない。お店の評価はその時まで保留にしておこう。
香車
愛知県名古屋市東区東桜2-17-47
052-933-3060
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2007年02月04日
[登美](上諏訪) & [元屋](長野)
長野一泊の旅で蕎麦を3回食べた。

東京にもたくさんの蕎麦屋がある。手打ちそばの名店も多い。魚介類と異なり、そばを産地で食べる利点はない。それでも蕎麦屋に入ってしまうのが名物の力なのだろう。
1食目は諏訪の立石展望台から少し上がったところにある「登美」。扉を抜け、靴を脱いで店内に入ると目の前に諏訪湖とその周辺の景色が広がる。冬の寒さにもかかわらず、大きなガラス窓から降り注ぐ日差しが暑いくらいだ。
登美のざるそば・生わさび付

石臼で挽いたそばは癖のない品のいい仕上がりだ。わさびは自分ですりおろし、小皿にタップリの海苔はお好みで入れる。それにしても見事な景色だ。
2食目は長野メトロポリタンホテルの朝食バイキング。多くの地方ホテルで特産品コーナーを設けており、ここでは蕎麦が出されていた。しかし、これはいただけない。しっかりしたものでなければ特産品の名が廃る。出さないほうが良心的かもしれない。
元屋の鴨せいろ

3食目は善光寺境内に入る山門の前を左に曲がってすぐのところにある元屋。創業40年以上という老舗らしい古い建物。中に入っても歴史が感じられる。どこにでもある典型的な蕎麦屋の風情だ。
ざるそばを食べて「登美」と比較しようと思ったが、部下の「鴨せいろが美味しいらしいですよ!」の声に抗することができなかった。地元の人が勧めるだけあって、量がたっぷりで味もいい。「登美」の1,050円に対して「元屋」は1,000円と遥かにお得感がある。
善光寺から道を下っていくと道の両側にたくさんの蕎麦屋がある。タクシーの運転手さんが評判の店の名前を次々と上げる。タクシーの運転手さんが教えてくれた店の中で飛び上がるほど美味しい蕎麦を出してくれる店があるかもしれない。
定年退職後に蕎麦打ちを始める人が多いという。作る前に食べ歩きをするのも必要な作業だ。善光寺にぶつかる通りにある蕎麦屋に片っ端から入ってみてはいかが。いい勉強ができるに違いない。
登美
長野県諏訪市立石展望台上
0266-53-2318
http://www.tamatebako.ne.jp/tomi/
元屋
長野県長野市大門町
026-232-0668
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2007年02月01日
[鳥銀本店](名古屋)
名古屋コーチンなら鳥銀本店でと言いたいところだが…

林与一とおかみさんが出演するテレビコマーシャルで名古屋では知らない人はいない有名店。以前にも行ったことはあるが、グルメ紀行を始める前だったので記事にはしていない。前回は当日予約でテーブル席に座って適当に頼んで美味かった。今回は前日に予約したらコース料理を強いられた。
先付け、鳥刺身入り前菜盛り合わせ

刺身はササミと砂肝が少し。ウニや鳥の蒸し物がついているが、もっと刺身を食べたかった。
フカヒレ入り蟹茶碗蒸し、あん肝風呂吹き大根

この日頼んだのはコーチン尽くしの宴コースだったはずなのに、別のコースと間違えられたのではないかと疑った。値段が高いコースだと2時間は必要と言われたので4,800円の一番安いコースを頼んだのだが、手の込んだ料理の数々。
それにしても、予約のときに言われたのと異なり、料理が出てくるのが異様に早い。このペースなら1時間もしないうちにコースが終わってしまう。幸い別途焼き鳥を頼むつもりだったので、何とか時間は稼げそうだ。
コーチン・サケ入りかぶら蒸、コーチンの揚げ浸し

焼き鳥を頼んだ時には既に揚げ物まで出来上がっていたが、ご飯の前に焼き鳥を持ってくるように頼んだので何とかペースダウンができた。店側が予期せぬ追加オーダーは焼きあがるまで時間がかかった。その間に手付かずの料理を含めて、これまで出されたものをゆっくり食べる。時間の流れが銀髪好みのゆったりとしたものに変わった。
焼き鳥

焼き鳥を食べてようやく名古屋コーチンを食べた気になってきた。それでも前回のワイワイ、ガヤガヤ言いながらテーブルで食べた方が良かったように思える。カウンターならもっといいだろう。
ご飯、デザート

コースの最後はそぼろご飯と果物。途中で有名な女将が挨拶に来てくれた。
鳥銀はやっぱり焼き鳥屋さん。今日の料理と値段を考えると悪くないのだが、会席料理を気取らずに、刺身、唐揚げ、焼き鳥、スープの焼き鳥屋定番のコースの方が良かった。
名物・名古屋コーチンの素材を活かしたシンプルな料理が食べたかったと、銀髪は今日もわがままだった。
鳥銀本店
愛知県名古屋市中区3-18-12
052-973-3600
http://www.torigin.co.jp
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2007年01月31日
[大和田](名古屋)
ひつまぶしの元祖・蓬莱軒より美味しいという人もいる。

風長閑の常連客Kさんと鰻の話になり、必然的にひつまぶしの話に発展した。もちろんイの一番は「あつた蓬莱軒」。ここを語らずしてひつまぶしを評することができない。蓬莱軒を基準にしてそれより美味いかどうかがポイントになる。
Kさんの評価は大和田の方が美味いというもの。翌日早速インターネットで検索した。どこかで聞いたことがある店名と思っていたら、東京の日本橋にある同じ名前の老舗鰻屋に行ったことがある。名古屋の大和田とはまったく関係ないようだが‥
昼前に名古屋の客先に行った。「鰻屋に行きませんか?」と誘われて「しめた!」と思った。タクシーに乗って「蓬莱軒」と言おうとする客を制して「大和田に行きましょう」と言った。銀髪グルメ紀行のことを知っている相手は銀髪の提案を拒否することはない。有難い。
大和田に着いて店構えに拍子抜けした気持ちになったが、中に入ると意外と広い。中庭を見下ろす2階に座敷もあるようだ。12時近くになると満席になり10人以上が並ぶ状態になった。注文したひつまぶしが出てくるまでに20分以上を要した。
特上ひつまぶし

部下が頼んだ上ひつまぶしも我々の特上も器の大きさは同じだったが、蓬莱軒のものより小さいようだ。特上はご飯の中にも鰻が敷き詰められている。鰻は大和田の方が美味しいように感じるが、蓬莱軒に行ったのは随分前だから正しい評価か分からない。
二杯目はわさびとねぎを入れて食べた。すりおろしたわさびの香りが効いてとても美味しい。この食べ方では蓬莱軒より美味しいと思ったが、いかんせん薬味の量が少なすぎる。
3杯目はお茶をかけて食べた。ひつまぶしを待っている間にさんざん飲んだお茶と同じもののようだ。蓬莱軒ではお茶でなくだし汁をかける。好き好きだが我々3人の評価はだし汁の蓬莱軒に軍配が上がった。
大和田の薬味が多ければ1勝1敗1引分けだったというのが我々の感想。さて皆さんはどのように思うだろうか。
帰りに乗ったタクシーの運転手が「大和田の方が絶対美味しいよ」と力説する。我々3人は曖昧に頷いたが、どちらが美味しいかと言うのは無意味。どちらも美味しいでいいのではないだろうか。
大和田
愛知県名古屋市熱田区玉の井町8-18
052-671-6720
ひつまぶし 1,700~
特上 2,500円
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2007年01月27日
[若鯱家](名古屋)
名古屋駅近くのエスカ地下で見つけた懐かしの味

最初はスパゲッティ・ナポリタンのある店を探した。前もってブヨブヨになるまで茹でてザルに上げた麺と玉ねぎ、真っ赤に着色されたソーセージなどをケチャップで炒め、薄焼き