2008年11月24日

[すが井](仙台)

牛タンだけではない、宮城県の名物料理


仙台駅を出て歩道橋を渡り、ハビナ名掛丁横丁(アーケード)を歩いた。「来る度に牛タンではつまらないなー」とキョロキョロしていたら、穴子料理の写真が貼られた立て看板が目に入った。そう言えば、松島は穴子の産地だったはずだ。カキフライの写真にも目を奪われた。迷ったけれどにもう少し歩くことにした。

再び穴子料理の看板。よく見るとこれもすが井である。「本店」の文字を確認して行くことに決めた。路地を入ったところにある本店すが井は居酒屋ながら老舗の雰囲気がある。正面にテーブル席、右側に掘り炬燵式の座敷、左側のカウンターの壁にはたくさんの料理の紙。ウーン、夜に来たい雰囲気だ。

穴子丼

濃い目のタレがしっかり乗った穴子丼がやってきた。寿司屋のつめより尚濃い。再びカウンターの上の壁を見ると、穴子料理は刺身から始まってなんと15種類もある。東京の穴子専門店でもこれほどの種類は見た事がない。穴子餃子まであるのだ。

カキフライ

単品でカキフライも頼んだ。何もつけないで口にすると部下が驚く。「牡蠣の味で充分のはずだよ」と言うと、部下も真似をする。「本当ですね!」とさっきより大袈裟に驚く。結局二人とも、タルタルソースも濃厚ソースもつけないで食べきった。

大学生のとき、真冬に松島に行った。仙台駅前の観光案内所で民宿の紹介を求めたが、電話番号を渡されて自分で予約するように言われた。牡蠣漁の最盛期なので普通は客を取らないのに赤飯を炊いて待っていてくれた。30年以上前とはいえ、3,000円の宿泊料金で丼一杯の生牡蠣を含む牡蠣尽くしに鯛など海の幸満載の歓迎振りで感激したことを思い出す。

松島ははぜの産地としても有名だ。すが井のメニューにもはぜの天麩羅が載っていた。料理の写真を撮っていたら、店の女性が店の案内を持って来てくれた。地酒なども豊富に揃えているようだ。

ランチだけではもったいない。夜に来たい店である。

本店 すが井
宮城県仙台市青葉区中央1-8-21 朝日屋ビル1F
022-263-1854
http://r.gnavi.co.jp/t094400

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2008年11月05日

[伊達の牛たん本舗](仙台駅)

時間がないときは駅ビルで


地方出張でホテルや駅ビルで地元名物を食べるのには抵抗感がある。特に根拠があるわけではないが、時間があれば街に出たい。駅の土産物売り場で一番目立つのが伊達の牛たん本舗。「ここの芯たんが有名で美味しいですよ」と部下の一言が駅ビルでの食事を決心させた。

席についてすぐに「芯たん」と告げた。「売り切れました」とアルバイトと思われる若い女性店員は素っ気無い。数量限定でランチ時に売切れてしまうらしい。部下共々落ち込んだ。
仕方なく、普通の牛タンからスタートした。

牛タン1.5人前

駅ビルの店に偏見を持って入ったためか、思ったより美味かった。新幹線の時間まで余裕があるし、酒の肴的な料理も多いので日本酒を飲むことにした。

牛タン味噌肉豆腐、肉味噌たんかつナンのカナッペ

日本酒の品揃えがいい。浦霞、十四代、飛露喜、田酒などの銘酒が手頃な値段で飲める。定食を食べる客が多い店内で大判振る舞いの客に見えたかもしれない。我々の担当者はアルバイト→チーフ(?)の女性→店長と昇格していった。

通しゃぶ

合成肉の牛タン。通しゃぶと命名したものの、部下は一切れ食べて口を歪める。ダメだと決めたら絶対口にしない相手は困る。仕方なく銀髪が平らげた。タレをつけて持参の唐辛子をかければ悪くない。

牛タンつくね

つくねは食べてくれた。やれやれである。好き嫌いがある相手は疲れる。好き嫌いがない銀髪も相手を疲れさせているかもしれない。とにかく珍しいものは見境なく頼むのだから。

新幹線にはゆっくり間に合った。駅ビルにある店に対する偏見も少し解けた食事だった。


伊達の牛たん本舗
仙台駅地階エスパル店
022-722-8356
http://www.dategyu.jp

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2008年10月27日

[たる善](札幌)

地魚を食べるならやっぱり寿司屋だね


「すし善」「さい藤」「政寿司」など、これまで行った中から選べば美味しい魚が食べられることは分かっている。「すし善の板さんが銀髪さんはどうしているの、と言っていましたよ」と部下が促すが、他の店を探すことにした。たくさんの店に行くのがグルメ紀行の使命である。

まだ5時を過ぎたばかり。これはと思う店で受け容れてくれたのはたる善。7時半までの条件付だが2時間あれば充分、帰りの飛行機の出発時間に丁度いい。カウンターに座り、板さんにこれまで行った札幌の寿司屋の名前を上げると、たる善のオーナーはすし善の出身と教えてくれた。店名に善を付けることを許されているなら味は保証付だろう。

板長の大坂さんと名刺交換。たる善一筋15年で板長に登りつめた。従業員が長く働く店はいい店に違いない。若い店員たちの真摯で緊張した面持ちも店の質の良さを証明している。
地物を中心にお任せした。

ホッキ貝 毛かに ぼたん海老、シャコ、すみいか、銀杏、さんま、玉子焼き、鱈の白子、鯨の舌、白老牛と続く。まだ混み合う前だから大坂さんをほぼ独占状態。料理が出て来るのもスムーズだ。

スミイカは捌いた後も動いている。死後硬直前の身は柔らかく、ゴロ(わた)も鮮烈で美味い。ぼたん海老や白子の下敷きになった昆布も焼いてくれた。玉子焼きは何とも言えない風味がするので質問したら、牛乳入りとのこと。近海で獲れたミンククジラのタンや北海道産の白老牛が出てきたのには驚いたが、地物には違いない。嬉しい驚きである。

ひらめ、大トロ、ししゃも、鮭児、炙りきんき、いくら、うに、にしん、穴子

「大トロは築地市場から?」と大坂さんに問いかける。築地の中卸し・石宮から仕入れるすし善と同じかと思ったが、地元の松前からと教えられた。地元でも立派な鮪が手に入るようだ。珍しいししゃもの寿司。脂が乗った炙りきんき。東京の高級寿司屋なら一貫2,000円もする寿司好き垂涎の鮭児。うまいうまい。

最後に漬物、網走湖の大しじみ。〆に北海道ならではのにしんの寿司。腹一杯だが穴子を忘れていた。塩と煮ツメで食べさせるのがたる善流。

部下と共に生ビールと冷酒を3合ずつ。大坂さんとの会話も楽しく飲みすぎた。勘定が心配だったが、銀座の半額ぐらいの印象である。部下に乗せられてすし善に行かなくて良かった。いい店見つけた。

たる善は来月に移転する。「店を新しく立派にしたら、値段は上がり味が落ちるのが通例だよ」と意地悪を言った。「そんなことはありません」と若い店員がムキになる。たる善なら間違いはないだろうが、次回チェックしに行こう。あー、次の出張が楽しみだ。


たる善
(現住所)札幌市中央区南5条西4丁目クリスタルビル1階
(新住所)札幌市中央区南4条西3丁目2-6
011-511-4484

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2008年10月26日

[麺屋 三四郎](札幌)

札幌でトップクラスの人気ラーメン店


戦後生まれの食品でもっとも発展したのはラーメンだろう。戦後の屋台などから発展したラーメンは中国料理の麺類とは異なる日本独特のものである。その後、1958年のインスタントラーメンの発明で国民食となり、昭和40年代初めに札幌ラーメンがご当地ラーメンの先鞭をつけた。

ご当地ラーメンがある街に行くと一度はラーメンを食べる。北海道、しかも札幌なら札幌ラーメンだろうと思うのが銀髪の浅はかさ。口コミランキングでトップクラスにある三四郎が旭川ラーメンと知ったのは東京に戻ってからだから間が抜けている。

言い訳がましくなるが、入店してすぐに少し妙だと思った。メニューに並ぶ料理の順番が醤油から始まる。札幌ラーメンなら味噌のはずだ。限定潮(しお)ラーメン、限定豚(とん)とろラーメンなんてわざわざ限定をつけているのでますます混乱した。メニューの最後には吟醸味噌ラーメンが一段上げて目立っている。どれも美味しいと言いたいのだろうが、一食限定で食べに来る旅人にはどれを選んでいいか分からないのは辛い。

結局、吟醸味噌ラーメンを頼んだ。味玉入り。後から入ってくる客が醤油ラーメンを頼む。次の客も醤油ラーメン。オーダーを変更しようかと迷うがもう遅い。見上げると吟醸醤油ラーメンの札が目立つところに一枚だけ貼ってある。これには勇気付けられた。

不思議な味の味噌ラーメンだった。豚骨ラーメン味噌味のような感じだが、味噌の香りが強くない。札幌味噌ラーメンとはまったく違う味で戸惑った。限定潮ラーメンも評判がいいらしいが、いずれにしても他にない独自の味が三四郎をラーメン屋ランキングの上位に押し上げているのかもしれない。

食べ終わってしばらくはゲップをすると味噌の匂いが駆け上がってきた。あー、あれはやはり味噌ラーメンだったんだと思った。東京に帰ってしばらくすると、また食べたいと思うようになった。

戦後生まれのくせに日本の国民食になったラーメンは、そのときどきの若い料理人たちによって変貌し続けている。確立された伝統の味がないために、自由な発想を受け容れることができる。ラーメンは大した奴である。

麺屋 三四郎
北海道札幌市中央区南八条西13-3-35
011-511-0346

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2008年05月02日

[東寿し](札幌)

北海道最古の寿し屋


明治8年創業、東京から北海道に寿しを伝えたことから東寿しと名乗ったそうだ。
「古いからいいというわけでもあるまい」と地元の人が呟いたのが不気味に頭に残った。

5時半に店に到着。一斉に客が入ってきたため、1機しかないエレベーターを2度待ってようやく4階の座敷に到達した。席には銀髪の会社名付きのお品書きが置かれていて嬉しくなった。予算(1万円)と希望を事前に伝えておいたとおり、特別メニューを用意してくれたのが分かる。

メニュー、付け出し

全員揃うとすぐに付け出しと撮りそこなった塩水ウニがやってきた。

刺し身盛り合わせ、桜ますの焼き物

付け出しに箸をつけようとしたところで刺し身の盛り合わせが出てきた。ちょっと早いなーと思ったが、気を取り直して付け出しの里芋を食べたところで、焼き魚がをテーブルに置かれた。「料理を出すペースを落として」と仲居さんに注文をつけたが、頭に血が昇って他の人の話が耳に入らない。
目の前に付け出し、塩水うに、刺し盛り、焼き物の4皿が並んだ。あらためてメニューを見ると、あとは煮物を挟んですぐにお食事(にぎり寿司)になってしまう。

部屋を出て仲居さんをつかまえて、「とっとと食べて早く帰れということか?」と気色張った。仲居さんは「自分の不手際で、調理場の責任ではありません」と殊勝だ。刺身と暖かい焼き魚を同時に出す愚は料理人の仕業であることは疑いないところだが、自分の責任と言い張る仲居さんに免じて矛を収めた。

サービス(?)、煮物

煮物の前にお品書きにない料理が出てきた。仲居さんから一言もないので予定されていたものか、お詫びのしるしなのか良く分からない。多分後者だろうが、そうであれば仲居さんは只者ではない。彼女の言ったとおり、すべての差配をしているのかもしれない。

寿し

トイレに立った時に、今度は仲居さんに親しげに挨拶した。仲直りの時だ。注意してからは料理を出すタイミングも問題ない。
前半は怒りのため、後半は話が弾んでしまったために料理の味はよく覚えていない。仲居さんの本望ではないかもしれないが、料理よりも彼女の印象が強く残る店だった。

他の人たちは我々のやり取りに気付かず、楽しんでくれたようだ。もっとも、文句を言わない地元の客が一番怖い。北海道で最古の寿し屋なら、当然分かっているはずだ。


東寿し
北海道札幌市中央区南4条西3丁目
011-261-7161
http://www.azumazushi.com

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2008年03月12日

[李揚飯店](札幌)

札幌で坦々麺


札幌に来ると食べたい物がたくさんあって目移りする。蟹、雲丹などの魚介類も豊富だし、ジンギスカン、ラーメンなど手頃に食べられるものも多い。
同行者の好みを聞いたら「じゃがいも、とうもろこし」と言う。寿司屋をすぐに思い浮かべる銀髪だが、なるほどそんなものもあったのかと頷いた。

ネットでじゃがいも専門店を探し出したが、夕食までには時間が早いのでマッサージに行くことにした。ホテルマンに尋ねたら、サッポロファクトリー内の店の割引券をくれた。湯船に浸かりサウナで汗を流す。マッサージの予約時間までセットのおつまみを食べ、ビールを飲んだ。

お腹一杯にしなかったはずなのに、マッサージを終わっても食欲は蘇ってこなかった。わざわざ専門店にじゃがいもを食べに行く意気込みは萎えていた。サッポロファクトリー内のドイツ料理屋にもじゃがいも料理はあるが、言い出しっぺは興味を示さない。向かいにある中華料理屋に入った。

サラダ、春巻き

鍋の前菜として出てきた水菜のサラダと別注の春巻きを食べながら、スープが沸騰するのを待った。店員は春巻きは時間がかかると言ったがすぐにやってきた。他に客は殆どいないので、マニュアル通りの台詞を言っても意味がない。

二色鍋

札幌に来て昆布だしと坦々スープの二色鍋を食べるとは思わなかった。お腹が一杯といいながら、制止を振り切って凍った肉を一度に入れてしまうので、なかなか沸騰しないでイラついた。二つのスープが混ざり合い奇妙な鍋になってしまったが、坦々スープの辛さのお陰で失せていた食欲も蘇った。麺を入れて食べ終わった頃にはそこそこの満足感はあった。

羊肉が入っていたので北海道料理とこじつけて自らを慰めようとしたが、冷凍して風味のなくなった羊肉に二重丸をつけるのは困難だった。

やっぱり寿司屋の方が良かったなー

李揚飯店
札幌市中央区北2条4丁目 サッポロファクトリーレンガ館1F
011-281-1888

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2008年02月06日

[一粒庵](札幌)

地産地消


雪道を歩くのは辛いのでタクシーに乗ったが、客先から近い「狼」は休業していた。タクシーを飛ばして行った店が閉まっていたことは何度もあるので慌てない。口コミで人気の店は他にも調べてある。次のアポの途中にある一粒庵に向かった。タクシーの運転手は聞いたことがない店だと言って住所を伝えても迷ってしまった。札幌駅近くで下ろされてちょっと歩いたところに店の幟を見つけた。

階段を降り店の前に立った頃には12時を過ぎていた。それでも店の外には3人しか並んでいなかったので、北海道版じゃらんの記事を読みながら待つことにした。

麺の小麦粉、チャーシューに使う豚肉、味噌、米など全て北海道産を使う地産地消を謳っている。国産品ばかりを使って、ラーメン750円はかなり頑張っている値段だろう。

席に案内されるまで予想以上の時間がかかった。カウンターの他に4人掛けのテーブルが二つある。客の半分は女性。女性に人気の店は流行ると言われるが、食べる時間が長いので客の回転は悪くなる。おまけに店主一人が丁寧にじっくり作っているので、時間短縮は難しい。

目の前で女性店員に店外の行列を知らされて「エッ?行列ができてるの?」と店主はのん気だ。目の前のカウンターに座っている我々が、店外で待たされたのも知らないようだ。店主の手つきは若干スピードアップされた

我々も列の解消に協力しなければならないと思った。カウンターに座ってからもしばらく待たさ、やっと出てきたラーメンを我々はものの3分で食べ終えた。
最短で食べ終わったKが勘定を払うために席を立った。遅れて店を出てきた銀髪にKは「美味しかった」と短く感想を述べた。並ぶことも、初めての店を誉めることもまずしないKが満足そうな表情を浮かべた。

家に帰って店のホームページを開いた。店主の書いた文を読むと、真面目そうな顔が目に浮かんできた。
中国製餃子による中毒のニュースは衝撃的だった。餃子だけでなく日本の食料海外依存体質は深刻である。国内農業を疲弊させただけでなく、食の安全性に対する無防備さを助長したのは何だったのだろうか。
一粒庵店主が唱える地産地消の精神は、たかがラーメンと済ませる問題ではないと思った。

一粒庵
北海道札幌市中央区北4条西1丁目 ホクレンビル地下1階
011-219-3199
http://ichiryuan.com

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2008年01月11日

[さい藤](札幌)

冬の札幌は美味しい


「寿司屋がいい」という部下のためにプリンスホテルのベルボーイに店を紹介してもらうことにした。「札幌でナンバーワンのすし善に匹敵する店を」と頼んだら、インターネットで調べて部屋まで地図を持ってきてくれた。そこまでやってくれたら無視するわけにはいかない。素直に従って予約を取った。

5時半頃店に到着。すし善と匹敵するというのは大袈裟だが、悪くなさそうだ。くの字のカウンターの中に2人の料理人がいて、我々を担当する塚原さんは40絡み。脂が乗り切っているようで期待が持てる。「嫌いなものはありますか?」と聞かれ、全員が「ありません」と先生と生徒の会話みたい。もちろん「地物中心で」と付け加える。

3種和え物、ひらめ、ほっき貝

まずはいか、いくら、うにの和え物から。刺身のスタートはひらめ。ミル貝と思ってその大きさに感心したら黒ほっき貝とのこと。地元の人が「苫小牧産だよね」と口を挟む。さらに「ほたても美味しいですよ」とガラスケースの中のほたての宣伝もしてくれた。

鮭児、炙り白子

1万匹に数匹しか獲れず、幻の鮭とも言われる鮭児に久々のご対面。もちろん冷凍物だが、冷凍した方が寄生虫は死に、脂が全身に回ってより美味しくなるそうだ。見た目よりも脂が乗っている。

毛蟹、自家製からすみ、たこ

毛蟹の上品な身に蟹みそを和えて食べると本当に美味い。自家製のからすみもいい。たこは長めに茹でてあるので繊維が崩れ柔らかい。

にしんの刺身と寿司、うにの寿司

この日一番気に入ったのはにしんの刺身・寿司。札幌に来なければ生のにしんは滅多に食べられない。

山わさび巻き、山わさび漬け明太子

北海道ならではのものがもう一つ、山わさび。「ホースラディッシュでしょ?」と聞くが、みんな「???」。明治時代にやってきた西洋わさびを北海道では山わさびと呼び、わさびと同様の使い方をする。辛味は普通のわさびより強いので、チューブわさびの原料にもなっている。オーストラリアに居たときはローストビーフに乗せてよく食べた。

いい店だった。とりわけ大塚さんが良かった。寿司屋は板さんと気が合うとグッと楽しさが増す。店を持つ夢を胸のうちに秘めて頑張っている姿がいい。店主の斉藤さんは「やま田」から独立した。斉藤さんも独立したら「おお塚」だろうか。

いつになるか分からないが、その日が来たら必ず行こうと思った。

すし屋のさい藤
北海道札幌市中央区南6条西4丁目 プラザ6・4ビル1階
011-513-2622
http://www.sushisaito.com

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2006年11月18日

[味の時計台](千歳空港)

千歳空港で昼食を取ることになった。

千歳空港3階にある食堂街に行った。多くの店は海鮮丼を売り物にしているが、どうもピンと来ない。迷っていると部下がラーメン屋が集まっているフードコートがあると言う。そこまで歩いてどこに入るか思案していると、再び部下の声。「時計台が美味しいですよ」

味の時計台は全国に500店以上を擁するどさん子やどさん娘よりは遥かに少ないものの、道内に53店舗、道外に36店舗もある。飲んだ後にフラフラと入ってしまう新橋の店も味の時計台である。新橋でも食べることができるラーメンなので、部下の進言を無視しようと思ったが、フードコートに入って行くと元気のいい女性の声が奥の方から聞こえてくる。声の先を見ると味の時計台の女性たちで美人揃いである。即座に部下の言に従うことにした。何と思いやりのある上司だろうか。部下の意見は聞いて上げなければやる気をなくす。

部下はキムチラーメンを選んだ。銀髪も辛いラーメンにしようと一度は決めたが、定番の味噌ラーメンで味を確認する道を選んびなおした。バターだけをトッピングに追加した。
隣に座っていた二人の外人パイロットが器用に箸を使っているのを感心して見ているうちにラーメンが出来上がった。

美女がラーメンをテーブルに置いて、「味噌バターラーメンにはにんにくと唐辛子が合います」とテーブルの薬味を指しながらにこやかに説明してくれる。新橋店では聞いたことのない台詞だ。唐辛子の瓶をラーメンにふり掛けると黒い胡麻も一緒に出てきた。

黒い胡麻を見て一気に40年近く前にワープした。自宅近くにできたどさん娘ラーメンに長兄が連れて行ってくれたのは中学生のときだった。卵を落としたインスタントラーメンぐらいしか食べたことがなかったのだから、本格的なラーメンの、しかも味噌味は衝撃的で美味かった。そのラーメンの味を引き立てていたのが黒胡麻だった。

開店以来繁盛していたその店も、数年後には主人の顔を見る日が少なくなり、やがて子供を背負った奥さんが毎日調理場に立つようになった。主人がギャンブル狂いになったとか、女を作って家を出たとか、体を壊して亡くなったとか噂されたが、奥さんの作るラーメンが評判を呼ぶことはなかった。映画「タンポポ」のように救世主が現れることもなく、彼女の背中で寝てにいた子が客席の後ろを走り回るようになった頃に潰れた。

久し振りの黒胡麻が入った味の時計台の味噌ラーメンは美味かった。後で調べてみると、千歳空港店はフランチャイズ(FC)店で、新橋店のような直営店ではなかった。美女に背が高いコック帽を被せて客を呼び込む派手さのわりに、接客態度もよく味もしっかりしていた。火傷しそうな熱々のスープを飲んだことを思い出しながら、FC店は直営店より劣るという先入観を考え直した。

やる気のあるオーナーに率いられれば、客は満足し、店も繁盛する。このモチベーションを維持できれば、あの思い出の店のようにはならないだろうと思った。


味の時計台
千歳空港内、北海道ラーメン道場

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2006年11月17日

[すし善](札幌)

札幌の冬の味覚を求めて

札幌駅に着いて真っ直ぐに向かったのは駅に隣接する日航ホテルだった。今晩行く店をグルナビで下調べをしたが、グルナビは明らかに掲載店のPR化しており客観的な情報を得るサイトではない。店側の発信源であるため、実際行ってみて感激することもあるが、失望することも多い。大事な接客であれば、一流ホテルのコンシェルジェに相談するのが一番だ。

コンシェルジェの美女が真っ先に奨めてくれたのがすし善だった。すし善は現在のすすきの店を開いてから35年の歴史を誇る。10数年前に円山店を作り、そこに本店を移した。円山の本店は月曜定休のため、発祥の地であるすすき野店に行くことにした。

大通りに面した店は伝統を感じる。10人程度が座れるカウンターが2箇所と個室がある落ち着いた雰囲気の店だ。我々のお相手をしてくれたのはすすき野店の花板・山田さん。銀髪と丁々発止を見事にやってくれる。がりを薄切りにする包丁捌きは実に見事で、見ているだけで楽しい。

氷の入ったネタケースを眺めて、きょうの注文は「地物北海道尽くし」と頼んだ。後は山田さんのお奨めに従うことにした。

ぼたん海老は北海道ならではの活きで新鮮そのもの。富山の難波で食べたときも思ったが、新鮮なぼたん海老は独特のネットリした食感はない。
毛かにはほぐしてあるので食べやすい。

やりいかは山わさびでいただいた。山わさびはアイヌわさびとも呼ばれ、西洋わさびによく似ている。普通のわさびは北海道では生産されないので、地元産の山わさびが使われる。

白子ときんきは軽く炙って出てきた。脂の乗ったきんきが特にいい。

本日の目玉は戸井産の本マグロ。戸井は青森県大間の対岸にあるため、漁場は一緒である。
地元で捕れたまぐろでも、出荷されるのは築地。1本200万以上もするまぐろを尻尾の切り口だけで判断し、競り落とせる業者は北海道にはいない。すし善が仕入れるのは築地の「石宮」で、漫画「おいしんぼ」でも度々登場している。東京の高級店の多くはここから仕入れをしている。

今日のマグロは240キロで、250万円近くするもの。そのいいところをすし善は仕入れた。大トロに近い中トロはさすがに素晴らしかった。

最後にウニといくらの握りを頼んだら、いずれも海苔で軍艦巻きにすることなく皿で出された。最近は軍艦巻きをしない店も増えてきた。素材本来の味を楽しむためだ。酔っ払っても美味さは分かる。

山田さんと遣り合いながらの楽しい食事はあっという間に2時間を超えた。最終便で東京に戻る銀髪は、お客様を部下に任せて席を立った。


すし善
北海道札幌市中央区南7条西4丁目
011-531-0069
http://www.sushizen.co.jp/

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2006年08月24日

[炙屋](札幌)   まじめな居酒屋

まじめな居酒屋とはガイドブックでの自称。本当だろうか?

千歳空港を降りて札幌行きの電車に乗り込んでも外の気温は分からない。札幌駅についてようやく北海道の空気に触れた気分になる。北海道でも夏の日差しは強く侮れないが、日陰に入るとは東京とはかなり違うことが分かる。

仕事が終わり今日の晩飯を考える時間になった。忙しくて下調べもしないで飛んできたので頼りになるのは空港出口でもらった北海道ガイドブック。この手の案内書で失望させられたこと数知れず。それでも知らない街を彷徨うほど暇ではない。わずかに琴線に触れた「炙屋」に決めた。

地図を見ながらようやく探し当てた炙屋の入り口に立って戸惑った。ガイドブックの写真に比べてエレベーターの乗り口はとても貧弱。他の店に行こうかと思ったが、歩き疲れて気力が湧いてこない。意を決してエレベーターに乗った。6階で降りると店内はガイドブックより立派で一安心。案内されたカウンター席の前には新鮮な魚、地元の干物などが並べられている。不安が一安心に、さらに期待へと変わる。

カウンター上の素材とお通し

さんま、ぶどう海老、いかの刺身

さんまは根室、ぶどう海老は釧路、いかは寿都(すっつ)で捕れたもの。寿都は積丹半島の南に位置する日本海側の町。炙屋は全4店舗で使うイカやウニを寿都まで直接仕入れに行くそうだ。

部下はぶどう海老を食べたことがないと騒ぐが、以前浦安の「うえむら」で食べたことをすっかり忘れている。酔っ払いにいいものを食べさせても無駄なことが分かった。ぶどう海老は一匹750円もする高級品だ。

いかのゴロ焼き、ゴロ漬け、ホヤ

ゴロとはいかのワタのことで、焼いたいかを、焼いてほぐしたワタに付けて食べる。ゴロ漬けは日本酒に合うからと調理主任の尾崎さんがサービスしてくれた。

部下はホヤを以前に食べたことがあり、好きだと言ったが信じられない。何度も念を押して頼むことにした。出てきたのは赤ホヤで、真ホヤに比べると癖がない。新鮮さも手伝って、これまで食べたホヤの中では一番美味しい。ところが部下を見たら口を歪めしかめっ面をしている。案の定、食べたことがあると思ったのは勘違いで、ホヤの臭いにKO気味だ。


最後にカスベとコマイを頼んだ。カスベは下北沢「鯛屋」に続いて2回目。今度は軟骨もしっかり食べた。こんな大きなコマイは見たことがない。干して固いイメージのコマイも、これだけのサイズになると身も厚く美味しい。

カスベ、コマイとその白身

他にも、子持ちシシャモなど食べたいものがたくさんあったがお開きにした。

カウンターの向こうの尾崎さんは気さくで丁寧に魚のことを教えてくれるなど、我々の食事を大いに盛り上げてくれた。
新鮮な魚を手頃な値段で提供してくれて嬉しかったけれど、酒の値段が高めなのが大酒飲みにとってはちょっと悲しかった。

さて次の店に、と言いたいところだが日帰り出張の悲しさ。慌しく千歳空港行きの電車に乗り込んだ。


炙屋 すすきの本店
北海道札幌市中央区南4条西4丁目 都通り
011-242-1131
http://www.auriya.com

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2006年07月04日

[利久](仙台)  牛たん料理

久し振りに仙台に行った。仙台なら牛たん。宇都宮の餃子よりちょっと高い。

利久のことは日本橋の「味太助」を書いたときにも取り上げた。今、仙台で一番人気の店ではないだろうか。牛たんの元祖は太助だが、後発でまだ新しい部類に入る利久が既に17店舗を有して老舗たちを圧倒している。仙台駅3階の牛たん通りにもあり、お土産・お持ち帰り品も豊富だ。

仙台の担当をしている部下に言わせると、牛たんの店を数軒食べ歩いたが、利久が一番と太鼓判を押す。今日はダイエー近くの中央通店に行った。

牛タンを肴にダラダラと酒を飲もうかと思ったが、どう見てもそのような雰囲気ではない。酒をそれほど飲まない部下を相手に時間をつぶしても仕方がない。定食を頼んでちょっとビールを飲むぐらいが適当なようだ。

牛たん焼きの「1.5人前定食」と「ちょっとぜいたくなシチュー」を頼んだ。

他の店に比べると牛たんは肉厚で、柔らかいとは言い難いが軽く噛み切れる程度の固さだ。唐辛子をかけるとビールの肴に相応しくなる。シチューは酒の肴にしては濃い味付けなので、ご飯と一緒に食べるべきものだろう。麦飯にかけて食べるとピッタリだが、食べ終わって満腹になれば酒が不味くなる。

タンシチューを食べたのは久し振りだった。子供の頃、我が家の日曜日には大量のシチューが用意された。親子5人には大き過ぎると思える寸胴鍋に一杯のシチューが、アッと言う間になくなったものだ。タンシチュー、テールシチューは我が家の思い出の料理だ。味付けはカレー味が多かったような気がするが、正確なところは兄たちの記憶に頼らなければならない。

立派な西洋料理屋で食べれば高価なタンシチューも、利久ではお手頃値段で食べられ、味もそこそこなら文句は言えない。東京の牛たん料理屋にもあるメニューなので、今度食べて比較してみよう。

利久にはキーマカリーや、ホワイトシチュー、チーズクリーム煮などがある。ハヤシもあるでよ!(年配者じゃないとわからないか?)

昼と夜では同じ定食でも値段が随分と違う。質や量が同じならランチが絶対お得だ。3割前後も夜の方が高い。夜に定食を食べると、食事の時間はすぐに終わる。長い夜をショットバーで過ごすにはお腹が一杯で酒が美味しく感じられない。

酒飲みは本当に困った人種である。


利休
http://rikyu-gyutan.co.jp

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2006年01月24日

[杉ノ目](札幌)  北海道郷土料理屋

昨日は政寿司で刺身を堪能したが、まだまだ北海道には美味しいものがあるはずだ。

昨年、ジンギスカン3店[ひつじや][だるま][さっぽろジンギスカン本店]の食べ歩きをした。
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2005/10/post_19.html
3軒目に向かう途中で杉の目の前を通った。風情のある石造りの店構えを見て足が止まった。すかさず寄ってきたのが杉目幹夫社長だった。満腹だったが好奇心は衰えず、中を見せてもらえないかと頼んだところ、社長は嫌な顔一つ見せず快く案内してくれた。
名刺交換をして「次回必ず来ます」と言って別れた。

年賀状が届いた。約束は果たさなければならない。その機会がようやくやってきた。
時折吹雪になる街を抜け、杉ノ目に着いた。通されたのは雪の結晶をイメージしたという六角形の茶室風の部屋。雪景色を見ながら酒をと思ったが、残念ながら窓は開かなかった。

料亭風のこの店ではコース料理を頼んで板さんの技を楽しむべきだろうが、北海道の素材にこだわって我儘を許してもらった。

付け出しの後、刺身の盛り合わせを頼んだ。

ルイベはメニューにあったものだが、太刀魚は塩焼きの頁に載っていたので特別に刺身で出してもらった。メニューの質問をするたびに仲居さんが調理場に走る。まったく迷惑な客だ。

吸い物は舞茸の土瓶蒸を頼んだ。具だくさんでこれはこれで美味しかったが、後で杉ノ目のホームページを見たら三平汁が売り物だったようだ。

箸置きは柳葉魚(ししゃも)の唐揚にした。

普通我々が食べているししゃもは輸入物で、北海道産本柳葉魚は高級品だ。オスの方が身が美味しいため子持ちのメスより高価。唐揚なら干物でなく生を使っているだろうと思って仲居さんに聞くとまた調理場に走る。結果は予想通り。部下は今日一番の品と言った。

焼き物は各自好きなものを頼んだ。お客様はホッキ貝、部下はホタテのバター焼き。銀髪はにしんにしようと思ったが桜鱒の文字が気になって決断できないでいた。学生時代によく食べた懐かしのにしんにするか、初めて聞く名前の魚にするか。結局、客の勧めで桜鱒に決めた。

桜鱒の塩焼き

帰って調べてみると、桜鱒とは市場では本鱒と呼ばれ実はヤマメのことらしい。川魚であるヤマメの雌が海に出て大きくなって川に戻ってくる。その直前に海で捕獲する。4月~5月に捕獲されることから桜の名がついている。鮭児、時鮭と同様に漁獲量が少なく脂が乗って美味なため値段も高い。高級料亭でしか食べることができない幻の魚だそうだ。
仲居さんが教えてくれていれば、迷うことなく桜鱒に即決していただろう。

この日も北海道らしい味を堪能した。しかし、鮭は冬がシーズンと思っていたが、どうやら最高と言われる鮭、鱒はいずれも季節外れの春から夏が旬。

旬に合わせて北海道に戻って来ることができるだろうか。外は降り止まぬ雪なのに、既に心は春に向かっている。


杉ノ目
札幌市中央区南5条西5丁目
011-521-0888
http://www.kotobanet.com/suginome/index.html

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2006年01月23日

[政寿司](札幌すすきの)  幻の鮭児を求めて

東京のお客様A氏に「北海道に行ったら小樽の政寿司に行きなさい」と言われた。そこに行けば必ず鮭児を食べることができると言う。

札幌から小樽までJRで約30分。部下と二人ならすぐに行くのだが札幌の顧客を誘うには遠すぎる。諦めきれずインターネットを覗いたら、何と「おたる政寿司」には札幌すすきの店があるではないか。即決。部下にカウンターを予約させた。

唯一懸念したのが支店は本店に及ばないのが当たり前なこと。しかし、行ってみたらその心配も吹き飛んだ。板さんの中村さんはすすきの店の支店長ではなく取締役社長。オーナーシェフだ。笑顔の向こうに誇りと自信が透けて見える。

「東京から来たので地のものをお願いします」と言うと「わかりました!」と威勢のいい声。一瞬に何を出すかイメージできたようだ。もちろん鮭児も含まれる。

付け出し(イカとたらの昆布締め)

刺身盛り合わせ

グラスにうに、いくら。トロ、ひらめ、ほっき貝、ほたて、ボタン海老、かに爪肉。そして真ん中に鮭児。

鮭児とは日本近海やカムチャツカ半島を回遊するアムール川の夏サケで、11月上旬から中旬にかけて知床から網走付近でとれる脂ののった若いシロザケ。 脂肪の比率が20~30%と、通常2~15%程度の銀毛シロザケより極めて高く、全身がトロのような状態。(はてなダイアリーより)

普通の鮭は3キロ以上あるが、鮭児は2.5㎏前後にしかならないため鮭の児と呼ぶ。1万匹に1匹程度しか獲れないため1匹10万円で取引されたこともあるそうだ。現在の時価は1匹5~6万円。政寿司では羅臼漁協証明書付の鮭児を冷凍して年中客に出せるようにしている。

地物お任せ

きんきさしみ(塩をふって皮を炙った逸品)
うちこ(イバラガニ体内にあるときに取り出した卵)
たらのしらこ(さっと湯通ししただけで、刺身の感触)
やりいか、にしんの刺身(にしんの刺身は初めて食べた。以外とあっさりして美味い)
八角、ソイ(ソイはメバル科の魚でキツネメバルとも呼ばれる。共に爽やかな白身)

次から次に出てくる北の海の幸は素晴らしい。お腹も膨らんできたがやはり鮭児が気になる。実のところ最初の刺身の盛り合わせでは鮭児の良さが分からなかったのだ。

貴重な魚を何度も頼むのは寿司屋の客として失格と思わないわけではないが、疑問は解消しなければ気が済まない。申し訳ないが追加注文して食べ比べをさせてもらうことにした。

鮭児(写真左)とだいすけ=時鮭(ときしらず)

時鮭は遡上してくる鮭ではなく、回遊中あるいは湾に迷い込んだ鮭を7月頃捕獲したもの。栄養が卵などにとられていない産卵期前の鮭なので、身は脂が乗って美味いと言われる。
鮭児ほどではないにしても高級鮭である。こちらではだいすけと呼ばれる時鮭と味比べをするとは何と贅沢だろう。

見た目は時鮭のほうが脂が乗っているが、食べてみると意外なことに鮭児の方が脂の乗りがいい。そのくせ嫌味がない味だ。成る程希少だというだけで値が張る訳ではないのが理解できた。

この後しゃこ、大トロ、北海道産の明太子の握りを食べた。

「どこのまぐろですか?」と聞いたら「戸井のまぐろです。戸井は青森県大間の対岸なので、戸井のまぐろは大間のものと同じ最高級品です」とのこと。
http://www.jftoi.com/index.html
それならと、赤身を切ってもらった。何もつけないで少しかじると、まぐろ本来の香りと味が口に広がる。まぐろは赤身が美味い。北海道の人はトロより赤身を好むと言うが、これだけ美味い赤身なら誰だって好きだ。

まだ食べたい、あれも食べたい、これも食べたいと思ったがお開きにした。きりがない。

雪が降る零下の外に出た。懐も寒くなったが仕方がない。中村社長、また来ますよ!


おたる政寿司(札幌すすきの店)
〒064-0807 札幌市中央区南7条西3丁目(仲通り)
TEL(011)511-0440 
http://www.masazushi.co.jp/framepage1.htm

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2005年11月08日

クラブサンドイッチ

7年余の海外駐在を経験し、英語はそこそこ出来る。それでも海外に行ってレストランで失敗することは今もある。習慣の違いや思い込みが原因で、簡単に分かりそうで分からない。まあ、このぐらいの失敗は買ってでもやった方が面白い。

約30年前、大学3年のときホームステイをしていた友達を頼ってロサンゼルスに行った。
着いた日の夜、二人でステーキを食べに行くことにした。当時日本ではビフテキは高嶺の花。ビーフステーキなどとは言わない。ビフテキが日本での正式名称。これに憧れた。
牛肉は輸入禁止品目だったため、安価なビフテキなど日本には存在しない。従ってアメリカに来て、いの一番に食べるのは当然ビフテキだった。

メニューを見ると殆どがステーキ。値段の差を聞いたら単に大きさの違い。入ったのはその程度の店だが、我々にとってはハラハラドキドキ。意を決して1番大きなステーキを注文した。相当な量だが、二人ともまだ若い。食い気もチャレンジ魂も旺盛である。
すると次にウエイターが「スーパーサラダ?」と聞く。さすがはアメリカだ。サラダも大きなサラダに違いない。やってやろうじゃないかと友達に目配せして「OK!スーパーサラダ!」「サラダ、サラダ!」と応じた。

来たサラダを見て呆気にとられた。付け合せ程度の小さなサラダボウルが目の前に。合点のいかないまま食べ始めたところで気がついた。ウエイターが聞いたのは「スープ or サラダ」だったのだ。大きなアメリカ、大きなステーキと来たのでてっきり大きなサラダ=スーパーサラダと勘違いしてしまった。

先日、約30年ぶりにロサンゼルスに行った。今度は一流ホテルに滞在。出かけるのも面倒なのでホテルのレストランに入ったがメニューはいたってシンプル。昔のように大きなステーキなど食べたくない(食べれない?)。しかし、どの料理を見ても美味そうに思えない。
中年3人は思案の末メインを2品、サンドイッチを1品頼んで分けることにした。メインの2品は例に拠って相当な量に違いないので、軽めのサンドイッチが良いだろうとクラブサンドイッチに決めた。カニサンドならローストビーフサンドやローストターキーサンドよりましだろうと思って。

ところが出てきたサンドイッチにはどう見ても蟹は入っていない。そこでメニューを見直した。CLUB・SANDWICHとある。CRAB(かに)ではなかった。
札幌で入った喫茶店でクラブサンド(下の写真)を頼んだ。片仮名ならもっと間違えやすいが、今度はすぐに蟹サンドでないことに気づいた。あらためてアメリカでの失敗を思い出す。英語を読んで気づかない迂闊。

後で調べてみた。クラブサンドイッチの典型的なレシピは三枚のトーストしたパンにローストチキン、ベーコン、レタス、トマトを挟んだものらしい。これにポテトフライがついてくる。クラブサンドイッチはどこかアメリカの社交クラブで発明されたものだろうか。名前の由来は分からない。知っている人がいたら教えて欲しい。

外国人が日本に来て失敗するのを笑ってはいられない。自分だってしっかり失敗している。
しかし、経験豊富な人が同行する何不自由ない旅もいいけれど、たまには失敗したほうが楽しく、思い出深い旅になる。
スーパーサラダ事件は未だに覚えているのに、他の日に食べた料理はさっぱり思い出せないのだから。

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2005年10月12日

[ひつじや][だるま][さっぽろジンギスカン本店]  (札幌)ジンギスカン

久し振りの札幌。部下は顧客も一緒の夕食になりそうだと言う。それを聞いて銀髪は北海道ならではの海鮮料理の店を調べ尽くした。ところが顧客に会ってみると、忙しいからとお断り。それでも銀髪はめげない。部下を罵ったりしない。これも予想の範囲。
「よしっ! ジンギスカンの食べ歩きをしよう!」
カバンから一枚の紙を取り出すと、そこには札幌評判のジンギスカン屋がリストアップされていた。

一軒目はひつじや。ネット上の紹介記事を見て、マトンにこだわっているのが気に入った。5時15分頃お店に到着したが、まだ暖簾は出ていない。入っていいかと聞くとOK! 七輪に穴開きのジンギスカン鍋を置いてマトンを焼く。マトンは豪州産もしくはニュージーランド産の生肉。臭いが強い脂身をそぎ取ったちょっと厚めのもも肉をミディアムで食べる。

ひつじや 中央区南6西4 011-512-0588

店主はラム(子羊)肉を売り物にする店は、癖がないとの定評に甘え脂身を削らず、粗悪な冷凍ラムを出しているところが多いと批判的だ。胸を張るだけあって、なるほどマトンと言っても臭いも癖もなく美味い。3人前をぺロリと食べたが、開店の5時半を過ぎても暖簾は店の中。
「常連は入ってくるから大丈夫。観光客は雪祭りまで来ないから」と商売っ気がない。
「ひつじやの次に美味い店はどこですか?」と尋ねると、「他の店に食べに行かないからわからない」 それでも食い下がると、「若いときはだるまによく行った。そこしかなかったから」と言う。
従って二軒目はジンギスカンだるま。いつも行列の出来る観光客に最も有名な老舗らしい。運良くすぐに座れた。ここも使う肉はマトン。ひつじやより脂身が多く、肉質がまちまちなのが気になったが、部下はこちらのほうが美味いと言う。周りを見るとなるほど若い客が多い。

ジンギスカンだるま 中央区南5条西4丁目 011-552-6013

二人とも既にお腹一杯。ショットバーにでも行こうかと歩き出すが、それじゃ面白くない。
「もう一軒ジンギスカンに行こう!」銀髪の提案に部下は呆気にとられているが渋々ついてくる。
「2軒じゃ普通。3軒行って始めて話しの種になる」との銀髪の言葉に納得。
三軒目はさっぽろジンギスカン本店。肉はアイスランド産の生後1年未満のラム。ひつじや店主の話を証明すべくラム肉を出す店を選んだが、なんとこれが美味いのである。

さっぽろジンギスカン本店 中央区南5西6 011-512-2940

ひつじや店主の話が間違っていたわけではない。目の前で店主と思しきオヤジが肉を捌いているが、脂身部分は惜しげもなく捨てている。この店が特別なのだ。目の前に出てきた肉は脂身を削ぎ落としたもも肉。レアで食べてくださいとのこと。これが柔らかくとっても美味なため、腹一杯なのにどんどん口に入っていく。
評価は人によって分かれるだろうが、今日の三軒はいずれも美味すぎた。
一人前はひつじや600円。ジンギスカンだるま735円。さっぽろジンギスカン本店800円。

銀髪は遠い昔を振り返る。我が家は父と母、男ばかりの兄弟3人。40年ほど前、男4人の腹を満たす肉料理はジンギスカンだった。粗悪なマトン肉を醤油、酒、みりん、にんにくに漬け込んで、七輪の炭火の上に置いた穴あきジンギスカン鍋で焼く。炭をおこし、味付けの手伝いをするのは末っ子の銀髪の役目だった。肉汁とたれが鍋の周りに落ち、そこで焼かれた野菜の美味しさは忘れられない。
今日はマトンにこだわった。しかしあの時のマトンではない。ラムよりマトンが美味いと思いたかった。しかしそれもかなわなかった。
大人気なく子供たちと争って食べていた父はもういない。あの時のジンギスカンの味が甦ることは二度とないと悟った。


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