2010年08月29日
[竹や](湯島)
暑くてもカレーうどん

医科歯科大学の近くにあるうどん屋さん。カレーうどんと鴨南うどんが評判の店とのこと。昼時の店内はほぼ満席。隠れ家的と思うのは他所者の銀髪だけのようだ。近所ではランチの名所に違いない。思ったよりも奥行きのある広い店だ。
席に着くまで、席に着いてから、周りで何を食べているか観察するとみんな冷たいうどんを食べている。カレーうどんの専門店のつもりで乗り込んで来た銀髪は拍子抜けしてしまった。メニューを見て、カレーうどんを探す。

「季節のおすすめうどん」が決心を揺るがすが初志貫徹。カレーうどんを頼んだ。「当店では作り置きせず ご注文をうけてから めんをゆであげますので 多少お時間をいただきます」の文字が背中を押してくれた。冷房で汗がひいたころにカレーうどんがやってきた。計算通りだ。

カレーうどんを頼んだ人には紙ナプキンがもらえる。角に切れ目を入れて、ワイシャツのボタンにかける。立派なエプロンになった。感心してくれる人も、蔑む人もいない。みんな無関心に己の食べ物に集中している。
クリーミーで古奈屋のカレーに似ている。蕎麦屋のカレーうどんと違って、ちょっと洋風な味わいがある。いんげんが入っているのが珍しい。強烈なインパクトはないが、美味しいカレーうどんだった。
麺は細いので、店が言うほど茹でるのに時間はかからないようだ。カレーが出てくるのを待つ間、40年以上も前のことを思い出した。あの日はとても暑かった。母と二人で喫茶店に飛び込み、迷わずかき氷を頼んだ。最初は強烈な冷房に喜んだが、かき氷が来た時には身体は冷え切って、半分も食べられなかった。
今は充分計算ができる。カレーうどんを食べられたのは冷房のお陰。文明の利器に感謝、感謝である。
竹や
東京都文京区湯島1-9-15 茶洲ビル1F
03-5684-0159
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2010年08月08日
[ラーメン大至](湯島)
つけめんもいいかな

銀髪が感心して読んでいるのが空腹時に見てはいけないブログ。残念ながら神奈川県が中心なので行ける店が少ない。湯島も銀髪のテリトリーとは言えないが、ブログを読んでから3回も行ってしまった。医科歯科大での治療のついでに、昼飯に行くのにちょうど良かったからだ。
1回目はオーソドックスにラーメン。食べログのコメントを参考にしてスーパーワンタンをトッピング。出てくるまで卓上に置かれたうんちく集を読む。こだわりのスープ、麺、チャーシュー、押しつけがましいとの批判もあるが、銀髪は素直に感心する。舌だけでなく脳も動員させて美味しく感じさせることは悪いことではない。

出前で取るような普通のラーメンの最高峰を目指しているそうだ。スープの熱さを評価基準の一番目に置いている銀髪は、出前でラーメンを頼んだことはないので良く分からない。それでも言わんとしていることは分かる気がする。

2回目、他の店に行こうかと思ったのに、結局大至に来てしまった。つけめんも美味しいとの宣伝に乗せられた。迷わず頼んだのが冷やしつけ麺赤とうがらし。天かすが治療したばかりの歯の間に挟まって不安に駆られながらも美味しく食べた。辛味をガンガン加えたのが良かった。最後にこぶ茶をもらい、スープを足して飲む。面白い。

3回目、近くのカレーうどん屋に入ろうかと思ったが太陽がいっぱいで耐えられない。前回隣席で食べていた冷やしつけ麺しそ風味が気になっていたこともあり、結局大至に入った。思ったより紫蘇はきつくない。こぶ茶はこちらの方が合う。
何度も来たのはこだわりの口上に乗せられたせいでもある。努力、こだわりについてはよく分かった。ラーメン通たちのコメントにも感心させられる。高級料理店で同伴の女性を口説くことに熱心な人たちよりも、ラーメン通の方が食に対して真剣に向き合っているように思える。テーブルにうんちく集を置くわけにもいかない高級店の料理人は可哀想でもある。
銀髪は料理人のこだわりや苦労話を引き出そうと機を見ては料理人や店員に話しかける。どこでも喜ばれているわけではないのは分かっているけれど…
ラーメン大至
東京都文京区湯島2-1-2 佐野ビル1F
03-3813-1080
http://ramen.gnavi.co.jp/rmn19029/
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2010年07月14日
[とら八](上野)
上野の魅力

露店で焼きトンや焼き鳥を食べるつもりでアメ横に行った。7時過ぎにもかかわらず空席があることを喜んだが二の足を踏んだ。とにかく暑い。陽が落ちても気温はまだ高い。しかも蒸す。後ろを歩くKが不安そうな顔をしているので、エアコンがある店を探すことにした。
中華料理店の前で立ち止まる。メニューを見てもそそられない。焼き鳥屋の前に立つ。良さそうだが扉は開け放たれており露天と変わらない。決まらないまま10分近く歩いた。同じところを2周して、とら八に入ることにした。「備長炭使用」が決め手になった。

もう一つの決め手になったのが店頭の大釜で湯気を立てていた牛すじ煮込み豆腐。カウンターに座るなりオーダーした。「ワー、美味しそう」と左隣に座っていた女性2人の声が聞こえた。すかさず小皿に取ってプレゼント。喜んでもらえば嬉しい。「辛いですねー」と女性たちは言うが、銀髪にとっては辛くない。思った通りそこそこいける。

「こんなところでレバ刺しは大丈夫かな?」Kは曖昧に首を傾げるだけ。しかし、聞いてみただけで気持ちは固まっている。即座にオーダーした。臭みもなくてまったく問題なかった。この店の肉はすべて問題なさそうだ。

シロ、カシラの焼き物も悪くない。「どうしてこの店に入ったんですか?」隣の女性が話しかけてくる。「鼻ですよ、鼻」と人差し指で鼻を指しながら言うと感心した様子。彼女たちは知人に勧められて来たらしい。当然銀髪グルメ紀行の話で盛り上がる。

せせり、なんこつなど焼き鳥もいい。とら八のメニューは写真付きの光沢紙。チェーン店だと聞いてなるほどと思った。最初から分かっていたらレバーにビビることもなかっただろう。
黒板には「豚バスト串」の文字。「おっぱい」と呼んでる店の方が多いだろう。とら八では「おっぱい」では売れなくて、「バスト」に改名したら売れるようになったそうだ。「おっぱいをご馳走してあげましょう。話のタネにいいですよ」と女性たちに声をかけた。

「それなら、他の串も」とおねだりされたが、受けてあげた。串の数本なんかで懐は痛まない。男二人で辛気臭く飲むつもりが、女性を交えた賑やかな飲み会になった。
「あちらの女性にカクテルを」なんてことできっかけを作り、親しくなるのは映画の世界。「こちらの女性におっぱいを」ではロマンスが生まれるのは難しい。
上野 とら八
東京都台東区上野6-8-2
03-3832-0388
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2010年07月03日
[ジークレフ](吉祥寺)
ちょっと気取ってティーサロン
「コーヒーにしますか、紅茶にしますか?」食後に必ず聞かれる台詞だが、紅茶と答える人は殆んど居ない。我が家のウェッジウッドのティーポットはオーストラリア在勤中にちょっと活躍した程度で、帰国して20年近く箱の中で眠ったままだ。

吉祥寺を歩いていて紅茶専門店を見つけた。考えもなくフラフラと入ってしまった。子どもの頃、コーヒーはカウボーイ達が飲むもの、紅茶はイギリスの高貴な女性が飲むものと思っていた。今もそのイメージを引きずっている気がする。
ジークレフは銀髪のイメージを満たしてくれるような店である。年配の夫婦が無言で同じ空気を共有している。中年女性二人の話し方は囁きのようだ。メニューを開くとダージリンの種類の多さに驚いた。紅茶を産地から直輸入しているだけある。
のんびりした口調で紅茶の説明をしてくれるお嬢さん(といっても店員だが)に倣って、柔らかな口調で注文した。さしずめイギリス紳士といったところだ。お嬢さんは来たときと同じ速度でゆっくりと席を離れて行った。

沈黙を楽しめないのは貧しい性格だ。「昔、ロンドン勤務が長いことを鼻にかけている上司がね、飛行機で気取って紅茶を頼んだんだって。どんな種類があるかスチュワーデスに聞いたら、イングリッシュ・ブレックファストがあると答えたんだってさ。そしたらその上司は朝ごはんは食べて来たと怒ったんだって。馬鹿だねー、ガッハッハッ!」先輩から聞いた話を得意気に話して、笑って、ちょっと反省した。再び柔らかな空気が我々を覆う。
4~5人のグループがドアを開けた。詰めれば入れないこともない。長時間本を読んでいる客は退場を促されても良さそうだ。しかし、お嬢さんは何度も頭を下げ、グループは去って行った。結局、ティーポットにお湯を足してもらいながら1時間以上居た。
店がある路地を出て、東急百貨店の裏の道に入ると人ごみに前を遮られた。息せき切って時間が流れ出したような感じがした。
ティーサロンジークレフ (TEA SALON Gclef)
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-4
0422-26-9239
http://www.gclef.co.jp/
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2010年06月16日
[ももんじや](両国)
とっても美味しいももんじ

「もゝんじや」両国橋を渡って最初に看板を見た時は、「も」の次の点に気付かず、「や」の字は小文字と思った。「こんなところにもんじゃ焼き屋がある」と思ったものだ。何回か近くを通るうちに店の正面にいのししがぶら下がっていることに気がついた。看板の文字も正確に読んだ。それ以来、ずっと行きたいと思いながら機会はなかなか訪れなかった。
先日、六本木のまたぎに行って思い出した。好き嫌いがない3人を誘って初訪問がかなった。ももんじとは百獣から発した言葉だという。正しい屋号は「ももんじや・豊田屋」で創業は享保3年(1718年)の老舗である。

猪の肉が入った煮込みのお通しからスタート。猪鍋は2人前だけ頼み、色んな料理を食べることにした。猪肉は最低でも15分以上は煮た方がいいとのこと。火を通すと一度固くなり煮込まれて柔らかくなる。我慢できずに箸を伸ばす不心得者がいて、仕方なく野菜や豆腐は許した。後で追加すればいい。

味噌を加える江戸風すき焼きは新宿御苑前のみの家、人形町の大和でも食べたが、この店の味付けは頗る美味い。京都の赤みそと名古屋八丁味噌をブレンドするそうだが、これには参った。

猪肉が食べごろになるまでに熊のソース焼き、鹿の刺身、猪のソース焼きを頼んだ。鹿はこれまで食べた中で最高の美味。自家製ソースはすき焼きのタレに負けず劣らず美味い。このソースなら素材を選ばないかもしれない。

鍋の猪肉が食べごろになった。鍋もソース焼きもロース肉。ヒレ肉を焼いてみたらどうだろうと思う。もちろんすぐに追加した。これにはみんな唸った。猪肉を馬鹿にしてはいけない。

うどんを食べて満腹だが、残った汁がもったいない。おじやにして食べ尽くした。日本酒にこだわる銀髪も老舗の料理には熱燗で満足することにした。9代目の美しい女将が食事に華を添えてくれたのも楽しかった。帳場に座るのは8代目の女将だろうか。
調理場は2世代の大将が頑張るファミリービジネス。冬場になると予約が取れなくなるらしい。今は冷凍肉だが、却って肉質が安定しており、当たり外れがないそうだ。ももんじと侮るなかれ。最初に不味いものを食べたら嫌いになるものだが、初体験の連れの3人は本当に幸せである。
客が少ない夏場が狙い目だ。行くべし!
ももんじや
東京都墨田区両国1-10-2 両国橋東畔
03-3631-5596
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2010年06月07日
[比内や](荻窪)
秋田比内鶏を荻窪で

「確かこのあたりだったんだけど」「あれっ?こっちだったかな?」荻窪駅周辺を北に南に行ったり来たりした。大学生の時、中央線沿線にクラスメイトが集まった。三鷹に住んでいた銀髪は途中下車して荻窪の友人とよく晩飯を共にした。酒を飲むときは駅前の焼鳥屋だった。その焼鳥屋がない。
30年以上前に行った店が今もあると思う方が間違っている。落胆しながらも焼鳥屋にこだわり駅前の比内やに入った。下調べもなしに行くとしたら、「比内や」の店名は安心感がある。

秋田比内やが姉妹店とする店が全国に約30店、比内地鶏供給店が約30店。比内やであれば美味しい比内地鶏が食べられるはずである。

日本橋の日乃本比内やは好きな店の一つで何度も行った。しかし、荻窪の比内やとは別系列のようだ。やはり郊外となると雰囲気が違う。家族連れも多く店の造りも大衆的だ。

当然のことながらメニューの構成も異なる。日本橋では食べることがなかったきりたんぽを頼んだ。酒の肴になるし、お腹も膨らむ。思い出の焼鳥屋には行けなかったが、満腹になれば心も落ち着く。

店を出て友人が住んでいたアパートを探そうか迷った。彼と行った食堂が集まる小さな路地に行こうか考えた。しかし、いずれも止めにした。焼き鳥屋と同様に跡形もなくなっているかもしれない。ましてや30年前の自分に会えるわけではない。
比内や
東京都杉並区天沼3-3-3 渋沢荻窪ビルB1
03-5335-6288
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2010年05月30日
[やまいち](淡路町)
やわらかな特ロース

♪行こう 行こう やまいちへ♪ と歌いながら淡路町に向った。もちろん歌詞にあるやまいちとは今はなき証券会社のことで、とんかつ屋とは何の関係もない。テレビでこのコマーシャルソングが流れたのは遥か昔。CMが消えた頃生まれた子はもう中学生である。
超人気とんかつ屋は意外なほど小さい。暖簾に書かれた紋章が証券会社のものと違うことに違和感を抱く自分が可笑しかった。11時半を回ったばかりなのにカウンター4席と2人用のテーブル席は埋り、7人が座れる中央の大テーブルに1つだけ席が空いていた。

カツ丼を食べている客がチラホラいるが、殆どの人が特ロース定食(2000円)を食べている。とんかつ屋にしては女性客の比率が高い。右隣に座った高齢の男性は衣を脱がし脂身を削って食べている。健康に気を遣っているのは分かるが、漬物にかける醤油の塩分は気にしていないようだ。

左隣の男性はとんかつ通らしい。とんかつの扱いが実に参考になる。かつは全て切断面が上を向くように置き換える。ソースや大根おろしは肉に直接かけて、衣にかからないようにしている。こうすることによって衣のサクサク感が維持できるのだ。いやー、賢い。

銀髪も大根おろしは彼を真似ることにした。右から3切れは岩塩、手前2切れは大根おろし、次の3切れはとんかつソース、左端の3切れは醤油で食べた。これらに柚子胡椒と辛子を上手く配分するとかなりのバリュエーションが楽しめる。
評判どおりの美味しいとんかつだった。脂っぽいと思う人も、薬味との相性を見つければ美味しく食べることが出来るだろう。卓上に置いてあるらっきょうや小梅も助けてくれるに違いない。
もちろん、銀髪は脂身も残さず食べ切り、とても満足して勘定を払った。店を出てオフィスまで約20分、早足で歩いた。自らの脂を削ぎ落とすために。
とんかつ やまいち
東京都千代田区神田須田町1-8-4 玉井ビル1F
03-3253-3335
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2010年05月28日
[一徹](新橋)
料理は一流、サービスは…

「荷物をお預かりします」と丁寧な応対はサービスが一番のウリのホテルらしい。鉄板焼きテーブルに座りメニューを吟味する銀髪を他の4人が固唾を飲んで見守る。さすがにいい値段だ。一番安い9,800円の応天を選んだ。がっかりするのはまだ早い。ホタテと伊勢海老を追加した。安堵の声が聞こえるようだ。

「アスパラの原産地はどこですか?」料理人に声をかける。「ギリシャと思います」と教えてくれた。名前を呼べばもっと会話が弾むのだが、一徹の料理人は名札をつけていない。

肉厚の北海道産ホタテが美味しい。バターをたっぷり使ってトマトと合わせたソースがいい。「伊勢海老は生きていたの?」尾や足がヒクヒクしている。「半分に切る前にお見せすれば良かったですね」と料理人はのん気だ。鮮度は味が証明しているからまあいいか。ミソのソース(アメリカンソース?)も美味い。

ヒレ2人前とロース3人前を5人で分けて食べることにした。味比べをした方が楽しい。メルローのカルフォルニアワインとカベルネソーヴィニヨン主体のボルドー・ポヤック産の2本を開けた。ワインリストには80万円のシャトー・ぺトリュスもある。さすがは一流ホテルだ。


食事はガーリックライスにしてもらった。味噌汁は前菜で食べた伊勢海老の頭が入って豪華になった。食べ終わる頃には鉄板焼きカウンターの2つが客で埋った。3分の1が外国人だがどこか垢抜けない。今は新興国からの旅行者の方がお金を持っているのかもしれない。
勘定を払って席を立った。みんなが窓に向って歩き出す。21階からの夜景を見に行くのかと思ったら、荷物を取るためだった。入り口で預けた荷物は窓際に置かれていた。銀髪も窓の方に歩いて行った。店の人が慌てて動く気配はなかった。
店を出ると店の人が一人、見送ってくれた。数歩進んで手を上げようと振り返ったら、すでに店内に消えていた。うかい亭(表参道店、銀座店)のサービスが恋しくなった。
一徹
東京都港区新橋1-2-6 第一ホテル東京21階
03-3501-4411
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2010年05月09日
[川菜館](神田駿河台)
本格四川料理

銀髪のホームバー、風長閑のママのブログ風「長閑ママのきまぐれブログ」を見たのが昼前。とんかつでも食べようかと思っていたのに、気が変わった。麻婆豆腐に決めた!
麻婆豆腐を日本に広めたのは陳建民と言われる。日本人の口に合うようにアレンジした。母が作ってくれた麻婆豆腐は「挽肉豆腐の味噌炒め」という代物だった。子供向けだから唐辛子も入っていない。大人になるまでこれを麻婆豆腐と思っていた。次に出会ったのが豆板醤入りのもの。それでも本格四川風の麻婆豆腐とは別物だった。
四川に行ったことがないので「他店では味わえない本場の四川料理」などと言われると直ぐに行きたくなってしまう。手軽に試すとしたらランチがいい。麻婆豆腐なら他店との比較がし易い。さて川菜館の麻婆豆腐やいかに。

麻婆豆腐に限ってのことだけれど、特に驚きはなかった。陳建民の息子、鉄人・陳建一をはじめ花椒を使った本場四川風麻婆豆腐を作る料理人は増えた。痺れるような辛さが四川料理の特徴だが、多くの店で食べた結果、陳建民は偉大だったと思わずにはいられない。日本人の好みを熟知していたのだ。同胞からはまがい物のレッテルを貼られたに違いない。
花椒の辛さは日本人にとっては馴染みがないものだ。「なーんだ、銀髪って意外と味が分からないんだ」と言われるかもしれないが、銀髪にとっては花椒より唐辛子が効いた麻婆豆腐の方が好きだ。例えて言えば唐辛子7、花椒3というバランスだろうか。通振っても逆のバランスではつらい。
12時前というのに次々に客は入ってくる。女性客も多い。カウンターの客で麻婆豆腐を食べていたのは銀髪のみ。麻婆豆腐にこだわることもあるまい。四川料理は麻婆豆腐だけではないということを知るには、是非とも夜に行くべきだろう。
川菜館
東京都千代田区神田駿河台3-7-7
03-3295-3818
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2010年05月05日
[過橋米線](末広町)
中国雲南省の麺

秋葉原はいつも賑わっている。他の町とはどこか違う異様な熱気がある。中央通りを見下ろす麻生太郎元総理大臣の大きな絵に「あぁ、結局どっちもどっちだな」と感慨にふけっていると、銀髪の横をリュックを背負った肥満体の若者がちょこまかと走って行った。その先にはメイドカフェの女給さんたちが、呼び込みをしている。一番美人の娘をよく見ると、化粧の濃い20代半ばのようだった。
秋葉原を背にして数分歩き、地下鉄末広町駅を左に曲がり、目的の過橋米線に到着した。雲南省の名物料理をそのまま店名にしている。過橋米線とはライスヌードルの一種だが、ビーフンとはまったく別物だという。銀髪にとっては初挑戦だった。

米線は茹で過ぎた細めの丸うどんのような感じ。ビーフンのような乾麺ではなく生麺である。コシがないので歯が悪い人でも食べやすい。スープは塩味が効いている。表面に浮いている鶏の脂のお陰で冷めにくい。なかなか美味しかった。
麻婆丼もつけてもらった。本場の四川風とも広東風とも違う雲南風。辛さを抑え、味噌が香ばしい。麻婆豆腐もところ変れば味も変わるということだろうか。

ランチの過橋米線は簡易版。本来は熱々の土鍋に生の具を入れ、しゃぶしゃぶのようにして食べるらしい。雲南省は中国の最南部に位置し、ベトナム、ラオス、ミャンマーと接している。森林が多く、高山地帯もあるため、多種の植物や茸類が生育しているという。
夜に来て気鍋料理や薬膳料理など本格的な雲南料理を試したくなった。
過橋米線
東京都千代田区外神田6-5-11
03-3835-7520
http://www.kakyoubeisen.com/dish/index.html
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2010年05月02日
[コルカッタ](祖師ヶ谷大蔵)
小田急線沿線の新名所?

祖師ヶ谷大蔵という駅名を知っている人は少ないだろう。田園調布と並ぶ高級住宅街として知られる成城学園前(小田急線)の隣駅である。もっとも、こちらは昭和31年に完成した都営団地がある庶民的な街だ。昭和38年には日大商学部砧校舎が開設され、学生が集う街にもなった。東宝撮影所、国際放映(メディアシティ)、円谷プロダクションなど映像文化の発信源でもある。

祖師ヶ谷大蔵駅を南に下って徒歩10分のところに円谷プロダクションがあった。歴代のウルトラマン像はマンション新築で撤去されたが、その勇姿は駅前で見ることが出来る。商店街の名前はウルトラマン商店街になった。5月1日、この町に新しい名所が誕生した。インド料理のコルカッタである。

コルカッタ1号店はNHK技研の近くにあり、これまで3度紹介した(初回、2回目、3回目)美味しいのはもちろんだが、オーナーであるシェイクさんの人柄や熱意が気に入った。祖師谷店オープンの日に行くと決めたのは我が家の女性陣。彼女たちもシェイクさんが大好きなのだ。

砧店は小さな店だが、祖師谷店は30席以上ある。4年足らずで支店を出すまでになったシェイクさんは凄い。休みなんか殆どなかっただろう。彼を支える家族も大したものだ。
メニューには新しい料理が多数加わっている。料理人が増えた効果も大きいだろう。驚いたのは日本人の店員が複数いること。シェイクさんの頑張りは、日本人の雇用に結びついたのだ。

我が家のようにビールやインド産ワインを飲み、単品料理を食べてカレーを最後にするテーブルは殆どない。ディナーセットが人気があるようだ。小さな子供が居る家族や若いカップルばかりかと思ったら、平均年齢70歳超のグループも居る。インド本場のカレーやナンは日本にすっかり定着した。

初日のコルカッタは大盛況だった。「忙しくてあまり話ができなくてすいませんでした」と、シェイクさんが謝る。料理が来るまで時間を要したり、煙が充満したり、混乱もあった。それでも「また来ようね!」と我が家の連中はニコニコしている。「近くだからお父さん抜きでも来れるね」とは余計な台詞だ。
シェイクさんの成功は本当に嬉しい。コルカッタ祖師谷店も街の名所になって欲しいものだ。銀髪にとってはもう一つ嬉しいことがあった。今日は長女が初任給からご馳走してくれたのだ。家に着いてからも飲み続けた。二日酔いなんて怖くない。
コルカッタ 祖師谷店
東京都世田谷区祖師谷3-3-6 ばらマンション
03-5490-3435
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2010年04月22日
[札幌 たる善](丸の内、新丸ビル)
北海道の新鮮な魚介

「口コミサイトのコメントは賛否両論だね」いきなり板長の加藤さんにパンチを喰らわした。「食べログでしょ?あれを読むとへこむんですよ」と正直だ。「札幌本店の大坂さんにはいつも楽しませてもらっていますよ」と2発目を打ち込む。さらに「美味しいところをお任せしますよ」とプレッシャーをかける。これは厄介な客である。

お通しはエゾバイ貝だろうか。続いて毛蟹、そして釜石産の中トロ。たる善で使うものは6~7割が北海道から直送されると言う。

ヒラメ、続いてボタン海老は頭を焼いてくれる。海老などすり身が入った焼き立ての玉子焼き。客がまだまばらということもあり、快調に飛ばしている。

いか、北海道産のアスパラ、茹で上がったばかりの蛸。蛸は北海道ではなく神奈川県佐島産。北海道産のものよりいいものがあれば、そちらを優先して仕入れるのは当たり前。「加藤さん、なかなかいいよ」と言うと、肩の力が抜けたように見える。

新丸ビルの一等地にありながら、リーズナブルに食べられる寿司屋。客がどんどん入って来た。あっと言う間に店員たちはてんてこ舞い状態。加藤さんがへこんでも改善しない理由は忙しさにある。札幌本店より遥かに大きな店ではサービスが行き届かないのだ。
鮭の麹漬、大助(おおすけ)、海苔クラゲをもらい、「いいよ、こっちは」と加藤さんを解放した。カウンター客、テーブル客、個室の客、大勢の客を扱うのは大変だ。我々は既に腹八分。笑顔の可愛い女性が、酒を持って来てくれるから間が持てる。


加藤さんも一段落してこちらの様子が気になるようなので、握ってもらうことにした。寿司の目玉は塩水雲丹と再度大助。鮭児は残念ながらなかったが時鮭、大助などたる善は鮭が絶品である。〆はこはだ、煮蛤、穴子。古典的江戸前鮨は料理人とゆっくり向き合って食べたいものだ。
つまみ重視の呑兵衛には嬉しい店である。北海道の魚介類が存分に楽しめる。勘定を払って先ほどの可愛い女性の名札を見た。「あれっ?社長と同じ名前だね」と言うと微笑んだ。「お嬢さん?」と聞くとにっこり頷く。「似てないよね」と続けると「よく似ていると言われます」と来た。社長には札幌で一回しか会っていない。そんなにハンサムだったかな?
札幌 たる善
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング5F
03-5218-7007
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2010年04月14日
[バルバッコア クラシコ](丸の内)
大人も子供も大喜び

「予約取れました!」部下から報告を受けて耳を疑った。金曜日に10人で行くには数週間前から予約が必要のはずだがまったく運がいい。5時半からと早めの時間帯が効を奏したのかもしれない。

「後から肉が来るからあまり取るなよ!」前菜はバイキング形式で種類も豊富。警告しても誘惑に抗することは出来ない者ばかりだ。銀髪は少量、多品種で皿を埋めたがこれでも全種類の半分以下。テーブル上のずっしり重いパンもチーズ風味で美味い。

50前後の中年おじさんたちも、初めてのシュラスコに興奮気味だ。次から次にやってくる肉を喜んで頬張る。銀髪は他の店で経験済みだが、この店の方が美味い。ドラムスティックでスタート。柔らかくて美味い。


後ろの席にケーキが運ばれた。小学生ぐらいの子の誕生パーティーをやっているようだ。ハッピーバースデーの歌に我々も参加した。大きな拍手に包まれてはにかんでいるのが可愛い。


殆どがオージービーフでも上手く調理してある。ラム、鴨、ターキーなどもあって楽しめる。銀髪は最後に玉ねぎの丸焼きと、もう一度和牛をもらった。ニンニクソースなども用意されているが、塩味だけで充分美味しい。


焼きパイナップルとポテトを除いて殆どの串焼きを食べた。部下たちは甘いものも喜んで食べている。食後には席を立ってフルーツを取りに行った。
「子供を連れてこよう!」と誓ったのは男の子を持つ部下たちだ。老若男女、誰でも楽しめる店である。
バルバッコア クラシコ BARBACOA GRILL
東京都渋谷区神宮前4-3-24
03-3796-0571
http://www.barbacoa.jp
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2010年04月04日
桜、さくら、サクラ &[もつ焼き克]
中目黒での花見の後は再び克へ

金曜日に春の嵐が関東地方を直撃した。千葉や神奈川の沿岸を走る列車に運休が続出した。しかし、神様は優しかった。水滴は小さく、昼過ぎには風もおさまった。散った花びらもわずかで、週末は絶好の花見日和になるはずだったのだが…

昨日、日本橋さくら通りの桜も満開だった。昼前だったので搬送のトラックが目立つ。人で溢れる昼時には桜はよりきれいに見えるだろう。
日が暮れて中目黒に向った。駅を降りて驚いた。まるで花火大会の後のようだ。拡声器で人の流れを整理する駅員が一世一代の仕事をしている。
橋の欄干は若いカップルたちで埋められている。「誰かに撮ってもらおう」男が彼女に言う声が聞こえた。「撮りましょう」手を差し伸べた銀髪に一瞬驚き、笑顔になった。何度も頭を下げる。いい若者たちだ。「親切な人がいてよかったね」と話す声を背中に聞いて歩き出した。
「ワー、桜吹雪だ」女性たちの声に振り返ると、桜の花びらが向ってきた。続いて雨が。絶好の花見日和のはずが、一転して春の嵐になった。駅に戻り、近くのドラッグストアに入ると、傘を求める客で列が出来ていた。予定外の雨を喜ぶ人もいる。
「もつ焼き 克」に向った。中学柔道部の仲間が集まる。数十年振りに同期と先輩で飲んだのが2年半前、今回は後輩が加わった。後輩のTは古賀、吉田を率いて世田谷学園の黄金期を築いた指導者だった。昔話、近況、入り混じって大いに盛り上がった。

それにしても克は賑やかだ。前回、花見の時は克へと書いたが、客が殺到し、断るのも大変な状況のようだ。今日は休みだが、来週も予約なしでは入れないかもしれない。結構なことだ。
一瞬の嵐で桜は一部散ったかもしれないが、幸いにも踏ん張った花びらの方が多い。今日も酔客たちを温かく見守ってくれるだろう。いや、もしかしたら馬鹿にしてるかも…
もつ焼き「克」
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2010/02/post_1506.html
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2010/03/post_1525.html
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2010年03月29日
[ピャチェーレ](丸の内)
ランチでも高級感を味わえる

東京駅に隣接する丸の内トラストタワー本館、シャングリラホテル東京に初めて行った。社員を率いての昼食会、予約の際に4,700円のパスタランチコースを頼んだら、HPでは載っていないシェフのお任せコースを奨められた。値段は同じなので異論はない。
高級ホテルのメインダイニングらしい立派な店である。ゆったりとした高級感溢れる店内。テーブルの上にはずっしりと重いフォークとナイフが置かれている。ピャチェーレの名前を刻んだイタリアのサンボネ社の銀製品である。

高級レストランで嬉しいのがパン。三種類のパンはそれぞれ個性があって面白い。これだけでいくらでもワインが飲める。もっとも、ワインは高いのでミネラルウォーターで代用するのが無難だ。

穴子のフリット、いわしのマリネ、共に独創的だ。イタリアンではあるが和の趣もある。刺身やひかりものが嫌いな人には肉中心の料理を造ってくれた。他人のめしは白い。

何度も聞き返したのはピッチ。初めて聞くパスタの名前だ。トスカーナ地方の伝統のパスタは太くてコシがある。メインはタラ。シェフの選択はすべて魚料理だった。

甘いものが好きな人にとって、高級レストランの楽しみはまだ続く。デザートの後に可愛いお茶受けが出される。値段分は十分に満足させてくれる。我々のテーブルを担当した格好いい女性に「シェフは外国人?」と聞くと「トスカーナ出身のイタリア人です」と言って微笑む。トスカーナ料理に和の要素を取り入れた独創的な料理は1980年生まれと聞けば納得できる。
それにしても店がほぼ満席なのには驚いた。接待の紳士たち、宿泊客と思われる外国人家族、そしてもちろん高級ランチにつきものの奥さま達もいる。
店を出る時に、長身、スリムな2人の女性スタッフが見送ってくれた。接客をしてくれた女性を含めて3人の美女たち。最後まで高級店らしく、気持ちが良かった。
ピャチェーレ
東京都 千代田区 丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
シャングリラホテル東京28階
(03) 6739 7888
http://www.shangri-la.com/jp/property/tokyo/shangrila/dining/restaurant/piacere
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2010年03月23日
[サイアムヘリテイジ東京](新丸ビル)
夜景を楽しみたいなら禁煙を

「10日も前に予約したのに、こんな席しかないの?」ハンサムなタイ人スタッフに文句を言うと、通りかかったベテラン女性店員が「夜景が見える席は禁煙席なんですよ」ととりなした。喫煙席を指定したのは銀髪だから黙るしかなかった。下戸のI氏から煙草まで取り上げたら可哀想だと思ったのが間違いだった。満席で移動することもできない。
アミューズ、ソムタム・タイ(青パパイアのサラダ)

I氏が連れてきた女性たちに新丸ビルからの夜景をご馳走することが出来なくなった。「タイ料理は大好きです」と聞いていたが、彼女たちは一度か二度の経験しかないようだ。オーストラリアに在住していた頃から何十回とタイ料理を食べている銀髪が勝手にオーダーすることになった。
トード・マン・プラー(白身魚のさつま揚げ)、トムヤムクン

タイ料理は新宿や池袋で食べるのが一番と思っているが、サイアムヘリテッジは丸ビルのマンゴツリーよりタイ料理らしいし、値段も中級。女だけのグループが多いのも頷ける。
ヤム・ウンセン(緑豆春雨のサラダ)、ガイ・ヤーン(地鶏のグリル)

女性たちはタイビールを飲み、ワインも付き合ってくれた。おまけにI氏が飲んでいるジュースにも興味を示す。素面のI氏は彼女たちの恋の相手に名乗りを上げそうな雰囲気だ。銀髪はあくまで恋の相談相手。眼中に入れてもらえない。
ガイ・ガバオ(地鶏挽肉のバジル炒めごはん)、カボチャのプリン

デザートがやってきた。銀髪が仲間外れにされる時間帯だ。銀髪は一人でグラッパを飲んだ。チグハグな食事会の印象は拭えない。勘定をして、エレベーターを降りたところで3人と別れた。
その後何も連絡はない。彼女たちは楽しんでくれたのだろうか?
サイアムヘリテッジ東京
東京都千代田区丸の内1丁目5-1
03-5224-8050
http://www.blueceladon.com/restran/siamheritage/siamheritage_index.html
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2010年03月22日
[えぼし](海老名)
強風の墓参り

2年前は強風に雨も重なり、傘が何本も折られた。悪天候にも関わらず墓参りを強行したのは姪の婚約を祝う宴を墓参りの後にアルエットで行うことになっていたためだ。母、長兄夫婦、次兄と銀髪の家族11人全員が顔を揃えた。今回は5人、中心人物の母の姿がなかった。
父が亡くなってから30年、唯一父に抱かれたことのある姪も30歳を超えた。母に手を引かれヨチヨチ歩きだった娘が、今は逆の立場になった。家族以上に海老名の変化は激しい。墓参りの後によく行った蕎麦屋はとんかつ屋に、濱町はしゃぶしゃぶの濱ふうふうになった。そして、もっとも変わったのは駅前である。

今回はヴィナウォークにある「えぼし」に行った。12時過ぎ、10人が店外の椅子で待っていたが5分程度で入れた。11時オープンなので、先客とうまく入れ替わることができたようだ。

みんなが食べたのは刺身&天ぷら、寿司、海鮮丼の定食。豆腐、漬物、味噌汁、デザートは全ての定食に共通のもの。銀髪は熟慮の末に酒の肴を3品選んだ。

単品を食べると、定食では分からない店のレベルが明らかになる。しらすおろしの大根は鬼おろしを使っているようだ。粗くおろした大根は水分が出ないで味がある。いわし梅巻揚げも悪くない。海老以外のもので嵩を増しているいるが、海老しんじょも上手く作っている。
店名から茅ヶ崎のえぼし岩を連想したのは間違いではなかった。本店は茅ヶ崎にある。飲食店は神奈川県内にしかないが、東京駅の大丸や、池袋の西武、東武に弁当や惣菜店を持っている。ショッピングセンターに大型店を開ける実力があるのも頷ける。
次のお彼岸に母は来ることが出来るだろうか。定食を平らげてくれるようだと嬉しいのだが。
えぼし
神奈川県海老名市中央1-6-1 ビナウォーク3番館 6F
046-235-6050
http://www.eboshi.com/
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2010年03月15日
[克]②(中目黒)
もつだけじゃない

「お前は生はダメだもんな」中目黒にオフィスがあるNを先輩の店に誘った。克の魅力は芝浦の食肉市場で買い付ける新鮮な肉。しかし、Nの嗜好は保守的だ。無料のお通しの後はポテトサラダ、イカの丸焼きを食べる。

しっかり焼くつくねはSも食べる。ボロニアソーセージ、山芋もSの注文だ。彼が頼んだものは銀髪もつまむが、銀髪が頼んだものを彼は食べない。

「トンビは美味いぞ」豚の尻尾の煮込みはピリ辛で気に入っているが、Sは見向きもしない。「レバーを焼いてくれる?」と言うと「オレも」と珍しくSが追随する。カウンターなので注文しやすい。「オレはちょっと炙るだけ」と銀髪が言えば、「オレはしっかり焼いて」とSが続ける。

今日はほぼ満員大盛況。奥のテーブル席は近隣の人たちだろうか、年配のグループ客で賑わっている。客が多いと目の前でたくさんの肉が焼かれるので参考になる。「それなーに?」存在感のある串はナンコツだ。

合鴨ロースはSも気に入ってくれた。「それちょうだい」焼き物以外に一番出るのが味キャベツのようだ。ビールの後にSは熱燗を、銀髪は焼酎割りを飲んだ。最後は銀髪も熱燗に参戦。ペースを落としていたSは銀髪に煽られてまた飲む。翌日は辛かっただろう。悪いことをした。
先輩の店を応援しようと思ってSを連れて来たが、事務所を移転すると言うのでがっかりした。もっとも、Sの力を借りずとも店は順調に客を獲得しているようだ。駅からちょっと歩くが、地元の人たちに支えられれば心配は要らない。
中目黒近くの目黒川は都内屈指の桜の名所として知られる。4月1日からライトアップされるそうだ。克は4時開店で11時半まで開いている。花見に行く前に、或いは花見の後に一杯やるのもいい。克の料理を携えて花見に行くのも悪くないだろう。春本番は目の前だ。
もつ焼き 克
東京都目黒区中目黒3-6-5
03-3716-7224
前回の記事とメニュー → 克
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2010年03月13日
[とんかつ富貴](秋葉原)
大きなカキフライ

チリの大地震の影響で宮城、岩手の養殖場は数十億円の被害を受けたという。富貴では岩手県広田産の牡蠣を使っている。ちょっと心配したが看板に貼られた紙を見て安心した。

決して立派な造りとは言えないとんかつ屋。年老いた夫婦がやっている店と思ったら、ピンクのエプロンをしたおば様が3人。イメージがガラリと変わった。店内はカウンターとテーブル二つの小さな店。年配のおじさんと相席になった。
広田産の牡蠣は築地場内で買ったこともあるし、オイスターバーで食べたこともある。北陸産の中ではもっとも名が通った牡蠣の一つである。大きなカキフライを想像したが、期待したとおりだった。

日本橋の今泉のように数個合わせたような大きさである。一口で食べることは無理。何回かに分けて食べると贅沢な感じがする。中にしっかり火が通るまで揚げても縮まないのが凄い。銀髪からしたらもう少し生っぽい方が好みだが、誰でも安心して食べられるぐらいの揚げ具合。充分ジューシーである。
豚汁とおしんこがついて1,000円。豚汁が美味しくて気に入った。銀髪が食べ終わる頃、常連さんがカウンターに座った。「あら、今日は早いのね」なんて言われて家でごはんを食べる気分に違いない。「コロッケにカキフライ2個」とオーダーの仕方も常連らしい。
アットホームな店だった。とんかつの評判もいいようだ。牡蠣のシーズンが過ぎたら、とんかつでも食べに来ようかな。
とんかつ富貴
東京都千代田区外神田3-11-11
03-3255-0607
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2010年03月03日
[招福楼](丸ビル)
お茶の心を基にする料理

「床の間を背にする席が上座でございます」と言われるまでもなく、景色を楽しめる壁際に客を座らせるべきだと思った。しかし、与えられた座敷からは向かいのビルが見えるだけ。夜景ならともかく、昼間の景色は楽しくない。窓を背にした自分が客のようだ。明治元年(1968年)創業の招福楼本店を知る人には勝手が違うだろう。

しその茶からスタートした。漆の盃に日本酒を注いで貰う。酒を飲まない部下の分と合わせて2杯飲んだ。ウニの料理、いわしの寿司と続く。日本酒が欲しいがビールで我慢した。

椀物の中にはふぐの白子が入っていてちょっとびっくり。店の女性に思わず聞いてしまった。お造りは赤貝とひらめの昆布締め。さすがにいい素材を使っている。

料理を運ぶ女性は3人目でようやく店の格に相応しくなった。店の造りや料理より、店の格を決めるのはやはり人である。接待の席で目立つのを避けるためか、料理の説明はそこそこに立ち去ろうとするので呼び止めた。まながつおの焼き物、八寸も上品。客は梅の花の香りを気に入った。

白魚の卵とじにはふき、酢の物はうど。「今の季節は冬の終わりの野菜、旬の野菜、初春の野菜と、季節をまたがった野菜が食べられます」と説明されれば得をした気分になる。四季を味わうのが日本料理の真髄と思える。

煮物の魚が分からない。すぐに言い当てる人がいたら尊敬してしまう。再び呼び止めると「おこぜです」と言う。高級食材を存分に使える料理人は幸せだ。もっとも、家賃や人件費にいくら消えるか考えると23,100円のうち材料費に使えるのは限られるかもしれない。

「もう腹一杯」と思ってもデザートがある。緑豆の餡が入った饅頭は一口食べて部下にあげた。日本酒のお返しだ。これで終わりと思ったらデコポンが出て来た。ゼリー状になってとてもいい出来だった。最後に抹茶を飲んでお開きになった。
濡れた杉の箸、饅頭には不揃いの黒文字と楊枝、随所に茶懐石の作法が取り入れられている。本店に行きたくなった。地下に下りて駅に向う途中で千疋屋を見つけた。デコポンの値段を見て部下と2人で感心した。こんなんじゃ、本店に行くのは恥ずかしいかな。
招福楼 東京店
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング36F
03-3240-0003
http://www.shofukuro.jp/
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2010年02月28日
キングケバブ (秋葉原)
久し振りのケバブ

オーストラリアに住んでいた頃、最初の赴任地シドニーで気に入り、転勤したメルボルンで毎週のように食べていたのがドナーケバブ(Doner Kebab)。薄いパンに削ぎ切りした羊肉、玉ねぎなどの野菜を乗せ、香菜と好みのソースを加え、筒状に丸めて差し出される。オフィスに戻り缶ビールと共にランチにしたものだ。
思い出を一杯抱えて秋葉原に向った。店で食べられるのかと思っていたが屋台のような店だ。ビールは置いていない。「ビーフにしますか、チキンにしますか?」と言われて戸惑った。羊肉はないようだ。「両方でもいいですよ」となればもちろんそれにする。肉を削ぎ切るパフォーマンスはなく、肉を温蔵庫から取り出しトルティーヤの上に乗せた。あんな薄い皮だったかな?オーストラリアの思い出は脳の奥にしまい込んだ。

紙で包みセロテープで止めて渡された。店の前で食べようか迷った。白髪オヤジは客寄せにはならないだろう。歩きながら食べることにした。行儀悪くすると意外に楽しい。何だか若返った気分だ。顔をしかめる人がいるかと思ったが、誰にも関心を持たれず無視されて失望した。
オーストラリアではギリシャ料理のスブラキもよく食べた。地中海諸国・中東、北アフリカ・東欧を支配したオスマン帝国の影響かケバブに似た料理はあちこちにある。侵略は成功しても失敗しても人が動き、それに伴い料理も伝播する。飛行機もなく自由に旅行もできなかった時代に文化を伝える役割を担ったのが戦争と言えないこともない。

半分ほど食べ進むと紙が邪魔して食べ辛くなってきた。上から紙を破るか、下から押し上げるか。押し上げる方が食べやすそうだ。あれこれいじっているうちに上手く出来た。一人悦に入っていたら手が濡れていることに気がついた。時既に遅し。コートに赤い汁がたれている。ボタンを開けていたのが悪かった。スーツにも流れ落ちている。ネクタイは助かった。
550円で安く済ませるつもりが、クリーニング代が加算されるランチになってしまった。パートナー殿に怒られそうだ。歩き食いの報酬は高くついた。やっぱり行儀良く座って食べなきゃね。反省、反省。
キングケバブ
東京都千代田区外神田3-5-13 1F
03-3256-8060
http://www.kingkebab.info/
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2010年02月22日
[もつ焼き 克](中目黒)
中目黒の期待の星

「N先輩が焼き鳥屋を開いたんだ」中学の柔道部仲間Sが電話をくれたのが昨年末。ようやく行く機会が訪れた。中目黒駅で会って山手通りを下る。駒沢通りを越えて、東京共済病院前バス停を過ぎたところに赤提灯が見えた。焼き鳥ではなくもつ焼きである。期待と不安が広がる。
想像していたより広い店だ。カウンターを横目に奥に進むとシャンデリアが下がり、ソファー席もある。以前のバーから居抜きで引き継いだためで、アンバランスが面白い。貸切りパーティーも出来るもつ焼き屋も面白いではないか。4時開店と使い勝手もいい。
お通し、ボロニアソーセージ、レバカツ

「お通し代は取らないんだ」と先輩が言う。貼り紙を見ると確かに0円。「点数高いですよ!」褒めるところがなかったらどうしようという不安は少し消えた。「お通し代がタダの分、好きなものを頼んでくれたらいいんだ」と嬉しいことを言ってくれる。意気や良し。
レバー、シロ、カシラ、テッポウ、ガツ、ワッパ、オッパイ

「お奨め持って来て下さい」先輩の奥さんにお願いした。レバーは「かる焼き」で中が生。新鮮でなければ出来ない仕事。レバカツが美味かったはずだ。味の不安も吹っ飛んだ。本音で褒めることが出来る。ワッパ、オッパイなどなど、珍しいものが好きな人も楽しめる。
ホーデン刺し、レバー刺し

ホーデン(睾丸)刺しを頼んだら、「レバー刺しも食べてくれ」と先輩が言う。どちらも素晴らしかった。「いい仕入れ業者と付き合ってますね」と褒めたら「息子が自ら芝浦で買って来るんだ」と聞いて大きく頷いた。芝浦の食肉市場はいわば肉の築地。店名の克は店長を務める息子さんの名前から取っている。中目黒の期待の星である。
トンビ豆腐、チーズ春巻き

豚の尻尾が入ったピリ辛のトンビ豆腐も克の名物。Sが頼んだのはボロニアソーセージとチーズ春巻きの2つ。珍味や肉刺しが嫌いな人でも食べるものはたくさんある。

飲み物にもこだわる先輩がイチオシなのがハイ・サワーとレモン。もちろんホッピーもある。飲んで食って一人3,000円。「儲かるんですか?」と聞いたら、「まずはみんなに来てもらうことから」とのこと。「一度来てくれたら、みんな褒めてくれる」と嬉しそうに話す。
男気たっぷりのN先輩。頑張ってください。
もつ焼き 克
東京都目黒区中目黒3-6-5
03-3716-7224
メニュー


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2010年01月10日
大勝軒 いぶき
麺が上手に食べられない

先日、テレビでつけ麺がブームと報じていた。つけ麺の産みの親は東池袋大勝軒の創始者山岸一雄氏というのが定説らしい。既に50年もの歴史があるにもかかわらず、最近ブームになっているのは何故だろうか。
光が丘の駅から歩いて数分、住宅地にさしかかるところに大勝軒の幟を見つけた。山岸氏の引退が大きく報じられてラーメンマニア以外にも広く知られるようになった大勝軒だが、本店はおろか暖簾分けした店にも入ったことがない。幟につられて行くと5人が並んでいた。
長時間待ってまでラーメンを食べたいとは思わないが、5分や10分なら他の店を探すより待つ方が得策である。しかし寒風の中で前金を払わされるとは思わなかった。人気店では食券を買わないと列に加われないことが多い。山岸氏がもっとも重視したという「お客様への感謝の気持ち」は約60店の大勝軒のれん会加盟店にどのように伝わっているのだろうか。

待ち時間は予想より長かった。入ってみるとカウンターが7席のみ。行列の先客と我々2人が入るためには総入れ替えしないといけないことが分かった。肝腎のつけ麺はなかなか美味しい。
銀髪と同年齢の部下はラーメンを選んだ。銀髪も大勝軒でなければラーメンを食べただろう。寒風にさらされたためだけではなく、熱々のラーメンを好むのがおじさんたちの習性だ。テレビではつけ麺ブームの理由として、若者が熱い麺をすすれないことを上げていた。確かに豪快にズルズルと音を立てて食べる人は少なくなった。一度れんげに乗せて冷まして食べている。しっかり噛んで胃に負担をかけない食べ方だ。

他の全員がつけ麺を選んだことを知り後悔していた部下も、ラーメンを一口食べて笑顔になった。100g増しの300gのつけ麺は簡単に銀髪の腹に収まった。隣席の女性はまだ半分も食べていない。あつもりにした麺は早く食べなければ絡まって食べにくい。そう言えば外国人は熱々でなくても麺を上手にすすれない。欧米化の傾向はここにもあるのかもしれない。最後に入った我々が最初に店を出た。
「5分で食って来い!」約30年前、ボスにどやされて食堂に走ったものだ。席に駆け戻り受話器を持ち上げた。呼び出し音を10回聞いて電話を切り、ため息をつく。電話の先は無人の独身寮。仕事をするフリも堂に入っていた。
大勝軒 いぶき
東京都練馬区田柄5-16-10
03-3577-4112
大勝軒のれん会
http://www.tai-sho-ken.com/noren/index.html
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2010年01月05日
[新世界菜館](神保町)
特大の上海蟹

「こんな大きな蟹は滅多に入って来ないです」半信半疑だったが見せられて本当に驚いた。今まで数十匹食べたけれど、これほど大きな上海蟹は初めて見た。300g以上もあると言う。銀髪の手と比べるとその大きさがよく分かる。

「上海蟹以外は大した料理はないよ」と連れに言ったのを謝らなければならない。2回来たことがある新世界菜館だが、上海蟹のイメージしか残っていない。三種の冷前菜には渤海産花クラゲ、大黒神島産牡蠣の冷製、もち豚の自家製チャーシューを選んだ。どれも悪くない。特に花クラゲがコリコリとして面白かった。上海蟹とフカヒレのスープも上海蟹が蒸し上がるまで立派に責任を果たした。

甕出しの紹興酒を頼んだら上澄みのものをグラスでサービスしてくれた。中ほどのものと比べると味の違いが分かって面白い。「イヤー、どれも美味しいけれど、この店の良いところは下積みの若者たちだね」と言って笑わせた。気分がいいとオヤジギャグも快調だ。

中国娘、ベテランの店員、若い店員、みんなにこやかにやってくる。「イヤー、凄い、イヤー、これは凄い」銀髪が褒め称えるとみんな誇らし気な笑顔を見せる。これだけの大物を仕入れているとはさすが新世界菜館である。
「割り箸持って来てくれる?」上海蟹の足の身を押し出すのに割り箸を使うのは初めてだ。普通の上海蟹の足に割り箸は太すぎる。ミソとネットリした白子を堪能した後は疲れるだけの上海蟹だが、この日は身も楽しめた。

最後にお腹を満たすために上海蟹みそたっぷりのあんかけチャーハンを頼んだ。若い店員が料理をテーブルに置こうとするので「あっ!そのまま持っていて。ちょっとこちらに傾けてくれる?」と言った。「写真を撮る人は多いですが、注文つけられたのは初めてですよ」と苦笑する。「ダメかな?」と言うと「きれいに撮ってもらった方が嬉しいですから」とポーズを取る。なかなか可愛い奴だ。
店を出るとき、応対してくれた店の人たちが勢ぞろいして笑顔で見送ってくれた。銀髪も満面の笑顔で、ちょっと格好をつけて手を上げた。今まで来た中で一番の新世界菜館だった。
新世界菜館
東京都千代田区神田神保町2-2 新世界ビル
03-3261-4957
http://www.sinsekai.com/
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2009年12月10日
[ミルクワンタン 鳥藤]
これは本当に牛乳だ

竜馬を出て「電車に乗るぞ!」と言う兄に従った。牛乳焼酎のあとにミルクワンタンとは見事な企画だが、この時はまだ竜馬で飲んだ牧場の夢が牛乳焼酎だとは知らなかった。有楽町のガード下にある鳥藤も有名な店で、銀髪がリストアップしていた店の一つである。
カウンターに座ると「今日は遅いねー」と兄に声がかかる。「新橋で飲んできたからねー」とご機嫌だ。「これ、俺の弟」と続ける。みんなが似てる、似てないと付き合ってくれる楽しい場面だ。「兄貴は貧乏人の子、俺はいいとこのおぼっちゃん」と銀髪が話をかき混ぜる。8歳違えば戦後貧困時の世代と高度成長時の世代となり、兄弟でも暮らし向きは大きく異なった。

「食べてきたのなら少なめのコースにしますね」おじさんも、おばさんも、みんな笑顔がやさしい。小皿がどんどん出て来る。少なめは有難いが、ビールがどんどん飲めてしまう。まあ、払いは兄だから遠慮なくどんどん追加する。

納豆に箸をつけると兄が焼き飯が来るまで待てと制する。竜馬で兄もその同僚も焼酎に専念していた理由が分かった。だいぶん腹も膨らんできたが、焼き飯に納豆が絶妙にマッチしてすぐに腹に収まった。

いよいよ店名にもある名物ミルクワンタン。一口すすって思わず笑った。クリームシチューを想像していたのだが、これはそのまんま牛乳スープ。改良に改良を重ねて完成したものというよりも、牛乳を加えていいかげんに作ったような感じだ。熟練の技が隠されているのかもしれないが、子供の頃に銀髪が作ったものに似ていて懐かしい。

外国人観光客向けの雑誌でも紹介されたという鳥藤は、地方都市にもあるようなアットホームで気軽な居酒屋だ。大都会東京のど真ん中であっても、ガード下にこんな店がたくさんあるのが面白い。不況なんか関係ないように見えるがどうだろか。いつか本来のコースをしっかり食べに行って聞いてみよう。
お兄ちゃん、また連れてってよ。
ミルクワンタン 鳥藤
東京都千代田区丸の内3-7-9
03-3215-1939
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2009年12月04日
[Ça va サヴァ?]
380円均一で元気?

最近、立ち飲み屋がやたら目立つようになった。バブルが弾けた後、面白がって酒屋のカウンターで缶詰や乾き物で飲んだことを思い出す。最近の立ち飲み屋は当時に比べると女性が多い。立ち飲みが当たり前の外国のバーに似ていないこともない。

Sava?には椅子があり純粋な立ち飲み屋ではない。最近よく見られるようになった均一価格の飲み屋である。飲み物も、食べ物もすべて380円。一人でちょっとひっかけて帰るもよし、ワイワイガヤガヤと仲間内で飲んでも楽しい。

渋谷や新宿でも似た様な店を見かけたことがあるので系列店かと聞いたら、違うという答え。土砂降りの後に自然発生的にあちこちに出てきた業態なのかもしれない。
ビールの泡が随分と多いように見えたが、380円では文句は言えない。子供の頃、ビールを飲む父の横に銀髪が居た。父はグラスにビールを注ぐとすぐに銀髪に手渡す。グラスに口をつけ泡を飲み、いよいよ液体に届くか届かないかの瞬間に取り上げられた。恨めしそうな銀髪を見ながら、ゴクゴクやるのが心底楽しそうだった。思い出にひたりながらビールをお代わりした。三杯目にもなると注ぎ方はましになった。

均一料金だと、ついついどれが一番得か考えてしまう。例えばラーメンの幸楽苑。テレビのインタビューで社長が語ったところによると、味噌、しょうゆ、塩の中で味噌ラーメンが一番原価が高いとのこと。社長は塩ラーメンを頼んで欲しいと言うが、逆効果だっただろう。

一番割安と目をつけた生ハムの見事なこと。いや、生ハムではなく腕前が見事。骨付きのハムを削ぎ切り皿に盛ってくれたが、まるでふぐ刺しのように皿の模様が見えそうだ。
会計は「1点、2点、3点、………」と実に簡単だ。100円ショップ、ダイソーの会計を思い出した。「また利用してくださーい」と言う女性店員が明るく元気で実に気持ちがいい。サヴァ?(Ça va ?)とはフランス語では元気ですか?という意味。最後の最後に、ただでこんな笑顔を見られるなんて、なんてご機嫌な380円ショップなのだろう。
Ça va ? サヴァ?
東京都千代田区丸の内3-1-1
03-5208-5011
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2009年10月25日
[麺屋 ひょっとこ](有楽町)
おかめとひょっとこ

交通会館の地下の店は「おかめ」「大正軒」「桃園」などを書いたが、実は最初に行ったのはひょっとこ。柚子ラーメンというのが珍しいと思って出かけて行った。早速書くつもりが延び延びになり、その間にチェーン店でも柚子ラーメンを見かけるようになった。
再び行こうと思ったのは二日酔いの翌日。軽くそばかうどんが定番だが、何故かラーメンが食べたくて仕方がない。好きなのは豚骨系のこってりタイプだが、さすがに胃を気遣ってあげた。そこでひょっとこを思い出したわけだ。
いつも座るカウンターの右側に座った。店主の手元がよく見える。柚子は絞るのではなく皮をすりおろすということは前に来た時に知った。皮を使い切った後の果肉部分はどうするのだろうと今回も疑問に思った。残念ながら忙しそうで話しかける雰囲気ではない。店名の由来は甘味の「おかめ」の姉妹店だから「ひょっとこ」ということらしいが、今回も確認できなかった。

後ろに女性が2人立った。7席しかない店に銀髪を含めておじさん3人が一つずつ席を空けて座っているので2人一緒に座れない。誰かが一つ席を動けば足りるのだが他の人は気付いてないのか、その振りをしているのか食べることに集中している。当然の如く銀髪が動いたが、正解だった。
女性たちがとても嬉しそうに食べるのだ。「あー、幸せ」なんて声が聞こえてくると、銀髪もそんな気分になる。ラーメンは一人でサッと食べるものと決め付けているおじさんたちよりも、批評したり世間話をしたりしてゆっくり食べる女性たちの方が上手な食べ方かもしれない。
なにはともあれ、胃に優しいラーメンだった。これなら今夜も美味い酒が飲めそうだ。酒呑みは懲りない。
麺屋 ひょっとこ
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館地下
03-3211-6002
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2009年10月13日
[白龍トマト館](新江古田)
念願の杏仁豆腐

友人にご馳走になった後、固辞したのに持たされたお土産が海老春巻と杏仁豆腐。家族に大絶賛されたものの、江古田に行くことはないし、店の名前も忘れてしまって早10年。覚えていたのがトマトの大きな看板。ネットで調べて家族と行くことにした。
記憶の場所と異なったので半信半疑だったが移転したとのこと。12時前だったので、2階はガラガラ。4人席に座り料理を頼み始めたら大きなテーブルに席替えさせてくれた。
レバニラきくらげ炒め、海老巻揚げ

レバニラ炒めは少量の割りに高い。しかし食べ始めたらみんな納得の美味さ。海老巻揚げが来たところでパートナー殿の顔が輝いた。この店に間違いない。海老とシソだけの豪華な春巻き。海老のプリプリッとした食感が記憶の通りだった。
玉子餃子、とこぶしの柚子バター炒め
海老豆腐、鶏肉とピーマンの辛味湖南風

変り種の玉子餃子はともかく、どの料理もみんなを喜ばせた。江古田でこの料金なら不満を言う人も多いだろうが、料理人の腕はしっかりしている。わざわざ世田谷から電車でやってきたのも無駄ではなかった。
トマトタンメン、杏仁豆腐

まさに文字通りの看板料理がトマトタンメン。テレビでも紹介された異色のタンメンで、遠くからやってくる人の目的はこれ。しかし、銀髪は初体験で、10年前に紹介してくれた人も敢えて頼もうとはしなかった。なんとなく分かるような気がする。
「いい思い出は増幅されるもの。がっかりするかもしれないよ」と予防線を張って頼んだ杏仁豆腐。食べ始めると再びパートナー殿の顔が輝いた。甘味の評価を銀髪は出来ないけれど、彼女に言わせると記憶の通りナンバーワンの杏仁豆腐らしい。
「家に買って帰ろうかな」と言うのを制した。「また来ればいいじゃないか」と言ったものの次回はいつ来られるか分からない。それでも、腹一杯食べて飽きるよりましだろう。思い出の味が熟成されるのを待つのも美味しく食べるコツである。
白龍トマト館
東京都中野区江原町3-17-1
03-5988-7330
http://www.tomato-tanmen.com/
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2009年10月01日
[尾花](南千住)
一番はサービスかな

尾花は東京のうなぎ料理屋の最高峰と言われる。南千住に行ったことがない銀髪は郊外の遠い場所にあると思っていた。無意識に住んでいる世田谷からの時間距離を考えてしまうが、勤め先に近い茅場町から南千住まで電車で僅か15分。意外だった。
いつも行列が出来るという尾花も、秋ともなると客足は遠のくのかもしれない。6時前でも空席が目立った。うざく、う巻き、焼き鳥、鯉あらい、白焼き、うな重、いつもならこんな順番で食べていくのだが、大江戸で食べたごはん少な目のうな重の反省から思い止まった。しっかり蒲焼きとごはんを食べよう。そうは言ってもビールについてくる漬物だけではうな重が来るまで間がもたない。
うざく、焼き鳥

ピックアップするよりも、切り捨てる方が難しい。すぐに出てきそうなうざくと、焼き上がるまでちょっと時間がかかる焼き鳥。さばくところから始めるので長時間待つうな重。我ながらよく考えた。うざく1,500円、焼き鳥2本で1,100円は人気店ならではの価格に思えたが、食べてみるとこの値段も仕方ないかと思う。濃い目のたれがかかった焼き鳥も独特のもの。

焼き鳥を食べても時間が余ったときのために、ビールについてきた漬物は残しておいた。それでも40分~1時間はかかると言われる蒲焼は焼き上がって来ない。再びメニューを見てう巻きを追加した。すると、すぐに注文を受けた女性が戻ってきた。「もう出来上がるそうですが、う巻きはご飯の後にしますか?」と言う。もちろんキャンセルした。空いていれば焼き上がりまで30分というところだろう。

料理を少なくした分ビールや日本酒を飲みすぎた。一番目方が少ない3,000円のうな重を頼んだのは正解だった。メニューを見るとご飯のない蒲焼の方がうな重より高い。「値段の差は目方です」と店の女性は言うが、目方とはうなぎ一匹の大きさ(身の厚さ)なのだろうか、質も関係あるのだろうか。解明するのは次の機会にしよう。
尾花のうなぎは美味しかった。しかし同じ日に食べ比べをしなければ味の差はよくわからない。食べた時の体調、季節によっても印象は異なる。個々人の好みもあるだろうから軽々しく優劣はつけられない。
うなぎの味はともかく、特筆すべきは料理を運ぶ女性たちの応対の良さだ。最高の評価を得る行列が出来る人気店にもかかわらず、どの女性たちも偉そうなところがまったくない。ミシュランの選者や有名人にだけ愛想を振り撒く店でないのが心地よかった。
尾花
東京都荒川区南千住5-33-1
03-3801-4670
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2009年09月27日
[粋な一生](秋葉原)
ちょっと気に入ったかな

食べる時間より長い待つ時間を快適に過ごすため、メニューに工夫がしてある。店主のこだわりを読んでいる間に料理が出来上がる仕掛けだ。ちょうど<売切れ必至の人気メニュー>の秘密を読んでいるところに味噌ラーメンがやってきた。

繊細な盛り付け、根を取ってシャキシャキしたもやし、自慢のスープ。「おぅ!なかなか美味しいじゃん」山のようにあるラーメンブログを見るにつけ、ラーメン屋の評価だけは書くまいと思っている銀髪でも、「これは好みだ」ぐらいは言いたくなった。
メニューでは味噌ラーメンより前に出て来るのが<当店のおすすめ>の塩ラーメン。こちらは食べ方まで主人が丁寧に説明している。①まずスープは3口まで②チャーシューは温まって柔らかくなるまで待つ③終盤にスープを3口以上飲んで美味しくなったことを知る④御飯にスープをかけて御茶漬け風にする⑤調味料を加えて味の変化を試す⑥自分なりの美味しさの感じ方を見つける。まあ、こんなあんばいだ。

忠実にアドバイスを守った。いつもは早食い競争のようになるラーメンも、メニューを読み返しながら食べると時間がかかった。この店が好きになったのは⑥のコメントの解説。「誰がなんと言おうと自分の好きな食べ方が一番」なんてこだわりの店主がなかなか言えるものではない。遠慮なくMy唐辛子をポケットから取り出して振りかけた。オーッ!美味い!

御茶漬けのためにチャーシューを少し残しておいた。熱でフニャフニャになってごはんに混ざりやすい。塩ラーメンのスープがごはんによく合うねー。味噌のスープだったら昔を思い出して切なくなるだろう。40年以上前、我が家の愛犬は味噌汁ごはんが出て来ると下駄で蓋をして抗議したもんだ。
若くても、独学でも、接客の心得が未熟でも人気店になれるのがラーメン屋。そうは言っても、一生懸命さが感じられて好感が持てるお店である。
ラーメン食堂 粋な一生
東京都台東区1-27-2 竹善ビル1F
03-3837-8117
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2009年09月18日
[がんこ](上野)
酒はほどほどに

「安い店で申し訳ないですが…」と連れて行かれたのが上野のがんこ。昭和38年に大阪十三で創業し、現在は様々な業態を展開する大飲食店グループになっている。上野本店は平成3年に開店した東京進出1号店のようだ。
下駄箱に靴を入れて廊下を歩く。思ったより大きな店だ。個室は座敷かと思ったが、テーブル席になっていた。年配者でも椅子席の方が居心地がいい。「安い店」というのは謙遜で、立派な料理が我々を待っていた。

さすがに商売が難しい大阪で成功した店だ。見栄えのする料理でも、リーズナブルな価格設定になっているに違いない。客を待たせないサービスも見事である。酒もどんどん運び込まれてくる。アルバイトに見える若い女性店員も実にきびきびしている。銀座ライオンよりも教育が行き届いている。

10人のメンバーの内、50代は銀髪と部下の2人だけ。他は60歳以上で70代も複数いる。喋って飲んで、日本の経済成長を引っ張ってきた人たちは本当に元気だ。最近の若者たちと比べると宴会慣れしていて、飲み上手、注ぎ上手でもある。

豆乳鍋が始まる頃には年配者たちの食べる勢いはさすがに落ちてきた。それでも飲む方は衰えない。注ぎ方は勢いを増している。左から右から、前方から、さらには後ろから徳利が差し出されるので銀髪は箸を取る間がない。もっとも、大型の居酒屋で出される熱燗はあまり酔わない。常時温められているのでアルコールが飛んでしまっているのかもしれない。

寿司が出てきたところでホッとした。お開きの時間は目の前に迫っている。ようやく日本酒からも開放されそうだ。重鎮が熱燗派で助かった。
半数が残り、2次会に誘われ浅草に向かった。スナックでも行くのかと思っていたが甘かった。タクシーを降りた先には見覚えがある大きなちょうちんが下がっている。居酒屋の「あらまさ」である。「いやー、ここはいい酒があるんですよ」と講釈をたれる馬鹿な銀髪。これを聞いて一度は頼んだ熱燗を冷酒に変更されてしまった。自分の軽率さを呪ったが後の祭り。今度はアルコールをしっかり感じながら飲んだ。ぼちぼち翌日のことを心配しなければならない。
がんこ 上野本店
東京都台東区上野4-9-6 ナガフジビル6F
03-5688-8845
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2009年09月08日
[パッサテンポ](吉祥寺)
路地裏のビストロ

こんな路地に評判のビストロがあるのだろうか、不安な気持ちが頭をもたげた時、連れに呼び止められた。危なく通り過ぎてしまうところだった。店に入ってすぐが立ち飲みコーナーで、左側に小さなテーブルが並んでいた。古いレコードなどがクラシックな雰囲気を醸し出している。
メニューを2つ渡された。分厚く重いのが飲み物のメニューで、A4の紙一枚が料理である。小さなこだわりの店ではコース料理のみというところが少なくない。限られたアラカルトから選ぶより、シェフのお任せコースを頼むべきだったかもしれない。
本日のキッシュ、パンとバター

自家製パンが380円と別売りになっている。それ以上に発酵バターが200円と別売りになっているのが珍しい。普段はパンにバターをつけない銀髪だけに明朗会計と褒めてあげたいところだ。発酵バターと知って頼んでしまった。うまくはめられた感じだ。
単品ずつ頼んでいく銀髪に業を煮やしたのか「料理によっては時間がかかりますので、早めにオーダーしてください」と店の女性が言う。「どの料理?」と聞くと「岩中豚のソテーは出来上がりまで20分かかります」と言うので驚いた。焼く前に冷蔵庫から出して常温にする時間が必要と教えられて納得した。
飲み物のメニューが一冊しかなくて、我々を含めて3組の客の間を行き来する。ボトルで頼む客に女性店員が丁寧に説明している。グラスで飲む銀髪は遠慮がちにメニューをもらい、2杯目、3杯目のワインの名前を記憶した。
ミックスサラダ、岩中豚のパテ

海老、鶏、卵などが入ったボリュームたっぷりのサラダが来て、岩中豚のソテーを頼まなかった自分を褒めてあげた。代わりにパテを頼んだ。値段から予想した以上に大きなパテで腹一杯になった。食後酒を選ぶために再度メニューを求めるのも申し訳ないので店を変えることにした。
勘定をして振り向くと立ち飲みコーナーで一人グラスを傾ける若者が見えた。なかなか堂に入っている。この店を上手に楽しむ方法を教えてもらったような気がした。
パッサテンポ
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-27-101
0422-23-5125
http://www.passatempo.jp
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2009年09月03日
[マンゴツリー](丸の内)
夜景が一番のご馳走かな

「今日はお任せしますね」タイに駐在経験があるFさんに言うと、メニューを開いて張り切っている。「ヤムウンセン、タイ風さつま揚げ、トムヤムクン…」と言った後はメニューを何度も何度もめくって言葉が出て来ない。創作料理が中心で、Fさんの思い出の品は殆どない。
ヤムウンセン、タイ風さつまあげ、ソムタム

「タイ料理はみんなで分けて食べてるのが楽しい」とマンゴーツリーを選んだのは銀髪だが、料理が出てきて絶句した。春雨サラダのヤムウンセンもグリーンパパイヤサラダのソムタムも5人で分けるには上品過ぎる量。一人一個と頼んだタイ風さつま揚げも実に可愛い。
トムヤムクン、新鮮魚介のタイバジル炒め

目の前で湯煙を上げるトムヤムクン鍋を期待したらがっかりする。各人に分けてくれたトムヤムクンを見て、その品の良さに嬉しいような悲しいような。今まで行ったタイ料理屋の中では群を抜いて高級な店で、タイ通のFさんは香菜と辛さで何とか郷愁を満たそうと努めている。
ガイヤーン(薩摩地鶏のハーブグリルもち米添え)、タイワイン

慣れ親しんだタイ料理ではないけれど、確かに味覚を研ぎ澄ませれば、どの料理にもタイ料理のエッセンスが隠されている。
店にとって望ましい食べ方とは、フランス料理のようにコースで食べることだろう。銀髪たちにとっては大衆居酒屋に行くつもりが、料亭に入ってしまったような気分だ。救いはフランス産ワインにこだわるKが、タイ産ワインを頼んだこと。これでかなり客単価を押し下げた。

店を出る頃にはほぼ満席になっていた。窓際に座るカップルたちにはロマンチックな夜景がいい思い出になるだろう。銀髪を除く老中年の4人の紳士たちはそれなりに満足してくれたようだ。
銀髪にとってはタイ人のおばさんたちが作る池袋や新宿のタイ料理の方がいい。香辛料も辛さもパンチが効いている。ただし、夜景もないし、ソムリエもいない。一緒に来てくれる美女もいないかもしれないが…
マンゴツリー
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング35F
03-5224-5489
http://www.mangotree.jp/
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2009年09月01日
[印度園](大手町)
頑張れインド人と印度園

「中華料理もありますよ」と言われて驚いた。テーブルには確かに中華のメニューも置かれている。店は中で隣の中華料理屋と繋がっており、両店は同じ経営のようだ。「今日はインド料理を食べに来ましたから」と中華のメニューは横に置いた。
席を立ちキッチンを覗くとインド人の料理人がウインクをする。3人のインド人のうちタンドーリ釜を担当する彼が、ナンの生地をこねて釜の内壁に貼り付けるデモンストレーションをしてくれた。
パパダン

いつもビールのつまみに頼むパパダンの辛さは気合が入っていた。本格的なインド料理が作れる料理人である。中華を頼む必要はなさそうだ。
ナン、チーズ入りナン

先ほどデモンストレーションで焼いてくれたナンがやってきた。チーズ入りは酒の肴にちょうどいい。インド人か日本人店主か、どちらのアイデアだろうか?
タンドーリプロウン、チキン

香辛料タップリのタンドーリ料理。海老は思ったより小さく、それに反して鶏は大きい。いずれもパパダンと同様に辛くて銀髪好みに仕上がっている。これもなかなか気合が入っている。
サグマトン、チキンカシミールマサラ

これまでの料理とうって変わってカレーはマイルドになってしまった。ニューデリーやカルカッタ出身の料理人たちが納得しているとは思えない。辛いのが好きな日本人にとっても物足りない味になってしまった。オーダー時に辛さの好みを聞いたり、追加する香辛料をテーブルに用意して欲しいものだ。
夜、ゆっくり楽しみたい人には酒の肴になる料理がもう少し欲しい。ワインなどの種類も増やせないものだろうか。出来たばかりの店だから、みんなの意見でどんどん改善してくれると思う。店を仕切る砂子田さんの笑顔が安心感を与えてくれる。
心強いのは気合が入った料理を作る茶目っ気タップリのインドの料理人たちが居ること。便利ではあるけれど隣の中国料理の助けを借りるのは最後の最後。インド人たちに誇りを持って頑張ってもらいたいものだ。
印度園
東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館・JAビルB1F
03-5220-2166
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2009年08月01日
[ジャポネ](有楽町)
満腹、満腹

11時を少し回ったばかりなのに行列が出来ていて驚いた。ラーメン通Araproさんのブログに書いてあったけれど、そんなに人気がある店とは想像もしなかった。20人近くが並んでいるのを見て踵を返した。
その日は交通会館まで足を伸ばして、先日書いた桃園で長崎ちゃんぽんを食べた。それから数回ジャポネを覗いたけれど、いつも同じぐらいの行列が出来ていた。
今日は前夜の酒が残って胃が重たい。さっぱりスッキリの柚子らーめんを食べようと交通会館の「ひょっとこ」に向かった。習慣になってしまったでジャポネ見学のつもりが、珍しく行列が短いので迷った末に列の後ろについた。8番目である。席に着くまで長く感じたが、時計を見たら7分しか経っていなかった。
待っている間にお腹が空いた気分になった。ジャポネのジャンボ(大盛り)を頼んだ。左を見るとじゃりこの横綱を客が受け取っている。右隣の客にはキムチスパの横綱がやってきた。壁際で立って見ていた時よりも、目の前で見ると度肝を抜かれる量である。銀髪が頼んだのは横綱より小さいはずだが胸がドキドキしてきた。

食べきれるだろうか、残したら軽蔑されるだろうか、お腹は大丈夫だろうか。待つ時間の10分は不安で仕方がなかったが、目の前に置かれたジャポネのジャンボを見てホッとした。横綱を見た後では少量に見えた。
汁がないのでツルツルッと食べることはできない。モグモグと食べるにはちょっとコツがいる。美味い!と言いたいところだが、銀髪でも簡単に作れそうだ。もっと美味しいスパゲティは山ほどある。長時間並んでまで食べる理由はないように思えるのだが…
壁に貼られたメニューを見ると「平成13年7月7日現在」と記されている。ジャポネなどレギュラーサイズが500円で、一番高い横綱が800円。人気店にもかかわらず、長年良心的なスタンスを保っているのが人気の秘密かもしれない。
食べ終わった頃には30人ぐらいが待っていた。銀髪は二度と並ぼうとは思わないだろう。でも、もし今日と同じぐらいの列だったら並んでしまうかもしれないなー。
ジャポネ
東京都中央区銀座西1丁目2番地先 銀座インズ3 1階
03-3567-4749
電話でテイクアウトの予約が出来る。並ぶより得策かも。
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2009年07月27日
[ちゃんこ 川崎](両国)
夏はちゃんこが狙い目

「うなぎにしようか?」と銀髪。「いいですねー」とみんなの賛同を得たものの、老舗の名店は1週間先まで予約が取れない。なにも平賀源内の策略にはまることはない。元々脂っこいうなぎは夏には売れなかったものだ。
発想の転換が必要である。老舗料理屋でも季節外れのものを捜せばいい。ちゃんこ料理の老舗・川崎に電話したら難なく予約できた。名古屋場所で相撲関係者も東京を離れている。4部屋しかない川崎の予約を取るのはシーズン中は大変だ。今がチャンスである。

4,900円のコースがスタートした。鶏みそ、枝豆でスタート。「ここのもつ焼きは砂肝だ!」とHさん。「いや、真ん中はレバーだよ」「オウッ!心臓もある」我ら6人は評論家ばかり。全部食べて3種類のもつが一串に刺さっていることが分かった。

もも焼き、つくねと続く。ちゃんこの前座ぐらいに思っていたが、焼鳥がこれほど美味いとは思わなかった。

「だから秋田の高清水なんだ」川崎の創業者の四股名が横手山と聞いてHさんが解説する。枡の香りがする冷酒には塩がつく。「日本酒に合いますよ」と出された三つ葉。なるほどその通り。

サラダか鳥わさが選べる。銀髪は鳥わさを選んだ。鶏肉はどれを食べても美味い。

川崎のちゃんこ鍋はソップ炊き一種類だけ。「ソップは鶏がらのこと。だから痩せ型の相撲取りをソップという」とHさん。本当に物知りだ。鶏がらの出汁に隠し味程度の醤油を加えただけというシンプルなスープ。ソップとはオランダ語でスープのことらしい。素材の旨味を最大限に活かす鍋である。もつが放り込まれたところで遅まきながら気がついた。いい鶏肉を使っているから焼鳥も鍋も美味しいのだ。

鍋に入っていた野菜は4人前。「残りの2人前も追加しますか?」 野菜を食べ終わったら「雑炊はどうしますか?」我々の応えはいつもイエス、イエス、イエス。店の人が気遣ってくれるが、年配者はよく食べ、よく飲み、よく喋る。帰り際に立ち話をすると店の人も同意見だった。年配者の方がよく食べる。酒量もわきまえている。若者より元気がいい。
昔と違って今はエアコンが効いている。バランスが取れたちゃんこ鍋は栄養もあり健康にもいい。「夏はちゃんこ鍋に限る!」と言ってブームになったら、銀髪も平賀源内になれるかもしれない。
ちゃんこ 川崎
東京都墨田区両国 2-13-1
03-3631-2529
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2009年07月25日
[過門香 トラストタワー店]②(丸の内)
宴会に最適

トラストタワー店は今回が2回目(1回目の記事→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/05/post_217.html)。東京駅から濡れずにやって来れるので宴会には便利な店だ。個室や衝立で仕切られた席が多いのも使いやすい。サービスも宴会用に心得たものである。
季節の冷菜五種盛り合わせ

「こちらが5人前です」と女性店員が前菜をテーブルに置いた。「こちらは4人前です」と別の皿を入り口近くのテーブルに置く。我々9人は割り当て分を行儀よく自分の小皿に移す。
海鮮入りフカヒレスープ、北京ダック、本日の蒸し点心二種

スープと点心は各人に一つずつ来るので取り損なうことはない。北京ダックは今度は4人前が最初に出てきた。真ん中に座った奴がどちらの皿から取るか瞬時に判断する。イヤー、まったく紳士的な集団である。
大海老の特製マヨネーズソース、あぐー豚ロースと旬野菜の酢豚

大海老は「一人〇個です」と店員は指示してくれなかった。2個ずつは行き渡りそうだが3個は定かではない。それぞれが箸を伸ばした後、大皿に海老が2個残った。美しい譲り合いが始まる。遠慮したが最後の1個は銀髪が食べる羽目になった。
酢豚は余った。店員が取り分けても残した人がいただろう。今度は銀髪も固辞した。男たちにはちょっと甘過ぎたようだ。
KAMONKAあんかけ固焼きそば、おすすめデザート

後半に入って店員が取り分けないのは正解かもしれない。各人、腹具合が異なるからだ。燃費の悪い車は大量の燃料が必要である。古い車は燃料を欲しがらない。
過門香が新興グループの割に店舗網を拡大できるのは客の支持が多いからだろう。リーズナブルなことだけでなく、サービスに負うところも大きい。宴会のメインは料理より会話。割り切ってしまえば楽しいものだ。
過門香 丸の内トラストタワー店
東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館2F
03-5288-7788
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2009年06月25日
[ラトリエ・デュ・グー](吉祥寺)
気取らずフレンチ風

「もう1年も経ったんですね」1周年のお祝いの札を見てシェフに声をかけた。1年前に覗いたとき、プリンスホテル料理長などからのお祝いの花が輝いていた。辛い修行は独立を果たして報われるものでもない。独立後が大変だ。シェフにとってはどのような1年だったのだろうか。
リエット、自家製ベーコン

「何を食べたらいいですか?」と聞いたら困った顔をされた。「酒の肴として少しずつ食べますか?それともしっかり食事をしますか?」と逆に質問される。もちろん酒の肴だ。
「全部すり潰してないのがいいですね」リエットは鶏肉の身が混ざって美味しい。自家製ベーコンも悪くない。上々の滑り出しである。
シェフはテーブル席に陣取る満員の客たち向けの料理を作るのに忙しい。女性ということを忘れさせるほどシェフの動きは堂々として風格がある。手順よく出来上がる料理を見ながら次に頼む料理を選んだ。
野菜のココット、岩中豚

返された質問の意味がよく分かった。メインに相当する料理は量がしっかりある。「フランス料理ですよね」と言うと「固執しない」と柔軟である。気取らず若い人も楽しめる料理がこの店の特徴である。
チーズ盛合せ

もっとワインを、赤ワインを飲み続けたい。5種類のチーズ盛合せが適当に思えた。どれも食べたことがあるようでも初めてのものばかり。チーズの名前はなかなか覚えられない。一段落ついたシェフと会話しながらチーズでワインを飲む。至高の時間だ。
勘定を始めた外国人が、友達を連れて来たいと予約の相談をしている。小さい店にもかかわらずシェフの他に若い女性店員が2人いる。そのうちの一人が戸惑うことなく英語で答えている。想像した以上に順調な1年だったようだ。
「あの鴨は美味しそうでしたね」シェフが作るのを涎を垂らして見ていたにもかかわらず、腹具合を考慮して今回はチーズを選んだ。後悔はしないが心残りではある。まあ、楽しみは次回に残しておこう。
ラトリエ・デュ・グー
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-9 ルミナス吉祥寺1F-B
0422-28-7907
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2009年06月20日
[ストーン](浅草橋)
焼きカレーのお店

「この近くの有名店は…」と部下が淀みなく話す。何年経っても銀髪任せの部下が多い中、彼は美味しい店の探索に熱心なので楽である。「焼きカレーの店はどうですか?」との提案に素直に従った。
「喫茶店のような小さな店ですよ」と教えられていたので、店の前に立っても驚かない。入り口の黒板に、思いっきりTV、ぴったんこカンカン、ぶらり途中下車の旅、アド街ック天国、スーパーJチャンネルなどこれまで紹介されたテレビ番組が列挙してある。

12時前なのでまだ客はまばらである。大きなおばさんが入り口に一番近い席を我々にあてがった。
焼きカレーを頼んだらサラダと冷奴が出てきた。サラダはともかく豆腐とは珍妙な取り合わせである。置いていったコップに入っているのはレモン水だろうか。随所に見られるユニークさの中でも極め付けが焼きカレーに違いない。

待望の焼きカレーが出来上がった。銀髪と部下の前に一つずつ置かれた。想像の範囲内で焼きカレー自体に驚きはない。それでもジーッと見詰め続けた。

「お前の方が美味そうだな」と部下のカレーに目を移して呟いた。部下は意に介さず食べ始める。「交換しましょうか?」と言ってくれるのを期待したが無駄だった。思ったとおり、チーズの下に卵が隠れている。しかもしっかり焼けた卵が…
我が家で夕食がカレーの時は、翌朝も銀髪はカレーを食べる。朝食のカレーには目玉焼きを添える。もちろん黄身はトロトロである。カレーにトロトロ卵が好きなのに、目の前の焼きカレーはカチカチ卵ではないか。部下のカレーを覗き込むと黄身は半熟トロッの状態である。いくら勘定は銀髪が払うといっても「交換しろ!」と命令することは出来ない。まして上下関係を振りかざしたらパワハラと訴えられるかもしれない。
客はどんどん入ってくる。相席は当たり前になってきた。マスコミの力は偉大というよりも、マスコミを呼び寄せたネーミングが素晴らしいということだろう。
嬉しいそうに、美味しそうに食べる部下が恨めしい。悲しい気持ちのまま食べ終えた。
ストーン
東京都台東区浅草橋1-10-12
03-5821-3800
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2009年06月19日
[いづ政](湯島)
銀座の名店・出井は湯島で生きている

「昔、銀座に居たのでわざわざ来てくれるお客様が多いんですよ」と主人が言う。店の住所が6丁目と聞いてピンと来た。入り口に書かれた「関西割烹」と銀座6丁目と来れば、出井しかない。それなら安心して料理は任せた方が良さそうだ。
付き出し、こちの吸物

「出井出身と言えば、四谷のゆたかもそうですよね」と言うと、一気に主人との距離が縮まった。思ったとおり先輩、後輩の仲。ゆたかの主人は引退して代替わりしたことを二人で残念がった。
お造り(こち、かつお、はも、うに、さざえ)、たこ唐揚げ

いづ政の名物はたこの唐揚げ。マスコミの取材もこれに集中するそうだ。揚げる前に茹でてあり、独特の歯応えとなかなかの味付けだ。メニューを見ても料理法を想像できなかったので、やはり任せて正解だった。
あま鯛一夜干し、茄子油煮

一夜干しの上に出汁がかけられた。「アッ!ゆたかと一緒だ!」思わず口にする。本来焼くときに使う出汁を、仕上がりにかけるのはいづ政のオリジナルと言う。それを兄弟子のゆたかも取り入れたとのことだった。自ら作った一夜干しとの絶妙のコラボレーションに湯島で再会できるとは思わなかった。
岩牡蛎、小芋煮ころがし

話を中断して岩牡蛎と奮闘する主人。日本海産と思って見ていると、「こんなの初めてですよ」と嬉しそうに差し出された。殆ど地元の宮崎で消費されていた牡蛎が、不況のせいで県外にも出荷されるようになったそうだ。しっかりした身で中ほどは濃厚な味がする。
唐辛子味噌きゅうり、もずく雑炊

唐辛子味噌を頼んで、マイ唐辛子を鞄から取り出した。「八幡屋のBIRD EYEで、これが一番辛くて美味しい」と自慢すると主人も持っていると言う。話を合わせているだけかと思ったら、冷蔵庫から袋を取り出して見せてくれた。思わずカウンターの向こうに手を伸ばし握手を求めてしまった。
最後はもずく雑炊。これはゆたかのオリジナルで、今はゆたかでも食べられないと言う。
大阪人でも知る人が少なくなってしまった関西料理。京料理と区別がつかない人も多い。本家がなくなってしまっても誇りを胸にして、熱い友情を持ち続けるなんて、感動してしまう。主人は29歳で独立して還暦を迎えるまでになった。今後も関西料理の伝統をしっかり伝えていって欲しいものだ。
関西割烹 いづ政
東京都文京区湯島3-38-3
03-3832-3210
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2009年05月18日
[ジャックポット丸の内](丸の内)
オイスターバーで馬鹿食い

新宿のジャックポットがとても良かったので今度は丸の内店に行くことにした。店がある三菱商事ビルには何度か行ったことがあるので地図を持たなかったら迷ってしまった。幸い尋ねた会社員風の人が的確に場所を教えてくれたので助かった。道を聞く相手も吟味しなければ危ない。
地下に降りて店の前に立ち初めて東京駅から雨に濡れずに来れることを知った。6時を過ぎて会社帰りの人が行き交う通路の一角にあるにもかかわらず、店は空いていた。席につくと「混んできたら2時間でお願いします」と言われた。

お通しは新宿店と同じ蒸し牡蠣。吉川マネジャーに手伝ってもらい、6種類の牡蠣を食べた。吉川さんが自ら作ったという牡蠣MAPを見ながら、淡白なものから順番に食べていく。
グリーンサラダ、自家製ベーコン

まだまだ牡蠣を食べる気満々だが口直しに頼んだものも悪くない。不慣れな店員が笑顔の可愛いアサミンに代わったところで雰囲気も楽しくなってきた。

再び生牡蠣をと意気込んだが残りは5種類しかない。「外国産の牡蠣は新宿に持っていかれたんじゃないの?」と言うと吉川さんが苦笑する。ジャックポットは有楽町、品川、恵比寿、下北沢にもあるので、たくさん捌けるところに優先配分されるのかもしれない。
オーブン焼き、カキフライ

ジェノベーゼ(バジルソース)、リッチ(ウニとバター)、カレー(カレーソースとチーズ)のオーブン焼きではリッチが一番、ジェノベーゼも悪くない。カレーは予想したとおりの退屈な味。カキフライもわざわざジャックポットで食べなくても洋食屋の方がいいかも。
牡蠣のスパゲティ、リゾット

このブログを読んだら牡蠣の他に料理がないように思われるかもしれない。スパゲティやリゾットに入っていた牡蛎も含めて一人当たり15個食べたところで「ラストオーダーですが…」と言われた。混んでいないにもかかわらず、2時間制は生きていたようだ。満腹なのでもとより粘る気はない。牡蠣料理も殆ど食べ尽くした。
丸の内だからエリートサラリーマンがカウンターに座り、ワインを飲みながら生牡蠣を食べる様を思い描いたのは間違いだった。女性だけのグループが店を占拠している。新宿店の主流は恋人たち。新宿店の方が客もスタッフも元気で楽しそうだ。吉川さん新宿店に負けないように頑張ってね。
東京都千代田区丸の内2-3-1 三菱商事ビルB1
03-6267-0008
http://www.jack-pot.co.jp/
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2009年05月03日
[万世橋酒場](秋葉原)
昼の排骨(パーコー)拉麺、夜のカツサンド

『万世橋酒場は、昼はラーメン、夜は立呑み・串揚げ料理のお店です。アルコール類には特に力を入れており、老舗の居酒屋の定番「亀甲宮」(通称キンミヤ焼酎)を揃えているほか、専用サーバーでいれる泡のきめ細やかなビールや各種カクテルなども楽しめます。“串揚げ3本盛・じゃがすじ・チャイナ小鉢、生ビールにホッピー”最近のおすすめです。常連さんが絶えない気楽な酒場です。』
ホームページを見て行けばどうということはなかったのだけれど、本店ビルの中でパーコー麺を食べられるところを探して迷ってしまった。日本橋のたいめい軒のように、レストランでもラーメンが頼めると勘違いしていた。パーコー麺は本店ビルの外といってもいい万世橋酒場にあった。
店のおばさんがクリップに挟んだ伝票を、調理場まで針金に乗せて投げ出す様が楽しい。端末に打ち込んでオーダーするのが一般的になった今、万世のシステムが新鮮に感じてしまうから不思議だ。
12時まではサービスで普通盛りと同じ値段で大盛りが食べられる。前夜の飲みすぎで胃が重いにもかかわらず、取材のためならと大盛りを頼んでしまった。大きなどんぶりは見栄えがする。

日本橋店で何度か食べたけれど、万世橋酒場のパーコー麺の方が遥かに美味しく感じた。写真さえ撮れればいいと思っていたのに、大盛りラーメンを完食してしまった。出されたものは残してはいけないと母に教わったが、今は残す勇気が必要なのかもしれない。
本店の味と比較しようと思い久し振りに日本橋店に行った。いや、行こうと思ったが果たせなかった。己の貧しい記憶力を呪いながら店を探すのを断念した。オフィスに戻り万世のホームページを開き、少しホッとして、ひどくがっかりした。記憶違いではなく日本橋店はなくなっていた。
がっかりすることはない。パーコー麺を食べたければ本店に行けばいい。5時以降の酒場も魅力的だ。熱々の万世名物カツサンドも食べてみたいものだ。大衆酒場でも一緒に行ってくれる美女がいれば嬉しいけれど……
万世橋酒場
東京都千代田区神田須田町2-21
03-3251-0291
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2009年04月24日
[いふう](中目黒)
女性に人気の焼き鳥・割烹

中目黒に来たのは2回目。目と鼻の先にあっても知らない町は多い。早めに来て、中目黒駅周辺を歩いた。大きな街のように見えるが、ちょっと歩くと下町のような風情もある
路地をぶらついて待ち合わせの少し前にいふうに着いた。予約が取り辛い人気店だ。
遠くから来た人が近くの人を待つ当たり前の風景。生ビールを一口飲んだところでNが「1分遅刻だな」と言いながらカウンターの隣に座った。料理人の前に座る我々が唯一の男同士。女性に人気の店は不況を知らない。
お通し、お造り

お通しはごま豆腐。この店の看板らしい。鯛、まぐろ、スミイカの3種盛に鯛の白子を加えてもらった。一流の味をリーズナブルに食べられると言うのが人気の理由のようだ。
焼鳥お任せ4本

「嫌いなものはありませんか?」と店員が言うので「好きなものはレバーです」と答えると苦笑い。お任せなので選べないのが辛い。しかし、しっかりレバーは入っていた。レアに焼かれて満足のいく出来だ。焼鳥屋の看板は掲げていないが、この店の主役が何かは明白である。
大根おろし、砂肝、ぼんちり

口直しに大根おろしを食べて銀髪だけ焼鳥を2本追加した。見かけによらず食事に保守的なNにぼんちりを半分食べさせた。初めて食べたと言うから驚きだ。
いふうサラダ、豚肉の燻製

焼鳥はたくさん食べたくないと言うNのためにサラダと自家製のスモークポークを頼んだ。
日本酒もリーズナブルでなかなかいい。酒の肴を追加しようと思案する目の先には土鍋がある。火から下ろされて蒸らしているようだ。
竹の子ごはん

最近よく見る炊飯用ではない普通の土鍋が出てきた。これでお腹一杯。なかなか美味しかった。
焼き場の料理人はイヤホンで2階の注文を受けているようだ。ガード下に開店して2年、今の場所に移転して2年。新しい店らしい工夫が見られる。料理人は忙し過ぎて話しかけるのも気が引けるのがちょっと寂しかった。
いふう
東京都目黒区中目黒2-7-11
03-3715-8662
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2009年04月10日
[彦まる](神田)
極上だしの静岡おでん

「すいません、8時から予約が入っているのでゆっくりできませんが…」我々に与えられた時間は1時間弱だが既に好ちゃんでほぼ出来上がっているので問題ない。カウンターに座る前におでんの鍋にカメラを向けた。真っ黒な汁と串が静岡おでんらしい。

「隣で食べてきたから少なめにね」と頼む。同行したYさんがこだわる黒はんぺんを各人に1枚ずつ、あとは白もつ、ねぎまぐろ、すじ、大根を盛ってくれた。お通しの茹でピーナッツを挟みながらおでんを食べる。
ビール、ホッピー割り、マッコリと飲んできたが、おでんに合わせて日本酒に移った。

おでんを食べながら「これって美味しすぎないかい?」と言うとヒゲの店長が「だしを取る肉が違いますからね」と笑う。当初ホルモン焼きの「好ちゃん」だけでは肉を使い切れなかったので、静岡出身の元総料理長がおでん屋を思いついたとのこと。肉の良さはさっき食べて証明済みだ。
カウンターからだしとなるグツグツと煮える白濁したスープが見える。「開店以来注ぎ足しながら使っていますが、地元の老舗の味にはまだ勝てませんね」と謙虚だ。
「静岡といえば桜えびだよなー」Yさんが桜えびの話を続けていると、小鉢が出てきた。「築地に納める業者から直接仕入れていますから」と生の桜えびを出されてYさんが感激した。
ちょっと食べて出るつもりが、Yさんは既に日本酒を3杯目。銀髪も付き合って2杯。

「最後に何かお奨めは?」と聞くと「静岡おでんと串揚げの店ですから」と言うので、お任せで揚げてもらった。もちろん主役は黒はんぺんのフライ。おでんとは違った味わいだ。
予約の客で席もほぼ埋まり店長と話す時間もなくなってきた。彼と楽しく話すのも8時が限度のようだ。好ちゃんのグループ店の若者たちはイタリアンやフレンチの料理人が多いと言う。オーナーは少ない資金で開店できるホルモン焼き屋からスタートした。好きちゃんは3店舗に増え、彦丸も人気店となった。昨秋にイタリアンのタッタボッカを開店、若者たちの希望も膨らんでいることだろう。
彼らの明るく元気な姿を見ていると、応援したくなるじゃありませんか。
情熱厨房 彦まる
東京都千代田区神田1-11-10
03-3291-7010
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2009年04月09日
[好ちゃん](神田)
楽しくて美味しい塩ホルモン

外堀通りから路地に入って少し歩くと左前方に好ちゃんの看板が見えた。代々木のイタリアン「タンタボッカ」で紹介されてから数日、この日が来るのが待ち遠しかった。階段を下りてすぐの店で名前を告げたら、系列の静岡おでんの店だった。好ちゃんはその奥にあった。
銀髪を迎えて緊張気味に見えたスタッフも、「ブログ見せてもらいましたよ」と笑った後はすぐに打ち解けた。タンタポッカから聞いて銀髪グルメ紀行を読んだようだ。サービス統括の杉浦さんはもちろん女性スタッフも明るく元気だ。料理は杉浦さんに任せた。既に常連気分である。
きゃべつ、レバ刺し、ゆで豚とキムチ

ピーナッツもやし、ハツユッケ

タンタボッカでも食べた自慢のレバー。珍しいハツのユッケ。良かった。とても美味しい。温かく迎えられたにもかかわらず、グルメ紀行で褒めることが出来ないと辛い。そんな心配も吹っ飛んだ。「ウマイ、ウマイ、ウマイよ!」来る店員みんなに告げる。笑顔がはじける。
シビレ、シマチョウ

「そろそろ焼きものを持ってきますね」「オウ、頼むよ!」実に楽しい。料理を任せたお陰でメニューにないものも出してくれる。新鮮な肉なので焼き過ぎには目を光らせる。ヤンは軽く炙ってわさび醤油で食べると、貝のような食感だ。
「ぼくの一番のお奨めです」と杉浦さんが出してくれたのがハツあぶら。普通なら切り落としてしまう脂身を残したのも。食べて大きく頷いて笑い合う。銀髪が唯一欲したテールも期待通りの味だった。
ヤン、ハツあぶら、テール

タレもつけず、塩の味付けだけで食べたせいか、胸焼けも胃もたれもなくまだ腹に余裕がある。タンタボッカでコメントしてくれた「ゆも」さんのお奨め「モツちゃんぽん」を食べようかと思ったが、隣の静岡おでんが気になってしょうがない。杉浦さんに告げたら、身軽に席の予約を取りに行ってくれた。どこまでも気持ちがいい。
イヤー、満足、満足。美味しくて良かった。
好ちゃん 神田本店
東京都千代田区内神田1-11-10
03-5280-6188
http://www.yoshichan.com/
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2009年03月26日
[Bistro Talk Back](吉祥寺)
客も店員も若く楽しげなビストロ

Talk Backに近づくと、店の前に2人の女性が立っていた。通りから店内を覗くと客は誰も居ない。扉を開き「貸し切りですか?」と聞いたら、若い店員が僅かに首を振り窓際の席に誘導してくれた。銀髪につられるように店の前に居た女性たちも入ってきた。
手を上げるとすぐに先ほどの男性店員がやってきた。「名物と書いてあるから取りあえず厚焼きタマゴ。他にお奨めは?」「日本一のガーリックトーストです」「じゃあ、それ。他は?」「スズキのカルパッチョです」「じゃあ、それも」実に簡単なオーダーである。
名物厚焼きタマゴ、日本一のガーリックトースト

厚焼きタマゴと言うから和風かと思ったら、しっかり洋風だった。スパニッシュオムレツに似ていて食べ応えのある良心的な一品である。ガーリックトーストは日本一と言うのは大胆すぎる。
スズキのカルパッチョ、ラムチョップ

アルゼンチン、スペイン、オーストラリア産などリーズナブルな数種類のグラスワインが楽しめる。カルパッチョで白ワインを終了して、赤ワインのために肉を頼むことにした。「牛、豚、羊、鶏、鴨、どれがお奨め?」今度は女性店員に尋ねた。「個人的にはラムがお奨めです。ソースが絶品です」と言う。「じゃあ、それ」
彼女の推奨に間違いはなかった。
窓際の席に案内されたとき、そこが特等席だと喜んだのは勘違いだったようだ。店が半分ほど埋まってきたのは、人寄せパンダの銀髪のお陰もあるに違いない。通りから見える席に人が居れば、フリーの客も入りやすいだろう。
勘定をして店を出ようとすると、最初に応対してくれた店員が見送りに来た。「いかがでしたか、お料理は?」と聞くので「ガーリックトーストは日本で2番目だな」と答えた。
自分の子供ぐらいの年齢の店員がはじけるように笑うのを見届けて、ちょっと格好をつけて歩き出した。
Bistro Talk Back
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-24-6
0422-21-0505
http://talkback.jp/
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2009年03月09日
[タレカツ](水道橋)
醤油味のカツ丼

ソースカツ丼を求めて念願の福井のヨーロッパ軒に行ったことは3月3日に書いた。現在残されている文献上ソースカツ丼の元祖がヨーロッパ軒であることは疑いがないようであるが、群馬や福島など他の地域のソースカツ丼も郷土の名物として愛されている。元祖はともかく、どこが一番美味しいかは食べる人が決めることであろう。
もともと揚げ物には醤油派の銀髪にとって、ヨーロッパ軒のソースはちょっと甘く感じた。事実は小説より奇なりというか、偶然とは不思議なもので、ヨーロッパ軒に行った直後にタレカツ丼なるものを知った。1945年に新潟のとんかつ太郎の店主が広めたもので、新潟ではカツ丼と言えばタレカツ丼のことだそうだ。これが醤油味と知って水道橋に飛んでいった。
開店の11時半を回ったばかりなのに既に4人の客が居た。それでも半分も埋まっていないので自分の好きな席を選ぶことができた。正面の客に運ばれる丼を見ると、カツが盛り上がって乗っているので、量の多さにちょっと脅えた。しかし、目の前にやってきた自分のカツ丼は控えめで安心した。正面の客は大盛りを頼んだようだ。

食べ始める前に満席になった。店内の待機席も一杯になった。料理を作る店員の動きも慌しくなった。大通りから外れた路地にある店なのに賑わっている。食べて納得。ヨーロッパ軒のソースカツ丼よりも銀髪の嗜好に合っている。

温玉をトッピングしたが、カツだけでも充分だ。常連と思える人たちが、大盛りごはんを頼むのも理解できた。お腹が空いていたこともあるけれど、4枚のカツとのバランスからしたらごはんはもう少し欲しい。
それにしても地方の名物を居ながらにして食べられる東京は本当にいいところだ。カツ丼だって何種類もある。ラーメン屋も多彩だ。食材も日本どころか世界中から集まってくる。もちろん、料理人も上京して切磋琢磨する。
醤油味ベースのカツ丼は気に入った。
新潟カツ丼 タレカツ
東京都千代田区西神田2-8-9
電話:03-5215-1950
http://www.tarekatsu.jp/
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2009年02月25日
[リゴレット](吉祥寺)
スパニッシュイタリアン?

東急百貨店の狭い裏通りにこんな大きな店があるとは思わなかった。ドアを開けると正面にカウンター席に囲まれたキッチン、右手には子供連れでも違和感のないボックス席が見える。階段を上がると洋書が並ぶ本棚やワインセラーが大人の雰囲気を醸し出す。
メニューを開いて首を傾げる。ピザやスパゲッティを除くとメインに相当するような料理が殆どない。何度もページをめくって元に戻った。300円と500円のタパス小皿料理が並ぶ。スペイン風小皿料理でワインを飲んで、イタリア料理の定番で締める。これがスパニッシュイタリアンということか。
自家製ハム、小ヤリイカとほうれん草のイカ墨煮

「自家製ハムとソーセージ、どっちがお奨め?」と女性店員に意見を求めたにもかかわらず、彼女の推奨を無視してソーセージを頼んだ。ところが出てきたのはハム。「いいよ、いいよ」とハムを受け容れた。
庄内豚100%のソーセージ、青のりのゼッポリーノ

自動的にキャンセルされたと思ったソーセージがやってきて狐につままれた感じ。何も言わずに笑って受け取った。ハムと味比べしたら最初に思ったとおりソーセージの方が美味かった。それでもここまでの4品はどれも及第点。ピザの生地に青のりを混ぜて揚げたゼッポリーノは特に面白かった。
白いんげん豆とイベリコ豚の煮込み、アジのマリネ

店の雰囲気造りに一役買っているワインのボトルたちも、2,500円で供される。20種類以上のタパスと多数のワインでリーズナブルな宴が出来るご機嫌な店だ。ランチタイム~朝4時までの営業時間も若者たちを引きつけるのだろう。
ぺペロンチーノ

〆はもちろんシンプルなぺペロンチーノ。ちょっと多めのオリーブオイルが銀髪の好みだ。知らずに入ったが、口コミ情報でもリゴレットは評判がいい。グローバルダイニングを育てた幹部が独立して開業、銀座、六本木など多店舗展開している。ちょっと高級感のある割りにリーズナブルな価格設定。不況を味方につけて成長して欲しい店である。
リゴレット
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-25吉祥寺第二マーブルビル1・2F
0422-28-7676
http://www.huge.co.jp
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2009年02月24日
[大寿司]3(錦糸町)
久々の錦糸町

最初に大寿司に来たのは8年ぐらい前だったと思う。錦糸町駅からすぐなのに、線路沿いの道は少しわびしい。遠くからでも赤い立て看板は目に付く。店に入るとすぐにカウンター。右の壁には北の湖親方の写真。いつもと変わらない風景だ。

Mさんの憧れだった厚切りのマグロを乗せたゲタが目の前に置かれた。タイラガイ、ヒラメ、ボタン海老、ウニ、イカなど、相変わらず豪快な盛り付けである。右上のニシンは北海道では食べたことがあるが、多分東京では初めてだ。
海が荒れて国内産生マグロのいいものがないと大将は残念そうだ。輸入物でも立派なマグロにMさんも満足している。あらかた食べ終えるとツブガイ、サヨリ、アカガイが追加された。

「何か焼きものはありますか?」と聞くと大将は悩む。どれも刺身や寿司のネタばかりだ。「海老でも焼きますか?」と生簀を指差すので慌てて制した。「それはもったいない!」
関サバ、ほうぼう、いかを従えて車海老が登場した。さらに豪華なあわびのお造りも加わる。
以前、酒は一種類しかなかったが、時勢を反映して冷酒の種類も少し増えた。八海山などの銘柄酒も置いてある。
しばらくは我々4人で大将を独占できると思っていたが、早い時間なのに次々と客が入ってくる。席を詰めてカップルを迎えたところで満席になって驚いた。
大将と女将さんの二人でやっていた店は、女将さんが入院して休んでいた間に息子が加わった。今は女将さんも復帰して三人体制になったので、満員の客にも対応できる。壁の写真の北の湖親方ほどではないにしても、しばらく来ない間に店も変化していた。

「刺身でお腹一杯になった。いやーよかった!」とMさんは満足気だ。巻物と穴子を食べてお開きにした。
「銀髪さんのブログで来る人もいて助かります」と女将さんが勘定場で頭を下げてくれる。頑張ってね、大将、女将さん、そして二代目!
大寿司
東京都墨田区錦糸4-5-8
03-3625-2591
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2009年02月21日
[蒙古タンメン中本](御徒町)
口は耐えたが、お腹がね

ラーメンマニアのブログを読むといつも感心する。美味しいラーメンを求めて毎日のように食べるバイタリティー、スープや麺の出来具合を的確に批評する知識に感嘆してしまう。銀髪はといえば、最大のポイントはスープが熱いこと。次が薬味が多いこと。自前の唐辛子まで持ち込んで味をこねくりまわすのだから、マニアにとっては言語道断の所業だろう。
唐辛子、豆板醤、にんにくを入れて食べることを楽しみに御徒町近くのえぞ菊に行った。あれっ?場所を間違えたかなと思って行ったり来たり。看板が見つからない。記憶を信じてもう一度向かった場所に立ち止まり呆然とした。

仕方なく、近所の店に入ることにした。どっかで見たことがあるような気がする。そうだそうだ、ARAPROさんのブログだ。11時をちょっと回ったばかりなのに満席なのには驚いた。食券販売機の前に立ってもARAPROさんが食べたものを思い出せない。辛さを頼りにつけ麺の8倍辛い冷やし五目蒙古タンメン食券を買った。

つけだれはたっぷりの具と一緒にドンブリで出てきた。まず野菜を食べた。辛いけれど食べられないほどではない。麺をスープにどっぷりつけて食べると結構辛い。半分ほどつけて食べると麺の味が引き立てられる気がする。つけ麺が人気の理由が分かるような気がした。
家に戻ってARAPROさんのブログを見たら北極ラーメンを食べなければいけないらしい。日を替えて行くと、11時を過ぎたばかりなのに3組並んでいる。たいしたもんだ。北極ラーメンの食券を店員に渡して席が空くのを待った。

9倍辛いラーメンは、スープの温度と辛さとどちらも熱かった。真っ赤なスープがネクタイやシャツに飛ばないように慎重に食べた。隣で食べている2人のうち銀髪と同じ愚か者の方がヒイヒイ言っている。このスープを全部飲むつわものがいるというから恐れ入る。
表面の唐辛子を除けながら、いつもと同じぐらいスープを残して店を出た。
唇や舌に残った辛さは10分ほどで消えた。約6時間後、お腹が痛くなり唐辛子を体の外に出した。出口がポカポカ温かくて閉口したが、これも約10分で消滅した。
蒙古タンメン中本 御徒町店
東京都台東区上野5丁目20-3
03-5688-1233
http://www.moukotanmen-nakamoto.com/
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2009年02月11日
[業平屋]④(両国)
頑張れ大将、女将さん

「今日は仲間内だから純米しばりだからね」と大将に念を押した。「分かりました!」といい返事。冷蔵庫から一升瓶をガラス器に入れ持って来た。一口飲んで大将を呼んだ。「なんだいこれは?大吟醸じゃないの?」と問い詰めると「ハイ、でも純米です」と、とぼける。安い純米酒を頼んだのに、ちゃっかり純米大吟醸酒と解釈する。折れるのはいつもこっちだ。
村上の鮭

村上の鮭はここで教わった。昨年、村上に行って更に勉強したので、今では銀髪の知識が上だろう。目ざとく白い皮がついた身を取り皿に確保する。腹側の身は脂が乗ってとてつもなく美味い。部下の濃い皮の身を少しだけもらい味比べ。ご満悦のところに大将がやってくる。「次はどうしましょうか?これはいかがでしょう?」またも大吟醸だ。「もう勝手にしてくれ!」と苦笑い。
本ししゃも

本物のししゃもの美味しさを初めて知ったのも業平屋だ。スーパーで買ってきたししゃももどきに慣れていたので驚いた。今食べてもやはり美味しい。あらためて感動していると、「黒吟はどうでしょう?」と来た。純米しばりのつもりがいつものように業平屋で一番高い日本酒に行き着いた。これで一人一万円コースは間違いなくなった。
そばを食べる連中を残して一足先にタクシーに乗り込んだ。運転手さんが「あそこはそばだけの客には鼻にもかけないんで評判悪いんですよ」と言う。飲酒ご法度のドライバーは使う金もしれている。「大きなビルを建てて、お金持ちだから庶民のことがわからないじゃないんですか」と続けるので、「そんなことはないですよ」と、弁護してあげた。
苦しくても胸を張るのが下町っ子だから誤解されることもあるだろう。大将も女将さんも苦労人である。みなさん、応援してあげてね。
業平屋
東京都 墨田区亀沢2-8-7
03-3622-7978
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2009年02月07日
[山水](亀戸)
初めて食べた釜揚げそば

BAR BRANCHE に入る前、小腹が空いていたので近くの蕎麦屋に入った。そばだけさっと食べて行けばドライマティーニを飲むことが出来たかもしれないが、昼間ならともかく夜に蕎麦屋に入って酒を飲まないわけには行かない。我ながら律儀な性格である。そばがきは時間がかかるということなのでそば味噌を頼んだ。

コリコリとした食感がなかなかいい。他の料理にも期待が持てたが、そばを食べることにした。ソバは長野をはじめ国内産のソバを厳選して使っているそうだ。石臼でひいたそば粉を手打ちにする本格的なそばである。メニューの中から珍しい釜揚げそばを頼んだ。
釜揚げそば

そばは冷水で洗わなければならないと信じていたが、うどんのように釜揚げにしても悪くない。子供の頃は温かいそばでなければ嫌だったが、近年はそば湯を飲みたくてわざわざせいろを頼むようになった。釜揚げそばなら茹でてそのまま食べられるので手間が省けていい。貴重な発見だった。家でもやってみよう。
豚せいろ、ぶっかけ

鴨せいろを頼もうとして珍しい豚せいろに宗旨替えした人、焼味噌、卵、青ねぎ、大根、海苔、天かすをまぜまぜした人は選択ミスをしたように思えた。まあ、本人の勝手だけど。
この記事を書きながら、JALの機内誌で学んだことを思い出した。氏原暉男氏の著書「ソバを知り、ソバを生かす」によると片仮名のソバは植物あるいは実の段階、ひらがなのそばは粉や麺などに加工されたもの、漢字の蕎麦は固有名詞などと使い分けするそうだ。屋号に使うとしたら蕎麦ということになる。なかなか奥が深い。
「二八ですか?」と店の女性に聞いたら「十割です」と憮然とされた。店の紹介記事を読むと、実際には多少のつなぎが入っているようだ。限定粗引きそばは十割なのかもしれない。今度はゆっくりと日本酒でも飲みに来ようと思った。
手打ち蕎麦 山水
東京都江東区亀戸6-24-8
03-3684-0543
http://www5.plala.or.jp/sobasansui/index.html
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2009年02月06日
[BAR BRANCHE バー ブランシュ] (亀戸)
こんなところに素敵なショットバー

ドアを開けて店主と目が合い、笑顔を交わす。コートを脱ぎ、椅子に座るやいなや「ドライマティーニ!」と告げる。「すみません、もう今日出ちゃいました。30分早ければよかたったんですが…」とショックな言葉。店の奥に座るカップルの前に確かにマティーニらしきグラスが置いてある。「次にできるのは3時頃です」と言われたら今日は諦めるしかない。
BAR BRANCHEには2週間前に連れて来られた。初めてのバーでいつもするように、マティーニを頼んだら断られて驚いた。マティーニに使うジンを冷蔵庫から既に一度出してしまったからだと言う。ジンがマティーニに相応しい温度になるまでは作れないというこだわりであった。他にすぐ思いつくカクテルはギムレットしかない。

今回もマティーニは飲めなかった。代わりに飲んだのはやはりギムレット。しかし、銀髪グルメ紀行を読んでくれたとのことで、今回は銀髪向けの特製ギムレット(上の写真右側)を作ってくれた。
老舗のバーのように見える落ち着いた雰囲気の店を一人で切り盛りする店主は30歳と若い。彼が独立するまでに買い溜めてきた酒の中には彼の年齢を上回るものがたくさんある。

ボロボロの箱に入った年代物のヘイグ。どこをどう流れてきたのだろうか。飲み比べのために出てきた比較的新しいボトルだってPinchのラベルが貼ってあるから最近のものではない。ボトルの中でウイスキーも熟成するようで、確かに味は違う。

今回、出してくれたのはグレンモ-レンジとラフロイグ。グレンモーレンジは瓶詰めした年が書いてあるので年代ものだとすぐに分かる。ラフロイグは10年ものとしか分からないが、裏のラベルで違いを見分けることができる。
まだジョニ黒が1万円以上もして呑兵衛たちの憧れだったとき、我が家には父が海外から買ってきたり貰ったりした洋酒がたくさんあった。我々息子たちは、「早く飲まなければ腐る」と父を急き立てて、ボトルを開けさせたものだ。今も残っていたら、ネットオークションで高く売れたかもしれない。
最初に来たときは土曜で静かだったが、この日はそれなりに混んでいた。電話も何度か鳴り、とうとう断るようになってしまった。電話番号を公開していないので、相手は常連さんに違いない。長居をしては申し訳ないので帰ろうとすると、「ゆっくりしてください。果物を切りますから」と余裕の笑み。気遣いも立派でなかなか格好いい。
それにしても店主は仕事が楽しくて仕方がないように見える。ボトルの酒も、おつまみも、果物たちも嬉しいだろう。もちろん、客だって。
BAR BRANCHE バーブランシェ
東京都江東区亀戸6-15-5 庄司ビル1F
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2008年12月27日
[いもや](東神田)
安くてボリュームたっぷりのとんかつ

昼時に馬喰町の問屋街近くに行く用事があり、めし屋を検索していたらいもやが引っかかった。駿河台下のいもやには30年以上前によく行った。郷愁に誘われて他の店はどうでもよくなってしまった。
日本橋から江戸通りに入り早足で歩いた。高カロリーの食事にありつくまでに、エネルギーを消費しなければならない。少し寒いぐらいがちょうどいい。
店は表通りから外れた路地にあった。迷わず店を見つけたのが誇らしい。

どこのいもやも外観は似ている。店に入ったら神保町界隈の店と錯覚してしまう。12時前なのに店はほぼ一杯だった。違うのは主人が客と親しげに話していることだ。常連さんだろうか。
隣に運ばれたとんかつ定食を見てごはんの量に驚いた。大盛りだと思い黙っていたのが間違いだった。自分の前に大きなとんかつと大盛りのごはんがやってきた。とても消費したエネルギーに見合わない。

750円にしてはボリュームたっぷりで美味しいとんかつである。ごはんを残そうと決心して食べ始めたら店のおばさんから話しかけられた。「大変な世の中になりましたねー」と言われて「そうですねー」と返した。常連さんだけと話すのかと思っていたが、どうやらこの店の人は話好きのようだ。神保町界隈よりもはるかに下町っぽくて和む。
ごはんを残せなくなってしまった。こんなにいい人たちが精魂込めて作った料理を残すなんてばちが当たりそうだ。後から入ってきて「ごはん少な目」という人たちが恨めしく思えた。
夜には銀座「江島」での宴会があるのにタップリ食べてしまった。帰りはタクシーに乗るつもりだったが、歩くことにした。お金は減らずカロリーを減らす両得である。夜は蟹だから摂取カロリーを調整できそうなのが救いと思ったのだが…
いもや 東神田店
東京都千代田区東神田1丁目14-6
03-3861-9454
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2008年12月17日
[かねいし](目黒)
金石・陣内夫妻のお店

元野球選手の金石さん、元バドミントン選手陣内さんが経営する寿司屋に誘われた。金石さんが寿司を握り、陣内さんが料理を運ぶ光景を思い浮かべたが、すぐに振り払った。テレビでよく見る二人が店を切り盛りしているわけがない。
かき、いか、ひらめ、あんこう

10年前の創業から店は大森さんが守る。開店したばかりのように清潔で、ゆったりとした席が心地よい。目の前には有名焼酎が並び、日本酒は大森さんの足元の冷蔵庫で出番を待つ。
「大森さんの店のようなものですね」と言うと曖昧に微笑む。信頼できる友人を持った金石さんは幸せ者だ。付き合いは夫人よりも長いそうだ。
ぎんなん、しまあじ、しまえび、しめさば、たいら貝

目黒駅から5分以上歩く目立たないビルにある店は、オーナー夫妻の知人や常連さんに支えられているようだ。先客は中年のおじさん二人とおばさん二人の2組。大森さんとは永遠に話せないかと心配したが、おばさん二人が帰ってからは我々が独占できた。
とり貝、あわび、あなご、玉子焼き、いくらおろし

「いわしは店で出せる仕入れ値ではない」「赤貝は値段が落ち着いてきた」ということばで店の思想が分かる。ブランドに捉われず、常連にリーズナブルで美味しいものを提供する主義のようだ。
べったら漬、赤貝、こはだ、エシャロット巻き、げそ

エシャロット巻きが大森さんのオリジナル自信作。数種類の味噌を混ぜているのがミソだ。
なまこ酢、鯛の塩辛、あわびの肝

そろそろお開きにしようと思ったところで自家製塩辛が出てきた。話は弾み、酒も進む。これ以上は飲み過ぎと困っていたら、寿司を食べ始める常連さんに大森さんを奪われた。潮時である。
行きつけのクラブから遠い目黒はいい。店を出てすぐにタクシーに乗り込み我が家へ向かった。テレビドラマをやっている時間に帰ると家族に怒られるが、今日は許してもらおう。まだクライマックスには時間がある。
かねいし
東京都品川区上大崎1-1-14 白金トーカンキャスティール2F
03-3444-9480
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2008年12月16日
[モリタ屋](丸の内)
京都肉屋さんのすき焼きは美味い!

「魚より肉がいい」と女性陣からの意外な要求。男どもより女性の希望が優先であるが、一人鶏肉が食べられない奴がいる。豚より牛肉の方が喜ばれるのは間違いなく、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキと選択肢は多い。仲居さんが取り分けてくれる店がいいけれど、銀座では予算が合わないので頭をかかえた。
ネットでようやく見つけ出したモリタ屋は丸ビルにありながら最高価格が11,550円。少し不安だがもともとは肉屋だというのが決め手になった。35階の皇居が見える席に7人が揃った。オーダーしたのはすき焼き4人前、しゃぶしゃぶ3人前。卵やごまだれ、ポン酢だれは7つずつ用意してもらった。
先付け(五種盛)、和牛たたき、和牛刺身

先付けの後はたたきか刺身を選ぶ。ばらばらに頼んで味見をした。どちらもきれいにサシが入り、美味しい。店の選択に自信が出てきた。
すき焼肉、しゃぶしゃぶ肉

厚めのすきやき用の肉、薄めのしゃぶしゃぶ肉、どちらも美しい。みんなの目が一層輝いてきた。仲居さんがすき焼きなべにざらめを敷いて、肉を乗せた途端に甘い肉の香りが我々を魅了した。
すき焼き

これは美味い!味の記憶が薄れてしまったけれど、人形町「日山」や松阪「和田金」よりも美味しい気がする。一人分2枚で150gというボリュームを感じさせない。すき焼き派の4人から分けてもらったのが申し訳なく、いやいや、もっとすき焼きを食べたくて肉を追加した。

しゃぶしゃぶがかすんでしまった。野菜も豆腐もしらたきも、すき焼きが美味い。しゃぶしゃぶの鍋は退場してもらって、うどんもすき焼き鍋に入った。
モリタ屋は明治2年(1869年)創業、牛肉の卸・小売に始まり、昭和50年に直営牧場を開設、レストラン経営へと進んだ。京都四条猪熊の本店のメニューを見ると、丸ビル店より遥かに安い。京都和知牛の美味さを堪能できる価格設定だ。
丸ビル店で余計に払った夜景代が惜しくなった。景色なんてすぐに飽きてしまうので、どうせなら肉代に費やすべきだったと後悔した。
モリタ屋
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング35F
03-5220-0029
http://www.moritaya-net.com
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2008年12月13日
[西海](神田)
ちゃんぽんも美味しいが、おばちゃんのさりげない気遣いもいい

運転免許の更新を終えて神田駅に向かいブラブラ歩いた。蕎麦屋、とんかつ屋、定食屋、どこに入るか迷うだけで決まらないでいたら、目の前に長崎料理屋が現れた。即決した。どこに惹かれたのか分からない。
11時半なので客はまばら。「どこでもいいですよ」と言ってくれるのが嬉しい。混み合う時間帯まで間があっても、狭い席に押し込める店が多い中、寛容で客重視の姿勢は評価できる。それと比例するようにちゃんぽんは美味しかった。カメラを持っていないのを悔やんだ。
カメラをポケットに入れて再訪した。12時に近いせいか、応対したおばちゃんが違ったためか、今度はカウンターに導かれた。目の前で料理人が麺を丸めては重さを量っている。足すときもあれば、減らすときもある。珍しく一回で出来ても無表情なので褒めてあげようかと思ったが自重した。

心の中で褒めたりけなしたり、飽きずに料理人を見ていたら皿うどんがやってきた。お腹が空いていたせいか、スープがないためか、ちゃんぽんより量が少なく思えてしまった。味はもちろん悪くない。

3回目の訪問。初回と同様に自分の好きな席を選べた。遠くの席からも麺を丸める料理人が見える。今回はちゃんぽんにシュウマイを添えた。自家製と思われるラー油、胡椒、さらにMy唐辛子をちゃんぽんにぶち込んで大変満足した。

値段から想像した大きさではなかったが、評判どおりシュウマイは秀逸だった。これにはビールが合いそうだ。ゆで豚や餃子も美味しいらしいので、夜も悪くないだろう。
デートに向く感じはしないが、4人前後で飲み会をするにはいい店である。親しい仲間を引き連れて行きたいものだ。
長崎料理 西海
東京都千代田区内神田2-8-5 山口ビル1F
03-3254-4780
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2008年12月11日
[あらまさ](浅草)
久し振りのきりたんぽ鍋を銘酒の店で

部下の二人が知っている人が来たので「一緒に飲みに行かないか?」と誘ったら、「二人で行くように予約しているのでダメです」と冷たい。「二人追加すればいいだろう」と言ってようやく交渉が成立した。店に電話をさせたら、彼らの期待に反してあっさり受け容れられた。
大通りでタクシーを降り、ちょっと路地に入ったところにある居酒屋風の店。風格がある。左手のカウンターを横目に見ながら奥に進んだ座敷に通された。
お通し、んめえ、白子

「あらまさ」が新政のことだと酒飲みならばすぐに気がつくはずだ。燗酒が中心と思っていたが、冷酒もある。新政の専門店ならではの品揃えだ。白子を食べて酒を飲んで「んめえ」と言うと、店の人が満足そうに微笑む。
刺身盛合せ、大吟醸酒

部下の先輩がやっている店なので、基本的にお任せ。料理はもちろん、日本酒も「これがいいよ!」と言われたら素直に従うだけだ。
はたはた、カワハギの唐揚げ

銀座の稲庭うどんの佐藤養介で食べたはたはたは卵がコリコリしていたが、こちらはネットリ。カワハギのあらの唐揚げとは珍しいと思ったら、主人のサービスだった。メニューにない料理なので有り難味がある。
きりたんぽ鍋、稲庭うどん

余った野菜を放り込んだかのような鍋。比内鶏でダシを取った本格派で味も濃い。グルメ紀行では初めてのきりたんぽ鍋で、店で食べるのも遥か昔で覚えていない。近い内に他の店のものと比較してみたくなった。
最後は稲庭うどん。冷やして食べることが多い稲庭うどんだが、タップリだしが出た熱々のスープで食べるのも悪くない。
それにしても日本酒をちょっと飲みすぎた。男4人で鍋を囲めば量が増えてしまう。浅草では馴染みの店もないので、いつものように2軒目には行かずに解散した。結果的には酒はほどほど、睡眠時間も減らずメデタシ、メデタシだった。
郷土料理 あらまさ
東京都台東区西浅草2-12-8
03-3844-4008
http://www.asakusa-aramasa.com/
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2008年11月25日
[ジャーメジャム Jame Jam] (阿佐ヶ谷)
初めてのペルシャ料理、かな?

「お客さん、是非食べに行ってください」 タクシーを降りるときにチラシを渡された。家に着くまで寝ていたので運転手さんとは殆ど会話をしていない。「知り合いのイラン人がやってる店です」と熱心だ。必ず行くと約束して車を降りた。
それから数ヶ月、チラシは鞄の中で眠っていた。偶然ホルダーの奥に隠れているのを発見したので行くことにした。南口を出てしばらく歩くと賑やかなアーケード街からどんどん離れていく。30年以上前、大学の友人たちとしけた屋台で飲んだことを思い出す。
わざわざ予約をしてきたけれど、カウンターに女性客一人だけと寂しかった。イラン人オーナーの助けを借りて、料理を選んだ。
前菜盛り合わせ、ピタパン

ひよこ豆、オリーブ、ヨーグルトで作った練り状のものをピタパンに乗せて食べる。ペルシャ料理といってもチュニジア、ギリシャ、トルコ、イスラエルなどの地中海料理とあまり変わらない。ちょっと拍子抜け、ちょっと安心した。
日本の生ビールを飲んで、トルコやレバノンのビールに行こうかと迷った末に、リキュールを飲むことにした。Yeni Raki(トルコ、45度)とKsaraku(レバノン53度)を飲み比べした。アブサンと同じ薬草系の味がする。しばらくストレートで飲み、飽きたところで水を入れた。アブサン同様に白濁するのが面白い。もっとも日本人が好んで飲む酒には思えない。変わり者の銀髪ぐらいだろう。
グービーデ・キャバーブ(ラム、チキン)

これも地中海料理の定番。ミンチ肉に香辛料を混ぜて焼いたもの。インド料理屋のケバブに似ている。イラン人に言わせれば古代ペルシャ帝国が近隣諸国を占領したことにより広まった料理で、ペルシャ料理がトルコ料理やインド料理などの起源とのこと。
店内にはオーナーのモーセンさんがNHKの衛星放送に出演した番組が流されていた。日本人の奥さんと、子供の名前がメニューの片隅に記されている。モーセンさんの優しい人柄がよく分かる。タクシーの運転手さんが応援したくなるもの頷ける。
開店してから1年半。水たばこが飲め、毎週土曜日にはチャージなしでベリーダンスも見ることができる。
モーセンさん、頑張ってね!
ジャーメ ジャム Jame Jam
東京都杉並区阿佐ヶ谷南2-20-7
03-3311-3223
http://www.jamejam.jp
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2008年11月16日
[ランチョン](神保町)
思い出は思い出のままがいい?

12時過ぎに御茶ノ水で仕事を終えた。「ひるめし食って帰ろう」と行き先を告げずに早足で歩く銀髪に、部下は不安顔でついて来た。
高校3年生、17歳のときに御茶ノ水で模擬試験を受けた後に偶然入った店がランチョンだった。定食を頼んだらビールが出てきて驚いた。ランチョンが美味しい生ビールを飲ませることで有名な店とは知らなかった。それ以来、大学に入ってから何度も行った。遅れまいとついて来る部下は銀髪の頭の中は分からない。
2階に上がり、本日のランチを頼んだ。もちろんビールも一緒に。部下が懸念したような変な食べ物は出て来ないが、下戸の彼にとってはランチョンのありがたみは分からない。日本で最高級の生ビールを飲ませる店として名高いといっても猫に小判である。

定食は上出来だったがビールには首を傾げた。泡が山を作りいびつだ。カウンターを見るとビールサーバーのところに泡が半分ほど入ったグラスが並んでいる。オーダーが入ると、ビールを注ぎ足して泡が適当な厚さになるようにしているようだ。
ランチョンは明治42年創業という老舗の洋食店。今の店も店主も銀髪が通った頃から代替わりしている。かつては泡の注ぎ方で味が変わると信じた時期もあったが、オーストラリアに行って考えが変わった。外国では泡が多いと客が怒り出す。線を引いたグラスを使う店も多い。
ハワイのビール

ハワイで頼んだビールもオーストラリアと同様に泡は殆どなかった。そもそも喉を潤すためにがぶ飲みするビールに、微妙な味の差を求める客などいないのだろう。まして、アルコール入り炭酸ソーダ並みのビールが全盛の日本で、泡のきめ細かさや厚さを議論しても意味がないような気がする。泡よりビールそのものの味を議論した方がいい。
それでも、こだわるのが日本人。昔、八重洲に灘コロンビアというランチョンと並ぶ有名店があったが、主人が亡くなり伝説となってしまった。その一番弟子の店(ビアライゼ98)が新橋にあるという。外国人が理解できない繊細さを確認に行きたいもんだ。
もちろん、ランチョンにもチャンスをあげよう。思い出の彼方に葬り去るのは悲しい。
ランチョン
東京都千代田区神田神保町1-6
03-3233-0866
http://www.gourmet.ne.jp/Luncheon/index.shtml
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2008年11月03日
[天國](上野)
西郷さんの横で食べる馬肉

上野で仕事を終えたのが11時半。部下に預けておいた地図を受け取り早足で歩く歩く。会社を出る前に行く店を決めて地図を印刷してきた。公園内に店はあるのだろうかちょっと不安になる。
公園内に建てられた地図の前に立つ。フォークとナイフのレストランマークは小高い山の上にある。「あれじゃないですか?」と部下が指し示す方を見たら、高い木々の向こうに建物が見えた。
公園内で人通りが少ないためか、馬肉専門店だからか分からないが、広い店内に客はおばさんが2人だけ。馬肉入りのコロッケを食べているようだ。我々はもちろんステーキ定食である。

小鉢やデザートは省いて肉をもう少し大きくして欲しかったが1,600円ではこんなものか。味噌汁を吸って「馬肉の匂いがする」と部下はご機嫌である。夜なら酒の肴になってしまうステーキも、昼ならごはんと共に口に入る。焼き具合も丁度良く、銀髪もご機嫌である。

熊本の天國本店は創業1982年らしいが、上野の天國はいつからあるのだろう。東京にある馬肉専門店は小さい店が殆ど。おそらく天國が一番立派な店ではないだろうか。個室が5部屋ありカウンターや椅子席も含めるとかなり大勢が入れる店だ。
霜降りの馬刺しやレバー刺し、馬肉のしゃぶしゃぶや焼肉も美味そうだ。パンフレットの美人女将の写真も気になる。この日は女将の顔を拝むことができなかった。
西郷さんの銅像近くにある店なら黒豚などの鹿児島料理の方が相応しいような気もするが、西南戦争を持ち出すまでもなく西郷さんは熊本とも縁が深い。もっとも西郷さんだから熊本料理とこじつけても意味がない。美味しい馬肉が食べられれば文句はない。女将が写真どおりであればもっと文句はない。今度確かめに行かねば。
天國
東京都台東区上野公園1-59 上野公園内 西郷銅像横
03-3824-3211
熊本 天國 本店
熊本県熊本市二本木2-13-12
096-326-4522
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2008年11月02日
[さわらび](半蔵門)
気配りが嬉しい店

「近くに評判のいいイタリアンと蕎麦屋がありますよ」と部下が言う。男二人で行くなら蕎麦屋に決まっている。有名店にしては入り口が小さいだけでなく、中も狭いので驚いた。混み合う昼時なので当然2人席に案内されると思ったら、4人席を勧められて恐縮した。落ち着いた雰囲気の居心地のいい席に通され、「ビール、日本酒」と言いたいところを我慢した。
このところ蕎麦屋に行く機会が多い。頼むのは天婦羅せいろか鴨せいろと決まっている。昔は温かいそばを好んで食べたが、最近は蕎麦湯が飲みたくてせいろにする。さわらびには天麩羅そばがないので自動的に鴨せいろになった。

分厚い鴨肉が美味しい。なんで葱がこんなに合うのだろう。味を楽しみながらも、一つ浮かんだ疑問が解けないで頭が重い。鴨汁が入った器の形状が変わっている。注ぎ口があるように見えるが何のため?
蕎麦を食べ終わったところで店の女性(女将さん?)が一回り小さい器を持って来た。残った汁と蕎麦湯を合わせて飲むためだ。注ぎ口と思ったのは間違いではなかった。これは嬉しかった。鴨汁に蕎麦湯を入れても濃すぎるので、いつも茶碗などを利用する。銀髪の心理を見透かしたかのような気配りである。
天麩羅せいろを頼んだら、天麩羅も冷たいそばつゆで食べさせる店が多い。このところ鴨せいろを立て続けに食べたが、蕎麦湯のための器を出してくれた店は他になかった。主人は一茶庵で修行したそうだが、その影響だろうか。自分で考えたのなら大したものである。
あらためてメニューを見ると、酒の肴も豊富。何よりも純米酒の品揃えがいいのが気に入った。蕎麦湯を美味しく飲ませる気配り、本物の酒を出すこだわり。
これは夜に再訪しないとおさまらない。そんに気分にさせてくれた。ホームページを見ると、意外と若い店主と女将さんの店のようだ。
絶対、夜に行くぞ! きーめたっ!
蕎麦小路 さわらび
東京都千代田区隼町2-10 210半蔵門1F
03-5213-3311
http://www.k3.dion.ne.jp/~warabi/
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2008年10月28日
[梵](入谷)
普茶で厳かな誕生会

今年も誕生会を開いてくれた。銀髪の都合で遅くなってしまったが、今年も誕生日が7日違いのKと2人合同で祝ってもらった。感謝、感謝である。
店を選ぶ際に「フチャ料理でよろしいですか?」と聞かれ、「何でもいいです」と答えた。お茶会で出される食事らしい。Kに「今日はフチャ料理らしいよ」と言うと「中華ですか?」と勘違いしている。どんな料理かは見るまで謎のままにしておいた。
入谷と言えば鬼子母神が有名だが、梵は鷲神社(おとり様)の近くにある。11月には熊手を買う人で賑わう。あいにくの傘がうっとおしい日だったが、茶室もある古い日本家屋は雨の夜がよく似合って風情がある。
4人部屋の個室に入ると、既に小垪(前菜)が置かれ、横に献立が置いてあった。

ふり仮名を読むと中国語のようでもある。Kの予想は当たらずとも遠からずだ。精進料理に見えるが鮑や雲丹の文字が気になる。店の女性に聞いたら、精進料理と思ったのは正解だった。約3百年前に京都の万福寺を建立した中国・明の隠元禅師が伝えたものらしい。普(あまね)く、衆に茶を供する等の意味がある。店の雰囲気共々厳かで、ハッピーバースデーを歌う気分にはならない。



鮑に似せた麩、雲丹も本物ではない。挽肉団子に見えるものは大豆が原料。スモークチーズではなく豆腐の燻製。次から次に料理が出て来る。献立は月毎に季節の料理が加わるが、半分は定番の料理らしい。それでも若い店の女性が淀みなく料理の説明をするのに感心した。
「いつもは満室になるの?」と聞くと「そうでもありません」と正直だ。大小8室あるが、予約制なので飛び込みで入ってくる客はいない。さすがに酉の市の時は賑わうようだ。


野菜だけでは体が干からびてしまいそうなので、揚げ物も適当に混ざる。精進料理を食べる人も本当は魚や肉、油っぽいものを食べたいはずだ。そのため野菜類を使っても、見た目や食感、味は肉類に似せるのではないかと思った。いやいや、我々のような俗人に食べさせるために工夫しているのだと言われれば返す言葉はない。
毎日は辛いがたまには精進料理もいいものだ。楽しい誕生パーティーが終り、静かな余韻に浸りながら店を出たところで、Kの顔が輝き始めた。「銀髪さん!次の店でシャンパンを飲みましょう!」の明るい声で、一気に俗界に引き戻された。
竜泉 梵
東京都台東区竜泉1-2-11
03-3872-0375
http://www.fuchabon.co.jp
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2008年09月23日
[甘味 おかめ](有楽町)
大きなおはぎ

半年前、おはぎを買おうと思って近くの「おかめ」に行ったら閉店していた。入り口に麹町に移転したと書いてある。麹町まで買いに行く気はしないので、日本橋高島屋で他社のおはぎを買ってお茶を濁した。
「麹町に移転したんだよね」と部下に話したら「有楽町にありますよ」と言う。そんなはずはないと言い争ったが部下は間違っていなかった。甘党の彼に勝てるはずはない。
秋の彼岸が近づいて、再びおかめのことを思い出した。ネットで有楽町のおかめを検索したらイトシアプラザ1Fと交通会館B1の2箇所にある。どちらに行くか迷った。
交通会館の方は随分と昔からある店のようだ。部下が言った「有楽町の店」かどうか分からないのでイトシアの方も見に行くことにした。結局、イトシア店で買った。店頭に置いてあった名刺を見たら、有楽町店(イトシアプラザ)、交通会館、麹町店の3店の住所が書いてある。このときようやく3店が同じ系列だと分かった。

「大きなおはぎ」の印象が強かったせいか、店頭で見たときは思っていたより小さく見えて拍子抜けした。家に持って帰って開くとやはり大きい。あらためて持ち上げてみるとずっしりと重く感じた。家族に聞くと普通の倍ぐらいあると言う。大きなおはぎを買った甲斐があった。

右のごまおはぎは餡が中に入っているため一回り大きい。餡が少ない分、こちらの方が銀髪には食べやすかった。
昔、母が作ってくれたおはぎはもっと大きかったイメージがあるが、おかめと同じぐらいだったかもしれない。子供だったから巨大に思えたのだろう。ビデオカメラなどなかった時代だから、誰も証明することはできない。
しかし、明確な映像がないだけに、甘く哀愁を帯びた思い出になる。永久に答が出ないので、議論が沸騰するのも楽しい。
子供の頃、物差しでおはぎの大きさを測らなくて本当に良かった。
おかめ
有楽町店
東京都千代田区有楽町2-7-1 イトシアプラザ1F
麹町店
東京都千代田区麹町 フェルテ麹町1-7 1F
交通会館店
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館B1
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2008年09月14日
[鳥つね自然洞](外神田)
とりあえず昼間の親子丼…

秋葉原のヨドバシで携帯電話の新機種を買うことにした。ワンセグなんか要らないがバッテリーがもたなくなってきたので仕方がない。買っても渡してくれるまで1時間以上待たなければならない。待ち時間に行く店としては鳥つねがちょうどいい距離にある。
電気屋の店員がマニュアルどおりに説明するのを我慢しながら聞いた。気持ちは既に親子丼に行っている。幸い12時前に鳥つねに着いた。玉ひでのように並んでいたらえぞ菊で味噌ラーメンになってしまうと心配したが、杞憂に終った。店はほぼ一杯だが待つことはなかった。

特上限定二十食の文字に惹かれて1,600円の特上親子丼を食べた。大丸東京駅店がオープンした時にも、催し物開場に出店していた鳥つねの特上親子丼を食べたことがある。80円高かった出店のものに比べ鶏肉は大振りのように感じる。もっとも、昨年11月のことだから記憶は曖昧である。鳥つねの代名詞である卵かけご飯のような親子丼だったことは間違いない。今日の卵かけご飯は白いごはんがなくなってしまったのに、底に黄色い汁が残った。ごはんが少ないのか、汁や卵が多いのか。ご飯を足して欲しいと言おうかと一瞬思ったが止めにした。
親子丼が出て来るまで、カウンターの中で一心不乱に鳥皮の毛を抜いている女性を見ていた。タオルで皮をこすり、残っている毛をライターで焼く。そしてまたこする。夜の準備をしているのだろう。丁寧な仕事ぶりを見ていると、夜に来なくっちゃと思う。
今度はカウンターに置いてある酒のメニューに目が止まった。いい品揃えだが恐ろしく高い。何かの間違いかと思うが、何度見ても一合の値段である。料理の値段を抑えた分、酒を高くしているのか、料理も酒と同じような値段のつけ方をしているのか、どっちだろう。
夜に来るべきか否か、ハムレットになってしまった。親子丼は美味しかった。1,600円が妥当なのかどうか、銀髪の舌では分からない。
鳥つね自然洞
東京都千代田区外神田5-5-2
03-5818-3566
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2008年07月24日
[満寿家]③(神田)
ふぐの名店はうなぎも美味しい

野田岩本店のうなぎは美味しかった。ここで満足しては銀髪の名が廃るなんて偉そうなことは言えないが、どうしても食べたかった店の名が浮かんできた。ふぐの名店、神田の「満寿家」である。
元横綱北の富士さんに紹介されて訪れ、感動した満寿家は昼にはうなぎを出す。あれだけのふぐを食べさせてくれる店のうなぎである。不味い訳がない。
11時半に店に入った。客はまだまばら。カウンターの中に女将さんが居ないのでちょっと失望した。若い店員がメニューを見せてくれる。値段の差はうなぎの大きさ、量の差。腹具合と相談して2,600円の鰻重にした。日本橋から歩いてきて火照った体を冷ますためビールを頼んだら、茹でたてのそら豆が出て来た。昼も手抜きはない。

ビールを半分ほど飲んだところで調理場の方に立つ女将さんを見つけた。お新香を出す準備をしているらしい。目が合ったので手を振った。滅茶苦茶うれしい。少し間を置いてお新香と肝吸いを持ってきてくれた。女将さんの笑顔とこちらの笑顔がぶつかり合う。冗談が飛び交う。他の客も楽し気に見ている。

質問を繰り出して女将さんを引き止めようとするが、仕事を忘れていない。調理場と客の間を忙しく往復する。いつの間にか席は一杯に。我々を含む第一陣の客たちにうな重が行き渡った。

お重に重なり合うように蒲焼が乗っている。肉厚で何と美味しいこと。もちろん養殖物だが、仕入れる産地は決まってなく、そのときに一番いい物を選ぶと言う。「日本橋のどのうなぎ専門店よりも美味しいよ」と言ったら、女将は自信満々の笑顔を返す。「美味しくなかったらどうしようかと思っていたよ」と告げるとまた笑う。本当に楽しい。
夜の満寿家は、ふぐのない夏場は鱧が主役となる。はも焼き、はもしゃぶなど美味そうだ。カレイ類の最高級魚ホシガレイもあると言う。ふぐがなくても夜はやはり高級店だ。それに比べて昼のうなぎは日本橋の専門店よりも割安に感じた。女将の笑顔は夜と変わらず無料。
神田の満寿家に行くべし。
満寿家
東京都中央区神田鍛冶町3-3
03-3256-8897
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2008年07月20日
[双葉](上野)
上野とんかつ御三家をようやく制覇

制覇と言うには大袈裟すぎるが、蓬莱屋に行ったのが2005年12月、ぽん多本家が昨年の8月だから遂に達成した気持ちになるのも理解してもらえるだろう。何故そんなに時間がかかったかと問われたら、怠慢以外の言葉は浮かばないけれど…
蓬莱屋は大正元年、ぽん多本家は明治38年に創業、それに比べて双葉は昭和43年と比較的新しい。もっとも外観も店内も双葉が一番年季の入っているように見える。おそらく創業時のままなのは双葉だけだろう。周辺を含めて地方都市の定食屋の雰囲気が漂う。
並ぶのを覚悟して来たが、意外とあっさり入れた。メニューを見ていると隣席から「ヒレカツはないんですか?」と尋ねる声が聞こえた。メニューは至ってシンプル。ロースカツ定食一種類しかない。隣席の言葉に救われた。いかにも常連風に軽く一言でオーダーした。

一人で来た客には新聞を渡している。その気遣いはぽん多と変わらないが、ぽん多ほど料理が来るまで時間はかからなかった。分厚い肉に薄い衣。御三家に共通する昔ながらのトンカツである。最近は生パン粉を使った厚い衣の店が人気だが、個人的には薄い衣の方が好きだ。この方が肉の味が分かっていい。衣の役目は豚肉の旨みを引き立たせることにある。
脂身を削ぎ落としているので、ヒレと言われても納得してしまうかもしれない。ヒレカツを欲した隣席の客もきっと満足したに違いない。
テーブルに立つプラスチックケースに入ったメニューを再度見て部下の目の色が変わった。最初に見たときでも高いと思ったらしいが、「結構いい値段だよな」と銀髪に言われて棒を一つ見逃していたことにやっと気が付いた。最終的にはトンカツを食べて二九四〇円に納得しただろう。

店を出たら外に「只今満席です」の札が立っていた。確かに空きテーブルはなかったが、4人席に2人、2人席に1人が殆どで詰め込むことが出来ない訳ではない。店内で待たせることはもちろん、外に列を作らせることも善しとしないようだ。
わざわざ来た客を拒絶するような姿勢を批判する人が居るかもしれないが、高いトンカツ代には居心地も含まれると考えているに違いない。待たせる苦痛を客に与えないのも受け入れる側の分別だろう。
上野3傑はそれぞれ特徴があって面白い。選定者に拍手を送りたい。
双葉
東京都台東区上野2-8-11
03-3831-6483
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2008年06月18日
[母家](池袋)
池袋のイチオシ焼き鳥屋さん

池袋は男と外国人の多い街。銀髪の勝手な思い込みではあるが、渋谷、青山、麻布、代官山、などと比べると圧倒的に若い女性が少ないような気がする。従って、グルメ本が推奨する洒落たレストランが殆どない。
実際、これまべ銀髪が行った店もタイ料理、メキシコ料理、居酒屋など。そして、今回は焼き鳥屋となった。東口を出て明治通りを新宿寄りに5分ほど歩く。飲食店がまばらになった辺りに雰囲気のある店構えを見つけた。予約なしだが、運良く入れた。込み合うかも知れないのに我々2人を4人テーブルに案内する太っ腹。これですっかり気に入った。最初の対応が料理の評価と一致することが多い。
枝豆、自家製ところてん

鳥が焼きあがる前に食べた壱岐産天草を使った自家製ところてん。しっかり歯応えのある立派なところてんだった。
レバー、背肝

お奨めは?の問いにいの一番に名前があがったのがレバー。レアに焼かれて文句なし。胸骨の後ろあたりの肉という背肝もいい。ますますこの店が気に入った。
キャベツ、馬刺し

口直しにサービスのキャベツ。焼き鳥屋なのに何故か馬刺しも美味い。
さつま峰地鶏の串焼き、矢元(ヤゲン)

首肉、鳥ムネ肉(胡麻味噌ダレ)

母屋限定酒、刈穂母家純米酒を飲んで盛り上がると酒の肴が足りない。鹿児島峰遊鶏場産の地鶏のタタキを食べる。ささみ、むね、ももの3種類の味比べが出来る。
さつま峰地鶏のタタキ

運良く入れたので「今日は空いてるの?」と聞いたら「いつもこんなもんですよ」と言っていたが、謙遜なのはすぐに分かった。程なく一杯になった。
もう一度背肝を頼もうかと思ったが、お開きにすることにした。食べる速度が鈍った我々がいつまでも4人用のテーブルを占拠していては申し訳ない。3回転目に入るテーブルもある。
期待通りのいい焼き鳥屋だった。店主がソムリエの資格を持つだけに酒もいい。人気店といっても偉そうではないし、ぎゅうぎゅう詰めにされることもない。池袋一の評判に大きく頷いた。
母屋
東京都豊島区南池袋1-12-6
03-5950-0377
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2008年06月05日
[業平屋]③(両国)
蕎麦屋で日本酒を

旧店舗の改築に合わせて向かい側の仮店舗へ。新店舗完成により元の場所に戻る。仮店舗は息子夫婦のイタリアンに衣替え。業平屋の過去数年は大きな変革期だった。
今日は久し振りの業平屋だ。子供を背負った長男が店に入ってきて大将夫婦に初孫が出来たのを初めて知った。変革期をうまく乗り切ったようで喜ばしい。
「いい酒が入ってますよ!」店が変わっても大将の台詞はいつも同じだ。大将は飲めないくせに日本酒にこだわりがある。
連れのIさんは〆張鶴の限定生酒を注いでもらう。銀髪には「善知鳥」を持って来た。

「栓が開いてる奴から片付けてあげるよ!」と言ったが、大将は譲らない。「田酒の限定品ですから飲んでください、どうせすぐに開けるんですから」と言われれば拒む理由はない。
田酒は明治11年(1877年)創業の青森唯一の酒蔵・西田酒造が生んだ純米の銘酒だ。生産量が少なかく手に入りにくかったこともあり超人気の酒になった。
善知鳥は5月下旬に地元中心に限定発売されたもので、東京で置いている店は少ない。青森県で開発された酒米「華想い(青系140号)」を使った大吟醸で、青森に数々の伝承がある善知鳥(うとう)の名を冠する。華想いは田酒の百四拾にも使われている。こちらは純米大吟醸である。

今日の肴はくらげと野菜の和え物、宮崎県産のふぐ一夜干しなどなど。業平屋ではメニューにないものでも女将さんに頼めば美味しい家庭料理を食べることができる。もっとも、銀髪には蕎麦味噌があればいい。
いつもは我々に付きっ切りの大将だが、今日は一人客に日本酒の講釈をたれるのに忙しい。グルメ本「庶民シュラン」に掲載されてから、新規の客が増えているらしい。
善知鳥の次ににごり酒、洗心などを奨められるままに飲み過ぎてしまった。それでも以前の酒量の半分程度なので、売り上げへの貢献も3割減といったところだろうか。節度のある飲み方をする自分を自分で褒めてやった。
ところが2軒目がいけない。連れて行ってもらった店にキープされていたマッカラン30年が銀髪の理性を奪った。酔った頭は自制心を失い、3軒目に行くことを要求した。足は素直に命令に従う。口に酒を運ぶ腕はロボットのように規則正しい。かくして、翌日後悔することになる。日本酒もスコッチも美味しい酒は危険である。
業平屋
東京都 墨田区亀沢2-8-7
03-3622-7978
以前の記事
「業平屋」
「業平屋」その2
田酒 西田酒造
http://www.densyu.co.jp
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2008年04月10日
[いちゃりばえん](吉祥寺)
熱帯魚を食べたい!

吉祥寺にはイタリアンやエスニックなどの店が目立つ。リーズナブルで美味しい和食居酒屋もあるはずなので、探すことにした。
沖縄料理は想定外だった。通り過ぎようとしたところで、看板の文字に目が釘付けになった。アカマチ、クルキンマチ、イラブチャーの刺身とある。カラフルな魚体を思い浮かべて飛び込んでしまった。
アカマチ刺し、ジーマーミー豆腐

お奨めのアカマチは鯛に似てなかなか美味だった。鮮やかな体色が分かるように湯引きの刺身なのも良い。出来れば黄色やライトブルーの体色だったらもっと面白かったのにと客は勝手だ。
ピーナツで作った沖縄ジーマーミー豆腐も美味しかったが、刺身を食べて目的を達した気分になってしまった。
泡盛利き酒セット

再び気分を盛り上げてくれたのは泡盛利き酒セット。たいして期待もしなくて入った店だけど、驚いたことに200種類もの泡盛、焼酎があるという。長期熟成の高価な泡盛もある。
利き酒セットで飲み比べると値段の差がよくわかる。もちろん、まろやかで高価なものが一番ではない。野卑なものを好む人もいるだろう。自分が好きなものを飲めばいい。
フーチャンプルー、もずくとツナの天ぷら

麩を使ったチャンプルーも悪くなかった。もずくとツナの天ぷらもいい味だ。いい店だと思えてきた。
沖縄風生春巻き、紅芋ごま団子

豚肉の塩漬け入りの生春巻は隣のテーブルを盗み見て食べたくなった。ただし、上にかかったマヨネーズは抜いてもらった。
意外だったのがごま団子。てっきり中華風の餡子が入ったものと思っていたが、まったく別物で酒の肴にもなる。
駅からすぐの立地なのに料理屋密集地から外れているせいか、客の入りはよくなかった。
たまたま空いていたのかもしれない。若者で一杯になってもおかしくない店だと思った。
いちゃりばえん
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-6-3 吉祥寺東急インB1
0422-70-4877
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2008年04月04日
[並木藪蕎麦](浅草)
鴨ヌキ抜き

毎週土曜の楽しみは日本経済新聞夕刊の「グラスの縁から」である。東理夫氏の洒脱な文章による酒にまつわるエッセイを読むと、居ても立ってもいられなくなる時がある。最近では3月8日の「鴨ヌキ」の話が良かった。山口瞳氏の本を読んだ東氏が並木藪蕎麦に行った話である。
鴨ヌキとは鴨なんばんのソバ抜きのことだそうで、これを肴に菊正宗を飲む。何度も読むとよだれが出てくる。
夕方6時、店にはまだ空席があった。ラッキー! ところが壁のお品書きを見ても、鴨ヌキがない。右から左、左から右と何度も目を動かすがやはりない。テーブルにはメニューなど置いていない。
店のおばちゃんに「鴨ヌキはないの?」と恐る恐る聞くと、3月迄しかないと言う。アンラッキー! 鴨ヌキの予定が鴨ヌキ抜きになってしまう。テーブルに突っ伏した銀髪に、「天ヌキならありますよ」とおばちゃんがやさしく声をかけてくれた。
そば味噌、板わさ

「ビールとそば味噌」と頼んだら、「お酒は飲まないんですか?」とおばちゃんが聞く。「後で頼みます」と言うと、「お酒にそば味噌がついてくるから一緒に注文した方が得ですよ」と親切だ。
天ヌキ

芝海老のかき揚げがどっぷりとつゆに浸かって出てきた。天ぷらはサクサクじゃなければ邪道のような気もするが、これがなかなかいい。海老もいいが、つゆをタップリ吸った衣もいい酒の肴になる。お酒をもう1本。
わさび芋、焼海苔

聞いた事がない芋と思ったら、単にわさびと山芋。箸ですべて持ち上がるほど粘り気のある山芋を海苔で巻いて食べた。
天ざる

一度はざるそばだけを頼んだが、他の席を見て考え直した。天ざるの天ぷらはつゆに浸かっていない。天ぷらのえびは「くまえび」と教えてくれた。大きいから熊かと思ったが、隈海老と書く。車海老に次ぐ高級品らしい。腹に子を持ったように厚く抱かせた衣が面白く、美味しい。お酒をもう1本。
玉子とじ、海苔かけ

ご推察のとおり並木の藪でもざるそばには海苔が乗っていない。海苔かけは海苔が乗ったかけそばではなく、海苔が乗ったざるそば。頭がこんがらがる。
相方が玉子とじと海苔かけを一人で食べた。銀髪の隈海老も半分食べて、玉子とじの汁もきれいに飲み切ったのには驚いた。周りの客が2~4回転しても居座る我々でも、これだけの食べっぷりを見れば店の人も喜んでくれるだろう。
家に帰って「グラスの縁から」を読み直した。どこにも鴨ヌキが11月~3月の限定メニューと書いていない。残り1ヶ月もないのに、自慢話を新聞に載せるなんてけしからん。食い物の恨みは恐ろしいよ!
並木藪蕎麦
東京都台東区雷門2-11-9
03-3841-1340
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2008年04月02日
[マヌエル コジーニャ・ポルトゲーザ](渋谷)
渋谷のマヌエルもなかなかいい

マヌエルは四谷の「マヌエル・カーザ・デ・ファド」、丸の内の「マヌエル丸の内」に次いで3店目の訪問である。四谷は広めの店内で器などの仕掛けも大袈裟。丸の内はカフェのような気軽な感じ。渋谷店はコジーニャ・ポルトゲーザ(ポルトガルの台所)の名の通り、家庭料理を食べさせる民家を思わせる店だ。
マヌエルも3回目になると料理の味も特徴もほぼ分かる。バカリャウ(干し鱈)を使った料理がお奨めで、特にコロッケはお気に入りだが今回は違う料理を食べることにした。
お通し、バカリャウのサラダ、ガーリックブレッド

お通しは各店共通だ。自慢のバカリャウ料理はサラダを食べた。水に浸して戻してから調理するようだが、ときどき噛み切るのに苦労することがある。今日のバカリャウはちょうどいい感じだった。
イワシのグリル

マヌエルで食べてバカリャウのことを初めて知った。それまではポルトガル料理の代表はイワシのグリルと信じていた。オーストラリアでも、マカオでもポルトガル料理屋に行ったら必ず注文した。ところがマヌエルでは四谷、丸の内の両店にイワシがなく、とても不思議に思ったものだった。
店長に尋ねると、イワシが置いてあるのは渋谷と高輪のみとのこと。わざわざいつも食べられる日本で頼むこともあるまいが、つい手を出してしまった。オリーブオイルをかけて食べるのがマヌエル風である。
鶏のプーカラ

四谷店では大きな壷に入って出てきた鶏のプーカラだったが、器が小さくて別物かと思った。店によってプレゼンテーションも異なる。ポートワインで煮込んだ鶏は香りもよくてメインに相応しい料理だった。
四谷、丸の内に比べると店は小さくてメニューも少ない。それでも、いや、それだから一番落ち着ける。予約で一杯なのに満席になったのは8時半頃と遅かった。渋谷は客の出足が遅いのだろうか。小さい店だけに満席になるとちょっとうるさい。男性客もいるが、元気で明るい女性たちの前では影が薄い。
ざわざわして賑やかなのも台所には似合っている。リーズナブルなポルトガルワインを飲み、食後はポートワインでダラダラするのも楽しいものかもしれない。
マヌエル コジーニャ・ポルトゲーザ
東京都渋谷区松涛1-25-6
03-5738-0125
http://www.pjgroup.jp/manuel/shibuya/index.html
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2008年03月31日
[鳥定](池袋)
レトロが楽しいお店

池袋駅前、良品計画の向かいにある狭く急な階段を上った。既にN氏、S氏が先に来て飲んでいた。三丁目の夕日の世界を模したのかと思ったら、実際の創業が昭和30年代というレトロな雰囲気の居酒屋である。
カウンター上の壁メニューには右から110円の焼き鳥、焼きとんなどの料理が並ぶ。どんなに左に行っても数百円の料理が続く。
レバー・ネギ間、レバー刺し

頼んだ焼き鳥があっと言う間に出てきたので驚いた。「凄いねー」と感心したら、先乗りの二人が頼んでいたものだった。中年男が最初に飛びつくのは似たようなものだ。
レバー刺しは彼らの好みではなかった。一人で食べるにはちょっと多いけれど、店のチェックには必要な作業と割り切った。極上とは言い難いが、値段と比較すれば文句はない。
老若男女、どの層にも人気の店らしい。料理は豊富だし値段は安い。店の女性も元気で可愛い。おじさんたちの相手もうまい。からかっているつもりが、実は逆のようだ。


料理は値段を上回る味もあれば、相応のものもある。シロは期待外れだったが、N・S両氏は常連だけに手を出さない。
いわし、人肉と鶏唐上げ

壁のメニューにある人肉にギョッとするものの、にんにくを洒落ているのはすぐに分かる。
「懐かしいからトイレに是非行くように」と妙なことを奨められた。昔の家には必ず男性が小用をたす便器があった。男性の地位が下がったせいか、土地代が高くなったせいか、今はどの家も大小兼用の一つしかない。
便器はともかく、壁に貼られた大映のポスターが懐かしかった。若き日の勝新や田宮二郎がいい。亡き父が連れて行ってくれたのは、決まって大映の映画だった。東宝映画の話をする友人たちとは話が合わなかったものだ。
格安の料理を食べ、ホッピーで酔っ払い、トイレでちょっと昔を懐かしむ。面白い居酒屋だった。
鳥定
東京都豊島区南池袋1-21-4 繁昌社ビル2F
03-3987-7806
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2008年03月24日
[東あほぼん寺](渋谷)
隠れ家風の大衆居酒屋

大通りに面している店は高いという印象がある。階段を下りて扉を開けると釣鐘が下がり、馬に跨る武将の像に迎えられた。

お寺をイメージした店内は地下なのに意外に広い。個室に通されて、ますます心配になったところで後ろから声が聞こえた。完全個室と思ったのは勘違いで、すだれのすぐ向こうに他の客が見えた。マジックのタネが明かされた感じだ。高級店ではなさそうだ。
経本を模したメニューを開いてますます肩の力が取れた。4桁の料理は殆どない。名物料理はタコを使った料理。たこ坊主と洒落ているに違いない。そのまんまの名前の料理があった。
たこ坊主

蛸が入った明石風だし巻き玉子だそうだが、たこが入っている以外は命名の意味が良く分からない。明石焼き→たこ焼き→坊主頭と連想させたいのだろうか。
鮭のかま焼き

お奨めを聞いたら何故か鮭のかま焼き。たこ以外の駄洒落料理はあまりない。京都に因んで豆腐料理も自慢のようだから、鶏つくねの湯豆腐を頼んだ。780円でそこそこお腹が膨らむお値打ち料理だったが写真は撮り損ねた。
つぶ貝のチャンジャ

日本酒は「ぼうずまるもうけ」「極楽ぼうず」「おだいかんさま」などがあり面白い。他に焼酎、ホッピー、ウイスキー、カクテルなど何でもござれで節操がない。
やっぱり渋谷らしく若者のためのお店である。
あほぼん寺の本店は関西のようだが、東京の店は東あほぼん寺と名前が変わる。系列なのか別経営なのか分からない。大阪っぽくって面白い店だったと言えば、大阪人は喜ぶだろうか。怒るだろうか?
意見を聞いてみたいものだ。
隠れ家和食 東あほぼん寺
東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル1号館B1
03-5728-2300
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2008年03月17日
[ひで](渋谷)
テレビでよく紹介されるおでん割烹のお店

「アド街ック天国に出ていましたね」
「それは随分前ですね」
「あれっ?そうだっけ」
「最近出たのは裸の少年ですよ」
そうです、勘違いでした。見たのは確かに裸の少年で、道場六三郎が案内役をつとめていた。実はテレビ放映の前、「あじくら」「に行ったときに前を通り、いつか来ようと思っていた。裸の少年が背中を押してくれた。
お通し

お通しは鶏とわさび漬け、桜餅を模した海老しんじょ。おでん割烹と言うだけあって、品のいい2品を食べると銀座の一流おでん屋を想起させる。カウンターから見上げると、値段の書かれていない料理の札がたくさん掛かっている。懐が心配だ。
かつお

隣の中年客がかわはぎを頼んだ。迷った末にこちらはかつおにした。今年初めてで、久しく食べていない方を選んだ。隣に来た皿には立派な肝が乗っていてちょっと後悔したが、かつおも頗る美味しかったので満足だった。
札の中でソイが気になった。食べたことがあるはずだが形も味も思い出せない。「どのぐらいの大きさですか?」と聞くと「見ますか?」と親切である。カウンターの下からパットを3つ出して、その一つの布巾をはずしてメバルを除けてソイを引きずり出した。そこまで手間をかけてしまったら断るわけにはいかない。お奨めの塩焼きにしてもらった。
おでん

菜の花ととうもろこし、合鴨のつくね、大根、牛すじ、卵、ロールキャベツ。ソイが焼きあがるまでにおでんを食べた。
黒そい、おでん

鯛より美味と言われる黒そい。白身の上品な味である。きれいに食べ尽くしたので、板さんに自慢したいぐらいだったが、忙しそうでなかなか会話が弾まない。
最後にぎんなん、しらたき、れんこんを食べた。おでんの種類はまだまだたくさんあるが、到底食べ尽くせるものではない。次回の楽しみにとっておくことにした。
勘定書がやってくるまでドキドキしたが、酒代込みで1万円しなかった。
銀座並みの値段ではないから何度も気軽に来れそうだ。次回は「ひで」さんが誰か聞いてみよう。
おでん割烹 ひで
東京都渋谷区円山町15-5
03-3461-1701
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2008年03月14日
[満寿家]②(神田)
ふぐのシーズンももうすぐ終り

先日「京ふじ」に行ったとき、天然ふぐの食べ収めの時期が迫っていることを気付かされた。「満寿家」でシーズン初めに感動した味を、シーズン終りにどうしても食べたくなって予約を入れた。連れて行ったK氏は無類の大食漢だが、お腹の調子が悪いと言うので安心した。
煮こごり、ふぐ刺し

刺身は2人盛りにするかどうか聞かれたが、もちろん一人ずつにしてもらった。調子が悪いと言うけれど、殆ど食べられてしまうリスクは冒せない。皮は腹側の白いところのみで、「口に含んでしばらくすると溶けますよ」と前回教えられたことをK氏に話す。
背側の黒い皮は煮こごりに使われる。
昆布締め(ほうぼう、こち)

お腹の調子が悪いはずのK氏だが、刺身を残す気配がないどころか、壁に掛かったメニューをじっと見詰めて「昆布締めが大好きなんですよ」と仰る。同じように見える昆布締めだが、ほうぼうの方が美味しい。K氏が「こちの食べ方を知っていますか?」と聞くので「東の方を見ながら食べるのかな?」と応えた。すると「こっちから食べるんです」と照れ笑いをする。東風(こち)にかけた銀髪の回答の方が気が利いている。
桃の節句、ひれ

前回と同様に、ふぐ焼きと唐揚げを食べた。何度食べても美味い。途中、桃の節句に因んだ一皿を出してくれた。まながつをの酒粕漬け焼きにうどと桃の小枝が添えられて美しい。
もちろん飲むのはひれ酒。いつ見ても立派なヒレをきれいに焼いている。
ふぐちり、白子焼き

K氏を気遣ってふぐちりは少なめにしたのに、白子を見て「白子焼き」を食べたいとほざく。呆気に取られるが、食べたい気持ちは銀髪も同じ。シーズン初めに食べた白子に比べると、サイズは大きくて味もふくよか。やはり満寿家に来てよかったと痛感した。
満寿家は江戸川春菊や千住ねぎなどの江戸野菜を使うこだわりよう。80年も続く老舗料理屋の真骨頂だが、さりげなく話す女将が粋である。
粟もち、雑炊

女将が「粟もちを食べますか?」と聞くと、K氏は元気良く「はい!」と応える。名人が作るチャーハンのように卵が美しく米の間に散らばった雑炊を女将が作ってくれる。K氏はこれをペロリとたいらげお代わりをする。
本当にお腹の調子が悪いのだろうか?
いつもながら女将が相手をしてくれるカウンターは本当に楽しい。違う人を連れてくると、銀髪が気付かないことを発見してくれるから面白い。今日もたくさんの発見があった。全部紹介できないのが残念である。
満寿家
東京都中央区神田鍛冶町3-3
03-3256-8897
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2008年03月06日
[GOKAKU](南青山)
野菜好きの人、集まれ!

表参道交差点から青山通りを青山方面に歩き、KINOKUNIYAの手前の道を右折すると洒落た店がいくつもある。突き当りを左斜めに入ると地図の場所には「正」の表示しかない。ドアを開けて「GOKAKUですか?」と聞いたところで、正=五画と気付いた。
基本コースは4,800円の野菜料理。野菜小鉢5、一の皿4、二の皿3種類あり、それぞれ3品、2品、1品を選ぶ。二人で行ったので、二の皿の「大根と浅利の酒蒸し」を除く全品を味わうことができた。
お品書き、じゃがいもの揚げ物

ホクホクのじゃがいもからスタートした。火傷しそうなほど熱くて美味しい。
野菜小鉢

ゆずかぶらだけ2品頼み、せり醤油和え、うるい酢味噌、小松菜お浸し、そばの実を食べる。そばの実が面白い。
一の皿

汲みゆばあんかけ、人参のポタージュまでが完全に野菜料理。次いで蓮根の肉はさみ揚げ、新玉葱の玉子焼きとちょっと肉類が入る。
二の皿

有機栽培野菜の蒸しやさいにはアンチョビソースが添えられる。ゆり根を山芋で包んだ山芋のまんじゅうにはわさびあんがかかる。
野菜料理のオンパレードだか飽きない。体にやさしい野菜料理だが、日本酒が進んで困ってしまう。
杏仁豆腐

冷奴と間違えるような杏仁豆腐。銀髪でも美味しく食べられた。
基本コースでもそれなりお腹一杯になるが、若い人には物足りないかもしれない。基本のコースに焼物と野菜の五目めしをつけると5,900円、焼物と鯛めしなら6,400円になる。
カウンターの目の前にいる料理人が店主かと聞いたら違った。フロアにいた店主が店を去る我々を見送ってくれた。これから野菜がもっともおいしくなる季節とにこやかに語る。
次に献立が変わる頃、必ず来ると誓って外に出た。胃が重たくなく、足取りも軽くなったような気がした。
もちろん千鳥足ではない。
野菜料理 GOKAKU
東京都港区南青山3-14-4 B1F
03-5413-0831
http://www.yasaino-g.jp/
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2008年02月27日
[呑々道場](渋谷)
分散より集中の方が得策

道玄坂の北側には神泉駅方面や、東急百貨店周辺などに評判の店が多い。ところが、南側はレストランガイドや口コミサイトを見てもお奨めの店が少ない。ブラブラ新規開拓をすることにした。急坂を上るのは辛いので、マークシティーを神泉方面口から出て坂を下ろうとしたが、すぐにもつ鍋の看板に誘われてしまった。
もつ鍋は温まる、野菜がタップリ、安いなど魅力的な要素が多い。階段を下りて店に入ると客は2組だけ。やはり場所が悪いのか、店が悪いのか分からないが、とにかく挑戦である。
お通し

お通しはホタルイカと小魚。これを炙って食べる。貧弱なお通しだがアイデアは悪くない。
白レバーのたたき、馬肉ベーコン

もつ鍋以外にもメニューにはたくさんの料理が並ぶ。店員の助けを借りて白レバーと馬肉ベーコンを選んだ。この2品はとてもいい出来だ。
右隣に先輩と後輩か、上司と部下か、いずれかと見られる若い男女がいた。元気のいい、可愛い女性だが、よく喋りよく食べる様は恋人同士には見えない。隣のテーブルに次々に運ばれる料理の中で、焼き鳥が美味しそうに見えた。人のメシは白い、隣の芝生は青い。頼まずにはいられない。
砂肝、もも、ササミわさび

焼き鳥は失敗だった。焼きすぎでパサパサ、塩加減もよろしくない。これまで高い評価で進んでいたのに一気にしぼんでしまった。食べ残しを店員に見えないように鍋に放り込んだ。
白呑(味噌)

肝心のもつ鍋は普通。2人前からなので写真の鍋で1,960円。博多もつ鍋というが、福岡の人気店「やま中」に比べるべくもない。やま中にはもつ鍋以外の料理はほんの僅かしか置いていない。もつ鍋に全力を投入しているし、他の料理は付け足しに過ぎない。呑々道場ももつ鍋に心血を注ぐべきで、焼き鳥は評判を落とすだけだ。多品種を揃えると万人に喜ばれそうだが、飲食店に限らず単品商売の方が成功することが多い。
両隣を見る限りもつ鍋の評価は良いみたいだ。右の二人が鍋の材料を追加して大量に食べた後、ちゃんぽん麺を入れた。左の席のカップルも恋人同士には見えない。女性が男性の1.5倍ほどあり、2倍くらい食べる。別の味の鍋に交換して、さらに具やスープを足すのに店員が掛かりっきりである。
それにしてもどうでもいい相手と一緒の時の女性の食欲は凄まじい。男の方も財布の中身を気にしないでいいところに連れてきているのだから、どっちもどっちかな。
呑々道場 道玄坂店
東京都渋谷区道玄坂1-17-9
03-3464-8880
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2008年02月23日
[あじくら]②(渋谷)
再びのあじくら

前回は飛び込みで入れたのに、その後予約の電話を入れる度に断られた。この日は数時間前に電話してようやく席を確保した。店に着いたらドアを半開きにして女性が中を覗いている。店員がやってきて、「8時半までなら…」と言うのを聞いて嬉しそうに頷いた。前回の我々と同じ状況である。7時頃までに入るなら飛び込みで来た方が良さそうだ。
グレンス、青唐辛子、レバー刺し

前回食べ損なったものを食べようと思ってきたが、グレンスだけは今度も一番に注文した。唐辛子はなかなかパンチが効いていてビールが美味い。
タケ(大動脈)、ミノ

タケは悪くないが、ミノは思ったより固い。叙々苑游玄亭のミノが食べたくなった。もっとも、游玄亭の一切れがあじくらの一皿と同じくらいの値段なので文句は言えない。
和豚シロコロ(丸腸)、地養赤鶏もも肉

焼きとん屋で食べるシロをイメージしたが、丸腸の文字に注目するべきだった。中から脂があふれ出してくるのを好きな人には堪らないだろうが、脂っぽいと敬遠する人もいるだろう。
鶏は冷凍物のようで、焼くのに時間を要したため固くなってしまった。
同じ店でも食べるもので評価が異なる。座る場所、一緒に食べる相手によっても印象が変わる。前回は入り口近辺の席だったので、自分が焼く煙だけを気にすれば良かった。今回は奥の壁際カウンター席だったので右隣と後ろの席の煙に包まれてしまった。特に豚バラなどの脂が多い素材を周りで焼かれると銀髪の燻製が出来上がってしまう。
最初に来たときは美味しそうなものを優先して頼んだから良かった。今回は初回ほどの感動はなかった。次回はこれまでの経験が活きるので、最高になるかもしれない。
早めに予約して4人以上で来ると楽しいだろう。気の合った仲間と3時間ぐらいかけてワイワイガヤガヤとやるのが一番の店である。2人なら予約なしでふらりと寄ったらいい。カウンター席なら潜り込める可能性が高い。お忍びの恋人同士なら煙に隠れることが出来て好都合かもしれない。
ほるもん倶楽部 あじくら
東京都渋谷区円山町7-12 イケダビル1F
03-3462-8811
前回の記事
「あじくら」
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2008年02月22日
[あんど](吉祥寺)
和洋折衷料理とたらふくワインのお店

吉祥寺は若い人たちが安く飲み食い出来て、しかも雰囲気がいい店がたくさんある。「あんど」もそんな店の一つだ。店に入って靴を脱ぎ、掘りごたつ式のテーブル席に座るとまさに和風居酒屋。ところが壁にはワインのボトルが並び、右側のカウンターにはハモンセラーノの大きな腿肉がデンと据えてある。
和と洋が混在する店の雰囲気は、そのままメニューにも反映されている。洒落た店の割にはお値段が手頃でありがたい。グラスワインの選択肢も豊富で、おまけに一番高いもので600円とは嬉しい限りである。
お通し(ポタージュ)、イベリコ豚のロールキャベツ

お母さんが作ってくれるコンソメ味の和風ロールキャベツだが、イベリコ豚を使って特徴を出している。なかなか美味しい。
生ハム・パンチェッタ・リエットの盛合せ、地鶏白レバー焼き

ハモンセラーノ(生ハム)、パンチェッタ(ベーコン)、リエット(豚肉のペースト)、どれもワインにぴったり。ハイピッチで飲む隣席の若いカップルは2本目のボトルを頼んでいる。2本目から半額になるので飲まなきゃ損となる気持ちはわからないではないが、翌日に辛い目に合うのは確実だろう。
ごぼうチップス、ポルチーニとパンチェッタのぺペロンチーノ

3杯目は赤ワインを飲むことにした。肴はごぼうチップスで、最後に来るスパゲッティまでのつなぎ役としては適当だ。福岡空港のうどん屋のごぼう天を思い出した。350円はうどん屋では割高だが、ワインを飲める店では格安に思える。
食べた中で一番高い料理でも800円。味も量も満足できるものだった。料理は安くても飲み物が高い店が多いが、ここは飲み物もべらぼうではない。
新宿や渋谷にあったらいつも若者たちで賑わうだろうが、吉祥寺の路地裏にあるお陰で大人も楽しめる静けさがいい。
ランチ時にはおば様たちに占拠される。老若男女が楽しめる店だ。
あんど
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-16-18
0422-23-6400
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2008年02月21日
[鳥しき](目黒駅)
女性に人気の焼き鳥屋
目黒駅に待ち合わせの時間より10分早く到着したので、目星をつけていた店を下調べすることにした。大通りから路地に入ると、面白そうな海鮮居酒屋を見つけた。その向こうに割烹かと思えるような店がある。それが目的の焼き鳥屋・鳥しきとは思わなかった。
携帯電話が鳴った。N氏も早く目黒駅に着いたようだ。慌てて踵を返した。今度は2人で路地裏へ戻ってきた。N氏にも魅力的に映った様子の居酒屋を通り越して鳥しきの扉を開けた。コの字型のカウンターに女性だけのグループ、女性を含むグループ、カップルが並び、男同士は我々だけ。もっとも右と左のカウンターに一人で飲む男性客を見つけてちょっと気が楽になった。
お通しが出てきたところでカメラを取り出した。ガーン! 電源を入れても画面はほぼ真っ白で料理が写らない。仕方なく携帯電話のカメラで撮ったが、慣れてないので下のようにピンボケばかりになってしまった。

我々に与えられた席は天国と地獄。入り口からすぐの席なのでひっきりなしに開くドアからの冷気で背中が寒い。一方で焼き場に面した前は暖かく、しかも店主の仕事ぶりや人柄に触れることができて楽しい。
狭い店だが料理人が主人一人では広すぎるのかもしれない。話しかけるのも申し訳ないほど忙しく働いている。我慢できずに声をかけると、嫌な顔を見せることもなく応対してくれる。若いのに立派な主人だ。

生ビールを飲んで、酒を2人で6合飲んだ。お任せの料理をストップして、お互い食べたい串を2本ずつ追加してお開きにした。
客が席を立つと偶然ドアを開けたラッキーな客がその席を埋める。主人がゆっくりする場面は、我々がいる間に一度も訪れなかった。
目黒に事務所があるN氏はこの店がとても気に入ったようだ。遠征してきた銀髪が地元の人に店を教える不思議な構図。鳥しきにとってはN氏が望ましい客だ。
連れてきた相手が喜んでくれたので、満足度は数ランクアップした。
鳥しき
東京都品川区上大崎2-14-12
03-3440-7656
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2008年02月14日
[ミスサイゴン](渋谷)
笑わない店

週末の渋谷はいつも混んでいる。ちょっと良さそうな店はどこも一杯だが、どこかに必ず入れるので悲観する必要はないのが繁華街のいいところだ。
和食屋を探すつもりだったが、雑居ビルのエレベーターに乗り込むときには安易な道を選んでいた。
ミスサイゴンは予想通り空いていた。4人テーブルを2人で使っているのが2組、2人テーブルを2人で窮屈そうに使っているのが2組、適正な使い方の3人娘が1組でまだ席に余裕がある。我々は窮屈なグループに属することになった。
生春巻き

ベトナム料理屋ではいつも海老入りを食べるので、珍しく豚皮、豚肉入りの春巻きを食べることにした。ライスペーパーで巻かれたままの姿で登場した春巻きを、手で摘まんでかぶりついた。
シナモン入りベトナム風ソーセージ

シナモンのいい香りがするが、食感はパン。小麦粉がたくさん入っているように思える。作り方を聞こうかと思ったが、中年の女性店員は忙しそうで笑顔を見せない。気軽にビールを頼むことも出来ない。意を決して呼んだら、やはり不機嫌そうである。
我々窮屈グループに4組のカップルが増えた。店員は4人用のテーブルを2人用に分けて客を案内したり、料理を運んだりと孤軍奮闘。笑える余裕もなく可愛そうになった。
いか焼きレモングラス添え

いか焼きは悪くない。満席にはならないと踏んでいたが、いつの間にか席はすべて埋まった。キッチンの男女2人、フロアの女性1人では到底さばき切れると思えない。
隣の座った客がメニューを見ている間に、店員をつかまえて麺料理を注文した。先に注文しなければ、料理が出てくるのが遅くなるはずだ。
結局、麺は食べられずに店を出た。かなり待たされて、やっと戻ってきた店員は我々より後に注文した隣の席に皿を置いた。全てのテーブルが壁際に置かれ、客の全員がチークダンスを踊れるスペースが店の中央にあるのが不思議だったが、その理由が分かった。目一杯テーブルを置けば、店はさらなるパニックに陥るだろう。
シナモン入りのパンでお腹が膨らんだので、かえって麺を食べずに済んで良かった。もちろん料金は格安だった。店員が日本人かベトナム人かは詮索しなかった。
隣席の女性が可愛かったのでちょっと楽しかった。彼女に今宵のミス・ミスサイゴンの名前を進呈した。もちろん、口に出したわけではない。
ミスサイゴン
東京都渋谷区道玄坂2-29-18 清水ビル6F
03-5489-3081
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2008年02月11日
[ロブロス](吉祥寺)
ランチ時に賑わう店も夜は落ち着いた店に変わる

井の頭公園近くの脇道にあるロブロスは、夏はテラス席まで人が溢れている。ところが、夜には店の前に人通りはなく、中を覗いても人影は少ない。
ドアを開いて予約してないことを伝える。狭い禁煙席よりも、ゆったりとして隣の煙も気にならないテラス席を選んだ。もちろんテラスは覆われて外気からは遮断されている。
そのまま農家直送の有機野菜プレート

バーニャカウダ、クリームチーズディップ、塩が添えられる。バーニャカウダに期待したのだが、思いのほか量が少ない。野菜が美味しいのでディップに頼らずにかえって良かったかもしれない。
緑黄色野菜のラタトゥイエ

野菜が自慢のようなので、もう一品頼んだ。ラタトゥイエとは煮込み野菜のこと。名前だけで何か特別立派な料理のように聞こえる。サラダよりたくさん食べられるのがいい。
覆われているとはいえ、テラス席はすきま風が入りちょっと寒い。室内の暖房器具からの距離が遠く感じる。温野菜とワインで体が暖まるのを期待したが、効果が出るにはかなり時間が必要だった。
ぺペロンチーノ

自慢の野菜が乗ってなかなかいい。しかし、色んなところで食べるぺペロンチーノだが、自分が作るのが一番美味い。にんにく、唐辛子をタップリ使う。最近では麹町の「アペルト」に倣ってオリーブオイルも多く使う。自分好みに作るのだから、一番美味いに決まっている。
ポークスペアリブ マッシュポテトとスチーム野菜添え ハニーマスタードソース

食べ応えのあるスペアリブだった。食後にグラッパを頼もうとしたが置いてなかった。イタリア料理屋と思って気取ってみたが、本格イタリアンを目指しているわけではなさそうだ。
後から来た若い女性たちのグループに誕生ケーキが運ばれた。蝋燭が消えるのを合図に彼女たちと一緒に拍手してあげた。夜も昼と同様に気楽な店である。
昼に超繁忙のせいか夜は力が抜けてしまうのかもしれないが、もう一踏ん張り。料理は昼のカフェに頼らないでも充分やれる水準だと思う。必要なのは店員の笑顔かな。
ロブロス
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-6
0422-40-9533
PS ランチが人気だったニギロカフェが昨年秋にロブロスとしてリニューアルオープンしたそうです。
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2008年02月01日
[つ串亭](下北沢)
下北沢の宴会料理

下北沢は自由が丘、吉祥寺とイメージが重なる。渋谷、新宿などから郊外へ向かい、他の路線と交差する若者の街だ。もっとも、自由が丘や吉祥寺にはイタリアンなど洒落た洋風料理の店が多く、下北沢は居酒屋のイメージが強い。下北沢に飲みに行くのはいつも昔の仲間・中年グループと一緒だからかもしれないが。
今回も銀髪と同い年の仲間たちと一緒。飲み放題付きの宴会コースとなった。
蓮根のはさみ揚げ、牡蛎のオーブン焼き

お任せコースなのか、仲間が料理を選んだのか分からないが、いつもは料理にこだわる銀髪も、今日は来たものを食べるだけ。10人以上いるので、焼酎は一升瓶を開けてもらいテーブルに確保した。
キムチ鍋、天草大王鶏鍋

銀髪は真ん中あたりに陣取ったので、両方の鍋に手を出せる。もちろん自分で食べるだけでなく、仲居さんの役割も担う。
驚いたことに意外とキムチ味を嫌う人が多い。キムチ鍋はともかく、子供の好き嫌いを問題視する前に、親を直した方がいい。電車の中でマナーが悪いのは、寧ろ大人の方である。子供は大人の行動をなぞる。
鶏刺身(シロレバー、ささみ、砂肝)、焼き鳥

鍋に麺を入れて料理は終りかと思ったら、鶏料理が出てきて驚いた。コース料理の一部なのか、仲間が追加したのか分からない。
飲み放題の時間が過ぎたが、一升瓶の焼酎はまだ少し残っている。「飲みきるまでいいだろう」と仲間が粘ったら、ルール違反と主人に文句を言われた。仰るとおりです。
料理が美味しく、リーズナブルな店は帰り際が難しい。時間制を楯にして追い出しにかかる店側と、グズグズする客との駆け引きが行われる。帰り際にトイレに行こうとすると、定員が少ないトイレでは時間がかかる。客の入れ替えに時間がかかるのは仕方がない。
やれやれで店を出た。やれやれと思ったのはもちろん店の方である。
つ串亭
東京都世田谷区北沢2-1-9
03-3412-0082
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2008年01月07日
[TALK BACK Galopin](吉祥寺)
吉祥寺ならではのビストロ

中央線沿線、吉祥寺周辺には大学・女子大が多く、若者向けの洒落たレストランが多い。Galopinのホームページによると、「1987年に吉祥寺に初めて出来たオープンキッチンのフレンチ・レストラン」とのこと。吉祥寺におけるフレンチ、イタリアンなどの西洋料理の草分け的な存在ということだろうか。
海外から直輸入した調度品がもっと古い歴史あるレストランと錯覚させる。フランスの片田舎のビストロをイメージしたと言うが、無論行った事がないので信じるしかない。それなりの雰囲気に仕上がっており、悪くない。
店に入るとテーブル席は一杯で、申し訳なさそうにカウンターに通された。銀髪にとっては希望の席で不満はない。見栄を張らずにお腹の状態に合わせて1,900円のコースを選んだ。
前菜、スープ

前菜の皿には3種類の料理が品よく盛られてきた。窓側のカウンターに座ったため、料理人たちを横から見る格好になる。手元が良く見えて楽しいが、料理人に声はかけ辛い。
ペスカトーレ、ぺペロンチーノ

コースにスパゲッティが入っていたので、家に帰ってホームページを開くまではイタリア料理屋と信じていた。フランスでもビストロではパスタをだすのだろうか。
フランス出張の際、現地に駐在していた旧友にご馳走になった。連れて行かれたのはシャンゼリゼ通り近くのイタリアン。フレンチを食べさせてくれると期待していたのでショックを受けた。日本でも高級料亭に行ける人は限られている。フランスだって一般の人が行くのは気楽なビストロやパスタの店かもしれない。
間にサラダを挟んで、メインは仔羊か白身の魚。ワインを飲みながら、自分の料理が出来上がるのを目の前で見るのは楽しい。助手が2人居るが、料理をするのは1人だけ。下ごしらえされた素材の皿を受け取るやあっと言う間に仕上げていく。
仔羊のカツレツ、白身魚のオーブン焼き

銀髪のものと思われる料理はシェフの手からキッチンの向こうに遠ざかり、やがてカウンターを越えて女性店員の手に渡りこちら側にやってくる。料理は我々の背後からカウンターに置かれる。
デザート

結局、最後までシェフと話す機会はなかった。勘定をしてシェフに「美味しかったよ」と目で話して軽く会釈すると、少し微笑んだような気がした。
TALK BACK Galopin
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-24-6
0422-21-0275
http://www.talkback.jp
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2007年12月30日
[ちんとんしゃん](渋谷)
店員も客も若い沖縄料理・居酒屋

年末の渋谷はいつにも増して若者で一杯だ。予約もしないで席を得る無謀な試みは4軒目で報われた。カウンターに囲まれたキッチンの向こうに空いたテーブルが見えるが全て予約済み。唯一空いていた入り口すぐのカウンター席を何とか確保。メニューを見る間に何度もドアが開き寒風が流れ込んでくるが、その度に店員が満席を宣告するのを背中で心地よく聞いた。
黒砂糖空豆、豆腐よう、ミミンガー和え

ゴーヤチャンプルーを作る女性の素人っぽいフライパン捌きを見ながらビールを飲む。沖縄娘をイメージさせる格好をした数人の若い女性店員や豚の耳をつけた男性店員を見ているだけで笑みがこぼれる。客も店員も銀髪の子供の世代に近い。もちろん、銀髪がダントツに歳をとっている。
後から入ってきた男4人は、「〇〇さん、いらっしゃいましたー」の黄色い声に迎えられて悠然とテーブル席についた。予約客らしい。生ビールがいきわたると、今度は「お疲れ様でーす。かんぱーい!」と女性店員たちが盛り上げる。
ちんとんしゃんサラダ、富城そばのサラダ

今度は女性だけのテーブルにスポットがあたる。お誕生日特典なるサービス品が登場すると「かんぱーい、おめでとう!」と女性店員たちの甲高い声が店を覆う。
銀髪の誕生日をここでやったらどうなるか想像して、こみ上げてくる笑いをかみ殺した。
しばらくするとカウンターのカップルが歓声のターゲットとなる。高級レストランでなくとも幸せな誕生会がここにある。羨ましいと思うが、自分だったら照れ臭くて遠慮したい。
なんこつソーキの煮物

揚げた太麺そばも良かったが、豚軟骨のコリコリ感が楽しい煮物も良かった。予約客も全て揃い、厨房は超繁忙の様子。最後に頼んだデザートがなかなか来ないので勘定を先にしたが、お釣りをもらっても到着しない杏仁豆腐を断り席を立った。
店探しを諦めたのか、この店に絶対入りたいと思ったのか、2組が店内で席が空くのを待っている。安い店で長居するのは誰にも喜ばれない。最年長者の分別の見せ所である。
「お客様お帰りでーす!」の声に「ありがとうございましたー!」と全店員の声がこだまのように店内に広がった。
ちんとんしゃんは伊勢佐木町を本店にして数店舗あり、どの店も賑やかなようだ。静かな店が好きな人には向かないが、はにかみやさんでも気分を盛り上げてくれる。銀髪も結構楽しめた。変な白髪オヤジが居ると他の客には不思議がられたかもしれないが…
沖縄料理 ちんとんしゃん
東京都渋谷区道玄坂2-28-1 椎津ビルB1
03-3463-3085
http://chinshibuya.blog26.fc2.com/
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2007年12月25日
[ハンニバル ドゥ](原宿)
チュニジア料理に再度挑戦

サッカーのクラブ世界一にACミランが輝いた。3位決定戦で浦和レッズが破ったのがアフリカ代表チュニジアのエトワール・ザヘル。チュニジアは、かつて対岸のローマと覇を競ったカルタゴを祖とする。地中海沿岸国だけにイタリア料理、ギリシャ料理などと共通点も多い。チュニジア料理は中野の「カルタゴ」に次いで2回目の挑戦である。
唐辛子とオリーブ&パン、サラダチュニジアン

自家製の唐辛子ベースの辛味噌がとてもいい。辛いのが好きな銀髪にとってはお土産に買って帰りたいぐらいだ。
サラダはりんごの酸味が効いている。
プリック

プリックは春巻きの皮にツナとパセリと半熟玉子を包んで揚げたもの。手で持って黄身が流れ出さないように慎重に食べる。楽しく食べて味も悪くない。作り方をチュニジア人の店員に効いたが「内緒」と言って教えてくれない。
フロアを仕切っている彼は、若い女性だけのテーブルに特にご執心だ。流暢で早口の日本語で女性たちの人気を独占している。それに反して中年男性だけのテーブルや、我々には冷淡に感じる。被害妄想かもしれないが…
鯛と野菜のクスクス

同じチュニジア料理屋であるが、お奨めの料理はカルタゴとは随分違う。それでもクスクスはどちらにもある堂々の名物料理。世界最小のパスタ・クスクスはどんどん水分を吸収するので、トマトベースのスープをタップリかけて食べる。
きじのオープン焼き

看板料理は丸ごとオーブン焼き。黒鯛、真鯛、石持、ひな鳥、ホロホロ鳥、鳩、ウズラなど選択肢は多い。この日はフランス産の野生のきじがあった。食べた記憶がないので、値は一番張るが食べることにした。
感動するほどの味ではないが、好奇心は満たされた。よく運動をしている野生動物の肉は固い。オーストラリアに居たとき散弾銃で撃ち落された野鴨を2匹もらって閉口したことがある。一匹は鍋にしたものの噛み切れずに捨てた。二匹目は竜田揚げにしたら油を吸って何とか食べることが出来た。
きじを一匹丸ごとは大きすぎるので半身のオーブン焼きにしてもらった。部位によって味、食感が大きく違って面白かった。手羽肉はナイフすら拒否された。噛み切ろうとしたが、歯が抜けそうなので諦めた。
ハンニバルは紀元前200年頃のカルタゴの伝説的な猛将で、ローマを崩壊の一歩手前まで追い詰めたが、若きローマの武将・スキピオに敗れる。ハンニバルが自害して30年後、ローマはカルタゴを焼き滅ぼしてしまった。
戦争と料理の因果関係は深い。もしカルタゴが勝っていたら、原宿の街はチュニジア料理屋で埋め尽くされていたかもしれない。クリスマスをイタリアンで楽しむ恋人たちが、クスクスを食べていたかもしれないと想像するのも楽しいものである。
ハンニバル ドゥ
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-53-3 YFLビルB1
03-3479-3710
http://www.hannibal.cc
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2007年12月18日
[Kolkata(コルカッタ)](世田谷区砧)
郊外で見つけた美味しいインド料理屋

銀座など繁華街ならともかく、郊外のレストランに過大な期待は持たない。それが良かったのかもしれない。予想を大きく覆してくれた。
渋谷方面から世田谷通りを下り、NHK技研を越して、国立生育医療センター(旧大蔵病院)の斜め手前にある小さな店。外観も内装もメニューを見ても、何の特徴もないインド料理屋だ。写真を撮る気もないまま海老と鶏のタンドーリ、カレーを食べてしまって後悔した。写真を撮るためにすぐに再訪した。
タンドーリミックス、シークケバブ

タンドーリチキン、チキンティッカ、チキンマライティッカ、タンドーリプロウンの4種のタンドーリミックスと、シークケバブ。タンドーリ料理は5種類。
タンドーリ・チキンは身がパサパサで固いものと思い勝ちだが、この店のチキンはとても柔らかだ。有頭海老もジューシー。焼き加減がとてもいい。
カルカッタ・フィッシュカレー、マトン・バダミ(カシューナッツ入り)

フィッシュカレーは魚の代わりに海老にしてもらった。メニューにないものでも気軽に応じてくれる。辛さも数段階から選べるが、各人好みが違うので比較的マイルドにしてもらって、辛味の調味料を頼んだ。
唐辛子でも持ってくると思ったら、出されたのは何かペースト状のもの。香辛料のミックスを野菜と共に煮込んだものでこれが秀逸だった。これをカレーに加えると辛さだけでなく風味も増した。
ナン

ナンは手がベトベトになる店もあるが、この店のナンは油っぽくなくていい。どの料理も我々の口に合うし、こちらの好みを言えば何でも応えてくれる。気のいい店員に絶賛すると調理場の向こうの料理人を紹介してくれた。料理人も満面の笑顔でこちらに挨拶した。
もっと食べたいのでテイクアウトした。マトンとホウレン草のカレー、ひよこ豆のカレーもちろん辛味ペーストもつけてもらった。我々も、気のいい店員も、料理人も笑顔、笑顔、笑顔だ。
出口に置かれた臭い消しを口に含んで店を出た。

以前はネパール人がシェフだったが、今はカルカッタ人に代わったとのこと。前の評判は芳しくなかったようだが、徐々に盛り返していくだろう。異国で一生懸命の彼らを見ていると、エールにも力が入る銀髪だった。
KOLKATA
東京都世田谷区砧3-2-7 第2大蔵ビル1F
03-3415-9786
カルカッタ(Calcutta)は英語表示で正式にはKolkata(コルカタまたはコルコタ)。社長のシェイクさんは誇りを持ってKolkataを店名にしている。従って、このブログでも店名表示を変更しました。(2008年7月6日)
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2007年12月11日
[かんだやぶそば](神田)
酒飲みが喜ぶ老舗蕎麦屋

先日早く着き過ぎて「神田まつや」に行ったので、今日はゆっくりお出かけした。ビルに挟まれたまつやより角地のやぶそばの方が写真映りがいい。

11時50分、既にテーブル席はほぼ一杯で、座敷席の小さなテーブルをあてがわれる。まつやと比較しようと「もりそば」と「天ぷら」を頼もうとしたが見つからない。後から来た左隣の女性は「せいろう二枚」と手早く頼み、すまし顔をしている。若いのに常連さんのようで粋だ。
薄暗い店内は老眼に拷問を強いる。左から右に何度もメニューを読み返し、この店では「せいろうそば」がもりそばのことだと確認する。
えび天らしいものもないので「天たね」というものを頼んだ。説明書きは小さすぎて読む気にならない。
左の女性のところにはすぐにせいろうそばがやってきた。揚げ物があるためか、隣が一枚目を食べ終わりそうなのに、こちらに料理が来る気配はない。右隣のおじいさん3人組は鍋を囲んで盛り上がっている。手持ち無沙汰なので熱燗を頼んだ。今日は我慢するのを止めた。

そばみそが付いてきた。嬉しさにパチリとやったところで「ブログですか?」と左の女性から声がかかった。人懐っこい笑顔をグルメ紀行のファンにしようと頑張った。近くで働くOLらしく、昼食の時間が少ないときに、いつもせいろう二枚を食べてさっと戻るらしい。彼女が去った後にやっと銀髪の食事がやってきた。
