2010年03月14日

[あかなす家](渋谷)

トマトラーメン


パッと見た時は店名の意味が分からなかった。漢字なら赤茄子だと閃いて、ああ、トマトのことかと理解した。インドを原産国とする茄子が日本に入ってきたのは奈良時代。一方南米原産のトマトが入ってきたのはそれから1000年も後のことらしい。日本でトマトと呼ばれるようになったのはずっと後のことだ。

面白半分で入ってみたが、若いカップルが多いので恥ずかしくなった。茅場町の太陽のトマト麺では銀髪よりも年長者がたくさん居た。トマト味だからというわけではなく、場所柄渋谷は若い人が多いということだろう。

アサリトマトラーメンを食べた。太陽のトマト麺で経験済みだったので驚きはない。チーズ入りがあかなす家の人気商品のようだが、スパゲティだと思えば経験したことがない味ではない。

麺の起源は4000年前の中国とも言われるが、その後色んな形で世界に広まった。南米産のトマトは大航海時代にヨーロッパに伝わり、今では世界でもっとも愛される野菜になった。トマトラーメンが生まれるまで、壮大なドラマがあると言ったら大袈裟だろうか。店の人は考えもしないかもしれないが…

あかなす家で面白かったのは2組の若いカップル。どちらもお金を払ったのは女性の方だった。男性たちはそれが当たり前のように振る舞い、「ごちそうさま」の一言もない。ここにも時代の変化を見ることができた。

いやー、実に面白い。

あかなす家
東京都渋谷区道玄坂2-23-1
03-3462-2289
http://tomatoramen.com/

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2010年03月04日

[三崎よし田](渋谷)

漁師料理?


ビルの地下にある店といえども割烹風の店構えを見ると入り辛かった。冷たい雨の中、鼻を頼りに店を探す気になれず、思い切って扉を開けた。案ずるより生むが易し。店内は銀髪と同様なおじさん、おばさんたちで賑わっていた。割烹というより居酒屋に近い。

カウンターの左端に座り、壁に貼られた短冊を見る。お通しが来た。メニューは来ない。見えにくい右端の方の短冊を女将さんが読み上げてくれた。料金は高め。目の前を他の人の料理が通っていく。大きい。質と量を見ると値段と見合っているようだ。

「刺身の盛合せはやってないんですよ」と言われて困った顔をすると「赤身と白身の盛合せならできます」と優しい。まぐろの赤身と中トロ、アイナメの盛合せがやってきた。大きく切った刺身は漁師料理のようだ。

「あら煮をお願いします」と頼むと、時間がかかりますとのこと。ガス台は10人ほどの宴会客の料理で忙しい。大きなメンチカツ(?)が運ばれていく。次は海老が揚げられる番のようだ。料理人は主人一人、ガス台も限られているとなれば止むを得ない。鯛の塩焼きなら空いたロースターが使える。幕間つなぎにカウンター上のタッパーに入った穴子の骨煎餅をもらった。

女将さんも八面六臂の大活躍。「日本酒を下さい」手が空く一瞬を見逃さず声をかける。「お冷もらえますか?」今度はちょっと遠慮しながら頼む。骨煎餅はいい酒の肴になった。

立派な兜焼きが出て来た。ここの料理は何でも豪快だ。味も悪くない。さて次は何を頼もうか。「メニューくれる?」と言ったところで女将さんと目を合わせ「メニューはなかったんだよね」と苦笑い。「何か汁物ある?」「ありません」、「ご飯とか麺はないの?」「もう出ちゃいました」となって困り果てた。まだ8時過ぎとはいえ、大量の刺身単品は食べたくない。焼き物、煮物は時間がかかる。お開きにするしかないようだ。

勘定をしてもらう。穴子の骨煎餅はサービスにしてくれた。美味しくて、気さくな店だけど、3~4人で来た方が良いかもしれない。

三崎よし田
東京都渋谷区宇田川町35-4-1
03-3464-2010

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2010年02月26日

[AW kitchen figlia](南青山)

カジュアルにイタリアン


「入り口の近くでもよろしいですか?」電話の向こうで恐縮している。寒さも和らいできた。ドアの開閉による風や、すきま風も気にはならない。即座に同意して夕餉の席を確保した。

ビストロ・ヴィオニスに居たソムリエの斉藤さんから案内状をもらったのは昨年秋。但し、オープンしたばかりの白金台店の方だ。ホームページを見て南青山にもあることを知った。六本木のやさい家めいも系列店のようだ。

南青山店は場所柄もあって他の店よりカジュアルに仕立ててある。客は圧倒的に若い。外国人もいる。「バーニャカウダがお奨めです。あとはパスタを2種類で充分だと思います」はきはきと女性店員が話す。メニューも見ずに従うことにした。他の客たちも銀髪と同様に素直な人たちばかりのようだ。

野菜を売り物にした店が増えてきた。定番はバーニャカウダであるが、生産者の顔が見える新鮮野菜はそのまま食べた方が楽しめる。物足りなくなったときに塩やソースをつけるぐらいでちょうどいい。余ったバーニャカウダはパンにつけても美味しい。

後に来た我々の方が隣席の男女4人より早く野菜を食べ終わった。大声の自慢話に忙しそうだ。謙虚さを知らない若者たちと眉をひそめそうになったが、どうやら合コンのようだ。大言壮語や武勇談も微笑ましく思われた。それがうまくいくかどうかは分からないけれど。

名物料理のトルフィエアラビアータ、アイデアが面白い衝撃の人参「彩誉」のぺペロンチーノ。それぞれ分けて持って来てくれた。自家製パスタが自慢の店だけに、安心して食べることができた。

「斉藤さんに申し訳ないから、今度は白金台に行かなきゃね」と女性店員に言うと、「またこちらに来てください」と快活に答える。「斉藤さんがこっちの店に来ればいいのにね」と言えば「いいえ、来なくていいです」と笑わせてくれた。

隣席に女性が一人加わった。女3人、男性2人では喧嘩になるかと思ったら、どうやらアレンジャーのようだ。共通の友達のようでもあるし、業者のようでもある。カップル誕生になるのか最後まで見届けられなかったのが残念だった。

AW kitchen figlia
東京都港区南青山3-18-5 NOB南青山ビル1F
03-5772-0172
http://www.eat-walk.com

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2010年02月18日

[二合目](渋谷)

湯豆腐が食べたい


無性に湯豆腐が食べたくなった。渋谷駅からトボトボと雨の中を歩いたのに目的の店はなくなっていた。途方に暮れても仕方がない。心当たりの蕎麦屋に向ったら、なんと別のとうふ料理屋が目の前に現れた。幸運の女神に愛されるのは嬉しいものだ。

湯豆腐は3種類ある。「お奨めは?」と聞いたら一番安い安曇野の湯豆腐を奨められた。湯豆腐の他に自家製がんもと湯葉刺しを頼んだ。写真の湯豆腐は1人前(900円)で、昆布と豆腐だけのシンプルなもの。「中が少し冷たいぐらいが柔らかくてちょうどいい」と言われたが、2個目の方がやっぱり温かくて美味しかった。

殆ど水分だがそれなりにお腹が膨らみ、暖かくなった。既に目的は達成されたが、少しハードなものも食べたくなる。がんもが濃厚な味わいでとても美味しかった。追加オーダーしたまぐろサラダの大きさにビックリ。しかし、これも豆腐料理。冷たい豆腐が底上げしていた。

最初に食べるつもりだった湯葉がなかなか出て来ない。豆乳から湯葉を作っていると思うことにした。やっと出てきた湯葉がどこで作られたのか詮索するのは野暮に思えた。

銀髪は精進料理で満足出来るが、若者はつまらなそうだ。豆腐料理以外に力を入れているらしい大山地鶏を頼んであげた。「まだ時間がかかりそう?」と催促して間もなく大きなお皿が出てきてびっくりした。

大山地鶏の岩塩焼きは北京ダック風に食べるアイデア料理だ。ようやく若者の目が輝いた。薬味のマスタードが絶妙なので「自家製?」と聞いたら「市販のものです」と素っ気ない。鶏肉を包む春餅は自家製だろうと思ったら「築地で買ってきました」と正直だ。湯葉はどうだったのだろうか。あらためて想像を巡らした。

がっかりしたのかと言うとそうでもない。渋谷の喧騒から離れた店は、のんびりとしてリラックスできた。店員たちも雰囲気作りに貢献していた。「二合目はどういう意味」と聞いたら「一合目という店の2号店だから」との答え。他の意味もあるようだが、その店員の説明はそれで終った。もっと話を膨らませられるのになー。苦笑いも楽しい店だった。


とうふ料理 二合目
東京都渋谷区神山町10-8 渋谷クレストンホテル 1F
03-3465-0555
http://www.crestonhotel.co.jp/shibuya/restaurant/menu.html

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2010年01月19日

[佐賀 雑穀](渋谷)

佐賀の珍味と旬の素材を使った料理


東京では珍しい佐賀料理の店。開業して40年以上というが、板前は店の年齢より若そうだ。客の応対を担当する女性に「夫婦ですか?」と自信なげに聞くと兄弟と言う。やっぱり、「お姉ちゃんですね」と銀髪も合点がいった。先代が二人の親ということになる。

「これは麩ですか?」板前の弟に聞いたら「鶏のミートローフです」ときた。日本料理=麩と結びつけたのは浅はかだった。老眼による勘違いは時々白い目で見られる。

佐賀県の特産物であるがんづけ、むつごろう、わらすぼなどを連れはあまり喜ばなかった。丸天は喜んで食べたので、魚ロッケや竹輪、はんぺんなどを頼んだ方が良かったようだ。佐賀県産日本酒の金波や東一の肴にして殆どを銀髪がたいらげた。

「お嫌いでなかったら生のナガスクジラがありますよ」とお姉さんが言う。南氷洋産と書いてあったので冷凍だと思っていた。生の鯨と聞けば断れない。連れも最初は恐る恐る、次からは喜んで箸を出した。

ガラガラだった店内もかなり埋ってきた。そうなると姉弟二人では手が足りなくなる。お姉さんは弟に指図するだけでなく、時折包丁を握る。その包丁捌きを感心して見詰めた。姉と弟の力関係は年齢だけではないのが分かる。
本日の煮物は大根。かなり大きいのでそれなりに腹が膨れた。雑穀まで行き着けるかな?

「もうすぐ煮魚も来るんだよね」と言うと、弟の顔が少し変化した。注文をこなしきれなくなっている。時計を気にしていた右隣に座ったカップルが席を立った。ホウボウが煮えるまでそれほど時間はかからなかったが、雑穀の料理を頼む気は失せた。勘定を頼むとぜんざいが出て来た。

佐賀料理といっても高級な佐賀牛や呼子のいかなどは置いていない。東京生まれ、東京育ちの姉弟の店は、佐賀名物というよりも旬の料理がお奨めのようだ。弟と話をするには忙しすぎたのがちょっと残念だった。


佐賀 雑穀
東京都渋谷区宇多川町31-4 しのだビル7F
03-3464-8416
http://www.zakkoku.co.jp

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2010年01月08日

[奈加野](渋谷)

これがHanako?


「銀髪さん、どうやって店を探しているんですか?」とよく聞かれる。毎日が新規開拓の銀髪にとって店を選ぶのは苦痛ですらある。雑誌も有力な情報源だ。先日、病院の待合室に置いてあったHanakoで知った店が奈加野だった。

電話番号は間違っていないはずだ。しかしナカまでしかはっきりと聞き取れなかった。居酒屋のはずだが電話から聞こえてきたのは中国語訛りの日本語である。不安なまま店に向った。中華料理屋ではなくて安心したがHanakoの写真とは随分違う。正真正銘の典型的な居酒屋に中国人の女性店員。今はあたりまえかもしれない。

中国娘が本日お奨めの刺身を教えてくれる。他の席の立派な刺身に心を動かされたが、つみれ鍋で充分のような気がする。鍋の用意が出来るまで、お通しと煮込みで場つなぎすることにした。日本酒の品揃えも悪くない。周りを見ると女性客の方が多い。Hanako効果だろうか。

鍋とその材料が運ばれてきた。しばらくすると蓋の穴から蒸気が勢いよく噴き出してきたが、誰もやって来ない。店主なのか従業員なのか分からない日本人のおじ(い?)さんをつかまえて、鍋奉行は客の特権と教えてもらった。ありがたく銀髪が奉行を拝命した。

いわしのつみれは竹の器に山盛りになっている。これをどのように入れるかで性格が分かる。繊細と豪胆のどちらに見られたいか迷った末に、中間の無難な道を選んだ。まったくもってつまらない日本人だ。野菜は出しになるごぼうや煮えにくい白菜の芯のところから順番に入れていく。奉行にはなれても関白になれない家庭での銀髪の姿がばれてしまった。

いわしと野菜の旨味が出ている汁を堪能するためにうどんではなく雑炊を頼んだ。中国娘は例によって材料をテーブルに置いて去っていった。煮詰まった鍋にスープを足すと水分が多くて失敗したかなと思ったが構わずごはんを放り込んだ。おじさんがやってきて「汁が多いんじゃないの?」と痛いところを突く。「これが好きなんですよ」と言い訳した。出来映えは悪くなかった。

若い女性たちはオヤジ達の聖域にまでどんどん入ってくる。Hanakoもそんな彼女たちのために奈加野のような居酒屋も紹介する。オヤジ達にとっては嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだろう。「どうだい、居酒屋で一杯やるか?」と言う相手が女性とは…

奈加野
東京都渋谷区宇田川町31-3
03-3476-1787

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2009年12月24日

[牛兵衛](渋谷)

リーズナブルに最高級の和牛


「一頭買いの店!」という言葉は焼肉店の殺し文句だ。高級牛肉を割安で食べられるイメージがビンと来る。「最高級A5ランクのみを使う焼肉店」と言われればよろよろっと階段を降りてしまっても納得してもらえるだろう。

それでも値段は気になる。ドアを開けて店内を見回してちょっと安心した。ごく普通の焼肉屋さんに見える。店員もアルバイト風。案内された席の隣には若い女性が二人、足を組んで食べていた。不安は吹っ飛んだ。

お通し300円、キムチ390円は良心的だろう。二人で色んな部位を食べたいと思ったら、ちゃんとメニューにあった。メニューの写真と比べると実物もそん色ないものだった。包み野菜に巻いてちょうどいいぐらいの脂の乗り方である。

ホルモンの盛合せもある。こちらはメニューの写真より実物の方が立派。コリコリタンの食感が面白かった。高額なものをたくさん食べたらお財布が泣くことになるが、色んな部位を少しずつ食べた方が美味しく楽しい。

極上一頭盛合せに入っていなかったタンを最後に食べよう。清水の舞台から飛び降りるつもりで幻の極上タン(数量限定)2280円を頼んだ。少しぐらい見栄を張ってみようと思ったが、幸か不幸かこの日は入荷していなかった。そこで薄切り上タン塩1,200円にした。

貧弱なタンを予想したが意外と立派。充分美味しく食べられた。「山形牛一頭買い」の看板に偽りなしと言ってもいいだろう。小さな店で一頭買いが出来るの?という疑問の答えはホームページにあった。グループに18店の肉料理屋を抱えている。

隣席の女性たちの食欲は凄かった。焼肉と一緒にご飯、それが終ればチヂミ。割安に腹を膨らませる方法を知っている。彼女らにとって草食男子は不要に違いない。もつ焼き屋も最近では女性同士の客で賑わっている。不況でエスコートするお金もない男は、女性とはますます縁遠くなってしまうのかな。

牛兵衛 渋谷店
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 B1F
03-3770-6060
http://www.royal-shoji.co.jp/food/

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2009年12月15日

[アッラ・クチーナ・デル・ソーレ](千駄ヶ谷)

客にも優しい?


「有機栽培の野菜と産地から直接届く魚を中心にしたメニュー構成で、無添加の調味料などを使って、身体と環境に優しい料理を提供している」と聞けば行きたくなる女性は多いだろう。行きたくなるオヤジは?まあ、そんなには多くはないかな。

原宿はもちろん代々木や千駄ヶ谷の繁華街から離れているにもかかわらず、口コミの評価は高く人気の店である。小さな店は予想通り女性たちが目立った。しかし、女性を連れた中年男性もチラホラ見える。メタボを気にしているのか、女性に引っ張られたのかは分からない。

アンティパストはトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼと豆のサラダ。アンティパストは4~5種類乗っているのが普通なのでちょっと意外だったけれど、これを一皿の料理と考えれば悪くない。「???」イタリアンのカタカナメニューはよく分からない。2皿目は他の客のものが出てきたといぶかった。簡単に言えば小麦粉の代わりに山芋を使ったお好み焼き。親しみやすい味だった。

「ぺペロンチーノはないんですか?」と聞いたら、店の人は一瞬顔を曇らせて「作りますよ」と言ってくれた。迷ったがメニューにあるバジリコ風味トマトソースのスパゲティを食べることにした。店の人はホッとした顔をする。

スパゲティも魚(すずき)も2つに分けて出してくれた。もう一品あった方がいいと奨められたが、パンを食べれば我々には適当だった。グラスワインは赤白一種類ずつでいずれもオーガニックワイン。有機野菜のお店らしくて面白い。

お金を払って調理場の若い女性に声をかけた。「誰が料理を作っているの?」と聞くと、我々の隣に立っていた男性店員が「私です」と答えた。接客をしていた男性が店主兼料理人の伊崎さんだった。本を出すなど有名な料理人らしい。その割には気さくで優しい人である。

身体や環境に優しい料理は客にも優しい料理人から生まれるということだろうか。


アッラ・クチーナ・デル・ソーレ Alla Cucina Del Sole
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-22-4
03-3479-4640

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2009年12月02日

[福みみ](渋谷)

元気一杯、笑顔一杯


階段を下りると正面の壁にお通し代がない店と書いてある。グッと気分が良くなって店に入ると、若い店員たちの大合唱で迎えられた。近くの男道場や女道場の系列かと思ったが違うようだ。最近はこんな店が流行りなのだろうか。

お通し、コリコリ鶏のゆびき

お通しはないと思っていたらキャベツが出てきて戸惑った。こんなものでも200~300円を取る店もある。壁の張り紙は勘違いだったのだろうか。

ぼんじり、レバー、つくね

「あなたが橋本さん?」目の前で鶏を焼いている若者に声をかけた。彼の後ろの額を見ると焼き師の称号を得ているらしい。「美味しいよ!」と銀髪が言う前から実に楽しそうに仕事をしている。店員を乗せるのも上手い店だ。

シソ巻き、白レバー、チーズもち巻

お奨めをまとめて頼むと全部一緒に来そうなので2度に分けてオーダーしたが、杞憂だった。さすが認定焼き師だけあっていいタイミングで出してくる。白レバーは中がトロトロでなかなかのものだった。

確認して落胆したのは日本酒のメニューが貧弱なこと。品揃えが豊富な焼酎や梅酒は若い客のためのものだ。店内を見渡すと間違いなく銀髪が最年長。連れが2番目。もっとも銀髪が日本酒党というだけで、中高年にも焼酎党が多い。一度覇権を失ったら復権は本当に難しいものだ。

牛スジとモツの煮込み、味噌汁

煮込みを肴に熱燗を空けたところでお開きにした。勘定を頼むと味噌汁が出て来た。釣り銭を財布に収め、レシートを見るとご丁寧にお通し¥0と書いてあった。気に入ったので帰り際に店長と名刺交換した。彼もアルバイト学生と見間違える若さだ。

Kuurakuグループは国内外21店舗の経営の他、人材育成などのコンサルティングをやっているようだ。傘下の従業員の出来が悪ければ洒落にならないが、福みみ渋谷店を見る限りアルバイトを含めて実に楽しそうに働いている。楽しさの源は客の笑顔。その笑顔は料理と接客から生まれる。笑顔のキャッチボールがあれば店が廃れるはずがない。

福みみ
東京都渋谷区道玄坂2-25-17 小島ビルB1F
03-3461-2911
http://kuuraku.co.jp

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2009年11月12日

[ちゅらり](渋谷)

もはや珍しくない沖縄料理


階段を上がって店に入って驚いた。週末とはいえ7時前なのに店は8割方埋まっていた。幸いなことに禁煙の座敷で空いていたのは4人席が2つ。2人席で窮屈に食べている先客たちには申し訳ないが、2人でゆったりと過ごせることになった。

沖縄料理ブームは終ったと思っていたが、キワモノ扱いされることはなくすっかり東京の街に定着した。しかし、定番の料理ばかりでは飽きられる。ゴーヤチャンプルーや海ぶどうなどは普通の居酒屋でも食べられるようになった。ちゅらりもそんなことは充分わかっている。沖縄の素材を使いながら、この店ならではの料理も揃えている。

お通し、珍味三種盛り

混みあっている店内を見て料理は早めに頼むべきと判断した。珍味三種盛り、シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子をまとめて頼んだ。ところが生ビールを飲み終わる前に3品が一斉にやってきた。確かに盛り付けるだけの料理ばかりだが手際の良さに感心した。

シーザーサラダ、ラフテーと自家製味付玉子

右隣の3人連れがもう一人を待ち切れずに食事を開始した。4人揃ったのはそれから30分後。我々と同様に「混みあったら2時間制にさせていただきます」と言われなかったか気になる。たぶん多目に見てもらえるのだろう。あまり焦っている風には見えない。

手造り紅芋コロッケ

サツマイモの中でも沖縄では紅色のものが好まれる。一般的な黄色のサツマイモより甘味が少ないので、コロッケにしても何とか食べられる。相方はデザートのつもりで食べているようなので一石二鳥である。

新手の客が入ってきたのでお開きにすることにした。2人で4人掛けを占有し続けるのが申し訳なかった。勘定を済ませ、部屋を出たが我々の靴は用意されていない。店員は客の間を駆け回っている。この不況下に結構なことだ。仕方なく下駄箱から自分で探し出した。

ちゅらりは渋谷の他に銀座、新宿、六本木など15店舗ある。母体となるシーエーフードサービスは都内を中心に6業態36店舗を展開する。シーエーフードサービスの社長も、その親会社のクリエイティブアルファの社長も1970年生まれとまだ若い。たいしたもんだ。


ちゅらり
東京都渋谷区宇田川町31-3 蓬莱屋第二ビル2F
03-5728-4233
http://blog.cafs.jp/churari_shibuya/

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2009年11月06日

[静香庵](神宮前)

新潟県アンテナショップにある料理屋


地方の物産を紹介する店は日本橋から銀座の間にたくさんある。新潟=日本酒と考えるのん兵衛にとっては、ブランド好きな女性や原宿ファッションに群がる女の子が大半の街になぜアンテナショップがあるのか理解できない。両側に物産品が並ぶ通路を歩き静香庵に入ると、店は閑散としていた。

「昼は混むんですが、夜は難しいですね」カウンターを仕切る青鹿さんが苦笑いする。既に店員の姿さえ消えてしまった物産店から流れてくる客はいない。静香庵は物産店に併設している割にはお値段も高め。新潟グランドホテルの直営と聞いて納得した。

お通し、のっぺ

新潟郷土料理屋にはこれまで何度も行ったことがある。銀髪自らメニューの料理を連れに解説し、青鹿さんに確認する。後ろに控えた女性も含めてなんだかみんな緊張気味だ。

刺身(めじ、みずだこ、甘海老、たい、えごのり)

「珍しい名前ですね」変わった名前の人は得だ。話のきっかけを与えてくれる。少しずつ青鹿さんの表情も和んできた。新潟から直送された魚介類をきれいに盛ってくれる。食べてみると妥当な値段と思える。さすがホテルだ。

かきのもと、越後もち豚

「新潟ではこの時期、みんなが食べるんですよ」食用菊のお浸しを器にたっぷり盛りつけながら教えてくれる。地元で殆どが消費されるそうだ。ヘルシーな酒の肴である。
日本酒はもちろん新潟の銘酒。無名の酒を飲みたいが、全国区になった有名な酒蔵のものが多い。客が求めるからか、営業上の戦略か。

村上牛

村上牛を食べるのは2回目。もっともこれまで食べたことがあるのは土産物屋で買ったレトルトカレーの肉。実質的に生まれて初めての経験と言っていい。高価なだけに多くが県外、特に東京に出荷されているそうだがあまり見たことがない。

勘定を払ってにこやかに青鹿さんに別れを告げた。既に入って来たアンテナショップのドアは閉ざされている。裏口に案内されたと思って出たのが実は正面玄関だった。料亭風で雰囲気がある。ここから入っていたらメニューの値段に意外感はなかっただろう。

料亭なら見送られているかと思って振り返った。予想に反して既に店員は店の中に消えていた。寒いから仕方ないか。


静香庵
東京都渋谷区神宮前4-11-7 NESPACE 1F
03-5771-8500

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2009年11月02日

[遊魚 和田丸](渋谷)

お魚に自信あり


マークシティを出て神泉方面に歩く路地に居酒屋が並ぶ。どこに入るか迷いながら左手に目を移すと階段の向こうに見覚えのある店を発見。確かガイドブックに人気の店と書いてあったはずだ。狭い階段を上がり店に入ると空いていてホッとした。

定番のメニューよりも手書きのメニューの方が幅を利かせている。店名から連想されるとおり鮮魚が自慢の店。定番のメニューブックと比べながら思案する。

店主は魚真から独立した人。しかも下北沢の一号店開店時の店長と聞けば鮮魚に間違いはないだろう。もちろん刺身からスタートした。上刺身は一人前1,000円で下の写真は2人前。喧嘩にならないように2人で分けやすいように配慮してある。

刺身ができる前にすぐ出るものと思って頼んだなまこ酢が後になった。客が少ないときはあまり考えすぎない方がいいようだ。
定番のメニューの中から鶏の竜田揚げ。辛口の醤油ダレで食べるお奨め料理。話に夢中になり全部食べ終わってからタレがあったことに気がついた。大失敗!

特大めひかりは運ばれてきたときニシンか何かと思った。10cm位の小魚とのイメージが強かったので驚いた。焼き魚で食べるのは多分初めて。白身が柔らかく上品なので天ぷらに向くと言われるのもよく分かる。小骨が気になったが、途中から面倒になって噛み砕いた。

「凄いねー、こんな大きなメヒカリは初めて見たよ!」入り口すぐのカウンター席を勧められたために店主との会話が難しい。首を伸ばしてちょっと大きな声で話しかけた。「私もですよ」柔和な笑顔をやっと見ることができた。特大メヒカリのお陰だ。

「寿司は6種類?それとも3種類?」再び首を伸ばした。「どちらでも」と言われて悩んだ。ものは試し、6種類にしてみた。残った日本酒を飲み干すための酒の肴にはなった。

天気のせいか、曜日のせいか、景気のせいか、店を出るときになっても席は埋まらなかった。空いているのは有難かったが、居酒屋は賑やかでなければ楽しくない。週末の混み合う夜に偶然席を確保し、入り口で断られる客を見て幸運を喜ぶ。そんなときはどんな料理も美味しく感じる。人間とはやっかいな心の器だ。えっ?銀髪だけ?

遊魚 和田丸
東京都渋谷区円山町22-18 桃山コーポ1・2階
03-3496-3435
http://www.wadamaru.com

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2009年10月26日

[Galettoria (ガレットリア)](渋谷)

カフェでガレット


「そば粉のクレープ」の文字に釘付けになったのは約3年前、ニューオータニのパーティー会場だった。そばは日本原産だと思っていた。従ってそば粉のクレープは日本人の発明品だと思った。料理人の説明を聞き、家に帰って調べると大きな勘違いと分かった。ガレットはフランス北西部ブルターニュ地方の郷土料理で、後にこれを真似て小麦粉を使ったクレープが作られた。元祖からすれば「クレープは小麦粉のガレット」と呼んで欲しいだろう。

ビール

ガレットリアで飲めるアルコール飲料はブルターニュ地方の代表的な酒シードルとビール。リンゴ原料のシードルではなくビールを選んでしまうのが日本人。ワインでもあれば嬉しいが、贅沢は言えない

ハムとチーズのガレット、ツナやポテトのガレット

クレープはお菓子のイメージが強い。キリスト教の公現祭(1月6日)に因んでフランスで新年に出されるパイ生地のケーキ(ガレット・デ・ロワ)と混同する人がいるかもしれない。これらと違いガレットは痩せた土地ブルターニュならではのそば粉を使った食事。酒の肴にもなる。

グリュイエルチーズとトマトのガレット、クレープ

店の女性に「ガレットは必ず卵を乗せるものなの?」と聞いたら、驚いたような顔をして「たまたまお奨めしたものが卵を乗せたものでした。すいません」と謝る。彼女のミスではなくチーズと卵が定番のようではある。もちろんガレットの生地はどんなアイデアでも受け付ける。

クレープはもちろんデザート。チョコレートと共に食べて銀髪が顔をしかめると、連れが大笑いする。もう一度笑いを求める相手を制してバターだけで食べた。これなら何とかなる。

他の店が混み始める時間がラストオーダーの店はとても静かだ。ゆったりとした2階席は貸切り状態でとても寛げる。小瓶2本だけの夕食は奇妙なほど快適だった。これが日常になるまであと10年だろうか、20年だろうか。そろそろ酒に頼らない夕食を模索するべきかもしれない。

Galettoria (ガレットリア)
東京都渋谷区松涛1-26-1
03-3467-7057
http://www.many.co.jp/galettoria/

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2009年10月21日

[コリアン オーガニック ナビ](原宿)

お洒落な韓国料理屋


原宿、青山周辺にはいい店が多い。しかし、リーズナブルに楽しめる大人の店を選ぼうとするとなかなか決まらない。やっと見つけたのがナビ。「化学調味料を一切使わず、有機野菜や自家製の味噌、厳選されたお肉や魚をふんだんに使った全く新しい韓国料理」という文句が琴線に触れた。

白菜キムチ、ナムル

原宿の中心からかなり離れたところにある隠れ家的なレストラン。店内もおよそ韓国料理屋らしくない。アルファベットの店名(Korean Organic nabi)が良く似合う。イタリアンのメニューを持っているのが相応しいようなハンサムな店員が写真付き韓国料理メニューを差し出した。彼と相談してサムギョブサルをメインにした。用意ができるまで契約農家からの直送野菜で作ったキムチ、ナムルを食べる。

サムギョブサルの野菜

女性店員が数種類の野菜などの材料を並べた。岩中豚を鉄板で焼き、これを野菜で包んで食べる。自慢の野菜をたくさん食べられる料理だ。似たような料理は新宿や赤坂の韓国料理屋でも食べられると侮っていたら、変わった鉄板が出てきて目を瞠った。

肉を乗せた男性店員に尋ねると鉄板は特注品で他にないと言う。メニューを持って来たハンサム君に交代したので同じ質問をした。今度は韓国では普通に買える人気商品だと言う。以後、彼が我々のテーブルを担当してくれてラッキーだった。俳優稼業のオフにこの店で働いているらしい。

傾いた鉄板の外枠の一部が切ってあり、脂が受け皿に溶け落ちる仕組み。初めて使ったときは受け皿を置き忘れて大慌てしたらしい。ハンサム君は外見だけでなく気もいい青年だ。話を合わせるのもうまい。

炒飯

お奨めと言われた炒飯はキムチで味付けをすると言う。最初に頼んだキムチでビールを飲み、豚肉も焼いたキムチと共に食べた。次もキムチでは飽きると言ったら困った顔をする。味付けはキムチに頼っているのだ。仕方なく半分だけ入れてもらったら、味が薄い。そこで力を発揮するのが銀髪。野菜の薬味についてきた辛い味噌を混ぜたら大正解。ハンサム君に得意満面、自慢した。これを上手に受けてくれた笑顔は俳優ならではの演技だったのだろうか。

俳優、ダンサーなどなど、大きな夢を抱えた若者が頑張っているのを見るのは実に楽しい。銀髪の夢は何だったのだろう。幼稚園の時は電車の運転手だった。高校の時は映画監督かシナリオライターだった。大学生の時、社会人になってから、どんどん現実的な夢に変わって行った。そして今は… 
再び夢を探してみようかな。


コリアン オーガニック ナビ
東京都渋谷区神宮前2-31-20 アコルデ神宮前B1F
03-5771-0071
http://www.nabi-tokyo.com

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2009年10月07日

[天空の月](渋谷)

月がない夜は大変だ


天気予報は朝から夜までずっと雨。客を待つ身の料理屋は辛いだろう。東急東横店かマークシティの中で食べようかと迷ったが、ちょっと外に出てみた。思ったより雨が強いので、目の前のビルに飛び込んだ。駅に近い店にとっては呪いの雨か、恵みの雨か。

エレベーターを降りると自動ドアのように店の扉が開き、店員が迎えてくれた。店は暇なようだ。個室中心の立派な店内は大手チェーン店系列の居酒屋を思わせる。落ち着いてゆっくり食事を出来そうで安心した。

来年から大学院に行くと言うアルバイト君のお奨めは新鮮レバーのお刺身、天使のエビのマヨネーズ和え、バーニャカウダ、そしてメニューに乗っていないクエ。その中から2品選んだ。すぐに来ると思った料理がなかなか来ない。呼び鈴のボタンを押した。

料理を追加しておいた方が良さそうだ。アルバイト嬢にカルビ焼きを頼んだらすぐに戻ってきた。「カルビ焼きは時間がかかるので、早く出る料理もいかがですか?」と言うので、「前に2品頼んであるんだけども…」と答えたら驚いた表情を見せて引き下がった。

クエのムニエル、朝採り有機野菜のバーニャカウダ

今シーズン初めてのクエは期待ほど脂が乗っていないものの、敷かれた豆のソースがなかなか良い。ちびちび食べられるバーニャカウダは正解だった。カルビが来る前に山の玉手箱を頼んだ。野菜とカルビを食べ終わる頃には運ばれてくるはずだ。

炙り塩ダレ漬けカルビ、山の玉手箱

カルビを食べ終わって呼び鈴を押した。「すいません、後3分で出来上がるそうです」アルバイト君が謝ってからも10分待った。山の玉手箱をオーダーしてから30分以上も経っている。でもおじさんは怒らない。一生懸命やっている彼をとても怒る気になれないし、鶏肉と茸野菜の奉書焼きが思った以上に美味しかったのが幸いした。

天空の月は小金井、立川など都下に複数の店を持つロイヤルダイニングが唯一23区内で開いた店である。大手チェーン居酒屋と似ているが、店員はこちらの方が好感を持てる。料理の質も料金もちょっと上の設定のようだ。酒の品揃えも悪くない。

店を出るときにマネージャー格の店員が不手際を詫びに来た。思いがけず大人数のグループが飛び込んできて、キッチンが混乱したそうだ。雨の日の客数を予想してスタッフを絞り込んでいたに違いない。銀髪にとっても誤算だったが、勉学の合間に真面目に働くアルバイト君に店も銀髪も救われた。

天空の月
東京都渋谷区円山町5-18 道玄坂スクエア3F
03-5784-9966
http://www.skymoon.jp

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2009年09月14日

[ブラッスリー銀座ライオン](渋谷マークシティ)

飲み放題はお得かな?


中学の同級生が集まる飲み会は、いつもの下北沢ではなく渋谷で催されることになった。仲間の一人が割引券を持っていたためだ。店員とすれ違って個室に入ると、集合時間の数分前にもかかわらずまだ半数が来ていない。

「時間通りに始めるってよ!」先ほどの若い店員に宣告されたらしく、仲間の一人が憮然とした表情をしている。幸い5分程度でほぼ全員が揃った。2時間制限のロスは最小限に止まったかに思えたが、ビールが来るのに更に5分ほどかかった。これはアンフェアだ。

前菜3種盛合せ、本日のカルパッチョ(タコ)

ようやくピッチャーに入ったビールが来たが、ジョッキを満たしていくと全員に行き渡らない。更にトラブル発生!グラスの一つが割れている。店員が10分だけ寛大だったら済んだのに、厳格すぎるとこちらも寛大ではなくなる。それでも人間は忘れることができる素晴らしい能力を持っている。すぐに仲間との会話に没頭した。

シーザーサラダ、鶏の半羽揚げ・ソーセージ&ポテト添え

それにしてもビールが飲めなくなったものだ。若い頃はビアガーデンに行ったら特大ジョッキを何度もお代わりし、トイレを往復してはまた飲んだものだ。ビールは早々にお役ゴメンとなり、みんなワインや日本酒に乗り換えた。

ミックスピザ、おつまみ塩焼きそば

料理は1時間を経過したところで全て出てきた。つまみなしの時間ができるのではないかと心配したが杞憂だった。女性もいるので大皿料理を食べ尽くすまでにはいかなかった。全員が50代で食が細くなったせいかもしれない。それでも、もし取り合いになるほど美味しい料理だったらどうなっていたかは分からない。さすが歴史あるライオングループだけある。上手に計算されている。

お腹が空いていたので、銀髪は割り当て分をしっかり食べた。赤ワインもたらふく飲んだのでちょっと酔っ払った。翌日用事があったので2次会は失礼した。電車に乗っている間に酔いがさめた。家に帰って晩ご飯の残り物でビールを飲んだ。早く帰ると飲んでしまう。どうせなら2次会で飲むべきだったかもしれない。


ブラッスリー銀座ライオン 渋谷マークシティ店
東京都渋谷区道玄坂1-12-5 渋谷マークシティウエスト4F
03-5428-3612
http://www.ginzalion.jp

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2009年09月10日

[菊地](渋谷・神泉)

美味くてリーズナブル


「迷惑かけたので行ってやって下さい」と友人に言われて出かけた。カウンターに座って、来たきっかけを伝えると「迷惑をかけたのはこちらの方ですよ」と店主の菊地さんが話し出す。酔っ払った客が友人の背広を間違えて帰ったため、すったもんだしたらしい。

ズワイガニ、まこがれいと白いか

丁寧な仕事ぶり、穏やかな口調から、迷惑を受けた友人が恐縮するような対応をした様子が窺える。迷惑の張本人は酔っ払いなのに非難めいたことは言わない。そんな店主が出す料理が不味いはずがない。たちまちファンになってしまった。

刺身盛合せ

中落ちの巻物、しまえび、つぶ貝、いしがき貝、かつお、まぐろ、あじ。産地や料理法を説明してくれるので、銀髪と話が弾む。全国各地から旬の素材を揃える。鹿児島県出水産のあじは料理人の取り合いになるほどの逸品である。一方で味が良ければ冷凍品や外国産でも排除しない。真摯な姿勢が好ましい。

帆立、さんま、そうはちかれい

「これ好きなんだよ!」帆立の磯辺焼きに噛み付くと、「それは良かったです」と菊地さんが笑う。酒の肴が次々と出て来ると、日本酒が進んでしまう。まあ、いいや!今日は飲んじゃおう。

漬物、新いか、こはだ

菊地に来る気になったのは友人の頼みもあったが、実は新いかを食べるのが目的だった。昼には日本橋のだぼ鯊で新いかの天ぷらを食べた。今年は新子を食べ損なったので、新いかはどうしても食べておきたかった。新いかも新子も食べられる期間が短いから高い。この日のこはだは成長したといっても新子より味は上かもしれない。

いわし、うに、あなご

いわしが美味いこと、美味いこと。三重産のいわしがこんなに美味しいとは思わなかった。うにを食べたところで「何か食べ残したものはありますか?」と聞いたら、あなごを食べてもらいたいと言う。すっかり忘れていた。確かにあなごを食べないで帰るわけにはいかない。あなごが苦手な連れも喜んで食べていた。

「そんなに高くないですよ」と友人が教えてくれたが、食べたものを考えると高そうだ。菊地さんによると彼は接待される側だったというから尚更不安になる。いい加減な奴だ。
それでも小上がりやカウンターに子供連れがいるのが頼もしい。勘定書きを見ると銀座と比べると遥かにリーズナブルなのに驚いた。

友人の背広のお陰でいい店を知ることが出来た。


すし 菊地
東京都渋谷区神泉町20-15 神泉モンド本社ビル1階
03-3780-3943

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2009年09月07日

[COVO コーヴォ](代々木)

新鮮魚介と鎌倉有機野菜


予約の電話をしたら「牡蠣はお取り置きしますか?」と聞かれた。質問の意味が分からないまま「一応、取っておいてください」と告げて、店に向かった。テーブル席は満席で我々は入り口を背にしてカウンター席に座った。これは正解だった。狭い店内のあちこちから上がる紫煙から、もっとも離れることが出来た。店内を見回して初めてこの店がオイスターバーだと知った。

常時15種前後を用意してあるという牡蠣は殆ど売り切れ状態だった。取り置きしてもらっていた2種類と、追加で頼んだ女川産を除くと半端な数しか残っていない。半ダース以上食べるつもりなら、早めに来るか、あらかじめ予約しなければいけないようだ。電話の意味が分かった。

外に出て携帯電話で話していると、「君、生牡蠣は好きかい?ここ美味しいんだよ」と得意気に言いながら若い女性を連れた中年男性が店に入って行く。しかし、すぐに苦虫を噛み潰したような顔をして出てきた。カウンターには座れるはずだが、生牡蠣が売り切れと言われたのかもしれない。我々の後に1人で入って来た女性はカウンターで取り置きしていた牡蠣を4個食べただけで出て行った。常連さんたちの明暗が分かれた。

半分以上の客は銀髪たちよりちょっと前に着いたようだ。オーダーが集中して店員はてんてこまいしている。近くを通りかかった店員をつかまえてスペイン産サラミの盛合せ、ガーリックトースト、バケットを頼んだ。これなら待ち時間も我慢できる。

「あれは何ですか?」銀髪の目の先には美しい野菜サラダのようなものがある。バーニャカウダと聞いて即決した。色鮮やかな野菜の盛合せがやってきた。見たことのないものもある。

「隠元豆です」と言われて聞きなおした。黒く細長いものが隠元には見えない。聞きなおすとやはり「隠元です」と答える。首を傾げていると年配の女性がやってきた。「むらさきささげです。隠元の仲間です」と言い放つ。「これは?」「わさび菜です」「これは?」「角豆です」。「外国産?」「今朝、私が鎌倉で採ってきました」と言われて鎌倉有機野菜が自慢ということを思い出した。銀髪のお目当ても実は野菜だったのだ。

追加したバケットでバーニャカウダのソース皿をきれいにした。そのお陰でパスタやピザなどを頼む必要がなくなった。他の魚介料理も魅力的だが腹八分で店を出た方がよさそうだ。

「ばたばたしていてすみませんでした」と店員が謝ってきた。料理が運ばれるのが遅いのに業を煮やしたと思ったのかもしれない。「週の前半は空いてますから」と言われたが、予約は必須だろう。特に生牡蠣をたくさん食べたい人は要注意である。


海SEN倶楽部 コーヴォ
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-6 プラザF1ビル 1F
03-3356-5336
http://www.kaisen-covo.com

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2009年08月31日

[うのさと](渋谷)

隠れ家で創作和食


東急百貨店の向かい側、安い料理屋が並ぶ狭い路地は若者たちで溢れている。人混みを避けて道を折れると雰囲気のある店の前に出た。高そうに見えたが、店の前に置かれたメニューを見ると3桁の料理が殆どなので入ることにした。

店の中は思ったより広い。左のテーブル席と右の長いカウンター席の間を進み奥の掘り炬燵式の席に納まった。客がまばらなこともあり、外の喧騒が嘘のようで渋谷に居ることを忘れさせてくれる。

お通し、お造り三点盛り合わせ

つぶ貝、ひらめ、しまあじの三点盛りがこの日頼んだ唯一の4桁料理。可愛いアルバイト嬢にお奨めと言われたら断れない。高級魚はさすがに美味しい。

無花果とくるみの生ハム巻き 胡麻ソースで

フルーツトマトのマスカルポーネチーズ添え

自家製胡麻豆腐

「定番料理の中でお奨めは何ですか?」と聞いても明快な答えは返ってこない。何度もメニューを繰りながら一品ずつ選んでいった。無花果の料理はメロンの生ハム乗せからの連想だろうが、胡麻ソースが味を複雑にしてなかなかの出来栄えだ。トマトとチーズの組み合わせも悪くない。胡麻豆腐もゴマの香りが高くて水準以上。

名古屋コーチン手羽先、コロッケ風黄金焼

手羽先はマデラワイン、醤油、味醂に漬け込んで焼いたもの。マデラワインを使うとはなかなか洒落ている。ちょっと焼き過ぎなのが惜しかった。コロッケは予想を外されてしまって愉快だ。

高菜と明太子の石焼ご飯

お約束どおりおこげができるほど熱々の石鍋で満腹になった。3種類の冷酒を飲んでいい気持ちになった。料理と同様に店の雰囲気の割には酒も妥当な値段である。週の初めで空いていたためサービスも早くて快適だった。おそらく週後半になれば大賑わいになるのだろう。

「うのさと」の「う」は所在地の宇田川町の頭文字から取ったとのこと。「さと」は里か郷か、聞き損なった。渋谷の路地裏の古民家風、大人が落ち着ける店である。


うのさと
東京都渋谷区宇田川町36-11
03-3496-2087
http://www.unosato.com

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2009年08月28日

[ペローラ アトランチカ](表参道)

ベランダは恋人たちに


ロバート・ゴダート作「千尋の闇」を読んで以来、マディラと聞くと妙にそわそわしてしまう。どんな話だったかとうに忘れてしまっているにもかかわらず、マディラについては相当な知識をもっているかのように錯覚しているのだから困ったものである。

マディラ島の料理を出す店があると知って場所を調べたら、先日行ったうかい亭表参道店のあるビルだった。思ったとおり洒落た店で、ベランダには夜景に向かって座るカップルたちが並んでいた。食い気優先の銀髪は、ベランダへの出入り口近くの席を選んだ。これは正解だった。

マディラ風サラダ

「どこがマディラ風なの?」親しみはあってもマディラのことは何も分からない。「マンゴーが入っているんです」と教えられる。エスペターダは月桂樹で風味付けしながら焼き上げたマディラ島名物の串焼き料理。ブラジル料理のシュラスコはこれが起源なのか?

エスペターダ

若い店員はエスペターダをメインにするように言った。しばし考えた後につかまえた年長の店員はメインはカタプラーナだと主張し、残りのスープでリゾットを食べるように奨めた。もちろん、ベテランの意見に従った。

魚介のカタプラーナ

サービスもきっとリゾート地のマディラ風なのだろう。カップルたちと異なり、我々は料理と料理の間をのんびりと楽しむ時間はない。出入り口に座ったお陰で、ベランダとキッチンを往復する店員に度々催促できた。リゾットを断り、デザートのパオン・デ・ローを持って来る様にお願いした。これから焼くので10分以上はかかると言う。やれやれ。

パオン・デ・ロー

若い店員に従えば、串焼きを食べている間にリゾットを作ってもらえただろう。さらにリゾットを食べている間にパオン・デ・ローを焼いてくれたに違いない。しかし焼きあがるまで観念して待った甲斐はあった。大きさに度肝を抜かれたが、スカスカで難なく食べ尽くした。カステラの原型というデザートを食べることが出来たのは嬉しかった。それにしても日本人はカステラを随分とリッチな菓子に作り変えたものだ。

パオン・デ・ローは苛立った気分を癒してくれた。マディラワインを楽しむための充分な時間を用意しなかったのは銀髪の責任で、店を責めるわけにはいかない。

これからは秋の夜風に吹かれるベランダは最高だろう。恋人たちは特等席で愛を語るがいい。グッドラック!


ペローラ アトランチカ
東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE4F
03-5468-0865
http://www.portuguese.jp/

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2009年08月11日

[GDF KITCHEN](渋谷)

串揚げでワイン


GDFとは串揚げを意味するガストロノミック・ディープ・フライの頭文字を取ったとのこと。名前のとおり確かに気取った感じの店だが、洋風串揚げ屋の方が分かりやすい。若者でも安心価格で食べられる店となれば尚更である。

リーズナブルなワインを10種類以上グラスで用意しているのも嬉しい。寿司屋でワインを飲ませる店はたくさんあるが、意外に少ないのがワインを前面に打ち出した串揚げ屋。寿司や刺身よりもワインは揚げ物との相性がいい。

海老、茄子素揚げ、たまねぎ、牛肉

ワインを注いでくれた女性店員、料理を出してくれた男性店員、名札を見ると珍しい名前なので話しのきっかけを作りやすい。みんな素朴で優しい若者たちだ。夢を語る目は輝いている。ギャルソンが颯爽としている店よりもずっと寛げる。

鱧、ニョッキ、太刀魚、らっきょう入りカレーメンチカツ、たこ

海老や牛肉以外はどれも変わっている。イタリア料理定番のニョッキを揚げるなど遊び心が満ちている。創作の責任者である店長に「新しいものを作り出すのは面白くてしようがないでしょ」と言うと、照れているような、自慢しているような、不思議な表情をした。

甘辛唐辛子、じゅんさいと柚子ジュレ、帆立、アスパラの生ハム乗せ

アスパラが出てきたところでストップした。「後は何が出るの?」と聞いたら次が稚鮎、その次がバームクーヘンだと言う。稚児というより赤子のような鮎。ちゃんとたで酢をかけて出てきたので笑ってしまった。バームクーヘンは断った。みんながストップしそうなところにデザート代わりの甘味を配したのも店長のアイデアだろうか。

稚鮎、アイスクリーム、お茶

大きな冷凍庫が32種類もの揚げ物をリーズナブルに提供できる秘訣だろう。「次に来るときは途中から再スタートしていいですか?」と聞いたら、それは出来ないと言う。各串には当然のことながら原価の違い(=利益率の差)がある。いいとこ取りは許されない。32種類全部食べた人もいるそうだが、銀髪は永遠に出来そうもない。

寿司屋は世界中に広がった。しかし、天ぷら屋や焼鳥屋などの専門店はあまり見かけない。GDFキッチンは串揚げ屋の可能性を教えてくれた。職人がいらない分、多店舗展開もできそうに思える。

GDF KITCHEN
東京都渋谷区道玄坂2-6-4
03-5459-3794
http://gdfkitchen.JP

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2009年08月06日

[茶屋 壱](代々木)

大人の炭火焼き居酒屋


代々木駅から歩いて数分、明治通り沿いに雰囲気のある店を見つけた。暗闇に浮かぶ店は古い日本家屋のように見えて風格があり、ドアを開けるのに一瞬怯んでしまった。中に入ると思ったよりも広い。我々は長いカウンターの真ん中、炭火焼きのコーナーが見えるところに座った。

鯨ベーコン、海老しんじょ、えぼだい、海ぶどう、白レバーと一気にオーダーした。大きなテーブル席や奥に個室もあるようだ。それなのに料理人は一人しかいないので、早めにオーダーした方がいいと判断した。しかし、銀髪がオーダーしたものは炭火の上に乗る気配がない。

鯨ベーコン、海老しんじょ

失敗したかなーと思っていたら鯨ベーコンがやってきて、すぐに海老しんじょが続いた。持って来たのは焼き場とは違う料理人。客から見えない奥にキッチンがあるようだ。キッチンの料理が出てきたところで、炭火の上にえぼだいが乗った。

えぼだい、海ぶどう

料理の進行が遅いと疑ったことを申し訳なく思った。チェーン店などではオーダーしてしまうと、こちらの食べるスピードなんかお構いなしに料理が運ばれてくる。テーブルに乗り切らず閉口する事が多いが、壱の料理人は客をよく見ている。評価は一変した。

白レバー、岩中豚

白レバーが焼き上がったところで岩中豚を注文した。とてもスムーズで気分がいい。客もだんだん増えてきた。場所柄、飛び込みで客がどんどん入ってくるとは思えない。近隣の人たちに支えられているのだろう。

東京に居ることを忘れさせてくれるような雰囲気の店だ。ゆったりとして、落ち着いた食事ができる大人の居酒屋といってもいいだろう。控えめな応対が、なんとなく心地よい店だった。

茶屋 壱
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-6 プラザF1
03-5368-8767

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2009年07月30日

[ワンズキッチン](渋谷)

なかなか美味しい納豆チャーハン


何かの雑誌で納豆チャーハンの記事を見た。確か渋谷のはずだ。納豆チャーハン、渋谷で検索して出てきたのが日中友好チャーハン。店名はワンズキッチン。多分これだ。

地下の店に下りる階段の壁に雑誌のコピーがたくさん貼られていた。思ったより明るくて大きな店である。メニューにはたくさんの料理が並ぶ。看板では上海料理専門店のようだが、中国各地の料理が揃っている。店員の助けを借りて、上海らしい料理を選んだ。

いんげんの辛味炒め、上海風辛い味噌豆腐炒め

「上海風」と書かれた料理は甘いものが多い。それを避けたら2品ともピリ辛料理になってしまった。共に辛くても違った味付けで悪くない。干し海老の香りが効いたいんげんの料理はビールにぴったり。

上海生煎包(サンチェンボー)

この店の一番人気は小龍包を焼いたサンチェンボー。小龍包と焼餃子を同時に味わえる気分だ。ちょっと大きめなので丸ごと口の中に放り込めないのが残念だった。

この日は客が少なかったこともあり、頼んだ料理が次々と出てきた。最初に頼む料理を3品で止めておいたのは正解だった。値段の割に量が多い。ほぼ満腹だが、お目当てのチャーハンは頼まないわけにはいかない。

日中友好チャーハン

高価な食材は入っていないとはいえ、950円にしては量が多い。想像したよりも遥かに美味い。日本の納豆と中国醤油のコラボレーションが見事な日中友好である。
暇を持て余してカウンターのところで無駄話をしている店員を呼んだ。何事かと思って飛んできた店員に「なかなか美味しいよ!」と言うと、緊張した顔がほころんだ。
納豆は一度揚げてあるそうで、中国醤油共々香ばしい。糸も引かないので納豆とは思わないかもしれない。

メニューに並ぶ料理は100種類以上。フカヒレもあるが、大衆的な料理を食べる店だろう。4人ぐらいで多種類の料理を味わいたいものだ。最後に日中友好チャーハンを忘れずに。


上海人情 ワンズキッチン
東京都渋谷区神南1-16-3 ブルーヴァールビルB1
03-5784-1886
http://www.wangs-k.com

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2009年07月24日

[てっぺん渋谷女道場](渋谷)

渋谷で一番元気がいい店はどっちかな?


以前てっぺん渋谷男道場が渋谷で一番元気がいい店と書いた(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/06/post_1271.html)。しかし、向かいにある姉妹店の女道場も負けていない。こちらは店員の殆どが若い女性。ドスの聞いた男道場と違い、明るく高い声音はかなり耳に響く。メニューはちょっと女性らしくユニークだ。

鉄板焼きが主流の男道場に対して、こちらは串焼きが自慢。お通しは串焼き屋定番のキャベツ。別に頼んだ串焼き2本を乗せて出てきた。タレと脂が落ちてキャベツに味がつく。
串焼き意外で一番人気がパリそばサラダ。そばを揚げたものは何度も食べたことがあるが、こちらは盛岡冷麺。店員が麺を砕いて混ぜ合わせてくれる。パリッとした食感が消えない内に食べるべし!

キャベツ、こころ(心臓)、パリそばサラダ

目の前で串焼きを担当している女性は電話を受ける担当でもあるようだ。次々に予約の電話がかかってくる。忙しくて焼き損ったかと思われるほどレバーは中が生。しかし、これが銀髪の好みで大正解。トロッとして実にいいレバーだ。

砂肝、豚バラ、もも肉、レバー

男道場でもあった亀岡牛のもつ。煮込みと唐揚げの2種類を頼んだ。食べている間も店員の叫び声(?)が響き渡る。

亀岡牛の塩もつ煮、塩ホルモンの唐揚げ

「勘定をしてください」カウンターの隅に座っていた若い女性が店員に言った。美人だから興味深く見ていたら、鞄から財布を取り出した。連れの男は当然のように帰り支度をしている。兄弟だろうか。イヤイヤ、そうは見えなかった。世の中変わったものだ。

デザートはキャンセルした。勘定をして外に出たら店の女性が追いかけてきた。携帯でも忘れたかと胸に手を当てたところで「デザートが遅くなってすいませんでした」と謝る。キッチンから飛んできたようだ。銀髪は客のバースデーイベントから逃げてきたやましさがあるので、彼女が頭を下げるのにうろたえてしまった。男道場の中は既に闇。全ての客がバースデーイベントを楽しんでいるようだ。やがて、女道場の灯も消えた。

機会があったら、銀髪の誕生日をここでしようか。ウーン、想像しただけでも恥ずかしい。

てっぺん渋谷女道場
東京都渋谷区宇田川町41-23 河野ビル1F
03-5428-3698
http://www.teppen.info/

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2009年07月16日

[たつみ](渋谷)

串焼きも串揚げも、欲張りすぎかな


「途中でストップしたらいいの?」メニューも見ないでカウンターの中の料理人に声をかけると「何本にしますか?」と言われた。メニューを見ると、5本、10本などの料金が書いてある。「じゃあ、10本にしよう」と言ったら、「10本を1人前ですか?」と聞きなおされた。「串揚げを二人で分け合うのも変でしょ?」と質問の応酬。どうも噛み合わない。「好きなものを選んだ方が良さそうだね」と言うと「そうですね」とあっさり肯定された。お奨めを聞いたら困った顔をするので「ちょっと、時間をちょうだい」と言って会話を切った。

お通しのきれいな野菜を食べながら選んだ。「キス、豚ロース、うにもち、ホタテ、チーズを串揚げで2本ずつ」一呼吸置いて「ささみ明太、レバー、しそ巻きを串焼きで1本ずつ」と告げたら「アラカルトは2本ずつでお願いします」とのこと。ハイ、分かりました。

揚げ物は目の前で、串焼きは奥のキッチンで調理されるようだ。キスを食べ、豚ロースが皿に置かれたところで、焼き物3種類が同時に出てきた。慌てて「ちょっと早すぎるよ」と言ったら「じゃあ止めましょうか」とのんびりした答え。しかし、うにもちは既に油の中を泳いでいて間に合わなかった。


5本が皿に勢ぞろいした。どれから食べるか思案のしどころだ。ポイントは最後に揚がったうにもちである。銀髪はうまくやった。連れは律儀に出た順番に食べているので、アドバイスしてあげた。「もちは早く食べないと固くなっちゃうよ!」

こちらの様子を窺っていた料理人が再び揚げ始めた。残るは2品だが、追加注文はその2品を食べ終わってからすることにした。寿司屋と同じ要領だと分かったのでもう安心だ。
山芋ささみ焼きと銀杏を追加した。お腹はほぼ一杯だがグラスにたっぷり残った日本酒の肴が必要だ。今日はまったくチグハグである。

串揚げと串焼き、そして鉄板焼きもあるという東京では珍しい店。昼3時から深夜2時までと使い勝手がいい。料理も平均的で値段相当で、串焼き、串揚げ、お好み焼きまで食べられる欲張りな店である。でも肝腎なものが足りない。答えは簡単なように思えるのだが…


四季の串 たつみ
東京都渋谷区宇田川町33-14 久保ビルB1
03-3463-0677

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2009年07月09日

[築地食堂 源ちゃん](渋谷)

築地のネーミングに負けた


渋谷を歩いていたらホットペッパーをくれた。どの店の写真も実に美味そう。行ったことがある大チェーン店は避けて、初めての源ちゃんに行くことに決めた。パルコにあるということで安心感もある。そして店名の前に書かれた「築地」の文字。これが決め手になった。

お通し、サラダ

大漁旗などを掲げた店内は、立派なビルの中だということを忘れさせてくれる。メニューも居酒屋というだけあって良心的である。難点は店員をつかまえることが難しいところ。100席以上ある店内にオーダーを取る店員が2人しか居ない。客がまばらなうちにオーダーしておいた方が良さそうだ。

刺身盛合せ

2,800円の立派な刺身の盛合せ。2人前とメニューに書いてあるが、殆どの魚が3切れずつ。新宿ブラックホールの店長が言っていたことを思い出した。和食では奇数が常識なのである。3切れを2人で分けることはできないが、料理人の常識が優先される。頭を切り替えるのは並大抵ではない。

ホッケ

「脂が乗ってますよ」と勧められたホッケだが、意外と小さいので拍子抜けした。しかも身がほぐれにくくホッケらしくない。脂も乗っているようには思えない。ひっくり返してみると黒焦げだった。

それなりに店内は混み始めてきた。手を上げるが店員は気付いてくれない。周囲の客が大声で呼ぶのを待った。すぐ後ろの客の注文を受けて去ろうとする店員を呼び止めて焼きそばを頼んだ。
どんどん時間が経っていく。悪くもないのに「スイマセーン!」は好きではないが、痺れを切らして大声を上げた。「焼きそば来ないんだけど?」と言うと慌てて確認に行った。戻って来て「今、焼いているところでした。2分待ってください」と言う。5分で出てきたので作っていたのは嘘ではないようだ。

しまった!屋台風とはマヨネーズがたくさん乗っていることだろうか。連れはマヨネーズが嫌いなので、銀髪がマヨネーズのかかったところを重点的に食べた。口がマヨネーズを嫌がりだしたとき、マヨネーズを除けて食べればよかったと気がついた。なんという不覚。結局マヨネーズを全部食べて、麺を残してしまった。

人気のたこ焼き屋、築地銀だこは築地に店はない。同様に源ちゃんも築地に店がないことは分かっていた。それでも惹かれてしまう愚かな銀髪だった。


築地食堂 源ちゃん
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコPART1 7階
03-5459-2022
http://www.gensan.co.jp/gentyan/gentyan

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2009年06月11日

[てっぺん渋谷 男道場](渋谷)

渋谷で一番元気な店?


熊吉に行って以来、この路地に病みつきになった。週末になると人だかりがしていて気になったのが「てっぺん」という店。ダメ元で行ったら運良く入ることができた。若い男性店員たちが大きな声を揃えて歓迎してくれる。店員は男だけだから男道場。「向かいの店はこちらと関係あるの?」と聞けば、あちらは女性店員だけの女道場。面白い。

お通し、牛すじ串 

隣が食べている刺し身を頼もうかと思案していると、それはお通しだった。メニューの最初に大きく書かれた「一人一本必食」牛すじ串は避けて通れない。

いつの間にか店は一杯になり、入り口で落胆する人が増えてきた。客を迎える大声も聞かれなくなってようやく空気が落ち着いてきた。

チャンポテ、フワトロ焼き

チャンジャとポテトの焼き物、山芋をつなぎに使ったお好み焼き。目の前の鉄板で手際よく作られていく。躍動感溢れる美形の料理人をお目当てにやってくる女性たちもいそうだ。

鉄板野菜盛合せ、亀岡ホルモン

「あれ、なーに?」他の客に運ばれていく料理を目で示す。鉄板のパフォーマンスを見ているとメニューを見るのは面倒になる。料理人が立てかけられたメニューを向こうから指さす。「この辺に書いてあります」と言われて三桁の値段を確認、オーダーする。
京都で飼育される和牛の3割を占めるという亀岡牛。初めて聞くものは何でも食べてみたくなる。

きびきびと動く若い店員たち。その一人はなんとソムリエバッジをしている。別の若者の胸には「世界のビート 北野」の名札。由来を聞いて大笑いすると、その笑いが隣の若いカップルに伝染した。自分の子供のような連中と談笑する銀髪に連れは呆れている。

口コミで外国人の客もたくさん来るらしい。安くて元気一杯の酒場は老若男女、洋の東西を問わず人気である。勘定を払うと店長らしき人が見送ってくれた。振り返っても振り返ってもまだ見送っているのには恐れ入った。最後に大きく手を振って角を曲がった。

てっぺん渋谷男道場
東京都渋谷区宇田川町37-13
03-5452-1598
http://www.teppen.info

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2009年06月02日

[御八](渋谷)

富士(山)料理?


「産直野菜」「コラーゲン」という看板には女性が飛びつきやすい。渋谷の繁華街を歩き、似たような客寄せ文字に嗅覚を働かせて選り分ける。御八に入るとそれなりに広い店内に客はまばら。最初に通されたテーブルは断り、写真を撮るのに好都合な明るいテーブルに移動した。

ジュース、お通し

まずは野菜ジュース。これでお腹に酒を迎える準備をするようだ。お通しの野菜用に出された器には白い粉と液体が入っている。粉は塩とすぐに分かるが、液体の正体が分からない。店員に聞くと単なるフレンチドレッシング。店独自の和風ドレッシングと思って散々議論したことを笑った。

ちょこっと5種盛

産直野菜が自慢の5種盛で酒を飲んでいると、奥に座ったグループの女性が店員にオーダーを告げに我々の横を通っていく。テーブルに呼び鈴がないので不便だ。我々は店員が奥のテーブルを往復する機会を捉えて注文するから楽ちんである。

黒豚モツ焼き、アボガドの天ぷら

御八のウリは富士の黒豚。しろ、はつ、てっぽう、レバーのモツ類4種を楽しみにしていたが、ちょっと焼き過ぎなのが残念だった。
怖いもの見たさに頼んだアボガドの天ぷらは意外と美味しかった。火を通して食べても美味いようならアボガド料理の可能性は広がる。

富士宮焼きそば、溶岩焼き

なぜ富士宮焼きそばがあるのだろうとメニューを開いたときに疑問に思った。食べながら豚と焼きそばは富士つながりと遅まきながら気がついた。富士宮焼きそば初体験の友人はえらく気に入ったようだった。

溶岩焼きもやはり富士つながりということだろう。固くならないように一度皿に戻して食べるときにちょっと温める。以前、阿蘇の溶岩焼きで失敗したことがあるので、今回は上手に焼くことが出来た。

店はきれいだし、料理も悪くない。しかし、奥のテーブルの女性は可愛そうだった。店がほぼ満員になってから彼女が店員を呼びに行く回数が増えてしまった。彼女のテーブルは我々が最初に通されたところ。お気の毒様でした。

御八
東京都渋谷区道玄坂2-8-7 道玄坂ビル
03-5458-5560

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2009年05月26日

[チャオバンブー](表参道)

原宿裏道の屋台風アジア料理屋


先日は行こうと思って見つからず、結局お好み焼き屋「やいやい」に入った。バリ島出身の料理人たちに会って楽しかったが、チャオバンブーに行けずに悔いが残った。もう一度地図を確かめて行ったら直ぐに見つかった。路地を一本間違えただけだった。

行列の後ろに並び、店の名前を見て勘違いに気がついた。行列が出来ている立派な店は餃子屋で、目指すチャオバンブーは路地の反対側にあった。タッチの差で空いていたテーブルを若い男に奪われた。帰り支度を始めたカップルが居たのはラッキーだった。

生春巻き、モツレバー炒め

店員に尋ねたらいきなりご飯物を勧められた。怪訝そうな顔をしたらこちらの気持ちを察しておつまみに出来るようなものを勧める。一通り説明を聞いて、生春巻きからスタートすることにした。ちょっと変わったモツとレバーが入った炒め物も悪くない。ボトルのままタイビールを飲むと、どこか東南アジアの屋台にいるような気になった。

通りに向いて座っていた連れの視線を追うと、店の看板の前に10人近い行列が出来ていた。軽装の外国人カップルが怨めしげに通り過ぎていく。不謹慎と思いながらも優越感を拭い去ることはできない。

空心菜のオイスターソース炒め、タイラーメン

中華料理屋でもよくある空心菜の炒め物。でも微妙に味が違う。客席から見える厨房の雰囲気もどこか東南アジア的である。さて、最後は店員イチオシのご飯物を頼もうとしたら、連れがフォーを食べたいと言う。単純なフォーではつまらないのでタイラーメンにした。麺は中華麺ではなくライスヌードルを選ぶ。フォーみたいなタイラーメンは正解だった。

バイカパオ

最後の最後、イチオシのバイカパオを頼まなければ怒られる。店員から詳しい説明は聞けなかったが、バイカパオとはバジルのことらしい。鶏肉とバジルを唐辛子やタイの香辛料で炒め、ナンプラーで味付けする。目玉焼きを潰して、鶏肉とご飯を混ぜて食べた。タイラーメンでお腹一杯と言っていた連れもお代わりをした。

オープンエアーの屋台風の店は、料理の種類も質も屋台的である。しかし、どれも不思議に美味しい。なかなかご機嫌な店だった。


チャオバンブー
東京都渋谷区神宮前6-1-5
03-5466-4787

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2009年05月19日

[みろく](渋谷)

イベリコ豚のしゃぶしゃぶ


先週、熊本郷土料理の熊吉に行く途中で入ろうかと迷った店がみろくである。スペイン産ブランド豚・イベリコ豚のしゃぶしゃぶに釣られてしまった。階段を下りて店に入ると半分ぐらい埋まっていた。4人掛けのテーブルを2人で使っている客が多いが、我々には2人掛けのテーブルを指し示された。鍋をするには狭すぎるので、店を出ることにした。

店員は若いのになかなか賢い女性だった。無言で踵を返した銀髪の顔を覗き込むと、こちらの心を読みきってすぐさま広いテーブルを勧める。ちょっと気まずい雰囲気が残ったが、今度は素直に席についた。どぎまぎしていた連れがホッとしている。

お通し、海ぶどう

店で飼育しているという海ぶどうは確かに美味しい。好きでも嫌いでもなかったが、かなりイメージが変わった。

おぼろ豆腐の胡麻サラダ、イベリコ豚

豆腐のサラダを半分ぐらい食べたところでイベリコ豚がやってきた。ついている野菜はネギだけなので季節の野菜というキャベツ、冬瓜、ズッキーニを追加した。

豚肉とねぎだけの組み合わせは四谷三丁目の三櫂家を思い出させる。つけ汁に柚子胡椒を溶かして食べる。肉はアッと言う間になくなった。追加した肉も簡単に食べ尽くすと、野菜鍋になってしまった。若者には物足りないかもしれないが、我々は野菜で腹を満たすことにした。身体にもお財布にも優しい。

焼酎の品揃えはそこそこだが、日本酒のメニューが貧弱なのが惜しい。純米吟醸酒は八海山の一種類のみなので、同じものをお代わりした。先ほどとは違う女性店員が持って来たガラスの徳利には4分の1ぐらいしか液体が入っていない。徳利を満たすだけの酒が残ってないとのことでサービスしてくれた。飲みすぎないでいいかもしれない。

賢い女性が見送ってくれた。海ぶどうが入った水槽を見て、「美味しかったよ」と言うと「これを目当てに来るお客様もいらっしゃいます」と笑顔で話す。すっかり仲直りが出来たような気分になった。


みろく
東京都渋谷区宇田川町35-6 B1
03-3770-0855

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2009年05月15日

[熊吉](渋谷)

出色の熊本郷土料理


渋谷駅から文化村通りを歩き、東急百貨店本店の辺りから1本東側の裏道を行くと、小さいが雰囲気のある店が並ぶ。目的を変えようかと迷いながら進んでいたら、目指す熊吉の店の前に来た。幸い予約なしでもすんなり席を確保できた。テーブルの間隔が広くゆったりとして落ち着いた感じの店だ。

馬刺盛合せ

熊本郷土料理屋ならば馬刺しは外せない。極上霜降肉、赤身、フタエゴ、たてがみの4種盛りは見た目が美しいだけでなく、実に美味い。一切れの厚さ大きさがちょうど良くて、東京で食べた馬刺しの中ではトップクラス。他の店の誘惑に負けずに辿り着いてよかった。

辛子蓮根、阿蘇の山サラダ

自家製の辛子蓮根からは白い湯気がほんのり上がっている。これがとてもいい。東京人にとっては、熊本で買うものより美味く感じるかもしれない。

今日は迷ってばかりだ。馬肉尽くしにしたかったけれど、熊本の地鶏・天草大王も試してみたい。溶岩焼きの文句がグッと来る。

天草大王の溶岩焼き

持ってきた店員が言ったとおり、茄子など生の野菜もすぐに焼けた。それを見て早く気付くべきだったと後悔した。鶏肉はさっさと食べてしまうか、一度皿に移して温めながら食べるべきだった。熱い溶岩プレートの上でジューシーさを失い固くなってしまった。

溶岩焼きの失敗があっても熊吉はいい店だった。駅からかなり歩いても再訪したい店である。馬レバーの刺し身や馬肉ステーキなど食べ損なったものも多い。鶏肉の刺し身など他にも魅力的なメニューがある。

勘定を払い、靴を履いたところで「東京で食べた辛子蓮根では一番美味しかったよ!」と店員に言ったら嬉しそうに笑った。


郷土料理 熊吉
東京都渋谷区宇田川町41-28
03-3463-0050

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2009年04月28日

[やいやい](表参道)

日本文化を支えるのは外国人


ブランドショップが並ぶメインストリートから裏道に入ればリーズナブルに食事ができる店があるはずだと思った。ところが予想に反してファッション関係の小さな店が殆どであせった。幸い飢え死にするかもしれないという恐怖感は数分で消えた。お好み焼き屋が目の前に現れたのだ。客は若者ばかりと思ったら、我々が座ったカウンターの隣には中年夫婦が居て少し安心した。

男前もやし、キャベツ炒め

「お奨めです」と言われた料理は右隣のカップルが食べているもののようだ。サンプルがあるので頼みやすい。お通しに見えたのがピリ辛の男前もやし280円。ひ弱なもやしも辛さを加えれば男前になるらしい。お好み焼きが出来上がるまでの時間潰しにピッタリのキャベツ炒めが380円。アンチョビソースが塩辛くてビールに合う。

ホルモン焼き

左隣に出されたホルモン焼きを見て追加注文。すぐに調理が始まるのが心地よい。鉄板が大きいので満員の客の注文も難なくこなせるようだ。入り口を見ると予約の客以外は断られている。やはり銀髪は日頃の行いがいい。

山芋焼き

山芋をつなぎにするお好み焼き。一度は豚肉入りを頼んだが、ヘルシーに徹して野菜だけのものに変更した。プチトマトなどが入って面白い。

あまからまぜ焼き

甘く煮た豚肉そぼろを入れたお好み焼き。辛味は別添のソースで調整する。目の前で調理するので「マヨネーズはなしで、ねぎは半分だけかけて」などと我侭な注文も伝えやすい。

「ROKA」さんはどこの人?料理人の胸元の名札を見ながら声をかけた。日本に来て3年、調理場に立って2年半と言う。もう一人はMUDITAさん。共にバリ島の出身。人気のお好み焼き屋を支える料理人二人が外国人とは愉快だ。

お好み焼きを食べながら話を続けた。異国で一生懸命働く若者を見るとエールを送りたくなる。
勘定を終えて席を立ち「頑張ってね!」と言ったら爽やかな笑顔が返ってきた。二人ともなかなかのハンサムボーイだ。表参道路地裏の旅は正解だった。一期一会。いい青年たちに出会えた。

やいやい
東京都渋谷区神宮前6-8-7
03-3406-8181

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2009年04月22日

[鉄板鍋一蓮](渋谷)

女性に人気のコラーゲン&ヒアルロン酸ジュレ鍋


渋谷駅前を歩いていたら若い女性がグルメガイドを配っていた。一度は通り過ぎたものの、かわいそうだから貰ってあげた。パラパラめくると「鉄板鍋」の文字が目に入った。見たことも聞いたこともない。じっくり読むと「クーポン特典4,500円→2,950円」とある。これに負けた。

店内は若い女性ばかりで半分が埋まっていた。銀髪に場違いのような雰囲気に臆しながらもカウンター席に落ち着く。店員にグルメガイドを開いて見せると「たった500円の追加で6,000円の豪華満足コースに出来ます。内容は………」ろくに説明を聞かずに承諾した。

お通し、サラダ

ナムルとキムチの盛り合わせ、海鮮チヂミ

鍋に行き着くまでにお腹一杯になりそうで心配した。海鮮チヂミを半分食べたところで店員を呼んだ。

鉄板鍋

鉄板の中央に穴を開けたような初めて見る鍋。周りに盛った野菜を穴の中に崩しながら食べるように説明を受けた。コラーゲンの玉とヒアルロン酸ジュレが溶けてしまったところに牛肉をしゃぶしゃぶする。途中まで食べた頃に豚肉ときのこ類が出てきた。

我々と同時に食べ始めた左隣の女性二人は苦もなく食べ切ってしまいそうだが、我々は一生懸命譲り合った。殆どなくなったところで店員を呼ぶとうどん、きしめん、おじやを選べると言う。

おじや、杏仁豆腐

写真を撮って味見するだけのつもりが、おじやは美味かった。食べ尽くすと鍋の形状があらわになる。なかなか面白い鍋料理だった。

店は満席になっている。宴会をやっている10人ほどのグループに数人男が混じる以外は全員が女性。あらためてグルメガイドを見ると「美食ナビ こだわり東京OLのおいしいグルメマガジン」となっていた。
インターネットでも割引クーポンが手に入る。コラーゲンと割引クーポンの威力は絶大である。まあ、定価で食べる人はいないだろうな。


鉄板鍋一蓮
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー3F
03-5489-6262
http://www.ichiren.jp

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2009年04月16日

[天松](渋谷)

気取らない老舗の天ぷら


2階のカウンター席に座ろうとしたところで先客と板さんとの会話が聞こえた。コース料理ではなくお好みで揚げてもらえるようだ。料理人が銀髪の方にやって来たので、こちらもお好みをお願いした。「お通しはいかがしますか?」という質問には驚いた。内容を聞いて天ぷらに専念することにした。お通しを断ることが出来る店はあまり記憶がない。

カウンターの上に置かれた野菜の籠盛りからたらの芽、こごみ、ふきのとうの山菜3種、旬の竹の子、間に定番の海老、キスを挟んでもらうことにした。


板さんが座敷の客に揚げている白魚を見てこれを追加。季節の魚介類のメニューはなく、カウンターの上にも乗っていないので手探り状態。「はまぐりはあるの?」「ありますよ」鹿島産の立派なはまぐりが出てきた。「高そうだね」と言うと「はい、高いです」とあっさり肯定されて苦笑い。どうも話が続かない。旬の素材が一段落したところで穴子を頼んだらまず骨が出てきた。穴子はもちろん江戸前羽田沖。


「ごま油の比率はどのぐらい?」と聞いたらちょっと憮然としたように見えた。老舗の江戸前天ぷら屋さんが使うのは100%胡麻油と決まっていると言いた気だ。焙煎したものと、生絞りを調合しているそうだ。「穴子が嫌いと言っていた連れが、美味しいってさ」と褒めたら板さんは初めて嬉しそうに笑った。

デザート代わりに頼んでおいたかぼちゃとさつま芋を食べてお開きにした。甘いものが苦手な銀髪でも天ぷらにすると美味しく感じるから不思議だ。

天松は昭和11年創業。新宿のつな八や船橋屋などの老舗天ぷら屋に通じるものがある。奇をてらわないオーソドックスな天ぷらをリーズナブルに食べさせてくれる店である。ミシュランに選ばれることはないだろうが、誰でも気軽に利用できる店も貴重である。食べたい物を食べたいだけ食べることができるのも嬉しい。

連れが「今度、子供を連れて来よう」と言う。老舗でも肩肘張らないところがいい。


天松 渋谷本店
東京都 渋谷区 道玄坂1-6-1
03-3462-2815
http://www.tenmatsu.com/

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2009年04月03日

[うかい亭](表参道)

心地よいサービス


ブランドショップが入る表参道ジャイルの5階、店に入るとすかさず店員が3人近づいてきた。コートと荷物を預け、ガレのランプを見ながら鉄板焼きルームに足を踏み入れると、正面のガラスケースに並ぶラリックの作品が目に入る。左には接待や家族向きの個室があり、我々は右側の広い部屋に案内された。

簡単に予約が取れたのも頷ける。銀髪を含めて客が8人では鉄板焼きカウンターの半分も埋まらない。ホームページを見てきたのでメニューは一瞥しただけでソムリエに返した。
「肉は最低150グラムからですか?」「いいえ、100グラムでも50グラムでも結構です」
「それではサーロインとテンダロインを100グラムずつ」「半分ずつお分けしますか?」
「ええ、そうしてください」メインを決めてから、他の料理の相談をしていった。

「ほったさんのトマトはいかがですか?」「ホッタ産?」「いえ、堀田さんです」四国の堀田さんが作ったフルーツのような甘いトマトだった。
初めて食べるような太いフランス・ロワール産のホワイトアスパラ。こちらのロワールは間違いなく地名である。

名物は鮑の岩塩蒸しと分かってはいるが鮑ではつまらない。アイナメ、桜鯛、車海老、伊勢海老、首を振り続けたら「ブルターニュ産オマール海老はいかがですか。伊勢海老より濃厚な味です。」堀田産、ロワール産、ブルターニュ産と産地を言われたら弱い。あっ!堀田さんは産地じゃなかったっけ。

山形県産サーロインと宮崎県産テンダロイン(フィレ肉)。産地は逆だったかな?フィレ肉とは思えないようなサシが入っているので、産地だけでなく肉の種類も見間違えてしまう。しかし見た目は同じようでも一口食べると違いは歴然。サーロインは脂の甘味と香り、フィレは肉の旨味、どちらも甲乙つけ難い。

メインディッシュが終わったら別室でデザートや食後酒を愉しむ。テレビでお馴染みの服部幸應氏が取巻きを連れて入って来るのと入れ替わりに部屋を出た。店員が見送ってくれるのはエレベーターまでと思ったら、傘を持って通りまでついてきたのには驚いた。さらにタクシーまでつかまえてくれる。極上の夜を演出するサービスに感銘を受けた。


うかい亭 表参道店
東京都渋谷区神宮前5-10-1 表参道じゃいる5F
03-5467-5232
http://www.omotesando-ukaitei.jp

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2009年04月01日

[タンタボッカ](代々木)

肉自慢のトラットリア


「これを食べないと承知しないぞ!と、いうやつはどれ?」何度使ったか分からないフレーズは、気楽なトラットリアのきさくな感じの店員に相応しい。苦笑いしながら応対してくれた柴田さんのお奨めに素直に従った。

自家製のパンでビールを飲んでいると、肉詰めオリーブのフライがやってきた。実は彼が奨める前から目をつけていた。初体験の料理は自慢の一品の場合が多い。

和牛レバーのカルパッチョは店頭に置かれていた手書きのメニューを見て気になっていた。牛ヒレ肉や鮮魚のカルパッチョはよく目にするが、レバーは珍しい。焼肉屋を姉妹店に持っているからこその自慢料理。バルサミコ酢とニンニク風味が合っている。セルバチコ(ルッコラの野生種)がさっぱりしていい。
いわしのカサレッチだけが想定外の料理。アンチョビを使っているかのような味付けで悪くない。歯ごたえのあるカサレッチというパスタは初めて口にした。

メインは牛リブロースのグリル。「炭火焼きだね」「ええ、そうです」。店頭メニューの「炭火焼き」の文字がこの店に入る決め手になったのは黙っていた。柴田さんはこれまでの料理に満足気な銀髪たちを見て自信を持ったのか、「この肉があってこその当店です!」と力がこもる。
いい肉であまり火を通したくないのは分かるが、もう少し焼いて温かくした方がよかった。後半は脂っぽく感じたのでレモンを絞ったら上手くバランスした。

焼肉屋の成功でオーナーが半年前に満を持して開いたのがタンタボッカ。念願のイタリアンに遂に辿り着いたということらしい。明るい店員たちと共にどのように進化していくか楽しみな店である。

柴田さんの話を聞いていたら、焼肉屋に行きたくなり、姉妹店「好ちゃん」3店舗の中から神田本店を予約してもらった。食べたばかりのレバーやリブロースが期待を持たせてくれるではないか。

トラットリア タンタボッカ
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-5-1 ニュー外苑ハイツ105
03-5771-4099
http://www.tanta-bocca.com

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2009年03月30日

[秋月](渋谷)

外国人も集う正統派の寿司屋


「あれは3月ですよね」正面の壁の立派な書は見たまんま。「来月は4月に替えるんですか?」と聞いたら「いいえ、ずっと3月です。初心を忘れないように開店した3月の書を掛けているんです」とのこと。いつものように名刺を渡そうとすると、入り口付近の客に対していた料理人が名刺を持って飛んできた。彼が主人の秦さんだった。

わさび菜、白魚、たこ、ホタルイカ、さば、ひらめ

銀髪の相手をしてくれる料理人の名前は聞き損なったが、料理は彼と秦さんが手分けしてやっている。今月でオープンから丸8年とは思えない清潔な店内と同様に、料理も器も美しい。

宍道湖産白魚、富山湾産ホタルイカの沖漬け。いい仕事をしているたこ、さば。日本酒以上に豊富な品揃えのワインはカウンターと反対側のセラーに積まれている。正統派の料理に対して今風のワイン。主人の個性が垣間見える。



自家製のさわらと桜マスの燻製。鮪の中トロとづけ。炙って香ばしいみる貝でお任せをストップ。コース料理を食べている隣のイカが美味しそうで、我慢できずに追加した。これから産卵期に入ると味が落ちる魚もあるが、卵を抱いて美味しいものもある。このイカは美味しい代表格である。

イカに満足した後はお好みで握ってもらう。1カンずつでもいいのが有難い。大トロ、コハダ、春子、ウニ、はまぐり、穴子と続く。今日のハイライトは春子。かすごと読む鯛の稚魚。まさに春らしい一品。小さなくせに品のいい脂が乗って実に美味い。

他の店の寿司とちょっと違うなと感じたのがシャリ。赤酢など3種類を使った酢めしは少し色づいている。酢がきつくなくまろやかなのが銀髪好みだった。

入り口付近に外国人の二人連れが居たが、個室から出てきた家族も外国人。更に左隣にフランス人カップルが座った。若い料理人が達者な英語で応対している。海外経験が豊富な秦さん同様、彼も外国の寿司屋で働いていたとのこと。カウンターの料理人3人のうち2人が英語を使える寿司屋は外国人にも口コミで広がっているのかもしれない。

銀座久兵衛出身の秦さんらしく、凛とした雰囲気の店だった。


秋月
東京都渋谷区円山町22-16
03-5458-1550

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2009年03月23日

[ハウスアオヤマ](渋谷)

裏道のリストランテ


近くのエスニック料理屋で食べるはずだった。日本語が通じなかったのではなく、予約を受けた外国人が怠け者だったようで我々が座る席はどこにもない。仕方なく近くの店を順番に回り、ようやく入れたのが4軒目のハウスアオヤマだった。

にこやかに迎え入れてくれたのが杉井さん。胸のバッジを見て安心した。サービスのプロであるソムリエがいる店が悪いはずはない。メニューは開かずに、杉井さんのお奨めを聞いた。さすがに「うちの料理はすべてお奨めです」なんて馬鹿なことは言わない。

カプレーゼ

イタリア産モッツァレラチーズを使ったイタリア料理定番の前菜。あわせるのはイタリア産の白ワイン。「グラスはハウスワインだけです」なんて野暮なことは言わない。ちゃんとしたワインを数種類用意してあり、杉井さんがきちんと説明してくれる。

華茸のソテー

杉井さんがかかげる籠の中から椎茸を選ぶ。長崎県対馬産直の華茸(ハナタケ)はもちろん原木で育てたもの。椎茸が嫌いな人でも美味しさに目を剥くに違いない。オリーブやケッパーと混ぜ合わせた軸もなかなかいい。

ビーフシチュー

お奨めがビーフシチューと言うのでちょっと驚いた。イタリアでも煮込み料理はたくさんあると言う。イタリア語の料理名を言われてもイメージが湧かないのでビーフシチューの方が分かりやすい。
赤ワインを頼んだら、再び数本のボトルから選ばせてくれた。シェフは長野県栄村の美雪牛など肉の素材もこだわっているそうだ。シチューもワインも美味だった。

渋谷なのに青山の店名をつけて気取ったのかと思ったらオーナーの名前だった。渋谷で現在の地中海料理HOUSE AOYAMAを始めたのが1985年というから既に老舗の領域になりつつある。我々をエスニック、ビストロ、もつ焼き屋などに入らせず、HOUSE AOYAMAに導いてくれた神様に感謝したい。


リストランテ ハウスアオヤマ
東京都渋谷区桜丘町30-18
03-3461-7248
http://www015.upp.so-net.ne.jp/houseaoyama/

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2009年03月13日

[串音](渋谷)

お洒落な串揚げ屋


エレベーターに乗るまでは、9階にあるバーに行くつもりだった。ところが降りたのは5階、串揚げ屋さんになってしまった。デリタワー8階には以前書いた瓜もある。さほど大きくないビルだが、洒落た店が集まっている。

店に入ると左にカウンター、奥にテーブル席がある。瓜によく似た造りだ。他の串揚げ屋と同様にお任せで揚げてもらい、お腹が一杯になったところでストップする。

野菜、もずく、たら、ささみ

定番の野菜のお通しをかじっていると、すぐに揚げ物2品が目の前に現れた。串揚げは待たされる時間がなくていい。

こんにゃく、えび、アスパラの豚バラ巻き、栗とムラサキ芋

「嫌いなものはありませんか?」と言われて勢いよく「ありません」と笑ったのがまずかった。特大のアスパラと一緒に出てきたのが甘い栗と芋。苦手の甘いものも、何とか食べきった。連れは絶賛している。

たらの芽、ローストビーフ、豚とろ、わかさぎ

春到来を思わせるたらの芽。冬と共に去っていくわかさぎ。天ぷらではよく口にするたらの芽も、フライで食べるのは初めてだった。

蓮根肉詰め、甲いかのウニ乗せ、牛バラと菜の花、蟹と海老しそ巻き

立派な冷蔵庫がある割りに日本酒の品揃えが少ない。疑問をぶつけると、冷蔵庫の主はワインとのこと。揚げ物には日本酒よりワインが合うかもしれない。

揚げると食材の個性が薄れてしまうが、何でも美味しく感じる。カリッと揚げ立てはいくらでも食べられそうで危険だ。

串揚げダイニング 串音
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷デリタワー5F
03-5941-7594

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2009年03月05日

[鳥巣亭](原宿)

原宿駅前で昔ながらの焼鳥屋


男二人、ロードバイクの店の帰りに原宿に戻ってくると、どこで食事をするか戸惑ってしまう。しかし、女子供の街との先入観を振り払って嗅覚を働かせ、ビルの看板と窓を見ながら適当な店を物色する。あった、あった、あれならいけそうだ。

エレベーターを降りて店を見ると、思ったとおり原宿に居ることを忘れさせてくれるような焼鳥屋である。ところがカウンターに座っているのは外国人男性&日本人女性のカップルと若い女性の二組で原宿らしい陣容である。レディースコースなるものもあり、やはり原宿を意識しているようだ。

お通し、自家製チャーシュー

焼鳥はすべて150円~200円とリーズナブル。コースは断って、アラカルトで食べることにした。「2本ずつだね?」と聞くと「2本以上です」と念を押された。「二人だから2本でしょう」と言うと「3本でもいいですよ」とかみ合わない。そうか、2本の倍数じゃなくてもいいと言いたかったのかと気付いた。

もも肉、レバー、せせり、ぼんじり

料理人は二人ともベテランのようだ。今風の洒落たものはないが、焼き方も上手で悪くない。
日本酒は八海山、浦霞、久保田、月山、田酒と有名どころを揃えている。外国人も女性たちもガバガバ飲むのは400円~600円と格安だからだろう。我々はビールを飲み続けることにした。中瓶で500円というのも良心的だ。

しいたけ、ぎんなん、はつ、なんこつ、ながいも

我々の後に若いカップルが入ってきたが、続けて中年二人組、高年2人組が加わり、ようやく店に相応しい雰囲気になってきた。後から来た2組は常連さんらしく、料理人たちも元気になってきたように見える。客だけでなく料理人も人見知りをする。

時間の経過と共に店の雰囲気がどのように変わっていくか見届けたかったが、ビールで腹が膨らんでしまったので勘定をすることにした。ネット上では殆ど情報がない店だが悪くはなかった。オヤジ達、カップル、外国人、誰をも受け容れる昔ながらの焼き鳥屋だった。

鳥巣亭
東京都渋谷区神宮前1-14-2 ルポンテビル3階
03-3497-5351

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2009年03月02日

[金王庵](渋谷)

しゃぶしゃぶとそばすき(?)


渋谷駅を出て道玄坂の裏通りを歩いた。行き先を決め、予約をして行く方が安心だけど、たまには嗅覚を頼りに飛び込むのも楽しい。料理屋が密集する場所を離れると雰囲気のある店が散在する。昼間歩くとまったく違う印象だろうが、暗闇にぽっかりと浮かんだ感じは心をくすぐる。

「そば」と「豚のしゃぶしゃぶ」の文字を見て決断した。「うどんすき」ではなく「そばすき」と言えるかもしれない。リーズナブルにちょっと変わった料理が食べられそうだ。落ち着いた雰囲気の店内には一組だけ客が居た。

お通し、そば味噌、そばパリパリサラダ

応対してくれたおばあさんがとても優しい。入る前から決めていたしゃぶしゃぶを頼み、その前に食べるものを選んだ。日本酒はグラス売りが決まりだけど、それを曲げて一合入りの器とお猪口を2つ持ってきてくれた。「うちはグラス売りだけです」と愛想がない店が増えたが、ここは違う。

鍋が煮えてきた。柔らかいやまと豚をしゃぶしゃぶする。数々の賞を得た豚肉らしくなかなか美味しい。時折鍋の様子を見に来るおばあさんと話し込む。声をかけるときはもちろん「おかあさん」。銀髪が呼ぶにはおばあさんでは可哀想だ。おかあさんとの話を楽しみに来る客が多いそうだ。

最後はおかあさんの指導の下、グラグラと沸き立つ鍋にそばを入れて1分間そのダンスを見詰める。固めが好きな銀髪は、砂時計の砂が落ちきる前にそばを上げる。細めのそばはつるりと喉を通っていく。いくらでも食べられそうだ

残りのそばを入れて再びそばのダンスを楽しむ。全部腹に納まったところでそばを茹でたスープを飲むのが嬉しい。そばつゆの器にそば湯を入れたら濃すぎるので別の器をもらった。そば湯にちょっとそばつゆを入れて飲もうとすると、おかあさんが薄すぎると注意してくれる。「そば湯だけでもいいぐらいなんだよ」とおかあさんに言うと、不思議そうな顔をする。こちらもちょっと苦笑い。

なかなか楽しかった。「もう引退しようかと思っている」とおかあさんは言うが、もったいない。いつまでも元気で店に出て欲しいものだ。

蕎麦由々 金王庵
東京都渋谷区道玄坂1-17-5 オリンピックビル1F
03-3496-3535
http://www008.upp.so-net.ne.jp/konnouan

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2009年02月18日

[amber garretアンバー・ギャレット](渋谷)

大人の店でビールの飲み比べ


レストランの印をつけた地図を片手に渋谷の街を歩く。既に30店のうち13店に行った。今日はワインでも飲みたい気分なので片仮名の店名を選んだ。でも何の店だったか思い出せない。

行きつ戻りつして袖看板で探すのを諦めた。ビルの名前を見つけてエレベーターに乗り込む。7階で降りてもレストランとは思えない不思議な空間である。和食が並んだメニューを見て印をつけた理由を思い出した。隠れ家的な大人の店という触れ込みだった。

ごま豆腐、外国産ビール、イベリコ豚肩ロースのたたき

カウンターの上にはたくさんの洋酒が並ぶ。「まずビール」のつもりでイギリスの黒ビールとドイツビールを飲む。ドイツビールが美味くてビールの飲み比べをすることにした。初めて食べたイベリコ豚の生肉がおいしい。口に入れると脂身が溶ける。

大根と豚肉の甘辛煮、コレナイ豚のしょうが焼き

和食の店らしくお奨めは甘辛煮。「コレナイってどこのこと?」イベリコ豚の連想から地名と思ったコレナイとはコレステロールが少ないの意味で千葉産の豚肉のこと。これには笑った。お陰で説明してくれたマネジャーの福地さんと話すきっかけが出来た。

ビール2種、銀杏のバター焼き

ベルギー産のマルールは何とアルコール度が10%もある。スペイン産のクルーズカンポは日本のビールのようにすっきり飲みやすい。
色んなビールがあるのに驚かされる。福地さんはビールが好きなのでついついビールの品揃えが良くなると笑う。デザートビールなるものも数種類あり、リンデマンス・ペシェリーゼ・ランビック(ピーチ)を飲んでみたら甘い甘い。しかめっ面をしたらみんなに笑われた。

余程ひどい顔をしていたのか福地さんがカールスバーグの生ビールをサービスしてくれた。久し振りにビールをたくさん飲んだ。ビールが苦手という女性が多いけれど、アンバーに来れば好きなビールが見つかるかもしれない。

でも、やっぱりビールはほどほどにした方がいい。腹が膨らんで料亭仕込みの美味しい料理を食べられなくなってしまう。


新和食ダイニング amber garretアンバー・ギャレット
東京都渋谷区宇田川町17-1 渋谷ブラザービル7F
03-3770-8987
http://www.amber-g.jp/

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2009年02月14日

[中国茶房8]②(恵比寿)

安くて美味しい宴会


中学時代の同期生でちょっと遅めの新年会をやることになった。いつもは地元の下北沢に集まるが、今回は銀髪グルメ紀行を愛読してくれている幹事役が中国茶房を選んだため、恵比寿駅に集合した。
3年ぶりの再訪である

待ち合わせの時間を僅かに過ぎたところで、12人が揃った。上出来である。「土曜だから空いてるよな」「予約したんだろう?」「したけど、言葉が通じたかどうか、ちょっと不安なんだ」 話しながらゆっくりと坂道をのぼり、店に着いたのは予約した6時半。ガラガラだと思ったら、何人も待っているので驚いた。

幹事が名前を告げる。中国人の女性店員が予約シートを見て顔を曇らせる。「8時半じゃないですか?」「違うよ、何度も6時半と言ったよ。間違えないでね、18時半だよって」中国人の男性店員がやってきて確認する。一度6時半と書かれたものが8時半に訂正されていた。


我々はついていた。何とか調整して席を作ってくれた。追い出す格好になってしまったカップルには申し訳なかった。忙しく動き回る店員をつかまえて、早く出てきそうな料理を頼む。12人居るから3皿ずつ。

3個105円の手作りの水餃子は全部で30種類ある。値段を見て気が大きくなりメニューの上から8番目まで人数分を頼む。出てきて初めて8×12=96個がどれだけ大量か気付いた。通常は一皿ずつ出て来るので味比べが出来て楽しいが、大皿に盛られたらどれがどれだか区別がつかない。半分近くが余ったので、頼んだ奴が持って帰ることになった。袋代が105円。

このあと北京ダック。大人数なので2羽を頼んだ。みんなに充分行き渡り、余ったぐらいだった。皮を剥いだ残りで炒め物やスープを作ってくれる。(→「中国茶房8」

ビールをピッチャーで4杯、紹興酒8年物を2本、ウーロン茶などを飲み、一人当たりの会費は2,500円~3,000円。安かろう不味かろうというわけでもない。24時間営業だからできる薄利多売なのだろう。

みんなが喜んでくれるので、ついつい自慢してしまう。店から何かもらっているわけでもないのに。いつもながらおばかな銀髪だった。

中国茶房8
恵比寿店 http://www.8-duck.jp
六本木本店 http://www.cceight.com

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2009年02月12日

[龍の子](神宮前)

麻婆豆腐だけではない美味しい四川料理


「行列ができる店」「夜は必ず予約を」というネットの記事を無視して飛び込みで行った。近くに評判のいいレストランがひしめく地域なので、週末でなければどこかに入れる。それでも階段を下りる時には空席があることを祈った。

不安が顔に出ていたのだろう。「空いてますか?」と声をかけると、店員がわずかに笑った気がした。先客は一組だけで、予約も他に入っていないようだ。メニューを開きお奨めを尋ねるとたどたどしい日本語で答えてくれた。

四種冷菜盛り合せ

最後に決めた冷菜は当然のことながら前菜として出てきた。あんこう、バンバンジー、豚足、海老が別々の皿で出て来るとは思わなかった。値段(3,200円)に相応しい量と味は良心的に感じた。

マーボ豆腐

オーナーシェフが日本における四川料理の祖、陳建民氏の弟子と聞けばマーボ豆腐は外せない。いの一番に決定したが、店が空いているのを考慮して最後に追加オーダーすべきだった。前菜を食べ始めてすぐに出てきたので困った。山椒がしっかり効いて、四川料理の特徴である痺れるような辛さがありとても美味しい。でも3分の1ほど食べたところでごはんが欲しくなった。

龍の子特製辣味四川風ワンタン

「龍の子特製」に惹かれて頼んだワンタンもやってきて、すべての料理がテーブルに出揃った。冷菜は紹興酒のつまみに残すことにして、温かいマーボ豆腐とワンタンを先に片付けることにした。このワンタンが頗る美味しい。スープが2層になっていて、初めて出会う味である。辣味という割にはマイルドな辛さで食べやすい。

アンニン豆腐

この店のメニューは何故かマーボ、アンニンなどと漢字表記を避けて片仮名になっている。オーナーが顔を出してくれれば質問したいところだった。中国人の店員とやりとりするのは辛い。

前菜の残りで紹興酒を飲みながら、向かいのテーブルに一人座る若い女性のことを想像した。誰かを待っているのかと思ったが、生ビールを飲み、料理を食べ始めた。我々が勘定をして店を出るまでお相手は本だった。

龍の子は思ったより気軽に食事ができる店だった。グループや恋人同士はもちろん、女性一人の客でも憶する事はない。


龍の子
東京都渋谷区神宮前1-8-5
03-3402-9419

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2009年02月10日

[ビキニ タパ](渋谷)

雨に濡れずにスペイン居酒屋へ


渋谷マークシティの4階、井の頭線アベニュー口の前に昨年8月、スペイン居酒屋が誕生した。新しい店も前と同様に喫茶店の類と思い無視していたが、傘をさして店を探すのが面倒なので入ることにした。

新聞に挟むチラシのようなものを渡されたが、それがメニューだった。「お奨めは?」と聞いたら、「どんなものがよろしいですか?」と聞き返された。写真つきのメニューに頼ることにした。

生ハム盛合せ、季節野菜のブランチャ温かいヴィネグレットソースで

メニューの下に細かい字が書いてあり、料理の説明かと思ったら外国語だった。ブランチャとは網焼きかなんかのことだろう。ヴィネグレットソースは多分オリーブオイルとお酢を混ぜたもの。

イベリコ豚のバラ肉、豚のモルノー(つくね)

「ピンチョス(片手でつまめるおつまみ)の伝道師」と呼ばれる、日本におけるスペイン料理の第一人者ビニェス師が監修したと胸を張るだけあって、ピンチョスはもちろん小皿(タパ)の料理も悪くない。

白魚のフリット、ラビアのカネロン

グラスワインは白が3種、赤が4種、シェリー酒やスパークリングワインなどリーズナブルで飲みやすい。料理の種類はおつまみ以外にもたくさんあるので、グループで長居しても飽きないだろう。

前にあった喫茶店よりもずっと人が入って儲かっているに違いない。昼からぶっ通しで飲むことも出来る。老若男女誰もが楽しめる店である。ただし、日本酒や焼酎があったかどうかは未確認なのであしからず。


ビキニ タパ
渋谷マークシティ4階
03-5784-5500

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2009年01月29日

[ラージマハ-ル](渋谷)

貴族のインド料理?


ラージマハールは都内に5店舗あり、随分前に銀座店に行った。インドにある世界遺産タージマハルは知っているが、ラージマハルは聞いた事がない。似た様な建物の名前かと思ったまま、調べることはなかった。今回、渋谷本店に来てオーナーの名前がラージだと知った。マハールは宮殿の意味。ラージさんの宮殿ということだろうか。

エレベーターを降りると仕切りがないので真正面に厨房が見える。いきなり宮殿に彷徨いこんだような気持ちにさせる演出のようだが、一斉に店員の目が注がれ逃げ場を失った気分になる。先客は我々を待っていたかのように入れ違いに店を出て行った。

パパド、インドビール

座るとすぐにパパドが出て来る。大好きなピリ辛せんべいは酒の肴に最高である。なくなるとすぐに持って来てくれる。全ての店員が我々のためにいる。厨房も我々のオーダーを待ち構えている。料理が重ならないように一品ずつ頼むことにした。ワインを半分空けたらすぐ注ぎに来る。水はいつもグラスを満たしている。たくさんの召使いに囲まれた気分になる。

タンドーリセット

鶏の胸肉、もも肉、ドラムスティック、羊肉、シシケバブ、魚などがタップリ乗った二人分のプレート。これだけでお腹が一杯になりそうだ。インド王侯貴族の味と胸を張るだけあって上品で美味しい。

ナン

銀座店で食べた時は何とも思わなかった。記憶がなくたってしまったようだ。ラージマハールのナンはまるでホットケーキのような香りがする。フワフワの食感と共に他では味わったことがないナンだった。

サグ・バニー(ほうれん草のカレー)

大好きなほうれん草のカレー。タンドーリセットとナンでお腹一杯になっても、まだ食べられる。頼んで出してもらった唐辛子をかければ、完食するのに苦労はなかった。
8時を過ぎた頃からエレベーターが度々開くようになった。店員はエレベーター上の階数表示を見つめて客を待ち構えている。既に我々への関心はなくなっている。

190センチを超える店員の笑顔に見送られてエレベーターに乗る。宮殿を出て喧騒の渋谷の街に戻った。

ラージマハール 渋谷本店
東京都渋谷区宇田川町30-5 JOWAビル5F
03-3770-7677
http://www.rajimahal.gr.jp

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2009年01月23日

[ブノワ](表参道)

再開したミシュラン一つ星


ミシュラン2009年版にブノワの名がないのに気付いた人はどれぐらいいただろう。2008年版を買った人の何パーセントがブノワに行ったか分からない。昨年の8月に閉店してしまって、ミシュランの評価もあてにならないと思っていたら、原因は他にあった。

店の評価が悪化した訳ではなく、世界的な金融危機の影響で倒産したアーバンコーポレーションがオーナーだったため、その煽りを受けたらしい。捨てる神あれば拾う神がある。別のオーナーの下、12月4日に再開された。総勢27人でランチに行った。

幹事役が予約時に3,300円のランチを予約していた。お酒は高価格なので厳禁。お店への貢献は限定的になるが、暇になる1時半からのランチだから少しぐらいは感謝されたに違いない。光が暑いほどに差し込み、高い天井にもかかわらず暖房は使わなくて良さそうだ。モダンなテーブルの上にはクリストフルのナイフとフォーク。アラン・デュカキスのプロデュースが加わればミシュランの星を受けるのは簡単だっただろう。

豚肉のパテにはワインが必要だったと思う。水を飲みながらでは脂っぽさに半数近くが音を上げた。牛肉の煮込みはコンビーフみたいだと文句を言いながらも残した人はいなかった。

リンゴ尽くしのアイスクリームと、マシュマロ&クッキーも評判が良かった。27人全員にコーヒーか紅茶がいき渡るにはかなりの時間を要した。

「銀髪さんなら星はいくつあげますか?」と聞かれたが、ランチで評価を下すのは正当ではない。値段相応の昼用の料理でとやかく言っても仕方がない。パンやデザートに一流レストランの片鱗は見て取れた。
サービスは27人では行き届かないのも無理はない。もっとも、レストラン評論家なら予約を受ける方が悪いと言うかもしれない。どんな商売だって適正規模というものはある。

ミシュラン2010年版に復帰できるように、新しいオーナーの下で頑張って欲しいものだ。残念ながら27人のうちでリピーターになる人は殆ど居ないだろう。女性はともかく男たちの意見は一致していた。
「俺にはフランス料理は向かない」と口々に言う。フォークとナイフより割り箸が似合う我々である。


ブノワ
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10F
03-6419-4181
http://www.benoit-tokyo.com/

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2009年01月21日

[黄金屋](渋谷)

行列が出来るもつ鍋屋


本当は違う店に行く予定だった。電話を入れたところ、「今ならまだ大丈夫ですよー」と言うだけで名前も電話番号も聞かれない。席がなくなるかもしれないと急いで歩いていると別の店から声をかけられた。新宿店に飛び込みで行って断られ、電話予約もなかなかできなかった黄金屋の渋谷店である。この機会を逃す手はない。

お通しキャベツ

もつ焼き屋定番のお通しは生キャベツ。特製の味噌をつけて食べる。ヘルシーで好きなお通しだが、ちょっと芯が多いような気がする。

注文をするとキッチンにいる白人男性二人が復唱する。料理を運んで来るのは韓国人だろう。都内に7店舗展開できるのも外国人労働者のお陰だ。

酢もつ、牛タン

もつ鍋屋の定番メニュー1番目に必ず来る酢もつ。黄金屋も店の名物と言う。銀髪ももつ鍋屋でいつもオーダーする。各店で微妙に味が違い、黄金屋は酢が抑え目でいい。
フォアグラ風という柔らかく煮た牛タンが酢もつと並ぶ名物料理とのこと。2品を美味しく食べているうちにもつ鍋が食べ頃になってきた。

もつ鍋醤油味

カロリーや脂質は少なめで、ビタミンやコラーゲンが豊富なもつは女性にも人気だ。予約が取り辛い店だというのも納得できる鍋である。
もつを食べ、野菜を殆ど食べたところでお通しのキャベツも鍋に放り込んだ。具を食べ尽くしたところで特撰ちゃんぽん麺を頼む。これで満腹。なかなか良かった。

それにしても隣席のカップルの食欲は凄まじい。黄金屋名物の各種料理やもつ焼きを食べた後に揚げ物が運ばれてきた。これから鍋もやってくるはずだ。

いつの間にか店は満席である。店の入り口の椅子には我々が去るのを喜ぶ客が座っている。店を出たところに客引きはもういなかった。


博多もつ鍋と炭火ホルモン焼き 黄金屋
東京都渋谷区道玄坂1-3-11 1番ビルB1F
03-5728-8600
http://www.koganeya.net/

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2008年12月15日

[清山](渋谷)

隠れ家的な蕎麦屋


渋谷駅から歩く歩く。渋谷でナンバー1の蕎麦屋との評判が背中を押してくれるがなかなか辿り着けない。早道のつもりで裏道を選んだのが不味かった。小さな地図をほのかな灯りで読むには齢を取り過ぎた。行きつ戻りつしながら予約の7時を少しオーバーしてようやく辿り着いた。

隠れ家と呼ぶに相応しい佇まい。1階席はガラガラ、地下も半分ほどの入り。部屋一杯に広がる大テーブルの片隅に座った。ジャズが流れるモダンな店内、淡い照明の壁際に一升瓶が並ぶ。

焼き椎茸、そばがき

スープを溜めた椎茸は思ったより香りが薄かったかな。そばがきは今まで食べたことがないような柔らかく、それでいてモチモチした食感。たっぷりのわさびをつけて食べると、ちょっと感激した。

焼き鱧の板わさ、天ぬき

日本酒が27種類もある。定番の板わさは鱧入りの高級品。砂場を思わせる天ぬきもなかなか良かった。焼き味噌も頼めばいくらでも酒が飲めそうで危険だ。

せいろ蕎麦、田舎蕎麦

十割そば、特に田舎蕎麦は蕎麦らしい風味が感じられる。タップリ供される生わさびが嬉しく、酒の肴にもいい。

蕎麦湯

重い、重い鉄瓶にはそば湯。これが驚くほど濃い。そばがきとそば湯がとても印象的な店である。

8時過ぎには店はほぼ一杯になった。蕎麦屋でデートも悪くないと思うが、この日は男同士、女同士の客が多かった。料理を運ぶ店員から店のこだわりを聞けなかったのがちょっと残念だった。勘定場で少しだけ話が聞けた。
店の名刺を求めたが置いてない。ホームページも多くは語らない。隠れ家らしい店ではある。


清山
東京都渋谷区神山町10-8
03-3460-0088
http://seizan.oc2n.co.jp/

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2008年11月27日

[松木家](渋谷)

渋谷で老舗の東京風すきやきを


道玄坂を上がり交番前から右に折れて神泉方向に少し歩くと右手に松木家のビルがある。通りから見えるのはショットバーで、短い階段を上がってドアを開くと店の右手がレストランになっている。奥の座敷席は宴会客で一杯。我々はテーブル席に案内された。

「すきやきとしゃぶしゃぶ、どちらがお奨めですか?」と仲居さんに聞いても、「お客様のお好みですから」と言われると会話はどうどう巡りするだけ。甘いのが苦手な銀髪でも、隣のテーブルから流れてくるすき焼の匂いに気持ちが乱される。箸袋を見たら松木家の上に「すきやき」としか書いていないので、すきやきに決めた。

前菜

「上すきやき」と告げると、仲居さんはすぐに引っ込んでしまった。牛肉料理以外にも料理はたくさんあり、すきやきの前に何か頼もうと思ったのに肩透かしを食った格好。戻ってきた仲居さんの手には料理が2品。メニューを見直すと、7,000円の上すきやきには前菜とデザートがついていた。これだけで充分だ。

立派な霜降りの近江牛がやってきた。料理はすべて仲居さんがやってくれるので楽チンだ。卵はこだわりの栃木県矢板産。「箸で持ち上がるんですよ」と言われても、ちょっと遅かった。既にかき混ぜてしまっている。しかし、美味しい卵であることはよく分かる。肉と卵のハーモニーが抜群。すきやきにして本当に良かった。実に美味い。

「この店はいつからやっているんですか?」と聞いたら「120年以上前です」と言うので驚いた。渋谷の現在地に移転してから既に70年、元は浅草にあったそうだ。
ますます、すきやきにして良かったと思った。松木家の看板料理は昔からすきやきで間違いない。しゃぶしゃぶは大阪の永楽町スエヒロ本店の先代店主が昭和27年に考案したものらしいから、60年足らずの歴史しかない。

ごはんかきしめんかを迷ったが、きしめんにして正解だった。鍋の残り汁をタップリ吸ったきしめんをこだわりの卵につけて食べて大満足。でも、次回はごはんに乗っけて食べてみたいかも。

日本酒の品揃えも良く、食べ終わったらバーに移ってもいい。なかなか美味しい松木家だった。


松木家
東京都渋谷区円山町6-8
03-3461-2651

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2008年11月18日

[へぎそば 匠](渋谷)

身体にいいそばでも飲みすぎにはご注意を


出張続き、運動不足、魚が美味しい冬。体が重くなってくると、蕎麦屋に足が向く。へぎそばの店なら新潟の美味しい日本酒も飲める。

階段を下りて店に入る。カウンターに座ってメニューを開く。そこで初めて四谷三丁目の匠と同じ系列の店と気付く。3年間で約900軒も行けば忘れてしまう店もある。まして、渋谷の匠の内装、雰囲気、客層は四谷とは全く違っていた。

お通し、生牡蠣、栃尾の油揚げ

四谷は昔ながらの居酒屋風で年配の女性が注文を取りに来るが、渋谷は今風の居酒屋で男性店員のユニフォームも決まっている。ところがメニューに並ぶ料理は殆ど一緒。「お奨めは?」と聞くと「栃尾のジャンボ油揚げ」と言うのも同じ。

そばチヂミ、そばコロッケ、ぎんなん

四谷になかったメニューはそばチヂミ。そば粉を使うならガレットと呼んだ方が良さそうだが、チヂミの方が一般受けするのだろう。ガレットはそば粉のクレープとも言われる。いつまで経っても本名で呼んでもらえない可愛そうな食べ物だ。ネギが入ったそばチヂミはなかなか美味しかった。

のっぺ、へぎそば

最後にへぎそばを食べると決めているのでお腹はこれ以上膨らませない方がいい。メニューを吟味した上で、結局のっぺを食べることにした。四谷で越後ののっぺは汁がないことを教わった。箸の使い方を判別できるような料理は食べ過ぎることがなく、日本酒の肴にはうってつけである。

そばのつなぎに海草(ふのり)を使ったへぎそばは、コシがあって美味しい。四谷より小さいへぎ(木の器)があるのもカップルが多い渋谷ならではのサービスかもしれない。

できるだけ肉類を避けたので胃は重くないが、日本酒を飲みすぎて頭が少し重い。反比例して口が軽くなる。自己制御は本当に難しいものだ。

へぎそば 匠  渋谷文化村店
東京都渋谷区道玄坂2-23-14 道玄坂225ビルB1
03-5784-6680
http://www.takumi-hegisoba.net

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2008年11月11日

[よかろう門](渋谷)

なかなか美味しいもつ鍋屋


気のせいかもしれないが、渋谷は鍋料理の店が多い。勘違いを恐れず更に分析すると、渋谷は若者が多い街だからと思い立つ。文化村通りやスペイン坂を歩くと水炊きやもつ鍋のように安くて腹が一杯になる鍋料理の店が目に付く。高級ふぐ店は見当たらない。若者だけでなく、銀髪も安心して入れる。

近くにもう一軒もつ鍋屋があったが、よかろう門の方を選んだ。店に入ると意外と広く、早い時間なのに半分くらい席が埋まっていた。狭い席に通された挙句「混みあってきたら2時間で〆させていただきます」と強気だ。

お通し、酢もつ

まぐろの山かけがお通しとはもつ鍋屋らしくない。福岡の有名店「やま中」に行って以来、もつ鍋屋ではまず酢もつを頼むのが定番になった。鍋よりも店によって特徴があるのが酢もつだ。よかろう門のものは万人向けで食べやすい。

鍋、ちゃんぽん

「どれがお奨め?」と聞いたら「味噌を頼む人が多いですけど、博多では醤油が普通らしいですよ」と言う。確かに彼女の言うとおりだ。やま中でも醤油味を食べた。出てきた鍋に入っているもつが立派で感心した。

キャベツ、ニラ、ゴボウ、などの野菜がしんなりして食べ頃になった。連れが美味しいを連発する。店員の強気もまんざら大袈裟でもないようだ。他の料理を頼もうか迷ったが、柚子胡椒入り餃子と追加の野菜を鍋に入れることにした。〆にちゃんぽん麺で腹を満たした。

隣に若いサラリーマンが二人。鍋をつつきながら白いご飯を食べている。彼らの向こうに若い女性の二人連れ。飲んでるのはウーロン杯だろうか。お互いのテーブルがくっつくことはなさそうだ。座敷には男女のグループ客が数組。店内はほほ満席だが追い出されるほどではなかった。

本社は福岡というだけあって、本場の味に近くてなかなか美味しかった。店舗は渋谷店の他に赤坂にもある。福岡の赤坂かと思ったら、東京港区の赤坂。福岡の店を閉め、東京に進出して4年目に入る。頑張れ、博多っ子というところかな。


よかろう門
東京都渋谷区宇田川町26-11 白馬ビル3F
03-5458-2198
http://www.yokaroumon.jp/index.php

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2008年11月09日

明治神宮

伝統の式には変わらぬ親子の愛情


神楽殿に入ると「おめでとうございます」と挨拶された。「?」と思ったがすぐに自分の格好に気がついた。親族の控室に向かう男が礼服に白いネクタイなら挨拶の言葉は簡単だ。主役の家族に会うと今度はこちらが「おめでとうございます」と言う。乱発される「おめでとう」はいつも笑顔とセットである。

新郎と新婦を言い間違えて皆の笑いを誘った。厳粛な親族紹介の場ではジョークを封印するつもりが、結果オーライになった。「式は既に始まっています。私語は慎むように」と係のおばさんに睨まれながら神殿に向かった。

大きな赤い傘を掲げられ、境内を主役の二人がゆっくり歩く。参拝に来た人たちがカメラを向ける。外国人観光客が特に喜んでいる。銀髪も背筋を伸ばし、胸を張って歩く。美しい姪っ子の後方に冴えないおやじが写っては申し訳ない。

披露宴が行われる明治神宮記念館に移動した。新郎新婦の友人たちが加わり、より華やかに場が盛り上がってきた。挨拶も余興も期待されない銀髪はただ食べるだけ、飲むだけである。

次々に料理が運ばれてくる。入れ歯の調子が悪い母の料理には細かく切れ目が入っている。気遣いができる賢く優しい姪っ子が事前に頼んでいたようだ。

一流の結婚式場、ホテルで行われる披露宴の食事は良く出来ているが、どんなに頑張っても壇上の主役には敵わない。

これまでたくさんの披露宴に出席した。似た様な式次第だがそれぞれに個性がある。両親、親族、友人たちを見れば新郎新婦の人となりが良く分かる。

宴もクライマックスに近づいた。姪っ子が手紙を読む。我が兄のくだりは泣けた。泣きそうな、それでいて笑っているような兄が格好良く、映画「花嫁の父」のスペンサー・トレーシーを思い出した。エリザベス・テーラーも綺麗だったなー。

しかしあれはいかん。我が娘には絶対に感謝の手紙なんぞ読まないように約束させなければならない。たくさんの人に涙顔を見せるのは辛い。感謝は結婚したときでなく、時々ボソッと言ってもらう方が嬉しい。

明治神宮
http://www.meijikinenkan.gr.jp/jingukyosiki/index.htm

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2008年11月04日

[ボルドーセラー](南青山)

心地よい隠れ家にしちゃおう


老若男女、日本人と外国人、たくさんの人で賑わう表参道の交差点のすぐ近くなのに、小さなビルの階段を下りると喧騒を忘れてしまう。店にとっては悲しいが、こちらにとっては嬉しい半分ほど埋まっただけの静かな店内。南青山でワインバーとなれば女性ばかりと思いきや、左の席は日本人の上司と部下、右の席は外国人おやじ二人で、アベックは一組だけ。実に面白い。

スモークたくあん、お婆さんの作るパテ

メニューの中で変わったネーミングの料理2つを頼む。「甲州ブドウの香り」というたくあんは、ワインを売り物にする店ならではのもの。「キッチンにお婆さんが居るの?」と茶化した相手は美形の店員。男共は彼女目当てに来てるのかと思ってしまう。これだけで楽しくなるのだから男は困る。

自家製スモークサーモン、自家製ソーセージ

スモークサーモンまでテーブルに置かれた割り箸で食べていたが、ソーセージになって初めてナイフとフォークを手にした。評価が高い中国原産の梅山豚を使った自家製ソーセージ。こだわりの料理は知る人ぞ知る柿崎シェフならではのもの。テーブルに来てくれなかったので話ができなかったのが残念だ。まあ、美人のお姉さんがいるからいいか。

ウニとキャビアの冷製パスタ

日本ならではの海の幸を使ったスパゲティ。日本ほど様々な麺料理がある国はないだろう。日本古来の麺類が超えることが出来ない壁を、スパゲッティは軽々と越えていく。本場では思いもつかない料理も、異国では簡単に出来てしまう。実に面白い。

左右の席ではポンポンとボトルが開けられていく。外国人のワイングラスはグラスワインを飲んでいる我々のものと比べるとひときわ大きくて妬ましくなる。

勘定を払って店を出たところで空き瓶が放り込まれた木箱が目に入った。高級シャンパン・サロンの空き瓶もある。値段が高いワインも置いているがひけらかさない謙虚な店主の心根が窺える。いい食事、いいワインをリーズナブルに楽しめる店。何を飲むかは客の懐次第。店主のメッセージをしっかり受け止めて階段を上った。

表参道は人通りが2時間前より増えたようだ。夜はまだ長い。


ボルドーセラー
東京都港区南青山5-1-25 北村ビルB1
03-5467-8420
http://www.bordeaux-cellar2005.com

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2008年10月29日

[瓜](渋谷)

いい店見つけた!


「今日は生牡蠣を食べるぞ!」と、渋谷のオイスターバーをネットで調べて行った。ところがビルの袖看板に目指す店の名はない。ビル違いかと行ったり来たりしたがやはり見つからない。
仕方なくオイスターバーの後釜と思われる店に入った。「和食とワインの店」の看板文字に期待して。

照明を落とした雰囲気のある店内。キッチン奥に炭火の焼き場。カウンターの左上にはワイングラスがぶら下がる。ここまでは看板どおりだが、棚には森伊蔵、村尾、魔王の芋焼酎3Mを筆頭に有名焼酎が並ぶ。日本酒も純米酒を中心にいい品揃え。ムクムク興味が湧いてきた。

お通し、椎茸の炭火焼

お通しに帆立と金目鯛の寿司が出てきて意表を突く。これがなかなか美味い。小さい店の割にメニューは豊富で驚く。鮮魚、薩摩地鶏、岩手県産地鶏・高原豚、佐賀県産大豆を使用した豆腐、無農薬有機野菜、珍味。何を食べるか随分と迷った。

野菜の中で自慢の素材は椎茸とアスパラと言う。今のアスパラはオーストラリア産なので、国産の椎茸を頼んだ。その椎茸を一口食べて連れが驚きの声を上げる。「原木?菌床?」ここまで相手をしてくれていた店員は質問の意味を分からず、選手交代。「原木です」と板長が答える。原木栽培した栃木産椎茸は香りが良くて秀逸だった。粘り気のないさらさらした柚子こしょうが気になる。美味すぎる。

薩摩地鶏もつ盛合せ、銀杏

鶏肉はいつものように刺身でチェック。美しい。薬味はショウガ、ニンニク、柚子こしょうの3種。柚子こしょうが美味い。「大分産?」と聞いてみたものの自信がない。答えは鹿児島産。おばあちゃんが手作りしているもので、普通の店では手に入らないらしい。やはり市販の瓶詰め柚子こしょうではなかった。肉がなくなった後も柚子こしょうを残して酒の肴にした。
銀杏は思ったとおり藤九郎。随所にこだわりがある店である。

田楽、豚バラ肉の塩焼き

豆腐も豚も自慢するだけある。脂身の多い豚も塩味が効いて美味しい。再びの柚子こしょうが嬉しい。

メニューにはなかったが、お通しの寿司が美味しかったので〆も寿司を握ってもらった。鯛、ひらめ、白いか、甘海老。なめこ汁がとびっきり熱くて飲むのに苦労した。

日本酒の値段がちょっと高めなのが痛いが、料理にはとても満足した。居酒屋と割烹の間の料金で、いい素材を使って上手く調理している。近いうちにまた来よう。いい店見つけた!



東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷DELIタワー8F
03-5459-3068
http://www.shibuya-uri.com/

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2008年10月17日

[TOMPOOYA(東風家)](渋谷)

アジア料理なんでもござれ


渋谷スペイン坂はいつも活気に溢れている。通行人の多くは若い人なので歩くスピードは早く、話し声も大きく明るい。そんな若者たちを相手にする飲食店もユニークだ。ビルを見上げて雰囲気が良さそうだったので飛び込んだのがTOMPOOYAだった。

店内は個室風の部屋が並ぶ。カーテンで通路と仕切られており、足元は見えるので完全な個室ではない。それでもプライベートな空間は維持されて心地よい。カラオケのビッグエコーの系列店だけに個室中心の店造りはお手の物なのだろう。

お通し、飲茶盛り合わせ

揚げパンのような、コロッケのような、不思議なお通しが店を象徴している。最初に来たのが飲茶盛り合わせ。無難なスタートである。

3種類の春巻きプレート

生春巻きや揚げ春巻き。甘辛いタレ。多分ベトナム料理なのだろう。ちょっと違うような気もするが悪くはない。

サテー盛り合わせ

インドネシアなどマレー圏の代表的な料理のサテー。シンガポールや日本のインドネシアレストランで食べるものと全く違う。盛り付けも味も上品である。初めて食べる人は美味しく思うだろうが、本場のサテーを食べたことがある人は違和感を持つだろう。

タコライス

日本もアジアの一部であることは否定しない。日本代表として登場したのは沖縄名物タコライス。まあ、こんなものだろう。

敢えて各国の料理を並べてみた。もちろん一国の料理で統一する方法もある。カップル向けの小部屋の他に小パーティーができる部屋もある。トイレに行くついでに店内を見渡すと2家族合同で誕生パーティーをやっていた。主役は幼稚園児のようで、盛り上がっていた。

中国、タイ、ベトナム、インドネシア、韓国、日本などなど、色んな料理を揃えた妙なお店。食通は目を剥くかもしれないけれど、子供たちは喜んでいる。考えてみれば日本の家庭も似た様なもの。お母さんは世界各国の料理を作れるスーパーシェフなのである。


アジアンダイニング TOMPOOYA(東風家)渋谷スペイン坂店
東京都渋谷区宇田川町13-7 KOYASUビル4F
03-5459-2622
http://www.clubdam.com/dkdining/index.html

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2008年10月09日

[御蔵](渋谷)

お手頃価格の京懐石


渋谷マークシティーの4階、奥まったところにある御蔵は高級そうでちょっと入り辛い。「京の田舎料理」の文句に勇気付けられて入ってみると、なるほど格式張った感じがなく臆することはなさそうだ。メニューはコースのみで4,200円、5,800円、7,600円の3種類。見栄っ張りが悲しむぐらいリーズナブルな価格設定である。

いずれのコースにも鍋があり、一番下が豆乳鍋で他は牛肉の鍋。健康に留意したら僅かな見栄も除外することができる。金を出す身に優しいコース設定に感謝した。

前菜、小鍋(豆乳鍋)

前菜の中では柿の白和えが季節感を出している。豆乳鍋は一人一鍋なので喧嘩しなくていい。上のコースは大鍋で、店の女性が取り分けてくれるようだ。羨ましくもあるが、煩わしさはない。

里芋だんご、鰊茄子

里芋だんごの中には鳥のつくねが入っている。京料理らしく優しい味だ。鰊も京料理らしい。ここまでは確かに田舎料理というのが頷ける料理ばかり。高級素材は使っていないけれど、満足感はある。

日本酒の器も遊び心があって面白い。演出効果は抜群である。

子持ち鮎塩焼き、南部鶏山里焼き

メインは4品の中から選べる。鰆の西京漬けと牛肉鍬焼きは食べ損なったが、選んだ2品は間違いではなかった。

湯葉豆腐丼と漬物、冷やしうどんとおにぎり、デザート

食事は2品から選ぶので迷わず一つずつ。京漬物がついた丼の方に軍配が上がる。それにしても、うどんはよく冷えていた。

気がつけば、前も横も外国人。しまりやの外国人にとっても気軽に京料理が味わえる店である。店の女性に「今日は外国人が多いですね」と聞いたら、いつものことらしい。「俺もヴェトナム人だけどね」と言ったら、マジで驚いてくれた。店の女性たちは可愛くて仕事ぶりもいい。「正社員?」と聞いたら「アルバイトです」と言われ、今度はこっちが驚いた。

銀座店も料金設定は同じようだ。外国人だけでなく、若い人にもお奨めの店だ。


京の田舎料理 御蔵 渋谷マークシティ店
東京都渋谷区道玄坂1-12-5 渋谷マークシティウェスト4F
03-5459-4011
http://www.fukunaga-tf.com/mikura

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2008年09月17日

[笑龍](渋谷)

野菜ソムリエと漢方アドバイザーの店


ともかく野菜ソムリエが選んだ野菜を漢方薬局と協力して薬膳料理を出すというのが笑龍のウリらしい。野菜ソムリエ資格がどのぐらいの価値があるか分からない。美容と健康にいいと言われれば、悪いイメージは湧かない。まあ、入ってみよう。

消化促進、老化防止、美肌、免疫力アップ、養血と脳内活性、風邪予防。メニューを見ると、全部食べなければならないような気になる。迷ったらセットメニューだ。「副都心線開通記念セット」が一人前2,800円。これに決定! もともと女性客向けに作ったセットで物足りないかもしれないと言われて、看板料理の世界一長い春巻きを追加した。

野菜ソムリエサラダ、大海老のマヨネーズ

いかにも健康に良さそうなサラダに見える。目で食べるサラダといったところだろうか。

紹興酒テイスティングセット

紹興酒、20年物紹興老酒、甘口の5年物紹興老酒の3種セットで1,000円。漢方の酒を飲もうか悩んだが20年物に負けた。紹興酒は体内では作れない必須アミノ酸を含むので、勝手に漢方酒に分類してあげた。

春巻き、美肌フカヒレの茶碗蒸し

揚げる鍋がないから家庭では食べられない春巻き。結局はさみで切ってくれるのだが、「手で持って食べてください」と言えばもっと面白いだろう。まあ、上品な店では奨められない。

本日の産直野菜一品、フカヒレの薬膳ごはん、身体にやさしいデザート

コラーゲンが人気のフカヒレ料理がコースに2品も入っている。本数が数えられるほどでフカヒレ繊維と言った方がいいが、最近はやりの偽装ではない。2,800円のコースでは上々である。

薬膳料理の店だけに、腹八分目の量が憎い。軽めの味付けなので後で胃がもたれることもない。「副都心線開通記念セット」は10月31日までやっている。女性には喜ばれるだろう。

男性には食後は早く帰って寝ることをお奨めする。飲みなおしに行こうものなら、帰りにラーメンが欲しくなってしょうがない。折角の薬膳料理も効果が消えてしまうだろう。銀髪は我慢できた。薬膳効果は維持できたかもしれないが、我慢は精神的に辛かった。

笑龍
東京都渋谷区宇田川町21-1
03-5728-5515
http://www.urg.co.jp

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2008年09月09日

[町家酒房 DEN 原宿](神宮前)

場所良し、酒良し、料理良し、雰囲気良し


神宮前の交差点でタクシーを降りてぐるりと見回し、鼻をひくつかせる。どこに連れて行かれるのだろうと同行者が不安に思う瞬間だ。一軒目、交差点のすぐそばにある店の前で立ち止まり、メニューをパラパラとめくった。すぐに地下への階段に足を踏み入れ驚かせた。いい加減に決めたように見えただろう。

薄暗がりの向こうにゆったりとしたテーブル席とカウンターが見える。店頭にあったメニューには様々な料理が書かれていたのに、バーのような雰囲気はちょっと意外だった。カウンターにはサントリーのウイスキーと、サントリーが輸入しているスコッチが並ぶ。「サントリー系列の店ですか?」とバーテンダーに聞くと、当たりだった。

ずわい蟹とキノコDEN風サラダ、戻りカツオのカルパッチョ

プレミアムモルツの黒生ビールが美味い。料理はバーのおつまみの域を超えている。奥のテーブル席で鍋料理を楽しんでいるカップルがいる。入り口近くのテーブルでは真剣な表情の男二人が軽いつまみで飲みながらヒソヒソ話をしている。込み入った仕事の話だろうか。

ネギトロの京風湯葉巻き、霜降り豚トロの古代塩焼き

京風ダイニングと謳う店の人気料理がネギトロの京風湯葉巻き。山芋がシャリッとしていいアクセントになっている。4品の中で一番美味しかった。

ゆったりとした大人の雰囲気の割にはリーズナブルな店である。ボトルワインもそれほど高くない。気分のいい食事が最後の勘定で乱されることはなさそうだ。

食事が終ってもお楽しみはこれからだ。目の前の「The Owner’s Cask 」が、銀髪にウインクをしている。混ぜ物なしのシングルカスクだけに、アルコール度数は61%。高度数を感じさせないまろやかさはストレートで飲まなければ分からない。

チーフバーテンダーの石塚さんとの会話も楽しい。他の客のために石塚さんがカクテルを作り始めた。シェーカーを振り終えたところで「もう少し背を伸ばして、ときどき頭の高さまで手を振り上げたらカッコいいですよ」と余計なことを言ってしまった。「素人が何を言う!」と怒られるところだが、石塚さんは汗を拭き拭き照れたような顔をする。

調子に乗って「バーテンダーの一番の見せ場だから、石塚さん目当ての女の子がカウンター一杯になるように鏡の前で練習したらいい」と勝手に動く困った口である。61%はやはりきいているようだ。

年中無休。週の初めは客も比較的少なくてゆっくりできる。カップルでも男同士でも使える店だ。

京風ダイニング 町家酒房 DEN
東京都渋谷区神宮前4-30-3 ティーズ原宿B1F
03-5775-3786
http://www.gnavi.co.jp/myu

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2008年09月03日

[美食 米門](渋谷)

味も値段もワンランク上の居酒屋


デパートの中、しかも渋谷ならたかが知れていると思った銀髪は世間知らずだった。若い女性アルバイトが客引きをしていたのも判断を誤らせた一因である。席につきドリンクメニューを開いて自分の甘さを悔いた。ビールの中瓶が850円、日本酒は一合1,000円以上するものばかり。

お通し、クレソンと芹のサラダ

料理も殆どが4桁と普通の居酒屋より2~3割高い。覚悟を決めてオーダーした。お通しの煮物が美味しいので少しホッとする。清流で育てたというクレソンと芹のサラダも悪くない。少し機嫌がよくなってきた。

馬刺し、本ししゃも

馬刺しは熊本産が有名だが、青森県産小田桐牧場直送というので興味が湧いた。運ばれてきた馬刺しはとても美しい。たてがみと赤身が重なり合い、手前に霜降りロース肉が輝く。ロースが口の中でとろけるのは見ただけで分かったが、たてがみと赤身を一緒に食べたとき口に広がるまろやかさには驚いた。値段だけのことはある。

北海道産の本ししゃもはプレゼンテーションも立派。馬刺しと食べ比べると分が悪いが、食べる順番が逆だったら感動しただろう。

薩摩若しゃもの串焼き5品盛り合わせ

小振りの若しゃも焼き鳥5本で1,500円は有名店並の価格。もっとも既に居酒屋気分は吹っ飛んでいるので、値段はあまり気にならなくなっていた。
さあ、次は何を食べようかと意気込んだが、相方が腹一杯と言うのでお開きになってしまった。

新宿、品川、横浜、梅田にもある米門以外に、系列のオイスターバーMAIMONが恵比寿、銀座、梅田にある。銀座のオイスターバーには行ったことがあるが、雰囲気がいいだけでやたら高かった印象が残っている。

今日の米門はちょっと高めだが、悪くはなかった。店員の応対にも文句はない。そうそう、呼び込みをしていたアルバイトの女の子がとても可愛くて、育ちの良さそうなお嬢さんだった。何よりもそれが一番良かった所かな。アルバイトがきれいな笑顔を見せている店が悪いはずがない。


美食米門 渋谷パルコ店
東京都渋谷区宇田川町15-1 パルコPart-1 ダイニング&ガーデン 8F
03-3464-
http://www.maimon.jp

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2008年08月27日

[吾照里 OJORI](渋谷)

上品な韓国家庭料理


渋谷駅から文化村通りを東急百貨店方向に上を向いて歩く。もちろん泣いているわけではない。左上方になかなかいい雰囲気の韓国料理屋らしきものを見つけた。ビルの入り口を見つけるのにちょっと苦労しながら店に辿り着いた。

見上げた時とちょっと雰囲気が違う気がしたが、若い韓国人女性2人に笑顔で迎えられるとどうでもよくなった。美人の方が先生役のようだ。若い方が注文を取りに来たが日本語が上手くなくて要領を得ない。すぐさま美人が助け舟を出してくる。サンゲタンとパジョンを奨められた。量が多そうなのでちょっと渋るが、結局従った。銀髪の好物ケジャンと合わせて、取り敢えず3品を選ぶ。

お通し、ケジャン

上品な味のケジャンである。口に含んで殻を噛むと、柔らかい身が出て来る。身がタップリ詰まって美味しい。

サンゲタン

ハーフサイズのサンゲタン。これでも結構量がある。薬膳らしい朝鮮人参などが入っていない。残りの半分に含まれているのかもしれない。塩、胡椒をちょっと加えて食べる。これも上品な優しい味だ。

海鮮パジョン

予想よりも更に大きなチヂミが出て来た。厚さもある。他の料理を頼んでいなくて良かったと胸をなでおろした。美人店員が何度も奨めたように、確かに美味しい。表面がパリッとして、中はトロリとしている。全部食べきったあとも鉄皿は熱々だった。

さすがに腹一杯になった。勘定を終えて席を立つと、後ろの女性二人が大きなパジョンと格闘中。さらに肉を焼いて食べる様に勢いがある。日本女性の元気さが男共を上回っているのはオリンピックだけではない。

家に帰りホームページを開いて、我々が見上げた店が本店で、入った店は新館だと分かった。どうりで雰囲気が違うはずだ。他に東京駅八重洲口、汐留などに10店舗を展開している。日本人の口に合う優しい韓国家庭料理を出す店である。


吾照里 OJORI 渋谷新館
東京都渋谷区道玄坂2-29-18 清水ビル3F
03-5458-6636
http://www.ojori.jp/

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2008年08月11日

[ありそ亭](青山)

青山で福井の味を


「青山の骨董通りお願いします」と告げると返事もなくタクシーは動き出した。「小笠原流会館を知ってますか?」と聞いたらぶっきらぼうに「知りません」と一言。仕方ないので窓外を注視してナビゲーターを務めた。道を間違えることもなく、路地を入って複数の飲食店やブティックのあるエリアに辿り着いた。ありそ亭は突き当たりにある立派な店だった。

席の間隔がゆったりしていてなかなか雰囲気のある店だ。窓の外には小さな庭園が見える。アラカルトを頼もうとしたが、強くコースを奨められた。料理が出て来るのもコースの方がスムーズだと言われてその気になった。7,000円の荒磯コースを頼んだ。

前菜盛合せ

強く奨める理由が分かった気がした。流れ作業で出せるし、見栄えも悪くない。レバーペーストとパンのような洋風のものもあれば、福井名物の「へしこ」もちゃんと入っている。

鱧椀、お造り

鱧の吸物がとても美味しい。あまり酸っぱくない梅干もいいアクセント役になっている。

鮎の塩焼き、いちじくの抹茶天婦羅

炭の入った壷の上に乗せられて鮎がやってきた。ホカホカの鮎は福井の酒が良く合う。場所柄女性向けに梅酒やワインなども置いてあるが、外国人向けに日本酒の何たるかの説明を載せている。もちろん日本語でも書かれている。日本人にこそ、銘酒を料理に合わせて欲しいものだ。

おろしそば、デザート

そばは2種類から選ぶ。「福井ならおろしそばだよね」と言ったら店の女性が嬉しそうに頷いた。

「ありそ亭ってどんな意味?」と相方に聞かれた。「ありそでなさそうないい店だからでしょう」と笑わせた後で、コース名の荒磯に「ありそ」とふり仮名がついていることを教えた。ありそ亭の本店は福井県三国温泉の荒磯(ありそ)亭で、約600年前に中国から伝わった名物裂(めいぶつきれ)の文様の一つ、荒磯緞子(ありそどんす)から名付けられたとのこと。座席にも荒磯緞子のクッションが置かれている。これに合わせて店造りをしたようにも思える。東京に居ることを忘れさせてくれるようないい雰囲気だった。

冬の主役はもちろん越前かにである。ありそ亭で食べるか、福井の荒磯亭本店(旅館)で食べるか。冬が待ち遠しくなった。


ありそ亭
東京都港区南青山5-4-41 グラッセリア青山1F
03-5466-5820
http://www.arisotei.co.jp

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2008年08月01日

[酉十郎](渋谷)

水炊きを安く食べられるお店


スペイン坂近くの渋谷は若者で溢れていた。人混みを見ているうちに、入れる店があるかどうか焦ってきた。5分ほど歩き、「美味しくて、リーズナブルで、大人の店」の条件に合いそうな店を見つけた。名前からして子供が来そうにない店だ。

階段を上がり、店に入って予想以上に閑散としているのに驚いた。意外に広い店内に先客は1組だけ。「今週から会社員は夏休みにはいったのでしょう」と店員はのん気だ。焼き鳥でも食べようと思って入ったが、お奨めは水炊きとのこと。冷房が効いた店内なら熱い鍋も問題ない。

お通し、とりわさ、茶豆

鍋を始める前に鳥皮のお通しだけでは寂しいので、とりわさと茶豆を頼んだ。鳥皮と茶豆はよく冷えていた。冷蔵庫で出番を待っていたようだ。半分食べたところで鳥皮は鍋に入れることに決めた。とりわさも余ったら鍋行きと決めていたが、なかなかいい味だったので食べつくした。

水炊き

大山地鶏を8時間煮込んで作ったというスープは近くの「華善」よりも濃厚に見えた。コラーゲンを鍋に入れると瞬く間にスープに溶け込んだ。スープに京都の黒七味を入れるだけで美味しく飲める。塩味がついているようだ。

具は華善より貧弱だ。華善では女性店員が鶏のつくねを目の前で作ってくれるなど上々のサービスだったが、酉十郎では期待を裏切られた。華善の3分の2の値段では具材の質量と共にサービスが劣っても仕方がないかもしれない。

最後に雑炊用のご飯を貰った。女性店員が水洗いしたご飯と生卵をテーブルに置いて無言で去って行った。こんな時、女性が居たら料理上手をアピールできるチャンスだが、その役目は銀髪に回ってきた。上手に出来て自画自賛だったが、喜ぶべきか悲しむべきか。

勘定をする際に「鍋はいかがでしたか?」と店長らしき男が笑顔で聞いた。「美味しかったよ」と答えたものの、未だに満席には程遠い店内にもかかわらず、手持ち無沙汰そうに立っている店員への不満は飲み込んだ。

送り際に見せた店員たちの笑顔は善人そのもの。華善のようにコンサルタント会社に運営委託すれば、見違えるような店になるに違いない。サービスの何たるかを学べば、笑顔はもっと輝くだろう。客が喜べば、アルバイトだって仕事が楽しくなるに違いない。

酉十郎
東京都渋谷区宇多川町12-7 エメラルドビル2F
03-3464-1016

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2008年07月25日

[七福](渋谷)

渋谷で人気の広島お好み焼き


暑い!陽が落ちても暑い!こんな時は店を選ぶ気力も湧いて来ない。とにかくビールが飲みたいと思ったところにお好み焼きの看板を見つけた。神様はよく分かってらっしゃる。ビールにピッタリじゃないか。

小さな店だ。2人掛けの小さなテーブルに一度は座った。右隣の女性二人とはメニューで壁を作っているだけ。お好み焼きで口を膨らませては、水で腹に流し込んでいる左隣の若い男二人を見ると胸焼けがする。カウンターに移動した。やっぱりここがいい。

広島菜、とんぺい焼き

座るなりビールを頼んだ。そして広島菜と無造作に告げる。いかにも広島通に見えるじゃないか。続けて「広島出身なの?」と目の前の料理人(店主?)にたたみかける。「友達が…」語尾はよく聞こえなかった。大した問題ではない。ビールをグイッとやる方が大事だ。もう一度グイッ!。落ち着いたところでとんぺい焼きが出来るのを見詰める。鉄板とコテが奏でる金属音が楽しい。

餃子、牛すじ煮込み

自家製餃子の調理が最高に面白かった。多分冷凍と思われる餃子を鉄板に並べる。その上に被せられた蓋をちょっと開けて何と氷を放り込む。水が鉄板に広がらない工夫だろう。勢いよく蒸気が上がる。にんにくが効いた男性的な餃子だった。
自慢の牛すじも悪くない。脂身が多いがコラーゲンと言えば女性も喜ぶ。

店はほぼ満席になった。酒のつまみを頼んでいるのは銀髪たちぐらいで、殆どの人はすぐにお好み焼きを食べたいようだ。鉄板上にいくつもお好み焼きのベースができる。中に放り込む具を見ながら銀髪のところに来るお好み焼きを推測する。あれだと決めたものが他のテーブルに行くとがっかりする。海老もいかもチーズも入っていない、豚肉だけのシンプルなものが我々の頼んだものだ。最後に一枚だけ残った。間違いないと思っても目の前に置かれるとホッとする。焦らされるとさすがに美味しい。

残念ながら本場広島の人気店よりは味が落ちる。しかし料理人と助手のコンビネーションが素晴らしくて感激した。一生懸命働く姿は見ていて本当に楽しい。鉄板をきれいにする作業すら絵になる。カウンターに座って必見の技である。

楽しくて安くて良い夕食だった。外の熱気は少し収まり、夜風が気持ちよかった。


七福
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル2F
03-3463-0456

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2008年07月09日

[華善](渋谷)

リーズナブルに食べる華味鳥


渋谷を歩いていたら「華味鳥使用」の看板に目が止まった。銘柄鳥の博多華味鳥を使う水炊き屋は、東京では銀座の直営店「華味鳥」だけだと思っていた。ふらふらと看板につられて店に入った。

元気に、丁寧に、感じよく、若い店員に迎えられた。店内に客はまばらだがほぼ予約で一杯とのこと。何とか席を確保して早速「銀座の華味鳥と関係あるの?」と謎解きに入った。案の定、系列店とのこと。しかしコース料理(6,000円~)を頼まなければならない銀座に比べると、単品でもOKでお手頃値段と嬉しい店である。

お通し

お通しは酢もつなど水炊き料理の定番品。2品で500円とは良心的だ。鍋が来るまでもう一品あれば足りる。

唐揚げハーフ

メニューには銀座華味鳥にはない単品料理がたくさんある。唐揚げは予想と違った形で出てきた。鉄板をテーブルに置くなり店員が鳥を切り分けようとするので慌てて制してパチリ。キャベツの下には卵が潜んでいた。卵に鳥をつけても美味しいが、キャベツと混ぜ合わせて食べるのが子供の頃から大好き。大衆店っぽくていいなー

水炊き

コラーゲンタップリのスープは博多も銀座も渋谷も変わらない。若い女性店員が食べ方を説明してくれる。「最初はスープだけ飲んでください。塩とねぎを入れて…」銀髪の方がよほど流暢に語れるが、我慢我慢。終わるまでちゃんと聞いてあげた。ハイ、よく出来ました!2杯目からは自分で作る。胡椒を入れると格段と飲み易くなる。

今度は正肉、レバー、心臓を、そしてコネコネして挽肉を鍋に入れてくれる。野菜と共に浮かぶのはコラーゲンたっぷりのスープの塊。殆ど溶けたところで混ぜようとしたら、相方に止められた。薄まる前にお腹に入れると言う。女性はコラーゲンと聞くと目の色が変わる。

最後にちゃんぽん麺を食べて大満足。唐揚げが650円、鍋が5,900円(2人前)、これだけで充分だ。華味鳥よりはるかに安く済んだ。店員もこちらの方がきびきびとしてよく働く。日本橋本町、新宿、赤坂にも店があるのでこれからは華善にしようと思った。

店を出たところで店長が追いかけてきて名刺をくれた。後でよく見るとマウントウィナーズ株式会社(http://www.mtwinners.jp)とあり、渋谷と赤坂の統括マネジャーとのこと。どうやらこの会社が運営を任されているようだ。ホテル業界ではよくある方式だが、飲食業も同様なシステムがあるとは知らなかった。店員教育が行き届いているはずだ。

誰がやっていようが気持ちよく食事ができればそれでいい。渋谷の華善には満足した。

博多華善 
東京都渋谷区宇田川町35-4 オークヴィレッジ2F
03-5784-3787
http://www.hanamidori.net/hanazen/index.php

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2008年06月23日

[トゥッカーノ](渋谷)

ブラジル移住100周年にブラジル料理


ブラジルのイメージはサッカーとリオのカーニバルぐらいしかない人が多いだろう。皇太子がブラジルの移住100年の式典に赴き、新聞でブラジル特集が掲載されてもなお、関心を持つ人は少ない。銀髪も似たようなものだが、食べ物には興味が湧く。

ブラジル料理の代名詞みたいになっているシュラスコを以前から食べたいと思っていた。ようやく念願がかなった日の翌日にブラジル移住100周年の記事を見た。何かに導かれたようで不思議な気分になった。ドラマなら都合が良すぎる設定と馬鹿にするところだ。

店は大勢の若者でほぼ一杯だった。彼らは2時間4,000円の食べ放題を選んでいる。飲み放題もつけているかもしれない。我々は90分3,000円と飲み物を頼み、料理を取るために席を立った。シュラスコを乗せてもらうために皿の一部を空けておく。

席に戻るとすぐに大串を持って店員がやってきた。丸ごとの肉をナイフで削り取り皿に乗せる。食べ終わった頃に別の店員がソーセージや内臓肉の串を抱えてくる。シュラスコは牛、豚、鶏、ソーセージなど10種類以上ある。オーストラリア産などの安い輸入肉ではあるが、じっくりと焼かれて思ったよりジューシーで美味い。

食い飽きたところでショーが始まった。若い男たちの目は踊り子の大きな胸に釘付けになっている。女性連れの男の目はさとられないように彷徨っては目標点に向かう。

ショーが終わったら再び店員が大串を持って客の間を歩く。腹一杯なのに食べてしまう不思議。最後にやってきたパイナップルの丸焼きには驚いた。
隣のテーブルの女性3人は2時間コースのようで気合が入っている。「私は太る体質だから」と言うタイプの人たちに見える。デザートの別腹も大きいに違いない。

銀髪の祖父母はハワイに移住し、再び日本の土を踏むことはなかった。学生のとき、ブラジル移民を描いた石川達三の第一回芥川賞受賞作「蒼氓」を読んで、他人事と思えず感銘を受けた。苦心惨憺した祖父母の孫は日本でブラジル料理など食べ歩きにうつつを抜かして居る。

最近のブラジルなど新興国の急成長振りを見ていると、日本の平和ボケが心配になってくる。もちろん銀髪も含めての話だが…

トゥッカーノ
東京都渋谷区道玄坂2-23-12 渋谷フォンティスB1
03-5784-2661


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2008年06月16日

[ヴィロン](渋谷)

とにかくフランスパンが美味しい


「パン屋が経営するフランス料理屋」程度の予備知識を持って行った。渋谷東急百貨店本店の向かいにあるパン屋は思ったより大きく立派だ。
店に並ぶパンやケーキを横目に右隅にある階段を上った。気取った高級フレンチではなさそうで良かった。

ベテランの味わいとフレンドリーな雰囲気を身にまとった店員と何を食べるか相談した。「うちは一皿の量が多いですよ」と言う巨躯を見ると、さもありなんと思える。

バケット・レトロドール

「パンを食べすぎなければ」という条件で3品を頼むのを許してもらった。確かにバケットはいつも食べるフランスパンよりかなり美味しい。忠告を守ってゆっくり食べた。

ホタテとサマートリュフ

秋のトリュフほど香りは強くないが、安価なので厚めのスライスで食べられるのがいい。ホタテやジャガイモとうまく調和している。

自家製スモークサーモン

ノルウェー産の鮭を使った自家製スモークサーモンは生のように色鮮やかだ。

松坂ポーク・4種の料理

メインは店員のお奨めに従って一品を分け合って食べた。松坂牛はあまりにも有名だが、豚もあるとは知らなかった。
料理はどれもフランスの田舎のレストランで食べるような素朴なものばかり。忠告された通り量が多くて田舎料理的である。グラスワインも数種類揃えていてご機嫌だ。

もっとも、どの料理もバケットにはかなわない。デザートも食べずに1階のパン屋に向かった。「遅くなると売り切れますよ」とアドバイスしてくれた店員は2階の売り上げを減らした。バケットを手に入れることが出来てホッとした。

バケット・レトロドールはパリ市主催バケットコンクールで10年間に7回も優勝した名品。ヴィロンではフランスのヴィロン社と独占契約した100%フランス産の小麦粉・レトロドールを使っている。日本で食べることが出来るのは渋谷の本店と丸の内の2店だけとのこと。

買ったバケットをお土産にして友人にあげた。その場でちぎって食べて、あまりに喜ぶのでまた買いに行かなければならなくなってしまった。嬉しいような悲しいような…

ブラッスリー ヴィロン
東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル2F
03-5438-1776


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2008年06月04日

[串亭](代々木)

代々木を忘れてもらっては困る


渋谷→原宿→新宿。料理屋を探すとき何故か代々木は飛ばしてしまう。串亭の住所は渋谷区代々木なのに、新宿代々木店と新宿の名前が入って独り立ちできない。可愛そうな代々木さんだ。

代々木駅を降りて西にしばらく歩くと左手に串亭が見える。カウンターは余裕ある席の配置で心地よい。代々木の立地のなせるわざか。女性も好みそうなきれいな店だ。奥にグループ向けのテーブル席がある。接客係の男性店員の応対が素晴らしい。オーナーではないかと勘違いするほどだった。

お通し(野菜スティック、まめあじ煮こごり)

他の串揚げ屋と同様に、順番に揚げてもらってお腹が一杯になったところでストップする。最初のアスパラの大きさにびっくりした。お通しとアスパラでかなりお腹が膨らむ。

アスパラ

嫌いなものと特に食べたい物はスタート前に申告する。嫌いなものはないので、食べたいものフォアグラ、蓮根肉詰、稚鮎を指定した。フォアグラと稚鮎は280円の高級品。カレー味の蓮根肉詰は安い230円。串揚げの値段は原則2種類。

フォアグラ、蓮根肉詰、稚鮎

フォアグラのフライは初めて食べた。ソテーが一番なのは変わりないが、これも悪くない。稚鮎のフライも初めて。腹の苦味は天ぷらや塩焼きと変わらない。

ほたて、えびしそ、きす、子持ち(ししゃも)こんにゃく、いか、ささにら(鶏ササミとにら)、さわら大根
2串ずつ、食べ終わる頃合をみはからって出て来るので、思った以上に食べた。新宿の立吉や串の坊ほど種類は多くないが、どうせ全種類食べられるわけではないので適当だ。
串揚げ以外のメニューもそこそこあるし、女性好みの飲み物も充実している。

「串の房より上だよ!」と言うと、店員も料理人も嬉しそうだった。女性には間違いなく串亭の方が落ち着くだろう。

実は一番気に入ったのは野菜スティックに付いて来た肉味噌。日本酒によく合う。お通しがいい店は悪くない、というのも銀髪が店を評価する重要なポイントである。
代々木も捨てたものではない。

串亭 新宿代々木店
東京都渋谷区代々木1-53-4 田尻ビル1F
03-5304-8723

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2008年05月26日

[レガート](渋谷)

楽しい多国籍料理


ガラス張りのエレベーターが動き始め、東京タワーを正面に見事な夜景が浮き上がってくる。店に入ると同じ夜景が見える右側のテーブル席を数組のカップルが占拠している。
入り口で待っていると店員がやってきて「お名前を伺っていいですか?」と言う。正面のスタンディングバーに多くの外国人が飲んでいるのが目に入る。本名を告げたものの「ジョンとかトムと言った方が良かったかな?」と笑いを誘った。

案内されたのは左側の広々としたダイニングルーム。席に向かうオープンキッチン沿いの通路を歩くと、料理人たちが「いらっしゃいませ!」と大きく声をかける。席に着くとすかさず「〇〇様」と始まった。なるほど、このために名前を聞いたわけだ。「トムの方がいいな」と女性店員に言うと、「それじゃ、私もマリーにしましょうか」と明るく乗りがいい。


前菜に選んだのは“富山県産白海老と春野菜のセモリナ粉フリット、自家製ハーブ塩を添えて”と“鹿児島県産鰹のサラダ仕立て、ペドロヒメネス種の10年熟成シェリーヴィネグレットで”の2品。多国籍料理と言うので気取らず和食風の料理でスタートすることにした。フォーク、ナイフ、スプーンと並んで箸もセットしてある。 

メインは“瞬間燻製した銀鱈の炙り焼き、梅肉を入れた中華粥とオシェトラキャビアを添えて” “イベリコ豚のグリル、豆豉醤のソースと花山椒の香り”の2品。「分けてお持ちしましょうか?」と良く分かっている。

銀鱈やイベリコ豚もいいけれど、中華粥と豆豉醤のソースがとても美味しい。多国籍料理というよりも、和洋中が上手に調和した料理と言った方が適切だ。メインの素材そのものよりも添え物やソースが印象的だった。

「マリーちゃん、マリーちゃん」と呼んでは、白、赤のグラスワインを4種類飲んだ。料理を運んでくれた男性店員もフレンドリーでいい。テーブルのローソクだけの灯りでは料理が写せないと心配したが、フラッシュ撮影も笑顔で即承認。最初に感じたよりも、ずっと気楽な雰囲気で有難かった。

なかなかの店だと思ったら、タブローズ、カフェ ラ・ボエム、ゼスト、モンスーンカフェ、権八などを抱えるグローバルダイニングの経営だと後で知った。レガードは大手のノウハウを良く活かしている。店長個人の力もあるのだろう。

席を立ち「マリーちゃん、またね!」と手を振った。エレベーターホールまでは店長が見送ってくれた。
なかなかいい店だ。


レガート
東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー15
03-5784-2121
http://www.legato-tokyo.jp/jp/shibuya

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2008年05月21日

[ゆるり屋](渋谷)

27種類もの鍋がある店


鍋専門店の文字に吸い寄せられた。鍋を売りものにする店は多いがせいぜい4~5種類。塩、味噌、醤油、キムチなど味が変わるだけ、または味は一緒で具材が変わるだけの店が多い。
ゆるり屋はそんな常識を超えていた。メニューを開いて驚いた。

添え書きと共に半分ほど読み進んだところで嫌になった。店員を呼んだら若くて美人に属する女性がやってきた。高めだけども、一番最初に書かれた2,800円のつみれ鍋を奨められたら従うことを内心決めた。ところが奨めてくれたのは1,800円と2,300円のちりとり鍋。何と商売っ気がないのだろう。見栄を張って高い方を頼んだ。美女には弱い。

ゆるり屋のサラダ、じゃこねぎ豆腐

鍋が煮える前にすぐ出て来る2品。健康に気遣って野菜中心にした。安くてなかなか美味しい。

豚ばらのちりとり鍋

何故ちりとりなのか疑問に思ったが、鍋の形状を見て分かった。土鍋ではない鉄板鍋はまるで塵取りのようだ。大阪市生野区の万才橋にあるホルモン焼きの店が発祥の地で、ちりとり鍋はそれなりに知られている鍋とのこと。味噌ベースがお約束である。
たっぷり乗った唐辛子に怯えてはいけない。これだけあっても殆ど辛くない。

ちゃんぽん

最後にちゃんぽんを食べた。これが美味しい。

ゆるり屋は全国に300店以上展開するレストラングループ・際コーポレーションに属するだけあって、非常に居心地がいい店作りをしている。鍋以外の料理や酒も充実している。

店内には若者のカップルが多いが、熟年世代にもアピールすべきだ。鍋は多種の材料がいるので、子供が自立して2人だけになった家庭ではやり辛い。中高年夫婦二人向き合って鍋をつつくのはいかがだろうか。意外と話が弾むかもしれない。

「夫婦円満の秘訣はできるだけ一緒にいないことだ。向き合って食事なんてとんでもない!」という人の意見はもっともだと思わないではないけれど…


ゆるり屋
東京都渋谷区円山町5-18道玄坂スクエアビル2F
03-6415-1596 
http://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/l2-a3-ak19_a100331.html

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2008年05月14日

[Suginoko(すぎのこ)](表参道)

お奨め料理を素直に食べましょう


表参道の喧騒を逃れ、地下の店に足を踏み入れると隠れ家的で静かな雰囲気に呑みこまれた。場所といい、店の造りといい、客がまばらなのが不思議なくらいだけれど、週末には一杯になるとのこと。

名物料理は鹿児島産黒豚しゃぶしゃぶを蕎麦だし仕立てのつゆで食べるものらしい。冬だったら間違いなく頼むところだが、今回は別のものを頼むことにした。

お通し、松風つくね

何となくハンバーグを食べたかったので思わずつくねを頼んでしまった。ちょっと変わっていてそれなりに満足した。

海鮮生春巻、新じゃがチーズ

一等地にあり、地下とはいえゆったりした店内にしては、料理の値段は殆ど3桁と若者にも優しい値段設定である。野菜は無農薬にこだわると謳うので女性にも人気のはず。
果実酒の品揃えがいいのも女性向き。ワイン、焼酎も充実している。日本酒党には冷淡に見えるのは、ターゲットが若い女性だからかもしれない。

大山地鶏塩焼き、じゃこねぎオムレツ

黒豚しゃぶしゃぶ以外の名物はじゃこねぎオムレツ。さあ食べるぞ!と思ったところで気がついた。付け合せが毎回同じ水菜中心のサラダに同じドレッシングがかかっている。
つくねとオムレツのソースは多分同じもの。海鮮春巻も同系統のソースである。

しゃぶしゃぶのと併せて数品頼む料理の類かもしれないが、野菜を自慢という割には芸がなさ過ぎる。味が似たようになるのなら、オーダーを受けるときに説明があっても良さそうだ。

いい感じの店なのにもったいない。看板料理を避けたのが間違いだったと反省しきりの銀髪であった。


Suginoko(すぎのこ) 表参道店
東京都渋谷区神宮前5-1-3 丸喜ビルB1
03-3486-0160

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2008年05月09日

[ガシラ](渋谷)

魚の美味しい居酒屋


渋谷の裏通りを歩く。いい雰囲気のカウンター割烹を見つけたが、店内を覗くとちょっと敷居が高そうなのでやり過ごす。再びいい感じの店を見つけた。店内は見えないが威圧感がないので入ることにした。

思ったとおり店内も店員も雰囲気がいい。しかし先客は入ってすぐのカウンターに2人のみ。ちょっとひるんだが、気を取り直してメニューを開いた。

お通し、刺身6点盛り

お通しは蛤のだしで作った若竹煮。悪くない。刺身は1人前800円の6点盛りを分け合って食べられるように人数分頼んだ。少しずつ味見するのにちょうどいい。

豚角煮、白子カツ

鱈の白子は茹でるか天ぷらで食べることが多く、カツは珍しい。いかにも若者向けの店らしい料理だが、中年が食べても充分美味しい。

酒のメニューを開いて感心した。日本酒が16種類もあり、10種類が純米酒でそれ以外も吟醸酒だ。価格も650円~950円と良心的。日本酒は取り扱いが難しいので焼酎に逃げる大衆店が多いのになかなか立派。入り口近くに日本酒用の大型冷蔵庫がある。
日本酒を持って来た店員に、日本酒の品揃えを褒めたら「へー、そうなんですか?」と頼りない。アルバイトには店のこだわりは分からないようだ。

すっぱコリコリ、太刀魚の塩焼き

日本酒が美味しいので珍味を頼んだ。サメの軟骨のようだ。本日のお奨めメニューを開いたら焼き魚が8種類あった。料理人のいる魚屋というだけある。
そうそう、本日のメニューにも純米酒が2種類書いてあった。毎日書き換えられる当日のメニューが立派なこと、日本酒の品揃えがいいとなると、店の評価はグンと上がる。

店を出るときにはカウンターは一杯になっていた。二人用の椅子しかないカウンターはカップルには最高、男同士では居づらい。男同士やグループには別の部屋がある。

帰って調べたら、ガシラは行きたい店にリストアップしていた店の一つだった。ブラブラ歩いて店を探すにしても、いい嗅覚をしていると自画自賛した銀髪である。

料理人のいる魚屋 ガシラ
東京都渋谷区道玄坂1-19-5
03-3477-1515

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2008年04月30日

[炙屋 風土](南青山)

外国人が好きそうな店


南青山周辺には評判がいい店が多い。予約なしでもどこかに入れるだろうとぶらついた。1軒目の焼き鳥屋は満席で断られた。2軒目が正(GOKAKU)に行った時、外国人が並んでいたので気になっていた店「風土」。扉を開けてしまったと思った。調理場を囲むようにカウンターがあり、薄暗くて雰囲気が良すぎる。フラッシュを焚かなければ写真が撮れないが、それは不可能に思えた。

ほぼ満席なので出ようかと迷っていたら、2階にどうぞ言われ逃げられなくなった。幸い、2階はテーブル席しかなく、そこそこの光源があるのでホッとした。

お通し、レバー刺し

この種の店の定番、キャベツのお通しはごま油風味のタレにつけるところが変わっている。レバー刺しは感動もの。コリコリしており、噛むと音がする。相方は変だと言うが、新鮮さの証だろう。肉は期待できそうだ。

黒はんぺん、ごぼうチヂミ

静岡名物とはちょっと違う黒はんぺん。炭火で焼くと香ばしい。評価が高かったのがチヂミ。お好み焼きというより天ぷらに近いかもしれない。粉が少なくヘルシー志向の人に受けそうだ。

牛タン葱焼き、六白黒豚ロース肉天然塩焼き

牛タンが美味しいのは当たり前だが、豚もいい。最近の豚肉は本当に美味しくなった。

みやざき地頭鶏天然塩焼き

焼肉屋では豚や鶏は牛肉の脇役的存在だが、この店ではどれもしっかり存在を主張している。

ホームページを見たら、イギリスの日刊紙「The guardian(ガーディアン)」2月26日号で東京の居酒屋トップ3に上げられたそうだ。外国人が並んでいた理由が分かった。
ミシュランに限らず、外国人の評価をありがたがるつもりは毛頭ないけれど、悪くない店ではある。外国人記者が気に入ったのは我々が食べた2階ではなく1階のカウンターだろう。2階は雰囲気がかなり劣ると思った方がいい。但し、1階で写真撮影が許されるかどうかは定かではない。


炙屋 風土 青山店
東京都港区南青山3-12-4
03-5770-5039
http://www.wid.co.jp

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2008年04月23日

[祢保希 渋谷店](渋谷)

友遠方より来る


大学時代の友人たちと久し振りに飲むことになった。仙台に単身赴任している友人の予定に合わせたので、こちらに選択権はない。緊急・重要な仕事が入らないように願いながら2週間を過ごした。6時15分に祢保希の個室に入ったら4人分がセットされていた。

5分後に幹事が到着したので生ビールを頼んだ。二人で時間をかけて飲んでいる間に何度か携帯電話が鳴った。仙台からの友人が久々の渋谷を迷ってうろうろしているようだ。

煮こごり、どろめ

7時を過ぎてようやく3人で乾杯をすることができた。幹事が前もって頼んでいた料理が運ばれる。祢保希は赤坂店に行ったことがあるので料理はだいたい分かる。どろめとは鰯の稚魚(しらす)のこと。

鰹のたたき、焼き魚の緑豆乗せ

ビールに飽きて冷酒にした。空席に料理が溜まっている。「あいつ、本当に来るの?」と聞かれて幹事が顔を曇らせた時に、「急に仕事が入っちゃって…」と言いながら最後の一人がやってきた。今日三度目の乾杯をする。

桜鯛しゃぶしゃぶ、鯛皮焼きの茶漬け

冬場であれば祢保希ではクエを食べたいが残念ながらシーズンは終わった。今は桜鯛しゃぶしゃぶが人気のようだ。炙った骨でだしを取り、思ったより厚い薄切りの鯛をしゃぶしゃぶする。個々に鯛が乗った皿があてがわれるので、遠慮することも欲張ることもできないのがいい。

話し役、聞き役、なだめ役。何十年経ってもそれぞれの役回りは変わらない。子供の話、仕事の話はめっきり少なくなり、代わりに年老いた親の話が増えた。今日来なかった友人たちの話がもっとも安心できる話題だ。

大学を出て、みんなが初めて結婚する頃を最後に音信不通になった友が何人か居る。気楽に集まるのは誰かの2度目の結婚を祝った連中ばかりだ。
旧交を温めるつもりの会で言い合いになって疎遠になってしまった仲間もいる。あれから20年以上が経つ。水に流したいと思うのは向こうも同じかもしれない。次は必ず引っ張り出そう。

成功している幹事役の友人が勘定を払おうとしたので皆で制した。馬鹿をやった昔を語れる仲間だから集まってくる。あの頃のように、今も割り勘が気持ちがいい。

土佐料理 祢保希
東京都渋谷区渋谷2-17-5 シオノギ渋谷ビル
03-3407-9640
http://www.katsuo.co.jp/

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2008年04月15日

[兄夫(ヒョンブ)渋谷店](渋谷)

日韓芸能人もよく来るお店


渋谷をぶらついていたら韓国料理屋「兄夫」の看板を見つけた。赤坂の「兄夫食堂」に行ったのは約1年半前のこと。渋谷にもあるとは知らなかった。安くて美味いのは赤坂店で経験済み。何の迷いもなく入ることに決めた。

7時を過ぎていたが幸い店は空いていた。壁には日韓芸能人の色紙がたくさん貼られている。草薙剛の色紙は目立つ位置にあったのですぐ見つけた。個室がたくさんある赤坂店と違って渋谷店はとても狭いので、芸能人が来たら目だって仕方がないだろう。貸切りで来たに違いないと勝手に解釈した。

1年半前に比べると韓国家庭料理の知識も豊富になった。兄夫は量が多いのも分かっているので控えめに頼んだ。

お通し

「お通しです」と出てきた皿が3つ。料金をチェックしなかったので分からないが、おそらくタダか少額。韓国ならもっとたくさん皿が出てくるが、日本では珍しい。タップリのキムチがとても美味しくて、これだけでいくらでも酒が飲めそうだ。韓国人も多く来店するのにキムチでお金を取ったら怒られるだろう。

ガムジャジョン、チャプチェ

すり下ろしたじゃがいもで作ったチヂミと韓国春雨の炒め物。どれも美味しい。

コップチャン鍋(韓国風もつ鍋)

辛そうに見えるが、韓国唐辛子は痺れるほどに辛くはなく、甘味があるので食べやすい。1.5人前と言うが、2人で食べ尽くすには骨が折れた。
途中で残ったガムジャジョン、チャプチェを鍋に放り込んだ。

これで足りなければうどんやラーメンを加えれば、動けなくなるほどお腹は一杯になるだろう。メタボが気になるので我々中年おじさんは自重した。

ビール、マッコリを飲んで一人3,000円程度。老若男女、誰もが満足できるお店である。

兄夫(ヒョンブ)渋谷店
東京都渋谷区道玄坂2-15-1
03-5728-7097
http://www.hyungboo.com/branches/view/3

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2008年04月11日

[フジママス](神宮前)

外国人がいっぱい


フジママスのホームページを見て目を疑った。「ご予約はご希望日の一週間前までにお願いいたします」と書いてある。当日予約は断られるかと恐る恐る電話したら、あっさり受け付けられた。店に着いたら予約も不要だったことが分かった。我々は1階席中央に案内された。

外国人グループが2組、日本人カップルが1組、それに我々しかいない。ほぼ客と同数の外国人店員の中から一人がやってきた。中国系の顔をした彼に、英語で話しかけたがうまく通じない。他の店員もネイティブのイングリッシュ・スピーカーではないようだ。結局共通語は日本語だった。

牡蠣フライ、豆乳スープ

高めの値段設定のメニューを見て量の多さを懸念したが、さっきの店員は3品では足りないと言った。仕方なく4品頼んだ。懸念したとおり、一皿の量が多い。
洋風の不可思議な野菜タップリ豆乳スープは美味しかったけれど半分残した。後の料理が食べられなくなる。

青梗菜と野菜のピリ辛炒め、ラムチョップ

オーナーシェフもマレーシア人の料理長も世界中の有名店で修行したそうで、味もプレゼンテーションも悪くない。席の間隔も広くて、ゆったりとしていい。それなのに何故か落ち着かない。
ワインを頼んだつもりが生ビールのおかわりがやってきた。客が少ない割りに料理が出てくるのも遅い。後から入って来た外国人女性二人連れがフラッシュを焚きまくって楽し気である。
開放感と粗さは紙一重で、リゾート地なら快適と思える雰囲気を楽しめるかどうかは客次第である。

日が長くなり、オープンカフェが活きてくる頃には、原宿、表参道を愛する若者や外国人たちが店に溢れるようになり、1週間前の予約が必要かもしれない。

今度は子供たちでも連れてこようかな。いや、ついてきてくださいとお願いしよう。ウーン、断られそうで誘うのが怖い。女房? ウーン…


フジママス
東京都渋谷区神宮前6-3-2
03-5485-2262
http://www.fujimamas.com/index-j.html

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