2009年11月30日
[どぶろく 一心]②(三軒茶屋)
温もり

「お久し振りです」と言いながら入っていくと、主人も女将も怪訝そうな顔をする。「銀髪です」と続けると、「オゥ!」と反応して笑顔になった。喜んでくれたのも束の間で、「イヤー、今日はブリもコウバコ(雌ズワイガニ)も入ってないんですよ」と顔を曇らせる。忙しく表情をコロコロ変える。その様子をカウンターの常連さん2人が見詰めている。

日本海から鮮魚を取り寄せているだけに、思惑が外れることもある。富山名物のバイ貝、かぶら寿司、福井県大野のブランド里芋。お通しを見て今日は一心の名物料理に専念することにした。飲むのもやはり名物の南部どぶろく。石鳥谷の蔵元に特注した純米限定酒である。
女将さんが先客の2人に話しかけた。「こちらの方は食べ物屋のブログを書いてらっしゃるんですよ」と銀髪を紹介してくれる。一人で来た銀髪を気遣ってくれたのだ。「ヤフーで[銀髪 一心]と入力すれば、ウチのことが出てきますよ」と主人がフォローする。銀髪グルメ紀行は1500回を超えた。銀髪も自分の書いた店を探すのにヤフーやグーグルを使う。[銀髪 寿司 銀座]などと入れて店名を思い出すことがしばしばある。

たらこを炒って刺身に和えた真鱈の子付け。金沢の郷土料理らしいが、初めて食べた。新たにカップルが入って来た。こちらも常連さんみたいだ。カウンターの常連さん2人は自分たちの天ぷらが後回しにされても優しく寛容である。おまけに銀髪の相手までしてくれる。料理談義に花が咲く。

南部どぶろくと並ぶ一心名物の酒は岩魚の骨酒。注ぎ酒をしようか迷ったが飲み過ぎを懸念して身を食べることにした。旨味を出し切らなかったお陰で意外といける。

残った日本酒を飲み干す肴を思案していると珍味3品、福井名物の鯖のへしこ、能登の河豚の卵巣糠漬け、日本一固いと言われる五箇山豆腐の燻製を少しずつ盛ってくれた。
前回来た時に相手をしてくれたお姉さんが一人で入って来た。銀髪を覚えているようだ。今回相手をしてくれた2人が帰り支度を始めた。時計を見ると銀髪が来てから既に3時間が過ぎていた。
前回来たときには主人に感心したけれど、一人で来た今回は奥さんの心遣いに感激した。もちろんそれに応じてくれた常連さんにも感謝。北陸名産の料理尽くしも面白かったが、一心名物が温かさと知った一夜であった。
ふるさと割烹 どぶろく一心
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10
03-3418-3155
http://www.doburoku.info
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2009年10月18日
[吉法師](祖師ヶ谷大蔵)
裕次郎の愛したカレー

土曜日の夕方、ぶらりと店に入った。扉を開けると長いカウンター席、奥にテーブル席があり意外と広い。6時を20分ほど回っているが、我々が一番乗りだった。メニューをざっと見てすぐに「裕次郎の愛したカレー」が目に止まった。
祖師ヶ谷大蔵には東宝やメディアシティなどの撮影所がある。駅を囲む商店街は円谷プロダクションがあったことから、ウルトラマン商店街と名付けて盛り上がろうとしている。調布の石原プロも近い。しかし、店は5年前の開店らしく、20年以上も前に亡くなった裕次郎との接点は見つけられない。
栃尾の油揚げ、湯葉とアボガドサラダ、黒梅貝、鯛のあら煮などを食べた。グルメ紀行に書くまでもないと思って写真を撮らなかったが料理は馬鹿にしたものでもない。煮付けは水気が少ないお袋の料理に似ている。書けば良かったかなと思ったところで閃いた。カレーがあるじゃないか。

和食の店で〆にカレーを食べることは滅多にない。カレーは意外なものだった。オーナーが新宿の店でアルバイトをしていたときに裕次郎が来て出したものらしい。何度かアドバイスを受けて完成したものは五穀米と野菜だけのヘルシーなカレーだ。闘病を続けた裕次郎らしい。

爪楊枝を使おうとしたらプラスチックのようで安っぽい。銀髪の目線を追ってパートナー殿が「とうもろこしね」と呟く。料理人に確かめるとご名答。箸といい、爪楊枝といい、なかなか立派な店だ。祖師ヶ谷大蔵や成城の住人たちに宣伝したくなった。
裕次郎カレーは六本木の「吉法師かわい」でも食べられるようだ。それにしても裕次郎が亡くなったのが52歳というのには驚く。銀髪は先週54歳になってしまった。天地がひっくり返っても「銀髪が愛した〇〇」と呼ばれる料理が死後に残ることはないだろう。
銀髪グルメ紀行がどこかで誰かの役に立っている。自己満足だけで充分だ。
吉法師 成城店
東京都世田谷区祖師谷3-27-3
03-5429-2688
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2009年09月16日
[串揚げ宇吉](下北沢)
低料金で食って、飲んで

「なるほど…」客単価が2,500円と聞いていたが、メニューを見て納得した。串揚げは殆どが100~120円。揚げ物で、ボリュームがあればそうたくさんは食べられない。串揚げ屋定番のキャベツとソースが各人の前に並んだ。


ストップするまで揚げる方式ではなく、自分で食べたい物を選ぶ。3種6本を頼んだら、きれいに皿に盛られて出てきた。揚げ立てを食べるために、次から1本ずつオーダーすることにした。

何とか売り上げに貢献してあげたくて蟹キス巻を頼んだ。「もっと高いものを作ればいいのに」と銀座の高級串揚げ屋の「六覺燈」や渋谷の洋風串揚げ屋の「GDF」の話をしてあげる。アドバイスに熱心な銀髪に対して料理人はただ感心しているだけ。下北沢の客層に合わせて、あくまで安さを前面に出す戦略らしい。


野菜で一番高いアスパラの肉巻を頼んだ。立派なアスパラにもかかわらず、これで150円。店が維持できるか心配になってしまう。「専門店ならではの変わった串揚げだったらアイデア料の20円~50円を上乗せできるよ!」と知恵をつけようとするが、良心的な店主を説き伏せるのは難しい。
テーブル席には炒め物や焼き魚を頼んだグループが盛り上がっている。そんな客のためには串揚げ以外のメニューも必要なようだ。それにしたって500円を超える料理は殆どない。ファミリーですべてまかなうならいいが、他人を使っての商売は大変だろう。年中無休、日~木・祝日は17時~24時まで、金・土・祝前日は朝5時までの営業。料理屋の経営は思ったよりも厳しい。
まだオープンして間もない。日々の営業も大事だが、若い店員たちは繁昌店の研究をしっかりやったらいい。1年もすれば見違えるような店になるだろう。「下北沢に行ったら宇吉に行かなきゃ!」と言われるように頑張って欲しいものだ。
串揚げ宇吉
東京都世田谷区北沢2-33-10 DSビル101
03-6407-3055
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2009年09月04日
[安居](下北沢)
和魂洋才

和洋折衷というとごちゃ混ぜのいかがわしい響があるので、当たらずとも遠からずで「和魂洋才の店」とでも言わせてもらおうか。日本人は外国の文化を取り入れるのが上手だ。特に食の世界ではそれが顕著で、料理人のアイデアに感服させられることが度々ある。
安居は下北沢で屈指の人気店らしい。若者の街・下北沢のイメージよりちょっと大人の雰囲気がある。予約なしで飛び込んだが運良く席が空いていた。2人で行ったのに4人席に導いてくれた。後から来る客を当てにして目の前の客をおろそかにする店が多い。安居の姿勢は料理にも反映されるに違いない。
お通し、お刺身5点盛り

いなだ、ひらめ、つぶ貝、ほたて、炙りさんま、北海道北見市西村商店より直送と胸を張るだけのことはある。炙りさんまのために添えられた肝醤油は、苦味が効いて大人の味だ。
ゆず入りざる豆腐、自家製炙りチャーシュー

安居は下北沢で最初に手作り豆腐を出した店とのこと。ヒマラヤ岩塩で食べるのは驚かないが、オリーブオイルは意外だった。
山形の蔵元から直送している日本酒など、酒にもこだわりが感じられる。もっとも、この冬一番の自信作という炙りチャーシューはホッピーでがつがつ食べた方が合うかもしれない。
豆乳のカニクリームコロッケ アメリカンソース添え

安居で一番人気というカニクリームコロッケ。豆乳を使っているものは最近では珍しくなくなってきたが、フランス料理定番のアメリカンソースとは面白い。残ったソースをフランスパンにつけて食べる。いいアイデアだ。一品得した気分になる。これはワインが欲しいところだ。
思ったより空いていると思った店内も、9時近くになって一杯になってきた。深夜1時までやっているのはやはり下北沢らしい。居酒屋といっても洋風の創作料理は女性たちにもうけるだろう。保守的なおじさんたちは「ポテトコロッケじゃないと邪道だ」「トンカツソースの方がいい」と言うかもしれない。食い物ぐらいちょっと冒険したらいい。楽しみはもっと広がるはずだ。
安居(あんご)
東京都世田谷区北沢2-11-2 パティオ下北沢2階
02-5430-6220
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2009年08月25日
[どぶろく一心](三軒茶屋)
田舎に行ったみたいな寛ぎの割烹

三軒茶屋にある料理屋を検索していてどぶろく一心にぶつかった。それまでたくさんリストアップしたけれど、手作り感のある素朴なホームページを見た途端ここに決めた。18時開店だが朝9時から予約を受け付けている。電話に出た主人の声は、想像したとおり気取りのない人柄を表していた。
「面白いホームページですね。あれは大将が毎日更新してるんですか?」席につくなり言葉を投げたら、上手に返ってきた。キャッチボールは実にスムーズである。今日も楽しく飲み食いできそうだ。
お通し(バイ貝、巻鰤、加賀太いきゅうり)

「寒鰤の間違いだと思ったよ!」銀髪の減らず口は続く。鰤を藁と縄で巻いた保存食で、巻きぶりと言う。能登の名物らしい。これを食べると日本酒を頼まないではいられなくなる。
七尾産岩牡蠣、越中庄川の若鮎

主人の横井さんは世界遺産菅沼合掌造り集落で有名な五箇山の出身。それだけに北陸地方の素材がたくさん食べられる店である。その日何があるかはホームページを見れば分かる。60歳を超えるにもかかわらず、横井さんが自分で更新しているというから大したものである。
のどぐろ一夜干し、鱧白焼き

小振りだが脂の乗ったのどぐろだった。一夜干しは本当に美味い。一心では馬肉、鯨、沖縄のやんばる島豚、うつぼなど北陸地方以外の素材もたくさんある。銀髪が目をつけたのが淡路産の鱧。シンプルに塩焼きと、横井さんが奨める天ぷらの2種類の料理を作ってもらった。パリッとした白焼きとふっくらとした天ぷら。味や食感が変わって面白い。
鱧天ぷら、3色魚そーめん

〆は京都の魚そーめん。適度に飲んで食べて満足した。料理もさることながら、横井さんと奥さん、二人の常連さん、我々二人の合計6人。ワイワイ、ガヤガヤ、冗談の投げ合いで滅茶苦茶楽しかった。笑いに紛れて図々しくも横井さんの経歴を聞いた。大学を出て料理屋で修業、料理人として数年過ごし、その後大手ハイテク企業の社員になって定年まで勤め、それから一心を開いたとのこと。自分でホームページを更新できる謎が解明できた。
日本全国の料理が食べられる大人の割烹・居酒屋。初めての人でも主人夫婦や常連さんが温かく迎えてくれるいい店である。
ふるさと割烹 どぶろく一心
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10
03-3418-3155
http://www.doburoku.info
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2009年07月26日
[コルカタ]③(世田谷区砧)
商売繁盛、頑張るインド人

「カメラ持って行かなくていいの?」と言われ「2回も書いてるからなー」と答えたものの、念のためポケットに入れた。そんなに店は変わっていないと思ったのだが…
遠くから光り輝く看板が見えた。「アレッ、あんなのあったかな?」ドアを開けると、いつものようにシェイクさんが満面の笑みで迎えてくれた。店内の飾り付けが変わったようだ。メニューも新しくなっている。カメラを持ってきて良かった。
マサラパパド、サラダ、サモサ

最初からワインを飲むことにした。下の娘も成人したのでワインの1本ぐらいは軽いもんだ。サモサも人数分頼んで食事は順調に進む。
タンドーリチキン、シークケバブ

1回目の記事(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2007/12/post_757.html)と2回目(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2008/11/_kolkata.html)を見比べると、普通の皿から鉄板に変わっている。コルカタが順調に進歩していることが分かる。
ビリヤーニ

新しい料理の目玉はインド風のチャーハン。単なるサフランライスかと思ったら、中からカレーらしきものが覗いている。ライスをどけると中にカレーが挟んであった。とろみがあって日本風のカレーに似ている。他のインド料理屋でもあまりお目にかからない逸品である。
卵のカレー、海老とほうれん草のカレー

カレーも種類が増えた。卵のカレーは白身が存在感を出している。ほうれん草のカレーはマトンが定番だが、海老好きの日本人には受けそうだ。特に我がパートナー殿が喜んだ。
外の看板や新しいメニューは4月から導入したとのこと。大好きな店が順調に成長しているのを見るのはとても嬉しい。現在2号店の候補地を探しているそうだ。
後日「祖師ヶ谷大蔵の駅前でシェイクさんに会ったよ」と娘が教えてくれた。店から随分と離れた駅でビラを配っていたらしい。「郵便受けにビラが入ってたわよ」とパートナー殿が付け加える。まったく大したものだ。年中無休で頑張っているシェイクさんだから、不況なんか関係ないだろう。まったく大したものだ。
KOLKATA
東京都世田谷区砧3-2-7 第2大蔵ビル1F
03-3415-9786
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2009年07月03日
[クルン・サイアム](三軒茶屋)
男も好きになるタイ料理

「何でもいいか?」と言うと「ハイッ!いいです」と部下が答えるので店を予約した。ちょっと心配になって「エスニックは大丈夫か?」と聞くと、「チリ料理ですよね」とトンチンカンなことを言う。「タイ料理だよ!」と言うと顔色が変わった。「パクチーがダメなんですよ!」と訴えるがもはや聞く耳を持たない。何でもいいと言ったじゃないか。
彼の奥さんも誘った。エスニックは2人より3人の方が楽しい。彼女もパクチーが苦手と言うので店員にはパクチー抜きにしてもらった。パクチーが入らない料理もたくさんある。パクチーだけでタイ料理すべてを毛嫌いすることはない。
トード・マン・プラー(さつまあげ)、トムヤンクン

若者が喜ぶような店の造りでちょっと戸惑う。薄暗い店内でメニューを見るのは老眼には辛いので、思いつくまま代表的な料理の名をあげた。店員はすぐに理解してメモをとる。タイ料理未経験の二人にとっては道先案内人と言ったところだ。
ソム・タム(青パパイアのサラダ)、ガイ・ヤーン(鶏肉のスパイシー焼き)

さつまあげは各店特徴があって面白い。世界三大スープのトムヤンクンや辛い青パパイアのサラダなど期待通りの味だった。初体験の二人も恐怖感が消え、喜んで食べている。お店の看板料理とのことでガイ・ヤーンを追加した。
スッキーヘン(春雨の炒め物)、ガイ・パット・バイ・ガパオ・ラート・カオ(鶏挽肉のホーリー・バジル炒め)

「自分もオーダーしたかった」と言われるのは癪なので、部下にも一つ選ばせてあげた。春雨の炒め物は銀髪の頭の中になかった料理だったが悪くない。
最後は目玉焼きが乗っかったご飯物。鶏挽肉の味付けが絶妙で、タイで人気ナンバー1の料理だというのも頷ける。しっかりまぜまぜして食べたら本当に美味い。部下が何度もおかわりする。食べ終わった部下の皿を見たらご飯一粒も残っていなかった。
「タイ料理って、美味いですねー」と感激する部下を見て、奥さんがとても嬉しそうにする。男は食い物に対して保守的である。レパートリーが広がらない家庭に一石を投じることが出来て、とても満足な銀髪だった。
クルン・サイアム
東京都世田谷区太子堂4-27-11
03-5486-2023
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2009年04月12日
[魚店きなり(いおだなきなり)](祖師ヶ谷大蔵)
住宅街のナンバーワン居酒屋

「貝好きのKちゃんを連れてきたら大喜びするね」数ヶ月前来たときに自分が言った台詞をすっかり忘れていた。誕生祝をする場所を居酒屋にすると言われて驚いたが、少しずつ思い出してきた。「あー、あそこはいいね!」と言って、怪訝そうな視線を払いのけた。
いつもは勝手にオーダーする銀髪だが、今日は主役に任せることにした。出てくる料理を素直に食べる。メニューも見てないので料理名は覚えていない。
ふかひれ梅なんこつ、刺身(初鰹、たこ)

蓮根もち、くるみ湯葉、貝5点盛り

たこ唐揚げ、鮟肝、鰯刺し身

他の連中のオーダーが途絶えたところでようやく銀髪の出番だ。カレイの唐揚げは頭と骨が食べたい。身は他の人にあげる。ほたるいかの生食は珍しい。ほんの僅かだが寄生虫がいることがあるので、スーパーなどではボイルして売っている。経堂の老舗魚屋が展開する魚真出身の店主だからこそ、生ほたるいかにも自信があるのだろう。
カレイの唐揚げ、ほたるいか、

じゃこぬた、鰻の肝焼き、柚子シャーベット

前回来た時は平日だったから予約なしで入れたが、土日は混雑する。家族連れや若いカップル老若男女、近隣の住民が集まってくる。中高年も小上がりで何かの打ち上げ会をやっている。料理は新鮮で美味しく、酒の種類も豊富。若い店主や料理人がきびきび動くのも気持ちがいい。何よりもリーズナブルな値段設定が魅力である。
「祖師ヶ谷大蔵でナンバーワンの店かもね」と言ったら同意する人が多かった。大手の居酒屋チェーン店に行くより満足感は高い。
魚店きなり (いをだなきなり)
東京都世田谷区祖師谷3-33-2
03-3484-0095
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2009年02月04日
[晃月](下北沢)
若者の街にある大人の割烹

小中学校の時、最寄り駅として親しんだ下北沢も、いつの間にか若者の街に変貌した。中学時代の友人たちと若者達で賑わう居酒屋で呑むのは楽しい。何よりもリーズナブルな価格設定が嬉しい。しかし、下北沢におじさんたちだけで楽しめる店がないわけではない。
南口を出て新宿方面に歩きオオゼキにぶつかって右折、すぐに晃月を見つけた。階段を下りて店に入り、我々は入り口に一番近いカウンターに座った。奥には煙草をくゆらせる中年3人組が居るが、我々の席に煙は届いてこない。

希望通りの落ち着いた店。2種類のお通しでビールを飲みながら悩みに悩む。

とにかく料理の種類がべらぼうに多い。固定メニューだけでも多いのに、手書きで紙一杯に本日の料理が並べてある。読むだけでも時間がかかる。取り敢えず刺身の盛合せを頼んで、じっくり考えることにした。
赤なまこ、霧島豚

飲み物のメニューも立派。大人の店らしく、日本酒の品揃えもいい。珍味を頼んでしまったら日本酒も進んでしまう。
自家製のチャーシューなど豚肉は霧島豚、鶏肉は徳島の阿波地鶏など産地にもこだわりを見せる。塩は男鹿半島から取り寄せているそうだ。
そぼろ大根半熟卵乗せ、自家製さつま揚げ

「毎日これだけのメニューを書くとは、凄いですねー」と褒めると、「全部書き換えるわけではないので…」と謙遜する。
マダラの醤油焼き、ゲソ焼き、菜の花のおひたし

「刺身で使ったいかのげそです」と嬉しいサービス。「オーナーですか?」と料理人に聞けば、オーナーはショットバーを経営していて自分は店長だと言う。手書きのメニューやアイデア満載の料理などオーナーじゃなければ出来ない仕事と思ったのは間違いだったのか。
ところが交換した名刺を見たら、店長の名にしっかり晃の文字が入っていた。そうじゃなければこんな店にはならない。しっかり納得した。
和みや 晃月
東京都世田谷区北沢2-9-2 辻ビルB1
03-5465-1176
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2009年01月06日
[楽](下北沢)
オヤジも歓迎してくれる居酒屋

♪1月は正月で酒が飲めるぞ、酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ!♪ 30年ほど前に流行った「日本全国酒飲み音頭」は、誰でも簡単に覚えられる歌だ。2月から豆まき、ひな祭り、花見、子供の日、田植え、七夕、暑いから、台風、運動会と続く。6月、8月、9月以外は成るほどと頷ける。11月は「なんでもないけど」と滅茶苦茶なのが面白い。12月の歌詞は「忘年会」でよさそうだが、さて何でしょう。
昨年、忘年会で下北沢の楽に行った。いつもなら二次会の途中にようやくやって来るカーディーラーの友人が、一次会が始まってすぐに到着した。不景気を象徴するような話だが、早くからみんな揃って飲めるのは嬉しい。
刺身盛合せ、ベロ大根

いつものようにカメラを構えるとV字サインをするひょうきんな仲間。カットすると言ったけどボツにするのは惜しい。看板料理の一つがベロ大根。ベロは牛タンのことで、よく煮込んであって柔らかい。
タジン鍋

一番の名物がモロッコのタジン鍋らしい。初めて見る不思議な鍋で野菜を蒸し焼きにする。水は入れないから素材だけのピュアな味が楽しめる。
我々のテーブルの担当者「のりぴー」の札が鍋の上に掲げられている。15分蒸して、さらに火を止めて5分待つ(たぶん)。ピーマンの形をしたタイマーが騒ぎ出したところで「のりぴー」と叫ぶ。
下北沢は若者の街。楽も客の殆どは若い男女。我々ばか者たちだって負けていないはしゃぎようだ。酒の勢いで「オーイ、のりぴー」と度々呼びつける。すぐに飛んでくる可愛い奴だ。残念なのはのりぴーが男だということぐらい。
明太子コラーゲン雑炊

女性に人気の雑炊を男ばかりで食べた。溶き卵を入れて最後の仕上げをしたのはもちろん銀髪。他の連中もおだてるのを忘れない。
「混んできたら2時間で終わり」と言われたが、結局3時間を超えた。どの料理もリーズナブルで悪くない。なのに学生が帰省して少ないせいか空いていてラッキーだった。
そうそう、12月の歌詞は「ドサクサ」である。分からないでもない。歌詞を忘れたら適当に自分で作って歌える楽しい歌だ。
さー、今年も飲むぞ! 取りあえず ♪ 1月は新年会で酒が飲めるぞ、酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞー♪ イェーイッ!
くいものや 楽 下北沢店
東京都世田谷区北沢2-17-11 バディーアンビルB1
03-3795-3724
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2008年11月08日
[コルカタ Kolkata]②(世田谷区砧)
頑張れ!日本の外国人、世界の日本人

休日の夜、我が家の食卓は寂しい。娘たちがアルバイトに行くためである。賃金が高い休日の夜が効率的に稼げるそうだ。珍しく全員が揃ったので不思議に思ったら、他の人に仕事を奪われたと言う。今の若者たちは意外と働き者である。
20年前、日本のバブルが始まった頃にシドニーに赴任した。オーストラリアは移民の国なのでたくさんのエスニック料理屋がある。移民たちは必死に働く。土日も開いている店が殆どだが、日本料理屋の多くが閉まっているのに驚いた。
サモサ、タンドーリ盛合せ

家族で食事に行くときの一番候補はコルカタである。久々に行ったら空いている席は一つだけ。入り口の席を何とか確保した。すぐに家族連れがやってきた。彼らは外の席に。さらにまた客が。大盛況である。好きな店が繁昌するのは嬉しいものだ。自分の席が確保できたら余裕で祝福できる。
海老カレー、マトンとほうれん草のカレー

いつものように辛いソースは別に持って来てくれる。入り口のテーブルからキッチンが見えるので、銀髪にとっては一等席である。社長のシェイクさんだけでなく、キッチンの中からも料理人が優しい笑顔を投げてくれる。
シェイクさんは休日もなく働いて疲れているに違いないが、笑顔を絶やすことはない。日本で外国人たちが必死に働いている。タイ人、中国人、フィリピン人など、遊ぶ時間など考えもせず働いている人は多い。
先日NHK衛星放送でフランスのニュース番組を見た。世論調査でフランス人の3人に2人が休日に働きたいと答えたと言う。家計を支えるために、アルバイト料が高い休日にまとまった時間を働いて稼ぎたいそうだ。まるで我が娘たちと同じ発想である。
日本は欧米先進国を真似て、多くの会社が週五日制にした。今、日本人にフランス人と同じ質問をしたら、どんな返事が返ってくるだろう。
コルカタでチキンカレーもテイクアウトしたつもりだった。家に帰ると袋の中にはタンドーリチキンが入っているだけ。オーダーが通っていなかったようだ。確認しなかった自分が悪いのは明らか。我ながら平和ボケの日本人である。
KOLKATA
東京都世田谷区砧3-2-7 第2大蔵ビル1F
03-3415-9786
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2008年09月24日
[RAAN JING JING THAI ラーン・チンチン・タイ](成城学園前)
頑張れ! わが町のレストラン

世田谷区成城は大田区田園調布と並び称される東京の高級住宅街である。タイ料理屋は小田急線成城学園前駅から新宿寄りへ歩いて数分の所にある。先日、予約なしで訪れて冷たくあしらわれた。この日は予約を入れたので温かく迎えられた。但し、2階の隅の狭い席。直前の予約だったから仕方ない。
少しずつ色んな料理が食べられるとのことで5,800円のコースを奨められた。お腹が空いていたのと、「少しずつ」の文句につられた。

前菜は何種類かのタイ料理に加えて何故かチーズが乗っている。女性ソムリエの存在がメニューの構成にまで影響しているようだ。タイ料理とワインをゆっくり楽しむのがこの店のコンセプトかと思ったが、前菜を食べ終わる前に次の料理が運ばれてきた。ゆっくりどころか慌しい。

狭いテーブルに大きな皿を乗せるのが難しく少し不機嫌になった。前菜を慌てて食べ終えて、ともかく次の料理の場所を空けた。牛肉の料理を半分ほど食べたところでトムヤンクンがやってきた。まだトムヤンクンが食べ終わらないのに今度は大海老だ。

トムヤンクン以外は写真の料理が一人分。少しずつとは言えない。いつ次の料理が来るか戦々恐々となりながら料理と格闘した。。さて、それから最後のソフトシェルクラブが来るのに時間がかかった。リズムが悪い疲れる食事だ。

料理人の腕もソムリエが選ぶワインも悪くない。内装を含めた店の雰囲気も成城の名に恥じない。違和感があるのがテーブル上の呼び鈴。一流の店であればフロアスタッフが客の食べるスピード、飲む表情などを見て声をかけてくる。そこで店と客との一体感が出て来るのだが、呼び鈴に頼るせいか呼吸が合わない。料理が出て来るのが早すぎるときがあれば、長々と待たされることもある。ベルを鳴らした隣席だけ訪れて、ワイングラスが空いている我々に目もくれないで去っていく。
2階席で客に目が行き届かないからベルを置いているのだろうが、客のベルを待っているようではファミリーレストランと変わらない。少なくともソムリエ資格者がやるサービスではない。ベルを鳴らす回数が減るごとに一流の階段を上っていくだろう。一度もベルが鳴らないようになれば、超一流に達したということだろう。
我が永年のパートナーは二度と来ることはないと言う。そんなこと言うなよ。料理人、接客係、客の3者のコミュニケーションがちょっと欠けているだけだ。我が町のレストランだ。温かく見守ってあげようではないか。
今度来たらコースは頼まない。アラカルトを2品、メインを1品とごはんを頼み、二人で分けて食べよう。その方が店と客の双方にとって賢明である。
RAAN JING JING THAI ラーン・チンチン・タイ
東京都世田谷区成城6-3-14
03-3483-1137
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2008年08月17日
[鹿港](上町)
人気の肉饅を朝から買えるようになった

皇居のランニングコースの2周目に入ったところで携帯電話が鳴った。長兄がこれから母の所に行くと言う。前日に行ったばかりの銀髪でも、兄が来るとなれば顔を出さないわけにはいかない。予定を切り上げて、約20㎞を戻ることにした。
往路は下りが多くて楽だが、復路はちょっとしんどい。もっとも、新しいロードバイクは赤坂の虎屋の前、渋谷南平台、駒沢などの坂を苦にしなかった。愛い奴である。
三軒茶屋を越えて上町にある肉饅で人気の鹿港を通り過ぎたところでブレーキをかけた。まだ10時なのに店が開いていたような気がした。振り返ってみると確かに開いている。いつものような行列どころか、一人も客がいない。
聞けば開店時間は11時半から9時に早まったとのこと。前に来たときは他の客にあおられる様に買ったが、今日はゆっくり相談することもできた。母の家で蒸しなおすことにして冷めた肉饅と2種類のまんとうを買った。リュックに入れても背中が熱くならなくていい。

母の家に着くと、既に兄がビールを飲んでいた。なんと兄も肉饅を買って来ていた。彼が買ってきたのは自由が丘の五十番。のれんわけか喧嘩別れか知らないが、神楽坂の五十番より美味しいそうだ。チン!では美味しくないので蒸篭で温めて食べ比べをした。

前にも書いたことがあるが、銀髪の思い出の肉饅は福岡の鹿鳴春のもの。鹿港の肉饅は具が縮んで真ん中にコロリと収まっている。鹿鳴春に似ていて嬉しくなる。当然、皮との間に空間が出来る。昔の肉饅はどれもこんなものだったと思うが、最近では五十番のように具が柔らかく、肉汁と油たっぷり、隙間なしのものばかりである。
鹿鳴春も鹿港も、鹿の字がついているのでルーツは同じかもしれない。鹿港の主人は台湾で修行して、本場の味を再現しているという。残念ながら鹿鳴春は潰れてしまったので、銀髪の記憶を確かめることはできないが、母も兄も銀髪の意見に同意してくれた。
鹿港の営業時間が長くなったのは嬉しい報せだ。地方発送もしてくれるようだ。昔ながらの肉饅が食べたいと思う人は是非試して欲しい。
鹿港
東京都世田谷区世田谷3-1-12 1F
03-5799-3031
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2008年08月15日
[源八](下北沢)
オヤジたちにも楽しい酒場

中学時代の同級生の集まりはいつも下北沢。地元とは言え、店を探す幹事役も大変である。もっとも下調べを口実に飲み歩いているのだから、呆れた方がいいかもしれない。
一次会は7人で、二次会に遅れて一人やってくる。若者の町・下北沢は夏休みのせいかいつもの賑わいはない。源八も半分ぐらいの入りで、影響を受けているようだ。味のせいかどうかはまだ分からない。

しばらくオーダーには口を挟まず飲み食いしながら調理場を見詰める。焼き場の料理人の動きがなかなかいい。




焼き鳥を食べて大きく頷き、幹事役に「なかなかいいよ、この店は」と褒めた。安くて旨い店を探すのが上手な奴だ。手だけ皆さんに紹介しよう。

源八の自慢は焼き鳥だけではない。梅酒は85種類、焼酎は50種類揃える。若い男女が喜ぶような品揃えだ。試しに一番甘くないという梅酒を飲んだが、しっかり甘かった。日本酒党の銀髪だが、みんなに合わせて焼酎を飲んだ。水をたくさん飲んで酒は控えた。量を競う齢ではない。
面白かったのが唐辛子がミルに入っていたこと。胡椒や塩ならよくあるが、唐辛子でミルを使って居る店は初めて見た。なかなかのこだわりである。
幹事が支払いを終えて出て来るのを外で待っている間に、入店の時には気付かなかった入り口の張り紙を読んだ。店で使っている沖縄粟国の海塩について踊るような文字で説明している。

下北沢は若者価格でなかなかいい店がある。彼らだけに占領させておくのはもったいない。
若者が田舎に帰っている間は、中年たちで店を支えてあげよう。
澤乃茶屋 源八
東京都世田谷区北沢2-18-5 北沢ビル1F
03-5430-4129
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2008年06月01日
[すし三崎丸](祖師谷大蔵)
回転寿司とどちらがいいか

子供が大きくなり、家族全員が揃うことは稀になった。平日は銀髪のせいなのは明白である。もっとも、銀髪がいない方が平和のようで、痛し痒しである。
休日に日頃の罪滅ぼしにちょっと気張って寿司屋にでも行こうと提案すると、いつも却下される。回転寿司がいいと言われて今度は銀髪が渋る。酒の肴も限られるし、混雑していて落ち着かない。双方の妥協したところがすし三崎丸だった。
ほたるいか、生しらす

あおりいかのげそ唐揚げ、焼き筍

旬の食材も結構取り揃えており、日本酒を飲みたくなる。回転寿司に比べると酒の品揃えもいい。純米酒や吟醸酒も各種あり、ちゃんと冷蔵庫で出番を待っている。



寿司をオーダーするのは銀髪の役目である。大トロなど一部を除いて2個240円均一のお手頃値段。たくさん食べようと思って「しゃり少な目」と頼んでも、希望が叶えられたとは思えない。職人の手に収まる量は長年の経験から固定されてしまっているのかもしれない。
いかは数種類を食べ比べできるし、聞いたことのない貝もある。安いからといって馬鹿にしたものではない。
すし三崎丸は関東一円に49店舗ある。持ち帰り寿司・京樽の一業態だということは、ホームページを開いて初めて知った。一度は経営破たんして上場廃止になったけれど、吉野家の子会社となり再建を果たした。助けた吉野家も再建組なのが面白い。
以前は寿司屋ではつまみや刺身ばかりでお腹を膨らませていたが、寿司中心だと酒も少なくて済む。刺身が減り、酒量が減るとお代も減る。おまけに身体にもいい。
そうそう、次の日の酒も食事も美味しい。52歳になってやっと気付いた好循環。お財布も身体も健康である。
http://www.kyotaru.co.jp/misakimaru/misakimaru.html
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