2010年03月16日
[方寸 Murata](銀座)
和と洋を楽しむ

銀座ベルビア館に初めて入った。特徴のある店が色々ある。方寸は大分・由布院の名旅館「山荘 無量塔(むらた)」とのコラボレーションで生まれたという。木材を多用した店内は、「山荘」のイメージ通りの温かい和の空間を作り出している。
カウンター席は足置きになる段差があり、女性にも優しい。喫煙可というのが心配だったが幸い隣に客が来なくてラッキーだった。煙に邪魔をされずに料理長の茅野さんとの会話を楽しめた。

菜の花を食べると春到来を実感する。佐賀県産のホワイトアスパラは輸入物のような大きくて立派なもの。きんかんは宮崎産。種を残したら一緒に行ったK氏に怒られた。「体から芽が出てきたらどうすんだい?」ブツブツ言いながら食べた。温泉たらの芽のフリット。天ぷらと言わないのが方寸らしい。

メニューには2種類の日本酒しか載っていない。「これは飲めないの?」カウンターの右端に並ぶ一升瓶を指さす。茅野さんの目が輝く。彼と親しい板橋の酒屋「酒道庵」から仕入れるらしい。メジャーな酒蔵のものではないが、マイナーでも良質の日本酒を扱っているらしい。純米酒「くくみ酒」純米大吟醸「一石」を飲んだ。茅野さんがじゃこと小エビを酒の肴に出してくれた。

方寸の自慢料理は牛すじとギアラの自家製デミグラス煮込み、マカロニグラタンなど洋食にもある。ワインで食事をしたい女性や洋食が大好きなおじさんにも嬉しい店だ。煮込み料理はフランスパンにもごはんにも合いそうだ。

納豆やっこは日本料理のようだが、ネギに熱々の胡麻油をかけるのは中国料理に似ている。上品に食べている銀髪に再びK氏がクレーム。グチャグチャに交ぜてくれた。見かけはともかく確かにこの方が美味しい。

最後はクレソンの土鍋ごはん。2年間シドニーで働いた経験が茅野さんの料理の幅を広げている。33歳と脂が乗ってきた茅野さんが、今後どのように飛躍していくか、見てみたいものである。
方寸 Murata
東京都中央区銀座2-4-6 銀座ベルビア館8階
03-5524-6765
http://www.hosun.jp/
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2010年03月12日
[かなわ](銀座)
牡蠣と瀬戸内料理

創業140年という広島の老舗料理屋。広島駅ビルのASSE店には2度行ったが、橋から見えるかき船には行きたいと思いながらも未だに果たせていない。。東京では数寄屋橋の東芝ビルにあった頃に何度か行ったが閉店した。交詢ビル前に移転したのだろうか。

例によって男ばかり10人の宴会。少し遅れて行ったら、生牡蠣を食べ終わったところ。すぐに銀髪のために追加オーダーをしてくれた。米国産のクマモトや北海道の牡蠣も入っている。広島産にこだわっているわけでもないらしい。マガキが食べられない季節には岩牡蠣を出すそうだ。

明太子の玉子焼き、サラダ、じゃがいものフライなどが2~3人に一皿やってくる。瀬戸内料理と思えないものもあるが、オーダーする人は気にしない。

サワラやメバルは瀬戸内料理になくてはならない素材。鯛、蛸、おこぜ、穴子など瀬戸内の魚は美味しい。牡蠣がなくても瀬戸内は食いしんぼを満足させてくれる。

メインは当然、牡蠣の鍋。だし汁と合わせた味噌が鍋底に敷かれているようだ。水分は殆どないように見えたが、火が通ると溢れるぐらいなってきた。かなわでは牡蠣は後から入れる。新橋の白梅や新宿の安芸路 酔心でも土手焼を食べたが、各店作り方が違って面白い。
マガキは秋頃から食べられるようになるが、産卵の準備に入る3月~4月が一番太って美味しい。鍋が嬉しい季節もあと僅か。週末は牡蠣鍋といきますか。
かなわ 銀座店
東京都中央区銀座6丁目7-7 第三岩月ビル地下一階 交詢ビル前
03-3572-2325
http://www.kanawa.co.jp/restaurant/ginza/index.html
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2010年03月08日
[メルシャン・サロン](京橋)
美味しい料理とワイン

5時半、いつも1番乗りの我々より先に客が居た。男だけの我々に対して同じ4人なのにあちらは華やか。おじさんが女性のためにシャンパンを空けている。羨ましくもあるが我々は日本人らしく「まずビール」。

「メルシャンで一番いいワインはどれ?」と店員の鈴木さんに尋ねると、フランスワインの名をあげた。みんなも嬉しそうな顔をするが意味が違う。「この店ではなく、メルシャンの作っているワインだよ」と言うと拍子抜けしたようだ。シャトーメルシャン北信シャルドネ2007年が決まった。これだって国産では最高級の立派なワインだ。

生ハムを食べながら白ワインは飲み干した。今度は赤ワイン。シャトーメルシャン城の平カベルネソーヴィニヨン2004年も白ワインと同時に空けて待たせていた。つぶ貝のエスカルゴ風、自家製ソーセージを食べる時には飲み頃になった。

イベリコハム、牛の煮込みが来る頃にはメルシャンの白と赤の2本が空になるだろう。メルシャン縛りで通すつもりだったが「オーパスワンがいい」とか「ボルドーを飲みたい」とかみんながうるさい。多勢に無勢、銀髪も折れた。ブルゴーニュの特級畑産のクロドブージョを頼んだ。慎重に開栓する鈴木さんも嬉しそうだ。

「最後にオムライス!」と言うと「エーッ!オムライスですか?」とみんな意外そうだ。今日は来店前にホームページで下調べしてきた。メルシャン・サロンのシェフは京橋ドン・ピエールで働いていた。オムライスが有名な店だが、1時以降でないと食せない。メルシャンでドン・ピエールのオムライスを食べようという趣向である。

食べ終わって鈴木さんに名刺を渡そうとすると、店長の名刺も持って来てくれた。「みゆき?」店長の木本さんは女性だった。生ハムを削ぎ切ったり、客の応対をしたり、忙しく右に左に動き回っている。木本さんと鈴木さんの仕事ぶりを見ていると、メルシャン・サロンが良い店なのも良く分かる。なかなかいい夕食だった。
それにしてもみんなワインをガブガブ飲む。いいワインなのだからもっと味わえばいいものを。飲み損なわないようにと追随する銀髪も他人のことを批判できないけれど…
メルシャン・サロン
東京都中央区京橋1-5-8
03-3231-5600
http://merciansalon.com/
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2010年02月21日
[レストラン サカキ](京橋)
評判のカキフライは?

あるブログによると銀座・日本橋界隈でのカキフライ三傑は今泉、三州屋とサカキだそうだ。このブログを信じて今泉に行ったら大正解だった。続けて行くつもりが随分と時間が経ってしまった。牡蠣のシーズンが終わる前に行かねば!
11時35分、開店してまだ5分しか経っていないのに光が差す奥の広い部屋はほぼ満杯。銀髪は狭い入り口に近い席に案内された。それから5分後には満席になった。みんなカキフライが目当てなのだろうか。
左隣の人はエビフライ、その向こうは日替わり、右隣の人はハンバーグ、メンチカツなどなど。意外なことに周りの人はカキフライではない。思い込みとは恐ろしいものだ。サカキはカキフライ専門店ではないのだ。

ちょっと拍子抜けした。もちろん美味しいのだが、今泉のカキフライのような衝撃を求めてはいけなかった。評判の洋食屋の料理で「醤油ありますか?」とは聞けなかった。醤油派にはちょっと辛い。
ドレッシングは銀髪には酸っぱすぎた。普段、ドレッシングを使わないのに、サカキの自家製ドレッシングを試したくなった。味見をすればいいのに、ドボドボとかけてしまったのも良くなかった。いつものようにカキフライは醤油で、野菜はタルタルソースで食べれば至福の昼食だったろうに。
店内で待っている人たちがチラチラ銀髪を見る。「あー、もう半分食べたな」「もうすぐ食べ終わるな」「食べ終わったらさっさと勘定すればいいのに」心の声が銀髪に突き刺さる。
店に居た時間は15分程度だったろう。もちろん店の人が急きたてるようなことはしなかった。店を出るとそこにも7~8人が待っていた。名店は不況知らずである。
レストラン サカキ
東京都中央区京橋2-12-12
03-3561-9676
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2010年02月16日
[タブリエ TABLIER](銀座)
ワインバーというよりも

フランス駐在歴6年のワイン好きKにワインを飲ませてあげようと思った。グルメぴあで「銀座 ワインバー」と検索して一番目に出てきたのがタブリエだ。隣にある24種のワインをグラス単位で飲めるスタンディングバー・ゴスに入ろうか迷ったが、「座って飲みたい」というKに敬意を表した。
6時前なので我々が一番乗りだった。カジュアルな店だがワインバーのイメージとは離れている。カウンターでワインを飲むような感じではない。男二人がテーブルを挟んで向かい合うともっと恥ずかしい。食事のメニューは立派だが、コース料理を頼むのは憚られる。思案の末に、1,680円のアンティパストを二皿頼むことにした。一皿につき5種類選べる。全12種類の中から10種類を選んだ。

カボナータ(イタリア野菜のトマト煮込み)、キッシュロレーヌ、海の幸のマリネ、スモークサーモンのマリネ、本日の鮮魚(帆立)のカルパッチョが一皿目。白ワインと合う料理が多い。気を使って盛り付けてくれたのだろうか。

トリッパノトスカーナ風煮込み、駿河産しらすとじゃが芋のフリッタータ(イタリア風オムレツ)、鶏レバーと砂肝のコンフィ、フランス産鴨の自家製スモーク、フォアグラと鶏肉のテリーヌが2皿目。こちらは赤ワインに合いそうだ。もっとも、二皿同時に運ばれてきたので、食べる順番は滅茶苦茶になった。
メニューを見て思ったとおりシェフの腕は良さそうだ。我々の後に入って来たカップルは、美味しい食事をゆっくり味わう雰囲気だ。我々はひたすらワインに専念する。メニューに載っているグラスで飲めるワインは白と赤が3種ずつ。白2種類と赤1種類を飲んだところでソムリエを呼んだ。
「メニュー以外で何か飲めるものはないの?」と聞いた。新宿のマルゴー
や六本木のヤキトリ エ ヴァン プーサンでは、わざわざ新しいボトルを開けてくれたので期待した。残念ながら持って来てくれた2本は希望したフルボディではなかった。少し粘ってみた。しかしソムリエが困った顔をするので止めた。
タブリエは食事を楽しむ店のようである。
タブリエ TABLIER
東京都中央区銀座3-4-5 銀三ビルB1
03-3538-7227
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2010年01月26日
[江島]⑤(銀座)
今シーズン初めての松葉ガニ

お客様のHさんが煙草に続いてデジタルカメラをテーブルに置いた。銀髪よりかなり年上に見えるのにブログを書いていると言うので驚いた。いつもは接待の席でカメラを出すのに気を遣う銀髪も今日は遠慮がいらないのを喜んだ。
白子2種

「まずビール」と誰もが典型的な日本人なのにHさんは最初から日本酒を飲むと言う。酒のメニューを見て「アルテンはダメだ!」とまた驚かせてくれる。アルテンとは醸造用アルコールが添加されている日本酒のこと。「純米でなければ日本酒とは言えない」と銀髪と同意見。同好の志と知って喜んだ。
刺身(ひらめ、しまあじ)

紹興酒も40年物、50年物などを多く保有しているそうだ。中国に赴き紹興酒の工場見学に行ったとは恐れ入る。日本酒古酒のコレクションもあると言う。Hさんと銀髪の酒談義に他の人はついて来れない。途中から銀髪も聞き役に専念した。

「久し振りの松葉ガニだ」とさすがのHさんも嬉しそうだ。銀髪にとっても約1年振りの松葉ガニである。Hさんは蟹の足についているタグを持ち帰ると言う。食べ始めるとその勢いにまたまた驚かされた。銀髪は遠慮しながら何とか自分の食べる分を確保した。もちろん半々とはいかない。甲羅酒は全部譲った。Hさんはゴクゴクと美味そうに飲み干した。
「この皿を下げてよろしいですか?」と店の女性が言うのが聞こえた。見ると向こうの皿にヒラメのエンガワが残っている。「こっちに持って来て」と言ってHさんと二人で分けた。せっかくの美味しい料理を残す方が恥ずかしいと同意してくれたようだ。実に愉快だ。

「お食事はどうされますか?」と店の女性が聞く。「どうせだから蟹尽くしにしましょう」と蟹寿司を選んだ銀髪にHさんも追随した。北海道産のズワイガニは松葉ガニより味は落ちるがそれなりに美味しい。だしになってしまった椀の中の蟹もむさぼるHさん。立派!
数年前までは自分がノーマルだと思っていた。今では自分が変わり者だと思わざるを得ない。銀髪よりも上を行く変わり者に会えたのは収穫だった。銀髪よりも人生を楽しんでいるHさんがちょっと妬ましくもあった。
江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/
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2010年01月20日
[ちゃぼうず](銀座)
なかなか楽しいちゃぼうず

「おう、一番乗りか!」カウンターの中に勢ぞろいする料理人、こちら側に立つフロアスタッフの視線が銀髪に集まった。「一番に何かいいことあるのかな?」と笑ったが、直立して迎えてくれたことが最高のおもてなしということだった。まずは店長の槙尾さんと名刺交換。

お通しはちゃぼうず風じゃがいもサラダ。目の前の大皿にほおずきのようなトマトが並んでいる。皮を剥いて、オーブンで焼いて、3日干す。ちゃぼうず名物のごぼうの唐揚げは一度茹でてから揚げる。若者に人気の居酒屋にしてはどの料理も手がかかっている。

居酒屋らしいのはカップ酒。焼酎に比べて品質維持がやっかいな日本酒も、カップ酒なら多品種を揃えられる。安っぽいようだが懸命なやり方は賛同できる。
さて、お奨め料理はまだまだある。生牡蠣だって単純には食べさせてくれない。ゼリー状になった海水と共に食べる生牡蠣は一味違った。

同行したYさんはちゃぼうずサラダを頼んだ。たっぷりの量に居酒屋だったことを思い出した。銀髪はお奨めに従ってオーダーを続ける。茶碗蒸しを思わせるような料理は生うにのなめらか豆腐。「温かければもっといい」とYさんは言うが、なかなかどうして。銀髪は冷たくて正解と思う。

「次は?」というと目の前の総料理長・萩原さんが「是非、柚子饅頭を食べていただきたい」と懇願する。饅頭と聞いて一度断った料理だ。そこまで言うなら頼もうじゃないかということになった。成る程熱心に奨めるだけあって、見ても食べても見事な一品だった。
自家製からすみに添えられた大根は羽子板の形に切ってある。どれもこれも手間をかけていて、居酒屋のレベルを超えている。「萩原さん、独立して割烹やったら?絶対繁盛するよ」と言うと、そのつもりだったが恩人に頼まれてちゃぼうずに来たとのこと。義理を欠くわけにいかないのだろう。
恩人に対してだけでなく、元気で明るいスタッフたちも決断を躊躇させているのかもしれない。ちゃぼうずで安く美味しく食べられるのは嬉しいが、萩原さんにはいつの日かリーズナブルに食べられる割烹料理屋を開いて欲しいものだ。彼には成功するオーラがあると思った。
酒菜庵 ちゃぼうず
東京都中央区銀座1-4-6 ナスダビル2F
03-3567-0007
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2010年01月07日
[左京 ひがしやま](銀座)
銀座で京都

銀座は1丁目から8丁目まであるが、一般的に銀座といえば北は電通通り、南は中央通りの周辺をイメージする。その区域を外れたところには隠れ家的で、銀座としてはリーズナブルな店が多い。左京ひがしやまもそんな店の一つである。
地下の店に誘う階段から打ち水がしてあり、一歩降りるごとに京都に近くなった。店内はゆったりとして落ち着いている。我々はカウンターの一番奥に案内された。がらんとした店内のカウンターの隅に我々と先客2人が並んで座った。

料理の説明をしてすぐに持ち場に戻る料理人の気を引くのは難しい。手を休めず働く彼を振り向かせるのはさらに難しい。次に料理を運んで来たときに素材の産地を尋ねたら、入り口近くの板場にいる料理人に聞きに行った。常連さんが「あちらが主人ですよ」と教えてくれたので驚いた。てっきり忙しく働いている方が主人と思っていた。

白味噌の椀物が出て来た。初めて豊橋の妻の実家に食事に行ったときに、白味噌の味噌汁を出されて驚いた記憶が甦ってきた。わざわざ銀髪のために買って来たと言うので、お代わりを断ることが出来なかった。銀髪も義理の両親たちも合わせ味噌を白味噌と思い込んでいたのだ。

京風料理が次々と運ばれてくる。常連さんが主人と言った料理人を観察する。手前の料理人とは対照的なゆったりとした動き。そこで思い出した。ホームページには、左京ひがしやまは青山のフォンダ デ ラ マドゥルガーダも入っているアトワンズグループの一つとして紹介されていた。オーナーではなく店長だとすると、彼の身のこなしも納得できる。

「阿部さん、卵はないの?」常連さんが店長に聞く。「探してきます」と明るい返事。かくして特別に我々は玉子かけごはんを食べることができた。


手が空いたのか阿部さんが相手をしてくれた。「さっきのカラスミはどこの?」と聞くと「自家製です」と答える。「自分のところで真空パックしているの?」ビニールパックを破るのを見ていた銀髪が疑問を呈する。「築地場内に機械があって、お金を出してパックしてもらうんです」と言う。これは勉強になった。築地は色んな機能を持っているようだ。
阿部さんが持ち場に戻ったので今度は近くにいる料理人に声をかけて名前を聞いた。本当によく働くのに感心した。無表情に見えたが「鶴田さん頑張ってね」と言うとなかなかいい笑顔を見せた。阿部さんも頑張ってね。
左京 ひがしやま
東京都中央区銀座3-7-2 オーク銀座B1
03-3535-3577
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2009年12月30日
[札幌 ドミニカ](京橋)
カレーシチューじゃないの?

「Get up ! Get up !」1960年代前半、日曜の朝は父に叩き起こされたものだ。カレーシチューが大きな寸胴鍋で煮立っている。大慌てで着替えてパン屋に走る。食パン1本を肩にかついで持ち帰り、父と兄二人と銀髪で競うように食べに食べた。1970年代に札幌で生まれたといわれるスープカレーよりずっと前のことである。どこが違うのだろうか。
札幌には現在100を超える専門店があるそうだ。ドミニカは2004年にオープンし、東京進出は2006年9月。近くを通る度に気にはなっていたものの、流行っているようには思えなかった。思い出して何気なく入ってみると意外なことに混んでいた。

小さなサラダを食べながらキッチンを覗くと実に面白い。たくさんのガスコンロがあり、オーダーが入ってから1食ずつ作り始める。スパイスを加えて思ったより長時間火にかける。肉類はあらかじめ煮込んでいるが、野菜類は素揚げする。我が家のカレーシチューとは作り方が違う。
オリジナル(チキン)、ライス普通盛り

先ずスープをオリジナルの黄色、とんこつベースの漆黒の黒、トマト酸味の情熱の赤の3種類から選ぶ。次に具をチキン、ポーク、トントロ、野菜、チキン野菜、魚フライの6種類から選ぶ。最後に10段階の辛さの選択。5番目までは無料で6番目から50円きざみで上がる。
とんこつ(ポーク)、トマト(野菜)

他のテーブルを見ると、もっとも人気があるのがチキンのようだ。骨付きだがスプーンで簡単に身が割れる。ポークは角煮風でちょっと固め。銀髪が一番気に入ったのはトマトベース。3種類の中では一番馴染みのないカレーが最も印象深かった。
一般的なカレーライスはまずスプーンにカレーを乗せてご飯に合わせるが、スープカレーの場合は逆。スープの量の方が多いので、辛いものが大好きな銀髪でも5番目で充分だった。
子供の頃の思い出に浸るつもりで入ったが、まったく別物だった。それでもやっぱり思い出す半世紀近く前の我が家。あの頃の父の齢を超えてしまったことに気付いて愕然とした。
スープカリー専門店 札幌 DOMINICA
東京都中央区京橋3-4-1 TM銀座ビル2F
03-3231-1347
http://www.s-curry-dominica.com
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2009年12月16日
[やまと 銀座2丁目店](銀座)
豊富な豚料理

直営牧場で育てたやまと豚を提供するのが直営レストランのやまと。
銀座8丁目店が良かったので、今度は銀座2丁目店に社員を引き連れて行った。座敷には10人程度が座れる大テーブルが3列ある。大人数の宴会には2丁目店の方がいい。
お通し

「美味い、美味い、これ美味いよ!」お通しから部下たちは気に入ったようだ。薬膳不老長寿鍋と前回食べなかったコラーゲン刺しだけ銀髪が頼んで、他は部下たちの好きに任せた。
自家製ハム、コラーゲン刺し

牧場を経営するブリーデンはハム、ベーコン、ソーセージなども造っている。自家製なのでどれも安心して食べられる。酒呑みとそうでない者とで評価が別れたのがコラーゲン刺しと究極レバーの甲州煮。豚骨を煮込んで骨を抜いて固めたものがコラーゲン刺しでコリコリしている。レバーは甲州ワインに漬けて煮込んだもので、パテのような食感だ。
究極レバーの甲州煮、春巻き

我々の隣の大テーブルに若者たちが入って来た。男ばかりの銀髪グループと違って男女混合チーム。おじさんたちの関心は料理より隣席に向う。何やら自己紹介を始めた。昔なら合コンと呼ぶところだが、今なら婚活パーティーと言うべきか。どの娘が可愛いかヒソヒソ話をする部下たちをたしなめて少し声を上げて言った。「みんな可愛いじゃないか!」。隣席に聞こえたかもしれない。
鉄板焼き、匠の技直伝ドイツソーセージ

鍋の用意ができた。銀座8丁目店と同じなので、経験者の銀髪が忙しい店員を助けてあげた。壁を背にした男たちはなおも隣席グループを観察しているが、背中を向けた連中は食事に専念した。やがて、全員の関心は鍋に移った。思ったとおり薬膳鍋は好評である。辛い中華の薬膳鍋に比べると甘味のあるマイルドな鍋は食べやすい。
雑炊

銀座8丁目店ではうどんにしたが、量が少なくてびっくりした。そこで今回は雑炊を頼んだ。残った薬膳スープを残さず食べられて正解だった。
満腹になって席を立った。部下たちもみんな満足したようだ。再び婚活グループを見るとせっかく男女互い違いに座っているにもかかわらず、同姓同士で話をしている。あー、もったいない、もったいない。
やまと 銀座2丁目店
東京都中央区銀座2-6-1 中央銀座ビルB1F
03-5159-9751
http://www.frieden-dining.com/restaurants/2chome.php
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2009年12月14日
[なかがわ](築地)
カリッと香ばしい天ぷら

「中川さんですか?」カウンターに座るなり料理人に質問する。「そうです」と答えるので「店名と一緒で分かりやすいですね」と笑う。馬鹿げた質問と分かっているが、場をほぐすためには重要な会話だ。料理人と打ち解けるのも早い。
「写真撮っていいですか?」と聞く。カウンターに座って一番緊張するときだ。店主の顔が曇るので身構えた。「熱いうちに食べてもらいたいんですが…」と言われてホッとする。渋々ながらも許してくれたようだ。海老を早業で写して熱々のうちに口に放り込んだ。

しっかりと衣をまとった海老の頭が美味い。キス、銀杏と続く。「みかわさんもこんな天ぷらなんですか?」と聞く。中川さんは茅場町の名店「みかわ」で修行して6年前に独立したという。比較的衣が厚く、こんがりと揚げるので、サクッとして香ばしい。

海老2本、いか2枚を含んだコースにハゼを加えた。「すみいかも大きくなりましたね」といか談義の後に今の季節しか食べられない東京湾のハゼ。キスやメゴチと似ているが、身の割れ方が微妙に異なる。上品な白身のハゼに顔もほころぶ。

大きな穴子を中川さんが割るとシュウッと湯気が揚がる。「穴子は羽田沖が一番ですね」魚は江戸前にこだわる。全国の天ぷら屋の9割以上は東京にあるのではないだろうか。寿司と並んで天ぷらは江戸前の素材がなければ始まらない。

「菌床ですか、原木ですか?」身の厚い椎茸は只者ではない。思ったとおり「原木です」と答える。こんにゃくで有名な下仁田産で、市場では買えないもの。中川さんの同級生が作る椎茸は、レストラン「ヒロ」などの高級店でしか食べられないそうだ。

他のみんなは天茶を選び、銀髪のみが天丼にした。天丼にしたのは味噌汁がつくはずと思ったから。小川原湖産の特大シジミが食べられたのは銀髪だけだった。
満腹になったが太白ごま油と綿実油をほぼ半々に使っているので重くはない。オーソドックスな素材中心なので、料金も手頃。この店を予約した部下を褒めてあげた。
なかがわ
東京都中央区築地2-14-2
03-3546-7335
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2009年12月07日
[銀座 座屋]⑥(銀座)
師走の座屋

最初に来たのが7月、店主の岡添さんを気に入って毎月来ると約束して今回が6回目。ぐるなびの予約状況を見ると個室はかなり前から埋ってしまうようだ。「今日は銀髪さんのブログを見て初めて来られる方がいますよ」と言われた。「銀髪さんが居ると知ったら喜びますよ」と続ける。喜んでくれるか、がっかりするのか。

太陽に見られながら歩いてビールが上手かった7月。座屋最初のメニューはところてんだった。今は茶碗蒸しが優しく温かい。連日の飲み会で傷んだ胃も毛蟹の椀物が癒やしてくれた。「なんだ、居たのか!」の声に振り向いた。ブログのファンは高校の同級生だった。がっかりしたのは仲人役になるはずだった岡添さんみたいだ。

「写真は撮らないんですか?」と言われた時にはかつおが一切れなくなっていた。7月から欠かさず登場する座屋名物のかつおの塩たたきは焼き手が若手に交代した。座屋も少しずつ進化している。

「めひかり?」炭火の上でプチプチと脂が弾ける魚に目をやった。八寸の準備が進んでいる。うつぼ、真珠貝、猪など珍しい素材が並ぶ。うつぼは高知の「こうじ家」、銀座の「祢保希」、新橋の「そのまんま」で食べたことがある。見かけによらず美味しい魚である。座屋ではアラカルトでいつでも食べられるようだ。

蒸し野菜は上に乗せられた生ハムから塩分をもらう。高知から直送される素材が自慢の座屋だが、岡添さんは必ず一品は外国の素材で遊ぶ。

先月に続いてメインは小鍋。鮟肝は一つはそのまま、もう一つは鍋に溶いて食べる。このあたりで腹具合に個人差が出る。しかし、満腹と言いながら、次を食べない人はいない。

誰もが好きな玉子かけご飯。食べ方には一家言がある。岡添さんも無理強いしない。余裕で食べていた銀髪も、デザートを食べてさすがに満腹になった。
個室から友人たちの大きな声と、笑い声が聞こえる。挨拶しようかと思ったが邪魔をしないようにそっと席を立った。カウンターには美女を含むカップルが3組残った。男二人の我々が、一番わびしく思えた。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
師走の献立
[先付]雲子と雲丹の茶碗蒸し
[御椀]毛蟹と聖護院大根薄葛仕立て
[お造里]かつお、いし鯛
[八寸]めひかり、海鼠酢、うつぼ唐揚げ、真珠貝掻揚げ、烏賊寿司、からすみ大根、猪八丁味噌
[蒸物]野菜と生ハムの蒸し物、蕪の擂り流し
[炭焼]寒鰤の照焼き
[小鍋]鮟鱇鍋
[土鍋御飯]四万十川源流産「ヒノヒカリ」、土佐ジローの卵かけごはん
[御数]漬物
[甘味]蜜柑いろいろ
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2009年11月11日
[座屋]⑤(銀座)
霜月の座屋

「昭和通りに面した平城苑本館の裏手のビルですからね」この説明で間違えることはないだろうと思っていたら一人迷った。階段を駆け上がり迎えに行くと、1本裏の道をウロウロしていた。柳通り沿いと言えばよかったかもしれない。
何はともあれ3人全員が揃った。「岡添さん、それじゃあお願いします」銀髪の声で霜月のコースがスタートした。7月から毎月来ているので既に5回目。銀髪としては異例の頻度だ。座屋にとって毎回違う人を連れて来るいい宣伝マンである。

座屋では毎回初めての食材に出会えるのも嬉しい。今日の初対面は足赤海老。調べてみると関東ではクルマエビの一つとして流通しているが別種。関西ではアシアカと呼ばれ、クルマエビに次ぐ高級海老とのこと。正式名がクマエビという通り、クルマエビよりずんぐりしていて、食べ応えがある。

かつおはぼちぼち終りかなと心配して来たがちゃんとあった。食通のMさんがこれまでで一番美味しいかつおと喜ぶので銀髪まで嬉しくなる。料理人はまさに舞台役者と同じ。観客のはじける笑顔を見れば、気持ちも高揚するだろう。

殆ど酒を飲まない二人は食べるのが早い。隣で日本酒を飲んでいる銀髪が眼に入らないかのように、二人で盛り上がっている。まあ、勝手に楽しんでくれればいい。
銀髪は岡添さんに相手してもらう。小さな器を覗くと牡蠣がいくつも入っている。「こんな小さな牡蠣を獲っていいの?」と茶化すと、これでも大人の牡蠣だと言う。小粒でも濃い味の牡蠣だった。

焼き魚に添えられた塩は高知の佐賀塩。解説を聞き終わって二人の皿を見て驚いた。骨などが皿の端にわずかに残っているだけ。美味しく料理されて、殆ど残さず食べてもらったら、魚もしっかり成仏できるだろう。

さあ、最後は卵かけごはんと思ったら、今月は趣向を変えると言う。和牛ロースのすき焼きに歓声が上がる。「ちょうどすき焼きが食べたかったんですよ」とMさんも上手だ。さつまいものデザートが終ったところで「このコースは1万円なんですよ」と種明かしをした。「えーッ!」と驚いてくれるので銀髪も鼻が天井まで届きそうになる。「1万円もいただいてます」と岡添さんが大見得を切る。千両役者である。

今月も楽しかった。月を追うごとに予約を取るのが難しくなってきたように思える。「もう、俺が来ることもないかな?」と言うと、「励みになるから来てください」とおだてる。「しょうがないなー」とニヤつく愚かな銀髪であった。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
霜月のお献立
[先付]甘鯛 御強(おこわ)蒸し
[御椀]足赤海老 帆立貝 真薯 清汁
[御造里]かつお、いしだい、金目
[八寸]柳葉魚(ししゃも) 地牡蠣酢 ズワイ蟹奉書巻 土佐清水鯖炙鮨 蕪とじゃこ 鶏と茸とミモレット 牛蒡と鶏レバーの田舎煮
[煮物]眼仁奈(メジナ)煮付け
[炭焼]のどぐろ塩焼
[小鍋]和牛ロース鋤焼
[土鍋御飯]四万十川源流産「ヒノヒカリ」
[御数]3年物の沢庵、粕漬け、しば漬け、干物
[甘味]丸十(さつまいも)
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2009年11月10日
[活屋本店](銀座)
これから期待しましょう

銀座6丁目、近くには名だたる名店や高級クラブが並ぶ。ビルの2階ではあるが、土地柄を意識した立派な店である。「テーブルでも構いませんよ」と言われて迷った。普通なら絶対カウンターだが大皿が重ねられて料理人の手元が見えない。なんとか胸から上は見えるので決断した。
「この店はイケメンばかりだね」同行したYさんは上手だ。「お嬢さんだって綺麗だよ」と女性料理人を褒める銀髪。「いやー、それほどでも」と言わんばかりの笑顔を見せるので、「お客様こそ格好いいとか、お客様には負けますよと言わなきゃ」と突っ込んだ。場は一気に和んだ。
お通し、刺身

店の自慢は鮮度抜群の刺身と馬肉。先ずは刺身から。鮪、ボタン海老、かんぱち、しめ鯖、つぶ貝、たこがきれいに盛り付けられる。「まぐろはどこ?」と聞いたらイケメン料理人の和田さんが「みんまや」と教えてくれた。大間と漁場を同じくする青森の漁港だが知名度が今ひとつ。大間ばかりがもてはやされるが、プロには三厩(みんまや)も評価が高い。勉強になった。
お浸し、万願寺唐辛子

自慢の馬刺しに行く前に、箸休めに野菜を頼んだ。お浸しに乗った松茸が可愛い。「あなたが料理長?」和田さんはまだ25歳。分かっているが聞いてみた。料理長はキッチンの真ん中で若い料理人たちに目を光らせている人に間違いない。
馬刺し、大動脈

「熊本産?」と聞くと「会津産です」と答える。歯応えがあるように厚く切っているようだが、たてがみは薄い方が口の中でとろける。料理長に言いたいけど遠すぎる。
ハラミ焼き、豆腐、厚揚げ

この店の絶品料理はこちらも26歳と若い安崎さんが作る豆腐。チーズのような豆腐にYさんが唸る。水分が少ないので銀髪が「揚げてくれる?」と悪乗りした。厚揚げは焼いて温めて食べると思っている人が多いが、揚げ立ての厚揚げは本当に美味いのだ。快諾して調理を始めた安崎さんのところに料理長が歩み寄る。料理長!心配ご無用。厚揚げは期待通りの出来でしたよ。
カウンター好きの銀髪にしたら、大皿を取っ払って料理人たちとの垣根を下げてほしいと思う。厳選素材だけで高級クラブに行くような客たちを喜ばせることはできない。ハツラツとした若い料理人たちも立派なウリである。楽しく応対してくれた若者たちに名刺を渡すと申し訳なさそうな顔をした。名刺ぐらい持たせてあげないと可愛そうだ。
銀座六丁目活屋本店
東京都中央区銀座6-3-11 西銀座ビル2階
03-3571-3004
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2009年10月27日
[流石 はなれ]②(新富町)
さすが、流石だね!

「銀髪です」と告げると、電話の向こうの声のトーンが変わる。久し振りの訪問でワクワクする。前は日本橋から歩いたが、この日は銀座から。迷うはずはないと侮って、しっかり迷った。路地裏に店の明かりを見つけてホッとした。

「今日は効率的でいいね」そばの実、もずく、湯葉、いくらを4つの器に分ける五十嵐さんをからかった。6時過ぎ、先客2人と我々の夕餉は同時にスタートした。そばの実を雑炊のようにして食べると誰もが感動する。「かますを生で食べるのは初めてだよ」皮目を炙った焼き霜造りが実にいい。

さっと湯がいた白子の美味いこと。蒸し器から出てきたがこれは温めるため。電子レンジがなかった頃は、冷ご飯など蒸し器で温めたことを思い出した。今では電子レンジが必需品となり、蒸し器のない家庭も多くなった。
美味しい料理に感心しながらも、みんなの目はそばを打つ矢守さんに注がれる。丸い塊がどうしてきれいな長方形になるのだろう。そば打ちの手法も色々あるらしい。矢守さんが饒舌に語る間に五十嵐さん自作のにしんを乗せた温かいそばが出来上がる。汁も全部飲み干した。

焼き場から煙が襲ってきた。換気が悪いことを恨むより、煙の多さに期待が膨らんだ。出てきたのは白皮あまだい。あまだいはぐじの名前で知られる赤皮、ちょっと安価な黄皮と3種類あり、白皮が一番高価で美味とのこと。脂が炭火に落ち焼き燻された白皮あまだいの美味いこと。

矢守さんが自前の石臼を速めに回転させる。粗く引いてそばがきを作る為だ。そばの実を奥歯でつぶすと粘り気を感じた。その余韻をもってそばがきを食べるとそのモッチリ感がよく理解できる。いいそばはつなぎなんか必要ない。矢守さんが打つそばは全て十割である。目の前では五十嵐さんが4種の茸のみぞれ和えの準備に忙しい。次は茸に関する質問が浴びせられた五十嵐さんが饒舌になる。

「鹿児島産?」軍鶏と聞いて知ったかぶりをすると「青森です」と言われた。青森が誇る特産地鶏シャモロックとのこと。セリとしめじを加えた鍋はきりたんぽ鍋に似ていた。

まず北海道のそば、お代わりは徳島のそば。矢守さんの産地に対するこだわりのキーワードは日本原産。純粋種を維持するには自治体や生産者の大変な努力が必要とのこと。若いのに矢守さんと五十嵐さんには教えられることが多い。新そばが出始めているが、少し時間が経った頃の方が美味しいそうだ。寒くなって魚介類も美味しくなる。築地を歩く五十嵐さんの顔も輝きを増すだろう。
流石はなれのますます美味しい季節到来である。
流石 はなれ
東京都中央区湊3-13-15
03-6228-3870
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2009年10月22日
[さくら家](入船)
庶民の味方

最寄り駅は新富町か八丁堀。「汚い店ですから」と散々言われて来たので逆にきれいに見えた。カウンターに座り「何年ぐらいになるの?」と声をかけると、今の店になったのが昭和24年から、創業から数えると90年と言うから驚いた。焼き場で煙をまとう女将さんは亡き3代目の奥様。旦那さんに見えたのは3代目の弟。おばさん、お婆ちゃんも含めてのファミリービジネスである。今風のイケメンだって血は繋がらなくてもファミリーの一員に違いない。

メニューを見ると良心価格で種類も豊富。これでは選ぶのが大変だ。「お任せしますよ」と言うと、横から「7本コースで」とKさんの声。いつものように銀髪が仕切っていたが、今日のスポンサーのことをすっかり忘れていた。


ミツバ巻、つくね、ちょうちんと続く。「なかなか美味しいじゃん!」と言うとKさんが嬉しそうな顔をする。「枝豆が茹で上がりました」「お刺身はいかがですか?」言われるたびに応諾する太っ腹なKさんである。「白レバーをささ身で巻いて食べたら美味しいですよ」とお婆ちゃんが教えてくれる。「本当だー」と喜びついでに砂肝を巻くKちゃん。何でも巻けばいいってわけではない。



「アオトです」「エッ、何のこと?」「青唐辛子です」、目の前で焼いてくれるので質問もしやすい。焼き鳥屋ではもちろんMy唐辛子が活躍する。「手を出してごらん」と女将さんの手の平に振りかける。これを家族みんなで味見して目をパチクリ。プロを驚かすのは本当に楽しい。
鳥肉は大山地鶏、椎茸はもちろん原木栽培。こだわりながら値段を抑えることができるのはファミリービジネスならでは。20年も前からワインを置いているとのことで、ワイン党のK氏は大喜び。しっかり時代の先端を行っている。外で働いている4代目もいつか新しいアイデアを持って戻ってくるかもしれない。
トイレに行ったら奥の部屋は意外と広く、おじさんたちで一杯になっていた。席に戻り「儲かってるね。豪邸に住んでんじゃないの?」と聞くと「ここですから」と手を広げて女将が苦笑いをする。リーズナブルな理由がもう一つ分かった。

Kさんが勘定を始めたところで出口の扉に張られた紙が目に入った。「松ナン」とはなんだろう。聞いてみると松茸をささ身で巻いたものらしい。ナンは軟骨ではなくて南蛮。
「次の機会に」と言ったら「次にはもうないでしょう」と言われて食べることにした。あっ!またKさんを差し置いて銀髪が仕切ってしまったと反省。国産の松茸を今の値段で出せるのはあと数日とのこと。あくまで庶民派の店である。
女将さん、おじさん、お婆ちゃん、イケメン君、そして連れて来てくれたKさん、どうもご馳走様でした。
さくら家
東京都中央区入船2-2-1
03-3551-4878
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2009年10月16日
[ヤキトリ エ ヴァン プーサン](六本木)
ヴィオニスの焼き鳥屋さん

2002年、最優秀ソムリエ阿部誠氏の店は銀座のサロンドシャンパーニュヴィオニス、ビストロビオニスに続いて3店目。ビストロが閉店したのはショックだったが、新しい店が出来たのは喜ばしい。オープンから半年ほど経ってしまったが、いよいよ行く機会が訪れた。
優しい雰囲気の今風の焼き鳥屋ではあるが、フレンチの洒落た雰囲気を予想していたのでちょっと意外だった。それでも多種の部位が書かれた焼き鳥メニューを見ると期待が持てそうだ。リーズナブルなボトルワインの他に、赤白数種類のグラスワインがあるのも嬉しい。
お通し(茄子)、鶏ささみのこぶじめ

お通しもちゃんとしているし、鳥わさは軽く昆布締めしてあって美味しい。白ワインのボトルが4本カウンターの上に並んだ。それぞれの説明を受けると盛り上がる。阿部さんの店はこうでなくっちゃ。
ささ身、手羽先、せせり、なんこつ、皮、ぼんじり、かしわ、つくね、げんこつ、銀杏、白レバー、レバー、砂肝、はつ、かん(はつ元)、えんがわ(横隔膜)。注文は1本からOKなので、メニューに並んでいる焼き鳥を全品食べることにした。塩かタレかは料理人に一任した。



いかにも焼き鳥屋の職人という雰囲気がないので、大丈夫かな?と思う人もいるかもしれない。食べ進んでいくと杞憂だったのが分かる。白レバーと普通のレバーの食べ比べは最高だった。貴重な白レバーの方が美味しいと言いたくなるが、甲乙つけ難い。
「アレッ、前に会ってるよね?」「ええ、店に入って来られたときから分かっていました」連れが「私も気づいていましたよ」と続ける。店長はビストロ・ヴィオニスにいた永田さんだ。地位が人を作ると言われるのは本当だ。新店で店長に昇格した永田さんは以前より風格が出て、さらに朗らかだ。
フレッシュトマトの浅漬け、白レバーのパテ

永田さんの粋なはからいで新しいボトルを開けてもらった。トマトで気分を変えて、パテでワインを楽しむ。リーズナブルなワインでも、ソムリエと会話しながらの食事は楽しいものだ。お財布はそんなに傷まずにちょっとリッチな気分になった。
ヤキトリ エ ヴァン プーサン
東京都港区西麻布3-2-5 グリーンプラザアネックスノゾエビル1F
03-3405-0325
http://www.vionys.com/poussin
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2009年10月09日
[天朝](銀座)
飽きないオーソドックスな天ぷら

あるグルメ本に若い夫婦できりもりしていると紹介されていたが、店主は46歳で既にベテランの域。御徒町にあった先代の下で修行、現在の店を興して9年と年季が入っている。安心して美味しい天ぷらが食べられそうだ。2つあるコースの高い方(8,500円)を選んだ。
鱧と焼きなす、サラダ

銀座と言っても昭和通りを超えているので周囲はとても静かである。L字型のカウンターの一番奥に座った。店主夫妻も共に物静かに見える。鱧と野菜類で料理もゆるやかにスタートした。
銀杏、むかご、海老

「銀杏はトウ、トウ、なんだっけ…」忘れっぽくなっていけない。「祖父江産です。藤久郎(トウクロウ)の旬はもう少し後ですね」と教えてくれる。「むかごは自然薯に出来るやつ(正確には葉の付け根に出来る球芽)だよね。静岡産?」静岡で麦とろ飯を食べたので軽口を叩いてしまった。「日本中どこでも作ってますよ」とつれない。茨城も有名な産地のようだ。
きす、新いか、椎茸、鱧

いやー、この時期の新いかは柔らかくて本当に美味い。店主が吟味して仕入れているという椎茸。「それなら原木だね」と再度知ったかぶり。「いえ、菌床です」癇に障ったのか、自尊心に火を点けたのか、無口に見えた店主が饒舌になってきた。素材のこと、油のこと、こと細かに説明、教えてくれた。もう、こちらから聞き出す必要がなくなった。
めごち、海老の頭、穴子、漬物、栗、さつまいも


特別な珍味・高級品はないけれど、店主が吟味した素材はホクッと揚げられて実に美味い。石川県五郎島金時がブランドさつまいもということを初めて知った。
「ご飯ものの前に何か揚げますか?」と言われて野菜類を追加した。揚げてもみずみずしい茄子だった。
万願寺唐辛子、蓮根、水茄子、天茶、天丼


天茶か天丼と言われたら迷わず一つずつ頼んで味比べするのが我々の流儀。天丼には蜆の味噌汁がつく。半分ずつ食べて満足満足。
五郎島金時など新しいネタもたくさん仕入れることができた。今度別の店に行ったら「これはゴ、ゴ、ゴロー、エーッと、なんだったっけ」と言って失笑を買いそうだ。知ったかぶりを反省しつつ、黙ってられないのが辛い。
天朝
東京都中央区銀座1-27-8 セントラルビル1F
03-3564-2833
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2009年10月08日
[銀座 座屋]④(銀座)
新米登場!神無月の座屋

7月から毎月お邪魔して4回目。今回は何とか月の前半に訪れることができた。個室からは既に声が聞こえる。カウンターも徐々に埋まって今日も満席になるとのこと。降りしきる雨にもかかわらず、予約で一杯になるとは喜ばしい。

いつになく静かな滑り出し。原木栽培の椎茸にフォアグラを乗せて素材の良さで食べさせる。二口で食べ終わった後のスープを舐めたい。パンがあったら皿をきれいにできたのに残念だ。吸物も実にシンプル。高知産の蛤は自らの旨味を汁に出した後も、口に含むと存在感がいや増す。

初めての人は間違いなく感動するかつおのたたき。炎のショーが終るまで銀髪は口にチャックをする。かつおに対抗するのは歯応えのあるアジと脂が乗ったアカバ。アカバとはアカハタ(赤羽太)のことらしい。ユメカサゴのことをアカバというところもあるようだ。いずれにしても滅多に食べられない貴重な魚。高知から直送された箱を開けたときの岡添さんたちの興奮が伝わってくる。

季節感たっぷりの八寸を目で楽しみ、舌で味わう。2杯目の日本酒をワイングラスで飲んでみた。吟醸酒などは香りも楽しみたいものだ。グラスによって味わいも変わるはず。岡添さんは銀髪の実験にも快く付き合ってくれる。奥は深い。勉強が必要だ。

和牛・雲丹・葱のコラボレーション。盛り方を変える遊び心が岡添さんらしい。そして本日のメイン料理、赤座海老の炭焼き。これには参った。今まで食べたアカザエビの中で一番美味しい。車海老や伊勢海老と異なり身はやわらかく甘味がある。思わず殻もチューチュー吸ってしまった。皿をさげられると取り返したくなる。殻に残ったエキスをも味わい尽くす方法はないものだろうか。

北陸や山陰地方での呼び名「のどぐろ」がすっかり定着してしまった赤むつ。高知産の丸々と太った赤むつも箱を開いた岡添さんたちを感激させたらしい。故郷の素材たちの魂が料理人に乗り移る瞬間だ。食べる我々も素材から譲ってもらえる命に感謝したい。


「間に合いました」岡添さんがまたまた嬉しそうに話すのがお婆ちゃんが作ったヒノヒカリの新米。予約を月の後半にしようか迷ったのも杞憂だった。ごはんのまま、卵かけごはん、おこげといつものように3種の食べ方をした後で新たな提案をした。お代わりしたおこげに吉澤さんが慎重に醤油を垂らしてくれる。名付けて醤油おこげ煎餅。これで4種類になったと銀髪はご満悦である。
最後は柿尽くしのデザート。今日も食って飲んで喋ってはしゃぐ銀髪に、岡添さんが「米は採れたてより、1~2ヶ月経った方が美味しいんですよね」と余計なことを言う。「じゃあ、来月試してみよう」と言ってしまった銀髪は、見事に彼の戦略に嵌まってしまったのかもしれない。今度は11月。メインは何かな?楽しみだ。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
神無月のお献立
[先付]大正椎茸とフォアグラ
[御椀]高知産蛤清汁
[御造里]かつお、あじ、あかば
[八寸]栗、牡蠣フライ、秋刀魚寿司、フランス産鴨、むかご、茸白和え、海老春巻、鳥皮串焼き
[御凌ぎ]和牛炙り・雲丹・葱
[炭焼]赤座海老炭焼き、焼茄子、牡蠣クリーム
[肴]のどぐろと蕪擂り流し
[土鍋御飯]四万十川源流産「ヒノヒカリ」
[御数]3年物の沢庵、粕漬け、しば漬け、ふぐ干物
[甘味]柿色々
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2009年10月06日
[やまと](銀座)
養豚場直営の豚肉創作料理屋

以前、渋谷の蕎麦屋金王庵(http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1176.html)でしゃぶしゃぶを食べた時、やまと豚の存在を知った。養豚場が経営する店では日本橋コレドにもある平田牧場などが有名だが、やまと豚の直営店は銀座中央通りを歩いていて偶然見つけた。これは行かねばならない。
我々5人が席につくと店員がみんなにメニューを渡す。インターネットでチェック済みの銀髪はメニューも見ずに店員と話し出す。「薬膳鍋を食べたいけど3人前でいいよね。鍋の前にここだけでしか食べられない豚肉料理を出してくれる?」店の女性は心得たもので、候補になる料理を勧めてくれた。
お通し、究極レバーの甲州煮

赤ワインと特製のタレにつけ込んで低温で仕上げたというレバー。焼酎を中心に種々豊富なドリンクメニューだが、躊躇なくワインを飲むことにした。日本食には日本酒を飲むと決めている銀髪だが肉料理中心なら赤ワインが合いそうだ。
ミミガーと水菜のハリハリサラダ、柔らかタンの味噌煮

料理は店の人が取り分けてくれる。2丁目店をランチで利用したが、サービスはあんまり感心しなかった。夜と昼では違うのか、もともと8丁目店の人たちが優秀なのかは分からない。
肉、薬膳不老長寿鍋

美しいやまと肉のバラとロース。平均年齢が60歳を超える今日のメンバー向けに銀髪がアレンジした不老長寿鍋。「中華の薬膳鍋とは随分味が違いますねー」と言うと「和風に仕上げていますので」と応える。しかし「コチジャンと紹興酒が味の決め手」と続けるので首を捻った。まあ、美味しいから突っ込むのは遠慮した。
鍋、うどん

3人前は正解だった。うどんは2人前でいいかと思ったら、5人前が必要だった。みんながたくさん食べたからではなく、1人前があまりに少なかったため。すべて思い通りにとはいかないものだ。
今回は鍋を選んだために食べた創作豚料理はほんの一部。他にも面白そうな料理がたくさんある。今度は2丁目店でも夜に行ってみようかな。
やまと 銀座八丁目店
東京都中央区銀座8-8-5 陽栄銀座ビルB1
03-3574-9751
http://www.frieden-dining.com
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2009年09月26日
[大正軒](有楽町)
スローライフ

「飲みねぇ 飲みねぇ すしを食いねぇ 江戸っ子だってねぇ」「神田の生まれよ」カウンターで待っていると、広沢虎造の浪曲「石松三十石舟道中」の名調子が聞こえてくる。普通は客のために音楽が流れているものだが、まさか浪曲ファンの客がいるとは思えない。
「清水一家で強いのは誰だか知ってるかい?」「大政、小政、大瀬半五郎、…」次兄が二代目広沢虎造を真似てだみ声で唸っていたのを思い出す。懐かしさに浸っていたらビーフカツが出来上がった。通常より50円引きの950円、本日のサービスランチだ。

巣鴨(住所は文京区千石4丁目)にある肉屋「ミートショップ大正軒」が経営しているとはいえ、1,000円で上等の和牛カツというわけにはいかない。ソースがたっぷりかかってきたのは予想外だったが、それなりに美味しく食べた。
「虎造ですね、ラジオですか?」食べ終わった食器を店主に差し出しながら聞くと、照れ臭そうに「テープです」と答えた。勘定場に行き1,000円札を渡してもお釣りが来ない。「950円ですよね」と遠慮がちに言うと「あー、そうだった、いつも1,000円なので忘れてた」と屈託なく笑う女性店員。アットホームな店である。
「今日はビーフカツがお得ですよ」と奨められた結果とはいえ、やはりメニューのトップにあるロースカツを食べなければ片手落ちだ。もしかしたらうまい具合に浪曲のクライマックスが聞けるかもしれないと思い再訪した。

残念ながら浪曲ではなく、懐かしいと言うには銀髪でも若すぎる昭和の曲が流れていた。それでも名曲は聴きやすく、オーソドックスなとんかつを食べる邪魔にはならない。今回は銀髪式に半分にトンカツソース、半分に醤油をかけて食べた。
なんだかホンワカする洋食屋である。
キッチン大正軒
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館地下1階
03-3201-0147
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2009年09月25日
[座屋]③(銀座)
常連とまでは言えないけれど

銀髪グルメ紀行を始めて丸4年、3ヶ月連続で訪れた店は記憶がない。1回目で友達になり、2回目にはマブダチ、3回会ったら大親友とほざく友人をいつも笑っている銀髪だが、座屋に関しては銀髪も友人と五十歩百歩。既に常連客気分である。
5時半「やあ、こんばんは!」と軽やかに店に入って行った。店主の岡添さんはじめスタッフみんなが笑顔で迎えてくれる。てぐすね引いて待っていたようだ。今月の料理の出来はどうか、さあ、勝負勝負!
清水鯖、松茸とキスの椀

「オッ!純米吟醸だね」座屋は高知の全18蔵の日本酒を揃えており、いつも料理に合わせて何を飲むか岡添さんに任せている。料理との相乗効果で酒が進む。「もうないよー」と言うと、次の料理を考えて「〇〇出してー」とスタッフに命じる。なかなか格好いい。
御造り

「今度は純米酒?」これも当たった。鰹を藁で炙る(燻す)ショーが始まる。「赤いセロファンをヒラヒラさせて焼く真似をするだけだよ」と連れに言うと、岡添さん、吉澤さん、共に話を合わせてくれる。笑いも重要な調味料だ。鯛に似た魚はウメイロとのこと。高知から直送する座屋だからこそ味わえる素材だ。
八寸

「あれっ?これは純米ではないね」吟醸酒でも醸造用アルコールが入っていると読んだ。三連続正解で銀髪の鼻が得意気にヒクヒク動く。献立表の岩牡蠣がなく、代わりにチャンバラ貝(写真の左下)が出された。先っちょが刀のようだ。2匹がぶつかり合うとチャンバラをしているように見えるらしい。これも初めて食べた。牡蠣がなくて得した気分だ。
まながつお西京焼き

まながつおは南日本から東シナ海の大陸棚の砂泥底に生息しており、全長60センチにもなる。鰹と漁獲期が重なるのでかつおの名がついたらしいが、まったくの別種。西京焼きにぴったりの魚だ。
伊勢海老

伊勢海老の身はどこに行った?心配ご無用。頭の下にちゃんとあった。クルリと身を取り出して口に入れるとレアの食感。刺身を同時に食べるようなイメージで面白い。
朝引き鶏のたたき、漬物と干物、デザート(無花果盛り)

「これは清酒?本醸造?」「いえ、純米吟醸です」遂に外れた。酔っ払ったせいにしてしまおう。写真はないが、もちろん土鍋ごはんもいつもどおり美味しかった。うまくいけば来月にはヒノヒカリの新米が入って来るそうだ。米だって生鮮食品である。薫り高い土鍋御飯を目当てに来月も来なければならない。
「大きなアカザエビが入りますよ!」10月の献立は既に出来上がっているようだ。自信満々の岡添さんを見ているだけで嬉しくなった。座屋での勝負はいつも負ける方が楽しい。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
座屋の7月、8月
7月→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/07/post_1296.html
8月→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/08/post_1335.html
長月のお献立
[先付]土佐清水鯖、白桃酢擂り流し、蛇籠蓮根
[御椀]松茸と鱚の天吸
[御造里]鰹、ひらあじ(?)、ウメイロ
[八寸]鮪とマンゴー和え、チャンバラ貝、もち豚ロースとカマンベール、鰹と胡桃の旨辛煮、車海老握り寿司、新銀杏
[炭焼]真魚鰹西京焼き、酢取り茗荷
[煮物]伊勢海老共餡掛け、茸・菊花・三つ葉
[強肴]朝引き鶏のタタキ、梅大根・白菜サラダ
[土鍋御飯]ヒノヒカリと土佐ジローの卵掛け御飯
[御数]高知漬物、干物
[甘味]無花果
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2009年09月19日
[Lounge H]
本当に隠れ家的なレストラン

日本橋から早足で歩いた。住所は銀座だが、昭和通りを越えるのでイメージ的には東銀座だ。まだ6時半なのにオフィスビルの1階には人影もない。
「オーイ!何してんだよー」ビルのフロア案内板を見て途方に暮れている友人に声をかけた。既に赤ら顔をしている。高級レストランがある分かりやすいビルなので、同窓会の案内状もろくに見ないで来たらしい。「オー、助かったよ!」と銀髪と気付いて声を上げる。案内板には確かにレストランの名前はない。
酔っ払いと一緒にエレベーターを13階で降りた。広々とした店内に客は数えるほどしかいない。夜景がきれいな店にもかかわらず、「会費4,000円程度」は何かの間違いではないかと思っていたが、そのからくりがほぼ分かった。



ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ウーロン茶。飲み放題では酒のレベルの文句は言えない。どうせ近況報告が終わり、昔話になれば酒の味など分からなくなる。酒の肴は既に充分になっているのに、幹事はまだ料理を追加すると言う。料理はコースではなく、彼が適当にオーダーしているようだ。

腹一杯飲み食いして一人4,000円でもお釣りが来た。帰りは幹事に誘導されて裏口からビルを出た。数年前までブリジストン本社の地下で飲み食いしたことを思い出した。社員限定の食堂も多いが、決まりごとさえ守れば社外の人でも利用できるところが少なくない。この日のラウンジも基本的にはビルのテナント向けの施設だが、一般にも開放しているようだ。
「夜景がきれいな格安の店」として紹介しようと思ったが、幹事から銀髪グルメ紀行に住所や電話番号は載せないでくれと言われた。文章の中からどこにあるか読み取ってもらうしかない。わかるかな?
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2009年09月17日
[ビアホールライオン 銀座七丁目店](銀座)
さすが110年の王

「肉はダメだぞ!」と命じたら部下が選んだ店は銀座ライオンの総本山七丁目店。メタボ軍団の部下たちに相応しい店とも思えないが、先日行ったばっかりの渋谷店と比べるのもいいだろうと思い承諾した。
さすがに歴史のあるビヤホールは重厚で風格がある。天井の高い立派な大ホールに粗末な椅子やテーブルが意外と合っているから面白い。サッポロ生ビール黒ラベル、エビス樽生、琥珀エビス、エビス・ザ・ブラック、白穂乃香、エーデルピルスなど各人好きなビールを頼む。


「肉以外にも料理はいろいろありますから」と言った我が社のメタボ頭が頼んだのは目を疑うものばかり。看板料理のローストビーフが一番ましに見えたが、売れ行きはよくなかった。


他のメタボたちも負けていない。一斉に頼むからテーブルに乗り切らないぐらいに料理がやってくる。テーブルのスペースを空けるには出ている料理を腹にぶち込むしかない。メタボへ真っしぐらだ。
ビールに飽きてワインや酒を飲む者も出てきた。僅かながら選択肢があるので飲み放題よりましだろう。そもそもメタボ軍団の飲み会は1時間超で終るので、2時間の飲み放題は無駄だ。

にしんのマリネを喜んで食べるのは最年長の健康優良社員のみ。健康診断の評価を見るまでもなく、食べるものと健康度は比例する。不健康な連中は、好きなものを食べて飲んで、煙草も吸って病に倒れても思い残すことはないだろう。もっとも、健康に気をつけても無病でぽっくり死ねるわけでもないから難しい。自由に飲み食いできなくなる前に楽しみたいと思うのも一理ある。
勘定をしたら渋谷の飲み放題コースと値段はほぼ一緒。満足度は比べるのもばかばかしいほど明らか。満足してくれたのはいいけれど、メタボたちが「明日から減量するぞ!」と言うのがチャンチャラ可笑しかった。
銀座ライオン 銀座七丁目店
東京都中央区銀座7-9-20
03-3571-2590
http://r.gnavi.co.jp/g131800/
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2009年09月15日
[京野菜 美登里](銀座)
ゆったりと京料理

銀座金春通りには銀座九兵衛をはじめ有名店が並ぶ。周辺には高級クラブも多く、もっとも銀座らしいところだ。そんな金春通りをきょろきょろしながら歩いていたら、危ないところ通り過ぎてしまうところだった。
階段を下りるとグッと落ち着いた京都の町家に入ったような気分になる。カウンターの正面に見える茶箪笥が店の雰囲気を支配しているかのようだ。対称的にバックに流れるオペラの曲が調和していて面白い。一番乗りだったので、カウンターの左端の席を選んだ。

目の前を店主が過ぎて行った。彼の持ち場は右側の焼き場近辺らしい。しまったと思ったが後の祭り。たくさんの小皿はどこに行くかと見ていたら、盆に並んで銀髪の前に来た。これを見たら日本酒を頼まずにはいられない。

琵琶湖産の稚鮎、まぐろ尽くしと進んでいくと酒を飲むピッチが上がっていく。酒のメニューには酒米の名称も書いてある。全29種、初めて聞くような酒米、銀髪を挑発して危ない。

メインの前の野菜料理。「今は一番京野菜が少ない季節なんですよ」と言われてハッとした。確かに蕪などの京野菜は秋から冬が旬のものが多い。それでもがっかりすることはない。これだけの野菜が並ぶのだから。

メインは肉料理(すきやき)と魚(かさご)のどちらかを選ぶ。どちらも松茸の香りが効いている。唐揚げされたかさごに身はあまりついていないが、スープが素晴らしく美味い。魚料理というよりも松茸料理と言った方がいいかもしれない。

横浜馬車道通りの近くに85年続いた料亭が火事で消失し、心機一転、銀座に店を構えたと言うだけあって、もともと店主はカウンターで客の相手をするのが苦手のようだ。銀髪が左端、店主が右端という距離も邪魔をする。銀髪のペースに引きずり込もうと何度か試みた末に「この音楽は誰の趣味ですか?」と聞くと、「私のです」と主人が恥ずかしそうに答えた。やっと会話が成立した。マニアというわけではないそうで、銀髪でも知っているスタンダード曲ばかりで楽しい。
電話の応対同様、所作も美しい店の女性に見送られて店を出た。「何か他と違ったところは気付かなかった?」と連れに聞いても首を傾げたまま。甘いものが苦手の銀髪にとっては嬉しいデザート無しの店だったのである。
京野菜 美登里
東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル B1F
03-3289-2362
http://www.ryoutei-midori.co.jp/
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2009年09月09日
[イル・リストランテ](銀座)
ブルガリのレストラン

ブランド品にはまったくと言っていいほど興味がない。しかし、食べ物となると話は違ってくる。カード会社から送られてきた冊子でブルガリのレストランがあることを知った。部下の女性たちを連れて行ったら、5,000円のランチでも喜ぶに違いない。
ビルの横にレストラン直通のエレベーターがある。店の前に置かれたメニューの写真を撮って中に入った。扉の外から中は見えなかったが、受付の女性からは銀髪が丸見えなのが分かった。彼女も銀髪も何事もなかったような顔をして対峙した。

各人の前に置かれた皿の上には持ち帰りが出来る立派なメニューが乗っている。店の前で恥をかく必要はなかった。みんなが揃ったところでカード会社予約特典のシャンパングラスを上げた。そのまま目を上に向けると棒高跳びのイシンバエワでも届かない高い天井に驚く。カーテンにつなぎ目があるのだろうかと目を凝らした。窓の反対側にはバーがあるようだ。

素晴らしく美味しいパンだ。食べ終えると新しいものを持って来てくれた。これだけで満足してしまいそうだ。コースの前に出てきたモッツァーレチーズのカプレーゼ。皿がゆがんでいるかと思ったが、みんなの皿も同じだった。さすがにお洒落である。フォーク&ナイフにもブルガリの文字が見える。

「和牛のカルパッチョ フレッシュハーブのミスティカンツァ」またも珍しいセッティングかなと思って他の人の皿と比べたら、単にチーズがこけているだけだった。緊張気味の部下たちの気持ちがほぐれた。「夏野菜と自家製水牛リコッタ アルフォルノのスパゲッティーニ」もとても美味しかった。さすがはブルガリ、スパゲティ用に出されたのはフォークのみ。スプーンを左手に持たせることはしない。

メインは「イサキと大麦の温製サラダ」と「ホロホロ鶏のロラティーナ ポテト タジャスカオリーブ 赤カボチャのクレーマ」のどちらかを選ぶ。銀髪はイサキを選んだので、隣のホロホロ鶏を少し分けてもらった。中心のフォアグラがいいアクセントになっている。鶏を頼んだ人が自分の選択を自慢したくなるのも無理はない。

「カカオのメリンガータ アーモンドのジェラート コーヒーのグラニテ」苦味の強いコーヒーのクラッシュアイスを甘い菓子にかけて食べる。これは見事な調和だった。クッキーが出てきて飲み物を待った。残念なことにカプチーノを頼んだ人のズボンは、若い店員によって汚された。ベテランスタッフたちの対応は素早かった。一流店らしからぬところと、さすがというところを見ることが出来た。
全ての食事が終了するまで約2時間。話をするためのみに口を動かす時間が約半分。ふんだんに時間を使うとお金持ちになったような気分だ。見渡すと殆どのテーブルの客たちはワインやシャンパンを飲んでいる。紳士淑女のテーブル脇にブランド品が誇らしげに鎮座する。1時を過ぎた頃にようやく満席に近づいた。
帰り専用エレベーターを降りると、売り場の中だった。恋人を連れていたら男は肝を冷やすことだろう。ガラスケースの前で立ち止まる部下たちを残して、銀髪はわき目もふらずに店を出た。
イル・リストランテ
東京都中央区銀座2-7-12 ブルガリ銀座タワー
03-6362-0555
http://www.bvlgarihotels.com/home.html?param_id_lingua=2
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2009年08月27日
[サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス]②(銀座)
シャンパーニュのお勉強

「先日、ビストロの方に行って楽しかったですよ」と女性ソムリエの武井さんに言うと、「あちらは閉店しました」と言われて驚いた。好きな店だったのに残念だ。気を取り直してシャンパンを楽しむことにした。こちらの店はシャンパン専門店として銀座で確固たる地位を築いているから安泰だ。

グラスで飲めるシャンパンは5種類用意してある。まず飲み比べ3種のシャンパンとおつまみのセットで始めることにした。シャンパンの知識は乏しいので武井さんにいろいろ教えを乞おうと思ったが、彼女はカウンターで一人で飲んでいる男性客のお相手で忙しい。

瞬く間に3種類を飲み尽くした。残りは高いものが2種類。「ピノノワールだけで作ったシャンパーニュです」と言い残して武井さんが去っていったので、もう一人の女性スタッフの斉藤さんがお相手してくれた。
シャンパンという呼び方が当たり前になっているが、正式にはシャンパーニュと言った方がいいらしい。どこで勘違いしたしたのかシャンパーニュのぶどうはシャルドネ種とばかり思っていた。シャルドネ、ピノノワール、ピノムニエを使うとのこと。ピノノワール100%のシャンパーニュがあるとは知らなかった。

ヴィオニスは食べるものも豊富にあるが、斉藤さんのイチオシは小さなクロワッサン。シャンパーニュはあまり好きではないが、ヴィオニスで飲むと何故か美味しい。350種類ものシャンパーニュを揃えているから甘味を抑えた銀髪好みのものにも出会える。
武井さんは我々以外のカウンター客に加えて、テーブル客の対応に大忙しの様子。斉藤さんは相変わらず質問攻めをする我々のお相手をしてくれる。「ヴィオニスで一番高いのはどれ?」と聞いたら、わざわざガラスケースから出して見せてくれた。百万円もすると言う。

「よし!、次はこれを開けてもらおう!」なーんてことは口が裂けても言えないのは分かっていながら、親切にも斉藤さんは銀髪にそのボトルを持たせてくれた。ありがたや、ありがたや。斉藤さんのお陰で知識が増えた。シャンパーニュ、シャブリ、コニャックなどブランド銘柄と土地の関係の整理ができた。、グランクルー、グランプレミエなど用語の意味も分かった。しかしすぐに忘れてしまうだろう。知ったかぶりをするよりは、毎回ソムリエを頼った方が良さそうだ。その方がきっと大事にしてくれる。
サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス
東京都中央区銀座8-8-18 銀座8818ビル3階 (金春通り)
03-5537-0700
http://www.vionys.com/salon/index.htm
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2009年08月19日
[座屋]②(銀座)
葉月(8月)は天然うなぎ

5時45分に店に到着。一番乗りかと思ったら、座敷から声が聞こえる。8月14日、お盆休みで静かな街と対称的に6時半にはカウンターも満席になると聞いて驚いた。銀髪グルメ紀行も多少の貢献はしているようで、スタッフ全員が好意的に迎えてくれて有難い。

八寸は2人前を一つの品に見立ててのプレゼンテーション。料理は素材のコラボレーションを楽しむために、一口で食べられるサイズである。見せるだけでなく料理の説明をすることで、客を一気に座屋の世界に引き込んでいく。

座屋名物の鰹のたたき。二度目になると感動は薄れるかと思ったら、今日の方が美味く感じるから不思議だ。「吉澤さんの方が炙り方上手なんじゃないの?」と岡添さんを茶化す。脂の乗りがよくなっているのかもしれない。かつお以外は少量ずつ。金目が美味い。

「さあ、これからメインですよ!」岡添さんが本当に嬉しそうに言う。客に自信作を食べてもらうのが心底楽しいのだ。白焼きと蒸し焼きが1枚ずつ。それぞれを半分にして4通りの食べ方を奨められる。関西風でも関東風でもない白焼きは、天然鰻ならではの弾力ある噛み応え。「今まで何回か食べたけど、養殖物と天然物の違いは正直分からないんだよなー」と言って食べ始めたが、岡添さんに一本取られた。

相変わらずどれもこれも手がこんでいる。15,000円のコースなら匹敵する店が銀座には何店もあるが、10,000円でこれだけのものを出す店は殆どない。そう言って褒めると「高知からいいものを直送してもらってますから」と謙遜する。創業した地元高知や2号店のある神戸から数百人の客が銀座店を訪れたという。地元の名士も多くやって来るらしい。皆のサポートを得られるのも岡添さんの実力である。だからこそ調達できる地元の素材だろう。彼の人柄と情熱には誰もが心を動かされる。
いよいよお婆ちゃんが作った米の土鍋ごはん。これは前回と同じもの。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/07/post_1296.html)ところがまるでとうもろこしのような香りが立ち昇るのには驚いた。前回は写真を撮るのに夢中でご飯への注意が散漫になっていたのかもしれない。

料理もデザートを残すばかりとなって連れが「実は鰹も鰻も嫌いだったんですよ!」と打ち明けた。好き嫌いが多い人と思っていたが本当は味覚が鋭いのかもしれない。美味しければ偏見なく受け容れる。岡添さんもしてやったりと微笑む。
最後まで一つだけ空いていたカウンター席に若い男性が座った。岡添さんは忙しく手を動かしながらも「もう少し待ってくださいね。すぐ、そちらに行きますから」と寂しげな客を気遣う。まったく大したものだ。
さて、次は9月。今度はどんな感動や発見があるか、とても楽しみである。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
葉月の献立
(八寸)白子ポン酢 海素麺と茗荷 オクラと長芋胡麻汚し 賀茂茄子田楽
胡瓜とチーズの博多 鰺南蛮 牛しゃぶとアスパラのサラダ
(冷鉢)南瓜豆腐 蛸梅煮・丸十・アスパラ・あられ長芋
(御椀)鱧清まし仕立て
(御造里)鰹、金目の肝添え、いか、ひらあじ
(炭焼)高知産天然鰻白焼き 石川小芋豆腐・煮詰め焼きおにぎり
(煮物)もち豚の角煮 玉蜀黍の蒸しパン添え
(酢物)新秋刀魚きずし 蓮芋・水茄子・冬瓜・黄味酢餡
(御飯)四万十川源流産『ヒノヒカリ』 生産者 岩崎花美
(御数)越知漬物 高知干物(3年物の沢庵、粕漬け、しば漬けのこだわり)
(甘味)葡萄づくし
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2009年08月10日
[時代おくれ]②(京橋)
好き嫌いはDEBUの素

部下に宴会の場所を探させると肉料理が多い。「野菜のしゃぶしゃぶにでもするか?」と言うと「牛ですか?豚ですか?」と聞く。野菜と言っているにもかかわらず、しゃぶしゃぶにしか反応しない。我が社の営業マンは程度の差こそあれ全員が肥満。「今日は野菜縛りだ!」と銀髪が時代おくれを選んだ。約2年ぶりの訪問である。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/07/post_278.html)

胡麻豆腐、枝豆、四万十川の海苔、計画通りにスタートした。前回来たときに陶器の器に入れてきた生ビールを、泡が多過ぎると文句を言った。今はグラスに変わっている。銀髪グルメ紀行に感謝のコメントをくれた染谷さんに会いたかったが辞めたとのこと。とても残念だった。

染谷さんのお奨めを思い出して生野菜の盛合せを頼んだ。水茄子を初めて生で食べたのが時代おくれだった。一番食べさせたかった真正メタボ氏は「茄子なんか生で食べれるか!」と一蹴した。


「後は自由に頼んでいいぞ!」と言ったのが間違いだった。最初の趣旨からどんどん離れていく。「ウメー、ウメー、ハムカツお代わり!」と言う肥満度トップを「お前は食うな!」と一喝したら泣きそうな顔をする。結局、許してしまったが、後悔するのは銀髪ではない。


野菜の仕入れ先にこだわる時代おくれはいい店だ。ベジタリアンでも品質に満足するだろう。肉や魚もあるのでベジタリアンではない人も飽きることはない。幸か不幸かメタボに悩む人は、何を食べるか悩むことになる。選んだものを見たら、真剣にメタボを改善しようと思っていないことが分かる。

ゴーヤチャンプルーは意外なことに最肥満が頼んだ。他の連中はゴーヤを避けて豚肉ばかり食べる。前回、時代おくれに来たときは、野菜を前面に出す店はまだ少なかった。今はかなり増えたが、メタボが改善されるかは本人次第。ダイエットはともかく、野菜の素晴らしさ、美味しさに早く気付いて欲しいものだ。好き嫌いをなくせば道は開ける。
帰農庵 時代おくれ
東京都中央区京橋1-1-9 入船本館ビルB1
03-6225-4535
http://vegedinning.com/shop/jidai.html
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2009年08月09日
[三州屋 銀座店](銀座)
インターネットとは無縁の昔ながらの居酒屋

三州屋は色んなところにあるが、取り上げられるのは銀座店が圧倒的に多い。銀座だって大衆居酒屋はたくさんあるのに、「あの銀座で、こんな大衆居酒屋が…」となる。ところがテレビや雑誌で紹介されるのは夜の酒の肴ではなく、なぜか昼のフライ定食である。
三州屋は銀座一丁目と二丁目にある。どちらの看板にも銀座店としか書いていない。仲が良いのか悪いのか分からない。同系列なのかどうか定かではないが、昼の看板料理はどちらもフライ定食で、値段も同じ1,000円だった。
銀座一丁目店

某グルメ雑誌のお奨めは一丁目店で、一人で料理を運ぶ年配の女性をも絶賛していた。目の前で刺身定食に髪の毛が入っているとクレームをつける客と、その女性とのやりとりは決して愉快なものではなかったけれど、銀髪はお目当てのフライ定食を黙々と食べた。酒盛りをしている客が羨ましい。
銀座二丁目店

テレビで服部幸應が絶賛していたのが二丁目店。某グルメ雑誌の推奨店はハズレが結構ある。服部幸應の評価はそれなりに納得できた。どのテーブルにもソースと醤油の瓶が2本置いてあるので、一丁目店のように「醤油を持ってきて欲しい」と頼まなくてもいい。フライにも醤油派の銀髪にとってはこの一言が煩わしい。配膳をする4人のおばさん達に笑顔は見られないが無愛想でもない。ベテランの味といったところだろうか。
それにしても三州屋は不思議な店だ。あちこちにあるがどこが本店か、グループ企業なのか、暖簾分けしたのか、ホームページもないので分からない。はっきりしているのはどの店も昔から愛されている居酒屋ということだろう。一丁目店の料理の短冊を数えたら100以上もあった。夜の賑わいぶりも容易に想像できる。
店構え、内装、雰囲気、料理の内容、サービス、いずれをとっても新興居酒屋グループの方が上を行っていると思う。それでも、昔ながらの客は三州屋の方が落ち着けるだろう。あの銀座にこんな店と言うよりも、銀座ならではのこんな店と言った方がいいかもしれない。銀座は高級店だけでなく、大衆居酒屋を含めて大人の街である。
三州屋 銀座店
東京都中央区銀座1-6-15
東京都中央区銀座2-3-4
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2009年08月08日
[らーめん 松富](銀座)
高級クラブの美女に会える(?)ラーメン屋

「あそこは砂肝の唐揚げが美味しいのよね」高級クラブの女性が言うので驚いた。夜な夜なお金持ちにご馳走になっていると思ったが、一人ラーメン屋で腹ごしらえすることもあるのだろうか。同伴をラーメン屋で済ませるつわものがいるのかもしれない。尊敬してしまう。
順子、麻衣子、江川、高田などなど高級クラブが並ぶ数奇屋通りの路地裏に松富はある。看板は見たことはあったが、行くきっかけを作ってくれたのは日本橋のしうまい家松富である。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2008/02/post_826.html)主人は自分が育てた銀座のラーメン屋を弟子に任せて日本橋に店を開いた。
ラーメン、しうまい

背脂が浮いたこってりしたラーメン。味の濃さや麺の茹で方は指定できる。主人の年齢からして昔ながらの和風ラーメンを想像して行ったので、ちょっと驚いた。背脂ラーメンの先駆者だったのか、弟子が改良したのか定かではない。
もちろん特許しうまいもある。しうまい家と同じ味だ。メニューを見ると餃子や春巻き、クラブの女性から聞いた砂肝をはじめ酒の肴も豊富にある。

報告を兼ねてしうまい家松富に昼飯を食べに行った。しうまい、餃子は銀座から日本橋に運ばれて来るそうだ。同じ味なのは当たり前だった。主人は「日本橋の店では全部一人でやらなければならないから大変ですよ」と苦笑いする。たくさんの料理を出す店だが、看板料理はやはり特許しうまい。銀座の店と特許しうまいなどの製造を信頼する弟子に任せられるとは幸せ者だ。弟子も偉いが主人も偉い。
銀座の店に行くのはいつも昼間。今度は夜に行きたいものだ。一緒に来てくれる美女がいたら嬉しいけれど…
らーめん 松富
東京都中央区銀座6-4-16 花椿ビル1階
03-3289-3465
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2009年08月05日
[萬久満](銀座)
メニューのない割烹料理屋

開店の10分前に到着した。開店準備をする店の女性に「ご主人はまだなの?」と声をかける。「はい、社長はもうすぐ来ると思います」「メニューはないようだね」「はい、社長に聞いてください」。忙しそうだ。海老を肴に生ビールを飲んでいると、6時ちょうどに主人らしき人が入って来た。店の女性たちが緊張するかと思ったら、逆に笑顔を浮かべる。店の雰囲気が柔らかくなった。。
「社長と呼んだ方がいいの?」と聞くと「好きに呼んでください」と笑う。戸田さんと呼んだ方がいいのかもしれない。

お通し、小鯛の笹漬けと続く。懐石の手順を踏んでいるようだが、そうでもないようにも見える。立派な鰻肝の串が炭火の上に乗った「牡蠣食べる?」銀髪の連れが常連なので口調が軽い。三重県産の岩牡蠣。連れは2個食べた。

鼻高々に「今日は250g超もある最高のさんまが入ってるよ」と言われて、「刺身にしてくれる?」と言ってしまった。「他にもいい魚はあるのに、さんまを刺身にするのは好きじゃないんだけどなー」と言いながらも造ってくれる。いい人だ。海老しんじょの椀物、さんまが入った刺身の盛合せと続く。

「いいウニがあるよ」殻を割りウニの身を取り出す。「稚鮎は天ぷらにする?それとも塩焼き?」いつの間にか銀髪も常連になった気分だ。一人で食べる常連さんが我々より先にさんまの塩焼きを頼んだ。「はらわたを取って焼いてくれる?」と言われて「エーッ、そんなの初めてだよ」と言いながらもちゃんと要望通りにする戸田さん。さんまから脂がしたたり落ちるのを見て、銀髪もオーダーした。

別の常連さんが入って来た。彼のところにもさんまの刺身が出された。「美味しいねー」と褒めるので、「主人が嫌がるのを僕が頼んだんですよ」と銀髪がしゃしゃり出る。我ながら恥ずかしい。

そろそろ、そばを食べてお開きの時間である。戸田さんがカウンター下の冷蔵庫から黒ムツを取り出して常連さんに見せる。「一匹は多いなー」と渋っているので、「半分食べてあげますよ」とまた出しゃばった。そばは連れのものをちょっとだけもらった。

右にも常連さんが一人で座った。戸田さんの人柄がひきつけるのだろう。初めて来た銀髪でも歓迎してくれた。常連さんとも歓談できた。楽しかったが飲みすぎた。でしゃばりにもちょっと反省。
萬久満
東京都中央区銀座8-4-24 藤井ビル6階
03-3574-7963
http://www17.ocn.ne.jp/~mankuma/
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2009年08月03日
[ふぐ 福治](銀座)
夏は鱧

大阪の天神祭り、京都の祇園祭などに鱧はつきもので、関西には鱧の食文化が根付いている。福島県以南の日本近海で広く捕獲されるにもかかわらず、多くが関西で消費される。京都などには鱧の専門店があるようだが、東京には多分ないだろう。旬の季節が重ならないため食べるとしたらふぐ屋になる。ミシュランの星に輝く福治に電話した。ふぐの季節なら予約を取るのは至難だろうが、当日にもかかわらず6人の予約が出来た。
お通し、湯引き鱧

生牡蛎と一緒に皿に乗るのは一見したところ玉子焼きのようだが、鱧の卵を煮付けたもの。鱧を食べたことがないという連中も、一気にとりこになった。
鱧料理の代表格である湯引き鱧は身が厚くてとても美味しい。鱧は淡路が有名だが、長崎など九州産も悪くない。
焼き鱧、鱧寿司

焼き鱧は蒲焼のようにして出す店が多い。塩焼きの鱧に「珍しいですね」と女将に言うと、寿司とかぶらないようにしているとのこと。湯引きを梅肉で食べるのもいいが、焼いた方が味が逃げなくていいような気がする。

「鍋は量が多いので4人前でいいと思います」とアドバイスする女将に素直に従った。ところが出てきた大皿を見て驚いた。鍋2つに4対2の割合で分けてくれたのだが、上の写真はその小さい方。鱧しゃぶは他の店で何度も食べたことがあるが、せいぜい4~5切れ。
鱧尽くしコースは1人分で1匹以上使うそうだ。鱧の体長は鰻の倍近い約2メートルである。これは凄い!
鱧しゃぶ、雑炊

松茸と白菜のシンプルな鍋なので量があってもどんどん腹に納まった。松茸の香りが湯気に乗って食欲を刺激する。雑炊はもちろん、期待した通りだった。
火を止めてもグツグツという鍋を見て、メニューにある「天然スッポンコース」を思い出した。すっぽんのまる鍋に使う素焼きの鍋のようだ。これならすっぽんコースも期待できそうだ。ふぐは鱧の倍の価格帯だが、値段以上の満足度を得られるに違いない。
ミシュランは肝腎なところをガイドブックに書きそこなっている。女将をはじめ店の人たちがとてもフレンドリーで和ませてくれるのだ。テーブルで寛いでいる常連さんたちを見ていると、本当にいい店だと思った。
ふぐ 福治
東京都中央区銀座5-11-13 幸田ビル3F
03-5148-2922
http://www.fukuji.jp/
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2009年07月29日
[銀座 うかい亭](銀座)
うかい亭で味比べ

「肉を味比べしようと思うんだ」メニューを開くなりソムリエに言った。まずメインを選んで、それから前菜へと遡って行く。「メニューを渡されても困りますよね」と銀髪が勝手に料理の選択権を握る。お客様は頷くしかない。白と赤のワインも同時に選んだ。
紫雲丹のジュレ、鮑、オマール海老

極上の雲丹料理を食べているとシェフの町田さんが登場。オマール海老や鮑の解説をしてくれる。鮑は一人が食べないと言うので、特大の鮑を三人で分けることになった。蒸し上がるまで通常より時間がかかるため、ブリュターニュ産オマール海老が先に出来上がった。

「アメリカンソースです」と町田さんがオマール海老のソースの説明をする。フランス人が故郷に戻って造り出した海老のミソを使ったソース。アメリカ人が発明したのなら単に海老ミソソースと呼ばれたのだろう。「美味い!」と言うと「ありがとうございます」と満足気だ。

うかい亭名物の鮑の岩塩蒸し。肉厚で柔らかく流石である。町田さんは我々の会話を邪魔しないように黒子に徹しようとするが、銀髪が主役にまつり上げる。それを見てソムリエの藤澤さんも舞台に駆け上がる。自説、通説、入り混じって料理談義が膨らむ。

いよいよメインイベント。神戸牛がなかったので代わりに松阪牛と今日の特選和牛(但馬産)の味比べ。ステーキに相応しいサシの入った厳選牛同士。この企画は好評だった。ヒレとサーロインを食べ比べする人はいるが、我々のやり方は珍しいらしい。4人が同じコースを食べてもつまらない。どちらが美味しかったのか。値段の差ほどの違いはあったのか。我々だけが知っている。
町田さんがガーリックライスを丁寧に炒める。油を少ししか使わないので時間がかかる。その間も話は続く。「部屋に入って嫌な感じがしました」と町田さんが告白する。いくつかの質問も店の人たちを緊張させてしまったようだ。「あの人が悪いんです」と部下が銀髪を指さす。おいおい俺のせいにするなよ。藤澤さんの顔も最初に比べると、笑みを浮かべて穏やかになった気がする。

別室に移って、デザートと食後酒をいただいた。銀座店は表参道店より良かった。個室だったせいかもしれない。相手をしてくれた二人のお陰であることは疑いない。次に行くときに指名したら喜んでくれるだろうか。
接待なのに一番楽しんでいるのはいつも銀髪である。「エッ?接待だったんですか」と驚いた町田さんの顔が目に浮かぶ。財布が悲鳴をあげているけれど、とても楽しかった。
銀座 うかい亭
東京都中央区銀座5-15-8 時事通信ビル 1F
03-3544-5252
http://www.ukai.co.jp/ginza/
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2009年07月23日
[よこい](銀座)
出汁が自慢の京会席

ビルはすぐに見つかったが入り口が分からない。守衛さんに聞いて花屋の隣と教えてもらった。お洒落な店名の文字は壁面に溶け込んでしまっている。これでは気がつかなかったはずだ。会席を楽しむカウンター席は地下にあった。先客は着物を着た年配の女性2人と男性が2人。いかにも銀座らしい風景だ。
先付け(鱧のゼリー寄せなど)、アボガドのスープ

予約の際に10,500円の雪コースを頼んでいたので、座るとすぐに食事が始まった。数々の賞を取った横井さんが総料理長というだけあって、味だけでなく見せ方もうまい。しかしカウンターに座っても料理人は遠くて話ができない。カウンター割烹ではなくオープンキッチンと言った方が正しい。若い料理人たちが黙々と働いている。
お造り(あおりいか、ひらめ昆布締め、まぐろ、湯葉)、鮎

稚鮎が籠に飾られて出てきた。皿の炭火がほんのりと鮎を温める。。素材について、料理を運ぶ店員に聞いても全部は把握していないようだ。横井名人らしき姿はカウンターの中には見つからない。
魚介類のしゃぶしゃぶ

シャリッ…、シャリッ…。鱧の骨切りの音は料理人によって個性がある。鱧でとった出汁で鱧、海老、蛸、帆立をしゃぶしゃぶする。鮎の塩焼きは炭火を使っていたのに、今度は旅館の鍋でよく使う固形燃料。それでも料理の味には問題ない。具を食べた後の汁はさらに美味しくなったので、殆ど飲みの干した。
酢の物、素麺、水菓子

和の出汁が自慢というだけあって、我が家でつゆの素につけて食べる素麺とは比べ物にならない。夏定番の手軽な料理という位置付けは素麺に申し訳ないかもしれない。昔は麺つゆは母が食べる毎に作ってくれたが、今は市販のものを使うのが当たり前になってしまった。我が家でも一手間かけて素麺に主役を張らしてあげたいものだ。
料理が次々と出てきて慌しく感じたが、時計を見れば2時間近く経っていた。こちらがお願いした時間にピタリと合わせてくれるところは流石に銀座である。連れが美味しかったと喜んでくれたので、良かった良かった。
京料理 横井
東京都中央区銀座7-3-13 ニューギンザビル1F・B1F
03-3573-8855
http://www.kyoryori-yokoi.jp/
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2009年07月19日
[桃園](有楽町)
懐かしがるか、新鮮な驚きか

階段を一段下りるごとに時間が遡って行くような気分になる。都心の大型ビルの地上フロアは改装してそれなりにきれいになっているが、地下は時間が止まってしまったままのようだ。もっとも、ビルが出来た頃はどの店も明るくてきれいだったに違いない。
店に入ると「チケットを買ってください!」と大声が飛んできた。自動販売機を探していると大声の主おばさんAがやってきて手動販売であることを知る。お金を払うとプラスチックの黄色く丸い番号札を渡された。カウンターを指し示されて配膳口の前に座ってしまった。対になった番号札の片割れが目の前に並んでいる。Aの手が目の前を行き交うのが煩わしいが、キッチンの様子が見えて面白い。
おばさんBが少量の麺を茹でて別の鍋に移し蓋を被せた。代わって既に茹で上がっていた大量の麺が温めなおされる。おばさんBの指示でおばさんCが麺を5つの丼に分ける。量を同じにするようにBがCに指示をしている。Cは銀髪よりかなり年長に見えるが、この店では最年少の新人のようだ。
炒めた具とスープの入った店主の中華鍋が5つの丼の上を行き交う。時折鍋底が盛り上げた具に接触する。5人分は老境に入った店主には重過ぎるように思える。鍋が空になった後でも左肩は下がったままだ。BがCに具の量が均等になるように指図する。Aが早くしろと注意する。3番目の丼が銀髪の前にやってきた。

九州ラーメンの原型と言われる白濁したスープを想像したが、タンメンと言った方がいい。茹でている時に見て驚いた麺も、野菜の下から引きずり出してみるとさらに太く見える。口コミ情報で酷評されるほど悪くはない。こんなに太いちゃんぽん麺は他にはないだろうから、何十年もこの麺を食べるために通う人もいるに違いない。鶏の唐揚げ、揚げ団子(さつま揚げ)も人気だという。

配膳台に丼が6個並んだ。太い麺を箸で素早く分けるのは難しいだろう。今度は店主の中華鍋が丼にぶつかるかもしれない。配膳台を10cm低くしてあげればいいのに。心配してはみたものの、結果を見届ける前に食べ終わり店を出た。入った時と違って大声は飛んで来なかった。忙しすぎてか、「ありがとうございました!」と言う余裕はないようだ。
店は満席になり、外に待つ人も出始めた。銀髪のように桃園を絶賛するグルメ雑誌を読んで来た人もいるだろう。初体験の人の評価はともかく、常連さんにとってはいつも変わらぬ美味しいちゃんぽんであるに違いない。
長崎ちゃんぽん 桃園
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館B1
03-3214-9048
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2009年07月18日
[葡萄屋]②(銀座)
いつも満腹

毎日違う店を食べ歩くのと、限られた店をローテーションするのと、どちらが幸せだろうか。3年8ヶ月の間に1000軒以上も行った銀髪からしたら、ローテーションできる人が羨ましい。
Kさんが「メシでも食べに行こうか?」と言えば葡萄屋は10%以上の確率がある。主人に「いい酒飲ませてあげるよ!」と30年物のスコッチウイスキーを持ち込むのは葡萄屋40年の歴史の中でKさんだけだろう。

何も言わなくても出て来るものは決まっている。Kさんは「今日は違うものがいいなー」なんてことは言わないから店も楽だ。「今日は〇〇が美味しいよ!」というような会話は起こり得ない。葡萄屋の焼鳥は老舗らしく大きい。焼き方も上手でなかなか美味しい。

生焼けが嫌いなKさんなのに、葡萄屋の焼き方はミディアぐらいである。鮮度がいいから出来る焼き方だが、Kさんが文句を言わないで食べているのが不思議だ。「中は生ですよ。大丈夫ですか?」なんて言おうものなら次回からカリカリのものを食べさせられるので、銀髪も余計なことは言わない。いい焼き具合だ。

自分の前に置かれた焼鳥を他人の皿に移しだすと、Kさんがお腹一杯になった証拠だ。銀髪の皿に置かれたら、部下の方に回す。こちらだって腹一杯なのだ。若い奴を連れて来た保険が機能し始める。

所要時間が1時間を超えることは絶対にない。4人以上で来ることが多いので、酒の持込みをされても店主が容認する要素は多い。銀髪のように1年に1回しか来ないようでは上客にはなれない。
常連客と大事にしてもらいたい気持ちもあるが、いい店を発見したときの喜びも捨て難い。初めて食べる美味に感動できる機会も失いたくない。二兎を追うわけにはいかないのが辛い。
葡萄屋
東京都中央区銀座西2-2 銀座インズ2 B1F
03-3564-2001
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2009年07月13日
[ガール・ド・リヨン](八丁堀)
気楽に大衆フレンチ酒場

フランス在住歴6年のKともう1人の部下を連れて会社を出た。「どこに行くんですか?」と聞かれても「内緒!」とだけ答える。東京駅を背に宝町の交差点を越え、首都高のガードを過ぎてすぐの道を左折した。中華料理屋に入るふりをするとKが落胆の表情を浮かべる。それを笑ってさらに進み、ビストロの前に立った。入り口に「ワインを飲まない人お断り」のような趣旨の張り紙がしてあった。ワイン好きのKは喜ぶはずだ。
店内のテーブルには全て予約済みのカードが置かれている。7時からの予約が入っているテーブルになんとか座らせてもらった。制限時間は1時間半。壁にはどこかの駅の様子が映っている。リヨン駅だとKが解説してくれた。
牛タンのサラダ、フランスパン

フランスにある居酒屋と同じ雰囲気だとKが懐かしがる。料理の量が多いのも同じらしい。日本人らしく生ビールで喉を潤し、棚に置かれたたくさんのワインの空ボトルを眺める。値段とコメントが書かれた空き瓶がワインリストの役目をしている。
ムール貝と白貝のワイン蒸し、付け合せのポテト

大好物のワイン蒸し。残ったスープをフランスパンに染み込ませて食べる。ワインがすすむ。それにしてもたくさんのフライドポテトだ。
自家製ソーセージ、田舎風パテ

ソーセージよりもボリューム一杯のフライドポテト。「フランス料理というよりも、アメリカっぽいな」と言ったらこれがフランス流だと反論された。そこで30年以上前の記憶が甦った。ロサンゼルスでマクドナルドに入ったらフライドポテトでは通じなかった。アメリカではフレンチフライという名で売られていると教わった。
ガール・ド・リヨンに来て30年来の疑問が解けた。フランスではもちろんフレンチフライとは呼ばない。フリットである。ベルギーが発祥とも言われるが、フランスでもフリットが代表的な付け合わせなのは間違いないようだ。
7時20分過ぎに中年女性3人のグループが入って来たが、早く着いてしまったことを詫びて出て行った。我々は2本目のワインを半分ほど残して退散しなければならなくなった。道路で待つ彼女たちに残ったワインを進呈するように、店員にお願いして店を出た。これで男だけのグループは店から消えて雰囲気も良くなっただろう。
近くのポンデュガールによく似た店だと思ったら姉妹店だった。両方ともなかなかご機嫌な店である。ゆっくり、たくさんワインを飲むつもりなら、予約して行った方がいい。
ガールド・リヨン
東京都中央区八丁堀3-3-9
03-5541-4343
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2009年07月11日
[クロノス]②(銀座)
楽しく遊ぶカクテル

クロノスがオープンしたのは2007年11月17日で、時間が経つのは早いものである。行かなきゃ行かなきゃと思いながらご無沙汰してしまった。約1年振りだろうか、たまたま思い出して行ったらカウンターにモーリバーを紹介してくれたIさんが座っていた。なんという偶然だろう。時の神様(クロノス)は運命の女神(モイラ)をも操っているようだ。因みにクロノスの子が主神ゼウス、ゼウスの子がモイラである。
「銀髪さん、もっと来てやってよ」とIさんに言われたら断れない。約束どおり行くことにした。1ヶ月振りではあまり威張ることはできないけれど…
運良く空いていた。オーナーの時任さんにとっては嬉しくないだろうが、彼を独占できるから我々はハッピーだ。
「冴えない男がカッコ良くなるカクテルと、カッコいい奴がもっと良くなるカクテルを作ってくれる?」と時任さんにお願いした。「簡単に言うと、意外にやるじゃんとやっぱりやるじゃんだな」と言いたい放題。モーリバーの毛利さんや、名の通ったバーテンダーには恐れ多くて言えない事も、時任さんはニコニコと聞いてくれるからいい。
後から入って来た常連さんも笑って我々のやり取りを聞いていた。そして、彼も新作カクテルに相乗りしてくれた。知らない客同士でも時任さんのファンであることに変わりはない。
意外にやるじゃんとやっぱりやるじゃん

使ったリキュールを見せてくれた。「意外にやるじゃんはこいつにやって」と部下を指した。もちろん銀髪と常連さんはやっぱりやるじゃんを飲んだ。意外にやるじゃんは女性に勧めたら喜ばれるだろう。やっぱりやるじゃんはミントが効いて夏らしい清涼感がある。清清しく颯爽とした男のイメージだろうか。さすがカクテル大会でチャンピオンになっただけはある。

さんざん笑った後は、レア物のラフロイグを飲み比べした。瓶の底に沈んでいるのは樽の内部が剥げ落ちたものだそうだ。18年物はアイラでもさすがにまろやかに感じる。ところがとっかえひっかえ飲んでいると、どちらがどちらか分からなくなる。ぼちぼち酔いが回ってきたようだ。潮時だ。
ちょうど新手の客が3人入ってきた。いい流れだ。時任さんまたね。楽しかったよ。
CHRONOS(クロノス)
東京都中央区銀座7-6-19 ソワレ・ド・銀座 弥生ビルB1F
03-3289-0027
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2009年07月10日
[羽前 山久](入船、八丁堀)
頑張れ寿司屋の新星

「まだオープンしたばかりなんです。応援してくださいよ」と友人のI氏から電話がかかって来たのは札幌のたる善で寿司を食べていたときだ。偶然にも寿司屋への誘いだったので笑ってしまった。
入ってすぐに4人掛けのテーブル席、店主1人がやっと入れるL字型のカウンターが8席のこじんまりとした店である。テーブルに3人の女性が居た。カウンターの左に2人。もう1人が来るのを待っているようだ。カウンターの右端の1人は予期せぬ客だったようだが店主とは周知の間柄に違いない。我々は左から4つ目と5つ目の席にゆったりと座った。客がまばらで予想通りと思ったら、予約で満席と知って驚いた。

料理はお任せでどんどん出て来る。I氏は酒を飲まないのですぐに寿司を食べ始める。店主は手馴れたものである。間もなく若い3人連れが入って来た。銀髪はまだ空いている左席に動いた。I氏は銀髪が居た席に。3人が納まる席が出来上がった。

右端の1人は食べるスピードを上げて間もなく出て行った。入れ替わりに左隣2人の待ち人がやってきた。彼女のために再び大移動が始まる。我々2人と若者3人が一つずつ右にずれた。ようやく予約どおりの布陣になった。助け合いが美しい店である。

「純米酒はないんですよ」と言われてあるのは吟醸酒以上かその反対か考えた。あるのはもちろん下の醸造酒。真澄の300ml瓶が出てきた。客の懐具合を考えて高い酒は置かない方針らしい。主人の小松さんは23年間寿司清で働いた。修行したというより幹部社員だったのだろう。独立しても寿司清の方針をなぞっている。寿司清の近藤社長から送られた祝いの花が輝いていた。

一瞬、息が詰まる。煙草の煙だと気がついた。左を見ると女性が右手の煙草を耳の高さに掲げている。肘の角度はオードリー・ヘップバーンのようだ。他の席からも紫煙が立ち上る。男たちが真似ているのはジェームズ・ボンドだろうか。愛煙家にはいい店だ。
店名のごとく主人の小松さんは羽前(山形)の出身。山久はおじいさんが使っていた屋号とのこと。出てきた漬物はおばあさんの自家製。「お先に失礼します」と客たちに挨拶して帰って行ったのは奥様。満を持して独立開業した小松さんをファミリーが支えているのが分かる。
I氏に小松さんは寿司清の店長を歴任した人と聞いたので、強面かと思っていた。しかし、柔和で人柄がとても良さそうだ。寿司清の頃の常連さんで店が一杯になるのもよく理解できる。
小松さんの挑戦はまだ始まったばかり。これからの発展を祈るばかりだ。
羽前 山久
東京都中央区入船1-4-8
03-523-2733
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2009年07月07日
[銀座 座屋](銀座)
ミシュランの星たちに負けてないよ

♪一丁目の柳がため息ついて 二丁目の柳がささやいた♪ 口ずさみながら銀座柳通りを歩き、昭和通りに出る前のビルで立ち止まった。「ここだ!」一発で見つけると気分がいい。
エレベーターではなく階段を下りる決断をした。階段も店の一部になっている気がしたからだ。思ったとおり導入部から店内まで雰囲気のある店だ。ど真ん中が好きな銀髪なのに案内されたのはカウンター奥のコーナー寄りの席。店主の岡添さんと名刺交換をした。

「くれから取り寄せた心太(ところてん)です」と出された先附け。呉?あれは広島だしなーと思いながら手書きのメニューを盗み見て久礼と分かった。蒸し暑い中を歩いた後の冷たい心太とビールは最高だった。
ホッとしたのも束の間、ショーが始まった。かつおを藁で燻す炎が上がる。初めて見る光景だ。皮はガスコンロでしっかり炙る。ニンニクを乗せて塩で食べるように言われた。「これはかつおじゃないねー」と言うと岡添さんがニンマリする。「最初からこんなに飛ばして大丈夫?」と聞くと、自信たっぷりの笑みが返ってきた。

「オーッ!」雛壇のようにして二人分の八寸が出てきた。料理をする岡添さんの手の動きを見ていたにもかかわらず、完成して出て来ると驚きの声を上げてしまう。あっ、俺の席は一等席だ!遅まきながら、気がついた。目の前で岡添さんの仕事が見える。会話するにもベストの場所だった。

冷たい玉蜀黍(とうもろこし)のスープに入ったじゅんさいが口の中で震える。金目鯛の美味しいこと。思わず笑ってしまう。最近、美味しいものを食べると笑う癖がついてしまった。

フレンチマスタードの瓶を見せられた。「鴨はフランス産ですか?」食材の殆どは高知から送られて来ると聞いていたが、これはというものは外国産でも使う。
日本酒は4本目に入る。18あるという高知の蔵元すべての地酒を揃えており、その中から料理に合わせて出してくれる。ワインではよくやるが、日本酒をお任せにしたのは初めてかもしれない。

土鍋ごはんが炊きあがった。岡添さんの奥さんの80歳を超えるお婆ちゃんが作る四万十川源流産「ヒノヒカリ」。なんともいえない薫りが立ち上る。

ごはんの用意をしてくれている間に漬物などで日本酒を飲む。最高だね。


まずごはんに醤油をかける。高知の地鶏・土佐ジローの小さな卵を軽く混ぜてごはんにかける。たまごかけご飯の写真を見ると思い出して涎が出てきてしまう。ご褒美のごとく、煎餅のようになったおこげを食べる。何とも幸せな時間である。

最後はすいか尽くしのデザート。最後まで手抜きはない。帰る前にトイレに入り大きく頷いた。ここにも神経が行き渡っている。
食べ慣れた素材を使っているが、どれも初めての味ように思わせるのは神楽坂の「石かわ」に似ている。和を超えた料理の発想は麻布十番の「かどわき」を連想させる。しかし、ほんわかとした楽しげな雰囲気は、座屋が抜きん出ている。高知でスタートして、神戸、銀座と店を増やしてきた。次はギリシャで店を開きたいと言う。若いのにたいしたもんだ。ミシュランの選考委員はもう来たのだろうか。フランス人にたまごかけご飯の美味しさがわかるかなー?
岡添さんに勧められるまま、帰りはエレベーターに乗った。1階でドアが開くと岡添さんが待っていた。最後まで驚かせ、笑わせてくれる人だ。イヤー、楽しかった。
銀座 座屋
東京都中央区銀座2-11-2 銀座2112ビル 地下1階
03-3248-9090
文月(7月)のお献立(1万円コース)
[先附] 久礼心太 車海老・茗荷・青林檎・蓮芋
[御造里] 鰹、鯛、ひらあじ
[八寸] 手長蝦、鬼灯トマト、昆〆鯛と糸瓜の酢物、だだ茶豆、にが瓜クリームチーズ、馬肉ユッケ、水茄子搾り
[冷椀] 玉蜀黍の摺り流し椀 蛸・雲丹・蓴菜
[炭焼] 高知産金目鯛翡翠焼
[爽肴] マグレ鴨と夏野菜蒸物・粒辛子餡掛け
[揚肴] 鱧筒揚げ、薯蕷モロヘイヤ、忍び山葵・まこも竹
[土鍋御飯] 四万十川源流産「ヒノヒカリ」生産者 岩崎花美
土佐ジロー卵
[御数] 高知漬物
[甘味] すいか尽くし
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2009年07月01日
[坐来](銀座)
大分県のお店

「アラカルトでもいいんですよね?」「基本的にコース料理を食べていただきたいのですが…」電話のやり取りでおおよその雰囲気は分かる。言われたとおり任せた方が良さそうだ。
ウェンディーズの横手にあるエレベーターホールには、数人の紳士が集まっていた。8階で降りると大分県物産品ギャラリーにも紳士達がたむろしており、接待の相手がエレベーターを降りる度に駆け寄っていく。窓際のテーブル席もほぼ一杯の賑わいよう。銀座にはまだまだ銀髪が知らない人気店がたくさんある。
先付け、前菜、きらすまめし

献立には読めない字や、意味不明のことばが混ざる。どんなものが出て来るか、見てのお楽しみだ。
きらすまめしとはおから(きらす)とありあわせの魚(この日はカジキマグロ)を使った臼杵市の郷土料理とのこと。かぼすの香りがとてもよくて、おからとは思えない逸品である。
お造り

せっかく選んで座ったカウンターだが、オープンキッチンが見渡せるといった感じで、料理人と気軽に話すところではない。若い料理人がひととおり魚の名前を言って、すぐに持ち場に戻ってしまう。物足りなさそうにしていると、奥から年長者が飛んできて話をしてくれる。さすがは料理長、しっかり客の様子を見ていた。
酒肴

使うのはもちろん大分の素材。関あじ、関さば、城下かれいなどの魚介類、豊後牛、椎茸、かぼすなど有名なもの以外にも豊富な食材がある。大分の酒としてはいいちこに代表される麦焼酎がよく知られているが、日本酒も捨てたものではない。この日はメニューにない限定酒「豊潤」を飲むことが出来た。純米酒だが吟醸酒にも劣らない美味しい酒だった。
主肴、〆の逸品、プリン

福岡の胡麻さばの茶漬けに似た鰤のゴマ出し茶漬け。竹の筒に入っただし汁をかけて食べる。「〆の逸品」というのは決して大袈裟ではない。
銀髪が残したプリンを見た料理長に「これは不味い!」と言ったら、顔色が変わる。慌てて「イヤー、本当は甘いものが苦手でね」と安心させた。悪い冗談だと知りながら、いたずらな心が我慢できない。
県が株主というだけあって、大分の面汚しになるようなことは出来ない。真剣勝負の店に下手な冗談は慎むべきだった。
帰り際に店長兼総料理長とマネジャーが挨拶に来てくれた。なかなかいい店でしたよ。
坐来
東京都中央区銀座2-2-2 新西銀座ビル8階
03-3563-0322
献立
先付け 国東 銀太刀 背越し 朝摘み赤紫蘇よせ 瓜香
前菜 竹田 玉蜀黍 掻き揚げ 無花果 麦こがし
造り 関あじ 関伊佐木 真子鰈 臼杵郷味 きらすまめし
酒肴 玉蜀黍 雲丹焼き 豊後牛 焼き椎茸
主肴 国東稚鯛 冬瓜 香り蒸し合せ
〆の逸品 佐伯 鰤 ゴマ出し茶漬け 香の物
甘味
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2009年06月26日
[ジャッジョーロ銀座](銀座)
ハーブや野菜で体に優しいトスカーナ料理

後輩が送ってくれた雑誌を見て行きたいと思っていたのがジャッジョーロ銀座。ハーブを使った身体に優しい料理というのが気に入った。その店に我がホームバー「風長閑」のママに先を越されたことをブログで知った。それから得た知識はビールがないこと、きれいな女性がいることだった。
「ここはビールを置いていないんだよね」とカウンターに座るなり言った。「ハイ、今日は置いてありません」と答えるので「いつもないんでしょ?」と畳み掛ける。「事前に言っていただければご用意します」とのこと。本当かな?納得できないまま銀髪はシェリー酒を頼んだ。
アミューズ、パン、サラダ

可愛いアミューズ、煎餅のようなパリパリのパン、そして自慢のサラダ。ハーブのサラダと五穀米のサラダを頼んだら、各人の皿に2種類のサラダをきれいに盛ってくれた。
まだ他に客がいないので、店の女性と相談しながら料理をじっくり選んだ。すべて決まったところで「大変な美人がいると聞いてきたんだけれど、あなたのこと?」と聞いた。「女性は私しかいませんので…」と微笑み、「夫婦で働かせていただいています」と続ける。彼女の目の先にはハンサムな料理人が居た。
ミネストローネ、ゴーヤとボッタルガ(からすみ)のパスタ

各人に取り分けてくれたスープとサラダ。美女の推薦に間違いがあるはずがない。品のいい料理を楽しみながらも、カウンターに座った中年カップルが気になった。男がシャンパンを飲み、女性が飲んでいるのはビールのようだ。ビールが飲めるというのは嘘ではなかった。
後から来た紳士が男の方に挨拶をしている。美女が「彼がオーナーです」と教えてくれた。店のシステムを熟知している常連さんはビールが飲める。
白身魚の紙包み焼き、タスマニア産仔羊のソテー

会話の助けになる料理を選ぶのも銀髪流である。タスマニアにはオーストラリア駐在の時に何度も行ったことがある。仔羊は目の前で美女の旦那が焼いてくれた。キッチンの料理人たちは言葉も交わさず、持ち場の仕事に専念している。やたらと店員が賑やかなイタリアンが増えたが、ジャッジョーロはフロアのテーブルを埋めた客たちともども落ち着いた雰囲気を作り出している。
デザート

銀髪はいつものようにデザートを断った。自慢のハーブを並べられたが、ハーブティーも断った。少し失望した表情を浮かべた美女に「グラッパを飲みたい」と告げると、顔がパッと輝いたような気がした。白や赤のワインをグラスで頼んだ時と同じように、ボトルを見せながら優雅に説明してくれる。
「ご主人と店を持ったら必ず連絡してくださいね」と名刺を渡した。「来月ジャッジョーロ2周年の企画があります」と自分の名刺を差し出しながらしっかり雇われ先の宣伝もする。
美男美女夫婦の夢がかなう日が早く来ることを祈る。
ジャッジョーロ銀座
東京都中央区銀座7-10-5 デュープレックス銀座7-10-5
03-5537-2233
http://www.giagiolo.jp
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2009年06月18日
[越州](東銀座)
越後の酒と肴

待ち合わせの時間より随分と早く歌舞伎座に着いてしまったので、しばらく歩き回った。周辺には意外と料理屋がたくさんある。N氏と落ち合って目的の店に向かったが生憎と臨時休業で、嗅覚を頼りに一番良さそうな店に飛び込んだ。
お通し(生しらす)、越後の珍味三昧

「正解じゃないか!」とN氏が褒める。地下の店は思ったより賑やかだ。お通しを食べ、煮菜、ずいきのきんぴら、えごねりの珍味三昧を食べていると、入り口に近いカウンターに阿木燿子が座った。突然芸能人御用達の店に格上げされた感じだ。
本鮪(極上)

極上の文字に引きつけられた。「どこの?」と聞きたくなるのは無理もない。今の季節に近海物の極上品は滅多にないはず。「能登産」と言うので試すことにした。脂の乗りは強くないが成る程極上品と言える。N氏がこれまで食べた中でも最高レベルと感激する。
栃尾の油揚げ(ねぎ味噌焼き)

栃尾名物の大きな油揚げ。日本酒の肴にも合う。この店は久保田の品揃えがとてもいい。それもそのはず朝日酒造のアンテナショップとのこと。洗心や得月、もちろん越州という酒もある。季節限定の生酒を飲むとこの店に来てますます正解と思う。
のどぐろ、村上鮭ハラス焼き

北陸の高級魚のどぐろは避けて通れない。半身なのが残念だったが、お値段からしたら止むを得ないかもしれない。鮭放流の元祖である村上の鮭は陰干しした塩引鮭や鮭浸しが有名。近年マスコミなどで一躍人気になったのどぐろよりも遥かに伝統があり地元を潤してきた魚である。もちろん日本酒の友として最適である。
越州銀座店は京橋、新橋に次いで東京3番目の店舗になる。朝日酒造の店だけに、接客もしっかりしている。勘定をすると山本店長が名刺を持って飛んできた。店の外まで送ってくれる。この店は正解だった。
越州 銀座店
東京都中央区銀座3-13-11 銀座芦澤ビルB1
03-5565-5756
http://www.asahi-shouzi.co.jp/e/e-01.htm#ginza
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2009年06月09日
[コルザ](銀座)
演出も楽しいキッコーマンの鉄板焼き屋

「5時に銀座能楽堂地下の店に集合してください」と言われ、いつもより早い時間指定にちょっと驚いた。通常7,500円のコースが6,300円で食べられる5時~7時のトワイライトタイムコースを予約したとのこと。なかなか優秀な幹事だ。
いつものメンバーが2人欠けたお陰で8人が鉄板焼きテーブルにうまく収まった。まずは前菜から。値段の割りにちゃんとしていると褒めたら、キッコーマンが経営する店と教えられて納得した。

続いてホタテと海老の海鮮鉄板焼き。立派なホタテ8個は雌雄半々、身の大きさもバラバラ。「どれが当たるか心配になるね」と料理人に聞いたら、「混ぜ合わせるので不公平にはなりませんよ」と安心させる。しかし、手元に来た皿に卵は入ってなかった。

丸ごと焼いた玉ねぎに興味が湧いた。「家でやってみよう!」と言ったら、「オーブンで8時間焼きますのでご家庭では無理です」と言われた。本当かな?

肉は鉄板焼きと網焼と2種類から選ぶ。もちろん半々にしてもらった。鉄板焼きは輸入肉だとすぐ分かる。追加料金を払えば黒毛和牛に変えてくれるが、メタボグループにはこの方がいい。キッコーマンらしく熟成もろみに漬け込んだ網焼きは驚く程柔らかく、同じ肉とは思えない。

ごはんは追加料金を払ってガーリックライスにした。デザートのお勧めは鉄板焼きアイスクリープだ。光を落として炎に覆われるアイスクリームにみんなの目は釘付けになる。肉のように「僕はミディアムで」と軽口を叩けば倍楽しい。

鉄板テーブルを次の客に譲って場所を移動した。アイスクリーム以外のデザートも頼んで味比べをしていたら、年配の店員(店長?)が「醤油をかけたら更に美味しくなりますよ」と瓶を示す。半信半疑のみんなは最初は恐る恐るかけて目を瞠り、次に多めにかけて「さすが、キッコーマン」と感動の声を上げる。

クリームと醤油の相性をもっともらしく解説する者も出てきた。「オイッ!ちょっと瓶をこっちに寄越せ」と銀髪が言う。スプーンに少し注いで味見をし、首を傾げる。横に座った部下が真似をする。銀髪が手を上げると、こちらの様子を窺っていた先ほどの店員が、満面に笑みを浮かべて近寄ってきた。
なかなか楽しいコルザだった。
コルザ
東京都中央区銀座6-5-15 銀座能楽堂ビルB1F
03-3572-3030
http://www.colza.co.jp/
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2009年05月28日
[やす幸](銀座)
銀座老舗のおでん

順番が逆になってしまったのがずっと気になっていた。銀髪が行った中ではナンバー1と思っているおでん屋「おぐ羅」 の主人が修行した店が「やす幸」とのこと。行こう行こうと思いながら果たせずにいた。
機会は偶然やってきた。大阪からの客人と会ったのが5時前。この時間に開いており、まだ行ったことがない有名店は限られている。客と世間話をしながら頭の中をフル回転しているとやす幸の名前が浮かび上がってきた。やす幸は4時からやっている。思った通り早い時間なので予約なしでも入れた。
お通し、牛タン酒蒸し

刺身、海老しんじょ

「今日はかつおがお勧めですよ」と言うので「それじゃ、お任せで少しずつ盛り合わせてください」と造ってもらった。「これがかつおですか?」と客が聞くのも無理はない。かつおにしては色が鮮やか過ぎる。盛られているのはメジマグロ、アオリイカ、スズキと言われてずっこけた。
牛タンの酒蒸し、海老しんじょはなかなか良かった。早い時間でないと売り切れてしまうようだ。メニューにくさやがあるのは老舗らしい。頼もうとしたら客が嫌がるので止めにした。日本酒は黒松白鹿の一種類のみ。燗をつけているのが3代目と聞いて冷酒から燗酒に切り替えた。すずの薬缶から燗酒を注いでもらう。おぐらの大将を思い出した。
大根、玉子、袋、キャベツ、三つ串、わかめ

大玉、すじ、あじつみれ、ゆば

大阪の客人がすじを頼むと、関西訛りを聞き取った店員が東京では「牛すじではありませんよ」と言う。銀髪も牛すじと思い込んでいたが、指摘されて思い出した。白身魚のすり身にサメの軟骨を混ぜたものが関東のすじである。
板場の空気がピンと張り詰めたのを感じた。銀髪の目の前を左から右に貫禄満点の人が歩いていく。「誰、あの人?」と若い板さんに聞いたら2代目とのこと。おぐらの大将の師匠なのか兄弟子か。古くからの従業員が多いのは、2代目の力なのかもしれない。
澄んだおでんの汁などおぐらがやす幸で学んだものは多い。しかしおぐらの大将は創業者であるだけにメニューをどんどん進化させることができたようだ。
3代に渡って伝統を引き継ぐのも大変なことだ。昔からの常連さんがいつ行っても安心できる店、それがやす幸のいいところなのだろう。
やす幸
東京都中央区銀座7-8-14
03(3571)0621
http://www.ginzayasuko.com/
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2009年05月21日
[柿安 香港飲茶](銀座)
これが香港飲茶?

「飲茶 ワゴンサービス 東京」とネット検索した。出てきたのはルミネエスト新宿にある九龍點心と銀座の柿安・香港飲茶の2店。決断は人任せにして、銀髪はただついて行くだけにした。総勢4人、飲茶を食べるにはちょうどいい人数だ。
開店の11時前に店に到着したら、休日のせいか先客は一組だけだった。行列が出来ているかもしれないと思っていたので喜びながらも少し不安になった。ワゴンは後で回った来るとの説明を受けて、店の一角にあるバイキング料理を取りに行った。多品種少量ずつ盛ってワゴンを待つことにした。
銅鑼が店内に鳴り響いた。キッチンから運ばれてきたものはフカヒレ飯。これからどんどん点心が運ばれてくると思ったので人数分は頼まないで二皿を分け合った。
スープ、フカヒレ飯

ワゴンサービスで回ってきたのは下の写真の料理。小龍包は無残にしぼんでいる。鶏の足はいつも食べるゼラチンのとろけるようなものとは明らかに異なる。次のワゴンに期待しようと思った。しかし、それからいくら待ってもシュウマイや餃子の類は回って来なかった。

みんなの落胆振りは目を覆うばかりであった。「同じものでもいいや!」と待っても、ワゴンは後から入って来た人の方に行って、こちらにはやって来ない。みんな諦めてバイキングのデザートを取りに行った。銀髪はおでんを持って来た。和辛子ではなく豆板醤で食べるおでんはなかなか面白かった。

「もうすぐ、時間ですが…」と勘定書きを店員が置いて行った時、みんなの怒りのピークは過ぎて虚脱感が漂っていた。「そもそも2千円以下の食べ放題で美味しい飲茶が食べられると思うのが間違っている」と言ったら、「ルミネエストや横浜中華街は良かった!」と猛反発をくらった。せっかく店選びを任せて責任放棄できる立場にあるのに余計なことを言ってしまった。
すぐに白旗を掲げ、戦線を離脱しようとしたら爆弾が飛んで来た。「それなら次は香港に行こう」と言うではないか。「エーッ!ホ、ホンコン?飛行機に乗って?」冗談でしょ。
柿安 香港飲茶
東京都中央区銀座西3-1 銀座インズ1 2F
03-3538-4631
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2009年05月08日
[銀座キャンドル](銀座)
文豪も通った老舗の味

洋食屋での食事を誘われて「喜んで!」と言ったものの、とんかつ、ハンバーグ、オムライスを思い浮かべてしまって気分は盛り上がらない。ランチなら問題ないけれど、夕食で2時間近くを潰せるものか考え込んでしまった。
1950年に銀座みゆき通りに創業した老舗だが、今の店舗は思ったよりきれいな店だった。照明を落としているのでデートでも問題ない感じ。「看板料理はチキンバスケットらしいですよ」「ハンバーグがお奨めと言われたけど」「マカロニグラタンもいいんじゃないですか?」洋食屋は知らない料理が殆どないので、誰もが意見を言いやすい。
白レバーのパテ いちじくのビュレ添え、チキンバスケット

パテでビールを飲んでいると、チキンバスケットがやってきた。フライドチキンと言うよりチキンカツ。確かに看板料理だけのことはある。柔らかく美味しい鶏肉だった。
1950年の海老マカロニグラタン、特選和牛のハンバーグ<200g>

創業年が記されたグラタン、和牛のハンバーグなどオーブンでじっくり焼きあげる料理が多いので、食事の時間はゆっくり進む。心配は杞憂だった。
栃木県産霧降高原牛のビーフシチュー、アップルパイ

店を出る予定の時間に合わせてアップルパイが焼きあがってくるはずだ。もう一品食べる時間がありそうなのでビーフシチューを頼んだ。ハンバーグよりもデミグラスソースがマッチして、個人的にはビーフシチューの方が美味いと思った。
右隣の中年夫婦と娘の3人連れはいかにも日本的な昔風のピザを食べている。左隣の若い女性二人はチキンバスケットを平らげて、オムライスに取り掛かっている。後ろの席には若いカップルが食べるのを忘れて笑っている。二人の向こうには会社員風の男性二人が何か深刻な相談をしている。左の壁際にはちょっと派手目の美女とおじさんがワインを飲んでいる。
60年近くあらゆる客を愉しませてきた料理の数々。変わらないのも偉大なことだと思える。
銀座キャンドル本店
東京都中央区銀座7-3-6 有賀写真館ビルB1
03-3573-5091
http://www.ginza-candle.com/
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2009年05月02日
[らん月]⑤(銀座)
朝掘り竹の子の刺身

「悪いなー、またらん月で」とKさんが申し訳なさそうにする。「一緒に食事すると決まったときから諦めていましたよ」と笑ってあげた。10店ぐらいの馴染みの店をローテーションできる人が羨ましい。銀髪グルメ紀行を始めてから約3年半、休日を除いてほぼ毎日新しい店を探すのは辛い。
「すきしゃぶ、プレミアムビーフカツレツ、プレミアムハンバーグ、グリーンサラダ」K氏がスラスラとオーダーするのを聞きながら、メニューを繰っていたら竹の子の刺身が目に飛び込んできた。
朝掘り竹の子の刺身

竹の子の代表品種孟宗竹は801年に京都府長岡京市の海印寺、寂照院の開山・道雄上人が唐から持ち帰ったと言われる。この日の早朝、掘り出した長岡京の高橋さん夫妻の顔写真もメニューに載っている。まさに本場の竹の子の刺し身を食べられると喜んだ。
竹の子の伝来には諸説ある。近畿農政局のホームページでは「承応3年(1654)宇治黄檗山万福寺に明国の僧隠元が孟宗竹の母竹を携えて来日し、これが西山の麓一帯に定着し、たけのこが食されるようになったといわれています」とある。小学館の食材図鑑には「薩摩藩主島津吉貴によって元文元年(1736年)に現在の鹿児島市磯公園に株が植えられた」と記される。
実際、福岡、鹿児島など九州地方が竹の子の主な生産地である。もっとも平成19年の消費量の92%は輸入品が占めており、その大半は中国産というから日本での生産量争いはあまり意味がないかもしれない。長岡京の竹の子を食べられたことを素直に感謝したい。
越谷、鈴木さんの生卵

らん月のこだわりは生産者の顔が見える食材を使うこと。脇役であっても例外ではない。すきしゃぶに使う生卵の生産者は越谷の鈴木さんだそうだ。箸で挟んでも簡単には割れない。
そうそう、今回もKさんがプレミアムハンバーグを頼んだ。前回の記事(http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/04/post_1218.html)で予想したとおり、しっかり中まで火が通っていた。本当に余計なことを言ってしまったと後悔している。
銀座らん月
東京都中央区銀座3-5-8
03-3567-1021
http://www.ginza-rangetsu.com/
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2009年04月21日
[六覺燈](銀座)
銀座に溶け込む高級串カツ

大阪黒門市場に本店があると聞いていたので「串カツですよね」と切り出した。関東では串揚げと呼び、串カツは豚肉と野菜のはさみ揚げを指す。大阪名物串カツは「ソース2度つけ禁止!」という言葉に代表される庶民の食べ物である。
サラダ

高級串カツ店らしく、トマト・キャベツ・ごぼう・大根・きゅうり・ヤーコン・スナップエンドウが入ったサラダが美しい。なしのような味のヤーコンが珍しく、固い皮の塩トマトが甘い。
牛肉、貝柱、エンドウ豆のコロッケ

とろけるような牛肉やプリッとした海老を食べて、素材が高級なら串カツといえども庶民の手の届かない料理になると納得した。ところがエンドウ豆のコロッケが出てきたところで様相が一変した。単にネタを高級にしたわけではなく、かなり手を加えたものが次々と出てくる。
和食なら日本酒と決めている銀髪だが、揚げ物にはワインがいい。赤ワインをグラスで求めたら、ボトルを開けてデカンタに移し変えるので驚いた。値段が跳ね上がるのを覚悟しなければならない。
とんぶり、あさり、桜えびもち

基本コースは20本で、中でも一番鮮烈だったのが桜えびもち。銀髪の目の前に置かれた途端に香りが立ち上る。桜えびを炒って、車えびのミソを加え、餅と合わせて揚げたそうだ。
揚げてくれる楠さんと楽しく会話していたら、名札をつけていない人がにこやかに現れた。店主の水野さんだ。やわらかな大阪弁の合間に強烈な自負が顔を出しては消える。しばし空気を支配した後、客が入って来たからと風のように自分の持ち場に去っていった。
「楠さんも大変だねー」と声をかけたらなんとも言えない笑顔が返ってきた。
鮭、こんにゃく、豆腐

桜えびの次に感心したのがこんにゃく。歯応えがあって実に面白い。これだけ料理の工夫をすれば店主も従業員も楽しくて仕方がないだろう。ワインに合う自家製パンや各種デザートも大阪生まれとは思えないような(失礼)洗練されたものを出す。
勘定を終わったところで店主が再登場し、店の外まで見送ってくれた。「ニッポンイチや、ニッポンイチヤデー!」と、後ろで言っているような気がした。
六覺燈
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4F
03-5537-6008
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2009年04月18日
[まえだ2号店](京橋)
まえだに何があったのだろうか?

数ヶ月前、久し振りにまえだの1号店に行ったら閉まっていた。2号店が近くにあるはずだが、場所が明確ではないので他の店に行った。数日後、1号店が再オープンしたことを知った。1号店のことは忘れ、今度は最初から2号店に向かった。

2号店は1号店よりはるかに立派で夜は居酒屋になる。入り口に夜のメニューが置かれていて、なかなか魅力的ではある。店に入り自動券売機で食券を買おうとしたが1号店より種類は少ないようだ。
天ぷらそば

温泉たまご、わかめなど無料のトッピングを入れて、席についた。天ぷらは期待ほど熱くない。汁もあまり熱くない。天ぷらは1号店の方が立派だった気がするが記憶違いだろうか。それでも10割そばに大きなかき揚げを乗せて、卵とわかめも加えて480円で豪華なそばになった。
再び天ぷらそば

いいコメントを書きたいので再訪した。前より混んでいる時間帯だったので、配膳口でちょっと待たされたが運よく熱い天ぷらが回ってきた。「卵は一人1個、他のトッピングは1つまみ」と注意書きされているにもかかわらず、何人もが時間をかけてトッピングするのでイライラした。汁はやはりあまり熱くなかった。
かけそば

意外と多くの人がかけそばを頼むので、今回は銀髪も真似をした。卵は無料なので380円のかけそばが追加料金なしに月見そばになる。他の人を見ると天ぷらそばに固執していない。丼物に卵を入れたり、人それぞれ。これから暑くなればもりそばの方が良さそうだ。
まえだの1号店に行ってみた。メニューの種類は減って2号店との違いは立って食べるか、座って食べるかの差しかないように見える。まえだは以前のまえだではなくなってしまったように見える。まあ、どうでもいいか。
それにしても、七味唐辛子がでかい!必見に価値あり。
蕎麦 まえだ 2号店
東京都中央区京橋1-19-2
03-3562-8820
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2009年04月17日
[流石はなれ](新富町)
これからもっと輝きそうな期待の星

地図を片手に迷わず到着できた自分を褒めてやりたかった。こんなところに?という路地に流石はなれを見つけた。椅子の足がガラス越しに見える不思議な外観。中に入り、そば打ちが真正面に見える席か料理人の目の前か悩んだ。
たくさん歩いたご褒美は恵比寿ビール。五十嵐さんがそば味噌を出す。そばの実がコリコリして美味い。矢守さんがそばを打ち始めた。思ったよりも早く仕上がっていくのに驚く。
そば味噌、桜海老とえんどう豆の玉子とじ、うなぎ

連れのKさんが箸や箸置き、皿や酒器を褒める。場所、店、什器、すべてがはなれという名に相応しい。時間がゆっくりと流れる。この日は10席の店に客が4人だけというのもラッキーだった。前日までの予約が必要なので、これから客が増えることはない。
氷魚、かつおのたたき、あさりそば

氷魚(鮎の稚魚)は初めて食べた。先週テレビで琵琶湖を旅した芸能人が食べていて羨ましく思ったばかりだ。「かつおのたたきは好きじゃない」と言うKさんが一口食べて目を瞠る。農家から直接仕入れた藁で炙ったと言うから本格的だ。燻製に似た香りがほのかにする。愛知産のあさりがふっくらとして美味いこと。温かいそばを食べて思わず笑ってしまった。美味しくて笑ったことはあまりない。
えぼだい、わらび

幽庵焼きの魚、山菜、日本酒が進んで危険だ。五十嵐さんが忙しそうなので、矢守さんに「10割そばは切れやすいと思っていたけど違いますね。そんなに練っている風でもなかったけど」と声をかけた。「いいソバを使っていれば切れる方が不思議です」とこともなげに言う。
ウニ豆腐、そばがき、若竹煮

湯葉のような豆腐に乗った特大のウニに感激し、ふわふわのそばがきにまた笑ってしまった。自費で買った石臼を手で引くので、微妙な食感を出せると矢守さんが解説する。「毎日ひいているうちに右腕だけが太くなっちゃいました」と笑う。
そば、いもようかん

何度見てもきれいなそばだ。食べ終わっても千切れたそばは殆どない。そば湯を飲んでまた笑った。まったく今日はどうかしている。日本酒を飲みすぎてしまったのだろうか。
流石の本店は銀座1丁目にあるそうだ。それにしても若い二人に店を任せる本店のオーナーは立派。期待に応えようと頑張る二人も大したもんだ。「開店当初はお客様がたくさん入るとバタバタして大変でした」と五十嵐さんが笑う。まだまだ発展途上というところだろうが、充分楽しめた。
店を出て「今日のコースは8400円だったんですよ」とKさんに言うと「エー!12,000円ぐらいと思ってました」と驚く。黙っておけばよかった。
流石 はなれ
東京都中央区湊3-13-15
03-6228-3870
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2009年04月11日
[らん月]④(銀座)
最高級のハンバーグ

久し振りの銀座らん月。何度も来ているので書くことはないだろうと思っていた。ところがどっこい、新商品開発を常に心がけ、老舗の名前に安住していないから偉い。
「俺はダイエット中だから」と言いながら、K氏はいつものように次々にオーダーする。最後に「ハンバーグ、ビーフカツ」と言うので耳を疑った。しゃぶしゃぶ、すきしゃぶと2種類の鍋がメインで、前菜が洋食メニューとは想像を絶する。
プレミアムビーフカツ

ビーフカツにしては柔らかい。まるでメンチカツのようだ。単純に牛肉に衣をつけてあげたものではなく、薄切り肉を重ねたものだった。いわゆるキムカツやミルフィーユカツの牛肉バージョンである。
プレミアムハンバーグ

これは美味い。口の中でとろけるハンバーグなんて食べたことがない。ステーキもしゃぶしゃぶ肉も赤いところがあると絶対食べないK氏が喜んで食べているので、「中は生ですよ」と言うと驚いたような顔をする。目や脳ではなく舌のほうが味を正確に判断する。でも、次回は「しっかり焼いてくれ」と言うんだろうなー。余計なことを言ってしまった。
すきしゃぶ

ビーフカツとハンバーグを分け合って食べてすきしゃぶに移った。鍋奉行はしゃぶしゃぶなんてやらせてくれない。「これじゃあ、すきしゃぶではなくすき寄せだ」といつものように銀髪が皮肉る。すきしゃぶもすきやき風のタレを使ってしゃぶしゃぶのように食べるらん月のオリジナル商品。すっかり定番メニューに定着した。
もっとハンバーグを食べたくて、らん月のホームページを見た。なんとランチの定食セットで4,0000円もする。高級牛肉を、注文を受けてから包丁で叩いてミンチにするとのこと。とろけるような美味さの理由が分かった。ハンバーグというようりタルタルステーキの表面を軽く焼いたものと思った方がいい。ビーフカツは4,500円。いずれにしても気軽にランチで食べる値段ではないのが残念だ。
銀座らん月
東京都中央区銀座3-5-8
03-3567-1021
http://www.ginza-rangetsu.com/
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2009年04月04日
[ブラディドール]②(銀座)
ウォッカの品揃えがギネス級のショットバー

「人通りが少なくなりましたねー」窓の外を見ながらマスターが言う。「銀座のクラブも随分潰れているらしいですよ」と続ける。銀髪が2軒目に選んだ店は一年振りのブラディドール。我々のように「クラブに行っても高いだけだからなー」と言う客が増えれば潰れる店が増えても仕方がない。
「ここは400種類ものウォッカがあるんだぜ」日本酒を二人で6合飲んだ後なので、友人はウォッカに尻込みする。「日本のウイスキーもあるよ」と言ってもニューヨーク暮らしが長い彼は「スコッチがいい」と譲らない。バーボンと言わないのが彼らしいが、ソーダ割りにするのがアメリカ的でもある。

「ダークタイプのウォッカってあるの?」と聞くと、「もちろんです」と即答。ウォッカとは思えないまろやかな味。「瓶の写真を撮らせてくれる?」と言うと「樽ですから持って来れない」と返されて「???」。実はマスターがボージョレーの樽に入れて作ったオリジナルのウォッカだったのだ。3年経ってようやく飲めるようになってきたと笑う。

「ジンのダークタイプってあるの?」今度出てきたものは市販品で、ちょっと薬草っぽい。「オランダ製です」とマスター。「オッ!ジンの発祥国だね。もともとはオランダの医者が薬用に作ったんだよね」「ジェネヴァですね」「1600年代だね」「もっと前じゃないですか?」と二人で盛り上がる。横を見ると友人は眠っていた。
雷の音で目が覚めた友人に「次は何を飲む?」と聞いたら、大きく横に手を振った。「何か食べるか?ここの餃子は美味しいぞ!」と言っても乗ってこない。ぼちぼちお開きにした方が良さそうだ。こんな客では店も儲からないだろ。
「宣伝してあげるからね」と言ってもマスターはあまり期待していないようだ。1年前のブログはあまり効果がなかったらしい。
「ウォッカの品揃えはギネス級、他にも多種の酒がある。餃子も美味い。マスターは美男子で格好いい」こんな宣伝でいいかな? ねえ、マスター
BLOODY DOLLブラディドール
東京都中央区銀座7-4-7 小島ビル2F
03-3289-8155
PS 土曜の昼1時から6時までは餃子屋になる。店名は露餃庵(ぺリアン)。東京はおろか日本中探しても珍しいロシア餃子専門店である。繁昌したらショットバーを止めちゃったりして…

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2009年03月17日
[筑紫樓](銀座)
極上の青鮫のフカヒレ姿煮

「本店は銀座なの?」電話の向こうの若い女性に尋ねた。「一番古い店は恵比寿ですが、特に本店はありません」と答える。「一番美味しいのは銀座だよね」と言ったら笑い声が聞こえた。「総料理長は銀座に居ます」とちょっと誇らし気だ。「個室ですとコース料理を予約していただかなくては…」と言うので、「一番安いコース料金以上の料理を頼むからいいでしょう?」と返した。
ランチのコースでは食べたいものがなく、他のコースでは量が多過ぎる。銀髪が頼んだのは通常使われるヨシキリザメより高級なアオザメの姿煮。その前に前菜3種盛り。〆にフカヒレ入り土鍋そば。品数は限られるが、個室を使うのに相応しい料金にはなる。

席につくと料理をする前のフカヒレを持ってきてくれた。350gのものが2切れ。7人の会食なので各人に100gが行き渡ることになる。

蒸し鶏、くらげ、叉焼を食べながらフカヒレの登場を待つ。ちょうど食べ終わる頃にオイスターソースなどで味をつけた白湯スープ仕立ての姿煮がやってきた。

各人に取り分けてもらい、お好みで金華ハムともやしを加えて食べる。蟹を食べているわけではないのに会話が止まる。「どうだい?」と銀髪が聞くと、みんなが顔を上げて頷く。再び沈黙。
「白いごはんを入れていただいても美味しいですよ。お持ちしましょうか?」と担当の植田さんが奨めてくれる。確かに濃い味のスープがごはんとよく合う。

筑紫樓で食べられるフカヒレはヨシキリ鮫、青鮫、毛鹿鮫、メジロ鮫の4種。ヒレは背びれ、尾びれ、手(腹)びれの3種があり、食感や希少性によって値段に大きな開きがある。お得なセット料理やラーメンに入れられるものが、高額な料理と同じもののはずがない。
もっとも、フカヒレ自体に味はないので、スープの美味しさは大差ないかもしれない。

最後にフカヒレ入り土鍋そばを食べた。一流の料理人が作るものはラーメンであっても美味い。
担当してくれた植田さんの話も大変面白く、参考になった。勝手気ままなオーダーをする客のあしらい方も心得たもの。とても満足した。
筑紫樓 銀座店
東京都中央区銀座7丁目10-1 STRATA GINZA B1F
03-3569-2946
http://www.tsukushiro.co.jp/ginza/
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2009年03月14日
[ゲンカツ](銀座)
意外と美味しいキムカツ

キムカツはキムタクとかキムニイと関係があるのかと思っていた。実際は希望と夢でキムらしい。豚の薄切りを重ねた豚カツは八重洲の豚カツ屋でミルフィーユカツの名で出ていた。辛党の銀髪にはミルフィーユの意味が分からず、ただただ興味本位で頼んだら不味かった。それ以来、この種の豚カツは避けてきた。
ゲンカツがキムカツの店とは知らないで入ってしまった。2002年にスタートしたキムカツは何故か2006年からゲンカツという店名に転換し始めた。商号の問題でも起こったのだろうか。いつの間にか、キムカツが料理名として一般に認知されてしまったからなのだろうか。

6種類の中からプレーン、黒胡椒、チーズの3品盛合せを頼んだ。薄切り肉を25枚重ねたというキムカツは、八重洲の豚カツ屋で食べたものとはまったく別物で、意外と美味しかった。3種の中では特に黒胡椒がいい。
余った薄切り肉を重ねてボリュームを出したトンカツの代用品のイメージが強かったが、普通の豚カツと充分渡り合える料理に仕上がっている。その代わり料金もゲンカツ膳 (ゲンカツ・キャベツ・炊きたてご飯・お味噌汁・香の物付)が1,950円と立派である。

安くあげようと思ったらゲンカツ丼がいい。卵とじではなく温泉卵が乗ってくる。デザートもついて1,300円とお手頃である。タレにくぐらせず、揚げたままの状態でごはんに乗っけてくれたらもっといいが、まあ好みだろう。
どの家庭でも余った薄切り肉を数枚重ねた豚カツを、お弁当のおかずなどにしたことがあるはずだが、25枚も重ねて商品化したのは立派。色んなものがはさめるので、種類も豊富に出来る。料理名も全国的に認知されているのなら、大したものである。
ゲンカツ 銀座店
東京都中央区銀座4-6-18 銀座アクトビル3F
03-3567-1129
http://genkatsu.com
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2009年03月10日
[ビストロ ヴィオニス](銀座)
ソムリエ王者の店で気軽に楽しく

(2009年6月に閉店しました)
知る人ぞ知る、2002年度全日本最優秀ソムリエ・阿部誠氏のお店。姉妹店のサロン・ド・シャンパーニュ・ヴィオニスには数回行ったことがあるが、ビストロの方は初めてだ。ワイン好きの客を誘った。
思ったより広くてきれいな店内のどこでも座れる自由をもらったが、迷わずカウンターの席を選んだ。厨房が見えるし、店の人と会話もしやすい。一番乗りの特権でマネジャーの齊藤さんを独り占めした。「料理はアラカルトで、グラスワインを数種類飲みたい」とアバウトな要求にも慌てない。肉は、魚は、野菜はと丁々発止で素材を決めていく。あれはダメ、これが好きと言いたい放題。実に楽しい。
黒むつのカルパッチョ仕立て

魚介類が出てきたところで白ワインのボトルが目の前に並ぶ。齊藤さんとは別のソムリエがそれぞれのワインの特徴を流麗に説明してくれる。シャルドネ、ソーヴィニオン、セミリオンなど代表的な品種以外の地方色が濃い葡萄はチンプンカンプン。好みを伝えて2種類選んだ。
ホワイトアスパラと鱈の白子

これからが旬のフランス産アスパラと白子の意外な組み合わせ。甘口のワインは苦手と尻込みする銀髪に齊藤さんはリースニングを奨める。騙されたと思って頼んだが、やっぱり甘いと顔をしかめた。ところが料理と合わせると絶妙のハーモニー。齊藤さんのしてやったりの笑顔が憎い。
仔羊のフィレステーキ

オーストラリア時代によく食べたけど、日本ではなかなかお目にかかれない仔羊のフィレ肉が牛肉や豚肉を押しのけてメインを飾った。フィレ肉を周辺の脂身で囲ってある。自分が選んだ素材がイメージと異なる姿で現れるのも楽しいものだ。今度は4本の赤ワインが目の前に並んだ。厳かに説明を聞き2種類選んだ。
デザート、チーズ

最後にホットチョコレート&カシスのアイスクリームのデザートとチーズを食べる。デザートワインを断って、もう一杯赤ワインを飲もうかと思ったが我慢した。リキュールは2次会に譲ろう。
齊藤さんが銀髪たちから離れることが多くなった。いつの間にか店は半分ほど埋まっている。ブリフィックスコースが6,300円、7,875円とリーズナブルな設定のためか、若い客が多い。女性だけのグループも複数いる。
仲間たちだけで興ずるのも楽しいかもしれないが、ヴィオニスではソムリエ達と会話をして欲しい。320種類、2000本ものフランスワインたちが輝きを増すはずである。
ヴェー・ド・ビストロ・ヴィオニス
東京都中央区銀座7-4-14 光ビルB1F
03-3571-7414
http://www.vionys.com/bistro/
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2009年03月08日
[江島]④(銀座)
今シーズン最後の松葉蟹

昨年11月6日に解禁された松葉蟹漁もいよいよ3月20日で終る。解禁後すぐに江島で食べたときには有難かったが、今回で3度目となると感激も薄くなるのだから我ながら身勝手だと思う。
入り口近くの水槽にはいつものように毛蟹が群れをなしている。ところが松葉蟹は2ハイしかいない。我々が予約したのが2ハイなので、他の客が食べる松葉蟹はないということになる。途端に有り難くも感激してしまうのだから我ながら愚かである。
予約がなくてもいつも数匹は仕入れている江島でも、さすがにこの時期になると事前の予約が必要。価格も跳ね上がっているので、冒険はできない。常連さんからの強い要望がなければ予約も受け付けないそうだ。ますます有難い。

本日の蟹は鳥取産を示す赤いタグがついている。1.2キロ以上もある大物で、一パイ2万8千円だった。お客様に爪や太い足の殆どを譲ったが、腹の部分でも身は簡単に取り出せて、甘く美味しかった。2ハイの蟹はすぐに食べ尽くされた。
5人に対して2ハイの松葉蟹では腹一杯にはならない。銀髪なら味比べに毛蟹を頼むところだが、常連氏は蟹だけでは飽きると受け容れてくれない。腹を満たすのはしゃぶしゃぶの役目になった。

みんな良く食べた。2人前で充分と思った肉も、足りずにさらに2人前を追加した。茨城産とはいえ、霜降りの上等な肉は蟹に負けないぐらい人気だった。
若い仲居さんに「雑炊は蟹にしますか、しゃぶしゃぶのスープを使いますか?」と聞かれると、間髪入れずに常連氏が「しゃぶしゃぶ」と答える。銀髪が「お客様に選んでいただいたらどうですか?」とたしなめたら、蟹好きの客が「しゃぶしゃぶでいいですよ」と気を使う。銀髪の淡い期待はまたしても葬られた。

再び活き松葉蟹を拝めるのは8ヶ月後になる。食べる機会が幸運にも訪れたらの話だが…
江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/
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2009年02月19日
[コパンコパン](有楽町)
ガード下のモダンコリアンダイニング

「すごく人気の店なんで予約が取れないかもしれませんよ」と幹事が言うけれど、心配することはない。我々の月例飲み会は5時半にスタートして7時には終る。混み合う前に一稼ぎできるから嫌がる店はない。
ガード下と言っても東京フォーラムから新橋駅まで大型店がいくつもある。コパンコパンも思っていたより大きな店だった。これだけの大型店なのに予約が取り辛く、行列が出来るというから人気の程が窺える。



1人がガツガツ食べると追随する者が出る。うっかりしていると食べ損なうので他の連中も猛然と食べる。競い合うように食べた子供の頃を思い出してしまう。
美味しいものはすぐになくなってしまうが、「俺、これ嫌い!」と先頭打者がそっぽを向けば、他の連中も慌てて食べることはしない。チャプチェやニンニクの茎はゆっくり食べることが出来た。


「この店は出て来るのが早くていいなー」とご満悦だ。広い店内にまだ数組しか客はいない。複数の料理人が一気に作り出せばテーブルには隙間がないほど料理が並ぶ。
「飲み放題をつけましょうか?」と言う幹事の提案は即座に拒否された。飲み放題の時間制限は150分だが、このグループでの飲み会は通常60分内外で終る。今回は意外と長く居た。いつもすぐに飽きて店を出たがる人が、追加オーダーをしたためだ。珍しくこの店が気に入ったようだ。


追加でやってきた料理をみんなが喜んで食べると、頼んだ人が「どうだっ!美味しいだろう」と自慢する。確かに料理全般に外れがない。行列ができるのも理解できる。「大鍋を頼むより、小さい鍋を何種類も頼んだ方がいいですよ」と言う幹事の言うとおりだった。珍しく褒められてホッと胸をなでおろした幹事だった。コパンコパンは牛たん「ねぎし」が経営しているようだ。焼肉が特に美味しかったのも頷ける。
予定通り勘定をしたのは7時前。店を出るときに行列はまだ出来ていなかった。
コパンコパン
東京都千代田区丸の内3-6-1
03-3217-3777
http://www.copaincopine.jp
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2009年02月05日
[山はら]④(築地)
立派な、立派なあんこう鍋

昨年末、山はらに行き損ねた人の希望で再訪することになった。山はらのメニューは2種類。大きな刺し盛が共通で、蟹と焼き魚(または煮魚)+寿司かあんこう鍋を選ぶ。今回はあんこう鍋を予約した。
いつものように初めての人は市場内に足を踏み入れると緊張しているのが分かる。2度目の人は銀髪が自慢気に話すのに同調する。もう立派な常連さんだ。
店に入るとたくさんのスリッパが並んでいた。「いつもこうなんですよ」と銀髪が笑う。階段を見上げると仲居さんと目が合った。「アラッ!」嬉しそうにしてくれる。

本マグロ、ヒラマサ、メジマグロ、キンメ、いか、タイ、ホタテ。6人前となると刺し身自体のの量が多く、主人もさすがに「立派なのは大根のつまだけです」とは言わなかった。人数に合わせて上手に盛るもんだと感心した。

あんこう鍋を食べるのは一昨年の12月以来。「鍋におさまらないぐらい大きな鯛がだしなんですよ」とみんなに予告したのに、前回より小さな鯛で拍子抜けした。それでも鍋のだしには立派過ぎる鯛ではある。鍋の具の方は前回より大量でびっくりした。みんなも圧倒されている。仲居さんが「鍋奉行はどなたがやっていただけますか?」と聞く。銀髪がサッと手を上げた。

仲居さんを呼ぶ声が聞こえる。この日は全部で5組が入っており、入り口に並んでいたスリッパは飾りではなかった。忙しいのは仲居さんだけではない。主人も料理にてんてこまいなのか、楽しい話を聞かせてくれる時間もないようだ。もちろん鍋奉行も忙しい。
立派なあんこうの肝に感心しきり。12月初めに来た前回より大きくて美味しい。今が旬である。身は厚く、フランス料理のようにソテーにしても美味そうだ。皮や胃も入り、これがあんこうの七つ道具かと満足する。

最後は雑炊。銀髪が卵を溶き入れるとみんなが感心してくれる。家では何もしないのだろうか。関白が奉行をやったって恥ではないのに。
出口に主人、奥さん、仲居さんが揃った。一仕事終えてホッとしている様子が窺える。いつもながら、楽しい山はらだった。
山はら
東京都中央区築地5-2-1
03-3541-8747
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2008年12月28日
[江島]③(銀座)
今年最後の松葉ガニ

本日のスポンサー氏にとっては今シーズン4度目の江島である。銀髪ならうんざりするところだが、他の人たちが喜ぶ様を見れば満足らしい。5人居るので二匹を予約してくれていた。

一匹が1キロ前後あるという。銀髪は2度目で、しかも昼間のとんかつが胃を重くしていたのでサラダと、足の2本ぐらいもらえば充分だった。

蟹は一見したところ量が少ないように思えるが、意外と食べ応えがある。どんなに美味しい料理でも、同じものを食べ続ければ飽きてくる。みんな途中から食べるスピードが目に見えて落ちてきた。残すのはもったいないので、結局銀髪がたくさん食べる羽目になった。
さすがに常連のスポンサー氏は良く知っている。しゃぶしゃぶを2人前頼んでいた。肉は必要ないと主張した銀髪の負けである。「タレににんにくをお入れしますか?」と店の女性に聞かれて、思わず「ハイッ」と答えたら「お前はいらないと言ってただろう」と突き放された。

江島は蟹が自慢の店だが牛肉料理も悪くない。きれいな霜降りの肉を見たら我慢できるはずがない。何とか1枚ゲットして、さらに女性店員が足してくれた2枚目も素直にいただいた。結局スポンサー氏が1枚で我慢した。まったくもって申し訳ない。
最後にしゃぶしゃぶ鍋を利用して雑炊を作ってもらった。腹一杯なのに断れない意思の弱さ。ペアを組んだ相手が下戸だから、甲羅酒もすべて銀髪が飲みきった。
家に帰ると案の定、暴食の結果を思い知らされた。うなだれたのは体重計の数字を覗き込んでいるからでない。心から反省した。
江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/
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2008年12月18日
[祢保希ねぼけ](銀座)
冬はふぐより美味しい(?)クエ鍋

土佐料理の祢保希は赤坂店、渋谷店に行ったことがある。場所は違っても馴染みの店のような安心感がある。料理の選択肢は多いが、冬のお奨めはあら料理だろう。本場の福岡などで何度も食べてきたあら(クエ)も、祢保希では初めての挑戦だった。予約時にはコースではなくクエ鍋だけを頼んでおいた。
お通し、刺身

土佐料理の店らしく、お通しはかつおの佃煮。クエの刺身はコースには入っていない。味見程度で充分なので半人前を頼んだ。白身もいいが、皮のところが面白い。
うつぼのたたき、どろめ

土佐料理と言えばかつおのたたきだが、甘酸っぱいかつおは好きではない。かつおを避けてうつぼにした。こちらも代表的な土佐料理である。高知で食べたうつぼより遥かに美味しかった。脂なのかコラーゲンなのかトロリとして品がいい。どろめ(かたくちいわしの稚魚)はいつも外れがない。
クエ鍋

長崎五島列島で捕れた体長1メートル以上、20kg級のクエというだけあって身が厚い。2人前をぺろりと食べてしまい。クエと野菜を追加注文した。仲居さんに「コラーゲンタップリの皮に近いところを持ってきてよ」と冗談半分、本気半分でお願いした。「他のお客様もあるので無理ですよ」と否定しながらも、出てきたクエは要求したもの。大いに感謝した。コラーゲンでお肌に艶が出たようだ。男だってきれいな肌の方がいい。

最後は雑炊。クエのだしがしっかり出ている。ふぐより美味いと言う人も多いが、ふぐに比べると脂が多く、少し魚臭さが残る。好き好きだろう。
クエは捕獲技術が進んだお陰で、深海魚にもかかわらず生簀で飼えるようになった。輸送技術の進歩も大きく、東京に居ながら祢保希で常時クエを食べられるのが嬉しい。但し、クエ鍋目当ての客は多く、予約がなかなかとれないのでご注意を。早めの予約が望ましい。
祢保希(ねぼけ)
東京都中央区銀座7-6-8 西五番町通り
03-3572-9640
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2008年12月12日
[いふう](銀座)
大手飲食店企業の韓国料理店

銀髪に「安い店を探せ!」と命じられて部下が白羽の矢を立てたのは銀座マロニエゲートにある韓式料理いふうだった。8人が奥の個室にきれいにおさまった。
キムチ盛合せ、チャプチェ、海鮮チヂミ

「キムチなのになんでキュウリや大根が入っているんだ」と文句が出た。野菜の漬物の総称がキムチだと説明しても納得してもらえない。食べ慣れないものを受け容れない男は多い。
「チャプチェって何だ?」と嫌そうにするが、春雨を炒めたものと言えば喜んで食べる。
チヂミは説明の必要はない。海鮮を探すのが難しいシンプルな出来栄えだった。
ダッカルビ、白もつ鍋

「これがダッカルビ?」と言ったのは銀髪。以前食べたダッカルビは八重洲の五韓満足で焼いて食べた。どちらが本場に近いのかは分からない。五韓満足は美味かった。
もつ鍋といったら博多名物。韓国料理には思えなかったが、スープにマッコリが入っていると聞いて納得。
海鮮チゲ鍋、石焼きビビンパ

鍋はテーブルの端で店の人が作ってくれる。一番遠くに座った銀髪には部下がよそってくれた。遠くから「スープも入れろよ!」と大声を出さなければならない。手元に来た器には白菜しか入っていない。家で料理の手伝いをしたことがない亭主関白に物を頼むと悲惨な目に合う。2杯目は店の女性にお願いした。海老、白菜、豆腐などがバランスよく入りホッとする。
石焼きビビンパは混ぜている間に冷めてしまってお焦げが出来ない。さすがに温めなおしてもらったら、バリバリに焦げてやってきた。銀髪は焦げてない部分を少しもらって食べた。
目抜き通りの大型ビルに店を構えることができるのは、名が通った店か大型のチェーン店である。予想したとおり、いふうは無国籍創作料理「ちゃんと」など全42店、従業員数1400名の大チェーンに属する。銀座の一等地という場所の割に料金はリーズナブルである。
銀髪の要求どおり安く済んだのは間違いない。メデタシ、メデタシ。
韓式料理 いふう 銀座マロニエゲート店
東京都中央区銀座2-2-14 マロニエゲート11F
03-3562-8671
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2008年12月02日
[山はら]③(築地市場内)
みんなが驚き、喜ぶ店

誰にも自慢したい店がある。しかしミシュラン認定の高級店に行ったと自慢しても嫌味な奴だと思われるのが関の山。連れて行くこともなく自慢するだけでは片手落ちだ。山はらなら店の内容はおろか、場所も秘して連れて行く方が面白い。自慢するのは後からでいい。
細く開いた鉄柵の門を抜けて築地市場内に足を踏み入れたところでみんなが驚く。暗がりを歩くとドキドキしているのが分かる。左に折れてさびれた旅館風の店に入る。ギシギシと鳴る階段を上り、へこむ畳を歩き胡坐をかく。皆の表情が可笑しい。
森伊蔵を袋から出して持ち上げると感嘆の声が上がる。次兄が送ってくれたものを家から持ってきた。山はらは酒の持ち込みが出来るのがいい。

鯛、まぐろの大トロ、キンメダイ、カンパチ、イサキ、アジ、ホタテ。豪快な盛り付けを見て、分厚い新鮮な刺身を食べて、みんな驚く。「凄いでしょ!凄いでしょ?」と繰り返し自慢する。みんなが賛同すると調子に乗ってまた自慢する。

豊後水道で獲れたという立派な鯛の塩焼き。銀髪が捌いてみんなに分ける。誰も手を上げないので頭は銀髪が有難くいただいた。
5度目の山はらで初めて毛蟹が出てきた。茹でたてはやはり美味しい。

本来は寿司屋なので、最後の食事は当然ながら寿司。寿司も美味いがアジのつみれ汁がまたいい。アジを包丁で叩いてつみれにしたのがよく分かる。口の中でハラリと崩れる。

余ったら持って帰ろうと思っていたのに森伊蔵は全部なくなった。飲み切ってやろうというみんなの意欲は凄まじかった。銀髪は苦笑いするしかない。「ビール代を含めて5人で約5万2千円」と教えると、口々に仲間を連れて来たいと言う。「カードは使えませんからね」と念を押す。忘年会・新年会シーズンは混み合うから早めの予約が望ましい。
入ってきた時とうって変わって店の外は魚を運び入れるトラックで賑わっていた。フラフラと揺れて歩く仲間が轢かれないかと心配で仕方がない。市場の外に出てホッとした。
山はら
東京都中央区築地5-2-1
03-3541-8747
「山はら」
「山はら」その2
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2008年11月28日
過門香 (銀座)
豪華に見えるけどリーズナブルな中華料理店

過門香は東京駅丸の内トラストタワー店に行ったことがある。高級感のある店内ながら、リーズナブルな値段で飲み放題もついて大いに楽しんだ。
今回部下が「美味しいですよ!」とアレンジした店は銀座店だった。銀座と言っても柳がため息つく一丁目は銀座のイメージからちょっと外れる。古い重厚な感じの建物の地下にある割には、モダンで広く明るい店だ。
焼物3種盛合せ、焼餃子、上海小龍包、

海老入り棒春巻き、海老蒸餃子

酢豚、鶏肉の四川辛子炒め、麻婆茄子

揚げパン、デザート

メニューは豊富だ。フカヒレ、鮑、北京ダックなどの高級素材を使った料理もたくさんあるが、総勢10人の宴会でそんなものを頼んだらいくらかかるか分からない。銀髪より部下たちの方が分別があるので、オーダーを任せた方がいい。案の定、馴染みの料理ばかりが並んだ。
食べ慣れないものを頼むと、みんな評価に苦しむ。高級過ぎても猫に小判。餃子や麻婆豆腐なら、経験豊富なのですぐに好き嫌いが言える。誰もが満足したようだ。
中国人の女性店員に料理のアドバイスを求めたのは、単に話がしたかっただけのようだ。追加オーダーの度にちょっとからかって喜んでいる。まあ、これはこれで楽しい食事に一役かったことは間違いない。
店を出る際に「この店はいつできたんですか?」と聞いたら、8年前と言うのでちょっと驚いた。しかも銀座が一号店。老舗の風格すら抱かせる過門香だが、意外と新しい店だ。もっとも、「土風炉」「十割そば 鳥元」などを擁する大レストラングループの系列と聞けばなるほどと頷ける。
変わった料理を食べられなかったのが残念だったが、他の連中はみんな満足したようだ。もちろん銀髪も満足した。支払いが少なくて済んだ事に。
過門香 銀座店
東京都中央区銀座1-10-6銀座ファーストビルB1階
03-3563-7900
http://www.ramla.net
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2008年11月26日
[おかめ]②(築地)
お座敷天麩羅

「今度は私がアレンジしましょう」とOさんが言った。何度か食事会をしていると、必ずそんな声が出て来る。贔屓にしている店に案内して喜んでもらいたい。そして、ちょっぴり自慢したいというのはよく分かる。銀髪は今度が2回目。やはりOさんに連れて行ってもらった。
予約の時間に店に着くと、扉の向こうでガチャガチャと鍵の音がした。通りすがりの客が入って来ないようにぎりぎりに店を開けると言う。2部屋しかない小さな天麩羅屋の外観は巨匠小津安二郎が愛した頃のままだという。
京都産茶豆、ほたてひも、愛知県産天然ふぐ

ふぐが出てきて驚いた。愛知県産の天然とらふぐは下関南風泊(はえどまり)市場を通さず安く仕入れたそうだ。肉厚に切られているので噛み応えがあり味が深い。
オーストラリア産アスパラ、天草車海老、ベビーコーン、松島産鯊

アスパラは季節が逆のオーストラリア産が旬。ベビーコーンはわざと焦がすぐらいに揚げてあるので香ばしい。
雌株、京都産茄子、メゴチ、帆立

玉子&佃煮、ミョウガ、鱧、万願寺唐辛子

穴子、トマト、漬物、かき揚げ茶漬け、

綿実油100%で揚げているのでいくら食べても胃は重くならない。パプリカなどちょっと他ではないようなものも揚げてくれる。デザートはパイナップルだった。先代から続く店なのに、勉強家の2代目店主は伝統にこだわらない。寿司など他のジャンルの職人を呼んで腕を磨いたそうだ。
みんなが注目したのが天麩羅を揚げる太い箸。天麩羅に花を咲かせふっくら仕上げるのに最適とのこと。感心していると先代が遺した箸を見せてくれた。孟宗竹の箸は使い込まれて細くなっている。

先代を誇らしげにしている店主の顔がなかなか良かった。
前回訪問の記事→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/03/post_159.html
御座敷天ぷら おかめ
東京都中央区築地2-12-2
03-3541-2288
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2008年11月17日
[江島]②(銀座)
今年も江島で松葉ガニ

「どこに行きたい?」と問われて「どこでもいいですよ」と答えながら、彼を常連としてもてなす数店を思い浮かべた。毎日違う店を探さなければならない銀髪にとっては羨ましい限りだ。再び電話が鳴り「江島を予約したぞ!」と言われほくそ笑んだ。店を指定するほどあつかましくはないが、望んだ店と一致した。
今年の松葉ガニ漁は11月6日に解禁された。日本海で獲れるズワイガニは松葉ガニ、越前ガニ、加能ガニと産地により呼び名が違うが、どれも食通垂涎の高級品である。地元の料理屋でも予約なしでは食べられないが、江島にはこの日2杯入荷していた。食べる人が決まらずに仕入れるとはさすが銀座である。

船のタグがついた約1kgの松葉ガニのお値段は2万8千円。江島では主に鳥取県、兵庫県から仕入れているそうだ。茹で上がるまでサラダなどを食べて酒を飲んだ。主役が来るまで腹は空かせている方がいい。

ミソをたっぷりと甲羅に乗せて松葉ガニがやってきた。スプーンでミソをすくって食べる。日本酒を飲む。もう一度ミソを。そして日本酒を口に運ぶ。
足を取って身を引き出す。ハラリと身が抜ける。口に入れるとほんのり温かく甘い。
いつもは苦労する甲羅の中の身も、簡単に取れる。かに酢も用意されているが、つける気にはならない。蟹を食べるときは身を取り出すのに無口になるが、今日は美味くて声が出ない。

蟹だけでは物足りないと思ったのか、和牛の鉄板焼きも頼んでくれた。江島はしゃぶしゃぶなどの和牛料理も自慢するが、活松葉ガニとの勝負では分が悪い。
考えてみれば、蟹は安いかもしれない。2人で分け合い、他に数品頼めば腹は満たされる。最高級の天然ふぐコースを食べたら一人3万円は下らない。白子を食べ、ひれ酒を飲めば4万円になる。松葉ガニを食べ、甲羅酒を飲む方が遥かに安い。
3月の漁が終るまでに何度食べられるだろう。もしかしたら今シーズンはこれが最初で最後かもしれない。感謝感激雨あられである。
江島
東京都 中央区 銀座 3-5-4 十字屋ビル4F(松屋デパート向かい)
TEL:03-3535-3131
http://www.ginza-ejima.com/
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2008年11月13日
[大渕座](銀座)
銀座の超フレンチ

16,500円の松茸コース


冷製スクランブルエッグ、ピザ、クリームソース、甘鯛のポワレ・サラダ仕立て、ホロホロ鳥のラグーパスタと続く松茸尽くし
「松茸の産地は?」と聞くとトルコ産とカナダ産とのこと。これは避けて安いコースの方が良さそうだと思って客の意見を聞くと「どちらでも」と応える。「どちらでも」は「高い方を食べたい」という意味である。
9,800円のコース


野菜のディップ、鯖煮、キスの天ぷら、太刀魚アンチョビバター添え、三種のチーズ盛り合わせ
コースは2種類しかないが、値段には大きな開きがある。銀髪も松茸コースにしようかと迷っていると、「私のを分けてあげますよ」と言われた。「あなたは安いコースにしなさい」という意味である。
両方のコースを楽しめる幸せなアドバイスである。偏見を持って臨んだ松茸コースは思ったより香りが高くて美味しかった。一流シェフの目利きのなせる技だろう。国産より安価な分、タップリ使っているのがいい。ピザが特に気に入った。
いくら美味しくても松茸ばかりでは飽きてしまう。安いコースがいいアクセントになった。カウンター席だと二人で分けるのも簡単だ。西欧では分け合って食べることはしないが、日本では嫌な顔をされないので有難い。
料理が終ったところでオーナーシェフの大渕さんがやってきた。「フランス料理と言うより日本料理に近いですね」と有名シェフをつかまえて生意気を言う。ところが一番日本的に思えた鯖もフランスの田舎料理とのこと。奥が深い。
それでも懲りずに「ヌーベル・キュイジーヌなんて新しいものより、ガッツリした伝統的なものが食べたいですね」と憎まれ口をたたいたら「私も40年間フランス料理一筋ですから、そういったものを作りたい」と言うので驚いた。フランス料理の流行はヌーベル・キュイジーヌから2段階も先に進んでいるそうだ。
新しいフランス料理の旗頭と思われる大渕さんだが、その理想がどこにあるのか興味が湧いた。評価が高かった代官山の「ラ・ヴィーナス」を閉め、3年前に銀座に今の店を開いた。ちょっと有名になると支店を作ったり、他店のプロデュースをして稼ぐ料理人が多いのに大渕さんは変わっている。
柔和な笑顔の奥に潜む闘志を垣間見た気がする。支える奥様も大変だろうが、頑張って欲しい。いつか「これを食ってみろ!」という大渕さんの理想の料理を味わいたいものだ。
御魚 大渕座
東京都中央区銀座3-10-14 東銀1ビル2F
03-5565-3788
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2008年10月30日
[美々卯](京橋)
うどんすきは美々卯の登録商標

京橋の美々卯に最初に来たのは10年ほど前である。大きくて立派な店なので長い間本店だと思い込んでいた。美々卯が大阪で200年以上の伝統を受け継ぐ老舗であること、うどんすきが美々卯の登録商標であることを知ったのは道頓堀の今井へ行ったのがきっかけだった。グルメ紀行のお陰で予習復習をするようになったので食い物の知識はどんどん膨らんでいく。
煮穴子、にしん、そば寿司

Tさんが煮穴子とにしんを、銀髪がそば寿司を頼んだ。うどんすきが有名だが、石臼挽きの自家製粉したそば粉で打ったそばも捨て難い。遅い時間に入って「売り切れました」と言われたことがあるので、ついつい頼んでしまう。

昭和3年に先代・薩摩平太郎が考案したといううどんすき。名前も彼がつけたそうだ。道頓堀今井では「うどんすき」ではなく「うどん寄せ鍋」と呼んでいたので不思議に思って調べたら、うどんすきが美々卯の登録商標だと分かった。
良識ある今井とは違い、杵屋が「杵屋うどんすき」と名付けたものだから、美々卯が訴えた。結局、平成9年東京高等裁判所が「うどんを材料として魚介類、鶏肉、野菜類等の各種の具を合わせて食べる鍋料理」として普通名称化されていると結論付けた。そのため今では誰でも「うどんすき」を使えるようになった。美々卯は敗訴を悔しがるより「うどんすき」の名称がひとつの商品名から料理の名前として認められたことを喜ぶべきかもしれない。

美々卯のうどんすきで注意することは、活き車海老をつまんだまま熱湯の中で成仏させることである。放っておくと飛び跳ねて熱湯が飛び散ることになる。隣席では仲居さんが老夫婦に丁寧に教えていたのに、我々のところには来なかった。無視されたのか、常連と思われたのか分からない。
美々卯のうどんすきは美味しい。茹ですぎてもうどんがくたびれないのもいい。「麺を追加しますか」と聞いたら「腹一杯」と答えたTさんも、ゆらゆらと鍋の中で誘ううどんを見たら箸がのびてしまう。食べ過ぎてしまうのが、うどんすきの困ったところである。
美々卯 京橋店
東京都中央区京橋3-6-4
03-3567-6571
http://www.mimiu.co.jp/
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2008年10月20日
[グット ドール](銀座)
金色の滴り

君嶋屋、君嶋屋、横浜君嶋屋とMさんが言う。キミシマと言われてもデザイナーぐらいしか思い浮かばないが、どうやら有名な酒屋のようだ。横浜の酒屋が銀座にワインバーをやっているから行こうと言われてその気になった。
日本橋から銀座4丁目の店まで歩いた。やっと着いたところでホッとするわけには行かない。店のドアを開けるには狭くて急な階段を3階まで上らなければならない。軽快に上りきった銀髪をMさんがゆっくり追いかけてきた。

カウンターを左に見ながら窓際の奥の席を目指した。ビールで喉を潤したところでワインのメニューをもらった。常時10種類のグラスワインが用意されている。味比べを出来るのは嬉しいが、値段は正直だと分からされるのはちょっと辛い。料理が出て来るまで胡麻パンスティックやパンを肴にする。
ブーダンノワールのテリーヌ、サラダ、海老とイカのソテー・プロヴァンス風

料理も楽しめる。しかし、フランス料理屋やイタリア料理屋のメニューは本当にわかりにくい。ブーダンは豚の血と脂肪で作ったもの。ノワールは黒の意味で、フランスのギャング映画をフィルムノワールと言ったことを思い出させる。プロヴァンス風とは トマト、にんにく、オリーブオイルをたっぷり使った料理のこと。
トリップの煮込みニース風、鴨もも肉のコンフィ、チーズ盛り合わせ

トリップは牛の内臓肉でイタリア料理ではトリッパというもの。ニース風とはトマト、オリーブオイル、アンチョビなどを入れて作られた料理、コンフィは玉葱などを煮崩れるまで炒めたもののこと。フランス在住歴6年のKも料理の説明は上手くない。ワインの味は分かると言うが、値段を見れば彼の評価は必要ない。
全ての種類を飲んだ頃にはカウンターの半分以上が埋まった。全て女性である。途中で若い男がワインを2杯飲んですぐに帰った。我々は場違いな客だったかとバーテンダーに尋ねたら、いつでも大歓迎と言ってくれた。それはそうだ。これだけ飲み食いする客は居ないだろう。
因みに店名のグットは滴り、ドールは黄金の意味とMさんが教えてくれた。フランス語の予習をして行けば、楽しみも倍増するのは間違いない。
グット ドール
東京都中央区銀座4-3-5 銀座ハトリビル3F
03-3564-7218
http://www.goutte-dor.com/ginza
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2008年10月14日
[小はれ日より]④(銀座)
今日は小はれ日よりではなく満天(満点)の星

「上海蟹の紹興酒漬けがちょうど食べ頃になっています」電話の向こうの大川さんの笑顔が見える。グルメ紀行を書くためには好きな店ばかり何度も行くわけにいかないが、小はれ日よりは複数回訪れた数少ない店だ。それでも昨年の5月以来の訪問。変わらぬ歓迎ぶりが嬉しい。
薬膳スープ、上海蟹の紹興酒漬け

お決まりのスープの後に今日のトップスターのお出ましである。他店より多目の紹興酒で約2週間漬けたと言う。卵が濃厚で美味い。もう上海蟹の季節になったかと感慨にふけった後、言葉少なにむさぼり食った。
小はれ日よりにメニューはない。予約のときに予算や好みを伝えておけば、オーナーシェフの高橋さんが腕をふるってくれる。まるで懐石料理のように少量多品目の料理を味わえる。



楽しいのは料理だけではない。高橋さんの絶妙なトークも魅力だ。「あかしやです」と出された皿の上にはさんまが乗っている。ジョークと気がついても、素知らぬ振りして説明させると照れて汗を掻く高橋さん。笑いは最高の調味料でもある。
蒸し上海蟹、フカヒレと牛アキレス腱のスープ

前日に予約を入れていたので銀髪のために特上の配慮があった。食べやすいように上海蟹の身をほぐして殻に詰めておいてくれたのだ。酢としょうがで味付けされてとても美味しい。
上海蟹の配慮に感激していたら、もっと上の料理が出てきた。銀髪のために長時間煮込んで用意したというスープ。鶏がら上湯スープがベースだそうだが、今まで味わったことがないような複雑な味である。長時間煮込んだことにより素材から染み出した味のハーモニーで、特別な味付けはしていないという。スープのとろみは牛のコラーゲンによるもので、片栗粉などは使っていない。何とも不思議で濃厚な味に唸り、黙り込んでしまった。高橋さんのしてやったりの顔が憎い。
ピータン入り麻婆豆腐、デザート

看板料理のいつもの麻婆豆腐が出てきて再び宴は賑やかになってきた。「今度は1週間前には電話くださいよ」と言う。銀髪に何を食べさせるか構想を練る時間を楽しむと言ってくれる。一流の料理人が銀髪の顔を思い浮かべながら料理を用意してくれるなんて、これ以上ない幸せである。
勘定を払い、席を立ち、喜びを噛み締めながら、「今日はまいりました」と言って頭を下げた。あらためて料理人に愛される客でいたいと思った。
美食同源 銀座 「小はれ日より」
東京都中央区銀座1-15-8 銀座耀ビルB1F
03-3538-0554
http://www2.odn.ne.jp/kohare/
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2008年10月08日
[佐藤養助](銀座)
稲庭うどんだけじゃない、秋田郷土料理の店

銀座の名店「出井」が閉店してからしばらく経つ。夜の数奇屋通りを歩くたびにいつか行きたいと思っていたが、永遠にかなわない望みになってしまった。代わりに開店したのが1860年創業、稲庭うどんの老舗「佐藤養助」である。もともとはうどん製造会社だが、秋田県内に7店舗、福岡に1店舗、そして9番目に遅まきながら銀座に飲食店を開いた。出井に勝るとも劣らないネームバリューである。
お通し、じゅん菜

昔からの友人である起業家を誘った。誰もが羨むような大企業を辞め、ベンチャー企業に身を投じ、満を持して起業した。久し振りに会ったこともあり、彼は食事に集中できずに苦労話に熱中している。うどんを揚げたお通しは珍しくていかにも佐藤養助らしいのに、あまり関心を示さない。
はたはた

随分高いはたはたと思ったら、最近食べた中では特筆ものの立派なはたはただった。特に卵がプチプチとして食べ辛いほどだ。もっとも、卵自体それほど美味しいとは思わないので、銀髪には脂が乗った安いオスで充分だと思う。
比内地鶏

稲庭うどんばかりが頭にあったせいで、他の秋田名物のことを忘れていた。はたはたの他に比内地鶏、そしてきりたんぽ鍋など名物は多い。冬にはきりたんぽ鍋を食べにきたいものだ。
稲庭うどん

他に食べたい料理もたくさんあったが、看板料理を食べなければ帰れない。たくさん日本酒を飲んだ後でも稲庭うどんならつるつるっと入ってしまう。2種類のたれや薬味で味を変えながら楽しめた。〆のつもりが酒の肴にもなるから困ってしまう。予定量を超えてしまった。
佐藤養助の地下と向かいに行きつけのクラブがある。二人で一升近く飲めば制御が効かない。また来たい店だが、数奇屋通りはちょっと危険だ。
銀座 佐藤養助
東京都中央区銀座6-4-17 出井本館1F
03-6215-6211
http://www.sato-yoske.co.jp
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2008年09月18日
[ガウディの舌](銀座)
店の評価は店員次第

パエリアを食べるには大人数の方がいい、という理由だけでこの店を選んでしまった。30代2人、40代2人、50代4人、60代1人、70代1人、男ばかり10人は店にとっては前例がない異様なグループに見えたに違いない。
我々10人のテーブルは壁際に座った人はトイレにも立てないような設定になっていた。まだ5時半、店内には2組居るのみで余裕がある。トイレに立てるように6席と4席に分けて20㎝ほど間を開けたら、女性店員がやってきて文句を言う。隣に客が来るから元に戻すように執拗だ。来るまでいいだろうと言っても譲ろうとしない。空気は一気に悪くなった。
海老とオリーブのお通しに始まり、スペイン風オムレツ、海老のハパネロソース、イカのフリット、チョリソーとサルチョンの盛合わせ、ツブ貝の香草ガーリックバター焼き、ムール貝のエスカベッチェ、ヤリイカのガーリックソテーイカ墨のソース、自家製チョリソー、そば粉の冷製コカ(スペイン風ピザ)と矢継ぎ早にオーダーした。



お通しのオリーブは殆どの連中が残した。いつも思うが男は女に比べて本当に保守的だ。食い物だけではなく、異性に対しても、日頃の行動にしても、女性の方が遥かに柔軟性がある。みんなをスペイン料理屋に連れて来たのは失敗だったと思ったが、幸い頼んだ料理は次々になくなっていった。料理の文句を言う者は殆ど居ない。
イカ墨のパエリア、ガウディの舌風ミックスパエリア

芯が残った米に不満を言う者もいたが、順調に消費された。7時前には頼んだ料理は全てみんなの胃袋の中に消えた。
結局、隣の席に客は来なかった。店全体を見渡してもまだ半分も埋まっていない。嫌味の一つを言ってやりたくても、押し問答した女性店員はオーダーを取った直後に別の女性にバトンを渡して帰ってしまっていた。
勘定を払う際、いきさつをレジの男性店員に話した。「申し訳ありませんでした」と言うものの、不愉快そうである。「ガウディの舌」は東京ディズニーランドの姉妹店。マニュアルどおりに働く店員たちにとって、柔軟性を求めるのは無理のようだ。
ディズニーランドで成功しているサービスが、飲食店にも合うわけではない。
スペイン風居酒屋 小皿料理 ガウディの舌
東京都中央区銀座5-9-5
03-3571-2075
http://www.rcjapan.com
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2008年08月26日
[薩摩]②(東銀座)
同期会

同期会の案内メールが来た。飲み放題付の会費5,000円。時間は6時半~9時までと比較的余裕がある。店の情報のアドレスをクリックして驚いた。なんと銀髪が以前書いたものだ。幹事のMに銀髪グルメ紀行のことを教えていないので、偶然知ったようだ。
6時半丁度に店に入ると既に酒盛りは始まっていた。参加者16人のうち、半分以上が揃っている。この日を待ち遠しく思っていたのか、単に暇なのか分からない。銀髪のグラスにビールが満たされると乾杯の声が上がる。最初に来た奴は乾杯だけで出来上がってしまう。

「薩摩」は前にも書いたように通常はチケット制の小皿料理主体の店。この日は我々グループのために特別料理が用意されていた。料理が運ばれると銀髪のシャッターより先に箸が料理を捉える。ビールを飲み、箸を動かしながら、心の中で出席者の顔に名前を乗せていく。
約30年前に新入社員研修で約1ヶ月一緒に居たけれど、その後は全国に散らばった同期達。顔は分かるが話したのは数えるほどしかない者もいる。「お前誰だっけ?」なんて馬鹿な質問をする奴はいない。一人ずつ立ち上がり、近況報告する前に長年の空白は殆ど埋まっていた。

2時間半と長丁場なので料理はゆっくり出てくるが、酒はたっぷりある。最初は量るように注いでいた焼酎も、だんだんコップ酒の様相を帯びてきた。
転職の報告、大病の経験談などなど、近況報告が続く。遅れてやってきたゴルフの幹事が数日前に行われた同期会コンペの結果報告を始める。飲酒運転ができないので、表彰式は夜の同期会の場を借りるのが慣例となっている。
ゴルフの話をする者、近況報告をする者、酔っ払って耳はどこかに行っている者、トイレにいつ立つかばかり考えている者。場はまとまりがつかなくなってきた。料理が来るのが遅いと文句を言っていた者も、酒で満腹になり箸が動かなくなっている。銀髪も面倒だから途中で写真を撮るのを止めた。どっちみち今日だけの特別料理だ。
最後に三本締め。他のお客様には申し訳ないが、我々は三本でなければ終れない。緩んでいた顔は引き締まり、背筋が伸びる。
ヨーオッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、ヨッ!チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン、
拍手が終わると、再び千鳥足の酔っ払いに戻る奴もいる。
永久幹事のMのお陰で毎年同期達と会う機会が出来る。みんな感謝感謝である。幹事さんありがとうございました。
最後に店の前で写真を撮った。結婚式に出ても料理しか写さなかった銀髪のカメラを特別に同期達のために使わせてあげた。みんないい顔をしていた。
薩摩
東京都中央区銀座4-12-20
03-3541-3995
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2008年08月20日
[魚一](銀座)
夏もやってるふぐ料理屋

「店は予約しといたからな」とメールが入ってきた。一人で魚一(とといち)へ向かった。以前、飛び込みで入ろうとして二の足を踏んだ店だ。「注文はお前に任せるよ」と言われたのでちょっと早めに店に着いた。生ビールを飲みながらメニューを見てちょっと驚いた。ふぐコース以外は目立った料理がない。
二の足を踏んだ時の胸騒ぎは当たっていたことになる。
カウンターの中の料理人は黙々とぶつ切りのふぐを揚げている。夏にふぐは食べる気がしないので、わずかな品数のメニューを見詰めて固まってしまった。店の女性が見かねて助け舟を出してくれる。
付け出し、枝豆

付け出しはちゃんとしている。枝豆もオーダーしてから茹でるので、悪くないかもしれないと思い始めた。
総勢4人が揃って乾杯をする頃、店の女性と決めたお造りの盛り合わせが出て来た。

生簀に泳いでいたシマアジを中心に、特別に造って貰った刺身の盛合わせ。メニューには書いてないが、コース料理に使う食材は豊富にある。他の連中も豪華な盛り合わせに大喜び。胸騒ぎはいい方に外れたようだ。
ふぐの唐揚げ

刺身がなくなりそうなので、ふぐの唐揚げを求めた。先ほど大量に揚げていたからすぐに出してくれるかと思ったら、別に作り揚げ始めた。前もって揚げていたものは、手を加えた後で地下の個室に行くようだ。意外にたくさんの客が入っている。
鱧の落としと焼き霜

メニューの中でふぐ以外に目に付くのは鱧。みんなに湯引きと炙った鱧の食べ比べをさせた。銀髪がうんちくを語るまでもなく、炙りの方が好評だった。

先ほどのシマアジを使ったアラ汁で満腹になったところで、料理人に話しかけた。思ったとおり若い料理人はオーナーではなく、魚一は「魚とやグループ」の一つと分かった。赤坂の大友が代表格で、4年ほど前に行ったことがある。高級魚を比較的安価で食べられる店として人気がある。魚一は大友よりきれいで、コンセプトはほぼ同じのようだ。
「ふぐは天然でなくっちゃ」と言う人には向かないけれど、夏のふぐも悪くないかもしれない。
銀座 魚一
東京都中央区銀座1-3-6 1F
03-3561-4131
http://www.sannotec.co.jp/yoyoya-gr
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2008年08月13日
[神谷](銀座)
名物、炙りトロ寿司

テレビのグルメ番組で「寿司ネタを炙って握る」店を紹介していた。「魚も肉も少し火を通した方が上手い」というのが持論なだけに、我が意を得たりと行くことにした。
名店がひしめく銀座交詢ビルの4階、テレビで見たより大きく立派な店である。
頼んだのは看板料理「炙りトロ」が入ったコース。いつものようにカウンターに座ったが、この店にはオーナーの神谷氏らしき人は居ない。テレビに出ていた2代目も今はグループを離れて修行中とのこと。目の前の若い料理人に相手になってもらうしかないようだ。
鱧そうめん、イカのコノワタ和え、炙りトロ寿司

黒い麺が鮑の肝入り、卵の黄身も凝っている。コノワタも美味しい。早くも3品目に看板料理の炙りトロ寿司が出てきて驚いた。最後に炙り寿司の盛り合わせが出て来ると思っていたのだ。確かに美味いがこの後のコースはどうなるのだろう。
鱧椀、お造り(スズキ、鮪、イサキ)

鱧椀は完璧。5品目に刺身とは意表を突くと思ったが、よく考えれば懐石料理の手順を踏んでいる。テレビを見て寿司屋の感覚で来たのが間違いで、普通の懐石料理屋と今頃になって気がついた。
鮎

抜いた骨を再び焼いて食べやすくしている。余す事なく食べ尽くすことができる。芸が実に細かい。感心して質問ばかりするものだから、いつの間にか目の前の料理人が替わっていた。名刺交換すると料理長である。食事がワンランク楽しくなってきた。
豚の角煮

普通の豚肉ではない。金華豚と並ぶ銘柄豚の梅山豚(メイシャントン)と説明されれば更に楽しい。中国上海市北部の江蘇省に分布する在来種で現在日本で飼育されている梅山豚は100頭前後しかないそうだ。ありがたやありがたや。
そば、水羊羹、杏仁豆腐

〆は寿司ではなく蕎麦だった。神谷グループのこだわり蕎麦とのこと。もっと自慢するのが水羊羹。市販のものと違い、水分が多いので口の中でとろける。数時間で溶けてしまうので、作り置きはできないそうだ。
今回は初めてだったので決められたコースを食べたが、こちらの希望に従って内容を替えてくれると料理長は言う。テレビ番組のように炙り寿司を多くすることもできる。また来たくなるように上手に誘う料理長。なかなかの手練れ者だ。
銀座 神谷
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
03-5537-7700
http://www.kamiya-m.com
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2008年08月06日
[明月庵ぎんざ田中屋本店](銀座)
呑みどころ、そばどころ

「あそこは美味しいですよ」「評判いいですよ」と部下たちが口々に言う。「任せるよ!」の一言で今日の宴会場所が決まった。
メニューを見るとたくさんの酒の肴が書いてある。「お刺身も美味しいらしいですよ」の意見は却下した。わざわざ蕎麦屋で鮮魚を食べることもあるまい。あとは部下たちの言うがまま。
そば味噌、枝豆、旬の魚介の酢味噌和え

お通しはそば味噌。蕎麦屋らしくていい。枝豆は期待通りすぐに出て来た。冷えた枝豆を喜ぶ者もいれば、茹で立てでなければ美味しくないと言う者もいる。割烹ではないので大目に見ようじゃないか。
焼き穴子の胡麻和え、銀鱈、

焼き鳥、にしん

刺身を却下された者が、今度はにしんを頼んだ。そばにつきものの料理だから拒む理由はない。日本酒も1升近くが消費され、だんだんそばを食べる環境が整ってきた。
天婦羅盛合せ、野菜かきあげ

天婦羅盛合せは数種類あり、お好みで組み合わせてもらうこともできる。天婦羅の善し悪しは蕎麦屋の生命線でもある。天婦羅屋さん顔負けの美味しい天婦羅だった。評判がいいのも頷けた。
もりそば、そば湯

そばは二八。つゆは江戸風の濃く辛い銀髪好み。上質の鰹節を贅沢に使うと自慢するだけのことはある。そば湯の器も洒落ている。
何よりも良かったのは蕎麦アレルギーの部下のために、別鍋でうどんを茹でてくれたこと。客への思いやりは料理の質にも繋がる。店の歴史や評判を鼻にかけていないのがいい。
メタボが心配な部下たちが選んだ蕎麦屋だったが、結局は飲み過ぎ、食べ過ぎの晩餐だった。なかなか難しいものだ。
明月庵ぎんざ田中屋本店
東京都中央区銀座6-6-19
03-3571-8228
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2008年07月29日
[レストランキハチ 銀座本店](銀座)
気楽に楽しめるあの有名な喜八氏のお店

今でも銀ブラという言葉は使われているのだろうか。そもそも銀髪ですら使ったことはない。銀ブラとは銀座をブラブラ歩くことで50年以上前に使われ始めたそうだ。今、銀髪がしていることは晩飯の場所探しだけれど、これも銀ブラの一種かもしれない。
無数の飲食店がひしめく銀座でもどこに入るか決めるのは困難を極める。ラーメン屋という訳にはいかない。立ち飲みや屋はちょっと疲れる。焼肉は食べたくない。何でもいいと言いながら、結局のところ何でも良くはない。ようやくピンと来た店を見つけたら予約で一杯。再び銀ブラ。ガラス窓から中を覗いたら、空席がたくさんある店を見つけた。妥協することにしたが、それが有名なキハチとは知らなかった。
2階席も空いていると言われて案内してもらったが、立派過ぎるので怖気づいた。ぶらついて偶然入った店では気楽にやれそうな1階席がお似合いだ。行ったときはスペイン料理特集をしていた。ファミリーレストラン風の写真のメニューが料理を選びやすくしてくれた。

茄子鮪からすみ風味、ルッコラとトマトのサラダ、干し鱈のブニュエロ

干し鱈を入れたコロッケはポルトガル料理屋マヌエルで何度も食べた。マヌエルのものより干し鱈の存在感が薄い。
初夏野菜の網焼き、真鯛ピーマンマリネ、マッシュルーム生ハム

薄焼きせんべいコカ、イカ葉山葵のトマトスパ

多国籍料理と謳うに相応しい創作料理の数々。一皿の量が少ないのでカップルでも色んな料理が楽しめる。美味しくて感激するほどではないが、キハチの名前に傷がつくほど酷くもない。
相方がキッチンカウンターの向こうにオーナーの熊谷喜八氏が居ると喜ぶ。テレビでも見たことがないので、当人かどうか銀髪は分からない。全部で57店舗を擁し、テレビにもよく登場する有名人を見ることができて、有難がるべきか悩んだが止めにした。目の保養になるとも思えない。
気楽に飲み食い出来る店を銀座に作ってくれた事にはちょっと感謝した。
レストランキハチ 銀座本店
東京都中央区銀座2-2-6
03-3567-6284
http://www.kihachi.co.jp
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2008年07月18日
[天丹](銀座)
中国二色鍋

普通のスープと辛いスープ、2つに分かれた鍋は東銀座の「台湾海鮮」と日本橋の「天香回味」で食べたことがある。いずれも台湾に本店がある「天香回味鍋城本店」の系列。今回の天丹は四川料理という。勝手に本家争いを煽ることにした。
集まったのは大津の「松喜屋」で知り合った同業5人。「東京に戻ったら食事をしましょう」とどちらからともなく出た言葉を社交辞令にしないのが銀髪の流儀。その場で日を決め、幹事役を買って出た。
豆苗炒め、鶏の唐辛子炒め

40代前半の3人のお腹を見て鍋に決めた。高級店で大食いされたら財布が泣く。ダイエットに効果があるカプサイシンを含む唐辛子をたくさん使った料理を選ぶ気遣いが我ながら憎い。
2色鍋

中国人の店員が2つのスープを椀に混ぜ合わせ、すりおろしたニンニクなどを入れてくれた。これでタレの出来上がり。鍋の薬膳効果などは言ってくれないし、食べ方の説明も詳しく説明してくれることはない。

色気がない我々のテーブルに遠慮や気遣いは無用。きれいに並べられた2種類の肉(黒豚と羊)、練り物、野菜をぶち込む。タレが辛くて肉の味の違いなどまったく分からない。猪肉も追加したところで、白湯スープだけで食べてみた。美味しいスープと初めて知った
つけダレは2種類作った方がいい。

烏骨鶏、ラーメン

面白い具材を追加してみんなの興味を引こうとするが、他の連中は紹興酒ばかり追加するのに熱心だ。次に行く予定の店から何度も電話が入るので、紹興酒の更なる追加を制止した。お開きが近いと知って、喋りと笑い、それに酒のために開けられていた大口に、残りの食べ物が放り込まれていく。いやいや頼もしいばかりだ。
四川省重慶は盆地にあるため夏は火城と呼ばれる。そこで暑気払いのための辛い鍋を火鍋と呼んだそうだ。台湾海鮮はモンゴルが起源という。一方で天丹は四川が本場という。どちらにしても重要な役割をしているのが中が2つに分かれ鍋。銀髪も通信販売で手に入れた。醤油味と味噌味の鍋、寄せ鍋とキムチ鍋、などなど、大活躍している。
みんなゴジラ並みに元気になった。しかし、2軒目で火を吹くが如くはしゃぐ連中には手を焼いた。貸切り状態にしてくれたお店に感謝、感謝だった。
四川火鍋 天丹 銀座本店
東京都中央区銀座7-108 コリドー街2階
03-3569-7033
http://www.ten-tan.com
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2008年07月15日
[銀座とよだ]②(銀座)
やっぱりとよだはいい

1年ぶりに「銀座とよだ」にやってきた。もっと早く来たかったけれど、ミシュランに選ばれたので控えていた。有名店から超有名店になってしまったので心配していたが、以前と変わらぬ自然体の雰囲気に安心した。
店の女性が「前回は15,000円のコースでしたね」と言うので、料理長の岡本さんだけでなく店の人たちも銀髪を覚えているようだ。今回はお祝いをしに同僚と3人でやってきたので2万円のコースをお願いした。

最初の品は煮鮑のぶつ切りにスッポンの煮こごりを乗せたもの。高級料亭などで使う浜名湖産養殖スッポンは夏場には出荷されないはず。まさか中国産ではと恐る恐る尋ねたら、熊本産の天然物とのこと。天然物は食べた記憶がない。地に沈むかもしれないと思った気持ちが天に舞い上がった。馬鹿だね。

箸休めは寿司のはずが蟹サラダ?と首を傾げたけれど、ちらし風の寿司だった。岡本さんは茶目っ気たっぷりだ。
はもの椀物、鮎の一夜干し

いつもアイデア満載の料理で飽きさせないが、既に完成の域に達して定番になっているのが上の2品。前回も食べたので銀髪は驚かないが、桃が入った鱧の椀にしろ、酒盗を塗って一夜干しした鮎といい、連れの2人は大喜び。夏になるとこの2品を楽しみに来る常連客も多いに違いない。
焼物、フォアグラ大根

「何だか当ててください」と出された焼物。いくつか答えて降参すると岡本さんはしてやったりの笑顔。先ほどのスッポンの身を固めて焼いた物だそうだ。
鱧ごはん、デザート

これも初めての鱧ごはん。いつもは食べないご飯やデザートまで銀髪に食べさせてしまうのだから、やはりとよだはいい。
カウンターはまさに一等席。鱧の骨切りを「テレビでしか見たことがない」とじっと見詰める部下の嬉しそうな顔。岡本さんの説明を真剣に聞いて、頷き、感心する。上司の説教や自慢話を聞かされずに済んで数百倍楽しいはずだ。
カウンターには恋人同士には見えないカップルが数組。男は女を口説くのに夢中なため、岡本さんを我々だけで独占出来て助かった。「おじさんたち、ありがとう!」
大好きなとよだで食べて、部下たちの嬉しそうな顔を見て、この日は少々舞い上がってしまった。何とお造りと鱧焼きの2品を撮り忘れたのだ。冷静沈着を装う銀髪にもたまにはこんな日があってもいい。
銀座 とよだ
東京都中央区銀座7-5-4 ラヴィアーレ銀座ビル2階
03-5568-5822
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2008年07月10日
[マキシム・ド・パリ]②(銀座)
夜のマキシム

ランチで行った「マキシム」は楽しかった。担当してくれた落合さんの貢献大であったが、彼は赤坂の新店に移ってしまった。彼を追って赤坂店に行こうか迷ったが、本店の夜に賭けることにした。
陽が当たらない地下の店だから昼も夜も同じようなものだが、店に入るなり空気が違うように感じた。クロークやバーには年配の男女が集い、オペラの開演を待っているかのような華やかな緊張感が漂う。クールビズを守っているのは銀髪だけで、珍しく客の平均年齢を下げる側に回った。
前菜2品

前菜には「柔らかく煮込んだ黒鮑とアスパラガスのサラダ、トリュフ風味ドレッシング」「フレッシュフォアグラのポワレ、ビュイ産レンズ豆添えバニュルスワインビネガー風味ソース」を選んで、分けて出してもらった。写真は半人前ということになる。
隣の年配の男女6人はコース料理を選び、ステーキの焼き方を告げている。銀髪はコースを避けていつものようにアラカルト。この方が色んな料理を楽しめる。相手に一応好みは聞くが、オーダーするのは全て銀髪である。
メイン2種

メインとして「フランス産仔鴨のヴァリエーション キノコのバルマンティエを添えて」「舌平目のブレゼノイリー酒の香り アルベール風」を選んだ。色々な部位の鴨は分けられないと言われたので写真がそれぞれ一人前。
高貴な夜らしい雰囲気を演出していたヴァイオリン奏者がステージを降りて隣席にやってきた。主役の男性は還暦を遥かに超えているようで、多分古希のお祝いだろう。彼がケーキのろうそくの火を吹き消すと、恋人同士、クラブの同伴組、接待中の中年紳士達、満席のフロアから一斉に拍手が湧き上がった。隣の我々がもっとも大きく手を鳴らすと、ハニカミながらこちらに会釈を返した。
デザート

ヴァイオリンが再びBGMを奏で始めると、一つにまとまった心がそれぞれのテーブルに戻っていった。我々はデザートに取り掛かる。プチケーキを出す店が多いが、マキシムはあくまで伝統的である。
料理もクラシックなものが一番いい。特にフォアグラが美味しかった。鴨は殆どを相手に食べられてしまって悲しかった。鮑と舌平目も悪くはないが、和食で魚介類の美味さを知っている日本人には物足りない。フレンチでは肉の方に軍配を上げる。
落合さんと大笑いしたガラガラのランチ時も楽しかったが、重厚な雰囲気の夜のマキシムも大いに楽しめた。
マキシム・ド・パリ
東京都中央区銀座5-3-1 ソニービル地下3階
03-3572-3621
http://www.maxim-s.co.jp
投稿者 銀髪 :