2008年11月10日
[山田屋]④(日本橋)
ふぐだ、ふぐだ

恒例の月末夕食会。10月末のことである。総勢9人なのに「ふぐが食べたい」と言われるとドキッとしてしまう。一度は拒否したものの考え直した。「連れて行くなら今の方が安くていいからな」と言うとみんな怪訝そうな顔をする。一人が銀髪の言葉の意味を解した。「白子が小さいからですね」その通り。まだメニューにもない可能性が高い。
付け出し

山田屋には何度も来ているので勝手が分かっているつもりだった。人数分のコースを頼むと量が多くて美味しい雑炊を食べられなくなってしまう。コースを止めて、刺身、唐揚げは一人一人前ずつ、てっちりは合計で6人前と少なめに頼んだ。単品で頼むと割高になるが、刺身の量は多くて何よりも不公平感がなくなる。大皿から欲望を隠しながら行儀良く食べるのは辛い。
刺身

何人かがビールをお代わりする。銀髪はひれ酒を頼んだがなかなかやって来ない。他の連中は刺身をたいらげてしまいそうな勢いだ。
下戸はウーロン茶を飲みながら既に食べ尽くし、「刺身は嫌いなんですか?」と銀髪の皿を虎視眈々と狙っている。イライラしながらひれ酒を待った。とうとう待ち切れずに隣の部下のビールを取り上げて、刺身を食べ始めた。危ない危ない。
唐揚げ

一人が「要らない」と言ったはずなのに、食べてしまったので唐揚げが一つ足りない。「俺のがない!唐揚げ大好きなのに!」と一人がダダをこねるので銀髪の皿から一切れあげた。あー疲れる。
「サー、次は鍋ダーッ」みんなで鍋をつつくと思ったら、部屋の隅っこで仲居さんが作り、取り分けて、各人に運んでくれる。6人前とケチったせいか一人一杯のみ。雑炊も同様に一杯ずつ。
少しでも安くするつもりが一人頭2万円支払ってお腹一杯にならなかった。刺身の量は少なくても、鍋で満腹にするコースの方が割安だった。策を弄して失敗した。
3次会が終ったところで「長崎ちゃんぽんに行かないか?」と誘われた。いつもは断るところを素直について行った。彼のオーダーしたちゃんぽんセット(餃子付き)と皿うどんを仲良く分け合って食べた。「ふぐよりこっちの方がいい」と嬉しそうにしている彼を、いつものように馬鹿にすることができなかった。
日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com
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2008年10月06日
[日乃本 比内や]②(日本橋)
夜も期待を裏切らない

ランチで食べた親子丼が気に入ったので夜も行きたくなった。人生の大先輩たちを引き連れて総勢6人で出かけた。初めてのディナーで、人数が多いので5,000円の串焼きコースを食べることにした。コースの方が楽なのは確かだ。
先付け、自家製豆腐

予約時に頼んでいたので席につくとすぐに料理が出てきた。ビールで乾杯した後、日本酒に移った。比内やは秋田の地酒など日本酒の種類も豊富に揃えている。枡酒を持って来たのかと思ったら中は自家製豆腐。早とちりしてしまって苦笑い。

比内地鶏の焼き鳥は期待していた通り美味かった。皿にまとめて盛り合わせるのではなく、1本ずつ各人の皿に焼き立てを置いて行く。店員たちはきびきびとして明るく気持ちがいい。

コース料理を頼んで良かったと思うときもあれば、その反対もある。比内やは前者の方で、初めて来た人や自分で料理を選ぶのが面倒な人はコースにしたら安心だ。特に酒飲みにはピッタリの肴が多い。お陰でちょっと飲みすぎた。

〆はもちろん秋田名物の稲庭うどん。コースの最後だけに量は少なめで丁度いい。追加料金を出せばうどんの代わりに親子丼にしてくれる。もっとも親子丼ならいつでもランチで食べられるので、わざわざ夜に食べることもないだろう。
比内地鶏のお造り、比内地鶏のお寿司

コースとは別に頼んだのが上の2品。何も言わなかったのにちゃんと各人に分けて持って来てくれた。比内地鶏の刺身も美味い。寿司はもっと美味くて気に入った。
料理、酒、サービス、どれも文句はない。大先輩たちも満足してくれたようだ。日本酒がすすんでしまうのがちょっと困りものだけど。
ランチ、コース料理での宴会とどちらも及第点。次はカウンターで豊富なメニューの中から単品を食べてみよう。コースを食べるより高くなるに違いないが、裏切られることはないだろう。
日乃本 比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1
03-3231-1718
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2008年09月26日
[丸善]②(日本橋)
他人の飯は白い

丸善の看板料理は創業者の早矢仕氏が開発したというハヤシライス。どちらかというと元祖争いをしている上野精養軒の方が銀髪の口に合うが、食事に連れて行く店としては近くてきれいなので重宝している。残念ながら席の間隔が狭いため、隣席で食べているものが嫌でも目に入る。今回は前に来た時に隣で食べていたハヤシとカレーのミックスしたものを食べた。

ハヤシライスはいつもと同じようにひっかかるような苦味がある。カレーの方がまろやかな感じがする。味が混ざらないように慎重に食べていたが、境目のところは止むを得ない。ところが混ざったところの方が美味しいから面白い。ハヤシライスの苦味も消えた。
一人悦に入っていたが、今度は目の前でFさんが食べていたオムライスが気になる。
別の日にAさんを誘った。もちろん頼んだのはオムライス。これにハヤシとカレーをかけたものに決めていた。ハヤシとカレーを一口ずつ味見して、残りはごちゃ混ぜにする。やはり混ぜた方が美味しい。これにオムライスと来たら無敵である。

完璧だ。実にいいバランスである。ハヤシライス → ハヤシ&カレーライス → ハヤシ&カレーオムライスと進んで3回目にようやく満足する料理に到達したと思った。ところが、左隣のテーブルに運ばれてきたものが気になって仕方がない。

ポーチドエッグが乗ったものかと思ったが、割っても黄身が出てこない。メニューを見て、カマンベールチーズ入りのハヤシライスと分かった。女性2人が美味しそうに食べている。
今度は一人で行った。もちろん頼んだのはカマンベール入りハヤシライス。さて、その評価は?
他人の飯は白い。隣の芝生は青い。自分が食べているものより、他人のものの方が美味しく見えるのは仕方がない。昼飯程度ならすぐ次の機会に挑戦することができるが、他人のデートの相手が良く見えたら困ってしまう。ただ指をくわえて見てるしかない。
丸善カフェ
東京都中央区日本橋2-3-10
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2008年09月25日
[アルポルトカフェ](日本橋)
名シェフがプロデュースするお店

「高島屋の地下にあるイタリアンにします」と幹事役が言ってきた。部下たちとの恒例のランチミーティングの場所にアルポルトカフェが選ばれた。3,150円のランチコースAを頼んだと聞き、事前にインターネットで調べて行った。
アルポルトカフェは西麻布「アルポルト」の片岡護シェフがプロデュースする店らしい。期待してしまう。ランチコースAは前菜3種盛り合わせ、パスタ、デザート、バケット、コーヒー又は紅茶で構成される。パスタだけはメニューの中から自分の好みのものを選ぶ。海の幸のソースのスパゲティを食べることに決定し、部下たちを引き連れて高島屋に向かった。
前菜、バケット

部下が赤ワインを飲むと言うので「安くて美味しいワインはどれ?」と店の女性に尋ねたら5,500円のキャンティクラシコ・ぺポリを奨めてくれた。別の店員が手にしてきたボトルは既に栓が抜かれていたのでちょっと驚いた。ラベルを示すことも、テイスティングもなし。「お客様がご自分で注いで下さい」とテーブルに置かれたのでまた驚いた。5,500円のワインは不当に扱われて可愛そうだった。値段相応ということなのだろう。
我々は総勢7人。壁を背にした真ん中の2人には、店員はちゃんとしたサービスが出来ない。嫌な顔一つしないで皿やナイフ・フォークをリレーする部下たちは偉い!
本日のシェフおすすめスペシャルパスタ

前もって海鮮パスタと決めてきたのに、「からすみのスパゲティ」と言われて心変わりした。新宿のオステリアヴィンチェロと比較する気になったためだ。7人のうち銀髪を含めて3人が本日のパスタを選んだ。
失敗だった。「パスタの神様・片岡護のトマトソース・ボロネード」「片岡護自慢の極上ミートソース・ボロネーゼ」「片岡護がおすすめする絶品なるソース・潮の香りいっぱいのラグーディマーレ」の中から選ぶべきだった。それらの中から選んだ人たちは美味しそうに食べていた。
からすみのスパゲッティはソースが足りずボソボソした食感になってしまった。同じものを頼んだ部下の皿を覗くと充分なソースがあるように見える。3皿に分ける時に差が出来たようだ。自分で料理したときに同じような失敗をしたことがある。プロでも同じ過ちをすると分かり、心の中で笑った。
デザート

高島屋の大きな領収書をもらって店を出た。名声を得て還暦を迎えた片岡シェフが、アルポルトカフェを通じて伝えたいことは何だろうか。彼の声が聞こえない。
アルポルトカフェ
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋B2F
03-5205-3005
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2008年09月22日
[魚櫓魚櫓](日本橋)
リーズナブルに炭火焼

目指す店の前に立つと連れが顔をしかめた。前に来て印象が悪かったらしい。いつもなら構わず入るのだが、あまりの渋面に怯んでしまった。幸い相手が折れてくれた。板さんが変わったかもしれないし、何よりも同行者が銀髪である。いつも書いているように「誰と食べるか」がもっとも重要な要素である。
魚櫓魚櫓は以前行って気に入った穴子家吉五郎の姉妹店。穴子が目当てなのにメニューに載っていない。板さんに聞くと、常連さんに頼まれれば出すことがあると言う。「常連でなければダメなの?」と食い下がると快く受けてくれた。
枝豆

枝豆を頼んだら目の前で茹で始めた。いいじゃないか。連れが顔をしかめた理由が分からない。探りを入れるためいつも以上に熱心に板さんに話しかけた。幸いカウンターに他の客は居ない。穴子談義に花が咲く。「松島産?」「佐賀産です」「広島産は使わないの?」「現地で消費されて東京には余り入ってこないんですよ」「俺は何度も食べたよ」「羨ましいですねー」。板さんを羨ましがらせてどうすんだい。
穴子の刺身、白焼き

「今日の穴子は小さくて…」と板さんは残念がる。「確かに脂の乗りはイマイチだね」と、もう常連気分だ。「いい店じゃないか?」と連れを見ると、素直に頷いた。
いか一夜干し、なす焼き

いかにはつぶしたわたのソースが添えられている。なすも上手に焼かれ、きれいに衣を脱いだ。
日本酒もいい品揃えだ。席の後ろに酒用の大型冷蔵庫がある。無名酒会が選んだというリストの中から島根の死神(無名酒会会長杉浦さんオリジナル)、群馬の風まかせ(純米)、福島の会津娘(純米本生薄濁り)、茨城の夢かなふ(純米吟醸酒)と飲んでいった。高くても900円と良心的な値段である。
レバー、秋刀魚

焼き鳥もチェックしよう。レバーはミディアムといい焼き加減で美味しい。最後の秋刀魚もこんがりと焼かれて出てきた。
帰るときにはカウンターは一杯になった。他の予約も入っているようだ。店を出る間際に「2階もあります」と言われて興味を示したら、案内してくれた。10人以上が入れるテーブル席に加えて、大きな丸テーブルが据えられた個室もある。
名店、高級店ではなくてもカウンターで板さんと話すのは楽しい。料理人だって気合を入れて美味しいものを作ろうとする。料理は口でなく心で食べるもの。そう言えば「愛情がたっぷり込められているから、美味しいわよ」なんて台詞、最後に聞いたのはいつだったろう。ウーン、思い出せない。
魚櫓魚櫓
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-3272-1212
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2008年09月15日
[日乃本比内や](日本橋)
焼き鳥丼風親子丼?

「鳥つねの親子丼を食べたら、他の親子丼なんか食べられない」と書こうと思って親子丼を売りものにしている店を探し、最終的に日本橋三井タワーの「比内や」に決めた。前を通ったことがあるので地図を片手に店を探す必要はない。
11時20分に到着。一番乗りだったので、どこでも好きなところに座るように言われた。ランチは親子丼と産地直送のサラダのみ。親子丼は1,200円。ごはんの大盛りでも同じ値段だが、初めてなので普通盛りにした。

待つ間もなくすぐに親子丼がやってきた。小鉢もついているのでちょっと得をした気になる。器の形状のせいか量は少なめに見える。大盛にすべきだったと少し後悔。
鶏肉を口に入れてちょっと驚いた。炭火の焦げた香りが口に広がる。しっかり焼き鳥である。親子丼の肉は煮るのが普通。玉子丼に焼き鳥を混ぜるのは親子丼の王道から外れているように思える。しかし鳥つねの親子丼だって、最初は玉子かけごはん風で違和感を持たれたに違いない。それがいつの間にか親子丼は半熟が当たり前になってしまった。
王道から外れていても比内やの親子丼は気に入った。何より夜に行きたくなった。日乃本比内やは秋田比内やからのれん分けした比内地鶏の専門店。きりたんぽ鍋もある。酒も鳥つねよりはリーズナブルに飲めそうだ。
順番ならまず鳥つねに行くべきだろうが、日本酒の値段を見てビビッてしまった。親子丼で焼き鳥を食べてみたいと思わせた比内やの戦略(?)に敬意を表することにした。近々に行かなければならない。期待しすぎないこと、お腹を空かせておくこと。美味しく食べる条件を忘れずに。アー楽しみだ。
秋田比内地鶏料理 日乃本比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1F
03-3231-1718
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2008年09月08日
[いとはん](日本橋)
出世魚を食べても…

同じ釜の飯を食った後輩たちもやがて50歳に達する。今は別の道を歩いているが、たまに集まって情報交換する。昔話で盛り上がることもあるが、違う業界や会社の話を聞くと刺激を受けるし勉強にもなる。
「東京駅前の八重洲通りから仲通りに入って直ぐ」と電話で告げた。味もさることながら、分かりやすい場所であることも、現地集合における大事なポイントだ。Aが来るのをあてにせずにKと飲み始めた。
三点セット

店のチェックは昼間に済ませていた。「本日のおすすめ品」メニューがあるのでこの店にした。最初に書いてあるのが三点セット(だだじゃ豆、いかソーメン、冷やしおぼろ豆腐)、スタートはこれで決まり。
刺身

7種類の本日のお造りの中から汐子(ショッコ)とスズキを選んだ。どちらも出世魚である。汐子はシオゴ、アカハナと育ち、最後にカンパチと呼ばれる。スズキはセイゴ、フッコ、スズキ、オオタロウとなる。我々は出世とは無縁になってしまったが、それでも出世魚と聞けば嬉しくなるから不思議だ。
鱧皮ポン酢、和風ジャンボ海老シュウマイ、自家製するめいかの沖漬、まぐろ酒盗

できるだけお腹が一杯にならないものを食べ続けたが、Aはやってこない。時間が経つと食欲も減退してくる。Aの携帯電話にメッセージを残したことを忘れた頃に電話が鳴った。店の場所を告げると15分程してようやくやってきた。
里芋京湯葉あんかけ、天婦羅盛合せ、出し巻き玉子

みつせ地鶏大手羽先塩焼き、ガーリック焼き

普通なら、全員揃ったところでリセットされるので最初からいる人は飲みすぎることになるが、Aは酒が飲めない。従って、リセットもなく頭はクリアなまま粛々と宴の終わりに向かっていく。
店に長時間居座ることになったが嫌な顔はされなかった。客が殆ど居ないのだ。「今日は珍しく空いている」という女性店員の言葉を信じることにした。彼女の応対も料理も悪くなかった。悪いのは4階という場所のせいぐらいだろう。
ゆっくりできた我々はラッキーだった。いつも生真面目なAが心配だったが、元気そうで良かった。出世はなくなっても、まだ老け込むには早すぎる。
最年長の銀髪もまだまだこれから。ヨシッ!明日も飲みに行くぞ!
いとはん
東京都中央区日本橋3-4-1 第2弥生ビル4F
03-3241-1108
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2008年09月04日
[十他素いろり席](日本橋)
お肉も自然農法?

「自然農法とは、農薬や化学合成肥料はもちろん有機肥料も一切使わずに、土が本来持っている力を活かして農家の方々が心を込めて育てる栽培方法です。」店の宣伝文句は実に魅力的である。「いろり席」という店名にも惹かれた。
意気込んで出かけたが、一番乗りだったのには驚いた。まだ6時、時間が早いからと勝手に納得。ハッピーアワーでビールが半額と知って嬉しくなる。炭火が用意されて気分が盛り上がってきた。
お通し、キャベツ、たこ酢


お通しは悪くない。キャベツとたこ酢は普通。助走としてはこんなものだろう。
しめさば、焼きとん

しめさばもちょっと炙るつもりで頼んだ。皿に乗ってきた焼きとんを見て目を疑った。凍っているように見える。時間をかけて焼いた。「もう大丈夫ですよね?」と店員に尋ねたら、肉を串からはずして「もう少しですね」と言う。確かにまだ芯が赤いが「新鮮だからレアで大丈夫ですよ」と言って欲しかった。結局焼きすぎて固くなった。もつは臭いも気になった。
チーズやっこ、煮込み

肉を焼くのは止めた。他の居酒屋料理は問題ない。ちょっと気を取り直した。
焼き鳥、野菜

「焼き鳥を食べたい」と部下が言うので再び肉に挑戦。冷凍ではないようだが新鮮さは分からないのでしっかり焼いた。「いろり席」に惹かれたが、あまりいいアイデアには思えなくなっていた。素材も大事だが、焼き加減も味を大きく左右する。自分で焼く楽しさよりもプロの技に頼るべきだった。
遅まきながら「自然農法」のことを思い出した。全部野菜にするべきだったと反省した。追加注文をしようとする部下を制した。いつの間にか店は7割ほど埋まっており、煙が立ち込めて息苦しくなっていた。一番奥に座る我々の場所の煙がもっとも濃い。快適に過ごすなら入り口の席がベストだと店を出るときに悟った。
久々に勘が外れた。腕のいいコンサルタントを雇っているのかもしれない。宣伝は一流である。
十他素いろり席
東京都中央区日本橋室町1-5-15
03-3278-8822
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2008年08月28日
[御清水庵 清恵](日本橋)
灯台下暗し、いい店が近くにあった

店の前を何度通り過ぎたか分からない。気になってはいたが、たくさんある蕎麦屋の一つぐらいにしか思っていなかった。行く気になったきっかけは先日の福井出張である。福井名物は越前ガニぐらいしか知らなかったが、出張で鯖やおろし蕎麦も名物と知った。
店は思ったより広く、席の間もゆったりとしていて居心地がいい。奥の席は川に面していて予約で埋まっていた。別紙の「本日のメニュー」もあり、酒の肴は充実している。もちろん、最初に選んだのは福井名物の鯖料理だ。
お通し、鯖の燻製、へしこ

初めて挑戦した燻製はなかなかいけた。へしこは土産に持って帰り、家で食べたものよりも美味しかった。
生しらす、刺身盛合わせ、つぶ貝の磯煮、焼きなす(とろろかけ)


「しらすは福井じゃないでしょ?」と店の女性に質問したら困った顔をする。すかさずおじさんが「駿河産」とフォローする。福井産のものでなくても美味しいものを揃えている。「店主ですか?」と質問したところから、丁々発止の会話が始まった。他の席のオーダーを取りに行っても、すぐにまた戻ってくる。実に楽しい。
「つくねが何で出来ているか当たったら、一品サービスするよ」と言われ、受けて立った。
つくね、煮物

「ひっかけで鯖では?」と探りを入れたがまともなクイズだと言う。「これまで一発で当てたのは一人だけ」と胸を張るのでヒントをもらった。そのヒントですぐに分かった。店主はちょっと驚いた顔をする。銀髪の面目躍如である。ノーヒントではなかったが、早い正答に対するご褒美に煮物を持って来てくれた。お返しに一番高い大吟醸酒をオーダーした。福井の日本酒も充実しているのだ。
「何歳に見える?」という質問は一発で当てた。脱サラをした年齢と、開店してからの年数はこれまでの話の中で出て来たので単純な足し算で済む。実は質問の前から既に驚いていた。日々充実している人は確かに若く見える。

最後はもちろん越前おろしそば。武生の蕎麦屋「御清水庵」で修行した店主が打つ蕎麦を〆にした。満腹なので少なめに盛ってもらった。
イヤー、楽しかった。奥の窓際が満席で良かった。お陰で店主と楽しい会話が出来た。店主が料理を差配するだけでなく、客席を回ってサービスする店が悪いわけがない。まさに灯台下暗しだった。
御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03-3231-1588
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2008年07月31日
[吉野鮨本店](日本橋)
明治12年創業の大衆的な寿司屋さん

グルメ本等にも度々登場する日本橋高島屋近くの老舗寿司屋と聞けばかなり高級と思い勝ちだが、意外と大衆的な雰囲気の店だ。広いカウンターにはかしこまって座る一見さん居るし、気楽に食べている常連さんも居る。テーブル席には仕事を終えたサラリーマンのグループが居酒屋気分で杯を交わしている。我々は居酒屋組に加わった。
お通し、刺身盛合わせ

お通しの塩辛や、雑然と盛られたように見える刺し盛りがいかにも吉野鮨らしい。茹でたタコ、アジ、サヨリ、鮪の赤身、季節外れのずわいがになど、高級なネタが殆どないのも気取らない店の姿勢が出ている。
サザエ壷焼き、ゲソ焼き

不器用なはずのTさんが、サザエの肝まできれいに取り出したので呆気に取られた。もっとも、あらかじめ茹でて身を取り出し、再び殻に戻して焼いたものと自分が食べてみて分かった。老舗らしい一仕事が真骨頂と言える。
貝の刺し盛り

今度はあわび、赤貝などが乗ってきた。大衆的な店といっても、高級ネタを頼んだらそれなりの覚悟はしなければならない。
鮨盛合せ

喧嘩しないように一人一貫ずつ握ってもらった。イカ、ミルガイはTさんが、ウニはみんなが何となく。ヅケ、コハダ、穴子は銀髪が頼んだ。
第一弾が来たらシャッターを押す前にTさんの箸がイカを捉えた。酔っ払ってしまい銀髪に対する協力姿勢は既になくなっている。

120年の伝統の技はコハダや穴子に発揮されると選んだけれど、コハダが一個余ってしまった。生活習慣病にもっとも近い人が、青魚を嫌う。味よりも青い肌の見た目が気に入らないようだ。みんなより1個分食べ損なった分を、場所を替えて1人でスパゲッティとサンドイッチを食べて補った。バイタリティーのある人である。
100年以上前の料理が飽食の時代のそれより上とは必ずしも言えない。もちろん吉野鮨も時代の変化に合わせて進化しているはずだ。老舗料理屋に行く度に受ける感動と戸惑い。良くも悪くも吉野鮨は疑いなく老舗である。
吉野鮨本店
東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001
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2008年06月30日
[やぶ久](日本橋)
老舗のそば屋はカレーが美味い

「カレーうどんが美味いぞ!」最初に連れて行ってもらったときに奨められてから、「古奈屋」並みのカレーうどん屋さんと決めてしまった。
創業は明治35年というから伝統のある立派なそば屋なのに、カレーうどんでは申し訳ないけれど。
そこで、何か違うものを頼もうと選んだのがカツ丼。んっ?違う? だって同じ値段ならカツ丼の方が親子丼より肉が多くてお得じゃありませんか。んっ?そういう問題ではない?
蕎麦を食べろと言われても、まあ、メニューにあるんだから何を食べるか客の勝手だよね。
そして辿り着いたのがミニカレーうどんとミニカツ丼。これが銀髪にとってのやぶ久のベストメニューである。

カレーうどんは口の中を火傷しないように普通に食べる。カツ丼はご飯が半分残るように慎重に食べる。うどんとカツがなくなったところで、余ったカレーをご飯にかけてカレー丼にする。3種類の食べ方をして、カレーも余すことなく食べ切る。いいアイデアと思いません?
珍しく違うものを食べる気になった。クラブの女性がカレーつけそばが最高と教えてくれた。うどんと飯物に決別して、久し振りに老舗のそばを食うことにした。カレーには違いないけど。

店の名刺代わりのカードには「せまくても こんでいてても いましばし まつたかいあり このそばかな」と書いてある。堂々と言われたら頷くしかないが、確かにこの店は料理が出て来るまで時間がかかる。数人で行って、他の人が食べ終わっても自分のものが来ないなんてことはざら。逆のパターンになって、相手が不機嫌になっていくのを見るのも辛いものだ。だからできるだけ11時を回ってすぐに行くことにしている。
前回、久し振りに行ったときにいつも勘定場に座る店主が居なかったので、「おじいさんは来ないの?」と聞いた。本当は「遂にくたばったの?」と言おうと思ったが下品だから慎んだ。「いらっしゃいますよ」と店員が身内に敬語を使うのが店主の人柄を物語っている。
財布を出したところで後ろに気配を感じた。噂をすれば… アーまだ元気そうだ。軽口を叩かなくてよかったと胸をなでおろした。
カレーつけそばも悪くなかったが、やはりミニカツ丼とミニカレーうどんのセットが一番だ。冷房で体が冷える頃にやってくるので、夏でも問題ない。実に気配りができている店である。
日本橋 やぶ久
東京都中央区日本橋2-1-19
03-3271-0829
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2008年06月24日
[丸善](日本橋)
本屋では有りません。鰻屋さんです。

誰でも日本橋の丸善と言えば本屋さんしか思い浮かばないだろう。日本橋交差点に立つ柳屋ビルの地下2階に鰻屋があることは知っていたが、この店の名前が丸善だとは知らなかった。もっとも読み方は「まるよし」で、本屋とは全く関係ない。
かつては日本橋を代表するビルだった柳屋ビルも今はおんぼろビル。空き店舗が目立つ地下を歩くと気持ちも寂しくなる。そこにある料理屋にはまったく興味がなかった。
ところがある朝、水の入った大きなビニール袋の中をうごめく鰻が店に運び込まれるのを目撃して俄然行く気になった。
日本橋には鰻屋が多い。鰻の養殖は明治時代に深川で行われたのが始まり。鰻の蒲焼は元々江戸料理と言ってよい。後に浜名湖、愛知、鹿児島と最大産地は移っていく。お江戸日本橋に鰻屋が多いのは当たり前の話で高級店も多いが、丸善はいたって庶民的な店である。

お重は1,200円、1,500円、1,800円、2,200円の4種類。見栄を張っても2,200円が上限なのは嬉しい。鰻以外のメニューも多く、専門店というより居酒屋の感じ。生きた鰻を見なければ、今でも鰻を食べたいとは思わなかっただろう。
割り箸の袋を見ると日本橋店の他に三の輪店の電話番号も書いてある。南千住にある三の輪店は持ち帰り専門店で、アド街ック天国でも紹介された人気店とのこと。三の輪店は炭火焼らしいが、ビルの地下にあるためか日本橋店はガスで焼かれているようだ。
隣の人よりも立派なお重でいただいた。器で値段が分かるのが辛い。12時近くになると、常連さんと思える会社員たちが次々に入ってくる。4ランクあるが1,200円でも満足できるのではないだろうか。さらに安いうな丼もある。安くても「通はうな丼を食べる」と気取れば引け目を感じることもない。
出口のレジで2人分4,400円を5千円札で払うと「600万円」と釣り銭を渡された。常連さんには名物おばちゃんとして愛されているに違いない。
三の輪店は昭和10年の創業という。日本橋店もそれなりに古そうだが、老舗の風格はない。
気楽にうなぎを食べられるところがいい。
丸善(まるよし)
東京都中央区日本橋2-1-10 柳屋ビルB2
03-3271-8442
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2008年06月03日
[ウノ]⑤(日本橋)
より上を目指して

ドアを開けると「やっぱり銀髪さんでしたか」と迎えられた。「予約の名前を見て、みんな色めき立ったんですよ」と続く。さりげなく本名を告げて予約を取ったので、みんな期待してくれていたらしい。社交辞令にしても嬉しいものだ。もっと喜ばしいのはスタッフの顔ぶれが約1年前と殆ど変わっていないことだ。店が繁昌しているだけでなく、上手くいっている何よりの証である。
おまかせ2種

以前は自家製のトマトを出してくれたが、隣の農家にも契約栽培してもらうようになったそうだ。盛況ぶりはこんなところにも表れている。夜も予約が取れない店になって久しい。
アスパラのアッレッソ、サルティンボッカ

「メニューは変わりましたか?」と聞くと、「私どものような店は変えようがありません」とオーナーの福山さんは相変わらず謙虚だ。ゴルゴンゾーラとマスカルボーネチーズのソースで食べさせる2種類のアスパラ、シチリアのマルサラワインを使ったソースで食べさせるサルティンボッカ(牛肉の生ハム包みマルサラソース仕立て)など、新メニューの研究にも余念がない。
ゴルゴンゾーラのピザ、ねぎのピザ

研究熱心な2代目のことを嬉しそうに話す福山さんだが、やはり主役はピザである。今日初めてのメンバーも居たので大好きなゴルゴンゾーラのピザを食べさせていつもの台詞。「どうだ!耳が美味いだろう?」
「変わったピザを、薄い生地で」と頼んだら、初めて食べたねぎのピザ。即興で作れるのも福山さんならではだろう。オーナーが獅子奮迅の働きをしてこそのウノである。
チーズの盛合せ、デザート

「パスタの店か、ドルチェの店を開こうと思っているんですが、いい場所が見つからないんですよ」と嘆くので、「この店だって場所はいいとは言えませんよ」と言うと福山さんは苦笑した。美味いものを作り、誠意をもって客に応対すれば、立地の悪さは克服できることを福山さん自らが証明したはずである。
今、開店して間もない頃の閑散とした夜のウノを思い出すのは難しい。しかし完成度が高くなるほど気紛れで飽きやすい客を満足させることは厳しくなってくる。ライバル店も次々と現れて来る。
ウノの更なる発展を期待したい。言う必要はないだろうが一言。「ゆめゆめ油断召さるな、福山殿!」
UNO ウノ
東京都中央区日本橋本町1-1-8 共同ビル1F
03-3548-9161
これまでの記事
「ウノ」
「ウノ」その2
「ウノ」その3
「ウノ」その4
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2008年05月29日
[日本橋焼餃子](日本橋三越前)
三越前に餃子専門店誕生

ランチ時、日本橋三越前の裏通りを歩いていて新しい店を見つけた。入ろうかと一瞬悩んだが、そのままやり過ごした。餃子とご飯では納得できないし、昼間からビールをがぶ飲みするのも気が引ける。あれから1週間、遂に餃子の夕べがやってきた。
いつもの定番は避けて、テーブル席があるという地下に潜ることを決断した。たくさん皿を並べるにはカウンターでは狭すぎる。想像したより地下は広い。点心類は5種類しかないので全部注文した。食べ切れないことはないだろう。出来上がるまで自家製キムチと豆もやしで生ビールを喉にぶち込んだ。ビールが美味い季節到来である。

海老焼餃子、日本橋焼餃子

最初にやってきたのが海老餃子、次が主役の日本橋焼餃子。海老餃子は海老のプリプリ感も、身上である香りも薄い。焼餃子は悪くはないが他店を圧倒する看板料理とは言い難い。
小龍包とスープ入り焼餃子の食べ方が書いてある箸袋を見て気がついた。袋をひっくり返すとYUJINの文字。日本橋高島屋近くの「YUJIN」の系列店だったのだ。「焼餃子はYUJINの方が美味い」と言ったら、「日本橋焼餃子はにんにくを使わないから味が薄く感じるのではないか」とのこと。つけだれで調整して食べた。
水餃子、極丸、海老揚ワンタン

水餃子と極丸は美味い。水餃子も焼いた小龍包の極丸もしっかりした皮の特徴が活きている。皮に具が負けている感のある焼餃子と正反対の評価になった。ワンタンは可もなく不可もない。
海老焼餃子をこき下ろした挙句、女性店員に1個食べさせた。彼女はしっかり自分の意見も加えて調理場に伝えた。嬉しいことに、貴重な意見のお礼と紹興酒をサービスしてくれた。店の評価がグッと上がる。紹興酒の肴にサラダと焼き豚を追加した。

帰り際に箸をプレゼントしてくれた。店でも割り箸は使っていない。環境に優しい店作りも推進しているそうだ。YUJINの箸袋をそのまま使っているのも無駄を省く心掛けの一つなのだろう。
YUJINは有名な中国人の点心師がいると評判になった店だ。テレビでも紹介された。彼は今、日本橋焼餃子店を指揮しているそうだ。本場では水餃子や蒸餃子が主流で、焼餃子は戦後日本で進化を遂げたものである。焼餃子には結構うるさい日本人が満足するものを作れるかどうか。
一流点心師の誇りを賭けた戦いに興味津々である。
日本橋焼餃子
東京都中央区日本橋室町1-11-1
03-3278-0770
http://www.yu-jin.net/gyoza.html
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2008年05月20日
[玉ゐ](日本橋)
予約が取れない店のはずだったのに…

開店してすぐに何度か入ろうとしたことがある。昼は行列に加わる気にはならなかった。夜は予約なしで行ったら断られた。時は流れ、先日ふと思い出して電話した。夕方近くだったのに簡単に予約が取れてちょっと不安になった。
待ち合わせ場所に現れたKさんに行き先を告げると顔が曇った。前に行ったことがあるらしい。不安を増幅させるような表情にムッとしたものの、とにかく自分で判断しようと腹をくくった。店に入ると先客は2人のみ。まだ時間が早いからと自らを納得させた。
特定素材の専門店では、メニューの右端からズラッと注文したくなる。玉ゐでも調子に乗って頼んだら、再びKさんが嫌な顔をする。
のれそれポン酢、噂の塩トマト

焼物が来る前に、2品頼んだ。のれそれは穴子の稚魚だから、穴子尽くしから外れていない。唯一穴子以外に食べたのがトマト。海に近いところで出来るので、ほんのり塩味がするトマトという。
他に客がいないので次から次に料理が運ばれてくる。タイミングを見て作ればいいものを店員も料理人も気が利かない。すぐに冒頭の写真のようにテーブルは一杯になった。
あな佃煮玉子焼き、ふっくら煮穴のきゅうり添え

さんしょ焼き、笹焼き

煮穴、さんしょ焼き、笹焼き、3種の味付けの基本は醤油だれで芸がない。Kさんが懸念したとおり同じ味では飽きてしまう。銀髪のような頼み方を想定していないのだろう。これはこちらの落ち度と反省すべきところだろうが、「似た味付けですが大丈夫ですか?」と一言声をかけて欲しかった。
白焼き、酢めし

Kさんは酢めしを頼んでお食事中。銀髪が一番楽しみにしていたのが白焼き。残念ながら福岡の「鮨隆」、広島の「水軍の宴」には遠く及ばなかった。
日本橋界隈では「あなごや吉五郎」の方が穴子以外のメニューも多いので飽きない。
「玉ゐは箱飯を食べる店」とKさんがしたり顔に言う。一気に料理が来たので、Kさんとの会食では最短の食事になってしまった。従って、まだ店にはほとんど客が入っていない。予約客は我々が去った後に大挙して押しかけて来たのだろう、と思いたい。
日本橋 玉ゐ
東京都中央区日本橋2-9-9
03-3272-3227
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2008年05月15日
[日本橋 ゆかり](日本橋)
ゆかりに行かなきゃ日本橋の料理屋は語れない?

何度か思いついて夕方に電話をしたことがある。カウンターで2人、個室で接待、こちらが望む席はその都度異なるものの、いつも断られた。今度は数日前に昼の個室を予約したら運良く一部屋空いていた。6人部屋に7人と窮屈だが止むを得ない。
松花堂弁当

「右から失礼します」「左から失礼します」「前から失礼します」と2人の仲居さんが皆の前に料理を置く。接客のマナーには反しているかもしれないが、忙しいランチタイムでは仕方がない。「上から」と「下から」がなくて良かったと笑い合った。
最初に出されたのが茶碗蒸し。中に穴子が入っている立派なもの。お弁当もズラッと並べてみると味気ないがバラスと立派なものである。
前菜、お造り

豚角煮、揚げ物

竹の子ご飯、デザート

繊細かつ美味。なかなかお得感があるお弁当でした。
勘定をしようとカードを出したら、「カードのご利用は1名様5,250円以上からと書いてます」と仲居さんに冷たくあしらわれた。もう少し優しく言ってくれればいいものをと思いながら現金を出した。
会社に戻りホームページを開くと、以下のような誇らし気な文字が躍る。大変評価の高い店だとこの時初めて知った。仲居さんにも誇りが染み付いているのが理解できる。
親子三代に渡って宮内庁への出入りを許された名門。
2000年に全面改築 東京建築賞を受賞した店
2002年「料理の鉄人Japan-Cup ‘02」にて総合優勝
2003年 NYタイムズ紙「日本の若手料理人5人」に選出される
口コミ情報では主人はかなり尊大のように書かれているが、本人のブログを読むとなかなか好人物のようである。料理だけでなく酒にもこだわりがありそうなので、銀髪と話が合うかもしれない。
次回はカウンターでじっくり主人と話がしたいものである。
日本橋 ゆかり
東京都中央区日本橋3-2-14
03-3271-3436
http://nihonbashi-yukari.com
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2008年05月06日
[だぼ鯊]⑤ (日本橋)
今日のハイライトはギンポ

江戸前の魚と言えば、アナゴ、シロギス。一年中使われるが晩春から夏にかけてが旬だ。秋には甲イカの子が新イカと呼ばれ寿司種としてだけでなく天ぷらでも人気となる。晩秋から初冬にかけてはハゼの季節。店名にしてしまうほど上品で美味しい魚だ。
忘れてならないのがギンポ(銀宝)で、江戸前天ぷらになくてはならない物。死んでしまうと味が落ちる。成長すると皮が固くなってしまうので、4~5月の限られた期間しか食べられない。まさに通好みの魚と言える。昨年は食べ損なったが、今年は口に出来て幸せだった。
ギンポ

関西ではカミソリ、日本海側ではウミドジョウ、東北ではカタウナギと呼ばれることで分かるように、長細い異形の魚。これを関東では銀宝と呼んで珍重する。江戸前の天ぷらにすると宝になってしまうのが面白い。身はしっかりしていて、噛み応えがある分味が深く感じられる。天ぷらが上手いと見抜いた料理人は凄い。
メゴチ、稚鮎、姫ニンニク、アスパラ、あなご

銀髪は定番のコースではなく、お好みで揚げてもらった。アスパラを頼んでトイレに立った隙にアナゴが一片乗せられていた。ギンポと比べてみると見た目は似ているが味は明らかに違う。
もう一匹食べようかと思ったが止めにした。連れの3人にも敢えて奨めなかった。我々の後に続々お客さんが入ってきて店は満員になっている。予約なしで飛び込んできた我々が、ギンポ目当てに予約してきた客のものを食べたら申し訳ない。

代わりに豆腐をしっかり味わってもらうことにした。にがりを多めにしているので箸で刺しても持ち上がる。大将手作りの豆腐だ。いつもとは趣向を変えて、薬味は別盛りにするようにアドバイスした。まず豆腐だけで、次は塩で、そして薬味を乗せて醤油をかけて食べる。みんな、気に入ったようだ。
ギンポを食べられるのは5月末頃まで。あまり時間はない。
だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533
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2008年05月01日
[ばんばん](日本橋)
新しい店にエールを送りたいけれど…

再開発で閉店や移転の店が多い日本橋界隈に新店が誕生した。「芝浦直送」を掲げる期待の店である。築地なら魚市場と誰もが知っている。芝浦に肉の市場があることを知る人は少ないだろう。芝浦直送と書けば新鮮で美味しい肉が食べられるということ。ワクワクして行った。
味もやし、ポテトサラダ、冷やしトマト

肉が焼きあがる前にすぐ出て来る野菜類を食べた。もちろん芝浦とは関係ないが、まあ、合格点だろう。
はらみ、たわら(つくねのにら巻き)、たん

「かしらです」と中国人の店員がテーブルに置いた。今まで経験のないような柔らかで美味しいかしらだ。さすが芝浦直送と感激した。しかし、後から「はらみです」と出された物を食べて急速に気持ちが萎えた。店員はかしらとはらみを取り違えている。感激して損したというよりも、食べてすぐに間違いに気付かなかった自分に腹が立った。
かしら、レバー、皮

焼き場を覗き見た。串を回す手がぎこちない。料理人も中国人かもしれない。不安は的中した。レバーも皮も焼き過ぎである。鮮度に自信がある店は、豚でもレバーは中が少し赤いぐらいの状態で出す。激戦区新橋のモツ焼き屋では当たり前だが、この店は慎重だ。
がつ、ればかつ

がつは簡単には噛み切れなかった。部下はなんとか飲み込んだが、銀髪は敢えて食べ残した皿を店員に渡した。日本人の店長がすっ飛んで来たら合格だが、残念ながら何も起こらなかった。開店したばかりの店で特に重要なことが見落とされている。食べ残しは最大の警鐘であるから、理由を追求すべきところなのに…
100円台の串焼きに文句をつけるほど野暮じゃない。値段の割にボリュームもあって美味しいと評価すべきだろう。ポテトサラダもればかつも悪くはなかった。しかし、近くに「紅とん」という手強い競争相手がいる。品揃えも向こうの方が上。
頑張れ、店長! あなたの努力次第で何とかなるかもしれませんよ。
ばんばん
東京都中央区日本橋2-2-5 日本橋アルガビル1F
03-6662-6467
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2008年04月28日
[味粋](日本橋茅場町)
おやじ御用達のお店で就職祝

景気後退の影が忍び寄ってきているが、来春卒業予定の大卒者は引く手あまたらしい。もともと子供の数が少ない世代なので取り合いになるのも止むを得ない。
小遣いが稼げればいいと思う退職した団塊世代も行き場はあるだろうが、もう少し頑張らなければならない50歳前後が満足できる職場を得るのは難しい。
お通し、刺し盛り

2歳年上の先輩の就職を斡旋した。過去10年で成功したのはたった二人。最初から高賃金を求める人は難しい。たまたま決まっても、すぐに放浪することになる。
つぶ貝、うるか

今日は先輩の就職前祝いである。招待してくれたのは銀髪の一回り以上も上の大先輩。彼も最近再就職を果たしたばかり。人柄か、能力か、空白期間なく働いている。
食通で銀髪をグルメ道に導いてくれた人でもあるが、うるか(鮎の塩辛)には箸をつけなかった。好き嫌いが多い先輩はもちろん目もくれない。
若竹煮、めざし、ふぐ唐揚げ

大先輩が「普通の居酒屋」と言ったとおり、おじさんたちの憩いの場的な店である。若竹煮も高級店にひけをとらない。
ふぐは期待しては可哀想だ。いい味付けをしている。
近況報告会は終り、昔の話になる。30年近く前の楽しかったこと、辛かったこと。いや、今は全部楽しい思い出になっている。大先輩は幾分小さくなり、先輩は少し太った。
大先輩には「俺がいいと言うまで禁酒しろ!」と何度も注意されたが従わなかった。「このままではアル中になって死ぬぞ!」と怒られたがまだ生きている。
怒られてから30年近く経った今、ようやく酒量を半分に減らすことを決心した。それでもまだ多いと怒られるかもしれないが…
今度はお二人の就職祝いを銀髪がすることを約して別れた。
旬の居酒屋 味粋
東京都中央区日本橋茅場町2-10-10
03-3663-6055
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2008年04月26日
[風長閑]②(日本橋)
我がホームバー
銀髪グルメ紀行を始めて今回が933回目、毎日更新しているから6月末には1,000回に到達する。約2年半の間に行った店の数は600~700軒。使ったお金は… 考えたくない。
登場回数がもっとも多いのが我が社の近くにある風長閑。銀髪は我がホームバーと呼んでいる。
渋谷の「シノワ」は料理もワインも美味しく、フロアスタッフもなかなか格好いい。しかし、一番感激したのは男性トイレに歯間ブラシやうがい薬が置いてあったことだ。
それ以来トイレに入ってシノワと比べる習慣がついてしまったが、なかなか肩を並べる店は見つからなかった。
「灯台下暗し」、「青い鳥は我が家に居た」、ではないが、我がホームバー風長閑にも同じような備えがあるのに気付いたのはほんの数ヶ月前だった。

飲み屋のトイレにはボトルなどの宣伝や、名言集、「一歩前へ」などの無粋な言葉がかけられているところが多くて白けるが、風長閑はちょっと違う。
3月と4月

気付かないで用を足して出て行く人が多いのは仕方がない。気付いたのはいいが、飾っていた雛人形の1体を持って帰った不届き者がいたらしい。仲良く並ぶ人形に嫉妬したのかもしれないけれど、酒飲みの風上にも置けない人だ。
酒の場は無礼講とはしゃいでもいいけれど、酔った時こそ本性が出て品格が問われるものである。
ショットバーで銀座一有名な「MORI BAR」のトイレもちゃんとエチケットグッズの備えがある。今まで行ったレストランやバーの中で、トイレがきれいなところはみんないい店だった。飛行機の中のトイレをCAが飛行中に何度もチェックしているのを見ると感心してしまう。
風長閑のママは明け方まで働いても、日中は睡眠時間を削って習いごとで忙しい。趣味とは言え、店造りに役立っていることも多いはずだ。ママの気配りに気付いたら声をかけてみよう。
何かいいことがあるかも… トイレの話の二番煎じは反則ですよ!
風長閑
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2008年04月16日
[魚道場]②(日本橋)