2010年09月02日

[青玄海]②(日本橋)

また来たよ


「久しぶり!」階段を上りきると、代表の中田さんらに声をかけた。すぐに再訪するつもりだったが時間が経つのは早い。それでも、2ヶ月足らずの間にまた行くのは異例のことだ。前回が楽しかったからに他ならない。

5時半過ぎ、予約もしないで来たので意表を突いた格好になった。店は慌てて戦闘態勢に入る。枝豆でビールを飲んでいるうちに、準備が整った。青玄海の料理はシンプルで分かりやすい。お通しが来たら次は刺身。

ウニ以外は福岡から空輸された玄界灘の鮮魚ばかり。皮を炙ったサワラの下に、脂の乗った腹身が敷いてある。豪快な男の料理がウリの店のようでも、細かい芸も持ち合わせている。

お約束のアジの開きと鮭の鮭粕煮。ランチでも特大アジの開きが890円の定食で食べられるとのこと。これは食べ応えがある。

キンキの煮物が出てきたところで、「白いごはんが欲しい!」との声。スプーンをもらい、ごはんに汁をかけながらかっこんで、みんなご満悦のようだ。

刺身、アジ、鮭、キンキと続けざまの魚料理でも銀髪はまったく気にならないが、肉や野菜が恋しくなる。そこで最後は牛すじ、大根、田舎こんにゃくとなる。

「グルメ紀行に、店員も客も男ばかりとコメントされてたぞ!」と言うと、困った顔をする。「女性には大サービスをすると書いとくからな!」と大きなお世話。最近の居酒屋は女性客がお得意様だ。青玄海も女性客の誘致に努め、華やかな雰囲気になって欲しい。女性が来たら、好みを聞いて少しメニューをアレンジしたら喜ばれるはずだ。

料理もいいが、店の独身3人を気に入っている。女性客に囲まれて、ニコニコと仕事をしている彼らを見たいものだ。

青玄海
東京都中央区八重洲1-4-4 2F
03-5202-8666

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2010年08月31日

[鶏料理 テン](日本橋)

もうクリスマス?


みんなを驚かせてやろう。一人でほくそ笑みながら4人を引き連れて日本橋コレドに向かった。目指すは伊達鶏を使う鶏料理テン。予約はコース料理を頼まなければならないので4,800円のおまかせコースBと告げてある。みんなの反応が楽しみだ。

開店時間の5時半に一番乗り。席に着くとすぐに小鉢が2つ並んだ。生ビールで乾杯をした後はクーポン券でワインを飲む。当然、その後はボトルワインを頼むことになった。

鳥わさは各人に。写真のサラダは3人分。順調に宴は進んでいく。続いてメヒカリの唐揚げ。焼き鳥2種類を一本ずつ。

赤ワインが一本空いた。いつものことながら平均年齢60歳を超える我々5人組はよく食べ、よく飲み、よくしゃべる。手羽元と手羽先がつながった大物が各人の前に運ばれたところで驚きの声が上がった。

まだまだ驚くのは早い、と言いたいところをグッと我慢した。手羽を食べ終わり、「イヤー、腹いっぱいになってきたなー」とみんなが言っているところにメインがやって来た。

「オー、凄い!クリスマスみたいだなー」立派な伊達鶏の丸焼きだ。内緒にしていた甲斐があった。みんな度肝を抜かれたようだ。一度キッチンに持ち帰り、切り分けてもらった。バラバラにしてもなお凄い。

5人だったので写真の他にもう半羽出て来た。5人がかりでも半分ぐらいしか食べられない。残りはお土産に包んでもらった。

これで終わりかと思ったら、おでんと焼きおにぎりが出て来た。これはしっかり食べた。「若い人たちだったら全部食べられたろーなー」と残念がる人は70歳を超えている。日本の高度成長を引っ張ってきた人たちは今でも若者に負けていない。

勘定をしたら、42,175円。ビール5杯、ワイン2本を加えてもちょっと高い。明細を見るとお通し代が各人700円かかっている。コース料理を頼んでお通し代を取られるとは思わなかった。さらに奇数人だと丸焼き料理の加算金が1,500円かかるようだ。

まあ、みんなの驚く顔、喜ぶ顔を見ることが出来たのだから、よしとしましょう。

鶏料理 テン
東京都中央区日本橋1-4-1 コレド日本橋4F
03-3517-5331
http://www.date-tori.jp/

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2010年08月27日

[松楽](日本橋)

老舗の楽しみ方


日本橋三越と中央通りを挟む向かい側の路地。昼時に歩く度に入ろうかと思いながら、お値段に尻込みして数年が経った。一度は行かなきゃならない近所の老舗料理屋。遂に行く機会を得て、電話でカウンターを予約した。

店の前に掲げられた札を見て、スタンディング割烹の入口は裏にあることを知った。店は二つの路地に面している大きな建物のようだ。裏に回ってドアを開けるとカウンターはスタンディングバーの趣。カウンター割烹でないと分かって、素直にテーブル席に腰を落ち着けた。

女将はウィスキーを飲む常連さんの相手をしている。着物を着たベテランの仲居さんが我々の面倒を見てくれるようだ。銀髪の母よりは少し若いだろうか。表側の完全個室の料亭ならコースメニューを頼まなければならないが、裏のテーブル席はアラカルトが可能。お通しの後は、刺身、焼物、煮物、メインと銀髪が勝手にコース料理風にしつらえた。

旬の穴子は素材の質が分かりやすい塩焼きに、カレイは店の味が分かる煮つけにしてもらった。

「茶碗蒸しを食べたい!」とK氏が言う。どこに行っても好物は頼まないではいられないようだ。「茶碗蒸しは2つからお願いします」とお母さんに言われれば仕方がない。銀髪も食べる破目になった。「この前食べた時、他の人たちはグチャグチャに混ぜる方が美味しいと言うんですよ」と食べる前に気持ちの悪いことを言う。

蓋を開けると椎茸の香りが広がる。スプーンですくって口に入れると卵がプルンと震える。グチャグチャにするよりこの方が美味しいに決まっている。

最後はひれかつに決めていた。ランチ時のヒレカツ定食2940円は知る人ぞ知る名物料理だそうだ。もともと初代が洋食の出身だったらしく、割烹にもかかわらずヒレカツを出す。洋食屋が多い日本橋ならではの割烹料理ということだろうか。お母さんの薦めで串カツも盛ってもらった。

日本橋の雑踏を忘れさせ、時代を遡ったような気持ちにさせてくれる風格のある一軒家。女将や年配の仲居さんたちものんびりとした雰囲気作りに一役買っている。お金持ちの常連さんたちにとっては我が家のように寛げる店に違いない。もしかして我が家より?

割烹 松楽
東京都中央区日本橋室町1-11-2
03-3241-7639

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2010年08月20日

[琴ヶ梅](八丁堀)

夏でも大入り


「美味しいところに連れて行ってやるよ」Kさんが予約してくれたのはちゃんこ鍋や。店につくと我々11人に用意されていたテーブルは4人掛けが2つ。いつもなら真っ先に文句を言いだすKさんは穏やかな表情。幹事役が店員に席替えを頼むと「電話で狭い席しかないとお伝えしてありますが…」と言う。それなら仕方がない。

琴が梅の名物は鮪の珍味。お通しの後に鮪の皮の酢物が出て来た。鶏の酢もつに負けない。鮪の皮と聞いただけで箸をつけようとしない連中も、鰯つみれの磯辺揚げは喜んだ。

枝豆に続いて鮪のユッケ。残念ながら牛肉のユッケには遠く及ばない。ごま油の味付けがもっと欲しいところだ。鳥の唐揚げは柔らかく上手に揚っている。

築地に近いせいか刺身も立派。ボタンエビもタコも美味しい。鮪も珍味より人気がある。
本当に満席になるのか疑っていたが、次から次に客が来ては入口で断られている。7時前には満席になってしまった。両国の老舗川崎でも夏は予約が取りやすいというのに大したもんだ。

ちゃんこ鍋が最後に控えているのにもつ鍋を頼んだ奴がいる。呆れたものの、野菜の追加を頼んだのは銀髪だった。

最後の珍味は鮪の白子の天ぷら。初めて食べたがフグやタラの白子のようにトロリとしない。白身魚のような天ぷらだった。

Kさんのテーブルは味噌、我々のテーブルは塩の鍋を選んだ。味付けの違いだけかと思ったら、具材も多少違う。2つのテーブルの間に座る銀髪はもちろん両方を味比べする。部下たちも追随するが、Kさんは塩味を口にすることもなく、味噌味の方が美味いと譲らない。殆どの男は食に対して保守的である。

ちゃんこ鍋一人前が3050円と高めのなのが口コミの評価を低くしているのかもしれないが、夏なのに満席なのは質・量が値段と見合っていることを常連さんは分かっているのだろう。

帰り際に元琴ヶ梅関がやってきた。現役を退いて10年以上にもなるのに実に立派なお腹だ。我が社のメタボたちは一時の間、自分がスリムに思えたに違いない。

力士料理 琴ヶ梅 八丁堀店
東京都中央区新川2-1-10 八重洲早川第二ビル 1F
03-3552-8422
http://www13.plala.or.jp/kotogaume/index.html

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2010年08月12日

[こんどう軒](日本橋)

スープがたっぷり


今までグルメ紀行に書かなかったのが不思議なくらいこんどう軒には何度も行っている。夜の記事をと思っていたが、結局機会に恵まれず昼の記事になってしまった。
こんどう軒は大正4年の創業という。今の建物は東京オリンピックの時らしいので、近くの新華飯店と同時期ということになる。どちらも昔ながらの中華料理屋の風情がある。

何度も来ていると言いながら、これまで食べた料理は味噌ちゃんぽん、たんめん、もやしそばの3種類しかない。最初に連れて来てくれた人が味噌ちゃんぽんを薦めてくれた。たんめんともやしそばはいずれも一度だけの浮気。今ではこんどう軒には味噌ちゃんぽんを食べるために行く。

ちゃんぽんといっても本場の長崎ちゃんぽんの体裁は気にしていないようだ。味噌味のタンメンと考えた方がいい。熱くて溢れそうなスープが気に入っている。相席になった前の人、先に来た後ろの人も味噌ちゃんぽんである。隣の席の2人、その向こうの1人がチャーハン。食べるものは伝染するようだ。

せっかくこんどう軒を取り上げるのに味噌ちゃんぽんでは片手落ちだろう、という声が聞こえてきそうだ。こんどう軒の名物はコークスで焼いたという焼き豚。チャーシューメンを初めて食べようとメニューを見たが、なかなか見つからない。叉焼麺(焼豚そば)800円をようやく探し出した。老眼だから小さな文字の漢字表記は探すのに骨が折れる。カタカナ表記の方がありがたい。

分厚い焼き豚はさすが名物。焦げたところが特に香ばしくていい。チャーシューメンも味噌ちゃんぽんと同様にスープがいっぱい。ラーメン専門店では「どうしてこんなにスープが少ないの?」というところが多い。長時間かけて作った貴重なスープなのかもしれないが、冷めやすくてよろしくない。スープを飲み干す人はいなくても、たっぷりスープは老舗こんどう軒ならではのこだわりに違いない。

この日チャーシューメンを食べていたのは銀髪のみ。まわりは餡かけ焼きそばとたんめんの人ばかり。食べるものは伝染するなんて学説はないのかな?

こんどう軒
東京都中央区日本橋2-6-7
03-3271-9184

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2010年08月07日

[インドカレー フジヤ](日本橋)

ビーフもあるでよ


日本橋三越の向かいの路地を歩いていたらカレー屋を見つけた。何十回も来ている場所なのに気がつかなかった。いや、気がついていたけど入る気にならなかった。カレー屋の入口よりも煙草の自動販売機の方が遥かに存在感がある。

予備知識もないままに恐る恐る店に入った。この界隈には昔から続くカレー屋さんが多い。カレー自慢の洋食屋もある。インド人シェフによる本場のインド料理屋も増えてカレー激戦区とも言えるが、その中でもフジヤの評判がトップクラスというのは後で知った。

カウンターだけの小さな店。カレーはチキン、ビーフ、豆、ヤサイ、キーマの5種類、カレーのお伴はライス・サラダのAセット、ライス・サラダ、ナン・スープのBセットの2種類。全部で10種類から選ぶことになる。知らない店では一番初めに載っているものを頼むのが常道。迷わずチキンカレーのAセットを頼んだ。

骨付きのチキンがゴロンとしたカレー。思った以上に美味しかった。My唐辛子を持って来るべきだったと後悔したが、食べ進むうちに辛くなってきた。辛いものが苦手の人にとってはかなり辛いかもしれない。

日を改めてビーフカレーを食べに行った。ヒンズー教のインドに牛肉カレーなどないはずだと揶揄したくなるものだが、もともとインドにカレーなど存在しないと先日もテレビでやっていた。カレー粉を作ってインドカレーと称したのはイギリス人。具は牛肉が定番だったというからインドカレーとは元々ビーフカレーのことを指したのかもしれない。

骨付きチキンがゴロンと入っているのはインド人が新宿中村屋のために作ったカレーが元祖のようだ。これを純印度式カリーと呼んでいる。宗主国イギリスに反発し、独立運動の旗頭だったインド人にとってはビーフカレーは許せないものだったに違いない。

フジヤの一番人気も純印度式カリーのチキンカレー。しかしインド人のようにこだわるわけでもなく「ビーフもあるでよ」。50歳以上の人には「ハヤシもあるでよ」だと怒られそうだが、若い人は40年以上前のCMのことなど知らないだろう。

西洋式に手前からすくって、口に入れやすい形状のスプーンはこだわりの特注品かと思ったら、「市販されているんですよ」と店主が笑う。フジヤは3代に渡って下駄屋、靴屋、パン屋、そしてカレー屋と変遷したそうだ。実にフレキシブルで美味しいフジヤである。

インドカレー フジヤ
東京都中央区日本橋室町1-12-13
03-3241-4330

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2010年08月05日

[蔵](八丁堀)

いつでも食べられるクエとアラ


「クエ入荷しました」店の前に貼られた紙片に胃袋をつかまれた。オフィスに戻ってネットで調べると、蔵は通年クエを置いているとのこと。年中使っているキャッチコピーだった。クエは冬が旬だが、年中クエを扱っている博多中洲のよしおかのような店もある。東京でよしおかのようなクエを食べられるならこんな幸せはない。

予約の電話の向こうからは大らかな職人っぽい声。ドアを開けると店も主人も電話で想像したとおりだった。メニューにはクエとアラ。Kさんが「違うの?」と言うと、待ってましたとばかり「イヤー、毎回毎回説明するのが面倒くさいんでねー」と携帯の写真を見せてくれた。

銀髪は食材図鑑(小学館)で上の写真をチェックしてきた。九州でクエのことをアラと呼ぶので混同してしまうが、ハタ科のクエ(写真上)とアラ科のアラ(写真下)はまったく別の魚。知ったかぶりの銀髪と、面倒くさいという店主が競うように説明するのでKさんは目をパチクリ。

クエと富山産鬼海老の刺身を頼んだ。メニューにはクエやアラ以外にも各地の鮮魚が並ぶ。「こんな高級魚ばかりで売れるの?」と聞けば「売れなきゃ置いてませんよ」とのこと。築地を通さず知人などから送ってもらっているからできるのかもしれない。

「最高にうまいっすよー!」と出されたのが胃袋。「湯がいてあるの?」と聞いたら「湯がかなきゃ食べられませんよ」と言われる。話が噛み合っているのかいないのか良く分からない。

「頭や腹のところがいいんだけどなー」と言うと、「全部混ざってますから」と答える。アラもクエも1mを超えるものもあるが、「あまり大きくない方が美味しい」とのこと。アラは塩焼きに、クエは煮つけにしてもらった。コラーゲンたっぷり、脂乗り乗りのクエはやはり冬場の大物がいい。冬が旬と言われるのは夏は産卵期で身が落ちるため。煮つけに卵がたくさんなのも頷ける。

塩焼きも煮つけも2人で食べるには量が多い。責任をとって一生懸命食べる銀髪にKさんは「うにごはんを食べたい」と言う。まあ気持ちは分からないでもない。馬糞うにたっぷりで贅沢だ。

「手打ちそばって自分で打つの?」と聞けば「そんな暇はありませんよ」と明るく胸を張る。親戚の人が打って送ってくれるそうだ。魚介類にしてもそばにしても頼りになる友人知人を持って幸せな店主である。


東京都中央区八丁堀1-8-9
03-3553-1908

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2010年08月02日

[天松 日本橋店](日本橋)

リーズナブルにカウンター天ぷら


社員6人を連れて定例の昼食会。悩んだ末に三越日本橋店はす向かいの天松に行くことにした。電話すると「ランチの予約は受けていません」とつれない。「ホームページにビジネスランチがあるとお書いてあったけど…」と言ったら「ああ、4,000円コースですけど」と話が噛み合った。

食券を買う人たちを横目に2階へと上がった。入口近くの7席が我々で、他の客たちとカウンター内の料理人を共有する設定。仕事の話は抜きにして、食事に専念することになった。渋谷本店は行ったことがあるけれど、こちらは初めてなんですよ」と料理人に声をかけた。名札を見ると店長の鬼塚さん。「会社が近くならこっちに来て下さいよ。渋谷より安いですよ」ときさくだ。

先ずは海老を2本。鬼塚さんは天ぷらを揚げながら、会話も達者だ。日本橋・銀座界隈は高級天ぷら屋がたくさんあるが、渋谷の天松、新宿のつな八などは老舗といってもリーズナブルで気取っていない。

アスパラ、キス、蓮根。本店ではごま油100%と聞いたが、ちょっと軽く感じた。「サラダ油も入れてるの?」と尋ねたら、銀髪の正解。夜はごま油100%だそうだが、昼はサラダ油を混ぜた方が軽くていい。「うちで使っているのはこれですよ。いい匂いでしょ」と澄んだ色のごま油を器に出してくれた。「蒲郡だね」竹本油脂の名前は出て来なかったが鬼塚さんには通じたようだ。豊橋で6年間勤務した。初めて蒲郡に遠征したとき、街をごま油のいい香りが覆っていた。その驚きは忘れられない。

「穴子も天丼に出来るの?」と聞いたら鬼塚さんの顔が輝く。「半分を天丼にしましょうか?39年やってきて初の試みですよ」と嬉しそう。6人が銀髪に相乗りした。かき揚げと穴子の天丼を〆にした。もう一人は穴子を一本試したかったようだ。「初めて穴子を美味しいと思いました」と満足そうだ。

「お客様が喜んでくれるなら形にこだわらない」と鬼塚さんは明快だ。「今日も新しいことをお客様から教えてもらいましたよ」とおだてられて銀髪は木に上った。「また絶対来るからね」は言わされたようなものだ。

とても楽しい天松だった。

天松 日本橋店
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03(3241)5840
http://www.tenmatsu.com/

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2010年07月28日

[熊はん](浜町・人形町)

鱧を求めて丸なべを


人形町界隈で評判のいい店を探していたら京料理の熊はんを見つけた。鱧を食べに行くことに決めた。京料理の老舗、たん熊北店系列には大きな店もあるが、熊はんの規模でカウンターなら楽しめるに違いないと思った。
店の外から覗き見て、思ったより長いカウンターに二の足を踏んだ。板さんと話し込むにはちょっと広すぎるが、意を決して中に入りカウンターのほぼ中央に座った。

ほうれん草のお通しが出てきた。カウンターの客もテーブル席もコース料理を食べているようだ。銀髪は食べたいものだけに的を絞った。まずは鮒ずしである。飲むのはもちろん日本酒。たん熊オリジナルの熊彦原酒を頼んだ。思った通りいい鮒ずしである。

アラカルトメニューに鱧が載っていないことにショックを受けたが、壁の黒板にちゃんと書いてあった。ハンサムな店長の林さんに「刺身、おとし、炙り、どれにしますか?」と聞かれて迷った。どれも食べたいが3皿は多過ぎる。「少しずつ盛りましょうか?」と助けられて失語症が解消した。目の前で骨切りが始まる。刺身は塩とオリーブオイルで食べさせる変わり種。3品それぞれ特徴があって面白い。

一つ席を開けて右隣に座っているおじいさんに岩ガキが出された。コースの一品らしいが、「生牡蠣はダメなんだ」と断る。行き場を失った岩ガキをしばらく見ていたが、だんだん可哀想になってきた。「店長、その岩ガキ、俺がもらってあげるよ」と声をかけた。林店長はもちろんカキだって嬉しかろう。

主役の座を奪ったのはすっぽんの丸なべだった。赤坂のたん良で、浜名湖産が出荷されないこの時期に丸なべは出来ないと言われた。京都の大市だけでなく、たん熊も夏に仕入れが可能なのだろうか。すっぽんの身が美味しかった。それにしてもたん良がなくなったのは残念だ。

忙しい林さんに代わって、たん熊北店統括部長の上畑さんが時折話し相手になってくれた。さすがに小料理屋風とはいかなかったが、久しぶりのたん熊伝統の丸なべを懐かしく味わった。

熊はん 浜町店
東京都中央区日本橋浜町2-36-4 五城ビル 1F
03-5695-5470
http://www.tankumakita.jp/gr_kumahan.html

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2010年07月26日

[いづもや](日本橋)

本日土用丑の日


江戸料理と言えば寿司、天ぷらは異論のないところ。三大江戸料理にもう一つ加えるとしたら鰻だろう。日本橋界隈には伊勢定大江戸美国屋、はし本、神田川、きくかわなど老舗の鰻屋がたくさんある。昭和21年創業のいづもやもその一つ。ガタピシと床が鳴く本店は風情がある。

土用丑の日は避けて先週いづもやを訪れた。予約なしだったが幸い本店のテーブル席に入ることができた。色んなうなぎ料理を食べるにはベストの4人連れ。「お通しをつけますか?」と言われて「いらない」と答えた後は矢継ぎ早に鰻料理を頼んだ。

う巻きは他店との差別化をしやすい料理。う巻きを名物とする鰻屋さんも多いが、いづもやのう巻きはうざくと同様、オーソドックスなものだ。

白焼きと生醤油焼き。違いを聞いても良く分からない。「いいよ、両方頼んじゃおう」四分の一ずつなので苦にならない。意外なことに面白半分に頼んだ生醤油が秀逸だった。パリッとした食感が関西風の蒲焼に似て面白い。

最後にうな丼を食べることは決まっている。それまで口直しをすることにした。もう少し日本酒も飲みたい。枝豆、板わさ、もろきゅうで十分と思われたが、「高柳豆腐店のとうふ」と豆腐屋の名前に釣られてしまった。人形町の老舗豆腐屋らしい。

最後は半丼にしてもらった。銀髪は遠慮なく頭側を取った。幸い尻尾の方が好きだと気を使ってくれた人が2人。和気あいあいでお開きとなった。

平賀源内が夏場で売れない鰻屋の要請を受けて作ったと言われるキャッチコピーが「本日土用丑の日」で、200年以上を経た現在でも最も鰻が消費される日である。しらす不漁のため国内産が例年になく高値で、中国産や台湾産が幅をきかせるとのこと。まさか輸入物がキャッチコピーの恩恵を受けるとは、平賀源内でも予想できなかっただろう。


いづもや
東京都中央区日本橋本石町3-3-4
03-3241-2476
http://www.idumoya.com

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2010年07月24日

[だぼ鯊]⑦(日本橋)

お好みで天ぷらを


扉を開けると店の二人が笑顔で迎えてくれる。新規開拓ばかりをやっている銀髪にとってだぼ鯊は訪問回数上位の店だ。5時前でも入れるし、多少の我儘も聞いてくれる。

自家製の海苔の佃煮、枝豆がすぐに出てきた。瓶ビール1本は瞬く間になくなった。「もう1本!」手が自然と上がる。猛暑到来である。

普段は最初に茄子が出てくることはない。Kさんが大好きだと分かっているからだ。続いて海老。2匹目の海老、みつばが出たところで早くもストップ。「好きなものを頼むよ」と大将に言えるのも何度も来ているから出来ること。初めて来たHさんも追随する。「酒を飲むとあまり食べないんですよ」とは本当の酒飲みだ。

「稚鮎やってよ」と銀髪。「それって揚げるの?」としその花を指すHさん。銀髪も相乗りした。通常は刺身のつまになる紫蘇の花の天ぷらは初めてだ。

我々4人、それぞれが自分の好きなものを頼むのだから大将も大変だ。銀髪だけが穴子を頼んだ。通常は間に入るメゴチやキスは飛ばしても、今が旬の穴子は欠かせない。

Kさんと部下のIはかき揚げでご飯を食べている。銀髪とHさんは酒が入る胃のスペースをご飯で埋めようとは思わない。白いご飯よりも、米を液体にした方が遥かに栄養価は高く消化にいいとうそぶく。

「生姜も揚げるの?」みょうがの陰に隠れているものをHさんが目ざとく見つけた。「いいねー」初めてのしょうがの天ぷらにご満悦だ。嬉しそうな顔を見たら銀髪も頼まずにはいられない。鱧、小たまねぎと一緒に生姜を揚げてもらった。

「いやー、いい店だったね」Hさんは随分と気に入ったようだ。考えたら彼は腹に溜まるものを殆ど食べていない。カウンターに並べられた素材を思いつくままに揚げてもらって酒の肴にする。最高の贅沢かもしれない。

だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533

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2010年07月23日

[ジジ&ババ]③(日本橋)

失敗、失敗


「洋食だからKさんが食べるものもたくさんあるし、広い店だからゆったりできると思うよ」月例の宴会の幹事にジジ&ババを大推奨した。以前グルメ紀行に載せたとき、店主からコメントをもらったことも後押しした。みんな喜んでくれると思ったのだが…

店に入ると驚いたことに可愛い部下たちは奥の狭い空間に押し込まれていた。総勢10名のうち、端に座った4人は片足がテーブルからはみ出している。5時20分の店内には先客が2人のみ。席を移動できないか頼んでも「予約が一杯だから無理」とつれない。なおも食い下がろうとしたら、いつもは真っ先に怒り出すKさんが銀髪をなだめるから面白い。みんなに申し訳なくて下を向いた。

「メニューが分かりづらいなー」とKさん。斜体の洒落た文字は老眼には判読困難らしい。もっとも、文字のせいだけでなく内容が分からないようだ。しろえびのフライのようなシンプルな料理は少なく、何らかのアレンジをしているのがジジ&ババ風だと気が付いた。

シーザーサラダはKさんが思ったものと違ったようだ。地鶏のチキン南蛮フライにはもっと驚いた様子。宮崎料理だと銀髪が説明しても箸をつけようとしない。

看板料理のビーフチーズコロッケは上々の評価で胸をなでおろした。ピザも気にいったようだ。チーズの種類など知らないおじさんにはピザを選ぶのも大変だった。

おじさんたちは創作料理が苦手だ。食べ慣れたものしか美味しいと思わない人が多い。ついにKさんが「鳥の唐揚げはできないの?」と言いだした。店の女性が出来ないと言っても納得しない。キッチンに聞きに行っても「衣をつけているのでできません」と言うので銀髪も参入した。「それを揚げるだけでいいんだよ」と言うと、またキッチンに引っ込んだ。できないわけがない。「にんにくを抜いてキャベツだけ炒めてくれる?」と再びKさんが我が侭を言う。さすがにこれはできないとは言わなかった。

新しい客は誰も入ってこないので、キッチンは我々が独占しているようなものだ。席だけでなく、テーブルも狭いので新しい料理が来たら、残っている料理を口に入れて皿を下げてもらう。お陰で6時半を超えたところでお開きとなった。

帰り際に店主が見送りに出て来た。2人しかいない店内を指して「お客さん居ないね」と言ったら、銀髪が店のことを心配してくれていると勘違いしたようだ。「8時から予約が入っています」と笑顔を見せるのでキレた。サービスで出してくれた西瓜のお礼を言うことも忘れて怒ってしまった。

窮屈な思いをさせたみんなに申し訳ないとの気持ちが先に立ち、店側への気遣いを忘れてしまった。文句を言われてキョトンとしている彼には申し訳ないことをした。もう二度と行けない。


ジジ&ババ
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋テイトビル2F
03-3247-1797
http://www.jiji-baba.jp

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2010年07月20日

[ワインショップ ブッキン]②(兜町)

ボクのワタシのワインショップ

先日初めてブッキンに行き銀髪の名刺を店主に渡して帰ったら、常連さんから「会いたい」というコメントやメールをいただいた。「こりゃ、行かなきゃならない」と言ったら、先日同行したKが「イメージが壊れるので行かないほうがいいですよ」と忠告する。

Kの忠告はもっともだと思わないでもない。不安の虫を封じ込めるためにI氏を誘った。5時半頃、店に到着すると店主と奥さんの2人に歓迎された。早くも常連気分で舞い上がると、「銀髪さんのファンが来るのはいつも8時ぐらいですよ」と肩透かしを喰らった。

がっかりさせることもなくなったと思えば気が楽だ。さあ、飲もうじゃないか。白板を見て今日飲むものを決める。

前回と違うものを飲もうと思っても、覚えていない。まったくいい加減である。気取らず楽しく飲むのがブッキン流。余計なうんちくも必要ないだろう。チーズがまた美味しい。値段に儲けが含まれているのか心配になる大きさだ。

2杯目を飲み干した頃に、女性が店に飛び込んできた。店主が電話で銀髪が来たことを知らせてくれたらしい。「イメージが壊れる」と言ったKの言葉が覆いかぶさって来たが何とか追い払うことができた。優しい人で良かった。彼女も美味しい手土産というブログを書いている。帰って見てみると、やさしくほんわかしたブログだった。本当にブログは人柄が出る。

忙しいところを無理して来てくれたようだ。1杯だけ飲んで慌ただしく帰って行った。わずかな時間だったが、失望させなかっただろうか心配だ。
再びI氏とワインを選ぶ。先日会った女性と初対面の男性も交えてしばし歓談。Kがいつの間にか常連さんの仲間入りをしたことも判明した。

店主が店を開いたいきさつや、これまでの足跡、ワイン生産者との交流などを聞くうちに、ブッキンがワインショップだということを思い出した。「ワインを買えるんですか?」というのは愚かな質問だった。酒屋で買うよりお得に違いない。

会社帰りに軽くブッキンで飲んで、ワインを買って、家で飲みなおすのも悪くないだろう。銀髪はChateau Grand Cassat(シャトー・グラン・カサ)をお土産にして、我がホームバー「風長閑」に向かった。こんな早くに家に帰ると、我がパートナー殿に迷惑がられる。

ブッキン株式会社
東京都中央区日本橋兜町19番1号
03-3666-5511
http://www.bookin.co.jp

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2010年07月12日

[山沖]③(日本橋)

江戸前鮨は山沖


寿司屋は日本で何軒あるのだろうか。寿司屋さんの組合全すし連(全国すし商生活衛生同業組合連合会)には1万人以上の組合員がいるそうだが、未加盟の店も大いだろう。

寿司屋といっても一人ウン万円もする高級店から子供も大好きな回転ずしまで色々ある。色んな区分けが出来るだろうが、銀髪は寿司か酒の肴かどちらを重視するかで行く店を分けている。寿司なら山沖、肴ならとりで寿司が銀髪の定番になりつつある。どちらも職人が若く、値段も比較的リーズナブルだ。

古典的江戸前鮨を標榜する山沖では刺身も昆布ジメなどひと仕事してある。甘エビもちょっとアレンジして山沖風だ。帆立ときゅうりの海苔巻も面白い。しかし焼き物、煮物、椀物などはない。

ビールで喉を潤おし、日本酒を二合飲んだところで寿司に移る。昔は寿司屋は屋台が多かった。職人が一人で何でもこなさなければならなかったので酒は出さなかったそうだ(→すし検定学習)。お茶は何度も交換しないで済むように湯のみが大きくなったという。酒飲みを嫌い、「うちは寿司屋だ!」と胸を張る高級店が屋台の伝統を引き継いでいるとは面白い。

山沖さんは謙虚でやさしい人だ。こぶ平(林家正蔵)に似た風貌でポツリと呟くような冗談が時どき妙にはまって面白い。そんな彼が握る江戸前鮨の美しいこと。赤酢を使ったシャリも銀髪好み。ここの寿司はいい。

彼のこだわりはグルメ紀行の初回2回目やホームページを読んでもらえば分かる。酒と肴を楽しんで、最後に2~3カン食べるような人には向かない店だが、いい仕事をしている江戸前鮨を好む人にはお奨めの店だ。やさしい山沖さんだから女性だけでも気楽に入れる。一人一万円程度なので、通ぶったおじさんをそそのかすのが一番かもしれない。煙草と香水と携帯電話はご遠慮ください。

山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/

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2010年07月01日

[青玄海](日本橋)

これぞ隠れ家?


「入り口はどこにあるんだ?」うなぎ屋の方に回っても青玄海に上がる階段は見つからない。諦めかけたところで1階の店の奥に階段を見つけた。下の店は博多手一本という焼き鳥屋。玄海と博多なので同じ経営に違いないというのは銀髪の勝手な思い込み。単に家屋をシェアしているだけのようだ。まったく驚かせてくれる。

料理は3,800円のコースのみ。つきだしが出てきたところで「写真を撮っていい?」と聞くと、料理に天井の明かりが当たるように調節してくれる。軽快な動きが若い店らしくて気持ちがいい。

玄海の名の通り、魚介類がウリの店だ。玄海灘の魚ばかりかと思ったら、築地で仕入れたものもある。

ランチでも目玉商品となっている鯵の干物。身が厚くて立派である。もちろん脂の乗りもいい。なかなか食べ応えがある逸品だった。

「これは美味い!」思わず唸ったのは鮭の酒粕煮。まるで生ミルクを入れたかのようにクリーミーである。味付けもいい。ほめちぎったら、「イヤー、ただ酒粕で煮ただけですよ」と正直だ。「味付けは秘密ですとか、最高品質の酒粕を使っていますとか言わないとダメだよ」と茶化すと照れ笑い。

「3人でも一匹なの?」大きなイシモチを見て困らせた。「もっと大きな魚にします」とは苦しい弁解に聞こえる。苛めるつもりはない。我々2人と店員3人が一瞬の間の後で大きく笑った。「痛いところを突かれましたよー」と聞けば満足である。人数に合わせてしっかりアレンジしてくれるはずだ。

アスパラ、煮込みで腹いっぱいになった。代表の中田さんが選んだ日本酒もなかなかの品揃え。漬物がコース終了の合図のようだ。デザートがないのが居酒屋らしくていい。銀髪の話を聞くのに大変だったろうが、若者の役目は年配者のお守りと昔から決まっている。いやー、楽しかった。

勘定を払い、階段を下りて、出口に向かおうとすると、焼き鳥屋の店員が「ありがとうございました」と言う。なんとも不思議な気持ちにさせてくれて、苦笑した。

青玄海
東京都中央区八重洲1-4-4 2F
03-5202-8666

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2010年06月26日

[ホテルオークラレストラン ニホンバシ]③(茅場町)

ビジネスランチ


東京証券会館の7階にあるホテルオークラレストラン。毎年この時期、ランチに訪れる。貸し会議室を利用して、その後会食するのに便利である。いつも頼むのはビジネスランチセット。昨年
とメニューに大きな変化はない。主食、メイン、飲み物は好きなものを選びスープ、サラダ、デザートはみんな同じものを食べる。

「オージービーフなの?」外国人のためなのか、格好をつけているのか、日本語の下に英文が添えられている。それを読むとAUSSIE BEEFの文字。どうして日本語で産地が書かれてないのか不思議だ。

「ごめん、パンにしてくれる?」一度はライスを希望したが、昨年のことを思い出してパンに代えてもらった。ライスはメインの食事と一緒だが、パンはすぐ出て来るので酒の肴になる。「昨年、パンを食べている人を羨ましく思ったんですよ」と言うと、みんなよく覚えているなと感心している。いや、つまらないことをと、呆れているのかもしれない。

全員がステーキを食べた。6人の中高年メンバーはいつも元気だ。脂が乗った国産牛より輸入肉の方が年配者にはいいかもしれない。最近発表された統計では肉好きの人の方が菜食主義者より骨折しにくいそうだ。

デザートを食べ、コーヒーを飲んで席を立った。他のテーブルを見ると奇妙なことに気がついた。大体、どのテーブルも頼むものが偏っている。そういえば昨年はエビフライや魚を食べる人が多くてステーキは誰も頼まなかった。最初にオーダーした人に微妙に引きずられるのかもしれない。

日本人は料理を頼むのに主体性がないとよく言われる。しかし、我々のメンバーは海外勤務経験が豊富な人たちばかりだ。自己主張もしっかりする。「今日は肉を食べたい」気分が伝染したのかもしれない。

「いやー、美味しかったですなー」とは誰も言わない。もちろん不味かったと言う人もいない。ビジネスランチで料理の評価を口にするのは意外と難しいものである。


ホテルオークラレストラン ニホンバシ
東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館7F
03-3667-4828

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2010年06月22日

[ウノ]⑥(日本橋)

頑張れウノ


「銀髪さんの席はいつも空けておきますよ」店主の福山さんが言ったのは2年前。大盛況で予約が取れなくなるほどの人気店になっていた。銀髪グルメ紀行を始めて間もなくの頃、ウノを絶賛した。大盛況に僅かながらも貢献した銀髪に社交辞令でも敬意を表してくれたのは嬉しかった。

先日、食べログの評価が銀髪が最初につけた4.5と乖離していることが気になって久々に訪問した。「久しぶり」と戸部さんに言うとポカンとしている。「銀髪です」と言ってようやく思い出してくれた。光陰矢のごとし。

じゃがいもとアンチョビのバタータ、トマトのオーブン焼き。よかった!味は落ちてはいない。トマトの美味しい栽培法を福山さんに教わったことが思い出された。

アスパラのアッレッソも以前食べた。2種類のチーズを使ったソースが美味しくてフォカッチャを頼んだ。

豚の香草焼きを食べたところで最終コーナーに差し掛かった。ピザの味は昔と同じだろうか。

大好きなゴルゴンゾーラのピザを食べた。もう一枚はポルチーニのピザ。よかった!やはり美味しいピザである。メニューはあまり変わっていない。味も以前と同じように美味しい。何も変わっていないようだが、実は大きく変わっていることがある。福山さんの姿が見えないのだ。

ナポリピザの何たるかを教えてくれた。最高の状態のゴルゴンゾーラを自慢した。自家製パンチェッタやトマトをサービスしてくれた。何を話すにも、奨めるにも、明るく自信に満ちていた。その福山さんが1年以上もの間闘病生活を強いられているという。

息子さんが守っているので味は心配ないようだ。しかし、オーナーがいない戦力低下は否定できない。彼の復帰まで、頑張ってほしいものだ。いやいや、彼がいなくても、彼を超えるような店にして欲しいものだ。若い力に期待したい。

UNO ウノ
東京都中央区日本橋本町1-1-8 共同ビル1F
03-3548-9161
http://www.bricklayer.jp/uno

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2010年06月10日

[聚中縁餃子](兜町)

餃子屋さん?


茅場町のワインショップ、ブッキンを出た後、銀座方面に向かって歩き出した。ワイン3杯、えぞ鹿のジャーキー、ナッツ、チーズ、これだけではお腹は満たされていない。お目当ては聚中縁餃子、ここで餃子三昧とするつもりだった。

餃子専門店と思って来たが、水餃子と焼き餃子の2種類ぐらいしかない。ほうれん草かなにかを混ぜ込んだ皮の餃子を探してメニューを何度もめくった。年はとりたくないものだ。聚中縁餃子の縁を緑と読み違えていたことに気がついた。

あつあつ鉄板餃子

「4本にしてくれる?」喧嘩にならないように頼むと快く受けてくれた。店員は料理人も含めて全員が中国人のようだ。聚中縁とは何を意味するのか、この店が中国のどの地方の料理か質問しようと思ったが遠慮した。

正宗四川風エビ激辛炒め

お奨め料理の一つが正宗四川風エビ激辛炒め。この料理を見たら四川料理屋かと思う。メニューの写真よりも唐辛子が多くてちょっとびっくりした。海老を探すのが大変だ。香港の料理屋を思い出した。香港では蟹だったが、出張の度に食べて好物になった。唐辛子の多さに気圧されても、唐辛子を食べなければそれほど辛くない。

刀削麺(坦々麺)

昼に行くと、人気メニューは刀削麺である。味は坦々麺の他に麻辣麺、ジャージャン麺、豚角煮麺、翡翠麺、味噌麺、高菜麺がある。刀削麺は山西省の料理。四川省とは離れている。日本人でもイタリアンやフレンチのシェフがいるのだから、料理人の出身地を気にすることもあるまい。問題は味。なかなか美味しい刀削麺だった。

聚中縁餃子には中国人の客もたくさん来るそうだ。オープン当初は本場の味そのものだったが、今は日本人向けに花椒などを控えめにしているらしい。挑戦したい人はオリジナルの激辛麻辣をオーダーしたらいい。

聚中縁餃子
東京都中央区八丁堀1-3-9双鶴八重洲ビル1F
03-3553-8868
http://shuchuen.com/

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2010年06月09日

[ワインショップ ブッキン](兜町)

ワインショップで立ち飲み


「オッ!今日は木曜日だ」日本橋兜町のワインショップで日本橋ワイン倶楽部有料試飲会が毎週木曜日に開かれていると知って行きたいと思っていたが、果たせないでいた。タイミングが合って喜んだのに、あらためてホームページを見ると4月からは月~金曜まで毎日開催されているという。

5時からのオープンだが30分過ぎたところでも一番乗り。店の前にいた奥さんが中に招き入れてくれた。ワインのリストは壁の白板に書かれている。上の二つを除けば週替わりとなるそうだ。

紙片に自分の名前、青丸で囲まれたカタカナ文字、値段を自分で書いて渡す。ワインはグラスにたっぷり120mlと飲み応えがある。写真を撮るために明かりは点けたままにしてもらっていたが、次の客が来たところで薄暗くなった。「この方が気分が出る」と奥さんが笑う。

使うワイングラスは一つのみ。次のワインを飲む前にミネラルウォーターを注ぎ、その水で口の中も振り出しに戻す。同行したKが4杯、銀髪は3杯を飲んだ。その間、女性が2人、男性が1人と2人やってきた。常連の人達と、新参者、ワイン好き同士、自然と会話が弾む。

少し遅れて主人がやってきた。「やっと来た」と奥さんが喜ぶのは主人ではなく彼が抱えるフランスパン。焼きたてのパンをチーズなどと一緒に客に出すのがポリシーらしい。奥さんは主人とバトンタッチして帰る。もともと昼間はワインの販売をしているので、主人が来たところでお役ごめんである。

「近くのレストランはうちをワインセラー代わりにしてるんですよ」と言われて成程と思った。小さな店でワインセラーに多種のワインを保管するのは大変だ。注文を受けてからブッキンに走る方が効率的だ。客の選択肢も広がる。

路地裏の小さなワインショップ。集まる客たちもみんな品がいい。なかなか楽しい夜だった。

ブッキン株式会社
東京都中央区日本橋兜町19番1号
03-3666-5511
http://www.bookin.co.jp

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2010年06月05日

[糖朝 日本橋高島屋店](日本橋)

香港麺


糖朝は香港本店東京青山店にも行ったが、もっとも回数が多いのは日本橋高島屋店である。目的はマンゴープリンでも点心でもない。香港麺である。

麺の正式名称が香港麺というのか定かではない。アメリカでアメリカンコーヒーと言わないように、香港で香港麺とは言わないだろう。随分前、香港の小さな店で日式拉麵(Japanese Noodle)を見つけて喜んだらインスタントラーメンが出て来てがっかりしたことがある。
今では味千など日本のラーメン屋が進出して騙されることはなくなったようだ。

香港麺との最初の出会いは30年以上前だ。大学生の貧乏旅行だったので、安く食べられる麺・粥の看板がある小さな店によく行った。日本のラーメンと違うぼそぼその細麺をえらく気に入った。

オーストラリアのメルボルンに日本のラーメン屋が出来たのは1990年頃。我々海外駐在員たちは歓喜した。それまでお世話になったのは中華街の香港麺。日本のラーメン屋に頻繁に行くようになっても、ときどき香港麺を食べたくなった。

昨年、香港に行って喜び勇んで入った麺・粥の店に香港麺はなかった。香港にも多種の麺があることを初めて知った。2軒目もなし。家族に思い出を語ることは出来なかった。
東京で香港麺を食べたくなったら糖朝に行く。1,000円以上もする高価な香港麺は思い出の一端を埋めてくれるに過ぎない。

直近食べたのは牛バラ肉と蝦ワンタン入り香港麺(1,323円)だが、やはりいつも食べる蝦ワンタン入り香港麺(1,197円)の方がいい。蝦ワンタンを入れずにもっと安いものを作ってくれたらいいのにと思わずにはいられない。

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2010年05月19日

[stove](日本橋)

ダッチオーブン料理


可愛い二人の娘に恵まれて本当に良かったと思うものの、もし男の子がいたらと想像することもある。週末は野球やサッカーで忙しかっただろう。夏休みはダッチオーブンを持ってキャンプに行ったに違いない。見果てぬ夢である。

ダッチオーブン料理の店があると知ってすぐさま行きたくなった。1回目は満席で断られ、2回目でなんとかカウンター席を確保した。テーブル席は団体客の予約が入っていると言う。「繁盛しているんだね」と言うと、「たまたまですよ。小さい店ですから」と謙遜する。

契約農家から取寄せる新鮮有機野菜とダッチオーブン料理が自慢の店である。パンも自家製とのこと。若い二人の店員は銀髪に対してちょっと緊張気味のようだ。冗談を飛ばしながら彼らを銀髪ワールドに取り込んでいく。

「店で作ったの?」ハム&スモークはメニューに自家製と書いてある。「燻製の匂いは近所から文句出ないの?」軽い調子でどうでもいい質問を連発する。横から「焼いたトマト美味しいねー」と連れが口を挟む。いつの間にか店の若者たちも話しに乗ってきた。

ダッチオーブンは煮込みなどに使う底が深いものだと思っていたが、stoveではフライパン状のものを使う。トマトに続いて筍の生ハム巻きも同じ鉄鍋だった。ホワイトアスパラも3人に1本ずつ。喧嘩をしないで済む。

煮込みのイメージは捨てがたく、牛・豚・鳥の煮込みを頼んだ。トリッパも入ってご機嫌だ。厚い鉄鍋はやはり煮込みが合う。ほうれん草を練りこんだフェタチーニも自家製。ランチ時にはパスタが人気らしい。

ピザのお奨めはりんごのピザ。銀髪が甘味、果物を食べないことを知っているみんなは避けようとしてくれる。別に食べられない訳ではないと説明しても気を遣う。「チーズケーキとアップルパイは好きな方ですよ」と言ってようやくりんごのピザを食べることになった。思ったほど甘くなく食べやすかった。

「僕、本当は無口なんですよ」と言いながら夢を語ってくれた店員も、今は全員が揃った団体客の対応に追われている。もし男の子が生まれていたら、同年代になっているだろう。「おやじとなんかつき合ってられないよ」と言われるのが関の山かもしれない。他所の子が相手してくれるからいいか。


stove
東京都中央区日本橋室町1-11-5
03-5202-4580
http://www.nihonbashi-stove.com/


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2010年05月14日

南ばん (日本橋)

鶏の唐揚げを食べたければここ


GW中に中国旅行した友人が「ホテルはいいけど、ちょっと外れると汚い」と悪口を言っていたが、日本だって東京駅から数分の路地裏を外国人が歩いたら驚くだろう。
南ばんは日本橋高島屋近くの路地裏にある小さな店。いつも素通りしていたが、初めて入ることにした。

入り口に掛けられたメニューに赤ペンで囲まれた料理は4つ。店名を冠する南ばんメンと看板料理トリカラアゲ(1ヶ)のセットを頼むことを決めてドアを開く。テーブル席を背にしてカウンターに座り注文した。

南ばんメンは麻婆ラーメンといったところだろうが、四川料理の麻婆とは別物。子供の頃、母親が作ってくれた麻婆豆腐に似ている。具に見える塊は溶き片栗粉。わざと溶かさずにしているのかもしれない。いきなり食べると熱いのなんの。吐き出すべきか火傷するべきか、ハムレットの心境だ。

噂どおりカラアゲは大きい。1ヶで正解だった。外側がパリッとしている。この界隈で評判なのも良く分かる。真後ろのテーブルに男性客2人が座った。「二個定食2つ!」と注文した。右後ろにまた2人座った。「二個定食2つ!」と同じ台詞。この店では二個定食を頼むのが主流らしい。ところで二個定食とは何だろう。

「おまちどおさま」と背中に店のおばさんの声。しまった!食べるのに夢中でおばさんが後ろのテーブルに運ぶ二個定食を見損なった。振り向くわけにもいかないし、残念。すると今度は右後ろの客にも運ばれた。予想しろよ、ばか者!と己を罵る。

少し、ピッチを上げて南ばんメンとカラアゲを食べ切った。席を立って右後ろの客のテーブルを見ると皿にはカラアゲしか乗っていない。カラアゲ+餃子二個と思ったのは間違いで、単純にカラアゲ二個定食のようだ。さすがにカラアゲ(四個)定食は多すぎるので、殆どの人は二個定食を頼むようだ。納得。

次に行く時は常連さんっぽく二個定食を頼もう。その次は三個。四個を食べるのはちょっと辛いかな。

南ばん
東京都中央区日本橋2-6-11
03-3271-9283

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2010年05月11日

[八吉](八重洲)

子持ち昆布の串揚げとのどぐろ


「狭いし、隣席で煙草を吸っているし、部屋を替えてもらったよ」いつの間にかヘビースモーカーが嫌煙者になった。喫煙者とトラブルになるのは禁煙した人と言うのは事実のようだ。元々吸わない銀髪は望むところ。次の客の予約時間まで約1時間半。我々のグループにとっては充分過ぎる時間だ。

お通し

どれか一品を選ぶお通しも、9人いれば全ての味見ができる。

シーザーサラダ、八吉サラダ

リーダー格が〇〇を2つ、〇〇は3つ…と次々にオーダーをする。銀髪は黙って見ているだけ。入店が5時半なので、まだ客は殆どいない。従って料理が出て来るのは早い。しかし頼んだ飲み物が来ない。料理と酒を運ぶ店員はてんてこ舞いである。

ステーキ、鶏の唐揚げ

豚角煮、手羽揚げ

天ぷら、あら煮

最初に頼んだ料理は全て出て来た。オーダー役は交代する。「子持ち昆布の串揚げと干物盛合せがいいですよ」名古屋の八吉に行ったことがある部下が口を開いた。子持ち昆布の串揚げは予想以上のお味。八吉の名物というだけあって面白い。

子持ち昆布、子持ち昆布の串揚げ、干物

銀髪はのどぐろの一夜干しを頼んだ。浜田産は立派なブランド干物である。これをみんなに食べさせたかった。脂の乗りが他の干物と格段に違う。肉が大好きな部下が「干物がこんなに美味しいものとは思いませんでした」と嬉しいことを言う。

のどぐろ一夜干し、さつま揚げ

与えられた時間を10分残して我々の宴は終了した。全国展開している八吉は鮮魚が自慢。居酒屋料理も豊富である。しかしお奨めは子持ち昆布の揚げ物とのどぐろの干物。料理人の腕をあまり必要としないというのがご愛嬌だ。

八吉 八重洲店
東京都中央区日本橋3-4-1 第二弥生ビル
03-3272-8816

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2010年04月25日

[サンマルコ](日本橋高島屋)

高島屋のイートイン


日本橋三越のイートイン、たいめいけんでオムライスを食べて数日後、日本橋高島屋に出かけた。記憶にあったのはふぐ料理の春帆楼や人形町今半。どちらにしようかと考えながら歩いていたらショーウインドーにオムライスを見つけた。721円の値段につられてしまった。

サンマルコはカレーのチェーン店らしい。デパートや駅ビル中心に出店している。カレーを食べるべきかもしれないが、たいめいけんと比較するためにはオムライスを食べなければならない。たいめいけんよりずっと若い女性店員に「オムライス」と告げるとカレーとハヤシのどちらのソースか選ぶか聞かれた。

「オー!立派じゃないか」と心の中でつぶやいた。昨日の記事とまったく同じだが、内容はちょっと違う。たいめいけんでは本店と比較して1,050円にしては立派だと思った。サンマルコではたいめいけん日本橋三越店に比べて立派だと思った。こちらは721円なのである。

オムライスの味はたいめいけんの方が上なのは間違いない。しかしハヤシソースがうまくカバーしている。端から食べ進むうちに、中心の卵焼きがめくれて破れてしまった。たいめいけんと違って卵は1個しか使っていないように見える。母が作ってくれたオムライスを思い出した。

母が作ってくれたオムライスは卵を一人分に一個のみ。それでもチキンライスが薄焼き卵をまとうだけで豪華料理に変身した。チキンライスは卵一個では包めないぐらいたくさん入れたので破れずに包むのは至難だった。ケチャップではなくウスターソースをかけたように思うが記憶違いだろうか。もしかしたら醤油だったかもしれない。

チャーハンやオムライスは残った冷ごはんで作るという印象が強く、これまで外で食べる気はしなかった。オムライス専門店なるものが人気と知って本当に驚いた。それなのに1週間のうちに2度もオムライスを食べてしまった。プロは上手に作るものだ。でも、やっぱり、お袋のオムライスは美味しかったなー。


サンマルコ東京高島屋店
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋B1
03-5205-3570
http://www.tonkatu-kyk.co.jp/sanmarco/

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2010年04月24日

[たいめいけん デリカテッセン・ヒロ](日本橋三越)

デパートでたいめいけんのオムライス


たいめいけん本店には何度も行った。銀髪グルメ紀行でもたんぽぽオムライスなどを紹介してきた。たいめいけん三代目はとても意欲的で、たんぽぽオムライス弁当まで売っている。メニューが豊富な老舗洋食屋だがオムライスが看板スターであることは間違いない。

本店の2階で食べたら2,100円、1階で1,650円するオムライスだが、お弁当に近い料金で食べられる店がある。日本橋三越本店地下1階にあるデリカテッセン・ヒロである。店頭販売しているコロッケなどの揚げ物によだれが出て来るのを我慢して店内に。もちろん頼むのはオムライス。ソースはアラビアータを選んだ。

「ホー、立派じゃないか」目の前に現れたオムライスを見て、心の中でつぶやいた。一口食べて感心した。1,050円なら納得である。もっとも、たいめいけん本店ではいつもたんぽぽオムライスを食べるので比較することができない。

割って、中を覗くとごはんの間に卵が混ざって見える。たいめいけんのホームページにあるオムライスのレシピどおりに作っても、こんな断面にはならないだろう。不思議だ。
材料は本店より安いものを使っているのかもしれない。作る人はもちろん違う。値段差の理由は必ずあるはずだ。しかし、イートインのオムライスは悪くなかった。

それにしても、店頭で売られていたコロッケはうまそうだった。


たいめいけん デリカテッセン・ヒロ
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店新館 B1F
03-3241-3311

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2010年04月08日

[鳥安](東日本橋)

合鴨ではなく相鴨


お客様が徳島の出身だと聞いて、徳島料理の店を探した。いやいや、先方からの招待ならともかく、東京人が案内するなら江戸らしい店がいいと思い直した。江戸らしい店と言えば駒形どぜういせ源ぼたんやぶそばなどなど。まだ行ったことがない店はないだろうか。「そうだ!とり安がある」

隅田川の近く、風情のある外観に満足した。中に入ると意外なことに近代的。エレベーターで3階に上がるとさらにモダンな作りで驚いた。畳の間を予想していただけに、次の展開が不安だったが炭火を見て安心した。

メニューは1万円のすきやき相鴨コース一品のみ。すき焼きの前にお通し、吸い物、鳥わさと続く。コースにつきものの刺身がないのが不思議な気がするものの、明治5年(1872年)創業時からの伝統と勝手に解釈した。

すき焼きは若い女性が作ってくれた。接待であっても自然と可愛い女性に話を向けることになる。客だって銀髪と話すより気分がいいだろう。「相鴨はどこから仕入れるの?」と聞くと、「それは私も教えてもらえません。上の階で飼っているという噂もあります」と笑わせてくれる。「鴨はここに居るよ」と自分を指したら、彼女も大きく笑った。

分厚く見えた相鴨も焼けば脂が抜け落ちる。その脂を鍋の窪みに溜めて椎茸を焼く。良質の脂を吸った椎茸の美味いこと。相鴨も柔らかくて美味。「お肉を追加しますか?」と聞かれれば抗うことが出来ない。

そぼろごはん、デザートを食べてコースは終る。すき焼きを作ってくれた彼女を引き止めようと話しかける。「あなたが一番若いんでしょう?」と聞くと「私は真ん中ぐらいです」とのこと。当たり外れはないということだろうか。

デザートが来たところで、彼女と悲しい別れになった。谷崎潤一郎や横光利一などそうそうたる面々が贔屓にしたという鳥安。相鴨はもちろんだが、仲居さんとの会話も彼らのお目当てだったのかもしれない。


あひ鴨一品 鳥安
東京都中央区東日本橋2-11-7
03-3862-4008
http://www.aigamotoriyasu.com

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2010年04月06日

[マルシェ デ バン スー](日本橋)

野菜料理でワイン


ワイン好きのK氏のために企画した宴。水のように飲んで、ゆっくり味わって飲むこと知らないK氏を高級店に連れて行ったらいくらかかるか分からない。料理がちゃんとしていてワインの持込みが可能なマルシェ・デ・バン・スー(播州)に白羽の矢を立てた。ネット通販の京橋ワインで白1本、赤2本を買い、店に送ってもらった。

「メニューの左上から全部ね」オープンキッチンの上の壁に書かれている野菜をまとめて頼んだ。播州は野菜バルを自称するだけあって、新鮮野菜の料理が豊富。イタリアンでありながら鰹だしを効かせた茄子のマリネや、昆布を加えたトマトなど和の味を取り入れて面白い。

播州ではワインの持ち込み料の代わりに、1個500円~1,000円のグラス代を払う。4人で500円のグラスを使えば2,000円、1,000円のグラスなら4,000円かかる。グラス代を払ってもはるかに安く済む。

和食そのまんまのおひたしや4時間オーブンで焼いた玉ねぎなど、野菜料理はまだまだ続く。「パーティーが入っているので騒がしいかもしれませんが、よろしいですか?」何度も電話で恐縮されたが、我々4人も盛り上がっているから乾杯などの初めと終わりの唱和以外は気にならなかった。

「ムール貝はにんにくを抜いて作ってくれますか?」にんにくを食べられない人の注文も快く受けてくれる。ワインの持込みが出来ること、野菜料理が豊富なことに加えて、サービスも点数に加えて良さそうだ。

「俺は食べる!」看板料理の大根のガーリックステーキは食べなきゃ後悔する。恨めしそうな視線を感じながら食べるとさらに美味しい。最後は石焼きシンガポールチキンライスで腹を満たした。今日頼んだ中で唯一肉が入った料理。もちろん他にもたくさんあるが、もう食えない。

「電話を受けてくれたのはあなた?」勘定を払って店長の後藤マキさんと名刺交換した。間違って飯田橋店に届けられたワインを取りに行ってくれたらしい。さすがソムリエだけあって、嫌な顔一つせず、にこやかに応対してくれた。

家で眠っているワインを持ってマルシェ・デ・バン・スー(播州)に行こう。もちろん酒屋で買っても、送ってもいい。美味しい料理とフレンドリーなサービスが加われば、ワインも喜んでくれるだろう。


マルシェ デ バン スー Marche de Vin Shu
東京都中央区日本橋室町3-4-4 JPビルB1
03-6202-6600
http://www.sake-dining.com/marche/index.html

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2010年03月25日

[夢のつづき](茅場町)

細やかな心遣い


「名物の豚しゃぶを食べることにして、その前は何がいいですか?」店の女性に聞くと鹿児島から直送のさつま揚げと焼き空豆を奨めてくれた。メニューには魅力的な料理がたくさんあるのにこれで充分だと言う。

「刺身でも頼むか?」と相談していたが不要だった。お通しとしては立派な刺身が出て来た。人通りの少ない場所で、しかも地下にあるというのに評価が高いのも頷ける。

さつま揚げも美味しかったが、感心したのは空豆の方。一人に一つ塩を出す店は滅多にない。塩はヒマラヤ産のピンクの岩塩。これを言い当てた銀髪は鼻高々。モンゴル、ボリビアとヒマラヤ、3つも言えば当たって当然かも。

名物の豚しゃぶは鹿児島産霧島高原純粋黒豚を使い、自家製の和風だねで食べる。二人前から注文出来るが、豚肉は各人に一皿ずつ分けて出て来る。お互い気兼ねなく食べられる配慮だろう。充分な量で満足した。

最後はラーメンを入れることにした。満腹だと躊躇していたI氏もしっかり食べた。「明日も飲み会だから軽く」と言っていたI氏が「もう一杯」を繰り返す。それぞれ焼酎を4杯飲んだ。どれを飲んでも500円。最初の一杯は店の女性が「伊佐美も同じ値段ですよ」と奨めてくれた。「次は何がいい?」と男性店員に聞くと「店長を呼んできます」と言うので待っていたら先ほどの女性だった。優しい心遣いは店長が女性だったからかもしれない。

帰り際に店長の福島さんと名刺交換した。翌日お礼のメールが来た。贔屓にしたい店である。

夢のつづき
東京都中央区日本橋兜町16-1
03-3249-1122

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2010年03月11日

[おぐ羅 日本橋三井タワー店](日本橋)

日本橋で名店のおでんを


銀座のおぐ羅には2006年9月2006年10月に訪問して随分と時間が経ってしまった。「休みの日には日本橋の方に行ってるんですよ」と大将から聞いて、すぐに行くつもりがいつの間にか3年。時の流れは早い。

「ごぼうの中に鴨肉が入ったのはあるの?」テーブルに座り、店員に聞いた。「もちろんありますよ」と笑顔。「じゃあ、おでんは後でもらうことにして」とメニューを眺める。「あんまり高いのはないんだね」おでん以外の料理は本店と異なり3桁のものが多い。奨められるまま枠で囲んだ一品料理をまず食べることにした。

お通しに続いてトマトの冷製おでん、次に鶏ワンタン、そして牛すじトロトロ煮込み。本店にはなかったメニューだ。どれもなかなかいける。「熱燗は錫のやかんでやるの?」本店の主人が得意気に注いでくれたことを思い出す。「熱燗の機械を使っています」と店員が申し訳なさそうに笑う。当然だ。錫のやかんは大将の宝だ。

一品料理の中では出汁巻き玉子が秀逸だった。さあ、ぼちぼちおでんにしよう。本店で食べた時に感動した鴨ごぼう。ごぼうをくり抜いて合鴨の挽肉を詰めて蒸してと手の込んだ逸品。日本橋でも食べられるとは幸せだ。本店のちくわぶは巻きが崩れるぐらい煮込んであったけど… あじのつみれ、わかめ、本店を思い出しながら食べる。

しいたけ、大根、海老しんじょ、卵、ぜんまい、すじ、ねぎま。ぜんまいやねぎまはおぐ羅ならではのもの。「今でも大将は来るの?」と尋ねる。開店の時ほど頻繁には来なくなったらしい。安心して任せられるようになったということだろうか。本店とまったく同じというわけにはいかないが、おぐ羅であることは間違いない。

醤油味のおでんでなければ物足りないと言う人も多いが、おぐ羅は銀座やす幸譲りの上品なすまし汁。スープとして飲んでも美味い。リーズナブルに銀座おぐ羅の味を気楽に日本橋で食べられるとは嬉しい限りである。

おぐ羅 日本橋三井タワー店
東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー B1F
03-3516-1775

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2010年03月02日

[山沖]②(日本橋)

いい仕事してるねー


山沖に初めて行ってから1ヶ月足らず、帰り際にもらった名刺に書いてあった「古典的江戸前鮨」の意味を聞くために再訪することにした。

今回も主人の正面に座るつもりで行ったが、男性1人、女性2人の年配客に占拠されていた。彼らと2つ席を空けて左端に座った。前回は気付かなかったが落語が小さく聞こえてくる。「古典的江戸前鮨とはネタなどに何らかの仕事をしている鮨」とのこと。疑問は早々に解決し、その意味をじっくり味わうことにした。

たこ、めじまぐろ、ひらめ、しゃこ、ほっき貝

茹でたり、煮たり、昆布締めにしたりと、殆どのネタに仕事がしてある。輸送手段の発達で全国から築地に新鮮な魚介類が集まる。冷凍・冷蔵技術の進歩で輸入魚も生で食される。そんな時代に古典的鮨を極めようと頑張る山沖さんである。

いわし、まぐろのづけ、ひげだら

づけは切り身を10分前後漬けて出すところもあるが、本来は塊ごと数時間醤油に漬ける。鮪の状態により漬ける時間を変えるのがプロの腕。「今日はどのぐらい漬けたの」と聞くのも楽しみだ。メニューの中で初めて見たのがひげだら。正式名はイタチウオで一般には出回らない高級魚。昆布締めにすると美味しくなるというから江戸前鮨にピッタリかもしれない。

すみいか、しらうお、うに

すみいかも大きくなって身がしっかりしている。春を告げるしらうお。卵がプリッとしている。うにの鮨の美しいこと。ネタによってにぎりの具合を変えるという。身が固いいかはしっかり、うにや穴子など柔らかいネタはふんわりと握る。回転寿司では味わえない技だ。

あか貝、さいまき、煮はま

やはり山沖の蛤は超美味い。煮汁を使ってネタに合わせた詰めを塗れば美味さが増す。
「それがホームページに出ていた壷ですね」カウンターの中を覗きこんだ。穴子の詰め、蛤の詰め、海老の詰め、煎り酒(梅干しとお酒を造った調味料)、昆布だし煮切り、鰹だし煮切りの壷。山沖では自分で醤油に鮨をつけて食べることはない。

かんぴょう巻、玉子、漬物

携帯電話に大声で話すおばさま達は居なくなった。山沖さんが「他のお客さんがいらっしゃいますので」と言っても、スポンサーの男性が注意しても止めることはなかった。静かになった店内で、ようやく山沖さんを独占できる。前回と同じような笑顔が戻ってきた。

「今日の穴子は良くないので」と真摯な山沖さん。通振って喋りすぎると食べ損なうことがよくある。まあ、また来ればいいや。

山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/

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2010年02月25日

[割烹 とよだ](日本橋三越前)

老舗のおもてなし


とよだのホームページを開くと「文久三年から受け継がれてきたおもてなしの心」が最初に目に飛び込んで来る。西暦で何年かは書いていないので調べてみると1863年。新撰組が誕生した年で、坂本龍馬は前年に勝海舟の門下に入っている。なんとも物騒な世の中に創業したものである。さておもてなしの真髄やいかに。

映画「蒲田行進曲」のクライマックスを思い出させるような急な階段を上り、3階の部屋に入った。7人ではもったいないようなゆったりとした空間。壁の華麗な書は万葉集の2首。何を書いているかさっぱり分からない。仲居さんに聞くと、現代かなで書かれた紙片を持って来てくれた。

料理専用のリフトがついているのだろうか。仲居さんが急な階段を調理場と往復するのだろうか。長旅をしてきた料理の器たちは統制を乱していた。「これなーに?」と真ん中の料理を指さすと、仲居さんが困った顔をする。ど忘れしたのだろう。「あー、なまことこのわただね」と銀髪が先に分かった。これは美味しかった。さすがとよだである。

お造りも悪くない。刺身が食べられない人の代わりの料理も立派だった。ギンダラの西京焼きはもちろん自家製。5,000円の料理は、日本酒が欲しくなるものばかり。昼食なのが辛いやら、もったいないやら。

牡蠣が乗った大根も美味しかった。「1時までには終らせたい」という銀髪の要請を受けて、料理はテンポ良く運ばれてくる。メインが何かワクワクして待っていると海老しんじょだった。小さな料理なのでちょっと拍子抜けした。

しかし、この海老しんじょが頗る美味い。帰ってネットで調べてみると、とよだの名物料理とも言えるものだった。美味いはずだ。材料にもこだわっているに違いない。同時に出された炊き込みごはんと味噌汁でお腹一杯になった。

デザートの器も受け皿の真ん中に座っていなかった。美味しければいいじゃないかと思いながら、やっぱりおもてなしの心が気になった。

割烹 とよだ
東京都中央区日本橋室町1-12-3
03-3241-1025
http://www.n-toyoda.com

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2010年02月05日

[山沖](日本橋)

古典的江戸前鮨


「山沖さんですか?」「はい、山沖です」珍妙な応答から始まった。「山おき」「やま沖」「やまおき」などと平仮名を使う店が多いので、思わず聞いてしまった。「どんな漢字を使うの?」という定番の質問に続けられず苦笑いの銀髪。冷めた笑いを誘った。

たこを波打つように切る主人の包丁捌きを見ながら「アル中なら自然に切れるね」と茶々を入れた。「うちの包丁は切れないから、いつも波打つよ」と続けて大きな笑いを誘った。何とか名誉を回復できたようだ。楽しい食事の雰囲気作りは達成できた。

「養殖ではひらめも右を向くみたいですね」主人がひらめを切るのをみて再び茶々を入れると「養殖は右にならえですよ」と返ってきた。なかなかやるじゃないか。三平の息子のこぶ平(9代目林家正蔵)を思い出した。大好きなたいら貝の礒辺焼きを噛むと、海苔が乾いた音をたてる。


少し色づいた寿司めしを見て、「赤酢だね」と通ぶる。2種類の酢を合わせることで、酢のきつさが収まり優しい味になる。山沖の寿司は小振りで、見て美しい。だいぶん大きく育ったコハダは切れ目を入れたり結んだりで見た目だけでなく食べやすくもなる。キリリとした海老は赤坂の「喜久好」
を思い出させる。


「オウ、これは美味しいね」煮蛤を食べて感嘆した。主人が微笑んだようだ。会話の楽しさをしばし忘れた。なかなかやるじゃないか山沖さん。江戸前らしく穴子でぐっと盛り上げて、かんぴょう巻、玉子焼き、漬物と静かに食事は終焉に向かって行った。

帰り際にもらった名刺には店名の前に「古典的江戸前鮨」と記してある。今回はその意味を聞き損なってしまった。ホームページを開いてみると、主人のこだわりが次々と明らかになった。海老や煮蛤の美味しさの理由もある程度は理解できた。

近いうちに再訪しよう。古典的の意味するところをしっかりと学ぶために。

山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/

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2009年12月06日

[センス]③(日本橋 マンダリンオリエンタル)

センスがいい?


2006年2月(昼)、2008年1月(夜)に続いて3度目のセンス。今回は個室を予約したのでこれまでとは違う景色。日本橋コレドなどが遥か下に見える。馬鹿と煙は高いところが好きというが、なんだか偉くなったような気分になって恥ずかしい。

ミシュランガイド東京で毎回星をもらっているセンスだが、2010年版発売直後にもかかわらず個室が簡単に取れた。実際、昨年までは銀髪グルメ紀行にも掲載している店が星を得ると、アクセス数が増えたものだが今年は殆ど影響がない。書店にも山積みされたまま。2008年版の大騒ぎはいったいなんだったのだろうか。

センスはミシュラン2008年発売の前も今も殆ど変わっていない。一つ星はあってもなくても関係ないのかもしれない。あるいは三つ星ならともかく一つ星では不本意で迷惑かも。

鶏肉が嫌いな人にはレタスのスープが出て来た。彼は出汁ぐらいは平気なのだが、しっかり配慮してくれたのは流石である。

飲茶ランチといってもワゴンサービスというわけではない。各人に行き渡るのに時間がかかるけれど、それがゆったりと落ち着いた食事の演出にもなる。壁を背にした人たちは景色も楽しめる。窓を背にした銀髪は会話で場を持たせるしかないけれど。

銀髪が香港でもっとも多く泊まったホテルがマンダリンオリエンタルである。夜の美食三昧も思い出深いが、翌朝ホテルの中二階でお粥を食べるのが楽しみだった。レタス、ネギ、揚げパンもいいが、塩炒りピーナツが銀髪の一番のお気に入り。センスのお粥も期待通りだった。

ぜんざいのようなデザートを食べてお開きになった。帰って写真を見ると3,800円は高そうに思える。しかし、みんなの食後の感想は「安い!」ということだった。個室、絶景、優雅なサービスがそう思わせたのだろう。

ミシュランは純粋に味で選ぶと言うからたいしたもんだ。銀髪はこのブログを書き始めた頃から個人差がある味については出来るだけコメントをしないようにしてきた。食事を楽しめるかどうかの重要なポイントはサービスにある。それ以上に重要なのは誰と行くかだ。

「あなたとなら、どこでもいいわ」なんて言われたら有頂天になる。しかし、調子に乗って妙な店に連れて行くと「センスがない」と言われる。社交辞令は程々に聞いておいたほうがいい。


東京都中央区日本橋室町2-1-1
マンダリン・オリエンタル センス
03-3270-8800

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2009年11月29日

[なだ万](日本橋三越)

高級店でおばさま達に混じってランチ


創業は天保元年(1830年)、ホテルニューオータニの庭園内にあるなだ万本店山茶花荘をはじめ国内25店舗、海外8店舗を擁する老舗料理屋。日本橋店は日本橋三越本店新館10階にある。ビジネス客は部屋代が別途必要な個室に消え、我々はマダム達が食事をする席から少し離れたところに案内された。

「お嫌いなものはありますか?」一流店はコースではあってもメニューを入れ替えてくれるのが有難い。我々7人の中には鶏肉が駄目な人、刺身が駄目な人が居る。2人が申告した後に銀髪も手を上げた。「鶏肉も刺身も駄目なんです」と言うとみんながビックリする。店員が消えたところで「ちょっと遊んでみようと思ってね」と笑った。

落花生豆腐

3,000円のランチコースがスタートした。広いフロアでは店員は上座、下座は区別しないようだ。もともとそんな考えすらないのかもしれない。扱いは大衆食堂と変わらない。ビールも小鉢もアトランダムに配られた。

御造り、サラダ

さてお待ちかねの御造りが5人に配された。銀髪を含む2人には何が来るかワクワクしていたが、サラダを見てがっかりした。なんだか損した気分だ。上に乗っているのがカニ脚なので原価は同じぐらいだと思うと気が収まった。それでも手抜きに見える。

窓を背に座ったのでフロア全体が見渡せて面白い。窓際のカウンター席の老人に生ビールが運ばれていく。グラスの半分以上を泡が占めているのを見て、老人の反応が気になった。運んだ方も、受け取った方も実に自然だ。「泡を多めに注いで欲しい」と頼んだのだろうか。

栗ごはん、デザート

他の人の栗ご飯には細かい鶏肉が混ざっているが銀髪のご飯にはかけらもない。店員を呼んで聞くと鶏肉嫌いの人のために別途ご飯を炊いてくれたとのこと。他の人たちのご飯は大釜で炊かれたもの。サラダの分が帳消しになった気分である。さすがなだ万だ。

実験は意外と面白かった。しかし、ちょっと下品な行為と反省した。銀髪もいい歳なんだから、カウンターの老人のように品良く振る舞うべきかもしれない。

なだ万日本橋店
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店新館10階
03-6214-2701
http://www.nadaman.co.jp

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2009年11月24日

[北海道八雲町](日本橋)

八雲町物産館?


日本橋三越本店の向かいには奈良、新潟、島根など、県の名産品を紹介する店がある。北海道八雲町の看板を見て「町の?」と不思議に思ったら、居酒屋のようだった。それでも八雲町を紹介するパンフが店頭に置いてある。夜に来ようと思って再びランチ時に店の確認に来たら、行列が出来ていて驚いた。飛び込みで行くつもりだったが、会社に戻って予約の電話を入れた。

「なんで昼間並んでいたの?」席につくなり質問した。「スーパーニュースに出たんですよ」と複雑な表情。「だからなんだー」と言ったら、「テレビに出る前からこんなもんですよ」と強気だ。

噴火湾産の生牡蠣2個530円、高級魚の八雲産鮭児が1980円。魚介類の宝庫の名前を借りただけではない。八雲町からの直送品ならではの鮮度と値段。店員の強気のコメントも頷ける。

ホタテ、青つぶ貝など噴火湾産魚介の刺身盛合せ。ホッケの刺身は別に頼んだ。船上活きしめホッケは東京ではなかなか食べられない。590円の居酒屋値段なのが嬉しい。

あんこうがお奨めとのことだったので、皮身の唐揚げと肝のステーキを頼んだ。漫画の美味しんぼで不健康なフォアグラより天然鮟鱇の肝の方が美味しいと力説していたが、値段も加味すれば同意してもいい。

分厚く切った高級なヒラメの身(590円)とエンガワ(690円)も、もちろん噴火湾産。テレビ番組ではないが、ついつい値段をアピールしたくなる。刺身に飽きたら名物のホッケ。ランチでもホッケは人気者らしい。

コリコリが楽しいカスベのヒレの唐揚げを食べた後は、店員イチオシのあんこう鍋。あんこうと野菜だけで水分は充分のようだ。最後に雑炊を頼んだら忘れられた。てんてこ舞いの店員たちがミスをしても誰も怒らない。これで丼を食べられると逆に喜んでいる。

スーパーニュースで紹介されたのが焼鮭いくら丼らしい。同じものばかりではつまらないので雲丹いくら丼とひとつずつ頼んだ。酒を飲んだ後にはミニ丼が適量だ。

北海道八雲町はホルモン焼屋「合掌」の新業態だそうだが、おそらく八雲町が一番。町興しと産地直送、低価格がうまく機能している。テレビ人気や目新しさで賑わったとしても、はしゃがず奢らずに頑張って欲しいものだ。

北海道八雲町 合掌 ご当地酒場
東京都中央区日本橋室町1-5-2 東洋ビルB1
03-3242-1833

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2009年11月18日

[越州](日本橋)

日本酒好きには堪らない店


日本橋に出来た新しい越州はアサヒ酒造直営店としては6店舗目になる。以前銀座店に行って良かった記憶があるので、仲間を引き連れて行くことにした。オープンしてまだ日が浅いが予約なしでは入れない人気店となっている。

お通し、のっぺ、骨せんべい、白魚の天ぷら

銀髪はともかく、他の連中は新潟の郷土料理に詳しいわけではない。それでも、メニュー選びを主導するのが酒呑みなので心配する必要はない。のっぺなど選ぶべき料理が順調に選択される。

栃尾常太の油揚げ焼き、カキフライ

栃尾名物のジャンボ油揚げも選ばれたが、酒呑みでない連中はカキフライがベターのようだ。既におにぎりを食べている。晩酌をしない家庭の夕餉を銀髪は想像できない。ご飯とおかずと味噌汁だけなら食事はあっと言う間に終わる。家族団欒はどのように行われるのだろうか。

いかの丸焼き、佐渡丸干しいか炙り

「エーッ!これだっけ?」と大きな声を上げたのは佐渡丸干しを頼んだのん兵衛。いかの丸焼きを頼んだのは保守的なおじさん。越州は酒造メーカーの直営店だけに、いいお酒を他より安く飲める。肴に向くのは丸干しの方だろう。

ウインナー、村上鮭のハラス

酒粕を混ぜたウインナーは出色だった。誰もが頼む人気商品のようなので、すぐに売切れる。変わったものを食べようとしない人も、ウインナーなら箸を出す。

刺身(しめ鯖、蛸、ひらめ)、えごねり

頼むものがなくなったのか、終わり近くになって刺身を頼む奴がいる。銀髪の出番がやってきたようだ。エゴノリを煮溶かして固めた佐渡名物「えごねり」、古くなった漬物などを酒粕で煮た「煮菜」、塩引き鮭を削ぎ切りして酒、みりんをかけた村上名物「酒びたし」など新潟郷土料理を注文して講釈をたれた。

煮菜、鮭の酒浸し、へぎそば

最後はつなぎに布のりを使ったへぎそば。酒よし、肴よし、そばもよし。ただし、そばの器・へぎ(片木)が貧弱なのがちょっと残念。
銀座店では出口まで店長が見送りに来てくれたので名刺交換した。そのため、頻繁にハガキが届く。日本橋店からハガキが来ることはない。


越州 日本橋店
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1
03-6225-2630
http://www.asahi-shouzi.co.jp

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2009年11月17日

[さ和鳥 茅場町 力々](茅場町)

リーズナブルに本格水炊き

ランチ時に人形町界隈をブラブラしていたら、いい感じの店を見つけた。テレビやグルメ雑誌もいいけれど、銀髪の嗅覚も捨てたものではない。早速客2人を誘って行くことにした。仲間内ならともかく客と一緒なので念のため予約して出かけた。

店に着いて驚いた。駅から離れていて、場所もいいとは言えず、しかも月曜日だというのにほぼ満席。客も中年グループ、若手グループ、女性同士などバラエティに富む。キーワードはただ一つ。安くて美味しいということだろう。

お通し、キャベツ

テーブルには最初から茹で落花生が置いてあった。すぐ出て来るキャベツは余れば鍋に入れればいいやと思っていたのに、I氏がムシャムシャ食べる。足りなくなって鍋のキャベツもムシャムシャ。酒を飲まないので食い気旺盛である。
キャベツならともかく、唐揚げは自分の分は確保した。期待通りで満足した。

唐揚げ、地鶏炭火焼

水炊きが名物なので博多料理が中心かと思ったが、なぜかもう一つの人気料理が地鶏の炭火焼き。宮崎の知覧鶏を使っているそうで、宮崎料理屋で出るものよりはるかに美味しかった。宮崎風の地鶏炭火焼は固いのが常識と思っていたが、考えを変えなければいけないのかもしれない。

鍋、四つ身

鍋は店員と相談して2人前にしてもらった。小さなテーブルに相応しく、鍋も小振り。鍋の具材は丸椅子に置くしかない。スープを飲み、鶏のぶつ切りを食べて、つくね、野菜を放り込む。全部食べ終わったら、追加注文した四つ身(せせり、もも肉、砂肝、ボンジリ)を入れる。さらに野菜も追加オーダーして、足りなくなったスープを足してもらう。もうお腹一杯と言いながら、2人前のちゃんぽんもあっという間になくなった。

17年前に麻布十番に開店し、神楽坂を経て現在の地に移転したそうだ。東京にある水炊き料理の先駆者と自負している。新三浦、華味鳥、玄海など水炊きの名店に比べると店もテーブルも椅子もみすぼらしい。しかし、気軽に食べるなら力々で充分。ご機嫌な店だった。


さ和鳥 茅場町 力々
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-4 第三カネタツビル1F
03-3249-0100
http://www.sawacyo.sakura.ne.jp

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2009年11月07日

[今泉](日本橋)

絶品のフライ


11時10分、既に先客がいた。胸の社章を見ると証券会社。11時の午前の取引時間が終ると同時に会社を出て来たのだろう。カウンターは5席、4人掛けのテーブルが2つ。すぐに店は一杯になった。外に行列が出来ることも多いそうだ。

通常、ランチの主役は穴子フライ。この従者として白身魚、帆立、鮭、イカなどから一品選んで1,000円。江戸前では煮たり天ぷらで食べる穴子だがフライで食べさせるのは珍しい。最初に来たときは皿一杯に広がった穴子に驚いた。この日は丸まって出て来てもっと驚いた。従者はイカである。

穴子は衣を2度つけしてサクッと揚げる。癖のない白身魚のようだ。イカは薄い衣で固くならないようにサッと揚げる。ソースはウスターソースなのが嬉しい。半分は醤油をかけて食べた。

秋になると一方の主役として牡蠣が登場する。穴子と同様に従者を選んで1,300円。特大のカキフライは複数の牡蠣を合わせているようだ。銀髪が選んだのは帆立。揚げすぎないように祈った。

このカキフライには思わず唸った。何もつけずに食べると牡蠣の濃厚な味が口に広がる。中がレア状態なので生牡蠣が嫌いな人には辛いかもしれない。生牡蠣大好きな銀髪にとっては最高のカキフライだった。帆立ももちろん中は生。これはトップクラスの揚げ物屋さんだ。

カキフライと穴子フライの揃い踏みなら1,500円。銀髪が居る間に最強コンビを頼む人は居なかった。面白いことに連れ立って来ている客は、1,000円か1,300円のどちらかに統一する。相手のことを慮る優しい日本人だ。

口コミ情報を読むと今泉に対するコメントはランチばかり。忙しそうに働く主人に勇気を出して「夜は割烹ですか?」と聞いた。「夜はコースだけなんですよ」と女性が主人に代わって教えてくれた。「いくらからですか?」と今度は女性に。「4,000円です。前日までに予約してください」とのこと。思ったより安い。

よし! 今度は夜来よう。電話帳に載ってないので今度カキフライを食べに行ったときでも予約しようかな。

今泉
東京都中央区日本橋3-1-15

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2009年10月17日

[風長閑(かぜのどか)]②(日本橋)

バースデーにはトラウト・スシケーキ


銀髪のホームバーと呼ばせてもらっているのが風長閑。銀髪グルメ紀行でもっとも登場回数が多いのに、意外なことに風長閑の表題で書くのは約3年振りだ。初めて来たときは雇われマダムと思った美女(かな?)が、実はオーナーママ。着物でビシッと決めたときは、高級クラブと勘違いして客が店に入らず逃げ出すというから笑える。

ボランティアで着付けを教え、髪を結い、茶道に通じ、花を活け、箸の使い方が上手な才色兼備のママだけど、時たま一言多い。「Kさんは偉いのよ。いつもお土産を持って来られるの。ああそうそう、銀髪さんも一度だけ肉まんをくださいましたね」と言う。唐辛子なども持って来たことがあるのを忘れている。もっともKさんに比べたらないに等しいのだろう。

そのKさんと久し振りに風長閑で会った。今日も手ぶらではなく、富山のます寿司と一緒だ。それを予定外に会った銀髪にくれると言うから恐れ入る。遠慮しようと思ったが遊び心がムクムクと湧きあがって来た。「ママ、ろうそくある?」

今週は銀髪のバースデーウイークだった。あちこちで祝ってくれたがケーキは固辞した。甘いものが好きではないし、何より恥ずかしい。しかし遊びならば積極的になる。ます寿司も笹の葉がなければ立派なケーキに見える。鼻の右側を押さえて空気を飛ばすと2本消えた。今度は左側を押さえて1本消した。残り2本は口を使った。ああ、愉快だ。風邪をひいてなくてよかった。

グループ客は奥のテーブル(ソファ?)席で盛り上がる。カウンターに対する壁際のテーブル席で飲む客がママを呼ぶ。ママが笑みを浮かべて歩み寄る。カウンターに座る紳士たちは客同士で品良く会話してママの帰りを待つ。チーフバーテンダーの石井さんだって人気者だが、やっぱり女性一人客のお目当てもママかな。

帰る前に寄ったトイレでは、季節の移り変わりを感じさせてくれる。身も心も軽くなって席に戻ると厳しい現実に引き戻された。メニューを見ながらオーダーすればショットバーならではの明朗会計だが、部下がシャンパンを2本も開けたからちょっと不安だ。それでも、高級クラブで飲むような悲惨なことにはならない。

「また明日」と笑顔で見送るママに「OK!」と気軽に返事をする銀髪。明日とは明日の明日、そのまた明日の明日かも。まあ、いつの明日かわからないけれど「ママ、また明日ね!」。

風長閑(かぜのどか)
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1 
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/

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2009年10月14日

[本陣房](日本橋)

新築ビルの新しいレストラン


ちょっと前になるが、10月1日のオープン初日に8人で出かけた。ランチの準備をしているところに声をかけて予約した。昼から通しでやっているから使いやすい。会社に戻って幹事役の部下に告げると新橋の本陣房は評判がいいと言う。期待が膨らんだ。

お通し(生しらす)、かにサラダ、刺身

思ったより広い店だ。奥に個室があるとは知らなかった。例のごとくオーダーを始める。銘々が勝手に頼むものだからおばさんはてんてこ舞い。オーダー端末の使い方もまだ分からないようだ。男性社員とバトンタッチしてなんとかオーダーし終わった。

しめ鯖、日本酒、そば味噌

焼酎はもちろん日本酒の品揃えもいい。部下の一人が1銘柄を除いて全部飲んだことがあるというのでメニューを見ると、成る程有名な酒ばかりだ。ボトルで頼まず銘々が好きな酒を飲むことにした。

若い店員が一升瓶からグラスに注ぐ。グラスからこぼれた酒が枡に溜まる。一合より多く注がれて得をした気分になると思いきや、枡は一合枡よりはるかに小さい特注品のようだ。日本酒は呆気なく枡からこぼれ出してしまい、おしぼりが2勺ぐらいを飲み干した。

たこぶつ、出し巻き玉子、揚げ銀杏

オーダー時にたこぶつや天ぷらをいくつ頼むか揉めた。四皿は多過ぎると言う我々の口は鶴の一声で封じられた。その鶴は早々にかけそばを食べ、たこぶつを一切れ食べただけで飛んでいった。残されたたこぶつがテーブルを行ったり来たりする。

天ぷら、そば

「グラスと枡と別々に注ぎなよ!初日だからサービス、サービス!」促されて渋々一升瓶を傾ける店員。ちっちゃな枡を使うせこい店と、ブツブツ不平を言う意地汚い客。いい勝負だ。

天ぷらを押しつけあった後は、そば屋らしくそばで〆る。たぬきそばを頼んだ連中がつゆが濃いだの油っぽいだの文句を言う。なに言ってんだい!日本酒の肴にもなるもりそばを食べなきゃ通じゃない。二八そばはなかなか良かった。終りよければすべてよし。ぼちぼち2次会の店に行こう。

次の店で待っている鶴の首はろくろ首より長くなっているに違いない。


本陣房
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋コンフォートスクエアー1F
03-5200-6363

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2009年10月12日

[三福](水天宮)

夜の一人飯が楽しいかも


思ったよりきれいな外観にちょっと戸惑った。壁には手書きのメニューが掛けられている。中に入ってみると想像通りの小ささ、古さでホッとした。60歳前後の男性客が3人、テーブルで食べていた。スピードを落とした身のこなしのお父さんが料理を運び、機敏に動くあ母さんがカウンターの中で料理する。

日替わり500円の内訳はメニューのとおり。店内にも同じメニューがかかっている。追加の一品料理はすべて100円。同じ料金ならどれが得だろうと考えてしまう浅ましさ。先客のテーブルを盗み見ると2~4品取るのが適当のようだが、初めてなのでさばみそ一品だけ注文した。

炊き込みごはんは曜日によって決まっている。この日はあさりごはん。注文してから食べ始めるまでセルフサービスの店より速い。銀髪からしたらお父さん、お母さんというべきだが、お袋と言うよりお婆ちゃんの料理、味だ。

「イヤー、美味しいね。またメタボになっちゃうよ」と一番大きな先客が褒め称える。常連でも近くの職場ではないようだ。社用車でやってきたような立派な紳士である。メタボは三福のせいではないことは誰が見ても明らかだ。お父さんが返答しようとすると、カウンターからのお母さんの声が先に届く。

食べ終わった3人がそれぞれ勘定をする。お父さんが100円玉を握りしめている。みんな心得たもので「俺は2枚」「俺は1枚」などと助け舟を出す。釣り銭を出す方も、もらう方も簡単である。

3人と入れ替わって1人客が入って来た。銀髪も食べ終わって立ち上がると、お父さんは手の中の100円玉を数え始める。「4枚ね」と言うと、お父さんは慌てて100円玉を補充するために背を向けた。「ありがとうございました。またお願いします」と言われてその気になった。常連だけが気分がいい店ではない。

今度はカウンターに座って、のんびりと酒を飲みたいものだ。いや、その前に、一人暮らしのお袋のところにメシでも食いに行こうかな。


家庭料理 三福
東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1
03-3808-0886

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2009年10月02日

[じじあんどばば](日本橋)

移転してもカジュアルで気楽な店


移転の手紙が届いたのは8月初め。前の店のお別れ会に参加したかったが叶わなかった。新しい店にもすぐに行くつもりだったのに、アッという間に時間が過ぎてしまった。2人で行くより3人がいい。なんとか人数を揃えて出かけて行った。

5時ちょっと過ぎ、自動ドアを手で開けて中に入った。早い時間でも入れた前の店とは勝手が違う。それでも「開いてる?」と覗き込む我々を喜んで迎え入れてくれた。ソファで昼寝をしていた若い男性店員が叩き起こされたのは可愛そうだった。

実に3年ぶりなので料理を運ぶ若者たちに見覚えがない。たどたどしい日本語の若い女性とのコミュニケーションにちょっと苦労したが、お奨めに素直に従った。自家製ビーフジャーキーのお通しの後に海鮮サラダがドーンと登場した。リーズナブルで量が多いのは以前と一緒だ。

米沢牛、山梨産馬肉の刺身盛合せの味比較。定番料理の中から選ぶつもりだったが店員の推奨は本日のお奨めが殆ど。洋食屋のイメージが強いじじあんどばばにしてはユニークな料理に思えた。もっとも、店主夫婦の出身地の素材にこだわることを知っていれば納得の品だと言える。

とろーり豆腐の特製ピリ辛甘みそタレ付き、コロッケ

初めて食べる変わった料理も面白いが、〆はやはり定番のコロッケ。「ビーフシチューをコロッケにしたような奴」とオーダーしても店員に分かってもらえない。銀髪の勝手な思い込みではあるが、割ってみたらみんな頷いてくれた。

「前より立地がいいので絶対繁昌する」と言う銀髪の説は6時を過ぎる頃から現実味を帯びてきた。肉料理などカロリー過多のメニューが多いことをKさんは懸念するがそんな心配はいらない。メタボは大病するまで治らないし、予備軍もどんどん増えているのが現実だ。会席料理や洒落たフレンチ、イタリアンより素朴な洋食が大好きなお父さんたちにとって、じじあんどばばは安心な店である。

店内を見回すと、おじさんを囲んで若い男女が楽しんでいるグループが複数ある。政府も少子化対策の一環として仲人手当てや合コン幹事手当てを作ってくれないだろうか。
♪今日はお見合いで酒が飲めるぞ~ 酒が飲める飲める飲めるぞ! 酒が飲めるぞ~♪ なんちゃってね。


じじあんどばば
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋テイトビル2階
03-3274-1797
http://www.jiji-baba.jp/


以前の記事
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/04/post_183.html

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2009年09月28日

[大江戸](日本橋)

食った!食った!


創業は江戸寛政年間1800年という老舗うなぎ屋。接待にも使える立派な個室があるそうだが入ったことはない。何度か使おうかと迷ったが、うなぎ以外の料理が混ざる会席料理はどうも気乗りしなかった。

11時から通しでやっているので仕事を早めに切り上げ、予約もせずに出かけた。銀座方面から昭和通りを歩いて行くと左手に柳が見える。左の入り口が料亭、我々は右の入り口のドアを開けた。こちらには約10年前、昼に来たことがある。

枝豆、うざく、うまき

取りあえずのビールには枝豆。大瓶のビールも枝豆もよく冷えていた。料理を運ぶのはアルバイト風の若い女性。老舗につきもののベテランは料亭の方で忙しいのかもしれない。

きも焼、肝山椒煮

売り切れご免のきも焼。一人前で7~8匹分の肝を使うというから早く行かないとありつけない。「ちょっとお待ちください。聞いてきます」と店員が調理場を往復するのも儀式ではあるまい。ついでに山椒煮も頼んで精をつけることにした。何のために?

白焼き

日本酒もなかなかの品揃えである。銀髪より年長のYさんは酔ってくると食べなくなってしまう。白焼は底にお湯を張った容器で出されるから、ゆっくりとつまみ代わりに出来るのが嬉しい。

蒲焼

「俺はもういらないぞ!」とYさんが言うのでご飯は薄く敷いて貰った。一杯になった腹と酒浸しになった脳では味を云々する状態ではなくなっている。それでもうな重と一緒に持って来てくれた箸には感心した。これまでの先が細い割り箸と異なり、ごはんを食べやすい先が角張った割り箸。さすがに細かいところに気が利いている。

腹ごなしと酔い覚ましを兼ねて歌いに行くことにした。たっぷり精をつけたので発散するにはうってつけだ。


大江戸
東京都中央区日本橋本町4-7-10
03-3241-2828

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2009年09月12日

[スエヒロのお弁当]

350円のお弁当

9月7日の日本経済新聞「クイックサーベイ」はなかなか興味深い内容だった。職場で“お弁党”が急速に勢力を拡大、昼食は家から持参した弁当組が35%もいるとのこと。コンビニ弁当など買って食べる人を加えればなんと60%がお弁党らしい。

定食屋で食べて、喫茶店でコーヒーなんていうのは少数派になりつつある。弁当と飲料でワンコインが昼食の常識ということであれば、スエヒロは実に強い味方である。

随分前のことだが、日本橋三越を背に中央通りを渡って路地裏を歩いていたら弁当屋を見つけた。銀座スエヒロが350円の弁当を売っているとは知らなかった。
コンビニと比較するにはトンカツ弁当がいい。コンビニ弁当より安くて、味も悪くない。量が少なめのような気もするが、銀髪には腹八分目でちょうどいい。数日後、人気のドライカレー弁当を買ってみた。My唐辛子をかけて食べたらとても美味しくなった。

看板商品はすきやき弁当らしい。500円と聞いてすごく高く感じるから不思議だ。牛肉の下にうどんが敷いてあるものの、薄切り肉が9枚(多分)と豪華だ。

弁当に貼られた紙に製造者はスエヒロ食品株式会社と書いてある。かつては高級店として君臨したスエヒロと関係あるのだろうか。疑問に思って調べてみた。スエヒロの前身は1909年に大阪の堂島に開業した洋食屋「弘得社」で、1930年にビフテキのスエヒロとなる。その後、全国に関連会社が出来上がる。スエヒロ会の東京地区メンバーは株式会社スエヒロ、銀座4丁目のスエヒロ商事株式会社、新宿のスエヒロフーズ株式会社、そして銀座6丁目のスエヒロ食品会社である。

子供の頃、何かのお祝いで家族揃って新橋のスエヒロに行き、ステーキに感動したことが忘れられない。窓から見下ろすと、芸者さんを乗せた人力車がまさに動こうとしていた。スエヒロのファミリーレストランを見たときにも驚いたが、350円の弁当にはもっと驚いた。

350円弁当は世界同時不況の前からあり、最近始めたわけではないらしい。今度は先見性があったのかもしれない。350円の弁当にもスエヒロ100周年の誇りが反映されているに違いない。


スエヒロ弁当
東京都中央区日本橋室町1-10-9

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2009年08月30日

[筑紫楼のふかひれラーメン](日本橋三越店)

話の種に


「昼にラーメンでも食べようかな」と思っていたところにNさんから電話がかかってきた。食事を一緒にとることになったが、ラーメンでは申し訳ない。会社の前で待ち合わせて歩き出しても、どこに行くか決まらない。やっぱりラーメンが食べたい。そうだ、ふかひれラーメンなら喜ばれるに違いない。

「ご馳走しますよ、遠慮なく」と言ったら、Nさんは蟹入りの高い方、3,200円のものを選んだ。本当に遠慮がない。味比べをするために銀髪は3,000円の醤油味のものを頼む。どちらにもシュウマイとデザートがつく。

小さな器をもらい、お互い少しずつ分け合った。蟹入りの方は濃厚で美味しいが、食べ進むと醤油味の方も悪くない。ふかひれ料理の代表格であるふかひれ煮を連想させる。もやしを乗せて酢をかけるとラーメンであることを忘れそうになる。麺はそれなりで、スープが滅法美味い。ラーメンを単品で食べると2,400円。その価値はあるかもしれない。

後日、今度は東京駅キッチンストリートにある筑紫楼のふかひれ麺専門店に行った。こちらは1,600円。高級そうな日本橋三越店と駅にある麺専門店、味覚が雰囲気に左右されるのは間違いないが、800円の差は場所代だけというわけではなさそうだ。

銀座の筑紫楼に行ったとき書いたとおり、ふかひれと一口で言っても色々ある。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1189.html)ラーメンに使うものが高級品とは思えない。どちらの店のふかひれも似たようなものだろう。味の違いはスープの作り方と麺にあるように思えた。

高額なラーメンを食べるのはばかばかしいと思うが、ふかひれスープを飲むつもりなら悪くないような気もする。どうせ行くなら800円を節約しても意味がないと思った。
数ヶ月後、三越本店にある筑紫楼に行った。入り口に立つ店長らしき人と目が合う。ちょっと考えて踵を返し、近くのラーメン屋に向かった。


日本橋三越店
東京都中央区日本橋室町 1-4-1 日本橋三越本店新館10階
03-3242-2946

頂上麺 八重洲店
筑紫樓ふかひれ麺専門店
東京都千代田区丸の内 1-9-1 東京駅1階キッチンストリート
TEL.03-5224-6080

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2009年08月24日

[コルビィエラ](茅場町)

兜町の名所になるのは早いかも


以前日栄グローバル証券があったビルが建て替えられ、1階に洒落たレストランが出来た。コルヴィエラとはコルシカとリヴィエラを合わせた造語とのこと。前身は日本橋三越近くにあったジェノヴァ料理の名店「フェア・ドマ」だと言えば、名前の由来も合点がいく人も多いに違いない。

オープンキッチンかと思いカウンターを予約したが、バーだったのでテーブル席に変えてもらった。ディナールームのオープンは6時なので、カウンターでビールを飲みながら店員と料理の相談をした。素材の産地も書いてある親切なメニューだ。どれも美味しそうで選ぶのに骨が折れる。

フォカッチャに刻んだオリーブを乗せてワインのつまみにする。グラスワインも数種類用意してあるので、料理に合わせてもらえる。自家製のハムはボリュームがあってちょっとびっくりした。ソース代わりの豚のゼラチン(コラーゲンと言った方がいいのかな?)がなかなかいい。

ボッタルガ(からすみ)が乗ったサラダ。小松菜を生で?と思ったが、江戸菜とのこと。小松菜を品種改良したもので、筋がなくえぐみも少ないのでサラダでも食べられるそうだ。
「ミョウバンを添加していない志津川産ムラサキウニ100%のスパゲティ」とメニューにあるように、最高の素材を活かすウニだけのシンプル料理である。リゾットとスパゲティのどちらを食べるか悩んでいたら、どちらも食べられるように量を減らして出してくれた。

イタリア語のメニューは難しい。「豚耳やトリッパのアンドゥイエット」と書かれていたが、定番のトリッパのトマト煮込みが出て来ると思っていた。網脂で巻いたソーセージのようにして出て来るとは思いもしなかった。見て驚き、美味しさにまた驚いた。

夏トリュフで覆われたリゾット。少し芯が残る炊き方が絶妙だ。米はイタリア産とのこと。「あー、ジャパニカ米だね」と銀髪が知ったかぶりをする。日本の米はジャポニカ米、インドや中国などで使われる細長い米がインディカ米、イタリアなどで栽培されるのはやや大きくて粘りが少ないジャパニカ米だ。

再びバーに移った。チョコレートケーキもチーズも美味しい。何よりもグラッパの種類が豊富で嬉しい。「凄いですね」と言うと、オーナーシェフの松橋さんが「僕が酒を好きなもので」と笑う。左側の瓶が生産本数が僅か3,000本、日本には36本しか入ってなく、その内3本を松橋さんが買ったそうだ。カウンターで小皿料理をつまみながらちょっと飲んで帰るのも悪くないだろう。

きれいな落ち着いた雰囲気の店、料理も酒も悪くない。さらに品のいい店員の応対振り。松橋さんの素敵な笑顔。コルヴィエラが茅場町・兜町界隈の名所になる日はすぐに来るだろう。

コルヴィエラ
東京都中央区日本橋兜町1-4 日本橋兜町M-SQUARE 1F
03-6206-2306
http://www.ab.auone-net.jp/~corviera/

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2009年07月17日

尾瀬 (日本橋)

寿しとステーキ


「どこに行こうか?」と銀髪。「もう決めました」と部下。昼食会の場所は銀髪を煩わせることなく決定していた。会社の近くだが、聞いたことのない店だ。ネット上でも情報は少ない。「ステーキのコースを頼みました」と言われたが、昼にはちょっと重い。「他に何かないのか?」と聞けば「寿司があります」と答える。ステーキと寿司? なんじゃそれは

3月に開店したばかりというだけあって、まだ真新しくてきれいな店だ。カウンターとテーブル席、小さな個室が2つある。我々が入った方は大きい個室だろうが7人ではちょっと窮屈だ。椅子の後ろを歩くスペースはないので、バケツリレーの要領で皿を渡していく。

先付け

鮨コース(3,000円)、和牛ステーキコース(3,600円)のどちらも先付けは一緒。かんぴょう煮、椎茸といくら、ひらめの昆布締めの3品。悪くない。

鮨コース

海老しんじょに続いて鮨とお吸物。思ったよりも美味しい。

和牛ステーキコース

スープ、サラダ、ステーキ、ごはんと鮨コースよりボリュームがある。銀髪は鮨コースを選んだので、部下からステーキを一切れ恵んでもらったが、なかなか美味しい肉だった。夜のメニューを見ると特選和牛ステーキなるものがあるから、ランチコースの肉は一段下なのだろう。それでも脂が乗っており、年配者にはちょうどいい。

「最後はデザート?」と聞いたら、コースはこれで打ち止め。夜のコースも7,800円のコースを除いてデザートはついていない。甘味嫌いの銀髪には嬉しい献立だが、他の人たちは残念がっていた。

寿司とステーキの組み合わせをいかがわしいと思ったのは間違いだった。和風ステーキと言ってくれれば違和感はなかっただろう。

店名の由来を聞き損なった。メニューを見ると夜は「鬼怒」「日光」「華厳」「尾瀬」と4つのコースがある。主人は栃木県の出身だろうか。あるいは日光、尾瀬を熱愛しているのだろうか。今度は夜にカウンターに座って聞くことにしよう。

尾瀬
東京都中央区日本橋1-2-2 親和ビル1F
03-6214-2761

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2009年07月15日

[てん茂]②(日本橋)

鈴虫の音色を聞きながら江戸の味


名古屋からの客をランチで天ぷら屋に連れて行くと部下が言う。彼が言う店は美味しい天ぷら屋だが、ランチ時は2,000円前後の定食を食べる会社員達でごった返す。ミシュランの星をもらった店でもランチをやっているところは似たようなものだ。しばし考えた末、てん茂に行くことに決めた。夜に行ったことがあるので勝手は分かっている。(前回→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1193.html
昼は6,300円のコースもあるが、9,450円、12,600円のコースは夜と同じ。この金額なら昼間も混む心配はないだろう。案の定、我々の他には2人居ただけだった。

緑竹

いつものように海老からスタートする。前回はうどが入ったところは緑竹になった。「まだ竹の子があるんですか?」と聞いたら、待ってましたとばかり2代目が説明してくれる。2代目といっても80を超えている。台湾原産で夏場の高級竹の子として知られる。多くは鹿児島で栽培されているそうだ。えぐみがなくて美味しい。竹の子の王様と呼ばれるのも解るような気がする。

パセリ、稚鮎

日本の天ぷら屋でパセリを揚げたパイオニアが2代目だという。「飾り物を客に出すなんてとんでもない!」と先代に随分叱られたそうだ。50年以上前のことを懐かしがっているようだ。その間も3代目が天ぷらを揚げる。琵琶湖産の稚鮎は湖に留まっていると大きくならないそうだ。内臓の苦味が美味しい。

「鈴虫が鳴いてるの?本物?」と客が言って初めて気がついた。スピーカーから流れているかのように澄んだ音が店に広がる。「本物ですよ」と2代目が得意げに微笑む。後ろの椅子の下に籠が置かれているらしい。

きす

前回も食べた定番のきす。一度開いて骨を抜き、再び元の形に戻して揚げるのがてん茂流で、初代から2代目、3代目と受け継がれている。

天茶

他の客に邪魔をされずに食べられるのはいいが、ちょっと飲み過ぎたようだ。灯りを落とした店内では夜と錯覚するのは鈴虫だけではない。飲んだ後の天茶が美味い。

「次回はうなぎにしましょうか?」と言うと、客もあっさり同意した。名古屋にはうなぎの美味しい店がたくさんあるが、蒸しが入る関東風とは違う。どこでも食べられるのは天ぷらも同じだが、東京で食べるとちょっと違う。それを感じてくれたとしたら、てん茂にお連れした甲斐があったというものだ。

てん茂
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
http://tenmo.jp

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2009年06月24日

[日本橋二丁目ダイニング]②(日本橋)

夜も嬉しい野菜、野菜


「なかなか点数高いよ!」とランチで紹介した日本橋二丁目ダイニングに、夜行った。今度は狭い螺旋階段を降りても微塵の不安もない。事前に電話で予約を入れたものの、思ったとおり客はまばらだった。

お通し、本日の産直野菜サラダ

壁際のテーブルに座ると、カウンターとは違う景色だ。野菜の生産者などを書いた張り紙が間近に見える。メニューを見るよりも店に任した方が良さそうだ。女性オーナーとその妹のシェフ、昼間にもいた従業員、女性だけの店はアットホームな雰囲気である。

玉ねぎの丸ごとロースト、元祖魚肉ソーセージ復刻版愛媛生まれ

銀座コルザでも食べた玉ねぎ丸ごとのオーブン焼き。調理時間は約30分とのこと。銀座コルザでは8時間焼いたと言われたが、一杯食わされたのかもしれない。
壁に貼られた大きな赤いポスターに惹かれて頼んだソーセージ。1949年に愛媛県で生まれたアジ100%の魚肉ソーセージの復刻版。なかなか面白い→http://store.shopping.yahoo.co.jp/rikaryo/zeppin-gyoniku-sausage-4.html

玉ズッキーニ

玉のズッキーニは初めて見た。素揚げにしてくれた。色や形は違っても、味はやはりズッキーニだ。

「儲かっていますか?」と入店早々失礼なことを言ってしまったが、店内はほぼ満席になってきた。いい食材を集めれば仕入れ値は上がり、利鞘は薄くなる。「頑張ってるね!」
意外なことにこの日は女性客より男性客の方が多かった。メタボの客が殆どいないのも分かるような気がする。健康に気をつかっているからここに来る。ここに来るからますます健康になる。

自家製ピクルス、千歳ラム工房のフレンチラック

最後に北海道産のラムを食べた。もちろん肉も魚もあり、野菜同様のこだわりを持っている。バランス良く食べることが何より大切である。

夜の日本橋二丁目ダイニングはいい店だった。オーナーの村上さんの名刺を見ると、店名の他に会社の名前が書かれていた。「食養生」の社名を見ればオーナーの思いも良く分かる。メタボに悩む人は毎日通ってもいい。毎日一人で食事をする人にもお奨めの店である。

日本橋二丁目ダイニング
東京都中央区日本橋2-15-3 B1F
03-3274-6776
http://yoshokuya.exblog.jp

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2009年06月17日

[ドンピエール](京橋)

立派なランチコース


「ドンピエールのランチコースを予約しました」と部下が言う。「ドンピエールならオムライスだろう。コース料理なんか断っちまえ!」と命ずる銀髪。素直に電話した部下が聞いた答えは「オムライスは1時からです」。粘ったけれど徒労に終った。

久し振りのドンピエールは記憶どおりの小さな店だった。一目で我々7人のテーブルがどれか分かる。席につくまで周囲を観察すると、客の殆どはオムライスと並ぶ名物のカレーを食べているようだ。部下が頼んだのは3780円のコースである。

自家製ハム、スープ

立派なハムにMさんがいたく感心している。「もう少し厚ければメインディッシュになりそうだ」と言う声にみんなが同意する。

メインコース

メインコースは岩手産無菌豚、ラム、ハンバーグ、黒ムツの4つの中から選ぶ。魚は誰も望まなかったため、撮った写真は3つになった。
どれもランチとしては充分な量がある。分け合って食べることをしなかったので、それぞれの料理の出来具合を評価することはできないが、それぞれが自分の選んだ料理に満足したようだ。

デザート

これまでの料理で値段にしては立派だと思っていたけれど、デザートのワゴンを見せられてちょっと驚いた。これだけ見事なデザートを見せられると、甘いものが苦手な銀髪は損した気分になる。デザートの料金を引いてくれたら嬉しいのになー

一人2種類選ぶことが出来るので、女性二人の後に銀髪もオーダーした。自分で味見する分を残して彼女たちの皿に取り分けてあげた。これで彼女たちは4種類を食べられることになる。横からMさんが自分の皿を出してくれた。分けるためではなく撮るために。

食事が終る頃、新手の客が数組入ってきた。席につくなり「オムライス」と注文している。時計を見るとちょうど1時を過ぎたばかり。混み合うランチタイムの後にしか食べられない名物料理。なかなかの戦略ではある。

ドンピエール
東京都中央区京橋2-3-4
03-3242-0141
http://www.perignon.co.jp

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2009年06月10日

[鳥ふじ]②(日本橋茅場町)

名古屋コーチン鍋


開店からもうすぐ2年。マスコミ等で度々取り上げられて、評判の高い店になった。銀髪が来て絶賛したのは1年半前で、久し振りの訪問である。2度目は名古屋コーチンの鍋を食べると決め、何度か再訪を試みたがタイミングが合わなかった。

「名古屋コーチンは火曜に入るので、今日で良かったです」と女将に言われてホッとした。今回はぴったりとタイミングが合った。

つくね、きゅうり、刺身三種

コースには刺身も入っており、とてもフレッシュで美味しい。連れに「彼女が女将だよ」と言って驚くのを楽しむ。「よく従業員と間違われるんですよ」と笑う女将は1年半前と変わらず若々しいが、余裕が出てきたように感じる。

手羽元、首肉

「熱いけど手で持って食べてください」明るい声で勧めてくれる。「三羽分の首肉を使っています」と言われて感心する。噛むほどに味が染み出してくる。

竜田揚げ、焼き霜

「イヤー美味しいですねー」と連れが褒めるので気分がいい。コースには入っていない鳥の焼き霜を追加してやった。焼いた後、冷凍庫で冷やすため時間がかかるが、再び褒め言葉を聞けるのは間違いない。

「切れ目がぱっくり開いて浮き上がってきます。箸でつまんで弾力が出てきたら食べ頃です」女将がお手本を見せてくれる。二切れ目からは自分たちでやる。鍋の中の鳥肉をこれほど見詰めるのは初めてだ。食べ頃を逃さないように真剣勝負。うまいうまい。

刺身でも食べられる内臓類もうまい。最後につくねを鍋に入れ、火が通ったところで野菜を加える。雑炊には人気の親子丼にも使われる日本一のこだわり卵が入る。
「ここは焼鳥屋と言ってはダメですね。鳥割烹と言うべきです」と連れがいいことを言う。ほぼ一杯になった店内を見るとますます気分がいい。常連さん気分になっている自分がおかしい。「いつもありがとうございます」と女将に笑顔で見送られるとちょっと面映い。今日で2回目なのである。

「近い内にまた来ますよ!」と言ったものの、新規開拓に明け暮れる銀髪にとっては約束が守れるかどうか辛いところだ。


鳥ふじ
東京都中央区日本橋茅場町3-4-6 本橋ビル2F
03-3249-6118
http://www.torifuji.net

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2009年06月04日

[江戸路](人形町)

旧鳥友の時代から人気の焼き鳥屋


「玉ひでの姉妹店」というだけで店は一杯になるだろう。鳥友がなくなったと思っていたら、立派なビルが建ち、名前を変えて再スタートした。経営者の玉ひでの娘さんを見たかったが、この日は虎ノ門にある店に居るとのことだった。

大通りに面したドアから入り、長いカウンターを左に見ながら奥に進み、階段を上った。席につくと、お通しとコラーゲンスープが運ばれてきた。ちょっと変わった枝豆は誰もいないテーブルの殆どに置かれていく。柱が窮屈な4人席に押し込まれたのを恨むより、来る直前の予約にもかかわらず入れたことを喜ぶべきかもしれない。


レバーのパテ、冷やしコラーゲン鳥、砂肝すだちポン酢、鳥皮柚子ポン酢。焼鳥の前に、ちょっと変わった料理を食べることにした。女性なら飛びつくコラーゲンに、男たちはあまり興味を示さなかった。

もも肉、ハツ、つくね、レバー(タレ)

お任せの5本コース、8本コース、どちらを選ぶか悩んだ末に、食べたいものだけをオーダーすることに決めた。もっとも、他の人にとっては店に任せるか銀髪に任せるかであまり違いはない。出てきた焼鳥は値段で予想したとおりボリュームがある。まず4本ずつにしたのは正解だった。

ハツモト、ぼんちり、せせり、砂肝、皮、合鴨


今度は2本ずつ頼んで、4人で分け合うことにした。銀髪にとってはハツモトが初体験。ぼんちりやせせりが初めての人もいた。銀髪だけが頼んでいると不満が出る。定番の砂肝や皮が食べたいと思うのも無理はない。

最初に頼んだ4本はタレか塩か好みを聞かれたが、ハツモト、ぼんちり、せせりは選択させてはくれなかった。それぞれがオリジナルの味付けになっているからのようだ。ぼんちりやせせりはさっぱりと美味しく食べられるが、未経験の人たちには本来の味を知らしめたかった。

勘定をして1階に下りるとカウンター席もほぼ一杯で賑わっていた。今度はカウンターで食べてみたいものだ。


江戸路
東京都中央区日本橋人形町1-19-2
03-3668-0018
http://www.ensen-ado.com/edoji/ningyoucho/1.htm

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2009年05月30日

[二丁目ダイニング](日本橋)

なかなか点数高いよ


永代通りを茅場町から日本橋方面に歩いていたら、野菜の直売所を見つけた。どうやら産直野菜を使っているレストランが店頭で無人販売をしているらしい。俄然、その店に興味が湧いた。

狭い入り口の階段下に店はある。いきなり誰か誘っていくのは気が引けるので、ランチタイムに視察することにした。営業時間は11時半からとこの界隈にしてはちょっと遅い。開店と同時に飛び込み、カウンターに座って定番のハンバーグを頼んだ。

野菜を売り物にしているだけに付け合せの野菜がバラエティに富んでいる。「なかなか点数高いよ」と店の女性に根っこがついた小松菜を褒めた。「男は残すでしょ」と聞いたら予想通り。食通のKさんが聞いたら怒るだろう。「うちの野菜は固めに茹でてあるからか、残す人が多いんですよ」とのこと。

ごはん、サラダ

ごはんは白米、ういろう豆、玄米類、はだか麦、もちきびの五穀米。健康のため、よく噛んで食べるような固さに炊き上がっている。サラダもいい加減なマカロニサラダというわけではない。
食後のコーヒーもデミカップではなく、しっかり量がある。これで1,000円ならなかなかいいと思うのだが、近隣で働く女性たちの評価はどうだろうか。

野菜は生産者の顔がしっかり見えるものを使っている。魚は築地交差点マクドナルドが入るビルの1階にある浅田水産から仕入れると言う。築地で一番美しい女性がいる店としてテレビでも度々紹介されている。銀髪は市場内で買うことが多いが、買い忘れがあったときには浅田水産に行くことにしている。築地に慣れていない人は混み合う場内や場外市場に行くよりは浅田水産の方が買いやすくて安心である。

「浅田水産の尚子さんは、凄い美人ですってね」と店の女性が言うので「いやいや、あなたの方が上だね」と答えた。ホントだよ。

夜はもっとたくさんの野菜がメニューに乗るそうだ。浅田水産本日イチオシの魚も興味がある。近い内に行ってみよう。


日本橋 二丁目ダイニング
東京都中央区日本橋2-15-3 B1F
03-3274-6776
http://yoshokuya.exblog.jp

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2009年05月29日

[だぼ鯊]⑥(日本橋)

もうすぐ終わる銀宝


今年もあぶないところでギンポオを食べ損なうところだった。最盛期がゴールデンウイークに重なり、営業日数が減るため時が経つのが早い。地方から来る人を連れて行くところを思案していて思い出した。お江戸日本橋の名物料理トップ3は寿司、天ぷら、鰻。そうだ!ギンポオ(銀宝)を忘れていた!てなもんだ。

一番好きな天ぷら屋さんは「だぼ鯊」。扉を開けた途端に笑顔で迎えてくれる。「他の2人はお任せ。俺はお好みで」と我儘が言えるのも良い。大将は臨機応変、変幻自在である。

稚鮎、三つ葉

琵琶湖の稚鮎はちょっと苦味があって美味い。軽く三つ葉を食べてお目当てのギンポオを揚げてもらう。

ギンポオ

しんこ、新いか、はぜ、ギンポオなどは、大きく育つ前の僅かな期間が旬。特にギンポオは大人になると皮が固くて食べられない。江戸前天ぷら、通好みの代表格である。

小玉ねぎ、あおりいか、めごち

他の人たちが一通りコースの品を食べ終えた。すかさずギンポオを勧める。大将が丁寧にギンポオの説明をしてくれる。これに口を挟むのが銀髪の悪い癖だが我慢できない。もちろん銀髪も2匹目を頼んだ。

ギンポオ、あなご

最後は穴子。ギンポオと食べ比べする。ホカホカ、サクッ、は一緒だが歯ごたえが微妙に違う。もちろん味も。イヤー、楽しいな。

しじみの味噌汁

連れの一人が椀物を頼んだ。立派なしじみは身も美味しく、いいだしが出ている。「十三湖?小川原湖?」と質問したら、茨城県涸沼(ひぬま)産とのこと。茨城県は宍道湖を擁する島根県、十三湖や小川原湖がある青森県に次いで全国第三位のしじみ漁獲高を誇る。イヤー、まだまだ知らないことはたくさんある。

知らないでいれば食べ損なって悔しい思いをすることはないが、知った以上は食べずにはおられない。何はともあれ今年もギンポオを2匹食べることができた。めでたし、めでたしである。

ギンポオが食べられるのもこれから1週間あるかないか。食べたい人は急いで天ぷら屋さんへ行こう。もちろん、だぼ鯊がお勧めである。


だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533

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2009年05月27日

[PIZZA DA BABBO ピザ ダ バッボ](人形町)

人形町で人気のピザのお味は


「おいっ!ピザを食べに行こうぜ!」会社に残っていた部下に声をかけた。評判のピザを食べるためには4人がベストである。開店の6時を少し回ったところで店に入ると、左奥の部屋に通された。我々にとっては薄暗いが、恋人たちには良い雰囲気だ。

休み明けなのに何と予約でほぼ満席。6時半頃団体客で埋まるので、料理は早めに頼むようにアドバイスされた。

パン、お通し、自家製ピクルス盛合せ

ワインも早めに白と赤を1本ずつ選んだ。白と赤を同時にテイスティングして「白はもう少し冷やした方がいいな」「ウン、赤は空気に馴染ませてから飲もう」と格好をつけたかった。しかし約20年前、外国人に教わったこれらの台詞は使えなかった。ソムリエがいる店なのに、我々が見ていないところで別の店員が開栓し、テイスティングも省略されてしまった。


自家製シチリア風ソーセージ、トリッパ・ヒヨコ豆・緑野菜のオーブン焼き、青海苔の衣をつけたタコのフリット、イタリア版スティックサラダのバーニャカウダソース。隣席でも早めにまとめて注文しているが、我々の料理は順調にやってくる。どれも悪くない。特にトリッパが気に入った。いよいよお目当てのピザ。店のコーナーにある石釜には薪が燃えており本格的だ。

オリベッラ、メーラ

水牛モッツァレッラ、フルーツトマト、ルーコラのオリベッラ。ちょっと焦げが気になる。4人で分けるように切れ目が入っているのは嬉しい配慮である。6分割されたら面倒だった。
トマトソースがかかっていないリンゴとゴルゴンゾーラの白いピザ・メーラ。添えられたハチミツをかけると意外にもよく合っている。甘いものが苦手な銀髪も美味しく食べられた。

マルゲリータ

最後に変わったものを食べようかと思ったが、他店と比較しやすいマルゲリータを食べることにした。これも黒い部分が多い。裏もしっかり焦げている。それにもかかわらずチーズは溶けきらずにダマになっていた。日本橋「ウノ」の福山オーナーが「焦げは飛沫のようでなければならない」というようなことを言ったのを思い出した。

満員の客が料理人の余裕を失わせたのだろう。来た日が悪かったのかもしれない。


PIZZA DA BABBO ピザ ダ バッボ
東京都中央区日本橋人形町2-21-1 島村ビル 1F
03-3666-2777
http://www.da-babbo.jp/

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2009年05月20日

[織音]②(日本橋)

カウンターの割烹もいい


織音は2度目だが夜は初めて。カウンターに座って割烹料理を楽しむことにした。「昼に来たときのことをブログに書いたんですよ」と言うと、「あー、あの時の。みんなで読ませてもらいました」と女将が微笑む。カウンターの中の上神田さんが「今日は逃げ出したい気持ちです」と冗談を言う。

安いコースだと物足りないし、高いものは多すぎる。メニューを見ながら迷っていると、6825円のコースを示し「基本のコースにお好みのものを足したらどうですか?」と勧められた。「私が採って来た山菜もありますよ」と上神田さんに言われて決心した。「お任せします」




「酒選揃い」は箸染(車海老と蚕豆の黄金和え、筍と百合根と花山葵の梅肉絡め、うるいの辛子明太掛け、山独活の辛子酢味噌)、凌ぎ(冷昆布うどんと日本橋野菜)、椀(蓬餅とあいなめ葛打ち)、差味(さしみ二種)、風韻(丸茄子味噌田楽)食事(すっぽんご飯 黄身生姜餡)で構成される。昆布を練り込んだうどんは珍しい。和食の椀にムール貝は初めての経験。スッポンごはんにカレーとは驚かされる。

「そら豆は鞘が空を向いてなるので空豆や天豆、繭に似ているので蚕豆とも書きます」と教えられる。「山独活って何?」「日本橋で野菜ができるの?」各人に配られたメニューを見ながら話が弾む。

「何か当ててください」と出されたものの味や食感はイチジクのようでもあり、キウイのようでもある。またたびと教えられて驚いた。人間も食べるものだとは思わなかった。キウイはまたたび科ということなので味が似ているのも頷ける。
スタッフが作ったという鰹の酒盗には肝が入っているとのことでちょっと苦味がある。日本酒好きの銀髪には危険極まりない。
なるこ百合、あぶらこごみ、せり、姫筍などもコースの途中で出してくれるのでますます酒が進んでしまった。

カウンターには我々の右隣に接待風の3人が座り、後ろの大きなフロアは貸切りで満席、それでもあまりうるさくなくて気にならない。ゆっくり時間が流れていくような感じがするのも、目の前の上神田さんや女将の接客のお陰だろう。

昼の会席も良かったが、夜の割烹も楽しめた。オーナーシェフが仕切る割烹が好きな銀髪だが、一流ホテルにある割烹のような織音もなかなかいいもんだ。


織音(おりね)
東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロントB1
03-3516-1097
http://www.orine.jp/

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2009年05月16日

[恵亭](日本橋高島屋)

和幸グループの究極のとんかつ専門店


和幸は全国各地の駅やデパートなどにレストランが150店舗、惣菜屋が95店舗もある。さらに別の名前のとんかつ屋さんがあるとは知らなかった。恵亭は最良の肉、生パン粉を使用し、つなぎの卵は黄身のみを使う。油は60枚を目安に取り換えるなど、頑固なまでにこだわっているそうだ。

こだわりは豚カツだけではない。店内はゆったりとして雰囲気がいい。接客態度もいいし、上品な高島屋の客層によくマッチしている。こんなに豚カツ好きなお年寄りが多いのかと驚いてしまう。

1,600円のロースかつ膳を頼むと、お代わり自由のキャベツや漬物が並ぶ。隣席の老夫婦の旦那の方が席に着くなりビールを頼んだ。恵亭でのビールは奥様の買い物に付き合ったご褒美に違いない。


生パン粉を使った豚カツは油っこくてあまり好きではない。厚い肉に火を通すためには油の温度を下げなければパン粉が焦げてしまう。恵亭ではきれいな純正植物油を使っているためか、なんとか銀髪の嗜好に合った。

「キャベツのお代わりはいかがですか?」「なくなったお漬物を持ってきましょうか?」などと店の女性がかまってくれる。食べ終わったのに「お茶を取り替えましょうか?」と丁寧だ。辛子もこだわっている。爪楊枝もちゃんとしたものだった。和幸グループの力の入れようが分かる。

キャベツには胡麻と柚子の2種類を交互にかけて食べきった。土佐醤油をかけた大根おろしをカツに乗せたり、とんかつソースや醤油をかけるなど味を変えて楽しんだが、あれこれ選択肢があるので忙しかった。結局、最初に何もつけずに食べたものが一番美味しかったかもしれない。

恵亭は各地の高島屋などに7店舗を展開している。伊勢丹4店舗に展開しているさき亭も同ランクの店らしい。和幸をちょっと見直した。

恵亭 日本橋店
東京都中央区日本橋2-11-1 高島屋日本橋店6階
03-3517-1971

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2009年05月14日

[天香回味 火烤二吃 木原店店](日本橋)

一石三鳥?


天香回味の一番新しい店が日本橋コレド裏の路地に3月末オープンした。「天香回味 火烤二吃 木原店店」を完璧に読める人は多分いないだろう。テンシャンフェイウェイ・ホッカリャンツーきわらだなてんと読む。木原店は明治から昭和の初期まで「食傷新道」とも言われていた横丁らしい。

天香回味は薬膳火鍋の店として知られる。木原店店はグループで初めて2色鍋に鉄板をつけた鍋を導入した。鍋と焼き物を同時にやろうという欲張りな要求を満たすことが出来る。

3980円のコース

薬膳鍋は日本橋本店や東銀座店など何回も食べたことがあるが、我々9人の中には初めての人がほとんどなので店長の説明を黙って聞くことにした。ところがチャチャを入れるのが数人いて、説明時間が伸びてなかなか食い物にありつけない。イライラする銀髪とは対照的に店長は冷静だ。

説明が終わると一斉に材料を放り込む。鉄板のスペースが小さいので、一度並べたニンニクは鍋に放り込んだ。豚肉も半分は鍋にぶち込む。欠食児童たちの戦争が始まった。

コース料理に含まれる野菜やきのこ類を鍋に入れた後で、コース外のきのこを全種類追加した。2卓の鍋に一皿ずつの意味で「きのこを全種類2皿ずつ持って来て!」と仲間が頼んだら、中国人の女の子は誤解して各卓に2皿ずつ持ってきたから堪らない。置く場所もないので次々に鍋に入れた。写真も全部撮る暇がなかった。

とてつもなく多量に思えたが、殆ど残さずみんなの胃袋に収まった。鍋は大勢で食べると美味しい。もっとも、大人数だと鉄板がいかにも小さすぎる。一石二鳥ならぬ一石三鳥のはずが、一兎をも得ずになりかねない。新開発の鍋は2人、多くても3人が適当のようだ。しかも我々のような欠食児童ではなく上品にゆっくり食べる人向きとも言える。

薬膳鍋と焼肉を食べ過ぎて、胃腸薬が必要になるようなことだけは避けたいものだ。

天香回味 火烤二吃 木原店店
東京都中央区日本橋1-5-8 1F~3F
03-3548-3337

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2009年05月12日

[嶋村]②(日本橋)

気楽に行ける老舗割烹


客を迎えるにあたって料理屋を決めるのは難しい。行きつけの店なら我侭がきくし安心できるが面白味に欠ける。漫画美味しんぼでは客の生い立ちや性格、趣味趣向等を熟知した上で接待せよという。久し振りに東京に来る友をどこに連れて行くか考え込んだ。最終的に彼が長年勤務した日本橋にあり、知る人ぞ知る老舗割烹料理屋・嶋村に決めた。

お通し、ほたるいか、空豆

堅苦しい場を嫌うので1階のテーブル席にした。「初めて来た」と言っていた彼も、ビールから日本酒に変わったところで「あのカウンターで昼飯を食べたことがある」と目を輝かせ始めた。苦労のし甲斐があったというものだ。

お造り(ひらめ、さざえ、かつお)

壁に貼られた短冊の魚をピックアップしたら立派な刺身の盛合せが出てきた。さすが名料理店だ。実に上手に盛り付ける。

鯛兜の塩焼き、煮付け

嶋村の名物は鯛兜の煮付け。塩焼きも捨て難いので2品頼んでみんなで突っついた。もっと大きいイメージがあったが、一人一皿でもよかったかもしれない。

出し巻き玉子、地鶏塩焼き、新じゃが煮、3種入り雑炊

老舗割烹といっても仲居さんはとてもフレンドリーで気楽な雰囲気。居酒屋気分で予約なしに扉を開ける客も多い。我々も名物の鯛兜を食べた後は居酒屋で頼むような酒の肴で盛り上がった。

壁を見ると何やら番付表のようなものが額に入れて飾られている。これが文久元年の大江戸料理屋番付表で嶋村の名前が中心に大きく記されている。文久元年は西暦では1853年で、黒船来航(1855年)、安政の大獄(1860年)、桜田門外の変(1862年)より前。嘉永3年(1850年)創業から長く存続できた秘訣は、妙に格式張らず庶民にも愛される店作りにあったのではないか。今の嶋村を見て勝手に納得する銀髪だった。


03-3271-9963
東京都中央区八重洲1-8-6
03-3271-9963

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2009年05月04日

[万豚記ワンツーチー](日本橋)

日本一辛い坦々麺


パーコー麺を食べようと万世日本橋店を探して昭和通りを行ったり来たりしたことは昨日書いた。長年続いた店がまさか閉店しているとは思わなかった。閉まる店があれば開く店もある。いつ出来たか知らないが、初めて万豚記の日本橋店に行った。

もっとも万豚記の1号店が1994年に開業して以来全国に47店に拡大し、紅虎餃子房など662店を擁する際コーポレーションの牽引役を担ってきたようだ。日本橋では新顔でも堂々たる風格がある。

メニューは豊富で何を食べるか迷った。周りの客たちが食べているものはバラバラである。悩んだ末に「日本一辛い坦々麺」を頼んだ。「日本一」のネーミングに負けた。

カウンターに座ると料理人の動きが見えて実に楽しい。筍と挽肉の料理、回鍋肉が運ばれて行った後、料理人が鍋に唐辛子を大量に放り込み始めた。

見た目に圧倒されるが唐辛子の辛味はそれほどではない。もっと辛いラーメンはたくさんある。痺れるような辛さは山椒によるものに違いない。

食べ続けるとヒリヒリしてくる。日本一山椒辛い坦々麺にごはんを放り込んだが失敗だった。ごはんに汁をかけた方が良かった。
食べている間も料理人を見ていたが、銀髪のような馬鹿はいなかった。他にも食べるものはたくさんある。隣の客が食べていた回鍋肉は美味しそうだった。

それにしても店名を正しく読める人がどの位いるのか気になる。「今日の昼飯はマントンキにしようぜ」という人が圧倒的に多いと思う。まあ、通じれば何と呼ばれても店側は気にしないだろうけれど。


万豚記
東京都中央区日本橋室町1-11-13大西ビル1F
03-3527-9351
http://www.kiwa-group.co.jp/brand/search.php?j=100004

追悼

忌野清志郎さんが亡くなった。銀髪に自転車を勧めてくれた友人は忌野清志郎さんに触発されて自転車を始めた。その縁から、ある意味彼を崇拝していた。ご冥福をお祈りします。

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2009年04月29日

[わかい](人形町)

熱い熱いラーメン


毎月1回行くのがとても楽しみなラーメン屋。週1回ぐらいは行ってもいいのだが、人形町の床屋に行くついでなので仕方がない。ラーメンマニアらしい若者は見当たらず、いつも近隣の会社員たちで賑わっている店である。

路地裏にあるため、通りすがりの人が偶然入って来ることは殆どない。メニューの最初にあるのは醤油ラーメンだが、多くの人は味噌ラーメンを頼む。しかも3人に1人は「カタメン、1.5」と付け加える。麺の茹で方が固め、大盛りの意味である。

この日は11時10分に到着した。一番乗りである。主人が銀髪ただ一人のためにラーメンを作り始めた。出来上がるまでに客が入ってこないことをひたすら祈る。客が増えると主人はもやしをどんどん加えて客の数に合わせるので、出て来る時間は遅れて味は不安定になってしまうことがある。

もう一人の料理人が茹で上がった麺をどんぶりに入れた。もう安心だ。今日はラッキーなことに作り終わるまで次の客は入って来なかった。

もやしを炒めてスープを加えて煮込む札幌ラーメン方式の料理法のため、滅茶苦茶熱い。これが最高にいい。熱くなければラーメンではないと思う銀髪である。どんなに評判の店でもスープがぬるいと好きになれない。

ラー油壷の底に沈んだ唐辛子をすくって加える。時には持参の一味唐辛子を振り入れる。熱さと辛さで鼻水が出て来る。ポケットティッシュを持っていなくて何度後悔したことか。初めて食べた時は違和感があった茎わかめも好きになった。

半分ほど食べたところで客がどんどん入りだした。主人、麺を茹でる人、女性店員、合計150歳はゆうに超えるだろうベテラン達に活気が出てきた。銀髪はどんぶりに神経を集中する。今日はティッシュを持っているので安心だ。

今日は今までで一番美味しかった。髪が伸びるのが待ち遠しい。


わかい
東京都中央区日本橋堀留町1-7-16
03-3661-3661

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2009年04月23日

[伊勢定](日本橋)

うなぎ会席


「うなぎ屋を予約しました」と言われて考え込んだ。だらだら酒を飲んでから最後にうな重では満腹で動けなくなるし、分け合ってどんぶり飯をつつくのもゾッとする。コース料理の内容を見たら、最後の食事は半うな丼になっている。よし!5,250円の「野立」に決めた。

ぬた、おから、お造り、焼鳥、うなぎの肝焼き

コースとは別に焼鳥とうなぎの肝焼きを頼んだ。苦味のある肝焼きは通好みで、酒を飲まない連中はあまりいい顔をしない。うなぎ屋定番のうざくを頼もうかと思ったが止めにした。酢の物を嫌う男は多い。

白焼き、う巻き、若竹煮

白焼きが出てきてようやくうなぎ屋らしくなってきた。う巻きもなかなかいい。伊勢定は日本酒の品揃えがいいのが気に入った。うなぎ屋で純米酒や吟醸、大吟醸を何種類も置いている店は他に知らない。

半うな丼、肝吸い

うな丼を仲居さんが各人の前に置いて行く。優しい部下がそれを奥に座っている人にまわそうとして仲居さんに止められた。先ほど白焼きの腹の方を食べた人には、蒲焼きは尾の方を出すらしい。公平に分配するという気配りには感心した。

漬物、水菓子

バランスの取れた良いコースだった。しかし、うなぎは大勢揃ってコースで食べるものではないと、あらためて思った。うざく、う巻き、肝焼きを肴に軽く日本酒を飲み、最後にうな丼を食べるのがベストではないだろうか。デザートなんていらない。

昼なら肝焼きでビールを飲み、うな重で腹を満たす。これが一番だな。

伊勢定
東京都中央区日本橋室町1-5-17
03-3241-0039

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2009年04月15日

[織音](日本橋)

接待にも使えるお店


「会員様ですか?」電話予約の際に聞かれた。そのとき織音は東急リゾート・ハ―ヴェストクラブが昨年10月に開いた会席・割烹料理屋だとは知らなかった。「近隣の方ですか?」と会員以外でも優しい応対に安心した。

社員6名を引き連れてランチに出かけた。5,040円の小会席、一人は刺し身、もう一人が鶏肉が苦手だと告げてある。

烏賊の文字が鳥に見えたので文句を言いそうになった。どうも老眼がひどくなって落とした照明の下では見えにくい。「品書きにさしみ醤油と書くのは珍しい」とMさんが指摘する。「ダシを加えて作っているのでしょう」と銀髪。名料理長らしく、さりげなくアピールしているように見える。


「立派だなー」刺し身の代替料理は見事な野菜尽くし。銀髪も刺し身がダメだと言えば良かった。「ぜんまいじゃありませんからね」煮物に入っている山菜を指して皆に知ったかぶりをする。色鮮やかなこごみである。

山菜の天ぷらはこごみ、ふきのとう、たらの芽の3種類。次の料理が出てくる間の話題は箸に向かった。再びMさんの指摘で変わった形状の箸であることに気付いた。「女将が器に凝っていますので」と店の女性に教えられたのは箸置き。裏返すと素材が書いてあり、集めてみると5種類あった。

本日のお楽しみデザートは夏みかんのゼリー。甘さ控えめなので銀髪でも美味しく食べられた。ここでも自家製か高島屋で買ってきたのかとたわいもない話で盛り上がった。

日本橋界隈は意外と接待に使える店が少ない。織音は6人用の個室が2つだけだが、大きな部屋でも席の間にゆとりがある。我々が大はしゃぎしても、他の席のおば様たちの迷惑にはならなかったと思う。6席の割烹や、バーもリゾートクラブらしい趣がある。

ホームページを見ると料理長は見事な腕前を持っているようだ。女将も経験豊富とのこと。次回はゆっくり割烹にでも行ってみようかな。


織音(おりね)
東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロントB1
03-3516-1097
http://www.orine.jp/

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2009年04月06日

[大和](人形町)

酒よし 肉よし 気分よし


「一応、名前を聞いときましょうかねー」予約の電話をしたときに、店の様子はだいたい想像できた。6時前に到着したらまだ店の中は冷え冷えとしている。10年前に来たときと比べると店はますます風格を増し、店のおばさんもますます…

お通し、べったら、山ごぼう、たこぶつ

畳にあぐらをかいて、壁に貼られた料理の札を見上げる。山ごぼう、山芋、野沢菜、花らっきょ、小なす、セロリ、きゅうり、白菜、赤かぶ、べったら漬け。漬物以外のメニューは僅かしかない。主役は不動なので、小粒な脇役で充分ということだろう。

4人なので牛鍋と桜鍋を2人前ずつ頼むことに決めた。後から入ってきた左隣の4人組にはすぐに牛鍋の材料が届けられた。漬物で飲んでいる我々には頃合いをみはからっていたようだ。もしかしたら順番を間違えたかも。おばさんを見ているとどちらも可能性がありそうだ。牛肉が来て、ちょっと間を置いて馬肉がやってきた。

牛肉、馬肉

牛鍋、桜鍋

隣客が美味いを連発している。一人前1850円がそんなに美味いのかと不思議に思ったけれど、確かに馬鹿にしたものではない。切り落としのような半端な肉でコストを抑えているのかもしれない。

桜鍋の馬肉も悪くない。他で食べたものより美味しい。しかし、牛鍋と味比べしたらさすがに分が悪い。肉の追加は牛肉だけになってしまった。

近隣の会社員たちで店は賑やかになってきた。若い客が多いのはコストパフォーマンスがいいからに違いない。牛鍋をつつきながらごはんを食べれば、大いに満足するだろう。我々はうどんで〆た。

牛肉を何度も追加して、大吟醸酒もたくさん飲んだら多少高くなった。それでも、70年の老舗にしてはリーズナブルだった。

箸袋に書かれた通り、「酒よし 肉よし 気分よし」だった。

大和
東京都中央区日本橋人形町2-8-3
03-3666-7330

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2009年04月02日

[いずみ田](日本橋)

東京でも食べられる博多の味


「住所は分かっているので、後から追いかけます」と言った部下がなかなかやって来ない。いずみ田は大きな看板を掲げていないので、万豚紀のある建物の3階と知っていなければ店を探すのは難しい。携帯電話をかけて町をさまよう部下を助け出した。

メニュー、お通し

「コース料理がお得ですよ」と言われたが、即座に断った。鍋を5人前は多過ぎるし、博多の料理なら店員の力を借りずともオーダーできる。壁にかけられたメニューも分かりやすい。

ゴマサバ、磯辺巻き、美人クルビ

看板メニューの3品。博多に来たらならゴマサバは外せない。ゴマサバも磯辺巻きもイメージしたものと違ったが、悪くない。クルビは韓国語でイシモチのことらしい。博多通が韓国通の人に教えられた。

もつ煮込み、ホタルイカのカリカリ揚げ、菜の花と桜えびの天ぷら

今月のNew Menu Rankingのトップ3には春に相応しくホタルイカと菜の花が入った。味よりも季節感重視かな。

酢モツ、いわし明太香草焼、鍋の具

博多もつ鍋屋に定番の酢モツ。明太子を腹に詰めたイワシ。料理が来る度に解説をする銀髪に、嫌な顔一つしないで聞いてくれる大先輩たち。宴は進む。

慶州鍋

慶州は昔の新羅にあたるという。新羅、高句麗、百済と並べれば、学生時代を思い出す人も多いだろう。韓国と日本の味噌をブレンドしたピリ辛のスープが美味しい鍋だった。

勘定を払って店を出る時に店長の伊藤さんが挨拶に来てくれた。メニューのボードも彼の筆による。立派なものだ。博多に3店舗あり、日本橋店は中目黒に次いで東京進出2店舗目。見つけにくい店だからフラッと入ってくる客はいないにもかかわらず、いつも満席状態の人気店になっているようだ。


博多 いずみ田
東京都中央区日本橋室町1-11-13
03-3274-3955
http://izumida-hakata.jp/

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2009年03月31日

[盛風力](人形町)

今も変わらず人気の塩ちゃんこ


銀髪の顔を見てすぐに「お久しぶりです」と女将さんが言う。「覚えているの?」と銀髪。約6年ぶり、いや最後に来たのはもっと前だったかもしれない。開店当時は頻繁に通ったものだ。やがて予約なしで入るのは困難になり、銀髪の事務所移転で足が遠のいてしまった。

お通し、刺身盛合せ

相変わらず店は賑わっていた。中高年の会社員グループが多いのは、酒や肴が豊富でリーズナブルに腹が膨らむことを証明している。
かつてはあまり見かけなかった女性だけのグループもいる。美味しいを連発している彼女たちもコストパフォーマンスには敏感である。もちろん男たちより味に厳しいは女性だ。

軟骨揚げ、力士風スタミナみそ、空豆

にんにく風味の力士風スタミナみそも懐かしい。きゅうりなどにつけて食べるのが普通だが、これだけで酒はいくらでも飲める。

塩ちゃんこ

二人で食べるなら一人前で充分なボリュームがある名物ちゃんこ鍋。3~4人で来たときは塩と味噌の2種類の鍋を一人前ずつ頼んで味比べをしたものだ。

柚子胡椒、椀

小皿に取り分けて、卓上の小さな器の蓋を開けて思い出した。銀髪が鍋料理に柚子胡椒を使うことを覚えたのが盛風力だった。一番人気の塩ちゃんこ鍋と抜群の相性である。今では柚子胡椒を薬味として出す店が増えた。さすが食べるのも仕事の相撲取りは進んでいた。

押尾川部屋元十両盛風力が料理人として腕をふるう。出産、子育て、店の手伝いと大車輪の女将は、若いときよりきれいになったように思う。実に結構である。
冬場は予約なしではまず入れないが、夏場になると少し暇になるそうだ。冷房のきいた部屋で熱々のちゃんこ鍋を食べるのも悪くない。これからが狙い目である。


相撲茶屋 盛風力
東京都中央区日本橋人形町1-15-1
03-3808-1134

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2009年03月29日

[うな富](人形町)

こだわりのうなぎ屋さん


ネットで人形町界隈で評判の高い店を探したら「うな富」にぶち当たった。聞き覚えのある店名なので、有名店に違いないと思い勇躍出かけて行った。目印はロイヤルパークホテルで、一本水天宮寄りの路地と覚えたら地図の必要はない。

思ったとおり難なく発見したが、想像した堂々たる老舗の建物ではなく、こぎれいな小さな店で拍子抜けした。うなぎ屋の幟がなければ、喫茶店と勘違いしてしまいそうだ。入ろうとして「注文を受けてから蒸すので20~30分かかる」という趣旨の紙が貼ってあるのに気付いた。ちょっと悩んで覚悟を決めた。

カウンターに座りメニューを見上げる。ランチのうな丼(1,500円)と竹(2200円)、松(3000円)、特(4300円)の3種類のお重がある。値段の違いはうなぎの大きさで、半身、4分の3、1、1.5匹らしい。迷わず松を頼んだ。

10分経過、調理場からの親方の声で女性がお重の用意を始めた。ごはんを入れて、タレをかけ、混ぜ合わせる。オーダーしてから18分で銀髪のお膳が完成した。肝吸い、とろろ芋、漬物などを従えてうな重がやってきた。

失敗した。ごはんの量を聞かれたときに、「少なめ」と言ってしまった。待っている間に腹の容量が大きくなっていた。しつこくない軽めの味付けのタレが食欲を増した。「ごはんを足してください」と言おうかと思ったが意気地がなかった。

会社に戻って口コミ情報の食べログを見た。驚いたことに各コメントに店主が丁寧に返事を書いている。仕事ぶりや接客などに通じるものがある。

40年続いた東京海上ビルの店を閉めて、人形町に移転してきたそうだ。確かにその店には何度も行ったことがある。だからうな富の名に聞き覚えがあったのだ。ランチ時に客の回転よりも味にこだわっていたら儲からないだろうなと心配になってしまう。

次回はごはん多目にしよう。


うな富
東京都中央区蛎殻町2-8-9
03-3667-7266


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2009年03月28日

[太陽のトマト麺](茅場町)

ラーメン? スパゲティ?


昨日、レストラン東洋のスパゲティ焼きそばを紹介した。今日は逆のパターンである。
タクシーで移動中に茅場町で変わったラーメン屋を見つけた。本店は錦糸町で創業から既に3年以上経っているらしい。テレビなどマスコミで何度も紹介されたらしいが知らなかった。

茅場町のランチタイムは早い。午前の株式市場が終わる11時過ぎには食事に出かける。11時20分頃の到着では入れないかもしれないと心配したが、まだ席に余裕があった。
お奨めはチーズ入り。しかし迷うことなく「太陽のラーメン」を頼んだ。初めての店ではメニューの一番上にあるものを頼むことに決めている。

料理人が横から見える席に座ったので待つ時間も退屈ではない。フライパンにオリーブオイル(?)を注ぐ。野菜を炒める。トマトソースを加える。火が通ったところで麺を茹で始める。メニューに替え玉があったので、予想したとおり細めんで、茹で時間は短い。

太陽のラーメン

ブクブクとバブルがはじけるほどスープが熱いのが嬉しい。にんにく風味が効いたトマトソースはスパゲティのソースと変わらないように思える。煮豚がラーメンを連想させるものの、スープスパゲティと変わらないとケチをつけたくなる。それでも好きな味だ。悪くない。

茄子のラーメン

基本は太陽のラーメンと一緒。素揚げした茄子を加え、ネギを乗せて、辛さを増している。これもスパゲティ屋で同じようなものがある。ボンゴレラーメンも似たようなものだろう。
環境に配慮しているとのことで割り箸ではなく塗り箸を使っている。箸使いが苦手な人にとってはツルツル滑る塗り箸はちょっと辛いかもしれない。一般的なフォークだと麺が細すぎてうまく絡めることができないだろう。難しいものだ。

太陽のトマト麺は東京に7店舗、神奈川に3店舗、大阪に1店舗ある。フランチャイジーも募集している。
調理時間が短いので列が出来ても回転は良さそうだ。場所柄なのか、女性客より男性客の方が多いのは意外だった。しかも中高年が多い。まあ、他人のことは言えないけれど…

太陽のトマト麺
東京都中央区日本橋兜町7-7
03-5652-9830
http://www.taiyo-tomato.com/

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2009年03月27日

[レストラン東洋](日本橋)

和洋中みんなが楽しめるビヤホール?


日本橋交差点のすぐ近く、数え切れないほどビルの前を通ったことがあるにもかかわらず、不思議なことにこれまで1階でコーヒーを飲んだことしかない。大人数で宴会が出来る近場を探していたらレストラン東洋に行き着いた。

2階に上がると5時半というのに既にビールを飲む客が数組居た。広い店内はビアホールのようである。メニューを開くとますますその印象が強くなる。和洋中何でもござれで好き嫌いが多い人でも困らない。

ソーセージ盛合わせ、しゅうまい、串カツ

「よう、久し振り」ソーセージを持ってきた女性に年配の部下が声をかける。「ホントねー」と若いアルバイトや外国人の女性などを使う店とは一線を画す年季を漂わせる。出てきた料理はビアホールよりずっと美味い。

エビフライ、シーザーサラダ、キムチ

シーザーサラダも昔はこんな感じだったのだろうか。或いは東洋のオリジナルか。昔の洋食屋らしい料理に集中しているとキムチが出てきて肩透かしされる。

目玉焼き、サイコロステーキ、タコフライ

「目玉焼きできないの?両面焼きだよ」と我侭なオーダーを受けても、かの女性は怯まない。歳の割には使いこなしているオーダー端末に目玉焼きがなくても意に介さないのはさすがだ。他の店なら若い店員が「できません」と一言で済ませてしまいそうだ。

スパゲッティー

名物はスパゲッティー焼きそばという珍妙なもの。約25年前、オーストラリアに赴任してすぐに、スパゲティーでうどんを作ったことを思い出した。日本食の代用品を試しては節約に努めた日が懐かしい。味付け次第でどうとでもなるのが麺類のいいところだ。

湯豆腐、天ぷら、笹かまぼこなど、他にもたくさん食べてみんな満足したようだ。7時を過ぎる頃には店内は満席になった。リーズナブルに満足できるのもレストラン東洋のいいところである。

カードは使えないので念のため。


日本橋 レストラン東洋
東京都中央区日本橋1-2-10
03-3271-0003

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2009年03月22日

[陳麻家](日本橋)

専門店の麻婆豆腐


五反田東口の小さな店に行ったのは2002年の夏だったと思う。麻婆豆腐好きな銀髪が偶然見つけて部下と一緒に飛び込んだ。それから色んなところで同じ名前の店を見るようになった。全国で100店以上もある大チェーン店になったが、その後入ったことはない。今年になって会社の近くに同じ名の店を見つけた。陳麻家には2002年以来の訪問である。

店に入ろうとすると店頭でビラを配っていた中国人女性が慌てて追いかけてきた。680円の陳麻飯を頼む。待つ間にメニューを開いて辛さが選べること知ったがもう遅い。卓上のラー油と山椒を加えて食べたが成功したとは言い難い。

食べ終わって胸ポケットに手を当てるとあるはずのものがない。生まれて初めて無銭飲食の嫌疑をかけられるのではないかと怯えた。別のポケットを探る。小銭があったが何度数えても630円しかない。先ほどの中国人女性に告げると「あー、いいですよ。後で持って来てください」と優しい笑顔。嫌な顔一つしない。急いで会社に財布を取りに戻った。

15分後、再びにこやかな笑顔に迎えられた。支払いを終えて、店の入り口のテーブルに置かれていたビラを手に取って愕然とした。開店記念のキャンペーンで50円の割引クーポンがついているではないか。彼女が入店のときに手渡してくれたら、会社に戻る必要はなかった。

ビラをくれなかったことを恨むべきか、免許証や名刺などを求められなかったのを感謝すべきか、しばし考えた。手持ちが50円足りないことを伝えていたら、機転をきかせてくれたかも知れない。やはり彼女の優しさを評価すべきだろう。

持って帰ったクーポン券の期限は3月31日まで。再訪すべきかどうか、ちょっと迷っている。坦々麺でも試してみるかな。

陳麻家 日本橋2号店
東京都中央区日本橋本町3-2-12
03-5201-5777
http://www.chin-ma-ya.com/

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2009年03月18日

[てん茂](日本橋)

本物の江戸前天ぷら


「オッ!凄いね」老舗の雰囲気溢れる店の前に立ってつぶやいた。店に入ると時代を遡った感じがする。初代が明治18年(1885年)に屋台から始め、現在地に店を構えたのが明治40年。関東大震災や戦災に見舞われて立て替えること3度、現在の建物は昭和22年(1947年)に建築された。定番の質問に80を超えた3代目が淀みなく説明してくれる。

揚げ役の4代目の前には黒ずんだ油の鍋が見える。煎った胡麻油で揚げる昔ながらの江戸前天ぷらの店と分かる。雰囲気に気圧されそうになるのをこらえて「毎日、油の前にいると気持ち悪くなりませんか?」と軽口を叩くと、予想外の質問に3代目の表情が和んだ。

漬物、大根おろし、海老、うど

漬物、普通の大根おろしと柚子が混ざった大根おろしが並ぶ。海老を食べて笑みがこぼれた。菜種油や綿実油など透き通ったサラダ油系の揚げ油を使う店が増えたが、さすがに胡麻油100%で揚げると香ばしい。これが伝統の天ぷらの味である。

小なす、ゆべし、稚鮎、白魚

日本酒を頼んだらゆべしを出してくれた。お菓子ではなく、柚子に味噌などを詰めて作る酒の肴。自家製だそうだ。これは堪らん。稚鮎は琵琶湖産、白魚は兵庫産。3代目の説明は快調である。へー、なるほど、フーン。感心して、頷いて、食べて笑う。

銀杏、スミイカ、樋湯葉、椎茸海老しんじょ、めごち

「噛んでいると大豆の味がしますよ」と出された樋湯葉(とうゆば)。湯葉をすくう棒に絡まった湯葉を固めたもの。「本当だ!」思わず声が大きくなった。まるで大豆をそのまま食べているようだ。3代目が樋湯葉の袋を見せながら解説してくれる。

つくし、きぬさや、きす、海老、ふきのとう

「箸置きが素敵ですね」連れも負けずに話しかけると、3代目はますます饒舌になる。4代目は黙々と揚げながらも、時おり父親に合いの手を入れる。他の店員二人の暖かい視線も加わって、実に楽しい。

穴子、青唐、かきあげ、味噌汁

「天ぷらは野菜の季節感があっていいですね」と銀髪が通ぶると、「野菜を揚げるのは精進揚げの専門店で、昔は天ぷら屋は野菜を使わなかったんですよ」と言う。まったく教えられることが多い。

胡麻油100%では胃がもたれるという通説も、てん茂には当てはまらない。家に帰ってもコートから立ち上る胡麻油の香りは不快ではなかった。「私共にとっては胡麻油の臭いは空気のようなものでしてね…」3代目の言葉を思い出した。80歳を過ぎても元気、頭脳明晰。油が気持ち悪いはずがない。


てん茂
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
http://tenmo.jp

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2009年02月03日

[升屋](日本橋)

鉄板焼き居酒屋


「鍋を食べたい」と言う友人を美味しい店に連れて行こうと日本橋界隈を歩いた。ところが目指した店が見つからない。散々引き回した挙句、諦めて入った店には鍋がなかった。
奥の席に座りビールをオーダーしたがなかなか来ない。後から入ってきた客に先にビールが出されるのを見て店を出ようかと思った。友人に申し訳なくてイライラする。

お通し、牛すじ煮込み豆腐

2種類の料理を食べて少しホッとした。アルバイトの数が揃ったのか、サービスもスムーズになってきた。イライラの元凶は自分にあると反省する余裕も出てきた。ゆったりとしている友人との差は歴然としていた。

一口鉄板焼餃子、べた焼き

お奨めの料理は緑の線で囲んであるから分かりやすい。チェーン店らしいアイデアである。鉄板を使った熱々の料理が売り物のようで、値段の割に上等に見える。
新手の女性店員は料理を持って来ては、空いた器を片付ける。所作もきれいな彼女を見て、店の印象が一変した。

手作りもっちり豆腐、とりもも山椒焼き

7年ほど前に癌で胃を全部摘出した友人の話に聞き入った。以前勤めていた会社の同期だが、2人で飲むのは初めてなので話題は多岐に渡った。
ビールの後に頼んだ冷酒を飲みきり、友人が飲む熱燗の2合徳利を手伝った。主に聞き役に回っている銀髪のペースは速い。「もう2合行くか?」と聞いたら手のひらがこちらを向いた。彼のノルマである山椒焼きも一切れ残ったままなので、料理の追加も止めた。

隣席にカップルが来て店は満席になった。仕切りの布が下ろされて、各テーブルの客は半個室の空間を楽しんでいる。似たような居酒屋チェーン店の中では悪くない店だった。

升屋日本橋店は直営店ではなく、フランチャイジーである。加盟店のサービスにはバラつきがあり、失望させられることが多いが、この店のオーナーは頑張っていると言えるだろう。アルバイトといえども、店員一人で店の印象が変わるのだから商売は難しい。わが身の反省も含めて、本当に難しいものだ。

升屋 日本橋店
東京都中央区日本橋3-7-10 タンペイ日本橋ビル1F
03-5299-2050

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2009年01月28日

[魚や](日本橋蛎殻町)

さかなやでさかな


信号の向こうによたよたと歩く男が見える。彼はこちらに気付いていないようだ。横断歩道を渡ったところで声をかけると、驚いたように見上げる。「何だ真っ白じゃないか。えらい、齢とったなー」約25年ぶりの第一声にしては無礼である。「お互い様じゃないか!」と笑い合った。

「どこに行く?」「俺の知っているさかなやに行こう」素直に彼に従うことにした。魚を食べさせる店の意味と解釈したが、店の名前が「魚や」だった。5年ほど前までよくランチをした店と気付いたのは店の前に立ったときである。鯖の塩焼き定食が好きだった。

お通し

5時半過ぎなので1階のカウンター席には誰もいない。2階に上がると1組先客がいた。「刺身の盛合せでも頼むか?」と聞かれたが、健康にいい魚だけを選ぶことにした。万歩計を見せて涙ぐましい努力を披瀝する彼にはいわし、さば、ぶりなどの青魚の方がいい。

3種を一盛りにしてもらったが、量が多いので驚くと「だからこの店が好きなんだよ」と誇らし気だ。常連ぶる彼に敬意を表してお奨めのぶり大根を頼んだ。これも以前ランチでよく食べたものだ。

空白の25年間を埋める作業に忙しく、食べるスピードが上がらない。その代わり、2合徳利は次々と追加されていく。「おい、ゆっくり飲めよ、身体に悪いぞ!」と注意する。「お前が言うか?」と怪訝な顔をする。学生時代、酒量にかけては銀髪の上を行く奴はいなかった。

中年男が避けられない話題が健康だ。「逆さラクダだからなー」と彼は腹をさすってニヤリとする。逆さラクダは学生時代に銀髪が付けた渾名だ。ラクダは背中にこぶがあるが、彼は腹にあるという意味。「なんだ、まだ覚えているのか」と再び昔話に戻る。

最後に立派なカキフライを食べた。お互い中濃ソースは使わないで醤油をかける。我々の世代には醤油派が結構いる。

いつの間にか店はほぼ満席である。10人ぐらいで宴会を始めた連中もいる。勘定をすると腹を満たした比率どおり、酒代が3分の2を占めた。

昔話は終った。これからは新しい思い出を作る時間。お楽しみはこれからだ。

魚や 日本橋店
東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-2
03-3664-9080

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2009年01月22日

[日乃本 比内や]③(日本橋)

今夜のメインはきりたんぽ鍋


昨年、日本橋界隈で行った店の中で気に入った店の筆頭格が比内やである。最初は昼に親子丼を食べに行った。普通の親子丼と違い、鶏肉は炭火で焼いている。香ばしい焼鳥が気に入った。

2回目は焼鳥を食べるために行った。期待したとおり比内地鶏はとても美味しかった。日本酒の品揃えも充実していて呑みすぎた。店員の品がいいのも気に入った。

3回目の狙いはきりたんぽ鍋である。まずお通しから。ゆったりと落ち着いた大人の雰囲気を出してくれるのは料理だけでなく店員の貢献度が高い。

ご当地料理の中からはたはたずし、味噌漬けきりたんぽ、みずのこぶの酢の物、いぶりがっこの4品。質素な郷土料理だけに感動するほどのものではないが、日本酒にはよく合う。今回も秋田の地酒にこだわろうと思ったら何と昨年見学に行った夢心酒造の奈良萬があるではないか。大事に取り扱ってくれるところにしか出さないと行っていた専務のことばを思い出した。業者にも信頼される店らしい。

「今日はいいレバーが入っています」と言われて飛びついた。もも肉や羽の付け根の肉、紫蘇焼きも美味しい。しかし、勧めるだけあってレバーが一番。さすがに健康な地鶏のレバーは白レバーより上の味だった。

刺身の盛合せ、砂肝を食べ、焼きものの最後にちょうちん。若い人は初めてと不思議がる。子供の頃、度々食べさせられたと年長者は顔を曇らせる。どちらの反応も楽しくて、銀髪は悦に入ってムシャムシャ。

さあ、きりたんぽ鍋。浅草のあらまさに比べると品がいい。しかし、あらまさで食べた印象を大きく変えることはない。きりたんぽが他の鍋料理に比べると影が薄いのは、素朴な醤油味でインパクトに欠けるせいだろう。肉や野菜を食べ進み、最後に食べたきりたんぽがスープをタップリ吸ってとても美味しかった。他の素材のすべてがきりたんぽのためにあると納得した。

稲庭うどんを鍋に入れてお終いにしよと思っていたが、念のために聞いてみた。「親子丼を食べますか?」 考えてみたら、何度も親子丼の話を銀髪から聞かされた人たちが我慢できるわけがない。小さめの親子丼をみんなで仲良く分け合って食べた。

日乃本 比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1
03-3231-1718

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2009年01月10日

[フランツィスカーナー]③(日本橋)

ビールを我慢するのは辛い


約2年前、忘年会で窮屈に詰め込まれて仲間が激怒して以来久々に訪れた。客はまだ2組しか入っていないが、我々二人は隅っこの小さいテーブルに案内された。もともとテーブルが小さく、料理をたくさん並べることはできない。ランチでもサラダやパンを順良く食べ尽くさなければ、たちまち料理を置く場所に窮することになる。

ソーセージランチを選んだのがまずかった。必然的にビールを飲みたくなる。小さなランチビールを頼むことにした。ところが、Yさんはあっさりと飲み干して店員にお代わりを要求するにである。思わずそれを制止して、「もっと美味しいビールにしましょう」と言ってしまう浅はかさ。

本物のビールがやってきた。一口飲んでYさんが唸る。ランチビールは日本的なビール風味の炭酸飲料水だったが、本物のドイツ生ビールの何とふくよかなことよ。
グラスを裏返すと泡の線がきっちりと書かれている。泡がこの線より多いとドイツ人は怒り出すに違いない。メニューにも量が明示されており、良心的だと言えるだろう。

銀髪グルメ紀行に書くつもりもなく入店したため、肝腎の料理の写真は撮り損なった。ソーセージも美味しくて本物のビールを合わせれば完璧な食事になる。

1995年に米ドルが高値をつけて以来、円安傾向が続き輸入酒の値段が上がった。最近の円高は輸出企業には大きな痛手となって日本経済を揺るがしているが、一方では輸入食材の値下げが始まっている。ワインなども在庫がさばけた店から値下げが行われるかもしれない。

フランツィスカーナーでも輸入還元セールをやってくれれば嬉しい。生ビールの在庫はそれほどないはずだ。時々ホームページをチェックしてみよう。


東京都中央区日本橋3-8-16 ぶよおビルB1
03-6225-5485
http://www.zato.co.jp

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2008年12月26日

[安兵衛](日本橋室町)

冬はおでんで決まり!


日本橋三越を越えて神田方面に歩くと路地の向こうに飲み屋が見える。いつか行きたいと思いながら、果たせなかった店が安兵衛である。銀座の高級割烹もいいが、のん兵衛にとっては路地の古びた店は抗しがたい魅力がある。やすベー、いい響きだ。

機会は突然やってきた。客を迎えに行ったらダブルブッキングで宴席がキャンセルになった。嘆いてはいられない。すぐに安兵衛のことが頭に浮かんだ。部下と一緒に早足で歩く。ドアを開けて店内を見回すとまだ半分ぐらいの入り。ヤッタネ! おでんのカウンターに真っ直ぐ歩いて行った。

お通し、おでん

頼んだ料理が出て来るまで、目の前のおでんを少し貰うことにした。銀髪は大根と玉子。部下は大根とはんぺん。「崩れてしまっているから」と部下の皿に大根が1つ余計に入った。銀髪は不公平にむくれたりしない。すかさず半分取り上げて口に運ぶ。口の中ですぐに溶けてしまった。あー美味しい。

鳥の唐揚げ、玉葱の天ぷら

部下が頼んだ2品は少しだけ口にした。脂っぽいものが出てきたら怯んでしまう。「お前も、そんなに若くないんだぞ」と言いたいところだが、止めにした。残ったらもったいない。気持ちよく平らげてもらおう。

赤むつ

割烹らしいものを頼もう。高級魚の煮付け3,000円が一番高い料理。「頭と尻尾、どっちがいい?」と優しい銀髪。「尻尾の方がいいです」と答える可愛い部下。あー幸せ。

最後はおでん。隣に座った3人組は酒もそこそこにおでんばかり食べている。いつの間にか目の前の鍋は半分以上なくなっている。振り向くとテーブル席も満席。熱燗も7本飲んだので、ぼちぼち席を空けてあげよう。稼ぎ時にダラダラしていたら店に嫌われる。

安兵衛は昭和5年創業の店。割烹というより居酒屋の方が似合っている。料理は男っぽく、店の雰囲気も男の世界。パッと見は小さな店だが、総席数が100席もあるので大きな宴会も可能だ。カウンターから見える調理場が大きいのも頷ける。

気楽に食べて呑んで、おやじたちには都会のオアシスである。

割烹 安兵衛
東京都中央区日本橋室町3-2-13
03-3241-2855

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2008年11月10日

[山田屋]④(日本橋)

ふぐだ、ふぐだ


恒例の月末夕食会。10月末のことである。総勢9人なのに「ふぐが食べたい」と言われるとドキッとしてしまう。一度は拒否したものの考え直した。「連れて行くなら今の方が安くていいからな」と言うとみんな怪訝そうな顔をする。一人が銀髪の言葉の意味を解した。「白子が小さいからですね」その通り。まだメニューにもない可能性が高い。

付け出し

山田屋には何度も来ているので勝手が分かっているつもりだった。人数分のコースを頼むと量が多くて美味しい雑炊を食べられなくなってしまう。コースを止めて、刺身、唐揚げは一人一人前ずつ、てっちりは合計で6人前と少なめに頼んだ。単品で頼むと割高になるが、刺身の量は多くて何よりも不公平感がなくなる。大皿から欲望を隠しながら行儀良く食べるのは辛い。

刺身

何人かがビールをお代わりする。銀髪はひれ酒を頼んだがなかなかやって来ない。他の連中は刺身をたいらげてしまいそうな勢いだ。
下戸はウーロン茶を飲みながら既に食べ尽くし、「刺身は嫌いなんですか?」と銀髪の皿を虎視眈々と狙っている。イライラしながらひれ酒を待った。とうとう待ち切れずに隣の部下のビールを取り上げて、刺身を食べ始めた。危ない危ない。

唐揚げ

一人が「要らない」と言ったはずなのに、食べてしまったので唐揚げが一つ足りない。「俺のがない!唐揚げ大好きなのに!」と一人がダダをこねるので銀髪の皿から一切れあげた。あー疲れる。

「サー、次は鍋ダーッ」みんなで鍋をつつくと思ったら、部屋の隅っこで仲居さんが作り、取り分けて、各人に運んでくれる。6人前とケチったせいか一人一杯のみ。雑炊も同様に一杯ずつ。
少しでも安くするつもりが一人頭2万円支払ってお腹一杯にならなかった。刺身の量は少なくても、鍋で満腹にするコースの方が割安だった。策を弄して失敗した。

3次会が終ったところで「長崎ちゃんぽんに行かないか?」と誘われた。いつもは断るところを素直について行った。彼のオーダーしたちゃんぽんセット(餃子付き)と皿うどんを仲良く分け合って食べた。「ふぐよりこっちの方がいい」と嬉しそうにしている彼を、いつものように馬鹿にすることができなかった。


日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com

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2008年10月06日

[日乃本 比内や]②(日本橋)

夜も期待を裏切らない


ランチで食べた親子丼が気に入ったので夜も行きたくなった。人生の大先輩たちを引き連れて総勢6人で出かけた。初めてのディナーで、人数が多いので5,000円の串焼きコースを食べることにした。コースの方が楽なのは確かだ。

先付け、自家製豆腐

予約時に頼んでいたので席につくとすぐに料理が出てきた。ビールで乾杯した後、日本酒に移った。比内やは秋田の地酒など日本酒の種類も豊富に揃えている。枡酒を持って来たのかと思ったら中は自家製豆腐。早とちりしてしまって苦笑い。

比内地鶏の焼き鳥は期待していた通り美味かった。皿にまとめて盛り合わせるのではなく、1本ずつ各人の皿に焼き立てを置いて行く。店員たちはきびきびとして明るく気持ちがいい。

コース料理を頼んで良かったと思うときもあれば、その反対もある。比内やは前者の方で、初めて来た人や自分で料理を選ぶのが面倒な人はコースにしたら安心だ。特に酒飲みにはピッタリの肴が多い。お陰でちょっと飲みすぎた。

〆はもちろん秋田名物の稲庭うどん。コースの最後だけに量は少なめで丁度いい。追加料金を出せばうどんの代わりに親子丼にしてくれる。もっとも親子丼ならいつでもランチで食べられるので、わざわざ夜に食べることもないだろう。

比内地鶏のお造り、比内地鶏のお寿司

コースとは別に頼んだのが上の2品。何も言わなかったのにちゃんと各人に分けて持って来てくれた。比内地鶏の刺身も美味い。寿司はもっと美味くて気に入った。
料理、酒、サービス、どれも文句はない。大先輩たちも満足してくれたようだ。日本酒がすすんでしまうのがちょっと困りものだけど。

ランチ、コース料理での宴会とどちらも及第点。次はカウンターで豊富なメニューの中から単品を食べてみよう。コースを食べるより高くなるに違いないが、裏切られることはないだろう。

日乃本 比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1
03-3231-1718

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2008年09月26日

[丸善]②(日本橋)

他人の飯は白い


丸善の看板料理は創業者の早矢仕氏が開発したというハヤシライス。どちらかというと元祖争いをしている上野精養軒の方が銀髪の口に合うが、食事に連れて行く店としては近くてきれいなので重宝している。残念ながら席の間隔が狭いため、隣席で食べているものが嫌でも目に入る。今回は前に来た時に隣で食べていたハヤシとカレーのミックスしたものを食べた。

ハヤシライスはいつもと同じようにひっかかるような苦味がある。カレーの方がまろやかな感じがする。味が混ざらないように慎重に食べていたが、境目のところは止むを得ない。ところが混ざったところの方が美味しいから面白い。ハヤシライスの苦味も消えた。
一人悦に入っていたが、今度は目の前でFさんが食べていたオムライスが気になる。

別の日にAさんを誘った。もちろん頼んだのはオムライス。これにハヤシとカレーをかけたものに決めていた。ハヤシとカレーを一口ずつ味見して、残りはごちゃ混ぜにする。やはり混ぜた方が美味しい。これにオムライスと来たら無敵である。

完璧だ。実にいいバランスである。ハヤシライス → ハヤシ&カレーライス → ハヤシ&カレーオムライスと進んで3回目にようやく満足する料理に到達したと思った。ところが、左隣のテーブルに運ばれてきたものが気になって仕方がない。

ポーチドエッグが乗ったものかと思ったが、割っても黄身が出てこない。メニューを見て、カマンベールチーズ入りのハヤシライスと分かった。女性2人が美味しそうに食べている。

今度は一人で行った。もちろん頼んだのはカマンベール入りハヤシライス。さて、その評価は?

他人の飯は白い。隣の芝生は青い。自分が食べているものより、他人のものの方が美味しく見えるのは仕方がない。昼飯程度ならすぐ次の機会に挑戦することができるが、他人のデートの相手が良く見えたら困ってしまう。ただ指をくわえて見てるしかない。

丸善カフェ
東京都中央区日本橋2-3-10

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2008年09月25日

[アルポルトカフェ](日本橋)

名シェフがプロデュースするお店


「高島屋の地下にあるイタリアンにします」と幹事役が言ってきた。部下たちとの恒例のランチミーティングの場所にアルポルトカフェが選ばれた。3,150円のランチコースAを頼んだと聞き、事前にインターネットで調べて行った。

アルポルトカフェは西麻布「アルポルト」の片岡護シェフがプロデュースする店らしい。期待してしまう。ランチコースAは前菜3種盛り合わせ、パスタ、デザート、バケット、コーヒー又は紅茶で構成される。パスタだけはメニューの中から自分の好みのものを選ぶ。海の幸のソースのスパゲティを食べることに決定し、部下たちを引き連れて高島屋に向かった。

前菜、バケット

部下が赤ワインを飲むと言うので「安くて美味しいワインはどれ?」と店の女性に尋ねたら5,500円のキャンティクラシコ・ぺポリを奨めてくれた。別の店員が手にしてきたボトルは既に栓が抜かれていたのでちょっと驚いた。ラベルを示すことも、テイスティングもなし。「お客様がご自分で注いで下さい」とテーブルに置かれたのでまた驚いた。5,500円のワインは不当に扱われて可愛そうだった。値段相応ということなのだろう。

我々は総勢7人。壁を背にした真ん中の2人には、店員はちゃんとしたサービスが出来ない。嫌な顔一つしないで皿やナイフ・フォークをリレーする部下たちは偉い!

本日のシェフおすすめスペシャルパスタ

前もって海鮮パスタと決めてきたのに、「からすみのスパゲティ」と言われて心変わりした。新宿のオステリアヴィンチェロと比較する気になったためだ。7人のうち銀髪を含めて3人が本日のパスタを選んだ。

失敗だった。「パスタの神様・片岡護のトマトソース・ボロネード」「片岡護自慢の極上ミートソース・ボロネーゼ」「片岡護がおすすめする絶品なるソース・潮の香りいっぱいのラグーディマーレ」の中から選ぶべきだった。それらの中から選んだ人たちは美味しそうに食べていた。

からすみのスパゲッティはソースが足りずボソボソした食感になってしまった。同じものを頼んだ部下の皿を覗くと充分なソースがあるように見える。3皿に分ける時に差が出来たようだ。自分で料理したときに同じような失敗をしたことがある。プロでも同じ過ちをすると分かり、心の中で笑った。

デザート

高島屋の大きな領収書をもらって店を出た。名声を得て還暦を迎えた片岡シェフが、アルポルトカフェを通じて伝えたいことは何だろうか。彼の声が聞こえない。


アルポルトカフェ
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋B2F
03-5205-3005

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2008年09月22日

[魚櫓魚櫓](日本橋)

リーズナブルに炭火焼


目指す店の前に立つと連れが顔をしかめた。前に来て印象が悪かったらしい。いつもなら構わず入るのだが、あまりの渋面に怯んでしまった。幸い相手が折れてくれた。板さんが変わったかもしれないし、何よりも同行者が銀髪である。いつも書いているように「誰と食べるか」がもっとも重要な要素である。

魚櫓魚櫓は以前行って気に入った穴子家吉五郎の姉妹店。穴子が目当てなのにメニューに載っていない。板さんに聞くと、常連さんに頼まれれば出すことがあると言う。「常連でなければダメなの?」と食い下がると快く受けてくれた。

枝豆

枝豆を頼んだら目の前で茹で始めた。いいじゃないか。連れが顔をしかめた理由が分からない。探りを入れるためいつも以上に熱心に板さんに話しかけた。幸いカウンターに他の客は居ない。穴子談義に花が咲く。「松島産?」「佐賀産です」「広島産は使わないの?」「現地で消費されて東京には余り入ってこないんですよ」「俺は何度も食べたよ」「羨ましいですねー」。板さんを羨ましがらせてどうすんだい。

穴子の刺身、白焼き

「今日の穴子は小さくて…」と板さんは残念がる。「確かに脂の乗りはイマイチだね」と、もう常連気分だ。「いい店じゃないか?」と連れを見ると、素直に頷いた。

いか一夜干し、なす焼き

いかにはつぶしたわたのソースが添えられている。なすも上手に焼かれ、きれいに衣を脱いだ。
日本酒もいい品揃えだ。席の後ろに酒用の大型冷蔵庫がある。無名酒会が選んだというリストの中から島根の死神(無名酒会会長杉浦さんオリジナル)、群馬の風まかせ(純米)、福島の会津娘(純米本生薄濁り)、茨城の夢かなふ(純米吟醸酒)と飲んでいった。高くても900円と良心的な値段である。

レバー、秋刀魚

焼き鳥もチェックしよう。レバーはミディアムといい焼き加減で美味しい。最後の秋刀魚もこんがりと焼かれて出てきた。

帰るときにはカウンターは一杯になった。他の予約も入っているようだ。店を出る間際に「2階もあります」と言われて興味を示したら、案内してくれた。10人以上が入れるテーブル席に加えて、大きな丸テーブルが据えられた個室もある。

名店、高級店ではなくてもカウンターで板さんと話すのは楽しい。料理人だって気合を入れて美味しいものを作ろうとする。料理は口でなく心で食べるもの。そう言えば「愛情がたっぷり込められているから、美味しいわよ」なんて台詞、最後に聞いたのはいつだったろう。ウーン、思い出せない。


魚櫓魚櫓
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-3272-1212

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2008年09月15日

[日乃本比内や](日本橋)

焼き鳥丼風親子丼?


「鳥つねの親子丼を食べたら、他の親子丼なんか食べられない」と書こうと思って親子丼を売りものにしている店を探し、最終的に日本橋三井タワーの「比内や」に決めた。前を通ったことがあるので地図を片手に店を探す必要はない。

11時20分に到着。一番乗りだったので、どこでも好きなところに座るように言われた。ランチは親子丼と産地直送のサラダのみ。親子丼は1,200円。ごはんの大盛りでも同じ値段だが、初めてなので普通盛りにした。

待つ間もなくすぐに親子丼がやってきた。小鉢もついているのでちょっと得をした気になる。器の形状のせいか量は少なめに見える。大盛にすべきだったと少し後悔。

鶏肉を口に入れてちょっと驚いた。炭火の焦げた香りが口に広がる。しっかり焼き鳥である。親子丼の肉は煮るのが普通。玉子丼に焼き鳥を混ぜるのは親子丼の王道から外れているように思える。しかし鳥つねの親子丼だって、最初は玉子かけごはん風で違和感を持たれたに違いない。それがいつの間にか親子丼は半熟が当たり前になってしまった。

王道から外れていても比内やの親子丼は気に入った。何より夜に行きたくなった。日乃本比内やは秋田比内やからのれん分けした比内地鶏の専門店。きりたんぽ鍋もある。酒も鳥つねよりはリーズナブルに飲めそうだ。

順番ならまず鳥つねに行くべきだろうが、日本酒の値段を見てビビッてしまった。親子丼で焼き鳥を食べてみたいと思わせた比内やの戦略(?)に敬意を表することにした。近々に行かなければならない。期待しすぎないこと、お腹を空かせておくこと。美味しく食べる条件を忘れずに。アー楽しみだ。

秋田比内地鶏料理 日乃本比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1F
03-3231-1718

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2008年09月08日

[いとはん](日本橋)

出世魚を食べても…


同じ釜の飯を食った後輩たちもやがて50歳に達する。今は別の道を歩いているが、たまに集まって情報交換する。昔話で盛り上がることもあるが、違う業界や会社の話を聞くと刺激を受けるし勉強にもなる。

「東京駅前の八重洲通りから仲通りに入って直ぐ」と電話で告げた。味もさることながら、分かりやすい場所であることも、現地集合における大事なポイントだ。Aが来るのをあてにせずにKと飲み始めた。

三点セット

店のチェックは昼間に済ませていた。「本日のおすすめ品」メニューがあるのでこの店にした。最初に書いてあるのが三点セット(だだじゃ豆、いかソーメン、冷やしおぼろ豆腐)、スタートはこれで決まり。

刺身

7種類の本日のお造りの中から汐子(ショッコ)とスズキを選んだ。どちらも出世魚である。汐子はシオゴ、アカハナと育ち、最後にカンパチと呼ばれる。スズキはセイゴ、フッコ、スズキ、オオタロウとなる。我々は出世とは無縁になってしまったが、それでも出世魚と聞けば嬉しくなるから不思議だ。

鱧皮ポン酢、和風ジャンボ海老シュウマイ、自家製するめいかの沖漬、まぐろ酒盗

できるだけお腹が一杯にならないものを食べ続けたが、Aはやってこない。時間が経つと食欲も減退してくる。Aの携帯電話にメッセージを残したことを忘れた頃に電話が鳴った。店の場所を告げると15分程してようやくやってきた。

里芋京湯葉あんかけ、天婦羅盛合せ、出し巻き玉子

みつせ地鶏大手羽先塩焼き、ガーリック焼き

普通なら、全員揃ったところでリセットされるので最初からいる人は飲みすぎることになるが、Aは酒が飲めない。従って、リセットもなく頭はクリアなまま粛々と宴の終わりに向かっていく。

店に長時間居座ることになったが嫌な顔はされなかった。客が殆ど居ないのだ。「今日は珍しく空いている」という女性店員の言葉を信じることにした。彼女の応対も料理も悪くなかった。悪いのは4階という場所のせいぐらいだろう。

ゆっくりできた我々はラッキーだった。いつも生真面目なAが心配だったが、元気そうで良かった。出世はなくなっても、まだ老け込むには早すぎる。

最年長の銀髪もまだまだこれから。ヨシッ!明日も飲みに行くぞ!


いとはん
東京都中央区日本橋3-4-1 第2弥生ビル4F
03-3241-1108

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2008年09月04日

[十他素いろり席](日本橋)

お肉も自然農法?


「自然農法とは、農薬や化学合成肥料はもちろん有機肥料も一切使わずに、土が本来持っている力を活かして農家の方々が心を込めて育てる栽培方法です。」店の宣伝文句は実に魅力的である。「いろり席」という店名にも惹かれた。

意気込んで出かけたが、一番乗りだったのには驚いた。まだ6時、時間が早いからと勝手に納得。ハッピーアワーでビールが半額と知って嬉しくなる。炭火が用意されて気分が盛り上がってきた。

お通し、キャベツ、たこ酢

お通しは悪くない。キャベツとたこ酢は普通。助走としてはこんなものだろう。

しめさば、焼きとん

しめさばもちょっと炙るつもりで頼んだ。皿に乗ってきた焼きとんを見て目を疑った。凍っているように見える。時間をかけて焼いた。「もう大丈夫ですよね?」と店員に尋ねたら、肉を串からはずして「もう少しですね」と言う。確かにまだ芯が赤いが「新鮮だからレアで大丈夫ですよ」と言って欲しかった。結局焼きすぎて固くなった。もつは臭いも気になった。

チーズやっこ、煮込み

肉を焼くのは止めた。他の居酒屋料理は問題ない。ちょっと気を取り直した。

焼き鳥、野菜

「焼き鳥を食べたい」と部下が言うので再び肉に挑戦。冷凍ではないようだが新鮮さは分からないのでしっかり焼いた。「いろり席」に惹かれたが、あまりいいアイデアには思えなくなっていた。素材も大事だが、焼き加減も味を大きく左右する。自分で焼く楽しさよりもプロの技に頼るべきだった。

遅まきながら「自然農法」のことを思い出した。全部野菜にするべきだったと反省した。追加注文をしようとする部下を制した。いつの間にか店は7割ほど埋まっており、煙が立ち込めて息苦しくなっていた。一番奥に座る我々の場所の煙がもっとも濃い。快適に過ごすなら入り口の席がベストだと店を出るときに悟った。

久々に勘が外れた。腕のいいコンサルタントを雇っているのかもしれない。宣伝は一流である。

十他素いろり席
東京都中央区日本橋室町1-5-15
03-3278-8822

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2008年08月28日

[御清水庵 清恵](日本橋)

灯台下暗し、いい店が近くにあった


店の前を何度通り過ぎたか分からない。気になってはいたが、たくさんある蕎麦屋の一つぐらいにしか思っていなかった。行く気になったきっかけは先日の福井出張である。福井名物は越前ガニぐらいしか知らなかったが、出張で鯖やおろし蕎麦も名物と知った。

店は思ったより広く、席の間もゆったりとしていて居心地がいい。奥の席は川に面していて予約で埋まっていた。別紙の「本日のメニュー」もあり、酒の肴は充実している。もちろん、最初に選んだのは福井名物の鯖料理だ。

お通し、鯖の燻製、へしこ

初めて挑戦した燻製はなかなかいけた。へしこは土産に持って帰り、家で食べたものよりも美味しかった。

生しらす、刺身盛合わせ、つぶ貝の磯煮、焼きなす(とろろかけ)

「しらすは福井じゃないでしょ?」と店の女性に質問したら困った顔をする。すかさずおじさんが「駿河産」とフォローする。福井産のものでなくても美味しいものを揃えている。「店主ですか?」と質問したところから、丁々発止の会話が始まった。他の席のオーダーを取りに行っても、すぐにまた戻ってくる。実に楽しい。
「つくねが何で出来ているか当たったら、一品サービスするよ」と言われ、受けて立った。

つくね、煮物

「ひっかけで鯖では?」と探りを入れたがまともなクイズだと言う。「これまで一発で当てたのは一人だけ」と胸を張るのでヒントをもらった。そのヒントですぐに分かった。店主はちょっと驚いた顔をする。銀髪の面目躍如である。ノーヒントではなかったが、早い正答に対するご褒美に煮物を持って来てくれた。お返しに一番高い大吟醸酒をオーダーした。福井の日本酒も充実しているのだ。

「何歳に見える?」という質問は一発で当てた。脱サラをした年齢と、開店してからの年数はこれまでの話の中で出て来たので単純な足し算で済む。実は質問の前から既に驚いていた。日々充実している人は確かに若く見える。

最後はもちろん越前おろしそば。武生の蕎麦屋「御清水庵」で修行した店主が打つ蕎麦を〆にした。満腹なので少なめに盛ってもらった。

イヤー、楽しかった。奥の窓際が満席で良かった。お陰で店主と楽しい会話が出来た。店主が料理を差配するだけでなく、客席を回ってサービスする店が悪いわけがない。まさに灯台下暗しだった。


御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03-3231-1588

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2008年07月31日

[吉野鮨本店](日本橋)

明治12年創業の大衆的な寿司屋さん


グルメ本等にも度々登場する日本橋高島屋近くの老舗寿司屋と聞けばかなり高級と思い勝ちだが、意外と大衆的な雰囲気の店だ。広いカウンターにはかしこまって座る一見さん居るし、気楽に食べている常連さんも居る。テーブル席には仕事を終えたサラリーマンのグループが居酒屋気分で杯を交わしている。我々は居酒屋組に加わった。

お通し、刺身盛合わせ

お通しの塩辛や、雑然と盛られたように見える刺し盛りがいかにも吉野鮨らしい。茹でたタコ、アジ、サヨリ、鮪の赤身、季節外れのずわいがになど、高級なネタが殆どないのも気取らない店の姿勢が出ている。

サザエ壷焼き、ゲソ焼き

不器用なはずのTさんが、サザエの肝まできれいに取り出したので呆気に取られた。もっとも、あらかじめ茹でて身を取り出し、再び殻に戻して焼いたものと自分が食べてみて分かった。老舗らしい一仕事が真骨頂と言える。

貝の刺し盛り