2010年03月11日
[おぐ羅 日本橋三井タワー店](日本橋)
日本橋で名店のおでんを

銀座のおぐ羅には2006年9月と2006年10月に訪問して随分と時間が経ってしまった。「休みの日には日本橋の方に行ってるんですよ」と大将から聞いて、すぐに行くつもりがいつの間にか3年。時の流れは早い。
「ごぼうの中に鴨肉が入ったのはあるの?」テーブルに座り、店員に聞いた。「もちろんありますよ」と笑顔。「じゃあ、おでんは後でもらうことにして」とメニューを眺める。「あんまり高いのはないんだね」おでん以外の料理は本店と異なり3桁のものが多い。奨められるまま枠で囲んだ一品料理をまず食べることにした。

お通しに続いてトマトの冷製おでん、次に鶏ワンタン、そして牛すじトロトロ煮込み。本店にはなかったメニューだ。どれもなかなかいける。「熱燗は錫のやかんでやるの?」本店の主人が得意気に注いでくれたことを思い出す。「熱燗の機械を使っています」と店員が申し訳なさそうに笑う。当然だ。錫のやかんは大将の宝だ。

一品料理の中では出汁巻き玉子が秀逸だった。さあ、ぼちぼちおでんにしよう。本店で食べた時に感動した鴨ごぼう。ごぼうをくり抜いて合鴨の挽肉を詰めて蒸してと手の込んだ逸品。日本橋でも食べられるとは幸せだ。本店のちくわぶは巻きが崩れるぐらい煮込んであったけど… あじのつみれ、わかめ、本店を思い出しながら食べる。

しいたけ、大根、海老しんじょ、卵、ぜんまい、すじ、ねぎま。ぜんまいやねぎまはおぐ羅ならではのもの。「今でも大将は来るの?」と尋ねる。開店の時ほど頻繁には来なくなったらしい。安心して任せられるようになったということだろうか。本店とまったく同じというわけにはいかないが、おぐ羅であることは間違いない。

醤油味のおでんでなければ物足りないと言う人も多いが、おぐ羅は銀座やす幸譲りの上品なすまし汁。スープとして飲んでも美味い。リーズナブルに銀座おぐ羅の味を気楽に日本橋で食べられるとは嬉しい限りである。
おぐ羅 日本橋三井タワー店
東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー B1F
03-3516-1775
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2010年03月02日
[山沖]②(日本橋)
いい仕事してるねー

山沖に初めて行ってから1ヶ月足らず、帰り際にもらった名刺に書いてあった「古典的江戸前鮨」の意味を聞くために再訪することにした。
今回も主人の正面に座るつもりで行ったが、男性1人、女性2人の年配客に占拠されていた。彼らと2つ席を空けて左端に座った。前回は気付かなかったが落語が小さく聞こえてくる。「古典的江戸前鮨とはネタなどに何らかの仕事をしている鮨」とのこと。疑問は早々に解決し、その意味をじっくり味わうことにした。
たこ、めじまぐろ、ひらめ、しゃこ、ほっき貝

茹でたり、煮たり、昆布締めにしたりと、殆どのネタに仕事がしてある。輸送手段の発達で全国から築地に新鮮な魚介類が集まる。冷凍・冷蔵技術の進歩で輸入魚も生で食される。そんな時代に古典的鮨を極めようと頑張る山沖さんである。
いわし、まぐろのづけ、ひげだら

づけは切り身を10分前後漬けて出すところもあるが、本来は塊ごと数時間醤油に漬ける。鮪の状態により漬ける時間を変えるのがプロの腕。「今日はどのぐらい漬けたの」と聞くのも楽しみだ。メニューの中で初めて見たのがひげだら。正式名はイタチウオで一般には出回らない高級魚。昆布締めにすると美味しくなるというから江戸前鮨にピッタリかもしれない。
すみいか、しらうお、うに

すみいかも大きくなって身がしっかりしている。春を告げるしらうお。卵がプリッとしている。うにの鮨の美しいこと。ネタによってにぎりの具合を変えるという。身が固いいかはしっかり、うにや穴子など柔らかいネタはふんわりと握る。回転寿司では味わえない技だ。
あか貝、さいまき、煮はま

やはり山沖の蛤は超美味い。煮汁を使ってネタに合わせた詰めを塗れば美味さが増す。
「それがホームページに出ていた壷ですね」カウンターの中を覗きこんだ。穴子の詰め、蛤の詰め、海老の詰め、煎り酒(梅干しとお酒を造った調味料)、昆布だし煮切り、鰹だし煮切りの壷。山沖では自分で醤油に鮨をつけて食べることはない。
かんぴょう巻、玉子、漬物

携帯電話に大声で話すおばさま達は居なくなった。山沖さんが「他のお客さんがいらっしゃいますので」と言っても、スポンサーの男性が注意しても止めることはなかった。静かになった店内で、ようやく山沖さんを独占できる。前回と同じような笑顔が戻ってきた。
「今日の穴子は良くないので」と真摯な山沖さん。通振って喋りすぎると食べ損なうことがよくある。まあ、また来ればいいや。
山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/
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2010年02月25日
[割烹 とよだ](日本橋三越前)
老舗のおもてなし

とよだのホームページを開くと「文久三年から受け継がれてきたおもてなしの心」が最初に目に飛び込んで来る。西暦で何年かは書いていないので調べてみると1863年。新撰組が誕生した年で、坂本龍馬は前年に勝海舟の門下に入っている。なんとも物騒な世の中に創業したものである。さておもてなしの真髄やいかに。
映画「蒲田行進曲」のクライマックスを思い出させるような急な階段を上り、3階の部屋に入った。7人ではもったいないようなゆったりとした空間。壁の華麗な書は万葉集の2首。何を書いているかさっぱり分からない。仲居さんに聞くと、現代かなで書かれた紙片を持って来てくれた。

料理専用のリフトがついているのだろうか。仲居さんが急な階段を調理場と往復するのだろうか。長旅をしてきた料理の器たちは統制を乱していた。「これなーに?」と真ん中の料理を指さすと、仲居さんが困った顔をする。ど忘れしたのだろう。「あー、なまことこのわただね」と銀髪が先に分かった。これは美味しかった。さすがとよだである。

お造りも悪くない。刺身が食べられない人の代わりの料理も立派だった。ギンダラの西京焼きはもちろん自家製。5,000円の料理は、日本酒が欲しくなるものばかり。昼食なのが辛いやら、もったいないやら。

牡蠣が乗った大根も美味しかった。「1時までには終らせたい」という銀髪の要請を受けて、料理はテンポ良く運ばれてくる。メインが何かワクワクして待っていると海老しんじょだった。小さな料理なのでちょっと拍子抜けした。
しかし、この海老しんじょが頗る美味い。帰ってネットで調べてみると、とよだの名物料理とも言えるものだった。美味いはずだ。材料にもこだわっているに違いない。同時に出された炊き込みごはんと味噌汁でお腹一杯になった。

デザートの器も受け皿の真ん中に座っていなかった。美味しければいいじゃないかと思いながら、やっぱりおもてなしの心が気になった。
割烹 とよだ
東京都中央区日本橋室町1-12-3
03-3241-1025
http://www.n-toyoda.com
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2010年02月05日
[山沖](日本橋)
古典的江戸前鮨

「山沖さんですか?」「はい、山沖です」珍妙な応答から始まった。「山おき」「やま沖」「やまおき」などと平仮名を使う店が多いので、思わず聞いてしまった。「どんな漢字を使うの?」という定番の質問に続けられず苦笑いの銀髪。冷めた笑いを誘った。

たこを波打つように切る主人の包丁捌きを見ながら「アル中なら自然に切れるね」と茶々を入れた。「うちの包丁は切れないから、いつも波打つよ」と続けて大きな笑いを誘った。何とか名誉を回復できたようだ。楽しい食事の雰囲気作りは達成できた。

「養殖ではひらめも右を向くみたいですね」主人がひらめを切るのをみて再び茶々を入れると「養殖は右にならえですよ」と返ってきた。なかなかやるじゃないか。三平の息子のこぶ平(9代目林家正蔵)を思い出した。大好きなたいら貝の礒辺焼きを噛むと、海苔が乾いた音をたてる。


少し色づいた寿司めしを見て、「赤酢だね」と通ぶる。2種類の酢を合わせることで、酢のきつさが収まり優しい味になる。山沖の寿司は小振りで、見て美しい。だいぶん大きく育ったコハダは切れ目を入れたり結んだりで見た目だけでなく食べやすくもなる。キリリとした海老は赤坂の「喜久好」
を思い出させる。


「オウ、これは美味しいね」煮蛤を食べて感嘆した。主人が微笑んだようだ。会話の楽しさをしばし忘れた。なかなかやるじゃないか山沖さん。江戸前らしく穴子でぐっと盛り上げて、かんぴょう巻、玉子焼き、漬物と静かに食事は終焉に向かって行った。
帰り際にもらった名刺には店名の前に「古典的江戸前鮨」と記してある。今回はその意味を聞き損なってしまった。ホームページを開いてみると、主人のこだわりが次々と明らかになった。海老や煮蛤の美味しさの理由もある程度は理解できた。
近いうちに再訪しよう。古典的の意味するところをしっかりと学ぶために。
山沖
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-5201-8009
http://sushiyamaoki.cocolog-nifty.com/
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2009年12月06日
[センス]③(日本橋 マンダリンオリエンタル)
センスがいい?

2006年2月(昼)、2008年1月(夜)に続いて3度目のセンス。今回は個室を予約したのでこれまでとは違う景色。日本橋コレドなどが遥か下に見える。馬鹿と煙は高いところが好きというが、なんだか偉くなったような気分になって恥ずかしい。
ミシュランガイド東京で毎回星をもらっているセンスだが、2010年版発売直後にもかかわらず個室が簡単に取れた。実際、昨年までは銀髪グルメ紀行にも掲載している店が星を得ると、アクセス数が増えたものだが今年は殆ど影響がない。書店にも山積みされたまま。2008年版の大騒ぎはいったいなんだったのだろうか。

センスはミシュラン2008年発売の前も今も殆ど変わっていない。一つ星はあってもなくても関係ないのかもしれない。あるいは三つ星ならともかく一つ星では不本意で迷惑かも。

鶏肉が嫌いな人にはレタスのスープが出て来た。彼は出汁ぐらいは平気なのだが、しっかり配慮してくれたのは流石である。

飲茶ランチといってもワゴンサービスというわけではない。各人に行き渡るのに時間がかかるけれど、それがゆったりと落ち着いた食事の演出にもなる。壁を背にした人たちは景色も楽しめる。窓を背にした銀髪は会話で場を持たせるしかないけれど。
銀髪が香港でもっとも多く泊まったホテルがマンダリンオリエンタルである。夜の美食三昧も思い出深いが、翌朝ホテルの中二階でお粥を食べるのが楽しみだった。レタス、ネギ、揚げパンもいいが、塩炒りピーナツが銀髪の一番のお気に入り。センスのお粥も期待通りだった。

ぜんざいのようなデザートを食べてお開きになった。帰って写真を見ると3,800円は高そうに思える。しかし、みんなの食後の感想は「安い!」ということだった。個室、絶景、優雅なサービスがそう思わせたのだろう。
ミシュランは純粋に味で選ぶと言うからたいしたもんだ。銀髪はこのブログを書き始めた頃から個人差がある味については出来るだけコメントをしないようにしてきた。食事を楽しめるかどうかの重要なポイントはサービスにある。それ以上に重要なのは誰と行くかだ。
「あなたとなら、どこでもいいわ」なんて言われたら有頂天になる。しかし、調子に乗って妙な店に連れて行くと「センスがない」と言われる。社交辞令は程々に聞いておいたほうがいい。
東京都中央区日本橋室町2-1-1
マンダリン・オリエンタル センス
03-3270-8800
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2009年11月29日
[なだ万](日本橋三越)
高級店でおばさま達に混じってランチ

創業は天保元年(1830年)、ホテルニューオータニの庭園内にあるなだ万本店山茶花荘をはじめ国内25店舗、海外8店舗を擁する老舗料理屋。日本橋店は日本橋三越本店新館10階にある。ビジネス客は部屋代が別途必要な個室に消え、我々はマダム達が食事をする席から少し離れたところに案内された。
「お嫌いなものはありますか?」一流店はコースではあってもメニューを入れ替えてくれるのが有難い。我々7人の中には鶏肉が駄目な人、刺身が駄目な人が居る。2人が申告した後に銀髪も手を上げた。「鶏肉も刺身も駄目なんです」と言うとみんながビックリする。店員が消えたところで「ちょっと遊んでみようと思ってね」と笑った。
落花生豆腐

3,000円のランチコースがスタートした。広いフロアでは店員は上座、下座は区別しないようだ。もともとそんな考えすらないのかもしれない。扱いは大衆食堂と変わらない。ビールも小鉢もアトランダムに配られた。
御造り、サラダ

さてお待ちかねの御造りが5人に配された。銀髪を含む2人には何が来るかワクワクしていたが、サラダを見てがっかりした。なんだか損した気分だ。上に乗っているのがカニ脚なので原価は同じぐらいだと思うと気が収まった。それでも手抜きに見える。

窓を背に座ったのでフロア全体が見渡せて面白い。窓際のカウンター席の老人に生ビールが運ばれていく。グラスの半分以上を泡が占めているのを見て、老人の反応が気になった。運んだ方も、受け取った方も実に自然だ。「泡を多めに注いで欲しい」と頼んだのだろうか。
栗ごはん、デザート

他の人の栗ご飯には細かい鶏肉が混ざっているが銀髪のご飯にはかけらもない。店員を呼んで聞くと鶏肉嫌いの人のために別途ご飯を炊いてくれたとのこと。他の人たちのご飯は大釜で炊かれたもの。サラダの分が帳消しになった気分である。さすがなだ万だ。
実験は意外と面白かった。しかし、ちょっと下品な行為と反省した。銀髪もいい歳なんだから、カウンターの老人のように品良く振る舞うべきかもしれない。
なだ万日本橋店
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店新館10階
03-6214-2701
http://www.nadaman.co.jp
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2009年11月24日
[北海道八雲町](日本橋)
八雲町物産館?

日本橋三越本店の向かいには奈良、新潟、島根など、県の名産品を紹介する店がある。北海道八雲町の看板を見て「町の?」と不思議に思ったら、居酒屋のようだった。それでも八雲町を紹介するパンフが店頭に置いてある。夜に来ようと思って再びランチ時に店の確認に来たら、行列が出来ていて驚いた。飛び込みで行くつもりだったが、会社に戻って予約の電話を入れた。
「なんで昼間並んでいたの?」席につくなり質問した。「スーパーニュースに出たんですよ」と複雑な表情。「だからなんだー」と言ったら、「テレビに出る前からこんなもんですよ」と強気だ。

噴火湾産の生牡蠣2個530円、高級魚の八雲産鮭児が1980円。魚介類の宝庫の名前を借りただけではない。八雲町からの直送品ならではの鮮度と値段。店員の強気のコメントも頷ける。

ホタテ、青つぶ貝など噴火湾産魚介の刺身盛合せ。ホッケの刺身は別に頼んだ。船上活きしめホッケは東京ではなかなか食べられない。590円の居酒屋値段なのが嬉しい。

あんこうがお奨めとのことだったので、皮身の唐揚げと肝のステーキを頼んだ。漫画の美味しんぼで不健康なフォアグラより天然鮟鱇の肝の方が美味しいと力説していたが、値段も加味すれば同意してもいい。

分厚く切った高級なヒラメの身(590円)とエンガワ(690円)も、もちろん噴火湾産。テレビ番組ではないが、ついつい値段をアピールしたくなる。刺身に飽きたら名物のホッケ。ランチでもホッケは人気者らしい。

コリコリが楽しいカスベのヒレの唐揚げを食べた後は、店員イチオシのあんこう鍋。あんこうと野菜だけで水分は充分のようだ。最後に雑炊を頼んだら忘れられた。てんてこ舞いの店員たちがミスをしても誰も怒らない。これで丼を食べられると逆に喜んでいる。

スーパーニュースで紹介されたのが焼鮭いくら丼らしい。同じものばかりではつまらないので雲丹いくら丼とひとつずつ頼んだ。酒を飲んだ後にはミニ丼が適量だ。
北海道八雲町はホルモン焼屋「合掌」の新業態だそうだが、おそらく八雲町が一番。町興しと産地直送、低価格がうまく機能している。テレビ人気や目新しさで賑わったとしても、はしゃがず奢らずに頑張って欲しいものだ。
北海道八雲町 合掌 ご当地酒場
東京都中央区日本橋室町1-5-2 東洋ビルB1
03-3242-1833
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2009年11月18日
[越州](日本橋)
日本酒好きには堪らない店

日本橋に出来た新しい越州はアサヒ酒造直営店としては6店舗目になる。以前銀座店に行って良かった記憶があるので、仲間を引き連れて行くことにした。オープンしてまだ日が浅いが予約なしでは入れない人気店となっている。
お通し、のっぺ、骨せんべい、白魚の天ぷら


銀髪はともかく、他の連中は新潟の郷土料理に詳しいわけではない。それでも、メニュー選びを主導するのが酒呑みなので心配する必要はない。のっぺなど選ぶべき料理が順調に選択される。
栃尾常太の油揚げ焼き、カキフライ

栃尾名物のジャンボ油揚げも選ばれたが、酒呑みでない連中はカキフライがベターのようだ。既におにぎりを食べている。晩酌をしない家庭の夕餉を銀髪は想像できない。ご飯とおかずと味噌汁だけなら食事はあっと言う間に終わる。家族団欒はどのように行われるのだろうか。
いかの丸焼き、佐渡丸干しいか炙り

「エーッ!これだっけ?」と大きな声を上げたのは佐渡丸干しを頼んだのん兵衛。いかの丸焼きを頼んだのは保守的なおじさん。越州は酒造メーカーの直営店だけに、いいお酒を他より安く飲める。肴に向くのは丸干しの方だろう。
ウインナー、村上鮭のハラス

酒粕を混ぜたウインナーは出色だった。誰もが頼む人気商品のようなので、すぐに売切れる。変わったものを食べようとしない人も、ウインナーなら箸を出す。
刺身(しめ鯖、蛸、ひらめ)、えごねり

頼むものがなくなったのか、終わり近くになって刺身を頼む奴がいる。銀髪の出番がやってきたようだ。エゴノリを煮溶かして固めた佐渡名物「えごねり」、古くなった漬物などを酒粕で煮た「煮菜」、塩引き鮭を削ぎ切りして酒、みりんをかけた村上名物「酒びたし」など新潟郷土料理を注文して講釈をたれた。
煮菜、鮭の酒浸し、へぎそば

最後はつなぎに布のりを使ったへぎそば。酒よし、肴よし、そばもよし。ただし、そばの器・へぎ(片木)が貧弱なのがちょっと残念。
銀座店では出口まで店長が見送りに来てくれたので名刺交換した。そのため、頻繁にハガキが届く。日本橋店からハガキが来ることはない。
越州 日本橋店
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1
03-6225-2630
http://www.asahi-shouzi.co.jp
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2009年11月17日
[さ和鳥 茅場町 力々](茅場町)
リーズナブルに本格水炊き

ランチ時に人形町界隈をブラブラしていたら、いい感じの店を見つけた。テレビやグルメ雑誌もいいけれど、銀髪の嗅覚も捨てたものではない。早速客2人を誘って行くことにした。仲間内ならともかく客と一緒なので念のため予約して出かけた。
店に着いて驚いた。駅から離れていて、場所もいいとは言えず、しかも月曜日だというのにほぼ満席。客も中年グループ、若手グループ、女性同士などバラエティに富む。キーワードはただ一つ。安くて美味しいということだろう。
お通し、キャベツ

テーブルには最初から茹で落花生が置いてあった。すぐ出て来るキャベツは余れば鍋に入れればいいやと思っていたのに、I氏がムシャムシャ食べる。足りなくなって鍋のキャベツもムシャムシャ。酒を飲まないので食い気旺盛である。
キャベツならともかく、唐揚げは自分の分は確保した。期待通りで満足した。
唐揚げ、地鶏炭火焼

水炊きが名物なので博多料理が中心かと思ったが、なぜかもう一つの人気料理が地鶏の炭火焼き。宮崎の知覧鶏を使っているそうで、宮崎料理屋で出るものよりはるかに美味しかった。宮崎風の地鶏炭火焼は固いのが常識と思っていたが、考えを変えなければいけないのかもしれない。
鍋、四つ身

鍋は店員と相談して2人前にしてもらった。小さなテーブルに相応しく、鍋も小振り。鍋の具材は丸椅子に置くしかない。スープを飲み、鶏のぶつ切りを食べて、つくね、野菜を放り込む。全部食べ終わったら、追加注文した四つ身(せせり、もも肉、砂肝、ボンジリ)を入れる。さらに野菜も追加オーダーして、足りなくなったスープを足してもらう。もうお腹一杯と言いながら、2人前のちゃんぽんもあっという間になくなった。
17年前に麻布十番に開店し、神楽坂を経て現在の地に移転したそうだ。東京にある水炊き料理の先駆者と自負している。新三浦、華味鳥、玄海など水炊きの名店に比べると店もテーブルも椅子もみすぼらしい。しかし、気軽に食べるなら力々で充分。ご機嫌な店だった。
さ和鳥 茅場町 力々
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-4 第三カネタツビル1F
03-3249-0100
http://www.sawacyo.sakura.ne.jp
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2009年11月07日
[今泉](日本橋)
絶品のフライ

11時10分、既に先客がいた。胸の社章を見ると証券会社。11時の午前の取引時間が終ると同時に会社を出て来たのだろう。カウンターは5席、4人掛けのテーブルが2つ。すぐに店は一杯になった。外に行列が出来ることも多いそうだ。
通常、ランチの主役は穴子フライ。この従者として白身魚、帆立、鮭、イカなどから一品選んで1,000円。江戸前では煮たり天ぷらで食べる穴子だがフライで食べさせるのは珍しい。最初に来たときは皿一杯に広がった穴子に驚いた。この日は丸まって出て来てもっと驚いた。従者はイカである。

穴子は衣を2度つけしてサクッと揚げる。癖のない白身魚のようだ。イカは薄い衣で固くならないようにサッと揚げる。ソースはウスターソースなのが嬉しい。半分は醤油をかけて食べた。
秋になると一方の主役として牡蠣が登場する。穴子と同様に従者を選んで1,300円。特大のカキフライは複数の牡蠣を合わせているようだ。銀髪が選んだのは帆立。揚げすぎないように祈った。

このカキフライには思わず唸った。何もつけずに食べると牡蠣の濃厚な味が口に広がる。中がレア状態なので生牡蠣が嫌いな人には辛いかもしれない。生牡蠣大好きな銀髪にとっては最高のカキフライだった。帆立ももちろん中は生。これはトップクラスの揚げ物屋さんだ。
カキフライと穴子フライの揃い踏みなら1,500円。銀髪が居る間に最強コンビを頼む人は居なかった。面白いことに連れ立って来ている客は、1,000円か1,300円のどちらかに統一する。相手のことを慮る優しい日本人だ。
口コミ情報を読むと今泉に対するコメントはランチばかり。忙しそうに働く主人に勇気を出して「夜は割烹ですか?」と聞いた。「夜はコースだけなんですよ」と女性が主人に代わって教えてくれた。「いくらからですか?」と今度は女性に。「4,000円です。前日までに予約してください」とのこと。思ったより安い。
よし! 今度は夜来よう。電話帳に載ってないので今度カキフライを食べに行ったときでも予約しようかな。
今泉
東京都中央区日本橋3-1-15
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2009年10月17日
[風長閑(かぜのどか)]②(日本橋)
バースデーにはトラウト・スシケーキ

銀髪のホームバーと呼ばせてもらっているのが風長閑。銀髪グルメ紀行でもっとも登場回数が多いのに、意外なことに風長閑の表題で書くのは約3年振りだ。初めて来たときは雇われマダムと思った美女(かな?)が、実はオーナーママ。着物でビシッと決めたときは、高級クラブと勘違いして客が店に入らず逃げ出すというから笑える。
ボランティアで着付けを教え、髪を結い、茶道に通じ、花を活け、箸の使い方が上手な才色兼備のママだけど、時たま一言多い。「Kさんは偉いのよ。いつもお土産を持って来られるの。ああそうそう、銀髪さんも一度だけ肉まんをくださいましたね」と言う。唐辛子なども持って来たことがあるのを忘れている。もっともKさんに比べたらないに等しいのだろう。
そのKさんと久し振りに風長閑で会った。今日も手ぶらではなく、富山のます寿司と一緒だ。それを予定外に会った銀髪にくれると言うから恐れ入る。遠慮しようと思ったが遊び心がムクムクと湧きあがって来た。「ママ、ろうそくある?」

今週は銀髪のバースデーウイークだった。あちこちで祝ってくれたがケーキは固辞した。甘いものが好きではないし、何より恥ずかしい。しかし遊びならば積極的になる。ます寿司も笹の葉がなければ立派なケーキに見える。鼻の右側を押さえて空気を飛ばすと2本消えた。今度は左側を押さえて1本消した。残り2本は口を使った。ああ、愉快だ。風邪をひいてなくてよかった。
グループ客は奥のテーブル(ソファ?)席で盛り上がる。カウンターに対する壁際のテーブル席で飲む客がママを呼ぶ。ママが笑みを浮かべて歩み寄る。カウンターに座る紳士たちは客同士で品良く会話してママの帰りを待つ。チーフバーテンダーの石井さんだって人気者だが、やっぱり女性一人客のお目当てもママかな。
帰る前に寄ったトイレでは、季節の移り変わりを感じさせてくれる。身も心も軽くなって席に戻ると厳しい現実に引き戻された。メニューを見ながらオーダーすればショットバーならではの明朗会計だが、部下がシャンパンを2本も開けたからちょっと不安だ。それでも、高級クラブで飲むような悲惨なことにはならない。
「また明日」と笑顔で見送るママに「OK!」と気軽に返事をする銀髪。明日とは明日の明日、そのまた明日の明日かも。まあ、いつの明日かわからないけれど「ママ、また明日ね!」。
風長閑(かぜのどか)
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2009年10月14日
[本陣房](日本橋)
新築ビルの新しいレストラン

ちょっと前になるが、10月1日のオープン初日に8人で出かけた。ランチの準備をしているところに声をかけて予約した。昼から通しでやっているから使いやすい。会社に戻って幹事役の部下に告げると新橋の本陣房は評判がいいと言う。期待が膨らんだ。
お通し(生しらす)、かにサラダ、刺身

思ったより広い店だ。奥に個室があるとは知らなかった。例のごとくオーダーを始める。銘々が勝手に頼むものだからおばさんはてんてこ舞い。オーダー端末の使い方もまだ分からないようだ。男性社員とバトンタッチしてなんとかオーダーし終わった。
しめ鯖、日本酒、そば味噌

焼酎はもちろん日本酒の品揃えもいい。部下の一人が1銘柄を除いて全部飲んだことがあるというのでメニューを見ると、成る程有名な酒ばかりだ。ボトルで頼まず銘々が好きな酒を飲むことにした。
若い店員が一升瓶からグラスに注ぐ。グラスからこぼれた酒が枡に溜まる。一合より多く注がれて得をした気分になると思いきや、枡は一合枡よりはるかに小さい特注品のようだ。日本酒は呆気なく枡からこぼれ出してしまい、おしぼりが2勺ぐらいを飲み干した。
たこぶつ、出し巻き玉子、揚げ銀杏

オーダー時にたこぶつや天ぷらをいくつ頼むか揉めた。四皿は多過ぎると言う我々の口は鶴の一声で封じられた。その鶴は早々にかけそばを食べ、たこぶつを一切れ食べただけで飛んでいった。残されたたこぶつがテーブルを行ったり来たりする。
天ぷら、そば

「グラスと枡と別々に注ぎなよ!初日だからサービス、サービス!」促されて渋々一升瓶を傾ける店員。ちっちゃな枡を使うせこい店と、ブツブツ不平を言う意地汚い客。いい勝負だ。
天ぷらを押しつけあった後は、そば屋らしくそばで〆る。たぬきそばを頼んだ連中がつゆが濃いだの油っぽいだの文句を言う。なに言ってんだい!日本酒の肴にもなるもりそばを食べなきゃ通じゃない。二八そばはなかなか良かった。終りよければすべてよし。ぼちぼち2次会の店に行こう。
次の店で待っている鶴の首はろくろ首より長くなっているに違いない。
本陣房
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋コンフォートスクエアー1F
03-5200-6363
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2009年10月12日
[三福](水天宮)
夜の一人飯が楽しいかも

思ったよりきれいな外観にちょっと戸惑った。壁には手書きのメニューが掛けられている。中に入ってみると想像通りの小ささ、古さでホッとした。60歳前後の男性客が3人、テーブルで食べていた。スピードを落とした身のこなしのお父さんが料理を運び、機敏に動くあ母さんがカウンターの中で料理する。

日替わり500円の内訳はメニューのとおり。店内にも同じメニューがかかっている。追加の一品料理はすべて100円。同じ料金ならどれが得だろうと考えてしまう浅ましさ。先客のテーブルを盗み見ると2~4品取るのが適当のようだが、初めてなのでさばみそ一品だけ注文した。

炊き込みごはんは曜日によって決まっている。この日はあさりごはん。注文してから食べ始めるまでセルフサービスの店より速い。銀髪からしたらお父さん、お母さんというべきだが、お袋と言うよりお婆ちゃんの料理、味だ。
「イヤー、美味しいね。またメタボになっちゃうよ」と一番大きな先客が褒め称える。常連でも近くの職場ではないようだ。社用車でやってきたような立派な紳士である。メタボは三福のせいではないことは誰が見ても明らかだ。お父さんが返答しようとすると、カウンターからのお母さんの声が先に届く。
食べ終わった3人がそれぞれ勘定をする。お父さんが100円玉を握りしめている。みんな心得たもので「俺は2枚」「俺は1枚」などと助け舟を出す。釣り銭を出す方も、もらう方も簡単である。
3人と入れ替わって1人客が入って来た。銀髪も食べ終わって立ち上がると、お父さんは手の中の100円玉を数え始める。「4枚ね」と言うと、お父さんは慌てて100円玉を補充するために背を向けた。「ありがとうございました。またお願いします」と言われてその気になった。常連だけが気分がいい店ではない。
今度はカウンターに座って、のんびりと酒を飲みたいものだ。いや、その前に、一人暮らしのお袋のところにメシでも食いに行こうかな。
家庭料理 三福
東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1
03-3808-0886
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2009年10月02日
[じじあんどばば](日本橋)
移転してもカジュアルで気楽な店

移転の手紙が届いたのは8月初め。前の店のお別れ会に参加したかったが叶わなかった。新しい店にもすぐに行くつもりだったのに、アッという間に時間が過ぎてしまった。2人で行くより3人がいい。なんとか人数を揃えて出かけて行った。
5時ちょっと過ぎ、自動ドアを手で開けて中に入った。早い時間でも入れた前の店とは勝手が違う。それでも「開いてる?」と覗き込む我々を喜んで迎え入れてくれた。ソファで昼寝をしていた若い男性店員が叩き起こされたのは可愛そうだった。

実に3年ぶりなので料理を運ぶ若者たちに見覚えがない。たどたどしい日本語の若い女性とのコミュニケーションにちょっと苦労したが、お奨めに素直に従った。自家製ビーフジャーキーのお通しの後に海鮮サラダがドーンと登場した。リーズナブルで量が多いのは以前と一緒だ。

米沢牛、山梨産馬肉の刺身盛合せの味比較。定番料理の中から選ぶつもりだったが店員の推奨は本日のお奨めが殆ど。洋食屋のイメージが強いじじあんどばばにしてはユニークな料理に思えた。もっとも、店主夫婦の出身地の素材にこだわることを知っていれば納得の品だと言える。
とろーり豆腐の特製ピリ辛甘みそタレ付き、コロッケ

初めて食べる変わった料理も面白いが、〆はやはり定番のコロッケ。「ビーフシチューをコロッケにしたような奴」とオーダーしても店員に分かってもらえない。銀髪の勝手な思い込みではあるが、割ってみたらみんな頷いてくれた。

「前より立地がいいので絶対繁昌する」と言う銀髪の説は6時を過ぎる頃から現実味を帯びてきた。肉料理などカロリー過多のメニューが多いことをKさんは懸念するがそんな心配はいらない。メタボは大病するまで治らないし、予備軍もどんどん増えているのが現実だ。会席料理や洒落たフレンチ、イタリアンより素朴な洋食が大好きなお父さんたちにとって、じじあんどばばは安心な店である。
店内を見回すと、おじさんを囲んで若い男女が楽しんでいるグループが複数ある。政府も少子化対策の一環として仲人手当てや合コン幹事手当てを作ってくれないだろうか。
♪今日はお見合いで酒が飲めるぞ~ 酒が飲める飲める飲めるぞ! 酒が飲めるぞ~♪ なんちゃってね。
じじあんどばば
東京都中央区日本橋2-2-15 日本橋テイトビル2階
03-3274-1797
http://www.jiji-baba.jp/
以前の記事
http://codawari.info/ginpatsu/archives/2006/04/post_183.html
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2009年09月28日
[大江戸](日本橋)
食った!食った!

創業は江戸寛政年間1800年という老舗うなぎ屋。接待にも使える立派な個室があるそうだが入ったことはない。何度か使おうかと迷ったが、うなぎ以外の料理が混ざる会席料理はどうも気乗りしなかった。
11時から通しでやっているので仕事を早めに切り上げ、予約もせずに出かけた。銀座方面から昭和通りを歩いて行くと左手に柳が見える。左の入り口が料亭、我々は右の入り口のドアを開けた。こちらには約10年前、昼に来たことがある。
枝豆、うざく、うまき

取りあえずのビールには枝豆。大瓶のビールも枝豆もよく冷えていた。料理を運ぶのはアルバイト風の若い女性。老舗につきもののベテランは料亭の方で忙しいのかもしれない。
きも焼、肝山椒煮

売り切れご免のきも焼。一人前で7~8匹分の肝を使うというから早く行かないとありつけない。「ちょっとお待ちください。聞いてきます」と店員が調理場を往復するのも儀式ではあるまい。ついでに山椒煮も頼んで精をつけることにした。何のために?
白焼き

日本酒もなかなかの品揃えである。銀髪より年長のYさんは酔ってくると食べなくなってしまう。白焼は底にお湯を張った容器で出されるから、ゆっくりとつまみ代わりに出来るのが嬉しい。
蒲焼

「俺はもういらないぞ!」とYさんが言うのでご飯は薄く敷いて貰った。一杯になった腹と酒浸しになった脳では味を云々する状態ではなくなっている。それでもうな重と一緒に持って来てくれた箸には感心した。これまでの先が細い割り箸と異なり、ごはんを食べやすい先が角張った割り箸。さすがに細かいところに気が利いている。
腹ごなしと酔い覚ましを兼ねて歌いに行くことにした。たっぷり精をつけたので発散するにはうってつけだ。
大江戸
東京都中央区日本橋本町4-7-10
03-3241-2828
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2009年09月12日
[スエヒロのお弁当]
350円のお弁当
9月7日の日本経済新聞「クイックサーベイ」はなかなか興味深い内容だった。職場で“お弁党”が急速に勢力を拡大、昼食は家から持参した弁当組が35%もいるとのこと。コンビニ弁当など買って食べる人を加えればなんと60%がお弁党らしい。
定食屋で食べて、喫茶店でコーヒーなんていうのは少数派になりつつある。弁当と飲料でワンコインが昼食の常識ということであれば、スエヒロは実に強い味方である。
随分前のことだが、日本橋三越を背に中央通りを渡って路地裏を歩いていたら弁当屋を見つけた。銀座スエヒロが350円の弁当を売っているとは知らなかった。
コンビニと比較するにはトンカツ弁当がいい。コンビニ弁当より安くて、味も悪くない。量が少なめのような気もするが、銀髪には腹八分目でちょうどいい。数日後、人気のドライカレー弁当を買ってみた。My唐辛子をかけて食べたらとても美味しくなった。

看板商品はすきやき弁当らしい。500円と聞いてすごく高く感じるから不思議だ。牛肉の下にうどんが敷いてあるものの、薄切り肉が9枚(多分)と豪華だ。

弁当に貼られた紙に製造者はスエヒロ食品株式会社と書いてある。かつては高級店として君臨したスエヒロと関係あるのだろうか。疑問に思って調べてみた。スエヒロの前身は1909年に大阪の堂島に開業した洋食屋「弘得社」で、1930年にビフテキのスエヒロとなる。その後、全国に関連会社が出来上がる。スエヒロ会の東京地区メンバーは株式会社スエヒロ、銀座4丁目のスエヒロ商事株式会社、新宿のスエヒロフーズ株式会社、そして銀座6丁目のスエヒロ食品会社である。
子供の頃、何かのお祝いで家族揃って新橋のスエヒロに行き、ステーキに感動したことが忘れられない。窓から見下ろすと、芸者さんを乗せた人力車がまさに動こうとしていた。スエヒロのファミリーレストランを見たときにも驚いたが、350円の弁当にはもっと驚いた。
350円弁当は世界同時不況の前からあり、最近始めたわけではないらしい。今度は先見性があったのかもしれない。350円の弁当にもスエヒロ100周年の誇りが反映されているに違いない。
スエヒロ弁当
東京都中央区日本橋室町1-10-9
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2009年08月30日
[筑紫楼のふかひれラーメン](日本橋三越店)
話の種に

「昼にラーメンでも食べようかな」と思っていたところにNさんから電話がかかってきた。食事を一緒にとることになったが、ラーメンでは申し訳ない。会社の前で待ち合わせて歩き出しても、どこに行くか決まらない。やっぱりラーメンが食べたい。そうだ、ふかひれラーメンなら喜ばれるに違いない。
「ご馳走しますよ、遠慮なく」と言ったら、Nさんは蟹入りの高い方、3,200円のものを選んだ。本当に遠慮がない。味比べをするために銀髪は3,000円の醤油味のものを頼む。どちらにもシュウマイとデザートがつく。


小さな器をもらい、お互い少しずつ分け合った。蟹入りの方は濃厚で美味しいが、食べ進むと醤油味の方も悪くない。ふかひれ料理の代表格であるふかひれ煮を連想させる。もやしを乗せて酢をかけるとラーメンであることを忘れそうになる。麺はそれなりで、スープが滅法美味い。ラーメンを単品で食べると2,400円。その価値はあるかもしれない。

後日、今度は東京駅キッチンストリートにある筑紫楼のふかひれ麺専門店に行った。こちらは1,600円。高級そうな日本橋三越店と駅にある麺専門店、味覚が雰囲気に左右されるのは間違いないが、800円の差は場所代だけというわけではなさそうだ。
銀座の筑紫楼に行ったとき書いたとおり、ふかひれと一口で言っても色々ある。(→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1189.html)ラーメンに使うものが高級品とは思えない。どちらの店のふかひれも似たようなものだろう。味の違いはスープの作り方と麺にあるように思えた。
高額なラーメンを食べるのはばかばかしいと思うが、ふかひれスープを飲むつもりなら悪くないような気もする。どうせ行くなら800円を節約しても意味がないと思った。
数ヶ月後、三越本店にある筑紫楼に行った。入り口に立つ店長らしき人と目が合う。ちょっと考えて踵を返し、近くのラーメン屋に向かった。
日本橋三越店
東京都中央区日本橋室町 1-4-1 日本橋三越本店新館10階
03-3242-2946
頂上麺 八重洲店
筑紫樓ふかひれ麺専門店
東京都千代田区丸の内 1-9-1 東京駅1階キッチンストリート
TEL.03-5224-6080
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2009年08月24日
[コルビィエラ](茅場町)
兜町の名所になるのは早いかも

以前日栄グローバル証券があったビルが建て替えられ、1階に洒落たレストランが出来た。コルヴィエラとはコルシカとリヴィエラを合わせた造語とのこと。前身は日本橋三越近くにあったジェノヴァ料理の名店「フェア・ドマ」だと言えば、名前の由来も合点がいく人も多いに違いない。
オープンキッチンかと思いカウンターを予約したが、バーだったのでテーブル席に変えてもらった。ディナールームのオープンは6時なので、カウンターでビールを飲みながら店員と料理の相談をした。素材の産地も書いてある親切なメニューだ。どれも美味しそうで選ぶのに骨が折れる。

フォカッチャに刻んだオリーブを乗せてワインのつまみにする。グラスワインも数種類用意してあるので、料理に合わせてもらえる。自家製のハムはボリュームがあってちょっとびっくりした。ソース代わりの豚のゼラチン(コラーゲンと言った方がいいのかな?)がなかなかいい。

ボッタルガ(からすみ)が乗ったサラダ。小松菜を生で?と思ったが、江戸菜とのこと。小松菜を品種改良したもので、筋がなくえぐみも少ないのでサラダでも食べられるそうだ。
「ミョウバンを添加していない志津川産ムラサキウニ100%のスパゲティ」とメニューにあるように、最高の素材を活かすウニだけのシンプル料理である。リゾットとスパゲティのどちらを食べるか悩んでいたら、どちらも食べられるように量を減らして出してくれた。

イタリア語のメニューは難しい。「豚耳やトリッパのアンドゥイエット」と書かれていたが、定番のトリッパのトマト煮込みが出て来ると思っていた。網脂で巻いたソーセージのようにして出て来るとは思いもしなかった。見て驚き、美味しさにまた驚いた。
夏トリュフで覆われたリゾット。少し芯が残る炊き方が絶妙だ。米はイタリア産とのこと。「あー、ジャパニカ米だね」と銀髪が知ったかぶりをする。日本の米はジャポニカ米、インドや中国などで使われる細長い米がインディカ米、イタリアなどで栽培されるのはやや大きくて粘りが少ないジャパニカ米だ。

再びバーに移った。チョコレートケーキもチーズも美味しい。何よりもグラッパの種類が豊富で嬉しい。「凄いですね」と言うと、オーナーシェフの松橋さんが「僕が酒を好きなもので」と笑う。左側の瓶が生産本数が僅か3,000本、日本には36本しか入ってなく、その内3本を松橋さんが買ったそうだ。カウンターで小皿料理をつまみながらちょっと飲んで帰るのも悪くないだろう。
きれいな落ち着いた雰囲気の店、料理も酒も悪くない。さらに品のいい店員の応対振り。松橋さんの素敵な笑顔。コルヴィエラが茅場町・兜町界隈の名所になる日はすぐに来るだろう。
コルヴィエラ
東京都中央区日本橋兜町1-4 日本橋兜町M-SQUARE 1F
03-6206-2306
http://www.ab.auone-net.jp/~corviera/
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2009年07月17日
尾瀬 (日本橋)
寿しとステーキ

「どこに行こうか?」と銀髪。「もう決めました」と部下。昼食会の場所は銀髪を煩わせることなく決定していた。会社の近くだが、聞いたことのない店だ。ネット上でも情報は少ない。「ステーキのコースを頼みました」と言われたが、昼にはちょっと重い。「他に何かないのか?」と聞けば「寿司があります」と答える。ステーキと寿司? なんじゃそれは
3月に開店したばかりというだけあって、まだ真新しくてきれいな店だ。カウンターとテーブル席、小さな個室が2つある。我々が入った方は大きい個室だろうが7人ではちょっと窮屈だ。椅子の後ろを歩くスペースはないので、バケツリレーの要領で皿を渡していく。
先付け

鮨コース(3,000円)、和牛ステーキコース(3,600円)のどちらも先付けは一緒。かんぴょう煮、椎茸といくら、ひらめの昆布締めの3品。悪くない。
鮨コース

海老しんじょに続いて鮨とお吸物。思ったよりも美味しい。
和牛ステーキコース

スープ、サラダ、ステーキ、ごはんと鮨コースよりボリュームがある。銀髪は鮨コースを選んだので、部下からステーキを一切れ恵んでもらったが、なかなか美味しい肉だった。夜のメニューを見ると特選和牛ステーキなるものがあるから、ランチコースの肉は一段下なのだろう。それでも脂が乗っており、年配者にはちょうどいい。
「最後はデザート?」と聞いたら、コースはこれで打ち止め。夜のコースも7,800円のコースを除いてデザートはついていない。甘味嫌いの銀髪には嬉しい献立だが、他の人たちは残念がっていた。
寿司とステーキの組み合わせをいかがわしいと思ったのは間違いだった。和風ステーキと言ってくれれば違和感はなかっただろう。
店名の由来を聞き損なった。メニューを見ると夜は「鬼怒」「日光」「華厳」「尾瀬」と4つのコースがある。主人は栃木県の出身だろうか。あるいは日光、尾瀬を熱愛しているのだろうか。今度は夜にカウンターに座って聞くことにしよう。
尾瀬
東京都中央区日本橋1-2-2 親和ビル1F
03-6214-2761
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2009年07月15日
[てん茂]②(日本橋)
鈴虫の音色を聞きながら江戸の味

名古屋からの客をランチで天ぷら屋に連れて行くと部下が言う。彼が言う店は美味しい天ぷら屋だが、ランチ時は2,000円前後の定食を食べる会社員達でごった返す。ミシュランの星をもらった店でもランチをやっているところは似たようなものだ。しばし考えた末、てん茂に行くことに決めた。夜に行ったことがあるので勝手は分かっている。(前回→http://codawari.info/ginpatsu/archives/2009/03/post_1193.html)
昼は6,300円のコースもあるが、9,450円、12,600円のコースは夜と同じ。この金額なら昼間も混む心配はないだろう。案の定、我々の他には2人居ただけだった。
緑竹

いつものように海老からスタートする。前回はうどが入ったところは緑竹になった。「まだ竹の子があるんですか?」と聞いたら、待ってましたとばかり2代目が説明してくれる。2代目といっても80を超えている。台湾原産で夏場の高級竹の子として知られる。多くは鹿児島で栽培されているそうだ。えぐみがなくて美味しい。竹の子の王様と呼ばれるのも解るような気がする。
パセリ、稚鮎

日本の天ぷら屋でパセリを揚げたパイオニアが2代目だという。「飾り物を客に出すなんてとんでもない!」と先代に随分叱られたそうだ。50年以上前のことを懐かしがっているようだ。その間も3代目が天ぷらを揚げる。琵琶湖産の稚鮎は湖に留まっていると大きくならないそうだ。内臓の苦味が美味しい。
「鈴虫が鳴いてるの?本物?」と客が言って初めて気がついた。スピーカーから流れているかのように澄んだ音が店に広がる。「本物ですよ」と2代目が得意げに微笑む。後ろの椅子の下に籠が置かれているらしい。
きす

前回も食べた定番のきす。一度開いて骨を抜き、再び元の形に戻して揚げるのがてん茂流で、初代から2代目、3代目と受け継がれている。
天茶

他の客に邪魔をされずに食べられるのはいいが、ちょっと飲み過ぎたようだ。灯りを落とした店内では夜と錯覚するのは鈴虫だけではない。飲んだ後の天茶が美味い。
「次回はうなぎにしましょうか?」と言うと、客もあっさり同意した。名古屋にはうなぎの美味しい店がたくさんあるが、蒸しが入る関東風とは違う。どこでも食べられるのは天ぷらも同じだが、東京で食べるとちょっと違う。それを感じてくれたとしたら、てん茂にお連れした甲斐があったというものだ。
てん茂
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
http://tenmo.jp
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2009年06月24日
[日本橋二丁目ダイニング]②(日本橋)
夜も嬉しい野菜、野菜

「なかなか点数高いよ!」とランチで紹介した日本橋二丁目ダイニングに、夜行った。今度は狭い螺旋階段を降りても微塵の不安もない。事前に電話で予約を入れたものの、思ったとおり客はまばらだった。
お通し、本日の産直野菜サラダ

壁際のテーブルに座ると、カウンターとは違う景色だ。野菜の生産者などを書いた張り紙が間近に見える。メニューを見るよりも店に任した方が良さそうだ。女性オーナーとその妹のシェフ、昼間にもいた従業員、女性だけの店はアットホームな雰囲気である。
玉ねぎの丸ごとロースト、元祖魚肉ソーセージ復刻版愛媛生まれ

銀座コルザでも食べた玉ねぎ丸ごとのオーブン焼き。調理時間は約30分とのこと。銀座コルザでは8時間焼いたと言われたが、一杯食わされたのかもしれない。
壁に貼られた大きな赤いポスターに惹かれて頼んだソーセージ。1949年に愛媛県で生まれたアジ100%の魚肉ソーセージの復刻版。なかなか面白い→http://store.shopping.yahoo.co.jp/rikaryo/zeppin-gyoniku-sausage-4.html
玉ズッキーニ

玉のズッキーニは初めて見た。素揚げにしてくれた。色や形は違っても、味はやはりズッキーニだ。
「儲かっていますか?」と入店早々失礼なことを言ってしまったが、店内はほぼ満席になってきた。いい食材を集めれば仕入れ値は上がり、利鞘は薄くなる。「頑張ってるね!」
意外なことにこの日は女性客より男性客の方が多かった。メタボの客が殆どいないのも分かるような気がする。健康に気をつかっているからここに来る。ここに来るからますます健康になる。
自家製ピクルス、千歳ラム工房のフレンチラック

最後に北海道産のラムを食べた。もちろん肉も魚もあり、野菜同様のこだわりを持っている。バランス良く食べることが何より大切である。
夜の日本橋二丁目ダイニングはいい店だった。オーナーの村上さんの名刺を見ると、店名の他に会社の名前が書かれていた。「食養生」の社名を見ればオーナーの思いも良く分かる。メタボに悩む人は毎日通ってもいい。毎日一人で食事をする人にもお奨めの店である。
日本橋二丁目ダイニング
東京都中央区日本橋2-15-3 B1F
03-3274-6776
http://yoshokuya.exblog.jp
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2009年06月17日
[ドンピエール](京橋)
立派なランチコース

「ドンピエールのランチコースを予約しました」と部下が言う。「ドンピエールならオムライスだろう。コース料理なんか断っちまえ!」と命ずる銀髪。素直に電話した部下が聞いた答えは「オムライスは1時からです」。粘ったけれど徒労に終った。
久し振りのドンピエールは記憶どおりの小さな店だった。一目で我々7人のテーブルがどれか分かる。席につくまで周囲を観察すると、客の殆どはオムライスと並ぶ名物のカレーを食べているようだ。部下が頼んだのは3780円のコースである。
自家製ハム、スープ

立派なハムにMさんがいたく感心している。「もう少し厚ければメインディッシュになりそうだ」と言う声にみんなが同意する。
メインコース

メインコースは岩手産無菌豚、ラム、ハンバーグ、黒ムツの4つの中から選ぶ。魚は誰も望まなかったため、撮った写真は3つになった。
どれもランチとしては充分な量がある。分け合って食べることをしなかったので、それぞれの料理の出来具合を評価することはできないが、それぞれが自分の選んだ料理に満足したようだ。
デザート

これまでの料理で値段にしては立派だと思っていたけれど、デザートのワゴンを見せられてちょっと驚いた。これだけ見事なデザートを見せられると、甘いものが苦手な銀髪は損した気分になる。デザートの料金を引いてくれたら嬉しいのになー
一人2種類選ぶことが出来るので、女性二人の後に銀髪もオーダーした。自分で味見する分を残して彼女たちの皿に取り分けてあげた。これで彼女たちは4種類を食べられることになる。横からMさんが自分の皿を出してくれた。分けるためではなく撮るために。
食事が終る頃、新手の客が数組入ってきた。席につくなり「オムライス」と注文している。時計を見るとちょうど1時を過ぎたばかり。混み合うランチタイムの後にしか食べられない名物料理。なかなかの戦略ではある。
ドンピエール
東京都中央区京橋2-3-4
03-3242-0141
http://www.perignon.co.jp
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2009年06月10日
[鳥ふじ]②(日本橋茅場町)
名古屋コーチン鍋

開店からもうすぐ2年。マスコミ等で度々取り上げられて、評判の高い店になった。銀髪が来て絶賛したのは1年半前で、久し振りの訪問である。2度目は名古屋コーチンの鍋を食べると決め、何度か再訪を試みたがタイミングが合わなかった。
「名古屋コーチンは火曜に入るので、今日で良かったです」と女将に言われてホッとした。今回はぴったりとタイミングが合った。
つくね、きゅうり、刺身三種

コースには刺身も入っており、とてもフレッシュで美味しい。連れに「彼女が女将だよ」と言って驚くのを楽しむ。「よく従業員と間違われるんですよ」と笑う女将は1年半前と変わらず若々しいが、余裕が出てきたように感じる。
手羽元、首肉

「熱いけど手で持って食べてください」明るい声で勧めてくれる。「三羽分の首肉を使っています」と言われて感心する。噛むほどに味が染み出してくる。
竜田揚げ、焼き霜

「イヤー美味しいですねー」と連れが褒めるので気分がいい。コースには入っていない鳥の焼き霜を追加してやった。焼いた後、冷凍庫で冷やすため時間がかかるが、再び褒め言葉を聞けるのは間違いない。

「切れ目がぱっくり開いて浮き上がってきます。箸でつまんで弾力が出てきたら食べ頃です」女将がお手本を見せてくれる。二切れ目からは自分たちでやる。鍋の中の鳥肉をこれほど見詰めるのは初めてだ。食べ頃を逃さないように真剣勝負。うまいうまい。

刺身でも食べられる内臓類もうまい。最後につくねを鍋に入れ、火が通ったところで野菜を加える。雑炊には人気の親子丼にも使われる日本一のこだわり卵が入る。
「ここは焼鳥屋と言ってはダメですね。鳥割烹と言うべきです」と連れがいいことを言う。ほぼ一杯になった店内を見るとますます気分がいい。常連さん気分になっている自分がおかしい。「いつもありがとうございます」と女将に笑顔で見送られるとちょっと面映い。今日で2回目なのである。
「近い内にまた来ますよ!」と言ったものの、新規開拓に明け暮れる銀髪にとっては約束が守れるかどうか辛いところだ。
鳥ふじ
東京都中央区日本橋茅場町3-4-6 本橋ビル2F
03-3249-6118
http://www.torifuji.net
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2009年06月04日
[江戸路](人形町)
旧鳥友の時代から人気の焼き鳥屋

「玉ひでの姉妹店」というだけで店は一杯になるだろう。鳥友がなくなったと思っていたら、立派なビルが建ち、名前を変えて再スタートした。経営者の玉ひでの娘さんを見たかったが、この日は虎ノ門にある店に居るとのことだった。

大通りに面したドアから入り、長いカウンターを左に見ながら奥に進み、階段を上った。席につくと、お通しとコラーゲンスープが運ばれてきた。ちょっと変わった枝豆は誰もいないテーブルの殆どに置かれていく。柱が窮屈な4人席に押し込まれたのを恨むより、来る直前の予約にもかかわらず入れたことを喜ぶべきかもしれない。


レバーのパテ、冷やしコラーゲン鳥、砂肝すだちポン酢、鳥皮柚子ポン酢。焼鳥の前に、ちょっと変わった料理を食べることにした。女性なら飛びつくコラーゲンに、男たちはあまり興味を示さなかった。
もも肉、ハツ、つくね、レバー(タレ)


お任せの5本コース、8本コース、どちらを選ぶか悩んだ末に、食べたいものだけをオーダーすることに決めた。もっとも、他の人にとっては店に任せるか銀髪に任せるかであまり違いはない。出てきた焼鳥は値段で予想したとおりボリュームがある。まず4本ずつにしたのは正解だった。
ハツモト、ぼんちり、せせり、砂肝、皮、合鴨



今度は2本ずつ頼んで、4人で分け合うことにした。銀髪にとってはハツモトが初体験。ぼんちりやせせりが初めての人もいた。銀髪だけが頼んでいると不満が出る。定番の砂肝や皮が食べたいと思うのも無理はない。
最初に頼んだ4本はタレか塩か好みを聞かれたが、ハツモト、ぼんちり、せせりは選択させてはくれなかった。それぞれがオリジナルの味付けになっているからのようだ。ぼんちりやせせりはさっぱりと美味しく食べられるが、未経験の人たちには本来の味を知らしめたかった。
勘定をして1階に下りるとカウンター席もほぼ一杯で賑わっていた。今度はカウンターで食べてみたいものだ。
江戸路
東京都中央区日本橋人形町1-19-2
03-3668-0018
http://www.ensen-ado.com/edoji/ningyoucho/1.htm
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2009年05月30日
[二丁目ダイニング](日本橋)
なかなか点数高いよ

永代通りを茅場町から日本橋方面に歩いていたら、野菜の直売所を見つけた。どうやら産直野菜を使っているレストランが店頭で無人販売をしているらしい。俄然、その店に興味が湧いた。
狭い入り口の階段下に店はある。いきなり誰か誘っていくのは気が引けるので、ランチタイムに視察することにした。営業時間は11時半からとこの界隈にしてはちょっと遅い。開店と同時に飛び込み、カウンターに座って定番のハンバーグを頼んだ。

野菜を売り物にしているだけに付け合せの野菜がバラエティに富んでいる。「なかなか点数高いよ」と店の女性に根っこがついた小松菜を褒めた。「男は残すでしょ」と聞いたら予想通り。食通のKさんが聞いたら怒るだろう。「うちの野菜は固めに茹でてあるからか、残す人が多いんですよ」とのこと。
ごはん、サラダ

ごはんは白米、ういろう豆、玄米類、はだか麦、もちきびの五穀米。健康のため、よく噛んで食べるような固さに炊き上がっている。サラダもいい加減なマカロニサラダというわけではない。
食後のコーヒーもデミカップではなく、しっかり量がある。これで1,000円ならなかなかいいと思うのだが、近隣で働く女性たちの評価はどうだろうか。
野菜は生産者の顔がしっかり見えるものを使っている。魚は築地交差点マクドナルドが入るビルの1階にある浅田水産から仕入れると言う。築地で一番美しい女性がいる店としてテレビでも度々紹介されている。銀髪は市場内で買うことが多いが、買い忘れがあったときには浅田水産に行くことにしている。築地に慣れていない人は混み合う場内や場外市場に行くよりは浅田水産の方が買いやすくて安心である。
「浅田水産の尚子さんは、凄い美人ですってね」と店の女性が言うので「いやいや、あなたの方が上だね」と答えた。ホントだよ。
夜はもっとたくさんの野菜がメニューに乗るそうだ。浅田水産本日イチオシの魚も興味がある。近い内に行ってみよう。
日本橋 二丁目ダイニング
東京都中央区日本橋2-15-3 B1F
03-3274-6776
http://yoshokuya.exblog.jp
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2009年05月29日
[だぼ鯊]⑥(日本橋)
もうすぐ終わる銀宝

今年もあぶないところでギンポオを食べ損なうところだった。最盛期がゴールデンウイークに重なり、営業日数が減るため時が経つのが早い。地方から来る人を連れて行くところを思案していて思い出した。お江戸日本橋の名物料理トップ3は寿司、天ぷら、鰻。そうだ!ギンポオ(銀宝)を忘れていた!てなもんだ。
一番好きな天ぷら屋さんは「だぼ鯊」。扉を開けた途端に笑顔で迎えてくれる。「他の2人はお任せ。俺はお好みで」と我儘が言えるのも良い。大将は臨機応変、変幻自在である。
稚鮎、三つ葉

琵琶湖の稚鮎はちょっと苦味があって美味い。軽く三つ葉を食べてお目当てのギンポオを揚げてもらう。
ギンポオ

しんこ、新いか、はぜ、ギンポオなどは、大きく育つ前の僅かな期間が旬。特にギンポオは大人になると皮が固くて食べられない。江戸前天ぷら、通好みの代表格である。
小玉ねぎ、あおりいか、めごち

他の人たちが一通りコースの品を食べ終えた。すかさずギンポオを勧める。大将が丁寧にギンポオの説明をしてくれる。これに口を挟むのが銀髪の悪い癖だが我慢できない。もちろん銀髪も2匹目を頼んだ。
ギンポオ、あなご


最後は穴子。ギンポオと食べ比べする。ホカホカ、サクッ、は一緒だが歯ごたえが微妙に違う。もちろん味も。イヤー、楽しいな。
しじみの味噌汁

連れの一人が椀物を頼んだ。立派なしじみは身も美味しく、いいだしが出ている。「十三湖?小川原湖?」と質問したら、茨城県涸沼(ひぬま)産とのこと。茨城県は宍道湖を擁する島根県、十三湖や小川原湖がある青森県に次いで全国第三位のしじみ漁獲高を誇る。イヤー、まだまだ知らないことはたくさんある。
知らないでいれば食べ損なって悔しい思いをすることはないが、知った以上は食べずにはおられない。何はともあれ今年もギンポオを2匹食べることができた。めでたし、めでたしである。
ギンポオが食べられるのもこれから1週間あるかないか。食べたい人は急いで天ぷら屋さんへ行こう。もちろん、だぼ鯊がお勧めである。
だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533
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2009年05月27日
[PIZZA DA BABBO ピザ ダ バッボ](人形町)
人形町で人気のピザのお味は

「おいっ!ピザを食べに行こうぜ!」会社に残っていた部下に声をかけた。評判のピザを食べるためには4人がベストである。開店の6時を少し回ったところで店に入ると、左奥の部屋に通された。我々にとっては薄暗いが、恋人たちには良い雰囲気だ。
休み明けなのに何と予約でほぼ満席。6時半頃団体客で埋まるので、料理は早めに頼むようにアドバイスされた。
パン、お通し、自家製ピクルス盛合せ

ワインも早めに白と赤を1本ずつ選んだ。白と赤を同時にテイスティングして「白はもう少し冷やした方がいいな」「ウン、赤は空気に馴染ませてから飲もう」と格好をつけたかった。しかし約20年前、外国人に教わったこれらの台詞は使えなかった。ソムリエがいる店なのに、我々が見ていないところで別の店員が開栓し、テイスティングも省略されてしまった。


自家製シチリア風ソーセージ、トリッパ・ヒヨコ豆・緑野菜のオーブン焼き、青海苔の衣をつけたタコのフリット、イタリア版スティックサラダのバーニャカウダソース。隣席でも早めにまとめて注文しているが、我々の料理は順調にやってくる。どれも悪くない。特にトリッパが気に入った。いよいよお目当てのピザ。店のコーナーにある石釜には薪が燃えており本格的だ。
オリベッラ、メーラ

水牛モッツァレッラ、フルーツトマト、ルーコラのオリベッラ。ちょっと焦げが気になる。4人で分けるように切れ目が入っているのは嬉しい配慮である。6分割されたら面倒だった。
トマトソースがかかっていないリンゴとゴルゴンゾーラの白いピザ・メーラ。添えられたハチミツをかけると意外にもよく合っている。甘いものが苦手な銀髪も美味しく食べられた。
マルゲリータ

最後に変わったものを食べようかと思ったが、他店と比較しやすいマルゲリータを食べることにした。これも黒い部分が多い。裏もしっかり焦げている。それにもかかわらずチーズは溶けきらずにダマになっていた。日本橋「ウノ」の福山オーナーが「焦げは飛沫のようでなければならない」というようなことを言ったのを思い出した。
満員の客が料理人の余裕を失わせたのだろう。来た日が悪かったのかもしれない。
PIZZA DA BABBO ピザ ダ バッボ
東京都中央区日本橋人形町2-21-1 島村ビル 1F
03-3666-2777
http://www.da-babbo.jp/
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2009年05月20日
[織音]②(日本橋)
カウンターの割烹もいい

織音は2度目だが夜は初めて。カウンターに座って割烹料理を楽しむことにした。「昼に来たときのことをブログに書いたんですよ」と言うと、「あー、あの時の。みんなで読ませてもらいました」と女将が微笑む。カウンターの中の上神田さんが「今日は逃げ出したい気持ちです」と冗談を言う。
安いコースだと物足りないし、高いものは多すぎる。メニューを見ながら迷っていると、6825円のコースを示し「基本のコースにお好みのものを足したらどうですか?」と勧められた。「私が採って来た山菜もありますよ」と上神田さんに言われて決心した。「お任せします」




「酒選揃い」は箸染(車海老と蚕豆の黄金和え、筍と百合根と花山葵の梅肉絡め、うるいの辛子明太掛け、山独活の辛子酢味噌)、凌ぎ(冷昆布うどんと日本橋野菜)、椀(蓬餅とあいなめ葛打ち)、差味(さしみ二種)、風韻(丸茄子味噌田楽)食事(すっぽんご飯 黄身生姜餡)で構成される。昆布を練り込んだうどんは珍しい。和食の椀にムール貝は初めての経験。スッポンごはんにカレーとは驚かされる。
「そら豆は鞘が空を向いてなるので空豆や天豆、繭に似ているので蚕豆とも書きます」と教えられる。「山独活って何?」「日本橋で野菜ができるの?」各人に配られたメニューを見ながら話が弾む。

「何か当ててください」と出されたものの味や食感はイチジクのようでもあり、キウイのようでもある。またたびと教えられて驚いた。人間も食べるものだとは思わなかった。キウイはまたたび科ということなので味が似ているのも頷ける。
スタッフが作ったという鰹の酒盗には肝が入っているとのことでちょっと苦味がある。日本酒好きの銀髪には危険極まりない。
なるこ百合、あぶらこごみ、せり、姫筍などもコースの途中で出してくれるのでますます酒が進んでしまった。
カウンターには我々の右隣に接待風の3人が座り、後ろの大きなフロアは貸切りで満席、それでもあまりうるさくなくて気にならない。ゆっくり時間が流れていくような感じがするのも、目の前の上神田さんや女将の接客のお陰だろう。
昼の会席も良かったが、夜の割烹も楽しめた。オーナーシェフが仕切る割烹が好きな銀髪だが、一流ホテルにある割烹のような織音もなかなかいいもんだ。
織音(おりね)
東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロントB1
03-3516-1097
http://www.orine.jp/
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2009年05月16日
[恵亭](日本橋高島屋)
和幸グループの究極のとんかつ専門店

和幸は全国各地の駅やデパートなどにレストランが150店舗、惣菜屋が95店舗もある。さらに別の名前のとんかつ屋さんがあるとは知らなかった。恵亭は最良の肉、生パン粉を使用し、つなぎの卵は黄身のみを使う。油は60枚を目安に取り換えるなど、頑固なまでにこだわっているそうだ。
こだわりは豚カツだけではない。店内はゆったりとして雰囲気がいい。接客態度もいいし、上品な高島屋の客層によくマッチしている。こんなに豚カツ好きなお年寄りが多いのかと驚いてしまう。
1,600円のロースかつ膳を頼むと、お代わり自由のキャベツや漬物が並ぶ。隣席の老夫婦の旦那の方が席に着くなりビールを頼んだ。恵亭でのビールは奥様の買い物に付き合ったご褒美に違いない。


生パン粉を使った豚カツは油っこくてあまり好きではない。厚い肉に火を通すためには油の温度を下げなければパン粉が焦げてしまう。恵亭ではきれいな純正植物油を使っているためか、なんとか銀髪の嗜好に合った。
「キャベツのお代わりはいかがですか?」「なくなったお漬物を持ってきましょうか?」などと店の女性がかまってくれる。食べ終わったのに「お茶を取り替えましょうか?」と丁寧だ。辛子もこだわっている。爪楊枝もちゃんとしたものだった。和幸グループの力の入れようが分かる。

キャベツには胡麻と柚子の2種類を交互にかけて食べきった。土佐醤油をかけた大根おろしをカツに乗せたり、とんかつソースや醤油をかけるなど味を変えて楽しんだが、あれこれ選択肢があるので忙しかった。結局、最初に何もつけずに食べたものが一番美味しかったかもしれない。
恵亭は各地の高島屋などに7店舗を展開している。伊勢丹4店舗に展開しているさき亭も同ランクの店らしい。和幸をちょっと見直した。
恵亭 日本橋店
東京都中央区日本橋2-11-1 高島屋日本橋店6階
03-3517-1971
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2009年05月14日
[天香回味 火烤二吃 木原店店](日本橋)
一石三鳥?

天香回味の一番新しい店が日本橋コレド裏の路地に3月末オープンした。「天香回味 火烤二吃 木原店店」を完璧に読める人は多分いないだろう。テンシャンフェイウェイ・ホッカリャンツーきわらだなてんと読む。木原店は明治から昭和の初期まで「食傷新道」とも言われていた横丁らしい。
天香回味は薬膳火鍋の店として知られる。木原店店はグループで初めて2色鍋に鉄板をつけた鍋を導入した。鍋と焼き物を同時にやろうという欲張りな要求を満たすことが出来る。
3980円のコース

薬膳鍋は日本橋本店や東銀座店など何回も食べたことがあるが、我々9人の中には初めての人がほとんどなので店長の説明を黙って聞くことにした。ところがチャチャを入れるのが数人いて、説明時間が伸びてなかなか食い物にありつけない。イライラする銀髪とは対照的に店長は冷静だ。

説明が終わると一斉に材料を放り込む。鉄板のスペースが小さいので、一度並べたニンニクは鍋に放り込んだ。豚肉も半分は鍋にぶち込む。欠食児童たちの戦争が始まった。

コース料理に含まれる野菜やきのこ類を鍋に入れた後で、コース外のきのこを全種類追加した。2卓の鍋に一皿ずつの意味で「きのこを全種類2皿ずつ持って来て!」と仲間が頼んだら、中国人の女の子は誤解して各卓に2皿ずつ持ってきたから堪らない。置く場所もないので次々に鍋に入れた。写真も全部撮る暇がなかった。
とてつもなく多量に思えたが、殆ど残さずみんなの胃袋に収まった。鍋は大勢で食べると美味しい。もっとも、大人数だと鉄板がいかにも小さすぎる。一石二鳥ならぬ一石三鳥のはずが、一兎をも得ずになりかねない。新開発の鍋は2人、多くても3人が適当のようだ。しかも我々のような欠食児童ではなく上品にゆっくり食べる人向きとも言える。
薬膳鍋と焼肉を食べ過ぎて、胃腸薬が必要になるようなことだけは避けたいものだ。
天香回味 火烤二吃 木原店店
東京都中央区日本橋1-5-8 1F~3F
03-3548-3337
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2009年05月12日
[嶋村]②(日本橋)
気楽に行ける老舗割烹

客を迎えるにあたって料理屋を決めるのは難しい。行きつけの店なら我侭がきくし安心できるが面白味に欠ける。漫画美味しんぼでは客の生い立ちや性格、趣味趣向等を熟知した上で接待せよという。久し振りに東京に来る友をどこに連れて行くか考え込んだ。最終的に彼が長年勤務した日本橋にあり、知る人ぞ知る老舗割烹料理屋・嶋村に決めた。
お通し、ほたるいか、空豆

堅苦しい場を嫌うので1階のテーブル席にした。「初めて来た」と言っていた彼も、ビールから日本酒に変わったところで「あのカウンターで昼飯を食べたことがある」と目を輝かせ始めた。苦労のし甲斐があったというものだ。
お造り(ひらめ、さざえ、かつお)

壁に貼られた短冊の魚をピックアップしたら立派な刺身の盛合せが出てきた。さすが名料理店だ。実に上手に盛り付ける。
鯛兜の塩焼き、煮付け

嶋村の名物は鯛兜の煮付け。塩焼きも捨て難いので2品頼んでみんなで突っついた。もっと大きいイメージがあったが、一人一皿でもよかったかもしれない。
出し巻き玉子、地鶏塩焼き、新じゃが煮、3種入り雑炊


老舗割烹といっても仲居さんはとてもフレンドリーで気楽な雰囲気。居酒屋気分で予約なしに扉を開ける客も多い。我々も名物の鯛兜を食べた後は居酒屋で頼むような酒の肴で盛り上がった。

壁を見ると何やら番付表のようなものが額に入れて飾られている。これが文久元年の大江戸料理屋番付表で嶋村の名前が中心に大きく記されている。文久元年は西暦では1853年で、黒船来航(1855年)、安政の大獄(1860年)、桜田門外の変(1862年)より前。嘉永3年(1850年)創業から長く存続できた秘訣は、妙に格式張らず庶民にも愛される店作りにあったのではないか。今の嶋村を見て勝手に納得する銀髪だった。
03-3271-9963
東京都中央区八重洲1-8-6
03-3271-9963
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2009年05月04日
[万豚記ワンツーチー](日本橋)
日本一辛い坦々麺

パーコー麺を食べようと万世日本橋店を探して昭和通りを行ったり来たりしたことは昨日書いた。長年続いた店がまさか閉店しているとは思わなかった。閉まる店があれば開く店もある。いつ出来たか知らないが、初めて万豚記の日本橋店に行った。
もっとも万豚記の1号店が1994年に開業して以来全国に47店に拡大し、紅虎餃子房など662店を擁する際コーポレーションの牽引役を担ってきたようだ。日本橋では新顔でも堂々たる風格がある。
メニューは豊富で何を食べるか迷った。周りの客たちが食べているものはバラバラである。悩んだ末に「日本一辛い坦々麺」を頼んだ。「日本一」のネーミングに負けた。
カウンターに座ると料理人の動きが見えて実に楽しい。筍と挽肉の料理、回鍋肉が運ばれて行った後、料理人が鍋に唐辛子を大量に放り込み始めた。

見た目に圧倒されるが唐辛子の辛味はそれほどではない。もっと辛いラーメンはたくさんある。痺れるような辛さは山椒によるものに違いない。

食べ続けるとヒリヒリしてくる。日本一山椒辛い坦々麺にごはんを放り込んだが失敗だった。ごはんに汁をかけた方が良かった。
食べている間も料理人を見ていたが、銀髪のような馬鹿はいなかった。他にも食べるものはたくさんある。隣の客が食べていた回鍋肉は美味しそうだった。
それにしても店名を正しく読める人がどの位いるのか気になる。「今日の昼飯はマントンキにしようぜ」という人が圧倒的に多いと思う。まあ、通じれば何と呼ばれても店側は気にしないだろうけれど。
万豚記
東京都中央区日本橋室町1-11-13大西ビル1F
03-3527-9351
http://www.kiwa-group.co.jp/brand/search.php?j=100004
追悼
忌野清志郎さんが亡くなった。銀髪に自転車を勧めてくれた友人は忌野清志郎さんに触発されて自転車を始めた。その縁から、ある意味彼を崇拝していた。ご冥福をお祈りします。
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2009年04月29日
[わかい](人形町)
熱い熱いラーメン

毎月1回行くのがとても楽しみなラーメン屋。週1回ぐらいは行ってもいいのだが、人形町の床屋に行くついでなので仕方がない。ラーメンマニアらしい若者は見当たらず、いつも近隣の会社員たちで賑わっている店である。

路地裏にあるため、通りすがりの人が偶然入って来ることは殆どない。メニューの最初にあるのは醤油ラーメンだが、多くの人は味噌ラーメンを頼む。しかも3人に1人は「カタメン、1.5」と付け加える。麺の茹で方が固め、大盛りの意味である。
この日は11時10分に到着した。一番乗りである。主人が銀髪ただ一人のためにラーメンを作り始めた。出来上がるまでに客が入ってこないことをひたすら祈る。客が増えると主人はもやしをどんどん加えて客の数に合わせるので、出て来る時間は遅れて味は不安定になってしまうことがある。
もう一人の料理人が茹で上がった麺をどんぶりに入れた。もう安心だ。今日はラッキーなことに作り終わるまで次の客は入って来なかった。

もやしを炒めてスープを加えて煮込む札幌ラーメン方式の料理法のため、滅茶苦茶熱い。これが最高にいい。熱くなければラーメンではないと思う銀髪である。どんなに評判の店でもスープがぬるいと好きになれない。
ラー油壷の底に沈んだ唐辛子をすくって加える。時には持参の一味唐辛子を振り入れる。熱さと辛さで鼻水が出て来る。ポケットティッシュを持っていなくて何度後悔したことか。初めて食べた時は違和感があった茎わかめも好きになった。
半分ほど食べたところで客がどんどん入りだした。主人、麺を茹でる人、女性店員、合計150歳はゆうに超えるだろうベテラン達に活気が出てきた。銀髪はどんぶりに神経を集中する。今日はティッシュを持っているので安心だ。
今日は今までで一番美味しかった。髪が伸びるのが待ち遠しい。
わかい
東京都中央区日本橋堀留町1-7-16
03-3661-3661
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2009年04月23日
[伊勢定](日本橋)
うなぎ会席

「うなぎ屋を予約しました」と言われて考え込んだ。だらだら酒を飲んでから最後にうな重では満腹で動けなくなるし、分け合ってどんぶり飯をつつくのもゾッとする。コース料理の内容を見たら、最後の食事は半うな丼になっている。よし!5,250円の「野立」に決めた。
ぬた、おから、お造り、焼鳥、うなぎの肝焼き


コースとは別に焼鳥とうなぎの肝焼きを頼んだ。苦味のある肝焼きは通好みで、酒を飲まない連中はあまりいい顔をしない。うなぎ屋定番のうざくを頼もうかと思ったが止めにした。酢の物を嫌う男は多い。
白焼き、う巻き、若竹煮

白焼きが出てきてようやくうなぎ屋らしくなってきた。う巻きもなかなかいい。伊勢定は日本酒の品揃えがいいのが気に入った。うなぎ屋で純米酒や吟醸、大吟醸を何種類も置いている店は他に知らない。
半うな丼、肝吸い

うな丼を仲居さんが各人の前に置いて行く。優しい部下がそれを奥に座っている人にまわそうとして仲居さんに止められた。先ほど白焼きの腹の方を食べた人には、蒲焼きは尾の方を出すらしい。公平に分配するという気配りには感心した。
漬物、水菓子

バランスの取れた良いコースだった。しかし、うなぎは大勢揃ってコースで食べるものではないと、あらためて思った。うざく、う巻き、肝焼きを肴に軽く日本酒を飲み、最後にうな丼を食べるのがベストではないだろうか。デザートなんていらない。
昼なら肝焼きでビールを飲み、うな重で腹を満たす。これが一番だな。
伊勢定
東京都中央区日本橋室町1-5-17
03-3241-0039
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2009年04月15日
[織音](日本橋)
接待にも使えるお店

「会員様ですか?」電話予約の際に聞かれた。そのとき織音は東急リゾート・ハ―ヴェストクラブが昨年10月に開いた会席・割烹料理屋だとは知らなかった。「近隣の方ですか?」と会員以外でも優しい応対に安心した。
社員6名を引き連れてランチに出かけた。5,040円の小会席、一人は刺し身、もう一人が鶏肉が苦手だと告げてある。

烏賊の文字が鳥に見えたので文句を言いそうになった。どうも老眼がひどくなって落とした照明の下では見えにくい。「品書きにさしみ醤油と書くのは珍しい」とMさんが指摘する。「ダシを加えて作っているのでしょう」と銀髪。名料理長らしく、さりげなくアピールしているように見える。


「立派だなー」刺し身の代替料理は見事な野菜尽くし。銀髪も刺し身がダメだと言えば良かった。「ぜんまいじゃありませんからね」煮物に入っている山菜を指して皆に知ったかぶりをする。色鮮やかなこごみである。

山菜の天ぷらはこごみ、ふきのとう、たらの芽の3種類。次の料理が出てくる間の話題は箸に向かった。再びMさんの指摘で変わった形状の箸であることに気付いた。「女将が器に凝っていますので」と店の女性に教えられたのは箸置き。裏返すと素材が書いてあり、集めてみると5種類あった。

本日のお楽しみデザートは夏みかんのゼリー。甘さ控えめなので銀髪でも美味しく食べられた。ここでも自家製か高島屋で買ってきたのかとたわいもない話で盛り上がった。

日本橋界隈は意外と接待に使える店が少ない。織音は6人用の個室が2つだけだが、大きな部屋でも席の間にゆとりがある。我々が大はしゃぎしても、他の席のおば様たちの迷惑にはならなかったと思う。6席の割烹や、バーもリゾートクラブらしい趣がある。
ホームページを見ると料理長は見事な腕前を持っているようだ。女将も経験豊富とのこと。次回はゆっくり割烹にでも行ってみようかな。
織音(おりね)
東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロントB1
03-3516-1097
http://www.orine.jp/
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2009年04月06日
[大和](人形町)
酒よし 肉よし 気分よし

「一応、名前を聞いときましょうかねー」予約の電話をしたときに、店の様子はだいたい想像できた。6時前に到着したらまだ店の中は冷え冷えとしている。10年前に来たときと比べると店はますます風格を増し、店のおばさんもますます…
お通し、べったら、山ごぼう、たこぶつ


畳にあぐらをかいて、壁に貼られた料理の札を見上げる。山ごぼう、山芋、野沢菜、花らっきょ、小なす、セロリ、きゅうり、白菜、赤かぶ、べったら漬け。漬物以外のメニューは僅かしかない。主役は不動なので、小粒な脇役で充分ということだろう。
4人なので牛鍋と桜鍋を2人前ずつ頼むことに決めた。後から入ってきた左隣の4人組にはすぐに牛鍋の材料が届けられた。漬物で飲んでいる我々には頃合いをみはからっていたようだ。もしかしたら順番を間違えたかも。おばさんを見ているとどちらも可能性がありそうだ。牛肉が来て、ちょっと間を置いて馬肉がやってきた。
牛肉、馬肉

牛鍋、桜鍋

隣客が美味いを連発している。一人前1850円がそんなに美味いのかと不思議に思ったけれど、確かに馬鹿にしたものではない。切り落としのような半端な肉でコストを抑えているのかもしれない。
桜鍋の馬肉も悪くない。他で食べたものより美味しい。しかし、牛鍋と味比べしたらさすがに分が悪い。肉の追加は牛肉だけになってしまった。
近隣の会社員たちで店は賑やかになってきた。若い客が多いのはコストパフォーマンスがいいからに違いない。牛鍋をつつきながらごはんを食べれば、大いに満足するだろう。我々はうどんで〆た。

牛肉を何度も追加して、大吟醸酒もたくさん飲んだら多少高くなった。それでも、70年の老舗にしてはリーズナブルだった。
箸袋に書かれた通り、「酒よし 肉よし 気分よし」だった。
大和
東京都中央区日本橋人形町2-8-3
03-3666-7330
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2009年04月02日
[いずみ田](日本橋)
東京でも食べられる博多の味

「住所は分かっているので、後から追いかけます」と言った部下がなかなかやって来ない。いずみ田は大きな看板を掲げていないので、万豚紀のある建物の3階と知っていなければ店を探すのは難しい。携帯電話をかけて町をさまよう部下を助け出した。
メニュー、お通し

「コース料理がお得ですよ」と言われたが、即座に断った。鍋を5人前は多過ぎるし、博多の料理なら店員の力を借りずともオーダーできる。壁にかけられたメニューも分かりやすい。
ゴマサバ、磯辺巻き、美人クルビ

看板メニューの3品。博多に来たらならゴマサバは外せない。ゴマサバも磯辺巻きもイメージしたものと違ったが、悪くない。クルビは韓国語でイシモチのことらしい。博多通が韓国通の人に教えられた。
もつ煮込み、ホタルイカのカリカリ揚げ、菜の花と桜えびの天ぷら

今月のNew Menu Rankingのトップ3には春に相応しくホタルイカと菜の花が入った。味よりも季節感重視かな。
酢モツ、いわし明太香草焼、鍋の具

博多もつ鍋屋に定番の酢モツ。明太子を腹に詰めたイワシ。料理が来る度に解説をする銀髪に、嫌な顔一つしないで聞いてくれる大先輩たち。宴は進む。
慶州鍋

慶州は昔の新羅にあたるという。新羅、高句麗、百済と並べれば、学生時代を思い出す人も多いだろう。韓国と日本の味噌をブレンドしたピリ辛のスープが美味しい鍋だった。
勘定を払って店を出る時に店長の伊藤さんが挨拶に来てくれた。メニューのボードも彼の筆による。立派なものだ。博多に3店舗あり、日本橋店は中目黒に次いで東京進出2店舗目。見つけにくい店だからフラッと入ってくる客はいないにもかかわらず、いつも満席状態の人気店になっているようだ。
博多 いずみ田
東京都中央区日本橋室町1-11-13
03-3274-3955
http://izumida-hakata.jp/
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2009年03月31日
[盛風力](人形町)
今も変わらず人気の塩ちゃんこ

銀髪の顔を見てすぐに「お久しぶりです」と女将さんが言う。「覚えているの?」と銀髪。約6年ぶり、いや最後に来たのはもっと前だったかもしれない。開店当時は頻繁に通ったものだ。やがて予約なしで入るのは困難になり、銀髪の事務所移転で足が遠のいてしまった。
お通し、刺身盛合せ

相変わらず店は賑わっていた。中高年の会社員グループが多いのは、酒や肴が豊富でリーズナブルに腹が膨らむことを証明している。
かつてはあまり見かけなかった女性だけのグループもいる。美味しいを連発している彼女たちもコストパフォーマンスには敏感である。もちろん男たちより味に厳しいは女性だ。
軟骨揚げ、力士風スタミナみそ、空豆

にんにく風味の力士風スタミナみそも懐かしい。きゅうりなどにつけて食べるのが普通だが、これだけで酒はいくらでも飲める。
塩ちゃんこ

二人で食べるなら一人前で充分なボリュームがある名物ちゃんこ鍋。3~4人で来たときは塩と味噌の2種類の鍋を一人前ずつ頼んで味比べをしたものだ。
柚子胡椒、椀

小皿に取り分けて、卓上の小さな器の蓋を開けて思い出した。銀髪が鍋料理に柚子胡椒を使うことを覚えたのが盛風力だった。一番人気の塩ちゃんこ鍋と抜群の相性である。今では柚子胡椒を薬味として出す店が増えた。さすが食べるのも仕事の相撲取りは進んでいた。
押尾川部屋元十両盛風力が料理人として腕をふるう。出産、子育て、店の手伝いと大車輪の女将は、若いときよりきれいになったように思う。実に結構である。
冬場は予約なしではまず入れないが、夏場になると少し暇になるそうだ。冷房のきいた部屋で熱々のちゃんこ鍋を食べるのも悪くない。これからが狙い目である。
相撲茶屋 盛風力
東京都中央区日本橋人形町1-15-1
03-3808-1134
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2009年03月29日
[うな富](人形町)
こだわりのうなぎ屋さん

ネットで人形町界隈で評判の高い店を探したら「うな富」にぶち当たった。聞き覚えのある店名なので、有名店に違いないと思い勇躍出かけて行った。目印はロイヤルパークホテルで、一本水天宮寄りの路地と覚えたら地図の必要はない。

思ったとおり難なく発見したが、想像した堂々たる老舗の建物ではなく、こぎれいな小さな店で拍子抜けした。うなぎ屋の幟がなければ、喫茶店と勘違いしてしまいそうだ。入ろうとして「注文を受けてから蒸すので20~30分かかる」という趣旨の紙が貼ってあるのに気付いた。ちょっと悩んで覚悟を決めた。
カウンターに座りメニューを見上げる。ランチのうな丼(1,500円)と竹(2200円)、松(3000円)、特(4300円)の3種類のお重がある。値段の違いはうなぎの大きさで、半身、4分の3、1、1.5匹らしい。迷わず松を頼んだ。
10分経過、調理場からの親方の声で女性がお重の用意を始めた。ごはんを入れて、タレをかけ、混ぜ合わせる。オーダーしてから18分で銀髪のお膳が完成した。肝吸い、とろろ芋、漬物などを従えてうな重がやってきた。

失敗した。ごはんの量を聞かれたときに、「少なめ」と言ってしまった。待っている間に腹の容量が大きくなっていた。しつこくない軽めの味付けのタレが食欲を増した。「ごはんを足してください」と言おうかと思ったが意気地がなかった。
会社に戻って口コミ情報の食べログを見た。驚いたことに各コメントに店主が丁寧に返事を書いている。仕事ぶりや接客などに通じるものがある。
40年続いた東京海上ビルの店を閉めて、人形町に移転してきたそうだ。確かにその店には何度も行ったことがある。だからうな富の名に聞き覚えがあったのだ。ランチ時に客の回転よりも味にこだわっていたら儲からないだろうなと心配になってしまう。
次回はごはん多目にしよう。
うな富
東京都中央区蛎殻町2-8-9
03-3667-7266
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2009年03月28日
[太陽のトマト麺](茅場町)
ラーメン? スパゲティ?

昨日、レストラン東洋のスパゲティ焼きそばを紹介した。今日は逆のパターンである。
タクシーで移動中に茅場町で変わったラーメン屋を見つけた。本店は錦糸町で創業から既に3年以上経っているらしい。テレビなどマスコミで何度も紹介されたらしいが知らなかった。
茅場町のランチタイムは早い。午前の株式市場が終わる11時過ぎには食事に出かける。11時20分頃の到着では入れないかもしれないと心配したが、まだ席に余裕があった。
お奨めはチーズ入り。しかし迷うことなく「太陽のラーメン」を頼んだ。初めての店ではメニューの一番上にあるものを頼むことに決めている。
料理人が横から見える席に座ったので待つ時間も退屈ではない。フライパンにオリーブオイル(?)を注ぐ。野菜を炒める。トマトソースを加える。火が通ったところで麺を茹で始める。メニューに替え玉があったので、予想したとおり細めんで、茹で時間は短い。
太陽のラーメン

ブクブクとバブルがはじけるほどスープが熱いのが嬉しい。にんにく風味が効いたトマトソースはスパゲティのソースと変わらないように思える。煮豚がラーメンを連想させるものの、スープスパゲティと変わらないとケチをつけたくなる。それでも好きな味だ。悪くない。
茄子のラーメン

基本は太陽のラーメンと一緒。素揚げした茄子を加え、ネギを乗せて、辛さを増している。これもスパゲティ屋で同じようなものがある。ボンゴレラーメンも似たようなものだろう。
環境に配慮しているとのことで割り箸ではなく塗り箸を使っている。箸使いが苦手な人にとってはツルツル滑る塗り箸はちょっと辛いかもしれない。一般的なフォークだと麺が細すぎてうまく絡めることができないだろう。難しいものだ。
太陽のトマト麺は東京に7店舗、神奈川に3店舗、大阪に1店舗ある。フランチャイジーも募集している。
調理時間が短いので列が出来ても回転は良さそうだ。場所柄なのか、女性客より男性客の方が多いのは意外だった。しかも中高年が多い。まあ、他人のことは言えないけれど…
太陽のトマト麺
東京都中央区日本橋兜町7-7
03-5652-9830
http://www.taiyo-tomato.com/
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2009年03月27日
[レストラン東洋](日本橋)
和洋中みんなが楽しめるビヤホール?

日本橋交差点のすぐ近く、数え切れないほどビルの前を通ったことがあるにもかかわらず、不思議なことにこれまで1階でコーヒーを飲んだことしかない。大人数で宴会が出来る近場を探していたらレストラン東洋に行き着いた。
2階に上がると5時半というのに既にビールを飲む客が数組居た。広い店内はビアホールのようである。メニューを開くとますますその印象が強くなる。和洋中何でもござれで好き嫌いが多い人でも困らない。
ソーセージ盛合わせ、しゅうまい、串カツ

「よう、久し振り」ソーセージを持ってきた女性に年配の部下が声をかける。「ホントねー」と若いアルバイトや外国人の女性などを使う店とは一線を画す年季を漂わせる。出てきた料理はビアホールよりずっと美味い。
エビフライ、シーザーサラダ、キムチ

シーザーサラダも昔はこんな感じだったのだろうか。或いは東洋のオリジナルか。昔の洋食屋らしい料理に集中しているとキムチが出てきて肩透かしされる。
目玉焼き、サイコロステーキ、タコフライ

「目玉焼きできないの?両面焼きだよ」と我侭なオーダーを受けても、かの女性は怯まない。歳の割には使いこなしているオーダー端末に目玉焼きがなくても意に介さないのはさすがだ。他の店なら若い店員が「できません」と一言で済ませてしまいそうだ。
スパゲッティー

名物はスパゲッティー焼きそばという珍妙なもの。約25年前、オーストラリアに赴任してすぐに、スパゲティーでうどんを作ったことを思い出した。日本食の代用品を試しては節約に努めた日が懐かしい。味付け次第でどうとでもなるのが麺類のいいところだ。
湯豆腐、天ぷら、笹かまぼこなど、他にもたくさん食べてみんな満足したようだ。7時を過ぎる頃には店内は満席になった。リーズナブルに満足できるのもレストラン東洋のいいところである。
カードは使えないので念のため。
日本橋 レストラン東洋
東京都中央区日本橋1-2-10
03-3271-0003
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2009年03月22日
[陳麻家](日本橋)
専門店の麻婆豆腐

五反田東口の小さな店に行ったのは2002年の夏だったと思う。麻婆豆腐好きな銀髪が偶然見つけて部下と一緒に飛び込んだ。それから色んなところで同じ名前の店を見るようになった。全国で100店以上もある大チェーン店になったが、その後入ったことはない。今年になって会社の近くに同じ名の店を見つけた。陳麻家には2002年以来の訪問である。
店に入ろうとすると店頭でビラを配っていた中国人女性が慌てて追いかけてきた。680円の陳麻飯を頼む。待つ間にメニューを開いて辛さが選べること知ったがもう遅い。卓上のラー油と山椒を加えて食べたが成功したとは言い難い。

食べ終わって胸ポケットに手を当てるとあるはずのものがない。生まれて初めて無銭飲食の嫌疑をかけられるのではないかと怯えた。別のポケットを探る。小銭があったが何度数えても630円しかない。先ほどの中国人女性に告げると「あー、いいですよ。後で持って来てください」と優しい笑顔。嫌な顔一つしない。急いで会社に財布を取りに戻った。
15分後、再びにこやかな笑顔に迎えられた。支払いを終えて、店の入り口のテーブルに置かれていたビラを手に取って愕然とした。開店記念のキャンペーンで50円の割引クーポンがついているではないか。彼女が入店のときに手渡してくれたら、会社に戻る必要はなかった。
ビラをくれなかったことを恨むべきか、免許証や名刺などを求められなかったのを感謝すべきか、しばし考えた。手持ちが50円足りないことを伝えていたら、機転をきかせてくれたかも知れない。やはり彼女の優しさを評価すべきだろう。
持って帰ったクーポン券の期限は3月31日まで。再訪すべきかどうか、ちょっと迷っている。坦々麺でも試してみるかな。
陳麻家 日本橋2号店
東京都中央区日本橋本町3-2-12
03-5201-5777
http://www.chin-ma-ya.com/
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2009年03月18日
[てん茂](日本橋)
本物の江戸前天ぷら

「オッ!凄いね」老舗の雰囲気溢れる店の前に立ってつぶやいた。店に入ると時代を遡った感じがする。初代が明治18年(1885年)に屋台から始め、現在地に店を構えたのが明治40年。関東大震災や戦災に見舞われて立て替えること3度、現在の建物は昭和22年(1947年)に建築された。定番の質問に80を超えた3代目が淀みなく説明してくれる。
揚げ役の4代目の前には黒ずんだ油の鍋が見える。煎った胡麻油で揚げる昔ながらの江戸前天ぷらの店と分かる。雰囲気に気圧されそうになるのをこらえて「毎日、油の前にいると気持ち悪くなりませんか?」と軽口を叩くと、予想外の質問に3代目の表情が和んだ。
漬物、大根おろし、海老、うど

漬物、普通の大根おろしと柚子が混ざった大根おろしが並ぶ。海老を食べて笑みがこぼれた。菜種油や綿実油など透き通ったサラダ油系の揚げ油を使う店が増えたが、さすがに胡麻油100%で揚げると香ばしい。これが伝統の天ぷらの味である。
小なす、ゆべし、稚鮎、白魚

日本酒を頼んだらゆべしを出してくれた。お菓子ではなく、柚子に味噌などを詰めて作る酒の肴。自家製だそうだ。これは堪らん。稚鮎は琵琶湖産、白魚は兵庫産。3代目の説明は快調である。へー、なるほど、フーン。感心して、頷いて、食べて笑う。
銀杏、スミイカ、樋湯葉、椎茸海老しんじょ、めごち

「噛んでいると大豆の味がしますよ」と出された樋湯葉(とうゆば)。湯葉をすくう棒に絡まった湯葉を固めたもの。「本当だ!」思わず声が大きくなった。まるで大豆をそのまま食べているようだ。3代目が樋湯葉の袋を見せながら解説してくれる。
つくし、きぬさや、きす、海老、ふきのとう

「箸置きが素敵ですね」連れも負けずに話しかけると、3代目はますます饒舌になる。4代目は黙々と揚げながらも、時おり父親に合いの手を入れる。他の店員二人の暖かい視線も加わって、実に楽しい。
穴子、青唐、かきあげ、味噌汁

「天ぷらは野菜の季節感があっていいですね」と銀髪が通ぶると、「野菜を揚げるのは精進揚げの専門店で、昔は天ぷら屋は野菜を使わなかったんですよ」と言う。まったく教えられることが多い。
胡麻油100%では胃がもたれるという通説も、てん茂には当てはまらない。家に帰ってもコートから立ち上る胡麻油の香りは不快ではなかった。「私共にとっては胡麻油の臭いは空気のようなものでしてね…」3代目の言葉を思い出した。80歳を過ぎても元気、頭脳明晰。油が気持ち悪いはずがない。
てん茂
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
http://tenmo.jp
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2009年02月03日
[升屋](日本橋)
鉄板焼き居酒屋

「鍋を食べたい」と言う友人を美味しい店に連れて行こうと日本橋界隈を歩いた。ところが目指した店が見つからない。散々引き回した挙句、諦めて入った店には鍋がなかった。
奥の席に座りビールをオーダーしたがなかなか来ない。後から入ってきた客に先にビールが出されるのを見て店を出ようかと思った。友人に申し訳なくてイライラする。
お通し、牛すじ煮込み豆腐

2種類の料理を食べて少しホッとした。アルバイトの数が揃ったのか、サービスもスムーズになってきた。イライラの元凶は自分にあると反省する余裕も出てきた。ゆったりとしている友人との差は歴然としていた。
一口鉄板焼餃子、べた焼き

お奨めの料理は緑の線で囲んであるから分かりやすい。チェーン店らしいアイデアである。鉄板を使った熱々の料理が売り物のようで、値段の割に上等に見える。
新手の女性店員は料理を持って来ては、空いた器を片付ける。所作もきれいな彼女を見て、店の印象が一変した。
手作りもっちり豆腐、とりもも山椒焼き

7年ほど前に癌で胃を全部摘出した友人の話に聞き入った。以前勤めていた会社の同期だが、2人で飲むのは初めてなので話題は多岐に渡った。
ビールの後に頼んだ冷酒を飲みきり、友人が飲む熱燗の2合徳利を手伝った。主に聞き役に回っている銀髪のペースは速い。「もう2合行くか?」と聞いたら手のひらがこちらを向いた。彼のノルマである山椒焼きも一切れ残ったままなので、料理の追加も止めた。
隣席にカップルが来て店は満席になった。仕切りの布が下ろされて、各テーブルの客は半個室の空間を楽しんでいる。似たような居酒屋チェーン店の中では悪くない店だった。
升屋日本橋店は直営店ではなく、フランチャイジーである。加盟店のサービスにはバラつきがあり、失望させられることが多いが、この店のオーナーは頑張っていると言えるだろう。アルバイトといえども、店員一人で店の印象が変わるのだから商売は難しい。わが身の反省も含めて、本当に難しいものだ。
升屋 日本橋店
東京都中央区日本橋3-7-10 タンペイ日本橋ビル1F
03-5299-2050
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2009年01月28日
[魚や](日本橋蛎殻町)
さかなやでさかな

信号の向こうによたよたと歩く男が見える。彼はこちらに気付いていないようだ。横断歩道を渡ったところで声をかけると、驚いたように見上げる。「何だ真っ白じゃないか。えらい、齢とったなー」約25年ぶりの第一声にしては無礼である。「お互い様じゃないか!」と笑い合った。
「どこに行く?」「俺の知っているさかなやに行こう」素直に彼に従うことにした。魚を食べさせる店の意味と解釈したが、店の名前が「魚や」だった。5年ほど前までよくランチをした店と気付いたのは店の前に立ったときである。鯖の塩焼き定食が好きだった。
お通し

5時半過ぎなので1階のカウンター席には誰もいない。2階に上がると1組先客がいた。「刺身の盛合せでも頼むか?」と聞かれたが、健康にいい魚だけを選ぶことにした。万歩計を見せて涙ぐましい努力を披瀝する彼にはいわし、さば、ぶりなどの青魚の方がいい。

3種を一盛りにしてもらったが、量が多いので驚くと「だからこの店が好きなんだよ」と誇らし気だ。常連ぶる彼に敬意を表してお奨めのぶり大根を頼んだ。これも以前ランチでよく食べたものだ。

空白の25年間を埋める作業に忙しく、食べるスピードが上がらない。その代わり、2合徳利は次々と追加されていく。「おい、ゆっくり飲めよ、身体に悪いぞ!」と注意する。「お前が言うか?」と怪訝な顔をする。学生時代、酒量にかけては銀髪の上を行く奴はいなかった。
中年男が避けられない話題が健康だ。「逆さラクダだからなー」と彼は腹をさすってニヤリとする。逆さラクダは学生時代に銀髪が付けた渾名だ。ラクダは背中にこぶがあるが、彼は腹にあるという意味。「なんだ、まだ覚えているのか」と再び昔話に戻る。

最後に立派なカキフライを食べた。お互い中濃ソースは使わないで醤油をかける。我々の世代には醤油派が結構いる。
いつの間にか店はほぼ満席である。10人ぐらいで宴会を始めた連中もいる。勘定をすると腹を満たした比率どおり、酒代が3分の2を占めた。
昔話は終った。これからは新しい思い出を作る時間。お楽しみはこれからだ。
魚や 日本橋店
東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-2
03-3664-9080
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2009年01月22日
[日乃本 比内や]③(日本橋)
今夜のメインはきりたんぽ鍋

昨年、日本橋界隈で行った店の中で気に入った店の筆頭格が比内やである。最初は昼に親子丼を食べに行った。普通の親子丼と違い、鶏肉は炭火で焼いている。香ばしい焼鳥が気に入った。
2回目は焼鳥を食べるために行った。期待したとおり比内地鶏はとても美味しかった。日本酒の品揃えも充実していて呑みすぎた。店員の品がいいのも気に入った。

3回目の狙いはきりたんぽ鍋である。まずお通しから。ゆったりと落ち着いた大人の雰囲気を出してくれるのは料理だけでなく店員の貢献度が高い。

ご当地料理の中からはたはたずし、味噌漬けきりたんぽ、みずのこぶの酢の物、いぶりがっこの4品。質素な郷土料理だけに感動するほどのものではないが、日本酒にはよく合う。今回も秋田の地酒にこだわろうと思ったら何と昨年見学に行った夢心酒造の奈良萬があるではないか。大事に取り扱ってくれるところにしか出さないと行っていた専務のことばを思い出した。業者にも信頼される店らしい。

「今日はいいレバーが入っています」と言われて飛びついた。もも肉や羽の付け根の肉、紫蘇焼きも美味しい。しかし、勧めるだけあってレバーが一番。さすがに健康な地鶏のレバーは白レバーより上の味だった。

刺身の盛合せ、砂肝を食べ、焼きものの最後にちょうちん。若い人は初めてと不思議がる。子供の頃、度々食べさせられたと年長者は顔を曇らせる。どちらの反応も楽しくて、銀髪は悦に入ってムシャムシャ。

さあ、きりたんぽ鍋。浅草のあらまさに比べると品がいい。しかし、あらまさで食べた印象を大きく変えることはない。きりたんぽが他の鍋料理に比べると影が薄いのは、素朴な醤油味でインパクトに欠けるせいだろう。肉や野菜を食べ進み、最後に食べたきりたんぽがスープをタップリ吸ってとても美味しかった。他の素材のすべてがきりたんぽのためにあると納得した。

稲庭うどんを鍋に入れてお終いにしよと思っていたが、念のために聞いてみた。「親子丼を食べますか?」 考えてみたら、何度も親子丼の話を銀髪から聞かされた人たちが我慢できるわけがない。小さめの親子丼をみんなで仲良く分け合って食べた。
日乃本 比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1
03-3231-1718
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2009年01月10日
[フランツィスカーナー]③(日本橋)
ビールを我慢するのは辛い

約2年前、忘年会で窮屈に詰め込まれて仲間が激怒して以来久々に訪れた。客はまだ2組しか入っていないが、我々二人は隅っこの小さいテーブルに案内された。もともとテーブルが小さく、料理をたくさん並べることはできない。ランチでもサラダやパンを順良く食べ尽くさなければ、たちまち料理を置く場所に窮することになる。
ソーセージランチを選んだのがまずかった。必然的にビールを飲みたくなる。小さなランチビールを頼むことにした。ところが、Yさんはあっさりと飲み干して店員にお代わりを要求するにである。思わずそれを制止して、「もっと美味しいビールにしましょう」と言ってしまう浅はかさ。

本物のビールがやってきた。一口飲んでYさんが唸る。ランチビールは日本的なビール風味の炭酸飲料水だったが、本物のドイツ生ビールの何とふくよかなことよ。
グラスを裏返すと泡の線がきっちりと書かれている。泡がこの線より多いとドイツ人は怒り出すに違いない。メニューにも量が明示されており、良心的だと言えるだろう。
銀髪グルメ紀行に書くつもりもなく入店したため、肝腎の料理の写真は撮り損なった。ソーセージも美味しくて本物のビールを合わせれば完璧な食事になる。
1995年に米ドルが高値をつけて以来、円安傾向が続き輸入酒の値段が上がった。最近の円高は輸出企業には大きな痛手となって日本経済を揺るがしているが、一方では輸入食材の値下げが始まっている。ワインなども在庫がさばけた店から値下げが行われるかもしれない。
フランツィスカーナーでも輸入還元セールをやってくれれば嬉しい。生ビールの在庫はそれほどないはずだ。時々ホームページをチェックしてみよう。
東京都中央区日本橋3-8-16 ぶよおビルB1
03-6225-5485
http://www.zato.co.jp
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2008年12月26日
[安兵衛](日本橋室町)
冬はおでんで決まり!

日本橋三越を越えて神田方面に歩くと路地の向こうに飲み屋が見える。いつか行きたいと思いながら、果たせなかった店が安兵衛である。銀座の高級割烹もいいが、のん兵衛にとっては路地の古びた店は抗しがたい魅力がある。やすベー、いい響きだ。
機会は突然やってきた。客を迎えに行ったらダブルブッキングで宴席がキャンセルになった。嘆いてはいられない。すぐに安兵衛のことが頭に浮かんだ。部下と一緒に早足で歩く。ドアを開けて店内を見回すとまだ半分ぐらいの入り。ヤッタネ! おでんのカウンターに真っ直ぐ歩いて行った。
お通し、おでん

頼んだ料理が出て来るまで、目の前のおでんを少し貰うことにした。銀髪は大根と玉子。部下は大根とはんぺん。「崩れてしまっているから」と部下の皿に大根が1つ余計に入った。銀髪は不公平にむくれたりしない。すかさず半分取り上げて口に運ぶ。口の中ですぐに溶けてしまった。あー美味しい。
鳥の唐揚げ、玉葱の天ぷら

部下が頼んだ2品は少しだけ口にした。脂っぽいものが出てきたら怯んでしまう。「お前も、そんなに若くないんだぞ」と言いたいところだが、止めにした。残ったらもったいない。気持ちよく平らげてもらおう。
赤むつ

割烹らしいものを頼もう。高級魚の煮付け3,000円が一番高い料理。「頭と尻尾、どっちがいい?」と優しい銀髪。「尻尾の方がいいです」と答える可愛い部下。あー幸せ。

最後はおでん。隣に座った3人組は酒もそこそこにおでんばかり食べている。いつの間にか目の前の鍋は半分以上なくなっている。振り向くとテーブル席も満席。熱燗も7本飲んだので、ぼちぼち席を空けてあげよう。稼ぎ時にダラダラしていたら店に嫌われる。
安兵衛は昭和5年創業の店。割烹というより居酒屋の方が似合っている。料理は男っぽく、店の雰囲気も男の世界。パッと見は小さな店だが、総席数が100席もあるので大きな宴会も可能だ。カウンターから見える調理場が大きいのも頷ける。
気楽に食べて呑んで、おやじたちには都会のオアシスである。
割烹 安兵衛
東京都中央区日本橋室町3-2-13
03-3241-2855
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2008年11月10日
[山田屋]④(日本橋)
ふぐだ、ふぐだ

恒例の月末夕食会。10月末のことである。総勢9人なのに「ふぐが食べたい」と言われるとドキッとしてしまう。一度は拒否したものの考え直した。「連れて行くなら今の方が安くていいからな」と言うとみんな怪訝そうな顔をする。一人が銀髪の言葉の意味を解した。「白子が小さいからですね」その通り。まだメニューにもない可能性が高い。
付け出し

山田屋には何度も来ているので勝手が分かっているつもりだった。人数分のコースを頼むと量が多くて美味しい雑炊を食べられなくなってしまう。コースを止めて、刺身、唐揚げは一人一人前ずつ、てっちりは合計で6人前と少なめに頼んだ。単品で頼むと割高になるが、刺身の量は多くて何よりも不公平感がなくなる。大皿から欲望を隠しながら行儀良く食べるのは辛い。
刺身

何人かがビールをお代わりする。銀髪はひれ酒を頼んだがなかなかやって来ない。他の連中は刺身をたいらげてしまいそうな勢いだ。
下戸はウーロン茶を飲みながら既に食べ尽くし、「刺身は嫌いなんですか?」と銀髪の皿を虎視眈々と狙っている。イライラしながらひれ酒を待った。とうとう待ち切れずに隣の部下のビールを取り上げて、刺身を食べ始めた。危ない危ない。
唐揚げ

一人が「要らない」と言ったはずなのに、食べてしまったので唐揚げが一つ足りない。「俺のがない!唐揚げ大好きなのに!」と一人がダダをこねるので銀髪の皿から一切れあげた。あー疲れる。
「サー、次は鍋ダーッ」みんなで鍋をつつくと思ったら、部屋の隅っこで仲居さんが作り、取り分けて、各人に運んでくれる。6人前とケチったせいか一人一杯のみ。雑炊も同様に一杯ずつ。
少しでも安くするつもりが一人頭2万円支払ってお腹一杯にならなかった。刺身の量は少なくても、鍋で満腹にするコースの方が割安だった。策を弄して失敗した。
3次会が終ったところで「長崎ちゃんぽんに行かないか?」と誘われた。いつもは断るところを素直について行った。彼のオーダーしたちゃんぽんセット(餃子付き)と皿うどんを仲良く分け合って食べた。「ふぐよりこっちの方がいい」と嬉しそうにしている彼を、いつものように馬鹿にすることができなかった。
日本橋 山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com
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2008年10月06日
[日乃本 比内や]②(日本橋)
夜も期待を裏切らない

ランチで食べた親子丼が気に入ったので夜も行きたくなった。人生の大先輩たちを引き連れて総勢6人で出かけた。初めてのディナーで、人数が多いので5,000円の串焼きコースを食べることにした。コースの方が楽なのは確かだ。
先付け、自家製豆腐

予約時に頼んでいたので席につくとすぐに料理が出てきた。ビールで乾杯した後、日本酒に移った。比内やは秋田の地酒など日本酒の種類も豊富に揃えている。枡酒を持って来たのかと思ったら中は自家製豆腐。早とちりしてしまって苦笑い。

比内地鶏の焼き鳥は期待していた通り美味かった。皿にまとめて盛り合わせるのではなく、1本ずつ各人の皿に焼き立てを置いて行く。店員たちはきびきびとして明るく気持ちがいい。

コース料理を頼んで良かったと思うときもあれば、その反対もある。比内やは前者の方で、初めて来た人や自分で料理を選ぶのが面倒な人はコースにしたら安心だ。特に酒飲みにはピッタリの肴が多い。お陰でちょっと飲みすぎた。

〆はもちろん秋田名物の稲庭うどん。コースの最後だけに量は少なめで丁度いい。追加料金を出せばうどんの代わりに親子丼にしてくれる。もっとも親子丼ならいつでもランチで食べられるので、わざわざ夜に食べることもないだろう。
比内地鶏のお造り、比内地鶏のお寿司

コースとは別に頼んだのが上の2品。何も言わなかったのにちゃんと各人に分けて持って来てくれた。比内地鶏の刺身も美味い。寿司はもっと美味くて気に入った。
料理、酒、サービス、どれも文句はない。大先輩たちも満足してくれたようだ。日本酒がすすんでしまうのがちょっと困りものだけど。
ランチ、コース料理での宴会とどちらも及第点。次はカウンターで豊富なメニューの中から単品を食べてみよう。コースを食べるより高くなるに違いないが、裏切られることはないだろう。
日乃本 比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1
03-3231-1718
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2008年09月26日
[丸善]②(日本橋)
他人の飯は白い

丸善の看板料理は創業者の早矢仕氏が開発したというハヤシライス。どちらかというと元祖争いをしている上野精養軒の方が銀髪の口に合うが、食事に連れて行く店としては近くてきれいなので重宝している。残念ながら席の間隔が狭いため、隣席で食べているものが嫌でも目に入る。今回は前に来た時に隣で食べていたハヤシとカレーのミックスしたものを食べた。

ハヤシライスはいつもと同じようにひっかかるような苦味がある。カレーの方がまろやかな感じがする。味が混ざらないように慎重に食べていたが、境目のところは止むを得ない。ところが混ざったところの方が美味しいから面白い。ハヤシライスの苦味も消えた。
一人悦に入っていたが、今度は目の前でFさんが食べていたオムライスが気になる。
別の日にAさんを誘った。もちろん頼んだのはオムライス。これにハヤシとカレーをかけたものに決めていた。ハヤシとカレーを一口ずつ味見して、残りはごちゃ混ぜにする。やはり混ぜた方が美味しい。これにオムライスと来たら無敵である。

完璧だ。実にいいバランスである。ハヤシライス → ハヤシ&カレーライス → ハヤシ&カレーオムライスと進んで3回目にようやく満足する料理に到達したと思った。ところが、左隣のテーブルに運ばれてきたものが気になって仕方がない。

ポーチドエッグが乗ったものかと思ったが、割っても黄身が出てこない。メニューを見て、カマンベールチーズ入りのハヤシライスと分かった。女性2人が美味しそうに食べている。
今度は一人で行った。もちろん頼んだのはカマンベール入りハヤシライス。さて、その評価は?
他人の飯は白い。隣の芝生は青い。自分が食べているものより、他人のものの方が美味しく見えるのは仕方がない。昼飯程度ならすぐ次の機会に挑戦することができるが、他人のデートの相手が良く見えたら困ってしまう。ただ指をくわえて見てるしかない。
丸善カフェ
東京都中央区日本橋2-3-10
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2008年09月25日
[アルポルトカフェ](日本橋)
名シェフがプロデュースするお店

「高島屋の地下にあるイタリアンにします」と幹事役が言ってきた。部下たちとの恒例のランチミーティングの場所にアルポルトカフェが選ばれた。3,150円のランチコースAを頼んだと聞き、事前にインターネットで調べて行った。
アルポルトカフェは西麻布「アルポルト」の片岡護シェフがプロデュースする店らしい。期待してしまう。ランチコースAは前菜3種盛り合わせ、パスタ、デザート、バケット、コーヒー又は紅茶で構成される。パスタだけはメニューの中から自分の好みのものを選ぶ。海の幸のソースのスパゲティを食べることに決定し、部下たちを引き連れて高島屋に向かった。
前菜、バケット

部下が赤ワインを飲むと言うので「安くて美味しいワインはどれ?」と店の女性に尋ねたら5,500円のキャンティクラシコ・ぺポリを奨めてくれた。別の店員が手にしてきたボトルは既に栓が抜かれていたのでちょっと驚いた。ラベルを示すことも、テイスティングもなし。「お客様がご自分で注いで下さい」とテーブルに置かれたのでまた驚いた。5,500円のワインは不当に扱われて可愛そうだった。値段相応ということなのだろう。
我々は総勢7人。壁を背にした真ん中の2人には、店員はちゃんとしたサービスが出来ない。嫌な顔一つしないで皿やナイフ・フォークをリレーする部下たちは偉い!
本日のシェフおすすめスペシャルパスタ

前もって海鮮パスタと決めてきたのに、「からすみのスパゲティ」と言われて心変わりした。新宿のオステリアヴィンチェロと比較する気になったためだ。7人のうち銀髪を含めて3人が本日のパスタを選んだ。
失敗だった。「パスタの神様・片岡護のトマトソース・ボロネード」「片岡護自慢の極上ミートソース・ボロネーゼ」「片岡護がおすすめする絶品なるソース・潮の香りいっぱいのラグーディマーレ」の中から選ぶべきだった。それらの中から選んだ人たちは美味しそうに食べていた。
からすみのスパゲッティはソースが足りずボソボソした食感になってしまった。同じものを頼んだ部下の皿を覗くと充分なソースがあるように見える。3皿に分ける時に差が出来たようだ。自分で料理したときに同じような失敗をしたことがある。プロでも同じ過ちをすると分かり、心の中で笑った。
デザート

高島屋の大きな領収書をもらって店を出た。名声を得て還暦を迎えた片岡シェフが、アルポルトカフェを通じて伝えたいことは何だろうか。彼の声が聞こえない。
アルポルトカフェ
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋B2F
03-5205-3005
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2008年09月22日
[魚櫓魚櫓](日本橋)
リーズナブルに炭火焼

目指す店の前に立つと連れが顔をしかめた。前に来て印象が悪かったらしい。いつもなら構わず入るのだが、あまりの渋面に怯んでしまった。幸い相手が折れてくれた。板さんが変わったかもしれないし、何よりも同行者が銀髪である。いつも書いているように「誰と食べるか」がもっとも重要な要素である。
魚櫓魚櫓は以前行って気に入った穴子家吉五郎の姉妹店。穴子が目当てなのにメニューに載っていない。板さんに聞くと、常連さんに頼まれれば出すことがあると言う。「常連でなければダメなの?」と食い下がると快く受けてくれた。
枝豆

枝豆を頼んだら目の前で茹で始めた。いいじゃないか。連れが顔をしかめた理由が分からない。探りを入れるためいつも以上に熱心に板さんに話しかけた。幸いカウンターに他の客は居ない。穴子談義に花が咲く。「松島産?」「佐賀産です」「広島産は使わないの?」「現地で消費されて東京には余り入ってこないんですよ」「俺は何度も食べたよ」「羨ましいですねー」。板さんを羨ましがらせてどうすんだい。
穴子の刺身、白焼き

「今日の穴子は小さくて…」と板さんは残念がる。「確かに脂の乗りはイマイチだね」と、もう常連気分だ。「いい店じゃないか?」と連れを見ると、素直に頷いた。
いか一夜干し、なす焼き

いかにはつぶしたわたのソースが添えられている。なすも上手に焼かれ、きれいに衣を脱いだ。
日本酒もいい品揃えだ。席の後ろに酒用の大型冷蔵庫がある。無名酒会が選んだというリストの中から島根の死神(無名酒会会長杉浦さんオリジナル)、群馬の風まかせ(純米)、福島の会津娘(純米本生薄濁り)、茨城の夢かなふ(純米吟醸酒)と飲んでいった。高くても900円と良心的な値段である。
レバー、秋刀魚

焼き鳥もチェックしよう。レバーはミディアムといい焼き加減で美味しい。最後の秋刀魚もこんがりと焼かれて出てきた。
帰るときにはカウンターは一杯になった。他の予約も入っているようだ。店を出る間際に「2階もあります」と言われて興味を示したら、案内してくれた。10人以上が入れるテーブル席に加えて、大きな丸テーブルが据えられた個室もある。
名店、高級店ではなくてもカウンターで板さんと話すのは楽しい。料理人だって気合を入れて美味しいものを作ろうとする。料理は口でなく心で食べるもの。そう言えば「愛情がたっぷり込められているから、美味しいわよ」なんて台詞、最後に聞いたのはいつだったろう。ウーン、思い出せない。
魚櫓魚櫓
東京都中央区日本橋室町1-12-14
03-3272-1212
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2008年09月15日
[日乃本比内や](日本橋)
焼き鳥丼風親子丼?

「鳥つねの親子丼を食べたら、他の親子丼なんか食べられない」と書こうと思って親子丼を売りものにしている店を探し、最終的に日本橋三井タワーの「比内や」に決めた。前を通ったことがあるので地図を片手に店を探す必要はない。
11時20分に到着。一番乗りだったので、どこでも好きなところに座るように言われた。ランチは親子丼と産地直送のサラダのみ。親子丼は1,200円。ごはんの大盛りでも同じ値段だが、初めてなので普通盛りにした。

待つ間もなくすぐに親子丼がやってきた。小鉢もついているのでちょっと得をした気になる。器の形状のせいか量は少なめに見える。大盛にすべきだったと少し後悔。
鶏肉を口に入れてちょっと驚いた。炭火の焦げた香りが口に広がる。しっかり焼き鳥である。親子丼の肉は煮るのが普通。玉子丼に焼き鳥を混ぜるのは親子丼の王道から外れているように思える。しかし鳥つねの親子丼だって、最初は玉子かけごはん風で違和感を持たれたに違いない。それがいつの間にか親子丼は半熟が当たり前になってしまった。
王道から外れていても比内やの親子丼は気に入った。何より夜に行きたくなった。日乃本比内やは秋田比内やからのれん分けした比内地鶏の専門店。きりたんぽ鍋もある。酒も鳥つねよりはリーズナブルに飲めそうだ。
順番ならまず鳥つねに行くべきだろうが、日本酒の値段を見てビビッてしまった。親子丼で焼き鳥を食べてみたいと思わせた比内やの戦略(?)に敬意を表することにした。近々に行かなければならない。期待しすぎないこと、お腹を空かせておくこと。美味しく食べる条件を忘れずに。アー楽しみだ。
秋田比内地鶏料理 日乃本比内や
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワーB1F
03-3231-1718
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2008年09月08日
[いとはん](日本橋)
出世魚を食べても…

同じ釜の飯を食った後輩たちもやがて50歳に達する。今は別の道を歩いているが、たまに集まって情報交換する。昔話で盛り上がることもあるが、違う業界や会社の話を聞くと刺激を受けるし勉強にもなる。
「東京駅前の八重洲通りから仲通りに入って直ぐ」と電話で告げた。味もさることながら、分かりやすい場所であることも、現地集合における大事なポイントだ。Aが来るのをあてにせずにKと飲み始めた。
三点セット

店のチェックは昼間に済ませていた。「本日のおすすめ品」メニューがあるのでこの店にした。最初に書いてあるのが三点セット(だだじゃ豆、いかソーメン、冷やしおぼろ豆腐)、スタートはこれで決まり。
刺身

7種類の本日のお造りの中から汐子(ショッコ)とスズキを選んだ。どちらも出世魚である。汐子はシオゴ、アカハナと育ち、最後にカンパチと呼ばれる。スズキはセイゴ、フッコ、スズキ、オオタロウとなる。我々は出世とは無縁になってしまったが、それでも出世魚と聞けば嬉しくなるから不思議だ。
鱧皮ポン酢、和風ジャンボ海老シュウマイ、自家製するめいかの沖漬、まぐろ酒盗

できるだけお腹が一杯にならないものを食べ続けたが、Aはやってこない。時間が経つと食欲も減退してくる。Aの携帯電話にメッセージを残したことを忘れた頃に電話が鳴った。店の場所を告げると15分程してようやくやってきた。
里芋京湯葉あんかけ、天婦羅盛合せ、出し巻き玉子

みつせ地鶏大手羽先塩焼き、ガーリック焼き

普通なら、全員揃ったところでリセットされるので最初からいる人は飲みすぎることになるが、Aは酒が飲めない。従って、リセットもなく頭はクリアなまま粛々と宴の終わりに向かっていく。
店に長時間居座ることになったが嫌な顔はされなかった。客が殆ど居ないのだ。「今日は珍しく空いている」という女性店員の言葉を信じることにした。彼女の応対も料理も悪くなかった。悪いのは4階という場所のせいぐらいだろう。
ゆっくりできた我々はラッキーだった。いつも生真面目なAが心配だったが、元気そうで良かった。出世はなくなっても、まだ老け込むには早すぎる。
最年長の銀髪もまだまだこれから。ヨシッ!明日も飲みに行くぞ!
いとはん
東京都中央区日本橋3-4-1 第2弥生ビル4F
03-3241-1108
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2008年09月04日
[十他素いろり席](日本橋)
お肉も自然農法?

「自然農法とは、農薬や化学合成肥料はもちろん有機肥料も一切使わずに、土が本来持っている力を活かして農家の方々が心を込めて育てる栽培方法です。」店の宣伝文句は実に魅力的である。「いろり席」という店名にも惹かれた。
意気込んで出かけたが、一番乗りだったのには驚いた。まだ6時、時間が早いからと勝手に納得。ハッピーアワーでビールが半額と知って嬉しくなる。炭火が用意されて気分が盛り上がってきた。
お通し、キャベツ、たこ酢


お通しは悪くない。キャベツとたこ酢は普通。助走としてはこんなものだろう。
しめさば、焼きとん

しめさばもちょっと炙るつもりで頼んだ。皿に乗ってきた焼きとんを見て目を疑った。凍っているように見える。時間をかけて焼いた。「もう大丈夫ですよね?」と店員に尋ねたら、肉を串からはずして「もう少しですね」と言う。確かにまだ芯が赤いが「新鮮だからレアで大丈夫ですよ」と言って欲しかった。結局焼きすぎて固くなった。もつは臭いも気になった。
チーズやっこ、煮込み

肉を焼くのは止めた。他の居酒屋料理は問題ない。ちょっと気を取り直した。
焼き鳥、野菜

「焼き鳥を食べたい」と部下が言うので再び肉に挑戦。冷凍ではないようだが新鮮さは分からないのでしっかり焼いた。「いろり席」に惹かれたが、あまりいいアイデアには思えなくなっていた。素材も大事だが、焼き加減も味を大きく左右する。自分で焼く楽しさよりもプロの技に頼るべきだった。
遅まきながら「自然農法」のことを思い出した。全部野菜にするべきだったと反省した。追加注文をしようとする部下を制した。いつの間にか店は7割ほど埋まっており、煙が立ち込めて息苦しくなっていた。一番奥に座る我々の場所の煙がもっとも濃い。快適に過ごすなら入り口の席がベストだと店を出るときに悟った。
久々に勘が外れた。腕のいいコンサルタントを雇っているのかもしれない。宣伝は一流である。
十他素いろり席
東京都中央区日本橋室町1-5-15
03-3278-8822
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2008年08月28日
[御清水庵 清恵](日本橋)
灯台下暗し、いい店が近くにあった

店の前を何度通り過ぎたか分からない。気になってはいたが、たくさんある蕎麦屋の一つぐらいにしか思っていなかった。行く気になったきっかけは先日の福井出張である。福井名物は越前ガニぐらいしか知らなかったが、出張で鯖やおろし蕎麦も名物と知った。
店は思ったより広く、席の間もゆったりとしていて居心地がいい。奥の席は川に面していて予約で埋まっていた。別紙の「本日のメニュー」もあり、酒の肴は充実している。もちろん、最初に選んだのは福井名物の鯖料理だ。
お通し、鯖の燻製、へしこ

初めて挑戦した燻製はなかなかいけた。へしこは土産に持って帰り、家で食べたものよりも美味しかった。
生しらす、刺身盛合わせ、つぶ貝の磯煮、焼きなす(とろろかけ)


「しらすは福井じゃないでしょ?」と店の女性に質問したら困った顔をする。すかさずおじさんが「駿河産」とフォローする。福井産のものでなくても美味しいものを揃えている。「店主ですか?」と質問したところから、丁々発止の会話が始まった。他の席のオーダーを取りに行っても、すぐにまた戻ってくる。実に楽しい。
「つくねが何で出来ているか当たったら、一品サービスするよ」と言われ、受けて立った。
つくね、煮物

「ひっかけで鯖では?」と探りを入れたがまともなクイズだと言う。「これまで一発で当てたのは一人だけ」と胸を張るのでヒントをもらった。そのヒントですぐに分かった。店主はちょっと驚いた顔をする。銀髪の面目躍如である。ノーヒントではなかったが、早い正答に対するご褒美に煮物を持って来てくれた。お返しに一番高い大吟醸酒をオーダーした。福井の日本酒も充実しているのだ。
「何歳に見える?」という質問は一発で当てた。脱サラをした年齢と、開店してからの年数はこれまでの話の中で出て来たので単純な足し算で済む。実は質問の前から既に驚いていた。日々充実している人は確かに若く見える。

最後はもちろん越前おろしそば。武生の蕎麦屋「御清水庵」で修行した店主が打つ蕎麦を〆にした。満腹なので少なめに盛ってもらった。
イヤー、楽しかった。奥の窓際が満席で良かった。お陰で店主と楽しい会話が出来た。店主が料理を差配するだけでなく、客席を回ってサービスする店が悪いわけがない。まさに灯台下暗しだった。
御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)
東京都中央区日本橋室町1-8-2
03-3231-1588
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2008年07月31日
[吉野鮨本店](日本橋)
明治12年創業の大衆的な寿司屋さん

グルメ本等にも度々登場する日本橋高島屋近くの老舗寿司屋と聞けばかなり高級と思い勝ちだが、意外と大衆的な雰囲気の店だ。広いカウンターにはかしこまって座る一見さん居るし、気楽に食べている常連さんも居る。テーブル席には仕事を終えたサラリーマンのグループが居酒屋気分で杯を交わしている。我々は居酒屋組に加わった。
お通し、刺身盛合わせ

お通しの塩辛や、雑然と盛られたように見える刺し盛りがいかにも吉野鮨らしい。茹でたタコ、アジ、サヨリ、鮪の赤身、季節外れのずわいがになど、高級なネタが殆どないのも気取らない店の姿勢が出ている。
サザエ壷焼き、ゲソ焼き

不器用なはずのTさんが、サザエの肝まできれいに取り出したので呆気に取られた。もっとも、あらかじめ茹でて身を取り出し、再び殻に戻して焼いたものと自分が食べてみて分かった。老舗らしい一仕事が真骨頂と言える。
貝の刺し盛り

今度はあわび、赤貝などが乗ってきた。大衆的な店といっても、高級ネタを頼んだらそれなりの覚悟はしなければならない。
鮨盛合せ

喧嘩しないように一人一貫ずつ握ってもらった。イカ、ミルガイはTさんが、ウニはみんなが何となく。ヅケ、コハダ、穴子は銀髪が頼んだ。
第一弾が来たらシャッターを押す前にTさんの箸がイカを捉えた。酔っ払ってしまい銀髪に対する協力姿勢は既になくなっている。

120年の伝統の技はコハダや穴子に発揮されると選んだけれど、コハダが一個余ってしまった。生活習慣病にもっとも近い人が、青魚を嫌う。味よりも青い肌の見た目が気に入らないようだ。みんなより1個分食べ損なった分を、場所を替えて1人でスパゲッティとサンドイッチを食べて補った。バイタリティーのある人である。
100年以上前の料理が飽食の時代のそれより上とは必ずしも言えない。もちろん吉野鮨も時代の変化に合わせて進化しているはずだ。老舗料理屋に行く度に受ける感動と戸惑い。良くも悪くも吉野鮨は疑いなく老舗である。
吉野鮨本店
東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001
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2008年06月30日
[やぶ久](日本橋)
老舗のそば屋はカレーが美味い

「カレーうどんが美味いぞ!」最初に連れて行ってもらったときに奨められてから、「古奈屋」並みのカレーうどん屋さんと決めてしまった。
創業は明治35年というから伝統のある立派なそば屋なのに、カレーうどんでは申し訳ないけれど。
そこで、何か違うものを頼もうと選んだのがカツ丼。んっ?違う? だって同じ値段ならカツ丼の方が親子丼より肉が多くてお得じゃありませんか。んっ?そういう問題ではない?
蕎麦を食べろと言われても、まあ、メニューにあるんだから何を食べるか客の勝手だよね。
そして辿り着いたのがミニカレーうどんとミニカツ丼。これが銀髪にとってのやぶ久のベストメニューである。

カレーうどんは口の中を火傷しないように普通に食べる。カツ丼はご飯が半分残るように慎重に食べる。うどんとカツがなくなったところで、余ったカレーをご飯にかけてカレー丼にする。3種類の食べ方をして、カレーも余すことなく食べ切る。いいアイデアと思いません?
珍しく違うものを食べる気になった。クラブの女性がカレーつけそばが最高と教えてくれた。うどんと飯物に決別して、久し振りに老舗のそばを食うことにした。カレーには違いないけど。

店の名刺代わりのカードには「せまくても こんでいてても いましばし まつたかいあり このそばかな」と書いてある。堂々と言われたら頷くしかないが、確かにこの店は料理が出て来るまで時間がかかる。数人で行って、他の人が食べ終わっても自分のものが来ないなんてことはざら。逆のパターンになって、相手が不機嫌になっていくのを見るのも辛いものだ。だからできるだけ11時を回ってすぐに行くことにしている。
前回、久し振りに行ったときにいつも勘定場に座る店主が居なかったので、「おじいさんは来ないの?」と聞いた。本当は「遂にくたばったの?」と言おうと思ったが下品だから慎んだ。「いらっしゃいますよ」と店員が身内に敬語を使うのが店主の人柄を物語っている。
財布を出したところで後ろに気配を感じた。噂をすれば… アーまだ元気そうだ。軽口を叩かなくてよかったと胸をなでおろした。
カレーつけそばも悪くなかったが、やはりミニカツ丼とミニカレーうどんのセットが一番だ。冷房で体が冷える頃にやってくるので、夏でも問題ない。実に気配りができている店である。
日本橋 やぶ久
東京都中央区日本橋2-1-19
03-3271-0829
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2008年06月24日
[丸善](日本橋)
本屋では有りません。鰻屋さんです。

誰でも日本橋の丸善と言えば本屋さんしか思い浮かばないだろう。日本橋交差点に立つ柳屋ビルの地下2階に鰻屋があることは知っていたが、この店の名前が丸善だとは知らなかった。もっとも読み方は「まるよし」で、本屋とは全く関係ない。
かつては日本橋を代表するビルだった柳屋ビルも今はおんぼろビル。空き店舗が目立つ地下を歩くと気持ちも寂しくなる。そこにある料理屋にはまったく興味がなかった。
ところがある朝、水の入った大きなビニール袋の中をうごめく鰻が店に運び込まれるのを目撃して俄然行く気になった。
日本橋には鰻屋が多い。鰻の養殖は明治時代に深川で行われたのが始まり。鰻の蒲焼は元々江戸料理と言ってよい。後に浜名湖、愛知、鹿児島と最大産地は移っていく。お江戸日本橋に鰻屋が多いのは当たり前の話で高級店も多いが、丸善はいたって庶民的な店である。

お重は1,200円、1,500円、1,800円、2,200円の4種類。見栄を張っても2,200円が上限なのは嬉しい。鰻以外のメニューも多く、専門店というより居酒屋の感じ。生きた鰻を見なければ、今でも鰻を食べたいとは思わなかっただろう。
割り箸の袋を見ると日本橋店の他に三の輪店の電話番号も書いてある。南千住にある三の輪店は持ち帰り専門店で、アド街ック天国でも紹介された人気店とのこと。三の輪店は炭火焼らしいが、ビルの地下にあるためか日本橋店はガスで焼かれているようだ。
隣の人よりも立派なお重でいただいた。器で値段が分かるのが辛い。12時近くになると、常連さんと思える会社員たちが次々に入ってくる。4ランクあるが1,200円でも満足できるのではないだろうか。さらに安いうな丼もある。安くても「通はうな丼を食べる」と気取れば引け目を感じることもない。
出口のレジで2人分4,400円を5千円札で払うと「600万円」と釣り銭を渡された。常連さんには名物おばちゃんとして愛されているに違いない。
三の輪店は昭和10年の創業という。日本橋店もそれなりに古そうだが、老舗の風格はない。
気楽にうなぎを食べられるところがいい。
丸善(まるよし)
東京都中央区日本橋2-1-10 柳屋ビルB2
03-3271-8442
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2008年06月03日
[ウノ]⑤(日本橋)
より上を目指して

ドアを開けると「やっぱり銀髪さんでしたか」と迎えられた。「予約の名前を見て、みんな色めき立ったんですよ」と続く。さりげなく本名を告げて予約を取ったので、みんな期待してくれていたらしい。社交辞令にしても嬉しいものだ。もっと喜ばしいのはスタッフの顔ぶれが約1年前と殆ど変わっていないことだ。店が繁昌しているだけでなく、上手くいっている何よりの証である。
おまかせ2種

以前は自家製のトマトを出してくれたが、隣の農家にも契約栽培してもらうようになったそうだ。盛況ぶりはこんなところにも表れている。夜も予約が取れない店になって久しい。
アスパラのアッレッソ、サルティンボッカ

「メニューは変わりましたか?」と聞くと、「私どものような店は変えようがありません」とオーナーの福山さんは相変わらず謙虚だ。ゴルゴンゾーラとマスカルボーネチーズのソースで食べさせる2種類のアスパラ、シチリアのマルサラワインを使ったソースで食べさせるサルティンボッカ(牛肉の生ハム包みマルサラソース仕立て)など、新メニューの研究にも余念がない。
ゴルゴンゾーラのピザ、ねぎのピザ

研究熱心な2代目のことを嬉しそうに話す福山さんだが、やはり主役はピザである。今日初めてのメンバーも居たので大好きなゴルゴンゾーラのピザを食べさせていつもの台詞。「どうだ!耳が美味いだろう?」
「変わったピザを、薄い生地で」と頼んだら、初めて食べたねぎのピザ。即興で作れるのも福山さんならではだろう。オーナーが獅子奮迅の働きをしてこそのウノである。
チーズの盛合せ、デザート

「パスタの店か、ドルチェの店を開こうと思っているんですが、いい場所が見つからないんですよ」と嘆くので、「この店だって場所はいいとは言えませんよ」と言うと福山さんは苦笑した。美味いものを作り、誠意をもって客に応対すれば、立地の悪さは克服できることを福山さん自らが証明したはずである。
今、開店して間もない頃の閑散とした夜のウノを思い出すのは難しい。しかし完成度が高くなるほど気紛れで飽きやすい客を満足させることは厳しくなってくる。ライバル店も次々と現れて来る。
ウノの更なる発展を期待したい。言う必要はないだろうが一言。「ゆめゆめ油断召さるな、福山殿!」
UNO ウノ
東京都中央区日本橋本町1-1-8 共同ビル1F
03-3548-9161
これまでの記事
「ウノ」
「ウノ」その2
「ウノ」その3
「ウノ」その4
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2008年05月29日
[日本橋焼餃子](日本橋三越前)
三越前に餃子専門店誕生

ランチ時、日本橋三越前の裏通りを歩いていて新しい店を見つけた。入ろうかと一瞬悩んだが、そのままやり過ごした。餃子とご飯では納得できないし、昼間からビールをがぶ飲みするのも気が引ける。あれから1週間、遂に餃子の夕べがやってきた。
いつもの定番は避けて、テーブル席があるという地下に潜ることを決断した。たくさん皿を並べるにはカウンターでは狭すぎる。想像したより地下は広い。点心類は5種類しかないので全部注文した。食べ切れないことはないだろう。出来上がるまで自家製キムチと豆もやしで生ビールを喉にぶち込んだ。ビールが美味い季節到来である。

海老焼餃子、日本橋焼餃子

最初にやってきたのが海老餃子、次が主役の日本橋焼餃子。海老餃子は海老のプリプリ感も、身上である香りも薄い。焼餃子は悪くはないが他店を圧倒する看板料理とは言い難い。
小龍包とスープ入り焼餃子の食べ方が書いてある箸袋を見て気がついた。袋をひっくり返すとYUJINの文字。日本橋高島屋近くの「YUJIN」の系列店だったのだ。「焼餃子はYUJINの方が美味い」と言ったら、「日本橋焼餃子はにんにくを使わないから味が薄く感じるのではないか」とのこと。つけだれで調整して食べた。
水餃子、極丸、海老揚ワンタン

水餃子と極丸は美味い。水餃子も焼いた小龍包の極丸もしっかりした皮の特徴が活きている。皮に具が負けている感のある焼餃子と正反対の評価になった。ワンタンは可もなく不可もない。
海老焼餃子をこき下ろした挙句、女性店員に1個食べさせた。彼女はしっかり自分の意見も加えて調理場に伝えた。嬉しいことに、貴重な意見のお礼と紹興酒をサービスしてくれた。店の評価がグッと上がる。紹興酒の肴にサラダと焼き豚を追加した。

帰り際に箸をプレゼントしてくれた。店でも割り箸は使っていない。環境に優しい店作りも推進しているそうだ。YUJINの箸袋をそのまま使っているのも無駄を省く心掛けの一つなのだろう。
YUJINは有名な中国人の点心師がいると評判になった店だ。テレビでも紹介された。彼は今、日本橋焼餃子店を指揮しているそうだ。本場では水餃子や蒸餃子が主流で、焼餃子は戦後日本で進化を遂げたものである。焼餃子には結構うるさい日本人が満足するものを作れるかどうか。
一流点心師の誇りを賭けた戦いに興味津々である。
日本橋焼餃子
東京都中央区日本橋室町1-11-1
03-3278-0770
http://www.yu-jin.net/gyoza.html
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2008年05月20日
[玉ゐ](日本橋)
予約が取れない店のはずだったのに…

開店してすぐに何度か入ろうとしたことがある。昼は行列に加わる気にはならなかった。夜は予約なしで行ったら断られた。時は流れ、先日ふと思い出して電話した。夕方近くだったのに簡単に予約が取れてちょっと不安になった。
待ち合わせ場所に現れたKさんに行き先を告げると顔が曇った。前に行ったことがあるらしい。不安を増幅させるような表情にムッとしたものの、とにかく自分で判断しようと腹をくくった。店に入ると先客は2人のみ。まだ時間が早いからと自らを納得させた。
特定素材の専門店では、メニューの右端からズラッと注文したくなる。玉ゐでも調子に乗って頼んだら、再びKさんが嫌な顔をする。
のれそれポン酢、噂の塩トマト

焼物が来る前に、2品頼んだ。のれそれは穴子の稚魚だから、穴子尽くしから外れていない。唯一穴子以外に食べたのがトマト。海に近いところで出来るので、ほんのり塩味がするトマトという。
他に客がいないので次から次に料理が運ばれてくる。タイミングを見て作ればいいものを店員も料理人も気が利かない。すぐに冒頭の写真のようにテーブルは一杯になった。
あな佃煮玉子焼き、ふっくら煮穴のきゅうり添え

さんしょ焼き、笹焼き

煮穴、さんしょ焼き、笹焼き、3種の味付けの基本は醤油だれで芸がない。Kさんが懸念したとおり同じ味では飽きてしまう。銀髪のような頼み方を想定していないのだろう。これはこちらの落ち度と反省すべきところだろうが、「似た味付けですが大丈夫ですか?」と一言声をかけて欲しかった。
白焼き、酢めし

Kさんは酢めしを頼んでお食事中。銀髪が一番楽しみにしていたのが白焼き。残念ながら福岡の「鮨隆」、広島の「水軍の宴」には遠く及ばなかった。
日本橋界隈では「あなごや吉五郎」の方が穴子以外のメニューも多いので飽きない。
「玉ゐは箱飯を食べる店」とKさんがしたり顔に言う。一気に料理が来たので、Kさんとの会食では最短の食事になってしまった。従って、まだ店にはほとんど客が入っていない。予約客は我々が去った後に大挙して押しかけて来たのだろう、と思いたい。
日本橋 玉ゐ
東京都中央区日本橋2-9-9
03-3272-3227
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2008年05月15日
[日本橋 ゆかり](日本橋)
ゆかりに行かなきゃ日本橋の料理屋は語れない?

何度か思いついて夕方に電話をしたことがある。カウンターで2人、個室で接待、こちらが望む席はその都度異なるものの、いつも断られた。今度は数日前に昼の個室を予約したら運良く一部屋空いていた。6人部屋に7人と窮屈だが止むを得ない。
松花堂弁当

「右から失礼します」「左から失礼します」「前から失礼します」と2人の仲居さんが皆の前に料理を置く。接客のマナーには反しているかもしれないが、忙しいランチタイムでは仕方がない。「上から」と「下から」がなくて良かったと笑い合った。
最初に出されたのが茶碗蒸し。中に穴子が入っている立派なもの。お弁当もズラッと並べてみると味気ないがバラスと立派なものである。
前菜、お造り

豚角煮、揚げ物

竹の子ご飯、デザート

繊細かつ美味。なかなかお得感があるお弁当でした。
勘定をしようとカードを出したら、「カードのご利用は1名様5,250円以上からと書いてます」と仲居さんに冷たくあしらわれた。もう少し優しく言ってくれればいいものをと思いながら現金を出した。
会社に戻りホームページを開くと、以下のような誇らし気な文字が躍る。大変評価の高い店だとこの時初めて知った。仲居さんにも誇りが染み付いているのが理解できる。
親子三代に渡って宮内庁への出入りを許された名門。
2000年に全面改築 東京建築賞を受賞した店
2002年「料理の鉄人Japan-Cup ‘02」にて総合優勝
2003年 NYタイムズ紙「日本の若手料理人5人」に選出される
口コミ情報では主人はかなり尊大のように書かれているが、本人のブログを読むとなかなか好人物のようである。料理だけでなく酒にもこだわりがありそうなので、銀髪と話が合うかもしれない。
次回はカウンターでじっくり主人と話がしたいものである。
日本橋 ゆかり
東京都中央区日本橋3-2-14
03-3271-3436
http://nihonbashi-yukari.com
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2008年05月06日
[だぼ鯊]⑤ (日本橋)
今日のハイライトはギンポ

江戸前の魚と言えば、アナゴ、シロギス。一年中使われるが晩春から夏にかけてが旬だ。秋には甲イカの子が新イカと呼ばれ寿司種としてだけでなく天ぷらでも人気となる。晩秋から初冬にかけてはハゼの季節。店名にしてしまうほど上品で美味しい魚だ。
忘れてならないのがギンポ(銀宝)で、江戸前天ぷらになくてはならない物。死んでしまうと味が落ちる。成長すると皮が固くなってしまうので、4~5月の限られた期間しか食べられない。まさに通好みの魚と言える。昨年は食べ損なったが、今年は口に出来て幸せだった。
ギンポ

関西ではカミソリ、日本海側ではウミドジョウ、東北ではカタウナギと呼ばれることで分かるように、長細い異形の魚。これを関東では銀宝と呼んで珍重する。江戸前の天ぷらにすると宝になってしまうのが面白い。身はしっかりしていて、噛み応えがある分味が深く感じられる。天ぷらが上手いと見抜いた料理人は凄い。
メゴチ、稚鮎、姫ニンニク、アスパラ、あなご

銀髪は定番のコースではなく、お好みで揚げてもらった。アスパラを頼んでトイレに立った隙にアナゴが一片乗せられていた。ギンポと比べてみると見た目は似ているが味は明らかに違う。
もう一匹食べようかと思ったが止めにした。連れの3人にも敢えて奨めなかった。我々の後に続々お客さんが入ってきて店は満員になっている。予約なしで飛び込んできた我々が、ギンポ目当てに予約してきた客のものを食べたら申し訳ない。

代わりに豆腐をしっかり味わってもらうことにした。にがりを多めにしているので箸で刺しても持ち上がる。大将手作りの豆腐だ。いつもとは趣向を変えて、薬味は別盛りにするようにアドバイスした。まず豆腐だけで、次は塩で、そして薬味を乗せて醤油をかけて食べる。みんな、気に入ったようだ。
ギンポを食べられるのは5月末頃まで。あまり時間はない。
だぼ鯊
東京都中央区日本橋3-3-14
03-3271-7533
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2008年05月01日
[ばんばん](日本橋)
新しい店にエールを送りたいけれど…

再開発で閉店や移転の店が多い日本橋界隈に新店が誕生した。「芝浦直送」を掲げる期待の店である。築地なら魚市場と誰もが知っている。芝浦に肉の市場があることを知る人は少ないだろう。芝浦直送と書けば新鮮で美味しい肉が食べられるということ。ワクワクして行った。
味もやし、ポテトサラダ、冷やしトマト

肉が焼きあがる前にすぐ出て来る野菜類を食べた。もちろん芝浦とは関係ないが、まあ、合格点だろう。
はらみ、たわら(つくねのにら巻き)、たん

「かしらです」と中国人の店員がテーブルに置いた。今まで経験のないような柔らかで美味しいかしらだ。さすが芝浦直送と感激した。しかし、後から「はらみです」と出された物を食べて急速に気持ちが萎えた。店員はかしらとはらみを取り違えている。感激して損したというよりも、食べてすぐに間違いに気付かなかった自分に腹が立った。
かしら、レバー、皮

焼き場を覗き見た。串を回す手がぎこちない。料理人も中国人かもしれない。不安は的中した。レバーも皮も焼き過ぎである。鮮度に自信がある店は、豚でもレバーは中が少し赤いぐらいの状態で出す。激戦区新橋のモツ焼き屋では当たり前だが、この店は慎重だ。
がつ、ればかつ

がつは簡単には噛み切れなかった。部下はなんとか飲み込んだが、銀髪は敢えて食べ残した皿を店員に渡した。日本人の店長がすっ飛んで来たら合格だが、残念ながら何も起こらなかった。開店したばかりの店で特に重要なことが見落とされている。食べ残しは最大の警鐘であるから、理由を追求すべきところなのに…
100円台の串焼きに文句をつけるほど野暮じゃない。値段の割にボリュームもあって美味しいと評価すべきだろう。ポテトサラダもればかつも悪くはなかった。しかし、近くに「紅とん」という手強い競争相手がいる。品揃えも向こうの方が上。
頑張れ、店長! あなたの努力次第で何とかなるかもしれませんよ。
ばんばん
東京都中央区日本橋2-2-5 日本橋アルガビル1F
03-6662-6467
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2008年04月28日
[味粋](日本橋茅場町)
おやじ御用達のお店で就職祝

景気後退の影が忍び寄ってきているが、来春卒業予定の大卒者は引く手あまたらしい。もともと子供の数が少ない世代なので取り合いになるのも止むを得ない。
小遣いが稼げればいいと思う退職した団塊世代も行き場はあるだろうが、もう少し頑張らなければならない50歳前後が満足できる職場を得るのは難しい。
お通し、刺し盛り

2歳年上の先輩の就職を斡旋した。過去10年で成功したのはたった二人。最初から高賃金を求める人は難しい。たまたま決まっても、すぐに放浪することになる。
つぶ貝、うるか

今日は先輩の就職前祝いである。招待してくれたのは銀髪の一回り以上も上の大先輩。彼も最近再就職を果たしたばかり。人柄か、能力か、空白期間なく働いている。
食通で銀髪をグルメ道に導いてくれた人でもあるが、うるか(鮎の塩辛)には箸をつけなかった。好き嫌いが多い先輩はもちろん目もくれない。
若竹煮、めざし、ふぐ唐揚げ

大先輩が「普通の居酒屋」と言ったとおり、おじさんたちの憩いの場的な店である。若竹煮も高級店にひけをとらない。
ふぐは期待しては可哀想だ。いい味付けをしている。
近況報告会は終り、昔の話になる。30年近く前の楽しかったこと、辛かったこと。いや、今は全部楽しい思い出になっている。大先輩は幾分小さくなり、先輩は少し太った。
大先輩には「俺がいいと言うまで禁酒しろ!」と何度も注意されたが従わなかった。「このままではアル中になって死ぬぞ!」と怒られたがまだ生きている。
怒られてから30年近く経った今、ようやく酒量を半分に減らすことを決心した。それでもまだ多いと怒られるかもしれないが…
今度はお二人の就職祝いを銀髪がすることを約して別れた。
旬の居酒屋 味粋
東京都中央区日本橋茅場町2-10-10
03-3663-6055
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2008年04月26日
[風長閑]②(日本橋)
我がホームバー
銀髪グルメ紀行を始めて今回が933回目、毎日更新しているから6月末には1,000回に到達する。約2年半の間に行った店の数は600~700軒。使ったお金は… 考えたくない。
登場回数がもっとも多いのが我が社の近くにある風長閑。銀髪は我がホームバーと呼んでいる。
渋谷の「シノワ」は料理もワインも美味しく、フロアスタッフもなかなか格好いい。しかし、一番感激したのは男性トイレに歯間ブラシやうがい薬が置いてあったことだ。
それ以来トイレに入ってシノワと比べる習慣がついてしまったが、なかなか肩を並べる店は見つからなかった。
「灯台下暗し」、「青い鳥は我が家に居た」、ではないが、我がホームバー風長閑にも同じような備えがあるのに気付いたのはほんの数ヶ月前だった。

飲み屋のトイレにはボトルなどの宣伝や、名言集、「一歩前へ」などの無粋な言葉がかけられているところが多くて白けるが、風長閑はちょっと違う。
3月と4月

気付かないで用を足して出て行く人が多いのは仕方がない。気付いたのはいいが、飾っていた雛人形の1体を持って帰った不届き者がいたらしい。仲良く並ぶ人形に嫉妬したのかもしれないけれど、酒飲みの風上にも置けない人だ。
酒の場は無礼講とはしゃいでもいいけれど、酔った時こそ本性が出て品格が問われるものである。
ショットバーで銀座一有名な「MORI BAR」のトイレもちゃんとエチケットグッズの備えがある。今まで行ったレストランやバーの中で、トイレがきれいなところはみんないい店だった。飛行機の中のトイレをCAが飛行中に何度もチェックしているのを見ると感心してしまう。
風長閑のママは明け方まで働いても、日中は睡眠時間を削って習いごとで忙しい。趣味とは言え、店造りに役立っていることも多いはずだ。ママの気配りに気付いたら声をかけてみよう。
何かいいことがあるかも… トイレの話の二番煎じは反則ですよ!
風長閑
東京都中央区日本橋2-2-8 風月堂ビルB1
03-3231-0140
http://www013.upp.so-net.ne.jp/kazenodoka/
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2008年04月16日
[魚道場]②(日本橋)
移転した魚道場に久し振りに行った

日本橋界隈は毎日群発地震で揺れている。バブルの時ですら手放さなかった地権者が、今回のミニバブルでは売り時を逃さなかった。古いビルを壊し、新しいビルの基礎になる鉄杭を打ち込む振動が日本橋の住人を悩ましている。完成したとき新オーナーは笑顔でいられるだろうか。
魚道場の入っていたビルも取り壊されることになり、魚道場も移転を強いられた。3月3日、電話番号が変わらない場所で営業を再開した。

入り口の上には「いとはん」の文字が削られた跡がある。店内は壁紙が貼りかえられてまるで新しく店を造ったようだ。入ってすぐはテーブル席、奥にカウンターと小上がりがある。カウンター席に座り、久し振りに主人の仕事ぶりを見ながら飲むことにした。
ばい貝、かぶら寿司、かにみそ

基本的にお任せの店であるが、「任せるよ!」と言うと、銀髪の好みをよく覚えていて「珍味系だね!」と応える。かつて富山出身の主人が北陸の味を銀髪に教えてくれた。
穴子の串焼き、刺身、ふぐの粕漬け

相変わらず厚く切った刺身だ。店は変わってもスタイルは同じだ。
カウンター後ろの小上がりが埋まった。カウンターからはテーブル席の様子が窺い知れないけれど、満席になったようだ。主人と女将の二人では手が回らない。
同行したTさんにに酒を注ごうとしたが手で制された。大車輪の主人は我々の料理まで手が回らなくなってきた。「忙しいですね」と声をかけると「たまたまだよ」と言うが、前日予約に来たときもほぼ満席だった。それでも気侭な客のことは分からない。待ちの商売は難しいものだ。
まだまだお任せ料理は続くはずだが、お開きにすることにした。奢るつもりだったが女将が手渡してくれた勘定書きのメモを覗き込み、客は自分が払うと言って聞かない。銀髪が誘った飲み会だが、思ったよりずっと安いのでご馳走になることにした。
魚道場の名刺の「安くて、美味しい」は嘘ではなかった。「また来ますよと」言って店を出た。今度はもっと空いていたらいいけれど。いや、やっぱり繁昌している方が嬉しいかな。
魚道場
東京都中央区日本橋3-3-5 丸十ビル1階
03-3231-3459
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2008年03月13日
[ホテルオークラレストラン ニホンバシ](日本橋茅場町)
久し振りの

「オッ!高級レストランみたいになったね」と言うと、席に案内してくれたフロアスタッフが苦笑した。軽いジャブを繰り出す度に、随分と齢をとったものだと思う。
最初にこのレストランに連れてこられたときはまだ20代で、少し緊張気味にメニューを開いた。ホテルオークラレストラン ニホンバシは昭和40年、銀髪がまだ10歳の頃に開業した。証券会館の7階にあり、これまで多くの経済人が利用した老舗レストランだ。
久し振りに行ったら、店内は随分と変わっていた。個室に近い空間が増えたおかげで、以前より高級感がある。近くに接待ができるような店が少ないため、顔見知りと鉢合わせになるのが嫌だった。その懸念も解消された。
メニューを開いても緊張しなかったが、ご馳走になる身で料理を選ぶのは難しい。招待してくれた大先輩はさすがに手馴れたもので、自分から何を食べるか申告してくれる。メインの内容を選べるブリフィックスコースと確認して、同じコースを選んだ。
クラムチャウダー

20代前半に仕えた上司を前にすると、上下関係がなくなってしまった今も緊張感がある。大先輩が丁寧な言葉遣いをしてくれると、こちらも身を正してしまう。神とも恐れていた頃、大先輩はまだ30歳代半ばだった。自分が50歳を超えても、その思いはなかなか消えない。多分一生変わらないだろう。
牡蠣フライ、魚介のグラタン

今日はちょっとかしこまった食事になってしまったが、ホテルオークラレストラン ニホンバシでは一品料理で昼食を済ませることが多かった。別の先輩、食通のM氏のお奨めがカレーだった。
この日もカレーを食べようと思ったのだが、相手がコースだと一品料理では間がもたないので我慢した。コース料理がデザートを含めてイチ、ニイ、サンで出てくると分かっていれば、サラダとカレーを頼めばよかった。何事も経験である。
次回は久し振りにカレーにしようと誓った。
ホテルオークラレストラン ニホンバシ
東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館7F
03-3667-4828
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2008年02月28日
[室町 砂場](日本橋室町)
明治2年創業の老舗そば屋

神田界隈で名高い老舗そば屋と言えば、以前紹介した「神田まつや」、「かんだやぶそば」、そして室町砂場である。文芸春秋編のレストランガイドによれば砂場が最高の評価で、やぶそばは掲載すらされていない。
すぐに行くべきだったが一緒に行ってくれる客が現れるまで待っていた。
他の2店に比べると店内は真新しく感じる。仲居さんが忙しく働くのは3店共通である。背筋を伸ばして大股に歩くと、常連さんと思うのか居並ぶ仲居さんたちが道を開ける。好きな席を選んで座り、仲居さんが慌てて持って来た網籠にコートを放り込んだ。
メニューを一瞥して、天ざると天もりを頼む。レストランガイドを読んだので食べるものは決めてある。客には「いいですね」と念を押すだけだ。
そばとお茶は合わないから客が望まなければ出さないとの注意書きもあるが、そばには日本酒が定番。銀髪にお茶は要らない。午後の仕事に差し支えると言う相手も、お銚子を向けると素直にお猪口を持ち上げた。

先に天もりがやってきた。一番粉を使った少し黒いそばである。客に勧めたが、固辞された。遠慮したのか天ざるの方が高価(100円高い)だからか、理由は分からない。

天ざるを見て客は拍子抜けしたようだ。海苔が乗っていないからだ。砂場ではざるともりの違いは海苔の有無ではない。ざるはそばの実の中心を挽いたさらしな粉を使った白いそばで、もりは一番粉を使用したもの。銀髪が一人で来なかったのは、2つを写真に収め、味比べをしたかったためだ。
メニューの天もりの横には「当店発祥 天ぷらそばを暑い夏でも食べやすくとそばを冷たいセイロに致しましたのが始まりです。」と書いてある。こだわりがたくさんある老舗だ。天ぷらがつゆに浸かって出てきたのには驚いたけれど。

銀髪にとっては3軒の神田老舗そば屋の中ではレストランガイドが無視した店が一番いい。辛いつゆも、天ぷらも、酒の肴にもっとも適している。そばの評価をしろって? それはそば通に聞いてくれ。
室町 砂場
東京都中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038
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2008年02月19日
[しうまい家 松富](日本橋)
しうまいだけではなく、他の料理にも満足

昨年、開店したときから気になっていた店。ところが昨日書いた「やさいや」と違い、しうまいしかないのかと思わせるネーミングが邪魔をしていた。入り口の札を見るとしうまいだけではなさそうなので、恐る恐るドアを開けた。
奥に一つだけテーブル席があるが、予約済み。3人連れの我々に気遣って主人は「カウンターしか開いていません…」と申し訳なさそうに言うが、もちろん主人と話せるカウンターの方がいい。
お通し(しめさば)、ピリ辛チャーシューネギ、里芋煮ころがし

看板のしうまいと餃子を頼んで、出来上がるまでに手書きの「本日のおすすめ」から数品選んだ。40種類以上の料理の殆どは日本料理。おやじが作るおふくろの味だ。
特許しうまい、松富餃子

特許を取ったと言うだけあって、なかなか美味しいしうまいだ。材料の食感が残るきざみ方と、混ぜて練るときの熱で味が落ちない手法に秘訣があるそうだ。
餃子の中身は干ししいたけとプリッとした海老が入る和風味。割烹の餃子という感じでなかなかいい。
肉団子と白菜煮、新ごぼうきんぴら

店に入ったときから気になっていた湯気を立てている肉団子は白菜とランデブー。きんぴらを肴に北海道産の燗酒がすすむ。

実はこの日はバレンタインデー。男3人の我々を哀れんで店の女性がチョコレートをくれた。なかなかいい店じゃないか。ますますしうまい家が気に入った。
きまぐれサラダ、ぶりかま焼き

主人が冷蔵庫にあるもので日々思うに任せて作るきまぐれサラダは量が多くてびっくり。「しうまいときまぐれサラダだけで充分。他の肴は必要ないですね!」と言うと「それじゃー、店をやっていけませんよ」と主人が苦笑する。楽しい酒だ。
齢を取ったので夜が遅い銀座は辛いと、主人は日本橋に店を開いた理由を話す。ランチメニューは特許しうまいと欧風カレー。いい店見つけた。

しうまい家 松富
東京都中央区日本橋3-1-3
03-3231-0177
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2008年02月07日
[オステリア・キアーロ](日本橋)
気楽なイタリア料理屋さん

新入社員の歓迎会をしようと4人で日本橋コレドの鳥屋さんに行った。座ったところで主役の当人が鶏アレルギーで食べられないと言う。おでんの文字も目に入ったので何とかなるかと思ったが、おでんを食べるためには鶏を含んだコースを頼まなければならないと言われた。お通しで生ビールを一杯飲んで席を立った。
恩恵を受けたのはコレド裏のオステリア・キアーロ。この店の紹介者であるKさんと、連れのMさんを呼んで、6人の宴会になってしまった。
カプレーゼ、アンティパスト

料理はお任せにした。ワインがポンポン空いていく。酒の肴は料理というよりジョークと笑い。「主役はTさんですよ!」と何度言ったことか。食事会の趣旨を何度説明してもみんなすぐに忘れる。
もちろん遠慮しているTさんは、ニコニコしているのみ。
和牛のカルパッチョ、スパゲッティ

スパゲッティは2品頼んだが、一つは露出オーバーのピンボケで使えない。ワインとジョークは銀髪の手元まで狂わした。
ピザ2種

ちゃんと味わってあげなくて、キアーロの料理人には本当に悪いことをした。静かに食べていた女性二人には「うるさくてごめんなさいね」とKさんが銀髪に代わって謝ってくれた。
18席の小さな店内は、他の客が少なくて良かったかもしれない。最近は気取ったオステリアが多いが、本来の意味である居酒屋風にしてしまった6人だった。
今度は料理をじっくり味わいに行かなければ申し訳ない。
オステリア・キアーロ
東京都中央区日本橋1-5-3 川瀬ビル3F
03-3272-1997
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2008年01月30日
[日山](日本橋人形町)
昭和2年創業、人形町の老舗ですきやき

「スキヤキ、ゲイシャ、フジヤマ」を外国人が日本にイメージするものとされたのはいつの頃だろう。変わらないのは富士山ぐらい。日本人でも芸者を見ることは稀で、他の人はどうか知らないがすきやきも最近では殆ど食べたことがない。
定例の6人での食事会。半数が還暦を超越しているので気遣って魚料理が多かったが、意外なことに肉が大好きだと知った。そうとなればハイカラの街、人形町がいい。久し振りに日山に行くことにした。もちろん食べるのは看板料理のすきやきである。
付け出し、前菜

すきやきは松竹梅の3コースあr、違いを聞いたら肉質だけだという。高齢者とお財布に気を遣って各コースを2人前ずつ頼んだ。食べ比べもできるので一石三鳥の離れ業と自画自賛した。
梅

もっと赤身が来ると思っていたのに、梅でも立派な霜降りなので驚いた。今日の肉は梅が山形、竹が青森、松が山形、宮城の混合。日山は肉屋をあちこちに出店しているので、仕入先も多様。その中から部位、質によって松竹梅に分類されるようだ。
竹

日山では鍋奉行は必要ない。仲居さんがすべて作ってくれる。関東風ではあるが、一枚ずつ丁寧に焼いて割り下も軽く注ぐ程度なので汁っぽくなることはない。従って最後にうどんを放り込むことはできない。牛丼にしたいと思っても無駄だ。
松

サシの入り具合に大きな違いはないが、食べてみると肉に甘味がありさすがに松の肉と感心した。料理人が間違ったのか、サービスなのか、いつものことなのか分からないが、一枚余った。仲居さんを促し分けて食べたら、今度は味が違う。時間が経つと途端に味が変わることは他の店でも何度か経験した。高級牛肉は繊細である。室温で脂が溶けて旨みが流れ出してしまったようだ。
すきやき、デザート

食べ終わってみんなに感想を聞いた。「松竹梅、どれも美味しい!」というのが大勢。確かに梅で充分満足できた。
仲井さんたちも思わず話しに入ってくるほどの賑やかで笑いっぱなしの宴会だった。元気な大先輩たちを見ていると、日本経済のためにまだまだ頑張って欲しいと思った。
日本橋 日山
東京都中央区日本橋人形町2-5-1
03-3666-5257
http://www.hiyama-nihonbashi.co.jp
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2008年01月28日
[野田岩日本橋高島屋店]
日本橋高島屋「野田岩」の白焼き中入れ丼

11時前の来客であれば日本橋高島屋の特別食堂にお連れすることが多い。帝国ホテル(洋食)、大和屋三玄(和食)、五代目野田岩(うなぎ)の一流三店が入り、座席間が広く昼の軽い接待には丁度いい。
「料理の選択肢が多いですから」と高島屋に向かう道すがら言っておきながら、メニューを開く間もなく鰻を奨める。従来は「かさね重」のワンパターンだったが、最近では白焼きの中入れ丼を奨める。これがなかなかいい。

通に丼とお重とどちらが美味しいかを語らせると、丼派が圧倒的に多い。見栄えがいいお重に比べると味は上で値段も安いというわけだ。お重派は「どんぶり飯」なる言葉のイメージで敬遠しているきらいもないではない。もっとも両者の比較などしたことがない人が殆どだろう。
野田岩で丼を食べたのはお重と比較しようと思ったからではない。二日酔いで胸焼けしていたので蒲焼きではなく白焼きで済ませようと思ったためだ。ご飯の間にも白焼きが挟んであるので思った以上に量があったが、二日酔いの影響もなく食べきった。
上に乗った鰻と、ご飯に挟まれて蒸された鰻が絶妙のハーモニーを醸し出している(ような気がする)。
丼嫌いの人も、白焼き中入れ丼安いと蔑むことはしないだろう。昼食に3,360円は決して安いわけではない。酒を飲むときはかさな重を頼みまず白焼きで一杯の方がいいが、そうでなければ白焼き中入れ丼が定番になりそうだ。
かさね重

日本橋高島屋特別食堂
かさね重の記事http://codawari.info/ginpatsu/archives/2007/12/post_749.html
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2008年01月27日
[銀座アスター]③(日本橋)
高級店の大衆料理

超とまではいかないが、銀座アスターは高級店の部類に入る老舗料理屋だ。ランチはともかく夜はフカヒレなどの値が張る料理を食べなければならない気分にさせられる。スポンサー側にはかなりのプレッシャーがかかる。
メニューを見て悩んでいるので「餃子とか麻婆豆腐が食べたいですね」と助け舟を出した。大衆中華料理を食べるとの方向性を打ち出してあげたので、オーダーはしやすくなったはずだ。アッと言う間に注文する料理が決定した。
餃子、春巻き

以前ランチ時に必ず食べたのが餃子。スポンサーを気遣ったのは確かだが、銀座アスターの餃子はお気に入りの一つでもある。
春巻きは人数分ずつ頼んで、しかも食べやすいように半分に切ってもらった。安い料理でも手抜きがなく、サービスも変わらないのが嬉しい。
かに玉、麻婆豆腐

山椒が効いた四川風の激辛が主流になりつつあり銀髪も激辛派だが、誰でも食べられるオーソドックスなものも悪くはない。
チャーハン、坦々麺

夜に、銀座アスターで、メインらしいものがない食べ方をする人は滅多にいないだろう。街の中華定食屋でも食べられる料理ばかりだが、質は当然かなり上。料金は高めでも、高級料理を頼んでいないのでスポンサー氏のお財布も安泰だ。
店員も我々を蔑んでいる気配はない。とてもフレンドリーでいい応対である。この日の店内は天候のせいか、空席が目立った。店員の給料分も出ない料理で申し訳なかったが、とても満足した夕餉だった。
銀座アスター 日本橋賓館
東京都中央区日本橋3-7-20 DICビルB1
03-3273-8831
http://www.ginza-aster.co.jp
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2008年01月20日
[キャトリエム]②(日本橋)
♪ 私の 私の彼は~ 左利き~

日本橋界隈で10人以上のランチを受けてくれるところは少ない。売り手市場になる昼時は団体で長時間粘られたらあがったりである。そう思う店が殆どで、読みが浅い。銀髪のグループなら長く居れば居るほど酒の売り上げが伸びて儲かるはずなのに…
快く受けてくれたのはコレドにある「キャトリエム」である。前もランチで利用した。銀座レカンの系列店で料理はしっかりしており、1,200円、1,800円、2,600円の3種類のランチがあり、この日は真ん中を選んだ。内容は行く度に違うが、いつも充分にお得感がある。
そう言えば銀座レカンもミシュランには選ばれなかった。マキシム・ド・パリと同じように地下の店であることが災いしたのだろうか。
砂肝のサラダ

前に食べたとき、違った料理だったがやはりポーチドエッグが乗っていた。シェフはよほど好きなのだろう。
豚の頬肉

牛の頬肉はよく食べるが、豚の頬肉は焼きとん屋以外ではあまり食べたことがない。肉が嫌な人は魚も選べる。魚を選んだ人の中には頬肉と聞いて豚を拒絶した意気地なしが何人か居た。
コーヒー

最後にデザートとコーヒーが出てきたが、取っ手が特徴的なカップにみんなの注目が集まった。右手で飲むとしっくり手に馴染むのだが、左手では明らかに使い難い。左利きには不便だとの声に、みんなが同意して話が盛り上がったところでお開きとなった。
そのときは何とも思わなかったのだけれど、しばらくしてから果たして洋食器に利き手が問題になるのか疑問に思った。箸を左手に持つ人はいても、左利きの人がフォークを右手、ナイフを左手に持つところを見たことがない。ペンを左に持つ外国人でも、ナイフを左手に持つことはないだろう。
左利きの人がコーヒーカップを右手に持っても何の不思議はないはずだ。大昔にヒットした麻丘めぐみの「私の彼は左利き」で、彼はブラックコーヒーを左手で飲むがナイフを左手で持つという歌詞はない。
もっとも右利きでも右手にペンを持てばコーヒーカップを持つ手は左なので、妙な歌詞ではある。
それにしても、ときどきドラマで見る麻丘めぐみはおばさんになってしまった。それでも上手に年齢を重ねた方だと思う。他人のことを言えた義理ではないけれど…
キャトリエム
東京都中央区日本橋1-4-1 コレド日本橋4階
03-3272-8446
http://www.lecringinza.co.jp/4eme/
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2008年01月18日
[むとう](日本橋三越前)
路地裏のそば会席

重厚な建物が並ぶ日本橋三越側と、中央通りを挟んで向かい側の一帯とは180度趣が異なる。「利久庵」「はんなりや」「もつ壱」「あなごや吉五郎」「串TEN」「天香回味」など、これまで紹介したサラリーマン御用達の店がたくさんある。むとうはまだ開店から6年位の比較的新しく、品のいい感じの蕎麦屋である。
夜は会席のみというので、予約をして出かけた。こぎれいな店内は仄暗く各席が仕切られているので他の客の存在は定かではない。静かで個室会席の雰囲気を作り出している。
カナッペ2種、そば豆腐、

洋風の付け出しで意表をつく。カナッペは「まずビール」にはよく合う。
豆乳、葛粉、そば粉で作ったそば豆腐はプルンプルンしていて、味もいい。ビールの後、もちろん和食には日本酒。「すいませーん」と声をかけるとこちらの気持ちを見通していたかのように、若い店員が酒のメニューを持って衝立の向こうから現れたのには驚くやら、嬉しいやら。
そば味噌、天ぷら(海老、白子、ししとう、椎茸、京人参)

そば豆腐がプリンプリンならそば味噌はコリコリ。混ぜてあるくるみはが食感と脂肪分を加えて面白いそば味噌が出来上がった。
天ぷらを置いて店員は消えたので、「すいませーん」と再び声をかけた。塩が欲しくて呼んだのだが、さすがに今度は手ぶらでやってきた。今度もこちらの気持ちを察していたらさらに感動していたろうに残念だ。
鴨なべ

鴨、ネギ、水菜のシンプルな鍋は、炭火の上に置かれた。最初の鴨は柔らかくて美味しくて感激したが、3枚目には固くなってしまった。四谷の「三櫂屋」のように、しゃぶしゃぶにした方がいい。炭もオガ炭では大衆店っぽくてちょっと味気ない。
十割そば、そば湯

そば湯はかき混ぜるためのへらがついてきた。そば湯用に濃く作ったのだろう。両国の「業平屋」ほど濃くはないが、そば湯好きの人には嬉しい心遣いだ。
漬物、甘味

味もよく、店員の応対もいい。とてもいい店と思うのだけれど、何かが引っかかる不思議な気分になった。大衆店か高級店なのか、明確にしないとどの客もどこか不満が残る。
店主はきっと分かっていると思うのだが…
むとう
東京都中央区日本橋室町1-13-1 梅むらビル1階
03-3231-7188
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2008年01月07日
[マンダリンオリエンタル東京 センス](日本橋)
アジアを代表する最高級ホテルの中華料理

1月5日(土)日本経済新聞土曜版に高級ホテルのランキングが載っていた。東京ではトップがパークハイアット東京(総合1位)、次(総合5位)の順になっていた。ザガットサーベイではマンダリンオリエンタル東京は日本唯一の6つ星で国内トップに評価されているそうだ。
香港のマンダリンは定宿にしていたが、東京はもちろん泊まる必要はないのでレストランだけしか利用したことがない。37階にはフレンチの「シグネチャー」もあるが、まだ食べたことがないナポレオンフィッシュを求めてセンスに行くことにした。
窓際はカップルが占拠しているが、接待にも問題はない。仄暗い雰囲気のあるフロアではカメラ撮影を咎められるかと思ったが快く承諾してくれた。フロアスタッフの応対も気持ちがいい。メニューを開きお目当てのナポレオンフィッシュを頼もうとしたが、入荷していないとのこと。ショックは隠しようもなかったが、2万円のコースでお手並みを拝見することにした。
スタートの小皿と前菜2種

「仔豚入り香港スタイルバーベキューの盛り合わせ 季節のピクルス添え」「二種類のくらげ入り本日の前菜盛り合わせ」の2種を頼んだ。前菜とメインは選択制のので写真を撮るためにすべて違う料理を選ばせてもらったが、客が食べた仔豚の方が美味しそうに見えた。
北京ダック、フカヒレ姿煮

「SENSE特製北京ダック2種類の食べ方で」「特大フカヒレ姿の金華ハムの香りのとろみスープ」は固定メニューで、コースの中心であり店の自慢の品のようだ。北京ダックとマンゴーを挟んだ品は香港でも特に女性に人気らしいが、銀髪には甘すぎた。
フカヒレは気仙沼産大型のヨシキリザメのヒレとのことで、これは本当に美味かった。
伊勢えび、アワビ

東星ハタとホタテ、フランス産鳩の丸揚げ

メインは一人二品選ぶことが出来るので「殻付き伊勢エビのハーフカット蒸し香港風葱生姜のフィッシュソース」「国産フレッシュアワビの姿煮込み海鮮フカヒレコラーゲンだしのオイスターソース」「東星ハタとフレッシュホタテの照り焼き七種野菜炒め添えMOTソース」「鳩の丸揚げ香港スパイス風味中国野菜添え」を食べた。ナポレオンフィッシュに並ぶマンダリンの名物と言われた東星ハタは、あまりに少量だったので食べた後にその存在に気付いた。
MOTソースとはセンスのオリジナルのXO醤ソースとのこと。MOTって、マンダリン・オリエンタル・東京の略だろうか?質問するのを忘れてしまったが、なかなか美味だった。
黄にらともやしと鶏肉入りスープ香港細麺、お茶うけ

デザート2種

2万円も出せば当たり前なのか、2万円を出せばこれだけのものが食べられるというか、大変満足できる内容だった。雰囲気もよく、スタッフの応対も悪くない。
3時間以上かけて、夜景を見ながらゆっくりと時の流れを楽しむ余裕が必要だ。料理が次々に来ないとすぐに手を上げる人や、同伴前にちょっと腹ごしらえと考えるような輩は遠慮した方がいい。
東京都中央区日本橋室町2-1-1
マンダリン・オリエンタル センス
03-3270-8800
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2007年12月26日
[牛幸 本店](新川)
焼肉? 牛鍋?

以前、何度も飲んだくれて店の前を通った。暗闇にひっそりと佇む雰囲気が気に入っても、これまで行く機会は訪れなかった。ようやく得たチャンスに胸躍らせて、日本橋から歩く。家路に急ぐ人々の流れに逆行しながら長時間歩くことに同行者たちから不満の声が上がるが気にしない。
カロリーの消費が特に必要な人が一番文句を言う。これから大量摂取をするというのに。
小さな門を抜けると、店内も外観に負けないぐらい雰囲気がある。たくさん歩いて不満タラタラだった連中も顔がほころぶ。さすがに忘年会シーズンは満室とのこと。テーブルの上にある変わった形の鉄板に誰もが興味津々である。
前菜

黒毛和牛しゃぶQという4,830円のコースが始まった。
前菜の皿の中央にある牛のたたきに感嘆の声が上がる。幹事役の苦労が報われる瞬間だ。
牛鍋

「最上級の肉を安く食べさせる」というのが店の信条らしく、大きく厚い霜降り肉が各人2枚。2段になった鍋の上で焼かれた肉の肉汁が下の段に流れ込む。深い溝で肉汁を待つのはキムチベースのスープと野菜類。
肉汁だけでなく、牛脂も溶け込むので味がしつこくなる。そのためキムチ味にしたと思われるが、なかなかいいアイデアである。
ひれ、ざぶとん

瞬く間にコースの肉を平らげて、美味いを連発する可愛い部下たちのために、肉を追加した。ざぶとんとは鞍の下あたりの肉。「馬なら分かるが、牛に鞍はつけない」と茶化す奴がいても、みんなの口は食べることを優先している。ひれは特に好評だった。
最後にきしめんとデザートを食べて、1時間強で食べ終えた。食べるのが早い人がいると、みんな引っ張られてしまう。いくつになっても鍋は気持ちを逸らせる。酒の消費量が少なく済むのが有り難いが、今度は客でも連れてゆっくりやりたいものだ。
デザートを食べる部下たちを残して、勘定をしに階段を下りた。勘定場には今日使った肉の詳細なデータを記した紙が置いてあった。今日の肉は栃木産。「上質の肉を安価に提供する」というのは嘘ではないようだ。
この店ではカードが使えない。煩雑だというだけでなく、カード会社への手数料を客に転嫁させないための配慮かもしれない。
襟を立てて文句タラタラで歩いてきた連中も、帰りは体が暖まり上機嫌だ。銀髪の財布の現金は殆ど消えてしまったが、まっ、いいかな。
牛幸 本店
東京都中央区新川1-9-8
03-3551-8980
http://www.ushikou-honten.co.jp
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2007年12月01日
[野田岩](日本橋高島屋店)
日本橋高島屋の特別食堂で鰻を食べる

福岡に住んでいた子供の頃、デパートに行くときは白いシャツと紺の半ズボン、よそ行きの黒い靴を履いて出かけたものだ。もちろん頭は坊ちゃん刈り。最大の楽しみは大食堂のお子様ランチ。三丁目の夕日を見ると、東京っ子も銀髪と五十歩百歩だったようだ。
初めて日本橋の三越や高島屋を見たときは、その重厚な建物・雰囲気に圧倒された。しかし、お子様ランチを世に広めた名門デパートにはもはやお子様ランチを売り物にする大食堂はない。
日本橋高島屋の大食堂は12時前に中高年で埋め尽くされる。出店しているのは帝国ホテル、大阪の老舗料亭・大和屋三玄、五代目野田岩。子連れのファミリー客が来るところではなくなった。個室にこだわらなければお客様との食事にうってつけである。席の間隔は広いし、サービスも行き届いている。なにより料理の選択肢が多いのがいい。
客はメニューを渡されて何を頼むか迷う。選択肢の多さではなく、値段が張るのでこちらの予算を計りかねているためだ。そこですかさず「野田岩のかさね重がお奨めですよ」と助け舟を出す。4,410円の値段を確認したら他の料理を食べるにしても、こちらの腹積もりが分かり選びやすい。しかし、殆どの人がお奨めに従う。かさね重は群を抜いて魅力的である。

立派なお重を開けば野田岩名物の志ら焼が上段にある。これを食べるにはもちろんビールが欠かせない。続けて日本酒に行きたいところだが、誰もお付き合いしてくれそうもないので我慢する。他のテーブルを見たら昼寝を出来る特権階級はしっかり人生を楽しんでいる。彼らに比べればまだ小僧っ子の我々は、昼の仕事を考えざるを得ない。
野田岩は麻布にある160年以上も続く老舗のうなぎ屋。本店では天然うなぎを使うというが、高島屋店はどうだろうか。
うなぎの蒲焼は煙だけでご飯が何杯も食べられると落語のネタにもなるが、デパートの調理場から煙は届いてこない。やはり、夜に本店に食べに行きたいものだ。酒も我慢しなくていい。
特別食堂は高齢化社会にもしっかりマッチしていくだろう。しかし、特別食堂では、目を輝かせてお子様ランチが来るのを待っていた自分の姿を見つけることができないのが、ちょっと淋しい。
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2007年11月16日
[キラク](日本橋人形町)
人形町の洋食屋といえばキラクは外せない

昭和21年(1946年)創業というから既に60年以上の歴史を誇る有名な洋食屋である。それなのに不思議なことにこれまで入ったことがなかった。店の前までは何度も足を運んだが、小さい店なのですぐに満席になる。並んでまで食べたくないので近くのラーメン屋に入ることが度々だった。
この日、部下に同行して客先に行った。客先から人形町まで歩いて5分、運良く11時過ぎにミーティングが終了した。店は既に半分埋まっていたが、余裕で席を確保。お目当てのビーフカツを頼んだ。キラクのことを知らない部下はポークかつを頼む。
ポークカツ

2人同時に料理を出すためにポークカツが先に油に入った。待てど暮らせど銀髪のビーフは登場しない。永遠にも感じるほどの時間が過ぎたところで鍋に投じられ、拍子抜けするほど早くポークカツと共に引き上げられた。
ビーフカツ

霜降り肉ではないので噛み応えがあるが、レアに仕上がっているので固くなく味がある。部下のポークカツを奪い取り、こちらのビーフカツと引き換える。「どちらが美味い?」と聞くと「ビーフカツが美味い」と答える。生まれて初めて食べたそうで、嬉しそうである。それを見るとこちらも嬉しいが、周りを見渡すとちょっと引っかかる。
ポークソテーがメチャメチャ美味そうなのである。
日を替えて1人で行った。まだ早い時間なのに既に3人が食事中で、4人が料理の出来上がるのを待っている。席に座るなり「ポークソテー!」と伝え、しばらく待つことを覚悟した。女将さんが格闘しているフライパンの中はおそらくポークソテーだ。
「にんにくを入れますか?」と聞かれ「ハイ」と答えて、もしかするとフライパンの中に銀髪の分も入っているのではないかと期待した。
ポークソテー

思ったとおり、銀髪を含めて5人の前に料理が置かれた。ビーフカツが1人で他はポークソテー。にんにくの香ばしさに覆われたポークソテーの美味いこと。多くの人がポークソテーを頼むのがハッキリ分かった。
女将さんが再びポークソテーを作り始めて気付いたが、銀髪に出された分はテークアウトされるものだったようだ。お陰で待たずに食事にありつけた。
それにしてもこのポークソテーは秀逸だ。しばらく我が家の献立から消えていたが、復活したくなった。週末は分厚い豚肉を買って、家族に振る舞おう。キラクほど美味くはできないだろうが、その味は今も明確に舌に残っている。
洋食キラク
東京都中央区日本橋人形町2-6-6
03-3666-6555
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2007年10月27日
カクテル「マイ東京」
「三丁目の夕日」の頃のカクテルを

日本橋界隈で食事をしたら、足を伸ばして銀座に行くか近場で済ますか悩む。近場といえば風長閑になる。ちょっとひっかけて帰ることにしよう。
カウンターに陣取って先ずはギネスビール。飲み干してから次を迷うのが楽しみな時間だ。目の前の果物から正面の数々のボトルを経て、左手の壁に掛けられた黒板まで目がさまよう。

三丁目の夕日はいい映画だった。テレビ、冷蔵庫、洗濯機が家庭に普及し始めた昭和33年頃の話。昭和30年生まれの銀髪世代にとって記憶は曖昧だが、雰囲気はよく理解できた。
バーテンダーの石井さんもママも「甘いから止めた方がいいですよ」と止めようとする。そうなるとますます飲まなければいけない気分になってくる。まして3丁目の夕日と来れば、飲みたい気持ちは抑え切れない。二人とも客を上手に乗せたくせに、今度はひきずりおろそうと必死だ。

甘い、甘いと驚かされたせいか、思ったより甘くない。スノースタイルのカクテルでグラスの縁につけられた砂糖が銀髪にはいただけないが、それを舐めた箇所から続けて飲めば問題ない。
石井さんがあみだしたカクテルかと思ったら、上田芳明氏が1964年(昭和39年)東京オリンピック開催を記念してに作ったカクテルで、サントリー・カクテルコンクール特選賞受賞作とのこと。
ウイスキー、ヘルメスオレンジキュラソー、ライムジュースなどで作られる。
ウイスキーベースのカクテルとしてはかなり有名らしく、ネットで検索するとたくさん出てくるが、なぜこのレシピで東京をイメージさせるのか教えてはくれない。グラスに沈められたチェリーは夕日だろうか朝日だろうか、或いはまったく違う何かだろうか。
東京オリンピックであれば、日本の明るい将来をイメージして、朝もやに浮かび上がる朝日が相応しい気がする。
三丁目の夕日はマイ東京より5~6年前の話。東京オリンピック開催決定に沸き、急成長に躍る東京の息吹きを、石井さんオリジナルのカクテルで感じたいものだ。若い石井さんには難しい注文かもしれないが、三丁目の夕日を見てイメージできるかもしれない。
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2007年10月20日
[明華園](人形町)
老舗中華料理店の名物はモツそば

以前人形町近くにオフィスがあった頃にはよく行った店。メニューには高級料理もあるが、いつも街の中華定食屋の感覚で使っていたため料理の印象はほとんど残っていない。
数ヶ月前の夜、お客様に連れられて久々に行った。ご馳走してくれるというので料理の選択は任せたが、記憶の通り特筆すべき料理は何もなかった。結局カメラはしまったままだったが、食べ終わった後でお客様はモツそばが絶品だと言うではないか。それなら頼んでくれれば良かったのにと恨めしかった。いつか行かなければと思いながら、時は過ぎていった。
すっかり忘れてしまった頃、店の前を通ってモツそばのことを思い出した。記憶は脳の中にどのように保存されているのだろうか。まったく不思議だ。

店に入ってメニューを開いたが、探すのが面倒くさい。店のおばさんに「モツが入ったラーメン」と頼んだら「モツそばですね」と言われた。

スープをすすって納得した。実にいい味が出ている。モツと言っても入っているのは鶏レバーのみのようだ。これを見て再び記憶の扉が開かれた。
子供の頃、我が家に衝撃を運んできたのが兄嫁だった。どの家庭も同じだと思うが、我が家でも母が嫌いなものは食卓に上らなかった。代表的なのがセロリ。この臭いには参った。これが1番の衝撃。
兄嫁が作るお雑煮にも驚いた。鳥レバーが入っていたのだ。これが2番の衝撃。食感は我慢できなかったが、汁が美味しいのに感心した。明華園のモツそばを見て30年以上も前の記憶が蘇ったわけだ。
ラーメンは専門店の方が美味いと思いがちだが、和洋中どの料理屋でも基本のスープが命。20代の若者がラーメン屋チャンピオンに輝く世界とは異質のものがあるように思える。
麺や具がなくなった後も汁をたくさん飲んだため、後になって喉が渇いて参った。
ラーメン通の人が何と言うか分からないが、ファンが多いのは事実。ミスマッチのようで意外に美味しいモツそばである。
明華園
東京都中央区日本橋人形町2-2-2
03-3666-4501
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2007年10月16日
[ダバインディア](八重洲)
楽しくみんなで手を使って食べよう

6時前の早い時間だったので、楽勝だと思って予約なしで行った。案の定ガラガラだったが、8時までという条件でやっと入れてもらえた。予約必須というのは嘘ではないようだ。
メイン料理はバナナの葉に乗ったカレーで、これを手で食べると来る前から決めていた。前菜として二品選んだ。
チキンティッカプレート、タンドーリリゴビ

チキンティッカプレートは2種類の味の骨なしチキンのスパイス焼き。「熱いですよ」と注意されたときはもう遅かった。銀髪は火傷しそうになって、チキンを皿の上に放り出した。その仕種を爆笑された。
身がパサパサのタンドーリチキンを出す店が多いが、ダバインディアの鶏肉は柔らかくて美味い。鶏肉自体が良質なのかもしれない。
Kさんがタンドーリリゴビを食べて「カリフラワーみたいな肉ですね」と言うので大いに笑った。カリフラワーそのものだと気付いていない。さっきの仕返しで爆笑してやった。
最初の二品が気に入ったので、メインの前にもう一品追加した。
マサラ ドーサ

ポテトの香味炒めを包んだクレープで、初体験のインド料理だった。今度は火傷しないように慎重に手で食べた。
ダバミールス、ヴェジミールス

ダバミールスには海老・魚・チキンのカレーが、ヴェジミールスには本日の野菜カレー2種、ヨーグルト、ピクルスが入っている。野菜のスパイス炒め、サンバルカレー(野菜カレー)、ラッサムスープ(辛くて酸味のあるスープ)、ブーリ(揚げパン)、パスマティライス、ババドは両方に共通している。
数種類のカレーをそれぞれ味わおうとしていたら、Kさんが構わずどんどんごはんの上にぶちまける。非難し合いながらも笑いが絶えない。カレーにまみれたライスを3本指の上に乗せ、親指で押しだすように口に入れる。慣れると結構食べられるもんだ。
香り高いインディカ米のパスマティライスもいい。インド産の白ワインを飲みながら、食が進む。
マトンシークカバブ

あまりに美味しく楽しいのでもう一品追加した。手はカレーまみれなので、店員に食べやすいように切り分けてもらった。もちろんこれも手で食べる。
食後にレモンの入ったフィンガーボールで手をしっかり洗った。それでも爪の間から漂うカレーの匂いは、翌朝までかすかに残った。
「念願の手を使って食べることが出来て本当に楽しかった」とKさんは言う。それだけで止めておけばいいのに、「憧れの人を前にしたら絶対できませんものね」とのたまう。
「ハイハイ、我々はどうせブサイクですよ!」「フーンだ!」
ダバインディア
東京都中央区八重洲2-7-9
03-3272-7160
http://www.dhabaindia.com
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2007年10月10日
[山田屋]②(日本橋)
ふぐの季節到来

10月になると食べたいものが一気に増えてくる。9月25日から山田屋でもふぐ料理が始まった。養殖技術が発達してふぐは最早冬だけの料理ではなくなった。れでも天然物は季節感を感じさせ、山田屋の女将がより一層元気に見える。
刺身

新宿の月亭と値段が違うのだから仕方がないが、山田屋の料理人は幸せだ。最高の素材・腕で客を唸らせることこそ、料理人の生きがいに違いない。
ふぐ焼き

鍋を食べないと決めたので、刺身、焼き、唐揚げを3点セットを食べることにした。
唐揚げ

素材の味を一番感じさせなくしてしまうのが唐揚げだが、食べやすくて美味しいのは否定できない。
雑炊

鍋をしないと決めても〆の雑炊は食べたい。てっちりで満腹にするのもいいが、腹八分目で雑炊を味わうのがおじさん達の流儀である。
ふぐにばかり目を奪われてしまうが、料理人の腕の見せどころは先付けにある。昆布とうずらの卵で柿に似せるなど、舌だけでなく目も楽しませてくれる。
お通し

1階座敷のテーブルに大きな鍋が置かれていた。中を覗くと先付けの一つの鰯だった。昔は家庭料理の定番だったはずだが、今では料亭で食べるぐらいしか機会がない。

「缶詰かと思ったよ」と店員を茶化したが、とても美味しかった。隣を見ると柿を模したうずらの卵も鰯も手付かずに放置されていた。このまま下げられたら料理人が悲しむだろうと思うと、箸を伸ばしたい誘惑に駆られた。
昔は「出されたものは残さず食べなさい!」と怒られたものだが、今は子供だけでなく大人も平気で残すようになった。医者や薬が大好きな人はいないはずなのに、偏食はやがて健康診断の数値に反映される。
山田屋
東京都中央区日本橋3-1-15
03-3271-2031
http://www.nihonbashi-yamadaya.com
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2007年10月08日
[寿々木屋](人形町)
人形町のきしめんは本場とはちょっと違う

人形町交差点から久松警察署のほうに少し歩いたら、大きな「きしめん」の文字が見える。少し控えめに「おそば」の赤い文字、さらに小さく店名が書いてある。

最初に来たときは店内は一杯で、列ができていた。立ち食いだからそれほど待つこともないだろうと思っていたら、意外と時間がかかった。天ぷらを揚げるのが追いつかないのだ。おかげで熱々の天ぷらを食べることが出来てとても満足した。
一度いいことがあると次も期待してしまうのが愚か者の常。作り置きしていた天ぷらを乗せられるとちょっとがっかりする。それでも大量に作り置きしているわけではないので、熱々を食べられるチャンスは少なくない。掻き揚げは1センチ位の厚さでサクッと揚がっている。たまねぎが甘い。

中部地区できしめんに慣れ親しんだ人にとっては納得がいかない出汁だろう。昔、豊橋でよく食べていた駅構内の店は、濃い口醤油の関東風出汁だった。二日酔いで朝食を抜いたにもかかわらず醤油の香りに誘われ、店を出るときは度々後悔したもんだ。
寿々木屋のきしめんは懐かしさを呼び起こす物とは違うが、立ち食いとしては充分満足できる。
次に行ったときはそばを食べてみた。出汁は濃い口醤油できしめんとは違う。出汁は美味しかったが麺は普通。評価は看板の文字の大きさに比例する。

きしめんも、そばも、豊橋駅で食べたもののように胸焼けすることはない。寿々木屋の方が遥かにレベルは高いのだが、なぜかあの胸焼けがしたきしめんが懐かしい。
きしめんをそばのつゆで食べさせてくれと言ったら怒られるかなー
きしめん 寿々木屋
東京都中央区日本橋人形町3-13-12
03-3661-1642
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2007年10月06日
[上野精養軒](日本橋)